(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】化合物
(51)【国際特許分類】
C07K 5/08 20060101AFI20240415BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240415BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240415BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240415BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240415BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240415BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240415BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240415BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20240415BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240415BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240415BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20240415BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
C07K5/08
A61P25/00
A61P29/00
A61P35/00
A61P3/10
A61P27/02
A61P27/06
A61P9/00
A61P27/16
A61P25/28
A61P25/16
A61P15/00
A61P11/00
A61P13/08
A61P5/14
A61P1/18
A61P1/00
A61K38/06
A61K38/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570456
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022063049
(87)【国際公開番号】W WO2022238565
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369739
【氏名又は名称】インスセンセ アーペーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リトル,ポウル ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カセス-トーマス,マヌエル ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】キョルビー,マス フールサング
(72)【発明者】
【氏名】ニュケーア,アナス
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA15
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA32
4C084CA59
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA08
4C084ZA15
4C084ZA21
4C084ZA33
4C084ZA34
4C084ZA36
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA81
4C084ZB11
4C084ZB26
4C084ZC06
4C084ZC35
4H045AA10
4H045BA12
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、ソルチリン活性のモジュレーターである式(I)の化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物およびソルチリン活性の調節が効果的である医学的状態の治療または予防におけるこれらの化合物の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、光学的異性体、Nオキシド、および/もしくはプロドラッグであって;
式(I)中、
R
1、R
2およびR
3は、ハロ、H、(C
1~C
4)アルキル、ハロ(C
1~C
4)アルキル、(C
2~C
4)アルケニル、およびハロ(C
2~C
4)アルケニルからなる群から各々独立して選択され;
R
4は、H、(C
1~C
10)アルキル、ハロ(C
1~C
10)アルキル、(C
2~C
10)アルケニル、ハロ(C
2~C
10)アルケニル、(C
3~C
8)アリール、ハロ(C
3~C
8)アリール、(C
3~C
8)ヘテロアリール、ハロ(C
3~C
8)ヘテロアリール、(C
1~C
6)-アルキレン-(C
3~C
20)アリール、(C
1~C
6)-アルキレン-(C
3~C
20)ヘテロアリール、(C
1~C
6)-アルキレン-(3員~10員複素環式環)からなる群から選択され;
前記(C
1~C
6)-アルキレン-(C
3~C
20)アリール中のアリール基、前記(C
1~C
6)-アルキレン-(C
3~C
20)ヘテロアリール中のヘテロアリール基または前記(C
1~C
6)-アルキレン-(3員~10員複素環式環)中の複素環式環は、ハロ、H、-OH、(C
1~C
4)アルキル、ハロ(C
1~C
4)アルキル、(C
1~C
4)アルコキシおよびハロ(C
1~C
4)アルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換され;
R
5は、H、(C
1~C
10)アルキルおよび(C
2~C
10)アルケニルからなる群から選択され;
前記アルキル基およびアルケニル基は、ハロ、アミド基およびフェノールにより任意選択的に置換され;ならびに
R
6は、(C
1~C
10)アルキル、ハロ(C
1~C
10)アルキル、(C
2~C
10)アルケニル、ハロ(C
2~C
10)アルケニルおよび3員~10員複素環式環からなる群から選択され;
前記複素環式環は、ハロ、-OH、(C
1~C
4)アルキル、ハロ(C
1~C
10)ア
ルキル、アセチル、(C
1~C
4)アルコキシ、およびハロ(C
1~C
4)アルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換される、
化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、光学的異性体、Nオキシド、および/もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
R
1、R
2およびR
3は、ハロ、(C
1~C
2)アルキルおよびハロ(C
1~C
2)アルキルからなる群から各々独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1、R
2およびR
3は、F、CH
3およびCF
3から各々独立して選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
4は、H、(C
1~C
6)アルキル、ハロ(C
1~C
6)アルキル、(C
3~C
8)アリール、(C
1~C
3)-アルキレン-(C
3~C
10)アリール、(C
1~C
3)-アルキレン-(C
3~C
10)ヘテロアリールおよび(C
1~C
3)-アルキレン-(3員~10員複素環式環)からなる群から選択され、
前記(C
1~C
3)-アルキレン-(C
3~C
10)アリール中のアリール基、前記(C
1~C
3)-アルキレン-(C
3~C
10)ヘテロアリール中のヘテロアリール基または前記(C
1~C
3)-アルキレン-(3員~10員複素環式環)中の複素環式環は、ハロ、H、-OH、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、(C
1~C
3)アルコキシおよびハロ(C
1~C
3)アルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換される、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項5】
R
4は、
【化2】
からなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項6】
R
5は、Hおよび(C
1~C
4)アルキルからなる群から選択され、
前記アルキル基は、ハロ、アミド基およびフェノールにより任意選択的に置換される、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項7】
R
5は、
【化3】
からなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項8】
R
6は、(C
1~C
3)アルキル、ハロ(C
1~C
3)アルキル、および3員~8員複素環式環からなる群から選択され、
前記複素環式環は、ハロ、-OH、(C
1~C
4)アルキルおよびアセチルから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換される、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項9】
R
6は、
【化4】
からなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)の化合物は、
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1-メチル-1H-アミダゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1,3-チアゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-4-カルバモイル-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}ブタンアミド]-3-(1,3-チアゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-モルホリン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1-メチル-1H-アミダゾール-5-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-カルバモイル-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1,3-チアゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(モルホリン-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-アセトアミド-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-{[(2R)-4-アセチルモルホリン-2-イル]ホルムアミド}-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3S)-モルホリン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3R)-モルホリン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-モルホリン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(ピリジン-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(ピリジン-3-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(チオフェン-3-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3R)-ピロリジン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3S)-ピロリジン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピペラジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-ピペラジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-5,5-ジメチル-2-[(2S,3S)-3-メチル-2-[(2S)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]ペンタンアミド]ヘキサン酸;
(2S)-5,5-ジメチル-2-[(2S,3S)-3-メチル-2-(2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}アセトアミド)ペンタンアミド]ヘキサン酸;
(2S)-5,5-ジメチル-2-[(2S,3S)-3-メチル-2-[(2S)-3-メチル-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}ブタンアミド]ペンタンアミド]ヘキサン酸;
(2S)-5,5,5-トリフルオロ-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]ペンタン酸;
(2S)-5,5,5-トリフルオロ-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]ペンタン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-アセトアミド-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5,5-トリフルオロペンタン酸;および
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-{[(2R)-4-アセチルモルホリン-2-イル]ホルムアミド}-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミ
