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特表2024-517449圧電駆動装置及びそれを有する圧電駆動システム
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  • 特表-圧電駆動装置及びそれを有する圧電駆動システム 図1
  • 特表-圧電駆動装置及びそれを有する圧電駆動システム 図2
  • 特表-圧電駆動装置及びそれを有する圧電駆動システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】圧電駆動装置及びそれを有する圧電駆動システム
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/04 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
H02N2/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568012
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2021118797
(87)【国際公開番号】W WO2023039796
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宇野 勝
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA06
5H681DD23
5H681DD33
5H681DD64
5H681DD72
(57)【要約】
圧電駆動装置であって、変形可能部が含まれるフレームであって、変形可能部が、第1のサイドアームと、第1のサイドアームに対向する第2のサイドアームと、第1のサイドアームと第2のサイドアームとを接続するボトムアームとを含み、第1のサイドアームと第2のサイドアームとがボトムアームに対して互いに傾斜しているフレームと、第1の圧電素子及び第2の圧電素子であって、第1の圧電素子がフレームと変形可能部の第1のサイドアームとの間に設けられ、第2の圧電素子がフレームと変形可能部の第2のサイドアームとの間に設けられ、第1の圧電素子及び第2の圧電素子が、変形可能部を変形させるように構成される第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、変形可能部のボトムアームに設けられ、変形可能部の変形による駆動で移動するように構成される作動部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電駆動装置であって、
変形可能部が含まれるフレームであって、前記変形可能部が、第1のサイドアームと、前記第1のサイドアームに対向する第2のサイドアームと、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとを接続するボトムアームとを含み、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとが前記ボトムアームに対して互いに傾斜しているフレームと、
第1の圧電素子及び第2の圧電素子であって、前記第1の圧電素子が前記フレームと前記変形可能部の前記第1のサイドアームとの間に設けられ、前記第2の圧電素子が前記フレームと前記変形可能部の前記第2のサイドアームとの間に設けられ、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子が、前記変形可能部を変形させるように構成される第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、
前記変形可能部の前記ボトムアームに設けられ、前記変形可能部の変形による駆動で移動するように構成される作動部と、を含む、
圧電駆動装置。
【請求項2】
前記第1の圧電素子は前記フレームに接続される第1の端と、前記変形可能部の前記第1のサイドアームに接続される第2の端と、を有し、前記第1の圧電素子は、前記変形可能部を変形させるように膨張又は収縮するように構成され、
前記第2の圧電素子は前記フレームに接続される第1の端と、前記変形可能部の前記第2のサイドアームに接続される第2の端と、を有し、前記第2の圧電素子は、前記変形可能部を変形させるように膨張又は収縮するように構成される、
請求項1に記載の圧電駆動装置。
【請求項3】
前記第1の圧電素子の第2の端は、前記変形可能部の前記第1のサイドアームと形状及び配向でマッチングし、前記第2の圧電素子の第2の端は、前記変形可能部の前記第2のサイドアームと形状及び配向でマッチングし、
前記変形可能部の第1のサイドアームに垂直な方向は前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向と第1の角度で交差し、前記変形可能部の第2のサイドアームに垂直な方向は前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向と第2の角度で交差する、
請求項2に記載の圧電駆動装置。
【請求項4】
前記フレームは、
本体と、
本体の対向する端からそれぞれ延在する第1の側部及び第2の側部と、をさらに含み、
前記変形可能部は、前記本体の中央部から延在し、前記第1の側部と前記第2の側部との間に位置し、前記変形可能部は、前記第1の側部と前記第2の側部とそれぞれ第1の隙間と第2の隙間とを形成し、前記第1の圧電素子は前記第1の隙間に設けられ、前記第2の圧電素子は前記第2の隙間に設けられ、前記第1の圧電素子の第1の端は前記第1の側部に接続され、前記第2の圧電素子の第1の端は前記第2の側部に接続される、
請求項2または3に記載の圧電駆動装置。
【請求項5】
前記第1のサイドアームの第1の端と前記第2のサイドアームの第1の端とは前記本体に接続され、前記ボトムアームは前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端との間に接続され、
前記第1のサイドアームの第1の端と前記第2のサイドアームの第1の端とは、前記ボトムアームの延在方向に第1の距離を隔て、前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とは、前記ボトムアームの延在方向に第2の距離を隔て、
前記変形可能部が略三角形の形状又は略「A」字状の形状を有するように、前記第1の距離が前記第2の距離より短い、
請求項1~4のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項6】
