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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】低発火性エアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20240416BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240416BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20240416BHJP
   D21H 21/34 20060101ALI20240416BHJP
   C09D 5/18 20060101ALI20240416BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240416BHJP
   D21H 19/12 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
D21H27/00 D
D21H21/34
C09D5/18
C09D7/61
D21H19/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562614
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 KR2022005397
(87)【国際公開番号】W WO2022220609
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0048471
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0038791
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャン チン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ス ホ
(72)【発明者】
【氏名】アン、キ チン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ポン ス
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ミン ヒ
【テーマコード(参考)】
4B045
4J038
4L055
【Fターム(参考)】
4B045AA04
4B045AB14
4B045AB16
4J038KA06
4J038KA08
4J038NA15
4J038PC10
4L055AG06
4L055AG16
4L055AG17
4L055AG34
4L055AH26
4L055BE08
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA11
4L055EA12
4L055FA11
4L055FA30
4L055GA44
4L055GA50
(57)【要約】
低発火性エアロゾル発生物品が提供され、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置と共に使用されるものであり、エアロゾル形成基材部、フィルタ部、及び該エアロゾル形成基材部の少なくとも一部を覆い包んでいる難燃性紙素材のラッパを含むものでもあり、該難燃性紙素材は、喫煙中、異常高温によるラッパの発火可能性を低減させることにより、ユーザの喫煙安全性を向上させることができ、ユーザの点火行為によるエアロゾル発生物品の発火可能性を低減させることにより、ユーザが意図しない喫煙体験をしてしまうことも事前に防止することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置と共に使用されるエアロゾル発生物品であり、
エアロゾル形成基材部と、
フィルタ部と、
前記エアロゾル形成基材部の少なくとも一部を覆い包んでいる難燃性紙素材のラッパをと、含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記難燃性紙素材の坪量は、38g/mないし48g/mである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記難燃性紙素材の厚みは、50μmないし60μmである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記難燃性紙素材の引っ張り強度は、35N/15mmないし45N/15mmである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記難燃性紙素材の延伸率は、2%ないし4%である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記難燃性紙素材の白色度は、80%ないし90%である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記難燃性紙素材の空気透過度は、2CUないし10CUである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記ラッパを覆い包んでいる外部ラッパをさらに含み、
前記外部ラッパの少なくとも一部も、難燃性の紙素材によって製造されたものである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記難燃性紙素材は、難燃性のコーティング組成物が塗布された紙素材であり、
前記コーティング組成物は、リン酸、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムによってなる群のうちから選択された少なくとも1つの物質と、蒸溜水及びアルコールによってなる群のうちから選択された少なくとも1つの物質と、を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低発火性エアロゾル発生物品に係り、さらに詳細には、エアロゾル発生装置と共に使用される加熱式エアロゾル発生物品であり、低い発火性を有するように考案されたエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統シガレットの形態は、燃焼式であったが、最近、燃焼式シガレットの短所を克服する代替物品を求める需要が増大している。例えば、電気的な加熱を介してエアロゾルを発生させる装置と、それと共に使用される加熱式シガレットとを求めるに需要が増大しており、それにより、加熱式シガレットに係わる研究が活発に進められている。
【0003】
