(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20240416BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H04R17/00
H04R1/00 317
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565896
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 CN2022084935
(87)【国際公開番号】W WO2023184515
(87)【国際公開日】2023-10-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朱 光▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【テーマコード(参考)】
5D004
5D017
【Fターム(参考)】
5D004AA02
5D004BB01
5D004BB03
5D004CC05
5D004DD01
5D004FF01
5D004FF02
5D017AB11
(57)【要約】
本明細書の実施例は、音響装置を開示する。前記装置は、圧電部品、電極及び振動部品を含む。圧電部品は、駆動電圧の作用で振動し、電極は、圧電部品に駆動電圧を供給し、振動部品は、圧電部品に物理的に接続されて、振動を受け、音声を発生させる。圧電部品は、基板及び圧電層を含み、圧電層が基板の一方の表面を被覆し、電極が圧電層の一方の表面を被覆し、圧電層の表面における電極の被覆面積は、基板の圧電層が被覆された表面の面積より小さい。本明細書は、電極を圧電部品のモードアクチュエータに設計することにより、圧電部品が特定モードの振動形式を出力し、音響装置の音声特性を改善し、異なる機械的構造で構成されたモード制御システムを特定の領域に追加することに比べて、本願は、電極の設計により圧電部品のモード制御を実現し、音響装置の構造を簡略化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧の作用で振動する圧電部品と、
圧電部品に前記駆動電圧を供給する電極と、
前記圧電部品に物理的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動部品とを含み、前記圧電部品は、
基板と、
圧電層であって、前記圧電層が前記基板の一方の表面を被覆し、前記電極が前記圧電層の一方の表面を被覆し、前記圧電層の表面における前記電極の被覆面積は、前記基板の前記圧電層が被覆された表面の面積より小さい圧電層とを含む、音響装置。
【請求項2】
前記圧電部品は、振動出力領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記圧電部品は、固定領域をさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記圧電部品は、振動調整部品をさらに含む、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の音響装置。
【請求項5】
前記電極の幅は、前記固定領域から前記振動出力領域まで徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項3に記載の音響装置。
【請求項6】
前記電極は、電位が逆である2つの電極エンベロープ領域を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の音響装置。
【請求項7】
前記2つの電極エンベロープ領域の間に変換点が存在し、前記2つの電極エンベロープ領域のうちの第1電極エンベロープ領域における電極の幅は、前記固定領域から前記変換点まで徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項6に記載の音響装置。
【請求項8】
前記2つの電極エンベロープ領域のうちの第2電極エンベロープ領域における電極の幅は、前記変換点から前記振動出力領域まで大きくなってから小さくなる、ことを特徴とする請求項7に記載の音響装置。
【請求項9】
前記固定領域における前記電極の幅は、前記固定領域の幅に等しい、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の音響装置。
【請求項10】
前記振動出力領域における前記電極の幅は、ゼロである、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の音響装置。
【請求項11】
前記圧電層は、前記基板と重なる、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項12】
前記圧電層は、圧電領域及び非圧電領域を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の音響装置。
【請求項13】
前記圧電領域は、前記電極と重なる、ことを特徴とする請求項12に記載の音響装置。
【請求項14】
前記圧電層は、前記電極と重なる、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項15】
前記圧電層は、圧電板又は圧電フィルムを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項16】
前記電極は、二次元的に分布する複数の分散電極ユニットを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の音響装置。
【請求項17】
前記複数の分散電極ユニットにおいて、前記圧電層の中心における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間は、前記圧電層の境界における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間より小さい、ことを特徴とする請求項16に記載の音響装置。
【請求項18】
前記圧電層の中心における第1分散電極ユニットの面積は、前記圧電層の境界における第2分散電極ユニットの面積より大きい、ことを特徴とする請求項16又は17に記載の音響装置。
【請求項19】
前記電極は、二次元的に分布する連続電極を含み、前記連続電極は、複数の透かし彫り領域を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の音響装置。
【請求項20】
前記圧電層の中心における第1透かし彫り領域の面積は、前記圧電層の境界における第2透かし彫り領域の面積より小さい、ことを特徴とする請求項19に記載の音響装置。
【請求項21】
前記電極は、前記表面とは反対側となる他方の表面を被覆し、前記他方の表面における前記電極の被覆面積は、該表面の面積以下である、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項22】
前記振動調整部品は、質量ブロックを含み、前記質量ブロックは、前記振動出力領域に物理的に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
【請求項23】
前記振動部品と前記圧電部品を接続する接続部材をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~22のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項24】
骨伝導オーディオデバイスである、ことを特徴とする請求項1~23のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項25】
駆動電圧の作用で振動する圧電部品と、
圧電部品に前記駆動電圧を供給する電極と、
前記圧電部品に物理的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動部品とを含み、前記圧電部品は、
基板と、
前記基板の一方の表面を被覆し、圧電領域及び非圧電領域を含む圧電層と、を含み、
前記電極は、前記圧電層の一方の表面を被覆し、
前記基板、前記圧電層及び前記電極は、それぞれ重なり、
前記基板における前記圧電領域の被覆面積は、前記基板における前記圧電層の被覆面積より小さい、音響装置。
【請求項26】
前記圧電部品は、振動出力領域を含む、ことを特徴とする請求項25に記載の音響装置。
【請求項27】
前記圧電部品は、固定領域をさらに含む、ことを特徴とする請求項26に記載の音響装置。
【請求項28】
前記圧電領域の幅は、前記固定領域から前記振動出力領域まで徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項27に記載の音響装置。
【請求項29】
前記圧電領域は、2つの圧電エンベロープ領域を含み、前記2つの圧電エンベロープ領域に対応する2つの電極領域の電位が逆である、ことを特徴とする請求項27に記載の音響装置。
【請求項30】
前記固定領域における前記圧電領域の幅は、前記固定領域の幅に等しい、ことを特徴とする請求項28又は29に記載の音響装置。
【請求項31】
前記振動出力領域における前記圧電領域の幅は、ゼロである、ことを特徴とする請求項28又は29に記載の音響装置。
【請求項32】
前記圧電層は、圧電板又は圧電フィルムを含む、ことを特徴とする請求項25に記載の音響装置。
【請求項33】
前記電極は、二次元的に分布する複数の分散電極ユニットを含む、ことを特徴とする請求項32に記載の音響装置。
【請求項34】
前記複数の分散電極ユニットにおいて、前記圧電層の中心における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間は、前記圧電層の境界における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間より小さい、ことを特徴とする請求項33に記載の音響装置。
【請求項35】
前記圧電層の中心における第1分散電極ユニットの面積は、前記圧電層の境界における第2分散電極ユニットの面積より大きい、ことを特徴とする請求項33に記載の音響装置。
【請求項36】
前記電極は、二次元的に分布する連続電極を含み、前記連続電極は、複数の透かし彫り領域を含む、ことを特徴とする請求項32に記載の音響装置。
【請求項37】
前記圧電層の中心における第1透かし彫り領域の面積は、前記圧電層の境界における第2透かし彫り領域の面積より小さい、ことを特徴とする請求項36に記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、音響の技術分野に関し、特に音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音響装置は、圧電部品に電気エネルギーを印加することにより、圧電部品を変形させて音声を伝達することができる。例えば、音響装置は、圧電部品に対して、その分極方向に駆動電圧を印加して、圧電材料の逆圧電効果により振動を発生させるとともに、圧電部品の振動出力点から振動を出力することにより、音波を外部に放出することができる。
【0003】
しかしながら、音響装置の圧電部品は、可聴周波数範囲内に多くの振動モードを有し、平坦な周波数応答曲線を形成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、圧電部品の振動モードを制御することができる音響装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の一実施例は、音響装置を提供する。該装置は、圧電部品、電極及び振動部品を含む。圧電部品は、駆動電圧の作用で振動し、電極は、圧電部品に駆動電圧を供給し、振動部品は、圧電部品に物理的に接続されて、振動を受け、音声を発生させる。圧電部品は、基板及び圧電層を含んでもよく、圧電層が基板の一方の表面を被覆し、電極が圧電層の一方の表面を被覆し、圧電層の表面における電極の被覆面積は、基板の圧電層が被覆された表面の面積より小さい。
【0006】
いくつかの実施例では、圧電部品は、振動出力領域を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、圧電部品は、固定領域をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施例では、圧電部品は、振動調整部品をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施例では、電極の幅は、固定領域から振動出力領域まで徐々に小さくなる。
【0010】
いくつかの実施例では、電極は、電位が逆である2つの電極エンベロープ領域を含む。
【0011】
いくつかの実施例では、2つの電極エンベロープ領域の間に変換点が存在し、2つの電極エンベロープ領域のうちの第1電極エンベロープ領域における電極の幅は、固定領域から変換点まで徐々に小さくなる。
【0012】
いくつかの実施例では、2つの電極エンベロープ領域のうちの第2電極エンベロープ領域における電極の幅は、変換点から振動出力領域まで大きくなってから小さくなる。
【0013】
いくつかの実施例では、固定領域における電極の幅は、固定領域の幅に等しい。
【0014】
いくつかの実施例では、振動出力領域における電極の幅は、ゼロである。
【0015】
いくつかの実施例では、圧電層は、基板と重なる。
【0016】
いくつかの実施例では、圧電層は、圧電領域及び非圧電領域を含む。
【0017】
いくつかの実施例では、圧電領域は、電極と重なる。
【0018】
いくつかの実施例では、圧電層は、電極と重なる。
【0019】
いくつかの実施例では、圧電層は、圧電板又は圧電フィルムを含む。
【0020】
いくつかの実施例では、電極は、二次元的に分布する複数の分散電極ユニットを含む。
【0021】
いくつかの実施例では、複数の分散電極ユニットにおいて、圧電層の中心における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間は、圧電層の境界における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間より小さい。
【0022】
いくつかの実施例では、圧電層の中心における第1分散電極ユニットの面積は、圧電層の境界における第2分散電極ユニットの面積より大きい。
【0023】
いくつかの実施例では、電極は、二次元的に分布する連続電極を含み、連続電極は、複数の透かし彫り領域を含む。
【0024】
いくつかの実施例では、圧電層の中心における第1透かし彫り領域の面積は、圧電層の境界における第2透かし彫り領域の面積より小さい。
【0025】
いくつかの実施例では、電極は、表面とは反対側となる他方の表面を被覆し、他方の表面における電極の被覆面積は、該表面の面積以下である。
【0026】
いくつかの実施例では、振動調整部品は、質量ブロックを含み、質量ブロックは、振動出力領域に物理的に接続される。
【0027】
いくつかの実施例では、音響装置は、振動部品と圧電部品を接続する接続部材をさらに含む。
【0028】
いくつかの実施例では、音響装置は、骨伝導オーディオデバイスである。
【0029】
本明細書の一実施例は、音響装置を提供する。該装置は、圧電部品、電極及び振動部品を含む。圧電部品は、駆動電圧の作用で振動し、電極は、圧電部品に駆動電圧を供給し、振動部品は、圧電部品に物理的に接続されて、振動を受け、音声を発生させる。圧電部品は、基板と、基板の一方の表面を被覆し、圧電領域及び非圧電領域を含む圧電層とを含んでもよく、電極は、圧電層の一方の表面を被覆し、基板、圧電層及び電極は、それぞれ重なる。基板における圧電領域の被覆面積は、基板における圧電層の被覆面積より小さい。
【0030】
いくつかの実施例では、圧電部品は、振動出力領域を含む。
【0031】
いくつかの実施例では、圧電部品は、固定領域をさらに含む。
【0032】
いくつかの実施例では、圧電領域の幅は、固定領域から振動出力領域まで徐々に小さくなる。
【0033】
いくつかの実施例では、圧電領域は、2つの圧電エンベロープ領域を含み、2つの圧電エンベロープ領域に対応する2つの電極領域の電位が逆である。
【0034】
いくつかの実施例では、固定領域における圧電領域の幅は、固定領域の幅に等しい。
