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特表2024-517605腹膜透析からの感染を検出するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】腹膜透析からの感染を検出するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A61M1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562916
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 SG2022050222
(87)【国際公開番号】W WO2022220753
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10202103858V
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523385994
【氏名又は名称】アワック テクノロジーズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベールール ヴェンカタラーヤ,スレーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ゴリ,マンダール マノハール
(72)【発明者】
【氏名】リム,ジェイソン ツェ チャーン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイウッド,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】アギラール グラヘダ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ドナディオ,アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA06
4C077BB01
4C077CC02
4C077DD22
4C077EE04
4C077GG14
4C077GG20
4C077HH02
4C077HH18
4C077HH20
4C077JJ02
4C077JJ20
4C077JJ22
4C077KK30
(57)【要約】
本開示は、一般に、腹膜透析を受けている患者(102)における感染を検出するためのデバイス(200)に関する。デバイス(200)は、患者(102)からの透析廃液(130)を受け取るために構成された流体要素(204)に取外し可能に結合可能なハウジングモジュール(202)と、ハウジングモジュール(202)上に配置され、流体要素(204)内に光を放出するために構成された照明要素のセット(206)と、ハウジングモジュール(202)上に配置され、流体要素(204)内の透析廃液(130)と相互作用した光の光学特性を測定するために構成された光学センサ(208)のセットと、光学特性に基づいて透析廃液(130)の濁度を測定するために構成された制御モジュールとを備え、透析液濁度は、透析液濁度および患者(102)の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、患者(102)における感染を示す。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスであって、
前記患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素に取外し可能に結合可能なハウジングモジュールと、
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットと、
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内の前記透析廃液と相互作用した前記光の光学特性を測定するために構成された光学センサのセットと、
前記光学特性に基づいて前記透析廃液の濁度を測定するために構成された制御モジュールと
を備え、
前記透析液濁度は、前記透析液濁度および前記患者の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、前記患者における感染を示す、デバイス。
【請求項2】
前記光学センサは、前記透析廃液によって散乱した前記光を測定するための散乱光センサと、前記透析廃液を透過した前記光を測定するための透過光センサとを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光学特性は、前記散乱光と前記透過光との光学比を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記照明要素から前記流体要素内に放出される前記光をコリメートするため、および/または前記光を前記光学センサに集束させるためのレンズのセットを更に備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ハウジングモジュールに取外し可能に結合された前記流体要素を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記透析液濁度が、所定の持続時間にわたり平均された前記過去の透析液濁度よりも高いことを備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスであって、
前記患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素に取外し可能に結合可能なハウジングモジュールと、
前記流体要素内の前記透析廃液と反応した、前記流体要素内に配置された試薬試験要素の色情報を測定するために構成された色センサと、
前記患者における感染を示す前記透析廃液中の酵素活性を表す前記色情報に基づいて感染を検出するために構成された制御モジュールと
を備えるデバイス。
【請求項8】
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットを更に備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ハウジングモジュールに取外し可能に結合された前記流体要素を更に備える、請求項7または8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記流体要素は、前記流体要素の内外に前記透析廃液を選択的に連通するために構成された流れ制御機構を備える、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記流れ制御機構は、前記流体要素への前記透析廃液の流入と、所定の持続時間後の前記流体要素からの前記透析廃液の流出とを選択的に制御するように構成される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記色センサは、RGB色センサを備え、前記制御モジュールは、
前記色情報からRGB色データを抽出し、
前記RGB色データを、第2の色空間における第2の色データに変換し、
前記第2の色データに基づいて前記酵素活性を決定する
ために構成される、請求項7~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記制御モジュールは、前記RGB色データをノイズ除去し、前記ノイズ除去されたRGB色データを前記第2の色データに変換するために構成される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記制御モジュールは、前記第2の色データから指標パラメータを導出するために構成され、前記酵素活性は、前記指標パラメータに基づいて決定される、請求項12または13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の色空間は、CIELAB、CIE XYZ、またはYCbCr色空間を備える、請求項12~14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスであって、
前記患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素に取外し可能に結合可能なハウジングモジュールと、
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットと、
前記ハウジングモジュール上に配置され、
前記流体要素内の前記透析廃液と相互作用した前記光の光学特性を測定し、
前記流体要素内の前記透析廃液と反応した、前記流体要素内に配置された試薬試験要素の色情報を測定する
ために構成された光学センサのセットと、
前記光学特性に基づいて前記透析廃液の濁度を測定するために構成され、前記透析液濁度が、前記透析液濁度および前記患者の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、前記患者における感染を示し、
