(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】光ファイバーコネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G02B6/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562180
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2022059092
(87)【国際公開番号】W WO2022214536
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025023
【氏名又は名称】フォックス バイオシステムズ エヌブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】デルポート,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】イェスパーズ,イェンス
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036QA02
(57)【要約】
本発明は、光ファイバーを分析デバイス、特に、バイオ分析デバイス内に位置決め及び位置合わせする光ファイバーコネクタに関する。また、そのようなデバイス内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせする方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(バイオ)分析デバイス内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせする光ファイバーコネクタであって、
前記光ファイバーを受ける開口部(20)と、前記(バイオ)分析デバイスと接続されるように構成されるコネクタ部(13)とを備えるアダプター体(3)と、
ベース部材(5)と取付け可能部材(4)とを備える光ファイバー位置合わせ体(2)であって、前記ベース部材は、その内側に光ファイバー位置合わせ溝(8)を備える、光ファイバー位置合わせ体(2)と、
を備え、
前記アダプター体(3)及び前記ベース部材(5)は一体成型され、
前記取付け可能部材(4)及び前記ベース部材(5)は、前記ベース部材の内側及び前記取付け可能部材の内側が互いに向かって方向付けられるように、前記光ファイバーの位置決め、位置合わせ及び固定の際に協働するように構成されることを特徴とする、光ファイバーコネクタ。
【請求項2】
前記取付け可能部材は、前記ベース部材内の1つ以上の凹部(7)と協働するように構成されるとともに、前記光ファイバーコネクタ内での前記光ファイバーの固定、特に、接合要素なしで前記光ファイバーコネクタ内での前記光ファイバーの固定を行う1つ以上のクランプ手段(6)を備える、請求項1に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項3】
前記取付け可能部材は、該取付け可能部材の長手方向両側に、特に、該取付け可能部材の中央部全体にわたって位置する2つのクランプ手段(6)を備える、請求項2に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項4】
前記ベース部材は、該ベース部材上への前記取付け可能部材の取付けを誘導する1つ以上の誘導手段(9)、好ましくは少なくとも2つの誘導手段を備え、前記誘導手段は、前記光ファイバー位置合わせ溝の両側に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項5】
前記取付け可能部材は、その内側に、前記ベース部材の前記位置合わせ溝(8)及び前記アダプター体(3)の前記開口部(20)内で前記光ファイバーを位置決め、位置合わせ及び固定するように構成される1つ以上の突出部(15)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項6】
前記突出部は、前記取付け可能部材の内側の中央部に存在し、特に、前記1つ以上の突出部は、前記取付け可能部材の内側の中央部の全長にわたって位置決めされる、請求項5に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項7】
前記1つ以上の突出部は、前記取付け可能部材の内側の第1の端部及び第2の端部に存在する、請求項5又は6に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項8】
前記1つ以上の突出部は半球形であり、斜面を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項9】
前記取付け可能部材は、その内側に、該取付け可能部材が前記光ファイバーを含む前記ベース部材上に配置されるときに前記光ファイバーを受ける長手方向凹部(16)を備え、好ましくは、前記長手方向凹部(16)は、前記取付け可能部材の両端部の内側に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項10】
前記長手方向凹部(16)は、請求項5~9のいずれか一項に記載の1つ以上の突出部を備える、請求項9に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項11】
前記アダプター体は、前記光ファイバーを受ける開口部(20)を備えるファイバー受け部(11)と、フランジ部(12)と、前記ファイバーコネクタを前記(バイオ)分析デバイスのプローブと接続するコネクタ部(13)とを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項12】
前記アダプター体の前記コネクタ部は、前記光ファイバーコネクタを前記(バイオ)分析デバイスと接続して位置合わせする1つ以上の接続手段(14)を備え、好ましくは、前記アダプター体の前記コネクタ部は、前記光ファイバーコネクタを前記(バイオ)分析デバイスと接続して位置合わせする少なくとも3つの接続手段を備える、請求項11に記載の光ファイバーコネクタ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタと光ファイバーとの組合せ。
【請求項14】