前記第1のサイドアームと前記本体との接続箇所には第1の溝が形成され、前記第2のサイドアームと前記本体との接続箇所には第2の溝が形成され、前記第1のサイドアームと前記ボトムアームとの接続箇所には第3の溝が形成され、前記第2のサイドアームと前記ボトムアームとの接続箇所には第4の溝が形成される、
請求項5に記載の圧電駆動装置。
【請求項7】
前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とにそれぞれ設けられる2つの作動部が設けられ、または、
前記ボトムアームに設けられ、それぞれ前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とに隣接する2つの作動部が設けられる、
請求項5または6に記載の圧電駆動装置。
【請求項8】
前記2つの作動部は、前記ボトムアームの延在方向に垂直な前記ボトムアームの中心線に対して対称である、
請求項7に記載の圧電駆動装置。
【請求項9】
前記ボトムアームに設けられる1つの作動部が設けられる、
請求項1~6のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項10】
前記作動部は、前記変形可能部の前記ボトムアームから突出し、一部球形状を有する、
請求項1~9のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項11】
前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子は、d33モードで動作するように構成される、
請求項1~10のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項12】
前記変形可能部の前記第1のサイドアームに垂直な方向と前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向との間の第1角度の範囲は24度~26度であり、前記変形可能部の前記第2のサイドアームに垂直な方向と前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向との間の第2の角度の範囲は24度~26度である、
請求項1~11のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項13】
前記変形可能部は、前記フレームの中央部に設定され、対称構造を有し、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとが互いに対称であり、
前記第1の圧電素子は前記変形可能部の対称軸に対して前記第2の圧電素子に対称であり、第1の角度と第2の角度とは等しい、
請求項1~12のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項14】
前記フレームがセラミック材料で形成され、前記作動部がセラミック材料で形成され、前記フレームの前記変形可能部が前記作動部と一体成形される、
請求項1~13のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項15】
前記第1の圧電素子は前記フレームと前記変形可能部とに接着され、前記第2の圧電素子は前記フレームと前記変形可能部とに接着される、
請求項1~14のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項16】
圧電駆動システムであって、
請求項1~15のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の前記作動部に係合し、前記作動部の駆動で移動するように構成される可動部材と、
前記圧電駆動装置に設けられ、前記作動部を前記可動部材に押し付けるように前記圧電駆動装置を保持するように構成される保持ばねと、を含む、
圧電駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は圧電駆動技術分野に関し、具体的には圧電駆動装置及びそれを有する圧電駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術では、圧電駆動システムには通常2種類がある。1つはUSM型であり、もう1つはSIDM型である。USM型圧電駆動システムは複雑で高価であり、発生するストロークが非常に小さい。一方、SIDM型圧電駆動システムはカウンタウエイトと軸が必要であるため、構造が複雑である。また、SIDM型圧電駆動システムの制御方法は、圧電素子の変形速度を正確に制御する必要があるため、非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、関連技術における上記技術的課題の少なくとも1つを解決するために、圧電駆動装置及び圧電駆動システムを提案する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本開示の第1の態様の実施例は圧電駆動装置を提供し、前記装置は、変形可能部が含まれるフレームであって、前記変形可能部が、第1のサイドアームと、前記第1のサイドアームに対向する第2のサイドアームと、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとを接続するボトムアームとを含み、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとが前記ボトムアームに対して互いに傾斜しているフレームと、第1の圧電素子及び第2の圧電素子であって、前記第1の圧電素子が前記フレームと前記変形可能部の前記第1のサイドアームとの間に設けられ、前記第2の圧電素子が前記フレームと前記変形可能部の前記第2のサイドアームとの間に設けられ、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子が、前記変形可能部に変形させるように構成される第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、前記変形可能部の前記ボトムアームに設けられ、前記変形可能部の変形の駆動で移動するように構成される作動部と、を含む。
【0005】
いくつかの実施例では、前記第1の圧電素子は前記フレームに接続される第1の端と前記変形可能部の前記第1のサイドアームに接続される第2の端とを有し、前記第1の圧電素子は、前記変形可能部を変形させるように膨張又は収縮するように構成される、前記第2の圧電素子は前記フレームに接続される第1の端と前記変形可能部の前記第2のサイドアームに接続される第2の端とを有し、前記第2の圧電素子は、前記変形可能部を変形させるように膨張又は収縮するように構成される。
【0006】
