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特表2024-517530超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法、紡糸口金アセンブリ及びマルチフィラメント糸
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法、紡糸口金アセンブリ及びマルチフィラメント糸
(51)【国際特許分類】
   D01D 4/02 20060101AFI20240416BHJP
   D01F 6/04 20060101ALI20240416BHJP
   D01F 6/46 20060101ALI20240416BHJP
   D01D 4/08 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
D01D4/02
D01F6/04 B
D01F6/46 A
D01D4/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532690
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2022103785
(87)【国際公開番号】W WO2023201899
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】202210431740.5
(32)【優先日】2022-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523197858
【氏名又は名称】浙江毅聚新材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG AEGIS NEW MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Shangyu Economic And Technological Development Zone, Hangzhou Bay, Shaoxing, Zhejiang 312000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李揚
(72)【発明者】
【氏名】▲チ▼秀斌
(72)【発明者】
【氏名】来慶発
【テーマコード(参考)】
4L035
4L045
【Fターム(参考)】
4L035BB05
4L035EE09
4L045AA13
4L045BA03
4L045BA49
4L045CA32
4L045CB01
4L045CB17
4L045CB18
(57)【要約】
本願は繊維紡糸成形の技術分野に関し、特に超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法、紡糸口金アセンブリ及びマルチフィラメント糸であり、主に紡糸口金アセンブリであり、ハウジングを含み、口金体と前記口金体に開設された紡糸孔を含み、前記紡糸孔は加圧供給段と加圧供給段の一端に接続された排出段を含み、前記加圧供給段の内径は排出段から離れる一端から他端まで徐々に小さくなり、前記排出段の内径は変化しない。本願は、十分な量の溶融物が加圧供給段に入り、溶融物を供給する圧力が十分であるため、加圧供給段の縮径設置に伴い、圧力が徐々に大きくなり、このように排出端に入る溶融物が十分であることを可能な限り保証することができ、且つ加圧の場合、紡糸孔を満たすことを保持し、化繊押し出しの均一性を向上させるという効果を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(200)を含む紡糸口金アセンブリであって、口金体(100)及び前記口金体(100)に開設された紡糸孔(110)を含み、前記紡糸孔(110)は加圧供給段(111)及び加圧供給段(111)の一端に接続された排出段(112)を含み、前記加圧供給段(111)の内径は排出段(112)から離れる一端から他端まで徐々に小さくなり、前記排出段(112)の内径は変化しない、ことを特徴とする紡糸口金アセンブリ。
【請求項2】
前記ハウジング(200)内に分配ブロック(210)が設置されており、前記分配ブロック(210)に紡糸孔(110)に対応する分配キャビティ(211)を有し、前記分配キャビティ(211)内に紡糸孔(110)の上方に位置する濾過板(220)が設置されており、前記濾過板(220)は前記ハウジング(200)の中心軸線に垂直な方向に沿ってスライドして接続され、交換に用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の紡糸口金アセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジング(200)は径方向に沿って設置されたスライド置換路(230)を有し、前記スライド置換路(230)に複数の濾過板(220)がスライドして設置され、隣接する2つの濾過板(220)の間は接続部材(240)を介して接続され、前記スライド置換路(230)はハウジング(200)内に穿設された動作段(231)、動作段(231)の一端に設置された予備段(232)及び動作段(231)の他端に設置された廃棄段(233)を含み、前記廃棄段(233)の動作段(231)から離れた一端は排出口を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の紡糸口金アセンブリ。
