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特表2024-517492ナノバブル生成用のパイプ挿入材、及びこれを含むナノバブルの生成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ナノバブル生成用のパイプ挿入材、及びこれを含むナノバブルの生成装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/40 20220101AFI20240415BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20240415BHJP
【FI】
B01F25/40
B01F23/2375
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570282
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 KR2021009628
(87)【国際公開番号】W WO2022239906
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0061766
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522142394
【氏名又は名称】ファウ ナノテック カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522142419
【氏名又は名称】ユ、ヨン ホ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、テ グン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ア ラム
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB27
4G035AC01
(57)【要約】
本発明は、一般的な給水パイプに挿入することだけで、濃度及び微細化の大きさ側面から、良好な品質のナノバブル水が蛇口やシャワーなどに直接吐出されるようにして、様々な長所を有するナノバブル水をコスト及び設置空間への負担なしに、一般家庭を始め、どのような環境下でも、便利かつ汎用的に活用可能にするナノバブル生成用のパイプ挿入材、及びこれを含むナノバブルの生成装置に関する。
これを実現する本発明のナノバブル生成用のパイプ挿入材は、配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、前記挿入材ボディは、前記パイプの流路空間を分割する分割壁及び流路空間に突出する空間仕切りのいずれか以上が、前記パイプの長手方向に連続形成されるものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、
前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、
挿入材ボディは、前記パイプの流路空間を分割する分割壁及び流路空間に突出する空間仕切りのいずれか以上が、前記パイプの長手方向に連続形成されることを特徴とする、
ナノバブル生成用のパイプ挿入材。
【請求項2】
前記挿入材ボディは、メイン壁で囲まれ、前記メイン壁の周りには、メイン壁とパイプ内壁との間の間隔維持のため一つ以上のスペーサ突起が、前記パイプの長手方向に連続形成されることを特徴とする、
請求項1に記載のナノバブル生成用のパイプ挿入材。
【請求項3】
配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、
前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、
一つ以上の区域空間を形成するメインボディと、前記メインボディの区域空間に長手方向に挿入する一つ以上のサブボディとを含み、
前記メインボディ及びサブボディは、それぞれ前記パイプの流路空間を分割する分割壁及び流路空間に突出する空間仕切りのいずれか以上を含んでなることを特徴とする、
ナノバブル生成用のパイプ挿入材。
【請求項4】
配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、
前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、
挿入材ボディの断面がスパイラル状からなり、前記パイプの長手方向に連続形成されることを特徴とする、
ナノバブル生成用のパイプ挿入材。
【請求項5】
前記挿入材ボディには複数の突起が形成されるものの、
前記突起は、パイプの長手方向に連続形成される帯状突起又は点状突起からなることを特徴とする、
請求項4に記載のナノバブル生成用のパイプ挿入材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のナノバブル生成用のパイプ挿入材を含む、
