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特表2024-517611金属繊維、特に鋼繊維を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】金属繊維、特に鋼繊維を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 17/06 20060101AFI20240416BHJP
   C04B 14/48 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B23P17/06
C04B14/48 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562951
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2022059742
(87)【国際公開番号】W WO2022218975
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021001946.6
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512037668
【氏名又は名称】ハカノカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】HACANOKA GmbH
【住所又は居所原語表記】Pfaelzer Strasse 14 89269 Voehringen, Deutchland
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタール, カール ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】シュタール, ハンスイェルク
(57)【要約】
方法は、金属繊維、特鋼繊維を、帯状の平坦な材料から製造するために用いられ、前記金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられている。金属ストリップとしては、第一に、後の使用の際に金属繊維に要求される強度に対して適合された材料が使用される。前記金属ストリップは、第1の製造ラインにおいて、矯正及び輸送ユニット(3)の駆動され制御されるアンコイラー(1)から、コイルの形態で供給される。前記ストリップ始点を形成するクロップシャー(4)の後、前記金属ストリップは、上側ローラー及び下側ローラーから成り、アンカーノッチ及び破断ノッチの両方を導入する、圧延機構として設計されたノッチ形成ローラー(6)に供給される。続いて、前記金属ストリップは、前記破断ノッチ内の前記アンカーの深い切り込み若しくは平坦化のための、1つ又は複数のスクラッチローラー対を有する、組み合わされたスクラッチ及び矯正ユニット(7)を通過し、最終的に、コイラー装置(8)によって再びコイルとして巻き取られる。その後、長手方向及び横方向分割ユニット上で、前記繊維製造の最後のプロセス・ステップが行われる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属繊維、特に焼き戻しされた又は焼き戻しされていない鋼繊維を、帯状の平坦な材料から製造するための方法であって、前記金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられており、前記金属繊維を形成するために、金属ストリップには、長手方向に、好ましくは両方の金属ストリップ面に、破断ノッチが設けられ、それにより、ノッチ底部に分離ウェブが形成され、前記分離ウェブは、後の分離の際、場合によっては前記分離ウェブを曲げ変形させる圧延プロセスの後に、バリが少なく粗い分離面を形成し、金属ストリップとしては、第一に、後の使用の際に前記金属繊維に要求される強度に対して適合された材料が使用され、前記金属ストリップは、第1の製造ラインにおいて、コイルの形態で、駆動され制御されるアンコイラー(1)から、惰性回転を可能にするオーバーランニングクラッチが設けられていると共に少なくともストリップ始点を