IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユ,ヒョギョンの特許一覧

特表2024-517556コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物
<>
  • 特表-コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物 図1
  • 特表-コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物 図2
  • 特表-コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/111 20160101AFI20240416BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/185 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/205 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/201 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240416BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20240416BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20240416BHJP
   A23K 20/174 20160101ALI20240416BHJP
   A23K 20/142 20160101ALI20240416BHJP
   A23K 20/105 20160101ALI20240416BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20240416BHJP
   A23K 20/26 20160101ALI20240416BHJP
   A23K 10/28 20160101ALI20240416BHJP
【FI】
A23K20/111
A61P9/00
A61P3/04
A61P37/04
A61P43/00 121
A61P3/02
A61K31/185
A61K31/205
A61K31/201
A61K31/122
A61K31/702
A61K9/107
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/24
A61K47/22
A61K47/46
A23K20/158
A23K20/163
A23K20/174
A23K20/142
A23K20/105
A23K10/30
A23K20/26
A23K10/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557757
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2022001964
(87)【国際公開番号】W WO2022196943
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0034823
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509354363
【氏名又は名称】ユ,ヒョギョン
【氏名又は名称原語表記】YU, Hyo Gyoung
【住所又は居所原語表記】#1903-105, 9, Gangseon-ro, Ilsanseo-gu Goyang-si, Gyeonggi-do 10385, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヒョ ギョン
【テーマコード(参考)】
2B150
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AE13
2B150CJ08
2B150DA06
2B150DA09
2B150DA37
2B150DA41
2B150DA44
2B150DA45
2B150DA46
2B150DA47
2B150DA48
2B150DA49
2B150DA55
2B150DC09
2B150DC15
2B150DD31
2B150DD33
2B150DE02
2B150DE04
2B150DE05
2B150DE06
2B150DE08
2B150DE09
2B150DE10
2B150DE11
2B150DE13
2B150DE14
2B150DE15
2B150DE16
2B150DE20
2B150DH14
4C076AA17
4C076BB01
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC29
4C076DD26
4C076DD38
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD51
