(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-22
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/02 20060101AFI20240415BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240415BHJP
A23L 2/06 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A23L2/02 B
A23L2/00 B
A23L2/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514148
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2022020002
(87)【国際公開番号】W WO2022234866
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】橋本 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】シモ,アナ
(72)【発明者】
【氏名】ビニュエラス,アルバ
(72)【発明者】
【氏名】ザウベット,アナ
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LE10
4B117LG02
4B117LK13
4B117LL01
4B117LP01
4B117LP14
4B117LP17
4B117LP20
(57)【要約】
本発明は、柑橘果実の浸出液を含む飲料を提供する。柑橘果実浸出液ならびに前記浸出液を含む材料、濃縮物および飲料の製造のための方法もまた提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘果実の浸出液を含む容器詰め飲料であって、
75NTU以下の濁度、
2~7のpH
を有する、容器詰め飲料。
【請求項2】
柑橘果実の浸出液を含む飲料であって、
75NTU以下の濁度、
2~7のpHおよび
少なくとも0.1Brixの可溶性固形分
を有する、飲料。
【請求項3】
容器詰め飲料である、請求項2に記載の飲料。
【請求項4】
前記容器が、缶、ガラスボトル、プラスチックボトルおよび樽から選択される、請求項1または請求項3に記載の飲料。
【請求項5】
前記容器が、2リットル以下、好ましくは、1リットル以下、より好ましくは、500ml以下の体積を有する、請求項1、請求項3または請求項4に記載の飲料。
【請求項6】
3.0~5.0、好ましくは3.5~4.5のpHを有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項7】
前記浸出液が、前記柑橘果実の全果の浸出液である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項8】
前記浸出液が、粉砕した柑橘果実の全果を浸漬するステップにより得られる、請求項7に記載の飲料。
【請求項9】
柑橘果実の果汁をさらに含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項10】
前記飲料の全量を基準にして、2.0g/L以下の量の前記果汁を含有する、請求項7に記載の飲料。
【請求項11】
標準濃度の果実浸出液の15~30%(w/w)と等しい量、好ましくは、標準濃度の果実浸出液の約25%(w/w)と等しい量の前記浸出液を含有する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項12】
最終飲料中に、0.2g/L~0.4g/Lの乾燥物質をもたらす量の浸出液を含有する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項13】
追加の甘味料を含有しない、またはスクロースの5.0度Brix以下、好ましくは、スクロースの3.0度Brix以下の甘味を前記飲料中に与える量の、追加の甘味料を含有する、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項14】
前記柑橘果実が、レモン、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ、ライムまたは他の柑橘果実からなる群から選択される1つまたは複数の果実を含む、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項15】
殺菌されている、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の飲料を調製するための濃縮物。
【請求項17】
前記飲料の、2~35倍濃縮物、好ましくは3~30倍濃縮物、より好ましくは、5~25倍濃縮物である、請求項16に記載の濃縮物。
【請求項18】
柑橘果実の、好ましくは、全果の浸出液であって、好ましくは、前記濃縮物に対して5~20g/Lの乾燥物質をもたらす量の、浸出液を含む、請求項16または請求項17に記載の濃縮物。
【請求項19】
2500NTU未満の濁度および1~4の間のpHを有する、請求項16から18のいずれか一項に記載の濃縮物。
【請求項20】
柑橘果実の浸出液を調製するための方法であって、
前記柑橘果実の全果を、0.5mm~30mmの寸法に粉砕して、粉砕した柑橘果実を得るステップ、および
前記粉砕した柑橘果実を、55℃以下の水温で水に浸漬して浸出液を得るステップ
を含む方法。
【請求項21】
前記柑橘果実の全果を粉砕する前記ステップが、0.5mm~30mmの直径をそれぞれ有する複数の開口部を含む装置を用いて実施され、前記装置が、好ましくはメッシュである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
任意選択で、さらに飲料材料を添加するステップ、
前記浸出液を水で希釈するステップ
をさらに含み、飲料を製造する、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能な製品。
【請求項24】
飲料、飲料中で使用するための材料、または飲料を調製するための濃縮物である、請求項23に記載の製品。
【請求項25】
請求項1から15のいずれか一項に記載の飲料である、請求項24に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月4日に出願された、英国特許出願公開第2106328.4号からの優先権を主張するものであり、その出願の内容および要素は、参照により、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、飲料、特に、柑橘果実から製造される飲料、より詳細には、柑橘果実からの浸出液を含む飲料、およびかかる飲料の製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
柑橘果実は、例えば果汁および果汁性飲料、炭酸飲料、フレーバウォータおよび果実浸出液を含む飲料における、人気ある材料兼風味剤である。消費者は、天然の、低糖含量かつ「手作り」に近いドリンク、例えば、果実浸出液を含有する飲料をますます探し求めている。同時に、消費者は、風味に関して妥協することを欲せず、標準的な消費者は、他のものと比較して強烈な、ある特定のフレーバのノートを有するものではなく、強い風味だけでなく、バランスが良く、全果(whole fruit)のような味わいもまた欲する。
【0004】
果実浸出液を作製する従来のやり方では、全果を切り刻み、次いで水に浸漬する。しかしながら、得られる浸出液は、フレーバと芳香が随分弱く、特に殺菌後に、風味が非常に急速に消失してしまう。したがって、これは、一般向けに発売するためのパック詰めされた飲料の、理想的ではない製造方法である。フレーバ強度は、浸出液に添加される果実を増量することにより、ある程度改良され得る。しかしながら、経済的観点からは、これは、強い柑橘フレーバを有する飲料を提供するための、理想的な解決法ではない。
