(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】損傷検出システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/82 20060101AFI20240415BHJP
G01V 3/08 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
G01N27/82
G01V3/08 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513558
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2022050359
(87)【国際公開番号】W WO2022234241
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513268058
【氏名又は名称】スリー スミス グループ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THREE SMITH GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Habergham Works, Ainley Industrial Estate, Elland, West Yorkshire, HX5 9JP United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ボナー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ミロス・ボジック
【テーマコード(参考)】
2G053
2G105
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB01
2G053BA03
2G053CA01
2G053CB24
2G053DA01
2G053DB02
2G053DB05
2G053DB07
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD01
2G105EE02
2G105FF16
2G105GG01
2G105GG03
2G105JJ05
(57)【要約】
損傷について磁化構造を監視するための損傷検出システムであって、磁力計と、コントローラと、を備え、該コントローラは、磁力計から磁化構造の第1の磁場信号を受信し、磁力計から磁化構造の第2の磁場信号を受信し、第2の磁場信号及び第1の磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、磁場変位データに基づいて磁化構造の状態を判定するように構成されている、損傷検出システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
損傷について磁化構造を監視するための損傷検出システムであって、
安全構造であって、
前記磁化構造であって、前記磁化構造は、強磁性材料を含み、それ自体の磁場を生成する、磁化構造と、
磁力計と、を備える、安全構造と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、
前記磁力計から前記磁化構造の第1の磁場信号を受信し、
前記磁力計から前記磁化構造の第2の磁場信号を受信し、
前記第2の磁場信号及び前記第1の磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
前記磁場変位データに基づいて前記磁化構造の状態を判定するように構成されている、損傷検出システム。
【請求項2】
前記コントローラは、1つ以上の軸における磁場変位の大きさに基づいて前記磁化構造の前記状態を判定するように構成されている、請求項1に記載の損傷検出システム。
【請求項3】
前記コントローラは、1つ以上の軸における前記磁場変位の前記大きさを1つ以上の状態閾値と比較することによって、前記磁化構造の前記状態を判定するように構成されている、請求項2に記載の損傷検出システム。
【請求項4】
前記磁化構造の前記状態は、
前記磁化構造の損傷レベル、及び/又は
前記磁化構造の組立状態を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項5】
前記コントローラは、較正ルーチンの一部として、前記第1の磁場信号を較正磁場信号として受信するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記磁化構造の前記状態を示す状態信号を出力するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項7】
可聴及び/又は可視表示器を更に備え、前記コントローラは、前記可聴及び/又は可視表示器を作動させることによって前記状態信号を出力するように構成されている、請求項6に記載の損傷検出システム。
【請求項8】
前記コントローラは、状態データ及び/又は前記磁場変位データを外部コントローラに送信することによって、前記状態信号を出力するように構成されている、請求項6に記載の損傷検出システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記磁力計と同じ場所に配置され、
前記コントローラは、ネットワークを介して前記磁力計に結合され、又は、
前記コントローラは、前記磁力計と同じ場所に配置されるか、又は前記ネットワークを介して前記磁力計に結合されるかの間で分散された複数のプロセッサを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項10】
前記コントローラは、
トリガシグナリングを受信し、
前記トリガシグナリングに応答して前記磁力計を選択的に作動させ、
前記磁力計から磁場を受信するように更に構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項11】
前記トリガシグナリングは、監視スケジュールに従って前記磁力計を選択的に作動させて磁場を受信するための周期的なトリガ信号を含む、請求項10に記載の損傷検出システム。
【請求項12】
前記トリガシグナリングは、
前記磁力計の所定の半径内の物体の動き、及び/又は
物体と前記磁化構造との衝突に応答するトリガセンサからのオンデマンド信号を含む、請求項10又は11に記載の損傷検出システム。
【請求項13】
前記トリガセンサを備える、請求項12に記載の損傷検出システム。
【請求項14】
前記コントローラは、
前記磁力計からオンデマンド磁場信号を受信し、
前記オンデマンド磁場信号及び前記第1の基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
前記磁場変位データが1つ以上の変位閾値を超えることに応答して、前記物体が車両であるかどうかを判定するように更に構成されている、請求項12又は13に記載の損傷検出システム。
【請求項15】
出力信号発生器を更に備え、前記コントローラは、前記磁場変位データが前記1つ以上の変位閾値を超えることに応答して、前記出力信号発生器を作動させるように構成されている、請求項14に記載の損傷検出システム。
【請求項16】
前記コントローラは、
前記磁力計から複数のオンデマンド磁場信号を受信し、
対応するオンデマンド磁場信号と前記第1の磁場信号との間の差又は比に対応する複数の磁場変位を含む過渡磁場変位データを決定し、
前記過渡磁場変位データに基づいて、前記物体の位置、速さ、速度、軌道、若しくは存在、又は前記磁化構造の過渡損傷プロファイルのうちのいずれかを判定するように構成されている、請求項12から15のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項17】
構造を磁化するための1つ以上の磁気要素を更に備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項18】
