IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アラン ルソー−テクニック アンド イノヴェーション(アルテイオン)の特許一覧

特表2024-517639生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム
<>
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図1
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図2
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図3
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図4
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図5
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図6
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図7
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図8
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図9
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図10
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図11
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図12
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図13
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図14
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図15
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図16
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図17
  • 特表-生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】生体試料容器用のホルダを搬送するシステムを備えた生体試料処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G01N35/04 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564098
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 FR2022050761
(87)【国際公開番号】W WO2022223932
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21/04223
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】515124543
【氏名又は名称】アルテイオン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルソー アラン
(72)【発明者】
【氏名】クロワゼ ロラン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB09
2G058CB15
2G058CF01
2G058CF17
2G058CF25
2G058GA01
2G058GC02
2G058GC05
2G058HA04
(57)【要約】
搬送システムは、搬送軌道を画定する台車ガイド要素(23)と、搬送軌道に沿って移動可能であり且つ移動経路に沿って容器ホルダ(3)を移動させるように構成された自走式搬送台車(24)とを有する搬送ユニット(4)と、移動経路に沿って配置された複数の受入位置(8)とを有する。自走式搬送台車(24)は、2つの把持アーム(31)を有し、2つの把持アーム(31)は、把持アーム(31)が、受入位置(8)の1つに配置された容器ホルダ(3)を把持して持ち上げるように構成された把持位置と、把持アーム(31)が、容器ホルダ(3)を解放して受入位置(8)の1つに容器ホルダ(3)を載置するように構成された解放位置との間で移動可能になるように自走式搬送台車(24)に取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料処理システムであって、
生体試料を含む容器(16)を保持するための複数の容器ホルダ(3)と、
前記容器ホルダ(3)を搬送するように構成された搬送ユニット(4)であって、搬送軌道を形成する台車ガイド要素(23)と前記搬送軌道に沿って移動可能な自走式搬送台車(24)とを有し、前記搬送軌道に沿った前記自走式搬送台車(24)の変位中に前記台車ガイド要素(23)が前記自走式搬送台車(24)をガイドするように構成され、前記自走式搬送台車(24)が台車本体(26)を有し且つ前記自走式搬送台車(24)が前記搬送軌道に沿って移動するときに容器ホルダ(3)を移動経路に沿って移動させるように構成された搬送ユニット(4)と、
前記移動経路に沿って配置され且つ前記移動経路に対して横方向に位置がずれた複数の受入位置(8)であって、その位置のそれぞれが容器ホルダ(3)を受け入れて少なくとも一時的に保管するように構成され、さらに前記自走式搬送台車(24)が容器ホルダ(3)を受入位置(8)へ移動させるかまたは受入位置(8)から移動させるように前記移動経路に対して横方向へ前記容器ホルダ(3)を移動させるように構成された複数の受入位置(8)と、
を有する搬送システム(2)と、
搬送ユニット(4)に沿って配置され且つ血液検査を実施するように構成された少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置(5)と、を備え、
前記自走式搬送台車(24)は、互いに間隔をあけて配置された2つの把持アーム(31)であって、少なくとも、前記把持アーム(31)が互いに近接し且つ受入位置(8)の1つに配置された容器ホルダ(3)を把持して持ち上げるように構成された把持位置と、前記把持アーム(31)が互いに離間し且つ前記容器ホルダ(3)を解放して前記受入位置(8)の1つに前記容器ホルダ(3)を載置するように構成された解放位置との間で移動可能に取り付けられた2つの把持アーム(31)を有し、
前記自走式搬送台車(24)は、前記自走式搬送台車(24)が前記搬送軌道に沿って移動するときに、前記把持アーム(31)によって把持され持ち上げられた容器ホルダ(3)を前記移動経路に沿って移動させるように構成され、
