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特表2024-517541放射標識リポソーム及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】放射標識リポソーム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 51/04 20060101AFI20240416BHJP
   A61K 51/12 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K51/04 100
A61K51/04 200
A61K51/12 100
A61K51/12 200
A61K9/127
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023553170
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 US2021059969
(87)【国際公開番号】W WO2022109188
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/115,519
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523183736
【氏名又は名称】プラス セラピューティクス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PLUS THERAPEUTICS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】523183747
【氏名又は名称】ナノティーエックス, コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NANOTX, CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スタイン, グレゴリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘドリック, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ライス, シェリル
(72)【発明者】
【氏名】ブレナー, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】バオ, アンデ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB11
4C076BB13
4C076CC50
4C076DD15F
4C076DD15H
4C076DD63F
4C076DD63H
4C076DD70F
4C076DD70H
4C084AA12
4C084MA05
4C084MA24
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085HH03
4C085JJ05
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB09
4C085KB10
4C085KB52
4C085LL18
(57)【要約】
本発明により放射標識リポソーム及びその使用方法が提供される。1つの局面において、治療を必要とする対象において疾患又は障害を治療する方法であって、治療上有効な量の、リポソーム及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む放射標識リポソームを投与することを含む方法である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象において疾患又は障害を治療する方法であって、治療上有効な量のリポソーム及び式I:
【化1】

[式中、
Mは99mTc、186Re、又は188Reであり;
XはNRであり;
はCHCHNEt又はCHCHCHCHであり;
はCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)又はCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である]の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む放射標識リポソームを投与するステップを含む方法。
【請求項2】
がCHCHNEtであり、RがCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がCHCHCHCHであり、RがCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Mが186Reである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
化合物がリポソームに組み込まれているか又は結合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
リポソームがリポソーム内に組み込まれている薬剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
薬剤が少なくとも1個のチオール基を含む化合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
薬剤が化合物と反応する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
薬剤がグルタチオン、システイン、N-アセチルシステイン、2-メルカプトコハク酸、2,3-ジメルカプトコハク酸、カプトプリル、又はこれらの組合せを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
リポソームが脂質を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
リポソームがリン脂質を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
リポソームがコレステロール又はコレステロール類似体を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
リポソームがジステアロイルホスファチジルコリンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
放射標識リポソームがリポソームを調製するのに使用された脂質50mg当たり約0.01mCi~約400mCiの化合物を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
リポソームが化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子を更に含み、化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子がリポソームに組み込まれているか又は結合されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
疾患又は障害ががんである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
がんが、肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、膀胱がん、肝がん、白血病、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、肝細胞がん、黒色腫、肉腫、頭頸部がん、神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫、上衣腫、びまん性橋膠腫、軟膜髄膜転移、及び小児科高悪性度神経膠腫から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
がんが神経膠腫である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
がんが膠芽腫である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
膠芽腫が再発性膠芽腫である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
がんが軟膜髄膜転移である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
対象が以前にベバシズマブを含む治療を受けていない、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
放射標識リポソームが、放射標識リポソームを含む注入液の点滴によって投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
放射標識リポソームが対流増強送達によって投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
対流増強送達が1又は複数のカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
対流増強送達が1つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対流増強送達が2つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
対流増強送達が3つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
対流増強送達が4つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
注入液が約1μLmin-1~約50μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
注入液が約5μLmin-1~約40μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
注入液が約5μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
注入液が約10μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
注入液が約15μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約0.1mCi~約50mCiである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1mCi~約20mCiである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1mCiである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約2mCiである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約4mCiである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約8mCiである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約13.4mCiである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約22.3mCiである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約31.2mCiである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
注入液の容積が約0.1mL~約25mLである、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
注入液の容積が約0.5mL~約13mLである、請求項23~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
注入液の容積が約0.66mLである、請求項23~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
注入液の容積が約1.32mLである、請求項23~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
注入液の容積が約2.64mLである、請求項23~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
注入液の容積が約5.28mLである、請求項23~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
注入液の容積が約8.8mLである、請求項23~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
注入液の容積が約12.3mLである、請求項23~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約0.1mCimL-1~約50mCimL-1である、請求項23~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約0.5mCimL-1~約10mCimL-1である、請求項23~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1mCimL-1~約5mCimL-1である、請求項23~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1.5mCimL-1である、請求項23~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約2.5mCimL-1である、請求項23~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
方法が投与と同時に放射標識リポソームを画像化するステップを更に含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
方法が投与に続いて放射標識リポソームを画像化するステップを更に含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
[0001]この出願は2020年11月18日に出願された米国仮特許出願第63/115,519号の利益を請求し、その出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の背景】
【0002】
[0002]膠芽腫(GBM)は成人の最も一般的且つ侵襲性の原発性悪性脳腫瘍である。この10年間のGBMの標準的な治療は手術とそれに続くテモゾロマイドを用いた併用化学放射線療法であり、この治療方式では主に放射線が生存に貢献していた。外照射療法(EBRT)は依然として原発性脳腫瘍の処置の中心的要素であるが、周囲の正常な脳組織の耐容能により制限される。殆どの再発は切除縁から2センチメートル以内に起きるので、小線源治療のような局所療法の発展に対する差し迫った必要性が残っている。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明により、1つの局面において、治療を必要とする対象において疾患又は障害を治療する方法であって、治療上有効な量の、リポソーム及び式I:
【化1】

[式中、
Mは99mTc、186Re、又は188Reであり;
XはNRであり;
はCHCHNEt又はCHCHCHCHであり;
はCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)又はCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である]の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む放射標識リポソームを投与することを含む方法が提供される。
【0004】
[0004]幾つかの実施形態において、RはCHCHNEtであり、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)である。幾つかの実施形態において、RはCHCHCHCHであり、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である。幾つかの実施形態において、Mは186Reである。
【0005】
[0005]幾つかの実施形態において、化合物はリポソームに組み込まれているか又は結合されている。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態において、リポソームはリポソーム内に組み込まれた薬剤を更に含む。
【0007】
[0007]幾つかの実施形態において、薬剤は少なくとも1個のチオール基を含む化合物である。幾つかの実施形態において、薬剤は化合物と反応する。幾つかの実施形態において、薬剤はグルタチオン、システイン、N-アセチルシステイン、2-メルカプトコハク酸、2,3-ジメルカプトコハク酸、カプトプリル、又はこれらの組合せを含む。
【0008】
[0008]幾つかの実施形態において、リポソームは脂質を含む。幾つかの実施形態において、リポソームはリン脂質を含む。
【0009】
[0009]幾つかの実施形態において、リポソームはコレステロール又はコレステロール類似体を含む。幾つかの実施形態において、リポソームはジステアロイルホスファチジルコリンを含む。
【0010】
[0010]幾つかの実施形態において、放射標識リポソームはリポソームを調製するのに使用された脂質50mg当たり約0.01mCi~約400mCiの化合物を含む。
【0011】
[0011]幾つかの実施形態において、リポソームは化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子を更に含み、化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子はリポソームに組み込まれているか又は結合されている。
【0012】
[0012]幾つかの実施形態において、疾患又は障害はがんである。幾つかの実施形態において、がんは、肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、膀胱がん、肝がん、白血病、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、肝細胞がん、黒色腫、肉腫、頭頸部がん、神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫、上衣腫、びまん性橋膠腫、軟膜髄膜転移、及び小児科高悪性度神経膠腫から選択される。幾つかの実施形態において、がんは神経膠腫である。幾つかの実施形態において、がんは膠芽腫である。幾つかの実施形態において、がんは再発性膠芽腫である。幾つかの実施形態において、がんは軟膜髄膜転移である。
【0013】
[0013]幾つかの実施形態において、対象は前以てベバシズマブを含む治療を受けていない。
【0014】
[0014]幾つかの実施形態において、放射標識リポソームは、放射標識リポソームを含む注入液の点滴によって投与される。
【0015】
[0015]幾つかの実施形態において、放射標識リポソームは対流増強送達によって投与される。幾つかの実施形態において、対流増強送達は1つ又は複数のカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は1つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は2つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は3つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は4つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は を含む。
【0016】
[0016]幾つかの実施形態において、注入液は約1μLmin-1~約50μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約5μLmin-1~約20μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約5μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約10μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約15μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約20μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約25μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約30μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約35μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約40μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約45μLmin-1の最大流量で投与される。
【0017】
[0017]幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約0.1mCi~約50mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCi~約20mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約4mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約8mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約13.4mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約22.3mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約31.2mCiである。
【0018】