前記磁化構造は、ポリマー安全構造と、前記ポリマー安全構造を磁化するための1つ以上の磁気要素と、を備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項19】
前記磁気要素は、
前記ポリマー安全構造上の磁性材料のライニング、
前記ポリマー安全構造内への磁性材料の注入、
安全ポリマー構造に埋め込まれた磁性材料、
磁気ストリップ、磁気プレート、磁気テープ、磁性粒子、及び/又は
前記ポリマー安全構造に固定された磁性塗料のうちの1つ以上を含む、請求項18に記載の損傷検出システム。
【請求項20】
前記コントローラは、
前記磁化構造を監視する第2の磁力計から第1の補助磁場信号及び第2の補助磁場信号を受信し、
前記第1の補助磁場信号及び前記第2の補助磁場信号に基づいて、前記磁化構造の補助磁場変位データを決定し、
前記磁場変位データと前記補助磁場変位データとの間の比較に基づいて、前記磁化構造上の損傷の位置を決定するように更に構成されている、請求項1から19のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項21】
前記安全構造は、資産又は歩行者を車両から保護又は隔離するための構造、あるいは歩行者を危険エリアから保護又は隔離するための構造を備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項22】
複数の磁力計であって、各磁力計は、対応するトランシーバに結合される、複数の磁力計と、
前記対応するトランシーバを介して前記複数の磁力計の各々と通信するように構成されたサーバと、を更に備える、請求項1から21のいずれか一項に記載の損傷検出システム。
【請求項23】
磁化安全バリアシステムであって、
請求項20に記載の損傷検出システムと、
前記第2の磁力計と、
磁化安全バリアと、を備え、
前記磁力計は、前記磁化安全バリアの第1の端部に関連付けられ、前記第2の磁力計は、前記磁化安全バリアの第2の端部に関連付けられる、磁化安全バリアシステム。
【請求項24】
前記磁化安全バリアは、
安全バリアと、
前記安全バリアの軸に沿って開口部を通って延在するワイヤと、
前記ワイヤに取り付けられ、前記ワイヤの長さに沿って離間された複数の磁気要素と、を備える、請求項23に記載の磁化安全バリアシステム。
【請求項25】
請求項1から22のいずれか一項に記載の損傷検出システムを設置する方法であって、
磁気要素を構造に適用して、前記磁化構造を提供するステップと、
前記損傷検出システムを前記磁化構造に結合するステップと、を含む、方法。
【請求項26】
安全構造の磁化構造を損傷について監視するコンピュータ実装方法であって、前記安全構造は、
前記磁化構造であって、前記磁化構造は、強磁性材料を含み、それ自体の磁場を生成する、磁化構造と、
磁力計と、を備え、
前記方法は、
前記磁化構造を監視するように配置された磁力計から前記磁化構造の第1の基準磁場を受信するステップと、
前記磁力計から前記磁化構造の第2の基準磁場を受信するステップと、
前記第2の基準磁場及び前記第1の基準磁場に基づいて磁場変位データを決定するステップと、
前記磁場変位データに基づいて前記磁化構造の状態を判定するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁化構造における損傷を検出するための損傷検出システム及び方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
本開示の第1の態様によれば、損傷について磁化構造を監視するための損傷検出システムが提供され、該損傷検出システムは、
安全構造であって、
磁化構造であって、磁化構造は、強磁性材料を含み、それ自体の磁場を生成する、磁化構造と、
磁力計と、を備える、安全構造と、
コントローラであって、
磁力計から磁化構造の第1の磁場信号を受信し、
磁力計から磁化構造の第2の磁場信号を受信し、
第2の磁場信号及び第1の磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
磁場変位データに基づいて磁化構造の状態を判定するように構成されている、コントローラと、を備える。
【0003】
損傷検出システムは、有利には、損傷を受けやすい構造の状態を監視し、他の方法では気付かれないか、又は検出されない可能性がある損傷を検出することができる。
【0004】
コントローラは、1つ以上の軸に沿った第1の磁場信号と第2の磁場信号との間の差又は比に基づいて磁場変位データを決定するように構成され得る。
【0005】
磁場変位データは、1つ以上の軸に沿った磁場変位を含み得る。
【0006】
コントローラは、複数の更なる磁場信号を受信し、更なる磁場信号に基づいて磁場変位データを決定するように更に構成され得る。
【0007】
コントローラは、1つ以上の軸における磁場変位の大きさに基づいて磁化構造の状態を判定するように構成され得る。
【0008】
コントローラは、1つ以上の軸における磁場変位の大きさを1つ以上の状態閾値と比較することによって、磁化構造の状態を判定するように構成され得る。
【0009】
磁化構造の状態は、
磁化構造の損傷レベル、及び/又は
磁化構造の組立状態を含み得る。
【0010】
コントローラは、較正ルーチンの一部として、第1の磁場信号を較正磁場信号として受信するように構成され得る。コントローラは、製造時、設置時、組立時、再組立時、サービス時、修理時、及び/又は再配置時を含む任意の時点で較正ルーチンを実施することができる。
【0011】
コントローラは、第2の磁場信号に基づいて第1の磁場信号を更新するように構成され得る。
【0012】
コントローラは、磁化構造の状態を示す状態信号を出力するように構成され得る。
【0013】
損傷検出システムは、可聴及び/又は可視表示器を更に備え得る。コントローラは、可聴及び/又は可視表示器を作動させることによって状態信号を出力するように構成され得る。
【0014】
コントローラは、状態データ及び/又は磁場変位データを外部コントローラに送信することによって、状態信号を出力するように構成され得る。
【0015】
コントローラは、磁力計と同じ場所に配置され得る。コントローラは、ネットワークを介して磁力計に結合され得る。コントローラは、磁力計と同じ場所に配置されるか、又はネットワークを介して磁力計に結合されるかの間で分散された複数のプロセッサを備え得る。
【0016】
コントローラは、
トリガシグナリングを受信し、
トリガシグナリングに応答して磁力計を選択的に作動させ、
磁力計から磁場を受信するように更に構成され得る。
【0017】
トリガシグナリングは、モニタリングスケジュールに従って磁力計を選択的に作動させて磁場を受信するための周期的なトリガ信号を含み得る。
【0018】
トリガシグナリングは、トリガセンサからのオンデマンド信号を含み得る。トリガセンサは、
磁力計の所定の半径内の物体の動き、及び/又は
物体と磁化構造との衝突に応答することができる。
【0019】
損傷検出システムは、トリガセンサを備え得る。
【0020】
トリガセンサは、光学センサを備え得る。トリガセンサは、機械的センサを備え得る。トリガセンサは、振動センサ又は衝撃センサを備え得る。トリガセンサは、加速度計を備え得る。トリガセンサは、受信機を備え得る。
【0021】
コントローラは、
磁力計からオンデマンド磁場信号を受信し、
オンデマンド磁場信号及び第1の基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
磁場変位データが1つ以上の変位閾値を超えることに応答して、物体が車両であるかどうかを判定するように更に構成され得る。
【0022】
損傷検出システムは、出力される信号発生器を更に備え得る。コントローラは、1つ以上の変位閾値を超える磁場変位データに応答して、出力信号発生器を作動させるように構成され得る。
【0023】
コントローラは、
磁力計から複数のオンデマンド磁場信号を受信し、
対応するオンデマンド磁場信号と第1の磁場信号との間の差又は比に対応する複数の磁場変位を含む過渡磁場変位データを決定し、
