(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】硬質セルロース製品を乾式製造する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B27N 3/04 20060101AFI20240415BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20240415BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20240415BHJP
B27N 1/02 20060101ALN20240415BHJP
【FI】
B27N3/04 B
D04H1/732
D04H1/425
B27N3/04 A
B27N3/04 C
B27N1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570077
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022050866
(87)【国際公開番号】W WO2022238017
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426437
【氏名又は名称】ヤンギ・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】エングランデル,マリア
(72)【発明者】
【氏名】コリン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】アルテネル,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】エドバードッソン,グンナル
【テーマコード(参考)】
2B260
4L047
【Fターム(参考)】
2B260AA12
2B260AA20
2B260BA04
2B260BA05
2B260BA07
2B260BA19
2B260CC10
2B260CD11
2B260CD16
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2B260EA11
2B260EB02
2B260EB23
2B260EC02
4L047AA08
4L047AB02
4L047CA12
(57)【要約】
本発明は、本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置(100)および方法に関する。装置(100)は、硬質セルロース製品(14)を作製するために、分解ユニット(3)、セルロースブランク形成ユニット(30)、および製品形成ユニット(40)を備える。セルロースブランク形成ユニット(30)は、分解ユニット(3)からセルロース繊維運搬空気流を案内するためのディスペンサと、穿孔を含む外面を有し、外面が、セルロース繊維を受け取り、セルロースブランク(13)を形成するように構成される、形成ドラム(15)と、形成ドラム(15)内に配置された空気除去デバイス(54)と、前記形成ドラム(15)からセルロースブランク(13)を受け取るための支持構造(8)とを備える。装置(100)は、形成ドラム(15)の外面が、第1の穿孔密度を有する第1の区域と、前記第1の穿孔密度より小さい第2の穿孔密度を有する第2の区域とを含み、前記第1の区域に由来する第1の位置で前記第2の区域に由来する第2の位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランク(13)を形成することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品(14)を乾式製造するための装置(100)であって、
- セルロース原材料(1)からある量の分離されたセルロース繊維(6)を提供するための分解ユニット(3)と、
- セルロースブランク形成ユニット(30)であって、
- 前記分解ユニット(3)からセルロース繊維運搬空気流を案内するためのディスペンサ、
- 穿孔を含む外面を有し、前記外面が、前記ディスペンサを介して前記空気流によって輸送された前記量の分離されたセルロース繊維からセルロース繊維を受け取り、セルロースブランク(13)を形成するように構成される、形成ドラム(15)、
- 前記形成ドラム(15)内に配置された空気除去デバイス(54)、および
- 前記形成ドラム(15)上に形成された前記セルロースブランク(13)を受け取るための支持構造(8)、を備えるセルロースブランク形成ユニット(30)と、
- 本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品(14)を前記セルロースブランク(13)からプレスによって作製するための製品形成ユニット(40)と
を備え、
前記形成ドラム(15)の前記外面が、第1の穿孔密度を有する第1の区域と、前記第1の穿孔密度より小さい第2の穿孔密度を有する第2の区域とを含み、前記第1の区域に由来する第1の位置で前記第2の区域に由来する第2の位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランク(13)を形成することを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
前記形成ドラム(15)の前記外面の前記第2の区域の前記第2の穿孔密度が0に等しい、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記形成ドラム(15)の前記外面が、主包絡面(64)と、前記主包絡面(64)に設けられた1つまたは複数の凹部(62)とを含み、第1の穿孔密度を有する前記第1の区域が、前記1つまたは複数の凹部(62)に位置し、前記第1の区域に由来する前記位置で前記第2の区域に由来する前記位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランク(13)を形成する、請求項1または2に記載の装置(100)。
【請求項4】
第2の穿孔密度を有する前記第2の区域が、前記主包絡面(64)に位置し、前記第1の区域に由来する前記位置で前記第2の区域に由来する前記位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランク(13)を形成する、請求項3に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記セルロースブランク形成ユニット(30)が、
- 穿孔を含む外面を有し、前記外面が、空気流によって輸送されたある量の分離されたセルロース繊維からセルロース繊維を受け取り、セルロースブランク(13)を形成するように構成される、第2の形成ドラム(15’)と、
- 前記第2の形成ドラム(15’)内に配置された第2の空気除去デバイス(54’)と
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記セルロースブランク形成ユニット(30)が、
- セルロース繊維運搬空気流を生成するための第2のファン(4’)を備え、前記第2のファン(4’)に分解ユニット(3、3’)が接続され、
前記第2の形成ドラム(15’)の前記外面が、前記第2のファン(4’)によって生成される前記空気流によって輸送された前記量の分離されたセルロース繊維からセルロース繊維を受け取り、セルロースブランク(13)を形成するように構成される、請求項5に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記製品形成ユニット(40)が、前記連続または不連続のセルロースブランク(13)から本質的に非平坦の全体形状を有する前記硬質セルロース製品を作製するための成形ツール(11)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記セルロースブランク形成ユニット(30)が、前記形成ドラム(15)の下流に、前記連続または不連続のセルロースブランク(13)を圧縮するための圧縮ロール(10)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品(14)を乾式製造する方法であって、
- セルロース原材料(1)を分解することによって、ある量の分離されたセルロース繊維(6)を提供するステップと、
- 前記分離されたセルロース繊維(6)を空気流によって形成ドラム(15)の外面へ輸送するステップであって、前記形成ドラム(15)の前記外面が穿孔を含む、輸送するステップと、
- 前記形成ドラム(15)の前記外面で前記セルロース繊維(6)を一時的に保持するために、前記形成ドラム(15)の内側から空気を除去することによって、前記形成ドラム(15)の前記外面に連続または不連続のセルロースブランク(13)を形成するステップと、
- 前記連続または不連続のセルロースブランク(13)を前記形成ドラム(15)から支持構造(8)へ移送するステップと、