4C076DD55
4C076DD59
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD68
4C076EE23
4C076EE53
4C076EE58
4C076FF11
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA70
4C086ZB09
4C086ZC21
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB27
4C206DA04
4C206FA59
4C206JA08
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA36
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZA36
4C206ZA70
4C206ZB09
4C206ZC21
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物、より詳しくは、コエンザイムQ10、共役リノール酸、フラクトオリゴ糖、L-カルニチン、タウリンを特定含量で含むことによって、ペットの老化、心血管系疾患及び心疾患の発症を予防し、免疫系を活性化し、ダイエット効果を提供することができるコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物全量100重量%に対して、0.5~40重量%のコエンザイムQ10、0.01~35重量%の共役リノール酸、1~45重量%のフラクトオリゴ糖、0.001~15重量%のL-カルニチン、0.01~20重量%のタウリン及び残量の水を含むコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物。
【請求項2】
粘度が、1~100cPである請求項1に記載のコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物。
【請求項3】
グリセリン、補助乳化剤、パーム油、香料、アミノ酸系添加剤、ビタミン系添加剤、抽出物及びそれらの組み合わせからなる一つ以上の添加剤をさらに含む請求項1に記載のコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物。
【請求項4】
補助乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、メタリン酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリル乳酸ナトリウム、ステアリル乳酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリリン酸ナトリウム、プロピレングリコール、ステアリル乳酸ナトリウム又はそれらの組み合わせからなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項3に記載のコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物。
【請求項5】
アミノ酸系添加剤が、DL-メチオニン、DL-メチオニンヒドロキシ類似体(MHA)、DL-メチオニンヒドロキシ類似体カルシウム塩、DL-アラニン、DL-スレオニン鉄、DL-トリプトファン、L-グルタミン酸、L-リシン、L-リシン塩酸塩、L-リシン硫酸塩、L-メチオニン、L-バリン、L-シスチン、L-アルギニン、L-イソロイシン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩、L-システイン塩酸塩、アミノ酢酸、タウリン、アミノ酸混合物、L-ロイシン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項3に記載のコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物。
【請求項6】
ビタミン系添加剤が、L-カルニチン、ナイアシン、ニコチン酸アミド、ビオチン、ビタミンA粉末、ビタミンA油、ビタミンB1、ビタミンB1ナフタリン-1,5-ジスルホン酸塩、ビタミンB1ラウリル硫酸塩、ビタミンB1ロダン酸塩、ビタミンB1塩酸塩、ビタミンB1硝酸塩、ビタミンB2、ビタミンB2リン酸エステルナトリウム、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンCカルシウム塩、ビタミンC-2リン酸マグネシウム塩、L-アスコルビン酸-2-ポリエチレングリコールエーテル、ビタミンCナトリウム塩、ビタミンD粉末、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンEアセテート、d-α-ビタミンEアセテート、ビタミンK1、ビタミンK3、ビタミンK3亜硫酸ナトリウム塩、ビタミンK3亜硫酸ニコチンアミド、ビタミンK4、塩化コリン、葉酸、イノシトール、酒石酸水素コリン、パントテン酸、プロビタミンA及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項3に記載のコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物。
