(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】2,3,5-トリメチルヒドロキノン及び不飽和アルコールのカップリング
(51)【国際特許分類】
C07C 37/16 20060101AFI20240416BHJP
C07C 39/19 20060101ALI20240416BHJP
C07C 69/157 20060101ALI20240416BHJP
C07C 69/94 20060101ALI20240416BHJP
C07C 67/30 20060101ALI20240416BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20240416BHJP
C07D 311/58 20060101ALI20240416BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
C07C37/16
C07C39/19 CSP
C07C69/157
C07C69/94
C07C67/30
B01J31/02 103Z
C07D311/58
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558213
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2022061093
(87)【国際公開番号】W WO2022229213
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】クエンジ, ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ネッチャー, トーマス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA43A
4G169BA44A
4G169BA47A
4G169BB08A
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC25A
4G169BC40A
4G169BC44A
4G169BC44B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BD12A
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE10A
4G169BE10B
4G169BE22A
4G169BE22B
4G169BE34A
4G169BE34B
4G169BE36A
4G169BE36B
4G169CB25
4G169CB62
4G169CB66
4G169DA04
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC25
4H006BA08
4H006BA09
4H006BA13
4H006BA19
4H006BA36
4H006BJ50
4H006BN30
4H006FC52
4H006FE13
4H006KA30
4H006KC12
4H006KC30
4H039CA19
4H039CA41
4H039CL25
(57)【要約】
本発明は、酸性触媒としてGd(OTf)
3、又はTm(OTf)
3、又はAl(OTf)
3、又はY(OTf)
3、又はFe(OTf)
2、又はカンファースルホン酸又はBiCl
3の存在下で、2,3,6-トリメチルヒドロキノン又はその保護誘導体を式(IIIa)又は(IIIb)の不飽和アルコールと反応させることによる式(I)の化合物の形成に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物を式(IIIa)又は(IIIb)の化合物
【化2】
と
次のいずれか
Gd(OTf)
3若しくはTm(OTf)
3若しくはAl(OTf)
3若しくはY(OTf)
3若しくはFe(OTf)
2
又は
カンファースルホン酸;
又は
BiCl
3
である酸性触媒の存在下で反応させるステップを含み;
式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
Rは、水素、又はフェノール保護基であるR’を表し;
OTfは、トリフルオロメタンスルホン酸塩を表し;
且つ
点線を有する任意の結合
【化3】
は、前記点線を有する結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合を表すことを条件として、互いに独立して炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素結合を表し、且つこれが前記炭素-炭素二重結合に結合した場合、Z-又はE-配座のいずれかである、方法。
【請求項2】
R’が、次式
【化4】
(式中、R
11は、C
1~15-アルキル又はフッ素化C
1~15-アルキル又はC
1~15-シクロアルキル又はC
7~15-アラルキル基、好ましくはメチル基又はベンジル基である)のフェノール保護基であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