- 前記連続または不連続のセルロースブランク(13)を製品形成ユニット(40)内でプレスすることによって、本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品(14)を作製するステップと
を含み、
前記連続または不連続のセルロースブランク(13)が、第1の位置および第2の位置を含み、
前記第1の位置が、前記第2の位置より高い坪量を有し、
前記第1の位置が、第1の穿孔密度を有する前記形成ドラム(15)の前記外面の第1の区域に由来し、前記第2の位置が、前記第1の穿孔密度より小さい第2の穿孔密度を有する前記形成ドラム(15)の前記外面の第2の区域に由来する、方法。
【請求項10】
前記形成ドラム(15)の前記外面で前記セルロース繊維(6)を一時的に保持するために、前記形成ドラム(15)の内側から空気を除去することによって、前記形成ドラム(15)の前記外面に連続または不連続のセルロースブランク(13)を形成する前記ステップが、
- 第2の形成ドラム(15’)の外面からの追加のセルロース繊維(6)を、前記形成ドラム(15)の前記外面へ前記空気流によって輸送された前記セルロース繊維へ移送するサブステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記連続または不連続のセルロースブランク(13)が、前記形成ドラム(15)の下流で圧縮される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
本質的に非平坦の全体形状を有する少なくとも1つの硬質セルロース製品(14)を乾式製造するための中間製品である連続または不連続のセルロースブランク(13)であって、第1の位置および第2の位置を含む形成ドラム(15)によって形成され、前記第1の位置が、前記第2の位置より高い坪量を有する、連続または不連続のセルロースブランク(13)。
【請求項13】
前記セルロースブランク(13)の前記第1の位置が、本質的に非平坦の全体形状を有する前記後の硬質セルロース製品(14)の亀裂を受けやすい区域および/または剛性が増大された区域に重なる、請求項12に記載の連続または不連続のセルロースブランク(13)。
【請求項14】
本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品(14)であって、請求項12に記載の前記連続または不連続のセルロースブランク(13)を製品形成ユニット(40)内でプレスすることによって作製され、前記硬質セルロース製品(14)の最大坪量が、前記セルロースブランク(13)の前記第1の位置の最大坪量より小さい、硬質セルロース製品(14)。
【請求項15】
前記セルロース製品(14)が、未使用のセルロース繊維および/またはリサイクルされたセルロース繊維によって構成されたセルロース原材料(1)からのセルロース繊維を含み、前記セルロース繊維が、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ、化学処理された機械パルプ、ケミサーモメカニカルパルプなどの木材パルプ、および/またはバガス、タケ、マニラ麻、麻、亜麻、綿などの非木材パルプに由来する、請求項14に記載の本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、本質的に非平坦の全体形状(essentially non-flat general shape)を有する硬質セルロース製品(rigid cellulose products)の乾式製造のための方法および装置に関する。セルロース製品は、電子機器、道具、宝飾品、食品、乳製品、化粧品などの他の製品の包装、貯蔵、輸送、および/もしくは表示に使用することができ、かつ/または1回/複数回使用できる使い捨ての物品として使用することができる。本発明はまた、硬質セルロース製品、および連続または不連続のセルロースブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況において、持続可能な材料から作られた2次元(2D)または3次元(3D)形状の物体を提供することが望ましい。挿入物を包装するために一般に使用される材料は、湿式成形パルプである。湿式成形パルプには、生体材料から作製され、使用後にリサイクルされうるため、持続可能な包装材料と見なされるという利点がある。その結果、成形パルプは、1次包装および2次包装の両方の用途(物品の次の包装およびそのような包装の組立て)で人気が急速に高まっている。
【0003】
すべての湿式形成技法に共通する欠点は、製造中に大量の水を必要とし、成形された製品の乾燥を必要とすることであり、これは時間およびエネルギーを消費する工程であり、それにより生産速度が下がり、機械および道具類に対する投資コストが実質的に高くなる。これはこの技術が、化石ベースの代替物に大きな規模で取って代わることは実現可能でないことを意味する。
【0004】
さらに、多くの現代の無駄のない生産ラインは、インライン式の需要に基づく包装または構成要素の製造を必要とし、そこでは湿式形成プロセスは好まれず、または実行可能でない。最近、3次元の物体/製品の乾式形成を可能にする目的で、新しい繊維ベースの材料が開発されている。1つの手法は、WO2014/142714によって開示されている。WO2014/142714は、3次元形状の物体を熱形成するための中間製品である乾式集積された複合ウェブを開示しており、乾式集積された複合ウェブは、40~95重量%のCTMP繊維、5~50重量%の熱可塑性材料、および0~10重量%の添加物を含み、乾式集積された複合ウェブは、熱可塑性材料、ポリマーを含有する分散液、乳濁液、または溶液に含浸され、乾燥され、50~250kg/m3、またはカレンダー加工によって圧縮された場合は400~1000kg/m3の密度を得る。WO2014/142714によれば、ポリマーの結合は、熱形成プロセスで加えられるより高い温度によって活性化され、熱形成された物体の最終的な強度に寄与する。
【0005】
空気/乾式集積プロセスでセルロース繊維のシートを形成すると、概して前記セルロース繊維のネットワーク強度が弱くなり、すなわち自己支持特性が弱くなる。前記空気集積されたシート/ブランクは、本質的に非平坦の製品の乾式セルロース形成/製造プロセスにおける中間製品になることがある。前記中間製品の脆弱性のため、前記シートのその自己支持特性を改善して、本質的に非平坦の全体形状を有する前記硬質セルロース製品の製造プロセスの効率および柔軟性を改善することが必要になることがある。
【0006】
セルロース繊維は非常に吸湿性が高く、空気/乾式集積プロセスは、静電電荷ならびに空気流および湿度などのプロセス条件の影響を受けやすいことが特定されている。セルロース繊維は集まる傾向があり、ブランクの坪量/厚さが不均一/予測不能になるため、セルロース繊維のこのような挙動は、セルロース繊維の均一なブランク/シートを形成構造/ウェブ上に提供することを困難にする。当技術分野では、セルロースブランクの特性/坪量を制御する解決策を提供するための試みがなされており、すなわちSE1750313に記載のタワー形成ユニットを使用し、軸方向および横断方向の両方で均一のセルロースブランクを得ようとして、繊維分離ブラシおよび第1の圧縮ローラが使用される。セルロースブランクの不均一な坪量は、EP3429928に記載の静水圧プレス処置によって、ある程度補償されうる。しかしこれは、道具類の点ではより複雑であり、より長いプロセス時間を必要とし、より複雑なプロセスである。この形成タワーおよび静水圧プレスプロセスに伴う問題は、このプロセスがむしろ複雑になることであり、その機械的構成要素のすべてが、セルロース繊維の可能な限り均一な層を形成ウェブ上に分散させるために提供される。3D形状の構成要素/製品を形成するためのプレス工程に共通の問題は、複雑な構成要素の構造/設計および/または深さのある製品によって、セルロース繊維のシート/ブランクに亀裂が生じうることである。
【0007】
プレス工程で亀裂を生じるリスクを低減または解消する、本質的に非平坦の硬質セルロース製品のより確実な乾式セルロース形成/製造プロセスが、当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、硬質セルロース製品を乾式製造する以前から知られている方法および装置の上記その他の欠点および弱点を未然に防ぎ、本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造する改善された方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の主な目的は、本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品をセルロース繊維から乾式形成/製造するための改善された方法および装置を提供することである。本発明の別の目的は、作製されたセルロース製品に普通ならセルロース製品のプレスに由来する亀裂がないことを必然的に伴う、硬質セルロース製品を製造する方法および装置を提供することである。本発明の別の目的は、セルロースブランクの坪量が、剛性、厚さ、坪量などの必要とされる特徴/特性を有する最終セルロース製品を得るために調整されてよい、硬質セルロース製品を製造する方法および装置を提供することである。本発明の別の目的は、連続または不連続のセルロースブランクを作製することができる、硬質セルロース製品を製造する方法および装置を提供することである。本発明の別の目的は、より少ない破片/廃棄物を生成する、硬質セルロース製品を製造する方法および装置を提供することである。本発明の別の目的は、ブランク形成ユニットがあまり複雑でない、硬質セルロース製品を製造する方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、少なくとも主な目的は、独立請求項に定義される特徴を有する最初に定義された方法および装置によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項でさらに定義される。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、
