(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】Babesia組換えタンパク質を使用するBabesiaの診断
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240416BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240416BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240416BHJP
C12N 15/30 20060101ALI20240416BHJP
C07K 14/44 20060101ALN20240416BHJP
C07K 16/20 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
G01N33/53 N ZNA
G01N33/53 D
G01N33/53 U
G01N33/543 501A
C12N15/63 Z
C12N15/30
C07K14/44
C07K16/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564161
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2022025901
(87)【国際公開番号】W WO2022226278
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508027752
【氏名又は名称】アイデイー-フイツシユ・テクノロジー・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ジョツナ
(72)【発明者】
【氏名】マーク,オリビア
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ソン
(72)【発明者】
【氏名】バルガヴァ,プレーナ
(72)【発明者】
【氏名】ポツラ,ハリ-ハラ
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA20
4H045DA76
4H045DA86
4H045EA50
(57)【要約】
本開示は、いくつかの態様では、Babesia属の種の検出に有用な標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含む組成物を提供する。1つ以上のBabesia属の種による感染を検出するための方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含む組成物であって、前記標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに/または対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む、前記組成物。
【請求項2】
前記結合したアミノ酸配列が、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、プラスチック、金属、磁気ビーズ、及びアガロースからなる群から選択される固相担体に結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1つ以上のBabesia属の種による感染を、Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料中に存在する場合に、検出するための方法であって、前記方法が、
(a)標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含む組成物を提供することであって、前記標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む、前記提供することと、
(b)前記Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる前記生物学的試料を提供することと、
(c)エピトープへの特異的抗体結合に適した条件の下で、前記生物学的試料をステップ(a)の前記組成物と接触させることと、
(d)IgM及び/またはIgGクラスの抗体とステップ(a)の前記アミノ酸配列との特異的結合を、前記生物学的試料中に存在する場合に、検出することであって、
(i)ステップ(a)の前記アミノ酸配列のうちの少なくとも2つについてIgMクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合か、または
(ii)ステップ(a)の前記アミノ酸配列のうちの少なくとも2つについてIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合に、1つ以上のBabesia属の種による感染に陽性であるとして前記試料がスコア付けされ、
感染の陽性スコアが、前記対象における1つ以上のBabesia属の種による感染を示す、前記検出することと、
を含む、前記方法。
【請求項4】
前記IgMクラスの抗体の結合が、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgM抗体を使用することによって検出される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記IgGクラスの抗体の結合が、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgG抗体を使用することによって検出される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記検出可能な部分が、発色団、放射性部分、及び酵素からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記検出可能な部分が、アルカリホスファターゼを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記検出可能な部分が、ビオチンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記Babesia属が、B.microti、B.duncani、B.MO1、B.divergens、B.venatorum、及びB.crassaから選択される種を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
B.microti及び/またはB.duncaniによる種特異的感染を、Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料中に存在する場合に、検出するための方法であって、前記方法が、
(a)標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含む組成物を提供することであって、前記標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む、前記提供することと、
(b)前記Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる前記生物学的試料を提供することと、
(c)エピトープへの特異的抗体結合に適した条件の下で前記生物学的試料をステップa)の前記組成物と接触させることと、
(d)IgM及び/またはIgGクラスの抗体とステップ(a)の前記アミノ酸配列との特異的結合を、前記生物学的試料中に存在する場合に、検出することであって、
(i)配列番号1~7、9、11、もしくは13のうちの少なくとも1つ、及び配列番号8、10、もしくは12のうちの少なくとも1つについてIgMもしくはIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合に、B.microtiによる感染に陽性であるとして前記試料がスコア付けされるか、または
(ii)配列番号1~7、9、11、13、もしくは16~19のうちの少なくとも1つ、及び配列番号14もしくは15のうちの少なくとも1つについてIgMもしくはIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合に、B.duncaniによる感染に陽性であるとして前記試料がスコア付けされ、
陽性スコアが、B.microti及び/またはB.duncaniによる感染を示す、前記検出することと、
を含む、前記方法。
【請求項11】
前記IgMクラスの抗体の結合が、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgM抗体を使用することによって検出される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記IgGクラスの抗体の結合が、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgG抗体を使用することによって検出される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記検出可能な部分が、発色団、放射性部分、及び酵素からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記検出可能な部分が、アルカリホスファターゼを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検出可能な部分が、ビオチンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番
号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19、ならびに異種核酸配列からなる群から選択される核酸を含むベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、Babesia属の種による感染から生じる抗体を同定するための新規の組成物及び方法を提供する。
【0002】
配列表
2022年4月22日に提出された「0153-2018US02-Sequence
Listing-ST25.txt」と題するASCIIテキストファイルの配列表が参照によって本出願に組み込まれ、当該配列表は、2022年3月1日に作成されたものであり、当該ファイルのサイズは81.819バイトである。
【背景技術】
【0003】