ナノバブルの生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な給水配管パイプに挿入することだけで、濃度及び微細化の大きさ側面から、良好な品質のナノバブル水が蛇口やシャワーなどに直接吐出されるようにして、様々な長所を有するナノバブル水をコスト及び設置空間への負担なしに、一般家庭を始め、どのような環境下でも、便利かつ汎用的に活用可能にするナノバブル生成用のパイプ挿入材、及びこれを含むナノバブルの生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、数百nm以下からなる超微細気泡であるナノバブルは、気体溶解効果、自己加圧効果、帯電効果などの物理的・化学的特性を有することにより、様々な活用を可能にし、汚廃水の浄化を始め、種々の分野で利用されており、特に、医療、殺菌、消毒、脱臭、洗浄などの分野では、μmサイズのマイクロバブルとは次元を異にするほど、作用効果に優れている。
【0003】
気泡の微細化について考察すると、例えば、水に酸素が混合した気液混合流体に摩擦圧力が加わる場合、流体は、摩擦に対する反作用により発熱と共に気泡が微細化し、滑めらかになることにより、摩擦抵抗を減らそうとする性質を有する。
【0004】
このように、気液混合流体が圧力を受けて流動しつつ、流路の内面と摩擦するとき、摩擦抵抗を減らすために気液混合流体に含まれた気泡は、図1に示されたように、摩擦面に沿って長く引張変形した後に細かく分けられて、ナノバブルが生成するまで微細化し、本出願人は、これを「摩擦による気泡の微細化及びナノバブルの生成原理」と定義している。
【0005】
上記ナノバブルの生成原理によれば、単位体積の気液混合流体における流路の内面と面する摩擦面積が広いほど、摩擦速度が高いほど、摩擦継続時間が長いほど、液体中に含まれている酸素が多いほど、量的・質的により良好にナノバブルを生成することができ、流路断面積当たり流体との摩擦面を拡張させる場合、ナノバブルの生成に要する流動長さを短縮することができる。
【0006】
本出願人は、これらの摩擦によるナノバブルの生成原理に着目して、韓国登録特許第10-2100074号(2020年5月15日付公開、以下、「先行技術1」と言う。)を開示したことがある。
【0007】
上記先行技術1は、図2に示されたように、軟性を有するボディがチューブ状からなり、気液混合流体の摩擦面積を拡張するために、流路の内部に流路空間を多重分割する、一つ以上の分割壁111(図2のa参照)又は空間仕切り112(図2のb参照)が形成された流路部材100である。
【0008】
上記先行技術1の流路部材100は、流路空間内に分割壁111及び空間仕切り112が密集して形成されることにより、摩擦面となる流路空間断面の周りの長さが長くなり、単位流路面積当たり摩擦面積が拡張し、これによって、気液混合流体に含まれた気泡が設定した長さの流路を通過することだけで、濃度側面からナノバブルを有意に生成することができる。
【0009】
前記分割壁111又は空間仕切り112は、厚さが薄いほど、密集して形成され得、摩擦面の拡張に有利である。
【0010】
かかる先行技術1の流路部材100は、シリコーンなどの軟性材を素材として押出して製作されることにより、ベンディングが自在な長所を有する反面、流体の流入圧力に弱くて、膨張が発生する短所がある。
【0011】
前記流路部材100の膨張を防止する方法は、メイン壁の厚さが流体の流入圧力に十分耐えられる厚い厚さを有するもの、または、挿入材のボディの外部に網組織チューブ、いわゆる「エキスパンダチューブ(expander-tube)」とも称する膨張防止部材を嵌め込む方法などがあり得る。
【0012】
しかし、メイン壁を厚くする場合、できるだけ薄く形成されることが有利な分割壁又は空間仕切りとの厚さ差が大きくて、押出し難しい問題があり、資材コストが上昇する問題点がある。
【0013】
また、網組織チューブを用いる場合、これを流路部材の全長にかけて嵌め込む作業が非常に煩わしくて、時間と工数が消耗しすぎる問題がある。
【0014】
一方、韓国公開特許第10-2018-0131664号(2018年12月11日付公開、以下、「先行技術2」と言う。)では、ミキシングチャンバ220、螺旋状スプリッタ230及びサチュレーションタンク240を備えて、気液混合物を循環させ、ナノバブルを発生させる「循環型ナノバブルの発生装置200」が開示されている(図3のa参照)。
【0015】
上記先行技術2の螺旋状スプリッタ230は、長さを長くするために螺旋状からなり、気泡生成効率を増加させるために、内部に第1分離板における段階的に第2、第3、第4の分離板231を更に形成している(図3のb参照)。
【0016】
上記構成の螺旋状スプリッタ230は、単独ではナノバブルを生成することができないし、単独にナノバブルが濃度側面から有意に生成されるためには、分離板231が稠密に造成される必要があり、少なくとも数メートル以上の長さを十分確保しなければならない。
【0017】
上記構成の螺旋状スプリッタ230が仮に直線状からなっていると、ナノバブルの生成に必要な長さを備えるように押出製作が可能だろう。
【0018】
しかし、前記分離板231が稠密に造成されるためには、支持力を有するメイン壁232に対しその厚さが顕著に薄く形成されなければならない。
