(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ポリプロピオラクトン及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/08 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
C08G63/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562906
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022024398
(87)【国際公開番号】W WO2022221266
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511046391
【氏名又は名称】ノボマー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デローザ,クリストファー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スタウテンブルグ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】トッド,リサ・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ファルクナー,キャサリン・エイ
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB02
4J029AB04
4J029AC01
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD06
4J029AD07
4J029AE01
4J029EG02
4J029EG09
4J029EH03
4J029JB063
4J029JB232
4J029JB242
4J029JC091
4J029JC092
4J029JC242
4J029JC312
4J029JC363
4J029JC553
4J029JC713
4J029JC733
4J029KE05
(57)【要約】
オニウムカチオンのカルボン酸塩を利用して、ベータプロピオラクトンからポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)及び関連コポリマーを効率的に製造する方法が開示される。別の態様では、本発明は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)及び関連コポリマーの効率的な製造を共に可能にする、開始剤とモノマーの組み合わせを含む重合系を提供する。これまでに製造されたポリマー及びポリマー組成物と差別化された、構造及び/または組成的特徴を有する、新規のポリマー組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖は、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したカルボン酸アニオンの残基を有する、ポリマー。
【請求項2】
前記1つ以上のポリマー鎖が、前記鎖の他端の一方にエンドキャッピング剤または停止剤の残基を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化1】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1以上の数である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
Aは、各出現で別個に、3-ヒドロキシプロピオネート及び/または置換3-ヒドロキシプロピオネートに由来する単位を含むポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、アルキル基であって、
R
kは、各出現で別個に、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、またはイソフタル酸誘導体を含む、エンドキャッピング剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1~6の数である、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化2】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1~6の数である、請求項4に記載のポリマー。
【請求項7】
R
20が、アルキル基である、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
前記ポリマーが、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと重合するコモノマーを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
前記コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項10】
前記コモノマーが、1つ以上のエポキシドである、請求項1~9のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、25,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項12】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、50,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項13】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、100,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項14】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、200,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項15】
前記ポリマーが、多形性である、請求項1~14のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項16】
前記ポリマーが、73~83℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、請求項1~15のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項17】
前記ポリマーが、73~83℃、89~95℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、請求項1~16のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項18】
前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化3】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、2以上の数であって、
ポリマーは、1つ以上のポリエポキシドまたはポリラクトンで架橋されている、請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項19】
wが、2~6である、請求項18に記載のポリマー。
【請求項20】
wが、2及び/または3である、請求項18に記載のポリマー。
【請求項21】
R
20が、アルキル基である、請求項18または19に記載のポリマー。
【請求項22】
R
20が、直鎖アルキル基である、請求項18~21のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項23】
a.1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、
b.1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩と、を含む、重合性組成物。
【請求項24】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと共重合する1つ以上のコモノマーを含む、請求項23に記載の重合性組成物。
【請求項25】
連鎖移動剤、鎖延長剤、停止剤、及びエンドキャッピング剤の1つ以上を含む、請求項23または24に記載の重合性組成物。
【請求項26】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が、約100:1~約1,000,000:1である、請求項23~25のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項27】
前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体である、請求項23~26のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項28】
前記エンドキャッピング剤または停止剤が、オニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して10モル当量未満の量で存在する、請求項23~27のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項29】
コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、請求項23~28のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項30】
コモノマーが、1つ以上のエポキシドである、請求項23~29のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項31】
前記オニウムカチオンが、窒素、リン、硫黄、アンチモン、またはヒ素を含む、請求項23~30のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項32】
1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したオニウムカチオンのカルボン酸塩の残基を有する、1つ以上のポリマーを調製する条件下で、1つ以上のベータプロピオラクトン、置換ベータプロピオラクトン、及びコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを接触させることを含む、方法。
【請求項33】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が、約100:1~約1000,000:1である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約30℃~約120℃の温度で接触させる、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約1バール~約20バールの間の圧力で接触させる、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、オニウムカチオンのカルボン酸塩とを、前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーを実質的に全て消費するのに十分な時間接触させる、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
特定の反応時間後、またはポリマー組成物が所望の分子量に達したときに、停止剤を添加して重合反応を停止させる、請求項32~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記停止剤が、鉱酸、有機酸、または酸性樹脂もしくは固体の1つ以上である、請求項32~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
特定の反応時間後、または前記ポリマー組成物が所望の分子量に達したときに、エンドキャッピング剤が添加される、請求項32~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記エンドキャッピング剤が、1つ以上の求電子性有機化合物を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体の1つ以上を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記エンドキャッピング剤が、前記オニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して10モル当量未満の量で存在する、請求項32~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
溶媒が、非極性溶媒である、請求項32~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
溶媒が、非極性エーテルである、請求項32~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記溶媒が、0.2未満の極性を示す、請求項32~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記溶媒が、非環状エーテルである、請求項32~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、及びジイソプロピルエーテルである、請求項32~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
開始剤が、アンモニウムアセテート、アンモニウムサクシネート、アンモニウムシトレート、ピリジニウムアセテート、またはホスフィンイミニウムアセテートである、請求項32~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記開始剤が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアセテート、ビススピロピペリジニウムアセテート、4-(ジメチルアミノ)ピリジニウムアセテート、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エニウムアセテート、ビス(テトラメチルアンモニウム)サクシネート、トリス(テトラメチルアンモニウム)シトレート、またはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアセテートである、請求項32~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、25,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、請求項32~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、50,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、請求項32~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、100,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、請求項32~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、200,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、請求項32~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリマーが、多形性である、請求項32~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリマーが、73~83℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、請求項32~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリマーが、75~80℃、89~95℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、請求項32~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
形成されたポリマーを、前記ポリマーが前記ポリマーの末端基を介して架橋されるような条件下で、ポリエポキシドまたはポリラクトンと接触させる、請求項32~56のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月16日に出願された米国仮出願第63/175,667号の優先権を主張し、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術的主題
本開示は、ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトン、及び/またはベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンと重合するコモノマーを含むポリマー系、ならびにそのような系を調製する方法に関する。ポリマー系には、架橋ポリマー系、ならびにそのようなポリマーから調製されたコーティング及びフィルムが含まれる。
【背景技術】
【0003】
ポリエステルポリマーは、幅広い用途を有する多用途材料であることが証明されている。石油由来の芳香族モノマーをベースとしたポリエステルは、最も広く利用されているポリマーの1つであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、水筒、繊維、及びその他の消費財の製造のために大規模に製造されている。PETは生分解性ではないため、海洋生態系への損害を含め、残留する使用済みプラスチック廃棄物による環境汚染という、増大する問題の主な要因となっている。近年、生分解性ポリエステルへの関心が高まっており、例としては、ポリ乳酸(PLA)やポリ-3-ヒドロキシアルカノエート(PHA)が挙げられる。これらのポリマーはコストと特性が高いため、既存の高容量ポリマーに代わる大量の用途に対応することが困難になっている。メーカーが自社製品のコストと持続可能性プロファイルの均衡を取ることを可能にする、高性能の生分解性ポリエステル、及び柔軟な原料源からそのようなポリマーを製造する方法に対するニーズが、依然として存在する。
【0004】
ポリ-3-ヒドロキシアルカノエート(PHA)とも呼ばれるベータプロピオラクトン(BPL)、及び関連する置換ベータラクトンの重合は何十年も前から知られているが、非常に高い分子量の、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)(p3HP)などのポリ-3-ヒドロキシアルカノエート(PHA)、または関連するコポリマーを、経済的に製造することはこれまで不可能であったし、また、そのようなポリマーの組成特性と二次構造を制御して、特定の用途に最適化させることは簡単ではなかった。
【0005】