前記感染を示す前記透析廃液中の酵素活性を表す前記色情報に基づいて前記感染を検出する
ために構成された制御モジュールと
を備えるデバイス。
【請求項17】
前記光学センサは、
前記透析廃液によって散乱した前記光を測定するための散乱光センサと、
前記透析廃液を透過した前記光を測定するための透過光センサと、
前記色情報を測定するための色センサと
を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記光学特性は、前記散乱光と前記透過光との光学比を備える、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ハウジングモジュールに取外し可能に結合された前記流体要素を更に備える、請求項16~18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記流体要素は、前記流体要素の内外に前記透析廃液を選択的に連通するために構成された流れ制御機構を備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記流れ制御機構は、前記流体要素への前記透析廃液の流入と、所定の持続時間後の前記流体要素からの前記透析廃液の流出とを選択的に制御するように構成される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記光学センサは、前記色情報を測定するためのRGB色センサを備え、前記制御モジュールは、
前記色情報からRGB色データを抽出し、
前記RGB色データを、第2の色空間における第2の色データに変換し、
前記第2の色データに基づいて前記酵素活性を決定する
ために構成される、請求項16~21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記制御モジュールは、前記RGB色データをノイズ除去し、前記ノイズ除去されたRGB色データを前記第2の色データに変換するために構成される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記制御モジュールは、前記第2の色データから指標パラメータを導出するために構成され、前記酵素活性は、前記指標パラメータに基づいて決定される、請求項22または23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第2の色空間は、CIELAB、CIE XYZ、またはYCbCr色空間を備える、請求項22~24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのコンピュータ化された方法であって、
前記患者からの透析廃液と反応した試薬試験要素の色情報を測定することと、
前記色情報からRGB色データを抽出することと、
前記RGB色データに基づいて感染を検出することであって、前記RGB色データは、前記患者における感染を示す、前記透析廃液中の酵素活性を表すことと
を備える方法。
【請求項27】
前記RGB色データを、第2の色空間における第2の色データに変換することと、前記第2の色データに基づいて感染を検出することとを更に備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記RGB色データをノイズ除去することと、前記ノイズ除去されたRGB色データを前記第2の色データに変換することとを更に備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の色データから指標パラメータを抽出することと、前記指標パラメータに基づいて前記酵素活性を決定することとを更に備える、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の色空間は、CIELAB、CIE XYZ、またはYCbCr色空間を備える、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる2021年4月15日に出願されたシンガポール特許出願第10202083858V号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、腹膜透析からの感染を検出するためのデバイスに関する。より具体的には、本開示は、腹膜透析を受けている患者における腹膜炎などの感染を検出するためのデバイスの様々な実施形態を説明する。
【背景技術】
【0003】
世界中の何百万人もの人々が、たとえば慢性腎臓疾患(CKD)や末期腎臓疾患(ESRD)などの腎臓関連の問題を患っており、彼らが生命を維持するためには透析または移植が必要である。透析には、血液透析および腹膜透析の2種類が存在する。血液透析では、患者の身体から透析器に血液が汲み出され、透析器が血液を濾過し、濾過後の血液を体内に戻す。腹膜透析では、患者の腹部における腹膜が天然の濾過膜として作用する。透析は、腎不全の症例における生存の手段を提供するが、生活の質に大きな変化を伴う。臨床施設ではなく自宅で透析を行うことにより、患者が自身の活動を中心として透析の予定を立てることができるので、日常生活をある程度通常化することができ、患者の生活の質が向上し得る。しかし、自宅での透析には課題がある。患者または患者の介護者は、自宅での透析を自分自身で行う方法を学ぶ必要があり、特に腹膜透析の場合、操作ステップは非常に煩雑になり得る。
【0004】
図1は、患者102によって自宅で使用される典型的な腹膜透析装置100を示す。患者102は、患者の腹部に挿入されるカテーテルを含む移送セット104を有する。腹膜透析を開始するために、患者102は、チューブコネクタ108に至る共通チューブまたは共通ラインまたは患者ライン106に移送セット102を接続する。移送セット104は、カテーテルを開閉するための弁105を有し、これは、感染を防ぐために通常は閉じている必要がある。新鮮な透析液または透析溶液が入った新鮮バッグ110は、供給チューブまたは充填ライン112を介してチューブコネクタ108に接続される。充填ライン112は、腹膜透析中の適切な段階で充填ライン112を開閉するための弁114を有する。ドレーンバッグ116は、ドレーンチューブまたはドレーンライン118を介してチューブコネクタ108に接続される。ドレーンライン118は、腹膜透析中の適切な段階でドレーンライン118を開閉するための弁120を有する。
【0005】
腹膜透析中、新鮮バッグ110から新鮮な透析液が腹部に流入し、腹膜が、老廃物および過剰な液体を血液から新鮮な透析液中に移動させる。新鮮な透析液は、たとえばグルコース/ブドウ糖などの糖を含んでおり、この糖は、腹膜を通過して腹腔内に流体が除去または濾過されることを可能にする主な浸透物質として作用する。使用される透析液は、後に、老廃物および過剰な液体を含む透析廃液として体内から排出される。透析廃液は、ドレーンバッグ116内に集められ、廃棄される。装置100は、重力によって流体交換を行うように構成され得る。あるいは、装置100は、たとえば患者102の睡眠中などに流体交換を行うための機械またはポンプ122を含んでもよい。
【0006】
装置100により、患者102は、自身の生活の質を著しく損なうことなく、自宅で、または活動中に腹膜透析治療を受けることができる。しかし、患者102は、汚染を避けるために、装置100を取り扱う場合には注意する必要がある。たとえば、患者102は、不十分な訓練などの理由によって移送セット104を共通ライン106に適切に接続しない場合があり、移送セット104および/または共通ライン106の先端に手で触れて汚染する危険性がある。そのような汚染は、患者102に、たとえば腹膜炎などの感染を引き起こし得る。
【0007】
腹膜炎は、ドレーンバッグ116内の透析廃液の濁りまたは濁度を目視観察すること、ならびに腹痛に関連する任意の症状を観察することによって検出され得る。しかし、透析廃液中の濁りの観察は非常に主観的であり、濁りのわずかな変化は、肉眼で容易に気付かない場合がある。またこの作業に関して、患者102によっても視力が異なり得る。早期の腹膜炎は、患者102が気付かない軽度の濁りを生じさせ、診断および治療の遅れをもたらし得る。したがって、患者102間でチェックの質に一貫性がなく、一部の腹膜炎症例は見逃され、一部の腹膜炎でない症例が偽陽性になる。また、腹膜炎を患う患者102の一部は、初期段階では症状を示さない場合があり、軽い腹痛などの症状は、誤って他の要因に起因するものとされ、診断および治療の遅れにつながる。濁りが明らかになり、および/または症状が重症化するまで、数日しかかからない場合もある。しかしこれは、腹膜炎がより進んだ段階まで進行していることも意味し、治療が困難になり、死亡率が高くなり得る。
【0008】
