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特表2024-517682陽子エネルギーデグレーダデバイス及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】陽子エネルギーデグレーダデバイス及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 3/00 20060101AFI20240416BHJP
   G21G 4/08 20060101ALI20240416BHJP
   G21K 5/04 20060101ALI20240416BHJP
   H05H 13/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G21K3/00 W
G21G4/08
G21K3/00 Y
G21K5/04 A
H05H13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565446
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 CA2022050607
(87)【国際公開番号】W WO2022221949
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/178,817
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523400976
【氏名又は名称】アルテミス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTMS Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】クムリン,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ドッド,モーリス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】フック,ブライアン
【テーマコード(参考)】
2G085
【Fターム(参考)】
2G085BE01
2G085DA10
(57)【要約】
本開示は、陽子ビームデグレーダ及び冷却アセンブリに関する。陽子ビームデグレーダは、ターゲットに当たるように方向付けられた粒子ビームの経路内に位置決めされているデグレーダ箔を含む。デグレーダは、デグレーダ箔から熱を奪い、冷却アセンブリと併せて形成された冷却チャネルに熱を伝達するように位置決めされているデグレーダ箔が中にある、導管の外側に位置決めされた複数のフィンを含むことができる。デグレーダ箔は、熱伝達を更に改善するために面取りされたコーナーを有することができる。デグレーダ箔は、デグレーダ箔全体に真空状態を形成することを助けるために、少なくとも1つの開口を含むことができる。いくつかの実施例では、ターゲットが真空環境において動作することができない場合、デグレーダは、いかなる開口をも欠いているデグレーダ箔を含むことができる。
【選択図】図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダであって、
第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが前記第1の開口部を通って入り、前記第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、
前記導管の内側表面上及び前記粒子ビームの予想経路内に位置決めされたデグレーダ箔であって、前記導管と構造的に一体的である、デグレーダ箔と、
前記デグレーダ箔の表面と前記導管の前記内側表面との少なくとも1つの交差部における少なくとも1つの面取りされたコーナーと、を備える、陽子ビームデグレーダ。
【請求項2】
前記導管の外側表面から外向きに延在する複数のフィンであって、前記デグレーダ箔の位置に対向して位置決めされている、複数のフィンを更に備える、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項3】
前記デグレーダ箔は、前記デグレーダ箔を通る流体連通を提供する少なくとも1つの開口を含む、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口は、前記デグレーダ箔の中心から離れて位置決めされている、請求項3に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開口は、前記粒子ビームが入射すると予想されている前記デグレーダ箔上の領域の外側に位置決めされている、請求項4に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開口は、約0.1mm~約3mmの直径を有する、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項7】
前記導管及び前記デグレーダ箔は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、炭素、モリブデン、又は耐火材料のうちの少なくとも1つから形成されている、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項8】
前記デグレーダ箔の厚さは、入射陽子ビームのエネルギーを13MeV以下に低下させる、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項9】
前記デグレーダ箔は、前記粒子ビームの方向に対して実質的に垂直に位置決めされている、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項10】
前記第2の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジであって、前記ターゲット側フランジを支持構造体に結合するように構成された少なくとも1つの結合構造体を含む、ターゲット側フランジを更に備える、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項11】
前記第2の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジと、
前記第2の開口部と前記デグレーダ箔との間に位置決めされた前記導管の前記内側表面上の第1のチャネル開口部と、
前記ターゲット側フランジの表面上の第2のチャネル開口部と、
前記第1のチャネル開口部と前記第2のチャネル開口部との間に延在するチャネルであって、前記第1のチャネル開口部と前記第2のチャネル開口部との間に流体連通を提供する、チャネルと、を更に備える、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項12】
前記第2の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジであって、Oリングを収容するための凹部を含む、ビーム源側フランジを更に備える、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項13】
前記複数のフィンのうちの少なくとも1つのフィンは、前記導管の長手方向軸に沿って前記デグレーダ箔のいずれかの側部に位置決めされている、請求項2に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項14】
前記導管の前記外側表面から外向きに延在する複数のフィンであって、前記デグレーダ箔の前記位置に対向して位置決めされている、複数のフィンと、前記導管の前記外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジと、を更に備え、前記複数のフィンは、前記ターゲット側フランジと前記ビーム源側フランジとの間に位置決めされている、請求項11に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの面取りされたコーナーは、前記デグレーダ箔の表面と前記導管の前記内側表面との間に延在する平坦又は湾曲した少なくとも1つの表面を含む、請求項2に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項16】
前記複数のフィンは、前記複数のフィンの上を流れる冷却流体において乱流を誘発するように成形されている、請求項2に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項17】
粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダであって、
第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが前記第1の開口部を通って入り、前記第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、
前記導管の前記内側表面上及び前記粒子ビームの予想経路内に位置決めされた、前記導管と構造的に一体的である、デグレーダ箔と、
前記導管の外側表面上の冷却経路ゾーンであって、冷却流体に曝露されるように構成されている、冷却経路ゾーンと、を備え、
前記デグレーダ箔は、前記外側表面上の前記冷却経路ゾーンの範囲と直径方向に対向する前記内側表面上の範囲の間に位置決めされている、陽子ビームデグレーダ。
【請求項18】
前記デグレーダ箔の表面と前記導管の前記内側表面との少なくとも1つの交差部における少なくとも1つの面取りされたコーナーを更に備える、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項19】
前記導管の前記外側表面から外向きに、かつ前記冷却経路ゾーン内に延在する複数のフィンを更に備える、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項20】
前記デグレーダ箔は、前記デグレーダ箔を通る流体連通を提供する少なくとも1つの開口を含む、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項21】
前記少なくとも1つの開口は、前記デグレーダ箔の中心から離れて位置決めされている、請求項20に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの開口は、前記粒子ビームが入射すると予想されている前記デグレーダ箔上の領域の外側に位置決めされている、請求項21に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項23】
前記少なくとも1つの開口は、0.1mm~3mm直径を有する、請求項20に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項24】
前記導管及び前記デグレーダ箔は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、炭素、モリブデン、又は耐火材料のうちの少なくとも1つから形成されている、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項25】
前記デグレーダ箔の厚さは、約0.1mm~約2.2mmの値を有する、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項26】
前記デグレーダ箔は、前記粒子ビームの方向に対して実質的に垂直に位置決めされている、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項27】
前記第2の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジと、
前記ターゲット側フランジをターゲットハウジングに結合するように構成された少なくとも1つのキー構造体と、を更に備える、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項28】
前記第2の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジと、
前記第2の開口部と前記デグレーダ箔との間に位置決めされた前記導管の前記内側表面上の第1のチャネル開口部と、
前記ターゲット側フランジの表面上の第2のチャネル開口部と、
前記第1のチャネル開口部と前記第2のチャネル開口部との間に延在するチャネルであって、前記第1のチャネル開口部と前記第2のチャネル開口部との間に流体連通を提供する、チャネルと、を更に備える、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項29】