- セルロース原材料からある量の分離されたセルロース繊維を提供するための分解ユニットと、
- セルロースブランク形成ユニットであって、
- 分解ユニットからセルロース繊維運搬空気流(cellulose fibre carrying air flow)を案内するためのディスペンサ、
- 穿孔を含む外面を有し、外面が、ディスペンサを介して空気流によって輸送された前記量の分離されたセルロース繊維からセルロース繊維を受け取り、セルロースブランクを形成するように構成される、形成ドラム、
- 形成ドラム内に配置された空気除去デバイス、および
- 前記形成ドラム上に形成されたセルロースブランクを受け取るための支持構造を備える、セルロースブランク形成ユニットと、
- 本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品をセルロースブランクからプレスによって作製するための製品形成ユニットとを備える装置において、
形成ドラムの外面が、第1の穿孔密度を有する第1の区域と、前記第1の穿孔密度より小さい第2の穿孔密度を有する第2の区域とを含み、前記第1の区域に由来する第1の位置で前記第2の区域に由来する第2の位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランクを形成することを特徴とする装置が提供される。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、
- セルロース原材料を分解することによって、ある量の分離されたセルロース繊維を提供するステップと、
- 分離されたセルロース繊維を空気流によって形成ドラムの外面へ輸送するステップであって、形成ドラムの外面が穿孔を含む、輸送するステップと、
- 形成ドラムの外面でセルロース繊維を一時的に保持するために、形成ドラムの内側から空気を除去することによって、形成ドラムの外面に連続または不連続のセルロースブランクを形成するステップと、
- 連続または不連続のセルロースブランクを形成ドラムから支持構造へ移送するステップと、
- 連続または不連続のセルロースブランクを製品形成ユニット内でプレスすることによって、本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を作製するステップとを含み、
連続または不連続のセルロースブランクは、第1の位置および第2の位置を含み、第1の位置は、第2の位置より高い坪量を有し、第1の位置は、第1の穿孔密度を有する形成ドラムの外面の第1の区域に由来し、第2の位置は、前記第1の穿孔密度より小さい第2の穿孔密度を有する形成ドラムの外面の第2の区域に由来する、方法が提供される。
【0013】
したがって、本発明は、形成ドラムの外面に不均一の穿孔密度を有し、したがって異なる量のセルロース繊維が、回転形成ドラムの異なる部分に付着し、それによって連続または不連続のセルロースブランクが、軸方向および/または径方向に異なる/可変の坪量または表面重量を有する可能性があるという洞察に基づいている。
【0014】
本発明の利点は、この方法および装置が、セルロースブランクに適当な強度および剛性を提供し、本質的に非平坦の全体形状を有する前記硬質セルロース製品を作製/プレスするときにセルロースブランクに亀裂が生じるのを防ぐことである。
【0015】
本発明の別の利点は、セルロースブランクの坪量が、作製されるべき本質的に非平坦の硬質セルロース製品の要求された特性を得るために容易に調整されてよいことである。
本発明の様々な例示的な実施形態によれば、セルロースブランクは、軸方向および/または横断方向に、すなわち支持構造/ウェブの運動方向に直交および/または平行して、不連続である。これらの実施形態の利点は、本質的に非平坦の硬質セルロース製品を作製するためのプレスツールにおける後の使用のために、軸方向および横断方向に十分な坪量を有するセルロースブランクの個々のストリップおよび/またはタイルが形成されてよいことである。
【0016】
本発明の様々な実施形態によれば、形成ドラムの外面の第2の区域の第2の穿孔密度は0に等しく、その結果、これらの第2の区域に由来するセルロースブランクの坪量も0であり、すなわちセルロースブランクの個々のシートレット、すなわちストリップおよび/またはタイルが提供される。
【0017】
本発明の様々な実施形態によれば、形成ドラムの外面は、主包絡面(main envelope surface)と、主包絡面に設けられた1つまたは複数の凹部(one or more recesses)とを含み、第1の穿孔密度を有する第1の区域は、前記1つまたは複数の凹部に位置し、前記第1の区域に由来する位置で前記第2の区域に由来する位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランクを形成する。
【0018】
連続または不連続のセルロースブランクのより高い坪量の部分、すなわちより多くのセルロース繊維を有する位置を生成するために、形成ドラム内に凹部を有する利点は、セルロース繊維を形成ドラムに空気/乾式集積する作製工程をより容易に選別/カプセル化することである。さらに、形成ドラムは、特に亀裂を受けやすい区域を強化するように、かつ/または製品の所定の区域をより堅くするように、最終セルロース製品に様々な方法で適合されてよいことが明らかである。
【0019】
本発明の様々な実施形態によれば、セルロースブランク形成ユニットは、穿孔を含む外面を有し、外面が、空気流によって輸送されたある量の分離されたセルロース繊維からセルロース繊維を受け取り、セルロースブランクを形成するように構成される、第2の形成ドラムと、第2の形成ドラム内に配置された第2の空気除去デバイスとをさらに備える。
【0020】
第2の形成ドラムの使用は、硬質セルロース製品が作製/プレスされる前に、(第1の)形成ドラムの連続または不連続のセルロースブランクに接続されることが意図される追加のセルロース繊維の連続または不連続のセルロースブランクを提供するという洞察に基づいている。それによって、製品形成ユニットに到達する連続または不連続のセルロースブランクの異なる位置の坪量を調整する能力がさらに強化される。
【0021】
(第1の)形成ドラムおよび第2の形成ドラムからのセルロース繊維は、単一の連続または不連続のセルロースブランクと同時に、または個別に、支持構造に加えられてよく、最終的な連続または不連続のセルロースブランクが支持構造に形成される。
【0022】
本発明の様々な実施形態によれば、(第1の)形成ドラムおよび第2の形成ドラムのセルロース繊維は、異なるタイプ、すなわち異なる原材料、異なる繊維サイズ、異なる添加物などである。
【0023】
これらの実施形態の利点は、最終セルロース製品の機械特性が、特有の要件を満たすように調整されてよいことである。
本発明のさらなる利点および特徴は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかである。
【0024】
本発明の上記その他の特徴および利点のより完全な理解は、添付の図面と併せて、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】セルロースブランクが連続する、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】軸方向および横断方向に可変の坪量を有する連続セルロースブランクの1つの例示的な実施形態のそれぞれ断面および上面概略図である。
【
図3】セルロースブランクが不連続である、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図4】軸方向および横断方向に不連続のセルロースブランクの1つの例示的な実施形態のそれぞれ断面および上面概略図である。
【
図5】主包絡面に凹部を有する形成ドラムの外面の概略図である。
【