アピコンプレクサ類のBabesia属寄生原生動物はヒト及び動物においてバベシア症を引き起こす。2018年に米国において米国疾病管理予防センター(CDC)に報告されたヒトバベシア症の症例数は2,161例に上った。Ixodes scapularis、I.ricinus、I.persulcatus、及びDermacentor albipictusは、リザーバー動物(シロアシネズミ及びミュールジカなど)からBabesia属の種を獲得した後にバベシア症をヒトに感染させるいくつかのカタダニである。Babesia属の種のヒトからヒトへの感染は、輸血、先天性感染、及び臓器移植を介して生じ得る。米国ではBabesia microti、B.duncani、及びB.divergensがヒトバベシア症の主な原因であり、北米の東海岸及び西海岸では、それぞれB.microti及びB.duncaniが、より多く蔓延していると考えられている。ユーラシアでは、Babesia microti、B.divergens、B.venatorum、及びB.crassaがバベシア症の原因である。バベシア症は、アフリカ、オーストラリア、及び南アメリカにおいても蔓延している。
【0004】
臨床検査室におけるヒトバベシア症の主な診断手法は、血中の寄生虫を検出するもの、及びそうした寄生虫に対して産生される抗体をアッセイするものの2つである。末梢血中の寄生虫は、染色した血液塗抹を顕微鏡法によって調べることによって高頻度で検出される。しかしながら、この方法ではBabesia属の寄生虫を種レベルで同定することは不可能である。代替的には、血液試料に対してqPCRを実施すること、及び蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)によって感染赤血球(iRBC)内のリボソームRNAを検出することによってBabesia属の寄生虫の核酸が検出される。B.microtiについてはqPCR検査がいくつか開発されており、そうしたqPCR検査は輸血用血液のスクリーニングに使用され得る。最近ではB.duncaniに対するqPCR検査が開発されているが、未だ一般には使用されていない。血中のB.duncani及びB.microtiの検出にはBabesia属特異的FISHが使用され、このFISHは、その検出感度は低いものの、検査室でのバベシア症の確認法となっており、qPCR検査と比較してリソースが少なく済む上、必要時間も短い。しかしながら、感染初期、及び内蔵中の毛細管内皮に結合することによって寄生虫が隔離され得る慢性の軽度感染中には、末梢血中のBabesia属の寄生虫の濃度は非常に低くあり得る。毛細管内皮への細胞接着についてはB.duncaniで報告されており、細胞接着及びそれを担う感染赤血球(iRBC)表面上のバリアント抗原についてはウシ寄生虫Babesia bovisにおいて特徴付けられている。
【0005】
血清抗体は、一般に、顕微鏡スライド上に固定化されたB.microtiを用いて実施される免疫蛍光アッセイ(IFA)によって検出されるが、B.duncaniに対す
る抗体を検出するための同等のIFAは一般には使用されていない。組換えタンパク質を抗原として利用するELISAがB.microti向けに最近開発されたが、IFAよりも感度が低く、未だ診断には一般に使用されていない。現在のところ、B.duncani向けのELISA検査については報告が存在しない。ウシバベシア症のポイント・オブ・ケア診断として免疫クロマトグラフィーベースのラテラルフロー検査が最近試行されているが、ヒトバベシア症については同様の検査は未だ利用不可能である。IgMは、一次免疫応答において形成される最初の抗体クラスである。IgM抗体は、感染の間の初期(通常は数日以内)に産生され、その後に、より親和性の高いIgG及び他の免疫グロブリンクラスへのクラススイッチが後発する。したがって、血清抗体は、非常に初期の感染段階では検出閾値未満であり得る。免疫応答の結果としてまたは薬物治療を介して感染が解消するにつれて抗体レベルは減少し始めるが、検出可能なレベルで数ヶ月間は存続し得る。バベシア症の診断を裏付ける臨床検査値としてCDCによって認知されている総免疫グロブリンまたはIgGのIFA力価は≧1:256である。一方で、IgMのIFA力価は≧1:32であるが、Babesiaの急性感染または初期感染に対する感度及び特異性が高いことが報告されている。IgG抗体の力価が高いことは活動性の徴候を示すと推定されるが、抗Babesia抗体自体を検出しても、活動性または進行中の感染と解消した過去の感染とが識別されない。患者のIFA力価が経時的に顕著に増加することは、より確かな活動性感染徴候ではあるが、血清採取及び検査に必要な時間的経過観察を行うことは、多くの場合、不可能である。したがって、Babesia向けの簡単、迅速、かつ信頼性のある検査が優先事項である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】下記の病原体に対する抗体を含むウサギ抗血清を用いて検査したBabesia免疫ブロットストリップを示す顕微鏡写真を示す:P-陽性対照(Babesia);(1)Borrelia burgdorferi B31及び(2)B.burgdorferi 297;ダニ媒介性回帰熱Borrelia属の種(3)B.hermsii、(4)B.turcica、(5)B.coriaceae、(6)B.miyamotoi;Bartonella属の種(7)B.elizabethae、(8)B.henselae、(9)B.vinsonii、及び(10)B.quintana;ならびに(11)E.coli.M,IgM;g,IgG。
【
図2】Babesia免疫ブロット(IB)で検査したBabesia陽性患者血清を示す顕微鏡写真を示す。免疫蛍光アッセイ(IFA)及びウエスタンブロットによって、患者3はB.microtiに陽性であり、患者2はB.duncaniに陽性であった。両方の患者に由来する血清が属レベルでBabesia感染に陽性であることがBabesia IB検査によって確認された。患者3由来の血清はB.microtiに陽性であり、患者2由来の血清はB.duncaniに陽性であった。矢印は、バンド8、12、及び14~16(それぞれ配列番号8、12、及び14~16)を指す。M,IgM;g,IgG
【
図3】Babesia IgM(M)免疫ブロット及びIgG(G)免疫ブロットで検査した患者血清試料(1~11)を示す顕微鏡写真を示す。バンド1~7、9、11、13、16~19(それぞれ配列番号1~7、9、11、13、及び16~19)は、Babesia属特異的であった。バンド8、10、及び12(それぞれ配列番号8、10、及び12)は、試料1~7について矢印によって指されており、B.microtiに特異的であった。バンド14及び15(それぞれ配列番号14及び15)は、試料8~11について矢印によって示されており、B.duncaniに特異的であった。試料1~7はB.microtiに陽性であり、試料8~11はB.duncaniに陽性であった。
【
図4】FISH及びIFAアッセイで以前に検査された患者試料についてのBabesia IBの結果を示すチャートを表す。バンド強度は1+、2+、3+、または4+として記録し、1+以上の強度は陽性としてスコア付けした。P,陽性;N,陰性。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様によれば、組成物が提供され、この組成物は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含み、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む。いくつかの態様では、結合したアミノ酸配列は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、プラスチック、金属、磁気ビーズ、及びアガロースからなる群から選択される物質(すなわち、固相担体)に結合している。
【0008】
本開示の別の態様によれば、Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料中に存在する場合に1つ以上のBabesia属の種による感染を検出するための方法が提供され、この方法は、(a)標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含む組成物を提供することであって、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む、提供することと、(b)Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料を提供することと、(c)エピトープへの特異的抗体結合に適した条件の下で生物学的試料をステップ(a)の組成物と接触させることと、(d)IgM及び/またはIgGクラスの抗体とステップ(a)のアミノ酸配列との特異的結合を、生物学的試料中に存在する場合に、検出することであって、(i)ステップ(a)のアミノ酸配列のうちの少なくとも2つについてIgMクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合、または(ii)ステップ(a)のアミノ酸配列のうちの少なくとも2つについてIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合に、1つ以上のBabesia属の種による感染に陽性であるとして試料がスコア付けされ、感染の陽性スコアが、対象における1つ以上のBabesia属の種による感染を示す、検出することと、を含む。いくつかの態様では、IgMクラスの抗体の結合は、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgM抗体を使用することによって検出される。他の態様では、IgGクラスの抗体の結合は、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgG抗体を使用することによって検出される。いくつかの態様では、検出可能な部分は、発色団、放射性部分、及び酵素からなる群から選択される。いくつかの態様では、検出可能な部分は、アルカリホスファターゼを含む。他の態様では、検出可能な部分は、ビオチンを含む。いくつかの態様では、Babesia属は、B.microti、B.duncani、B.MO1、B.divergens、B.venatorum、及びB.crassaから選択される種を含む。
【0009】
本開示のさらに別の態様によれば、B.microti及び/またはB.duncaniによる種特異的感染を、Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料中に存在する場合に、検出するための方法が提供され、この方法は、(a)標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含む組成物を提供することであって、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、