(バイオ)分析デバイス内で光ファイバーを位置決め、位置合わせ及び固定する方法であって、
1)請求項1~12のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタのベース部材内で前記光ファイバーを位置決め及び位置合わせすることと、
2)請求項1~12のいずれか一項に記載の前記光ファイバーコネクタの前記ベース部材上に取付け可能部材を取り付けることと、
3)前記光ファイバーを含む前記光ファイバーコネクタを前記(バイオ)分析デバイスと接続することと、
を含む、方法。
【請求項15】
(バイオ)分析デバイス内で光ファイバーを位置決め、位置合わせ及び固定するための請求項1~12のいずれか一項に記載の光ファイバーコネクタの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーを分析デバイス、特に、バイオ分析デバイス内に位置決め及び位置合わせする光ファイバーコネクタに関する。また、そのようなデバイス内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせする方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサーは、生物学的検知素子を組み込んだ分析デバイスである。バイオセンサーは、物理信号又は化学信号を光信号又は電気信号に変換することによって、複合サンプル内の生体分子を検出することができ、光信号又は電気信号を検体の濃度に更に処理することができる。上記バイオセンサー又はバイオ分析デバイスの構成要素は、検知ユニットと、信号変換及び処理ユニットとを含む。生体分子、すなわち、抗原/抗体、酵素、核酸、ホルモン受容体、生細胞及び組織は、触媒作用及び親和結合を介して生物学的実体を特異的に認識する。
【0003】
例えば、表面プラズモン共鳴技術に使用される光バイオセンサーは、生物系を検出するとともに、臨床診断、創薬、食品加工管理、及び環境モニタリングにおける大幅な進歩を促進する際に価値ある性能を発揮している。前処理の複雑性と標的分子の性質に影響を及ぼす可能性とを伴わずに、これらのバイオセンサーは、高感度、ロバスト性、信頼性、及び単一のチップ上に統合される潜在能力等の追加の利点を有する。
【0004】
表面プラズモン共鳴(SPR:surface plasmon resonance)は、生体分子相互作用分析における標準的な技術となっている。
【0005】
表面プラズモン共鳴(SPR)は、生体分子相互作用分析における標準的な技術となっている。プリズムベースのSPRシステムに続いて、光ファイバーSPR(FO-SPR:fiberoptic SPR)が代替のプラットフォームをなし、小型で安価なファイバーベースの検知素子を使用してリモートセンシング、連続分析及びin-situモニタリング等の多数の利益を提供する。
【0006】
光ファイバーSPRセンサーは、低コストかつ小サイズ、高性能、非常に少ないサンプル体積、リモートセンシング能力、可搬性及び小型化等のいくつかの利点を提示する。光ファイバーSPRセンサーの小サイズにより、光ファイバーSPRセンサーを、種々の生化学物質等の様々な成分の同時測定のために多ファイバー検出プラットフォームに組み込むことが可能になる。実際、光ファイバーSPRプラットフォームの表面にわたって生化学レセプターを固定化することによって、効率的なバイオセンサーを実現することができる。例えば、光ファイバーは、例えば流体チャネル又は振盪ウェル内で利用可能な液体サンプル内に挿入されるプローブとして使用される。
【0007】
カスタムメイド光ファイバーSPRセンサー内に光を照射することによってSPR信号が生成され、この光は臨界角未満でFO-SPRに入る必要があり、その後、リアルタイムで反射光信号の捕捉及び処理が行われるため、光ファイバーの正確な位置合わせ及び位置決めは、分析中のアーチファクトを回避するために肝要である。このために、光ファイバーは、例えば、接着剤、特定のクランプ、又は例えばPCT出願公開である特許文献1に示すような他の固定手段を使用することによって、特定のコネクタ内に配置される。ここでの主な問題は、正確な位置決め及び位置合わせが依然として困難であり、接合プロセスにおいて接合材料が過剰であると、光ファイバーにわたる信号伝達に影響を及ぼし得ることである。本発明により、例えばPCT出願公開である特許文献1において必要なその後の接合プロセスを必要とすることなく、コネクタ内での、その後(バイオ)分析デバイス内での光ファイバーの正確な位置決め、位置合わせ及び固定を確実にする光ファイバーコネクタが提供される。さらに、本発明により、光ファイバーが光ファイバーコネクタ内で位置決め及びクランプされると、光ファイバーは、光ファイバーコネクタを損傷することなく動かす又は取り外すことができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【0009】
本願の目的は、分析デバイス、特にバイオ分析デバイス内での光ファイバーの正確な位置決め、位置合わせ及び固定を可能にする光ファイバーコネクタを提供することである。本発明の光ファイバーコネクタは、コネクタ部13を備えるアダプター体3と、ベース部材5及び取付け可能部材4を備える光ファイバー位置合わせ体2とを備える。本発明に典型的なことに、光ファイバー位置合わせ体のベース部材及びアダプター体は一体成型され、取付け可能部材及びベース部材は、ベース部材の内側及び取付け可能部材の内側が互いに向かって方向付けられるように、光ファイバーの位置決め、位置合わせ及び固定の際に協働するように構成される。
【0010】
そのため、第1の態様において、本発明は、光ファイバーを受ける開口部と、(バイオ)分析デバイスと接続されるように構成されるコネクタ部13とを備えるアダプター体を備える光ファイバーコネクタを提供し、特に、(バイオ)分析デバイスとの接続は、(バイオ)分析デバイスのプローブ、バイオセンサーマウント、又はバイオセンサーマニホールドを介して行うことができる。光ファイバーコネクタは、ベース部材と取付け可能部材とを備える光ファイバー位置合わせ体も備え、上記ベース部材は、その内側に位置合わせ溝を備える。光ファイバーコネクタは、典型的には、アダプター体及び光ファイバー位置合わせ体のベース部材が一体成型され、取付け可能部材及びベース部材が、ベース部材の内側及び取付け可能部材の内側が互いに向かって方向付けられるように、光ファイバーの位置決め及び位置合わせの際だけでなく、光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの固定の際にも協働するように構成されることを特徴とする。上述したように、本発明の目的は、その後の接合プロセスを伴わずに光ファイバーのそのような固定を提供することである。
