(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】省電力型液化ガス燃料船舶及び該液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20240415BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20240415BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B63B25/16 D
B63H21/38 Z
F17C13/00 302A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570309
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 KR2021019839
(87)【国際公開番号】W WO2022244941
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063968
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430897
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュン チェ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ドン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジン ホ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB03
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB10
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD01
3E172EB10
3E172EB17
3E172HA04
3E172HA08
3E172HA14
3E172JA08
3E172KA03
3E172KA23
(57)【要約】
本発明は、液化ガスを燃料として使用する船舶において、液化ガスの自然気化によって発生した蒸発ガスを処理する際、再液化システムの電力消耗を節減できる船舶の省電力型蒸発ガス処理システム及びそのような液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法に関する。
本発明に係る省電力型液化ガス燃料船舶は、液化ガスを貯蔵する液化ガス貯蔵タンク;前記液化ガス貯蔵タンクに貯蔵された液化ガス又は前記液化ガスの自然気化によって発生した蒸発ガスを燃料として使用するエンジン;前記液化ガスを前記エンジンの燃料として供給する燃料供給手段;前記蒸発ガスを前記エンジンで要求する圧力で圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮された蒸発ガスのうち、前記エンジンに供給されていない残りの蒸発ガスを冷却する熱交換器;前記熱交換器に供給される冷媒が循環する冷媒循環ライン;前記冷媒循環ラインに設けられ、前記熱交換器で熱交換された後で排出される冷媒を圧縮する冷媒圧縮部;及び前記エンジンの燃料として供給する液化ガスの冷熱を回収し、前記冷媒圧縮部によって圧縮された冷媒を冷却する冷熱回収装置;を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵する液化ガス貯蔵タンク;
前記液化ガス貯蔵タンクに貯蔵された液化ガス又は前記液化ガスの自然気化によって発生した蒸発ガスを燃料として使用するエンジン;
前記液化ガスを前記エンジンの燃料として供給する燃料供給手段;
前記蒸発ガスを前記エンジンで要求する圧力で圧縮する圧縮機;
前記圧縮機で圧縮された蒸発ガスのうち、前記エンジンに供給されていない残りの蒸発ガスを冷却する熱交換器;
前記熱交換器に供給される冷媒が循環する冷媒循環ライン;
前記冷媒循環ラインに設けられ、前記熱交換器で熱交換された後で排出される冷媒を圧縮する冷媒圧縮部;及び
前記エンジンの燃料として供給する液化ガスの冷熱を回収し、前記冷媒圧縮部によって圧縮された冷媒を冷却する冷熱回収装置;を含む、省電力型液化ガス燃料船舶。
【請求項2】
前記燃料供給手段は、
前記液化ガスを前記エンジンで要求する圧力で圧縮する高圧ポンプ;及び
前記高圧ポンプによって圧縮された液化ガスを気化する高圧気化器;を含み、
前記冷熱回収装置は、前記高圧ポンプと高圧気化器との間に備えられる、請求項1に記載の省電力型液化ガス燃料船舶。
【請求項3】
前記冷媒循環ラインに設けられ、前記熱交換器に供給される前記冷媒が膨張・冷却される冷媒膨張装置;
前記冷媒循環ラインに設けられ、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒が前記熱交換器を経て冷却された後、前記冷媒膨張装置に導入されるように流路を制御するための第1バルブ;及び
前記冷媒循環ラインに設けられ、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒が前記冷熱回収装置を経て冷却された後、前記冷媒膨張装置に導入されるように流路を制御するための第2バルブ;をさらに含む、請求項1に記載の省電力型液化ガス燃料船舶。