n=0又は1又は2、好ましくは2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)及び(IIIa)及び(IIIb)中の点線を有する全ての結合が炭素-炭素二重結合を表すことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記式(IIIa)又は(IIIb)の化合物に対する前記式(II)の化合物のモル比が、3~1の範囲、好ましくは2.5~1.1の範囲、より好ましくは2.0~1.2の範囲であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸性触媒に対する前記式(II)の化合物のモル比が0.001モル%~1モル%であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応が、炭化水素、好ましくはトルエン、又はC
5~10アルカン、最も好ましくはヘキサン又はヘプタンである溶媒の存在下で行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応が、有機カーボネート、好ましくは式(X)
【化5】
(式中、Y
1及びY
2は、互いに独立して、H、又はメチル基若しくはエチル基を表す)のカーボネートである溶媒の存在下で行われることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応が、少なくとも1種の炭化水素及び少なくとも1種の有機カーボネートを含む二相溶媒混合物の存在下で行われることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記反応が20℃~160℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(VI)
【化6】
の化合物の製造方法であって、
a)請求項1~10のいずれか一項に記載の方法により式(I)
【化7】
の化合物を製造するステップと、
b)式(I)中のRがフェノール保護基である場合、式(I)~(I’)
【化8】
の化合物を脱保護するステップと、
c)次式
【化9】
の化合物を酸化して、式(V)
【化10】
の化合物とするステップと、
d)塩基性触媒の存在下、式(V)の化合物を環化して式(VI)
【化11】
の化合物とするステップと
を含む、方法。
【請求項12】
ステップd)における前記塩基性触媒が、式(V)の化合物に対して1:1,000~1:5、特に1:100~1:10のモル比で存在することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(VIII)
【化12】
の化合物の製造方法であって、
i)請求項11又は12に記載の方法により式(VI)
【化13】
(式中、点線を有する任意の結合
【化14】
は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;且つ
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素結合を表し、且つこれが前記炭素-炭素二重結合に結合した場合、Z-又はE-配座のいずれかである)の化合物を製造するステップと;
ii)部分的水素化に適切な水素化剤を用いて式(VI)の化合物を部分的に水素化し、式(VIII)の化合物を得るステップと
を含む、方法。
【請求項14】
式(IX)
【化15】
の化合物の製造方法であって、
i)請求項11又は12に記載の方法により式(VI)
【化16】
(式中、点線を有する任意の結合
【化17】
は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;且つ
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素結合を表し、且つこれが前記炭素-炭素二重結合に結合した場合、Z-又はE-配座のいずれかである)の化合物を製造するステップと;
ii’)水素化剤を用いて式(VI)の化合物を水素化し、式(IX)の化合物を得るステップと
を含む、方法。
【請求項15】
式(I-A)
【化18】
(式中、R’はフェノール保護基を表し、
前記波線は、Z又はE-配座である炭素-炭素二重結合に結合した炭素-炭素結合を表す)の化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、クロマン及びクロメン、特に3,4-デヒドロトコトリエノール、トコトリエノール及びトコフェロールの合成の分野に関する。
【0002】
[発明の背景]
オレフィン性炭素-炭素二重結合を含むクロマン化合物は、重要な化学物質のクラスである。特に、α-トコトリエノールはこのクラスの非常に重要なメンバーである。
【0003】
飽和側鎖を有する対応する化合物、すなわち、α-トコフェロールは、ルイス酸及び/又はブレンステッド酸の存在下、2,3,6-トリメチルヒドロキノン及びイソフィトールから調製されることが知られている。
【0004】
例えば、国際公開第2004/063182A1号パンフレットには、多種多様な金属トリフレートの存在下での2,3,6-トリメチルヒドロキノン-1-アセテート及びイソフィトールからのα-トコフェリルアセテートの形成が開示されている。イソフィトールは、カップリング反応に使用される炭素-炭素二重結合を1個のみ有するが、二次的な環形成、すなわち側鎖での環形成をもたらし得る二重結合をさらに有さない。
【0005】
国際公開第2004/046126A1号パンフレットは、多種多様なスルホン酸、特にトリフリル酸又はp-トルエンスルホン酸の存在下での2,3,6-トリメチルヒドロキノン-1-アセテート及びイソフィトールからのα-トコフェリルアセテートの形成が開示されている。イソフィトールを使用するため、二次的な環形成は不可能である。