したがって、上述した問題点および/または欠点の少なくとも1つを克服または緩和するために、腹膜透析からの感染を検出するための改善されたデバイスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示の第1の態様によると、腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスが存在する。このデバイスは、
患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素に取外し可能に結合可能なハウジングモジュールと、
ハウジングモジュール上に配置され、流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットと、
ハウジングモジュール上に配置され、流体要素内の透析廃液と相互作用した光の光学特性を測定するために構成された光学センサのセットと、
光学特性に基づいて透析廃液の濁度を測定するために構成された制御モジュールと
を備え、
透析液濁度は、透析液濁度および患者の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、患者における感染を示す。
【0010】
本開示の第2の態様によると、腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスが存在する。このデバイスは、
患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素に取外し可能に結合可能なハウジングモジュールと、
流体要素内の透析廃液と反応した、流体要素内に配置された試薬試験要素の色情報を測定するために構成された色センサと、
患者における感染を示す透析廃液中の酵素活性を表す色情報に基づいて感染を検出するために構成された制御モジュールと
を備える。
【0011】
本開示の第3の態様によると、腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスが存在する。このデバイスは、
患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素に取外し可能に結合可能なハウジングモジュールと、
ハウジングモジュール上に配置され、流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットと、
ハウジングモジュール上に配置され、
流体要素内の透析廃液と相互作用した光の光学特性を測定し、
流体要素内の透析廃液と反応した、流体要素内に配置された試薬試験要素の色情報を測定する
ために構成された光学センサのセットと、
光学特性に基づいて透析廃液の濁度を測定するために構成され、透析液濁度が、透析液濁度および患者の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、患者における感染を示し、
感染を示す透析廃液中の酵素活性を表す色情報に基づいて感染を検出する
ために構成された制御モジュールと
を備える。
【0012】
本開示の第4の態様によると、腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのコンピュータ化された方法が存在する。この方法は、
患者からの透析廃液と反応した試薬試験要素の色情報を測定することと、
色情報からRGB色データを抽出することと、
RGB色データに基づいて感染を検出することであって、RGB色データは、患者における感染を示す、透析廃液中の酵素活性を表すことと
を備える。
【0013】
このように、本明細書において、本開示に係る腹膜透析からの感染を検出するためのデバイスが開示される。本開示の様々な特徴、態様、および利点は、添付図面とともに単に非限定的な例として以下に示す本開示の実施形態の詳細な説明から、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】腹膜透析装置の図である。
図2A】透析廃液の濁度に基づいて感染を検出するためのデバイスの図である。
図2B】透析廃液の濁度に基づいて感染を検出するためのデバイスの図である。
図3A】腹膜透析装置とともに使用中の図2Aおよび図2Bのデバイスの図である。
図3B】腹膜透析装置とともに使用中の図2Aおよび図2Bのデバイスの図である。
図4A図2Aおよび図2Bのデバイスの較正の図である。
図4B図2Aおよび図2Bのデバイスの較正の図である。
図4C図2Aおよび図2Bのデバイスの較正の図である。
図5】試薬試験の色情報に基づいて感染を検出するためのデバイスの図である。
図6B】腹膜透析装置とともに使用中の図5のデバイスの図である。
図6B】腹膜透析装置とともに使用中の図5のデバイスの図である。
図7】透析廃液中の酵素活性に関連する図である。
図8A】腹膜透析装置とともに使用中の図2A図2B、および図5のデバイスの図である。
図8B】腹膜透析装置とともに使用中の図2A図2B、および図5のデバイスの図である。
図9】透析廃液の濁度および試薬試験の色情報に基づいて感染を検出するためのデバイスの図である。
図10A】腹膜透析装置とともに使用中の図9のデバイスの図である。
図10B】腹膜透析装置とともに使用中の図9のデバイスの図である。
図11A】透析廃液の濁度および試薬試験の色情報に基づいて感染を検出するためのデバイスの他の図である。
図11B】透析廃液の濁度および試薬試験の色情報に基づいて感染を検出するためのデバイスの他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
簡潔性および明確性のために、本開示の実施形態の説明は、図面に従って、腹膜透析からの感染を検出するためのデバイスに向けられる。本開示の態様は、本明細書に提供される実施形態に関連して説明されるが、それらは、本開示をこれらの実施形態に限定することを意図したものではないことが理解される。対照的に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内に含まれる、本明細書で説明される実施形態の代替例、変更例、および均等物を包含することが意図される。また、以下の詳細な説明において、本開示の完全な理解を提供するために、具体的な細部が記載される。ただし、当技術分野において通常の技術を有する人物、すなわち当業者には、本開示が、特定の細部なしで、および/または特定の実施形態の態様の組み合わせから生じる複数の細部を有して実施され得ることが認識される。多くの例において、周知のシステム、方法、手順、および構成要素は、本開示の実施形態の態様を不必要に曖昧にすることがないように詳細には説明されない。
【0016】
本開示の実施形態において、特定の図における所与の要素の描写または特定の要素番号の考察や使用、または対応する説明文における言及は、別の図またはそれに関連する説明文において識別される同一、同等、または類似の要素や要素番号を包含し得る。
【0017】
「実施形態/例」、「別の実施形態/例」、「いくつかの実施形態/例」、「いくつかの他の実施形態/例」、などへの言及は、そのように説明された実施形態(複数も可)/例(複数も可)が特定の特徴、構造、特性、特質、要素、または限定を含み得るが、全ての実施形態/例が必ずしもその特定の特徴、構造、特性、特質、要素、または限定を含むわけではないことを示す。また、「実施形態/例において」または「別の実施形態/例において」という表現の繰返しの使用は、必ずしも同じ実施形態/例を指すわけではない。
【0018】
「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、実施形態に列挙されるもの以外の特徴/要素/ステップの存在を除外するものではない。互いに異なる実施形態における特定の特徴/要素/ステップの記載は、これらの特徴/要素/ステップの組み合わせが実施形態において使用できないことを示すものではない。
【0019】
本明細書において、「a」および「an」という語は、1または複数として定義される。図または関連する文章における「/」の使用は、特に指定がない限り、「および/または」を意味すると理解される。「セット」という用語は、既知の数学的定義に従って、数学的に少なくとも1の基数を示す要素の空ではない有限組織として定義される(たとえば、本明細書において定義されるセットは、単位集合、シングレット集合、または単一要素集合、または複数要素集合に対応し得る)。「第1」、「第2」などの用語は、単に符号や識別子として使用されており、それらが関連する用語に数値的要件を課すことは意図されていない。
【0020】