ド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5,5-トリフルオロペンタン酸である、前記いずれかの請求項に記載の化合物。
【請求項11】
前記いずれかの請求項に記載の化合物ならびに薬剤的に許容可能な担体、賦形剤、および/または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項12】
治療において使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
神経変性疾患、炎症性疾患、がん、疼痛、糖尿病、糖尿病網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、心血管疾患、遺伝性の眼の病態または難聴の治療または予防において使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記神経変性疾患は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病および脊髄損傷から選択され;
前記炎症性疾患は、炎症性の病気および神経炎症から選択され得;
前記がんは、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、膵がん、膠芽細胞腫および大腸がんから選択され;ならびに
前記難聴は、騒音性難聴、中毒性難聴、老人性難聴、突発性難聴、耳鳴りおよび突然の難聴から選択される、請求項12に記載の使用のための化合物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルチリン活性のモジュレーターである式(I)の化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物およびソルチリン活性の調節が効果的である医学的状態の治療または予防におけるこれらの化合物の使用にも関する。かかる医学的状態としては、神経変性疾患、炎症性疾患、がん、疼痛、糖尿病、糖尿病網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、心血管疾患、遺伝性の眼の病態または難聴が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
ソルチリン(SORT1によりコードされる)は、選別受容体の液胞タンパク質選別10タンパク質(VPS10P)ファミリーの1型膜受容体であり、中枢神経系、内耳、および代謝制御に関与するいくつかの末梢組織において多量に発現される1、2、3、4。ソルチリンは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、シグナルペプチド、プロペプチド、Vps10pドメイン、10ccドメイン(10CCa+10CCb)、膜貫通ドメインおよび大きい細胞質側末端を含む。ソルチリンのルミナルドメインは、6つの可能のあるN結合グリコシル化部位を有する一方で、細胞質側末端は、様々なアダプタータンパク質の補充を可能とする。
【0003】
ソルチリンは、膨大な数のリガンドおよび膜受容体と結合し、結果として、細胞シグナル伝達および選別において重要であることが分かっている機能に関与する。例えば、ソルチリンは、プロニューロトロフィン:神経成長因子のプロフォーム(プロNGF)、脳由来神経栄養因子のプロフォーム(プロBDNF)、およびニューロトロフィン3のプロフォーム(プロNT3)によりシグナル伝達に関与する。タンパク質p75NTR(p75ニューロトロフィン受容体)との複合体では、ソルチリンは、細胞および動物モデルにおいて変性および細胞死に至るプロニューロトロフィン媒介アポトーシス効果の受容体を形成することが報告された5、6、7。
【0004】
先行研究は、細胞選別および糖尿病および肥満症などの疾病に関するシグナル伝達においてソルチリンの役割を示唆した(Huang et al 2013 Mol Biol Cell Oct;24(19):3115-22)8。ソルチリンは、原形質膜へのGLUT4の転移を促進し、リソソームにおいて変性から救出する(Pan et al Mol Biol Cell.2017 Jun 15;28(12):1667-1675)9。ソルチリンレベルは、これらの疾病に関連する炎症レベルにより調節されることが分かった。炎症性サイトカインTNFαは、培養されたマウスおよびヒト脂肪細胞において、ならびにマウスに注射される場合in vivoでmRNAレベルとソルチリンのタンパク質レベルとの両方を減少させる(Kaddai et al.Diabetologia 52:932-40,2009)10。ソルチリンは、サイトカイン分泌にも影響を与え得る:免疫細胞内のソルチリンの標的化は、炎症を弱め、アテローム性動脈硬化の疾病進行を低減するために提案された(Mortensen et al.J
Clin Invest 124(12):5317-22,2014)11。加えて、特許文献1は、ソルチリンの活性部位と結合することができる小分子の様々なスキャフォールドを記載している。ソルチリンは、グルコース取込みの調節(Shi & Kandror.Developmental Cell 9:99-108,2005)12および脂質疾患(Gao et al.DNA and Cell Biology 36(12):1050-61,2017)13に関与する。
【0005】
更に、血漿ソルチリンレベルは、冠状動脈性心疾患または糖尿病のいずれかに罹患している患者を特定するための可能性あるバイオマーカーであることが報告された(Oh e
t al.Cardiovascular Diabetology 16:92,2017)14。これらの血漿内のソルチリンレベル増加、したがって上記病態に罹患していると特定可能であることを示した患者は、改善されたグルコースレベルを示し、これらの病態を治療するための治療標的としてのソルチリンを示唆した。
【0006】
上記の観点から、神経変性疾患、炎症性疾患、がん、疼痛、糖尿病、糖尿病網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、心血管疾患、遺伝性の眼の病態または難聴などのソルチリンの調節が効果的である医学的状態の治療および予防において使用する可能性がある新規化合物に対する満たされていないニーズがある。前記神経変性疾患は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病および脊髄損傷から選択され得;前記炎症性疾患は、炎症性の病気および神経炎症から選択され得;前記がんは、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、膵がん、膠芽細胞腫および大腸がんから選択され得;ならびに前記難聴は、騒音性難聴、中毒性難聴、老人性難聴、突発性難聴、耳鳴りおよび突然の難聴から選択され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0331746号明細書
【特許文献2】国際公開第2010/132601号
【特許文献3】国際公開第2015/131100号
【発明の概要】
【0008】
第一態様では、本発明は、式(I):
【0009】
【0010】
の化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、光学的異性体、Nオキシド、および/もしくはプロドラッグであって;
式(I)中、
R1、R2およびR3は、ハロ、H、(C1~C4)アルキル、ハロ(C1~C4)アルキル、(C2~C4)アルケニル、およびハロ(C2~C4)アルケニルからなる群か
ら各々独立して選択され;
R4は、H、(C1~C10)アルキル、ハロ(C1~C10)アルキル、(C2~C10)アルケニル、ハロ(C2~C10)アルケニル、(C3~C8)アリール、ハロ(C3~C8)アリール、(C3~C8)ヘテロアリール、ハロ(C3~C8)ヘテロアリール、(C1~C6)-アルキレン-(C3~C20)アリール、(C1~C6)-アルキレン-(C3~C20)ヘテロアリール、(C1~C6)-アルキレン-(3員~10員複素環式環)からなる群から選択され;
前記(C1~C6)-アルキレン-(C3~C20)アリール中のアリール基、前記(C1~C6)-アルキレン-(C3~C20)ヘテロアリール中のヘテロアリール基または前記(C1~C6)-アルキレン-(3員~8員複素環式環)中の複素環式環は、ハロ
、H、-OH、(C1~C4)アルキル、ハロ(C1~C4)アルキル、(C1~C4)アルコキシおよびハロ(C1~C4)アルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換され;
R5は、H、(C1~C10)アルキルおよび(C2~C10)アルケニルからなる群から選択され;
前記アルキル基およびアルケニル基は、ハロ、アミド基およびフェノールにより任意選択的に置換され;ならびに
R6は、(C1~C10)アルキル、ハロ(C1~C10)アルキル、(C2~C10)アルケニル、ハロ(C2~C10)アルケニルおよび3員~10員複素環式環からなる群から選択され;
前記複素環式環は、ハロ、-OH、(C1~C4)アルキル、ハロ(C1~C10)アルキル、アセチル、(C1~C4)アルコキシ、およびハロ(C1~C4)アルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換される、
化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、光学的異性体、Nオキシド、および/もしくはプロドラッグを提供する。
【0011】
式(I)の化合物は、ソルチリンを阻害またはアンタゴナイズし、したがってソルチリン阻害が効果的である病態において有用である可能性があることが分かった。かかる病態としては、神経変性疾患、炎症性疾患、がん、疼痛、糖尿病、糖尿病網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、心血管疾患、遺伝性の眼の病態または難聴が挙げられる。前記神経変性疾患は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病および脊髄損傷から選択され得;前記炎症性疾患は、炎症性の病気および神経炎症から選択され得;前記がんは、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、膵がん、膠芽細胞腫および大腸がんから選択され得;ならびに前記難聴は、騒音性難聴、中毒性難聴、老人性難聴、突発性難聴、耳鳴りおよび突然の難聴から選択され得る。
【0012】
本明細書で使用されるとき、用語「ソルチリン」は、シグナルペプチド、プロペプチド、Vps10pドメイン、10CCドメイン、膜貫通ドメインおよび配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する大きい細胞質側末端を含む完全長ソルチリン(未成熟ソルチリンとも呼ぶ)を表し得、またはVps10pドメイン、10CCドメイン、膜貫通ドメインおよび配列番号3に記載のアミノ酸配列を有する大きい細胞質側末端、もしくはその天然断片、ホモログもしくはバリアントを含む成熟ソルチリンを表し得る。用語「ソルチリン」または「ソルチリン分子」は、本明細書において互換的に使用される。ソルチリンは、プロニューロトロフィン分子と相互作用して、ソルチリン/プロニューロトロフィン複合体を形成することができると理解されている。このソルチリン/プロニューロトロフィン複合体は、p75NTR分子と相互作用してソルチリン、プロニューロトロフィンおよびp75NTRを含む三量体複合体を形成することができるかも知れないし、できないかも知れない。この三量体複合体は、レチナール細胞および神経節細胞におけるアポトーシスの刺激、ならびに突出した軸索の成長円錐の退縮の制御など、生物学的有害反応に関与し得ると理解されている5、7、15、16。
【0013】
本明細書で使用されるとき、用語「プロニューロトロフィン」は、タンパク質分解的切断が起こりニューロトロフィンの成熟体を得るニューロトロフィンのより大きい前駆体を表す。ニューロトロフィンは、ニューロンの生存、発達および機能を誘導するタンパク質のファミリーであり、成長因子と一般的に呼ばれる。プロニューロトロフィンは生物学的に活性であり、アポトーシスの誘導など、これらのニューロトロフィンカウンターパートと比較して異なる役割を有する。プロニューロトロフィンの例としては、プロNGF、プロBDNF、プロNT3およびプロNT4が挙げられる。プロニューロトロフィンは、更にシナプス可塑性を制御し得る。成熟ニューロトロフィンはシナプス強度を誘導するが、そのプロフォームにおいてシナプスを弱くする可能性がある。
【0014】
本発明の化合物は、ソルチリン阻害剤またはアンタゴニストであり得る。本明細書で使用されるとき、用語「ソルチリンアンタゴニスト」は、プロニューロトロフィン(例えば、プロNGF、プロNT3、プロBDNF)と結合し、ソルチリン、p75NTRおよびプロニューロトロフィン間の三量体複合体の形成を防止するソルチリンタンパク質の効果を妨げる、遮断する、さもなければ弱める物質を表す。用語「ソルチリンアンタゴニスト」は、高親和性三量体複合体の形成を妨げる物質または薬剤も含む。後者のシナリオでは、三量体複合体は、ソルチリンがp75NTRと結合することができ(プロNGFとでなく)、p75NTRはプロNGFのNGFドメインと同時に結合することができるように形成され得ることが確認された。しかしながら、得られた三量体複合体は、その受容体に対してより低い親和性である可能性があり、結果として、上記機序によりアポトーシスを刺激する能力が著しく低い。Skeldal et al(J.Biol.Chem.2012 Dec 21;287(52):43798-809)17は、その細胞内ドメインにおいてソルチリンが欠いている場合、三量体複合体のアポトーシス機能が廃絶されていることを実証した。用語「ソルチリンアンタゴニスト」は、p75NTRと相互作用するソルチリンタンパク質の効果を妨げる、遮断する、さもなければ弱める物質または薬剤も含む。三量体複合体の形成を防止する、または部分的にのみ形成を防止する場合、三量体複合体が形成され得るが生物学的効果が低い可能性がある場合に、この相互作用は完全に妨げられる可能性がある。Skeldal et alは、ソルチリンおよびp75NTR間の複合体形成は、受容体の細胞外ドメインにおける接触点に依存し、前記相互作用はp75NTRの細胞外膜近傍23アミノ酸配列に大きく依存することを示した。したがって、ソルチリンアンタゴニストは、分子中のこの23アミノ酸配列または近位配列を妨げ得る。