【0006】
欧州特許出願公開第949255A1号明細書は、硫酸又は数種のスルホン酸、特にトリフル酸又はp-トルエンスルホン酸を用いてのTMHQとイソフィトールとのカップリングを開示している。
【0007】
しかしながら、これらの酸性触媒の使用は、2,3,6-トリメチルヒドロキノン(TMHQ)又はその保護体と、ゲラニルゲラニオール又はファルネソールなどのそれぞれの不飽和アルコールとの反応には、望ましくない環状化合物が形成されるため、一般に適さないことが示されている。
【0008】
この発見は、TMHQ及びイソフィトールからのビタミンE(すなわち、α-トコフェロール)の既知の合成経路を使用することは、イソプレノイド側鎖が酸触媒による二次的な閉環反応を引き起こすため、トコトリエノールの(すなわち、TMHQ及びゲラニリナロールからの)合成には適さないことが報告されている、Kabbe及びHeitzer,Synthesis 1978,12,888-889に完全に一致する。
【0009】
しかしながら、トコトリエノール及びその前駆体の合成は、依然として非常に重要である。
【0010】
[発明の概要]
したがって、本発明が解決しようとする課題は、式(IIIa)又は(IIIb)の不飽和アルコールとTMHQ又はその保護体から式(I)の化合物を製造するための適切なプロセスを見出すことである。
【0011】
従来技術の教示にもかかわらず、数種類の金属トリフレート及びスルホン酸がこの反応に適した触媒であり、高収率且つ高選択率で、特にイソプレノイド側鎖による環状化合物を副生成物として形成する傾向が低く、式(I)の化合物が得られることは非常に驚くべきことであった。
【0012】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の対象となる。特に好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【0013】
[発明の詳細な説明]
第1の態様において、本発明は、式(I)
【化1】
の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物を式(IIIa)又は(IIIb)の化合物
【化2】
と
次のいずれか
Gd(OTf)
3若しくはTm(OTf)
3若しくはAl(OTf)
3若しくはY(OTf)
3若しくはFe(OTf)
2
又は
カンファースルホン酸;
又は
BiCl
3
である酸性触媒の存在下で反応させるステップを含み;
式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
Rは、水素、又はフェノール保護基であるR’を表し;
OTfは、トリフルオロメタンスルホン酸塩を表し;
且つ
点線を有する任意の結合
【化3】
は、点線を有する結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合を表すことを条件として、互いに独立して炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素結合を表し、且つこれが炭素-炭素二重結合に結合した場合、Z-又はE-配座のいずれかである、方法に関する。
【0014】
炭素-炭素二重結合に結合した任意の波線がE-配座であることが好ましい。
【0015】
明確にするため、本明細書で使用されるいくつかの用語を以下のように定義する。
【0016】
本明細書中、「Cx~y-アルキル」基は、x~y個の炭素原子を含むアルキル基であり、すなわち、例えば、C1~3-アルキル基は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキル基は直鎖状であっても又は分枝状であってもよい。例えば、-CH(CH3)-CH2-CH3は、C4-アルキル基とみなされる。
【0017】
「アラルキル」基は、アリール基によって置換されたアルキル基である。
【0018】
したがって、本明細書中、「Cx~y-アラルキル」基は、x~y個の炭素原子を含むアラルキル基であり、すなわち、例えば、C7~16-アラルキル基は、7~16個の炭素原子を含むアラルキル基である。アラルキル基は直鎖状であっても又は分枝状であってもよい。例えば、ベンジル基(-CH2-C6H5)は、C7-アラルキル基とみなされる。
【0019】
記号又は基に関する同一標識がいくつかの式中に存在する場合、本明細書中、特定の式に関して作成された前記基又は記号の定義は、同一の前記標識を含む他の式にも適用される。
【0020】
本明細書中の「互いに独立して」という用語は、置換基、部分又は基に関して、同一に指定された置換基、部分又は基が同一分子中で異なる意味をもって同時に存在することが可能であることを意味する。
【0021】
本明細書中、式中の点線は、それによって置換基が分子の残りの部分に結合している結合を表す。
【0022】
本明細書中、化学式中の点線を有する任意の結合
【化4】
は、互いに独立して炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表す。
【0023】
本明細書の式中の任意の波線は、炭素-炭素結合を表し、且つこれが炭素-炭素二重結合に結合した場合、Z又はE-配座のいずれかである。全ての分子において、炭素-炭素二重結合がE-配座であることが好ましい。
【0024】
本明細書で使用する「OTf」という用語は、トリフルオロメタンスルホネートを意味する。
【0025】