本開示のいくつかの代表的または典型的な実施形態において、図2Aおよび図2Bを参照すると、腹膜透析を受けている患者102における感染を検出するために腹膜透析装置100とともに使用するためのデバイス200がある。デバイス200は、患者102から透析廃液130を受け取るために構成された流体要素204に取外し可能に結合可能なハウジングモジュール202を含む。流体要素204は、たとえば円筒形などの様々な断面形状を有してよい。デバイス200は、ハウジングモジュール202上に配置され、流体要素204内に光を放出するために構成された照明要素206のセットを含む。デバイス200は、ハウジングモジュール202上に配置され、流体要素204内の透析廃液130と相互作用した光の光学特性を測定するために構成された光学センサ208のセットを含む。デバイス200は、光学特性に基づいて透析廃液130の濁度を測定するために構成された制御モジュールを含み、透析液濁度および患者102の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、透析液濁度は、患者102におけるたとえば腹膜炎などの感染を示す。
【0021】
いくつかの実施形態において、照明要素206は、1または複数の発光ダイオード(LED)を含む。たとえば、LEDは、白色光LEDを含んでよい。あるいは、LEDは、たとえば赤外光の場合は860nmなど、特定の波長の光または狭い波長範囲内の光を放出してよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、光学センサ208は、透析廃液130によって散乱した光を測定するための散乱光センサ208aを含む。いくつかの実施形態において、光学センサ208は、透析廃液130を透過した光を測定するための透過光センサ208bを含む。特に、透過光センサ208bおよび照明要素206は、それらの間に流体要素204があるようにハウジングモジュール202上に配置される。図2Aに示すようないくつかの実施形態において、光学センサ208は、散乱光センサ208aおよび透過光センサ208bの両方を含む。たとえば、散乱光センサ208aおよび透過光センサ208bは、それぞれ散乱光および透過光を測定するためにハウジングモジュール202の異なる領域に位置する。光学センサ208の種類は、照明要素206の種類に基づいて選択され得る。たとえば、散乱光センサ208aおよび透過光センサ208bは、同じ種類の光学センサまたは光検出器を使用してよい。光学特性は、散乱光と透過光との関係を含んでよい。
【0023】
患者102が腹膜炎を罹患している場合、腹膜内の細菌、マイコバクテリア、真菌、および寄生虫が、感染の炎症マーカである白血球の生成を誘発し得る。白血球は通常、12~14ミクロンのサイズであり、透析廃液130中の白血球の蓄積は、透析廃液130の濁りや濁度の増加を招く。濁度が増加すると、透析廃液130中の白血球が増加し、照明要素206によって透析廃液130中に放出された光を散乱させる。散乱光センサ208aは、より強い光信号を受信し、透過光センサ208bは、より弱い光信号を受信する。散乱光センサ208aおよび透過光センサ208bによって検出された光信号の各々は、透析廃液130の濁度と相関付けるために個々に使用され得る。あるいは、濁度と相関付けることが可能な光学比を導出するために、両方の光信号がともに使用され得る。散乱光センサ208aおよび透過光センサ208bからの光信号を組み合わせることにより、光測定の感度が向上し、個々の光信号と比べて、濁度との相関が良くなり、感染の検出が向上し得る。また光信号を組み合わせることは、特に、たとえば輝度の低下など、照明要素206が経時的に劣化した場合に信頼性を向上させるためにも役立つ。
【0024】
いくつかの実施形態において、デバイス200は更に、照明要素206から流体要素204内に放出される光をコリメートするため、および/または光を光学センサ208に集束させるためのレンズ210のセットを含む。レンズ210は、光測定の信号対雑音比および感度を改善するために役立つ。たとえば、図2Bに示すように、1または複数の集光レンズを含み得るレンズ210は、照明要素206から放出される光を平行ビームにコリメートするために照明要素206の正面に配置されてよく、光が流体要素204に到達する前の光の散乱を最小限に抑えるために役立つ。同様に、たとえば集光レンズなどのレンズ210は、それぞれの光学センサ208に光を集束させるために、散乱光センサ208aおよび/または透過光センサ208bの正面に配置され得る。特に、光学センサ208は、光が効果的に集束し得るように、レンズ210の焦点距離に位置する。レンズ210は、たとえば紫外線下で硬化する光学接着剤の使用などによってハウジングモジュール202に取り付けられた支持台212上に配置され得る。
【0025】
流体要素204は、装置100の使用ごとに交換される使い捨て部品である。デバイス200は、次回の腹膜透析治療のための次の使い捨て流体要素204に再使用可能である。流体要素204は、腹膜透析治療に使用される前に、たとえばガンマ線、エチレンオキシド、または電子ビームなどの適切な方法を用いて予め殺菌され得る。流体要素204は、装置100に使用される使い捨てチューブの一部として予め取り付けられてもよい。患者102は、腹膜透析治療を開始する前に、デバイス200を流体要素204に結合する必要がある。
【0026】
図3Aに示すような1つの実施形態において、流体要素204は、共通ライン106の一部であり、または共通ライン106に接続され、患者102は、デバイス200を共通ライン106に結合する。図3Bに示すような1つの実施形態において、流体要素204は、ドレーンライン118の一部であり、またはドレーンライン118に接続され、患者102は、デバイス200をドレーンライン118に結合する。
【0027】
患者102は、デバイス200を用いて、患者102から共通ライン106およびドレーンライン118に沿ってドレーンバッグ116に排出される透析廃液130の濁度を測定することができる。一例において、患者102は、デバイス200を用いて、腹膜透析治療を開始する前の初期ドレーン段階中に濁度を測定することができる。初期ドレーン段階は、前の留置セッションからの透析廃液130を除去する。別の例では、患者102は、デバイス200を用いて、腹膜透析治療中に、透析廃液130が共通ライン106およびドレーンライン118に沿ってドレーンバッグ116に流れると同時に濁度を測定することができる。別の例では、患者102は、デバイス200を用いて、腹膜透析治療の終了時の最終ドレーン段階中に濁度を測定することができる。最終ドレーン段階は、患者102が新鮮バッグ110から新鮮な透析液で腹部を満たす前に、腹部から最後の透析廃液130を除去する。
【0028】
また、デバイス200は、たとえば100ml/分の流量で透析廃液130が流体要素204を流れる際、動的な状態で透析廃液130の濁度を測定することができる。このように、濁度の測定は、腹膜透析治療のワークフローと統合することができ、測定のために透析廃液130のサンプルを手動で採取する必要がある場合とは対照的に、患者102にとって煩わしさが少なく、治療の中断が低減される。
【0029】
デバイス200は、濁度を測定して感染を検出するために患者102がそれを使用し得る前に較正され得る。散乱光信号と透過光信号との光学比(y)は、線形方程式y=mx+cにおいて濁度値(x)と線形相関することが経験的に分かっている。デバイス200の感度は勾配(m)によって表すことができるが、照明要素206の光強度、光学センサ208の感度、および透明ハウジングモジュール202のベースライン透明度は、わずかに変動する場合があり、濁った液体が存在しない場合のベースライン光学比は、異なるデバイス200では同じでない場合がある。
【0030】
同じ設計を有するが、たとえば異なるハウジングモジュール202、異なる照明要素206、異なる光学センサ208、および異なるレンズ210などの異なる構成要素を有する2つの典型的なデバイス200が、デバイス200の感度を表す勾配(m)を決定するために使用された。たとえばBaxer Dianeal(登録商標)腹膜透析液など、(ネフェロメトリック濁度単位(NTU)で測定された)既知の濁度値を有するプライミング液が使用された。プライミング液は、流体要素204を介して連通し、デバイス200は、プライミング液のそれぞれの濁度値に関して光学比を測定した。それぞれの腹膜透析液に関する光学比(y軸)およびそれぞれのNTU(x軸)は、2つのデバイス200について図4Aおよび図4Bに示すように、グラフ300、310にプロットされる。勾配(m)はそれぞれ0.2933および0.291、オフセット値(c)はそれぞれ4.5426および5.4636であることが分かった。この結果により、同じ設計であるが異なる構成要素を有する両方のデバイス200が、約0.29の勾配(m)に基づいて同じ感度または応答の傾きを共有することが示された。したがって、感度は、異なる構成要素が使用され得る場合でも、デバイス200の設計に固有である。
【0031】
この結果により、同じ設計を有するデバイス200は、概ね同じ勾配(m)を有することが確証されたので、デバイス200が使用され得る前に、デバイス200のオフセット値(c)を決定することを含む較正プロセスが、デバイス200を較正するために行われ得る。較正プロセスは、線形方程式y=0.29x+cを用い、たとえば新鮮バッグ110内の新鮮な透析液など、既知のNTUを有する単一のプライミング液を用いて行われる。
【0032】
