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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】疾患用の医薬ヒドロニドン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4418 20060101AFI20240415BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240415BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240415BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240415BHJP
【FI】
A61K31/4418
A61P1/16
A61P43/00 105
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507058
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2021088104
(87)【国際公開番号】W WO2022221988
(87)【国際公開日】2022-10-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394550
【氏名又は名称】ジャイア・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GYRE THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,イン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,リン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD25
4C076DD41
4C076DD47
4C076DD67
4C076EE31
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB21
(57)【要約】
肝線維症および/または肝硬変の対象体を処置する方法に関する。本開示は、肝線維症および/または肝硬変の対象体を処置するために使用できるヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を提供する。肝硬度測定値および/またはイシャクスコアは、肝線維症および/または肝硬変の処置のために対象体を特定するのに用いられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、肝線維症の対象体を処置する方法。
【請求項2】
ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、肝硬変の対象体を処置する方法。
【請求項3】
ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、進行したB型肝炎ウイルス感染の対象体を処置する方法。
【請求項4】
ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、NASH線維症の対象体を処置する方法。
【請求項5】
医薬組成物が、1つ以上の医薬的に許容される添加剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの閾値間の肝硬度値を有する対象体を特定することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの閾値間のイシャクスコアを有する対象体を特定することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
肝硬度測定値が少なくとも4kPaである対象体を特定すること、およびヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法。
【請求項9】
肝硬度測定値が、約4kPa~8kPaである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
肝硬度測定値が、8kPaを超える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
肝硬度測定値を、FibroTouchまたはFibroScanデバイスを用いて測定する、請求項6または8に記載の方法。
【請求項12】
イシャク値が約1~6である対象体を特定すること;およびヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法。
【請求項13】
イシャク値が、約1~3である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
イシャク値が、約3~6である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
B型肝炎ウイルスタンパク質を実質的に有しない対象体を特定すること;およびヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法。
【請求項16】
抗ウイルス処置の1つ以上のコースを受けた後に肝炎ウイルスDNA検査が陽性である対象体を特定すること;およびヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法。
【請求項17】
肝炎ウイルスDNAが、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、およびE型肝炎ウイルスより選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
医薬組成物が、約20重量%~約90重量%のヒドロニドンまたはその塩と1つ以上の添加剤を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ヒドロニドンまたはその塩の重量%が、約30%である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
医薬添加剤が、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトースを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
約20重量%~約90重量%のヒドロニドンまたはその塩と1つ以上の医薬的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項22】
ヒドロニドンまたはその塩の重量%が、約25%~約35%である、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
ヒドロニドンまたはその塩の重量%が、約30%である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
1つ以上の医薬的に許容される添加剤が、ラクトース、スクロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、植物セルロース、炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ジベヘン酸グリセリルおよびタルクより選択される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
1つ以上の医薬的に許容される添加剤が、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトースを含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
