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特表2024-517712マルチプレックスアッセイプレート及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】マルチプレックスアッセイプレート及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240416BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01N33/543 501D
G01N33/543 525E
G01N33/53 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565856
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 US2022026147
(87)【国際公開番号】W WO2022232027
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/179,731
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】505243216
【氏名又は名称】メソ スケール テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ケンテン,ジョン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ニコレンコ,ガリーナ
(57)【要約】
本明細書に記載されるのは、二機能性アッセイ表面を調製する方法である。特に、一次試薬と二次試薬とを含むアッセイ表面を調製するための方法が提供される。一態様では、一次試薬と二次試薬とは、異なる表面化学によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬とチオール含有二次試薬とを含むアッセイ表面を調製するための方法が提供される。一態様では、捕捉標的ハイブリッドとチオール含有二次試薬とを含むアッセイ表面を調製するための方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二機能性アッセイ表面を調製する方法であって、前記方法が、
a.タンパク質性一次試薬とチオール含有二次試薬とを含むコーティング溶液を炭素含有アッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成することと、
b.前記コーティングされたアッセイ表面を、前記タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬が前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートすることであって、前記チオール含有二次試薬が前記チオール含有二次試薬のチオール基を介して前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される、インキュベートすることと、を含む、方法。
【請求項2】
約10nl~約100nl、約25nl~約75nl、約40nl~約60nl、又は約50nlの前記コーティング溶液を前記炭素含有アッセイ表面上に分配することを含み、前記コーティング溶液が、前記アッセイ表面の結合ドメイン当たり約50nlの比率で前記アッセイ表面を覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング溶液が、約100μg/ml~750μg/ml、約500μg/ml~750μg/ml、又は約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング溶液が、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング溶液が、約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬と、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.01%~約0.1%のTRITON-Xと、任意選択で約0.1%~約0.5%のリン酸緩衝生理食塩水中トレハロースと、約1mMのEDTA~約20mMのEDTAとを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング溶液が、約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬と、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.03%のTRITON-X100と、約0.4%のリン酸緩衝生理食塩水中トレハロースと、約10mMのEDTAとを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
リン酸緩衝生理食塩水が、2.67mMのKClと、1.47mMのKHPOと、8.1mMのNaHPOと、138mMのNaClとを含む、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングされたアッセイ表面を室温で少なくとも6時間~最大約12時間、一晩乾燥させることを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
二機能性アッセイ表面を調製する方法であって、前記方法が、
(a)チオール含有二次試薬を含むオーバーコーティング溶液を、1つ以上のタンパク質性一次試薬が上に固定化された炭素含有アッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成することと、
(b)前記コーティングされたアッセイ表面を、前記チオール含有二次試薬がチオール基を介して前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートすることと、を含む、方法。
【請求項10】
約10μL~約100μL、約25μL~約75μL、約30μL~約50μLの、前記チオール含有二次試薬を含む前記オーバーコーティング溶液を前記炭素含有アッセイ表面上に分配することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記オーバーコーティング溶液が、約0.01μM、0.05μM、0.1μM、0.5μM、1μM、又は5μM~最大約10μM、15μM、又は20μMのチオール含有二次試薬を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記オーバーコーティング溶液が、脱保護コンジュゲーション緩衝液(10mMのリン酸塩、pH7.4、150mMのNaCl、10mMのEDTA)、1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)/10mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)又はDiluent 100(Meso Scale Diagnostics,LLC)から選択される緩衝液を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングされたアッセイ表面を、約500rpm、600rpm、若しくは700rpm~最大約800rpm、900rpm若しくは1000rpm、又は約650rpm、675rpm、700rpm~最大約725rpm、若しくは750rpm、又は約700rpm、705rpm、710rpm、715rpm、720rpm若しくは725rpm、又は約705rpmで振盪しながら、室温で約1時間~約5時間、約1時間~約3時間、又は約2時間インキュベートすることを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素含有アッセイ表面が、マルチウェルプレートを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上のタンパク質性一次試薬が、別個の結合ドメインで前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記タンパク質性一次試薬が、アレイ状に前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
各結合ドメインが、1つ以上のタンパク質性一次試薬と1つ以上のチオール含有二次試薬とを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の結合ドメインが、固有のタンパク質性一次試薬を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の結合ドメインが、固有のチオール含有二次試薬を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上の結合ドメインが、共通のチオール含有二次試薬を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記タンパク質性一次試薬が、前記炭素含有アッセイ表面上に非共有結合的に固定化される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質性一次試薬が、前記炭素含有アッセイ表面上に共有結合的に固定化される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記タンパク質性一次試薬が、結合対を介して前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質性一次試薬が、結合対の第1のメンバーを含み、前記炭素含有アッセイ表面が、前記結合対の第2のメンバーを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記タンパク質性一次試薬が、ビオチンを含み、前記炭素含有アッセイ表面が、アビジン又はストレプトアビジンを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記タンパク質性一次試薬が、タンパク質性捕捉試薬を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記タンパク質性捕捉試薬が、抗体を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
チオール含有二次試薬が、チオール化オリゴヌクレオチドを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記タンパク質性一次試薬が、標的分析物を含有するエクソソームに結合し、前記チオール含有二次試薬が、前記標的分析物に結合する、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記炭素含有アッセイ表面を、前記チオール含有二次試薬を前記炭素含有アッセイ表面上に分配する前に、1つ以上のマレイミド基を導入するように処理する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記炭素含有アッセイ表面を、SM(PEG)(n=2~24である)を含むアミン-スルフヒドリル架橋剤(ThermoFisher Scientific)で処理する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
n=4である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記炭素含有アッセイ表面上に複数のチオール含有二次試薬を固定化することを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記チオール含有二次試薬が、チオール化オリゴヌクレオチドを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記チオール化オリゴヌクレオチドが、約1~約100、約5~約50、又は約10~約30ヌクレオチドの長さを有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記チオール化オリゴヌクレオチドが、リンカーを介してチオール基に付着したオリゴヌクレオチドを含む、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記リンカーが、約3~約20個の原子若しくは分子若しくは単位、又は少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10~最大約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20個の原子若しくは分子若しくは単位を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記チオール化オリゴヌクレオチドが、5’及び3’末端を有するオリゴヌクレオチド配列と、前記5’末端(5’末端チオール化オリゴヌクレオチド)、前記3’末端(3’末端チオール化オリゴヌクレオチド)、前記オリゴヌクレオチドの内部位置、又はそれらの組み合わせに組み込まれたチオール基とを含む、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記チオール化オリゴヌクレオチドが、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記チオール化オリゴヌクレオチドが、1つ以上の非天然ヌクレオチド塩基を含む、請求項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記非天然ヌクレオチド塩基が、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA);5-メチルデオキシシチジン、及びSuper T(5-ヒドロキシブチンル-2’-デオキシウリジン)から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記チオール含有二次試薬が、結合対のチオール化メンバーを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記チオール含有二次試薬が、チオール化ビオチン(チオール-ビオチン)を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記チオール含有二次試薬が、チオール化ポリエチレングリコール(チオール-PEG)を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記チオール化ポリエチレングリコールが、ビオチン(チオール-PEG-ビオチン)を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記チオール含有二次試薬が、チオール化フルオレセインイソチオシアネート(FITC)を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記タンパク質性一次試薬が、標的分析物に特異的に結合するタンパク質性捕捉試薬を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記タンパク質性一次試薬が、抗原結合物質を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記タンパク質性一次試薬が、抗体又はその抗原結合断片を含む、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記タンパク質性一次試薬が、抗原、受容体、酵素、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記タンパク質性一次試薬が、結合対の第1のメンバーを含み、前記標的分析物が、前記結合対の第2のメンバーを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記結合対が、ストレプトアビジン又はアビジン及びビオチンから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記炭素含有アッセイ表面が、マルチウェルプレートを含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記炭素含有アッセイ表面が、電極を含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記炭素含有アッセイ表面が、マルチウェルプレートを含み、前記マルチウェルプレートの1つ以上のウェルが、1つ以上の電極を含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記炭素含有アッセイ表面が、マルチウェルプレートを含み、前記プレートの各ウェルが、電極を含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記炭素含有アッセイ表面が、炭素含有電極を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記炭素含有アッセイ表面が、炭素インク電極を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記タンパク質性一次試薬が、抗体を含み、前記チオール含有二次試薬が、チオール化オリゴヌクレオチドを含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
