(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】取り外し可能に連結する組み立てシステムを備える床板
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
E04F15/02 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507066
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 FR2022050702
(87)【国際公開番号】W WO2022223910
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394907
【氏名又は名称】デショーム
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デショーム サミュエル
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA29
2E220AA33
2E220AA51
2E220AC01
2E220BA01
2E220CA07
2E220DA13
2E220DB03
2E220GA25X
2E220GB43X
(57)【要約】
本発明は、第1前端(2)と第2前端(3)とを備える床板(1)に関し、第1前端(2)は、別の床板の第2前端(3)と連結するように配置され、第1前端(2)は、第1前壁と、サネの第1側に配置された第1凸状支持表面、及びサネの第1側とは反対側に位置するサネの第2側に配置された第2支持表面を備えるサネ(6)とを備え、第2支持表面は、丸み部によって、サネの遠位端の方向に延ばされ、第2前端(3)は、開口を規定する溝(7)を有する第2前壁を備え、溝(7)の開口の幅は、サネ(6)の第1支持表面と丸み部との間の距離の、溝(7)の開口の幅に対する比が実質的に0.7と0.99との間であるような寸法にされた機能的隙間(J1)によって増大された、サネ(6)の第1支持表面と丸み部との間の距離に等しく、第1前壁と、第1前壁とは反対側に位置するサネ(6)に配置されたサネの端との間の、サネ(6)の長さが、溝(7)の深さよりも短い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側の表面を形成するよう意図された第1主表面(5)と、第1主表面(5)とは反対側に位置する第2主表面(5’)とを備え、かつ支持物、第1前端(2)、及び第2前端(3)によって支持されるよう意図されており、前記第1前端(2)は、別の床板の第2前端(3)と協働するように配置される床板(1)であって、
前記第1前端(2)は、第1前壁(28,21)と、前記第1前壁(28,21)から前記第1前壁(28,21)とは反対側に位置する遠位端に向かって延びるサネ(6)とを備え、
前記サネ(6)は、前記サネの第1側に配置された第1凸状支持表面(27)と、前記サネの第1側とは反対側に位置する前記サネの第2側に配置された第2支持表面(22)とを備え、前記第2支持表面(22)は、丸み部(23)によって、前記サネの遠位端(26)の方向へ延ばされ、
前記第2前端(3)は、開口と、前記開口の第1端(18)から延びる内壁とを規定する溝(7)を有する第2前壁(11,16)を備え、
前記内壁は、前記開口の第1側に配置された第1凹状支持表面(15)と、底表面(13)と、前記開口の第1側とは反対側に配置された前記開口の第2側に配置され、前記開口の第2端(19)に延びる第2支持表面(12)とを備え、
前記溝(7)の前記開口の幅(W)は、前記サネ(6)の前記第1凸状支持表面(27)と前記丸み部(23)との間の距離の、前記溝(7)の前記開口の前記幅(W)に対する比が実質的に0.7と0.99との間であるような寸法にされた機能的隙間(J1)によって増大された、前記サネ(6)の前記第1凸状支持表面(27)と前記丸み部(23)との間の距離に等しく、
