(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】熱交換器の加工方法、および熱交換器の加工のための押圧装置
(51)【国際特許分類】
B21D 53/08 20060101AFI20240416BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20240416BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20240416BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20240416BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B21D53/08 L
F28F9/26
F28D1/053 A
F28F1/02 A
F28D1/047 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563305
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 CN2022087208
(87)【国際公開番号】W WO2022218428
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110413029.2
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511091818
【氏名又は名称】杭州三花▲微▼通道▲換▼▲熱▼▲器▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SANHUA(HANGHOU)MICRO CHANNEL HEAT EXCHANGER CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】#289,12th Street,Hangzhou Economic Development Area,Hangzhou,Zhejiang 310018,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲チュン▼
(72)【発明者】
【氏名】位 征
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 月
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065FA19
3L103AA35
(57)【要約】
熱交換器の加工方法および熱交換器の加工のための押圧装置を提供する。前記熱交換器の加工方法は、熱交換器を用意するステップであって、熱交換器の一方の熱交換管の屈曲セグメントが、第1の管の長手方向に隣接する他方の熱交換管の屈曲セグメントの少なくとも一部に接触するステップと、押圧部材の少なくとも一部を少なくとも1つの熱交換管の屈曲セグメントの少なくとも一部に接触させるように、押圧部材を配置するステップと、屈曲セグメントを接続されている第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、押圧部材を移動し、及び/又は屈曲セグメントを接続されている第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、熱交換管の屈曲セグメントを移動することにより、1つの熱交換管の屈曲セグメントが第1の管の長手方向に隣接する熱交換管の屈曲セグメントと接触しないようにするステップと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の加工方法であって、
前記熱交換器を提供するステップであって、前記熱交換器は、第1の管、第2の管および熱交換管を含み、前記熱交換管が前記第1の管と前記第2の管とを連通し、前記熱交換管が第1のセグメント、第2のセグメント、および屈曲セグメントを含み、前記屈曲セグメントの一端が前記第1のセグメントに接続され、前記屈曲セグメントの他端が前記第2のセグメントに接続され、前記熱交換管の屈曲セグメントがねじりセグメントを含み、前記熱交換管は複数であり、複数の前記熱交換管の第1のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記熱交換管の第2のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記熱交換器の加工前に、一方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントは、前記第1の管の長手方向に隣接する他方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触するステップと、
押圧部材の少なくとも一部を少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触させるように、押圧部材を配置するステップと、
前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、前記押圧部材を移動し、及び/又は
前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、前記熱交換管の前記屈曲セグメントを移動することにより、
加工後の1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントが前記第1の管の長手方向に隣接する前記熱交換管の前記屈曲セグメントと接触しないようにするステップと、を含む、
熱交換器の加工方法。
【請求項2】
前記ねじりセグメントは、前記熱交換管の屈曲セグメントの少なくとも一部が前記熱交換管の第1のセグメントに対してねじれて形成され、前記押圧部材は、前記押圧部材及び前記屈曲セグメントの一部の前記第1の管の長手方向における位置が変化するように移動する、
請求項1に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項3】
前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材は、移動中に、少なくとも1つの前記屈曲セグメントの第3の側面の一部に接触して、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる、
請求項1又は2に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項4】
前記押圧部材は、移動中に、少なくとも1つの前記屈曲セグメントの第2の側面の一部に接触して、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる、
請求項1~3のいずれかに記載の熱交換器の加工方法。
【請求項5】
前記押圧部材は、移動中に、複数の前記屈曲セグメントに同時に接触して、複数の前記屈曲セグメントをそれぞれに接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させる、
請求項1~4のいずれかに記載の熱交換器の加工方法。
【請求項6】
前記押圧部材は回転部と軸とを含み、前記回転部は少なくとも一部の円周面を含み、前記押圧部材が移動中に、前記回転部の円周面が少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの部分に接触する、
請求項1~5のいずれかに記載の熱交換器の加工方法。
【請求項7】
前記押圧部材が移動中に、前記回転部が前記軸の軸線周りに回転し、前記回転部の回転方向は、前記屈曲セグメントの接続されている前記第1のセグメントに対する回転方向と逆である、