【0015】
R1、R2およびR3は、ハロ、(C1~C2)アルキルおよびハロ(C1~C2)アルキルからなる群から各々独立して選択されることは好ましい。
【0016】
本発明の好ましい態様では、R1、R2およびR3は、F、CH3およびCF3から各々独立して選択される。最も好ましくは、R1、R2およびR3は、同じである。例えば、本発明の例示的化合物では、R1、R2およびR3各々は、F、CH3またはCF3であってよい。
【0017】
本発明の別の好ましい態様では、R4は、H、(C1~C6)アルキル、ハロ(C1~C6)アルキル、(C3~C10)アリール、(C1~C3)-アルキレン-(C3~C10)アリール、(C1~C3)-アルキレン-(C3~C10)ヘテロアリールおよび(C1~C3)-アルキレン-(3員~10員複素環式環)からなる群から選択される。前記(C1~C3)-アルキレン-(C3~C10)アリール中のアリール基、前記(C1~C3)-アルキレン-(C3~C10)ヘテロアリール中のヘテロアリール基または前記(C1~C3)-アルキレン-(3員~10員複素環式環)中の複素環式環は、ハロ、H、-OH、(C1~C3)アルキル、ハロ(C1~C3)アルキル、(C1~C3)ア
ルコキシおよびハロ(C1~C3)アルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換される。
【0018】
前記アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル基ならびに前記アルキル、ハロアルキル、アルコキシおよびハロアルコキシ置換基は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。
【0019】
前記置換基は、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式環のいずれかの一において結合されていてよい。前記1以上の置換基は、炭素原子、ヘテロ原子またはその組合せと結合していてよい。好ましくは、全く置換基がないかまたは1~3の置換基がある。
【0020】
前記ヘテロアリールまたは複素環式環は、1、2またはそれ以上のヘテロ原子を含んでよい。好ましくは、前記ヘテロアリールまたは複素環式環は、1または2ヘテロ原子を含む。前記ヘテロ原子は、N、SまたはOから選択され得る。2個以上のヘテロ原子が存在する基では、ヘテロ原子は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0021】
前記複素環式環は、脂肪族であってよい。前記複素環式環は、単環式、二環式または三環式であってよい。好ましくは、前記複素環式環は、単環式または二環式である。好ましくは、前記複素環式環は、5員~10員を有し、より好ましくは5員~9員を有する。
【0022】
前記アリール基およびヘテロアリール基も、単環式、二環式または三環式であってよい。好ましくは、単環式または二環式である。好ましくは、前記アリール基およびヘテロアリール基は、5員~10員、より好ましくは5員~9員の環の大きさを有する。
【0023】
いくつかの好ましい実施形態では、R4は:
【0024】
【0025】
からなる群から選択される。
【0026】
R4と結合されている式(I)の炭素のキラリティーは、(R)または(S)のいずれかである。好ましくは、基(ii)~(xii)が式(I)に含まれる場合、この炭素のキラリティーは(S)であり;基(i)が式(I)に含まれる場合、この炭素のキラリティーは(S)または(R)である。
【0027】
本発明の別の好ましい態様では、R5は、Hおよび(C1~C4)アルキルからなる群から選択される。前記アルキル基は、ハロ、アミド基およびフェノールにより任意選択的に置換される。
【0028】
好ましくは、R5は:
【0029】
【0030】
からなる群から選択される。
【0031】
本発明の別の好ましい態様では、R6は、(C1~C3)アルキル、ハロ(C1~C3)アルキル、および3員~8員複素環式環からなる群から選択される。前記複素環式環は、ハロ、-OH、(C1~C4)アルキルおよびアセチルから独立して選択される1つ以上の置換基により任意選択的に置換される。
【0032】
最も好ましくは、R6は:
【0033】
【0034】
からなる群から選択される。
【0035】
本発明の具体的化合物は、以下に一覧されたものである。
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1,3-チアゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-4-カルバモイル-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}ブタンアミド]-3-(1,3-チアゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)
-2-{[(2R)-モルホリン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1-メチル-1H-アミダゾール-5-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-カルバモイル-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(1,3-チアゾール-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(モルホリン-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-アセトアミド-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-{[(2R)-4-アセチルモルホリン-2-イル]ホルムアミド}-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3S)-モルホリン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3R)-モルホリン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-モルホリン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(ピリジン-4-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(ピリジン-3-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-(チオフェン-3-イル)プロパンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3R)-ピロリジン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メ
チルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(3S)-ピロリジン-3-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-ピペラジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-ピペラジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5-ジメチルヘキサン酸;
(2S)-5,5-ジメチル-2-[(2S,3S)-3-メチル-2-[(2S)-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]ペンタンアミド]ヘキサン酸;
(2S)-5,5-ジメチル-2-[(2S,3S)-3-メチル-2-(2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}アセトアミド)ペンタンアミド]ヘキサン酸;
(2S)-5,5-ジメチル-2-[(2S,3S)-3-メチル-2-[(2S)-3-メチル-2-{[(2S)-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}ブタンアミド]ペンタンアミド]ヘキサン酸;
(2S)-5,5,5-トリフルオロ-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2R)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]ペンタン酸;
(2S)-5,5,5-トリフルオロ-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-{[(2S)-オキソラン-2-イル]ホルムアミド}プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]ペンタン酸;
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-アセトアミド-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5,5-トリフルオロペンタン酸;および
(2S)-2-[(2S,3S)-2-[(2S)-2-{[(2R)-4-アセチルモルホリン-2-イル]ホルムアミド}-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]-3-メチルペンタンアミド]-5,5,5-トリフルオロペンタン酸。
【0036】
本発明の式(I)の化合物は、神経変性疾患、炎症性疾患、がん、疼痛、糖尿病、糖尿病網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、心血管疾患、遺伝性の眼の病態または難聴の治療または予防において使用することを目的とする。
【0037】
好ましくは、前記神経変性疾患は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病および脊髄損傷から選択される。
【0038】
好ましくは、前記炎症性疾患は、炎症性の病気および神経炎症から選択され得る。
【0039】
好ましくは、前記がんは、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、膵がん、膠芽細胞腫および大腸がんから選択される。
【0040】
好ましくは、前記難聴は、騒音性難聴、中毒性難聴、老人性難聴、突発性難聴、耳鳴りおよび突然の難聴から選択される。
【0041】
したがって、実施形態では、本発明に記載の使用のための化合物は、ソルチリン分子およびプロニューロトロフィン分子間の相互作用を妨げ得、またはソルチリン分子およびp75NTR分子間の相互作用を妨げ得る。前記ソルチリン分子は、成熟ソルチリンであり
得る。
【0042】
好ましくは、本発明の化合物は、ソルチリン阻害剤である。本明細書で使用されるとき、用語「ソルチリン阻害剤」は、ソルチリンタンパク質と結合し、それにより、プロニューロトロフィン分子またはp75NTR分子との結合を防止し、前述の三量体複合体の形成を防止するか、または活性が小さいかもしくは不活性である三量体複合体の形成をもたらす化合物を表す。
【0043】
好ましくは、本発明の化合物は、ソルチリン分子およびプロニューロトロフィン分子またはp75NTR分子間のタンパク質-タンパク質相互作用を防止し、ソルチリン、プロニューロトロフィンおよびp75NTR受容体間で通常形成されるアポトーシス三量体複合体の形成を更に防止するか、または生物学的に活性が小さいかもしくは不活性であるかまたは最小に活性を有する低親和性三量体複合体の形成をもたらす。
【0044】
したがって、前記化合物は、ソルチリン、プロニューロトロフィンまたはp75NTR分子と結合し得る。前記拮抗作用は、タンパク質-タンパク質相互作用の直接的遮断のせいであり得、または結合部位から離れたこれらのタンパク質の1つの部位において結合された立体障害による可能性がある。
【0045】
本発明の第二態様によれば、本発明の第一態様による化合物ならびに1つ以上の薬剤的に許容可能な担体、賦形剤、および/または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0046】
本発明の第三態様では、治療において使用するための、本発明の第一態様による化合物、または本発明の第二態様による医薬組成物を提供する。
【0047】
本発明の第四態様によれば、神経変性疾患、炎症性疾患、がん、疼痛、糖尿病、糖尿病網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、心血管疾患、遺伝性の眼の病態または難聴の治療または予防において使用するための、本発明の第一態様による化合物、または本発明の第二態様による医薬組成物を提供する。
【0048】
好ましくは、前記神経変性疾患は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病および脊髄損傷から選択される。
【0049】
好ましくは、前記難聴は、騒音性難聴、中毒性難聴、老人性難聴、突発性難聴、耳鳴りおよび突然の難聴から選択される。
【0050】
好ましくは、前記がんは、乳がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、膵がん、膠芽細胞腫および大腸がんから選択される。
【0051】
好ましくは、前記心血管疾患は、アテローム性動脈硬化、心筋症、心臓発作、不整脈、および虚血性心疾患から選択される。
【0052】
本発明の第五態様によれば、神経変性疾患、炎症性疾患、がん、疼痛、糖尿病、糖尿病網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、心血管疾患、遺伝性の眼の病態または難聴の治療または予防のための医薬品製造のための本発明の第一態様に記載の化合物の使用を提供する。
【0053】
本発明の第六態様によれば、本発明の第一態様による化合物または本発明の第二態様による医薬組成物の治療有効量を投与することを含むソルチリン調節に応答する疾病または病態の治療方法または予防方法を提供する。
【0054】