[0018]幾つかの実施形態において、注入液の容積は約0.1mL~約25mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約0.5mL~約10mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約1mL~約5mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約2mL~約15mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約5mL~約10mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約10mL~約15mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約15mL~約20mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約0.66mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約1mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約1.32mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約2mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約2.64mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約3mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約4mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約5mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約5.28mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約6mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約7mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約8mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約8.8mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約9mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約10mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約11mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約12mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約12.3mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約13mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約14mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約15mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約16mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約16.35mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約17mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約18mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約18.5mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約18.5mLより大きい。幾つかの実施形態において、注入液の容積は(例えば、膠芽腫を含む)脳の単一の半球に送達される。幾つかの実施形態において、注入液の容積は(例えば、膠芽腫を含む)脳の両方の半球に送達される。
【0019】
[0019]幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約0.1mCimL-1~約50mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約0.5mCimL-1~約10mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCimL-1~約5mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCimL-1~約10mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2mCimL-1~約10mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約4mCimL-1~約10mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約5mCimL-1~約10mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCimL-1~約3mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1.5mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2.5mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約3mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約4mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約5mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約6mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約7mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約8mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約9mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約10mCimL-1である。
【0020】
[0020]幾つかの実施形態において、方法は投与と同時に放射標識リポソームを撮像することを更に含む。幾つかの実施形態において、方法は投与の後に放射標識リポソームを撮像することを更に含む。
【参照による援用】
【0021】
[0021]この明細書で触れる全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが特に個別に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
[0022]本発明の新規な特徴は添付の特許請求の範囲に明記される。本発明の特徴及び利点のより良好な理解は、本発明の原理が利用される例示の実施形態を記載する以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、前にベバシズマブで処置された患者及びベバシズマブにナイーブな患者の腫瘍容積に対して186Reナノリポソームの吸収された線量を示す。
図2図2は、186Reナノリポソームで処置された各患者の腫瘍容積を示す。
図3図3は、186Reナノリポソームによる処置後の処置された容積の注入液の容積に対する比対注入液の容積を示す。
図4図4は、前にベバシズマブで処置された患者とベバシズマブにナイーブな患者との間の186Reナノリポソームによる処置後の生存の差を示す。
図5図5は、186Reナノリポソームの様々な線量レベルに対する脳、全身、及び腫瘍容積への平均の吸収された線量を示す。
図6図6は、186Reナノリポソームによる処置後のベースライン磁気共鳴画像(MRI)及び単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)画像を示す。
図7図7は、ベースライン及び186Reナノリポソーム処置後56日の磁気共鳴画像(MRI)及びかん流スキャン画像(perfusion scan image)を示す。
図8図8は、186Reナノリポソームによる処置後8日で送達された放射線の程度(吸収された線量で測定)を示す3D画像である。
図9図9は、様々な平均の吸収された線量及びTuV/TrV比(パーセント)を含む対象の全生存を示すチャートである。
図10図10は、ベースラインのMRI、並びに20%点滴の後、点滴終了時、点滴後24時間、点滴後120時間、及び点滴後192時間の時点でのSPECT画像を含む画像を示す。
図11図11は、ベースラインのMRI、並びに20%点滴の後、点滴終了時、点滴後24時間、点滴後120時間、及び点滴後192時間の時点でのSPECT画像を含む画像を示す。
図12図12は、100Gyより多く受ける患者の全生存を100Gy未満受ける患者の全生存と比較したKaplan Meier曲線を示す。
図13図13は、ベースラインMRI及び様々な時点で撮った多数のSPECT画像を示す。
図14A図14Aは、186Reナノリポソーム(例えば、186RNL)小線源治療の3D線量分布を示す。
図14B図14Bは、多数の患者に対する被覆(coverage)割合(%)をY-軸に、吸収された線量(Gy)X-軸にした線量容積ヒストグラムを示す。
図14C図14Cは、比較基準として体幹部定位放射線治療(SBRT)線量の等線量分布を示す。
【発明の詳細な説明】
【0024】
定義
[0038]他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語はこの開示が属する技術分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0025】
[0039]本明細書で使用されるとき、単数形態「a」、「an」及び「the」は情況が明らかに他を指示しない限り複数の対象を含む。
【0026】
[0040]本明細書で使用されるとき、用語「放射性核種」は放射線を発するあらゆる元素を指す。放射性核種が発することができる放射線の例には、限定されることはないが、α線、β線、γ線、X線、転換電子、又はAuger電子がある。放射性核種から発せられる放射線は当技術分野で公知の技術を用いて検出し測定することができる(Goins及びPhillips「The use of scintigraphic imaging as a tool in the development of liposome formulations」、Progress in Lipid Research、40、95~123ページ、2001参照、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本発明により提供される実施形態で有用な放射性核種の例はSrivastavaら「Recent Advances in Radionuclide Therapy」、Seminars in Nuclear Medicine、Vol.XXXI、No.4、330~341ページ(October)、2001に開示されており、この文献は参照によりその全体が組み込まれる。
【0027】
[0041]本明細書で使用されるとき、「放射標識リポソーム」はリポソームに組み込まれているか又は結合されている本発明により提供される放射標識された化合物を含むリポソームを指す。用語「リポソーム」は二重膜を含むあらゆる小胞を意味する。「リポソーム」には単層及び多層のリポソームがある。
【0028】
[0042]本明細書で使用されるとき、用語「組み込む」とは式Iの化合物をリポソームの二重膜内に埋め込むことを意味する。リポソームの二重膜は親油性であるので、高い親油性をもつ化合物はリポソームの二重膜内に捕捉されることができる。
【0029】
[0043]「薬学的に許容される担体」は対象に対して非毒性の、医薬組成物中の活性成分以外の成分をいう。薬学的に許容される担体には、限定されることはないが、当技術分野で公知の、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol,A.編(1980)に記載されているもののような緩衝材、賦形剤、安定剤、又は保存料がある。
【0030】
[0044]本明細書で使用されるとき、「治療」又は「処置」は、好ましくは臨床結果を含めた有益又は所望の結果を得るための手法である。例えば、有益又は所望の臨床結果には、限定されることはないが:疾患の結果生じる症状の減少、疾患に罹患している人のクオリティ・オブ・ライフの上昇、疾患を治療するのに必要とされる他の薬剤の用量の低下、疾患の進行の遅延、及び/又は個体の生存の延長のうちの1つ又は複数がある。
【0031】
[0045]本明細書で使用されるとき、薬剤、化合物、又は医薬組成物の「有効な用量」又は「有効量」は有益又は所望の結果を奏するのに充分な量である。予防的使用の場合、有益又は所望の結果には、疾患、その合併症及び疾患の進行中に見られる中間の病理学的表現型の生化学的、組織学的及び/又は行動的症状を含めて疾患の、リスクの除外若しくは低減、重症度の軽減、又は発症の遅延のような結果がある。治療上の使用の場合、有益又は所望の結果には、疾患の結果生じる1つ又は複数の症状の減少、疾患に罹患している人のクオリティ・オブ・ライフの上昇、疾患を治療するのに必要とされる他の薬剤の用量の低下、標的化によるといったような別の薬剤の効果の増強、疾患の進行の遅延、及び/又は生存の延長のような臨床結果がある。がん又は腫瘍の場合、有効量の薬剤はがん細胞の数を低下させる;腫瘍の大きさを低減する;周囲の臓器へのがん細胞の浸潤を抑制する(即ち、ある程度遅くする、好ましくは止める);腫瘍の転移を阻害する(即ち、ある程度遅くする、好ましくは止める);腫瘍の成長をある程度抑制する;及び/又は障害に関連する1つ又は複数の症状をある程度軽減する効果を有し得る。有効な用量は1又は複数の投与で投与することができる。この発明の目的から、薬剤、化合物、又は医薬組成物の有効な用量は予防又は治療処置を直接又は間接的に遂行するのに充分な量である。臨床情況で理解されるように、薬剤、化合物、又は医薬組成物の有効な用量は別の薬剤、化合物、又は医薬組成物と合わせて達成されてもされなくてもよい。従って、「有効な用量」は1種又は複数の治療薬を投与する情況で考えられてもよく、1種又は複数の他の薬剤と合わせて望ましい結果が達成されるか若しくはされ得る場合単一の薬剤が有効量で与えられると考えられ得る。
【0032】
[0046]「薬学的に許容される賦形剤」及び「薬学的に許容される担体」は、活性薬剤の対象への投与及び対象による吸収を補助し、かなりの不利な毒物学的効果を患者に及ぼすことなく本発明の組成物に含めることができる物質を意味する。薬学的に許容される賦形剤の非限定例には水、NaCl、生理食塩水、乳酸加リンゲル液、正常スクロース、正常グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香味料、塩溶液(例えばリンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトース、アミロース又はデンプン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び色(colors)、などがある。かかる製剤は殺菌することができ、所望により、本発明の化合物と有害な反応をしない潤滑剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響するための塩、緩衝剤、着色剤、及び/又は芳香族物質などのような助剤と混合することができる。当業者には認識されるように、他の薬学的賦形剤が本発明で有用である。
【0033】
[0047]用語「製剤(preparation)」は、活性成分が他の担体と共に又はなしで、ある担体によって取り囲まれていて合体しているカプセルを提供する担体としての封入材料と活性化合物との調合物(formulation)を含むことが意図されている。同様に、カシェー及びトローチが包含される。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェー、及びトローチは経口投与に適した固体投薬形態として使用することができる。用語は放射標識を含むことが意図されている。
【0034】
[0048]本明細書で使用されるとき、用語「投与」は経口投与、座薬としての投与、局所接触、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、鞘内、鼻腔内、対流(例えば、対流増強送達による)又は皮下投与、又は遅効性デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの対象への移植を意味する。投与は非経口及び経粘膜を含めてあらゆる経路による(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、経鼻、膣、直腸、又は経皮)。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、及び頭蓋内がある。送達の他のモードには、限定されることはないが、リポソーム組成物、静脈内点滴、経皮動脈内パッチ、等の使用がある。
【0035】
[0049]本明細書で使用されるとき、用語「送達されるdelivered」、及びその変化形(例えば、「送達するdelivering」)は用語「投与されるadministered」、及びその変化形(例えば、「投与するadministering」)と同義で使用される。
【0036】
[0050]「同時投与する」とは、本明細書に記載されている化合物が1又は複数の追加の治療、例えば、本明細書に記載されている抗がん剤の投与と同時、直前、又は直後に投与されることを意味する。本明細書に記載されている化合物は単独で投与することができ、又は患者に同時投与することができる。同時投与は個別又は組合せ(1より多い化合物又は薬剤)の化合物の同時又は逐次投与を含めて意味する。従って、製剤は所望の場合他の活性物質(例えば抗がん剤)と組み合わせることもできる。
【0037】
[0051]同時投与は1種の活性薬剤(例えば本明細書に記載されている放射標識されたナノリポソーム)を第2の活性薬剤(例えば抗がん剤)の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、又は24時間以内に投与することを含む。また同時投与が1種の活性薬剤を第2の活性薬剤の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、又は24時間以内に投与することを含む実施形態も本発明により考えられる。同時投与は2種の活性薬剤を同時に、ほぼ同時に(例えば、互いに約1、5、10、15、20、又は30分以内に)、又は順次任意の順に投与することを含む。同時投与は同時調合、即ち両方の活性薬剤を含む単一の医薬組成物を調製することにより達成することができる。他の実施形態において、活性薬剤は別々に製剤化することができる。幾つかの実施形態において、活性及び/又は補助薬剤は互いに結合又はコンジュゲートされる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は化学療法又は放射線療法のようながんの治療と組み合わせられる。
【0038】
[0052]「患者」、「対象」、「それを必要とする患者」、及び「それを必要とする対象」は本明細書で同義に使用され、本発明により提供される医薬組成物の投与により治療することができる疾患又は状態であるか又はなる傾向がある生体を意味する。非限定例にはヒト、その他の哺乳類、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、乳牛、シカ、及び他の非哺乳動物がある。幾つかの実施形態において、患者はヒトである。「がん患者」はがんに罹患しているか、又はがんを発症する傾向がある患者である。
【0039】
[0053]明らかに他に示されない限り、本明細書で使用される用語「個体」は限定されないが、ウシ、ウマ、ネコ、ウサギ、イヌ、齧歯動物、又は霊長類(例えば、ヒト)を含めた哺乳類を指す。幾つかの実施形態において、個体はヒトである。幾つかの実施形態において、個体はチンパンジー及びその他の類人猿及びサル種のような非ヒト霊長類である。幾つかの実施形態において、個体は畜牛、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタのような家畜;ウサギ、イヌ及びネコのようなペット;ラット、マウス、及びモルモットのような齧歯動物を含めた実験動物;などである。幾つかの実施形態において、本発明は人間医学及び獣医学の両方で有用である。
【0040】
[0054]「疾患」又は「状態」は本発明により提供される化合物又は方法で治療することができる患者又は対象の存在状態又は健康状態を指す。幾つかの実施形態において、本明細書で使用される疾患はがんを意味する。
【0041】
[0055]「化学療法」又は「化学療法剤」はその明白な通常の意味で使用され、抗腫瘍特性又は細胞の成長又は増殖を抑制する能力を有する化学組成物又は化合物を意味する。
【0042】
[0056]「がんモデル生物」は、本明細書で使用されるとき、がんを表す表現型を示すか、又は生物内にがんを引き起こす要因の活性を示す生物である。用語がんは上に定義されている。広範囲の生物ががんモデル生物として役に立ち得、例えば、がん細胞及び齧歯動物(例えばマウス又はラット)及び霊長類(例えばヒト)のような哺乳類生物を含む。がん細胞株はインビボのがんと同様な表現型又は遺伝子型を示す細胞として当業者に広く理解されている。本明細書で使用されるがん細胞株は動物(例えばマウス)及びヒト由来の細胞株を含む。
【0043】
放射標識されたナノリポソーム
[0057]リポソームは診断薬の担体として、特にトレーサー及び画像研究用の放射性医薬品としてのその価値のために大いに興味深い。治療用放射性核種の担体としてリポソームを用いる多くの利点がある。幾つかの利点には、(1)リポソームの生体適合性;(2)一様な集団サイズ範囲で様々な大きさのリポソーム粒子が押出技術を用いることにより容易に実現することができること;(3)リポソームの表面はいろいろな種類の官能基で変更することができること;(4)リポソームの分布は機能性で、ミクロ標的化する(microtargeted)ことができること;及び(5)リポソームからの放射性同位体拡散のメカニズムがモニターすることができ、これは腫瘍組織内の均一な線量分布を送達するのに役立つことがある。
【0044】
[0058]放射性核種は薬剤のインビボ分布を研究するための非侵襲的な方法として広く使用されている。しかしながら、リポソームを造影剤として放射性核種で標識する試みは定まらない結果を生じている。多くの放射性核種はリポソームに弱く結合し、そのため放射性核種はリポソームから滲出し、不正確な生体内分布データを生じる。また、製造中のリポソーム内への水溶性放射性核種の捕捉は比較的効率が悪い。
【0045】
[0059]レニウム-186(186Re)は半減期およそ90-時間、放射線パス範囲1.8-mmで、がんの小線源療法に適した高いβ/γ-エネルギー比を有するβ線を放出する治療用放射性核種である。加えて、186Reは標準的なSPECT/CTによるインビボの薬剤挙動の画像化を可能にするのに充分なガンマ線のエネルギーを有する。治療用放射性核種は、腫瘍内に隔離され、ゆっくり再分配されるのを確実にするために担体を必要とする。リポソームのナノ粒子(ナノリポソーム)は放射性核種を封入し、持続性の腫瘍内蓄積を補助する手段を提供する。我々は、186Reを高い効率及び比放射能でナノリポソームに担持する方法を開発することに成功した。このプロセスは以前に記載されているよりも著しく高いレベルの比放射能をもたらし、顕著により高い送達治療用放射線量を低減した毒性で提供する可能性を有する。
【0046】
[0060]本発明により、1つの局面において、リポソーム及び式I:
【化2】

[式中、
Mは99mTc、186Re、又は188Reであり;
XはNRであり;
はCHCHNEt又はCHCHCHCHであり;
はCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)又はCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である]の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む放射標識リポソームが提供される。
【0047】
