(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】リボン状多層ボンドワイヤ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/526 20210101AFI20240416BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/524 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/50 20210101ALN20240416BHJP
【FI】
H01M50/526
H01M50/213
H01M50/505
H01M50/559
H01M50/522
H01M50/524
H01M50/503
H01M50/583
H01M50/209
H01M50/55 201
H01M50/50 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564168
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022072075
(87)【国際公開番号】W WO2022236262
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルピト、ドギーリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ツェルミアス、グレゴリー
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA07
5H040AA19
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040DD03
5H040JJ03
5H040LL01
5H040LL06
5H040LL10
5H040NN01
5H043AA03
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA22
5H043DA03
5H043DA05
5H043FA04
5H043FA26
5H043GA03
5H043HA04F
5H043HA11F
5H043HA17F
5H043JA21F
5H043KA01F
5H043KA07F
5H043KA08F
5H043KA09F
5H043KA22F
5H043LA02F
(57)【要約】
バッテリモジュールが、複数の電気化学セル、ここで前記複数の電気化学セルの各電気化学セルが前記セルの端部に端子を有する;前記複数の電気化学セルを並列接続、直列接続、または並列直列接続のうちの1つで連結するためのバスバー;および前記複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つの前記端子を前記バスバーに接続するリボン状多層ボンドワイヤ、ここで前記リボン状多層ボンドワイヤが第1材料を含んだ第1層および第2材料を含んだ第2層を有し、前記第2材料が前記第1材料と異なり、前記第1層および前記第2層が互いに結合されており、前記第1層が前記端子および前記バスバーに接触している、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気化学セル、ここで前記複数の電気化学セルの各電気化学セルが前記電気化学セルの端部に端子を有する;
前記複数の電気化学セルを並列接続、直列接続、または並列直列接続のうちの1つで連結するためのバスバー;および
前記複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つの前記端子を前記バスバーに接続するリボン状多層ボンドワイヤ、ここで前記リボン状多層ボンドワイヤが第1材料を含んだ第1層および第2材料を含んだ第2層を有し、前記第2材料が前記第1材料と異なり、前記第1層および前記第2層が互いに結合されており、前記第1層が前記端子および前記バスバーに接触している
を備えるバッテリモジュール。
【請求項2】
前記複数の電気化学セルのうちの前記少なくとも1つの前記端部がリムを含み、前記リムが前記端子である、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項3】
前記端子が前記複数の電気化学セルのうちの前記少なくとも1つの負極端子を構成する、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項4】
前記第1材料がアルミニウムまたは金のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項5】
前記第2材料が銅を含む、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項6】
前記第1層および前記第2層が共に前記リボン状多層ボンドワイヤにスエージ加工されている、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項7】
前記第2材料が前記第1材料より高い導電性を有し、前記第1材料が前記第2材料より軟質である、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項8】
前記リボン状多層ボンドワイヤがさらに、第3材料を含んだ第3層を備え、前記第2層が前記第1層および前記第3層の間に位置しており、前記第3材料が前記第1材料および前記第2材料と異なる、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項9】
前記第1材料がアルミニウムまたは金のうちの少なくとも一方を含み、前記第2材料が銅を含み、前記第3材料がポリマー、パラジウム、白金、金、またはニッケルのうちの少なくとも1種を含む、請求項8に記載のバッテリモジュール。
【請求項10】
前記第1層が前記第2層のコーティングである、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項11】
前記リボン状多層ボンドワイヤがさらに、第3材料を含んだ第3層を備え、前記第3材料が前記第1材料および前記第2材料と異なり、前記第3材料が前記第2材料のコーティングである、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項12】
前記第3材料がポリマー、パラジウム、白金、金、またはニッケルのうちの少なくとも1種を含み、前記第2材料が銅を含む、請求項11に記載のバッテリモジュール。
【請求項13】
前記第1層が前記端子に沿った方向に第1の幅を有し、前記第2層が前記端子に沿った前記方向に第2の幅を有し、前記第2の幅が前記第1の幅より大きい、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項14】
前記第1層が前記端子に沿った前記方向に直交する第1の厚さを有し、前記第2層が前記端子に沿った前記方向に直交する第2の厚さを有し、前記第2の厚さが前記第1の厚さより大きい、請求項13に記載のバッテリモジュール。
【請求項15】
