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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】バイオセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/414 20060101AFI20240416BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240416BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01N27/414 301K
G01N27/416 386G
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565447
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 GB2021000049
(87)【国際公開番号】W WO2022229585
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】523401009
【氏名又は名称】プログノミクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドネッドゥ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アナンソウジュ,バラクリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ラケシュ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB15
4B029BB20
4B029FA12
(57)【要約】
バイオセンサであって、-間にキャビティを画定する第1及び第2の基板(1、2、10)と、当該キャビティ内に、第1の基板(1、2)上に設けられた官能化された活性表面(4)を有する検知構造体と、-当該第2の基板(10)上に設けられており、当該キャビティ内に延在する流れ制御構造体(11)であって、流れ制御構造体の遠位端と当該検知構造体との間の隙間が、当該官能化された活性表面(4)を横切る流体流チャネルを提供する、流れ制御構造体(11)と、-当該流体流チャネルの一端にある、流れ制御構造体(11)の近位端に隣接する入口ポート(15a)及び流体流チャネルの対向端にある出口ポート(15b)と、を備え、流れ制御構造体(11)は、使用中に、入口ポート(15a)で注入された流体が流体流チャネルに流入し、流体流チャネルを通って出口ポート(15b)に流れ、それによって、当該官能化された活性表面(4)上にせん断力を及ぼすように成形及び構成されている、バイオセンサ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンサであって、
-間にキャビティを画定する第1及び第2の基板と、
-前記キャビティ内に、前記第1の基板上に設けられた官能化された活性表面を有する検知構造体と、
-前記第2の基板上に設けられており、前記キャビティ内に延在する流れ制御構造体であって、前記流れ制御構造体の遠位端と前記検知構造体との間の隙間が、前記官能化された活性表面を横切る流体流チャネルを提供する、流れ制御構造体と、
-前記流体流チャネルの一端にある前記流れ制御構造体の近位端に隣接する入口ポート及び前記流体流チャネルの対向端にある出口ポートと、を備え、
前記流れ制御構造体が、使用中に、前記入口ポートで滴下され/注入された流体が前記流体流チャネルに流入し、前記流体流チャネルを通って前記出口ポートに流れ、それによって、前記活性表面上にせん断力を及ぼすように成形及び構成されている、バイオセンサ。
【請求項2】
前記検知構造体が、対象となる分析物分子と結合するように構成されたリンカ及びプローブ分子によって官能化されたグラフェン層を備える、請求項1に記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記流れ制御構造体が、前記入口ポートから前記出口ポートまでの流体流路に対して丸みを帯びて凸状である、前記入口ポートに隣接する外面を備える、請求項1又は2に記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記流れ制御構造体が、実質的に平行な平面の第1及び第2の基部を有する台形又は切頂ドームを備え得、前記第1の基部の直径が、前記第2の基部の直径よりも大きく、前記第1の基部が、前記第2の基板上にあり、前記第2の基部が、前記官能化された活性表面の最も近くに位置し、前記隙間が、前記第2の基部と前記官能化された活性表面との間にある、請求項3に記載のバイオセンサ。
【請求項5】
前記第2の基板が、固体誘電体基板である、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項6】
前記流れ制御構造体が、ポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項7】
前記第1の基板上に、前記官能化された活性表面の第1の端部に位置し、かつ前記キャビティ内に延在する第1の構造体を備え、前記第1の構造体の前記遠位端と前記第2の基板との間の隙間が、前記入口ポートを画定する、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項8】
前記第1の構造体が、任意の生体適合性ポリマーを含む、請求項7に記載のバイオセンサ。
【請求項9】
前記第1の基板上に、前記官能化された活性表面の下流に位置する第2の構造体を備え、前記第2の構造体の遠位端と前記第2の基板との間の隙間が、前記出口ポートを画定する、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項10】
前記第2の構造体が、任意の生体適合性ポリマーを含む、請求項9に記載のバイオセンサ。
【請求項11】
前記第1の基板上に位置し、前記第2の構造体及び前記出口ポートから離間配置されており、かつ前記第2の構造体及び前記出口ポートの下流にある第3の構造体を備え、前記第2の構造体と前記第3の構造体との間の空間が、外側リザーバを画定する、請求項9又は10に記載のバイオセンサ。
【請求項12】
前記第3の構造体が、生体適合性ポリマーを含む、請求項11に記載のバイオセンサ。
【請求項13】
前記第2の基板から前記外側リザーバ内に延在する多孔質ポリマーブロックを更に備える、請求項11又は12に記載のバイオセンサ。
【請求項14】
小径の穴が、前記第2の基板内に設けられており、前記多孔質ポリマーブロックの下流で前記外側リザーバ内に延在する、請求項13に記載のバイオセンサ。
【請求項15】
前記検知構造体に静電電位を印加するために、前記検知構造体と前記第1の基板との間に位置する電極を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項16】
前記電極が、前記検知構造体の一端に位置し、導電コンタクトが、前記検知構造体の対向端かつ下流に位置し、前記導電コンタクトが、前記第1の基板と前記検知構造体との間に設けられている、請求項15に記載のバイオセンサ。
【請求項17】