過渡磁場変位データに基づいて、物体の位置、速さ、速度、軌道、若しくは存在、又は磁化構造の過渡損傷プロファイルのうちのいずれかを判定するように構成され得る。
【0024】
コントローラは、
磁化構造を監視する第2の磁力計から第1の補助磁場信号及び第2の補助磁場信号を受信し、
第1の補助磁場信号及び第2の補助磁場信号に基づいて、磁化構造の補助磁場変位データを決定し、
磁場変位データと補助磁場変位データとの間の比較に基づいて、磁化構造上の損傷の位置を決定するように更に構成され得る。
【0025】
損傷検出システムは、構造を磁化するための1つ以上の磁気要素を備え得る。磁気要素は、磁気ストリップ、磁気プレート、磁気テープ、磁性粒子、及び/又は磁性塗料のいずれかを含み得る。
【0026】
少なくとも磁力計は、安全構造内に位置決めされ得る。安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、衝突センサ、又はそれらの構成部品のうちのいずれかを備え得る。
【0027】
損傷検出システムは、
複数の磁力計であって、各磁力計は、対応するトランシーバに結合される、複数の磁力計と、
対応するトランシーバを介して複数の磁力計の各々と通信するように構成されたサーバと、を更に備え得る。
【0028】
サーバは、コントローラを備え得る。
【0029】
損傷検出システムは、それぞれが対応する磁力計から基準磁場及び測定磁場を受信するように構成された複数のコントローラを更に備え得る。
【0030】
安全構造は、資産又は歩行者を車両から保護又は隔離するための構造、あるいは歩行者を危険エリアから保護又は隔離するための構造を備え得る。
【0031】
安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、バンパー、衝突センサ、ラック、ガード、機械ガード、機械フェンシング、それらの組み合わせ、又はそれらの構成部品のうちのいずれかを備え得る。
【0032】
磁化構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、バンパー、ラック、ガード、機械ガード又は機械フェンシングのうちのいずれかを含み得る。
【0033】
磁化構造は、ポリマー安全構造と、ポリマー安全構造を磁化するための1つ以上の磁気要素と、を備え得る。
【0034】
1つ以上の磁気要素は、
ポリマー安全構造上の磁性材料のライニング、
ポリマー安全構造内への磁性材料の注入、
安全ポリマー構造に埋め込まれた磁性材料、
磁気ストリップ、磁気プレート、磁気テープ、磁性粒子、及び/又は
ポリマー安全構造に固定された磁性塗料のうちの1つ以上を含み得る。
【0035】
ポリマー安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、バンパー、ラック、ガード、機械ガード又は機械フェンシングのうちのいずれかを含み得る。ポリマー安全構造は、資産及び/又は歩行者を車両から保護又は隔離するための構造、あるいは歩行者を危険エリアから保護又は隔離するための構造を含み得る。
【0036】
本開示の第2の態様によれば、本明細書に開示される損傷検出システムのいずれかを備える磁化安全構造が提供され、安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用ポスト、衝突センサ、又はそれらの構成部品のいずれかを備える。
【0037】
本開示の第3の態様によれば、磁化安全バリアシステムが提供され、該磁化安全バリアシステムは、
本明細書に開示される損傷検出システムのいずれかと、
第2の磁力計と、
磁化安全バリアと、を備え、
磁力計は、磁化安全バリアの第1の端部に関連付けられ、第2の磁力計は、磁化安全バリアの第2の端部に関連付けられる。
【0038】
磁化安全バリアは、
安全バリアと、
安全バリアの軸に沿って開口部を通って延在するワイヤと、
ワイヤに取り付けられ、ワイヤの長さに沿って離間された複数の磁気要素と、を備え得る。
【0039】
ワイヤは、張力下で保持されてもよい。磁気要素は、ワイヤの長さに沿って周期的に離間されてもよい。
【0040】
第1の磁力計及び第2の磁力計は、磁化安全バリアのそれぞれの端部においてそれぞれの第1の支持構造及び第2の支持構造に結合され得る。
【0041】
コントローラは、
磁力計から複数の更なる磁場信号を受信し、
第2の磁力計から複数の更なる補助磁場信号を受信し、
更なる磁場信号の各々と第1の磁場信号との間の差に基づいて第1の動的磁場変位データを決定し、
補助磁場信号の各々と第1の補助磁場信号との間の差に基づいて補助動的磁場変位データを決定し、
第1の動的磁場変位データ及び/又は補助動的磁場変位データの振動パラメータに基づいて衝撃力を決定するように構成され得る。
【0042】
本開示の第4の態様によれば、本明細書で開示される複数の損傷検出システムのいずれかに接続された、又は本明細書で開示される複数の安全構造のいずれかに接続されたサーバを備えるネットワークシステムが提供される。
【0043】
本開示の第5の態様によれば、本明細書で開示される損傷検出システムのいずれかを設置する方法が提供され、該方法は、
磁気要素を構造に適用して、磁化構造を提供するステップと、
損傷検出システムを磁化構造に結合するステップと、を含む。
【0044】
本開示の第6の態様によれば、損傷について磁化構造を監視するためのコンピュータ実装方法が提供され、該コンピュータ実装方法は、
磁化構造を監視するように配置された磁力計から磁化構造の第1の基準磁場を受信するステップと、
磁力計から磁化構造の第2の基準磁場を受信するステップと、
第2の基準磁場及び第1の基準磁場に基づいて磁場変位データを決定するステップと、
磁場変位データに基づいて磁化構造の状態を判定するステップと、を含む。
【0045】
本開示の更なる態様によれば、損傷について磁化構造を監視するための損傷検出システムが提供され、該損傷検出システムは、
磁力計と、
コントローラと、を備え、コントローラは、
磁力計から磁化構造の第1の磁場信号を受信し、
磁力計から磁化構造の第2の磁場信号を受信し、
第2の磁場信号及び第1の磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
磁場変位データに基づいて磁化構造の状態を判定するように構成されている。
【0046】
以下、1つ以上の実施形態について、添付の図を参照しながら、例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本開示の一実施形態による磁化構造を監視するための損傷検出システムの概略図を示す。
【
図2A】本開示の一実施形態による更なる損傷検出システムの概略図を示す。
【
図2B】本開示の一実施形態による更に別の損傷検出システムの概略図を示す。
【
図3A】本開示の一実施形態による、第1の時間において安全構造内に実装される損傷検出システムの実装形態を示す。
【
図3B】本開示の一実施形態による、第2の時間における
図3Aの損傷検出システムの実装形態を示す。
【
図3C】本開示の一実施形態による、第3の時間における
図3Aの損傷検出システムの実装形態を示す。
【
図4】本開示の一実施形態による、損傷について磁化構造を監視するための方法のフロー図を示す。
【
図5】本開示の一実施形態による、損傷検出システムを設置する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
多くの構造物、例えば橋梁、建物及び設備は、損傷を受けると安全上の問題を引き起こす可能性がある。1つの損傷経路は、構造との車両の衝突である。例えば、工場又は倉庫環境では、車両は、限られた空間内で、貴重な商品及び人員に近接して移動することが必要となる場合がある。倉庫では、フォークリフトトラック(FLT)が、貴重な在庫を含むラック又は棚の通路の間を通過することがある。FLTは、ラックから在庫を積み降ろしするために、急な旋回及び操作を行わなければならない場合がある。熟練した運転者であっても、特に衝突が検出されないか、又は報告されない場合には、偶発的にラックと衝突して損傷を引き起こし、ラックの崩壊による潜在的な安全上の問題を引き起こす可能性がある。