【請求項7】
抽出物が、エゾウコギ抽出物、カンゾウ抽出物、マリーゴールド抽出物、ラズベリー抽出物、木酢液、オオアザミ抽出物、アーティチョーク抽出物、ゴボウ抽出物、ユッカ抽出物、茶抽出物、サトウキビ抽出物、チコリ抽出物、クズウコンの根抽出物、キラヤ抽出物、タヒーボ抽出物、イワベンケイ抽出物、月見草油、グレープフルーツ種子抽出物、ブドウ種子抽出物、ヒマワリ種子抽出物、コロハ抽出物、ゴマ油抽出物、穀物抽出物、カイコ抽出物、甲殻類抽出物及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項3に記載のコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物、より詳しくは、コエンザイムQ10、共役リノール酸、フラクトオリゴ糖、L-カルニチン、タウリンを特定含量で含むことによって、伴侶動物(以下、‘ペット’と称する。)の老化、心血管系疾患の発症及び心疾患の発症を予防し、免疫系を活性化し、液状として吸収率及び生体利用率が高く、ダイエット効果を提供することができるコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットへの関心が高まるにつれ、ペットの高齢化が問題になっている。1980年にはペットであるイヌの平均寿命は3.7年であったが、2016年には14.2年に延びた。これは衛生状態の改善と生活環境の改善によるものと考えられている。この平均寿命は、ヒトの70~75歳に相当し、ネコの50%がその年齢に該当するという日本動物食品協会の報告もある。
【0003】
ペットの高齢化に伴い、運動能力の低下や認知症になるケースが増加しており、高齢のペットのためのおむつや口腔ケア用品の需要が増加した。韓国の場合、2000年代初頭のペットの譲渡ブームにより、徐々に老齢化時代を迎えている。
【0004】
老化には活性酸素が関係している。酸素は、細胞内のミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官で電子1個とともに供給され、反応性の高いスーパーオキシドアニオンと呼ばれるラジカルとなる。活性度の高い酸素には、水酸化ラジカル、過酸化水素、一酸化窒素など様々な種類があり、これらを活性酸素種と呼んでいる。
ヒト又は動物の体は、一定量の活性酸素を維持しようとしているが、様々な要因により活性酸素の量が大幅に増加すると、生体は酸化ストレスを受け、細胞死、病気、細胞の老化を引き起こす。活性酸素種の生成と細胞の抗酸化能力とのバランスが酸化ストレスを決定し、細胞内のタンパク質、脂質及びDNAに損傷を与える。パーキンソン病、癌、神経変性疾患、白内障などの視覚障害、皮膚のシミなどの形成など、多くの老化関連疾患の原因となっている。
【0005】
この活性酸素をブロックする物質は抗酸化物質と呼ばれ、ヒトの体内に自然に存在するものと外部から投与されるものに分類できる。ヒトの体内に自然に存在する抗酸化物質には、SOD、グルタチオン、ペルオキシダーゼなどの酵素と尿酸、ビリルビンなどがあり、外部から投与されるものには、ビタミンE、C、β-カロテンがあり、ミネラルではセレンが代表的である。さらに、フラボノイド成分、ポリフェノール、プロポリス、CoQ10などがある。
【0006】
コエンザイムQ10は、1957年にCraneらによってウシ心臓のミトコンドリアから分離された。Wolfらは、CoQ10の構造を2,3-ジメトキシ-5-メチル-6-デカプレニル-1,4-ベンゾキノンと命名した。CoQ10又はユビキノン(Ubiquinone)、ユビデカレノン(Ubidecarenone)と呼ばれ、細菌から高等生物まで広く見られるベンゾキノン誘導体であり、非タンパク質補酵素として、細胞のエネルギー代謝活性化及び活性酸素を除去する抗酸化物質である。すべての細胞に存在するだけでなく、体内でも生成され、細胞及びエネルギー生成経路の95%を担う重要な物質である。
【0007】
しかし、20歳をピークとするコエンザイムQ10の量は、年齢とともに大幅に減少し、20代のヒトが持っているコエンザイムQ10の量は40代になると3割、80代になると7割も減少してしまう。また、ペットの場合、3歳を境にコエンザイムQ10の生成量が減少される。
【0008】
また、コエンザイムQ10は優れた抗酸化作用を発揮するが、光、熱、酸素などの外部環境に対して非常に不安定である。同時に、水、一般の有機溶媒、オイルに溶けないため、その用途が限定されている。
【0009】