前記検知構造体が、複数の離間配置されたチャネルを備え、各チャネルが、官能化された活性表面を画定する、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項18】
前記検知構造体上に参照電極を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項19】
前記官能化された活性表面が、前記官能化された活性表面上にNSA遮断物質の層又はコーティングを備える、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項19】
静電電位を前記電極に印加するための手段を更に備え、前記静電電位が、対象となる分析物分子を引き付けるように作用する極性である、請求項15又は16に記載のバイオセンサ。
【請求項20】
前記検知構造体に機械的攪拌を適用するための手段を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項21】
前記検知構造体に機械的攪拌を適用するための前記手段が、交流電気流体力学的又は電磁的攪拌手段を含む、請求項20に記載のバイオセンサ。
【請求項22】
使用中に、前記検知構造体から電気信号を受信し、前記流体流チャネルを通って流れるサンプル流体中の対象となる分析物分子の存在及び/又は濃度を判定するように配置及び構成された定量化モジュールを更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項23】
前記定量化モジュールが、化学抵抗性及びGFET信号から、前記化学抵抗性及びGFET信号から導出された平均量に基づいて、前記官能化された活性表面に結合された分析物分子の存在及び/又は濃度を判定するように構成されている、請求項22に記載のバイオセンサ。
【請求項24】
前記定量化モジュールが、前記対象となる分析物分子の分析定量化として表される、組み合わされた前記化学抵抗性及びGFET信号の平均%変化を生成するように構成されている、請求項23に記載のバイオセンサ。
【請求項25】
前記第2の基板が、固体の光学的に透明/半透明な誘電体である、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
【請求項26】
マイクロ流体チャネルによって一緒に流体結合された、請求項1~25のいずれか一項に記載の少なくとも2つのバイオセンサを備える、バイオセンサデバイス。
【請求項27】
一定量の流体を受けるための入口を備え、前記入口が、複数のバイオセンサの各入口ポートに流体結合されている、請求項26に記載のバイオセンサデバイス。
【請求項28】
バイオセンサであって、
-間にキャビティを画定する第1及び第2の基板と、
-前記キャビティ内に、前記第1の基板上に設けられた官能化された活性表面を有し、前記官能化された活性表面が、対象となる分析物分子と結合するように構成されたプローブ分子を含む、検知構造体と、
-前記検知構造体の一端にある入口ポート及び前記検知構造体の対向端にある出口ポートであって、流体流チャネルが、前記入口ポートから前記出口ポートまで、前記官能化された活性表面を横切って延在する、入口ポート及び出口ポートと、
-前記検知構造体と前記第1の基板との間に位置する電極と、を備え、
前記バイオセンサが、前記電極を介して、前記官能化された活性表面に静電電位を印加するための手段を更に備え、前記静電電位の極性が、使用中に、前記官能化された活性表面に向けて前記対象となる分析物分子を引き付けるように、前記対象となる分析物分子の極性とは反対である、バイオセンサ。
【請求項29】
バイオセンサであって、
-間にキャビティを画定する第1及び第2の基板と、
-前記キャビティ内に、前記第1の基板上に設けられた官能化された活性表面を有し、前記官能化された表面が、対象となる分析物分子と結合するように構成されたプローブ分子を含む、検知構造体と、
-前記検知構造体から電気信号を収集するように配置及び構成された電気コンタクトであって、前記検知構造体の電気特性が、使用中に、前記検知構造体に結合された対象となる分析物分子の存在によって変化する、電気コンタクトと、
-前記電気コンタクトを介して、前記検知構造体から化学抵抗性及びGFET信号を収集するための手段と、
-使用中に、前記化学抵抗性及びGFET信号を受信し、前記化学抵抗性及びGFET信号から導出されたデータに基づいて、前記官能化された活性表面に結合された分析物分子の存在及び/又は濃度を前記化学抵抗性及びGFET信号から判定するための定量化モジュールと、を備える、バイオセンサ。
【請求項30】
前記定量化モジュールが、前記化学抵抗性及びGFET信号から、前記化学抵抗性及びGFET信号から導出された平均量に基づいて、前記官能化された活性表面に結合された分析物分子の存在及び/又は濃度を判定するように構成されている、請求項29に記載のバイオセンサ。
【請求項31】
前記定量化モジュールが、前記対象となる分析物分子の分析定量化として表される、組み合わされた前記化学抵抗性及びGFET信号の平均%変化を生成するように構成されている、請求項30に記載のバイオセンサ。
【請求項32】
先行請求項のいずれか一項に記載のバイオセンサを製作する方法であって、前記方法が、
第1の基板を含み、前記第1の基板が、それぞれのセンサ表面を画定する複数のチャネルを含む検知構造体を前記第1の基板上に有する、底部パッケージを製作するステップと、
前記底部パッケージを複数のノズルを備える送達ステーションに提示し、前記複数のチャネルの各々をそれぞれのノズルに位置合わせし、それによって一定量の官能化流体又は遮断剤をそれぞれの活性表面に送達するステップと、
第2の基板を備え、前記第2の基板が、複数の流れ制御構造体を前記第2の基板上に有する、頂部パッケージを製作するステップと、
前記頂部及び底部パッケージを、前記頂部パッケージと前記底部パッケージとの間にキャビティを有する状態で、一緒に結合するようにパッケージング動作を実行するステップと、を含み、各流れ制御構造体は、前記流れ制御構造体の遠位端と前記それぞれのセンサ表面との間の隙間が、前記センサ表面を横切る流体流チャネルを提供するように、それぞれのチャネルに位置合わせされ、前記流体流チャネルが、前記流体流チャネルの一端にある、前記流れ制御構造体の近位端に隣接する入口ポートと、前記流体流チャネルの対向端にある出口ポートとを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、活性センサ表面を有するグラフェンベースのバイオセンサなどのバイオセンサ、バイオセンサを用いて生体分子を検出する方法、及びバイオセンサを製作する方法に関する。特に、必ずしも排他的ではないが、本発明は、パターン化され、化学的に官能化されたグラフェン表面を有するバイオセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサと呼ばれる生体分子を検出するためのセンサは広く知られており、ポイントオブケア検査(POCT)などの診断検査で使用されている。ポイントオブケア検査は、本質的に、患者の現場又はその近くで実施される診断検査であり、その結果は患者のケアに変化をもたらす可能性がある。そのような診断検査は、患者から収集された生体試料中の生体分子を検出するために使用される。本開示の意味における生体分子は、生体によって産生されるか、又は生体内で生じる有機分子である。「生体分子」という用語には、タンパク質、多糖類、及び核酸(合成核酸を含む)などの天然に存在するポリマー分子、並びにそれらの類似体、並びに一次代謝産物、二次代謝産物、及び天然産物などの小分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0003】
