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特表2024-517510ナノ材料生産のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ナノ材料生産のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/00 20060101AFI20240415BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20240415BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20240415BHJP
【FI】
C01G53/00 A
B82Y40/00
B82Y30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507065
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 FI2021050282
(87)【国際公開番号】W WO2022223866
(87)【国際公開日】2022-10-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523392453
【氏名又は名称】フォータム バッテリー リサイクリング オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨケニエミ、ヨルマ
(72)【発明者】
【氏名】カルーネン、トミ
(72)【発明者】
【氏名】ラハデ、アンナ
【テーマコード(参考)】
4G048
【Fターム(参考)】
4G048AA03
4G048AB01
4G048AC06
4G048AD03
4G048AE05
(57)【要約】
本発明はナノ材料及び熱の複合生産のための方法に関する。方法は少なくとも1種の前駆体材料及び燃料を熱及びナノ粒子の生成のための燃焼装置11に供給することにより、前駆体材料を充分な温度で燃焼させて分解し酸化することを含む。燃料及び前駆体材料の燃焼で生成した熱が少なくとも1つの熱交換器12を用いることにより回収される。燃焼した燃料は冷却され、燃焼で酸化物の形態で生成したナノ粒子が収集される。ナノ材料及び熱の複合生産のための本発明のシステムは、燃焼装置11、少なくとも1種の前駆体材料、燃料及び酸化剤を燃焼のために燃焼装置に供給するための手段、燃焼装置11からの熱を回収し、燃焼した燃料を冷却するための熱交換器12、並びに前駆体材料の燃焼から酸化物の形態のナノ材料を収集するための手段13を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ材料及び熱の複合生産のための方法であって、
a)少なくとも1種の前駆体材料及び燃料を熱及びナノ粒子の生成のための燃焼装置(11)に供給することにより、前記前駆体材料を充分な温度で燃焼させて分解し酸化するステップと、
b)前記燃料及び前記前駆体材料の燃焼で生成した熱を少なくとも1つの熱交換器(12)を用いて回収するステップと、
c)前記燃焼した燃料を冷却するステップと、
d)前記燃焼で生成した酸化物の形態で生成した前記ナノ粒子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)に先立って、前記少なくとも1種の前駆体材料を前記燃焼装置(11)に供給する前にそれらを1つ又は複数の別々の容器(4、7)又はミキサーで前記燃料に溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前駆体材料及び液体燃料の混合物の小さい液滴への分散のために圧縮空気を前記燃焼装置(11)に供給する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記燃焼装置(11)に供給される前記前駆体材料の溶液に硝酸銀(AgNO)を溶解する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の前駆体材料及び燃料を別々に前記燃焼装置(11)に供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記燃料が液体燃料であり、前記少なくとも1種の前駆体材料が前記前駆体材料の溶液の液滴の形態で噴霧することにより供給される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記燃料が気体状であり、前記少なくとも1種の前駆体材料が前記前駆体材料の溶液の液滴の形態又は固体粒子としてガスに懸濁した形態で供給される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の前駆体材料がリチウム(Li)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、リン(P)、銀(Ag)、ケイ素(Si)、炭素(C)、ニオブ(Nb)、亜鉛(Zn)、及び硫黄(S)の硫酸塩、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、及び水酸化物、並びにチタンテトライソプロポキシド(TTIP)から選択される