(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】真空アーク再溶融における電力削減をもたらすビデオ分析ベースのアルゴリズム
(51)【国際特許分類】
F27B 3/28 20060101AFI20240416BHJP
F27B 14/04 20060101ALI20240416BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20240416BHJP
F27D 11/08 20060101ALI20240416BHJP
C22B 9/20 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F27B3/28
F27B14/04
F27D21/00 A
F27D11/08 B
C22B9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565539
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 US2022026741
(87)【国際公開番号】W WO2022232398
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514179078
【氏名又は名称】チタニウム メタルズ コーポレーション
【住所又は居所原語表記】181 North Water Street Gate 3,Henderson,NV 89015,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パテル、アシシュ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルスコヴィッチ、ニル
【テーマコード(参考)】
4K001
4K045
4K046
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4K001FA10
4K001GA16
4K045AA04
4K045BA01
4K045RB02
4K045RB26
4K046AA03
4K046BA00
4K046CC01
4K046CD04
4K046EA03
4K056AA05
4K056BA03
4K056BA04
4K056BB08
4K056CA01
4K056FA04
4K056FA23
4K063FA53
4K063FA78
(57)【要約】
制御システムは、撮像デバイスを含む視覚システムと、視覚システムからの画像およびプロセスパラメータに基づいてVARプロセスの電力調整段階を決定するように構成されたVAR監視システムとを含む。VAR監視システムは、再溶融画像プロセスモデルに基づいて溶融マーカを検出するために視覚システムからの画像を分析するように構成された視覚分析モジュールと、溶融マーカ位置および再溶融予測モデルに対して電力調整に関連するVARプロセスの動作特性を予測するように構成された予測モジュールとを含む。VAR監視システムは、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすこと、VARプロセスの動作特性が所定の動作条件を満たすこと、またはそれらの組み合わせに応答して、電力調整段階を開始するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空アーク再溶融(VAR)プロセスのための制御システムであって、
前記VARプロセスの真空チャンバ内の電極の1または複数の画像を撮影するように構成された撮像デバイスを含む視覚システムと、
前記視覚システムからの前記1または複数の画像およびプロセスパラメータに基づいて、前記VARプロセスの電力調整段階を決定するように構成されたVAR監視システムと、を備え、
前記VAR監視システムは、
再溶融画像プロセスモデルに基づいて溶融マーカを検出するために、前記視覚システムからの前記1または複数の画像を分析するように構成された視覚分析モジュールと、
前記プロセスパラメータおよび再溶融予測モデルに基づいて、前記電力調整段階に関連する前記VARプロセスの動作特性を予測するように構成された予測モジュールと
を含み、
前記VAR監視システムは、前記溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすこと、前記VARプロセスの前記動作特性が所定の動作条件を満たすこと、またはそれらの組み合わせに応答して、前記電力調整段階を開始するように構成される、
制御システム。
【請求項2】
前記溶融マーカは、ピン、スロット、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記プロセスパラメータは、ヒートナンバ、電極重量、坩堝識別、炉番号、炉電流、炉電圧、炉ラム位置、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
それぞれの画像に関して、前記視覚分析モジュールは、前記再溶融画像プロセスモデルによって分析される前記それぞれの画像の部分を選択するように構成される、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記視覚システムおよび前記VAR監視システムは、炉ラム位置が定められた位置にあること、前記VARプロセスの炉への電力入力が電力設定値より大きいこと、またはそれらの組み合わせに応答して動作を開始する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記再溶融予測モデルは、溶融マーカ位置に対する前記VARプロセスの炉ラム位置を予測するように構成される、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