前記リボン状多層ボンドワイヤが、ヒューズとして機能できるバイメタルストリップである、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項16】
リボン状多層ボンドワイヤを供給する段階、ここで前記リボン状多層ボンドワイヤが第1材料を含んだ第1層および第2材料を含んだ第2層を有し、前記第2材料が前記第1材料と異なり、前記第2層が前記第1層に結合されている;
前記リボン状多層ボンドワイヤの前記第1層の第1部分を電気化学セルの端子に接触させる段階;
前記第1層の前記第1部分において、前記リボン状多層ボンドワイヤおよび前記端子の間に第1接合を形成する段階;
前記リボン状多層ボンドワイヤの前記第1層の第2部分をバスバーに接触させる段階;および
前記第1層の前記第2部分において、前記リボン状多層ボンドワイヤおよび前記バスバーの間に第2接合を形成する段階
を備える方法。
【請求項17】
さらに、前記第2接合を形成した後に前記リボン状多層ボンドワイヤの残りの部分を切り離す段階を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1接合および前記第2接合を形成する段階が、超音波ワイヤボンディングを用いる段階を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波ワイヤボンディングが、前記リボン状多層ボンドワイヤの前記第2層または第3層において、前記リボン状多層ボンドワイヤに振動を加える段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1接合および前記第2接合を形成する段階が、レーザワイヤボンディングを用いる段階を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記レーザワイヤボンディングが、前記リボン状多層ボンドワイヤの前記第2層または第3層において行われる、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年5月4日に出願された「リボン状多層ボンドワイヤ」と題する米国特許出願第63/201,544号に基づく優先権を主張し、当該米国特許出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本文書はリボン状多層ボンドワイヤに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、世界の輸送手段は、主に化石燃料で駆動するパワートレインから離れて、より持続可能なエネルギー源、とりわけ内蔵エネルギー貯蔵装置で動く電気モータへ向かって移行し始めている。車両メーカーは、バッテリパックなどのエネルギー貯蔵装置の性能を含め、そのような車両の効率および実用性を高めようと努力している。
【発明の概要】
【0004】
第1態様では、バッテリモジュールが、複数の電気化学セル、ここで複数の電気化学セルの各電気化学セルがセルの端部に端子を有する;複数の電気化学セルを並列接続、直列接続、または並列直列接続のうちの1つで連結するためのバスバー;および複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つの端子をバスバーに接続するリボン状多層ボンドワイヤ、ここでリボン状多層ボンドワイヤは第1材料を含んだ第1層および第2材料を含んだ第2層を有し、第2材料は第1材料と異なり、第1層および第2層は互いに結合されており、第1層は端子およびバスバーに接触している、を備える。
【0005】
実装形態には、以下の特徴のうちのいずれかまたは全てが含まれてよい。複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つの端部はリムを含み、リムは端子である。この端子は、複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つの負極端子を構成する。第1材料は、アルミニウムまたは金のうちの少なくとも一方を含む。第2材料は銅を含む。第1層および第2層は共に、リボン状多層ボンドワイヤにスエージ加工されている。第2材料は第1材料より高い導電性を有し、第1材料は第2材料より軟質である。リボン状多層ボンドワイヤはさらに、第3材料を含んだ第3層を備え、第2層は第1層および第3層の間に位置しており、第3材料は第1材料および第2材料と異なる。第1材料はアルミニウムまたは金のうちの少なくとも一方を含み、第2材料は銅を含み、第3材料はポリマー、パラジウム、白金、金、またはニッケルのうちの少なくとも1種を含む。第1層は第2層のコーティングである。リボン状多層ボンドワイヤはさらに、第3材料を含んだ第3層を備え、第3材料は第1材料および第2材料と異なり、第3材料は第2材料のコーティングである。第3材料は、ポリマー、パラジウム、白金、金、またはニッケルのうちの少なくとも1種を含み、第2材料は銅を含む。第1層は、端子に沿った方向に第1の幅を有し、第2層は端子に沿った方向に第2の幅を有し、第2の幅は第1の幅より大きい。第1層は端子に沿った方向に直交する第1の厚さを有し、第2層は端子に沿った方向に直交する第2の厚さを有し、第2の厚さは第1の厚さより大きい。リボン状多層ボンドワイヤは、ヒューズとして機能できるバイメタルストリップである。
【0006】
第2態様では、方法が、リボン状多層ボンドワイヤを供給する段階、ここでリボン状多層ボンドワイヤは第1材料を含んだ第1層および第2材料を含んだ第2層を有し、第2材料は第1材料と異なり、第2層は第1層に結合されている;リボン状多層ボンドワイヤの第1層の第1部分を電気化学セルの端子に接触させる段階;第1層の第1部分において、リボン状多層ボンドワイヤおよび端子の間に第1接合を形成する段階;リボン状多層ボンドワイヤの第1層の第2部分をバスバーに接触させる段階;および第1層の第2部分において、リボン状多層ボンドワイヤおよびバスバーの間に第2接合を形成する段階を備える。
【0007】
実装形態には、以下の特徴のうちのいずれかまたは全てが含まれてよい。本方法はさらに、第2接合を形成した後にリボン状多層ボンドワイヤの残りの部分を切り離す段階を備える。第1接合および第2接合を形成する段階は、超音波ワイヤボンディングを用いる段階を有する。超音波ワイヤボンディングは、リボン状多層ボンドワイヤの第2層または第3層において、リボン状多層ボンドワイヤに振動を加える段階を含む。第1接合および第2接合を形成する段階は、レーザワイヤボンディングを用いる段階を有する。レーザワイヤボンディングは、リボン状多層ボンドワイヤの第2層または第3層において行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】リボン状多層ボンドワイヤに関する例を示す。
【0009】
【
図2A】リボン状多層ボンドワイヤに関する他の例を示す。
【0010】
【
図3A】リボン状多層ボンドワイヤに関する他の例を示す。
【0011】
【
図4】リボン状多層ボンドワイヤに用いるワイヤボンダーヘッドの一例を示す。
【0012】
【
図5】リボン状多層ボンドワイヤを有するバッテリモジュールの一例を示す。
【0013】
