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特表2024-517477黒色腫を治療するためのリプレチニブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】黒色腫を治療するためのリプレチニブ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4375 20060101AFI20240415BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K31/4375
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569861
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022028456
(87)【国際公開番号】W WO2022240799
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/187,903
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/231,384
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/313,570
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519425235
【氏名又は名称】デシフェラ・ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ソト,ロドリゴ・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】スー,イン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法に関し、方法は治療有効量のリプレチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩を対象に投与することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法であって、前記患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記患者に100mg~300mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者に150mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法であって、前記患者に100mg~600mgのリプレチニブを含む一つ以上の錠剤を毎日経口投与することを含む、方法。
【請求項5】
前記患者に、それぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を毎日1回経口投与することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者に、それぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を毎日1回経口投与することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を毎日2回経口投与することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含み、前記患者がリプレチニブの投与前に一つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていない、方法。
【請求項9】
黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含み、患者がリプレチニブの投与前に少なくとも一つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた、方法。
【請求項10】
前記患者に100mg~300mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記患者に150mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記患者が前記リプレチニブの投与前に少なくとも二つ、三つ、四つ、または五つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも一つの以前に投与されたチロシンキナーゼ阻害剤が、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ラパチニブ、ダサチニブ、クリゾチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、バタラニブ、クレノラニブ、それらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、前記患者にそれぞれリプレチニブを含む一つ以上の錠剤を毎日経口投与することを含み、前記患者が前記リプレチニブの投与前に少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた、方法。
【請求項15】
それぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を毎日1回投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも一つの以前に投与されたチロシンキナーゼ阻害剤が、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ラパチニブ、ダサチニブ、クリゾチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、バタラニブ、クレノラニブ、それらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される、請求項14または請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記患者がイマチニブを以前に投与されていた、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記KIT駆動型黒色腫が、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記KIT駆動型黒色腫が、野生型KITの過剰発現によって引き起こされる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一つの28日サイクルの後、前記患者が、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、前記患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日、および一つ以上の追加の治療剤を経口投与することを含む、方法。
【請求項22】
前記患者に100mg~300mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記患者に150mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記黒色腫がKIT駆動型黒色腫である、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記KIT駆動型黒色腫が、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記KIT駆動型黒色腫が、野生型KITの過剰発現によって引き起こされる、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記黒色腫が、皮膚黒色腫および非皮膚黒色腫から成る群から選択される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記皮膚黒色腫が、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、末端黒子型黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、線維形成性黒色腫から成る群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記非皮膚黒色腫が、眼内黒色腫および粘膜黒色腫から選択される、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、2021年5月12日に出願された米国仮特許出願第63/187,903号、2021年8月10日に出願された米国仮特許出願第63/231,384号、2022年2月24日に出願された米国仮特許出願第63/313,570号に対する優先権を主張するものであり、それらの各々の内容は参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
c-KIT(KIT、CD117、幹細胞因子受容体としても知られる)は、III型受容体として作用する145kDaの膜貫通型チロシンキナーゼタンパク質である。染色体4q11-21に位置するc-KITがん原遺伝子は、c-KIT受容体をコードし、そのリガンドは幹細胞因子(SCF)、造血幹細胞因子、kitリガンド、肥満細胞増殖因子)である。受容体はチロシンプロテインキナーゼ活性を有し、リガンドSCFの結合は、c-KITの自己リン酸化、およびPI3K/AKTシグナル経路を活性化し、かつRAF、MEK、ERKキナーゼを通してRAS/MAPKシグナル経路も活性化する、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)などの基質とのc-KITの会合につながる。cKITにおける発がん変異または野生型KITの過剰発現は、KITシグナル伝達の調節不全をもたらし、SCFなどのリガンドを活性化することによる制御と無関係に、cKITの制御されていない活性化を可能にする。タンパク質チロシンキナーゼによるチロシンリン酸化は、細胞シグナル伝達において特に重要であり、増殖、生存、分化、アポトーシス、付着、侵襲、遊走などの主要な細胞内プロセスのためのシグナルを媒介することができる。c-KITの欠損は、メラニン形成細胞を欠いている白色の皮膚および毛髪の先天性パッチによって特徴付けられる、色素沈着の常染色体優性遺伝発生異常である、限局性白皮症の原因である。受容体チロシンキナーゼKITにおける活性化突然変異は、黒色腫などの複数のがん型で特定されてきた。さらに、異常な野生型KIT過剰発現が黒色腫に見られる。
【0003】