本発明の化合物は、前記化合物の同位体標識されたおよび/または同位体濃縮された形態を含み得る。本明細書における本発明の化合物は、かかる化合物を構成する原子の1つ以上において不自然な割合の原子同位体を含み得る。開示されている化合物に組み込むことができる同位体の例としては、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15O、17O、32P、35S、18F、36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、塩素の同位体が挙げられる。
【0055】
本発明の化合物を、それ自体で使用してもよく、所望により、その薬剤的に許容可能な塩(酸または塩基付加塩)として使用してもよい。後述されている薬剤的に許容可能な付加塩は、前記化合物を形成可能な治療活性な無毒性の酸および塩基付加塩の形態を含むことを意味する。塩基性特性を有する化合物を、塩基形態を適切な酸で処理することによりこれらの薬剤的に許容可能な酸付加塩に変換することができる。例示的酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸;およびギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸、安息香酸、アスコルビン酸および同様のものなどの有機酸が挙げられる。酸性特性を有する化合物を、酸形態を適切な塩基で処理することによりこれらの薬剤的に許容可能な塩基付加塩に変換することができる。例示的塩基付加塩形態は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、および、例えば、アンモニア、アルキルアミン、ベンザチンなどの薬剤的に許容可能なアミンとの塩、および、例えば、アルギニンおよびリジンなどのアミノ酸である。本明細書で使用されるとき、用語付加塩は、例えば、水和物、アルコレートおよび同様のものなどの、化合物およびその塩が形成することができる溶媒和物も含む。
【0056】
本開示全体を通して、所与の化学式または名称は、その全ての薬剤的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、Nオキシド、および/またはプロドラッグも包含する。本発明の化合物は、化合物式のいずれものおよび全ての水和物および/または溶媒和物を含むと理解されるべきである。ヒドロキシ、アミノ、および同様の基などの特定の官能基は、前記化合物の様々な物理的形態の、水および/または様々な溶媒との複合体および/または配位化合物を形成すると考えられる。したがって、上式は、これらの様々な水和物および/または溶媒和物を含むおよび表すと理解されるべきである。
【0057】
本発明の化合物は、互変異性体も含む。互変異性体は、プロトンの同時に起こる移動を伴う一重結合と隣接する二重結合との交換から生じる。互変異性体は、同じ経験式および全電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体を含む。プロトトロピー互変異性体の例としては、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、アミド-イミド酸対、エナミン-イミン対、およびプロトンが複素環式系の2つ以上の一を占有することができる環状体、例えば、1H-および3H-イミダゾール、1H、2H-および4H-1,2,4-トリアゾール、1H-および2H-イソインドール、ならびに1H-および2H-ピラゾールを含む。互変異性体は、平衡状態にあるかまたは適切な置換により1つ形態に立体的に固定され得る。
【0058】
本明細書に記載されている化合物は、不斉(例えば、1つ以上の立体中心を有する)であり得る。別段に指定されない限り、鏡像異性体およびジアステレオマーなどの全ての立体異性体が意図される。非対照的に置換されている炭素原子を含む本発明の化合物を、光学的活性またはラセミ体で単離することができる。光学活性出発物質から光学活性体を調製する方法は、ラセミ混合物の分離または立体選択的合成によるなど、当技術分野において公知である。オレフィン、C=N二重結合、および同様のものの多くの幾何異性体も、本明細書に記載されている化合物中に存在する可能性があり、全てのかかる安定な異性体
は本発明であると意図される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体は記載されており、異性体の混合物としてまたは分離された異性体として単離し得る。
【0059】
不斉炭素原子を含む化合物の場合、本発明は、D体、L体、およびD、L混合物に関し、更に、2個以上の不斉炭素原子が存在する場合、本発明はジアステレオマーに関する。不斉炭素原子を含み、かつ、ラセミ体として規則が生じるとき、本発明のこれらの化合物を、例えば、光学活性酸を用いて公知の方法で光学活性異性体に分離することができる。しかしながら、初めから光学活性出発物質を使用し、次いで、対応する光学活性またはジアステレオマー化合物を最終製品として得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1A】
図1Aは、h-ソルチリンに結合された実施例12の化合物のX線画像a)を示す。
【
図1B】
図1Bは、h-ソルチリンに結合された実施例12の化合物のX線画像b)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
用語「プロドラッグ」は、生理的条件下または本発明の生物学的に活性な化合物に溶媒化分解することにより変換し得る化合物を表す。プロドラッグの投与を必要とする対象に投与される場合、プロドラッグは不活性であるかも知れないが、in vivoで本発明の活性化合物に変換される。プロドラッグは、例えば、血液中で加水分解することにより、通常in vivoで迅速に変わって本発明の親化合物を得る。プロドラッグ化合物は、通常、哺乳類生物体において溶解性、組織適合性または遅延放出性の利点を提供する(Silverman, R. B.,The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,2nd Ed.,Elsevier Academic Press (2004),page 498 to
549参照)。本発明の化合物のプロドラッグを、ルーチン操作またはin vivoのいずれかで、修飾が切断であるような方法で本発明の化合物中に存在するヒドロキシ基、アミノ基またはメルカプト基などの官能基を修飾することにより、本発明の親化合物に調製してよい。プロドラッグの例としては、ヒドロキシ官能基の酢酸、ギ酸およびコハク酸誘導体またはアミノ官能基のフェニルカルバメート誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用されるとき、用語「治療」は、名前が付けられた疾患もしくは病態の予防、または一旦罹患した疾患の寛解もしくは根絶を含み得る。用語「予防」は、名前が付けられた疾患または病態の予防を表す。
【0063】
本明細書に定義されている方法は、対象が特定の定められた治療を必要としている特定されるものを含む。かかる治療を必要としている対象の特定は、対象または医療専門家の判断であり得、主観的(例えば、意見)であっても客観的(例えば、検査または診断方法により測定可能)であってもよい。
【0064】
他の態様では、本明細書における方法は、治療管理に対する対象の応答の監視を更に含むものを含む。かかる監視としては、治療レジメンのマーカーまたは指標として、対象組織、体液、献体、細胞、タンパク質、化学的マーカー、遺伝物質、その他の定期的イメージングまたはサンプリングを挙げることができる。他の方法では、対象は、関連マーカーまたはかかる治療に対する適合性の指標の評価によりかかる治療を必要としているとプレスクリーニングまたは特定される。
【0065】
本発明は、治療進行の監視方法を提供する。前記方法は、本明細書に定義されているそ
の疾患または症状に罹患しているまたは罹患しやすい対象であって、前記対象は、その疾病または症状を治療するのに充分な本明細書における化合物の治療量を投与された対象において、診断マーカー(マーカー)(例えば、本明細書における化合物により調節される本明細書に定義されているいずれかの標的または細胞型)のレベルの決定ステップまたは診断測定(例えば、スクリーニング、アッセイ)を含む。前記方法で決定されたマーカーのレベルを、健常コントロールまたは他の罹患している患者のいずれかのマーカーの既知レベルと比較して、対象の疾病状態を確立することができる。好ましい実施形態では、前記対象のマーカーの第二レベルを、第一レベルの決定より後の時点において決定し、この2つのレベルを比較して、疾病の経過または治療の有効性を監視する。特定の好ましい実施形態では、前記対象のマーカーの治療前レベルを、本発明による治療を開始する前に決定し;次いで、このマーカーの治療前レベルを、治療開始後の前記対象のマーカーのレベルと比較して治療の有効性を決定することができる。
【0066】
対象のマーカーレベルまたはマーカー活性を、少なくとも1回決定してよい。マーカーレベルを、例えば、同患者、別患者、または正常対象から前以てまたは後で得られるマーカーレベルの別の測定と比較することは、本発明による治療が所望の効果を有するかどうかの決定に有用であり、それにより、必要に応じて投与量レベルの調整を可能とする。マーカーレベルの決定を、当技術分野において公知または本明細書に記載されているいずれかの適切なサンプリング/発現アッセイ方法を用いて行ってよい。好ましくは、組織または体液サンプルを、先ず、対象から取り出す。適切なサンプルの例としては、血液、尿、組織、口または頬の細胞、および毛根を含む毛のサンプルが挙げられる。他の適切なサンプルは、当業者に公知であろう。サンプル中のタンパク質レベルおよび/またはmRNAレベル(例えば、マーカーレベル)の決定を、当技術分野において公知のいずれかの適切な技術を用いて行うことができ、酵素免疫アッセイ、ELISA、放射性標識/アッセイ技術、ブロッティング/化学発光法、リアルタイムPCR、および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
臨床用途では、本明細書に開示されている化合物を、様々な投与方法のための医薬組成物(または製剤)に製剤する。本発明の化合物を、生理学的に許容可能な担体、賦形剤、および/または希釈剤(ずなわち、これらの1、2、または3つ全て)と一緒に投与してよい。本明細書に開示されている医薬組成物を、いずれかの適切な経路、好ましくは、経口、直腸、鼻腔、局所(眼科、口腔および舌下を含む)、舌下、経皮、くも膜下腔内、経粘膜または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与により投与してよい。他の製剤を、単位剤形、例えば、錠剤および徐放カプセル剤、ならびにリポソーム剤で好都合に提供してよく、薬剤の技術分野において周知のいずれかの方法により製剤してよい。医薬製剤を、活性物質、またはその薬剤的に許容可能な塩を、従来の薬剤的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と混合することにより通常製剤する。賦形剤の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、結晶セルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、コロイド状二酸化ケイ素、および同様のものである。かかる製剤は、他の薬剤的に活性な薬剤、ならびに安定剤、湿潤剤、乳化剤、香料、緩衝剤、および同様のものなどの従来の添加剤を含んでもよい。通常、活性化合物の量は、非経口用途のため製剤の0.1~95重量%、好ましくは製剤中0.2~20重量%であり、より好ましくは経口投与用製剤中1~50重量%である。製剤を、造粒、圧縮、マイクロカプセル化、噴霧コーティング、その他などの公知の方法により更に製剤することができる。製剤を、従来方法により、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤または注射剤の剤形で製剤してよい。液体製剤を、水または他の適切な媒体中に活性物質を溶解または懸濁することにより製剤してよい。錠剤および顆粒剤を、従来の方法でコーティングしてよい。長期間治療的に有効な血漿濃度を維持するため、本明細書に開示されている化合物を、持続放出製剤に組み込んでよい。
【0068】
特定の化合物の用量レベルおよび投与頻度は、使用される特定化合物の効力、この化合物の代謝安定性および作用の長さ、患者の年齢、体重、健康全般、性別、食事、投与の方法および回数、排泄率、薬物の組合せ、治療しようとする病態の重症度、ならびに患者の治療歴を含む様々な因子に依存して変わるだろう。1日投与量は、例えば、体重1キロ当たり約0.001mg~約100mgの範囲であり、例えば、各々約0.01mg~約25mgの用量で単回または複数回投与してよい。通常、かかる投与量は経口で与えられるが、非経口投与を選択してもよい。
【0069】
定義
「任意選択の(optional)」または「任意選択的に(optionally)」は、続いて記載されるイベントまたは環境が、必ずしも必要でないが、起こり得ること、ならびにこの記載はイベントまたは環境が起こる場合および起こらない場合を含むことを意味する。
【0070】
用語「ヘテロ原子」は、O、N、またはSを意味する。
【0071】
用語「(C1~Cn)アルキル」は、1~n個の炭素原子、すなわち1、2、3・・・またはn個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環式もしくは部分的に環式アルキル基を示す。環式部分を含む「(C1~Cn)アルキル」基のため、少なくとも3個の炭素原子から形成されるべきである。範囲「(C1~Cn)アルキル」の部分のため、その全てのサブグループが意図される。例えば、範囲(C1~C6)アルキルでは、(C1~C5)アルキル、(C1~C4)アルキル、(C1~C3)アルキル、(C1~C2)アルキル、(C1)アルキル、(C2~C6)アルキル、(C2~C5)アルキル、(C2~C4)アルキル、(C2~C3)アルキル、(C2)アルキル、(C3~C6)アルキル、(C3~C5)アルキル、(C3~C4)アルキル、(C3)アルキル、(C4~C6)アルキル、(C4~C5)アルキル、(C4)アルキル、(C5~C6)アルキル、(C6)アルキルなどの全てのサブグループ。「(C1~C6)アルキル」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、分岐鎖または環式もしくは部分的に環式ペンチルおよびヘキシル、その他が挙げられる。
【0072】