光学的及び他のアプローチに加えて、多くのバイオセンサは、生体分子の存在又は不在が検出された場合に電気信号を生成するという一般原理に依存している。構造化半導体材料は、場合によっては、マイクロメートルスケール(マイクロスケール)又はナノメートルスケール(ナノスケール)でチャネル又は他の構造を形成するために使用される。
【0004】
より最近では、グラフェンは、その独自の物理的及び化学的性質のために、バイオセンサでの使用に対して関心が高まっている。グラフェンの電気伝導率は1000ジーメンス/メートル、熱伝導率は1500~2500Wm-1-1である。更に、グラフェンは広い電気化学的ウィンドウ及び低い電荷移動抵抗を示し、その反応性に影響を与えるバイオレセプタを添加することによって官能化させることができる。
【0005】
GB2471672Bは、SiC基板上で成長したパターン化されたグラフェン層を備えるグラフェンバイオセンサを記載している。パターン化されたグラフェン構造は、少なくとも1つのチャネルを含み、電気コンタクトがチャネルの両側に設けられており、それによって、電流がチャネルを通過することができる。チャネルは、グラフェン表面に付着された標的(生体)分子に対する結合親和性を有する受容体の形態のリンカによって官能化されている。そのようなリンカの一例は、ニトロベンゼンをグラフェン表面に付着させ、その後、アニリンに電気化学的に還元することで得られるが、他のものは、化学的官能化/固定化の分野の当業者には既知であろう。使用中、1つ以上の標的生体分子が官能化されたチャネルに付着し、電流がチャネルに沿って通過させられたとき、センサの電気特性の変化(標的生体分子によって引き起こされる)が測定され得る。
【0006】
グラフェンバイオセンサのこの構成は、グラフェン電界効果トランジスタ(GFET)として知られている。グラフェンは表面積対体積比が高く、付着した生体分子が最小濃度であってもチャネルの伝導率を変化させるため、GFETバイオセンサは、酵素、過酸化水素、ドーパミン、及び還元型b-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)分子など、多種多様な種を検知するための魅力的なプラットフォームとなる。化学抵抗性バイオセンサも知られており、ここではバイオセンサで測定される抵抗は、標的生体分子の増加に伴って増加する。更に別のタイプのグラフェンバイオセンサは、官能化されたグラフェン表面上に分析物(又は標的生体分子)が結合した際の、液体ゲートGFETのドレイン-ソース電流、及びいわゆるディラック点(電荷中性点)シフトを測定する。
【0007】
グラフェンベースのバイオセンサの主な利点は、グラフェン表面の官能化及びそれらを検知及び定量化するために用いられる電気測定に応じて、多種多様な異なる生体分子又は分析物を検知するためのそれらの汎用性及びそれらの感度である。しかしながら、グラフェンベースのセンサの性能は、いくつかの典型的な問題によって悪影響を受ける可能性がある。
【0008】
この分野における重要な既知の問題は、非特異的吸着(NSA)として知られている。NSA(非特異的結合又は「バイオファウリング」としても知られている)は、非特異的生物学的種(すなわち、対象となる標的生体分子以外の種)の活性センサ表面での不可逆的な吸着の結果として生じ、バイオセンサの感度及び精度に悪影響を及ぼし、種結合段階の直後及び結果の電子的検出/測定の前にセンサ表面の厳格な洗浄をサポートしていないPOCT機器では特に問題がある。センサ表面上のNSAの存在は、活性エリアを「遮断」し得、それによって、バイオセンサの感度及び選択性を低下させる(例えば、偽陽性の結果を与える)。場合によっては、NSAの存在はまた、「バックグラウンドノイズ」として知られるベースラインを増加させるように作用し、これは次に、標的生体分子のより低い濃度がマスクされ得るという点で、バイオセンサの検出限界を減少させる。標的生体分子からの区別できないこのノイズ信号、及び活性表面エリアの任意の遮断は、センサの性能(すなわち、感度、再現性、及び動的検出領域)を低下させる。実験室では、NSAは、tween-20混合リン酸塩緩衝液(PBS)又はPBSのみによりセンサを厳格に洗浄することによってセンサ表面から除去することができるが、これは、そのようなセンサ洗浄セットアップを組み込むことができない、小さく、閉鎖されたPOCTシステムにとって重大な課題となる。
【0009】
したがって、バイオセンサの性能を改善するために、バイオセンサの分野では、NSAを阻害すること及び/又はセンサ表面においてNSAを除去することが継続的な望みである。
【0010】
この目的のために、NSA阻害及び/又は除去の多くの方法が提案されている。そのような方法は、2つの一般的なカテゴリ、すなわち、それぞれ受動的方法及び能動的方法にグループ化され得る。受動的NSA阻害又は予防方法は、物理的又は化学的不動態化として更に分類され得る。物理的不動態化方法は、NSAを阻害するタンパク質コーティング(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA))などの遮断剤で未反応の活性表面をコーティング又は遮断することによってNSAを防止するように設計されているが、ロット間の変動性が高く、交差反応性を示し、元の表面特性を変化させることが示されている(それによって、センサの有効性に影響を与える)。一方、化学的不動態化方法は、手間のかかる官能化プロセス、高いバックグラウンド信号、及び活性センサ表面への損傷の可能性、並びに活性センサ表面の長期的な化学的安定性を維持する上での課題をもたらす。全体として、不動態化方法を用いるNSA阻害は、物理的であるか又は化学的であるかにかかわらず、多くの生物学的用途に通常は適さない過酷な化学物質の使用を伴うことが多い。
【0011】
対照的に、能動的NSA阻害/除去方法は、バイオセンサの分野におけるこの問題に対するより有望な解決策として浮上している。そのような能動的方法は、トランスデューサベース又は流体ベースの方法として分類され得る。トランスデューサベースの方法は、NSA除去のために電気機械波又は音響波を使用する。流体ベースの方法は、今日まで広く利用されておらず、又は文書化されていないが、圧力駆動のマイクロ流体流を使用してセンサ表面からNSA分子を除去するためのせん断力を生成することが意図されている。トランスデューサベースの方法の主な欠点は、追加の制御される機器の必要性である。一方、NSA除去の流体ベースの方法は、NSAを効率的に除去するために、対象領域(ROI)における正確な流体操作を必要とする。更に、この点に関して文書化されているいくつかのそのような方法では、所望の効果を達成するために、非標的種の電気泳動アライメントが必要であった。
【0012】
現在のバイオセンサシステムは、いずれかのNSA阻害及び/若しくは除去の受動的方法又は能動的方法に依存している。しかしながら、先行技術のバイオセンサは、上記の問題に対処するための効率的で再現可能かつ堅牢な解決策を提供するNSA阻害/除去の方法を未だ提供していない。