一方、共役リノール酸(CLA)は、脂肪酸であるリノール酸の化学構造が変化してできる脂肪酸の一種である。CLAは、その名の通り、共役二重結合をもっている。CLAは、様々な生理活性がある。例えば、抗癌活性、抗酸化作用、抗動脈硬化活性、抗菌作用などが知られており、様々な成人病の予防及び治療効果があることが知られている。また、CLAは、体内の脂肪細胞に直接作用し、脂肪の吸収を防ぎ、脂肪細胞の分解と代謝率を高め、アポトーシスを増加させることで脂肪細胞を減少させ、脂肪が筋肉強化のためのエネルギーとして利用されるのを助けるなど、体脂肪、特に腹部脂肪にダイエット効果があることが知られており、痩身成分として注目を集めている。
【0010】
そのため、コエンザイムQ10と共役リノール酸などの成分を使用し、ペットを老化から守りつつダイエット効果をもたらす補助飼料が依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、コエンザイムQ10、共役リノール酸、フラクトオリゴ糖、L-カルニチン、タウリンを特定量含有することにより、ペットの老化、心血管系疾患及び心臓病などを予防し、免疫系を活性化し、液状としての吸収率及び生体利用率が高く、ダイエット効果が得られるコエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、組成物全量100重量%に対して、0.5~40重量%のコエンザイムQ10、0.01~35重量%の共役リノール酸、1~45重量%のフラクトオリゴ糖、0.001~15重量%のL-カルニチン、0.01~20重量%のタウリン及び残量の水を含む、コエンザイムQ10含有液状補助飼料組成物を提供する。
【0013】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明の液状補助飼料組成物は、コエンザイムQ10を含む。コエンザイムQ10は、細胞のエネルギー産生小器官であるミトコンドリアに多く含まれ、老化防止や抗酸化作用を持つ物質で、人体に広く分布している。細胞をフリーラジカルから保護し、抗酸化作用のあるビタミンEの活動をサポートして皮膚の老化を防ぎ、心血管機能をサポートする強力な抗酸化物質である。
【0015】
本発明の液状補助飼料組成物に含まれるコエンザイムQ10の含量は、組成物全量100重量%に対して、0.5重量%以上、0.8重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上又は2.2重量%以上であってもよく、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下又は5重量%以下であってもよく、例えば0.5~40重量%、1~25重量%、1.5~10重量%又は2~5重量%であってもよい。コエンザイムQ10の含量が前記値より少ないと、抗酸化及び抗老化効果が乏しくなる。逆に、コエンザイムQ10の含量が前記値より多い場合は、それ以上の効果は期待しにくく、コエンザイムQ10が十分に溶けにくくなったり、長時間曝すと析出したりすることがある。
【0016】
本発明の液状補助飼料組成物は、共役リノール酸を含む。本発明において、共役リノール酸の種類は特に限定されず、市販の共役リノール酸を使用することもできる。このような共役リノール酸の例としては、Cogniss社製(ドイツ)のTonaline CLA、Lipid Nutrition社製(オランダ)のClarinolCLA、HK Biotech社製(韓国)のCLAなどが挙げられる。
【0017】
本発明の液状補助飼料組成物に含まれる共役リノール酸の含量は、組成物全量100重量%に対して、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.15重量%以上、0.2重量%以上、0.25重量%以上又は0.3重量%以上であってもよく、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下又は5重量%以下であってもよく、例えば0.01~35重量%、0.1~25重量%、0.15~10重量%又は0.3~5重量%であってもよい。共役リノール酸の含量が前記値より少ないと、共役リノール酸の生理活性効果が弱くなることがある。逆に、共役リノール酸の含量が前記値より多い場合は、共役リノレン酸が十分に溶けにくくなったり、長時間曝すと析出したりすることがある。
【0018】
本発明の液状補助飼料組成物は、フラクトオリゴ糖を含む。フラクトオリゴ糖(FOS)は、腸内の有益な細菌を増殖させ、有害な細菌を抑制するのに役立つ。
【0019】
本発明の液状補助飼料組成物に含まれるフラクトオリゴ糖の含量は、組成物全量100重量%に対して、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.2重量%以上、2.5重量%以上、2.8重量%以上又は3重量%以上であってもよく、45重量%以下、35重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下又は5重量%以下であってもよく、例えば1~45重量%、1.5~35重量%、2~10重量%又は2.5~5重量%であってもよい。フラクトオリゴ糖の含量が前記値より少ないと、有益な菌の増殖及び有害な菌の抑制効果が弱まる可能性がある。逆に、フラクトオリゴ糖の含量が前記値より多い場合には、それ以上の効果は期待しくい。
