IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

特表2024-517466ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン
<>
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図1
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図2
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図3
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図4
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図5
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図6
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図7
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図8
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図9
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図10
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図11
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図12
  • 特表-ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ガスタービン用の燃料噴射器及び燃料ノズル、並びに当該ノズルを含むガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/20 20060101AFI20240415BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
F23R3/20
F23R3/28 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568536
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2022025215
(87)【国際公開番号】W WO2022238011
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】102021000012134
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】プッチ,エジディオ
(72)【発明者】
【氏名】ゴリ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】メローニ,ロベルト
(57)【要約】
【解決手段】 燃料噴射器(19)は、燃料送り込み室(21)と、長手方向軸に沿って燃料送り込み室(21)から中心体の遠位端(37)まで延在する中心体(31)と、を備える。外側スリーブ(35)は、中心体を取り囲み、かつ外側スリーブと中心体との間に環状予混合室(43)を形成する。中心体は、外側スリーブの遠位端を越えて環状予混合室の外側に突出する遠位先端を備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン用の燃料噴射器であって、前記燃料噴射器が、
端壁を備える燃料送り込み室と、
長手方向軸に沿って前記端壁から中心体の遠位端まで延在する前記中心体と、
前記中心体を取り囲み、前記中心体の前記軸に沿って前記端壁から前記燃料送り込み室の反対側にある外側スリーブの遠位端まで延在する前記外側スリーブと、
前記外側スリーブと前記中心体との間の環状予混合室であって、前記環状予混合室が、前記外側スリーブの前記遠位端に環状出口を有する、環状予混合室と、
前記外側スリーブを通って延在し、環状の前記予混合室と流体連通する少なくとも1つの空気入口ポートと、
前記燃料送り込み室及び前記環状予混合室と流体連通する、前記中心体内の燃料導管と、を備え、
前記中心体が、前記外側スリーブの前記遠位端を越えて前記環状予混合室の外側に突出する遠位先端を備え、前記遠位先端が、先細形状を有する凸状外面を有する、燃料噴射器。
【請求項2】
前記遠位先端の前記凸状外面が、前記中心体と同軸の回転面である、請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項3】
前記遠位先端が、ドーム形状、球形カップ形状、半球形状、及びオジーブ形状のうちの1つを有する、請求項1又は2に記載の燃料噴射器。
【請求項4】
前記予混合室が、前記予混合室の前記環状出口まで近位から遠位方向に先細になっている断面積を有する収束遠位部分を有する、請求項1、2、又は3に記載の燃料噴射器。
【請求項5】