【0005】
さらに、柑橘果実のフラベド、アルベドまたは果肉を圧搾することにより、より強い柑橘果実のフレーバを得ることが可能な一方、風味が強くなるにつれ、酸っぱさも増し、渋みも増す。この方法はまた、得られる飲料中に沈殿や濁りを引き起こし、望ましくない。
【0006】
本発明は、上記の考慮事項の観点から考案されたものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、新規の柑橘果実材料を、粉砕した柑橘果実の全果の浸出液から製造することが可能であることを見出した。新規の浸出液は、改良された柑橘飲料中で利用することが可能である。
【0008】
有利なことに、本明細書に記載の本発明は、強い柑橘フレーバ、バランスの良い酸味および甘味、良好な口当たり、低い沈殿および高い透明性(低い濁り)を有する飲料を提供する。一部の実施形態では、飲料は、安定剤または保存料の添加の非存在下でさえも、改良された安定性および貯蔵寿命による恩恵を受ける場合もまたある。
【0009】
したがって、一態様では、本発明は、柑橘果実の浸出液を含む飲料であって、好ましくは、75NTU以下の濁度、2.5~7のpHおよび少なくとも0.1Brixの可溶性固形分を有する、飲料を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、飲料は、約3.0~約5.0、好ましくは、約3.5~約4.5のpHを有する。
【0011】
飲料は、好ましくは、容器詰め飲料である。いくつかの好ましい実施形態では、飲料は殺菌されている。
【0012】
別の態様では、本発明は、柑橘果実の浸出液を含む容器詰め飲料であって、好ましくは、75NTU以下の濁度、2.5~7のpHを有する、容器詰め飲料を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、容器は、缶、ガラスボトル、プラスチックボトルおよび樽から選択される。
【0014】
飲料は、柑橘果実の果汁をさらに含んでもよい。好ましい実施形態では、飲料は、任意の追加の甘味料を含有しない、または5.0度Brixのスクロースに等しいかもしくはそれ未満、好ましくは、3.0度Brixのスクロースに等しいかもしくはそれ未満の、甘味を飲料中に与える量の、追加の甘味料を含有する。「1.0度Brixのスクロースに等しい甘味」とは、100グラムの溶液中に1グラムのスクロースを含有する水溶液の甘味と同等である。
【0015】
本発明の別の態様は、飲料の調製のための濃縮物を提供する。
【0016】
本発明の別の態様は、飲料を調製するための方法であって、(i)柑橘果実の全果を、約0.5mm~約30mmの寸法に粉砕して、粉砕した柑橘果実を得るステップ、および(ii)粉砕した柑橘果実を水に浸漬して、好ましくは、55℃以下の温度で、浸出液を得るステップを含む、方法である。
【0017】
一部の実施形態では、柑橘果実の全果の粉砕は、メッシュまたは複数の開口部を有する他の装置を使用して実施されるが、それぞれの開口部は、約0.5mm~約30mmの直径を有する。
【0018】
本発明により、製品、すなわち、飲料材料、飲料濃縮物または飲料製品がまた提供され、それらは、本明細書に記載の方法により得られる、またはそれらにより得ることが可能である。
【0019】
本発明は、記載される態様および好ましい特徴の組み合わせを含むが、かかる組み合わせが、明確に容認できない、または明示的に回避される場合を除く。
【0020】
ここでは、本発明の原理を説明する実施形態および実験について、添付の図を参照して述べる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本明細書に記載のとおり調製されたレモン浸出液の一部の特性を、代替のレモン材料と比較して示す図である。
【
図2】本明細書に記載のとおり調製された浸出液の揮発性物質のプロファイルを代替のレモン調製物と比較する、スパイダー図である。下部のプロットは、リモネンを除く。
【
図3】本明細書に記載のとおり調製された浸出液中に存在する揮発性物質を代替のレモン調製物と比較する、棒グラフである。
【
図4】本明細書に記載のとおり調製された浸出液の栄養分析を代替のレモン調製物と比較する、スパイダー図である。
【
図5】本明細書に記載の飲料の工業的調製のための例示的なプロセスを示す図である。
【
図6】本発明の方法における柑橘果実の細断および細断片の寸法の妥当性を説明する図である。
【
図7】典型的な柑橘果実の種々の部分を示す図である(A. Nakamura, et. al., Solvent Extraction Research and Development, Japan, Vol. 24, No. 1, pp. 37-45 (2017))。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここでは、本発明の態様および実施形態について、添付の図を参照して述べる。さらなる態様および実施形態が、当業者には明らかであろう。この本文において言及された全ての資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
本発明は、柑橘果実の浸出液、好ましくは果実の全果の浸出液、最も好ましくは、粉砕した柑橘果実の全果の浸出液を含む飲料を提供する。
【0024】
本発明で使用する場合、「浸出液」という用語は、果実を水に浸漬し、しばらくの間、浸した(浸出した)場合に得られる、液体製品に関する。本発明の飲料における使用に適する、果実浸出液の調製のための方法を、以下に記載する。
【0025】
新鮮な浸出液は、原材料を冷水または熱湯に短時間浸漬することにより調製される。これらは、原材料の易溶性構成成分の希釈溶液である。当業者には当然のことながら、浸出液は、易溶性構成成分に加え、原材料からの、少量の懸濁物をさらに含有する場合もまたある。好ましくは、懸濁物は、抽出された物質全体の、全体の5%以下、より好ましくは3%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0026】
THIE Compendium of Guidelines for Tea Herbal and Fruit Infusions(2018年6月22日出版、附属書類14を参照されたい)によると、果実浸出液は、少なくとも1.2g/Lの乾燥物質をもたらし、これは、「標準濃度(standard strength)」の浸出液の基準値として典型的に使用される。当業者には当然のことながら、浸出液は、変更可能な濃度で調製することが可能である。一部の実施形態では、標準濃度の浸出液は、1.2g/Lの乾燥物質を含む。「濃厚な浸出液(intense infusion)」は、本発明で使用する場合、標準濃度の浸出液と比較して、原材料(すなわち、果実)からの、大幅に多い量の物質を含有する新鮮な浸出液と定義してもよい。原材料から得られた可溶性構成成分の濃度は、大幅に高く、例えば、少なくとも3倍高く、少なくとも5倍高く、少なくとも10倍高く、または少なくとも15倍高い。好ましい実施形態では、本明細書に記載の浸出液は、濃厚な浸出液である。
【0027】
一部の実施形態では、本発明の浸出液は、少なくとも5g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも6g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも8g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも10g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも12g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも14g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも15g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも17g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、少なくとも20g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。