黒色腫の治療のための臨床的に関連性のあるKIT変異を広く阻害することができる治療薬に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載されていることの一つは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、治療有効量のリプレチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を患者に投与することを含む方法である。
【0005】
一つの実施形態において、本明細書に記載されているのは、KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含む方法である。
【0006】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを含む一つ以上の錠剤を毎日経口投与することを含む方法である。
【0007】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含み、患者がリプレチニブの投与前に一つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていない、方法である。
【0008】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日経口投与することを含み、患者がリプレチニブの投与前に少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた、方法である。
【0009】
一つの実施形態において、本明細書に記載されているのは、KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法であって、患者にそれぞれリプレチニブを含む一つ以上の錠剤(例えば、それぞれ50mg~100mgのリプレチニブを含む錠剤)を毎日経口投与することを含み、患者がリプレチニブの投与前に少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた、方法である。
【0010】
一つの実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日、および一つ以上の追加の治療薬を経口投与することを含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、リプレチニブ治療を受けているKIT駆動型黒色腫患者の無増悪生存期間(PFS)に関する生存確率の例示的なプロットを示す。
図2図2は、以前にTKI治療を受けていない(非TKI)、および以前にTKI治療を受けた(TKI)、リプレチニブ治療を受けているKIT駆動型黒色腫患者間の無増悪生存期間(PFS)を示す例示的なプロットを示す。
図3図3は、実施例1の研究での黒色腫患者におけるリプレチニブによる治療期間を示す。
図4図4は、実施例1の研究からのリプレチニブ治療後の個々の患者における最良総合効果、およびベースラインからの標的病変のそれぞれの変化率を示す。略語:PD:進行、SD:安定、PR:部分奏功、CR:完全奏効。
図5図5は、実施例1の研究からの治療期間に関する、個々の患者における標的病変の変化のスパイダープロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本開示の特徴および他の詳細を、より具体的に記述する。本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲に採用される特定の用語を、ここにまとめる。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして、当業者によって理解されるように読み取られるべきである。別段に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0013】
定義
本明細書で使用される「リプレチニブ」は、以下の構造によって表される化合物である。
【化1】
【0014】
本明細書で使用される「化合物A」は、以下の構造によって表される化合物である。
【化2】
【0015】
「個体」、「患者」、または「対象」は本明細書において互換的に使用され、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、およびヒトを含む、哺乳類を含む、任意の動物を含む。本明細書に記載の化合物は、ヒトなどの哺乳類に投与することができるが、獣医処置を必要とする動物、例えば愛玩動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)などの他の哺乳類に投与することもできる。本明細書に記載の方法において治療される哺乳類は望ましくは、本明細書に記載の障害の治療が望まれる哺乳類(ヒトなど)である。
【0016】
本明細書において使用される用語「医薬的に許容される塩(複数可)」は、組成物に使用される化合物に存在しうる酸性または塩基性基の塩を指す。本質的に塩基性である本組成物に含まれる化合物は、様々な無機酸および有機酸と多種多様な塩を形成することができる。このような塩基性化合物の医薬的に許容される酸付加塩を調製するために使用されうる酸は、無毒性の酸付加塩、すなわちリンゴ酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩を含むがこれらに限定されない、薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩を形成する酸である。
【0017】
本明細書において使用される「治療すること」は、任意の効果、例えば状態、疾患、障害などの改善をもたらす、減弱、低減、調節、または除去を含む。
【0018】
「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって求められている、組織、システム、動物またはヒトの生物学的反応または医学的反応を誘発する対象化合物の量を含む。本明細書に記載の化合物、例えばリプレチニブは、本明細書に記載の状態、例えば黒色腫を治療するために、治療有効量で投与される。あるいは、治療有効量の化合物は、状態に関連する症状の予防または減少をもたらす量など、望ましい治療および/または予防効果を達成するために要求される量である。
【0019】
本明細書で使用される「AUC0-24h」は、本明細書に記載の化合物についての時間0から24時間までの血漿濃度-時間曲線下面積を指す。本明細書で使用される「AUC0-inf」は、本明細書に記載の化合物についての時間0から無限時間までの血漿濃度-時間曲線下面積を指す。本明細書で使用される「Cmax」は、本明細書に記載の化合物の最大血漿濃度を指す。
【0020】
本明細書に記載の化合物、例えばリプレチニブは、薬学的に許容される担体を使用して薬学的組成物として製剤化されることができ、多様な経路によって投与されることができる。一部の実施形態において、このような組成物は経口投与のためのものである。一部の実施形態において、経口投与のために製剤化された組成物は、錠剤として提供される。一部の実施形態において、このような組成物は、非経口(注射による)投与用(例えば、腫瘍、例えばびまん型巨細胞腫の部位での局所注射用に製剤された組成物)である。一部の実施形態において、このような組成物は経皮投与のためのものである。一部の実施形態において、このような組成物は局所投与のためのものである。一部の実施形態において、このような組成物は静脈内(IV)投与のためのものである。一部の実施形態において、このような組成物は筋肉内(IM)投与のためのものである。このような薬学的組成物およびそれらを調製するプロセスは、当該技術分野において周知である。例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY (A. Gennaroら編、第19編、Mack Publishing Co.、1995年)を参照のこと。
【0021】
「併用療法」は、患者への二つ以上の治療薬の投与を含む治療である。二つ以上の治療薬は、同時に(例えば、別個の医薬組成物中で、または同じ医薬組成物中で)送達されてもよく、または二つ以上の治療薬は、異なる時点で送達されてもよい。例えば、二つ以上の治療薬は同時に、または重複する時間の間に送達されてもよく、および/または一つの治療薬は、その他の治療薬の前または後に送達されてもよい。併用療法による治療は、両方の薬剤での同時治療の期間が先行する、または当該期間がその後に続く、いずれかの単剤での治療を含んでいてもよい。しかしながら、一部の期間中に有効量の二つ以上の治療薬が患者の体内に存在することが意図される。
【0022】
治療方法
本明細書に記載されているのは、KIT駆動型黒色腫の治療を必要とする患者においてKIT駆動型黒色腫を治療する方法である。一実施形態において、本明細書に提供されているのは、黒色腫に罹患している患者を治療する方法であって、治療有効量のリプレチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を患者に投与することを含む方法である。
【0023】
本明細書に記載の黒色腫は、皮膚黒色腫または非皮膚黒色腫であってもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載の黒色腫は皮膚黒色腫である。一部の実施形態において、皮膚黒色腫は、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、末端黒子型黒色腫、メラニン欠乏性および線維形成性黒色腫から成る群から選択される。一部の実施形態において、本明細書に記載の黒色腫は非皮膚(皮膚以外の)黒色腫である。一部の実施形態において、非皮膚黒色腫は眼内黒色腫または粘膜黒色腫から選択される。一部の実施形態において、非皮膚黒色腫は眼内黒色腫である。実施形態において、非皮膚黒色腫は粘膜黒色腫である。一部の実施形態において、本明細書に記載の黒色腫は末端黒子型黒色腫である。一部の実施形態において、本明細書に記載の黒色腫は、患者の皮膚の慢性的な日光による損傷に関連する。
【0024】
一つの実施形態において、本開示は、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法を提供し、本方法は、例えば患者に100mg以上のリプレチニブを毎日、例えば100mg~5000mg、例えば100mg~600mg、例えば100mg~500mg、例えば100mg~300mg、例えば100mg~250mg、例えば150mgを経口投与することを含む。一部の実施形態において、黒色腫はKIT活性化黒色腫である。一部の実施形態において、KIT活性化黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、少なくとも一つの42-28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、方法は、患者に110mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に120mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に130mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に140mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。