「pKa」は、一般的に酸解離定数の負の十進対数として知られている(pKa=-log10Ka)。有機酸が複数のプロトンを有する場合、本明細書で使用するpKaは最後のプロトンの解離定数に関連する。例えば、塩基性部位を2つ有する塩基の場合、「pka」はpKa2に関係する。pKaは標準的な温度及び圧力で測定される。
【0026】
[式(II)の化合物]
式(II)の化合物は、2,3,5-トリメチルヒドロキノン(=2,3,5-トリメチルベンゼン-1,4-ジオール、TMHQ)(R=H)又はそのモノ保護誘導体(R≠H;R=R’)である。
【化5】
【0027】
フェノール保護基は、R=Hを有する本明細書中のいずれかの式中のフェノール基(OH)を保護する基であり、保護基は容易に、すなわち最先端の方法によって除去することができ、その結果、遊離フェノール基を有するそれぞれの化合物を再び得ることができる。
【0028】
フェノール保護基R’は、RとしてHを有するそれぞれの式の化合物と保護剤との化学反応によって導入される。
【0029】
対応するフェノール保護基を導く保護剤は、この反応のための化学的プロセス及び条件と同様に、当業者に知られている。例えば、フェノール保護基が分子の残りの部分とエステルを形成する場合、適切な保護剤は、例えば、酸、無水物又はハロゲン化アシルである。
【0030】
フェノール保護基R’は、特に以下からなる群から選択される:
【化6】
(式中、R
10、R
11は、互いに独立して、C
1~15-アルキル基又はフッ素化C
1~15-アルキル基又はC
1~15-シクロアルキル基又はC
7~15-アラルキル基を表し;
R
12は、C
1~15-アルキレン又はC
6~15-アルキレン基を表し;
且つ、次のいずれか
R
13は、C
1~15-アルキル基又はアルキレンオキシアルキル基又はポリオキシアルキレン基を表し;
R
14は水素又はC
1~15-アルキル基を表すか;
或いは
R
13及びR
14は、一緒になって5~7員環を形成するC
3~7-アルキレン基を表し;
且つ単一の点線は、前記置換基が分子の残りの部分に結合している結合を表す)。
【0031】
R’がR10と等しい場合、それぞれの化合物はエーテルであり、これはそれぞれの保護剤とフェノール基(OH)との反応により形成することができる。この場合、保護剤は、例えば、それぞれのC1~15-アルキル又はフッ素化C1~15-アルキル又はC1~15-シクロアルキル又はC7~15-アラルキルハロゲン化物、特にヨウ化物などのアルキル化剤であってもよい。
【0032】
好ましい実施形態の1つにおいて、R10はメチル基である。
【0033】
別の好ましい実施形態において、R10は、C7~15-アラルキル基、好ましくはベンジル基又は置換ベンジル基、特に好ましくはベンジル基である。
【0034】
R’が、
【化7】
によって表される場合、それぞれの化合物はカルボン酸又はジカルボン酸のエステルであり、これはそれぞれの保護剤とフェノール基(OH)との反応により形成することができる。この場合、保護剤は、例えば、それぞれのカルボン酸(1)又はジカルボン酸(2)の無水物又はハロゲン化物であってもよい。
【化8】
【0035】
それぞれの式の化合物がカルボン酸又はジカルボン酸のエステルである場合、R’は、C1~7-アシル、好ましくはアセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル又はベンゾイル基、又は置換ベンゾイル基であることが好ましい。
【0036】
R’が、
【化9】
である場合、それぞれの化合物はアセタールであり、これはそれぞれの保護剤とフェノール基(OH)との反応によって形成することができる。この場合、保護剤は、例えば、それぞれのアルデヒド、ハロゲン化アルキル、例えば、MeO(CH
2)
2OCH
2Cl、又はエノールエーテル、例えば3,4-ジヒドロ-2H-ピランである。
【0037】
この場合、置換基R’は、好ましくは、
【化10】
(式中、n=0又は1である)である。
【0038】
場合によっては、アセタールは「エーテル」とも呼ばれ、特に上述の場合には、メトキシメチルエーテル(MOM-エーテル)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM-エーテル)、又はテトラヒドロピラニルエーテル(THP-エーテル)と呼ばれる。
【0039】
別の好ましい実施形態において、それぞれの化合物は、リン酸、ピロリン酸、亜リン酸、硫酸又は亜硫酸のエステルである。
【0040】
反応条件によって、エステル化は完全又は部分的に行われ、それぞれの酸の残りの酸基はエステル化されずに残る。
【0041】
保護基R’がベンゾイル基又はC1~4-アシル基、特にアセチル基又はトリフルオロアセチル基、より特にアセチル基であることが最も好ましい。R’がアシル基、特にアセチル基を表す分子は、エステル化によって対応する保護されていない分子から容易に調製することができ、保護されていないフェノール化合物は、エステル加水分解によって対応するエステルから得ることができる。
【0042】
フェノール保護基は、後述するように、脱保護反応ステップb)によって切断することができる。
【0043】
R’が、式
【化11】
(式中、R
11は、C
1~15-アルキル又はフッ素化C
1~15-アルキル又はC
1~15-シクロアルキル又はC
7~15-アラルキル基、好ましくはメチル基又はベンジル基である)のフェノール保護基であることが好ましい。
【0044】
[式(IIIa)又は(IIIb)の化合物]
【化12】
