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特表2024-517640ポリプロピレンホモポリマー及びリサイクルプラスチック材料を含むポリオレフィン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ポリプロピレンホモポリマー及びリサイクルプラスチック材料を含むポリオレフィン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/12 20060101AFI20240416BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20240416BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20240416BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240416BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20240416BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20240416BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20240416BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20240416BHJP
   B29B 7/42 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C08L23/12
C08L23/04
C08L23/10
C08K3/013
C08K3/34
C08J3/20 Z CES
B29B9/06
B29B7/38
B29B7/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564105
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2022058418
(87)【国際公開番号】W WO2022223252
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21169607.5
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.アラルダイト
2.Grindsted
3.Dimodan
4.Tinuvin
5.Chimassorb
(71)【出願人】
【識別番号】510310277
【氏名又は名称】ボレアリス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】BOREALIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】カーレン、 スザンヌ マルガレーテ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、 ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】レーナー、 ギセラ カリン
(72)【発明者】
【氏名】バクテロド、 クアン マンフレッド
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AA15
4F070AB11
4F070AB26
4F070AC27
4F070AE01
4F070FA17
4F070FC05
4F201AA03
4F201AA04
4F201AA50
4F201AB11
4F201AB16
4F201AH33
4F201AR12
4F201AR17
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC13
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK25
4F201BL08
4J002BB03Y
4J002BB11X
4J002BB12W
4J002DJ046
4J002FD016
4J002GT00
(57)【要約】
本発明は、a)5~30重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー;b)25~60重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、ポリプロピレン及びポリエチレンを3:7~49.5:1の比率で含むリサイクルプラスチック材料のブレンドであって、使用済み廃棄物及び/又は産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収された、リサイクルプラスチック材料のブレンド;c)20~50重量%(ポリオレフィン組成物の総質量に基づく)の、少なくとも1つの粒子状充填剤、特にタルク;及び任意にさらなる添加剤、を含む、ここで、全ての成分の合計が常に100重量%となるように添加されるポリオレフィン組成物であって、前記ポリオレフィン組成物は、少なくとも3.5g/10分のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)、及び23℃で少なくとも3GPaの引張弾性率(ISO527-2)を有するポリオレフィン組成物、に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)5~30重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、5~100g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー;
b)25~60重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、ポリプロピレン及びポリエチレンを3:7~49.5:1の比率で含むリサイクルプラスチック材料のブレンドであって、使用済み廃棄物及び/又は産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収された、リサイクルプラスチック材料のブレンド;
c)20~50重量%(ポリオレフィン組成物の総質量に基づく)の、少なくとも1つの粒子状充填剤、特にタルク;及び任意にさらなる添加剤、
を含む、
ここで、全ての成分の合計が常に100重量%となるように添加される、ポリオレフィン組成物であって、
前記ポリオレフィン組成物は、以下によって特徴付けられるポリオレフィン組成物:
-少なくとも3.5g/10分のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)、及び
-23℃で少なくとも3GPaの引張弾性率(ISO527-2)。
【請求項2】
4~15g/10分、好ましくは5~12g/10分、より好ましくは6~10g/10分の範囲の、メルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)によって特徴付けられる請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項3】
少なくとも3.2GPa、好ましくは少なくとも3.5GPa、より好ましくは少なくとも4GPa、特に3~4.5GPaの範囲、より特に3.3~4.2GPaの範囲、さらにより特に3.4~4.0GPaの範囲の引張弾性率(ISO 527-2)によって特徴付けられる先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項4】
少なくとも1.0kJ/m、好ましくは少なくとも1.5kJ/m、より好ましくは少なくとも1.8kJ/m、さらに好ましくは少なくとも2kJ/m、特に1.0~3.0kJ/mの範囲、より特に1.3~2.5kJ/mの範囲、さらにより特に1.5~2.0kJ/mの範囲の衝撃強度(ISO179-1、シャルピー 1eA +23℃)によって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項5】
6~25重量%、好ましくは10~20重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、少なくとも1種のポリプロピレンホモポリマーを、含むことによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマーが、10~80g/10分の範囲、好ましくは20~50g/10分の範囲、より好ましくは20~30g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有することによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマーが、以下からなる群から選択される、又はそれらの組み合わせから選択される、ことによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物:
-5~10g/10分、好ましくは5~8g/10分、より好ましくは6~7g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-1);
-10~30g/10分、好ましくは15~25g/10分、より好ましくは18~22g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-2);
-5~15g/10分、好ましくは5~10g/10分、より好ましくは7~9g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-3);
-60~100g/10分、好ましくは70~80g/10分、より好ましくは73~77g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)。
【請求項8】
35~55重量%、好ましくは40~50重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、ポリプロピレン及びポリエチレンを含み、5~100g/10分、好ましくは10~80g/10分、より好ましくは15~50g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有するリサイクルプラスチック材料のブレンドを含むことによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項9】
