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特表2024-517538単一のモータ駆動装置を備えた治療剤送達装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】単一のモータ駆動装置を備えた治療剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A61M5/20 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547241
(86)(22)【出願日】2023-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2023011918
(87)【国際公開番号】W WO2023150090
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/306,130
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】ホリー,デイビッド アーサー
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,マイケル ルイス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE14
4C066HH03
4C066HH13
4C066HH17
(57)【要約】
治療剤送達装置は、プランジャを有するシリンジアセンブリと、駆動機構と、シリンジアセンブリのシリンジに結合されたシャトルシステムと、を含む。駆動機構は、モータ、及びプランジャと係合するための親ねじと、コントローラと、を含み、コントローラは、治療剤送達装置から針を延在させるために、シャトルシステムがシリンジアセンブリに対して遠位に移動すること、及びシリンジが遠位に移動することを容易にするように構成されている。親ねじは、薬物を送達するためにプランジャを駆動することができる。プランジャを駆動させた後に親ねじを回転させることで、親ねじがプランジャから後退することを容易にし、かつシャトルシステム及びシリンジがシリンジアセンブリに対して近位に移動することを容易にすることができる。駆動機構及びシャトルシステムは、一体型アセンブリであり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部と遠位端部とを有する治療剤送達装置であって、
プランジャを有するシリンジを備えるシリンジアセンブリと、
前記シリンジに結合されたシャトルシステムと、
親ねじを備える駆動機構であって、前記親ねじが、前記プランジャと係合するように構成された遠位端部を有する、駆動機構と、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記治療剤送達装置の前記遠位端部から針を延在させるために、前記駆動機構を作動させて、第1の位置から第2の位置まで、前記シャトルシステムを前記シリンジアセンブリに対して遠位に移動させること、及び前記シリンジを前記シリンジアセンブリに対して遠位に移動させることを容易にする位置まで、前記親ねじを第1の方向に回転させることと、
前記駆動機構を作動させて、前記親ねじを第2の方向に回転させることであって、前記親ねじの前記遠位端部が、治療剤を送達するために前記シリンジの前記プランジャを前記第2の位置に駆動する、回転させることと、
前記親ねじの前記遠位端部を前記プランジャから後退させ、かつ前記第2の位置から前記第1の位置に向かって、前記シャトルシステム及び前記シリンジを前記シリンジアセンブリに対して近位に移動させることを容易にするために、前記親ねじを前記第2の方向に回転させた後に、前記駆動機構を作動させて、前記親ねじを前記第1の方向に回転させることと、
前記シャトルシステム及び前記シリンジを近位に移動させた後に、前記駆動機構の作動を終了させて、前記親ねじの回転を停止させることと
を行うように構成されている、治療剤送達装置。
【請求項2】
前記シャトルシステムが、ばねを含み、前記親ねじが前記第1の方向に回転することで前記ばねを解放して、前記シリンジを遠位に駆動する、請求項1に記載の治療剤送達装置。
【請求項3】
前記シャトルシステムが、前記親ねじに動作可能に結合されたクラッチと、前記クラッチに結合されたカムフォロアと、前記カムフォロアに対して半径方向に位置決めされたガイドと、を更に含む、請求項1又は2に記載の治療剤送達装置。
【請求項4】
前記駆動機構が、アクチュエータと、前記アクチュエータと動作可能に結合された駆動ナットと、を更に備え、前記シャトルシステムが、前記駆動ナットと前記クラッチとの間に結合された結合チューブを備え、前記駆動ナット、前記結合チューブ、及び前記クラッチが、互いに対して回転方向に固定されている、請求項3に記載の治療剤送達装置。
【請求項5】
前記駆動ナットが、前記親ねじの外側に沿って係合するためのねじ山付きボアを備え、前記親ねじが、前記駆動ナットの回転に応答して軸方向に移動可能である、請求項4に記載の治療剤送達装置。
【請求項6】
前記駆動ナット、前記結合チューブ、前記親ねじ、前記カムフォロア、及び前記ガイドが、同軸関係である、請求項4に記載の治療剤送達装置。
【請求項7】
前記クラッチが、前記カムフォロアに回転方向及び軸方向に固定されており、前記クラッチが前記第1の方向に回転することで、前記カムフォロアを前記第1の方向に回転させ、前記クラッチが前記第2の方向に回転することで、前記カムフォロアを前記第2の方向に回転させない、請求項4~6のいずれか一項に記載の治療剤送達装置。
【請求項8】
前記ガイドが、プラトー部分と、前記プラトー部分よりも遠位に配設されたバレー部分と、を備え、前記シャトルシステムが、前記ガイドの前記プラトー部分に位置決めされた前記カムフォロアの突起によって画定された第1の位置と、前記ガイドの前記バレー部分に位置決めされた前記カムフォロアの前記突起によって画定された第2の位置と、を含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の治療剤送達装置。
【請求項9】
前記シャトルシステムが、前記治療剤送達装置のハウジング内を並進可能なキャリッジを備え、前記駆動機構が、歯車トレインを備え、前記キャリッジが、前記アクチュエータを担持し、前記歯車トレインが、前記アクチュエータと前記駆動ナットとの間に結合されており、前記駆動ナットが、前記結合チューブを介して前記クラッチ及び前記カムフォロアに結合されている、請求項4~8のいずれか一項に記載の治療剤送達装置。
【請求項10】
前記キャリッジが、前記シリンジに係合可能な押し要素を含む、請求項9に記載の治療剤送達装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記親ねじの長手方向軸に沿って延在するように、前記キャリッジに載置されている、請求項10に記載の治療剤送達装置。
【請求項12】
前記キャリッジが、遠位に延在するシュラウドを含み、前記シュラウドが、前記押し要素の半径方向外側に配設されている、請求項10に記載の治療剤送達装置。
【請求項13】
プランジャ駆動及びシリンジ移動システムであって、
カムフォロアと、カムランプと、前記カムフォロアに結合された一方向クラッチと、シリンジアセンブリのシリンジに結合されたキャリッジと、
前記カムフォロアに動作可能に結合された親ねじであって、前記シリンジ内でプランジャと係合するための遠位端部を備える、親ねじと、前記親ねじを第1の方向及び第2の方向に駆動するように前記親ねじに動作可能に結合されたモータと、を備え、
前記親ねじを前記第1の方向に駆動することで、前記カムフォロアが前記カムランプに対してある位置まで回転することを容易にして、前記カムランプに対する前記キャリッジの変位の変化を可能にし、
前記親ねじを前記第2の方向に前記駆動することで、前記プランジャが遠位に移動することを容易にして、前記シリンジ内に収容された治療剤を吐出する、プランジャ駆動及びシリンジ移動システム。
【請求項14】
前記親ねじを前記第1の方向に前記駆動することが、前記親ねじを近位に変位させ、前記親ねじを前記第2の方向に前記駆動することが、前記親ねじを遠位に変位させる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記一方向クラッチが、前記一方向クラッチを第1の方向に回転させることで前記カムフォロアが前記第1の方向に回転することを可能にし、前記一方向クラッチを第2の方向に回転させることで前記カムフォロアが前記第2の方向に回転することを阻止するように構成されている、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記モータに動作可能に結合された駆動ナットと、前記一方向クラッチと前記駆動ナットとの間に結合された結合チューブと、を更に備え、前記結合チューブが、前記駆動ナット及び前記一方向クラッチに対して回転方向及び軸方向に固定されており、前記駆動ナットが、前記親ねじに駆動可能に係合されている、請求項13~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記駆動ナット及び前記モータが、前記キャリッジに結合されており、前記結合チューブ及び前記親ねじが、長手方向軸に沿って前記キャリッジから軸方向に延在しており、前記キャリッジが、前記長手方向軸に沿って遠位に延在する押し要素を更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