【0013】
したがって、本発明の第1の態様によれば、バイオセンサであって、
間にキャビティを画定する第1及び第2の基板と、
当該キャビティ内に、第1の基板上に設けられた官能化された活性表面を有する検知構造体と、
当該第2の基板上に設けられており、当該キャビティ内に延在する流れ制御構造体であって、流れ制御構造体の遠位端と検知構造体との間の隙間が、当該官能化された活性表面を横切って延在する流体流チャネルを提供する、流れ制御構造体と、
当該流体流チャネルの一端にある流れ制御構造体の近位端に隣接する入口ポート及び流体流チャネルの対向端にある出口ポートと、を備え、
流れ制御構造体が、使用中に、液体入口ポートで滴下され/注入された流体が流体流チャネルに流入し、流体流チャネルを通って当該出口ポートに流れ、それによって、当該官能化された活性表面上にせん断力を及ぼすように成形及び構成されている、バイオセンサが提供される。
【0014】
本発明の様々な態様は、独立項に記載されており、追加の及び/又は任意選択の特徴は、本明細書に添付された従属請求項に記載されている。本発明のこれらの及び他の特徴は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで、本発明の実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
図1】本発明の例示的な実施形態による単一のバイオセンサの概略断面図である。
図2図1のバイオセンサの底部パッケージの概略断面図である。
図2A-2C】製作プロセスの3つのそれぞれのステップにおける、すなわち、それぞれ底部金属コンタクト(16、17)、頂部金属クランプ(18)、及び不動態化層(19)を有する、本発明の例示的な実施形態によるバイオセンサのグラフェンウェルの概略平面図である。
図3図1のバイオセンサの頂部パッケージの概略断面図である。
図4】本発明の例示的な実施形態によるマルチバイオセンサデバイスの概略断面図である。
図5】本発明の例示的な実施形態による4分の1のバイオセンサデバイスの概略斜視図である。
図6】本発明の例示的な実施形態によるマルチバイオセンサデバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態は、以下の、すなわちi)単一のチップセット上でのNSA除去の受動的及び能動的方法の両方の利点を組み合わせて実質的に完全なNSA除去をもたらしながらの高いセンサ特異性、ii)ターンアラウンドタイム(TATを改善するための静電的に補助された結合/固定化、並びにiii)リアルタイム多重電気的定量化(MEQ)、化学抵抗性及びGFETの両方、のうちの1つ以上を提供することを目的とする、新規のマイクロ流体及びチップセットパッケージングを組み込む例示的なグラフェンベースのセンサチップセットに関する完全なウェハスケールの製作プロセスとともに説明される。しかしながら、いくつかの実施形態は、これらの特徴のうちの1つ又はいくつかのみを含み得、好ましい実施形態が本明細書に詳細に記載されているが、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によって明確に定義されている場合を除き、本発明は必ずしも記載された特徴の任意の特定の組み合わせに関して限定されることを意図するものではないことを理解されたい。
【0017】
感度が高く選択的で迅速かつ費用対効果の高いPOCTシステムを使用した疾患バイオマーカの早期検出は、疾患の予後/診断及びリアルタイムの患者の健康モニタリングに不可欠である。特定の疾患バイオマーカをバイオセンサ表面に付着させることは、高い特異性及び感度を有する様々な分析物を検出するためのそのような単純で迅速かつ多重化された検知プラットフォームを開発するために重要である。近年、幅広い免疫測定形式(例えば、ELISA、電気化学、化学抵抗性、光学、磁気など)が、参照混合物からの複数の分析物の同時検出に有用であることが実証/報告されている。更に、分析物の捕捉効率を高めるために、洗練されたマイクロ流体チャネルを有する制御された流体流によって補完されるセンサ表面の化学修飾を用いる分析物の拡散混合を伴ういくつかの方法が開発されている。それらの性能及び能力にかかわらず、シンプルなオンサイト電子診断システムを必要とするリソース制限された設定(例えば、POCT)へのそれらの組み込みは、洗練された電子/磁気検出手順及び動作制御システムの必要性のために制限されている。最近、カーボンナノチューブ(単一壁カーボンナノチューブ、(SW-CNT)又は多壁カーボンナノチューブ(MW-CNT))は、バイオセンサとしての用途の可能性が非常に高いことが示されている。同様に、六角形に結合した炭素原子の単一原子の厚膜であるグラフェンは、その表面を特定のバイオマーカ用のバイオプローブで官能化することにより、バイオセンサの分野での潜在的な用途を提示する。過去10年間にわたり、高感度(電気化学、化学抵抗、及び電界効果トランジスタベース)のグラフェンベースのバイオセンサが報告されている。
【0018】
本発明の実施形態は、3つの重要な問題、すなわち、1)NSAの(ほぼ)絶対的な除去による高い特異性、2)低減されたTAT、及び3)正確で堅牢な分析物定量化、のうちの1つ以上に対処することができるグラフェンベースのバイオセンサチップセットを提供することを目的とし、これは、これまでのところ、POCTシステムのための堅牢な電子バイオセンサの開発を妨げてきた問題である。
【0019】
したがって、本発明の第1の態様は、NSA阻害/除去に対処し、NSA分子をROI、すなわちセンサ表面から大幅に低減させ又は実質的に排除することを目的とする。これは、以下に説明する本発明の例示的な実施形態では、独自のオープン/クローズドループのマイクロ流体チャネルによって、かつ穏やかな電気的(ac)又は電磁的攪拌を使用することで達成され、ここではマイクロ流体チャネルは、対象領域にわたる増強された流体力学的せん断力及び流体の方向性のある流れを生じさせる。当業者に既知であるように、遮断剤を使用して、NSA阻害を更に増強することもできる。
【0020】
本発明の第2の態様は、ターンアラウンドタイム(TAT)を改善することを目的とする。バイオセンサ、特にPOCTデバイスにおけるTATの最小化が重要な要因であることは明らかであり得、これは、以下の例示的な実施形態では、静電結合を使用し、官能化されたセンサ表面の下に埋め込まれた容量性電極に静電位(DC電位)を印加することによってそのような結合の速度を向上させることにより達成される。
【0021】
本発明の第3の態様は、(ほぼ)リアルタイムのMEQの必要性に対処し、この目的のために、化学抵抗及びGFET測定の両方を使用する。(ほぼ)リアルタイムのMEQは、分析物の結合時に化学抵抗性及びディラック点シフトデータを収集し、かつ標的生体分析物の分析定量化のための信号処理技術を使用するように構成された、新規の処理モジュールを利用して得ることができる。
【0022】
以下の詳細な説明において、「上部」、「頂部」、「底部」、「下部」、「下」、「側部」などの方向用語への任意の言及は、添付の図面に示すデバイスの向きに関連して単に使用され(及び適用されるだけであり)、これらの用語は、使用中のデバイスの向きに関して決して限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0023】