前記第1の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジであって、Oリングを収容するための凹部を含む、ビーム源側フランジを更に備える、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項30】
前記複数のフィンのうちの少なくとも1つのフィンは、前記導管の長手方向軸に沿って前記デグレーダ箔のいずれかの側部に位置決めされている、請求項19に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項31】
前記導管の前記外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジと、前記導管の前記外側表面から外向きに、かつ前記冷却経路ゾーン内に延在する複数のフィンと、を更に備え、前記複数のフィンは、前記ターゲット側フランジと前記ビーム源側フランジとの間に位置決めされている、請求項28に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項32】
前記複数のフィンは、前記複数のフィンの上を流れる冷却流体において乱流を誘発するように成形されている、請求項31に記載の陽子ビームデグレーダ。
【請求項33】
粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダアセンブリであって、
陽子ビームデグレーダであって、
第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが前記第1の開口部を通って入り、前記第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、
前記導管の前記内側表面上及び前記粒子ビームの予想経路内に位置決めされた、前記導管と構造的に一体的である、デグレーダ箔と、
前記導管の外側表面から外向きに延在する複数のフィンであって、前記デグレーダ箔の位置に対向して位置決めされている、複数のフィンと、を備える、陽子ビームデグレーダと、
冷却アセンブリであって、
前記陽子ビームデグレーダの前記複数のフィンを囲繞する内側表面を有するスリーブであって、少なくとも前記スリーブの前記内側表面及び前記陽子ビームデグレーダの前記導管の前記外側表面は、冷却チャネルを画定する、スリーブと、
前記冷却チャネルと流体連通する冷却液入口と、
前記冷却チャネルと流体連通する冷却液出口と、を備える、冷却アセンブリと、を備える、陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項34】
前記陽子ビームデグレーダは、
前記第2の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジであって、少なくとも1つの嵌合構造体を含む、ターゲット側フランジを備え、
前記冷却アセンブリは、
前記スリーブのデグレーダ側端部から外向きに延在するデグレーダ側フランジであって、前記陽子ビームデグレーダを前記冷却アセンブリと嵌合させるために、前記ターゲット側フランジの前記少なくとも1つの嵌合構造体と係合する少なくとも1つの嵌合構造体を含む、デグレーダ側フランジを備える、請求項33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項35】
前記デグレーダ側フランジは、第1のOリングを収容するための第1の凹部を含み、前記デグレーダ側フランジは、前記第1の凹部上で前記ターゲット側フランジと接触している、請求項34に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項36】
前記陽子ビームデグレーダは、
前記第1の開口部に近接して前記導管の前記外側表面から外向きに延在するスリーブ側フランジであって、第2のOリングを収容するための第2の凹部を含む、スリーブ側フランジを備え、
前記冷却アセンブリは、
前記スリーブの前記内側表面から内側に延在し、前記第2の凹部上で前記スリーブ側フランジと接触しているリップを備える、請求項33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項37】
前記冷却液入口及び前記冷却液出口は、前記スリーブの長手方向軸に沿って前記複数のフィンに隣接して位置決めされている、請求項33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項38】
前記陽子ビームデグレーダは、
前記第2の開口部と前記デグレーダ箔との間に位置決めされた前記導管の前記内側表面上の第1のチャネル開口部と、
前記ターゲット側フランジの表面上の第2のチャネル開口部と、
前記第1のチャネル開口部と前記第2のチャネル開口部との間に延在するチャネルであって、前記第1のチャネル開口部と前記第2のチャネル開口部との間に流体連通を提供する、チャネルと、を備え、
前記冷却アセンブリは、
前記デグレーダ側フランジの表面上の第3のチャネル開口部であって、前記ターゲット側フランジの前記表面上の前記第2のチャネル開口部と整列する、第3のチャネル開口部を備える、請求項34に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項39】
前記陽子ビームデグレーダは、
前記デグレーダ箔の表面と前記導管の前記内側表面との少なくとも1つの交差部における少なくとも1つの面取りされたコーナーを備える、請求項33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項40】
前記複数のフィンは、前記複数のフィンの上を流れる冷却流体において乱流を誘発するように成形されている、請求項33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項41】
前記デグレーダ箔は、前記デグレーダ箔を通る流体連通を提供する少なくとも1つの開口を含む、請求項33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【請求項42】
医学的に有用な放射性同位体を生成するためのシステムであって、
サイクロトロンであって、陽子エネルギービームを提供することが可能である、サイクロトロンと、
好適なエネルギーの陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を有するターゲットと、
請求項1に記載の陽子ビームデグレーダと、を備える、システム。
【請求項43】
医学的に有用な放射性同位体を生成するためのシステムであって、
サイクロトロンであって、陽子エネルギービームを提供することが可能である、サイクロトロンと、
好適なエネルギーの陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を有するターゲットと、
請求項17に記載の陽子ビームデグレーダと、を備える、システム。
【請求項44】
医学的に有用な放射性同位体を生成するためのシステムであって、
サイクロトロンであって、陽子エネルギービームを提供することが可能である、サイクロトロンと、
好適なエネルギーの陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を有するターゲットと、
請求項33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリと、を備える、システム。
【請求項45】
医学的に有用な放射性同位体を生成するためのプロセスであって、陽子エネルギービームを、陽子エネルギーデグレーダを通してターゲットに方向付けることを含み、
前記ターゲットは、前記陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を含み、
前記陽子ビームデグレーダは、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダである、プロセス。
【請求項46】
医学的に有用な放射性同位体を生成するためのプロセスであって、陽子エネルギービームを、陽子エネルギーデグレーダを通してターゲットに方向付けることを含み、
前記ターゲットは、前記陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を含み、
前記陽子ビームデグレーダは、請求項17に記載の陽子ビームデグレーダである、プロセス。
【請求項47】
医学的に有用な放射性同位体を生成するためのプロセスであって、陽子エネルギービームを、陽子ビームデグレーダアセンブリを通してターゲットに方向付けることを含み、
前記ターゲットは、前記陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を含み、
前記陽子ビームデグレーダは、請求項1に記載の陽子ビームデグレーダである、プロセス。
【請求項48】
医学的に有用な放射性同位体を生成するためのプロセスであって、陽子エネルギービームを、陽子ビームデグレーダアセンブリを通してターゲットに方向付けることを含み、
前記ターゲットは、前記陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を含み、
前記陽子ビームデグレーダは、請求項33に記載の陽子ビームデグレーダである、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月23日に出願された「Proton Energy Degrader Devices and Methods of Using Same」と題された、米国仮特許出願第63/178,817号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、陽子エネルギーデグレーダに関し、具体的には、冷却を伴うデグレーダに関する。
【背景技術】
【0003】
粒子加速器は、粒子を高速に加速することができる。陽子は、粒子加速器によって加速させることができる多くの粒子のうちの1つである。加速された陽子は、ターゲット内で核反応を引き起こすためにターゲット材料に方向付けることができ、所望の放射性同位体又は放射性核種の生成をもたらす。生成された放射性同位体及び放射性核種の種類は、ターゲットに衝突する陽子のエネルギーの関数とすることができる。所望の放射性同位体又は放射性核種を生成するために、ターゲットに入射する陽子のエネルギーは、対応するエネルギーレベルでなければならない。しかしながら、ほとんどの加速器は、粒子を固定されたエネルギーレベルに加速し、これは容易に調整可能でない場合がある。ターゲットに入射する陽子のエネルギーを低減するために、デグレーダは、ターゲットに入射する陽子のエネルギーが所望のレベルになるように、陽子から一定量のエネルギーを吸収するために、陽子の経路に位置決めすることができる。
【0004】
改善された陽子ビームエネルギーデグレーダを対象とした研究の進歩にもかかわらず、最高ビーム出力の一部に耐えるために十分な冷却を提供するデバイスは、依然として不足している。これらのニーズ及び他のニーズは、本開示によって満たされる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的によれば、本明細書において具体化され、広く説明されるように、本開示は、一態様では、陽子ビームデグレーダ及び冷却アセンブリを含む陽子ビームデグレーダアセンブリに関する。陽子ビームデグレーダは、ターゲットに当たるように方向付けられた粒子ビームの経路内に位置決めされるデグレーダ箔を含む。デグレーダは、デグレーダ箔から熱を奪い、冷却アセンブリと併せて形成された冷却チャネルに熱を伝達するように位置決めされているデグレーダ箔が中にある、導管の外側に位置決めされた複数のフィンを含むことができる。デグレーダ箔は、熱伝達を更に改善するために面取りされたコーナーを有することができる。デグレーダ箔は、デグレーダ箔全体に真空状態を形成することを助けるために、少なくとも1つの開口を含むことができる。いくつかの実施例では、ターゲットが真空環境で動作することができない場合、デグレーダは、いかなる開口をも欠いているデグレーダ箔を含むことができる。この要約は、特定の技術分野における検索の目的のためのスキャンニングツールとして意図されており、本開示を制限することを意図していない。
【0006】