用語「ハロ-(C1~Cn)アルキル」は、好ましくはF、Cl、BrおよびI、より好ましくはFおよびCl、最も好ましくはFである少なくとも1個のハロゲン原子により置換されている上記(C1~Cn)アルキルを示す。
【0073】
用語が範囲、例えば、(C1~C6)アルキルの定義における「1~6個の炭素原子」を示す場合、各整数は、開示されている、すなわち、1、2、3、4、5および6であると見做される。
【0074】
用語「(C2~Cn)アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、2~6個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環式もしくは部分的に環式アルキル基を示す。アルケニル基は、3~6個の炭素原子から形成される環を含んでよい。範囲「(C2~Cn)アルケニル」の部分のため、その全てのサブグループが意図される。例えば、範囲「(C2~C4)アルケニル」は、(C2~C4)アルケニル、(C2~C3)アルケニル、(C2)アルケニルを含む。「(C2~C4)アルケニル」の例としては、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-2-プロペニル、その他が挙げられる。
【0075】
用語「(C1~C4)アルコキシ」は、(C1~C4)アルキル基は上記定義の通りで
あり、化合物の残部は酸素原子により結合している-O-((C1~C4)アルキル)を示す。「(C1~C4)アルコキシ」の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよびt-ブトキシが挙げられる。
【0076】
用語「ハロ-(C1~C4)アルコキシ」は、好ましくはF、Cl、BrおよびI、より好ましくはFおよびCl、最も好ましくはFであるハロゲン原子により置換されている上記(C1~C4)アルコキシを示す。
【0077】
用語「ハロ」は、ハロゲン原子を意味し、好ましくはF、Cl、BrおよびI、より好ましくはFおよびCl、最も好ましくはFである。
【0078】
用語「3員~10員複素環式環」は、3~10個の環原子を有し、少なくとも1個の環原子はヘテロ原子である非芳香族環を示す。
【0079】
「有効量」は、治療された対象に対する治療効果を与える本発明の化合物の量を表す。治療効果は、主観的(すなわち、いくつかの検査またはマーカーにより測定可能)であっても、客観的(すなわち、対象は効果の指標を与えるまたは効果を感じる)であってもよい。
【0080】
本明細書で使用されるとき、用語「投与」または「投与すること」は、本明細書に開示されている化合物の投与経路を意味する。例示的投与経路としては、経口、眼内、静脈内、腹腔内、動脈内、および筋肉内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい投与経路は、様々な因子、例えば、本明細書に開示されている化合物を含む医薬組成物の構成成分、可能性のあるまたは実際の疾病の部位および疾病の重症度に依存して変わり得る。
【0081】
用語「対象」および「患者」は、本明細書において互換的に使用される。用語「対象」および「患者」は、疾病または障害に罹患しているまたは罹患しやすいが疾病または障害を有しているかも知れないかまたは有していないかも知れないヒトまたは別の哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)を表す。対象はヒトであることが好ましい。
【0082】
本発明の化合物を、名称または化学構造により開示してよい。化合物の名称およびその関連する化学構造の間に不一致が存在する場合、化学構造を優先する。
【0083】
ここで本発明を以下の非限定的実施例により更に例証する。以下の特定の実施例は、単に例証するものであり、いかなる方法によっても本開示の残部を少しも限定するものではないと解釈されるべきである。更なる詳細な説明なく、本明細書における記載に基づいて、当業者はその最大限まで本発明を利用することができると考えられる。本明細書に引用されている全ての参考文献および出版物は、これらの全文を参照することにより本明細書に援用される。
【0084】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物を、当技術分野において周知および高く評価されている方法により以下の一般的合成スキームにより調製することができる。一般合成手順、スキーム1、の工程のため、適切な反応条件は当技術分野において周知であり、溶媒および共試薬の適切な置換は、当業者の一般常識の範囲内である。同様に、合成中間体を、必要に応じてまたは所望により様々な周知技術により単離および/または精製してよく、しばしば、ほとんどまたは全く精製しないでその後の合成工程において直接的に様々な中間体を使用することは可能であろうと当業者は考えるだろう。更に、当業者は、状況次第で、部分が導入される
順序は重要であにと当業者は考えるだろう。式(I)の化合物を製造する必要がある工程の特定の順序は、当業者が充分理解しているように、合成される特定の化合物、出発化合物、および置換された部分の相対的障害に依存する。別段に指定されない限り、全ての置換は、前に定義されている通りであり、全ての試薬は周知であり当技術分野において高く評価されている。
【0085】
一般式(I)の化合物を、様々な手順により調製してよく、そのいくつかは以下に記載する。当業者により周知であり高く評価されている小サイズ~中程度の大きさのペプチドの調製に特に適した方法の1つは、固相ペプチド合成(SPPS)である。
【0086】
適した出発物質および一般式AA-1、Int-1、Int-2またはInt-3は、保護されたアミノ酸は、商業的に入手可能であるかあるいは様々な方法により調製してもよい。例えば、一般合成手順、スキーム1に例証されているように、充分に確立された手順ならびにメタノールおよび塩化チオニルの混合物の様な試薬を用いて、一般式AA-1の適切に置換されているアミノ酸のカルボン酸官能基を、適切な誘導体、例えば、メチルエステルとして化学選択的に保護し、一般式Int-1の化合物を得ることができる。その後の工程では、例えば、Fmocの様なアミドまたはカルバメートとしてのInt-1における遊離アミン官能基の保護は、一般構造Int-2の中間体を得る。一般式Int-3の中間体を、例えば、酸性加水分解を用いて、Int-2中に存在するマスクされた酸官能基の選択的脱保護により得ることができる。SPPSを用いる場合、例示として、ジクロロメタン中のジイソプロピルメタンジイミン、4-メチルモルホリンおよびN,N-ジメチルピリジン-4-アミンの混合物の様なエステル生成試薬を用いて、適切に官能基化された樹脂、例えば、Wang樹脂にInt-3を結合して一般式Int-4の固体担時された中間体を得ることができる。
【0087】
一般合成手順
【0088】
【0089】
必要な場合、樹脂に結合された中間体Int-4~Int-9を、樹脂から切断後に分析することができる。あるいは、固体支持体上の対応する工程を分析しないで行うことができる。Int-4におけるアミンの保護基を、例えば、Fmoc保護基が使用されている場合、ピペラジンの様な塩基を用いた処理により除去してInt-5を得ることができる。一般式AA-2の化合物により本明細書に表されている第二N保護アミノ酸中に存在する遊離酸官能基を、古典的アミドカップリング手順、例えば、DCM-DMFの混合物の様な適切な溶媒系中のHATUおよびN-メチルモルホリンの様な塩基の混合物を用いて、一般式Int-5の中間体中に存在する遊離アミンとカップリングして、Int-6を得ることができる。
【0090】
同様に、適切に、保護されたアミン部分、AA-2を、Int-5とカップリングしてInt-6を得ることができる。次いで、一次的なアミン保護基を、例えば、Fmoc保護基が使用されている場合、ピペリジンの様な塩基を用いて、その後の工程において除去して、Int-7を得ることができる。もう一度および前述されているように、Int-7中に存在する遊離塩基アミン官能基を、一般合成手順に例示されているように、一般式AA-3の別の適切に保護されたアミノ酸誘導体の導入により伸長してInt-8を得ることができる。同様に、Int-8中のアミンの保護基の選択的除去後、得られたInt-9を、古典的アミドカップリング手順、例えば、DCM-DMFの混合物の様な適切な溶媒系中のHATUおよびN-メチルモルホリンの様な塩基の混合物を用いて、アシル誘導体として容易に官能基化して、一般式Int-10の中間体を得ることができる。一般式(I)の最終化合物を、例えば、トリフルオロ酢酸の様な試薬を用いて樹脂固体支持体とInt-10に示されている一般構造の化合物とのエステル結合の酸性加水分解を用いて、切断により得る。
【0091】
樹脂に結合された中間体を、樹脂から切断後に分析した。中間体の全分析は、遊離酸で
ある。
【0092】
次いで、各工程の生成物を、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、ろ過、粉砕、結晶化および同様のものを含む従来の方法により回収することができる。
【0093】
当業者は、式(I)の化合物におけるかならずしも全ての置換基が化合物を合成するために使用される特定の反応条件を許容するとは限らないことも充分に理解するだろう。これらの部分を合成における便利なポイントで導入してもよく、または当技術分野において周知のように、必要に応じてもしくは所望により保護して、次いで、脱保護してもよい。当業者は、本発明の化合物の合成におけるいずれかの便利なポイントで、保護基を除去してよいことを充分に理解するだろう。本発明において使用される保護基の導入方法または除去方法は当技術分野において周知であり;例えば、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Ed.,John Wiley and Sons,New York(2006)18参照。
【実施例】
【0094】
略語
approx:約;aq:水性;br:広い;ca.:約(circa);CDI:1,1’-カルボニルジイミダゾール;d:二重線;DCM:ジクロロメタン;DIC:N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド;dioxane:1,4-ジオキサン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMF:ジメチルホルムアミド;eq.:当量;Et3N:トリエチルアミン;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル;Boc:tert-ブトキシカルボニル;h:時間;min:分;HATU:ヘキサフルオロリン酸(V)2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウム;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;IPA:イソプロパノール;LC:液体クロマトグラフィー;m:多重線;M:モル濃度、分子イオン;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;MS:質量分析法;NMR:核磁気共鳴;PDA:フォトダイオードアレイ;q:四重線;rt:室温(約20℃);RT:保持時間;s:一重線、固体;SPPS:固相ペプチド合成;t:三重線;TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム;TBME:tert-ブチルメチルエーテル;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;UPLC(登録商標):超高速液体クロマトグラフィー;UV:紫外線。
【0095】
他の略語は、これらの一般的に許容されている意味を伝えるものとする。
【0096】
一般的実験条件
全ての出発物質および溶媒を、商業的供給源または文献引用に従った調製のいずれかから得た。別段に指示されない限り、反応混合物を磁気的に撹拌し、反応を室温(約20℃)で行った。
【0097】
別段に指示されない限り、プレパックシリカ(40μm)カートリッジを用いてCombiFlash Rfシステムなどの自動フラッシュクロマトグラフィーシステムでカラムクロマトグラフィーを行った。
【0098】
1H NMRスペクトルを、Bruker 5mm SmartProbe(商標)が装備されたBruker AvanceIII-500 HD分光計で500MHzにおいて記録した。化学シフトを、基準物質として残プロトン性溶媒の中央ピークまたは内部基準としてテトラメチルシランに対してのいずれかを用いて百万分の1(ppm)で表す
。別段に指示されない限り、スペクトルを298Kで記録した。NMRシグナルの多重性に関して次の略記またはこれらの組合せを使用する:br=広い、d=二重線、m=多重線、q=四重戦、quint=五重線、s=一重線およびt=三重線。
【0099】
保持時間および関連する質量イオンを決定するための分析UPLC(登録商標)-MS実験を、ACQUITY PDA検出器およびACQUITY QDa質量検出器が装備されたWaters ACQUITY UPLC(登録商標) Hクラスシステムを用いて行い、下記分析方法の1つを実行した。
【0100】
保持時間および関連する質量イオンを決定するための分析LC-MS実験を、Agilent 1956、6100または6120シリーズシングル四重極質量分析計と結合されたAgilent 1200シリーズHPLCシステムを用いて行い、下記分析方法の1つを実行した。
【0101】
分取HPLC精製を、両方とも0.1%(体積/体積)ギ酸で修飾されたMeCNおよび水の勾配を用いたWaters X-Select CSH C18、5μm、19×50mmカラム、またはMeCNおよび10mM重炭酸アンモニウム水溶液の勾配を用いたWaters X-Bridge BEH C18、5μm、19×50mmカラムのいずれかを用いて行った。様々な波長検出器により測定された単一波長においてUVによる検出に従って分画を回収した。
【0102】
分析方法
方法1-酸性3分方法
カラム:Waters ACQUITY UPLC(登録商標) CSH C18、1.7μm、2.1×30mm、40℃
検出:別段に指示されない限り、254nmにおけるUV、エレクトロスプレーイオン化によるMS
溶媒:A:0.1%(体積/体積)ギ酸水溶液、B:0.1%(体積/体積)MeCN中のギ酸
【0103】
【0104】
方法2-塩基性4分方法
カラム:Waters X-Bridge BEH C18、2.5μm、4.6×30mm、40℃
溶媒:A:10mM重炭酸アンモニウム水溶液、B:MeCN