図面の図1を参照すると、本発明の例示的な実施形態によるバイオセンサデバイスの概略断面図が提供されている。この例のデバイスは、TATを改善するためのグラフェンの静電バイアスとともに、オープン/クローズドマイクロ流体チャネル内の対象領域にわたる電気的/電磁的に補助された流体攪拌及び強制流体伝播のためのプロビジョンを有する、生体分析物の多重電気的定量化(MEQ)に使用することができるグラフェンセンサを備える。ウェハスケールの製作を目的として、デバイスは、2つの別個の部品、すなわち底部パッケージ100及び頂部パッケージ200を備える。以下でより詳細に説明するように、底部パッケージ100は、グラフェンFET、マイクロ流体チャネル、入口リザーバ、ウェル/キャビティ、及び外側リザーバを含み、一方、頂部パッケージ200は、固体基板(例えば、ガラス又は他の光透過性/半透明材料)、台形ドーム、及び高分子マイクロ流体チャネル、流体制御バルブ、及びサンプル送達システムを含む。「頂部」パッケージ200は、「底部」パッケージ100と統合されたときに、生体分析物のMEQのための完全なセンサプラットフォームを形成する。本明細書に記載される特定の例示的な実施形態では、心臓バイオマーカタンパク質を検出するためのグラフェンベースのバイオセンサが参照されるが、本発明がこの点で限定されることを意図しないことが理解されるであろう。
【0024】
更に、図面の図2及び図2A図2Cを参照すると、デバイスの「底部」パッケージ100は、グラフェンFETベースのバイオセンサを備える。「底部」パッケージ100の製作の方法では、CVD成長グラフェン4は、一般的に見られる実装形態では、SiO2/Si上に、又は(この特定の例示的な実施形態では、グラフェンセンサのディラック点の低下など、センサシステムの性能を向上させる目的で)自己組織化単分子層(SAM)コーティングされた誘電体/絶縁SiO2/Si基板1、2上にグラフェンを堆積させながら、事前に堆積された金属コンタクト(Ag/AgCl参照電極12を含む)上に直接転写される。図面の図2Aにおいてより明確に見ることができるように、グラフェンチャネル4aが、グラフェン転写及び洗浄プロセスの後にパターン化される。マイクロデバイス製作の当業者に既知のように、グラフェンFETベースのバイオセンサは、例えば、研究指向のクリーンルーム内で確実に製造することができ、そのCVDグラフェンチャネル4aは、生体分析物の検出のための活性チャネルとして効果的に機能する。図面の図2Aに示すように、電極16が、一端において各グラフェンチャネル4aの「下」の基板2上に位置し、金属コンタクト17が、対向端において全てのグラフェンチャネル4aの「下」に延在する。図2Bでは、グラフェンチャネル4aの各端部を一端においてそれぞれの電極16にクランプし、他端においてコンタクト17をクランプする、頂部金属クランプ層18が見られる。図2Cでは、グラフェンチャネル4a及び参照電極12を除く基板2上の全ての構造を覆う不動態化層19が見られる。
【0025】
グラフェンチャネル(図面の図1及び図2では、概して「4」と示されている)は、好適なリンカ5で固定されており、使用されるプローブ分子6は、検出される分析物(例えば、この場合、心臓バイオマーカタンパク質)に依存する。グラフェンチャネルを化学的に官能化するための好適な方法は、例えば、英国特許第2471672号に記載されており、この方法は、とりわけ、当業者に既知であろう。したがって、製作方法のこの態様は、本明細書ではこれ以上詳細に考察しない。
【0026】
複数のそのような「全てのグラフェン」FETは、単一の基板上で製作され、マイクロ流体チャネル15によって一緒に流体結合され得、その結果、分析物8(流体)は、図面の図4を参照して以下でより詳細に示され、説明されるように、各デバイスの活性(官能化された)グラフェン領域上に送達され得る。図面の図1において、マイクロ流体チャネル15aは、図示のバイオセンサのための入口ポートを画定し、入口ポートは、基板2上の第1のフォトレジスト構造9a(例えば、SU8などの任意の生体適合性ポリマー)と、頂部パッケージ200上のドーム11の近位端(最大直径の基部)に隣接する基板10との間に画定されている(以下、図面の図3を参照して説明する)。第2のポリマー構造9bは、官能化された活性表面4の反対側の縁部に設けられており、その遠位端と頂部パッケージ200の基板10との間に出口ポート15bを画定する。したがって、使用中、流体は入口ポート15aを介してバイオセンサに入り、ドーム11の遠位端(より小さい直径の基部)と官能化された活性表面4との間に画定された流体流チャネルを通って出口ポート15bに流れる。第3のフォトレジスト/ポリマー構造9cが、第2のフォトレジスト/ポリマー構造と第3のフォトレジスト/ポリマー構造との間に外側リザーバ29が画定されるように、第2のフォトレジスト/ポリマー構造9bから離間して基板2上に設けられている。図面3を参照して以下でより詳細に説明するように、多孔質ポリマートラック13が、頂部パッケージ200の基板10上に設けられ、外側リザーバ29内に延在し、ピンホール(約50~100μm)が、外側リザーバ29の端部に隣接して頂部パッケージ200のガラス基板10内に設けられている(すなわち、第3のフォトレジスト/ポリマー構造9cが位置し、出口ポート15bの下流にある場所に近い)。
【0027】
図面の図3を更に参照すると、バイオセンサデバイスの「頂部」パッケージ200は、固体(有益に透明/半透明、例えば、ガラス)基板10、台形ドーム11、ドーム11上のAg/AgCl参照電極12’、及びガラス内の小径ピンホール14(約50~100μm)を備える。カスタマイズされたドーム11は、例えば、当業者に周知であろうスピンコーティング/スクリーン印刷技術を使用して、ガラス基板10上にPDMS、SU8などのポリマーから形成され得る。更に、ポリマーをマルチセンサパッケージの外側リザーバ29(図4を参照)に組み込むように、高多孔質ポリマーを(例えば、スピン/スプレーコーティング又はスクリーン印刷を使用して)固体基板10の縁部に堆積させてもよい。このポリマーは、流体がデバイスを通って一方向に流れることを保証し、液体の吸着による逆流を回避するのに役立つ。更に、多孔質ポリマー層は、センサ内の流体フラッディングを防止する。
【0028】
次に、図面の図4を再び参照すると、頂部パッケージ200は、マルチセンサ機構を提供するために底部パッケージ100と一体化されており、センサは、マイクロ流体チャネル15によって一緒に流体結合されている。頂部パッケージ200は、各台形ドーム11がそれぞれのグラフェンチャネル4aとの間、及び外側リザーバ29内の多孔質ポリマートラック13との間に小さな隙間を有する状態で、それぞれのグラフェンチャネル4aの「上方」に正確に位置合わせされるように、底部パッケージ100の頂部上に位置合わせされている。マイクロ流体構成は、入口27、ウェル28(ドーム11とそれぞれの官能化されたセンサ表面との間)、及び外側リザーバ29(各センサの下流)を更に備える。血漿分離膜25が、入口27を横切って設けられている。マイクロ流体チャネル15、入口27、ウェル28、及び外側リザーバ29は、例えば、生体適合性エポキシベースのSU8フォトレジストを使用して製作され得る。ウェル28は、有利には、第1のSU8堆積によって作成され、相互に接続されたマイクロ流体チャネル15は、第2のSU8堆積によって作成され得るが、本発明は必ずしもこの点で限定されることを意図しない。任意の好適なポリマーをマイクロ流体製作に使用することができ、本発明は、決してSU8の使用に限定されない。他の好適なポリマーは、当業者には明らかであろう。
