(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】包装材料にコーティング層を塗布するための方法及びコーティング層塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05D 1/28 20060101AFI20240416BHJP
D21H 27/10 20060101ALI20240416BHJP
D21H 19/10 20060101ALI20240416BHJP
D21H 23/22 20060101ALI20240416BHJP
B05D 7/04 20060101ALI20240416BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B05D1/28
D21H27/10
D21H19/10 A
D21H23/22
B05D7/04
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564258
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2022053774
(87)【国際公開番号】W WO2022224214
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394996
【氏名又は名称】エース パッケージング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スタパーツ,デイブ
【テーマコード(参考)】
3E086
4D075
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA24
3E086BB02
3E086CA01
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3E086CA17
3E086CA18
3E086CA22
3E086DA08
4D075AC29
4D075AC72
4D075CA40
4D075DA04
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4L055AG33
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4L055EA12
4L055EA14
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4L055GA05
4L055GA30
(57)【要約】
セルロース包装材料にコーティング層を塗布するための方法であって、第1の面と第2の面とを有するセルロース層を提供することと、複数の凹部を有するグリッドゾーンを備える移動無端表面を提供することと、グリッドゾーンの複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込むことと、複数の凹部に所定量のコーティング層材料を保持することと、グリッドゾーンをセルロース層の第1の面と接触させることと、複数の凹部からセルロース層の第1の面に所定量のコーティング層材料を塗布することと、所定量のコーティング層材料を用いて、セルロース層の第1の面にコーティング層を形成することと、を含む、方法。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース包装材料に、前記包装材料の透湿度を設定する目的で、コーティング層を塗布するための方法(1000)であって、
-第1の面と第2の面とを有するセルロース層(10)を提供すること(1100)と、
-複数の凹部(37)を有するグリッドゾーン(36)を備える移動無端表面(35)を提供すること(1200)と、
-前記グリッドゾーン(36)の前記複数の凹部(37)に所定量のコーティング層材料を取り込むこと(1300)と、
-前記複数の凹部(37)に前記所定量のコーティング層材料を保持すること(1400)と、
-前記グリッドゾーン(36)を前記セルロース層(10)の前記第1の面と接触させること(1500)と、
-前記複数の凹部(37)から前記セルロース層(10)の前記第1の面に前記所定量のコーティング層材料を塗布すること(1600)と、
-前記所定量のコーティング層材料を用いて、前記セルロース層(10)の前記第1の面にコーティング層(20)を形成すること(1700)と、を含む、方法。
【請求項2】
前記グリッドゾーン(36)が、第1のグリッドゾーン部分(36a)と第2のグリッドゾーン部分(36b)と、を備え、前記第1のグリッドゾーン部分(36a)及び前記第2のグリッドゾーン部分(36b)が、それぞれ、複数の第1の凹部と複数の第2の凹部と、を備え、前記複数の第1の凹部及び前記複数の第2の凹部が、それぞれ、第1の所定量のコーティング層材料及び第2の所定量のコーティング層材料を取り込み、保持し、かつ塗布し、前記第1の所定量のコーティング層材料が、前記第2の所定量のコーティング層材料とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動無端表面(35)が、前記セルロース層(10)の前記第1の面にコーティング層材料を塗布しないブランクゾーンを更に備えて提供される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の凹部の寸法は、前記コーティング層が10~12g/m
2の範囲にある、より好ましくは、8~10g/m
2の範囲にある、最も好ましくは、1~8g/m
2の範囲にある重量を有するような寸法である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記グリッドゾーン(36)を前記セルロース層(10)の前記第1の面と接触させることが、前記移動無端表面の前記グリッドゾーン(36)に対して前記セルロース層(10)の前記第1の面を押圧することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記押圧することが、押圧シリンダ(50)によって実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記セルロース層(10)の前記第1の面への前記所定量のコーティング層材料の前記塗布を中断することを更に含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記セルロース層(10)の前記第1の面への前記コーティング層の塗布を中断することが、前記グリッドゾーン(36)を前記セルロース層(10)の前記第1の面と接触させることを中断することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記セルロース層(10)の前記第1の面への前記所定量のコーティング層材料の塗布を中断することが、前記押圧シリンダをカムシャフト(70)に移動可能に連結するホッパー機構(60)を使用して実施され、前記カムシャフトが、その回転運動を前記ホッパー機構の上下運動に変換するように構成されており、それによって、前記セルロース層と前記移動無端表面との間の前記接触が中断される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング層が、パラフィン又は植物油などの油性化合物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング層が、あるパターンで塗布される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記グリッドゾーン(36)の前記複数の凹部(37)に前記所定量のコーティング層材料を取り込むことが、毛細管方式で前記凹部に前記コーティング層材料を取り込むことを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記セルロース包装材料が、パン袋用パン包装材料である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記移動無端表面が、グリッドローラである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティング層が、15~200g/m
2/日、好ましくは、15~180g/m
2/日、より好ましくは、15~150g/m
2/日、更により好ましくは、15~120g/m
2/日の透湿度を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
-複数の凹部を有するグリッドゾーンを備える更なる移動無端表面を提供することと、