【0028】
一部の実施形態では、浸出液は、最大で200g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で175g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で150g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で125g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で100g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で90g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で80g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で70g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で60g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で50g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で40g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。一部の実施形態では、浸出液は、最大で30g/Lの乾燥物質を含む濃厚な浸出液である。
【0029】
飲料に含有される浸出液の量は、「標準濃度」の浸出液と等しい量の参照をすることにより(すなわち、THIEの基準値を使用することにより)、定量化することが可能である。飲料中の引用された浸出液の量は、すなわち、材料リストまたはラベルに明記された量が、この等しい量に対応し、以下の計算から求めることができる。
【0030】
【0031】
一部の実施形態では、本発明の飲料は、標準濃度の浸出液の15%(すなわち、15g/100g)以下の量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の20%以下の量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の25%以下の量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の30%以下の量の浸出液を含む。
【0032】
一部の実施形態では、本発明の飲料は、標準濃度の浸出液の少なくとも1%(すなわち、1g/100g)に等しい量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、標準濃度の浸出液の少なくとも2%(すなわち、2g/100g)に等しい量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、標準濃度の浸出液の少なくとも5%(すなわち、5g/100g)に等しい量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の少なくとも8%に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の少なくとも10%に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の少なくとも12%に等しい量の浸出液を含む。
【0033】
一部の実施形態では、THIE基準値に基づき、飲料は、標準濃度の浸出液の1~30%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の5~30%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の10~30%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の0.1~25%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の1~25%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の5~25%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の10~25%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の15~25%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の20~25%(w/w)に等しい量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、標準濃度の浸出液の約25%(すなわち、25g/100g)に等しい量の浸出液を含む。
【0034】
一部の実施形態では、本発明の飲料は、最終飲料に対して、少なくとも約0.1g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、最終飲料に対して、少なくとも約0.2g/Lの乾燥物質をもたらす量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、最終飲料に対して、少なくとも約0.3g/Lの乾燥物質をもたらす量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、最終飲料に対して、少なくとも約0.4g/Lの乾燥物質をもたらす量の浸出液を含む。
【0035】
一部の実施形態では、本発明の飲料は、最終飲料に対して、約0.4g/L以下の乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、最終飲料に対して、約0.5g/L以下の乾燥物質をもたらす量の浸出液を含む。一部の実施形態では、飲料は、最終飲料に対して、約0.6g/L以下の乾燥物質をもたらす量の浸出液を含む。
【0036】
一部の実施形態では、本発明の飲料は、最終飲料に対して、0.1~0.6g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、最終飲料に対して、0.2~0.5g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、最終飲料に対して、0.2~0.4g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、最終飲料に対して、約0.3g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。
【0037】
種々の柑橘果実を、本明細書に記載の浸出液および飲料に使用することが可能である。一部の実施形態では、柑橘果実は、レモン、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ、ライムおよび他の柑橘果実から選択される。他の柑橘果実には、キンカン、ユズ、アグリフルーツ、ポメロ、タンジェリン、タンジェロ、サツマおよびクレメンタインを、限定することなく、含んでもよい。一部の実施形態では、柑橘果実は、レモン、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ、およびライムから選択される。一部の実施形態では、柑橘果実は、レモンおよびオレンジから選択される。一部の実施形態では、柑橘果実は、レモンである。