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記燃料がエタノール、メタノール、プロパノール、天然ガス、液化天然ガス、LNG、又は水素、アセチレン、メタン、又はプロパンである、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体材料の前記酸化が空気、空気より多くの酸素を含有するガス、又は純粋な酸素ガス(O)のような酸化剤を前記燃焼装置(11)に供給することにより行なわれる、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記前駆体材料の前記燃焼から酸化物の形態で生成する前記ナノ粒子がリチウムチタン酸化物、LiTiO又はLiTi12、LTO)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNiMnCo、Li-NMC)、リン酸リチウム鉄(LiFePO、LFP)、リチウムマンガン酸化物(LMO、LiMn、LiMnO、LiMnO、及び/又はLiMnO、及び/又はいろいろな複合材料、(LMO)からなる、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
LiTi12を形成するための前駆体供給物に4:5のリチウム/チタンの化学量論比が使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
30~50nmのサイズのLiTi12のナノサイズのLTO物品が、場合により、LTO粒子の表面上の1~3nmのサイズのAgナノ粒子と共に生成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
使用する燃焼温度が1000~2500℃のように前記前駆体材料の分解及び反応を引き起こすのに充分である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
不完全燃焼によって炭素の層が前記ナノ粒子上に提供される、請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記回収された熱の少なくとも一部が他の工業プロセス又はビルの暖房に利用される、請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記回収された熱の少なくとも一部が電気に、好ましくは蒸気発生器によって変換される、請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
a)燃焼装置(11)と、
b)少なくとも1種の前駆体材料、燃料及び酸化剤を燃焼のために前記燃焼装置に供給するための手段と、
c)前記燃焼装置(11)からの熱を回収し、燃焼した燃料を冷却するための熱交換器(12)と、
d)前記前駆体材料の前記燃焼から酸化物の形態のナノ材料を収集するための手段(13)と
を含むナノ材料及び熱の複合生産のためのシステム。
【請求項19】
前記燃焼装置(11)が工業用熱プラントであり、熱が生成し、他の工業プロセス又はビルの暖房に利用される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記燃焼装置(11)が工業用パワープラントであり、熱及び電気が生成する、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記工業用パワープラントが熱併給発電CHPプラントである、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記燃焼装置(11)が液体燃料のためのバーナー(8)を含む、請求項18から21までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記燃焼装置(11)がリングバーナー(8’)のような気体状燃料のためのバーナー(8)を含み、幾つかの個々のバーナーヘッドがリングを形成する、請求項18から21までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記ナノ材料を収集するための前記手段(13)がバッグフィルター(13)又は電気集塵機又は他のろ過装置又はサイクロン又はスクラバーである、請求項18から23までのいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ粒子(nanoparticle)生産のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ材料及び/又はナノ粒子は大きさが1~100ナノメートルであり、例えば材料の製造、エネルギー及びエレクトロニクスのような広範囲の用途に使用される。殆どの用途は正確に規定された狭い範囲の粒子径を必要とする(単分散)。
【0003】
粉末、コーティング、分散系又は複合材料の形態の様々なナノ粒子を生産するためには特定の合成プロセスが使用される。かかる大きさに依存する粒子特徴を得る際には明確な生産及び反応条件が極めて重大である。
【0004】
「トップダウン」及び「ボトムアップ」プロセスと呼ばれることが多い2つの基本的な方策がナノ粒子を生産するのに使用される。ここで用語「トップダウン」はミル加工プロセスを用いる原材料の機械的粉砕を意味する。「ボトムアップ」方策では、構造が化学的プロセスによって組み立てられる。それぞれのプロセスの選択は化学組成及びナノ粒子に対して規定された所望の特徴に依存する。