【0025】
一つの実施形態において、本開示は、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法を提供し、本方法は、例えば患者に100mg以上のリプレチニブを毎日、例えば100mg~5000mg、例えば100mg~600mg、例えば100mg~500mg、例えば100mg~300mg、例えば100mg~250mg、例えば150mgを経口投与することを含む。一部の実施形態において、黒色腫はKIT駆動型黒色腫である。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、野生型KITの過剰発現によって引き起こされる。一部の実施形態において、少なくとも一つの28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、方法は、患者に110mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に120mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に130mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に140mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。
【0026】
一実施形態において、黒色腫に罹患している患者を治療する方法であって、患者に100mg以上のリプレチニブを毎日、例えば最大約600mg、例えば100mg~250mg、例えば100mg~500mg、例えば100mg~300mg、例えば100mg~250mg、例えば150mgを経口投与することを含み、患者が少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた、方法が企図される。一部の実施形態において、黒色腫はKIT駆動型黒色腫である。一部の実施形態において、KIT活性化黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、野生型KITの過剰発現によって引き起こされる。一部の実施形態において、少なくとも一つの前回投与されたチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブ、AZD3229、それらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される。一部の実施形態において、患者は、二つ、三つ、四つ、または五つの別個のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されている。一部の実施形態において、少なくとも一つの28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、方法は、患者に110mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に120mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に130mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に140mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に100mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。
【0027】
一実施形態において、黒色腫に罹患している患者を治療する方法であって、患者に100mg以上のリプレチニブを毎日、例えば最大約600mg、例えば100mg~250mg、例えば100mg~500mg、例えば100mg~300mg、例えば100mg~250mg、例えば150mgを経口投与することを含み、患者が一つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていない、方法が企図される。一部の実施形態において、黒色腫はKIT駆動型黒色腫である。一部の実施形態において、KIT活性化黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、野生型KITの過剰発現によって引き起こされる。一部の実施形態において、少なくとも一つの前回投与されたチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブ、AZD3229、それらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される。一部の実施形態において、患者は、二つ、三つ、四つ、または五つの別個のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されている。一部の実施形態において、少なくとも一つの28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、方法は、患者に110mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に120mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に130mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に140mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に100mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に550mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に600mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に650mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に700mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に750mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に800mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に850mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に900mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に950mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に1000mgのリプレチニブを毎日1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に150mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に200mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に250mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に300mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に350mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に400mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に450mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に500mgのリプレチニブを毎日2回投与することを含む。
【0028】
一実施形態において、患者は、リプレチニブを含む一つ以上の錠剤を経口投与される。例えば、開示された方法は、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法含み、患者に、リプレチニブを含む一つ以上の錠剤、例えば各々が50mg~100mgのリプレチニブを含む錠剤を毎日経口投与することを含む。一部の実施形態において、黒色腫はKIT活性化黒色腫である。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、野生型KITの過剰発現によって引き起こされる。一部の実施形態において、少なくとも一つの28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、方法は、患者にリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤4錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤4錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤5錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤5錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤6錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤6錠を毎日1回経口投与することを含む。
【0029】