【0038】
本発明による飲料は、好ましくは、75NTU以下の濁度を有する。
【0039】
濁度とは、粒子状懸濁物の存在に起因する液体の「濁り」である。水中の濁度は、散光に対する懸濁粒子の性質を測定することにより、定量化することが可能である。濁度は、ネフェロメータと呼ばれる器具を使用するこのやり方で測定することが可能である。校正したネフェロメータによる濁度の単位は、比濁計濁度単位(NTU)と呼ばれる。
【0040】
一部の実施形態では、例えば、濁度は、HATCH(2100N)タービディメータ(濁度計)を使用して測定される。試料は、測定のために希釈せず、飲料を、単に濁度計の管内に入れ、NTU値を直接的に得る。
【0041】
一部の実施形態では、飲料は、60NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、飲料は、50NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、飲料は、40NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、飲料は、30NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、飲料は、20NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、飲料は、10NTU以下の濁度を有する。
【0042】
本発明による飲料は、約2.5~約7.0の範囲のpHを好ましくは有する。
【0043】
pH値は、酸味を測定するための標準的なパラメータである。飲料のpHは、周知の方法によって、例えば、pH測定器を使用することによって、決定することが可能である。飲料の酸味は、柑橘果実に由来する天然の酸に起因する場合がある。加えて、一部の実施形態では、酸味調整剤は、クエン酸を含むが、これに限定されず、飲料のpHを調整するために添加してもよい。
【0044】
一部の実施形態では、pHは、少なくとも2.5である。一部の実施形態では、pHは、少なくとも3.0である。一部の実施形態では、pHは、少なくとも3.5である。
【0045】
一部の実施形態では、pHは7.0以下である。一部の実施形態では、pHは6.5以下である。一部の実施形態では、pHは6.0以下である。一部の実施形態では、pHは5.5以下である。
【0046】
一部の実施形態では、pHは、約3.0~約6.0である。一部の実施形態では、pHは、約3.0~約5.5である。一部の実施形態では、pHは、約3.5~約6.0である。一部の実施形態では、pHは、約3.5~約5.5である。一部の実施形態では、pHは、約3.5~約5.0である。一部の実施形態では、pHは、約3.5~約4.5である。
【0047】
本発明による飲料は、好ましくは、少なくとも約0.1度Brixの可溶性固形分を有する。
【0048】
Brix値は、可溶性固形分のBrix度(°Bx)として表され、液体中に存在する溶質の量の尺度である。本明細書に記載の浸出液および飲料中の可溶性固形物は、主に糖を含むが、同時に、果実に由来する、溶解した有機酸および他の化合物もまた含むであろう。
【0049】
Brixは、周知の方法を使用して、例えば、屈折計または比重計を使用して測定することが可能である。屈折計は、液体試料を通過する光の屈折を測定することにより、Brix度を決定する。溶解した固形物、例えば、糖を含有する液体は、水よりも高密度であり、光が通過する時により大きな屈折を生じる。器具は、これを、水を通り抜ける光の屈折と比較して、Brix値を与える。
【0050】
CODEX GENERAL STANDARD FOR FRUIT JUICES AND NECTARSに従うと、Methods of Analysis and Samplingの節にて見出される方法によって決定されるとおり、Brixは、果汁の可溶性固形分として定義される。容認された方法を参照されたい。
【0051】
【0052】
一部の実施形態では、例えば、Brixは、屈折計(Mettler Toledo:RE50)によって測定され、試料中に含有される可溶性固形物の直接値を入手し、分析は、いかなる試料の調製をすることなく直接的になされる。
【0053】
一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.1°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.2°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.3°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.4°Brixの可溶性固形分を有する。
【0054】
一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.5°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.6°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.7°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.8°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約0.9°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約1.0°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約1.2°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約1.4°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約1.6°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約1.8°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約2.0°Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、少なくとも約2.1°Brixの可溶性固形分を有する。
【0055】
一部の実施形態では、飲料は、約0.5°Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、約1.0°Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、約2.0°Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、約3.0°Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、約4.0°Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、飲料は、約5.0°Brix以下の可溶性固形分を有する。
【0056】
本発明の飲料は、柑橘果実由来の、少なくとも1つの油を含んでもよい。有利なことに、本明細書に記載の方法を使用すると、柑橘油が柑橘果実の浸出液中に保持される場合がある。理論に束縛されるものではないが、飲料中の柑橘油の存在が、飲料中の良好な風味およびフレーバを付与する。
【0057】
本発明の飲料は、柑橘果実浸出液由来の揮発性成分を含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、これらの成分は、浸出液のフレーバおよび感覚プロファイルに寄与する場合があり、その結果、最終飲料のそれらに寄与する場合がある。