[0061]幾つかの実施形態において、RはCHCHNEtである。幾つかの実施形態において、RはCHCHCHCHである。幾つかの実施形態において、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)である。幾つかの実施形態において、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である。幾つかの実施形態において、RはCHCHNEtであり、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)である。幾つかの実施形態において、RはCHCHCHCHであり、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である。
【0048】
[0062]幾つかの実施形態において、Mは99mTcである。幾つかの実施形態において、Mは186Reである。幾つかの実施形態において、Mは188Reである。幾つかの実施形態において、Mが186Reであり、リポソームがナノリポソームを含むとき、放射標識リポソームは186Reナノリポソームといわれる。
【0049】
[0063]幾つかの実施形態において、化合物はリポソーム(例えば、ナノリポソーム)に組み込まれているか又は結合されている。
【0050】
[0064]幾つかの実施形態において、リポソームはリポソーム内に組み込まれた薬剤を更に含む。
【0051】
[0065]幾つかの実施形態において、薬剤は少なくとも1個のチオール基を含む化合物である。幾つかの実施形態において、薬剤は化合物と反応する。幾つかの実施形態において、薬剤はグルタチオン、システイン、N-アセチルシステイン、2-メルカプトコハク酸、2,3-ジメルカプトコハク酸、カプトプリル、又はこれらの組合せを含む。幾つかの実施形態において、薬剤はグルタチオンを含む。幾つかの実施形態において、薬剤はシステインを含む。幾つかの実施形態において、薬剤はN-アセチルシステインを含む。幾つかの実施形態において、薬剤は2-メルカプトコハク酸を含む。幾つかの実施形態において、薬剤は2,3-ジメルカプトコハク酸を含む。幾つかの実施形態において、薬剤はカプトプリルを含む。幾つかの実施形態において、薬剤は組合せを含む。
【0052】
[0066]幾つかの実施形態において、リポソームは脂質を含む。1つの実施形態において、リポソームはナノリポソームである。幾つかの実施形態において、リポソームはリン脂質を含む。
【0053】
[0067]幾つかの実施形態において、リポソームはコレステロール又はコレステロール類似体を含む。幾つかの実施形態において、リポソームはコレステロールを含む。幾つかの実施形態において、リポソームはコレステロール類似体を含む。幾つかの実施形態において、リポソームはジステアロイルホスファチジルコリンを含む。
【0054】
医薬組成物
[0068]本開示の医薬組成物はあらゆる適切な薬剤調合物に製剤化され得る。本開示の医薬組成物は通例活性成分、並びに1種又は複数の薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えば、限定されないが:不活性固体希釈剤及び充填剤、希釈剤、無菌の水溶液及び様々な有機溶媒、透過促進剤、可溶化剤、及びアジュバントを含有する。本開示の組成物はあらゆる適切な薬剤調合物に製剤化され得る。186Reナノリポソームを含む医薬組成物は186レニウム-脂質ナノ粒子(186RNL)といってもよい。幾つかの実施形態において、医薬組成物は186Reナノリポソームを含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は持続性の腫瘍内蓄積を引き起こす。
【0055】
[0069]医薬組成物はいかなる適切な形態でも提供され得、投与の経路に依存し得る。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されている医薬組成物は対象への投与のための投薬形態で製剤化することができる。幾つかの実施形態において、医薬組成物は経口、静脈内、動脈内、エアロゾル、非経口、頬側、局所、経皮動脈内、直腸、筋肉内、皮下、骨内、鼻腔内、肺内、経粘膜的、吸入、心室内、軟膜腔内(例えば、軟膜髄膜転移の治療のため)、及び/又は腹腔内投与用に製剤化される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は対流増強送達(CED)による投与用に製剤化される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は心室リザーバ(ventricular reservoir)を介する点滴に適している。
【0056】
[0070]放射標識されたナノリポソーム(例えば、186Reナノリポソーム)の投与量は治療される哺乳類、障害又は病気の重症度、投与速度、化合物の性質及び処方する医師の自由裁量に依存する。
【0057】
[0071]幾つかの実施形態において、放射標識されたナノリポソームは、1種又は複数の第2の薬剤(例えば、1、2、3、4、5、又はそれ以上の第2の薬剤)を同時又は順次放射標識されたナノリポソームと共に投与することを含む治療計画の一部として投与することができる。順次投与されるとき、放射標識されたナノリポソームは1種又は複数の第2の薬剤の前又は後に投与し得る。同時に投与されるとき、放射標識されたナノリポソーム及び1種又は複数の第2の薬剤は同じ経路(例えば同じ位置への対流増強送達)により、異なる経路(例えば経口で投与される錠剤と、他方で対流増強送達を受ける)により、又は同じ組合せ(例えば放射標識されたナノリポソーム及び1種又は複数の第2の薬剤を含む溶液)の一部として投与され得る。幾つかの実施形態において、放射標識されたナノリポソーム(例えば、186Reナノリポソーム)は医薬組成物内で送達される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は186Reナノリポソームを含む。
【0058】
[0072]本発明による併用治療は広い用量範囲にわたって有効であり得る。正確な用量は選択される薬剤、投与の経路、化合物が投与される形態、治療される対象、治療される対象の体重、並びに担当医の好み及び経験に依存する。
【0059】
[0073]幾つかの実施形態において、医薬組成物は1種又は複数の界面活性剤を含む。本開示の医薬組成物及び投薬形態を形成するのに使用することができる界面活性剤には、限定されることはないが、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、及びこれらの混合物がある。即ち、親水性界面活性剤の混合物を使用してもよいし、親油性界面活性剤の混合物を使用してもよいし、又は少なくとも1種の親水性界面活性剤と少なくとも1種の親油性界面活性剤の混合物を使用してもよい。
【0060】
[0074]適切な親水性界面活性剤は一般に少なくとも10のHLB値を有し得、一方適切な親油性界面活性剤は一般に約10以下のHLB値を有し得る。非イオン性の両親媒性化合物の相対的な親水性及び疎水性を特徴付けるのに使用される経験パラメーターは親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値の界面活性剤はより親油性又は疎水性であり、油に対してより大きい溶解度を有し、一方より高いHLB値の界面活性剤はより親水性であり、水溶液に対してより大きい溶解度を有する。親水性の界面活性剤は一般に約10より大きいHLB値を有する化合物、並びにHLBスケールが一般に当てはまらないアニオン性、カチオン性、又は両性イオン性化合物であると考えられる。同様に、親油性の(即ち、疎水性の)界面活性剤は約10以下のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は工業、薬学及び化粧品エマルションの調合を可能にするのに広く使用される概略の指針に過ぎない。
【0061】
[0075]親水性界面活性剤はイオン性又は非イオン性であり得る。適切なイオン性界面活性剤には、限定されることはないが、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水添レシチン;リゾレシチン及び水添リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸の塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化されたモノ及びジグリセリド;モノ及びジグリセリドのクエン酸エステル;及びこれらの混合物がある。
【0062】
[0076]上述の群のうちで、イオン性界面活性剤の:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸の塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート;モノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化されたモノ及びジグリセリド;モノ及びジグリセリドのクエン酸エステル;及びこれらの混合物がある。
【0063】
[0077]イオン性界面活性剤はイオン化された形態のレシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸の乳酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、乳酸ステアロイル、スクシニル化されたモノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレート、リノレエート、リノレネート、ステアレート、ラウリル硫酸、テラセシルスルフェート(teracecyl sulfate)、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、及び塩及びこれらの混合物であり得る。
【0064】
[0078]親水性の非イオン性界面活性剤には、限定されないが、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えばポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えばポリエチレングリコールアルキルフェノール;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えばポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸、及びステロールの群の少なくとも一員とポリオールとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体、及び類似体;ポリオキシエチル化されたビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;及びこれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル並びにトリグリセリド、植物油、及び硬化植物油の群の少なくとも一員とポリオールとの親水性ステル交換生成物が含まれ得る。ポリオールはグリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、又はサッカリドであり得る。
【0065】
[0079]他の親水性非イオン性界面活性剤には、限定することなく、PEG-10ラウレート、PEG-12ラウレート、PEG-20ラウレート、PEG-32ラウレート、PEG-32ジラウレート、PEG-12オレエート、PEG-15オレエート、PEG-20オレエート、PEG-20ジオレエート、PEG-32オレエート、PEG-200オレエート、PEG-400オレエート、PEG-15ステアレート、PEG-32ジステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-20ジラウレート、PEG-25グリセリルトリオレエート、PEG-32ジオレエート、PEG-20グリセリルラウレート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-20グリセリルステアレート、PEG-20グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-40グリセリルラウレート、PEG-40パーム核油、PEG-50硬化ひまし油、PEG-40ひまし油、PEG-35ひまし油、PEG-60ひまし油、PEG-40硬化ひまし油、PEG-60硬化ひまし油、PEG-60トウモロコシ油、PEG-6カプレート/カプリレートグリセリド、PEG-8カプレート/カプリレートグリセリド、ポリグリセリル-10ラウレート、PEG-30コレステロール、PEG-25植物ステロール、PEG-30ダイズステロール、PEG-20トリオレエート、PEG-40ソルビタンオレエート、PEG-80ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG-100スクシネート、PEG-24コレステロール、ポリグリセリル-10オレエート、Tween 40、Tween 60、スクロースモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズ、及びポロキサマーがある。
【0066】
[0080]適切な親油性界面活性剤には、ほんの一例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化されたステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノ及びジグリセリドの乳酸誘導体;グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸及びステロールの群の少なくとも一員とポリオールとの疎水性のエステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;及びこれらの混合物がある。この群内で、好ましい親油性の界面活性剤はグリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を含むか、又は植物油、硬化植物油、及びトリグリセリドの群の少なくとも一員とポリオールとの疎水性のエステル交換生成物である。
【0067】
[0081]1つの実施形態において、組成物は本開示の放射標識されたナノリポソームの良好な可溶化及び/又は溶解を確実にし、本開示の放射標識されたナノリポソームの沈殿を最少にするために可溶化剤を含み得る。これは注射にとって殊に重要であり得る。可溶化剤はまた親水性薬剤及び/又は界面活性剤のような他の成分の溶解性を増大するか、又は組成物を安定又は均質の溶液又は分散液として維持するためにも加えられ得る。
【0068】
[0082]適切な可溶化剤の例には、限定されることはないが:アルコール及びポリオール、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びその異性体、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスキトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;約200~約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル、例えばテトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEG;アミド及び他の窒素含有化合物、例えば2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド及びポリビニルピロリドン;エステル、例えばプロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及びその異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体;及び当技術分野で公知の他の可溶化剤、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水がある。
【0069】
[0083]可溶化剤の混合物も使用し得る。例としては、限定されないが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコフロール、トランスキトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドがある。特に好ましい可溶化剤にはソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール及びプロピレングリコールがある。
【0070】
[0084]包含されることができる可溶化剤の量は特に限定されない。所与の可溶化剤の量は生体に許容される量に限定され得、これは当業者により容易に決定され得る。幾つかの状況において、生体に許容される量をはるかに超える量の可溶化剤を含め、例えば、組成物を患者に提供する前に蒸留又は蒸発のような慣用の技術を用いて過剰の可溶化剤を除去して薬剤の濃度を最大にするのが有利であろう。存在する場合、可溶化剤は薬剤、及び他の賦形剤の合わせた重量に対して10%、25%、50%、100%、又は約200重量%までの重量割合であり得る。所望であれば、5%、2%、1%又はそれ未満のような非常に少ない量の可溶化剤も使用し得る。典型的に可溶化剤は約1%~約100%、より典型的には約5%~約25重量%の量で存在し得る。
【0071】
[0085]組成物は1種又は複数の薬学的に許容される添加剤及び賦形剤を更に含むことができる。かかる添加剤及び賦形剤には、限定することなく、脱粘着剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、酸化防止剤、保存料、キレート剤、粘度調節剤、等張化剤(tonicifier)、香味料、着色剤、着臭剤(odorant)、乳白剤、懸濁剤、結合剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、及びこれらの混合物がある。
【0072】
[0086]加えて、加工処理を容易にし、安定性を増強するために、又はその他の理由から、酸又は塩基を組成物に組み込んでもよい。薬学的に許容される塩基の例にはアミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト(hydrocalcite)、水酸化アルミニウムマグネシウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などがある。また、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸(hydroquinosulfonic acid)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸(para-bromophenylsulfonic acid)、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸、などのような薬学的に許容される酸の塩である塩基も適している。リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素ナトリウムのような多塩基酸の塩も使用することができる。塩基が塩であるとき、カチオンはアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、などのようなあらゆる便利で薬学的に許容されるカチオンであり得る。例としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム及びアンモニウムが挙げられる。適切な酸は薬学的に許容される有機又は無機の酸である。適切な無機の酸の例には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、などがある。適切な有機の酸の例には酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などがある。
【0073】
点滴用の医薬組成物
[0087]幾つかの実施形態において、本開示は放射標識されたナノリポソーム(例えば、186Reナノリポソーム)及び注射に適した医薬品賦形剤を含む対流増強送達のような点滴用の医薬組成物を提供する。組成物中の薬剤の成分及び量は本明細書に記載されている。幾つかの実施形態において、医薬組成物は心室リザーバを介する点滴に適している。
【0074】
[0088]本開示の放射標識されたナノリポソームが点滴による投与のために組み込まれ得る形態はごま油、トウモロコシ油、綿実油、又は落花生油、並びにエリキシル剤、マンニトール、ブドウ糖、又は無菌水溶液、及び類似の薬学ビヒクルを含む水性又は油性懸濁液、又はエマルションを含む。
【0075】
[0089]生理食塩水中の水溶液も点滴に慣用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、など(及びこれらの適切な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油も使用し得る。適切な流動性は、例えば、分散液の場合の必要とされる粒度の維持のためのレシチンのようなコーティングの使用及び界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の活動の予防は各種の抗菌及び抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、などにより行なうことができる。
【0076】
[0090]無菌の注入できる溶液は本開示の放射標識されたナノリポソームを必要とされる量で必要に応じて上に列挙した様々な他の成分と共に適当な溶媒に組み込み、続いてろ過滅菌により調製される。一般に、分散液は基礎分散媒を含有する無菌のビヒクルに様々な殺菌された活性成分及び上に列挙された必要とされる他の成分を組み込むことにより調製される。無菌の注入できる溶液の調製のための無菌の粉末の場合、幾つかの望ましい調製方法は真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、これにより活性成分プラス先に滅菌ろ過した溶液に由来する任意の追加の所望成分の粉末が得られる。
【0077】
[0091]幾つかの実施形態において、医薬組成物は約5分、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約1時間、約1.5時間、又は約2時間投与される。
【0078】
対流増強送達
[0092]対流増強送達(CED)は頭蓋の穿頭孔を介した直接脳組織への1つ又は複数のカテーテルの定位固定を含む。治療薬はカテーテルを通して微量注入送達システムにより連続的に投与されてカテーテル先端において正の圧力勾配を作り出すことができる。圧力が維持されると、流体の対流又は流れが生じて細胞外空間全体への拡散を補い、治療薬の標的領域への分配を増強する。CEDの目標は、脳組織のより大きい容積への治療薬の均一な分配を提供すること、より高い薬剤濃度を直接組織に提供すること、及び血液脳関門(BBB)を横断し得ない治療薬を治療に利用することであり得る。
【0079】
[0093]対流増強送達は持続する送達、緊急の送達、又はこれらの組合せであり得る。例えば、治療の方法は放射標識されたナノリポソームの脳領域への持続する送達を含むことができ、ここで放射標識されたナノリポソームは連続した点滴割合で数日、数週、数月又は数年の期間にわたって送達される。治療の方法は放射標識されたナノリポソームの急速な送達を含むことができ、この場合放射標識されたナノリポソームは別々のボーラス投与で数分又は数時間にわたって送達される。治療の方法は持続及び急速送達の組合せを含むことができ、放射標識されたナノリポソームを連続した第1の点滴速度で数日、数週、数月又は数年の期間にわたって送達すると共に、一定又は不定期の間隔で第2のより速い速度での限定された持続時間の点滴を散在させる。点滴速度及び点滴時間は適正な送達を達成する際に重要な要因であり得る。加えて、点滴速度及び点滴時間は点滴圧力に代わり得る。
【0080】