肝線維症は、罹病率および死亡率の高い、生命を脅かす疾患である。現在、米国ではFDAが承認した肝線維症の処置はなく、世界の多くの地域でより良い処置が必要とされている。
【発明の概要】
【0002】
一態様において、本開示は、ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、肝線維症の対象体を処置する方法を提供する。
【0003】
別の態様において、本開示は、ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、肝硬変の対象体を処置する方法を提供する。
【0004】
別の態様において、本開示は、ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、進行したB型肝炎ウイルス感染の対象体を処置する方法を提供する。
【0005】
別の態様において、本開示は、ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含む、NASH線維症の対象体を処置する方法を提供する。
【0006】
別の態様において、本開示は、肝硬度測定値が少なくとも4kPaである対象体を特定すること、およびヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。
【0007】
別の態様において、本開示は、イシャク(Ishak)値が約1~6である対象体を特定すること;およびヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。
【0008】
別の態様において、本開示は、B型肝炎ウイルスタンパク質を実質的に有しない対象体を特定すること;およびヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は、抗ウイルス処置の1つ以上のコースを受けた後に肝炎ウイルスDNA検査が陽性である対象体を特定すること;およびヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。
【0010】
別の態様において、本開示は、約20重量%~約90重量%のヒドロニドンまたはその塩と1つ以上の医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの例において、ヒドロニドンまたはその塩の重量%は、約25%~約35%である。いくつかの例において、1つ以上の医薬的に許容される添加剤は、ラクトース、スクロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、植物セルロース、炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ジベヘン酸グリセリルおよびタルクより選択される。
【0011】
本開示の更なる態様および利点は、本開示の例示的な実施態様のみが示され説明されている以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになる。理解されるように、本開示は他の異なる実施態様が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて本開示から逸脱することなく、様々な明らかな点で修飾が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものとしてみなされるべきではない。
【0012】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲では、本明細書はそのような矛盾する内容に取って代わることおよび/または優先することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に特に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施態様を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面(本明細書では「図」および「FIG.」とも称される)を参照することにより得られる。
【0014】
図1図1は、様々な薬物群のイシャクスコア分析を示す。
【0015】
図2図2は、群内のイシャクスコア変化の分析を示す。
【0016】
図3図3は、顕著な線維化を有する患者の分析を示す。
【0017】
図4図4は、270mg群と360mg群の組合せ分析を示す。
【0018】
図5図5は、様々な薬物群の組合せを示す。
【0019】
図6図6は、ベースラインHbeAg(+)患者の52週間後のイシャクスコア変化を示す。
【0020】
図7図7は、ベースラインHbeAg(-)患者の52週間後のイシャクスコア変化を示す。
【0021】
図8図8は、肝硬度測定値(LSM)の変化を示す。
【0022】
図9図9は、LSM分析での薬物群の組合せを示す。
【0023】
図10図10は、52週間のエンテカビル治療後のHBV DNA(+)患者の分析を示す。
【0024】
図11図11は、マウスの誘導NASHモデルに対するヒドロニドンの影響を示す。
【0025】
図12図12は、マウスの誘導NASHモデルにおけるヒドロニドンのHE染色を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の様々な実施態様が本明細書で示され、および説明されるが、このような実施態様が例としてのみ提供されるものであることは当業者には明らかである。本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更および置換を当業者は想起し得る。本明細書に記載される本発明の実施態様に対する様々な代替が使用され得ることを理解されるべきである。
【0027】
用語「少なくとも」、「を超える」または「以上」が一連の2つ以上の数値の最初の数値の前にある場合は常に、用語「少なくとも」、「を超える」または「以上」は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、1、2または3以上は、1以上、2以上または3以上と等価である。
【0028】
用語「を超えない」、「最大で」、「未満」または「以下」が一連の2つ以上の数値の最初の数値の前にある場合は常に、用語「を超えない」、「最大で」、「未満」または「以下」は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、3、2または1以下は、3以下、2以下または1以下と同等である。
【0029】
(概要)
肝硬変(Liver cirrhosis)または肝硬変(hepatic cirrhosis)は、長期にわたる損傷により肝臓が適切に機能しない状態である。線維症として知られる瘢痕組織形成は、肝組織修復の過程で形成される。慢性肝損傷とその後の時間の経過による修復からの顕著な線維化の存在は、硬変につながり得る。肝線維症は典型的には、肝臓瘢痕化の最初の段階である。多くの要因が、肝臓の肝線維化、例えば肝臓の恒常性への損傷を引き起こし得るプロセス(例えば、炎症、毒性損傷、肝血流の変化、肝感染(ウイルス、細菌、真菌および寄生虫)など)を引き起こし得る。
【0030】