前記中心体が、前記中心体の前記遠位先端で終端し、前記中心体の前記遠位先端に向かって増加する断面を有する円錐形状を有する遠位部分を有する、請求項1~4のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項6】
前記中心体が、前記予混合室の内側に主要部分を有し、前記主要部分及び前記遠位先端が、前記中心体の前記遠位端に向かって先細になる滑らかな移行ゾーンによって接続されている、請求項1~5のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項7】
前記中心体が、前記予混合室の内側に主要部分を有し、前記主要部分が、前記中心体の前記遠位端に向かって先細になる移行ゾーンに沿って前記遠位先端に接続されており、前記移行ゾーンが、連続導関数を有する母線によって生成される表面によって形成されている、請求項1~6のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項8】
前記中心体が、前記燃料送り込み室の前記端壁に近接し、かつ前記中心体の前記遠位先端に向かって延在する第1の部分と、前記第1の部分と前記遠位先端との中間にある第2の部分と、を備え、前記第1の部分が、円形断面を有する円筒形状を有し、前記第2の部分が、円形断面、及び前記第1の部分から前記遠位先端に増加する直径を有する先細形状を有する、請求項1~7のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項9】
前記中心体及び前記外側スリーブが、同軸である、請求項1~8のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項10】
前記中心体及び前記外側スリーブが、非同軸であり、前記環状予混合室が、前記中心体の前記長手方向軸の周りで変化する半径方向寸法を有する、請求項1~9のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項11】
前記中心体が、前記中心体に沿って延在し、かつ前記中心体の前記遠位先端で少なくとも1つの出口ポートに流体結合された少なくとも1つの追加の流体導管を備え、請求項1~10のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項12】
前記追加の流体導管が、前記少なくとも1つの出口ポートに、燃焼空気、燃料、空気/燃料混合物、のうちの少なくとも1つを送達するように適合されている、請求項11に記載の燃料噴射器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの出口ポートが、前記中心体の前記長手方向軸上に位置付けられている、請求項11又は12に記載の燃料噴射器。
【請求項14】
前記追加の流体導管に流体結合され、好ましくは前記中心体の前記軸の周りの円形配置に従って分布した複数の出口ポートを備える、請求項11~13のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項15】
前記中心体に沿って延在し、かつ前記中心体の前記遠位端において少なくとも更なる出口ポートに流体結合された更なる追加の流体導管を備え、前記更なる追加の流体導管が、前記更なる出口ポートに燃料を送達するように適合されている、請求項11~14のいずれか一項以上に記載の燃料噴射器。
【請求項16】
ガスタービンエンジン用の燃料ノズルであって、請求項1~15のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料噴射器を備える、燃料ノズル。
【請求項17】
前記燃料ノズルが、複数の燃料噴射器を備える、請求項16記載の燃料ノズル。
【請求項18】
前壁を更に備え、前記燃料噴射器の前記外側スリーブが、前記前壁に接続されている、請求項17に記載の燃料ノズル。
【請求項19】
前記燃料噴射器が、互いに平行である、請求項17又は18に記載の燃料ノズル。
【請求項20】
前記燃料噴射器のうちの少なくとも2つが、収束軸を有する、請求項17又は18に記載の燃料ノズル。
【請求項21】
ガスタービンエンジン用の燃焼器アセンブリであって、前記燃焼器アセンブリが、
上流端から下流端まで延在する燃焼室であって、前記下流端が、前記ガスタービンエンジンのタービンセクションに流体結合されるように適合されており、前記上流端が、前記ガスタービンエンジンの空気圧縮機に流体結合されるように適合されている、燃焼室と、
請求項16~20のいずれか一項以上に記載の少なくとも1つの燃料ノズルと、
前記燃料ノズルの前記燃料噴射器に流体結合された燃料送達ダクトと、を備える、燃焼器アセンブリ。
【請求項22】