コンピュータプロセッサを含む制御モジュールは、較正プロセスの一連のコンピュータ化ステップを行うように構成され得る。ステップは、流体要素204内の新鮮な透析液と相互作用した光の光学特性を測定すること、光学特性を新鮮な透析液の濁度値と相関付けること、および相関に基づいてデバイス200の光学-濁度プロファイルを導出することを含む。光学-濁度プロファイルは、線形方程式y=0.29x+cによって表され、この時点でオフセット値(c)は既知である。較正されると、デバイス200は、腹膜透析のために使用することができ、光学-濁度プロファイルは、流体要素204内の透析廃液130と相互作用した光の光学特性に基づいて患者102からの透析廃液130の濁度を決定するように構成される。
【0033】
デバイス200の光学-濁度プロファイルは、透析廃液130の濁度値を予測するために用いられ得る。図4Cのグラフ320に示すように、予測濁度値322は、市販の濁度計を用いて測定された測定濁度値324に対してプロットされる。市販の濁度計は、動的状態で、すなわち流体が流れている間に流体濁度を測定することができるデバイス200とは対照的に、静的状態で流体濁度を測定する、嵩高く高価な機器である。グラフ320に示すように、予測濁度値322および測定濁度値324は、互いに非常に近いことが分かった。これにより、較正プロセスは、透析廃液130の濁度を決定するための光学-濁度プロファイルを導出するためにデバイス200を効果的に較正し得ることが提示される。
【0034】
上述したように、制御モジュールは、たとえば光学比などの光学特性に基づいて透析廃液130の濁度を測定するために構成される。透析液濁度は、透析液濁度および患者102の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、腹膜炎を示す。一例において、所定の条件は、透析液濁度が、所定の持続時間にわたり平均された過去の透析液濁度よりも高いことを含んでよい。より具体的には、所定の条件は、透析液濁度が、たとえば3~5日間、一週間、またはそれ以上などの過去数日間にわたる過去の透析液濁度の平均よりも所定の割合、たとえば10%高いことを含んでよい。別の例では、所定の条件は、透析液濁度が、たとえば3~5日間、一週間、またはそれ以上などの過去数日間にわたる過去の透析液濁度の平均から、所定の標準偏差数、たとえば1、2、または3標準偏差だけ外れていることを含んでよい。透析液濁度が所定の条件を満たすと決定すると、デバイス200は、患者102が腹膜炎を予備的に示していることを患者102に通知するアラートまたは警報を発してよい。
【0035】
デバイス200は、透析廃液130の濁度を測定する、より客観的な方法を提供し、たとえば患者102における腹膜炎などの感染のより早期のおよび/または正確な検出を可能にする。チェックの質に一貫性がない患者102による手動の目視観察と比べて、デバイス200は、偽陽性および真の腹膜炎症例の見逃しの危険性を低減することができる。また、静的状態で流体濁度を測定する既存の嵩高く高価な市販の濁度計と比べて、デバイス200は小さく、装置100に容易に統合され得る。
【0036】
一方、濁度は、腹膜炎に特有の指標ではなく、他の要因にも起因し得る。たとえば、透析廃液130の濁った外観は、たとえば一般的な免疫反応、自発的なフィブリン生成、および気腹などの非病原性プロセスによって生じ得る。患者102の高脂肪食がリポタンパク質およびトリグリセリドの蓄積をもたらし、乳白色の透析液を誘発し、腹膜炎の視覚的診断を混乱させることもある。したがって、デバイス200は、腹膜炎の早期スクリーニングのための客観的な方法として有用であり、その後、患者102が実際に腹膜炎を罹患しているかを確認するために別の検査の必要がある。
【0037】
確認検査は、通常、白血球の一種である好中球によって主に放出される白血球エストラーゼの存在に特に反応し得る、たとえばleukostix試薬ストリップなどの標準的な腹膜炎検出ストリップを用いて行われる。腹膜炎は、通常、透析廃液130中の好中球の数および割合の両方の増加に関連する。腹膜炎の検出には、通常、100個/μLおよび50%超過の好中球という臨床基準が用いられる。また、白血球の絶対数が100個/μL未満の場合でも、透析廃液130中の白血球の50%を超える好中球は、腹膜炎の強い指標である。通常、患者102は、採取した透析廃液130のサンプルに試薬ストリップを浸す。患者102は、試薬ストリップが透析廃液130で濡れるとすぐに試薬ストリップを取り出し、試薬ストリップの色の変化を判断するまで数分間待機する。たとえば試薬ストリップを過度に長く浸したり、色変化の判断が早すぎたり遅すぎたりするなど、プロトコルから顕著に逸脱すると、検出結果を誤って判断する可能性が高くなる。
【0038】
本開示のいくつかの代表的または典型的な実施形態において、図5を参照すると、腹膜透析を受けている患者102における感染を検出するために、腹膜透析装置100とともに使用するためのデバイス400がある。デバイス400は、患者102から透析廃液130を受け取るために構成された流体要素404に取外し可能に結合可能なハウジングモジュール402を含む。流体要素404は、たとえば円筒形などの様々な断面形状を有してよい。デバイス400は、任意選択的に、ハウジングモジュール402上に配置され、流体要素404内に光を放出するために構成された照明要素406のセットを含む。デバイス400は、ハウジングモジュール402上に配置された、たとえばRGB色センサなどの色センサ408を含む。色センサ408は、流体要素404内に配置された、たとえばleukostix試薬ストリップなどの試薬試験要素410の色情報を測定するために構成され、試薬試験要素410は、流体要素404内の透析廃液130と反応し、試薬試験要素410の色変化を生じさせた。試薬試験要素410は、照明要素406が存在する場合は照明要素406によって、および/または周囲照明によって照明され得る。デバイス400は、色情報に基づいて腹膜炎などの感染を検出するために構成された制御モジュールを含み、色情報は、患者102における感染を示す透析廃液130中の酵素活性を表す。
【0039】
いくつかの実施形態において、照明要素406は、1または複数の発光ダイオード(LED)を含む。たとえば、LEDは、白色光LEDを含んでよい。試薬試験要素410の色情報を正確に測定するために、一般に白色光が好適である。
【0040】
試薬試験要素410を含む流体要素404は、装置100の使用ごとに交換される使い捨て部品である。デバイス400は、次回の腹膜透析治療のための次の使い捨て流体要素404に再使用可能である。流体要素404は、腹膜透析治療に使用される前に、適切な方法を用いて予め殺菌され得る。流体要素404は、装置100に使用される使い捨てチューブの一部として予め取り付けられてもよい。患者102は、腹膜透析治療を開始する前に、デバイス400を流体要素404に結合する必要がある。試薬試験要素410は、デバイス400の使用前に、患者102によって流体要素404に手動で挿入され得る。あるいは、試薬試験要素410は、流体要素404に予め挿入済みであってよく、たとえば流体要素404は、試薬試験要素410を内部に封入した状態で製造される。
【0041】
図6Aに示すような1つの実施形態において、流体要素404は、共通ライン106の一部であり、または共通ライン106に接続されており、患者102は、デバイス400を共通ライン106に結合する。図6Bに示すような1つの実施形態において、流体要素404は、ドレーンライン118の一部であり、またはドレーンライン118に接続されており、患者102は、デバイス400をドレーンライン118に結合する。
【0042】
患者102は、デバイス400を用いて、患者102から共通ライン106およびドレーンライン118に沿ってドレーンバッグ116に排出される透析廃液130と反応した試薬試験要素410の色情報を測定することができる。一例において、患者102は、デバイス400を用いて、腹膜透析治療を開始する前の初期ドレーン段階中に色情報を測定することができる。別の例では、患者102は、デバイス400を用いて、腹膜透析治療中、透析廃液130が共通ライン106およびドレーンライン118に沿ってドレーンバッグ116に流れると同時に色情報を測定することができる。別の例では、患者102は、デバイス400を用いて、腹膜透析治療の終了時の最終ドレーン段階中に濁度を測定することができる。
【0043】
また、試薬試験要素410の湿潤時間を制御するために、流体要素404は、透析廃液130を流体要素404の内外に選択的に連通するために構成された流れ制御機構を含んでよい。デバイス400は、共通ライン106またはドレーンライン118に結合され得る。流体要素404は、共通ライン106/ドレーンライン118と協働し、共通ライン106/ドレーンライン118から流体要素404内への透析廃液130の流入、および所定の持続時間後の流体要素404からの透析廃液130の流出を選択的に制御する。所定の持続時間は、たとえば0.5~2秒などの試薬試験要素410の湿潤時間を定め、試薬試験要素410が適切に湿潤することを保証する。