再使用可能なアセンブリとシリンジアセンブリとを有する治療剤送達装置から治療剤を送達するための方法であって、前記方法が、
前記装置のカムフォロアをカムランプのプラトー部分の第1の位置に位置決めすることによって画定される休止構成にある前記治療剤送達装置を提供することと、
前記カムフォロアを前記カムランプのバレー部分内で前記カムランプに対して第2の位置まで回転させ、ひいては、前記装置のシャトルアセンブリを変位させ、かつ前記シリンジアセンブリのシリンジを展開構成まで前記治療剤送達装置に対して遠位に駆動することと、
親ねじが前記シリンジのプランジャを前記展開構成に変位させて、治療剤を分注するように、前記親ねじを前記治療送達装置の長手方向軸に沿って遠位に駆動することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記シリンジを遠位に駆動することが、前記シリンジの針を前記治療剤送達装置の遠位端部を越えて遠位に位置決めすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記カムフォロアを前記第2の位置から前記第1の位置まで前記カムランプに対して回転させ、ひいては、前記シャトルアセンブリを変位させ、かつ前記シリンジアセンブリの前記シリンジが、前記展開構成から収容構成まで前記治療剤送達装置に対して近位に移動することを可能にするステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記再使用可能なアセンブリが、前記親ねじを遠位に駆動することで前記カムフォロアを回転させないように、前記カムフォロアに動作可能に結合された一方向クラッチを備える、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、前記シリンジアセンブリの交換を可能にするために、前記シリンジアセンブリを前記治療剤送達装置から取り外すステップを更に含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記シリンジアセンブリが、治療剤を含むリザーバを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年2月3日に出願された米国仮特許出願第63/306,130号の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、治療剤送達装置に関するものであり、具体的には、注射器ペンなどのポータブル治療剤送達装置に関するものである。
【0003】
いくつかの異なる疾患を患っている患者は、薬剤を頻繁に自身に注射しなければならない。人が薬物を好都合かつ正確に自己投与することを可能にするために、注射器ペン又は注射ペンとして広く知られている様々な装置が開発されている。一般に、これらのペンは、ピストンと、1回以上の用量の薬剤と、を含むカートリッジを備える。典型的には、注射器ペンの基部内から延在し、駆動部材の運動を制御するペンの後方機構と動作可能に接続された駆動部材は、典型的にはその対向端部において針がプランジャを貫通して、反対側のカートリッジ端部にある出口から、収容された薬剤を分注するような様式で、カートリッジ内でピストンを前進させるように前方に移動可能である。使い捨て可能なペンでは、ペンを使用して、カートリッジ内の薬剤の供給量を使い果たした時点で、ユーザがペン全体を破棄し、次いで、交換用ペンの使用を開始し得る。再使用可能なペンでは、ペンを使用して、カートリッジ内の薬剤の供給量を使い果たした時点で、ペンを分解し、使用済みのカートリッジを新しいカートリッジと交換して、その後の使用のためにペンを再度組み立てる。
【0004】
治療剤送達装置の製造を簡素化しながら、再使用可能な装置を提供するための改善された特徴を備えた治療剤送達装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施例(「実施例1」)によれば、近位端部と遠位端部とを有する治療剤送達装置が記載されている。本装置は、プランジャを有するシリンジを含むシリンジアセンブリと、シリンジに結合されたシャトルシステムと、親ねじを含む駆動機構と、を含む。親ねじは、プランジャに係合するように構成された遠位端部を有する。コントローラは、駆動機構を作動させ、シャトルシステムをシリンジアセンブリに対して遠位に移動させること、及びシリンジを第1の位置から第2の位置までシリンジアセンブリに対して遠位に移動させて治療剤送達装置の遠位端部から針を延在させることを容易にする位置まで、親ねじを第1の方向に回転させることと、駆動機構を作動させ、親ねじを第2の方向に回転させることであって、親ねじの遠位端部がシリンジのプランジャを第2の位置に駆動して治療剤を送達する、回転させることと、駆動機構を作動させ、親ねじを第2の方向に回転させた後に当該親ねじを第1の方向に回転させて、親ねじの遠位端部をプランジャから後退させて、シャトルシステム及びシリンジが第2の位置から第1の位置に向かってシリンジアセンブリに対して近位に移動することを容易にすることと、シャトルシステム及びシリンジを近位に移動させた後に、駆動機構の作動を終了させて、親ねじの回転を停止させることと、を行うように構成されている。
【0006】
本開示の実施例(「実施例2」)によれば、プランジャ駆動及びシリンジ移動システムが記載されている。本システムは、カムフォロアと、カムランプと、カムフォロアに結合された一方向クラッチと、シリンジアセンブリのシリンジに結合されたキャリッジと、を含む。本システムは、カムフォロアに動作可能に結合された親ねじと、モータと、を含む。親ねじは、シリンジ内でプランジャと係合するための遠位端部を含む。モータは、親ねじを第1の方向及び第2の方向に駆動するように親ねじに動作可能に結合されている。親ねじを第1の方向に駆動することで、カムフォロアがカムランプに対してある位置まで回転することを容易にして、カムランプに対するキャリッジの変位の変化を可能にする。親ねじを第2の方向に駆動することで、プランジャが遠位に移動することを容易にして、シリンジ内に収容された治療剤を吐出する。
【0007】
本開示の実施例(「実施例3」)によれば、治療剤送達装置から治療剤を送達するための方法が提供される。治療剤送達装置は、再使用可能なアセンブリと、シリンジアセンブリと、を有する。方法は、以下のステップのうちの1つ以上を含む。本装置のカムフォロアをカムランプのプラトー部分の第1の位置に位置決めすることによって画定される休止構成にある治療剤送達装置を提供するステップ。カムフォロアをカムランプのバレー部分内でカムランプに対して第2の位置まで回転させ、したがって、装置のシャトルアセンブリを変位させて、当該シリンジアセンブリのシリンジを展開構成まで治療剤送達装置に対して遠位に駆動するステップ。親ねじがシリンジのプランジャを展開構成に変位させて、治療剤を分注するように、親ねじを治療送達装置の長手方向軸に沿って遠位に駆動するステップ。
【0008】
本発明の上述の、及び他の利点及び目的、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面に関連してなされた本発明の実施形態の以下の記述を参照することによって、より明らかになり、かつ本発明自体がよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による治療剤送達装置の上面斜視図である。
図2図1の治療剤送達装置の正面斜視図である。
図3図1の治療剤送達装置のシリンジアセンブリ部分の上面斜視図である。
図4図1の治療剤送達装置の分解図である。
図5図1の治療剤送達装置の様々な内部構成要素の上面斜視図である。
図6図5の治療剤送達装置の内部構成要素の断面図である。
図7図1の治療剤送達装置の電子機器アセンブリの概略的な表現である。
図8図1の治療剤送達装置の駆動機構の横断面図である。
図9A図1の治療剤送達装置の駆動機構の一部分の上面斜視図である。
図9B図9Aに示される駆動機構の一部分の横断面図である。
図10A図1の治療剤送達装置の駆動機構の一部分の上面斜視図である。
図10B図10Aの駆動機構の一部分の横断面図である。
図11A図1の治療送達装置の一部分の上面斜視図である。
図11B図11Aに示される治療送達装置の一部分の断面図である。
図12A】第1の位置にある治療送達装置の駆動機構の横断面図である。
図12B】第2の位置にある治療送達装置の駆動機構の横断面図である。
図13A】治療物質を送達する様々なステップにわたる治療送達装置の横断面図を例示する。
図13B】治療物質を送達する様々なステップにわたる治療送達装置の横断面図を例示する。
図13C】治療物質を送達する様々なステップにわたる治療送達装置の横断面図を例示する。
図13D】治療物質を送達する様々なステップにわたる治療送達装置の横断面図を例示する。
図13E】治療物質を送達する様々なステップにわたる治療送達装置の横断面図を例示する。
図13F】治療物質を送達する様々なステップにわたる治療送達装置の横断面図を例示する。
【0010】