(式中、n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12である)。
【0045】
n=0又は1又は2であることが好ましく、好ましくは1又は2、最も好ましくはn=2である。
【0046】
式(IIIa)の好ましい化合物の例は、
【化13】
からなる群から選択される化合物であり、特に
【化14】
からなる群から選択される化合物である。
【0047】
全ての二重結合がE-配座であることがより好ましい。
【0048】
式(IIIa)の最も好ましい化合物は、3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール、好ましくは(6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール(ファルネソールとしても知られている);及び3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2,6,10,14-テトラエン-1-オール、好ましくは(6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2,6,10,14-テトラエン-1-オール(ゲラニルゲラニオールとしても知られている)である。特に好ましいのは、(2E,6E)-ファルネソール及び(2E,6E,10E)-ゲラニルゲラニオールである。
【0049】
式(IIIb)の好ましい化合物の例は、
【化15】
からなる群から選択される化合物であり、特に
【化16】
からなる群から選択される化合物である。
【0050】
式(IIIb)の最も好ましい化合物は、3,7,11-トリメチルドデカ-1,6,10-トリエン-3-オール、好ましくは(E)-3,7,11-トリメチルドデカ-1,6,10-トリエン-3-オール(ネロリドールとしても知られている);及び3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-1,6,10,14-テトラエン-3-オール、好ましくは(6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-1,6,10,14-テトラエン-3-オール(ゲラニリナロールとしても知られている)である。
【0051】
式(IIIa)及び(IIIb)の化合物、特にゲラニリナロール及びゲラニルゲラニオールは、工業的な量で既知の方法により調製することができるか、或いは、例えば、Sigma-Aldrichから商業的に入手可能であるか、又はJohn A.Hyatt et al.,Organic Process Research and Development 2002,6,782-787に開示されているような天然源/バイオベース源から商業的に入手可能である。
【0052】
[酸性触媒]
式(II)の化合物を、カンファースルホン酸又はBiCl3又はGd(OTf)3又はTm(OTf)3又はAl(OTf)3又はY(OTf)3又はFe(OTf)2のいずれかである酸性触媒の存在下で式(IIIa)又は(IIIIb)の化合物と反応させる。
【0053】
本発明の反応の酸性触媒として適しているのは、ごく少数のブレンステッド酸又はルイス酸だけであることが判明している。
【0054】
一実施形態において、酸性触媒はカンファースルホン酸である。本明細書で使用されるカンファースルホン酸は、カンファー-10-スルホン酸である。
【化17】
【0055】
好ましくは、カンファースルホン酸はその(+)型である。
【0056】
別の実施形態において、酸触媒はBiCl3である。
【0057】
別の実施形態において、酸性触媒は、ガドリニウム又はツリウム又はアルミニウム又はイットリウム又は鉄のトリフレートである。好ましいトリフレートは、Gd(OTf)3及びAl(OTf)3及びFe(OTf)2である。
【0058】
上記の反応において、式(IIIa)又は(IIIb)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は、3~1の範囲、好ましくは2.5~1.1の範囲、より好ましくは2.0~1.2の範囲であることが好ましい。
【0059】
さらに、酸性触媒に対する式(II)の化合物のモル比は、0.001モル%~1モル%、好ましくは0.005モル%~1モル%、より好ましくは0.02モル%~1モル%であることが好ましい。
【0060】
前記反応は、20℃~160℃、好ましくは80℃~120℃の温度で行われる。
【0061】
さらに、反応は通常、常圧で行われる。
【0062】
前記反応は、一実施形態において、炭化水素、好ましくはトルエン、又はC5~10アルカン、最も好ましくはヘキサン又はヘプタンである溶媒の存在下で行われることが好ましい。
【0063】
前記反応は、別の実施形態において、有機カーボネート、好ましくは式(X)のカーボネートである溶媒の存在下で行われることが好ましい:
【化18】
(式中、Y
1及びY
2は、互いに独立して、H、又はメチル基若しくはエチル基のいずれかを表す)。
【0064】
好ましくは、有機カーボネートはエチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートである。式(X)の異なるカーボネートの混合物を使用することも可能であり、特にエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネート及び/又はブチレンカーボネートの2元又は3元混合物として、最も好ましくはエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートの2元混合物として使用される。エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの比は、20:80~80:20、特に25:75~75:25であることが好ましい。