より高く制御可能な分子量を有する、ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンから調製されるポリマーが、必要とされている。制御可能な多分散性を有する、ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンから調製されるポリマーが、必要とされている。所望の分子量及び多分散性を有するポリマー系の調製を可能にする、そのようなポリマーの調製方法が、必要とされている。形成されるポリマーの分子量及び多分散性のそのような制御を提供する、改良されたアニオン開始剤系が、必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
選択された重合開始剤を利用することによって、ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトン(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート))、及び関連するコポリマーを効率的に製造する、方法が開示される。製造されたポリマーは、要求の厳しい商業的用途に適しており、他の方法で製造された既知のポリエステルとは差別化された、独自の特性を有してもよい。優れたポリマー製品の製造を可能にする、開始剤、モノマー、オリゴマー、エンドキャッピング剤、鎖延長剤、連鎖移動剤、溶媒、及び架橋剤の独自の組み合わせを含む、重合系が開示される。これまでに製造されたポリマー及びポリマー組成物とは差別化された、構造及び/または組成的特徴を有する、ポリマー組成物が開示される。
【0007】
1つ以上のポリマー鎖を含み、1つ以上のポリマー鎖は、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、鎖の一端に、ポリマー鎖の一端に共有結合したカルボン酸アニオンの残基を有する、ポリマーが開示される。1つ以上のポリマー鎖は、鎖の他端に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基を有してもよい。エンドキャッピング剤は、1つ以上の求電子性有機化合物を含んでもよい。エンドキャッピング剤は、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体のうちの、1つ以上を含んでもよい。ポリマーは、
【化1】
に従う鎖を含んでもよく、式中、Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であり、R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されているヒドロカルビル基であり、ならびにR
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基である。Aは、各出現で別個に、ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトン(3-ヒドロキシプロピオネート及び/または置換3-ヒドロキシプロピオネートなど)に由来する単位を含むポリマー鎖であってもよい。wは、各出現で別個に、1以上の数である。R
20は、各出現で別個に、アルキル基であってもよい。R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤の残基であり、エンドキャッピング剤は、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、またはイソフタル酸誘導体である。以下を含む重合性組成物が開示される:a.1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン、ならびにb.1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩。重合性組成物は、1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと共重合する、1つ以上のコモノマーを含有してもよい。重合性組成物は、連鎖移動剤、鎖延長剤、エンドキャッピング剤、及び停止剤のうちの1つ以上を含有してもよい。1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比は、約100:1~約1000,000:1であってもよい。エンドキャッピング剤または停止剤は、添加されるオニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して、10モル当量未満の量で存在する。重合性組成物は、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、コモノマーを含んでもよい。重合性組成物は、1つ以上の鎖延長剤、分岐剤などを含んでもよい。オニウムカチオンは、窒素、リン、硫黄、アンチモン、またはヒ素の1つ以上を含んでもよい。
【0008】
1つ以上のポリマー鎖を含み、1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン、ならびに任意選択的にコモノマー単位を有し、鎖の一端に、ポリマー鎖の一端に共有結合したオニウムカチオンのカルボン酸塩の残基を有する、1つ以上のポリマーを調製するための条件下で、1つ以上のベータプロピオラクトン及び置換ベータプロピオラクトン、ならびに任意選択的に1つ以上のコモノマーを、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩と接触させることを含む、方法が開示される。1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的なコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比は、約100:1~約1000,000:1である。1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的なコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約0℃~約120℃の温度で接触させてもよい。1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約1バール~約20バールの圧力で接触させてもよい。1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的なコモノマーから調製されるポリマーが所望の分子量を得るのに十分な時間、接触させてもよい。停止剤は、鉱酸、有機酸、酸性樹脂または固体、及びエンドキャッピング剤のうちの1つ以上であってもよい。1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩。エンドキャッピング剤は、1つ以上の求電子性有機化合物を含んでもよい。エンドキャッピング剤は、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体のうちの、1つ以上を含んでもよい。エンドキャッピングは、オニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して、10モル当量未満の量で存在してもよい。本方法は、非極性溶媒中で実施することができる。溶媒は、非極性エーテルであってもよい。非極性溶媒は、0.2未満の極性を有していてもよい。極性は、Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry,Third Edition.Christian Reichard,2003,WILEY-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim,Appendix A,Table A-1に記載されている正規化
【数1】
に基づいてもよい。
【0009】
開示されたポリマーは、制御可能な分子量及び制御可能な多分散性を示す。開示された方法は、分子量及び多分散性を制御する手段を提供する。開示されたポリマーは、1つ以上のポリマー鎖を含み、1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有する、ポリマーについて、既知であるものよりも高い分子量を示してもよい。多形体特性を示す、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有する、1つ以上のポリマー鎖を含む、ポリマー系が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、モノマー対開始剤の比に応じて増加するモル質量を示す。
【
図2】
図2は、酢酸塩が副反応をある程度緩和することを示している。
【
図3】
図3は、1つの多形体の融点範囲が75~80℃であることを示している。
【
図4】
図4は、1つの多形体の融点範囲が89~95℃であることを示している。
【
図5】
図5は、1つの多形体の融点範囲が110~125℃であることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
特定の官能基及び化学用語の定義については、以下でさらに詳しく説明する。本発明の目的のために、化学元素は、the Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.の見返しに従って特定され、特定の官能基は、一般に、本明細書で定義される。さらに、有機化学の一般原理、及び特定の機能部分と反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999,Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001,Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers Inc.,New York,1989,Carruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis、3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されており、それぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
開示される特定のポリマーは、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、したがって、様々な立体異性形態、例えばエナンチオマー及び/またはジアステレオマーで存在することができる。ポリマー及びその組成物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であってもよく、または立体異性体の混合物の形態であってもよい。開示されるポリマーは、エナンチオピュアな化合物であってよい。エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物が、開示される。
【0013】
開示される特定のポリマーは、複数の部位での反応によって鎖状に結合できるモノマーを含み、したがって、得られるポリマー鎖に位置異性の可能性が生じてもよい。開示される特定のポリマーは、異なる位置異性体形態で存在することができる。本明細書に記載される特定のポリマー及びその組成物は、位置規則的であってもよく、またはある程度の位置不規則性を含んでもよく、または実質的に位置不規則的であってもよい。開示されるポリマーは、実質的に位置規則的であり得る。開示されるポリマーは、1つ以上の結晶多形を含むことができ、したがって、様々な結晶形態で存在することができる。ポリマー及びその組成物は、ベータ結晶多形、ガンマ結晶多形、もしくはデルタ結晶多形の形態であってもよく、または結晶多形の混合物の形態であってもよい。本明細書に記載される特定のポリマーは、特に示されない限り、Z異性体またはE異性体のいずれかとして存在できる、1つ以上の二重結合を有してもよい。他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、あるいは様々な異性体の混合物、例えば、エナンチオマーのラセミ混合物としての、ポリマーが開示される。上述のポリマー自体は、1つ以上のポリマーを含む組成物を包含してもよい。
【0014】
本明細書で使用される「ベータラクトン」という用語は、酸素原子、カルボニル基、及び2つの任意選択的に置換されたメチレン基を含む4員環を有する、置換または非置換の環状エステルを指す。置換されていない場合、ベータラクトンはプロピオラクトンと呼ばれる。置換ベータラクトンには、一置換、二置換、三置換、及び四置換ベータラクトンが含まれる。このようなベータラクトンは、本明細書で定義されるように、更に任意選択的に置換されてもよい。ベータラクトンは、1つのラクトン部分を含んでもよい。ベータラクトンは、2つ以上の4員環状エステル部分を含んでもよい。
【0015】
本明細書で使用される「エポキシド」という用語は、置換または非置換のオキシランを指す。そのような置換オキシランには、一置換オキシラン、二置換オキシラン、三置換オキシラン、及び四置換オキシランが含まれる。そのようなエポキシドは、本明細書で定義されるように、更に任意選択的に置換されてもよい。エポキシドは、1つのオキシラン部分を含んでもよい。エポキシドは、2つ以上のオキシラン部分を含む。
【0016】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、相対分子量の高い分子を指し、その構造は、実際または概念的に、相対分子量の低い分子に由来する単位の複数の繰り返しを含む。ポリマーは、ベータラクトンモノマー(例えば、ポリプロピオラクトン)から構成されてもよい。開示されるポリマーは、2つ以上の異なるモノマーを組み込んだ、コポリマー、ターポリマー、ヘテロポリマー、ブロックコポリマー、またはテーパードヘテロポリマーであってもよい。
【0017】
本明細書で使用される「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、及びヨウ素(ヨード、-I)から選択される原子を指す。本明細書で使用される「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、直鎖(すなわち、非分岐)、分岐、または環状(縮合、架橋、及びスピロ縮合多環式を含む)であってもよい炭化水素部分を指し、完全に飽和しているか、1つ以上の不飽和単位を含んでもよいが、芳香族ではない。脂肪族基は、1~40個の炭素原子、1~20個の炭素原子、2~20個の炭素原子、1~12個の炭素原子、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~5個の炭素原子、1~4個の炭素原子、1~3個の炭素原子、または1個もしくは2個の炭素原子を含んでもよい。脂肪族基には、限定されるものではないが、直鎖状または分岐鎖状のアルキル、アルケニル、及びアルキニル基、ならびに(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニルなどの、それらのハイブリッドが含まれる。本明細書で使用される「ヘテロ脂肪族」という用語は、1つ以上の炭素原子が、独立して、酸素、硫黄、窒素、またはリンからなる群から選択される1つ以上の原子で置換されている脂肪族基を指す。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換、分岐または非分岐、環状または非環状であってもよく、飽和、不飽和、または部分不飽和の基を含んでもよい。
【0018】
本明細書で使用される「不飽和」という用語は、部分が1つ以上の二重結合または三重結合を有することを意味する。「脂環式」、「炭素環」、または「炭素環式」という用語は、単独でまたはより大きな部分の一部として使用され、本明細書で記載するように、3員~12員を有する、飽和または部分不飽和環状脂肪族単環式または多環式環系を指し、脂肪族環系は、以下に定義し本明細書に記載するように、任意選択的に置換される。脂環式基には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ノルボルニル、アダマンチル、及びシクロオクタジエニルが含まれる。脂環式基は、3~6個の炭素を含んでもよい。「脂環式」、「炭素環」、または「炭素環式」という用語は、デカヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチルなどの、基または結合点が脂肪族環上にある、1つ以上の芳香族環または非芳香族環に縮合している脂肪族環も含む。本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、水素原子を1つ除去することによって、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、直鎖または分岐鎖の脂肪族部分に由来する一価の基を意味する。本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、水素原子を1つ除去することによって、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、直鎖または分岐鎖の脂肪族部分に由来する一価の基を意味する。「アルコキシル化」とは、分子上の1つ以上の官能基に、ヒドロキシ末端アルキル鎖が付加されていることを意味する。アルコキシル化化合物は、単一のアルキル基を含んでもよく、ヒドロキシル末端ポリエーテルなどのオリゴマー部分であってもよい。アルコキシル化材料は、官能基をエポキシドで処理することによって、親化合物から誘導することができる。本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子に結合した、前に定義したアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペントキシ、及びn-ヘキソキシが含まれる。本明細書で使用される「アシル」という用語は、カルボニル含有官能基、例えば、-C(=O)R’を指し、R’は、水素もしくは任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール基、または(例えば、水素もしくは脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、もしくはヘテロアリール部分で)置換された(例えば、カルボン酸、エステル、またはアミド官能基を形成する)酸素もしくは窒素含有官能基である。本明細書で使用される「アシルオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子に結合した、アシル基を指す。単独で使用される、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」のようなより大きな部分の一部として使用される、「アリール」という用語は、合計5~20の環員を有する単環式及び多環式の環系を指し、系内の少なくとも1つの環が芳香族であり、系内の各環は3~12個の環員を含んでいる。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能に使用することができ、「アリール」とは、限定されるものではないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含み、1つ以上の置換基を有する、芳香族環系を指す。また、本明細書で使用される「アリール」という用語の範囲内には、芳香環が1つ以上の追加の環に縮合している基、例えば、ベンゾフラニル、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル、フェナントリイジニル、またはテトラヒドロナフチルなどであり、基または結合点がアリール環上にある基が含まれる。
【0019】