【0020】
本発明の液状補助飼料組成物は、L-カルニチンを含む。L-カルニチンは脂肪を分解し、ペットの脂肪肝、肝疾患、膵炎、糖尿病、心臓、心血管疾患、貧血などの予防又は治療を役立つ。
【0021】
本発明の液状補助飼料組成物に含まれるL-カルニチンの含量は、組成物全量100重量%に対して、0.001重量%以上、0.003重量%以上、0.005重量%以上、0.007重量%以上、0.009重量%以上又は0.01重量%以上であってもよく、15重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、2重量%以下、1重量%以下又は0.5重量%以下であってもよく、例えば0.001~15重量%、0.003~10重量%、0.005~2重量%又は0.009~0.5重量%であってもよい。L-カルニチンの含量が前記値より少ないと、脂肪肝及び肝疾患などの予防又は治療効果が弱まる可能性がある。逆に、L-カルニチンの含量が前記値より多い場合には、それ以上の効果は期待しくい。
【0022】
本発明の液状補助飼料組成物は、タウリンを含む。タウリンは血管系疾患の予防に役立つ。
【0023】
本発明の液状補助飼料組成物に含まれるタウリンの含量は、組成物全量100重量%に対して、0.01重量%以上、0.03重量%以上、0.05重量%以上、0.07重量%以上、0.09重量%以上又は0.1重量%以上であってもよく、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、5重量%以下、2重量%以下又は1重量%以下であってもよく、例えば0.01~20重量%、0.05~8重量%又は0.1~5重量%であってもよい。タウリンの含量が前記値より少ないと、血管系疾患の予防効果が弱まる可能性がある。逆に、タウリンの含量が前記値より多い場合には、それ以上の効果は期待しにくい。
【0024】
本発明の液状補助飼料組成物は、グリセリン、補助乳化剤、パーム油、香料、アミノ酸系添加剤、ビタミン系添加剤、抽出物及びそれらの組み合わせからなる一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0025】
本発明の補助飼料組成物は、共役リノレン酸などの析出を防止し、比較的少量の乳化剤で共役リノレン酸を溶解させるために、グリセリンを含むことができる。本発明において、グリセリンは、液状補助飼料組成物中に20~80重量%、より好ましくは25~78重量%、さらに好ましくは30~75重量%含まれてもよい。本発明において、グリセリンの含量が前記値より少ないと、補助飼料組成物の保存安定性が低下する場合がある。また、グリセリンの含量が40重量%を超えると、補助飼料組成物を飲料、食品などに使用した場合に、食感や風味が低下するという問題がある。
【0026】
本発明の補助飼料組成物は、共役リノール酸をより安定に乳化させるために補助乳化剤を含むことができる。本発明において、補助乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、メタリン酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリル乳酸ナトリウム、ステアリル乳酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリリン酸ナトリウム、プロピレングリコール、ステアリル乳酸ナトリウム又はそれらの組み合わせなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0027】
本発明において、補助乳化剤は補助飼料組成物に1~15重量%、より好ましくは3~13重量%、さらに好ましくは5~12重量%含まれてもよい。本発明において、補助乳化剤が1重量%未満であると、乳化安定性が低下する場合がある。また、補助乳化剤が15重量%を超えると、補助飼料組成物の粘度が高くなりすぎるという問題がある。
【0028】
本発明の液状補助飼料組成物は、乳化を助け、吸収率を向上するための植物性油脂として、油溶性成分の混合を容易にするために、パーム油を含むことができる。
【0029】
本発明の液状補助飼料組成物は、補助飼料の味を高め、ペットがよく摂取するのを助けるために、香料を含むことができる。
【0030】