【0011】
そのために、光ファイバーコネクタの更なる特徴によれば、取付け可能部材は、ベース部材内の1つ以上の凹部と協働するように構成されるとともに、光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの固定を可能にする1つ以上のクランプ手段を備える。更なる実施の形態において、取付け可能部材は、ベース部材内の少なくとも2つの凹部と協働するように構成される少なくとも2つのクランプ手段を備える。更に別の実施の形態において、取付け可能部材は、ベース部材内の2つの凹部と協働するように構成される2つのクランプ手段を備える。更に別の実施の形態において、1つ以上のクランプ手段は、取付け可能部材の長手方向側に位置し、ベース部材の長手方向側における1つ以上の凹部と協働するように構成される。別の実施の形態において、1つ以上のクランプ手段は、取付け可能部材の長手方向側の中央部に位置し、ベース部材の長手方向側の中央部内の1つ以上の凹部と協働するように構成される。別の実施の形態において、1つ以上のクランプ手段は、取付け可能部材の長手方向側の中央部及び両端部に位置し、ベース部材の長手方向側の中央部及び端部における1つ以上の凹部と協働するように構成される。好ましい実施の形態において、2つのクランプ手段は、取付け可能部材の各長手方向側において取付け可能部材の中央部に位置し、ベース部材の各長手方向側の中央部内の2つの凹部と協働するように構成される。
【0012】
本発明に係る光ファイバーコネクタの別の特徴によれば、ベース部材は、ベース部材上への取付け可能部材の取付けを誘導する1つ以上の誘導手段を備える。この誘導手段は、ベース部材の内側に位置する。更なる実施の形態において、ベース部材は、その内側に、ベース部材上への取付け可能部材の取付けを誘導する少なくとも2つの誘導手段、好ましくは2つの誘導手段を備える。なおも更なる態様において、1つ以上の誘導手段は、位置合わせ溝の両側においてベース部材の内側に位置する。更に別の実施の形態において、1つ以上の誘導手段は、ベース部材の内側、特に位置合わせ溝の両側に位置する隆起縁部である。
【0013】
本発明に係る光ファイバーコネクタの別の態様において、光ファイバーコネクタの取付け可能部材は、その内側に、ベース部材の位置合わせ溝及びアダプター体の開口部内で光ファイバーを位置決め、位置合わせ及び固定するように構成される1つ以上の突出部を備える。更なる実施の形態において、取付け可能部材は、上記突出部の少なくとも2つを備える。上記1つ以上の突出部は、取付け可能部材の内側の中央部に位置することができ、特に、上記1つ以上の突出部は、取付け可能部材の内側の中央部の全長にわたって位置決めされる。別の態様において、上記1つ以上の突出部は、取付け可能部材の内側の第1の端部及び第2の端部に位置する。好ましい実施の形態において、上記突出部は、取付け可能部材の内側の第1の端部及び第2の端部に位置し、特に、1つの突出部は、取付け可能部材の内側の第1の端部に位置し、別の突出部は第2の端部に位置する。別の好ましい実施の形態において、上記突出部は、取付け可能部材の内側の第1の端部及び第2の端部並びに中央部に位置する。例えば、1つの突出部は、取付け可能部材の内側の第1の端部に位置し、別の突出部は第2の端部に位置し、1つ以上の突出部は中央部に位置する。
【0014】
本明細書に前述したように、取付け可能部材の1つ以上の突出部は、存在する場合、取付け可能部材が光ファイバーを含むベース部材上に配置されるときに光ファイバーに嵌合し、光ファイバーコネクタ内で光ファイバーを固定するように構成される。更なる実施の形態において、取付け可能部材の1つ以上の突出部は半円形である。更に別の実施の形態において、取付け可能部材の1つ以上の突出部は斜面を有する。なおも更なる実施の形態において、取付け可能部材の1つ以上の突出部は、斜面を有する半円形である。突出部が斜面を有するこのような構成により、光ファイバーにわたる光信号伝達に影響を及ぼすことなく、光ファイバーの最良の把持及び固定が提供されることが分かっている。
【0015】
本発明に係る光ファイバーコネクタの別の態様において、光ファイバー位置合わせ体の取付け可能部材は、その内側に、取付け可能部材が光ファイバーを含むベース部材上に配置されるときに光ファイバーを受ける長手方向凹部を備える。更なる実施の形態において、上記長手方向凹部は、取付け可能部材の両端部の内側に存在する。特に、上記長手方向凹部は、光ファイバーコネクタ内で光ファイバーを位置決め、位置合わせ及び固定するように構成される1つ以上の突出部を備える。別の実施の形態において、上記長手方向凹部は、取付け可能部材の全長の内側に存在する。
【0016】
別の特徴によれば、光ファイバーコネクタのアダプター体は、ファイバー受け部と、フランジ部と、コネクタ部とを備え、ファイバー受け部は、光ファイバーを受ける開口部を備え、コネクタ部は、光ファイバーコネクタを(バイオ)分析デバイスと接続するように構成される。更なる実施の形態において、アダプター体のフランジ部は、位置決めプレート内で光ファイバーコネクタを鉛直に位置決めするように構成される。
【0017】
別の実施の形態において、アダプター体のコネクタ部は、光ファイバーコネクタを分析デバイスのプローブと接続して位置合わせする1つ以上の接続手段を備える。好ましい実施の形態において、アダプター体のコネクタ部は、光ファイバーコネクタを分析デバイスのプローブと接続して位置合わせする少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの接続手段を備える。更により好ましい実施の形態において、コネクタ部は、光ファイバーコネクタを分析デバイスのプローブと接続して位置合わせする3つの接続手段を備える。
【0018】
別の好ましい実施の形態において、1つ以上の接続手段は、互いに対する円位置に位置決めされ、この円状位置決めの中間において分析デバイスのプローブを受けるように構成される。
【0019】