【請求項4】
前記接続部材(240)は接続ロッド(241)、接続ロッド(241)の両端に設置され且つ濾過板(220)に嵌設された弾性片(242)を含み、前記濾過板(220)の両端に前記弾性片(242)を嵌め込むための接続溝(243)が開設されており、前記弾性片(242)はV字状を呈し、前記弾性片(242)の変形した両端の向きは前記濾過板(220)の運動方向に垂直であり、前記ハウジング(200)にあり且つ前記動作段(231)と前記廃棄段(233)との間に接続部材(240)を受けるための収容溝(244)を有し、前記ハウジング(200)に接続部材(240)を収容溝(244)内に打撃するための打撃部材(250)が設置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の紡糸口金アセンブリ。
【請求項5】
前記打撃部材(250)は中心軸線に沿う方向に沿ってスライドしてハウジング(200)内に接続された打撃棒(251)、ハウジング(200)内に設置され且つ打撃棒(251)に接続された弾性ストリップ(252)を含み、前記ハウジング(200)内に前記打撃棒(251)を収容溝(244)から離れるように間欠的に駆動するための連動輪(260)が設置されている、ことを特徴とする請求項4に記載の紡糸口金アセンブリ。
【請求項6】
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法であって、以下のプロセスステップS1~S4を含み、
S1において、紡糸液を配合し、前記紡糸液は以下の重量部の原料を含み、
超高分子量ポリエチレン粉85~95部、ナノ窒化ホウ素1.7~9.5部、35~40wt%のフッ化水素溶液9.5~35部、溶媒5~15部、タンニン酸1~2.5部、
S2において、紡糸し、請求項1~5のいずれか一項に記載の紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、流体糸を得て、
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を冷却し、ゲル糸を得て、
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸を抽出し、超高分子量ポリエチレン繊維を得る、ことを特徴とする超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
【請求項7】
前記紡糸液は以下のステップI及びIIを含む方法で製造され、
I、超高分子量ポリエチレン粉と溶媒を混合し、ポリエチレン混合液を得て、
ナノ窒化ホウ素と35~40wt%のフッ化水素溶液を混合し、ナノ窒化ホウ素混合液を得て、
II、タンニン酸、ポリエチレン混合液及びナノ窒化ホウ素混合液を均一に混合した後に紡糸液を得る、ことを特徴とする請求項6に記載の超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
【請求項8】
ステップS2で紡糸を行う時、紡糸液の温度を200~300℃にし、流体糸を200~300℃の環境に5~15min置き、ステップS3で冷却する場合、冷却温度は5~15℃である、ことを特徴とする請求項6に記載の超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
【請求項9】
前記溶媒はハロゲン化炭化水素、鉱油、流動パラフィン、デカリン、テトラヒドロナフタレン、ナフタレン、キシレン、トルエン、ドデカン、ウンデカン、デカン、ノナン、オクテン、シスデカヒドロナフタレン、トランスデカヒドロナフタレン及び低分子量ポリエチレンワックスからなる群より選ばれるいずれか1種又は複数種であり、ステップS3において抽出を行う時、抽出剤はキシレン及びガソリンからなる群より選ばれるいずれか1種又は2種である、ことを特徴とする請求項7に記載の超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
【請求項10】
前記ステップS1における紡糸液は少なくとも4dl/gの固有粘度を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
【請求項11】
前記ステップS4で得られた超高分子量ポリエチレン繊維は引張強度が3.0Gpa以上であり、引張弾性率が100.0Gpa以上である、ことを特徴とする請求項10に記載の超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
【請求項12】
マルチフィラメント糸であって、超高分子量ポリエチレン繊維から製造され、前記超高分子量ポリエチレン繊維は請求項6~11のいずれか一項に記載の方法により製造される、ことを特徴とするマルチフィラメント糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は繊維紡糸成形の技術分野に関し、特に超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法、紡糸口金アセンブリ及びマルチフィラメント糸に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン繊維を製造する過程において、原料を一定の割合で混合する必要があり、高温スクリュー押出機を介して溶融し、ポリマー溶融物を加圧して紡糸アセンブリ内に入らせ、紡糸アセンブリは、一般的には、ハウジング及びハウジング内に位置する紡糸口金及び紡糸口金にある紡糸孔を含み、溶融物を紡糸孔内に加圧し、紡糸孔を介して化繊糸を押し出し、さらに化繊糸に対して冷却操作を行い、最終的に成形する。