形成する下流のクロップシャー(4)を備える矯正及び輸送ユニット(3)に供給され、そのうえで、前記金属ストリップは、上側ローラー及び下側ローラーから成り、上側及び下側で軸方向に互いにオフセットして配置されたアンカーノッチ及び破断ノッチの両方を導入するための、圧延機構として設計されたノッチ形成ローラー(6)に供給され、両方の前記ローラーには、前記アンカーノッチ又は前記破断ノッチ内に、前記金属ストリップ上のアンカーラインを形成するアンカー面及び/又はアンカーを形成するための中断部が設けられることができ、そのために、前記ローラーは、上側ローラー及び下側ローラーに関する前記アンカーラインの正確な位置決めのための同期走行特性において正確に調整可能であり、更に互いに対する両方の前記ローラーの安定かつ調整可能な軸方向ガイドを備えて構成されており、前記金属ストリップは、続いて、必要に応じて、前記破断ノッチ内の前記アンカーのより深い切り込み、刻み込み若しくは平坦化のための、1つ又は複数のスクラッチローラー対を有する、組み合わされたスクラッチ及び矯正ユニット(7)を通過し、最終的に、コイラー装置(8)によって再びコイルとして巻き取られるか、又は、対応する製造ラインにおいて更に前進させられる、方法。
【請求項2】
前記金属ストリップは、前記スクラッチローラー対の後方に配置された任意選択的な前記スクラッチ及び矯正ユニット(7)において、任意選択的に複数の圧延ステーションを通過し、その後、前記ノッチ内に存在し、アンカーライン上で前記金属ストリップの前記走行方向に対して垂直に配置された前記アンカーの光学的な検出(9.1)が行われ、これにより、前記破断ノッチの前記アンカー領域内の前記金属繊維ストランドの予備分離を行う長手方向分割ローラー(9.2)の制御が行われ、ノッチ形成された前記金属ストリップは、後方に配置された引張ローラー(10)によって前記長手方向分割ローラー(9.2)を通じて引っ張られ、その結果、前記長手方向分割ローラー(9.2)は、それを支援する固有の駆動部を必要としないか又はただ1つしか必要とせず、前記コイラー装置(13)の前には、任意選択的に、クロップシャーを有する矯正ユニット(11)と、ノッチ形成された前記金属ストリップをコイル巻きの前に予め曲げるための更なる矯正ユニット(12)と、が備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ノッチ形成された前記金属ストリップは、後続のプロセス・ステップにおいて、任意選択的に、慣用された通常の焼き戻しプロセスに供されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第2の製造ラインにおいて、ノッチ形成され及び/又は焼き戻しされた前記金属ストリップは、駆動され制御されるアンコイラー(21)によって繰り出され、前記ストリップ始点を矯正し嵌め込むために、オーバーランニングクラッチを備える構成とされた矯正機(22)に供給され、前記ストリップ始点には、下流のクロップシャー(23)によって、清浄で平坦な切断面が設けられ、そのうえで、平坦で狭いストリップガイド(25)を通過した後、後の横方向分割シャー(12)の制御に用いられる、前記アンカーノッチ内に存在しアンカーライン上で前記金属ストリップの前記走行方向に対して垂直に配置された前記アンカーの光学的な検出(26)が行われ、平坦で狭い更なるストリップガイド(27)を通過した後、引っ張られ又は支援する駆動部が設けられた長手方向分割ローラー(28)において、前記金属繊維同士の完全な分離が行われ、このために、分離された前記金属繊維は、大きな引張荷重によって、狭いガイド(29)を通じて引張ローラー(30)に供給され、更に、タイトにガイドされて横方向分割シャー(32)に押し込まれ、短縮され、最終的に、ばらばらにされた前記金属繊維のための収容容器(33)に供給されることを特徴とする、請求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