いくつかの実施例では、前記第1の圧電素子の第2の端は、前記変形可能部の前記第1のサイドアームと形状及び配向でマッチングし、前記第2の圧電素子の第2の端は、前記変形可能部の前記第2のサイドアームと形状及び配向でマッチングし、前記変形可能部の第1のサイドアームに垂直な方向は前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向と第1の角度で交差し、前記変形可能部の第2のサイドアームに垂直な方向は前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向と第2の角度で交差する。
【0007】
いくつかの実施例では、前記フレームは、本体と、前記本体の対向端からそれぞれ延在する第1の側部及び第2の側部と、をさらに含み、ここで、前記変形可能部は、本体の中央部から延在し、前記第1の側部と前記第2の側部との間に位置し、前記変形可能部は、前記第1の側部と前記第2の側部とそれぞれ第1の隙間と第2の隙間を形成し、前記第1の圧電素子は前記第1の隙間に設けられ、前記第2の圧電素子は前記第2の隙間に設けられ、前記第1の圧電素子の第1の端は前記第1の側部に接続され、前記第2の圧電素子の第1の端は前記第2の側部に接続される。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1のサイドアームの第1の端と前記第2のサイドアームの第1の端は前記本体に接続され、前記ボトムアームは前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端との間に接続され、前記第1のサイドアームの第1の端と前記第2のサイドアームの第1の端とは、前記ボトムアームの延在方向に第1の距離を隔て、前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とは、前記ボトムアームの延在方向に第2の距離を隔て、前記変形可能部が略三角形の形状又は略「A」字状の形状を有するように、前記第1の距離が前記第2の距離より短い。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1のサイドアームと前記本体との接続箇所には第1の溝が形成され、前記第2のサイドアームと前記本体との接続箇所には第2の溝が形成され、前記第1のサイドアームと前記ボトムアームとの接続箇所には第3の溝が形成され、前記第2のサイドアームと前記ボトムアームとの接続箇所には第4の溝が形成される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とにそれぞれ設けられる2つの作動部が設けられ、または前記ボトムアームに設けられ、それぞれ前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とに隣接する2つの作動部が設けられる。
【0011】
いくつかの実施例では、前記2つの作動部は、前記ボトムアームの延在方向に垂直な前記ボトムアームの中心線に対して対称である。
【0012】
いくつかの実施例では、前記ボトムアームに設けられる1つの作動部が設けられ、好ましくは前記底壁の表面の中心に設けられる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記作動部は、前記変形可能部の前記ボトムアームから突出し、一部球形状を有する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子は、d33モードで動作するように構成される。
【0015】
いくつかの実施例では、前記変形可能部の前記第1のサイドアームに垂直な方向と前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向との間の第1角度の範囲は24度~26度であり、前記変形可能部の前記第2のサイドアームに垂直な方向と前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向との間の第2の角度の範囲は24度~26度である。
【0016】
いくつかの実施例では、前記変形可能部は、前記フレームの中央部に設定され、対称構造を有し、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとが互いに対称であり、前記第1の圧電素子は前記変形可能部の対称軸に対して前記第2の圧電素子に対称であり、第1の角度と第2の角度とは等しい。
【0017】
いくつかの実施例では、前記フレームがセラミック材料で形成され、前記作動部がセラミック材料で形成され、前記フレームの前記変形可能部が前記作動部と一体成形される。
【0018】
いくつかの実施例では、前記第1の圧電素子は前記フレームと前記変形可能部とに接着され、前記第2の圧電素子は前記フレームと前記変形可能部とに接着される。
【0019】
本開示の第2の態様実施例によって提供される圧電駆動システムは、上記のいずれかの実施例に係る圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置の前記作動部に係合し、前記作動部の駆動で移動するように構成される可動部材と、前記圧電駆動装置に設けられ、前記作動部を前記可動部材に押し付けるように前記圧電駆動装置を保持するように構成される保持ばねと、を含む。
【0020】
本開示の実施例に係る圧電駆動装置及び圧電駆動システムでは、第1の圧電素子又は第2の圧電素子が通電されると、第1の圧電素子又は第2の圧電素子が膨張し、それに応じて変形可能部が変形して、作動部を駆動して対応する方向に移動させ、これによって作動部が可動部材と協働して可動部材を駆動して所望の方向に移動させることができる。さらに、第1の圧電素子または第2の圧電素子が停電されると、第1の圧電素子または第2の圧電素子が収縮し、変形可能部がその初期形状にするため、可動部材に影響を与えず、作動部もその初期位置に回復する。このように繰り返して、可動部材材は所望の方向に連続的に移動することができる。
【0021】
したがって、本開示の実施例に係る圧電駆動装置及び圧電駆動システムは、構造が簡単であり、制御が容易であり、駆動効率が高いなどの利点がある。
【0022】
本開示で説明された円筒形キャビネット室内機の回転刃構造の他の利点、目的、特徴は、以下の説明によって部分的に示され、本開示の研究と実践に基づいて当業者によって部分的に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の上記及び/又は追加の態様及び利点は、図面と併せた実施例に対する以下の説明によって明らかになり、且つ理解しやすくなる。
図1】本開示の実施例に係る圧電駆動装置の概略図である。
図2図1中の部分Aの拡大図である。