【0105】
【0106】
中間体
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(Int-11)
【0107】
【0108】
中間体Int-11を特許文献2に記載されている手順に従って調製して、5,5,5-トリフルオロペンタン酸メチルを調製し、次いで、特許文献3に記載されているようにFmoc保護をしてメチルエステルを加水分解した。
【0109】
4-アセチル-(2R)-2-モルホリンカルボン酸(Int-15)
【0110】
【0111】
塩化(R)-2-(メトキシカルボニル)モルホリン-4-イウム(Int-13)
0℃に冷却された塩化アセチル(7.60mL、107mmol)に、MeOH(40
mL)を滴下し、混合物を15分間撹拌した。冷却された混合物に、(R)-4-(tert-ブトキシカルボニル)モルホリン-2-カルボン酸(Int-12、4.50g、19.5mmol)を分割添加した。反応混合物を2時間かけて室温まで温めて、次いで、70℃まで一夜加熱した。反応混合物を真空濃縮し、TBME(5×30mL)で粉砕し、再度真空濃縮して、オフホワイトの固体として塩化(R)-2-(メトキシカルボニル)モルホリン-4-イウム(Int-13、3.64g、19.0mmol、収率98%、純度95%)を得た。1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 9.76(s,2H),4.56(dd,J=9.9,3.1Hz,1H),4.00(dt,J=12.7,3.3Hz,1H),3.88~3.80(m,1H),3.70(s,3H),3.39~3.30(m,1H),3.13~3.19(m,1H),3.11~3.05(m,1H),3.04~3.96(m,1H)。
【0112】
(R)-4-アセチルモルホリン-2-カルボン酸メチル(Int-14)
0℃においてDCM(18mL)中の塩化(R)-2-(メトキシカルボニル)モルホリン-4-イウム(Int-13、998mg、5.49mmol)およびN-メチルモルホリン(1.69mL、15.4mmol)の溶液に、塩化アセチル(469μL、6.59mmol)を滴下し、反応混合物を一夜で室温まで温めた。反応混合物をろ過し、ろ液を水(20mL)で希釈し、次いで、NaHCO3飽和水溶液(約10mL)の添加によりpH8まで塩基化した。層を分離し、水層をDCM(2×20mL)で更に抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、暗橙色油状物まで濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40gカラム、0~5%DCM中のMeOH)により精製して、褐色油状物として(R)-4-アセチルモルホリン-2-カルボン酸メチル(Int-14、350mg、1.87mmol、収率34%、純度95%)を得た。1H NMRスペクトルは回転異性体を示す。1H NMR(500MHz,25℃,DMSO-d6,回転異性体) δ 4.30(dd,J=7.5,3.4Hz,0.5H),4.20~4.09(m,1H),3.88(dt,J=11.5,3.4Hz,0.5H),3.79~3.70(m,1H),3.68(d,J=14.8Hz,3.5H),3.65~3.56(m,0.5H),3.56~3.46(m,1.5H),3.23(dddd,J=28.2,12.5,8.9,3.5Hz,1H),3.01(dd,J=13.0,8.8Hz,0.5H),2.01(d,J=8.1Hz,3H)。
【0113】
1H NMR(500MHz,90℃,DMSO-d6) δ 4.21~4.18(m,1H),3.87~3.84(m,1H),3.71(s,3H),3.66~3.59(m,1H),3.55(ddd,J=11.6,8.6,3.0Hz,1H),3.29(td,J=10.3,9.6,5.1Hz,1H),3.01~2.99(m,2H),2.01(s,3H)。
【0114】
(R)-4-アセチルモルホリン-2-カルボン酸(Int-15)
0℃に冷却された水(2.5mL)およびTHF(2.5mL)中の(R)-4-アセチルモルホリン-2-カルボン酸メチル(Int-14、350mg、11.87mmol)の溶液に、LiOH(42.5mg、1.78mmol)を分割添加した。反応混合物を3時間撹拌し、次いで、1M HCl(10mL)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、MgSO4で乾燥し、真空濃縮して、褐色油状物(40.0mg)を得た。水相を4:1=CHCl3/IPA(30mL×3)で更に抽出した。有機相を合わせて、MgSO4で乾燥し、真空濃縮して、オフホワイトの固体として(R)-4-アセチルモルホリン-2-カルボン酸(Int-15、202mg、1.10mmol、収率59%、純度95%)を得た。1H NMRスペクトルは回転異性体を示す。1H NMR(500MHz,25℃,DMSO-d6,回転異性体) δ 13.01(br s,1H),4.17(dt,J=10.7,3.3Hz,1H),
3.98(dd,J=9.2,3.4Hz,0.5H),3.88(dt,J=11.5,3.4Hz,0.5H),3.83~3.75(m,0.5H),3.70(dd,J=13.3,3.4Hz,0.5H),3.68~3.61(m,0.5H),3.58(d,J=13.6Hz,0.5H),3.49(qd,J=11.8,11.2,2.8Hz,1.5H),3.27~3.15(m,1H),2.97(dd,J=13.3,9.2Hz,0.5H),2.01(d,J=10.0Hz,3H)。
【0115】
1H NMR(500MHz,90℃,DMSO-d6) δ 4.15~3.93(m,1H),3.93~3.76(m,1H),3.65~3.46(m,2H),3.32~3.17(m,1H),3.13~2.82(m,2H),2.01(s,3H)。CO2Hピークは見られない。
【0116】
実施例1
(S)-5,5,5-トリフルオロ-2-((2S,3S)-2-((S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-((S)-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-メチルペンタンアミド)ペンタン酸
【0117】
【0118】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(Int-16)の合成
Wang樹脂(ローディング:1.0mmol/g、90.0mg、0.09mmol)を、DCM(1mL)中で10分間膨潤し、ろ過し、DCM(3×5mL)で洗浄した。(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(Int-11、177mg、0.450mmo
l)、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物(69.0mg、0.45mmol)、ジイソプロピルメタンジイミン(70.0μL、0.45mmol)、4-メチルモルホリン(49.0μL、0.45mmol)およびN,N-ジメチルピリジン-4-アミン(11.0mg、0.09mmol)およびDCM(5mL)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をろ過し、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。DCM(5mL)、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(Int-11、177mg、0.45mmol)、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物(69.0mg、0.45mmol)、4-メチルモルホリン(49.0μL、0.45mmol)、ジイソプロピルメタンジイミン(69.7μL、0.45mmol)およびN,N-ジメチルピリジン-4-アミン(11.0mg、0.09mmol)を樹脂に添加し、懸濁物を室温において更に12時間優しく撹拌した。混合物をろ過し、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄して、Int-16を得た。この段階では分析を行わず、次工程において樹脂を直接使用した。
【0119】
(S)-2-((2S,3S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルペンタンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸[C末端に結合された樹脂](Int-18)の合成
樹脂に結合された(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(Int-16、90.0mg、0.09mmol)を、DMF(1mL)中で10分間膨潤し、ろ過した。DMF(5mL)中の20%ピペリジンを、膨潤された樹脂に添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。懸濁物をろ過し、DMF(5mL)中の20%ピペリジンを添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。反懸濁物をろ過し、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。得られた固形物を更に精製しないで使用した。
【0120】
DMF/DCM(1:1、3mL)の混合物を添加し、次いで、(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-イソロイシン(Int-17、127mg、0.36mmol)、HATU(137mg、0.36mmol)および4-メチルモルホリン(40.0μL、0.36mmol)を添加した。懸濁物を室温において2時間窒素ガスでかき混ぜ、次いで、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。DMF(3mL)を添加し、次いで、(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-イソロイシン(Int-17、127mg、0.36mmol)、HATU(137mg、0.36mmol)および4-メチルモルホリン(40.0μL、0.36mmol)を添加した。懸濁物を室温において15時間窒素ガスでかき混ぜ、次いで、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄して、Int-18を得た。樹脂のほんの一部を、0.5mLのTFAに添加し、懸濁物を室温で1時間放置した。懸濁物を真空濃縮して、(S)-2-((2S,3S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシカ)カルボニル)アミノ)-3-メチルペンタンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(純度77%)を得て、UPLC(登録商標)により分析した。LCMS(方法1、1.67分;M+H=507.4)。
【0121】
(5S,8S,11S)-5-(4-(tert-ブトキシ)ベンジル)-8-((S)-sec-ブチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9-トリオキソ-11-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-酸(Int-20)の合成
樹脂に結合された(S)-2-((2S,3S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルペンタンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(Int-18、90.0mg、0.09mmol)を、DMF(1mL)中10分間膨潤し、ろ過した。DMF(5mL)中の20%ピペリジンを、膨潤された樹脂に添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。懸濁物をろ過し、DMF(5mL)中の20%ピペリジンを添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。反懸濁物をろ過し、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。得られた固形物を更に精製しないで使用した。
【0122】
DMF/DCM(1:1、3mL)の混合物を添加し、次いで、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(4-(tert-ブトキシ)フェニル)プロパン酸(Int-19、165mg、0.36mmol)、HATU(137mg、0.36mmol)および4-メチルモルホリン(40.0μL、0.36mmol)を添加した。懸濁物を室温において2時間窒素ガスでかき混ぜ、次いで、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。DMF(3mL)を添加し、次いで、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(4-(tert-ブトキシ)フェニル)プロパン酸(Int-19、165mg、0.36mmol)、4-メチルモルホリン(40.0μL、0.36mmol)およびHATU(137mg、0.36mmol)を添加した。懸濁物を室温において16時間窒素ガスでかき混ぜ、次いで、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄して、Int-20を得た。樹脂のほんの一部を、0.5mLのTFAに添加し、懸濁物を室温で1時間放置した。懸濁物をろ過し、真空濃縮して、(5S,8S,11S)-8-((S)-sec-ブチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-5-(4-ヒドロキシベンジル)-3,6,9-トリオキソ-11-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-酸(純度69%)を得て、UPLC(登録商標)により分析した。LCMS(方法1、1.58分;M+H=670.5)。
【0123】