「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ-(heteroar-)」という用語は、単独でまたはより大きな部分の一部として使用され、例えば、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアラルコキシ」は、5、6、または9個の環原子を含む、5~14個の環原子を有し、環状配列で共有されている、6、10、または14個のπ電子を有し、及び1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」及び「ヘテロアリール基」という用語と交換可能に使用することができ、これらの用語のいずれにも、任意選択的に置換されている環が含まれる。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化形態、及び塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基は、単環式または二環式であってもよい。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールによって置換されたアルキル基を指し、アルキル部分及びヘテロアリール部分は、独立して、任意選択的に置換されている。「部分的に不飽和な」という用語は、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。
【0020】
開示された化合物は、「任意選択的に置換された」部分を含んでもよい。「置換された」という用語は、指定された部分の1つ以上の水素が置換基で置き換えられていることを意味する。「任意選択的に置換された」基は、その基の置換可能な各位置に置換基を有していてもよく、任意の所与の構造中の複数の位置が特定の群から選択される複数の置換基で置換され得る場合、その置換基は、それぞれの位置で、同一であってもよいし、または異なっていてもよい。想定される置換基の組み合わせは、安定した、または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。「安定な」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の目的のための、生成、検出、回収、精製、及び使用を可能にする条件に供された場合に、実質的に変化しない化合物を指す。他に指定されない限り、「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ」は、交換可能に使用され、1つまたは複数を意味する。
【0021】
方法
ベータプロピオラクトン(BPL)及び/または置換ベータプロピオラクトンを、任意選択的に1つ以上の追加のコモノマー(合わせて、モノマー)と組み合わせて、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩から誘導された開始剤を使用して重合する方法が、開示される。開始剤は、最終ポリマー生成物中で共有結合していても、していなくてもよい。
【0022】
供給比とポリマーの特性
本方法は、モノマーを1つ以上のオニウムカチオン開始剤のカルボン酸塩と接触させるステップを含み、所望の分子量のポリマーを調製するように、モノマー対開始剤のモル比が選択される。モノマー対開始剤のモル比は、10:1以上、100:1以上、1,000:1以上、2,000:1以上、3,000:1以上、4,000:1以上、5,000:1以上、7,500:1以上、10,000:1以上、15,000:1以上、20,000:1以上、30,000:1以上、40,000:1以上、50,000:1以上、75,000:1以上、または100,000:1以上であってもよい。開始剤をモノマーと十分な時間接触させて、所望の分子量のポリマーを調製する。本方法は、50,000g/mol以上、75,000g/mol以上、100,000g/mol以上、150,000g/mol以上、200,000g/mol以上、250,000g/mol以上、300,000g/mol以上、400,000g/mol以上、500,000g/mol以上、600,000g/mol以上または700,000g/mol以上の数平均分子量Mnを有するポリマー組成物が形成されるまで、開始剤をモノマーと接触させるステップを含んでもよい。ポリマー組成物のMnは、溶媒としてTHFを使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、単分散ポリメチルメタクリレート標準を参照したものを指す。
【0023】
生成されたポリマー組成物のGPCクロマトグラムは多峰性であってもよく、約5,000g/mol以下、約4,500以下、約4,000以下、約3,500以下、約3,000以下、約2,500以下、約2,000以下、約1,500以下、または約1,000g/mol以下の分子量を有する低分子量オリゴマー(例えば、ポリエステル鎖)の異なる集団を表す1つ以上のピークを含んでもよい。生成されたポリマー組成物のGPCクロマトグラム、50,000g/mol超のMnを有するポリマー鎖から生じるピークの面積と、5,000g/mol未満のMnを有するオリゴマーを表すピークの面積との比は、少なくとも10:1であってもよい。
【0024】
本方法は、開始剤をモノマーと所定の時間接触させることを含む。本方法は、(例えば、GPCなどの適切な技術により反応混合物からのアリコートを分析することにより、またはin situ監視技術を利用することにより)重合反応の進行を監視するステップを含んでもよい。本方法は、ポリマーの分子量の増加を監視するステップ、及び/またはモノマー濃度の減少を監視するステップを含んでもよい。本方法は、ポリマーの分子量(または、反応粘度などの分子量の代用)が所望の値に達するか、または所定の閾値を超えたときに、反応を停止することを含んでもよい。本方法は、モノマーの濃度が所望の濃度に達するか、または所定の閾値を下回るまで、モノマーの減少を監視するステップを含んでもよい。本方法は、モノマーの濃度が所望の濃度に達するか、または所定の閾値を下回った場合に、反応を停止するステップを含んでもよい。
【0025】
形成されたポリマー組成物は、低い多分散性、例えば、3.5以下、3.0または、2.5以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.05以下の多分散性指数(PDI)を有してもよい。形成されたポリマー組成物は、1.05以上、1.1以上、1.2以上、1.5以上、または2.0以上のPDIを有してもよい。記載されたPDI値とは、GPCによって測定された値を指す。PDI値は、約5,000g/mol未満、約4,500未満、約4,000未満、約3,500未満、約3,000未満、約2,500未満、約2,000未満、約1,500未満、または約1,000g/mol未満のMnを有するオリゴマーから生じるGPCピークを含めずに計算することができる。
【0026】
調製されたポリマーは、本明細書で開示されるように測定された、約17,000g/mol、20,000g/mol、25,000g/mol、50,000g/mol、100,000g/mol、200,000g/mol、300,000g/mol、または500,000g/molを超える数平均分子量を有してもよい。調製されたポリマーは、1,000,000未満の数平均分子量を有してもよい。調製されたポリマーは、本明細書で開示されるように測定された、約17,000g/mol、20,000g/mol、25,000g/mol、50,000g/mol、100,000g/mol、200,000g/mol、300,000g/mol、500,000g/mol、600,000g/mol、または700,000g/molを超える重量平均分子量を有してもよい。調製されたポリマーは、2,000,000未満の数平均分子量を有してもよい。調製されたポリマーは、25,000g/mol以上の重量平均分子量と3.0以下のゲル浸透クロマトグラフィーデータから計算された多分散性、50,000g/mol以上と2.5以下の多分散性、100,000g/mol以上と3.0以下の多分散性、または200,000g/mol以上と2.5以下のゲル浸透クロマトグラフィーデータから計算された多分散性を示してもよい。
【0027】
ポリマーは、多形性であってもよい。多形性ポリマーは、73~83℃、及び110~125℃に、DSCピークを有してもよい。多形性ポリマーは、73~83℃、89~95℃に、及び110~125℃に、DSCピークを有してもよい。
【0028】
反応条件
モノマーは溶媒中で開始剤と接触させてもよい。溶媒は、アミド、ニトリル、及びスルホキシドなどの、1つ以上の極性非プロトン性溶媒、水もしくはアルコールなどの、プロトン性液体、エーテル、エステル、ケトン、または脂肪族もしくは芳香族炭化水素、またはハロゲン化炭化水素を、含んでもよい。溶媒は、フッ化炭化水素を含んでもよい。溶媒は、C4-12脂肪族炭化水素、エーテル、または塩素化炭化水素を含んでもよい。溶媒は、エーテル、石油エーテル、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、もしくはヘプタン、または高級脂肪族炭化水素を含んでもよい。溶媒は、イソブタンまたはヘキサンを含んでもよい。溶媒は、実質的に無水であってよい。溶媒は、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサン、1,3-ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、1,3ジオキソラン、t-ブチルメチルエーテル、及びジエチルエーテルから選択されるエーテルを含んでもよい。溶媒は、無水であってもよいテトラヒドロフランを含んでもよい。
【0029】
溶媒は、非極性溶媒であってもよい。溶媒は、非極性エーテルであってもよい。溶媒は、非環状エーテルであってもよい。溶媒は、前述したように、0.2未満の極性を有してもよい。溶媒は、ジアルキルエーテルまたはアルキルシクロアルキルエーテルであってもよい。アルキル基は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。アルキル基は、不飽和基を含んでいなくてもよい。非極性溶媒の例としては、メチルtert-ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、及びジイソプロピルエーテルが含まれる。
【0030】
開始剤は、溶媒によっては溶解度が低い場合があり、仕込まれた開始剤の一部が反応溶媒に溶解しないため、反応系内のモノマーの有効比率が高くなる可能性があるので、得られるポリマーは予想よりも高い分子量を示す場合がある。
【0031】
本方法は、溶媒を使用せずに、モノマーを開始剤と接触させることを含んでもよい。重合は、ニートモノマー中で行ってもよい。本方法は、開始剤が溶解しない溶媒系中で、モノマーを接触させることを含んでもよい。本方法は、コモノマーを、開始剤を含む固体粒子の懸濁液と接触させることを含んでもよい。本方法は、ニートモノマー(複数可)を、開始剤を含む固体粒子と接触させることを含み、固体粒子はニートモノマー(複数可)に不溶である。
【0032】
開始剤とモノマーは、低温、周囲温度、または高温で接触させてもよい。混合物は、約30℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、または約100℃以上の温度に維持されてもよい。混合物は、約120℃以下、または約100℃以下の温度に維持されてもよい。混合物は、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約-10℃以下、約-20℃までの温度に維持されてもよい。本方法は、混合物から熱を除去して所望の温度を維持するステップを含んでもよい。本方法は、工程中に、時間の経過と共に、重合混合物の温度を変化させることを含んでもよい。本方法は、混合物を冷却して所望の温度を維持するステップを含んでもよい。本方法は、工程中に、時間の経過と共に、重合混合物の温度を変化させることを含んでもよい。
【0033】
重合は、高圧で行ってもよい。これにより、特定の反応混合物成分(例えば、溶媒、モノマー)の沸点を超える温度で工程を実施できるようになり、及び/または加圧されたプロセス流もしくは反応容器が減圧されるときに、揮発性成分の分離が容易になる。モノマーは、1バール超、約2バール以上、約3バール以上、約5バール以上、約10バール以上、約15バール以上、約20バール以上、約30バール以上、または約40バール以上の圧力で、開始剤と接触させてもよい。圧力は、約50バール以下、約60バール以下、約70バール以下、約80バール以下、約90バール以下、または約100バール以下であってもよい。圧力は、反応混合物と接触する反応器のヘッドスペースを加圧することによって、例えば、加圧不活性ガスを導入することによって、印加されてもよい。圧力は、含有容積内の混合物を加熱することによって、印加されてもよい。圧力は、静水圧で満たされた反応容器に圧力を印加することによって、維持されてもよい。これらの方策のうち、2つ以上を使用してもよい。圧力は、背圧調整器または他の圧力解放システムを適用することによって、制御してもよい。
【0034】
本明細書で提供される方法は、バッチ工程、連続工程、またはバッチ工程と連続工程のハイブリッド(例えば、フェドバッチ反応)で、実施することができる。本方法は、1つ以上の成分を重合混合物に時間をかけて供給するステップを、含んでもよい。モノマー、オリゴマー、エンドキャッピング剤、鎖延長剤、連鎖移動剤、または架橋剤を、時間をかけて重合混合物に(連続的に、または1回以上の個別の添加で)。添加されるモノマーの組成は、経時的に変化してもよい。このような方法は、製造されるポリマー組成物が、テーパードコポリマーまたはブロックコポリマーを含むことを、特徴としてもよい。
【0035】
本方法は、フェドバッチ工程を含んでもよく、反応容器内で開始剤を溶解または懸濁し(任意選択的に、溶媒、及び/またはモノマーの初期投入物を用いて)、次いでモノマー、鎖延長剤、連鎖移動剤、または架橋剤を、制御された速度で初期混合物に供給するステップを含んでもよい。このような方法は、一部のモノマーの開環重合に伴う発熱を制御し、安全な操作条件を維持するのに有益となり得る。特定のモノマーは、反応混合物中で観察される発熱速度によって少なくとも部分的に決定される速度で、供給されてもよい。モノマーは、工程に、連続的に供給されてもよい。モノマーは、工程に、不連続的に(例えば、個別の添加で、または様々な速度で)供給されてもよい。モノマーは一定時間供給され、その後、重合の終了前にある間隔を置いて停止されてもよい。
【0036】
本方法は、連続フロー工程を含んでもよく、モノマー(複数可)の反応流に開始剤を連続的に添加するステップを含んでもよい。次いで、開始剤とモノマーとを組み合わせた流れを、所望の重合度を生成するのに十分な接触時間及び温度プロファイルで、連続反応器を通して導くことができる。本方法は、連続反応器の長さに沿った位置で、より多くの開始剤、追加のモノマー、溶媒、または他の反応成分を添加することを含んでもよい。
【0037】
本方法は、連続フロー工程を含んでもよく、押出機内で開始剤とモノマー(複数可)を含む反応流を接触させるステップを含んでもよい。組み合わされた開始剤モノマー(複数可)流は、実質的にすべてのモノマー(複数可)を消費するのに十分な接触時間及び温度プロファイルで、押出機を通して導くことができる。本方法は、入口と出口との間に温度勾配を有する、反応性押出機を含んでもよい。押出機の出口に向かう温度は、押出機の入口の温度よりも高くてもよい。このような方法では、反応流中に溶媒が存在しなくてもよく、押出機からの出口は溶融ポリマーを含む。押出機からの溶融ポリマー流をペレタイザーに供給して、固体ポリマーのペレットを製造することができる。本方法は、押出機への入口に供給する前反応器に結合された、反応性押出機を含んでもよい。前反応器は、プラグフロー反応器、バッチまたはフェドバッチ反応器を含んでもよい。2台の前反応器から、1台の押出機に供給してもよい。1台の前反応器から、2台以上の反応性押出機に供給してもよい。
【0038】
本方法は、連続フロー工程を含んでもよく、1つ以上の反応器内で開始剤及びモノマー(複数可)を含む反応流を接触させるステップを含んでもよい。本方法は、スラリーバッチ反応器、スラリー連続撹拌タンク反応器、またはスラリーループ反応器が含んでもよい。モノマーは、液相重合反応器、及び/または気相重合反応器内で重合されてもよい。反応器内での重合中にポリマー鎖が成長するにつれて、固体ポリマーの固体粒子が反応器内で生成され、それによって工程流がスラリーを構成してもよい。スラリー中のポリマー粒子は、密度、メルトインデックス(MI)、メルトフローレート(MFR)、コモノマー含有量、分子量、及び結晶化度などの、1つ以上の目的の溶融特性、物理特性、レオロジー特性、及び/または機械特性を有してもよい。ポリマーが適用される用途に応じて、粒子の異なる特性が望ましい場合がある。温度、圧力、化学物質濃度、ポリマー生成速度、及び開始剤の種類などの、反応器内の反応条件の選択と制御は、ポリマー粒子の特性に影響を与える可能性がある。
【0039】
重合停止
開示された方法は、重合反応を停止するステップを含んでもよい。停止剤は、特定の反応時間後、またはポリマー組成物が所望の分子量に達したとき(例えば、形成されたポリマー組成物のMnが、所定の閾値を超えたとき)に添加してもよい。停止剤は、実質的にすべてのモノマー(複数可)が消費されたときに、添加してもよい。本方法がプラグフロー反応器を利用する連続工程を含む場合、反応器の長さに沿った特定の点で停止剤が添加される。停止剤は、鉱酸、有機酸、及び酸性樹脂または固体のうちの1つ以上であってもよい。停止剤は、HCl、H2SO4、RqSO3H、HBr、H3PO4、酸性樹脂、または酸性無機固体であってもよい。停止剤は、スルホン酸誘導体、ホウ酸またはホウ酸誘導体、リン酸またはリン酸誘導体であってもよい。停止剤は、スルホン酸であってもよい。スルホン酸は、式RqSO3Hを有し、Rqは、任意選択的に置換された脂肪族、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換された複素環式、または任意選択的に置換されたヘテロアリールの基である。Rqは、任意選択的に置換されたC1~C20アルキル、C1~C20アルケニル、及び任意選択的に置換されたフェニルから選択される基であってもよい。スルホン酸は、p-トルエンスルホン酸(pTSAまたはトシル酸としても知られる)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-プロパンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、4-ニトロフェニルスルホン酸、スルホ酢酸、クメンスルホン酸、キシレンスルホン酸、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸、2-スルファニルエタンスルホン酸、3-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、4-エチルベンゼンスルホン酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、4-メチルメタニル酸、1-ナフタレンスルホン酸、またはパーフルオロオクタンスルホン酸のうちの1つ以上であってもよい。停止剤は、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、またはスルファミン酸であってもよい。停止剤として使用される酸は、開始剤からのポリマー結合カチオンに対する対イオンとして作用する酸のアニオンで、ポリマーの活性鎖末端(複数可)をプロトン化する(例えば、-OH、またはCO2H基を形成する)ことによって作用してもよい。
【0040】