【0065】
好ましくは、式の溶媒は、Jeffsol(登録商標)の商標でHuntsmanによって市販されているカーボネート溶媒、特にエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとのブレンドであるJeffsol(登録商標)EC-75、Jeffsol(登録商標)EC-50及びJeffsol(登録商標)EC-25である。
【0066】
なおさらに好ましい実施形態において、前記反応は、少なくとも1種の炭化水素と少なくとも1種の有機カーボネートとを含む二相溶媒混合物の存在下で行われる。前記炭化水素は、好ましくはトルエン又はC5~10アルカン、最も好ましくはヘキサン又はヘプタンである。前記有機カーボネートは、好ましくは式(X)のカーボネートである。また、この実施形態において、使用される有機カーボネートは、特にエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネート及び/又はブチレンカーボネートの二元又は三元混合物として、最も好ましくはエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートの二元混合物としての式(X)の異なるカーボネートの混合物であることが可能である。エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合物を炭化水素と共に使用する場合、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの比率は20:80~80:20、特に25:75~75:25であることが好ましい。
【0067】
最も好ましくは、反応はヘキサン及び/又はヘプタンとエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートとの二相混合溶媒中で行われる。
【0068】
式(I)及び(IIIa)及び(IIIb)中の点線を有する結合が全て炭素-炭素二重結合を表すことが好ましい。
【0069】
式(I)の化合物を酸化して式(V)の化合物とし、環化して式(VI)の化合物とすることができる。
【0070】
したがって、さらなる態様において、本発明は、式(VI)
【化19】
の化合物を製造するプロセスであって、
a)上記に詳細に記載されたプロセスによって式(I)
【化20】
の化合物を製造するステップと、
b)式(I)中のRがフェノール保護基である場合、式(I)~(I’)
【化21】
の化合物を脱保護するステップと、
c)次式
【化22】
の化合物を酸化して、式(V)
【化23】
の化合物とするステップと、
d)塩基性触媒の存在下、式(V)の化合物を環化して式(VI)
【化24】
の化合物とするステップとを含むプロセスに関する。
【0071】
式(I)の化合物が保護された形態のフェノール基を有する場合、すなわちR=R’である場合、式(I’)
【化25】
のそれぞれの脱保護化合物を得るために、ステップb)においてそれぞれの保護基を脱保護反応により除去する必要がある。
【0072】
ステップb)における前記脱保護反応の条件は、フェノール保護基の種類に依存し、当業者に公知である。例えば、エステルは酸又は塩基の影響下で容易に脱保護することができ、或いはアセタールは酸の影響下で容易に脱保護することができる。
【0073】
酢酸エステルなどのエステルは、特に水素化リチウムアルミニウムによって切断され、それぞれの保護されていないフェノールが得られる。
【0074】
ステップc)の酸化は、適切な酸化剤、好ましくは酸、特に酢酸の存在下での酸化銀、又はメタノール中での酸素又は空気の使用によって実行することができる。
【0075】
ステップd)において、塩基性触媒の存在下で式(V)の化合物を式(VI)の化合物へと環化する。
【0076】
前記塩基性触媒は、好ましくは有機アミン、好ましくは有機第3級アミン、又は金属水酸化物若しくはカーボネート、特に有機第3級アミン又はアルカリ金属水酸化物のいずれかである。
【0077】
水中で測定した場合に8.6~15.7、特に9~15.7のpKaを有する前記塩基性触媒の共役酸が特に適切であることが示されている。これは、塩基性触媒は、好ましくは5.4~0、特に5~0のpKbを有することを意味する。
【0078】
対応する酸のいくつかの非限定的なpkaの例として以下が挙げられる。
【0079】
【0080】
一実施形態において、塩基性触媒は、特に、4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(=DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(=DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(=DABCO)、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)及びスパルテインからなる群から、好ましくは、4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(=DBU)及び1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)からなる群から選択される有機アミンである。