リサイクルプラスチック材料のブレンドが、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、より一層好ましくは少なくとも90重量%のポリプロピレンを含むことによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項10】
リサイクルプラスチック材料のブレンドが、40重量%未満、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、最も好ましくは10重量%未満のポリエチレンを含むことによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項11】
30~50重量%、好ましくは35~45重量%、より好ましくは38~40重量%(ポリオレフィン組成物の総重量を基準として)のタルクを含むことによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項12】
タルクが、2.5~5μm、好ましくは3.0~4.5μm、より好ましくは3.5~4.0μmの粒子径d50を有する粒子を含むことによって特徴付けられる、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項13】
電気器具、特に家庭用電気器具の製造における、先行する請求項の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物の使用。
【請求項14】
請求項1~12の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物を含む成形品。
【請求項15】
請求項1~12の何れか1項に記載のポリオレフィン組成物を調製するための方法であって、
以下のステップを含む、方法:
-少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー、リサイクルプラスチック材料のブレンド、及び粒子状充填材を必要量供給するステップ、
-少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー、リサイクルプラスチック材料のブレンド、及び粒子状充填材を、別々に、又は混合物として少なくとも1つの押出機に供給/投入するステップ、
-少なくとも1つの押出機内で混合物を溶融するステップ、及び
-任意に、得られたポリオレフィン組成物をペレット化するステップ。
【請求項16】
リサイクルプラスチック材料のブレンドを少なくとも1つの第1の押出機、特に単軸押出機に供給し、該第1の押出機内で溶融し、該溶融物をその後少なくとも1つの第2の押出機に供給し、少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー及び粒子状充填材を該少なくとも1つの第2の押出機に投入するステップによって特徴付けられる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー及び再生プラスチック材料を含むポリオレフィン組成物、前記ポリオレフィン組成物を含む成形品、及びこのようなポリオレフィン組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレンは、食品及びその他の商品の包装、繊維、自動車部品、並びに多種多様な製造品を含む広範な用途において、ますます大量に消費されている。回収される廃棄物の量は、リサイクルされる廃棄物の量と比較して膨大であることから、プラスチック廃棄物のインテリジェントな再利用や、プラスチック廃棄物の機械的リサイクルには、まだ大きな可能性が残されている。
【0003】
一般に、市場に出回っているポリプロピレンのリサイクル量は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の両方の混合物であり、これは、使用済み廃棄物(post-consumer waste)の流れに特に当てはまる。さらに、使用済み廃棄物源からの商業的リサイクル品は、従来、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレン等の非ポリオレフィン材料、又は、木材、紙、ガラス、若しくはアルミニウム等の非ポリマー物質により交差汚染されている。これらの交差汚染は、有益な最終用途が残らないように、リサイクル流の最終用途を劇的に制限する。特に、使用済み廃棄物流からのポリオレフィンリサイクル材料は、PEとPPとの混合物である。リサイクル品の品質が良ければ良いほど、入手しにくくなり、価格も高くなる。
【0004】
リサイクル品(recyclates)を求める顧客は、バージン品と同様の剛性及び衝撃強度を求めている。これは例えば、構造用製品に強化ガラス繊維コンパウンドを使用することで達成できる。バージン材と比較したリサイクル品の品質問題を、リサイクル品を強化することで、ある程度克服することができ、そこでは、強化粒子が異種ドメイン(PP及びPE)を物理的に結合させる。
【0005】
バージンポリマー(すなわち、初めて使用されるポリマー)及びリサイクル混合プラスチックを含む組成物が研究されている。国際公開第2014167493号は、ベースポリマー混合物MB及びポリマー混合物MPRを一緒に混合するステップ(a)を含むポリオレフィン混合物を調製する方法を記載しており、前記混合物MPRは、使用済みプラスチック材料のリサイクルから得られる。
【0006】
粒子状物質で強化されたリサイクル混合プラスチックも研究されている。例えば、リサイクルPP又はPP/PE混合物はタルクと混合されている。
【0007】
中国特許公開110372957号には、改質再生ポリプロピレンナノコンポジット材料及びその調製方法が開示されている。原料として使用されるリサイクルポリプロピレンは、補助材料である充填剤、強靭化剤、カップリング剤、架橋剤、可塑剤、潤滑剤、相溶化剤、酸化防止剤と混合される。フィラーは変性ナノTiO、変性炭化ケイ素、変性タルクである。
【0008】
特開2003-24377号公報には、3~50部の無機フィラーを含むリサイクルポリオレフィンが開示されている。5部のタルク及びリサイクルポリプロピレンPPを配合した再生ポリオレフィンは、曲げ強度38MPa、曲げ弾性率1890MPa及びアイゾット衝撃強度2.5kJ/mである。
【0009】
特開平06-016876号公報に記載の自動車部品用ポリオレフィン組成物は、40~70%の結晶性ポリオレフィン、20~40%の無機充填剤、及び5~30%のリサイクルポリオレフィン自動車内装材を含み、リサイクルポリオレフィン自動車内装材は、オレフィン系熱可塑性エラストマー、プロピレン(I)重合体発泡体、及び/又はI重合体を含むオレフィン系エラストマー(4~90%)、及び(b)任意にオレフィン系エラストマー5~15部を含む。
【0010】
このように、ポリオレフィンコンパウンドにおけるタルクの使用は、ポリオレフィン産業で広く普及している。しかし、ポリオレフィンリサイクル品をバージンポリマーと組み合わせてリサイクルRECコンパウンドを作ることは、まだ広く普及していない。
【0011】
現在のバージンタルクコンパウンドは、リサイクル溶液に置き換えられつつある。
100%リサイクル溶液は、機械的性能が低く、目的とする用途に適したレオロジー挙動を示さず、一般的にリサイクル溶液の特性プロファイルに大きなばらつきがあることが非常に多い。これらの欠点を補うためには、バージンポリオレフィンの賢明な組み合わせが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2014/167493号
【特許文献2】中国特許公開110372957号
【特許文献3】特開2003-24377号公報
【特許文献4】特開平06-016876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、バージンポリオレフィンの少なくとも一部が廃プラスチック材料から回収されたポリオレフィン材料で置換され、そのようなポリオレフィン組成物の熱機械的特性が少なくとも維持され、或いはさらには改善されたポリオレフィン組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、
a)5~30重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、5~100g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー;
b)25~60重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、ポリプロピレン及びポリエチレンを3:7~49.5:1の比率で含むリサイクルプラスチック材料のブレンドであって、使用済み廃棄物及び/又は産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収された、リサイクルプラスチック材料のブレンド;
c)20~50重量%(ポリオレフィン組成物の総質量に基づく)の、少なくとも1つの粒子状充填剤、特にタルク;及び任意にさらなる添加剤、
を含む、
ここで、全ての成分の合計が常に100重量%となるように添加される、ポリオレフィン組成物であって、
前記ポリオレフィン組成物は、以下によって特徴付けられるポリオレフィン組成物:
-少なくとも3.5g/10分のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)、及び
-23℃で少なくとも3GPaの引張弾性率(ISO527-2)、を提供することによって解決される。
【発明の効果】
【0015】
このように、リサイクルプラスチック材料、バージンポリプロピレンポリマー、及びポリオレフィン組成物に等方的な特性を付与する粒子状充填材を含むポリオレフィン組成物が提供される。タルクのような粒子状充填剤の特異な特性のため、例えば添加剤としてガラス繊維を使用する場合に必要とされるようなカップリング剤は必要ない。タルク粒子はあらゆる方向に対して等方的な特性を付与する。これにより、ポリオレフィン組成物を異なる家庭用電化製品に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のポリオレフィン組成物は、カップリング剤、ガラス繊維、ゴムを含まず、過酸化物を本質的に含まず、好ましくは、ポリオレフィン組成物の総重量に基づく過酸化物含量が0.5重量%以下であることを理解されたい。