請求項21に記載の燃焼器アセンブリを備える、ガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、概して、ガスタービンエンジンに関する。より具体的には、本開示は、ガスタービンエンジン燃焼器用の予混合燃料ノズル、並びにガスタービンエンジン燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、航空機用途及び産業用途の両方では、少なくとも1つの燃焼器を含み、燃焼器において、気体又は液体形態の燃料が圧縮空気流と混合されて燃やされて、高温の加圧燃焼ガスの流れを発生させる。燃焼ガスは、1つ以上のタービン段を含むタービン内で膨張されて、機械的動力を発生させる。タービンによって発生した機械的動力の一部は、ガスタービンエンジンの圧縮機を駆動し、燃焼器への燃焼空気の連続供給を支援するために使用される。残りの利用可能な電力は、発電機若しくは圧縮機などの負荷を駆動するため、又は航空機推進のための推力を発生させるために使用される。
【0003】
燃焼器は、燃焼室と、複数の燃料ノズルと、を含み、燃料ノズルは、空気圧縮機からの圧縮空気流に液体又は気体燃料を導入し、燃焼空気と燃料との混合物を得る機能を有する。始動時に、混合物が点火されて、燃料を燃やす。燃焼器への圧縮空気及び燃料の供給を継続することによって、燃焼プロセスは、タービンを動作させるための圧縮された高温燃焼ガスの連続流を発生させるように維持される。
【0004】
燃焼器内の火炎の制御は、燃料ノズル設計の重要な態様のうちの1つである。ノズル設計の目的のうちの1つは、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素、及び未燃焼炭化水素などの有害排出物の低減である。更なる懸念事項は、火炎不安定性の低減、音圧ダイナミクス又は振動(すなわち燃焼騒音)の低減、及び希薄吹き消えリスクの低減、並びに例えば非対称な温度プロファイルに起因する燃焼室内のホットスポットの形成の低減である。
【0005】
これに関連して、重要な側面は、火炎の形状及び空間的位置の安定性である。燃焼器の動作中の火炎形状及び火炎位置の変化は、ガスタービンエンジンの有害排出物に悪影響を及ぼし、音圧ダイナミクス及び振動を増大させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、形状及び位置に関して炎不安定性を低減することを目的とした改善された燃料ノズル設計は、当該技術分野において歓迎されるであろう。
【0007】
本明細書に開示される実施形態では、燃料噴射器は、端壁を有する燃料送り込み室と、長手方向軸に沿って端壁から中心体の遠位端まで延在する中心体と、を含む。外側スリーブは、中心体を取り囲み、中心体の軸に沿って、端壁から燃料送り込み室の反対側にある外側スリーブの遠位端まで延在する。したがって、環状予混合室は、外側スリーブと中心体との間に形成されている。
【0008】
予混合室は、外側スリーブの遠位端に環状出口を有する。中心体は、中心体の遠位端で終端し、予混合室の外側に、外側スリーブの遠位端を越えて燃焼室の内側に突出する遠位先端を含む。
【0009】
本明細書に開示される更なる実施形態によれば、中心体は、中心体に沿って延在し、かつ中心体の遠位先端において少なくとも1つの出口ポートに流体結合された追加の流体導管を有する。使用時には、燃料噴射器が位置しているガスタービンの動作条件に応じて、燃料、空気、又は空気/燃料混合物を、追加の流体導管を通して中心体の遠位先端に向かって送達することができる。
【0010】
出口ポートは、中心体の軸上に又は軸から外れた位置に配置することができる。実施形態では、2つ以上の出口ポートを提供することができる。
【0011】
更なる態様によれば、本明細書に開示されるのは、ガスタービンエンジン用の燃料ノズルであり、この燃料ノズルは、上記で概説した1つ以上の燃料噴射器を含む。
【0012】
本開示はまた、ガスタービンエンジン用の燃焼器アセンブリに関する。一実施形態では、燃焼器アセンブリは、上流端から下流端まで延在する燃焼室を有する。下流端は、ガスタービンエンジンのタービンに流体結合されるように適合され、上流端は、ガスタービンエンジンの空気圧縮機に流体結合されるように更に適合されている。燃焼器アセンブリはまた、上記で概説したような少なくとも1つの燃料ノズルを有する。
【0013】
燃焼器アセンブリを備えるガスタービンエンジンも本明細書に開示される。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「上流」及び「下流」という用語は、特に明記しない限り、空気、燃料、又は空気-燃料混合物の方向を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで、添付図面を簡単に参照する。
図1図1は、産業用途を含む様々な有用な用途で使用するように適合されたガスタービンエンジンの概略図である。
図2図2は、ガスタービンエンジン用の、複数の燃料ノズル及び環状燃焼室を有する燃焼器の概略断面図である。
図3図3は、燃料ノズルの不等角投影図である。
図4図4は、図3の燃料ノズルの断面図である。
図5図5は、更なる実施形態における燃料ノズルの正面図である。
図6図6は、図5の線VI-VIによる断面図である。
図7図7は、更なる実施形態における燃料ノズルの正面図である。
図8図8は、更なる実施形態の図6と同様の断面図である。
図9図9は、更に別の実施形態における中心体の遠位端の拡大詳細図である。
図10図10は、更に別の実施形態における燃料ノズルの断面図である。
図11図11は、更に別の実施形態における燃料ノズルの断面図である。