図3】本開示の実施例に係る圧電駆動システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施例について詳細に説明し、前記実施例の例は添付図面に示され、ここで、最初から最後まで同じまたは類似の符号は同じまたは類似の素子、または同じまたは類似の機能を有する素子を示す。以下、添付図面を参照して説明する実施例は例示的であり、本出願を説明するためのみであり、本出願に対する制限としては理解してはいけない。
【0025】
本開示の説明では、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、及び「周方向」などの用語が示す方位または位置関係は図面に基づいて示される方位または位置関係であることを理解されたい。本開示を説明し且つ説明を簡素化するためのものに過ぎず、示された装置または素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位によって構造及び操作することを指示または暗示するものではない。そのため本開示に対する限定として理解されたくない。
【0026】
図面を参照して、本開示の実施例に係る圧電駆動装置100を説明する。
【0027】
図1図2に示すように、圧電駆動装置100は、フレーム1と、第1の圧電素子21と、第2の圧電素子22と、作動部31とを含む。フレーム1は、変形可能部13を含む。変形可能部13は、第1のサイドアーム131と、第1のサイドアーム131に対向する第2のサイドアーム132と、第1のサイドアーム131と第2のサイドアーム132とを接続するボトムアーム133とを含み、第1のサイドアーム131と第2のサイドアーム132は、ボトムアーム133に対して互いに傾斜している。第1の圧電素子21はフレーム1と変形可能部13の第1のサイドアーム131との間に設けられ、第2の圧電素子22はフレーム1と変形可能部13の第2のサイドアーム132との間に設けられ、第1の圧電素子21と第2の圧電素子22はいずれも変形可能部13を変形させるように構成される。作動部31は、変形可能部13のボトムアーム133に設けられ、変形可能部13の変形駆動によって移動するように構成される。
【0028】
本開示のいくつかの実施例では、図1に示すように、フレーム1は水平に延在し、第1の圧電素子21と第2の圧電素子22とがフレーム1に接続され、互いに離間し、第1の圧電素子21はフレーム1の左端に位置し、第2の圧電素子22はフレーム1の右端に位置し、変形可能部13は第1の圧電素子21と第2の圧電素子22との間に位置する。第1の圧電素子21と第2の圧電素子22は、いずれも変形可能部13に接続される。作動部31は、変形可能部13のボトムアームに設けられる。
【0029】
なお、ここで使用される「左」と「右」は図面中の方位を表し、本開示を理解するのを容易にするためであり、本開示に対する制限として理解されたくない。
【0030】
本開示の実施例に係る圧電駆動装置では、第1の圧電素子21または第2の圧電素子22が通電される時、第1の圧電素子21または第2の圧電素子22が膨張し、それに応じて変形可能部13が変形して、作動部31を駆動して対応する方向に移動させ、これによって、作動部31が圧電駆動システム1000の可動部材5と協働して、可動部材5を駆動して所望の方向に移動させることができる。さらに、第1の圧電素子21または第2の圧電素子22が停電されると、第1の圧電素子21または第2の圧電素子22が収縮し、変形可能部13がその初期形状に回復し、これによって、可動部材5に影響を与えず、作動部31もその初期位置に回復する。このように繰り返して、可動部材5は所望の方向に連続的に移動することができる。
【0031】
したがって、本開示の実施例に係る圧電駆動装置100は、構造が簡単であり、制御が容易であり、駆動効率が高いという利点がある。
【0032】
本開示のいくつかの実施例では、第1の圧電素子21は、フレーム1に接続される第1の端と、変形可能部13の第1のサイドアーム131に接続される第2の端とを有し、変形可能部13を変形させるように、膨張または収縮するように構成される。第2の圧電素子22は、フレーム1に接続される第1の端と、変形可能部13の第2のサイドアーム132に接続される第2の端とを有し、変形可能部13を変形させるように膨張または収縮するように構成される。
【0033】
さらに、第1の圧電素子21の第2の端は変形可能部13の第1のサイドアーム131と形状及び配向でマッチングし、第2の圧電素子22の第2の端は変形可能部13の第2のサイドアーム132と形状及び配向でマッチングする。例えば、第1の圧電素子21の第2の端は変形可能部13の第1のサイドアーム131の平坦な外面と平行な平坦な端面を有し、第2の圧電素子22の第2の端は変形可能部13の第2のサイドアーム132の平坦な外面と平行な平坦な端面を有する。
【0034】
なお、変形可能部13の第1のサイドアーム131と、第2のサイドアーム132と、ボトムアーム133は閉鎖されたキャビティを形成するため、変形可能部13に対する「内」はここではキャビティに向かうことを指し、変形可能部13に対する「外」はここではキャビティから離反することを指す。
【0035】
さらに、変形可能部13の第1のサイドアーム131に垂直な方向と変形可能部13のボトムアーム133の延在方向とは、第1の角度θ1で交差し、変形可能部13の第2のサイドアーム132に垂直な方向と変形可能部13のボトムアーム133の延在方向とは第2の角度θ2で交差する。図1に示すように、ボトムアーム133の延在方向は水平である。
【0036】
本開示のいくつかの実施例では、変形可能部13の第1のサイドアーム131に垂直な方向と変形可能部13のボトムアーム133の延在方向との間の第1の角度θ1の範囲は24度から26度であり、変形可能部13の第2のサイドアーム132に垂直な方向と変形可能部13のボトムアーム133の延在方向との間の第2の角度θ2の範囲は24度から26度である。
【0037】
例えば、第1の角度θ1は24度、24.5度、25度、25.5度または26度であってもよく、第2の角度θ2は、24度、24.5度、25度、25.5度、または26度であってもよい。
【0038】
好ましくは、第1の角度θ1は25度、第2の角度θ2は25度である。
【0039】
第1の角度θ1と第2の角度θ2の範囲が24度から26度であるため、圧電駆動システム1000の可動部材5は安定かつスムーズに移動することができ、圧電駆動装置100は高い駆動効率を実現することができる。
【0040】
本開示のいくつかの実施例では、図1に示すように、変形可能部13はフレーム1の中央部に設けられ、対称構造を有し、すなわち、第1のサイドアーム131と第2のサイドアーム132とが対称である。すると、第1の圧電素子21は変形可能部13の対称軸に対して第2の圧電素子22と対称であり、第1の角度θ1が第2の角度θ2に等しい。
【0041】