前記各把持アーム(31)は持ち上げ部材(34)を有し、前記持ち上げ部材(34)は、前記把持アーム(31)が前記把持位置に移動したときに、互いに対向する容器ホルダ(3)の2つの横方向面(18)に設けられた2つの受入凹部(22)にそれぞれ受け入れられ、前記容器ホルダ(3)を持ち上げるように構成されていることを特徴とする生体試料処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記2つの把持アーム(31)は、前記2つの把持アーム(31)が前記把持位置にあるときに前記台車本体(26)の側面(26.1)から突出する生体試料処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記各把持アーム(31)が、実質的に垂直であるそれぞれの旋回軸を中心として旋回可能に取り付けられている生体試料処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記把持アーム(31)が、実質的に水平の移動面内で移動可能である生体試料処理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の生体試料処理システムにおいて、
前記把持アーム(31)のそれぞれは、前記把持アーム(31)が前記把持位置にあるときに容器ホルダ(3)のそれぞれの横方向面(18)に対して支持力を及ぼすように構成された把持部(32)を有する生体試料処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記各把持部(32)は、前記把持アーム(31)が前記把持位置にあるときに容器ホルダ(3)のそれぞれの横方向面(18)に対して支持力を及ぼすように構成された支持面(33)を有し、各持ち上げ部材(34)はそれぞれの把持部(32)の前記支持面(33)から延びている生体試料処理システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の生体試料処理システムにおいて、
各持ち上げ部材(34)が、垂直に対して傾斜する持ち上げ傾斜面(35)を有し、2つの前記持ち上げ傾斜面(35)は、前記把持アーム(31)が前記把持位置に変位したときに前記容器ホルダ(3)を持ち上げるように構成されている生体試料処理システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記搬送システム(2)は、前記移動経路に沿って配置された少なくとも1つの受入領域(7)を有し、前記受入領域(7)は、前記移動経路に沿って互いに位置がずれた第1受入位置(8.1)及び第2受入位置(8.2)を含み、前記第1受入位置(8.1)及び第2受入位置(8.2)は、それぞれが容器ホルダ(3)を受け入れて少なくとも一時的に保管するように構成されている生体試料処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記少なくとも1つの受入領域(7)は、前記移動経路を横切って延びる方向へ互いに位置がずれた第1ガイド壁(13)及び第2ガイド壁(14)を有し、前記第1及び第2ガイド壁(13、14)は、前記移動経路に沿って延びるガイド軌道を画定し、前記第1及び第2受入位置(8.1、8.2)は、ガイド軌道の対向端部にそれぞれ配置され、前記移動経路と前記ガイド軌道とを分離する前記第1ガイド壁(13)は、前記第2ガイド壁(14)の反対側に位置するとともに前記容器ホルダ(3)が通過するための通路開口(15)を有し、前記自走式搬送台車(24)は、前記把持アーム(31)で把持され且つ持ち上げられた前記容器ホルダ(3)を、前記通路開口(15)を通って且つ前記ガイド軌道に沿って移動させるように構成されている生体試料処理システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記自走式搬送台車(24)は、前記把持アーム(31)が移動可能に取り付けられる支持要素(29)を有し、前記支持要素(29)は、前記台車本体(26)に対して、少なくとも、前記自走式搬送台車(24)が前記把持アーム(31)で把持されて前記移動経路に沿って持ち上げられた容器ホルダ(3)を移動させるように構成された位置である搬送位置と、前記自走式搬送台車(24)が受入位置(8)に配置された容器ホルダ(3)を把持して持ち上げるかまたは受入位置(8)で容器ホルダ(3)を開放して載置するように構成された位置である移動位置との間で、前記搬送軌道を横切る移動方向へ並進移動可能に取り付けられている生体試料処理システム。
【請求項11】
請求項2を引用する請求項10に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記支持要素(29)が前記搬送位置にあり、前記把持アーム(31)が前記把持位置にあるときに、前記把持アーム(31)のそれぞれが前記台車本体(26)の側面(26.1)から第1距離だけ突出し、前記支持要素(29)が前記移動位置にあり、前記把持アーム(31)が前記把持位置にあるときに、前記把持アーム(31)のそれぞれが前記台車本体(26)の側面(26.1)から前記第1距離よりも大きい第2距離だけ突出する生体試料処理システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記自走式搬送台車(24)の前記2つの把持アーム(31)は、前記2つの把持アーム(31)が前記台車本体(26)の第1側面から突出し且つ前記搬送軌道の第1側に配置された容器ホルダ(3)を把持して持ち上げるように構成された第1把持位置と、前記2つの把持アーム(31)が前記台車本体(26)の第2側面から突出し且つ前記搬送軌道の第2側に配置された容器ホルダ(3)を把持して持ち上げるように構成された第2把持位置と、をとるように構成されている生体試料処理システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の生体試料処理システムにおいて、
前記自走式搬送台車(24)は、前記台車ガイド要素(23)上を転動するように構成された少なくとも1つの駆動輪(27)と、前記少なくとも1つの駆動輪(27)を回転駆動するように構成された少なくとも1つの回転駆動機構(28)とを有する生体試料処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の液体試料のような生体試料を収容する容器を支持するための容器ホルダを搬送するように構成された搬送システムを有する生体試料処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送システムは、公知の態様では、
分析される生体試料を収容する容器を支持するための複数の容器ホルダと、
容器ホルダを搬送するように構成された搬送ユニットであって、
ガイド軌道を定めるホルダガイド要素であって、容器ホルダを受け入れ且つガイド軌道に沿う前記容器ホルダの並進移動をガイドするように構成されたホルダガイド要素と、
支持ガイド要素に沿って延びる搬送軌道を定める台車ガイド要素と、
搬送軌道に沿って移動可能な自走式搬送台車であって、台車ガイド要素が、搬送軌道に沿った自走式搬送台車の移動中に、自走式搬送台車をガイドするように構成され、自走式搬送台車が前記搬送軌道に沿って移動するときに、ホルダガイド要素内でガイド軌道に沿って容器ホルダを並進移動させるように構成された自走式搬送台車と、
を有する搬送ユニットと、
ガイド軌道に沿って配置された複数の受入位置であって、それぞれが容器ホルダを受け入れて少なくとも一時的に保管するように構成されるとともに、自走式搬送台車が、さらに前記容器ホルダを一つの受入位置へまたは一つの受入位置から移動させるようにガイド軌道に対して横方向へ容器ホルダを移動させるように構成された受入位置と、
を有する。
【0003】
このような搬送システムでは、オペレータの面倒な操作が大幅に制限され、特に容器ホルダを異なる分析装置及び/または測定装置間で搬送しなければならない場合に、高い搬送能力と高い分析速度が保証される。
【0004】
