(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】MHCクラスIペプチドを含む方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240416BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20240416BHJP
C07K 14/74 20060101ALI20240416BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20240416BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240416BHJP
C12N 5/0784 20100101ALI20240416BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240416BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240416BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240416BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20240416BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240416BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240416BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240416BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240416BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240416BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240416BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20240416BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240416BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240416BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240416BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20240416BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240416BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240416BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240416BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240416BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240416BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240416BHJP
A61K 38/08 20190101ALN20240416BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K7/06
C07K14/74
C12N15/85 Z
C12N5/10
C12N5/0784
C07K16/46
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/115 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12P21/02 C
C12N5/0783
C07K14/725
C07K19/00
C12N15/62 Z
A61P35/00
A61K35/17
A61K47/62
A61K47/68
A61P37/04
A61K39/00 H
A61K31/7088
A61P35/02
A61K48/00
A61P43/00 121
A61K35/76
G01N33/50 K
A61K38/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563942
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022025223
(87)【国際公開番号】W WO2022225852
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】イー カシアン
(72)【発明者】
【氏名】パン ケ
(72)【発明者】
【氏名】チウ ユルン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045CA18
2G045FB03
2G045FB07
2G045GC12
4B064AG31
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4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
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4B065CA46
4C076AA24
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB25
4C076CC27
4C076CC41
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4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084BA02
4C084BA08
4C084BA16
4C084BA23
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C085AA03
4C085CC22
4C085DD86
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4C085GG10
4C086AA01
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4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
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4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087MA02
4C087MA13
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA15
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA86
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、がんに対して個体を処置しかつ個体にワクチン接種するための方法および組成物を提供することにより、当技術分野のニーズを満たす。したがって、本開示の局面は、SEQ ID NO:1または2のペプチドに対して少なくとも70%の配列同一性を含む、単離されたペプチドに関する。いくつかの態様では、前記ペプチドは、SEQ ID NO:1または2のペプチドについての少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む。さらなる局面は、前記単離されたペプチドを含む薬学的組成物、前記ペプチドをコードする核酸、ならびに本開示の核酸を含む発現ベクターおよび宿主細胞に関する。本開示のペプチド、核酸、または発現ベクターを含む、インビトロの単離された樹状細胞も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IYNGKLFDL(SEQ ID NO:1)またはSSSQESVPK(SEQ ID NO:2)のペプチドに対して少なくとも70%の配列同一性を含む、ペプチド。
【請求項2】
SEQ ID NO:1または2を含む、請求項1記載のペプチド。
【請求項3】
SEQ ID NO:1または2についての少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む、請求項1または2記載のペプチド。
【請求項4】
13アミノ酸長以下である、請求項1または3記載のペプチド。
【請求項5】
9アミノ酸からなる、請求項4記載のペプチド。
【請求項6】
免疫原性である、請求項1~5のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項7】
修飾されている、請求項1~6のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項8】
前記修飾が、ある分子へのコンジュゲーションを含む、請求項7記載のペプチド。
【請求項9】
前記分子が、抗体、脂質、アジュバント、または検出部分を含む、請求項7または8記載のペプチド。
【請求項10】
SEQ ID NO:1または2のペプチドに対して1、2、または3個の置換を有する、請求項1~9のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドと、MHCポリペプチドとを含む、分子複合体。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項記載の単離されたペプチドまたは請求項11記載の分子複合体と、薬学的担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項13】
非経口投与、静脈内注射、筋肉内注射、吸入、または皮下注射のために製剤化されている、請求項12記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記ペプチドが、リポソーム、脂質含有ナノ粒子、または脂質ベースの担体の中に含まれる、請求項12または13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
注射のためにまたは鼻用スプレーとしての吸入のために製剤化されている、請求項14記載の薬学的組成物。
【請求項16】
ワクチンとして製剤化されている、請求項12~15のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項17】
アジュバントをさらに含む、請求項12~16のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドをコードする、核酸。
【請求項19】
請求項18記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項20】
請求項18記載の核酸または請求項19記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項21】
請求項1~10のいずれか一項記載のペプチド、請求項18記載の核酸、または請求項19記載の発現ベクターを含む、インビトロの単離された樹状細胞。
【請求項22】
成熟樹状細胞である、請求項21記載の樹状細胞。
【請求項23】
HLA-A型を有する細胞である、請求項21または22記載の樹状細胞。
【請求項24】
請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項11記載の分子複合体に特異的に結合する、ペプチド特異的結合分子。
【請求項25】
二重特異性である、請求項24記載の結合分子。
【請求項26】
抗体、TCR模倣抗体、scFV、ラクダ科動物由来のもの、アプタマー、またはDARPINである、請求項24または25記載の結合分子。
【請求項27】
請求項18記載の核酸または請求項19記載の発現ベクターを細胞に移入する工程を含む、細胞を作製する方法。
【請求項28】
発現されたペプチドまたはポリペプチドを単離する工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
以下の工程を含む、がん特異的免疫エフェクター細胞を産生する方法:
(a)免疫エフェクター細胞の出発集団を得る工程、および
(b)免疫エフェクター細胞の該出発集団を、請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項11記載の分子複合体と接触させる工程であって、それによって、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞を生成する、工程。
【請求項30】
接触させる工程が、免疫エフェクター細胞の前記出発集団を、抗原提示細胞(APC)、人工抗原提示細胞(aAPC)、または人工抗原提示表面(aAPS)と共培養すること、としてさらに定義され、該APC、aAPC、またはaAPSが、その表面に前記ペプチドを提示する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記APCが樹状細胞である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記免疫エフェクター細胞が、T細胞、末梢血リンパ球、NK細胞、インバリアントNK細胞、NKT細胞である、請求項29~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記免疫エフェクター細胞が、間葉系幹細胞(MSC)または人工多能性幹(iPS)細胞から分化している、請求項29~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記T細胞が、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞、CD4
+Treg細胞、またはγδ T細胞である、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記T細胞が細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
得る工程が、末梢血単核細胞(PBMC)から免疫エフェクター細胞の出発集団を単離することを含む、請求項29~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
免疫エフェクター細胞の前記出発集団が、対象から得られる、請求項29~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
前記対象がヒトである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記対象が、がんを有する、請求項37または38記載の方法。
【請求項40】
前記がんが、前記ペプチドの発現について陽性である腫瘍細胞を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記がんが、白血病、肺がん、または皮膚がんを含む、請求項1~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、固形腫瘍を含む、請求項29~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、肺がんを含む、請求項29~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
前記肺がんが、腺癌または扁平上皮癌を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
共培養の前に、前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸を前記樹状細胞に導入する工程をさらに含む、請求項31~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸が、エレクトロポレーションによって導入される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸が、前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸を前記樹状細胞の培養培地に添加することによって導入される、請求項45記載の方法。
【請求項48】
前記免疫エフェクター細胞が、前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする前記核酸が導入された樹状細胞の第2の集団と共培養される、請求項45記載の方法。
【請求項49】
共培養の後に、前記免疫エフェクター細胞から、CD8陽性またはCD4陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性T細胞の集団が精製される、請求項45記載の方法。
【請求項50】
限界希釈または連続希釈、続いて、急速拡大増殖プロトコルによる個々のクローンの拡大増殖によって、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞のクローン集団が生成される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
ペプチド特異的免疫エフェクター細胞の前記クローン集団からのT細胞受容体(TCR)のクローニングをさらに含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記TCRのクローニングが、TCRアルファ鎖およびベータ鎖のクローニングである、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記TCRが、5'-cDNA末端迅速増幅(RACE)法を使用してクローニングされる、請求項51または請求項52記載の方法。
【請求項54】
クローニングされた前記TCRが、発現ベクターにサブクローニングされる、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記発現ベクターが、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記発現ベクターを宿主細胞に形質導入して、前記TCRを発現する操作された細胞を生成する、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記宿主細胞が免疫細胞である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記免疫細胞がT細胞であり、かつ前記操作された細胞が、操作されたT細胞である、請求項31~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
前記T細胞が、CD8
+T細胞、CD4+T細胞、CD4
+Treg細胞、またはγδ T細胞であり、かつ前記操作された細胞が、操作されたT細胞である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
免疫エフェクター細胞の前記出発集団が、がんを有する対象から得られ、かつ前記宿主細胞が、前記対象にとって同種または自己由来である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記がんが、前記ペプチドの発現について陽性である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
形質導入された前記宿主細胞から、CD8陽性またはCD4陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性の操作されたT細胞の集団が精製される、請求項58または59記載の方法。
【請求項63】
限界希釈または連続希釈、続いて、急速拡大増殖プロトコルによる個々のクローンの拡大増殖によって、ペプチド特異的な操作されたT細胞のクローン集団が生成される、請求項49記載の方法。
【請求項64】
請求項29~63記載の方法のいずれか1つに従って産生される、ペプチド特異的な操作されたT細胞。
【請求項65】
SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項66】
前記可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項65記載のポリペプチド。
【請求項67】
前記可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項66記載のポリペプチド。
【請求項68】
前記可変領域が、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項65~67のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項69】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項65~68のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項70】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項69記載のポリペプチド。
【請求項71】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項65~70のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項72】
前記シグナルペプチドが、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項71記載のポリペプチド。
【請求項73】
SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項74】
前記可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項73記載のポリペプチド。
【請求項75】
前記可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:14および15のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:15に対して少なくとも80%の配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項74記載のポリペプチド。
【請求項76】
前記可変領域が、アミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:12またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項73~75のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項77】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項73~76のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項78】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項77記載のポリペプチド。
【請求項79】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項73~78のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項80】
前記シグナルペプチドが、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:13に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項79記載のポリペプチド。
【請求項81】
TCR-aおよびTCR-b可変領域を含む、請求項65~80のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項82】
組換え体である、請求項65~81のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項83】
SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項84】
前記可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項83記載のポリペプチド。
【請求項85】
前記可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:21およびSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:21およびSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項84記載のポリペプチド。
【請求項86】
前記可変領域が、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項83~85のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項87】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項83~86のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項88】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項87記載のポリペプチド。
【請求項89】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項83~88のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項90】
前記シグナルペプチドが、SEQ ID NO:20のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:20に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項89記載のポリペプチド。
【請求項91】
SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項92】
前記可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項91記載のポリペプチド。
【請求項93】
前記可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:28および29のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:28およびSEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項92記載のポリペプチド。
【請求項94】
前記可変領域が、アミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:26またはSEQ ID NO:26に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項91~93のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項95】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項91~94のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項96】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項95記載のポリペプチド。
【請求項97】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項91~96のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項98】
TCR-aおよびTCR-b可変領域を含む、請求項83~97のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項99】
組換え体である、請求項83~98のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項100】
前記シグナルペプチドが、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項97記載のポリペプチド。
【請求項101】
請求項65~100のいずれか一項記載のポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項102】
cDNAである、請求項101記載の核酸。
【請求項103】
TCR-a領域とTCR-b領域とを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
前記TCR-a領域が、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつ前記TCR-b領域が、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項104】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-a領域と、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-b領域とを含む、請求項103記載のTCR。
【請求項105】
前記TCR-a領域が、
SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:7に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含み、かつ/または
前記TCR-b領域が、
SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含む、
請求項104記載のTCR。
【請求項106】
前記TCR-a領域が、
SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含み、かつ/または
前記TCR-b領域が、
SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含む、
請求項104または105記載のTCR。
【請求項107】
前記TCR-a領域の前記CDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:7、8、および9のアミノ酸配列を含み、かつ前記TCR-b領域の前記CDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:14、15、および16のアミノ酸配列を含む、請求項103~106のいずれか一項記載のTCR。
【請求項108】
前記TCR-a領域が、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記TCR-b領域が、SEQ ID NO:12のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項103~107のいずれか一項記載のTCR。
【請求項109】
TCR-a領域とTCR-b領域とを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
前記TCR-a領域が、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつ前記TCR-b領域が、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項110】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-a領域と、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-b領域とを含む、請求項109記載のTCR。
【請求項111】
前記TCR-a領域が、
SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含み、かつ/または
前記TCR-b領域が、
SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含む、
請求項110記載のTCR。
【請求項112】
前記TCR-a領域が、
SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含み、かつ/または
前記TCR-b領域が、
SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含む、
請求項110または111記載のTCR。
【請求項113】
前記TCR-a領域の前記CDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:21、22、および23のアミノ酸配列を含み、かつ前記TCR-b領域の前記CDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:28、29、および30のアミノ酸配列を含む、請求項109~112のいずれか一項記載のTCR。
【請求項114】
前記TCR-a領域が、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記TCR-b領域が、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:26に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項109~113のいずれか一項記載のTCR。
【請求項115】
一本鎖TCRである、請求項103~114のいずれか一項記載のTCR。
【請求項116】
前記TCR-a領域と前記TCR-b領域が、異なるポリペプチド上にある、請求項103~114のいずれか一項記載のTCR。
【請求項117】
前記TCR-a領域と前記TCR-b領域が、同じポリペプチド上にある、請求項103~114のいずれか一項記載のTCR。
【請求項118】
二重特異性である、請求項103~117のいずれか一項記載のTCRを含むポリペプチド。
【請求項119】
請求項103~118のいずれか一項記載のTCRと、CD3結合領域とを含む、融合タンパク質。
【請求項120】
前記CD3結合領域が、CD3特異的断片抗原結合部(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む、請求項119記載の融合タンパク質。
【請求項121】
TCR-aポリペプチドおよび/またはTCR-bポリペプチドをコードする、核酸であって、
前記TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつ前記TCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
核酸。
【請求項122】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、請求項121記載の核酸。
【請求項123】
SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:7に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含む、TCR-aポリペプチド、および/または
SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含む、TCR-bポリペプチド
をコードする、請求項122記載の核酸。
【請求項124】
SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含む、TCR-aポリペプチド、および/または
SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含む、TCR-bポリペプチド