配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む、提供することと、(b)Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料を提供することと、(c)エピトープへの特異的抗体結合に適した条件の下で生物学的試料をステップa)の組成物と接触させることと、(d)IgM及び/またはIgGクラスの抗体とステップ(a)のアミノ酸配列との特異的結合を、生物学的試料中に存在する場合に、検出することであって、(i)配列番号1~7、9、11、もしくは13のうちの少なくとも1つ、及び配列番号8、10、もしくは12のうちの少なくとも1つについてIgMもしくはIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合にB.microtiによる感染に陽性であるとして試料がスコア付けされるか、または(ii)配列番号1~7、9、11、13、もしくは16~19のうちの少なくとも1つ、及び配列番号14もしくは15のうちの少なくとも1つについてIgMもしくはIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合にB.duncaniによる感染に陽性であるとして試料がスコア付けされ、陽性スコアが、B.microti及び/またはB.duncaniによる感染を示す、検出することと、を含む。いくつかの態様では、IgMクラスの抗体の結合は、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgM抗体を使用することによって検出される。他の態様では、IgGクラスの抗体の結合は、検出可能な部分と連結された抗ヒトIgG抗体を使用することによって検出される。いくつかの態様では、検出可能な部分は、発色団、放射性部分、及び酵素からなる群から選択される。いくつかの態様では、検出可能な部分は、アルカリホスファターゼを含む.他の態様では、検出可能な部分は、ビオチンを含む。
【0010】
配列の説明
配列番号1-B.microti Bm8630
MHNSNIFRIGILYTLGLIIINGPIIVSANTPQKVNEQKNDYFYVDGVKYRNPSNEHPACRGNVDLVIIVKWPGGLDKYSWSEKIAEYLPKFVSQLEISENRFRVGLIMSHTYDKDFLVDLNGEHSLDKTKLLEEVEKSVNVSNFVIGTKLEKMLNVAYLMFKKSKRLNTVKMIYLISDGMYISDEEVEKVLNKVRAYPIQVYVQGIGETSKLWLKPHMGCTLDNSYPCPNFMYSKIDEPLEPKDAYTRMCLGMPQNAVCFIQYGEFNSCKLPCSPYSVKSALATSYTTLRGPTFGYVGFKPGVDCKMQAHFKDMKFKKCTLKDCMTDEEYAEYLNNKKKNNRIDIKNAVTPIMDKDKGSKSTIDEKSPTGEETDTSDKSQTETGETVEEIDETITDGTEETDTSDKSQTETGETVEEIDETITDGTEETDTSDKSQTETGETVEEIDETITDGTEETDTSDKSQAETGKTVETTTNNTSDTINTSGGTDKSQAETGKTVETTTNNTSDTINTSGGTDKSQTETGKTVETTTNNTSDTINTSGGTDKSQAETGKTVETTTNNTSDTINTSGGTDKIGPNHPINNNTFKTPIHKVDHKSPENVEESKEKHEANKHADSTKDTNGENKGNESKNKFLSTANKVKNALFYTANTRKLVSDKPETIESNVSVKSTNHSNKNVAGDNNSNPKHNNADEVIKINNGHSEAHTDDFESSNDVHTMSIGNQNVKIAGGVVGGVVIFGLVALAFANKRKQSTGYGYTGLVYGDEDDEIKYDENPEEFTVTGIDDALWGEK。
【0011】
配列番号2-B.microti Bm5294
MMKFLHITVITFLYLLNVYLISGHNILGNIPDKKTFREEQDVLKSALEDGMVILFESEFISRARPASDNSATNDNLSSEEHSNDNNLEKIDDKKRNELRKDAKVMSEVILKRREGELSTIPKKDGTLHIMWKLIFYILYSRSGKWLFNNPSDMNLKDAKP
GHHKVLKSTPAHIDNNIPLPEQQIYSISNIPEVLPEKNGKTPILLFGMEAFVIFHLINQAMLEIVNSSDPIEEKVLFSEQWVHFVKHHFFIFFPYNAITSKRCVRLLSDNTLESEMELLDVCKSLAEKSEKSDLLETFIMIDPENNGDLLEKCINEKHIIPSYMKLNHEKLSHLHLKHNLAMELSDFISTYGMIMTNAEQEIFKDNNILNSKFWGAKCTKDEAIKAENEIIKLFSNIQKDLNGVITKTFQKLLDLLEKNGGNIKSGPAKSLIKAENNEFQAAKKECESNNELKKNIEEAKTQFLKYAADGSSGGEELVKELANNELSEWKFNVSAHILDTMNKTCEEDSAFCLSAIKHCRKSLEGLESDTEQYKIIEKLHRALSAALLKSGKLNEKDYIEELSGYIKHDQNELSTDKPQQSSMLQIRMARIRRHKI。
【0012】
配列番号3-B.microti Bm4855
MTVTTIALTVSIVSYIHGSPSNGLYESNLFYTEGYGKYLTSPTKIKTIEFGGYKFEFDDDTLPVTSITKIDVITYDDKPILFEFISDKDRPYRRFYYYTLDSKTNKLYNYVTAETGYNVEDSSGLKYYTELSKSGINDVLQDLDKNIDESNIEHLKTSYVTKGLNIAIEVYSNRVVEQIKSIKVVTPVELFDYKTEVPIESVDHESRDNSLAEVEEDGKAVQVGTQPVYEVNDGAHNPSAQVLSQNNIIETLDDKSKVTHLRNAGSEKIRV。
【0013】
配列番号4-B.microti Bm0985
MINLIIFLPTVLSYVSIVYASESDLGGLLSVHQVTNAENLYELGIKQLDSSIKLLEDAKFTGNRILRDYEQTVQYVAAHIGPSGSFIKFSPVIKRLISQINTLTHGLNDALSHVDPFLSKLMNEKSQLVANKNVISQGAEENISKLSTQSARNLLISIKKSLQTLELGELNSRKLNTIAEKIGTDVRHAIKSTNSTLNILLGYRVTFTLVIDSENILSDSEKFKINIFSHSKLCHGTTNEVVNLQHKAKMLFQKSLSEGLLHEDINMGKNYIIRIDSYAHESNKLASEMNAKNYAMASSVRFIRKDIDKLKRILDDYKNSPHSAYKRMDVIHVEIDKIYESIGTALKWANAAVKSNFSILTATRETYQALENLLKISKKSHSIRSTYTTQLDADSNSGPFYASTTAIGDKHDPDDLYGLKHSGYNTSNNDSSSRYSYYVKKFGGHGSRSNHSTSESGEDDCLNDKCCKNCEKSKPWYKRFGLGSVISGIQNMFGASYQQDHSDDDHYPKFPHSPYIIPTAPPIDLVPNDIHTNTRSNIIKNGVTEKVIPMSSPNSAQSDHEKKEPTSDDNKNDPVDTNSTKIEDVAETKSSIETETVSNDLENKAAETEESIDTEPYESESVGTKSSTGIDNDTTVDQNSGNGHNAIKTTNNPHIQSVNPDFQPENPNNPHVNHYGSFEIQANIFGNQGNLENIQRLQQDPKINELIIKGKEFFELFNAVKMKLMRGSSYLNSKMVSIMLAKIFQGSLSNLCYNFNQNRYYYDTQAYNSALSN。
【0014】
配列番号5-B.microti Bm1510
MFNFLEISRVFTTLTILSCIFSYVSASSPSYCDAPSGFTVINVTSLLDGTPLPIGITLETDKSGYNYFTVDRTLPQYKKVGFCLNGYLDTFDTPKVQTILHKKFEDSVYVSYIDKFVTNVDGNAPICTLTHAYSLYGGDITSALPPFTVRKISDGFLSRLNERKQLSSICSTACGGLVDVVGGNYPKGSDIVPHSESVDKVKFSDVLVKSLTLKCGDHTFYNFDRDQFAYMYLFEHDGAK
YAALSRLTPTMIEVAVMCKYGNGVEEKLLYDNDSEFQQAVLKLVPINIFIENTSSMPHGASMTKLDENIDEIAINRFVLRYPYVLLPGLAVDIGKGNADTIWIVKPSEEDSEVKYFVVFG.
【0015】
配列番号6-B.microti Bm0320
MKLFYVWVSLAFLGSTIVTGRPANSNDYLTTSSSDSDSSESESELDGLSDLEDASDAEFDDIYNVEDLTSNVDGNLAKFGHFDGKDTKNEDTSASLDLNKWNNSSRKKSGNKVKFSSNKSKSTTKKKRKKTYSTNENGNKLKFEDKKHVEHKKLSSKKKLKQQQLNEQHGIKPINASNDTDMKHGLKSGKSSSKHGIKAHTFDSQTHIITNQIGTDQIQLRDSEIENKVYKKLVAELNKTPDLDIAGISESIRYLGSGYDIIFGNPIGDPLMMVDPGYRNPIIQLEWDKHSTFAHNNSLPQPVDGWVRPEISCKQAEKVDHVNTLEDYKKELSVDAVASSDFLNFFAFSASGGYKNFAKLVTQEKTRSFILKTYCLRYIAGLEVSTNLKLTPAFKNAVDKLPVIFDGFEEYSSCPIEKYKANESDTDCESNVRPWMDFFKEFGTHFTSVVHLGGKMTYQVQMKQSDINKLQEQGVNVDAAIKATCGFGMPNISGKISTKGESTSISKMSDYKVEKMIMVIGGEPPKDLNDSSNLNNWAKSVAKSPMPIKSELIPIRELFDLHELQQSYNQAIKYYSEVYGISQNDMYEIKGKIKGIPEIIKEAQQVTYDGPAPGRVVCPIGTTILFGFSMTITKKKKALDFLKNTSYNVNIVPCVVGNEKCSGTAQSDSIVKIWALCSPHPAPLLVQVSSHKNNGPATVECPKGFVIGMGFGITFPKGLPIMPQDIYPCRNGQTSCTKIPDKDGSTTVWAVCFESGAIEVDNLTNNAKAGSSASCEAHDHITSGLVNTCPDDYEVLCGFSMALTRKNSHTDDHFKACRGGKSCAIDKHKRHDNECIAYASWNVCSLVVPGHKDTVHPARANVTLDRTKTANGIEPIGKN。
【0016】
配列番号7-B.microti Bm9435
MSLWYAVILALGYINSECKNVNRSIRSKVYNNHSNDMPINPVKVQHQKHNPWRTKFMKFDSDNEEEGNENDHDEDNVEEGEEVLDSEKSKTSSHIVNPTGTSKDDNTIENDNEYKPRVCGQGKRGILIYQQQDYGIAIMGLIDKGTLKLYAGNIILKEISLWNIISPIEMANNKCFSIRQPTQLPTILCAGGIDSRNRWVNALESSRLCLITKVKYYLPISIDKDFVEPEDPPPSGINVFIAESQFGKPEIVINGKTLEQIKNDEMESISTSDEYGTTLWNGELQKPDFQEDEFNGDESMESLAEAEMKKDIAPEFGHARMF。