(S)-2-((2S,3S)-2-((S)-3-(4-(tert-ブトキシ)フェニル)-2-((S)-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-メチルペンタンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸[C末端に結合された樹脂](Int-22)の合成
(5S,8S,11S)-5-(4-(tert-ブトキシ)ベンジル)-8-((S)-sec-ブチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9-トリオキソ-11-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-酸(Int-20、90.0mg、0.09mmol)を、DMF(1mL)中に10分間膨潤し、ろ過した。DMF(5mL)中の20%ピペリジンを、膨潤された樹脂に添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。懸濁物をろ過し、DMF(5mL)中の20%ピペリジンを添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。反懸濁物をろ過し、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。得られた固形物を更に精製しないで使用した。
【0124】
DMF/DCM(1:1、3mL)の混合物を添加し、次いで、4-メチルモルホリン(33.0μL、0.30mmol)、HATU(114mg、0.30mmol)および(S)-テトラヒドロフラン-2-カルボン酸(Int-21、29.0μL、0.30mmol)を添加した。懸濁物を室温において2時間窒素ガスでかき混ぜ、次いで、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×
3)で洗浄した。DMF(3mL)を添加し、次いで、4-メチルモルホリン(33.0μL、0.30mmol)、HATU(114mg、0.30mmol)および(S)-テトラヒドロフラン-2-カルボン酸(Int-21、29.0μL、0.30mmol)を添加し、懸濁物を室温において12時間優しく撹拌した。懸濁物をろ過し、DMF(5mL×3)、DCM(5mL×3)、水(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄して、Int-22を得た。この段階では分析を行わず、次工程において樹脂を直接使用した。
【0125】
(S)-5,5,5-トリフルオロ-2-((2S,3S)-2-((S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-((S)-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-メチルペンタンアミド)ペンタン酸(実施例1)の合成
TFA/水(95:5、1mL)の混合物を、樹脂に結合された(S)-2-((2S,3S)-2-((S)-3-(4-(tert-ブトキシ)フェニル)-2-((S)-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-メチルペンタンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタン酸(Int-22、80.0mg、0.08mmol)に添加し、室温で3時間撹拌した。反応混合物をろ過し、樹脂をDCM(20mL×3)で洗浄した。合わせたろ液を真空濃縮し、トルエン(15mL×3)と共に共沸した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、白色固体として(S)-5,5,5-トリフルオロ-2-((2S,3S)-2-((S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-((S)-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-メチルペンタンアミド)ペンタン酸(実施例1、2.70mg、4.90μmol、6.5%、1H NMRにより純度95%)を得た。LCMS 純度95%(方法1,1.11分;M+H=546.7)。1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 12.83(s,1H),9.14(s,1H),8.28(s,1H),7.93(d,J=8.6Hz,1H),7.62(d,J=8.6Hz,1H),6.99~6.88(m,2H),6.66~6.56(m,2H),4.49(td,J=8.8,4.4Hz,1H),4.26~4.23(m,1H),4.18(t,J=8.0Hz,1H),4.13(dd,J=8.1,4.6Hz,1H),3.84(q,J=6.9Hz,1H),3.72(dt,J=8.1,6.5Hz,1H),2.90(dd,J=14.0,4.4Hz,1H),2.76(dd,J=14.0,9.1Hz,1H),2.29(ddd,J=50.1,23.9,9.6Hz,2H),2.07~1.90(m,2H),1.86~1.77(m,1H),1.77~1.64(m,4H),1.52~1.35(m,1H),1.09(dt,J=14.9,7.9Hz,1H),0.94~0.76(m,6H)。
【0126】
【0127】
【0128】
実施例5
(S)-2-((S)-2-((S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-((S)-ピロリジン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸
【0129】
【0130】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5-ジメチルヘキサン酸(中間体24)の合成
Wang樹脂(ローディング:1.0mmol/g、650mg、0.65mmol)を、DCM(30mL)中室温において10分間膨潤し、ろ過した。DCM(30mL)を添加し、次いで、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5-ジメチルヘキサン酸(Int-23、0.25g、0.65mmol)、DIC(0.31mL、2.00mmol)、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物(0.30g、2.0mmol)、4-メチルモルホリン(0.21mL、2.00mmol)およびDMAP(79.0mg、0.65mmol)を添加し、懸濁物を室温で16時間優しく撹拌した。懸濁物をろ過し、DMF(20mL×3)、DCM(20mL×3)、水(20mL×2)、DMF(20mL×2)およびDCM(20mL×2)で洗浄した。DCM/DMF(1:1、30mL)の混合物を添加し、次いで、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5-ジメチルヘキサン酸(Int-23、0.25g、0.65mmol)、DIC(0.31mL、2.00mmol)、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物(0.30g、2.0mmol)、4-メチルモルホリン(0.21mL、2.00mmol)およびDMAP(79.0mg、0.65mmol)を添加した。懸濁物を室温において24時間撹拌し、次いで、ろ過し、DMF(5mL×2)、DCM(5mL×2)、水(5mL×2)、DMF(5mL×2)、DMF(20mL×2)およびDCM(20mL×2)で洗浄して、Int-24を得た。樹脂のほんの一部を、TFA(0.05mL)に添加し、懸濁物を室温で1時間放置した。懸濁物をろ過し、真空濃縮して、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5-ジメチルヘキサン酸(純度100%)
を得て、LCMSにより分析した。LCMS(方法2、1.53分;M+Na=404.1)。
【0131】
(S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸(Int-26)の合成
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5,5-ジメチルヘキサン酸(Int-24、100mg、100μmol)を、DMF(1mL)中10分間膨潤し、次いでろ過した。DMF(5mL)中の20%ピペリジンを、膨潤された樹脂に添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。懸濁物をろ過し、DMF(5mL×2)、DCM(5mL×2)、水(5mL×2)、DCM(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。得られた固形物を更に精製しないで使用した。
【0132】
DCM(2.6mL)およびDMF(0.4mL)を添加し、次いで、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ピリジン-2-イル)プロパン酸(Int-25、155mg、0.40mmol)、HATU(152mg、0.40mmol)および4-メチルモルホリン(44.0μL、0.40mmol)を添加した。反応物を窒素雰囲気下室温において20時間優しく撹拌し、次いで、ろ過し、DMF(5mL×2)、DCM(5mL×2)、水(5mL×2)、DCM(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄して、Int-26を得た。樹脂のほんの一部を、TFA(0.05mL)に添加し、室温で30分間撹拌した。懸濁物をろ過し、DCM(5mL)で洗浄し、合わせたろ液を真空濃縮して、(S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸(純度85%)を得て、LCMSにより分析した。(方法2、1.60分;M+H=530.2)。
【0133】
(5S,8S,11S)-5-(4-(tert-ブトキシ)ベンジル)-11-(3,3-ジメチルブチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9-トリオキソ-8-(ピリジン-2-イルメチル)-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-酸(Int-27)の合成
樹脂に結合された(S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸(Int-26、50.0mg、50.0μmol)を、DMF(1mL)中10分間膨潤し、次いで、ろ過した。DMF(5mL)中の20%ピペリジンを、膨潤された樹脂に添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。懸濁物をろ過し、DMF(5mL×2)、DCM(5mL×2)、水(5mL×2)、DCM(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。得られた固形物を更に精製しないで使用した。
【0134】
DCM(2.6mL)およびDMF(0.4mL)を添加し、次いで、(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(4-(tert-ブトキシ)フェニル)プロパン酸(Int-19、92.0mg、0.20mmol)、HATU(76.0mg、0.20mmol)および4-メチルモルホリン(22.0μL、0.20mmol)を添加した。反応物を窒素雰囲気下室温において3日間優しく撹拌し、次いで、ろ過し、DMF(5mL×2)、DCM(5mL×2)、水(5mL×2)、DCM(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄して、Int-27を得た。樹脂のほんの一部を、TFA(0.05mL)に添加し、室温で30分間撹拌した。懸濁物をDCM(5mL)で希釈し、ろ過し、ろ液を真空濃縮して、(5S,8S,11S)-11-(3,3-ジメチルブチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)
-5-(4-ヒドロキシベンジル)-3,6,9-トリオキソ-8-(ピリジン-2-イルメチル)-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-酸(純度86%)を得て、LCMSにより分析した。LCMS(方法2、1.56分;M+H=693.3)。
【0135】
(S)-2-((S)-2-((S)-3-(4-(tert-ブトキシ)フェニル)-2-((S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸(Int-29)の合成
樹脂に結合された(5S,8S,11S)-5-(4-(tert-ブトキシ)ベンジル)-11-(3,3-ジメチルブチル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,9-トリオキソ-8-(ピリジン-2-イルメチル)-2-オキサ-4,7,10-トリアザドデカン-12-酸(Int-27、50.0mg、0.05mmol)を、DMF(5mL)中10分間膨潤し、次いで、ろ過した。DMF(5mL)中の20%ピペリジンを、膨潤された樹脂に添加し、懸濁物を室温において20分間窒素ガスでかき混ぜた。懸濁物をろ過し、DMF(5mL×2)、DCM(5mL×2)、水(5mL×2)、DCM(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄した。得られた固形物を更に精製しないで使用した。
【0136】
DCM(2.6mL)およびDMF(0.4mL)を添加し、次いで、(tert-ブトキシカルボニル)-L-プロリン(Int-28、43.0mg、0.20mmol)、HATU(76.0mg、0.20mmol)および4-メチルモルホリン(22.0μL、0.20mmol)を添加した。反応物を窒素雰囲気下20時間優しく撹拌した。懸濁物をろ過し、DMF(5mL×2)、DCM(5mL×2)、水(5mL×2)、DCM(5mL×2)およびDMF(5mL×3)で洗浄して、Int-29を得た。この段階では分析を行わず、次工程において樹脂を直接使用した。
【0137】
(S)-2-((S)-2-((S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-((S)-ピロリジン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸(実施例5)の合成