開示されているのは、粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダであって、第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが第1の開口部を通って入り、第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、導管の内側表面上及び粒子ビームの予想経路内に位置決めされた、導管と構造的に一体的である、デグレーダ箔と、導管の外側表面上の冷却経路ゾーンであって、冷却流体に曝露されるように構成されている、冷却経路ゾーンと、を備え、デグレーダ箔は、外側表面上の冷却経路ゾーンの範囲と直径方向に対向する内側表面上の範囲の間に位置決めされている、陽子ビームデグレーダである。
【0007】
また、開示されているのは、粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダであって、第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが第1の開口部を通って入り、第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、導管の内側表面上及び粒子ビームの予想経路内に位置決めされたデグレーダ箔であって、導管と構造的に一体的である、デグレーダと、デグレーダ箔の表面と導管の内側表面との少なくとも1つの交差部における少なくとも1つの面取りされたコーナーと、を備える、陽子ビームデグレーダである。
【0008】
また、開示されているのは、粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダアセンブリであって、陽子ビームデグレーダであって、第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが第1の開口部を通って入り、第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、導管の内側表面上及び粒子ビームの予想経路内に位置決めされた、導管と構造的に一体的である、デグレーダ箔と、導管の外側表面から外向きに延在する複数のフィンであって、デグレーダ箔の位置に対向して位置決めされている、複数のフィンと、を備える、陽子ビームデグレーダと、冷却アセンブリであって、陽子ビームデグレーダの複数のフィンを囲繞する内側表面を有するスリーブであって、少なくともスリーブの内側表面及び陽子ビームデグレーダの導管の外側表面は、冷却チャネルを画定する、スリーブと、冷却チャネルと流体連通する冷却液入口と、冷却チャネルと流体連通する冷却液出口と、を備える、冷却アセンブリと、を備える、陽子ビームデグレーダアセンブリである。
【0009】
本開示の他のシステム、方法、特徴、及び利点は、以下の図面及び詳細な説明の検討に応じて、当業者には明らかである、又は明らかとなるであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、この説明内に含まれ、本開示の範囲内であり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。加えて、説明される実施形態の全ての任意選択的な、かつ好ましい特徴及び修正は、本明細書で教示される開示の全ての態様において使用可能である。更に、従属請求項の個々の特徴、並びに説明される実施形態の全ての任意選択的な、かつ好ましい特徴及び修正は、互いに組み合わせ可能及び置き替え可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。図面における構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本開示の原理を明確に例解することに重点が置かれている。更に、図面では、同様の参照番号は、いくつかの図面全体にわたって対応する部分を示す。
【0011】
図1図1A図1Eは、陽子ビームデグレーダの一部分の様々な図を示す。
図2図2A図2Eは、冷却アセンブリの様々な図を示す。
図3図3A図3Dは、陽子ビームデグレーダ及び冷却アセンブリを含む陽子ビームデグレーダアセンブリの様々な図を示す。
図4図4A図4Dは、デグレーダ箔に関連付けられた遷移表面に焦点を当てた、図1Aに示される陽子ビームデグレーダの一部分を示す。
図5図5は、デグレーダ箔の中心での温度と、デグレーダ箔と陽子ビームデグレーダの内部表面108との間の遷移表面の半径との間の関係の例示的なグラフを示す。
図6図6A図6Fは、第2の陽子ビームデグレーダの様々な図を示す。
図7図7A図7Eは、第2の冷却アセンブリの様々な図を示す。
図8図8は、第2の陽子ビームデグレーダ及び第2の冷却アセンブリを含む陽子ビームデグレーダアセンブリの分解図を示す。
【0012】
本開示の追加の利点は、以降の説明において部分的に記載されるか、説明から部分的に明白であるか、又は本開示の実施により習得することができる。本開示の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組み合わせの手段によって実現され、達せられるだろう。前述の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例示的及び説明的であり、特許請求の範囲のような、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0013】
様々な図面における同様の参照番号及び指定は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示される多くの修正及び他の実施形態は、開示される組成物及び方法が、前述の説明及び関連図面に提示される教示の利益を有することに、関係する当業者に想起されるであろう。したがって、本開示が、開示される特定の実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。当業者は、本明細書に説明される態様の多くの変形及び適応を認識するであろう。これらの変形及び適応は、本開示の教示に含まれ、本明細書の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0015】
特定の用語が本明細書で使用されているが、それらは、一般的かつ記述的な意味でのみ使用されており、限定の目的のためではない。
【0016】
本開示を読めば当業者には明らかであるように、本明細書に説明及び例解される個々の実施形態の各々は、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はそれらと組み合わされ得る、別個の構成要素及び特徴を有する。
【0017】
いかなる列挙された方法も、列挙された事象の順序で、又は論理的に可能である任意の他の順序で実行することができる。すなわち、別途明示的に記述されない限り、本明細書に記載される任意の方法又は態様が、そのステップが特定の順序で実行されることを必要とするものと解釈されることは決して意図されない。したがって、方法請求項が特許請求の範囲又は説明において、ステップが特定の順序に限定されることを具体的に記述していない場合、いかなる点においても、順序が推測されることを意図していない。これは、ステップ若しくは動作フローの配置に関する論理の問題、文法的構成若しくは句読点に由来する明白な意味、又は明細書に説明されている態様の数若しくは種類を含む、解釈のための任意の可能な非明示的根に適用される。
【0018】
本明細書で言及される全ての刊行物は、刊行物が引用される方法並びに/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行する権利を与えられないという承認として解釈されるべきではない。更に、本明細書に提供される公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立した確認を必要とする場合がある。
【0019】
本開示の態様は、システム法定クラスなどの特定の法定クラスにおいて説明及び特許請求することができるが、これは、便宜上のものであるに過ぎず、当業者は、本開示の各態様を、任意の法定クラスで説明及び特許請求することができることを理解するであろう。
【0020】
また、本明細書で使用される用語が単に特定の態様を説明する目的のためであり、限定することが意図されないことを理解されたい。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、開示される組成物及び方法が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義される用語などの用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことを更に理解されたい。
【0021】
比率、濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で表すことができることに留意されたい。範囲の各々端点は、他の端点に関して、及び他の端点と関係なく、その両方において有意であることを更に理解されたい。また、本明細書には開示される多数の値があり、各値はまた、その値自体に加えて、特定の値を「約」として本明細書に開示されることが理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」はまた、開示されている。範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表すことができる。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似として表されるとき、特定の値が更なる態様を形成することを理解されたい。例えば、値「約10」が開示されている場合、「10」はまた、開示されている。
【0022】
範囲が表されている場合、更なる態様は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。例えば、記述された範囲が限定の一方又は両方を含む場合、これらの含まれる限定の一方又は両方を除く範囲も本開示に含まれ、例えば、句「x~y」は、「x」から「y」までの範囲、並びに「x」よりも大きく、「y」未満の範囲を含む。範囲はまた、上限、例えば、「約x、y、z、又はそれ未満」として表すことができ、「約x」、「約y」、及び「約z」の特定の範囲、並びに「x未満」、「y未満」、及び「z未満」の範囲を含むと解釈されるべきである。同様に、「約x、y、z、又はそれより大きい」という句は、「約x」、「約y」、及び「約z」の特定の範囲、並びに「xより大きい」、「yより大きい」、及び「zより大きい」の範囲を含むと解釈されるべきである。加えて、「x」及び「y」が数値である「約「x」~「y」」という句は、「約「x」~「約「y」」を含む。
【0023】
そのような範囲形式は、便宜上及び簡潔さのために使用され、したがって、範囲の限定として明示的に列挙された数値を含むだけでなく、あたかも各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように、柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例解するために、「約0.1%~5%」の数値範囲は、約0.1%~約5%の明示的に列挙された値だけでなく、指示された範囲内の個々の値(例えば、約1%、約2%、約3%、及び約4%)及び部分範囲(例えば、約0.5%~約1.1%、約5%~約2.4%、約0.5%~約3.2%、及び約0.5%~約4.4%、並びに他の可能な部分範囲)も含むと解釈されるべきである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、「~で又は約」、及び「実質的に」という用語は、問題の量若しくは値が、正確な値、若しくは特許請求の範囲に記載されるか、又は本明細書で教示される同等の結果若しくは効果を提供する値とすることができることを意味する。すなわち、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の量及び特性は、正確ではなく、かつ正確である必要はないが、同等の結果又は効果が得られるように、所望される際、近似し得、及び/又はより大きく若しくはより小さくあり得、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に既知の他の要因を反映することが理解される。状況によっては、同等の結果又は効果を提供する値を合理的に決定することができない。そのような場合、本明細書で使用されるように、「約」及び「~で又は約」は、別途指示又は推測されない限り、±10%の変動を示す公称値を意味することが、概して理解される。概して、量、サイズ、配合、パラメータ又は他の量又は特性は、そのように明示的に記述されているかどうかにかかわらず、「約」、「およそ」、又は「~で又は約」である。「約」、「およそ」、又は「~で又は約」が定量的な値の前に使用される場合、別途具体的に記述されない限り、パラメータはまた、特定の定量的な値自体を含むことが理解される。