停止剤は、少なくとも1つの酸性水素原子を有する、リン酸誘導体であってもよい。リン酸誘導体は、リン酸、ピロリン酸、三リン酸、リン酸のアルキル誘導体もしくはアリール誘導体、ピロリン酸のアルキル誘導体もしくはアリール誘導体、または三リン酸のアルキル誘導体もしくはアリールのうちの1つ以上であってもよい。停止剤は、以下の式を有するリン酸であってもよい:
【化2】
式中、R
1及びR
2は、水素、一リン酸基、二リン酸基、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換された複素環、一リン酸基のエステル誘導体、及び二リン酸基のエステル誘導体から独立して選択される基である。停止剤は、亜リン酸、ホスホン酸、または少なくとも1つの酸性水素原子を有する、ホスフィン酸誘導体であってよい。停止剤は、以下の式を有するホスホン酸またはホスフィン酸であってもよい:
【化3】
式中、R、R
1、及びR
2は、それぞれ、以下に定義される通りである。
【0041】
停止剤は、ホウ素含有化合物であってもよい。停止剤は、ホウフッ化水素酸であってもよい。
【0042】
停止剤は、固体支持体に結合した酸であってもよい。固体担持酸は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ゼオライト、金属酸化物、及び粘土から選択される無機固体を含んでもよい。停止組成物は、無機固体停止剤とポリマー複合体を形成することができる。本方法は、ポリマーに担持された酸を、停止剤として添加することを含んでもよい。ポリマー担持体は、スチレン、クロロメチル化スチレン、及びジビニルベンゼンモノマーのうちの少なくとも1つから誘導されるポリマーを含んでもよい。ポリマー固体担持体は、ポリスチレン、ポリスルホン、ナイロン、ポリ(クロロメチルスチレン)、ポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、及び架橋エトキシレートアクリレート樹脂のうちの1つ以上であってもよい。停止剤が固体を含む場合、本方法は、失活していないポリマーを含む反応流を、固体停止剤の固定床に流すことを含んでもよい。本方法がプラグフロー反応器を利用する連続工程を含む場合、反応器の長さに沿った特定の点で、停止剤が添加さてもよい。
【0043】
エンドキャッピング
本方法は、PCT出願WO2019241596A1に開示されているように、エンドキャッピング剤を添加して重合を停止することを含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。モノマーは、形成されたポリマー鎖の末端がカルボン酸またはカルボキシレート官能基を有するように、重合されてもよい。末端基は、エンドキャッピング剤と反応する。エンドキャッピング剤は、形成されたポリマーをより安定にすることができる。エンドキャッピング剤は、求電子性有機化合物を含んでもよい。エンドキャッピング剤は、本明細書に開示されるように、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体のうちの、1つ以上を含んでもよい。求電子試薬は、成長する鎖の末端をキャッピングし、共有結合したZ+基の電荷を満たすアニオンを放出する。化合物R-X’は、アニオン鎖末端と反応することができ(例えば、-ORまたはCO2R基を形成する)、一方、遊離したアニオンX’-は、ポリマー結合カチオンに対する対イオンとして作用する。
【0044】
エンドキャッピング剤は、脂肪族塩化物、臭化物、またはヨウ化物などの、ハロゲン化アルキルを含んでもよい。エンドキャッピング剤は、式Rn-Xhの化合物を含んでもよく、式中、Rnは、任意選択的に置換されたC1~40脂肪族基であり、Xhは、Cl、Br、またはIから選択される。エンドキャッピング剤は、Rp-CH2-Xhを含んでもよく、式中、Rpは、-H、または脂肪族、アリール、複素環式、及びヘテロアリールからなる群から選択される、任意選択的に置換された基である。エンドキャッピング剤は、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化アリル、臭化アリル、塩化ベンジル、及び臭化ベンジルのうちの1つ以上であってもよい。
【0045】
エンドキャッピング剤は、有機スルホン酸塩を含んでもよい。有機スルホン酸塩は、式RnOSO2Rqに対応してもよく、式中、Rq及びRnは、各々上で定義した通りである。停止剤は、メチルトリフラートを含んでもよい。エンドキャッピング剤は、有機硫酸塩を含んでもよい。有機硫酸塩は、式RnOSO2ORnに対応してもよく、式中、Rnは、上で定義した通りである。停止剤は、ジメチル硫酸塩またはジエチル硫酸塩などの、ジアルキル硫酸塩を含んでもよい。
【0046】
エンドキャッピング剤は、シリルまたはシロキシ基を含有する化合物を含んでもよい、シランであってもよい。このようなエンドキャッピング剤は、次の式のいずれかに対応する:
【化4】
式中、X
hは、上で定義した通りであり、各R
tは、メチル、エチル、またはプロピルであり、各R
sは、-H、クロロ、メチル、またはエチルである。X
hは、-Clであってもよい。R
tは、メチルまたはエチルであってもよい。R
sは、メチルであってもよい。エンドキャッピング剤は、δ-クロロプロピルトリメトキシシランを含んでもよい。
【0047】
熱的に安定なアニリン誘導体には、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、2-アミノチオフェノール、o-フェニレンジアミン、及び2-アミノフェノールなどの、アゾールが含まれてもよい。例示的なエンドキャッピング剤には、トリメチルホスフェート及びトリフェニルホスフェートなどの、ホスフェートが更に含まれてもよい。例示的なエンドキャッピング剤には、イソフタル酸などの、他の添加剤及び安定剤が更に含まれてもよい。
【0048】
本方法は、重合反応に鎖延長剤または架橋剤を添加するステップを含んでもよい。鎖延長剤または架橋剤は、停止剤として添加されてもよい。単一分子中に2つ以上の適切な反応性官能基を有する、上記のエンドキャッピング剤の類似体は、停止剤として利用してもよく、それらは、それぞれ鎖延長剤または架橋剤として作用してもよい。二官能性鎖延長剤で反応停止すると、2つの別々のポリマー鎖のカルボキシレート末端との反応が起こり、二量体鎖延長生成物の形成につながる。上述の停止剤のいずれかの二官能性類似体を利用して、同様の効果を得ることができる。
【0049】
開示された方法に適切な鎖延長剤は、式X’-L’-X’の化合物を含み、式中、各X’は、独立して、上で定義したとおりであり、L’は、二価部分を含む。L’-は、任意選択的に置換されたC1~C40脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~C24脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~C20脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~C12脂肪族基、任意選択的に置換されたC2~C10脂肪族基、任意選択的に置換されたC4~C8脂肪族基、任意選択的に置換されたC4~C6脂肪族基、任意選択的に置換されたC2~C4脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~C3脂肪族基、任意選択的に置換されたC6~C12脂肪族基、または任意選択的に置換されたC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7もしくはC8脂肪族基である。
【0050】
L’-は、任意選択的に置換された直鎖アルキル鎖、または任意選択的に置換された分岐鎖アルキル鎖であってもよい。-L’-は、-C(RaRb)-で置換された1つ以上のメチレン基を有するC1~20アルキル基であってもよく、式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、C1~4アルキル基である。L’-は、1つ以上のgem-ジメチル置換炭素原子を含む、2~30個の炭素を有する脂肪族基であってもよい。L’-は、飽和または部分不飽和の炭素環、飽和または部分不飽和の複素環、アリール、及びヘテロアリールなどの、1つ以上の任意選択的に置換された環を含む。L’-は、置換環であってもよい(すなわち、X’基は、-L’-中の環を構成する原子に直接結合している)。環は、1つ以上の非環ヘテロ原子、または環から1つ以上のX’基(複数可)を隔てた任意選択的に置換された脂肪族基を有する、-L’-部分の一部であってもよい。L’-は、その主鎖(すなわち、-X’基の結合部位(複数可)を隔てた共有結合した原子の群)に、1つ以上のヘテロ原子を含んでもよい。L’-は、任意選択的に置換されたC4~40脂肪族部分の1つ以上のsp2炭素原子を、-O-、-NR1-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-NR1C(O)-、-NR1C(O)O-、-NR1C(O)NR1-、-N=N-、-NR1C(N)NR1-、-SC(O)-、-SC(O)S-、-SC(S)S-、-NR1C(O)S-、及び-NR1C(S)O-から選択される基で置換することにより得られる構造に対応する部分を含んでもよく、式中、R1は、上で定義した通りであるが、そのような置換により得られる-L’-部分は、安定な有機分子の構造を定義する認識された原理と一致する構造を有することが条件である。2つ以上のそのような置換が存在する場合、それらは少なくとも1つの脂肪族炭素原子または少なくとも2つの脂肪族炭素原子によって隔てられてもよい。L’-は、1つ以上のエーテル結合、1つ以上のエステル結合、1つ以上のウレタン結合、及び/または1つ以上のアミド結合を含んでもよい。L’-は、オリゴマーまたはポリマーを含んでもよい。ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びポリイミドのうちの1つ以上であってもよい。-L’-がポリマーを含む場合、X’基はポリマー鎖の末端に存在してもよい。
【0051】
三官能性またはそれ以上のエンドキャッピング剤を使用すると、星形または櫛形のポリマー組成物が得られる。このようなエンドキャッピング剤は、式L’’-(X’)a’を有してもよく、式中、X’は、上及び本明細書で定義したとおりであり、L’’は、L’について列挙した式のいずれかを有するが、X’官能基の共有結合に利用できる部位を3つ以上有する多価リンカーである。L’’は、3~約50個以上の結合したX’基を有していてもよい。L’’は、3個または4~6個の結合したX’基を有していてもよい。L’’は、多数(すなわち、数十または数百)の結合したX’基を有するポリマーを含んでもよい(例えば、ポリマーL’’を構成するモノマー上の置換基としてX’基が存在する場合のように)。a’は、3以上、3~50、3~6、または4~6であってもよい。
【0052】
停止剤、エンドキャッピング剤、架橋剤、または鎖延長剤は、重合工程に添加される開始剤の量に対して10モル当量未満、例えば、開始剤の量に対して0.1~10モル当量、0.1~2モル当量、1~2モル当量、または約1モル当量の量で、反応混合物に添加されてもよい。
【0053】
ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトン
【0054】
ベータプロピオラクトン及び/またはベータ官能化プロピオラクトンを含む、いくつかの新規ポリマー系が開示される。ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンは、ポリマー層間の結合層として使用することができ、ポリマー層は、同一のポリマーをベースとしても、異なるポリマーをベースとしてもよい。異なるポリマーは、互いに非相溶性であってもよい。官能化ベータプロピオラクトン及び/またはベータプロピオラクトンは、ポリマー構造を一緒に、または他の基材に結合するための、接着層として使用されてもよい。ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンのポリマー及びコポリマーは、コーティングもしくは自立フィルムとして、または多層コーティングもしくはフィルムにおいて、使用してもよい。官能基は、他のモノマー系と反応してポリマー層間に架橋を形成しても、他のコポリマーの形成層に重合してもよい。ベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンは、フィルムまたはコーティングの基材への結合を改善する、官能基を有していてもよい。
【0055】
官能化ベータプロピオラクトンの官能基は、官能化ベータプロピオラクトンから調製されるポリマー及びコポリマーに、官能性を提供することができる。官能基は、重合開始剤として機能し、特定の基材またはポリマー系に対するポリマーの接着を改善し、疎水性または親水性を改善し、硬度または耐引掻性を改善し、重合触媒などとして機能してもよい。官能化ベータプロピオラクトン及び/またはベータプロピオラクトンのポリマー及びコポリマーは、異なるポリマーの層を有するフィルムを含む、多層フィルムの中間層として機能してもよい。官能化ベータプロピオラクトン及び/またはベータプロピオラクトンのポリマー及びコポリマーは、特定の状況下で分解し、リサイクル時に再利用するために、他の層を簡単に分離できるようにする。官能化ベータプロピオラクトン及び/またはベータプロピオラクトンのポリマー及びコポリマーは、他のポリマーのコーティングと基材との間の中間層として機能してもよい。官能化ベータプロピオラクトン及び/またはベータプロピオラクトンのポリマー及びコポリマーは、特定の状況下で分解し、リサイクル時に再利用するために、他のコーティング層から基材を簡単に分離できるようにする。官能化ベータプロピオラクトン及び/またはベータプロピオラクトンのポリマー及びコポリマーは、分解可能な外側のフィルム層またはコーティング層として使用することができ、またはそのような外側の層を官能化して、構造に所望の一連の特性を提供することができる。
【0056】
一般式:
【化5】
を有する、ベータプロピオラクトン及び官能化ベータプロピオラクトンが開示され、式中、R
4は、各出現で独立して、水素、ヒドロカルビル部分またはフルオロカルビル部分であり、ヒドロカルビルまたはフルオロカルビル部分は、任意選択的に、少なくとも1つのヘテロ原子または少なくとも1つの置換基を含んでもよい。官能化ベータプロピオラクトンは、コーティングまたはフィルムに有用なポリマー鎖に組み込まれる官能化ベータプロピオラクトンの機能を高めることができる、ヒドロカルビルまたはフルオロカルビル部分として存在する、少なくとも1つのR
4を有する。少なくともR
4は、不飽和基、求電子基、求核基、アニオン基、カチオン基、両性イオン含有基、疎水基、親水基、ハロゲン原子、天然鉱物、合成鉱物、炭素系粒子、紫外線活性基、界面活性剤特性を有するポリマー、及び重合開始剤または反応性複素環のうちの1つ以上を含んでもよい、ヒドロカルビル基またはフルオロカルビル基であってもよい。官能基は、基の官能性部分を環に連結するように機能する連結基(M)によって、環に連結されていてもよい。例示的な連結基は、ヒドロカルビレン、フルオロカルビレン基、エーテル、チオエーテル、ポリエーテル(ポリアルキレンエーテルなど)であってもよい。1つ以上のR
4は、ハロゲン置換アルキル基、スルホン酸置換アルキルオキシ基、アルキルスルホネートアルキルオキシ基、アルキルエーテル置換アルキル基、ポリアルキレンオキサイド置換アルキル基、アルキルエステル置換アルキル基、アルケニルオキシ置換アルキル基、アリールエステル置換アルキル基、アルケニル基、シアノ置換アルキル基、アルケニルエステル置換アルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、アリール基、ヘテロ原子含有シクロアルケニル、アルキルエーテル置換アルキル基、ヒドロキシル置換アルキル基、脂環式置換アルケニル基、アリール置換アルキル基、ハロアリール置換アルキル基、アリールオキシ置換アルキル基、アルキルエーテル置換アルカリル基、ヘテロ原子含有脂環式基置換アルキル基、ヘテロ原子含有アリール置換アルキル基、アルキルアミド置換アルキル基、アルケニル置換脂環式基であってもよい。R
1またはR
2、及びR
3またはR
4のうちの2つは環を形成し、任意選択的に1つ以上の不飽和基、任意選択的に1つ以上のエーテル基及び/または1つ以上のヒドロキシル基を含んでいてもよいベータプロピオラクトン基で置換されたアルキル基、グリシジルエーテル基、または1つ以上のエーテル基で任意選択的に置換されたベンゾシクロブテン置換アルキル基、を含んでいてもよい。ベータプロピオラクトンは、全てのR
4が水素である式に対応する。
【0057】
記載された1つ以上の官能化ベータプロピオラクトンまたはベータプロピオラクトンから調製される、ホモポリマーが開示される。ベータプロピオラクトンと1つ以上の官能化ベータプロピオラクトンとのコポリマーが開示される。
【0058】
コモノマー
開示される1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンと、1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンと反応性の1つ以上モノマーとのコポリマーを含む、組成物が開示される。開示される1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または官能化ベータプロピオラクトンと、1つ以上の官能化ベータプロピオラクトンと反応性の1つ以上のモノマーとのコポリマーを含む、組成物が開示される。このようなコポリマーには、1つ以上のジオール、二官能性ポリアルキレンオキシド、アミン末端ポリアルキレンオキシド、1つ以上の二官能性ポリエステル、ラクタム、ラクチド、環状ラクトン、環状無水物、環状エーテル、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、置換グリコリド、またはポリエーテルの複数が含まれる。このようなコモノマーは、エポキシド、オキシラン、ラクタム、及びラクチドの1つ以上であってもよい。コモノマーは、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水メチルジグリコール酸、無水メチルグルタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水シトラコン酸、及びトランス-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物を含む、1つ以上の環状無水物であってもよい。これらのコポリマーは、ベータプロピオラクトンに由来する単位を含んでもよい。開示されたコポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーであってもよく、または1つ以上の鎖がポリマー主鎖にグラフトされてもよい。
【0059】
1つ以上の置換ベータラクトンは、以下のものであってもよい:
【化6】
【0060】
1つ以上の置換プロピオラクトンは、以下のものであってもよい:
【化7】
式中、R
10は、R
1と同一であってもよい。
【0061】
1つ以上の置換プロピオラクトンは、以下のものであってもよい:
【化8】
式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基であり、R
12は、-H、任意選択的に置換されたC
1~40脂肪族、任意選択的に置換されたC
1~20ヘテロ脂肪族、及び任意選択的に置換されたアリールからなる群から選択され、R
13は、完全にまたは部分的に不飽和の、C
2~20直鎖脂肪族基である。ポリマーは、BPLとピバロラクトンの混合物から調製してもよい。
【化9】
【0062】
1つ以上の置換プロピオラクトンは、以下のものであってもよい:
【化10】
式中、R
4は、本明細書で定義される通りである。一方の炭素原子上の各R
