(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】食品包装用フィルタ材料
(51)【国際特許分類】
D21H 27/08 20060101AFI20240416BHJP
D21H 19/28 20060101ALI20240416BHJP
D21H 17/53 20060101ALI20240416BHJP
D21H 11/12 20060101ALI20240416BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240416BHJP
B01D 39/18 20060101ALI20240416BHJP
B65D 85/808 20060101ALI20240416BHJP
B65D 65/00 20060101ALI20240416BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20240416BHJP
D21H 13/08 20060101ALI20240416BHJP
A23F 3/00 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
D21H27/08
D21H19/28
D21H17/53
D21H11/12
B01D39/16 A
B01D39/18
B65D85/808
B65D65/00 A
B65D65/46
D21H13/08
A23F3/00 ZBP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560101
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022058129
(87)【国際公開番号】W WO2022207556
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513321250
【氏名又は名称】グラットフェルター ゲルンスバッハ ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Hoerdener Str. 5 76593 Gernsbach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン,アンドリュー ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】インギルディーフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】パスラ,ベアトリス
【テーマコード(参考)】
3E086
4B027
4D019
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
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3E086BA02
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4B027FE09
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4L055FA13
4L055FA30
4L055GA05
4L055GA30
4L055GA31
(57)【要約】
本発明は、持続可能性及び/又は強度の点で有利な特性を有するフィルタ材料、フィルタ材料の特定の特性を向上させるための非繊維状バインダの使用、フィルタ材料の製造方法、並びにフィルタ材料から作製された食品包装、特にティーバッグ、に関する。フィルタ材料は、繊維と、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの非繊維状バインダと、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)繊維と、
(b)ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの非繊維状バインダと、を含むフィルタ材料。
【請求項2】
前記繊維が、特に、木材繊維、麻繊維、マニラ繊維、ジュート繊維、サイザル繊維、マニラアサ繊維、クラフトパルプ、再生セルロース繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択されるセルロース繊維を含む、請求項1に記載のフィルタ材料。
【請求項3】
前記フィルタ材料が、
特に、木材パルプ及び1mm~10mmの平均繊維長を有するセルロース繊維から選択される、0~100重量%のセルロース繊維と、
0~40重量%の再生セルロース繊維、特にビスコース及び/又はリヨセル、と;
0~40重量%の熱可塑性生分解性繊維と、
を含む、請求項1又は2に記載のフィルタ材料。
【請求項4】
前記少なくとも1つの非繊維状バインダがポリ乳酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ材料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの非繊維状バインダが、100μm未満、特に2.5μm未満の平均粒子径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタ材料。