ヒドロニドンの抗線維化効果は、本明細書に記載の異なる病因の肝線維症のインビボモデルで観察された。ヒドロニドンの抗線維化効果は、いくつかの肝線維症の動物モデル、例えばラットのヒト血清アルブミン(HSA)誘導肝線維症、ラットのジメチルニトロソアミン(DMN)誘導肝線維症、ラットの四塩化炭素(CCl4)誘導肝線維症で評価された。これらの動物モデル全体で、ヒドロニドンは、強力な抗線維化効果を示し、例えば線維症のレベルを著しく低下させ、肝線維症の生化学的および病理学的指標、例えばヒドロキシプロリン含有量、およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルなどの肝酵素のレベルを改善した。マウスのCCl4誘導肝線維症において、1mg/kg/日の用量でもいくらかの効果が示されが、ヒドロニドンの効果は、3~10mg/kg/日の用量で最も顕著であった。いくつかの実施態様において、この用量範囲は、15~50mgのヒト等価用量(HED)範囲に相当する。いくつかの実施態様において、これらの用量は、慢性B型肝炎感染による肝線維症の対象体に投与されるヒトの最大1日用量360mg(120mgを1日3回(TID))より7~24倍低い。ラットでは、モデルに応じて、ヒドロニドンの抗線維化効果は、10~250mg/kg/日の用量範囲で示され、陽性対照として使用された既知の肝保護剤であるシリマリン抽出物と同等かまたはそれ以上に強力あった。これらのラット用量のHEDは、100~2400mgの範囲であり、いずれもヒドロニドンの第I相臨床試験で安全であることが試験されており、100mgの用量は、中国で実施中のヒドロニドンの有効性と安全性に関する第II相臨床試験において、慢性B型肝炎による肝線維症の対象体に投与された、最大1日用量360mgの約3分の1未満である(120mgをTID投与)。
【0031】
(処置方法)
本開示は、肝線維症の対象体を処置する方法を提供する。方法は、ヒドロニドンを、それを必要とする対象体に投与することを含み得る。方法は、ヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を対象体に投与することを含み得る。
【0032】
本開示はまた、肝硬変の対象体を処置する方法を提供する。方法は、ヒドロニドンを、それを必要とする対象体に投与することを含み得る。方法は、ヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を対象体に投与することを含み得る。
【0033】
本開示はまた、NASH線維症の対象体を処置する方法を提供する。方法は、ヒドロニドンまたはその塩を、それを必要とする対象体に投与することを含み得る。方法は、ヒドロニドンまたはその塩と医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物を対象体に投与することを含み得る。
【0034】
本開示はまた、進行したB型肝炎ウイルス感染の対象体を処置する方法を提供する。方法は、ヒドロニドンまたは塩を含む医薬組成物を対象体に投与することを含み得る。
【0035】
本開示はまた、ある肝硬度測定値を有する対象体を特定すること、およびヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物は、本明細書の他の箇所に記載されている通りであり得る。いくつかの例において、肝硬度測定値は、トランジェント・エラストグラフィにより得られる。いくつかの例において、肝硬度測定値は、FibroTouchおよび/またはFibroScanにより得られる。いくつかの例において、肝硬度測定値は、参照基準に対してキャリブレーションされ得る。参照基準は、例えば、肝生検であり得る。肝硬度測定値は、約4~13kPaであり得る。肝硬度測定値は、約4~8kPaであり得る。肝硬度測定値は、約8~13kPaであり得る。肝硬度測定値は、約8~75kPaであり得る。肝硬度測定値は、最大で約13kPaであり得る。肝硬度測定値は、最大で約75kPaであり得る。
【0036】
本開示はまた、あるイシャク値を有する対象体を特定すること、およびヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。ヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物は、本明細書の他の箇所に記載されている通りであり得る。イシャク値は、約1~6であり得る。イシャク値は、1~3であり得る。イシャク値は、3~6であり得る。
【0037】
いくつかの実施態様において、0のイシャクスコアは、線維化がないことを示し得る。いくつかの実施態様において、1のイシャクスコアは、短い線維性隔壁の有無にかかわらず、一部の門脈領域の線維性拡張を示し得る。いくつかの実施態様において、2のイシャクスコアは、短い線維性隔壁の有無にかかわらず、多くの門脈領域の線維性拡張を示し得る。いくつかの実施態様において、3のイシャクスコアは、所々門脈から門脈へのブリッジングを伴う多くの門脈領域の線維性拡張を示し得る。いくつかの実施態様において、4のイシャクスコアは、顕著なブリッジング(例えば、門脈から門脈へおよび門脈から中心へ)を伴う門脈領域の線維性拡張を示し得る。いくつかの実施態様において、5のイシャクスコアが5は、所々結節(例えば、不完全な硬変)を伴う顕著なブリッジング(例えば、門脈から門脈へおよび/または門脈から中心へ)を示し得る。いくつかの実施態様において、6のイシャクスコアは、硬変の可能性が高いかまたは明確であることを示し得る。
【0038】
いくつかの実施態様において、イシャク値は、別のスコアシステムに変換され得る。スコアシステムは、例えばMETAVIRスコア、Knodellスコアなどであり得る。
【0039】
いくつかの実施態様において、対象体を処置する方法は、あるMETAVIRスコアを有する対象体を特定すること、およびヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含み得る。いくつかの例において、F0のMETAVIRは、線維化がないことを示し得る。いくつかの例において、F1のMETAVIRは、隔壁のない門脈線維症を示し得る。いくつかの例において、F2のMETAVIRは、まれに隔壁を伴う門脈線維症を示し得る。いくつかの例において、F3のMETAVIRは、硬変を伴わない多数の隔壁を示し得る。いくつかの例において、F4のMETAVIRは、硬変を示し得る。いくつかの例において、METAVIRスコアは、F0~F4、F1~F4、F2~F4、F3~F4、F1~F3、F1~F2、またはF2~F3であり得る。
【0040】
本開示はまた、B型肝炎ウイルスタンパク質を実質的に有しない対象体を特定すること、およびヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。
【0041】
本開示はまた、抗ウイルス処置の1つ以上のコースを受けた後に肝炎ウイルスDNA検査が陽性である対象体を特定すること;およびヒドロニドンまたはその塩を含む医薬組成物を該対象体に投与することを含む、対象体を処置する方法を提供する。いくつかの例において、肝炎ウイルスDNAは、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、およびE型肝炎ウイルスより選択される。いくつかの例において、肝炎ウイルスDNAは、B型肝炎である。
【0042】
(医薬組成物)
本開示は、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、式(I)
【化1】
式(I)
で示される化合物を含み得る。式(I)で示される化合物は、ヒドロニドンおよび/またはN-(4-ヒドロキシフェニル)-5-メチル-2-ピリドンと称され得る。ヒドロニドンまたは本明細書に記載の医薬組成物は、慢性肝疾患に関連する肝線維症の処置に用いられ得る。ヒドロニドンまたは本明細書に記載の医薬組成物は、慢性肝疾患に関連する肝硬変の処置に用いられ得る。
【0043】
医薬組成物は、ヒドロニドンを含み得る。医薬組成物は、ある重量%のヒドロニドンまたはその塩を含み得る。医薬組成物中のヒドロニドンまたはその塩の重量%は、約10~90%、約10~50%、約10~40%、約10~30%、約20~90%、約20~50%、約20~40%、約20~30%、約30~90%、約30~50%または約30~40%であり得る。医薬組成物中のヒドロニドンの重量%は、少なくとも約20%、約25%、約30%、約35%または約40%であり得る。医薬組成物中のヒドロニドンの重量%は、最大で約40%、35%、30%、25%、または20%であり得る。医薬組成物中のヒドロニドンの重量%は、約30%であり得る。
【0044】