図12図12は、更に別の実施形態における燃料ノズルの正面図である。
図13図13は、図12の線XIII-XIIIによる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ガスタービンエンジン用の燃焼器における火炎形状及び火炎位置安定性を改善するために、新規な燃料噴射器が提供され、燃料噴射器は、燃料送り込み室と、長手方向軸に沿って、燃料送り込み室に隣接する中心体の近位端から中心体の遠位端まで延在する中心体と、を有する。遠位端は、燃料-空気混合物の流れの方向に対して近位端の下流に配置される。中心体の周りに、外側スリーブが延在する。外側スリーブは、燃料送り込み室から燃焼室に向かって延在し、燃料送り込み室の反対側にある環状縁部で終端する。外側スリーブは、中心体と外側スリーブとの間に形成された、予混合器とも称される環状予混合室の内側に、空気を供給するための側部開口部を含む。中心体は、環状予混合室内に燃料を供給するためのポートを含む。
【0017】
動作時には、環状予混合室又は予混合器内で空気及び燃料が予混合され、環状予混合室を出る燃料-空気混合物が燃えて、燃焼室の内部に向かって延在する火炎を形成する。火炎の安定性を改善するために、火炎の形状及び位置、すなわち火炎が燃料ノズル(新しい燃料噴射器のうちの1つ以上を含む)に対して位置する点の両方に関して、中心体は、外側スリーブの遠位端を越えて、環状予混合室の外側に突出する遠位先端を備える。予混合室又は予混合器を越えて突出する遠位先端は、凸状外面を有し得る。実施形態では、遠位先端は、中心体と同軸の回転面を有する。例えば、遠位先端は、ドーム形状、球形カップ形状、半球形状、又はオジーブ形状などを有し得る。一般に、遠位先端は、空気力学的形状を有する。有利には、予混合室を越えて突出する遠位先端は、予混合室内の中心体の部分に湾曲面で接続されている。
【0018】
本発明の実施形態は、最終用途に関係なく、全てのタイプのガスタービンエンジンに好適である。本明細書に開示される燃料噴射器は、航空転用ガスタービン、及び産業用高出力ガスタービンで使用することができる。以下の説明では、機械駆動用のガスタービンについて言及するが、当業者であれば、本開示の燃料噴射器は、発電用のガスタービンだけでなく、空気推進用のガスタービンにも使用できることを理解するであろう。
【0019】
以下の説明では、環状燃焼室を含む燃焼器について具体的に言及するが、本説明の特徴を含む燃料噴射器及び燃料ノズルは、例えば、缶型燃焼室又は管環状燃焼室を含む他の種類の燃焼器にも使用できることを理解されたい。
【0020】
次に図面を参照すると、図1は、限定ではなく例として、例えば、負荷3を駆動するための産業用途又は発電用途を含む様々な用途で使用するように構成されるガスタービンエンジン1の概略図を示している。負荷3は、圧縮機又は圧縮機列、例えば、一例では、液化天然ガスの生産のためのプラントで使用され得るタイプの冷媒圧縮機、又は別の例では、ガスパイプライン中のガス圧縮機を含み得る。他の実施形態では、ガスタービンエンジンが発電目的で使用される場合、負荷は、発電機であり得る。
【0021】
ガスタービンエンジン1は、空気圧縮機5と、燃焼器7と、タービンセクション9と、を含む。単なる例として、図1では、タービンセクション9は、高圧タービン9A及び低圧タービン9Bを備える。実施形態では、高圧タービン9Aが空気圧縮機5に機械的に結合されて、空気圧縮機5を回転駆動する。低圧タービン9Bは、負荷3に駆動的に結合され、負荷3を駆動するための動力を提供する。
【0022】
したがって、図1の例示的なガスタービンエンジンは、2軸タービンである。しかしながら、本開示の燃料噴射器は、他の種類のガスタービン、例えば、単軸ガスタービン又は3軸ガスタービンなどにおいても有利に使用することができる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、燃焼器7は、図2に概略的に示すように、環状燃焼室11を備える。燃焼室11は、外側ライナ13及び内側ライナ15を備える。外側ライナ13及び内側ライナ15は、互いに同軸であり、ガスタービンエンジン3の回転軸A-Aと同軸である。燃焼室11は、空気圧縮機5からタービン部9まで上流-下流方向に延在する。燃焼器7の上流領域には、複数の燃料ノズル17が配置されている。燃料ノズル17のうちの1つが、図3に斜視図で示され、図4に回転軸A-Aを含む半径方向平面による断面図で示されている。
【0024】
各燃料ノズル17は、概して、図3及び図4に最良に図示され、以下でより詳細に開示されるように、複数の燃料噴射器19を含む。具体的には、示される実施形態では、各燃料ノズルは、4つの燃料噴射器を含む。2つの燃料噴射器が、図4に断面図で示されている。燃料ノズル17当たりの燃料噴射器19の数は、単なる例示である。更に、同じ燃焼器が、例えば異なる形状及び寸法を有する異なる燃料ノズルと、場合によっては可変数の燃料噴射器と、を含み得る。
【0025】