-前記更なる移動無端表面の前記グリッドゾーンの前記複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込むことと、
-前記更なる移動無端表面の前記複数の凹部に前記所定量のコーティング層材料を保持することと、
-前記グリッドゾーンを前記セルロース層の前記第2の面と接触させることと、
-前記更なる移動無端表面の前記複数の凹部から前記セルロース層の前記第2の面に前記所定量のコーティング層材料を塗布することと、
-前記所定量のコーティング層材料を用いて、前記セルロース層の前記第2の面に更なるコーティング層を形成することと、を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
セルロース包装材料の透湿度を設定するためのコーティング層塗布装置であって、前記セルロース包装材料にコーティング層を塗布するための移動無端表面(35)を備え、前記セルロース包装材料が、第1の面と第2の面とを有するセルロース層を備え、前記セルロース層が、前記コーティング層塗布装置を通って運動方向に移動し、前記移動無端表面(35)が、複数の凹部(37)を有するグリッドゾーン(36)を備え、前記複数の凹部(37)が、
-前記グリッドゾーン(36)の前記複数の凹部(37)に所定量のコーティング層材料を取り込み、
-前記複数の凹部(37)に前記所定量のコーティング層材料を保持するように構成されており、
前記移動無端表面が、前記セルロース層(10)の前記第1の面に近接して設置可能であり、
-前記複数の凹部(37)から前記セルロース層(10)の前記第1の面に前記所定量のコーティング層材料を塗布し、かつ
-前記所定量のコーティング層材料を用いて、前記セルロース層(10)の前記第1の面にコーティング層(20)を形成するように更に構成されている、コーティング層塗布装置。
【請求項18】
前記グリッドゾーン(36)が、第1のグリッドゾーン部分(36a)と第2のグリッドゾーン部分(36b)と、を備え、前記第1のグリッドゾーン部分(36a)及び前記第2のグリッドゾーン部分(36b)が、それぞれ、複数の第1の凹部と複数の第2の凹部と、を備え、前記複数の第1の凹部及び前記複数の第2の凹部が、それぞれ、第1の所定量のコーティング層材料及び第2の所定量のコーティング層材料を取り込み、保持し、かつ塗布し、前記第1の所定量のコーティング層材料が、前記第2の所定量のコーティング層材料とは異なる、請求項17に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項19】
前記移動無端表面(35)が、前記セルロース層(10)の前記第1の面にコーティング層材料を塗布しないブランクゾーンを更に備えて提供されている、請求項18に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項20】
前記凹部の寸法は、前記コーティング層が10~12g/m
2の範囲にある、より好ましくは、8~10g/m
2の範囲にある、最も好ましくは、1~8g/m
2の範囲にある重量を有するような寸法である、請求項17~19のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項21】
前記セルロース層と前記グリッドゾーンとの間の接触を実現するために、前記移動無端表面(35)の表面に対して前記セルロース層を押圧するように構成された押圧シリンダ(50)を更に備える、請求項17~20のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項22】
前記コーティング層塗布装置が、前記セルロース層(10)の前記運動方向を横断する方向に見て、前記コーティング層の前記塗布を中断するように構成されている、請求項18~21のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項23】
前記コーティング層塗布装置が、前記セルロース層と前記グリッドゾーンとの間の前記接触を中断するように構成されている、請求項21又は22に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項24】
前記押圧シリンダをカムシャフト(70)に移動可能に連結するホッパー機構(60)を更に備え、前記カムシャフト(70)が、その回転運動を前記ホッパー機構の上下運動に変換するように構成されており、それによって、前記セルロース層と前記グリッドゾーンとの間の前記接触が中断される、請求項21、22、又は23に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項25】
前記コーティング層が、パラフィン又は植物油などの油性化合物を含む、請求項18~24のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項26】
前記コーティング層が、あるパターンで塗布される、請求項18~25のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項27】
前記複数の凹部が、毛細管方式で前記コーティング層材料を取り込む、請求項18~26のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項28】
前記セルロース包装材料が、パン、焼いた食品、野菜、果物、チーズ、若しくは肉などの食品、又は非食品用のセルロース包装材料である、請求項18~27のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項29】
前記移動無端表面が、グリッドローラである、請求項18~28のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項30】
前記コーティング層が、15~200g/m
2/日、好ましくは、15~180g/m
2/日、より好ましくは、15~150g/m
2/日、更により好ましくは、15~120g/m
2/日の水蒸気浸透率を有する、請求項18~29のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項31】
ある体積のコーティング層材料を含むコーティング層材料区画を更に備え、前記グリッドローラが、前記体積のコーティング層材料中に部分的に浸漬される、請求項18~30のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項32】
複数の凹部を有するグリッドゾーンを備える更なる移動無端表面を更に備え、前記複数の凹部が、
-前記更なる移動無端表面の前記グリッドゾーンの前記複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込み、
-前記更なる移動無端表面の前記複数の凹部に前記所定量のコーティング層材料を保持するように構成されており、
前記更なる移動無端表面が、前記セルロース層(10)の前記第2の面に近接して設置可能であり、
-前記複数の凹部から前記セルロース層(10)の前記第2の面に前記所定量のコーティング層材料を塗布し、かつ
-前記所定量のコーティング層材料を用いて、前記セルロース層(10)の前記第2の面に更なるコーティング層を形成するように更に構成されている、請求項17~31のいずれか一項に記載のコーティング層塗布装置。
【請求項33】
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法において、任意選択的に、請求項17~32のいずれか一項に記載の装置において使用するためのグリッドローラであって、それぞれの所定量のコーティング層材料を取り込み、次いで、前記コーティング層材料をセルロース層に塗布するように構成されている複数の凹部を備えるグリッドゾーンを少なくとも部分的に備えて提供されている表面を備える、グリッドローラ。
【請求項34】
セルロース包装材料であって、前記包装材料の透湿度を設定するためのコーティング層が、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法に従って、好ましくは、請求項17~32のいずれか一項に記載の装置を用いて塗布される、セルロース包装材料。
【請求項35】