4は、独立して、-H及び-CH
3であってもよく、他の炭素原子上のR
4は、両方とも-Hであってもよい。
【0063】
1つ以上の置換プロピオラクトンは、以下のものであってもよい:
【化11】
【0064】
ポリマーは、BPLと以下の式のいずれか1つのベータラクトンの混合物から調製してもよい。
【化12】
【0065】
ポリマーは、BPLと1つ以上の置換プロピオラクトンとの混合物から調製してもよく、置換ラクトンは位置異性体の混合物として提供されてもよい。上記の置換ベータラクトンコモノマーのいずれも、それらの位置異性体(複数可)と組み合わせて提供されてもよい。置換ベータラクトンコモノマーが位置異性体混合物として提供される場合、環酸素原子に隣接する炭素上に最大の置換基を有する位置異性体が、他の位置異性体に対してモル過剰で存在する。主要な位置異性体は、少量の位置異性体に対して2:1以上、少量の位置異性体に対して少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、または少なくとも100:1の比で存在する。
【0066】
ポリマーは、BPLと、テトラヒドロフラン、置換テトラヒドロフラン、及びエポキシドを含む、1つ以上の環状エーテルとの混合物から調製されてもよい。エポキシドは、置換エポキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、4-ビニルシクロヘキセンオキシド、4-エチルシクロヘキセンオキシド、リモネンオキシド、グリシドールエーテル、グリシドールエステル、またはシクロヘキセンオキシドであってもよい。エポキシドは、以下の式に対応してもよい:
【化13】
式中、R
4は、本明細書で定義される通りである。
【0067】
1つ以上の置換エポキシドは、以下の式に対応してもよい:
【化14】
式中、R
10は、上で定義した通りである。
【0068】
1つ以上の置換エポキシドは、以下のものであってもよい:
【化15】
【0069】
1つ以上の置換エポキシドは、以下の式のいずれか1つに対応してもよい:
【化16】
式中、Ar、R
10、R
12、及びR
13のそれぞれは、上で定義した通りである。
【0070】
1つ以上の置換エポキシドは、以下の式のいずれか1つに対応してもよい:
【化17】
【0071】
コモノマーがBPLと共に存在する方法では、コモノマーはBPLと共に工程の開始時に添加でき、例えば、BPLと1つ以上のコモノマーとの規定の混合物を使用して、バッチ重合を実施することができる。本方法には、重合混合物に追加のモノマーを添加することによって、時間の経過と共にモノマー組成を変化させることが含まれてもよい。このような添加は、BPL、コモノマー(複数可)、またはBPLとコモノマーの混合物の連続添加を含んでもよい。このような添加は、BPL、コモノマー(複数可)、またはBPLとコモノマーの混合物のバッチ式添加を含んでもよい。提供される反応条件、及び重合条件下でのコモノマーの相対重合速度に応じて、このような方法は、ランダムコポリマー、テーパードコポリマー、またはブロックコポリマーをもたらしてもよい。
【0072】
連鎖移動剤
本方法には、鎖延長剤、連鎖移動剤、及び/または架橋剤の使用が含まれる。本方法は、1つ以上の連鎖移動剤の存在下で、ベータプロピオラクトン(及び任意のコモノマー)を、開始剤と接触させることを含んでもよい。連鎖移動剤は、1つのポリマー鎖の成長を停止させ、新しいポリマー鎖の重合を開始できる、任意の物質または試薬として定義される。リビング重合では、これは可逆的な工程であってもよく、最終的な効果は、組成物中で平均して、全ての鎖が同様の速度で成長することにある。連鎖移動剤は、生成されるポリマー組成物の分子量を制御するため、使用される触媒の量を最適化するため、及び/または生成されるポリマー組成物の多分散性を制御するために使用されてもよい。連鎖移動剤は、鎖末端に追加の官能基を導入するために(例えば、その後の架橋もしくは鎖延長反応のため、または親水性もしくは疎水性などの特定の物理的特性を付与するために)使用することもでき、後者の例としては、ビニル基、パーフルオロ化部分、またはシロキシ基などのラジカル重合性官能基を有する、連鎖移動剤が含まれる。
【0073】
連鎖移動剤は、酸性化合物を含んでもよい。このような酸性化合物は、その共役塩基が求核性であることを特徴としてもよい。提供される酸性連鎖移動剤の共役塩基は、ベータプロピオラクトンを開環する(または、提供されるコモノマーと反応させる)のに十分な求核性を有してもよい。連鎖移動剤の例としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、チオカルボン酸、ジチオカルボン酸、チオール、フェノールなどが含まれる。連鎖移動剤は、式Y’-T-(Y’)rの化合物を含んでもよく、式中、各Y’は、独立して、酸性官能基(または、そのような基の脱プロトン化によって形成される塩)であり、-T-は多価部分であり、rは、0または1~10の間の整数である。Y’は、独立して、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、チオカルボン酸、ジチオカルボン酸、チオール、及びフェノール性-OH基(または、これらのいずれかの脱プロトン化によって形成されるアニオン)から選択されてもよい。連鎖移動剤は、連鎖移動剤として作用することができる、2つ以上の官能基を有する分子(例えば、ジカルボン酸、トリカルボン酸など)を含んでもよい。連鎖移動剤は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシブタン酸、乳酸、安息香酸、アクリル酸、及びメタクリル酸などの、カルボン酸を含んでもよい。連鎖移動剤は、フェノール、チオール、またはそれらの誘導体を含んでもよい。
【0074】
CTAは、反応の開始時に存在してもよいし、(一定速度もしくは可変速度で連続的に、または分割添加により)重合工程中に添加してもよい。CTAの添加は、形成されるポリマー組成物の分子量分布を制御するために使用されてもよい。CTAは、反応中の1つ以上の時点で分割して添加して、二峰性または多峰性の分子量分布を有するポリマー組成物を提供してもよい。CTAは、重合工程の少なくとも一部の間、連続的に添加して、より広い分子量分布を有するポリマー組成物を提供してもよい。CTAを重合反応の開始時に添加すると、結果として、狭いPDIを有するポリマー組成物が得られる。連鎖移動剤は、重合開始剤に対して、約1:1~約10,000:1、または約1:1~約10:1、例えば、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、8:1もしくは10:1、または約10:1~約100:1、例えば、20:1、30:1、40:1、50:1、75:1、もしくは100:1、または約100:1~約1,000:1、例えば200:1、300:1、400:1、500:1、750:1、もしくは1000:1のモル比で提供されてもよい。
【0075】
重合方法は、ベータラクトンの製造工程に統合されている。このような統合された工程は、エネルギー効率の点で利点があり、水、酸素、またはその他の不純物の導入が減少するため、より高品質のポリマー製品が得られる。本方法は、エチレンオキシドなどのエポキシドを一酸化炭素と反応させて、ベータプロピオラクトンなどのベータラクトンを形成するステップを含んでもよい。このような工程のための例示的な触媒及び方法は、公開特許出願WO2013/063191、WO2014/004858、WO2003/050154、WO2004/089923、WO2012/158573、WO2010/118128、WO2013/063191、及びWO2014/008232、米国特許第10,662,283号、第5,359,081号、及び第5,310,948号、ならびに出版物「Synthesis of beta-Lactones」J.Am.Chem.Soc.,vol.124,2002,pages 1174-1175に記載されており、それぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本方法は、カルボニル化触媒及び溶媒の存在下で、エポキシドを一酸化炭素と接触させて、ベータラクトンを含む反応物流を提供するステップと、ベータラクトンを含む生成物流を反応物流から分離するステップと、ベータラクトン含有反応物流を重合反応器に供給し、それを重合開始剤と(任意選択的に、1つ以上のコモノマーの存在下で)接触させて、生分解性ポリエステルを含有する第二の反応物流を提供するステップとを、含んでもよい。このような統合されたカルボニル化/重合工程は、反応物流を重合反応器に供給する前に、実質的に全てのカルボニル化触媒がベータラクトンを含む反応物流から除去されることを特徴としてもよい。このような統合されたカルボニル化/重合工程は、カルボニル化工程が行われる溶媒の少なくとも一部が、ベータラクトンを含む反応物流中に存在し、重合反応器に供給されることを特徴とする。本方法は、ポリマーを含有する第二の反応物流から、溶媒を分離することを含んでもよい。本方法は、分離された溶媒をカルボニル化反応に再循環させることを含んでもよい。本方法は、ベータラクトンを含む反応物流が残留エポキシドを含有し、ベータラクトンエポキシド混合物が重合反応器に供給されることを特徴としてもよい。エポキシドは、BPL重合において、コモノマーを含んでもよい。
【0076】
開始剤
本明細書に記載の方法は、ベータラクトン及び任意選択的なコモノマーを、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩である、重合開始剤と接触させるステップを含む。オニウムカチオンのカルボン酸塩は、オニウムカチオンの残基とカルボン酸基とを塩の形態で有する、任意の化合物を含んでもよい。カルボキシレート部分は、カルボニル基に結合したヒドロカルビル基を有していてもよく、それは任意選択的に置換されていてもよい。ヒドロカルビル基は、アルキル、アリール、またはアルカリル基であってもよい。アルキル基は、アニオン開始剤として機能する塩の能力を妨げない置換基で任意選択的に置換された、C
1~20直鎖または分岐鎖であってもよい。ヒドロカルビル基は、任意選択的に置換されたC
1~8直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、C
1~4直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、メチルもしくはエチル基、またはメチル基であってもよい。オニウムカチオンは、カルボン酸塩と塩を形成し、アニオン重合を開始することができるアニオンを形成するカルボン酸塩を妨げない、任意のオニウムカチオンであってもよい。例示的なオニウムは、窒素、リン、硫黄、アンチモン、またはヒ素を含む、1つ以上のオニウムカチオンを含む。例示的なオニウムは、窒素、リン、または硫黄のうちの1つ以上が含まれる。オニウムは、窒素及びリンの、一方または両方を含んでもよい。オニウムは、窒素を含んでもよい。オニウムイオンのカルボン酸塩は、次の式に対応してもよい:
【化18】
式中、R
20は、各出現で独立して、任意選択的に置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、wは、各出現で独立して、1以上の数であり、Zは、本明細書に記載のオニウムカチオンである。R
20は、w価を有する多価であってもよい。R
20は、アルキル、アリール、またはアルカリル基であってもよい。R
20は、アニオン開始剤として機能する塩の能力を妨げない置換基で任意選択的に置換された、C
1~20直鎖または分岐鎖であってもよい。R
20は、任意選択的に置換されたC
1~8直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、C
1~4直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、メチルもしくはエチル基、またはメチル基であってもよい。Aは、各出現で別個に、3-ヒドロキシプロピオネート及び/または置換3-ヒドロキシプロピオネートなどのベータラクトンに由来する単位を含む、ポリマー鎖であってもよい。Wは、各出現で別個に、2以上、1~6、2~6、または2~3の数であってもよい。
【0077】
カチオン性基(Z
+)
開始剤は、有機「オニウムカチオン」を含む。このようなオニウムカチオンには、窒素、リン、硫黄、アンチモン、もしくはヒ素などのヘテロ原子、または窒素、リン、もしくは硫黄(もしくは、これらの2つ以上の組み合わせ)が含まれる。開始剤は、1つ以上のアンモニウム、アミジニウム、及びグアニジニウムカチオンであってもよい、窒素系オニウムカチオン、任意選択的に置換されたピリジニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウム、またはピペリジニウムなどの、窒素含有複素環に基づくオニウムカチオンを含んでもよい。オニウムカチオンは、以下の通りであってもよい:
【化19】
式中、R
1、R
2、及びR
3は、この文脈において、各出現で独立して、C
1~40脂肪族、C
1~40ヘテロ脂肪族、フェニル、3員~8員の飽和または部分不飽和または芳香族単環式炭素環、炭素数7~14の飽和、部分不飽和または芳香族多環式炭素環、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5員または6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する3員~8員の飽和または部分不飽和複素環、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する6員~12員の多環式飽和または部分不飽和複素環、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する8員~10員の二環式ヘテロアリール環、任意の2つ以上のR
1、R
2、及びR
3基が任意選択的に介在原子と一緒になって、任意選択的に1つ以上の追加のヘテロ原子を含む1つ以上の任意選択的に置換され、任意選択的に不飽和の環を形成することができるポリマー鎖、からなる群から選択される任意選択的に置換された基であり、R
5は、各出現で独立して、水素、またはC
1~40脂肪族、C
1~40ヘテロ脂肪族、3員~8員の飽和または部分不飽和の単環式炭素環、7員~14員の飽和または部分不飽和の多環式炭素環、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5員~6員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~14員の多環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する3員~8員の飽和または部分不飽和の単環式複素環、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する6員~14員の飽和または部分不飽和の多環式複素環、フェニル、8員~14員の多環式アリール環、及びポリマー鎖からなる群から選択され、任意選択的に置換された基であり、式中、2つのR
5基、または1つのR
5と1つ以上のR
1及び/もしくはR
2基は、介在する原子と一緒になって、1つ以上の任意選択的に置換された炭素環、複素環、アリール、またはヘテロアリール環を形成することができ、ならびに環Aは、任意選択的に1つ以上の追加のヘテロ原子及び/または不飽和の部位を含む、任意選択的に置換された5員~10員環である。
【0078】
カチオンは、第4級アンモニウムカチオンであってもよい。第四級アンモニウムカチオンは、次の式に対応してもよい:
【化20】
式中、R
1、R
2、及びR
3のそれぞれは、上で定義した通りである。R
1、R
2、及びR
3のそれぞれは、独立して、C
1~20脂肪族基、C
1~12脂肪族基、C
1~8脂肪族基、C
1~9脂肪族基、もしくはC
1~4脂肪族基、またはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル、及びC
8~20アルキルであってもよい。R
1、R
2、及びR
3のうちの少なくとも1つは、メチルであってもよく、R
1、R
2、及びR
3のうちの2つは、メチルであってもよく、第三の基は、C
2~20アルキル鎖であってもよく、またはR
1、R
2、及びR
3は、それぞれメチルであってもよい。R
1、R
2、及びR
3のうちの1つは、ポリマー鎖または疎水性部分であってもよい。2つ以上のR
1、R
2、及びR
3基が一緒になって、任意選択的に1つ以上の追加のヘテロ原子を含む、5員または6員の飽和または不飽和環などの環を形成してもよい。アンモニウムカチオンは、以下の通りであってもよく、
【化21】
式中、R
20は、任意選択的に置換されたC
2~40脂肪族、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたベンジル、及びポリマー鎖から選択される。開始剤は、リン系のカチオンを含んでもよい。開始剤は、ホスホニウムカチオンを含んでもよい。開始剤は、以下の式のホスホニウム塩を含んでもよく:
【化22】
式中、R
1、R
2、及びR
3のそれぞれは、上で定義した通りである。R
1、R
2、及びR
3の少なくとも1つまたは全ては、アリール基、例えばフェニルであってもよい。R
1、R
2、及びR
3の少なくとも1つはポリマー鎖であってもよく、ポリマー鎖はアリール環を介してリン原子に連結してもよい。ホスホニウムカチオンは、以下の通りであってもよい:
【化23】
式中、Ar及びR
20のそれぞれは、上で定義したとおりであり、任意選択的に、置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、またはポリマー鎖であってもよい。
【0079】
カチオンは、アミジニウムカチオンであってもよい。カチオンは、以下の通りであってもよい:
【化24】
式中、R
1、R
2、及びR
5のそれぞれは、上に定義した通りである。この文脈において、R
1、R
2、及びR
3のそれぞれは、独立して、C
1~12脂肪族基、C
1~8脂肪族基、C
1~9脂肪族基、またはC
1~4脂肪族基であってもよい。R
1、R
2、及びR
3は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル、及びC
8~20アルキルから独立して選択されてもよい。R
1、R
2、及びR
3の少なくとも1つは、メチルであってもよい。このようなアミジン中の、2つ以上のR
1及びR
2基は、一緒になって、5員または6員の飽和または不飽和環などの環を形成してもよい。カチオンは、二環式アミジニウム基であってもよく、これは、3つの非水素置換基を有する1つの窒素原子と、4つの非水素置換基と結合する第二の窒素原子とを有してもよい。このような非水素置換基は、脂肪族置換基または二環式アミジニウム基の環であってもよい。アミジニウムカチオンは、以下の通りであってもよい:
【化25】
式中、R
1は、上で定義した通りである。
【0080】
カチオンは、グアニジニウムカチオンであってもよく、これは、複数の共鳴構造(例えば、異なる窒素原子上に正電荷が存在する場合)で描写することができ、これらの描写は、限定することを意図するものではなく、本明細書に明示的に示されていない場合でも、そのようなカチオンを形成する共鳴構造の全てが包含されると、理解されるべきである。カチオンは、以下の通りであってもよい:
【化26】
式中、R
1は、上で定義した通りである。この文脈において、この文脈における、R
1、R
2、及びR
5のそれぞれは、独立して、C
1~12脂肪族基、C
1~8脂肪族基、C
1~9脂肪族基、またはC
1~4脂肪族基であってよく、C及びDは、5員~8員の飽和または部分不飽和の環を表す。R
1、R
2、及びR