【0014】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本文書は、リボン状多層ボンドワイヤに関して、システムおよび手法の例を説明する。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤが、良好なボンディング性をもたらすように選択された少なくとも1つの材料を(例えば、一方の層に)含み、良好な導電性をもたらすように選択された別の材料を(例えば、別の層に)含むことができる。本明細書で説明する主題によって、バッテリモジュールなどのエネルギー貯蔵装置の性能を改善することができる。例えば、個々の電気化学セルへの相互接続は、高い導電性を備えることができる。本明細書で説明する主題によって、バッテリモジュールの製造プロセスを改善することができる。一部の実装形態では、相互接続および電気化学セルの端子の間のボンディング性を高めることができる。例えば、セル端子への銅導体の接合では、セルに損傷を与えて電解質漏れを引き起こしかねないボンディング荷重が必要になる場合があるが、その代わりに、リボン状多層ボンドワイヤでは、少ないボンディング荷重で接合可能な別の材料(例えば、アルミニウム)の層が特徴となり得る。
【0016】
本明細書の例では、材料を含む項目について言及する。本明細書では、材料が1つまたは複数の種類の物質を含む。材料は、1つの元素(例えば、金)または複数の元素(例えば、合金)を含むことができる。例えば、アルミニウムを含む材料には、純粋なアルミニウムまたはアルミニウム合金のどちらかが含まれてよい。材料には、複数の分子で構成される物質(例えば、ポリマー)が含まれてよい。
【0017】
本明細書の例では、2つまたはそれより多くの導電性材料同士の間に接合を形成することについて言及する。本明細書では、複数の材料同士の間に電流を流すことができるように、これらの材料を結合する任意の手法で接合が形成されてよい。ほんの2つの例を挙げると、超音波ワイヤボンディングおよび/またはレーザワイヤボンディングを用いることが可能である。
【0018】
本明細書の例では、複数の層が積層されていることについて言及する。本明細書では、積層とは、2つまたはそれより多くの層に圧力を加える、熱を加える、溶接を適用する、または接着を適用することにより、複合材料を形成することを意味する。例えば、熱および/または圧力を加えることで、複数の材料のうちの少なくとも1つがその他の材料へと拡散することになり得る。別の例として、2つまたはそれより多くの層を互いに接着するのに接着剤を用いることができる。
【0019】
本明細書の例では、ある層が別の層の上に塗装されることについて言及する。本明細書では、塗装とは、ある層が固体薄膜になるように、その層をある材料の上に塗ることを意味する。例えば、塗られている層は、塗布前または塗布中は液体状態、液状化状態、またはマスティック状態になっている場合がある。例えば、スプレー塗装では、圧縮ガスを用いて塗装粒子を霧化し、それを他の層に向けて送り出すことができる。
【0020】
本明細書の例では、化学的気相成長法によってある層が別の層に形成されることについて言及する。本明細書では、化学的気相成長法として複数の真空堆積法のいずれかが含まれ、別の層は、その表面上で反応および/または分解して堆積層を形成する少なくとも1種の揮発性前駆体と接触する。
【0021】
本明細書の例では、物理的気相成長法によってある層が別の層に形成されることについて言及する。本明細書では、物理的気相成長法として複数の真空堆積法のいずれかが含まれ、層材料は凝縮相から気相へと遷移して薄膜凝縮相になる。
【0022】
本明細書の例では、ある層が別の層の上にスパッタ堆積されることについて言及する。本明細書では、スパッタ堆積法とは、固形材料の表面から微細粒子を放出させるためにその表面に粒子で衝撃を与えて、微細粒子を別の層の上に堆積させることを意味する。例えば、固形材料の表面はプラズマまたはガスにさらされる可能性がある。
【0023】
本明細書の例では、ある層が別の層のコーティングであることについて言及する。本明細書では、コーティングとして複数の手法のいずれかが含まれ、これにより、固体層または固体薄膜を別の材料の表面に形成することができる。例えば、コーティングの形成法として、積層、塗装、化学的気相成長法、物理的気相成長法、またはスパッタ堆積法が含まれてよい。
【0024】
本明細書の例では、2つまたはそれより多くの層が互いにスエージ加工されることについて言及する。本明細書では、スエージ加工として複数の鍛造プロセスのいずれかが含まれ、複数のコールドメタル層が溝付き工具またはスエージによる荷重を受けて互いに結合することになる。
【0025】
本明細書の例では、2つまたはそれより多くの層が互いに結合されることについて言及する。本明細書では、結合手段として、複数の層同士の間に耐久性のある接着を形成する任意の既知の手法が含まれてよく、任意選択でこれらの層の一方または両方がコーティングを有している。一部の実装形態では、ほんの数例を挙げると、これらの層が、スエージ加工によって、または材料同士の間に接合を形成することによって、またはこれらの層に熱および/または圧力を加えることによって、または一方の層のコーティングを別の層に形成することによって結合されてよい。
【0026】
本明細書の例では、電気化学セルについて言及する。本明細書では、電気化学セルとは、化学反応から電気エネルギーを生成するデバイス、または電気エネルギーを用いて化学反応を引き起こすデバイス、またはその両方である。電気化学セルは、エネルギーを蓄え、それを使用時に送出するために、電解質および2つの電極を含み得る。一部の実装形態では、電気化学セルは充電式セルとすることができる。例えば、電気化学セルはリチウムイオンセルとすることができる。一部の実装形態では、電気化学セルは、放電時にはガルバニセルとしての役割、また充電時には電解槽としての役割を果たすことができる。電気化学セルは、電極のそれぞれに対して少なくとも1つの端子を有することができる。端子またはその少なくとも一部分は、電解槽の一方の端部に配置することができる。例えば、電気化学セルが円筒形状である場合、複数の端子のうちの1つは、セルの端部の中心に設けられてよく、円筒を形成する缶は、他の端子を構成することができ、したがって端部にも存在することができる。角柱形状を含む他の形状の電気化学セルを用いることができるが、これに限定されない。
【0027】
本明細書の例ではバッテリモジュールについて言及する。これは、充電中、蓄電中、および使用中に、複数の電気化学セルを保持し管理するように構成された個々のコンポーネントである。バッテリモジュールは1つまたは複数の負荷(例えば電気モータ)の唯一の電源として意図されてよく、または同じまたは異なる種類の1つより多くのバッテリモジュールを用いることができる。2つまたはそれより多くのバッテリモジュールが、システム内に別々に、またはより大きいエネルギー貯蔵ユニットの一部として実装されてよい。例えば、バッテリパックは、同じまたは異なる種類の2つまたはそれより多くのバッテリモジュールを含むことができる。バッテリモジュールは、電気化学セルにおける電気エネルギーの充電、蓄電、および/または使用を管理するための制御回路を含むことができる、またはバッテリモジュールは外部コンポーネントによって制御されてもよい。例えば、バッテリ管理システムが、1つまたは複数の回路基板(例えば、プリント回路基板)上に実装されてよい。