パン、焼いた食品、野菜、果物、チーズ、若しくは肉などの食品、又は非食品用のセルロース包装(100)であって、前記セルロース包装が、請求項34に記載のセルロース包装材料から一体的に製造される、セルロース包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース包装材料に、包装材料の透湿度を設定する目的で、コーティング層を塗布するための方法に関する。本発明は更に、本方法で使用するためのグリッドローラに関する。本発明はまた、セルロース包装材料の透湿度を設定するためのコーティング層塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース包装材料にコーティング層を塗布するための第1の既知の技術は、セルロース包装材料上にコーティング層材料をスプレーすることからなる。本明細書では、セルロース包装材料の方に向けられた1つ以上のスプレーノズルを備えるスプレー設備が使用される。スプレー設備は、コーティング層材料を圧力下でスプレーノズルに運ぶ。次いで、スプレーノズルは、コーティング層を形成するために、セルロース包装材料上にコーティング層材料をスプレーする。言い換えれば、スプレーノズルは、コーティング層材料をセルロース包装材料上に噴霧する。コーティング層材料のスプレーは、コーティング層材料が低粘度を有することを必要とし、このことは、当該コーティング層材料が流動性でなければならないことを意味する。コーティング層材料は、例えば、通常の条件下で水の粘度に対応する粘度を有していなければならない。このようなコーティング層材料は高価であり、製造が困難である。このようなスプレー設備は更に複雑であり、メンテナンスが多く、後続の第2の技術と比べて生産性が比較的限られている。この第2の既知の技術は、回転可能なシリンダを有する輪転印刷機の使用を含む。シリンダは、コーティング層材料を含む容器内に部分的に浸漬される。次いで、シリンダが軸線を中心に回転し、それによって、シリンダは、コーティング層材料を容器から連続的な方法で取り込む。次いで、押圧シリンダを使用して、回転可能なシリンダに対してセルロース包装材料を押圧し、それによって、コーティング層材料をセルロース包装材料に塗布する。この第2の技術の生産性は、セルロース包装材料がより高速で回転可能なシリンダに沿って運ばれるので、第1の技術よりもかなり高い。しかしながら、塗布されるコーティング層材料の量は、ほとんど設定することができない。更に、このような輪転印刷機は、限られた範囲でのみ制御することができる。したがって、紙に対する押圧シリンダの圧力を低減すると、最終的なセルロース包装材料上のコーティング層に不規則性が生じる。輪転印刷機の更なる欠点は、所定の方法で特定の量のコーティング層材料を塗布することが不可能なことである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、包装材料の透湿度を向上した制御性で設定するために、セルロース包装材料にコーティング層を塗布するための方法を提供することを目的とする。本発明の第2の目的は、制御性が向上したコーティング層塗布装置を提供することである。
【0004】
第1の態様によれば、本発明は、この目的のために、包装材料の透湿度を設定する目的で、セルロース包装材料にコーティング層を塗布するための方法であって、
-第1の面と第2の面とを有するセルロース層を提供することと、
-複数の凹部を有するグリッドゾーンを含む移動無端表面を提供することと、
-グリッドゾーンの複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込むことと、
-複数の凹部に所定量のコーティング層材料を保持することと、
-グリッドゾーンをセルロース層の第1の面と接触させることと、
-複数の凹部からセルロース層の第1の面に所定量のコーティング層材料を塗布することと、
-所定量のコーティング層材料を用いて、セルロース層の第1の面にコーティング層を形成することと、を含む、方法。
【0005】
グリッドゾーンの複数の凹部は、例えば、凹部の毛細管作用によって所定量のコーティング層材料を取り込み、次いで、この量のコーティング層材料を保持し、それをセルロース層に塗布するので、セルロース層に塗布されるコーティング層材料の量は、常に知られている。更に、コーティング層材料の量は、予め決定可能である。これは、グリッドゾーンの凹部のサイズを変更することによって可能である。したがって、これはまた、コーティング層材料の量を常に事前に変更することができ、したがって、制御可能であることを意味する。更に、包装材料の透湿度も、これによって最適な方法で制御可能である。
【0006】
グリッドゾーンは、好ましくは、第1のグリッドゾーン部分と第2のグリッドゾーン部分と、を備え、第1のグリッドゾーン部分及び第2のグリッドゾーン部分は、それぞれ、複数の第1の凹部と複数の第2の凹部と、を備え、複数の第1の凹部及び複数の第2の凹部は、それぞれ、第1の所定量のコーティング層材料及び第2の所定量のコーティング層材料を取り込み、保持し、かつ塗布し、第1の所定量のコーティング層材料は、第2の所定量のコーティング層材料とは異なる。セルロース包装材料は、あらゆる種類の形態及び用途に使用される。セルロース包装材料上にコーティング層を形成した後、これらの包装材料は、典型的には、セルロース包装材料の用途に応じて形成される。したがって、パン袋は、例えば、セルロース包装材料を折り畳み、次いで、それを対応する側面に接着することによって形成することができる。しかしながら、コーティング層は、セルロース包装材料の接着性を妨げ、それによって、相互に接着されたセルロース包装材料が緩む。これは、最終的に組み立てられた包装材料の品質に悪影響を及ぼす。各々がそれぞれの量のコーティング層材料を取り込み、保持し、塗布する第1及び第2のグリッドゾーン部分を有するグリッドゾーンは、それぞれのグリッドゾーン部分におけるコーティング層材料の量が、例えば、包装材料の意図された目的に応じて制御可能であるという利点を有する。これにより、塗布されるコーティング層材料の量を、セルロース包装材料の意図された目的に従って局所的に制御することが可能になる。したがって、例えば、第2のグリッドゾーン部分よりも第1のグリッドゾーン部分において、かなり多くのコーティング層材料を取り込み、保持し、塗布することができ、逆もまた同様である。上述の例によれば、コーティング層は、より少ないコーティング層材料が局所的に塗布された場所でより良好に接着する。上記に基づいて、当該好ましい実施形態によれば、制御性が更に向上することが明らかであろう。
【0007】
移動無端表面は、セルロース層の第1の面にコーティング層材料を塗布しないブランクゾーンを更に備えて提供されることが好ましい。これにより、接着性が最適であるセルロース包装材料上のゾーンの作成が可能になる。
【0008】
複数の凹部の寸法は、好ましくは、コーティング層が10~12g/m2の範囲にある、より好ましくは、8~10g/m2の範囲にある、最も好ましくは、1~8g/m2の範囲にある重量を有するような寸法である。本発明者による研究は、コーティング層の透湿度がコーティング層材料の塗布量に対してS字状に比例することを示した。したがって、1~5g/m2の重量を有するコーティング層は、許容可能な透湿度及び最適な接着特性を有する。また、コーティング層の量は、以下に更に記載されるように、セルロース層のタイプに依存することが明らかであろう。このようなコーティング層は、より多くのコーティング層材料が塗布されるコーティング層と比較して、更に安価である。本発明者は、10~12g/m2の重量を有するコーティング層が、漸近的な方法で最小透湿度に近づくことを更に見出した。したがって、最適な透湿度は、10~12g/m2の重量を有するコーティング層が塗布されたときに達成される。漸近的な方法で最適な透湿度に近づくということは、12g/m2を超える重量を有するコーティング層の塗布が、その透湿度に対して好ましい効果がほとんどないことを意味すると理解される。
【0009】
グリッドゾーンをセルロース層の第1の面と接触させることは、好ましくは、移動無端表面のグリッドゾーンに対してセルロース層の第1の面を押圧することを含む。これは、グリッドゾーンからセルロース層へのコーティング層材料の移動を改善する。したがって、コーティング層は、改善された方法で塗布される。
【0010】
押圧は、好ましくは、押圧シリンダによって実施される。これにより、コーティング層がセルロース層に更に一層浸透するので、好ましいと考えられる。
【0011】
セルロース層の第1の面への所定量のコーティング層材料の塗布は、好ましくは中断される。これは、セルロース層の更なる加工にプラスの効果を有する。したがって、セルロース層は、例えば、中断部の位置において、より良好に折り畳み可能又は接着可能である。
【0012】
セルロース層の第1の面へのコーティング層の塗布の中断は、好ましくは、グリッドゾーンをセルロース層の第1の面と接触させる際の中断を含む。グリッドゾーンを接触させる際の中断は、コーティング層材料がセルロース層に塗布されないことを保証し、それによって、最終的なセルロース層の品質が最適に制御される。接触させる際の中断は、更に好ましくは、押圧シリンダをカムシャフトに移動可能に連結するホッパー機構を使用して実施され、カムシャフトは、その回転運動をホッパー機構の上下運動に変換するように構成されており、それによって、セルロース層と移動無端表面との間の接触が中断される。