請求項1~59のいずれか一項に記載の方法によって調製される二機能性アッセイ表面。
【請求項61】
二機能性アッセイ表面を調製する方法であって、前記方法が、
a.捕捉標的ハイブリッドとチオール含有二次試薬とを含むコーティング溶液を炭素含有アッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成することと、
b.前記コーティングされたアッセイ表面を、前記捕捉標的ハイブリッドとチオール含有二次試薬とが前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートすることであって、前記チオール含有二次試薬がチオール基を介して前記炭素含有アッセイ表面上に固定化されることと、を含む、方法。
【請求項62】
二機能性アッセイ表面を調製する方法であって、前記方法が、
a.チオール含有二次試薬を含むオーバーコーティング溶液を、1つ以上の捕捉標的ハイブリッドが上に固定化された炭素含有アッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成することと、
b.前記コーティングされたアッセイ表面を、前記チオール含有二次試薬がチオール基を介して前記炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートすることと、を含む、方法。
【請求項63】
前記捕捉標的ハイブリッドが、細胞、ウイルス誘導体、細胞小器官、細胞下構造、エクソソーム、小胞、又は治療用分子である、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
前記捕捉標的ハイブリッドが、細胞である、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞が、細菌細胞、古細菌細胞、哺乳類細胞、昆虫細胞、又は植物細胞である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記コーティング溶液が、約0.2×10細胞/mL~約5×10細胞/mLを含む、請求項61~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記捕捉標的ハイブリッドが、核、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリア、液胞、葉緑体、インフラマソーム、細胞翻訳複合体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞小器官である、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項68】
前記捕捉標的ハイブリッドが、ウイルス、ウイルス粒子、ビリオン、ビリオン膜、ビリオン膜断片、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるウイルス誘導体である、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項69】
前記捕捉標的ハイブリッドが、ミセル、膜調製物、膜ラフト、膜ゴースト、膜小胞、膜断片、人工脂質膜、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞下構造である、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項70】
前記捕捉標的ハイブリッドが、リソソーム、エンドソーム、ペルオキシソーム、リポソーム、エクソソーム、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される小胞である、請求項61又は62に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されるのは、二機能性アッセイ表面を調製するための方法である。
【背景技術】
【0002】
化学的、生化学的及び/又は生物学的アッセイを実施するための数多くの方法及びシステムが開発されており、このアッセイでは、サンプル中の1つ以上の分析対象物の存在及び/又は量が、結合反応、例えば、抗原-抗体反応、核酸ハイブリダイゼーション又は受容体-リガンド反応への分析物の関与を直接的又は間接的に検出することによって決定される。いくつかのアプローチでは、結合反応における分析物の関与は、1つ以上の結合材料に付着した観察可能な標識を測定することによって示される。これらの方法及びシステムは、医療診断、食品及び飲料検査、環境モニタリング、製造品質管理、創薬、並びに基礎科学研究を含むがこれらに限定されない広範な用途で使用される。
【0003】
単一の分析物のレベルを測定するアッセイ(シングルプレックスアッセイ)は、何十年もの間、生物学的研究の主流であった。また、複数の分析物を並行して測定するアッセイ(マルチプレックスアッセイ)を実行して、ワークフロー及びサンプル量の要件を軽減することもできる。マルチプレックスアッセイには、典型的には、1つ以上の結合ドメインを含む固体表面上での固定化、及び各分析物の結合ドメインが異なるビーズ又は粒子上にあるビーズ又は粒子上での固定化の2つの形式がある。
【0004】
いくつかのアッセイでは、1つ以上の結合ドメインが1つ以上の異なる試薬を含む二機能性アッセイ表面を有することが望ましい場合がある。しかしながら、サンプル中の1つ以上の標的分析物の分析のための二機能性アッセイ表面を作製するための方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に提供されるのは、二機能性アッセイ表面を調製するための方法である。一態様では、この方法は、一次試薬と二次試薬とを含むコーティング溶液をアッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成する直接コーティング方法を含む。一態様では、この方法は、二次試薬を含むオーバーコーティング溶液を、一次試薬が上に固定化されたアッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成するオーバーコーティング方法を含む。一態様では、一次試薬と二次試薬とは、異なる表面化学を介してアッセイ表面上に固定化される。
【0006】
一態様では、一次試薬と二次試薬とを含むコーティング溶液をアッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成する、二機能性アッセイ表面を調製するための直接的な方法が提供される。一態様では、一次試薬は、タンパク質性一次試薬である。一態様では、一次試薬は、捕捉標的ハイブリッドである。一態様では、二次試薬は、チオール含有二次試薬である。一態様では、二次試薬は、チオール化オリゴヌクレオチドである。一態様では、アッセイ表面は、炭素含有アッセイ表面である。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を、一次試薬と二次試薬とが炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートすることを含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール基を介して炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール基とアッセイ表面上の反応性官能基との間の共有結合の形成を通じて炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、この方法は、約10nl~約100nl、約25nl~約75nl、約40nl~約60nl、又は約50nlのコーティング溶液をアッセイ表面上に分配することを含む。
【0007】
一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~750μg/ml、約500μg/ml~750μg/ml、又は約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドを含む。一態様では、コーティング溶液は、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約1.5nM~約1500nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約1.5nM~約10nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約1.5nM~約15nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約15nM~約30nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約30nM~約50nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約50nM~約100nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約100nM~約150nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約150nM~約300nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約300nM~約500nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約500nM~約750nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約750nM~約1000nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約1000nM~約1500nMのチオール含有二次試薬を含む。
【0008】
一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約500μg/ml、500μg/ml~約750μg/ml、又は750μg/ml~約1000μg/mlのストレプトアビジンと、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.01%~約0.1%のTRITON X-100、任意選択で約0.1%~約0.5%のリン酸緩衝食塩水中トレハロースと、任意選択で約400μg/ml~約750μg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、タンパク質A、及びタンパク質Gを含むがこれらに限定されない追加のタンパク質性成分と、約1mMのEDTA~約20mMのEDTAとを含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約400μg/ml、400μg/ml~約750μg/ml、又は750μg/ml~約1000μg/mlのストレプトアビジンと、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.03%のTRITON X-100と、任意選択で約0.4%のリン酸緩衝生理食塩水中トレハロースと、任意選択で約400μg/ml~約750μg/mlのBSA、HSA、タンパク質A、及びタンパク質Gを含むがこれらに限定されない追加のタンパク質性成分と、約10mMのEDTAとを含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約500μg/ml、500μg/ml~約750μg/ml、又は750μg/ml~約1000μg/mlのストレプトアビジンと、約1500nM~約2500nMのチオール含有二次試薬と、約0.03%のTRITON X-100と、任意選択で約0.4%のリン酸緩衝生理食塩水中トレハロース、任意選択的で約400μg/ml~約750μg/mlのBSA、HSA、タンパク質A、及びタンパク質Gを含むがこれらに限定されない追加のタンパク質性成分と、約10mMのEDTAとを含む。一態様では、リン酸緩衝生理食塩水は、2.67mMのKClと、1.47mMのKH2PO4と、8.1mMのNa2HPO4と、138mMのNaClとを含む、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)を含む。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を室温で一晩乾燥させることを含む。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を約40%の制御された湿度で乾燥させることを含む。
【0009】
一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約400μg/ml、400μg/ml~約750μg/ml、又は750μg/ml~約1000μg/mlのタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドと、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.01%~約0.1%のTRITON X-100と、任意選択で約0.1%~約0.5%のリン酸緩衝生理食塩水中トレハロースと、任意選択で約400μg/ml~約750μg/mlのBSA、HSA、タンパク質A、及びタンパク質Gを含むがこれらに限定されない追加のタンパク質性成分と、約1mMのEDTA~約20mMのEDTAとを含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約400μg/ml、400μg/ml~約750μg/ml、又は750μg/ml~約1000μg/mlのタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドと、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.03%のTRITON X-100と、約0.4%のリン酸緩衝生理食塩水中トレハロースと、任意選択で約400μg/ml~約750μg/mlのBSA、HSA、タンパク質A、及びタンパク質Gを含むがこれらに限定されない追加のタンパク質性成分と、約10mMのEDTAとを含む。一態様では、リン酸緩衝生理食塩水は、2.67mMのKClと、1.47mMのKHPOと、8.1mMのNaHPOと、138mMのNaClとを含む、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)を含む。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を室温で一晩乾燥させることを含む。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を約40%の制御された湿度で乾燥させることを含む。
【0010】
一態様では、二次試薬を含むオーバーコーティング溶液を、1つ以上の一次試薬が上に固定化されたアッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成する、二機能性アッセイ表面を調製するためのオーバーコーティング方法が提供される。一態様では、アッセイ表面は、炭素含有アッセイ表面である。一態様では、一次試薬は、タンパク質性一次試薬である。一態様では、一次試薬は、捕捉標的ハイブリッドである。一態様では、二次試薬は、チオール含有二次試薬である。一態様では、二次試薬は、チオール化オリゴヌクレオチドである。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を、チオール含有二次試薬がチオール基を介して炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートすることを含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール基とアッセイ表面上の反応性官能基との間の共有結合の形成を通じて炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、この方法は、約10μL~約100μL、約25μL~約75μL、又は約30μL~約50μLのオーバーコーティング溶液をアッセイ表面上に分配することを含む。一態様では、オーバーコーティング溶液は、約0.01μM~約20μMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、オーバーコーティング溶液は、脱保護コンジュゲーション緩衝液(10mMのリン酸塩、pH7.4、150mMのNaCl、10mMのEDTA)、1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)/10mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)又はDiluent 100(Meso Scale Diagnostics,LLC)から選択される緩衝液を含む。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を、約500rpm~約725rpmで振盪しながら、室温で約1時間~約5時間、約1時間~約3時間、又は約2時間インキュベートすることを含む。一態様では、この方法は、コーティングされたアッセイ表面を、約705rpmで振盪しながら、室温でインキュベートすることを含む。