【0017】
タルクは、ポリプロピレン及びポリエチレンを主成分とするリサイクルプラスチック材料のブレンド中にも存在し得ることにさらに留意されたい(以下にさらに言及する)。したがって、本発明のポリオレフィン組成物中のタルクの全体的な含有量は、リササイクルブレンド中に元々存在するタルクを含んでもよい。
【0018】
本明細書及び後の特許請求の範囲の目的において、「リサイクル(された)(recycled)」という用語は、材料が、使用済み廃棄物及び/又は産業廃棄物から回収されることを示すために用いられる。すなわち、使用済み廃棄物とは、少なくとも第1の使用サイクル(又はライフサイクル)を完了した、すなわち、第1の目的を既に果たし、消費者の手を通った物を指し、一方、産業廃棄物とは、通常、消費者に届かない製造スクラップを指す。
【0019】
さらに後述するように、最初の用途に由来する典型的な他の成分は、ポリスチレンやPA6のような熱可塑性ポリマー、タルク、チョーク、インク、木材、紙、リモネン及び脂肪酸である。リサイクルポリマー中のポリスチレン(PS)及びポリアミド6(PA6)の含有量はフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定でき、タルク、チョーク、木材及び紙の含有量は熱重量分析(TGA)で測定できる。リサイクルプラスチック材料中に存在する少量のタルクは、その後にポリオレフィン組成物に添加される微粒子材料の量には含まれないことを理解されたい。
【0020】
「バージン(vergin)」という用語は、最初に使用される前の、リサイクルされていない新しく製造された材料及び/又は物を意味する。ポリマーの起源が明確に言及されていない場合、該ポリマーは「バージン」ポリマーである。
【0021】
本発明のポリオレフィン組成物のメルトフローレートMFR(ISO 1133、2.16kg、230℃、ISO 1133に従って測定)は、好ましくは4~15g/10分の範囲であり、より好ましくは5~12g/10分の範囲であり、さらに好ましくは6~10g/10分の範囲である。
【0022】
好ましい実施形態において、本発明ポリオレフィン組成物は、少なくとも3.2GPa、好ましくは少なくとも3.5GPa、より好ましくは少なくとも4GPa、特に3~4.5GPaの範囲、より特に3.3~4.2GPaの範囲、より一層特に3.4~4.0GPaの範囲の引張弾性率(ISO 527-2)によってさらに特徴付けられる。
【0023】
さらなる実施形態において、本発明のポリオレフィン組成物は、少なくとも1.0kJ/m、好ましくは少なくとも1.5kJ/m、より好ましくは少なくとも1.8kJ/m、さらにより好ましくは少なくとも2kJ/m、特に1.0~3.0kJ/mの範囲、より特に1.3~2.5kJ/mの範囲、より一層特に1.5~2.0kJ/mの範囲の衝撃強度(ISO179-1、シャルピー 1eA +23℃)を有する。
【0024】
本発明のポリオレフィン組成物に使用される全てのバージンポリプロピレンポリマーホモポリマーの総量は、6~25重量%の範囲、好ましくは10~20重量%の範囲(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)に合計される。
【0025】
ポリプロピレンバージンポリマー
バージンポリマーとして使用されるポリプロピレンホモポリマーは、5~100g/10分の範囲、好ましくは10~80g/10分の範囲、より好ましくは20~50g/10分の範囲、さらに好ましくは20~30g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)を有する。5~30g/10分の範囲、好ましくは10~20g/分の範囲のメルトフローレートMFRが最も好ましい。
【0026】
バージンポリマーとして使用されるポリプロピレンホモポリマーは、以下からなる群から選択される、又はそれらの組み合わせから選択される:
-5~10g/10分、好ましくは5~8g/10分、より好ましくは6~7g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-1);
-10~30g/10分、好ましくは15~25g/10分、より好ましくは18~22g/10分の範囲の、例えば、20g/10分のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-2);
-5~15g/10分、好ましくは5~10g/10分、より好ましくは7~9g/10分、例えば、8g/10分の、メルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-3);
-60~100g/10分、好ましくは70~80g/10分、より好ましくは73~77g/10分の範囲、例えば、75g/10分のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)。
【0027】
本発明のポリオレフィン組成物に使用できるさまざまなポリプロピレンホモポリマーの特性及び特徴を以下に説明する。
【0028】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-1):
少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-1)は、3~15g/10分の範囲、好ましくは5~10g/10分の範囲、より好ましくは6~7g/10分の範囲の、メルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)を有する。
【0029】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-1)は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも160℃、好ましくは165~170℃の範囲、例えば167℃の溶融温度を有する。
【0030】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-1)は、少なくとも2.0kJ/m、好ましくは少なくとも2.5kJ/m、例えば2.0~8kJ/mの範囲、好ましくは2.5~5.0kJ/mの範囲、例えば3.0kJ/mの、ISO 179-1eA:2000 23℃に従って測定したシャルピー衝撃強度を有してもよい。
【0031】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-1)は、少なくとも1.500MPa、好ましくは少なくとも2.000MPa、好ましくは2.000~2500MPaの範囲、例えば2250MPaの、ISO 178に従って測定した曲げ弾性率を有してもよい。
【0032】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-1)の好ましい材料は、とりわけ、Borealis AG(オーストリア)から市販されている。
【0033】
ポリプロピレンホモポリマー (PPH-2):
少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、10~30g/10分の範囲、好ましくは15~25g/10分の範囲の、好ましくは20g/10分の、メルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定);及び1800MPaより高い剛性を有する。
【0034】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、プロピレンホモポリマー(PPH-2)の重量に基づいて、実質的に、すなわち99.7重量%以上、さらにより好ましくは少なくとも99.8重量%のプロピレン単位からなる。好ましい実施形態では、プロピレン単位のみがプロピレンホモポリマー(PPH-2)において検出可能である。
【0035】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、低量の冷キシレン可溶(XCS)画分(xylene cold soluble fraction)を特徴とすることが理解される。ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)の重量に基づいて、4.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、例えば0.1~4.0重量%の範囲、好ましくは0.1~3.0重量%の範囲、より好ましくは0.1~2.5重量%の範囲の量の冷キシレン可溶(XCS)画分を有し得る。
【0036】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、少なくとも90℃、好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも115℃、例えば90~160℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲、より好ましくは115~130℃のISO75-2に従って測定される熱たわみ温度(HDT)を有してもよい。
【0037】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、少なくとも1.0kJ/m、好ましくは、少なくとも2.0kJ/m、例えば1.0~10kJ/mの範囲、好ましくは2.0~5.0kJ/mの範囲、例えば2.5kJ/mの、ISO179-1eA:2000に従って23℃で測定されるシャルピー衝撃強度を有し得る。ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、少なくとも500MPa、好ましくは少なくとも1500MPa、例えば500~3500MPaの範囲、好ましくは1500~2500MPaの範囲、例えば2000MPaの、ISO178に従って測定される曲げ弾性率を有してもよい。