【請求項4】
前記冷熱回収装置に供給される液化ガスの温度を測定する第1温度感知部;
前記冷熱回収装置から排出される液化ガスの温度を測定する第2温度感知部;及び
前記第1温度感知部と第2温度感知部の温度測定値を用いて前記第2バルブの開閉及び開度量を制御する制御部;をさらに含む、請求項3に記載の省電力型液化ガス燃料船舶。
【請求項5】
前記冷熱回収装置に供給される冷媒の温度を測定する第3温度感知部;
前記冷熱回収装置から排出される冷媒の温度を測定する第4温度感知部;及び
前記第3温度感知部と第4温度感知部の温度測定値を用いて前記第2バルブの開閉及び開度量を制御する制御部;をさらに含む、請求項3又は4に記載の省電力型液化ガス燃料船舶。
【請求項6】
前記熱交換器では、
前記圧縮機で圧縮された圧縮ガスと、前記冷媒膨張装置で膨張・冷却された冷媒と、前記貯蔵タンクから前記圧縮機に導入される未圧縮蒸発ガスと、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒と、を含む、4つの流れが熱交換される、請求項3に記載の省電力型液化ガス燃料船舶。
【請求項7】
前記冷媒圧縮部に供給される冷媒の温度を測定し、前記冷媒循環ラインを循環する冷媒の全体の流量を調節する制御部;をさらに含む、請求項3に記載の省電力型液化ガス燃料船舶。
【請求項8】
液化ガス貯蔵タンクに貯蔵された液化ガス又は前記液化ガスの自然気化によって発生した蒸発ガスをエンジンの燃料として使用する液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法において、
前記蒸発ガスを前記エンジンで要求する圧力で圧縮して供給し、前記エンジンに供給されていない残りの蒸発ガスは再液化してから前記液化ガス貯蔵タンクに回収し、
前記圧縮蒸発ガスを再液化するために、熱交換器では、前記圧縮蒸発ガスと、前記液化ガス貯蔵タンクから排出された圧縮前の未圧縮蒸発ガスと、冷媒循環ラインを循環する冷媒とを熱交換し、
前記圧縮蒸発ガスを冷却しながら加熱された冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒のうち一部又は全部は、前記液化ガス貯蔵タンクからエンジンに供給する液化ガスと熱交換して冷却する、液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法。
【請求項9】
前記圧縮された冷媒のうち前記液化ガスと熱交換する冷媒を除いた残りの冷媒は、前記熱交換器に供給して冷却する、請求項8に記載の液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法。
【請求項10】
前記液化ガスと熱交換する冷媒の流量は、
前記冷媒と熱交換する液化ガスの温度測定値、及び前記冷媒と熱交換された後で排出される液化ガスの温度測定値によって制御する、請求項9に記載の液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法。
【請求項11】
前記液化ガスと熱交換する冷媒の流量は、
前記液化ガスと熱交換する冷媒の温度測定値、及び前記液化ガスと熱交換された後で排出される冷媒の温度測定値によって制御する、請求項9又は10に記載の液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスを燃料として使用する船舶において、液化ガスの自然気化によって発生した蒸発ガスを処理する際に、再液化システムの消費電力を節減できる省電力型液化ガス燃料船舶及びそのような液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋大気汚染を防止するための国際的な関心が高まるにつれて、環境にやさしい船舶(Green-ship)として、液化天然ガス(LNG;Liquefied Natural Gas)を燃料として使用する船舶(LFS;Liquefied Gas Fueled Ship)の需要が増加している。LFSは、各国の船級から公式認証(AIP;Approval In Principle)の承認を受け、環境規制による清浄エネルギーへの転換要求を充足させている。LFSは、LNG貯蔵タンクが備えられ、LNG貨物を運搬するLNG運搬船のみならず、コンテナ船、タンカーなどを始めとした一般商船への適用が拡大している。
【0003】
天然ガスは、硫黄の含有量が少なく、燃焼時に硫黄化合物及び煤物質を生成しないので比較的環境にやさしい。船舶に使用されるエンジンのうち、天然ガスを燃料として使用できる二重燃料エンジン(Dual Fuel Engine)としては、代表的なものとして、ME-GI(MAN Electronic Gas Injection)エンジン、X-DF(eXtra long stroke Dual Fuel)エンジン、DFエンジン(DFDE(Dual Fuel Diesel Electric)、DFDG(Dual Fuel Diesel Generator))などがある。
【0004】
ME-GIエンジンは、2-行程(2-stroke)サイクルエンジンであって、主に推進用に使用される。また、ME-GIエンジンは、約300bar程度の高圧天然ガスをピストンの上死点付近で燃焼室に直接噴射するディーゼルサイクル(diesel cycle)を基準にして作動する。