【0049】
構造物上の衝突センサは、衝突を検出して報告することによって、このリスクを軽減することができる。しかしながら、衝突センサは、歩行者が構造物をすり抜けた結果として生じる損害のない衝突、又は他の軽微な振動事象に対して、多くの誤警報を生成する可能性がある。
【0050】
本明細書に開示される損傷検出システムは、構造物の構造的完全性及び/又は構造との衝突若しくは衝撃を監視することが有利であり得る任意の構造とともに使用するのに好適であり得る。
【0051】
図1は、本開示の一実施形態による磁化構造118を監視するための損傷検出システム100の概略図を示している。損傷検出システム100(本明細書ではシステム100と称される)は、磁力計104及びコントローラ106を備える。コントローラ106は、磁力計104から磁場信号を受信するように構成されている。磁場信号は、(i)第1の時間にバックグラウンド又は較正基準磁場を提供する磁化構造に関連付けられた第1の磁場信号と、(ii)第1の時間の後の第2の時間に試験磁場を提供する磁化構造に関連付けられた第2の磁場信号と、を含む。コントローラ106は、第2の磁場信号と第1の磁場信号との間の差に基づいて磁場変位データを決定する。次いで、コントローラ106は、磁場変位データが状態閾値よりも大きい差を示す場合に、磁化構造118の状態を判定することができる。この例では、コントローラ106は、出力信号発生器108を使用して磁化構造118の状態を出力することができる。
【0052】
磁化構造118は、強磁性材料を含み、それ自体の磁場を生成する構造、例えば永久磁石であると理解されるべきである。一部の例では、磁化構造118は、本質的に磁性であり得る。例えば、磁化構造118は、強磁性材料及び/又は磁性粒子を含み、磁化プロセスを受けて磁化構造118に形成されてもよい。構造は、磁性材料でライニングされるか、又は注入されてもよい。他の例では、非強磁性構造は、磁化構造118を形成するために磁気要素119の適用によって磁化されてもよい。例えば、磁気要素119は、アルミニウム又は炭素複合材安全構造に適用又は添着されてもよい。磁気要素119は、磁気ストリップ、磁気プレート、磁気テープ、磁性粒子、又は磁性塗料のいずれかを含み得る。磁気要素119は、接着剤又は機械的固定を使用して、構造に適用又は添着されてもよい。一部の例では、磁気要素119は、磁化構造118の磁場の強度を高めるために、強磁性及び/又は磁化構造に適用されてもよい。
【0053】
一例として、1つ以上の磁化要素(本明細書では磁気要素と称する)をポリマー安全構造に追加して、(非鉄及び非金属)ポリマー安全構造を磁化することができる。ポリマー安全構造(例えば、ポリウレタン安全構造)は、倉庫及び工場環境のための堅牢な保護安全構造を提供することができ、安全バリア、安全ボラード、安全レール、ポスト、バンパー、ラック、ガード、機械ガード、機械フェンシング、又は歩行者及び/若しくは資産を車両衝突から保護若しくは隔離するための、若しくは歩行者を危険区域から保護若しくは隔離するための任意の他の構造を含み得る。1つ以上の磁気要素は、磁性材料のライニング、磁性材料の埋め込み、又は磁性材料の注入としてポリマー安全構造に追加されてもよい。1つ以上の磁気要素は、磁気ストリップ、磁気プレート、磁気テープ、磁性粒子、及び/又はポリマー安全構造に取り付けられた又は埋め込まれた磁性塗料を含み得る。磁化バリアシステムの形態の安全構造を磁化する特定の例を以下に説明する。このようにして、非鉄及び非金属安全構造を磁化し、状態及び損傷について監視することができる。
【0054】
損傷検出システム100は、有利には、損傷を受けやすい構造の状態を監視し、他の方法では気付かれないか、又は検出されない可能性がある損傷を検出することができる。損傷検出システム100はまた、有利には、衝突センサシステムを補完し、衝突事象が監視される構造への損傷と関連付けられるかどうかを判定することができる。損傷検出システム100はまた、有利には、構造の外部の検査に対して不可視の場合がある内部構造損傷を検出することができる。
【0055】
磁化構造118は、損傷を受けやすい構造であり得る。構造は、固定構造であってもよく、例えば、システム100は、倉庫環境内の磁化されたポスト、バリア、ラック、壁、機械ガード、機械フェンシングなどを監視することができる。システム100はまた、建設現場、駐車場、又は空港などの屋外環境におけるボラード及びバリアを監視することができる。システム100は、モバイル磁化構造118、例えば、スライドラック、スライドバリア、自律誘導車両、移動ロボット、又は車両の一部を監視することができる。
【0056】
一部の例では、コントローラ106は、筐体102内の磁力計104の近くに位置することができる。筐体102は、筐体102が監視のために磁化構造118に取り付け可能である自己完結型ユニットとしてシステム100を提供することができる。他の例では、システム100は、磁化構造118又は磁化構造118のサブコンポーネントに一体化されてもよく、例えば、安全ポスト又は安全ポスト用のキャップに一体化されてもよい。筐体102(又は安全構造)は、1つ以上の入力コントロール(図示せず)を有し得る。例えば、1つ以上の入力コントロールは、1つ以上の機能ボタン、タッチスクリーン、スイッチなどを含み得る。コントローラ106は、1つ以上の入力コントロールの作動に応答して、磁力計104に、第1の磁場信号を提供させるか、又は(以下で説明するような)較正ルーチンを実施させるか、かつ/又は例えば出力信号発生器108を無効にすることによってシステム100をリセットさせることができる。
【0057】
一部の例では、コントローラ106は、磁力計から離れて、例えば筐体102の外側及び/又はサーバ上に位置することができる。かかる例では、コントローラ106は、無線で及び/又はネットワークを介して磁力計104に結合され得る。一部の例では、コントローラ106は、磁力計104に対してローカルに(例えば、筐体102内に)配置された1つ以上のプロセッサと、磁力計104からリモートに(例えば、筐体102の外部又はサーバ上に)配置された1つ以上のプロセッサとを有する複数のプロセッサを備え得る。換言すれば、本明細書で説明されるコントローラ106の任意の機能は、磁力計104に対してローカルに、かつ/又は磁力計からリモートに実施され得る。システム100及び/又はコントローラ106は、リモートコントローラ106又はサーバなどの任意のリモート処理デバイスと通信するためのトランシーバを含み得る。
【0058】
コントローラ106は、較正ルーチンの一部として較正基準磁場として磁力計104から第1の磁場信号を受信することができる。較正ルーチンは、製造時、設置時、組立時、再組立時、サービス時、及び/又は再配置時を含む任意の時に、コントローラ106によって実施され得る。磁力計104によって測定される磁場信号は、磁化構造118及びシステム100の近傍の任意の他の静的磁性物体からの磁場に加えて、地球の磁場信号を含み得る。したがって、磁場信号は、システム100の位置に応じて変化する可能性がある。したがって、システム100が新しい位置に再配置された場合、新しい第1の磁場信号が較正ルーチンの一部として受信され得る。
【0059】
コントローラ106は、第1の磁場信号を受信した後の第2の時間に第2の磁場信号を受信する。このようにして、コントローラ106は、第2の磁場信号を第1の磁場信号と比較して、磁化構造118の状態の変化を判定することができる。
【0060】
磁場信号は、1つ以上の座標軸に沿った磁場測定値、又は軸線方向分解能のない絶対値としての磁場測定値を含み得る。コントローラ106は、1つ以上の軸に沿った第2の磁場信号B2と第1の磁場信号B1との間の差又は比に基づいて、磁場変位データΔBを決定することができる。例えば、磁場変位データは、以下の形式をとることができる。
ΔBx,y,z=B2x,y,z-B1x,y,z
又は、これに代えて、
【0061】