【0058】
一部の実施形態では、これらの成分には、アルファピネン、ベータピネン、ガンマテルピネン、アルファテルピネオール、ベルガモテン、ベータビサボレン、フェンコール、ネロール、ゲラニオール、酢酸ゲラニルおよびリモネンを含むが、これらに限定されない。
【0059】
一部の実施形態では、本発明による飲料はまた、さらなる材料を含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、飲料は、果汁、好ましくは柑橘果実によるものをさらに含む。果汁は、本明細書に記載の浸出液を調製するのに使用される柑橘果実と同じものによってもよい。あるいは、異なる果実による果汁でもよい。
【0060】
本発明で使用する場合、「果汁」という用語は、機械的に果実を搾ることにより得られる液体を指す。
【0061】
果実果汁は、健全で、適切に熟した新鮮な果実の可食部分、またはコーデックス委員会の適用条項(CODEX STAN 247-2005に見出される定義)に従い適用された、収穫後の表面処理を含む、好適な手段により健全な状況で維持された果実の可食部分から得られた、未発酵であるが、発酵可能な液体である。
【0062】
直接的に搾り出された果実果汁に関しては、Brixレベルは、果実から搾り出されたもののBrixとみなすこととし、単一濃度の果汁の可溶性固形分は、同じ種類の果実の果汁と混ぜることによる以外は、変更されないものとする。以下の表は、一部の柑橘果実果汁に関する最小のBrix値を示す(完全な表は、CODEX STAN 247-2005に見出すことが可能である)。
【0063】
【0064】
任意選択で、果汁は、使用前に清澄化してもよい。清澄化を、異なるプロセスにより、例えば、UF(限外ろ過)、酵素処理を使用して、または珪藻土およびろ過を使用して、行うことができる。
【0065】
一部の実施形態では、飲料は、飲料の全量を基準にして、約2.0g/L以下の量の果汁を含有する。
【0066】
一部の実施形態では、飲料は、飲料の全量を基準にして、約3.0g/L以下の量で果汁を含有する。一部の実施形態では、飲料は、飲料の全量を基準にして、約4.0g/L以下の量の果汁を含有する。一部の実施形態では、飲料は、飲料の全量を基準にして、約5.0g/L以下の量の果汁を含有する。
【0067】
一部の実施形態では、飲料は、飲料の全量を基準にして、約0.2g/Lまたはそれよりも多い量の果汁を含有する。一部の実施形態では、飲料は、飲料の全量を基準にして、約0.5g/Lまたはそれよりも多い量の果汁を含有する。一部の実施形態では、飲料は、飲料の全量を基準にして、約1.0g/Lまたはそれよりも多い量の果汁を含有する。
【0068】
好ましい実施形態では、追加の甘味料または甘味剤は、本発明の飲料に添加されない。これらの実施形態では、飲料の甘味は、柑橘果実に由来する甘味料によって、全面的にもたらされる(すなわち、柑橘果実由来の天然糖類)。他の実施形態では、本発明の飲料は、少量の、例えば、5.0度Brix以下のスクロース含量に等しい甘味を与える量の、追加の甘味料を含有してもよい。
【0069】
一部の実施形態では、本発明の飲料は、5.0度Brix以下のスクロース含量に等しい甘味を与える量の追加の甘味料を含有してもよい。一部の実施形態では、本発明の飲料は、4.0度Brix以下のスクロース含量に等しい甘味を与える量の追加の甘味料を含有してもよい。一部の実施形態では、本発明の飲料は、3.0度Brix以下のスクロース含量に等しい甘味を与える量の追加の甘味料を含有してもよい。一部の実施形態では、本発明の飲料は、2.0度Brix以下のスクロース含量に等しい甘味を与える量の追加の甘味料を含有してもよい。一部の実施形態では、本発明の飲料は、1.0度Brix以下のスクロース含量に等しい甘味を与える量の追加の甘味料を含有してもよい。
【0070】
添加されてもよい甘味料は、糖、例えば、スクロース、グルコース、果糖またはデキストロースを含む。当技術分野で公知なように、他の甘味料、例えば、人工甘味料もまた、添加することができる。
【0071】
一部の実施形態では、他の材料は、任意選択で、最終飲料に添加されてよく、酸味料、香味剤、保存料、安定剤、着色料などを含むが、これらに限定されない。
【0072】
このような材料の一部の例は、風味改良剤の果実フレーバ、スクロースのような甘味料、例えば、ペクチンまたはガムなどの安定剤、ソルビン酸塩などの保存料および天然食材の色のような着色料でもよい。
【0073】
本発明による飲料は、容器詰め飲料でもよい。換言すれば、飲料は、容器に入れて、パック詰めされた形態で提供してもよい。
【0074】
本発明で使用する場合、「容器詰め」という用語は主として、商業的にパック詰めされ密封された製品、例えば、商用供給および/または消費者への販売に好適となるようなもの、を指すことを意図している。
【0075】
飲料製品をパック詰めするために好適な容器は、当該技術分野において公知である。一部の実施形態では、容器は、例えば、缶(例えば、アルミニウム缶)、カートン、パウチ、ポッド、バック(例えば、「バッグインボックス」型のディスペンサ)、ボトル、大樽または樽である。一部の実施形態では、容器は、缶、カートン、パウチ、ボトルまたは樽である。一部の実施形態では、容器は、缶またはボトルから選択される。一部の実施形態では、容器は、缶である。一部の実施形態では、容器は、ボトルである。一部の実施形態では、容器は、プラスチックボトルまたはガラスボトルである。
【0076】
柑橘果実浸出液を含む飲料を調製するための方法もまた、本明細書で提供される。本発明の方法は、上記の特性を有する柑橘果実飲料の製造を可能にする。
【0077】
方法は、本明細書に記載のとおり、柑橘果実の全果を粉砕するステップ、すなわち、前記全果を規定の寸法に細断して、粉砕した柑橘果実を製造することを含む。
【0078】
驚くべきことに、本発明者らは、全果を使用すること(例えば、果皮または果肉とは対照的に)により、浸出液の、フレーバ、酸味、口当たりおよび外観(透明性)との間の最適なバランスをもたらし、その結果それから製造された飲料の、それらの最適なバランスをもたらすことを見出した。
【0079】
好ましくは、柑橘果実の全果は、約0.5mm~約30mmの寸法に細断(粉砕)される。一部の実施形態では、果実は、約1mm~約20mmの寸法に細断される。一部の実施形態では、果実は、約2mm~約10mmの寸法に細断される。一部の実施形態では、果実は、約2mm~約5mmの寸法に細断される。
【0080】
本発明で使用する場合、粉砕した柑橘果実の全果の規定の「寸法」とは、粉砕ステップで製造された果実の片の平均的な直径を効果的に指す。本明細書に記載の方法を使用して、例えば、異なるメッシュ寸法を有するふるい振動機を使用して、既知の直径の片を分離し、定量化することによって、細断の後、片の寸法を確認することが可能である。
【0081】
一部の実施形態では「粉砕」、「細断」および「ミリング」という用語は、同義で使用してよく、本明細書に記載のとおり、果実を小片に切断することを指す。柑橘果実の粉砕、細断またはミリングは、当技術分野で公知なように、種々の方法で行ってもよい。一部の実施形態では、例えば、粉砕は、複数の開口部を有する、メッシュ、スクリーンまたはグリッドを使用して実施される。好ましくは、粉砕は、メッシュを使用して実施される。開口部の直径により、果実が細断されるサイズが決定される。一部の実施形態では、そのため、メッシュは、約0.5mm~約30mmの直径をそれぞれ有する複数の開口部を含む。一部の実施形態では、開口部はそれぞれ、約1mm~約20mmの直径を有する。一部の実施形態では、開口部はそれぞれ、約2mm~約10mmの直径を有する。一部の実施形態では、開口部はそれぞれ、約2mm~約5mmの直径を有する。
【0082】