【0013】
コーティング層は、好ましくは、パラフィン又は植物油などの油性化合物を含む。例えば、パーム油若しくは大豆油又はそれらの混合物の使用が好ましい。
【0014】
コーティング層は、好ましくは、あるパターンで塗布される。コーティング層のパターンは、好ましくは、繰り返し要素を含む。繰り返し要素は、好ましくは、点、線、円などの0次元又は1次元の形態を有する。繰り返し要素は、ジグザグ線、階段形状、正弦形状、長方形、正方形、三角形などの他の形態を有することが更に可能である。繰り返し要素は、固定幅を有することが更に好ましい。繰り返し要素は、均一な相互距離で配置されることが更により好ましく、それによって、線及び中間領域のパターンが生じる。繰り返し要素間の垂直距離は、繰り返し要素の幅よりも最大で4倍大きいことがより好ましい。垂直距離は、繰り返し要素の幅の最大3倍又は最大2倍であることが更により好ましい。
【0015】
グリッドゾーンの複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込むことは、好ましくは、毛細管方式で凹部にコーティング層材料を取り込むことを含む。
【0016】
セルロース包装材料は、好ましくは、パン、焼いた食品、野菜、果物、チーズ、若しくは肉などの食品、又は非食品用のセルロース包装材料である。
【0017】
移動無端表面は、好ましくは、グリッドローラである。
【0018】
コーティング層は、15~200g/m2/日、好ましくは、15~180g/m2/日、より好ましくは、15~150g/m2/日、更により好ましくは、15~120g/m2/日の透湿度を有することが好ましい。透湿度は、DIN53-122-1に従って、25℃及び相対湿度75%で測定される。蒸気浸透率は、当該技術分野においてMVTR(moisture vapour transmission rate、水蒸気透過率)としても知られている。この低い蒸気浸透率は、セルロース層を、約15g/m2/日の蒸気浸透率を有する従来のプラスチックに対する効果的な代替物にするので、好ましい。MVTRの更なる減少は、コーティング層がセルロース層全体に浸透しないという事実に部分的に関連しているようである。セルロース層内に浸透すると、油は明らかに疎水性の孔を作成し、この孔を通って蒸気が拡散し、先の親水性セルロースに付着しなくなる。
【0019】
本方法は、好ましくは、複数の凹部を有するグリッドゾーンを備える更なる移動無端表面を提供することと、更なる移動無端表面のグリッドゾーンの複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込むことと、更なる移動無端表面の複数の凹部に所定量のコーティング層材料を保持することと、グリッドゾーンをセルロース層の第2の面と接触させることと、更なる移動無端表面の複数の凹部からセルロース層の第2の面に所定量のコーティング層材料を塗布することと、所定量のコーティング層材料を用いて、セルロース層の第2の面に更なるコーティング層を形成することと、を更に含む。
【0020】
第2の態様によれば、本発明は、この目的のために、セルロース包装材料の透湿度を設定するためのコーティング層塗布装置に関し、第1の面と第2の面とを有するセルロース層を含むセルロース包装材料にコーティング層を塗布するための移動無端表面を備え、セルロース層は、コーティング層塗布装置を通って運動方向に移動し、移動無端表面は、複数の凹部を有するグリッドゾーンを備え、複数の凹部は、
-グリッドゾーンの複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込み、
-複数の凹部に所定量のコーティング層材料を保持するように構成されており、
-移動無端表面は、セルロース層の第1の面の近傍に/セルロース層の第1の面と接触して設置可能であり、
-複数の凹部からセルロース層の第1の面に所定量のコーティング層材料を塗布し、かつ
-所定量のコーティング層材料を用いて、セルロース層の第1の面にコーティング層を形成するように更に構成されている。
【0021】
当業者は、同様の利点及び目的が、必要な変更を加えて本方法及び対応するコーティング層塗布装置に適用されることを理解するであろう。
【0022】
グリッドゾーンは、好ましくは、第1のグリッドゾーン部分と第2のグリッドゾーン部分と、を備え、第1のグリッドゾーン部分及び第2のグリッドゾーン部分は、それぞれ、複数の第1の凹部と複数の第2の凹部と、を備え、複数の第1の凹部及び複数の第2の凹部は、それぞれ、第1の所定量のコーティング層材料及び第2の所定量のコーティング層材料を取り込み、保持し、塗布し、第1の所定量のコーティング層材料は、第2の所定量のコーティング層材料とは異なる。
【0023】
コーティング層塗布装置は、好ましくは、セルロース層の運動方向を横断する方向に見て、コーティング層の塗布を中断するように構成されている。
【0024】
移動無端表面は、セルロース層の第1の面にコーティング層材料を塗布しないブランクゾーンを更に備えて提供されることが好ましい。
【0025】
凹部の寸法は、好ましくは、コーティング層が10~12g/m2の範囲にある、より好ましくは8~10g/m2の範囲にある、最も好ましくは1~8g/m2の範囲にある重量を有するような寸法である。
【0026】
コーティング層塗布装置は、好ましくは、セルロース層とグリッドゾーンとの間の接触を実現するために、移動無端表面の表面に対してセルロース層を押圧するように構成された押圧シリンダを含む。
【0027】
本明細書では、好ましくは、コーティング層塗布装置は、セルロース層とグリッドローラとの間の接触を中断するように構成されている。
【0028】
コーティング層塗布装置は、好ましくは、押圧シリンダをカムシャフトに移動可能に連結するホッパー機構を備え、カムシャフトは、その回転運動をホッパー機構の上下運動に変換するように構成されており、それによって、セルロース層とグリッドローラとの間の接触が中断される。
【0029】
コーティング層は、好ましくは、パラフィン又は植物油などの油性化合物を含む。
【0030】
コーティング層は、好ましくは、あるパターンで塗布される。
【0031】
複数の凹部は、好ましくは、毛細管方式でコーティング層材料を取り込む。
【0032】
セルロース包装材料は、好ましくは、パン袋用パン包装材料である。
【0033】
移動無端表面は、好ましくは、グリッドローラである。
【0034】
コーティング層は、15~200g/m2/日、好ましくは、15~180g/m2/日、より好ましくは、15~150g/m2/日、更により好ましくは、15~120g/m2/日の水蒸気浸透率を有することが好ましい。
【0035】
コーティング層塗布装置は、好ましくは、ある体積のコーティング層材料を含むコーティング層材料区画を備え、グリッドローラは、ある体積のコーティング層材料中に部分的に浸漬される。
【0036】
コーティング層塗布装置は、好ましくは、複数の凹部を有するグリッドゾーンを含む更なる移動無端表面を備え、複数の凹部は、更なる移動無端表面のグリッドゾーンの複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込み、更なる移動無端表面の複数の凹部に所定量のコーティング層材料を保持するように構成されており、更なる移動無端表面は、セルロース層(10)の第2の面に近接して設置可能であり、複数の凹部からセルロース層(10)の第2の面に所定量のコーティング層材料を塗布し、かつ所定量のコーティング層材料を用いて、セルロース層(10)の第2の面に更なるコーティング層を形成するように更に構成されている。
【0037】
第3の態様によれば、本発明は、上述の方法において、任意選択的に、上述の装置において使用するためのグリッドローラであって、それぞれの所定量のコーティング層材料を取り込み、次いで、コーティング層材料をセルロース層に塗布するように構成されている複数の凹部を備えるグリッドゾーンを少なくとも部分的に備えて提供されている表面を備える、グリッドローラを提供する。
【0038】
第4の態様によれば、本発明は、セルロース包装材料であって、包装材料の透湿度を設定するためのコーティング層は、上述の方法に従って、好ましくは、上述の装置を用いて、塗布される、セルロース包装材料を提供する。
【0039】