前記VARプロセスの炉への電力を制御するように構成された一次VARコントローラを更に備え、前記VAR監視システムは、電力ランプダウンを開始するために前記一次VARコントローラに通知することによって前記電力調整段階を開始するように更に構成される、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
真空アーク再溶融(VAR)プロセスを制御するための方法であって、
真空チャンバ内の電極の1または複数の画像を取得することと、
再溶融画像プロセスモデルに基づいて前記1または複数の画像の溶融マーカを検出するために前記1または複数の画像を分析することと、
前記1または複数の画像およびプロセスパラメータに基づいてVARプロセスの電力調整段階を決定することと、
前記プロセスパラメータおよび再溶融予測モデルに基づいて前記VARプロセスの動作特性を予測することと、
前記溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすこと、前記VARプロセスの前記動作特性が所定の動作条件を満たすこと、またはそれらの組み合わせに応答して、前記電力調整段階を開始することと、を備える、
方法。
【請求項9】
前記溶融マーカは、ピン、スロット、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセスパラメータは、ヒートナンバ、電極重量、坩堝識別、炉番号、炉電流、炉電圧、炉ラム位置、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記再溶融画像プロセスモデルによって分析されるそれぞれの画像の部分を選択すること、を更に備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
炉ラム位置が定められた位置にあること、前記VARプロセスの炉への電力入力が電力設定値より大きいこと、またはそれらの組み合わせに応答して動作すること、を更に備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
溶融マーカ位置に対する前記VARプロセスの炉ラム位置を予測すること、を更に備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記電力調整段階を開始することは、電力ランプダウンルーチンを開始すること、を更に含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の動作条件は、前記電極の予測炉ラム位置が現在の炉ラム位置に対応するかを決定することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記再溶融画像プロセスモデルは、深層畳込みニューラルネットワークを用いて前記溶融マーカを検出するために1または複数の画像処理ルーチンを実行することを更に備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記再溶融予測モデルは、回帰ルーチンを用いて、1または複数の以前のVARプロセスに関連する1または複数の以前取得されたプロセスパラメータに基づいて前記動作特性を予測すること、を更に備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項18】
真空アーク再溶融(VAR)プロセスを制御するためのシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体と、を備え、
前記命令は、
真空チャンバ内の電極の1または複数の画像を取得することと、
再溶融画像プロセスモデルに基づいて前記1または複数の画像の溶融マーカを検出するために、前記1または複数の画像を分析することと、
前記1または複数の画像およびプロセスパラメータに基づいて、前記VARプロセスの電力調整段階を決定することと、
前記プロセスパラメータおよび再溶融予測モデルに基づいて、前記VARプロセスの動作特性を予測することと、
前記溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすこと、前記VARプロセスの前記動作特性が所定の動作条件を満たすこと、またはそれらの組み合わせに応答して、前記電力調整段階を開始することと、を含む、
システム。
【請求項19】
前記再溶融画像プロセスモデルは、深層畳込みニューラルネットワークを用いて前記溶融マーカを検出するために1または複数の画像処理ルーチンを実行するための命令を更に備える、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記再溶融予測モデルは、回帰ルーチンを用いて、1または複数の以前のVARプロセスに関連する1または複数の以前取得されたプロセスパラメータに基づいて前記動作特性を予測するための命令を更に備える、
請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2021年4月28日に出願された米国特許出願第63/180,961号の優先権および利益を主張するものである。上記出願の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、金属インゴットの製造における真空アーク再溶融(VAR)プロセスを監視するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本項における記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、先行技術を構成するものとは限らない。
【0004】
真空アーク再溶融(VAR)プロセスは、一般に、数々の合金の中でも特に高性能チタン、ジルコニウム、ニッケル系合金、および鋼の処理に用いられる。一般に、VARシステムは、電極を流れる電流によって電極を徐々に溶解し、坩堝に入った溶融金属にアークを発する。印加される溶解電流は、所望の溶融金属プール形状およびインゴット品質を実現するためにプロセス中に変更される。