一実施形態において、提供されているのは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者にそれぞれリプレチニブを含む一つ以上の錠剤(例えば、それぞれ50mg~100mgのリプレチニブを含む錠剤)を毎日経口投与することを含み、患者がリプレチニブの投与前に少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた、方法である。一部の実施形態において、黒色腫はKIT駆動型黒色腫である。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、野生型KITの過剰発現によって引き起こされる。一部の実施形態において、少なくとも一つの28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、少なくとも一つの前回投与されたチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブ、AZD3229およびそれらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される。一部の実施形態において、患者は、二つ、三つ、四つ、または五つの別個のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されている。一部の実施形態において、方法は、患者にリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を毎日1回経口投与することを含む。
【0030】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日、および一つ以上の追加の治療剤を経口投与することを含む方法である。一部の実施形態において、黒色腫はKIT駆動型黒色腫である。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、野生型KITの過剰発現を引き起こすベースラインゲノム異常を有する。一部の実施形態において、少なくとも一つの42-28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、患者はリプレチニブを投与される前に、少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた。一部の実施形態において、少なくとも一つの前回投与されたチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブ、それらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される。一部の実施形態において、患者は、二つ、三つ、四つ、または五つの別個のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されている。一部の実施形態において、方法は、患者にリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を毎日1回経口投与することを含む。
【0031】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者に100mg~600mgのリプレチニブを毎日、および一つ以上の追加の治療剤を経口投与することを含む方法である。一部の実施形態において、黒色腫はKIT駆動型黒色腫である。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、KITエクソン9変異、KITエクソン11変異、KITエクソン13変異、KITエクソン17変異、KITエクソン18変異から成る群から選択されるベースライン変異を有する。一部の実施形態において、KIT駆動型黒色腫は、野生型KITの過剰発現を引き起こすベースラインゲノム異常を有する。一部の実施形態において、少なくとも一つの28日サイクルの後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有する。一部の実施形態において、患者はリプレチニブを投与される前に、少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されていた。一部の実施形態において、少なくとも一つの前回投与されたチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブ、それらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される。一部の実施形態において、患者は、二つ、三つ、四つ、または五つの別個のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されている。一部の実施形態において、方法は、患者にリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者に50mgのリプレチニブを含む錠剤1錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤2錠を毎日1回経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を経口投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、患者にそれぞれ50mgのリプレチニブを含む錠剤3錠を毎日1回経口投与することを含む。
【0032】
一部の実施形態において、患者が、リプレチニブの投与後にグレード3の手掌・足底発赤知覚不全症候群に罹患する場合、方法は、a)少なくとも7日間、または患者がグレード1以下の手掌・足底発赤知覚不全症候群を有するまでリプレチニブの投与を保留し、次いで患者に毎日100mg(例えば、毎日1回100mg)のリプレチニブを少なくとも28日間投与することをさらに含む。
【0033】
一部の実施形態において、患者が、リプレチニブの投与後にグレード2の手掌・足底発赤知覚不全症候群に罹患する場合、方法は、a)患者がグレード1以下の手掌・足底発赤知覚不全症候群もしくはベースラインを有するまで、リプレチニブの投与を保留すること、b)患者が投与を保留する7日以内に手掌・足底発赤知覚不全症候群から回復する場合、次いで患者に毎日150mgのリプレチニブを投与すること、またはc)患者が回復していない場合、次いで患者に毎日100mgのリプレチニブを少なくとも28日間投与することをさらに含む。
【0034】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫を有する患者において、RECIST 1.1によって決定される、少なくとも5か月の無増悪生存期間を達成するための方法であって、患者に100、150、200、または300mgのリプレチニブを、毎日または毎日2回少なくとも28日間経口投与することを含む方法である。一部の実施形態において、患者は、少なくとも一つの以前のキナーゼ阻害剤を投与されている。一部の実施形態において、患者は、少なくとも三つの以前のキナーゼ阻害剤を投与されている。一部の実施形態において、少なくとも一つの以前のキナーゼ阻害剤は、イマチニブである。一部の実施形態において、患者に100、150または200mgのリプレチニブを毎日または毎日2回少なくとも4か月間経口投与することを含む。
【0035】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫を有する患者において、RECIST 1.1によって決定される、少なくとも5か月の無増悪生存期間を達成するための方法であって、患者に100、150、200mgのリプレチニブを、毎日または毎日2回少なくとも28日間経口投与することを含む方法である。一部の実施形態において、患者は、以前のキナーゼ阻害剤を投与されていない。一部の実施形態において、患者は、少なくとも一つの以前のキナーゼ阻害剤を投与されている。一部の実施形態において、患者は、少なくとも三つの以前のキナーゼ阻害剤を投与されている。一部の実施形態において、少なくとも一つの以前のキナーゼ阻害剤は、イマチニブである。一部の実施形態において、患者に100、150、または200mgのリプレチニブを毎日または毎日2回少なくとも4か月間経口投与することを含む。
【0036】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者が同時にCYP3A4阻害剤で治療されていて、方法が、患者に100mgもしくは150mgのリプレチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩を毎日1回または2回経口投与することであって、リプレチニブおよびCYP3A4阻害剤の投与後に、CYP3A4阻害剤の同時治療を伴わないリプレチニブの投与と比較して、患者における80%以上の血漿濃度曲線下(AUC0-inf)の増加したリプレチニブ面積を提供し、従って患者が、有害事象のより高いリスクにある、経口投与することと、有害事象について、CYP3A4阻害剤で治療されていない患者と比較して、患者をより頻繁に監視することとを含む方法である。一部の実施形態において、患者が、グレード3の手掌・足底発赤知覚不全症候群有害事象に罹患する場合、方法は、a)少なくとも7日間、または患者がグレード1以下の手掌・足底発赤知覚不全症候群を有するまでリプレチニブの投与を保留し、次いで患者に毎日100mgのリプレチニブを少なくとも28日間投与することをさらに含む。一部の実施形態において、患者が、リプレチニブの投与後にグレード2の手掌・足底発赤知覚不全症候群に罹患する場合、方法は、a)患者がグレード1以下の手掌・足底発赤知覚不全症候群もしくはベースラインを有するまで、リプレチニブの投与を保留すること、b)患者が投与を保留する7日以内に手掌・足底発赤知覚不全症候群から回復する場合、次いで患者に毎日150mgのリプレチニブを投与すること、またはc)患者が回復していない場合、次いで患者に毎日100mgのリプレチニブを少なくとも28日間投与することをさらに含む。一部の実施形態において、CYP3A4阻害剤は、イトラコナゾール、ケトコナゾール、クラリスロマイシン、インジナビルから成る群から選択される。一部の実施形態において、CYP3A4阻害剤はイトラコナゾールである。一部の実施形態において、患者は、それぞれイマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブ、それらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択される一つ以上のチロシンキナーゼ阻害剤を以前に投与されている。
【0037】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、患者がプロトンポンプ阻害剤で同時に治療されていて、方法が、患者に100mgもしくは150mgのリプレチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩を毎日1回または2回経口投与することを含み、患者へのリプレチニブおよびプロトンポンプ阻害剤の投与が、プロトンポンプ阻害剤の同時治療を伴わないリプレチニブの投与と比較して、患者におけるリプレチニブの血漿曝露において臨床的に顕著な差異を提供しない、方法である。一部の実施形態において、プロトンポンプ阻害剤は、パントプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、デクスランソプラゾールから成る群から選択される。一部の実施形態において、プロトンポンプ阻害剤はパントプラゾールである。一部の実施形態において、患者は、毎日1回の40mgのプロトンポンプ阻害剤で同時に治療されている。