【0017】
配列番号8-B.microti Bm2975
MKGIGPLSTIYVLSAIIGVSIGVRVGVMQHNKKPKVVNAVHNVYASLIDTNSSNSVTPTASTQKNTTENTNTTTPDPNVNSTDTKEKDNNATEIDDKSINPKCIGEIIKPFSIESKTFTIHGGGAGVENSGKWISNASDIDTNLETFLTIKFEMNSQIYSYINDLGQNMTATINLKMSPDLKDFGYSCPKNTVSVVDGEFSNVETLLTEKLKFFSGVFNKETNRVDIDITKLIRDKFLGVGDSGENVLNLAVKSGNKCIYRIHFKENPPTIKIIPKNTTYIQTDKWTACSKECKKEGAYQCAPIKCIEGNEKCDTTKMFSKRECVDVEDCVNVEEHINTKNSIGGWDLNLSNIFLKSPLY
IGLCVALVILLAIAGIVVFQKMKGQKYVQITDEEIVGSVFTGGCI。
【0018】
配列番号9-B.microti Bm3280
MVNLSIPGLLLLSAYSLNSASAGDVYEISSGNPPDIEPTSTSLETNVVTNYIPEPNADSESVHVEIQEHDNINPQDACDSEPLEQMDSDTRVLPESLDEGVPHQFSRLGHHSDMASDINDEEPSFKIGENDIIQPPWEDTAPYHSIDDEELDNLMRLTAQETSDDHEEGNGKLNTNKSEKTERKSHDTQTPQEIYEELDNLLRLTAQEIYEERKEGHGKPNTNKSEKAERKSHDTQTTQEICEECEEGHDKINKNKSGNAGIKSYDTQTPQETSDAHEEGHDEINTNKSEKAERKSHDTQTTQEICEECEEGHDKINKNKSGNAGIKSYDTQTPQETSDAHEEEHGNLNKNKSGKAGIKSHNTQTPLKKKDFCKEGCHGCNNKPEDNERDPSSPDDDGGCECGMTNHFVFDYKTTLLLKSLKTETSTHYYIAMAAIFTISLFPCMFKAFRAIISHKLRKNGSNAKLALSMFLSFIFSLIILTLDYGLMLLAMTFNVGYFFAIIIGSSLSYTMFGLLFDSPCDCGGKKAILSDCCG。
【0019】
配列番号10-B.microti Bm3430
MGYLSLNIIVTSLVTLVANVSAVLPDILSQNNTFKSFLEVNNVDQEDLICNKALCKSTDSINRNTSSYCYKYKLCSKCSVSNVPDHPVCYLLDNDHNYIHLMEGHLGSQブタSANSHDNSSHDEHSSHSNNGDMMDEHEEENFLQEYESKSMKFIPTSNMSDFDHARRSCAVDSKGNVMISVRLIIQWYMSKDKSNNQQHHGNDDDSQNYDANYLQLTPMYSDDSVNSSMLEMDHDDSESSNSHKSRMANMAKNFQVLKNIHKSAVKRYKSPKAKIYLIFSNPKINSCRHPVIYNGKISPSSMFVAKLESTISQIDLTQDLIKSSIETIVSCEACDKLKYNSCIQVTCAKNTPGAASLAMGSAVYVPMTNTTIGVNAHNPNAVVAAGIPMGKIPVIPHPAAISGGNVGHLNNGLHKAVNNAVMMPNGTSLPVQSGVVIKSLYNCLAFLLTILYLNF
【0020】
配列番号11-B.microti Bm0690
MEVERILFKSTIFLMFIRYTNAILFDTYLQVVSENDCNPKCLQGHTCILNRKTNKKSCTCPPNHYYDENFGCQMVITCPLCRHANPWGTTHTVPNTALPGQHKSGYQYSICKDGHTKDEMRTFCRRYNACERGAKICPEHSTCIIDNKGHAVCNLDNGYRWHDNTKKGAVRIEYCGGHNKNKCIPPATCQEVNNANSNTLTVCSCPSEMYLTRNKRQCSKQQQFSDNKVYSISVKNRTEKFPENFKVFLDGCFDVQLDGKEGVVIYKSSDTVSSIKSIVNIPTDLKSIHFEMKFKTLNIFVENGNDMHPIFSIKFDHSDCKFIESIEGLEIGDDILRTESNMRDLHPTL。
【0021】
配列番号12-B.microti BMGP112
MVSFKPTIITAFAAFLAFGNISPVLSAGGSGGNGGNGGGHQEQNNANDSSNPTGAGGQPNNESKKKAVKLDLDLMKETKNVCTTVNTKLVGKAKSKLNKLEGESHKEYVAEKTKEIDEKNKKFNENLVKIEKRKKIKVPADTGAEVDAVDDGVAGALSDLSSDISAIKTLTDDVSEKVSENLKDDEASATEHTDIKEKAT
LLQESCNGIGTILDKLAEYLNNDTTQNIKKEFDERKKNLTSLKTKVENKDEDYVTHFRDMATEAQNAVGEVKKAIDAVVAHRKAENLDVDDTLFSNLSTLLDTIIETSRAYLPGVAFALLSSVAMFLF。
【0022】
配列番号13-B.microti BMIPA48
MRGMFSNKWMSFVCFSILFVALKSDLEYVSALKLLRAPPQTSLFLEKLIDDGSDIPKDPIDTDKEESQSSLFKFNLNLFNKKSIWEADEKFVITLAKSRLNVILAQKLDKFLAKTCKIYTVDSEHSACINDIKIYAQKCIESNDLNSCYVIPIQPIAKLPTSRLYGLVPHVLNFSILIFTNLRSNLDRYYIDGSKDWFSHIFMRLKRFFGIRNKHSYFSDNRLMNKIFSRTSTTFGPDRSDSLLSNYIKFGAIEYAILLNTRSNLVKMILSSFAHIKFVRKRLYKFYTNKWKSIEGLVTRGHLKPVDLSNNPISDNIFKYFGKFSNNTNLSNAIAGAFLDHYKSLFSNSTDVNGEGSSGEGPSGEGFNGEGSSGEGPSGEGFNGEGFDGEGPSGEGPSGEGFNGEGFNGEGLNGEGPSGEGPSGEGLNEWNGLMNGTA。
【0023】
配列番号14-B.duncani BdGPI6
MARFFSYKKLIAFAIVALASLKEVSFLGGCPYALAVATTTTTGTNGAATGTNGAATGTNGAGANDTSKNTSDPNTPATPPSSPESNKDNAAGGSDGQKPTGQDPQKPNAGNGFAATSVIGAATIGLLTLAFN。
【0024】
配列番号15-B.duncani BdGPI8
MNLKWLLGLALIGSKYALGGDPNDSEVDSGKERGPGKRMTFDELLDELKTAEASVLGIKAEINGGLNRLRYRIGNLDAITKSDYDEISDAIRDIITKRTEFAKAVNKRVQLEAIANKFSERTSMGNLEDIQFSTFWVKLEAITRVPDFQLKEDFVKMKDEIIDVKEKFIEKLKKAREATAEVIPETIVEDQEMKSDLHEEIKSHGDDDIFNDKSDKKQNSGFAATSSSLILLAMATIGYSLF。
【0025】
配列番号16-B.duncani BdGPI17
MDVFSILLVFSAFYVNAIAADDVKTFLFKKDVESTVEIDANDDAVLVCPIASVLIIKKARWLPVTGGDMRVKDGFSRTTRIGWLCNGLENCAFRPVAHLSKIGDRYEFLGQPIETDIYKLTVTATCGNFMFKRPGRREMLCIPTSAKPDIVLGCKDNEAIELSYVRVGGKSKHQWRHRDYCAESIIKTAHPLCTGKKTCKIAHDVFLKNAKECIPREFNVEYYCAAPHKNSFYDPLDAVVVDGVSVATKYVLTAEDGARASAKTNAYQVLQVDSALWESDGATERRDRLELVKFLCDGRAECVFSPTRSIIGPDERKCNDVVFGGMVKDTMSHFMLRAHFSLVPFDPKKYDEKEYHHVTIKSTEKKTLECPVNMSLTFYVALWGGKITDTSPLKGPKHFVEVDINGEKHRYSEIINIVGTQCFGKSKCEIEPLKLKPPRHEKDLKEFPTHEGVKKDDHQLELYYKCIDLQTLPSLVESLISDGPRYPREFITPIQLSPDMRIVVMLDIYGPTVLEVANALKLEIPVARTNEIKISWKDAKISQGIRLVKDTRNYVFEFVIGAEDYIHMTVNSFDNDGSPMSIPVEFEASKRILDFSRGIEDFVVATGEITNFRAFIKS。
【0026】
配列番号17-B.duncani BdHSP-70-1
MAATAIGIDLGTTYSCVAVYKDNNVEIIPNDQGNRTTPSYVAFTDTERLVGDAAKNQEARNPENTVFDVKRLIGRRFDDPTVQSDMKHWPFKVNAGAGCKPTIEVTFEGQKKTFHPEEISSMVLIKMKEIAEAYLGRPVTDAVITVPAYFNDSQRQATKDAGTIAGLNVMRIINEPTAAAIAYGLDKKGSTEKNILIFDLGGGTFDVSILTIEDGIFEVKATTGDTHLGGEDFDNVLVEHCVRDFMRMNGGKNLATNKRALRRLRTHCERAKRVLSSSTQATIELDSLFEGIDYNTTISRARFEEMCNEKFRSTLIPVEKALRDADMDKRKINEVVLVGGSTRIPKIQQLIKDFFNGKEPSRSINPDEAVAYGAAVQAAVLSGNQSEKIQELLLLDVAPLSLGLETAGGVMTVLIKRNTTIPTKKTQIFTTNEDRQEGVLIQVFEGERAMTKDNNLLGKFHLSGIAPAPRGVPQIEVTFDIDANGILNVTAMDKSTGKSEQVTITNDKGRLSQTDIDRMVAEAEKFKEEDERRKCCIESKHKLENYLYSMRSTLNEDAVKQKLSTEELQNGLNTVEEAIKWVENNQLANQDEFEDKLKEVEKACAPLTAKMYQAAGGAGAGGMPGNFGGAAAPPSGGPTVEEVD。
【0027】
配列番号18-B.duncani BdHSP-70-2
MQMFNRFLKASVALLAVASFGIQYIFAKGSNSGKIEGPIIGIDLGTTYSCVGIYKNGRVEIIANEMGNRITPSYVSFVEGTQKVGEAAKSEATINTESTVFDVKRLIGRKFTDRDVQEDMKLLPYKIINKSTRPYISLHDGKEQRTFAPEEISAMVLKKMKQVAESYLGKEVKKAIITVPAYFNDSQRQSTKDAGAIAGLDVVRIINEPTAAAIAYGLDKANAESNILVYDLGGGTFDVSVLTLDSGVFEVIATGGDTHLGGEDFDRRVMDHFIDIFKKKHKVNIRDNKQSLQKLRKEVEAAKRTLSSTTEVLVEVENLINGIDFSEKLTRAKFESLNAELFEKTLATVKKVVEDADIPIRDINQVVLVGGSTRIPRIREMIKEYFGKEPDYGINPDEAVAFGAAMQGGILSGESSDNLLLLDVCPLSLGIETLGEVMSVIIPRNTMIPAHKSQVFSTSVDNQPMVTIKVYQGERKLTKDNVILGKFDLSGIPPAPRGVPQIEVTFDIDTNGILSVSAEEKGSGNKHNIVITPDKGRLSPEEIERMIKDAEMNAEKDKEVFNRVQARQALEGYIDSMTKTINDDKTGKKLEDDEKEKIRDALDEGTKWLASNPEVGADEISAKQHEIEAICNPIISKLYGSGEDSDDSGYSDEL。