【0005】
VARシステムは、一般に、電力制御ルーチンに従ってVARプロセスを行う。電力制御ルーチンの例は、定められた電力出力まで電力をランプすること、定められた電力出力を所与の期間にわたり電極に供給すること、および所与の期間の経過後に電極に供給される電力を徐々に低減することを含む。ただし、電力の低減が早すぎる、または遅すぎる場合、品質に問題が生じ得る。
【発明の概要】
【0006】
本項は、本開示の一般概要を提供するものであり、全範囲または全ての特徴を包括的に開示するものではない。
【0007】
本開示の一形態において、真空アーク再溶融(VAR)プロセスのための制御システムが提供される。制御システムは、撮像デバイスを含む視覚システムを含む。撮像デバイスは、VARプロセスの真空チャンバ内の電極の1または複数の画像を撮影するように構成される。また制御システムは、視覚システムからの1または複数の画像およびプロセスパラメータに基づいてVARプロセスの電力調整段階を決定するように構成されたVAR監視システムも含む。VAR監視システムは、再溶融画像プロセスモデルに基づいて溶融マーカを検出するために視覚システムからの1または複数の画像を分析するように構成された視覚分析モジュールと、プロセスパラメータおよび再溶融予測モデルに基づいて電力調整段階に関連するVARプロセスの動作特性を予測するように構成された予測モジュールとを含む。VAR監視システムは、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすこと、VARプロセスの動作特性が所定の動作条件を満たすこと、またはそれらの組み合わせに応答して、電力調整段階を開始するように構成される。
【0008】
いくつかの形態において、溶融マーカは、ピン、スロット、またはそれらの組み合わせを含む。
【0009】
一形態において、プロセスパラメータは、ヒートナンバ、電極重量、坩堝識別、炉番号、炉電流、炉電圧、炉ラム位置、またはそれらの組み合わせを含む。
【0010】
また別の形態において、それぞれの画像に関して、視覚分析モジュールは、再溶融画像プロセスモデルによって分析されるそれぞれの画像の部分を選択するように構成される。
【0011】
また別の形態において、視覚システムおよびVAR監視システムは、炉ラム位置が定められた位置であること、VARプロセスの炉への電力入力が電力設定値より大きいこと、またはそれらの組み合わせに応答して動作を開始する。
【0012】
一形態において、再溶融予測モデルは、溶融マーカ位置に対するVARプロセスの炉ラム位置を予測するように構成される。
【0013】
いくつかの形態において、制御システムは、VARプロセスの炉への電力を制御するように構成された一次VARコントローラを更に含む。VAR監視システムは、電力ランプダウンを開始するように一次VARコントローラに通知することによって電力調整段階を開始するように更に構成される。
【0014】
本開示の一形態において、真空アーク再溶融(VAR)プロセスのための方法が提供される。方法は、真空チャンバ内の電極の1または複数の画像を取得することと、再溶融画像プロセスモデルに基づいて1または複数の画像の溶融マーカを検出するために1または複数の画像を分析することと、1または複数の画像およびプロセスパラメータに基づいてVARプロセスの電力調整段階を決定することと、プロセスパラメータおよび再溶融予測モデルに基づいてVARプロセスの動作特性を予測することと、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすこと、VARプロセスの動作特性が所定の動作条件を満たすこと、またはそれらの組み合わせに応答して電力調整段階を開始することとを含む。
【0015】
いくつかの形態において、溶融マーカは、ピン、スロット、またはそれらの組み合わせを含む。
【0016】
一形態において、プロセスパラメータは、ヒートナンバ、電極重量、坩堝識別、炉番号、炉電流、炉電圧、炉ラム位置、またはそれらの組み合わせを含む。
【0017】
別の形態において、方法は、再溶融画像プロセスモデルによって分析されるそれぞれの画像の部分を選択することを更に含む。
【0018】
また別の形態において、方法は、炉ラム位置が定められた位置にあること、VARプロセスの炉への電力入力が電力設定値より大きいこと、またはそれらの組み合わせに応答して動作することを更に含む。
【0019】
また別の形態において、方法は、溶融マーカ位置に対するVARプロセスの炉ラム位置を予測することを更に含む。
【0020】
一形態において、電力調整段階を開始することは、電力ランプダウンルーチンを開始することを更に含む。
【0021】
いくつかの形態において、所定の動作条件は、電極の予測炉ラム位置が現在の炉ラム位置に対応するかを決定することを含む。
【0022】
また別の形態において、再溶融画像プロセスモデルは、深層畳込みニューラルネットワークを用いて溶融マーカを検出するために1または複数の画像処理ルーチンを実行することを更に含む。
【0023】
また別の形態において、再溶融予測モデルは、回帰ルーチンを用いて、1または複数の以前のVARプロセスに関連する1または複数の以前取得されたプロセスパラメータに基づいて動作特性を予測することを更に含む。
【0024】
本開示の一形態において、システムが提供される。システムは、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。命令は、真空チャンバ内の電極の1または複数の画像を取得することと、再溶融画像プロセスモデルに基づいて1または複数の画像の溶融マーカを検出するために1または複数の画像を分析することと、1または複数の画像およびプロセスパラメータに基づいてVARプロセスの電力調整段階を決定することと、 プロセスパラメータおよび再溶融予測モデルに基づいてVARプロセスの動作特性を予測することと、 溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすこと、VARプロセスの動作特性が所定の動作条件を満たすこと、またはそれらの組み合わせに応答して電力調整段階を開始することとを含む。