【0038】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、黒色腫の治療を必要とする患者において黒色腫を治療する方法であって、方法が、患者に100mgもしくは150mgのリプレチニブ、またはその薬学的に許容可能な塩を毎日1回または2回経口投与することを含み、リプレチニブが患者に食物とともに、または食物なしで投与される、方法である。一部の実施形態において、食品は高脂肪食(例えば、本明細書に記載の高脂肪食)を含む。
【0039】
一部の実施形態において、リプレチニブの治療有効性は、固形腫瘍における反応評価基準(RECIST)1.1を使用する独立した放射線学的レビュー後の患者の無増悪生存期間によって決定される。一部の実施形態において、リプレチニブの治療有効性は、RECIST 1.1を使用する独立した放射線学的レビュー後の患者の奏効率(ORR)、腫瘍無増悪期間(TTP)または全生存期間(OS)によって決定される。一部の実施形態において、リプレチニブの治療有効性は、治験責任医師の評価に基づいて患者の無増悪生存期間によって決定される。
【0040】
リプレチニブでの治療の少なくとも1か月後、2か月後、例えば28日以上後、患者は、RECIST 1.1を使用して測定される無増悪生存期間を有しうる。
【0041】
用量修正
用量修正は、患者によって経験された有害事象の結果として、本明細書に記載のリプレチニブを投与する方法で行われうる。一部の実施形態において、用量修正は、用量中断である。一部の実施形態において、用量修正は、投薬における永久的な中止である。一部の実施形態において、用量修正は、用量低減である。一部の実施形態において、患者に投与されるリプレチニブの用量は、毎日1回150mg、例えば50mgのリプレチニブを各々含む3錠から、毎日1回100mg、例えば50mgのリプレチニブを各々含む2錠に低減される。一部の実施形態において、患者に投与されるリプレチニブの用量は、毎日1回150mg、例えば50mgのリプレチニブを各々含む3錠から、毎日1回50mg、例えば50mgのリプレチニブを含む1錠に低減される。一部の実施形態において、有害反応は、手足の皮膚反応(例えば、手掌・足底発赤知覚不全症候群)、高血圧、関節痛、筋肉痛から成る群から選択される。
【0042】
一部の実施形態において、有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events第4.03版(例えば、ベースライン、グレード1、グレード2、グレード3、またはグレード4)に従ってグレード分けされる。一部の実施形態において、用量修正は、グレード2の有害事象の結果としての用量中断(例えば、少なくとも7日間の用量中断)である。一部の実施形態において、有害事象が第一の時限内(例えば、7日以内)にグレード1またはベースラインまで低下する場合、投薬は用量中断前の同じ用量レベルで再開する。一部の実施形態において、有害事象が第一の時限後(例えば、7日後)にグレード1またはベースラインまで低下する場合、投薬は用量中断前の低減した用量レベルで再開する。一部の実施形態において、有害事象が第一の時限後にグレード1またはベースラインまで低下するが、第二の時限後(例えば、28日後)にグレード1またはベースラインの有害事象として維持される場合、低減した用量レベルは、用量中断前の用量レベルに再漸増される。一部の実施形態において、用量修正は、グレード3の有害事象の結果としての用量中断(例えば、少なくとも7日間から最長28日間の用量中断)である。一部の実施形態において、投薬は、用量中断後に低減したレベルで継続される。一部の実施形態において、用量修正は、グレード4の有害事象(例えば、グレード4の高血圧)の結果としての投薬における永久的な中止である。
【0043】
患者は、有害事象に反応して、または有害事象の発生を防止するために、追加の治療を施されることができる。一部の実施形態において、有害な皮膚科学的反応、例えば手足の皮膚反応、例えば手掌・足底発赤知覚不全症候群に罹患している患者は、有害な皮膚科学的反応を治療するために局所用組成物(例えば、軟化剤)を投与される。一部の実施形態において、患者は、有害な皮膚科学的反応の重症度、例えばグレード2、グレード3の有害な皮膚科学的反応、例えばグレード1、グレード2、またはグレード3の手足の皮膚反応、例えばグレード1、グレード2、またはグレード3の手掌・足底発赤知覚不全症候群に基づいて、局所用組成物(例えば、軟化剤)を投与される。一部の実施形態において、局所用組成物(例えば、軟化剤)は、リプレチニブの用量中断中に患者に投与される。一部の実施形態において、局所用組成物(例えば、軟化剤)は、リプレチニブの用量、例えばリプレチニブの低減した用量と同時期に患者に投与される。
【0044】
患者はまた、有害事象を防止または改善するために、本明細書に記載の方法に従って、リプレチニブの投与前または投与中に、追加の治療を投与されることができる。一部の実施形態において、患者は、有害な皮膚科学的反応、例えば手足の皮膚反応、例えば手掌・足底発赤知覚不全症候群の発症を防止または改善するために、リプレチニブ投与の前および/または投与中に局所用組成物(例えば、軟化剤)を投与される。
【0045】
併用療法
本開示は一実施形態において、リプレチニブ、またはリプレチニブを含む組成物、および一つ以上の治療薬の投与を含む併用療法を記載する。本明細書に記載の併用療法は、それそのものによって、または一つ以上の追加的治療薬(例えば、以下に記載の一つ以上の追加的治療薬)とさらに組み合わせて使用することができる。例えば、式(I)の化合物、または非晶質形態の式(I)の化合物を含む組成が、がん標的治療剤、がん標的生物製剤、免疫チェックポイント阻害剤、または化学療法剤とともに投与されることができる。治療薬は、併用療法において本明細書に記載の別の治療薬とともに、または当該治療薬と連続して投与されることができる。
【0046】
併用療法は、二つ以上の治療剤を投与することによって達成されることができ、その治療剤の各々は別々に製剤化され、投与される。あるいは、併用療法は、単一の製剤において二つ以上の治療薬を投与することによって達成されることができる。
【0047】
他の併用もまた、併用療法に包含される。併用療法における二つ以上の薬剤は同時に投与されることができる一方で、その必要はない。例えば、第一の薬剤(または薬剤の併用)の投与は、数分間、数時間、数日間、または数週間だけ、第二の薬剤(または薬剤の併用)の投与に先行することができる。それ故に二つ以上の薬剤は、互いに数分以内に投与されることができるか、または1、2、3、6、9、12、15、18、または24時間以内に互いに投与されるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内に互いに投与されるか、または2、3、4、5、6、7、8、9週間以内もしくはそれ以上の週数以内に互いに投与されることができる。一部の場合においては、さらに長い間隔も可能である。多くの場合において、併用療法で使用される二つ以上の薬剤は、同時に患者の身体内に存在することが望ましいが、その必要はない。
【0048】
併用療法はまた、異なる順序での構成薬剤を使用した併用で使用される一つ以上の薬剤の2回以上の投与を含むことができる。例えば薬剤Xと薬剤Yを併用で使用する場合、それらを任意の組み合せで1回以上、連続的に投与することができ、例えばX-Y-X、X-X-Y、Y-X-Y、Y-Y-X、X-X-Y-Yなどの順序である。
【0049】
一部の実施形態において、本開示に従って投与されうる追加的治療薬には、細胞毒性薬剤,シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、テモゾロミド、シクロホスファミド、ロナファリブ、チピファルニブ、4-((5-((4-(3-クロロフェニル)-3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル塩酸塩、(R)-1-((1H-イミダゾール-5-イル)メチル)-3-ベンジル-4-(チオフェン-2-イルスルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾジアゼピン-7-カルボニトリル、セツキシマブ、イマチニブ、インターフェロンアルファ-2b、ペグ化インターフェロンアルファ‐2b、アロマターゼ配合薬、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ロイコボリン、オキサリプラチン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、テニポシド17α-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸ロイプロリド、フルタミド、クエン酸トレミフェン、酢酸ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ビノレルビン、アナストラゾール、レトロゾール、カペシタビン、ラロキシフェン、ドロロキサフィン(droloxafine)、ヘキサメチルメラミン、ベバシズマブ、トラスツズマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、イブリツモマブチウキセタン、三酸化ヒ素、ポルフィマーナトリウム、セツキシマブ、チオテパ、アルトレタミン、フルベストラント、エキセメスタン、リツキシマブ、アレムツズマブ、デキサメタゾン、ビカルタミド、クロラムブシル、バルルビシンが含まれるが、これに限定されない。
【0050】
一部の実施形態において、投与可能な追加的治療薬には、DNA損傷剤(またはDNAアルキル化剤)、AKT阻害剤、アルキル化剤、オールトランス-レチノイン酸、抗アンドロゲン、アザシチジン、BCL2阻害剤、BCL-XL阻害剤、BCR-ABL阻害剤、BTK阻害剤、BTK/LCK/LYN阻害剤、CDK1/2/4/6/7/9阻害剤、CDK4/6阻害剤、CDK9阻害剤、CBP/p300阻害剤、EGFR阻害剤(例えば、アファチニブ、ネラチニブ)、エンドセリン受容体遮断薬、RAF阻害剤、MEK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ)阻害剤、ERK阻害剤、ファルネシル基転移酵素阻害剤、FLT3阻害剤、グルココルチコイド受容体作動薬、HDM2阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬、IKKβ阻害剤、免疫調節薬(IMiD)、インゲノール、ITK阻害剤、JAK1/JAK2/JAK3/TYK2阻害剤、MTOR阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、デュアルPI3キナーゼ/MTOR阻害剤、プロテアソーム阻害剤、タンパク質キナーゼC作動薬、SUV39H1阻害剤、TRAIL、VEGFR2阻害剤、Wnt/β-カテニンシグナル伝達阻害剤、デシタビン、抗CD20モノクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