【0062】
コントローラ106は、磁場変位データΔBを1つ以上の状態閾値と比較することによって、磁化構造118の状態を判定することができる。例えば、コントローラ106は、磁場変位データΔBの大きさを1つ以上の条件閾値と比較することができる。代替として、又は加えて、コントローラ106は、軸のうちの1つ以上又は全てに沿った磁場変位データの値を1つ以上の対応する軸線方向状態閾値と比較してもよい。
【0063】
1つ以上の条件閾値は、磁化構造118の異なる状態に対応してもよい。例えば、状態閾値は、磁化構造118の損傷レベルに対応してもよい。次に、コントローラ106は、磁気変位データの値が対応する損傷レベル条件閾値を超える場合に、磁化構造の損傷レベルを判定することができる。損傷レベルは、磁気変位データの値及び/又は超えた条件閾値に基づく数値を用いて、例えば、「軽度」、「中度」、「重度」などの定性的、又は定量的であってもよい。より大きな程度の損傷は、損傷を定量化することを可能にする磁場変位値のより高い値に関連付けることができる。1つ以上の状態閾値はまた、磁化構造118の組立状態に対応してもよい。コントローラ106は、磁気変位データの値が対応する組立状態条件閾値を超える場合に、磁化構造の組立状態を判定することができる。組立状態条件閾値は、損傷レベル閾値よりも高くてもよい。例えば、磁化安全バリアを監視するシステム100の場合、バリアが損傷しているのではなく除去されている場合には、磁気変位データはより大きな大きさを有する。したがって、組立条件閾値は、損傷閾値よりも高くてもよい。コントローラ106は、磁場変位データの値が全ての条件閾値未満であり、かつ/又は許容可能な偏差閾値未満である場合に、磁化構造が損傷を受けておらず正しく組み立てられた状態にあると判定することができる。
【0064】
コントローラ106は、複数の更なる磁場信号を受信し、更なる磁場信号に基づいて磁気変位データを決定することができる。コントローラ106は、更なる磁場信号と第1の磁場信号との間の差に基づいて磁気変位データを決定することができる。
【0065】
コントローラ106は、モニタリング中に定期的に、例えばスケジュールに従って、又は別様にオンデマンドで、磁力計106から更なる磁場信号を受信することができる。一例として、コントローラ106は、規則的な時間間隔、例えば、毎時間、毎日、毎週などで更なる磁場信号を受信してもよい。このようにして、コントローラ106は、規則的な間隔で磁化構造118の状態を監視することができる。コントローラ106は、車両が存在しないことが分かっているとき(例えば、夜間)に、更なる磁場信号を受信することができる。このようにして、磁化構造118の磁場信号を定期的に測定して、損傷を受けていない正確に組み立てられた状態が常に得られることを確実にすることができる。
【0066】
一部の例では、コントローラ106は、2つの信号間の差異が差異閾値未満である場合、第1の磁場信号を第2の磁場信号又は更なる磁場信号で更新又は置換することができる。このようにして、磁力計104、システム100の感度又は磁化構造118の磁化のドリフトが蓄積して誤警報をもたらすことはない。
【0067】
この例では、システム100は、出力信号発生器108を更に備え、コントローラ106は、磁化構造118の状態を示す状態信号を出力することができる。出力信号発生器108は、サイレンなどの可聴信号発生器、又は(点滅)光若しくは警報メッセージを表示する表示画面などの可視信号発生器を備え得る。このようにして、出力信号発生器108は、歩行者及び車両運転者に、磁化構造118の損傷又は不正確な組立てから生じるあらゆる潜在的な危険を警告することができる。例えば、警報ディスプレイは、磁化構造118が検査及び/又は修理されるまで、一時的な車両速度制限又は進入禁止警告を示すことができる。コントローラ106は、磁化構造の状態が損傷レベル又は不正確な組立てに対応する場合に、出力信号発生器108を作動させることができる。
【0068】
出力信号発生器108は、状態信号及び/又は磁場変位データを外部デバイスに送信するように構成された送信機を備え得る。例えば、送信機は、状態信号をリモートサーバ、リモートデバイス及び/又はモバイル端末に送信してもよい。このようにして、システム100は、磁化構造118の状態をユーザに警告することができ、検査及び/又は修理の潜在的な要件を示すことができる。状態信号は、磁場センサ信号、磁場変位データ、及び/又は磁化構造118の状態のいずれかを含むデータ信号を含み得る。状態信号からのデータはまた、分析のために、ローカルに、又はリモートサーバに記憶されてもよい。このようにして、磁化構造118が、例えば、毎日、毎週、又は毎月、いくつの衝突及び/又は分解事象にさらされるかを示すために、センサシステム100のためのデータを捕捉することができる。
【0069】
図示の例では、出力信号発生器108は、筐体102内に示されている。他の例では、出力信号発生器108は、筐体102の外側にあってもよく、有線又は無線手段を介してコントローラ106と通信してもよい。例えば、出力信号発生器108は、センサシステムに近い壁に配置された可聴又は可視信号発生器を含み得る。
【0070】
システム100は、電源(図示せず)を含み得る。システム100が固定された磁化構造118に関連付けられる場合、電源はバッテリを備え得る。磁力計は、高い電力消費を有し、無視できない電流を消費する可能性がある。したがって、1つ以上の例では、システム100は、スリープモード又はアイドルモードで動作するように構成され得る。システム100は、デフォルト状態としてスリープモードで動作することができる。スリープモードでは、磁力計104は、電力を消費しない(又はごくわずかな量しか消費しない)ように無効にされ得る。スリープモードでは、コントローラ106はまた、低減された状態で動作することができる。例えば、コントローラ106は、スリープモードからシステムをウェイクさせるためのトリガシグナリングをリッスンするなどの必須の機能のみを実施することができる。このようにして、システム100は、バッテリ電力が節約されるスリープモードで動作する。
【0071】
システム100(又はコントローラ106)は、システム100をスリープモードからウェイクさせるためのトリガシグナリングを受信することができる。コントローラ106は、トリガシグナリングに応答して磁力計104を選択的に作動させ、磁力計104から(第2の又は更なる)磁場信号を受信することができる。トリガシグナリングは、監視スケジュールによる周期的なトリガ信号を含み得る。例えば、コントローラ106は、磁力計を作動させ、規則的な時間間隔、例えば、毎時間、毎日、毎週などで更なる磁場信号を受信してもよい。
【0072】
システム100は、トリガセンサからオンデマンド信号としてトリガシグナリングを受信することができる。トリガセンサは、磁力計の所定の半径内の物体の動き、及び/又は物体と磁化構造118との衝突に応答することができる。コントローラ106は、トリガシグナリングに応答して磁力計104を起動し、オンデマンド磁場信号を受信することができる。次に、コントローラ106は、オンデマンド磁場信号と第1の磁場信号との間の差に基づいて磁場変位データを決定することができる。コントローラ106は、上述したように、磁場変位データに基づいて磁化構造118の状態を判定することができる。一部の例では、システム100は、トリガセンサを更に備え得る。トリガセンサは、スリープモード中にアクティブのままであり得る低電力デバイスであってもよい。
【0073】
一部の例では、トリガセンサは、機械的センサ、例えば、加速度計などの振動又は衝撃センサを備えてもよい。機械的センサは、衝突センサシステムの一部を形成してもよい。一部の例では、損傷検出システム100は、衝突センサシステムの一部を形成してもよい。機械的センサは、物体(通過する車両など)の動きから、又は物体とシステム100若しくは磁化構造118との衝突から生じる振動を検出することができる。機械的センサは、振動/衝撃を検出することができ、振動の大きさが潜在的な損傷閾値よりも大きい場合、コントローラ106は、機械的センサからトリガシグナリングを受信し、磁力計104を作動させることができる。