医薬組成物は、ヒドロニドンおよび1つ以上の添加剤を含み得る。1つ以上の添加剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、グルコース、植物セルロース、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ジベヘン酸グリセリルおよびタルクなどが挙げられ得る。1つ以上の添加剤としては、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトースが挙げられ得る。
【0045】
1つ以上の添加剤は、医薬組成物のある重量%であり得る。1つ以上の添加剤は、例えば、ラクトースであり得る。医薬組成物中のラクトースの重量%は、約10~90%、約50~90%、約60~90%、約50~80%、約50~80%、約60~80%、約65~75%、約67~72%または約68~71%であり得る。医薬組成物中のラクトースの重量%は、少なくとも約50%、約60%、約65%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約75%または約80%であり得る。医薬組成物中のラクトースの重量%は、最大で約80%、約75%、約73%、約72%、約71%、約69%、約68%、約67%、約65%、約60%または約50%であり得る。医薬製剤中のラクトースの重量%は、約70%であり得る。
【0046】
1つ以上の添加剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウムであり得る。医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの重量%は、約0.01~2%、約0.1~1.5%、約0.2~1.0%、約0.25~0.5%、約0.15~0.30%、約0.2~0.3%または約0.21~0.29%であり得る。医薬組成物中のステアリン酸マグネシウムの重量%は、少なくとも約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.20%、約0.25%、約0.30%、約0.35%または約0.40%であり得る。医薬組成物中のthe 1つ以上の滑沢剤の重量%は、最大で約0.40%、約0.35%、約0.30%、約0.25%、約0.20%、約0.15%、約0.10%、約0.05%または約0.01%であり得る。
【0047】
医薬組成物は、ヒドロニドン、ラクトースおよびステアリン酸マグネシウムを含み得る。ヒドロニドン、ラクトースおよびマグネシウムの重量%は、それぞれ約30%、69.8%、0.2%であり得る。ヒドロニドン、ラクトースおよびマグネシウムの重量%は、それぞれ約30%、69.7%、0.3%であり得る。
【0048】
特定の実施態様において、治療有効量の化合物またはヒドロニドンの塩いずれか(本明細書で「医薬物質」とも称する)を含む組成物を提供する。
【0049】
医薬組成物は、医薬的に用いられる製剤への医薬物質の加工を容易にする添加剤および助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容される担体を用いて製剤化され得る。適切な製剤は、選択した投与経路に依存する。医薬組成物の概要は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa., Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;および Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins, 1999)で見つけられる。
【0050】
本開示の組成物および方法は、それを必要とする個体を処置するために使用され得る。特定の実施態様において、個体は、ヒトなどの哺乳動物、または非ヒト哺乳動物である。ヒトなどの動物に投与する場合、組成物または医薬物質は、好ましくは、例えば医薬物質および医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物として投与される。医薬的に許容される担体は、当技術分野で周知であり、例えば、水溶液、例えば水または生理学的緩衝食塩水、または他の溶媒またはビヒクル、例えばグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油、または注射可能な有機エステルが挙げられる。好ましい実施態様において、このような医薬組成物がヒト投与のためである場合、特に侵襲的投与経路、例えば上皮バリアを通る輸送または拡散を回避する注射または移植などの経路のため場合、水溶液は、発熱物質を含まないか、または実質的に発熱物質を含まない。添加剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすため、または1つ以上の細胞、組織または器官を選択的に標的化するために選択し得る。医薬組成物は、単位剤形、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、再構成用凍結乾燥物、散剤、液剤、シロップ剤、坐剤、注射剤などであり得る。組成物はまた、経皮送達システム、例えば皮膚パッチに存在し得る。組成物はまた、点眼剤などの局所投与に適した溶液に存在し得る。
【0051】
医薬的に許容される添加剤は、例えば、医薬物質などの化合物の安定化、溶解度の増加または吸収の増加に作用する生理学的に許容される物質を含み得る。このような生理学的に許容される物質は、例えば、グルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定剤または添加剤を含む。生理学的に許容される物質を含む医薬的に許容される添加剤の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。製剤または医薬組成物は、自己乳化型薬物送達システムまたは自己マイクロ乳化型薬物送達システムであり得る。医薬組成物(製剤)はまた、例えば本発明の化合物をその中に組み込むことができる、リポソームまたは他のポリマーマトリックスであり得る。例えば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームは、製造および投与が比較的簡単である、無毒性で、生理学的に許容され、かつ代謝可能な担体である。
【0052】
医薬組成物(製剤)は、例えば、経口、例えば、水性もしくは非水性の溶液または懸濁液のようなドレンチ剤、錠剤、スプリンクルカプセルおよびゼラチンカプセルを含むカプセル剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に塗布するためのペースト剤を含む多くの投与経路のいずれかによって対象体に投与され得る。
【0053】
医薬組成物は、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液またはエマルション、例えばマイクロエマルションであり得る。本明細書に記載の添加剤は例であり、いかなる意味でも限定するものではない。有効量または治療有効量は、所望の治療効果を生じるのに有効である、単回用量または一連の用量の一部として対象体に投与される1つ以上の医薬物質の量を指す。
【0054】
対象体は一般に、処置される状態に適したアッセイおよび方法を用いて治療効果についてモニターされ得て、アッセイは当業者によく知られており、本明細書に記載されている。対象体に投与される医薬物質またはその1つ以上の代謝産物の薬物動態は、生理液、例えば血液、血液分画、例えば血清、および/または尿、および/または対象体からの他の生体試料または生体組織中の医薬物質または代謝産物のレベルを決定することによりモニターされ得る。物質を検出するために当該技術分野で実施され、本明細書に記載されるあらゆる方法が、処置コース中の医薬物質または代謝産物のレベルを測定するために使用され得る。
【0055】