特定の実施形態において、追加的治療薬は、CTLA4阻害剤(イピリムマブおよびトレメリムマブなどであるがこれに限定されない)、PD1阻害剤(ペムブロリズマブおよびニボルマブなどであるがこれに限定されない)、PDL1阻害剤(アテゾリズマブ(以前のMPDL3280A)、デュルバルマブ(以前のMEDI4736)、アベルマブ、PDR001などであるがこれに限定されない)、4 1BBまたは4 1BBリガンド阻害剤(ウレルマブおよびPF-05082566などであるがこれに限定されない)、OX40リガンド作動薬(MEDI6469などであるがこれに限定されない)、GITR剤(TRX518などであるがこれに限定されない)、CD27阻害剤(バルリルマブなどであるがこれに限定されない)、TNFRSF25またはTL1A阻害剤、CD40作動薬(CP-870893などであるがこれに限定されない)、HVEMまたはLIGHTまたはLTAまたはBTLAまたはCD160阻害剤、LAG3阻害剤(BMS-986016などであるがこれに限定されない)、TIM3阻害剤、Siglecs阻害剤、ICOSまたはICOSリガンド作動薬、B7 H3阻害剤(MGA271などであるがこれに限定されない)、B7 H4阻害剤、VISTA阻害剤、HHLA2またはTMIGD2阻害剤、ブチロフィリン阻害剤(BTNL2阻害剤を含む)、CD244またはCD48阻害剤、TIGITおよびPVRファミリー構成要素の阻害剤、KIR阻害剤(リリルマブなどであるがこれに限定されない)、ILTおよびLIRの阻害剤、NKG2DおよびNKG2A阻害剤(IPH2201などであるがこれに限定されない)、MICAおよびMICBの阻害剤、CD244阻害剤、CSF1R阻害剤(ビムセルチニブ、エマクツツマブ、カビラリツマブ、ペキシダルチニブ、ARRY382、BLZ945などであるがこれに限定されない)、IDO阻害剤(INCB024360などであるがこれに限定されない)、サリドマイド、レナリドミド、TGFβ阻害剤(ガルニセルチブなどであるがこれに限定されない)、アデノシンまたはCD39またはCD73阻害剤、CXCR4またはCXCL12阻害剤(ウロクプルマブおよび(3S,6S,9S,12R,17R,20S,23S,26S,29S,34aS)-N-((S)-1-アミノ-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イル)-26,29-ビス(4-アミノブチル)-17-((S)-2-((S)-2-((S)-2-(4-フルオロベンズアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-6-(3-グアニジノプロピル)-3,20-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-1,4,7,10,18,21,24,27,30-ノナオキソ-9,23-ビス(3-ウレイドプロピル)トリアコンタヒドロ-1H,16H-ピロール[2,1-p][1,2]ジチア[5,8,11,14,17,20,23,26,29]ノナアザシクロドトリアコンチン-12-カルボキサミドBKT140などであるがこれに限定されない)、ホスファチジルセリン阻害剤(バビツキシマブなどであるがこれに限定されない)、SIRPAまたはCD47阻害剤(CC-90002などであるがこれに限定されない)、VEGF阻害剤(ベバシズマブなどであるがこれに限定されない)、ニューロピリン阻害剤(MNRP1685Aなどであるがこれに限定されない)から成る群から選択される免疫調整薬である。
【0052】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、抗チュブリン剤(パクリタキセル、注射可能な懸濁液用パクリタキセルタンパク質結合粒子(nab-パクリタキセル、エリブリン、ドセタキセル、イキサベピロン、タキシテレム、ビンクリスチンまたはビノレルビン)、ビノレルビン、LHRH拮抗薬(ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、またはヒストレリンを含むがこれに限定されない)、抗アンドロゲン剤(アビラテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、エンザルタミド、およびアパルタミドを含むがこれに限定されない)、抗エストロゲン剤(タモキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、レトロゾール、およびエキセメスタンを含むがこれに限定されない)、DNAアルキル化剤(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミドを含む)、DNA挿入剤(ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、およびエピルビシンを含む)、5-フルオロウラシル、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、5-アザシタジン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、メトトレキサートを含むがこれに限定されない化学療法薬から成る群から選択される化学療法薬である。
【0053】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、パクリタキセル、注射用懸濁液用パクリタキセルタンパク質結合粒子、エリブリン、ドセタキセル、イキサベピロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミド、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、5-アザシタジン、ゲムシタビン、メトトレキサート、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、エベロリムス、テムシロリムス、LY2835219、LEE011、PD 0332991、クリゾチニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、アキシチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、イデラシブ、キザルチニブ、タモキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、フルタミド、酢酸シプロテロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、イリノテカン、カンプトテシン、トポテカン、エトポシド、リン酸エトポシド、ミトキサントロン、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタット、DZNep 5-アザ-2’-デオキシシチジン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、トラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、イピリムマブ、ラブロリズマブ、ニボルマブ、MPDL3280A、ベバシズマブ、アフリベルセプト、ブレンツキシマブベドチン、ado-トラスツズマブエムタンシン、放射線療法、シプロイセルTから成る群から選択される。
【0054】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパタニブ、エベロリムス、テムシロリムス、LY2835219、LEE011、PD 0332991、クリゾチニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、アキシチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、イデラリシブ、キザルチニブから成る群から選択されるキナーゼ阻害剤である。
【0055】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、抗PD1治療剤である。式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(I)の化合物もしくは本明細書に記載のその薬学的に許容可能な塩を含む組成物と組み合わせて投与されうる抗PD1治療薬の例としては、ニボルマブ、ピジリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、AMP-224、AMP-514、ペムブロリズマブが含まれるがこれに限定されない。
【0056】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、BMS-936559、およびアベルマブを含む抗PD-L1治療薬、TSR-022およびMBG453を含む抗TIM3治療薬、レラトリマブ、LAG525、およびTSR-033を含む抗LAG3治療薬、SGN-40、CP-870,893およびRO7009789を含むCD40作動薬治療薬、Hu5F9-G4を含む抗CD47治療薬、抗CD20治療薬、抗CD38治療薬、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、プレドニゾン、デキサメタゾンを含む他の免疫調節治療薬を含むが、これらに限定されない免疫調整薬から成る群から選択される。一部の実施形態において、追加の治療薬は、アベルマブである。