図6】製品形成ユニットが連続する、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図7】セルロースブランクが2つの形成ユニットによって生成される、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図8】セルロースブランクが2つの形成ユニットによって生成される、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図9】異なるセルロース原材料が2つの別個の形成ユニットに提供される、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【
図10】代替の圧縮ロールを有する、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書では、「空気/乾式成形または空気/乾式集積」という用語は、分離されたセルロース繊維がセルロースブランク/シートに形成されるよく知られている方法を意味する。
【0027】
空気集積では、1~50mmの範囲内の平均長さを有する小さい繊維が、気流/空気流によって分離および捕捉され、次いで形成メッシュ/形成面に、通常はメッシュ/表面の他方の側で真空/低圧を使用して、集積/付与される。「空気集積」および「空気成形」という用語は、本明細書において区別なく使用される。セルロース繊維運搬空気流は、形成メッシュ/形成面の上流および/または下流に位置する好適なデバイスによって生成されてよい。
【0028】
図1、
図3、
図6、
図7、
図8、
図9、および
図10は、本発明によって、セルロース繊維から本質的に非平坦の全体形状を有するセルロース製品14を製造するために、硬質セルロース製品を乾式製造するための装置の様々な例示的な実施形態を開示しており、この装置の全体が100と呼ばれる。異なる図の実施形態が組み合わされてもよい。
【0029】
本発明の装置100の全体が、
図1を参照して説明されており、前記装置100は、分離/分解ユニット3、セルロースブランク/シート形成ユニット30、および最終製品形成ユニット40を備える。セルロース原材料1が分解ユニット3に供給される。セルロース原材料1は、巻き取られたパルプまたは紙1a、セルロースパルプ、紙などのベール1b、および/または紙、セルロースパルプなどのシート1cの形態であってよい。前記セルロース原材料1がシート1cおよび/または巻き取られたパルプまたは紙1aの形態である場合、これは分離ユニット3内へ直接供給されうる。しかし、前記セルロース原材料1がベール1bまたはシート1cの圧縮スタックなどの形態である場合、前記ベール1bまたはシート1cからの前記セルロース原材料をより少ない量で分離および注入するために、1つもしくは複数のシュレッダ18および/または1つもしくは複数の追加の分離/分解ユニット3が使用されることが必要になる可能性がある。シュレッダ18は、前記分離ユニット3によって受け入れられるようにセルロース原材料1を準備する。分離/分解ユニット3は、セルロース原材料1を分解し、分離されたセルロース繊維にする。前記1つまたは複数のシュレッダ18は、前記1つまたは複数の分離ユニット3の上流に配置され、前記シュレッダ18のうちの1つの出力が、前記分離ユニット3のうちの1つの入力に接続される。シュレッダ18は、互いに平行にまたは互いに直交して配置されてよく、分解ユニット3は、互いに平行にまたは互いに直交して配置されてよい。シュレッダ18および分解ユニット3は、セルロースブランク形成ユニット30の上流に配置されたセルロース繊維分離ユニットをともに構成する。
【0030】
前記セルロース繊維は、未使用のセルロース繊維および/またはリサイクルされたセルロース繊維であってよく、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、化学処理された機械パルプ、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)などの木材パルプ、および/またはバガス、タケ、マニラ麻、麻、亜麻、綿などの非木材パルプに由来してよい。
【0031】
様々な実施形態によれば、分離ユニット3は、ハンマーミルによって構成されてよい。前記分離ユニット3において、セルロース原材料は、1~50mmの範囲内の平均長さを有する繊維に分離される。前記繊維の長さは、分離ユニット3の内部特性を調整することによって、かつ/または異なる分離ユニット3を選ぶことによって、かつ/または異なるセルロース原材料を選ぶことによって、カスタマイズされてよい。様々な実施形態によれば、木材パルプの繊維長さは、0.5~4mmの範囲内、好ましくは1.7~3.6mmの範囲内である。様々な実施形態によれば、非木材パルプの繊維長さは、0.5~70mmの範囲内である。
【0032】
概して、空気/乾式形成/空気集積方法では、木材パルプ繊維が、たとえばハンマーミルを使用して個別化/分離され、気流によってディスペンサを介して輸送され、ディスペンサは、作製装置の横断方向に繊維を実質的に均一に分散させる。繊維は、動いている穿孔面に、真空/低圧チャンバによってその表面の下に生成された空気流を使用して集積される。上述したように、セルロース繊維運搬空気流は、穿孔面の上流および/または下流に位置する好適なデバイスによって生成されてよい。
【0033】
図1では、個別化/分離されたセルロース繊維が、セルロースブランク/シート形成ユニット30に供給される。
図1による概略的な実施形態において、セルロースブランク形成ユニット30は、ファン4、形成ドラム/シリンダ15、および支持構造/ウェブ8を備える。ファン4は、前記分離ユニット3と前記形成シリンダ15との間に配置され、分解ユニット3は、ファン4に接続される。前記ファン4は、セルロース繊維運搬空気流を生成し、前記セルロース繊維を前記分離ユニット3から前記形成シリンダ15の外面上へ、分解ユニット3と形成シリンダ15との間に延びるディスペンサを介して吹き飛ばす。様々な例示的な実施形態によれば、前記形成シリンダ15上への前記繊維の付与は、前記形成シリンダ15の外面に対して角度を付けて実行される。様々な例示的な実施形態によれば、前記角度は90°であり、すなわち繊維は、前記形成シリンダ15の外面に直交して付与される。様々な例示的な実施形態によれば、前記角度は、90°より小さくまたは大きく、すなわちセルロース繊維は、前記形成ドラム/シリンダ15の外面に直交しないで付与される。前記形成シリンダ15の所定の角度間隔5は、真空/低圧条件を有する。形成ドラム15は、連続して所定の速度で回転しており、角度間隔5は静止している。したがって、形成ドラム15の外面は前記角度間隔5を通過する。
【0034】
分離されたセルロース繊維は、1立法メートルの空気につき約500gのセルロース繊維の繊維/空気濃度で流れてよく、空気の含水率は、分離ユニット3および/またはセルロースブランク形成ユニット30内で水5~20g/空気1kgである。
【0035】
形成シリンダ15の外面は穿孔される。空気を含む前記セルロース繊維を形成ドラムの外面/シリンダ15上に付与するために、形成ドラム15内の空気が角度間隔5で除去され、セルロース繊維は、穿孔を有する外面上へ付着したまま維持され、すなわちセルロース繊維は、形成ドラム15の外面に吸い寄せられる。空気は、形成ドラム15内に配置された空気除去デバイス54によって除去され、すなわち空気除去デバイス54の少なくとも一部が、形成ドラム15内に配置される。空気除去デバイス54は、ファン4がセルロース繊維運搬空気流を生成することによって導入された空気と少なくとも同じ量の空気を除去するように構成される。それによって、分離されたセルロース繊維は、穿孔を有する位置で形成ドラム15の外面に付着/蓄積する。セルロース繊維が形成ドラム15の外面に蓄積するとき、セルロースブランク13が形成される。ファン4からの空気流中のセルロース繊維の量、ファン4からの空気流の速度、形成ドラム15の外面の速度、外面の穿孔密度などが、形成されるセルロースブランク13の坪量を決定する。あるいは、空気除去デバイス54がファン4のタスクも実行し、それによってセルロース繊維運搬空気流を生成する単一のデバイスになる。
【0036】
セルロースブランク13は、形成ドラム/シリンダ15から除去され、支持構造/ウェブ8に付与され、または支持構造/ウェブ8によって受け取られる。その理由で、前記形成シリンダ15の前記所定の角度間隔5のみが、前記真空/低圧条件を有する。角度間隔5は、前記ファン4からの空気流に重なっている。真空条件は、前記形成シリンダ15の前記外面の前で、または前記形成シリンダ15の前記外面のうち前記支持構造8に最も近い位置で、解放/終了され、それによって前記セルロースブランク/シート13が前記形成シリンダ15から解放されて前記支持構造8上へ付与されることが可能になる。支持構造8は、
図1に示されているように、連続ウェブまたは連続ベルトであってよい。前記形成シリンダ15の回転/表面速度は、前記支持構造8の速度と同期される。ファン54は、角度間隔5で前記形成シリンダ15内に加圧を生じさせるために設けられてよい。
【0037】
支持構造8はまた、不連続のウェブであってよい。前記不連続のウェブは、セルロースブランク/シートを捕らえて、セルロースブランク/シートをさらなるプロセスステップへ送達するように、前後に可動であってよい。このセルロースブランクは不連続、すなわちセルロースブランクの複数のシートレットのスタックであってよく、または連続、すなわち折り畳まれたセルロースブランクであってよい。