したがって、圧電駆動装置100の全体構造は安定し、強度が高いため、圧電駆動システム1000の可動部材5を駆動して安定かつスムーズに移動させることができる。
【0042】
本開示のいくつかの実施例では、第1の圧電素子21及び第2の圧電素子22は、d33モードで動作するように構成される。ここで、d33モードとは、圧電材料が同じ分極方向と変形方向を有することを意味する。言い換えれば、第1の圧電素子21の分極方向は第1の圧電素子21の変形方向と一致し、両方向とも変形可能部13の第1のサイドアーム131に垂直である。同様に、第2の圧電素子22の分極方向は第2の圧電素子22の変形方向と一致し、両方向とも変形可能部13の第2のサイドアーム132に垂直である。
【0043】
本開示のいくつかの実施例では、フレーム1は、本体15と、第1の側部11と、第2の側部12とをさらに含む。第1の側部11と第2の側部12は、本体15の対向する端部からそれぞれ延在している。変形可能部13は、本体15の中央部から延在し、第1の側部11と第2の側部12との間に位置する。変形可能部13は、第1の側部11と第2の側部12とそれぞれ第1の隙間と第2の隙間とを形成する。第1の圧電素子21は第1の間隙に設けられ、第2の圧電素子22は第2の間隙に設けられる。第1の圧電素子21の第1の端は第1の側部11に接続され、第2の圧電素子22の第1の端は第2の側部12に接続される。
【0044】
本開示のいくつかの好ましい実施例では、本体15と、変形可能部13と、第1の側部11と第2の側部12とは一体である。したがって、それらは製造が容易であり、構造強度を向上させることができる。
【0045】
図1に示すように、フレーム1は水平に延在する本体15を含み、第1の側部11は本体15の左端に設けられ、第2の側部12は本体15の右端に設けられ、変形可能部13は第1の側部11と第2の側部12との間に位置する。
【0046】
第1の圧電素子21は、第1の側部12と変形可能部13との間に位置する。第1の圧電素子21の第1の端は第1の圧電素子21の左端であり、第1の圧電素子21の第2の端は第1の圧電素子21の右端である。第1の圧電素子21の左端は第1の側部11に接続され、第1の圧電素子21の右端は変形可能部13の第1の側部アーム131に接続される。
【0047】
第2の圧電素子22は、第2の側部12と変形可能部13との間に位置する。第2の圧電素子22の第1の端は第2の圧電素子22の右端であり、第2の圧電素子22の第2の端は第2の圧電素子22の左端である。第2の圧電素子22の左端は変形可能部13の第2のサイドアーム132に接続され、第2の圧電素子22の右端は第2の側部12に接続される。
【0048】
このように、第1の圧電素子21が通電されて変形可能部13の第1のサイドアーム131に垂直な方向に膨張する時、第1の側部11は、第1の圧電素子21の右端が変形可能部13の第1のサイドアーム131に垂直な方向に変形可能部13に押し付けるように、第1の圧電素子21の左端の移動を制限し、これによって変形可能部13はそれに応じて変形する。同様に、第2の圧電素子22が通電されて変形可能部13の第2のサイドアーム132に垂直な方向に膨張する時、第2の側部12は、第2の圧電素子22の左端が変形可能部13の第2のサイドアーム132に垂直な方向に変形可能部13に押し付けるように、第2の圧電素子22の右端の移動を制限し、これによって変形可能部13はそれに応じて変形する。
【0049】
いくつかの実施例では、図1に示すように、第1の圧電素子21が変形可能部13に安定かつ均一な力を加えることができるように、第1の側部11の左側表面は鉛直であってもよく、第1の側部11の右側表面は変形可能部13の第1の側壁131の外面と平行であってもよい。しかし、本開示はこれに限定されない。例えば、第1の側部11の右側表面は鉛直であってもよく、第1の圧電素子21の左端が第1の側部11の右側表面と平行な平坦な端面を有すればよい。
【0050】
同様に、図1に示すように、第2の圧電素子22は変形可能部13に安定かつ均一な力を加えることができるように、第2の側部12の右側表面は鉛直であってもよく、第2の側部12の左側表面は変形可能部13の第2のサイドアーム132の外面と平行であってもよい。しかし、本開示はこれに限定されない。例えば、第2の側部12の左側表面は鉛直であってもよく、第2の圧電素子22の右端が第2の側部12の左側表面と平行な平坦な端面を有すればよい。
【0051】
さらに、第1の圧電素子21はフレーム1と変形可能部13に接着され、第2の圧電素子22はフレーム1と変形可能部13に接着される。例えば、第1の圧電素子21の左端は硬質接着剤によって第1の側部11に接着され、第1の圧電素子21の右端は硬質接着剤によって変形可能部13に接着され、第2の圧電素子22の右端は硬質接着剤によって第2の側部12に接着され、第2の圧電素子22の左端は硬質接着剤によって変形可能部13に接着される。
【0052】
その結果、第1の圧電素子21とフレーム1との接続、第1の圧電素子21と変形可能部13との接続、第2の圧電素子22とフレーム1との接続、及び第2の圧電素子22と変形可能部13との接続が強固かつ安定になり、硬質接着剤は第1の圧電素子21と第2の圧電素子22の膨張を吸収しにいため、第1の圧電素子21と第2の圧電素子22が変形可能部13に圧接して、変形可能部13を確実かつ効果的に変形させることができる。
【0053】
選択的に、図1の紙面に垂直な方向において、第1の圧電素子21は複数の積層を含み、第2の圧電素子22は複数の積層を含む。第1の圧電素子21の積層の数は、第2の圧電素子22の積層の数に等しい。第1の圧電素子21の各層はフレーム1と変形可能部13に接着され、第2の圧電素子22の各層はフレーム1と変形可能部13に接着される。例えば、第1の圧電素子21の積層の数と第2の圧電素子22の積層の数は15である。しかしながら、本開示はこれに限定されない。
【0054】
本開示のいくつかの実施例では、第1のサイドアーム131の第1の端と第2のサイドアーム132の第1の端とは本体15に接続され、ボトムアーム133は第1のサイドアーム131の第2の端と第2のサイドアーム132の第2の端との間に接続される。
【0055】
図1図2に示すように、第1のサイドアーム131と第2のサイドアーム132は本体15から斜め下方に延在し、ボトムアーム133は水平に設けられ、第1のサイドアーム131の第1の端は第1のサイドアーム131の上端であり、第1のサイドアーム131の第2の端は第1のサイドアーム131の下端であり、第2のサイドアーム132の第1の端は第2のサイドアーム132の上端であり、第2のサイドアーム132の第2の端は第2のサイドアーム132の下端であり、第1のサイドアーム131の上端と第2のサイドアーム132の上端はいずれも本体15に接続され、第1のサイドアーム131の下端はボトムアーム133の左端に接続され、第2のサイドアーム132の下端はボトムアーム133の右端に接続される。