【請求項6】
前記少なくとも1つの非繊維状バインダが、フィルタ材料全体に基づいて、0.1~30重量%の量で含まれる、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ材料。
【請求項7】
前記フィルタ材料が湿潤強度増強剤を、特に、フィルタ材料全体に基づいて、0.1~3重量%の量でさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ材料。
【請求項8】
前記フィルタ材料が、以下の特性のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタ材料:
-フィルタ材料は生分解性であり、特にEN13432の要件に準拠する;
-フィルタ材料は少なくとも20g/50mmの湿潤引張強度を有する;
-フィルタ材料は少なくとも80g/50mmの湿潤クリンプ強度を有する;
-フィルタ材料は実質的にウィッキングを示さない。
【請求項9】
フィルタ材料の湿潤引張強度及び/又は湿潤クリンプ強度を高めるための、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される非繊維状バインダの使用。
【請求項10】
繊維を含むウェブを提供するステップと、
ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの非繊維状バインダを前記ウェブに適用するステップと、
を含むフィルタ材料の製造方法。
【請求項11】
前記ウェブを提供する前記ステップが、ウェットレイドプロセス、特に、傾斜ワイヤー抄紙機又は長網抄紙機によって前記ウェブを形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの非繊維状バインダを適用する前記ステップが、前記少なくとも1つの非繊維状バインダを含む液体を適用するステップを含み、
特に、前記液体がサイズプレスによって、及び/又は含浸、コーティング、印刷及びスプレーからなる群から選択される少なくとも1つの技術によって適用される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの非繊維状バインダを適用するステップの後に、前記フィルタ材料を、特に少なくとも125℃の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタ材料を含む食品包装、特にティーバッグ。
【請求項15】
前記食品包装がティーバッグであり、
前記少なくとも1つの非繊維状バインダがフィルタ材料全体に、特にティーバッグのクリンプ部分に、存在する、請求項14に記載の食品包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続可能性(自然ベース及び/又は生分解性など)及び/又は強度(特に湿潤引張強さ(wet tensile strength)及び/又は湿潤クリンプ(圧着)強度(wet crimp strength))の点で有利な特性を有するフィルタ材料(filter material)、フィルタ材料の特定の特性、より詳細には湿潤引張強さ及び/又は湿潤クリンプ強度、を高める非繊維状バインダ(non-fibrous binder)の使用、フィルタ材料を製造する方法、並びにフィルタ材料から作製された食品包装(food packaging)、特にティーバッグ、に関する。
【背景技術】
【0002】
ティーバッグなどのホット飲料及びコールド飲料を作るための食品包装は、通常、ホット飲料及びコールド飲料のバッグの中央の下に手で折り畳まれた、内容物を保持するクリンプを改善し、茶粉保持性やペーパーウェブの伸縮特性などのその他の物理的特性を改善するために、合成プラスチックバインダを含む。しかしながら、そのような合成プラスチック材料、通常、環境中で分解されるまでに何百年もかかる。ここ数年、プラスチックによる環境汚染への懸念から、ティーバッグを含む食品包装に好適に使用することができる、完全に堆肥化可能/生分解可能なフィルタ材料に対する需要が高まっている。
【0003】
このようなフィルタ材料の生分解性(biodegradability)や堆肥化性(compostability)がますます重要なテーマになっているだけでなく、化石資源の有限性により、前述したような、ホット飲料及びコールド飲料を作るための食品包装に通常使用される合成プラスチックバインダなどの従来の石油ベースプラスチック材料に代替することができる植物ベースなどのバイオベース材料に対する需要が生じている。
【0004】
したがって、既存の合成バインダ材料を使用する現在のホット飲料及びコールド飲料バッグの要件を満たす、生分解可能な、産業的かつ家庭的に堆肥化可能な植物ベースのバインダ材料を使用するホット飲料及びコールド飲料バッグ用又は食品包装用のフィルタ材料が必要になり得る。
【発明の目的】
【0005】