請求項6に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項8】
前記押圧部材が移動中に、前記回転部の回転方向は前記押圧部材の移動方向と逆である、
請求項6又は7に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項9】
前記熱交換管はマイクロチャンネル扁平管である、
請求項1~8のいずれかに記載の熱交換器の加工方法。
【請求項10】
熱交換器の加工のための押圧装置であって、
前記熱交換器は熱交換管を含み、前記熱交換管が第1のセグメント、第2のセグメントおよび屈曲セグメントを含み、前記屈曲セグメントの一端が前記第1のセグメントに接続され、前記屈曲セグメントの他端が前記第2のセグメントに接続され、前記押圧装置は、前記熱交換管の前記屈曲セグメントを所定の角度だけ回転するかまたは所定の距離だけ移動するように押圧し、前記押圧装置は押圧部材を含み、前記押圧部材は外表面を含み、少なくとも一部の前記外表面の表面硬度は、前記熱交換管の表面硬度以下である、
熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項11】
前記押圧部材の外表面は円弧面または斜面を含み、少なくとも一部の前記円弧面または斜面の表面硬度は前記熱交換管の表面硬度以下である、
請求項10に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項12】
前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材は、円弧面と平面とを含み、前記押圧部材の円弧面が前記屈曲セグメントの第3の側面に接触し、前記押圧部材は、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させることを可能にする、
請求項10に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項13】
前記押圧部材は、
円周面と第1の孔とを含む円形部材と、
前記第1の孔に位置する軸であって、前記円周面が、前記軸の周りに対称的に設けられている軸と、を含む、
請求項10又は11に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項14】
前記円形部材が前記軸に接続され、前記円形部材の前記円周面は、少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの部分に接触可能である、
請求項13に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項15】
前記押圧部材は、突起部をさらに含み、
前記突起部は前記円周面に接続され、前記円周面の外側に位置し、前記突起部は複数であり、複数の前記突起部は前記円周面の周方向に沿って間隔をあけて設けられている、
請求項10又は11に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項16】
前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材の前記突起部の一側は、前記屈曲セグメントの第3の側面に接触可能である、
請求項15に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項17】
前記押圧部材は支持部材をさらに含み、前記軸の両端は前記支持部材に接続されている、
請求項13に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項18】
前記熱交換管の屈曲セグメントはねじりセグメントを含み、前記熱交換管は複数であり、複数の前記熱交換管の第1のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記熱交換管の第2のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記熱交換器の加工前に、一方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントは、前記第1の管の長手方向に隣接する別の前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触し、前記押圧部材が移動中に、前記円形部材が前記軸の軸線周りに回転可能であり、前記円形部材の回転方向は、前記屈曲セグメントの前記熱交換管の第1のセグメントに対する回転方向と逆である、
請求項17に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項19】
前記押圧部材の先端の位置は、前記熱交換管の前記屈曲セグメントの下端の位置よりも高い、
請求項10~18のいずれかに記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項20】
前記押圧部材の先端と前記熱交換管の前記屈曲セグメントの下端との距離Dは、前記屈曲セグメントの底部の上下方向の移動距離B以上である、
請求項19に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年4月16日に中国に提出した、中国特許出願番号がNo.202110413029.2であるものの優先権を主張し、そのすべての内容は引用を通じて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、熱交換技術の分野に関し、具体的に、熱交換器の加工方法、および熱交換器の加工のための押圧装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロチャンネル式熱交換器は空調分野で広く使用されており、関連技術では、マイクロチャンネル式熱交換器は複数の熱交換管を含み、熱交換面積を大きくするために熱交換管をねじり曲げて2列以上の熱交換器を形成し、このため、隣接する熱交換管の屈曲部分に局所的な熱交換管の重ね継ぎや重ね合わせが発生し、熱交換器の使用後に空気における塵や水分が熱交換管に重なって接触する部分に入り込み、この部分の熱交換管の腐食を加速させ、熱交換管の信頼性に影響を及ぼす。関連技術では、熱交換管の屈曲部分が接触しないように、隣接する熱交換管間の距離を長くする必要がある。限られた熱交換面積内では、隣接する熱交換管間の距離を増やすと熱交換管の数が減り、熱交換性能に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0004】
このため、本開示の実施例は、熱交換器の加工方法を提供し、この熱交換器の加工方法は、一方の熱交換管の屈曲セグメントが隣接する他方の熱交換管の屈曲セグメントと接触しないようにし、かつ、隣接する熱交換管間の距離を増加させず、熱交換器の信頼性と熱交換性能を向上させるのに有利である。
【0005】
本開示の実施例は、熱交換器の加工のための押圧装置をさらに提供し、この押圧装置は、屈曲セグメントをそれに接続されている第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させて、一方の熱交換管の屈曲セグメントが隣接する他方の熱交換管の屈曲セグメントと接触しないようにすることができる。
【0006】