【0029】
本発明のこの特定の例示的な実施形態では、ビオチン-ストレプトアバジン-ビオチンベースのサンドイッチ型化学を使用して、プローブ分子6をグラフェン4上に固定する。特定のプローブ(例えば、この場合のような心臓バイオマーカ検出のための)は、当業者に周知であるように、そのような連結化学を使用してグラフェン上に固定される。
【0030】
穏やかな交流電気流体力学的又は電磁的攪拌が、上述の電極を介して、電気化学の分野の当業者に周知である方法で各活性センサ表面4に適用されてもよい。センサ表面上に形成されたあらゆるNSA分子は、そのような攪拌によって「緩められる」こととなる。1つの例示的な方法では、NSA除去は、検査プロセスとは別個に実行され得るか、又は他の要因の中でもとりわけ、実行される検査の種類、並びに必要とされる精度及び特異性に応じて、検査プロセスに統合され得る。したがって、例示的な方法では、サンプル流体は入口27を介してデバイス内に滴下され/注入され、マイクロ流体チャネル15を通って流れる。そのように滴下され/注入されたサンプル流体は、センサデバイス内に落とされる/注入される前に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの希釈流体と混合され得る。代替的に、サンプル流体は、最初に滴下され/注入され、続いて、サンプル流体と混合し、混合物がセンサを通ってセンサ表面にわたって流れるようにする希釈流体の注入が行われてもよい。検査流体中の標的分子は、プローブ分子6に結合する。センサ表面上に形成されたあらゆるNSA分子は、上記の攪拌によって「緩められ」、デバイスを通る(及びセンサ表面にわたる)流体の流れによってセンサ表面から引き離される。換言すると、マイクロ流体チャネル15を通る圧力駆動の流体流は、NSA分子を活性センサ表面から引き離すために使用される。次に、流体はそれぞれの外側リザーバ29に流入し、多孔質ポリマーブロック13は、液体の吸着による流体の反対方向へのあらゆる逆流を防止するように作用する。当然ながら、遮断剤(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)などのタンパク質コーティング)もまた、活性センサ表面上のNSAを阻害するために、活性センサ表面上に設けられてもよい。そのようなNSA阻害の受動的方法は、当業者に周知であり、本発明のこの例示的な実施形態のNSA阻害/除去方法を強化するのに役立つであろう。
【0031】
上述の実施形態において、希釈された検査流体は、NSAを除去するように作用する。しかしながら、代替的な実施形態では、センサデバイス内のサンプル流体の希釈は、NSA除去ステップとは別個に行われ得る。この場合、上述したように、検査サンプルの希釈後、NSA除去をもたらすために、流体(PBSなどがデバイスに注入され得る。これは、検査サンプル及び希釈流体を活性センサ表面に送達するために使用されるものと同じマイクロ流体チャネル15を介して達成され得る。この場合、及びいくつかの実施形態では、逆流及び2つの流体間の横流混合を防止するために、1つ以上のマイクロ流体バルブが必要とされ得る。代替的な実施形態では、マイクロ流体チャネル機構を分離するために設けられる。
【0032】
前のセクションで考察したように、本発明の特定の例示的な実施形態のマイクロ流体設計に関する計算及びシミュレーションの説明が、その実用的な実現可能性を実証するために次に続く。NSA分子を活性表面壁から引き離すために、せん断応力及びせん断力は重要なパラメータであり、本発明の態様は、マイクロ流体を使用してこれらの特性の大幅な制御を発揮する可能性を提示する。活性センサ表面にわたる流れレジームが層状であることを確実にしながら、適切なせん断応力を適用する必要がある。層流及びせん断応力は、マイクロ流体設計を使用してチャネルの高さを調整することによって達成及び制御することができる。図4は、上述したように、マイクロ流体と統合された例示的な4分の1のバイオセンサデバイスを示している。ドーム11によってセンサ表面の場所で減少したチャネル寸法、及び台形ドーム11は、せん断力を生成し、層流を維持するように構成されている(Re<2300)。対象領域(活性表面エリア)とドーム構造及びその寸法との間の高さの差は、生成されたせん断力及び圧力を定義する。高さの差が小さいほど、チャネル内で発生するせん断力は大きくなることとなる。更に、せん断力は、入口流量によっても制御され得る。理論計算及びモデリングから、チャネルの高さを変更することは、流量を変更するよりもせん断応力に影響することが観察されている。上述のように、より高いせん断応力を生成するためには、高さの差を小さくする必要があるが、流れの性質も層状であるべきである。NSA分子を除去するために必要なせん断力は、分析物分子とプローブ分子との間の結合解離エネルギーに依存する。典型的には、特異性のために、結合解離エネルギーはプローブと分析物分子との間でより高く、特にNSA分子が既に交流電気流体力学的又は電磁的攪拌によって「緩められている場合、NSA分子を除去するために必要とされ得るよりも、リンカ、プローブ、及び分析物を引き離すためにより高いせん断力を必要とするであろう。したがって、分析物溶液中に存在する残りの非特異的分子は、センサの表面に弱く結合する(物理吸着)。これらの物理吸着されたNSA分子は、プローブ及び分析物分子を除去するために必要とされ得るよりも少ないせん断力で、センサ表面から比較的容易に引き離され得る。必要なせん断力は、当然ながら、センサ表面製作に使用されるリンカ、プローブ、及び分析物の種類に依存する。しかしながら、目的は、NSA分子を除去するのに十分なせん断力を生成することであり得る。
【0033】
理論モデルは、R/h<0.25の場合、セル上の流体せん断応力が壁におけるせん断応力に等しいことを実証し、式中、Rはセル直径であり、hはマイクロ流体チャネルの高さである。NSA分子を除去するために必要な壁せん断応力、又は単にせん断応力は、セルの総結合力に依存する。ある特定の直径を有する分子を引き離すために必要なチャネルの高さは、理論計算から推定することができる。小さなチャネルの高さは、分子上により高いせん断応力を生じさせることが観察されている。計算モデリングは、例えば、NSA分子を除去するために必要な寸法及びせん断力を決定するために実行され得る。ドームのコーナー及び縁部寸法は、ウェル内の圧力降下を最小限に抑えるように最適化され得る。マルチフィジックスベースのモデリングは、ドームを使用した好適なマイクロ流体設計を作成するために使用され得る。
【0034】