3のそれぞれは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、2-エチルヘキシル、及びC
8~20アルキルからなる群から独立して選択されてもよい。R
1、R
2、及びR
3の少なくとも1つは、メチルであってもよい。このようなアミジン中の、2つ以上のR
1及びR
2基は、一緒になって、5員または6員の飽和または不飽和環などの環を形成してもよい。カチオンは、二環式アミジニウム基であってもよく、二環式アミジニウム基は、3つの非水素置換基を有する1つの窒素原子と、4つの非水素置換基と結合する第二の窒素原子とを有してもよい。このような非水素置換基は、脂肪族置換基または二環式アミジニウム基の環であってもよい。
【0081】
カチオンは、スルホニウム塩などの、硫黄系のオニウム塩を含んでもよい。スルホニウム塩は、以下の通りであってもよい:
【化27】
式中、R
1及びR
2のそれぞれは、上で定義した通りである。この文脈において、R
1及びR
2は、それぞれメチルであってもよい。
【0082】
カチオンは、スルホキソニウムカチオンであってもよく、以下の通りであってもよい:
【化28】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
5のそれぞれは、上で定義した通りである。この文脈において、R
1及びR
2は、それぞれメチルであってもよく、及び/またはR
5は、メチルであってもよい。この文脈において、R
3及びR
5の少なくとも1つは、任意選択的に置換されたアリール基であってもよい。
【0083】
カチオンは、ホスファゼニウムカチオンなど、窒素原子とリン原子の両方を含んでもよい。ホスファゼニウムカチオンは、以下の通りであってもよい:
【化29】
この文脈において、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、C
1~40脂肪族または任意選択的に置換されたフェニル基、C
1~40脂肪族基、C
1~20フッ素化脂肪族及び任意選択的に置換されたアリール、C
1~40脂肪族基、C
1~20脂肪族基、C
1~12脂肪族基またはフェニル基、C
1~12脂肪族基、C
1~8脂肪族基、C
1~6脂肪族基、またはC
1~4脂肪族基から選択される。R
1、R
2、及びR
3は、それぞれメチル、エチル、ブチル、任意選択的に置換されたフェニル基、フェニルまたはトリフルオロメチルであってもよい。R
1及びR
2は、それぞれメチルであってもよく、R
3は、C
2~20脂肪族基、または任意選択的に置換されたフェニル基であってもよい。R
1、R
2、及びR
3の少なくとも1つは、C
1~20フッ素化脂肪族基、C
1~12フッ素化脂肪族基、C
1~8フッ素化脂肪族基、C
1~6フッ素化脂肪族基、またはC
1~4フッ素化脂肪族基、トリフルオロメチルであってもよい。この文脈において、存在する各R
1及びR
2基は、メチルであってもよい。
【0084】
錯化剤
開示された方法は、錯化剤の存在下でモノマーを開始剤と接触させることを含んでもよい。錯化剤の添加により、重合速度が向上してポリマーの収率が向上することにより、方法が改善されてもよく、分子量または多分散性などの特性の制御を通じて、ポリマーの特性が改善されてもよい。例示的な錯化剤は、クラウンエーテル、及び-O-、-NR-、及び-S-の複数のヘテロ原子を有する環を含有する、他のマクロ多複素環を含む。錯化剤は、クラウンエーテルを含む。例示的なクラウンエーテルには、限定されるものではないが、APPLICATIONS OF CROWN ETHERS IN INDUSTRIAL ANIONIC POLYMERIZATIONS(Thomas Newton Montgomery,Jr.;Georgia Institute of Technology,December 1977)と題する論文に記載されているものが含まれ、その全内容は本明細書に組み込まれる。例示的な錯化剤には、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン(18-クラウン-6)、1,4,7,10,13-ペンタオキサシクロペンタデカン(15-クラウン-5)、1,4,7,10-テトラオキサシクロドデカン(12-クラウン-4)、ジベンゾ18-クラウン-6,21-クラウン-7、及びこれらのいずれかの誘導体または混合物が含まれる。錯化剤は、15-クラウン-5、または12-クラウン-4を含んでもよい。クラウンエーテルは、工程で使用される重合開始剤中に存在するカチオン性官能基と効果的に錯体を形成する能力に基づいて選択されてもよい。錯化剤は、酸素以外のヘテロ原子を含むマクロ複素環を含む。錯化剤は、1つ以上の酸素原子が窒素原子または硫黄原子で置換された、クラウンエーテルを含んでもよい。錯化剤は、4,7,13,16,21-ペンタオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサン、1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン、及び1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカンなどの、アザクラウンエーテルを含んでもよい。錯化剤は、米国特許第3890278号に記載されているものを含んでもよく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。錯化剤は、チアクラウンエーテルを含んでもよい。
【0085】
錯化剤は、重合工程の開始時に導入してもよいし、その後の任意の時点で導入してもよい。錯化剤は、開始剤と同時に添加してもよい。錯化剤は、重合開始剤との混合物または溶液として提供することができ、その混合物を、開始剤の添加のために、上記のように反応に供給することができる。錯化剤は、重合開始剤に対して、約1:100~約100:1、重合開始剤に対して、1:10~10:1、または1:2~2:1のモル比で使用してもよい。本方法では、連鎖移動剤を利用することができ、錯化剤は、CTAに対して、1:10~10:1、1:5~5:1、または1:2~2:1の範囲のモル比で提供してもよい。
【0086】
ポリマー組成物
ポリマー組成物が、開示される。ポリマー組成物は、以下の式のポリマー鎖を含んでもよく:以下の式のいずれかに従い:
【化30】
式中、Aは、各出現で別個に、ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータラクトン単位などの、開環ラクトンを有するポリマー鎖であり、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であり、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であり、及び
wは、各出現で別個に、1以上の数である。停止剤またはエンドキャッピング剤の残基は、本明細書に記載されるように、ポリマー鎖の末端に共有結合した、停止剤またはエンドキャッピング剤の部分である。
【0087】
Aは、ポリプロピオラクトン、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)鎖、例えば、以下の式の単位を有するポリマー鎖を含んでもよい:
【化31】
【0088】
-(A)-は、ベータプロピオラクトンと、本明細書に開示される1つ以上のコモノマーとのコポリマーを含んでもよく、(A)-は、以下の式の1つを有してもよい:
【化32-1】
【化32-2】
式中、R
10及びR
13は、上で定義した通りである。
【0089】
-(A)-が、ベータプロピオラクトンと、1つ以上の置換ベータラクトンとのコポリマーを含む場合、置換ベータラクトンモノマーは、位置異性体の混合物として存在してもよい。特定の実施形態における例として、そのようなコポリマーは、以下の式の単位を有してもよい:
【化33】
式中、R
10は、上で定義した通りである。
【0090】
コポリマーは、プロピオラクトンと、上記及び本明細書に記載の置換ベータラクトンのいずれかの位置異性体混合物とのポリマーであってもよい。Aは、ベータプロピオラクトンと、1つ以上のエポキシドとのコポリマーを含んでもよく、以下の式に対応する単位を有してもよい:
【化34】
【0091】
Aは、ベータプロピオラクトンエポキシドコポリマーを含んでもよく、以下の式の1つに対応する単位を有してもよい:
【化35-1】
【化35-2】
式中、R
10、R
12、及びR
14のそれぞれは、上で定義した通りである。
【0092】
Aは、ベータプロピオラクトンとラクチドとのコポリマーを含んでもよく、以下の式の1つに対応する単位を有してもよい:
【化36】
【0093】
Aは、ベータプロピオラクトンとカプロラクトンとのコポリマーであってもよく、以下の式に対応する単位を有してもよい:
【化37】
【0094】
Aは、ベータプロピオラクトンと、任意の2つ以上のエポキシドコモノマー、任意の2つ以上の置換ベータプロピオラクトンコモノマー、少なくとも1つのエポキシドと少なくとも1つの置換ベータプロピオラクトン、少なくとも1つのエポキシドとラクチド、少なくとも1つのエポキシドとカプロラクトン、少なくとも1つの置換ベータプロピオラクトンとラクチド、少なくとも1つの置換ベータプロピオラクトンとカプロラクトン、またはラクチドとカプロラクトンなどの、2つ以上の追加のコモノマーとのコポリマーを含んでもよい。
【0095】
ポリマー組成物は、以下の式に対応してもよい、鎖延長されたポリマー鎖を含んでいてもよい:
【化38】
式中、A、R
20のそれぞれは、上で定義した通りである。
【0096】
L’-は、任意選択的に置換されたC1~100脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~40脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~24脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~20脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~12脂肪族基、任意選択的に置換されたC2~10脂肪族基、任意選択的に置換されたC4~8脂肪族基、任意選択的に置換されたC4~6脂肪族基、任意選択的に置換されたC2~4脂肪族基、任意選択的に置換されたC1~3脂肪族基、任意選択的に置換されたC6~12脂肪族基、または任意選択的に置換されたC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、もしくはC8脂肪族基である。L’-は、任意選択的に置換された直鎖アルキル鎖、または任意選択的に置換された分岐鎖アルキル鎖であってもよい。-L’-は、-C(RaRb)-で置換された1つ以上のメチレン基を有する、C1 20アルキル基であってもよく、式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、C1~4アルキル基である。L’-は、1つ以上のgem-ジメチル置換炭素原子を含む、2~30個の炭素を有する脂肪族基であってもよい。L’-は、飽和または部分不飽和の炭素環、飽和または部分不飽和の複素環、アリール、及びヘテロアリールなどの、1つ以上の任意選択的に置換された環を含んでもよい。L’-は置換環であってもよい(すなわち、X’基は、-L’-中の環を構成する原子に直接連結している)。環は、1つ以上の非環ヘテロ原子、または環から1つ以上のX’基(複数可)を隔てて任意選択的に置換された脂肪族基を有する、-L’-部分の一部であってもよい。L’-は、その主鎖(すなわち、-X’基の結合部位(複数可)を隔てて共有結合により連結した原子の群)に、1つ以上のヘテロ原子を含んでもよい。L’-は、任意選択的に置換されたC4~40脂肪族部分の1つ以上のsp2炭素原子を、-O-、-NR1-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-NR1C(O)O-、-NR1C(O)NR1-、-N=N-、-NR1C(O)-、-NR1C(N)NR1-、-SC(O)-、-SC(O)S-、-SC(S)S-、-NR1C(O)S-、及び-NR1C(S)O-から選択された群で置換した構造に対応する部分を含んでもよく、式中、R1は、上で定義した通りである。2つ以上のそのような置換が存在する場合、それらは少なくとも1つの脂肪族炭素原子、少なくとも2つの脂肪族炭素原子によって隔てられてもよい。L’-は、1つ以上のエーテル結合、1つ以上のエステル結合、1つ以上のウレタン結合、及び/または1つ以上のアミド結合を含む。L’-は、オリゴマーまたはポリマーを含んでもよい。ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びポリイミドの1つ以上であってもよい。-L’-がポリマーを含む場合、X’基は、ポリマー鎖の末端に存在してもよい。L’は、二価のフェニレンであってもよい。L’は、多価であってもよい。
【0097】
多官能性鎖延長剤を含むポリマー組成物は、以下の式のポリマー鎖を含んでもよく:
【化39】
式中、gは、2~約50の整数であり、A、R
20、及びL’’のそれぞれは、上で定義した通りである。ポリマー組成物は、鎖上に存在する開始基によって区別されるポリマー鎖の、2つ以上の異なる集団を含むことを特徴としてもよい。このような組成物は、例えば、異なる開始剤の混合物が使用される場合、または重合中に連鎖移動剤が存在する場合に生じてもよい。前者の場合、得られる混合物は、本明細書に記載の式に適合する異なる構造を有する、2つ以上の異なるポリマー鎖を含むことになる。このような混合物は、本明細書に具体的に企図され、開示される。この種の混合物は、ポリマー結合開始剤が特定の特性(例えば、親水性、疎水性、特定の表面に対する親和性、抗菌特性など)を付与し、そのような特性を最適化または修正したい場合に有用であってもよい。
【0098】
ポリマー組成物は、上記の式のポリマー鎖と、式Y’-T(-Y’)gの連鎖移動剤の作用により生じる鎖との混合物を含み、ポリマー鎖は、式:T-[Y’-(A)-H]g+1に対応してもよい。
【0099】
上記式のポリマー鎖と組み合わせた上記開示のポリマー鎖を含む、ポリマー組成物が開示され、式中、gは、0であり、例えば、式T-CO2-(A)-H、T-SO3-(A)-H、TS-(A)-H(式中、Sは、硫黄原子である)、T-CS2-(A)-H、TC(S)O-(A)-Hのいずれか1つのポリマー鎖である。
【0100】
上記式のポリマー鎖と組み合わせた上記記載の式のポリマー鎖を含む、ポリマー組成物が開示され、式中、gは、0より大きく、例えば、ポリマー鎖は、構造T[-CO2-(A)-H]g、T[-SO3-(A)-H]g、T[-S-(A)-H]g(式中、各Sは、硫黄原子、またはT[-CS2-(A)-H]gである)を有してもよく、gは、2、3、4、5、または5より大きくてもよい。式:-[Y’-(A)-Rk]g+1のポリマー鎖を含むポリマー組成物が開示され、式中、T、Y’、(A)、Rk、及びgのそれぞれは、上で定義した通りである。開示されたポリマー組成物は、上記式のポリマー鎖と組み合わせた上記開示された式のポリマー鎖を含む、混合物を含んでもよく、式中、gは、0であり、例えば、T-CO2-(A)-Rk、T-SO3-(A)-Rk、TS-(A)-Rk(式中、Sは、硫黄原子である)、T-CS2-(A)-Rk、またはT-C(S)O-(A)-Rkである。上記式のポリマー鎖と組み合わせた上記開示された式のポリマー鎖を含む混合物を含む、ポリマー組成物が開示され、式中、gは、0より大きく、T[-CO2-(A)-Rk]gなどである。特定の実施形態では、このような式のポリマー鎖は、構造T[-SO3-(A)-Rk]g、T[-S-(A)-Rk]g(式中、各Sは、硫黄原子である)、またはT-[CS2-(A)-Rk]gを有する。gは、1、2、3、4、5、または5より大きくてもよい。wが2以上の場合、形成されるポリマーは、2つ以上のエポキシド、及び/またはラクトン基を有する化合物によって、鎖延長されてもよい。鎖延長及び/または架橋は、本明細書に開示されるように、エポキシド基、及び/またはラクトン基が開環する条件下で、行ってもよい。
【実施例】
【0101】
以下の実施例は、単に例示的であり、本開示の態様をいかようにも限定することは意図されない。酢酸カルボン酸塩と塩を形成できる強塩基の例としては、以下のものが含まれる。
【化40】
【0102】
ベータプロピオラクトンは反応性の高い化学物質であり、モノマーの開環エンタルピーによる激しい発熱を緩和するために、反応は溶媒中で行われる。
【0103】
実施例1.テトラメチルアンモニウムアセテート(4.2mg;0.030mmol)、ベータプロピオラクトン(1.15g;16mmol)、及びTHF溶媒;13mLを、ガラスバイアル中で混合すると、bPLの100%が6時間で消費され、溶液から沈殿するP3HPの白色ポリマーが得られる。GPCによるMnは、25,400g/molであり、PDIは、2.1である。供給されるモノマー対開始剤の比は、500:1である。
【0104】
実施例2.テトラメチルアンモニウムアセテート(2.1mg;0.015mmol)、ベータプロピオラクトン(1.15g;16mmol)、及びTHF溶媒;13mLを、ガラスバイアル中で混合すると、bPLの100%が6時間で消費され、溶液から沈殿するP3HPの白色ポリマーが得られる。GPCによるMnは、65,100g/molであり、PDIは、2.3である。供給されるモノマー対開始剤の比は、1000:1である。
【0105】
実施例3.テトラメチルアンモニウムアセテート(1.1mg;0.008mmol)、ベータプロピオラクトン(1.15g;16mmol)、及びTHF溶媒;13mLを、ガラスバイアル中で混合すると、bPLの100%が6時間で消費され、溶液から沈殿するP3HPの白色ポリマーが得られる。GPCによるMnは、72,500g/molであり、PDIは、2.1である。供給されるモノマー対開始剤の比は、2000:1である。
【0106】
追加の実施例の結果を表1に示し、溶媒、開始剤、開始剤比、及び反応完了時間を変化させて、表に報告する。使用した開始剤は、テトラメチルアンモニウムアセテート([TMA]+[A]-、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エニウムアセテート([DBUH]+[A]-、テトラブチルアンモニウムアセテート([TBA]+[A]-、ビススピロピペリジニウムアセテート([sPIP]+[A]-、4-(ジメチルアミノ)-ピリジニウムアセテート([DMAPH]+[A]-、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エニウムアセテート([DBUH]+[A]-、ビス(テトラメチルアンモニウムサクシネート([TMA]+[サクシネート]-、及びトリス(テトラメチルアンモニウムシトレート([TMA]+[シトレート]である。
【表1-1】
【表1-2】
【0107】
図1は、モノマーと開始剤の比の関数として、モル質量を示している。示されているように、テトラメチルアンモニウムアセテート塩は、より嵩高いアルキル基のより長いアルキルと比較して、モル質量に対するより優れた制御を示す。
図2は、モノマーと開始剤の比の関数として、モル質量を示している。示されているように、酢酸塩、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エニウムアセテート([DBUH]+[A]-)は、純粋なDBU開始剤と比較して、モル質量に対するより優れた制御を示す。[DBUH]+[A]-などの、強塩基と酢酸からの酢酸塩は、重合の良好な制御を提供する。理論質量で予想されるように、モル質量は、モノマーと開始剤の比と共に増加する(
図1を参照)。しかし、完全な変換では、この傾向は常に維持されるわけではなく、予想されるモル質量の減少を引き起こす。酢酸塩は、副反応をある程度緩和する(