【0038】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、核剤を含んでいてもよく、該核剤は、好ましくはポリマー核剤、より好ましくはα-核剤、例えばポリマーα-核剤である。ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)のα-核剤の含有量は、好ましくは5.0重量%以下である。好ましい実施形態において、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は、3000ppm以下、より好ましくは1~2000ppmのα-核剤を含有する。
【0039】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-2)は当該技術分野で知られており、例えばBorealis AGから市販されている。
【0040】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-3)
少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-3)は、5~15g/10分、好ましくは5~10g/10分、より好ましくは8g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定);及び1300MPaより高い剛性を有する。
【0041】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-3)は、少なくとも150℃;好ましくは少なくとも158℃、好ましくは158~167℃の範囲、例えば162℃の融解温度を有する。ポリプロピレンホモポリマー(PPH-3)は、少なくとも500MPa、好ましくは少なくとも1000MPa、好ましくは1200~2000MPaの範囲、例えば1400MPaの、ISO178に従って測定された曲げ弾性率を有してもよい。
【0042】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-3)の好ましい材料は、とりわけ、Borealis AG(オーストリア)から市販されている。代替の適切な材料は、例えば国際公開第03/031174 A2号に記載されているような高結晶化ポリプロピレンホモポリマーである。
【0043】
ポリプロピレンホモポリマー (PPH-4):
少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、60~100g/10分の範囲、好ましくは70~80g/10分の範囲、一層より好ましくは75g/10分;及び1300MPaより高い剛性を有する。
【0044】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、プロピレンホモポリマー(PPH-4)の重量に基づいて、実質的に、すなわち99.7重量%超、さらにより好ましくは少なくとも99.8重量%のプロピレン単位からなる。好ましい実施形態では、プロピレン単位のみがプロピレンホモポリマー(PPH-4)において検出可能である。
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)の重量に基づいて、実質的に、すなわち99.7重量%を超える、さらにより好ましくは少なくとも99.8重量%のプロピレン単位からなる。好ましい実施形態では、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)中でプロピレン単位のみが検出可能である。
【0045】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、低量の冷キシレン可溶(XCS)画分を特徴とすることが理解される。ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)の重量に基づいて、4.0重量%以下、好ましくは3.5重量%以下、例えば0.1~4.0重量%の範囲、好ましくは0.1~3.5重量%の範囲の量の冷キシレン可溶(XCS)画分を有し得る。
【0046】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも60℃、より好ましくは少なくとも75℃、例えば50~120℃の範囲、好ましくは60~100℃の範囲、より好ましくは75~90℃の範囲の、ISO 75-2に従って測定される熱たわみ温度(HDT)を有してもよい。
【0047】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、少なくとも0.5kJ/m、好ましくは少なくとも0.7kJ/m、例えば0.5~1.5kJ/mの範囲、好ましくは0.7~1.3kJ/mの範囲、例えば1.0kJ/mの、ISO179-1eAに 従って23℃で測定されるシャルピーノッチ付き衝撃強度(NIS)を有し得る。ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、少なくとも500MPa、好ましくは少なくとも1000MPa、例えば500~2500MPaの範囲、好ましくは1000~2000MPaの範囲、例えば1500MPaの、ISO178に従って測定される曲げ弾性率を有してもよい。
【0048】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)がα-核剤を含む場合、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)の重量に基づいて、5.0重量%以下、好ましくは3000ppm以下、例えば1~2000ppmの範囲の量でα-核剤を含み得ることが理解される。しかしながら、好ましい実施形態において、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は、いかなる核剤も含まず、すなわち、ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は核形成されない。
【0049】
ポリプロピレンホモポリマー(PPH-4)は当技術分野で知られており、Borealis AGから市販されている。
【0050】
本ポリオレフィン組成物の実施形態では、2つ以上のバージンポリプロピレンホモポリマーを使用することができる。
【0051】
従って、一実施形態において、本ポリオレフィン組成物は、以下を含むことができる。
a1)少なくとも1つの第1のポリプロピレンホモポリマー
a2)少なくとも1つの第2のポリプロピレンホモポリマー;
ここで、少なくとも1つの第1のポリプロピレンホモポリマー、及び少なくとも1つの第2のポリプロピレンホモポリマーは、それらのメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg荷重、ISO 1133に従って測定)が互いに異なる。
【0052】
従って、本ポリオレフィン組成物は、異なるメルトフローレートを有する2つのバージンポリプロピレンホモポリマーを含んでもよい。これにより、最終的なポリオレフィン組成物のメルトフローレートを調整することができる。
【0053】
リサイクル材料のブレンド
本ポリオレフィン組成物は、35~55重量%、好ましくは40~50重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて)の、4~50g/10分、好ましくは10~30g/10分、より好ましくは15~22g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有するポリプロピレン及びポリエチレンを含むリサイクルプラスチック材料のブレンドを含んでもよい。
【0054】
ブレンドは、リサイクルされた廃棄物流から得られる。ブレンドは、例えば、自動車産業からのような、リサイクルされ使用済み廃棄物又は産業廃棄物の何れか、或いは、両方の組み合わせであり得る。ブレンドは、リサイクルされた使用済み廃棄物及び/又は産業廃棄物からなることが特に好ましい。
【0055】
一態様では、ブレンド(A)は、ポリエチレンよりも著しく多くのポリプロピレンを含む、リサイクルプラスチック材料のポリプロピレン(PP)に富む(リッチ)材料であってもよい。ポリプロピレンを多く含むリサイクルされた廃棄物流は、例えば自動車産業から得ることができ、特に、バンパー等のいくつかの自動車部品は、リサイクル流中のかなり純粋なポリプロピレン材料の供給源であるか、又は選別を強化することによって得ることができる。PPリッチなリサイクル原料(recyclates)は、適切に選別されたイエローバッグ原料からも得ることができる。PPリッチ材料は、選択的処理、脱気及び濾過によって、ならびに/又はNIR又はラマン選別及びVIS選別等の種類及び色に応じた分離によって得ることができる。それは、例えば、ドイツのいくつかの地域で運営されている「グリーンドット」組織の下に組織された「イエローバッグ」リサイクルシステムのような、国内廃棄物流(すなわち、それは国内リサイクルの産物である)から得ることができる。
【0056】
好ましくは、ポリプロピレンリッチリサイクル材料は、当該技術分野で知られているプラスチックリサイクルプロセスの手段によって、リサイクルされた廃棄物から得られる。そのようなPPリッチリサイクル品は、例えば、Corepla(包装プラスチック廃棄物の収集、回収、リサイクルのためのイタリアコンソーシアム)、Resource Plastics Corp.(Brampton、ON)、Kruschitz GmbH、Plastics and Recycling(AT)、Vogt Plastik GmbH(DE)、Mtm Plastics GmbH(DE)等から、商業的に入手可能である。
ポリプロピレンリッチリサイクル材料の網羅的な実施例は、Dipolen(登録商標)PP、Purpolen(登録商標)PP(Mtm Plastics GmbH)、MOPRYLENE PC B-420 White、MOPRYLENE PC B 440 (Morssinkhof Plastics, NL)、SYSTALEN PP-C24000、Systalen PP-C44000、Systalen 13404 GR 014、Systalen PP-C14900 GR000(Der grune Punkt, DE)、Vision (Veolia) PPC BC 2006 HS or又はPP MONOを含む。
【0057】