【0038】
セルロースブランク13は、次に、セルロースブランク形成ユニット30と同じ作製ライン内、またはセルロースブランク形成ユニット30と製品形成ユニット40との間の中間貯蔵から、製品形成ユニット40内へ供給される。様々な実施形態によれば、製品形成ユニット40は、成形ツール11を有するプレスユニット12を備える。成形ツール11は、オス部分と、対応するメス部分とを有し、本質的に非平坦の全体形状を有する最終硬質セルロース製品の設計/構造を含む。
図1では、任意選択の事前加熱ユニット16が、プレスユニット12の上流に配置されている。様々な例示的な実施形態によれば、前記セルロースブランク13は、製品形成ユニット40のプレスユニット12内へ供給される前に、高い温度に加熱されてよい。セルロースブランク13が製品形成ユニット40のプレスユニット12へ供給される前に予熱されるそのような実施形態では、前記成形ツール11は、加熱を含んでも含まなくてもよい。様々な例示的な実施形態によれば、前記プレスユニット12内の前記成形ツール11は、前記セルロースブランク13を加熱しながら前記最終セルロース製品14を形成するための加熱成形ツール11であってよい。加熱成形ツール11の場合、前記事前加熱ユニット16による前記セルロースブランク13の予熱は任意選択である。様々な例示的な実施形態によれば、前記事前加熱ユニット16におけるセルロースブランク13の予熱は、加熱成形ツール11と組み合わされる。そのような場合、前記事前加熱ユニット16によってセルロースブランク13を第1の温度に加熱してよく、成形ツール11は、前記最終セルロース製品14をプレス/形成しながら、前記セルロースブランク13を第2の温度に加熱している。前記第1および第2の温度は、異なっても等しくてもよい。様々な例示的な実施形態によれば、予熱は、中間温度に到達するように実行されてよく、最終温度には前記成形ツール11によって高められる。中間温度は、最終温度と室温との間であってよい。様々な例示的な実施形態によれば、前記中間温度は、最終温度に近くてよい。事前加熱ユニット16を加熱成形ツール11と組み合わせて有することで、プレスユニット12における製造プロセスが加速する。事前加熱ユニット16は、セルロースブランク13の片側、すなわち頂部または底部から加熱しても、両側、すなわち頂部および底部から加熱してもよい。成形ツール11は、前記オス部分およびメス部分の一方もしくは両方を加熱してよく、かつ/またはオス部分およびメス部分が異なる温度を有してもよい。任意選択の事前加熱ユニット16は、ファンの有無にかかわらず、IR加熱器または抵抗加熱器であってよい。
【0039】
前記成形ツール11内で、前記セルロースブランク13は、最終セルロース製品14において十分な剛性および強度を得るために、120~200℃の温度に加熱される。様々な例示的な実施形態によれば、セルロースブランク13は、製品形成ユニット40のプレスユニット12に到達する前に、100℃に予熱されてよく、プレスユニット12において、セルロースブランクは前記成形ツール11によって120~200℃に加熱される。様々な例示的な実施形態によれば、セルロースブランクは、前記事前加熱ユニット16によって120~200℃に加熱され、最終セルロース製品14の成形中に余分な熱がセルロースブランクに送達されない。様々な例示的な実施形態によれば、セルロースブランク13の加熱は、最終セルロース製品14の形成中に製品形成ユニット40のプレスユニット12内でのみ行われ、すなわち事前加熱は行われない。
【0040】
装置100は、1つまたは複数の加湿器ユニット17a~17cを備えてよい。様々な例示的な実施形態によれば、第1の加湿器ユニット17aは、特に分解ユニット3および/またはセルロースブランク形成ユニット30において、セルロース繊維の適正な湿度を確保するために、作製箇所の周囲空気および/または装置100の内部体積内を加湿するように配置されてよい。様々な例示的な実施形態によれば、第2の加湿器17bは、分離ユニット3に入るセルロース原材料を加湿するために、分離/分解ユニット3の前に、すなわち前記分離ユニット3への入口に配置されてよい。様々な例示的な実施形態によれば、第3の加湿器17cは、前記分離ユニット3から排出されるセルロース繊維を加湿するために、前記分離ユニット3の出口に配置されてよい。第3の加湿器17cは、分離ユニット3から繊維性材料を抽出して同じ繊維性材料を前記形成シリンダ15上へ噴霧するために設けられたファン4の入口に配置されてよい。第3の加湿器はまた、セルロース繊維を形成シリンダ15上に付与する前に、入ってくる空気と繊維性材料を所望の湿度で混ぜ合わせるために、前記ファン4に配置されてよい。加湿器17a、17b、17cは、水を液体および/または気体の状態で提供してよい。加湿器17bおよび17cは、別法として、液体および/または気体の状態の、水以外の添加物/化学物質を提供するために使用されてよい。
【0041】
セルロースブランクは、所定の範囲内の含水率を必要とする。上述したように、空気の含水率は、分離ユニット3および/またはセルロースブランク形成ユニット30内で水5~20g/空気1kgである。様々な例示的な実施形態によれば、空気の含水率は、分離ユニット3および/またはセルロースブランク形成ユニット30内で水9~12g/空気1kgである。セルロース繊維の含水率が低すぎると、静電気のリスクを増大させ、その結果、セルロースブランクの形成が不均一になり、それによってセルロースブランクの坪量に影響を及ぼす。含水率が高すぎると、セルロース繊維が詰まり、それによってセルロースブランクの坪量に影響を及ぼす。
【0042】
様々な例示的な実施形態によれば、1つまたは複数の任意選択の化学物質注入ユニットが、セルロースブランク13のネットワーク強度を増大させるために設けられて、そのように構成されてよい。第1の例示的な実施形態では、少なくとも1つの第1の化学物質注入ユニット9a~9cは、液体結合剤を前記セルロースブランクの底面または頂面に付与して支持層を形成するために設けられる。
【0043】
液体結合剤は、前記セルロースブランク/シート13のいずれかの側から、前記セルロースブランク13内の厚さの50%より小さい侵入深さを有することのみが可能にされてよい。様々な例示的な実施形態によれば、前記液体結合剤の侵入深さは、セルロースブランク13の全体的な厚さの5~49%である。様々な例示的な実施形態によれば、前記液体結合剤の侵入深さは、セルロースブランク13の全体的な厚さの10~30%である。注入ユニット9aは、セルロースブランク13を支持ウェブ8上へ受け取る前に、液体結合剤を付与してよい。この場合、液体結合剤は、前記セルロースブランクの底部側に提供される。注入ユニット9bは、前記セルロースブランク13の上に液体結合剤を付与してもよい。注入ユニット9cは、任意選択の事前加熱ユニット16および/または製品形成ユニット40のプレスユニット12の前に、液体結合剤を付与してよい。
図1で、液体結合剤は、前記セルロースブランク13の底部側に提供されるように示されている。しかし、液体結合剤は、追加/別法として、セルロースブランクの下の注入ユニット9cと同じ位置で、セルロースブランク13の頂部側に提供されてもよい。様々な例示的な実施形態によれば、示されている注入ユニット9a~9cは単独で提供されてもよく、すなわち9a、9b、9cのうちの1つのみが提供されてもよい。様々な例示的な実施形態によれば、示されている注入ユニット9a~9cは、2つ以上の組合せで提供されてもよく、すなわち9aおよび9b、9bおよび9c、9cおよび9a、または9a、9b、および9cが提供されてもよい。液体結合剤は、有機液体であっても無機液体であってもよい。最終セルロース製品14は、それに応答して、積層製品であり、異なる層は異なる特性および厚さを有してよい。最終セルロース製品14の強度および/または剛性の増大は、デンプン、植物ガム、CMC、MFC、合成および天然ポリマー、有機酸、ラテックス、変性セルロース、および/またはリグニンなどの液体結合剤を添加することによって実現されてよい。液体結合剤は、熱可塑性樹脂を含まない。液体結合剤は、有機液体であっても無機液体であってもよく、たとえば植物から抽出された天然ポリマーまたはワックス、酸化カリウムまたは酸化マグネシウム(水ガラス)、シリカ化合物であってよい。侵入深さは、前記注入ユニット9a~9c内の液体結合剤の圧力を変更することによって、かつ/または前記注入ユニット9a~9cの排出パターンを変更することによって、かつ/または前記セルロースブランク13の速度を変更することによって、かつ/または前記液体結合剤を排出するオリフィスのサイズを変更することによって、かつ/または前記液体結合剤を排出するオリフィスの数を変更することによって、かつ/または前記注入ユニットのうちの少なくとも1つからの液体結合剤の排出のデューティーサイクルを変更することによって、変更されてよい。また、セルロースブランクの他方の側の添加物/作用剤の粘度および/または加圧の程度は、侵入深さに直接影響を与える。
【0044】