【0025】
本開示の様々な態様を説明する前に、以下の定義が提供され、別途指示されない限り、使用されるべきである。追加の用語は、本開示の他の場所で定義され得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」は、言及されるような記述された特徴、整数、ステップ、又は構成要素の存在を特定するものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の特徴、整数、ステップ、若しくは構成要素、又はそれらの群の存在若しくは付加を排除するものではない。更に、「によって(by)」、「を備える(comprising)」、「を備える(comprises)」、「から構成される(comprised of)」、「を含む(including)」、「を含む(includes)」、「を伴う(involving)」、「を伴う(involved)」、及び「など(such as)」という用語の各々は、それらの開かれた非限定的な意味で使用され、置き替え可能に使用され得る。更に、「を備える(comprising)」という用語は、「から本質的になる」及び「からなる」という用語によって包含される実施例及び態様を含むことが意図される。同様に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語によって包含される実施例を含むことが意図される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。「~のうちの少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行するとき、要素のリスト全体を修正し、リストの個々の要素を修正しない。
【0028】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、別途文脈が明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、(1つの)「陽子ビームデグレーダ」、「デグレーダ箔」、又は「導管」への参照は、2つ以上のそのような陽子ビームデグレーダ、デグレーダ箔、又は導管などを含むが、これらに限定されない。
【0029】
上で導入され、以下により詳細に考察される様々な概念は、説明された概念が実装形態のいかなる特定の方法にも限定されないように、多数の方法のうちのいずれかで実装され得る。特定の実装形態及び適用の実施例は、主に例解目的で提供されている。
【0030】
本明細書で使用される場合、「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、続いて説明される事象若しくは状況が生じ得ること、又は生じ得ないこと、並びにその説明が、当該事象若しくは状況が生じる場合及び生じない場合を含むことを意味する。
【0031】
別途指定されない限り、本明細書で言及される温度は、大気圧(すなわち、1気圧)に基づいている。
【0032】
デグレーダは、粒子ビームから一定量のエネルギーを吸収するために、ターゲットに入射する加速粒子(粒子ビームとも称される)の経路に位置決めすることができる。これは、粒子ビームが低減されたエネルギーでターゲットに入射させる。デグレーダによって吸収される必要があるエネルギーの量は、加速器によって発生された粒子ビームのエネルギーと、所望の放射性同位体又は放射性核種を生成するためにターゲットに入射する粒子ビームの所望のエネルギーと、に基づいている。デグレーダによって吸収されるエネルギーは、デグレーダの温度を上昇させることができる。結果として、デグレーダは、デグレーダの温度を安全な温度範囲内に維持するためにデグレーダから熱エネルギーを除去する、冷却チャネルと結合させることができる。以下で更に考察されるように、デグレーダ構造体は、典型的には金属箔であるデグレーダから離れて熱を伝達することができる速度を改善する要素を含むように設計することができる。熱をデグレーダから離れて伝達することができる速度を改善することによって、デグレーダの信頼性及び寿命を、改善することができる。
【0033】
図1A図1Eは、陽子ビームデグレーダ100(「第1の陽子ビームデグレーダ100」とも称される)の一部分の様々な図を示す。具体的には、図1Aは、図1Cに示される導管102の上面図を示し、図1Bは、図1Cに示される導管102の上面図を示し、図1Dは、図1Cに示される導管の断面図を示し、及び図1Eは、図1Cに示される導管102の別の等角図を示す。導管102は、陽子ビームデグレーダの一部を形成する(以下で更に考察される)。導管102は、第1の開口部104及び第2の開口部106を有する。導管102は、例えば、陽子ビームなどの粒子ビームが第1の開口部を通って入り、第2の開口部を通って出るための経路を提供する。導管102は、実質的に円形の断面を有する。いくつかの他の実施例では、導管102は、楕円形、矩形、又は多角形(規則的又は不規則的)である断面形状を有することができる。導管102は、内部表面108を含むことができる。内部表面108に対して測定された導管102の内径は、そこを通過する粒子ビームの幅よりも広くなるように選択することができる。いくつかの実施例では、導管102の内径は、粒子ビームの幅の2倍の幅とすることができる。いくつかの実施例では、導管102は、約10mm~約24mmの内径を有することができる。
【0034】
導管102は、導管102と構造的に一体的であるデグレーダ箔110を含む。具体的には、デグレーダ箔110は、導管102並びにデグレーダ箔110を形成するために、デグレーダ材料の単一のブロックを機械加工することによって形成することができる。実施例として、ボーリングツールは、第1の開口部104を形成するために、デグレーダ材料ブロックの一端から挿入することができる。同様に、ボーリングツールは、第2の開口部106を形成するために、ブロックの別の端部から挿入することができる。ボーリングツールは、それらがデグレーダ箔110を形成する材料を残すように誘導される。ボーリングツールは、第1の開口部104、第2の開口部106、及びデグレーダ箔110を形成するための例示的なツールに過ぎず、デグレーダ材料のブロック内に所望の深さの空洞を形成することができる任意のツールを利用することができることに留意されたい。陽子ビームデグレーダ100はまた、鋳造プロセスを使用して形成され得、陽子ビームデグレーダ100の所望の形状の鋳造物が形成され、所望の金属がその鋳造物に注がれる。金属が凝固した後、鋳造物を、取り出すことができる。陽子ビームデグレーダ100を形成するために使用されるプロセスにかかわらず、デグレーダ箔110は、導管102と構造的に一体的である。いくつかの実施例では、陽子ビームデグレーダ100は、炭素、アルミニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、又は耐火材料のうちの少なくとも1つを使用して形成することができる。耐火材料は、例えば、イリジウム、タングステン、チタン-ジルコニウム-モリブデン合金、並びにタンタル、及びタンタル合金などの上述の金属を含むことができる。
【0035】
デグレーダ箔110の厚さは、粒子ビーム及びデグレーダ材料のエネルギーにデグレーダ箔110によって提供される所望のエネルギー低下の大きさの関数とすることができる。実施例として、デグレーダ材料としてアルミニウムを用いると、約0.5mm~約0.55mmの厚さは、入射陽子ビームエネルギーが約16MeVである場合、陽子ビームのエネルギーを約3MeV~約3.5MeVだけ低下させることができる。別の実施例では、デグレーダ箔110の厚さは、デグレーダ箔110が入射陽子ビームのエネルギーを13MeV以下に低下させるように選択することができる。いくつかのそのような実施例では、入射陽子ビームは、16MeV~18MeVの入射エネルギーを有することができる。他のデグレーダ材料は、エネルギー低下の同じ所望の大きさのために異なる厚さを有することができる。実施例として、アルミニウムデグレーダ箔を用いると、デグレーダ箔110の厚さは、0.1mm~2.2mm、又は0.4mm~0.6mmの値を有することができる。デグレーダ箔110は、デグレーダ箔110を導管102の内部表面108に取り付ける任意のはんだ接合部又は他の取り付け部を欠くことができる。すなわち、デグレーダ箔110は、別々に形成されてから、次いで導管102に取り付けられない場合がある。導管102と構造的に一体的に形成されたデグレーダ箔110を有することは、デグレーダ箔110から離れて導管102の中への熱伝導を改善する。改善された熱伝導は、次に、デグレーダ箔110の信頼性、並びにデグレーダ箔110の寿命を改善する。デグレーダ箔110は、導管102を通る陽子ビームの方向に対して実質的に垂直に位置決めすることができる。いくつかのそのような実施例では、導管102の長手方向軸130が陽子ビームの方向に実質的に平行である場合、デグレーダ箔110は、導管102の内部表面108に対して実質的に垂直とすることができる。いくつかの他の実施例では、デグレーダ箔110は、陽子ビームの方向に対して非垂直角度で位置決めされ得る。例えば、デグレーダ箔110は、導管102の内部表面108と非垂直角度を形成することができる。陽子ビームの方向に対して斜めにデグレーダ箔110を位置決めすることは、陽子ビームを、デグレーダ箔110のより大きな表面積上でビーム出力を広げることができる。ビーム出力をより大きな表面積上で広げることはまた、デグレーダ箔110の表面上に温度勾配を有利に広げることができ、それによって、デグレーダ箔110の表面上のピーク温度を潜在的に低減する。
【0036】
デグレーダ箔110は、それを通る流体連通を可能にする少なくとも1つの開口を画定することができる。例えば、デグレーダ箔110は、開口112を画定することができる。開口は、デグレーダ箔110の両側に低圧又は真空状態を維持することを助けることができる。開口112は、デグレーダ箔110の中心から外れるように位置決めすることができる。例えば、開口112は、デグレーダ箔110の周囲の周りに位置決めすることができる。このようにして、開口112は、粒子ビームが入射すると予想されているデグレーダ箔110の領域の外側にあることができる。いくつかの実施例では、デグレーダ箔110は、デグレーダ箔110の周囲の周りに分散させることができる2つ以上の開口を画定することができる。開口112の直径は、デグレーダ箔110の構造的安定性への影響を低減するために小さくすることができる。いくつかの実施例では、開口112の直径は、約0.1mm~約0.9mm、又は約0.1mm~約1mm、又は約0.1mm~約1.2mm、又は約0.1mm~約1.5mm、又は約0.1mm~約2mm、又は約0.1mm~約2.5mm、又は約0.1mm~約3mmとすることができる。
【0037】
導管102は、導管102の長さの少なくとも一部分上で延在する外側表面114を有する。導管102の長さは、第1の開口部104と第2の開口部106との間に延在する長手方向軸130に沿って測定された導管102の寸法を指すことができる。ターゲット側フランジ116(スリーブ側フランジとも称される)は、導管102の外側表面114から外向きに延在する。ターゲット側フランジ116は、第2の開口部106に近接して位置決めされている。導管102はまた、ターゲット側フランジ116をターゲットハウジングに結合することを可能にするキー構造体118を含む。キー構造体118の形状は、それがターゲットハウジングにおける相補的構造体と嵌合するようにすることができる。言い換えれば、キー構造体118は、ターゲットハウジングにおける相補的開口部の中に挿入することができる。キー構造体118の形状は、非対称とすることができる。これは、導管102をターゲットハウジングに固定することを可能にし、導管102の長手方向軸130に沿った回転運動のリスクを低減することができる。実施例として、キー構造体118は、導管102の長手方向軸130に垂直な方向にキー構造体118から外向きに延在する突起120を含む。当然のことながら、キー構造体118を形成するために、他の形態の形状及び構造体(例えば、だぼ、ピンなど)を利用することができる。いくつかの実施例では、導管102は、キー構造体118を含ない場合があり、代わりに、導管102をターゲットハウジングに固定するために、ターゲット側フランジ116とターゲットハウジング上の別の構造体との間の結合に依存し得る。キー構造体118は、第2の開口部106の周囲を取り囲むことができ、第2の開口部106と面一とすることができる。いくつかの実施例では、キー構造体118は、第2の開口部106に延在しない場合がある。すなわち、外側表面114の少なくとも一部分は、第2の開口部106で、キー構造体118と導管102の縁部との間で曝露され得る。いくつかの実施例では、キー構造体118は、ターゲット側フランジ116と面一でない場合がある。すなわち、外側表面114の少なくとも一部分は、ターゲット側フランジ116とキー構造体118との間で曝露され得る。