【0028】
配列番号19-B.duncani BdHSP-70-3
MADRFTGRNNREAVVAYPGWFSETQKQCLRACVTASGLSCLRVISHVHAMAMDYGVYRVKQLNDETPTRVALVMIGHCHASAAIVDFYASHCSILSQVSRRNLGGRNLDMMLMKYMATEFSKKYHCDPLENNKTRLKVEAVAVKTRRVLSANAESSYSAECLMEDNDMSGHITRTQFEEMCNAEFIPQLIEMLKECIEASRTDLDSIFSVEIAGGSSRIPCIQQAISSIFNKVPSRTLNADECIARGCVLEAAIKSNHYRVREYKTRLTLPRSLTLGYFNGQEPMLLEAIAAGTPLGDPIRVTLQAQAPVCVRVALGDALDPRSQDALGTLDIARHISQEAQPAPVTTNDGAAIQTDEQDAEIQSESSPSGGISVTLGFDDCGQFVASPECCEYRWLPAT
ILDIARLEAAELEARGRDLKENSRLQALNDFETLLYTVRDKMQSSHRDFIDPQMIPAYESELDHWREWLYENSGASQETLQEGIDKVSSEWKRIDKYFKEHQNKLENLEPFLQRLQERYNFCCEDNNPNWHGATPEERLNFAQELMDLDSRVRQMHQDESQRPRHMEPLFTMQQIQGEMQKLLVSISEFCQAKAAKAPAQEPPEQQPKEQQE。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、さまざまなBabesia属の種による感染から生じるバベシア症を診断及び治療するための新規の組成物及び方法を提供する。検査限界の影響を評価すると共に、Babesia属の種への曝露を同定するために、最近開発された改良型のウエスタンブロット手順を用いた。この手順はライン免疫ブロット(本明細書では「免疫ブロット」または「IB」とも称される)と呼ばれており、Babesia感染の血清学的診断に、複数のBabesia属の種に由来する組換え抗原を使用するものである。本明細書の他の箇所でより詳細に論じられるように、バベシア症の疑いのある患者に対して検査を実施した。陽性免疫ブロットは、B.microti及びB.duncaniについて、種レベルでさらに特徴付けられた。
【0030】
本開示の態様は、バベシア症を有することが疑われる対象に由来する生物学的試料中のBabesia抗体を迅速、容易、かつ正確に検出するための組成物及び方法を提供し、それによってそのような検査に対するニーズを満たす。複数のBabesia属の種がバベシア症の病原性潜在力を有することから、Babesia属の種の検査は包括的であるべきであり、すなわち、検査は、Babesia属由来の複数の種に対する抗体を同時に検出できるべきである。本開示は、さまざまなBabesia属の種に特異的な抗原性アミノ酸配列を提供する。本開示のアミノ酸配列は、示される種に対して高い特異性及び/または感度を有する抗原性ペプチドをコードする。Babesia属の種の境界にまたがって交差反応性を示す抗原性ペプチドを含めることもまた、血清学ベースまたは他の免疫学ベースの包括的アッセイを開発する上で重要であり、目的は感染を検出することであり、感染の原因である特定の種を同定することを必ずしも必要としない。例えば、本開示は免疫アッセイを含み、単一検査スクリーニングの状況下で複数のBabesia属の種を検出可能である。
【0031】
本開示の態様は、Babesia属の1つ以上の種による感染を診断するための新規の組成物及び方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、B.microtiによる感染とB.duncaniによる感染とを迅速、容易、かつ正確に識別するための組成物及び方法を提供する。本開示は、本明細書に記載の抗原性ペプチド(当該技術分野ではペプチド抗原または抗原とも称され得る)をコードする種特異的アミノ酸配列の発見に部分的に基づく。本開示の態様は、B.microti及びB.duncaniを含むBabesia属の種向けの抗原特異的アミノ酸配列を提供する。こうした新規のアミノ酸配列は、バベシア症を有することが疑われる対象に由来する試料中のBabesia属の1つ以上の種による感染を同定するためのアッセイに使用することができ、こうした種には、限定されないが、B.microti、B.duncani、B.MO1、B.divergens、B.venatorum、及びB.crassaを含むBabesia属の種が含まれる。本開示のアミノ酸配列を用いることで、対象試料におけるBabesia感染の同定が、他の現行法と比較して少なくとも同等以上の速度、感度、及び特異性を伴って実施される。本開示のアミノ酸配列は、診断アッセイ及び科学アッセイに使用され得る。適切なアッセイの例としては、限定されないが、免疫ブロット、ライン免疫ブロット、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)などが挙げられる。本開示のアミノ酸配列は、Babesia特異的T細胞の検出(例えば、IgXSPOT検査(IGeneX,Milpitas,CA)を用いるもの)に使用され得る。
【0032】
一態様では、本開示の組成物は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含み、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む。一態様では、本開示の組成物は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含み、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントとの相同性が少なくとも90%、95%、98%、99%、99.5%、または100%であるアミノ酸配列を含む。本明細書で使用される非バリアントは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、または配列番号19との配列相同性が100%であるアミノ酸配列である。対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持する配列番号1~19のアミノ酸配列のバリアントは、保存領域中または非保存領域中に保存的アミノ酸置換を有し得る。「バリアント」という表現は、対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持する、特定のアミノ酸配列(例えば、配列番号1~19)の任意の改変(複数可)を包含する。そのような改変には、挿入及び欠失(内部が対象のもの、あるいはN末端もしくはC末端または両方が対象のもの)が含まれ得る。当業者なら、所定の実験を行うだけで、アライメント比較によって同定される非保存領域または非保存アミノ酸位置でさえ、そこに保存的アミノ酸置換を有する抗原性ペプチドを設計及び生成できるであろう。本明細書で使用される「免疫学的結合プロファイル」という用語は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列が、生物学的試料中に存在する抗体による結合を受ける能力を指す。免疫学的結合プロファイルの例としては、限定されないが、
図2~4が挙げられる。
【0033】
相同性が100%未満である配列は、本明細書で提供されるアミノ酸配列に対する1つ以上の置換、欠失、挿入、または他の改変によって改変されたものであり得る。改変の例としては、限定されないが、保存的アミノ酸置換が挙げられ、保存的アミノ酸置換が行われると、そのような改変が施される分子のものと同様の機能的特徴を有する分子が生成されることになる。保存的アミノ酸置換は、選択されるポリペプチドまたはタンパク質の活性または三次構造を顕著に変化させることのない置換である。そのような置換は、典型的には、同様の物理化学的特性を有する異なる残基で選択アミノ酸残基を置き換えることを含む。例えば、AspへのGluの置換は、それらの両方が、同様のサイズを有する負荷電アミノ酸であることから、保存的置換と見なされる。物理化学的特性によるアミノ酸の群分けは当業者に知られている。下記の群はそれぞれ、互いに保存的置換となるアミノ酸を含む:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、スレオニン(T);及び8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照のこと)。相同性が100%未満である配列が天然起源または非天然起源のBabesia関連抗体に結合し得るかどうか、
ならびにそうした改変配列に対する抗体の感度及び特異性を当業者なら決定することができる。当業者なら、本明細書の教示を踏まえて、過度な実験を行わずとも、本開示の方法において許容可能な応答または同等の応答を与える本開示の配列番号1~19との相同性が十分な配列を同定できるであろう。
【0034】
ポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを含めて、本開示のアミノ酸配列及びその一部をコードする核酸配列は培養細胞において発現することで、本開示のアミノ酸配列によってコードされる抗原性ペプチドの生物学的(例えば、免疫学的)特性を示す単離可能な量のペプチドを生成させ得る。遺伝コードは冗長であることから、本開示のペプチド配列の生成には複数の核酸配列が適し得る。当業者なら、本開示のアミノ酸配列を生成させるための1つ以上の核酸配列を決定できるであろう。本開示のアミノ酸配列をコードする核酸配列は、当業者に知られる任意の適切な標識によって標識され得る。
【0035】