さらに、自走式搬送台車が故障した場合には、別の自走式搬送台車と交換するだけでよいので、搬送システムの停止時間が短く、したがってこの搬送システムを備えた生体分析システムを分析室で使用できない時間が大幅に制限される。また、搬送ユニットに2つの自走式搬送台車を装備することも可能であり、一方の自走式搬送台車は、他方の自走式搬送台車の再ローディング時またはそのメンテナンス時に、変わらない機能(サービス)を確保することができる。さらに、2つの自走式搬送台車が存在することにより搬送速度の向上が保証される。
【0005】
さらに、搬送台車が自走式であるため、搬送軌道は基本的に「受動型」でよく、したがってガイドレールなどの簡単な台車ガイド要素によって決まり、それによって搬送システムが大幅に簡素化され、コストを低減することによってこのシステムの信頼性が向上するとともに、より容易に構成可能で、より迅速かつ容易な設置が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、自走式搬送台車によって容器ホルダが並進駆動されると、ホルダガイド要素の容器ホルダの摩擦によって騒音が発生し、この騒音がオペレータの不快感の原因になることがある。さらに、これらの摩擦により自走式搬送台車の電力消費が増加し、ひいては自走式搬送台車のバッテリの自律性に影響が及ぼされる。
【0007】
さらに、容器ホルダが自走式搬送台車によってガイド軌道から受入位置へ移動する(したがって、自走式搬送台車の搬送方向に対して直角に移動する)とき、ホルダガイド要素での容器ホルダの下面の摩擦のために容器ホルダが垂直に傾転することがあり、このことにより、受入位置における容器ホルダの位置決めが最適でなくなる可能性があり、ひいては受入位置に使われるローディング機構による容器ホルダの把持に影響が及ぼされることがある。
【0008】
本発明は、このような不具合を解消することを目的とする。
【0009】
したがって、本発明の元となる技術的課題は、高い搬送能力、最適化された分析速度、及び簡単で迅速な保守性を確保しつつ、簡単で経済的で信頼性の高い構造を有する搬送システムを備えた生体試料処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明は、生体分析システムなどの生体試料処理システムに関し、このシステムは、
生体の液体試料などの生体試料を含む容器を保持するための複数の容器ホルダと、
容器ホルダを搬送するように構成された搬送ユニットであって、該搬送ユニットは、搬送軌道を形成台車ガイド要素と搬送軌道に沿って移動可能な自走式搬送台車とを有し、搬送軌道に沿った自走式搬送台車の変位中に台車ガイド要素が自走式搬送台車をガイドするように構成され、自走式搬送台車が台車本体を有し且つ自走式搬送台車が搬送軌道に沿って移動するときに容器ホルダを移動経路に沿って移動させるように構成された搬送ユニットと、
移動経路に沿って配置され、移動経路に対して横方向にオフセットされた複数の受入位置であって、その位置のそれぞれが容器ホルダを受け入れて少なくとも一時的に保管するように構成され、さらに自走式搬送台車が容器ホルダを受入位置へ移動させるかまたは受入位置から移動させるように移動経路に対して横方向へ前記容器ホルダを移動させるように構成された複数の受入位置と、
を有する搬送システムと、
前記搬送ユニットに沿って配置され、血液検査を実施するように構成された少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置と、を備え、
自走式搬送台車は、互いに間隔を隔てて配置された2つの把持アームであって、少なくとも、把持アームが互いに接近し且つ受入位置の1つに配置された容器ホルダを把持して持ち上げるように構成された把持位置と、把持アームが互いに離間し且つ容器ホルダを解放して受入位置の1つに容器ホルダを載置するように構成された解放位置との間で移動可能に取り付けられた2つの把持アームを有し、自走式搬送台車は、自走式搬送台車が搬送軌道に沿って移動するときに、把持アームによって把持され持ち上げられた容器ホルダを移動経路に沿って移動させるように構成され、各把持アームは持ち上げ部材を含み、持ち上げ部材は、把持アームが把持位置に移動したときに、互いに対向する容器ホルダの2つの横方向面に設けられた2つの受入凹部にそれぞれ受け入れられ、前記容器ホルダを持ち上げるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
搬送システム、特に自走式搬送台車のこのような構成により、台車ガイド要素から距離を置いて容器ホルダを移動させることが可能になり、ひいては移動経路に沿った容器ホルダの変位中に、そして移動経路に対して横方向への容器ホルダの変位中(例えば、容器ホルダを受入位置にロードするとき)にも、容器ホルダと台車ガイド要素との間の摩擦が回避される。
【0012】
その結果、自走式搬送台車のバッテリの持続時間が向上し、バッテリ充電サイクルがより時間間隔をあけたものになる。したがって、自走式搬送台車の停止期間が大幅に短縮される。
【0013】
さらに、移動経路に沿った前記容器ホルダの変位中に、容器ホルダと台車ガイド要素との間の摩擦がないことにより、搬送システムによって生じる騒音が大幅に低減され、オペレータの快適性が大幅に改善される。
【0014】
しかも、移動経路に対して横方向に前記容器ホルダが変位する間に(特に、容器ホルダを受入位置にロード(装填)するときに)、容器ホルダと台車ガイド要素との間の摩擦がないことにより、受入位置における前記容器ホルダの最適な位置決めが保証されるため、受入位置に使われるローディング機構による前記容器ホルダの最適な把持が保証される。
【0015】
したがって、本発明に係る生体試料処理システムの搬送システムでは、従来技術の搬送システムと比較して信頼性が向上し、さらに搬送能力及び分析速度の向上が保証される。
【0016】
この生体試料処理システムは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を個別にまたは組み合わせて有するようにしてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、移動経路は搬送軌道と平行に延びる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、2つの把持アームは、把持位置にあるときに容器ホルダをその間に挟み付けるように構成される。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、2つの把持アームは、2つの把持アームが把持位置にあるときに台車本体の側面から突出する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、容器ホルダが自走式搬送台車によって移動経路に沿って搬送されるときに、前記容器ホルダが台車本体の側面、より詳細には2つの把持アームが把持位置にあるときに突出する側面の反対側へ延びるように構成される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、各把持アームは、実質的に垂直であるそれぞれの旋回軸を中心として旋回可能に取り付けられる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、把持アームは、実質的に水平な移動平面内で移動可能である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、各把持アームは、把持アームが把持位置にあるときに容器ホルダのそれぞれの横方向面に対して支持力を及ぼすように構成された把持部を有する。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、各把持部はそれぞれの把持アームの自由端に位置する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、各受入凹部はそれぞれの横方向面の上部に設けられる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、各把持部は、把持アームが把持位置にあるときに容器ホルダのそれぞれの横方向面に対して支持力を及ぼすように構成された支持面を有し、各持ち上げ部材はそれぞれの把持部の支承面から延びている。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、各持ち上げ部材が、垂直方向に対して傾斜する持ち上げ傾斜面を有し、2つの持ち上げ傾斜面は、把持アームが把持位置に移動したときに容器ホルダを持ち上げるように構成されている。