本発明は、広範囲の、リサイクルされたポリプロピレン材料又はリサイクルされたポリプロピレンの含有量が高い材料若しくは組成物に適用可能であり得ると考えられる。ポリプロピレンリッチリサイクル材料は、顆粒の形態であってもよい。
【0058】
前述のように、本発明に係るポリオレフィン組成物は、ブレンドとして、a1)ポリプロピレン及びa2)ポリエチレンを含むポリマーブレンドを含み;ここで、a1)とa2)との重量比は、3:7~49.5:1であり;そしてポリマーブレンドは、リサイクル材料である。
【0059】
本発明のさらに好ましい実施形態は、ポリプロピレンa1)とポリエチレンa2)の比が7:1~40:1、好ましくは10:1~30:1であることを規定する。
【0060】
本発明の別の好ましい実施形態は、ポリオレフィン組成物中の成分a2)の溶融エンタルピー/成分a1)の溶融エンタルピーが0.2~2.0の範囲であり、好ましくは0.25~1.75の範囲であることを規定する。
【0061】
一実施形態によれば、リサイクルプラスチック材料のブレンドは、ブレンドの組成物の総重量に対して、50重量%より多い、好ましくは53重量%より多い、より好ましくは60重量%より多い、より好ましくは70重量%より多い、より好ましくは75重量%より多い、より好ましくは80重量%より多い、さらにより好ましくは90重量%より多い、より一層好ましくは95重量%より多いプロピレンから誘導される単位の相対量を含む。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施形態は、ブレンド中のポリプロピレンa1)の含有量が、ブレンドA)の総重量に基づいて75~99重量%の範囲、及び好ましくは83~95重量%の範囲であることを規定する。ブレンド中のポリプロピレンa1)の含有量は、実験セクションに記載したように、FTIR分光法によって決定することができる。より好ましくは、成分a1)は95重量%以上、好ましくは96~99.9重量%のアイソタクチックポリプロピレンを含み、最も好ましくはアイソタクチックポリプロピレンからなる。
【0063】
さらに、ブレンドは、47重量%未満、より好ましくは40重量%未満、より好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、最も好ましくは10重量%未満のエチレンから誘導される単位の相対量を有することができる。通常、エチレンから誘導される単位の相対量は、総重量ブレンドに対して5重量%以上である。存在するエチレンは、好ましくは、ポリエチレン及びエチレン含有コポリマーから誘導されるエチレンであることが理解される。
【0064】
本発明の別の好ましい実施形態において、ブレンド中のポリエチレンa2)の含有量は、ブレンドA)の総重量に基づいて、1~25重量%の範囲、好ましくは5~20重量%の範囲、より好ましくは7~17重量%の範囲である。ブレンド中のポリエチレンa2)の含有量は、実験セクションに記載したようにCrystexによって決定することができる。より好ましくは、成分a2)は、ポリエチレン及びエチレン含有コポリマーからなる。
【0065】
13C-NMR分光法によって校正された定量的FT-IR分光法によって決定される、リサイクルブレンドの可溶画分のC2(SF)含有量は、25~40重量%、好ましくは27~35重量%、より好ましくは29~34重量%の範囲である。
【0066】
13C-NMR分光法によって校正された定量的FT-IR分光法によって決定される、リサイクルブレンドの結晶画分のC2(CF)含有量は、4~20重量%、好ましくは5~15重量%、より好ましくは8~12重量%の範囲である。
【0067】
リサイクル材料のポリエチレンフラクション(fraction)は、リサイクル高密度ポリエチレン(rHDPE)、リサイクル中密度ポリエチレン(rMDPE)、リサイクル低密度ポリエチレン(rLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれらの混合物を含むことができる。特定の実施形態では、リサイクル材料が0.8g/cmを超える、好ましくは0.9g/cmを超える、最も好ましくは0.91g/cmを超える平均密度を有する高密度ポリエチレンである。
【0068】
リサイクル材料のポリエチレン画分はまた、プラストマーを含んでもよい。プラストマーは、ゴムのような性質及びプラスチックの加工能力を兼ね備えたポリマー材料である。重要なプラストマーはエチレン-αオレフィンコポリマーである。
【0069】
エチレン系プラストマーは、好ましくはエチレン及びC4~C8α-オレフィンのコポリマーである。好適なC4~C8α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンが挙げられ、好ましくは1-ブテン又は1-オクテンであり、より好ましくは1-オクテンである。
好ましくは、エチレン及び1-オクテンのコポリマーが使用される。このようなエチレン系プラストマーは、例えば、Borealis AG(AT)から商品名Queoで、DOW Chemical Corp(USA)から商品名Engage又はAffinityで、又は三井から商品名Tafmerで市販されている。或いは、エチレン系プラストマーは、当業者に公知の、酸化バナジウム触媒又はシングルサイト触媒、例えばメタロセン触媒又は拘束型ジオメトリー触媒のような適切な触媒の存在下、溶液重合、スラリー重合、気相重合又はそれらの組み合わせを含む1段階又は2段階の重合プロセスにおいて、公知のプロセスによって調製することができる。エチレン系プラストマーは、リサイクル混合物の製造に使用される使用済み廃棄物及び/又は産業廃棄物にすでに含まれている可能性がある。或いは、リサイクルブレンドが製造される廃プラスチックのリサイクル工程中に、エチレン系プラストマーが使用済み廃棄物及び/又は産業廃棄物に添加されることも可能である。
【0070】
本発明の別の好ましい実施形態において、リサイクルブレンドが、a1)及びa2)とは異なる熱可塑性ポリマーのリサイクルブレンドの総重量に基づいて、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは0.01~2重量%、より好ましくは4.0重量%未満のPA6及び5重量%未満のポリスチレンを含み、さらに好ましくはブレンドは0.5~3重量%のポリスチレンを含むことを規定する。
【0071】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、リサイクルブレンドは、タルクのリサイクルブレンドの総重量に基づいて、5重量%未満、好ましくは4重量%未満、より好ましくは0.01~4重量%を含む。
【0072】
本発明の別の好ましい実施形態において、リサイクルブレンドは、チョークのリサイクルブレンドの総重量に基づいて、4重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは0.01~2重量%を含む。
【0073】
本発明の別の好ましい実施形態において、リサイクルブレンドは、紙のリサイクルブレンドの総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.01~1重量%を含む。
【0074】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、リサイクルブレンドは、木材のリサイクルブレンドの総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.01~1重量%を含むことを規定する。
【0075】
本発明の別の好ましい実施態様において、リサイクルブレンドは、金属のリサイクルブレンドの総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.01~1重量%を含む。
【0076】
本発明によれば、リサイクルブレンドは、0.1ppm~100ppm、より好ましくは1ppm~50ppm、最も好ましくは2ppm~35ppmの、固相マイクロ抽出(HS-SPME-GC-MS)を用いて決定されるリモネンの含有量を有する。リモネンは、従来、リサイクルされたポリオレフィン材料中に見出され、化粧品、洗剤、シャンプー及び類似の製品の分野における包装用途に由来する。したがって、リサイクルブレンドは、リサイクルブレンドがそのような種類の家庭廃棄物流に由来する材料を含有する場合、リモネンを含有する。
【0077】
脂肪酸含量は、リサイクルブレンドのリサイクル起源のさらに別の指標である。しかしながら、場合によっては、リサイクルプロセスにおける特定の処理のために、脂肪酸含有量が検出限界未満であり得る。本発明によれば、リサイクルブレンドは、固相マイクロ抽出(HS-SPME-GC-MS)を用いて決定される脂肪酸の含有量が、好ましくは1ppm~200ppm、好ましくは1ppm~150ppm、より好ましくは2ppm~100ppm、最も好ましくは3ppm~80ppmである。
【0078】
好ましい態様において、リサイクルブレンドは、(i)5重量%未満、好ましくは1.5重量%未満のポリスチレンを含有し、及び/又は(ii)3.5重量%未満、好ましくは1重量%未満のタルクを含有し、及び/又は(iii)1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のポリアミドを含有する。
【0079】
リサイクル由来のブレンドは、有機充填剤、及び/又は無機充填剤、及び/又は添加剤を、ブレンドの重量に対して10重量%以下、好ましくは3重量%以下の量を含むことができる。
【0080】
したがって、一実施形態の本ポリオレフィン組成物において、リサイクプラスチック材料のブレンド(A)は、
A-1)50~99重量%のポリプロピレン含有量、
A-2)1~40重量%のポリエチレン含有量、
A-3)0~5.0重量%のポリスチレン及び/又はABS等のコポリマー、
A-4)0~3.0重量%の安定剤、
A-5)0~4.0重量%のポリアミド-6、
A-6)0~3.0重量%のタルク、
A-7)0~3.0重量%のチョーク、
A-8)0~1.0重量%の紙、
A-9)0~1.0重量%の木材、
A-10)0~0.5重量%の金属、
A-11)固相マイクロ抽出(HS-SPME-GC-MS)を用いて決定される、0.1ppm~100ppmのリモネン、及び
A-12)固相マイクロ抽出(HS-SPME-GC-MS)を用いて決定される、0~200ppmの総脂肪酸含量
を含み、
ここで、全ての量は、リサイクルブレンドの総重量に対して与えられる。