これに関して、本開示のアミノ酸配列の生成に適した核酸配列は、天然起源の配列と実質的に相同的であり得る。本明細書で使用される核酸配列の実質的な相同性は、(a)天然起源の配列との相同性が65%超、75%超、85%超、95%超、98%超、もしくは99%超であること、または(b)温度及び塩濃度の厳密な条件の下で比較対象の配列もしくはその相補鎖と相同的核酸配列がハイブリダイゼーションすること、を意味する。こうした厳密な条件では、温度は、一般に、約22℃超であり、通常は、約30℃超であり、より通常は、約45℃超であり、塩濃度は、一般に、約1M未満であり、通常は、約500mM未満であり、好ましくは、約200mM未満である。温度及び塩濃度の組み合わせは、温度単独または塩濃度単独のいずれかと比較して、厳密性を規定する上で重要である。厳密性に影響を与える他の条件には、比較対象の配列のGC含量、配列の相補性の程度、及びハイブリダイゼーションに関与する配列の長さ、ならびにハイブリダイゼーション混合物に使用される緩衝液(複数可)の組成が含まれる。厳密性に影響を与えるこれらの要因及び他の要因については、科学文献及び特許文献においてよく説明されている。当業者なら、本開示の抗原性ペプチドをコードする核酸配列の相同性の決定に適した条件を決定できるであろう。
【0036】
相同的核酸配列は、核酸配列中のヌクレオチド置換の性質に基づいて決定され得る。例えば、同義ヌクレオチド置換、すなわち、コードされるアミノ酸配列を変化させない核酸配列中のヌクレオチド変化は、より許容されることになり、それ故に、非同義ヌクレオチド置換と比較して特定の核酸配列中に多く存在し得る。当業者なら、過度な実験を行わずとも、コードされる抗原性ペプチドの抗原性に有害な影響を与えることなく、本開示のアミノ酸配列をコードする核酸配列において許容され得る置換の適切な数及び位置を決定できるであろう。
【0037】
別の態様では、本開示の組成物は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含み、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに/または対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントからなる。いくつかの態様では、組成物は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含み、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列からなる。本明細書で使用される「からなる(
consist of)」または「からなる(consisting of)」は、アミノ酸配列に言及してクレーム移行句として使用される場合、アミノ酸配列が、特定のアミノ酸配列(すなわち、配列番号1~19)に対して100%の相同性を有することを指す。本開示に関して、「標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、~からなる(wherein the labelled and/or
tagged and/or bound amino acid sequences consist of)」という語句は、組成物が、記載の配列のうちの1つ以上と、例えば、緩衝剤、標識などと、を有することを包含する。換言すれば、配列は所与の配列(複数可)に限定されるが、組成物は限定されない。この定義は、「を含む組成物(composition comprising)」の要素として、記載の配列と天然に連続するアミノ酸を標識またはタグ(質量分光光度法での検出のためのオリゴヌクレオチド質量タグ(OMT)など)として使用することを明確に除外する。
【0038】
標識及びタグ
本開示の1つ以上のアミノ酸配列は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したものであり得る。本開示の文脈では、「標識された」または「タグが付加された」アミノ酸配列は、検出可能な部分に付加されたアミノ酸配列である。本明細書で使用される「標識」または「タグ」は、本開示のアミノ酸配列に付加され得る検出可能な部分である。標識またはタグは、本開示のアミノ酸配列に共有結合または非共有結合で付加され得る。そのような「タグ」の例は、限定されないが、天然及び合成(すなわち、非天然起源)の核酸及びアミノ酸配列(例えば、ポリAAAタグ)、抗体(共有結合で結合されるもの)、ならびに検出可能な部分(標識(以下に論じられる)など)である。したがって、「標識された」及び「タグが付加された」という語句の定義は、タグが、場合によっては、標識としても機能し得るという点において重複を有し得る。さらに、本開示との使用に有用なタグは標識と連結され得る。
【0039】
本開示のアミノ酸配列、または本開示のアミノ酸配列に付加される任意のタグは、当業者に知られる任意の適切な標識で標識され得る。そのような標識には、限定されないが、(標識された)ビオチン/ストレプトアビジン、複合体化用酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ、及びβ-ガラクトシダーゼ)、蛍光部分(例えば、FITC、フルオレセイン、ローダミンなど)、生物学的フルオロフォア(例えば、緑色蛍光タンパク質、R-フィコエリトリン)または他の発光タンパク質などが含まれ得る。当業者に知られる任意の適切な標識が本開示と共に使用され得る。
【0040】
さらに、いくつかの態様では、本開示のアミノ酸配列は、「結合したもの」であり得る。「結合した」アミノ酸配列は、生物学的検査(例えば、免疫アッセイなど)におけるアミノ酸配列の使用を可能にするために固定化されているアミノ酸配列である。本開示の文脈では、「結合した」アミノ酸配列は、非天然の表面または物質(すなわち、固相担体)に直接的または間接的に付加されたアミノ酸配列(例えば、共有結合または非共有結合で結合したものなど)である。さらに、本開示の「結合した」アミノ酸配列は、天然の表面または物質(すなわち、固相担体)に直接的または間接的に付加されたものであり得、これらの天然の表面または物質はいずれも、当該アミノ酸配列と天然には結び付かないものである。本開示のアミノ酸配列の結合相手になり得る物質の例は、限定されないが、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、プラスチック、金属、磁気ビーズ、及びアガロース(例えば、ビーズ)である。表面または物質への本開示のアミノ酸配列の結合の支援または増強には、当業者に知られる連結剤が使用され得る。
【0041】
アミノ酸配列の生成
いくつかの態様では、本開示のアミノ酸配列は、天然に生じ、天然源から単離されたも
のであり得る。さらに、いくつかの態様では、本開示のアミノ酸配列は、非天然の合成配列(組換え技術によって生成される配列、またはタンパク質合成装置によって合成される配列など)であり得る。したがって、本開示のアミノ酸配列は、単離されたものであり得るか、または組換え技術によって生成されたものであり得、こうしたことは、文献中で説明及び実現されており、一般にマニュアル(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,Second Edition,F.M.Ausubel,Ed.,all John Wiley & Sons,N.Y.,edition as of 2008、及びSambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,2001など)への参照がなされることであり、当業者によく知られていることでもある。一態様では、本開示のアミノ酸配列は、E.coliにおいて組換えで調製される。
【0042】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、機能可能なように連結されている別の核酸を異なる遺伝的環境間で輸送することが可能な核酸分子を指す。本開示のアミノ酸配列(例えば、配列番号1~19)をコードする核酸配列、または対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントをコードする核酸配列を含むことに加えて、本開示のベクターは異種核酸配列も含む。本明細書で使用される異種は、マーカッシュ群配列の由来元である生物に天然には生じない核酸配列を指す。「ベクター」という用語は、核酸分子を輸送することが可能なウイルスまたは生物も指し得る。ベクターの型の1つはプラスミドであり、プラスミドは、染色体DNAとは物理的に別であり、かつ染色体DNAとは独立して自己複製し得る小さな環状二本鎖染色体外DNA分子である。いくつかの有用なベクターは、それと連結される核酸の自己複製及び/または発現を可能にするものである。機能可能なように連結される相手である核酸の発現を導くことが可能なベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。他の有用なベクターには、限定されないが、細菌プラスミド及び細菌人工染色体(BAC)、コスミド、ならびにウイルス(レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びファージなど)が含まれる。
【0043】
本開示の方法に有用なベクターは追加の配列を含み得、こうした追加の配列には、限定されないが、1つ以上のシグナル配列及び/もしくはプロモーター配列、またはそれらの組み合わせが含まれる。本開示の方法及びベクターに使用され得るプロモーターには、限定されないが、細胞特異的プロモーターまたは汎用プロモーターが含まれる。本開示のベクターに使用され得るプロモーターの例は、限定されないが、遍在性プロモーター(限定されないが、CMVプロモーター、CAGプロモーター、CBAプロモーター、及びEF1aプロモーターなど)である。適切なプロモーターを選択及び使用するための方法については、当該技術分野でよく知られている。
【0044】
本開示の方法に有用なベクターは、細胞における本開示の配列を含む融合タンパク質の発現に使用され得る。発現ベクターならびにその調製方法及び使用方法については、当該技術分野でよく知られている。本開示のいくつかの態様では、発現ベクターの核酸配列は、本開示のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードする。ポリペプチド配列を含む融合タンパク質の調製及び利用の仕方については、当該技術分野でよく知られている。いくつかの態様では、本開示のアミノ酸配列を含む融合タンパク質は、融合タンパク質の精製または本開示の方法に使用され得るエピトープタグも含み得る。エピトープタグの例は、限定されないが、FLAGタグ、蛍光タグ(限定されないが、緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む)、GSTタグ、ヘマグルチニン(HA)、ポリ-ヒスチジン(ポリ-His)タグ、Mycタグ、MBPタグ、またはV5タグである。いくつかの態様では、本開示のアミノ酸配列を含む融合タンパク質は、検出可能な標識も含み得、このことは、本明細
書の他の箇所に記載される。
【0045】
アッセイ及び検出方法
本開示のアミノ酸配列は、Babesia属の種による感染後に産生される抗体に特異的に結合する。当該アミノ酸配列に対する特異性、すなわち、抗体特異性は、いくつかの抗原決定基と抗体が選択的に反応し、他とは反応しないことを可能にする抗体の特性である。特異性は、結合部位における化学的組成、物理的力、及び分子構造に依存する。感度は、どれほど強く抗体が抗原決定基に結合するかである。当業者なら、標準的な親和性アッセイ(免疫ブロット、オクタロニーアッセイ、力価アッセイなど)を使用して特定のアミノ酸配列に対する抗体の特異性及び感度を容易に決定できるであろう。