【0044】
図6Aに示すような1つの実施形態において、デバイス400は、共通ライン106に結合される。弁420は、透析廃液130の流れを制御するために、共通ライン106を流体要素404に接続する。デバイス400は密封されており、患者弁105が閉じると弁420が開き、流体の流れ方向が逆になり、デバイス400内に圧力を発生させる。この圧力は、デバイス400内の空気を圧縮し、透析液の液面レベルを上昇させることにより、試薬試験要素410を濡らす。その後、弁420は閉じ、所定の持続時間後に試薬試験要素410が適切に湿潤することを保証する。その後、患者弁105は閉じた状態に保たれ、流れは逆になり、弁420が開く。これにより、共通ライン106を介してデバイス400内の圧力が解放され、透析廃液130がデバイス400から回収される。
【0045】
図6Bに示すような1つの実施形態において、デバイス400は、ドレーンライン118に結合される。弁430は、透析廃液130の流れを制御するために、ドレーンライン118を流体要素404に接続する。デバイス400は密封されており、ドレーン弁120が閉じると弁430が開き、デバイス400内に圧力が発生する。この圧力は、デバイス400内の空気を圧縮し、透析液の液面レベルを上昇させることにより、試薬試験要素410を濡らす。その後、弁430は閉じ、所定の持続時間後に試薬試験要素410が適切に湿潤することを保証する。その後、ドレーン弁120が開き、続いて弁430が開く。これにより、ドレーンライン120を介してデバイス400内の圧力が解放され、透析廃液130がデバイス400から回収される。
【0046】
コンピュータプロセッサを含む制御モジュールは、試薬試験要素410の色情報に基づいて腹膜炎などの感染を検出するためのコンピュータ化された方法を行うために構成される。方法は、所定の持続時間にわたり透析廃液130と反応した試薬試験要素410の色情報を測定するために色センサ408を制御するステップを含む。方法は、所定の持続時間後、所定の期間にわたり、試薬試験要素410の色情報を測定するステップを含む。所定の持続時間後の0.5~5分間であってよい所定の期間は、試薬試験要素410が適切な時間ウィンドウ内で測定されることを保証する。方法は、色情報からRGB色データを抽出し、RGB色データに基づいて患者102における感染を検出するステップを含み、RGB色データは、患者102における感染を示す酵素活性を表す。
【0047】
いくつかの実施形態において、方法は、抽出されたRGB色データを、第2の色空間における第2の色データに変換し、第2の色データに基づいて酵素活性を決定するステップを含み、第2の色データは、酵素活性を表す。第2の色空間は、CIELAB、CIE XYZ、またはYCbCr色空間を含んでよい。
【0048】
1つの実施形態において、RGB色データは、CIELAB色空間に変換される。L色空間とも称されるCIELAB色空間は、国際照明委員会(CIE)によって定義され、光強度(黒色から白色)に関するL、緑色から赤色までの色に関するa、および青色から黄色までの色に関するbの3つの値で色を表す。aおよびbの値は、赤色、緑色、青色、および黄色という人間の視覚に固有の4色を表す。したがって、CIELAB色空間は、人間の目の視覚感覚の性質に近い。
【0049】
方法は、ノイズ除去されたRGB色データをCIELAB色空間に変換する前に、RGB色データをノイズ除去することを含んでよい。たとえば、RGB色データは、フィルタリングおよび/または外れ値除去などの方法を用いてノイズ除去され得る。たとえば、外れ値除去は、第3の四分位範囲を超えるRGB色データを除去することを含んでよい。方法は、ノイズ除去されたRGB色データから変換されたCIELAB色データから指標パラメータを導出し、指標パラメータに基づいて酵素活性を決定することを含んでよい。より具体的には、所定の期間内におけるRGB色データは、複数のCIELAB色データのサンプルに変換される。各サンプルに関して、a値の平均が除去され、(平均が除去された)aの絶対値が計算される。所定の期間に関するサンプルのaの絶対値は合計され、その後、サンプルの数で正規化される。指標パラメータは、正規化されたaの絶対値から導出される。
【0050】
図7のグラフ500に示すように、指標パラメータは、酵素活性と相関している。酵素活性は、透析液中の白血球エストラーゼの活性レベルに関連し得る。白血球エストラーゼ活性は、好中球量と相関しており、透析液中に存在する好中球量を示す代用マーカとして機能する。したがって、透析廃液130中の酵素活性は、決定された指標パラメータおよびグラフ500に基づいて決定することができ、酵素活性は、腹膜炎を示し得る。
【0051】
CIELAB色空間を用いる利点は、(照明要素406からの光強度に起因する)色強度とほぼ無関係であり、色判別に依存する点である。グラフ500は、異なる白血球エストラーゼ酵素活性レベルが指標パラメータに基づいて良好に判別され得ることを示す。これにより、指標パラメータによって白血球エストラーゼ活性を高い分解能で判別することができ、いくつかの色パレットを基準として用いて患者102がこれらの色を判別することが困難であり得る従来の方法に比べて、測定の主観性が低減される。陽性および陰性の腹膜炎症例を診断するために、臨床データから経験的に閾値が展開され得る。陽性症例診断の閾値は、腹膜炎検出の感度と特異度とのバランスをとるために微調整され得る。
【0052】
1つの実施形態において、RGB色データは、CIE XYZ色空間に変換される。CIE XYZ色空間において、Xは、負でないRGB色の混合を表し、Yは輝度を表し、Zは青色チャネル情報を表す。対応する指標パラメータは、CIELAB色データからの指標パラメータと同様に、CIE XYZ色空間内の第2の色データから導出することができ、輝度への依存度が最小限であり、青色チャネル情報が除去される。
【0053】
1つの実施形態において、RGB色データは、YCbCr色空間に変換される。YCbCr色空間において、Yは輝度または光強度成分を表し、Cbは青色差色成分を表し、Crは赤色差色成分を表す。対応する指標パラメータは、CIELAB色データからの指標パラメータと同様に、YCbCr色空間内の第2の色データから導出することができ、YCbCr色空間内のCr成分は、CIELAB色空間内のa値と置き換えるために使用され得る。
【0054】
1つの実施形態において、RGB色データは、酵素活性を決定するための対応する指標パラメータを導出するために直接使用され得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、感染診断精度の全体特異度を高めるために、装置100においてデバイス200、400が組み合わせて使用される。デバイス200は、透析廃液130の濁度に基づく感染の早期スクリーニングを可能にし、早期スクリーニングが感染を予備的に示す場合、デバイス400が感染のより高感度の検出を行うことが引き起こされる。デバイス200、400は、濁度が感染を予備的に示す場合に、患者102が確認検査のために試薬試験要素410を流体要素404に挿入するように、順番に使用され得る。あるいは、患者102は、既に試薬試験要素410を含む流体要素404を使用することができる。これにより、デバイス200が早期スクリーニングアラートを引き起こす場合のみデバイス400が使用されるので、腹膜透析中に使用される試薬試験要素410の数が節減される。
【0056】
図8Aに示すような1つの実施形態において、患者102は、デバイス200、400を共通ライン106に結合する。図8Bに示すような1つの実施形態において、患者102は、デバイス200、400をドレーンライン118に結合する。患者102は、腹膜透析治療を開始する前の初期ドレーン段階中、腹膜透析治療中、または腹膜透析治療の終了時の最終ドレーン段階中に、デバイス200、400を使用することができる。
【0057】
本開示のいくつかの代表的または典型的な実施形態において、図9を参照すると、腹膜透析を受けている患者102における感染を検出するために、腹膜透析装置100とともに使用するためのデバイス600がある。デバイス600は、デバイス200、400の機能を組み合わせた統合型デバイスである。デバイス600は、患者102からの透析廃液130を受け取るために構成された流体要素604に取外し可能に結合可能なハウジングモジュール602を含む。流体要素604は、たとえば円筒形などの様々な断面形状を有してよい。デバイス600は、ハウジングモジュール602上に配置され、流体要素604内に光を放出するために構成された照明要素606のセットを含む。
【0058】