疾患または障害を処置するための本明細書に記載の医薬物質の用量は、対象体の状態、すなわち疾患の段階、疾患によって引き起こされる症状の重症度、一般的な健康状態、ならびに年齢、性別および体重、および医療分野の当業者に明らかな他の要因に依存し得る。医薬組成物は、医療分野の当業者によって決定される、処置される疾患に適切な方法で投与され得る。疾患または障害を処置するための医薬物質の使用に関連する本明細書に記載および上記の要因に加えて、医薬物質の投与の適切な期間および頻度はまた、患者の状態、患者の疾患のタイプおよび重症度、活性成分の特定の形態、および投与方法などの要因によって決定または調整され得る。医薬物質の最適用量は、一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を用いて決定され得る。最適用量は、対象体のボディマス、体重または血液量に依存し得る。効果的な治療を提供するのに十分な最小用量の使用が、通常好ましい。予防効果のために投与される場合を含む、本明細書に記載される医薬物質の前臨床試験および臨床試験の設計および実施は、関連技術分野における当業者の技術の十分に範囲内である。疾患または障害を処置するために2つ以上の医薬物質が投与される場合、各医薬物質の最適用量は、異なり得て、例えばいずれかの医薬物質を単剤療法として単独で投与する場合より少なくなる場合がある。特定の実施態様において、2つの医薬物質の組合せは、相乗的または相加的に作用し得て、いずれかの物質を単独で投与する場合より少ない量で使用し得る。1日あたりに投与され得る医薬物質の量は、例えば、約0.01~100mg/kg、例えば約0.1~1mg/kg、約1~10mg/kg、約10~50mg/kg、約50~100mg/kg体重であり得る。他の実施態様において、1日あたりに投与され得る医薬物質の量は、約0.01~1000mg/kg、約100~500mg/kg、または約500~1000mg/kg体重であり得る。1日当たりまたは処置コース当たりの最適用量は、処置される疾患または障害によって異なり得て、投与経路および治療レジメンによっても変化し得る。
【0056】
医薬物質を含む医薬組成物は、当技術分野で日常的に実施されている技術を用いることにより、送達方法に適した方法で製剤化し得る。組成物は、固体、例えば錠剤、カプセル剤、半固形、例えばゲル剤、液剤、または気体、例えばエアロゾル剤の形態であり得る。
【0057】
医薬的に許容される添加剤は、医薬分野で周知であり、例えばRowe et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients: A Comprehensive Guide to Uses, Properties, and Safety, 5th Ed., 2006, and in Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro, 21st Ed. Mack Pub. Co., Easton, PA (2005))に記載されている。例示的な医薬的に許容される添加剤は、生理学的pHの滅菌生理食塩水およびリン酸緩衝生理食塩水を含む。防腐剤、安定化剤、色素、緩衝剤など等が、医薬組成物中に提供され得る。また、抗酸化剤および懸濁化剤も用いられ得る。一般的に、添加剤の種類は、投与様式および活性成分の化学組成に基づいて選択される。あるいは、本明細書に記載の組成物は、凍結乾燥物として製剤化され得る。本明細書に記載の組成物は、投与時に組成物の医薬物質を可溶化および/または希釈するための1つ以上の適切な添加剤溶液を用いて、凍結乾燥されてもよく、または他の方法で凍結乾燥品として製剤化されてもよい。他の実施態様において、医薬物質は、当技術分野で公知および実施されている技術を用いてリポソーム内に封入され得る。特定の実施態様において、医薬物質は、完全ではないが高度に閉塞した動脈を処置するために用いられるステントに適用するためにリポソーム内に製剤化されない。医薬組成物は、本明細書および当該技術分野で記載される任意の適切な投与方法のために製剤化され得る。
【0058】
例えば経口投与用の医薬組成物は、液体の形態であり得る。液体医薬組成物は、例えば、以下のうちの1つ以上を含み得る:滅菌希釈液、例えば水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒体として機能し得る固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤;酸化防止剤;キレート剤;緩衝液および張度を調整するための物質、例えば塩化ナトリウムまたはブドウ糖。非経腸組成物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与バイアルに封入され得る。生理食塩水の使用が好ましく、注射可能な医薬組成物は好ましくは無菌である。別の実施態様において、眼科的状態または疾患の処置のために、液体医薬組成物は、点眼剤の形態で目に適用され得る。液体医薬組成物は、経口送達され得る。
【0059】
経口製剤の場合、本明細書に記載の医薬物質の少なくとも1つは、単独で、または適切な添加剤と組み合わせて用いて、錠剤、散剤、顆粒剤またはカプセル剤を、所望により、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、着色剤および香味剤と共に、製造し得る。医薬物質は、胃環境の低pHからの化合物の保護および/または腸溶性コーティングを提供するために、緩衝剤と共に製剤化され得る。医薬組成物に含まれる医薬物質は、経口送達のために、香味剤と共に、例えば液体、固形または半固形製剤として、および/または腸溶性コーティングと共に製剤化され得る。
【0060】
本明細書に記載の医薬物質のいずれか1つを含む医薬組成物は、持続放出または徐放性(時限放出または制御放出とも称される)のために製剤化され得る。このような組成物は、一般に、周知の技術を用いて製造され、例えば、経口、直腸、皮内もしくは皮下移植によって、または所望の標的部位への移植によって投与され得る。徐放性製剤は、担体マトリックスに分散した化合物、および/または速度制御膜で囲まれたリザーバー内に含まれる化合物を含み得る。このような製剤内で使用するための添加剤は、生体適合性であり、生分解性であってもよく;好ましくは、製剤は、相対的に一定レベルの活性成分放出を提供する。徐放性製剤中に含まれる医薬物質の量は、移植部位、放出速度および予想される放出時間、および処置または予防される状態、疾患または障害の性質に依存する。
【0061】
ポリマー製剤はまた、制御放出または持続放出を提供するために用いられ得る。当該技術分野で記載される生体接着性ポリマーが、用いられ得る。一例として、徐放性ゲルおよび化合物は、ポリマーマトリックス、例えば疎水性ポリマーマトリックスに組み込まれ得る。ポリマーマトリックスの例としては、微粒子が挙げられる。微粒子は微小球であり得て、コアはポリマーシェルと異なる材料であり得る。あるいは、ポリマーは、薄いスラブまたはフィルム、粉砕または他の標準的な技術によって製造された粉末、またはヒドロゲルなどのゲルとして成形され得る。ポリマーはまた、コーティング、または包帯、ステント、カテーテル、人工血管もしくは医薬物質の送達を容易にするための他の装置の一部の形態であり得る。マトリックスは、溶媒蒸発、噴霧乾燥、溶媒抽出、および当業者に公知の他の方法によって形成し得る。
【0062】
本明細書に記載の1つ以上の医薬物質の単位用量を、通常、経口用量または注射用量で含むキットが提供される。このようなキットは、単位用量を含む容器、疾患の処置における薬物の使用および付随する利点を説明する情報添付文書、および所望により組成物を送達するための器具またはデバイスを含み得る。
【実施例
【0063】
実施例1:ヒドロニドンのインビトロヒト代謝フェーズ1
【0064】
ヒドロニドンのインビトロフェーズ1代謝を、ヒト肝臓ミクロソームをヒドロニドンと60分間インキュベートすることにより評価した。アッセイの感度を、ヒト肝臓ミクロソームをデキストロメトルファン(陽性対照)と20分間インキュベートし、代謝産物のデキストロメトルファンと3-メトキシモルフィナンを生成させることにより実証した。ヒドロニドンをヒト肝臓ミクロソーム反応系で60分間インキュベートした後、代謝産物の形成は観察されず、これは、ヒドロニドンがM2代謝産物を生成する代謝反応にCYP450が介在しないことを示している。