本開示の実施例に係る熱交換器の加工方法は、前記熱交換器を提供するステップであって、前記熱交換器は、第1の管、第2の管および熱交換管を含み、前記熱交換管が前記第1の管と前記第2の管とを連通し、前記熱交換管が第1のセグメント、第2のセグメント、および屈曲セグメントを含み、前記屈曲セグメントの一端が前記第1のセグメントに接続され、前記屈曲セグメントの他端が前記第2のセグメントに接続され、前記熱交換管の屈曲セグメントがねじりセグメントを含み、前記熱交換管は複数であり、複数の前記熱交換管の第1のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記熱交換管の第2のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記熱交換器の加工前に、一方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントは、前記第1の管の長手方向に隣接する他方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触するステップと、押圧部材の少なくとも一部を少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触させるように、押圧部材を配置するステップと、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、前記押圧部材を移動させ、及び/又は前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、前記熱交換管の前記屈曲セグメントを移動させることにより、加工後の1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントが、前記第1の管の長手方向に隣接する前記熱交換管の前記屈曲セグメントと接触しないようにするステップと、を含む。
【0007】
本開示の実施例の熱交換器の加工方法によれば、押圧部材を使用して、一方の熱交換管の屈曲セグメントが隣接する他方の熱交換管の屈曲セグメントと接触しないようにすることで、空気における塵や水分が屈曲セグメントのねじりセグメントに溜まることを低減し、熱交換管の腐食を緩和することができ、熱交換器の信頼性の向上に有利である。また、隣り合う熱交換管間の距離が増加しないため、熱交換器の熱交換性能の向上に有利である。
【0008】
これにより、本開示の実施例の熱交換器の加工方法は、熱交換器の信頼性と熱交換性能の向上に有利である。
【0009】
いくつかの実施例では、前記ねじりセグメントは、前記熱交換管の屈曲セグメントの少なくとも一部が前記熱交換管の第1のセグメントに対してねじれて形成され、前記押圧部材が移動して、前記押圧部材及び前記屈曲セグメントの一部の前記第1管の長手方向の位置を変化させる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材は、移動中に、少なくとも1つの前記屈曲セグメントの第3の側面の一部に接触して、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる。
【0011】
いくつかの実施例では、前記押圧部材は、移動中に、少なくとも1つの前記屈曲セグメントの第2の側面の一部に接触して、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる。
【0012】
いくつかの実施例では、前記押圧部材は、移動中に、複数の前記屈曲セグメントに同時に接触して、複数の前記屈曲セグメントをそれぞれに接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記押圧部材は、回転部と軸とを含み、前記回転部は少なくとも一部の円周面を含み、前記押圧部材が移動中に、前記回転部の円周面が少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの部分に接触する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記押圧部材が移動中に、前記回転部が前記軸の軸線周りに回転し、前記回転部の回転方向は、前記屈曲セグメントの接続されている前記第1のセグメントに対する回転方向と逆である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記押圧部材が移動中に、前記回転部の回転方向は前記押圧部材の移動方向と逆である。
【0016】
いくつかの実施例では、前記熱交換管はマイクロチャンネル扁平管である。
【0017】
熱交換器の加工のための押圧装置であって、前記熱交換器は熱交換管を含み、前記熱交換管は、第1のセグメント、第2のセグメントおよび屈曲セグメントを含み、前記屈曲セグメントの一端が前記第1のセグメントに接続され、前記屈曲セグメントの他端が前記第2のセグメントに接続され、前記押圧装置は、前記熱交換管の前記屈曲セグメントを所定の角度だけ回転するまたは所定の距離だけ移動するように押圧し、前記押圧装置は押圧部材を含み、前記押圧部材は外表面を含み、少なくとも一部の前記外表面の表面硬度は、前記熱交換管の表面硬度以下である熱交換器の加工のための押圧装置。
【0018】
本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置によれば、熱交換器の熱交換管の屈曲セグメントを、接続されている第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、熱交換管を押圧して回転させるかまたは移動させ、ひいては一方の熱交換管の屈曲セグメントが隣接する他方の熱交換管の屈曲セグメントと接触しないようにすることができるため、熱交換管の屈曲セグメントのねじりセグメントに空気における塵や水分が溜まることを低減し、熱交換管の腐食を緩和することができる。
【0019】
なお、押圧部材の外表面の表面硬度は、熱交換管の表面硬度以下であり、熱交換管が押し潰されて変形したり、表面に傷がついたりすることを避けることができる。
【0020】
これにより、本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置は、熱交換管の腐食を緩和することができ、熱交換管の信頼性と熱交換性能の向上に有利である。
【0021】
いくつかの実施例では、前記押圧部材の外表面は円弧面または斜面を含み、少なくとも一部の前記円弧面または斜面の表面硬度は前記熱交換管の表面硬度以下である。
【0022】
いくつかの実施例では、前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材は、円弧面と平面とを含み、前記押圧部材の円弧面は、前記屈曲セグメントの第3の側面に接触し、前記押圧部材は、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させることを可能にする。
【0023】
いくつかの実施例では、前記押圧部材は、円周面と第1の孔とを含む円形部材と、前記第1の孔に位置する軸であって、前記円周面が、前記軸の周りに対称的に設けられている軸と、を含む。
【0024】
いくつかの実施例では、前記円形部材が前記軸に接続され、前記円形部材の前記円周面は、少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの部分に接触可能である。
【0025】
いくつかの実施例では、前記押圧部材は、突起部をさらに含み、前記突起部は前記円周面に接続され、前記円周面の外側に位置し、前記突起部は複数であり、複数の前記突起部は前記円周面の周方向に沿って間隔をあけて設けられている。
【0026】
いくつかの実施例では、前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材の前記突起部の一側は、前記屈曲セグメントの第3の側面に接触可能である。
【0027】
いくつかの実施例では、前記押圧部材は支持部材をさらに含み、前記軸の両端は前記支持部材に接続されている。