本発明の液状補助飼料組成物は、アミノ酸系添加剤を含むことができる。アミノ酸系添加剤には、DL-メチオニン(DL-メチオニン)、DL-メチオニンヒドロキシ類似体(MHA)、DL-メチオニンヒドロキシ類似体カルシウム塩、DL-アラニン、DL-スレオニン鉄、DL-トリプトファン、L-グルタミン酸、L-リシン、L-リシン塩酸塩、L-リシン硫酸塩、L-メチオニン(L-メチオニン)、L-バリン、L-シスチン、L-アルギニン(L-アジニン、L-アルギニン)、L-イソロイシン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩、L-システイン塩酸塩、アミノ酢酸(グリシン)、タウリン、アミノ酸混合物、L-ロイシン又はそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の液状補助飼料組成物は、ビタミン系添加剤を含むことができる。ビタミン系添加剤には、L-カルニチン、ナイアシン(ナイアシン-ニコチン酸)、ニコチン酸アミド、ビオチン(ビタミンH)、ビタミンA粉末(レチノール粉末)、ビタミンA油(レチノールオイル)、ビタミンB1、ビタミンB1ナフタリン-1,5-ジスルホン酸塩(チアミンナフタリン-1,5-ジスルホン酸塩)、ビタミンB1ラウリル硫酸塩(チアミンラウリル硫酸塩)、ビタミンB1ロダン酸塩(チアミンチオシアン酸塩)、ビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)、ビタミンB1硝酸塩(チアミン硝酸塩)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB2リン酸エステルナトリウム(リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム)、ビタミンB6塩酸塩(ピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンC(L-アスコルビン酸)、ビタミンCカルシウム塩(L-アスコルビン酸カルシウム塩)、ビタミンC-2リン酸マグネシウム塩(L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム)、L-アスコルビン酸-2-ポリエチレングリコールエーテル、ビタミンCナトリウム塩(L-アスコルビン酸ナトリウム塩)、ビタミンD粉末(カルシフェロール粉末)、ビタミンD2(カルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンE(dl-α-トコフェロール)、ビタミンEアセテート(dl-α-トコフェロールアセテート)、d-α-ビタミンEアセテート、ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK3亜硫酸ナトリウム塩(メナジオン亜硫酸ナトリウム塩)、ビタミンK3亜硫酸ニコチンアミド(メナジオン亜硫酸ニコチンアミド)、ビタミンK4(アセトメナフトン)、塩化コリン、葉酸、イノシトール、酒石酸水素コリン、パントテン酸、プロビタミンA(β-カロテン)、又はそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明の液状補助飼料組成物は、添加剤として抽出物を含むことができる。抽出物には、エゾウコギ抽出物、カンゾウ抽出物、マリーゴールド抽出物(ルテイン、アサリゴールド色素含む)、ラズベリー抽出物、木酢液、オオアザミ抽出物、アーティチョーク抽出物、ゴボウ抽出物、ユッカ抽出物、茶抽出物、サトウキビ抽出物(例えば、天然ベタイン)、チコリ抽出物、クズウコンの根抽出物、キラヤ抽出物、タヒーボ抽出物、イワベンケイ抽出物、月見草油、グレープフルーツ種子抽出物、ブドウ種子抽出物、ヒマワリ種子抽出物、コロハ抽出物、ゴマ油抽出物、穀物抽出物(例えば、グルカン、マンナン)、カイコ抽出物、甲殻類抽出物(例えば、キトサン、キチン)又はそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明において、前記パーム油、香料、アミノ酸系添加剤、ビタミン系添加剤及び抽出物などの添加剤の含量の合計は、液状補助飼料組成物全量100重量%に対して、0.01~20重量%、より好ましくは0.05~15重量%、さらに好ましくは0.1~10重量%含まれてもよい。本発明において、前記添加剤の含量が前記値より少ないと、添加剤による効果が軽微である可能性がある。逆に、前記添加剤の含量が前記値より多い場合には、それ以上の効果は期待しにくい。
【0034】
本発明のコエンザイムQ10含有補助飼料組成物は、好ましくは1~100cP(センチポアズ)の粘度を有する。本発明のコエンザイムQ10含有補助飼料組成物は、保存安定性に優れ、室温(25℃)又は高温(45℃)で長期間保管しても、コエンザイムQ10や共役リノレン酸などの有効成分の析出も層分離も生じない。また、本発明の共役リノール酸含有水性組成物は、広いpH範囲で安定であるため、様々な製剤に使用することができる。本発明のコエンザイムQ10含有補助飼料組成物は、所望の目的に応じて種々の形態で適用することができ、そのために、前記成分に加えて、粘増剤、甘味剤、賦形剤、香料などの様々な添加剤をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明のコエンザイムQ10含有補助飼料組成物は、ペットの老化を防止しながら、心血管系疾患及び心臓病などを予防し、免疫系を活性化し、ダイエット効果を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明のコエンザイムQ10含有補助飼料組成物を静脈投与した後の血漿中濃度を示すグラフである。