【0011】
一態様では、アッセイ表面は、マルチウェルプレートの一部である。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、マルチウェルプレートの一部である。
【0012】
一態様では、1つ以上の一次試薬が、別個の結合ドメインでアッセイ表面上に固定化される。一態様では、1つ以上のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、別個の結合ドメインで炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、複数のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、複数の一次試薬が、互いに異なる標的に結合する一次試薬を含む。一態様では、一次試薬は、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、1つ以上のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、アレイ状に炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、1つ以上の二次試薬が、アッセイ表面上に固定化される。一態様では、1つ以上のチオール含有二次試薬が、アッセイ表面上に固定化される。
【0013】
一態様では、一次試薬は第1の結合ドメインに固定化され、二次試薬は第2の結合ドメインに固定化される。一態様では、複数のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、複数の一次結合ドメインに固定化され、複数のチオール含有二次試薬が、複数の二次結合ドメインに固定化される。一態様では、各一次結合ドメインは、固有の一次試薬を含む。一態様では、各二次結合ドメインは、固有の二次試薬を含む。一態様では、各二次結合ドメインは、共通の二次試薬を含む。
【0014】
一態様では、各結合ドメインは、一次試薬と二次試薬とを含む。一態様では、各結合ドメインは、タンパク質性一次試薬とチオール含有二次試薬とを含む。一態様では、各結合ドメインは、捕捉標的ハイブリッドとチオール含有二次試薬とを含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の一次試薬を含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の二次試薬を含む。一態様では、各結合ドメインは、共通の二次試薬を含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の一次試薬と固有の二次試薬とを含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の一次試薬と共通の二次試薬とを含む。
【0015】
一態様では、一次試薬は、炭素含有アッセイ表面上に非共有結合的に固定化される。一態様では、一次試薬は、炭素含有アッセイ表面上に非共有結合的に固定化されたタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドである。一態様では、一次試薬は、炭素含有アッセイ表面上に共有結合的に固定化される。一態様では、一次試薬は、炭素含有アッセイ表面上に共有結合的に固定化されるタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドである。一態様では、一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、結合対を介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、結合対を介して炭素含有アッセイ表面上に固定化されるタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドである。一態様では、一次試薬は、結合対の第1のメンバーを含み、アッセイ表面は、結合対の第2のメンバーを含む。一態様では、一次試薬はビオチンを含み、アッセイ表面はアビジン又はストレプトアビジンを含む。一態様では、一次試薬は、タンパク質性捕捉試薬を含む。一態様では、タンパク質性捕捉試薬は、抗体、抗体の抗原結合断片、又は受容体を含む。一態様では、二次試薬は、チオール含有二次試薬である。一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール化オリゴヌクレオチドを含む。
【0016】
一態様では、アッセイ表面は、チオール含有二次試薬が炭素含有アッセイ表面上に分配される前に、1つ以上のマレイミド基を導入するように処理される炭素含有アッセイ表面である。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、SM(PEG)(n=2~24である)を含むアミン-スルフヒドリル架橋剤(ThermoFisher Scientific)で処理される。一態様では、n=4である。
【0017】
一態様では、1つ以上の二次試薬がアッセイ表面上に固定化される。一態様では、複数の二次試薬がアッセイ表面上に固定化される。一態様では、複数のチオール含有二次試薬が炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、二次試薬は、チオール化オリゴヌクレオチドを含む。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、約1~約100、約5~約50、約5~約10ヌクレオチド、又は約10~約30ヌクレオチドの長さを有する。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、リンカーを介してチオール基に付着したオリゴヌクレオチドを含む。一態様では、リンカーは、約3~約20個の原子又は分子又は単位を含む。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、5’及び3’末端を有するオリゴヌクレオチド配列と、5’末端(5’末端チオール化オリゴヌクレオチド)、3’末端(3’末端チオール化オリゴヌクレオチド)、オリゴヌクレオチドの内部位置、又はそれらの組み合わせに組み込まれたチオール基とを含む。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、2’-O-メチルヌクレオチド(2’-OMe)、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド(2’-MOE)、2’-デオキシ-2’-フルオロリボヌクレオチド(2’-F-RNA)、架橋核酸(BNA)、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、又はそれらの組み合わせを含む。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、1つ以上の非天然ヌクレオチド塩基を含む。一態様では、非天然ヌクレオチド塩基は、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA);5-メチルデオキシシチジン、Super T(5-ヒドロキシブチンル-2’-デオキシウリジン)、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0018】
一態様では、二次試薬は、結合対のチオール化メンバーを含むチオール含有二次試薬である。一態様では、二次試薬は、チオール化ビオチン(チオール-ビオチン)を含む。一態様では、二次試薬は、チオール化ポリエチレングリコール(チオール-PEG)を含む。一態様では、チオール化ポリエチレングリコールは、ビオチン(チオール-PEG-ビオチン)を更に含む。
【0019】
一態様では、二次試薬は、チオール化フルオレセインイソチオシアネート(FITC)を含むチオール含有二次試薬である。
【0020】
一態様では、一次試薬は、標的分子若しくは標的分析物に特異的に結合するか又は標的分析物を含む捕捉試薬を含む。一態様では、一次試薬は、標的分子に特異的に結合するタンパク質性捕捉試薬を含む。一態様では、一次試薬は、抗体、抗原、受容体、酵素、又はそれらの組み合わせから選択されるタンパク質性一次試薬を含む。一態様では、一次試薬は、標的分子又は標的分析物を含む捕捉標的ハイブリッドを含む。一態様では、一次試薬は、細胞、ウイルス誘導体、小器官、細胞下構造、小胞、治療用分子、又はそれらの組み合わせから選択される捕捉標的ハイブリッドを含む。一態様では、一次試薬は、抗原結合物質を含む。一態様では、一次試薬としては、抗体又はその抗原結合断片を含む。一態様では、一次試薬は、結合対の第1のメンバーを含み、標的分子は、結合対の第2のメンバーを含む。一態様では、結合対は、ストレプトアビジン又はアビジンとビオチンとを含む。
【0021】
一態様では、アッセイ表面は、マルチウェルプレートの一部である。一態様では、アッセイ表面は、マルチウェルプレートの一部である炭素含有アッセイ表面である。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、電極を含む。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、マルチウェルプレートの一部であり、マルチウェルプレートの1つ以上のウェルは、1つ以上の電極を含む。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、マルチウェルプレートの一部であり、プレートの各ウェルは、1つ以上の電極を含む。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、炭素含有電極を含む。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、炭素インク電極を含む。
【0022】
一態様では、一次試薬は、抗体又は抗原結合抗体断片を含むタンパク質性一次試薬であり、二次試薬は、チオール化オリゴヌクレオチドを含む。一態様では、一次試薬は、細胞外小胞(EV)の表面タンパク質である標的に結合するタンパク質性一次試薬である。一態様では、細胞外小胞は、エクソソームである。一態様では、標的は、エクソソーム関連タンパク質である。一態様では、標的は、エクソソームによって封入される。一態様では、二次試薬は、エクソソーム関連タンパク質である標的に結合する。一態様では、二次試薬は、エクソソームによって封入された標的に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本明細書に記載される直接コーティング方法を使用して調製された二機能性アッセイ表面のアッセイ感度を示すグラフである。
図2】本明細書に記載されるオーバーコーティング方法を使用して調製された二機能性アッセイ表面のアッセイ感度を示すグラフである。
図3A】異なる種類のアンカーオリゴヌクレオチド:本明細書に記載される直接コーティング方法(Bio-Peg-SH/アンカー)を使用して付着したビオチン化及びペグ化アンカーオリゴヌクレオチド;チオール化アンカーオリゴヌクレオチド(アンカー-SH);並びにアンカーオリゴヌクレオチドなしによるアッセイプレートのアッセイ感度を比較する。
図3B】異なる種類のアンカーオリゴヌクレオチド:本明細書に記載される直接コーティング方法(Bio-Peg-SH/アンカー)を使用して付着したビオチン化及びペグ化アンカーオリゴヌクレオチド;チオール化アンカーオリゴヌクレオチド(アンカー-SH);並びにアンカーオリゴヌクレオチドなしによるアッセイプレートの非特異的結合(NSB)を比較する。
図3C】異なるタイプのアンカーオリゴヌクレオチド:本明細書に記載される直接コーティング方法(Bio-Peg-SH/アンカー)を使用して付着したビオチン化及びペグ化アンカーオリゴヌクレオチド;チオール化アンカーオリゴヌクレオチド(アンカー-SH);並びにアンカーオリゴヌクレオチドなしによるアッセイプレートのシグナル対非特異的結合の比率を比較する。
図4】本明細書に記載されるオーバーコーティング方法によって固定化されたFITC-Peg-SHのシグナル生成を示す。
図5A】PEGオリゴマーで修飾されたアッセイ表面を使用したIFNgのアッセイにおける非特異的結合(NSB)を示す。5つのPeg-SH試薬(MW350、550、750、1000、及び2000)を、オーバーコーティングを介して固定化し、標準的なサンドイッチ形式(10プレックス)で試験した。
図5B】PEGオリゴマーで修飾されたアッセイ表面を使用した、TNFαのアッセイにおける非特異的結合(NSB)を示す。5つのPeg-SH試薬(MW350、550、750、1000、及び2000)を、オーバーコーティングを介して固定化し、標準的なサンドイッチ形式(10プレックス)で試験した。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本明細書で別途定義されない限り、本発明に関して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。更に、文脈上別段の必要がない限り、単数形には複数形が含まれ、複数形には単数形が含まれるものとする。冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素」は、1つの要素又は複数の要素を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、値が、デバイス、又は値を決定するために使用される方法についての誤差の固有変動を含むことを示すために使用される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「~(between)」は、範囲の終わりを含む範囲である。例えば、xとyの間の数には、x及びyの数、並びにxとyの範囲内にある任意の数が明確に含まれる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「室温」は、生物学的物質の長期保存及び実験室での実験に適した室内温度であり、典型的には15~28℃の範囲である。諸実施形態では、室温は20~25℃である。
【0028】
アッセイにおいて測定される分析物、又はアッセイにおいて使用される試薬の文脈において、「複数」という用語は、分析物又は試薬の単なる2つ以上のコピーではなく(例えば、試薬Aと試薬Aの別のコピー)、2つ以上の構造的及び/又は機能的に異なる分析物又は試薬(例えば、試薬Aと試薬B)を意味する。例えば、「複数の固定化試薬」という用語は、構造的又は機能的に異なる2つ以上の試薬が固定化されていることを意味し、1つの試薬の複数のコピーが存在する状況を説明するものではない。しかしながら、この文脈における「複数」という用語の使用は、複数の分析物又は試薬のいずれかの複数のコピーが存在する可能性を排除するものではない。例えば、複数の固定化試薬は、試薬Aの1つ以上のコピーと試薬Bの1つ以上のコピーとを含む固定化試薬を指すことができる。アッセイ表面の文脈において、「二機能性」又は「多機能性」という用語は、2つ以上の異なるタイプの試薬が固定化されている表面を指す。一態様では、異なるタイプの試薬は、異なる表面化学によって表面上に固定化される。本明細書で使用される場合、「表面化学」とは、アッセイ表面上の試薬の固定化をもたらす化学反応を指す。表面化学は、共有結合及び非共有結合の相互作用を含む。共有結合の固定化とは、試薬とアッセイ表面上の反応性官能基との間に1つ以上の共有結合が形成されることによる固定化を指す。非共有結合の相互作用は、例えば、水素結合、静電相互作用又はイオン相互作用、及びファンデルワールス力を含む。受動吸着とは、生体分子と表面との間の疎水性相互作用又は疎水性及びイオン性相互作用を介した表面上の生体分子の固定を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、単一のポリペプチドの他に複数のポリペプチドも包含することが意図され、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸モノマーから構成される分子を指す。ポリペプチドという用語は、ペプチド骨格を有するアミノ酸の任意の鎖又は複数の鎖を指し、特定の長さの産物を指すものではない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、アミノ酸鎖、又はアミノ酸の鎖若しくは複数の鎖を指すために使用される任意の他の用語は、ポリペプチドの定義内に含まれ、ポリペプチドという用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、又はこれらの用語のいずれかと同義で使用することができる。ポリペプチドという用語はまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、又は非天然起源のアミノ酸による修飾を含むがこれらに限定されないポリペプチドの発現後修飾の産物も含む。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来し得るか、又は組換え技術によって産生され得る。ポリペプチドは、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるとは限らない。ポリペプチドは、化学合成を含む任意の様式で生成され得る。ポリペプチドの文脈において、「配列」とは、ポリペプチド中のアミノ酸のアミノ末端からカルボキシル末端方向への順序を指し、配列中で互いに隣接する残基は、ポリペプチドの一次構造中で連続している。本明細書で使用される場合、「タンパク質性」という用語は、ペプチド、タンパク質、抗体、抗原、酵素、受容体、又はそれらの断片若しくは部分を含むがこれらに限定されない1つ以上のポリペプチド鎖を含む天然起源又は非天然起源の巨大分子を指す。
【0030】
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、又はそれらの組み合わせなどのリン酸骨格を有する核酸の短いポリマーを指す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、約5、10、15、20若しくは25ヌクレオチド~最大約50、75、100若しくは150ヌクレオチド、又は約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100若しくは150ヌクレオチドの長さを有する。オリゴヌクレオチドは、例えば、オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列に相補的な配列を有する標的ヌクレオチドを検出するために、DNA又はRNA配列に特異的にハイブリダイズするように設計され得る。オリゴヌクレオチドは一本鎖又は二本鎖であってもよく、生物学的サンプルからの単離、組換え合成、及び化学合成を含むがこれらに限定されない方法によって得ることができる。「オリゴヌクレオチド」という用語は、非天然起源の修飾を含む構造アナログを含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドを標識などの別の物質に連結する化学修飾、又は別の物質に連結することができる反応性官能基を提供する化学修飾を含むことができる。オリゴヌクレオチドはまた、1つ以上の非天然ヌクレオチド塩基を含むことができる。
【0031】
「反応性官能基」という用語は、例えば、別の官能基と共有結合を形成するために、更なる化学反応を受けることができる原子又は原子の関連する基を指す。反応性官能基の例としては、アミノ、チオール、ヒドロキシ、及びカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、反応性官能基は、反応性チオール基を含む。一態様では、反応性官能基を使用して生体分子を表面上に固定化する。一態様では、反応性官能基を使用して生体分子に標識を付加する。これらの化学修飾を介してヌクレオチド又は核酸に連結することができる標識としては、ビオチン、ハプテン、フルオロフォア、及び電気化学発光(ECL)標識などの検出可能な部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、抗原に特異的に結合することができる生体分子を指すために互換的に使用することができる。ほとんどの脊椎動物において、抗体は、1本の軽(L)鎖と各々対合する2本の重(H)鎖の二量体として存在する。重鎖及び軽鎖のN末端は、抗体にその固有の抗原結合特異性を提供する可変ドメイン(それぞれV及びV)を含む。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗体分子全体又はその抗原結合断片を指す。抗体又はその断片は、天然に産生されてもよく、又は部分的若しくは全体的に合成的に若しくは組換え的に産生されてもよい。抗原結合断片は、免疫グロブリン分子の可変領域の少なくとも一部を含み、完全長免疫グロブリンの結合特異性を保持する任意の抗体断片を指す。「抗体」という用語には、合成抗体、組換え産生抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、非ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、及び抗体断片であって、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、Fd断片、Fd’断片、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖Fab(scFab)、ダイアボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、又は上記のいずれかの抗原結合断片が含むがこれらに限定されない抗体断片が含まれる。「結合試薬」とは、「結合パートナー」と呼ばれることがある、別の物質に優先的に結合する能力を特徴とする試薬を指す。結合試薬と結合パートナーとは、「結合対」と呼ばれることがある。結合対の例としては、ビオチンとストレプトアビジン又はアビジン;相補的オリゴヌクレオチド;ハプテンとハプテン結合パートナー;抗体/抗原結合対;受容体/リガンド結合対;並びに酵素/基質結合対が挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、結合対の第1のメンバーがアッセイ表面上の結合ドメインに固定化され、結合対の第2のメンバーが標的である。
【0033】
「特異的に結合する」という用語は、サンプル中の結合試薬と他の分子又は成分との相互作用と比較して、結合試薬とその標的との間の優先的相互作用を指す。結合試薬と標的との間の特異的結合は、結合試薬の結合ドメインと標的との間の相補性、並びに静電力、水素結合、ファンデルワールス力、及び疎水性力などの非共有結合力に起因する。本明細書で使用される場合、「優先的に結合する」という用語は、結合対の1つのメンバーが、サンプル中に存在する他の化合物に対して任意の有意な結合、例えば任意の統計的に有意な結合をすることなく、適切な条件下でその結合パートナーに結合することを意味する。一態様では、結合対のメンバー、例えば、結合試薬とその標的とは、結合対のいずれかのメンバーとサンプル中に存在する他の化合物との間の親和性よりも少なくとも約50倍、75倍、又は100倍大きい互いに対する親和性を有する。
【0034】
「標的」という用語は、例えば、試薬によって特異的に結合され、アッセイ表面上の特定の位置に標的を保持することができるサンプル中の物質を指す。一態様では、標的は、サンプル中の標的の存在又は量を決定できるように、アッセイ表面上の特定の位置に保持され、その場合、標的は、標的分析物と呼ばれ得る。一態様では、標的は、異なる標的分析物の検出を容易にするために、アッセイ表面上の特定の位置に保持される。一態様では、標的は、アッセイ表面上に固定化された試薬に共有結合的に結合する。一態様では、標的は、アッセイ表面上に固定化された試薬に非共有結合的に結合する。一態様では、標的は、アッセイ表面上に固定化された試薬に直接的に結合する。一態様では、標的は、例えば、標的に結合し、また、アッセイ表面上に固定化された試薬によっても結合される結合メンバーを介して、アッセイ表面上に固定化された試薬に間接的に結合される。標的の例としては、細胞;細胞膜;小器官;受容体、例えば、小胞、脂質、又は細胞膜上の受容体;受容体に結合するリガンド、アゴニスト、又はアンタゴニスト;抗体;抗原;タンパク質;ペプチド;多糖類;オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、DNA、cDNA、若しくは増幅産物若しくはアンプリコンを含む)、又は薬物などの治療用分子が挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、標的は、ビオチン、アビジン、又はストレプトアビジンなどの結合対のメンバーを含む。
【0035】
「相補的」とは、例えば、AがT又はUと対になり、CがGと対になる、例えば、ワトソン-クリック塩基対形成モデルに従って、水素結合の形成によって相互作用する核酸分子又は核酸分子の配列を指す。例えば、ハイブリダイゼーションは、2つの相補的DNA分子間(DNA-DNAハイブリダイゼーション)、2つのRNA分子間(RNA-RNAハイブリダイゼーション)、又は相補的DNAとRNA分子との間(DNA-RNAハイブリダイゼーション)で起こり得る。ハイブリダイゼーションは、より長いヌクレオチド配列の一部に相補的である短いヌクレオチド配列の間で起こり得る。完全な相補性又は100%の相補性とは、1つのオリゴヌクレオチド配列又は領域の各ヌクレオチドが、第2のオリゴヌクレオチド鎖又は領域の少なくとも一部の各ヌクレオチドと水素結合することができる状態を指す。ハイブリダイゼーションは、100%の「配列相補性」を有しない配列(すなわち、ワトソン-クリック型塩基対形成モデルなどの塩基対形成モデルに基づいてヌクレオチドの100%未満が整列する配列)間で起こり得る。一般に、配列相補性が低い配列は、配列相補性が高い配列よりも安定性が低く、ハイブリダイズが起こりにくい。一態様では、相補的配列のヌクレオチドは、ワトソン-クリックモデルに基づいて100%の配列相補性を有する。別の態様では、相補的配列のヌクレオチドは、ワトソン-クリックモデルに基づいて、少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列相補性を有し、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることができる。相補的配列は、それらの全長に沿ってハイブリダイズする必要はなく、すなわち、より短いオリゴヌクレオチド配列は、それが相補的であるより長いオリゴヌクレオチド配列の一部にハイブリダイズし得ることが理解される。
【0036】
2つの相補的配列がハイブリダイズするかどうかは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存する可能性があり、温度、溶媒、イオン強度、及びその他のパラメータなどの条件に応じて変化する可能性がある。ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーは、他の潜在的に交差反応する又は干渉する配列の存在下で、2つの相補的な核酸配列の所望のハイブリダイゼーション生成物の選択的な形成又は維持を提供するように選択することができる。ストリンジェントな条件は、配列に依存し、典型的には、より長い相補的配列は、より短い相補的配列よりも高温で選択的にハイブリダイズする。
【0037】
本明細書で使用される場合、「捕捉分子」とは、標的に特異的に結合することができる分子、又はそれらの複合体若しくは組み合わせを指す。一態様では、捕捉分子は、例えば、抗体、抗原結合抗体断片、又は受容体を含むペプチド又はタンパク質である。別の態様では、捕捉分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的の相補的オリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド又は核酸である。一態様では、捕捉分子は、ビタミン、オリゴ糖、炭水化物、脂質、小分子、又はそれらの複合体を含む。一態様では、一次試薬は、一次標的に特異的に結合する一次捕捉分子を含む。一態様では、二次試薬は、二次標的に特異的に結合する二次捕捉分子を含む。一態様では、二次標的は、一次標的に関連付けられる。一態様では、二次標的は、一次標的によってカプセル化される。
【0038】
本明細書で使用される「生体分子」という用語は、生体、例えば、細胞によって産生される任意の化合物又は物質を指す。一態様では、生体分子は、当該技術分野で知られている抽出、分離、精製の溶媒、熱、及び/又は物理的方法によって生物学的材料から単離される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「捕捉標的ハイブリッド」は、それをアッセイ表面上の結合ドメインに固定化することができるようにする領域を含み、標的分析物を含む生体分子、分子若しくは複合体又はそれらの組み合わせである。一態様では、標的分析物は、捕捉標的ハイブリッドの表面上にある。一態様では、標的分析物は、生体分子、例えば、細胞又は小器官の表面上にある。別の態様では、標的は、人工又は操作された捕捉分子の表面上にある。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、抗原結合物質を含む。
【0040】
一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、細胞、ウイルス誘導体、細胞小器官、細胞下構造、小胞、又は治療用分子である。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、細胞、例えば、細菌細胞、古細菌細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、又は植物細胞である。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、表面タンパク質分析物、又は他の所望の標的分析物を産生するように操作された細胞である。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、細胞小器官、例えば、核、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリア、液胞、葉緑体、インフラマソーム、細胞翻訳複合体、及びそれらの組み合わせである。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、ウイルス誘導体、例えば、ウイルス、ウイルス粒子、ビリオン、ビリオン膜、ビリオン膜断片、及びそれらの組み合わせである。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、細胞下構造、例えば、ミセル、膜調製物、膜ラフト、膜ゴースト、膜小胞、膜断片、人工脂質膜、又はそれらの組み合わせである。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、リソソーム、エンドソーム、ペルオキシソーム、リポソーム、及びそれらの組み合わせなどの小胞である。
【0041】
本明細書で使用される「ウイルス誘導体」とは、ウイルスから得られる、又はウイルスに由来する粒子又は断片を指す。ウイルス誘導体は、機械的操作、細胞内因子、及び受容体誘導性構造的リモデリング、低pH活性化コンフォメーション変化、プロテアーゼ依存性タンパク質分解、還元酵素触媒性ジスルフィド結合破壊、並びにウイルスがそれらの分解を促進するために使用するシャペロン媒介性アンフォールディング/リフォールディング反応を含む分子機構を介した分解によって形成することができる。一態様では、ウイルス誘導体には、ウイルス、ウイルス粒子、ビリオン、ビリオン膜、及びビリオン膜断片が含まれる。
【0042】
「細胞下構造」とは、細胞全体に位置するか、又は細胞全体内に存在する区画又は構造を指す。一態様では、細胞下構造は、細胞全体の区画又は構造に由来するか、又は当該技術分野で知られている様々な手段によって人工的に調製することができる。細胞下構造は、当技術分野で知られている抽出、ホモジナイズ及び遠心分離技術を含む細胞分画法によって細胞から分離又は除去することができる。一態様では、細胞内構造には、ミセル、膜調製物、膜ラフト、膜ゴースト、膜小胞、膜断片、人工脂質膜、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「小胞」という用語は、脂質二重層によって囲まれた液体又は細胞質からなる、細胞内又は細胞外の構造を指す。小胞は、当技術分野で知られている抽出、ホモジナイズ及び遠心分離技術を含む細胞分画法によって細胞から分離又は除去することができる。一態様では、小胞は、当該技術分野で知られている生化学的及びマイクロ流体合成技術を使用してインビトロで調製された人工又は合成小胞である。一態様では、小胞は、リソソーム、エンドソーム、ペルオキシソーム、リポソーム、及びそれらの組み合わせを含む。