別の態様において、本願は、本明細書に記載の実施の形態のいずれかに係る光ファイバーコネクタと光ファイバーとの組合せを開示する。
【0020】
更に別の態様において、本明細書に記載の実施の形態のいずれかに係る光ファイバーコネクタと、光ファイバーとシールキャップとの組合せが開示される。上記シールキャップは、光ファイバーの周りに位置決めされ、特に、上記シールキャップは、光ファイバーコネクタ内に位置していない光ファイバー部分の周りに位置する。光ファイバーが受容部内に配置されるとき、シールキャップにより、受容部が閉鎖されることが確実になる。特に、シールキャップは、光ファイバーの検知ゾーンの真上に位置決めされる。サンプルを含むウェル又はバイアルに光ファイバーを挿入することにより、シールキャップは押し込まれ、最終挿入深さが得られるまで上方に摺動する。したがって、バイアル又はウェルは、この時点でシールされ、水分の蒸発又は環境の汚染が防止される。したがって、バイアル又はウェルのヘッドスペースが最小限になる。分析後、光ファイバーを処分のために引っ込めるとき、バイアル又はウェルは、シールキャップを介して光ファイバーにくっついたままであるため、バイアル又はウェルは、光ファイバーとともに、シールキャップによってバイアル又はウェルが閉鎖したままでまとめて廃棄することができる。この実施の形態から明白なように、本発明に係る光ファイバーコネクタは、(バイオ)分析デバイスに対してだけでなく、サンプルに対しても光ファイバーの位置決め、位置合わせ及び固定を単純な単一のステップ手順で可能にする。
【0021】
更なる態様において、本願は、バイオ分析デバイス内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせする方法を開示する。本方法は、1)本明細書に記載の実施の形態のいずれかに係る光ファイバーコネクタのベース部材内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせするステップと、2)ベース部材上に光ファイバーコネクタの取付け可能部材を取り付けて、光ファイバーコネクタ内で光ファイバーを位置決め、位置合わせ及び固定するステップと、3)光ファイバーを含む光ファイバーコネクタを分析デバイスのプローブと接続するステップとを含む。更なる実施の形態において、シールキャップは、光ファイバーの周りに、特に、光ファイバーが光ファイバーコネクタのベース部材内で位置決め及び位置合わせされる前の光ファイバー部分の周りに位置決めされる。
【0022】
本発明は、以下の数字付き実施の形態を使用して更に開示することができる。
【0023】
1. 分析デバイス(の光学ユニット)内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせする光ファイバーコネクタであって、
光ファイバーを受ける開口部と、(バイオ)分析デバイス、特に(バイオ)分析デバイスのプローブ、バイオセンサーマウント又はバイオセンサーマニホールドと接続されるように構成されるコネクタ部とを備えるアダプター体と、
ベース部材と取付け可能部材とを備える光ファイバー位置合わせ体であって、ベース部材は、その内側に位置合わせ溝を備える、光ファイバー位置合わせ体と、
を備え、
アダプター体及びベース部材は一体成型され、
取付け可能部材及びベース部材は、光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの位置決め、位置合わせ及び固定の際に協働するように構成され、ベース部材の内側及び取付け可能部材の内側が互いに向かって方向付けられることを特徴とする、光ファイバーコネクタ。
【0024】
2. 取付け可能部材は、ベース部材内の1つ以上の凹部と協働するように構成されるとともに、光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの固定、特に、接着剤又はエポキシ樹脂等の接合要素なしで光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの固定を行う1つ以上のクランプ手段を備える、実施の形態1に記載の光ファイバーコネクタ。
【0025】
3. 取付け可能部材は、取付け可能部材の長手方向両側に、特に、取付け可能部材の中央部全体にわたって位置する2つのクランプ手段を備える、実施の形態2に記載の光ファイバーコネクタ。
【0026】
4. ベース部材は、ベース部材上への取付け可能部材の取付けを誘導する1つ以上の誘導手段、好ましくは少なくとも2つの誘導手段を備える、実施の形態1~3のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタ。
【0027】
5. 誘導手段は、光ファイバー位置合わせ溝の両側に位置する、実施の形態4に記載の光ファイバーコネクタ。
【0028】
6. 取付け可能部材は、その内側に、ベース部材の位置合わせ溝及びアダプター体の開口部内で光ファイバーを位置決め、位置合わせ及び固定するように構成される1つ以上の突出部を備える、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタ。
【0029】
7. 取付け可能部材は、少なくとも2つの突出部を備える、実施の形態に記載の光ファイバーコネクタ。
【0030】
8. 突出部は、取付け可能部材の内側の中央部に存在し、特に、1つ以上の突出部は、取付け可能部材の内側の中央部の全長にわたって位置決めされる、実施の形態6又は7に記載の光ファイバーコネクタ。
【0031】
9. 1つ以上の突出部は、取付け可能部材の内側の第1の端部及び第2の端部に存在する、実施の形態6~8のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタ。
【0032】
10. 1つ以上の突出部は、取付け可能部材が光ファイバーを含むベース部材上に配置されるときに光ファイバーに嵌合するように構成される、実施の形態6~9のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタ。
【0033】
11. 1つ以上の突出部は半球形である、実施の形態10に記載の光ファイバーコネクタ。
【0034】
12. 取付け可能部材の1つ以上の突出部は斜面を有する、実施の形態11に記載の光ファイバーコネクタ。
【0035】