第5の態様によれば、本発明は、パン、焼いた食品、野菜、果物、チーズ、肉、魚などの食品、又は非食品のためのセルロース包装を提供し、セルロース包装は、上述のセルロース包装材料から製造される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の上記及び他の有利な特徴及び目的は、添付の図面と組み合わせて読まれるとき、以下の詳細な説明を参照してより明らかになり、本発明がより良好に理解される。
【
図1】一実施形態による、グリッドゾーンを有する移動無端表面の斜視図である。
【
図2】
図1の移動無端表面及び押圧シリンダの斜視図である。
【
図3】例示的な実施形態による、第1及び第2のグリッドゾーン部分を有するグリッドゾーンと、対応するコーティング層を有するセルロース層との概略図である。
【
図4】一実施形態による、ホッパー機構の斜視図である。
【
図5】更なる例示的な実施形態による、第1及び第2のグリッドゾーン部分を有するグリッドゾーンと、対応するコーティング層を有するセルロース層との概略図である。
【
図6A】好ましい実施形態による、コーティング層を塗布するための方法の概略図である。
【
図6B】好ましい実施形態による、コーティング層塗布装置の断面の側面図である。
【
図7】A1、A2、B1、B2は、
図6Aに示す方法に従って、かつ/又は
図6Bに示す装置を使用して塗布されたコーティング層を有するセルロース包装材料から製造されたセルロース包装の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、図面に示す例示的な実施形態に基づいて本発明を更に説明する。
【0042】
同一又は類似の要素は、図面において同一の参照番号で示される。
【0043】
図1は、好ましい実施形態による、移動無端表面35の概略斜視図である。移動無端表面35は、複数の凹部37を有するグリッドゾーン36を備える。
図1は、セルロース層10が移動無端表面35上に提供されること、及びコーティング層20がセルロース層10に塗布されることを更に示す。
【0044】
セルロース層10は、
図1で見ることができる第1の面と、第2の面(図示せず)と、を有する。セルロース層10は、セルロース包装材料、例えば、パン、焼いた食品、野菜、果物、チーズ、肉、魚、又は非食品製品用包装材料として機能するように意図されている。包装材料は、好ましくは、
図7A1、
図7A2、
図7B1、及び
図7B2に示すように、セルロース包装100を形成するように意図されている。好ましい実施形態では、セルロース層10は、長いセルロース繊維と短いセルロース繊維との組み合わせによって実質的に形成される。
【0045】
セルロース層10は、移動無端表面35に供給される。図示の好ましい実施形態では、移動無端表面35は、ローラである。ローラは、複数の凹部37を有するグリッドゾーン36を備える。したがって、グリッドローラ30が図に示されている。しかしながら、当業者であれば、グリッドローラ30の代わりに、又はグリッドローラ30に加えて、コンベヤベルトを同様の方式で構成できることを理解するであろう。
【0046】
凹部37は、コーティング層材料を取り込むように構成されている。凹部37は、好ましくは、移動無端表面の窪みである。言い換えれば、表面をくり抜くことによって凹部が形成される。したがって、凹部37は、表面から離れる方向に延在している。凹部は、表面の位置に、コーティング層材料を取り込むことができる入口開口部を有し、凹部は、好ましくは、1つの入口開口部のみを有する。凹部は、表面からある距離、例えば、表面から1mmのところに位置する底部を含むことができる。また、凹部は、表面上に直立した壁を形成することによって形成することができるが、このようにして形成された凹部は、表面をくり抜くよりも生産が困難であり、処理されるセルロース層を損傷する危険性も有する。凹部をくり抜くことは、例えば、レーザ彫刻装置を用いて実施することができる。壁は、例えば、グリッドゾーンを形成するために、表面にグリッド状に配置することができる。凹部については、以下で更に説明する。コーティング層材料は、好ましくは、パラフィン又は植物油などの油性化合物を含む。植物成分、特にパーム油、ヒマワリ油などの植物油に基づくコーティング層を塗布することが好ましい。このようにして、実質的に完全にリサイクル可能であるか、さもなければ堆肥化可能であるセルロース包装材料が得られる。このようにして、更に、袋の中のパン又は任意の他の食料品と鉱油が接触する危険がなくなる。植物油は、好ましくは、40℃より高い、好ましくは、50℃より高い、更により好ましくは、55℃又は60℃より高い融点を有する変性植物油を含む。この高さの融点を有する油は、セルロース層上のコーティング層が室温において固体状態であることを確実にする。変性植物油の融点は、このようにして得られるセルロース層又は包装材料の使用目的に従って設定又は選択できることが当業者には明らかであろう。したがって、非常に高い溶融温度を有する変性油、例えば、70℃の融点を有するヒマワリ油を含むコーティング層を有するセルロース層は、例えば、温度が非常に高くなり得る環境、例えば、45℃で製造又は貯蔵されるのに適しており、この例は、加熱スナック菓子の包装材料として使用される。植物油は、好ましくは、パーム油、大豆油、ヒマワリ油、オリーブオイル、扁桃油、アルガン油、アボカド油、ボラージ油若しくはスターフラワー油、ブドウ種子油、アサ種子油、ジャトロファ油、綿実油、ココナッツ油、キャノーラ油、アマニ油、マカダミア油、トウモロコシ油、パーム核油、ピーナッツ油若しくは落花生油、ナタネ油、米胚芽油若しくは米ぬか油、ベニバナ油、ゴマ油、小麦胚芽油、マツヨイグサ油、クルミ油及びひまし油、又はこれらの混合物からなる群から選択される。植物油は、より好ましくは、パーム油若しくはヒマワリ油、又はパーム油とヒマワリ油との混合物である。
【0047】
凹部37はまた、高粘度を有するコーティング層材料の使用を可能にする。例えば、1mPa.s以下の低粘度を有するコーティング層材料を典型的に使用する既知のシステムと比較して、凹部37は、高粘度を有するコーティング層材料の使用を可能にする。コーティング層材料の粘度は、好ましくは、10~500mPa.sの範囲にある。一例として、既知のシステムが、水の粘性と同程度以下の粘性を有するコーティング層材料を使用することと、凹部37が、ハチミツの粘性と同程度以上の粘性を有するコーティング層材料の使用を可能にすることとの比較を行うことができる。本発明者は、無端表面35の回転中にコーティング層材料が膨潤し始める危険な状況がかなりの程度まで減少することを見出した。これは、旋回が、コーティング層材料が容器から飛散する危険な状況を形成するからである。粘度の増加は、コーティング層材料の旋回に対抗し、それによって、コーティング層を塗布するための方法及び装置はより安全になる。
【0048】
凹部37へのコーティング層材料の取り込みは、好ましくは、毛細管方式で実施される。コーティング層材料は、毛細管作用によってコーティング層材料容器から凹部37内に吸引される。言い換えれば、凹部37は、コーティング層材料容器からのコーティング層材料をそれぞれの空洞内に吸引する。コーティング層材料の取り込みについては、
図6を参照して更に詳細に考察される。代替的に又は追加的に、コーティング層材料は、移動無端表面の溝を介して凹部37のある位置まで運ばれ得る。代替的に又は追加的に、コーティング層材料を凹部上に注ぐことができる。
【0049】
凹部37は、グリッドローラ30の表面に配置されている。凹部37は、異なる形態を有することができ、互いに異なる形態を有することもできる。したがって、凹部37は、例えば、単面又は四面体(図示せず)などのピラミッド形を有することができる。凹部は、代替的に又は組み合わせて、球形、円筒形、又は六面体の凹部(図示せず)とすることができる。凹部37の寸法は、取り込まれるコーティング層材料の量を決定する。したがって、複数の凹部の寸法は、コーティング層が10~12g/m2の範囲にある、より好ましくは、8~10g/m2の範囲にある、最も好ましくは、1~8g/m2の範囲にある重量を有するように選択される。凹部の寸法は、好ましくは、塗布されるコーティング層材料に応じて選択される。本発明者による研究は、透湿度がコーティング層材料の塗布量に対してS字状に比例することを示した。S字状に比例するとは、セルロース包装材料の透湿度が、コーティング層材料の塗布量の関数としてS字状の推移を描くことを意味すると理解される。より具体的には、S字形は、ロジスティック関数を意味すると理解される。したがって、1~8g/m2の重量を有するコーティング層は、許容可能な透湿度、例えば、200g/m2/日を有する。透湿度は、セルロース層及びコーティング層材料のタイプに大きく依存することに留意されたい。1~8g/m2の重量を有するコーティング層は、透湿度に対して比較的良好な接着特性を更に有する。