【0081】
上記のように、リサイクルブレンドは、以下から選択される1つ以上のさらなる成分を含み得る:
リサイクルブレンドの総重量に基づいて、
A-4)3.0重量%以下の安定剤、好ましくは2.0重量%以下の安定剤、
A-5)4.0重量%以下のポリアミド-6、好ましくは2.0重量%以下のポリアミド-6、
A-6)3.0重量%以下のタルク、好ましくは1.0重量%以下のタルク、
A-7)3.0重量%以下のチョーク、好ましくは1.0重量%以下のチョーク、
A-8)1.0重量%以下の紙、好ましくは0.5重量%以下の紙、
A-9)1.0重量%以下の木材、好ましくは0.5重量%以下の木材、及び
A-10)0.5重量%以下の金属、好ましくは0.1重量%以下の金属。
【0082】
一実施形態において、リサイクルプラスチック材料のブレンドは、4~20g/10分、好ましくは5~15g/10分、より好ましくは6~12g/10分の範囲のメルトフローレート(ISO 1133、2.16kg、230℃)を有してもよい。
【0083】
別の実施形態において、リサイクルプラスチック材料のブレンドは、16~50g/10分、好ましくは18~22g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(ISO 1133、230℃、2.16kg)を有してもよい。
【0084】
さらに別の実施形態において、リサイクルプラスチック材料のブレンドは、5~100g/10分、好ましくは10~80g/10分、好ましくは15~50g/10分、より好ましくは20~50g/10分又は20~30g/10分又は20~25g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(ISO 1133、230℃、2.16kg)を有することができる。
【0085】
本発明のさらに好ましい実施態様において、リサイクルブレンドのISO 179-1eAに従って23℃で測定されたシャルピーノッチ付き衝撃強度は、3.0kJ/m以上であり、好ましくは4.0~8.0kJ/mの範囲であり、より好ましくは5.0~6.0kJ/mの範囲である。
【0086】
本発明のさらに好ましい実施形態において、リサイクルブレンドAのISO527-2に従って測定された引張弾性率が800~1500MPaの範囲、好ましくは1100~1400MPaの範囲であることを規定する。
【0087】
粒子状充填材
タルク又はチョークのような異なる粒子状材料を充填剤として使用することができ、タルクが最も好ましい。
【0088】
一実施形態において、本ポリオレフィン組成物は、30~50重量%、好ましくは35~45重量%、より好ましくは38~40重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)のタルクを含む。
【0089】
タルクは、粒子径d50が2.5~5μm、好ましくは3.0~4.5μm、より好ましくは3.5~4.0μmの粒子を含む。好ましい一実施形態において、粒子径d50が約3.5~5.0μmの微細化タルクであるタルク1が使用される。別の好ましい実施形態において、粒子径d50が約2.9~4.1μmの微細化タルクであるタルク2が使用される。市販のタルクの直径は、通常、セディグラフ法により測定される。このタルクは、Imerys社等の公知のサプライヤーから市販されている。
【0090】
以下、本組成物のより具体的な実施形態について説明する。
【0091】
第1の実施形態において、
a)20~30重量%、特に25重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、5~10g/10分、好ましくは5~8g/10分、より好ましくは6~7g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-1);
b)25~35重量%、特に30重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むリサイクルプラスチックのブレンド;
c)30~50重量%、特に40重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の少なくとも1つのタルク、及び任意にさらなる添加剤
を含み、
ここで、全ての成分の合計が常に100重量%となるように添加される、ポリオレフィン組成物が提供される。
【0092】
そのような第1のポリオレフィン組成物は、
-2~10g/10分の範囲、好ましくは3~7g/10分の範囲、より好ましくは4~5g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定);
-少なくとも3GPa、好ましくは少なくとも3.5GPa、好ましくは少なくとも4GPaの引張弾性率(ISO 527-2)、及び
-少なくとも1kJ/m、好ましくは少なくとも2kJ/m、より好ましくは少なくとも2.4kJ/mの衝撃強度(シャルピー 1eA +23℃)、
を有してもよい。
【0093】
第2の実施形態において、
a)5~30重量%、特に5~20重量%、より特に5~15重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、10~30g/10分、好ましくは15~25g/10分、より好ましくは20g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定)を有する少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-2);
b)30~50重量%、特に40~50重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の、ポリプロピレン及びポリエチレンを含むリサイクルプラスチックのブレンド;
c)30~50重量%、特に40重量%(ポリオレフィン組成物の総重量に基づく)の少なくとも1つの粒子状充填剤、特にタルク、及び任意でさらなる添加剤、
を含み、
ここで、全ての成分の合計が常に100重量%となるように添加される、ポリオレフィン組成物が提供される。
【0094】
そのような第2のポリオレフィン組成物は、
-5~15g/10分の範囲、好ましくは6~12g/10分の範囲、より好ましくは7~10g/10分の範囲のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133に従って測定);
-少なくとも3GPa、好ましくは少なくとも3.5GPa、好ましくは少なくとも4GPaの引張弾性率(ISO 527-2)、及び
-少なくとも1kJ/m、好ましくは少なくとも1.5kJ/m、好ましくは少なくとも2.0kJ/mの衝撃強度(シャルピー 1eA +23℃)、
を有してもよい。
【0095】
本ポリオレフィン組成物は、ガラス繊維及びカップリング剤を含まないことが好ましい。しかし、さらなる添加剤を加えてもよい。
【0096】
添加剤
一実施形態において、本ポリオレフィン組成物は、押出成形中に充填剤/顔料を受け入れるための少なくとも1つの投与剤を含んでいてもよい。少なくとも1つの投与剤は、メルトフローレートMFRが1~5g/10分、好ましくは2~3g/10分であり、密度が800~100kg/m、好ましくは900~950kg/mであるポリプロピレンホモポリマーであってよい。このようなポリマーは、例えばBorealis AGのHC001A-B1の商品名で市販されている。ポリオレフィン組成物中の投与剤の量は、0.5~2重量%、例えば0.6~1.5重量%、好ましくは0.65~0.8重量%であってよい。
【0097】
別の実施形態において、ポリオレフィン組成物は、少なくとも1つの衝撃改質剤を含んでもよい。衝撃改質剤は、プラストマー及び/又はエラストマーであってよい。好適なエラストマーは、異なるC2/C3比を有するエチレン/プロピレンコポリマー(C2/C3又はC3/C2エラストマー)、エチレン/ブテンコポリマー(C2/C4エラストマー)、エチレン/オクテンコポリマー(C2/C8エラストマー)、グラフト化エチレンエラストマー(MAHグラフト化エチレンエラストマー等)、又はC2/C3及びC2/C4ブロックコポリマー、特にエチレンベースの1-オクテンエラストマーであってよい。エチレンベースの1-オクテンエラストマーは、0.5~8g/10分の間のMFR(190℃、2.16kg)、866~904kg/mの間の密度を有してもよい。このようなコンパウンドは、例えばQueo 6800の商品名で市販されている。
【0098】
組成物中で使用するための他の添加剤の例は、顔料又は染料(例えば、カーボンブラック)、安定剤(酸化防止剤)、抗酸剤及び/又は抗UV剤、帯電防止剤、核剤及び利用剤(加工助剤等)である。好ましい添加剤は、カーボンブラック、少なくとも1つの酸化防止剤及び/又は少なくとも1つのUV安定剤である。
【0099】
一般に、これらの添加剤の量は、全組成物の重量に基づいて、0~5.0重量%、好ましくは0.01~3.0重量%、より好ましくは0.01~2.0重量%の範囲である。
【0100】
当該技術分野で一般的に使用される酸化防止剤の実施例は、立体障害フェノール(CAS番号6683-19-8のような、BASFによるIrganox 1010 FF(トレードマーク)としても販売されている)、リン系抗酸化剤(CAS番号31570-04-4のような、ClariantによるHostanox PAR 24 (FF)(トレードマーク)、又はBASFによるIrgafos 168(FF)(トレードマーク)としても販売されている)、硫黄系酸化防止剤(CAS番号693-36-7のような、BASFによるIrganox PS-802 FL(トレードマーク)として販売されている)、窒素系酸化防止剤(4,4’ビス(1,1’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等)である。好ましい酸化防止剤は、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト及び/又はオクタデシル3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートであり得る。
【0101】