本発明は、上述の問題及び欠点を解消することを目的とする。したがって、本発明の目的は、ホット飲料及びコールド飲料を作るのに好適な、特にティーバッグに好適な、フィルタ材料の特定の特性、特に湿潤引張強度及び/又は湿潤クリンプ強度、を高める、バイオベース及び/又は生分解性バインダ材料が使用されるフィルタ材料を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される非繊維状(又は粒子状)(特に疎水性)バインダを使用することにより、この課題を解決できることを見出した。通常、ティーバッグは内容物の漏れを防ぐために折り畳まれた中央クリンプを使用する。本発明者らは、特に、これらの特定のバイオベース及び生分解性バインダが(特に天然セルロース系)繊維と強固に結合することができ、疎水性であることができ、クリンプ領域への水の浸入を防止することができ、これによりクリンプの強度を高めることができることを見出した。さらなる利点として、バインダは、より永続的な折り畳みを形成して、より開きにくくすることができる。さらなる改善として、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、バインダは、その細孔のサイズ及び数を縮小/減少させ、これによって内容物の粉塵がフィルタ材料を通って外包装へ移動するのを減少させることによって、フィルタ材料の改質に役立つことができる。
【0007】
したがって、本発明は、(a)繊維、並びに(b)ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びこれらのコポリマー(例えば、乳酸グリコール酸コポリマー(poly(lactic-co-glycolic acid)))からなる群から選択される少なくとも1つの非繊維状(又は粒子状)(特に疎水性)バインダを含む(特にホット飲料及びコールド飲料作製用、特にティーバッグ用)フィルタ材料に関する。
【0008】
本発明は、フィルタ材料の湿潤引張強度及び/又は湿潤クリンプ強度を高めるための、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される非繊維状(粒子状)バインダの使用にさらに関する。
【0009】
さらに、本発明は、繊維を含むウェブを提供するステップと、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの非繊維状(粒子状)バインダをウェブに適用するステップと、を含む、フィルタ材料の製造方法に関する。
【0010】
さらに、本発明は、本明細書に記載のフィルタ材料を含む、又はそれから作製された食品包装、特にティーバッグ、にさらに関する。
【0011】
本発明の実施形態の他の目的及び多くの付随する利点は、以下の実施形態の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって容易に認識され、より深く理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、非ヒートシールダブルチャンバーバッグ形成における例示的なステージを示す。
【
図2】
図2は、非ヒートシール紙クリンプ形成を示す。
【
図3】
図3は、フィルタ材料の乾燥引張強度を測定した実験結果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、フィルタ材料の湿潤引張強度を測定した実験結果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、フィルタ材料の乾燥クリンプ強度を測定した実験結果を示すグラフである。
【
図6】
図6は、フィルタ材料の湿潤クリンプ強度を測定した実験結果を示すグラフである。
【
図7】
図7は、フィルタ材料の水の登り(water climb)(ウィッキング(wicking))を測定した実験結果を示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0013】
以下、本発明の詳細並びに本発明の他の特徴及び利点について説明する。しかしながら、本発明は、以下の特定の説明に限定されるものではなく、これらはむしろ例示のみを目的としているにすぎない。
【0014】
1つの例示的な実施形態又は例示的な態様に関連して説明される特徴は、他のいずれかの例示的な実施形態又は例示的な態様と組み合わせることができ、特に、フィルタ材料のいずれかの例示的な実施形態で記載される特徴は、特に明記しない限り、フィルタ材料の他のいずれかの例示的な実施形態と、非繊維状バインダの使用のいずれかの例示的な実施形態と、フィルタ材料の製造方法のいずれかの例示的な実施形態と、又は食品包装のいずれかの例示的な実施形態と組み合わせることができ、その逆も同様であることは留意すべきである。
【0015】
「a」、「an」、又は「the」などの不定冠詞又は定冠詞が単数形の用語を指すときに使用される場合、特に明記されていない限り、その用語の複数形も含まれ、逆もまた同様であるが、本明細書で使用される単語「一(one)」又は数字「1」は、典型的には、「ちょうど1」又は「正確に1」を意味する。
【0016】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という表現は、「含む(comprising)」、「含む(including)」又は「含む(containing)」の意味を含むだけでなく、「本質的にからなる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」も包含することができる。
【0017】
第1の態様において、本発明はフィルタ材料に関する。
【0018】