をコードする、請求項122または123記載の核酸。
【請求項125】
SEQ ID NO:5のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域、および/またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:12に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする、請求項109~124のいずれか一項記載の核酸。
【請求項126】
SEQ ID NO:4のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド、および/またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:11に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖をコードする、請求項125記載の核酸。
【請求項127】
SEQ ID NO:3、10、および/またはその断片を含む、請求項126記載の核酸。
【請求項128】
SEQ ID NO:23のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:23に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-aポリペプチド、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項129】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチド、ならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、請求項128記載の核酸。
【請求項130】
SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含む、TCR-a、および/または
SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR1
を含む、TCR-bポリペプチド
をコードする、請求項129記載の核酸。
【請求項131】
SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含む、TCR-aポリペプチド、および/または
SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、CDR2
を含む、TCR-bポリペプチド
をコードする、請求項129または130記載の核酸。
【請求項132】
SEQ ID NO:19のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:19に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域、および/またはSEQ ID NO:26のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:26に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする、請求項128~131のいずれか一項記載の核酸。
【請求項133】
SEQ ID NO:18のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:18に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド鎖、および/またはSEQ ID NO:25のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:25に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖をコードする、請求項132記載の核酸。
【請求項134】
SEQ ID NO:17、24、および/またはその断片を含む、請求項133記載の核酸。
【請求項135】
少なくとも1つのTCR-a(TRA)遺伝子および少なくとも1つのTCR-b(TRB)遺伝子を同じ核酸上に含む、請求項121~134のいずれか一項記載の核酸。
【請求項136】
ポリシストロニックである、請求項121~135のいずれか一項記載の核酸。
【請求項137】
配列内リボソーム進入部位(IRES)または2A切断可能リンカーを含む、請求項136記載の核酸。
【請求項138】
前記TCR-a遺伝子および/またはTCR-b遺伝子をコードするcDNAを含む、請求項121~137のいずれか一項記載の核酸。
【請求項139】
CD3結合領域を含むポリペプチドをさらにコードする、請求項121~138のいずれか一項記載の核酸。
【請求項140】
前記CD3結合領域が、CD3特異的断片抗原結合部(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む、請求項139記載の核酸。
【請求項141】
cDNAである、請求項121~140のいずれか一項記載の核酸。
【請求項142】
請求項101、102、または121~141のいずれか一項記載の核酸を含む、核酸ベクター。
【請求項143】
前記核酸の発現を導くプロモーターを含む、請求項142記載のベクター。
【請求項144】
前記プロモーターが、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)プロモーターを含む、請求項143記載のベクター。
【請求項145】
前記TCR-a遺伝子およびTCR-b遺伝子を含む、請求項142~144のいずれか一項記載のベクター。
【請求項146】
請求項65~100のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項103~114のいずれか一項記載のTCR、請求項115もしくは118記載の融合タンパク質、請求項101、102、もしくは121~141のいずれか一項記載の核酸、または請求項142~145のいずれか一項記載のベクターを含む、細胞。
【請求項147】
幹細胞、前駆細胞、免疫細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む、請求項146記載の細胞。
【請求項148】
造血幹細胞もしくは造血前駆細胞、T細胞、間葉系幹細胞(MSC)から分化した細胞、または人工多能性幹細胞(iPSC)を含む、請求項147記載の細胞。
【請求項149】
末梢血単核細胞(PBMC)から単離されているか、またはそれに由来する、請求項146または147記載の細胞。
【請求項150】
前記T細胞が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞、インバリアントNK T(iNKT)細胞、ガンマ-デルタT細胞、NKT細胞、制御性T細胞、またはCD4
+制御性細胞を含む、請求項148または149記載の細胞。
【請求項151】
がん患者から単離されている、請求項146~150のいずれか一項記載の細胞。
【請求項152】
請求項64記載のペプチド特異的T細胞、請求項65~100もしくは118のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項103~115のいずれか一項記載のTCR、請求項119もしくは120記載の融合タンパク質、請求項101、102、もしくは121~141のいずれか一項記載の核酸、または請求項142~145のいずれか一項記載のベクターを含む、組成物。
【請求項153】
無血清、マイコプラズマ不含、エンドトキシン不含、および/または無菌であると決定されている、請求項152記載の組成物。
【請求項154】
請求項101、102、もしくは121~141のいずれか一項記載の核酸または請求項142~145のいずれか一項記載のベクターを細胞に移入する工程を含む、操作された細胞を作製する方法。
【請求項155】
前記細胞を培地中で培養する工程、前記細胞の分裂を可能にする条件で前記細胞をインキュベートする工程、前記細胞をスクリーニングする工程、および/または前記細胞を凍結する工程をさらに含む、請求項154記載の方法。
【請求項156】
請求項1~10のいずれか一項記載のペプチド、または請求項11記載の分子複合体、請求項12~17もしくは152~155のいずれか一項記載の薬学的組成物、請求項18、19、もしくは142~145のいずれか一項記載の核酸もしくは発現ベクター、請求項21~23のいずれか一項記載の樹状細胞、または請求項64記載のペプチド特異的T細胞、請求項65~100もしくは118のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項103~115のいずれか一項記載のTCR、請求項119もしくは120記載の融合タンパク質の有効量を、対象に投与する工程を含む、対象においてがんを処置または予防する方法。
【請求項157】
請求項1~10のいずれか一項記載のペプチド、または請求項11記載の分子複合体、請求項12~17もしくは152~155のいずれか一項記載の薬学的組成物、請求項18、19、もしくは142~145のいずれか一項記載の核酸もしくは発現ベクター、請求項21~23のいずれか一項記載の樹状細胞、または請求項64記載のペプチド特異的T細胞、請求項65~100もしくは118のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項103~115のいずれか一項記載のTCR、請求項119もしくは120記載の融合タンパク質の有効量を、対象に投与する工程を含む、対象において免疫応答を刺激する方法。
【請求項158】
前記対象がヒトである、請求項156または157記載の方法。
【請求項159】
前記ペプチド特異的T細胞が、自己由来または同種である、請求項156~158のいずれか一項記載の方法。
【請求項160】
少なくとも第2の治療剤を投与する工程をさらに含む、請求項156~159のいずれか一項記載の方法。
【請求項161】
前記第2の治療剤が抗がん剤である、請求項160記載の方法。
【請求項162】
前記対象が、がんと診断されている、請求項156~161のいずれか一項記載の方法。
【請求項163】
前記がんが、前記ペプチドの発現について陽性であるがんを含む、請求項162記載の方法。
【請求項164】
前記がんが、白血病、肺がん、または皮膚がんを含む、請求項156~163のいずれか一項記載の方法。
【請求項165】
前記がんが、固形腫瘍を含む、請求項156~164のいずれか一項記載の方法。
【請求項166】
前記がんが、肺がんを含む、請求項156~165のいずれか一項記載の方法。
【請求項167】
前記肺がんが、腺癌または扁平上皮癌を含む、請求項166記載の方法。
【請求項168】
処置することが、腫瘍サイズを減少させること、全生存率を増加させること、前記がんの再発リスクを低下させること、進行リスクを低下させること、ならびに/または無増悪生存、無再発生存(relapse-free survival)、および/もしくは無再発生存(recurrence-free survival)の可能性を増加させることのうちの1つまたは複数を含む、請求項156~167のいずれか一項記載の方法。
【請求項169】
以下の工程を含む、ペプチド特異的T細胞受容体(TCR)をクローニングする方法:
(a)免疫エフェクター細胞の出発集団を得る工程、
(b)免疫エフェクター細胞の該出発集団を、請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドと接触させる工程であって、それによって、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞を生成する、工程、
(c)該ペプチドに対して特異的な免疫エフェクター細胞を精製する工程、および
(d)精製された該免疫エフェクター細胞からTCR配列を単離する工程。
【請求項170】
接触させる工程が、免疫エフェクター細胞の前記出発集団を、抗原提示細胞(APC)、人工抗原提示細胞(aAPC)、または人工抗原提示表面(aAPS)と共培養すること、としてさらに定義され、該APC、aAPC、またはaAPSが、その表面に前記ペプチドを提示する、請求項169記載の方法。
【請求項171】
前記APCが樹状細胞である、請求項170記載の方法。
【請求項172】
前記免疫エフェクター細胞が、T細胞、末梢血リンパ球、NK細胞、インバリアントNK細胞、NKT細胞である、請求項169記載の方法。
【請求項173】
前記免疫エフェクター細胞が、間葉系幹細胞(MSC)または人工多能性幹(iPS)細胞から分化している、請求項169記載の方法。
【請求項174】
前記T細胞が、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞、CD4
+Treg細胞、またはγδ T細胞である、請求項172記載の方法。
【請求項175】
前記T細胞が細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である、請求項172記載の方法。
【請求項176】
得る工程が、末梢血単核細胞(PBMC)から免疫エフェクター細胞の出発集団を単離することを含む、請求項169~176のいずれか一項記載の方法。
【請求項177】
免疫エフェクター細胞の前記出発集団が、対象から得られる、請求項169~176のいずれか一項記載の方法。
【請求項178】
前記対象がヒトである、請求項177記載の方法。
【請求項179】
前記対象が、がんを有する、請求項178記載の方法。
【請求項180】
前記がんが、白血病、肺がん、または皮膚がんを含む、請求項169~179のいずれか一項記載の方法。
【請求項181】
前記がんが、固形腫瘍を含む、請求項169~180のいずれか一項記載の方法。
【請求項182】
前記がんが、肺がんを含む、請求項169~181のいずれか一項記載の方法。
【請求項183】
前記肺がんが、腺癌または扁平上皮癌を含む、請求項182記載の方法。
【請求項184】
共培養の前に、前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸を前記樹状細胞に導入する工程をさらに含む、請求項171~182のいずれか一項記載の方法。
【請求項185】
前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸が、エレクトロポレーションによって導入される、請求項184記載の方法。
【請求項186】
前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸が、前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸を前記樹状細胞の培地に添加することによって導入される、請求項184記載の方法。
【請求項187】
前記免疫エフェクター細胞が、前記ペプチドまたは前記ペプチドをコードする核酸が導入された樹状細胞の第2の集団と共培養される、請求項184記載の方法。
【請求項188】
精製する工程が、共培養の後に、前記免疫エフェクター細胞から、CD4陽性またはCD8陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性T細胞の集団を精製すること、として定義される、請求項184記載の方法。
【請求項189】
CD4陽性またはCD8陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性T細胞の前記集団が、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって精製される、請求項188記載の方法。
【請求項190】
精製する工程が、選別された細胞の限界希釈または連続希釈、続いて、急速拡大増殖プロトコルによる個々のクローンの拡大増殖によって、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞のクローン集団を生成することをさらに含む、請求項189記載の方法。
【請求項191】
単離する工程が、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞の前記クローン集団からのT細胞受容体(TCR)のクローニングとして定義される、請求項190記載の方法。
【請求項192】
TCRアルファ遺伝子および/もしくはベータ遺伝子を配列決定する工程、ならびに/またはパラトープホットスポット(GLIPH)分析によるリンパ球相互作用のグループ分けを行う工程をさらに含む、請求項169~191のいずれか一項記載の方法。
【請求項193】
前記TCRのクローニングが、TCRアルファ鎖およびベータ鎖のクローニングである、請求項191または192記載の方法。
【請求項194】
前記TCRアルファ鎖およびベータ鎖が、5'-cDNA末端迅速増幅(RACE)法を使用してクローニングされる、請求項193記載の方法。
【請求項195】
クローニングされた前記TCRが、発現ベクターにサブクローニングされる、請求項194記載の方法。
【請求項196】
前記発現ベクターが、前記TCRアルファ配列とTCRベータ配列との間にリンカードメインを含む、請求項195記載の方法。
【請求項197】
前記リンカードメインが、1つまたは複数のペプチド切断部位をコードする配列を含む、請求項196記載の方法。
【請求項198】
前記1つまたは複数の切断部位が、フューリン切断部位および/またはP2A切断部位である、請求項197記載の方法。
【請求項199】
前記TCRアルファ配列およびTCRベータ配列が、IRES配列によって連結される、請求項198記載の方法。
【請求項200】
前記発現ベクターが、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、請求項195~199のいずれか一項記載の方法。
【請求項201】
前記発現ベクターを宿主細胞に形質導入して、前記TCRアルファ鎖およびTCRベータ鎖を発現する操作された細胞を生成する、請求項200記載の方法。
【請求項202】
前記宿主細胞が免疫細胞である、請求項201記載の方法。
【請求項203】
請求項169~202のいずれか一項記載の方法によって産生される、TCR。
【請求項204】
T細胞結合領域に融合された、請求項203記載のTCRのペプチド結合領域を含む融合タンパク質。
【請求項205】
前記TCRのペプチド結合領域が、前記TCRのアルファ可変領域およびベータ可変領域を含む、請求項204記載の融合タンパク質。
【請求項206】
前記T細胞結合領域が、CD3結合領域を含む、請求項204または205記載の融合タンパク質。
【請求項207】
前記CD3結合領域が、抗CD3 Fabを含む、請求項206記載の融合タンパク質。
【請求項208】
患者由来の生物学的試料を、請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項11記載の分子複合体と接触させる工程を含む、患者の予後を予測するための、または患者におけるT細胞応答を検出するための方法。
【請求項209】
前記生物学的試料が、血液試料またはその画分を含む、請求項208記載の方法。
【請求項210】
前記生物学的試料が、リンパ球を含む、請求項209記載の方法。
【請求項211】
前記生物学的試料が、リンパ球を含む分画試料を含む、請求項210記載の方法。
【請求項212】
前記ペプチドが、固体支持体に連結されている、請求項208~211のいずれか一項記載の方法。
【請求項213】
前記ペプチドが、前記固体支持体にコンジュゲートされているか、または前記固体支持体にコンジュゲートされた抗体に結合されている、請求項212記載の方法。
【請求項214】
前記固体支持体が、マイクロプレート、ビーズ、ガラス表面、スライド、または細胞培養皿を含む、請求項212記載の方法。
【請求項215】
T細胞応答を検出することが、前記T細胞またはTCRへの前記ペプチドの結合を検出することを含む、請求項208~214のいずれか一項記載の方法。
【請求項216】
T細胞応答を検出することが、ELISA、ELISPOT、またはテトラマーアッセイを含む、請求項208~215のいずれか一項記載の方法。
【請求項217】
少なくとも1つのMHCポリペプチドと、請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドとを含む、組成物。
【請求項218】
前記MHCポリペプチドが、および/または前記ペプチドが、検出タグにコンジュゲートされている、請求項217記載の組成物。
【請求項219】
前記MHCポリペプチドと前記ペプチドとが、ペプチド-MHC複合体を形成するように機能的に連結されている、請求項217または218記載の組成物。
【請求項220】
前記MHCポリペプチドと前記ペプチドとが、ペプチド結合を介して機能的に連結されている、請求項219記載の組成物。
【請求項221】
前記MHCポリペプチドと前記ペプチドとが、ファンデルワールス力によって機能的に連結されている、請求項219記載の組成物。
【請求項222】
少なくとも2つのペプチド-MHC複合体が、互いに機能的に連結されている、請求項219~221のいずれか一項記載の組成物。
【請求項223】
少なくとも3つまたは4つのペプチド-MHC複合体が、互いに機能的に連結されている、請求項222記載の組成物。
【請求項224】
MHCポリペプチド対ペプチドの平均比が1:1~4:1である、請求項217~223のいずれか一項記載の組成物。
【請求項225】
請求項218~224のいずれか一項記載の組成物を、T細胞を含む組成物と接触させる工程、ならびに検出タグを検出することによって、結合したペプチドおよび/またはMHCポリペプチドを有するT細胞を検出する工程を含む、方法。
【請求項226】
ペプチドおよび/またはMHCと結合したT細胞の数を計数する工程をさらに含む、請求項225記載の方法。
【請求項227】
T細胞を含む前記組成物が、がんを有するかまたは有すると疑われる患者から単離されている、請求項225または226記載の方法。
【請求項228】
前記がんが、ペプチド特異的がんを含む、請求項227記載の方法。
【請求項229】
前記ペプチドが、SEQ ID NO:1または2のペプチドから選択される、請求項227記載の方法。
【請求項230】
ペプチドおよび/またはMHCと結合したT細胞の数を選別する工程をさらに含む、請求項225~229のいずれか一項記載の方法。
【請求項231】
ペプチドおよび/またはMHCと結合したT細胞からの1つまたは複数のTCR遺伝子を配列決定する工程をさらに含む、請求項230記載の方法。
【請求項232】
パラトープホットスポット(GLIPH)分析によるリンパ球相互作用のグループ分けを行う工程をさらに含む、請求項231記載の方法。
【請求項233】
請求項1~10のいずれか一項記載のペプチドを容器内に含む、キット。
【請求項234】
前記ペプチドが、薬学的調製物に含まれる、請求項233記載のキット。
【請求項235】
前記薬学的調製物が、非経口投与または吸入のために製剤化されている、請求項234記載のキット。
【請求項236】
前記ペプチドが、細胞培養培地に含まれる、請求項233記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月19日に出願された米国仮特許出願第63/176,477号の優先権を主張し、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
【0002】
I. 発明の分野
本発明は、がんの処置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
II. 背景
養子T細胞療法(ACT;「養子細胞移入」とも呼ばれる)は、黒色腫を処置する方法としてかなりの将来性を示しているが、残念なことに、この手法はまた、非がん性組織に対する毒性を含む制限によって妨げられている。ACTは、例えば、がんを処置するために、多数の自己由来活性化腫瘍特異的T細胞を患者に注入することを一般に伴う。ACTは、黒色腫患者では、治療的臨床応答をもたらしている(Yee 2002;Dudley 2002;Yee 2014;Chapuis 2016)。一般に、有効な抗腫瘍T細胞応答を発生させるためには、抗原特異的T細胞のプライミングおよび活性化、腫瘍部位への活性化T細胞の遊走、ならびに抗原特異的T細胞による腫瘍の認識および殺傷という3つの工程が通常必要とされる。標的抗原の選択は、有効な抗原特異的T細胞の誘導にとって重要である。
【0004】
黒色腫および一握りの他の固形腫瘍悪性腫瘍ではいくつかの腫瘍関連抗原が同定されているが、膵がん、卵巣がん、胃がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんおよび頭頸部がんでは、免疫原性標的はほとんどない。これらの一般的で処置が困難な悪性腫瘍のための新規なエピトープおよび標的抗原の同定および検証が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、がんに対して個体を処置しかつ個体にワクチン接種するための方法および組成物を提供することによって、当技術分野における必要性を満たす。したがって、本開示の局面は、IYNGKLFDL(SEQ ID NO:1)またはSSSQESVPK(SEQ ID NO:2)のペプチドに対して少なくとも70%の配列同一性を含む単離されたペプチドに関する。本開示のペプチドとMHCポリペプチドとを含む分子複合体も開示される。さらなる局面は、単離されたペプチド、分子複合体を含む薬学的組成物、ペプチドをコードする核酸、本開示の核酸およびペプチドを含む発現ベクターおよび宿主細胞に関する。本開示のペプチド、核酸または発現ベクターを含むインビトロの単離された樹状細胞も提供される。本開示の1つまたは複数のペプチドを含むポリペプチドも企図される。
【0006】
さらなる局面は、本開示の核酸または発現ベクターを宿主細胞などの細胞に移入する工程を含む、細胞を作製する方法に関する。いくつかの局面では、方法は、発現されたペプチドまたはポリペプチドを単離する工程をさらに含む。本開示の他の局面は、(a)免疫エフェクター細胞の出発集団を得る工程、および(b)免疫エフェクター細胞の出発集団を、本開示のペプチドと接触させる工程であって、それによって、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞を生成する、工程を含む、がん特異的免疫エフェクター細胞を産生する方法に関する。
【0007】
本開示はまた、本開示の方法に従って産生されたペプチド特異的な操作されたT細胞、および操作されたT細胞を含む薬学的組成物を記載する。さらなる局面は、本開示のペプチド、分子複合体、薬学的組成物、核酸、発現ベクター、樹状細胞、ペプチド特異的T細胞、ポリペプチド、TCRまたは融合タンパク質の有効量を対象に投与する工程を含む、対象においてがんを処置または予防する方法に関する。本開示のペプチド、分子複合体、薬学的組成物、核酸、発現ベクター、樹状細胞、ペプチド特異的T細胞、ポリペプチド、TCRまたは融合タンパク質の有効量を対象に投与する工程を含む、対象において免疫応答を刺激する方法も提供される。なおさらなる局面は、(a)免疫エフェクター細胞の出発集団を得る工程、(b)免疫エフェクター細胞の出発集団を、本開示のペプチドと接触させる工程であって、それによって、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞を生成する、工程、(c)ペプチドに対して特異的な免疫エフェクター細胞を精製する工程、および(d)精製された免疫エフェクター細胞からTCR配列を単離する工程を含む、ペプチド特異的T細胞受容体(TCR)をクローニングする方法に関する。患者由来の生物学的試料を本開示のペプチドと接触させる工程を含む、患者の予後を予測するための、または患者におけるT細胞応答を検出するための方法も提供される。
【0008】
本開示はまた、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドを提供する。局面は、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドに関する。SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドも記載される。さらなる局面は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドに関する。さらなる局面は、TCR-a領域とTCR-b領域とを含む操作されたT細胞受容体(TCR)に関し、TCR-a領域は、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む。さらなる局面は、TCR-a領域とTCR-b領域とを含む操作されたT細胞受容体(TCR)に関し、TCR-a領域は、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む。
【0009】
本開示はまた、本開示のTCRとCD3結合領域とを含む融合タンパク質に関する。いくつかの局面では、CD3結合領域は、CD3特異的断片抗原結合部(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む。
【0010】
本開示はまた、本開示のTCRおよびポリペプチドをコードする核酸、ならびにそのような核酸とTCRとポリペプチドとを含む組成物および細胞に関する。局面はまた、本開示の核酸を含む発現ベクターを提供する。
【0011】
本開示の局面はまた、少なくとも1つのMHCポリペプチドと、本開示のペプチドとを含む組成物を提供する。本開示のさらなる局面は、本開示の方法によって産生されるT細胞受容体(TCR)、およびT細胞結合領域に融合された、TCRのペプチド結合領域を含む融合タンパク質に関する。いくつかの局面では、TCRのペプチド結合領域は、TCRのアルファ可変領域およびベータ可変領域を含む。いくつかの局面では、TCRのペプチド結合領域は、TCRのガンマ可変領域およびデルタ可変領域を含む。いくつかの局面では、T細胞結合領域は、CD3結合領域を含む。いくつかの局面では、CD3結合領域は、抗CD3 Fabを含む。いくつかの局面では、ペプチド結合領域および/またはT細胞結合領域は、抗原結合断片、例えば、scFv、Fab、一本鎖抗体またはTCR、TCR模倣抗体、ナノボディ、ラクダ科動物由来のもの、アプタマーおよび/またはDARPINであり得る。
【0012】
なおさらなる局面は、本開示のペプチドに結合する、またはペプチド-MHC複合体に結合するペプチド特異的結合分子に関する。例示的な結合分子には、抗体、TCR模倣抗体、scFv、ナノボディ、ラクダ科動物由来のもの、アプタマーおよびDARPINが含まれる。関連する方法は、少なくとも1つのMHCポリペプチドと本開示のペプチドとを含む組成物を、T細胞を含む組成物と接触させる工程、ならびに検出タグを検出することによって、結合したペプチドおよび/またはMHCポリペプチドを有するT細胞を検出する工程を含む方法を提供する。さらなる局面は、本開示のペプチド、核酸、発現ベクターまたは組成物を含むキットに関する。
【0013】
いくつかの局面では、ペプチドは、SEQ ID NO:1または2のペプチドについての少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む。いくつかの局面では、ペプチドは、SEQ ID NO:1または2のペプチドについての少なくとも4、5、6、7、8、または9個の連続したアミノ酸を含む。いくつかの局面では、ペプチドは、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2を含むか、またはこれからなる。いくつかの局面では、ペプチドは13アミノ酸長以下である。いくつかの局面では、ペプチドは、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個のアミノ酸(またはその中の導出可能な任意の範囲)を有するか、多くとも7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個のアミノ酸(またはその中の導出可能な任意の範囲)を有するか、ちょうど7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個のアミノ酸(またはその中の導出可能な任意の範囲)を有するか、または7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15個のアミノ酸(またはその中の導出可能な任意の範囲)からなる。具体的な局面では、ペプチドは、9個のアミノ酸からなる。いくつかの局面では、ペプチドは免疫原性である。免疫原性という用語は、防御免疫応答などの免疫応答を生じることを指し得る。いくつかの局面では、ペプチドは修飾される。いくつかの局面では、修飾は、分子へのコンジュゲーションを含む。分子は、抗体、脂質、アジュバント、または検出部分(タグ)であり得る。いくつかの局面では、ペプチドは、SEQ ID NO:1または2のペプチドに対して100%の配列同一性を含む。本開示のペプチドには、SEQ ID NO:1または2のペプチドに対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するものも含まれる。本開示のペプチドは、SEQ ID NO:1または2のペプチドに対して1、2、または3個の置換を有し得る。いくつかの局面では、ペプチドは、SEQ ID NO:1もしくは2のペプチドに対して少なくとも1、2、3、4、もしくは5つの置換を有するか、または多くとも1、2、3、4、もしくは5つの置換を有する。
【0014】
本開示のポリペプチドまたはTCRは、CDR1、CDR2、および/もしくはCDR3を含む可変領域を含み得るか、または含み得る。いくつかの局面では、ポリペプチドは、T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む。いくつかの局面では、ポリペプチドは、TCR-a可変および定常領域を含む。いくつかの局面では、ポリペプチドは、シグナルペプチドをさらに含む。いくつかの局面では、ポリペプチドは、TCR-a可変領域およびTCR-b可変領域を同じポリペプチド上に含む。
【0015】
いくつかの局面では、本開示は、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドに関する。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する、もしくはそれぞれSEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:8に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、可変領域は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:5に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:6に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、またはシグナルペプチドが含む。
【0016】
本開示はまた、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドを提供する。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有する、もしくはそれぞれSEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:15に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、可変領域は、SEQ ID NO:12のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:12に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:13に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:13に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、またはシグナルペプチドが含む。
【0017】