【0025】
一形態において、再溶融画像プロセスモデルは、深層畳込みニューラルネットワークを用いて溶融マーカを検出するために1または複数の画像処理ルーチンを実行するための命令を更に含む。
【0026】
別の形態において、再溶融予測モデルは、回帰ルーチンを用いて、1または複数の以前のVARプロセスに関連する1または複数の以前取得されたプロセスパラメータに基づいて動作特性を予測するための命令を更に含む。
【0027】
更なる適用領域は、以下に提供する説明から明らかになる。理解すべき点として、この説明および具体例は、例示のみを目的としたものであり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示が適切に理解され得るように、添付図面を参照して、例として示される本開示の様々な形態が説明される。
【0029】
【
図1】
図1は、本開示の教示に係る真空アーク再溶融(VAR)システムを示す概略図である。
【0030】
【
図2A】
図2Aは、本開示の教示に係る電極のスロットの上面図である。
【0031】
【
図2B】
図2Bは、本開示の教示に係る電極の1または複数のピンの上面図である。
【0032】
【
図3】
図3は、本開示の教示に係るVARシステムの機能ブロック図である。
【0033】
【
図4】
図4は、本開示の教示に係るVARシステムによって識別された画像の選択部分の例である。
【0034】
【
図5】
図5は、本開示の教示に係る制御ルーチン例のフローチャートである。
【0035】
本明細書で説明される図面は、単に例示を目的としたものであり、本開示の範囲をいかなるようにも限定することは意図されていない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その適用性、または用途を限定することは意図されていない。理解すべき点として、図面を通して、対応する参照番号は、類似または対応する部分および特徴を示す。
【0037】
本開示は、VARプロセスの電力調整(すなわち電力削減)段階をいつ開始すべきかを識別するために2つの検出スキームを用いるVAR監視システムを含む真空アーク再溶融(VAR)プロセスのための制御システムを提供する。具体的には、第1の検出スキームに関して、VAR監視システムは、再溶融画像プロセスモデルを用いて、視覚システムからの画像を分析し、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすかを決定する。第2の検出スキームに関して、VAR監視システムは、プロセスパラメータおよび再溶融予測モデルに基づいてVARプロセスの動作特性を予測する。VAR監視システムは、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たしていること、VARプロセスの動作特性が所定の動作特性を満たしていること、またはそれらの組み合わせに応答して、電力調整段階を開始する。一度検出されると、VAR監視システムは、一次VARコントローラに、電極への電力を徐々に低減する電力調整段階を開始するように指示する。したがって、本開示のVAR監視システムを有する制御システムは、手動の検出および/または操作に頼ることなく、電力削減段階に正確に移行する。
【0038】
本開示の1つの利点は、視覚システムからの再溶融画像データおよびプロセスパラメータに基づいてVARプロセスの電力調整段階を自動的に制御する点である。電極に対するVARプロセスの電力調整段階を自動的に制御することによって、VARプロセスのインゴット溶融物の品質が向上する。また、本明細書で説明されるVARプロセスは、インゴット生産性、炉設備利用率、および一貫した高品質のインゴット溶融物を製造する費用対効果を改善しながら、材料廃棄物(たとえば電極/溶融インゴット廃棄物)を抑制または低減する。
【0039】
図1を参照すると、VARシステム10は、炉100、一次VARコントローラ130、VAR監視システム200、および視覚システム300を含む。炉100は、電極102を加熱し、一形態において、真空チャンバ108を画定するハウジング104および坩堝106を加熱する。電極102は、数々の合金の中でも特に、たとえばチタン、ジルコニウム、ニッケル系合金、および鋼などのVARプロセスに適した様々な導電性材料で形成され得る。坩堝106は、たとえば銅などのVARプロセスに適した様々な材料で形成され得る。
【0040】
一形態において、炉100は、VARプロセスを実行し、電極102を徐々に溶解して、溶融金属112のプールを含むインゴット110を形成するように構成され得る。VARプロセスの間、一次VARコントローラ130は、電極ラム114を下降させて、電極102を溶融金属112のプール(たとえばインゴット溶融物)に近接して(たとえば隣接して、および/または付近に)垂直に配置するように構成される。電極ラム114の炉ラム位置(たとえば真空チャンバ108内の電極ラム114の一端または両端の垂直位置)が、電極102が溶融金属112のプールに近接することを示す場合、一次VARコントローラ130は、電極102に電力を供給し、真空チャンバ108内に電気アークを発生させるように構成される。いくつかの形態では、電気アークは、電極102と溶融金属112のプールとの間に連続的な溶融物を形成するように構成される。本明細書で説明される機能を実行するために、電源(不図示)に結合された一次VARコントローラ130は、電極102に電力を供給し、坩堝106内で電極102の位置を調整するために、ドライバ回路、アクチュエータ、スイッチ、電力変換器、および/または他の適切な電子部品を含んでよい。