【0044】
概要
表面上に試薬を固定化するための方法が本明細書に提供される。一態様では、表面は、サンプル中の1つ以上の目的の分析物を検出及び/又は定量化するためのアッセイを実施するために使用されるアッセイ表面である。一態様では、1つ以上の試薬がアッセイ表面上に固定化される。一態様では、表面は、構造及び/又は機能が異なる2つ以上の試薬が、異なる表面化学を使用して固定化される、二機能性又は多機能性のアッセイ表面である。一態様では、表面は、一次試薬及び二次試薬が固定化された二機能性又は多機能性のアッセイ表面である。一態様では、一次試薬及び二次試薬は、異なる構造及び/又は機能を有する。例えば、一態様では、一次試薬はタンパク質性試薬であり、二次試薬はチオール含有試薬である。一態様では、一次試薬はタンパク質性試薬であり、二次試薬はチオール化オリゴヌクレオチドである。一態様では、一次試薬及び二次試薬は、異なる表面化学を使用して固定化される。一態様では、アッセイ表面は、マルチウェルプレートである。一態様では、アッセイ表面は、粒子又はビーズを含む。
【0045】
生体分子は、いくつかのメカニズムによって表面に付着することができる。受動吸着とは、生体分子と表面との間の疎水性相互作用又は疎水性及びイオン性相互作用を介した固定化を指す。一態様では、1つ以上の試薬が、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、複数の試薬が、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、1つ以上の一次試薬が、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、複数の一次試薬が、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、1つ以上のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、複数のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬は、捕捉分子である。一態様では、タンパク質性一次試薬は、ウシ血清アルブミン(BSA)を含み、例えば、タンパク質性一次試薬は、BSAにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを含み得る。一態様では、結合対のメンバーが、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、ストレプトアビジンが、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、受動吸着は、わずかにイオン性の疎水性表面を使用することによって増強される。
【0046】
共有結合の固定化は、試薬上の1つ以上の反応性官能基とアッセイ表面上の1つ以上の反応性官能基との間の1つ以上の共有結合の形成による固定化を指す。「反応性官能基」という用語は、例えば、別の官能基と共有結合を形成するために、更なる化学反応を受けることができる原子又は原子の関連する基を指す。反応性官能基の例としては、アミノ、チオール、ヒドロキシ、及びカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、反応性官能基は、チオール基を含む。一態様では、試薬は、試薬上のチオール部分(-SH)とアッセイ表面上の反応性官能基との間に形成された共有結合を介してアッセイ表面上に共有結合的に固定化される。一態様では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド上のチオール部分とアッセイ表面上の反応性官能基との間に形成された共有結合を介してアッセイ表面上に共有結合的に固定化される。
【0047】
いくつかの例では、構造及び/又は機能が異なる2つ以上の試薬が固定化された二機能性又は多機能性のアッセイ表面を調製することが望ましい場合がある。例えば、2014年3月12日に出願され、IMPROVED ASSAY METHODSと題するPCT公開第2014/165061号(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、一次捕捉試薬及び二次アンカー試薬がその上に固定化された二機能性アッセイ表面を使用して、免疫アッセイにおいてシグナルを増幅する方法を記載している。一態様では、一次捕捉試薬は、抗体、抗原結合抗体断片又は受容体などのタンパク質性一次試薬であり、二次アンカー試薬は、オリゴヌクレオチドである。一態様では、一次捕捉試薬は、細胞、ウイルス、細胞小器官、細胞下構造、小胞又は治療用分子などの捕捉標的ハイブリッドであり、二次アンカー試薬はオリゴヌクレオチドである。一態様では、一次捕捉試薬及び二次アンカー試薬は、同時にアッセイ表面上に分配され、両方の試薬に対して同じ表面化学を使用して固定化される。例えば、二次オリゴヌクレオチド試薬は、タンパク質性一次試薬及び二次オリゴヌクレオチドアンカー試薬の両方が受動吸着によって固定化されるように、ウシ血清アルブミン(BSA)などのタンパク質にコンジュゲートすることができる。代替的に、二次オリゴヌクレオチドアンカー試薬及び一次捕捉試薬は、ビオチンなどのハプテンにコンジュゲートされ、ストレプトアビジンでコーティングされた表面上に固定化することもできる。PCT公開第2014/165061号に記載されている二機能性アッセイ表面は、アッセイ感度の向上を提供するが、アッセイモジュールは、特定の用途のために特別に調製されなければならず、これは製造コストを増加させる可能性がある。
【0048】
本明細書に提供されるのは、一次試薬及び二次試薬がアッセイ表面上に固定化された二機能性アッセイ表面を調製するための方法である。一態様では、一次試薬及び二次試薬は、異なる表面化学を使用してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化され、二次試薬は、二次試薬上の反応性官能基とアッセイ表面上の反応性官能基との間の共有結合の形成によって固定化される。一態様では、一次試薬は、結合対の相互作用によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、ビオチン部分を含み、ストレプトアビジン/ビオチン結合対の相互作用を介してストレプトアビジンでコーティングされた表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、抗体、抗原結合抗体断片、又は受容体などのタンパク質性分子であり、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。
【0049】
一態様では、一次及び二次試薬が、異なる表面化学を使用して同時にアッセイ表面上に固定化される「直接」コーティング方法が提供される。別の態様では、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドがプレート表面上に固定化される「直接」コーティング方法が提供される。有利には、二次試薬は、一次試薬と同じ表面化学を使用して固定化できるように修飾する必要がない。例えば、オリゴヌクレオチド二次試薬をウシ血清アルブミン(BSA)などのタンパク質又はビオチンなどの結合対のメンバーにコンジュゲートする必要なく、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、オリゴヌクレオチド二次試薬、例えば、チオール化オリゴヌクレオチド二次試薬と同時に、受動吸着によって、又はアビジン/ストレプトアビジン及びビオチンなどの結合対を介して固定化することができる。
【0050】
別の態様では、一次試薬が既に固定化されたアッセイ表面上に二次試薬を固定化することができる「オーバーコーティング」方法が提供される。有利には、一次試薬が以前に固定化された既存のアッセイ表面上に二次試薬を固定化することができる。
【0051】
本明細書に示されるように、オーバーコーティング方法及び直接コーティング方法によって調製されたアッセイ表面は、異なる試薬が同じ表面化学を使用して固定化された二機能性表面と比較して、同等又はより優れた性能を有する。
【0052】
アッセイモジュール
一態様では、二機能性表面を調製するための方法が提供される。一態様では、アッセイモジュールにおいて二機能性表面を調製するための方法が提供される。一態様では、アッセイモジュールは、例えば、粒子又はビーズを含む複数の表面を含む。一態様では、アッセイモジュールは、カートリッジ又はプレートなどの一元的な表面を含む。一態様では、アッセイモジュールは、ウェル、コンパートメント、チャンバ、導管、又はフローセルなどの1つ以上のアッセイセルを含む。一態様では、アッセイモジュールは、マルチウェルアッセイプレートである。マルチウェルアッセイプレートは、高スループットアッセイに使用される標準寸法の様々な形式、サイズ、及び形状で利用可能である。一態様では、アッセイモジュールは、標準的なウェル構成を有するマルチウェルプレート、例えば、6ウェル、24ウェル、96ウェル、384ウェル、1536ウェル、6144ウェル又は9600ウェルプレートである。一態様では、アッセイモジュールは、96ウェルプレートである。
【0053】
一態様では、アッセイ表面は、結合ドメインと呼ばれる既知の位置に1つ以上の試薬が印刷され得る2次元のパターン化されたアレイを含む。一態様では、アッセイ表面は、複数の試薬が固定化された、離散的で、重複しない、アドレス可能な結合ドメインのパターン化されたアレイを含み、各結合ドメインにおける試薬の同一性は既知であり、標的と相関させることができる。一態様では、結合ドメインの少なくとも2つが、互いに異なる結合特異性を有する試薬を含む。一態様では、アレイは、対称的なグリッドパターンで配置される。他の態様では、アレイは、放射状に分布した線、らせん状の線、又は順序付けられたクラスターを含むがこれらに限定されない別のパターンで配置される。別の態様では、各結合ドメインは、1つ以上の微粒子又はビーズの表面上に位置決めされ、微粒子又はビーズは、異なる結合ドメイン間の識別を可能にするようにコード化されている。
【0054】
一態様では、一次試薬は、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドは、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、アレイ状に炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドは、炭素含有アッセイ表面上にアレイ状に固定化される。一態様では、一次試薬は、炭素含有電極上にアレイ状に固定化される。一態様では、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドが、炭素含有電極上にアレイ状に固定化される。一態様では、二次試薬は、アレイ状に固定化される。一態様では、アッセイ表面は、二次試薬でコーティングされる。
【0055】
一態様では、アッセイ表面は、1つ以上の結合ドメインを含む。一態様では、アッセイ表面は、複数の結合ドメインを含む。一態様では、アッセイモジュールは、マルチウェルプレートであり、マルチウェルプレートの1つ以上のウェルは、1つ以上の結合ドメインを含む。一態様では、マルチウェルプレートの各ウェルは、複数の結合ドメインを含む。一態様では、各ウェルは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の結合ドメイン~最大25、64、100、又は250個の結合ドメインを含む。一態様では、各ウェルは、4、7、10、25、64、又は100個の結合ドメインを含む。一態様では、結合ドメインの少なくとも2つは、2つの異なる試薬を含む。
【0056】
一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の固体表面上に別個の結合ドメインを含む。一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の粒子又はビーズを含み、1つ以上の粒子又はビーズは、1つ以上の結合ドメインを含む。一態様では、各結合ドメインは、別個の表面上、例えば、別個のビーズの表面上にある。一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の一次試薬及び1つ以上の二次試薬が上に固定化された1つ以上の粒子又はビーズを含む。一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上のタンパク質性一次試薬及び1つ以上のチオール含有二次試薬が上に固定化された1つ以上の粒子又はビーズを含む。一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の捕捉標的ハイブリッド及び1つ以上のチオール含有二次試薬が上に固定化された1つ以上の粒子又はビーズを含む。一態様では、結合ドメインは、別個のアッセイシグナルが各結合ドメイン上で生成され、各結合ドメインから測定されるように、個々のビーズである。一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の一次捕捉試薬及び1つ以上の二次試薬が上に固定化された1つ以上のコード化粒子又はビーズを含み、コード化は、特定のビーズに対する捕捉試薬及び標的を識別する。
【0057】
一態様では、アッセイ表面上の1つ以上の結合ドメインは、1つ以上のアッセイ試薬を含む。一態様では、アッセイ表面上の各結合ドメインは、1つ以上のアッセイ試薬を含む。一態様では、1つ以上の結合ドメインは、一次試薬を含む。一態様では、特定の結合ドメイン内の一次試薬は全て同じ結合特異性を有し、ある結合ドメイン内の一次試薬は、別の結合ドメイン内の一次試薬とは異なる結合特異性を有する。一態様では、1つ以上の結合ドメインは、二次試薬を含む。一態様では、特定の結合ドメイン内の二次試薬は全て同じ結合特異性を有し、ある結合ドメイン内の二次試薬は、別の結合ドメイン内の二次試薬とは異なる結合特異性を有する。一態様では、2つ以上の結合ドメイン内の二次試薬は、同じ結合特異性を有する。
【0058】
一態様では、一次試薬は、第1の結合ドメインに固定化され、二次試薬は、第2の結合ドメインに固定化される。一態様では、異なる結合特異性を有する複数の一次試薬が、複数の第1の結合ドメインに固定化され、異なる結合特異性を有する複数の二次試薬が、複数の第2の結合ドメインに固定化される。
【0059】
一態様では、アレイ内の1つの結合ドメインが、別の結合ドメインとは異なる一次試薬を含み、アレイ内の結合ドメインの一部又は全てが「固有の」一次試薬を含むようにしてもよい。一態様では、アレイ内の1つの結合ドメインが、別の結合ドメインとは異なる二次試薬を含み、アレイ内の結合ドメインの一部又は全てが「固有の」二次試薬を含むようにしてもよい。一態様では、アレイ内の各結合ドメインが、同じ二次試薬を含み、アレイ内の結合ドメインの一部又は全てが「共通の二次試薬」を含むようにしてもよい。一態様では、1つ以上の結合ドメインが、一次試薬及び二次試薬を含む。一態様では、1つ以上の結合ドメインが、固有の一次試薬及び固有の二次試薬を含む。一態様では、1つ以上の結合ドメインが、固有の一次試薬及び共通の二次試薬を含む。
【0060】
一態様では、アッセイ表面の1つ以上の結合ドメインが、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドを含む。一態様では、アッセイ表面の1つ以上の結合ドメインが、チオール含有二次試薬を含む。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、チオール含有二次試薬を含まない第1の結合ドメインに固定化され、チオール含有二次試薬が、一次試薬を含まない第2の結合ドメインに固定化される。一態様では、各結合ドメインは、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドを含む。一態様では、各結合ドメインは、チオール含有二次試薬を含む。一態様では、アッセイ表面上の1つ以上の結合ドメインが、タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬を含む。一態様では、アッセイ表面上の1つ以上の結合ドメインが、捕捉標的ハイブリッド及びチオール含有二次試薬を含む。一態様では、アッセイ表面上の各結合ドメインは、タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬を含む。一態様では、アッセイ表面上の各結合ドメインは、捕捉標的ハイブリッド及びチオール含有二次試薬を含む。一態様では、各結合ドメインは、固有のタンパク質性一次試薬及び固有のチオール含有二次試薬を含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の捕捉標的ハイブリッド及び固有のチオール含有二次試薬を含む。一態様では、各結合ドメインは、固有のタンパク質性一次試薬及び共通のチオール含有二次試薬を含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の捕捉標的ハイブリッド及び共通のチオール含有二次試薬を含む。