【0046】
別の態様では、本開示は、バベシア症を有することが疑われる対象に由来する試料中のBabesia抗体を迅速かつ正確に検出する方法を提供する。バベシア症を有することが疑われる対象に由来する試料中のBabesia抗体を検出するための本開示の方法は、例えば、バベシア症を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料(限定されないが、血液、唾液を含む)を提供することと、生物学的試料を、本開示の標識された及び/または結合したアミノ酸配列のうちの1つ以上と混合することと、試料中の1つ以上のBabesia属の種に対する抗体の存在を示す陽性免疫結合反応を検出することと、を含み得る。抗体は、例えば、免疫ブロット、Elispot、ELISA、ウエスタンブロット、ラテラルフローアッセイ、または当業者に知られる任意の他の適切な免疫アッセイによって検出され得る。こうした手法は当業者に知られており、一般的な技術参考資料において手順を見つけることができる。類似しているものの、こうした手法はそれぞれ、その有利な点及び不利な点を有する。他の適切な手法も当業者が知り得るものであり、本明細書に組み込まれる。
【0047】
検査限界の影響を評価すると共に、Babesia属の種への曝露のレベルを決定するために、改良型のウエスタンブロット手順(ライン免疫ブロット)を開発し、本明細書に記載の開示の態様において用いた。ライン免疫ブロットでは、バベシア症が疑われる患者に由来する血清におけるBabesia感染を血清学的に同定及び診断するために複数のBabesia属の種に由来する組換え抗原が使用される。複数のBabesia属の種による感染は起こり得るものであり、時折認められ得る。
【0048】
ウエスタンブロットは、電気泳動によってタンパク質を分離した後、ニトロセルロースまたは他の固相媒体(例えば、ポリフッ化ビニリデン(すなわち、PVDF)膜及びナイロン膜)に転写することを含み得、以下により詳細に記載される。免疫ブロットもまた、手動または機械でタンパク質を固相媒体に供すことを含み得る。好ましくは、タンパク質またはポリペプチドは一直線にまたはスポットとして供され、乾燥され、固相担体媒体(例えば、ニトロセルロース)に結合される。免疫ブロットに使用されるタンパク質は、生物学的試料から単離するか、または組換え技術によって生成させることができ、こうしたことは、当業者によく知られている。その後、結合したタンパク質は、そうした標的タンパク質に特異的な抗体を有することが疑われる試料(複数可)に曝露される。この手順を用いることで、既知の抗体を使用して、タンパク質が試料中に存在するかどうかを決定できる(溶解細胞のタンパク質が電気泳動によって分離され、固相媒体に転写される場合など)。ウエスタンブロットでは、サイズによるタンパク質の同定及び特異的な抗体に対する特異性によるタンパク質の同定が可能になる。
【0049】
同様に、免疫ブロットと呼ばれる手順を用いることで、既知のタンパク質を固相媒体に結合でき、結合したタンパク質を試料(感染を有することが疑われる対象に由来する試料など)と接触させることによって試料中の特定の抗体の存在について試料を検査することができる。標的タンパク質に結合する抗体は、通常、一次抗体と称される。二次抗体は、
一次抗体の保存領域に特異的であり(例えば、一次ヒト抗体の検出にはウサギ抗ヒトIgG抗体が使用され得る)、任意の結合一次抗体の検出に使用される。二次抗体は、通常、可視化用の検出可能な部分で標識される。適切な標識の例としては、限定されないが、例えば、発色団(ビオチンなど)、放射性部分、及び酵素(アルカリホスファターゼなど)が挙げられる。抗体を可視化するためのこうした物質及び他の物質の使用については、当業者によく知られている。
【0050】
酵素結合免疫スポット(ELISPOT)法は、Babesia特異的抗原に応答するヒトT細胞をインビトロで検出し得るものである。ELISPOTアッセイでは、96ウェルマイクロタイタープレート中のPVDF膜の表面が捕捉抗体(例えば、抗インターフェロンガンマ(IFNγ)に結合するもの)または他のサイトカイン特異的抗体でコートされる。細胞のインキュベート及び刺激ステップにおいては、患者の全血から単離されたT細胞が前述の配列(複数可)と共にプレートのウェルに播種され、ウェルの膜表面上に実質的に単層を形成する。本開示の配列のうちの1つ以上によっていずれかの抗原特異的細胞が刺激を受けると、そうした抗原特異的細胞が活性化され、IFNγを放出し、このIFNγは、固定化抗体によって膜表面上に直接的に捕捉される。したがって、このIFNγは、培養培地中への拡散の機会を得る前に、またはプロテアーゼによる分解及びバイスタンダー細胞上の受容体による結合を受ける機会を得る前に、分泌細胞の直近の領域に「捕捉」される。その後の検出ステップによって固定化IFNγが免疫スポット(ImmunoSpot)(本質的には活性化細胞の分泌フットプリントである)として可視化される。
【0051】
ELISPOT検査の具体例を挙げると、検査または被検細胞に特異的な精製されたサイトカイン特異的抗体でプレートの各ウェルがコートされる。対象(すなわち、バベシア症を有することが疑われる対象)のT細胞が単離され、各ウェル中で培養され、本開示の配列のうちの1つ以上の組換え抗原で刺激される。Babesia陽性患者細胞は刺激に応じてサイトカインを分泌し、こうして分泌されたサイトカインは、ウェル中にコートされた抗体によって捕捉され、ELISAによってさらに検出される。
【0052】
ELISAアッセイは抗原の検出にも使用される。ELISAアッセイは、タンパク質の混合物(例えば、可溶化液)中の特定のタンパク質を定量化すること、または試料中にペプチドが存在するかどうかを決定することを可能にし得る。同様に、特定の抗原を標的として使用することによって、特定の抗体が存在するかどうかを決定するためにELISAアッセイを使用できる。本開示と共に使用される場合、標的アミノ酸配列(複数可)が表面に付加される。その後、被検試料中に存在する場合、反応性抗体が抗原に結合し得る。酵素と連結された二次抗体が添加され、最終ステップにおいて酵素の基質を含む物質が添加される。その後の反応によって、検出可能なシグナルが生じ、こうしたシグナルは、最も一般には、基質の色変化である。
【0053】
限定されないが、ラテラルフロー検査、ラテラルフローデバイス、ラテラルフロー免疫アッセイ、ラテラルフロー免疫クロマトグラフィーアッセイ、及び迅速検査を含めて、ラテラルフローアッセイはさまざまな他の名称でも称され、混合物(液体試料など)中の1つ以上のアナライト(抗原など)の存在を検出及び/または定量化するための簡単かつ多用途の紙ベースプラットホームである。ラテラルフローアッセイは定性的または定量的であり得る。ラテラルフローアッセイでは、1つ以上の目的アナライトを含む試料が吸着試料パッドに供され、そうしたアナライト(複数可)と相互作用し得る分子が付加されたポリマーテストストリップのさまざまなゾーンを毛細管作用によって通過する。試料はコンジュゲートリリースパッド(目的アナライト(複数可)に特異的に結合する分子を含む)に移動し、蛍光粒子、着色粒子、またはその他の様式で検出可能な粒子に結合する。最終的に、試料(結合アナライト(複数可)を含む)が検出ゾーンに移動する。検出ゾーンの
多孔性膜内には、一直線に固定化された生物学的成分(抗体または抗原など)が含まれており、この生物学的成分が、検出可能な粒子と反応することになる。ラテラルフローアッセイは、典型的には、試料がストリップを通過したことを確認するためのコントロールラインと、目的アナライト(複数可)の存在を検出するための1つ以上のテストラインと、を有する。結果の読み取りは肉眼で行われるか、または結果の読み取り及び解釈が可能な機械で行われ得る。ラテラルフローアッセイは、直接アッセイもしくは「サンドイッチ」アッセイ(テストライン位置に着色ラインが存在することが検査陽性を示す)として設計されるか、または競合アッセイ(着色ラインが存在しないことが検査陽性を示す)として設計され得る。直接アッセイ及び競合アッセイはマルチプレックス化され得る。
【0054】
本開示の方法の態様では、Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料が提供され、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含む本開示の組成物と、エピトープへの特異的抗体結合に適した条件の下で接触され、IgM及び/またはIgGクラスの抗体(生物学的試料中に存在する場合)と組成物中に含まれるアミノ酸配列との特異的結合が検出された場合に、1つ以上のBabesia属の種(Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料中に存在する場合)による感染に陽性の結果が示され、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含み、(i)配列番号1~19のうちの少なくとも2つについて、IgMクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合、または(ii)配列番号1~19のうちの少なくとも2つについて、IgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合に、1つ以上のBabesia属の種による感染に陽性であるとして試料がスコア付けされ、感染の陽性スコアは、対象における1つ以上のBabesia属の種による感染を示す。
【0055】
本開示の方法では、本開示のアミノ酸配列によってコードされるペプチドに結合した一次抗体はいずれも、検出可能な部分に結合した二次抗体として使用される抗ヒト抗体(IgGまたはIgMなど)で検出され得る。本明細書の他の箇所で論じられるように、検出可能な部分は、発色団、放射能部分、及び酵素、または当業者に知られる他の検出可能な部分、からなる群から選択され得る。一態様では、検出可能な部分はアルカリホスファターゼを含む。別の態様では、検出可能な部分は、ビオチンを含む。一態様では、Babesia属は、B.microti、B.duncani、B.MO1、B.divergens、B.venatorum、及びB.crassaから選択される種を含む。
【0056】
本開示の別の態様では、生物学的試料中のB.microti及び/またはB.duncaniによる感染を検出及び識別するための方法が提供される。試料は、バベシア症を有することが疑われる対象に由来し得る。本開示の方法の一態様では、Babesia感染を有することが疑われる対象から得られる生物学的試料が提供され、エピトープへの特異的抗体結合に適した条件の下で本開示の組成物と接触され、IgM及び/またはIgGクラスの抗体(生物学的試料中に存在する場合)と組成物のアミノ酸配列との特異的結合が検出された場合に、B.microtiまたはB.duncaniによる感染に陽性の結果が示され、組成物は、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列を含み、標識された及び/またはタグが付加された及び/または結合したアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19のアミノ酸配列、ならびに対応する非バリアントの免疫学的