[0094]放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物又は調合物のCEDは約0.1μL/min~約20μL/minの点滴速度を含むことができる。
【0081】
[0095]放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物又は調合物のCEDは約:0.1μL/min、0.5μL/min、0.7μL/min、1μL/min、1.2μL/min、1.5μL/min、1.7μL/min、2μL/min、2.2μL/min、2.5μL/min、2.7μL/min、3μL/min、3.5μL/min、4μL/min、5μL/min、6μL/min、7μL/min、7.5μL/min、10μL/min、15μL/min、20μL/min、25μL/min、30μL/min、35μL/min、40μL/min、45μL/min、50μL/minより大きい、又は50μL/minより大きい点滴速度を含むことができる。
【0082】
[0096]放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物又は調合物のCEDは約:50μL/min、45μL/min、40μL/min、35μL/min、30μL/min、25μL/min、20μL/min、15μL/min、12μL/min、10μL/min、7.5μL/min、又は5μL/min未満の点滴速度を含むことができるか、又は更に含むことができる。
【0083】
[0097]放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物又は調合物のCEDは送達中「ステッピング(stepping)」といわれる流量の漸増増大(incremental increase)を含むことができるか、又は更に含むことができる。ステッピングは約0.1μL/min~約20μL/minの点滴速度を含むことができる。定期的な間隔で、ステッピングCEDは約:0.1μL/min、0.2μL/min、0.3μL/min、0.4μL/min、0.5μL/min、0.6μL/min、0.7μL/min、0.8μL/min、0.9μL/min、1μL/min、1.25μL/min、1.5μL/min、2μL/min、2.5μL/min、3μL/min又はそれ以上ずつの点滴速度の1つ又は複数の増大を含むことができる。
【0084】
[0098]CEDにより投与される医薬組成物又は調合物中の放射標識リポソームにより送達される放射能の有効量は1mCi~1000mCiであり得る。例えば、有効量は1~1000mCi、1~500mCi、1~250mCi、1~150mCi、1~100mCi、1~75mCi、1~50mCi、1~25mCi、1~10mCi、1~5mCi、5~1000mCi、5~500mCi、5~250mCi、5~150mCi、5~100mCi、5~75mCi、5~50mCi、5~25mCi、5~10mCi、10~1000mCi、10~500mCi、10~250mCi、10~150mCi、10~100mCi、10~75mCi、10~50mCi、10~25mCi、25~1000mCi、25~500mCi、25~250mCi、25~150mCi、25~100mCi、25~75mCi、25~50mCi、50~1000mCi、50~500mCi、50~250mCi、50~150mCi、50~100mCi、50~75mCi、75~1000mCi、75~500mCi、75~250mCi、75~150mCi、75~100mCi、100~1000mCi、100~500mCi、100~250mCi、100~150mCi、150~1000mCi、150~500mCi、150~250mCi、250~1000mCi、250~500mCi又は500~1000mCiであり得る。幾つかの実施形態において、有効量は10mCi~250mCiである。幾つかの実施形態において放射標識リポソームにより送達される放射能の有効量は50mCi~150mCiである。幾つかの実施形態において放射標識リポソームにより送達される放射能の有効量は10mCi~500mCiである。
【0085】
[0099]CEDにより投与される放射標識リポソームにより送達される放射能の有効量は1~2000μL、1~1500μL、1~1000μL、1~750μL、1~500μL、1~250μL、1~100μL、1~50μL、1~10μL、10~2000μL、10~1500μL、10~1000μL、10~750μL、10~500μL、10~250μL、10~100μL、10~50μL、50~2000μL、50~1500μL、50~1000μL、50~750μL、50~500μL、50~250μL、50~100μL、100~2000μL、100~1500μL、100~1000μL、100~750μL、100~500μL、100~250μL、250~2000μL、250~1500μL、250~1000μL、250~750μL、250~500μL、500~2000μL、500~1500μL、500~1000μL、500~750μL、750~2000μL、750~1500μL、750~1000μL、1000~2000μL、1000~1500μL、又は1500~2000μLの容積であり得る。
【0086】
[0100]CEDにより投与される放射標識リポソームにより送達される放射能の有効量(例えば、医薬組成物中)は約0.5mCi/ml、約1mCi/ml、約1.5mCi/ml、約1.52mCi/ml、約2mCi/ml、約2.24mCi/ml、約2.36mCi/ml、約2.5mCi/ml、約2.53mCi/ml、約2.54mCi/ml、約3mCi/ml又は約3.5mCi/mlの濃度であり得る。
【0087】
[0101]CEDの方法に関する更なる教示については、例えば各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSaitoら、Exp.Neurol.、196:381~389、2005;Krauzeら、Exp.Neurol.、196:104~111、2005;Krauzeら、Brain Res.Brain Res.Protocol.、16:20~26、2005;米国特許出願公開第2006/0073101号;及び米国特許第5,720,720号参照。また、各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれるNobleら、Cancer Res.2006 Mar.1;66(5):2801-6;Saitoら、J Neurosci Methods.2006 Jun.30;154(1-2):225-32;Hadaczekら、Hum Gene Ther.2006 March;17(3):291~302;及びHadaczekら、Mol Ther.2006 July;14(1):69~78も参照。
【0088】
対流増強送達及び画像化
[0102]対流増強送達の利点は画像技術を用いて点滴中の薬剤分布が見られる能力であり得る。ガドリニウム及びヨウ素をベースとする画像化化合物は、例えば磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging)又はコンピューター断層撮影法(computed tomography imaging)を用いて活性成分分布をリアルタイムで安全且つ正確に追跡するためにトレーサーとして使用することができる。これらのトレーサーは点滴中類似の対流特性をもつ低分子量及び高分子量の両方の化合物の分布を示すことができる。加えて、放射標識されたナノリポソームはトレーサーの使用なしで(例えば、放射標識されたナノリポソームのガンマ線放出により)画像化することができる。幾つかの実施形態において、本発明により提供される方法及び組成物はトレーシング剤(tracing agent)を含まない。
【0089】
[0103]放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物をCEDにより送達することを含む方法において、医薬組成物はトレーシング剤を含むことができる。トレーシング剤は、それがCNS中を移動すると共にそのトレーシング剤の分布をモニターし、放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せがCNS内の所定の容積に分配されたとき医薬組成物の送達を中止することを可能にすることができる。固体組織を通る動きは磁気共鳴映像法(MRI)、コンピューター断層撮影法、X線コンピューター断層撮影(CT)、又は単一光子放射型コンピューター断層撮影のような画像化技術によりモニターすることができる。トレーシング剤はCNS組織内で治療薬(例えば、放射標識されたナノリポソーム)と実質的に同様な可動性を有することができ、送達はトレーシング剤が所望の領域に到達するか若しくは所望の分布容積を実現するか、又は標的組織の縁に到達するか若しくはほぼ到達するか若しくは越えることが観察されたとき中止することができる。幾つかの実施形態において、本開示の放射標識されたナノ粒子はトレーサーを含む組成物と同じ機能(例えば、分布をモニターすること)を提供することができる。
【0090】
[0104]所望の容積は治療の標的とされる脳の特定の領域に対応し得る。分布の所望の容積は点滴に続いてモニターされるトレーシング剤で観察される分布の容積と「実質的に同様である」ことができる。「実質的に同様」とは20%未満の容積の差を意味する。より好ましくは、容積の差は15%未満、より好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である。トレーシング剤の分布をモニターすることにより、分布の所定の容積に達したときに点滴を中止し得る。
【0091】
[0105]分布の所望の容積は、例えば、当技術分野で標準的な画像化ソフトウェア、例えばiFLOW(商標)を用いて決定することができる。また、例えば、各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれるKrautzeら、Brain Res.Protocols、16:20~26、2005;及びSaitoら、Exp.Neurol.、196:3891-389、2005も参照。
【0092】
[0106]トレーサーはMRIで使用される常磁性のイオンを含むことができる。適切な金属イオンには22~29(端も含む)、42、44及び58~70(端も含む)の原子番号を有するものがあり、+2又は+3の酸化状態を有する。かかる金属イオンの例はクロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)及びイッテルビウム(III)である。
【0093】
[0107]X線画像化(例えばCT)を使用してCEDをモニターする実施形態において、トレーサーは放射線不透過性の物質を含み得る。適切な放射線不透過性物質には、限定されることはないが、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物、などがある。放射線不透過性物質の具体的な例にはバリウム、ジアトリゾ酸、ヨード化ケシ油エチルエステル(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、イオカルミン酸、イオセタム酸、ヨーダミド、イオジパミド、ヨードキサム酸、ヨーグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオスメト酸、イオタスル、ヨーテトル酸、イオタラミン酸、イオトロクス酸、イオキサグリン酸、イオキソトリロ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾ酸、プロピリオドン、及び塩化第一タリウムがある。
【0094】
対流増強送達(CED)のためのデバイス
[0108]放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物又は調合物がCEDにより脳領域に投与される本明細書に開示された方法ではあらゆる適切なデバイスを使用することができると考えられる。
【0095】
[0109]送達デバイスは、放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物又は調合物をCEDにより送達することができるポンプを含むことができる。ポンプは浸透圧ポンプ又は点滴ポンプであり得る。これらのポンプは、背圧及び/又は閉塞に関連する問題のようなポンプの機能不全に関連する望ましくない問題を防ぐ際に有用であり得る。その理由は、これらのポンプは背圧が閾値を超えて上昇したときに強制的に停止するのに使用される背圧センサーを含み得るからである。デバイスは対象の脳領域への局所送達を容易にするカテーテル又はカニューレを含むことができるか、又はそれと共同して使用することができる。カテーテル又はカニューレは多数の出口を含むことができる。カテーテル又はカニューレは構造的硬直性をカテーテル又はカニューレに提供するために外側のチュービングを含むことができる。カテーテル又はカニューレは逆流のないステップデザインカニューレ(reflux-free step-design cannula)であり得る。
【0096】
[0110]1又は複数のカテーテル又はカニューレは対象の1つ又は複数の脳領域中又はその近くに挿入することができる。定位固定マップ及び位置決めデバイスは、例えばASI Instruments、Warren、Michから入手できる。位置決めは注入デバイスを選ばれた標的に案内する助けをするために対象の脳のCT及び/又はMRI画像により得られた解剖マップを用いることによって行なうことができる。
逆流のないステップデザインカニューレ
【0097】
[0111]CEDは参照によりその全体が本明細書に組み込まれるKrauzeら、J Neurosurg.2005 November;103(5):923-9、並びに参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0088295号、及び参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0135945号開示されているようなCEDと適合性の逆流のないステップデザインカニューレを使用して行なうことができる。
【0098】
[0112]1つの実施形態において、ステップデザインカニューレは持続投与と適合性である。別の実施形態において、ステップデザインカニューレは緊急の投与と適合性である。もう1つ別の実施形態において、ステップデザインカニューレはより速い点滴速度又はより高い治療薬レベルでの緊急の投与期間を散在させた持続投与の組合せと適合性である。
【0099】
別のカテーテル
[0113]CEDは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2013/127884号に開示されているようなCED適合性のカテーテルを含む脳神経外科装置を用いて実行することができる。
【0100】
[0114]脳神経外科装置は案内デバイス及びカテーテルを含むことができる。案内デバイスは細長い管を含むことができ、この管はその近位端にヘッドを有する。使用の際、細長い管は、頭蓋骨に形成された穴を介して標的の脳領域を目指して脳内に挿入することができる。ヘッドは案内デバイスを頭蓋骨に確実に取り付けるために使用することができる。この挿入はステレオガイド又は手術用ロボット支援技術を用いて行ない得る。管のヘッド及び穴を貫通して内部チャンネルが提供される。次いでカテーテルは、このチャンネルを通過して脳の選択された標的の付近に到達することができる。
【0101】
[0115]この開示は、放射標識されたナノリポソーム(例えば、186Reナノリポソーム)(例えば、医薬組成物が放射標識されたナノリポソームを含むとき)、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物又は調合物のCEDによる送達を奏することができるポンプを含む送達キット又はデバイスを提供する。キット又はデバイスは、本明細書に開示されているいずれかのもののような放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せを含む医薬組成物を更に含む。キット又はデバイスはCED適合性のカニューレ又はカテーテルを更に含む。カニューレ又はカテーテルは持続性又は緊急の投与と適合性であり得る。
【0102】
放射線
[0116]幾つかの実施形態において、本発明により放射線を送達するための医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、医薬組成物はリポソームを含む。幾つかの実施形態において、リポソームはナノリポソームを含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は同位体のレニウムを含む。幾つかの実施形態において、同位体のレニウムは186-レニウム(186Re)を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物はリポソーム(例えば、ナノリポソーム)及び同位体のレニウム(例えば、186Re)を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は式Iの化合物及びリポソームを含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は同位体のレニウム(例えば、186Re)及びナノリポソームを含む186Reナノリポソームを含む。
【0103】
[0117]幾つかの実施形態において、医薬組成物は放射線を送達する。幾つかの実施形態において、医薬組成物はβ線を送達する。幾つかの実施形態において、医薬組成物はガンマ線を送達する。幾つかの実施形態において、医薬組成物は1種類の放射線を送達する。医薬組成物は2種類の放射線(例えば、β線及びガンマ線)を送達する。幾つかの実施形態において、本発明により放射線(例えば、2種類の放射線)(例えば、β線及び/又はガンマ線)を送達するための医薬組成物(例えば、リポソーム(例えば、ナノリポソーム)及び同位体の(例えば、186)レニウムを含む)が提供される。
【0104】
[0118]幾つかの実施形態において、医薬組成物は対象に投与される。幾つかの実施形態において、対象は治療を必要とする患者である。幾つかの実施形態において、治療を必要とする患者はがんを含む。
【0105】
[0119]放射線、特にβ線はがんを有する患者の治療に有用であり得る。ガンマ線は可視化目的に有用であり得る。幾つかの実施形態において、可視化は画像化することを含む。ガンマ線及びβ線の両方を送達する医薬組成物は療法(例えば、がんの治療のための放射線)を送達し、送達された療法の可視化を可能にするのに有益であり得る。例えば、ガンマ線は療法の送達中(例えば、186Reナノリポソームの投与中)の可視化(例えば、画像化)及び生体内分布の評価のために適正なエネルギーを有し得る。ガンマ線を用いた画像化は対象に投与するために1つ又は複数の送達パラメーターを変更するのに有益であり得る。
【0106】
[0120]β線及びガンマ線の両方を送達することにより、療法に対する変更を可能にするように療法の1つ又は複数の送達パラメーターを調節し得る。幾つかの実施形態において、医薬組成物は送達され可視化される(例えば、画像化される)。幾つかの実施形態において、医薬組成物は送達され、同時に可視化される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は送達され、後に可視化される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は送達され(例えば、CEDにより)、可視化され(例えば、同時に)、変更は1つ又は複数の送達パラメーターに対して行なわれる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターの変更は医薬組成物の送達(例えば、対流)中に起こる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターの変更は医薬組成物の送達後に起こる。
【0107】
[0121]幾つかの実施形態において、療法(例えば、1つ又は複数の送達パラメーター)に対する変更は医薬組成物の送達及び可視化(例えば、画像化)に応答して行なわれる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターは点滴速度、容積量、濃度、投与の位置、カテーテルの数、及び/又は医薬組成物の送達に使用されるデバイスを含む。容積、放射線量、又は本明細書に開示されている医薬組成物の用量のいずれもβ線及びガンマ線を送達するのに充分であり得る。
【0108】
[0122]幾つかの実施形態において、医薬組成物(例えば、β線及びガンマ線を送達する186Reナノリポソーム)の送達により、医薬組成物の標的(例えば、腫瘍)への上首尾の送達を確実にするように療法をモニターすることが可能になる。
【0109】
画像化
[0123]ガンマ線は可視化(例えば、見える化(viewing))目的に有益であり得る。幾つかの実施形態において、可視化は画像化することを含む。例えば、医薬組成物はがんの治療を可能にするのに充分な線量のβ線、及び画像化(例えば、インビボ画像化)を可能にするのに充分な線量のガンマ線を送達し得る。幾つかの実施形態において、可視化は画像化することを含む。幾つかの実施形態において、組成物はトレーサーを更に含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物はトレーサーを含まない。幾つかの場合において、ガンマ線はトレーサーを使用しない可視化に充分である。
【0110】
[0124]幾つかの実施形態において、画像化は単一光子放射型コンピューター断層撮影-コンピューター断層撮影(SPECT-CT)を含む。幾つかの実施形態において画像化は単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)を含む。幾つかの実施形態において、画像化はコンピューター断層撮影(CT)を含む。幾つかの実施形態において、画像化は磁気共鳴映像法(MRI)を含む。幾つかの実施形態において、画像化は放射線写真術(例えば、X線)、蛍光透視法、核医学、陽電子放出断層撮影(PET)(例えば、単一光子放射型コンピューター断層撮影)、コンピューター断層撮影(CT)、術中画像化、及びマンモグラフィー、又はこれらの組合せのような別の形態の画像化を含み得る。幾つかの実施形態において、画像化は二次元画像化を含む。幾つかの実施形態において、画像化は本明細書に開示されている画像化技術のいずれかの組合せ(例えば、SPECT及びMRI)を含む。幾つかの実施形態において、画像化は静止画像を含む。幾つかの実施形態において、画像化は動的画像を含む。
【0111】
治療の方法
[0125]本発明により、幾つかの実施形態において、本発明により開示された医薬組成物のいずれかに組み込まれ得る本発明により開示された放射標識リポソームを使用する方法が提供される。
【0112】
[0126]本発明により、1つの局面において、治療を必要とする対象において疾患又は障害を治療する方法であって、リポソーム(例えば、ナノリポソーム)及び式I:
【化3】

[式中、
Mは99mTc、186Re、又は188Reであり;
XはNRであり;
はCHCHNEt又はCHCHCHCHであり;
はCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)又はCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である]の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む治療上有効な量の放射標識リポソームを投与することを含む方法が提供される。
【0113】