【0074】
コントローラ106は、磁力計104を作動させ、オンデマンド磁場信号を受信し、磁場変位データ及び磁化構造118の状態を判定して、検出された振動が磁化構造118に対する構造的損傷に関連するか否かを判定することができる。このようにして、システム100は、衝突センサを補完するための損傷検出機能を提供することができる。磁化構造118の状態を判定することによって、システム100は、損傷を与える可能性のある衝突から生じる磁化構造118における振動を、歩行者が構造をすり抜けるなどの低リスクの振動から生じる振動と区別することができる。したがって、システム100は、衝突センサシステムにおける誤警報を低減することができる。
【0075】
一部の例では、トリガセンサは、動きを検出するための光学センサを備え得る。光学センサは、所定の半径内の物体の動きを検出することができる受動赤外線(PIR)センサを備えてもよい。コントローラ106は、PIRセンサから信号を受信し、所定の半径内の物体の移動に応答して磁力計を作動させることができる。一部の例では、コントローラ106は、光学センサから動き信号を受信し、移動物体の検出に続いて磁力計104を作動させることができる。コントローラ106は、動きがもはや存在しないことを動き信号が示すまで、定期的な間隔(例えば、毎秒複数回の測定)で磁力計104からオンデマンド磁場信号を受信することができる。このようにして、損傷検出システム100は、磁場信号を捕捉し、運動事象全体を通して磁化構造118の状態を監視することができる。移動物体が磁化構造に損傷を与える場合、システム100は、衝突の過渡損傷プロファイルを捕捉することができる。
【0076】
他の例では、コントローラ106は、光学センサから動き信号を受信し、動き事象が完了した(動きがもはや検出可能でない)ことを動き信号が示すときにのみ磁力計104を作動させることができる。その結果、損傷検出システム100は、運動事象の完了後に磁化構造118の状態を判定することができる。このようにして、測定された磁場信号に対する、それ自体が強磁性材料を含み得る移動物体のいかなる影響も低減され得る。
【0077】
任意のトリガセンサからのオンデマンドトリガシグナリングに応答して、コントローラ106は、磁力計104から複数のオンデマンド磁場信号を受信することができる。コントローラ106は、対応するオンデマンド磁場信号と第1の磁場信号との間の差又は比に対応する複数の磁場変位を含む過渡磁場変位データを決定することができる。コントローラ106は、過渡磁場変位データに基づいて、磁化構造118の過渡損傷プロファイルを決定することができる。コントローラ106は、衝突事象の分析のために、過渡損傷プロファイルを記憶するか、又はそれをサーバ若しくはリモートデバイスに送信してもよい。
【0078】
車両、特にFLT及び重車両(HV)は、典型的には、相当の質量の強磁性(又は鉄)材料を有する。この車両が移動すると、地球の磁場が乱れる。したがって、磁力計104の近くを通過する車両も、磁化構造118の損傷又は分解と同様に、非ゼロ磁場変位データをもたらす可能性がある。コントローラ106は、少なくとも2つの方法で、通過する車両から磁化構造118の状態の変化を区別することができる。第一に、磁化構造118は、磁化構造118の損傷又は分解に対応する磁場変位データの値が、通過する車両に対応する磁場変位データの値よりも大幅に大きくなるのに十分な強度の磁場を有することができる。結果として、第1の損傷レベル閾値は、磁力計104の検出範囲内を通過する車両に対応する磁場変位データの値よりも大きくてもよい。
【0079】
コントローラ106が通過する車両から磁化構造118の状態の変化を区別することができる第2の方法は、損傷又は分解から生じる受信された磁場信号に対する永続的な変化に基づく。通過車両の場合、磁場変位データは減少し、車両が通過するとゼロに戻る可能性がある。損傷又は分解の場合、磁場変位データは減少しないか、又はゼロに戻らない。したがって、オンデマンド磁場信号の受信に続いて、コントローラ106は、磁場変位データが定常状態値(任意の車両が静止していること、磁力計104の検出範囲を出たこと、又は振動が車両から生じなかったことを示す)に達するまで、一定の間隔でオンデマンド磁場信号を受信し続けることができる。次いで、コントローラ106は、オンデマンド磁場信号の定常状態値と第1の磁場信号との間の差に基づいて磁場変位データを決定し、磁化構造118の状態を判定することができる。
【0080】
一部の例では、損傷検出システム100は、通過する車両によって引き起こされる磁場外乱を利用して、トリガシグナリング(運動又は振動)によって示される物体が車両であるかどうかを判定することができる。例えば、コントローラ106は、オンデマンド磁場信号と第1の磁場信号との間の差に基づいて磁場変位データを決定することができる。コントローラ106は、磁場変位データが1つ以上の変位閾値を超える場合、物体が車両であると判定することができる。例えば、磁場変位データが1つ以上の変位閾値よりも大きい場合、コントローラ106は、物体が車両であると判定することができ、そうでない場合、コントローラ106は、物体が車両ではない(例えば、歩行者)と判定し、システム100をスリープモードに戻すことができる。物体が車両であると判定された場合、システムは、磁場変位データが所定の期間にわたって1つ以上のスリープ閾値を下回ったままであるまで、磁力計104をアクティブ状態に維持することができる。これは、任意の車両検出事象の完全なデータ捕捉を保証することができる。
【0081】
1つ以上の変位閾値は、損傷レベル及び磁化構造の分解に対応する状態閾値未満であり得る。このようにして、コントローラ106は、磁化構造の状態の変化から車両の存在を区別することができる。
【0082】
物体が車両であると判定したことに応答して、コントローラは、複数のオンデマンド磁場信号を収集し、上述のように過渡磁場変位データを決定することができる。コントローラ106は、過渡磁場変位データに基づいて、車両の位置、速さ、速度、軌道、又は存在のいずれかを判定することができる。一部の例では、車両の磁気特性を予め決定することができる。例えば、倉庫環境では、それぞれが実質的に同じ質量の強磁性材料を有するフォークリフトトラックが、検出のための唯一の車両タイプであってもよい。コントローラ106は、1つ以上の軸における磁場変位の値を、1つ以上の軸に沿ったフォークリフトトラックまでの対応する距離に変換するための換算係数で事前構成又はプログラムすることができる。他の例では、コントローラ106は、車両から識別信号を受信し、識別信号に基づいて車両の磁気特性又は強磁性質量を識別することができる。このようにして、コントローラ106は、車両の位置及び動的特性を決定することができる。
【0083】
コントローラ106は、車両の位置及び/又は動的特性に基づいて出力信号発生器108を作動させることができる。例えば、車両の軌道が磁化構造に入射する場合、コントローラは、出力信号発生器を作動させて、車両運転者に警告するための警告信号を生成することができる。機械的トリガセンサを有する例では、損傷検出システム100は、衝突センサシステムの一部を形成することができ、システム100は、以下の多機能、すなわち(i)接近している車両に衝突リスクを警告することと、(ii)検出された振動又は衝突が車両に関連するかどうかを判定することと、(iii)衝突の損傷レベルを判定することとを提供することができる。
【0084】
図2Aは、本開示の一実施形態による別の損傷検出システム200の概略図を示している。
図1に関連して既に上述した
図2Aの特徴には、200番台の対応する参照番号が与えられており、ここでは必ずしも再度説明しない。
【0085】