【0003】
紡糸の過程において、溶融物が紡糸孔内に入り、押し込む過程で押し込み量が同時に紡糸孔内に入ることができない可能性があるため、紡糸成形して糸を出す時に糸体が不均一な場合があり、成形品質に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化繊糸の押し出しの均一性を向上させるために、本願は紡糸口金アセンブリ、超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法、マルチフィラメント糸を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本願は紡糸口金アセンブリを提供し、以下の技術的解決手段を採用する。紡糸口金アセンブリは、ハウジングを含み、口金体及び前記口金体に開設された紡糸孔を含み、前記紡糸孔は加圧供給段及び加圧供給段の一端に接続された排出段を含み、前記加圧供給段の内径は排出段から離れる一端から他端まで徐々に小さくなり、前記排出段の内径は変化しない。
【0006】
上記技術的解決手段を採用することにより、供給する時、まず比較的大きい加圧供給段の一端に入り、十分な量の溶融物が加圧供給段に入り、溶融物を供給する圧力が十分であるため、加圧供給段の縮径設置に伴い、圧力が徐々に大きくなり、このように排出端に入る溶融物が十分であることを可能な限り保証することができ、且つ加圧の場合、紡糸孔を満たすことを保持し、化繊押し出しの均一性を向上させる。
【0007】
好ましくは、前記加圧供給段は逆円錐状である。
【0008】
上記技術的解決手段を採用することにより、溶融物は線形加圧で排出段内に入り、均一に増加した圧力により、均一に押し出しを実現することができる。
【0009】
好ましくは、前記ハウジング内に分配ブロックが設置されており、前記分配ブロックに紡糸孔に対応する分配キャビティを有し、前記分配キャビティ内に紡糸孔の上方に位置する濾過板が設置されており、前記濾過板は前記ハウジングの中心軸線に垂直な方向に沿ってスライドして接続され、置換に用いられる。
【0010】
上記技術的解決手段を採用することにより、分配ブロックは溶融物を濾過板に比較的均一に分配し、濾過を行い、大部分の不純物を遮断することができ、濾過板に過剰な不純物が堆積される時、濾過板をスライドさせることができ、それによりそれを交換する。
【0011】
好ましくは、前記ハウジングは径方向に沿って設置されたスライド置換路を有し、前記スライド置換路に複数の濾過板がスライドして設置され、隣接する2つの濾過板の間は接続部材を介して接続され、前記スライド置換路はハウジング内に穿設された動作段、動作段の一端に設置された予備段及び動作段の他端に設置された廃棄段を含み、前記廃棄段の動作段から離れた一端は排出口を有する。
【0012】
上記技術的解決手段を採用することにより、予備段内に置換可能な濾過板が格納され、濾過板を交換する必要がある場合、濾過板をスライド置換路に沿ってスライドさせ、元の動作段内の濾過板を廃棄段内に入らせ、予備段内の濾過板を動作段内に入らせ、それにより置換を行う。
【0013】
好ましくは、前記接続部材は接続ロッド、接続ロッドの両端に設置され且つ濾過板に嵌設された弾性片を含み、前記濾過板の両端に前記弾性片を嵌め込むための接続溝が開設されており、前記弾性片はV字状を呈し、前記弾性片の変形した両端の向きは前記濾過板の運動方向に垂直であり、前記ハウジングにあり且つ前記動作段と前記廃棄段との間に接続部材を受けるための収容溝を有し、前記ハウジングに接続部材を収容溝内に打撃するための打撃部材が設置されている。
【0014】
上記技術的解決手段を採用することにより、接続する時に、2つの弾性片をそれぞれ隣接する2つの濾過板に嵌入させ、嵌入する時に、弾性片は外へ広がって接続溝の内壁に当接し、当接力により垂直方向に動かず、そのうちの1つの濾過板が滑る時、接続部材を介して連動することができ、接続部材が収容溝の上方に運動する時、打撃部材が上方から接続部材を打撃し、接続部材を接続溝から離脱させて収容溝内に入らせ、この時に2つの濾過板が離脱し、交換しやすい。
【0015】
好ましくは、前記打撃部材は中心軸線に沿う方向に沿ってスライドしてハウジング内に接続された打撃棒、ハウジング内に設置され且つ打撃棒に接続された弾性ストリップを含み、前記ハウジング内に前記打撃棒を収容溝から離れるように間欠的に駆動するための連動輪が設置されている。
【0016】
上記技術的解決手段を採用することにより、連動輪が回転する時、打撃棒を収容溝側から離れさせることができ、この時弾性ストリップは延伸変形し、連動輪が打撃棒から離脱する時、弾性ストリップは打撃棒を収容溝側に向かって運動させ、自体の慣性の原因により、接続ロッドに打撃し、それにより接続部材を離脱させる。
【0017】