【0038】
ターゲット側フランジ116はまた、ターゲット側フランジ116をターゲットハウジング、スリーブ(以下で更に考察される)、又はその両方にしっかりと接着するために、例えば、ボルト、ネジ、だぼ、釘、ピンなどの締結具を収容することができる1つ以上の穴122を含み得る。いくつかの実施例では、ターゲット側フランジ116は、1つ以上の穴122を欠いている場合があり、ターゲット側フランジ116をターゲットハウジング、スリーブ、又はその両方に結合するために、例えば、クランプなどの代替手段を含み得る。
【0039】
導管102は、導管102の外側表面114から外向きに延在する複数のフィン124を含むことができる。フィン124は、デグレーダ箔110からの熱放散のための追加の表面積を提供することができる。図1A図1Eは、フィン124が3つの個々のフィンを含むことを示すが、これは、単なる実施例であり、フィンの数は、2つのフィンから約10のフィン間で変えることができる。フィン124は、実質的に垂直方向に外側表面114まで延在することができる。しかしながら、いくつかの実施例では、フィン124は、外側表面114と非垂直な角度関係を有し得る。実施例として、1つ以上のフィン124は、外側表面114と約-30度から約30度の間の角度を有し得る。1つ以上のフィン124は、連続的とすることができ、すなわち、1つ以上のフィン124は、外側表面114の円周に沿って均一に延在することができる。しかし、図1A図1Eに示されるように、1つ以上のフィンは、不連続的とすることができる一方、他のフィンは、連続的とすることができる。いくつかの実施例では、フィン124のうちの少なくとも1つは、図1A図1Eに示される平坦な表面とは対照的に、湾曲した表面を有することができる。湾曲した表面は、フィン124の表面積を増加させることができ、それによって、熱放散を増加させる。上で考察されたフィン124の様々な形状は、冷却流体がフィン124を通過するときに冷却流体の乱流を増加させることができる。乱流の増加は、次に、フィン124と冷却流体との間の熱伝達速度を改善することができる。
【0040】
フィン124は、内部表面108上のデグレーダ箔110の位置と対向する外側表面114上に位置決めすることができる。これは、フィンによって放散された熱の割合を、デグレーダ箔110によって発生された熱からであるように増加させることを可能にする。いくつかの実装形態では、フィン124は、少なくとも1つのフィンが、導管102の長手方向軸130に沿ってデグレーダ箔110のいずれかの側部に位置するように位置決めすることができる。いくつかの実施例では、フィン124のスパン又は長さは、導管102の長手方向軸130に沿った、2つの最も遠いフィンの間の距離に基づくことができる。いくつかのそのような実施例では、フィン124は、長さの中心がデグレーダ箔110と整列するように位置決めすることができる。言い換えれば、デグレーダ箔110の平面は、フィン124の長さを二分する。
【0041】
導管102は、第1の開口部104に近接して導管102の外側表面114から外向きに延在するビーム源側フランジ126を含む。ビーム源側フランジ126は、スリーブにおけるリップと係合することができる(以下で考察される)。ビーム源側フランジ126は、第1の開口部104面一とすることができる。いくつかの実施例では、ビーム源側フランジ126は、外側表面114の少なくとも一部分が、ビーム源側フランジ126の位置と第1の開口部104における導管102の縁部との間で曝露されるように位置決めすることができる。フィン124は、ビーム源側フランジ126とターゲット側フランジ116との間に位置決めすることができる。具体的には、導管102を通る粒子ビームの予想される方向を参照すると、フィン124は、ビーム源側フランジ126の上流に位置決めすることができ、ターゲット側フランジ116は、フィン124の上流に位置決めすることができる。ビーム源側フランジ126は、フィン124から背を向ける側部に凹部128を含むことができる。凹部128は、ビーム源側フランジ126の周囲に沿って及ぶことができ、Oリングを収容することができる。Oリングは、シールを形成するために、スリーブのリップ部分に対して押し付けることができる。
【0042】
フィン124は、外側表面114の冷却経路ゾーン132内に位置決めすることができ、冷却経路ゾーン132は、冷却流体に曝露されている外側表面114の一部分である。図1Dに示される実施例では、冷却経路ゾーン132は、ターゲット側フランジ116とビーム源側フランジ126との間で、長手方向軸130に沿った方向において延在することができる。しかしながら、いくつかの他の例では、冷却経路ゾーン132は、ターゲット側フランジ116とビーム源側フランジ126との間の外側表面114上の中間位置の間に延在することができる。
【0043】
デグレーダ箔110は、内部表面108上の冷却経路ゾーン132の範囲と直径方向に対向する内部表面108上の範囲の間に位置決めすることができる。例えば、図1Dに示されるように、外側表面114上の、ターゲット側フランジ116及びビーム源側フランジ126の側壁の位置と直径方向に対向する内部表面108上の範囲は、デグレーダ箔110が内部表面108上に位置決めすることができる範囲とすることができる。そのような位置決めは、デグレーダ箔110の効果的な冷却を確実にする。
【0044】
図2A図2Eは、冷却アセンブリ200(「第1の冷却アセンブリ」とも称される)の様々な図を示す。具体的には、図2Aは、冷却アセンブリ200の上面図を示し、図2Bは、冷却アセンブリ200の側面図を示し、図2Cは、図2Bに示される軸A-Aに沿った冷却アセンブリ200の断面図を示し、図2Dは、冷却アセンブリ200の第1の等角図を示し、図2Eは、冷却アセンブリ200の第2の等角図を示す。冷却アセンブリ200は、図1A図1Eに示される導管102を収容することができる円筒形の中空構造体とすることができるスリーブ202を含む。スリーブ202は、導管102が冷却アセンブリ200と嵌合されるときに導管102を取り囲むことができる内側表面204を有することができる。スリーブ202は、デグレーダ側開口部216及びビーム源側開口部218を含む。内側表面204は、デグレーダ側開口部216とビーム源側開口部218との間に延在することができる。スリーブ202はまた、スリーブ202のデグレーダ側端部208から外向きに延在するデグレーダ側フランジ206を含む。デグレーダ側フランジ206は、導管102のターゲット側フランジ116における少なくとも1つ以上の嵌合構造体と係合することができる少なくとも1つ以上の嵌合構造体を含むことができる。例えば、スリーブ202のデグレーダ側フランジ206は、ターゲット側フランジ116の1つ以上の穴122と整列することができる1つ以上の穴210を含むことができる。1つ以上の締結具は、スリーブ202のデグレーダ側フランジ206及び導管102のターゲット側フランジ116の穴と係合するために利用することができる。デグレーダ側フランジ206は、ビーム源側開口部218からから背を向けるデグレーダ側フランジ206の側部214上の凹部212を含むことができる。凹部212は、デグレーダ側フランジ206とターゲット側フランジ116との間で界面形成し、シールを形成することができるOリングを収容することができる。
【0045】
デグレーダ側フランジ206は、少なくとも1つの冷却液入口222及び少なくとも1つの冷却液出口224を含むことができる。冷却液入口222は、デグレーダ側フランジ206の少なくとも1つの側面220上の外側冷却液入口開口部226と、スリーブ202の内側表面204上の内側冷却液入口開口部228との間に延在することができる。冷却液出口224は、デグレーダ側フランジ206の少なくとも1つの側面220上の外側冷却液出口開口部230と、内側表面204上の内側冷却液出口開口部232との間に延在することができる。少なくとも1つの冷却液入口222及び少なくとも1つの冷却液出口224は、例えば、水などの冷却液を冷却アセンブリ200の内に、及び外に運ぶことができる。図2A図2Eは、1つのみの冷却液入口及び1つのみの冷却液出口を示すが、入口と出口の数は、2つ以上にすることができる。例えば、冷却アセンブリ200は、外側冷却液入口開口部226及び外側冷却液出口開口部230が開口する側部220と対向する、デグレーダ側フランジ206の側面上の別の一対の入口及び出口を含むことができる。
【0046】
デグレーダ側フランジ206はまた、スリーブ202のビーム源側開口部218に位置決めされたリップ234を含むことができる。リップ234は、リップ234の内周がビーム源側開口部218を画定するように、スリーブ202の内側表面204から内側に延在することができる。リップ234が内側に延在する半径方向の距離は、図1A図1Eに示される陽子ビームデグレーダ100の導管102のビーム源側フランジ126のサイズに基づくことができる。陽子ビームデグレーダ100がスリーブ202に挿入されるとき、ビーム源側フランジ126は、凹部128におけるOリングとともに、リップ234に対して面一に位置決めされている。スリーブ202のデグレーダ側開口部216とビーム源側開口部218との間の距離は、第1の開口部104に面するターゲット側フランジ116の表面と、フィン124からから背を向けるビーム源側フランジ126の側部との間の距離と実質的に等しくすることができる。ある程度の公差は、ビーム源側フランジ126の凹部128及びデグレーダ側フランジ206内の凹部212に位置決めされたOリングを収容することを可能にすることができる。
【0047】
いくつかの実施例では、内側表面204によって画定されるスリーブ202内の空間の断面形状及び直径は、導管102の断面形状及び直径よりも大きくすることができる。いくつかの実施例では、内側表面204によって画定されるスリーブ202内の空間の直径は、ビーム源側フランジ126又はフィン124(いずれか大きい方)の外径よりわずかに大きくすることができる。これは、陽子ビームデグレーダ100が、ビーム源側フランジ126がリップ234と接触し、ターゲット側フランジ116がデグレーダ側フランジ206と接触するまで、スリーブ202のデグレーダ側開口部216を通って、第1の開口部104側を最初に摺動させることができるようにする。
【0048】
冷却アセンブリ200は、粒子ビーム源出口と接続することができる接続ノズル236を更に含む。接続ノズル236は、相補的粒子ビーム源出口と結合することを可能にするために、外径が徐々に減少するセクションのセットを含むことができる。
【0049】
図3A図3Dは、陽子ビームデグレーダアセンブリ300の様々な図を示す。具体的には、図3Aは、陽子ビームデグレーダアセンブリ300の側面図を示し、図3Bは、陽子ビームデグレーダアセンブリ300の側面図を示し、図3Cは、陽子ビームデグレーダアセンブリ300の等角図を示し、図3Dは、陽子ビームデグレーダアセンブリ300の断面図を示す。陽子ビームデグレーダ100は、ターゲット側フランジ116がデグレーダ側フランジ206と結合されるように、冷却アセンブリ200と結合されている。上述されたように、陽子ビームデグレーダ100の導管102は、内側表面204によって画定されるスリーブ202内の空間の中に挿入されている。図3Aに見られるように、フィン124及び導管102の外側表面114は、冷却アセンブリ200の少なくとも1つの冷却液入口222及び少なくとも1つの冷却液出口224を通して見ることができる。陽子ビームデグレーダアセンブリ300は、冷却液入口コネクタ302及び冷却液出口コネクタ304を含む。冷却液入口コネクタ302は、外側冷却液入口開口部226でデグレーダ側フランジ206に固定することができる一方、冷却液出口コネクタ304は、外側冷却液出口開口部230でデグレーダ側フランジ206に固定されている。冷却液入口コネクタ302は、少なくとも1つの冷却液入口222との流体連通を提供し、冷却液出口コネクタ304は、少なくとも1つの冷却液出口224との流体連通を提供する。冷却液入口コネクタ302は、少なくとも1つの冷却液入口222に冷却流体を供給するホース又はパイプに接続させることができ、冷却液出口コネクタ304は、少なくとも1つの冷却液出口224から冷却流体を受容するホース又はパイプに接続させることができる。
【0050】