本開示の局面は、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドに関する。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:21およびSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有する、もしくはそれぞれSEQ ID NO:21およびSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:21およびSEQ ID NO:22に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、可変領域は、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:19に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:20のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:20に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:20に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、またはシグナルペプチドが含む。
【0018】
本開示の局面は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドに関する。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:28およびSEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有する、もしくはそれぞれSEQ ID NO:28およびSEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、それぞれSEQ ID NO:28およびSEQ ID NO:29に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR1および/もしくはCDR2を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、可変領域は、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:26に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:26に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、または可変領域が含む。いくつかの局面では、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、SEQ ID NO:27に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、ポリペプチドが含むか、またはシグナルペプチドが含む。
【0019】
本開示はまた、TCR-a領域とTCR-b領域とを含む操作されたT細胞受容体(TCR)を記載し、TCR-a領域は、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域は、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:7に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-b領域は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:7に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:14に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域は、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-b領域は、SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:8に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:15に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域のCDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれSEQ ID NO:7、8、および9のアミノ酸配列を含み、TCR-b領域のCDR1、CDR3、およびCDR3は、それぞれSEQ ID NO:14、15、および16のアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:12のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:5に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:12に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0020】
本開示はまた、TCR-a領域とTCR-b領域とを含む操作されたT細胞受容体(TCR)を記載し、TCR-a領域は、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域は、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-b領域は、SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:21に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:28に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-b領域は、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:22に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:29に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域のCDR1、CDR2、およびCDR3は、それぞれSEQ ID NO:21、22、および23のアミノ酸配列を含み、TCR-b領域のCDR1、CDR3、およびCDR3は、それぞれSEQ ID NO:28、29、および30のアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、TCR-a領域は、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:26に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:19に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面では、TCRは、SEQ ID NO:26に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0021】
本開示の局面は、TCR-a領域および/またはTCR-b領域をコードする核酸に関し、TCR-a領域は、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:9に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するCDR3を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:16に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するCDR3を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:7に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:7に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:14に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:8に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:15に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:5に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域、および/またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:12に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域、および/またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:11に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b領域鎖をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:11に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:3、10、および/またはその断片を含む。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:3、10、および/またはその断片に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有する。
【0022】
本開示の局面は、TCR-a領域および/またはTCR-b領域をコードする核酸に関し、TCR-a領域は、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、TCR-b領域は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:23に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するCDR3を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するCDR3を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:21に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:28に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有する、もしくはSEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:22に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:29に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:19に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域、および/またはSEQ ID NO:26のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:26に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:19に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域、および/またはSEQ ID NO:26に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:18に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:25のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:25に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域鎖をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むTCR-a領域、および/またはSEQ ID NO:25に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b領域をコードする。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:17、24、および/またはその断片を含む。いくつかの局面では、核酸は、SEQ ID NO:17、24、および/またはその断片に対して少なくとも55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列同一性を有する。
【0023】
本開示の核酸は、CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-a領域、ならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-b領域をコードし得る。いくつかの局面では、核酸は、少なくとも1つのTCR-a(TRA)遺伝子および少なくとも1つのTCR-b(TRB)遺伝子を同じ核酸上に含む。核酸はまた、本開示のTCRと第2の抗原結合領域とを含む二重特異性ポリペプチドをコードし得る。第2の抗原結合領域は、例えば、scFv、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体またはダイアボディであり得る。いくつかの局面では、核酸はポリシストロニックである。いくつかの局面では、核酸は、配列内リボソーム進入部位(IRES)または2A切断可能リンカーを含む。いくつかの局面では、核酸は、TCR-a遺伝子および/またはTCR-b遺伝子をコードするcDNAを含む。いくつかの局面では、核酸は、CD3結合領域を含むポリペプチドをさらにコードする。いくつかの局面では、CD3結合領域は、CD3特異的断片抗原結合部(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む。いくつかの局面では、ベクターは、核酸の発現を導くプロモーターを含む。いくつかの局面では、プロモーターは、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)プロモーターを含む。いくつかの局面では、ベクターは、TCR-a遺伝子およびTCR-b遺伝子を含む。本開示の核酸は、cDNA(相補的DNA)としてさらに定義され得る。
【0024】
本開示の核酸またはベクターを細胞に移入する工程を含む、操作された細胞を作製する方法も開示される。いくつかの局面では、方法は、培地中で細胞を培養する工程、細胞の分裂を可能にする条件で細胞をインキュベートする工程、細胞をスクリーニングする工程、および/または細胞を凍結する工程をさらに含む。
【0025】
いくつかの局面では、本開示の細胞は、幹細胞、前駆細胞、免疫細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む。いくつかの局面では、細胞は、造血幹細胞もしくは造血前駆細胞、T細胞、間葉系幹細胞(MSC)から分化した細胞、または人工多能性幹細胞(iPSC)を含む。いくつかの局面では、細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)から単離されるか、または末梢血単核細胞(PBMC)に由来する。いくつかの局面では、T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、CD8+T細胞、CD4+T細胞、インバリアントNK T(iNKT)細胞、ガンマ-デルタT細胞、NKT細胞、制御性T細胞、またはCD4+T制御性細胞を含む。いくつかの局面では、細胞は、がん患者から単離される。いくつかの局面では、組成物は、無血清、マイコプラズマ不含、エンドトキシン不含、および/または無菌であると決定されている。
【0026】
いくつかの局面では、薬学的組成物は、非経口投与、静脈内注射、筋肉内注射、吸入、または皮下注射のために製剤化される。いくつかの局面では、ペプチドは、リポソーム、脂質含有ナノ粒子、または脂質ベースの担体の中に含まれる。いくつかの局面では、薬学的調製物は、注射のためにまたは鼻用スプレーとしての吸入のために製剤化される。いくつかの局面では、本開示の組成物は、ワクチンとして製剤化される。いくつかの局面では、組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0027】
本開示の樹状細胞に関するいくつかの局面では、樹状細胞は、成熟樹状細胞を含む。いくつかの局面では、細胞は、HLA-A型を有する細胞である。HLAは、HLA-A、HLA-BまたはHLA-Cであり得る。いくつかの局面では、細胞はHLA-A24型である。いくつかの局面では、細胞はHLA-A11型である。いくつかの局面では、細胞は、HLA-A01、HLA-A02、HLA-A11、HLA-A24、HLA-B07、HLA-B08、HLA-B15またはHLA-B40である。
【0028】
いくつかの局面では、方法は、発現されたペプチドまたはポリペプチドを単離する工程をさらに含む。いくつかの局面では、T細胞は、CD8+T細胞を含む。いくつかの局面では、T細胞は、CD4+T細胞、Th1、Th2、Th17、Th9、もしくはTfh T細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞、またはエフェクターメモリーT細胞である。
【0029】
本開示の方法局面では、接触させる工程は、免疫エフェクター細胞の出発集団を、抗原提示細胞(APC)、人工抗原提示細胞(aAPC)、または人工抗原提示表面(aAPS)と共培養すること、としてさらに定義され、APC、aAPC、またはaAPSは、その表面にペプチドを提示する。いくつかの局面では、APCは樹状細胞である。
【0030】
本開示の局面では、免疫エフェクター細胞は、T細胞、末梢血リンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、インバリアントNK細胞またはNKT細胞である。免疫エフェクター細胞は、間葉系幹細胞(MSC)または人工多能性幹(iPS)細胞から分化したものであり得る。T細胞の局面には、CD8+T細胞、CD4+T細胞、またはγδ T細胞としてさらに定義されるT細胞が含まれる。ある特定の局面では、T細胞は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である。
【0031】
いくつかの局面では、本開示の方法に記載される対象はヒトである。いくつかの局面では、対象は実験動物である。いくつかの局面では、対象は、マウス、ラット、ブタ、ウマ、ウサギまたはモルモットである。局面はまた、少なくとも第2の治療剤の投与をさらに含む方法に関する。いくつかの局面では、第2の治療剤は抗がん剤である。本開示の方法において定義される、処置することは、腫瘍サイズを減少させること、全生存率を増加させること、がんの再発リスクを低下させること、進行リスクを低下させること、ならびに/または無増悪生存、無再発生存(relapse-free survival)、および/もしくは無再発生存(recurrence-free survival)の可能性を増加させることのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0032】
本開示の方法における生物学的試料は、血液試料またはその画分を含み得る。いくつかの局面では、生物学的試料は、リンパ球を含む。いくつかの局面では、生物学的試料は、リンパ球を含む分画試料を含む。いくつかの局面では、生物学的試料は、本明細書において記載されるものである。
【0033】
本開示のTCRは、一本鎖TCRとしてさらに定義され得る。いくつかの局面では、TCR-a領域とTCR-b領域は、同じポリペプチド上にある。いくつかの局面では、ポリペプチドは、組換え体としてさらに定義される。いくつかの局面では、TCR-a領域とTCR-b領域は、異なるポリペプチド上にある。本開示のTCRを含むポリペプチドも提供される。いくつかの局面では、ポリペプチドは二重特異性であり得る。例えば、ポリペプチドは、TCR由来の1つのペプチド特異性と、別の抗原結合領域由来の第2の特異性とを有し得る。さらなる抗原結合領域は、例えば、別のTCR、scFv、ダイアボディまたは一本鎖抗体であり得る。
【0034】
いくつかの局面では、本開示の組成物は、MHCポリペプチドと本開示のペプチドとを含み、MHCポリペプチドおよび/またはペプチドは、検出タグにコンジュゲートされる。したがって、好適な検出タグには、限定されることなく、放射性同位体、蛍光色素、化学発光化合物、色素、および酵素を含むタンパク質が含まれる。タグは、単純に検出され得るか、または定量され得る。単純に検出される応答は、単にその存在が確認されるだけの応答を一般に含むが、定量される応答は、強度、偏光および/または他の特性などの定量可能な(例えば、数値的に報告可能な)値を有する応答を一般に含む。発光アッセイまたは蛍光アッセイでは、検出可能な応答は、結合に実際に関与するアッセイ成分に関連する発光団もしくはフルオロフォアを使用して直接的に、または別の(例えば、レポーターまたは指標)成分に関連する発光団もしくはフルオロフォアを使用して間接的に生成され得る。信号を生成する発光タグの例には、限定されることなく、生物発光および化学発光が挙げられる。好適な蛍光タグの例には、限定されることなく、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー(商標)およびテキサスレッドが挙げられる。他の好適な光学色素は、Haugland,Richard P.(1996)Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(6.sup.th ed.)に記載されている。検出タグはまた、ストレプトアビジン、またはその結合パートナーであるビオチンを含む。
【0035】
いくつかの局面では、MHCポリペプチドおよびペプチドは、機能的に連結される。用語「機能的に連結された」は、2つの成分が組み合わされるか、または組み合わされて複合体を形成することができる状況を指す。例えば、成分は、同じポリペプチド上、例えば、融合タンパク質内に共有結合していてもよいか、または成分は、互いに対してある程度の結合親和性、例えば、ファンデルワールス力によって生じる結合親和性を有してもよい。したがって、本開示の局面は、MHCポリペプチドおよびペプチドがペプチド結合を介して機能的に連結されることに関する。さらなる局面は、MHCポリペプチドおよびペプチドが、ファンデルワールス力によって機能的に連結されることに関する。ペプチド-MHCは、pMHC複合体を形成するように機能的に連結され得る。いくつかの局面では、少なくとも2つのpMHC複合体が互いに機能的に連結される。他の局面は、互いに機能的に連結された2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のpMHC複合体を含むか、互いに機能的に連結された少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のpMHC複合体を含むか、または互いに機能的に連結された多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のpMHC複合体を含む。いくつかの局面では、少なくとも2つのMHCポリペプチドが、1つのペプチドに連結される。他の局面では、MHCポリペプチド対ペプチドの平均比は1:1~4:1である。いくつかの局面では、比または平均比は、少なくとも1、2、3、4、5、もしくは6、多くとも1、2、3、4、5、もしくは6、または約1、2、3、4、5、もしくは6 対 約1、2、3、4、5、もしくは6(またはその中の任意の導出可能な範囲)である。
【0036】
本開示の局面のいくつかでは、ペプチドはMHCと複合体化している。いくつかの局面では、MHCは、HLA-A型を含む。MHCは、HLA-A3型またはHLA-A11型としてさらに定義され得る。ペプチドは、樹状細胞、リンパ芽球様細胞、末梢血単核細胞(PBMC)、人工抗原提示細胞(aAPC)、または人工抗原提示表面に負荷され得る。いくつかの局面では、人工抗原提示表面は、表面にコンジュゲートまたは連結されたMHCポリペプチドを含む。例示的な表面には、ビーズ、マイクロプレート、ガラススライド、または細胞培養プレートが含まれる。
【0037】
本開示の方法は、ペプチドおよび/またはMHCと結合したT細胞の数を計数する工程をさらに含み得る。T細胞を含む組成物は、がんを有するかまたは有すると疑われる患者から単離され得る。がんは、ペプチド特異的がんを含み得、SEQ ID NO:1もしくは2のペプチド、または本開示のペプチド。対象は、がんと診断されたおよび/またはがんを有すると決定された対象であり得る。対象または患者はまた、本開示のペプチド、またはSEQ ID NO:1もしくは2のペプチドなどのペプチド特異的がんを有することを特徴とする対象または患者であり得る。いくつかの局面では、方法は、ペプチドおよび/またはMHCと結合したT細胞の数を選別する工程をさらに含む。本開示の方法はまた、ペプチドおよび/もしくはMHCと結合したT細胞からの1つもしくは複数のTCR遺伝子を配列決定する工程を含み得るか、またはさらに含み得る。いくつかの局面では、方法は、本開示のペプチドに結合するTCRなどのTCRからのTCRアルファおよび/もしくはベータ遺伝子を配列決定する工程を含むか、またはさらに含む。方法はまた、パラトープホットスポット(GLIPH)分析によるリンパ球相互作用のグループ分けを行う工程を含み得るか、またはさらに含み得る。これは、参照により本明細書に組み入れられるGlanville et al.,Nature.2017 Jul 6;547(7661):94-98にさらに記載されている。
【0038】
本開示の組成物は、無血清、マイコプラズマ不含、エンドトキシン不含、および/または無菌であり得る。方法は、培地中で本開示の細胞を培養する工程、細胞の分裂を可能にする条件で細胞をインキュベートする工程、細胞をスクリーニングする工程、および/または細胞を凍結する工程をさらに含み得る。いくつかの局面では、方法は、発現されたペプチドまたはポリペプチドを本開示の細胞から単離する工程をさらに含む。
【0039】
本開示の方法は、1つもしくは複数の細胞特性について樹状細胞をスクリーニングする工程を含み得るか、またはさらに含み得る。いくつかの局面では、方法は、細胞を1つまたは複数のサイトカインまたは成長因子と接触させる工程をさらに含む。1つまたは複数のサイトカインまたは成長因子は、GM-CSFを含み得る。いくつかの局面では、細胞特性は、CD86、HLAおよびCD14のうちの1つまたは複数の細胞表面発現を含む。いくつかの局面では、樹状細胞は、CD34+造血幹細胞またはCD34+造血前駆細胞に由来する。
【0040】
本開示の方法における接触させる工程は、免疫エフェクター細胞の出発集団を抗原提示細胞(APC)と共培養すること、としてさらに定義され得、APCは、その表面にペプチドを提示する。特定の局面では、APCは樹状細胞である。いくつかの局面では、樹状細胞は、末梢血単球(PBMC)に由来する。いくつかの局面では、樹状細胞は、PBMCから単離される。いくつかの局面では、樹状細胞は、DCが由来する細胞が白血球アフェレーシスによって単離されている細胞である。
【0041】
本開示の局面におけるペプチド-MHC(pMHC)複合体は、本開示のペプチドをMHC複合体と接触させることによって作製され得る。いくつかの局面では、ペプチドは、細胞内で発現され、内因性MHC複合体に結合してpMHCを形成する。いくつかの局面では、pMHC複合体を作製するために、ペプチド交換が使用される。例えば、光切断性ペプチドなどの切断性ペプチドは、MHCに結合し、MHCを安定化するように設計され得る。ペプチドの切断は(例えば、光切断性ペプチドに対する照射による)、「レスキューペプチド」の存在下でUV曝露が行われない限り、HLA複合体からペプチドを解離させ、迅速に崩壊する空のHLA複合体をもたらす。したがって、本開示のペプチドは、ペプチド交換手順では「レスキューペプチド」として使用され得る。本開示のさらなる局面は、本開示のペプチドを含むpMHC複合体に関する。pMHC複合体は、固体支持体に機能的に連結され得るか、または蛍光分子、放射性同位体もしくは抗体などの検出可能な部分に結合され得る。本開示のさらなる局面は、ともに機能的に連結された1、2、3、4、5、もしくは6個のペプチド-MHC分子を含むか、ともに機能的に連結された少なくとも1、2、3、4、5、もしくは6個のペプチド-MHC分子を含むか、またはともに機能的に連結された多くとも1、2、3、4、5、もしくは6個のペプチド-MHC分子を含む、ペプチド-MHC多量体複合体に関する。連結は、例えば、ペプチド結合を介した共有結合であり得るか、または非共有結合であり得る。いくつかの局面では、pMHC分子は、ビオチン分子に結合され得る。そのようなpMHC分子は、ストレプトアビジン分子に結合することによって多量体化され得る。pMHC多量体は、組成物中または組織内にある抗原特異的なT細胞またはTCR分子を検出するために使用され得る。いくつかの局面では、多量体は、インサイチューまたは生検試料中でペプチド特異的T細胞を検出するために使用され得る。さらなる局面では、多量体は、固体支持体に結合され得るか、またはアレイもしくはスライドなどの固体支持体上に堆積され得る。次いで、細胞をスライドに添加してもよく、pMHC多量体と細胞との間の結合の検出を行ってもよい。したがって、本開示のpMHC分子およびpMHC多量体は、対象のがんを検出および診断するために、またはがんを有する個体における免疫応答を決定するために使用され得る。
【0042】
本開示のいくつかの局面では、得る工程は、本明細書において記載される方法で定義されるように、末梢血単核細胞(PBMC)から免疫エフェクター細胞の出発集団を単離することを含む。いくつかの局面では、免疫エフェクター細胞の出発集団は、対象から得られる。対象は、ペプチド特異的がんなどのがんを有する対象であり得る。いくつかの局面では、対象は、本開示のペプチドを発現するがんを有すると決定されている。いくつかの局面では、がんは、白血病、肺がん、または皮膚がんを含む。がんはまた、固形腫瘍としてさらに定義され得る。具体的な局面では、がんは、肺がんを含む。肺がんは、腺癌または扁平上皮癌を含み得る。いくつかの局面では、本開示の方法は、共培養の前に、ペプチド、もしくはペプチドをコードする核酸を樹状細胞に導入する工程を含むか、またはさらに含む。ペプチドの導入は、ペプチドをコードする核酸を樹状細胞にトランスフェクトするかもしくは感染させることによって、またはペプチドを樹状細胞とともにインキュベートすることによって行われ得る。いくつかの局面では、ペプチド、またはペプチドをコードする核酸は、エレクトロポレーションによって導入される。核酸を移入する他の方法、例えば、リポフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、マイクロインジェクションおよびウイルス媒介形質導入が当技術分野において公知である。いくつかの局面では、ペプチド、またはペプチドをコードする核酸は、ペプチド、またはペプチドをコードする核酸を樹状細胞培養培地に添加することによって導入される。いくつかの局面では、免疫エフェクター細胞は、ペプチド、またはペプチドをコードする核酸が導入された樹状細胞の第2の集団と共培養される。いくつかの局面では、CD4陽性またはCD8陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性T細胞の集団は、共培養後に免疫エフェクター細胞から精製される。いくつかの局面では、CD4陽性またはCD8陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性T細胞の集団は、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって精製される。いくつかの局面では、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞のクローン集団は、限界希釈または連続希釈、続いて、急速拡大増殖プロトコルによる個々のクローンの拡大増殖によって生成される。
【0043】
いくつかの局面では、精製する工程は、選別された細胞の限界希釈または連続希釈、続いて、急速拡大増殖プロトコルによる個々のクローンの拡大増殖によって、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞のクローン集団を生成することをさらに含む。いくつかの局面では、本開示の方法は、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞のクローン集団からのT細胞受容体(TCR)のクローニングを含むか、またはさらに含む。いくつかの局面では、本開示の方法では、単離するという用語は、ペプチド特異的免疫エフェクター細胞のクローン集団からのT細胞受容体(TCR)のクローニングとして定義される。いくつかの局面では、TCRのクローニングとは、TCRアルファ鎖およびTCRベータ鎖のクローニングである。いくつかの局面では、TCRは、5'-cDNA末端迅速増幅(RACE)法を使用してクローニングされる。いくつかの局面では、TCRアルファ鎖およびTCRベータ鎖は、5'-cDNA末端迅速増幅(RACE)法を使用してクローニングされる。いくつかの局面では、クローニングされたTCRは、発現ベクターにサブクローニングされる。いくつかの局面では、発現ベクターは、TCRアルファ配列とTCRベータ配列との間にリンカードメインを含む。いくつかの局面では、発現ベクターは、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。ベクターは、本明細書において記載される発現ベクターであってもよい。リンカードメインは、1つまたは複数のペプチド切断部位をコードする配列を含み得る。1つまたは複数の切断部位は、フューリン切断部位および/またはP2A切断部位であり得る。いくつかの局面では、TCRアルファ配列およびTCRベータ配列は、IRES配列によって連結される。
【0044】
本開示の宿主細胞に発現ベクターを形質導入して、TCRアルファ鎖および/またはTCRベータ鎖を発現する操作された細胞を生成してもよい。いくつかの局面では、宿主細胞は免疫細胞である。免疫細胞はT細胞であり得、操作された細胞は、操作されたT細胞と呼ばれ得る。T細胞は、本明細書において記載されるT細胞のタイプ、例えば、CD8+T細胞、CD4+T細胞、またはγδ T細胞であり得る。いくつかの局面では、免疫エフェクター細胞の出発集団は、がんまたはペプチド特異的がんを有する対象から得られ、宿主細胞は、対象にとって同種または自己由来である。いくつかの局面では、ペプチド特異的T細胞は、自己由来または同種である。いくつかの局面では、CD4陽性またはCD8陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性の操作されたT細胞の集団は、形質導入された宿主細胞から精製される。いくつかの局面では、ペプチド特異的な操作されたT細胞のクローン集団は、限界希釈または連続希釈、続いて、急速拡大増殖プロトコルによる個々のクローンの拡大増殖によって生成される。いくつかの局面では、本開示の方法における精製する工程は、共培養の後に、免疫エフェクター細胞から、CD4陽性またはCD8陽性かつペプチドMHCテトラマー陽性T細胞の集団を精製すること、として定義される。
【0045】
いくつかの局面では、ペプチドは、固体支持体に連結される。いくつかの局面では、ペプチドは、固体支持体にコンジュゲートされるか、または固体支持体にコンジュゲートされた抗体に結合する。いくつかの局面では、固体支持体は、マイクロプレート、ビーズ、ガラス表面、スライド、または細胞培養皿を含む。いくつかの局面では、固体支持体は、ナノ流体チップを含む。いくつかの局面では、T細胞応答を検出することは、T細胞またはTCRへのペプチドの結合を検出することを含む。いくつかの局面では、T細胞応答を検出することは、ELISA、ELISPOT、またはテトラマーアッセイを含む。
【0046】
本開示のキット局面は、本開示のペプチドを容器内に含み得る。ペプチドは、薬学的調製物に含まれてもよい。いくつかの局面では、薬学的調製物は、非経口投与または吸入のために製剤化される。いくつかの局面では、ペプチドは、細胞培養培地に含まれる。
【0047】
本出願を通して、用語「約」は、値を決定するために使用されている装置または方法の誤差の標準偏差を値が含むことを示すために、細胞および分子生物学の分野におけるその明白な通常の意味に従って使用される。
【0048】
用語「含む」と組み合わせて使用される場合の単語「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1つまたは1つを超える」の意味とも一致する。
【0049】