【0035】
いくつかの実施例では、振動出力領域における圧電領域の幅は、ゼロである。
【発明の効果】
【0036】
本明細書の実施例では、電極を圧電部品のモードアクチュエータに設計することにより、圧電部品が特定モードの励振力のみを発生させて特定モードの振動形式を出力し、音響装置の音声特性を改善することができる。
【0037】
そして、ばね、質量、減衰要素などの異なる機械的構造で構成されたモード制御システムを特定の領域に追加することに比べて、本明細書の実施例は、電極の設計により圧電部品のモード制御を実現し、音響装置の構造を簡略化することができる。
【0038】
例示的な実施例によって本明細書をさらに説明し、これらの例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置の構成ブロック図である。
【
図2】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置の概略構成図である。
【
図3】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の概略構成図である。
【
図4】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の一部の概略構成図である。
【
図5A】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一次電極の概略構成図である。
【
図5B】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一部の一次電極の外側輪郭線の曲線の傾きの概略図である。
【
図5C】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次電極の概略構成図である。
【
図5D】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一部の二次電極の外側輪郭線の曲線の傾きの概略図である。
【
図6】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【
図7A】電極が圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極が圧電部品と重なる)場合の圧電部品の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【
図7B】本明細書のいくつかの実施例に係る、一次電極を用いた圧電部品の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【
図7C】本明細書のいくつかの実施例に係る、二次電極を用いた圧電部品の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【
図8A】本明細書のいくつかの実施例に係る電極及び圧電部品の概略構成図である。
【
図8B】本明細書のいくつかの実施例に係る電極及び圧電部品の概略構成図である。
【
図8C】本明細書のいくつかの実施例に係る電極及び圧電部品の概略構成図である。
【
図8D】本明細書のいくつかの実施例に係る電極及び圧電部品の分解構造概略図である。
【
図9】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電部品の周波数応答曲線の概略図である。
【
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な、質量ブロックモデルが追加された圧電部品の概略構成図である。
【
図11A】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一次電極の形状概略図である。
【
図11B】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次電極の形状概略図である。
【
図12】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【
図13A】本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデルが追加されるとともに、電極が圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極が圧電部品と重なる)場合の圧電部品の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【
図13B】本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデルが追加されている場合に設計された一次電極を用いた圧電部品の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【
図13C】本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデルが追加されない場合に設計された二次電極を用いた圧電部品の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【
図13D】本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデルが追加されている場合に設計された二次電極を用いた圧電部品の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【
図14A】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極の一部の概略構成図である。
【
図14B】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極の一部の概略構成図である。
【
図14C】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極の一部の概略構成図である。
【
図14D】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極の一部の概略構成図である。
【
図15A】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【
図15B】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【
図15C】本明細書のいくつかの実施例に係る、一体型電極が被覆された圧電部品の5380.3Hzにおける振動変位の概略図である。
【
図15D】本明細書のいくつかの実施例に係る、8×8分散電極ユニットが被覆された圧電部品の5380.3Hzにおける振動変位の概略図である。
【
図16A】本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品において電極が完全に被覆する(すなわち、一体型電極を用いる)場合の圧電部品の一次モードの振動形式図である。
【
図16B】本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品において電極が完全に被覆する(すなわち、一体型電極を用いる)場合の圧電部品の高周波における振動形式図である。
【
図16C】本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品において16×8個の二次元電極の分散電極ユニットが用いられた場合の圧電部品の高周波における振動形式図である。
【
図16D】本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品において32×16個の二次元電極の分散電極ユニットが用いられた場合の圧電部品の高周波における振動形式図である。
【
図17A】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極の分散電極ユニットの設計思想の概略図である。
【
図17B】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極の分散電極ユニットの概略構成図である。
【
図17C】本明細書のいくつかの実施例に係る、両端固定梁に相当する矩形に対応する一次電極の形状概略図である。
【
図18】本明細書のいくつかの実施例に係る、
図17Bに示す二次元電極が被覆された圧電部品の振動形式図である。
【
図19A】本明細書のいくつかの実施例に係る、例示的な、二次元的に分布する連続電極の一部の概略構成図である。
【
図19B】本明細書のいくつかの実施例に係る、例示的な、二次元的に分布する連続電極の一部の概略構成図である。
【
図19C】本明細書のいくつかの実施例に係る、例示的な、二次元的に分布する連続電極の一部の概略構成図である。
【
図20】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【
図21】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置の概略構成図である。
【
図22】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【
図23A】本明細書のいくつかの実施例に係る、一体型電極を用いた音響装置の振動形式図である。
【
図23B】本明細書のいくつかの実施例に係る、一次電極を用いた音響装置の振動形式図である。
【
図24】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本明細書のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本明細書を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図中の同じ番号は、同じ構造又は操作を示す。
【0041】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0042】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的に、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、また他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0043】
本明細書では、フローチャートを使用して本明細書の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に応じて正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0044】
本明細書の1つ以上の実施例の音響装置は、圧電部品の振動により音声を出力することにより、オーディオを再生する必要のある様々なシーンに適用され、例えば、音響装置は、ユーザ命令に基づいてオーディオを再生できる独立したオーディオ出力装置(例えば、サウンドボックス、イヤホンなど)であってもよく、また、音響装置は、端末命令に基づいてオーディオを再生できる端末装置(例えば、携帯電話、コンピュータなど)中のモジュール又はコンポーネントであってもよい。いくつかの実施例では、音響装置は、出力されるべき音声の周波数、大きさなどのパラメータに基づいて、圧電部品の変形を調整して異なる振動を発生させることにより、振動部品は、異なる振動に応じて異なる音声を出力することができる。
【0045】
いくつかの実施例では、音響装置は、骨伝導音響装置であってもよく、骨伝導音響装置中の振動部品は、ユーザの人体組織にフィットして、ユーザの骨により振動部品が発する音波をユーザの内耳に伝達することができる。いくつかの実施例では、音響装置は、空気伝導音響装置、助聴器、補聴器、メガネ、ヘルメット、拡張現実(Augmented Reality、AR)装置、仮想現実(Virtual Reality、VR)装置などの他のタイプの音響装置であってもよく、あるいは、音響装置は、車載オーディオシステム又は室内オーディオシステムの一部として、音声を出力するために用いられてもよい。
【0046】
現在、音響装置の圧電部品は、可聴周波数範囲内に多くの振動モードを有し、平坦な周波数応答曲線を形成できない。また、圧電部品は、いくつかの周波数で振動出力領域にノードが形成されて、音響出力の効果に影響を与える可能性がある。
【0047】
本明細書の実施例では、音響装置が説明される。上記音響装置は、圧電部品、電極及び振動部品を含んでもよい。圧電部品は、駆動電圧の作用で振動し、電極は、圧電部品に駆動電圧を供給し、振動部品は、圧電部品に物理的に接続されて、振動を受け、音声を発生させる。上記圧電部品は、基板及び圧電層を含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電層が基板の一方の表面を被覆し、電極が圧電層の一方の表面を被覆し、圧電層の表面における電極の被覆面積は、基板の圧電層が被覆された表面の面積より小さい。いくつかの実施例では、圧電層は、基板の一方の表面を被覆し、電極は、上記圧電層の一方の表面を被覆し、上記基板、上記圧電層及び上記電極は、それぞれ重なる。圧電層は、圧電領域及び非圧電領域を含み、基板における圧電領域の被覆面積は、基板における圧電層の被覆面積より小さい。
【0048】
本明細書の実施例では、電極を圧電部品のモードアクチュエータに設計することにより、圧電部品が特定モードの励振力のみを発生させて特定モードの振動形式を出力し、音響装置の音声特性を改善することができる。
【0049】
そして、ばね、質量、減衰要素などの機械的構造で構成されたモード制御システムを特定の領域に追加することに比べて、本明細書の実施例は、電極の設計により圧電部品のモード制御を実現し、音響装置の構造を簡略化することができる。
【0050】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置100の構成ブロック図である。いくつかの実施例では、
図1に示すように、音響装置100は、振動部品110、圧電部品120及び電極130を含んでもよい。圧電部品120は、駆動電圧の作用で振動し、電極130は、圧電部品120に駆動電圧を供給し、振動部品110は、圧電部品120に物理的(例えば、機械的又は電磁的)に接続されて、振動を受け、音声を発生させる。
【0051】
振動部品110は、振動を伝達して音声を発生させる部品として構成されてもよい。いくつかの実施例では、振動部品110は、弾性要素を含んでもよく、弾性要素は、振動に応答して変形し、それ自体の周囲の音圧を変化させることにより、音波を発生させ、音声の出力を実現することができる。いくつかの実施例では、弾性要素は、振動伝達シート、ゴム、ドームなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、弾性要素の材料は、振動伝達能力を有する任意の材料であってもよい。例えば、上記弾性要素の材料は、シリカゲル、プラスチック、ゴム、金属など、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、振動部品110は、膜状構造(例えば、空気伝導振動膜)であってもよく、板状構造(例えば、骨伝導振動パネルなど)であってもよく、網状構造又は層状構造などの他の構造であってもよい。
【0052】
以下、振動部品110の具体的な実施方式を説明するために、例示的な音響装置100を提供する。
【0053】
図2は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置100の概略構成図である。
図2に示すように、振動部品110の一端は、振動を受けるために、圧電部品120の振動出力領域123に接続されてもよい。振動部品110の他端は、音声を出力することができる。例示的には、振動部品110は、1種以上の媒質(例えば、空気、ユーザの骨など)を介してユーザに音波を伝達することにより、音響装置100から出力された音声をユーザに聞かせる。
【0054】