【0005】
一方、X-DFエンジンは、2-行程サイクルエンジンであって、主に推進用に使用され、ME-GIエンジンと同様に、船舶の推進のためにプロペラを直接駆動する方式である。また、X-DFエンジンは、約16bar程度の重圧天然ガスを燃料として使用し、オットーサイクル(otto cycle)を基準にして作動する。
【0006】
DFエンジンは、4-行程サイクルエンジンであって、主に発電用に使用される。また、DFエンジンは、約6.5bar程度の低圧天然ガスを燃焼用空気入口に注入し、ピストンの上昇と共に圧縮するオットーサイクルを基準にして作動する。
【0007】
一方、天然ガスは、メタン(methane)を主成分とし、燃焼時に環境汚染物質の排出がほとんどないので、環境にやさしい燃料として注目されている。LNGは、天然ガスを常圧下で約-163℃に冷却して液化することによって得られるものであって、ガス状態であるときに比べて体積が約1/600に減少するので、海上を通じた遠距離運搬に非常に適している。よって、天然ガスは、主に貯蔵及び移送が容易な液化天然ガス状態で貯蔵及び移送される。
【0008】
天然ガスの液化点は、常圧で約-163℃の極低温であるので、LNG貯蔵タンクは、LNGが液体状態を維持するように断熱処理されることが一般的である。しかし、LNG貯蔵タンクは、断熱処理が施されてはいるが、外部の熱を遮断するのに限界を有し、外部の熱がLNG貯蔵タンクに持続的に伝達されるので、LNG輸送過程でLNGがLNG貯蔵タンク内で持続的に自然気化することによって蒸発ガス(BOG;Boil-Off Gas)が発生する。
【0009】
LNG貯蔵タンクで蒸発ガスが持続的に生成されることは、LNG貯蔵タンクの耐圧を上昇させる要因になる。貯蔵タンクの耐圧が設定された安全圧力以上になると、タンクの破損などの緊急状況を招く可能性があるので、安全バルブを用いて蒸発ガスを貯蔵タンクの外部に排出しなければならない。しかし、蒸発ガスは、一種のLNG損失であって、LNGの輸送効率及び燃料効率において重要な問題であるので、貯蔵タンクで発生する蒸発ガスを処理するための多様な方法が使用されている。
【0010】
近年、蒸発ガスを船舶のエンジンなどの燃料需要先で使用する方法、蒸発ガスを再液化してから貯蔵タンクに回収する方法、又はこれらの二つの方法を複合的に使用する方法などが開発されて適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
蒸発ガスを再液化するための方法としては、別途の冷媒を用いた冷凍サイクルを備えることによって蒸発ガスを冷媒と熱交換して再液化する方法、別途の冷媒なしに蒸発ガス自体を冷媒として再液化する方法などがある。
【0012】
本出願人は、別途の冷媒なしに蒸発ガス自体を冷媒として使用して蒸発ガスを再液化する方法として、圧縮機によって圧縮した蒸発ガスを、圧縮機によって圧縮される前の蒸発ガスと熱交換して冷却した後、J-Tバルブなどによって膨張させることによって蒸発ガスの一部を再液化する方法を発明したことがあり、このようなシステムをPRS(Partial Re-liquefaction System)と言う。
【0013】
別途の冷媒なしに蒸発ガス自体を冷媒として使用して蒸発ガスを再液化する方法として、圧縮した蒸発ガスを未圧縮蒸発ガスと熱交換して冷却し、断熱・膨張させて再液化するPRSの改良技術も開発され、これが船舶に適用されている。
【0014】
貯蔵タンク内部の液化ガスの量が多く、蒸発ガスの発生量が多い場合や、船舶が停泊しまたは低速度で運航し、エンジンで使用される蒸発ガスが少ない場合などのように、再液化しなければならない蒸発ガスの量が多い場合は、PRSのみで要求される再液化量を満足できないことがあり、本出願人は、蒸発ガスをさらに多く再液化できるようにPRSを改良した技術を発明した。
【0015】
PRSの改良技術として、蒸発ガス自体を冷媒として使用した冷媒サイクルによって蒸発ガスをさらに冷却できるようにしたシステムをMRS(Methane Refrigeration System)と言う。
【0016】
別途の冷凍サイクルを用いるシステムの例としては、代表的に、SMRサイクルとC3MRサイクルを用いた工程、及び単一冷媒を用いた工程を挙げることができる。
【0017】
C3MRサイクル(Propane-precooled Mixed Refrigerant Cycle)を用いる工程は、天然ガスをプロパン単一冷媒を用いて冷却した後、混合冷媒を用いて液化及び過冷却する工程であり、SMRサイクル(Single Mixed Refrigerant Cycle)を用いる工程は、複数の成分からなる混合冷媒を用いて天然ガスを液化する工程で、単一冷媒を用いる工程は、窒素冷媒システム(NRS;Nitrogen Refrigerant System)を用いて天然ガスを液化する工程である。
【0018】
SMRサイクルとC3MRサイクルは、いずれも混合冷媒を用いる工程であるが、液化工程の進行と共に冷媒の漏れが発生し、混合冷媒の組成比が変化すると、液化効率が低下するので、混合冷媒の組成比を持続的に計測しながら不足した冷媒成分を充填し、冷媒の組成を維持しなければならない。
【0019】
一方、窒素冷媒は、混合冷媒を用いたサイクルに比べて相対的に効率が低いが、冷媒が不活性であるので安全性が高く、冷媒の相変化がないので船舶に適用しやすいという長所を有する。