抗酸剤もまた、当該技術分野において一般的に知られている。例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛、合成ヒドロタルサイト(例えば、SHT、CAS番号11097-59-9)、乳酸エステル(lactates)及び乳酸塩(lactylates)、ならびにステアリン酸カルシウム(CAS番号1592-23-0)及びステアリン酸亜鉛(CAS番号557-05-1)である。
【0102】
一般的なブロッキング防止剤は、天然シリカ、例えば珪藻土(CAS番号60676-86-0(SuperfFloss(トレードマーク))、CAS番号60676-86-0(SuperFloss E(トレードマーク))又はCAS番号60676-86-0(Celite 499(トレードマーク));合成シリカ(CAS番号7631-86-9、CAS番号7631-86-9、CAS番号7631-86-9、CAS番号7631-86-9、CAS番号7631-86-9、CAS番号7631-86-9、CAS番号112926-00-8、CAS番号7631-86-9、又はCAS番号7631-86-9等);ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム(カオリン)(CAS番号1318-74-7)、ケイ酸アルミニウムナトリウム(CAS番号1344-00-9)、焼成カオリン(CAS番号92704-41-1)、ケイ酸アルミニウム(CAS番号1327-36-2)、又はケイ酸カルシウム(CAS番号1344-95-2);合成ゼオライト(例えば、アルミノケイ酸ナトリウムカルシウム水和物(sodium calcium aluminosilicate hydrate、CAS番号1344-01-0、CAS番号1344-01-0)、又はアルミノケイ酸ナトリウムカルシウム水和物(CAS番号1344-01-0)である。
【0103】
抗UV剤は、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-セバケート(CAS番号52829-07-9、Tinuvin 770);2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシ-ベンゾフェノン(CAS番号1843-05-6、Chimassorb 81)である。好ましいUV安定剤は、低分子量及び/又は高分子量UV安定剤、例えばn-ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及び高級脂肪酸(主にステアリン酸)及び/又はポリ((6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル)(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメタ-イレン(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)イミノ))の混合物である。
【0104】
安息香酸ナトリウム(CAS番号532-32-1);1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(CAS番号135861-56-2、Millad 3988)のようなα-核剤。好適な帯電防止剤は、例えば、グリセロールエステル(CAS番号97593-29-8)又はエトキシル化アミン(CAS番号71786-60-2又は61791-31-9)又はエトキシル化アミド(CAS番号204-393-1)である。通常、これらの添加剤は、ポリマーの個々の成分ごとに100~2.000ppmの量で添加される。
【0105】
本発明に係るポリオレフィン組成物は、電化製品、特に家庭用電化製品の製造における広範な用途に使用することができる。
【0106】
本発明はまた、本明細書において定義されるポリオレフィン組成物を調製するための方法にも関することが理解される。
本方法は、
-少なくともポリプロピレンホモポリマー、リサイクルプラスチック材料のブレンド、及びタルクのような粒子状充填材を必要量で供給するステップ;
-少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー、リサイクルプラスチック材料のブレンド、及び粒子状充填材を、別々に、又は混合物として少なくとも1つの押出機に供給/投入するステップと
-前記混合物を押出機中で溶融する工程;及び
-任意に、得られたポリオレフィン組成物をペレット化する工程、
を含む。
【0107】
本方法の一実施形態において、少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー及びリサイクルプラスチック材料のブレンドは、顆粒又はフレークとして提供される。
【0108】
従って、本方法の一実施形態において、全てのポリマー成分、すなわち、バージンのホモポリマー及びリサイクル品は、顆粒として提供され、別々に押出機/コンパウンダーに投入されてもよい。別の実施形態において、ポリマー成分の顆粒は予め混合されており、混合物として押出機/コンパウンダーに投入されてもよい。
【0109】
リサイクル原料の顆粒は以下のように提供される:
リサイクル品のフレークは、押出機(単軸押出機)で処理ステップ(濾過、脱気、添加剤による精製)を経て、最終的に造粒される。リサイクル品の顆粒は次に、別々に、又はバージンホモポリマーと一緒に押出機/コンパウンダーに供給され、そこで(2回目の)溶融ステップ(リサイクル品に熱的損傷を与える可能性のある)を経る。
【0110】
本方法の別の実施形態では、リサイクルプラスチック材料のブレンドは、少なくとも1つの第1の押出機、特に単軸押出機に供給され、溶融され、溶融物は、その後、少なくとも1つの第2の押出機に供給され、少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー及び粒子状材料は、少なくとも1つの第2の押出機に投入される。この実施形態では、リサイクル品は1回だけ溶融され、従ってリサイクル品への熱損傷を避けることができる。
【0111】
特に、リサイクル原料のフレークは、一軸スクリュー押出機と二軸スクリュー押出機の組み合わせ(直列)に投入される。単軸スクリュー押出機では、リサイクル品フレークが(濾過により)精製され、任意で添加剤が添加される。その後、溶融物は第2の押出機/コンパウンダーに直接供給される。その後、残りの成分がコンパウンダーに投入される。
【実施例
【0112】
実験セクション
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の特定の態様及び実施形態を実証するために含まれる。しかしながら、以下の説明は単に例示的なものであり、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを当業者は理解されたい。
【0113】
試験方法
以下の用語及び決定方法の定義は、別段の定義がない限り、本発明の上記の一般的な説明、ならびに以下の実施例に適用される。
【0114】
a)iPP、ポリスチレンの量、エチレン(及びエチレンを含む共重合体)の含有量、並びにポリアミド-6及びポリスチレン(及び共重合体を含む)の量
異なる標準の異なる検量線を確立するために、iPP及びHDPE及びiPP、PS及びPA6をブレンドした。外来ポリマーの含有量を定量化するために、Bruker Vertex 70 FTIR分光計を用いて、固体状態でIRスペクトルを記録した。フィルムは、圧縮成形装置を用いて190℃で4~6MPaのクランプ力で作製した。iPP及びHDPEの校正標準用のフィルムの厚さは300μmで、iPP、PS及びPA6の定量用には50~100μmのフィルム厚さを使用した。スペクトル範囲4000-400cm-1、アパーチャー6mm、スペクトル分解能2cm-1、16バックグラウンドスキャン、16スペクトルスキャン、インターフェログラムゼロフィリングファクター32、Norton-Beerストロングアポダイゼーション(Norton Beer strong apodisation)を用いた標準透過FTIR分光法を採用した。
【0115】
iPPについて、1167cm-1のバンドの吸収を測定し、iPP含有量を検量線(吸収/厚さ(cm)対iPP含有量(重量%))に従って定量化する。
1601cm-1(PS)及び3300cm-1(PA6)のバンドの吸収を測定し、PS及びPA6の含有量を検量線(吸収/厚さ(cm)対PS及びPA含有量(重量%))に従って定量化する。
ポリエチレン及びエチレンを含むコポリマーの含有量は、以下の方法で決定される非ポリマー性不純物の含有量を考慮して、100から(iPP+PS+PA6)を差し引くことによって得られる。分析は二重測定として行う。
【0116】
b)タルク及びチョークの量は、熱重量分析(TGA)によって測定した;実験は、Perkin Elmer TGA 8000を用いて行った。約10~20mgの材料を白金パンに入れた。温度を、50℃で10分間平衡化し、その後、窒素下、20℃/分の加熱速度で950℃まで上昇させた。約550℃と700℃の間の重量減少(WCO)は、CaCOから発生するCOに帰属され、したがってチョーク含有量は次のように評価された:
チョーク含有量=100/44×WCO
【0117】
その後、20℃/分の冷却速度で300℃まで温度を下げた。その後、ガスを酸素に切り替え、再び900℃まで昇温した。この工程における重量減少は、カーボンブラック(Wcb)に割り当てられた。カーボンブラック及びチョークの含有量が分かれば、チョーク及びカーボンブラックを除く灰分含有量は、以下のように計算された:
灰分含有量=(灰分残量)-56/44×WCO-Wcb
【0118】
ここで、灰分残量は、窒素下で行われた第1の工程において900℃で測定された重量%である。灰分含有量は、調査したリサイクル品のタルク含有量と同じであると推定される。
【0119】
c)紙、木材の量
紙と木材は、粉砕、浮遊法、顕微鏡法、熱重量分析法(TGA)、浮遊法(ポリマーを溶解し、紙と木材の含有量を重量法で測定)等の従来の実験室法で測定した。
【0120】
d)金属量は蛍光X線分析(XRF)で測定した。
【0121】
e)リモネンの量は、固相マイクロ抽出(HS-SPME-GC-MS)によって決定した。特定のサンプルに関して、さらなる詳細を以下に示す。
【0122】
f)総脂肪酸の量は、固相マイクロ抽出(HS-SPME-GC-MS)によって決定した。特定のサンプルに関して、さらなる詳細を以下に示す。
【0123】