圧電部品120は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気エネルギー変換装置として構成されてもよい。いくつかの実施例では、圧電部品120は、駆動電圧の作用で変形することにより、振動することができる。いくつかの実施例では、圧電部品120は、シート状、環状、菱形、直方体形、円筒形、球形などの形状、又はそれらの任意の組み合わせであってもよく、他の不規則な形状であってもよい。いくつかの実施例では、圧電部品120は、基板121及び圧電層122を含んでもよい。
【0055】
基板121は、要素及びデバイスを載置するキャリア、並びに振動に応答して変形する要素として構成されてもよい。いくつかの実施例では、基板121の材料は、金属(例えば、銅張箔、鋼など)、フェノール樹脂、架橋ポリスチレンなどのうちの1種以上の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、基板121の形状は、圧電部品120の形状に基づいて決定されてもよい。例えば、圧電部品120が圧電梁であると、それに応じて基板121は、長尺状にされてもよい。また例えば、圧電部品120が圧電フィルムであると、それに応じて基板121は、板状、シート状にされてもよい。
【0056】
圧電層122は、圧電効果及び/又は逆圧電効果を生み出す部品として構成されてもよい。いくつかの実施例では、圧電層122は、基板121の1つ以上の表面を被覆するとともに、駆動電圧の作用で変形して基板121を変形させることにより、圧電部品120の振動出力を実現することができる。いくつかの実施例では、圧電層122は、すべて圧電領域あってもよく、すなわち、圧電層122は、圧電材料で作られてもよい。いくつかの実施例では、圧電層122は、圧電領域及び非圧電領域を含んでもよい。圧電領域と非圧電領域は、接続されて圧電層122を形成する。いくつかの実施例では、圧電領域は、圧電材料で作られ、非圧電領域は、非圧電材料で作られる。いくつかの実施例では、圧電材料は、圧電結晶、圧電セラミック、圧電ポリマーなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電結晶は、水晶、閃亜鉛鉱、方ホウ石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KH
2PO
4、NaKC
4H
4O
6・4H
2O(ロッシェル塩)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電セラミックとは、異なる材料の粉末間の固相反応と焼結により得られた微細結晶粒がランダムに集合した圧電多結晶体である。いくつかの実施例では、圧電セラミック材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、改質チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電ポリマー材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでもよい。いくつかの実施例では、非圧電材料は、セラミック、ゴムを含んでもよい。いくつかの実施例では、非圧電材料の力学的性質は、圧電材料の力学的性質と類似してもよい。いくつかの実施例では、圧電領域及び非圧電領域の具体的な実施方式については、下記
図8A又は8Dに示す関連内容を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0057】
電極130は、圧電部品120に駆動電圧を供給する要素として構成されてもよい。いくつかの実施例では、電極130は、金属電極(例えば、銅電極、銀電極など)、酸化還元電極(例えば、Pt|Fe及びFe電極、Pt|Mn MnO電極)、不溶性塩電極(例えば、カロメル電極、酸化水銀電極)などのうちの1種以上の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、電極130は、圧電層122の少なくとも1つの表面に設けられてもよく、例えば、圧電層122の2つの対向する表面に設けられてもよい。いくつかの実施例では、電極は、コーティング、埋め込み、合わせなどのうちの1種以上の張り合わせ方式で圧電層122の表面に設けられてもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、圧電層122は、基板121の少なくとも1つの表面を被覆してもよい。いくつかの実施例では、電極130は、圧電層122の少なくとも1つの表面を被覆してもよい。基板121、圧電層122及び電極130の間の配置方式を説明するために、
図3及び
図4は、2種類の例示的な音響装置100を提供する。
【0059】
図3は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品120の概略構成図である。
図3に示すように、圧電部品120は、圧電片持ち梁であってもよい。基板121は、圧電層122及び電極130(類似三角形領域に示す)を載置することができる。いくつかの実施例では、電極130は、圧電層122に駆動電圧を供給するために、圧電層122の1つ以上の表面に設けられてもよい。いくつかの実施例では、圧電層122は、基板121の1つ以上の表面を被覆してもよく、圧電層122が駆動電圧の作用で変形する場合、基板121は、それに伴って変形することにより、圧電部品120の振動出力領域が振動を出力する。例えば、圧電層122は、基板121の一方の表面のみを被覆してもよい。また例えば、
図3に示すように、2つの圧電層122は、基板121の2つの反対の表面をそれぞれ被覆してもよい。
【0060】
図4は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品120の一部の概略構成図である。
図4に示すように、圧電部品120は、圧電板(又は圧電フィルム)であってもよい。基板121は、圧電層122及び電極130(二次元的に分布する複数の方形に示す)を載置することができる。いくつかの実施例では、圧電層122は、面積が基板121より大きくてもよく、基板121より小さくてもよい。いくつかの実施例では、電極130は、圧電板に駆動電圧を供給するために、圧電板の1つ以上の表面に設けられてもよい。いくつかの実施例では、圧電層122は、基板121の1つ以上の表面を被覆してもよく、圧電層122が駆動電圧の作用で変形する場合、基板121は、それに伴って変形することにより、圧電板の振動出力領域が振動を出力する。例えば、
図4に示すように、圧電層122は、基板121の一方の表面のみを被覆してもよい。また例えば、2つの圧電層122は、基板121の2つの対応する表面をそれぞれ被覆してもよい。
【0061】
いくつかの実施例では、圧電部品120は、圧電部品120が発生する振動を振動部品110に伝達する振動出力領域123を含んでもよい。いくつかの実施例では、振動出力領域123は、圧電部品120の一面、一辺又は一点など、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
図3に示すように、圧電部品120が圧電片持ち梁である場合、圧電部品120の一辺又は表面の一部領域は、振動出力領域123であってもよい。
図4に示すように、圧電部品120が圧電板又は圧電フィルムである場合に、圧電部品120の内部領域(例えば、振動平面の中心領域)は、振動出力領域123であってもよい。
【0062】
いくつかの実施例では、圧電部品120は、固定領域124をさらに含んでもよい。固定領域124は、圧電部品120の一部を固定するとともに、該領域における圧電部品120の振動を抑制することにより、圧電部品120の振動の大部分が振動出力領域123から出力される。いくつかの実施例では、固定領域124は、振動出力領域123に対応してもよい。
図3に示すように、圧電部品120が圧電片持ち梁である場合、圧電部品120の長軸方向に沿う一端は、振動出力領域123であってもよく、振動出力領域123に対応する長軸方向に沿う他端は、固定領域124であってもよい。また例えば、圧電部品120が圧電板又は圧電フィルムである場合、振動出力領域123は、圧電部品120の内部領域であってもよく、圧電部品120の境界領域は、固定領域124であってもよい。
【0063】
いくつかの実施例では、プロセスフロー及びコストを低減するとともに、圧電部品120を容易に移動させるために、圧電部品120に固定領域124を設けなくても、振動出力領域123により振動を伝達することができる。
【0064】
いくつかの実施例では、圧電部品120の振動は、1つ以上の振動モードを有する。振動モードは、構造系の固有振動特性である。電極の形状が設計されない場合に、圧電部品120の振動モードが多いため、周波数応答曲線が安定せず、深刻な場合、いくつかの周波数で圧電部品120の振動出力領域にノードが形成されて、音響出力の効果に影響を与える。
【0065】
いくつかの実施例では、電極130の形状を設計して電極130が圧電モードアクチュエータを形成して励振力を出力することにより、圧電部品120が特定モードのみを発生させる。いくつかの実施例では、圧電層122の表面における電極130の被覆面積を、基板121の圧電層122が被覆された表面の面積より小さくすることにより、電極の設計を実現することができる。例えば、
図3に示すように、電極130(類似三角形領域に示す)の面積は、圧電層122の面積より小さくてもよく、また基板121の面積より小さく、圧電層122は、基板121と重なってもよい(すなわち、基板121における圧電層122の被覆面積は、基板121の一方の表面の全表面積である)。また例えば、
図4に示すように、電極130(二次元的に分布する複数の方形に示す)の面積は、圧電層122の面積より小さくてもよく、また基板121の面積より小さく、圧電層122は、基板121と重なってもよい(すなわち、基板121における圧電層122の被覆面積は、基板121の一方の表面の全表面積である)。
【0066】
いくつかの実施例では、圧電部品120の振動構造の振動形式関数に基づいて、電極130の輪郭曲線を決定することにより、圧電部品120にモード制御を行うことができる。いくつかの実施例では、圧電部品120の振動形式関数は、一次振動形式及び二次振動形式などを含んでもよい。それに応じて、電極130は、一次振動形式に対応する一次電極130-1、及び二次振動形式に対応する二次電極130-2などを含んでもよい。
【0067】
以下、
図3に示す圧電片持ち梁を例として、2つの例示的な一次電極130-1及び二次電極130-2をそれぞれ提供して、電極の設計の具体的な実施方式を詳細に説明する。
【0068】
図5Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一次電極130-1の概略構成図である。
図5Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一部の一次電極130-1の外側輪郭線の曲線の傾きの概略図である。
【0069】
いくつかの実施例では、電極130の幅は、固定領域124から振動出力領域123まで徐々に小さくなってもよい。ここで、上記「電極130の幅」とは、上記圧電部品120の幅方向(例えば、圧電片持ち梁の幅方向)における電極のサイズを指す。ある位置の電極130の幅(
図5Aに示すd1、d2)は、該位置の、圧電部品120の長手方向に沿う中心軸線に垂直な線と電極130の外側輪郭線との2つの交点の間の距離であってもよい。いくつかの実施例では、電極130の固定領域124から振動出力領域123までの幅が徐々に小さくなることは、幅が段階的に、直線的に、又は曲線的に小さくなることなどのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
図5Aに示すように、一次電極130-1の幅は、左側(すなわち、固定領域124)から右側(すなわち、振動出力領域123)まで曲線的に小さくなってもよい。
図5Bに示すように、一次電極130-1の中心軸線より上の部分の外側輪郭線に沿う曲線の傾きの絶対値は、振動固定領域124から長さの増加に伴って徐々に小さくなり、振動出力領域123までゼロに小さくなる。いくつかの実施例では、電極130は、対称的に設けられてもよく、例えば、電極130は、圧電部品120の中心軸線に沿って対称的であってもよい。いくつかの実施例では、電極130は、非対称に設けられてもよい。いくつかの実施例では、電極130の形状曲線(すなわち、外側輪郭線)は、三角関数(例えば、正弦関数、余弦関数など)、双曲線関数(例えば、双曲線正弦関数、双曲線余弦関数など)のうちの1種又は任意の組み合わせ(例えば、線形結合)であってもよい。
【0070】
図5Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次電極130-2の概略構成図である。
図5Dは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一部の二次電極130-2の外側輪郭線の曲線の傾きの概略図である。
【0071】
いくつかの実施例では、電極130は、電位が逆である2つの電極エンベロープ領域を含んでもよい。電極エンベロープ領域は、電極130の導電媒質の位置する領域であってもよく、電極エンベロープ領域の電位は、電極エンベロープ領域の両端の電圧であってもよい。例えば、
図5Cに示すように、二次電極130-2の第1電極エンベロープ領域131の両端の電圧は、正であってもよく、第2電極エンベロープ領域132の両端の電圧は、負であってもよい。好ましくは、第1電極エンベロープ領域131の両端の電圧は、負であってもよく、第2電極エンベロープ領域132の両端の電圧は、正であってもよい。
【0072】
いくつかの好ましい実施例では、2つの電極エンベロープ領域の分極方向が同じである場合、2つの電極エンベロープ領域の電位が逆であるように、2つの電極エンベロープ領域に方向が逆の電位を印加することを制御することができる。いくつかの好ましい実施例では、2つの電極エンベロープ領域の分極方向が逆である場合、2つの電極エンベロープ領域の電位が逆であるように、2つの電極エンベロープ領域に方向が同じ電位を印加することを制御することができる。
【0073】
いくつかの実施例では、2つの電極エンベロープ領域の間に変換点133が存在してもよく、2つの電極エンベロープ領域のうちの第1電極エンベロープ領域131における電極の幅は、上記固定領域124から上記変換点133まで徐々に小さくなってもよい。
【0074】
いくつかの実施例では、変換点133は、電極エンベロープ領域の間の電位がゼロの点であってもよく、かつ該点の両側の領域(すなわち、2つの電極エンベロープ領域)の電位方向が逆である。いくつかの実施例では、変換点133は、電極エンベロープ領域を区別することができる。例えば、固定領域124と変換点133との間の電極エンベロープ領域は、第1電極エンベロープ領域131であってもよい。ある位置の第1電極エンベロープ領域131における電極の幅(
図5Cに示すd3)は、該位置の、圧電部品120の長手方向に沿う中心軸線に垂直な線と電極130の外側輪郭線との2つの交点の間の距離であってもよい。いくつかの実施例では、第1電極エンベロープ領域131における電極の幅が小さくなることは、段階的に、直線的に、又は曲線的に小さくなることなどのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0075】
例えば、
図5Cに示すように、電極130が二次電極130-2である場合、変換点133の電位は、ゼロであってもよく、第1電極エンベロープ領域131と第2電極エンベロープ領域132の電位は逆である。そして、第1電極エンベロープ領域131の幅は、左側(すなわち、固定領域124)から変換点133まで曲線的に小さくなってもよい。
図5Dに示すように、第1電極エンベロープ領域131において、二次電極130-2の中心軸線より上の部分の外側輪郭線に沿う曲線の傾きの絶対値は、振動固定領域124から変換点133まで長さの増加に伴って徐々に小さくなる。
【0076】
いくつかの実施例では、2つの電極エンベロープ領域のうちの第2電極エンベロープ領域132における電極の幅は、変換点133から振動出力領域123まで大きくなってから小さくなる。ある位置の第2電極エンベロープ領域132における電極の幅(