前記第1前壁(28,21)と、前記第1前壁(21,28)とは反対側に位置する前記サネ(6)に配置された前記サネの一端(25)との間の、前記サネ(6)の長さ(L)は、前記溝の前記開口と、前記溝の前記底表面(13)との間の、前記溝の深さ(P)よりも短い、
床板(1)。
【請求項2】
前記床板(1)は、無垢材から形成されている、
請求項1に記載の床板(1)。
【請求項3】
前記第1主表面(5)から、前記床板(1)の平面に直交する方向に延びる摩耗層(5a)を備え、
前記摩耗層(5a)は、少なくとも25%の、好ましくは35%よりも大きい、より好ましくは40%よりも大きい、床板(1)の厚みの一部であり、
前記床板(1)の厚みは、前記第1主表面(5)と前記第2主表面(5’)との間とみなされ、
前記サネ(6)と前記溝(7)とは、前記摩耗層(5a)の下方に配置された前記床板(1)の下層(5b)において、前記床板(1)の厚みを基準として位置決めされる、
請求項1又は2に記載の床板(1)。
【請求項4】
前記サネ(6)の前記第2支持表面(22)に対して前記丸み部(23)とは反対側に配置された面取り部(24)を備える、
請求項1-3のいずれか1項に記載の床板(1)。
【請求項5】
前記面取り部(24)は、10度と45度との間である、挿入軸(B)に対する傾斜角度を有する、
請求項4に記載の床板(1)。
【請求項6】
前記サネの前記第2支持表面(22)は、実質的に平坦であるように構成される、
請求項1-5のいずれか1項に記載の床板(1)。
【請求項7】
第1横端(4)と、前記第1横端(4)の反対側に配置された第2横端(8)とをさらに備え、
前記第1横端(4)は、前記床板の平面に沿って延びる第1フランジと、前記第1フランジから前記床板の平面を横断する方向に延びる固定用接触部(9)とを備え、
前記第2横端(8)は、前記床板の平面内で延びる第2フランジと、前記第2フランジに設けられた固定用空隙(10)とを備え、
前記固定用空隙(10)は、前記固定用接触部(9)と相補的な形状であり、隣接する床板の前記固定用接触部(9)を受け入れるよう意図される、
請求項1-6のいずれか1項に記載の床板(1)。
【請求項8】
第1フランジは、前記第1主表面(5)から延び、前記第1フランジの厚みは摩耗層(5a)の厚みよりも大きく、固定用接触部(9)は下層(5b)に配置されている、又は、
第2フランジは、前記第1主表面(5)から延び、前記第2フランジの厚みは摩耗層(5a)の厚みよりも大きく、固定用空隙(10)は下層(5b)に配置されている、
請求項3又は7に記載の床板(1)。
【請求項9】
前記サネ(6)は、前記サネの前記第1凸状支持表面に対して、前記サネの前記遠位端の方向に配置された支持点(26)を有し、
前記溝の前記内壁は、前記溝の前記第1凹状支持表面(15)の延長部分に配置された接触表面(14)を有し、
前記支持点(26)は、前記サネ(6)が前記溝(7)に差し込まれたときに、隣接する床板の前記接触表面(14)に当接するように構成される、
請求項1-8のいずれか1項に記載の床板(1)。
【請求項10】
前記サネの第1凸状支持表面(27)は、前記支持点(26)が前記開口の面にある滑り始めの位置と、前記支持点(26)が前記接触表面(14)に接触する滑り終わりの位置との間を、隣接する床板の溝の第1凹状支持表面(15)上で滑るように配置される、
請求項9に記載の床板(1)。
【請求項11】
前記サネ(6)の前記第2支持表面(22)は、前記溝(7)の前記第2支持表面(12)によって支持されるように配置される、
請求項1-10のいずれか1項に記載の床板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能に連結する組み立てシステムを備える床板に関する。
【背景技術】
【0002】
人工床や無垢床のような、業界では知られている様々な種類の床板がある。
【0003】
この無垢床は、既存の床の他の種類と比べて多くの利点を有する。
【0004】
無垢床は、例えば、優れた美的な性質を有し、湿気に対してより耐性もある。無垢床は、より長い寿命も有する。