なお、燃焼式シガレットと類似して、加熱式シガレットも、紙素材のラッパ(wrapper)によって覆い包まれている。ところで、一般的な紙素材のラッパは、電気的に加熱される間にも、異常高温によって発火され、喫煙安全性問題が提起されている。それだけではなく、2つのシガレットの外観類似性により、ユーザが、点火行為を介し、加熱式シガレットに対する喫煙を試みることもできる。その場合、加熱式シガレットの末端において発火が起こるならば、ユーザは、意図しない喫煙体験を行うことができることにもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示のいくつかの実施例を介して解決しようとする技術的課題は、ユーザの喫煙安全性を向上させるために、低い発火性を有する加熱式エアロゾル発生物品を提供することである。
【0005】
本開示のいくつかの実施例を介して解決しようとする他の技術的課題は、ユーザの点火行為による発火可能性を低減させるために、低い発火性を有する加熱式エアロゾル発生物品を提供することである。
【0006】
本開示の技術的課題は、以上で言及された技術的課題に制限されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から、本開示の技術分野における通常の技術者に明確に理解されうるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するための、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置と共に使用されるエアロゾル発生物品であり、エアロゾル形成基材部、フィルタ部、及び前記エアロゾル形成基材部の少なくとも一部を覆い包んでいる難燃性紙素材のラッパを含むものでもある。
【発明の効果】
【0008】
本開示のいくつかの実施例によれば、難燃性紙素材のラッパ(wrapper)を含む加熱式エアロゾル発生物品が提供されうる。該難燃性紙素材は、喫煙中、異常高温によるラッパの発火可能性を低減させることにより、ユーザの喫煙安全性を向上させることができ、ユーザの点火行為によるエアロゾル発生物品の発火可能性を低減させることにより、ユーザが意図しない喫煙体験をしてしまうことも事前に防止することができる。
【0009】
また、適切な物性値を有する難燃性紙素材をラッパとして利用することにより、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品の発火性は、さらに低減されうる。例えば、約38g/mないし48g/mの坪量と、約50μmないし60μmの厚みを有する難燃性紙素材をラッパとして利用することにより、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品の発火性はさらに低減されうる。
【0010】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されるものではなく、言及されていない他の効果は、以下の記載から、通常の技術者に明確に理解されうるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品について説明するための例示的な図である。
図2】本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品について説明するための例示的な図である。
図3】本開示の他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品について説明するための例示的な図である。
図4】本開示の他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品について説明するための例示的な図である。
図5】本開示のさらに他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品について説明するための例示的な図である。
図6】本開示の多様な実施例によるエアロゾル発生物品が適用されうる多様な類型のエアロゾル発生装置を例示する図である。
図7】本開示の多様な実施例によるエアロゾル発生物品が適用されうる多様な類型のエアロゾル発生装置を例示する図である。
図8】本開示の多様な実施例によるエアロゾル発生物品が適用されうる多様な類型のエアロゾル発生装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置と共に使用されるエアロゾル発生物品であり、エアロゾル形成基材部、フィルタ部、及び前記エアロゾル形成基材部の少なくとも一部を覆い包んでいる難燃性紙素材のラッパ(wrapper)を含むものでもある。
【0013】
一実施例において、前記難燃性紙素材の坪量は、38g/mないし48g/mでもある。
【0014】
一実施例において、前記難燃性紙素材の厚みは、50μmないし60μmでもある。
【0015】
一実施例において、前記難燃性紙素材の引っ張り強度は、35N/15mmないし45N/15mmでもある。
【0016】
一実施例において、前記難燃性紙素材の延伸率は、2%ないし4%でもある。
【0017】
一実施例において、前記難燃性紙素材の白色度は、80%ないし90%でもある。
【0018】
一実施例において、前記難燃性紙素材の空気透過度は、2CUないし10CUでもある。
【0019】
一実施例において、前記ラッパを覆い包んでいる外部ラッパをさらに含むものの、前記外部ラッパの少なくとも一部も、難燃性の紙素材によって製造されたものでもある。
【0020】
一実施例において、前記難燃性紙素材は、難燃性のコーティング組成物が塗布された紙素材であり、前記コーティング組成物は、リン酸、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムによってなる群のうちから選択された少なくとも1つの物質と、蒸溜水及びアルコールによってなる群のうちから選択された少なくとも1つの物質と、を含むものでもある。
【0021】
以下、添付された図面を参照し、本開示の望ましい実施例について詳細に説明する。本開示の利点、特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば、明確になるであろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施例に限定されるものではなく、互いに異なり多様な形態にも具現され、ただし、以下の実施例は、本開示の技術的思想を完全にものにし、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者に、本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0022】
各図面の構成要素に参照符号を付け加えるにおいて、同一構成要素については、たとえ他の図面上に表示されているにしても、可能な限り同一符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示の多様な実施例についての説明において、関連する公知の構成または機能に係わる具体的な説明が、本開示の要旨を不明にしうると判断される場合には、その詳細な説明は、省略する。
【0023】