【0057】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、標的化治療剤(キナーゼ阻害剤エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパタニブ、エベロリムス、テムシロリムス、アベマシクリブ、LEE011、パルボシクリブ、クリゾチニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、アキシチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、イデラリシブ、キザルチニブ、アバプリチニブ、BLU-667、BLU-263、Loxo292、ラトロレクチニブ、キザルチニブを含む)、抗エストロゲン剤(タモキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタンを含むがこれに限定されない)、抗アンドロゲン剤(酢酸アビラテロン、エンザルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、フルタミド、酢酸シプロテロンを含むがこれに限定されない)、ステロイド剤(プレドニゾンおよびデキサメタゾンを含むがこれに限定されない)、PARP阻害剤(ネラパリブ、オラパリブ、ルカパリブを含むがこれに限定されない)、トポイソメラーゼI阻害剤(イリノテカン、カンプトテシン、トポテカンを含むがこれに限定されない)、トポイソメラーゼII阻害剤(エトポシド、リン酸エトポシド、ミトキサントロンを含むがこれに限定されない)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタットを含むがこれに限定されない)、DNAメチル化阻害剤(DZNepおよび5-アザ-2′-デオキシシチジンを含むがこれに限定されない)、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブおよびカルフィルゾミブを含むがこれに限定されない)、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、生物学的薬剤(トラスツズマブ、ado-トラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、イピリムマブ、トレメリムマブを含むがこれに限定されない)、ワクチン(シプロイセル-Tを含むがこれに限定されない)、放射線療法から成る群から選択される。
【0058】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、KIT阻害剤から成る群から選択される。一部の実施形態において、追加の治療剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブから成る群から選択される。一部の実施形態において、追加の治療剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブおよびAZD3229から成る群から選択される。
【0059】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、レバスチニブまたはARRY-614を含むTIE2免疫キナーゼの阻害剤から成る群から選択される。
【0060】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、レバスチニブまたはARRY-614を含むTIE2免疫キナーゼの阻害剤、および抗PD1治療薬から成る群から選択される。
【0061】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、AMG386、ベバシズマブ、アフリベルセプトを含む血管形成阻害薬と、ブレンツキシマブベドチン、トラスツズマブエムタンシン、ペイロード(カンプトセシンの誘導体、ピロロベンゾジアゼピン二量体(PBD)、インドリノベンゾジアゼピン二量体(IGN)、DM1、DM4、MMAE、またはMMAFなど)を含む抗体薬物複合体(ADC)を含む抗体薬物複合体(ADC)とから成る群から選択される。
【0062】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、ゴセレリンおよびロイプロリドを含む黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体から選択される。
【0063】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV-299、DN-101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244 (ARRY-142886)、AMN-107、TKI-258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ-197、MK-0457、MLN8054、PHA-739358、R-763、AT-9263、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep-etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio 111、131-I-TM-601、ALT-110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ジャイマテカン、IL13-PE38QQR、INO 1001、IPdR1 KRX-0402、ルカントン、LY 317615、ニューラジアブ、ビテスパン、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS-100380、スニチニブ、5-フルオロウラシル、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、イリノテカン、リポソーマルドキソルビシン、5’-デオキシ-5-フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK-304709、セリシクリブ、PD0325901、AZD-6244、カペシタビン、L-グルタミン酸、N-[4-[2-(2-アミノ-4,7-ジヒドロ-4-オキソ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)- エチル]ベンゾイル]-、二ナトリウム塩、七水和物、カンプトテシン、PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、トレミフェンクエン酸塩、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、ベバシズマブ、IMC-1C11、CHIR-258); 3-[5-(メチルスルホニルピペラジンメチル)-インドリル]-キノロン、バタラニブ、AG-013736、AVE-0005、[D-Ser(Bu t)6、Azgly 10]の酢酸塩(パイロ-Glu-His-Trp-Ser-Tyr-D-Ser(Bu t)-Leu-Arg-Pro-Azgly-NH2アセテート[C59H84N18Oi4-(C2H4O2)x(式中、x=1~2.4)]、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、トリプトレリンパモエート、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタニド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP-724714; TAK-165、HKI-272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX-EGF抗体、アービタックス、EKB-569、PKI-166、GW-572016、イオナファルニブ、BMS-214662、ティピファニブ、アミホスチン、NVP-LAQ824、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK-228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L-アスパラギナーゼ、無菌化ウシ型結核菌(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13-シス-レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5-デオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6-メカプトプリン、デオキシコホルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミスラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL-3、ネオバスタット、BMS-275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン-12、IM862、アンジオスタチン、バイタクシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、イリノテカン、トポテカン、ドキソルビシン、ドセタキセル、ビノレルビン、ベバシズマブ(モノクローナル抗体)およびアービタックス、クレモフォールフリーのパクリタキセル、エピチロンB、BMS-247550、BMS-310705、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA-923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE-424、HMR-3339、ZK186619、PTK787/ZK 222584、VX-745、PD 184352、ラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、テムシロリムス、AP-23573、RAD001、ABT-578、BC-210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ワートマニン、ZM336372、L-779,450、PEG-フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2a、ペグ化インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-2b、アザシチジン、PEG-L-アスパラギナーゼ、レナリドミド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン-11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、全トランス型レチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン-2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジトロネート、ミトタン、シクロスポリン、リポソーマルダウノルビシン、エドウィーナ-アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK1受容体遮断薬、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンアルファおよびダルベポエチンアルファ、イピルムマブ、ベムラフェニブ、その混合物から成る群から選択される。一部の実施形態において、追加の治療剤は、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、ニロチニブ、アバプリチニブから成る群から選択される。