図3Dは、陽子ビームデグレーダアセンブリ300の断面図を示す。スリーブ202の内側表面204は、陽子ビームデグレーダ100のフィン124を囲繞する。陽子ビームデグレーダ100のターゲット側フランジ116は、冷却アセンブリ200のデグレーダ側フランジ206と接触することができる。加えて、陽子ビームデグレーダ100のビーム源側フランジ126は、冷却アセンブリ200のリップ234と接触することができる。ターゲット側フランジ116は、ターゲット側フランジ116とデグレーダ側フランジ206との界面にシールを形成するために、それらの間にOリング310を有するデグレーダ側フランジ206に対して押し付ける。凹部128において、かつビーム源側フランジ126とリップ234との間に位置決めされたOリング308は、ビーム源側フランジ126とリップ234との界面にシールを形成する。デグレーダ側フランジ206上の少なくとも1つの嵌合構造体は、陽子ビームデグレーダ100を冷却アセンブリ200と嵌合させるために、ターゲット側フランジ116上の少なくとも1つの嵌合構造体と係合することができる。例えば、デグレーダ側フランジ206上の1つ以上の穴210は、ターゲット側フランジ116上の1つ以上の穴122と整列することができる。締結具は、ターゲット側フランジ116とともにデグレーダ側フランジ206を固定するために、これらの穴を通して挿入することができる。
【0051】
少なくともスリーブ202の内側表面204及び陽子ビームデグレーダ100の導管102の外側表面114は、冷却チャネル306を画定することができる。実施例として、図3Dに示されるように、スリーブ202の内側表面204、導管102の外側表面114、ターゲット側フランジ116、及びビーム源側フランジ126の一部分は、冷却チャネル306を画定する。冷却チャネル306は、構造において環状とすることができ、フィン124を取り囲むことができ、冷却流体がフィン124の周りを循環するためのチャネルを提供することができる。少なくとも1つの冷却液出口224は、内側冷却液出口開口部232を通して冷却チャネル306と流体連通することができる一方、少なくとも1つの冷却液入口222は、内側冷却液入口開口部228を通して冷却チャネル306と流体連通することができる。図3Aに示されるように、少なくとも1つの冷却液入口222及び少なくとも1つの冷却液出口224は、フィン124の予想される位置に対向して位置決めすることができる。言い換えれば、少なくとも1つの冷却液入口222及び少なくとも1つの冷却液出口224のうちの少なくとも1つは、スリーブ202の長手方向軸240に沿ってフィン124に隣接して位置決めすることができる。具体的には、スリーブ202の内側表面204上の内側冷却液入口開口部228及び内側冷却液出口開口部232のうちの少なくとも1つは、フィン224のうちの少なくとも1つのフィンの向かい側に位置決めすることができる。いくつかの実施例では、内側冷却液入口開口部228及び内側冷却液出口開口部232のうちの少なくとも1つの中心は、導管102の長手方向軸130に沿って測定されたフィン124のスパンの中心又は長さの向かい側にあることができる。
【0052】
動作中であるとき、粒子ビームは、接続ノズル236を通って陽子ビームデグレーダアセンブリ300に入り、デグレーダ箔110を通過し、陽子ビームデグレーダ100における第2の開口部106を通って出ることができる。冷却流体は、冷却液入口コネクタ302及び内側冷却液入口開口部228を通して冷却チャネル306の中に導入することができる。冷却流体は、冷却チャネル306内を循環し、内側冷却液出口開口部232及び冷却液出口コネクタ304を通って冷却チャネルを出ることができる。冷却チャネル306内で、冷却流体は、冷却チャンバ306内に曝露された陽子ビームデグレーダ100の表面から熱を吸収することができ、その表面は、フィン124及び導管102の外側表面114を含むことができる。吸収された熱は、冷却流体によって陽子ビームデグレーダアセンブリ300から外に伝達されている。より冷たい冷却流体は、熱伝達を提供することを継続するために、冷却チャネル306の中に循環されている。また、動作中、ターゲット材料を含むターゲットハウジングは、第2の開口部106で陽子ビームデグレーダアセンブリ300と結合させることができ、粒子ビーム源出口は、接続ノズル236と結合されている。ターゲットとビーム粒子ビーム源との間の空間は、真空に維持することができる。上述されたように、デグレーダ箔110における開口112は、そこを通る流体連通を可能にすることによって、真空がデグレーダ箔110の両側に維持されていることを確実にする。この真空状態は、サイクロトロンが陽子粒子をターゲットに向かって加速することを助けることができる。
【0053】
図4Aは、図1Aに示される陽子ビームデグレーダ100の一部分を示す。より具体的には、図4Aは、デグレーダ箔110と導管102の内部表面108との間の交差部の拡大図を示す。デグレーダ箔110は、ターゲット側表面402及びビーム側表面404を有する。遷移表面406は、ターゲット側表面402と内部表面108との間、並びにビーム側表面404と内部表面108との間の遷移部を形成する。言い換えれば、遷移表面406は、デグレーダ箔の少なくとも1つの表面と内部表面108との少なくとも1つの交差部におけるコーナーに位置決めされている。遷移表面406は、面取りされた表面とすることができるか、又はデグレーダ箔110と内部表面との間のコーナーは、面取りすることができる。ここで、面取りされたコーナー又は面取りされた表面は、平坦な表面又は湾曲した表面を指すことができる。例えば、図4Bは、ターゲット側表面402と内部表面108との間で遷移表面としての単一の平坦な表面408を示す。遷移表面408がターゲット側表面402及び内部表面108の各々と作る角度は、等しい角度(例えば、45度までの等しい角度)、又は等しくない角度(例えば、60度及び30度、30度及び60度、若しくは合計で約90度になる任意の2つの数の角度)とすることができる。図4Cは、ターゲット側表面402と内部表面108との間で遷移表面を形成する面取りされた表面の別の実施例を示す。ここで、面取りされた遷移表面は、第1の平坦遷移表面410及び第2の平坦遷移表面412という2つの角度付けられた平坦な表面を含む。第1の平坦遷移表面410は、内部表面108と第2の平坦遷移表面412との間に位置決めされており、第2の平坦遷移表面412は、第1の平坦遷移表面410とターゲット側表面402との間に位置決めされている。図4Cは、2つの平坦遷移表面を有する面取りされた遷移表面を示すが、3つ以上の平坦遷移表面を有する。いくつかの実施例では、平坦遷移表面は、様々な半径の湾曲した遷移表面によって置き換えることができる。
【0054】
図4A図4Dに示される面取りされた遷移表面は、デグレーダ箔110と導管102の残りの部分、具体的には、フィン124との間の改善された熱伝導を提供することができる。熱伝導における改善は、熱エネルギーがデグレーダ箔110から離れて伝達される速度を改善する。これは、デグレーダ箔110がデグレーダ箔(及び導管102の残り)を形成する材料の融点を下回る温度に留まらせる。図5は、デグレーダ箔の中心での温度と、デグレーダ箔110と導管102の内部表面108との間の面取りされた縁部の半径との間の関係の例示的なグラフ500を示す。グラフ500は、y軸上にデグレーダ箔110の中心での温度で、かつx軸上にデグレーダ箔110と内部表面108との間の面取りされた遷移表面(例えば、図4Dに示されるような)の半径でプロットされたものである。グラフ500は、面取りされた遷移表面の様々な半径についての陽子ビームデグレーダ100の熱伝達特性をシミュレートすることからプロットされている。シミュレーションは、陽子ビームデグレーダ100を形成するために使用される例示的なアルミニウム(具体的には、合金6061)材料を仮定する。融点曲線504は、材料の融点を示し、温度曲線502は、デグレーダ箔110と導管102の内部表面108との間の面取りされた遷移表面の半径が増加するについて、粒子ビームが入射するデグレーダ箔110の中心での温度を示す。面取りされた遷移表面の半径が増加するにつれて、デグレーダ箔110の中心の温度は、減少する。半径1mmであっても、温度は、材料の融点を下回る。半径における更なる増加は、温度を更に低減させる。デグレーダ箔110の中心での温度を低減させることによって、デグレーダ箔110の信頼性及び寿命は、増加することができる。
【0055】
いくつかの例では、ターゲットは、真空下では、所望されるように性能しない場合がある。例えば、亜鉛は、真空下で昇華し得る。したがって、亜鉛は、ターゲット上に真空を維持する陽子ビームデグレーダアセンブリ300と併せてターゲットとして使用されない場合がある。そのような例では、ターゲットが真空状態に適合しない場合、ターゲットは、流体圧力下で動作することができ、流体は、例えば、ヘリウム、アルゴン、水素、又は他の不活性若しくは希ガスなどの不活性流体とすることができる。ターゲットが流体圧力下で動作することを可能にするために、陽子ビームデグレーダ100は、ターゲットを取り囲む領域内のガスの挿入に対応するように修正することができる。以下に考察される1つのアプローチでは、デグレーダ箔110は、いかなる開口部も有しないことができ、陽子ビームデグレーダ100は、ターゲットに隣接する陽子ビームデグレーダ100の一部分の中に、及び外に不活性流体を連通させるチャネルを含むことができる。冷却アセンブリ200は、それに応じて、不活性流体が陽子ビームデグレーダ100の中へ、及び外へ連通することを可能にするために修正することができる。
【0056】
図6A図6Fは、第2の陽子ビームデグレーダ600の様々な図を示す。第2の陽子ビームデグレーダは、図1A図5に関連して上で考察された第1の陽子ビームデグレーダ100と同様である。しかしながら、デグレーダ箔110において1つ以上の開口112を含む第1の陽子ビームデグレーダ100とは異なり、第2の陽子ビームデグレーダ600におけるデグレーダ箔610は、いかなる開口部も含まない。更に、第2の陽子ビームデグレーダ600は、導管102の内部表面108上の第1のチャネル開口部とターゲット側フランジ116上の第2のチャネル開口部との間の流体連通を可能にするチャネルを含む。第1の陽子ビームデグレーダ100と第2の陽子ビームデグレーダ600との間の同様の要素は、同様の参照番号を有する。
【0057】
図6A図6Dを参照すると、第2の陽子ビームデグレーダ600は、導管602の内部表面108上の第1のチャネル開口部604と、ターゲット側フランジ116のビーム側表面612上の第2のチャネル開口部608と、を含む。第2の陽子ビームデグレーダ600はまた、導管602の内部表面108における第3のチャネル開口部(図示せず)と、ターゲット側フランジ116のビーム側表面612上の第4のチャネル開口部606と、を含む。第1の不活性流体入口チャネルは、第1のチャネル開口部604と第2のチャネル開口部608との間に延在し、第1の不活性流体出口チャネルは、第3のチャネル開口部と第4のチャネル開口部606との間に延在する。内部表面108上に形成された第1のチャネル開口部604及び第3のチャネル開口部は、デグレーダ箔610と第2の開口部106との間に位置決めすることができる。言い換えれば、導管602を通る粒子ビームの方向を参照すると、第1のチャネル開口部604及び第2のチャネル開口部は、デグレーダ箔610及びターゲット側フランジ116の下流、並びに第2の開口部106の上流に位置決めすることができる。第1の不活性流体入口チャネル及び第1の不活性流体出口チャネルは、ターゲット側フランジ116及びキー構造体118を通って延在する。導管602がキー構造体118を含まない場合があるいくつかの実装形態では、2つの不活性流体チャネルは、ターゲット側フランジ116において形成することができる。そのような例では、第1のチャネル開口部604及び第2のチャネル開口部は、デグレーダ箔610とターゲット側フランジ116との間に位置決めすることができる。第1のチャネル開口部604の直径は、約1mm~約10mmとすることができる。第1のチャネル開口部604及び第2のチャネル開口部は、ターゲット表面、導管602の内部表面108、及びターゲットに面するデグレーダ箔610の表面によって画定される空洞内で維持することができる不活性流体の入口及び出口を提供することができる。ターゲット側フランジ116のビーム側表面612上に形成された第4のチャネル開口部606及び第2のチャネル開口部608は、導管602の両側に位置決めすることができる。しかしながら、これは単なる実施例であり、第4のチャネル開口部606及び第2のチャネル開口部608は、ターゲット側フランジ116のビーム側表面612上の任意の場所に位置決めすることができる。第2のチャネル開口部608及び第4のチャネル開口部606の直径は、約1mm~約10mmとすることができる。