【0028】
本明細書の例ではバスバーについて言及し、バッテリモジュールは少なくとも1つのバスバーを有することができる。バスバーは導電性を有し、充電時には電気化学セルへ、または放電時にはセルから電気を伝えるのに用いられる。バスバーは、導電性材料(例えば、金属)で作られており、電気化学セルの特性および使用目的を考慮した好適な寸法を有する。一部の実装形態では、バスバーはアルミニウム(例えば、アルミニウム合金)を含む。バスバーは、バッテリモジュールの形状および使用目的に応じて、平面(例えば、平坦)であってもよく、または1つまたは複数の湾曲部を有していてもよい。
【0029】
本明細書の例では、頂部または底部について言及する。これらの表現および同様の表現は、明示的または恣意的な視点の概念に基づいて、相対的に物事または態様を見分けている。つまり、これらの用語は単なる例示にすぎず、説明する目的のために用いられており、必ずしも唯一可能な位置および方向などを示しているわけではない。
【0030】
図1A~
図1Bには、リボン状多層ボンドワイヤ100およびボンディング動作102の例を示している。リボン状多層ボンドワイヤ100および/またはボンディング動作102は、本明細書の他の場所で説明される1つまたは複数の他の例と共に用いられてよい。
【0031】
リボン状多層ボンドワイヤ100は、側面から示されている。リボン状多層ボンドワイヤ100は、その使用目的に好適な形状を有することができる。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ100が、別個の導電性表面同士の間に電気的接続を形成するのに用いられてよい。例えば、これらの導電性表面は互いに対して実質的に平行であっても(例えば、同一平面上にあっても)よく、またはこれらの導電性表面は異なる方向を向いていてもよい。別の例として、これらの導電性表面は基準面に対して実質的に同じ高さに配置されてもよく、またはこれらの導電性表面は基準面に対して異なる高さに配置されてもよい。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ100の形状は、リボン状多層ボンドワイヤ100が2つの導電性表面に取り付けられるプロセスに起因する可能性がある。例えば、リボン状多層ボンドワイヤ100は最初にストック材料としてスプールに保持することができ、好適な長さのリボン状多層ボンドワイヤ100を取り付けることができるので、異なる形状を取る。
【0032】
リボン状多層ボンドワイヤ100は層104を含む。層104は、リボン状多層ボンドワイヤ100の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層104は、リボン状多層ボンドワイヤ100の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層104は第1材料を含んでよい。一部の実装形態では、層104の第1材料は、リボン状多層ボンドワイヤ100に少なくとも比較的高いワイヤボンディング性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第1材料はアルミニウムおよび/または金を含んでよい。
【0033】
リボン状多層ボンドワイヤ100は層106を含む。層106は、リボン状多層ボンドワイヤ100の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層106は、リボン状多層ボンドワイヤ100の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層106は第2材料を含んでよい。第2材料は、層104の第1材料と異なってよい。一部の実装形態では、層106の第2材料は、リボン状多層ボンドワイヤ100に少なくとも比較的高い導電性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第2材料は銅を含んでよい。第2材料は、第1材料より高い導電性を有し得る。第1材料は、第2材料より軟質であってよい。層104および層106は互いに結合されている。例えば、層104の第1材料に流れる電流が、引き続き層106の第2材料に流れることができる。一部の実装形態では、層104は層106のコーティングである。
【0034】
ボンディング動作102は、リボン状多層ボンドワイヤ100を電気化学セル108の一部に電気的に接合する段階を含む。ここには簡潔にするために、電気化学セル108の端部110のみを示している。一部の実装形態では、端部110は電気化学セル108の頂部と呼ばれることがある。例えば、電気化学セル108は、活物質を保持するための缶(不図示)を含んでよく、端部110は缶の開口部を密閉するキャップで形成されてよい。
【0035】
電気化学セル108は、複数の端子を有することができる。ここには、端部110の中心に配置された構造体として端子112が示されている。例えば、端子112は、電気化学セル108の正極端子とすることができる。ここで、リム114が電気化学セル108の別の端子の少なくとも一部である。例えば、リム114(および缶の底部を含んだ缶材料の残りの部分)は、電気化学セル108の負極端子として機能してよい。
【0036】
ボンディング動作102は、1つまたは複数の工具の使用を含んでよい。一部の実装形態では、ワイヤボンディングヘッドが用いられてよい。ワイヤボンディングヘッドは、ウェッジ116を含んでよい。ウェッジ116は、リボン状多層ボンドワイヤ100をリム114に接合するのに用いられてよい。例えば、ウェッジ116は金属で作られてよい。一部の実装形態では、少なくとも層104の第1材料がリム114の材料と接合するように、ウェッジ116は層106においてリボン状多層ボンドワイヤ100に高周波振動を加えることができる。例えば、リム114は鋼鉄または別の金属を含むことができる。一部の実装形態では、層104の第1材料をリム114の材料と接合するための任意の他の手法が用いられてよい。
【0037】
層104および106は互いに同じ幅を有してもよく、または異なる幅としてもよい。ここで、層104はリム114に沿った方向に一定の幅を有する。さらに、層106は、リム114に沿った方向に、層104の幅より大きい別の幅を有する。それぞれの幅同士の関係は、ほんの2つの例を挙げると、ほぼ1:1.5または1:2とすることができる。他の割合が用いられてもよい。リボン状多層ボンドワイヤ100は、リム114に対して任意の向きを有してよい。一部の実装形態では、示されているように、この向きは実質的に放射状であってよい。例えば、ボンディング動作102の説明図では、リボン状多層ボンドワイヤ100の端部を正面から見ている。他の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ100は、リム114に対して実質的に接線方向に向いてよい。他の向きが用いられてもよい。
【0038】
層104および106は、互いに同じ厚さを有してもよく、または異なる厚さとしてもよい。ここで、層104は、リム114に沿った方向に直交する一定の厚さを有する。さらに、層106は、リム114に沿った方向に直交する別の厚さを有し、この厚さは層104の厚さより大きい。他の割合が用いられてもよい。