【0081】
別の実施形態において、塩基性触媒は、好ましくはアルカリ金属又は土類アルカリ金属の水酸化物又はカーボネート、好ましくは水酸化物、特にアルカリ金属水酸化物である。この実施形態において、最も好ましくは、塩基性触媒はNaOH又はKOHである。
【0082】
閉環ステップは、炭化水素溶媒、特にトルエン中で実行することが好ましい。
【0083】
炭化水素溶媒を使用する場合、溶媒は、好ましくは、式(V)の化合物との溶液が、式(V)の化合物に対して、0.05~5モル、より好ましくは0.1~1モルとなるような量で使用される。
【0084】
水が存在する場合、閉環反応は二相系、すなわち、水相及び有機相、特に水相及び有機溶媒相中で実行することが好ましい。
【0085】
塩基性触媒が触媒量で存在すること、すなわち、塩基性触媒が式(V)の化合物に対して化学量論量で存在するのではなく、有意に低い量で存在すること、すなわち、塩基性触媒と式(V)の化合物とのモル比が好ましくは1:1,000~1:5、特に1:100~1:10であることが好ましい。
【0086】
閉環ステップは、典型的に、撹拌下、好ましくは40~200℃、好ましくは90~150℃の温度、より好ましくは有機溶媒を使用する場合には有機溶媒の還流温度で、及び/又は1気圧~10気圧の圧力で実行される。この反応は不活性雰囲気下、好ましくは窒素下で実行されることがさらに好ましい。
【0087】
式(VI)の化合物は、式(VIIII)の化合物(部分水素化)又は(IX)の化合物(完全水素化)のいずれかの水素化剤を用いて水素化することができる。
【化26】
【0088】
したがって、さらなる態様において、本発明は、式(VIII)
【化27】
の化合物を製造するプロセスであって、
i)上記に詳細に記載されたプロセスによって式(VI)
【化28】
の化合物を製造するステップと、
ii)部分水素化に適切な水素化剤を用いて式(VI)の化合物を部分的に水素化し、式(VIII)の化合物を得るステップとを含むプロセスに関する。
【0089】
ステップii)の部分水素化において、環の炭素-炭素二重結合のみが水素化されるが、オレフィン性炭素-炭素二重結合は水素化されない(「部分水素化」)ので、水素化により式(VIII)の化合物が得られる。
【0090】
ステップii)で使用される水素化剤は、式(VIII)の環の炭素-炭素二重結合のみを水素化する水素化剤である。水素化剤として特に適切であるものは、Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)の特に2524ページの最後の段落に記載されているものなどのナトリウム/エタノールである。
【0091】
このプロセスによって、特に、側鎖に3つの二重結合を有するα-トコトリエノールが得られる。α-トコトリエノールは天然のビタミンEに含まれる重要な化合物である。
【0092】
したがって、さらなる態様において、本発明は、式(IX)
【化29】
の化合物を製造するプロセスであって、
i)上記に詳細に記載されたプロセスによって式(VI)
【化30】
の化合物を製造するステップと、
ii’)水素化剤を用いて式(VI)の化合物を水素化し、式(IX)の化合物を得るステップとを含むプロセスに関する。
【0093】
ステップii’)で使用される水素化剤は、式(VI)の環の全てのオレフィン性炭素-炭素二重結合を水素化する水素化剤である。水素化剤として特に適切であるものは、特にPd、Pt、Rh、Ru、Mn、Fe、Co及びNiからなる群から選択される、第7、8、9又は10群からの遷移金属、より好ましくはPdの存在下での水素である。
【0094】
異種遷移金属触媒は、好ましくは異種担持遷移金属触媒である。
【0095】
このような水素化は、例えば、Kabbe and Heitzer,Synthesis 1978,12,888-889に開示されている。
【0096】
本実施形態において、遷移金属は担体に担持される。すなわち、パラジウムは担体に付着/蒸着される。担体は、固体材料である。
【0097】
好ましくは、前記担体は炭素又は無機担体である。好ましい無機担体は酸化物又はカーボネートである。好ましい酸化物は、Si、Al、Ce、Ti又はZrの酸化物、特にAl又はSiの酸化物である。二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン及びセリアが特に好ましい。
【0098】
担体がCeである場合、好ましい酸化物はCeO2である。好ましくは、Alの酸化物はAl2O3、AlO(OH)である。特に好ましくは、Al2O3である。
【0099】
水素化は加圧下、特に2~20barの水素圧下で実行することが好ましい。水素化は、0℃~100℃の温度で実行することがさらに好ましい。
【0100】
このプロセスによって、特に、側鎖が完全に飽和したα-トコフェロールが生成される。α-トコフェロールは天然ビタミンE中の重要な化合物である。
【0101】
式(I-A)の化合物は新規である。したがって、さらなる態様において、本発明は、式(I-A)
【化31】
の化合物に関する。
【0102】
すでに指摘したように、R’はフェノール保護基を表し、波線はZ-又はE-配座のいずれかである炭素-炭素二重結合に結合している炭素-炭素結合を表す。保護基については上記で詳述されている。本実施形態において、保護基R’は好ましくはアセチル基である。