【0058】
図7A図7Eは、第2の冷却アセンブリ700の様々な図を示す。第2の冷却アセンブリ700は、多くの点で、図2A図2E及び図3A図3Dに関連して上で考察された第1の冷却アセンブリ200と同様である。しかしながら、第2の冷却アセンブリ700は、追加的に、第2の不活性流体入口チャネル708及び第2の不活性流体出口チャネル706を含む。第2の不活性流体入口チャネル708は、第2の陽子ビームデグレーダ600における第1の不活性流体入口チャネルと結合し、第2の不活性流体出口チャネル706は、第2の陽子ビームデグレーダ600が第2の冷却アセンブリ700と結合されているとき、第2の陽子ビームデグレーダ600における第1の不活性流体出口チャネルと結合する。第2の不活性流体入口チャネル708は、内側不活性流体入口開口部702と外側不活性流体入口開口部712との間に延在し、第2の不活性流体出口チャネル706は、内側不活性流体出口開口部704と外側不活性流体出口開口部710との間に延在する。内側不活性流体入口開口部702及び内側不活性流体出口開口部704は、デグレーダ側フランジ206のデグレーダ対向表面714によって画定することができる一方、外側不活性流体出口開口部710及び外側不活性流体入口開口部712は、デグレーダ側フランジ206の少なくとも1つの側面220によって画定することができる。内側不活性流体入口開口部702及び内側不活性流体出口開口部704は、ワッシャー又はOリングを収容するための空間的余地を提供するためのスロット状開口部とすることができる。外側不活性流体出口開口部710及び外側不活性流体入口開口部712は、外側冷却液入口開口部226及び外側冷却液出口開口部230のいずれかの側に位置決めされている。しかしながら、これは単なる実施例であり、外側不活性流体出口開口部710及び外側不活性流体入口開口部712は、デグレーダ側フランジ206の少なくとも1つの側面220上の任意の場所に位置決めすることができる。外側不活性流体出口開口部710及び外側不活性流体入口開口部712の直径は、約5mm~約15mmの範囲における値を有することができる。内側不活性流体入口開口部702及び704の直径は、約1mm~約10mmの範囲における値を有することができる。
【0059】
図8は、第2の陽子ビームデグレーダ600及び第2の冷却アセンブリ700を含む陽子ビームデグレーダアセンブリ800の分解図を示す。第2の陽子ビームデグレーダ600及び第2の冷却アセンブリ700が互いに結合されているとき、ターゲット側フランジ116のビーム側表面612は、デグレーダ側フランジ206のデグレーダ側表面714(図7A図7E)に対して位置決めされている。第2の陽子ビームデグレーダ600のターゲット側フランジ116における第1の不活性流体入口チャネルへの第2のチャネル開口部608は、第2の冷却アセンブリ700のデグレーダ側フランジ206における第2の不活性流体入口チャネル708への内側不活性流体入口開口部702と整列するように位置決めされている。結果として、第1の不活性流体入口チャネルと第2の不活性流体入口チャネル708との間に流体連通が存在する。不活性流体入口Oリング810は、内側不活性流体入口開口部702と第2のチャネル開口部608との間にシールを形成するために、内側不活性流体入口開口部702の周りのスロットに位置決めすることができる。同様に、第2の陽子ビームデグレーダ600のターゲット側フランジ116における第1の不活性流体出口チャネルへの第4のチャネル開口部606は、第2の冷却アセンブリ700のデグレーダ側フランジ206における第2の不活性流体出口チャネル706への内側不活性流体出口開口部704と整列するように位置決めされている。結果として、第1の不活性流体出口チャネルと第2の不活性流体出口チャネル706との間に流体連通が存在する。不活性流体出口Oリング812は、内側不活性流体出口開口部704と第4のチャネル開口部606との間にシールを形成するために、内側不活性流体出口開口部704の周りのスロットに位置決めすることができる。
【0060】
冷却液入口コネクタ302は、外側冷却液入口開口部226と結合させることができ、冷却液出口コネクタ802は、外側冷却液出口開口部230と結合させることができる。冷却液入口コネクタ302及び冷却液出口コネクタ802は、冷却流体を陽子ビームデグレーダアセンブリ800の中に循環させる冷却流体回路に接続することができる。不活性流体入口コネクタ806は、外側不活性流体入口開口部712と結合させることができる一方、不活性流体出口コネクタ808は、外側不活性流体出口開口部710と結合させることができる。不活性流体入口コネクタ806及び不活性流体出口コネクタ808は、不活性流体をターゲット表面、導管602の内部表面108、及びターゲットに面するデグレーダ箔610の表面によって画定される空洞の中へ循環する不活性流体回路に接続することができる。
【0061】
動作中であるとき、粒子ビームは、接続ノズル236を介して陽子ビームデグレーダアセンブリ800に入り、デグレーダ箔610を通過し、ターゲット(図示せず)に当たることができる。冷却流体は、冷却液入口コネクタ302及び冷却液出口コネクタ802を介して陽子ビームデグレーダアセンブリ800の中に循環させることができる。冷却流体は、デグレーダ箔610に冷却を提供することができる。加えて、不活性流体は、不活性流体入口コネクタ806及び不活性流体出口コネクタ808を介して、ターゲット表面、導管602の内部表面108、及びターゲットに面するデグレーダ箔610の表面によって画定される空洞の中へ循環させることができる。不活性流体は、ターゲットのために所望の圧力及び状態を提供することができる。加えて、不活性流体は、デグレーダ箔610に追加の冷却を提供することができる。結果として、デグレーダ箔610は、不活性流体と同様に冷却流体によって冷却され、それによって、デグレーダ箔610の信頼性及び寿命を改善する。
【0062】
態様例示的な態様の以下のリストは、本明細書に提供される開示を支持し、それによって支持されている。
【0063】
態様1粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダであって、第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが第1の開口部を通って入り、第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、導管の内側表面上及び粒子ビームの予想経路内に位置決めされたデグレーダ箔であって、導管と構造的に一体的である、デグレーダと、デグレーダ箔の表面と導管の内側表面との少なくとも1つの交差部における少なくとも1つの面取りされたコーナーと、を備える、陽子ビームデグレーダ。
【0064】
態様2導管の外側表面から外向きに延在する複数のフィンであって、デグレーダ箔の位置に対向して位置決めされている、複数のフィンを更に備える、態様1に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0065】
態様3デグレーダ箔は、デグレーダ箔を通る流体連通を提供する少なくとも1つの開口を含む、態様1及び2のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0066】
態様4少なくとも1つの開口は、デグレーダ箔の中心から離れて位置決めされている、態様3に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0067】
態様5少なくとも1つの開口は、粒子ビームが入射すると予想されているデグレーダ箔上の領域の外側に位置決めされている、態様4に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0068】
態様6少なくとも1つの開口は、約0.1mm~約3mmの直径を有する、態様1~4のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0069】
態様7導管及びデグレーダ箔は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、炭素、モリブデン、又は耐火材料のうちの少なくとも1つから形成されている、態様1~5のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0070】
態様8デグレーダ箔の厚さは、入射陽子ビームのエネルギーを13MeV以下に低下させる、態様1~7のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0071】
態様9デグレーダ箔は、粒子ビームの方向に対して実質的に垂直に位置決めされている、態様1~8のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0072】
態様10第2の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジであって、ターゲット側フランジを支持構造体に結合するように構成された少なくとも1つの結合構造体を含む、ターゲット側フランジを更に備える、態様1~9のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0073】
態様11第2の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジと、第2の開口部とデグレーダ箔との間に位置決めされた導管の内側表面上の第1のチャネル開口部と、ターゲット側フランジの表面上の第2のチャネル開口部と、第1のチャネル開口部と第2のチャネル開口部との間に延在するチャネルであって、第1のチャネル開口部と第2のチャネル開口部との間に流体連通を提供する、チャネルと、を更に備える、態様1~2のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0074】
態様12第2の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジであって、Oリングを収容するための凹部を含む、ビーム源フランジを更に備える、態様1~11のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0075】
態様13複数のフィンのうちの少なくとも1つのフィンは、導管の長手方向軸に沿ってデグレーダ箔のいずれかの側部に位置決めされている、態様1~12のいずれか一項に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0076】
態様14導管の外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジを更に備え、複数のフィンは、ターゲット側フランジとビーム源側フランジとの間に位置決めされている、態様1~13のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0077】
態様15少なくとも1つの面取りされたコーナーは、デグレーダ箔の表面と導管の内部表面との間に延在する平坦又は湾曲した少なくとも1つの表面を含む、態様1~14のいずれか一項に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0078】
態様16複数のフィンは、複数のフィンの上を流れる冷却流体において乱流を誘発するように成形されている、態様1、13、及び14のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0079】
態様17粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダであって、第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが第1の開口部を通って入り、第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、導管の内側表面上及び粒子ビームの予想経路内に位置決めされた、導管と構造的に一体的である、デグレーダ箔と、導管の外側表面上の冷却経路ゾーンであって、冷却流体に曝露されるように構成されている、冷却経路ゾーンと、を備える、陽子ビームデグレーダ。
【0080】
態様18デグレーダ箔の表面と導管の内側表面との少なくとも1つの交差部における少なくとも1つの面取りされたコーナーを更に備える、態様17に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0081】