[0127]幾つかの実施形態において、RはCHCHNEtである。幾つかの実施形態において、RはCHCHCHCHである。幾つかの実施形態において、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)である。幾つかの実施形態において、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である。幾つかの実施形態において、RはCHCHNEtであり、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)である。幾つかの実施形態において、RはCHCHCHCHであり、RはCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である。
【0114】
[0128]幾つかの実施形態において、Mは99mTcである。幾つかの実施形態において、Mは186Reである。幾つかの実施形態において、Mは188Reである。幾つかの実施形態において、Mが186Reであり、リポソームがナノリポソームを含むとき、放射標識リポソームは186Reナノリポソームといわれる。
【0115】
[0129]幾つかの実施形態において、化合物はリポソームに組み込まれているか又は結合されている。
【0116】
[0130]幾つかの実施形態において、リポソームはリポソーム内に組み込まれた薬剤を更に含む。
【0117】
[0131]幾つかの実施形態において、薬剤は少なくとも1個のチオール基を含む化合物である。幾つかの実施形態において、薬剤は化合物と反応する。幾つかの実施形態において、薬剤はグルタチオン、システイン、N-アセチルシステイン、2-メルカプトコハク酸、2,3-ジメルカプトコハク酸、カプトプリル、又はこれらの組合せを含む。幾つかの実施形態において、薬剤はグルタチオンを含む。幾つかの実施形態において、薬剤はシステインを含む。幾つかの実施形態において、薬剤はN-アセチルシステインを含む。幾つかの実施形態において、薬剤は2-メルカプトコハク酸を含む。幾つかの実施形態において、薬剤は2,3-ジメルカプトコハク酸を含む。幾つかの実施形態において、薬剤はカプトプリルを含む。幾つかの実施形態において、薬剤は組合せを含む。
【0118】
[0132]幾つかの実施形態において、リポソームは脂質を含む。幾つかの実施形態において、リポソームはリン脂質を含む。
【0119】
[0133]幾つかの実施形態において、リポソームはコレステロール又はコレステロール類似体を含む。幾つかの実施形態において、リポソームはコレステロールを含む。幾つかの実施形態において、リポソームはコレステロール類似体を含む。幾つかの実施形態において、リポソームはジステアロイルホスファチジルコリンを含む。
【0120】
[0134]幾つかの実施形態において、放射標識リポソーム(例えば、ナノリポソーム)はリポソームを調製するのに使用される50mgの脂質当たり約0.01mCi~約400mCiの化合物を含む。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームはリポソームを調製するのに使用される50mgの脂質当たり約1mCi~約200mCiの化合物を含む。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームはリポソームを調製するのに使用される50mgの脂質当たり約10mCi~約100mCiの化合物を含む。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームはリポソームを調製するのに使用される50mgの脂質当たり約25mCi~約50mCiの化合物を含む。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームはリポソームを調製するのに使用される50mgの脂質当たり約1.5mCiの化合物を含む。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームはリポソームを調製するのに使用される50mgの脂質当たり約2.5mCiの化合物を含む。
【0121】
[0135]幾つかの実施形態において、リポソーム(例えば、ナノリポソーム)は化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子を更に含み、ここで化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子はリポソームに組み込まれているか又は結合されている。幾つかの実施形態において、リポソームは化学療法剤を更に含む。幾つかの実施形態において、リポソームは抗生物質製剤を更に含む。幾つかの実施形態において、リポソームは治療分子を更に含む。
【0122】
[0136]幾つかの実施形態において、疾患又は障害はがんである。幾つかの実施形態において、がんは、肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、膀胱がん、肝がん、白血病、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、肝細胞がん、黒色腫、肉腫、頭頸部がん、神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫、上衣腫、びまん性橋膠腫、軟膜髄膜転移、及び小児科高悪性度神経膠腫から選択される。幾つかの実施形態において、がんは肺がんである。幾つかの実施形態において、がんは乳がんである。幾つかの実施形態において、がんは大腸がんである。幾つかの実施形態において、がんは前立腺がんである。幾つかの実施形態において、がんは皮膚がんである。幾つかの実施形態において、がんは胃がんである。幾つかの実施形態において、がんは膀胱がんである。幾つかの実施形態において、がんは肝がんである。幾つかの実施形態において、がんは白血病である。幾つかの実施形態において、がんはリンパ腫である。幾つかの実施形態において、がんは卵巣がんである。幾つかの実施形態において、がんは膵がんである。幾つかの実施形態において、がんは肝細胞がんである。幾つかの実施形態においては、がんは黒色腫である。幾つかの実施形態において、がんは肉腫である。幾つかの実施形態において、がんは頭頸部がんである。幾つかの実施形態において、がんは神経膠腫である。幾つかの実施形態において、がんは膠芽腫である。幾つかの実施形態において、膠芽腫は再発性膠芽腫である。幾つかの実施形態において、がんは軟膜髄膜転移である。幾つかの実施形態において、がんは髄芽腫である。幾つかの実施形態において、がんは上衣腫である。幾つかの実施形態において、がんはびまん性橋膠腫である。幾つかの実施形態において、がんは小児科高悪性度神経膠腫である。
【0123】
[0137]幾つかの実施形態において、対象はベバシズマブを含む治療を前に受けたことがある。幾つかの実施形態において、対象はベバシズマブを含む治療を以前に受けたことがない。
【0124】
[0138]幾つかの実施形態において、医薬組成物(例えば、放射標識されたナノリポソームを含む)は注入液である。幾つかの実施形態において、放射標識されたナノリポソームは、放射標識リポソームを含む注入液として点滴を介して投与される。幾つかの実施形態において、点滴は心室リザーバによる点滴を含む。
【0125】
[0139]幾つかの実施形態において、放射標識リポソーム(例えば、医薬組成物中)は対流増強送達を介して投与される。幾つかの実施形態において、対流増強送達は1つ又は複数のカテーテルを介した放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は1つのカテーテルを介した放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は2つのカテーテルを介した放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は3つのカテーテルを介した放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は4つのカテーテルを介した放射標識リポソームの投与を含む。幾つかの実施形態において、対流増強送達は4つより多くのカテーテルを介した放射標識リポソームの投与を含む。
【0126】
[0140]幾つかの実施形態において、注入液は約1μLmin-1~約50μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約5μLmin-1~約20μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約1μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約2μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約5μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約10μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約15μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約20μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約25μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約25μLmin-1より大きい最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約30μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約35μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約40μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、注入液は約45μLmin-1の最大流量で投与される。幾つかの実施形態において、最大流量はカテーテル当たりの最大流量である。
【0127】
[0141]幾つかの実施形態において、医薬組成物の投与は1つのカテーテル、2つのカテーテル、3つのカテーテル又は4つのカテーテルを含む。
【0128】
[0142]幾つかの実施形態において、カテーテル当たりの注入液送達の速度は1ul/min、2ul/min、3ul/min、4ul/min、5ul/min、6ul/min、7ul/min、8ul/min、9ul/min、10ul/min、11ul/min、12ul/min、13ul/min、14ul/min、15ul/min、16ul/min、17ul/min、18ul/min、19ul/min、20ul/min、30ul/min、35ul/min又は約40ul/minである。
【0129】
[0143]幾つかの実施形態において、投与の最小間隔は約5min、約10min、約15min、約20min、約25min、約30min、約40min、約50min、約60min、約90分、約120分又は約150分である。
【0130】
[0144]幾つかの実施形態において、放射標識リポソーム(例えば、医薬組成物中の放射標識されたナノリポソーム)により送達される放射能の量は約0.1mCi~約50mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCi~約40mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCi~約30mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCi~約20mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約10mCi~約30mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約20mCi~約30mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約3mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約4mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約5mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約6mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約7mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約8mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約9mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約10mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約11mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約12mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約13mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約13.4mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約14mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約15mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約16mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約17mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約18mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約19mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約20mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約21mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約22mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約22.3mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約22.3mCiより多い。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約23mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約24mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約25mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約26mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約27mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約28mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約29mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約30mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約31mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約31.2mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約31.2mCiより多い。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約35mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約40mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約41.5mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約41.5mCiより多い。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約45mCiである。幾つかの実施形態において、放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約45mCiより多い。
【0131】
[0145]幾つかの実施形態において、注入液の容積は約0.1mL~約25mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約0.5mL~約10mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約0.66mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約1mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約1.32mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約2mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約2.64mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約3mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約4mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約5mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約5.28mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約6mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約7mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約8mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約8.8mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約8.8mLより大きい。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約9mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約10mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約11mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約12mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約12.3mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約13mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約13.2mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約14mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約15mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約16mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約16.35mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約17mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約18mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約18.5mLである。幾つかの実施形態において、注入液の容積は約18.5mLより大きい。幾つかの実施形態において、注入液の容積は脳の単一の半球(例えば、膠芽腫を含む)に送達される。幾つかの実施形態において、注入液の容積は脳の両方の半球(例えば、膠芽腫を含む)に送達される。
【0132】
[0146]幾つかの実施形態において、分布容積は約2mL、約2.64mL、約5mL、約5.28mL、約10mL、約、10.5mL、約13mL、約13.2mL、約19mL、約19.4mL、約26mL、約26.4mL、約33mL、約33.3mL、又は約35mLである。
【0133】
[0147]幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約0.1mCimL-1~約50mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約0.5mCimL-1~約10mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCimL-1~約5mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約1.5mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2.24mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2.36mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2.5mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2.53mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2.54mCimL-1である。幾つかの実施形態において、注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量は約2.54mCimL-1より多い。
【0134】
[0148]幾つかの実施形態において、吸収された線量(例えば、吸収された放射線量)の量は約10Gy、約20Gy、約30Gy、約40Gy、約50Gy、約80Gy、約100Gy、約120Gy、約150Gy、約200Gy、約225Gy、約250Gy、約300Gy、約350Gy、約400Gy、約425Gy、約450Gy、約500Gy、約550Gy、約575Gy、約600Gy、約625Gy、約650Gy、約675Gy、約700Gy、約740Gy、約750Gy、又は約800Gyである。幾つかの実施形態において、吸収された線量の量は100Gy未満である。幾つかの実施形態において、吸収された線量の量は100Gyより多い。
【0135】
[0149]幾つかの実施形態において、方法は投与と同時に放射標識リポソームを画像化することを更に含む。幾つかの実施形態において、方法は投与に続いて放射標識リポソームを画像化することを更に含む。幾つかの実施形態において、方法は結果として持続性の腫瘍内蓄積を起こす。
【0136】
新しい放射線の増分(increment)を送達する