複数の図面全体を通して、対応する参照符号は、対応する部品を示す。図面は、本発明の実施形態を表すものであるが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明をより良好に例示及び説明するために、ある特徴は、いくつかの図面で誇張又は省略されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示による治療剤送達装置は、薬剤又は薬物とも称され得る1種以上の治療剤を担送及び分注する。そのような治療剤としては、例えば、エピネフリン、麻酔剤、鎮痛剤、ステロイド、インスリン、インスリンリスプロ又はインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、デュラグルチド又はリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(gastric inhibitory polypeptide、GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、チルゼパチドなどのGIP/GLP-1組み合わせアゴニスト、基礎インスリン、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、限定されないが、ミリキズマブなどのIL-23抗体類似体又は誘導体、イキセキズマブなどのIL-17抗体類似体又は誘導体を含む治療抗体、ガルカネズマブ又はラスミディタンなどの疼痛関連治療用の治療剤、又はレブリキズマブ、及び本明細書に記載の装置によって送達することができる任意の治療薬が挙げられ得る。本開示による治療剤送達装置は、一般に本明細書に記載される様式でユーザ(例えば、ヘルスケア専門家、介護者、又は別の人)によって動作させて、1種以上の治療剤を患者(例えば、別の人又はユーザ)に送達する。
【0012】
右若しくは左、上若しくは下、又は頂部若しくは底部などの、図面のいずれかに関して使用される任意の方向的な参照は、説明の便宜を意図しており、本開示又はその構成要素のいずれかを任意の特定の位置又は空間的配向に限定するものではない。回転は、本明細書では時計回り方向又は反時計回り方向に関して記載され得るが、特定の構成要素が反対方向に回転しているときに機械的構成要素が機能するように配置することができるので、回転は、記載された特定の方向に限定されるべきでないことに留意されたい。この目的のために、第1の方向又は第2の方向における回転は、時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかを指すために使用され得る。
【0013】
図1図2は、本開示の例示的な実施形態による治療剤送達装置100を例示する。例示的に、治療剤送達装置100は、注射器ペン状の形状を有するが、代替的に他の形状が使用され得る。治療剤送達装置100は、一般に、駆動部分とも称され得る再使用可能部分102と、薬物担持部分又はカートリッジとも称される使い捨て部分104と、を含む。再使用可能部分102は、治療剤106(図6)の送達を容易にする。加えて、使い捨て部分104は、使い捨て部分104から治療剤106が送達された後に、使い捨て部分104を再使用可能部分102から取り外して廃棄することができるように、再使用可能部分102に着脱可能に結合する。次いで、別の使い捨て部分(図示せず。例えば、使い捨て部分104と同じ又は異なる特徴を有する)を再使用可能部分102に取り付け、それによって、治療剤送達装置100は、その後に使用するための準備を行う。使い捨て部分104の部分は、図3を参照しながら更に説明される。治療剤送達装置100は、近位端部108と、近位端部108の反対側の遠位端部110と、を含む。治療剤送達装置100の使用中に、近位端部108は、患者からより遠くにあり、ユーザによって作動させるように構成され、遠位端部110は、患者により近くにあり、治療剤を患者に送達するように構成されている。治療剤送達装置100はまた、近位端部108と遠位端部110との間に延在する長手方向軸Lを含む。図1図2は、追加的に、治療剤送達装置100の様々な内部構成要素を仮想線で例示する。例えば、図4図5を参照しながら下で更に説明するように、駆動機構116の構成要素を有する一部分102内の再使用可能部分ハウジング112及びシリンジアセンブリ118(図3)の一部分が、治療送達装置100内に仮想線で示されている。
【0014】
図3は、治療剤送達装置100の使い捨て部分104の一部分の例示的な一実施形態の斜視図を例示する。より具体的には、図3は、シリンジアセンブリ118(図4)のシリンジ119を例示する。シリンジアセンブリ118は、シリンジアセンブリ118を展開する前に、針又は治療剤用の他のキャリアを遮蔽するために、シリンジ119の遠位端部121に剛性の針保護部分を含む。このようにして、治療剤送達装置100の使用中に、患者、医師、又はユーザは、シリンジアセンブリ118内で針又は薬剤用の他のキャリアを展開して治療剤を送達し得、使い捨て部分104が配設され得、新しい使い捨て部分104が再使用可能部分102内で交換され得る。しかしながら、使い捨て部分104の様々な他の実施形態は、再使用可能部分102を使用して組み込まれ得る。
【0015】
治療剤送達装置100の上述の構成は、一部分、すなわち再使用可能部分102が、より高価であり得、かつ使用のために維持され得る回路又は他の構成要素を収容し得るという利点を提供する。例えば、治療剤送達装置100は、インスリン又は他の糖尿病治療物質を注射するための送達装置であり得る。患者は、装置100の使い捨て部分104から治療剤を注射し得、使い捨て部分104は、治療剤送達装置100に配設され、及びそこから取り外され、再使用可能部分102は、更なる使用のために維持される。これは、製造業者に関するコストだけでなく、患者又はユーザに関するコストも低減し得る。しかしながら、様々な他の実施形態では、治療剤送達装置100の全体が使い捨てであり得、これは、1回だけの使用を意味し得る。治療剤送達装置100及びその内部構成要素は、本明細書で更に説明される。
【0016】
図4の分解図を具体的に参照しながら、治療剤送達装置100の様々な構成要素を説明する。例示されるように、装置100の近位端部108において、装置100は、外側フレーム113を含む。先に説明したように、装置100、したがって外側フレーム113は、ペン状の形状を有し得る。外側フレーム113は、例えば治療剤を送達した後などに、必要に応じて、使い捨て部分104のシリンジアセンブリを取り出すための、ユーザエジェクタ入力161を含む。ユーザエジェクタ入力161は、外側フレーム113の側壁に位置決めされるものとして例示されているが、例えば外側フレーム113の最近位表面又は外側フレーム113の様々な側面に、様々な他の構成を有し得る。更に、再使用可能部分102のハウジング112は、装置100の外側フレーム113内で受容され得る内部フレームである。より具体的には、外側フレーム113は、略円筒形形状であり得、再使用可能部分102のハウジング112及び様々な内部構成要素を受容するための内部領域を画定し得る。
【0017】
図4及び図6を参照すると、シリンジアセンブリ118は、シリンジ119を取り囲むアセンブリハウジング141を含む。アセンブリハウジング141は、互いに結合する近位部分143及び遠位部分145を含み得る。近位部分143は、フランジ111及びシリンジ119のバレル135に嵌合するようにサイズ決定された管状体である。遠位部分145は、シリンジ119のバレル135に嵌合するようにサイズ決定された管状体である。近位部分143は、遠位部分145の近位端部を受容して、シリンジのための密閉ハウジングを画定するようにサイズ決定された遠位端部開口部を有するように示されている。基部キャップ149は、遠位部分145の遠位端部に取り外し可能に結合される。基部キャップ149は、装置の使用前にユーザによって引き抜かれるように構成されている。シリンジ119の遠位端部121において剛性の針保護部分に固定される基部キャップ149は、引き抜かれたときに、同時に針120から剛性の針保護部分を取り外し、それによって、針を使用するために露出させるように構成されている。図6ではその拡張構成で示されている後退付勢部材117は、近位部分143の内側とシリンジバレル135の外面との間に画定された環状空間内で、遠位部分145の近位に面する縁部とシリンジ119のフランジ111との間に位置決めされる。
【0018】
再使用可能部分102は、シャトルシステム109(図8を参照されたい)を備える。一実施形態では、シャトルシステム109は、シリンジアセンブリ118に結合され、シリンジ119をシリンジアセンブリ118及びハウジング112に対して少なくとも遠位方向に移動させるように構成されており、また、シリンジ119も近位方向に移動させるように構成され得る。シャトルシステム109は、キャリッジ146と、結合チューブ182と、挿入付勢部材159を受容するクラッチ158と、クラッチ158に結合されたカムフォロア156と、カムフォロア156に対して半径方向に位置決めされた、ガイド160とも称されるガイドハウジングと、を含み得る。
【0019】
再使用可能部分102は、駆動機構116を備えており、その一部分が図10A図10Bに示されている。一実施形態では、駆動機構は、キャリッジ146内に位置決めされた歯車トレイン150と、キャリッジ146から延在する親ねじ180及び少なくとも1つのアクチュエータ148と、ナット154と、を含む。アクチュエータは、コントローラからの入力によって制御可能に回転する駆動シャフトを含む。下で説明するように、駆動機構を作動させることで、親ねじを近位方向又は遠位方向に移動させることができる。
【0020】
シャトルシステム109及び駆動機構116は、ハウジングに結合された異なるアセンブリであり得るが、それらはまた、例えば図8に示されるように、単一のサブアセンブリに一体化され得る。この目的のために、本明細書の説明では、駆動機構116及びシャトルシステム109の構成要素がいずれか一方に属するものとして参照される場合がある。例えば、アクチュエータがキャリッジに装着され、歯車トレイン150及びナット154をキャリッジ146内に位置決めすることができ、親ねじ180がキャリッジ146を通って、かつ結合チューブ182内に延在するので、本明細書では、キャリッジ146は、モータシャトルとしても参照され得る。ユーザ入力105は、駆動機構116の構成要素を外側フレーム113で、したがって装置100で取り囲むように、近位端部において外側フレーム113と結合され得る。入力105は、作動を開始するための移動可能なボタン又はタッチ面/圧力面であり得る。