【0019】
このように、分離板231がメイン壁232との厚さ差が大きい場合、押出し難しい問題があり、厚さ差を有しない場合には、パイプの直径に対し流動通路が細くなり、ナノバブルの生成効率性が落ちて、資材コストもかかりすぎる問題がある。
【0020】
さらに、先行技術2の螺旋状スプリッタ230は、直線状でない螺旋状から構成されることにより、押出し難しく、流動長さが数メートル以上に連続しにくい技術である。
【0021】
その理由は、直線状を螺旋状に強制に捩じる過程で、分離板231が潰れ(図3のc参照)、連続して繰り返して螺旋状に捩じる場合、分離板の潰れは、捩じる変曲点ごとに交互に起こり、流動通路が詰まり、これにより、水の流動が難しくなるからである。
【0022】
一方、一般家庭の流し台用水やシャワー水で先行技術1の流路部材100を用いて、ナノバブル水を生成して吐出させることができる。
【0023】
流路部材が流し台の給水栓などに連結されるためには、両端に管継手コネクタを備えたナノバブル生成用の流路部材キットからなり、一端は、水道の給水配管に、他端は、蛇口などの給水栓に連結してなる。
【0024】
しかし、一般家庭などでナノバブル生成用の流路部材キットを設置する場合、給水栓が設置されている環境では、大体空間が不足して、外部に露出して設置しなければならず、これに加えて、煩わしい連結作業が伴われるなどの短所がある。
【0025】
仮に前記流路部材が給水管に取り替えられるものであれば、上記問題は、いずれも簡単に解消され、驚くべき長所を有するナノバブル水をどこでも便利に使用できるだろう。
【0026】
しかし、前記流路部材100は、軟性材からなるものであって、ベンディングが自在である反面、一般的な軽質配管パイプが有する支持力が欠如しており、一般配管のように、エルボ、ティー(T)などの配管連結部材を用いて壁体に埋込配管するなど、配管施工が難しい短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであって、
本発明の目的は、別途装置なしに、通常の一般的な給水配管パイプに挿入することだけで、濃度及び微細化の大きさ側面から、良好な品質のナノバブル水が蛇口やシャワーなどに直接吐出されるようにして、様々な長所を有するナノバブル水をコスト及び設置空間への負担なしに、一般家庭を始め、どのような環境下でも、便利かつ汎用的に活用可能にするナノバブル生成用のパイプ挿入材、及びこれを含むナノバブルの生成装置を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、流路の内部に摩擦面を密集して造成するものの、膨張防止措置が不要であり、生産性向上及びコスト節減が可能なナノバブル生成用のパイプ挿入材を提供することにある。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、摩擦面を密集して造成するものの、メイン壁と分割壁、空間仕切りなど、内部構成部材間の厚さ差を大きくする必要がなく、押出製作が容易であるようにするナノバブル生成用のパイプ挿入材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成するため本発明によるナノバブル生成用のパイプ挿入材は、
配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、
前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、
前記挿入材ボディは、前記パイプの流路空間を分割する分割壁及び流路空間に突出する空間仕切りのいずれか以上が、前記パイプの長手方向に連続形成されることを特徴とする。
【0031】
前記挿入材ボディは、メイン壁で囲まれ、前記メイン壁の周りには、メイン壁と前記パイプ内壁との間の間隔維持のため一つ以上のスペーサ突起が、前記パイプの長手方向に連続形成されていてもよい。
【0032】
本発明による一実施形態のナノバブル生成用のパイプ挿入材は、
配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、
前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、
一つ以上の区域空間を形成するメインボディと、前記メインボディの区域空間に長手方向に挿入する一つ以上のサブボディとを含み、
前記メインボディ及びサブボディは、それぞれ前記パイプの流路空間を分割する分割壁及び流路空間に突出する空間仕切りのいずれか以上を含んでなることを特徴とする。
【0033】
本発明による一実施形態のナノバブル生成用のパイプ挿入材は、
配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、
前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、
前記挿入材ボディの断面がスパイラル状からなり、前記パイプの長手方向に連続形成されることを特徴とする。
【0034】
前記挿入材ボディには複数の突起が形成されるものの、
前記突起は、パイプの長手方向に連続形成される帯状突起又は点状突起からなるものであってもよい。