金属繊維、特に鋼繊維が、帯状の平坦な材料から製造される、請求項1~4に記載の方法を実行するための装置であって、前記金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられており、前記金属繊維を形成するために、金属ストリップには、長手方向に、好ましくは両方の金属ストリップ面に、破断ノッチが設けられ、それにより、ノッチ底部に分離ウェブが形成され、前記分離ウェブは、後の分離の際、場合によっては前記分離ウェブを曲げ変形させる圧延プロセスの後にも、バリが少なく粗い分離面を形成し、第1の製造ラインには、コイルの形態の前記金属ストリップのための駆動され制御されるアンコイラー(1)と、惰性回転を可能にするオーバーランニングクラッチが設けられた、前記金属ストリップのための矯正及び輸送ユニット(3)と、少なくとも前記ストリップ始点を形成するための下流のクロップシャー(4)と、前記アンカーノッチ及び前記破断ノッチの両方を前記金属ストリップに導入するための、上側ローラー及び下側ローラーから成り、圧延機ユニットとして設計されたノッチ形成ローラー(6)と、が設けられており、両ローラーの前記同期走行特性及びそれらの互いに対する軸方向ガイドは正確に調整可能であり、更に、前記破断ノッチ内の前記アンカーのより深い切り込み、刻み込み、又は、望ましい限りにおいて平坦化のための、1つ又は複数のスクラッチローラー対を有する、組み合わされたスクラッチ及び矯正ユニット(7)と、前記金属ストリップをコイルとして再び巻き取るためのコイラー装置(8)と、が設けられている、装置。
【請求項6】
前記スクラッチローラー対の後方に、必要に応じて、前記金属ストリップのための複数の圧延ステーションが設けられており、更に、前記アンカーノッチ内に存在し、アンカーライン上で前記金属ストリップの前記走行方向に対して垂直に配置された前記アンカーのための光学的な検出ユニット(9.1)が設けられており、これにより、前記破断ノッチ領域における前記アンカーの前記金属繊維ストランドの予備分離を可能にする長手方向分割ローラー(9.2)の制御が行われ、ノッチ形成された前記金属ストリップの前進のために後方に配置された引張ローラー(10)が設けられており、前記コイラー装置(13)の前には、任意選択的に、コイル巻きの前にノッチ形成された前記金属ストリップを予め曲げるための、クロップシャーを有する矯正ユニット(11)が配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ノッチ形成され焼き戻しされた前記金属ストリップを繰り出すために、駆動され制御されたアンコイラー(21)と、前記ストリップ始点を矯正し嵌め込むための、オーバーランニングクラッチを備える構成とされた矯正機(22)と、が設けられており、更に、前記ストリップ始点に清浄で平坦な切断面を設けるためのクロップシャー(23)と、前記アンカーノッチ及び前記破断ノッチ内に存在しアンカーライン上で前記金属ストリップの前記走行方向に対して垂直に配置された前記アンカーを確定するための光学的な検出装置(26)と、が設けられており、前記金属ストリップをガイドするために、前記光学的な検出装置(26)の前方又は後方に、互いに部分的に分離された前記金属繊維のための平坦な狭いストリップガイド(25若しくは27)が設けられており、更に、前記金属繊維ストランドを互いに完全に分離するための引っ張られ又は任意選択的に駆動側で支援された長手方向分割ローラー(28)及び引張ローラー(30)が設けられており、前記金属繊維ストランドは、前記引張ローラー(30)によって、狭いガイド(29)を通じて、前記光学的な位置検出(26)によって制御される横方向分割シャー(32)に、短縮のために押し込まれ、前記繊維は、収容容器(33)に供給されることを特徴とする、第2の製造ラインを実行するための請求項5及び6に記載の装置。
【請求項8】
前記スクラッチ及び矯正ユニット(7)には、複数の、好ましくは2つの、スクラッチローラー対が設けられていることを特徴とする、請求項5~7に記載の装置。
【請求項9】