【0061】
一態様では、アッセイ表面はマルチウェルプレートを含み、複数の一次試薬は、マルチウェルプレートの表面上の1つ以上の結合ドメインに固定化される。一態様では、マルチウェルプレートのウェルの表面上の1つ以上の結合ドメインは、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドの1つ以上のコピーを含む。一態様では、特定の結合ドメインに固定化されたタンパク質性一次試薬は全て同じ結合特異性を有し、ある結合ドメインに固定化されたタンパク質性一次試薬は、別の結合ドメインに固定化されたタンパク質性一次試薬とは異なる結合特異性を有する。一態様では、特定の結合ドメインに固定化された捕捉標的ハイブリッドは全て同じ結合特異性を有し、ある結合ドメインに固定化された捕捉標的ハイブリッドは、別の結合ドメインに固定化された捕捉標的ハイブリッドとは異なる結合特異性を有する。一態様では、アッセイ表面はマルチウェルプレートを含み、1つ以上のチオール含有試薬は、マルチウェルプレートの表面上の1つ以上の結合ドメインに固定化される。一態様では、各結合ドメインは、チオール含有二次試薬の1つ以上のコピーを含む。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、第1の結合ドメインに固定化され、チオール含有二次試薬が、第2の結合ドメインに固定化される。一態様では、マルチウェルプレートのウェルの表面上の各結合ドメインは、一次試薬と二次試薬とを含む。一態様では、各結合ドメインは、固有のチオール含有二次試薬の1つ以上のコピーを含む。マルチウェルプレートの1つのウェル内の「固有の」チオール含有二次試薬は、マルチウェルプレートの他のウェルに含まれてもよいことに留意されたい。一態様では、マルチウェルプレートのウェル内の全ての結合ドメインは、共通のチオール含有二次試薬の1つ以上のコピーを含む。マルチウェルプレートの他のウェルは、同じチオール含有二次試薬又は異なるチオール含有二次試薬を含んでいてもよいことに留意されたい。一態様では、各結合ドメインは、固有のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドと、固有のチオール含有二次試薬とを含む。一態様では、各結合ドメインは、固有のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドと、共通のチオール含有二次試薬とを含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の捕捉抗体又は抗原結合抗体断片と、固有のチオール化オリゴヌクレオチドとを含む。一態様では、各結合ドメインは、固有の捕捉抗体又は抗原結合抗体断片と、共通のチオール化オリゴヌクレオチドとを含む。
【0062】
一態様では、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドが、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性ストレプトアビジンが、プレート表面へのストレプトアビジンの受動吸着によって固定化され、チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドが、プレート表面のチオール基の共有結合によって固定化される。一態様では、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドが、アレイ状に炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドが、アレイ状に炭素含有電極上に固定化される。
【0063】
一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、アレイ状に炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、アレイ状に炭素含有電極上に固定化される。
【0064】
一態様では、タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬が、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬は、アレイ状に炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬は、アレイ状に炭素含有電極上に固定化される。一態様では、捕捉標的ハイブリッド及びチオール含有二次試薬が、アレイ状にアッセイ表面上に固定化される。一態様では、捕捉標的ハイブリッド及びチオール含有二次試薬は、アレイ状に炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、捕捉標的ハイブリッド及びチオール含有二次試薬は、アレイ状に炭素含有電極上に固定化される。
【0065】
一態様では、一次試薬が、二次試薬とは異なる表面化学を介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、タンパク質性一次試薬である。一態様では、一次試薬は、タンパク質性捕捉試薬である。一態様では、一次試薬は、捕捉標的ハイブリッドである。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、受動吸着によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、ストレプトアビジン又はアビジンとビオチンなどの結合パートナーを介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、ビオチン部分を含み、アッセイ表面は、ストレプトアビジンでコーティングされる。一態様では、二次試薬は、チオール含有二次試薬である。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、チオール含有二次試薬とは異なる表面化学を介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、二次試薬は、チオール基とアッセイ表面上の反応性官能基との相互作用を通じてアッセイ表面上に固定化される。一態様では、二次試薬は、チオール基とアッセイ表面上の反応性官能基との間の共有結合によってアッセイ表面上に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、ジスルフィド結合又はマレイミド結合の形成を通じてアッセイ表面上に固定化される。一態様では、1つ以上のチオール含有二次試薬が、炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、アッセイ表面は、マレイミド、ヨードスクシンイミド、又は活性化ジスルフィド(例えばピリジルジスルフィド)などのチオール反応性部分で修飾される。
【0066】
一態様では、タンパク質性一次試薬は、タンパク質性捕捉試薬である。本明細書で使用される場合、「捕捉試薬」は、サンプル中に存在し得る標的に結合する、アッセイ表面上に固定化される試薬である。一態様では、捕捉試薬は、標的に特異的に結合する。一態様では、一次捕捉試薬は、一次標的に特異的に結合する。一態様では、タンパク質性一次試薬は、抗原結合物質を含む。一態様では、タンパク質性一次試薬は、抗体又は抗原結合抗体断片を含む。一態様では、タンパク質性一次試薬は、酵素である。一態様では、タンパク質性捕捉試薬は、受容体である。一態様では、タンパク質性捕捉試薬は、タンパク質性部分及び結合対のメンバーを含み、結合対の第1のメンバーがタンパク質性一次試薬に付着し、結合対の他のメンバーが標的に付着する。結合対の非限定的な例としては、ビオチンとストレプトアビジン又はアビジン;相補的オリゴヌクレオチド;ハプテンとハプテン結合パートナー;受容体/リガンド;酵素/基質及び抗体/抗原結合対が挙げられる。一態様では、タンパク質性一次試薬は、タンパク質性部分を含み、結合対は、ストレプトアビジン又はアビジン及びビオチンから選択される。一態様では、一次試薬は、標的結合部分及びタンパク質性部分を含む。一態様では、一次試薬のタンパク質性部分は、ウシ血清アルブミン(BSA)を含む。一態様では、一次試薬の標的結合部分は、捕捉分子を含む。一態様では、捕捉分子は、例えば、抗体、抗原結合抗体断片又は抗原;受容体又はリガンド;又は酵素若しくは基質を含む、ペプチド又はタンパク質などのタンパク質性分子である。別の態様では、捕捉分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的の相補的オリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド又は核酸を含む。一態様では、捕捉分子は、ビタミン、オリゴ糖、炭水化物、脂質、小分子、又はそれらの複合体を含む。
【0067】
一態様では、反応性官能基は、チオール基である。本明細書で使用される場合、「チオール含有二次試薬」は、スルフヒドリル部分(-SH)を含む試薬を指す。一態様では、チオール含有二次試薬は、反応性官能基を介して表面上に共有結合的に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、オリゴヌクレオチド、アプタマー、アプタマーリガンド、抗体、抗原、リガンド、受容体、ハプテン、エピトープ、ミモトープ、又はそれらの組み合わせ若しくは複合体である。一態様では、チオール含有二次試薬は、DNA又はRNAなどのチオール修飾一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチドを含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、DNA結合タンパク質を含む。
【0068】
一態様では、チオール含有二次試薬は、標的結合部分及びチオール化部分を含み、二次試薬の標的結合部分は、チオール化部分を介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、標的結合部分及びチオール化オリゴヌクレオチドを含み、二次試薬の標的結合部分は、チオール化オリゴヌクレオチドを介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、二次試薬の標的結合部分は、捕捉分子を含む。一態様では、捕捉分子は、例えば、抗体、抗原結合抗体断片、又は受容体を含む、ペプチド又はタンパク質である。別の態様では、捕捉分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的の相補的オリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド又は核酸である。一態様では、捕捉分子は、ビタミン、オリゴ糖、炭水化物、脂質、小分子、又はそれらの複合体を含む。
【0069】
一態様では、二次試薬は、ストリンジェントな条件下で相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチド部分を含む。一態様では、相補的オリゴヌクレオチドは、標的分析物である。一態様では、相補的オリゴヌクレオチドは、例えば、共有結合又は非共有結合の相互作用によって、標的分析物に会合する標的化オリゴヌクレオチドであり、その結果、標的分析物は、チオール化オリゴヌクレオチドと標的化オリゴヌクレオチドとの間の相互作用を介してアッセイ表面上に固定化され得る。一態様では、標的は、増幅産物又はアンプリコンである相補的オリゴヌクレオチドである。一態様では、相補的オリゴヌクレオチドは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自立合成反応)、及び等温増幅法、例えば、ヘリカーゼ依存性増幅及びローリングサークル増幅(RCA)を含むがこれらに限定されない、増幅技術によって生成される増幅産物である。
【0070】
一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、約5、6、7、8、9、若しくは10ヌクレオチド~最大約20、30、40、50、75、若しくは100ヌクレオチド、又は約5~約100、約5~約50、若しくは約10~約30ヌクレオチド、又は約5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、75、若しくは100ヌクレオチドの長さを有する。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、リンカーを介してチオール基に付着したオリゴヌクレオチドを含む。一態様では、リンカーは、約3~約20個の原子若しくは分子若しくは単位、又は少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10~最大約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20個の原子若しくは分子若しくは単位を含む。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、5’及び3’末端を有するオリゴヌクレオチド配列と、5’末端(5’末端チオール化オリゴヌクレオチド)、3’末端(3’末端チオール化オリゴヌクレオチド)、オリゴヌクレオチドの内部位置、又はそれらの組み合わせに組み込まれたチオール基とを含む。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、又はそれらの組み合わせを含む。一態様では、チオール化オリゴヌクレオチドは、1つ以上の非天然ヌクレオチド塩基を含む。一態様では、非天然ヌクレオチド塩基は、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA);5-メチルデオキシシチジン、Super T(5-ヒドロキシブチンル-2’-デオキシウリジン);又はそれらの組み合わせから選択される。
【0071】
一態様では、チオール含有二次試薬は、タンパク質を含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、ウシ血清アルブミン(BSA)などのタンパク質を含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、BSAなどのタンパク質を含み、非特異的結合(NSB)を低減するためにアッセイ表面上に固定化される。スルフヒドリル基は、多くのタンパク質中に存在するが、天然のジスルフィド結合の還元によって生成することも、一級アミンを、2-イミノチオラン(トラウト試薬)、SATA、SATP、SAT(PEG)、又はそれらの組み合わせなどのスルフヒドリル付加試薬と反応させることによって導入することもできる。
【0072】
一態様では、チオール含有二次試薬は、結合対のチオール化メンバーを含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール化ビオチン(チオール-ビオチン)を含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール化ポリエチレングリコール(チオール-PEG)を含む。一態様では、チオール化ポリエチレングリコールは、ビオチン(チオール-PEG-ビオチン)を更に含む。一態様では、チオール化ビオチンは、ビオチン部分を使用してアッセイ表面上の追加の試薬を固定化することができるように、アッセイ表面上に固定化される。一態様では、ストレプトアビジン又はアビジンは、1つ以上のアッセイ試薬にコンジュゲートされ、次いで、固定化されたビオチン部分を介してアッセイ表面上に固定化される。
【0073】
一態様では、チオール含有試薬は、1つ以上の反応性基を含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、アミン反応性部分を含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、フルオレセイン(FITC)を含む。一態様では、チオール含有二次試薬は、フルオレセイン及びチオールヘテロ官能化ポリエチレングリコール(FITC-PEG-SH)を含む。
【0074】