図2)。アンモニウム塩上のアルキル基も重要であることが示されている(
図1)。テトラメチルアンモニウムアセテートは、ポリマーのモル質量に対する良好な制御と共に、6時間未満で完全なベータラクトン変換を示す。より嵩高いピペリジニウム基の、アンモニウム対イオン上のより長いアルキル鎖もモノマー変換を妨げる(
図1)。サクシネートカルボキシレート及びシトレートカルボキシレートを、テトラメチルアンモニウムカチオンと組み合わせて使用する、マルチアーム開始剤を使用して、より短い時間で、高モル質量ポリマーを生成することができる。更に、これらの三官能性及び二官能性は、エポキシ架橋化学反応と適合性のある、熱硬化性樹脂用途に使用することができる。
【0108】
熱的結論
ポリ(ベータ-3-ヒドロキシプロパン酸)(P3HP)は、少なくとも3つの異なるポリマー融点をもたらす多形性を示す。各多形の融点範囲は、75~80℃(
図3)、89~95℃(
図4)、及び110~125℃(
図5)である。多形の形成は、ポリマーのモル質量とポリマーの多分散度を変える、重合反応条件に大きく依存する。
【0109】
さまざまな反応条件からのP3HPの熱特性を、表2に示す。一般に、ベタインなどの両性イオン開始剤や、DBUなどの強塩基を使用すると、結晶性挙動が最も低い(Tmが低い)ポリマーが得られる。これは、これらの試料のポリマー多分散度が広いことによる可能性がある(>2.5;表1)。融点90℃の多形は、[PPN]+[A]-が開始剤として使用された場合にのみ、観察される。また、MTBE及びエーテルなどの非極性溶媒を使用する場合、最も融点の高い(110~125℃)多形が観察される。
【0110】
P3HPからのこの高融点材料は、P3HP系の熱可塑性樹脂の潜在的な用途を拡大する上で重要な進歩である。これらの高融点ポリマーを、バルクP3HPの「シード」材料として使用して、ポリマーフィルム及び射出成形材料にこの挙動を導入することができる。
【表2】
【0111】
方法
GPCは、2つのPLgel 300×7.5mm(PL111-6500)サイズ排除カラムと、マルチ検出器[屈折率及び粘度計]を備えた、Agilent 1260 Infinity II HPLCシステム上で実施された。GPCは、クロロホルム溶媒中で、1.0mL/分の速度で実行され、40℃に維持された。ポリマーのモル質量は、単分散PMMAポリマー標準で生成されたRIシグナルの従来の検量線を使用して、決定された。PMMA標準は、500g/mol~2,000,000g/mol(Agilent EasiVial;部品番号:PL2020-0201)の範囲である。P3HPポリマーを、HPLCグレードのクロロホルム[2mg/mL]に溶解し、次いで0.2mmのPVDFフィルターを通して濾過した。1H NMR分光法は、400MHzのVarian INOVA分光計で実施した。スペクトルは、プロチオクロロホルム(7.26ppm:PH3P試料を、10mg/mLの濃度で、CDCl3(99.8%重水素化;Cambridge Isotope)に溶解させた)を参照している。TGAは、TA機器Q50シリーズ熱重量分析装置上で、N2(g)雰囲気下で、10℃×分-1)の昇温速度で実施された。DSCは、TA機器Q20シリーズ示差走査熱量計上で、N2(g)雰囲気下で、10℃×分-1の昇温速度で実施された。ポリマーの熱履歴は、以下の通りである:ポリマーは、130℃で溶融して、熱及び溶媒の記憶を消去し、10℃×分-1の速度で-30℃まで冷却した。試料を、10℃×分-1の昇温速度で130℃まで再度加熱し、その後、-30℃まで急冷した[溶融急冷]。次に、ポリマーを130℃まで再加熱した[昇温速度10℃×分-1]。
【0112】
他の実施形態
1.1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖は、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したカルボン酸アニオンの残基を有する、ポリマー。
【0113】
2.前記1つ以上のポリマー鎖が、前記鎖の他端の一方にエンドキャッピング剤または停止剤の残基を有する、実施形態1に記載のポリマー。
【0114】
3.前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体である、実施形態2に記載のポリマー。
【0115】
4.前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化41】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1以上の数である、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0116】
5.Aは、各出現で別個に、3-ヒドロキシプロピオネート及び/または置換3-ヒドロキシプロピオネートに由来する単位を含むポリマー鎖であって、
R20は、各出現で別個に、アルキル基であって、
Rkは、各出現で別個に、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、またはイソフタル酸誘導体を含む、エンドキャッピング剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1~6の数である、実施形態4に記載のポリマー。
【0117】
6.前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化42】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1~6の数である、実施形態4に記載のポリマー。
【0118】
7.R20が、アルキル基である、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0119】
8.前記ポリマーが、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと重合するコモノマーを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0120】
9.前記コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0121】
10.前記コモノマーが、1つ以上のエポキシドである、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0122】
11.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、25,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0123】
12.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、50,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0124】
13.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、100,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0125】
14.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、200,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0126】
15.前記ポリマーが、多形性である、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0127】
16.前記ポリマーが、73~83℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0128】
17.前記ポリマーが、73~83℃、89~95℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0129】
18.前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化43】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、2以上の数であって、
ポリマーは、1つ以上のポリエポキシドまたはポリラクトンで架橋されている、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリマー。
【0130】
19.wが、2~6である、実施形態18に記載のポリマー。
【0131】
20.wが、2及び/または3である、実施形態18に記載のポリマー。
【0132】
21.R20が、アルキル基である、実施形態18または19に記載のポリマー。
【0133】
22.R20が、直鎖アルキル基である、実施形態18~21のいずれか1つに記載のポリマー。
【0134】
23.a.1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、
b.1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩と、を含む、重合性組成物。
【0135】
24.前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと共重合する1つ以上のコモノマーを含む、実施形態23に記載の重合性組成物。
【0136】
25.連鎖移動剤、鎖延長剤、停止剤、及びエンドキャッピング剤の1つ以上を含む、実施形態23または24に記載の重合性組成物。
【0137】
26.前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が、約100:1~約1,000,000:1である、実施形態23~25のいずれか1つに記載の重合性組成物。
【0138】
27.前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体である、実施形態23~26のいずれか1つに記載の重合性組成物。
【0139】
28.前記エンドキャッピング剤または停止剤が、オニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して10モル当量未満の量で存在する、実施形態23~27のいずれか1つに記載の重合性組成物。
【0140】
29.コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、実施形態23~28のいずれか1つに記載の重合性組成物。
【0141】
30.前記コモノマーが、1つ以上のエポキシドである、実施形態23~29のいずれか1つに記載の重合性組成物。
【0142】
31.前記オニウムカチオンが、窒素、リン、硫黄、アンチモン、またはヒ素を含む、先行する実施形態23~30のいずれか1つに記載の重合性組成物。
【0143】
32.1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したオニウムカチオンのカルボン酸塩の残基を有する、1つ以上のポリマーを調製する条件下で、1つ以上のベータプロピオラクトン、置換ベータプロピオラクトン、及びコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを接触させることを含む、方法。
【0144】
33.前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が、約100:1~約1000,000:1である、実施形態32に記載の方法。
【0145】
34.前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約30℃~約120℃の温度で接触させる、実施形態32または33に記載の方法。
【0146】
35.前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約1バール~約20バールの間の圧力で接触させる、実施形態32~34のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
36.前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、オニウムカチオンのカルボン酸塩とを、前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーを実質的に全て消費するのに十分な時間接触させる、実施形態32~35のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
37.特定の反応時間後、またはポリマー組成物が所望の分子量に達したときに、停止剤を添加して重合反応を停止させる、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
38.停止剤が、鉱酸、有機酸、または酸性樹脂もしくは固体の1つ以上である、実施形態32~37のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
39.特定の反応時間後、または前記ポリマー組成物が所望の分子量に達したときに、エンドキャッピング剤が添加される、実施形態32~38のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
40.前記エンドキャッピング剤が、1つ以上の求電子性有機化合物を含む、実施形態39に記載の方法。
【0152】
41.前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体の1つ以上を含む、実施形態40に記載の方法。
【0153】
42.前記エンドキャッピング剤が、オニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して10モル当量未満の量で存在する、実施形態32~41のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
43.溶媒が、非極性溶媒である、実施形態32~42のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
44.溶媒が、非極性エーテルである、実施形態32~42のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
45.前記溶媒が、0.2未満の極性を示す、実施形態32~44のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
46.前記溶媒が、非環状エーテルである、実施形態32~45のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
47.前記溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、及びジイソプロピルエーテルである、実施形態32~45のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
48.開始剤が、アンモニウムアセテート、アンモニウムサクシネート、アンモニウムシトレート、ピリジニウムアセテート、またはホスフィンイミニウムアセテートである、実施形態32~47のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
49.前記開始剤が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアセテート、ビススピロピペリジニウムアセテート、4-(ジメチルアミノ)ピリジニウムアセテート、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エニウムアセテート、ビス(テトラメチルアンモニウム)サクシネート、トリス(テトラメチルアンモニウム)シトレート、またはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアセテートである、実施形態32~48のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
50.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、25,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、実施形態32~49のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
51.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、50,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、実施形態32~50のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
52.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、100,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、3.0以下の多分散度を有する、実施形態32~4550のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
53.前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、200,000g/mol以上の重量平均分子量と、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、実施形態32~50のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
54.前記ポリマーが多形性である、実施形態32~53のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
55.前記ポリマーが、73~83℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、実施形態32~53のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
56.前記ポリマーが、75~80℃、89~95℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、実施形態32~53のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
57.形成されたポリマーを、前記ポリマーが前記ポリマーの末端基を介して架橋されるような条件下で、ポリエポキシドまたはポリラクトンと接触させる、実施形態32~56のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
上記は、本発明の特定の非限定的な実施形態の説明である。したがって、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本発明の原理の適用を単に例示するものであることを理解されたい。本明細書における図示の実施形態の詳細への言及は、本発明に必須とみなされる特徴を列挙する特許請求の範囲の範囲を限定することを意図したものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したカルボン酸アニオンの残基を有する、ポリマーであって、前記ポリマーは、下記の式の1つに従う鎖を含み:
【化1】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1以上の数であって、