本発明者らは、本明細書に規定される寸法の範囲の、粉砕した柑橘果実を使用することにより、フレーバ強度、および望ましくない沈殿(濁り)の間の最適なバランスが生じることを見出した。使用される果実片が、非常に大きく切断される場合、結果として得る浸出液の風味およびフレーバは、非常に弱くなる。使用される果実片が、非常に小さく切断される場合、沈殿の増加が生じる傾向にあり、浸出液は、非常に濁る(不透明になる)。
【0083】
次いで、上記のとおり製造された粉砕した柑橘果実を、水に浸漬し、浸出液を得る。
【0084】
水は、好ましくは、40℃以下の温度である。一部の実施形態では、水は、約10~40℃の温度である。一部の実施形態では、水は、約20~40℃の温度である。一部の実施形態では、水は、約30~40℃の温度である。一部の実施形態では、水は約40℃の温度である。
【0085】
一部の実施形態では、上記のとおり調製された粉砕した果実の全果が水に添加され、混合されて(例えば、回転ブレードまたはパドルを使用して)、次いで浸出させる。一部の実施形態では、果実は、少なくとも30分間浸出させる。
【0086】
一部の実施形態では、果実は、約30分~約45分間浸出させる。一部の実施形態では、果実は、約30分~約60分間浸出させる。一部の実施形態では、果実は、約30分~約90分間浸出させる。
【0087】
浸出ステップの後、果実片は、例えば、遠心分離またはろ過によって、除去してもよい。
【0088】
一部の実施形態では、1つまたは複数の安定剤または加工助剤が、当技術分野で公知なように、得られる浸出液に添加された後、浸出液をさらに使用してもよい。安定剤は、飲料中で、乳化を維持する、または変性を防止するのを促進するために使用される添加剤である。最も一般的な安定剤には、ヒドロコロイド(例えば、キサンタン、アラビアゴムおよびアカシアゴム)、修飾デンプン、ペクチン、カラギーナン、カゼイン、イヌリンがある。
【0089】
得られる、粉砕した柑橘果実の全果の浸出液を、本発明による飲料中の材料として利用してもよい。
【0090】
一部の実施形態では、本発明による飲料(例えば、「レディトゥドリンク」飲料)の調製は、浸出液を水と混合し、任意選択で、混ぜるおよび/または均一化することを含む。
【0091】
一部の実施形態では、飲料の調製は、当該技術分野において公知の、さらなる材料の添加をさらに含み、上記のさらなる飲料材料を含むが、これらに限定されない。
【0092】
最終飲料は、上記の飲料容器にパック詰めされる前に、当該技術分野において公知の方法を使用して殺菌してもよい。一部の実施形態では、最終飲料は、上記の飲料容器にパック詰めされた後に、当該技術分野において公知の方法を使用して殺菌してもよい。
【0093】
あるいは、粉砕した柑橘果実の全果の得られる浸出液を、本発明による濃縮物中の材料として利用してよく、飲料濃縮物は、当該技術分野において公知であり、スカッシュ、シロップ、コーディアル、ジェルおよび粉末を含むが、これらに限定されない。
【0094】
本明細書に記載の濃縮物は、消費者への直接的な販売、すなわち、家庭における水での希釈物に好適である場合がある。あるいは、飲料濃縮物は、販売時の希釈物用(例えば、バー、レストランにおける注文に応じて最終的に混合される、卸売の「ポストミックス」製品として)にパック詰めしてもよい。好適な容器は、上記に記載の飲料容器を含むが、これらに限定されない。
【0095】
したがって、飲料を調製するための濃縮物が、本明細書に提供される。本発明の濃縮物は、本明細書に記載の柑橘果実の浸出液を含む、またはそれに由来する、またはそれから調製される。本発明の濃縮物は、任意の割合で水で希釈されてもよく、本発明による飲料を提供するために使用されてもよい。例えば、本発明の濃縮物は、飲料中でシロップまたは未希釈の溶液として使用することが可能である。この場合、濃縮物は、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、または35倍に希釈し、使用することが可能である。本発明の濃縮物は、濃縮されているため、保存性および輸送可能性の観点において好ましい。本発明の濃縮物は、固体または液体であることが可能である。
【0096】
一実施形態では、本発明の濃縮物は、本発明の飲料の、2~35倍濃縮物、好ましくは3~30倍濃縮物、より好ましくは、5~25倍濃縮物である。
【0097】
一部の実施形態では、本発明の濃縮物は、本明細書に記載の浸出プロセスから生じる全果の浸出液を含む(すなわち、上記の濃厚な浸出液)。好ましくは、濃縮物は、本明細書に記載の、全果の浸出液材料から直接的に調製される。
【0098】
したがって、一部の実施形態では、浸出液材料は、任意選択で、さらなる水の添加なしで、または最小限の量のさらなる水のみを添加して、上記のさらなる材料の添加の後、これもまた上記のとおり、殺菌、容器へのパック詰めがなされる。
【0099】
さらなる実施形態では、本発明による濃縮物の調製は、さらなる飲料材料の添加の前および/または後に、全果の浸出液材料(すなわち、本明細書に記載の浸出プロセスから生じる「濃厚な浸出液」材料)をさらに濃縮すること(例えば、蒸発すること)を含んでもよい。
【0100】
代替的な実施形態では、本発明による濃縮物は、本発明の飲料(例えば、上記の浸出液材料から調製される最終飲料)から、当技術分野で公知のとおり濃縮することにより(例えば、蒸発により)調製してもよい。
【0101】
一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、少なくとも約5Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、少なくとも約10Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、少なくとも約15Brixの可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、少なくとも約20Brixの可溶性固形分を有する。
【0102】
一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約100Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約90Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約80Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約70Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約60Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約50Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約45Brix以下の可溶性固形分を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約40Brix以下の可溶性固形分を有する。
【0103】
一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、5000NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、4000NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、3000NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、2500NTU以下の濁度を有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、2000NTU以下の濁度を有する。
【0104】