【0028】
本発明の実施形態によれば、移動経路に沿って配置された少なくとも1つの受入領域を有し、受入領域は、移動経路に沿って互いに位置がずれた第1受入位置及び第2受入位置を含み、第1受入位置及び第2受入位置は、それぞれが容器ホルダを受け入れて少なくとも一時的に保管するように構成されている。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの受入位置は、移動経路を横切って延びる方向へ互いに位置がずれた第1ガイド壁及び第2ガイド壁を有し、第1及び第2ガイド壁は、移動経路に沿って延びるガイド軌道を画定し、第1及び第2受入位置は、ガイド軌道の対向端部にそれぞれ配置され、移動経路とガイド軌道とを分離する第1ガイド壁は、第2ガイド壁の反対側に位置するとともに容器ホルダが通過するための通路開口を有し、自走式搬送台車は、把持アームで把持され且つ持ち上げられた容器ホルダを、通路開口を通って前記ガイド軌道に沿って移動させるように構成されている。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、第1ガイド壁及び第2ガイド壁は、それぞれ、実質的に垂直で移動経路に対して平行な第1延長面及び第2延長面内で延びる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2ガイド壁は、ガイド軌道に沿って並進する容器ホルダをガイドするように構成される。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、把持アームが移動可能に取り付けられる支持要素を有し、支持要素は、台車本体に対して、少なくとも、自走式搬送台車が把持アームで把持されて搬送経路に沿って持ち上げられた容器ホルダを移動させるように構成された位置である搬送位置と、自走式搬送台車が受入位置に配置された前記容器ホルダを把持して持ち上げるかまたは受入位置で容器ホルダを開放して載置するように構成された位置である移動位置との間で、搬送軌道を横切る移動方向へ並進移動可能に取り付けられる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、支持要素が搬送位置にあり、把持アームが把持位置にあるときに、把持アームのそれぞれは台車本体の側面から第1距離だけ突出し、支持要素が移動位置にあり、把持アームが把持位置にあるときに、把持アームのそれぞれは台車本体の側面から第1距離よりも大きい第2距離だけ突出する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、台車ガイド要素は、搬送軌道に沿った自走式搬送台車の変位中に自走式搬送台車の下面と協働するように構成された2つのガイドレールを有する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、搬送システムは、移動経路に沿って配置され且つ容器ホルダを保管するように構成された保管装置を有し、受入位置の少なくとも1つが保管装置に近接して配置されている。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、保管装置は、保管装置に近接して配置される少なくとも1つの受入位置において、保管装置に保管された容器ホルダを移動させるように構成された作動機構を有する。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、搬送システムは、自走式搬送台車と遠隔で通信するように構成された制御ユニットを有する。制御ユニットは、コンピュータ、例えばPCタイプのコンピュータにすることができる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニットは、例えば無線LANまたはブルートゥースで自走式搬送台車と無線通信するように構成される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車の2つの把持アームは、2つの把持アームが台車本体の第1側面から突出し、搬送軌道の第1側に配置された容器ホルダを把持して持ち上げるように構成された第1把持位置と、2つの把持アームが台車本体の第2側面から突出し、搬送軌道の第2側に配置された容器ホルダを把持して持ち上げるように構成された第2把持位置とを占めるように構成されている。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、台車ガイド要素上を転動するように構成された少なくとも1つの駆動輪と、少なくとも1つの駆動輪を回転駆動するように構成された少なくとも1つの回転駆動機構とを有する。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、台車本体の第1長手方向端部に近接して配置される第1対の駆動輪と、台車本体の第2長手方向端部に近接して配置される第2対の駆動輪とを有する。本発明の変形例によれば、自走式搬送台車は、台車本体の第1及び第2長手方向端部にそれぞれ近接して配置される2つの駆動輪のみを有するようにすることができる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、第1移動方向及び第1移動方向とは反対の第2移動方向へ搬送軌道に沿って移動可能である。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、搬送軌道は実質的に直線状である。それにもかかわらず、本発明の変形例によれば、搬送軌道は、2つの連続する直線状部分が互いに対して90°の角度になるように配置される複数の直線状部分によって形成することができ、搬送ユニットは、それぞれが直線状部分のそれぞれに沿って移動するように構成された複数の自走式搬送台車を有するようにすることができ、1つの直線状部分から別の直線状部分への容器ホルダの通過が、実質的に垂直な回転軸を有し且つそれぞれが容器ホルダを受け入れるように構成された複数の収納区画を有する移動ロータによって行われる。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、容器ホルダが延びる方向と実質的に平行な移動方向の移動経路に沿って容器ホルダを移動させるように構成される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、搬送軌道に沿って容器ホルダが変位する間に、容器ホルダを実質的に垂直に維持するように構成される。