【0028】
いくつかの実施例では、前記熱交換管の屈曲セグメントはねじりセグメントを含み、前記熱交換管は複数であり、複数の前記熱交換管の第1のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記熱交換管の第2のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記熱交換器の加工前に、一方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントは、前記第1の管の長手方向に隣接する他方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触し、前記押圧部材が移動中に、前記円形部材が前記軸の軸線周りに回転可能であり、前記円形部材の回転方向は、前記屈曲セグメントの前記熱交換管の第1のセグメントに対する回転方向と逆である。
【0029】
いくつかの実施例では、前記押圧部材の先端の位置は、前記熱交換管の前記屈曲セグメントの下端の位置よりも高い。
【0030】
いくつかの実施例では、前記押圧部材の先端と前記熱交換管の前記屈曲セグメントの下端との距離Dは、前記屈曲セグメントの底部の上下方向の移動距離B以上である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の実施例による加工待ちの熱交換器の正面図である。
【
図3】本開示の実施例による加工後の熱交換器の模式図である。
【
図5】本開示の第1の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の模式図の一つである。
【
図6】本開示の第1の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の別の模式図である。
【
図7】本開示の第2の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の模式図の一つである。
【
図8】本開示の第2の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の別の模式図ある。
【
図9】本開示の第3の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の模式図の一つである。
【
図10】本開示の第3の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の別の模式図である。
【
図11】本開示の第4の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の模式図の一つである。
【
図12】本開示の第4の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の模式図である。
【
図13】本開示の第5の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の模式図である。
【
図14】本開示の第5の実施例による熱交換器の加工方法の熱交換器の模式図である。
【
図15】本開示の一実施例による熱交換器の加工のための押圧装置の模式図である。
【
図16】本開示の別の実施例による熱交換器の加工のための押圧装置の模式図である。
【
図17】本開示のさらに別の実施例による熱交換器の加工のための押圧装置の模式図である。
【
図18】本開示のさらに別の実施例による熱交換器の加工のための押圧装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本開示の実施例について詳細に説明する。それらの実施例は図面に示されている。以下に添付の図面を参照して説明する実施形態は例示的なものであり、本開示を説明するためのものであり、本開示を制限するものと理解することはできない。
【0033】
図1-
図14に示すように、本開示の実施例の熱交換器の加工方法によれば、以下のステップを含む。
【0034】
熱交換器100を用意し、熱交換器100は、第1の管11、第2の管12および熱交換管20を含み、熱交換管20は、マイクロチャンネル扁平管であり、熱交換管20が第1の管11と第2の管12とを連通し、熱交換管20は、第1のセグメント21、第2のセグメント22、および屈曲セグメント23を含み、屈曲セグメント23の一端が第1のセグメント21に接続され、屈曲セグメント23の他端が第2のセグメント22に接続され、熱交換管20は複数であり、複数の熱交換管20は、第1の管11の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、一方の熱交換管20の屈曲セグメント23は、第1の管11の長手方向(
図1における左右方向)に隣接する他方の熱交換管20の屈曲セグメント23の少なくとも一部に接触する。
図1と
図2に示すように、複数の熱交換管20の第1のセグメント21は、第1の管11の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、複数の熱交換管20の第2のセグメント22は、第1の管11の長手方向に沿って間隔をあけて設けられる。熱交換管20の屈曲セグメント23はねじりセグメント231を含み、ねじりセグメント231は、熱交換管20の少なくとも一部の屈曲セグメント23が熱交換管20の第1セグメント21に対してねじれて形成される。具体的には、熱交換管20の屈曲部23の少なくとも一部が第1のセグメント21に対して左側にねじられてねじりセグメント231が形成され、一方の熱交換管20の屈曲セグメント23のねじりセグメント231が隣接する他方の熱交換管20の屈曲セグメント23のねじりセグメント231の少なくとも一部に接触している。具体的には、第1の管11と第2の管12は熱交換器100の集流管10である。熱交換器100は、熱交換器100の左右両側に設けられるサイドプレート30と、熱交換管20に接続されるフィン40とをさらに備え、フィン40の配置方法は、熱交換器100の種類や使用シーンに応じて選択する。
【0035】
押圧部材50の少なくとも一部を少なくとも1つの熱交換管20の屈曲セグメント23の少なくとも一部に接触させるように、押圧部材50を配置する。具体的に、
図5、
図7、
図9、および
図11に示すように、押圧部材50を熱交換器100の下方に配置し、押圧部材50の頂部は、熱交換管20の屈曲セグメント23の底部に接触し、押圧部材50の先端の位置は、熱交換管20の屈曲セグメント23の下端の位置よりも高い。つまり、押圧部材50の頂部は、少なくとも屈曲セグメント23の底部の右側に接触している。従って、押圧部材50の少なくとも一部と熱交換管20とが第1の管11の長手方向に相対的に移動すると、屈曲セグメント23は、接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転するか、または所定の距離だけ移動することができる。
【0036】
屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、押圧部材50を移動し、及び/又は
屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、熱交換管20屈曲セグメント23を移動し、即ち熱交換器100の屈曲セグメント23は、第1の管11の長手方向の位置が変化し、全体として、押圧部材50と熱交換管20の屈曲セグメント23を第1の管11の長手方向に相対的に移動させ、
これにより、一方の熱交換管20の屈曲セグメント23が第1の管11の長手方向に隣接する熱交換管20の屈曲セグメント23と接触しないようにする。つまり、一方の熱交換管20の屈曲セグメント23と、第1の管11の長手方向に隣接する1つまたは2つの熱交換管20の屈曲セグメント23との間は隙間がある。