一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約1~約6の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約1.5~約5の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約1.5~約4の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約1.5~約3の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、本発明による濃縮物は、約1.5~約2.5の範囲のpHを有する。
【0105】
一部の実施形態では、本発明の濃縮物は、総飲料濃縮物に対して、1~25g/Lの乾燥物質をもたらす量の、本明細書に記載の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、2~20g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、5~20g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、5~10g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。一部の実施形態では、本発明の飲料は、約7g/Lの乾燥物質をもたらす量の柑橘果実浸出液を含む。
【0106】
本発明により、製品、すなわち、飲料材料または飲料製品がさらに提供され、それらは、本明細書に記載の方法により得られる、または得ることが可能である。
【0107】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の方法により得ることが可能なまたは得られる材料(例えば、柑橘果実浸出液)を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の方法により得ることが可能なまたは得られる飲料を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の方法により得ることが可能なまたは得られる濃縮物(すなわち、飲料濃縮物)を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に開示の方法により得られるまたは得ることが可能な柑橘果実浸出液を提供する。一部の実施形態では、浸出液は、(i)柑橘果実の全果を、0.5mm~30mmの寸法に粉砕して、粉砕した柑橘果実を得ること、および(ii)粉砕した柑橘果実を、40℃以下の温度の水に浸漬して前記浸出液を得ること、のステップを含む方法により得られるまたは得ることが可能である
【0108】
一部の実施形態では、本発明は、前記浸出液を水および任意選択で他の飲料材料と混合することにより得ることが可能なまたは得られる飲料を提供する。一部の実施形態では、飲料は上記の飲料である。
【0109】
一部の実施形態では、本発明は、任意選択で、前記浸出液を他の材料と混合すること、および/または前記浸出液を濃縮することにより、前記浸出液から得ることが可能なまたは得られる濃縮物を提供する。一部の実施形態では、濃縮物は上記の濃縮物である。
【0110】
本明細書に記載の浸出液、例えば、飲料の調製において、本明細書に開示の方法により得られるまたは得ることが可能な浸出液の使用もまた、本発明により提供される。本明細書に記載の浸出液、例えば、濃縮物の調製において、本明細書に開示の方法により得られるまたは得ることが可能な浸出液の使用もまた、本発明により提供される。
【0111】
前述の説明において、または以下の特許請求の範囲において、または添付の図においてそれらの特定の形態で、または開示された機能を実行するための手段、または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスに関して表現される開示された特徴は、任意選択で別個に、またはかかる特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用することができる。
【0112】
本発明は、上記の例示的な実施形態について記載してきたが、この開示を与えられた場合、多くの同等の修正および変形が、当業者に明らかであろう。したがって、上述の本発明の例示的な実施形態は、実例となるものであって、限定的なものではないと考えられる。記載された実施形態に対する種々の変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、なし得る。
【0113】
いかなる疑念も回避するために、本明細書に提供されるあらゆる理論上の説明が、読者の理解の改善の目的のために提供される。本発明は、これらの理論上の説明のいずれによっても束縛されることを望まない。
【0114】
本明細書で使用される節の表題は、構成上の目的のためのみであり、記載の主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0115】
続く特許請求の範囲を含んで、本明細書全体を通して、文脈上、別段の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」および「含む(include)」および変形、例えば「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」ならびに「含むこと(including)」という語は、明記された、整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を含めるが、任意の他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を排除しないことを暗示していると理解されるであろう。
【0116】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、その内容に別段の明確な指示がない限り、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その(the)」は、複数の指示対象物を含むことに留意しなければならない。範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして本明細書において表現することができる。かかる範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が、先行する「約」の使用によって、概数として表現される場合、特定の値が、別の実施形態を形成すると理解されるであろう。数的値に関係する「約」という用語は、任意であり、例えば、+/-10%を意味する。
【実施例】
【0117】
例1 レモン浸出液の製造
レモン果実(全果)を、0.5~3mmの寸法に断片化することにより、レモン片を得る。これを、表(1)に示す割合で水中に注ぎ、次いで、混ぜ、40℃以下で最低30分間保つ。その後、果実片を遠心分離装置を使用することにより、分離し、表(1)に示す量のレモン浸出液を得る。
【0118】
次いで、得られる浸出液は、飲料を作製するのに使用することが可能であり、得られる浸出液を水および任意の他の材料と共に注ぎ、適切に均一化するまで混ぜる。例示的なプロセスは、
図5にて説明される。
【0119】
【0120】
例2 完成品の調製
レモンの濃厚な浸出液、清澄化した果汁、天然のフレーバおよび水を、表(2)に示す配合量を有するように混合し、次いでペットボトル容器に充填して試料溶液を調製する。
【0121】
【0122】
例3 pHレベルの実験データ
評価方法:飲料のpHを、50%のクエン酸溶液または20%のクエン酸ナトリウム溶液のいずれかを使用することにより、異なるpHレベルの同じ飲料を手に入れた。クエン酸溶液またはクエン酸ナトリウム溶液を、連続的な撹拌中に飲料試料に添加し、pH測定器で、pHを測定した。最後に、試料をテイスティングし、以下の表(3)に示すように比較した。
【0123】
【0124】
例4 抽出温度の実験データ