【0005】
ボトムアップ法は原子又は分子からより複雑な構造を生成し、大きさ、形状及びサイズ範囲をより良好に制御するための分子又は原子の自己組織化の物理化学原理に基づいている。それは、エアロゾルプロセス、沈降反応及びゾルゲルプロセスともいわれる気相プロセスを含む。
【0006】
気相プロセス、即ちエアロゾルプロセスは粉末又はフィルム形態のナノ材料を生産するための最も一般的な工業規模の科学技術の1つである。かかるエアロゾル科学技術には小さい粒子が気相で生産される方法を包含する。この科学技術では、ナノ粒子は粒子を気相環境で形成することにより大きさと組成の両方を調整する。
【0007】
ナノ粒子は化学的又は物理的手段を用いて生成物材料の蒸気を生成させることにより気相から作り出される。液体又は固体状態であることができる最初のナノ粒子の生産は一様な核生成によって起こる。
【0008】
プロセスに応じて、更なる粒子成長は凝縮(気体状から液体凝集状態への遷移)、粒子表面での化学反応及び/又は凝結プロセス(2つ以上の粒子の接着)、並びに合体プロセス(粒子融合)を含む。更なる粒子成長プロセスの実例にはフラーレン及びカーボンナノチューブのような生成物を産出する火炎、プラズマ、レーザー及び高温壁反応器内のプロセスがある。
【0009】
火炎反応器で、ナノ粒子は、例えばエタノール又は水素の比較的高温の火炎内で元の分子の分解により形成される。火炎反応器は今日例えば、例えばすす、顔料-二酸化チタン及び二酸化ケイ素粒子の工業規模の生産のために使用される。
【0010】
金属酸化物ナノ粒子はリチウムイオン電池の先進のアノード及びカソードを含めて多くの用途を有する。
【0011】
それらの製造のための方法を提示する先行技術は、例えば米国特許出願第2013/0045158A1号、米国特許第6,902,745号、米国特許出願第20130273430号、及び米国特許第6,475,673B1号に開示されている。
【0012】
Ting-Feng Yi、Shuang-Yuan Yang及びYing Xieによる論文は「Recent advances of LiTi12 as a promising next generation anode material for high power lithium-ion batteries」を提示している。論文「Effect of Fuel Rate and Annealing Process of LiFePO Cathode Material for Li-ion Batteries synthetized by Flame Spray Pyrolysis MethodはAbdul Halim、W.Widiyastuti、Heru Setyawan、Siti Machmudah、Tantular Nurtono、及びSugeng Winardiにより発表されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願第2013/0045158A1号
【特許文献2】米国特許第6,902,745号
【特許文献3】米国特許出願第20130273430号
【特許文献4】米国特許第6,475,673B1号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Ting-Feng Yi、Shuang-Yuan Yang及びYing Xieによる論文「Recent advances of Li4Ti5O12 as a promising next generation anode material for high power lithium-ion batteries」
【非特許文献2】論文「Effect of Fuel Rate and Annealing Process of LiFePO4 Cathode Material for Li-ion Batteries synthetized by Flame Spray Pyrolysis Method、Abdul Halim、W.Widiyastuti、Heru Setyawan、Siti Machmudah、Tantular Nurtono、及びSugeng Winardiにより発表
【発明の概要】
【0015】
ナノ材料及び熱の複合生産のための本発明の方法は、少なくとも1種の前駆体材料及び燃料を熱及びナノ粒子の生成のための燃焼装置に供給することにより、前駆体材料を充分な温度で燃焼させて分解し酸化するステップと、燃料及び前駆体材料の燃焼で生成した熱を少なくとも1つの熱交換器を用いて回収するステップと、燃焼した燃料を冷却するステップと、燃焼で生成した酸化物の形態で生成したナノ粒子を収集するステップとを含む。
【0016】
ナノ材料及び熱の複合生産のための本発明のシステムは、燃焼装置、少なくとも1種の前駆体材料、燃料及び酸化剤を燃焼のために燃焼装置に供給するための手段、燃焼装置から熱を回収し、燃焼した燃料を冷却するための熱交換器、及び前駆体材料の燃焼から酸化物の形態のナノ材料を収集するための手段を含む。
【0017】
本発明の好ましい実施例は従属請求項の特徴を有する。
【0018】
燃焼プロセス