【0035】
上記目的を達成するため本発明によるナノバブルの生成装置は、前記ナノバブル生成用のパイプ挿入材を含んでなる。
【発明の効果】
【0036】
上記構成を有する、本発明によるナノバブル生成用のパイプ挿入材によれば、
別途装置なしに、通常の一般的な給水パイプに挿入することだけで、濃度及び微細化の大きさ側面から、良好な品質のナノバブル水が蛇口やシャワーなどに直接吐出され得、様々な長所を有するナノバブル水をコスト及び設置空間への負担なしに、一般家庭を始め、どのような環境下でも、便利かつ汎用的に活用可能である著しい効果がある。
【0037】
また、通常のパイプを任意に採用して、ナノバブルの生成手段として利用することができ、ナノバブル生成の便宜性を画期的に向上させることができる。
【0038】
また、パイプに挿入することから、挿入材ボディの膨張防止措置が不要であり、生産性及びコストを節減することができる。
【0039】
また、挿入材ボディが別途パイプに挿入して保護されるため、メイン壁を必ずしも備える必要がなく、備える場合にも、分割壁、空間仕切りなどとの厚さ差を大きくする必要がなくて、押出製作が容易という利点がある。
【0040】
また、前記ナノバブル生成用のパイプ挿入材を含むナノバブルの生成装置を用いて、微細化品質に優れるナノバブル水を少量から大量の生産に至るまで簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】摩擦によってナノバブルが生成される原理を示す図である。
図2】先行技術1の構成を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、(a)の切断面図、(c)は、(b)に相応する他の例の切断面図である。
図3】先行技術2の構成を示す図面であって、(a)は、全体構成図、(b)は、(a)の螺旋状スプリッタの切断面拡大図、(c)は、(b)の変形状態図である。
図4】(a)は、本発明による一実施形態の構成を示す斜視図、(b)は、(a)の本発明がパイプに挿入される状態を示す斜視図である。
図5】(a)は、図4のA-A線の切断面拡大図、(b)は、図4のB-B線の切断面拡大図である。
図6】(a)、(b)は、本発明による一実施形態の構成を示す正面図である。
図7】(a)、(b)は、本発明による一実施形態の構成を示す正面図である。
図8】本発明による一実施形態の構成を示す正面図である。
図9】本発明による一実施形態の構成を示す正面図であって、(a)は、分解状態、(b)は、結合状態である。
図10】本発明による一実施形態の構成を示す正面図であって、(a)は、分解状態、(b)は、結合状態である。
図11】本発明による一実施形態の構成を示す正面上の一部分解図である。
図12】本発明による一実施形態の構成を示す図面であって、(a)は、配管パイプの挿入状態正面図、(b)は、広げた状態の一部抜粋図である。
図13】本発明による一実施形態の構成を示す図面であって、(a)は、配管パイプの挿入状態正面図、(b)は、広げた状態の一部抜粋図である。
図14】本発明による一実施形態の一部抜粋設置状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明のナノバブル生成用のパイプ挿入材、及びこれを含むナノバブルの生成装置に関する実施形態を添付の図面を参考してより詳説する。
【0043】
本発明は、上述した「摩擦による気泡の微細化及びナノバブルの生成原理」に基づいて発明されたものであって、
本発明による一実施形態のナノバブル生成用のパイプ挿入材1は、図4乃至9に示されたように、配管用パイプ2の内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、前記パイプ2内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、前記挿入材ボディは、前記パイプ2の流路空間を分割する分割壁11及び流路空間に突出する空間仕切り12のいずれか以上が、前記パイプ2の長手方向に連続形成してなるものである。
【0044】
前記分割壁11は、互いに連結されて塞いだ空間を形成するものであって、流体の摩擦面の形成とともに、挿入材ボディの構成を支える機能を有し、後述するメイン壁13と連結されるものであってもよい。
【0045】
前記空間仕切り12は、先端部が空間上に位置し、前記分割壁11とは異なり、塞いだ空間を形成しない構成を意味する。
【0046】
前記挿入材ボディは、前記分割壁11及び空間仕切り12のいずれか以上が多重形成されて、摩擦面集成体を構成し、挿入材ボディの外郭先端は、前記パイプの内壁21に近接又は密接していてもよい(図4のb、図5のb参照)。
【0047】
前記挿入材ボディの外郭は、挿入されるパイプ2の断面構成に対応して形成されていてもよい。
【0048】
前記挿入材ボディは、メイン壁13で囲まれ、前記メイン壁13の周りには、メイン壁13と前記パイプ内壁21との間の間隔維持のため一つ以上のスペーサ突起14が、前記パイプ2の長手方向に連続形成されていてもよい(図4乃至6参照)。
【0049】