【0037】
なお、押圧部材50の移動は、併進と回転と含む。つまり、押圧部材50は、屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させるように回転することができ、押圧部材50は、屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように併進することもできる。
【0038】
図3と
図4に示すように、屈曲セグメント23が第1のセグメント21に対して角度Aだけ回転すると同時に、屈曲セグメント23の底部が上下方向に距離Bだけ移動し、左右方向に距離Cだけ移動する。
【0039】
押圧部材50は移動し、第1の管11の長手方向に併進し、すなわち、押圧部材50は、第1の管11の長手方向(
図1における左右方向)における位置が変化し、熱交換器100の複数の熱交換管20の屈曲セグメント23は、それぞれに接続されている第1セグメント21に対して順次所定の角度だけ回転するか、または所定の距離だけ移動する。
【0040】
本開示の実施例の熱交換器の加工方法によれば、押圧部材50と熱交換管20の屈曲セグメント23とが相対的に移動し、一方の熱交換管20の屈曲セグメント23が隣接する他方の熱交換管20の屈曲セグメント23と接触しないようにしているため、屈曲セグメント23のねじりセグメント231に空気における塵や水分が溜まることを低減し、熱交換管20の腐食を緩和することができ、熱交換器100の熱交換性能の向上に有利である。
【0041】
これにより、本開示の実施例の熱交換器の加工方法は、熱交換器100の信頼性と熱交換性能の向上に有利である。
【0042】
いくつかの実施例では、
図3と
図4に示すように、熱交換管20は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、熱交換管20は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含む。なお、熱交換管20の第1のセグメント21と第2のセグメント22において、第1の方向は、第1のセグメント21の厚さ方向(
図1における左右方向)であり、第2の方向は、第1のセグメント21の幅方向であり、第1の側面、第2の側面、第3の側面および第4の側面は、平面であり、熱交換管20の屈曲セグメント23とねじりセグメント231において、第1の方向と第2の方向は固定されておらず、第1の方向と第2の方向は屈曲セグメント23のねじりに応じて変化し、第1の側面、第2の側面、第3の側面および第4の側面は曲面である。具体的には、熱交換管20の断面における第1の側面、第2の側面、第3の側面および第4の側面の投影は、熱交換管20の断面における外周の輪郭を囲んでいる。
【0043】
図5-
図12に示すように、押圧部材50は、移動中に、少なくとも1つの屈曲セグメント23の第3の側面の一部に接触して、屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させる。
【0044】
図5-
図10、
図15-
図17に示すように、押圧部材50は円弧面51を有し、押圧部材50は右から左へ併進し、押圧部材50が移動中に、押圧部材50の円弧面51が屈曲セグメント23の第3の側面に接触して、屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させる。
【0045】
押圧部材50の先端の位置は、熱交換管20の屈曲セグメント23の下端の位置よりも高く、押圧部材50の先端と、熱交換管20の屈曲セグメント23の下端との距離はDである。なお、DはB以上であり、押圧部材50が右から左へ併進する回数を増やすことでBの値を増やすことができ、Dの値を増やすことでBの値を増やすこともできる。
【0046】
いくつかの実施例では、
図7、
図8と
図16に示すように、押圧部材50は回転部と軸502とを含む。回転部は少なくとも一部の円周面を含み、回転部の円周面は、少なくとも1つの熱交換管20の屈曲セグメント23の部分に接触している。
【0047】
本開示の実施例の熱交換器の加工方法によれば、回転部の円周面と屈曲セグメント23との接触部分が摩耗した後、回転部は軸502の軸線周りに一定の角度回転することができ、押圧部材50を交換する必要がなく、熱交換器100の加工を継続することができ、押圧部材50の寿命が向上し、加工効率も向上する。
【0048】
さらに、
図9、
図10、および
図17に示すように、押圧部材50が移動中に、回転部が軸502の軸線周りに回転することができ、回転部の回転方向は、屈曲セグメント23の接続されている第1のセグメント21に対する回転方向と逆である。なお、回転部が反時計回りに回転し、押圧部材50が右から左へ移動し、回転部の回転方向と押圧部材50全体の移動方向は同じである。
【0049】
本開示の実施例の熱交換器の加工方法によれば、押圧部材50が第1の管11の長手方向に移動しながら、外力によって回転部が軸502の軸線周りに回転駆動され、かつ回転部の回転方向が押圧部材50の移動方向と同じであるため、加工効率を向上させることができ、また、押圧部材50の移動時の熱交換管20に対する水平推力が減少し、熱交換器100の変形を改善することができる。
【0050】
図11、
図12、および
図18に示すように、押圧部材50は円形部材501と突起部504とを含み、円形部材501は、その軸線周りに回転可能であり、突起部504が円形部材501の外周面に設けられ、突起部504は複数であり、複数の突起部504は円形部材501の周方向に沿って間隔をあけて設けられている。円形部材501が反時計回りに回転し、押圧部材50が左から右へ併進し、即ち、円形部材501の回転方向は押圧部材50の移動方向と逆であり、押圧部材50が移動中に、押圧部材50の突起部504が屈曲セグメント23の第3の側面に接触する。
【0051】
押圧部材50の先端の位置は、熱交換管20の屈曲セグメント23の下端の位置よりも高く、押圧部材50の先端と熱交換管20の屈曲セグメント23の下端との距離がDである。なお、DはB以下であり、押圧部材50が左から右へ併進する回数を増やすことでBの値を増やすことができ、Dの値を増やすことでBの値を増やすこともできる。
【0052】
本開示の実施例の熱交換器の加工方法によれば、押圧部材50の突起部504が屈曲セグメント23の第3の側面に接触し、円形部材501の回転により、突起部504が屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させ、円形部材501が反時計回りに回転し、押圧部材50は左から右へ併進するため、押圧部材50の1回の併進移動の過程で、各熱交換管20の屈曲セグメント23の回転角度や移動距離が等しくなり、熱交換器100の外観を向上させるのに有利であり、また、熱交換管20は水平方向の推力を受けないため、熱交換器100の変形を改善することができ、すなわち熱交換器100の変形量を低減することができる。
【0053】
いくつかの実施例では、
図13と
図14に示すように、押圧部材50は、移動中に、少なくとも1つの屈曲セグメント23の第2の側面の一部も接触して、屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させる。
【0054】
具体的には、押圧部材50は可撓性の材料であり、押圧部材50は下から上に向かって屈曲セグメント23に接触し、押圧部材50を押圧し、押圧部材50の上面を変形させて屈曲セグメント23の第2の側面に接触させる。押圧部材50は右から左に移動し、摩擦力によって屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる。