TFA(0.38mL、5.00mmol)を、樹脂に結合された(S)-2-((S)-2-((S)-3-(4-(tert-ブトキシ)フェニル)-2-((S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸(Int-29、50.0mg、50.0μmol)に添加し、室温で3時間撹拌した。懸濁物をろ過し、DCM(5mL×3)で洗浄し、ろ液を真空濃縮し、トルエン(5mL×3)と共に共沸した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、無色固体として(S)-2-((S)-2-((S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-((S)-ピロリジン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)-3-(ピリジン-2-イル)プロパンアミド)-5,5-ジメチルヘキサン酸(実施例5、2.00mg、3.00μmol、収率7.0%、1H NMRにより純度97%)を得た。弱い発色団のためにLCMS純度は確認されなかった。(方法2、1.18分;M+H=568.3)。1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 12.70(s,1H),9.21(s,1H),9.13(s,1H),8.57(d,J=8.5Hz,1H),8.46~8.43(m,2H),8.41~8.38(m,1H),8.36(d,J=8.4Hz,1H),8.30(d,J=7.7Hz,1H),7.29(d,J=5.9Hz,1H),7.01(d,J=8.5Hz,2H),6.64~6.61(m,2H),4.73~4.65(m,1H),4.50~4.43(m,1H),4.21~4.13(m,1H),4.07~4.01(m,1H),3.24~3.10(m,3H),3.07(dd,J=14.0,4.4Hz,1H),2.88(dd,J=14.1,4.0Hz,1H)
,2.82(dd,J=14.0,9.5Hz,1H),2.64~2.54(m,1H),2.26~2.16(m,1H),1.91~1.65(m,3H),1.64~1.54(m,1H),1.27~1.17(m,2H),0.86(s,9H)。
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
生物学的データ
ニューロテンシンシンチレーション近接アッセイ
ニューロテンシン(NTS)シンチレーション近接アッセイ(SPA)で試験された本発明の例示的化合物のデータ。IC50データを下表6に示す。13アミノ酸神経ペプチドであるNTSは、ソルチリンリガンドである。IC50は、NTSとソルチリンとの結合を50%阻害するために必要な化合物の量の尺度である。当業者は、IC50値が低いほど、所望の効果を得るために必要な化合物は少なく、結果として、望ましくないオフターゲット効果の機会は減少すると認識するだろう。
【0158】
化合物親和性を、SPAフォーマットにおいてhソルチリンと結合する[3H]ニューロテンシンの変位を測定することにより決定した。100mM NaCl、2.0mM CaCl2、0.1% BSAおよび0.1% Tween(登録商標)-20を含む50mM HEPES pH7.4アッセイバッファ中、全体積40μl。化合物を室温に
おいて150nMの6his-ソルチリンと30分間プレインキュベーションした後、5nM[3H]ニューロテンシンおよびNiキレートイメージングビーズ(Perkin Elmer)を添加し、6時間後、プレートを360秒の露光時間ViewLuxで読んだ。化合物の用量反応評価を、8濃度の薬物(3桁をカバーする)を用いて行った。IC50値を、CDD Vaultソフトウェアを用いたシグモイド濃度反応(可変傾き)を用いて非線形回帰により算出した。報告された全ての値は、少なくとも2決定の平均である。
【0159】
下表6中のデータは、本明細書に開示されている化合物はソルチリン阻害剤であることを示す。
【0160】
【0161】
【0162】
h-ソルチリンと結合された実施例12の化合物のX線画像
材料および方法
sソルチリン、ソルチリンのルミナルドメインを、前述のように得た(Andersen et al.,Acta Cryst.D,2017)19。結晶化前、50mMトリス-HCl pH8.0、150mM NaCl中の4mg/ml sソルチリン12μlを、それぞれ、16.7mMおよび13.2mMの濃度においてDMSOに溶解された2つの化合物INS1767およびINS1783の1.2μlと混合した。
【0163】
シッティングドロップを、ソルチリンリガンド混合物2μlを、100mM Hepes pH7.3、400mMマロネートpH7.3、8%(体積/体積)グリセロール、22.5%(重量/体積)PEG3350からなるリザーバー溶液2μlに添加することによりセットアップした。シッティングドロップを、リザーバー溶液500μlを用いた蒸気拡散により平衡になるように静置した。
【0164】
結晶を、更なる凍結保護をしないでリソループに取り付け、液体窒素中でフラッシュ冷却した。
【0165】
ビームラインP13 EMBL/DESY(独国ハンブルク)において回折データを収集し、XDSパッケージを用いて処理した(Kabsch,W.,Acta Cryst.D,2010)20(表1)。
【0166】
構造因子の相を、Phenixソフトウェアパッケージに実装された検索モデルおよび
プログラムフェイザーとしてソルチリンの公知の構造(PDBエントリー:3F6K)を用いて分子置換法により得た(Afonine et al.,Acta Cryst.D,2012)
21。改良モデルを、Coot(Emsley P. et al.,Acta Cryst.D,2010)
22およびPhenixを用いた最尤精密化におけるいくつかのモデル構築サイクルにより得た。h-ソルチリンに結合された実施例12の化合物の得られたX線画像を
図1Aおよび1Bに示す。標準的形状を有するモデルの精密化統計値および一致を下表7に示す。
【0167】
【0168】
【0169】
参考文献
1. Tauris,J.,et al., Proneurotrophin-3 May Induce Sortilin-Dependent Death In Inner Ear Neurons.Eur J Neuroscience (2020), 33(4), pp.622-31.
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eceptor complex of p75NTR and sortilin. J Neuroscience (2005), 10(11), pp.1449-1457.
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19. Andersen, K R et al., Introducing site-specific cysteines into nanobodies for mercury labelling allows de novo phasing of their crystal structures. Acta Crystallographia Section. D (2017), 73(1), pp.804-813.
20. Kabsch, W, XDS. Acta Crystallographia Section. D (2010), 66(2), pp.125-132.
21. Afonine, P V et al., Acta Crystallographia Section. D (2012), 68(4), pp.352-367.
22. Emsley, P. et al., Acta Crystallographia Section. D (2010), 66(4), pp.486-501.
【0170】
本明細書の全体を通して参照されるおよび説明の一部を構成する配列
【0171】
配列番号1(完全長ソルチリン-アイソフォーム1)
1 MERPWGAADG LSRWPHGLGL LLLLQLLPPS TLSQDRLDAP PPPAAPLPRW
51 SGPIGVSWGL RAAAAGGAFP RGGRWRRSAP GEDEECGRVR DFVAKLANNT
101 HQHVFDDLRG SVSLSWVGDS TGVILVLTTF HVPLVIMTFG QSKLYRSEDY
151 GKNFKDITDL INNTFIRTEF GMAIGPENSG KVVLTAEVSG GSRGGRIFRS
201 SDFAKNFVQT DLPFHPLTQM MYSPQNSDYL LALSTENGLW VSKNFGGKWE
251 EIHKAVCLAK WGSDNTIFFT TYANGSCKAD LGALELWRTS DLGKSFKTIG
301 VKIYSFGLGG RFLFASVMAD KDTTRRIHVS TDQGDTWSMA QLPSVGQEQF
351 YSILAANDDM VFMHVDEPGD TGFGTIFTSD DRGIVYSKSL DRHLYTTTGG
401 ETDFTNVTSL RGVYITSVLS EDNSIQTMIT FDQGGRWTHL RKPENSECDA
451 TAKNKNECSL HIHASYSISQ KLNVPMAPLS EPNAVGIVIA HGSVGDAISV
501 MVPDVYISDD GGYSWTKMLE GPHYYTILDS GGIIVAIEHS SRPINVIKFS
551 TDEGQCWQTY TFTRDPIYFT GLASEPGARS MNISIWGFTE SFLTSQWVSY
601 TIDFKDILER NCEEKDYTIW LAHSTDPEDY EDGCILGYKE QFLRLRKSSM
651 CQNGRDYVVT KQPSICLCSL EDFLCDFGYY RPENDSKCVE QPELKGHDLE
701 FCLYGREEHL TTNGYRKIPG DKCQGGVNPV REVKDLKKKC TSNFLSPEKQ
751 NSKSNSVPII LAIVGLMLVT VVAGVLIVKK YVCGGRFLVH RYSVLQQHAE
801 ANGVDGVDAL DTASHTNKSG YHDDSDEDLL E
【0172】
配列番号2(完全長ソルチリン-アイソフォーム2)
1 MERPWGAADG LSRWPHGLGL LLLLQLLPPS TLSQDRLDAP PPPAAPLPRW
51 SGPIGVSWGL RAAAAGGAFP RGGRWRRSAP GEDEECGRVR DFVAKLANNT
101 HQHVFDDLRG SVSLSWVGDS TGVILVLTTF HVPLVIMTFG QSKLYRSEDY
151 GKNFKDITDL INNTFIRTEF GMAIGPENSG KVVLTAEVSG GSRGGRIFRS
201 SDFAKNFVQT DLPFHPLTQM MYSPQNSDYL LALSTENGLW VSKNFGGKWE
251 EIHKAVCLAK WGSDNTIFFT TYANGSCTDL GALELWRTSD LGKSFKTIGV
301 KIYSFGLGGR FLFASVMADK DTTRRIHVST DQGDTWSMAQ LPSVGQEQFY
351 SILAANDDMV FMHVDEPGDT GFGTIFTSDD RGIVYSKSLD RHLYTTTGGE
401 TDFTNVTSLR GVYITSVLSE DNSIQTMITF DQGGRWTHLR KPENSECDAT
451 AKNKNECSLH IHASYSISQK LNVPMAPLSE PNAVGIVIAH GSVGDAISVM
501 VPDVYISDDG GYSWTKMLEG PHYYTILDSG GIIVAIEHSS RPINVIKFST
551 DEGQCWQTYT FTRDPIYFTG LASEPGARSM NISIWGFTES FLTSQWVSYT
601 IDFKDILERN CEEKDYTIWL AHSTDPEDYE DGCILGYKEQ FLRLRKSSVC
651 QNGRDYVVTK QPSICLCSLE DFLCDFGYYR PENDSKCVEQ PELKGHDLEF
701 CLYGREEHLT TNGYRKIPGD KCQGGVNPVR EVKDLKKKCT SNFLSPEKQN
751 SKSNSVPIIL AIVGLMLVTV VAGVLIVKKY VCGGRFLVHR YSVLQQHAEA
801 NGVDGVDALD TASHTNKSGY HDDSDEDLLE
【0173】
配列番号3(成熟ソルチリン)
1 MTFGQSKLYR SEDYGKNFKD ITDLINNTFI RTEFGMAIGP ENSGKVVLTA
51 EVSGGSRGGR IFRSSDFAKN FVQTDLPFHP LTQMMYSPQN SDYLLALSTE
101 NGLWVSKNFG GKWEEIHKAV CLAKWGSDNT IFFTTYANGS CTDLGALELW
151 RTSDLGKSFK TIGVKIYSFG LGGRFLFASV MADKDTTRRI HVSTDQGDTW
201 SMAQLPSVGQ EQFYSILAAN DDMVFMHVDE PGDTGFGTIF TSDDRGIVYS
251 KSLDRHLYTT TGGETDFTNV TSLRGVYITS VLSEDNSIQT MITFDQGGRW
301 THLRKPENSE CDATAKNKNE CSLHIHASYS ISQKLNVPMA PLSEPNAVGI
361 VIAHGSVGDA ISVMVPDVYI SDDGGYSWTK MLEGPHYYTI LDSGGIIVAI
401 EHSSRPINVI KFSTDEGQCW QTYTFTRDPI YFTGLASEPG ARSMNISIWG
451 FTESFLTSQW VSYTIDFKDI LERNCEEKDY TIWLAHSTDP EDYEDGCILG
501 YKEQFLRLRK SSVCQNGRDY VVTKQPSICL CSLEDFLCDF GYYRPENDSK
551 CVEQPELKGH DLEFCLYGRE EHLTTNGYRK IPGDKCQGGV NPVREVKDLK
601 KKCTSNFLSP EKQNSKSNSV PIILAIVGLM LVTVVAGVLI VKKYVCGGRF
651 LVHRYSVLQQ HAEANGVDGV DALDTASHTN KSGYHDDSDE DLLE
【配列表】
【国際調査報告】