最終セルロース製品14は、製品形成ユニット40のプレスユニット12内に形成される。前記プレスユニット12が前記成形ツール11に与える圧力は、40~10000N/cm2であってよい。様々な例示的な実施形態によれば、前記圧力は、100~4000N/cm2である。様々な例示的な実施形態によれば、前記圧力は、400N/cm2を上回り、好ましくは1000~3900N/cm2である。
【0045】
様々な例示的な実施形態によれば、形成/成形ステップ前に、本質的に非平坦のセルロース製品14の疎水性および/または疎油性の特徴/特性を変えるために、液体または固体の作用剤がセルロース材料上に付与されてよい。
図1で、これは第2の化学物質注入ユニット2によって例示されており、第2の化学物質注入ユニット2は、分離ユニット3に入る前に、巻き取られたパルプまたは紙1a上へ液体作用剤を付与する。本質的に非平坦のセルロース製品14の疎水性および/または疎油性を変えるための液体または固体の作用剤は、デンプン化合物、ロジン化合物、ブタンテトラカルボン酸、ゼラチン化合物、アルキルケテン二量体(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、ワックス化合物、ケイ素化合物、および/またはカルシウム化合物であってよく、0.2~15%の乾燥含量、好ましくは0.5~12%の乾燥含量として添加されてよい。以下に説明するように、並列分解ユニット3を使用するとき、異なる化学物質/作用剤が、個々の分解ユニット3内へ供給される異なるセルロース原材料1に付与されてよい。
【0046】
様々な例示的な実施形態によれば、前記セルロースブランクが前記成形ツール11内へ提供されるとき、セルロースブランク13の含水率は少なくとも5%である。様々な例示的な実施形態によれば、前記セルロースブランクが前記成形ツール11内へ提供されるとき、前記セルロースブランク13の前記含水率は7~12%である。
【0047】
セルロースブランク13の形成、すなわちセルロースブランク13の坪量の制御は、最終セルロース製品14で結果として得られる特性にとって極めて重要である。最終セルロース製品14の設計/構造が複雑であるとき、従来技術の解決策は、最終セルロース製品14に十分な剛性/強度を提供せず、形成ユニット40におけるプレス中に亀裂が生じる。本発明は、最終セルロース製品14が剛性/強度/坪量に関して必要とされる特性を有し、亀裂を呈したり/含んだりしないように、セルロースブランク13が、異なる位置で異なる坪量を有していなければならないという洞察に基づいている。セルロースブランク13の異なる位置に異なる坪量を有することによって、最終セルロース製品14は、均一の坪量および/または指定の位置を有することができ、高い坪量を有することができる。
【0048】
形成ドラム15の外面に、異なる位置に異なる坪量を有するセルロースブランクを生成/形成するために、形成ドラム15の外面は、第1の穿孔密度を有する第1の区域と、前記第1の穿孔密度より小さい第2の穿孔密度を有する第2の区域とを含む。穿孔密度とは、開口のない面積に対する開口面積の割合を意味する。個々の穿孔の寸法は、形成ドラム15全体にわたって同じであってよく、または異なってよい。第1の穿孔密度は第2の穿孔密度より高いことから、すなわち第1の区域において第2の区域より多くの空気が形成ドラム15の外面を通って吸い込まれ、第1の区域において第2の区域より多くのセルロース繊維が形成ドラム15の外面に付着する。それによって、形成ドラム15は、前記第1の区域に由来する第1の位置で前記第2の区域に由来する第2の位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランク13を生成する。より高い坪量とは、セルロースブランク13の面積当たりのセルロース繊維がより多いことを意味する。形成ドラム15は、3つ以上のレベルの穿孔密度を有してよく、かつ/または異なる穿孔密度の2つの区域間の境界面は、急激な遷移であっても平滑な遷移であってもよい。
【0049】
様々な実施形態によれば、形成ドラム15の外面の第2の区域の第2の穿孔密度は0に等しく、すなわち穿孔が無く、それによってセルロース繊維が、形成ドラム15の外面の第2の区域に付着しない。また、形成ドラム15の外面の第2の区域の第2の穿孔密度において穿孔密度が小さいということは、大量のセルロース繊維が形成ドラム15の外面の第2の区域に付着しないことを必然的に伴う。第1の区域および第2の区域は、形成ドラム15の包絡面に設けられてよい。それによって、不連続の、すなわち異なる位置に異なる坪量を有するセルロースブランク13が形成される。したがって、いくつかの位置で坪量は0になり、他の位置で坪量は大きくなる。不連続セルロースブランク13の各シートレットは、均一の坪量を有しても、異なる坪量の区域を有してもよい。
【0050】
様々な実施形態によれば、形成ドラム15の外面は、主包絡面64と、主包絡面64内に設けられた1つまたは複数の凹部/内部成長62とを含む(
図5参照)。
前記凹部/内部成長62は、異なる坪量の位置/区域を有する連続または不連続のセルロースブランク13を生じさせるのに好適である。したがって、第1の穿孔密度を有する形成ドラム15の第1の区域は、前記1つまたは複数の凹部62に位置し、前記第1の区域に由来する位置で前記第2の区域に由来する位置より高い坪量を有する連続または不連続のセルロースブランク13を形成する。内部成長64から出るセルロースブランクの位置は、そのような内部成長のない形成ドラム15の前記外面の周囲区域から出るセルロースブランクの位置より高い坪量を有する。
【0051】
各凹部62は、第1の穿孔密度を有する第1の区域および第2の穿孔密度を有する第2の区域の両方を含んでよく、かつ/または凹部は、第1の区域および第2の区域に対して異なる深さを有してよい。好ましくは、第2の穿孔密度を有する第2の区域は主包絡面64に位置し、第1の穿孔密度を有する第1の区域は凹部内に位置する。
【0052】
図1で、前記形成シリンダ15は、前記内部成長区域62ならびに前記内部成長62を取り囲む主包絡面64に穿孔を備えてよい。結果として得られる連続セルロースブランク13の例示的な実施形態は、
図2に示されているものに類似してよい。
図2の下部分は、セルロースブランク13の上面図を示し、
図2の上部分は、同じセルロースブランク13の断面図を示す。この断面図は、セルロースブランク13の頂面に直交しかつ支持構造8に付着させられるときのセルロースブランクの動きに直交する平面内に位置する。
図1の形成シリンダから出るセルロースブランク13は、本質的に平坦な基部構造34を有してよく、基部構造34の上にセルロース繊維の突起が付着させられて、異なる坪量を有する3D構造化セルロースブランクを形成する。突起32は、前記形成シリンダ/ドラム15内の凹部/内部成長に由来する。
図2で、セルロースブランクは、3D構造を有する連続セルロースブランク13である。
【0053】
図3を次に参照すると、
図3は、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための本発明の装置100の代替の例示的な実施形態を概略的に示す。
図3と
図1の違いは、形成シリンダ/ドラム15の設計である。
図1で、形成ドラム15は、前記形成ドラム15内の内部成長に対応してより高い坪量の区域を有する連続セルロースブランクを生じさせるように構成される。
図3で、形成ドラム15は、不連続セルロースブランク、すなわちつながっていないセルロースブランク13の個々のシートレット32を生じさせるように構成される。
【0054】
図3の形成ドラム15は、個々のシートレットのこの不連続セルロースブランクを生じさせるために、前記内部成長内にのみ穿孔を有してよく、すなわち第1の区域が第1の穿孔密度を有し、第2の区域がゼロまたは最小の穿孔密度を有する。それによって、セルロースブランクの個々のシートレットをともに保持するのに十分なセルロース繊維が第2の区域に蓄積することはない。緩いセルロース繊維は、前記穿孔を有しない前記形成ドラム15に付着しない。形成シリンダ内の穿孔は、余分な空気が形成シリンダの内側へ除去されて形成プロセスから離されると同時に、シートの成長のための基礎をもたらすことができる。形成ドラムのうち穿孔のない区域は、比較的平滑な表面を有してよい。余分な空気を除去する可能性をもたないそのような平滑な表面に緩いセルロース繊維が当たっているとき、セルロース繊維は、形成ドラム15のそのような区域に付着するのが非常に困難になり、それによって
図4に示されているようなセルロースブランク13の個々のシートレット32を形成する。
図4は、不連続セルロースブランク13の一例である。シートレット32は、
図4で、上から見て軸方向および横断方向の両方に分離されるように示されている。代替実施形態では、シートレット32は、上から見て軸方向または横断方向にストリップ/タイル状に形成されてもよい。
【0055】
図5は、形成ドラム/シリンダ15の外面の例示的な実施形態を開示する。前記形成シリンダは、複数の内部成長62と、前記凹部/内部成長62を取り囲む主包絡面64とを備える。形成ドラム15は、前記内部成長62内にのみ、前記周囲包絡面64にのみ、または前記凹部/内部成長62および前記包絡面64の両方に、穿孔を有してよい。形成ドラム15から出るセルロースブランク13の結果として得られる形状は、特に穿孔が前記形成ドラム15に設けられる場合、凹部/内部成長の形状および数に依存する。