【0056】
なお、ここで「上」と「下」を使用して図の方位を表すのは、本開示を理解するのを容易するためであり、本開示に対する制限として理解されたくない。
【0057】
さらに、第1のサイドアーム131の上端と第2のサイドアーム132の上端とは、ボトムアーム133の延在方向に第1の距離を隔て、第1のサイドアーム131の下端と第2のサイドアーム132の下端とは、ボトムアーム133の延在方向に第2の距離を隔てる。第1の距離は、変形可能部13が略三角形状または略「A」字状の形状を有することを可能にするために、第2の距離よりも短い。
【0058】
したがって、第1のサイドアーム131と第2のサイドアーム132は、ボトムアーム133の対応する部分の変形と移動を駆動して、対応する作動部31を駆動することができるように、互いに影響を与えず、ほとんど独立して変形することができる。
【0059】
選択的に、第1のサイドアーム131の上端は、第2のサイドアーム132の上端に接続される。したがって、第1のサイドアーム131、第2のサイドアーム132、及びボトムアーム133の形状は、より三角形に似ている。
【0060】
すると、変形可能部13の略三角形の形状又は略「A」字状の形状により、第1の圧電素子21の右端は第1の圧電素子21の左端より低く、第2の圧電素子22の左端は第2の圧電素子22の右端より低いため、第1の圧電素子21と第2の圧電素子22とが変形可能部13に作用することを容易にする。
【0061】
本開示のいくつかの実施例では、図1図2に示すように、第1のサイドアーム131と本体15との接続箇所に第1の溝141が形成され、第2のサイドアーム132と本体15との接続箇所に第2の溝142が形成され、第1のサイドアーム131とボトムアーム133との接続箇所に第3溝143が形成され、第2のサイドアーム132とボトムアーム133との接続箇所に第4溝144が形成される。
【0062】
さらに、第1の溝141、第2の溝142、第3の溝143、及び第4の溝144はいずれも円弧断面を有し、これにより、弾性変形が容易になり、剛性が低下し、これによって局所応力集中を回避することができる。なお、これらの溝は、図1図2の紙面に垂直な方向に延在する。
【0063】
このようにして、第1のサイドアーム131、第2のサイドアーム132、及びボトムアーム133の故障なく変形することを容易にする。
【0064】
また、ボトムアーム133の左端と右端の独立した動きを容易するために、ボトムアーム133の中央部にも同様に円弧断面を有する第5の溝145が形成されることができ、これによって、ボトムアーム133の左端と右端に設けられた作動部31が互いに影響せずにそれぞれ移動できる。
【0065】
本開示のいくつかの実施例では、2つの作動部31が設けられることができ、2つの作動部31は、それぞれ第1のサイドアーム131の第2の端(下端)と第2のサイドアーム132の第2の端(下端)に設けられる。
【0066】
本開示の他のいくつかの実施例では、図1図2に示すように、2つの作動部31が設けられ、2つの作動部31は、ボトムアーム133上に設けられ、それぞれ第1のサイドアーム131の第2の端(下端)と第2のサイドアーム132の第2の端(下端)に隣接する。言い換えれば、2つの作動部31は、それぞれボトムアーム133の左端と右端に設けられる。
【0067】
上記の任意の場合に、2つの作動部31は、ボトムアーム133の延在方向に垂直なボトムアーム133の中心線に対して対称である。言い換えれば、ボトムアーム133の中心線は鉛直である。さらに、第1の圧電素子21は、左側の作動部31によって圧電駆動システム1000の可動部材5を駆動して移動させることができ、第2の圧電素子22は、右側の作動部31によって圧電駆動システム1000の可動部材5を駆動して移動させることができる。
【0068】
したがって、圧電駆動システム1000の可動部材5の大きな動きは、変形可能部13の小さな変形によって実現することができる。言い換えれば、第1の圧電素子21または第2の圧電素子22の小さな膨張は、圧電駆動システム1000の可動部材5の大きな動きを発生することができる。したがって、高い駆動効率を実現することができる。
【0069】
本開示のいくつかの実施例では、1つの作動部31が設けられ、1つの作動部31がボトムアーム133に設けられてもよい。好ましくは、1つの作動部31はボトムアーム133の表面の中心に設けられる。したがって、1つの作動部31は、第1の圧電素子21と第2の圧電素子22によって共に使用可能であり、圧電駆動システム1000の可動部材5の逆方向の移動を実現し、材料を節約し、コストを削減することができる。
【0070】
また、作動部31の設定の上記実施例は、衝突することなく任意に組み合わせてもよい。例えば、3つの作動部31が設けられることができ、1つの作動部31がボトムアーム133に設けられ、他の2つの作動部31がそれぞれ第1のサイドアーム131の下端と第2のサイドアーム132の下端に設けられ、または、ボトムアーム133に設けられそれぞれ第1のサイドアーム131の下端と第2のサイドアーム133の下端とに隣接する。
【0071】
本開示のいくつかの実施例では、作動部31は、変形可能部13のボトムアーム133から突出し、一部球形状を有する。
【0072】
したがって、圧電駆動システム1000の可動部材5と安定して接触するように、作動部31の表面は球形であり、これによって圧電駆動システム1000の可動部材5の安定した動きが保証される。
【0073】
さらに、フレーム1はセラミック材料から形成され、作動部31もセラミック材料から形成され、フレーム1の変形可能部13は作動部31と一体成形される。セラミック材料が耐摩耗性に優れるため、フレーム1と作動部31が長い寿命を有する。フレーム1は、作動部31と一体成形されるため、加工が容易であり、両者の接続強度を保証することができる。
【0074】
本開示の実施例は、図3に示すように、圧電駆動システム1000をさらに提供する。圧電駆動システム1000は、上記のいずれかの実施例に係る圧電駆動装置100と、保持ばね4と、可動部材5とを含む。可動部材5は、圧電駆動装置100の作動部31と協働して作動部31の駆動で移動するように構成される。保持ばね4は、圧電駆動装置100に設けられ、駆動部31を可動部材5に押し付けるように圧電駆動装置100を保持するように構成される。
【0075】
本開示のいくつかの実施例では、保持バネ4は、圧電駆動装置100をそれの中に取り囲むように開放された矩形形状を有し、その開口を取り囲むフランジ41を含み、保持バネ4のフランジ41は固定される。保持ばね4はさらに、その開口に向かう底部42を有する。保持ばね4の底部42は圧電駆動装置100のフレーム1に向けて変形し、圧電駆動装置100のフレーム1に接着またはカシメによって接続される。したがって、保持ばね4は、作動部31を可動部材5に押し付けるように圧電駆動装置100に圧力を加えることができる。例えば、保持ばね4が加える圧力は約200mNである。