このようなコーティング層は、より多くのコーティング層材料が塗布されるコーティング層と比較して、更に安価である。更に、これらの特性がセルロース層のタイプ、コーティング層の量及びコーティング層のタイプに依存すること、及びそれらが互いに相互効果を有することも明らかであろう。本発明者は、10~12g/m2の重量を有するコーティング層が、漸近的な方法で最小透湿度に近づくことを更に見出した。したがって、最適な透湿度は、10~12g/m2の重量を有するコーティング層が塗布されたときに達成される。漸近的な方法で最適な透湿度に近づくということは、12g/m2を超える重量を有するコーティング層の塗布が、その透湿度に対して好ましい効果がほとんどなく、更に高価であるということを意味すると理解される。驚くべきことに、本発明者は、複数の凹部の寸法が1~8g/m2の重量を有するコーティング層に対応するときに、このような包装材料が、商業的にも品質的にも、最も適した特性の組み合わせを有することを見出した。コーティング層は、同じ量又は異なる量で、紙の一方の面又は両方の面に塗布することができることに更に留意されたい。したがって、1g/m2のコーティング層材料は、例えば、第1の面に塗布することができ、10g/m2は、第2の面に塗布することができる。代替的に、10g/m2のコーティング層材料が全体として塗布されているように、5g/m2のコーティング層材料をセルロース材料の各面に塗布することも可能である。しかしながら、試験では、10g/m2のコーティング層材料を一方の面のみに提供することがより効率的であることを示した。コーティング層は、15~200g/m2/日、好ましくは、15~180g/m2/日、より好ましくは、15~150g/m2/日、更により好ましくは、15~120g/m2/日の透湿度を有することが好ましく、蒸気浸透率は、DIN53-122-1に従って25℃及び相対湿度75%で測定される。この低い蒸気浸透率は、紙袋を、約15g/m2/日の蒸気浸透率を有する従来のプラスチックパン袋に対する効果的な代替物にするので、好ましい。透湿度又は蒸気浸透率は、当該技術分野においてMVTR(水蒸気透過率)としても知られている。本出願の文脈では、透湿度と蒸気浸透率とは、同義的に言及されている。しかしながら、コーティング層を塗布することによって、包装材料の透湿度が設定されるだけでなく、脂肪浸透率も設定されることに留意されたい。これは、コーティング層が脂肪に対するバリアも形成することを意味する。本出願の文脈では、透湿度について言及されているが、脂肪浸透率が制御されることも明らかであろう。
【0050】
複数の凹部37が一緒になってグリッドゾーン36を形成する。複数の凹部37は、好ましくは、グリッドローラ30の表面35に繰り返しパターンで塗布される。グリッドゾーン36の複数の凹部は、好ましくは、同じ形態を有する。これにより、グリッドゾーンの全寸法にわたって均一なコーティング層の塗布が可能になる。グリッドゾーンについては、
図3を参照して更に詳細に考察される。
【0051】
グリッドローラ30は、グリッドローラ30の長手方向に見て、グリッドローラ30の軸線を中心として可動である。言い換えれば、グリッドローラ30をその軸線Aを中心として回転させることによって、移動無端表面が形成される。したがって、
図6に示すように、グリッドローラは、コーティング層材料を取り込み、保持し、それをその軸線Aを中心とした1回転でセルロース層に塗布することができる。
【0052】
図1は、グリッドゾーン36がセルロース層10の第1の面と接触していることを更に示す。セルロース層10をグリッドゾーン36と接触させることによって、所定量のコーティング層材料が複数の凹部37から第1の面に塗布される。したがって、コーティング層20は、セルロース層10の第1の面上に形成され、コーティング層20に使用されるコーティング層材料の量は、有利には事前に知られている。コーティング層20は、好ましくは、より閉じた紙の面に塗布される。また、装置は、厚紙にコーティング層を塗布するためにも利用できることにも更に留意されたい。厚紙もまた、供給できるセルロース層である。典型的には、厚紙がコーティング層材料をほとんど又は全く吸収しないコーティングが、厚紙の一方の面に提供される。しかしながら、コーティング層材料は、上述したように、効率的な方法で厚紙の他方の面に塗布することができる。
【0053】
図2は、
図1のグリッドローラ30の斜視図であり、押圧シリンダ50が、グリッドゾーン及び/又はグリッドローラ30に対してセルロース層10を押圧する。これは、塗布されたコーティング層20がそれによってセルロース層内に更に浸透するので、好ましい。
図2は、セルロース層10が異なる方法でグリッドローラ30に供給され得ることを更に示す。したがって、セルロース層10は、グリッドローラ30又は押圧シリンダ50に対してある角度で供給することができる。セルロース層10は、例えば、水平面に対して90°の角度又は45°の角度で供給することができる。90°の角度で供給されるセルロース層10は、押圧シリンダ50とより大きな接触面を共有する。セルロース層10は、下流方向から供給される。次いで、コーティング層が塗布され、セルロース層10がある角度で排出される。本明細書では、セルロース層10は、グリッドローラ30上に垂れ下がることが防止され、それによって、コーティング層を最適な方法で塗布することができる。更に、これにより、コーティング層塗布装置をよりコンパクトに構成することもできる。
【0054】
図3は、第1のグリッドゾーン部分36a及び第2のグリッドゾーン部分36bを有するグリッドゾーン36を備えて提供されているグリッドローラ30を示す。説明のために、グリッドローラ30の外面の巻かれていない上面図を更に示す。セルロース層10を図示されたグリッドゾーンと接触させることによって得られるコーティング層を有するセルロース層10が、巻かれていない外面と同様に図示されている。コーティング層は、第1のグリッドゾーン部分36a及び第2のグリッドゾーン部分36bとそれぞれ同様の第1のコーティング層ゾーン20a及び第2のコーティング層ゾーン20bを含む。
【0055】
第1及び第2のグリッドゾーン部分36a、36bは、それぞれ、複数の第1の凹部と複数の第2の凹部と、を備え、複数の第1の凹部及び複数の第2の凹部は、それぞれ、第1の所定量のコーティング層材料及び第2の所定量のコーティング層材料を取り込み、保持し、かつ塗布する。図示の好ましい実施形態では、第1のグリッドゾーン部分36aは、第2のグリッドゾーン部分36bよりも多くの凹部を含む。これは、図に示す正方形のグリッドに基づいて図示されており、第2のグリッドゾーン部分36bよりも多くの正方形が第1のグリッドゾーン部分36aに存在することが明らかであろう。凹部の数を変更することによって、取り込まれ、保持され、塗布されるコーティング層材料の量を制御することができる。
【0056】
したがって、第1のグリッドゾーン部分36aは、第1の所定量のコーティング層材料を取り込み、次いで、それをセルロース層に塗布し、その結果、第1のコーティング層ゾーン20aが、第1の所定量のコーティング層材料に従って形成される。前述と同様に、第2のグリッドゾーン部分36bは、セルロース層10に第2の所定量のコーティング層材料を塗布し、その結果、第2のコーティング層ゾーン20bが形成される。塗布されるコーティング層材料の量は、それぞれのコーティング層ゾーン20a、20bにおける線の量に基づいて示されている。したがって、第1の所定量のコーティング層材料は、第2の所定量のコーティング層材料とは異なることが明らかであろう。
【0057】
複数の第1の凹部及び複数の第2の凹部は、第1の所定量のコーティング層材料及び第2の所定量のコーティング層材料をそれぞれ取り込み、保持し、塗布するように更に構成されている。上述したように、第1の所定量のコーティング層材料は、第2の所定量のコーティング層材料とは異なる。取り込まれ、保持され、塗布されるコーティング層材料の量を制御する別の方法は、凹部の寸法及び/又は形態を変更することによって実現される。その結果、各凹部に対する、したがってまた各グリッドゾーン部分36a、36bに対する所定量のコーティング層材料は、凹部の寸法を増減することによって調整可能である。凹部の寸法及び凹部の数の両方は、取り込まれ、保持され、塗布されるコーティング層材料の量に影響をもたらすことが明らかであろう。一方では、コーティング層として塗布されるコーティング層材料の量は、常に事前に知られていることが明らかであろう。他方では、最終的なセルロース包装材料の透湿度は、本明細書によって制御可能であることが明らかであろう。