【0065】
実施例2:ヒドロニドンのインビトロヒト代謝フェーズ2
【0066】
ヒドロニドンをヒト肝臓ミクロソーム反応系で30分間インキュベートした後、M4代謝産物の生成が検出され、これは、ヒドロニドンがM4を生成する代謝反応にウリジン5'-ジホスホ-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ、UGT)が介在することを示している。
【0067】
実施例3:ヒドロニドンのインビトロヒト代謝とCYP450の相互作用
【0068】
インビトロ試験は、ヒドロニドンがヒトシトクロムP450(CYP450)の阻害剤であるかを調べた。様々なヒドロニドン濃度の影響を、関連する酵素の影響下で生成されるCYP1A2、2C9、2C19、2D6および3A4の代謝基質の蛍光強度により決定した。それぞれのIC50値を、ヒドロニドンによる阻害が観察された場合計算した。公知のCYP450阻害剤を陽性対照として用いて、アッセイの感度を実証した。結果は、ヒトCYP1A2酵素(IC50値>100μM対2.59μMのIC50値を有する陽性対照フラフィリン)、CYP2C9酵素(IC50値>100μM、0.49μMのIC50を有する陽性対照スルファフェナゾール)、CYP2C19酵素(IC50値>100μM、4.9μMのIC50を有する陽性対照トラニルシプロミン)、CYP2D6酵素(IC50値>100μM、0.01μMのIC50を有する陽性対照キニジン)、およびCYP3A4酵素(IC50値>100μM対0.027μMのIC50値を有する陽性対照ケトコナゾール)に対するヒドロニドンの有意なインビトロ阻害活性は示さなかった。ヒドロニドンにはヒトCYP450との顕著な相互作用がないと結論付けられる。
【0069】
実施例4:ヒドロニドンのインビトロヒト代謝における薬物動態学的薬物間相互作用
【0070】
中国における慢性B型肝炎感染の適応に関連する2つの抗ウイルス薬、エンテカビルおよびラミブジンとの薬物相互作用に対するヒドロニドンの潜在能力を、ヒト肝臓ミクロソームを用いてインビトロで評価した。エンテカビルは、中国で実施中の慢性B型肝炎感染による肝線維症を対象とした安全性および有効性の第II相試験において、ヒドロニドンと併用される。エンテカビルおよびラミブジンを、インビトロ薬物相互作用実験において、ヒドロニドンと併用して、または個別に、それぞれ1.5mMの濃度で用いた。薬物相互作用試験で得られた結果は、a)肝代謝はヒドロニドンの主要な代謝経路ではないこと、b)個別投薬群と併用投薬群の間で残存薬物濃度に有意差は認められなかったため(P>0.05)、エンテカビルとラミブジンはヒドロニドンと薬物相互作用を示さないことを示した。
【0071】
実施例5:ヒドロニドンの第I相臨床薬理試験の概要
【表1】
【0072】
実施例6:ヒドロニドンの単回および複数回用量の二重盲検プラセボ対照入院患者試験
【0073】
この試験の主要目的は、健常な被験者におけるヒドロニドンの単回および複数回の漸増用量の忍容性を評価して、更なる第I相試験を裏付けるとともに、第II相臨床試験における投与レジメンに関する裏付け情報を提供することであった。
【0074】
これは、すべての組入れおよび除外基準を満たす18~45歳の健常な中国人男性と女性被験者における、ヒドロニドンの単回および複数回漸増用量の無作為化二重盲検プラセボ対照入院患者試験であった。ヒドロニドン100mgおよび200mgカプセル剤用量強度を試験で用いた。すべての群で、被験者をヒドロニドンまたはプラセボに3:1の比で無作為に割り当てた。
【0075】
試験の単回用量構成要素には、それぞれ100mg、200mg、400mg、600mgおよび800mgのヒドロニドンを投与された30名の被験者が含まれていた(6名の被験者/群)。投与後の観察は、投与の24時間後に実施した。すべての被験者が、試験を完了した。ヒドロニドンは、試験したすべての用量で安全で忍容性良好であった。死亡または重篤な有害事象(SAE)は試験中に報告されなかった。試験物質の投与後に軽度の一過性めまいが、800mgのヒドロニドンおよびプラセボ群のそれぞれにおいて1名の被験者で報告された。めまいは、後遺症なく自然に解消した。ヒドロニドン群およびプラセボ群の両方で、一部の臨床検査パラメーターの投与後の値が異常であった。しかしながら、これらの変化は臨床的に有意ではないと考えられた。
【0076】
試験の複数回用量構成要素には、600mg(8名の被験者)を1日当たり3回(TID)(1800mgの合計1日用量)、または800mgのヒドロニドン(12名の被験者)をTID(2400mgの合計1日用量)、連続10日間投与されるように割り当てた20名の被験者が含まれていた。ヒドロニドン600mg TID用量群で観察された高トリグリセリド血症のAEが数例認められたため(8名のうち4名の被験者)、ヒドロニドンTID 800mg用量群の被験者(n=8)を、それぞれ4名の被験者を含む2つのサブ群に分けた。段階的登録アプローチを適用した:第1サブ群でSAEが観察されなかった場合、その後第2サブ分の被験者の登録は、同じ用量のヒドロニドン800mg TIDで進めることができた。第1サブ群でSAEが観察された場合、治験責任者がさらに分析を行い、第2サブ群の用量レベルを決定した。ヒドロニドン800mg TID用量群の第1サブ群(全4名の被験者)において最終試験来院時に血糖検査が不注意で省略されたため、治験責任者の決定により、新規の4名の被験者を含むように登録を延長し、この用量群の合計被験者数を12に増加させた。安全性評価を、投与前、投与5日目、および10日間の投与期間の最後の投与の24時間後に実施した。
【0077】
試験のこのパートで死亡またはSAEは報告されなかった。600mg TID群の被験者すべてが、試験を完了した。800mg TID群において、異常な肝機能パラメーターによる治験責任者の認識したリスクに基づいて6日目に試験を早期に中止した1名の被験者を除いて、すべての被験者が試験を完了した。この被験者をヒドロニドン処置に割り当てた。600mg TID群において、7件のAEが報告された:高トリグリセリド血症が3件、胸部圧迫感、腹部膨満、皮膚発疹、口内炎が各1件であった。プラセボ群において、発疹が1件、高脂血症が1件報告された。この群の3名の被験者(被験者番号1、2、および6)における脂質パラメーターの増加(トリグリセリド血症)は、臨床的に有意であると判断され;トリグリセリドレベルの増加は、何ら処置なしで1週間後に正常値に戻った。800mg TID群およびプラセボ群において、それぞれ14件および5件のAEが報告された。800mgヒドロニドン群において、有害事象には、肝機能障害および高脂血症が各3件、頭痛、めまい、便秘、腹部膨満、悪心、胸やけ、皮膚発疹、好酸球増加が各1件含まれた。プラセボ群において、有害事象には、高脂血症が2件、下痢が2件、肝機能異常が1件含まれた。
【0078】
低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-CHOL)の値は、800mg TIDヒドロニドン用量群およびプラセボのそれぞれの2名の被験者において正常値の上限(ULN)よりわずかに高かった。これらの増加は臨床的に有意ではないと考えられ、試験薬による処置を中止すると正常値に戻った。800mg TIDヒドロニドン用量群の被験者における肝機能異常のAEには、中等度ではあるが臨床的に有意に肝パラメーターが上昇した2例が含まれた。この群の1名の被験者において、投与5日目のALT値とAST値は、それぞれ79U/Lと47U/Lであった。試験6日目の繰り返し検査時に、ALT値とAST値は、それぞれ101U/Lと61U/Lであり、胸やけ、発疹、頭痛、その他の症状を伴った。肝酵素の漸増により、被験者の健康に対するリスクを認識したため、治験責任者は被験者を終了させた。被験者を翌週モニターした。トランスアミナーゼは、治験薬の中止後1週間以内に、処置なしで自然に投与前の正常値に戻った。このAEはSAEの基準を満たしていたが、被験者に特別な処置が処方されなかったため、治験責任者によってSAEではなく重要な有害事象として分類された。