帯状の平坦な材料から形成された、請求項1~6に記載の金属繊維、特に鋼繊維であって、前記金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられており、前記金属繊維は、長手方向に、好ましくは両方の金属ストリップ面に破断ノッチが設けられた金属ストリップから形成されており、前記破断ノッチの底部は分離ウェブを形成し、前記分離ウェブは、後の分離の際、場合によっては前記分離ウェブを曲げ変形させる圧延プロセスの後にも、バリが少なく粗い分離面を形成し、使用される前記金属ストリップは、後の使用の際に前記金属繊維に要求される強度に関して適合された材料から成り、上側及び下側で軸方向に互いにオフセットして配置された前記アンカーノッチ及び前記破断ノッチの両方は、上側ローラー及び下側ローラーから成り、圧延機構として形成されたノッチ形成ローラー(6)によって導入され、正確な同期走行特性を有する両ローラーには、前記アンカーノッチ若しくは前記破断ノッチ内に、アンカー面及び/又はアンカーを形成するための中断部が設けられることができ、前記破断ノッチは、スクラッチ及び矯正ユニット(7)のスクラッチローラー対によってより深く切り込まれ、刻み込まれ、又は、前記アンカーは前記破断ノッチ内で平坦化され得る、金属繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属繊維、特に焼き戻しされた又は焼き戻しされていない鋼繊維を、帯状の平坦な材料から製造するための方法であって、金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられており、金属繊維を形成するために、金属ストリップには、長手方向に、好ましくは両方の金属ストリップ面に、破断ノッチが設けられ、それにより、ノッチ底部に分離ウェブが形成され、分離ウェブは、後の分離の際、場合によっては分離ウェブを曲げ変形させる圧延プロセスの後にも、バリが少なく粗い面を形成するものに関する。
【0002】
更に、本発明は、また、この方法を実行するための装置、及び、当該方法によって製造された金属繊維、特に鋼繊維に関する。
【背景技術】
【0003】
この種の金属繊維は、特に特許文献1に、既に記載されている。このような金属繊維は、コンクリートにおける混和剤として用いられ、コンクリート部材に生じ引張荷重の低下を引き起こす亀裂を補償し、すなわち、引張荷重を吸収し、このようにして、比喩的に言えば、亀裂を縫い合わせるという課題を有する。これを達成するために、可能な限り多数の金属繊維が、部材全体にわたって可能な限り均等に分配されなければならない。このために、金属繊維は、単位重量当たりの数が多くなり、それにより統計的に高いレベルの均質性が達成されるよう、薄くなければならない。ここで重要なことは、金属繊維が、例えば繊維端部の鉤などのような、その表面を越えて突出する突起若しくは大きな突起を可能な限り有してはならないことである。当該突起は、コンクリート中での金属繊維の「凝集」、したがって、不均一な分布につながるであろう「ヘッジホッグ形成」をもたらす可能性がある。他方、引張荷重下での金属繊維の作用に対して、まさに固定が、使用される材料の強度と共に、引張強度にとって決定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017006298号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建設業界で確立された性能規準を満たすためには、一方では金属繊維の設計に関して、他方では強度及び伸びの観点で使用される繊維材料の設計に関して、調整が必要である。その際、本発明の課題設定の範囲内で、特に、可能な限り簡易で安価な製造技術を使用できることも、重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明による方法の観点から、金属ストリップとして、第一に、後の使用の際に金属繊維に要求される強度に対して適合された材料が使用され、金属ストリップは、第1の製造ラインにおいて、コイルの形態で、駆動され制御されるアンコイラー(1)から、惰性回転を可能にするオーバーランニングクラッチが設けられていると共に少なくともストリップ始点を形成する後方に配置されたクロップシャー(4)を備える矯正及び輸送ユニット(3)に供給され、そのうえで、金属ストリップは、上側ローラー及び下側ローラーから成り、上側及び下側で軸方向に互いにオフセットして配置されたアンカーノッチ及び破断ノッチの両方を導入するための、圧延機構として設計されたノッチ形成ローラー(6)に供給され、両方のローラーには、アンカーノッチ又は破断ノッチ内に、金属ストリップ上のアンカーラインを形成するアンカー面及び/又はアンカーを形成するための中断部が設けられることができ、そのために、ローラーは、上側及び下側ローラーに関するアンカーラインの正確な位置決めのための同期走行特性において正確に調整可能であり、更に互いに対する両方のローラーの安定かつ調整可能な軸方向ガイドを備えて構成されており、金属ストリップは、続いて、必要に応じて、破断ノッチ内のアンカーのより深い切り込み、刻み込み若しくは平坦化のための、1つ又は複数のスクラッチローラー対を有する、組み合わされたスクラッチ及び矯正ユニット(7)を通過し、最終的に、コイラー装置(8)によって再びコイルとして巻き取られるか、又は、対応する製造ラインにおいて更に前進させられることにより解決される。
【0007】
本発明により達成される進歩は、とりわけ、金属繊維の変形プロセス、すなわち特にノッチ形成圧延のために、適合された材料が意図され得る点にあり、それにより、アンカーノッチのための曲げ力がより小さく、したがって圧延力がより小さいために、より小さなローラーを使用することができる。金属ストリップは、比較的薄いものが選択され得るため、金属繊維ストランド間の破断ノッチのウェブは非常に小さく具現されることができ、したがって、後の分離が容易なものとなり得る。内部アンカーが設けられた金属ストリップの上側及び下側にアンカーノッチを配置することにより、ガイド機能によるそれらの相互オフセットにより、軸方向力をより容易に制御可能な限界内に保つことが可能になり、これにより機械的なコストが大幅に低減される。最後に、切欠き、焼き戻し及び分離の上述した製造プロセスは、金属繊維ストリップの非常に省スペースな保管を可能にする。なぜなら、金属繊維への分離は、需要に即して後の時点で行うことができ、一方、例えば大きな袋のような容器内に充填された金属繊維は、はるかに多くの空間を占め、コンクリートへの混合のためのそれらの後の分離は労力を要し、大抵の場合、このために特別に調整された装置を必要とするからである。
【0008】
本発明の範囲内において、特に、金属ストリップが、スクラッチローラー対の下流の任意選択的なスクラッチ及び矯正ユニットにおいて、任意選択的に複数の圧延ステーションを通過し、その後、アンカーノッチ内に存在し、アンカーライン上で金属ストリップの走行方向に対して垂直に配置されたアンカーの光学的な検出が行われ、これにより、破断ノッチ領域内のアンカーの金属繊維ストランドの予備分離を必要に応じて行う長手方向剪断機の制御が行われ、そのうえで、長手方向分割ローラーが、金属ストリップの予備分離された繊維を実質的にアンカー領域において分離し、ノッチ形成された金属ストリップは、後方に配置された引張ローラーによって分離ローラーを通じて引っ張られ、これは、それを支援する制御された固有の駆動部を必要とし、コイラー装置の前には、任意選択的に、クロップシャーを有する矯正ユニットと、ノッチ形成された金属ストリップをコイル巻きの前に予め曲げるための更なる矯正ユニットと、が設けられている、という可能性も存在する。しかしながら、特に焼き戻しが企図されていない場合、コイル巻きの代わりに、繊維は直ちにも製造され得る。比較的薄い分離ウェブにより、金属ストリップの焼き戻しプロセスの実行後でさえ、引っ張られ場合によっては支援する駆動部が設けられた分離ローラーによって、特に容易で円滑な長手方向分離が可能になる。
【0009】
これらのプロセス・ステップに続いて、使用される出発材料又は所望の最終製品の特性に応じて、ノッチ形成された金属ストリップは、慣用された通常の焼き戻しプロセスに供され得るが、当該プロセスについては、したがって、ここでは詳細には説明しない。
【0010】