[0150]本発明により、幾つかの実施形態において、放射線の増分を対象に送達する方法が提供される。幾つかの実施形態において、方法は以前に放射線療法の投与を受けた対象に放射線の増分を送達することを含む。幾つかの実施形態において、以前に受けた放射線療法の線量は最大の線量の放射線療法であった。幾つかの実施形態において、放射線の増分はβ線を含む。幾つかの実施形態において、対象はがんを有する患者を含む。幾つかの実施形態において、増分は放射線の追加の一部分を含む。
【0137】
[0151]幾つかの実施形態において、本発明により提供される方法は本発明により提供される医薬組成物のいずれかを送達することによりそれを必要とする対象(例えば、がんを有する患者)に放射線(例えば、β線)の追加の一部分を送達することを含む。幾つかの実施形態において、増分は直前の治療で受けた放射線の量より多い量の放射線を含む。幾つかの実施形態において、増分は先の治療(例えば、現在の治療の前に受けた治療)で受けた放射線と同じ量を含む。幾つかの実施形態において、放射線の増分を送達することは、本発明により提供される医薬組成物の1つ又は複数の送達パラメーター(例えば、容積、線量、点滴速度、点滴時間、等)を変更することにより様々な量の放射線を送達することを含む。幾つかの実施形態において、変更された量の放射線を送達することは注入液の容積及び/又は放射線の線量を変えることを含む。
【0138】
[0152]幾つかの実施形態において、放射線の増分を送達することは以前に受けた(例えば、本発明により開示された医薬組成物から以前に受けた)より大きい線量の放射線を送達することを含む。幾つかの実施形態において、増分は本明細書に提供された線量又は容積のいずれかを含む。幾つかの実施形態において、増分は線量の一部分を含む。幾つかの実施形態において、放射線の増分を送達することは以前に受けたより多い(例えば、現在進行中の治療に関して、又は本発明により開示された医薬組成物から受ける放射線に関して)量の放射線を送達することを含む。増分は、限定されないが実施例(例えば、実施例4)に開示される線量を含めて、本出願を通じて開示される線量のいずれかであり得る。
【0139】
[0153]幾つかの実施形態において、放射線の増分を送達することはβ線を送達することを含む。幾つかの実施形態において、放射線の増分を送達することはガンマ線を送達することを含む。幾つかの実施形態において、放射線の増分を送達することはβ線及びガンマ線を送達することを含む。
【0140】
[0154]幾つかの実施形態において、放射線は新しい放射線を含む。幾つかの実施形態において新しい放射線は放射線(例えば、β線)及び/又は本発明により開示された医薬組成物のいずれかを受ける前に対象により受けられてない医薬組成物を含む。
【0141】
[0155]幾つかの実施形態において、方法は以前に放射線を受けていない対象(例えば、がんを有する患者)に放射線の増分を送達することを含む。幾つかの実施形態において、増分を送達することは次第に大きくなる線量の放射線を送達することを含む。
【0142】
[0156]幾つかの実施形態において、放射線の増分を受ける対象は以前に最大線量の放射線を受けた。幾つかの実施形態において、放射線の増分を受ける対象はその原発性及び/又は二次疾患の治療のために以前に最大線量の放射線を受けた。幾つかの実施形態において、対象はがん(例えば、膠芽腫)の治療のために以前に最大線量の放射線を受けた。幾つかの場合において、最大線量の放射線は最大の許容される線量(例えば、対象が顕著な副作用のリスクなしに受け得る許される放射線の上限)を含む。
【0143】
[0157]幾つかの実施形態において、対象は前に疾患(例えば、がん)又は状態の治療のための処置を受けていない。幾つかの実施形態において、対象は前に疾患(例えば、がん)又は状態の治療のための放射線治療を受けていない。幾つかの実施形態において、対象は以前に疾患(例えば、がん)又は状態の治療のための非放射線療法(例えば、ベバシズマブ)を受けていない。幾つかの実施形態において、対象は以前に疾患の治療のための非放射線療法を受けていない。幾つかの実施形態において、対象は疾患の治療のために本明細書に開示されているもの以外の医薬組成物からのβ線を含む放射線治療を以前に受けた。幾つかの実施形態において、対象は疾患の治療のために本明細書に開示されている医薬組成物からのβ線を含む放射線治療を受けたことがある。幾つかの実施形態において、放射線の増分を送達することは、既に治療(例えば、その原発性及び/又は二次疾患の治療)のための以前の最大線量の治療(例えば、放射線治療)を受けた対象に放射線の増分を送達することを含む。
【0144】
投与及び可視化
[0158]本発明により、幾つかの実施形態において、放射線治療送達を送達し可視化する(例えば、画像化する)方法が提供される。幾つかの実施形態において、放射線治療は本明細書に開示されている医薬組成物を含む。本発明により、幾つかの実施形態において、医薬組成物(例えば、放射標識リポソーム(例えば、186Reナノリポソーム))送達を送達し可視化する(例えば、画像化する)方法が提供する。幾つかの実施形態において、方法は標的への送達を確保することを含む。幾つかの実施形態において、標的はがんである。幾つかの実施形態において、標的は腫瘍である。幾つかの実施形態において、腫瘍は原発性腫瘍である。幾つかの実施形態において、腫瘍は二次性腫瘍である。幾つかの実施形態において、方法は送達中1つ又は複数の送達パラメーターを変更する(例えば、変化させる)ことを含む。幾つかの実施形態において、(例えば、CEDにより)放射線治療薬(例えば、医薬組成物)を送達する。幾つかの実施形態において、方法は送達中1つ又は複数の送達パラメーターを変更し、送達中医薬組成物の標的への送達を確保することを含む。
【0145】
[0159]幾つかの実施形態において、可視化(例えば、画像化)は(例えば、CEDにより)医薬組成物を投与する前に起こる。幾つかの実施形態において、方法は医薬組成物の送達中医薬組成物(例えば、放射線療法(例えば、医薬組成物)(例えば、放射標識リポソーム(例えば、186Re)))の送達を可視化することを含む。同時に起こる(例えば、同時又はリアルタイムの)投与(例えば、CEDによる)及び可視化は1つ又は複数の送達パラメーターに対して行なわれるリアルタイムの変更を可能にし得る。また、同時に起こる投与及び可視化は医薬組成物の標的(例えば、腫瘍)への送達を確保するのに役立ち得る。1つ又は複数の送達パラメーターを同時に(Concurrently)(例えば、同時に(simultaneously))可視化し(例えば、画像化し)調節することは安全性及び/又は効力を確実にするのに有用であり得る。幾つかの実施形態において、可視化は(例えば、CEDにより)医薬組成物を投与した後に起こる。
【0146】
[0160]ガンマ線は、医薬組成物がCNSを通って移動する間その分布をモニターし、放射標識されたナノリポソーム、別の治療薬、又はこれらの組合せがCNS内の所定の容積に分配されたとき医薬組成物の送達を中止し得る。ガンマ線の可視化は、ガンマ線が所望の領域に達したか又は分布の所望の容積を実現したか、又は標的組織の縁に達したか若しくはほぼ達したか若しくは縁を越えたのが観察されたときの医薬組成物の送達の停止を確実にするのを助け得る。
【0147】
[0161]幾つかの実施形態において、医薬組成物(例えば、放射線治療薬を含む)を(例えば、CEDにより)投与し(例えば、同時に)可視化することを含む方法は1つ又は複数の送達パラメーターを評価することを更に含む。1つ又は複数の送達パラメーターの評価は医薬組成物の可視化に応答して起こり得る。評価は医薬組成物の投与及び/又は可視化の前、中、又は後に起こり得る。
【0148】
[0162]幾つかの実施形態において、(例えば、放射線治療薬を含む)医薬組成物を(例えば、CEDにより)投与し(例えば、同時に)可視化し、1つ又は複数の送達パラメーターを評価することを含む方法は1つ又は複数の送達パラメーターを変更することを更に含む。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターの評価は、1つ又は複数の既に存在する送達パラメーターを維持する(例えば、変化させない)(例えば、点滴速度、濃度、線量、及び/又は容積を維持する)ことを含む。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターの変更は1つ又は複数の送達パラメーターを変更することを含む。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターを変更することは送達パラメーターを下げたり、送達パラメーターを上げたり、送達パラメーターを止めたり又は送達パラメーターを始めたりすることを含む。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターは医薬組成物の用量、放射線の線量、注入液の容積、点滴速度、投与の部位、投与間隔、カテーテルの数、カテーテル当たりの注入液の速度、点滴(例えば、投与)の間隔、医薬組成物を送達するデバイス、カテーテルの数(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つのカテーテルに変化させる)、カテーテル当たりの速度、又はこれらの任意の組合せのいずれか1つ又は複数を含む。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターは1つの送達パラメーターを含む。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターは2つ、3つ、4つ、又は5つの送達パラメーターを含む。1つ又は複数の送達パラメーターは本明細書に開示されているいずれかの送達パラメーターであり得る。
【0149】
[0163]幾つかの実施形態において、医薬組成物を(例えば、CEDにより)投与し(例えば、同時に)可視化することは医薬組成物の標的(例えば、腫瘍)への送達を確保することを更に含む。幾つかの場合において、医薬組成物の標的への送達を確保することは最小限に有効な用量の医薬組成物を標的に送達することを含む。幾つかの場合において、医薬組成物の標的への送達を確保することは医薬組成物の少なくとも一部分(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%)を送達することを含む。幾つかの場合において、送達を確保することは少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の医薬組成物を送達することを含む。
【0150】
[0164]幾つかの実施形態において、可視化(例えば、画像化)は医薬組成物を(例えば、CEDにより)投与した後に起こる。投与後の可視化は医薬組成物のその後の投与のために1つ又は複数の送達パラメーターを変更するのに有用であり得る。幾つかの実施形態において、可視化は医薬組成物を投与した後0分、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、45分、50分、1時間、1.25時間、1.5時間、2時間、4時間、5時間、10時間、24時間、48時間、72時間、4日、5日、1週、8日、2週、又は4週で起こる。幾つかの実施形態において、可視化は医薬組成物(例えば、放射標識リポソーム(例えば、186Re)を含む)を投与する前に起こる。幾つかの実施形態において、可視化は医薬組成物を投与する前1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、45分、50分、1時間、1.25時間、1.5時間、2時間、4時間、5時間、10時間、24時間、48時間、72時間、4日、5日、6日、8日、1週、2週、又は4週で起こる。幾つかの実施形態において、可視化は医薬組成物の投与の開始後に起こる。幾つかの実施形態において、可視化は医薬組成物を投与しながら起こる。
【0151】
[0165]幾つかの実施形態において、可視化(例えば、画像化)は本明細書に開示されている画像化方法(例えば、SPECT、SPECT-CT、MRI、等)のいずれかを含む。
【0152】
[0166]幾つかの実施形態において、可視化(例えば、放射線治療薬(放射標識リポソーム(例えば、186Re))の送達)は全身を画像化することを含む。幾つかの実施形態において、可視化は身体のある領域(例えば、局所領域)(例えば、頭部)の画像化を含む。幾つかの実施形態において、可視化は標的(例えば、腫瘍)を画像化することを含む。幾つかの実施形態において、可視化は原発性腫瘍を画像化することを含む。幾つかの実施形態において、可視化は二次性腫瘍を画像化することを含む。幾つかの実施形態において、可視化は原発性腫瘍及び二次性腫瘍を画像化することを含む。幾つかの実施形態において、可視化は腫瘍及び腫瘍を取り囲む領域(例えば、腫瘍が位置する及び/又は腫瘍の6インチ以内の領域)の画像化を含む。幾つかの実施形態において、可視化は(例えば、腫瘍を含む及び/又は腫瘍の領域以内の)1つ又は複数の臓器を画像化することを含む。幾つかの実施形態において、可視化は原発性腫瘍を画像化することを含む。
【0153】
[0167]幾つかの実施形態において、がんを有する対象において生存を増大する方法であって、本発明により100Gyより多い放射線を対象に送達することを含む方法が提供される。幾つかの実施形態において、100Gyより多い放射線を対象に送達することは医薬組成物(例えば、186Reナノリポソーム)を送達することを含む。幾つかの実施形態において、生存を増大する方法であって、本発明によりがんを有する対象の群においてその対象群の1人又は複数の対象に100Gyより多い放射線を送達することを含む方法が提供される。幾つかの実施形態において、方法は対象群の1人又は複数の対象の各々に100Gyより多くを送達することを含む。幾つかの実施形態において、生存は全生存を含む。幾つかの実施形態において、放射線の吸収された線量はβ線の吸収された線量を含む。幾つかの実施形態において、膠芽腫(例えば、再発性膠芽腫)を含む患者の群で全生存を増大する方法は100Gyより多い放射線(例えば、β線)を患者に送達することを含む。幾つかの実施形態において、100Gyより多い放射線をその群内の1人又は複数の対象に送達することは医薬組成物(例えば、186Reナノリポソーム)を送達することを含む。
【0154】
[0168]幾つかの実施形態において、100Gyより多い(例えば、吸収された線量)の放射線(例えば、β線)を受けるがん(例えば、膠芽腫)を有する対象の群は、100Gy未満の放射線(例えば、β線)を受けるがん(例えば、膠芽腫)を有する1人又は複数の対象を含む対象の第2の群と比較して増大した生存(例えば、全生存)を含む。幾つかの実施形態において、方法は第2の群の対象の1人又は複数の対象の各々に100Gy未満の放射線を送達することを含む。幾つかの実施形態において、線量を吸収することは本明細書に開示されている医薬組成物(放射標識リポソーム(例えば、186Re))を投与することを含む。幾つかの実施形態において、対象群内の1人又は複数の対象に医薬組成物を投与することはその結果として100Gyより多い吸収された放射線量となる。
【0155】
[0169]幾つかの実施形態において、本発明により提供された方法は全生存を増大する。幾つかの実施形態において、全生存は医薬組成物(例えば、放射標識リポソーム(例えば、186Reナノリポソーム)を含む)の投与後対象が生存する日数を含む。幾つかの実施形態において、100Gyより多く受ける対象の全生存は約100日、約150日、約200日、約250日、約300日、約350日又は約400日を含む。幾つかの実施形態において、100Gyより多くなるには不充分な(例えば、100Gy未満の線量を達成する)量の医薬組成物を受ける対象の全生存は約50日、約100日、約125日、又は約150日を含む。幾つかの実施形態において、100Gyより多く受ける対象の全生存は100Gy未満を受ける第2の対象群の全生存より約20日、約30日、約45日、約60日、約70日、約80日、約90日、約100日、約110日、約120日、又は約130日長い。
【0156】
別の実施形態
[0170]本発明により、幾つかの実施形態において、β線及びガンマ線の送達のための放射線治療薬(例えば、186Reナノリポソーム)が提供される。幾つかの実施形態において、放射線治療薬は医薬組成物中に組み込まれている。
【0157】
[0171]また、本発明により、がん(例えば、膠芽腫)の治療のためのβ線及び医薬組成物(例えば、186Reナノリポソーム)の可視化のためのガンマ線を発するのに充分な量の医薬組成物(例えば、186Reナノリポソーム)を(例えば、CEDにより)投与し、医薬組成物の送達を可視化する(例えば、画像化する)ことを含む、医薬組成物(例えば、186Reナノリポソーム)の方法も提供される。幾つかの実施形態において、方法は医薬組成物の標的(例えば、腫瘍)への送達を確保することを更に含む。幾つかの実施形態において、方法は1つ又は複数の送達パラメーターを変更することを更に含む。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターの変更は医薬組成物を投与しながら起こる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の送達パラメーターの変更は医薬組成物を投与した後に起こる。
【0158】
[0172]また、本発明により医薬組成物(例えば、186Reナノリポソーム)の増分を投与することを含むβ線の増分を対象(例えば、患者)に送達する方法も提供される。幾つかの実施形態において、対象は治療の以前の投与を受けた。幾つかの実施形態において、対象は以前に最大線量の治療を受けた。幾つかの実施形態において、以前の投与の治療は放射線療法であった。幾つかの実施形態において、対象は原発性疾患の治療のための治療の以前の投与を受けた。幾つかの実施形態において、対象は二次疾患の治療のための療法の以前の投与を受けた。
【0159】
[0173]また、本発明により100Gyより多い放射線(例えば、β線)を送達することを含むがん(例えば、膠芽腫)の対象(例えば、患者)群において全生存を増大する方法も提供される。幾つかの実施形態において、100Gyより多い放射線(例えば、β線)を受ける対象群は結果として100Gy未満の放射線(例えば、β線)を受ける対象群と比較してより大きい全生存を示す。
【0160】
[0174]本発明により医薬組成物(例えば、186Reナノリポソーム)を送達することを含む高い(例えば、100Gyより多い)吸収された放射線量を送達する方法が、更に提供される。幾つかの実施形態において、高い(例えば、100Gyより多い)吸収された放射線量を送達する方法はカテーテル数、流量(例えば、注入液の)及び注入液の容積を変えることを含む。幾つかの実施形態において、高い(例えば、100Gyより多い)吸収された放射線量を送達する方法はカテーテル数を変えることを含む。幾つかの実施形態において、高い(例えば、100Gyより多い)吸収された放射線量を送達する方法は流量を変えることを含む。幾つかの実施形態において、高い(例えば、100Gyより多い)吸収された放射線量を送達する方法は注入液の容積を変えることを含む。
【実施例
【0161】
実施例1:第1相臨床試験
[0175]標準的な手術、放射線、及び/又は化学療法処置後の再発又は進行性の悪性神経膠腫の患者に対流増強送達によって投与された186Reナノリポソームの安全性、耐容性、及び分布の単一中心連続コホートオープンラベル容積及び用量増大第1相臨床試験(single center,sequential cohort,open-label,volume-and dose-escalation Phase 1 clinical trial)を実施した。研究は修正されたFibonacci用量増大及び標準的3+3設計を利用した。
【0162】
[0176]Brainlab iPlan Flowソフトウェアを使用して、亀裂、溝、槽、室、及び切除腔のような白質路及び脳脊髄液腔を避けつつ腫瘍容積内へのSmartFlowカテーテル配置を計画した。Brainlab Varioguide Stereotacticシステムを用いてフレームレス画像ガイド下カテーテル配置を達成した。186Reナノリポソームは、対流増強送達により1~3つのカテーテルをカテーテル当たり1時間に付き0.90mL(カテーテル当たり15μL/分)以下の最大流量で利用して投与した。
【0163】
[0177]点滴の時間中一連の1-分動的二次元画像化を行なった。単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)/コンピューター断層撮影(CT)画像化及び連続した全身二次元画像化スキャンを186Reナノリポソーム点滴の直後、並びに1、3、5、及び8日後に行なって処置の間腫瘍及び他の臓器への放射線吸収された線量を評価した。一連の血液サンプル及び一連の24-時間採尿も活性をカウントした。興味のある領域データ及びOLINDA線量計算ソフトウェアを用いて線量測定を行なった。
15人の患者を処置したが、そのうちの14人は再発性膠芽腫であり、47%がベバシズマブによる処置に失敗した。点滴線量を1.0mCi~13.4mCiで次第に増大し、注入液容積を1~3の対流増強送達カテーテルを用いて0.66mL~5.28mLで増大した。治療は十分容認され、以前の処置を受けた患者において外照射療法(EBRT)より著しく高い吸収された線量にもかかわりなく用量を制限する毒性は観察されなかった。各々の患者の研究設計及び全生存を下記表1に要約する。
【0164】
【表1】
【0165】
[0178]ベバシズマブ処置に失敗した患者(n=7)のメジアンの生存期間は4.8月であった。ベバシズマブにナイーブな患者(n=8)のメジアン生存期間は10.9月であり、4人の患者は研究終了の時点でまだ生存している。
【0166】
[0179]以前にベバシズマブで処置された患者及びベバシズマブにナイーブな患者に対する186Reナノリポソームの腫瘍容積に吸収された線量を図1に要約する。各々の患者に対する腫瘍容積を図2に要約する。処置された容積の注入液の容積に対する比対注入液の容積を図3に要約する。前にベバシズマブで処置された患者とベバシズマブにナイーブな患者との間の生存の差を図4に要約する。
【0167】
[0180]186Reナノリポソームの様々な線量レベルに対して脳、全身、及び腫瘍容積に吸収された平均線量を図5に要約する。全て患者(n=15)で腫瘍容積に吸収されたメジアンの線量は143Gy(範囲9~593Gy)であった。ベバシズマブで失敗した患者(n=7)のメジアンの吸収された線量は38Gy(範囲9~593Gy)であり、一方ベバシズマブにナイーブな患者(n=8)のメジアンの吸収された線量は367Gy(範囲56~517Gy)であった。腫瘍容積に吸収された最大の線量は593Gyであった。投与された線量の24時間での平均の保持は64%(Cl 50~78)であった。全身で吸収された線量は0.70Gy以下であった。臓器に吸収された平均の線量は0.70Gy以下であった。最後の2つのコホートの平均の腫瘍容積で吸収された線量対平均の全身で吸収された線量の比は3,000以上であった。
【0168】
[0181]最も高い出現率の有害事象は倦怠感(40%)、下痢(27%)、歩行異常(27%)、頭痛(27%)、片側不全まひ(27%)、浮遊感(lightheadedness)(20%)、頭皮不快感(20%)、てんかん発作(seizure)(20%)、及び脳水腫(20%)であった。有害事象の出現率も重症度も、186Reナノリポソームの線量増大と共に増大する様子は見られなかった。4件の重大な有害事象:てんかん発作が3人の患者で、脳水腫が1人の患者で報告された。しかし、これらの重大な有害事象のいずれも186Reナノリポソーム処置との因果関係は考えられなかった。殆どの有害事象は原因として186Reナノリポソーム処置と無関係であると考えられたが、頭皮不快感は外科手術と関連すると考えられた。
【0169】
実施例2:症例研究