取り立てての定義がなければ、本開示で使用される全ての用語(技術的及び科学的な用語を含む)は、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者に共通して理解されうる意味で使用されうる。また、一般的に使用される既定義の用語は、明白に特別に定義されていない限り、理想的または過度に解釈されるものではない。本開示で使用された用語は、実施例についての説明するためのものであり、本開示の技術的範囲を制限するものではない。本開示において、単数形は、文言でおいて、特別に言及されない限り、複数形も含む。
【0024】
また、本開示の構成要素についての説明にあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)というような用語を使用することができる。そのような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであるのみ、その用語により、当該構成要素の本質であったり、順番または順序であったりするものが限定されるものではない。ある構成要素が他の構成要素に、「連結」・「結合」または「接続」されていると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接に連結されるか、あるいは接続されうるが、各構成要素間にさらに他の構成要素が、「連結」・「結合」または「接続」されもすると理解されなければならないのである。
【0025】
本開示で使用される「含む(comprises)」及び/または「含むところの(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は、1以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除するものではない。
【0026】
まず、本開示の多様な実施例で使用されるいくつかの用語につき、明確にする。
【0027】
以下の実施例において、「エアロゾル形成基材」は、エアロゾル(aerosol)を形成することができる物質を意味しうる。該エアロゾルは、揮発性化合物を含むものでもある。該エアロゾル形成基材は、固体または液状でもある。
【0028】
例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻みタバコ、再構成タバコのようなタバコ原料を基にする固体物質を含むものでもあり、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物、及び/または多様な香味剤を基にする液状組成物を含むものでもある。しかしながら、本開示の範囲は、前述の例示に限定されるものではない。
【0029】
以下の実施例において、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を介し、ユーザの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生させるために、エアロゾル形成基材を利用し、エアロゾルを発生させる装置を意味しうる。該エアロゾル発生装置のいくつかの例示については、図6ないし図8を参照することにする。
【0030】
以下の実施例において、「エアロゾル発生物品」は、エアロゾルを発生させることができる物品を意味しうる。該エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材を含むものでもある。該エアロゾル発生物品の代表的な例としては、シガレットを挙げることができるが、本開示の範囲は、それに限定されるものではない。
【0031】
以下の実施例において、「上流(upstream)」または「上流方向」は、ユーザの口部から遠くなる方向を意味し、「下流(downstream)」または「下流方向」は、ユーザの口部に近くなる方向を意味しうる。上流及び下流という用語は、エアロゾル発生物品を構成する要素の相対的位置について説明するために利用されうる。例えば、図1に例示されたエアロゾル発生物品300において、フィルタ部320は、エアロゾル形成基材部310の下流または下流方向に位置し、エアロゾル形成基材部310は、フィルタ部320の上流または上流方向に位置する。
【0032】
以下の実施例において、「長手方向(longitudinal direction)」は、エアロゾル発生物品の長手方向軸に相応する方向を意味しうる。
【0033】
以下の実施例において、「パフ(puff)」は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を介し、ユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き込まれる状況を意味しうる。
【0034】
以下においては、本開示の多様な実施例につき、添付図面によって詳細に説明する。
【0035】
図1は、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品300を示す例示的な図面である。
【0036】
図1を参照すれば、エアロゾル発生物品300は、例えば、エアロゾル発生装置1000(図6ないし図8)と共に使用される物品として加熱されることにより、エアロゾルを発生させる物品でもある。例えば、エアロゾル発生物品300は、例えば、エアロゾル発生装置1000(図6ないし図8)に挿入され、装置に具備された加熱要素により、電気的に加熱されることにより、エアロゾルを発生させる物品でもある。
【0037】
図1に図示されているように、本実施例によるエアロゾル発生物品300は、フィルタ部320、エアロゾル形成基材部310及びラッパ330を含むものでもある。ただし、図1には、本開示の実施例と関連ある構成要素だけが図示されている。従って、本開示が属した技術分野の通常の技術者であるならば、図1に図示された構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれるものでもあるということを知ることができるであろう。以下、エアロゾル発生物品300の各構成要素について説明する。
【0038】
フィルタ部320は、エアロゾル形成基材部310で形成されたエアロゾルに対する濾過機能を遂行することができる。そのために、フィルタ部320は、フィルタ(濾過)物質を含むものでもある。該フィルタ物質の例としては、酢酸セルロース繊維、紙などを挙げることができるが、本開示の範囲は、それらに限定されるものではない。フィルタ部320は、フィルタ物質を覆い包んでいるラッパ333をさらに含むものでもある。
【0039】
フィルタ部320は、エアロゾル形成基材部310の下流に位置し、エアロゾル形成基材部310の下流末端とも連結される。例えば、フィルタ部320とエアロゾル形成基材部310は、円柱(ロッド)の形状を有し、長手軸方向に整列され、ティッピングラッパ(tipping wrapper)によっても連結される。ティッピングラッパは、フィルタ部320の少なくとも一部と、エアロゾル形成基材部310の少なくとも一部とを共にラッピングし、フィルタ部320とエアロゾル形成基材部310とを連結することができる。フィルタ部320が、エアロゾル発生物品300の下流末端を形成する場合、フィルタ部320は、ユーザの口部と接触されるマウスピースとして機能することもできる。