結合プロファイルを保持するそれらのバリアントを含む。本開示の方法の一態様では、配列番号1~7、9、11、または13のうちの少なくとも1つ、及び配列番号8、10、または12のうちの少なくとも1つについてIgMまたはIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合、B.microtiによる感染に陽性であるとして試料がスコア付けされ、陽性スコアは、B.microtiによる感染を示す。本開示の方法の別の態様では、配列番号1~7、9、11、13、または16~19のうちの少なくとも1つ、及び配列番号14または15のうちの少なくとも1つについてIgMまたはIgGクラスの抗体との陽性免疫結合反応が検出された場合、B.duncaniによる感染に陽性であるとして試料がスコア付けされ、陽性スコアは、B.duncaniによる感染を示す。アッセイにおいて陽性結果が得られない場合、アミノ酸は、その存在の確認のために標識され得る。
【0057】
対象及び細胞
本明細書で使用される対象は動物(哺乳動物または非哺乳動物など)であり得る。哺乳動物対象の例としては、限定されないが、霊長類(限定されないが、ヒトを含む)、げっ歯類(限定されないが、マウス、ラット、リス、シマリス、プレーリードッグを含む)、ウサギ、シカ、イヌ科動物(限定されないが、イヌ、キツネ、コヨーテ、及びオオカミを含む)、ネコ科動物(限定されないが、イエネコ、ボブキャット、クーガー、及び他のヤマネコを含む)、クマ、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ならびにブタが挙げられる。非哺乳動物対象の例としては、限定されないが、鳥類、両生類、トカゲ、昆虫、及び節足動物が挙げられる。本明細書で使用される細胞は、細菌細胞(限定されないが、E.coliを含む)または動物細胞(哺乳動物もしくは非哺乳動物のいずれかのもの)であり得る。
【実施例】
【0058】
実施例1.患者試料におけるBabesia感染の検出
方法
患者血清試料及びウサギ抗血清
使用した患者血清は、IGeneX(IGeneX,Milpitas,CA)でのダニ媒介性疾患検査のために送付された患者情報紐付け済の患者血清の残りであり、このような使用がなければ廃棄されているものである。B.microti組換えタンパク質及びB.duncani組換えタンパク質に対するウサギ抗血清の産生は、当業者に知られる標準的な方法に従って、B.microti組換えタンパク質及びB.duncani組換えタンパク質を使用して実施した。
【0059】
組換え抗原の調製及び免疫ブロット
Babesiaの検査診断法を提供するために、Babesia属のいくつかの種に由来する組換え抗原を使用して、患者の血清中のBabesia特異的IgM抗体及びIgG抗体を検出するための簡単かつ迅速な免疫ブロット(IB)アッセイを開発した。簡潔に記載すると、Babesia属特異的及び種特異的な抗原をいくつか同定した。選択した遺伝子の一部をpETベクターにクローニングし、Escherichia coliにおいてタンパク質を発現させ、以前の報告[Liu et al.,Healthcare 6,99(2018)]のように金属親和性クロマトグラフィーを実施後にゲルろ過を実施することによってタンパク質を精製することによって、19個すべての同定抗原(配列番号1~19)について組換えタンパク質を調製した。IBに使用したタンパク質はすべて、SDS PAGE後のクーマシーブルー染色による純度が90%超のものであった。以前の報告[Liu et al.,Healthcare 6,99(2018)]のようにBabesia抗原及び対照タンパク質をニトロセルロース膜上に一直線にスプレーして、各3mmのストリップ幅内のラインとして7~19ngのタンパク質を得た。以前の報告[Liu et al.,Healthcare 6,99(2018)]のように、ヒト血清の添加を検出するためのプロテインL(Sigma)と、アルカリ
ホスファターゼ結合型抗ヒト抗体の添加を検出するためのヒトのIgM及びIgGの混合物と、を2つの対照タンパク質とした。その後、5%脱脂粉乳で膜をブロッキングし、スライスして3mm幅のストリップ(IBストリップ)とした。表1は、IBバンド及び対応配列番号を示す。
【表1】
【0060】
免疫ブロット
使用前に、各ストリップを標識し、その後にトラフ中で1mLの希釈液(100mm トリス、0.9% NaCl、0.1% Tween-20、及び1% 脱脂粉乳)に5分間浸した。10μL分量の被検血清及び対照血清をトラフ中の対応IBストリップに添加した。その後、ストリップを血清と共に室温で1時間インキュベートした後、洗浄緩衝液を用いて環境温度で3回洗浄した。最終洗浄溶液を吸引除去した後、IgG検出用ストリップ及びIgM検出用ストリップを、それぞれアルカリホスファターゼ結合型ヤギ抗ヒトIgGの1:10,000希釈液及びアルカリホスファターゼ結合型ヤギ抗ヒトIgMの1:3000希釈液と共に1時間インキュベートした。3回洗浄後、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸ニトロ-ブルーテトラゾリウムまたはBCIP/NBTとの反応によってバンドを可視化した。使用したキャリブレーション対照が、視認可能なバンドを並行して与えた時点で、蒸留水で洗浄することによって反応を停止させた。Babesia IBストリップは、Babesia感染が確認された患者に由来するヒト血清の混合物(陽性対照とした)及び非感染者由来の血清(陰性対照とした)とも並行して反
応させた。
【0061】
IBストリップの読み取り及び結果の解釈
スコア付けにランが許容可能であると見なすには、陽性対照ストリップ上にすべてのバンドが出現し、かつ陰性対照ストリップにはC1対照バンド及びC2対照バンドのみが出現することを必要条件とした。試料ごとにすべてのバンドを記録した。IgMまたはIgGのいずれかによって検出した際に19バンドのうちの少なくとも2つがIB上に存在した場合、試料をBabesia属に陽性と見なした。バンド1~7、9、11、及び13のうちの少なくとも1つ、ならびにバンド8、10、及び12のうちの少なくとも1つがIB(IgMまたはIgGのいずれか)上に存在した場合、試料をB.microti陽性と見なした。バンド1~7、9、11、13、16~19のうちの少なくとも1つ、ならびにバンド14及び15のうちの少なくとも1つがIB(IgMまたはIgGのいずれか)上に存在した場合、試料をB.duncani陽性と見なした。
【0062】
結果及び結論
FISH及び/またはIFAによるBabesia陽性の患者ならびに他のダニ媒介性疾患に陽性の患者に由来する血清試料、ならびにE.coli抗体を用いてBabesia IBストリップでの検査を実施した。こうした結果から、Babesia IBがBabesia感染を属レベルで検出可能であり、単一検査においてB.microti及びB.duncaniへの種分けが可能なものであることが実証された。
図1及び表2に示されるように、Babesia IBブロットでは、他のダニ媒介性感染に対する抗体との交差反応は生じなかった(Babesiaに対する100%の特異性)。
【表2】
【0063】
図2及び3に示されるように、Babesia IBでは、B.microti及びB.duncaniの両方が検出された。バベシア症が疑われる患者に由来する37個の血清試料のセットを検査した。Babesia IBを使用することで、28個の試料がBabesiaに陽性として同定された。表3には結果のまとめが示され、
図4には詳細な結果が示される。
【表3】
【0064】
こうしたデータに基づくと、Babesia IBの感度は82.1%であった。したがって、Babesia感染の一般的な検出(属レベルでの検出)、ならびにB.microtiによる感染とB.duncaniによる感染との識別にBabesia IBを使用することが可能である。
図1及び表2に示されるようにBabesia IBは100%の特異性を有していた。
【0065】
均等物
本明細書では本開示の態様がいくつか説明及び例示されているが、本明細書に記載の機能を実施するための、ならびに/または本明細書に記載の結果及び/もしくは本明細書に記載の利点の1つ以上を得るための、さまざまな他の手段及び/または構造を当業者なら容易に思い付くであろう。そのような変形及び/または改変はそれぞれ、本開示の範囲に含まれるものと見なされる。より一般には、本明細書に記載のパラメーター、寸法、材料、及び構成はすべて、例示を意図するものであり、実際のパラメーター、寸法、材料、及び/または構成は、本開示の教示が使用される特定の用途(複数可)に依存することを当業者なら容易に理解するであろう。当業者なら、所定の実験を行うだけで、本明細書に記載の開示の特定の態様に対する多くの均等物を認識するか、または確かめることができるであろう。したがって、前述の態様は例として示されるものにすぎず、添付の特許請求の範囲及びそれに対する均等物の中で、具体的に説明及び請求されるもの以外の様式で本開示を実施できることが理解されよう。本開示は、本明細書に記載の個々の特徴、系、物品、材料、及び/または方法のそれぞれを対象とする。さらに、そのような特徴、系、物品、材料、及び/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、系、物品、材料、及び/または方法が相互に矛盾しない限り、本開示の範囲に含まれる。
【0066】
本明細書で規定及び使用される定義はすべて、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書中の定義、及び/または定義される用語の通常の意味に優先すると理解されたい。
【0067】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「a」及び「an」という不定冠詞は、異なる定義が明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「及び/または」という語句は、そのように等位接続される要素要素の「一方または両方」を意味し、すなわち、要素が接続的に存在することもあれば、離接的に存在することもあると理解されたい。異なる定義が明確に示されない限り、「及び/または」節によって具体的に特定される要素以外にも、そうした具体的に特定される要素との関連性とは無関係に、他の要素が任意選択で存在し得る。
【0068】
本出願において引用または参照される参考文献、特許、及び特許出願、ならびに刊行物はすべて、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】