【0076】
図3に示すように、可動部材5も保持ばね4に取り囲まれるが、本開示はこれに限定されない。例えば、可動部材5の少なくとも一部は保持ばね4の外部に設けられてもよい。
【0077】
本開示のいくつかの実施例では、可動部材5の外周面が平坦である場合、作動部31は可動部材5を駆動して並進させ、可動部材5の外周面が曲がると、作動部31は可動部材5を駆動して回転させる。
【0078】
次に、図1図2に示すように、第1の圧電素子21を例として圧電駆動システム1000の動作過程を簡単に説明し、ここで、2つの作動部31がボトムアーム133に設けられ、それぞれ第1のサイドアーム13の下端と第2のサイドアーム132の下端に隣接する。
【0079】
通電すると、第1の圧電素子21は、変形可能部13の第1のサイドアーム131に垂直な方向に膨張する。膨張中に、第1の圧電素子21は変形可能部13の第1の側壁131に垂直な方向に変形可能部13に押し付け、変形可能部13の第1の側壁131が右方かつ下方に変形させられ、その後、第1の側壁131はボトムアーム133を駆動して右方かつ下方に変形して移動させ、ボトムアーム133はさらに第1の側壁131の下端に隣接する作動部31を駆動して右方かつ下方に移動させる。作動部31は、可動部材5に当接して可動部材5に駆動力を加える。作動部31に加えられる駆動力は、右成分と下成分とを有する。したがって、可動部材5は駆動されて右方に移動させられる。しかしながら、第1の圧電素子21の上記膨張過程では、第2の圧電素子22が通電されない、変形可能部13の第2のサイドアーム132は変形しないため、第2のサイドアーム132の下端に隣接する別の作動部31は移動しない。
【0080】
停電時に、第1の圧電素子21が収縮し、これによって作動部31を駆動して左方かつ上方に移動させる。変形可能部13の第1のサイドアーム131に垂直な方向と変形可能部13のボトムアーム133の延在方向とは第1の角度θ1で交差し、第1の角度θ1の範囲が24度から26度であるため、左方かつ上方に移動する作動部31は可動部材5に駆動力を加えることができない。微視的には、左方かつ上方に移動する作動部31は、可動部材5からさえ分離されている。したがって、可動部材5は、作動部31とともに移動することなく、その位置に保持される。このようにして、圧電駆動システム1000は1つの動きサイクルを完了させる。第1の圧電素子21に周期的なパルス信号を加えることができ、これによって第1の圧電素子21は、通電時に膨張し、停電時に収縮する動きを交互に完了させることができる。移動サイクルが繰り返されるにつれて、可動部材5は作動部31の駆動で連続的に右方に移動する。
【0081】
第2の圧電素子22の動作過程は第1の圧電素子21の動作過程と基本的に同じであり、第1の圧電素子21の動作時の可動部材5の移動方向と第2の圧電素子22の動作時の可動部材5の移動方向とが反対である点は異なる。例えば、第1の圧電素子21は可動部材5を駆動して右方に移動させ、第2の圧電素子22は可動部材5を駆動して左方に移動させる。本開示の他のいくつかの実施例では、第1の圧電素子21は可動部材5を駆動して時計回りに移動させることができ、第2の圧電素子22は可動部材5を駆動して反時計回りに移動させることができる。また、同じ時間帯では、第1の圧電素子21と第2の圧電素子22のうちの1つだけが動作する。言い換えれば、第1の圧電素子21と第2の圧電素子22は互いに反発するように動作する。
【0082】
本開示の上記実施例によれば、圧電駆動システム1000は、構造が簡単であり、制御が容易であり、駆動効率が高いなどの利点がある。
【0083】
本開示の説明では、明確な規定と限定がない限り、「取付」、「つながる」、及び「接続」、などの用語は広義的な理解とすべきであり、例えば、固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、または一体的になってもよい。機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよい。直接接続であってもよく、中間媒体による間接的な接続であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて上記用語の本開示において具体的な意味を理解することができる。
【0084】
本明細書では、「実施例」、「具体的な実施例」、「例」、などの用語を参照する説明は、当該実施例または例と組み合わせて説明した具体的な特徴、構造、材料、または特性は、本公開の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する概略的な表現は、必ずしも同じ実施例または例に対して行われなくてもよい。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は長所はいずれか或いは複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることができる。また、当業者は本明細書で説明された異なる実施例又は例を結合したり組み合わせたりすることができる。
【0085】
上記、本開示の実施例を示し説明したが、当業者は、本開示の原則と目的を逸脱することなく、実施例において変化、修正、置換、及び変形を行うことができる。本開示の範囲は請求項およびその均等物によって限定される。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電駆動装置であって、
変形可能部が含まれるフレームであって、前記変形可能部が、第1のサイドアームと、前記第1のサイドアームに対向する第2のサイドアームと、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとを接続するボトムアームとを含み、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとが前記ボトムアームに対して互いに傾斜しているフレームと、
第1の圧電素子及び第2の圧電素子であって、前記第1の圧電素子が前記フレームと前記変形可能部の前記第1のサイドアームとの間に設けられ、前記第2の圧電素子が前記フレームと前記変形可能部の前記第2のサイドアームとの間に設けられ、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子が、前記変形可能部を変形させるように構成される第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、