【0040】
フィルタ部320は、ロッド形態に製造されるので、場合によっては、「フィルタロッド320」とも称され、円柱型、内部に中空を含むチューブ型、リセス型のように、多様な形態に製造されうる。
【0041】
フィルタ部320は、図1に例示されているように、単一セグメント構造によってもなり、多重セグメント構造によってもなる。該多重セグメント構造については、図3ないし図5を参照する。
【0042】
次に、エアロゾル形成基材部310は、エアロゾルに対する形成機能を遂行することができる。例えば、エアロゾル形成基材部310は、電気的に加熱されることにより、エアロゾルを形成することができ、そのために、エアロゾル形成基材を含むものでもある。エアロゾル形成基材部310は、エアロゾル形成基材を覆い包んでいるラッパ331をさらに含むものでもある。
【0043】
エアロゾル形成基材は、例えば、タバコ物質を含むものでもある。該タバコ物質は、例えば、タバコ葉切片、タバコ茎、またはそれらから加工された物質などを含むものでもある。さらに具体的な例として、タバコ物質は、粉砕されたタバコ葉、粉砕された再構成タバコ、膨化刻みタバコ、膨化主脈、及び板状葉などを含むものでもある。しかしながら、それらに限定されるものではない。また、該タバコ物質は、刻みタバコ、タバコ粒子(particle)、タバコシート(sheet)、タバコビード(beads)、タバコ顆粒(granule)またはタバコ抽出物の形態を有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0044】
一実施例において、エアロゾル形成基材は、湿潤剤(保湿剤)、香味剤及び/または有機酸(organic acid)のような添加物質をさらに含むものでもある。例えば、該湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうち少なくとも一つを含むものでもある。該湿潤剤は、タバコ物質内の水分を適正レベルに維持し、固有の味をマイルドにし、霧化量を豊富にすることができる。また、該香味剤は、例えば、甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ、フェヌグリーク、カスカリラ、白檀、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、桂皮、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモマイル、メントール、桂皮、イランイラン、ザルビア、スペアミント、生姜、コリアンダー、クローブ抽出物(または、クローブ物質)またはコーヒーなどを含むものでもある。
【0045】
エアロゾル形成基材部310は、フィルタ部320の上流に位置し、フィルタ部320の上流末端とも連結される。従って、エアロゾル形成基材部310で形成されたエアロゾルは、パフにより、フィルタ部320を経て、ユーザの口部に伝達されうる。
【0046】
エアロゾル形成基材部310も、ロッド形態に製造されるので、場合によっては、「エアロゾル形成ロッド310」とも称される。
【0047】
次に、ラッパ330は、エアロゾル形成基材部310及び/またはフィルタ部320の少なくとも一部を覆い包んでいるものを意味しうる。ラッパ330は、エアロゾル形成基材部310及び/またはフィルタ部320の個別ラッパ331,333を称するものでもあり、ティッピングラッパのように、個別ラッパ331,333の少なくとも一部を覆い包んでいる外部ラッパ335を称するものでもあり、エアロゾル発生物品300に利用された全てのラッパ331ないし335を総称するものでもある。
【0048】
本実施例において、ラッパ330の少なくとも一部は、難燃性の紙素材によっても製造される。前述の難燃性の紙素材は、ラッパ330の発火可能性を低減させることによって喫煙安全性を向上させ、ユーザが意図しない喫煙体験を行うことも事前に防止することができる。例えば、前述の難燃性の紙素材は、喫煙中、異常高温によるラッパ330の発火可能性を低減させることにより、喫煙安全性を向上させることができ、ユーザの点火行為によるエアロゾル発生物品300の発火可能性を低減させることにより、ユーザが意図しない喫煙体験をしてしまうことも防止することができる。ただし、ラッパ330の具体的な製造方式は、実施例によっても異なる。
【0049】
一実施例においては、図1に図示されているように、エアロゾル形成基材部310を覆い包んでいるラッパ331が、難燃性の紙素材によって製造されうる。エアロゾル形成基材部310は、集中的に熱が加えられる部位(または、ユーザ不注意による点火行為が起こる部位)であるので、ラッパ331が、難燃性の紙素材によって製造されれば、喫煙安全性が大きく向上すると共に、点火行為によるエアロゾル発生物品300の発火可能性も効果的に低減されうる。
【0050】
他の実施例においては、外部ラッパ335が難燃性の紙素材によって製造されうる。そのような場合にも、前述の利点が十分に保証されうる。
【0051】
さらに他の実施例においては、図2に図示されているように、ラッパ331だけではなく、外部ラッパ335も、難燃性の紙素材によって製造されうる。そのような場合、エアロゾル発生物品300の発火性がさらに低減されることにより、前述の利点がさらに十分に保証されうる。
【0052】
さらに他の実施例においては、ラッパ331の上流末端部位だけが、難燃性の紙素材によっても製造される。エアロゾル発生物品300の上流末端部位は、ユーザ不注意による直接の点火行為が起こりうるところであるので、当該部位のみを難燃性の紙素材で製造しても、前述の利点が十分に保証されうる。
【0053】
さらに他の実施例においては、フィルタ部320を覆い包んでいるラッパ333も、難燃性の紙素材によって製造されうる。
【0054】
さらに他の実施例においては、熱伝導性素材(例:アルミニウムホイルのような金属ホイル)によって製造されたさらなるラッパ(図示せず)が、エアロゾル形成基材部330近くにさらに配されうる。該熱伝導性素材は、伝導方式で熱を拡散させ、エアロゾル発生物品300の発火性をさらに低減させることができる。
【0055】
さらに他の実施例においては、難燃性が異なる複数の紙素材を利用し、ラッパ330が製造されうる。例えば、エアロゾル形成基材部310を覆い包んでいるラッパ331は、フィルタ部320のラッパ333、または外部ラッパ335より難燃性の高い紙素材によって製造されうる。または、外部ラッパ335が、最も難燃性の高い紙素材によっても製造される。または、ラッパ331の上流末端領域が他の領域より難燃性の高い紙素材によっても製造される。難燃性の程度は、例えば、難燃性物質の量、種類、濃度などを利用しても調節されるが、本開示の範囲は、それらに限定されるものではない。