図3の図示の実施形態では、第1のグリッドゾーン部分36aは、第2のグリッドゾーン部分36bよりも多くのコーティング層材料をセルロース層10に塗布する。したがって、第1のコーティング層ゾーン20aの位置におけるコーティング層は、第2のコーティング層ゾーン20bの位置におけるコーティング層よりも多くのコーティング層材料を含む。したがって、第1のコーティング層ゾーン20aにおけるコーティング層は、第2のコーティング層ゾーン20bにおけるコーティング層よりも透湿性が低い。上述したように、このような実施形態は、セルロース層が第2のコーティング層ゾーン20bの位置において最適な方法で接着され得るため、かつ透湿度が第1のコーティング層ゾーン20aの位置において最小であるため、有利である。したがって、セルロース包装材料は、更に加工され、意図された目的に応じて機能するための最適な特性を含む。したがって、当業者は、上記に基づいて、コーティング材料の量を異なる方法で制御できることを理解するであろう。一方では、コーティング層材料の量は、凹部の寸法及び/又は形態を使用して制御可能である。他方では、コーティング層材料の量は、凹部の数を変更することによって制御可能である。更に、コーティング層材料の量を制御することは、凹部の寸法及び数を制御することの組み合わせによっても可能であることも明らかであろう。好ましい実施形態によれば、凹部は、複数の列に沿ってグリッドローラ上に配置されている。列は、例えば、同じ線に位置する複数の凹部によって形成され、線は、グリッドローラ30の軸線に平行であり、グリッドローラ30の2つの外側端部の間に延在している。列は、複数の凹部を含む。1列当たりの凹部の数は、グリッドローラのサイズに依存することが明らかであろう。凹部の数をより良好に定量化できるようにするために、本出願では、グリッドローラの外面に沿って見て、LPCMと略される1走行センチメートル当たりの凹部の数が参照される。好ましくは、1走行センチメートル当たり最小で8つの凹部、つまり8つのLPCMが配置される。好ましくは、1走行センチメートル当たり最大で240個の凹部、つまり240個のLPCMが配置される。上述したように、凹部の寸法及び/又は形態は、塗布されるコーティング層材料の量を制御するために、変更することができる。凹部は、好ましくは、セルロース層10の1平方メートル当たりに塗布されたコーティング層材料の最小で3cm
3の総体積を含み、言い換えれば、凹部は、好ましくは、最小で5cm
3/m
2の体積を含む。一実施形態によれば、グリッドローラは、240個のLPCM、すなわち、1走行センチメートル当たり240個の凹部を有し、これらは、最小で3cm
3/m
2の接合体積、より好ましくは、最小で5cm
3/m
2の接合体積を有する。本発明者は、このような好ましい実施形態において、接合体積が最大で9cm
3/m
2であることを見出した。更なる好ましい実施形態によれば、グリッドローラは、最小で40cm
3/m
2の接合体積、より好ましくは、最小で70cm
3/m
2の接合体積を有する8つのLPCMを有する。本発明者は、このような好ましい実施形態において、接合体積が最大で120cm
3/m
2であることを見出した。実際には、凹部の数は、その寸法も制限する。したがって、同じ量のコーティング層材料を塗布しなければならないとき、240個のLPCMを有するグリッドローラは、8つのLPCMを有するグリッドローラと比較して、より小さい凹部を有することが明らかであろう。更なる例示的な実施形態によれば、グリッドローラは、30、60、80、100、又は140個のLPCMを含む。好ましい実施形態によれば、30、60、80、100、又は140個のLPCMを有するグリッドローラの凹部の接合体積は、それぞれ最小で15cm
3/cm
2、11cm
3/cm
2、8cm
3/cm
2、5.5cm
3/cm
2、4cm
3/cm
2を有し、好ましくは、それぞれ最小で40cm
3/cm
2、17cm
3/cm
2、13cm
3/cm
2、12cm
3/cm
2、8cm
3/cm
2を有する。それぞれの最小体積が40cm
3/cm
2、17cm
3/cm
2、13cm
3/cm
2、12cm
3/cm
2、8cm
3/cm
2である30、60、80、100、又は140個のLPCMを有するグリッドローラは、例えば、それぞれ、13.5g/m
2、8g/m
2、5g/m
2、4.3g/m
2、3.5g/m
2のコーティング層材料をセルロース層に塗布する。
【0058】
グリッドゾーン部分36a、36bの位置は、セルロース包装材料の意図された目的に応じて設定されなければならないことが明らかであろう。更に、更なるグリッドゾーン部分、例えば、第3のグリッドゾーン部分(図示せず)が提供され得ることも明らかであろう。したがって、第3のグリッドゾーン部分は、例えば、第1のグリッドゾーン部分の量と第2のグリッドゾーン部分の量との間にある、コーティング層材料のある量を塗布することができる。上述したように、コーティング層は、乾燥時に硬化する。コーティング層が乾燥し、次いで、セルロース包装材料が折り畳まれると、コーティング層に割れ目が生じる。この割れ目は、透湿性であり、それによって、割れ目の位置においてセルロース包装材料に漏れが生じるおそれがある。折り目の位置、例えば、第3のグリッドゾーン部分の位置に、第1及び第2のグリッドゾーンに対して、中程度のコーティング層材料のある量を塗布することによって、コーティング層が割れる可能性が低減され、結局は、水分が止められる。したがって、セルロース包装材料は、その意図された目的に応じて最適に生産することができる。
【0059】
図4は、更なる好ましい実施形態による、グリッドローラ30の斜視図を示す。セルロース層10は、押圧シリンダ50を使用して、グリッドローラ30のグリッドゾーン36に対して押圧される。グリッドゾーン36に対してセルロース層10を押圧することにより、コーティング層材料を有利な方法で塗布することが可能になる。
【0060】
押圧シリンダ50は、軸線(図示せず)を中心として回転可能であり、図示の実施形態では、高さ方向に可動である。具体的には、押圧シリンダ50は、ホッパー機構60を介してカムシャフト70に移動可能に連結されている。
【0061】
カムシャフト70は、軸線Cを中心として回転可能である。カムシャフト70は、偏心カムシャフト部分71を含む。偏心カムシャフト部分71は、カムシャフト70の外面から外向きに偏心的に延在している。偏心カムシャフト部分71は、カムシャフト70と共に回転する。カムシャフト70は、好ましくは、サーボモータなどのアクチュエータによって駆動可能である。
【0062】
図示の実施形態によれば、ホッパー機構60は、フレーム61を含む。押圧シリンダ50は、軸線Bを中心として回転するようにフレーム61に取り付けられている。フレーム61は、傾斜機構を介してカムシャフト70に更に連結されている。傾斜機構は、傾斜バー62を含む。傾斜バー62は、傾斜軸63を中心として傾斜可能であり、傾斜軸63から2つの反対方向に延在する2つの傾斜バーアームを含む。傾斜バー62の第1のアームは、フレーム61に接続されている。傾斜バー62の第2のアームは、カムシャフト部分の下のある位置まで、及びカムシャフト部分71の運動平面内のある位置まで延在している。カムシャフト70を回転させることによって、カムシャフト部分71は、その回転中、第2のアームを下方に移動させる停止面として機能する。第2のアームの下方運動は、傾斜軸63を中心として傾斜バーを回転させ、それによって、第1のアームが上方に移動される。次いで、第1のアームの上方運動により、フレーム61が上方に持ち上げられ、それによって、押圧シリンダ50が最終的に持ち上げられる。押圧シリンダを持ち上げると、セルロース層とグリッドローラ30との間の接触が断たれる。言い換えれば、カムシャフト70の回転運動は、ホッパー機構の上下運動に変換され、それによって、セルロース層と移動無端表面との間の接触が中断される。上下運動は、偏心カムシャフト部分のために一時的なものに過ぎず、すなわち、カムシャフト部分71が傾斜バー62の第1のアームと接触する限り、中断が実現されることは明らかであろう。このようなカムシャフト及びホッパー機構は、既存のコーティング層塗布装置に遡及的にかつ比較的簡単な方法で一体化することができる。更に、複数のカムシャフト部分を提供することによって、中断の頻度を更に制御することができる。第1のカムシャフト部分及び第2のカムシャフト部分は、例えば、互いに対して直角に方向付けられ得る。カムシャフト部分と傾斜バーの第2のアームとの間の接触モーメントは、カムシャフトの回転速度によって少なくとも部分的に決定される。したがって、中断の頻度は、異なるカムシャフト部分間の相互角度を調整することによって制御することができる。
【0063】
セルロース層10とグリッドローラ30との間の接触を断つ異なる方法が存在することは、当業者には更に明らかであろう。したがって、例えば、グリッドローラ30が、コーティング層材料をセルロース層10に塗布しないブランクゾーンを備えて提供されるという点で、グリッドゾーン36を中断することによって中断を実現することもできることが見出された。