各燃料噴射器19は、燃焼室11に面する、すなわち燃焼室11及びタービンセクション9に向かって配向された端壁23を備える燃料送り込み室21を備える。燃料ノズル17に属する燃料噴射器19の燃料送り込み室21は、燃料送り込みプレナム25を形成するように組み合わせることができる。他の実施形態では、各燃料送り込み室21は、単一の燃料噴射器19に流体結合された個々の燃料送り込みプレナム25を形成し得る。
【0026】
燃料送り込みプレナム25は、燃料噴射器構造27(図3)内に含まれる燃料供給ダクトと流体連通しており、そこから液体又は気体燃料が燃料送り込みプレナム25に、かつそこから燃料噴射器19に送達される。
【0027】
各燃料噴射器19は、長手方向軸B-Bに沿って、端壁23における近位端又は上流端から、燃焼室11及びタービンセクション9の内部に面する中心体31の遠位端又は下流端33に向かって延在する中心体31を更に含む。
【0028】
各燃料噴射器19は、外側スリーブ35を更に備える。外側スリーブ35は、それぞれの中心体31と同軸であり得る。他の実施形態では、中心体31及び外側スリーブ35は、互いに同軸ではない場合がある。
【0029】
各外側スリーブ35は、燃料送り込み室21の端壁23における近位端から遠位端37まで延在する。同じ燃料ノズル17に属する外側スリーブ35は、共通の前壁36に結合されている。
【0030】
図4に示される実施形態では、燃料ノズル17の中心体31及び外側スリーブ35は全て互いに平行である。
【0031】
各外側スリーブ35は、複数の空気入口ポート41を備え、空気入口ポート41は、外側スリーブ35を通って延在し、中心体31と外側スリーブ35との間に形成された環状予混合室43又は予混合器と流体連通している。環状予混合室43は、燃料送り込み室21の端壁23にある底部と、外側スリーブ35の遠位端37によって囲まれた環状出口45と、を有する。
【0032】
図4に示すように、外側スリーブ35及び中心体31が同軸である場合、環状予混合室43及びその出口45は、例解される実施形態に示されるように、一定の半径方向寸法を有する。しかしながら、上述したように、これは拘束力を持たない。示されるいくつかの実施形態では、中心体31及び外側スリーブ35は、非同軸であり得る。極端な場合には、中心体31と外側スリーブ35とが互いに接触することがある。その場合、環状予混合室43及び環状出口45は、一定でない半径方向寸法を有し、断面に沿って中断部を有することさえあり得、これは、中心体31と外側スリーブ35とが互いに接触する場合、接触エリアにおいて環状予混合室及び/又は環状出口45の半径方向寸法がゼロになるためである。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「環状」という用語は、環状予混合室43及び/又は環状出口45が、中心体の軸の周りで変化する半径方向寸法を有し、かつ軸B-Bの周りの1つ以上の位置でゼロになり得る構成も包含する。
【0033】
空気圧縮機5によって送達された圧縮空気(図2の矢印A参照)は、空気入口ポート41を通って各環状予混合室43に入り、後述する中心体31内に提供された燃料噴射ポートを通って送達された燃料と予混合されて、空気-燃料混合物を発生させる。
【0034】
各中心体31の遠位端33は、環状予混合室43の環状出口45を越えて、燃焼室11内に突出する遠位先端47を特徴とする。いくつかの実施形態では、遠位先端47は、例えば、ほぼ半球状、又はドーム形状、又は球形カップ形状、又はオジーブ形状の凸状外面を有する。
【0035】
より一般的には、各中心体31の遠位先端47は、予混合室43の環状出口45を越えて突出し、空気/燃料混合物が再循環エリア(負の又は低い軸方向速度)を形成することを防止するような形状の一部分を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、中心体31の遠位先端47は、環状予混合室43の環状出口45から燃焼室11に向かって先細になっており、尖点、又は丸みを帯びた若しくは平坦な頂点で終端し得る。燃焼室11内の環状予混合室43の環状出口45から突出する遠位先端47の先細面は、火炎が中心体31に固着又は付着することを防止するように、壁からのガス分離及びガス再循環を回避するような形状である。
【0037】
いくつかの実施形態では、遠位先端47は、中心体31の軸B-Bの周りを回転する母線によって生成される回転面として画定され得る外側凸面を有し得る。本明細書で使用される場合、母線は、所与の経路に沿って移動されたときに表面を生成する曲線である。母線の運動を方向付ける経路は、準線と呼ばれる。より具体的には、外側凸面が回転面である本明細書に開示される実施形態では、準線は、円周線である。他の実施形態では、準線は、楕円線であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、各中心体31は、予混合室43の内側に収容され、予混合室43の外側に突出する中心体の遠位先端37に接続された本体部分を備え、本体は、一定又は可変の断面を有し得る。いくつかの実施形態では、添付図面に例解されるように、各中心体31は、第1の主要本体部分を備える。近位部分31A及び第2の遠位部分31B。第1の部分31Aは、燃料送り込み室21の端壁23に近接しており、中心体31の遠位端33に向かって延在する。第2の部分31Bは、第1の部分31Aと遠位先端47との中間に位置している。第1の部分31Aは、円形又は楕円形の断面を有する実質的に円筒形の形状を有し得る。第2の部分31Bは、先細形状、すなわち、円形又は楕円形の断面と、第1の部分31Aから中心体31の遠位先端47に向かって増加する横方向寸法(円形断面の場合は直径)と、を有する、実質的に円錐台の形状を有し得る。その結果、環状予混合室43は、第1の部分に沿って一定の環状断面を有し、環状出口45に向かって徐々に断面積が低減する先細の環状断面、すなわち収束断面を有する。