13. 取付け可能部材は、その内側に、取付け可能部材が光ファイバーを含むベース部材上に配置されるときに光ファイバーを受ける長手方向凹部を備える、実施の形態1~12のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタ。
【0036】
14. 長手方向凹部は、取付け可能部材の両端部の内側に存在する、実施の形態13に記載の光ファイバーコネクタ。
【0037】
15. 長手方向凹部は、光ファイバーを位置決め及び位置合わせするように構成される1つ以上の突出部を備える、実施の形態13又は14に記載の光ファイバーコネクタ。
【0038】
16. アダプター体は、光ファイバーを受ける開口部を備えるファイバー受け部と、フランジ部と、ファイバーコネクタをバイオ分析デバイスのプローブと接続するコネクタ部とを備える、実施の形態1~15のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタ。
【0039】
17. アダプター体のフランジ部は、位置決めプレート内で光ファイバーコネクタを鉛直に位置決めするように構成される、実施の形態16に記載の光ファイバーコネクタ。
【0040】
18. アダプター体のコネクタ部は、光ファイバーコネクタを(バイオ)分析デバイスと接続して位置合わせする1つ以上の接続手段を備え、好ましくは、アダプター体のコネクタ部は、光ファイバーコネクタをバイオ分析デバイスと接続して位置合わせする少なくとも3つの接続手段を備え、更により好ましくは、アダプター体のコネクタ部は、光ファイバーコネクタをバイオ分析デバイスのプローブ、バイオセンサーマウント又はバイオセンサーマニホールドと接続して位置合わせする少なくとも3つの接続手段を備える、実施の形態16又は17に記載の光ファイバーコネクタ。
【0041】
19. 接続手段は、(バイオ)分析デバイスを受ける円位置に位置決めされる、実施の形態18に記載の光ファイバーコネクタ。
【0042】
20. 実施の形態1~19のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタと光ファイバーとの組合せ。
【0043】
21. バイオ分析デバイス内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせする方法であって、
1)実施の形態1~19のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタのベース部材内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせすることと、
2)実施の形態1~19のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタのベース部材上に実施の形態1~20のいずれか1つに定義される取付け可能部材を取り付けることと、
3)光ファイバーを含む光ファイバーコネクタを(バイオ)分析デバイスと接続することと、
を含む、方法。
【0044】
22. バイオ分析デバイス内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせするための実施の形態1~19のいずれか1つに記載の光ファイバーコネクタの使用。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光ファイバーコネクタを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る光ファイバーコネクタの一部、特に光ファイバー位置合わせ体及びアダプター体を示す図である。
【
図3】本発明に係る光ファイバーコネクタの取付け可能部材の一実施形態を示す図であり、取付け可能部材は、その内側に、光ファイバーをベース部材の位置合わせ溝及びアダプター体の開口部内に位置決め及び位置合わせし、光ファイバーをベース部材上に取り付けられると光ファイバーコネクタの位置合わせ溝内で固定するように構成される2つの突出部15を備える。
【
図4】本発明に係る光ファイバーコネクタの取付け可能部材の別の実施形態を示す図であり、取付け可能部材は、その内側に、光ファイバーをベース部材の位置合わせ溝及びアダプター体の開口部内に位置決め及び位置合わせし、光ファイバーをベース部材上に取り付けられると光ファイバーコネクタの位置合わせ溝内で固定するように構成されるいくつかの突出部15を備える。
【
図5】クランプ手段6と、ベース部材の誘導手段(図示せず)を受ける2つの開口部10とを示す、本発明の一実施形態に係る取付け可能部材を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る取付け可能部材の側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る光ファイバーコネクタと光ファイバー17とを示す側面図である。光ファイバーコネクタは、一体成型されるアダプター体3及びベース部材5と、取付け可能部材4とを備え、取付け可能部材及びベース部材は、ベース部材の内側及び取付け可能部材の内側が互いに向かって方向付けられるように、光ファイバー17の位置決め、固定及び位置合わせの際に協働するように構成される。
【
図8】A 本発明に係るいくつかの光ファイバーコネクタ1及び対応する光ファイバー17を含む位置決めプレート18の側面図である。 B 本発明に係るいくつかの光ファイバーコネクタ1及び対応する光ファイバー17を含む位置決めプレート18の側面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る光ファイバーコネクタ1と、シールキャップ19を備える光ファイバー17とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、(バイオ)分析デバイス内での光ファイバーの正確な位置決め及び位置合わせ、特に、(バイオ)分析デバイスのプローブ、光学ユニット、バイオセンサーマウント又はバイオセンサーマニホールド上への光ファイバーの正確な位置決め及び位置合わせを可能にする光ファイバーコネクタを提供するという目的を有する。本発明の光ファイバーコネクタにより、接着剤の使用、位置合わせ補正又は光ファイバー端部の研磨を伴わずに、光ファイバー位置合わせ及び固定が可能になる。本発明のコネクタにより、光ファイバーを分析デバイスの光学ユニットに向かって垂直かつ中央に位置合わせすることが可能になる。さらに、取付け可能部材の存在により、光ファイバーがコネクタ内の相当な長さにわたってクランプ(固定)されるため、コネクタ内での光ファイバーの位置合わせ、固定及び位置決めも改善されることが確実になる。