第2の態様では、本願の提供する超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法は、以下の技術的解決手段を採用する。
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法であって、以下のプロセスステップS1~S4を含む。
S1において、紡糸液を配合し、前記紡糸液は以下の重量部の原料を含む。
超高分子量ポリエチレン粉85~95部、ナノ窒化ホウ素1.7~9.5部、35~40wt%のフッ化水素溶液9.5~35部、溶媒5~15部、タンニン酸1~2.5部。
S2において、紡糸し、上記紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、流体糸を得る。
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を冷却し、ゲル糸を得る。
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸を抽出し、すなわち超高分子量ポリエチレン繊維を得る。
【0018】
上記技術的解決手段を採用することにより、このような紡糸アセンブリによって比較的均一な糸体を得ることができ、品質が比較的高い超高分子量ポリエチレン繊維を得る。本願はナノ窒化ホウ素の添加によって超高分子量ポリエチレン粉を改質し、それによって超高分子量ポリエチレン繊維の強度を向上させる。当該解決手段において、まずフッ化水素溶液でナノ窒化ホウ素を溶解し、ナノ窒化ホウ素と超高分子量ポリエチレン粉を均一に混合させ、次に、フッ化水素溶液は酸性溶液であり、超高分子量ポリエチレン粉の表面性能を変更することができ、さらに超高分子量ポリエチレン粉とナノ窒化ホウ素の結合安定性を促進する。そのうちのタンニン酸はポリフェノール系物質であり、タンニン酸分子は豊富なフェノール性水酸基反応基を含有し、異なる物質に対する接着性に優れ、タンニン酸の添加はナノ窒化ホウ素と超高分子量ポリエチレン粉の結合安定性を向上させることができ、さらにナノ窒化ホウ素と超高分子量ポリエチレン粉の均一な分散を保証する。したがって、上記解決手段において、ナノ窒化ホウ素で超高分子量ポリエチレン粉を変性させ、その目的は製造された超高分子量ポリエチレン繊維の強度を向上させることである。そのうちのフッ化水素と溶媒の選択は、ナノ窒化ホウ素と超高分子量ポリエチレン粉を液状で混合させ、混合均一性を向上させる。同時にフッ化水素酸とタンニン酸の共同使用もナノ窒化ホウ素と超高分子量ポリエチレン粉の結合安定性をさらに向上させ、それにより製造された超高分子量ポリエチレン繊維が優れた強度を有することを保証する。また、ナノ窒化ホウ素の添加量は高すぎることが推奨されず、高すぎると超高分子量ポリエチレン繊維の弾性率に悪影響を及ぼす。
【0019】
ここで、超高分子量ポリエチレン(ultra-high molecular weight polyethylene、UHMWPEと略称する)とは、相対分子量が1500000g/mol以上の分岐鎖がない直鎖状ポリエチレンである。市販又は合成により入手可能である。
【0020】
ナノ窒化ホウ素の粒径は10~100nmである。
【0021】
好ましくは、前記紡糸液は以下のステップI~IIを含む方法で製造される。
ステップIにおいて、超高分子量ポリエチレン粉と溶媒を混合し、ポリエチレン混合液を得る。
ナノ窒化ホウ素と35~40wt%のフッ化水素溶液を混合し、ナノ窒化ホウ素混合液を得る。
ステップIIにおいて、タンニン酸、ポリエチレン混合液及びナノ窒化ホウ素混合液を均一に混合した後に紡糸液を得る。
【0022】
好ましくは、ステップS2において紡糸を行う時、紡糸液の温度を200~300℃とし、流体糸を200~300℃の環境に5~15min置く。
【0023】
好ましくは、ステップS3において冷却する時、冷却温度は5~15℃である。
【0024】
好ましくは、前記溶媒はハロゲン化炭化水素、鉱油、流動パラフィン、デカリン、テトラヒドロナフタレン、ナフタレン、キシレン、トルエン、ドデカン、ウンデカン、デカン、ノナン、オクテン、シスデカヒドロナフタレン、トランスデカヒドロナフタレン及び低分子量ポリエチレンワックスからなる群より選ばれるいずれか1種又は複数種である。
【0025】
好ましくは、ステップS3において抽出を行う時、抽出剤はキシレン及びガソリンからなる群より選ばれるいずれか1種又は2種である。
【0026】
好ましくは、前記ステップS1における紡糸液は少なくとも4dl/gの固有粘度を有する。
【0027】
好ましくは、前記ステップS4で得られた超高分子量ポリエチレン繊維の引張強度は3.0Gpa以上であり、引張弾性率は100.0Gpa以上である。
【0028】
第3の態様では、本願はマルチフィラメント糸を提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
マルチフィラメント糸であって、超高分子量ポリエチレン繊維から製造され、前記超高分子量ポリエチレン繊維は上記方法により製造される。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本願は以下の少なくとも1つの有益な技術的効果を含む。
1、紡糸孔内に入る時、溶融物は加圧供給段内に、縮径により加圧することができ、紡糸孔を可能な限り完全に充填することができ、それにより全体の紡糸品質を向上させる。