【0020】
窒素冷媒を用いた冷凍サイクルが適用された再液化システムは、熱交換器で熱交換された後で排出された窒素冷媒が、コンパンダーを経て圧縮された後で冷却され、再び膨張・冷却された後で熱交換器に循環される窒素冷媒サイクルを有する。
【0021】
本発明は、窒素冷媒システムを用いて蒸発ガスを処理する際に、効果的な熱交換を通じて電力消費を節減できる省電力型液化ガス燃料船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した目的を達成するための本発明の一態様によると、液化ガスを貯蔵する液化ガス貯蔵タンク;前記液化ガス貯蔵タンクに貯蔵された液化ガス又は前記液化ガスの自然気化によって発生した蒸発ガスを燃料として使用するエンジン;前記液化ガスを前記エンジンの燃料として供給する燃料供給手段;前記蒸発ガスを前記エンジンで要求する圧力で圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮された蒸発ガスのうち、前記エンジンに供給されていない残りの蒸発ガスを冷却する熱交換器;前記熱交換器に供給される冷媒が循環する冷媒循環ライン;前記冷媒循環ラインに設けられ、前記熱交換器で熱交換された後で排出される冷媒を圧縮する冷媒圧縮部;及び前記エンジンの燃料として供給する液化ガスの冷熱を回収し、前記冷媒圧縮部によって圧縮された冷媒を冷却する冷熱回収装置;を含む、省電力型液化ガス燃料船舶が提供される。
【0023】
好ましくは、前記燃料供給手段は、前記液化ガスを前記エンジンで要求する圧力で圧縮する高圧ポンプ;及び前記高圧ポンプによって圧縮された液化ガスを気化する高圧気化器;を含み、前記冷熱回収装置は、前記高圧ポンプと高圧気化器との間に備えられてもよい。
【0024】
好ましくは、前記冷媒循環ラインに設けられ、前記熱交換器に供給される冷媒が膨張・冷却される冷媒膨張装置;前記冷媒循環ラインに設けられ、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒が、前記熱交換器を経て冷却された後で前記冷媒膨張装置に導入されるように流路を制御するための第1バルブ;及び前記冷媒循環ラインに設けられ、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒が、前記冷熱回収装置を経て冷却された後で前記冷媒膨張装置に導入されるように流路を制御するための第2バルブ;をさらに含むことができる。
【0025】
好ましくは、前記冷熱回収装置に供給される液化ガスの温度を測定する第1温度感知部;前記冷熱回収装置から排出される液化ガスの温度を測定する第2温度感知部;及び前記第1温度感知部と第2温度感知部の温度測定値を用いて前記第2バルブの開閉及び開度量を制御する制御部;をさらに含むことができる。
【0026】
好ましくは、前記冷熱回収装置に供給される冷媒の温度を測定する第3温度感知部;前記冷熱回収装置から排出される冷媒の温度を測定する第4温度感知部;及び前記第3温度感知部と第4温度感知部の温度測定値を用いて前記第2バルブの開閉及び開度量を制御する制御部;をさらに含むことができる。
【0027】
好ましくは、前記熱交換器では、前記圧縮機で圧縮された圧縮ガスと、前記冷媒膨張装置で膨張・冷却された冷媒と、前記貯蔵タンクから前記圧縮機に導入される未圧縮蒸発ガスと、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒とを含む、4つの流れが熱交換され得る。
【0028】
好ましくは、前記冷媒圧縮部に供給される冷媒の温度を測定し、前記冷媒循環ラインを循環する冷媒の全体の流量を調節する制御部;をさらに含むことができる。
【0029】
上述した目的を達成するための本発明の他の一態様によると、液化ガス貯蔵タンクに貯蔵された液化ガス又は前記液化ガスの自然気化によって発生した蒸発ガスをエンジンの燃料として使用する液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法において、前記蒸発ガスを前記エンジンで要求する圧力で圧縮して供給し、前記エンジンに供給されていない残りの蒸発ガスは、再液化してから前記液化ガス貯蔵タンクに回収し、前記圧縮蒸発ガスを再液化するために、熱交換器では、前記圧縮蒸発ガスと、前記液化ガス貯蔵タンクから排出された圧縮前の未圧縮蒸発ガスと、冷媒循環ラインを循環する冷媒を熱交換し、前記圧縮蒸発ガスを冷却しながら加熱された冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒のうち一部又は全部は、前記液化ガス貯蔵タンクからエンジンに供給する液化ガスと熱交換して冷却する、液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法が提供される。
【0030】
好ましくは、前記圧縮された冷媒のうち前記液化ガスと熱交換する冷媒を除いた残りの冷媒は、前記熱交換器に供給して冷却することができる。
【0031】
好ましくは、前記液化ガスと熱交換する冷媒の流量は、前記冷媒と熱交換する液化ガスの温度測定値、及び前記冷媒と熱交換された後で排出される液化ガスの温度測定値によって制御することができる。
【0032】