例示的な検査方法では、サンプル流体は、ある期間、例えば、15秒にわたって(センサデバイスへの入口を介して)注入され得る。入口セクションの直前の拡散性広がりにより、滑らかなパルスがセンサに入り、これはフローセル入口でのガウス分布によって説明することができる。図面に記載され、図示された設計は、狭い対象領域にわたって(すなわち、センサ表面にわたって)より莫大なせん断応力をもたらし、チャネルの高さの違いによるチャネルの残りの部分においてより低いせん断応力をもたらす。リンカ、プローブ、及び分析物分子間の結合解離エネルギーは、それらの化学的性質によって変動する。NSA除去シアー応力約2~10Paは、標的分子をセンサ表面から解離させることなく表面洗浄を確実にするために必要である。ドームとROIとの間の隙間は、プローブ-分析物結合を無傷に維持しながら、かつ/又は固定されたプローブをセンサ表面から解離させながら、NSA除去を最大化するために必要なせん断力を達成するために正確に調整され得る。上記で説明したように、せん断力を制御することによって、弱く結合された全てのNSA分子を表面から除去することができる。必要なせん断力は、理論計算から推定することができ、当業者には明らかであろうように、検出に使用されるリンカ及びプローブ分子の種類に依存する。一般に、NSA分子を除去するために必要なせん断力は、接着強度の約50%であり得る。せん断力は、マイクロ流体チャネルの寸法、特にドームと活性チャネルとの間の高さの差を変化させることによって、要件に従って調節可能である。
【0035】
上述したように、本明細書に例示及び説明されるデバイスは、NSAを除去するために作用するだけでなく、分析物流体の方向性のある流れも提供する。NSA分子による分析物の汚染を回避するためには、方向性のある流れ(逆流を防止する)が不可欠である。さもなければ、センサは多くのバックグラウンドノイズを示し得、元の分析物信号を識別することは困難である。「頂部」パッケージ200のガラス基板10内のピンホール14は、内部空気圧の蓄積によって引き起こされ得るチャネル又はウェル内の分析物流体流の遮断を防止するのに役立つ。ピンホール14は、空気のみを通過させ流体を遮断することを可能にするガス透過性ポリマー(例えば、薄いPDMSポリマー)層で覆われ得る。上述したように、この完全な頂部パッケージ200は、底部パッケージ100に位置合わせされる必要があり、これにより、分析物流体流のための流体チャネルが作成される。記載されたデバイス設計は、製造プロセス中のリンカ、プローブ、及び遮断剤の固定化、並びに通常の使用中に促進される上述のNSA除去にも適している。
【0036】
したがって、製造プロセス中、頂部及び底部パッケージ100、200は別個に製造される。底部パッケージのグラフェンチャネル4は、頂部及び底部パッケージを位置合わせすることによってパッケージングプロセスを完了する前に、ウェル/キャビティ内の活性表面に一定量の官能化流体を送達するために、それぞれのマイクロニードルベースのノズルに位置合わせされ得る。この設計のデバイスを使用することにより、各ウェル/キャビティを同時に、交差汚染なしで官能化することが可能である。これにより、例えば、各ウェルが複数のグラフェンチャネルを包有し、グラフェン表面が異なる標的分子を引き付けるように官能化された、複数のウェル/キャビティを備える多重化バイオセンサデバイスを提供することが可能になる。これは、ナノスケールで、かつ非常に高速な製作プロセスで達成することができる。
【0037】
せん断力を使用したNSA分子除去の方法の重要な要件のうちの1つは、最小限の圧力降下で対象領域全体にわたって実質的に均一なせん断力を維持することである。理想的には、NSA分子を効果的に除去するために、チャネル内の圧力降下はほとんどないか、又は全くあるべきではない。しかしながら、チャネルの長さと対象領域(ROI)における圧力降下との間には、常にトレードオフが存在する。チャネルの長さが長いほど、チャネル内に著しい圧力降下が生じ、これは均一なNSA除去を助長しない。チャネルの高さは、流れが層状のままであることを確実にしながら、より高いせん断力を達成するために、上述したように、対象領域で減少される。本発明は、マイクロ流体技術と分析物流体の電気攪拌とを組み合わせて、NSA分子を効果的に除去する。流体力学的せん断力は、バイオセンサ内のROIにわたるマイクロ流体チャネルの寸法を変化させることによって調節可能である。同時電気パルス攪拌は、表面からNSA分子を除去するのに役立つ。
【0038】
したがって、要約すると、NSA分子の大部分は、標的分析物分子と比較して、センサ表面に物理吸着されているか、又は弱く結合されている。一般に、標的分析物分子は、強力な化学相互作用によって特定のプローブ/受容体に結合する。結合解離エネルギーは、特定のプローブと分析物分子との間でより高く、物理吸着されたNSA分子と比較して、結合を解離するためにより高いせん断力を必要とする。適切なせん断力を調節することによって、弱く結合したNSA分子を表面から除去することができる。必要なせん断力は、本発明の例示的な実施形態では、ビオチン-ストレプトアビジンベースのリンカに関して最適化される。記載された設計は、NSAを除去するだけでなく、分析物液体の方向性のある流れも提供する。本発明の態様は、NSAを除去し、NSA分子を活性表面から分離するための効率的な方法を提供する。
【0039】
免疫センサの定量化は、先行技術のバイオセンサでは、化学抵抗性、電気化学、及び/又は電界効果トランジスタセンサから平均的な独立した電気信号を収集することによって達成することができる。しかしながら、先行技術のバイオセンサ構造は、単一のセンサデバイスからの2つ以上の種類の信号が収集され、かつ堅牢な平均的定量化を提供するために使用される、独自のスキームを提供しない。本発明の態様では、デバイス構造は、単一のデバイスプラットフォーム上で化学抵抗性及び液体トップ/ボトムゲートG-FET信号を測定しながら、多重電気的定量化(MEQ)を提供する。したがって、測定されたバイオアッセイデータの堅牢な平均的定量化(化学抵抗性+液体ゲートFET信号の平均)を提示する。リアルタイムMEQは、分析物結合時に複数のデータを収集し、信号処理を実行して、標的生体分析物の分析定量化として平均%変化出力を生成するように構成された処理モジュールによって達成され得る。
【0040】
高速センサ応答時間、又は小さなTATを達成することは、特に重症患者を診断するために使用されるPOCTデバイス並びに/又は速度及び精度が重要である緊急時のバイオセンサの分野における別の重要な課題である。TATは、主に、生物学的種(プローブ及び分析物分子)とグラフェン表面との間の化学反応速度論に依存し、これは、希釈溶媒中の生物学的種の拡散速度によって更に定義される。
【0041】
本発明の実施形態では、生物学的種(プローブ及び分析物分子)の結合/固定は、活性グラフェンチャネルエリアの下に埋め込まれた電極の電気バイアスによって高速化され得る。電極上に存在する反対の電荷(電気バイアス)は、生体分子を溶媒溶液からグラフェン表面に向けて引き付けながら、反応速度を改善するのに役立つ。この静電的に補助されたプローブ/分析物結合は、POCTデバイスにとって非常に望ましい短いターンアラウンドタイム(TAT)をもたらす。
【0042】
したがって、上述の(及び本発明の例示的な実施形態を表す)グラフェンバイオセンサデバイスは、先行技術のデバイスと比較して、バイオセンサの感度、選択性、検出限界、及び再現性を高めることができ、かつバックグラウンドノイズの抑制を高めることができる。
【0043】