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、2つの把持アームが把持位置にあるときに、2つの把持アームは容器ホルダの長さと実質的に対応する距離だけ離れる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、2つの把持アームは、それぞれ、容器ホルダの対向する側壁と協働するように構成される。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、2つの把持アームを把持位置と解放位置との間で移動させるように構成された作動装置を有する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、作動装置は、把持アームのそれぞれをその旋回軸の周りで旋回させるように構成される。例えば、作動装置は、それぞれが把持アームのそれぞれに回転可能に連結される2つのモータを有するように構成できる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、搬送システムは、搬送軌道上に配置された少なくとも1つの位置決めマーキングを有し、自走式搬送台車は、少なくとも1つの位置決めマーキングを検出するように構成された検出手段と、検出手段が少なくとも1つの位置決めマーキングを検出すると自走式搬送台車を動作停止制御するように配置された制御手段とを有する。例えば、搬送システムは、各受入位置に対向して配置される少なくとも1つの位置決めマーキングを有する。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、自走式搬送台車の位置を搬送軌道に沿って自走式搬送台車が移動した距離に応じて定めるように構成された決定手段を有する。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、支持要素及び把持アームは、自走式搬送台車が少なくとも1つの受入領域に対向して配置され且つ把持アームが把持位置にあるときに、支持要素が搬送位置から移動位置へ変位することにより、容器ホルダが移動経路から少なくとも1つの受入領域へ変位移動するように構成される。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、支持要素及び把持アームは、自走式搬送台車が少なくとも1つの受入領域に対向して配置され且つ把持アームが把持位置にあるときに、支持要素が移動位置から搬送位置へ変位することにより、容器ホルダが受入領域から移動経路へ変位するように構成される。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、支持要素を台車本体に対して並進移動させるように構成された並進駆動機構を有する。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車は、自走式搬送台車に電力を供給するように構成されたバッテリを有する。有利には、バッテリは充電可能である。例えば、バッテリは、接触または誘導で充電することができる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、搬送システムは、自走式搬送台車が充電領域に位置するときにバッテリを電気的に充電するように構成された電気充電装置を含む充電領域を有する。例えば、充電領域は搬送軌道の端部に位置する。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置は、少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置において、少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置に付随する受入領域の第1受入位置に自走式搬送台車で置かれた容器ホルダをロード(装填)するように構成されたローディングモジュールと、少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置に予めローディングされた容器ホルダを前記受入領域の第2受入位置に移動させるように構成されたアンローディングモジュールと、を有する。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置は、分光光度読み取りモジュール、蛍光読み取りモジュール、ルミネッセンス読み取りモジュール、凝固測定モジュール及びサイトメトリーモジュールのうちの少なくとも1つのモジュールを有する。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの分析装置及び/または測定装置はホルダ攪拌装置を有し、少なくとも1つの移動装置のローディングモジュールは容器ホルダを第1受入位置から攪拌装置に移動するように構成される。
【0060】
いずれにせよ本発明は、この生体試料処理システムの一実施形態を非限定的な例として示す添付の概略図に関する以下の説明から、十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、本発明に係る試験管内分析のための生体分析システムの斜視図である。
図2図2は、図1の生体分析システムに属する自走式搬送台車の斜視図である。
図3図3は、図2の自走式搬送台車の底面図である。
図4図4は、図1の生体分析システムに属する容器ホルダの把持中の、図2の自走式搬送台車の斜視図である。
図5図5は、容器ホルダの把持中の図2の自走式搬送台車の上面の部分斜視図である。
図6図6は、容器ホルダの把持中の図2の自走式搬送台車の拡大部分斜視図である。
図7図7は、図2の自走式搬送台車の切断斜視図である。
図8図8は、自走式搬送台車の本体が置かれている、図2の自走式搬送台車の斜視図である。
図9図9は、自走式搬送台車の上部本体が置かれている、図2の自走式搬送台車の斜視図である。
図10図10は、図5の容器ホルダの斜視図である。
図11図11は、図1の生体分析システムの部分斜視図であり、自走式搬送台車が、分析装置及び/または測定装置が使われる受入領域に向かって容器ホルダを搬送している状態を示す。
図12図12は、図1の生体分析システムの部分斜視図であり、自走式搬送台車が、分析装置及び/または測定装置が使われる受入領域に属する通路開口に向かい合う状態を示す。
図13図13は、図1の生体分析システムの部分斜視図であり、自走式搬送台車が、分析装置及び/または測定装置が使われる受入領域に属するガイド軌道に容器ホルダを挿入する状態を示す。
図14図14は、図1の生体分析システムの部分斜視図であり、自走式搬送台車が容器ホルダをガイド軌道に沿って第1受入位置に向かって移動させる状態を示す。
図15図15は、図1の生体分析システムの部分斜視図であり、容器ホルダを受入領域の第1受入位置に受け入れた状態を示す。
図16図16は、図1の生体分析システムの部分斜視図であり、自走式搬送台車が容器ホルダを移動経路に沿って搬送する状態を示す。
図17図17は、容器ホルダが把持されて上昇した状態の図2の自走式搬送台車の側面図である。
図18図18は、容器ホルダが把持されて上昇した状態の図2の自走式搬送台車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本明細書において、「水平」及び「垂直」という用語は、自走式搬送台車が平坦な水平面上にその駆動輪で置かれている使用状況での自走式搬送台車を表すために使用される。
【0063】
図1は、複数の容器ホルダ3と、容器ホルダ3を搬送するように構成された搬送ユニット4とを含む搬送システム2を有する試験管内分析用の生体分析システム1、より詳細には自動生体分析システムを示す。生体分析システム1は、さらに、搬送ユニット4に沿って配置され且つ血液検査を行うように構成された複数の分析装置及び/または測定装置5を有する。