【0056】
図6は、セルロース原材料から本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品を乾式製造するための本発明の装置100の代替の例示的な実施形態を概略的に示す。
図6と
図1の違いは、プレスユニット12および成形ツール11a、11b、すなわち製品形成ユニット40の設計である。
【0057】
図1によれば、製品形成ユニット40は、単一の成形型/工程で1つまたは複数の3次元製品を製造するために単一の成形ツール11を有する固定されたプレスユニット12を備える。
図1による装置は、単一のプレスユニット12内に並列のプレスユニット12および/または並列の成形ツール11を備えてよいことが理解されよう。
図6で、製品形成ユニット40は連続プロセスであり、2つの回転成形ユニット11a、11b上にメス部分およびオス部分が配置される。成形ユニット11a、11bの回転は、製品形成ユニット40内へのセルロースブランク13の供給と同期されてよい。回転成形ユニット11a、11bは、3次元製品を形成するために複数の並列の形状を有してよい。前記回転成形ユニット11a、11bは、同一の3次元製品を形成するために複数の同一の形状を含んでよい。前記回転成形ユニット11a、11bは、複数の異なる3次元製品を形成するために複数の異なる形状を含んでよい。回転成形ユニットの回転は、プレスユニット12から3次元製品を前進させて、新しいセルロースブランクをプレスユニット12内へ供給することができる。異なる実施形態による製品形成ユニット40は、装置100の残り部分に影響を及ぼすことなく交換可能であることが指摘されよう。
図6によれば、形成ドラム15の下流で製品形成ユニット40の上流に、圧縮ロール10も示されている。圧縮ロール10は、
図1および
図3に開示されている例示的な実施形態では任意選択である。圧縮ロール10は、空気集積されたセルロースブランク13を初期/未圧縮の厚さの少なくとも2分の1に圧縮してよい。様々な例示的な実施形態によれば、圧縮ロール10は、セルロースブランク13を初期/未圧縮の厚さの少なくとも3分の1に圧縮している。それによって、圧縮されたセルロースブランク13は、セルロースブランク形成ユニット30の後、すなわち形成ユニット40の前、形成ユニット40まで、かつ形成ユニット40内において、より容易に取り扱うことができる。
【0058】
特に
図7~
図10を次に参照すると、
図7~
図10は、多段階のセルロースブランク形成ユニット30を有する例示的な実施形態を概略的に開示する。本明細書に記載される装置100の上流部分および下流部分は、
図7~
図10に示されているセルロースブランク形成ユニット30と組み合わせることができることが指摘されよう。
【0059】
セルロースブランク形成ユニット30は、2つのサブステップを含み、すなわち上述した形成ドラム15に加えて、1つの追加の形成配置を含む。
図7によれば、追加の形成配置は、形成ドラム15の上流に位置するタワー形成ユニット7によって構成される。
【0060】
分離されたセルロース繊維6は、分離/分解ユニット3とタワー形成ユニット7との間に配置された少なくとも1つのファン4’によって、タワー形成ユニット7内へ供給される。タワー形成ユニット7内へ供給された分離されたセルロース繊維6は、真空/低圧容器5’によって底部へ吸い寄せられる。タワー形成ユニット7は連続支持構造/ウェブ8の上に配置されており、連続支持構造/ウェブ8上に、前記分離された繊維6が配置されてセルロースブランク13を形成する。前記真空/低圧容器5’は、タワー形成ユニット7の真下で、支持構造8の下に、タワー形成ユニット7内へ供給された空気を空気除去デバイス/ファン54’によって除去するように配置される。連続支持構造8が動くにつれて、所定の厚さ34および坪量のセルロースブランク13が、支持構造8の頂面へ配置される。支持構造8の速度と、タワー形成ユニット7内の単位空気体積当たりの分離される繊維の量とを組み合わせて、セルロースブランク13の厚さおよび坪量が決定される。
【0061】
分離された繊維6はまた、上述したように形成シリンダ/ドラム15上へ供給される。形成ドラム15は、タワー形成ユニット7の下流に配置されても上流に配置されてもよい。たとえば、形成ドラム15は、上述したように、可変の坪量を有するセルロース繊維の連続または不連続のシートを、タワー形成ユニット7に由来する均一のセルロースブランクに付与する。組み合わされたセルロースブランク13は、タワー形成ユニット7から出る平面/均一のセルロースブランク34と、形成ドラム15から出るセルロース繊維のシートレットとを有する。
【0062】
したがって、形成ドラム15は、タワー形成ユニット7から出るセルロース繊維のシートに追加されるように、
図1に示されている連続セルロースブランクを作製しても、
図3に示されている不連続セルロースブランクを作製してもよい。
図7に開示される例示的な実施形態によれば、セルロース繊維が1つの同じ分離ユニット3から提供されるため、タワー形成ユニット7および形成ドラム15からのセルロース繊維の組成は同じである。代替実施形態によれば、
図9に示されているように、タワー形成ユニット7には、第1の分離ユニットからの分離されたセルロース繊維が供給され、形成ドラム15には、第2の分離ユニットからの分離されたセルロース繊維が供給される。そのような場合、すでに論じられたように、第1および第2の分離ユニットからのセルロース繊維は異なってよく、すなわち異なるセルロース原材料に由来しても、異なる繊維長さを有しても、異なる作用剤/添加物を有してもよく、以下同様である。
【0063】
図8を次に参照すると、
図7の例示的な実施形態とは対照的に、タワー形成ユニット7は第2の形成ドラム15’に交換されており、第2の形成ドラム15’は、好ましくは(第1の)形成ドラム15と一直線に構成される。
【0064】
したがって、第2の形成ドラム15’は、穿孔を含む外面を有し、外面は、空気流によって輸送されたある量の分離されたセルロース繊維からセルロース繊維を受け取り、セルロースブランク13を形成するように構成される。さらに、第2の形成ドラム15’内に第2の空気除去デバイスが配置され、すなわち空気除去デバイス54’の少なくとも一部は、形成ドラム15’の内側に配置される。第2の形成ドラム15’は、(第1の)形成ドラム15として構成されてよい。
【0065】
様々な実施形態によれば、セルロース繊維運搬空気流を生成するための第2のファン4’が、第2の形成ドラム15’に付随する。第2のファン4’には分解ユニット3が接続され、別個の分解ユニットまたは同じ分解ユニットが(第1の)形成ドラム15に作用する。したがって、第2の形成ドラム15’の外面は、第2のファン4’によって生成される空気流によって輸送された前記量の分離されたセルロース繊維からセルロース繊維を受け取り、セルロースブランクを形成するように構成される。別法として、1つの同じファンが、(第1の)形成ドラム15および第2の形成ドラム15’の両方に付随してもよい。あるいは、空気除去デバイス54’がファン4’のタスクも実行し、それによって第2の形成ドラム15’に付随するセルロース繊維運搬空気流を生成する単一のデバイスとなる。
【0066】
図8の例によれば、(第1の)形成ドラム15は第2の形成ドラム15’の下流に位置し、形成ドラム15の角度間隔5は、ファン4からセルロース繊維が加えられる位置から、セルロースブランク13が支持構造8によって受け取られる位置まで延びる。(第1の)形成ドラム15は反時計回り方向に回転し、第2の形成ドラム15’は時計回り方向に回転しており、これらの形成ドラムは、1つの点/境界面で2つのドラムのセルロース繊維が接触するように、互いに隣接して位置する。
図8によれば、(第1の)形成ドラム15は、セルロースブランクの不連続のシートレットを形成し、第2の形成ドラム15’もまた、(第1の)形成ドラム15に関連して上述した同じ方法で、セルロースブランクの不連続のシートレットを形成する。第2の形成ドラム15’の角度間隔5’は、2つのドラムのセルロース繊維が接触する位置/境界面で終わり、(第1の)形成ドラム15の角度間隔5が前記位置/境界面で活動状態になる。それによって、第2の形成ドラム15’の外面のセルロース繊維は(第1の)形成ドラム15の外面へ移送され、組み合わされた不連続セルロースブランク13は、支持構造8によって後に受け取られる。
図8は、2つのドラムの下流で製品形成ユニット40の上流に位置する圧縮ロール10の使用を開示する。支持構造/ウェブ8の下には、形成ドラムによって生成されるセルロースブランク13が動いている支持構造8に固定されるように空気を除去するための手段54’が位置する。それによって、セルロースブランク13のシートレットの向きが保証される。これはまた、装置100を開示する他の図の実施形態にも当てはまる。
【0067】