【0021】
図4は、ハウジング112’と称される、ハウジングの別の実施形態を示す。ハウジング112又は112’は、ハウジング112’に結合されたシリンジアセンブリキャリア129に隣接して位置決めされ得る、少なくとも1つの電池139として示される電源138を追加的に受容する。ハウジング112’に結合されたシリンジアセンブリキャリア129及びシリンジキャリアハウジング125は、シリンジアセンブリ118を収容するように一緒に構成される。シリンジキャリアハウジング125及びキャリア129は、ハウジング112に恒久的に取り付けることができる。シリンジアセンブリ118は、ハウジング112’に挿入されたときに、駆動機構116の動作中に、軸方向及び回転方向に固定されたままである。使用後に、ユーザは、ハウジング112’からシリンジアセンブリ118を取り外して廃棄し得る。シリンジキャリアハウジング125は、シリンジアセンブリキャリア129の近位端部に結合されて、基部キャップ149を除いて、シリンジアセンブリ118を覆い得る。
【0022】
更に、図4に例示されるように、シリンジアセンブリキャリア129は、シリンジアセンブリキャリア129のシャフトの周りに配設されたプリント回路基板127を備え得、いくつかの実施形態では、シリンジアセンブリキャリア129は、例えばオーディオスピーカ及びエネルギー源に差し込んで電池139に充電するために使用される充電ポートなどの電子機器アセンブリの構成要素と結合され得る。基板127は、下で説明する電子機器アセンブリ134の1つ以上の構成要素を収容する。装置100の他の部分は、追加的な回路基板及び電子部品アセンブリ構成要素を含み得る。更に、装置100は、使い捨て部分104、例示的に使い捨て可能なシリンジアセンブリ118を含む。シリンジアセンブリ118は、例えば本明細書で更に説明するようにシリンジキャリア129を介して、装置フレーム113内で受容され得、シリンジアセンブリ118のプランジャは、駆動機構116によって駆動されるように位置決めされる。シャトルシステム109及び駆動機構116は、(1)シリンジ119をシリンジアセンブリ118のアセンブリハウジング141に対して、かつ装置のハウジング112又は112’及びフレーム113に対して駆動するように、並びに(2)プランジャを移動させて、治療剤106(図6)を吐出するように構成されている。説明しているように、次いで、使い捨て部分104としてのシリンジアセンブリ118を取り外して、別個の及び/又は新しい使い捨て可能なシリンジアセンブリと交換することができる。いくつかの実施形態では、装置全体が使い捨てであり得、シリンジアセンブリ118は、装置を恒久的に伴っており、引き抜くことができない。
【0023】
ここで、図5の斜視図及び図6の横断面図を参照すると、再使用可能部分102及び使い捨て部分104の内部構成要素及び他の特徴が更に例示及び説明されている。図5図6は、本明細書ではハウジング112と称される、外側フレーム113(図4)及び駆動機構116を通してユーザ入力105(図1及び図4)を移動可能に担持する、再使用可能部分102のハウジングの別の実施形態に示す。ユーザ入力105は、機械的手段及び/又は電気的手段、例えば、機械的スイッチ又は電気的スイッチを介して受信され得る。ユーザ入力105は、駆動機構116を作動させるために、ユーザによって作動可能(例えば、摺動可能又は押下可能)であり得る。それによって、シャトルシステム109及び駆動機構116は、ハウジング112又は112’に対して協調して遠位に並進して、シリンジ119を使い捨て部分104のシリンジアセンブリハウジングに対して駆動する。より具体的には、シャトルシステム109及び駆動機構116は、シリンジ119を収容構成から展開構成までシリンジアセンブリ118に対して並進可能に駆動する。収容構成では、シリンジ119の針120は、装置のハウジング112又は112’の遠位端部122に対して近位に配設される。換言すれば、収容構成では、針120は、治療剤送達装置100内に格納される。展開構成では、針120は、ハウジング112又は112’の遠位端部122を越えて遠位に少なくとも部分的に延在する。その結果、展開構成では、治療剤を皮下に送達するために装置の遠位端部が患者の皮膚と接触したときに、針120が患者の皮膚に突き刺さるように構成される。展開構成中に、駆動機構116は、シリンジ119のプランジャ126をシリンジ119のシリンジバレル135に対して遠位に並進させるように作動する。シリンジ119の治療剤担持通路130内で担持されるプランジャ126は、針120を介して治療剤106を放出するように遠位に駆動される。図6に例示されるように、シリンジキャリアハウジング125及びシリンジアセンブリキャリア129の構成要素が欠落しており、図4のシリンジキャリアハウジング125及びキャリア129の内側になるシリンジアセンブリ118が残っている。後退付勢部材117は、その拡張構成で示されており、シリンジ119のシリンジアセンブリ118に対する移動中に負荷することができる。後退付勢部材117は、ばねであり得るが、様々な他の付勢部材が組み込まれ得る。シリンジ119がシリンジアセンブリハウジング141に対して軸方向に移動するときに、シリンジ119、例えばフランジ111の一部分が、後退付勢部材117に係合し、後退付勢部材117を後の展開のために圧縮構成に負荷して、アセンブリハウジング141に対するシリンジ119の後退を支援する。これらの構成要素の追加的な詳細は、下で説明する。シリンジ119及び親ねじ180の後退は、下で説明する。
【0024】
図7を参照すると、装置100はまた、使い捨て部分104を再使用可能部分102に選択的に固定するための固定機構132を含み得る。固定機構132はまた、使い捨て部分104を再使用可能部分102に容易に取り付けること、及び使い捨て部分104を再使用可能部分102から取り外すことを容易にする。上記の構成要素に加えて、治療剤送達装置100はまた、本明細書に記載された様式での装置100の動作を容易にする電子機器アセンブリ134を含む。電子機器アセンブリ134は、電池などの電源138に動作可能に結合されてそこからから電力を受け取る電子コントローラ136を含む。電子コントローラ136はまた、ユーザ入力114及び1つ以上のセンサ140に動作可能に結合する。下で更に詳細に説明するように、センサ140は、例えば、装置100の構成要素の作動、装置100の構成要素の互いに対する位置、及び/又は装置100の患者に対する位置を感知し得る。
【0025】
電子機器アセンブリ134の構成要素はまた、部分102、104のいずれかによって担持され得る。いくつかの実施形態では、下で更に詳細に説明するように、電子機器アセンブリ134のいくつかの構成要素は、再使用可能部分102によって担持され、いくつかの構成要素は、使い捨て部分104によって担持される(どちらも図1及び図2に示す)。例えば、使い捨て部分104は、治療剤106の特性を再使用可能部分102に提供することを容易にするために、識別子142(例えば、RFID送信機又はEEPROM)を含み得る。そのような特性としては、例えば、シリンジアセンブリ118によって担持された治療剤106のタイプ及び/又は量が挙げられ得る。再使用可能部分102は、治療剤106の特性を使用して、例えば、再使用可能部分102と関連付けられた患者が治療剤106を使用する許可を与えられているかどうか、又は処方されたかどうかを判定し得る。別の例として、使い捨て部分は、コントローラ136に動作可能に結合された固定装置144を含み得る。固定装置144は、最初に、シリンジ119が収容構成から展開構成へと移動することを阻止し得、コントローラ136は、固定装置144を作動させて、シリンジ119が収容構成から展開構成へと移動することを可能にし得る。他の実施形態では、電子機器アセンブリ134の構成要素の各々は、再使用可能部分102によって担持される。いくつかの実施形態では、コントローラ136は、有線接続によって、電子機器アセンブリ134の他の構成要素のうちの1つ以上に動作可能に結合される。いくつかの実施形態では、コントローラ136は、無線接続によって、電子機器アセンブリ134の他の構成要素のうちの1つ以上に動作可能に結合される。
【0026】