図5Cに示すd4)は、該位置の、圧電部品120の長手方向に沿う中心軸線に垂直な線と電極130の外側輪郭線との2つの交点の間の距離であってもよい。いくつかの実施例では、変換点133と振動出力領域123との間の電極エンベロープ領域は、第2電極エンベロープ領域132であってもよい。いくつかの実施例では、第2電極エンベロープ領域132における電極の幅が大きくなってから小さくなることは、段階的な変化、直線的な変化、又は曲線的な変化などのうちの1種以上の方式を含んでもよい。例えば、
図5Cに示すように、第2電極エンベロープ領域132における電極の幅は、左側(すなわち、変換点133)から曲線的に大きくなり、増加幅が徐々に小さくなり、幅がピーク値に達すると、該電極の幅は、曲線的に小さくなり、振動出力領域123まで、減少幅が大きくなってから小さくなる。
図5Dに示すように、第2電極エンベロープ領域132において、二次電極130-2の中心軸線より上の部分の外側輪郭線に沿う曲線の傾きの絶対値は、変換点133から長さの増加に伴って大きくなってから小さくなり、第2電極エンベロープ領域132の最も広い部分まで曲線の傾きがゼロに小さくなり、その後に、長さの増加に伴って、曲線の傾きの絶対値は、大きくなってから小さくなり、振動出力領域123までゼロに小さくなる。
【0077】
いくつかの実施例では、電極130は、第3電極エンベロープ領域、第4電極エンベロープ領域などの1つ以上のエンベロープ領域を含んでもよく、電極エンベロープ領域の形状及び数量は、制御されるべき圧電部品120の振動形式に基づいて決定されてもよい。
【0078】
いくつかの実施例では、固定領域124における電極130の幅は、固定領域124の幅に等しくてもよい。
図5A及び
図5Cに示すように、固定領域124の幅は、Dであってもよく、それに応じて、固定領域124における電極130の幅も、Dであってもよい。
【0079】
いくつかの好ましい実施例では、固定領域124における電極130の幅は、固定領域124の幅に等しなくてもよく、例えば、電極130の幅は、固定領域124の幅より小さくてもよく、固定領域124の幅より大きくてもよい。
【0080】
いくつかの実施例では、振動出力領域123における電極130の幅は、ゼロであってもよい。
図5A及び
図5Cに示すように、振動出力領域123における電極130の幅は、ゼロであってもよい。
【0081】
いくつかの好ましい実施例では、振動出力領域123における電極130の幅は、ゼロでなくてもよい。例えば、振動出力領域123における電極130の幅は、固定領域124における電極130の幅より小さく、かつゼロより大きくてもよい。
【0082】
図6は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
図6に示すように、曲線1は、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極130が圧電部品120と重なる)場合、圧電部品120の振動出力領域の周波数応答曲線である。曲線2は、
図5Aに示す一次電極形態を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線3は、
図5Cに示す二次電極形態(2つのエンベロープ領域の電位が逆である)を用いた圧電部品120の周波数応答曲線である。
【0083】
図6に示すように、曲線1に一次ピーク及び二次ディップが存在し、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極130が圧電部品120と重なる)場合に圧電部品120が中高周波範囲で複雑な振動モードを有し、特に500Hz~3000Hzの範囲で差異が明らかな振動応答を有することを反映する。一次電極形態を用いると、曲線2に示す圧電部品120の一次モードの周波数帯域が広くなり、二次ディップが消え、かつ二次ピーク周波数(例えば、3000Hz付近)において曲線の狭帯域ホッピングが発生し、二次ピークの振幅を低下させる。このように、一次電極130-1の設置方式により、圧電部品120の一次ピークと二次ピークの間の振動応答をより平坦にすることができる。二次電極130-2(2つのエンベロープ領域の電位が逆である)を用いると、曲線3に示す圧電部品120の周波数応答曲線は、低周波段階(例えば、0~100Hz)から二次振動形式にあり、かつ一次ピーク周波数(例えば、500Hz~600Hz)において曲線の狭帯域ホッピングが発生し、一次ピークの振幅を低下させる。ピーク周波数の後、三次ピーク周波数(例えば、9000hz)まで、二次振動形式にある。このように、二次電極130-2の設置方式により、圧電部品120は、低周波段階から三次ピークまで二次振動形式にあってもよい。曲線2及び3から分かるように、一次電極形態と二次電極形態(2つのエンベロープ領域の電位が逆である)は、モード制御効果を有する。本明細書における「ピーク周波数」とは、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極130が圧電部品120と重なる)場合、圧電部品120のピーク(例えば、一次ピーク、二次ピーク、三次ピークなど)の周波数を指す。
【0084】
また、
図6に示すように、曲線4は、
図5Cに示す二次電極130-2(2つのエンベロープ領域の電位が同じである)を用いた圧電部品120の周波数応答曲線である。曲線5は、三角形電極(すなわち、圧電部品120の固定領域124と振動出力領域123の中心点で構成された二等辺三角形を電極の形状とする)を用いた圧電部品120の周波数応答曲線である。三角形電極を用いる場合、曲線5に示す圧電部品120の周波数応答曲線に依然として二次ディップが存在するが、二次ディップは、電極が完全に被覆する曲線1の場合に比べて明らかに後方に移動する。このように、三角形電極130の設置方式により、圧電部品120の一次ピーク周波数と二次ディップ周波数の間の応答をより平坦にすることができる。二次電極130-2(2つのエンベロープ領域の電位が逆である)を用いると、曲線4に示す圧電部品120の周波数応答曲線は、曲線1(電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する)と類似する。
【0085】
図7Aは、電極が圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極が圧電部品と重なる)場合の圧電部品120の二次ディップ周波数における振動形式図である。
図7Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る、一次電極130-1を用いた圧電部品120の二次ディップ周波数における振動形式図である。
図7Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る、二次電極130-2を用いた圧電部品120の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【0086】
図6及び
図7A~
図7Cを組み合わせると、二次ディップ周波数(例えば、1622Hz)において、電極が圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極が圧電部品と重なる)場合、圧電部品120の振動応答の変動は大きく、周波数応答曲線が平坦ではない。電極の設計(例えば、一次電極130-1又は二次電極130-2)が行われた圧電部品120の振動応答の変動は小さく、周波数応答曲線がより平坦であり、ノードが形成されにくい。
【0087】
本明細書の実施例では、電極130を圧電部品120のモードアクチュエータに設計することにより、圧電部品120が特定モードの励振力のみを発生させて特定モードの振動形式を出力し、音響装置の音声特性を改善することができる。そして、圧電部品120の周波数応答曲線がより安定するため、圧電部品120の振動出力領域123におけるノードの形成を回避し、音響装置100の動作信頼性を向上させることができる。
【0088】
そして、ばね、質量、減衰要素などの機械的構造で構成されたモード制御システムを特定の領域に追加することに比べて、本明細書の実施例は、電極130の設計により圧電部品120のモード制御を実現し、音響装置100の構造を簡略化することができる。
【0089】
いくつかの実施例では、電極130の設計に基づいて圧電部品120を設計してもよい。以下、一次元の一次電極130-1を用いた複数の例示的な設計を例として、圧電部品120を設計する具体的な実施方式を詳細に説明する。
【0090】
図8Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る電極130及び圧電部品120の概略構成図である。
図8Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る電極130及び圧電部品120の概略構成図である。
図8Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る電極130及び圧電部品120の概略構成図である。
図8Dは、本明細書のいくつかの実施例に係る電極130及び圧電部品120の分解構造概略図である。
図8A~8D中の三角形領域(又は類似三角形領域)は、例示的なものに過ぎず、電極の形状を限定するものではないことを理解されたい。
【0091】
いくつかの実施例では、
図3に示すように、基板121は、矩形であってもよく、圧電層122は、基板121と重なる圧電矩形梁(圧電層122がすべて圧電領域である)であってもよく、電極130は、一次電極130-1であってもよく、すなわち、電極130の(類似三角形領域に示す)被覆面積<圧電層122の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積である。
【0092】
いくつかの実施例では、
図8Aに示すように、基板121は、矩形であってもよく、圧電層122は、基板121と重なる圧電矩形梁であってもよく、電極130は、一次電極130-1であってもよい。圧電層122は、圧電領域1221(圧電材料で作られる)と非圧電領域1222(非圧電材料で作られる)を含み、圧電領域1221は、一次電極130-1と重なり(圧電領域1221内部の破線が圧電領域1221と電極130を区別するためのものに過ぎず、両者の大きさを限定するものではない)、すなわち、電極130の(類似三角形領域に示す)被覆面積=圧電領域1221の被覆面積<圧電層122の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積である。
【0093】
いくつかの実施例では、
図8Bに示すように、基板121は、矩形であってもよく、電極130は、一次電極130-1であってもよく、圧電層122は、電極130と重なってもよく、かつ電極130と圧電層122の被覆面積は、いずれも圧電層122によって被覆された基板121の表面積より小さく、すなわち、電極130の(類似三角形領域に示す)被覆面積=圧電層122の被覆面積<圧電層122によって被覆された基板121の表面積である。つまり、圧電層122における、電極によって被覆されない領域の圧電材料を除去し、基板を矩形梁として保留する。
【0094】
いくつかの実施例では、
図8Cに示すように、電極130は、一次電極130-1であってもよく、基板121と圧電層122は、いずれも電極130と重なってもよく、すなわち、電極130の(類似三角形領域に示す)被覆面積=圧電層122の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積である。
【0095】
いくつかの実施例では、圧電層122は、基板121と重なってもよい。例えば、
図3又は
図8Cに示すように、圧電層122の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積である。いくつかの好ましい実施例では、圧電層122は、基板121と重ならなくてもよい。例えば、
図8Bに示すように、圧電層122の面積は、基板121の面積より小さくてもよい。
【0096】
いくつかの実施例では、圧電層122は、すべて圧電領域あってもよい。例えば、
図3、
図8B又は
図8Cに示すように、圧電層122は、すべて圧電材料によって支持されてもよい。いくつかの実施例では、圧電層122は、圧電領域1221と非圧電領域1222を含んでもよい。例えば、
図8Aに示すように、圧電層122は、圧電材料で作られた圧電領域1221と、非圧電材料で作られた非圧電領域1222とを含み、圧電層122の面積は、圧電領域1221の面積と非圧電領域1222の面積の和に等しい。
【0097】
いくつかの実施例では、圧電領域1221は、電極130と重なってもよい。例えば、
図8Aに示すように、圧電層122の圧電領域1221と電極130は、被覆領域が等しく、かつ空間位置が相互に重なり合う。
【0098】
いくつかの実施例では、圧電層122は、電極130と重なってもよい。例えば、
図8B又は
図8Cに示すように、圧電層122と電極130は、被覆面積が等しく、かつ空間位置が相互に重なり合う。
【0099】
いくつかの実施例では、電極130と圧電領域の被覆形状の設計により、電極130の有効電極部分が圧電部品120に対して特定モードを発生させることができる。例えば、圧電層122は、圧電材料で作られた圧電領域と非圧電材料で作られた非圧電領域とを含んでもよい。圧電領域と非圧電領域の面積の和は、基板121における圧電層122の被覆面積に等しく、基板121と圧電層122は重なる。圧電領域と非圧電領域の面積の和は、圧電層122における電極130の被覆面積に等しく、すなわち、電極130と圧電層122は重なる。いくつかの実施例では、上記基板121における圧電領域の被覆面積は、上記基板121における上記圧電層122の被覆面積より小さくてもよい。例えば、
図8Dに示すように、基板121は、矩形であってもよく、圧電層122は、基板121と重なる圧電矩形梁であってもよく、電極130は、矩形電極であってもよい。圧電層122は、圧電領域1221と非圧電領域1222を含み、圧電領域1221の(斜線充填領域に示す)形状及び面積は、矩形電極130の有効面積を限定するものであり、すなわち、圧電領域1221の面積<圧電層122の被覆面積=電極130の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積である。圧電領域1221を被覆する電極130の一部は、圧電部品120に駆動電圧を供給することができ、すなわち、該一部の電極130は、有効電極部分であってもよく、非圧電領域1222を被覆する電極130の一部が単に有効電極部分に電気エネルギーを伝達する導電部品に過ぎないため、基板121における圧電領域1221の被覆面積は、電極130の有効領域の面積と見なされてもよい。このように、圧電領域1221を設計する方式で電極130の設計を実現することにより、圧電領域122を被覆する電極130の一部は、特定モードを出力するように圧電部品120を制御することができる。
【0100】
図9は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電部品120の周波数応答曲線の概略図である。いくつかの実施例では、曲線6は、矩形電極が矩形圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極、圧電部品及び基板がいずれも重なる)場合の圧電部品120の周波数応答曲線である。曲線7は、上記
図3に示す圧電部品120(すなわち、電極130の被覆面積<圧電層122の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積)の周波数応答曲線であり、曲線8は、上記
図8A又は
図8Dに示す圧電部品120(すなわち、電極130の被覆面積=圧電領域1221の被覆面積<圧電層122の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積又は圧電領域の面積<圧電層122の被覆面積=電極130の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積)の周波数応答曲線であり、曲線9は、上記
図8Bに示す圧電部品120(すなわち、電極130の被覆面積=圧電層122の被覆面積<圧電層122によって被覆された基板121の表面積)の周波数応答曲線であり、曲線10は、上記
図8Cに示す圧電部品120(すなわち、電極130の被覆面積=圧電層122の被覆面積=圧電層122によって被覆された基板121の表面積)の周波数応答曲線である。