【0039】
図2A~
図2Bには、リボン状多層ボンドワイヤ200およびボンディング動作202の他の例を示している。リボン状多層ボンドワイヤ200および/またはボンディング動作202は、本明細書の他の場所で説明される1つまたは複数の他の例と共に用いられてよい。
【0040】
リボン状多層ボンドワイヤ200は、側面から示されている。リボン状多層ボンドワイヤ200は、その使用目的に好適な形状を有することができる。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ200が、別個の導電性表面同士の間に電気的接続を形成するのに用いられてよい。例えば、これらの導電性表面は互いに対して実質的に平行であっても(例えば、同一平面上にあっても)よく、またはこれらの導電性表面は異なる方向を向いていてもよい。別の例として、これらの導電性表面は基準面に対して実質的に同じ高さに配置されてもよく、またはこれらの導電性表面は基準面に対して異なる高さに配置されてもよい。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ200の形状は、リボン状多層ボンドワイヤ200が2つの導電性表面に取り付けられるプロセスに起因する可能性がある。例えば、リボン状多層ボンドワイヤ200は最初にストック材料としてスプールに保持することができ、好適な長さのリボン状多層ボンドワイヤ200を取り付けることができるので、異なる形状を取る。
【0041】
リボン状多層ボンドワイヤ200は層204を含む。層204は、リボン状多層ボンドワイヤ200の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層204は、リボン状多層ボンドワイヤ200の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層204は第1材料を含んでよい。一部の実装形態では、層204の第1材料は、リボン状多層ボンドワイヤ200に少なくとも比較的高いワイヤボンディング性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第1材料はアルミニウムおよび/または金を含んでよい。
【0042】
リボン状多層ボンドワイヤ200は層206を含む。層206は、リボン状多層ボンドワイヤ200の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層206は、リボン状多層ボンドワイヤ200の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層206は第2材料を含んでよい。第2材料は、層204の第1材料と異なってよい。一部の実装形態では、層206の第2材料は、リボン状多層ボンドワイヤ200に少なくとも比較的高い導電性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第2材料は銅を含んでよい。第2材料は、第1材料より高い導電性を有し得る。第1材料は、第2材料より軟質であってよい。第1層および第2層は互いに結合されている。例えば、層204の第1材料に流れる電流が、引き続き層206の第2材料に流れることができる。一部の実装形態では、層204は層206のコーティングである。
【0043】
リボン状多層ボンドワイヤ200は層207を含む。層206は、層204および207の間に位置している。層207は、リボン状多層ボンドワイヤ200の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層207は、リボン状多層ボンドワイヤ200の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層207は第3材料を含んでよい。第3材料は、層204の第1材料および層206の第2材料と異なってよい。一部の実装形態では、層207の第3材料は、リボン状多層ボンドワイヤ200に少なくとも比較的高い耐腐食性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第3材料は、ポリマー、パラジウム、白金、金、またはニッケルのうち少なくとも1種の材料を含んでよい。層207は、層206のコーティングとすることができる。
【0044】
ボンディング動作202は、リボン状多層ボンドワイヤ200を電気化学セル208の一部に電気的に接合する段階を含む。ここには簡潔にするために、電気化学セル208の端部210のみを示している。一部の実装形態では、端部210は電気化学セル208の頂部と呼ばれることがある。例えば、電気化学セル208は、活物質を保持するための缶(不図示)を含んでよく、端部210は缶の開口部を密閉するキャップで形成されてよい。
【0045】
電気化学セル208は、複数の端子を有することができる。ここには、端部210の中心に配置された構造体として端子212が示されている。例えば、端子212は、電気化学セル208の正極端子とすることができる。ここで、リム214が電気化学セル208の別の端子の少なくとも一部である。例えば、リム214(および缶の底部を含んだ缶材料の残りの部分)は、電気化学セル208の負極端子として機能してよい。
【0046】
ボンディング動作202は、1つまたは複数の工具の使用を含んでよい。一部の実装形態では、ワイヤボンディングヘッドが用いられてよい。ワイヤボンディングヘッドは、ウェッジ216を含んでよい。ウェッジ216は、リボン状多層ボンドワイヤ200をリム214に接合するのに用いられてよい。例えば、ウェッジ216は金属で作られてよい。一部の実装形態では、少なくとも層204の第1材料がリム214の材料と接合するように、ウェッジ216は層207においてリボン状多層ボンドワイヤ200に高周波振動を加えることができる。例えば、リム214は鋼鉄または別の金属を含むことができる。一部の実装形態では、層204の第1材料をリム214の材料と接合するための任意の他の手法が用いられてよい。
【0047】
層204、206、および207は互いに同じ幅を有してもよく、または異なる幅としてもよい。ここで、層204はリム214に沿った方向に一定の幅を有する。さらに、層206は、リム214に沿った方向に、層204の幅より大きい別の幅を有する。それぞれの幅同士の関係は、ほんの2つの例を挙げると、ほぼ1:1.5または1:2とすることができる。他の割合が用いられてもよい。層207は、ほんの1つの例を挙げると、層206とほぼ同じ幅を有してよい。リボン状多層ボンドワイヤ200は、リム214に対して任意の向きを有してよい。一部の実装形態では、示されているように、この向きは実質的に放射状であってよい。例えば、ボンディング動作202の説明図では、リボン状多層ボンドワイヤ200の端部を正面から見ている。他の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ200は、リム214に対して実質的に接線方向に向いてよい。他の向きが用いられてもよい。
【0048】