【0039】
例えば、図4の断面図から分かるように、中心体31の遠位先端47を画定する母線は、予混合室43の内側に位置する中心体の主要部分31A、31Bから、予混合室43の外側に突出する中心体31の遠位先端47への滑らかな移行ゾーンを形成する。移行ゾーンにおける鋭い縁部が回避され、中心体31の遠位先端47の空気力学的形状が得られる。したがって、再循環を伴わない空気/燃料混合物の流れの滑らかさが改善される。
【0040】
滑らかな移行ゾーンは、本明細書で理解されるように、鋭い縁部又は角部がないゾーンであり得る。したがって、移行ゾーンを画定するエリアにおいて、中心体の外面を形成する母線は、連続導関数を有する曲線である。
【0041】
移行ゾーンは、中心体の遠位端33まで、すなわち中心体の最下流端まで延在し得る。上述したように、中心体の遠位先端は、尖点で終端するか、又は平面若しくは平坦面で終端し得る。当該尖点又は端部平面若しくは平坦面において、プロファイルを表す曲線の導関数は不連続性を有し得る。
【0042】
一般に、滑らかな移行ゾーンはまた、先細の遠位先端47の少なくとも一部分、好ましくは遠位先端47の先細の部分全体を含む。
【0043】
一般に、環状予混合室43は、その出口45において終端する遠位部分を有し、この遠位部分は、収束形状を有し、すなわち、断面積が、中心体31の遠位先端47に向かって近位から遠位方向に、すなわち空気/燃料混合物の流れの方向に減少する。添付図面に示される実施形態では、予混合室の収束形状は、その下流端33に隣接する中心体31の円錐面を介して得られる。空気-燃料混合物は、環状出口に到達するまで、環状予混合室43に沿って近位から遠位方向に移動するときに加速する。
【0044】
環状予混合室43内に形成された完全に予混合された空気/燃料混合物が、空気/燃料混合物の速度が急激に減少する環状出口45を通って流れるとき、遠位先端47の空気力学的形状は、燃焼室内の正しい火炎形状及び火炎位置を確実にする。
【0045】
他の実施形態では、予混合室の先細遠位部分は、中心体31の外面の円筒形状を外側スリーブ35の遠位部分の円錐形内面と組み合わせることによって得ることができる。そのような場合、外側スリーブ35の内面の遠位部分は、近位から遠位方向に移動するにつれて徐々に減少する内径を有する。
【0046】
予混合室43の先細の、すなわち収束する端部分は、中心体の円錐形遠位部分と外側スリーブ35の内面の円錐形遠位部分との組合せによっても得ることができる。
【0047】
環状予混合室43に燃料を供給するために、中心体31の内側に燃料ダクトが提供されている。いくつかの実施形態では、中心体31は、軸方向に延在する外側管状壁51と、軸方向に延在する内側管状壁53と、を備える。軸方向に延在する外側管状壁51及び軸方向に延在する内側管状壁53は、それらの間に環状間隙52を形成する。より具体的には、軸方向に延在する外側管状壁51及び軸方向に延在する内側管状壁53は、燃料送り込み室21の端壁23からそれぞれの中心体31の遠位先端47に向かって延在する。外側管状壁51は遠位先端47と一体であり、外側管状壁51の外面は、中心体31の遠位先端47の凸面と合体する。内部管状壁53は、中心体31の遠位先端47の内面からある距離で終端する。
【0048】
このようにして、中心体31の内側に燃料導管が形成され、燃料導管は、燃料送り込み室21から内側管状壁53の軸方向空洞56に沿って中心体31の遠位端33に向かう第1の方向に延在し、内側管状壁53と外側管状壁51との間に形成された環状間隙52に沿って中心体31の遠位端33から燃料送り込み室21に向かう第2の反対方向に延在する。少なくとも1つ、好ましくは複数の燃料噴射ポート57が、中心体31の遠位端33の反対側にある環状間隙52の端部に隣接して外側管状壁51を通って延在する。このようにして燃料は、燃料送り込み室21から軸方向空洞56、環状間隙52、及び燃料噴射ポート57を通って、環状予混合室43内に送達される。
【0049】
環状予混合室43において、燃料は、ガスタービンエンジン1の空気圧縮機5によって供給され、空気入口ポート41を通って流れる圧縮空気と混合される。環状予混合室43内で形成された密接に予混合された燃料-空気混合物は、環状出口45を通って流れる。混合物が点火されると、火炎が各燃料噴射器19の遠位端33の下流に形成され、環状予混合室43を通して連続的に供給される予混合された空気及び燃料によって維持される。
【0050】
中心体31の遠位先端47の上述の改善された形状及び幾何学的形状により、火炎は、燃焼器及びガスタービンエンジン1の可変の動作条件下であっても、その形状及び位置の両方に関して安定していることが分かった。これは、有害な排出物の低減、より規則的な熱負荷、燃焼ノイズ及び振動の低減、並びに一般に燃焼条件のより効率的な制御をもたらす。