したがって、本発明のナノ材料生産は、動力(power)及び熱又は熱のみを生成するパワープラント(power plant)で気体状又は液体燃料の燃焼により起こる。熱及び動力は本発明のプロセスにおいて慣習的方法で燃焼装置内、好ましくはパワープラント又は熱プラント(heat plant)で熱交換器により生成する。
【0019】
燃焼(burning)に対する科学用語である燃焼(combustion)は、燃料と呼ばれる物質が酸素と迅速に反応し、エネルギー移動を通して熱を発する化学的プロセスである。燃焼反応の生成物は酸化物であり、酸素源は酸化剤といわれる。
【0020】
燃焼中一般に、新しい化学物質が燃料及び酸化剤から作り出される。これらの物質は排ガスと呼ばれる。従来のパワープラントである燃焼装置内の殆どの排ガスは燃料及び酸素の化学結合に由来する。排ガスの温度は燃焼中排ガスに移される熱のために高い。したがって、燃焼プロセス中、燃料及び酸化剤が排気生成物に変わるにつれて熱が発生する。
【0021】
重要な条件は、前駆体溶液が小さい液滴にならなければならず、その後蒸発/前駆体分解、燃焼、核生成/凝縮、凝集、凝塊、及び粉末収集が起こるということである。
【0022】
調製される最終生成物、例えばLTO材料に有利な特性を達成するために炭素を方法に使用することができる。不完全燃焼の結果Liイオン電池の機能性を改良する炭素の層がナノ粒子上に得られる。
【0023】
要約すると、燃焼が起こるには3つのものが存在しなければならない。即ち:燃焼すべき燃料、酸素源、及び熱源である。燃焼プロセスを開始し、継続するには熱源の充分な発火温度が必要である。燃焼の結果として、排ガスが作り出され、熱が放出される。燃焼プロセスは利用可能な燃料の量、利用可能な酸素の量、又は熱源により制御することができる。
【0024】
燃焼装置
燃焼装置は発熱及び熱伝達に一般に使用される。燃焼装置の熱出力は大きく変化することができる。
【0025】
本文中で、使用される燃焼装置は熱のみの発生及び伝達のためのあらゆる種類の装置並びに熱及び電気の両方の発生のためのあらゆる種類の装置を含めて意味する。
【0026】
本発明で使用される燃焼装置は殊に熱及び電力(若しくは電気)の発生のための発電所ともいわれる工業用パワープラント又は熱のみの発生のための工業用熱プラントである。
【0027】
例えば、熱を直接電気エネルギーに変換するのに蒸気タービンを使用することができる。
【0028】
本発明で使用される1つの有用なパワープラントは、電気を生成し、他の場合には浪費される熱を捕獲して、空間の加熱、冷却、家庭の温水及びいろいろな工業プロセスに使用することができる蒸気又は温水のように有用な熱エネルギーを提供する熱併給発電(CHP:Combined Heat and Power)プラントである。熱併給発電(CHP)生産は最も効率の良い燃料によるエネルギー生産である。
【0029】
最も伝統的なパワープラントは燃料を燃焼することによりエネルギーを熱として放出させる。熱併給発電による生産においては燃料のエネルギー含量が回収され、燃料のエネルギーの電気に変換することができない部分は熱として回収される。
【0030】
世界中の殆どの発電所は石炭、石油、及び天然ガスのような化石燃料を燃やして電気及び熱を発生させる。クリーンなエネルギー源には原子力、及び使用が増大している再生可能なエネルギー、例えば太陽光発電、風力、波、地熱、及び水力発電がある。バイオマスを燃焼させる熱併給発電プラントは環境的に有害な化石燃料又は一時的な再生可能なエネルギーの代替手段を提供する。
【0031】
熱及び動力の両方を生成するパワープラントは通常蒸気過熱に基づいており、そこではボイラーの形態の熱回収蒸気発生器が燃焼又は他の排ガス流のような高温のガス流から熱を回収するエネルギー回収熱交換器として動作する。それは、プロセスに使用するか又は蒸気タービンを駆動するのに使用することができる蒸気を生成する。
【0032】
プロセスが凝縮蒸気タービンで動力のみを生産するのであれば、蒸気タービンからの熱交換器は冷却水を使用して蒸気を水に凝縮する。蒸気が工業プロセスで必要であれば、抽出タービンが使用される。熱併給発電プラントにおいて、プラント設備で生成した廃熱は個々のビルの熱需要を補うために工業プロセスで利用されるか又は地方の加熱システムに輸出される。
【0033】
燃焼装置はボイラー内にバーナーを含む。ボイラーのバーナーはボイラー内で調節された方法でガス又は液体燃料を燃焼させる。したがってバーナーは燃焼装置の一部であって、普通火炎又は熱が生成するボイラー炉又はストーブのような燃料燃焼又は熱生成装置の形態の部分である。
【0034】
使用される燃焼温度は前駆体材料の分解を引き起こすのに充分でなければならず、前駆体材料、燃料、これらの量及びその他の反応条件、例えば流量に応じて変化することができる。
【0035】
前駆体材料
本発明の幾つかの実施例において、前記少なくとも1種の前駆体材料は、燃焼装置に供給する前にこれらを1つ又は複数の別々の容器内で混合し、燃料に溶解する。その場合、金属前駆体材料は、エタノール又はメタノールのような液体燃料に溶解し、燃焼装置で直接燃焼して熱及び動力並びにナノ材料を生成する。
【0036】