電子機器アセンブリ134は、装置100のメモリ(図示せず)に記憶されたソフトウェア及び/又はファームウェアを実行する少なくとも1つのプロセッサを含む。ソフトウェア/ファームウェアコードは、プロセッサによって実行されたときに、システムコントローラ136に、本明細書に記載された機能を実行させる命令を含む。少なくとも1つのプロセッサは、装置情報、例えばハウジング/感知要素に対する被感知要素の変位又はその状態の変化の検出に基づいて装置によって送達された用量などの検出を含む、本明細書に記載された動作を実装するように動作可能な制御論理/アプリケーションを含む。プロセッサは、例えば検出されたタイプ、用量、時間、及び他のデータなどの装置情報を表すデータをメモリに記憶するように動作可能であり得る。メモリは、プロセッサによってアクセス可能である任意の好適なコンピュータ可読媒体である。メモリは、単一の記憶装置又は複数の記憶装置であり得、プロセッサの内部又は外部に位置付けられ得、かつ揮発性媒体及び不揮発性媒体の両方を含み得る。例示的なメモリとしては、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)、リードオンリーメモリ(read-only memory、ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(electrically erasable programmable ROM、EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光学ディスク記憶装置、又はデータを記憶するように構成され、かつプロセッサによってアクセス可能な任意の他の好適な媒体が挙げられる。電子機器アセンブリ134は、装置情報又は他の情報の少なくとも一部分が視覚的及び/又は聴覚的に示され得るディスプレイ(図示せず)を含み得る。ディスプレイは、LED表示、又はLCD、又は他の既知の形態の装置ディスプレイであり得る。電子機器アセンブリ134は、通信モジュール(図示せず)を含み得、当該通信モジュールは、Bluetooth低エネルギー(Bluetooth low energy、BLE)、又は例えば近距離無線通信(near-field communication、NFC)、WIFI、若しくはセルラーネットワークなどの他の好適な短距離若しくは長距離無線通信プロトコルを通じて、ユーザのスマートフォン若しくはクラウド若しくはサーバなどの無線でペアリングされたリモート電子装置との間で、装置情報を表す信号を送信及び/又は受信するように更に動作可能である。装置100と同様に、リモート電子装置(図示せず)は、プロセッサ、メモリ、通信装置を含み、更に、ユーザインターフェース用のディスプレイを含み得る。リモート電子装置としては、スマートフォンなどのモバイル装置が挙げられ得る。代替的に、例えば、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、又はサーバコンピュータが挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適なコンピューティング装置が使用され得る。
【0027】
ここで図8を参照すると、駆動機構116及びシャトルシステム109の様々な内部構成要素の横断面が示されている。具体的には、モータシャトルとも称されるキャリッジ146は、再使用可能部分102のハウジング112’(図4)又はハウジング112(図5)内で並進可能に担持される。キャリッジ146は、電子コントローラ136に動作可能に結合するアクチュエータ148を担持する。アクチュエータ148は、変速機又は減速機に駆動可能に結合するロータリアクチュエータ、より具体的には、電気モータであり得る。
【0028】
図9A図10Bを追加的に参照すると、アクチュエータ148は、歯車トレイン150に駆動可能に結合する。歯車トレイン150は、単一の歯車又は示されるように第1の歯車152を備え得、これは、第1の歯車152及び第2の歯車153の移動は、装置100の長手方向軸Lに実質的に平行(すなわち、平行±10度)である回転軸R1(図12A)の周りにナット154を回転させるように、本明細書では駆動ナットとも称されるナット154に回転方向に固定された第2の歯車153に駆動可能に結合する。軸Lは、軸R1と同軸であり得る。ナット154は、装置100内で長手方向軸L(図1)に沿って延在する駆動ねじとも称される親ねじ180に動作可能に結合される。歯車トレイン150は、キャリッジ146内に少なくとも部分的に位置決めされ、キャリッジ146は、親ねじ180及び結合チューブ182を受容するための、ボアとも称される、ナット154の通路190と位置合わせされた軸方向貫通開口部189を備える。図10Bに最良に例示されるように、ナット154の通路190は、治療剤送達装置100が組み立てられるときにナット154と親ねじ180との間に螺合が存在するようにねじ切りされている。ナット154と親ねじ180との間の螺合は、ナット154が両方の軸方向(すなわち、近位及び遠位)に、親ねじ180と軸方向に結合されるように構成されている。このようにして、ナット154が時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかに回転することで、親ねじ180が通路190内を近位及び/又は遠位に移動するときに、親ねじ180がナット154に対して近位方向又は遠位方向に変位する。換言すれば、ナット154、結合チューブ182、及びクラッチ158が互いに回転方向に固定されているので、ナット154が回転することで、親ねじ180を軸方向に移動させる。より具体的には、ナット154が時計回り方向に回転することで、親ねじ180を、長手方向軸Lに沿って、近位方向などの第1の方向に変位させ、一方で、ナット154が反時計回り方向に回転することで、親ねじ180を、長手方向軸Lに沿って、第1の方向とは反対の遠位方向などの第2の方向に変位させる。
【0029】
親ねじ180が遠位方向に変位することで、親ねじ180がプランジャ126(図6)に係合することを可能にし、したがって、歯車トレイン150、アクチュエータ148、ナット154、及び親ねじ180の相互作用がプランジャ又はストッパ駆動システムとして作用し得る。更に、図8に示されるように、結合チューブ182は、親ねじ180の少なくとも一部分を取り囲み、キャリッジ146から近位方向にフォロワ156まで長手方向に延在する。より具体的には、結合チューブ182は、結合チューブ182を通ってフォロワ156を越えて延在するポスト181を受容することによってフォロワ156と結合する。このようにして、いくつかの実施形態では、親ねじ180及び結合チューブ182が回転することで、フォロワ156及びクラッチ158を回転させる。換言すれば、本明細書で更に説明するように、ナット154、結合チューブ182、親ねじ180、フォロワ156、クラッチ158、及びガイド160は、同軸関係である。
【0030】
図9A図9Bに示されるように、キャリッジ146は、アクチュエータ148の装着を受容するように構成されたアクチュエータ装着部分202を備えた本体200を含む。一例では、装着一部分202は、アクチュエータ148を、オフセットされて長手方向軸Lと並列である軸に沿って軸方向に配向することを可能にするように構成されている。キャリッジ146は、歯車ハウジング部分204を含み得る。歯車ハウジング部分204は、キャリッジ近位面206と、キャリッジ近位面206に取り付けるプレート208との間に、軸方向に離間された関係でキャビティを画定して、本体を形成し得、本体には歯車及びナットが配設されて、回転することが可能である。キャリッジ146はまた、キャリッジの本体の遠位面212から遠位に延在し、長手方向軸Lの周りに画定された、少なくとも部分的に円筒形のシュラウド210を含み得る。キャリッジ146はまた、本体の遠位面212から遠位に延在し、長手方向軸Lの周りに画定された、少なくとも部分的に円筒形の押し部材214を含み得る。押し部材214は、シュラウド210よりも小さい直径を有し、それによって、押し部材をシュラウド内に配置するように示されている。押し部材214は、押圧表面を画定して、シリンジの近位端部、具体的には、シリンジ119のフランジ111に係合して、又はそれと係合されて移動させるための、少なくとも部分的に閉じられた遠位端部216を含み得る。一例では、スペーサ217は、押し部材214の押圧表面がフランジ111ではなくスペーサに直接係合するように、フランジ111の近位面に沿って、アセンブリハウジング141の近位部分143の内側に配設され得る。スペーサは、押し部材214からシリンジフランジ111に力を伝達するが、シリンジに損傷を与え得る押し部材214の直接的な衝撃力からフランジを保護し得る。スペーサ217の材料は、力軽減特性を有し得、いくつかの例示的な材料は、0~70(ショアA)のデュロメータを有し得る。スペーサ217の他の材料の例としては、エラストマー、ポリ塩化ビニル、ウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、又は他のプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。スペーサ217は、押し部材214が通過することを阻止するようにサイズ決定された内側断面積、及びアセンブリハウジング141の近位部分143の内側断面積以下にサイズ決定された外側断面積を有する環状形状を有するように示されている。図6には、シリンジフランジ111の頂部に位置する、押し部材214とスペーサ217との間の係合が示されている。押し部材214は、フランジを越えてシリンジの内部に遠位に挿入された部分を有するように構成され得る。親ねじ開口部218は、軸Lに沿って遠位端部216の中央に画定され得、そこを通って、親ねじ180が押し部材に対して移動することができる。
【0031】