【0005】
それぞれの種類の床は、床の種類及び床板の厚みに応じて適用される1つ以上の敷設する技術に対応する。床を敷設する可能な技術としては、釘付け敷設、接着敷設、そして最後に、フローティング敷設を挙げることができる。釘付け敷設において、床板は、連続的な又は不連続な支持物に乗っている梁に釘付けされる。接着敷設において、床板は、連続した支持物に接着される。フローティング敷設において、床板は、床板の重さによって確立される接触以外の接続手段を持たず、連続的な支持物に敷かれる。現在のところ、人工床板のみが、フローティング敷設に対応している。
【0006】
無垢床の敷設のために、私達は、釘打ち敷設又は接着敷設を使用することができる。そして、床板は、梁に釘付けされるか床用接着剤で接着される。釘打ち敷設は、例えば適切な設備だけでなく、梁の設置も必要とするので実現するのが困難であり得る。接着敷設は、設置することは簡単ではあるが、不可逆的であり、ほとんどの場合において、例えば建物が寿命を迎えて床が取り除かれなければならないときには、床は破壊されることになる。もしそれら敷設がこのように行われるなら、床は再利用できない。床の寿命の間に床板に蓄積された炭素は、よって床の寿命が終わると放出される。そして、新しい床板を製造するために、森林資源を再び消費する必要があるだろう。
【0007】
容易に実装でき、かつ可逆的な床を組み立てる解決策が、環境への影響を抑制し製造コストを抑えるため、取り外し可能で再利用可能な床板を得るために考案された。
【0008】
欧州特許第2843154号は、例えば、移動可能なロック要素を備えるアクティブロックシステムを備える可逆的な床板を組み立てるための解決策を記載する。しかし、欧州特許第2843154号に記載されたシステムは、床の組み立てに追加のロック要素を必要とし、それにより製造コストは高くなる。
【0009】
そして、本発明の基礎となる技術的な課題は、単純な構造で、経済的であり、環境への影響が少ない、取り外し可能で再利用可能な床板の組み立てを提供することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この目的のため、本発明の主題は、表側の表面を形成するよう意図された第1主表面と、第1主表面とは反対側に位置する第2主表面とを備え、かつ支持物、第1前端、及び第2前端によって支持されるよう意図されており、第1前端は、別の床板の第2前端と協働するように配置される床板であり、第1前端は、第1前壁と、第1前壁から第1前壁とは反対側に位置する遠位端に向かって延びるサネ(実)とを備え、サネは、サネの第1側に配置された第1凸状支持表面と、サネの第1側とは反対側に位置するサネの第2側に配置された第2支持表面とを備え、第2支持表面は、丸み部によってサネの遠位端の方向へ延ばされ、第2前端は、開口と、開口の第1端から延びる内壁とを規定する溝を有する第2前壁を備え、内壁は、開口の第1側に配置された第1凹状支持表面と、底表面と、開口の第1側とは反対側に配置された開口の第2側に配置され、開口の第2端に延びる第2支持表面とを備え、溝の開口の幅は、サネの第1支持表面と丸み部との間の距離の、溝の開口の幅に対する比が実質的に0.7と0.99との間であり得るような寸法にされた機能的隙間によって増大された、サネの第1支持表面と丸み部との間の距離に等しく、第1前壁と、第1前壁とは反対側に位置するサネに配置されたサネの一端との間の、サネの長さは、溝の開口と溝の底壁との間の、溝の深さよりも短い。この床板は、単独又は組み合わせで、以下の特徴の1つ以上を追加的に有し得る。
【0011】
サネの長さと溝の深さの比は、例えば0.6と0.99との間であり得る。
【0012】
第1主表面と、サネの第1支持表面と第1前壁とが交わる箇所における、サネの第1支持表面に配置されたサネの第1端との間の距離と、第1主表面と、サネの第2支持表面と第1前壁とが交わる箇所における、サネの第2支持表面に配置されたサネの第2端との間の距離の比は、0.2と0.75との間であり得る。