前記変形可能部の前記ボトムアームに設けられ、前記変形可能部の変形による駆動で移動するように構成される作動部と、を含む、
圧電駆動装置。
【請求項2】
前記第1の圧電素子は前記フレームに接続される第1の端と、前記変形可能部の前記第1のサイドアームに接続される第2の端と、を有し、前記第1の圧電素子は、前記変形可能部を変形させるように膨張又は収縮するように構成され、
前記第2の圧電素子は前記フレームに接続される第1の端と、前記変形可能部の前記第2のサイドアームに接続される第2の端と、を有し、前記第2の圧電素子は、前記変形可能部を変形させるように膨張又は収縮するように構成される、
請求項1に記載の圧電駆動装置。
【請求項3】
前記第1の圧電素子の第2の端は、前記変形可能部の前記第1のサイドアームと形状及び配向でマッチングし、前記第2の圧電素子の第2の端は、前記変形可能部の前記第2のサイドアームと形状及び配向でマッチングし、
前記変形可能部の第1のサイドアームに垂直な方向は前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向と第1の角度で交差し、前記変形可能部の第2のサイドアームに垂直な方向は前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向と第2の角度で交差する、
請求項2に記載の圧電駆動装置。
【請求項4】
前記フレームは、
本体と、
本体の対向する端からそれぞれ延在する第1の側部及び第2の側部と、をさらに含み、
前記変形可能部は、前記本体の中央部から延在し、前記第1の側部と前記第2の側部との間に位置し、前記変形可能部は、前記第1の側部と前記第2の側部とそれぞれ第1の隙間と第2の隙間とを形成し、前記第1の圧電素子は前記第1の隙間に設けられ、前記第2の圧電素子は前記第2の隙間に設けられ、前記第1の圧電素子の第1の端は前記第1の側部に接続され、前記第2の圧電素子の第1の端は前記第2の側部に接続される、
請求項2に記載の圧電駆動装置。
【請求項5】
前記第1のサイドアームの第1の端と前記第2のサイドアームの第1の端とは前記本体に接続され、前記ボトムアームは前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端との間に接続され、
前記第1のサイドアームの第1の端と前記第2のサイドアームの第1の端とは、前記ボトムアームの延在方向に第1の距離を隔て、前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とは、前記ボトムアームの延在方向に第2の距離を隔て、
前記変形可能部が略三角形の形状又は略「A」字状の形状を有するように、前記第1の距離が前記第2の距離より短い、
請求項1~4のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項6】
前記第1のサイドアームと前記本体との接続箇所には第1の溝が形成され、前記第2のサイドアームと前記本体との接続箇所には第2の溝が形成され、前記第1のサイドアームと前記ボトムアームとの接続箇所には第3の溝が形成され、前記第2のサイドアームと前記ボトムアームとの接続箇所には第4の溝が形成される、
請求項5に記載の圧電駆動装置。
【請求項7】
前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とにそれぞれ設けられる2つの作動部が設けられ、または、
前記ボトムアームに設けられ、それぞれ前記第1のサイドアームの第2の端と前記第2のサイドアームの第2の端とに隣接する2つの作動部が設けられる、
請求項5に記載の圧電駆動装置。
【請求項8】
前記2つの作動部は、前記ボトムアームの延在方向に垂直な前記ボトムアームの中心線に対して対称である、
請求項7に記載の圧電駆動装置。
【請求項9】
前記ボトムアームに設けられる1つの作動部が設けられる、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項10】
前記作動部は、前記変形可能部の前記ボトムアームから突出し、一部球形状を有する、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項11】
前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子は、d33モードで動作するように構成される、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項12】
前記変形可能部の前記第1のサイドアームに垂直な方向と前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向との間の第1角度の範囲は24度~26度であり、前記変形可能部の前記第2のサイドアームに垂直な方向と前記変形可能部の前記ボトムアームの延在方向との間の第2の角度の範囲は24度~26度である、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項13】
前記変形可能部は、前記フレームの中央部に設定され、対称構造を有し、前記第1のサイドアームと前記第2のサイドアームとが互いに対称であり、
前記第1の圧電素子は前記変形可能部の対称軸に対して前記第2の圧電素子に対称であり、第1の角度と第2の角度とは等しい、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項14】
前記フレームがセラミック材料で形成され、前記作動部がセラミック材料で形成され、前記フレームの前記変形可能部が前記作動部と一体成形される、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項15】
前記第1の圧電素子は前記フレームと前記変形可能部とに接着され、前記第2の圧電素子は前記フレームと前記変形可能部とに接着される、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項16】
圧電駆動システムであって、
請求項1~のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の前記作動部に係合し、前記作動部の駆動で移動するように構成される可動部材と、
前記圧電駆動装置に設けられ、前記作動部を前記可動部材に押し付けるように前記圧電駆動装置を保持するように構成される保持ばねと、を含む、
圧電駆動システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本開示で説明された圧電駆動装置及び圧電駆動システムの他の利点、目的、特徴は、以下の説明によって部分的に示され、本開示の研究と実践に基づいて当業者によって部分的に理解される。
【国際調査報告】