デバイス600は、ハウジングモジュール602上に配置され、流体要素204内の透析廃液130と相互作用した光の光学特性を測定し、流体要素604内に配置された試薬試験要素610の色情報を測定するために構成された光学センサ608のセットを含み、試薬試験要素610は、流体要素604内の透析廃液130と反応し、それによって試薬試験要素610の色変化が生じる。デバイス600は、光学特性に基づいて透析廃液130の濁度を測定するために構成された制御モジュールを含み、透析液濁度は、透析液濁度および患者102の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、患者102における感染を示す。制御モジュールは更に、色情報に基づいて感染を検出するために構成され、色情報は、感染を示す透析廃液130中の酵素活性を表す。
【0059】
光学センサ608は、透析廃液130によって散乱した光を測定するための散乱光センサ608a、および透析廃液130を透過した光を測定するための透過光センサ608bを含む。光学センサ608は更に、試薬試験要素610の色情報を測定するための色センサ608cを含む。散乱光センサ608a、透過光センサ608b、および色センサ608cは、それぞれ散乱光センサ208a、透過光センサ208b、および色センサ408と同様であることが認識される。
【0060】
照明要素606は、散乱光センサ608aおよび透過光センサ608bと協働する少なくとも1つの第1の照明要素606aを含む。照明要素606は、色センサ608cと協働する少なくとも1つの照明要素606bを含む。第1の照明要素606aおよび第2の照明要素606bは、それぞれ照明要素206および406と同様であることが認識される。あるいは、照明要素606は、全ての光学センサ608と協働する単一の照明要素を含んでもよい。
【0061】
流体要素604は、所定の持続時間後に流体要素604の内外に透析廃液130を選択的に連通するために構成された流れ制御機構を含んでよい。流体要素404と同様に、所定の持続時間は、たとえば0.5~2秒などの試薬試験要素610の湿潤時間を定める。透析廃液130が流体要素604と連通している場合、散乱光センサ608aおよび透過光センサ608bは、透析廃液130の濁度を測定することができる。透析廃液130が流体要素604から排出されると、色センサ608cは、透析廃液130と反応した試薬試験要素610の色情報の測定に進む。
【0062】
試薬試験要素610を含む流体要素604は、装置100の使用ごとに交換される使い捨て部品である。デバイス600は、次回の腹膜透析治療のための次の使い捨て流体要素604に再使用可能である。流体要素604は、腹膜透析治療に使用する前に適切な方法を用いて予め殺菌され得る。流体要素604は、装置100に使用される使い捨てチューブの一部として予め取り付けられてよい。患者102は、デバイス600を流体要素604に結合し、任意選択的に、腹膜透析治療を開始する前にデバイス600を較正する必要がある。試薬試験要素610は、デバイス600の使用前に、患者102によって手動で流体要素604に挿入され得る。あるいは、試薬試験要素610は、流体要素604に予め挿入済みであってもよく、たとえば流体要素604は、内部に試薬試験要素610を封入した状態で製造される。
【0063】
患者102は、最初に、デバイス600を用いて、前回の留置セッションからの透析廃液130を除去する初期ドレーン段階中に、透析廃液130と反応した試薬試験要素610の色情報を測定する。流体制御機構は、所定の持続時間にわたり流体要素604内の透析廃液130の流入および流出を制御する。その後、患者102は、腹膜透析治療を開始し、デバイス600を用いて、患者102から排出された透析廃液130の濁度を測定し、透析廃液130は、流体要素604内を継続的に流れる。一例において、患者102は、デバイス600を用いて、腹膜透析治療中に、透析廃液130が共通ライン106およびドレーンライン118に沿ってドレーンバッグ116に流れると同時に濁度を測定することができる。別の例では、患者102は、デバイス600を用いて、腹膜透析治療の終了時の最終ドレーン段階中に濁度を測定することができる。透析廃液130の濁度に基づく測定結果および試薬試験要素610の色情報は、互いに補完し、感染検出の全体精度を高めることができる。デバイス600は、たとえば腹膜炎などの感染を、より高い感度および特異度で検出することが可能である。
【0064】
図10Aに示すような1つの実施形態において、流体要素604は、共通ライン106の一部であり、または共通ライン106に接続されており、患者102は、デバイス600を共通ライン106に結合する。弁620は、透析廃液130の流れを制御するために、共通ライン106を流体要素604に接続してよい。図10Bに示すような1つの実施形態において、流体要素604は、ドレーンライン118の一部であり、またはドレーンライン118に接続されており、患者102は、デバイス600をドレーンライン118に結合する。弁630は、透析廃液130の流れを制御するために、ドレーンライン118を流体要素604に接続してよい。弁620、630は、上述した弁420、430と同様に動作することが認識される。
【0065】
図11Aおよび図11Bは、デバイス600のいくつかの他の構成を示す。特に、ハウジングモジュール602は、いくつかの多角形側面を有する多角形構造を有してよい。図11Aに示すような1つの実施形態において、散乱光センサ608aおよび透過光センサ608bのための第1の照明要素606aは、一方の側面に配置され、透過光センサ608bは、反対側の側面に配置される。散乱光センサ608aは、第1の照明要素606aおよび透過光センサ608bに対し垂直であるように別の側面に配置される。色センサ608cおよび色センサ608cのための第2の照明要素606bは、別の2つの異なる側面に配置される。図11Bに示すような1つの実施形態において、全ての光学センサ608のための単一の照明要素606がある。照明要素606および透過光センサ608bは、互いに対向する側面に配置される。散乱光センサ608aは、照明要素606および透過光センサ608bに対し垂直であるように別の側面に配置される。色センサ608cは、別の側面に配置される。
【0066】
デバイス200、400、600の様々な態様は、互いに同等に適用されてよく、簡潔性のために詳述されないことが認識される。また、本明細書で説明される制御モジュールは、プロセッサ、メモリ、および様々な他のモジュールまたは構成要素を含むことも認識される。このモジュールおよび構成要素は、様々な動作やステップを行うために構成され、プロセッサの一部として構成される。そのような動作やステップは、プロセッサによって動作可能または実行される非一時的命令に応答して行われる。メモリは、プログラム実行中に読み出される命令および場合によってはデータを格納するために使用される。メモリは、文脈によってはコンピュータ可読記憶媒体および/または非一時的コンピュータ可読媒体と称され得る。非一時的コンピュータ可読媒体は、それ自体が一時的な伝搬信号である場合を除き、全てのコンピュータ可読媒体を含む。
【0067】
このように、デバイス200、400、600は、腹膜透析を受けている患者102において、たとえば腹膜炎などの感染をより正確に検出する改善された方法を提供する。たとえば、デバイス200、400は、腹膜炎の予備的兆候の早期スクリーニングを可能にし、これはその後、試薬試験を用いて確認され得る。スクリーニングは非常に安価で、毎日のように使用しても患者102にとって負担ではないため、まずスクリーニングを行ってから確認を行うことは大きな経済的利点である。
【0068】
腹膜炎を罹患している、または罹患のリスクがある患者102は、より早期に識別され得るので、医療介入が早期に提供され得る。通常、診断されると、腹膜炎の治療には約4~10日間を要する。診断が早期であるほど、腹膜炎が腹膜にもたらす損傷が少なく、治療の効果が上がり、費用も少なくなり得る。腹膜炎は、心血管疾患の高いリスクを伴い、重度の感染症は、死に至る系統的敗血症をもたらす場合がある。よって、早期治療は、感染した患者102をより効果的に治療し、死亡率の低減が可能であることを意味する。デバイス200、400、600は、腹膜炎の早期かつ正確な検出に効果的であり、より多くの患者102が自宅での透析のためにこれらのデバイス200、400、600を取り入れることが可能である。
【0069】
上述の詳細な説明において、腹膜透析からの感染を検出するためのデバイスに関連する本開示の実施形態が、提供された図を参照して説明される。本明細書における様々な実施形態の説明は、本開示の特定または具体的な表現のみを主張し、またはそれらに限定されるものではなく、単に本開示の非限定的な例を示すものである。本開示は、上述した先行技術に伴う難点および問題の少なくとも1つに対処するために役立つ。本開示のいくつかの実施形態のみが本明細書に開示されるが、当業者には、本開示の観点から、本開示の範囲から逸脱することなく開示された実施形態に様々な変更および/または修正がなされ得ることが明らかである。したがって、本開示の範囲ならびに以下の特許請求の範囲は、本明細書で説明される実施形態に限定されるものではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスであって、