代替の例示的な実施形態によれば、(第1の)形成ドラム15は、第2の形成ドラム15’の上流に位置する。第2の形成ドラム15’は、第2の形成ドラム15’の外面に連続セルロースブランクを生成することができ、第2の形成ドラム15’上の連続セルロースブランクは均一であってよい。次いで、上述したように、セルロースブランクのシートレットが(第1の)形成ドラム15から第2の形成ドラム15’に加えられ、その後、可変の坪量を有するセルロースブランク13が支持構造8によって受け取られる。
【0068】
図9を次に参照すると、
図9は、第2の形成ドラム15’に付随する第2の分解ユニット3’の使用を示す。そのような場合、すでに論じられたように、最終セルロース製品14の特性をさらに調整するために、第1の分解ユニット3からのセルロース繊維および第2の分解ユニット3’からのセルロース繊維は異なってよい。異なる分解ユニットが異なる形成ドラム/ユニットに付随するとき、これらの分解ユニットはまた、同じタイプのセルロース繊維を提供するように構成されてもよいことが指摘されよう。セルロースブランク13の異なる層は、異なる添加物/作用剤が異なるセルロース原材料に加えられることによって、異なる特性を有してよく、それによって最終セルロース製品14における添加物の侵入深さの制御が極めて正確になる。
【0069】
図10を次に参照すると、セルロースブランク形成ユニット30は、代替のタイプの圧縮ロール10を備える。圧縮ロール10はまた、セルロースブランク13が圧縮されると同時に、(第1の)形成ドラム15から連続または不連続のセルロースブランク13を除去して支持構造8へ移送するように構成される。
【0070】
したがって、圧縮ロール10は、1つまたは複数の圧縮ドラムによって構成され、各ドラムの内側には、穿孔および空気除去手段が配置される。それによって、形成ドラム15上に形成されたセルロースブランク13は、形成ドラム15の角度境界面5が終わる位置/境界面で第1の圧縮ドラムへ移送され、第1の圧縮ドラムの対応する角度境界面が活動状態になる。1つのドラムからもう1つのドラムへの移送は、装置100全体にわたって同じであり、すなわち1つの角度間隔が終了し(加圧が終了される)、次の角度間隔が活動状態になる(加圧が活動状態になる)。第2の圧縮ドラムが第1の圧縮ドラムに近接して位置しており、これらの圧縮ドラムが遭遇する位置/境界面で、連続または不連続のセルロースブランク13が圧縮され、また第1の圧縮ドラムから第2の圧縮ドラムへ移送される。圧縮されたセルロースブランクは、セルロースブランクが支持構造8によって受け取られる前に、追加の圧縮ドラムへ移送されてよく、そのような追加の移送中に、セルロースブランクはさらに圧縮されてよい。
【0071】
代替実施形態によれば、第2の圧縮ドラムは圧縮ロールに交換され、セルロースブランク13は第1の圧縮ドラムとそのような圧縮ロールとの間で圧縮され、セルロースブランクは第1の圧縮ドラムから移送されない。その後、圧縮されたセルロースブランクは、第1の圧縮ドラムから支持構造8へ移送される。
【0072】
様々な例示的な実施形態によれば、本質的に非平坦の全体形状を有する少なくとも1つの硬質セルロース製品14を乾式製造するための中間製品が製造されてよい。前記中間製品は、第1の位置および第2の位置を有する連続または不連続のセルロースブランク13によって構成され、第1の位置は、第2の位置より高い坪量を有する。第2の位置の坪量は、上記で論じられたように、0などであってよい。そのような中間製品は、たとえば、個々のシートの形状で提供されても、ロール上に提供されてもよい。セルロースブランク、すなわち中間製品の第1の位置は、本質的に非平坦の全体形状を有する後の硬質セルロース製品14の亀裂を受けやすい区域および/または剛性が増大された区域に重なる。
【0073】
中間製品、すなわちセルロースブランク13から、本質的に非平坦の全体形状を有する硬質セルロース製品14が、製品形成ユニット40内でプレスすることによって作製されてよく、硬質セルロース製品14の最大坪量は、セルロースブランク13の第1の位置の最大坪量より小さい。したがって、セルロースブランク13、中間製品のセルロース繊維は、最終セルロース製品14の非平坦の全体形状に応答して、プレスステップ中に再び分散される。
【0074】
分離ユニット内の円周速度は、50~150m/秒の範囲内であってよい。様々な例示的な実施形態では、前記円周速度は、90~150m/秒であってよい。様々な例示的な実施形態では、セルロース繊維のサイズは2mmであってよく、単位体積空気当たりの繊維の量は、水9~12g/空気1kgで繊維100g/空気1m3であってよい。支持構造、連続形成シリンダ、および/または連続ウェブは、20~100cmの幅を有してよい。様々な例示的な実施形態では、前記幅は30~70cmである。セルロース繊維13のシートは、200~2000g/m2の重量を有してよい。圧力ユニット内の圧力は、40~10000N/cm2の範囲内であってよい。
【0075】
一例によれば、不連続セルロースブランクは、形成ドラム15の外面に形成され、各シートレットは、約20cm×30cmである。0.5mmの厚さを有する最終セルロース製品を得るために、坪量は第1の区域で約600g/m2であり、第2の区域、すなわち不連続セルロースブランクのシートレット間で0g/m2である。このプロセスは、1時間当たり2500個のシートレットを生成することができ、各シートレットの重量は36gであり、すなわち1時間当たり90kgのセルロース原材料である。空気1立方メートル当たり約500gのセルロース繊維を得るために、要求される空気流は、1時間当たり180m3の空気である。セルロースブランクの各シートレットに十分なセルロース繊維を蓄積するために、形成ドラム15の外面における空気速度は約3~5m/秒とする。
【0076】
空気流の湿度は、空気1kg当たり9~12gの範囲内とし、好ましくは空気1kg当たり11g(空気1m3当たり14.3gに等しい)とする。要求されるレベルを得るために、周囲空気の湿度に応じて、異なる量の水が加えられなければならない。周囲空気の湿度は、好ましくは、摂氏20度で55~65%RHの範囲内とする。
【0077】
一例によれば、2つの形成ドラム15、15’を使用して不連続セルロースブランクが形成される。(第1の)形成ドラム15の外面に第1の円形のセルロースブランクが形成され、直径は40cmであり、坪量は約500g/m2であり、第2の形成ドラム15’の外面に第2の円形のセルロースブランクが形成され、直径は20cmであり、坪量は約200g/m2である。このプロセスは、1時間当たり2500個のシートレットを生成することができ、各シートレットの重量は63+6=69gであり、すなわち1時間当たり172.5kgのセルロース原材料である。空気1立方メートル当たり約500gのセルロース繊維を得るために、要求される空気流は、1時間当たり345m3の空気である。
【0078】
本発明の実行可能な修正形態
本発明は、図面に記載される上述した実施形態のみに限定されるものではなく、図面は主に説明および例示を目的とする。本特許出願は、本明細書に記載される好ましい実施形態のすべての調整および変形形態を包含することが意図され、したがって本発明は、添付の特許請求の範囲の表現およびその均等物によって定義される。したがって機器は、添付の特許請求の範囲の範囲内において、あらゆる種類の方法で修正されてよい。
【0079】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体にわたって、文脈上別途必要としない限り、「comprise(備える、含む)」という単語、および「comprises」または「comprising」などの変化形は、他のあらゆる整数もしくはステップまたは整数群もしくはステップ群の除外ではなく、記載された整数もしくはステップまたは整数群もしくはステップ群の包含を示唆することが理解されよう。
【0080】
したがって、特有の示されている実施形態からの特徴が別の実施形態からの特徴と組み合わされてよいことが明示的に記載されていないときでも、その組合せが可能な場合、その組合せは明らかであると考えられるものとすることも指摘されよう。
【符号の説明】
【0081】
1.原材料(セルロース)
1a 巻き取られたパルプまたは紙
1b ベール
1c シート
2.化学物質注入ユニット
3.ハンマーミル(分離ユニット)
4.ファン(4、4’)
5.真空/低圧容器(5、5’)
6.分離された繊維
7.タワー形成ユニット
8.連続または不連続の支持構造/ウェブ
9.化学物質注入ユニット
a.9a
b.9b
c.9c
10.圧縮ロール/ドラム
11.成形ツール
12.プレスユニット
13.セルロースブランク
14.本質的に非平坦の全体形状を有する最終セルロース製品
15.形成シリンダ/ドラム(15、15’)
16.事前加熱ユニット
17.加湿器ユニット
a.17a
b.17b
c.17c
18.シュレッダ(分離ユニット)および注入ユニット
30.セルロースブランク/シート形成ユニット
32.セルロース繊維の突起/シートレット
34.セルロースブランクの平面構造/基部構造
40.製品形成ユニット
54.空気除去デバイス(54、54’)
62.内部成長/凹部
64.凹部を取り囲む包絡面
100.硬質セルロース製品を乾式製造するための装置
【国際調査報告】