[0182]患者は、神経症状を示し、てんかん発作の可能性がある51歳の白人女性であった。脳の磁気共鳴映像法(MRI)は右前部の腫瘤(mass)を示した。開頭術はグレード2のびまん性星細胞腫、IDH野生型、MGMT非メチル化(cIMPACT-NOWグレードIV)を明らかにした。彼女は、放射線及びテモゾロマイドの併用の後3サイクルの維持テモゾロマイドで処置された。経過観察MRIは再発性疾患と一致した。患者は再発性膠芽腫の最初の提示の9か月後反復右前部開頭術を伴うサシツズマブ(Sacituzumab)の第0相試験に入り、1月後サシツズマブのサイクル1(C1D1)の最初の用量投与を受けた。疾患進行は最初の提示から16月後再び認められた。4週未満の後、患者を186Reナノリポソーム(13.4mCi、5.28mL、3つのカテーテル)で処置した。
【0170】
[0183]処置後のベースライン、24時間、及び120時間でのMRI及びSPECT画像を図6に示す。腫瘍容積は18.8mL、腫瘍被覆範囲は87%であった。腫瘍及び分布容積(Vd)に送達され吸収された線量は336Gy、及び245Gyであった。24時間の時、腫瘍の前方部分(図6に黄色い矢印で示す)は分布容積(図6に金色の線で示す)の外側であった。処置後5日までに、腫瘍全体が分布容積(図6に薄紫色の線で示す)内にあった。
【0171】
[0184]186Reナノリポソームで処置後ベースライン及び56日の磁気共鳴画像(MRI)及びかん流スキャン画像を図7に示す。56日のMRIは浮腫の兆候なしに部分応答を示した。かん流スキャンは先に増強された腫瘍領域の顕著な減少を示した。
【0172】
[0185]上の実施例により証明されたように、腫瘍内186Reナノリポソームは外照射療法により投与された放射線の吸収された線量の20倍まで顕著な毒性なしで送達することができる。5.28mLの注入液の13.4mCiまでの線量での対流増強送達による186Reナノリポソームの腫瘍内投与は安全であり、良好な耐容性を示す。ベバシズマブの以前の投与は186Reナノリポソームの対流に負の影響を及ぼすようである。
【0173】
[0186]本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されているが、当業者には自明のように、かかる実施形態はほんの一例として挙げられている。本発明から逸脱することなく数多くの変形、変化、及び置換が当業者には明らかであろう。本明細書に記載した本発明の実施形態の様々な別の選択肢が本発明を実施する際に使用され得ると理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義しており、それによりこれらの特許請求の範囲及びその均等物の範囲内の法及び構成が包含されることが意図されている。
【0174】
実施例3:再発性膠芽腫の処置における画像ガイド下レニウムRhenium-186ナノリポソーム(186RNL)小線源治療:技術、画像解析、線量測定、及びモニター
[0187]186レニウム-脂質ナノ粒子(186RNLを含む186Reナノリポソーム)はがんの集中的な小線源治療において腫瘍間質腔への画像ガイド下の点滴により;最初脳(GBM)の再発性膠芽腫の処置で導入された。レニウム-186(186Re)は治療ベータ-放射線粒子(パス範囲:1.8mm)を放出する放射性核種(半減期:89.24時間)である。10の放射のうちの1が137KeVのガンマ線を伴い、これがインビボの薬物分布、保持の画像化、及び放射線吸収された線量の分布計算及び治療評価を可能にする。本明細書で我々は、使用した技術、画像解析、放射線線量測定、及び治療のモニターに焦点を当てて第I相臨床試験研究を報告する。
【0175】
[0188]外照射療法(EBRT)は依然として神経膠腫の処置の重要な構成要素のままであるが、周囲の正常な脳組織の耐容能により限定される。我々は、レニウム-186ナノリポソーム(186RNL)(例えば、186Reナノリポソーム)集中的小線源治療が優れた腫瘍内保持を有する高い比放射能のベータ放出放射線の選択的な送達を許容し得、放出されたガンマ線がリアルタイムの画像ガイド下送達及びモニターを許容するという仮説を立てた。本明細書で、我々は、使用した技術、ナノリポソーム分布及び保持の画像化画像解析、放射線線量測定、及び治療モニターを報告する。
【0176】
[0189]再発性膠芽腫を処置するためにBrainlab可撓性亜急性カテーテルを通して対流増強送達(CED)により投与された186RNLの第1相臨床試験を実施した。Brainlab iPlan Flow Software及びVarioguideシステムを処置の計画及びカテーテル配置に使用した。186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の腫瘍及び全身内保持及び分布を点滴半ば~放射線源投与後8日の2次元及びSPECT/CT画像化により得た。局所領域及び全身の薬剤保持を全身の2次元画像から解析した。SPECT/CT及び経過観察MRI画像を3D薬物分布及び治療評価のための計画MRI画像に共に登録した。局所の容積及び全身臓器に放射線吸収された線量を計算した。
【0177】
[0190]MIM MRT定量SPECT画像再建及び3D線量計算を用いて、8日の186RNL治療の3D放射線吸収された線量分布を計算し、腫瘍治療応答と共に評価した。
【0178】
[0191]図13に示されているように、CEDにより再発性膠芽腫の患者に送達される186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)は標的とする組織でナノ粒子放射線源の予測可能な分布及び安定な保持となり得、持続する局所の放射線処置を腫瘍に提供する。図13は点滴後8日の186RNL放射線源の分布及び保持を示す。186RNL放射線源は脳内の治療されるべき腫瘍で持続された保持及び安定な局所領域分布を有し、連続した放射線療法効果を8日にわたって提供した。これらの画像が得られた対象は6.5mLの腫瘍容積を含み、腫瘍被覆範囲は90%より大きかった。腫瘍に送達され吸収された線量は419Gyであった。
【0179】
[0192]4つまでのカテーテルの使用は局所領域薬物分布及び腫瘍容積被覆範囲を有効に増強した。点滴終了時の脳容積内の平均の局所領域保持は85.9%±17.1%ID(n=18)であり、点滴後8日で46.6%±16.7%ID(n=17)であった。用量増大後、2つの最も最近のコホートにおいて腫瘍容積に吸収された平均の放射線量は354.7±144.0Gy、全脳が1.32±1.06Gy、全身が0.16±0.04Gy(n=6)であった。
【0180】
[0193]図14A186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)小線源治療の分布を示し、図14B186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)小線源治療の線量容積ヒストグラムを示す。示されているように、処置された容積の最大線量は>500Gyであり、GTVの平均の線量は323Gyであり、GTVの最小線量は8日で55.6Gyであった。処置技術の重要な特徴は放射線源送達による容積への極めて集中的な処置であり得る。3D線量分布は非常に鋭い線量勾配を示し;5Gyの等線量線が示されている(白い矢印)。比較のために、図14Cは腫瘍及び周囲の正常な組織におけるSBRT症例の等線量分布を示す。このSBRT症例では、放射線療法計画標的容積(PTV)に対して30-Gyの規定の線量を送達した。白い線は5-Gyの等線量線を示す。
【0181】
[0194]集中的な小線源治療処置は腫瘍根絶のための高い放射線量処置を可能にし、一方未関与の組織には毒性が低い。処置技術により、処置された容積で放射線吸収された線量は数百Gy以上であり、一方放射線源の分布容積を越えて放射線吸収された線量は急速に最小のレベルに低下し;参考として、図14Aの5-Gy等線量線を示す白い矢印を参照されたい。
【0182】
[0195]この研究の結果に基づいて、186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)小線源治療は最小の脳及び全身の放射線曝露で腫瘍に高い放射線吸収された線量を提供し得る。この技術からの治療はまた標的に対して8日にわたり高~低放射線量速度の持続する放射線も提供し得、これは放射線生物学で腫瘍管理に対して有益であり得る。
【0183】
[0196]この研究の結果は、密封線源小線源治療と比較して、186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)小線源治療が最小の侵襲性、計画、及び送達の利便性において有利であり得ることを示している。また、画像モニター能力は療法送達及び処置の有効性を評価するために予測ツールを提供し得、3D線量分布計算の開発は用量及び治療効果の評価、及びより良好な腫瘍管理のための追加の療法の適用に対する便利なメカニズムを提供し得る。
【0184】
実施例4:再発性神経膠腫におけるレニウム-186ナノリポソーム(186RNL)の安全性及び実行可能性
[0197]EBRTは、原発性脳腫瘍の管理の中心的要素であり、周囲の正常な脳組織の耐容能により制限される。レニウム-186ナノリポソーム(186RNL)は腫瘍内の優れた保持と共に高い比放射能のベータ放出放射線の送達を許容する。
【0185】
[0198]標準的な3+3設計を利用した再発性神経膠腫における186RNLの第1相用量増大研究は186RNLの最大耐用量を決定することであった。186RNLは対流増強送達(CED)により投与された。点滴は全身二次元画像化及びSPECT/CTの下で行なわれた。反復SPECT/CT画像化を投与の直後、及び186RNL点滴後1、3、5、及び8日で行なって線量測定及び分布を得た。対象をRANO基準により監視した。6つのコホートで18人の対象を処置し、各々のコホートは3人の対象からなっていた。表2は、送達された放射能の量、注入液容積、及び注入液の濃度のような、各々のコホートの投薬に関する情報を示す。平均の腫瘍容積は9.4mL(範囲1.1~23.4)であった。注入された線量は1.0mCi~22.3mCiの範囲であり、注入液の容積は0.66mL~8.80mLの範囲であった。1~4つのCEDカテーテルを送達に使用した。最大のカテーテル流量は15μl/minであった。平均の吸収された線量は腫瘍容積が239Gy(CI 141~337;範囲9~593)、正常脳が0.72Gy(CI 0.34~1.09;範囲0.005~2.73)、全身が0.07Gy(CI 0.04~0.10;範囲0.001~0.23)であった。処置容積中の腫瘍容積割合が75%以上(n=10)であるとき腫瘍容積の平均の吸収された線量は392Gy(CI 306~478;範囲143~593)であった。外科手術に関連する頭皮不快感及び感受性が3人の対象で起こった。治療は良好な耐容性を示し、用量を制限する毒性は観察されず、そして前治療でEBRTにより患者に通例送達される著しく高い吸収された線量にもかかわらず治療に関連する重大な有害事象は起こらなかった。臨床活性を支持する反応が観察された。
【0186】
[0199]再発性神経膠腫の患者にCEDにより投与された186RNLは、EBRTと比較して、顕著な毒性なしに、腫瘍に吸収された放射線のより高い線量を引き起こした。この結果に鑑みて、186RNLは再発性神経膠腫の治療に有用であり得る。具体的には、8.8mLの注入液中の22.3mCiの線量が再発性神経膠腫の治療に有用であり得る。
【0187】
【表2】
【0188】
実施例5:再発性膠芽腫(GBM)におけるレニウム-186ナノリポソームの全生存
[0200]膠芽腫(GBM)は成人において最も一般的で侵襲性の原発性悪性脳腫瘍である。この10年間GBMの標準的な治療は手術とその後のテモゾロマイドによる併用化学放射線療法であり、放射線がこの治療において生存に対する主要な貢献をしている。殆どの再発は切除端の2センチメートル以内で起こり得るので、血液脳関門を迂回する局所領域治療は魅力的で潜在的な代替手段である。外照射療法(EBRT)は原発性脳腫瘍管理の中心的要素であるが、周囲の正常脳及び骨格組織の耐容能により制限され得る。レニウム-186(186Re)は短い経路長、低い線量率及び高い放射線密度の電子の強力な起源である。特に、186Reはがん小線源治療に適した90-時間の半減期、1.8-mmの放射線経路範囲、及び高いβ/γ-エネルギー比のβ線を放出する治療用放射性核種であり得る。加えて、186Reは標準的なSPECT/CTによるインビボ放射性医薬品の分布の画像化を可能にするのに充分なガンマ線のエネルギーを有し得る。
【0189】
[0201]レニウム-186ナノリポソームは腫瘍内の優れた保持を有する高い比放射能のベータ放射線の送達を許容し得る。治療用放射性核種は、それらが腫瘍内に隔離され、ゆっくり再分配されるのを確実にするために担体を必要とし得る。リポソームナノ粒子(ナノリポソーム)は放射性核種を封入し、持続性の腫瘍内蓄積を補助する一方で、腫瘍内を対流によって移動もする手段を提供し得る。我々は186Reを高い効率及び比放射能でナノリポソーム中に担持する方法を開発することに成功した。このプロセスは以前に記載されているよりも著しく高いレベルの比放射能をもたらし得、ずっと高い送達治療放射線量を低減した毒性で提供する可能性を有する。臨床前に、対流増強送達(CED)により送達されたリポソーム封入された186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)は目的とする放射線及び広い治療指数の非常に高い線量を実現し得る。我々は、再発性神経膠腫における186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の初回ヒト第1相試験(ReSPECT)の結果を報告する。
【0190】
[0202]研究は標準的な手術、放射線、及び/又は化学療法処置の後再発又は進行性の悪性神経膠腫の患者に対流増強送達(CED)により投与されたRNL(例えば、186Reナノリポソーム)の安全性、耐容性、及び分布の多中心連続コホートオープンラベル容積及び用量増大第1相臨床試験である。研究は修正Fibonacci用量増大及び標準的な3+3設計を使用する。
【0191】
[0203]Brainlab iPlan Flowソフトウェアを使用して腫瘍容積内のSmartFlowカテーテル配置を計画する一方で白質路及びCSF空間(亀裂、溝、槽、室及び切除腔)を避けた。フレームレス画像ガイド下カテーテル配置はBrainlab Varioguide Stereotacticシステムで達成した。RNLの単一投与は20μL/min/カテーテルまでの最大流量で1~4のカテーテルを利用してCEDにより送達される。
【0192】
[0204]点滴中連続1-分動的二次元画像化を実行した。RNL(例えば、186Reナノリポソーム)点滴の直後、並びに1、3、5、及び8日後SPECT/CT画像化及び連続全身二次元画像化スキャンを実行して処置中腫瘍及び他の臓器に吸収された放射線線量を評価した。一連の血液サンプル及び一連の24-時間採尿も活性をカウントした。興味のあるデータの領域及びOLINDA線量計算ソフトウェアを用いて線量測定を実行した。各々のコホートに対する用量増大スキームを表3に示す。
【0193】
【表3】
【0194】
[0205]7の投薬コホートの22人の患者を2015~2021年に処置した。14人が男性で、8人が女性であった。平均の腫瘍サイズは8.3mL(範囲0.9~22.8mL)であった。前処置(Tx)の平均の数は1.7(範囲1~3のTx)であった。5人の患者が前のベバシズマブを受けた。病理学的グレードは20人の患者がグレードIVの神経膠腫で、2人の患者がグレードIIIであった。IDH突然変異状態は18人の患者が野生型で、2人の患者が突然変異型であり(2人の患者は状態をもたなかった)、MGMT状態は4人の患者がメチル化であり、12人の患者が非メチル化であった(6人の患者は状態をもたなかった)。
【0195】
[0206]7の投薬コホートの22人の患者が0.6~12.3mLの容積に1.0~31.2mCiの範囲を受けた。最大のCED投与速度範囲は5~20μL/minであり、患者1人に付き1~4のカテーテルを使用した。腫瘍に吸収された平均の放射線量は273Gy(8.9~740Gy)であり、脳の外側の曝露は無視できた。処置された容積(TrV)内の腫瘍(TuV)又はTuV/TrV比(パーセント)は70.9%(19.8%~100%)であり、腫瘍に吸収された平均の放射線量と相関していた。前のベバシズマブ(bevucizamab)療法を受ける5人の患者で、TuVに吸収された平均の線量は149.2Gyであり、TuV/TrV比(パーセント)は47.9%であった。しかし、前のベバシズマブ(bevacizamab)を受けなかった17人の患者ではTuV患者に吸収された平均の線量は302Gyであり、TuV/TrV比(パーセント)は77.7%であった。ベバシズマブ(bevucizamab)患者の更なる登録はこれらの対流インプットにおいて先の対流に基づいて停止した。
【0196】
[0207]図8は、送達された放射線の程度(吸収された線量で測定された)の3D図を示す。画像は186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)での処置後8日で撮った。
【0197】
[0208]図9は、平均の吸収された線量及びTuV/TrV比(パーセント)の点から全生存を示すチャートである。解析は平均の吸収された線量、TuV/TrV比(パーセント)、及び交互作用項(interaction term)に関する全生存(日)の比例ハザードモデルに基づいており、生存時間がサンプルの大きさN=22に基づいて吸収された線量及びTuV/TrV比(パーセント)(p=0.065)の両方と共に増大することを示唆している。
【0198】
[0209]186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の単一の投与を受ける再発性膠芽腫(GBM)の22人の対象で我々は186RNLが安全で良好な耐容性を示し得ることを見出した。具体的に、死亡の結果となる有害事象(AE)、又はAEに起因する中断はなかった。報告されたAEは大部分が軽度又は中程度の(グレード1又は2)強度であり、重篤ではなかった。最も出現率が高い有害事象(AE)は:倦怠感(50.0%)、筋力低下及び頭痛(各々33.3%)、並びに歩行障害(27.8%)であった。殆どのAEは、外科手術に関連すると考えられた頭皮不快感の1つの症例、及び脳水腫の1つの症例を除いて、原因が186RNLと無関係であると考えられた。グレード3のAEは白血球増加症、高血糖症、筋力低下、てんかん発作、脳浮腫、肩の虚血壊死(悪化)、血管性脳浮腫及び肺炎であり;全てのこれらの事象は主任研究員(Principal Investigator)によって186RNLと考えられたが、186RNLと関連するかもしれないと考えられた1人の対象の脳浮腫を例外とする。
【0199】
[0210]重篤な有害事象がコホート2の2人の対象(てんかん発作及び血管性脳浮腫)、コホート4及びコホート5の各々の1人の対象(両方共てんかん発作)、及びコホート6の2人の対象[肺炎、肩の虚血壊死(悪化)及び脳水腫]で報告された。これらの事象は、186RNL及び/又は経口コルチコステロイド剤の漸減に関係しているかもしれないと考えられた1人の対象の脳水腫を例外として、全て研究員(Investigator)により186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)と無関係であると考えられ、いずれも研究の中断には至らなかった。
【0200】
[0211]個々の処置群(コホート)で報告された関連TEAEの出現率に意味がある差又はパターンはなかった。AEの出現率も重症度も186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の増大する用量と共に増大するようではなかった。
【0201】
[0212]図10及び11は各々ベースラインのMRI、及び20%点滴後のSPECT画像を含む画像を示し、点滴終了時、点滴後24時間、点滴後120時間、及び点滴後192時間のSPECT画像を示す。図10図10及び11の両方に対するキー(key)を含有する。
【0202】
[0213]表4に示されるように、186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の単一の投与を受けた再発性膠芽腫(GBM)の22人の対象において、全ての22人の患者に対する平均の全生存は現在350日であり、7人の患者はまだ生存しており、15人は死亡している。22人の患者のうち9人は不十分な腫瘍被覆範囲及び/又は不十分な平均放射線量であったようである。この群における平均の全生存率は167.3日であり、まだ生存している患者はいない。しかし、許容される腫瘍被覆範囲及び吸収した放射線量と思われた13人の患者において、この群の全生存は現在450日で、13人の患者のうちの7人が生存している。
【0203】
[0214]図12は治療的(例えば、100Gyより多い)と非治療的放射線(例えば、100Gy未満)を受けた患者を比較するKaplan Meier曲線を示す。曲線は群間の統計的に有意な差を示す(p=.0002)。示されているように、100Gyより多く受けた患者の群は100Gy未満を受けた患者の群と比較してより大きい全生存を示した。吸収放射線量(>100Gy)において適切さを達成した患者において、そうでない患者に対して、統計的に有意な全生存の利益が観察された。加えて、吸収放射線量の適切さ(>100Gy)はコホート5~7の処置された患者の80%で実現することができる。
【0204】
[0215]表4は、100Gyより多く受けたと思われた患者の平均の全生存(Avg Os)(日及び週)、並びに死亡及び生存患者の数を100Gy未満を受けたと思われた患者と比較して示す。
【0205】
[0216]研究の結果に基づいて、脳内への186RNLの腫瘍内対流増強送達はEBRTにより投与することができる放射線の吸収された線量の20倍までを正確に送達し得る。更に、186RNLの単一投与は用量を限定する毒性が観察されず安全であり得、SPECT/CTはRNLの崩壊するときの位置及び残留放射能レベルを正確且つ確実に可視化し得る。最後に、この研究は改善と相関する後に投薬するコホートで与えられる増大する薬剤容積及び放射線量が全生存であることを示した。
【0206】
[0217]コホート7に対する研究はコホート6の線量(31.2mCi及び注入液容積12.3mL)より186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の増大した線量を含む。
【0207】
【表4】
【0208】
[0218]この研究のデータは、平均の吸収放射線量及び腫瘍被覆範囲と全生存との0.065のp値での相関関係を示している。更に、データは100Gyの閾値効果を示し、平均の吸収放射線量(例えば、100Gyより多い)における適切さがコホート5~7において少なくとも5.28mL及び13.4mCiで処置された患者の80%で達成することができるということを立証している。
【0209】
実施例6:再発性、難治性、又は進行性の上衣腫及び高悪性度神経膠腫(HGG)並びに新たに診断されたびまん性橋膠腫(DIPG)に対する対流増強送達により送達されるレニウム-186ナノリポソーム(186RNL)の研究
[0219]上衣腫、HGG、及びDIPGは治療が困難であることが多く、しばしば侵襲性であり、予後不良であることが多い。放射線療法は依然として処置の頼みの綱であるが、周囲の脳組織の耐容能により限定される。レニウム-186ナノリポソーム(186RNL)(例えば、186Reナノリポソーム)は腫瘍内の優れた保持と共に高い比放射能のベータ放出放射線の選択的な送達を可能にする。
【0210】