【0101】
図9に示すように、電極が圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極が圧電部品と重なる)場合、曲線6に示す圧電部品120の周波数応答曲線に一次ピーク及び二次ディップが存在し、圧電部品120は、複数のモードを有する。曲線7と曲線8の周波数応答特性は類似し、これは、電極によって被覆されない領域の圧電材料を非圧電材料に置き換える(又は圧電領域の形状で電極の有効面積を限定する)ことが、すべてが圧電材料である場合に比べて、周波数応答曲線の特性が類似することを反映することができる。曲線9の周波数応答振幅は、顕著に増加し、低周波数ピークが高周波数に移動し、二次モードが明らかに抑制され、かつ三次ディップに滑らかに移行し、これは、電極130によって被覆されない領域の圧電材料を除去して、圧電層122と電極130が重なるようにし、かつ圧電層122(又は電極130)の被覆面積を、圧電層122によって被覆された基板121の表面積より小さくする場合、モードの制御作用を果たすことができることを反映することができる。
図10に示す周波数応答曲線に依然として一次ピーク及び二次ディップが存在するが、依然として複数のモードを有し、これは、基板121、圧電層122及び電極130がいずれも一次電極130-1の形状である場合、その周波数応答特性が、電極が圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極が圧電部品と重なる)場合の周波数応答特性と一致することを反映することができる。したがって、一次電極130-1の形状は、矩形圧電片持ち梁の振動モードに影響を与える可能性があるが、同じ形状(例えば、一次電極130-1の形状)の圧電片持ち梁の振動モードに制御作用を果たすことができない。
【0102】
いくつかの実施例では、圧電層122は、一次電極130-1で圧電層122を被覆する場合と、一次電極130-1で圧電領域1221を被覆し、かつ圧電層122の他の領域を非圧電材料で作られた非圧電領域1222に置き換える場合との電位分布が同じ規則を有する。例えば、圧電部品120の振動周波数が約100Hzである場合、
図3に示す圧電部品120の一次電極130-1によって被覆されない圧電層122の領域に電位差がなく、
図8Aに示す、圧電層122における、電極130によって被覆されない領域の材料を非圧電材料に置き換えると、電極によって被覆されない非圧電領域に電気的性能がない。
【0103】
本明細書の実施例では、電極130の設計に応じて圧電部品120を設計してもよく、圧電部品120における、電極によって被覆されない領域に対して圧電材料を非圧電材料に置き換えることにより、圧電部品120が振動を正常に出力できることを保証するとともに、圧電部品120の製造コストを低減する。
【0104】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な、質量ブロックモデル140が追加された圧電部品120の概略構成図である。
【0105】
いくつかの実施例では、圧電部品120の振動出力領域は、振動部品110及び/又は他の部品に接続されてもよい。いくつかの実施例では、電極130の輪郭曲線を設計するために、振動部品110及び/又は他の部品を質量ブロックモデル140に簡略化してもよい。例示的に、
図10に示すように、圧電部品120の振動出力領域123は、質量ブロックモデル140に接続される。質量ブロックモデル140は、振動を伝達し、かつそれ自体の第2振動出力領域141により振動を出力することができる。いくつかの実施例では、第2振動出力領域141は、質量ブロックモデル140の一面、一辺又は一点など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
図10に示すように、第2振動出力領域141は、質量ブロックモデル140の中心点を含んでもよい。第2振動出力領域141の具体的な実施方式について、上記
図3~4における関連説明を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0106】
いくつかの実施例では、圧電部品120と質量ブロックモデル140との質量関係、並びに圧電部品120の振動構造に基づいて、電極130の輪郭曲線を決定して、圧電部品120に対してモード制御を行うことができる。いくつかの実施例では、圧電部品120と質量ブロックモデル140との質量関係は、質量ブロックモデル140の質量と圧電部品120の質量との比、すなわち、質量比αを含んでもよい。例えば、質量比αは、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3などを含んでもよい。以下、
図10に示す圧電片持ち梁を例として、いくつかの例示的な一次電極130-1及び二次電極130-2をそれぞれ提供して、質量比の具体的な実施方式を詳細に説明する。
【0107】
図11Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な一次電極130-1の形状概略図である。
図11Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次電極130-2の形状概略図である。
【0108】
図11Aに示すように、曲線11は、質量比α=0.5の質量ブロックモデル140が追加されている場合の一次電極130-1の輪郭曲線であり、曲線12は、質量比α=1の質量ブロックモデル140が追加されている場合の一次電極130-1の輪郭曲線であり、曲線13は、質量比α=2の質量ブロックモデル140が追加されている場合の一次電極130-1の輪郭曲線である。
図11Bに示すように、曲線14は、質量比α=0.5の質量ブロックモデル140が追加されている場合の二次電極130-2の輪郭曲線であり、曲線15は、質量比α=1の質量ブロックモデル140が追加されている場合の二次電極130-2の輪郭曲線であり、曲線16は、質量比α=2の質量ブロックモデル140が追加されている場合の二次電極130-2の輪郭曲線である。
【0109】
いくつかの実施例では、質量比αの変化に伴い、電極130の形状は、変化してもよい。例えば、質量ブロックモデル140と圧電部品120との質量比αが大きいほど、電極130の幅の変化は、ますます平坦になる。例示的に、
図11Aに示すように、曲線11から曲線13まで、質量ブロックモデル140と圧電部品120との質量比αは、ますます大きくなり、一次電極130-1の輪郭曲線の曲率がますます小さくなり、すなわち、一次電極130-1の輪郭曲線の変化は、ますます平坦になる。
【0110】
例示的に、
図11Bに示すように、曲線14から曲線16まで、質量ブロックモデル140と圧電部品120との質量比αは、ますます大きくなり、二次電極130-2の輪郭曲線は、固定領域124から変換点133まで小さくなる際に曲率がますます小さくなる。そして、二次電極130-2の輪郭曲線は、変換点133から振動出力領域123まで大きくなる際に曲率がますます小さくなり、小さくなる際に曲率がますます小さくなり、すなわち、二次電極130-2の輪郭曲線の変化は、ますます平坦にある。上記電極130の輪郭曲線の具体的な実施方式について、上記
図5A~5Dにおける関連説明を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0111】
いくつかの実施例では、圧電部品120に質量ブロックモデル140が追加されている場合、圧電部品120と質量ブロックモデル140との質量関係を考慮せず、圧電部品120の振動構造のみに基づいて、電極130の輪郭曲線を決定してもよく、圧電部品120に対してモード制御を行うこともできる。質量比を考慮せずに電極の設計を行う具体的な実施方式について、
図12~
図13Dにおける関連説明を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0112】
図12は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【0113】
図12に示すように、曲線17は、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極130が圧電部品120と重なり、いずれも矩形である)とともに、質量ブロックモデル140が追加されている圧電部品120の周波数応答曲線である。曲線18は、質量比α=0.5の質量ブロックモデル140が追加されているとともに、
図11Aに示す一次電極130-1を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線19は、質量比α=1の質量ブロックモデル140が追加されているとともに、
図11Aに示す一次電極130-1を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線20は、質量比α=2の質量ブロックモデル140が追加されているとともに、
図11Aに示す一次電極130-1を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線21は、
図5Aに示す一次電極130-1(すなわち、質量ブロックモデル140が追加されない場合に計算した電極形状)を用いるが、質量比α=0.5の質量ブロックモデル140が追加されている圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線22は、質量比α=0.5の質量ブロックモデル140が追加されているとともに、
図11Bに示す二次電極130-2を用いた圧電部品120の周波数応答曲線である。
【0114】
図12に示すように、曲線17に一次ピーク及び二次ディップが存在し、これは、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極130が圧電部品120と重なる)とともに、質量ブロックモデル140が追加されている圧電部品120が依然として複数のモードを有することを反映することができる。
【0115】
図12に示すように、質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された一次電極130-1を用いると、曲線18~曲線20に示す圧電部品120は、いずれも一次ピークから二次ピーク周波数(例えば、1000Hz付近)まで滑らかに移行し、二次ピーク周波数までに小さなホッピングが発生し、その後に三次ディップまで滑らかに移行し続ける。そして、二次ピーク周波数と三次ピーク周波数(例えば、7000Hz付近)において、曲線18~曲線20に示す圧電部品120の周波数応答曲線の振幅は、いずれも顕著に低下する。
【0116】
そして、質量比αの増加に伴って、曲線18~曲線20に示す圧電部品120の周波数応答曲線の一次ピークに対応する周波数がますます低くなり、一次ピークから後方へ振幅もますます低くなり、かつ周波数応答曲線は、二次ピーク周波数においてホッピングした後に変化傾向がますます平坦になり、これは、質量比αが大きいほど、質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された一次電極130-1を用いた圧電部品120のモード制御効果が高いことを反映することができる。
【0117】
図12に示すように、質量ブロックモデル140が追加されない場合に設計された一次電極130-1を用いると、曲線21に示す、質量比α=0.5の質量ブロックモデル140が追加されている圧電部品の周波数応答曲線は、二次ディップに対応する周波数において滑らかに移行できるが、二次ピーク周波数においてホッピングの振幅と帯域幅が明らかに増加し、これは、質量ブロックモデル140が追加されない場合に設計された一次電極130-1により、依然として圧電部品120の二次ディップのモード制御を実現できるが、該一次電極130-1による高次モードへの抑制効果が低下する可能性があることを反映することができる。
【0118】
質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された二次電極130-2を用いると、曲線22に示す圧電部品120の周波数応答曲線は、上記
図6における曲線3に示す、質量ブロックモデル140が追加されない圧電部品120の周波数応答曲線と類似し、低周波段階(例えば、0~100Hz)から二次振動形式にあり、かつ一次ピーク周波数(例えば、100Hzと200Hzの間)において曲線の狭帯域ホッピングが発生し、一次ピークの振幅を低下させる。ピーク周波数から三次ピーク周波数(例えば、6000Hzと7000Hzの間)まで、二次振動形式にあり、これは、質量比α=0.5の質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された二次電極130-2(2つのエンベロープ領域の電位が逆である)を用いた圧電部品120が、二次振動形式を制御できることを反映することができる。
【0119】
図13Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデル140が追加されるとともに、電極が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、電極130が圧電部品120と重なる)場合の圧電部品120の二次ディップ周波数における振動形式図であり、
図13Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された一次電極130-1を用いた圧電部品120の二次ディップ周波数における振動形式図であり、
図13Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデル140が追加されない場合に設計された二次電極130-2を用いた圧電部品120の二次ディップ周波数における振動形式図であり、
図13Dは、本明細書のいくつかの実施例に係る、質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された二次電極130-2を用いた圧電部品120の二次ディップ周波数における振動形式図である。
【0120】
図12及び
図16A~
図16Dを組み合わせると、二次ディップ周波数(例えば、1411Hz)において、電極が圧電部品の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、矩形電極が矩形圧電部品と重なる)場合、質量ブロックモデル140が追加されている圧電部品120は、振動中に、振動応答の変動が大きく、周波数応答曲線が平坦ではなく、振動出力領域123は、ある周波数でノードが形成され、音響出力の効果に影響を与える可能性がある。質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された一次電極130-1(又は、質量ブロックモデル140が追加されている場合に設計された一次電極130-1、二次電極130-2、又は質量ブロックモデル140が追加されない場合に設計された一次電極130-1)を用いる場合、質量ブロックモデル140が追加されている圧電部品120は、振動中に、圧電部品120の振動応答の変動が小さく、周波数応答曲線がより平坦であり、ノードが形成されにくい。
【0121】
また、
図13Cに示すように、質量ブロックモデル140が追加されない場合に設計された一次電極130-1を用いる場合、質量ブロックモデル140が追加されている圧電部品120は、振動中に、その振動形式が二次振動形式へ変化する傾向を示し、これは、質量ブロックモデル140が追加されない場合に設計された一次電極130-1により、依然として圧電部品120のモード制御を実現できるが、該一次電極130-1による高次モードへの抑制効果が低下する可能性があることを反映することができる。
【0122】
本明細書の実施例では、質量ブロックモデル140と圧電部品120の質量比αに基づいて電極130を設計することにより、圧電部品120がより正確な特定モードの励振力を発生させて、モード制御効果をさらに改善することができる。そして、圧電部品120の周波数応答曲線の固定周波数における振幅を低下させ、圧電部品120の振動出力領域123におけるノードの形成を回避し、さらに音響装置100の動作信頼性を向上させることができる。