図2】本発明のコエンザイムQ10含有補助飼料組成物の水溶液を経口投与した後の血漿中濃度を示すグラフである。
図3】本発明のコエンザイムQ10含有補助飼料組成物の粉末製剤を経口投与した後の血漿中濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の実施例及び比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
下記表1に示す組成で、以下の方法によりコエンザイムQ10含有補助飼料組成物を製造した。まず、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン及び精製水を80℃に加熱して溶解した。その後、コエンザイムQ10をパーム油に入れ、溶解するまで加熱した後、混合物に加え、乳化機で乳化した。フラクトオリゴ糖、L-カルニチン、タウリンを精製水に溶解し、完全に溶解したことを確認してから加えた。香料を加え、30分間撹拌機で撹拌した。70℃で60分間滅菌処理後、保存容器に保存した。
【0039】

【表1】
【0040】
(実験例)
コエンザイムQ10含有補助飼料をラットに5日間連日経口投与し、5日目経口投与後の全身吸収性を調べた。また、単回静脈内注射実験を行い、吸収率(生体利用率)を評価した。
・単回静脈投与実験
コエンザイムQ10静脈内投与後の血漿中濃度測定:投与量(6mg/kg)、6時間まで測定
・5日間連続で投与後、5日目の経口投与実験(投与量60mg/kg)
水溶液(60mg/kg)経口投与後の血漿中濃度測定:48時間まで測定
粉末製剤(60mg/kg)経口投与後の血漿中濃度測定:48時間まで測定
【0041】
(静脈投与後の血漿採取)
ラットをエーテルで軽く麻酔した後、ポリエチレンチューブ(PE-50、Intramedic, Clay Adams, U.S.A)を左大腿動脈及び静脈に挿管した。ラットが麻酔から回復した後、コエンザイムQ10を静脈内投与(6mg/kg)し、0(ブランク)、1、5、10、15、30、60、90、120、180分後に左大腿動脈からに採血した。250μLの血液をマイクロチューブに採取し、遠心分離後に得られた血漿100μLを定量に用いた。
【0042】
(経口投与後の血漿採取)
水溶液及び粉末製剤(60mg/kg)を4日間経口投与した後、5日目の投与直前にラットをエーテルで軽く麻酔し、ポリエチレンチューブ(PE-50、Intramedic, ClayAdams, U.S.A)を左大腿動脈に挿管した。ラットが麻酔から回復した後、水溶液及び粉末製剤(60mg/kg)を経口投与し、0(ブランク)、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、18、24、48時間で左側大腿動脈から採血した。250μLの血液をマイクロチューブに採取し、遠心分離後に得られた血漿100μLを定量に用いた。
【0043】
(血漿中コエンザイムQ10濃度の定量)
コエンザイムQ10については、0.05μg/mL-10μg/mLの濃度範囲で良好な線形関係(R=0.999)が確立された検量線を作成した。サンプル処理は、採取した血漿試料0.1mLに内部標準物質(IS)として50μMのコエンザイムQ9を10μL添加し、次いで1-プロパノール1mLを加えて抽出し、20分間ボルテックスして十分に混合した後、遠心分離(12000rpm、10分)した。上清をすべて集め、別のマイクロチューブに移し、N2ガスで蒸発させ、100μLの1-プロパノールに再溶解した。これを100μL採取し、前述のHPLC分析法で定量した。
【0044】
(コエンザイムQ10静脈内投与後の血漿中濃度パターン)
コエンザイムQ10を静脈内投与(6mg/kg)後の血漿中濃度は60分まで急速に低下し、その後徐々に低下した(図1参照)。分布前相(α相)における半減期(t1/2,α)は、3.3分、分布後相(β相)における半減期(t1/2,β)は52分であった。
【0045】
(コエンザイムQ10経口投与後の血漿中濃度パターン)
補助飼料組成物の水溶液及び粉末製剤を経口投与した後の血漿中濃度-時間パターンを図2及び図3に示した。4日間連続投与後、5日目の投与後に採血し、投与量は60mg/kgとした。
水溶液の経口投与後の最大血漿中濃度(Cmax)は、粉末の約2倍であり、半減期(t1/2)は粉末の約2倍であった。一方、水溶液の経口投与後のTmaxは、粉末のそれと比較して有意な差は認められなかった。
水溶液及び粉末の経口投与後の血漿中濃度-曲線下面積(AUC)から投与量を補正して算出した生体利用率は、それぞれ4.59%及び1.84%と低かった。これは、コエンザイムQ10が非常に難溶性で吸収率が高くないためと推定される。
しかし、水溶液は粉末製剤に比べてCmaxが高く、t1/2は長いため、血漿中濃度-曲線下面積(AUC)は、粉末製剤の約2.5倍であった。
【0046】
以上の結果より、水溶液は粉末製剤と比較して経口投与後の生体利用率(吸収速度)が向上された製剤と評価された。
図1
図2
図3
【国際調査報告】