【0013】
ある特徴によれば、床板は無垢材から形成される。
【0014】
ある特徴によれば、床板は、第1主表面から、床板1の平面に直交する方向に延びる摩耗層を備え得て、摩耗層は、少なくとも25%、好ましくは35%よりも大きい、より好ましくは40%よりも大きい、床板の厚みの一部であり、床板の厚みは、第1主表面と第2主表面との間とみなされ、サネ6と溝7とは、摩耗層5aの下方に配置された床板の下層において、床板の厚みを基準として位置決めされる。
【0015】
ある可能性によれば、床板は、サネの第2支持部に対して丸み部の反対側に配置された面取り部を備える。
【0016】
この面取り部は、10度と45度との間である、挿入軸に対する傾斜角度を有し得る。
【0017】
有利には、10度と45度との間である傾斜角度の値は、溝にサネが連結することを容易にする。
【0018】
サネの第2支持表面は、実質的に平坦であるように構成され得る。
【0019】
ある実施形態において、床板は、第1横端と、第1横端とは反対側に配置された床板の第2端とをさらに備え、第1横端は、床板の平面に沿って延びる第1フランジと、第1フランジから床板の平面を横断する方向に延びる固定用接触部とを備え、第2横端は、床板の平面内で延びる第2フランジと、第2フランジに設けられた固定用空隙とを備え、前記固定用空隙は、前記固定用接触部と相補的な形状であり、隣接する床板の固定用接触部を受け入れるよう意図される。
【0020】
ある実施形態によれば、第1フランジは、床板の第1主表面の延長部分に配置された面を備え、第2フランジは、床板の第2主表面の延長部分に配置された面を備える。
【0021】
ある実施形態によれば、固定用接触部と固定用空隙とは、三角形状を有する。
【0022】
第1の可能性によれば、第1フランジは、第1主表面から延び、第1フランジの厚みは摩耗層の厚みよりも大きく、固定用接触部は下層に配置されている、又は、第2の可能性によれば、第2フランジは、第1主表面から延び、第2フランジの厚みは摩耗層の厚みよりも大きく、固定用空隙は下層に配置されている。
【0023】
第1の可能性によれば、第2フランジは第2主表面から延び、下層に含まれる。第2の可能性によれば、第1フランジは第2主表面から延び、下層に含まれる。
【0024】
サネは、サネの第1支持表面に対して、サネの遠位端の方向に配置された支持点を有し得て、溝の内壁は、溝の第1支持表面の延長部分に配置された接触表面を有し、支持点は、サネが溝に差し込まれたときに、隣接する床板の接触表面に当接するように構成される。
【0025】
ある可能性によれば、サネの第1支持表面は、滑り始めの位置と滑り終わりの位置とをとるように、隣接する床板の溝の第1支持表面を滑るように配置される。滑り始めの位置において、支持点は開口の面にある。滑り終わりの位置において、支持点は接触表面に接触する。
【0026】
ある実施形態によれば、この滑りの経路は、第1支持表面によって湾曲され規定される。
【0027】
サネの第2支持表面は、溝の第2支持表面によって支持されるように配置され得る。
【0028】
有利には、溝でのサネの滑り運動は、サネ6が、例えば500daN/m2と実質的に等しい値の大きな分布加重や、例えば700daNと実質的に等しい値の大きな集中加重を受けたときに、サネが破損することを防ぐ。
【0029】
有利には、溝でのサネの滑り運動は可逆的であり、2つの床板は取り外し可能かつ再利用可能になり、よって、2つの床板が連結された後に、固定されていない組み立てを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、正確な縮尺ではなく情報の提供のみのために与えられる添付された図面を参照する、以下で説明される詳細な説明に基づいて、よりよく理解されるだろう。
【
図1】
図1は、第1前端と第2前端とを有する床板の斜視図であり、第1前端は、別の床板の第2前端と協働するように配置される。
【
図2】
図2は、第1前端の第1実施形態に係る、
図1の床板の第1前端の断面図である。