層204、206、および207は、互いに同じ厚さを有してもよく、または異なる厚さとしてもよい。ここで、層204は、リム214に沿った方向に直交する一定の厚さを有する。さらに、層206は、リム214に沿った方向に直交する別の厚さを有し、この厚さは層204の厚さより大きい。層207は、層206より厚くても、これとほぼ等しくても、またはこれより薄くてもよい。層204、206、および207の間の他の割合が用いられてもよい。
【0049】
本明細書で説明した例のいずれかで言及した層のうち2つまたはそれより多くが、バイメタルストリップとして特徴付けられてよく、および/または少なくとも一部の状況のもとではバイメタル式サーモスタットとしての役割を果たすことができる。一部の実装形態では、第1金属(銅が挙げられるが、これに限定しない)が第2金属(アルミニウムが挙げられるが、これに限定しない)と異なる熱膨張特性(例えば、熱膨張係数)を有し得る。リボン状多層ボンドワイヤ200が加熱作用を受けると、これにより、両材料の一方から離れる方向に湾曲が生じ得る。一部の実装形態では、過電流がリボン状多層ボンドワイヤ200を通って流れた結果として加熱作用が生じると、そのような湾曲によって回路(例えば、ヒューズ)が切断されるので、さらなる電流の流れを阻止することができる。そのようなものとして、リボン状多層ボンドワイヤ200は、ヒューズとして機能することができるバイメタルストリップを含んでよい。例えば、リボン状多層ボンドワイヤ200の銅層が、リボン状多層ボンドワイヤのアルミニウム層から離れる方向に湾曲することで回路を破断させるヒューズとして機能することができる。
【0050】
図3A~
図3Bには、リボン状多層ボンドワイヤ300およびボンディング動作302に関する他の例を示している。リボン状多層ボンドワイヤ300および/またはボンディング動作302は、本明細書の他の場所で説明される1つまたは複数の他の例と共に用いられてよい。
【0051】
リボン状多層ボンドワイヤ300は、側面から示されている。リボン状多層ボンドワイヤ300は、その使用目的に好適な形状を有することができる。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ300が、別個の導電性表面同士の間に電気的接続を形成するのに用いられてよい。例えば、これらの導電性表面は互いに対して実質的に平行であっても(例えば、同一平面上にあっても)よく、またはこれらの導電性表面は異なる方向を向いていてもよい。別の例として、これらの導電性表面は基準面に対して実質的に同じ高さに配置されてもよく、またはこれらの導電性表面は基準面に対して異なる高さに配置されてもよい。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ300の形状は、リボン状多層ボンドワイヤ300が2つの導電性表面に取り付けられるプロセスに起因する可能性がある。例えば、リボン状多層ボンドワイヤ300は最初にストック材料としてスプールに保持することができ、好適な長さのリボン状多層ボンドワイヤ300を取り付けることができるので、異なる形状を取る。
【0052】
リボン状多層ボンドワイヤ300は層304を含む。層304は、リボン状多層ボンドワイヤ300の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層304は、リボン状多層ボンドワイヤ300の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層304は第1材料を含んでよい。一部の実装形態では、層304の第1材料は、リボン状多層ボンドワイヤ300に少なくとも比較的高いワイヤボンディング性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第1材料はアルミニウムおよび/または金を含んでよい。
【0053】
リボン状多層ボンドワイヤ300は層306を含む。層306は、リボン状多層ボンドワイヤ300の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層306は、リボン状多層ボンドワイヤ300の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層306は第2材料を含んでよい。第2材料は、層304の第1材料と異なってよい。一部の実装形態では、層306の第2材料は、リボン状多層ボンドワイヤ300に少なくとも比較的高い導電性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第2材料は銅を含んでよい。第2材料は、第1材料より高い導電性を有し得る。第1材料は、第2材料より軟質であってよい。第1層および第2層は互いに結合されている。例えば、層304の第1材料に流れる電流が、引き続き層306の第2材料に流れることができる。
【0054】
リボン状多層ボンドワイヤ300は層307を含む。層306は、層307の中に含まれてよい。層307は、リボン状多層ボンドワイヤ300の長さの少なくとも一部に沿って延在してよい。例えば、層307は、リボン状多層ボンドワイヤ300の長さに沿って、実質的に長方形の断面を有してよい。層307は第3材料を含んでよい。第3材料は、層304の第1材料および層306の第2材料と異なってよい。一部の実装形態では、層307の第3材料は、リボン状多層ボンドワイヤ300に少なくとも比較的高い耐腐食性という特性をもたらすように選択されてよい。例えば、第3材料は、ポリマー、パラジウム、白金、金、またはニッケルのうち少なくとも1種の材料を含んでよい。層307は、層306のコーティングとすることができる。例えば、層307はここでは、コーティングとして、層306の周縁部全体を取り囲んで示されている。
【0055】
ボンディング動作302は、リボン状多層ボンドワイヤ300を電気化学セル308の一部に電気的に接合する段階を含む。ここには簡潔にするために、電気化学セル308の端部310のみを示している。一部の実装形態では、端部310は電気化学セル308の頂部と呼ばれることがある。例えば、電気化学セル308は、活物質を保持するための缶(不図示)を含んでよく、端部310は缶の開口部を密閉するキャップで形成されてよい。
【0056】
電気化学セル308は、複数の端子を有することができる。ここには、端部310の中心に配置された構造体として端子312が示されている。例えば、端子312は、電気化学セル308の正極端子とすることができる。ここで、リム314が電気化学セル308の別の端子の少なくとも一部である。例えば、リム314(および缶の底部を含んだ缶材料の残りの部分)は、電気化学セル308の負極端子として機能してよい。
【0057】
ボンディング動作302は、1つまたは複数の工具の使用を含んでよい。一部の実装形態では、ワイヤボンディングヘッドが用いられてよい。ワイヤボンディングヘッドは、ウェッジ316を含んでよい。ウェッジ316は、リボン状多層ボンドワイヤ300をリム314に接合するのに用いられてよい。例えば、ウェッジ316は金属で作られてよい。一部の実装形態では、少なくとも層304の第1材料がリム314の材料と接合するように、ウェッジ316は層307においてリボン状多層ボンドワイヤ300に高周波振動を加えることができる。例えば、リム314は鋼鉄または別の金属を含むことができる。一部の実装形態では、層304の第1材料をリム314の材料と接合するための任意の他の手法が用いられてよい。