【0041】
一形態において、炉100は、たとえば電極102の物理特性、および/または電気特性などのプロセスパラメータを取得するために、1または複数の適切なセンサおよび/または電気ハードウェア(不図示)も含み、これは更に詳しく後述される。一形態において、炉100は、冷却剤ガイド116、冷却剤取入口118、冷却剤取出口120、および真空チャンバ108の外壁とハウジング104の内壁とによって画定される冷却剤チャンバ122を含む。一形態において、冷却剤(たとえば水)は、坩堝106の温度を下げるために、冷却剤取入口118を介して冷却剤チャンバ122内に供給される。冷却剤は、冷却剤ガイド116の内側116Aを上方に流れ、冷却剤ガイドの外側116Bを下方に流れるとともに、冷却剤取出口120を介して冷却剤チャンバ122から出る。理解すべき点として、たとえば強制空気システムなど、坩堝106を冷却するための他のシステムが提供されてもよく、本明細書で説明される例に限定されない。
【0042】
一形態において、一次VARコントローラ130は、電力制御ルーチンに従って電極102に電力を供給するように構成される。例として、一次VARコントローラ130は、最初、電力を定常状態電力(たとえば所定の定常状態電流および/または電圧値)にランプし、その後、定常状態電力を電極102に供給する。また、一次VARコントローラ130は、更に詳しく後述するように、電力調整段階を開始するために、VAR監視システム200からの通知の受信に応答して、電力を定常状態電力からゼロにランプダウンするように構成される。
【0043】
視覚システム300は、坩堝106内の電極102の画像を撮影するように構成された撮像デバイス302を含む。撮像デバイス302は、二次元カメラおよび三次元カメラを含んでよいが、これらに限定されない。一形態において、撮像デバイス302は、1または複数のシリアルデジタルインタフェース(SDI)出力接続を含む。一形態において、SDI出力接続は、接続インタフェースケーブルを定位置にロックすることを可能にし、画像データが長距離(たとえば最大300フィート)にわたり伝送されることを可能にするロック機能を提供する。例示的な撮像デバイス302は、下向きに配置されかつ電極102Bに面するように垂直に配置され得るが、当業者が理解すべき点として、カメラは様々な位置および向きを有することが可能であり、本明細書で説明および図示される例に限定されない。
【0044】
一形態において、撮像デバイス302は、1または複数の溶融マーカの画像を撮影するために、電極102の端部の画像を撮影するように構成される。本明細書で使用される場合、「溶融マーカ」とは、電力調整段階を開始するために用いられる電極102の所定の特徴を指す。例として、
図2A~2Bを参照すると、溶融マーカは、電極102Aのスロット132および/または電極102Bのピン134を含む。理解すべき点として、溶融マーカは、電極102A、電極102Bの他の特徴を含んでもよく、本明細書で説明される例に限定されない。ピンおよびスロットの例が示されるが、当業者が理解すべき点として、ピンおよびスロットは様々な形状、幾何学的形状、およびサイズを有してよく、本明細書で説明および図示される例に限定されない。
【0045】
一形態において、所定の溶融マーカ条件は、電極の開スロットまたは閉スロット、または溶融マーカの端部を含む。一例では、溶融マーカの端部は、電極のピン134がない場合を含む。
【0046】
VAR監視システム200は、視覚システム300からの画像および/または炉100のプロセスパラメータに基づいて電力調整段階を開始する。具体的には、VAR監視システム200は、溶融マーカを検出し、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすかを決定するために、撮影画像に画像処理ルーチンを実行するように構成される。一形態において、VARシステム200が、ピン134および/またはスロット132が所定の幾何学的形状、面積、向き、サイズ、および/またはサイズを有することを検出した場合、溶融マーカは、所定の溶融マーカ条件を満たす。一例では、所定の溶融マーカ条件は、溶融マーカの端部が存在すること、またはピンが存在しないことを示す。別の例では、所定の溶融マーカ条件は、開スロットが存在することを示す。VAR監視システム200は、所定の溶融マーカ条件が存在する場合、電力調整段階を開始する。また、VAR監視システム200は、プロセスパラメータに基づいてVARプロセスの動作特性を予測するように構成され、動作特性が所定の動作条件を満たすことに応答して、電力調整段階を開始する。プロセスパラメータの例は、ヒートナンバ、電極102の物理特性(たとえば電極重量、電極材料、溶融マーカ位置、電極の下面の位置など)、インゴット溶融物の物理特性(たとえばインゴット溶融物の高さ)、識別番号(たとえば坩堝106の識別番号、炉100の識別番号、またはそれらの組み合わせ)、電気特性(たとえば電極102を介して炉100に供給される電圧および/または電流)、アーク領域(たとえば電極の下面とインゴット溶融物との間の隙間)、および/または電極102の炉ラム位置を含むが、これらに限定されない。所定の動作条件に関する追加の詳細は、以下に記述される。
【0047】