本明細書において使用される場合、用語「または」および「および/または」は、互いに組み合わせてまたは排他的に複数の構成要素を説明するために利用される。例えば、「x、yおよび/またはz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、yおよびz」、「(xおよびy)またはz」、「xまたは(yおよびz)」または「xまたはyまたはz」を指すことができる。x、yまたはzは、態様または局面から具体的に除外され得ることが具体的に企図される。
【0050】
用語「含む(comprising)」(および含む(comprising)の任意の形態、例えば、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)、「有する(having)」(および有する(having)の任意の形態、例えば、「有する(have)」および「有する(has)」)、「含む(including)」(および含む(including)の任意の形態、例えば、「含む(includes)」および「含む(include)」)、「を特徴とする(characterized by)」(および含む(including)の任意の形態、例えば、「として特徴付けられる(characterized as)」)、または「含有する(containing)」(および含有する(containing)の任意の形態、例えば、「含有する(contains)」および「含有する(contain)」)は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法工程を除外しない。
【0051】
組成物およびそれらの使用方法は、本明細書全体を通して開示される成分または工程のいずれかを「含む」、それら「から本質的になる」または「からなる」ことができる。語句「からなる」は、規定されていない要素、工程または成分を除外する。語句「から本質的になる」は、指定の材料または工程、ならびに基本的な特性および新規の特性に実質的に影響を及ぼさないものに、記載された主題の範囲を限定する。用語「含む」に関連して説明される態様および局面は、用語「からなる」または「から本質的になる」に関連して実施されてもよいことが企図される。
【0052】
治療的、診断的または生理学的な目的または効果の文脈における任意の方法はまた、記載された治療的、診断的または生理学的な目的または効果を達成または実施するために本明細書において説明される任意の化合物、組成物または作用物質「の使用」などの「使用」という請求項の文言に記載され得る。
【0053】
1つまたは複数の配列または組成物の使用は、本明細書において記載される方法のいずれかに基づいて使用され得る。他の態様および局面は、本出願を通して説明される。本開示の一局面に関して説明された任意の態様または局面は、本開示の他の局面にも適用され、その逆も同様である。
【0054】
本発明の1つの態様または局面に関して説明された任意の限定は、本発明の任意の他の態様または局面に適用され得ることが具体的に企図される。さらに、本発明の任意の組成物は本発明の任意の方法に使用され得、本発明の任意の方法は、本発明の任意の組成物を生成または利用するために使用され得る。実施例に記載された態様の局面はまた、異なる実施例の他の場所、または本出願の他の場所、例えば、発明の概要、態様の詳細な説明、特許請求の範囲、および図の凡例の説明で説明された態様に関連して実施され得る態様である。
【0055】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者には明らかになると考えられるため、詳細な説明および具体的な例は、本発明の具体的な態様および局面を示しているが、例示としてのみ与えられていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の局面をさらに実証するために含まれている。本発明は、本明細書において提示される具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つまたは複数を参照することによってさらによく理解され得る。
【0057】
【
図1】MHC免疫親和性沈殿および質量分析を使用した、Hormad1 HLA-A1101拘束性ペプチド同定。
【
図2】HORMAD1 HLA-A11拘束性ペプチド(HMD-375、SSSQESVPK-SEQ ID NO:2)CTL生成。
【
図3】ペプチド滴定アッセイによる、HMD-375ペプチド特異的CTL細胞株エピトープ認識親和性検出。
【
図4A】
図4A~D。HMD-375ペプチド特異的CTL細胞株の機能的検証。細胞標的には、以下が含まれる:(A)eGFPまたはHORMAD1を強制発現させたK562-A11細胞株;(B)H1299(HLA-A2-、HORMAD1+)およびH1299-A11(HLA-A11強制発現)(C)H1623(HLA-A11+、HORMAD1+)およびH647(HLA-A11+、HORMAD1-)(D)M14-eGFP(HLA-A11+、HORMAD1-、eGFP強制発現)およびM14-HMD(HLA-A11+、HORMAD1強制発現)。
【
図5】HMD-375特異的TCR-T細胞株生成。
【
図6】ペプチド滴定アッセイによる、HMD-375特異的TCR-T細胞株の認識親和性検出。
【
図7A】
図7A~D。HMD-375特異的TCR-T細胞株の機能的検証。細胞標的には、以下が含まれる:(A)eGFPまたはHORMAD1を強制発現させたK562-A11細胞株;(B)H1299(HLA-A2-、HORMAD1+)およびH1299-A11(HLA-A11強制発現);(C)H1623(HLA-A11+、HORMAD1+)およびH647(HLA-A11+、HORMAD1-);(D)M14-eGFP(HLA-A11+、HORMAD1-、eGFP強制発現)およびM14-HMD(HLA-A11+、HORMAD1強制発現)。
【
図8A】
図8A~B。IFN-γ(A)サイトカイン染色およびTNF-α(B)サイトカイン染色を示す細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイを使用した、HMD-375特異的TCR-T細胞株の機能的検証。
【
図9】ヒト正常組織内のKIF2C発現レベル(GTExデータベース)。
【
図10】ヒトがん組織内のKIF2C発現レベル(TCGAデータベース)。
【
図11】HLA-A2402拘束性ペプチド-IYNGKLFDL(SEQ ID NO:1)をK562-A24細胞から溶出し、質量分析によって同定した。グラフ上の配列は、SEQ ID NO:1に対応する。
【
図12】KIF2C-404ペプチド(IYNGKLFDL-SEQ ID NO:2)特異的CTL生成。
【
図13】ペプチド滴定アッセイによる、KIF2C-404ペプチド特異的CTL細胞株エピトープ認識親和性検出。
【
図14A】
図14A~E。KIF2C-404ペプチド特異的CTL細胞株の機能的検証。細胞標的には、(A)H650;(B)U118G;(C)LN18;(D)H1299;(E)Panc 03.27が含まれる。
【
図15】KIF2C-404特異的TCR-T細胞株生成。
【
図16】KIF2C-404ペプチド特異的TCR T細胞株の機能的検証。
【発明を実施するための形態】
【0058】
発明の詳細な説明
I. 本開示のペプチドを使用する免疫療法
本明細書において記載されるペプチド(例えば、SEQ ID NO:1または2のペプチド)は、がんの免疫療法に使用され得る。例えば、SEQ ID NO:1または2のペプチドは、上記ペプチドを認識するかまたは上記ペプチドに結合するT細胞の増殖を誘導するように、T細胞の集団と接触され得るか、またはT細胞の集団を刺激するために使用され得る。他の局面では、本開示のペプチドは、がんに対する対象の免疫応答を増強するために、ヒト患者などの対象に投与され得る。
【0059】
本開示のペプチドは、能動免疫療法(例えば、がんワクチン)または受動免疫療法(例えば、養子免疫療法)に含まれ得る。能動免疫療法には、精製ペプチド抗原または免疫優性ペプチド(天然または改変)を用いて対象を免疫することが含まれる。あるいは、本開示のペプチドをパルスした(またはペプチドを含む抗原をコードする遺伝子をトランスフェクトした)抗原提示細胞が対象に投与されてもよい。ペプチドは、改変されてもよいか、または例えば、置換変異などの1つもしくは複数の変異を含有してもよい。受動免疫療法には、養子免疫療法が含まれる。養子免疫療法は、対象に細胞を投与することを一般に伴い、細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)は、本開示のペプチドに対してインビトロで感作されている(例えば、米国特許第7910109号を参照)。
【0060】
いくつかの局面では、フローサイトメトリーが、例えば、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)に基づく増殖アッセイと組み合わせてT細胞受容体(TCR)Vβ抗体を使用することによるヒト腫瘍抗原特異的T細胞クローンの迅速な単離のための養子免疫療法に使用され得る。例えば、あらゆる目的のために参照により組み入れられるLee et al.,J.Immunol.Methods,331:13-26,2008を参照されたい。いくつかの局面では、例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられるPollack,et al.,J Immunother Cancer.2014;2:36に記載されている方法などのテトラマー誘導細胞選別が使用され得る。様々な培養プロトコルが養子免疫療法についても公知であり、本開示の局面に使用され得る。いくつかの局面では、細胞は、抗原提示細胞の使用を必要としない条件で培養され得る(例えば、参照により組み入れられるHida et al.,Cancer Immunol.Immunotherapy,51:219-228,2002)。他の局面では、T細胞は、樹状細胞などの抗原提示細胞を利用する培養条件下で拡大増殖されてもよく(参照により組み入れられるNestle et al.,1998)、いくつかの局面では、この目的のために人工抗原提示細胞が使用されてもよい(参照により組み入れられるMaus et al.,2002)。養子免疫療法のための追加の方法は、本開示の局面とともに使用され得る、参照により組み入れられるDudley et al.(2003)に開示されている。様々な方法が公知であり、ヒト抗原特異的T細胞のクローニングおよび拡大増殖に使用され得る(例えば、参照により本明細書に組み入れられるRiddell et al.,1990を参照)。
【0061】
ある特定の局面では、以下のプロトコルを使用して、本開示のペプチドを選択的に認識するT細胞を生成してもよい。ペプチド特異的T細胞株は、以前に報告された方法(Hida et al.,2002)を使用して、正常ドナーまたはHLA拘束性正常ドナーおよび患者から生成され得る。 ENREF 32要約すると、約200μlの培養培地中、96ウェルU底マイクロ培養プレート(Corning Incorporated,Lowell,MA)内、四連で約10μg/mlの各ペプチドを用いて、PBMC(1×105細胞/ウェル)を刺激することができる。培養培地は、50%AIM-V培地(Invitrogen)、50%RPMI1640培地(Invitrogen)、10%ヒトAB血清(Valley Biomedical,Winchester,VA)および100IU/mlインターロイキン-2(IL-2)からなり得る。約3日ごとに、対応するペプチドを用いて細胞を再刺激してもよい。5回の刺激の後、各ウェルからのT細胞を洗浄し、対応するペプチドの存在下または非存在下でT2細胞とインキュベートしてもよい。約18時間後、ELISAによって、上清中のインターフェロン(IFN)-γの産生を決定してもよい。急速拡大増殖プロトコルによって、大量のIFN-γを分泌するT細胞をさらに拡大増殖させてもよい(Riddell et al.,1990;Yee et al.,2002b)。
【0062】
いくつかの局面では、免疫療法は、リポソームまたは細胞透過性ペプチド(CPP)などの細胞透過性物質に関連する、本開示のペプチドを利用し得る。ペプチドをパルスした抗原提示細胞(樹状細胞など)を使用して、抗腫瘍免疫を増強してもよい(Celluzzi et al.,1996;Young et al.,1996)。リポソームおよびCPPは、以下にさらに詳細に記載される。いくつかの局面では、免疫療法は、本開示のペプチドをコードする核酸を利用し得、核酸は、例えば、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターで送達される。
【0063】
いくつかの局面では、本開示のペプチドは、ヒト患者などの哺乳動物対象のがんを処置するための免疫療法に使用され得る。
【0064】
II. 操作されたT細胞受容体
T細胞受容体は、ジスルフィド結合によって連結された、T細胞受容体α(TCRα)鎖およびβ(TCRβ)鎖と呼ばれる2つの異なるポリペプチド鎖を含む。これらのα:βヘテロダイマーは、免疫グロブリン分子のFab断片と構造が非常に類似しており、ほとんどのT細胞による抗原認識を担う。少数のT細胞は、γおよびδと呼ばれるポリペプチド鎖の異なる対から構成される代替的であるが構造的に類似した受容体を有する。両タイプのT細胞受容体は、B細胞受容体として機能する膜結合免疫グロブリンとは異なる:T細胞受容体は1つの抗原結合部位のみを有するが、B細胞受容体は2つを有し、T細胞受容体は決して分泌されないが、免疫グロブリンは抗体として分泌され得る。
【0065】
T細胞受容体の両鎖は、免疫グロブリンVドメインに対して相同性を有するアミノ末端可変(V)領域と、免疫グロブリンCドメインに対して相同性を有する定常(C)領域と、鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含有する短いヒンジ領域とを有する。各鎖は、疎水性膜貫通ドメインによって脂質二重層にまたがり、短い細胞質尾部で終わる。
【0066】
T細胞受容体の三次元構造が決定されている。その構造は、実際に、それをコードする遺伝子に関する以前の試験から察知されたように、抗体Fab断片の構造と類似している。T細胞受容体鎖は、Fab断片のものとほぼ同じ様式でフォールディングするが、最終的な構造は、少し短くかつ広く見える。ただし、T細胞受容体とFab断片との間にはいくつかの別個の差がある。最も顕著な差はCαドメインにあり、ここで、フォールドは、他の免疫グロブリン様ドメインのフォールドとは異なる。Cβドメインと並置されたドメインの半分は、他の免疫グロブリン様ドメインに見られるものと同様のβシートを形成するが、ドメインの他方の半分は、緩く詰まったストランドと、αヘリックスの短いセグメントとから形成される。免疫グロブリン様ドメインでは通常2本のβストランドを結合する分子内ジスルフィド結合は、Cαドメインではβストランドをαヘリックスのこのセグメントに結合する。
【0067】
ドメインが相互作用する様式にも差がある。両T細胞受容体鎖のVドメインとCドメインとの間の界面は、抗体よりも広範囲であり、これにより、ドメイン間のヒンジ結合の柔軟性が低下する可能性がある。また、CαドメインとCβドメインとの間の相互作用は、炭水化物によって補助される点で独特であり、Cαドメイン由来の糖基は、Cβドメインへのいくつかの水素結合を形成する。最後に、可変結合部位の比較では、相補性決定領域(CDR)ループは抗体分子のループとかなり密接に整列しているが、抗体分子のループと比較していくらかの置換があることが示される。この置換は、ループの一端をドメインの一方の面から他方の面に固定するβストランドのシフトの結果として、抗体Vドメインの等価なループに対してほぼ直角に配向されるVα CDR2ループでは特に顕著である。ストランド置換はまた、構造が公知である7つのVβドメインのうちの2つでは、Vβ CDR2ループの配向の変化を引き起こす。これまでのところ、7つのT細胞受容体の結晶構造は、このレベルの分解能まで解明されている。
【0068】
本開示の局面は、操作されたT細胞受容体に関する。用語「操作された」は、本開示のペプチドおよび抗原に結合するキメラポリペプチドを作製するためにTCR定常領域上に移植されたTCR可変領域を有するT細胞受容体を指す。ある特定の局面では、TCRは、構築物のクローニング、発現増強、検出または治療的制御に使用されるが、内因性TCRには存在しない介在配列、例えば、マルチクローニングサイト、リンカー、ヒンジ配列、改変ヒンジ配列、改変膜貫通配列、検出ポリペプチドもしくは検出分子、またはTCRを含む細胞の選択もしくはスクリーニングを可能にし得る治療用対照を含む。
【0069】
いくつかの局面では、TCRは、非TCR配列を含む。したがって、ある特定の局面は、TCR遺伝子に由来しない配列を有するTCRに関する。いくつかの局面では、TCRは、TCR遺伝子に通常見られる配列を含有するが、必ずしも天然に一緒に見られるとは限らない少なくとも2つのTCR遺伝子由来の配列を含有するという点で、キメラである。
【0070】
いくつかの局面では、本開示の操作されたTCRは、以下に示す局面を含む。
【0071】
【0072】
III. 細胞透過性ペプチド
本開示のペプチドはまた、細胞透過性ペプチド(CPP)と会合または共有結合し得る。本開示のペプチドに共有結合し得る細胞透過性ペプチドには、例えば、HIV Tat、ヘルペスウイルスVP22、ショウジョウバエ(Drosophila)アンテナペディアホメオボックス遺伝子産物、シグナル配列、融合配列またはプロテグリンIが含まれる。ペプチドをCPPに共有結合させると、樹状細胞によるペプチドの提示を延長させ、したがって、抗腫瘍免疫を増強することができる(Wang and Wang,2002)。いくつかの局面では、本開示のペプチド(例えば、ペプチドまたはポリエピトープストリング(polyepitope string)内に含まれる)は、CPPに共有結合して(例えば、ペプチド結合を介して)融合タンパク質を生成し得る。他の局面では、本開示によるペプチドまたは該ペプチドをコードする核酸は、多重膜リポソーム、小胞リポソームもしくは多小胞リポソームなどのリポソーム内にカプセル化され得るか、またはそれと会合し得る。
【0073】
本明細書において使用される場合、「会合」は、物理的会合、化学的会合またはその両方を意味する。例えば、会合は、共有結合、疎水性相互作用、カプセル化、表面吸着などを伴い得る。
【0074】
本明細書において使用される場合、「細胞透過性物質」は、抗原提示細胞へのペプチド/ポリエピトープストリングの細胞内送達を増強する組成物または化合物を指す。例えば、細胞透過性物質は、ペプチドと会合すると、原形質膜を通過する能力を増強する脂質であり得る。あるいは、細胞透過性物質はペプチドであってよい。細胞透過性ペプチド(CPP)は当技術分野において公知であり、例えば、HIVのTatタンパク質(Frankel and Pabo,1988)、HSVのVP22タンパク質(Elliott and O'Hare,1997)および線維芽細胞成長因子(Lin et al.,1995)を含む。
【0075】
細胞透過性ペプチド(または「タンパク質形質導入ドメイン」)は、ショウジョウバエアンテナペディアホメオボックス遺伝子(Antp)の第3のヘリックス、HIV Tat、およびヘルペスウイルスVP22から同定されており、これらはいずれも、アルギニン残基およびリジン残基に富んだ正電荷ドメインを含有する(Schwarze et al.,2000;Schwarze et al.,1999)。また、シグナル配列に由来する疎水性ペプチドは、細胞透過性ペプチドとして同定されている。(Rojas et al.,1996;Rojas et al.,1998;Du et al.,1998)。これらのペプチドをβ-ガラクトシダーゼなどのマーカータンパク質にカップリングすると、細胞内へのマーカータンパク質の効率的な内在化がもたらされることが示されており、これらのペプチドを含有するキメラなインフレーム融合タンパク質は、インビトロおよびインビボの両方で広範囲の細胞型にタンパク質を送達するために使用されている(Drin et al.,2002)。本開示のペプチドへのこれらの細胞透過性ペプチドの融合は、ポリペプチドの細胞取込みを増強し得る。
【0076】
いくつかの局面では、細胞取込みは、ポリペプチドへのステアレートまたはミリスチレート(myristilate)などの脂質の結合によって促進される。脂質化は、細胞内へのペプチドの通過を増強することが示されている。脂質部分の結合は、本発明が細胞によるポリペプチド取込みを増加させる別の方法である。
【0077】
本開示のペプチドは、リポソームワクチン組成物に含まれ得る。例えば、リポソーム組成物は、プロテオリポソーム組成物であり得るか、またはプロテオリポソーム組成物を含み得る。本発明とともに使用され得るプロテオリポソーム組成物を生成する方法は、例えば、Neelapu et al.(2007)およびPopescu et al.(2007)に記載されている。いくつかの局面では、プロテオリポソーム組成物は、黒色腫を処置するために使用され得る。
【0078】
本開示のポリペプチドの取込みを増強することによって、処置に必要なタンパク質またはペプチドの量を減少させることが可能であり得る。これにより、処置コストを大幅に削減し、治療剤の供給を増加させることができる。投与量が低くなれば、ペプチドの潜在的な免疫原性を最小限に抑え、毒性副作用を制限することもできる。
【0079】
いくつかの局面では、本開示のペプチドは、ナノ粒子と会合してナノ粒子-ポリペプチド複合体を形成し得る。いくつかの局面では、ナノ粒子は、リポソームまたは他の脂質ベースのナノ粒子、例えば、脂質ベースの小胞(例えば、DOTAP:コレステロール小胞)である。他の局面では、ナノ粒子は酸化鉄系超常磁性ナノ粒子である。直径が約10~100nmの範囲の超常磁性ナノ粒子は、脾臓による捕捉を回避するのに十分小さいが、肝臓によるクリアランスを回避するのに十分大きい。このサイズの粒子は、非常に小さな毛細管を透過することができ、体組織に効果的に分布することができる。超常磁性ナノ粒子-ポリペプチド複合体をMRI造影剤として使用して、ペプチドを取り込む細胞を同定および追跡することができる。いくつかの局面では、ナノ粒子は、いずれも光学イメージングに使用され得る半導体ナノ結晶または半導体量子ドットである。さらなる局面では、ナノ粒子は、シリカのコアの上に金層を含むナノシェルであり得る。ナノシェルの1つの利点は、標準的な化学作用を使用してポリペプチドを金層にコンジュゲートすることができることである。他の局面では、ナノ粒子は、フラーレンまたはナノチューブであり得る(Gupta et al.,2005)。
【0080】
ペプチドは、腎臓によって循環から迅速に除去され、血清中のプロテアーゼによる分解に感受性である。ペプチドをナノ粒子と会合させることによって、本発明のナノ粒子-ポリペプチド複合体は、分解から保護し、および/または腎臓によるクリアランスを減少させ得る。これにより、ポリペプチドの血清半減期が増加し、それによって、効果的な治療に必要なポリペプチド用量が減少し得る。さらに、これにより、処置のコストが削減され得、治療の免疫学的問題および毒性反応が最小限に抑えられる。
【0081】
IV. ポリエピトープストリング
いくつかの局面では、ペプチドは、ポリエピトープストリングに含まれる(included)か、または含まれる(comprised)。ポリエピトープストリングとは、互いに連結された1つまたは複数の抗原からの複数の抗原性エピトープを含有するペプチドまたはポリペプチドである。ポリエピトープストリングを使用して、ヒト対象などの対象において免疫応答を誘導してもよい。ポリエピトープストリングは、マラリアおよび他の病原体を標的とするために以前に使用されている(Baraldo et al.,2005;Moorthy et al.,2004;Baird et al.,2004)。ポリエピトープストリングとは、核酸(例えば、本開示のペプチドを含む複数の抗原をコードする核酸)またはペプチドもしくはポリペプチド(例えば、本開示のペプチドを含む複数の抗原を含有する)を指し得る。ポリエピトープストリングは、がんワクチン組成物に含まれ得る。
【0082】
V. 抗原性ペプチドの用途
様々な局面は、特定のがんを処置および予防するのに有用な抗原性ペプチドの開発および使用に関する。多くの局面では、抗原性ペプチドは、化学合成によって、または宿主細胞内の分子発現によって産生される。ペプチドは、(限定されることなく)ペプチド免疫原性を決定するためのアッセイ、T細胞による認識を決定するためのアッセイ、がんを処置するためのペプチドワクチン、T細胞の改変TCRの開発、および抗体の開発を含む様々な用途において精製および利用され得る。
【0083】
ペプチドは、いくつかの方法によって化学的に合成することができる。1つの一般的な方法は、固相ペプチド合成(SPPS)を使用することである。一般に、SPPSは、交互のN末端脱保護およびカップリング反応のサイクルを繰り返し、ペプチドをc末端からn末端まで構築することによって行われる。第1のアミノ酸のc末端を樹脂とカップリングさせ、次いで、アミンを非推奨とし、次いで、第2のアミノ酸の遊離酸とカップリングさせる。このサイクルは、ペプチドが合成されるまで繰り返される。
【0084】
ペプチドは、分子ツールおよび宿主細胞を利用して合成することもできる。抗原性ペプチドに対応する核酸配列を合成することができる。いくつかの局面では、インビトロ合成器(例えば、ホスホラミダイト合成器)、細菌組換え系または他の好適な方法で合成された合成核酸。さらに、合成された核酸は、精製および凍結乾燥され得るか、または生体系(例えば、細菌、酵母)に保存されたままであり得る。生体系で使用するために、合成核酸分子をプラスミドベクターなどに挿入することができる。プラスミドベクターはまた、好適なプロモーターおよび好適な3'-ポリAテールが転写物配列と組み合わされている発現ベクターであり得る。
【0085】
局面はまた、抗原性ペプチドまたは抗原性タンパク質を産生する発現ベクターおよび発現系に関する。これらの発現系は、発現ベクターを組み込んで、好適な発現系で転写物およびタンパク質を発現させることができる。典型的な発現系には、細菌細胞株(例えば、大腸菌(E.coli))、昆虫細胞株(例えば、SF9)、酵母細胞株(例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae))、動物細胞株(例えば、CHO)またはヒト細胞株(例えば、HEK 293)が含まれる。標準的なバイオテクノロジー生産手順を使用して、これらの系からRNAおよび/またはタンパク質分子を精製することができる。
【0086】
免疫原性および/またはTCR結合を決定するためのアッセイを行うことができる。そのようなものの1つは、デキストラマーフローサイトメトリーアッセイである。一般に、特注のHLA適合MHCクラスIデキストラマー:ペプチド(pMHC)複合体が開発または購入される(Immudex,Copenhagen,Denmark)。末梢血単核細胞(PBMC)または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)由来のT細胞をpMHC複合体とインキュベートし、染色し、次いで、フローサイトメーターを通過させて、ペプチドがT細胞のTCRに結合することができるかどうかを決定する。
【0087】
本開示のペプチドはまた、ペプチドに結合するT細胞受容体を単離および/または同定するために使用され得る。T細胞受容体は、ジスルフィド結合によって連結された、T細胞受容体α(TCRα)鎖およびβ(TCRβ)鎖と呼ばれる2つの異なるポリペプチド鎖を含む。これらのα:βヘテロダイマーは、免疫グロブリン分子のFab断片と構造が非常に類似しており、ほとんどのT細胞による抗原認識を担う。少数のT細胞は、γおよびδと呼ばれるポリペプチド鎖の異なる対から構成される代替的であるが構造的に類似した受容体を有する。両タイプのT細胞受容体は、B細胞受容体として機能する膜結合免疫グロブリンとは異なる:T細胞受容体は1つの抗原結合部位のみを有するが、B細胞受容体は2つを有し、T細胞受容体は決して分泌されないが、免疫グロブリンは抗体として分泌され得る。
【0088】
T細胞受容体の両鎖は、免疫グロブリンVドメインに対して相同性を有するアミノ末端可変(V)領域と、免疫グロブリンCドメインに対して相同性を有する定常(C)領域と、鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含有する短いヒンジ領域とを有する。各鎖は、疎水性膜貫通ドメインによって脂質二重層にまたがり、短い細胞質尾部で終わる。
【0089】
T細胞受容体の三次元構造が決定されている。その構造は、実際に、それをコードする遺伝子に関する以前の試験から察知されたように、抗体Fab断片の構造と類似している。T細胞受容体鎖は、Fab断片のものとほぼ同じ様式でフォールディングするが、最終的な構造は、少し短くかつ広く見える。ただし、T細胞受容体とFab断片との間にはいくつかの別個の差がある。最も顕著な差はCαドメインにあり、ここで、フォールドは、他の免疫グロブリン様ドメインのフォールドとは異なる。Cβドメインと並置されたドメインの半分は、他の免疫グロブリン様ドメインに見られるものと同様のβシートを形成するが、ドメインの他方の半分は、緩く詰まったストランドと、αヘリックスの短いセグメントとから形成される。免疫グロブリン様ドメインでは通常2本のβストランドを結合する分子内ジスルフィド結合は、Cαドメインではβストランドをαヘリックスのこのセグメントに結合する。
【0090】
ドメインが相互作用する様式にも差がある。両T細胞受容体鎖のVドメインとCドメインとの間の界面は、抗体よりも広範囲であり、これにより、ドメイン間のヒンジ結合の柔軟性が低下する可能性がある。また、CαドメインとCβドメインとの間の相互作用は、炭水化物によって補助される点で独特であり、Cαドメイン由来の糖基は、Cβドメインへのいくつかの水素結合を形成する。最後に、可変結合部位の比較では、相補性決定領域(CDR)ループは抗体分子のループとかなり密接に整列しているが、抗体分子のループと比較していくらかの置換があることが示される。この置換は、ループの一端をドメインの一方の面から他方の面に固定するβストランドのシフトの結果として、抗体Vドメインの等価なループに対してほぼ直角に配向されるVα CDR2ループでは特に顕著である。ストランド置換はまた、構造が公知である7つのVβドメインのうちの2つでは、Vβ CDR2ループの配向の変化を引き起こす。これまでのところ、7つのT細胞受容体の結晶構造は、このレベルの分解能まで解明されている。
【0091】
本開示の局面は、本開示のペプチド、例えば、SEQ ID NO:1または2のペプチドに結合する操作されたT細胞受容体に関する。用語「操作された」は、本開示のペプチドおよび抗原に結合するキメラポリペプチドを作製するためにTCR定常領域上に移植されたTCR可変領域を有するT細胞受容体を指す。ある特定の局面では、TCRは、構築物のクローニング、発現増強、検出または治療的制御に使用されるが、内因性TCRには存在しない介在配列、例えば、マルチクローニングサイト、リンカー、ヒンジ配列、改変ヒンジ配列、改変膜貫通配列、検出ポリペプチドもしくは検出分子、またはTCRを含む細胞の選択もしくはスクリーニングを可能にし得る治療用対照を含む。
【0092】
いくつかの局面では、TCRは、非TCR配列を含む。したがって、ある特定の局面は、TCR遺伝子に由来しない配列を有するTCRに関する。いくつかの局面では、TCRは、TCR遺伝子に通常見られる配列を含有するが、必ずしも天然に一緒に見られるとは限らない少なくとも2つのTCR遺伝子由来の配列を含有するという点で、キメラである。
【0093】
VI. 抗体
本開示の局面は、本開示のペプチドまたはその断片を標的とする抗体に関する。用語「抗体」は、標的抗原への特異的結合についてインタクトな抗体と競合することができる任意のアイソタイプのインタクトな免疫グロブリンまたはその断片を指し、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体および二重特異性抗体を含む。本明細書において使用される場合、用語「抗体」または「免疫グロブリン」は、区別なく使用され、IgG、IgD、IgE、IgA、IgMおよび関連タンパク質、ならびに抗原結合活性を保持する抗体CDRドメインを含むポリペプチドを含む、動物の免疫応答の一部として機能するいくつかのクラスの構造的に関連するタンパク質のいずれかを指す。
【0094】
用語「抗原」は、抗体などの選択的結合剤によって結合され得る分子、または分子の一部を指す。抗原は、異なる抗体と相互作用することができる1つまたは複数のエピトープを有し得る。
【0095】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に結合することによって免疫応答を誘発することができる分子の任意の領域または部分を含む。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基などの化学的に活性な表面基を含み得、特定の三次元構造特性および/または特定の電荷特性を有し得る。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、複合体混合物内の標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。
【0096】
所与のポリペプチドのエピトープ領域は、X線結晶解析、核磁気共鳴分光法、部位特異的変異誘発マッピング、タンパク質ディスプレイアレイを含む、当技術分野において周知の多くの異なるエピトープマッピング技術を使用して同定され得、例えば、Epitope Mapping Protocols,(Johan Rockberg and Johan Nilvebrant,Ed.,2018)Humana Press,New York,N.Y.を参照されたい。そのような技術は当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第4,708,871号;Geysen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998-4002(1984);Geysen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178-182(1985);Geysen et al.Molec.Immunol.23:709-715(1986)に記載されている。さらに、タンパク質の抗原性領域は、標準的な抗原性プロットおよびヒドロパシープロットを使用して予測および同定することもできる。
【0097】
用語「免疫原性配列」は、分子が適切な宿主内で抗体の産生を刺激することができるように、少なくとも1つのエピトープのアミノ酸配列を含む分子を意味する。用語「免疫原性組成物」は、少なくとも1つの免疫原性分子(例えば、抗原または炭水化物)を含む組成物を意味する。
【0098】
インタクトな抗体は、2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖から一般に構成されるが、いくつかの例では、それよりも少ない鎖、例えば、重鎖のみを含み得る、ラクダ科動物に天然に存在する抗体を含み得る。本明細書において開示される抗体は、単一の供給源のみに由来してもよいか、または「キメラ」であってよく、すなわち、抗体の異なる部分が2つの異なる抗体に由来してもよい。例えば、可変領域またはCDR領域は、ラット供給源またはマウス供給源に由来し得るが、定常領域は、ヒトなどの異なる動物供給源に由来する。抗体または結合断片は、ハイブリドーマ内で、組換えDNA技術によって、またはインタクトな抗体の酵素的切断もしくは化学的切断によって産生され得る。別段の指定がない限り、用語「抗体」は、その誘導体、バリアント、断片およびムテインを含み、その例は以下に記載される(Sela-Culang et al.,Front Immunol.2013;4:302;2013)。
【0099】
用語「軽鎖」は、完全長軽鎖、および結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長軽鎖は、約25,000ダルトンの分子量を有し、可変領域ドメイン(本明細書においてVLと略される)および定常領域ドメイン(本明細書においてCLと略される)を含む。軽鎖には、カッパ(κ)およびラムダ(λ)として同定される2つの分類がある。用語「VL断片」は、CDRを含む軽鎖可変領域の全部または一部を含むモノクローナル抗体の軽鎖の断片を意味する。VL断片は、軽鎖定常領域配列をさらに含むことができる。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。
【0100】