図11A図11Bを参照すると、駆動機構116は、フォロワ156内に位置決めされたクラッチ158(図8)を備える。先に説明したように、クラッチ158は、フォロワ156に固定され、したがって、結合チューブ182が回転することで、ナット154のアクチュエータ駆動回転により、クラッチ158を介してフォロワ156を第1の方向に回転させる。更に、クラッチ158は、軸方向及び回転方向にフォロワ156とともに固定され、よって、クラッチ158が軸方向に移動することで、フォロワ156を回転させ、クラッチ158が軸方向に移動することで、フォロワ156を軸方向に移動させる。より具体的には、クラッチ158は、一方向クラッチであり得る。このようにして、クラッチ158は、例えば反時計回り方向などの1つの回転方向にだけ回転し、アクチュエータ148によって駆動される結合チューブ182の反時計回りの回転だけが、フォロワ156及びクラッチ158を回転及び変位させる。この目的のために、結合チューブ182の反対方向の、すなわち時計回り方向の回転は、クラッチ158の回転をもたらさず、したがって、フォロワ156は、この動作段階中に回転しない。これは、図13A図13Fを参照しながら下で更に説明するように、シリンジ119を展開構成に移動させるために、及び針120から治療剤を吐出させるために必要とされる作動を提供することができる、アクチュエータ148の利点を提供する。しかしながら、クラッチの様々な他の実施形態が使用され得る。例えば、二方向クラッチが使用され得、回転の指向性を限定するための様々な他の機構が組み込まれ得る。
【0032】
図11A図11Bを更に参照すると、フォロワ156は、本明細書でカムランプとも称されるガイド160に移動可能に結合し、ガイド160は、再使用可能部分102のハウジング112又は112’に対して固定される。挿入付勢部材159は、フォロワ156とハウジング112との間に位置決めされるように示されている(図6を参照されたい)。その拡張構成におけるそのような部材159は、ハウジング112のエンドキャップとフォロワ156との間で係合すること、又は示されるようにハウジングと係合しないことができる。ばねとして例示されているが、挿入付勢部材159は、様々な他の形態、例えば、プーリ、コード、又は任意の他の該当する付勢手段をとり得る。フォロワ156に結合された挿入付勢部材159(図4及び図6)は、フォロワ156を遠位に付勢し、ガイド160と係合するように構成されている。一般に、フォロワ156及びガイド160は、フォロワ156が回転軸R1の周りに回転するときに、ガイド160に対するフォロワ156の移動を容易にする特徴を含む。フォロワ156は、ガイド160の近位対向面によって画定されたトラックに移動可能に係合する1つ以上の半径方向の突起を含むことができる。示される実施形態では、フォロワ156は、フォロワ156がアクチュエータ148によって回転するときにガイド160によって画定される角度トラック166又は略近位に面する壁に沿って移動する、少なくとも2つの半径方向外向きに延在する突起164を含む。突起164は、トラック166の2つの同様のセクション、又はその半部に沿って同時に移動する。図11Aを具体的に参照すると、トラック166の各半部は、縁部172においてクリフ部分170に結合したプラトー部分168と、プラトー部分168の反対側でクリフ部分170に結合したバレー部分174と、クリフ部分170の反対側でバレー部分174に結合した傾斜部分176と、を含む。各傾斜部分176はまた、トラック166の残りの半部のプラトー部分168に結合する。
【0033】
図11Aに例示される実施形態では、トラック166の様々な部分は、以下の通りである。クリフ部分170は、装置100の長手方向軸Lに実質的に平行(すなわち、平行±10度)である。プラトー部分168及びバレー部分174は、装置100の長手方向軸Lに実質的に垂直(すなわち、垂直±10度)である。傾斜部分176は、装置100の長手方向軸Lに対して螺旋状に延在する。
【0034】
他の実施形態では、フォロワ156及び/又はガイド160は、異なる形態を有し得る。例えば、トラック166は、異なる形状を有し得る。より具体的には、トラック166は、クリフ部分170の代わりに、追加的な傾斜部分(図示せず)を含み得、そのような傾斜部分は、傾斜部分176と反対方向に螺旋状に延在し得る。別の例として、フォロワ156は、異なる数の突起164を含み得、及び/又はガイド160は、異なる数の同様のセクションを備えたトラック166を含み得る。例えば、フォロワ156は、少なくとも1つの突起164を含み得る。更に別の例として、フォロワ156は、ガイド160に形成された1つ以上の突起164を移動可能に受容するトラック166を含み得る。
【0035】
図11A図11Bに例示される実施形態では、突起164が、もはやプラトー部分168に位置決めされなくなり、代わりに、バレー部分174に角度的に位置決めされるように、本明細書に記載されるようにアクチュエータ148が作動することにより、フォロワ156の突起164が軸R1の周りに回転するときに、フォロワ156が、第2の位置のガイド160に対して遠位に変位する。より具体的には、アクチュエータ148の作動により、時計回り方向又は第1の方向にクラッチ158を回転させることで、結合チューブ182を回転させ、フォロワ156を回転させる。次いで、フォロワ156が回転することで、突起164(図11B)をトラック166に沿って軸R1の周りに回転移動させ、よって、突起164は、挿入付勢部材159(図6)を用いて、バレー部分174に位置決めされて、フォロワ156の第2の位置を画定する。フォロワの第2の位置は、シャトルシステム109及び駆動機構116の第2の位置を画定する。アクチュエータ148のこの作動はまた、ナット154を介して親ねじ180をわずかに後退させ、挿入付勢部材159(図6)を解放し、シャトルシステム109のフォロワ156、結合チューブ182、キャリッジ146、及び他の構成要素をガイド及び装置をばね力によって付勢して、ハウジングに対して遠位に変位させる。したがって、フォロワ156及びクラッチ158が遠位に変位することで、キャリッジ及び駆動機構116を遠位に変位にさせ、これは、少なくともフォロワ156、クラッチ158、アクチュエータ148、歯車トレイン150、親ねじ180、結合チューブ182、及びキャリッジ146を含む。シャトルシステム109及び駆動機構116を遠位に変位させることは、遠位に移動して展開構成にするための、シリンジアセンブリハウジング141に対するシリンジ119の並進に寄与する。
【0036】
例えば、図12Aは、第1の位置にあるシャトルシステム109及び駆動機構116を例示する。より具体的には、第1の位置は、フォロワ156が治療剤送達装置100の近位端部108に対して上方に又はより近位の位置に保持されるように、プラトー部分に位置決めされたフォロワ156の突起164(図11A)によって画定される。図11A及び図11Bを参照しながら説明するように、クラッチ158が回転することで、フォロワ156を軸R1の周りに回転させる。この結果として生じる位置は、図12Bに示されている。例示的に、クラッチ158及びフォロワ156は、図12Aの位置決めに対して、長手方向軸Lに沿って更に遠位に位置決めされる。クラッチ158及びフォロワ156の変位に加えて、歯車トレイン150を担持するキャリッジ146も遠位に変位する。
【0037】
ここで、図13A図13Fを参照しながら治療剤送達装置100の動作を更に詳述する。図13Aは、開始位置にある治療剤送達装置100を例示しており、シャトルシステム109及び駆動機構116は、シャトルシステム及び駆動機構の任意の変位前に、より具体的には、フォロワ156の変位前に、第1の位置にある。挿入付勢部材159(図6)は、負荷構成にある。後退付勢部材117は、無負荷構成(図13B)にある。次いで、アクチュエータ148のアクチュエータ駆動シャフトを時計回り方向に作動させ得、これは、第1の歯車152、ナット154、したがって結合チューブ182をそれらのそれぞれの回転方向に回転させる。このようにして、図11A及び図11Bを参照して論じたように、フォロワ156が軸R1の周りに回転することで、突起164(図11A)をトラック166のバレー部分174(図11A)まで降下させる。このように、図13Bに例示されるように、シャトルシステム109及び駆動機構116の対応する構成要素は、治療剤送達装置100の近位端部108に対して遠位に変位する。追加的に、これは、親ねじ180を回転させ、挿入付勢部材159(図6)を解放して、シリンジ119が遠位に変位するのを更に支援する。この移動中に、挿入付勢部材159の力は、後退付勢部材117の力よりも大きく、それによって、後退付勢部材117に負荷して、その後の後退動作段階の準備を行う。シャトルシステム109がシリンジアセンブリ118のシリンジアセンブリハウジング141に対して遠位に移動する間、キャリッジのシュラウド210は、シリンジアセンブリ118の近位端部に嵌合する。押し部材の遠位端部216は、シリンジアセンブリ118の近位部分143の近位端部に配設された開口部118a(図4)内に延在して、シリンジフランジ111の頂部のスペーサ217に係合し、シリンジアセンブリハウジングに対して遠位に移動するようにシリンジ119を駆動する。この図13Bの位置決めは、シャトルシステム109及び駆動機構116の第2の位置を画定し、シリンジ119が遠位に変位した後のシリンジアセンブリ118の展開位置を画定する。より具体的には、シリンジ119が遠位に変位した後に、シリンジ119は、シリンジアセンブリハウジング141に対して遠位に移動する。
【0038】
次いで、図13Cを参照すると、アクチュエータ148のアクチュエータシャフトが、反時計回り方向又は第2の方向に作動し、歯車トレイン150の構成要素に駆動可能に係合して回転させ得る。ナット154と親ねじ180との間の螺合により、親ねじ180がナット154に対して軸方向に螺合するときに、ナット154が時計回り方向に回転することで、親ねじ180を遠位にかつ長手方向軸Lに沿って回転させかつ軸方向に変位させる。クラッチ158が一方向クラッチであるため、アクチュエータ148が反時計回り方向に移動することは、クラッチ158及びフォロワ156の任意の回転又は軸方向の変位を生じさせない。このようにして、アクチュエータ148は、キャリッジ146を変位させることなく、親ねじ180を遠位に変位させる。先に説明したように、親ねじ180がその展開位置にある間に遠位に変位することで、親ねじ180をシリンジアセンブリ118のプランジャ126と係合させて、駆動可能に移動させる。これは、その後に、シリンジアセンブリ118から治療剤106を吐出させる。単一の動作で薬剤106を完全に吐出することができ、又は異なる動作で薬剤106を複数回送達することができる。