【0051】
具体的には、予混合室43の内側の本体部分から予混合室の外側の遠位先端47までの滑らかな移行ゾーンを有する中心体31、特にその遠位先端47の改善された形状は、中心体の空気力学的形状をもたらす。改善された空気力学的形状は、空気/燃料混合物のより均一な流れ、より高い速度、及び流れの再循環の不在を提供し、したがって、火炎が中心体又は外側スリーブ35の遠位端37に固定されるリスクを回避する。火炎安定性が改善され、火炎が燃料ノズルの金属部品に固着することによる燃料ノズルへの熱損傷の危険性が大幅に防止される。
【0052】
図5及び図6は、本開示による燃料ノズル17の別の実施形態を示している。同じ参照番号が、図4に既に例解された部分、要素、及び構成要素を示すために使用される。図4の実施形態と図5及び図6の実施形態との主な違いは、中心体31の内部及び燃料送達経路に関する。図5及び図6の実施形態では、各中心体31は、中心体31の近位端部の近くに、好ましくは、空気入口ポート41が位置付けられるエリア内に配置された複数の燃料噴射ポート57を備える。燃料噴射ポート57は、中心体31の内部と環状予混合室43との間の流体接続を提供する。中心体31の内部には、内側管状壁53を有さず、単に燃料送り込み室21の延長部を形成している。
【0053】
図5及び図6の実施形態では、各中心体31は、前述したように、それぞれの外側スリーブ35と同軸であるが、他の構成では、異なる非同軸配置を提供することができる。図7は、各中心体31が、対応する外側スリーブ35に対して非同軸である更なる実施形態の図5と同様の正面図を例解する。非同軸配置に起因して、環状予混合室43は、中心体31の軸B-Bの周りに可変の半径方向寸法を有する。
【0054】
図7の実施形態では、各中心体31は、32において外側スリーブ35の内面に接触し、したがって、環状予混合室43は、ゼロに等しい32における最小半径方向寸法を有する。しかしながら、他の実施形態では、非同軸配置は、中心体31が外側スリーブ35の内面に接触しないようなものであり得る。
【0055】
これまでに開示された実施形態では、燃料噴射器19は互いに平行であり、すなわち、中心体31の軸B-B及び外側スリーブ35の軸は全て互いに平行である。他の実施形態では、少なくとも2つの燃料噴射器19は、互いに非平行であり得る。図8は、燃料噴射器19を含む燃料ノズル17の図7と同様の断面図を例解しており、燃料噴射器19は、それらの軸B-Bが燃焼室11内に位置する点に向かって収束するように、収束構成で配置される。4つの燃料噴射器19は全て、燃料ノズル17の中心軸C-Cに向かって収束し得る。代替的に、2対の燃料噴射器19の軸B-Bは、2つの平行な平面上に収束する構成で配置され得る。
【0056】
図7の非同軸配置及び図8の非平行配置は、互いに組み合わせることができる。
【0057】
これまで説明した実施形態では、遠位先端47は、先細形状を有する、すなわち、近位から遠位に移動するにつれて低減する断面を有する、完全に凸状の形状を有する。他の実施形態では、遠位先端47の外面は、完全に凸状ではない場合がある。例えば、遠位先端47は、中心体31の軸B-Bを含む平面に沿って延在する溝を有する凸状外面を有し得、中心体31の遠位先端47の頂点、すなわち最下流点に向かって延在する流れ案内チャネルを画定する。
【0058】
溝付き外面を有する遠位先端の例示的な実施形態が図9に示されている。図9の中心体31は、前述の実施形態のいずれか1つで使用することができる。中心体31の遠位先端の外面に沿った溝又はチャネルは、符号61で標識されている。図9の例示的な実施形態では、溝61は、遠位先端47の最大円周に沿って位置付けられた第1の端部61Aから、遠位先端47の頂点Vに位置付けられた第2の端部61Bまで延在する。他の実施形態は、より短い溝を含み得る。
【0059】
図9の実施形態では、遠位先端47は、依然として広く凸状であり、中心体31の近位端に面するより大きいセクションから、遠位先端47の頂点Vにおけるより狭いセクションまで先細になっている。
【0060】
本開示による燃料噴射器及び燃料ノズルの更なる実施形態が図10に示されている。図1図9で使用した参照番号と同じ参照番号は、同一又は類似の部分又は構成要素を示すものであり、それらについては再度説明しない。
【0061】
火炎の制御を更に向上させるために、図10の実施形態によれば、燃料噴射ポート57において終端する燃料ダクトに加えて、中心体31は、中心体31に沿って延在し、中心体31の遠位先端又は下流端33において1つ以上の出口ポートで終端する追加の流体導管を更に特徴とする。図10の実施形態では、追加の流体導管は71と標識され、出口ポートは73と標識される。
【0062】
図10の実施形態では、追加の流体導管71は、ドーム形状の遠位先端47の上部に位置付けられた単一の出口ポート73を有する。図示されていない更なる実施形態では、追加の流体導管71は、好ましくは中心体31の軸B-Bの周りの軸対称位置に配置された複数の出口ポート73に流体結合され得る。更に別の実施形態(図示せず)では、2つ以上の追加の流体導管71が中心体31内に提供され得、各導管は、1つ以上の出口ポートに流体結合されている。