好ましくは、前記液化ガスと熱交換する冷媒の流量は、前記液化ガスと熱交換する冷媒の温度測定値、及び前記液化ガスと熱交換された後で排出される冷媒の温度測定値によって制御することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る省電力型液化ガス燃料船舶及び該液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理方法は、蒸発ガス自体の冷熱及び冷媒サイクルの冷熱を用いて、再液化される蒸発ガスを効果的に冷却し、再液化率を高めることができ、冷媒サイクルで冷媒の膨張エネルギーを用いて冷媒を圧縮することによって、冷媒サイクルで冷媒の圧縮に必要な電力を減少させることができ、船舶のエネルギー効率を高めることができる。
【0034】
また、液化ガス燃料の未活用冷熱エネルギーを回収し、蒸発ガスを液化するので、蒸発ガスを液化するための窒素冷媒の流量を減少させることができ、冷媒の圧縮及び膨張のための各装置の容量を減少させ、消費電力を減少させることができ、設置及び運営費用を節減し、その結果、再液化効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】窒素冷媒サイクルを適用した液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理システムを簡略に示した構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る省電力型液化ガス燃料船舶の蒸発ガス処理システムを簡略に示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の好ましい実施形態を例示する添付の図面及び添付の図面に記載された内容を参照しなければならない。
【0037】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に対する構成及び作用を詳細に説明する。ここで、各図面の各構成要素に対して参照符号を付するにおいて、同一の構成要素に限っては、他の図面上に表示されたとしても、可能な限り同一の符号で表記されたことに留意しなければならない。
【0038】
以下、本発明での船舶は、液化ガス及び液化ガスで発生する蒸発ガスを推進用又は発電用エンジンの燃料として使用できるエンジンが設置されたり、液化ガス又は蒸発ガスを船内機関の燃料として使用する全ての種類の液化ガス燃料船舶(LFS)であって、代表的なものとして、LNG運搬船(LNG Carrier)、液体水素運搬船、LNG RV(Regasification Vessel)などの自体推進能力を備えた船舶を始めとして、LNG FPSO(Floating Production Storage Offloading)、LNG FSRU(Floating Storage Regasification Unit)のように、推進能力は備えていないが、海上に浮遊している海上構造物も含み得る。
【0039】
また、本発明において、液化ガスは、ガスを低温で液化して輸送することができ、貯蔵された状態で蒸発ガスが発生し、エンジンなどの燃料として使用され得る全ての種類の液化ガスを含むことができる。このような液化ガスは、例えば、LNG(Liquefied Natural Gas)、LEG(Liquefied Ethane Gas)、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、液化エチレンガス(Liquefied Ethylene Gas)、液化プロピレンガス(Liquefied Propylene Gas)などの液化石油化学ガスであってもよい。ただし、後述する実施形態では、代表的な液化ガスのうちの一つであるLNGが適用されることを例として挙げて説明する。
【0040】
一方、本実施形態の各ラインに流れる流体は、システムの運用条件によって、液体状態、気液混合状態、気体状態、及び超臨界流体状態のうちいずれか一つの状態であってもよい。
【0041】
また、後述する本発明の一実施形態において、エンジンは、船舶に使用されるエンジンのうち二重燃料エンジンとして、天然ガスを燃料として使用できるガス燃料エンジンであってもよく、高圧ガス噴射エンジン、重圧ガス噴射エンジン及び低圧ガス噴射エンジンのうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0042】
高圧ガス噴射エンジンは、約100bar乃至400bar、又は約150bar以上、好ましくは約300barのガス燃料を使用するエンジン、例えば、ME-GIエンジンであることを例として挙げて説明する。また、重圧ガス噴射エンジンは、約10bar乃至20bar、好ましくは約16barのガス燃料を使用するエンジン、例えば、X-DFエンジンであってもよく、低圧ガス噴射エンジンは、約5bar乃至10bar、好ましくは約6.5barのガス燃料を使用するエンジン、例えば、DFエンジン、DFDGエンジン、又はDFGEエンジンなどであってもよい。
【0043】
後述する本発明の一実施形態では、メインエンジンである推進用エンジンとしてはME-GIエンジンが適用され、補助エンジンである発電用エンジンとしてはDFDEが適用されることを例として挙げて説明する。
【0044】
まず、