前記メイン壁13は、ボディの外郭を囲む外壁であって、前記分割壁11と同様、流体の摩擦面として機能するとともに、挿入材ボディの構成を支えたりもする。
【0050】
上記のように、分割壁11及び空間仕切り12のいずれか以上からなる挿入材ボディは、メイン壁13で囲まれ、メイン壁13の周りにスペーサ突起14を有する構成は、上記先行技術1の流路部材(図2参照)に前記スペーサ突起14が加えられた構成であるとも言える。
【0051】
前記スペーサ突起14は、前記メイン壁13とパイプ内壁との間の間隔を維持する機能とともに、流体の摩擦面として機能する。
【0052】
前記挿入材ボディは、複数の前記分割壁11、空間仕切り12、メイン壁13、及びスペーサ突起14が結合した形態(図4、5参照)、このうち、空間仕切り12を排除した形態(図6のa、b参照)、メイン壁13を排除した形態(図7、8参照)、複数の空間仕切り12とスペーサ突起14から構成された形態(図7のb参照)、複数の仕切り12のみから構成された形態(図示せず)、複数の分割壁11のみから構成された形態(図示せず)など、様々に構成することができる。
【0053】
また、前記挿入材ボディの分割壁11及び空間仕切り12のいずれか以上は、放射状や同心円状構造(図5乃至7参照)、格子状(図8参照)などと、様々に形成することができる。
【0054】
前記挿入材ボディは、二つ以上の分割体1-1,1-2に分割して形成することができる(図9参照)。
【0055】
本発明による一実施形態のナノバブル生成用のパイプ挿入材1Mは、図10及び図11に示されたように、配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置する挿入材であって、
前記パイプ2内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、一つ以上の区域空間(s)を形成するメインボディ1aと、前記メインボディ1aの区域空間(s)に長手方向に挿入する一つ以上のサブボディ1bとを含み、前記メインボディ1a及びサブボディ1bは、それぞれ前記パイプの流路空間を分割する分割壁11及び流路空間に突出する空間仕切り12のいずれか以上を含んでなるものであってもよい。
【0056】
前記メインボディ1aは、区域空間(s)を多重形成して、各々の区域空間(s)に空間仕切り12などが多重形成されたサブボディ1bを挿入することができ、前記区域空間(s)は、分割壁11で囲まれるか、いずれか一方が開放された形態からなるものであってもよい(図10、11参照)。
【0057】
かかる構成は、内部空間の広い大型パイプにも摩擦面を稠密に形成することができ、大容量のナノバブル水の生成を可能にする。
【0058】
本発明によるナノバブル生成用のパイプ挿入材1,1Mの挿入材ボディは、押出成形されるのが好ましい。
【0059】
また、挿入材ボディの材質は、軽質材又は軟質材からなっていてもよい。
【0060】
本発明による一実施形態のナノバブル生成用のパイプ挿入材1Sは、図12及び図13に示されたように、配管用パイプの内部にパイプの長手方向に挿入設置され、前記パイプ内にナノバブルを生成するため気液混合流体の摩擦面を更に造成するために、ボディの断面がスパイラル状からなり、前記パイプの長手方向に連続形成されるものであってもよい。
【0061】
前記スパイラル状からなる挿入材ボディには、スペーサ機能とともに、摩擦面積を追加するために複数の突起が形成されるものの、前記突起は、長手方向に連続形成される帯状突起17(図12参照)又は円錐状などからなり、マトリックス状に配列される点状突起18からなるものであってもよい(図13参照)。
【0062】
前記スパイラル状の挿入材ボディは、前記帯状突起17が形成された場合には、押出成形も可能である。
【0063】
また、帯状突起17、点状突起18が形成された板体を巻き取って、スパイラル状の挿入材ボディを形成することができる(図12のb、13のb参照)。
【0064】
前記分割壁11、空間仕切り12、メイン壁13、スペーサ突起14などの形態は、挿入材ボディの長手方向に対して直交する断面状構造を意味する。
【0065】
上記構成を有する、本発明によるナノバブル生成用のパイプ挿入材1,1M,1Sの設置及び作用状態について考察する。
【0066】
本発明は、「摩擦力による気泡の微細化及びナノバブルの生成原理」を技術的課題を解決する原理に適用して、前記分割壁11、空間仕切り12、メイン壁13、スペーサ突起14,17,18などで流体の摩擦面を密集して造成しなければならず、一般的な給水パイプに挿入する簡単な方式によりナノバブル水を生成することができるようにする。
【0067】
本発明が挿入設置されたパイプ2は、パイプの内部に前記分割壁11、空間仕切り12、メイン壁13、スペーサ突起14などが、流体の摩擦面として機能して、単位流路面積当たり摩擦面積が拡張し、これによって、気液混合流体に含まれた気泡が少なくとも数メートル以上の流路を通過するとき、濃度側面からナノバブルを有意に生成することができる。
【0068】
本発明は、上記先行技術1の流路部材100のように、流体の摩擦面が稠密に形成された挿入材ボディが一般配管に挿入されて、パイプの内部に摩擦面を稠密に造成する構成であって、流路部材100の短所であった流体の流入圧力による膨張の問題から自由になる。