浸出液を市販の新鮮なレモンを使用して調製し、0.5~3mmの辺に断片化し、水に30分の間、異なる温度で浸漬した(10、20、40および60℃)
【0125】
Brix評価および官能試験を適用して、以下の表(4)に示す試料を比較した。
【0126】
【0127】
例5 仕様範囲の実験データ
切断寸法
形や切断寸法が風味にどのように影響を及ぼすかを評価するため、本発明者らは、概ね同じ寸法のレモンを3つ選び、異なる切断のやり方によって浸出液を作製した。切断がより小さいほど、強度は強くなる。しかし、切断が小さすぎる場合、固形物の分離が困難である。したがって、本発明者らは、0.5mm~約30mmの間の寸法を推奨する。最良の寸法は10mm未満である。
【0128】
部分の選択
【0129】
風味とフレーバを確認するため、本発明者らは、試しに、レモンの異なる部分で浸出液を作製し、その風味を比較した。本発明者らは、果肉部分のみ、果皮部分のみ、およびレモン全果の3つの試料を作製し、およそ1cmにミリングし、風味を比較した。
【0130】
清涼飲料の消費者に、最良の風味のレモンドリンクを記載するよう依頼した。記載のコメント(例えば、非常に酸味があるが、度を過ぎてはおらず、そしてわずかに甘い)は、専門の知覚科学者および訓練された知覚パネリストによって理想的なレモン飲料のプロファイルに置き換えられた。属性のリストは、レモンドリンクに関するものとして合意され、スケールは0~5に設定され、消費者の記載を反映するスコアを、それぞれの属性に関するスケールで選択し、それにより「ターゲット」製品を定義した。次いで、それぞれの部分を調製し、知覚パネルがテイスティングした。
【0131】
テイスティングに関しては、訓練された*5人のパネルが選ばれ、試料をテイスティングし、そして、定義されたさまざまな属性を定量化および評価し、試験される浸出液の、感覚刺激のプロファイルを理解した。テイスティングの目的は、合意されたさまざまな属性の強度を識別し、その強度を、0~5のスケール上に配置することであった(0は、存在なしであり、5は最高レベルである)。
【0132】
*テイスターは、一般的な感覚刺激性の言語を識別し、定義して柑橘果実について記載することを目的とした、組織内の演習が施されることにより、定期的に柑橘果実のテイスティングの訓練を受けている。本演習は、盲検試験において異なる試料をテイスティングすること(これらのサンプルは、例えば、フルーティーで、新鮮で、瑞々しく、果皮性であるなど、独自の(lonely)柑橘果実の属性のある特定の用量を使用して調製される)、およびそれぞれの試料に対応する感覚刺激性の属性を正確に識別することからなる。
【0133】
【0134】
ミリングは、全体的な知覚属性の観点からスライシングよりも好ましい。全体的な許容基準が、ミリングされた試料についてランク付けされた。果肉部分は、果肉のノートがなく、爽やかな感じも少ない。果皮部分は、強すぎ、苦みが強い。全果は、バランスが良い。
【0135】
スコアリングが完了したら、レビューを行い、ミリングされた部分全体は、ターゲットに近いプロファイルを有しており、したがって、当該の部分(全果)を、さらなる実験のために選択した。
【0136】
例6 最小限のBrix実験データ
実験方法を、家庭でも調製できるように、レモン浸出液を調製するように設計した。レモンのスライスを10%(w/w)の量で、周囲温度にて水中に注いだ(この量は、1つのティーバック(2gの茶葉)を、1杯の水(全量200ml)に対して添加する場合の、家庭での茶浸出液の調製に基づいていた)。浸出液のBrixを、1時間まで10分ごとに分析した(浸出が終了すると考えるのに十分な時間であるので、1時間と定めた)。
【0137】
家庭で調製することが可能であるものを表す、当該レモンの新鮮な果実浸出液の値を、表(8)に示す。
【0138】
【0139】
例7 レモンの破砕寸法の妥当性確認方法
図6に示すとおり。Micro mister、MASCO SANGYOCO LTDを使用して、2mm切断ヘッドでのレモンの切断。その後、200gの潰したレモンおよび420gの水を混合。
【0140】
破砕寸法を確認するために、Horizontal Sieve Shaker AS 400 control、RETSECH GmbHを5つの異なるメッシュ、4.0mm、2.0mm、1.4mm、1.0mmおよび0.35mmで20分使用。結果を、表(7)に示す。
【0141】
【0142】
例8 レモン浸出液の物理化学的分析
本発明により調製された全果のレモン浸出液(LIN2)を分析し、代替の柑橘調製物、果皮抽出物A(果皮の選択部分を使用して調製された)および果皮抽出物B(果皮の異なる選択部分を使用して調製された)と比較した。
【0143】
結果を、以下の表に示し、
図1~4において、さらに説明する。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
例9 NTU実験データ
実験方法を、最終ドリンクの濁度に関する柑橘浸出液の添加の影響を測定するように設計した。例2のレシピに従い、2つの異なる柑橘浸出液を使用して(異なる柑橘果実で調製された)、これらの浸出液の量もまた変化させて、最終ドリンクの4つの試料を調製した。4つの試料の濁度を、濁度計を使用して分析した。
【0148】
結果を、表9に示す。
【0149】
【0150】
例10 濃縮物柑橘浸出液飲料による
柑橘浸出液飲料濃縮物およびその希釈物の物理的特性を比較した。希釈した濃縮物および直接的に製造された柑橘浸出液飲料のフレーバを比較して、製品に関する追加プロセスのステップの効果を調査した。
【0151】
柑橘飲料濃縮物の成分を、表10aに示し、例2のとおり、直接的に製造された柑橘浸出液飲料と比較する。表10bは、表10aに示す濃縮配合物、ならびに濃縮物9.09gを水で200mlにした希釈物のBrix値、pHおよび濁度(NTU)を示す。
【0152】
【0153】
【0154】
表10bの濃縮物希釈物および直接的に製造された飲料の風味比較を実行し、それにより、例えば、基本的な風味属性、酸味、苦み、甘味、全体的な強度を含む、清涼飲料についての一般的な知覚属性に関連する知覚プロファイルの差異、ならびにより具体的なもの、例えば、新鮮さ、柑橘のノートおよび後味を識別した。風味比較を、比較試験において3人の科学技師が行い、それぞれの製品の1つの試料を有し、それらの間の差異と類似点を探した。比較では、それぞれの飲料のフレーバの間で有意な差異は示されなかった。希釈した濃縮物は、新鮮な風味を保持し、最終ドリンクターゲットの範囲内であった。高い希釈割合により、完全なソルビン酸塩の溶解を結果として得た。
【0155】
例11 異なる濃度の種々の柑橘飲料の評価
柑橘飲料の特性に関する浸出液の濃縮の効果を評価するために、水を含有する試料飲料(処理した水)および種々の濃度でのレモンの濃厚な浸出液(ラン1~5)を調製し、試験した。レモンの濃厚な浸出液および水を、表11に示す配合量を有するように混合し、次いでペットボトル容器に充填して試料溶液を調製した。試料を調製するために使用した浸出液を、本発明により製造した(LIN2)。処理した水は、TorderaのCitricos y Refrescantesの製造工場によるもので、使用の前に浸透処置を経るものである(pH=6.5)。
【0156】
5つの試料のpHを、pH測定器を使用して測定した。5つの試料の濁度を、濁度計を使用して分析した。Brix値を、屈折計を使用して測定した。レモンの濃厚な浸出液(LIN2)のBrixは、3.05であった。
【0157】
テイスティングに関しては、訓練された3人のパネルが選ばれ、試料をテイスティングし、そして、定義されたさまざまな属性を定量化および評価し、試料飲料の感覚刺激のプロファイルを理解した。テイスティングの目的は、合意されたさまざまな属性の強度を識別し、その強度を、0~5のスケール上に配置することであった(0は、存在なしであり、5は最高レベルである)。結果を、表11に示す。
【0158】
【国際調査報告】