【0079】
要約すると、600mg TID(1800mgの合計1日用量)または800mg TID(2400mgの合計1日用量)でのヒドロニドンの10日間投与に関連する最も一般的なAEは、高脂血症(トリグリセリド血症)および肝トランスアミナーゼの増加であった。これらのAEは一過性であり、処置なしで解消した。ヒドロニドン群およびプラセボ群の両方で観察されたため、これらのAEが特にヒドロニドン処置に関連しているかは不明である。
【0080】
実施例7:単回漸増経口用量のPK試験
【0081】
これは、健常なボランティアにおけるヒドロニドンの単回漸増経口用量の無作為化非盲検4期間クロスオーバーPK試験であった。
【0082】
200mg、400mg、600mgおよび800mgのヒドロニドンの漸増単回経口用量を、12名の適格な健常な男性中国人被験者(26~38歳で、すべての組入れおよび除外基準を満たし、1群当たり3名の被験者である4群に無作為に分けた)に、絶食条件下で投与した。ウィリアムズ設計に従って、各群の被験者を、4つの異なる用量にて4期間でヒドロニドンにより処置した。PK血液サンプルを、0(投与前)、投与後10分、20分、30分、40分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間および24時間、および48時間にて採取した。被験者はまた、PK尿サンプルを0(投与前)、投与後5時間、12時間および24時間にて提供した。PKサンプルの採取終了後に更なる24時間のウォッシュアウト期間があり、最初と次の用量レベルの投与の間に合計48時間あった。血液および尿サンプルを、ヒドロニドンおよびその代謝産物(M3)の血漿および尿濃度を決定するために分析した。
【0083】
【表2】
【0084】
48時間の間に尿を介して排泄された未変化の薬物の量は、82.25±40.95mg、183.75±142.14mg、218.93±182.73mgおよび234.72±210.50mgであった。ヒドロニドンの尿中割合は、0.634±0.57%、0.479±0.22%、0.476±0.2%、0.403±0.25%であり、これは、経口投与されたヒドロニドンの大部分が尿から未変化で排出されないことを示している。尿を介して排泄されたM3の割合は、29.47%、32.94%、26.14%および21.04%であり、これは、ヒドロニドンが変換され、その後代謝産物の形態で尿を介して排泄されることを示している。
【0085】
200mg、400mg、600mgおよび800mgのヒドロニドンの単回経口用量の投与では、中国人健常な被験者に、安全で忍容性良好であり、有害事象またはSAEは報告されなかった。
【0086】
実施例8:単回経口用量の安全性、忍容性およびPKに対する食事の影響に関するクロスオーバーPK試験
【0087】
これは、健常な中国人被験者におけるヒドロニドンの単回経口用量の安全性、忍容性およびPKに対する食事の影響に関する無作為化非盲検2期間クロスオーバーPK試験であった。食事有りまたは無しでヒドロニドンのM3およびM4代謝産物のPKパラメーターもまた決定した。
【0088】
12名の健常な中国人被験者が登録され、投与され、この入院試験に参加した。無作為に2つの群/期間に割り当て、絶食または摂食(高脂肪)条件下でヒドロニドンの単回経口600mg(3×200mg)用量を投与された。各処置期間内で、PK血液サンプルを0(投与前)、投与後10分、20分、30分、40分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間および24時間、および48時間にて採取した。この試験における2期間の間のウォッシュアウト期間は48時間であった。
【0089】
PKの結果は、ヒドロニドンの単回600mg用量の経口投与後、食物(高脂肪食)の存在は、ヒドロニドンとその主要代謝産物M3およびM4の吸収速度を遅くし、それらのCmax値を低下させたが、影響を受けていないAUC値で示される曝露量に変化がなかったことを示した。したがって、AUCの結果に基づいて、食物の摂取は、ヒドロニドンとその主要な代謝産物であるM3およびM4の曝露レベルに影響を及ぼさないことが示された。ヒドロニドンは、安全で忍容性良好であり、有害事象またはSAEは報告されなかった。
【0090】
実施例9:複数回漸増経口用量の非盲検並行群間PK試験
【0091】
これは、健常な中国人被験者におけるヒドロニドンの複数回漸増経口用量に関する無作為化非盲検並行群間PK試験であった。
【0092】
この試験において、200mg、400mgおよび600mg TIDのヒドロニドンの漸増経口用量を、3群(9名の被験者/群)に分けた27名の健常な被験者(男性15名、女性12名)に連続4日間投与した。これは入院試験であった。ヒドロニドンを絶食条件下で投与した。血液および尿のサンプルをPK評価のために採取した。PK評価を、単回投与(第1の投与後)および複数回投与時に実施した。身体検査、ECG、血液学、血清生化学、尿検査を含む標準的な安全性評価もまた実施した。
【0093】
PKの結果は、ヒドロニドンは急速に吸収され、Tmaxは約1時間であったことを示した。単回投与では、投与後36時間にて、親薬物と主要代謝産物の両方が検出されなかった。ヒト血漿中のヒドロニドンおよび代謝産物の高濃度から低濃度への曝露レベルは、ヒドロニドン-M4>ヒドロニドン-M3>ヒドロニドン-M2の順であった。単回ヒドロニドン投与後、尿中のそのままの薬物ならびにM2、M3およびM4代謝物の総回収率は、それぞれ82.7%、85.5%および84.0%であった。単回および複数回の投与レジメンから得られたPKの結果は、ヒドロニドンの明らかな蓄積を示さなかった。男性被験者は、投与された用量レベル全体にわたって女性被験者と比較して曝露が低かった。曝露は、用量と共に増加したが、変動が大きいため厳密な用量比例はなかった。
【0094】
27名の被験者すべてが、試験を完了した。ヒドロニドンは、この試験において200~600mg TIDの単回用量範囲内で安全で忍容性良好であった。この試験で死亡またはSAEは報告されなかった。200mg TID複数回用量群の2名の被験者と400mg TID複数回用量群の5名の被験者から7件の有害事象が報告された。試験のこのパートで報告されたAEには、めまい、白血球減少症および腹痛が各1件、腹部膨満および下痢が各2件含まれた。すべてのAEは、おそらくヒドロニドン処置に関連していると考えられた。AEの重症度は、軽度で、すべて自然に回復した。AEを有した被験者すべてが、試験を完了した。
【0095】
実施例10:単回用量、7日間および4週間の複数回経口用量の安全性、忍容性およびPKの非盲検試験
【0096】
これは、単回用量、7日間および4週間の複数回経口用量の安全性、忍容性およびPKの無作為化非盲検試験であった。
【0097】
この試験を3つのパートで実施した。第1パートにおいて、15mg、30mg、60mg、90mgおよび120mg/日のヒドロニドンの単回漸増用量を、フィボナッチエスカレーション法(改変フィボナッチ法)に従って、それぞれ6、8、8、6、6名の健常な被験者に投与した。各用量群の被験者の年齢、身長、体重、BMI、性別構成比はベースラインで同等であった。有害な経験はどの用量レベルでも報告されなかったため、ヒドロニドンの最も高い2つの単回用量レベルの90mgおよび120mgを、試験の第2パート用に選択し、それぞれ6名の被験者に連続7日間TID投与した。したがって、これら2つの用量群におけるヒドロニドンの合計1日用量は、それぞれ270mgおよび360mgであった。すべての被験者は、早期中止することなく7日間の投与レジメンを完了した。各群の被験者のバイタルサイン、ECGおよび臨床検査結果に臨床的に顕著な異常な変化は見られなかった。試験の第3パートにおいて、6名の被験者にヒドロニドンを60mg TIDの1日用量(180mgの合計1日用量)で連続4週間経口投与した。すべての被験者は、早期中止することなく7日間の投与レジメンを完了した。各群の被験者のバイタルサイン、ECGおよび臨床検査結果に臨床的に顕著な異常な変化は見られなかった。