【0064】
図5は、ブランクゾーン36cを備えて提供されているグリッドローラを示す。グリッドゾーン36は、説明のために、グリッドローラ30の外面の巻かれていない上面図として、更に示されている。セルロース層10を図示されたグリッドゾーンと接触させることによって得られるコーティング層を有するセルロース層10が、巻かれていない外面と同様に図示されている。
【0065】
言い換えれば、
図5は、コーティング層10の塗布の中断の結果を示す。塗布を中断すると、コーティング材料が存在しないゾーン20cがセルロース層上に作成される。コーティング層材料が存在しないゾーン20cは、そこに塗布された又は塗布される接着接続をかなりの程度まで強化する。接着剤接続が強化されたことにより、セルロース包装材料は、より多くの製品、より大きい製品、及び/又はより重い製品に使用されることが可能になる。
【0066】
図3及び
図5は、コーティング層10が、好ましくは、あるパターンで塗布されることを更に示す。コーティング層のパターンは、好ましくは、繰り返し要素を含む。繰り返し要素は、更により好ましくは、互いから均一な距離にあり、それによって、線及び中間領域のパターンが生じる。繰り返し要素間の垂直距離は、繰り返し要素の幅よりも最大で4倍大きいことが更に好ましい。垂直距離は、繰り返し要素の幅の最大3倍又は最大2倍であることが更により好ましい。
図5に示す均一な相互距離での平行線のパターンなどの均一なパターンを有するコーティング層を塗布するとき、それにもかかわらず、線は、コーティング層の塗布後に完全に均一な幅を有さないことが更に見出された。言い換えれば、線は、わずかな変動を有する。この効果は、例えば、長繊維の割合が高い無漂白紙のような幾分粗いタイプの紙において特に達成される。このようなタイプの紙は、典型的には、第1の面の表面粗さが150~200mL/分などの100~250mL/分(ISO8791-2)である。このようなわずかな変動は、パターンが紙の上にあるのではなく、紙の中に実際に位置しているような外観を与える。規則的な繰り返し要素の代わりに及び/又はそれに加えて、透かしをこのように配置することもできる。
【0067】
図6Aは、セルロース包装材料に、包装材料の透湿度を設定する目的で、コーティング層を塗布するための方法1000を示す。
図6Bは、好ましい実施形態による、コーティング層塗布装置における方法1000を示す。
【0068】
第1のステップでは、本方法は、第1の面と第2の面とを有するセルロース層10を提供するステップ1100を含む。
図1、
図2、及び
図4に既に示したように、セルロース層10は、複数の方法で、かつ複数の方向から供給することができる。本方法は、複数の凹部を有するグリッドゾーンを含む移動無端表面を提供するステップ1200を更に含む。図示の実施形態では、移動無端表面は、グリッドローラ30である。グリッドローラ30は、コーティング層材料のための容器に少なくとも部分的に浸漬される。本明細書では、グリッドローラ30は、1300で、グリッドゾーンの複数の凹部に所定量のコーティング層材料を取り込む。コーティング層材料の取り込みは、凹部37の入口開口部を介して、すなわち、表面の位置において行われる。次いで、1400で、所定量のコーティング層材料が、複数の凹部に保持される。任意選択的に、ブレード80が提供されており、ブレード80は、取り込んだコーティング層材料の余分な部分を外面から削り落とすために、その周縁部がグリッドローラ30の外面に対して、又は実質的にグリッドローラ30の外面に対して配置されている。次いで、1500で、グリッドゾーンをセルロース層10の第1の面と接触させる。
図6Bでは、グリッドゾーンは、セルロース層の下面を介して接触させられる。しかしながら、グリッドゾーンはまた、セルロース層の上面に位置できることが明らかであろう。1600で、所定量のコーティング層材料は、セルロース層がグリッドゾーンと接触させられたときに複数の凹部から塗布される。したがって、言い換えれば、コーティング層材料はまた、凹部の入口開口部を介して凹部から出る。したがって、凹部にコーティング層材料を取り込むこと、及び凹部からコーティング層材料を塗布することは、凹部の同じ面を介して、すなわち、表面の位置において行われる。これにより、1700で、所定量のコーティング層材料を用いて、セルロース層10にコーティング層が形成される。
【0069】
コーティング層材料の塗布の上述の改善された制御性のおかげで、本方法及び装置は、既存の装置をより柔軟な方法で利用することを可能にする。したがって、コーティング層材料を装置内に保持し、より低い温度、例えば、120℃で塗布することができる。この利点は、コーティング層材料が高温、例えば、150℃で非常に不快な臭いを発するという洞察に基づいている。コーティング層材料をより低い温度、好ましくは、最大で130℃、より好ましくは、最大で120℃に維持することにより、装置の周囲の領域がよりアクセス可能かつ快適になる。コーティング層材料を120℃に加熱するために、150℃と比較してより少ないエネルギーが更に必要とされる。また、コーティング層材料の塗布の改善により、既知のシステム又は装置と比較して、異なる圧力、例えば、より多い圧力又はより少ない圧力を使用する自由度がユーザにとって高まった。
【0070】
また、コーティング層材料の改善された塗布を使用して、第2の面に所定量のコーティング層材料を塗布することができる。所定量のコーティング層材料を、セルロース層10の第1の面及び第2の面の両方に塗布することができる。言い換えれば、所定量のコーティング層材料を、セルロース層の第1の面及び/又は第2の面に塗布することができる。この目的のために、
図1に示すような第1の移動無端表面が提供され得、第2の移動無端表面(図示せず)が提供され得る。第1の移動無端表面35は、例えば、上述したように、コーティング層材料を第1の面に塗布することができる。第2の無端表面(図示せず)は、所定量のコーティング層材料を第2の面に塗布するように提供される。一方の面に第1の移動無端表面によって、他方の面に第2の移動無端表面によって塗布されるコーティング層材料の量は、必ずしも同じではない。第1及び第2の移動無端表面は、例えば、互いに異なるグリッドゾーンを備えて提供され得る。第1及び第2の面上のコーティング層材料のタイプは、異なり得ることに留意されたい。したがって、実験により、油性コーティング層材料が第1の面に提供され得、水性材料が第2の面に提供され得ることが示された。第2の移動無端表面は、好ましくは、コーティング層10の運動方向に見て、第1の移動無端表面の下流に位置する。
【0071】
【0072】
図7A1及び
図7A2は、セルロース包装材料から形成されたセルロース包装の前側及び後側を示す。
図7A1及び
図7A2に示す包装は、袋の内側にコーティング層20aを有する袋である。上述のように、本方法は、コーティング層材料が包装材料の一部分に塗布されないことを可能にする。コーティング層材料が存在しないゾーン20cは、そこに塗布された又は塗布される接着接続をかなり強化する。ゾーン20cは、セルロース包装材料がそれ自体に又は更なる包装材料に接着されることを可能にする。図示の好ましい実施形態では、ゾーン20cが接着性の改善を実現し、したがって、底部を補強するので、このようにして強い底部を有する袋が形成される。
図7B1及び
図7B2は、セルロース包装材料から形成されたセルロース包装の前側及び後側を示す。
図7A1及び
図7A2と同様に、
図7B1及び
図7B2は、袋を示す。しかしながら、
図7A1、
図7A2と
図7B1、
図7B2とは、コーティング層20aが
図7B1及び
図7B2の袋の外側に配置されている点で異なる。例えば、ケーキ、パン菓子、若しくはハンバーガー用段ボール箱、コーヒー用カップホルダーなどのホルダー、又は例えば、卵用運搬トレイなどの更なる包装は、上述の方法に基づいて作製されたセルロース包装材料から製造され得ることが当業者には明らかであろう。コーティング層は、
図7A1、
図7A2、
図7B1、
図7B2の図示された文脈では、袋の内側及び外側の両方に塗布され得ることが更に明らかであろう。
【0073】
当業者であれば、上記の説明に基づいて、本発明が異なる方法で、かつ異なる原理に基づいて具現化され得ることを理解するであろう。本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態及び図面は、純粋に例示的なものであり、単に本発明の理解を深めるのに役立つ。したがって、本発明は、本明細書に記載される実施形態に限定されず、特許請求の範囲において定義される。
【国際調査報告】