本明細書で使用される「フィルタ材料」という用語は、特に、ある程度の濾過又は浸出(infusion)特性を有する繊維状製品を意味し得る。フィルタ材料は、編み物又は織物のように規則的ではなく、絡み合った個々の繊維のウェブなどの不織ウェブ(nonwoven web)(「織物(fabric)」又は「紙」とも呼ぶことができる)を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、フィルタ材料は、ホット飲料及びコールド飲料の作製に適している。言い換えれば、フィルタ材料は、お茶やコーヒーなどのホット飲料及びコールド(浸出)飲料の作製を可能にする濾過又は浸出特性を示すことができる。特に、フィルタ材料はコールド飲料及びホット飲料に関するすべての食品法基準を満たしている必要がある。
【0020】
一実施形態において、フィルタ材料は、ダブルチャンバーティーバッグ(double chamber tea bag)などのティーバッグ、特に非ヒートシールダブルチャンバーティーバッグ、に適している。非ヒートシールダブルチャンバーバッグ形成における例示的なステージを
図1に示す。さらに、
図2は非ヒートシール紙のクリンプ形成を示す。
【0021】
一実施形態において、フィルタ材料は非ヒートシール性(ヒートシール不可能)である。一般に、非ヒートシール性フィルタ材料は、いずれかのヒートシール性(ヒートシール可能な)(又は熱可塑性)繊維を実質的に含まないか、又は、言い換えれば、非ヒートシール性フィルタ材料は、実質的に非ヒートシール性繊維から構成される。非ヒートシール性フィルタ材料は、ダブルチャンバーティーバッグの製造に特に適し得る。しかしながら、代替的な実施形態において、フィルタ材料はヒートシール性フィルタ材料であってもよく、すなわち、熱可塑性繊維などのヒートシール性繊維を含むことができる。
【0022】
フィルタ材料は繊維を含む。
【0023】
一実施形態において、繊維は天然繊維、特に、木材パルプ、木材繊維、麻繊維、マニラ繊維、ジュート繊維、サイザル繊維、マニラアサ(abaca)繊維、クラフトパルプ又はこ
れらの混合物などの天然セルロース繊維、を含む。本明細書で使用される「天然(セルロース)繊維」という用語は、再生セルロース繊維(例えば、ビスコース又はリヨセル)などの合成又は半合成(セルロース)繊維とは対照的に、(セルロース)繊維が天然由来であり、(合成的に)変性されていないことを特に意味し得る。
【0024】
一実施形態において、繊維はセルロース繊維、特に、木材繊維、麻繊維、マニラ繊維、ジュート繊維、サイザル繊維、マニラアサ繊維、クラフトパルプ、再生セルロース繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択されるセルロース繊維を含む。このような繊維は、これらの生分解性の観点から、及び/又はこれらがバイオベースであるため、特に有利である。
【0025】
本明細書で使用される「生分解性の(生分解可能な)(biodegradable)」という用語は、「堆肥化性の(堆肥化可能な)(compostable)」と表現することもできるが、特に、繊維、非繊維状バインダ、又はフィルタ材料全体などの関係する材料が、少なくとも、例えば、EN13432、EN14995、ASTM D5988-18、ASTM D6400-19、及びASTM D6868-19の少なくとも1つに従う産業用堆肥化性の要件に準拠し、好ましくは、例えば、ドラフトprEN17427に従う家庭用堆肥化性の要件にも準拠し、好ましくは、例えばASTM D6691-17に従う海洋生分解性であり得ることも意味し得る。
【0026】
本明細書で使用される「バイオベース(biobased)」(「生物由来(bio-derived)」と表現することもできる)という用語は、特に、繊維、非繊維状バインダ、又はフィルタ材料全体などの関連材料が、生物学的又は天然由来の材料、特に植物又は他の再生可能な実体に由来することができることを意味し得る。
【0027】
一実施形態において、フィルタ材料は(繊維の総重量に基づいて)以下を含む:
0~100重量%の(天然)セルロース繊維、例えば10~90重量%の(天然)セルロース繊維、特に20~80重量%の(天然)セルロース繊維;
0~40重量%の再生(人工)セルロース繊維、例えば5~30重量%の再生セルロース繊維、特に10~20重量%の再生セルロース繊維;及び
0~40重量%の熱可塑性生分解性繊維、例えば5~30重量%の熱可塑性生分解性繊維、特に10~20重量%の熱可塑性生分解性繊維。
【0028】
(天然)セルロース繊維は、木材パルプ(針葉樹及び/又は広葉樹)などの木材セルロース繊維、及び1mm~10mm、例えば2mm~8mm、の平均繊維長を有する(例えば一年生植物からの)(長)セルロース繊維、特にマニラアサ及び/又はサイザルアサ繊維、から選択することができる。木材パルプは、特に、木材からセルロース繊維を化学的又は機械的に分離することによって、例えばクラフト(Kraft)法(硫酸塩法)によって、調製される(リグノセルロース)繊維状材料を示すことができる。クラフト木材パルプには、北部漂白針葉樹クラフト(NBSK;Northern Bleached Softwood Kraft)及び南部漂白針葉樹クラフト(SBSK;Southern Bleached Softwood Kraft)、並びにこれらの未漂白変種が含まれ得る。
【0029】