図1を参照すると、液化ガス燃料船舶には、液化ガスを貯蔵する貯蔵タンクTと、貯蔵タンクTで液化ガス燃料が自然気化して発生した蒸発ガスを圧縮する圧縮機100と、圧縮機100で圧縮された蒸発ガスの全部又は一部を、貯蔵タンクTから圧縮機100に導入される未圧縮蒸発ガス及び冷媒との熱交換によって冷却する熱交換器200とを含む。
【0045】
また、貯蔵タンクTから圧縮機100に連結される蒸発ガス供給ラインGLと、圧縮機100の後端から熱交換器200に連結され、熱交換器200から貯蔵タンクTに連結される再液化ラインRLとがそれぞれ設けられる。
【0046】
また、熱交換器200に供給される冷媒が循環する冷媒循環ラインCLがさらに設けられ、冷媒循環ラインCLには、熱交換器200に供給される冷媒が膨張・冷却される冷媒膨張装置510と、熱交換器200で熱交換された後で排出される冷媒を圧縮する冷媒圧縮部500とが設けられる。
【0047】
冷媒圧縮部500は、コンパンダー(compander)であってもよく、冷媒膨張装置510と軸で連結し、冷媒の膨張エネルギーを受けることによってコンパンダーを駆動させることができる。又は、冷媒圧縮部500をモーターで駆動させ、モーターを冷媒膨張装置510に連結し、冷媒の膨張エネルギーを受けることによってモーターが駆動しながら冷媒を圧縮するように構成することもできる。
【0048】
冷媒圧縮部500で圧縮された冷媒は、熱交換器200に導入されて冷却された後、冷媒循環ラインCLに沿って冷媒膨張装置510に供給されて膨張・冷却され、再び熱交換器200に冷媒として供給される。
【0049】
本実施形態における熱交換器200では、圧縮された蒸発ガスの全部又は一部、圧縮機100に導入される未圧縮蒸発ガス、冷媒膨張装置510で膨張・冷却された冷媒、及び冷媒圧縮部500で圧縮された冷媒を含む、4つの流れが熱交換される。
【0050】
すなわち、冷媒を圧縮し、冷媒自体の冷熱で冷却した後で膨張させ、熱交換器200に供給して循環させる冷媒サイクルに、圧縮された蒸発ガスが圧縮機100に導入される未圧縮蒸発ガスで冷却される本出願人のPRSシステムを結合し、熱交換器で4つの流れが熱交換されるように構成した。
【0051】
冷媒循環ラインCLを循環し、熱交換器200に供給される冷媒としては、例えば、窒素(N2)が用いられてもよい。
【0052】
圧縮された冷媒を熱交換器200に供給し、冷媒自体の冷熱で冷却した後で膨張させ、熱交換器200に供給して循環させる冷媒サイクルを構成し、蒸発ガスを熱交換によって冷却する場合、蒸発ガスを液化温度まで冷却するためには、主成分がメタンである蒸発ガスと窒素の熱容量の差によって多量の窒素冷媒が必要であり、窒素冷媒自体の冷却に冷媒サイクルのほとんどの冷熱を使用しなければならない結果をもたらし、冷媒を圧縮する装置と冷媒を膨張させる装置などの容量の増加、それによる消費電力の増加をもたらすという問題がある。
【0053】
このような問題を解決するために、本実施形態では、貯蔵タンクTから発生した極低温の未圧縮蒸発ガスも、熱交換器200を経て圧縮機100に導入されるように構成し、冷媒サイクルで必要な冷媒の流量を減少させるようにした。
【0054】
それによって、冷媒の圧縮及び膨張のための各装置の容量を減少させ、消費電力を減少させ、設置及び運営費用を節減できるようにする。
【0055】
このように熱交換器で4つの流れが熱交換されるように構成すると、冷媒自体の冷熱で冷媒を冷却するように冷媒サイクルを構成するときに比べて約25%の消費電力減少の効果がある。
【0056】
また、蒸発ガスを処理するために、熱交換器200で冷却された圧縮蒸発ガスを減圧する減圧装置300と、減圧装置300で減圧された蒸発ガスを気液分離し、再液化された液状の再液化蒸発ガスのみを貯蔵タンクTに送る気液分離器400とをさらに含むことができる。
【0057】
ここで、減圧装置300は、圧縮及び冷却された蒸発ガスを減圧する膨張機(expander)又はジュール-トムソンバルブなどの膨張バルブで構成されてもよい。減圧を通じて、蒸発ガスは、断熱膨張又は等エントロピー膨張によって冷却される。
【0058】
また、減圧装置300で減圧され、追加的に冷却された蒸発ガスは気液分離器400に導入され、気液分離器400で分離された液体は、再液化ラインRLに沿って貯蔵タンクTに供給されて再貯蔵される。
【0059】
ただし、気液分離器400を経たとしても、気体であるフラッシュガスと液体である液化ガスとが100%相分離されないことがあるので、分離された液体又は液化ガスには未分離のフラッシュガスが含まれ得る。
【0060】
気液分離器400で分離されたフラッシュガスは、気液分離器400の上端から熱交換器200の前端の蒸発ガス供給ラインGLに連結される未凝縮ガスラインNLを介して熱交換器200の前端の未圧縮蒸発ガスの流れに合流し、熱交換器200の冷媒に導入され得る。
【0061】
一方、船舶が液化ガス燃料船舶である場合、船速が発生すると、貯蔵タンクTに貯蔵された液化ガスをエンジンEの燃料として使用できるが、このとき、貯蔵タンクTは、燃料として液化ガスを貯蔵する燃料タンクであってもよい。
【0062】
貯蔵タンクTに貯蔵された液化ガス燃料をエンジンEに供給するための手段として、貯蔵タンクTに貯蔵された液化ガス燃料を貯蔵タンクTから排出する低圧ポンプ(図示せず)と、低圧ポンプによって貯蔵タンクTから排出された液化ガス燃料がエンジンEで要求する圧力で供給できるように加圧する高圧ポンプ600と、高圧ポンプ600によって圧縮された液化ガス燃料をエンジンEで要求する状態で気化する高圧気化器700とが備えられる。