2、溶融物が紡糸孔に入る前に、濾過板を通過して濾過され、このように溶融物の中にある不純物が紡糸孔を塞ぐ可能性を低減させる。
3、長時間の紡糸後、不純物が多く残る濾過板をスライド方式により、置換することができ、それにより良好な濾過効果を保証する。
4、本願は超高分子量ポリエチレン繊維を製造する時、ナノ窒化ホウ素によって超高分子量ポリエチレン粉を変性し、それによって超高分子量ポリエチレン繊維の強度を向上させ、ここで、フッ化水素溶液は一方でナノ窒化ホウ素を溶解する溶媒とし、他方で超高分子量ポリエチレン粉の表面性能を変更する改質剤とし、それによってナノ窒化ホウ素がよりよく超高分子量ポリエチレン粉と混合して相互作用し、そのうちのタンニン酸とフッ化水素酸は互いに配合し、ナノ窒化ホウ素と超高分子量ポリエチレン粉の結合安定性を向上させることができ、さらにナノ窒化ホウ素と超高分子量ポリエチレン粉の均一な分散を保証し、さらに製造された超高分子量ポリエチレン繊維に優れた強度と弾性率を備えさせる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】紡糸口金アセンブリの構造概略図である。
図2】紡糸口金アセンブリの断面図である。
図3】紡糸口金の断面図である。
図4】紡糸口金アセンブリの部分断面図。
図5】スライド置換路とハウジングを隠した部分概略図である。
図6図4におけるA部分の拡大概略図である。
図7】濾過板の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は図面と合わせて本願をさらに詳細に説明する。
【0032】
本願の実施例は紡糸口金アセンブリを開示し、図1図2図3を参照すると、ハウジング200を含み、口金体100及び口金体100に開設された紡糸孔110を含み、紡糸孔110は加圧供給段111及び加圧供給段111の一端に接続された排出段112を含み、加圧供給段111の内径は排出段112から離れた一端から他端まで徐々に小さくなり、本実施例において加圧供給段111は逆円錐形であり、大きい一端は供給を受けるために用いられ、小さい一端は排出段112に接続するために用いられ、同時に排出段112の内径は変化しない。
【0033】
溶融物は加圧供給段111の大きい一端から入り、加圧供給段111に沿って運動する過程で縮径することにより溶融物を加圧し、溶融物を紡糸孔110内によく押し込ませ、押し出されるように実現し、且つ本実施例における加圧供給段111の母線と軸線との夾角は35~45°である。
【0034】
図4を参照すると、ハウジング200内にボルトを介して分配ブロック210が固定され、分配ブロック210に紡糸孔110に対応する分配キャビティ211があり、分配キャビティ211内に紡糸孔110の上方に位置する濾過板220が設置されており、濾過板220はハウジング200の中心軸線に垂直な方向に沿ってスライドして接続され、置換に用いられる。
【0035】
図1図2を参照すると、本実施例において、ハウジング200は径方向に沿って設置されたスライド置換路230を有し、スライド置換路230にはスライドして複数の濾過板220が設置されており、各濾過板220はいずれも同一の水平面に位置する。隣接する2つの濾過板220の間は接続部材240を介して接続され、スライド置換路230はハウジング200内に穿設された動作段231、動作段231の一端に設置された予備段232及び動作段231の他端に設置された廃棄段233を含む。
【0036】
本実施例において、廃棄段233は動作段231から離れた一端に排出口を有し、置換された濾過板220を押し出すために用いられ、他の実施例において2つの濾過板220を設置し、1つは濾過を行い、もう1つは予備段232内に予備し、動作段231内の濾過板220を置換する必要がある場合、濾過板220全体をスライドさせると、置換を行うことができ、使用済みの濾過板220を排出口から排出させる。スライド置換路の予備段232に近い一端に供給口が設置されてもよく、絶えず供給口から濾過板220を増加し、このように交換し続けることができるが、注意すべきことは、供給口であっても排出口であっても対応するシール構造を備え、内部圧力を安定的に保持させることである。
【0037】
図5図6を参照すると、接続部材240は接続ロッド241及び接続ロッド241の両端に設置され且つ濾過板220に嵌設される弾性片242を含み、濾過板220の両端に弾性片242が嵌め込まれる接続溝243が開設されており、弾性片242はV字状を呈し、弾性片242と接続ロッド241との接続点はV字状の頂部に位置し、弾性片242の変形した両端の向きは濾過板220の運動方向に垂直であり、接続溝243に嵌め込まれる時、弾性片242は折り畳まれて変形し、外向きに広がる傾向は接続溝243の内壁に当接することができ、且つ濾過板220がスライドする過程に、弾性片242が2つの濾過板220を引っ張って一緒に運動することができる。
【0038】