【0098】
PK評価を、試験の各パートで実施した。試験の単回パートでは、PKパラメーターには食品の影響評価も含まれた。
【0099】
試験の単回用量パート(パートI)において、絶食状態で30、60および120mgのヒドロニドンの単回用量を経口投与された36名の健常な被験者から得られたヒドロニドンの主要薬物動態パラメーターは、Tmaxが(0.60±0.49)であった。
【0100】
15~120mgの範囲のヒドロニドンの単回用量は、試験のすべての被験者に対して安全で忍容性良好であった。すべての被験者が、すべての試験手順および観察を完了した。死亡、SAEまたはAEは試験を通して生じず、投与後に被験者の自覚症状および身体検査に異常な変化は観察されなかった。ベースライン時および異なる用量群間で比較して、いずれの時点においても、投与後のバイタルサインに異常はなかった(p>0.05)。3名の被験者は、投与後のT-BILおよびD-BIL値の増加を経験し、そのうち2名は30mg用量群、1名は120mg用量群であった。再検査では、これらの値は正常範囲内であった。治験責任者はこれらの増加はいずれも、臨床的に顕著であるとみなさなかった。
【0101】
90mg TID(270mg/日)および120mg TID(360mg/日)での連続7日間のヒドロニドン投与は、試験のすべての被験者に対して安全で忍容性良好であった。早期中止はなく、すべての被験者が試験を完了した。死亡、SAEまたはAEは試験を通して生じず、投与後に被験者の自覚症状および身体検査に異常な変化は観察されなかった。いずれの用量群においても、バイタルサイン、臨床検査パラメーターおよびECGパラメーターに臨床的に顕著な異常な変化は見られなかった(p>0.05)。
【0102】
60mg TID(180mg/日)での連続4週間のヒドロニドン投与は、試験のすべての被験者に対して安全で忍容性良好であった。早期中止はなく、すべての被験者が試験を完了した。死亡またはSAEは報告されなかった。
【0103】
AEに関して、試験の忍容性のパートにおいて報告されたAEはなく;ヒドロニドンの60mg TIDの複数回用量を投与したPK群において投与後30分および1.0時間に2名の女性被験者(被験者12名中)で生じた軽度の一過性めまいが2件のみあった。これらのAEは、処置なしで1~1.5時間以内に解消した。
【0104】
いずれの用量群においても、バイタルサインおよびECGパラメーターに臨床的に顕著な異常な変化は見られなかった(p>0.05)。臨床検査パラメーターの観察された変動を、臨床的に顕著ではないと治験責任者はみなした。いずれの用量レベルでもQTc間隔の異常な延長はなかった。
【0105】
結論として、ヒドロニドンは、15mgから120mgまでの単回経口用量の範囲で安全で忍容性良好であった。ヒドロニドンの最大許容単回経口用量は、120mgであった。ヒドロニドンはまた、120mg TIDとして連続7日間投与したとき、360mg/日まで安全で忍容性良好であった。ヒドロニドンは、健常な被験者に60mg TIDとして連続4週間投与したとき、180mg/日の用量で安全で忍容性良好であった。単回および複数回の投与レジメン後のヒドロニドンの同等の用量レベルでの主要なPKパラメーターのPK分析によって示されるとおり、体内に薬物の蓄積はなかった。
【0106】
実施例11:ヒドロニドンの第II相臨床薬理試験
【0107】
これは、慢性B型肝炎による肝線維症の中国人被験者に連続52週間投与したときの、ヒドロニドンの有効性および安全性に関する第II相無作為化二重盲検プラセボ対照エンテカビルベース処置多施設用量範囲であった。
【0108】
この試験の主要目的は、慢性B型肝炎感染による肝線維症の中国人被験者に抗ウイルス薬エンテカビルと併用して連続52週間投与したときのヒドロニドンの有効用量を調査し、安全性を評価することである。この試験の第2目的は、慢性B型肝炎感染による肝線維症の中国人被験者に抗ウイルス薬エンテカビルと併用して投与したときの、肝炎症および肝機能の改善に対するヒドロニドンの効果を評価することである。
【0109】
約240名の適格な被験者(用量群当たり約60名の被験者)を試験に登録し、連続52日間、30mg、60mgまたは120mg TID(それぞれ180mg、270mgおよび360mgの合計1日用量)のヒドロニドン経口用量またはプラセボで、0.5mgの1日用量でのエンテカビルによる基本的な抗ウイルス処置と併用して、毎日処置することが計画される。並行して、12名の被験者の群をPKについて評価する。
【0110】
実施例12:薬物群のイシャクスコア分析(主要評価項目)
【0111】
図1に示すとおり、治療の52週間後に、ヒドロニドンは、イシャクスコア≧1を著しく低下させることができた。270mgの群が、最良と考えられる。
【0112】
実施例13:群内のイシャクスコア変化の分析
【0113】
図2に示すとおり、治療の52週間後に、すべての薬物群が、イシャクスコア≧1の統計的有意な低下を示した。プラセボ群は、イシャクスコア≧1の統計的低下は示さなかった。
【0114】
実施例14:顕著な線維化を有す患者の分析
【0115】
図3に示すとおり、イシャクスコアの改善は、主要評価項目分析の結果と一致する。270mg群が、最良の用量群であると考えられる。
【0116】
実施例15:270mg群と360mg群の組合せ分析
【0117】
図4に示すとおり、ヒドロニドンは、顕著な線維化および硬変の患者における線維症を改善できる。
【0118】
実施例16:すべての薬物群の組合せ分析
【0119】
図5に示すとおり、ヒドロニドンは、顕著な線維化および硬変の患者における線維症を改善できる。
【0120】
実施例17:ベースラインHbeAg(+)患者の52週間後のイシャクスコア変化
【0121】
図6に示すとおり、ヒドロニドンは、用量群を組み合わせるとき、統計的に有意な変化を示した。
【0122】
実施例18:ベースラインHbeAg(-)患者の52週間後のイシャクスコア変化
【0123】
図7に示すとおり、ヒドロニドンは、用量群を組み合わせるとき、統計的に有意な変化を示した。HbeAg(-)患者での改善は、HbeAg(+)患者でのものより良好であると考えられる。
【0124】
実施例19:肝硬度測定値(LSM)の変化
【0125】
図8に示すとおり、治療の52週間後に、すべての薬物群が、LSM(kPa)の低下を示した(群内でP<0.01)。
【0126】
実施例20:LSM分析での薬物群の組合せ
【0127】
図9に示すとおり、進行した線維症(イシャク≧4)において、LSMスコアは、統計的有意性を示した。
【0128】
実施例21:52週間のエンテカビル治療後のHBV DNA+患者の分析
【0129】
図10に示すとおり、すべての患者(イシャク>3)は、ヒドロニドン治療に反応した。
【0130】
実施例22:マウスの(CCl4+HFD)誘導NASHモデルに対するヒドロニドンの影響
【0131】
図11に示すとおり、様々な試験を実施し、様々な用量でのヒドロニドンの使用を示した。合計HASHスコアは、15mg/kg(mpk)および50mpkの用量でより低かった。
【0132】
実施例23:ヒドロニドンを用いたHE染色
【0133】
図12に示すとおり、様々な用量でのヒドロニドンを用いて、HE染色による影響を示した。ヒドロニドンは、CCl4および西洋食(WD)誘導NASHに対する保護効果を有する。15mpkおよび50mpkのヒドロニドンは、CCl4およびWE誘導線維症ならびに細胞膨張を著しく抑制した。ヒドロニドンは、ピルフェニドンより強力である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】