一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の電極を含む。一態様では、アッセイ表面は、電極表面を含む。一態様では、電極表面は、マルチウェルプレートの構成要素である。一態様では、電極表面は、粒子又はビーズの成分である。一態様では、電極は、金、銀、白金、ニッケル、鋼、イリジウム、銅、アルミニウム、又は導電性合金などの金属を含むがこれらに限定されない導電性材料から形成される。一態様では、電極は、酸化アルミニウムでコーティングされたアルミニウムを含むがこれに限定されない、酸化物でコーティングされた金属を含む。一態様では、電極は、炭素、カーボンブラック、グラファイトカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンフィブリル、グラファイト、グラフェン、カーボンファイバー又はそれらの混合物などのカーボンベースの材料から構築される。一態様では、電極は、グラファイト、カーボンブラック、又はカーボンナノチューブなどの元素状炭素から形成される。一態様では、電極には、導電性炭素-ポリマー複合材料、カーボンインク、カーボンペースト、金属インク及びグラフェンインクなどのマトリックス中に分散された導電性粒子、及び/又は導電性ポリマーが含まれる。一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の炭素含有電極を有するマルチウェルプレートであり、例えば、1つ以上の電極は、炭素層、及び/又は炭素インクのスクリーン印刷された層を含む。
【0075】
一態様では、アッセイモジュールは、マルチウェルプレートである。一態様では、アッセイモジュールは、電極誘導発光ベースのアッセイに適したマルチウェルプレートである。一態様では、アッセイ表面は、マルチウェルプレートの1つ以上のウェル内に位置する。一態様では、アッセイモジュールは、複数のウェルと1つ以上の電極とを含む。一態様では、アッセイモジュールは、1つ以上の作用電極と1つ以上の対電極とを含む。一態様では、アッセイモジュールの1つ以上のウェルは、1つ以上の電極を含む。一態様では、マルチウェルプレートの各ウェルは、少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対電極とを含む。一態様では、1つ以上の電極は、1つ以上の又は複数の結合ドメインを含む。一態様では、方法は、少なくとも1つの電気化学発光部分を検出して、サンプル中の標的分析物を検出及び/又は定量化することを含む。一態様では、電気化学発光部分は、電気化学発光標識である。一態様では、アッセイモジュールは、並行して複数の分析物の検出及び/又は定量化に使用される。一態様では、アッセイモジュールは、同時マルチプレックスアッセイで使用される。電気化学発光を使用した複数の結合ドメインを含む表面上の分析物のマルチプレックス測定が知られている。例えば、Meso Scale Diagnostics,LLC、MULTI-ARRAY(登録商標)及びSECTOR(登録商標)Imager製品ライン、並びに米国特許第7,842,246号及び同第6,977,722号(これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0076】
標的
標的には、タンパク質、毒素、核酸、増幅産物若しくはアンプリコン、微生物、ウイルス、細胞、真菌、胞子、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、リポソーム、エクソソーム、多糖類、薬物、ホルモン、ステロイド、栄養素、代謝産物、及び上記分子の任意の修飾誘導体、又は上記分子の1つ以上を含む任意の複合体又はそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。一態様では、標的は、疾患又は疾患状態を示すサンプル中の目的の分析物である。一態様では、標的は、患者がその分析物に曝露されたか否かを示す、サンプル中の目的の分析物である。一態様では、標的は、目的の分析物である異なる標的の検出を容易にするために、アッセイ表面上に保持される。
【0077】
一態様では、一次試薬は、標的に特異的に結合する。一態様では、一次試薬は、標的分析物に特異的に結合する。一態様では、二次試薬は、標的に特異的に結合する。一態様では、二次試薬は、標的分析物に特異的に結合する。一態様では、一次試薬及び二次試薬は、互いに異なる標的に結合する。一態様では、一次試薬は、二次試薬によって結合された標的分析物の検出を容易にするために、標的に結合する。一態様では、二次試薬は、一次試薬によって結合された標的分析物の検出を容易にするために、標的を結合する。
【0078】
一態様では、一次試薬は、抗体又は抗原結合抗体断片などのタンパク質性捕捉試薬であり、チオール含有二次試薬は、チオール化アンカーオリゴヌクレオチドを含む。一態様では、一次試薬は、細胞、細胞下構造、ウイルス誘導体、小胞又は治療用分子などの捕捉標的ハイブリッドであり、チオール含有二次試薬は、チオール化アンカーオリゴヌクレオチドを含む。一態様では、捕捉抗体は、標的分析物に特異的に結合する。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、標的分子又は標的分析物を含む。一態様では、アンカーオリゴヌクレオチド試薬は、オリゴヌクレオチドを含む標的とハイブリダイズする。一態様では、アンカーオリゴヌクレオチド試薬は、オリゴヌクレオチド増幅産物を含む標的とハイブリダイズする。一態様では、オリゴヌクレオチド増幅産物は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)、SDA(鎖置換増幅)、3SR(自立合成反応)及び等温増幅法、例えば、ヘリカーゼ依存性増幅及びローリングサークル増幅(RCA)を含むがこれらに限定されない増幅技術によって生成される。一態様では、増幅産物は、RCAアンプリコンを含む。例えば、2014年3月12日に出願され、IMPROVED ASSAY METHODSと題するPCT公開第2014/165061号(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0079】
一態様では、一次試薬は、細胞外小胞(EV)に関連する標的に結合する。一態様では、一次試薬は、細胞外小胞の表面タンパク質に結合する。一態様では、一次試薬は、エクソソームに結合する。一態様では、エクソソームは、表面結合又は細胞質タンパク質、脂質、mRNA、miRNA、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないシグナル伝達分子を含む。一態様では、エクソソーム内のシグナル伝達分子の同一性及び濃度を使用して、その細胞起源及び機能を推定する。例えば、2020年2月28日に出願され、IMMUNOASSAY METHODSと題する国際出願番号PCT/US2020/20288(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0080】
一態様では、一次試薬は、一次標的に特異的に結合し、二次試薬は、二次標的、例えば、一次標的に関連する、又は一次標的によってカプセル化された標的分析物に特異的に結合する。一態様では、一次試薬は、細胞外小胞(EV)の表面タンパク質を含む標的に特異的に結合する。一態様では、一次試薬は、細胞外小胞(EV)の表面タンパク質に結合するタンパク質性一次試薬である。一態様では、細胞外小胞は、エクソソームである。一態様では、標的分析物は、EV関連タンパク質である。一態様では、標的分析物は、EVによってカプセル化される。一態様では、二次試薬は、EV関連タンパク質である標的分析物に結合する。一態様では、二次試薬は、EVによってカプセル化された標的分析物に結合する。
【0081】
捕捉標的ハイブリッド
諸実施形態では、捕捉標的ハイブリッドは、生物学的部分、例えば、細胞、ウイルス誘導体、小器官、細胞下構造、小胞、治療用分子、又はそれらの組み合わせであり、標的及び捕捉が統合され、一緒になって捕捉標的ハイブリッドを形成する。例示的な捕捉標的ハイブリッドは、細胞全体であり、それによって細胞の一部はプレートに結合し、標的は細胞の表面、例えばタンパク質上にある。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、ビオチン化され、ストレプトアビジンプレートに結合する。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、チオール含有化合物でコーティングされ、ストレプトアビジンプレートに結合する。一態様では、捕捉標的は、コーティングされておらず、その自然な状態又は状況にあり、ストレプトアビジンプレートに結合する。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、アンカーオリゴヌクレオチドとともに固定化される。アンカーオリゴヌクレオチドの非限定的な例としては、BSAコンジュゲートアンカーオリゴヌクレオチド(BSA-オリゴ)又はチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチド(チオール-オリゴ)が挙げられる。一態様では、捕捉標的ハイブリッド及びアンカーオリゴヌクレオチドは、順次固定化される。アンカーオリゴヌクレオチドの非限定的な例としては、BSAコンジュゲートアンカーオリゴヌクレオチド(BSA-オリゴ)又はチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチド(チオール-オリゴ)が挙げられる。
【0082】
一態様では、炭素含有アッセイ表面上に固定化された捕捉標的ハイブリッドは、アッセイ表面上の結合パートナーに優先的に結合する結合試薬でコーティングされる。一態様では、捕捉標的ハイブリッドは、ストレプトアビジンでコーティングされた炭素含有アッセイ表面上に固定化され、前述の表面は、ビオチン化アンカーオリゴヌクレオチドを含有する溶液でコーティングされる。
【0083】
一態様では、その表面上に標的分析物を含む捕捉標的ハイブリッド全体の使用は、溶解された細胞の溶液中に放出される追加のタンパク質のオフターゲット認識を制限する。一態様では、捕捉標的ハイブリッド全体の表面上の標的分析物の天然のコンフォメーションが維持される。
【0084】
直接コーティング方法
一態様では、一次試薬と二次試薬とを含む二機能性アッセイ表面を調製するための直接コーティング方法が提供される。一態様では、タンパク質性一次試薬とチオール含有二次試薬とを含む二機能性アッセイ表面を調製するための直接コーティング方法が提供される。一態様では、捕捉標的ハイブリッドとチオール含有二次試薬とを含む二機能性アッセイ表面を調製するための直接コーティング方法が提供される。本明細書で使用される場合、「直接コーティング」とは、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッド、及びチオール含有二次試薬のいずれかが同時にアッセイ表面上に固定化されることを意味する。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッド、及びチオール含有二次試薬のいずれかが、コーティング溶液中でアッセイ表面上に分配される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッド、及びチオール含有二次試薬のいずれかが、同じコーティング溶液中のアッセイ表面上に分配される。一態様では、コーティング溶液は、タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬の両方を含む。一態様では、コーティング溶液は、捕捉標的ハイブリッド及びチオール含有二次試薬の両方を含む。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドのいずれかと、チオール含有二次試薬とが、アッセイ表面上の別個の結合ドメインに印刷される。一態様では、液体処理システムを使用して、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドとチオール含有二次試薬とがアッセイ表面上に印刷される。一態様では、試薬は、例えば、インクジェットプリンタ又は圧電プリンタを含む非接触ディスペンサーを使用してアッセイ表面上に印刷される。一態様では、試薬は、接触プリンタを使用して、例えば、ピン、毛細管、又はインクスタンプを使用して、アッセイ表面上に印刷される。
【0085】
一態様では、一次試薬及びチオール含有二次試薬は、異なる表面化学を介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、アッセイ表面上に非共有結合的に固定化される。一態様では、一次試薬は、受動吸着によってアッセイ表面上に非共有結合的に固定化される。一態様では、一次試薬は、炭素含有アッセイ表面上に共有結合的に固定化される。一態様では、一次試薬は、結合対を介して炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、結合対の第1のメンバーを含み、アッセイ表面は、結合対の第2のメンバーを含む。一態様では、一次試薬はビオチンを含み、アッセイ表面はアビジン又はストレプトアビジンでコーティングされる。
【0086】
一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール基とアッセイ表面上の反応性官能基との間の結合の形成によって、アッセイ表面上に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、アッセイ表面上の反応性官能基を介して炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、マレイミド基を介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、アッセイ表面は、チオール含有二次試薬を炭素含有アッセイ表面上に固定化する前に、1つ以上のマレイミド基を導入するように処理される。
【0087】
一態様では、一次試薬は、アレイ状にアッセイ表面上に印刷される。一態様では、複数の一次試薬が、アレイ状に印刷される。一態様では、複数の一次試薬が、別個の結合ドメインに印刷される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドは、アレイ状にアッセイ表面上に印刷される。一態様では、複数のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、アレイ状に印刷される。一態様では、複数のタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドが、別個の結合ドメインに印刷される。
【0088】
一態様では、複数の二次試薬が、アレイ状に印刷される。一態様では、複数の二次試薬は、別個の結合ドメインに印刷される。一態様では、複数のチオール含有二次試薬が、アレイ状に印刷される。一態様では、複数のチオール含有二次試薬が、別個の結合ドメインに印刷される。
【0089】
一態様では、固有の一次試薬及び固有のチオール含有二次試薬が、各結合ドメインに印刷される。一態様では、固有の一次試薬及び共通のチオール含有二次試薬が、各結合ドメインに印刷される。一態様では、複数の一次試薬が、複数の一次結合ドメインに印刷される。一態様では、複数のチオール含有二次試薬が、複数の二次結合ドメインに印刷される。
【0090】
一態様では、この方法は、約10nl、15nl、20nl、25nl、30nl、35nl、40nl、45nl、又は50~最大約55nl、60nl、65nl、70nl、75nl、80nl、85nl、90nl、95nl、又は100nlのコーティング溶液をアッセイ表面上に分配することを含む。一態様では、この方法は、約25nl~約75nl、約40nl~約60nl、又は約30nl~約50nlのコーティング溶液をアッセイ表面上に分配することを含む。一態様では、この方法は、約10nl、15nl、20nl、25nl、30nl、35nl、40nl、45nl、又は50~最大約55nl、60nl、65nl、70nl、75nl、80nl、85nl、90nl、95nl、又は100nlのコーティング溶液を炭素含有アッセイ表面上に分配することを含む。一態様では、この方法は、約25nl~約75nl、約40nl~約60nl、又は約30nl~約50nlのコーティング溶液を炭素含有アッセイ表面上に分配することを含む。一態様では、この方法は、約50nl又は75nlのコーティング溶液を炭素含有アッセイ表面上に分配することを含む。
【0091】
一態様では、コーティング溶液は、約50μg/ml、75μg/ml、100μg/ml、125μg/ml、若しくは150μg/ml~最大約200μg/ml、250μg/ml、300μg/ml、350μg/ml、若しくは400μg/mlの一次試薬、又は約100μg/ml~約400μg/mlの一次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、75nM、100nM、200nM、300nM、400nM、若しくは500nM~最大約500nM、1000nM、1250nM、若しくは1500nMの二次試薬、又は約15nM~約1500nMの二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約400μg/mlの一次試薬と、約15nM~約1500nMの二次試薬とを含む。
【0092】