ハウジング200にあり且つ動作段231と廃棄段233との間には接続部材240を受けるための収容溝244を有し、ハウジング200には接続部材240を収容溝244内に打撃するための打撃部材250が設置されている。打撃部材250は中心軸線に沿う方向に沿ってスライドしてハウジング200内に接続された打撃棒251、ハウジング200内に設置され且つ打撃棒251に接続された弾性ストリップ252を含み、本実施例における弾性ストリップ252は打撃スプリングであり、打撃スプリングが2本設置され、各打撃スプリングは打撃棒251の側壁に接続され、ハウジング200内に打撃棒251を収容溝244から離れるように間欠的に駆動するための連動輪260が設置されている。
【0039】
図5図7を参照すると、濾過板220の下側は歯溝261を有し、スライド置換路230の下側に駆動モータ270が取り付けられており、且つスライド置換路230に歯溝261に噛み合うための複数の駆動歯車271が回転しており、駆動モータ270は歯車又は直結の方式により駆動歯車271を回転させる過程において、歯溝261に合わせ、濾過板220を滑らせる。
【0040】
図5図6を参照すると、連動輪260はハウジング200に回転可能に接続され、且つ連動輪260に不完全歯車280が同軸に設置されており、同時に打撃棒251の外壁においてハウジング200の中心軸線に沿って不完全歯車280と噛み合うための凸歯281が設置されている。
【0041】
図5図7を参照すると、同時に濾過板220のエッジの上側に濾過板220の運動方向に沿って4つの連動溝290が間隔をおいて設置されており、連動輪260はハウジング200に回転可能に接続され、連動輪260の外壁に周方向に沿って4つの連動ブロック262が均一に分布され、連動溝290の一端は連動ブロック262が連動輪260に伴って回転した後に嵌め込まれるように用いられ、他端は連動ブロック262に当接するための縦リミット面291を有し、濾過板220が運動する時、そのうちの2つの連動ブロック262は八字状を呈して濾過板220の上側に当接し、濾過板220の運動に伴い、そのうちの1つの連動ブロック262が連動溝290内に嵌め込まれ、且つそのうちの縦リミット面291を通過するまで、2つの連動ブロック262は濾過板220に対して滑り、それにより連動輪260を90°回転させるように駆動する。異なる仕様の濾過板220を使用する場合、濾過板220に均一に4つの連動溝290が分布することを保証すれば、連動を実現することができ、適用範囲が広い。
【0042】
連動輪260が回転する時、それに伴って不完全歯車280が回転し、且つこのとき不完全歯車280が打撃棒251を率いて受け溝から離れる側に運動させ、4つの連動ブロック262の全てが回転を完了すると、ちょうど不完全歯車280の歯付き部分が凸歯281から離脱し、このとき打撃棒251は接続ロッド241の一側に向いて打撃し、本実施例では、ハウジング200に打撃シュート300が開設されており、打撃棒251は打撃シュート300内にスライドして接続され、スライド溝の溝底にハウジング200の中心軸線方向に沿ってスライドしてハンマーネイル310が接続され、ハンマーネイル310の端部は接続ロッド241を打撃するために用いられ、且つハンマーネイル310の他端にリミットキャップ311を有し、リミットキャップ311と打撃シュート300の底部との間にリミットスプリング312を有し、リミットキャップ311の高さを保持するために用いられ、打撃棒251がリミットキャップ311に叩きつけられると、ハンマーネイル310は接続ロッド241を打撃させ、且つ打撃棒251がリミットキャップ311を叩きつけられると、2つの打撃スプリングは水平状を保持し、前後動の可能性を低減する。
【0043】
接続部材240が離脱した後、廃棄された濾過板220は単独で取り出されることができ、それにより新しい濾過板220を置換する。
【0044】
上記紡糸口金アセンブリに基づき、本願は超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法を提供し、以下のプロセスステップS1~S4を含む。
S1において、材料を配合し、配合比に従い、各原料を混合し、紡糸液を得る。
前記紡糸液は以下の重量部の原料を含む。
超高分子量ポリエチレン粉85~95部、ナノ窒化ホウ素1.7~9.5部、35~40wt%のフッ化水素溶液9.5~35部、溶媒5~15部、タンニン酸1~2.5部。
S2において、紡糸し、上記紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、流体糸を得る。
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を冷却し、ゲル糸を得る。
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸を抽出し、すなわち超高分子量ポリエチレン繊維を得る。
【0045】
超高分子量ポリエチレン繊維及びその製造方法、マルチフィラメント糸の実施例
以下の実施例に係る原料は、特に説明しない限り、いずれも市販により入手したものである。
【0046】
実施例1
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法であって、以下のプロセスステップS1~S4を含む。
S1において、材料を配合し、配合比に従い、各原料を混合し、紡糸液を得る。
紡糸液を製造する原料は以下のとおりである。
超高分子量ポリエチレン粉85kg、ナノボロンナイトライド1.7kg、40wt%のフッ化水素溶液9.5kg、流動パラフィン5kg、タンニン酸1kg。そのうち、ナノ窒化ホウ素の粒径は10~100nmである。超高分子量ポリエチレンの平均分子量は5000000g/molである。