前記患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素に取外し可能に結合可能なハウジングモジュールと、
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットと、
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内の前記透析廃液と相互作用した前記光の光学特性を測定するために構成された光学センサのセットと、
前記光学特性に基づいて前記透析廃液の濁度を測定するために構成された制御モジュールと
を備え、
前記測定された透析液濁度は、前記透析液濁度および前記患者の過去の透析液濁度が、互いに比較した場合に所定の条件のセットを満たす場合、前記患者における感染を示し、前記過去の透析液濁度は、前の数日間における前記患者の透析液濁度測定から導出される、デバイス。
【請求項2】
前記光学センサは、前記透析廃液によって散乱した前記光を測定するための散乱光センサと、前記透析廃液を透過した前記光を測定するための透過光センサとを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光学特性は、前記散乱光と前記透過光との光学比(y)を備え、前記デバイスは、前記光学比(y)および前記測定された透析液濁度(x)がy=mx+cによって実質的に線形相関となるように事前に較正され、mは前記デバイスの感度を表し、cはオフセット値を表す、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記照明要素から前記流体要素内に放出される前記光をコリメートするため、および/または前記光を前記光学センサに集束させるためのレンズのセットを更に備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ハウジングモジュールに取外し可能に結合された前記流体要素を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記測定された透析液濁度が、前記前の数日間にわたり平均された前記過去の透析液濁度よりも高いことを備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスであって、
ハウジングモジュールと、
前記ハウジングモジュールに取外し可能に結合され、前記患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素と、
前記流体要素内の前記透析廃液と反応した、前記流体要素内に配置された試薬試験要素の色情報を測定するために構成された色センサと、
前記患者における感染を示す前記透析廃液中の酵素活性を表す前記色情報に基づいて感染を検出するために構成された制御モジュールと
を備え
前記流体要素は、前記流体要素への前記透析廃液の流入を選択的に制御するように構成された流れ制御機構を備え、
前記流れ制御機構は更に、前記流体要素への前記透析廃液の前記流入から所定の持続時間後、前記流体要素からの前記透析廃液の流出を選択的に制御することにより、前記流体要素から前記透析廃液を回収するように構成され、
前記所定の持続時間は、前記試薬試験要素と前記透析廃液との前記反応の湿潤時間を制御する、デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットを更に備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記色センサは、RGB色センサを備え、前記制御モジュールは、
前記色情報からRGB色データを抽出し、
前記RGB色データを、第2の色空間における第2の色データに変換し、
前記第2の色データに基づいて前記酵素活性を決定する
ために構成される、請求項7または8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記制御モジュールは、前記RGB色データをノイズ除去し、前記ノイズ除去されたRGB色データを前記第2の色データに変換するために構成される、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記制御モジュールは、前記第2の色データから指標パラメータを導出するために構成され、前記酵素活性は、前記指標パラメータに基づいて決定される、請求項または10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の色空間は、CIELAB、CIE XYZ、またはYCbCr色空間を備える、請求項9~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのデバイスであって、
ハウジングモジュールと、
前記ハウジングモジュールに取外し可能に結合され、前記患者からの透析廃液を受け取るために構成された流体要素と、
前記ハウジングモジュール上に配置され、前記流体要素内に光を放出するために構成された照明要素のセットと、
前記ハウジングモジュール上に配置され、
前記流体要素内の前記透析廃液と相互作用した前記光の光学特性を測定し、
前記流体要素内の前記透析廃液と反応した、前記流体要素内に配置された試薬試験要素の色情報を測定するために構成され
前記流体要素は、前記流体要素への前記透析廃液の流入を選択的に制御するように構成された流れ制御機構を備え、
前記流れ制御機構は更に、前記流体要素への前記透析廃液の前記流入から所定の持続時間後、前記流体要素からの前記透析廃液の流出を選択的に制御することにより、前記流体要素から前記透析廃液を回収するように構成され、
前記所定の持続時間は、前記試薬試験要素と前記透析廃液との前記反応の湿潤時間を制御する、光学センサのセットと、
前記光学特性に基づいて前記透析廃液の濁度を測定するために構成され、前記透析液濁度が、前記測定された透析液濁度および前記患者の過去の透析液濁度が所定の条件のセットを満たす場合、前記患者における感染を示し、
前記感染を示す前記透析廃液中の酵素活性を表す前記色情報に基づいて前記感染を検出する
ために構成された制御モジュールと
を備えるデバイス。
【請求項14】
前記光学センサは、
前記透析廃液によって散乱した前記光を測定するための散乱光センサと、
前記透析廃液を透過した前記光を測定するための透過光センサと、
前記色情報を測定するための色センサと
を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記光学特性は、前記散乱光と前記透過光との光学比を備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記光学センサは、前記色情報を測定するためのRGB色センサを備え、前記制御モジュールは、
前記色情報からRGB色データを抽出し、
前記RGB色データを、第2の色空間における第2の色データに変換し、
前記第2の色データに基づいて前記酵素活性を決定する
ために構成される、請求項13~15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記制御モジュールは、前記RGB色データをノイズ除去し、前記ノイズ除去されたRGB色データを前記第2の色データに変換するために構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記制御モジュールは、前記第2の色データから指標パラメータを導出するために構成され、前記酵素活性は、前記指標パラメータに基づいて決定される、請求項16または17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第2の色空間は、CIELAB、CIE XYZ、またはYCbCr色空間を備える、請求項16~18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
腹膜透析を受けている患者における感染を検出するためのコンピュータ化された方法であって、
所定の持続時間にわたり、かつ前記所定の持続時間後の所定の期間にわたり、前記患者からの透析廃液と反応した試薬試験要素の色情報を測定することと、
前記所定の期間内における前記色情報からRGB色データを抽出することと、
前記所定の期間内における前記RGB色データを複数のCIELAB色データのサンプルに変換することと、
前記複数のCIELAB色データのサンプルから指標パラメータを導出することと、
前記指標パラメータに基づいて感染を検出することであって、前記指標パラメータは、前記患者における感染を示す、前記透析廃液中の酵素活性を表すことと
を備える方法。
【請求項21】
前記RGB色データをノイズ除去することと、前記ノイズ除去されたRGB色データを前記CIELAB色データに変換することとを更に備える、請求項20に記載の方法。
【国際調査報告】