本明細書で使用される「再生セルロース繊維」という用語は、特に、溶媒紡糸プロセスによって得られる合成セルロース繊維を示すことができる。一実施形態において、再生セルロース繊維は、ビスコース(レーヨン)又はリヨセル(テンセル)からなる群から選択することができる。ビスコースは、通常、セルロースをキサントゲン酸セルロースとして中間溶解し、その後繊維に紡糸することを含むビスコースプロセスに従って製造される溶剤紡糸繊維(solvent spun fiber)の一種である。リヨセルは、通常、セルロースをN-メチルモルホリンN-オキシドに溶解し、その後繊維に紡糸することを含むアミンオキシドプロセスに従って製造される溶剤紡糸繊維の一種である。
【0030】
本明細書で使用される「熱可塑性生分解性繊維(thermoplastic biodegradable fibers)」という用語は、特に、熱にさらされると軟化し、並びに/又は部分的に及び/もしくは完全に溶融し、冷却して再固化すると、互いに結合することができ、又はセルロース繊維等の他の非熱可塑性繊維と結合することができる生分解性繊維を示すことができる。例えば、熱可塑性生分解性繊維は、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)及びPHAのコポリマー、並びに生分解性熱可塑性ポリマーから形成された他の繊維からなる群から選択することができる。これらの2つ以上を組み合わせて適用することもできる。
【0031】
一実施形態において、熱可塑性生分解性繊維は、多成分繊維、特に鞘-芯型(sheath-core type)のバイコンポーネント(bicomponent)繊維などのバイコンポーネント繊維を含む。バイコンポーネント繊維は、異なる物理的及び/又は化学的特性、特に異なる溶融特性を有する2種類のポリマーから構成される。鞘-芯型のバイコンポーネント繊維は、典型的には、高融点成分の芯と、低融点成分の鞘と、を有する。
【0032】
一実施形態において、フィルタ材料に含まれる実質的にすべての繊維を生分解性繊維とすることができる。言い換えれば、フィルタ材料が生分解性繊維以外のいずれの繊維を実質的に含まないこと、又はフィルタ材料が非生分解性繊維を実質的に含まないことが利点であり得る。「生分解性繊維以外の繊維を実質的に含まない」、又は「非生分解性繊維を実質的に含まない」実施形態に関して、生分解性繊維以外の他の繊維は、存在するとしても、不織布の総重量に基づいて、10重量%まで、5重量%まで、3重量%まで、2重量%まで、又は1重量%までの比較的少量でなら存在することができる。最終認証の要件を満たす限り、非生分解性繊維は存在してもよい。
【0033】
繊維の粗さ(coarseness)は特に限定されない。典型的には、繊維は、0.3~3.5dtex、例えば0.6~2.5dtexの繊維粗度を有することができる。
【0034】
フィルタ材料は、少なくとも1つの非繊維状バインダを含む。
【0035】
本明細書で使用される「非繊維状(non-fibrous)」という用語は、同義的に又は交換可能に「粒子状(particulate)」も指し示すことができ、特に、バインダが、(例えば、繊維の長さ又は直径によって特徴付けられる)繊維の形態ではなく、(例えば、平均粒子径によって特徴付けられる)粒子の形態であることを示すことができる。「非繊維状」という用語は、特に、引張強度を高めるフィルタ材料に使用されることがあることから、本発明による非繊維状バインダをバインダ繊維と区別するのに役立つ。
【0036】
本明細書において使用される「バインダ」という用語は、特に、(例えば、共有結合を形成することによって、イオン相互作用などによって)2本以上の繊維に結合することができ、それによって繊維を相互接続し、その結果、ウェブ又はファブリックの(引張)強度を高める化合物を示すことができる。
【0037】
少なくとも1つの非繊維状バインダは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、及びこれらのコポリマー(例えば、乳酸-グリコール酸コポリマー)からなる群から選択される。特に、ポリ乳酸は、フィルタ材料の湿潤引張強度及び/又は湿潤クリンプ強度を高めるのに特に適していることが証明されている。ポリ乳酸は、典型的には、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、及びポリ-D,L-乳酸(PDLLA)からなる群から選択することができる。
【0038】
一実施形態において、少なくとも1つの非繊維状バインダは疎水性であり、これは湿潤クリンプ強度の向上という点で有利であり得る。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは、疎水性非繊維状バインダがクリンプ領域への水の浸入を抑制し、それによって湿潤条件下でもクリンプの強度を高めることができると考えている。
【0039】
一実施形態において、少なくとも1つの非繊維状バインダは非晶質構造を有することができ、これは(より速い)生分解性の点で有利となり得る。
【0040】
一実施形態でにおいて、少なくとも1つの非繊維状バインダは、100μm未満、特に2.5μm未満の平均粒子径を有する。非繊維状バインダの平均粒子径は、例えば、光学顕微鏡、電子顕微鏡(透過型電子顕微鏡(TEM)又は高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)等)を使用して、適切な倍率で目視の顕微鏡観察を行い、適切な数の非繊維状バインダ粒子をランダムに選択し、個々の粒子径の平均(算術平均等)を計算することによって決定することができる。