【
図3】
図3は、第2前端の第1実施形態に係る、
図1の床板の第2前端の断面図である。
【
図4】
図4は、固定用接触部と固定用空隙とを示す、
図1の床板の第2前端の正面図である。
【
図5】
図5は、摩耗層を示す
図1に係る、2つの床板の組み立て品の断面図である。
【
図7】
図7は、第1前端の第2実施形態に係る、
図1の床板の第1前端の断面図である。
【
図8】
図8は、第2前端の第2実施形態に係る、
図1の床板の第2前端の断面図である。
【
図9】
図9は、第1横端及び第2横端の第2実施形態に係る、床板の第1横端及び第2横端の断面図である。
【
図10】
図10は、2つの床板の正面の組み立て領域の詳細図である。
【
図11】
図11は、2つの床板の側方の組み立て領域の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上記で定義された図面の以下の詳細な説明において、同じ要素又は同一の機能を実行する要素は、本発明の理解を容易にするために、同じ符号を付し得る。
【0032】
本発明は、
図1に示される床板1に関し、例えば、床の使用者に歩かれる表側の表面を形成するよう意図された第1主表面5と、第1主表面5とは反対側に位置し、例えば家つまり三次建築物の地面、例えばスクリード又はスラブのような支持物によって支持されるよう意図された第2主表面5’とを備える。
【0033】
記載された床板1は、無垢材から形成され得る。
【0034】
場合によっては、記載された床板1は人工床板であり得る。
【0035】
この床板1は、
図5に示される、第1主表面5から床板1の平面に直交する方向に延びる摩耗層5aを備え得て、摩耗層5aは、少なくとも25%、好ましくは35%よりも大きい、より好ましくは40%よりも大きい床板1の厚みの一部であり、床板1の厚みは、第1主表面5と第2主表面5’との間とみなされ、サネ6と溝7とが、摩耗層5aの下方に配置された床板1の下層5bにおいて、床板1の厚みを基準として位置決めされる。
【0036】
これらの構成により、固定方法を床の1回以上のサンディングに対応できるようにすることが可能になり、よって床に再生可能な特徴を与えることが可能になる。
【0037】
摩耗層5aは修理され得る、言い換えると、摩耗層5aの厚みから材料を取り除くことによって滑らかな表面を得るように、床を研磨することが可能である。
【0038】
また床板は、オス部とも呼ばれ得る第1前端2と、メス部とも呼ばれ得る第2前端3とを備えており、第1前端2は別の床板の第2前端3と協働するように、言い換えると、床板のオス部と別の床板のメス部とが連結することによってオス-メスアセンブリを形成するように配置され、この連結は、好ましくは可逆的である。実際、無垢材は、それが設置された環境における湿度と温度とに依存して寸法が変化し得る材料であり、記載された床板1により、設置された環境における湿度と温度とに依存する無垢材の変化を考慮することが可能になる。
【0039】
第1前端2は、第1前壁28,21と、第1前壁28,21から第1前壁28,21とは反対側に位置する遠位端に向かって延びるサネ6とを備える。
【0040】
図2は第1前端2の第1実施形態の断面図を示し、ここでサネ6は、湾曲形状を有し、サネ6の第1側に配置された第1の滑らかかつ凸状の支持表面27を備え、サネの第1側とは反対側に位置するサネの第2側には第2支持表面22が配置されており、第2支持表面22は、実質的に平坦であるように構成され得て、丸み部23によって、サネの遠位端26に向かって延ばされ得る。床板は、サネ6の第2支持表面22に対して丸み部23とは反対側に配置された面取り部24も備え得る。
【0041】
図7に示される第1前端2の第2実施形態によれば、第1部分27aと第2部分27bと間が鈍角の交差の角度となるように、かつ第2部分27bと第3部分27cとの間が鈍角の交差の角度となるように、第1支持表面27は、第1支持表面27に配置された第1部分27a、第2部分27b、及び第3部分27cを備え得る。