図3を参照すると、炉100、一次VARコントローラ130、VAR監視システム200、および視覚システム300を有するVARシステム10の機能ブロック図が提供される。一形態において、VARシステム10は、プロセスパラメータコントローラ150、制御室320、およびVAR履歴データベース330を更に含む。容易に理解すべき点として、VARシステム10の構成要素のいずれか1つは、同じ位置に提供され、または(たとえば1または複数のエッジコンピューティングデバイスを介して)異なる位置に分散し、それに応じて通信可能に結合され得る。一形態において、炉100、一次VARコントローラ130、プロセスパラメータコントローラ150、VAR監視システム200、視覚システム300、制御室320、およびVAR履歴データベース330は、有線および/または無線通信プロトコル(たとえばBluetooth(登録商標)型プロトコル、セルラプロトコル、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)型プロトコル、近距離無線通信(NFC)プロトコル、超広帯域(UWB)プロトコルなど)を用いて通信可能に結合される。
【0048】
一形態において、プロセスパラメータコントローラ150は、炉100のプロセスパラメータを取得し、視覚システム300、VAR監視システム200、および/または一次VARコントローラ130にプロセスパラメータおよび/または制御信号を選択的に提供する。例として、プロセスパラメータコントローラ150は、電極102の炉ラム位置が定められた位置にあること、電極102を介して炉100に入力される電力が電力設定値より大きいこと、および/または電極102の重量が定められた重量限界値であることのうち少なくとも1つが起こった場合、視覚システム300およびVAR監視システム200に制御信号を提供する。一形態において、制御信号は、視覚システム300およびVAR監視システム200に、本明細書で説明される視覚分析ルーチン、動作特性予測ルーチン、および/または電力調整段階ルーチンを開始するように指示してよい。
【0049】
一形態において、視覚システム300は、撮像デバイス302および画像処理モジュール304を含む。画像処理モジュール304は、撮像デバイス302から取得した画像データを1または複数のフレームに分割し、画像データを、VAR監視システム200に対応する画素フォーマットに変換するように構成される。任意選択的に、いくつかの形態において、画像処理モジュール304は、分割および変換された画像データ(以下、「処理された画像データ」と称する)を、追加の処理のために制御室320および/またはVAR履歴データベース330に位置する1または複数の表示/コンピューティングデバイスに提供する。
【0050】
一形態において、VAR監視システム200は、視覚分析モジュール210および予測モジュール220を含む。一形態において、視覚分析モジュール210は、視覚システム300からの処理された画像データを分析し、再溶融画像プロセスモデル212に基づいて溶融マーカを検出するように構成される。例として、再溶融画像プロセスモデル212は、溶融マーカを検出するために様々な画像処理ルーチンを実行するように構成された深層畳込みニューラルネットワークである。具体的には、再溶融画像プロセスモデル212は、カーネル寸法、カーネル数、ストライド値、パディング値、入力/出力チャネル、ビット深度、特徴マップの幅/長さ、および整流線形ユニット(ReLU)活性化層を含むがこれらに限定されない任意の適切なパラメータの組み合わせによって定義される1または複数の畳込み層を含んでよい。また、再溶融画像プロセスモデル212は、視覚システム300からの画像を分析するために、残差層、ダウンサンプリング層、平坦化層、および他の畳込みニューラルネットワーク層を含んでよい。また理解すべき点として、再溶融画像プロセスモデル212は、様々な既知の訓練ルーチンに従って訓練されてよく、様々な訓練ルーチンの説明は、簡潔性のために説明から省かれる。一形態において、再溶融画像プロセスモデル212は、視覚システム300からの処理された画像データに意味論に基づいた画像処理ルーチンを実行するように構成される。例として、再溶融画像プロセスモデル212は、再溶融画像プロセスモデル212を訓練する間、溶融マーカ(たとえばスロット132および/またはピン134)で意味的にラベル付けされた電極102の1または複数の参照画像を含む。一形態において、電極102の1または複数の参照画像は、同じおよび/または異なる画像品質を有する1または複数の画像を含んでよい。画像品質は、向き、歪み、鮮明度、ビネット、ノイズ、輝度、ダイナミックレンジ、色精度、フレア、均一性、横方向の色収差などの1または複数の変動値を含んでよい。一形態において、電極102の参照画像は、電極102の1または複数の向きおよび/または1または複数の角度を含む。一例では、参照画像は約10,000の画像を含み、各画像は、それぞれの溶融マーカおよびそれぞれの溶融マーカ条件を識別し、たとえばピンの存在、およびそれぞれのピンがピンの端部を含むか、またはピンの不在が識別される。別の例では、参照画像は約10,000の画像を含み、各画像は、それぞれの溶融マーカおよび溶融マーカ条件を識別し、たとえばスロットの存在、およびそれぞれのスロットが開スロットであるか閉スロットであるかが識別される。
【0051】
したがって、再溶融画像プロセスモデル212は、処理された画像データに基づいて意味ベースの画像処理ルーチンを実行し、分類されたオブジェクトと参照画像の溶融マーカとを比較して、処理された画像データの溶融マーカを検出してよい。理解すべき点として、再溶融画像プロセスモデル212は、他の画像処理ルーチン(たとえば差分ベースの画像処理ルーチン)を実行してよく、本明細書で説明される例に限定されない。一形態において、視覚分析モジュール210は、再溶融画像プロセスモデル212によって分析されるそれぞれの画像の部分を選択するように構成される。一形態において、視覚分析モジュール210は、再溶融画像プロセスモデル212が、電極102の輪郭/エッジおよび/または処理された画像データの輝度/色遷移に関連する画素を分析するように、処理された画像データをフィルタするように構成され得る。例として、
図4に示すように、視覚分析モジュール210は、画像350の部分360をフィルタ/除去し、部分370が、電極102のエッジを表す公称画素輪郭372と、電極102の1または複数の潜在的ピン134を表す1または複数の突出した画素領域374との両方を有することに基づいて、分析されるセクション370を選択する。