【0063】
出口ポート73は円形であり得る。他の実施形態では、例えば、ポートが中心体31の軸B-Bの周りに配置される場合、出口ポート73は、例えば、中心体31の軸B-Bの周りの接線方向に細長い形状を有し得、又は長手方向に細長い形状であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、追加の流体導管71は、75で概略的に示される流体源、又は75及び77で示される2つの流体源に結合される。いくつかの現在好ましい実施形態では、流体源75は、燃焼空気源であり得る。他の実施形態では、流体源75は、燃料源であり得る。2つの流体源75、77が提供される場合、一方の流体源は、空気流体源であり得、他方は燃料源であり得る。
【0065】
制御弁79、81は、1つ以上の追加の流体導管71に向かう、及びそれを通る流体流を制御するために提供することができる。例えば、供給源75から1つ以上の出口ポート73に向かう追加の燃焼空気の流れを制御するために、1つの弁79を提供することができる。供給源77から1つ以上の出口ポート73に向かう追加の燃料の流れを制御するために、弁81が提供され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、2つ以上の追加の流体導管71が中心体31内に提供される場合、それらのうちの少なくとも1つは、燃焼空気源と流体結合され得、他方は燃料源と流体結合され得る。
【0067】
火炎の形状を制御する追加の手段を提供するために、追加の流体導管を通して、追加の燃焼用空気、追加の燃料、又は空気と燃料の混合物を中心体31の遠位先端に送達することができる。燃焼プロセスの最適制御を提供し、火炎の形状及び位置安定性を向上させ、火炎が中心体31の遠位先端、すなわちバーナに付着することを防止するために、燃焼器7の動作条件に応じて、追加の燃焼空気及び/又は燃料を中心体31の遠位先端に送達することができる。
【0068】
更に、追加の流体導管は、低速領域における火炎の点火を防止し、音響相互作用のリスクを低減する。強化された熱音響応答及び低減された排出量、並びに壁先端温度のより良好な制御及びバーナの耐久性が達成される。
【0069】
複数の燃料噴射器を含む燃料ノズルの更なる実施形態が図11に示されている。図11における同じ参照番号は、先の図1図10に関連して既に説明された同一又は同等の構成要素を示しており、それらについては再度詳細に説明しない。図11の実施形態では、各中心体31は、中心体31内の中空空間を、それぞれの燃料送り込み室21の延長部にある第1の内部容積32Aと、仕切り壁101から遠位先端まで延在する第2の内部容積32Bとに分割する内部仕切り壁101を有する。1つ以上の燃料噴射ポート57が、第1の内部容積32Aから環状予混合室43まで延在して、燃料送り込み室21から環状予混合室43に向かって燃料の流れを送達し、そこで、燃料は、外側スリーブ35のほぼ円筒形の壁に提供された空気入口ポート41を通って流れる空気と混合される。
【0070】
図11では、1つの燃料噴射ポート57のみが示されているが、2つ以上の燃料噴射ポート57を提供することができ、好ましくは中心体31の軸B-Bの周りに円周方向に配置されることが理解されるであろう。
【0071】
第2の内部容積32Bは、少なくとも1つの追加の流体導管71と流体連通している。遠位先端47の最外端にある出口ポート73は、第2の内部容積32Bと燃焼室11との間の流体連通を提供する。
【0072】
図10に関して上述したように、追加の流体導管71は、追加の空気流、又は追加の燃料流、又は追加の燃料と空気の混合流を、遠位先端47に向けて、中心体31の出口ポート73を通して送達し得る。
【0073】
複数の燃料噴射器を含む燃料ノズルの更に別の実施形態が、図12及び図13に示されている。先に説明した図に示される要素と同じ要素を指定するために、同じ参照番号が使用されており、それらについては再度説明しない。図12及び図13の実施形態は、主に、複数の出口ポート73が中心体31の遠位先端47に提供されている点で図11の実施形態とは異なる。より具体的には、中央出口ポート73Aは、中心体31の軸上で遠位先端47の中心に位置している。追加の出口ポート73Bの第1のセットは、中心体31の軸を中心とする第1の円周に沿って分布している。追加の出口ポート73Cの第2のセットは、中心体31の軸を中心とする第2の円周に沿って分布している。ポート73A、73B、73Cは、同じ断面を有し得、例えば円形であり得る。他の実施形態では、ポートは、可変寸法及び/又は形状の断面を有し得る。ポートの位置及び当該ポートの円形配置の数は、設計オプションに従って変更することもできる。
【0074】
例示的な実施形態は、上記で開示され、添付の図面に例解されている。以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されているものに、様々な変更、省略、及び追加が行われ得ることが、当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】