【0064】
例えば、各分析装置及び/または測定装置5は、特に、分光光度読み取りモジュール、蛍光読み取りモジュール、ルミネッセンス読み取りモジュール、サイトメトリーモジュール及び凝固測定モジュールの中から選択される1つまたは複数のモジュールを有するようにしてもよい。
【0065】
また、搬送システム2は搬送ユニット4に沿って配置され且つ容器ホルダ3を保管するように構成された、ローディング装置とも呼ばれる保管装置6を有する。
【0066】
搬送システム2は、さらに、搬送ユニット4に沿って配置され、それぞれが容器ホルダ3を少なくとも一時的に受け入れて保管するように構成された少なくとも1つの受入位置8を含む複数の受入領域7を備える。
【0067】
有利には、ある受入領域7は保管装置6に近接して配置され、ある受入領域7は分析装置及び/または測定装置5のそれぞれに近接して配置される。
【0068】
図に示す実施形態によれば、各受入領域7(図1及び図11図16参照)は、搬送ユニット4に沿って互いに位置がずれた2つの受入位置8、すなわち第1受入位置8.1及び第2受入位置8.2を含む。有利なことに、各分析装置及び/または測定装置5は、それぞれの受入領域7の第1受入位置8.1に配置された容器ホルダ3をその分析装置及び/または測定装置5にロードするように構成されたローディングモジュール(図示せず)と、その分析装置及び/または測定装置5に予めロードされた容器ホルダ3を、それぞれの受入領域7の第2受入位置8.2で移動させるように構成されたアンローディングモジュール(図示せず)とを有する。同様に、保管装置6は、保管装置6に保管された容器ホルダ3を、それぞれの受入領域7の第2受入位置8.2で移動させるように構成された駆動機構(図示せず)を有する。
【0069】
図示された実施形態によれば、各受入領域7は、互いに位置がずれ且つ実質的に垂直に延びる第1ガイド壁13及び第2ガイド壁14を有する。第1及び第2ガイド壁13、14は、搬送ユニット4に沿って延びるガイド軌道を形成し、ガイド軌道に沿って並進する容器ホルダ3をガイドするように構成されている。有利なことに、前記受入領域7の第1及び第2受入位置8.1及び8.2は、各ガイド軌道の対向端部にそれぞれが配置され、第1ガイド壁13はそれぞれの第2ガイド壁14の反対側に位置するとともに容器ホルダ3の通路のための通路開口15を有する。
【0070】
図10及び図11により詳細に示すように、ラック、カセットまたはキャリアとも呼ばれる各容器ホルダ3は、血液、血漿または血液血清試料などの分析すべき生体の液体試料を収容する複数の容器16を保持することを目的としている。有利には、容器16は試料チューブである。
【0071】
各容器ホルダ3は、概略は平行六面体の形状であり、伸長方向(延在方向)と一致して延びている。より詳細には、各容器ホルダ3は、互いに対向する2つの縦方向面17と、互いに対向する2つの横方向面18とを有する。
【0072】
各容器ホルダ3は、基部3.1と容器受入部3.2とを有する。有利なことに、各容器ホルダ3の容器受入部3.2は、前記容器ホルダ3が延びている方向に対して横方向へ延びる対称面を有する。したがって、容器ホルダ3は、保管装置6に無差別にロードすることができる。
【0073】
各容器ホルダ3は、前記容器ホルダ3の伸張方向にしたがって整列された好ましくは円筒形の複数の受入区画19を含む。有利には、受入区画19への容器16の出し入れを容易にするために、受入区画19は上へ向かって開放されている。有利には、各受入区画19の下部は、例えば弾性変形可能な保持部材20を備え、容器16を前記受入区画19内に保持するように構成される。保持部材20のこのような構成により、容器16によって運ばれるとともに例えば識別タグに設けられる識別コードの損傷を回避できる。
【0074】
各容器ホルダ3は、前記容器ホルダ3で受け入れた容器16によって運ばれた識別コードの光学的な読み取りが可能な複数の読み取り窓21を有する。有利には、容器ホルダ3の各側面からの光学的な読み取りを可能にするために、2つの読み取り窓21が各受入区画19に加えられる。
【0075】
また、各容器ホルダ3は、当該容器ホルダ3の2つの横方向面18にそれぞれ設けられた2つの受入凹部22を有するが、その機能については以下で説明する。有利には、各受入凹部22は、それぞれの横方向面18の上部に設けられる。
【0076】
図11図16に示すように、搬送ユニット4は、直線状の搬送軌道を形成する台車ガイド要素23を有する。例えば、台車ガイド要素23は、水平かつ平面状の支持面23aと、支持面23aに固定された2つのガイドレール23bとを有するようにすることができる。有利には、搬送軌道は、各受入領域7に属する第1及び第2ガイド壁13、14と平行である。ただし、本発明の変形例によれば、搬送軌道は湾曲した部分を有していてもよい。
【0077】
さらに、搬送ユニット4は、搬送軌道に沿って移動可能な自走式搬送台車24を有する。自走式搬送台車24は、自走式搬送台車24が搬送軌道に沿って移動するときに、搬送軌道と平行の移動経路に沿って容器ホルダ3を移動させ、移動経路に対して横方向に位置がずれた受入位置8へ、またはその受入位置8から前記容器ホルダ3を移動させて、容器ホルダ3を移動経路に対して横方向に移動させるように構成されている。有利には、自走式搬送台車24は、移動経路に沿って移動する間に、実質的に垂直の容器ホルダ3を保持するように構成される。
【0078】
より詳細には、台車ガイド要素23は、自走式搬送台車24を、搬送軌道に沿って変位する間にガイドするように構成されている。有利には、2つのガイドレール23bが、自走式搬送台車24の下面に設けられた2つのガイド溝25(図3参照)と協働するように構成される。
【0079】
図2及び図3により詳しく示すように、自走式搬送台車24は、台車本体26と、台車本体26に回転可能に取り付けられ且つ台車ガイド要素23の支持面23a上を転動するように構成された駆動輪27とを有する。各駆動輪27は、実質的に水平に延びる回転軸を有する。有利には、自走式搬送台車24は、台車本体26の第1長手方向端部に近接して配置される一対の駆動輪と、台車本体26の第2長手方向端部に近接して配置される一対の駆動輪とを有する。
【0080】
自走式搬送台車24は、駆動輪27を回転駆動するように構成された回転駆動機構28を有する。例えば、回転駆動機構28は、駆動輪27に回転可能に連結された駆動モータを有する。
【0081】
各駆動輪27は、第1回転方向と、第1回転方向とは反対の第2回転方向とに回転駆動することができる。したがって、自走式搬送台車24は、搬送軌道に沿って、第1走行方向と、第1走行方向とは反対の第2走行方向とに移動可能である。
【0082】
自走式搬送台車24は、水平移動方向にしたがって台車本体26に対して並進移動可能で且つ搬送軌道に対して垂直に取り付けられた、例えば支持フレームの形態の支持要素29をさらに有する。有利には、支持要素29は、一対のガイドロッド30によって並進可能にガイドされる。
【0083】
また、自走式搬送台車24は、自走式搬送台車24の長手方向にしたがって互いに間隔を置いて配置された2つの把持アーム31を有する。2つの把持アーム31は、垂直な2つの枢軸をそれぞれ中心として支持要素29に旋回可能に取り付けられている。有利には、2つの把持アーム31は、実質的に水平な移動平面内で移動可能である。
【0084】