他の実施例において、前記少なくとも1種の前駆体材料及び燃料は別々に燃焼装置に供給し、前記少なくとも1種の前駆体材料は前駆体材料の水溶液の液滴の形態で噴霧することにより供給される。この場合前駆体材料は別々に固体粒子又は液体の液滴として水素又はメタン火炎のようなガスバーナー火炎に注入することができ、そこで前駆体材料は高温で分解し、火炎が冷却するときナノ粒子を形成する。
【0037】
適切な金属前駆体の実例はリチウム(Li)、チタン(Titanum)(Ti)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、リン(Phosporus)(P)、銀(Ag)、ケイ素(Si)、炭素(C)、ニオブ(Nb)、亜鉛(Zn)、及び硫黄(S)の硫酸塩、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、及び水酸化物である。更に、チタンテトライソプロポキシド(TTIP:Titanium tetraisopropoxide)はチタン金属酸化物ナノ粒子に有用な有機金属前駆体である。TiClは低い蒸発温度の気体状前駆体の実例である。
【0038】
典型的なLiイオン電池カソード(LTO、NMC、LMO、又はLFPベースの電池中)及びアノード(LTOベースの電池中)前駆体はLi及び他の元素を無機形態として含有する。これは有機金属前駆体よりずっと安価であるからである。リチウム及び他の金属は通例硝酸塩、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、塩化物等の形態である。然し、塩化物はボイラー内でのその腐食性の作用のために好ましくない。
【0039】
ナノ粒子生産の方法で使用される前駆体及び燃料は殊に安全性及びコストも考慮して反応性及び溶解性に関してナノ粒子及びエネルギー生産の両方に適するように選択される。
【0040】
ナノ粒子製品
本発明における初歩的な目標は、電池電極で使用されるいろいろなリチウム酸化物のような金属酸化物であるナノ粒子を生産することである。生産するべき金属酸化物ナノ粒子の実例は、
リチウムイオン電池用のアノード材料をLiTi12から生産するため、及びリチウムイオン電池用のカソード材料LiTiOを生産するためのチタン酸リチウム(リチウムチタン酸化物(Lithium-Titanium oxide)、LiTiO、又はLiTi12、LTO)はある種のリチウムイオン電池のカソードに水性バインダー及び導電剤(conducting agent)と共に使用することができる。リチウム-チタン酸塩-酸化物(LTO)電池は再充電可能な電池の1つのタイプである。
LiTi12の形成は前駆体中のリチウムとチタンとのモル比に敏感である。好ましくは、Li/Tiの化学量論比(4:5)を使用するべきである。過剰のリチウム又はチタンは結果としてそれぞれルチル(TiO)又は秩序化LiTiOの第2の相の出現をもたらす。反応は高温、即ち>800Cで短い時間に完了する。
- リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物。これらは一般式LiNiMnCo(例えばLiNiMnCoO、Li-NMC、LNMC、NMC、又はNCMと略記される)を有する。これらはリチウムイオン電池用のカソード材料を生産するための混合金属酸化物である。
- リン酸リチウム鉄電池用のカソード材料を生産するためのリン酸リチウム鉄(フェロリン酸リチウム(lithium ferrophosphate)LiFePO、LFP)
- リチウムイオンマンガン酸化物電池(LMO)用のカソード材料を生産するためのリチウムマンガン酸化物(Lithium Manganese Oxide)(LMO、化学式例えばLiMn、LiMnO、LiMnO、及びLiMnO及びいろいろな複合材料)
通常、全てのこれらの他の酸化物に対する化学量論的金属比、例えばNi/Mn/Co比6/2/2のNMC622などを使用するべきである。NMCの幾つかのいろいろなレベルのニッケルが商業的に興味深い。3つの金属間の比は3つの数により示される。LiNi0.6Mn0.2Co0.2はNMC622と略記される。
【0041】
殊に、本発明で生産されるナノ材料はリチウムイオン電池、殊にリチウム-チタン酸塩-酸化物(LTO)電池に使用されることが意図される。
【0042】
燃料
燃料は固体、液体、又は気体であることができるが、この発明の燃料は通常液体又は気体である。適切な液体燃料の実例はエタノール、メタノール、プロパノール、又は最終生成物の品質に影響を及ぼす不純物を含有しないあらゆるアルコールで、その中に前駆体材料を溶かすことができるものである。適切な気体状燃料の実例は水素若しくはメタン又は天然ガス、液化天然ガス(LNG:liquefied natural gas)、アセチレン及びプロパンのような他の気体状燃料である。
【0043】
液体燃料を使用するとき、金属酸化物前駆体はその燃料に溶解するものであることができる。気体状燃料の場合、前駆体は高温の火炎中で分解し反応して(react)金属酸化物ナノ粒子になる固体粒子又は液体液滴からなることができる。燃焼温度は反応時間及び速度、材料の装置内遅延(delay)、及び材料自体のようないろいろな要因に依存し、必要とされる温度は通常1000℃~2500℃内である。
【0044】
酸化剤
同様に酸化剤は固体、液体、又は気体であることができ、好ましくはこの発明において空気、又は酸素が富化されたガス若しくは空気、又は純粋な酸素ガスOである。
【0045】