【0058】
層304および306は互いに同じ幅を有してもよく、または異なる幅としてもよい。ここで、層304はリム314に沿った方向に一定の幅を有する。さらに、層306は、リム314に沿った方向に、層304の幅より大きい別の幅を有する。それぞれの幅同士の関係は、ほんの2つの例を挙げると、ほぼ1:1.5または1:2とすることができる。他の割合が用いられてもよい。リボン状多層ボンドワイヤ300は、リム314に対して任意の向きを有してよい。一部の実装形態では、示されているように、この向きは実質的に放射状であってよい。例えば、ボンディング動作302の説明図では、リボン状多層ボンドワイヤ300の端部を正面から見ている。他の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ300は、リム314に対して実質的に接線方向に向いてよい。他の向きが用いられてもよい。
【0059】
層304および306は、互いに同じ厚さを有してもよく、または異なる厚さとしてもよい。ここで、層304は、リム314に沿った方向に直交する一定の厚さを有する。さらに、層306は、リム314に沿った方向に直交する別の厚さを有し、この厚さは層304の厚さより大きい。層307は、ほんの1つの例を挙げると、層304および306より薄くすることができる。層304、306、および307の間の他の割合が用いられてもよい。
【0060】
図4には、リボン状多層ボンドワイヤ402に用いるワイヤボンダーヘッド400の一例を示している。ワイヤボンダーヘッド400および/またはリボン状多層ボンドワイヤ402は、本明細書の他の場所で説明される1つまたは複数の他の例と共に用いられてよい。ワイヤボンダーヘッド400はワイヤガイド404を含む。ワイヤガイド404は、ボンディング動作の際にリボン状多層ボンドワイヤ402を誘導する(例えば、送り出す)のに用いられる。ワイヤガイド404は、金属または合成材料に限定しないが、これらを含んだ1つまたは複数の材料で作られてよい。リボン状多層ボンドワイヤ402の供給部406が、ワイヤガイド404を貫通しているように見えている。一部の実装形態では、リボン状多層ボンドワイヤ402の供給部406は、スプール408から設けられてよい。例えば、スプール408は、リボン状多層ボンドワイヤ402の供給部406が連続的または断続的な方式で得られるのを可能にするために、且つリボン状多層ボンドワイヤ402が接合のために電気化学セルに対して特定の向きを有するように、ワイヤボンダーヘッド400との関連で回転可能に吊り下げられてよい。
【0061】
ワイヤボンダーヘッド400はウェッジ410を含む。ウェッジ410は、リボン状多層ボンドワイヤ402を電気化学セル(不図示)に接合するのに用いられてよい。例えば、ウェッジ410は金属で作られてよい。
【0062】
ワイヤボンダーヘッド400はカッター412を含む。カッター412は、ボンディング前、ボンディング中、またはボンディング後に、リボン状多層ボンドワイヤ402を切断するのに用いられてよい。例えば、カッター412は金属で作られてよい。
【0063】
図5には、リボン状多層ボンドワイヤ502を有するバッテリモジュール500の一例を示している。拡大部分には、バッテリモジュール500の一部についての一例をより詳細に示している。バッテリモジュール500および/またはリボン状多層ボンドワイヤ502は、本明細書の他の場所で説明される1つまたは複数の他の例と共に用いられてよい。バッテリモジュール500はバスバー504を含む。バスバー504は、バッテリモジュール500のハウジング508の内側に含まれる複数の電気化学セル506に電気的に相互接続されてよい。一部の実装形態では、バスバー504は、複数の電気化学セル506を並列接続、直列接続、または並列直列接続のうちの1つで連結することができる。例えば、これらの電気化学セル506のうちの複数のものが並列に連結されてグループになってもよく、2つまたはそれより多くのそのような電気化学セル506のグループが直列に連結されてもよい。ハウジング508は、その内側に開口部510を有する。一部の実装形態では、電気化学セル506の端子との1つまたは複数の接合が、これらの開口部510のうちの少なくとも1つを通って(例えば、リボン状多層ボンドワイヤ502により)形成されてよい。一部の実装形態では、ハウジング508は実質的に角柱形状、例えば、本質的に直線で囲まれた形状を有する。
【0064】
それぞれの電気化学セル506は、電気化学セル506の一方の端部の周縁部を取り囲んで少なくとも部分的に配置された端子512を含む。例えば、端子512は負極端子とすることができる。例えば、端子512は電気化学セル506のリムとすることができる。端子512は、リボン状多層ボンドワイヤ502によってバスバー504に接続されている。電気化学セル506は、リボン状多層ボンドワイヤ502に加えて、1つまたは複数の相互接続を有してよい。一部の実装形態では、電気化学セル506の正極端子に導体を接合することができる。例えば、そのような導体はヒューズワイヤとすることができる。
【0065】
バッテリモジュール500はバッテリモジュールの一例であり、本モジュールは、複数の電気化学セル(例えば、電気化学セル506)、ここで複数の電気化学セルのそれぞれの電気化学セルは電気化学セルの端部に端子(例えば、端子512)を有する;複数の電気化学セルを並列接続、直列接続、または並列直列接続のうちの1つで連結するためのバスバー(例えば、バスバー504);および複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つの端子をバスバーに接続するリボン状多層ボンドワイヤ(例えば、リボン状多層ボンドワイヤ502)、ここでリボン状多層ボンドワイヤは、第1材料を含んだ第1層(例えば、層104(
図1A~
図1B)、層204(
図2A~
図2B)、または層304(
図3A~
図3B))および第2材料を含んだ第2層(例えば、層106(
図1A~
図1B)、層206(
図2A~
図2B)、または層306(
図3A~
図3B))を備え、第2材料は第1材料と異なり、第1層および第2層は互いに結合されており、第1層は(例えば、
図1B、
図2B、または
図3Bに示すように)端子および(例えば、
図5に示すように)バスバーに接触している、を含む。
【0066】
図6には、方法600の一例を示している。方法600は、本明細書の他の場所で説明される1つまたは複数の他の例と共に用いられてよい。示されているより多いまたは少ない動作が行われてよい。別段の指示がない限り、2つまたはそれより多くの動作が異なる順序で行われてよい。
【0067】
動作602において、方法600は、バッテリモジュールに対してリボン状多層ボンドワイヤの向きを合わせるようにリボンストックを設ける段階を含んでよい。例えば、スプール408(
図4)が設けられてよい。
【0068】
動作604において、方法600はバッテリモジュールに1つまたは複数の電気化学セルを設ける段階を含んでよい。例えば、電気化学セルは、バッテリモジュールのハウジングの中に設けられてよい。
【0069】