2つの把持アーム31は、少なくとも、把持アーム31が互いに接近し(図11図16及び図18参照)、受入位置8の1つに配置された容器ホルダ3を把持して持ち上げるように構成された把持位置と、把持アーム31が互いに離れて容器ホルダ3を解放し、受入位置8の1つに容器ホルダ3を載置するように構成された解放位置(図3図5及び図17参照)との間で旋回可能に取り付けられている。したがって、自走式搬送台車24は、より詳細には、自走式搬送台車24が搬送軌道に沿って移動するときに、把持アーム31によって把持されて持ち上げられた容器ホルダ3を移動経路に沿って移動させるように構成されている。
【0085】
各把持アーム31は、把持アーム31が把持位置にあるときに容器ホルダ3のそれぞれの横方向面18に対して支持力を及ぼすように構成された支持面33を備える把持部32を有する。有利には、各把持部32はそれぞれの把持アーム31の自由端に位置する。図3により詳細に示すように、2つの把持アーム31の把持部32は、2つの把持アーム31が把持位置にあるときに台車本体26の側面26.1から突出する。
【0086】
また、各把持アーム31は、それぞれの把持部32の支持面33から延びる持ち上げ突起などの持ち上げ部材34を有する。有利には、各持ち上げ部材34は、垂直に対して傾斜した持ち上げ傾斜面35を有する。
【0087】
持ち上げ部材34は、把持アーム31が把持位置にあるときに、容器ホルダ3に設けられた受入凹部22にそれぞれが受け入れられるように構成され、把持アーム31が把持位置に移動したときに、持ち上げ傾斜面35が受入凹部22によって形成される相補面と協働することにより、前記容器ホルダ3が持ち上げられるように構成されている。
【0088】
より詳しくは、支持要素29は、把持アーム31が把持位置にあるときに各把持アーム31が台車本体26の側面26.1から第1距離だけ突出する搬送位置(図7図9参照)と、把持アーム31が把持位置にあるときに各把持アーム31が台車本体26の側面26.1から第1距離よりも大きい第2距離だけ突出する移動位置(図13参照)とをとるように構成されている。
【0089】
より詳しくは、自走式搬送台車24は、支持要素29が搬送位置にあるときには把持アーム31によって把持されて持ち上げられた容器ホルダ3を移動経路に沿って移動させ、支持要素29が移動位置にあるときには受入位置8に配置された容器ホルダ3を把持して持ち上げ、または容器ホルダ3を解放して受入位置8に載置するように構成されている。
【0090】
図12及び図13に示すように、自走式搬送台車24の支持要素29及び把持アーム31は、自走式搬送台車24が受入領域7に属する通路開口15に対向して配置され、且つ把持アーム31が把持位置にあって容器ホルダ3に連結されているときに、搬送位置から移動位置への支持要素29の移動により、容器ホルダ3を移動経路から通路開口15を通って移動させるように構成されている。さらに、支持要素29及び把持アーム31は、自走式搬送台車24が通路開口15に対向して配置され、把持アーム31が把持位置にあって容器ホルダ3に結合されているときに、移動位置から搬送位置への支持要素29の変位により、ガイド軌道から移動経路内への容器ホルダ3が変位するように構成されている。
【0091】
さらに、自走式搬送台車24は、自走式搬送台車24が搬送軌道に沿って移動するときに、把持アーム31によって把持されて持ち上げられ、ガイド軌道内に配置される容器ホルダ3をガイド軌道に沿って移動させるように構成されている。
【0092】
自走式搬送台車24は、各把持アーム31をその旋回軸を中心に旋回させて2つの把持アーム31を把持位置と解放位置との間で移動させるように構成された作動装置36をさらに有する。作動装置36は、当業者には知られている異なるタイプのアクチュエータを有するようにしてもよく、例えばそれぞれの把持アーム31に回転可能に結合される2つのモータ36がある。
【0093】
また、自走式搬送台車24は、支持要素29を台車本体26に対して、且つ搬送位置と移動位置との間で並進移動させるように構成された並進駆動機構37を有する。並進駆動機構37は、当業者には知られている異なるタイプのアクチュエータを有するようにしてもよく、例えば、支持要素29に連結された第1部分と台車本体26に連結された第2部分とを有する、ウォームギアモータのようなリニアモータを有してもよい。一変形例によれば、並進駆動機構は、支持要素29に設けられたラックと、台車本体26に設けられてラックと協働するように構成されたギアホイールと、台車本体26に設けられてギアホイールと回転可能に噛み合う駆動モータとを有するようにすることができる。
【0094】
また、自走式搬送台車24は、自走式搬送台車24、より詳細には並進駆動機構37、回転駆動機構28及び作動装置36に電力を供給するように構成されたバッテリ38を有する。また、バッテリ38は、自走式搬送台車24に設けられ、自走式搬送台車24の動作を制御するように構成された電子制御ユニット40に電力を供給するように構成されている。より詳細には、このような電子制御ユニット40は、マイクロプロセッサを備えた電子基板を有する。
【0095】
図示された実施形態によれば、バッテリ38は充電可能であり、例えば接触または誘導で充電することができる。このために、搬送システム2は少なくとも1つの充電領域39を備え、充電領域39は、自走式搬送台車24がその充電領域に位置するとバッテリ38を電気的に充電するように構成されている。有利には、搬送システム2は、搬送軌道の端部にそれぞれが位置する2つの充電領域39を含み、充電コイルは、自走式搬送台車24の長手方向端部のそれぞれに近接して設けられている。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、搬送システム2は、搬送軌道上に配置された複数の位置決めマーキング(図示せず)を有する。例えば、搬送システム2は、各受入位置8及び各通路開口15に対向する位置決めマーキングを有する。
【0097】
本発明のこの実施形態によれば、自走式搬送台車24は、一方では、搬送軌道上に配置された位置決めマーキングを搬送軌道に沿った自走式搬送台車24の移動中に検出するように構成された光学式読取器、RFID検出器、または誘導検出器などの検出手段を有し、他方では、自走式搬送台車24が到達すべき受入位置8または通路開口15に付随する位置決めマーキングを検出手段が検出すると自走式搬送台車24の動作停止制御をするように構成された集積回路またはマイクロプロセッサなどの制御手段を有する。例えば、各位置決めマーキングは、光学バリア、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDタグ、またはガイドレール23bの1つの切り欠きで形成できる。
【0098】
本発明の一実施形態によれば、自走式搬送台車24は、さらに、自走式搬送台車24が移動した距離に応じて搬送軌道に沿って自走式搬送台車24の位置を定めるように構成された決定手段を有する。このために、駆動輪27は、自走式搬送台車24によって移動された距離の測定を可能にするエンコーダを駆動するように構成でき、自走式搬送台車24に対する移動の制御を、特にこの移動距離に応じて電子制御ユニット40でサーボ制御するように構成できる。
【0099】
図1に示すように、搬送システム2は、自走式搬送台車24と、例えばWiFi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)によって遠隔で通信するように構成された制御ユニット41を有する。この制御ユニット41は、例えばパーソナルコンピュータタイプのコンピュータにしてもよい。有利には、制御ユニット41は、種々の分析装置及び/または測定装置5とも通信するように構成される。
【0100】