【0056】
さらに他の実施例においては、前述の実施例の多様な組み合わせに基づき、ラッパ330が製造されうる。
【0057】
なお、難燃性紙素材の物性は、エアロゾル発生物品300の発火性以外にも、外観審美性、物品製造工程の作業性、紙素材の製造容易性などと密接な関連があるために、難燃性紙素材が適切な物性値を有するように製造されることが望ましいのである。
【0058】
一実施例においては、難燃性紙素材の坪量が、約30g/mないし60g/mでもあり、望ましくは、約35g/mないし55g/m、約40g/mないし55g/m、約40g/mないし50g/m、約38g/mないし48g/m、約38g/mないし45g/m、または約40g/mないし45g/mでもある。そのような数値範囲内において、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品300の発火性は、さらに低減されると確認された。本実施例において、難燃性紙素材の坪量は、ISO 536に基づいて測定されたものでもある。
【0059】
一実施例においては、難燃性紙素材の厚みが、約45μmないし75μmであり、望ましくは、約50μmないし70μm、約50μmないし65μm、約50μmないし60μm、約45μmないし65μm、約45μmないし60μm、約52μmないし58μm、または約55μmないし58μmでもある。そのような数値範囲内において、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品300の発火性は、さらに低減されると確認された。本実施例において、難燃性紙素材の厚みは、ISO 534に基づいて測定されたものでもある。
【0060】
一実施例においては、難燃性紙素材の引っ張り強度が、約25N/15mmないし55N/15mmであり、望ましくは、約30N/15mmないし50N/15mm、約30N/15mmないし45N/15mm、約35N/15mmないし50N/15mm、約35/15mmないし45N/15mm、または約38N/15mmないし42N/15mmでもある。そのような数値範囲内において、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品300の発火性は、さらに低減されると確認された。本実施例において、難燃性紙素材の引っ張り強度は、ISO 1924-2に基づいて測定されたものでもある。
【0061】
一実施例においては、難燃性紙素材の延伸率(すなわち、破断延伸率)が約1%ないし10%であり、望ましくは、約1%ないし8%、約1%ないし6%、約1%ないし4%、約2%ないし8%、約2%ないし6%、約2%ないし4%、または約2%ないし3%でもある。そのような数値範囲内において、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品300の発火性は、さらに低減されると確認された。本実施例において、難燃性紙素材の延伸率は、ISO 1924-2に基づいて測定されたものでもある。
【0062】
一実施例において、難燃性紙素材の白色度は、約70%以上であり、望ましくは、約70%ないし95%、約75%ないし95%、約80%ないし90%、または約85%ないし90%でもある。そのような数値範囲内において、エアロゾル発生物品300の外観審美性が保証されると確認された。本実施例において、難燃性紙素材の白色度は、ISO 2470に基づいて測定されたものでもある。
【0063】
一実施例においては、難燃性紙素材の空気透過度(air permeability)が約1CUないし20CUであり、望ましくは、約1CUないし15CU、約2CUないし15CU、約2CUないし10CU、約2CUないし8CU、約2CUないし6CU、または約3CUないし5CUでもある。そのような数値範囲内において、エアロゾル発生物品300の発火性がさらに低減されると確認された。本実施例において、難燃性紙素材の空気透過度は、ISO 2965:2019に基づいて測定されたものでもある。
【0064】
難燃性紙素材は、例えば、難燃性のコーティング組成物を紙素材に塗布することによって製造されうる。具体的な例を挙げれば、コーティング組成物が、紙素材の一部または全部に塗布されうる。または、コーティング組成物が、紙素材の一面、反対面または両面に塗布されうる。または、コーティング組成物が、紙素材に一定間隔に離隔されて塗布されうる(例:コーティング組成物が、縦(長手)方向または横方向に塗布されるが、離隔されて塗布される)。そのとき、塗布間隔は、同一でもあり、あるいは互いに異なりもする(例:間隔がだんだんと増大したり低減されたりする形態)。また、コーティング厚も、同一でもあり、あるいは互いに異なりもする。
【0065】
難燃性コーティング組成物の具体的な組成物質と組成比は、多様でもある。
【0066】
例えば、難燃性コーティング組成物は、リン酸(HPO)、マグネシウム水和物及びアルミニウム水和物によってなる群のうちから選択された少なくとも1つの物質を含むものでもある。該マグネシウム水和物は、例えば、水酸化マグネシウム(Mg(OH))でもあるが、本開示の範囲は、それに限定されるものではない。また、該アルミニウム水和物は、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH))でもあるが、本開示の範囲は、それに限定されるものではない。例示された物質は、難燃性を有するために、そのような物質が適切に配合されれば、高性能の難燃性コーティング組成物が形成されうる。
【0067】
また、例えば、難燃性コーティング組成物は、蒸溜水及びアルコールによってなる群のうちから選択された少なくとも1つの物質を含むものでもある。例示された物質は、前述の難燃性溶質と好ましく混合され、均質に紙素材に容易に塗布されうるコーティング組成物を形成することができる。
【0068】
以上、図1及び図2を参照し、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品300について説明した。前述のところによれば、難燃性紙素材のラッパ330を含む加熱式エアロゾル発生物品300が提供されうる。該難燃性紙素材は、喫煙中、異常高温によるラッパ330の発火可能性を低減させることにより、ユーザの喫煙安全性を向上させることができ、ユーザの点火行為によるエアロゾル発生物品300の発火可能性を低減させることにより、ユーザが意図しない喫煙体験をしてしまうことも事前に防止することができる。また、適切な物性値を有する難燃性紙素材をラッパ330として利用することにより、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品300の発火性は、さらに低減されうる。例えば、約38g/mないし48g/mの坪量と、約50μmないし60μmの厚みとを有する難燃性紙素材をラッパ330として利用することにより、物品製造工程の作業性が保証され、エアロゾル発生物品300の発火性は、さらに低減されうる。