ナノ材料収集
生産されるナノ粒子は凝集粒子(agglomerate)、即ち大きさ(size of size)1~50nmで互いにくっついて凝集粒子になった小さい一次粒子の形態のナノ材料の形態である(好ましくは焼結されてない、その場合は凝集体(aggregate)と呼ばれる。
【0046】
生産したナノ粒子は、熱が回収され、煙道ガスが煙道ガスクリーニングシステムに適した温度(好ましくは200℃未満)に冷却される熱交換器の後電気集塵機(ESP:electrostatic precipitator)又はバッグフィルターのような通常のパワープラント煙道ガスクリーニングシステムにより粉末として収集される。また、他のろ過装置又はサイクロン又はスクラバーも収集に使用することができる。
【0047】
利点
イノベーションは複合大規模ナノ材料生成及びエネルギー生産のための科学技術である。方法において、ナノ粒子は、前駆体材料が含侵した燃料が主に連続的なプロセスで燃焼する燃焼プロセスで生産される。プロセスで、熱交換器は現存の熱及びパワープラントと同様にエネルギー生産のためのヒートシンクとして使用される。
【0048】
従来、パワープラントでエネルギー即ち熱及び電力を生産するために液体燃料が使用される場合、通例使用される液体化石燃料は重油及び軽質燃料油である。これらの燃料は化石燃料に基づいており、高いカーボンフットプリントを有し、硫黄及び金属のような不純物を含有する。したがって、これらの燃料は非常に高純度の物質の生産に適さない。これに対して、バイオエタノール及びメタノールは低いカーボンフットプリントを有し、有害な不純物を含有しないので、高純度のナノ材料生産に適している。
【0049】
本発明において、考えられる燃料は好ましくは、バイオマス原材料から生成したエタノール又はメタノール及び例えば風力エネルギーにより生成したグリーン水素のような再生可能な低いカーボンフットプリント源である。一般に、グリーン水素は化石燃料の代わりに再生可能なエネルギーを用いて作り出される水素燃料である。それは製造、輸送等のためのクリーンパワーを提供する可能性を有しており、しかもその唯一の副産物又は排ガスは水である。
【0050】
LTO粒子の従来の生産は、Liイオン電池のアノード又はカソード材料としてのそれらの用途として最終生成物の品質、有用性及び特性に焦点を当てた合成方法を含む。
【0051】
本発明の方法は革新的であり、その利点としてかなりの熱回収の利用が達成される。本発明の方法はナノ粒子並びに従来の電力及び熱プラントの一部であるエネルギーの生産を工業的規模で同時に行なう。このように、大量のナノ粒子を生産することができる。
【0052】
本発明の更なる局面及び利点は、使用される熱交換が、熱を提供すると同時に排ガスも冷却し、その後普通パワープラントで使用される従来のフィルターバッグ及び静電フィルターでナノ粒子を収集することができるということである。実際問題として従来のフィルターバッグ及び静電フィルターは非常に高い温度に耐えないので、排ガスはこれらの前に既に冷却される。典型的なナノ粒子生産において、排ガスは空気で冷却される。
【0053】
本発明に関して、従来のパワープラント及び燃料、例えば再生可能なグリーン燃料を利用することにより、大量のナノ材料が生産される(1000~100000t/y又はプラントの大きさに応じてそれ以上)。
【0054】
以下、本発明が制限されることのない2つの実施例によって本発明を詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】熱及び金属酸化物ナノ粒子を生産する本発明の第1の実施例の概略図である。
図2】熱及び金属酸化物ナノ粒子を生産する本発明の第2の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は熱及び金属酸化物ナノ粒子を生産する本発明の第1の実施例の概略図である。
【0057】
全体として、点線で囲った参照番号1は、場合により別々の空間又は容器に入れることができる、本発明のナノ粒子生産部分に必要な前駆体材料の投入を表し、一方同様に点線で囲った参照番号2は、場合により別の分離した空間又は容器内にあることができる本発明の発熱部分に必要な入力を表す。
【0058】
図1の実施例において液体のエタノールからなる燃料は燃料タンク3からミキサーを有するバッファータンク4に供給される。
【0059】
この実施例において固体の硝酸リチウム(LiNO)であると仮定される前駆体材料は(LiNO)粉末保管場所5からバッファータンク4に供給されてエタノールに溶かされ、固体の沈殿のない安定な溶液を形成する。
【0060】
次いで液体のチタンテトライソプロポキシド(TTIP)前駆体が、バーナー8に入る直前にエタノール及び硝酸リチウム溶液と混合される。この理由で、最初にエタノール及び硝酸リチウム溶液を別のミキサー付きタンク7に供給した後チタンテトライソプロポキシド(TTIP)前駆体を保管場所6から前記ミキサー付きタンク7に加えるのが実際的であり、このタンクは例えばスタティックパイプミキサー又はミキサー付きタンクであることができる。バーナーの作動については、全ての前駆体が完全に溶解し、溶液中に留まり、沈殿が形成されないことが重要である。
【0061】
本発明の他の実施例では1種のみの前駆体材料を使用してもよく、それによりタンク及びミキサー7が必要ないか又は1種より多くの前駆体材料を同じバッファータンク4に供給してもよい。