[0220]成人における第1相試験のデータに基づいて小児科の患者における効力を研究するために2部の第1相用量設定研究及びそれに続く拡大コホートを実施する。第1部は18人までの対象を登録して対流増強送達(CED)により投与される186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の最大の実行可能な線量を決定した。腫瘍直径は4cm及び34mLの容積に制限される。用量制限毒性期間(DLT)は点滴後28日である。第2部は、3つの異なるコホート:A:再発性、難治性、又は進行性の上衣腫の診断の12人までの対象;B:再発性、難治性、又は進行性のHGGの診断の12人までの対象;C:新たに診断されたDIPGの15人までの対象で186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)を独立して評価する。主要評価項目は小児科神経腫瘍学におけるレントゲン写真の評価(Radiographic Assessment in Pediatric Neuro-Oncology)(RAPNO)基準による全奏功率(ORR)である。副次的評価項目はコホートAにおける24月での無進行生存(PFS-24)及び24月での全生存(OS-24)並びにコホートB及びCにおけるPFS-12及びOS-12である。
【0211】
[0221]再発性膠芽腫の成人の第1相試験において(NCT01906385)、被覆範囲が75%以上であった(n=10)ときの腫瘍への平均の線量は392Gy(CI 306~478)であった。療法は良好な耐容性を示し、用量を制限する毒性は観察されず、重大な有害事象は観察されなかった(n=18)。
【0212】
[0222]CEDにより投与される186RNL(例えば、186Reナノリポソーム)の送達は再発性HGGの成人において標準的な治療法より顕著に大きい線量の放射線療法で良好な耐容性を示す。更なる研究が成人及び小児科の対象で実施されよう。CEDにより投与される186RNLはHGG(例えば、再発性のHGG)を治療する際に有用であり得る。
【0213】
実施例7:軟膜髄膜転移に対する心室内レニウム-186ナノリポソーム(186RNL)の最大耐用量、安全性、及び効力
[0223]軟膜髄膜転移(LM)は中枢神経系の流線構造(fluid-lined structure)を侵す進行がんのまれであるが通例致命的な合併症であり、転移性がんの患者のおよそ5パーセントで診断される。数週~数か月で測定される生存と共に、命の質及び量の両方を改善することができる新規な手法が必要とされる。レニウム-186ナノリポソーム(lanoliposome)(186RNL)は高い比放射能のベータ放出放射線を直接腫瘍に選択的に送達するのを許容する。再発性膠芽腫の成人における第1相試験(NCT01906385)で、被覆範囲が75%以上であったとき(n=10)腫瘍に吸収された平均の線量は392Gy(CI 306~478)であった。療法は良好な耐容性を示し、1つの可能な治療に関連する重大な有害事象の脳水腫はステロイド治療後に消散した。
【0214】
[0224]これは効力を研究するための拡大コホートが後に続く2部の第1相用量設定研究である。第1部はOmmayaリザーバを介して心室内に投与される186RNLの単一投与の安全性及び耐容性を特徴付け、且つ将来の研究のための最大耐用量(MTD)/最大の実行可能な用量(MFD)を確認するために21人までの対象を登録する。用量制限毒性期間は点滴後28日である。第2部は2つの異なるコホート:コホートA:原発性乳がんからのLMの診断の20人までの対象;コホートB:原発性非小細胞肺がんからのLMの診断の20人までの対象で186RNLを独立して評価する。主要評価項目は単剤としての186RNLの抗腫瘍活性を評価することである。副次的評価項目は186RNLの単一投与の薬物動態及び線量測定プロファイルを特徴付けること、CSF及びレントゲン写真の知見に基づいて全奏功率(ORR)を決定すること、及び生存分布を記載することである。
【0215】
実施例8:軟膜髄膜転移に対する心室内レニウム-186ナノリポソーム(186RNL)の前臨床安全性及び活性
[0225]LMはがん細胞が悪性腫瘍患者の軟髄膜及び脳脊髄液を侵すと起こり得る臨床的合併症である。一旦診断されると、限定された治療選択肢が存在し、生存は不良である。レニウム-186ナノリポソーム(186RNL)は1.8mmの短い経路長のリポソーム封入されたベータ放射体であり、そのため周囲の組織に対する限定した曝露の高い比放射能の小線源治療を可能にする。従って、186RNLはLMを治療する際に有用であり得る。
【0216】
[0226]心室内(IT)注入による186RNLの最大耐用量(MTD)を確立するために、8つのコホートのWistarラット(各々n=3)に0(対照)、0.480、0.800、1.000、1.150、及び1.340mCiの線量の増大する活性の186RNLをIT注入した。毎日の食餌及び水の摂取量、毎日の重量、及び神経学的欠損の観察により毒性を評価した。効力を評価するために、C6-Luc神経膠腫細胞を注入の15日後にIT注入し、動物を0.69mCiの186RNLで処置した。処置後0h、24h、及び48hで吸収された線量をガンマカメラ画像化で評価した。腫瘍の増殖をルシフェラーゼ生物発光により評価した。
【0217】
[0227]1075Gyまでの吸収された線量で1.34mCiまでの投与後3月の間ラットで186RNLに関連する不利な作用の兆候は観察されなかった。従って、MTDはこの研究で評価した用量を越えていた。対照及び処置群(各々n=8)間に処置後2週で生存に顕著な差は観察されず、対照群は50%生存、処置群は100%生存であった(p=0.0087)。処置したラットの唯一の顕著な組織学的知見は中央隆起を覆う軟髄膜の肥厚化であり、軽度の反応性髄膜肥厚を示した。この兆候は、186RNLの心室内送達が良好な耐容性を示すことができ、LMのラットモデルにおける2週での動物生存を改善することができるということを示す。このデータは186RNLがLMを治療するのに有用であり得ることを示す。
【0218】
実施例9:186RNLの最大耐用量
[0228]ナノリポソームのBMEDA-キレート化-186レニウム(186RNL)は腫瘍内の優れた保持性で高い比放射能のベータ放出放射線の送達を許容する。定位生検後の186RNLの最大耐用量を決定するために標準的な3+3設計を利用して再発性神経膠腫における186RNLの第1相用量増大研究を開始した。186RNLはiPlan Flow及びVarioguideシステムを使用して案内された配置でBrainLab Flexible Catheterを用いて対流により投与される。点滴は全身二次元画像化及びSPECT/CT下で行なわれる。186RNL点滴の直後、並びに1、3、5、及び8日後に反復SPECT/CT画像化を行なって線量測定及び分布を得る。
【0219】
[0229]13人の患者を処置し、そのうちの12人は再発性膠芽腫であり、54%はベバシズマブによる治療に失敗した。1~2つのCEDカテーテルを用いて注入された線量は1.0mCiから13.4mCiに、また注入液の容積は1.0mLから5.28mLに次第に増大した。分布容積に吸収された平均の線量は175Gy(CI 97~254)であった。腫瘍容積に吸収された最大線量は593Gyであった。投与された線量の24時間平均保持は61.4%(CI 45.4~77.5)であった。療法は良好な耐容性を示し、用量を制限する毒性は観察されず、前治療の患者におけるEBRTより著しく高い吸収された線量にもかかわらず処置に関連する不利な作用はなかった。計画はこの研究の結果に基づいて線量を22.3mCiまで、また注入液容積を8.8mLまで増大することであり、腫瘍内186RNLはEBRTにより投与される放射線の吸収された線量の20倍まで顕著な毒性なく送達し得る。
【0220】
実施例10:軟膜髄膜転移(LM)の治療のために心室内カテーテルを介して単一用量の186RNLを投与するオープンラベル第I相臨床研究
[0230]この第I相臨床研究は軟膜髄膜転移(LM)の参加者に心室内カテーテル(Ommayaリザーバ)を通して投与される単一投与の186RNL(放射性核種臨床研究薬剤)(例えば、医薬組成物中の186Reナノリポソーム)を評価する。臨床研究処置は参加者当たり単一投与された5cc用量の186RNLからなる。臨床研究は3つの別々の用量レベルの評価を含む。3~6人の参加者は各々の用量で処置され得る。研究で登録される参加者の最大数は18人である。臨床研究処置はCSF流れ研究の後に外来で臨床研究医師により投与される。参加者は臨床研究薬剤が投与された後12月まで監視される。
【0221】
[0231]研究はコホート1~3に対する用量増大を含む。各々の参加者は186RNLの単一の5cc投与を受ける。各々の用量レベルで最小3~最大6人の参加者が登録される。最初の3人の参加者で用量を限定する毒性が観察されなければ、次のより高い用量レベルのコホートの登録が始まる。用量増大スキームは修正Fibonacci用量増大スキームに従う:コホート1(6.6mCi)、コホート2(13.2mCi)、コホート3(26.4mCi)。
【0222】
[0232]評価基準は主要評価基準及び副次的評価基準を含む。主要評価基準は以下を含む:a.)12月の時間枠にわたる有害事象(AE)及び重大な有害事象(SAE)の出現率及び重症度(安全性はCTCAEバージョン5.0に従って採点されるAE及びSAEの出現率により評価される)、及びb.)12月の時間枠にわたる用量を制限する毒性(DLT)の出現(最大耐用量(MTD)は各々のコホートに3~6人の参加者を含むコホート1~3に対する増大する用量を試験することにより評価される。MTDは用量を制限する毒性(DLT)>参加者の33%を起こさない薬剤の最も高い用量を反映する)。
【0223】
[0233]副次的評価基準は以下を含む:a.)12月の時間枠にわたる全奏功率(ORR)の決定(進行の時に最良の全体応答としての応答を達成する全ての評価可能な参加者の割合として定義される全奏功率(ORR)が決定される);b.)12月の時間枠にわたる奏功期間(DoR)の決定(最初の応答からLM進行までの時間として定義される奏功期間(DoR)が決定される);c.)無進行生存(PFS)の決定(最初の処置からLM進行又は何らかの原因による死亡の日までの時間として定義される無進行生存(PFS)が決定される);及びd.)全生存(OS)の決定(最初の処置から死亡の日までの時間として定義される全生存(OS)が決定される)。
【0224】
[0234]参加者適格性基準は試験対象患者基準及び除外基準を含む。試験対象患者基準は以下を含む:スクリーニングの時に少なくとも18歳;研究の目的及びリスクを理解する能力があり、サイト特異的(site-specific)IRBにより承認された書面のインフォームドコンセント同意書に署名すること;対象が研究の要件を満たすLMを実証すること:あらゆる原発型のEANO-ESMO Clinical Practice Guidelines Type 1 and 2(2Dを除く)LM;Karnofsky一般状態60~100;a.)許容される肝機能:ビリルビン≦正常な上限の1.5倍、b.)AST(SGOT)及びALT(SGPT)≦正常な上限の5.0倍、及びc.)許容される腎機能、血清クレアチニン≦正常な上限の2倍;許容される血液学的状態(血液学的サポートなし):a).ANC≧1000細胞μL、b.)血小板数≧75,000/μL、c.)ヘモグロビン≧9.0g/dL;全ての妊娠可能な婦人はスクリーニング時血清妊娠検査に陰性でなければならない;男性及び女性対象は研究の登録から最後の投与の後6月を通じてそのパートナーと有効な避妊手段(例えば、避妊手術又は殺精子ジェル又はIUDと合わせたコンドーム又はペッサリーによるバリア避妊の使用)を使用することに同意しなければならないこと。
【0225】
[0235]除外基準は以下を含む:対象が研究の前に投与された抗腫瘍薬、被験薬、又はその他の薬剤に起因するAE(脱毛症、貧血及びリンパ球減少症を除く)からNational Cancer Institute (NCI) Common Terminology Criteria for Adverse Event)(CTCAE v5.0 Grade≦1に回復していない;妨害する又は症状を伝達する脳水腫;Ommayaリザーバの配置に対するプログラム可能なバルブ又は禁忌なしの脳室腹腔又は脳室心房シャント;妊娠しているか、授乳中であるか、又は血清妊娠検査が陰性でなく妊娠している可能性がある出産可能な女性;重大な併発する病気、例えば進行性の全身性(軟髄膜外)疾患、臨床的に顕著な不整脈、制御されてない全身性感染、試験薬前3月以内の症状のある充血性心不全又は不安定狭心症、心筋梗塞、脳卒中、6月以内の一過性脳虚血発作、同意又は脳障害の前14日以内に起きたあらゆるてんかん発作のある発作性障害;活性な深刻な非血液学的臓器毒性、例えば腎、心、肝、肺、又は胃腸の全身毒性グレード3以上;顕著な凝固異常、例えば出血の許容されないリスクを伴う遺伝性出血性素因又は後天的凝固障害;186RNLの最初の投与前3週未満の脳脊髄照射(実質内又は硬膜転移のための)又は鞘内細胞毒性抗がん療法;186RNLの最初の投与する前3週を越えた脊柱照射後の脊髄症;CNS浸透を伴う全身性化学療法剤(例えばテモゾロマイド、カルムスチン、ロムスチン、カペシタビン、カルボプラチン、ビノレルビン、ベバシズマブ、イリノテカン又はトポテカン)、但しこれらの薬剤に対して進行性又は持続性の軟膜髄膜転移を発症していない限りにおいて;試験薬(186RNL)の最初の投与前14日又は5半減期のいずれか短い方の期間以内の全身療法(治験薬及び小分子キナーゼ阻害剤を含む);試験薬(186RNL)の最初の投与前42日以内のニトロソウレア又はマイトマイシンC、又は14日以内のメトロノームのような/長引く低用量化学療法、又は28日以内の他の細胞毒性化学療法;及び研究画像化に基づいて研究者により決定され4日目~2日目に行なわれる損なわれたCSF Flow Study。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
【手続補正書】
【提出日】2022-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象において疾患又は障害を治療する方法であって、治療上有効な量のリポソーム及び式I:
【化1】
[式中、
Mは99mTc、186Re、又は188Reであり;
XはNRであり;
はCHCHNEt又はCHCHCHCHであり;
はCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)又はCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である]の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む放射標識リポソームを投与するステップを含み、
放射標識リポソームが、放射標識リポソームを含む注入液の点滴によって、約1μLmin -1 ~約50μLmin -1 の最大流量で1又は複数のカテーテルにより投与される方法。
【請求項2】
がCHCHNEtであり、RがCHCHN(CHCHSH)(CHCHNEt)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がCHCHCHCHであり、RがCHCHN(CHCHSH)(CHCHCHCH)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Mが186Reである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
化合物がリポソームに組み込まれているか又は結合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
リポソームがリポソーム内に組み込まれている薬剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
薬剤が少なくとも1個のチオール基を含む化合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
薬剤が化合物と反応する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
薬剤がグルタチオン、システイン、N-アセチルシステイン、2-メルカプトコハク酸、2,3-ジメルカプトコハク酸、カプトプリル、又はこれらの組合せを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
リポソームが脂質を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
リポソームがリン脂質を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
リポソームがコレステロール又はコレステロール類似体を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
リポソームがジステアロイルホスファチジルコリンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
放射標識リポソームがリポソームを調製するのに使用された脂質50mg当たり約0.01mCi~約400mCiの化合物を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
リポソームが化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子を更に含み、化学療法剤、抗生物質製剤、又は治療分子がリポソームに組み込まれているか又は結合されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
疾患又は障害ががんである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
がんが、肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、膀胱がん、肝がん、白血病、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、肝細胞がん、黒色腫、肉腫、頭頸部がん、神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫、上衣腫、びまん性橋膠腫、軟膜髄膜転移、及び小児科高悪性度神経膠腫から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
がんが神経膠腫である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
がんが膠芽腫である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
膠芽腫が再発性膠芽腫である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
がんが軟膜髄膜転移である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
対象が以前にベバシズマブを含む治療を受けていない、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
放射標識リポソームが対流増強送達によって投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
対流増強送達が1つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対流増強送達が2つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
対流増強送達が3つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
対流増強送達が4つのカテーテルによる放射標識リポソームの投与を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
注入液が約5μLmin-1~約40μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
注入液が約5μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
注入液が約10μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
注入液が約15μLmin-1の最大流量で投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約0.1mCi~約50mCiである、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1mCi~約20mCiである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1mCiである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約2mCiである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約4mCiである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約8mCiである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約13.4mCiである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約22.3mCiである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約31.2mCiである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
注入液の容積が約0.1mL~約25mLである、請求項23~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
注入液の容積が約0.5mL~約13mLである、請求項23~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
注入液の容積が約0.66mLである、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
注入液の容積が約1.32mLである、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
注入液の容積が約2.64mLである、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
注入液の容積が約5.28mLである、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
注入液の容積が約8.8mLである、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
注入液の容積が約12.3mLである、請求項23~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約0.1mCimL-1~約50mCimL-1である、請求項23~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約0.5mCimL-1~約10mCimL-1である、請求項23~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1mCimL-1~約5mCimL-1である、請求項23~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約1.5mCimL-1である、請求項23~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
注入液の容積当たりの放射標識リポソームにより送達される放射能の量が約2.5mCimL-1である、請求項23~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
方法が投与と同時に放射標識リポソームを画像化するステップを更に含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
方法が投与に続いて放射標識リポソームを画像化するステップを更に含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】