【0069】
以下においては、図3及び図4を参照し、本開示の他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品100について説明する。ただし、本開示の明瞭さのために、先立つ実施例と重複する内容に係わる説明は、省略する。
【0070】
図3は、本開示の他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品100を示す例示的な図面である。
【0071】
図3に図示されているように、本実施例によるエアロゾル発生物品100は、フィルタ部120、エアロゾル形成基材部110及びラッパ140を含むものでもあり、フィルタ部120が、多重セグメント構造によって構成されうる。ただし、図3には、本開示の実施例と関連ある構成要素だけが図示されている。従って、本開示が属した技術分野の通常の技術者であるならば、図3に図示された構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれるものでもあることを知ることができるであろう。
【0072】
フィルタ部120は、第1セグメント121と第2セグメント123とによって構成されうる。ここで、フィルタ部120は、第3セグメント(図示せず)をさらに含むものでもあるということは、言うまでもない。
【0073】
第1セグメント121は、エアロゾル形成基材部110で発生したエアロゾルに対する冷却機能を遂行することができる。従って、場合によっては、第1セグメント121は、「冷却セグメント121」とも称される。
【0074】
第1セグメント121は、多様な形態に製造されうる。一例として、第1セグメント121は、紙材質によって形成され、中空を含む円筒形態の紙管でもある。他の例として、第1セグメント121は、高分子物質または生分解性高分子物質によって作製されたものでもある。例えば、第1セグメント121は、ポリ乳酸(PLA)繊維によって作製されうるが、それに限定されるものではない。他の例として、第1セグメント121は、複数個の孔があいた酢酸セルロースフィルタによって作製されうる。さらに他の例として、第1セグメント121は、中空を含むチューブフィルタでもある。例えば、第1セグメント121は、中空を含む酢酸セルロースフィルタでもある。しかしながら、それに限定されるものではなく、冷却機能を遂行することができるものであるならば、第1セグメント121は、例示されたところと異なる形態にも製造される。
【0075】
次に、第2セグメント123は、第1セグメント121を通過したエアロゾルに対する濾過機能を遂行することができる。従って、場合によっては、第2セグメント123は、「フィルタセグメント123」とも称される。または、第2セグメント123は、マウスピース部位に位置するが、「マウスピースセグメント123」とも称される。
【0076】
第2セグメント123は、濾過機能を遂行するために、フィルタ(濾過)物質を含むものでもある。該フィルタ物質の例としては、酢酸セルロース繊維、紙などを挙げることができるが、本開示の範囲は、それらに限定されるものではない。
【0077】
一実施例においては、図示されているように、第2セグメント123は、少なくとも1つのカプセル130を含むものでもある。ここで、カプセル130は、香味を発生させる機能を遂行することもでき、エアロゾルを発生させる機能を遂行することもできる。例えば、カプセル130は、香料を含む液体を被膜で覆い包む構造でもある。また、カプセル130は、球形または円筒状の形状を有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0078】
次に、エアロゾル形成基材部110は、エアロゾルに対する形成機能を遂行することができる。エアロゾル形成基材部110は、前述のエアロゾル形成基材部310に対応するので、それに係わるそれ以上の説明は、省略する。
【0079】
次に、ラッパ140は、エアロゾル形成基材部110及び/またはフィルタ部120の少なくとも一部を覆い包んでいるものを意味しうる。ラッパ140は、エアロゾル形成基材部110及び/またはフィルタ部120の個別ラッパ141ないし145を称するものでもあり、個別ラッパ141ないし145の少なくとも一部を覆い包んでいる外部ラッパ147を称するものでもあり、あるいはエアロゾル発生物品100に利用された全てのラッパ141ないし147を総称するものでもある。
【0080】
ラッパ140の少なくとも一部は、難燃性の紙素材によって製造されうる。ラッパ140は、前述のラッパ330に対応するので、それに係わるそれ以上の説明は、省略する。
【0081】
なお、一実施例においては、図4に図示されているように、エアロゾル発生物品100が、上流末端に配された前端プラグ150をさらに含むものでもある。前端プラグ150は、エアロゾル形成基材部110が外部に離脱することを防止することができ、喫煙中、エアロゾル形成基材部110から、液状化されたエアロゾルが、例えば、エアロゾル発生装置1000(図6ないし図8)に流れることを防止することもできる。または、前端プラグ150は、エアロゾル発生物品100の全体長を適切に調節する機能を遂行することもできる。または、エアロゾル発生物品100が、例えば、エアロゾル発生装置1000(図6ないし図8)に挿入される場合、前端プラグ150は、エアロゾル形成基材部110が、エアロゾル発生装置内部の適切な位置に配されるように調節する機能を遂行することもできる。前端プラグ150は、例えば、酢酸セルロース繊維によって製造されうるが、本開示の範囲は、それに限定されるものではない。必要によっては、前端プラグ150には、少なくとも1つのチャネルが形成され、該チャネルの断面形状は、多様に作製されうる。
【0082】
前述の実施例において、前端プラグ150の内部(例:酢酸セルロース繊維に添加される)または外部(例:ラッパ149に添加される)に、難燃性物質が添加されうる。前端プラグ150は、ユーザ不注意による直接の点火行為が起こりうる上流末端部位に位置するので、難燃性の物質が添加されれば、点火行為によるエアロゾル発生物品100の発火可能性がさらに低減されうる。または、同一利点を達成するために、前端プラグ150を覆い包んでいるラッパ149が難燃性の紙素材によって製造されるか、あるいは熱伝導性素材によってなるさらなるラッパ(図示せず)が、前端プラグ150近くにさらに配されうる。
【0083】
以上、図3及び図4を参照し、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品100について説明した。以下においては、図5を参照し、本開示のさらに他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品200について説明する。ただし、本開示の明瞭さのために、先立つ実施例と重複する内容に係わる説明は、省略する。
【0084】