【0069】
よって、前記流路部材100の膨張による様々な制約が解消され、膨張防止部材が不要であり、工数と時間が多くかかる煩わしい工程を排除することができる。
【0070】
それだけでなく、分割壁11、空間仕切り12などからなる挿入材ボディは、別個からなるパイプ2に挿入して保護されるため、流路部材の必須構成要素であるメイン壁を必ずしも備える必要がないし、メイン壁13を備える場合にも、分割壁11、空間仕切り12などとの厚さ差を大きくする必要がなくて、押出製作を容易にすることができる。
【0071】
また、本発明によるナノバブル生成用のパイプ挿入材は、市販するパイプの各規格によって製造することができ、通常のパイプのうち任意に採用して設置可能である、便宜性及び汎用性を有する。
【0072】
換言すれは、本発明による挿入材は、特定の仕様のオーダーメードパイプが不要であり、通常のパイプ製品を任意に採用するか、逆に、設定した規格のパイプに該規格の製品を挿入して、ナノバブル水を簡便に生成することができる。
【0073】
このように、本発明の挿入材は、配管パイプの規格に対する対応が自在であり、一般的な給水配管で通用する直線状のパイプ2とティー(T)、エルボなどの継手部材を用いて自在に設置することができる(図14参照)。
【0074】
ナノバブルの生成は、流体の摩擦面になる前記分割壁11、空間仕切り12などの密集度、本発明がパイプに挿入設置された流路の長さ、水温などによって生成される濃度、微細化の大きさなどで相違し得る。
【0075】
本出願人は、本発明の開発過程で、一般的な水道の水を上記先行技術1による一実施形態の流路部材100を通過させて、ナノバブルの生成を確認する試験を、公認機関(NANOSIGHT)に依頼して実施したことがある(2021-02-05 17-28-52施行)。
【0076】
試験に使用された流路部材は、外径15mm、内径13mm、長さ3.5Mからなり、流路空間の断面積当たり流路空間周り(摩擦面)の長さ比は、2.7倍から構成されており、流路部材に通過する際の水温は、38℃で行われた。
【0077】
この実験によって生成されたナノバブルは、水1ml当たり、おおよそ5.27億個と確認されており、このとき、ナノバブルの平均サイズは、91.2nmと表された(グラフ省略)。
【0078】
従来の一般的なナノバブルの生成装置は、構成が複雑であり、相対的に巨大な規模から構成され、その装置によって生成されるナノバブルの数量は、略水1ml当たり2億個程であることに鑑みると、簡単な構成の流路部材(3.5M)に通過させることだけで得られた上記試験成績は、ナノバブルの生成において摩擦面を稠密に形成する前記流路部材の優れた性能を立証する。
【0079】
本発明のナノバブル生成用のパイプ挿入材は、給水用パイプに挿入設置されて、前記流路部材100と同じ作用を行うものであって、殺菌、消毒、脱臭、洗浄などで優れた特性を有するナノバブル水を、上記試験で確認したように、良好に生成することができる。
【0080】
よって、ナノバブルを生成するため別途装置も設置することなく、流し台、シャワーなどの衛生給水施設、洗濯機、食器洗浄機などに必ず伴われる給水パイプに本発明を挿入設置することだけで、優れた長所を有するナノバブル水が蛇口やシャワーなどに直接吐出され得る。
【0081】
また、通常のパイプを任意に選択して、ナノバブルの生成手段として利用することができ、ナノバブル生成の便宜性を画期的に向上させることができる。
【0082】
給水パイプ2に関する本発明の挿入設置は、建築物施工段階で行うことができる。
【0083】
本発明によるナノバブルの生成装置は、前記ナノバブル生成用のパイプ挿入材を含んでなる。
【0084】
よって、極めて簡単な構成により、微細化品質に優れるナノバブル水を少量から大量の生産まで簡便かつ汎用的に得ることができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して説明した。
【0086】
ここで、本明細書及び請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的或いは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、本発明の技術思想に符合する意味と概念に解釈しなければならない。よって、本明細書で記載の実施形態と図面に示された構成は、本発明の好ましい一実施形態に過ぎないし、本発明の技術思想をいずれも代弁するものではないため、本出願時点において、これらに取り替えられる様々な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明によるナノバブル生成用のパイプ挿入材、及びこれを含むナノバブルの生成装置は、濃度及び微細化の大きさ側面から、良好な品質のナノバブル水が蛇口やシャワーなどに直接吐出されるようにして、様々な長所を有するナノバブル水をどのような環境下でも、便利かつ汎用的に活用可能であり、産業上の利用可能性が良好である。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
図14
【国際調査報告】