【0062】
更に、AgNOを前駆体溶液に溶かし、LiNO及びTTIPと共にバーナーに供給して、生産される電池のLTOナノ材料の性能を高めることができる。
【0063】
また、AgNOはTTIPを加える前に加えることもでき、それによりLiNOがエタノールに加えられる同じバッファータンク内でエタノール中に混合することができる。
【0064】
次いでエタノール-LiNO-TTIP溶液はバーナー8を有する燃焼装置に供給され、そこでエタノール-LiNO-TTIP前駆体材料が燃焼させられる。
【0065】
着火ガスによってバーナー8でもたらされる火炎温度は通例ほぼ2000℃、通常1800~2100℃であり、酸化雰囲気内でLiNO及びTTIPの分解並びに金属Li及びTiの形成を引き起こす。次いでLi、Ti及び酸素が反応してLiTi12(LTO)を形成する。LiTi12の形成は前駆体中のリチウムとチタンとのモル比に敏感である。例えば、Li/Tiの化学量論比、即ち4:5を使用することができよう。硬い(firmed)LiTi12はLiイオン電池のアノード材料として直接使用することができる。
【0066】
リチウムイオン電池用のカソード材料LiTiOを生産するための別のリチウムチタン酸化物LiTiOLTO)は供給される前駆体溶液のLi/ti比を変えることにより形成することができる。
【0067】
酸化雰囲気は空気を例えば送風機9で供給することにより達成され、こうして前駆体材料及びエタノールを酸化して熱を生成する。空気の代わりに、空気より多くの酸素を含有するガスを、純粋な酸素ガスOさえ使用することができる。熱は大部分が燃料の燃焼の結果であるが一部は前駆体材料の化学反応及び分解による。この場合LiNOの分解/反応は熱を消費し、TTIPの分解/反応は熱を生成する。
【0068】
バーナー8では、圧縮空気10を使用してエタノール燃料-(Li、Ti)前駆体混合物を小さい液滴(霧、好ましくは100μm未満の液滴)に分散させる。空気の一部は通常前駆体材料の酸化反応により消費される。バーナーは液体燃料バーナーであり、それによって空気及び燃料/前駆体液滴の混合物が点火されて高温で燃焼して前駆体をLi/Ti酸化物に分解し、エタノール燃料はCO及びHOを形成する。
【0069】
燃焼装置内にはバーナー8と連結してボイラー11があり、ボイラー11は燃料及び前駆体混合物が燃焼させられる炉からなり、更にボイラー11は熱を燃焼生成物から伝達するために熱表面(図には示してない)からなり、熱は、熱を回収し、燃焼の結果生じた煙道ガスを冷却するために使用される熱交換器12により回収される。
【0070】
この実例においては、熱のみが生成するが、本発明はまた、例えば蒸気過熱によって熱及び動力の両方を生成するパワープラントと連結して使用することもでき、そこでは熱回収蒸気発生器がボイラーとして、即ち燃焼の結果である高温のガス流から熱を回収するエネルギー回収熱交換器として動作し、蒸気タービンを駆動するのに使用することができるか又は工業プロセスでプロセス蒸気として使用される蒸気を生成する。
【0071】
このように、この実施例では、通例熱を生成するのに使用される加熱プラントが、単にその前駆体をエタノールに溶かすことによりLTOナノ材料を生産するように拡張された。今や、熱並びにLTOナノ粒子の両方がこのパワープラントで生産されて熱生成に対して付加価値を与える。
【0072】
高い充放電速度でのLiイオン電池のLTOの高い電気化学的性能のためには、短い電子及びイオン伝導路を達成するためにナノサイズ、好ましくは30~50nmの大きさのLTO一次粒子からなるのが重要である。LTO粒子(30~50nm)の表面の1~3nmの大きさのAgナノ粒子はLTO粒子の電子及びイオン伝導性を更に高め、これがLiイオン電池のLTOナノ材料の性能を改良する。
【0073】
生産したLTOナノ粒子は、燃料ガス浄化のためにパワープラントで通例使用される通常のバッグハウスフィルターのようなろ過装置13によりろ過され、LTO容器14に収集される。浄化した排ガスはスタック15を通して空気中に出される。
【0074】
また、静電フィルターを使用することもできよう。ろ過装置の前に位置する熱交換器のおかげで、排ガスは冷却されているので、ナノ粒子の収集が可能になる。
【0075】
これは本発明の、先行技術と比較して独創的で有利な部分であり、先行技術ではパワープラント内の排ガスは例えば空気により冷却され、フィルターバッグは極めて大量のガスに対する寸法をもたなければならないためその価格が数倍高い。
【0076】
このように、本発明で使用する熱交換器は2つの機能を有する。熱回収に加えて、排ガスを煙道ガスクリーニングシステムに適した温度(好ましくは200℃未満)に冷却する。
【0077】
図2は熱及び金属酸化物ナノ粒子を生産する本発明の第2の実施例の構造図である。
【0078】
この実例において使用される燃料は水素(H)ガスであり、保管場所3’から導かれて、例えば幾つかの個々のバーナーヘッドがリングを形成するリングバーナー8’により燃焼される。然しながら、いかなるガスバーナーも、燃料ガス、ここでは水素を周囲の空気又は供給された酸素のような酸化剤と混合し、発火及び燃焼を可能にすることにより調節された火炎を生成するのに使用することができよう。
【0079】