【0042】
鈍角の交差の角度は、第1部分27aから開始し時計回りに回って第2部分27bに到達するように測定された角度、及び第2部分27bから開始し時計回りに回って第3部分27cに到達するように測定された角度を意味する。
【0043】
場合によっては、面取り部24は、10度と45度との間である、挿入軸B(
図2)に対する傾斜角度を有する。
【0044】
場合によっては、面取り部24は、丸み部23をサネの一端25に接続する湾曲形状の隆起によって取り替えられ得る。
【0045】
図3に示される第2前端3の第1実施形態は、開口と、開口の第1端18から延びる内壁とを規定する溝7を有する第2前壁11,16を備える。この溝7は、床板1の平面に沿って、床板1の全長にわたって長手方向に延び得る。
【0046】
第2前端3の第1実施形態によれば、内壁は、開口の第1側に配置された第1滑り凹状支持表面15と、底表面13と、開口の第1側とは反対側に配置された開口の第2側に配置され、開口の第2端19に延びる第2支持表面12とを備える。
【0047】
図8に示される第2前端3の第2実施形態によれば、第1部分15aと第2部分15bとの間が鈍角の交差の角度となるように、かつ第2部分15bと第3部分15cとの間が鈍角の交差の角度となるように、第1支持表面15は、第1支持表面15に配置された第1部分15a、第2部分15b、及び第3部分15cを備え得る。
【0048】
鈍角の交差の角度は、第1部分15aから開始し時計回りに回って第2部分15bに到達するように測定された角度、及び第2部分15bから開始し時計回りに回って第3部分15cに到達するように測定された角度を意味する。
【0049】
記載された床板は、
図3に見られる溝7の開口の幅Wが、サネ6の第1支持表面27と丸み部23との間の距離の、溝7の開口の幅Wに対する比が実質的に0.7と0.99との間であるような寸法にされた機能的隙間J1によって増大された、サネ6の第1支持表面27と丸み部23との間の距離に等しく、
図2に示される、第1前壁28,21と、第1前壁28,21とは反対側に位置するサネの端25との間の、サネ6の長さLが、溝の開口と溝7の底表面13との間の、溝の深さPよりも短いことは、注目に値し得る。この結果、サネの端25が、底表面13と接触しないことがあり得る。
【0050】
この機能的隙間J1と、サネ6の長さLが溝の深さPよりも短い事実とが、2つの床板を連結することの可逆性を促進する。
【0051】
サネ6の長さLと溝7の深さPの比は、例えば、0.6と0.99との間であり得る。
【0052】
第1主表面5と、サネ6の第2支持表面22と第1前壁28,21との間の交線において、サネ6の第2支持表面22に配置されたサネ6の第2端Yとの間の距離に対する、第1主表面5と、サネ6の第1支持表面27と第1前壁28,21との間の交線において、サネ6の第1支持表面27に配置されたサネ6の第1端Xとの間の距離の比は、0.2と0.75との間であり得る。
【0053】
床板1は、
図4に示されるように、床板の平面に沿って延びる第1フランジと、フランジから床板の平面を横断する方向に延びる固定用接触部9とを備える第1横端4をさらに備える。この第1フランジは、
図4及び
図9にも見られる、床板1の第1主表面5の延長部分に配置された面を備え得る。
【0054】
床板1は、
図4、
図9、及び
図11に示される、第1横端4とは反対側に配置された第2横端8も備え得て、この第2横端8は、床板の平面内で延びる第2フランジを備える。この第2フランジは、床板1の第2主表面5’の延長部分に配置された面を備え得る。
【0055】
固定用空隙10が第2フランジに設けられ得て、前記固定用空隙10は、固定用接触部9と相補的な形状であり、隣接する床板の固定用接触部9を受け入れるよう意図される。
【0056】
図5及び
図9に示される第1の可能性によれば、第1フランジは第1主表面5から延び、第1フランジの厚みは摩耗層5aの厚みよりも大きく、固定用接触部9は下層5bに配置される。
【0057】