更に、本発明は、代替的な第2の製造ラインにおいて、任意選択的なスクラッチユニット及び予備分離の後に、ノッチ形成され必要に応じて焼き戻しされた金属ストリップが、駆動され制御されるアンコイラーによって繰り出され、ストリップ始点を矯正し嵌め込むために、やはりオーバーランニングクラッチを備える構成とされた矯正機に供給され、ストリップ始点には、後方に配置されたクロップシャーによって、清浄で平坦な切断面が設けられ、そのうえで、平坦で狭いストリップガイドを通過した後、後の横方向分割シャーの制御に用いられる、アンカーノッチ内に存在しアンカーライン上で金属ストリップの走行方向に対して垂直に配置されたアンカーの光学的な検出が行われ、平坦で狭い更なるストリップガイドを通過した後、引っ張られ又は支援する駆動部が設けられた長手方向分割ローラーにおいて、金属繊維同士の完全な分離が行われ、このために、分離された金属繊維は、引張ローラーの大きな引張荷重によって、狭いガイドを通じて引っ張られ、更に、長手方向に分離されタイトにガイドされて横方向分割シャーに押し込まれ、最終的に短縮され、分離された金属繊維のための収容容器に供給されることを企図している。
【0011】
金属繊維、特に鋼繊維が、帯状の平坦な材料から製造される前述した方法を実行する前述した方法であって、金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられており、金属繊維を形成するために、金属ストリップには、長手方向に、好ましくは両方の金属ストリップ面に、破断ノッチが設けられ、それにより、ノッチ底部に分離ウェブが形成され、分離ウェブは、後の分離の際、場合によっては分離ウェブを曲げ変形させる圧延プロセスの後にも、バリが少なく粗い分離面を形成する方法を実行するために、装置に関する観点において、本発明は、第1の製造ラインに、コイルの形態の金属ストリップのための駆動され制御されるアンコイラーと、惰性回転を可能にするオーバーランニングクラッチが設けられた、金属ストリップのための矯正及び輸送ユニットと、少なくともストリップ始点を形成するための後方に配置されたクロップシャーと、アンカーノッチ及び破断ノッチを金属ストリップに導入するための、上側ローラー及び下側ローラーから成り、圧延ユニットとして設計されたノッチ形成ローラーと、が設けられ、両ローラーの同期走行特性及びそれらの互いに対する軸方向ガイドは正確に調整可能であり、更に、必要に応じて、金属ストリップの破断ノッチ内のアンカーの切り込み、刻み込み、又は、望ましい限りにおいて平坦化のための、1つ又は複数のスクラッチローラー対を有する、組み合わされたスクラッチ及び矯正ユニットと、金属ストリップをコイルとして再び巻き取るためのコイラー装置 と、が設けられていることを提案する。
【0012】
この場合、スクラッチローラー対の後方に、必要に応じて、金属ストリップのための複数の圧延ステーションが設けられており、更に、アンカーノッチ内に存在し、アンカーライン上で金属ストリップの走行方向に対して垂直に配置された、アンカーのための光学的な検出ユニットが設けられており、これにより、破断ノッチ領域における金属繊維ストランドのアンカーの予備分離を可能にする長手方向分割ローラーの制御が行われ、ノッチ形成された金属ストリップの前進のために後方に配置された引張ローラーが設けられており、コイラー装置の前方には、任意選択的に、ノッチ形成された金属ストリップをコイル巻きの前に予め曲げるための、クロップシャーを有する矯正ユニットが配置されており、コイラーの代わりに、第2の製造ラインにしたがって、長手方向及び横方向分割のために必要なユニットが設けられ得ることが有利であり、したがって、本発明の範囲内において好ましい。
【0013】
第2の製造ラインを実行するために、ノッチ形成され及び/又は任意選択的に焼き戻しされた金属ストリップを繰り出すために、駆動され制御されるアンコイラーと、ストリップ始点を矯正し嵌め込むための、オーバーランニングクラッチを備える構成とされた矯正機と、が設けられており、更に、ストリップ始点に清浄で平坦な切断面を設けるためのクロップシャーと、アンカーノッチ及び破断ノッチ内にありアンカーライン上で金属ストリップの走行方向に対して垂直に配置されたアンカーを確定するための光学的な検出装置と、が設けられており、金属ストリップをガイドするために、光学的な検出装置の前方及び後方に、互いに部分的に分離された金属繊維のための平坦な狭いストリップガイドが設けられており、更に、金属繊維ストランドを互いに完全に分離するために、引っ張られ又は任意選択的に駆動支援された長手方向分割ローラー及び引張ローラーが設けられており、更に、長手方向に分離された金属繊維ストランドのために、光学的な検出装置によって制御される、金属繊維ストランドを短縮する横方向分割シャーへの狭いガイドが設けられ得る、と有利である。繊維は、収容容器に供給される。