【0063】
ここで、エンジンEは、船舶の推進のために使用される推進用エンジンである第1エンジンE1と、船内電力需要先に供給する電力を生産するために使用される発電機である第2エンジンE2とを含む。本実施形態において、推進用エンジンE1は、ME-GIエンジンであることを例として挙げて説明する。
【0064】
また、本実施形態において、高圧ポンプ600は、エンジンEに供給される液化ガスが第1エンジンE1で要求する圧力条件を充足できるように、貯蔵タンクTから移送された液化ガスを圧縮することができる。
【0065】
高圧気化器700によって気化されたガス燃料は、第1燃料供給ラインFL1を介して第1エンジンE1に供給されてもよく、高圧気化器700と第1エンジンE1との間の第1燃料供給ラインFL1から分岐され、第2エンジンE2に連結される第2燃料供給ラインFL2を介して第2エンジンE2に供給されてもよい。
【0066】
第2燃料供給ラインFL2には、第2エンジンE2に供給されるガス燃料の温度を第2エンジンE2で要求する温度条件に調節するための燃料ヒーター800が備えられる。
【0067】
また、圧縮機100で圧縮された蒸発ガスのうち一部又は全部は、圧縮機100とエンジンEとを連結する第3燃料供給ラインFL3を介してエンジンEの燃料としても供給され得る。
【0068】
本実施形態において、第3燃料供給ラインFL3が、圧縮機100の下流から第2エンジンE2に連結されるように備えられ、圧縮機100で圧縮された圧縮蒸発ガスが第2エンジンE2の燃料として供給されることを例として挙げて説明する。
【0069】
すなわち、本実施形態において、圧縮機100は、蒸発ガスを第2エンジンE2で要求する圧力まで圧縮することができる。
【0070】
しかし、これに限定されるものではなく、圧縮機100では、例えば、船舶の主エンジンの燃料供給圧力で圧縮することができる。DFエンジンが設けられた場合は5.5barg、X-DFエンジンが設けられた場合は15barg、ME-GIエンジンが設けられた場合は300bargで圧縮することができる。圧縮された蒸発ガスは、船舶の主エンジン(図示せず)の燃料としても供給され得る。また、燃料に供給されていない蒸発ガスを再液化することができる。
【0071】
船舶規定上、エンジンに燃料を供給する圧縮機は、非常状況に備えてリダンダンシー(Redundancy)設計をしなければならないが、リダンダンシー設計とは、いずれか一台が故障、維持補修などの理由で使用できないとき、その代わりに他の一台を使用できるように設計することを意味する。図面には、一台の圧縮機を示したが、圧縮機は、主圧縮機及びリダンダンシー圧縮機を含んで構成されたものであってもよい。
【0072】
圧縮機100で圧縮された蒸発ガスのうち、エンジンEの燃料として供給されていない残りの圧縮蒸発ガスが再液化ラインRLを介して熱交換器200に流入する。
【0073】
圧縮機100で圧縮された蒸発ガスのうち再液化ラインRLに流入した圧縮蒸発ガスは、熱交換器200で冷却される。圧縮されて再液化される蒸発ガス及び冷媒圧縮部で圧縮された冷媒は、熱交換器の高温流れ(hot stream)になり、未圧縮蒸発ガス及び冷媒膨張装置で膨張・冷却された冷媒は、低温流れ(cold stream)になる。熱交換器200では、4つの流れが熱交換され、高温流れが低温流れとの熱交換で冷却される。
【0074】
ME-GIエンジンなどの高圧のエンジンが推進用エンジンとして搭載された液化ガス燃料船舶には、費用節減を目的として、液化ガス燃料供給手段として高圧の圧縮機を適用する代わりに、液化ガスを高圧ポンプ600を用いてME-GIエンジンが要求する高圧で圧縮して供給する。
【0075】
これは、液化ガスを気化した後、気体状態のガスを高圧で圧縮するための高圧圧縮機を設置及び運営するときの費用に比べて、液体状態で液化ガスを高圧で圧縮する高圧ポンプを備えて液化ガスを圧縮した後、高圧の液体を気化させるのがより経済的であるためである。
【0076】
ところが、このような方式によると、船速が発生し、貯蔵タンクTから第1エンジンE1に液化ガス燃料が供給されるとき、第1燃料供給ラインFL1を介して貯蔵タンクTから高圧気化器700に移送される液化ガスの冷熱が全く回収されずに捨てられるという問題がある。
【0077】
一方、熱交換器200で蒸発ガスを液化するための冷媒として使用される気体状態の窒素冷媒は、冷媒圧縮部500で圧縮されながら圧縮工程によって温度が上昇するが、
図1に示した方式によると、圧縮された窒素冷媒を冷媒膨張装置510で膨張させることによって温度を低下させる膨張工程の前に、熱交換器200で冷却される過程を経るように構成される。
【0078】
本実施形態は、
図1に示した蒸発ガス処理システムに比べて消費電力を節減できるように改善されたものである。
【0079】
図2を参照すると、高圧ポンプ600と高圧気化器700との間の第1燃料供給ラインFL1に、高圧ポンプ600から高圧気化器700に移送される圧縮液化ガスの冷熱を回収するための冷熱回収装置900と、冷媒圧縮部500の後端から熱交換器200に連結される冷媒循環ラインCLから分岐され、冷媒圧縮部500で圧縮された窒素冷媒のうち一部又は全部が冷熱回収装置900に供給されるようにする冷媒冷却ラインCL1とをさらに含む。
【0080】