用語「重鎖」は、完全長重鎖、および結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長重鎖は、約50,000ダルトンの分子量を有し、可変領域ドメイン(本明細書においてVHと略される)および3つの定常領域ドメイン(本明細書においてCH1、CH2およびCH3と略される)を含む。用語「VH断片」は、CDRを含む重鎖可変領域の全部または一部を含むモノクローナル抗体の重鎖の断片を意味する。VH断片は、重鎖定常領域配列をさらに含むことができる。重鎖定常領域ドメインの数は、アイソタイプに依存する。VHドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、CHドメインはカルボキシ末端にあり、CH3は-COOH末端に最も近い。抗体のアイソタイプは、IgM、IgD、IgG、IgAまたはIgEであり得、それぞれミュー(μ)鎖、デルタ(δ)鎖、ガンマ(γ)鎖、アルファ(α)鎖またはイプシロン(ε)鎖の5つの分類がある、存在する重鎖によって定義される。IgGは、限定されることなく、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むいくつかのサブタイプを有する。IgMサブタイプには、IgM1およびIgM2が含まれる。IgAサブタイプには、IgA1およびIgA2が含まれる。
【0101】
VII. 抗体コンジュゲート
本開示の局面は、少なくとも1つの薬剤に連結されて抗体コンジュゲートを形成する、一般にモノクローナル型の、本開示のペプチドに対する抗体に関する。診断剤または治療剤としての抗体分子の効果を高めるために、少なくとも1つの所望の分子または部分を連結または共有結合または複合化することが従来から行われている。そのような分子または部分は、限定されることなく、少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子であり得る。エフェクター分子は、所望の活性、例えば、細胞傷害活性を有する分子を含む。抗体に結合したエフェクター分子の非限定的な例には、毒素、抗腫瘍剤、治療用酵素、放射標識ヌクレオチド、抗ウイルス剤、キレート剤、サイトカイン、成長因子、およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが挙げられる。対照的に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の部分として定義される。抗体にコンジュゲートされたレポーター分子の非限定的な例には、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子または着色リガンド、例えば、ビオチンが挙げられる。
【0102】
抗体コンジュゲートの基礎として、十分な選択性、特異性または親和性の任意の抗体が使用され得る。そのような特性は、当業者に公知の従来の免疫学的スクリーニング方法を使用して評価され得る。抗体分子内の生物学的活性分子への結合部位には、カノニカルな抗原結合部位に加えて、病原体、B細胞スーパー抗原、T細胞共受容体CD4およびHIV-1エンベロープに結合することができる可変ドメインに存在する部位が含まれる(Sasso et al.,1989;Shorki et al.,1991;Silvermann et al.,1995;Cleary et al.,1994;Lenert et al.,1990;Berberian et al.,1993;Kreier et al.,1991)。さらに、可変ドメインは、抗体の自己結合に関与し(Kang et al.,1988)、抗抗体によって認識されるエピトープ(イディオトープ)を含有する(Kohler et al.,1989)。
【0103】
抗体コンジュゲートの特定の例は、抗体が検出可能な標識に連結されているコンジュゲートである。「検出可能な標識」は、それらの特定の機能的特性および/または化学的特性のために検出され得る化合物および/または元素であり、その使用により、それらが結合している抗体を検出すること、および/または所望によりさらに定量することが可能になる。別のそのような例は、細胞傷害剤または抗細胞剤に連結された抗体を含むコンジュゲートの形成であり、「免疫毒素」と呼ばれ得る。
【0104】
抗体コンジュゲートは、一般に、診断剤として使用するのに好ましい。抗体診断は、一般に、様々なイムノアッセイなどのインビトロ診断に使用するためのもの、および/または一般に「抗体指向性イメージング」として知られるインビボ診断プロトコルに使用するためのものの2つのクラスに分類される。
【0105】
多くの適切なイメージング剤は、抗体へのそれらの結合のための方法と同様に、当技術分野において公知である(例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,021,236号、米国特許第4,938,948号および米国特許第4,472,509号を参照)。使用されるイメージング部分は、常磁性イオン、放射性同位体、蛍光色素、NMR検出可能物質、X線イメージングであり得る。
【0106】
常磁性イオンの場合、例として、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)および/またはエルビウム(III)などのイオンを挙げることができ、ガドリニウムが特に好ましい。X線イメージングなどの他の状況で有用なイオンには、限定されることなく、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、特にビスマス(III)が含まれる。
【0107】
治療および/または診断用途のための放射性同位体の場合、アスタチン211、14炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、58コバルト、銅67、152Eu、ガリウム67、3水素、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム111、59鉄、32リン、レニウム186、レニウム188、75セレン、35硫黄、テクネチウム99mおよび/またはイットリウム90が挙げられ得る。125Iは、ある特定の局面に使用するのに好ましいことが多く、テクネチウム99mおよび/またはインジウム111もまた、それらの低いエネルギー、および長距離検出に対する適合性のために好ましいことが多い。本発明の放射性標識モノクローナル抗体は、当技術分野において周知の方法に従って生成され得る。例えば、モノクローナル抗体は、ヨウ化ナトリウムおよび/もしくはヨウ化カリウム、ならびに次亜塩素酸ナトリウムなどの化学酸化剤、またはラクトペルオキシダーゼなどの酵素酸化剤との接触によってヨウ素化され得る。本発明によるモノクローナル抗体は、例えば、第一スズ溶液を用いてペルテクネート(pertechnate)を還元し、Sephadexカラム上で還元テクニチウムをキレート化し、このカラムに抗体を適用することによるリガンド交換プロセスによってテクニチウム99mによって標識され得る。あるいは、例えば、ペルテクネート、SNCl2などの還元剤、フタル酸ナトリウム-カリウム溶液などの緩衝液、および抗体をインキュベートすることによって、直接標識技術を使用してもよい。金属イオンとして存在する放射性同位体を抗体に結合するために多くの場合使用される中継官能基(Intermediary functional group)は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0108】
コンジュゲートとしての使用が企図される蛍光標識には、アレクサ350、アレクサ430、AMCA、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY-TRX、カスケードブルー、Cy3、Cy5,6-FAM、フルオレセインイソチオシアネート、HEX、6-JOE、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、REG、ローダミングリーン、ローダミンレッド、レノグラフィン、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミンおよび/またはテキサスレッドが含まれる。
【0109】
本発明において企図される別のタイプの抗体コンジュゲートは、発色基質と接触すると着色生成物を生成する二次結合リガンドおよび/または酵素(酵素タグ)に連結されている、主にインビトロでの使用を意図した抗体である。好適な酵素の例には、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼまたはグルコースオキシダーゼが挙げられる。好ましい二次結合リガンドは、ビオチン化合物およびアビジン化合物およびストレプトアビジン化合物である。そのような標識の使用は当業者に周知であり、例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる米国特許第3,817,837号、米国特許第3,850,752号、米国特許第3,939,350号、米国特許第3,996,345号、米国特許第4,277,437号、米国特許第4,275,149号および米国特許第4,366,241号に記載されている。
【0110】
抗体への分子の部位特異的結合のさらに別の公知の方法は、抗体とハプテンベースの親和性標識との反応を含む。本質的に、ハプテンベースの親和性標識は、抗原結合部位のアミノ酸と反応し、それによって、この部位を破壊し、特異的抗原反応を遮断する。ただし、これは、抗体コンジュゲートによる抗原結合を喪失させるため、有利でない場合がある。
【0111】
また、低強度紫外光によって生成される反応性ニトレン中間体を介してタンパク質に対する共有結合を形成するために、アジド基を含む分子が使用され得る(Potter&Haley,1983)。特に、プリンヌクレオチドの2-および8-アジド類似体は、粗細胞抽出物中のヌクレオチド結合タンパク質を同定するための部位特異的光プローブとして使用されている(Owens&Haley,1987;Atherton et al.,1985)。2-および8-アジドヌクレオチドはまた、精製タンパク質のヌクレオチド結合ドメインをマッピングするために使用されており(Khatoon et al.,1989;King et al.,1989;およびDholakia et al.,1989)、抗体結合剤として使用され得る。
【0112】
抗体をそのコンジュゲート部分に結合またはコンジュゲーションするためのいくつかの方法が当技術分野において公知である。いくつかの結合方法は、例えば、抗体に結合したジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)などの有機キレート剤;エチレントリアミン四酢酸;N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド;および/またはテトラクロロ-3α-6α-ジフェニルグリコウリル-3を使用する金属キレート錯体の使用を含む(各々参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,472,509号および米国特許第4,938,948号)。モノクローナル抗体は、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩などのカップリング剤の存在下で酵素と反応させてもよい。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応によって調製される。米国特許第4,938,948号では、乳房腫瘍のイメージングがモノクローナル抗体を使用して達成され、検出可能なイメージング部分が、メチル-p-ヒドロキシベンズイミデートまたはN-スクシンイミジル-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのリンカーを使用して抗体に結合される。
【0113】
他の局面では、抗体結合部位を変化させない反応条件を使用して、免疫グロブリンのFc領域にスルフヒドリル基を選択的に導入することによる免疫グロブリンの誘導体化が企図される。この方法に従って生成された抗体コンジュゲートは、改善された長寿命性、特異性および感度を示すことが開示されている(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,196,066号)。レポーター分子またはエフェクター分子がFc領域内の炭水化物残基にコンジュゲートされている、エフェクター分子またはレポーター分子の部位特異的結合も文献に開示されている(O'Shannessy et al.,1987)。この手法は、現在臨床評価中の診断的および治療的に有望な抗体を生成することが報告されている。
【0114】
本開示の別の局面では、抗体は、米国特許第6,048,616号、米国特許第5,990,479号、米国特許第5,690,807号、米国特許第5,505,928号、米国特許第5,262,357号(いずれもその全体が本明細書に組み入れられる)ならびにPCT公開番号99/26299(1999年5月27日公開)に記載されているものなどの半導体ナノ結晶に連結されてもよい。特に、本発明の生物学的アッセイおよび化学的アッセイに半導体ナノ結晶として使用するための例示的な材料には、限定されることなく、II-VI族半導体、III-V族半導体およびIV族半導体、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb、AlS、AlP、AlSb、PbS、PbSe、GeおよびSiならびにそれらの三級混合物および四級混合物を含む上記の材料が含まれる。半導体ナノ結晶を抗体に連結する方法は、米国特許第6,630,307号および米国特許第6,274,323号に記載されている。
【0115】
なおさらなる局面では、本発明は、T細胞などの生物学的成分または本開示のペプチドに選択的に結合するもしくはそれを認識する生物学的成分に、結合する、それを精製する、取り出す、定量する、および/もしくはそうでなければ一般的に検出するための免疫検出方法に関する。いくつかの局面では、テトラマーアッセイが本発明とともに使用されてもよい。テトラマーアッセイは、抗原特異的Tリンパ球に結合し得る可溶性ペプチド-MHCテトラマーを生成することを一般に伴い、テトラマーアッセイの方法は、例えば、Altman et al.(1996)に記載されている。使用され得るいくつかの免疫検出方法には、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、イムノラジオメトリックアッセイ、フルオロイムノアッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、テトラマーアッセイおよびウエスタンブロットが含まれる。様々な有用な免疫検出方法の工程は、例えば、各々参照により本明細書に組み入れられるDoolittle and Ben-Zeev,1999;Gulbis and Galand,1993;De Jager et al.,1993;およびNakamura et al.,1987などの科学文献に記載されている。
【0116】
VIII. MHCポリペプチド
本開示の局面は、MHCポリペプチドを含む組成物に関する。いくつかの局面では、MHCポリペプチドは、別個のポリペプチドとして、または融合タンパク質として発現され得る少なくとも2つ、3つ、または4つのMHCポリペプチドを含む。T細胞への抗原の提示は、別個の抗原プロセシング経路を利用する2つの別個のクラスの分子MHCクラスI(MHC-I)およびMHCクラスII(MHC-II)(本明細書において「pMHC」としても同定される)によって媒介される。細胞内抗原に由来するペプチドは、事実上あらゆる細胞上に発現されるMHCクラスI分子によってCD8+T細胞に提示され、細胞外抗原由来ペプチドは、MHC-II分子によってCD4+T細胞に提示される。ある特定の局面では、特定の抗原が同定され、適切なMHCクラスIポリペプチドまたはMHCクラスIIポリペプチドに関連して抗原-MHC複合体内に提示される。ある特定の局面では、対象の遺伝子構成を評価して、特定の患者および特定のペプチドのセットにどのMHCポリペプチドを使用すべきかを決定してもよい。ある特定の局面では、MHCクラス1ポリペプチドは、HLA-A分子、HLA-B分子、HLA-C分子、HLA-E分子、HLA-F分子、HLA-G分子またはCD-1分子の全部または一部を含む。MHCポリペプチドがMHCクラスIIポリペプチドである局面では、MHCクラスIIポリペプチドは、HLA-DR、HLA-DQまたはHLA-DPの全部または一部を含み得る。
【0117】
非古典的MHCポリペプチドも、本発明のMHC複合体における使用が企図される。非古典的MHCポリペプチドは、非多型であり、種間で保存されており、狭い、深い、疎水性リガンド結合ポケットを有する。これらの結合ポケットは、糖脂質およびリン脂質をナチュラルキラーT(NKT)細胞、またはQa1、HLA-E拘束性CD8+T細胞もしくはMAIT細胞などのCD8+T細胞の特定のサブセットに提示することができる。NKT細胞は、NK細胞マーカーおよびセミインバリアントT細胞受容体(TCR)を共発現する固有のリンパ球集団を表す。それらは、広範囲の疾患に関連する免疫応答の調節に関与している。
【0118】
IX. 宿主細胞
本明細書において使用される場合、用語「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、区別なく使用され得る。これらの用語はいずれも、新たに単離された細胞、およびエクスビボで培養された細胞、活性化された細胞、または拡大増殖された細胞を含む。これらの用語はいずれも、ありとあらゆる後続の世代であるその子孫も含む。すべての子孫が、意図的または偶発的な変異に起因して同一ではない場合があることが理解される。異種核酸配列を発現させることに関連して、「宿主細胞」は、原核細胞または真核細胞を指し、ベクターを複製することができるかまたはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現することができる任意の形質転換可能な生物を含む。宿主細胞は、ベクターまたはウイルスのレシピエントとして使用され得、使用されてきた。宿主細胞は、「トランスフェクト」または「形質転換」され得、これは、組換えタンパク質コード配列などの外因性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。形質転換細胞には、初代対象細胞およびその子孫が含まれる。
【0119】
ある特定の局面では、トランスフェクションは、任意の原核細胞または真核細胞に対して行われ得る。いくつかの局面では、エレクトロポレーションは、ヒト細胞のトランスフェクションを伴う。他の局面では、エレクトロポレーションは、動物細胞のトランスフェクションを伴う。ある特定の局面では、トランスフェクションは、細胞株またはハイブリッド細胞型のトランスフェクションを伴う。いくつかの局面では、トランスフェクトされる単数または複数の細胞は、がん細胞、腫瘍細胞または不死化細胞である。いくつかの例では、腫瘍細胞または腫瘍細胞株、がん細胞またはがん細胞株、不死化細胞または不死化細胞株が誘導され、他の例では、腫瘍細胞または腫瘍細胞株、がん細胞またはがん細胞株、不死化細胞または不死化細胞株は、それらのそれぞれの状態または状況に自然に入る。ある特定の局面では、細胞または細胞株は、A549、B細胞、B16、BHK-21、C2C12、C6、CaCo-2、CAP/、CAP-T、CHO、CHO2、CHO-DG44、CHO-K1、COS-1、Cos-7、CV-1、樹状細胞、DLD-1、胚性幹(ES)細胞もしくは誘導体、H1299、HEK、293、293T、293FT、Hep G2、造血幹細胞、HOS、Huh-7、人工多能性幹(iPS)細胞もしくは誘導体、Jurkat、K562、L5278Y、LNCaP、MCF7、MDA-MB-231、MDCK、間葉系細胞、Min-6、単球系細胞、Neuro2a、NIH 3T3、NIH3T3L1、K562、NK細胞、NS0、Panc-1、PC12、PC-3、末梢血細胞、形質細胞、一次線維芽細胞、RBL、Renca、RLE、SF21、SF9、SH-SY5Y、SK-MES-1、SK-N-SH、SL3、SW403、刺激惹起性多能性獲得(STAP)細胞もしくは誘導体SW403、T細胞、THP-1、腫瘍細胞、U2OS、U937、末梢血リンパ球、拡大増殖T細胞、造血幹細胞またはベロ細胞であり得る。
【0120】
X. 追加の薬剤
A. 免疫賦活剤
いくつかの局面では、方法は、追加の薬剤の投与をさらに含む。いくつかの局面では、追加の薬剤は免疫賦活剤である。本明細書において使用される用語「免疫賦活剤」は、対象において免疫応答を刺激することができる化合物を指し、アジュバントを含み得る。いくつかの局面では、免疫賦活剤は、特定の抗原を構成しないが、抗原に対する免疫応答の強度および寿命を高めることができる薬剤である。そのような免疫賦活剤には、限定されることなく、Toll様受容体、RIG-1様受容体およびNOD様受容体(NLR)などのパターン認識受容体の刺激因子、鉱物塩、例えば、ミョウバン、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)もしくはシゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)などの腸内細菌のモノホスホリルリピド(MPL)Aと組み合わせたミョウバン、もしくは特にMPL(ASO4)、上記細菌のMPL Aと別個に組み合わせたミョウバン、サポニン、例えば、QS-21、Quil-A、ISCOM、ISCOMATRIX、エマルジョン、例えば、MF59、Montanide、ISA 51およびISA 720、AS02(QS21+スクアレン+MPL.)、リポソームおよびリポソーム製剤、例えば、AS01、合成もしくは特異的に調製された微粒子およびマイクロキャリア、例えば、淋菌(N.gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)などの細菌由来外膜小胞(OMV)、もしくはキトサン粒子、デポー形成剤、例えば、Pluronicブロックコポリマー、特異的に改変もしくは調製されたペプチド、例えば、ムラミルジペプチド、アミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェート、例えば、RC529、またはタンパク質、例えば、細菌トキソイドもしくは毒素断片が含まれ得る。
【0121】
いくつかの局面では、追加の薬剤は、限定されることなく、Toll様受容体(TLR)、具体的にはTLR 2、3、4、5、7、8、9、および/またはそれらの組合せを含むパターン認識受容体(PRR)に対するアゴニストを含む。いくつかの局面では、追加の薬剤は、Toll様受容体3に対するアゴニスト、Toll様受容体7および8に対するアゴニスト、またはToll様受容体9に対するアゴニストを含む。好ましくは、列挙された免疫賦活剤は、イミダゾキノリン、例えば、R848、アデニン誘導体、例えば、米国特許第6,329,381号、米国特許出願公開第2010/0075995号もしくは国際公開公報第2010/018132号に開示されているもの、免疫賦活性DNAまたは免疫賦活性RNAを含む。いくつかの局面では、追加の薬剤はまた、免疫賦活性RNA分子、例えば、限定されることなく、dsRNA、ポリI:CもしくはポリI:ポリC12U(Ampligen.(登録商標)として入手可能、ポリI:CおよびポリI:ポリC12Uはいずれも、TLR3刺激剤として知られている)、および/またはF.Heil et al., "Species-Specific Recognition of Single-Stranded RNA via Toll-like Receptor 7 and 8" Science 303(5663),1526-1529(2004);J.Vollmer et al., "Immune modulation by chemically modified ribonucleosides and oligoribonucleotides" 国際公開公報第2008033432号;A.Forsbach et al., "Immunostimulatory oligoribonucleotides containing specific sequence motif(s)and targeting the Toll-like receptor 8 pathway" 国際公開公報第2007062107号;E.Uhlmann et al., "Modified oligoribonucleotide analogs with enhanced immunostimulatory activity" 米国特許出願公開第2006241076号;G.Lipford et al., "Immunostimulatory viral RNA oligonucleotides and use for treating cancer and infections" 国際公開公報第2005097993号;G.Lipford et al., "Immunostimulatory G,U-containing oligoribonucleotides,compositions,and screening methods" 国際公開公報第2003086280号に開示されているものを含み得る。いくつかの局面では、追加の薬剤は、TLR-4アゴニスト、例えば、細菌リポ多糖(LPS)、VSV-Gおよび/またはHMGB-1であり得る。いくつかの局面では、追加の薬剤は、TLR-5アゴニスト、例えば、限定されることなく、米国特許第6,130,082号、米国特許第6,585,980号および米国特許第7,192,725号に開示されているものを含む、フラジェリンまたはその一部もしくは誘導体を含み得る。
【0122】
いくつかの局面では、追加の薬剤は、壊死細胞(例えば、尿酸結晶)から放出される炎症促進性刺激であり得る。いくつかの局面では、追加の薬剤は、補体カスケードの活性化された成分(例えば、CD21、CD35など)であり得る。いくつかの局面では、追加の薬剤は、免疫複合体の活性化された成分であり得る。追加の薬剤には、CD21またはCD35に結合する分子などの補体受容体アゴニストも含まれる。いくつかの局面では、補体受容体アゴニストは、合成ナノキャリアの内因性補体オプソニン化を誘導する。いくつかの局面では、免疫賦活剤はサイトカインであり、サイトカインは、細胞によって放出され、細胞間相互作用、細胞間伝達、および他の細胞の挙動に特異的な効果を及ぼす小さなタンパク質または生物学的因子(5 kD~20 kDの範囲)である。いくつかの局面では、サイトカイン受容体アゴニストは、小分子、抗体、融合タンパク質、またはアプタマーである。
【0123】
B. 免疫療法
いくつかの局面では、追加の療法は、がん免疫療法を含む。がん免疫療法(免疫腫瘍学と呼ばれることもあり、IOと略される)は、がんを処置するための免疫系の使用である。免疫療法は、能動、受動またはハイブリッド(能動および受動)として分類され得る。これらの手法は、がん細胞が、腫瘍関連抗原(TAA)として知られる、免疫系によって検出され得る分子をその表面に有することが多いという事実を利用する。それらは、多くの場合、タンパク質または他の巨大分子(例えば、炭水化物)である。能動免疫療法は、TAAを標的とすることによって免疫系に腫瘍細胞を攻撃させる。受動免疫療法は、既存の抗腫瘍応答を増強し、モノクローナル抗体、リンパ球およびサイトカインの使用を含む。免疫療法は当技術分野において公知であり、いくつかを以下に記載する。
【0124】
1. 共刺激分子の阻害
いくつかの局面では、免疫療法は、共刺激分子の阻害剤を含む。いくつかの局面では、阻害剤は、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD28、ICOS、OX40(TNFRSF4)、4-1BB(CD137;TNFRSF9)、CD40L(CD40LG)、GITR(TNFRSF18)およびそれらの組合せの阻害剤を含む。阻害剤には、阻害性抗体、阻害性ポリペプチド、阻害性化合物および阻害性核酸が含まれる。
【0125】
2. 樹状細胞療法
樹状細胞療法は、樹状細胞に腫瘍抗原をリンパ球に提示させ、これにより、リンパ球を活性化させ、それらをプライミングして、抗原を提示する他の細胞を死滅させることによって抗腫瘍応答を誘発する。樹状細胞は、哺乳動物免疫系における抗原提示細胞(APC)である。がんの処置では、それらはがん抗原ターゲティングを補助する。樹状細胞に基づく細胞がん治療の一例は、シプロイセル-Tである。
【0126】
樹状細胞を誘導して腫瘍抗原を提示させる1つの方法は、自己由来腫瘍溶解物または短いペプチド(がん細胞上のタンパク質抗原に対応する、タンパク質の小部分)によるワクチン接種によるものである。これらのペプチドは、免疫応答および抗腫瘍応答を増加させるためにアジュバント(高度に免疫原性の物質)と組み合わせて投与されることが多い。他のアジュバントには、樹状細胞を誘引および/または活性化するタンパク質または他の化学物質、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
【0127】
樹状細胞はまた、腫瘍細胞にGM-CSFを発現させることによってインビボで活性化され得る。これは、GM-CSFを産生するように腫瘍細胞を遺伝子操作することによって、または腫瘍細胞にGM-CSFを発現する腫瘍溶解性ウイルスを感染させることによって達成され得る。
【0128】
別の戦略は、患者の血液から樹状細胞を取り出し、それらを体外で活性化することである。樹状細胞は、単一の腫瘍特異的ペプチド/タンパク質または腫瘍細胞溶解物(破壊された腫瘍細胞の溶液)であり得る腫瘍抗原の存在下で活性化される。これらの細胞(任意のアジュバントとともに)は、注入され、免疫応答を誘発する。
【0129】
樹状細胞療法は、樹状細胞の表面上の受容体に結合する抗体の使用を含む。抗原を抗体に添加することができ、樹状細胞を成熟させ、腫瘍に対する免疫を提供するように誘導することができる。TLR3、TLR7、TLR8またはCD40などの樹状細胞受容体が抗体標的として使用されている。
【0130】
3. CAR-T細胞療法
キメラ抗原受容体(CAR、キメラ免疫受容体、キメラT細胞受容体または人工T細胞受容体としても知られている)は、がん細胞を標的とするために免疫細胞と新たな特異性を組み合わせる操作された受容体である。典型的には、これらの受容体は、モノクローナル抗体の特異性をT細胞に移植する。受容体は、異なる供給源由来の部分が融合しているため、キメラと呼ばれる。CAR-T細胞療法とは、がん治療のためにそのような形質転換細胞を使用する処置を指す。
【0131】
CAR-T細胞設計の基本原理は、抗原結合機能とT細胞活性化機能とを組み合わせる組換え受容体を伴う。CAR-T細胞の一般的な前提は、がん細胞上に見出されるマーカーを標的とするT細胞を人工的に生成することである。科学者であれば、ヒトからT細胞を取り出し、それらを遺伝的に変化させ、それらを患者に戻してがん細胞を攻撃することができる。T細胞がCAR-T細胞になるように操作されると、それは「生きた薬物」として作用する。CAR-T細胞は、細胞外リガンド認識ドメインと、T細胞を活性化する細胞内シグナル伝達分子との間の連結を作り出す。細胞外リガンド認識ドメインは、通常、一本鎖可変断片(scFv)である。CAR-T細胞療法の安全性の重要な局面には、正常細胞ではなくがん性腫瘍細胞のみを確実に標的とする方法がある。CAR-T細胞の特異性は、標的とされる分子の選択によって決定される。
【0132】
例示的なCAR-T療法には、チサゲンレクルユーセル(キムリア)およびアキシカブタゲンシロルユーセル(イエスカルタ)が含まれる。いくつかの局面では、CAR-T療法は、CD19を標的とする。
【0133】
4. サイトカイン療法
サイトカインは、腫瘍内に存在する多くの種類の細胞によって産生されるタンパク質である。サイトカインは、免疫応答を調節することができる。腫瘍は、サイトカインを用いて、腫瘍が増殖し、免疫応答を低下させることを可能にすることが多い。これらの免疫調節効果は、免疫応答を誘発する薬物としてサイトカインを使用することを可能にする。2つの一般的に使用されるサイトカインは、インターフェロンおよびインターロイキンである。
【0134】
インターフェロンは、免疫系によって産生される。インターフェロンは、抗ウイルス応答に通常関与するが、がんにも使用される。インターフェロンは、3つの群、すなわち、I型(IFNαおよびIFNβ)、II型(IFNγ)およびIII型(IFNλ)に分類される。
【0135】
インターロイキンは、一連の免疫系作用を有する。IL-2は、例示的なインターロイキンサイトカイン療法である。
【0136】
5. 養子T細胞療法
養子T細胞療法は、T細胞の注入(養子細胞移入)による受動免疫化の一形態である。それらは、血液中および組織内に見られ、それらが外来病原体を見出した際に通常活性化する。具体的には、それらは、T細胞の表面受容体が、外来タンパク質の一部をその表面抗原上に提示する細胞に遭遇すると活性化する。これらは、感染細胞または抗原提示細胞(APC)のいずれかであり得る。それらは、正常組織および腫瘍組織に見られ、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)として知られている。それらは、腫瘍抗原を提示する樹状細胞などのAPCの存在によって活性化される。これらの細胞は腫瘍を攻撃することができるが、腫瘍内の環境は高度に免疫抑制性であり、免疫媒介性の腫瘍死を防ぐ。
【0137】
腫瘍標的指向T細胞を産生し、得る複数の方法が開発されている。腫瘍抗原に特異的なT細胞は、腫瘍試料(TIL)から取り出すか、または血液から濾過することができる。その後の活性化および培養をエクスビボで行い、結果として得られたものを再注入する。活性化は、遺伝子療法を通して、またはT細胞を腫瘍抗原に曝露することによって起こり得る。
【0138】
6. チェックポイント阻害剤および併用処置
いくつかの局面では、追加の療法は、免疫チェックポイント阻害剤を含む。ある特定の局面を以下にさらに説明する。
【0139】
a. PD-1阻害剤、PDL1阻害剤、およびPDL2阻害剤
PD-1は、T細胞が感染または腫瘍に遭遇する腫瘍微小環境内で作用することができる。活性化T細胞は、PD-1をアップレギュレートし、末梢組織内でPD-1を発現し続ける。IFN-ガンマなどのサイトカインは、上皮細胞および腫瘍細胞上のPDL1の発現を誘導する。PDL2は、マクロファージおよび樹状細胞上に発現される。PD-1の主な役割は、末梢ではエフェクターT細胞の活性を制限し、免疫応答中の組織への過剰な損傷を防ぐことである。本開示の阻害剤は、PD-1および/またはPDL1活性の1つまたは複数の機能を遮断し得る。
【0140】
「PD-1」の代替名には、CD279およびSLEB2が含まれる。「PDL1」の代替名には、B7-H1、B7-4、CD274およびB7-Hが含まれる。「PDL2」の代替名には、B7-DC、BtdcおよびCD273が含まれる。いくつかの局面では、PD-1、PDL1およびPDL2は、ヒトPD-1、ヒトPDL1およびヒトPDL2である。
【0141】
いくつかの局面では、PD-1阻害剤は、そのリガンド結合パートナーへのPD-1の結合を阻害する分子である。具体的な局面では、PD-1リガンド結合パートナーは、PDL1および/またはPDL2である。別の局面では、PDL1阻害剤は、その結合パートナーへのPDL1の結合を阻害する分子である。具体的な局面では、PDL1結合パートナーは、PD-1および/またはB7-1である。別の局面では、PDL2阻害剤は、その結合パートナーへのPDL2の結合を阻害する分子である。具体的な局面では、PDL2結合パートナーはPD-1である。阻害剤は、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質またはオリゴペプチドであり得る。例示的な抗体は、いずれも参照により本明細書に組み入れられる米国特許第8,735,553号、米国特許第8,354,509号および米国特許第8,008,449号に記載されている。本明細書において提供される方法および組成物に使用するための他のPD-1阻害剤は、いずれも参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第2014/0294898号、米国特許出願第2014/022021号および米国特許出願第2011/0008369号に記載されているように当技術分野において公知である。
【0142】
いくつかの局面では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体)である。いくつかの局面では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブおよびピディリズマブからなる群より選択される。いくつかの局面では、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPDL1またはPDL2の細胞外結合部分またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの局面では、PDL1阻害剤は、AMP-224を含む。MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られるニボルマブは、国際公開公報第2006/121168号に記載されている抗PD-1抗体である。MK-3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)およびSCH-900475としても知られるペンブロリズマブは、国際公開公報第2009/114335号に記載されている抗PD-1抗体である。CT-011、hBATまたはhBAT-1としても知られるピディリズマブは、国際公開公報第2009/101611号に記載されている抗PD-1抗体である。B7-DCIgとしても知られるAMP-224は、国際公開公報第2010/027827号および国際公開公報第2011/066342号に記載されているPDL2-Fc融合可溶性受容体である。追加のPD-1阻害剤には、AMP-514としても知られるMEDI0680、およびREGN2810が含まれる。