システム200は、それぞれが同じ磁化構造218の異なる部分を監視する複数のサブシステムを含む。例えば、各サブシステムは、倉庫内のラックユニットの各脚部又は棚、あるいは安全バリアシステム内の各ポストを監視することができる。他の例では、1つ以上のサブシステムが、別個の磁化構造を監視してもよい。各サブシステムは、磁力計204a、204b、204n及びコントローラ206a、206b、206nを含む筐体202a、202b、202nを備える。各サブシステムはまた、サーバ210と通信することができるトランシーバ(図示せず)を備える。サーバ210は、ユーザインターフェースを備えてもよく、又はパーソナルモバイル端末若しくはコンピュータなどのユーザインターフェースを有する他のデバイスと通信してもよい。このようにして、サーバ210は、サブシステムの各々からデータを収集して、磁化構造218の各部分を監視することができる。システム200は、損傷又は分解された構造218の1つ以上の部分を決定することができる。このようにして、システムは、構造の特定の部分が検査、一時的な安全措置(安全コード、速度制限、一方向制限など)及び/又は修理を必要とすることをユーザに警告することができる。システム200は、監視データを分析して、許容閾値を超える損傷又は分解の頻度を有する磁化構造218の部分を識別することができる。倉庫又は工場環境では、ユーザは、環境の安全性を向上させるために、構造レイアウトに対する変更(レイアウトの再配置、保護対策の実装など)を実装することができる。
【0086】
図2Aの例では、各サブシステムは、
図1に関連して上述したようなコントローラ機能を実装するために、専用の磁力計204a、204b、204nと、専用のローカルコントローラ206a、206b、206cとを有する。
【0087】
各サブシステムはまた、専用の出力信号発生器208を有する。他の例では、サブシステムは、共通の出力信号発生器と通信可能に結合されてもよい。例えば、2つ以上のサブシステムが、同じ可聴又は可視出力信号発生器に、及び/又はコントローラ206の何らかの機能を実施し、かつ/又はサーバ210との間で情報を受け渡しすることができる共通のゲートウェイに無線で結合されてもよい。
【0088】
図2Bは、本開示の一実施形態による更なる損傷検出システム200’の概略図を示している。
図1に関連して既に上述した
図2Bの特徴には、200’シリーズの対応する参照番号が与えられており、ここでは必ずしも再度説明しない。
【0089】
この例では、システム200’はやはり複数のサブシステムを含む。この例では、各サブシステムは、それぞれの別個の磁性構造218’a、218’b、218’nを監視する。
図2Aのシステムと比較した更なる違いは、コントローラ206’がサーバ210’に配置され、
図1に関連して上述した機能を複数のサブシステムに提供することである。各サブシステムは、磁力計204’a、204’b、204’n及びトランシーバ212’a、212’b、212’cを含む筐体202’a、202’b、202’nを備える。この例では、サブシステムは、トランシーバ212’a、212’b、212’nが処理のために対応する磁力計204’a、204’b、204’nからコントローラ206’に信号を伝送し、対応する出力信号発生器208’a、208’b、208’nを作動させるためにコントローラ206’から信号を受信するという点で、ダムデバイスとして機能する。このようにして、
図1に関連して説明したコントローラ206’の機能は、サーバ210’において実装される。
【0090】
図2A及び
図2Bはそれぞれ、コントローラ機能がサブシステムに対してローカルに又はサーバ上に実装される例を説明する。他の例では、
図1に関連して説明されるコントローラの機能の任意の要素は、サブシステムに対してローカルに、又はサーバ上のサブシステムからリモートに実施され得ることが理解されるであろう。
【0091】
図3A~
図3Cは、本開示の一実施形態による損傷検出システムの例示的な実装形態を示している。この例では、損傷検出システム300は、スマートバリアシステムの安全ポスト316-1、316-2のキャップ314-1、314-2に組み込まれた複数の磁力計304-1、304-2を備える。システム300は、磁力計304-1、304-2と通信するサーバ310上に位置するコントローラ306を更に備える。システム300は、キャップ314-1、314-2内の各磁力計304-1、304-2と同じ場所に配置された1つ以上のプロセッサ及びトランシーバ(図示せず)を更に備える。このようにして、各キャップは、
図2Bに関連して説明したものと同様のサブシステムを形成する。1つ以上のプロセッサ及びトランシーバは、コントローラ306との間での磁場信号及び状態信号の通信、並びにかかる信号の処理を可能にする。
図2Aに関連して説明されるような複数の独立したサブシステムなどの他のアーキテクチャが、図示されるシステム300と同一の機能性を提供することができることを理解されるであろう。損傷検出システム300の磁力計304-1、304-2は、安全ポスト316-1、316-2の間に延在する磁化安全バリア318を監視するように配置される。
【0092】
この例では、キャップ314-1、314-2内の各サブシステムは、加速度計(図示せず)の形態の低電力トリガセンサを含む。
【0093】
第1の時間に、コントローラ306は、磁力計304-1、304-2の各々から磁化構造318の第1の磁場信号を受信する。コントローラ306は、バリアシステムが最初に設置されるときに、較正ルーチンの一部として第1の磁場を受信してもよい。
【0094】
図3Aに示す第2の時間において、コントローラは、磁力計304-1、304-2の各々から磁化構造318の第2の磁場信号を受信する。コントローラ306は、第2の磁場信号とそれぞれの第1の磁場信号との間の差に基づいて磁場変位データを決定する。磁化構造318は、設置されてから移動又は損傷していないため、磁場変位データの値はゼロ又はゼロに近い。コントローラ306は、磁場変位データの値が全ての状態閾値及び許容偏差閾値未満であるため、磁化構造318の状態が正しく設置されており、損傷していないと判定する。
【0095】
コントローラ306は、バリアシステムの状態を連続的に監視するために、規則的な間隔で磁力計304-1、304-2から更なる磁場信号を受信し続けることができる。システム300は、規則的な間隔の間、スリープモードで動作する。スリープモードでは、磁力計304-1、304-2は無効にされ、加速度計はアクティブである。
【0096】
その後、
図3Bに示すように、コントローラ306は、車両衝突に応答して、キャップ314-1、314-2のうちの2つの加速度計からトリガシグナリングを受信する。コントローラ306は、キャップ314-1、314-2に対応する磁力計304-1、304-2を起動し、オンデマンド磁場信号を受信する。コントローラ306は、各磁力計304-1、304-2から複数のオンデマンド磁場信号を受信し、オンデマンド磁場信号の各々と各磁力計304-1、304-2のそれぞれの第1の磁場信号との間の差に基づいて過渡磁場変位データを決定する。オンデマンド磁場信号が一定の定常値に落ち着いた後、コントローラ306は、磁場変位データに基づいて磁化構造318の状態を判定する。コントローラ306は、磁場変位データの値が深刻な損傷レベル状態閾値よりも大きいため、磁化構造318の状態が深刻な損傷を受けていると判定する。コントローラ306は、過渡磁場変位データに基づいて、車両(車両が鉄鋼材を含む場合)の過渡損傷プロファイル及び/又は動的特性を決定することができる。
【0097】
コントローラ306は、出力信号発生器を作動させて、磁化構造318が損傷していることをユーザに警告することができる。例えば、サーバは、サーバ310及びコントローラ306と通信するモバイルアプリケーションをホストすることができるユーザのモバイル端末と通信することができる。その後、ユーザは、エリアの検査、エリアからの切り離し、速度制限の導入などを含む是正措置をとることができる。コントローラ306は、バリアシステムに近いユーザに警告するために、磁化構造318に対してローカルな可視又は可聴出力信号発生器を作動させることができる。出力信号発生器は、一時的な速度制限、一時的なアクセス制限などを含むメッセージを提供する表示画面を備えることができる。