前記ポリマーは、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、200,000g/mol以上の重量平均分子量を有する、前記ポリマー。
【請求項2】
前記1つ以上のポリマー鎖が、鎖の他端の一方にエンドキャッピング剤または停止剤の残基を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
Aは、各出現で別個に、ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンに由来する単位を含むポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、アルキル基であって、
R
kは、各出現で別個に、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、またはイソフタル酸誘導体を含む、エンドキャッピング剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1~6の数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化2】
式中、Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1~6の数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
R
20が、アルキル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記ポリマーが、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと重合するコモノマーを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
前記コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
前記コモノマーが、1つ以上のエポキシドである、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したカルボン酸アニオンの残基を有する、ポリマーであって、
前記ポリマーは、下記の式の1つに従う鎖を含み:
【化3】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1以上の数であって、
前記ポリマー多形性である、前記ポリマー。
【請求項12】
前記ポリマーが、73~83℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、請求項11に記載のポリマー。
【請求項13】
前記ポリマーが、73~83℃、89~95℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、請求項11に記載のポリマー。
【請求項14】
前記ポリマーが、以下の式の1つに従う鎖を含み:
【化4】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、ならびに
wは、各出現で別個に、2以上の数であって、
1つ以上のポリエポキシドまたはポリラクトンで架橋されている、
請求項1~13のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項15】
wが、2~6である、請求項17に記載のポリマー。
【請求項16】
wが、2及び/または3である、請求項17に記載のポリマー。
【請求項17】
R
20が、アルキル基である、請求項17または18に記載のポリマー。
【請求項18】
R
20が、直鎖アルキル基である、請求項17~20のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項19】
a.1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、
b.1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩と、
c.0.2未満の極性を有する、1つ以上の非極性溶媒と、を含み、
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が、約100:1~約1,000,000:1である、重合性組成物。
【請求項20】
前記溶媒が、非環状エーテルである、請求項19に記載の重合性組成物。
【請求項21】
前記溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、またはジイソプロピルエーテルである、請求項19に記載の重合性組成物。
【請求項22】
前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩が、アンモニウムアセテート、アンモニウムサクシネート、アンモニウムシトレート、ピリジニウムアセテート、またはホスフィンイミニウムアセテートである、請求項19~21のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項23】
前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、ビススピロピペリジニウムアセテート、4-(ジメチルアミノ)ピリジニウムアセテート、ビス(テトラメチルアンモニウム)サクシネート、トリス(テトラメチルアンモニウム)シトレート、またはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアセテートである、請求項19~22のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項24】
前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、ビス(テトラメチルアンモニウム)サクシネート、トリス(テトラメチルアンモニウム)シトレート、またはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアセテートである、請求項19~23のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項25】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと共重合する、1つ以上のコモノマーを含む、請求項19~24のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項26】
連鎖移動剤、鎖延長剤、停止剤、及びエンドキャッピング剤の1つ以上を含む、請求項19~25のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項27】
前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体である、請求項19~26のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項28】
前記エンドキャッピング剤または停止剤が、オニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して10モル当量未満の量で存在する、請求項19~27のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項29】
前記コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、請求項19~28のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項30】
前記コモノマーが、1つ以上のエポキシドである、請求項19~29のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項31】
1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したオニウムカチオンのカルボン酸塩の残基を有する、1つ以上のポリマーを調製する条件下で、0.2未満の極性を有する非極性溶媒中、1つ以上のベータプロピオラクトン、置換ベータプロピオラクトン、及び任意選択的にコモノマーを、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩と接触させることを含み、
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が、約100:1~約1,000,000:1である、方法。
【請求項32】
前記1つ以上のベータプロピオラクト及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的にコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約30℃~約120℃の温度で接触させる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的にコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを、約1バール~約20バールの間の圧力で接触させる、請求項31~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的にコモノマーと、オニウムカチオンのカルボン酸塩とを、前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的にコモノマーを実質的に全て消費するのに十分な時間接触させる、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
特定の反応時間後、またはポリマー組成物が所望の分子量に達したときに、停止剤を添加して重合反応を停止させる、請求項31~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記停止剤が、鉱酸、有機酸、または酸性樹脂もしくは固体の1つ以上である、請求項31~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
特定の反応時間後、または前記ポリマー組成物が所望の分子量に達したときに、エンドキャッピング剤が添加される、請求項31~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記エンドキャッピング剤が、1つ以上の求電子性有機化合物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記エンドキャッピング剤が、有機ハロゲン化物、有機スルホン酸塩、ハロアルキルシラン、アニリン誘導体、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体、及びイソフタル酸誘導体の1つ以上を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記エンドキャッピング剤が、前記オニウムカチオンのカルボン酸塩の量に対して10モル当量未満の量で存在する、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒が、非極性エーテルである、請求項31~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記溶媒が、非環状エーテルである、請求項31~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、またはジイソプロピルエーテルである、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩が、アンモニウムアセテート、アンモニウムサクシネート、アンモニウムシトレート、ピリジニウムアセテート、またはホスフィンイミニウムアセテートである、請求項31~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩が、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、ビス(テトラメチルアンモニウム)サクシネート、トリス(テトラメチルアンモニウム)シトレート、またはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムアセテートである、請求項31~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリマーが、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、200,000g/mol以上の重量平均分子量を有する、請求項31~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリマーが、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、請求項31~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリマーが、多形性である、請求項31~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリマーが、73~83℃、及び110~125℃でDSCビークを有する多形性である、請求項31~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリマーが、75~80℃、89~95℃、及び110~125℃でDSCピークを有する多形性である、請求項31~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
形成されたポリマーを、前記ポリマーが前記ポリマーの末端基を介して架橋されるような条件下で、ポリエポキシドまたはポリラクトンと接触させる、請求項31~50のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したカルボン酸アニオンの残基を有する、ポリマーであって、前記ポリマーは、下記の式の1つに従う鎖を含み:
【化1】
式中、
Aは、各出現で別個に、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有するポリマー鎖であって、
R
20は、各出現で別個に、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基であって、
R
kは、各出現で別個に、エンドキャッピング剤または停止剤の残基であって、
wは、各出現で別個に、1以上の数であって、
前記ポリマーは、単分散ポリメチルメタクリレート標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、200,000g/mol以上の重量平均分子量
の1つ以上を示し、または前記ポリマーは、多形性であるか、もしくはポリマーは、1つ以上のポリエポキシドまたはポリラクトンで架橋されている、ポリマー。
【請求項2】
前記1つ以上のポリマー鎖が、
前記鎖の他端の一方にエンドキャッピング剤または停止剤の残基を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリマーが、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと重合するコモノマーを含む、請求項
1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、請求項
3に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ポリマーが、ゲル浸透クロマトグラフィーのデータから計算される、2.5以下の多分散度を有する、請求項
1~4に記載のポリマー。
【請求項6】
重合性組成物であって、
a.1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、
b.1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩と、
c.0.2未満の極性を有する、1つ以上の非極性溶媒と、
を含み、
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が
、100:1
~1,000,000:1である、重合性組成物。
【請求項7】
前記溶媒が、非環状エーテルである、請求項
6に記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、メチルtert-ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、またはジイソプロピルエーテルである、請求項
6に記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンと共重合する1つ以上のコモノマーを含む、請求項
6~8のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項10】
前記コモノマーが、カプロラクトン、ラクチド、エポキシド、オキセタン、環状無水物、環状エーテル、ラクタム、エピスルフィド、アジリジン、(メタ)アクリレート、バレロラクトン、ブチロラクトン、グリコリド、及び置換グリコリドの1つ以上である、請求項
9に記載の重合性組成物。
【請求項11】
1つ以上のポリマー鎖を含み、前記1つ以上のポリマー鎖が、開環ベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトン単位を有し、前記
ポリマー鎖の一端に、前記ポリマー鎖の前記一端に共有結合したオニウムカチオンのカルボン酸塩の残基を有する、1つ以上のポリマーを調製する条件下で、0.2未満の極性を有する非極性溶媒中、1つ以上のベータプロピオラクトン、置換ベータプロピオラクトン、及び任意選択的にコモノマーを、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩と接触させることを含み、
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびにコモノマーと、前記1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩との比が
、100:1
~1,000,000:1である、方法。
【請求項12】
前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的にコモノマーと、1つ以上のオニウムカチオンのカルボン酸塩とを
、30℃
~120℃の温度
、及び1バール~20バールの間の圧力で、前記1つ以上のベータプロピオラクトン及び/または置換ベータプロピオラクトンならびに任意選択的にコモノマーを実質的に全て消費するのに十分な時間接触させる、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
特定の反応時間後、またはポリマー組成物が所望の分子量に達したときに、
エンドキャッピング剤を添加して、及び/または停止剤を添加して重合反応を停止させる、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、非極性エーテルである、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
形成されたポリマーを、前記ポリマーが前記ポリマーの末端基を介して架橋されるような条件下で、ポリエポキシドまたはポリラクトンと接触させる、請求項
11~14に記載の方法。
【国際調査報告】