態様19導管の外側表面から外向きに、かつ冷却経路ゾーン内に延在する複数のフィンを更に備える、態様17及び18のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0082】
態様20デグレーダ箔は、デグレーダ箔を通る流体連通を提供する少なくとも1つの開口を含む、態様17~19のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0083】
態様21少なくとも1つの開口は、デグレーダ箔の中心から離れて位置決めされている、態様20に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0084】
態様22少なくとも1つの開口は、粒子ビームが入射すると予想されているデグレーダ箔上の領域の外側に位置決めされている、態様21に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0085】
態様23少なくとも1つの開口は、0.1mm~3mmの直径を有する、態様17~21のいずれか1つの態様に記載の陽子ビームデグレーダ。
【0086】
態様24導管及びデグレーダ箔は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、炭素、モリブデン、又は耐火材料のうちの少なくとも1つから形成されている、態様17~23のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0087】
態様25デグレーダ箔の厚さは、0.1mm~2.2mmの値を有する、態様17~24のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0088】
態様26デグレーダ箔は、粒子ビームの方向に対して実質的に垂直に位置決めされている、態様17~25のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0089】
態様27第2の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジと、ターゲット側フランジをターゲットハウジングに結合するように構成された少なくとも1つのキー構造体と、を更に備える、態様17~26のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0090】
態様28第2の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジと、第2の開口部とデグレーダ箔との間に位置決めされた導管の内側表面上の第1のチャネル開口部と、ターゲット側フランジの表面上の第2のチャネル開口部と、第1のチャネル開口部と第2のチャネル開口部との間に延在するチャネルであって、第1のチャネル開口部と第2のチャネル開口部との間に流体連通を提供する、チャネルと、を更に備える、態様17~19のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0091】
態様29第1の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジであって、Oリングを収容するための凹部を含む、ビーム源フランジを更に備える、態様17~28のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0092】
態様30複数のフィンのうちの少なくとも1つのフィンは、導管の長手方向軸に沿ってデグレーダ箔のいずれかの側部に位置決めされている、態様17~29のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0093】
態様31導管の外側表面から外向きに延在するビーム源側フランジを更に備え、複数のフィンは、ターゲット側フランジとビーム源側フランジとの間に位置決めされている、態様17~30のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0094】
態様32複数のフィンは、複数のフィンの上を流れる冷却流体において乱流を誘発するように成形されている、態様30及び31のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ。
【0095】
態様33粒子ビーム源とターゲット材料との間に位置決めするための陽子ビームデグレーダアセンブリであって、陽子ビームデグレーダであって、第1の開口部及び第2の開口部を有する導管であって、粒子ビームが第1の開口部を通って入り、第2の開口部を通って出るための経路を提供する、導管と、導管の内側表面上及び粒子ビームの予想経路内に位置決めされた、導管と構造的に一体的である、デグレーダ箔と、導管の外側表面から外向きに延在する複数のフィンであって、デグレーダ箔の位置に対向して位置決めされている、複数のフィンと、を備える、陽子ビームデグレーダと、冷却アセンブリであって、陽子ビームデグレーダの複数のフィンを囲繞する内側表面を有するスリーブであって、少なくともスリーブの内側表面及び陽子ビームデグレーダの導管の外側表面は、冷却チャネルを画定する、スリーブと、冷却チャネルと流体連通する冷却液入口と、冷却チャネルと流体連通する冷却液出口と、を備える、冷却アセンブリと、を備える、陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0096】
態様34陽子ビームデグレーダは、第2の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するターゲット側フランジであって、少なくとも1つの嵌合構造体を含む、ターゲット側フランジを備え、冷却アセンブリは、スリーブのデグレーダ側端部から外向きに延在するデグレーダ側フランジであって、陽子ビームデグレーダを冷却アセンブリと嵌合させるために、ターゲット側フランジの少なくとも1つの嵌合構造体と係合する少なくとも1つの嵌合構造体を含む、デグレーダ側フランジを備える、態様33に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0097】
態様35デグレーダ側フランジは、第1のOリングを収容するための第1の凹部を含み、デグレーダ側フランジは、第1の凹部上でターゲット側フランジと接触している、態様34に記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0098】
態様36陽子ビームデグレーダは、第1の開口部に近接して導管の外側表面から外向きに延在するスリーブ側フランジであって、第2のOリングを収容するための第2の凹部を含む、スリーブ側フランジを備え、冷却アセンブリは、スリーブの内側表面から内側に延在し、第2の凹部上でスリーブ側フランジと接触しているリップを備える、態様33~35のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0099】
態様37冷却液入口及び冷却液出口は、スリーブの長手方向軸に沿って複数のフィンに隣接して位置決めされている、態様33~36のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0100】
態様38陽子ビームデグレーダは、第2の開口部とデグレーダ箔との間に位置決めされた導管の内側表面上の第1のチャネル開口部と、ターゲット側フランジの表面上の第2のチャネル開口部と、第1のチャネル開口部と第2のチャネル開口部との間に延在するチャネルであって、第1のチャネル開口部と第2のチャネル開口部との間に流体連通を提供する、チャネルと、を備え、冷却アセンブリは、デグレーダ側フランジの表面上の第3のチャネル開口部であって、ターゲット側フランジの表面上の第2のチャネル開口部と整列する、第3のチャネル開口部を備える、態様33~35のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0101】
態様39陽子ビームデグレーダは、デグレーダ箔の表面と導管の内側表面との少なくとも1つの交差部における少なくとも1つの面取りされたコーナーを備える、態様33~38のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0102】
態様40複数のフィンは、複数のフィンの上を流れる冷却流体において乱流を誘発するように成形されている、態様33及び37のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0103】
態様41デグレーダ箔は、デグレーダ箔を通る流体連通を提供する少なくとも1つの開口を含む、態様33~40のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダアセンブリ。
【0104】
態様42医学的に有用な放射性同位体を生成するためのシステムであって、サイクロトロンであって、陽子エネルギービームを提供することが可能である、サイクロトロンと、好適なエネルギーの陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を有するターゲットと、態様17~32のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ及び/又は態様1~16のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダと、を備える、システム。
【0105】
態様43医学的に有用な放射性同位体を生成するためのシステムであって、サイクロトロンであって、陽子エネルギービームを提供することが可能である、サイクロトロンと、好適なエネルギーの陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を有するターゲットと、態様33~41のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダと、を備える、システム。
【0106】
態様44医学的に有用な放射性同位体を生成するためのプロセスであって、陽子エネルギービームを、陽子エネルギーデグレーダを通してターゲットに方向付けることを含み、ターゲットは、陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を含み、陽子ビームデグレーダは、態様17~32のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダ及び/又は態様1~5のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダである、プロセス。
【0107】
態様45医学的に有用な放射性同位体を生成するためのプロセスであって、陽子エネルギービームを、陽子ビームデグレーダアセンブリを通してターゲットに方向付けることを含み、ターゲットは、陽子エネルギービームでの照射により放射性同位体への変換が可能である同位体を含み、陽子ビームデグレーダは、態様17~32のいずれか1つの陽子ビームデグレーダである、及び/又は陽子ビームデグレーダアセンブリは、態様33~41のいずれか1つに記載の陽子ビームデグレーダアセンブリである、プロセス。
【0108】
前述のことから、本明細書の態様は、明らかであり、構造的に固有である他の利点とともに、上に記載された全ての目標及び目的を達成するように十分に適応されていることがわかるであろう。
【0109】
特定の要素及びステップが互いに関連して考察されているが、本明細書に提供される任意の要素及び/又はステップは、本明細書に提供される範囲内に依然としてありながら、同じものの明示的な提供にかかわらず、任意の他の要素及び/又はステップと組み合わせ可能であると企図されることが理解される。
【0110】
特定の特徴及びサブコンビネーションは、有用であり、他の特徴及びサブコンビネーションを参照することなく用いられ得ることを理解されたい。これは、特許請求の範囲によって企図され、特許請求の範囲内である。
【0111】
多くの可能な態様がその範囲から逸脱することなく作られ得るので、添付の図面及び詳細な説明に記載又は示される全ての事項は、例解的なものとして解釈され、限定的な意味で解釈されないことを理解されたい。
【0112】
また、本明細書で使用される用語が単に特定の態様を記載する目的のためであり、限定することが意図されないことを理解されたい。当業者は、本明細書に記載される態様の多くの変形及び適応を認識するであろう。これらの変形及び適応は、本開示の教示に含まれ、本明細書の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
【国際調査報告】