【0014】
その場合、スクラッチ及び矯正ユニットに、複数の、好ましくは2つのスクラッチローラー対が設けられていると、有利であることが判明している。
【0015】
最後に、本発明は、帯状の平坦な材料から形成された金属繊維、特に鋼繊維であって、金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられており、金属繊維は、長手方向に、好ましくは両方の金属ストリップ面に破断ノッチが設けられた金属ストリップから形成されており、破断ノッチの底部は分離ウェブを形成し、分離ウェブは、後の分離の際、場合によっては分離ウェブを曲げ変形させる圧延プロセスの後にも、バリが少なく粗い分離面を形成し、使用される金属ストリップは、後の使用の際に金属繊維に要求される強度に関して適合された材料から成り、上側及び下側で軸方向に互いにオフセットして配置されたアンカーノッチ及び破断ノッチの両方は、上側ローラー及び下側ローラーから成り、圧延機構として形成されたノッチ形成ローラーによって導入され、正確な同期走行特性を有する両ローラーには、アンカーノッチ若しくは破断ノッチ内に、アンカー面及び/又はアンカーを形成するための中断部が設けられることができ、破断ノッチは、スクラッチ及び矯正ユニットのスクラッチローラー対によってより深く切り込まれ、刻み込まれ、又は、アンカーは破断ノッチ内で平坦化され得るものに関する。
【0016】
以下において、本発明が、装置の形態の実施例に基づいて、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1a】第1の構成におけるコールドストリップからノッチ形成された金属ストリップへの、本発明による製造ラインの概略図である。
図1b】第1の構成におけるコールドストリップからノッチ形成された金属ストリップへの、本発明による製造ラインの概略図である。
図2a】上面図における、代替的な構成の図1に対応する図示であり、任意選択的にのみ設けられる構築ユニットの全ても描かれている。
図2b】断面図における、代替的な構成の図1に対応する図示であり、任意選択的にのみ設けられる構築ユニットの全ても描かれている。
図3】ノッチ形成された金属ストリップの一部を、アンカーライン及び分離されていないウェブ領域(ウェブ残部)と共に示す。
図4】ノッチ形成された金属ストリップからノッチ形成された金属繊維までの、図1又は図2の対象に続く製造ラインを側面図で示す。
図5】金属繊維を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面に示された構成は、金属繊維、特に鋼繊維を、帯状の平坦な材料から製造するために使用される方法を実行することを意図している。例示的に図5に断面図で示されたこれらの金属繊維は、実質的に長方形の断面を有し、それぞれ幅のより広い繊維側面のうち、少なくとも一方、しかしながら好ましくは両方に、繊維長手方向に延びる少なくとも1つのV字状のアンカーノッチが設けられている。金属繊維を形成するために、金属ストリップには、長手方向に、好ましくは両方の金属ストリップ面に、破断ノッチが設けられ、それにより、ノッチ底部に分離ウェブが形成される。これらの分離ウェブは、後の分離の際、場合によっては分離ウェブを曲げ変形させる圧延プロセスの後にはじめて、バリが少なく粗い分離面を形成する。
【0019】
金属ストリップとしては、ここでは通常、第一に、後の使用の際に金属繊維に要求される強度に対して適合された材料が使用される。金属ストリップは、この場合、図1にしたがって、第1の製造ライン1において、コイルの形態で、駆動され制御されるアンコイラーから、惰性回転を可能にするオーバーランニングクラッチが設けられた矯正及び輸送ユニット3に供給される。当該ユニットは、更に、少なくともストリップ始点を形成する後方に配置されたクロップシャー4を備える。
【0020】