冷熱回収装置900では、第1燃料供給ラインFL1に沿って流動し、高圧ポンプ600によって圧縮された高圧の液状又は超臨界状態の液化ガスと、冷媒冷却ラインCL1に沿って流動し、冷媒圧縮部500で圧縮された気体状態の窒素冷媒との熱交換により、液化ガスが加熱され、窒素冷媒が冷却される。
【0081】
冷熱回収装置900で熱交換によって加熱された液化ガスは、高圧気化器700に供給され、冷熱回収装置900で熱交換によって冷却された窒素冷媒は冷媒膨張装置510に供給される。
【0082】
このように窒素冷媒の全部又は一部を、熱交換器200で圧縮蒸発ガスを液化するための冷媒として供給する前に冷熱回収装置900に送り、高圧ポンプ600の後端の液化ガス燃料の冷熱を回収して冷却することによって、蒸発ガスを液化するのに必要な窒素冷媒の流量を、冷熱回収装置900を備えることによって液化ガス燃料の冷熱を回収する工程を含まない場合に比べて減少させることができ、結果的に冷媒圧縮部500の電力消耗を節減することができる。
【0083】
また、冷媒圧縮部500で圧縮された窒素冷媒のうち、冷熱回収装置900で冷却した後で冷媒膨張装置510に供給する流量、すなわち、冷媒冷却ラインCL1に分岐する流量と、熱交換器200で冷却した後で冷媒膨張装置510に供給する流量、すなわち、冷媒循環ラインCLに分岐する流量とを制御するための冷媒流量調節手段をさらに含むことができる。
【0084】
冷媒流量調節手段として、冷媒冷却ラインCL1が分岐された地点の下流において、冷媒圧縮部500と熱交換器200との間の冷媒循環ラインCLに備えられる第1バルブCV1と、冷媒圧縮部500と冷熱回収装置900との間の冷媒冷却ラインCL1に備えられる第2バルブCV2と、第1バルブCV1及び第2バルブCV2の開閉と開度量を制御する制御機1000とを含む。
【0085】
また、高圧ポンプ600と冷熱回収装置900との間の第1燃料供給ラインFL1に備えられ、冷熱回収装置900に供給される低温圧縮液化ガスの温度を測定する第1温度感知部TT1と、冷熱回収装置900と高圧気化器700との間の第1燃料供給ラインFL1に備えられ、冷熱回収装置900で冷熱が回収された後、高圧気化器700側に向かう高温圧縮液化ガスの温度を測定する第2温度感知部TT2と、冷媒圧縮部500と冷熱回収装置900との間の冷媒冷却ラインCL1に備えられ、冷熱回収装置900に供給される高温窒素冷媒の温度を測定する第3温度感知部TT3と、冷熱回収装置900と冷媒膨張装置510との間に備えられ、冷熱回収装置900で冷却された後、冷媒膨張装置510に向かう低温窒素冷媒の温度を測定する第4温度感知部TT4とをさらに含むことができる。
【0086】
第1温度感知部TT1、第2温度感知部TT2、第3温度感知部TT3及び第4温度感知部TT4で測定された温度測定値は制御機1000に伝送され、制御機1000は、温度測定値を受け取り、測定値による出力値、すなわち、バルブの開閉及び開度率指示値を第1バルブCV1及び第2バルブCV2に伝送し、第1バルブCV1及び第2バルブCV2を制御する。
【0087】
すなわち、冷熱回収装置900の前端及び後端での液化ガス燃料の温度測定値及び/又は冷熱回収装置900の前端及び後端での冷媒の温度測定値によって、冷媒圧縮部500で圧縮された窒素冷媒のうち冷熱回収装置900に分岐させる窒素冷媒の流量を制御する。
【0088】
一方、熱交換器200で蒸発ガスを液化するために冷媒循環ラインCLを循環する窒素冷媒の流量は、冷媒圧縮部500の上流で窒素冷媒の温度を測定し、その測定値によって調節することができる。
【0089】
これは、第2温度感知部TT2、第3温度感知部TT3及び第4温度感知部TT4の温度測定値を用いて導出することができる。
【0090】
このように第2バルブCV2を徐々に開放しながら、冷熱回収装置900に流入する冷媒の流量を増加させると同時に、冷媒サイクル、すなわち、冷媒循環ラインCLを循環する全体の冷媒流量は徐々に減少させ、冷媒膨張装置510の負荷(power)を減少させる。
【0091】
例えば、減圧装置300の上流の温度測定値によって、冷媒サイクルを循環する冷媒の流量のうち一部を別途の冷媒タンク(図示せず)に臨時的に貯蔵する。
【0092】
一方、LNG燃料の供給量が減少すると、すなわち、冷熱回収装置900に流入するLNGの流量が減少すると、それによって第4温度感知部TT4の温度測定値が上昇し、その結果、このときは、第2バルブCV2を徐々に閉鎖し、第1バルブCV1は徐々に開放する方向に制御する。
【0093】
その反対に、LNG燃料の供給量が増加すると、すなわち、冷熱回収装置900に流入するLNGの流量が増加すると、第2温度感知部TT2の温度測定値が減少し、その結果、このときは、第2バルブCV2は徐々に開放し、第1バルブCV1は徐々に閉鎖する方向に制御する。
【0094】
同様に、このときにも、第1温度感知部TT1、第2温度感知部TT2、第3温度感知部TT3及び第4温度感知部TT4の温度測定値を用いて冷熱回収装置900の熱交換性能を確認し、回収可能な全ての冷熱が回収されるようにダブルチェックすることができる。
【0095】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内で多様に修正又は変形して実施可能であることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。
【国際調査報告】