g)メルトフローレートは、2.16kg(MFR)の荷重下、230℃又は190℃で、示されるように測定された。メルトフローレートは、ISO1133に準拠した試験装置が、2.16kgの荷重下、230℃(又は190℃)の温度で10分以内に押し出すポリマーの量(g)である。
【0124】
h)引張弾性率、引張強度、引張破壊ひずみ、引張強度における引張ひずみ(Tensile Strain at Tensile Strength)、引張破壊応力、曲げ弾性率
測定は、試験片の96時間のコンディショニング時間(23℃、相対湿度50%)後に行った。
【0125】
引張弾性率は、EN ISO 1873-2に記載されている射出成形された試験片(ドッグボーン形状、4mm厚)を用いて、ISO527-2(クロスヘッド速度=1mm/分、23℃)に従って測定した。
【0126】
引張強度及び引張破壊ひずみは、EN ISO 1873-2に記載されている射出成形された試験片(ドッグボーン形状、4mm厚)を用いて、ISO527-2(クロスヘッド速度=50mm/分、23℃)に従って測定した。
【0127】
引張強度における引張ひずみは、EN ISO 1873-2に記載されている射出成形された試験片(ドッグボーン形状、4mm厚)を用いて、ISO527-2に従って、試験片が破断するまで50mm/分の伸び率で測定した。
【0128】
引張破壊応力は、4mmのサンプル厚さを有する打錠成形されたプラークから調製されたサンプルについてISO527-2(クロスヘッド速度=50mm/分)に従って測定した。
【0129】
曲げ弾性率はISO178規格に従って測定した。
【0130】
i)衝撃強さは、EN ISO 1873-2に従って調製した80×10×4mmの射出成形試験片を用い、ISO 179-1/1eA+23℃(ノッチ付き)に従って、又はISO 179-1/1eU+23℃(ノッチなし)に従ってシャルピー衝撃強さとして測定した。この規格では、サンプルは96時間後に試験される。
【0131】
j)パンクチャーエネルギーは、ISO 6603-2、4.4m/s、2mm、に従って23℃でを測定した。
【0132】
k)冷キシレン溶解(XCS)は、ISO 16152;初版;2005-07-01に従って25℃で測定される。
【0133】
l)結晶分析
結晶及び可溶画分法
ポリプロピレン(PP)組成物の結晶画分(CF)及び可溶画分(SF)、ならびにそれぞれの画分のコモノマー含有量及び固有粘度を、Polymer Char社(スペイン、バレンシア)のCRYSTEX QCで分析した。160℃での溶解、40℃での結晶化、160℃での1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-TCB)への再溶解の温度サイクルにより、結晶画分と非晶画分を分離した。
【0134】
親EP共重合体及びその可溶画分と結晶画分のSFとCFの定量とエチレン含有量(C2)の決定は、赤外線検出器(IR4)と固有粘度(iV)の決定に使用されるオンライン2-キャピラリー粘度計によって達成される。
IR4検出器は、2つの異なるバンド(CH3及びCH2)で赤外吸光度を検出する多波長検出器であり、エチレン-プロピレン共重合体中の濃度とエチレン含有量を測定する。
IR4検出器は、エチレン含量が2質量%~69質量%(13C-NMRスペクトルにより決定)の範囲で既知の8種類のEP共重合体と、校正に使用した各EP共重合体の2~13mg/mlの間の様々な濃度で校正される。
【0135】
可溶画分(SF)及び結晶画分(CF)の量は、XS校正を通して、ISO16152に従った標準重量測定法に従って決定された「冷キシレン可溶」(XCS)画分と、それぞれ「冷キシレン不溶」(XCI)画分と相関がある。XSの校正は、XS含量が2~31質量%の範囲の様々なEP共重合体を試験することによって達成される。
【0136】
親EP共重合体、その可溶画分及び結晶画分の固有粘度(iV)は、オンライン2キャピラリー粘度計を使用して測定し、ISO1628に従ってデカリン中で標準法により測定した対応するiVと相関させる。校正は、iV=2-4dL/gの様々なEP PPコポリマーで達成された。
【0137】
分析するPP組成物のサンプルを10mg/ml~20mg/mlの濃度で秤量する。酸化防止剤として250mg/lの2,6-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含む1,2,4-TCBをバイアルに自動充填した後、サンプルを160℃で完全に溶解するまで、通常60分間、800rpmの一定攪拌で溶解する。
【0138】
一定量のサンプル溶液が不活性担体を充填したカラムに注入され、そこでサンプルの結晶化と結晶部分からの可溶画分の分離が行われる。このプロセスは2回繰り返される。1回目の注入では、サンプル全体が高温で測定され、PP組成物のiV[dl/g]及びC2[質量%]が決定される。2回目の注入では、結晶化サイクルに伴う可溶画分(低温)と結晶画分(高温)を測定する(質量%SF、質量%C2、iV)。
EPはエチレンプロピレンコポリマーを意味する。
PPはポリプロピレンを意味する。
【0139】
l)固有粘度は、DIN ISO 162811、1999年10月(デカリン中、135℃)に従って測定される。
【0140】
表1にいくつかの実施例(比較例-CE;本発明-IE)を要約する。
リサイクル材料の異なるブレンドA1~A7を使用した。ブレンドは以下の特性によって特徴付けられる:
【0141】
ブレンドA1
総C2含有量10~15重量%、C2(CF)含有量8~12重量%、C2(SF)含有量29~32重量%、MFR12~14g/10min、引張弾性率1200~1300MPa、衝撃強度(シャルピー試験23℃)5~6KJ/m
【0142】
ブレンドA2
総C2含有量6~7重量%、C2(CF)含有量4~5重量%、C2(SF)含有量29~30重量%、MFR80~85g/10分、引張弾性率1200~1300MPa、衝撃強度(シャルピー試験23℃)3~4KJ/m
【0143】
ブレンドA3
総C2含有量8~9重量%、C2(CF)含有量4~5重量%、C2(SF) 含有量30~34重量%、MFR 32~34g/10min、引張弾性率1300~1400MPa、衝撃強さ(シャルピー試験23℃)5~6.5KJ/m
【0144】
ブレンドA4
MFR:18~19g/10分、引張弾性率1200~1300MPa、衝撃強さ(シャルピー試験23℃)5~6KJ/m
【0145】
ブレンドA5
総C2含有量9~11重量%、C2(CF)含有量7~8重量%、C2(SF)含有量32~33重量%、MFR24~25g/10分、引張弾性率1300~1400MPa、衝撃強さ(シャルピー試験23℃)5~6KJ/m
【0146】
ブレンドA6
総C2含有量7~9重量%、C2(CF)含有量5~7重量%、C2(SF)含有量29~34重量%、MFR 23~25g/10min、引張弾性率1100~1300MPa、衝撃強度(シャルピー試験23℃)4~5KJ/m
【0147】
ブレンドA7
総C2含有量7~9重量%、C2(CF)含有量5~7.5重量%、C2(SF)含有量27~33重量%、MFR15~17g/10分、引張弾性率1200~1300MPa、衝撃強さ(シャルピー試験23℃)5~6KJ/m
【0148】
表1は、以下を含むポリオレフィン組成物を指す:
-比較例(CE1):1つのポリプロピレンホモポリマー(8g/10分のMFRを有するPPH-3)及び少量のさらなるポリプロピレンホモポリマー(75g/10分のMFRを有するPPH-4);
-発明例(IE1):1つのポリプロピレンホモポリマー(6.5g/10分のMFRを有するPPH-1)及び1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA1);
-発明例(IE2):1つのポリプロピレンホモポリマー(20g/10分のMFRを有するPPH-2)及び1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA6);
-発明例(IE3):1つのポリプロピレンホモポリマー(20g/10分のMFRを有するPPH-2)及び1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA1);
-発明例(IE4):1つのポリプロピレンホモポリマー(20g/10分のMFRを有するPPH-2)及び1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA5);
-発明例(IE5):1つのポリプロピレンホモポリマー(20g/10分のMFRを有するPPH-2)及び1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA3);
-発明例(IE6):1つのポリプロピレンホモポリマー(20g/10分のMFRを有するPPH-2)及び1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA7);
-発明例(IE7):1つのポリプロピレンホモポリマー(20g/10分のMFRを有するPPH-2)と1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA2);
-発明例(IE8):1つのポリプロピレンホモポリマー(20g/10分のMFRを有するPPH-2)及び1つのリサイクル材料のブレンド(ブレンドA4);
Mistron 75-6 Aの商品名で入手可能なタルク2.9を使用した。
【0149】
以下の添加剤を使用した:酸化防止剤:AO1(IRGAFOS168FF)、AO2(ARENOX DS)、AO3(Irganox1010FF)、コーティング:アラルダイトGT 7072(狭い分子量分布のビスフェノールAベースの未変性エポキシ樹脂);顔料:MB-ブラック(CBMB-LD-09);投与剤:HC001A-B1;帯電防止剤及び防曇剤:AA122PWD(Grindsted PS 426)、AA120PWD(Dimodan HP)。
【0150】
表1からわかるように、バージンコンパウンドを置き換えることで、30~50重量%のリサイクル品を配合した組成物でも同等の剛性(IE1と比較:4192MPa)が得られ、室温でのシャルピーNISは1.6~2.4kJ/mに増加した。IE7は50重量%のリサイクル品を含むが、それでも4335MPaの剛性を有する。すべてのリサイクル組成物(IE1~IE8)は、バージンのタルクコンパウンドと比較して、より良好又は同等の流動性を示した。
【0151】
【表1】
【国際調査報告】