臨床診断を実施しながら、POCTシステムの手作業を最小限に抑えることが非常に望ましい。本発明の態様の意図は、上述の提案された能動的NSA除去スキームを通じて最大のNSA除去を達成しながら、実際のサンプル収集、希釈、送達、及び特定の分析物の高感度な検出の実行のための堅牢な自動システムを提供することである。
【0044】
図面の図6を参照すると、代替的な頂部パッケージ構造を有するセンサチップパッケージが概略的に示されている。上述の実施形態の特徴と共通の特徴がある場合、図6にも同様の参照番号が使用されることを理解されたい。図6に示すパッケージは、電磁的/電気機械的手段を使用して作動させることができる一対のマイクロバルブを含み、それによって、サンプル混合、希釈、及び空気/流体圧力による制御されたNSA除去の自動化のレベルを提供する。自動化の利点は、流体流、NSA除去に必要な圧力、及びTATの正確な制御である。
【0045】
使用時におけるバイオセンサパッケージの説明は、以下の通りである。
1.元のサンプルの送達及び希釈:サンプル送達プラットフォームは、この例示的な実施形態では約2~3mmの内径及び約5~7mmの外径を有する、PTFE又は別の好適な材料で作製され得る第1のOリング33を備え得、第1のOリング33は、内径約2~3mm及び外径約5~7mmの軟質ゴムの第2のOリング35上に支持(接着)され得る。第1及び第2のOリング33、35は、約2~10μLの血液サンプルを保持するために適切な体積のテーパ状ポリマーピペット36を更に支持し得る。第1のOリング33、第2のOリング35、及びピペット36は全て、基板アセンブリの一部である。これらの構成要素の機能は、次の通りである。
a.第1のOリング33(例えば、PTFE/テフロンワッシャ):指先から血液を収集し、ピペット36内に誘導するように作用する。
b.第2のOリング35(例えば、軟質ゴム)は、第1のOリング33(例えば、PTFE/テフロンワッシャ)及び(例えば、PTFE)ピペット36のクッションとして機能する。
c.ピペット(のような構造)36:血液サンプルを保持し、血漿を、血漿膜25を通して濾過するように作用する。ピペット内部の膜25はまた、リザーバ21内に希釈溶媒(例えば、PBS)を保持し、運搬中にピペットを通じての漏れを回避するのに役立つ。膜25は、用途の種類に応じて多孔質膜に置き換えられ得る(例えば、食品加工におけるアレルゲンの検出のために食品加工工場内の洗浄水を分析するために、又は血液を伴わない任意の他のサンプルを分析するために、特に血漿膜は、必ずしも所望されない場合がある)。第1のOリング33の内径及び膜25の上方のピペット36の部分によって構成される容積は、希釈前の元のサンプルの体積を画定し得る。
【0046】
血液サンプルは、第1のOリング33の中心において穿刺された指に触れることによって直接送達され得る。血漿膜25を通って濾過された血漿は、希釈チャネル/リザーバ21内の予め貯蔵された希釈媒体(例えば、PBS)と混合して、所定のサンプル濃度を提供し得る。一方、血液を伴わないサンプルは、(この場合、多孔質)膜25を通って移動してリザーバ21内の希釈流体と混合するように、マイクロピペットによって第1のOリング33内に直接送達され得る。リザーバ21の寸法及び設計は、希釈流体の体積を決定し得、したがって、リザーバ21は、ピペットの容積によって画定される所与の体積の元のサンプルによって、100、200、500などのサンプル希釈を達成するように設計され得る。あるいは、固定された体積の希釈流体を、(この実施形態に示され、以下に説明される第1及び第2のバルブ30、31と同様の)電磁的/電気機械的に作動させたバルブによって、頂部パッケージ(図6には示していない)を構築した別のリザーバからチャネル/リザーバ21に送達することができる。ピペット内の元のサンプルの体積はまた、例えば、中国特許第CN104132613号に記載されているように、体積の非接触光学測定によって正確に推定されてもよい。非接触光学容積測定の構成要素は、電子読み出しシステムと統合され得る。この場合、サンプル送達プラットフォームの全ての重要な構成要素は、生体適合性であることが必要である。
【0047】
2.希釈されたサンプルの送達:強磁性材料又は任意の高分子材料(例えば、PTFE/テフロンなど)からなり得る第1のマイクロバルブ30が、最初にキャビティ28内に位置するセンサへの希釈されたサンプルの送達を遮断するように設計されている。次いで、第1のバルブ30は、バルブを開放し、流体の流れを制御するために、電子読み出しシステム内に設置された電磁的/電気機械的スイッチによって作動される。第1のバルブ30の電子作動(開閉)は、流体流の自動化を達成することができるように、データ分析スキームに組み込まれたソフトウェアプログラムを通じてプログラムされてもよい。実際には、希釈されたサンプルの所与の流量及び第1のバルブ30の一時的な切り替えにより、センサ表面に送達されるサンプル用量(μl)を定義することが可能である。
【0048】
3.制御された圧力によるNSA除去:NSA除去は、ROIにわたるせん断力によって達成される。適切な大きさのせん断力は、ピストン形状の第2のバルブ31によって加圧された空気/流体を吹き付けることによって達成され得る。第2のバルブ31は、強磁性又は任意の高分子材料(例えば、PTFE/テフロンなど)からなり得、軟質の高分子ラウンドディスク37を支持し得る。適切な量の流体は、ピストンバルブ31を一端で保持し、多孔質膜39を他端に保持する、頂部パッケージ内のエンクロージャ38内に隠され得る。多孔質膜39は、加圧された空気/流体に対して透過性であるようなものである。産業規模での自動化された製造方法を使用して、頂部パッケージの製造時に、第1のOリング33、第2のOリング35、及び膜25を有するピペット36の嵌合に加え、エンクロージャ38には空気/流体を充填して貯蔵し、リザーバ21には希釈流体を充填することができる。繰り返しになるが、第2のバルブ31の作動は、パラグラフ2において上述されたように、電磁的/電気機械的機構によって実行することができる。この第2のバルブ31の目的は、空気/流体を、膜39を介してチャンバ内に押し込みながら、必要なNSA効果を提供することであり、これは、センサ表面(この場合は、グラフェン)からNSAを除去するためにROIにおいて所望の圧力を生成するのに役立つ。底部パッケージ内のチャネル及びキャビティから出る、押し出された/フラッシュされた流体は、リザーバ29内に位置する多孔質膜13によって吸収され得る。余分な流体(又はサンプル流体)の代わりにNSA除去のために空気を使用する利点は、余分な流体による多孔質膜13の飽和を防止し、リザーバ29からキャビティ28内への流体の潜在的な逆流を回避することである。繰り返しになるが、第2のバルブ31の自動作動は、サンプル送達のために、第1のバルブ30と同様に、ソフトウェアモジュールを使用して達成され得る(パラグラフ2で上述されている)。これらのマイクロバルブ30、31のプログラム可能な電磁的/電気機械的作動は、小型のハンドヘルドPOCTシステムに非常に望ましい、サンプル希釈、投与、及びNSA除去効果の自動化を提供し得る。
【0049】
前述の説明から、当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に修正及び変形を加えることができることが明らかであろう。
図1
図2
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】