【0047】
以降、図面を参照して本発明を好ましい実施形態に基づいて記載する。しかし、この図面には、本発明を限定する意図はない。
【0048】
既に上述したように、本発明の光ファイバーコネクタは、光ファイバーを受ける開口部を備えるとともに、分析デバイスの光学ユニットと接続されるように構成されるアダプター体と、ベース部材と取付け可能部材とを備える光ファイバー位置合わせ体とを備え、ベース部材は、その内側に位置合わせ溝を備える。上記光ファイバーコネクタは、典型的には、アダプター体及びベース部材が一体成型されることを特徴とする。結果として、アダプター体とベース部材との間の位置ずれが回避される。さらに、アダプター体及びベース部材が一体成型されるため、光ファイバーコネクタを分析デバイスの光学ユニットと接続するには1つのアクションのみで済むことによって、位置合わせアーチファクトが生じる確率が同様に低下する。さらに、光ファイバーがベース部材内に位置決めされるとき、取付け可能部材がベース部材の上に配置されることにより、光ファイバーが固定位置にクランプされるため、同様に光ファイバーコネクタ内でのファイバーの正確な位置合わせ、固定及び位置決めが改良される。コネクタ又は光学デバイスの光学ユニット内で光ファイバーを固定するための典型的な接合プロセスを必要とせず、全て単一ステップで行われる。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態に係る光ファイバーコネクタ1を示している。この図では、アダプター体3と、ベース部材5及び取付け可能部材4を備える光ファイバー位置合わせ体2とが示されている。取付け可能部材4は、ベース部材5上で固定及びクランプされる。
【0050】
光ファイバーコネクタ1は、取付け可能部材4及びベース部材5が、ベース部材5の内側及び取付け可能部材4の内側が互いに向かって方向付けられるように、光ファイバーの位置決め、固定及び位置合わせの際に協働するように構成されることも特徴とする。
図1では、光ファイバーは図示されていない。取付け可能部材4を使用することにより、まず、光ファイバーをベース部材5内に位置決めすることができ、その後、取付け可能部材4が上記ベース部材上に取り付けられる。これにより、光ファイバーがベース部材内に固定されるだけでなく、光ファイバーの正確な位置合わせ及び位置決めも確実になる。本発明に典型的なことに、取付け可能部材4がベース部材5上に取り付けられると、光ファイバーコネクタを損傷することなく取り外すことができなくなる。結果として、光ファイバーが位置決めされ、取付け可能部材がベース部材上に取り付けられると、光ファイバーは固定されて取り外すことができなくなり、同様に分析デバイスの光学ユニット内への正確な位置合わせ及び位置決めが確実になる。
【0051】
更なる態様において、取付け可能部材は、例えば
図1及び
図2に見られるように、ベース部材5内の1つ以上の凹部7と協働するように構成される1つ以上のクランプ手段6を備える。上記クランプ手段6により、取付け可能部材4は、ベース部材5上で固定及びクランプ式に取り付けられることが確実になる。取付け可能部材4及びベース部材5内におけるクランプ手段は、光ファイバー位置合わせ要素(位置合わせ溝8及び長手方向凹部16)とともに、本発明に係る光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの固定を保証する。特定の実施形態において、少なくとも2つのクランプ手段、好ましくは2つのクランプ手段が存在する。また、好ましくは、上記クランプ手段6は、取付け可能部材4の長手方向両側に位置し、ベース部材5の長手方向側に存在する凹部7と協働するように構成される。クランプ手段6を取付け可能部材4の長手方向両側に位置決めすることにより、取付け可能部材をベース部材5上にバランスよく取り付けることができる。結果として、クランプ力及び位置合わせ力は、クランプされた光ファイバーの全長にわたって均一に分散される。さらに、クランプ手段6は、好ましくは、取付け可能部材4の中央部全体にわたって位置し、これにより、取付け可能部材4がベース部材5の全長にわたって均一分散式に位置決めされることが確実になる。
図1の取付け可能部材4において、2つのクランプ手段6が中央部の各長手方向側に存在し、上記クランプ手段6は、ベース部材5の中央部の各長手方向側における2つの凹部7と協働する。クランプ手段が、少なくとも取付け可能部材の中央部全体にわたって長手方向に延在するこれらの構成の結果として、クランプ力及び位置合わせ力は、クランプされた光ファイバーの全長にわたって均一に分散される。クランプ力及び位置合わせ力がそのように均一に分散されることにより、光ファイバーにわたる光信号の望ましくない外乱が防止される。
【0052】
光ファイバーコネクタの典型的な特徴は、ベース部材5及びアダプター体3が一体成型されることである。これは例えば
図2に見られる。
図2は、一実施形態に係る光ファイバーコネクタを示しているが、取付け可能部材は存在しない状態である。この図面に見られるように、ベース部材5及びアダプター体3は一体成型され、これにより、光ファイバーの完璧な位置合わせ及び位置決めが容易になる。さらに、
図2は、ベース部材5内の光ファイバー位置合わせ溝8の存在を示している。光ファイバー位置合わせ溝8は、光ファイバーの整合(すなわち、位置合わせ)を容易にする。光ファイバー位置合わせ溝の形状に特定の制約はなく、光ファイバー位置合わせ溝は、光ファイバーを受けることができる任意の形状とすることができる。例えば、光ファイバー位置合わせ溝は、U字溝、半円形溝、又はV字溝とすることができる。好ましい実施形態において、上記光ファイバー位置合わせ溝は、V字形状溝又はV字溝である。
【0053】
図2は、ベース部材内の2つの誘導手段9の存在も示しており、各誘導手段9は、光ファイバー位置合わせ溝8の両側に位置する。既に上述したように、ベース部材5は、1つ以上の誘導手段9を備えることができる。上記誘導手段9は、ベース部材5の正確な位置での取付け可能部材の取付けを容易にする。特に、誘導手段9は、取付け可能部材のクランプ手段をベース部材内の対応する凹部に誘導することに役立つ。特定の実施形態において、上記誘導手段9は、