【0041】
一実施形態において、少なくとも1つの非繊維状バインダは、フィルタ材料全体を基準として、0.1~30重量%の量、例えば0.5~25重量%の量、例えば1~20重量%の量、例えば5~18重量%の量、例えば10~15重量%の量、特に約12重量%の量、で含まれる。
【0042】
一実施形態において、少なくとも1つの非繊維状(粒子状)バインダは、フィルタ材料の実質的に全面(又は両面)に存在する。例えば、フィルタ材料の一方の面又は両面の表面積の少なくとも95%、特に少なくとも98%、例えば100%が、少なくとも1つの非繊維状(粒子状)バインダを備えることができる。特に、少なくとも1つの非繊維状(粒子状)バインダは、フィルタ材料から形成されたティーバッグのクリンプ部分(クリンプ領域)に存在することができる。
【0043】
一実施形態において、フィルタ材料は単層又は多層ウェブを含む。例えば、フィルタ材料は単層ウェブ又は多層ウェブとして製造することができ、少なくとも1つの非繊維状バインダは単層製品又は多層製品のいずれかの層のいずれか、及び単層ウェブ又は多層ウェブのウェブの上面又は下面のいずれかに添加することができる。
【0044】
一実施形態において、フィルタ材料は湿潤強度増強剤(wet-strength agent)をさらに含むことができる。本明細書で使用される「湿潤強度増強剤」という用語は、特に、例えば共有結合を形成することによって、湿潤状態におけるフィルタ材料の引張強度を向上させる薬剤を示すことができる。湿潤強度増強剤の好適な例としては、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂又はポリアミン-ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂を挙げることができる。湿潤強度増強剤は、フィルタ材料の総重量に基づいて、0.1~3重量%の量、例えば0.2~2重量%の量、例えば0.35~1.5重量%の量、例えば0.5~1重量%の量で含むことができる。
【0045】
本発明のフィルタ材料の坪量(grammage)又は連量(basis weight)は特に限定されない。典型的には、フィルタ材料は、8~120g/m2、特に9~50g/m2、例えば10~30g/m2の坪量を有する。坪量は、TAPPI T 410(om-19)に従って測定することができる。
【0046】
一実施形態において、フィルタ材料は生分解性である。一実施形態において、フィルタ材料はEN13432の要件に準拠し、好ましくは家庭での堆肥化可能条件に適合する。
【0047】
一実施形態において、フィルタ材料は、少なくとも20g/50mm、例えば30g/50mm以下、例えば22~28g/50mmのMD(機械方向)湿潤引張強度を有する。湿潤引張強度は、TAPPI T 494(om-13)に従って測定することができる。
【0048】
一実施形態において、フィルタ材料は、少なくとも80g/50mm、例えば120g/50mm以下、例えば90~110g/50mmの湿潤クリンプ強度を有する。湿潤クリンプ強度は、以下の実験部分でさらに詳細に説明するように、TAPPI T 494に基づく試験方法によって測定することができる。
【0049】
一実施形態において、フィルタ材料は、ウィッキング(毛細管上昇、毛細管効果)を実質的に示さず、例えば、水の登りは5mm/分以下、好ましくは2mm/分以下、最も好ましくは0mm/分。ウィッキング(毛細管上昇)は、ISO8787、NWSP010.1.R0(20)又はT431(cm-10)に従って測定することができる。
【0050】
一実施形態において、フィルタ材料は、ホット飲料又はコールド飲料の濾過、並びに特定の圧力下での濾過に特によく適している。フィルタ材料は、従来の包装機を使用して加工し、お茶やコーヒーなどの煎出材料を充填することができるため、ティーバッグなどの大量生産品に非常に適している。
【0051】
一実施形態において、フィルタ材料は、本明細書に記載のような方法によって得ることができる。
【0052】
第2の態様において、本発明は、フィルタ材料の湿潤引張強度及び/又は湿潤クリンプ強度を(好ましくはウィッキングなしで)高めるための、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される非繊維状(粒子状)バインダの使用に関する。
【0053】
第3の態様において、本発明はフィルタ材料の製造方法に関する。
【0054】
当該方法は、
繊維を含むウェブを提供するステップと、
ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの非繊維状(粒子状)バインダをウェブに適用(塗布)するステップと、
を含む。
【0055】
(不織)ウェブは、例えば、ウェットレイド機(wet-laid machine)を使用する従来の製紙プロセスによって、すなわちウェットレイドプロセスによって、特に、例えば米国特許第3,785,922号(その開示内容は援用により本明細書に組み込まれる)に記載されているような傾斜ワイヤー製紙機(inclined wire papermaking machine)又は長網抄紙機(fourdrinier paper machine)によって提供(準備)することができる。あるいは、(不織)ウェブは、例えば米国特許第3,905,864号(その開示内容は援用により本明細書に組み込まれる)に記載されているような乾式成形エアレイド不織布製造プロセス(dry-forming air-laid nonwoven manufacturing process)によって提供(準備)することができる。