【0143】
いくつかの局面では、免疫チェックポイント阻害剤は、PDL1阻害剤、例えば、MEDI4736としても知られるデュルバルマブ、MPDL3280Aとしても知られるアテゾリズマブ、MSB00010118Cとしても知られるアベルマブ、MDX-1105、BMS-936559、またはそれらの組合せである。ある特定の局面では、免疫チェックポイント阻害剤は、rHIgM12B7などのPDL2阻害剤である。
【0144】
いくつかの局面では、阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピディリズマブの重鎖CDRまたは重鎖VRおよび軽鎖CDRまたは軽鎖VRを含む。したがって、一局面では、阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピディリズマブのVH領域のCDR1ドメイン、CDR2ドメインおよびCDR3ドメインと、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピディリズマブのVL領域のCDR1ドメイン、CDR2ドメインおよびCDR3ドメインとを含む。別の局面では、抗体は、上記の抗体と同じ、PD-1、PDL1もしくはPDL2上のエピトープとの結合について競合する、および/またはそれに結合する。別の局面では、抗体は、上記の抗体に対して少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中の任意の導出可能な範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0145】
b. CTLA-4、B7-1、およびB7-2
本明細書において提供される方法で標的とされ得る別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、Genbankアクセッション番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞の表面に見られ、抗原提示細胞の表面のB7-1(CD80)またはB7-2(CD86)に結合すると「オフ」スイッチとして機能する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面に発現し、阻害シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4は、T細胞共刺激タンパク質であるCD28に類似しており、両分子は、抗原提示細胞上のB7-1およびB7-2に結合する。CTLA-4は阻害シグナルをT細胞に伝達するのに対して、CD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA-4は制御性T細胞にも見られ、それらの機能にとって重要であり得る。T細胞受容体とCD28とを介したT細胞活性化により、B7分子の阻害受容体であるCTLA-4の発現が増加する。本開示の阻害剤は、CTLA-4活性、B7-1活性および/またはB7-2活性の1つまたは複数の機能を遮断し得る。いくつかの局面では、阻害剤は、CTLA-4とB7-1との相互作用を遮断する。いくつかの局面では、阻害剤は、CTLA-4とB7-2との相互作用を遮断する。
【0146】
いくつかの局面では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質またはオリゴペプチドである。
【0147】
本方法で使用するのに適した抗ヒトCTLA-4抗体(またはそれに由来するVHおよび/またはVLドメイン)は、当技術分野において周知の方法を使用して生成することができる。あるいは、当技術分野において認められている抗CTLA-4抗体を使用することができる。例えば、本明細書において開示されている方法では、米国特許第8,119,129号、国際公開公報第01/14424号、国際公開公報第98/42752号;国際公開公報第00/37504号(トレメリムマブとしても知られるCP675,206;以前はチシリムマブ)、米国特許第6,207,156号;Hurwitz et al.1998に開示されている抗CTLA-4抗体に使用することができる。前述の刊行物の各々の教示は、参照により本明細書に組み入れられる。CTLA-4への結合についてこれらの当技術分野において認められている抗体のいずれかと競合する抗体も使用することができる。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、いずれも参照により本明細書に組み入れられる国際特許出願第WO2001/014424号、国際特許出願第WO2000/037504号および米国特許第8,017,114号に記載されている。
【0148】
本開示の方法および組成物においてチェックポイント阻害剤として有用なさらなる抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101およびYervoy(登録商標)としても知られている)またはその抗原結合断片およびバリアントである(例えば、国際公開公報第01/14424号を参照)。
【0149】
いくつかの局面では、阻害剤は、トレメリムマブまたはイピリムマブの重鎖CDRまたは重鎖VRおよび軽鎖CDRまたは軽鎖VRを含む。したがって、一局面では、阻害剤は、トレメリムマブまたはイピリムマブのVH領域のCDR1ドメイン、CDR2ドメインおよびCDR3ドメインと、トレメリムマブまたはイピリムマブのVL領域のCDR1ドメイン、CDR2ドメインおよびCDR3ドメインとを含む。別の局面では、抗体は、上記の抗体と同じ、PD-1、B7-1もしくはB7-2上のエピトープとの結合について競合する、および/またはそれに結合する。別の局面では、抗体は、上記の抗体に対して少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中の任意の導出可能な範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0150】
C. 腫瘍溶解性ウイルス
いくつかの局面では、追加の療法は、腫瘍溶解性ウイルスを含む。腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞に優先的に感染し、がん細胞を死滅させるウイルスである。感染したがん細胞が腫瘍崩壊によって破壊されると、それらは新たな感染性ウイルス粒子またはビリオンを放出して、残りの腫瘍を破壊するのを助ける。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞の直接破壊を引き起こすだけでなく、長期免疫療法のために宿主抗腫瘍免疫応答を刺激すると考えられている。
【0151】
D. 多糖
いくつかの局面では、追加の療法は、多糖を含む。キノコに見られる特定の化合物、主に多糖は、免疫系をアップレギュレートすることができ、抗がん特性を有し得る。例えば、レンチナンなどのベータ-グルカンは、実験室試験ではマクロファージ、NK細胞、T細胞および免疫系サイトカインを刺激することが示されており、免疫アジュバントとして臨床試験で調査されている。
【0152】
E. ネオ抗原
いくつかの局面では、追加の療法は、ネオ抗原投与を含む。多くの腫瘍は、変異を発現する。これらの変異は、T細胞免疫療法に使用するための新しい標的可能な抗原(ネオ抗原)を潜在的に作り出す。RNA配列決定データを使用して同定した場合、がん病変内のCD8+T細胞の存在は、変異量が高い腫瘍の方が高い。ナチュラルキラー細胞およびT細胞の細胞溶解活性に関連する転写物のレベルは、多くのヒト腫瘍では、変異負荷と正に相関する。
【0153】
F. 化学療法
いくつかの局面では、追加の療法は、化学療法を含む。好適なクラスの化学療法剤には、(a)アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、クロロゾチシン(chlorozoticin)、ストレプトゾシン)およびトリアジン(例えば、ジカルバジン)、(b)代謝拮抗物質、例えば、葉酸類似体(例えば、メトトレキセート)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、アザウリジン)およびプリン類似体および関連物質(例えば、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン)、(c)天然産物、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびミトキサントロン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)および生物学的応答調節物質(例えば、インターフェロン-α)ならびに(d)様々な薬剤、例えば、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)および副腎皮質抑制剤(例えば、タキソールおよびミトタン)が含まれる。いくつかの局面では、シスプラチンは、特に好適な化学療法剤である。
【0154】
シスプラチンは、例えば、転移性精巣癌もしくは卵巣癌、進行性膀胱がん、頭頸部がん、子宮頸がん、肺がんまたは他の腫瘍などのがんを処置するために広く使用されている。シスプラチンは経口で吸収されないため、例えば、静脈内注射、皮下注射、腫瘍内注射または腹腔内注射などの他の経路を介して送達されなければならない。シスプラチンは、単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用することができ、ある特定の局面では、臨床用途で使用される、合計3コースにわたる3週間ごとに5日間約15mg/m2~約20mg/m2を含む有効な用量が企図される。いくつかの局面では、治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されたEgr-1プロモーターを含む構築物とともに細胞および/または対象に送達されるシスプラチンの量は、シスプラチン単独を使用した場合に送達される量よりも少ない。
【0155】
他の好適な化学療法剤には、抗微小管剤、例えば、パクリタキセル(「タキソール」)および塩酸ドキソルビシン(「ドキソルビシン」)が含まれる。アデノウイルスベクターを介して送達されたEgr-1プロモーター/TNFα構築物とドキソルビシンとの組合せは、化学療法および/またはTNF-αに対する耐性を克服するのに有効であると決定され、これにより、該構築物とドキソルビシンとの併用処置がドキソルビシンおよびTNF-αの両方に対する耐性を克服することが示唆される。
【0156】
ドキソルビシンはほとんど吸収されず、静脈内投与されることが好ましい。ある特定の局面では、成人に対する適切な静脈内用量には、約60mg/m2~約75mg/m2の約21日間隔、または各々2もしくは3日連続の約25mg/m2~約30mg/m2の約3週間~約4週間間隔の繰り返し、または約20mg/m2の週1回が含まれる。以前の化学療法によって以前に骨髄抑制が引き起こされた場合、もしくは新生物性骨髄浸潤がある場合、または薬物を他の骨髄造血抑制薬と組み合わせる場合、高齢患者には最低用量を使用すべきである。
【0157】
ナイトロジェンマスタードは、本開示の方法に有用な別の好適な化学療法剤である。ナイトロジェンマスタードには、限定されることなく、メクロレタミン(HN2)、シクロホスファミドおよび/またはイホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)ならびにクロラムブシルが含まれ得る。シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))はMead Johnsonから入手可能であり、NEOSTAR(登録商標)はAdria)から入手可能であり、別の好適な化学療法剤である。成人に対する好適な経口用量には、例えば、約1mg/kg/日~約5mg/kg/日を含み、静脈内用量は、例えば、最初に約40mg/kg~約50mg/kgを分割用量で約2日~約5日の期間、または約10mg/kg~約15mg/kgを約7日~約10日ごと、または約3mg/kg~約5mg/kgを週2回、または約1.5mg/kg/日~約3mg/kg/日が含まれる。有害な消化管作用のために、静脈内経路が好ましい。薬物はまた、筋肉内投与されるか、浸潤によって投与されるか、または体腔内に投与される場合がある。
【0158】
追加の好適な化学療法剤には、ピリミジン類似体、例えば、シタラビン(シトシンアラビノシド)、5-フルオロウラシル(フルオロウラシル;5-FU)およびフロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FudR)が含まれる。5-FUは、約7.5~約1000mg/m2の投与量で対象に投与され得る。さらに、5-FU投与スケジュールは、様々な期間、例えば、最大6週間、または本開示が関係する当業者によって決定される通りであり得る。
【0159】
別の好適な化学療法剤であるゲムシタビン二リン酸(GEMZAR(登録商標)、Eli Lilly&Co.、「ゲムシタビン」)は、進行性および転移性膵がんの処置に推奨されており、したがって、これらのがんについても本開示において有用であろう。
【0160】
患者に送達される化学療法剤の量は可変であり得る。好適な一局面では、化学療法剤は、化学療法剤が構築物とともに投与される場合、宿主においてがんの停止または退縮を引き起こすのに有効な量で投与され得る。他の局面では、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効用量の2分の1~10,000分の1の量で投与され得る。例えば、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効用量の約20分の1、約500分の1、またはさらには約5000分の1の量で投与され得る。本開示の化学療法剤は、構築物と組み合わせた所望の治療活性、および有効投与量の決定のためにインビボで試験され得る。例えば、そのような化合物は、ヒトを対象とした試験の前に、限定されることなく、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどを含む好適な動物モデル系を対象として試験され得る。例に記載されているように、インビトロ試験を使用して、好適な組合せおよび投与量を決定してもよい。
【0161】
G. 放射線療法
いくつかの局面では、追加の療法または以前の療法は、電離放射線などの放射線を含む。本明細書において使用される場合、「電離放射線」は、十分なエネルギーを有するか、または電離(電子の利得または損失)をもたらすために核相互作用を介して十分なエネルギーを生成することができる粒子または光子を含む放射線を意味する。例示的かつ好ましい電離放射線はX線である。標的組織または標的細胞にX線を送達するための手段は、当技術分野において周知である。
【0162】
いくつかの局面では、電離放射線の量は20Gyを超え、1回の線量で投与される。いくつかの局面では、電離放射線の量は18Gyであり、3回の線量で投与される。いくつかの局面では、電離放射線の量は、少なくとも2、4、6、8、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、18、19、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは40Gy(またはその中の任意の導出可能な範囲)、多くとも2、4、6、8、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、18、19、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは40Gy(またはその中の任意の導出可能な範囲)、またはちょうど2、4、6、8、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、18、19、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは40Gy(またはその中の任意の導出可能な範囲)である。いくつかの局面では、電離放射線は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回の線量(またはその中の任意の導出可能な範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回の線量(またはその中の任意の導出可能な範囲)、またはちょうど1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回の線量(またはその中の任意の導出可能な範囲)で投与される。複数回の線量が投与される場合、線量は、約1、4、8、12、もしくは24時間ごと、もしくは約1、2、3、4、5、6、7、もしくは8日ごと、もしくは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、もしくは16週間ごと、またはその中の任意の導出可能な範囲であってよい。
【0163】
いくつかの局面では、IRの量は、IRの総線量として示される場合があり、IRの総線量は、分割線量で投与される。例えば、いくつかの局面では、総線量は、それぞれ5Gyの10分割線量で投与される50Gyである。いくつかの局面では、総線量は、それぞれ2~3Gyの20~60分割線量で投与される50~90Gyである。いくつかの局面では、IRの総線量は、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150(またはその中の任意の導出可能な範囲)、多くとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150(またはその中の任意の導出可能な範囲)、または約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150(またはその中の任意の導出可能な範囲)である。いくつかの局面では、総線量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50Gy(またはその中の任意の導出可能な範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50Gy(またはその中の任意の導出可能な範囲)、またはちょうど1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50Gy(またはその中の任意の導出可能な範囲)の分割線量で投与される。いくつかの局面では、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100分割線量、多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100分割線量、またはちょうど2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100分割線量が投与される(またはその中の任意の導出可能な範囲)。いくつかの局面では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12(またはその中の任意の導出可能な範囲)分割線量、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12(またはその中の任意の導出可能な範囲)分割線量、またはちょうど1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12(またはその中の任意の導出可能な範囲)分割線量が1日当たり投与される。いくつかの局面では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30(またはその中の任意の導出可能な範囲)分割線量、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30(またはその中の任意の導出可能な範囲)分割線量、またはちょうど1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30(またはその中の任意の導出可能な範囲)分割線量が1週間当たり投与される。
【0164】
H. 手術
がん患者の約60%は、予防的手術、診断的手術または病期分類手術、治癒的手術および緩和手術を含む何らかの種類の手術を受ける。治癒的手術は、がん組織の全部または一部が物理的に除去、切除および/または破壊される切除を含み、本局面の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法および/または代替療法などの他の療法と組み合わせて使用され得る。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的な切除を指す。腫瘍切除に加えて、手術による処置には、レーザー手術、凍結手術、電気手術および顕微鏡制御手術(モース術)が含まれる。
【0165】
がん性の細胞、組織または腫瘍の一部または全部を切除すると、体内に空洞が形成される場合がある。処置は、灌流、直接注射、または追加の抗がん療法によるその領域の局所適用によって達成され得る。そのような処置は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごと、または1、2、3、4、および5週間ごと、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月ごとに繰り返され得る。これらの処置では、投与量も様々であり得る。
【0166】
I. 他の薬剤
処置の治療効果を改善するために、他の薬剤を本局面のある特定の局面と組み合わせて使用してもよいことが企図される。これらの追加の薬剤には、細胞表面受容体およびGAPジャンクションのアップレギュレーションに影響を与える薬剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖細胞の感受性を高める薬剤、または他の生物学的薬剤が含まれる。GAPジャンクションの数を増やすことによる細胞間シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖細胞集団に対する抗過剰増殖効果を増大させるであろう。他の局面では、細胞増殖抑制剤または分化剤を本局面のある特定の局面と組み合わせて使用して、処置の抗過剰増殖効果を改善することができる。細胞接着の阻害剤は、本局面の効果を改善するために企図される。細胞接着阻害剤の例には、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンがある。処置効果を改善するために、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増加させる他の薬剤、例えば、抗体c225を本局面のある特定の局面と組み合わせて使用することができることがさらに企図される。
【0167】
XI. タンパク質性組成物
本明細書において使用される場合、「タンパク質」「ペプチド」または「ポリペプチド」は、少なくとも5つのアミノ酸残基を含む分子を指す。本明細書において使用される場合、用語「野生型」は、生物では天然に生じる分子の内因性バージョンを指す。いくつかの局面では、タンパク質またはポリペプチドの野生型バージョンが使用されるが、本開示の多くの局面では、免疫応答を生じさせるために改変タンパク質または改変ポリペプチドが使用される。上記の用語は区別なく使用され得る。「改変タンパク質」もしくは「改変ポリペプチド」または「バリアント」は、その化学構造、特にそのアミノ酸配列が野生型タンパク質または野生型ポリペプチドに対して変化しているタンパク質またはポリペプチドを指す。いくつかの局面では、改変/バリアントタンパク質または改変/バリアントポリペプチドは、少なくとも1つの改変された活性または機能を有する(タンパク質またはポリペプチドが複数の活性または機能を有し得ることを認識する)。改変/バリアントタンパク質または改変/バリアントポリペプチドは、1つの活性または機能に関して変化していてもよいが、免疫原性などの他の点では野生型の活性または機能を保持し得ることが特に企図される。
【0168】
タンパク質が本明細書において具体的に言及される場合、それは一般に、天然(野生型)もしくは組換え(改変)タンパク質、または任意で、任意のシグナル配列が除去されたタンパク質への言及である。タンパク質は、天然である生物から直接単離され得るか、組換えDNA/外因性発現方法によって産生され得るか、または固相ペプチド合成(SPPS)もしくは他のインビトロの方法によって産生され得る。特定の局面では、ポリペプチド(例えば、抗体またはその断片)をコードする核酸配列を組み込んだ単離された核酸セグメントおよび組換えベクターが存在する。用語「組換え」は、ポリペプチド、または特定のポリペプチドの名称とともに使用され得、これは、インビトロで操作されたかまたはそのような分子の複製産物である核酸分子から産生されるポリペプチドを一般に指す。
【0169】
ある特定の局面では、タンパク質またはポリペプチド(野生型または改変型)のサイズは、限定されることなく、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、1000、1200、1400、1600、1800、もしくは2000個のアミノ酸残基もしくは核酸残基もしくはそれ以上、およびその中の導出可能な任意の範囲、または本明細書において記載もしくは参照される対応するアミノ配列の誘導体を含み得る。ポリペプチドは、切断によって変異させ、それらをそれらの対応する野生型形態よりも短くしてもよく、また、異種タンパク質または異種ポリペプチド配列を特定の機能(例えば、標的化または局在化のため、免疫原性の増強のため、精製の目的のためなど)と融合またはコンジュゲートすることによって変化させてもよいことが企図される。
【0170】
ポリペプチド、タンパク質、または本開示のそのようなポリペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50(またはその中の任意の導出可能な範囲)もしくはそれ以上の変異体アミノ酸もしくは核酸置換を含み得るか、またはSEQ ID NO:1~34についての少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上、もしくは多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上の連続したアミノ酸もしくは核酸、もしくはその中の導出可能な任意の範囲と、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中の任意の導出可能な範囲)類似し得るか、同一であり得るか、もしくは相同であり得る。具体的な局面では、ペプチドまたはポリペプチドは、ヒト配列であるか、またはヒト配列に基づく。ある特定の局面では、ペプチドまたはポリペプチドは、天然に存在せず、および/またはペプチドもしくはポリペプチドの組合せである。
【0171】
いくつかの局面では、タンパク質、ポリペプチド、または核酸は、SEQ ID NO:1~34のアミノ酸またはヌクレオチド1から、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、または320(またはその中の任意の導出可能な範囲)を含み得る。
【0172】
いくつかの局面では、SEQ ID NO:1~34の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、もしくは320個(またはその中の任意の導出可能な範囲)の連続したアミノ酸もしくは核酸を、タンパク質が含み得るか、ポリペプチドが含み得るか、核酸が含み得るか、または核酸によってコードされるポリペプチドもしくはタンパク質が含み得る。
【0173】
いくつかの局面では、SEQ ID NO:1~34のうちの1つと、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中の任意の導出可能な範囲)、多くとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中の任意の導出可能な範囲)、もしくはちょうど60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中の任意の導出可能な範囲)類似しているか、同一であるか、もしくは相同である、SEQ ID NO:1~34についての少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、もしくは320個(またはその中の任意の導出可能な範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、もしくは320個(またはその中の任意の導出可能な範囲)、もしくはちょうど1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、もしくは320個(またはその中の任意の導出可能な範囲)の連続したアミノ酸を、タンパク質が含み得るか、ポリペプチドが含み得るか、核酸が含み得るか、または核酸によってコードされるポリペプチドもしくはタンパク質が含み得る。
【0174】
いくつかの局面では、SEQ ID NO:1~34のいずれかについての、位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949または950で始まり、SEQ ID NO:1~34のいずれかについての、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、もしくは950(またはその中の任意の導出可能な範囲)個の連続したアミノ酸もしくはヌクレオチド、多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、
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487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、もしくは950(またはその中の任意の導出可能な範囲)個の連続したアミノ酸もしくはヌクレオチドを含む、核酸分子またはポリペプチドが存在する。
【0175】
いくつかの局面では、SEQ ID NO:1~34のうちの1つのペプチドまたはポリペプチドの、位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399または400のアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンまたはバリンによって置換される。
【0176】
様々な遺伝子のヌクレオチドならびにタンパク質配列、ポリペプチド配列およびペプチド配列が以前に開示されており、認識されているコンピュータ化データベースに見出され得る。2つの一般的に使用されるデータベースは、National Center for Biotechnology InformationのGenbankデータベースおよびGenPeptデータベース(ワールドワイドウェブncbi.nlm.nih.gov/上)ならびにThe Universal Protein Resource(UniProt;ワールドワイドウェブuniprot.org上)である。これらの遺伝子のコード領域は、本明細書において開示される技術を使用して、または当業者に公知なように、増幅および/または発現され得る。
【0177】
本開示の組成物では、1ml当たり約0.001mg~約10mgの総ポリペプチド、総ペプチドおよび/または総タンパク質が存在することが企図される。組成物中のタンパク質の濃度は、約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/mlもしくはそれ以上(またはその中の導出可能な任意の範囲)、少なくとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/mlもしくはそれ以上(またはその中の導出可能な任意の範囲)、または多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/mlもしくはそれ以上(またはその中の導出可能な任意の範囲)であり得る。
【0178】
以下は、タンパク質のアミノ酸サブユニットを変化させて、等価の、またはさらに改良された第2世代バリアントポリペプチドまたは第2世代バリアントペプチドを作製することに関する説明である。例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域、または基質分子上の結合部位などの構造との相互作用的結合能の認識可能な喪失の有無にかかわらず、タンパク質配列またはポリペプチド配列内の他のアミノ酸に置換され得る。タンパク質の機能的活性を規定するのはタンパク質の相互作用能力および性質であるため、タンパク質配列およびその対応するDNAコード配列内で特定のアミノ酸置換が行われ得、それでもなお、類似したまたは望ましい特性を有するタンパク質を産生することができる。したがって、本発明者らは、タンパク質をコードする遺伝子のDNA配列に、それらの生物学的有用性または活性を明らかに失うことなく様々な変化を加えることが可能であると考えている。
【0179】
用語「機能的に等価なコドン」は、同じアミノ酸をコードするコドン、例えば、アルギニンの6つの異なるコドンを指すために本明細書において使用される。生物学的に等価なアミノ酸をコードする単数または複数のコドンの変化を指す「中性置換」または「中性変異」も考慮される。
【0180】
本開示のアミノ酸配列バリアントは、置換バリアント、挿入バリアントまたは欠失バリアントであり得る。本開示のポリペプチドの変異は、野生型と比較して、タンパク質またはポリペプチドの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個またはそれ以上の不連続のアミノ酸または連続したアミノ酸に影響を及ぼし得る(またはその中の導出可能な任意の範囲)。バリアントは、本明細書において提供または参照される任意の配列と、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%(その間のあらゆる値および範囲を含む)同一のアミノ酸配列を含むことができる。バリアントは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の置換アミノ酸を含むことができる。
【0181】
アミノ酸配列および核酸配列は、追加の残基、例えば、追加のN末端アミノ酸もしくはC末端アミノ酸、またはそれぞれ5'配列もしくは3'配列を含み得るが、それでもなお、タンパク質発現が関係する生物学的タンパク質活性の維持を含む上記の基準を配列が満たす限り、本明細書において開示される配列の1つに記載されるように本質的に同一であり得ることも理解されるであろう。末端配列の付加は、例えば、コード領域の5'部分または3'部分のいずれかに隣接する様々な非コード配列を含み得る核酸配列に特に適用される。
【0182】
欠失バリアントは、天然タンパク質または野生型タンパク質の1つまたは複数の残基を典型的に欠く。個々の残基を欠失させることができるか、またはいくつかの連続したアミノ酸を欠失させることができる。終止コドンをコード核酸配列に(置換または挿入によって)導入して、切断型タンパク質を生成してもよい。
【0183】
挿入変異型は、ポリペプチドの非末端点に、アミノ酸残基の付加を典型的に含む。これは、1つまたは複数のアミノ酸残基の挿入を含み得る。また、末端付加が生成され得、本明細書において記載または参照される1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドの多量体またはコンカテマーである融合タンパク質を含み得る。
【0184】