動作606において、方法600は、リボンストックからリボン状ボンドワイヤを送り出す段階を含んでよい。例えば、
図4では、ワイヤガイド404によってリボン状多層ボンドワイヤ402を供給することができる。
【0070】
動作608において、方法600は、複数の電気化学セルのうちの少なくとも1つに対して、ワイヤボンダーヘッドを所定の位置に配置する段階を含んでよい。一部の実装形態では、これには、リボン状多層ボンドワイヤの第1層(例えば、層104(
図1A~
図1B)、層204(
図2A~
図2B)、または層304(
図3A~
図3B))の第1部分を電気化学セルの端子(例えば、リム114(
図1B)、リム214(
図2B)、またはリム314(
図3B))に接触させる段階が含まれる。
【0071】
動作610において、方法600は、第1層の第1部分において、リボン状多層ボンドワイヤおよび端子の間に(例えば、
図1B、
図2B、または
図3Bに示すように)第1接合を形成する段階を含んでよい。一部の実装形態では、超音波ワイヤボンディングが用いられる。例えば、超音波ワイヤボンディングは、(例えば、
図1B、
図2B、または
図3Bに例示されているように)リボン状多層ボンドワイヤの第2層または第3層において、ウェッジ(例えば、
図1Bのウェッジ116、
図2Bのウェッジ216、
図3Bのウェッジ316、または
図4のウェッジ410)を用いてリボン状多層ボンドワイヤに振動を加える段階を含んでよい。一部の実装形態では、レーザワイヤボンディングが用いられる。例えば、レーザワイヤボンディングは、(例えば、
図1B、
図2B、または
図3Bに例示されているように)リボン状多層ボンドワイヤの第2層(例えば、層106(
図1A~
図1B)、層207(
図2A~
図2B)、または層307(
図3A~
図3B))または第3層において行われてよい。
【0072】
動作612において、方法600は、ワイヤボンダーヘッドを別の位置に移してリボン状ボンドワイヤを送り出す段階を含んでよい。一部の実装形態では、ワイヤボンダーヘッドはバスバー504(
図5)へ位置を変えてよい。例えば、これには、リボン状多層ボンドワイヤの第1層(例えば、層104(
図1A~
図1B)、層204(
図2A~
図2B)、または層304(
図3A~
図3B))の第2部分をバスバー(例えば、バスバー504(
図5))に接触させる段階が含まれてよい。一部の実装形態では、ワイヤガイド404は、リボン状多層ボンドワイヤ402を取り付けに好適な長さまで供給することができる。
【0073】
動作614において、方法600は、第1層の第2部分において、リボン状多層ボンドワイヤおよびバスバーの間に(例えば、
図5に示すように)第2接合を形成する段階を含んでよい。一部の実装形態では、超音波ワイヤボンディングが用いられる。例えば、超音波ワイヤボンディングは、(例えば、
図1B、
図2B、または
図3Bに例示されているように)リボン状多層ボンドワイヤの第2層または第3層において、ウェッジ(例えば、
図1Bのウェッジ116、
図2Bのウェッジ216、
図3Bのウェッジ316、または
図4のウェッジ410)を用いてリボン状多層ボンドワイヤに振動を加える段階を含んでよい。一部の実装形態では、レーザワイヤボンディングが用いられる。例えば、レーザワイヤボンディングは、(例えば、
図1B、
図2B、または
図3Bに例示されているように)リボン状多層ボンドワイヤの第2層(例えば、層106(
図1A~
図1B)、層207(
図2A~
図2B)、または層307(
図3A~
図3B))または第3層において行われてよい。
【0074】
動作616において、方法600はリボン状ボンドワイヤを切断する段階を含んでよい。一部の実装形態では、
図4のリボン状多層ボンドワイヤ402を終端させるのにカッター412が(例えば、手動または自動で)適用されてよい。
【0075】
動作618では、動作が何も行われなくても、1つまたは複数の動作が行われてもよい。一部の実装形態では、方法600は、動作602~616を行った後に終了することができる。一部の実装形態では、別のリボン状多層ボンドワイヤに関して、および/または別の電気化学セルに関して、動作602~616の一部または全部が動作618で行われてよい。一部の実装形態では、さらに、動作602から616の同じ電気化学セルに対して、または別の電気化学セルに対して、別の種類の相互接続が形成されてよい。例えば、そのような別の相互接続にはヒューズワイヤが含まれてよい。他の手法が用いられてもよい。
【0076】
本明細書の全体を通して用いられる用語「substantially(実質的に)」及び「about(ほぼ)」は、処理時のばらつきなどに起因したわずかな変動を説明および考慮するのに用いられている。例えば、こうした用語は、±5%より小さいまたはこれと等しい、例えば±2%より小さいまたはこれと等しい、例えば±1%より小さいまたはこれと等しい、例えば±0.5%より小さいまたはこれと等しい、例えば±0.2%より小さいまたはこれと等しい、例えば±0.1%より小さいまたはこれと等しい、例えば±0.05%より小さいまたはこれと等しいことを意味し得る。また、本明細書では、「a」または「an」などの不定冠詞が「少なくとも1つ」を意味する。
【0077】
前述の概念、および以下でより詳細に説明される追加の概念のあらゆる組み合わせは(そのような概念が相互に矛盾しない限り)、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると考えられていると理解されたい。特に、本開示の最後の部分で現れるクレームされた主題のあらゆる組み合わせは、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると考えられている。
【0078】
複数の実装形態が説明された。しかしながら、本明細書の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。
【0079】
さらに、図に図示された論理フローは、望ましい結果を実現するために、示されている特定の順序または連続した順序を必要とするものではない。さらに、他のプロセスが提供されてもよく、または説明したフローからプロセスが排除されてもよく、他のコンポーネントが、説明したシステムに追加されても、またはそこから取り除かれてもよい。したがって、以下の特許請求の範囲には他の実装形態も含まれる。
【0080】
説明した実装形態の特定の特徴を本明細書で説明した通り例示してきたが、当業者には今では多くの修正例、置換例、変更例、および均等例が思いつくであろう。したがって、添付した特許請求の範囲には、実装形態の範囲に含まれる全てのこうした修正例および変更例が包含されることが意図されていると理解されたい。こうした実装形態は単なる例として提示されたものであり、限定的なものではなく、形態および詳細において様々な変更が行われ得ると理解されたい。本明細書で説明した装置および/または方法の任意の部分が、相互に排他的な組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書で説明した実装形態には、説明した様々な実装形態の機能、コンポーネント、および/または特徴の様々な組み合わせおよび/または部分的組み合わせが含まれてよい。
【国際調査報告】