【0056】
続いて、少なくとも1つの非繊維状(粒子状)バインダがウェブに適用(塗布)される。一実施形態において、少なくとも1つの非繊維状バインダを適用するステップは、少なくとも1つの非繊維状バインダを含む液体(例えば水中の、分散液、エマルション、又は懸濁液等)を適用するステップを含み、特に、液体は、サイズプレスによって、及び/又は含浸、コーティング、印刷及びスプレーからなる群から選択される少なくとも1つの技術によって適用される。好ましい実施形態において、少なくとも1つの非繊維状バインダは、サイズプレスによって適用することができる。この手段を講じることにより、フィルタ材料の実質的に全表面(もしくは両面)又は構造全体内に、非常に効率的な方法で少なくとも1つの非繊維状バインダを適用することが可能となり得る。
【0057】
一実施形態において、当該方法は、特に、ウェブがウェットレイドプロセスによって作製された場合には、フィルタ材料を乾燥するステップをさらに含む。
【0058】
一実施形態において、当該方法は、少なくとも1つの非繊維状バインダを適用するステップ(及び、選択的に、フィルタ材料を乾燥するステップ)の後に、特に少なくとも125℃の温度に、好ましくは少なくとも150℃の温度に、特にバインダを溶融又は硬化させてバインダを繊維に結合させるのに十分な温度に、フィルタ材料を加熱するステップをさらに含む。
【0059】
一実施形態において、当該方法は、本明細書に記載されるようなフィルタ材料を製造するのに好適であり得る。
【0060】
第4の態様において、本発明は、フィルタ材料を含む、又はフィルタ材料から作られた食品包装(パウチなど)、特にティーバッグ、に関する。
【0061】
一実施形態において、食品包装はティーバッグであり、少なくとも1つの非繊維状バインダは、フィルタ材料全体にわたって(フィルタ材料の全領域又は全面上に)、特にティーバッグのクリンプ部分(クリンプ領域)に、存在する。
【0062】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、それらは単に特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【実施例】
【0063】
以下に示すような組成を有するフィルタ材料を作製し、特定の特性、特に乾燥引張強度及び湿潤引張強度、乾燥クリンプ強度及び湿潤クリンプ強度、並びに水の登り(垂直毛細管上昇、ウィッキング)、について試験した。
【0064】
評価したすべてのフィルタ材料のベース基材として、湿潤強度増強剤を含むがバインダを含まず、坪量12.7g/m2の従来の非ヒートシール性マニラアサ木材紙を使用した(以下において「612ベース標準」と称する)。この612ベース標準に、以下に示す種々のバインダをサイズプレスを使用して塗布し、実験用オーブン内で200℃で10秒間硬化を行った。参考例として、612ベース標準のサンプルを水(すなわち、バインダを含まない)でサイズプレスし、それ以外はバインダを塗布したサンプルと同様に処理した。
【0065】
アクリル酸メチルバインダなどの合成バインダは、例えばBTCヨーロッパゲーエムベーハー(BTC Europe GmbH)(BASF(BASF SE))、クラリアント(Clariant AG)、又はロームアンドハース(Rohm and Haas)(ダウケミカル(Dow Chemical))から入手可能である。ポリブチレンサクシネート(PBS)バインダは、例えば、三菱ケミカル株式会社又は上野製薬株式会社から入手可能である。ポリ乳酸(PLA)バインダは、例えば、SKケミカルズ(SK Chemicals)又はユニチカ株式会社から入手可能である。
【0066】
比較例:
-612ベース標準(サイズプレスなし)
-612ベース(水でのサイズプレスあり)
-612ベース+1.5%CMC(カルボキシメチルセルロース;バイオベースバインダ;EN13432に準拠)
-612ベース+6%合成アクリル酸メチルバインダ;生分解性ではない
-612ベース+12%合成アクリル酸メチルバインダ;生分解性ではない
-612ベース+6%ポリブチレンサクシネート;生分解性バインダ
-612ベース+12%ポリブチレンサクシネート;生分解性バインダ
【0067】
本発明による実施例:
-612ベース+6%PLAバインダ タイプA
-612ベース+12%PLAバインダ タイプA
-612ベース+6%PLAバインダ タイプB
-612ベース+12%PLAバインダ タイプB
-612ベース+6%PLAバインダ タイプC
-612ベース+12%PLAバインダ タイプC
【0068】
試験方法:
乾燥引張強度及び湿潤引張強度:
フィルタ材料の乾燥引張強度及び湿潤引張強度は、定率伸長装置を使用して、TAPPI T 494(om-13)紙及び板紙の引張特性に従って測定した。「MD乾燥引張(MD dry tensile)」は機械方向の乾燥引張強度を意味し、「湿潤MD引張(wet MD tensile)」は機械方向の湿潤引張強度を意味する。