【0055】
さらに、押圧部材50は、移動中に、複数の屈曲セグメント23に同時に接触して、複数の屈曲セグメント23をそれぞれに接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる。
【0056】
本開示の実施例の熱交換器の加工方法によれば、押圧部材50は、移動中に、屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させることができ、位置決めを行う必要がなく、加工工程が簡略化され、加工効率を向上させることができる。
【0057】
以下、図面を参照して、本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置を説明する。
【0058】
図15-
図20に示すように、本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置によれば、この押圧装置は、熱交換管20を回転するかまたは移動するように押圧するためのものである。押圧装置は押圧部材50を含み、押圧部材50は外表面を含み、少なくとも一部の外表面の表面硬度は、熱交換管20の表面硬度以下である。
【0059】
さらに、押圧部材は円弧面51又は斜面を含み、少なくとも一部の円弧面51又は斜面の表面硬度は、熱交換管20の表面硬度以下である。
【0060】
押圧部材の円弧面51又は斜面は熱交換管20に接触することができるため、熱交換管20の屈曲セグメント23を熱交換管20の第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させるように押圧することができる。
【0061】
図5-
図12に示すように、押圧部材50の先端の位置は、熱交換管20の屈曲セグメント23の下端の位置よりも高く、押圧部材50の先端と熱交換管20の屈曲セグメント23の下端との距離はDである。なお、DはB以上であり、押圧部材50が右から左に併進する回数を増やすことでBの値を増やすことができ、Dの値を増やすことでBの値を増やすこともできる。
【0062】
本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置によれば、押圧部材の移動又は熱交換器の移動により、熱交換器100の熱交換管20屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離を移動させ、ひいては一方の熱交換管20の屈曲セグメント23が隣接する他方の熱交換管20の屈曲セグメント23と接触しないようにすることができるため、熱交換管20の屈曲セグメント23のねじりセグメント231に空気における塵や水分が溜まることを低減し、熱交換管の腐食を緩和することができ、熱交換管の信頼性の向上に有利である。
【0063】
なお、押圧部材50の外表面の表面硬度は、熱交換管20の表面硬度以下であるため、熱交換管20が押し潰されて変形したり、表面に傷がついたりすることを避けることができ、熱交換管の信頼性を向上させる上で有利である。
【0064】
これにより、本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置は、熱交換器100の熱交換管20の屈曲セグメント23のねじりセグメント231に空気における塵や水分が溜まることを低減し、熱交換管20が押し潰されて変形したり、表面に傷がついたりすることを避けることができ、熱交換管の信頼性を向上させる上で有利である。
【0065】
図5、
図6と
図15に示すように、押圧部材50は、円弧面51と平面52とを有し、押圧部材50が右から左に向かって併進し、押圧部材50が移動中に、押圧部材50の円弧面51が屈曲セグメント23の第3の側面に接触して、屈曲セグメント23を接続されている第1のセグメント21に対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させる。屈曲セグメント23が所定の角度だけ回転または所定の距離だけ移動した後も、押圧部材50の上方の平面52は屈曲セグメント23に接触することができ、屈曲セグメント23の復帰をある程度阻止することができる。
【0066】
いくつかの実施例では、
図7-
図10、
図16と
図17に示すように、本開示の実施例による熱交換器の加工のための押圧装置の押圧部材50は円形部材501と軸502とを含む。円形部材501の外周面の少なくとも一部は、円弧面51として形成される。円形部材501は軸孔(即ち第1の孔)を有し、円形部材501は軸502に套設されている。
【0067】
図7、
図8および
図16に示すように、円形部材501と軸502とは固定的に接続されている。円形部材501の円周面は、少なくとも1つの熱交換管20の屈曲セグメント23の部分に接触している。円形部材501の円周面と屈曲セグメント23との接触部分が摩耗した後、円形部材501は軸502の軸線周りに一定の角度だけ回転することができ、押圧部材50を交換する必要がなく、熱交換器100の加工を継続することができ、押圧部材50の寿命が向上し、加工効率も向上する。
【0068】
図9、
図10と
図17に示すように、円形部材501は軸502に対してその軸線周りに回転することができ、軸502の両端は支持部材503に接続されている。押圧部材50が移動中に、円形部材501が軸502の軸線周りに回転し、円形部材501の回転方向は屈曲セグメント23の接続されている第1のセグメント21に対する回転方向と逆である。なお、円形部材501が反時計回りに回転し、押圧部材50が右から左に移動し、回転部の回転方向と押圧部材50全体の移動方向は同じである。このため、押圧部材50は、熱交換器100の加工効率を向上させることができ、また、押圧部材50が移動すると、熱交換管20に対する水平方向の推力が小さくなり、熱交換器100の変形を改善することができ、すなわち熱交換器100の変形量を低減することができる。
【0069】
いくつかの実施例では、
図11、
図12および
図18に示すように、本開示の実施例による熱交換器の加工のための押圧装置の押圧部材50は、円形部材501、軸502および突起部504を含む。
【0070】
円形部材501は円周面と第1の孔(図示せず)とを含む。軸502は第1の孔内に位置し、円形部材501の円周面は、軸502の周りに対称的に設けられている。つまり、軸502は第1の孔に嵌合し、軸502の中心線と円形部材501の円周面の各箇所との距離は等しい。言い換えれば、円形部材501の一方の端面に軸502を投影した外周輪郭は第1の円であり、円形部材501の円周面の当該端面への投影は第2の円であり、第1の円と第2の円とは同心である。
【0071】
突起部504は、円形部材501の円周面に接続され、その円周面の外側に位置し、突起部504は複数であり、複数の突起部504は円形部材501の円周面の周方向に沿って間隔をあけて設けられている。なお、この円周面の外側は円周面の軸502から離れる側である。
【0072】
本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置を作動させる場合、円形部材501が軸502の軸線周りに反時計回りに回転し、押圧部材50が左から右に併進し、すなわち、円形部材501の回転方向と押圧部材50の移動方向とが逆であり、押圧部材50が移動中に、押圧部材50の突起部504の一側が屈曲セグメント23の第3の側面に接触する。
【0073】
本開示の実施例の熱交換器の加工のための押圧装置によれば、押圧部材50の1回の併進移動において、各熱交換管20の屈曲セグメント23の回転角度や移動距離が等しく、熱交換器100の外観を向上することができるとともに、熱交換管20が水平方向の推力を受けないため、熱交換器100の変形、すなわち熱交換器100の変形量を低減することができる。