【0098】
コントローラ306は、第1の磁力計304-1に対応する第1の磁場変位データを第2の磁力計304-2に対応する第2の磁場変位データと比較して、その比較に基づいて磁化構造上の損傷の位置を決定することができる。例えば、コントローラ306は、単に、損傷の位置が、磁場変位データのより高い値に対応する特定のキャップ314-1、314-2により近いと判定してもよい。更なる例として、コントローラ306は、1つ以上の軸における第1及び第2の磁力計304-1、304-2の磁場変位データの値の比を計算することができる。次いで、コントローラ306は、計算された比に基づいて、第1の磁力計304-1と第2の磁力計304-2との間に延在する長さに沿った損傷の位置を決定することができる。一例として、第2の磁力計304-2に対する第1の磁力計304-1の変位データの大きさの計算された比が2:1である場合、コントローラは、損傷の位置が、第1の磁力計304-1から第2の磁力計304-2まで延在する長さに沿った経路の約3分の1であると判定することができる。位置決定を可能にするために、各磁力計は、それらが試験磁気源に対して同じ感度及び比例性を有することを確実にするように較正され得る。このようにして、コントローラ306は、磁化構造318を監視する第2の磁力計304-2から第1の補助磁場信号及び第2の補助磁場信号を受信し、第1の補助磁場信号及び第2の補助磁場信号に基づいて磁化構造318の補助磁場変位データを決定し、磁場変位データと補助磁場変位データとの比較に基づいて磁化構造318上の損傷位置を決定するように構成される。
【0099】
図3Cに示す更に後の時点で、コントローラ306は、磁力計304-1、304-2の各々から磁化構造318の更なる磁場信号を受信する。コントローラ306は、それに応じて磁場変位データを決定し、磁場変位データの値が分解ステータス状態閾値よりも大きいため、分解される磁化構造318の状態を判定する。コントローラ306は、
図3Bに関連して上述したように、出力信号発生器を作動させることができる。
【0100】
図3A~
図3Cのような磁化バリアシステムでは、磁化バリア318は、安全バリアと、安全バリアに結合された複数の磁気要素と、を備えることができる。一部の例では、磁化バリア318は、安全バリアの軸(又は長さ)に沿って開口部を通って延在するワイヤを備えることができ、複数の(同一の)磁気要素が、ワイヤの長さに結合され、ワイヤの長さに沿って(周期的に)離間される。ワイヤは、安全バリア内で、張力下で保持されてもよく、例えば、ワイヤの各端部は、磁化バリアの各端部に固定されてもよく、又は各隣接するポスト316-1、316-2に固定されてもよい。この文脈において、バリアという用語は、バリア、フェンシング、手すりなどの任意の水平安全構造に関連し得ることを理解されたい。
【0101】
磁化バリア318への衝突に応答して、ワイヤ及び磁気要素は、振動するように振動することができる。コントローラ306は、この振動運動のダイナミクスを検出するために、各磁力計304-1、304-2から複数の更なる磁場信号を受信することができる。例えば、加速度計からのトリガシグナリングに応答して、コントローラ306は、各磁力計304-1、304-2から複数の更なる磁場信号を受信し、次いで、各磁力計304-1、304-2についての各更なる磁場信号とそれぞれの第1の磁場信号との間の差に基づいて、第1及び第2の動的磁場変位データを決定することができる。損傷の位置に関して上述したのと同じ方法で、コントローラ306は、第1の動的磁場変位データと第2の動的磁場変位データとの間の比較に基づいて、磁化構造318に対する衝撃の位置を決定することができる。また、コントローラ306は、第1の動的磁場変位データ及び/又は補助動的磁場変位データに基づいて衝撃力を決定することができる。例えば、正弦波状の振動の場合、コントローラ306は、第1及び/又は第2の動的フィールド変位データの振幅、周波数、及び/又は減衰率に基づいて、衝撃のエネルギー(又は力)を決定することができる。例えば、振動の振幅は、衝撃のエネルギーに依存して増加する可能性がある。一部の例では、コントローラ306は、振動パラメータ(振幅、周波数、減衰)を、磁化安全バリア318の較正ルーチンの一部として予め決定された基準値と比較してもよい。前述のように、(第1及び/又は第2の)磁場変位データが定常状態値に達した後、コントローラ306は、磁化構造318の状態を判定することができる。
【0102】
図4は、本開示の一実施形態による、損傷について磁化構造を監視するための方法のフロー図を示している。本方法は、本明細書に開示されるシステムのいずれかに関連して説明されるコントローラなどのプロセッサ又はコントローラ上で行われる、コンピュータ実装方法であり得る。
【0103】
第1のステップ430は、磁力計から磁化構造の第1の磁場信号を受信することを含む。第1の磁場信号は、基準又は較正磁場信号を含み得る。第2のステップ432は、磁力計から第2の磁場信号を受信することを含む。第3のステップ434は、第2の磁場信号及び第1の磁場信号に基づいて磁場変位データを決定することを含む。例えば、磁場変位データは、第2の磁場信号と第1の磁場信号との間の差又は比を含み得る。第4のステップ436は、磁場変位データに基づいて磁化構造の状態を判定することを含む。本方法は、磁化構造の状態を示すために出力信号発生器を作動させることを含み得る。コントローラは、磁場変位データの値と、許容偏差閾値(損傷を受けていない正しい組立てを示す)、1つ以上の損傷レベル状態閾値、及び1つ以上の組立状態閾値を含む1つ以上の状態閾値との比較に基づいて、磁化構造の状態を判定することができる。
【0104】
開示された損傷検出システムは、構造を監視する衝突センサシステムを有利に補完して、誤警報及び軽微な振動事象を、損傷を与える衝突から区別することができる。
【0105】
図5は、本開示の一実施形態による、本明細書に開示される損傷検出システムのいずれかを設置するフロー図を示している。
【0106】
第1のステップ540は、磁気要素を構造に適用して磁化構造を提供することを含む。磁気要素を適用することは、磁気ストリップ、磁気プレート、磁気テープ、磁性粒子及び/又は磁性塗料のいずれかを構造に適用することを含み得る。第2のステップ542は、損傷検出システムを磁化構造に結合することを含む。損傷検出システムを磁化構造に結合することは、損傷検出システム(の一部)を適切な固定具で磁化構造に取り付けること、損傷検出システム(の一部)を磁化構造の近くに配置すること(損傷検出システムが磁性構造によって生成される磁場を検出することができるように)、及び/又は損傷検出システム(の一部)を磁化構造(
図3A~
図3Cのキャップなど)内に組み込むことを含み得る。
【符号の説明】
【0107】
100 システム、センサシステム、損傷検出システム
102 筐体
104 磁力計
106 コントローラ、リモートコントローラ
108 出力信号発生器
118 磁化構造
118 モバイル磁化構造
119 磁気要素
200 システム、損傷検出システム
200’ システム、損傷検出システム
202’a、202’b、202’n 筐体
202a、202b、202n 筐体
204a、204b、204n 磁力計
204’a、204’b、204’n 磁力計
206 コントローラ
206’ コントローラ
206a コントローラ、ローカルコントローラ
206b コントローラ、ローカルコントローラ
206c ローカルコントローラ
206n コントローラ
208 出力信号発生器
208’a、208’b、208’n 出力信号発生器
210 サーバ
210’ サーバ
212’a、212’b、212’c、212’n トランシーバ
218、218’a、218’b、218’n 磁化構造
300 損傷検出システム
304-1 磁力計、第1の磁力計
304-2 磁力計、第2の磁力計
306 コントローラ
310 サーバ
314-1 キャップ
314-2 キャップ
316-1 ポスト、安全ポスト
316-2 ポスト、安全ポスト
318 磁化構造
【国際調査報告】