【0123】
いくつかの実施例では、圧電部品120は、圧電板又は圧電フィルムを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電板又は圧電フィルムの大きさ、及び振動構造の振動形式関数に基づいて、電極130の形状を決定してもよい。例えば、圧電板又は圧電フィルムに被覆された電極130を、二次元的に分布する複数の分散電極ユニット(「二次元電極」とも呼ばれる)に設計することにより、圧電部品120は、特定モードを発生させる。
【0124】
以下、
図4に示す圧電部品120を例として、例示的な分散電極ユニット134及び連続電極をそれぞれ提供して、二次元電極の設計の具体的な実施方式を詳細に説明する。
【0125】
いくつかの実施例では、電極130は、二次元的に分布する複数の分散電極ユニット134を含んでもよい。いくつかの実施例では、複数の分散電極ユニット134は、互いに分離され、かつ圧電部品120の表面に分布する導電性材料として構成されてもよい。いくつかの実施例では、分散電極ユニット134の形状は、円形、三角形、四角形、不規則な形状などのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0126】
図14Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極130の一部の概略構成図であり、
図14Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極130の一部の概略構成図であり、
図14Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極130の一部の概略構成図であり、
図14Dは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極130の一部の概略構成図である。
【0127】
図14Aは、正方形の圧電層の四半分を示し、圧電層122(例えば、サイズが18×18×0.09mmの正方形の圧電シート)は、基板121(例えば、18×18×0.05mmの鋼製基板)と重なり、基板の周縁が固定領域124である。
図14Bは、正方形の圧電層の四半分を示し、圧電層122(例えば、サイズが18×18×0.09mmの正方形の圧電シート)は、基板121(例えば、23×23×0.05mmの鋼製基板)を被覆し、圧電層122の被覆面積は、圧電層によって被覆された基板121の表面の面積より小さく、基板の周縁が固定領域124である。
図14Cと
図14Dは、それぞれ矩形の圧電層を示し、圧電層122(例えば、サイズが40×20×0.5mmの矩形の圧電板)は、基板121(例えば、40×20×0.1mmの鋼製基板)と重なり、基板の周縁が固定領域124である。
図14Dに示す矩形の圧電板は、(3,1)モードである。本明細書における「(3,1)モード」の「3」とは、長手方向が三次モードであることを指し、すなわち、矩形の圧電板を長手方向に沿う片持ち梁(幅を無視する)に簡略化する場合、三次モードを有し、「1」とは、幅方向が一次モードであることを指し、すなわち、矩形の圧電板を幅方向に沿う片持ち梁(長さを無視する)に簡略化する場合、一次モードを有する。
【0128】
いくつかの実施例では、複数の分散電極ユニット134において、圧電層122の中心における隣接する2つの分散電極ユニット134の間の隙間は、圧電層122の境界における隣接する2つの分散電極ユニット134の間の隙間より小さい。ここで、上記「圧電層122の中心」は、圧電層122の幾何学的中心であってもよく、圧電層122の各次モードの振動振幅出力位置であってもよく、振動出力領域123の中心であってもよい。例えば、圧電層122が(3,1)モードである場合、圧電層122の中心は、それぞれが一次振動モードの振動中心に対応する3つ中心を含んでもよい。よって、ここで、上記「圧電層122の境界」は、圧電層122の幾何学的境界であってもよく、圧電層122の各次モードの振動出力が最も小さい領域であってもよく、固定領域124の境界であってもよい。例えば、圧電層122が(3,1)モードである(すなわち、長手方向において三次モードであり、幅方向において一次モードである)場合、圧電層122の境界は、各振動モードに対応する領域の境界であってもよい。例えば、
図14A~
図14Cに示すように、圧電層122の幾何学的中心における隣接する2つの分散電極ユニット134の間の隙間は、距離D1であり、境界における隣接する2つの分散電極ユニット134の間の隙間は、距離D2であり、距離D1が距離D2より小さい。また例えば、
図14Dに示すように、圧電層122の各振動中心における隣接する2つの分散電極ユニット134の間の隙間は、距離D1であり、該振動中心に対応する領域の境界における隣接する2つの分散電極ユニット134の間の隙間は、距離D2であり、距離D1が距離D2より小さい。いくつかの実施例では、隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間は、圧電層122の中心から境界へ徐々に大きくなる。例えば、圧電層122の中心に近接する、隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間は、上記圧電層122の中心から離れた、隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間より小さい。
【0129】
いくつかの実施例では、分散電極ユニット134の面積の大きさは、特定の周波数(例えば、一次ピーク、二次ピーク)において該分散電極ユニット134の位置する領域の振動変位量に関連してもよい。振動変位量とは、振動中に圧電層122が、振動しないときの水平面に対して生じる距離変化を指す。いくつかの実施例では、圧電層122の中心における第1分散電極ユニット1341の面積は、圧電層122の境界における第2分散電極ユニット1342の面積より大きい。例えば、
図14A~
図14Dに示すように、第1分散電極ユニット1341が第2分散電極ユニット1342より振動出力領域123に近接するため、振動中に、第1分散電極ユニット1341の変位量は、第2分散電極ユニット1342の変位量より大きく、第1分散電極ユニット1341の面積は、第2分散電極ユニット1342の面積より大きくてもよい。
【0130】
いくつかの実施例では、分散電極ユニット134の面積の大きさについて、特定の周波数(例えば、一次ピーク、二次ピーク)において該分散電極ユニット134の位置する領域の振動変位量と圧電層122の最大変位量との差異(例えば、変位比)に基づいて、各領域における分散電極ユニット134の面積を決定することができる。例示的に、圧電層122をm×n個の圧電サブ領域、すなわち、m×n個の分散電極ユニット134に分散させることができる。各圧電サブ領域の変位量と圧電層122の最大変位量との差異に基づいて、圧電サブ領域を等割合で拡大縮小して、圧電サブ領域における分散電極ユニット134の面積を決定する。
【0131】
いくつかの実施例では、分散電極ユニット134の電位は、該分散電極ユニット134の位置する圧電サブ領域の変位方向に関連してもよい。例示的に、
図14Dに示すように、圧電部品120の振動中に、第3分散電極ユニット1343の変位方向が圧電層122の最大変位方向と逆であり、かつ第4分散電極ユニット1344の変位方向が圧電層122の最大変位方向と同じであれば、第3分散電極ユニット1343の電位方向は、第4分散電極ユニット1344の電位方向と逆である。
【0132】
以下、
図14A及び
図14Bに示す圧電部品120と基板の大きさを例として、形状又は数量が異なる分散電極ユニットがそれぞれ被覆されている場合の周波数応答曲線の区別を説明する。
【0133】
図15Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図であり、
図15Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図であり、
図15Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る、一体型電極が被覆された圧電部品の5380.3Hzにおける振動変位の概略図であり、
図15Dは、本明細書のいくつかの実施例に係る、8×8分散電極ユニットが被覆された圧電部品の5380.3Hzにおける振動変位の概略図である。
【0134】
図15Aに示すように、曲線23は、
図14Aに示す圧電層122が基板121と重なる場合、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、一体型電極)場合の圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線24は、
図14Aに示す圧電層122が基板121と重なる場合、8×8分散電極ユニット134が被覆された圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線25は、
図14Aに示す圧電層122が基板121と重なる場合、32×32分散電極ユニット134が被覆された圧電部品120の周波数応答曲線である。
【0135】
図15Aに示すように、曲線23に示す圧電部品120の周波数応答曲線に共振ディップが現れ、共振ディップに対応する周波数(例えば、約5380.3Hz)において分割振動が発生し、これは、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する場合、圧電層122の中心領域が、周りの振動と逆位相であり、かつ振動面積が同じであり、振動出力領域における圧電部品120の放出音圧の逆位相相殺を引き起こしやすく、振動を出力しにくいことを反映することができる。
【0136】
曲線24~曲線25に示す圧電部品120の周波数応答曲線は、一次ピーク(例えば、3500Hz)と二次ピーク(例えば、約10000Hz)の間に滑らかな音圧レベル周波数応答曲線を形成するとともに、共振ディップ周波数付近での振幅を増加させることができ、これは、二次元電極130が、元の共振ディップに対応する周波数(例えば、約5380.3Hz)において依然として一次ピストン振動を保持するように圧電部品120のピストン振動の周波数幅を拡大し、かつ放出音圧を効果的に出力することにより、モード制御を実現することを反映することができる。本明細書における「ピストン振動」とは、圧電部品120(例えば、圧電板)の各領域が振動するときに、ピストンと同様に、同時に上下に振動する状況(変位方向が同じである)を呈すことを指す。
【0137】
また、曲線24~曲線25に示す圧電部品120の周波数応答曲線の一次ピークの前(例えば、2000Hzの前)の低周波振幅は増加し、二次ピーク及びその後の共振ディップ全体(例えば、10000Hzの後)の帯域幅は小さくなり、これは、二次元電極130が、圧電部品120の低周波応答を向上させ、かつ圧電部品120の二次ピーク周波数における固有モード振動形式を抑制することができることを反映することができる。
【0138】
また、曲線25に示す圧電部品120の周波数応答曲線は、曲線24に示す圧電部品120の周波数応答曲線に比べて、一次ピークの前(例えば、2000Hzの前)に、より高い低周波応答振幅を有し、二次ピーク周波数(例えば、約10000Hz)において振幅及び帯域幅をさらに抑制し、これは、8×8二次元電極130に比べて、32×32二次元電極130を用いた圧電部品120がより高い低周波応答を有し、さらに高周波モードに対して抑制作用を果たすことを反映することができる。
【0139】
図15Bに示すように、曲線23’は、
図14Bに示す圧電層122の被覆面積が圧電層によって被覆された基板121の表面の面積より小さい場合、電極130が圧電部品120の一方の表面を完全に被覆する(すなわち、一体型電極)場合の圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線24’は、
図14Bに示す圧電層122の被覆面積が圧電層によって被覆された基板121の表面の面積より小さい場合、8×8分散電極ユニット134が被覆された圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線25’は、
図14Bに示す圧電層122の被覆面積が圧電層によって被覆された基板121の表面の面積より小さい場合、32×32分散電極ユニット134が被覆された圧電部品120の周波数応答曲線である。
【0140】
図15Bに示すように、曲線23’に示す圧電部品120の周波数応答曲線は、4189.8Hzにおいて、振動形式が曲線23と類似する分割振動が発生するため、振動出力領域の音圧の逆位相相殺を引き起こし、共振ディップを形成する。曲線24’と曲線25’によれば、二次元電極は、元の共振ディップ周波数点において依然としてピストン振動にあるようにピストン振動周波数帯域の拡大を実現することにより、音圧レベルが該周波数帯域において滑らかに移行する。曲線23’に示す圧電部品120の周波数応答曲線において、二次ピークの後の6000Hz付近での音圧レベルが平坦な曲線であり、二次元電極を用いると、曲線24’と曲線25’において、共振ディップが形成される。該現象の原因は、一体型電極の場合、ここでの振動モードが、基板121の圧電層122を超えた部分が共振することにより、振動を出力することであり、しかしながら、二次元電極が圧電層122の振動モードを変化させ、縁部基板121によって提供された弾性と結合する場合、中間領域と周り領域の振動が逆位相である振動形式を形成し、振動出力領域に音圧の逆位相相殺が発生し、曲線上の共振ディップとして現れ、指向性に一定の影響を与えるためである。
【0141】
図15C及び
図15Dに示すように、一体型電極が被覆されている場合、圧電部品120は、5380.3Hzにおいて分割振動が発生し、中間領域と周り領域の振動が逆位相であり、かつ面積が同じであり、振動出力領域の音圧の逆位相相殺を引き起こし、8×8分散電極ユニット134の二次元電極が被覆されている場合、圧電部品120は、5380.3Hzにおいて依然としてピストン振動にあり、音圧を効果的に出力することにより、振動出力領域の音圧レベル振幅が顕著に向上する。
【0142】
図16Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品120において電極が完全に被覆する(すなわち、一体型電極を用いる)場合の圧電部品120の一次モードの振動形式図であり、
図16Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品120において電極が完全に被覆する(すなわち、一体型電極を用いる)場合の圧電部品120の高周波における振動形式図であり、
図16Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品120に16×8個の二次元電極130の分散電極ユニット134が用いられた圧電部品120の高周波における振動形式図であり、
図16Dは、本明細書のいくつかの実施例に係る、矩形の圧電部品120に32×16個の二次元電極130の分散電極ユニット134が用いられた圧電部品120の高周波における振動形式図である。
【0143】
図16Aは、一体型電極を用いた矩形の圧電部品120の6907Hzにおける一次モードを示し、一体型電極を用いた矩形の圧電部品120のより高い周波数18326Hzにおける振動形式を
図16Bに示す。二次元電極130で被覆することにより、18326Hzにおける振動形式は、
図16Aに示す一次振動形式と類似する振動形式を呈する。32×16個の分散電極ユニットが16×8個の分散電極ユニットより多く、より連続的に変化するため、32×16個の分散電極ユニットによって被覆された圧電部品120は、18326Hzにおける振動形式が一次振動形式により近い。
【0144】
本明細書の実施例では、複数の分散電極ユニット134の二次元分布を利用して二次元電極130の設計を実現することにより、圧電部品120が特定モードの振動形式のみを出力し、音響装置100の音声特性をさらに改善することができる。
【0145】
そして、圧電部品120の周波数応答曲線がより安定するため、圧電部品120の中間領域と周り領域の逆位相の振動による振動出力領域123におけるノードの形成を回避し、音響装置100の動作信頼性を向上させることができる。