図5は、本開示のさらに他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品200を示す例示的な図面である。
【0085】
図5に図示されているように、本実施例によるエアロゾル発生物品200は、エアロゾル形成基材部210及びフィルタ部220を含むものでもあり、エアロゾル形成基材部210及びフィルタ部220それぞれは、複数のセグメント211,213,221,223を含むものでもある。
【0086】
図示されているように、エアロゾル形成基材部210は、第1セグメント211と第2セグメント213とによって構成されうる。ここで、エアロゾル形成基材部210は、第3セグメント(図示せず)をさらに含むものでもあるということは、言うまでもない。
【0087】
第1セグメント211は、保湿剤を含むものでもある。例えば、第1セグメント211は、保湿剤が含侵された巻縮紙を含むものでもある。該保湿剤は、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうち少なくとも一つを含むものでもある。
【0088】
次に、第2セグメント213は、タバコ物質のようなニコチン発生基材を含むものでもある。該ニコチン発生基材は、例えば、刻みタバコ、タバコ粒子、タバコシート、タバコビード、タバコ顆粒を含むものでもある。他の例として、該ニコチン発生基材は、タバコ抽出物が含侵された巻縮紙を含むものでもある。ニコチン発生基材が加熱される場合、ニコチン発生基材からニコチンが発生し、フィルタ部220にニコチンが移行されうる。
【0089】
次に、フィルタ部220も、複数のセグメント221,223を含むものでもある。例えば、フィルタ部220は、冷却機能を遂行する第3セグメント221と、濾過機能を遂行する第4セグメント223とによって構成されうる。前述の図3のフィルタ部120に係わる内容が、フィルタ部220に同一に適用されうるので、それ以上の説明は、省略する。
【0090】
次に、ラッパ230は、前述のラッパ140に対応しうる。従って、それに係わる説明は、省略する。
【0091】
以上、図1ないし図5を参照し、本開示の多様な実施例によるエアロゾル発生物品100ないし300について説明した。以下においては、図6ないし図8を参照し、前述のエアロゾル発生物品100ないし300が適用されうる多様な類型のエアロゾル発生装置1000について簡略に説明する。
【0092】
図6は、前述のエアロゾル発生物品100ないし300が適用されうる一類型のエアロゾル発生装置1000を概略的に示す例示的な図面である。特に、図6以下の図面は、エアロゾル発生物品2000が、装置1000内に収容された状態を例として図示しており、エアロゾル発生物品2000は、前述のエアロゾル発生物品100ないし300に対応するものでもある。
【0093】
図6に図示されているように、エアロゾル発生装置1000は、ハウジング、ヒータ部1300、バッテリ1100及び制御部1200を含むものでもある。ただし、それらは、本開示の目的を達成するための望ましい実施例であるのみ、必要によっては、一部構成要素が追加されるとか省略されうることはということは、言うまでもない。また、図6に図示されたエアロゾル発生装置1000のそれぞれの構成要素は、機能的に区分される機能要素を示したものであり、複数の構成要素が、実際の物理的環境においては、互いに統合される形態に具現されるか、あるいは単一構成要素が、複数の細部機能要素に分離される形態にも具現される。以下、エアロゾル発生装置1000の各構成要素について説明する。
【0094】
ハウジングは、エアロゾル発生装置1000の外観を形成することができる。また、該ハウジングは、エアロゾル発生物品2000が収容される収容空間を形成することができる。該ハウジングは、内部構成要素を保護するように、堅固な素材によってなることが望ましいのである。
【0095】
次に、ヒータ部1300は、収容空間に収容されたエアロゾル発生物品2000を加熱するように配されうる。エアロゾル発生物品2000は、加熱されることにより、エアロゾルを発生させることができ、発生したエアロゾルは、ユーザの口部を介して吸入されうる。ヒータ部1300の動作、加熱温度などは、制御部1200によって制御されうる。ヒータ部1300は、内部加熱要素を具備することもでき(図6参照)、外部加熱要素を具備することもできる(図7及び図8参照)。または、ヒータ部1300は、内部加熱要素と外部加熱要素とをいずれも具備することもできる。
【0096】
次に、バッテリ1100は、エアロゾル発生装置1000が動作するのに利用される電力を供給することができる。例えば、バッテリ1100は、ヒータ部1300がエアロゾル発生物品2000に含まれたエアロゾル形成基材を加熱するように、電力を供給することができ、制御部1200が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0097】
また、バッテリ1100は、エアロゾル発生装置1000に設けられたディスプレイ(図示せず)、センサ(図示せず)、モータ(図示せず)のような電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0098】
次に、制御部1200は、エアロゾル発生装置1000の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部1200は、ヒータ部1300及びバッテリ1100の動作を制御することができ、エアロゾル発生装置1000に含まれた他の構成要素の動作も制御することができる。制御部1200は、バッテリ1100が供給する電力、ヒータ部1300の加熱温度などを制御することができる。また、制御部1200は、エアロゾル発生装置1000の構成それぞれの状態を確認し、エアロゾル発生装置1000が動作可能な状態であるか否かということを判断することもできる。
【0099】
制御部1200は、少なくとも1つのプロセッサ(processor)によって具現されうる。前記プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイによっても具現され、汎用的なマイクロプロセッサと、該マイクロプロセッサで実行されうるプログラムが保存されたメモリとの組み合わせによっても具現される。また、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者であるならば、制御部1200が、他形態のハードウェアによっても具現されるということを自明に理解することができるであろう。
【0100】
以下においては、図7及び図8を参照し、他類型のエアロゾル発生装置1000について簡略に説明する。
【0101】
図7は、蒸気化器1400とエアロゾル発生物品2000とが並列に配されたエアロゾル発生装置1000を例示しており、図8は、蒸気化器1400とエアロゾル発生物品2000とが直列に配されたエアロゾル発生装置1000を例示している。しかしながら、エアロゾル発生装置の内部構造は、図7及び図8に例示されたところに限定されるものではなく、設計方式により、構成要素の配置は、変更されうる。