【0064】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、HSP90阻害剤(例えば、AT13387)である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、シクロホスファミドである。一部の実施形態において、追加の治療薬は、AKT阻害剤(例えば、ペリホシン)である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、BCR-ABL阻害剤(例えば、ニロチニブ)である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、mTOR阻害剤(例えば、RAD001)である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、FGFR阻害剤(例えば、エルダフィチニブ、KO947、またはBGJ398)である。一部の実施形態において、追加の治療剤は、抗PDL1治療剤である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、Bcl2阻害剤(例えば、ベネトクラクス)である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、オートファジー阻害剤(例えば、ヒドロキシクロロキン)である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、MET阻害剤である。
【0065】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、MAPK経路の阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、RAF阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療剤は、ベルバラフェニブ、LXH-254、リフィラフェニブ(BGB-283)、AZ-268、TAK-632、ソラフェニブ、LY3009120、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、PLX8394から成る群から選択されるRAF阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、MEK阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療剤は、ビニメチニブ、コビメチニブ、セルメチニブ、トラメチニブ、ピミセルチブ、PD-0325901から成る群から選択されるMEK阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、ERK阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療剤は、GDC-0994、KO-947、LY-3214996、Vtx-11e、SCH-772984から成る群から選択されるERK阻害剤である。MK-8253、およびウリキセルチニブ。
【0066】
一部の実施形態において、追加の治療薬は、PI3K経路の阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、p110阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療剤は、アルペリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、イデラリシブ、GDC-0077、タセリシブから成る群から選択されるp110阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、AKT阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療薬は、AKT阻害剤であり、イパタセルチブである。一部の実施形態において、追加の治療薬は、mTOR阻害剤である。一部の実施形態において、追加の治療剤は、エベロリムスおよびテムシロリムスから成る群から選択されるmTOR阻害剤である。
【実施例
【0067】
実施例1.リプレチニブによる黒色腫の治療の第I相試験。
これは、黒色腫患者の治療におけるリプレチニブの有効性を評価する第I相試験である。患者26人の有効性コホートを登録した。各患者は、疾患進行、許容できない毒性、または同意の撤回まで、28日サイクルで毎日150mgのリプレチニブを投与された。リプレチニブ150mg QDで疾患進行を有する患者は、サイクル2の完了後、1日2回(BID)の150mgに漸増することが許可された。有効性エンドポイントには、固形腫瘍における反応評価基準(RECIST 1.1)を用いた放射線学的レビューによって決定される、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、最適奏効に至るまでの期間(TBR)、無増悪生存期間(PFS)が含まれる。
【0068】
結果。リプレチニブ150mg QDを用いた治療期間の中央値は、4.4か月(範囲、0.5~33.6か月)であった。図3は、個々の患者におけるリプレチニブによる治療期間を示す。リプレチニブは、7.3か月のPFS中央値を示した。リプレチニブの患者についてのPFSに関する生存確率のプロットを図1に示す。奏効率(ORR)の副次的エンドポイントについて、RECISTバージョン1.1を使用した放射線学的レビューによって決定される通り、リプレチニブで確認されたORRは23.1%を示した(26人中6人)。さらに、リプレチニブでの確認済みおよび未確認のORRは30.8%を示した。奏効期間(DOR)の副次的エンドポイントについて、リプレチニブでは、9.1か月のDOR中央値(mDOR)を示した 。リプレチニブ用量は、患者の4名(15%)において、150mg QDで進行性疾患(PD)後に150mg BIDに漸増された。
【0069】
以前のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療の解析。以前にTKI処置を受けた有効性コホートメンバー間のリプレチニブの有効性、および以前にTKI処置を受けていないメンバー間の有効性を評価した。コホートのメンバー25人のうち17人が、以前にTKIを受けていなく、これらのメンバー中でmPFSは10.2か月と決定され、ORRは29.4%(メンバー17人中5人)であると決定された。メンバー25人のうち8人が、リプレチニブを受ける前にTKI治療を受け、これらのメンバー中でmPFSは2.9か月であると決定され、ORRは11%(9人中1人)であると決定された。以前にTKI治療を受けていなかった(非TKI)コホートメンバーと、以前にTKI治療を受けた(TKI)コホートメンバーとにおけるmPFSを図示するプロットを図2に提供する。
【0070】
さらに、コホート集団間の治験責任医師評価によって決定された全奏効結果を、以下の表1に提供する。
【表1】
【0071】
さらに、図4は、個々の患者における最良総合効果、およびリプレチニブ治療後のベースラインからの標的病変のそれぞれの変化率を示す。図5は、治療期間に関する個々の患者における標的病変の変化のスパイダープロットを示す。
【0072】
変異解析。有効性コホート間の黒色腫のベースライン変異に基づくリプレチニブの有効性の分析を実施した。表2は、観察されたベースラインエクソン変異に関する例示的な全奏効結果を示す。L576P(エクソン11)、K642E(エクソン13)、N822K/Y(エクソン17)が、このコホートにおいて最も優勢なベースライン変異であると決定された。
【表2】
【0073】
さらに、エクソン11およびエクソン17の患者において確認されたORRは、それぞれ44%および18%であった。エクソン11およびエクソン17の患者における奏功期間中央値は、それぞれ10.5か月(範囲:8.3か月~31.3か月)、8.1か月(範囲:6.9か月~9.2か月)であった。エクソン11およびエクソン17の患者のPFS中央値は、それぞれ10.2か月(95% CI:0.6か月評価せず)、13.6か月(95% CI:1.8か月評価せず)であった。
【0074】
さらに、エクソン11およびエクソン17の患者における奏功(範囲)を確認するまでの時間中央値は、それぞれ1.9か月(1.8~2.0か月)および1.7か月(1.4~1.9か月)であった。
【0075】
上記のデータは、この第I相試験の黒色腫患者では、KIT阻害に関して変異レベルでリプレチニブ治療が良好に奏功することを示す。
【0076】
実施例2.リプレチニブ、および強力なCYP3A阻害剤を有する化合物Aの研究。
強力なCYP3A阻害剤との150mg QDリプレチニブの併用投与は、リプレチニブおよびその活性代謝物(化合物A)の曝露を増大させ、有害反応のリスクを増大させうる。イトラコナゾール(強力なCYP3A阻害剤、およびP-gp阻害剤)とのリプレチニブの併用投与は、リプレチニブCmaxを36%、AUC0-infを99%増加させ、また化合物AのAUC0-infを99%増加させたが、そのCmaxの変化はなかった。
【0077】
実施例3.プロトンポンプ阻害剤を用いたリプレチニブの研究。
リプレチニブの曝露に対するプロトンポンプ阻害剤の効果を評価した。リプレチニブをパントプラゾール(プロトンポンプ阻害剤)と併用投与した時に、リプレチニブおよび化合物Aへの血漿曝露における臨床的に顕著な差異は観察されなかった。リプレチニブはpH依存性の溶解性を有するものの、150mg QDリプレチニブとの40mg QDパントプラゾールの併用投与は、リプレチニブ曝露に影響を与えなかった。
【0078】
実施例4.リプレチニブおよび化合物A曝露に対する食物影響の研究。
リプレチニブおよび化合物A曝露に対する高脂肪朝食の効果を評価した。高脂肪食は、タンパク質からの約150カロリーと、炭水化物からの約250カロリーと、脂肪からの約500~600カロリーとから成った。150mg用量での高脂肪食とのリプレチニブの投与後、リプレチニブのAUC0-24hおよびCmaxはそれぞれ、30%および22%高かった。代謝物化合物Aについて、AUC0-24hおよびCmaxはそれぞれ、47%および66%高かった。食物効果は、曝露-反応解析に基づいて臨床的に顕著であると考えられない。従って、リプレチニブは、毎日ほぼ同じ時間に食物とともに、または食物なしで服用されうる。
【0079】
均等物
当業者であれば、本明細書に具体的に記載された特定の実施形態に対する多数の均等物を、通例の実験程度のものを使用して、認識することができるか、または確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲の範疇に包含されるように意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】