【0103】
E/Z混合物は、上記で詳述されたプロセスに従っての存在下、
【化32】
及び
【化33】
から調製されることが示されている。
【0104】
E/Z混合物は、必要に応じてクロマトグラフィーで分離することができる。
【0105】
本発明が示すように、式(I)の化合物は、式(V’)、(VI’)及び(VIII’)、(IX’)の化合物のそれぞれの合成に非常に適した薬剤である。
【化34】
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1】
図1は、上記のプロセスを、特に枠で強調して詳細に模式的に示すものであり、式(II)の化合物を、Gd(OTf)
3又はTm(OTf)
3又はAl(OTf)
3又はY(OTf)
3又はFe(OTf)
2又はカンファースルホン酸又はBiCl
3のいずれかである酸性触媒(「cat」)の存在下で、式(IIIa)又は(IIIb)の化合物と反応させるステップを含む、式(I)の化合物を製造するプロセスを示す。
【0107】
[実施例]
本発明は、以下の実験によってさらに説明される。
【0108】
[実験系列1]
ゲラニリナロール(12.51g(43mmol))、65mlの混合物エチレンカーボネート/ヘプタン(1.17/1 g/g)及び9.91g(65mmol)の2,3,6-トリメチルヒドロキノン(TMHQ)を表1に示す触媒の存在下、攪拌下で添加し、2,3,5-トリメチル-6-((2E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2,6,10,14-テトラエン-1-イル)ベンゼン-1,4-ジオールを表1に示す転化率及び収率で得た。
【0109】
【0110】
[実験系列2]
ゲラニルゲラニオール(3.45g(12mmol))、15mlの混合物エチレンカーボネート/ヘプタン(1.17/1 g/g)及び2.29g(15mmol)の2,3,6-トリメチルヒドロキノン(TMHQ)を表2に示す触媒の存在下、攪拌下で添加し、2,3,5-トリメチル-6-((2E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2,6,10,14-テトラエン-1-イル)ベンゼン-1,4-ジオールを表2に示す転化率及び収率で得た。
【0111】
【0112】
[実験系列3]
ゲラニルゲラニオール(3.42g(12mmol))、15mlの混合物エチレンカーボネート/ヘプタン(1.17/1 g/g)及び2.91g(15mmol)の2,3,6-トリメチルヒドロキノン-1-アセテートを表3に示す触媒の存在下、攪拌下で添加し、4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチル-5-((2E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2,6,10,14-テトラエン-1-イル)フェニルアセテートを表3に示す転化率及び収率で得た。
【0113】
【0114】
[実験系列4]
ゲラニリナロール(12.51g(43mmol))、65mlの混合物エチレンカーボネート/ヘプタン(1.17/1 g/g)及び16.54g(65mmol)の2,3,6-トリメチルヒドロキノン-1-ベンゾエートを表4に示す触媒の存在下、攪拌下で添加し、4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチル-5-((2E,6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2,6,10,14-テトラエン-1-イル)フェニルベンゾエートを表4に示す転化率及び収率で得た。
【0115】
【0116】
[実験系列5]
5.95gのエチレンカーボネート及び7.5mlのn-ヘプタン(エチレンカーボネート/n-ヘプタン1.17/1 g/g)の混合物中の2.19g(11.3mmol)の2,3,6-トリメチルヒドロキノン-1-アセテート及び表5に示す量の触媒の溶液を撹拌下還流するまで加熱した。2.2g(7.5mmol)の(全E)-ゲラニリナロールを添加した。ヘプタンで抽出することによってエチレンカーボネート相を除去した後、4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチル-5-((6E,10E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2,6,10,14-テトラエン-1-イル)フェニルアセテートを表5に示す収率で得た。
【0117】
【0118】
[実験系列6]
5.95gのエチレンカーボネート及び7.5mlのn-ヘプタン(エチレンカーボネート/n-ヘプタン1.17/1 g/g)の混合物中の2.19g(11.3mmol)の2,3,6-トリメチルヒドロキノン-1-アセテート及び表6に示す量の触媒の溶液を撹拌下還流するまで加熱した。1.69g(7.5mmol)の(全E)-ファルネソール又はE-ネロリドールを添加した。ヘプタンで抽出することによってエチレンカーボネート相を除去した後、4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチル-5-((6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル)フェニルアセテートを表6に示す収率で得た。
【0119】
【国際調査報告】