図2に示すように、光ファイバー位置合わせ溝の両側に位置する、ベース部材5の内側の隆起縁部である。上記誘導手段9は、取付け可能部材がベース部材上に配置されると、取付け可能部材のクランプ手段の開放を容易にする。さらに、誘導手段9は、光ファイバーを(バイオ)分析デバイス内に取り付ける際の適切な向きも保証する。
【0054】
更に特定の実施形態において、取付け可能部材4は、取付け可能部材がベース部材の上に位置決めされると、誘導手段9を受ける1つ以上の開口部10を備えることができる。例えば、
図1において、2つの開口部10は、取付け可能部材内に存在し、ベース部材の2つの誘導手段9を受ける。これらの開口部10も同様に、本発明に係る光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの適切な位置決め及び汚れ防止組付けを支援する。
【0055】
さらに、
図2は、アダプター体内で、特にアダプター体のファイバー受けセクション内で光ファイバーを受ける開口部20を示している。
【0056】
さらに、
図1及び
図2は、ファイバー受けセクション11と、フランジ部12と、コネクタ部13とを備えるアダプター体を示している。ファイバー受けセクション11は、光ファイバーを受ける開口部20を備え、一方、フランジ部12により、例えば
図8及び
図9に示すように、光ファイバーコネクタを鉛直方向に位置決めプレート内に正確に配置することができることが確実になる。さらに、フランジ部12により、光ファイバーコネクタは、そのような位置決めプレートの開口部内に宙吊りにすることができることが確実になる。アダプター体3は、(バイオ)分析デバイスとの接続を容易にするコネクタ部13も更に備える。上記コネクタ部は、光ファイバーコネクタを(バイオ)分析デバイスと接続して位置合わせする1つ以上の接続手段を備える。
図1及び
図2において、コネクタ部13は、互いに対する円方向に位置決めされる3つの接続手段14を備える。このようにして、接続手段14は、上記円状位置決めの中間において(バイオ)分析デバイスのプローブを受けることができる。
【0057】
図3、
図4、
図5及び
図6はいずれも、本発明の光ファイバーコネクタの取付け可能部材4の異なる実施形態を示している。
【0058】
取付け可能部材4は、典型的には、その内側に1つ以上の突出部15を備える。この突出部15により、取付け可能部材4が光ファイバーを含むベース部材上に位置決めされると、光ファイバーはベース部材上に堅固に固定されることが確実になり、これにより、光ファイバーコネクタ内での光ファイバーの正確な位置決め及び位置合わせも確実になる。さらに、取付け可能部材を使用することにより、接着剤も他の固定手段も必要ない。
【0059】
1つ以上の突出部15は、取付け可能部材の内側の中央部又は両端部内に位置決めすることができる。別の実施形態において、突出部15は、取付け可能部材の内側の中央部と両端部との両方に位置決めすることができる。
【0060】
例えば、
図3は、突出部15が両端部のみに存在する取付け可能部材4を示しており、特に、上記取付け可能部材において、各端部は1つの突出部を備える。
図3の取付け可能部材において、クランプ手段6も示されている。
図4、
図5及び
図6は、上記部材の内側の中央部と両端部との両方に突出部を備える取付け可能部材を示している。取付け可能部材の内側の中央部内に突出部15が存在することにより、光ファイバーにかかる取付け可能部材の圧力が均一に分散される。
図4は、さらに、突出部15が光ファイバー上に完全に嵌合するように構成され、特に、この実施形態において、突出部15は半円形であることを示している。さらに、また
図4に示すように、突出部15は斜面を有することができる。
【0061】
光ファイバーがベース部材内に存在するようになった瞬間に、取付け可能部材がベース部材上に配置されるため、上記取付け可能部材4は、その内側に、光ファイバーを受ける長手方向凹部16を更に備える。上記長手方向凹部は、取付け可能部材の内側の全長にわたって存在することができる。別の実施形態において、上記長手方向凹部は、少なくとも、取付け可能部材の両端部に存在する。別の実施形態において、長手方向凹部は、光ファイバーを位置決め、固定及び位置合わせするように構成される1つ以上の突出部を備える。そのため、1つの実施形態において、
図4、
図5又は
図6に示すように、取付け可能部材は、内側に、両端部に長手方向凹部16を備え、この長手方向凹部は1つ以上の突出部15も備える。
【0062】
既に上記で概説したように、本発明の光ファイバーコネクタは、(バイオ)分析デバイス内での光ファイバーの正確な位置決め、固定及び位置合わせを容易にする。このために、光ファイバーコネクタは、(バイオ)分析デバイスのプローブを受けるように構成されるアダプター体3を備える。したがって、アダプター体3は、1つ以上の接続手段14、好ましくは少なくとも2つの接続手段14、更に好ましくは3つの接続手段14を備え、この接続手段は、アダプター体3が分析デバイスのプローブを受けることができるように位置決めされる。
図7のA及び
図7のBは、分析デバイスを受けるために円方向に位置決めされる3つの接続手段14を備える光ファイバーコネクタ1と光ファイバー17とを示している。特に、上記接続手段は、(バイオ)分析デバイスのプローブ、光学ユニット、又はバイオセンサーマウント若しくはマニホールドを受けるように構成される。上記接続手段は、アダプター体内へのプローブの滑り移動及び位置決めを容易にするテーパー状端部を更に備えることができる。さらに、接続手段のテーパー状端部は、接続手段が(バイオ)分析デバイスのプローブ又はマニホールドの周りに堅固に保持及び位置合わせされるようなクランプ力も生成する。
【0063】
本願は、記載した実施形態のいずれかに係る光ファイバーコネクタと光ファイバーとの組合せを更に開示する。この組合せも
図7のA及び
図7のBに示されている。
【0064】
本発明の全ての実施形態における光ファイバーは、裸光ファイバー、又は被覆光ファイバー若しくはジャケットを備える光ファイバーとすることができる。裸光ファイバーは、例えば、石英系光ファイバーとすることができる。さらに、光ファイバーの被覆は、例えば、UV硬化樹脂又はポリアミド樹脂等の1つ又は複数の層を実質的に同心円状にコーティングすることによって形成される樹脂被覆とすることができる。好ましい実施形態において、被覆光ファイバーが使用される。更に好ましい実施形態において、光ファイバーは、マルチモード光ファイバーである。更に特定の実施形態において、光ファイバーは、硬質TECSクラッドシリカコアマルチモード光ファイバーである。