置換バリアントは、タンパク質またはポリペプチド内の1つまたは複数の部位で1つのアミノ酸の別のアミノ酸への交換を典型的に伴い、他の機能または特性の喪失の有無にかかわらず、ポリペプチドの1つまたは複数の特性を調節するように設計され得る。置換は保存的であってよく、すなわち、1つのアミノ酸が類似の化学的特性の1つによって置換される。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸クラスのメンバーと同じクラスの別のメンバーとの交換を伴い得る。保存的置換は当技術分野において周知であり、例えば、アラニンからセリンへ;アルギニンからリジンへ;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジンへ;アスパルテートからグルタメートへ;システインからセリンへ;グルタミンからアスパラギンへ;グルタメートからアスパルテートへ;グリシンからプロリンへ;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミンへ;イソロイシンからロイシンまたはバリンへ;ロイシンからバリンまたはイソロイシンへ;リジンからアルギニンへ;メチオニンからロイシンまたはイソロイシンへ;フェニルアラニンからチロシン、ロイシンまたはメチオニンへ;セリンからトレオニンへ;トレオニンからセリンへ;トリプトファンからチロシンへ;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニンへ;およびバリンからイソロイシンまたはロイシンへの変化を含む。保存的アミノ酸置換は、天然に存在しないアミノ酸残基を包含し得、天然に存在しないアミノ酸残基は、生体系における合成ではなく化学的ペプチド合成によって典型的に組み込まれる。これらには、ペプチド模倣物、またはアミノ酸部分の他の逆転形態もしくは逆位形態が含まれる。
【0185】
あるいは、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように、置換は「非保存的」であり得る。非保存的変化は、アミノ酸残基を化学的に異なるものによって置換すること、例えば、極性アミノ酸または荷電アミノ酸を非極性アミノ酸または非荷電アミノ酸に置換することを典型的に伴い、逆もまた同様である。非保存的置換は、アミノ酸クラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを伴い得る。
【0186】
当業者であれば、周知の技術を使用して、本明細書において記載されるポリペプチドの好適なバリアントを決定することができる。当業者であれば、活性にとって重要であるとは考えられない領域を標的とすることによって、活性を破壊することなく変化させられ得る分子の好適な領域を同定し得る。また、当業者であれば、類似のタンパク質またはポリペプチド間で保存されているアミノ酸残基および分子の一部を同定することができるであろう。さらなる局面では、生物学的活性または構造にとって重要であり得る領域が、生物学的活性を顕著に変化させることなく、またはタンパク質もしくはポリペプチドの構造に悪影響を及ぼすことなく、保存的アミノ酸置換に供され得る。
【0187】
そのような変化をもたらす際に、アミノ酸のヒドロパシー指標が考慮され得る。タンパク質のヒドロパシープロファイルは、各アミノ酸に数値(「ヒドロパシー指標」)を割り当て、次いで、ペプチド鎖に沿ってこれらの値を繰り返し平均することによって計算される。各アミノ酸には、その疎水性および電荷特性に基づく値が割り当てられている。それらは以下の通りである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタメート(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパルテート(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際のヒドロパシーアミノ酸指標の重要性は、当技術分野において一般的に理解されている(Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-131(1982))。アミノ酸の相対的なヒドロパシー特性が、結果として生じるタンパク質またはポリペプチドの二次構造に寄与し、それにより、タンパク質またはポリペプチドと他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用が規定されることが認められている。特定のアミノ酸が、類似のヒドロパシー指標またはヒドロパシースコアを有する他のアミノ酸に置換されてもよく、依然として類似の生物学的活性を保持することも知られている。ヒドロパシー指標に基づいて変化をもたらす際に、ある特定の局面では、ヒドロパシー指標が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。本発明のいくつかの局面では、±1以内のものが含まれ、本発明の他の局面では、±0.5以内のものが含まれる。
【0188】
同様のアミノ酸の置換が、親水性に基づいて効果的に行われ得ることも当技術分野において理解されている。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,554,101号では、隣接するアミノ酸の親水性によって制御される、タンパク質の最大局所平均親水性が、タンパク質の生物学的特性と相関することが記載されている。ある特定の局面では、隣接するアミノ酸の親水性によって制御される、タンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗原結合、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。これらのアミノ酸残基には、以下の親水性値が割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパルテート(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);およびトリプトファン(-3.4)。同様の親水性値に基づいて変化をもたらす際に、ある特定の局面では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、他の局面では、±1以内であるものが含まれ、さらに他の局面では、±0.5以内のものが含まれる。いくつかの例では、親水性に基づいて一次アミノ酸配列からエピトープが同定され得る。これらの領域は、「エピトープコア領域」とも呼ばれる。アミノ酸は、類似の親水性値を有する別のものに置換されても、生物学的に等価であり、免疫学的に等価なタンパク質を産生することができることが理解される。
【0189】
さらに、当業者であれば、活性または構造にとって重要な類似のポリペプチドまたはタンパク質内の残基を同定する構造機能試験を概説することができる。このような比較を考慮して、類似のタンパク質の活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応する、タンパク質内のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者であれば、そのような予測された重要なアミノ酸残基について化学的に類似したアミノ酸置換を選択し得る。
【0190】
また、当業者であれば、類似のタンパク質またはポリペプチドにおけるその構造に関連する三次元構造およびアミノ酸配列を分析することができる。そのような情報を考慮して、当業者であれば、その三次元構造に対する抗体のアミノ酸残基のアライメントを予測し得る。当業者であれば、そのような残基は他の分子との重要な相互作用に関与し得るため、タンパク質の表面上にあると予測されるアミノ酸残基に変化をもたらさないように選択し得る。さらに、当業者であれば、各所望のアミノ酸残基に単一のアミノ酸置換を含有する試験バリアントを生成し得る。次いで、これらのバリアントを結合および/または活性について標準的なアッセイを使用してスクリーニングし、したがって、そのような常用的な実験から集められた情報を得ることができ、これにより、さらなる置換が単独でまたは他の変異と組み合わせて回避されるべきアミノ酸位置を当業者が決定することが可能になり得る。二次構造を決定するために利用可能な様々なツールは、expasy.org/proteomics/protein_structureのワールドワイドウェブ上に見出すことができる。
【0191】
本発明のいくつかの局面では、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させる、(2)酸化に対する感受性を低下させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)リガンド結合親和性もしくは抗原結合親和性を変化させる、および/または(5)そのようなポリペプチドに他の物理化学的特性もしくは機能的特性を付与するか、もしくはそれを改変するアミノ酸置換が行われる。例えば、天然に存在する配列に対して、単一または複数のアミノ酸置換(ある特定の局面では、保存的アミノ酸置換)が行われ得る。分子間接触を形成するドメインの外側にある、抗体の部分に対して置換を行うことができる。そのような局面では、タンパク質またはポリペプチドの構造特性を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換を使用することができる(例えば、天然抗体を特徴付ける二次構造を破壊しない1つまたは複数の置換アミノ酸)。
【0192】
XII. 核酸
ある特定の局面では、核酸配列は、組み込まれた配列の単離されたセグメントおよび組換えベクター、または本開示のペプチドおよびポリペプチドもしくはその断片、誘導体、ムテインもしくはバリアントをコードする組換えポリヌクレオチド、ハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、変異させもしくは増幅するためのPCRプライマーもしくは配列決定プライマー、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、ならびに本明細書において記載される前述の相補的配列などの様々な実例で存在し得る。これらのペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸も提供される。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得、RNAヌクレオチドおよび/またはDNAヌクレオチドならびにそれらの人工バリアント(例えば、ペプチド核酸)を含み得る。
【0193】
用語「ポリヌクレオチド」は、組換えであるか、または全ゲノム核酸から単離されている核酸分子を指す。用語「ポリヌクレオチド」には、オリゴヌクレオチド(長さが100残基以下の核酸)、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む組換えベクターが含まれる。ポリヌクレオチドは、ある特定の局面では、それらの天然に存在する遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に離れて単離された制御配列を含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)または二本鎖であり得、RNA、DNA(ゲノム、cDNAまたは合成)、それらの類似体、またはそれらの組合せであり得る。追加のコード配列または非コード配列が、ポリヌクレオチド内に存在してもよいが、ポリヌクレオチド内に存在する必要はない。
【0194】
この点で、用語「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド(適切な転写、翻訳後修飾または局在化に必要な任意の配列を含む)をコードする核酸を指すために使用される。当業者によって理解されるように、この用語は、ゲノム配列、発現カセット、cDNA配列、ならびにタンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質および変異型を発現するかまたは発現するように適合され得るさらに小さな操作された核酸セグメントを包含する。ポリペプチドの全部または一部をコードする核酸は、そのようなポリペプチドの全部または一部をコードする連続した核酸配列を含有し得る。特定のポリペプチドは、わずかに異なる核酸配列を有する変異を含有する核酸によってコードされ得るが、それでもなお、同じまたは実質的に類似のタンパク質をコードすることも企図される。
【0195】
ある特定の局面では、本明細書において開示される配列に対して実質的な同一性を有し、本明細書において記載される方法(例えば、標準的なパラメータを使用したBLAST分析)を使用して本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列と比較して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれ以上の配列同一性(その間のあらゆる値および範囲を含む)を含むポリヌクレオチドバリアントが存在する。ある特定の局面では、単離されたポリヌクレオチドは、配列の全長にわたって、本明細書において記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、好ましくは95%以上の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または該単離されたポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列を含む。
【0196】
核酸セグメントは、コード配列自体の長さにかかわらず、他の核酸配列、例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、追加の制限酵素部位、マルチクローニングサイト、他のコードセグメントなどと組み合わされてもよく、その全長はかなり変動し得る。核酸は、任意の長さであり得る。それらは、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、3000、5000もしくはそれ以上のヌクレオチド長であり得、および/または1つもしくは複数の追加の配列、例えば、制御配列を含み得、および/またはさらに大きな核酸、例えば、ベクターの一部であり得る。したがって、ほぼ任意の長さの核酸断片を使用してもよく、全長は、意図された組換え核酸プロトコルにおける調製および使用の容易さによって制限されることが好ましいことが企図される。いくつかの場合、核酸配列は、例えば、ポリペプチドの精製、輸送、分泌、翻訳後修飾を可能にするために、またはターゲティングもしくは有効性などの治療上の利点のために、追加の異種コード配列を有するポリペプチド配列をコードし得る。上記のように、タグまたは他の異種ポリペプチドを、改変ポリペプチドをコードする配列に付加してもよく、ここで、「異種」は、改変ポリペプチドと同じではないポリペプチドを指す。
【0197】
A. ハイブリダイゼーション
特定のハイブリダイゼーション条件下で他の核酸にハイブリダイズする核酸。核酸をハイブリダイズさせる方法は、当技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6.を参照されたい。本明細書において定義されるように、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%SDS、1.0 mM EDTA(pH 8.0)を含有する予洗溶液、約50%ホルムアミドのハイブリダイゼーション緩衝液、6×SSC、および55℃のハイブリダイゼーション温度(または例えば、約50%のホルムアミドを含有する他の同様のハイブリダイゼーション溶液、および42℃のハイブリダイゼーション温度)、ならびに0.5×SSC、0.1%SDS中60℃の洗浄条件を使用する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、45℃、6×SSC中でハイブリダイズし、続いて、68℃、0.1×SSC、0.2%SDS中で1回または複数回洗浄する。さらに、当業者であれば、互いに少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が典型的には互いにハイブリダイズしたままであるように、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増加または減少させるようにハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作することができる。
【0198】
ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼすパラメータ、および好適な条件を考案するための指針は、例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11(1989);Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.,John Wiley and Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3-6.4(1995)、これらはいずれも、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)によって記載されており、例えば、DNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて当業者によって容易に決定され得る。
【0199】
B. 変異
核酸への変異によって変化を導入し、それによって、それがコードするポリペプチド(例えば、抗原性ペプチドまたは抗原性ポリペプチド)のアミノ酸配列の変化をもたらすことができる。当技術分野において公知の任意の技術を使用して、変異を導入することができる。一局面では、例えば、部位特異的変異誘発プロトコルを使用して、1つまたは複数の特定のアミノ酸残基を変化させる。別の局面では、例えば、ランダム変異誘発プロトコルを使用して、1つまたは複数のランダムに選択された残基を変化させる。それがどのように行われようと、変異型ポリペプチドを発現させ、所望の特性についてスクリーニングすることができる。
【0200】
変異は、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を顕著に変化させることなく核酸に導入され得る。例えば、非必須アミノ酸残基でのアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を行うことができる。あるいは、1つまたは複数の変異を、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を選択的に変化させる核酸に導入することができる。例えば、Romain Studer et al.,Biochem.J.449:581-594(2013)を参照されたい。例えば、変異は、生物学的活性を定量的または定性的に変化させることができる。定量的変化の例には、活性の増加、低下または排除が挙げられる。定性的変化の例には、抗体の抗原特異性の変化が挙げられる。
【0201】
C. プローブ
別の局面では、核酸分子は、核酸配列の検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに適している。核酸分子は、完全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみ、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用され得る断片、または所与のポリペプチドの活性部分をコードする断片を含むことができる。
【0202】
別の局面では、核酸分子は、特定の核酸配列のためのプローブまたはPCRプライマーとして使用され得る。例えば、核酸分子プローブを診断方法で使用してもよいか、または核酸分子PCRプライマーを使用して、とりわけ本開示の操作された細胞の産生に使用するための核酸配列を単離するために使用され得るDNAの領域を増幅してもよい。好ましい局面では、核酸分子はオリゴヌクレオチドである。
【0203】
核酸の所望の配列に基づくプローブを使用して、核酸または類似の核酸、例えば、関心対象のポリペプチドをコードする転写物を検出することができる。プローブは、標識基、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素補因子を含むことができる。そのようなプローブを使用して、ポリペプチドを発現する細胞を同定することができる。
【0204】
XIII. ポリペプチド発現
いくつかの局面では、本開示のポリペプチドまたはペプチド(例えば、抗体、TCR遺伝子、MHC分子および免疫原性ペプチド)をコードする核酸分子が存在する。これらは、当技術分野において公知の方法によって生成され得、例えば、免疫化および単離されたマウスのB細胞から単離される、ファージディスプレイ、任意の好適な組換え発現系で発現される、および集合させて抗体分子を形成する、または組換え方法による。
【0205】
核酸分子は、大量のポリペプチドを発現するために使用され得る。核酸分子が非ヒト非トランスジェニック動物に由来する場合、核酸分子は、抗体またはTCR遺伝子のヒト化に使用され得る。
【0206】
A. ベクター
いくつかの局面では、所望の配列のポリペプチドまたはその一部(例えば、1つもしくは複数のCDR、または1つもしくは複数の可変領域ドメインを含有する断片)をコードする核酸分子を含む発現ベクターが企図される。核酸分子を含む発現ベクターは、その重鎖、軽鎖または抗原結合部分をコードし得る。いくつかの局面では、核酸分子を含む発現ベクターは、融合タンパク質、抗原性ペプチドおよび抗原性ポリペプチド、TCR遺伝子、MHC分子、改変抗体、抗体断片ならびにそれらのプローブをコードし得る。転写および翻訳を制御する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能にも役立つ核酸配列を含有し得る。
【0207】
本開示のポリペプチドまたはペプチドを発現するために、ポリペプチドまたはペプチドをコードするDNAは、遺伝子領域が転写制御配列および翻訳制御配列に機能的に連結されるように発現ベクターに挿入される。いくつかの局面では、任意のVH配列またはVL配列が容易に挿入および発現され得るように操作された適切な制限部位を有する機能的に完全なヒトCH免疫グロブリン配列またはヒトCL免疫グロブリン配列をコードするベクター。いくつかの局面では、任意の可変配列またはCDR1、CDR2および/もしくはCDR3が容易に挿入および発現され得るように操作された適切な制限部位を有する機能的に完全なヒトTCRアルファ配列またはヒトTCRベータ配列をコードするベクター。典型的には、宿主細胞のいずれかで使用される発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスの維持のための配列、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含有する。集合的に「隣接配列」と呼ばれるそのような配列は、以下の機能的に連結されたヌクレオチド配列、すなわち、プロモーター、1つまたは複数のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナースプライス部位およびアクセプタースプライス部位を含有する完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能なマーカー要素のうちの1つまたは複数を典型的に含む。そのような配列およびその使用方法は、当技術分野において周知である。
【0208】
B. 発現系
上記の発現ベクターの少なくとも一部または全部を含む多数の発現系が存在する。原核生物および/または真核生物に基づく系は、核酸配列、またはそれらの同族ポリペプチド、同族タンパク質および同族ペプチドを産生する局面とともに使用するために採用され得る。商業的に広く利用可能な系には、限定されることなく、細菌系、哺乳動物系、酵母系および昆虫細胞系が含まれる。様々な宿主細胞は、タンパク質の翻訳後プロセシングおよび翻訳後修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系を選択して、発現された外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実にすることができる。当業者であれば、適切な発現系を使用して、核酸配列またはその同族ポリペプチド、同族タンパク質もしくは同族ペプチドを産生するためのベクターを発現させることができる。
【0209】
C. 遺伝子移入の方法
組成物の発現をもたらすための核酸送達のための好適な方法は、本明細書において記載されるように、または当業者に公知なように、核酸(例えば、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを含むDNA)を細胞、組織または生物に導入することができる実質的に任意の方法を含むと予測される。そのような方法には、限定されることなく、例えば、マイクロインジェクション(Harland and Weintraub,1985;参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,789,215号)を含む注射(各々参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,994,624号、米国特許第5,981,274号、米国特許第5,945,100号、米国特許第5,780,448号、米国特許第5,736,524号、米国特許第5,702,932号、米国特許第5,656,610号、米国特許第5,589,466号および米国特許第5,580,859号);エレクトロポレーション(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,384,253号);リン酸カルシウム沈殿(Graham and Van Der Eb,1973;Chen and Okayama,1987;Rippe et al.,1990);DEAEデキストラン、それに続くポリエチレングリコールを使用すること(Gopal,1985);直接音響負荷(Fechheimer et al.,1987);リポソーム媒介トランスフェクション(Nicolau and Sene,1982;Fraley et al.,1979;Nicolau et al.,1987;Wong et al.,1980;Kaneda et al.,1989;Kato et al.,1991);微粒子銃(各々参照により本明細書に組み入れられるPCT出願第WO94/09699およびPCT出願第WO95/06128;米国特許第5,610,042号;米国特許第5,322,783号、米国特許第5,563,055号、米国特許第5,550,318号、米国特許第5,538,877号および米国特許第5,538,880号);炭化ケイ素繊維による撹拌(Kaeppler et al.,1990;各々参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,302,523号および米国特許第5,464,765号);アグロバクテリウム媒介形質転換(各々参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,591,616号および米国特許第5,563,055号);またはプロトプラストのPEG媒介形質転換(Omirulleh et al.,1993;各々参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,684,611号および米国特許第4,952,500号);乾燥/阻害媒介DNA取込み(Potrykus et al.,1985)によるDNAの直接送達が含まれる。他の方法には、レンチウイルス形質導入またはレトロウイルス形質導入による遺伝子移入などのウイルス形質導入が含まれる。
【0210】
D. 宿主細胞
別の局面では、組換え発現ベクターが導入された宿主細胞の使用が企図される。ポリペプチドは、様々な細胞型で発現され得る。本開示のポリペプチドまたはペプチドをコードする発現構築物は、当技術分野において公知の様々な方法に従って細胞にトランスフェクトされ得る。ベクターDNAは、従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞に導入され得る。いくつかのベクターは、原核細胞および真核細胞内で複製および/または発現することができる制御配列を使用し得る。当業者であれば、宿主細胞を維持し、ベクターの複製を可能にするために宿主細胞をインキュベートする条件を理解するであろう。ベクターの大規模産生、ならびにベクターによってコードされる核酸、およびそれらの同族ポリペプチド、同族タンパク質または同族ペプチドの産生を可能にする技術および条件も理解され公知である。
【0211】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、ごく一部の細胞のみが外来DNAをそれらのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの組み込み体を同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性のために)が、関心対象の遺伝子とともに宿主細胞に一般に導入される。導入された核酸が安定にトランスフェクトされた細胞は、当技術分野において公知の他の方法の中でも、薬物選択によって同定され得る(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0212】
XIV. 細胞の製剤および培養
特定の局面では、本開示の細胞は、具体的に製剤化されてもよく、および/または特定の培地中で培養されてもよい。細胞は、有害な影響を伴わずレシピエントに送達するのに適しているように製剤化され得る。
【0213】
ある特定の局面では、培地は、動物細胞を培養するために使用される培地、例えば、AIM V、X-VIVO-15、NeuroBasal、EGM2、TeSR、BME、BGJb、CMRL 1066、Glasgow MEM、Improved MEM Zinc Option、IMDM、Medium 199、Eagle MEM、αMEM、DMEM、Ham、RPMI-1640およびFischer培地のいずれか、ならびにそれらの任意の組合せをそれらの基礎培地として使用して調製され得るが、動物細胞を培養するために使用することができる限り、培地は特にこれらに限定されない。特に、培地は、異種成分不含であり得るか、または化学的に規定されてもよい。
【0214】
培地は、血清含有培地もしくは血清不含培地、または異種成分不含培地であり得る。異種動物由来成分による汚染を防止する局面から、血清は、幹細胞と同じ動物に由来し得る。血清不含培地とは、未処理または未精製の血清を含まない培地を指し、したがって、精製された血液由来成分または動物組織由来成分(成長因子など)を含む培地を含み得る。
【0215】
培地は、血清の代替物を含有してもよいか、または含有しなくてもよい。血清の代替物には、アルブミン(脂質に富んだアルブミン、ウシアルブミン、アルブミン置換物、例えば、組換えアルブミンまたはヒト化アルブミン、植物デンプン、デキストランおよびタンパク質加水分解物など)、トランスフェリン(または他の鉄輸送体)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオグリセロールまたはそれらの等価物を適切に含有する材料が含まれ得る。血清の代替物は、例えば、国際公開第98/30679号(その全体が本明細書に組み入れられる)に開示される方法によって調製され得る。あるいは、さらに簡便にするために、任意の市販の材料を使用することができる。市販の材料には、knockout Serum Replacement(KSR)、Chemically-defined Lipid concentrated(Gibco)およびGlutamax(Gibco)が挙げられる。
【0216】
ある特定の局面では、培地は、ビタミン、例えば、ビオチン;酢酸DLアルファトコフェロール;DLアルファ-トコフェロール;ビタミンA(アセテート);タンパク質、例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)もしくはヒトアルブミン、脂肪酸不含フラクションV;カタラーゼ;ヒト組換えインスリン;ヒトトランスフェリン;スーパーオキシドジスムターゼ;他の成分、例えば、コルチコステロン;D-ガラクトース;エタノールアミンHCl;グルタチオン(還元型);L-カルニチンHCl;リノール酸;リノレン酸;プロゲステロン;プトレシン2HCl;亜セレン酸ナトリウム;および/またはT3(トリヨード-I-チロニン)のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20種またはそれ以上を含み得る。具体的な局面では、これらのうちの1つまたは複数が明示的に除外されてもよい。
【0217】
いくつかの局面では、培地は、ビタミンをさらに含む。いくつかの局面では、培地は、ビオチン、酢酸DLアルファトコフェロール、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸ニコチンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、ビタミンB12のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13種(およびその中の導出可能な任意の範囲)を含むか、または培地は、それらの組合せもしくはそれらの塩を含む。いくつかの局面では、培地は、ビオチン、酢酸DLアルファトコフェロール、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸ニコチンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトールおよびビタミンB12を含むか、またはそれらから本質的になる。いくつかの局面では、ビタミンは、ビオチン、酢酸DLアルファトコフェロール、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンAもしくはそれらの組合せもしくは塩を含むか、またはそれらから本質的になる。いくつかの局面では、培地は、タンパク質をさらに含む。いくつかの局面では、タンパク質は、アルブミンもしくはウシ血清アルブミン、BSAの画分、カタラーゼ、インスリン、トランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの組合せを含む。いくつかの局面では、培地は、コルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、もしくはトリヨード-I-チロニン、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数をさらに含む。いくつかの局面では、培地は、B-27(登録商標)サプリメント、異種成分不含B-27(登録商標)サプリメント、GS21(商標)サプリメント、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの局面では、培地は、アミノ酸、単糖、無機イオンを含むか、またはさらに含む。いくつかの局面では、アミノ酸は、アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、もしくはバリン、またはそれらの組合せを含む。いくつかの局面では、無機イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素、もしくはリン、またはそれらの組合せもしくは塩を含む。いくつかの局面では、培地は、モリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、もしくはマンガン、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数をさらに含む。ある特定の局面では、培地は、本明細書において説明される1つもしくは複数のビタミン、ならびに/もしくは本明細書において説明される1つもしくは複数のタンパク質、ならびに/もしくはコルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウムもしくはトリヨード-I-チロニン、B-27(登録商標)サプリメント、異種成分不含B-27(登録商標)サプリメント、GS21(商標)サプリメント、アミノ酸(アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシンもしくはバリンなど)、単糖、無機イオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素および/もしくはリンなど)もしくはその塩、および/もしくはモリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅もしくはマンガンのうちの1つもしくは複数を含むか、またはそれらから本質的になる。具体的な局面では、これらのうちの1つまたは複数が明示的に除外されてもよい。
【0218】