【0052】
別の形態において、再溶融画像プロセスモデルは、境界ボックス回帰モデルを用いて、再溶融画像プロセスモデル212によって分析されるそれぞれの画像の部分を選択するように構成される。一例では、視覚分析モジュール210は、再溶融画像プロセスモデル212によって分析されるそれぞれの画像の部分を選択するために対象物の位置特定を行うように構成され得る。境界回帰モデルは、たとえば参照画像および参照画像の各画像内の溶融マーカの境界ボックスに対する、たとえば平均二乗誤差または平均絶対誤差などの損失関数を用いて訓練される。境界ボックスは、たとえば左上(x,y)座標および右下(x,y)座標などの少なくとも2つの境界ボックス座標を含む。視覚分析モジュールは、境界ボックス回帰モデルを用いて、境界ボックスを定義するために境界ボックス座標を予測する。予測された境界ボックスは、再溶融画像プロセスモデル212によって分析されるそれぞれの画像の各画像の選択された部分に対応する。いくつかの変形例では、視覚分析モジュール212は、画像に関連する境界ボックスの位置に関するデータを提供し、そのデータを視覚システム300に提供するように構成され、これはその後、制御室320内のモニタによって表示されているVARプロセスの画像上に境界ボックスのデジタル表現を提供し得る。したがって、VARプロセスを目視している技術者に、溶融マーカを有すると予測される電極102の部分が通知される。
【0053】
一形態において、視覚分析モジュール210は、視覚システム300からの処理された画像データが溶融マーカを含むかを示す画像に関連する信頼性スコアを生成するように構成される。例として、畳込みニューラルネットワークは、溶融マーカが正確に検出された確率、および/または検出された溶融マーカが再溶融画像プロセスモデル212によって所定の溶融マーカ条件を満たすかを示すかを示す予測分布(たとえば、デルタ法ベースの予測区間、ベイジアン法ベースの予測区間、または平均分散推定ベースの区間)を出力してよい。予測分布値が閾値より大きい場合、視覚分析モジュール210は、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすことを決定する。また、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすと、VAR監視システム200は、電力を定常状態電力から低電力設定値にランプダウンするための電力調整段階を開始するために一次VARコントローラ130への通知を放送する。
【0054】
一形態において、予測モジュール220は、プロセスパラメータおよび再溶融予測モデル222に基づいてVARプロセスの動作特性を予測するように構成される。一形態において、VARプロセスの動作特性は、炉ラム位置を含むが、これに限定されない。一形態において、VARプロセスの動作特性を予測するために用いられるプロセスパラメータは、溶融マーカ位置、電極の重量、電極の下面の位置、アーク領域、インゴット溶融物の高さなどを含んでよいが、これらに限定されない。一形態において、予測モジュール220は、溶融マーカ位置に対するVARプロセスの炉ラム位置を予測する。一形態において、再溶融予測モデル222は、プロセスパラメータを多変量回帰ベースの式/モデルに入力することによってVARプロセスの動作特性を予測する。
【0055】
例として、再溶融予測モデル222は、プロセスパラメータに基づいて、VARプロセスの炉ラム位置を動作特性として予測するように構成される。具体的には、再溶融予測モデル222は、たとえば電力がゼロにランプダウンされた以前の電力調整段階中の炉ラム位置など、以前のVARプロセスに関連するプロセスパラメータを取得し、電極102の予測炉ラム位置を計算するために再帰ルーチンを実行する。一形態において、以前の電力調整段階の各々は、溶融マーカ位置および/または溶融マーカ条件が満たされていることに関連してゼロにランプダウンされる。したがって再溶融予測モデル222は、炉ラム位置を予測することに加えて様々な時間の炉ラム位置を予測するために用いられる係数を決定/更新する。理解すべき点として、再溶融予測モデル222は、プロセスパラメータに基づいて他の動作特性を予測してもよく、本明細書に提供される例に限定されない。一形態において、VAR監視システム200は、VARプロセスの予測動作特性が所定の動作条件を満たすかを決定するように更に構成される。所定の動作条件は、動作特性が、たとえば動作特性が所定の閾値以上(または以下)であること、所定の数値公差範囲内であること、および/または所定の定性値に対応する(たとえば現在の炉ラム位置が所定の閾値である)ことを示す数値または定性値に対応する場合、満たされる。例として、VAR監視システム200は、予測された炉ラム位置が現在の炉ラム位置に対応するかを決定する。一形態において、VAR監視システム200は、VARプロセスの予測動作特性に基づいて、電力をランプダウンさせる電力調整段階を開始するために一次VARコントローラ130への通知を放送してよい。例として、VAR監視システム200は、予測された炉ラム位置が現在の炉ラム位置に対応する場合、電力調整段階を開始するコマンドを放送してよい。
【0056】
図5を参照すると、VARプロセスを実行するためのルーチン例500を示すフローチャートが示される。504において、プロセスパラメータコントローラ150は、炉100からプロセスパラメータを取得する。508において、プロセスパラメータコントローラ150は、プロセスパラメータによってVARプロセスがアクティブであることが示されるかを決定する。プロセスパラメータによってVARプロセスがアクティブであることが示される場合、ルーチン500は512に進む。そうでない場合、VARプロセスがアクティブになるまで、ルーチン500は504に戻る。