【0102】
図7及び図8において、蒸気化器1400は、液状のエアロゾル形成基材を保存する液状保存槽、エアロゾル形成基材を吸収するウィック(wick)、及び吸収されたエアロゾル形成基材を気化させ、エアロゾルを発生させる気化要素を含むものでもある。該気化要素は、加熱要素、振動要素のように、多様な形態に具現されうる。場合によっては、蒸気化器1400は、ウィックを含まない構造にも設計される。
【0103】
蒸気化器1400で発生したエアロゾルは、エアロゾル発生物品2000を通過し、ユーザの口部を介して吸入されうる。蒸気化器1400の気化要素も、制御部1200によって制御されうる。
【0104】
以上、図6ないし図8を参照し、本開示の多様な実施例によるエアロゾル発生物品100ないし300が適用されうる多様な類型のエアロゾル発生装置1000について概略的に説明した。
【0105】
以下においては、実施例及び比較例を介し、前述のエアロゾル発生物品(例:エアロゾル発生物品100)の構成及び効果につき、さらに詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本開示を介して実施可能な多様なエアロゾル発生物品のうち一部例示に過ぎないものであり、本開示の範囲は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0106】
実施例1
【0107】
図4に例示されたエアロゾル発生物品100と同一構造を有する加熱式シガレットを製造した。具体的には、下記の表1に記載された物性値を有する難燃性紙素材を、エアロゾル形成基材部(例:エアロゾル形成基材部110)のラッパ(例:ラッパ141)として利用して加熱式シガレットを製造した。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例2
【0110】
前記表1に記載された物性値を有する難燃性紙素材を外部ラッパ(例:外部ラッパ147)として利用した点を除いては、実施例1と同一の加熱式シガレットを製造した。
【0111】
実施例3
【0112】
前記表1に記載された物性値を有する難燃性紙素材をエアロゾル形成基材部(例:エアロゾル形成基材部110)のラッパ(例:ラッパ141)及び外部ラッパ(例:外部ラッパ147)として利用した点を除いては、実施例1と同一の加熱式シガレットを製造した。
【0113】
実施例4
【0114】
坪量が約38g/m、引っ張り強度が約28N/15mm、厚みが約45μmである難燃性紙素材を利用した点を除いては、実施例1と同一の加熱式シガレットを製造した。
【0115】
比較例1
【0116】
市中で販売される加熱式シガレットの紙ラッパ素材をそのまま利用した点を除いては、実施例1と同一の加熱式シガレットを製造した。
【0117】
下記の表2は、実施例1ないし4と、比較例1とによる加熱式シガレットの主要構成をまとめたものである。
【0118】
【表2】
【0119】
実験例1:発火性評価
【0120】
実施例1ないし5と、比較例1とによる加熱式シガレットの発火性を評価する実験を進めた。具体的には、製造された加熱式シガレットの前端プラグ(例:前端プラグ150)を切断し、HC(Health Canada)喫煙条件下において、可燃性熱源でもってエアロゾル形成基材部を直接点火した。そして、パフ(喫煙)を行い、それぞれの加熱式シガレットの自体消化時点を測定した。そのとき、パフ当たり主流煙吸入量は、約55mL、パフ時間は、約2秒、パフ間隔は、約30秒に設定し、それぞれの加熱式シガレットにつき、回別8パフを基準に、総10回の繰り返し実験を行った。該実験結果は、下記の表3及び表4に記載されている。参照として、下記の表3において、自体消化時点が「3パフ」というのは、2回目パフ後の3回目パフ以前、加熱式シガレットが自体消化したということを意味する。また、表4の自体消化率は、表3に記載された実験結果を基に算出されたものであり、「5パフ前」の自体消化率が「100%」であるというのは、全ての実験において、5回目パフ以前、加熱式シガレットが自体消化されたということを意味する。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
前述の表3及び表4を参照すれば、実施例1ないし4による加熱式シガレットの自体消化率が、比較例1よりはるかにすぐれているということを確認することができる。それを介し、難燃性紙素材のラッパが、エアロゾル発生物品の発火性を大きく低減させうるということが分かる。また、実施例3による加熱式シガレットの自体消化時点が、概して実施例1より早いことを確認することができる。それは、難燃性紙素材を、二重(または、多重)に適用する場合、エアロゾル発生物品の発火性がさらに低減されうるということを意味する。
【0124】
また、実施例1による加熱式シガレットの自体消化率が、実施例4よりすぐれているということを確認することができる。具体的には、3パフを基準に、実施例1の自体消化率は、およそ60%であるところに比べ、実施例4の自体消化率は、およそ10%に過ぎないということを確認することができる。それは、紙素材の物性(例:坪量、厚み、引っ張り強度)が、エアロゾル発生物品の発火性に影響を及ぼすということを意味し、それを介し、エアロゾル発生物品の発火性を十分に低減させるためには、坪量が約32g/m以上、引っ張り強度が約28N/15mm以上、厚みが約45μm以上である難燃性の紙素材をラッパとして利用するのが望ましいということが分かる。
【0125】
また、前記表3及び表4には、記載していないが、実施例4による加熱式シガレットを製造市に素材の耐久性問題などによって製造工程の作業性が著しく落ちることで現われた。それを介して、製造工程の作業性側面でも、坪量が約32g/m以上、引っ張り強度が約28N/15mm以上、厚みが約45μm以上の難燃性の紙素材をラッパとして利用することが望ましいということが分かる。
【0126】
以上、実施例及び比較例を介し、前述のエアロゾル発生物品(例:エアロゾル発生物品100)の構成及び効果についてさらに詳細に説明した。
【0127】
以上において、添付図面を参照し、本開示の実施例について説明したが、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者であるならば、その技術的思想や、必須な特徴を変更せずとも、本開示が、他の具体的な形態でも実施されうるということを理解することができる。従って、以上で記述された実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解されなければならない。本開示の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本開示によって定義される技術的思想の権利範囲に含まれると解釈されなければならないのである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】