【0146】
図17Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極130の分散電極ユニット134の設計思想の概略図であり、
図17Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な二次元電極130の分散電極ユニット134の概略構成図であり、
図17Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る、両端固定梁に相当する矩形に対応する一次電極130-1の形状概略図である。
【0147】
図17Aに示すように、長手方向(
図17Aにおける水平方向)において圧電部品120を(15本の破線により)16個の矩形に分割することができ、16個の矩形は、いずれも圧電部品120の幅を長さとし、圧電部品120の長さを等分し、同様に、幅方向(
図17Aにおける垂直方向)において圧電部品120を(7本の破線により)8個の矩形に分割する。長手方向における16個の矩形と幅方向における8個の矩形は、いずれも両端固定梁に相当してもよい。
図7に示すように、長手方向に沿って、矩形の固定梁は、1つの固定領域124から別の固定領域124までの幅がゼロから徐々に大きくなってから徐々にゼロに小さくなり、「紡錘形」になる。いくつかの実施例では、幅が大きくなるか又は小さくなることは、幅が段階的に、直線的に、又は曲線的に大きくなるか又は小さくなることなどのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
図17Cが長手方向における電極の形状のみを示し、幅方向における各矩形の固定梁が類似する形状を有してもよいことを理解されたい。いくつかの実施例では、
図17Cに示す一次電極130-1の形状に基づいて、複数の分散電極ユニット134の長手方向における第1形状171(
図17Aにおける16列の紡錘形)と複数の分散電極ユニット134の幅方向における第2形状172(
図17Aにおける8行の紡錘形)を決定することにより、第1形状171と第2形状172に基づいて、二次元電極130を決定する。
図17Bに示すように、二次元電極130は、第1形状171と第2形状172の重なり合う領域であり、各重なり合う領域は、分散電極ユニット134であってもよい。
【0148】
図18は、本明細書のいくつかの実施例に係る、
図17Bに示す二次元電極130が被覆された圧電部品120の振動形式図である。
【0149】
図18に示すように、
図17Bに示す二次元電極130が被覆された圧電部品120は、高周波数帯域(例えば、18326Hz)における振動形式が、依然として一次振動形式に近いため、音圧を効果的に出力することができ、振動出力領域の音圧レベル振幅を顕著に向上させる。
図14Cに示す二次元電極(振動形式を
図16C及び
図16Dに示す)に比べて、
図17Bに示す二次元電極130を用いてモード制御を実現することもできる。
【0150】
いくつかの実施例では、分散する電極ユニットは、電極間の回路接続が難しいという問題があり、大量生産の難しさが大きい。したがって、電極を分散式から連結式に変更することができ、印刷スクリーンの製造と電極の接続に役立ち、大量生産に適する。例えば、電極130は、二次元的に分布する連続電極135を含んでもよく、連続電極は、複数の透かし彫り領域136を含んでもよい。
【0151】
いくつかの実施例では、連続電極135は、圧電部品120の表面に設けられる連続導電性材料として構成されてもよく、透かし彫り領域136は、導電性材料が設けられない領域として構成されてもよい。上記
図14A~
図14D又は
図17Bに示す複数の分散電極ユニット134に比べて、連続電極135は、分散して分布する電極を一体に連結した電極130であると理解されてもよく、そして、複数の透かし彫り領域136を設けて連続電極135を、二次元的に分布する複数の領域に分散させることにより、電極130の設計を実現する。
【0152】
図19Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る、例示的な、二次元的に分布する連続電極130の一部の概略構成図であり、
図19Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る、例示的な、二次元的に分布する連続電極130の一部の概略構成図であり、
図19Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る、例示的な、二次元的に分布する連続電極130の一部の概略構成図である。
【0153】
図19A~
図19Cに示すように、二次元電極130(四半分の二次元電極)は、二次元的に分布する連続電極135を含んでもよく、連続電極135は、複数の透かし彫り領域136を含んでもよい。
【0154】
いくつかの実施例では、透かし彫り領域136の形状は、圧電部品120の形状と同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例では、透かし彫り領域136の形状は、円形、三角形、四角形、五角形、六角形又は不規則な形状などのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、
図19Aに示す連続電極135は、複数の正方形の透かし彫り領域136を含んでもよく、
図19Bに示す連続電極135は、複数の六角形の透かし彫り領域136を含んでもよく、
図19Cに示す連続電極135は、複数の四角形の透かし彫り領域及び複数の八角形の透かし彫り領域を含んでもよい。
【0155】
いくつかの実施例では、圧電層122の中心における隣接する2つの透かし彫り領域136の間の距離は、上記圧電層の境界における隣接する2つの透かし彫り領域136の間の距離より大きくてもよい。例示的に、
図19A~
図19Cに示すように、境界に近接するほど、隣接する2つの透かし彫り領域136の間の距離は小さい。
【0156】
いくつかの実施例では、圧電層122の中心における第1透かし彫り領域1361の面積は、上記圧電層の境界における第2透かし彫り領域1362の面積より小さい。
図19A~
図19Cに示すように、第1透かし彫り領域1361は、第2透かし彫り領域1362より圧電層122の中心に近く、第1透かし彫り領域1361の面積は、第2透かし彫り領域1362の面積より小さい。
【0157】
いくつかの実施例では、圧電層122を、複数の同じ大きさの、二次元的に分布する圧電サブ領域に分割してもよく、各圧電サブ領域は、1つの透かし彫り領域136を含んでもよく、かつ透かし彫り領域136は、圧電サブ領域の中心に位置してもよく、該圧電サブ領域における連続電極135は、圧電サブ領域の縁部に位置して、他の圧電サブ領域の連続電極135と連続的に接続された電極を形成してもよい。例えば、
図19A~
図19Cに示すように、透かし彫り領域136は、圧電サブ領域の縁部の電極130が連続的であるように、圧電サブ領域の中心に設けられてもよい。
【0158】
いくつかの実施例では、透かし彫り領域136の面積の大きさは、特定の周波数(例えば、一次ピーク、二次ピーク)において該透かし彫り領域136の位置する圧電サブ領域の振動変位量に関連してもよい。いくつかの実施例では、特定の周波数(例えば、一次ピーク、二次ピーク)における圧電サブ領域の振動変位量と圧電層122の最大変位量との差異(例えば、振動変位比)に基づいて、各圧電サブ領域における透かし彫り領域136の面積を決定することができる。例えば、振動変位量と圧電層122の最大変位量との差異が大きいほど、透かし彫り領域136の面積は大きい。
図20は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【0159】
図20に示すように、曲線26は、一体型電極を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線26は、32×32個の分散電極ユニットの二次元電極130が被覆された圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線27は、二次元的に分布する32×32個の連続電極130が被覆された圧電部品120の周波数応答曲線である。曲線26及び曲線27によれば、二次元的に分布する連続電極130のモード制御効果は、二次元的に分布する分散電極ユニットで構成された電極130のモード制御効果と一定の差異がある。例えば、二次元的に分布する分散電極ユニットで構成された電極130は、12128Hzにおける共振ディップが前に移動して7829.4Hzにある。共振ディップが前に移動する原因は、電極130の透かし彫り形状と密集度に関連する可能性があるが、圧電部品120に対して依然として一定のモード制御効果を示す。
【0160】
本明細書の実施例では、連続電極135が複数の透かし彫り領域136を含む方式により、二次元電極130の被覆面は、分散式から連結式になり、二次元電極の生成、製造及び使用に役立ち、大量生産により適する。
【0161】
一次元電極と類似し、二次元電極の設計において、圧電層(例えば、圧電板、圧電フィルム)における圧電領域の形状及び面積により、圧電層に被覆された電極の有効面積を限定することができることを理解されたい。例えば、圧電板又は圧電フィルムは、圧電材料で作られた圧電領域と、非圧電材料で作られた非圧電領域とを含み、圧電領域と非圧電領域の面積の和は、基板における圧電板又は圧電フィルムの被覆面積に等しく、電極は、圧電板又は圧電フィルムを完全に被覆する(すなわち、電極は、圧電板又は圧電フィルムと重なる)。圧電領域のパターンは、
図14A、
図14B、
図14C、
図14D、
図17A、
図17B、
図19A、
図19B又は
図19Cのうちのいずれかに示す二次元電極の設計パターンであってもよく、基板における圧電領域以外の部分は、非圧電領域である。したがって、二次元電極の設計において、圧電領域の面積<圧電層(例えば、圧電板又は圧電フィルム)の被覆面積=電極の被覆面積≦圧電層によって被覆された基板の表面積にすることにより、圧電部品のモード制御を実現することができる。
【0162】
いくつかの実施例では、電極130は、圧電層122の1つの表面を被覆してもよく、圧電層の2つの表面を被覆してもよい。例えば、電極130は、上記表面とは反対側となる他方の表面を被覆してもよく、他方の表面における電極130の被覆面積は、該表面の面積以下であってもよい。つまり、2つの反対の表面において電極130の設計を実現することにより、圧電部品120のモードを制御することができる。他方の表面における電極130の設計について、上記
図5A、
図5C、
図8A~
図8D、
図11A、
図11B、
図14A~
図14D、
図17B、
図19A~
図19Cのうちのいずれかの電極130の設計を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0163】
いくつかの実施例では、圧電部品120は、振動調整部品をさらに含んでもよい。振動調整部品は、音響装置の振動状態を変化させる(例えば、音響装置の1つ以上の部品の質量、弾性又は減衰を変化させることにより、出力される振動モードを調整する)デバイスとして構成されてもよい。いくつかの実施例では、振動調整部品は、圧電部品120の振動出力領域123に接続され、かつ圧電部品120から出力される振動を調整してもよい。いくつかの実施例では、振動調整部品は、接続部材(例えば、ハウジングなど)、質量ブロック(例えば、金属質量ブロックなど)、弾性部材(例えば、牽引ロープ、ばね片など)などのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。接続部材は、圧電部品120を他の部品に接続することができ、弾性部材は、圧電部品120に弾力を供給することにより、圧電部品120の振動状態を変化させることができる。
【0164】
いくつかの実施例では、振動調整部品は、質量ブロック170を含んでもよく、質量ブロックは、振動出力領域123に物理的(例えば、機械的又は電磁的)に接続される。いくつかの実施例では、質量ブロック170は、一定の質量を有する部品であってもよい。いくつかの実施例では、質量ブロック170は、金属質量ブロック、ゴム質量ブロック、プラスチック質量ブロックなどのうちの1種又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、質量ブロック170は、圧電部品120のモードを変化させることができる。
【0165】
いくつかの実施例では、音響装置100は、振動部品110と圧電部品120を接続する接続部材171をさらに含む。いくつかの実施例では、接続部材は、一定の剛性を有する部品として構成されてもよく、接続部材171は、振動伝達シート、弾性部材などのうちの1種又は任意の複数種の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、質量ブロック170は、接続部材171により振動出力領域123に接続されてもよい。
【0166】
以下、上記
図3に示す圧電部品120を例として、例示的な音響装置を提供して、圧電片持ち梁、質量ブロック170及び接続部材171の具体的な実施方式を詳細に説明する。
【0167】
図21は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置の概略構成図である。いくつかの実施例では、音響装置は、少なくとも1つの圧電部品120を含んでもよく、各圧電部品120の振動出力領域は、振動部品110に接続されてもよく、各振動部品110は、振動調整部品(例えば、質量ブロック170)に接続される。
図21に示すように、音響装置は、一次電極130-1が被覆された2つの圧電部品120を含んでもよく、各圧電部品120の振動出力領域は、振動部品110に接続され、振動部品110と振動調整部品(例えば、質量ブロック170)は、少なくとも1つの接続部材171により接続される。
【0168】
いくつかの実施例では、圧電部品120のモードを減少させるために、音響装置の圧電部品120の長さを短くしてもよい。例えば、音響装置は、接続部材171によって供給された弾性と質量ブロック170を利用して低周波数ピークを形成することにより、短い圧電片持ち梁(
図21に示す圧電部品120)を用いてモードを減少させ、周波数応答曲線の低周波数ピークと(周波数が高い)一次モードピークの間の平坦な周波数応答曲線を形成することができる。
【0169】
図22は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な圧電部品の周波数応答曲線を比較する概略図である。
【0170】
図22に示すように、曲線29は、長さが8mmの一体型電極を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線30は、長さが8mmの一次電極130-1を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線31は、長さが10mmの一次電極130-1を用いた圧電部品120の周波数応答曲線であり、曲線32は、長さが12mmの一次電極130-1を用いた圧電部品120の周波数応答曲線である。
【0171】
図22に示すように、曲線29に示す圧電部品120に対応する周波数応答曲線は、二次モードディップ(例えば、12272Hz)において二次共振が発生し、これは、音響装置における、一体型電極を用いた圧電部品120が振動を効果的に出力できないため、その周波数応答曲線に共振ディップが現れることを反映することができる。曲線30~曲線32に示す圧電部品120に対応する周波数応答曲線の共振ディップは、高くなり、かつ共振ディップ間の振動特性に影響を与えず、これは、音響装置において一次電極130-1の設計を用いることにより、圧電部品120が発生する二次共振ディップを高くすることができることを反映することができる。
【0172】
そして、曲線30~曲線32に示す圧電部品120に対応する周波数応答曲線において、圧電片持ち梁(すなわち、圧電部品120)と振動伝達シートによって形成されたモードが前に移動し、これは、音響装置において一次電極130-1の設計を用いる場合に、圧電部品120の長さを適切に長くする(例えば、圧電部品120の長さを8mm以上、10mm以上、又は12mm以上にする)ことにより、共振ディップを高くするとともに、音響装置の低周波数の感度を向上させることができることを反映することができる。