例えばLiSO、NiSO、MnSO、及びCoSOのようないろいろな金属の無機硫酸塩の水溶液の液滴を保管場所5’(図では区別されてない)からバーナーリングの中央に噴霧する。LiSOの代わりに、又はそれに加えて、有用なLi-前駆体はLiNOである。液滴の大きさは10~100マイクロメートル程度であることができる。
【0080】
酸化雰囲気は保管場所9からの燃焼空気と共に水素ガスを供給することにより達成され、こうして前駆体材料及び水素を酸化して熱を生成する。
【0081】
(a)無機の金属前駆体は着火ガスによって達成されたバーナーの火炎中で完全に分解し、次いで反応し、金属、即ちLi、Ni、Mn、及びCoのいろいろな酸化物からなる所望のLi-Ni-Mn-Co-O最終生成物を形成する。それらは一般式LiNiMnCo(例えばLiNiMnCoO、Li-NMC、LNMC、NMC、又はNCMと略記される)を有する。金属の割合は水溶液前駆体中の濃度を変えることにより変化することができる。
【0082】
(b)粒子形成の温度プロフィールは燃料対前駆体の供給速度比を変更することにより変化することができる。したがって、無機の金属前駆体が気化しないが液滴相内で反応して所望の最終LiNiMnCo生成物を形成する条件を達成することが可能である。金属の割合は水溶液前駆体中の濃度を変えることにより変化することができる。この場合最終生成物はより大きい粒子からなる。
【0083】
図1の実施例と同様、燃焼装置内にはバーナー8’と連結してボイラー11があり、ボイラー11は燃料及び前駆体混合物が燃焼させられる炉からなり、更にボイラー11は熱を燃焼生成物から伝達するために熱表面(図には示してない)からなり、熱は、熱を回収し、燃焼の結果生じた煙道ガスを冷却するために使用される熱交換器12により回収される。
【0084】
生産したLi-NMC粒子は、煙道ガス浄化のためにパワープラントで通例使用される通常のバッグハウスフィルター13により集められ、Li-NMC容器14に収集される。浄化した排ガスはスタック15を通して空気中に出される。
【0085】
図1の実施例と同様ここでも熱のみが生成するが電気を生成することもできよう。
【0086】
このように、この実施例では、加熱プラントは、単にその前駆体を水に溶解し、その溶液を、通例金属前駆体なしに熱を生成するのに使用されるガスの火炎中に噴霧することにより、Li-NMC材料を生産するように拡張された。今や、熱及びLi-NMC粒子の両方がこのパワープラントで生産されて熱生成に対して付加価値を与える。
【0087】
「実例1」
図1に従ったプロセスで、例えば10MW(燃料動力)プラントに、リチウム及びチタン前駆体を化学量論比(液体燃料(例えばエタノール)中の2モル/リットル以下の溶液で供給して、LTOナノ材料を生成することができる。
【0088】
51kg/hのLiNO、280l/hのTTIP及び1400l/hのエタノールの溶液を燃焼させて71kg/hのLTOナノ材料を生成させた。AgNOを前駆体に加えることにより粒子の銀ドーピングを達成した。
【0089】
透過型電子顕微鏡(TEM)及びBrunauer-Emmett-Teller(BET)により測定して20nmの一次粒子径のLTO材料を実験室規模のバーナーで生成させた。生成したナノ粒子の比表面積SSAは87m/gであり、銀(Ag)濃度は誘導結合質量分析計(ICP-MS)により1wt%と測定された。
【0090】
「実例2」
図2に従ったプロセスで、例えば10MW(燃料動力)ガス燃焼パワーにおいて2モル/リットル以下のLi、Ni、Mn及びCo前駆体の水溶液を小さい液滴(液滴サイズ100um未満)として噴霧してNMC liイオン電池カソード材料プラントを生成することができる。
【0091】
その結果、59kg/hのLiNO、79kg/hのNiSO、26kg/hのMnSO及び27kg/hのCoSOの水溶液を供給して83kg/hのNMC622材料を生成する。
【0092】
「実例3」
伝統的な軽質燃料油バーナー(LFO:Light Fuel Oil burner)バーナーでチタン酸リチウム(LTO)の生産を試験した。市販のLFOバーナーを製造業者の推奨に従ってエタノールバーナーに変えた。
【0093】
1,3l/hのエタノール中49g/hのLi-硝酸塩及び260ml/hのTi-テトライソプロポキシドの燃料混合物を改変LFOバーナーで燃焼させて83g/hのLTO粉末を生成させた。
【0094】
走査型電子顕微鏡法(SEM:Scanning Electron Microscopy)及びエネルギー分散型X線分光法(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いて集めた粉末試料の形態学及び化学組成を分析し、有機炭素及び元素状炭素(OC/EC)分析器で元素状炭素(すす)及び有機炭素含量を決定し、またX線粉末回折(XRD:X-ray powder diffraction)によりLTO結晶相を分析した。
【0095】
収集効率60%で生成速度は0,5g/hと計算された。
【0096】
これから分かるように、幾らかの粒子は熱交換器及び煙道ガスラインで失われた。生成物の全炭素含量は1.24%で、そのうちの有機炭素含量は1.07%であり、すすは0.15%であった。XRDは結晶質のチタン酸リチウム粒子が生成したことを示した。
図1
図2
【国際調査報告】