【0074】
本開示の説明では、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などという用語が示す方位または位置関係は図面に基づいて示される方位または位置関係であり、本開示を説明し説明を簡素化するためのものに過ぎず、示された装置または素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位によって構造及び操作することを示しまたは暗示するものではないため、本開示に対する限定として理解されない。
【0075】
また、「第1」、「第2」という用語は説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を示しまたは暗示し、示された技術的特徴の数を暗黙的に示すと理解されない。これにより、「第一」、「第二」と限定された特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示または暗黙的に含むことができる。本開示の説明では、「複数の」という意味は、特に具体的な明確な限定がない限り、例えば、2つ、3つなど、少なくとも2つである。
【0076】
本開示では、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「つながる」、「接続」、「固定」などの用語は広義的な理解とすべきであり、例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体となってもよく、または機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、または直接接続であってもよいし、中間媒体による間接的な接続であってもよいし、2つの素子の内部の連通または2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて上記用語の本開示において具体的な意味を理解することができる。
【0077】
本開示では、特に明確な規定と限定がない限り、第1の特徴は第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1と第2の特徴が直接的に接触し、または第1と第2の特徴は中間媒体によって間接的に接触することであってもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」、及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にあり、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことを示すだけであってもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」、「以下」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあり、又は第1の特徴の水平高さは第2の特徴より低いことを示すだけであってもよい。
【0078】
本開示では、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、または「いくつかの例」などの用語を参照する説明は、当該実施例または例を併せて説明した具体的な特徴、構造、材料、または特性は、本開示の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する概略的な説明は必ずしも同じ実施例又は例を対象とするとは限らない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は長所はいずれか或いは複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることができる。さらに、互いに衝突しない限り、当業者は本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合したり組み合わせたりすることができる。
【0079】
以上、本開示の実施例を示し説明したが、なお、上記の実施例は例示的なものであり、本開示に対する制限として理解されず、当業者は本開示の範囲内で上記の実施例を変更、修正、置換、及び変形することができる。
【符号の説明】
【0080】
熱交換器100、
集流管10、第1の管11、第2の管12、
熱交換管20、第1のセグメント21、第2のセグメント22、屈曲セグメント23、ねじりセグメント231、
サイドプレート30、
フィン40、
押圧部材50、円弧面51、平面52、円形部材501、軸502、支持部材503、突起部504。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
いくつかの実施例では、
図3と
図4に示すように、熱交換管20は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、熱交換管20は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含む。なお、熱交換管20の第1のセグメント21と第2のセグメント22において、第1の方向は、第1のセグメント21の厚さ方向(
図1における左右方向)であり、第2の方向は、第1のセグメント21の幅方向であり、第1の側面、第2の側面、第3の側面および第4の側面は、平面であり、熱交換管20の屈曲セグメント23とねじりセグメント231において、第1の方向と第2の方向は固定されておらず、第1の方向と第2の方向は屈曲セグメント23のねじりに応じて変化し、第1の側面、第2の側面、第3の側面および第4の側面は曲面である。具体的には、熱交換管20の断面における第1の側面、第2の側面、第3の側面および第4の側面の投影は、熱交換管20の断面における外周の輪郭を囲んでいる。
一例として、図4において、前記ねじりセグメント231の第1の側面はほぼ上向きであり、前記ねじりセグメント231の第2の側面はほぼ下向きであり、前記ねじりセグメント231の第3の側面はほぼ右向きであり、前記ねじりセグメント231の第4の側面はほぼ左向きである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の加工方法であって、
前記熱交換器を提供するステップであって、前記熱交換器は、第1の管、第2の管および熱交換管を含み、前記熱交換管が前記第1の管と前記第2の管とを連通し、前記熱交換管が第1のセグメント、第2のセグメント、および屈曲セグメントを含み、前記屈曲セグメントの一端が前記第1のセグメントに接続され、前記屈曲セグメントの他端が前記第2のセグメントに接続され、前記熱交換管の屈曲セグメントがねじりセグメントを含み、前記熱交換管は複数であり、複数の前記熱交換管の第1のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記熱交換管の第2のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記熱交換器の加工前に、一方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントは、前記第1の管の長手方向に隣接する他方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触するステップと、
押圧部材の少なくとも一部を少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触させるように、押圧部材を配置するステップと、
前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、前記押圧部材を移動し、及び/又は