続いて、金属ストリップは、上側ローラー及び下側ローラーから成り、圧延機ユニットとして設計されたノッチ形成ローラー6に供給される。当該ノッチ形成ローラー6は、上側及び下側で軸方向に互いにオフセットして配置されたアンカーノッチ、及び、その中断部がアンカーラインを形成する破断ノッチの両方を導入するために用いられる。ノッチ形成ローラー6は、下側ローラーに対する上側ローラー上のアンカーラインの正確な位置決めを達成するために、両ローラーの正確で調整可能な同期走行特性を有する。更に、当該ノッチ形成ローラー6は、両方のローラーの互いに対する安定かつ調整可能な軸方向ガイドを備えて構成されている。続いて、必要であれば、金属ストリップは、1つ又は複数のスクラッチローラー対(好ましくは信頼性のあることが実証されている2つのスクラッチローラー対)を用いて破断ノッチにアンカーを刻み込むための、組み合わされたスクラッチ及び矯正ユニット7を通過する。最終的に、金属ストリップは、コイラー装置8によって、再びコイルとして巻き取られる。ここで説明した個々の構成要素を配置する際、コイル始点の巻き取り及び装着、並びに、リング始点の準備のために、アンコイラー1の後方にもクロップシャー4の後方にも、十分な自由空間2又は5が存在しなければならないことに注意されたい。
【0021】
位置1~7について同じ参照符号が使用された図2による代替的なプロセス・シーケンスにおいて、金属ストリップは、スクラッチ及び矯正ユニット7において、スクラッチローラー対の後に、任意選択的に複数の圧延ステーションを通過し、そのうえで、ノッチ内に存在し、アンカーライン上で金属ストリップの走行方向に対して垂直に配置されたアンカーの光学的な検出9.1が行われる。これは、破断ノッチのアンカー領域内の金属繊維ストランドの予備分離を行う長手方向分割ローラー9.2の制御を可能にし、ノッチ形成された金属ストリップは、後方に配置された引張ローラー10によって長手方向分割ローラーを通じて引っ張られる。それにより、長手方向分割ローラーは、それを支援する固有の駆動部を必要としないか又はただ1つしか必要としない。コイラー装置13の前には、任意選択的に、クロップシャーを有する矯正ユニット11と、コイル巻きの前にノッチ形成された金属ストリップを予め曲げるための更なる矯正ユニット12と、が備えられ得る。焼き戻しなしの金属繊維に対しては、数字11~13による機械ユニットは、図4による機械ユニット25~33によって置き換えられ得る。
【0022】
図3には、金属繊維ストランドの側面図及び上面図が示されており、ここでは、ウェブが分離されている又は分離されていない領域が、認識可能である。更に、アンカーライン、及び、繊維が短縮される切断線Aが、認識可能である。
【0023】
次いで、ノッチ形成された金属ストリップは、任意選択的に、後続のプロセス・ステップにおいて、詳細には示されていない方法で、慣用された通常の焼き戻しプロセスに供され得る。
【0024】
図4に概略的に示された第2の製造ラインにおいて、ノッチ形成され焼き戻しされた金属ストリップは、駆動され制御されるアンコイラー21によって繰り出され、ストリップ始点を矯正し嵌め込むために、オーバーランニングクラッチを備える構成とされた矯正機22に供給される。その場合、ストリップ始点には、後方に配置されたクロップシャー23によって、清浄で平坦な切断面が設けられる。ここでも、やはり、ストリップ始点を処理し又は巻き込むために、クロップシャーの後方に十分な自由空間24が設けられるべきである。
【0025】
平坦で狭いストリップガイド25を通過した後、26において、後の横方向分割シャーの制御に用いられる、アンカーノッチ内に存在しアンカーライン上で金属ストリップの走行方向に対して垂直に配置されたアンカーの光学的な検出が行われる。平坦で狭い更なるストリップガイド27を通過した後、引っ張られ又は支援する駆動部が設けられた長手方向分割ローラー28において、金属繊維同士の完全な分離が行われ、このために、分離された金属繊維は、より大きな引張荷重によって、狭いガイド29を通じて引張ローラー30に供給される。
【0026】
更に狭いプレートガイド31の後、長手方向に分割された金属繊維ストランドは、横方向分割シャー32に押し込まれ、短縮され、最終的に、ばらばらにされた金属繊維のための収容容器33に供給される。
図1a-1b】
図2a-2b】
図3
図4
図5
【国際調査報告】