【0039】
図13Dを参照すると、治療剤106が完全に吐出された時点で、アクチュエータ148のアクチュエータシャフトを再度時計回り方向に作動させる。これは、ナット154が両方の軸方向においてナット154と螺合する(すなわち、近位及び遠位に結合する)ときに、親ねじ180を後退させる。追加的に、クラッチ158は、結合チューブ182の時計回りの回転に起因して回転する。したがって、フォロワ156は、そのクラッチとの結合により、軸R1の周りに回転して、突起164がプラトー部分168に再度回転方向に位置決めされるまで、フォロワ156の第1の位置及び駆動機構116の第1の位置を画定するガイド160のトラック166を再度登る。追加的に、クラッチ158及びフォロワ156、並びにキャリッジ146の長手方向軸Lに沿った近位方向における移動中に、シリンジ119が近位に変位し、針120がシリンジアセンブリ118及び治療剤送達装置100内の後退位置まで後退する。追加的に、これは、後退付勢部材117(図13B)を解放させて、ばね力によるシリンジアセンブリ118内のシリンジ119の近位の変位を更に支援する。
【0040】
図13Eを参照すると、駆動機構116が第1の位置に位置決めされ、親ねじ180がまだ遠位に変位している、治療剤送達装置100の様々な内部構成要素が例示されている。別の言い方をすれば、針120は後退しているが、親ねじ180は完全に後退していない。追加的に、この構成では、針120が治療剤送達装置100の遠位端部110から再度延在することを阻止するために、ロックアウト特徴(図示せず)が実装され得る。
【0041】
アクチュエータ148のアクチュエータシャフトは、シリンジアセンブリ118がもはや展開構成でなくなるように、親ねじ180が元の位置への完全に後退し、フォロワ156が第1の位置になるまで、時計回り方向に作動し続ける。追加的に、これは、次の使用のために、挿入付勢部材159(図6)に負荷させる。この位置決めは、図13Fに例示される。この位置になった時点で、アクチュエータ148の作動及び回転が停止され得る。次いで、先に説明したように、使い捨て部分104としてのシリンジアセンブリ118を装置100の残部から取り外して、新しい使い捨て部分を装置100内に装填することができる。次いで、装置100は、上で説明した方法に従って、治療剤を分注するために繰り返し使用され得る。
【0042】
上で説明したように、駆動機構116の残りの構成要素と組み合わせた一方向クラッチ158の使用は、薬剤送達装置の従来設計において必要とされ得る少なくとも2つのモータとは対照的に、単一のモータを備えた治療剤送達装置100の使用を可能にする。例えば、本開示は、シリンジアセンブリ118を展開構成に配置するための第1のモータ、並びに親ねじの変位及びプランジャの変位を生じさせて治療剤を吐出させるための第2のモータを必要とするのではなく、1つのモータを使用して両方に機能を達成することを可能にする。これは、様々な利点、例えば、少なくとも、内部構成要素のために治療剤送達装置100内に必要とされる空間を低減する能力を提供する。このようにして、治療剤送達装置100のサイズが最適化され得、装置の携帯性及び利便性を高めることができる。更に、必要とされるモータの数を低減することによって、製造コストが低減され得、製造及び/又は組み立ての容易さが高められ得る。
【0043】
本発明は、好適な実施形態を有するものとして図示及び説明されているが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲の範囲内で修正され得る。したがって、本出願は、その一般的原理を使用する本発明のあらゆる変形、使用、又は適応化を包含することを意図する。更に、本出願は、本発明が関係する当該技術分野において既知の又は慣習的な実施の範囲内にある、本開示からのそのような逸脱を包含することを意図する。
【0044】
以下の態様が挙げられるがそれらに限定されない、様々な態様が、本開示に記載されている。
1.近位端部と遠位端部とを有する治療剤送達装置であって、プランジャを有するシリンジを含むシリンジアセンブリと、シリンジに結合されたシャトルシステムと、親ねじを含む駆動機構であって、親ねじが、プランジャに係合するように構成された遠位端部を有する、駆動機構と、コントローラであって、駆動機構を作動させ、シャトルシステムをシリンジアセンブリに対して遠位に移動させること、及びシリンジを第1の位置から第2の位置までシリンジアセンブリに対して遠位に移動させて治療剤送達装置の遠位端部から針を延在させることを容易にする位置まで、親ねじを第1の方向に回転させることと、駆動機構を作動させ、親ねじを第2の方向に回転させることであって、親ねじの遠位端部がシリンジのプランジャを第2の位置に駆動して治療剤を送達する、回転させることと、駆動機構を作動させ、親ねじを第2の方向に回転させた後に当該親ねじを第1の方向に回転させて、親ねじの遠位端部をプランジャから後退させて、シャトルシステム及びシリンジが第2の位置から第1の位置に向かってシリンジアセンブリに対して近位に移動することを容易にすることと、シャトルシステム及びシリンジを近位に移動させた後に、駆動機構の作動を終了させて、親ねじの回転を停止させることと、を行うように構成されたコントローラと、を含む、治療剤送達装置。
2.シャトルシステムが、ばねを含み、親ねじが第1の方向に回転することでばねを解放して、シリンジを遠位に駆動する、態様1に記載の治療剤送達装置。
3.シャトルシステムが、親ねじに動作可能に結合されたクラッチと、クラッチに結合されたカムフォロアと、カムフォロアに対して半径方向に位置決めされたガイドと、を更に含む、態様1又は2に記載の治療剤送達装置。
4.駆動機構が、アクチュエータと、アクチュエータと動作可能に結合された駆動ナットと、を更に含み、シャトルシステムが、駆動ナットとクラッチとの間に結合された結合チューブを含み、駆動ナット、結合チューブ、及びクラッチが、互いに対して回転方向に固定されている、態様3に記載の治療剤送達装置。
5.駆動ナットが、親ねじの外側に沿って係合するためのねじ山付きボアを含み、親ねじが、駆動ナットの回転に応答して軸方向に移動可能である、態様4に記載の治療剤送達装置。
6.駆動ナット、結合チューブ、親ねじ、カムフォロア、及びガイドが、同軸関係である、態様4に記載の治療剤送達装置。
7.クラッチが、カムフォロアに回転方向及び軸方向に固定され、クラッチが第1の方向に回転することで、カムフォロアを第1の方向に回転させ、クラッチが第2の方向に回転することで、カムフォロアを第2の方向に回転させない、態様4~6のいずれか1つに記載の治療剤送達装置。
8.ガイドが、プラトー部分と、プラトー部分よりも遠位に配設されたバレー部分と、を含み、シャトルシステムが、ガイドのプラトー部分に位置決めされたカムフォロアの突起によって画定された第1の位置と、ガイドのバレー部分に位置決めされたカムフォロアの突起によって画定された第2の位置と、を含む、態様4~7のいずれか1つに記載の治療剤送達装置。
9.シャトルシステムが、治療剤送達装置のハウジング内を並進可能なキャリッジを含み、駆動機構が、歯車トレインを含み、キャリッジが、アクチュエータを担持し、歯車トレインが、アクチュエータと駆動ナットとの間に結合され、駆動ナットが、結合チューブを介してクラッチ及びカムフォロアに結合されている、態様4~8のいずれか1つに記載の治療剤送達装置。
10.キャリッジが、シリンジと係合可能な押し要素を含む、態様9に記載の治療剤送達装置。
11.アクチュエータが親ねじの長手方向軸に沿って延在するように、アクチュエータがキャリッジに載置されている、態様10に記載の治療剤送達装置。
12.キャリッジが、遠位に延在するシュラウドを含み、シュラウドが、押し要素の半径方向外側に配設されている、態様10に記載の治療剤送達装置。
13.プランジャ駆動及びシリンジ移動システムであって、カムフォロアと、カムランプと、カムフォロアに結合された一方向クラッチと、シリンジアセンブリのシリンジに結合されたキャリッジと、カムフォロアに動作可能に結合された親ねじであって、シリンジ内でプランジャに係合するための遠位端部を含む、親ねじと、親ねじを第1の方向及び第2の方向に駆動するように親ねじに動作可能に結合されたモータと、を含み、親ねじを第1の方向に駆動することで、カムフォロアがカムランプに対してある位置まで回転することを容易にして、カムランプに対するキャリッジの変位の変化を可能にし、親ねじを第2の方向に駆動することで、プランジャが遠位に移動することを容易にして、シリンジ内に収容された治療剤を吐出する、プランジャ駆動及びシリンジ移動システム。
14.親ねじを第1の方向に駆動することが、親ねじを近位に変位させ、親ねじを第2の方向に駆動することが、親ねじを遠位に変位させる、態様13に記載のシステム。
15.一方向クラッチが、一方向クラッチを第1の方向に回転させることでカムフォロアが第1の方向に回転することを可能にし、一方向クラッチを第2の方向に回転させることでカムフォロアが第2の方向に回転することを阻止するように構成されている、態様13又は14に記載のシステム。