【0173】
図23Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る、一体型電極130を用いた音響装置の振動形式図であり、
図23Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る、一次電極130-1を用いた音響装置の振動形式図である。
【0174】
図23Aに示すように、共振ディップ(例えば、12272Hz)において、一体型電極を用いた音響装置の圧電部品120の振動出力領域にノードが形成される。
図23Bに示すように、共振ディップ(例えば、12272Hz)において、一次電極130-1を用いた音響装置の圧電部品120の振動出力領域にノードが形成されず、一次振動形式を呈する。
【0175】
本明細書に係る実施例では、電極130の設計により、音響装置の圧電部品120に対応する周波数応答曲線が発生する二次共振ディップを高くするとともに、より長い圧電部品120を用いて音響装置の低周波数の感度を向上させることができる。
【0176】
図24は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置の概略構成図である。
【0177】
いくつかの実施例では、
図24に示すように、音響装置100は、圧電片持ち梁出力構造であってもよく、電極が設計された圧電片持ち梁(すなわち、圧電部品120)は、一端が固定領域124であり、他端が振動出力領域123であり、かつ接続部材171により振動を振動板又は振動膜(すなわち、振動部品110)に出力する。いくつかの実施例では、音響装置100は、骨伝導オーディオデバイス(例えば、骨伝導イヤホン、骨伝導メガネなど)であってもよい。いくつかの実施例では、圧電部品120の固定端は、骨伝導オーディオデバイスのハウジング、耳掛け頂点、耳掛けと本体部との接続部、メガネテンプルなどのうちの1種又は任意の複数種の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、接続部材171は、一定の剛性を有し、かつ振動板又は振動膜、圧電片持ち梁の振動出力領域に剛性接続されてもよい。
【0178】
本明細書の実施例による有益な効果は、以下の(1)~(2)を含むが、これらに限定されない。(1)電極を圧電部品のモードアクチュエータに設計することにより、圧電部品が特定モードの励振力のみを発生させて特定モードの振動形式を出力し、圧電部品の振動出力点におけるノードの形成を回避し、音響装置の動作信頼性を向上させる。(2)ばね、質量、減衰要素などの機械的構造で構成されたモード制御システムを特定の領域に追加することに比べて、本明細書の実施例は、電極の設計により圧電部品のモード制御を実現し、音響装置の構造を簡略化することができる。
【0179】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本明細書を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本明細書に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本明細書によって示唆されることが意図されているため、本明細書の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0180】
さらに、本明細書の実施例を説明するために、本明細書において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本明細書の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本明細書の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0181】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本明細書に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本明細書の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明の目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本明細書の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0182】
同様に、本明細書の実施例の前述の説明では、本明細書を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴より少ない場合がある。
【0183】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本明細書のいくつかの実施例では、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例では、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0184】
本明細書において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本明細書の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本明細書に関連する)本明細書の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。なお、本明細書の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本明細書に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本明細書における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0185】
最後に、本明細書に記載の実施例は、単に本明細書の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本明細書の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本明細書の実施例の代替構成は、本明細書の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本明細書の実施例は、本明細書において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0186】
100 音響装置
110 振動部品
120 圧電部品
130 電極
130-1 一次電極
130-2 二次電極
123 振動出力領域
121 基板
122 圧電層
124 固定領域
131 第1電極エンベロープ領域
132 第2電極エンベロープ領域
133 点
1221 圧電領域
1222 非圧電領域
140 質量ブロックモデル
141 第2振動出力領域
134 分散電極ユニット
1341 第1分散電極ユニット
1342 第2分散電極ユニット
1343 第3分散電極ユニット
1344 第4分散電極ユニット
171 接続部材
172 第2形状
135 連続電極
136 透かし彫り領域
1361 第1透かし彫り領域
1362 第2透かし彫り領域
170 質量ブロック
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧の作用で振動する圧電部品と、
圧電部品に前記駆動電圧を供給する電極と、
前記圧電部品に物理的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動部品とを含み、前記圧電部品は、
基板と、
圧電層であって、前記圧電層が前記基板の
一面を被覆し、前記電極が前記圧電層の
一面を被覆し、前記圧電層の表面における前記電極の被覆面積は、前記基板の前記圧電層が被覆された表面の面積より小さい圧電層とを含む、音響装置。
【請求項2】
前記圧電部品は、振動出力領域と
固定領域とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記電極の幅は、前記固定領域から前記振動出力領域まで徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項
2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記電極は、電位が逆である2つの電極エンベロープ領域を含む、ことを特徴とする請求項
2に記載の音響装置。
【請求項5】
前記2つの電極エンベロープ領域の間に変換点が存在し、前記2つの電極エンベロープ領域のうちの第1電極エンベロープ領域における電極の幅は、前記固定領域から前記変換点まで徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項
4に記載の音響装置。
【請求項6】
前記2つの電極エンベロープ領域のうちの第2電極エンベロープ領域における電極の幅は、前記変換点から前記振動出力領域まで大きくなってから小さくなる、ことを特徴とする請求項
5に記載の音響装置。
【請求項7】
前記固定領域における前記電極の幅は、前記固定領域の幅に等しく、或いは、前記振動出力領域における電極の幅は、ゼロである、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の音響装置。
【請求項8】
前記圧電層は、前記基板と重なり、圧電層は、圧電領域及び非圧電領域を含み、圧電領域は、前記電極と重なる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項9】
前記圧電層は、前記電極と重なる、ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項10】
前記圧電層は、圧電板又は圧電フィルムを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項11】
前記電極は、二次元的に分布する複数の分散電極ユニットを含む、ことを特徴とする請求項
10に記載の音響装置。
【請求項12】
前記複数の分散電極ユニットは、
前記複数の分散電極ユニットにおいて、前記圧電層の中心における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間
が、前記圧電層の境界における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間より小さい
ことと、
前記圧電層の中心における第1分散電極ユニットの面積が、前記圧電層の境界における第2分散電極ユニットの面積より大きいこととのうちの1つを満たす、ことを特徴とする請求項11に記載の音響装置。
【請求項13】
前記電極は、二次元的に分布する連続電極を含み、前記連続電極は、複数の透かし彫り領域を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の音響装置。
【請求項14】
前記圧電層の中心における第1透かし彫り領域の面積は、前記圧電層の境界における第2透かし彫り領域の面積より小さい、ことを特徴とする請求項13に記載の音響装置。
【請求項15】
駆動電圧の作用で振動する圧電部品と、
圧電部品に前記駆動電圧を供給する電極と、
前記圧電部品に物理的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動部品とを含み、前記圧電部品は、
基板と、
前記基板の
一面を被覆し、圧電領域及び非圧電領域を含む圧電層と、を含み、
前記電極は、前記圧電層の
一面を被覆し、
前記基板、前記圧電層及び前記電極は、それぞれ重なり、
前記基板における前記圧電領域の被覆面積は、前記基板における前記圧電層の被覆面積より小さい、音響装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧の作用で振動する圧電部品と、
圧電部品に前記駆動電圧を供給する電極と、
前記圧電部品に物理的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動部品とを含み、前記圧電部品は、
基板と、
圧電層であって、前記圧電層が前記基板の一面を被覆し、前記電極が前記圧電層の一面を被覆し、前記圧電層の表面における前記電極の被覆面積は、前記基板の前記圧電層が被覆された表面の面積より小さい圧電層とを含む、音響装置。
【請求項2】
前記圧電部品は、振動出力領域と固定領域とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記電極の幅は、前記固定領域から前記振動出力領域まで徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記電極は、電位が逆である2つの電極エンベロープ領域を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
【請求項5】
前記2つの電極エンベロープ領域の間に変換点が存在し、前記2つの電極エンベロープ領域のうちの第1電極エンベロープ領域における電極の幅は、前記固定領域から前記変換点まで徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
【請求項6】
前記2つの電極エンベロープ領域のうちの第2電極エンベロープ領域における電極の幅は、前記変換点から前記振動出力領域まで大きくなってから小さくなる、ことを特徴とする請求項5に記載の音響装置。
【請求項7】
前記固定領域における前記電極の幅は、前記固定領域の幅に等しく、或いは、前記振動出力領域における電極の幅は、ゼロである、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の音響装置。
【請求項8】
前記圧電層は、前記基板と重なり、圧電層は、圧電領域及び非圧電領域を含み、圧電領域は、前記電極と重なる、ことを特徴とする請求項
1に記載の音響装置。
【請求項9】
前記圧電層は、前記電極と重なる、ことを特徴とする請求項
1に記載の音響装置。
【請求項10】
前記圧電層は、圧電板又は圧電フィルムを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項11】
前記電極は、二次元的に分布する複数の分散電極ユニットを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の音響装置。
【請求項12】
前記複数の分散電極ユニットは、
前記複数の分散電極ユニットにおいて、前記圧電層の中心における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間が、前記圧電層の境界における隣接する2つの分散電極ユニットの間の隙間より小さいことと、
前記圧電層の中心における第1分散電極ユニットの面積が、前記圧電層の境界における第2分散電極ユニットの面積より大きいこととのうちの1つを満たす、ことを特徴とする請求項11に記載の音響装置。
【請求項13】
前記電極は、二次元的に分布する連続電極を含み、前記連続電極は、複数の透かし彫り領域を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の音響装置。
【請求項14】
前記圧電層の中心における第1透かし彫り領域の面積は、前記圧電層の境界における第2透かし彫り領域の面積より小さい、ことを特徴とする請求項13に記載の音響装置。
【請求項15】
駆動電圧の作用で振動する圧電部品と、
圧電部品に前記駆動電圧を供給する電極と、
前記圧電部品に物理的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動部品とを含み、前記圧電部品は、
基板と、
前記基板の一面を被覆し、圧電領域及び非圧電領域を含む圧電層と、を含み、
前記電極は、前記圧電層の一面を被覆し、
前記基板、前記圧電層及び前記電極は、それぞれ重なり、
前記基板における前記圧電領域の被覆面積は、前記基板における前記圧電層の被覆面積より小さい、音響装置。
【国際調査報告】