この第1の可能性によれば、第2フランジは第2主表面5’から延び、下層5bに含まれる。
【0058】
第2フランジは、第2の可能性によれば、第1主表面5から延び得て、第2フランジの厚みは摩耗層5aの厚みよりも大きく、固定用空隙10は下層5bに配置される。
【0059】
よって、この第2の可能性によれば、第1フランジは第2主表面5’から延び、下層5bに含まれる。
【0060】
ある実施形態によれば、固定用接触部9と固定用空隙10とは、例えば
図4、
図9、及び
図11に示されるもののような三角形状を有する。
【0061】
実際、
図6に示される2つの床板を連結する間に、床板1のサネ6は、隣接する床板の溝7内を滑ることによって、平行に移動する可能性がある。この欠点を克服するために、本発明は、このような平行運動を阻止するために、追加の固定手段として隣接する床板の固定用空隙10に挿入される、床板1の固定用接触部9を備える。
【0062】
図11のように2つの床板1a,1bを取り付けるとき、隙間J2が、床板1aの第1横端4と隣接する床板1bの第2横端8との間に設けられ得る。
【0063】
サネ6は、サネの第1面に対して、サネの遠位端の方向に配置された支持点26を有し得る。
【0064】
溝の内壁は、溝の第1支持表面15の延長部分に配置された接触表面14を有する。
【0065】
この支持点26は、溝7にサネ6が差し込まれたときに、隣接する床板の接触表面14に当接するように構成され得る。
【0066】
場合によっては、サネの第1支持表面27は、支持点16が開口の面にある滑り始めの位置と、支持点26が接触表面14に接触する滑り終わりの位置との間を、第1支持表面15によって湾曲され規定される滑る経路に沿って、隣接する床板の溝の第1支持表面15上で滑るように配置される。
【0067】
よって、滑り始めの位置と滑り終わりの位置との間でのサネ6の往復運動は、サネ6が溝7に挿入されるときに起こり得る。
【0068】
図2のサネ6の第2支持表面22は、
図3の溝7の第2支持表面12によって支持されるように配置され得る。
【0069】
第1前壁28,21及び第2前壁11,16は、機能的隙間J1の存在と、サネ6の長さLが溝7の深さPよりも短いという事実とのために、床板1を隣接する床板と連結する間、常に接触しなくてもよい。
【0070】
有利には、溝7でのサネ6の滑り運動により、サネ6が、例えば500daN/m2と実質的に等しい値の大きな分布加重や、例えば700daNと実質的に等しい値の大きな集中加重を受けたときに、サネ6の破損を防ぐことが可能になる。
【0071】
よって、隣接する床板のサネ6は、床板1の溝7を滑り得て、有利には、例えば床用接着剤のような追加の固定手段による床板の固定を必要としない、安定した床仕上げ材を形成し得る。
【0072】
有利には、10度と45度との間である、挿入軸Bに対する面取り部24の傾斜角度の値が、溝7にサネ6が連結することを容易にする。
【0073】
有利には、溝7でのサネ6の滑り運動は可逆的であり、2つの床板は取り外し可能かつ再利用可能になり、よって、2つの床板が連結された後に、非固定の組み立てを構成する。言い換えると、中期的及び長期的に、2つの床板は、別の支持物上で再び協働するために分離し得る。
【0074】
有利には、2つの隣接する床板は、1%の湿度の変化に対する0.15%の床の幅の変化のような、周囲の空気の湿度による木材の自然な変形に対応するように組み立てられ得て、一体化されたままでありながら、したがって、床用接着剤又は他の組み立て部分を用いることなく床を設置することが可能である。床用接着剤又は他の組み立て部品を使用しないことにより、床板を簡単に取り外すことができ、したがって、床板の敷設は、容易で、可逆的で、環境フットプリントが低くなる。
【0075】
本発明は具体的な実施形態と併せて説明されてはいるが、本発明はそれらに決して制限されることなく、もし本発明の範囲内にあるなら、それらの組み合わせだけでなく、記述された手段の全ての技術的な均等物を含むことは明らかである。
【国際調査報告】