【0065】
特定の実施形態において、光ファイバーは、光ファイバー表面プラズモン共鳴(FO-SPR)に使用される光ファイバーである。SPRは、生体分子相互作用分析における標準的な技術であり、ラベルの使用を伴わずに物質(典型的には、生体分子)とバイオレセプターで被覆された表面との相互作用の測定を可能にする。光ファイバーは、FO-SPRに使用される場合、金又は銀等、実数の負の誘電率を有する金属で被覆される。それにもかかわらず、実数の負の誘電率を有する適切なメタマテリアル又はナノマテリアルを使用することもできる。別の好ましい実施形態において、光ファイバーは、FO-SPRに使用される場合、バイオレセプターで被覆される。
【0066】
光ファイバーは、光を誘導する標準的な技術であり、生体分子相互作用のリモートセンシング、連続分析及びin-situモニタリングを可能にする。光ファイバー実施態様の場合、光ファイバーSPRセンサーとしての役割を果たすカスタムメイド光ファイバー内に光を照射することによって、SPR信号が生成される。
【0067】
光ファイバー及び光ファイバーコネクタが接続される分析デバイスは、プローブ又はバイオセンサーマニホールドを備える任意のタイプの分析デバイス、又はマイクロ流体分析デバイスとすることができる。マイクロ流体分析デバイスは、例えば、マイクロチャネル内の光ファイバー屈折計、マイクロチャネル内の光ファイバー媒介イムノアッセイ、又はSPRを使用する光ファイバーセンサーである。分析デバイスは、検体を検知するバイオ分析デバイスであることが好ましい。特定の実施形態において、バイオ分析デバイスは、光ファイバーSPRセンサーに接続されるデバイスである。
【0068】
図7のA及び
図7のBは、さらに、光ファイバー17をベース部材5及びアダプター体3内に位置決めした後、取付け可能部材4はベース部材5の上に配置され、これにより、光ファイバーが正確に位置決め、固定及び位置合わせされることを示している。
【0069】
そのため、本願は、(バイオ)分析デバイス内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせする方法も開示する。本方法は、1)光ファイバーコネクタのベース部材内で光ファイバーを位置決め及び位置合わせすることと、2)光ファイバーコネクタのベース部材上に取付け可能部材を取り付け、これにより、光ファイバーコネクタ内で光ファイバーを固定することと、3)光ファイバーを含む光ファイバーコネクタを(バイオ)分析デバイスと接続することとを含む。
【0070】
図8A及び
図8Bに見られるように、光ファイバー17を含む光ファイバーコネクタ1は、複数の開口部を備える位置決めプレート18内に位置決めされる。上記穴は、光ファイバー17を含む光ファイバーコネクタ1を受けるように構成される。特に、光ファイバーコネクタの各光ファイバー位置合わせ体2は、位置決めプレートの各開口部内に位置決めされ、一方、光ファイバーコネクタは、フランジ部12の存在により位置決めプレート内で宙吊りのままである。いずれにせよ、上記フランジ部の直径は、位置決めプレート内の開口部の直径よりも大きい必要がある。さらに、位置決めプレートの開口部の直径は、機器マウントに自動取付けを行うようにコネクタの傾動の制御を可能にするためにコネクタよりも大きい必要がある。したがって、機器マウント(マニホールド)に向かうコネクタの側は、分析デバイス又は機器のプローブ(複数の場合もある)又はマウント(複数の場合もある)が完全には光ファイバー(複数の場合もある)と位置合わせされていない場合、円滑な自動取付けを確実にするために、コネクタの中央に向かって僅かに角度も付けられる。
【0071】
さらに、位置決めプレート及びその開口部は、光ファイバーコネクタが位置決めプレートに配置されると、光ファイバーコネクタが常に完全な鉛直方向に位置決めされるように構成される。
【0072】
本願の更なる態様において、シールキャップ19が光ファイバー17上に存在することができ、特に、上記シールキャップ19は、光ファイバーコネクタ1内に配置されていない光ファイバー部分上に位置決めされる(
図9)。シールキャップ19の存在により、光ファイバーが配置されるサンプルの蒸発が防止される。そのようなシールキャップは、例えば、ファイバーがコネクタ上に取り付けられる前に光ファイバー上に取り付けられるゴムキャップとすることができる。シールキャップによってサンプルをシールすることによって、より高温で又はより長期にわたって測定を行うことができる。例えば、DNA又はRNAの増幅が行われる場合、バイアルを開放することなくロボットによってサンプルを除去することができ、そのため、環境の汚染が回避される、又は環境内に存在する汚染物質によるサンプルの汚染が回避される。シールキャップは、-20℃~+200℃の温度範囲、特に-20℃~+130℃の温度範囲、更により具体的には-20℃~+55℃の温度範囲に耐えることができる任意の材料から作製することができる。シールキャップの材料は、サンプルを含むバイアル又はウェルの良好なシールを確実にするように可撓性ともするべきである。したがって、シールキャップは、熱可塑性エラストマー(TPE)ポリマーから作製することができる。別の実施形態において、シールキャップは、高防湿材を提供する、エチレン酢酸ビニルを含有する特殊コポリマーから作製される。
【0073】
本発明の全ての実施形態に係る光ファイバーコネクタは、光ファイバーを固定及び位置合わせするために十分に強靭な任意のタイプの材料から作製することができる。特に、この材料は、少なくとも、医療用、ガンマ線への耐性、UV安定性、比較的強靭かつ硬質、及び寸法安定性という特性のうちの1つを有するべきである。
【符号の説明】
【0074】
1 光ファイバーコネクタ
2 光ファイバー位置合わせ体
3 アダプター体
4 取付け可能部材
5 ベース部材
6 クランプ手段
7 凹部
8 光ファイバー位置合わせ溝
9 誘導手段
10 開口部
11 ファイバー受けセクション
12 フランジ部
13 コネクタ部
14 接続手段
15 突出部
16 長手方向凹部
17 光ファイバー
18 位置決めプレート
19 シールキャップ
20 開口部
【国際調査報告】