【0057】
512において、プロセスパラメータコントローラ150は、VAR監視システム200および視覚システム300をアクティブ化する。520において、視覚システム300は、撮像デバイス302によって取得された画像データを処理する。524において、視覚システム300は、処理された画像データをVAR監視システム200に提供し、プロセスパラメータコントローラ150は、VAR監視システム200にプロセスパラメータを提供する。
【0058】
528において、視覚分析モジュール210は、上述したように、溶融マーカを検出するために処理された画像データを分析する。532において、予測モジュール220は、上述したように、プロセスパラメータに基づいてVARプロセスの動作特性を予測する。536において、VAR監視システム200は、視覚分析モジュール210が、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たすか、または予測動作特性が所定の動作条件を満たす(たとえば、炉ラム位置が現在の炉ラム位置に対応する)かを決定するかを決定する。536において、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たさず、動作特性が満たされない場合、ルーチン500は520に進む。536において、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たし、動作条件が満たされる場合、またはそれらの組み合わせの場合、ルーチン500は540に進み、VAR監視システム200は、電力を定常状態値から低電力設定値にランプダウンする(減らす)ように一次VARコントローラ130に通知する。たとえば、溶融マーカが所定の溶融マーカ条件を満たし、動作特性が満たされる場合、VAR監視システム200は、電力を定常状態値から低電力設定値にランプダウンするように一次VARコントローラ130に通知する。
【0059】
ルーチン500は、本開示の制御システムのための監視ルーチンの単なる一例であり、他のルーチンが利用されてもよい。たとえば、1つの変形例において、一次VARコントローラ130への通知を発行する代わりに、VAR監視システム200は、制御室320内の技術者に通知を発行し、技術者に電力調整段階を開始させてもよい。
【0060】
本明細書において特に明示されない限り、機械/熱特性、組成割合、寸法および/または公差、または他の特性を示す全ての数値は、本開示の範囲を説明する上で「約」または「概ね」という用語で修飾されるものとして理解される。この修飾は、工業的慣行、材料、製造、および組立て公差、および試験性能を含む様々な理由から所望される。
【0061】
本明細書で使用される場合、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的論理和を用いた論理(A OR B OR C)を意味するものと解釈すべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味するものと解釈すべきではない。
【0062】
本出願において、「コントローラ」および/または「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合ディスクリート回路、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合集積回路、組合せ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ回路(共有、専用、またはグループ)、プロセッサ回路によって実行されるコードを格納するメモリ回路(共有、専用、またはグループ)、説明された機能を提供する他の適切なハードウェア構成要素(たとえば熱流束データモジュールの一部としてのオペアンプ回路積分器)、または、たとえばシステムオンチップのような上記の一部または全ての組み合わせを指し、その一部であり、またはそれらを含んでよい。
【0063】
メモリという用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。コンピュータ可読媒体という用語は、本明細書で使用される場合、媒体を介して(たとえば搬送波上などで)伝搬する一時的な電気または電磁信号を含まないので、コンピュータ可読媒体という用語は、有形かつ非一時的であると考えられ得る。非一時的な有形コンピュータ可読媒体の非限定的な例は、不揮発性メモリ回路(たとえばフラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブル読取専用メモリ回路、またはマスク読取専用回路など)、揮発性メモリ回路(たとえば静的ランダムアクセスメモリ回路または動的ランダムアクセスメモリ回路など)、磁気記憶媒体(たとえばアナログまたはデジタル磁気テープやハードディスクドライブなど)、および光記憶媒体(たとえばCD、DVD、またはブルーレイディスクなど)である。
【0064】
本出願において説明される装置および方法は、コンピュータプログラムに具体化された1または複数の特定の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって生成された専用コンピュータによって部分的または完全に実施され得る。上述した機能ブロック、フローチャート構成要素、および他の要素は、ソフトウェア仕様書の役割を果たし、技術者またはプログラマの定常業務によってコンピュータプログラムに書き換えられ得る。
【0065】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であるため、本開示の本質から逸脱しない変形例は、本開示の範囲内であることが意図されている。そのような変形例は、本開示の主旨および範囲からの逸脱と見なされるものではない。
【国際調査報告】