紡糸液の製造方法は以下のとおりである。
I、上記使用量の超高分子量ポリエチレン粉と上記使用量の流動パラフィンを混合し、ポリエチレン混合液を得る。
上記使用量のナノ窒化ホウ素と上記使用量の40wt%のフッ化水素溶液を混合し、ナノ窒化ホウ素混合液を得る。
II、上記使用量のタンニン酸、ステップIで製造された全てのポリエチレン混合液及びナノ窒化ホウ素混合液を均一に混合した後に紡糸液を得る。
S2において、紡糸し、上記紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、紡糸液の温度を200℃に保持し、当該温度で、ポリエチレンは溶融状態であり、続いて流体糸を得て、200℃の温度で流体糸を15min定型させる。
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を5℃の冷水浴に入れて冷却し、ゲル糸を得る。
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸をキシレンに入れて抽出し、すなわち直径が0.1mmの超高分子量ポリエチレン繊維を得る。
【0047】
マルチフィラメント糸であって、上記超高分子量ポリエチレン繊維から製造され、具体的には、マルチフィラメント糸に50本の高分子量ポリエチレン繊維が含まれる(本願で製造された高分子量ポリエチレン繊維はいずれも長糸状である)。
【0048】
実施例2
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法であって、以下のプロセスステップS1~S4を含む。
S1において、材料を配合し、配合比に従い、各原料を混合し、紡糸液を得る。
紡糸液を製造する原料は以下のとおりである。
超高分子量ポリエチレン粉90kg、ナノボロンナイトライド5.3kg、40wt%のフッ化水素溶液28kg、鉱油12.5kg、タンニン酸2kg。そのうち、ナノ窒化ホウ素の粒径は10~100nmである。
紡糸液の製造方法は以下のとおりである。
I、上記使用量の超高分子量ポリエチレン粉と上記使用量の鉱油を混合し、ポリエチレン混合液を得る。
上記使用量のナノ窒化ホウ素と上記使用量の40wt%のフッ化水素溶液を混合し、ナノ窒化ホウ素混合液を得る。
II、上記使用量のタンニン酸、ポリエチレン混合液及びナノ窒化ホウ素混合液を均一に混合した後に紡糸液を得る。
S2において、紡糸し、上記紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、紡糸液の温度を250℃に保持し、当該温度で、ポリエチレンは溶融状態であり、続いて流体糸を得て、250℃の温度で流体糸を10min定型させる。
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を10℃の冷水浴に入れて冷却し、ゲル糸を得る。
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸をガソリンに入れて抽出し、すなわち直径が0.12mmの超高分子量ポリエチレン繊維を得る。
【0049】
マルチフィラメント糸であって、上記超高分子量ポリエチレン繊維から製造され、具体的には、マルチフィラメント糸に100本の高分子量ポリエチレン繊維が含まれる(本願で製造された高分子量ポリエチレン繊維はいずれも長糸状である)。
【0050】
実施例3
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法であって、以下のプロセスステップS1~S4を含む。
S1において、材料を配合し、配合比に従い、各原料を混合し、紡糸液を得る。
紡糸液を製造する原料は以下のとおりである。
超高分子量ポリエチレン粉95kg、ナノボロンナイトライド9.5kg、35wt%のフッ化水素溶液35kg、テトラヒドロナフタレン15kg、タンニン酸2.5kg。そのうち、ナノ窒化ホウ素の粒径は10~100nmである。
紡糸液の製造方法は以下のとおりである。
I、上記使用量の超高分子量ポリエチレン粉と上記使用量のテトラヒドロナフタレンを混合し、ポリエチレン混合液を得る。
上記使用量のナノ窒化ホウ素と上記使用量の35wt%のフッ化水素溶液を混合し、ナノ窒化ホウ素混合液を得る。
II、上記使用量のタンニン酸、ポリエチレン混合液及びナノ窒化ホウ素混合液を均一に混合した後に紡糸液を得る。
S2において、紡糸し、上記紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、紡糸液の温度を300℃に保持し、当該温度で、ポリエチレンは溶融状態であり、続いて流体糸を得て、300℃の温度で流体糸を5min定型させる。
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を15℃の冷水浴に入れて冷却し、ゲル糸を得る。
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸をキシレンに入れて抽出し、すなわち直径が0.15mmの超高分子量ポリエチレン繊維を得る。
【0051】
マルチフィラメント糸であって、上記超高分子量ポリエチレン繊維から製造され、具体的には、マルチフィラメント糸に200本の高分子量ポリエチレン繊維が含まれる(本願で製造された高分子量ポリエチレン繊維はいずれも長糸状である)。