有利には、自走式搬送台車24に属する制御手段は、制御ユニット41から発信される制御信号を受信し、受信した制御信号に応答して、特に並進駆動機構37、回転駆動機構28及び作動装置36へ駆動信号を送信するように構成される。
【0101】
搬送システム2は、さらに、搬送ユニット4に沿って配置されたさらなる保管装置42であって、搬送ユニット4から降ろされた容器ホルダ3を保管するように構成されたアンローディング装置とも呼ばれる保管装置42を備えている。
【0102】
次に、前述した生体分析システム1を用いて実施できる試料処理方法の一例について説明する。特に、この試料処理方法は、
a)容器16を容器ホルダ3に手動でロードし、容器ホルダ3を保管装置6に手動でロードするステップと、
b)保管装置6にロードされた容器ホルダ4に支持された異なる容器3が有する識別コードを、保管装置6に設けられた識別コード読取装置を用いて光学的に読み取るステップと、
c)選択的に、識別コード読み取り装置による識別コードの光学的な読み取りを確実にするために、容器ホルダ4が有する1つまたは複数の容器16を回転駆動する;
d)容器ホルダ3を、保管装置6に近接して位置する受入領域7の第2受入位置8.2に自動的にロードするステップと、
e)前記容器ホルダ3によって保持された異なる容器16が有する識別コードに応じて、且つ制御ユニット41または検査室の中央コンピュータによって伝えられる所定の分析に応じて、保管装置6に近接して位置する受入領域7の第2受入位置8.2にロードされた容器ホルダ3の目標位置を決定するステップと、
f)保管装置6に近接して配置された受入領域7の第2受入位置8.2と向かい合う自走式搬送台車24の移動を制御するステップと、
g)移動位置における自走式搬送台車24の支持要素29の移動と、容器ホルダ3を把持して持ち上げるように把持位置における自走式搬送台車24の把持アーム31の旋回とを制御するステップと、
h)搬送位置における支持要素29の変位を制御するステップと、
i)前記容器ホルダ3をロードすべき分析装置及び/または測定装置5に付随する受入領域7に設けられた通路開口15に対向する自走式搬送台車24の変位を制御するステップと、
j)容器ホルダ3を受入領域7により定められたガイド軌道内に通路開口15を通って移動させるように、自走式搬送台車24の支持要素29の移動位置における移動を制御するステップと、
k)前記受入領域7に設けられた第1受入位置8.1に容器ホルダ3を位置させるように、搬送軌道に沿って自走式搬送台車24の変位を制御するステップと、
l)開放位置における自走式搬送台車24の把持アーム31の旋回を、容器ホルダ3を解放するように制御するステップと、
m)受入領域7に使われる分析装置及び/または測定装置5に容器ホルダ3をロードし、分析装置及び/または測定装置5に属するサンプリング装置を使用して、前記容器ホルダ3に保持された1つまたは複数の容器16内の試料を採取し、採取された試料を分析装置及び/または測定装置5を使用して処理するステップであって、これらのサンプリング及び処理ステップの間に自走式搬送台車24を制御して1つまたは複数の他の容器ホルダ3をマスク時間内に移動させることができるステップと、
n)前記分析装置及び/または測定装置5に前もってロードされた容器ホルダ3を、この分析装置及び/または測定装置5に関する受入領域7の第2受入位置8.2に移動させ、前記第2受入位置8.2に対向する自走式搬送台車24の変位を制御するステップと、
o)移動位置における自走式搬送台車24の支持要素29の並進を制御し、第2受入位置8.2に配置された容器ホルダ3を把持して持ち上げるように把持位置における把持アーム31の旋回を制御するステップと、
p)ガイド軌道から容器ホルダ3を退避させるように、搬送位置における自走式搬送台車24の支持要素29の並進を制御するステップと、
q)さらに他の保管装置42に近接して位置する受入位置8に対向する自走式搬送台車24の変位を制御し、前記受入位置8で容器ホルダ3を降ろすように移動位置における自走式搬送台車24の支持要素29の並進を制御するステップと、
r)容器ホルダ3を解放するように開放位置における自走式搬送台車24の把持アーム31の旋回をするステップと、
を有する。
【0103】
本発明に係る生体分析システム1は、その生産性と品質を向上(労力とエラーの低減)させるために、分析室における試料の処理フローを流動的にすることを目的としている。したがって、本発明に係る搬送システム2が、異なる分析装置及び/または測定装置5の作業負荷(試料毎に実行される試験など)を管理する制御ユニット41と通信し、異なる容器16が各分析装置及び/または測定装置5の試験要求及び能力に応じた分析装置及び/または測定装置5へ搬送されるように、それらを搬送システム2へ、そして分析装置及び/または測定装置5へ送信するように構成されることは言うまでもない。したがって、搬送装置とローディング台車を管理する制御ユニット41は、異なる分析装置及び/または測定装置5の作業負荷に応じて容器ホルダ3の搬送を最適化するための「知能」、つまりある種のERP(企業資源計画:統合マネジメントシステム)を備えている。
【0104】
さらに、各分析装置及び/または測定装置5は、通信及び表示インターフェース、並びに組込み電子機器(図示せず)を有するようにしてもよい。例えば、各通信及び表示インターフェースは、パーソナルコンピュータタイプのコンピュータに接続されるタッチスクリーン66を有する。パーソナルコンピュータタイプのコンピュータは、より詳しくは、オペレータがタッチスクリーンを使用して手動で取り込んだ分析要求、または制御ユニット41もしくは研究室の中央コンピュータから発信された分析要求を記録し、組込み電子機器に分析要求を送信し、測定データを取得し、特定のアルゴリズムによってそれらを処理し、そして結果をオペレータが利用できるようにするか、または結果を制御ユニット41に送信するように構成される。
【0105】
本発明の変形例によれば、生体分析システム1は、搬送ユニット4の両側に配置された分析装置及び/または測定装置5を有するようにすることができ、自走式搬送台車24の2つの把持アーム31は、2つの把持アーム31が第1側面26から突出し且つ搬送軌道の第1の側に配置された容器ホルダ3を把持して持ち上げるように構成された第1把持位置と、2つの把持アーム31が台車本体26の第2側面26.2から突出し且つ搬送軌道の第2の側に配置された容器ホルダ3を把持して持ち上げるように構成された第2把持位置とをとるように構成できる。
【0106】
このように、本発明に係る生体分析システム1は、分析前部、分析部及び分析後部を含む。例えば、分析前部には、特に容器ホルダローディングステーション、識別コード識別ステーション、及び特に容器ホルダを1つまたは複数の分析機及び/または測定機に向かって搬送するための搬送ユニットが含まれる。また、分析前部は、遠心分離ステーション、アリコートステーション及びアンプラグステーションのうちの1つ以上のステーションを含ませることができる。
【0107】
例えば、分析部には、生化学(例えば測光)ステーション、免疫検査(例えば免疫蛍光検査)ステーション、凝固ステーション、血液検査ステーション及びサイトメトリーステーションのうちの1つ以上のステーションを含ませることができる。
【0108】
例えば、分析後部には、短期保存ステーション及び/または長期冷蔵(冷凍)保存ステーションを含ませることができる。
【0109】
言うまでもなく、本発明は、本明細書で例として上述したこの生体試料処理システムのただ一つの実施形態に限定されるものではなく、逆にそのすべての変形例を包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】