前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させるように、前記熱交換管の前記屈曲セグメントを移動することにより、
加工後の1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントが前記第1の管の長手方向に隣接する前記熱交換管の前記屈曲セグメントと接触しないようにするステップと、を含む、
熱交換器の加工方法。
【請求項2】
前記ねじりセグメントは、前記熱交換管の屈曲セグメントの少なくとも一部が前記熱交換管の第1のセグメントに対してねじれて形成され、前記押圧部材は、前記押圧部材及び前記屈曲セグメントの一部の前記第1の管の長手方向における位置が変化するように移動する、
請求項1に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項3】
前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材は、移動中に、少なくとも1つの前記屈曲セグメントの第3の側面の一部に接触して、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる、
請求項
1に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項4】
前記押圧部材は、移動中に、少なくとも1つの前記屈曲セグメントの第2の側面の一部に接触して、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させる、
請求項
3に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項5】
前記押圧部材は、移動中に、複数の前記屈曲セグメントに同時に接触して、複数の前記屈曲セグメントをそれぞれに接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、又は所定の距離だけ移動させる、
請求項1~4のいずれかに記載の熱交換器の加工方法。
【請求項6】
前記押圧部材は回転部と軸とを含み、前記回転部は少なくとも一部の円周面を含み、前記押圧部材が移動中に、前記回転部の円周面が少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの部分に接触する、
請求項1~
4のいずれかに記載の熱交換器の加工方法。
【請求項7】
前記押圧部材が移動中に、前記回転部が前記軸の軸線周りに回転し、前記回転部の回転方向は、前記屈曲セグメントの接続されている前記第1のセグメントに対する回転方向と逆である、
請求項6に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項8】
前記押圧部材が移動中に、前記回転部の回転方向は前記押圧部材の移動方向と逆である、
請求
項7に記載の熱交換器の加工方法。
【請求項9】
前記熱交換管はマイクロチャンネル扁平管である、
請求項1~
4のいずれかに記載の熱交換器の加工方法。
【請求項10】
熱交換器の加工のための押圧装置であって、
前記熱交換器は熱交換管を含み、前記熱交換管が第1のセグメント、第2のセグメントおよび屈曲セグメントを含み、前記屈曲セグメントの一端が前記第1のセグメントに接続され、前記屈曲セグメントの他端が前記第2のセグメントに接続され、前記押圧装置は、前記熱交換管の前記屈曲セグメントを所定の角度だけ回転するかまたは所定の距離だけ移動するように押圧し、前記押圧装置は押圧部材を含み、前記押圧部材は外表面を含み、少なくとも一部の前記外表面の表面硬度は、前記熱交換管の表面硬度以下である、
熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項11】
前記押圧部材の外表面は円弧面または斜面を含み、少なくとも一部の前記円弧面または斜面の表面硬度は前記熱交換管の表面硬度以下である、
請求項10に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項12】
前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材は、円弧面と平面とを含み、前記押圧部材の円弧面が前記屈曲セグメントの第3の側面に接触し、前記押圧部材は、前記屈曲セグメントを接続されている前記第1のセグメントに対して所定の角度だけ回転させるか、または所定の距離だけ移動させることを可能にする、
請求項10に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項13】
前記押圧部材は、
円周面と第1の孔とを含む円形部材と、
前記第1の孔に位置する軸であって、前記円周面が、前記軸の周りに対称的に設けられている軸と、を含む、
請求項1
0に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項14】
前記円形部材が前記軸に接続され、前記円形部材の前記円周面は、少なくとも1つの前記熱交換管の前記屈曲セグメントの部分に接触可能である、
請求項13に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項15】
前記押圧部材は、突起部をさらに含み、
前記突起部は前記円周面に接続され、前記円周面の外側に位置し、前記突起部は複数であり、複数の前記突起部は前記円周面の周方向に沿って間隔をあけて設けられている、
請求項1
0に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項16】
前記熱交換管は、第1の方向に沿って設置される第1の側面と第2の側面とを含み、前記熱交換管は、第2の方向に沿って設置される第3の側面と第4の側面とを含み、前記押圧部材の前記突起部の一側は、前記屈曲セグメントの第3の側面に接触可能である、
請求項15に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項17】
前記押圧部材は支持部材をさらに含み、前記軸の両端は前記支持部材に接続されている、
請求項13に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項18】
前記熱交換管の屈曲セグメントはねじりセグメントを含み、前記熱交換管は複数であり、複数の前記熱交換管の第1のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、複数の前記熱交換管の第2のセグメントは、前記第1の管の長手方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記熱交換器の加工前に、一方の前記熱交換管の前記屈曲セグメントは、前記第1の管の長手方向に隣接する別の前記熱交換管の前記屈曲セグメントの少なくとも一部に接触し、前記押圧部材が移動中に、前記円形部材が前記軸の軸線周りに回転可能であり、前記円形部材の回転方向は、前記屈曲セグメントの前記熱交換管の第1のセグメントに対する回転方向と逆である、
請求項17に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項19】
前記押圧部材の先端の位置は、前記熱交換管の前記屈曲セグメントの下端の位置よりも高い、
請求項10~18のいずれかに記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【請求項20】
前記押圧部材の先端と前記熱交換管の前記屈曲セグメントの下端との距離Dは、前記屈曲セグメントの底部の上下方向の移動距離B以上である、
請求項19に記載の熱交換器の加工のための押圧装置。
【国際調査報告】