16.モータに動作可能に結合された駆動ナットと、一方向クラッチと駆動ナットとの間に結合された結合チューブと、を更に含み、結合チューブが、駆動ナット及び一方向クラッチに対して回転方向及び軸方向に固定され、駆動ナットが、親ねじと駆動可能に係合される、態様13~15のいずれか1つに記載のシステム。
17.駆動ナット及びモータが、キャリッジに結合され、結合チューブ及び親ねじが、長手方向軸に沿ってキャリッジから軸方向に延在し、キャリッジが、長手方向軸に沿って遠位に延在する押し要素を更に含む、態様16に記載のシステム。
18.再使用可能なアセンブリとシリンジアセンブリとを有する治療剤送達装置から治療剤を送達するための方法であって、方法が、装置のカムフォロアをカムランプのプラトー部分の第1の位置に位置決めすることによって画定される休止構成にある治療剤送達装置を提供することと、カムフォロアをカムランプのバレー部分内でカムランプに対して第2の位置まで回転させ、したがって、装置のシャトルアセンブリを変位させて、当該シリンジアセンブリのシリンジを展開構成まで治療剤送達装置に対して遠位に駆動することと、親ねじがシリンジのプランジャを展開構成に変位させて、治療剤を分注するように、親ねじを治療送達装置の長手方向軸に沿って遠位に駆動することと、を含む、方法。
19.シリンジを遠位に駆動することが、シリンジの針を治療剤送達装置の遠位端部を越えて遠位に位置決めすることを含む、態様18に記載の方法。
20.方法が、カムフォロアを第2の位置から第1の位置までカムランプに対して回転させ、したがって、シャトルアセンブリを変位させて、当該シリンジアセンブリのシリンジが、展開構成から収容構成まで治療剤送達装置に対して近位に移動することを可能にするステップを更に含む、態様19に記載の方法。
21.再使用可能なアセンブリが、親ねじを遠位に駆動することで、カムフォロアを回転させないように、カムフォロアに動作可能に結合された一方向クラッチを含む、態様18~20のいずれか1つに記載の方法。
22.方法が、シリンジアセンブリの交換を可能にするために、シリンジアセンブリを治療剤送達装置から取り外すステップを更に含む、態様18~21のいずれか1つに記載の方法。
23.シリンジアセンブリが、治療剤を含むリザーバを備える、態様1~12のいずれか1つに記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部と遠位端部とを有する治療剤送達装置であって、
プランジャを有するシリンジを備えるシリンジアセンブリと、
前記シリンジに結合されたシャトルシステムであって、前記シリンジは、前記シャトルシステムが遠位への移動に応じて遠位に移動可能である、前記シャトルシステムと、
親ねじを備える駆動機構であって、前記親ねじが、前記プランジャと係合するように構成された遠位端部を有し、前記シャトルシステムは、前記親ねじに移動可能に結合されている、駆動機構と、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記治療剤送達装置の前記遠位端部から針を延在させるために、前記駆動機構を作動させて、第1の位置から第2の位置まで、前記シャトルシステムを前記シリンジアセンブリに対して遠位に移動させること、及び前記シリンジを前記シリンジアセンブリに対して遠位に移動させることを容易にする位置まで、前記親ねじを第1の方向に回転させることと、
前記駆動機構を作動させて、前記親ねじを前記第1の方向と反対の第2の方向に回転させることであって、前記親ねじの前記遠位端部が、治療剤を送達するために前記シリンジの前記プランジャを前記第2の位置に駆動する、回転させることと、
前記親ねじの前記遠位端部を前記プランジャから後退させ、かつ前記第2の位置から前記第1の位置に向かって、前記シャトルシステム及び前記シリンジを前記シリンジアセンブリに対して近位に移動させることを容易にするために、前記親ねじを前記第2の方向に回転させた後に、前記駆動機構を作動させて、前記親ねじを前記第1の方向に回転させることと、
前記シャトルシステム及び前記シリンジを近位に移動させた後に、前記駆動機構の作動を終了させて、前記親ねじの回転を停止させることと
を行うように構成されている、治療剤送達装置。
【請求項2】
前記シャトルシステムが、ばねを含み、前記親ねじが前記第1の方向に回転することで前記ばねを解放して、前記シリンジを遠位に駆動する、請求項1に記載の治療剤送達装置。
【請求項3】
前記シャトルシステムが、前記親ねじに動作可能に結合されたクラッチと、前記クラッチに結合されたカムフォロアと、前記カムフォロアに対して半径方向に位置決めされたガイドと、を更に含む、請求項1又は2に記載の治療剤送達装置。
【請求項4】
前記駆動機構が、アクチュエータと、前記アクチュエータと動作可能に結合された駆動ナットと、を更に備え、前記シャトルシステムが、前記駆動ナットと前記クラッチとの間に結合された結合チューブを備え、前記駆動ナット、前記結合チューブ、及び前記クラッチが、互いに対して回転方向に固定されている、請求項3に記載の治療剤送達装置。
【請求項5】
前記駆動ナットが、前記親ねじの外側に沿って係合するためのねじ山付きボアを備え、前記親ねじが、前記駆動ナットの回転に応答して軸方向に移動可能である、請求項4に記載の治療剤送達装置。
【請求項6】
前記駆動ナット、前記結合チューブ、前記親ねじ、前記カムフォロア、及び前記ガイドが、同軸関係である、請求項4に記載の治療剤送達装置。
【請求項7】
前記クラッチが、前記カムフォロアに回転方向及び軸方向に固定されており、前記クラッチが前記第1の方向に回転することで、前記カムフォロアを前記第1の方向に回転させ、前記クラッチが前記第2の方向に回転することで、前記カムフォロアを前記第2の方向に回転させない、請求項に記載の治療剤送達装置。
【請求項8】
前記ガイドが、プラトー部分と、前記プラトー部分よりも遠位に配設されたバレー部分と、を備え、前記シャトルシステムが、前記ガイドの前記プラトー部分に位置決めされた前記カムフォロアの突起によって画定された第1の位置と、前記ガイドの前記バレー部分に位置決めされた前記カムフォロアの前記突起によって画定された第2の位置と、を含む、請求項に記載の治療剤送達装置。
【請求項9】
前記シャトルシステムが、前記治療剤送達装置のハウジング内を並進可能なキャリッジを備え、前記駆動機構が、歯車トレインを備え、前記キャリッジが、前記アクチュエータを担持し、前記歯車トレインが、前記アクチュエータと前記駆動ナットとの間に結合されており、前記駆動ナットが、前記結合チューブを介して前記クラッチ及び前記カムフォロアに結合されている、請求項に記載の治療剤送達装置。
【請求項10】
前記キャリッジが、前記シリンジに係合可能な押し要素を含む、請求項9に記載の治療剤送達装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記親ねじの長手方向軸に沿って延在するように、前記キャリッジに載置されている、請求項10に記載の治療剤送達装置。
【請求項12】
前記キャリッジが、遠位に延在するシュラウドを含み、前記シュラウドが、前記押し要素の半径方向外側に配設されている、請求項10に記載の治療剤送達装置。
【請求項13】
前記シリンジアセンブリが、治療剤を含むリザーバを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項14】
プランジャ駆動及びシリンジ移動システムであって、
カムフォロアと、カムランプと、前記カムフォロアに結合された一方向クラッチと、シリンジアセンブリのシリンジに結合するように構成されたキャリッジと、
前記カムフォロアに動作可能に結合された親ねじであって、前記シリンジ内でプランジャと係合するための遠位端部を備える、親ねじと、前記親ねじを第1の方向及び第2の方向に駆動するように前記親ねじに動作可能に結合されたモータと、を備え、
前記親ねじを前記第1の方向に駆動することで、前記カムフォロアが前記カムランプに対してある位置まで回転することを容易にして、前記カムランプに対する前記キャリッジの変位の変化と前記シリンジの遠位への移動とを可能にし、
前記親ねじを前記第2の方向に前記駆動することで、前記プランジャが遠位に移動することを容易にして、前記シリンジ内に収容された治療剤を吐出する、プランジャ駆動及びシリンジ移動システム。
【請求項15】
前記親ねじを前記第1の方向に前記駆動することが、前記親ねじを近位に変位させ、前記親ねじを前記第2の方向に前記駆動することが、前記親ねじを遠位に変位させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記一方向クラッチが、前記一方向クラッチを第1の方向に回転させることで前記カムフォロアが前記第1の方向に回転することを可能にし、前記一方向クラッチを第2の方向に回転させることで前記カムフォロアが前記第2の方向に回転することを阻止するように構成されている、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記モータに動作可能に結合された駆動ナットと、前記一方向クラッチと前記駆動ナットとの間に結合された結合チューブと、を更に備え、前記結合チューブが、前記駆動ナット及び前記一方向クラッチに対して回転方向及び軸方向に固定されており、前記駆動ナットが、前記親ねじに駆動可能に係合されている、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項18】
前記駆動ナット及び前記モータが、前記キャリッジに結合されており、前記結合チューブ及び前記親ねじが、長手方向軸に沿って前記キャリッジから軸方向に延在しており、前記キャリッジが、前記長手方向軸に沿って遠位に延在する押し要素を更に備える、請求項17に記載のシステム。
【国際調査報告】