【0052】
対照例1
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法であって、以下のプロセスステップS1~S4を含む。
S1において、材料を配合し、配合比に従い、各原料を混合し、紡糸液を得る。
紡糸液を製造する原料は以下のとおりである。
超高分子量ポリエチレン粉90kg、鉱油12.5kg。そのうち、ナノ窒化ホウ素の粒径は10~100nmである。
紡糸液の製造方法は以下のとおりである。
上記使用量の超高分子量ポリエチレン粉と上記使用量の鉱油を混合し、紡糸液を得る。
S2において、紡糸し、上記紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、紡糸液の温度を250℃に保持し、当該温度で、ポリエチレンは溶融状態であり、続いて流体糸を得て、250℃の温度で流体糸を10min定型させる。
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を10℃の冷水浴に入れて冷却し、ゲル糸を得る。
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸をガソリンに入れて抽出し、すなわち直径が0.12mmの超高分子量ポリエチレン繊維を得る。
【0053】
マルチフィラメント糸であって、上記超高分子量ポリエチレン繊維から製造され、具体的には、マルチフィラメント糸に100本の高分子量ポリエチレン繊維が含まれる(本願で製造された高分子量ポリエチレン繊維はいずれも長糸状である)。
【0054】
対照例2
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法であって、以下のプロセスステップS1~S4を含む。
S1において、材料を配合し、配合比に従い、各原料を混合し、紡糸液を得る。
紡糸液を製造する原料は以下のとおりである。
超高分子量ポリエチレン粉90kg、ナノボロンナイトライド5.3kg、40wt%のフッ化水素溶液28kg、鉱油12.5kg。そのうち、ナノ窒化ホウ素の粒径は10~100nmである。
紡糸液の製造方法は以下のとおりである。
I、上記使用量の超高分子量ポリエチレン粉と上記使用量の鉱油を混合し、ポリエチレン混合液を得る。
上記使用量のナノ窒化ホウ素と上記使用量の40wt%のフッ化水素溶液を混合し、ナノ窒化ホウ素混合液を得る。
II、ステップIで得られた全てのポリエチレン混合液とナノ窒化ホウ素混合液を均一に混合した後に紡糸液を得る。
S2において、紡糸し、上記紡糸口金アセンブリを用いてステップS1で得られた紡糸液を紡糸し、紡糸液の温度を250℃に保持し、当該温度で、ポリエチレンは溶融状態であり、続いて流体糸を得て、250℃の温度で流体糸を10min定型させる。
S3において、冷却し、ステップS2で得られた流体糸を10℃の冷水浴に入れて冷却し、ゲル糸を得る。
S4において、抽出し、ステップS3で得られたゲル糸をガソリンに入れて抽出し、すなわち直径が0.12mmの超高分子量ポリエチレン繊維を得る。
【0055】
マルチフィラメント糸であって、上記超高分子量ポリエチレン繊維から製造され、具体的には、マルチフィラメント糸に100本の高分子量ポリエチレン繊維が含まれる(本願で製造された高分子量ポリエチレン繊維はいずれも長糸状である)。
【0056】
実施例及び対照例で製造した超高分子量ポリエチレン繊維に対して破断強度、弾性率及び破断伸度の測定を行い、具体的な結果は表1に示す。
【0057】
表1 異なる実施形態で製造された超高分子量ポリエチレン繊維の性能
【0058】
表1の結果から分かるように、本願により製造された超高分子量ポリエチレン繊維は、優れた破断強度及び弾性率を有し、ナノ窒化ホウ素で超高分子量ポリエチレン繊維を変性させることにより、力学的性能に優れた超高分子量ポリエチレン繊維を得ることができる。
【0059】
本具体的な実施形態における実施例はいずれも本願の好ましい実施例であり、これにより本願の保護範囲を限定するものではなく、そのため、本願の構造、形状、原理に基づいて行われる等価変化は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0060】
100...口金体、110...紡糸孔、111...加圧供給段、112...排出段、200...ハウジング、210...分配ブロック、211...分配キャビティ、220...濾過板、230...スライド置換路、231...動作段、232...予備段、233...廃棄段、240...接続部材、241...接続ロッド、242...弾性片、243...接続溝、244...収容溝、250...打撃部材、251...打撃棒、252...弾性ストリップ、260...連動輪、261...歯溝、262...連動ブロック、270...駆動モータ、271...駆動歯車、280...不完全歯車、281...凸歯、290...連動溝、291...縦リミット面、300...打撃シュート、310...ハンマーネイル、311...リミットキャップ、312...リミットスプリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】