【0069】
試験したフィルタ材料のMD乾燥引張強度の測定結果を
図3に示し、試験したフィルタ材料のMD湿潤引張強度の測定結果を
図4に示す。
【0070】
乾燥クリンプ強度及び湿潤クリンプ強度:
フィルタ材料の乾燥クリンプ強度及び湿潤クリンプ強度は、以下でさらに詳しく説明するように、引張強度試験法TAPPI T 494、定率伸長、に基づいた試験方法によって測定した。
【0071】
乾燥クリンプ強度:
-シートをMD方向に半分に1回折り曲げた。折り目の反対側の端において、2つの端を含む細い1mmのストリップを折り返す。続いて、この最初の折り目をさらに2回折り、折り目をしっかりとさせ、折り畳まれた細いストリップの幅が2mmを超えないようにする。
-次に、3回折り畳まれた紙の端を、2つのローレット歯車で構成されるクリンピングホイール装置に通す。ベースホイールは幅3mmであり、104個の歯及び28mmの直径を構成する。トップホイールは幅1mmであり、82個の歯を構成し、25mmの直径を有する。幅50mmのクリンプされたストリップから8つのサンプルを切り出す。
-各サンプルにおいて元の折り畳まれた端を切断し、引張試験機のジョーに固定される2つの尾部(tail)を得る。
-50mm幅で形成されたクリンプを50mm/分で引き離し、その結果生じるピーク荷重をg/50mmで表した。
【0072】
湿潤クリンプ強度:
-クリンプされたサンプルは上記のように形成され、引張試験機のジョーに取り付けられる。クリンプを50mm/分で引き離す直前に、20℃の水をクリンプにスプレーする。得られるピーク荷重をg/50mmで表す。
【0073】
試験したフィルター材料の乾燥クリンプ強度の測定結果を
図5に示し、試験したフィルター材料の湿潤クリンプ強度の測定結果を
図6に示す。
【0074】
水の登り(垂直毛細管上昇、ウィッキング):
フィルタ材料の水の登りは、以下でさらに詳しく説明するような、ISO8787紙及び板紙、毛細管上昇-クレム(Klemm)法-と同様の試験方法によって測定した。
【0075】
1 はじめに
この方法は、毛細管現象によって水が吸収される速度によって紙の疎水性の程度を測定するために使用される。
【0076】
2.0 装置
定規
水
250mlガラスビーカー
25mm幅のテンプレート又は断裁機
ストップウォッチ
ブルドッグクリップ
スタンド及びクランプ
【0077】
3.0 実験の詳細
3.1 幅25mm、長さ180mm以上のサンプルストリップを切り取る。
3.2 鉛筆を使用して、一端から50mm(位置A)及び60mm(位置B)の位置に、幅を横切る2本の直線で紙ストリップに印を付ける。
【0078】
4 方法
4.1 ブルドッグクリップを紙ストリップの両端に取り付け、クランプ/スタンドから垂直に吊るす。ストリップの下端を水の入ったビーカーに浸し、最も低い鉛筆の線(位置A)が水面と平行になるようにクランプの高さを調整する。
4.2 紙が完全に疎水性でない場合、水は紙ストリップを登り始めるだろう。濡れた線の最後の部分が2本目の鉛筆の線(位置B)を超えたら、ストップウォッチをスタートさせる。
4.3 10分が経過したら、ストリップ上の濡れた線の最下点の位置(位置C)をマークする。
4.4 クランプとブルドッグクリップからストリップを取り外し、暗い表面に置く。位置Bから位置Cまでの距離をmm単位で測定する。
【0079】
5.0 結果
ウィッキング速度は、4.4で測定した距離であり、mm/10分の単位で見積もられる。
【0080】
試験したフィルタ材料の水の登りの測定結果を
図7に示す。
【0081】
結論:
図3及び
図4に示す結果から明らかなように、バイオベースで生分解性のPLAバインダを用いた本発明によるフィルタ材料は、CMCなどのバイオベースバインダ、PBSなどの他の生分解性バインダ、さらにはアクリル酸メチルバインダなどの従来の合成バインダよりも、乾燥状態においても、特に湿潤状態においても、引張強度が優れている。したがって、本発明によるフィルタ材料は、既存の合成バインダ材料を使用する現在のホット飲料及びコールド飲料バッグの要件に完全に適合することができる。
【0082】
図5及び
図6に示す結果から明らかなように、従来のバインダの一部と又はバインダを含まないフィルタ材料と同等の乾燥クリンプ強度を示しながらも、バイオベースで生分解性のPLAバインダを使用する本発明によるフィルタ材料は、CMCなどのバイオベースバインダ、PBSなどの他の生分解性バインダ、さらには従来の合成バインダよりも大幅に向上した湿潤クリンプ強度を示す。したがって、本発明によるフィルタ材料は、湿潤状態にあるティーバッグのクリンプ部分(クリンプ領域)における破れを効果的に防止し又は著しく低減し、それによって抽出時の固形茶粒子の漏出を回避することができる。
【0083】
さらに、
図7に示す結果から明らかなように、バイオベースで生分解性のPLAバインダを使用する本発明によるフィルタ材料は、いくつかの比較例とは対照的に、実質的にウィッキング効果を示さず、このことは、本発明によるフィルタ材料が、クリンプ領域への水の浸入を抑制するため、湿潤クリンプ強度の向上を伴う高度の疎水性を有していることを示している。
【0084】
本発明は、特定の実施形態及び実施例によって詳細に説明されているが、本発明はそれらに限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【国際調査報告】