培地はまた、1つまたは複数の外部から添加された脂肪酸もしくは脂質、アミノ酸(非必須アミノ酸など)、ビタミン、成長因子、サイトカイン、抗酸化物質、2-メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤および/または無機塩を含有し得る。具体的な局面では、これらのうちの1つまたは複数が明示的に除外されてもよい。
【0219】
培地成分のうちの1つまたは複数は、少なくとも0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、もしくはその中の導出可能な任意の範囲、多くとも0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、もしくはその中の導出可能な任意の範囲、または約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/ml、もしくはその中の導出可能な任意の範囲の濃度で添加され得る。
【0220】
具体的な局面では、本開示の細胞は、具体的に製剤化される。それらは、細胞懸濁液として製剤化されてもされなくてもよい。具体的な場合には、それらは、単回用量形態で製剤化される。それらは、全身投与または局所投与のために製剤化され得る。いくつかの場合、細胞は、使用前に保存のために製剤化され、細胞製剤は、DMSO(例えば、5%DMSO中)などの1つまたは複数の凍結保存剤を含み得る。細胞製剤は、2.5%ヒトアルブミンを含む具体的な製剤とともに、ヒトアルブミンを含むアルブミンを含み得る。細胞は、静脈内投与のために具体的に製剤化され得る。例えば、それらは、1時間未満にわたる静脈内投与のために製剤化される。特定の局面では、細胞は、融解時から1、2、3、もしくは4時間またはそれ以上にわたって室温で安定な製剤化細胞懸濁液中にある。
【0221】
いくつかの局面では、方法は、T細胞をプライミングする工程をさらに含む。いくつかの局面では、T細胞は、抗原提示細胞によってプライミングされる。いくつかの局面では、抗原提示細胞は、本明細書において開示されるものなどの腫瘍抗原またはペプチドを提示する。
【0222】
特定の局面では、本開示の細胞は、SEQ ID NO:1に対する定義された抗原特異性などの定義された抗原特異性のものであり得る外因性TCRを含む。いくつかの局面では、TCRは、意図されたレシピエントに対するアロ反応性の欠如または減少に基づいて選択され得る(例には、特定のウイルス特異的TCR、異種特異的TCRまたはがん精巣抗原特異的TCRが挙げられる)。外因性TCRが非アロ反応性である例では、T細胞分化中に、外因性TCRは、対立遺伝子排除と呼ばれる発達過程を通じて内因性TCR遺伝子座の再構成および/または発現を抑制し、非アロ反応性外因性TCRのみを発現し、したがって、非アロ反応性であるT細胞をもたらす。いくつかの局面では、外因性TCRの選択は、アロ反応性の欠如に基づいて必ずしも定義されなくてもよい。いくつかの局面では、内因性TCR遺伝子は、タンパク質を発現しないようにゲノム編集によって改変されている。CRISPR/Cas9系を使用する方法などの遺伝子編集の方法は、当技術分野において公知であり、本明細書において記載される。
【0223】
XV. 治療用組成物の投与
本開示の方法は、がんを有する対象の処置に関する。いくつかの局面では、処置は、本開示の特定のペプチド、例えば、SEQ ID NO:1または2のペプチドに関するがんを有するかまたは有すると決定されたものを対象とし得る。いくつかの局面では、方法は、そのようながんについて陽性と検査された個体、がんの1つもしくは複数の症状を有する個体、またはそのようながんを発症するリスクがあると考えられる個体に関して使用され得る。
【0224】
本開示のある特定の局面は、がんの処置、および/またはがん抗原の使用に関する。処置されるがん、または抗原は、当技術分野において公知のいずれかのがんに関連する抗原、または例えば、上皮がん(例えば、乳房、消化管、肺)、前立腺がん、膀胱がん、肺(例えば、小細胞肺)がん、結腸がん、卵巣がん、脳がん、胃がん、腎細胞癌、膵がん、肝がん、食道がん、頭頸部がんもしくは結腸直腸がんであり得る。いくつかの局面では、処置されるがん、または抗原は、以下のがんのうちの1つに由来する:副腎皮質癌、原発性骨髄線維症、AIDS関連がん(例えば、AIDS関連リンパ腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫(例えば、小脳および大脳)、基底細胞癌、胆管がん(例えば、肝外)、膀胱がん、骨がん、(骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳腫瘍(例えば、神経膠腫、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫もしくは大脳星状細胞腫(例えば、毛様細胞性星状細胞腫、びまん性星状細胞腫、未分化(悪性)星状細胞腫)、悪性神経膠腫、上衣腫、乏突起神経膠腫(oligodenglioma)、髄膜腫、髄膜肉腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、視覚路および視床下部の神経膠腫、ならびに神経膠芽腫)、乳がん、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍(例えば、消化管カルチノイド腫瘍)、原発不明癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、慢性骨髄増殖性疾患、子宮内膜がん(例えば、子宮がん)、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing's family of tumors)、眼のがん(例えば、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫)、胆嚢がん、胃(gastric)(胃(stomach))がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、(例えば、頭蓋外、性腺外、卵巣)、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部がん、肝細胞(hepatocellular)(肝)がん(例えば、肝細胞癌(hepatic carcinoma)および肝細胞腫)、下咽頭がん、膵島細胞癌(内分泌膵臓)、喉頭がん、喉頭がん、白血病、口唇および口腔のがん、口腔がん、肝がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌)、リンパ系新生物(例えば、リンパ腫)、髄芽腫、卵巣がん、中皮腫、転移性扁平上皮頸部がん、口のがん、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔のがん、鼻咽頭がん、神経芽腫、神経内分泌がん、口腔咽頭がん、卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍)、膵がん、副甲状腺がん、陰茎がん、腹膜のがん、咽頭がん(pharyngeal cancer)、褐色細胞腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫(小グリア細胞腫)、肺リンパ脈管筋腫症、直腸がん、腎がん、腎盂および尿管がん(移行上皮がん)、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん(例えば、非黒色腫(例えば、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma))、黒色腫およびメルケル細胞癌)、小腸がん、扁平上皮がん(squamous cell cancer)、精巣がん、咽頭がん(throat cancer)、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺癌、結節性硬化症、尿道がん、膣がん、外陰がん、ウィルムス腫瘍、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、母斑症に関連する異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍に関連するものなど)、またはメーグス症候群。
【0225】
本明細書において提供される治療は、治療剤の組合せ、例えば、第1の抗がん療法および第2の抗がん療法の投与を含み得る。治療は、当技術分野において公知の任意の好適な様式で投与され得る。例えば、第1および第2のがん処置は、連続的に(異なる時間に)または同時発生的に(同時に)投与され得る。いくつかの局面では、第1および第2のがん処置は、別個の組成物で投与される。いくつかの局面では、第1および第2のがん処置は、同じ組成物中にある。
【0226】
本開示の局面は、治療用組成物を含む組成物および方法に関する。異なる治療は、1つの組成物で、または複数の組成物、例えば、2つの組成物、3つの組成物もしくは4つの組成物で投与され得る。薬剤の様々な組合せが使用され得る。
【0227】
本開示の治療剤は、同じ投与経路によって、または異なる投与経路によって投与され得る。いくつかの局面では、がん治療は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所に、経口に、経皮に、腹腔内に、眼窩内に、埋め込みによって、吸入によって、髄腔内に、心室内に、または鼻腔内に投与される。いくつかの局面では、抗生物質は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所に、経口に、経皮に、腹腔内に、眼窩内に、埋め込みによって、吸入によって、髄腔内に、心室内に、または鼻腔内に投与される。適切な投与量は、処置される疾患の種類、疾患の重症度および経過、個体の臨床状態、個体の病歴、および処置に対する応答、ならびに主治医の判断に基づいて決定され得る。
【0228】
処置は、様々な「単位用量」を含み得る。単位用量は、所定量の治療用組成物を含有すると定義される。投与される量、ならびに特定の経路および製剤は、臨床分野の当業者の決定の技能の範囲内である。単位用量は、単回注射として投与される必要はないが、設定期間にわたる連続注入を含み得る。いくつかの局面では、単位用量は、単回投与可能用量を含む。
【0229】
投与される量は、処置回数および単位用量の両方に応じて、所望の処置効果に依存する。有効用量とは、特定の効果を達成するのに必要な量を指すと理解される。ある特定の局面における実施では、10mg/kg~200mg/kgの範囲の用量が、これらの薬剤の保護能力に影響を及ぼし得ることが企図される。したがって、用量は、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、および200、300、400、500、1000μg/kg、mg/kg、μg/日もしくはmg/日、またはその中の導出可能な任意の範囲の用量を含むことが企図される。さらに、そのような用量は、1日の間に複数回、および/または複数の日、週もしくは月に投与することができる。
【0230】
ある特定の局面では、薬学的組成物の有効用量は、約1μM~150μMの血中レベルを提供することができるものである。別の局面では、有効用量は、約4μM~100μM、または約1μM~100μM、または約1μM~50μM、または約1μM~40μM、または約1μM~30μM、または約1μM~20μM、または約1μM~10μM、または約10μM~150μM、または約10μM~100μM、または約10μM~50μM、または約25μM~150μM、または約25μM~100μM、または約25μM~50μM、または約50μM~150μM、または約50μM~100μM(またはその中の導出可能な任意の範囲)の血中レベルを提供する。他の局面では、用量は、対象に投与されている治療剤から生じる薬剤の以下の血中レベル、すなわち、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100μM、もしくはその中の導出可能な任意の範囲、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100μM、もしくはその中の導出可能な任意の範囲、または多くとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100μM、もしくはその中の導出可能な任意の範囲を提供することができる。ある特定の局面では、対象に投与される治療剤は、体内で代謝されて代謝された治療剤になり、その場合、血中レベルとは、その剤の量を指し得る。あるいは、治療剤が対象によって代謝されない限り、本明細書において説明される血中レベルとは、代謝されていない治療剤を指し得る。
【0231】
治療用組成物の正確な量はまた、施術者の判断に依存し、各個体に特有である。用量に影響を及ぼす要因には、患者の身体的状態および臨床的状態、投与経路、処置の意図された目標(症状の緩和対治癒)、ならびに対象が受け得る特定の治療用物質または他の治療の効力、安定性および毒性が含まれる。
【0232】
μg/kg体重またはmg/kg体重の投与量単位を変換し、μg/mlまたはmM(血中レベル)の同等の濃度単位、例えば、4μM~100μMで表すことができることが、当業者によって理解および認識される。取込みは、種および器官/組織に依存することも理解される。取込みおよび濃度測定に関して行われる適用可能な変換係数および生理学的仮定は周知であり、当業者が1つの濃度測定値を別の濃度測定値に変換し、本明細書において記載される用量、有効性および結果に関して合理的な比較を行い、結論を下すことを可能にする。
【0233】
選択局面では、本開示のペプチドは、ワクチン組成物に含まれ、対象に投与されて、対象においてがんに対する治療的免疫応答を誘導し得ることが企図される。対象に対する薬学的使用のためのワクチン組成物は、本明細書において開示されるペプチド組成物と、薬学的に許容される担体とを含み得る。
【0234】
語句「薬学的」、「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」は、必要に応じて、例えば、ヒトなどの動物に投与された際に、有害な、アレルギー性の、または他の不都合な反応を生じない分子実体および組成物を指す。本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、当業者に公知なように、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗細菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素、そのような同様の材料およびそれらの組合せを含む(例えば、参照により本明細書に組み入れられるRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,Pharmaceutical Press,2011を参照)。任意の従来の担体が活性成分と適合しない場合を除いて、本発明のワクチン組成物中のその使用が企図される。
【0235】
本明細書において使用される場合、「防御免疫応答」は、哺乳動物宿主の免疫系によるがんに対する応答を指す。防御免疫応答は、がんの処置のための治療効果、例えば、腫瘍サイズの減少、生存率の増加などを提供し得る。
【0236】
いくつかの局面では、ワクチン組成物は、微細構造経皮送達または弾道粒子送達によって投与され得る。ワクチン製剤用の担体としての微細構造は、ワクチン用途に望ましい構成であり、当技術分野において広く公知である(Gerstel and Place 1976(米国特許第3,964,482号);Ganderton and McAinsh 1974(米国特許第3,814,097号);米国特許第5,797,898号、米国特許第5,770,219号および米国特許第5,783,208号ならびに米国特許出願第2005/0065463号)。弾道粒子送達用に製剤化されたそのようなワクチン組成物は、支持基材の表面に固定化された、本明細書において開示される単離されたペプチドを含み得る。これらの局面では、支持基材には、限定されることなく、マイクロカプセル、微粒子、ミクロスフェア、ナノカプセル、ナノ粒子、ナノスフェア、またはそれらの組合せが含まれ得る。
【0237】
他の局面では、ワクチン組成物は、本明細書において開示される固定化またはカプセル化されたペプチドまたは抗体と、支持基材とを含む。これらの局面では、支持基材には、限定されることなく、脂質ミクロスフェア、脂質ナノ粒子、エトソーム(ethosome)、リポソーム、ニオソーム、リン脂質、スフィンゴソーム、界面活性剤、トランスフェロソーム、エマルジョン、またはそれらの組合せが含まれ得る。リポソームならびに他の脂質ナノキャリア製剤および脂質マイクロキャリア製剤の形成および使用は、一般に当業者に公知であり、リポソーム、微粒子、ナノカプセルなどの使用は、治療薬の送達に広く使用されている(例えば、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み入れられる米国特許第5,741,516号)。ペプチドのカプセル化を含む、潜在的な薬物担体としてのリポソームおよびリポソーム様調製物の多数の方法が概説されている(各々参照によりその全体が具体的に組み入れられる米国特許第5,567,434号、米国特許第5,552,157号、米国特許第5,565,213号、米国特許第5,738,868号および米国特許第5,795,587号)。
【0238】
本明細書において記載される送達方法に加えて、開示されるワクチン組成物を投与するためのいくつかの代替技術も企図される。非限定的な例として、ワクチン組成物は、循環系へのおよび循環系を通る薬物透過の速度および有効性を増強するために、米国特許第5,656,016号において使用および記載されているソノフォレーシス(すなわち、超音波);骨内注射(米国特許第5,779,708号)またはフィードバック制御送達(米国特許第5,697,899号)によって投与され得、この段落の特許の各々は、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み入れられる。
【0239】
XVI. 試料調製
ある特定の局面では、方法は、対象から試料を得る工程を伴う。本明細書において提供される得る工程の方法は、生検の方法、例えば、穿刺吸引、コア針生検、真空補助下生検、切開生検、切除生検、パンチ生検、薄片生検または皮膚生検を含み得る。ある特定の局面では、試料は、前述の生検方法のいずれかによって卵巣組織または子宮内膜組織からの生検から得られる。他の局面では、試料は、限定されることなく、非がん性またはがん性の組織、および卵巣上皮、卵管上皮、卵巣、子宮頸部、卵管または子宮から得られた非がん性またはがん性の組織を含む、本明細書において提供される組織のいずれかから得られてもよい。あるいは、試料は、限定されることなく、血液、血清、血漿、汗、毛包、頬側組織、涙、月経、糞便または唾液を含む任意の他の供給源から得られてもよい。本方法のある特定の局面では、医師、看護師または医療技術者などの任意の医療専門家が、検査のために生物学的試料を得てもよい。さらに、生物学的試料は、医療専門家の助けを借りずに得ることができる。
【0240】
試料には、限定されることなく、組織、細胞、または細胞由来の生物学的材料、もしくは対象の細胞に由来する生物学的材料が含まれ得る。生物学的試料は、細胞または組織の不均一または均一な集団であり得る。生物学的試料は、本明細書において記載される分析方法に適した試料を提供することができる、当技術分野において公知の任意の方法を使用して得られてもよい。試料は、限定されることなく、皮膚または子宮頸部の掻き取り、頬のスワビング、唾液の採取、尿の採取、糞便の採取、月経、涙または精液の採取を含む非侵襲的方法によって得られてもよい。
【0241】
試料は、当技術分野において公知の方法によって得られてもよい。ある特定の局面では、試料は、生検によって得られる。他の局面では、試料は、スワビング、内視鏡検査、掻き取り、静脈切開、または当技術分野において公知の任意の他の方法によって得られる。いくつかの場合、試料は、本方法のキットの構成要素を使用して得られ得るか、保存され得るか、または輸送され得る。いくつかの場合、本明細書において記載される方法による診断のために、複数の血漿試料または血清試料などの複数の試料が得られてもよい。他の場合には、方法による診断のために、1つの組織型(例えば、卵巣または関連組織)からの1つまたは複数の試料、および別の検体(例えば、血清)からの1つまたは複数の試料などの複数の試料が得られてもよい。試料は、様々な時間に得られてもよく、様々な方法によって保存および/または分析されてもよい。例えば、試料を得、常用的な染色方法または任意の他の細胞学的分析方法によって分析してもよい。
【0242】
いくつかの局面では、生物学的試料は、医師、看護師または他の医療専門家、例えば、医療技術者、内分泌医、細胞学者、静脈切開医、放射線科医もしくは呼吸器科医によって得られてもよい。医療専門家は、試料に対して行われる適切な検査またはアッセイを示してもよい。ある特定の局面では、分子プロファイリング企業が、どのアッセイまたは検査が最も適切に示されるかを調べてもよい。本方法のさらなる局面では、患者または対象は、全血試料、尿試料、糞便試料、頬側試料または唾液試料を得るなど、医療専門家の助けを借りずに検査のために生物学的試料を得てもよい。
【0243】
他の場合には、試料は、限定されることなく、生検、針吸引、採血、内視鏡検査または静脈切開を含む侵襲的手技によって得られる。針吸引の方法には、穿刺吸引、コア針生検、真空補助下生検またはラージコア生検がさらに含まれ得る。いくつかの局面では、十分な量の生物学的材料を確保するために、本明細書における方法によって複数の試料が得られてもよい。
【0244】
生物学的試料を得るための一般的な方法はまた、当技術分野において公知である。参照によりその全体が本明細書に組み入れられるRamzy,Ibrahim Clinical Cytopathology and Aspiration Biopsy 2001などの刊行物は、生検および細胞学的方法の一般的な方法を記載している。
【0245】
本方法のいくつかの局面では、分子プロファイリング企業が、直接対象から、医療専門家から、第三者から、または分子プロファイリング企業もしくは第三者によって提供されるキットから、生物学的試料を得てもよい。いくつかの場合、対象、医療専門家または第三者が生物学的試料を取得し、分子プロファイリング企業に送付した後に、分子プロファイリング企業によって生物学的試料が得られてもよい。いくつかの場合、分子プロファイリング企業は、生物学的試料の保存、および分子プロファイリング企業への生物学的試料の輸送のための好適な容器および賦形剤を提供してもよい。
【0246】
本明細書において記載される方法のいくつかの局面では、医療専門家は、初期診断または試料取得に関与する必要はない。あるいは、個体は、市販の(OTC)キットの使用によって試料を得てもよい。OTCキットは、本明細書において記載される該試料を得るための手段、検査のために該試料を保存するための手段、およびキットの適切な使用のための説明書を含有し得る。いくつかの場合、分子プロファイリングサービスが、キットの購入価格に含まれる。他の場合には、分子プロファイリングサービスは別個に請求される。分子プロファイリング企業による使用に適した試料は、検査される個体の組織、細胞、核酸、遺伝子、遺伝子断片、発現産物、遺伝子発現産物または遺伝子発現産物断片を含有する任意の材料であり得る。試料の適合性および/または適切性を決定するための方法が提供される。
【0247】
いくつかの局面では、対象は、腫瘍医、外科医または内分泌医などの専門家に紹介され得る。専門家は、同様に、検査のために生物学的試料を得てもよいか、または生物学的試料の提出のために個体を検査センターもしくは研究室に紹介してもよい。いくつかの場合、医療専門家は、生物学的試料の提出のために、対象を検査センターまたは研究室に紹介してもよい。他の場合には、対象が試料を提供してもよい。いくつかの場合、分子プロファイリング企業が試料を得てもよい。
【0248】
XVII. 検出およびワクチン接種キット
本開示のペプチドまたは抗体は、キットに含まれ得る。キット内のペプチドまたは抗体は、キットにも含まれる支持基材の表面に検出可能に標識または固定化され得る。ペプチドまたは抗体は、例えば、滅菌、凍結乾燥またはその両方などの好適な形態でキットに提供され得る。
【0249】
本発明のキットに含まれる支持基材は、行われる方法に基づいて選択され得る。非限定的な例として、支持基材は、マルチウェルプレートもしくはマイクロプレート、膜、フィルタ、紙、エマルジョン、ビーズ、マイクロビーズ、ミクロスフェア、ナノビーズ、ナノスフェア、ナノ粒子、エトソーム、リポソーム、ニオソーム、トランスフェロソーム、ディップスティック、カード、セルロイドストリップ、ガラススライド、マイクロスライド、バイオセンサ、ラテラルフロー装置、マイクロチップ、コーム、シリカ粒子、磁性粒子または自己集合性単層であり得る。
【0250】
行われる方法に適切なように、キットは、組成物を対象に送達するための、または本発明の組成物を他の方法で取り扱うための1つまたは複数の装置をさらに含み得る。非限定的な例として、キットは、シリンジ、点眼器、弾道粒子アプリケータ(例えば、米国特許第5,797,898号、米国特許第5,770,219号および米国特許第5,783,208号ならびに米国特許出願第2005/0065463号に開示されているアプリケータ)、薬さじ、マイクロスライドカバー、試験ストリップホルダまたはカバーなどである装置を含み得る。
【0251】
キットの構成要素を標識するための検出試薬が、本発明の方法を行うためのキットに含まれてもよい。特定の局面では、標識試薬または検出試薬は、当技術分野において一般的に使用される試薬を含む群より選択され、限定されることなく、放射性元素、酵素、UV範囲の光を吸収する分子、ならびにフルオロフォア、例えば、フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルーおよびルシファーイエローを含む。他の局面では、1つまたは複数の容器手段と、放射性元素、酵素、UV範囲の光を吸収する分子およびフルオロフォアを含む群より選択される検出試薬によって既に標識されたBSTタンパク質剤とを含むキットが提供される。
【0252】
キットを構成する試薬および/または構成要素が凍結乾燥形態(凍結乾燥物)で、または乾燥粉末として提供される場合、凍結乾燥物または粉末は、好適な溶媒の添加によって再構成され得る。特定の局面では、溶媒は、滅菌された薬学的に許容される緩衝液および/または他の希釈剤であり得る。そのような溶媒もキットの一部として提供され得ることが想定される。
【0253】
キットの構成要素が1つおよび/または複数の液体溶液で提供される場合、液体溶液は、非限定的な例として、滅菌水溶液であり得る。組成物はまた、投与用組成物に製剤化され得る。この場合、容器手段はそれ自体がシリンジ、ピペット、局所用アプリケータなどであってよく、そこから製剤を身体の患部に適用し、対象に注射し、および/またはキットの他の構成要素に適用するかもしくはそれと混合してもよい。
【実施例】
【0254】
XVIII. 実施例
以下の実施例は、本発明の様々な局面を例示する目的のために与えられており、決して本発明を限定することを意味するものではない。当業者であれば、本発明が目的を実行し、言及される結果および利点、ならびに本明細書における固有の目的、結果および利点を得るのによく適合していることを容易に理解するであろう。本実施例は、本明細書において記載される方法とともに、好ましい態様を目下代表するものであり、例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨の範囲内に包含されるその中の変更および他の使用が、当業者には想起されるであろう。
【0255】
実施例1: Hormad1 HLA-A1101拘束性ペプチド同定、CTL生成、およびTCR-T発生
NP-40緩衝液を使用して、K562-A11-HORMAD1(HLA-A1101対立遺伝子遺伝子およびHORMAD1 cDNA強制発現K562細胞株)細胞株を溶解し、抗MHCクラスI抗体と結合したSepharose Fast Flowビーズとともに溶解物をインキュベートした。洗浄して未結合タンパク質を取り除いた後、MHC結合ペプチドを10%酢酸を用いて溶出した。溶出したペプチド溶液を濃縮し、タンデム質量分析を使用して分析した(
図1)。1つのペプチド(HMD-375、SSSQESVPK-SEQ ID NO:2)が、HORMAD1配列に対応した。イオンスコアは60である。
【0256】
HMD-375(SSSQESVPK-SEQ ID NO:2)ペプチドを成熟樹状細胞にパルスし、次いで、48ウェルプレート内で、HLA-A1101陽性健常ドナーから得られた自己由来PBMCと共培養した。2回の刺激の後、テトラマーおよび抗CD8染色を用いたフローサイトメトリー検出のために、各ウェルからのT細胞の一部を収集した。小さなCD8+/テトラマー+集団が3つのウェルで観察された。テトラマー+/CD8+集団を示すウェル内のT細胞を取り出し、テトラマー+/CD8+集団を選別し、急速拡大増殖プロトコル(REP)を用いて拡大増殖させた。2週間のREP後、高純度の細胞傷害性Tリンパ球(CTL-90%を超えるテトラマー+集団)が観察された(
図2)。
【0257】
様々な濃度のHMD-375ペプチドをパルスしたK562-A11細胞を標的として使用した。Cr51放出アッセイ(CRA)を用いて、様々なHMD-375 CTL細胞株の溶解能力を検出した(
図3)。エフェクター対標的(E:T)比は20:1である。HMD-375 B5 CTL細胞株およびHMD-375 D10 CTL細胞株は、良好なエピトープ認識を示した。
【0258】
(表2)HMD-375 CTL株殺傷アッセイのための腫瘍細胞株標的
【0259】
様々な腫瘍細胞株を標的として使用し、様々なHMD-375特異的CTL細胞株と共培養した(表2)。Cr51放出アッセイ(CRA)を用いて、HMD-375 CTL細胞株の溶解能力を検出した。エフェクター対標的(E:T)比は40:1~1.25:1であった。eGFPまたはHORMAD1を強制発現させたK562-A11細胞株を標的として使用した(
図4A)。腫瘍細胞株H1299(HLA-A2-、HORMAD1+)およびH1299-A11(HLA-A11強制発現)(
図4B);H1623(HLA-A11+、HORMAD1+)およびH647(HLA-A11+、HORMAD1-)(
図4C);ならびにM14-eGFP(HLA-A11+、HORMAD1-、eGFP強制発現)およびM14-HMD(HLA-A11+、HORMAD1強制発現)(
図4D)を標的として使用した。HMD-375 B5 CTL細胞株およびD10 CTL細胞株はいずれも、陽性標的に対して、陰性対照よりも高い殺傷手段を示す(
図4A~D)。
【0260】
全長TCRアルファ鎖およびベータ鎖をFuring-P2Aスキップペプチドを用いて構築し、レトロウイルスベクターpMSGV3に挿入した。組換えレトロウイルスベクターを使用して、健常ドナーのPBMCに感染させた。感染後、フローサイトメトリー検出によって、CD8+/テトラマー+集団が出現した。テトラマー誘導選別および拡大増殖後、2例のドナー由来の高純度のTCR-T細胞株を生成した(
図5)。
【0261】
(表3)HMD-375 B5 CTL細胞株からのTCRクローニングおよび配列分析-アルファ鎖
【0262】
(表4)HMD-375 B5 CTL細胞株からのTCRクローニングおよび配列分析-ベータ鎖
【0263】
様々な濃度のHMD-375ペプチドをパルスしたK562-A11細胞を標的として使用した。Cr51放出アッセイ(CRA)を用いて、様々なHMD-375 TCR-Tの溶解能力を検出した(
図6)。エフェクター対標的(E:T)比は20:1である。両HMD-375 TCR-Tは、良好なエピトープの認識を示す。
【0264】
様々な腫瘍細胞株を標的として使用し、様々なHMD-375特異的TCR-T細胞株と共培養した。Cr51放出アッセイ(CRA)を用いて、HMD-375 TCR-T細胞株の溶解能力を検出した。エフェクター対標的(E:T)比は40:1~1.25:1である。eGFPまたはHORMAD1を強制発現させたK562-A11細胞株を標的として使用した(
図7A)。腫瘍細胞株H1299(HLA-A2-、HORMAD1+)およびH1299-A11(HLA-A11強制発現)(
図7B);H1623(HLA-A11+、HORMAD1+)およびH647(HLA-A11+、HORMAD1-)(
図7C);ならびにM14-eGFP(HLA-A11+、HORMAD1-、eGFP強制発現)およびM14-HMD(HLA-A11+、HORMAD1強制発現)(
図7D)を標的として使用した。2例の健常ドナー由来のHMD-375特異的TCR-T細胞株はいずれも、陽性標的に対して、陰性対照よりも高い殺傷手段を示す(
図7A~D)。
【0265】
HMD-375特異的TCR-T細胞株をK562-A11-eGFP、K562-A11-HORMAD1、H1299、H1299-A11、M14-eGFP、M14-HORMAD1、H647、およびH1623(E:T=10:1)と共培養した。一晩共培養した後、TCR経路下流活性化マーカー、CD137、CD69、IFN-γおよびTNF-αをICSアッセイによって検出した。HMD-375特異的TCR-T細胞株のCD137、CD69、IFN-γおよびTNF-αのレベルは、陰性標的と比較して、陽性標的K562-A11-HORMAD1、H1299-A11、M14-HORMAD1、およびH1623と共培養した場合に顕著に増強された(
図8A~B)。
【0266】
実施例2: KIF2C-404(IYNGKLFDL-SEQ ID NO:1)抗原特異的CTL生成およびTCR-T発生
KIF2C-404ペプチド(IYNGKLFDL-SEQ ID NO:1)を成熟樹状細胞にパルスし、次いで、48ウェルプレート内で、HLA-A2402陽性健常ドナーから得られた自己由来PBMCと共培養した。2回の刺激の後、テトラマーおよび抗CD8染色を用いたフローサイトメトリー検出のために、各ウェルからのT細胞の一部を収集した。小さなCD8+/テトラマー+集団が2つのウェルで観察された。テトラマー+/CD8+集団を示すウェル内のT細胞を取り出し、テトラマー+/CD8+集団を選別し、急速拡大増殖プロトコル(REP)を用いて拡大増殖させた。2週間のREP後、高純度のCTL(90%を超えるテトラマー+集団)が観察された(
図12)。
【0267】
様々な濃度のKIF2C-404ペプチドをパルスしたH1299細胞を標的として使用した。51Cr放出アッセイを用いて、様々なKIF2C-404 CTL細胞株の溶解能力を検出した(CRA(
図13))。エフェクター対標的(E:T)比は20:1である。
【0268】
様々な腫瘍細胞株を標的として使用し、KIF2C-404特異的CTL細胞株と共培養した。CRAを用いて、KIF2C-404 CTL細胞株の溶解能力を検出した(
図14)。エフェクター対標的(E:T)比は40:1~1.25:1である。
【0269】
(表5)KIF2C-404 F11 CTL細胞株からのTCRクローニングおよび配列分析-アルファ鎖
【0270】
(表6)KIF2C-404 F11 CTL細胞株からのTCRクローニングおよび配列分析-ベータ鎖
【0271】
全長TCRアルファ鎖およびベータ鎖をFuring-P2Aスキップペプチドを用いて構築し、レトロウイルスベクターpMSGV3に挿入した。組換えレトロウイルスベクターを使用して、健常ドナーのPBMCに感染させた。感染後、フローサイトメトリー検出によって、CD8+/テトラマー+集団が出現した。テトラマー誘導選別および拡大増殖後、高純度のTCR-T細胞株を生成した(
図15)。
【0272】
様々な腫瘍細胞株、およびペプチドをパルスしたH1299細胞を標的として使用し、KIF2C-404特異的TCR-T細胞株と共培養した。CRAを用いて、KIF2C-404 CTL細胞株の溶解能力を検出した(
図16)。
【0273】
本明細書において開示および請求されるすべての方法は、本開示に照らして過度の実験をすることなく作製および実行され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい態様に関して説明されてきたが、当業者には、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において説明された方法、および方法の工程または一連の工程に変形例が適用され得ることが明らかであろう。さらに具体的には、化学的および生理学的に関連する特定の薬剤が、同じまたは同様の結果が達成されながら、本明細書において記載される薬剤の代わりになり得ることが明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の代替物および改変はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲および概念の範囲内にあると見なされる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】