一態様では、コーティング溶液は、約50μg/ml、75μg/ml、100μg/ml、125μg/ml、又は150μg/ml~最大約200μg/ml、250μg/ml、300μg/ml、350μg/ml、又は400μg/mlのタンパク質性一次試薬若しくは捕捉標的ハイブリッド、又は約100μg/ml~750μg/ml、約500μg/ml~750μg/ml、又は約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬若しくは捕捉標的ハイブリッドを含む。一態様では、コーティング溶液は、約15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、75nM、100nM、200nM、300nM、400nM、若しくは500nM~最大約500nM、1000nM、1250nM、若しくは1500nMのチオール含有二次試薬、又は約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドと、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬とを含む。
【0093】
一態様では、コーティング溶液は、約50μg/ml、75μg/ml、100μg/ml、125μg/ml、若しくは150μg/ml~最大約200μg/ml、250μg/ml、300μg/ml、350μg/ml、若しくは400μg/mlのタンパク質性捕捉試薬、例えば、抗体、抗原結合抗体断片、若しくは受容体、又は約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性捕捉試薬を含む。一態様では、コーティング溶液は、約15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、75nM、100nM、200nM、300nM、400nM、若しくは500nM~最大約500nM、1000nM、1250nM、若しくは1500nMのチオール化オリゴヌクレオチド、又は約15nM~約1500nMのチオール化オリゴヌクレオチドを含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性捕捉試薬と、約15nM~約1500nMのチオール化オリゴヌクレオチドとを含む。
【0094】
一態様では、コーティング溶液は、TRITON X-100などの非イオン性洗剤を含む。一態様では、コーティング溶液は、約0.01%、0.02%、又は0.03%~最大で約0.04%又は0.05%のTRITON X-100を含む。一態様では、コーティング溶液は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%のTRITON X-100を含む。一態様では、コーティング溶液は、トレハロースなどの安定化剤を含む。一態様では、コーティング溶液は、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%~最大約0.1%、又は0.5%のトレハロースを含む。一態様では、コーティング溶液は、約0.01%~約0.1%、約0.01%~約0.05%、又は約0.1%~約0.5%のトレハロースを含む。一態様では、コーティング溶液は、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液を含む。一態様では、コーティング溶液は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)などの緩衝液を含む。一態様では、DPBSは、2.67mMのKClと、1.47mMのKH2PO4と、8.1mMのNa2HPO4と、138mMのNaClとを含む。一態様では、緩衝液は、約1mM、2mM、3mM、4mM、又は5mM~最大約10mM、15mM、又は20mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む。一態様では、コーティング溶液は、ポリエチレングリコール誘導体、例えば、市販され、本明細書ではTRITON X-100と呼ばれるポリエチレングリコールtert-オクチルフェニルエーテルを含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~750μg/ml、約500μg/ml~750μg/ml、又は約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドと、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.01%~約0.1%のTRITON X-100と、約0.1%~約0.5%のDPBS中トレハロースと、約1mMのEDTA~約20mMのEDTAとを含む。一態様では、コーティング溶液は、約100μg/ml~約400μg/mlのタンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドと、約15nM~約1500nMのチオール含有二次試薬と、約0.03%のTRITON X-100と、約0.4%のDPBS中トレハロースと、約10mMのEDTAとを含む。
【0095】
一態様では、二機能性アッセイ表面は、一次試薬及びチオール含有二次試薬を含むコーティング溶液をアッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面を形成することによって調製される。一態様では、アッセイ表面は、炭素含有アッセイ表面である。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、タンパク質性一次試薬及びチオール含有二次試薬が炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、捕捉標的ハイブリッド及びチオール含有二次試薬が炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、一晩インキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、室温でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、室温で一晩インキュベートされる。諸実施形態では、コーティングされたアッセイ表面は、室温を上回る温度及び下回る温度、例えば、4℃~約37℃でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、少なくとも約6、7又は8時間~最大約10、11又は12時間インキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、少なくとも約30%、35%、若しくは40%~最大約40%、45%、若しくは50%、又は約30%~約50%の制御された湿度でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、約30%、35%、40%、45%、又は50%の制御された湿度でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、約40%の制御された湿度でインキュベートされる。
【0096】
オーバーコーティング方法
一態様では、一次試薬及び二次試薬を含む二機能性アッセイ表面を調製するためのオーバーコーティング方法が提供される。一態様では、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッド、及びチオール含有二次試薬のいずれかを含む二機能性アッセイ表面を調製するためのオーバーコーティング方法が提供される。本明細書で使用される場合、「オーバーコーティング」とは、一次試薬及び二次試薬がアッセイ表面上に順次固定化されることを意味する。
【0097】
一態様では、一次試薬を含むコーティング溶液が、アッセイ表面上に分配される。一態様では、一次試薬は、アッセイ表面上の別個の結合ドメインに印刷される。一態様では、一次試薬は、アレイ状にアッセイ表面上に印刷される。一態様では、液体処理システムを使用して、一次試薬がアッセイ表面上に印刷される。一態様では、一次試薬は、例えば、インクジェットプリンタ又は圧電プリンタを含む非接触ディスペンサーを使用してアッセイ表面上に印刷される。一態様では、一次試薬は、接触プリンタを使用して、例えば、ピン、毛細管、又はインクスタンプを使用して、アッセイ表面上に印刷される。一態様では、一次試薬が既に固定化されたアッセイ表面が得られる。一態様では、一次試薬は、タンパク質性一次試薬又は捕捉標的ハイブリッドである。一態様では、一次試薬は、タンパク質性捕捉試薬である。
【0098】
一態様では、アッセイ表面は、マルチウェルプレートを含む。一態様では、アッセイ表面は、炭素含有アッセイ表面である。一態様では、アッセイ表面は、炭素含有電極を含む。
【0099】
一態様では、一次試薬は、アッセイ表面上に非共有結合的に固定化される。一態様では、一次試薬は、受動吸着によってアッセイ表面上に非共有結合的に固定化される。一態様では、一次試薬は、炭素含有アッセイ表面上に共有結合的に固定化される。一態様では、捕捉試薬は、結合対を介して炭素含有アッセイ表面上に固定化される。一態様では、一次試薬は、結合対の第1のメンバーを含み、アッセイ表面は、結合対の第2のメンバーを含む。一態様では、一次試薬はビオチンを含み、炭素含有アッセイ表面はアビジン又はストレプトアビジンでコーティングされる。
【0100】
一態様では、チオール含有二次試薬は、アッセイ表面上にチオール含有二次試薬を含むオーバーコーティング溶液を分配することによって、一次試薬が以前に固定化されたアッセイ表面上に分配される。一態様では、チオール含有二次試薬を含むオーバーコーティング溶液をアッセイ表面上に分配して、コーティングされたアッセイ表面が形成される。一態様では、チオール含有二次試薬は、オーバーコーティング溶液の液滴をアッセイ表面上に適用することによって、アッセイ表面上に固定化される。一態様では、約10μL、15μL、20μL、25μL、30μL、35μL、又は40μL~最大約50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、又は100μLの、チオール含有二次試薬を含むオーバーコーティング溶液がアッセイ表面上に分配される。一態様では、約25μL~約75μLの、チオール含有二次試薬を含むオーバーコーティング溶液がアッセイ表面上に分配される。一態様では、約30μL~約50μLの、チオール含有二次試薬を含むオーバーコーティング溶液がアッセイ表面上に分配される。一態様では、チオール含有二次試薬は、オーバーコーティング溶液の液滴をアッセイ表面上に適用し、振盪しながらアッセイ表面をインキュベートすることによって、アッセイ表面上に固定化される。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、振盪器により約500rpm、600rpm、又は700rpm~最大約800rpm、900rpm、又は1000rpmでインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、振盪器により約650rpm、675rpm、700rpm~最大約725rpm、又は750rpmでインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、振盪器により約700rpm、705rpm、710rpm、715rpm、720rpm、又は725rpmでインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、振盪器により約705rpmでインキュベートされる。
【0101】
一態様では、オーバーコーティング溶液は、約0.01μM、0.05μM、0.1μM、0.5μM、1μM、又は5μM~最大約10μM、15μM、又は20μMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、オーバーコーティング溶液は、約0.01μM~約20μMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、オーバーコーティング溶液は、約1μM~約10μMのチオール含有二次試薬を含む。一態様では、オーバーコーティング溶液は、約1μM~約10μMのチオール化オリゴヌクレオチドを含む。一態様では、オーバーコーティング溶液は、脱保護コンジュゲーション緩衝液(Meso Scale Diagnostics,LLC)、1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)/10mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、Diluent 100(Meso Scale Diagnostics,LLC)又はそれらの組み合わせから選択される緩衝液を含む。一態様では、脱保護コンジュゲーション緩衝液は、10mMのリン酸塩と、pH7.4、150mMのNaClと、10mMのEDTAとを含む。
【0102】
一態様では、チオール含有二次試薬は、一次試薬が以前に固定化されたアッセイ表面上の別個の結合ドメインに印刷される。一態様では、液体処理システムを使用して、チオール含有二次試薬がアッセイ表面上に印刷される。一態様では、チオール含有二次試薬は、例えば、インクジェットプリンタ又は圧電プリンタを含む非接触ディスペンサーを使用して、アッセイ表面上に印刷される。一態様では、チオール含有二次試薬は、接触プリンタを使用して、例えば、ピン、毛細管、又はインクスタンプを使用して、アッセイ表面上に印刷される。
【0103】
一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、チオール含有二次試薬がチオール基を介して炭素含有アッセイ表面上に固定化される条件下でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、約1時間、2時間、3時間、又は4時間~最大約5時間インキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、約1時間~約5時間インキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、約1時間、2時間、3時間、4時間、又は5時間インキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、室温でインキュベートされる。一態様では、コーティングされたアッセイ表面は、室温で4時間インキュベートされる。
【0104】
一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール基とアッセイ表面上の反応性官能基との間の結合の形成によって、アッセイ表面上に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、アッセイ表面上のマレイミド基を介してアッセイ表面上に固定化される。一態様では、チオール含有二次試薬は、チオール基とアッセイ表面上のマレイミド基との間の共有結合を形成によって、アッセイ表面上に固定化される。一態様では、アッセイ表面は、チオール含有二次試薬がアッセイ表面上に分配される前に、1つ以上のマレイミド基を導入するように前処理される。一態様では、炭素含有アッセイ表面は、チオール含有二次試薬が炭素含有アッセイ表面上に分配される前に、1つ以上のマレイミド基を導入するように前処理される。一態様では、アッセイ表面は、SM(PEG)(n=2~24である)を含むアミン-スルフヒドリル架橋剤(ThermoFisher Scientific)で処理される。一態様では、n=1、n=2、n=3、n=4又はn=5である。一態様では、n=4である。
【0105】
一態様では、チオール含有二次試薬は、例えば、アッセイ表面を不動態化し、及び/又は非特異的結合を低減するために、チオール化ポリエチレングリコール(PEG)種を含む。
【0106】
一態様では、アッセイ表面は、例えば、ビオチンを含む試薬の固定化を容易にするために、ストレプトアビジンで前処理される。
【0107】
参照による組み込み
特許、特許出願、論文、教科書などを含む、本明細書で引用された全ての参考文献、及びその中で引用された参考文献は、それらがまだ含まれていない範囲で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0108】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0109】
実施例1.タンパク質性捕捉抗体及びBSAコンジュゲートアンカーオリゴヌクレオチドによる二機能性アッセイ表面を調製するための方法
この実施例は、96ウェルの7スポット及び10スポットアッセイプレート(Meso Scale Diagnostics,LLC)上で二機能性アッセイ表面を調製する方法について説明する。簡潔には、タンパク質性捕捉抗体を表面上に印刷し、表1に示されるBSAコンジュゲートアンカーオリゴヌクレオチド(BSA-オリゴ)又はチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチド(チオール-オリゴ)とともに固定化した。
【0110】
簡潔には、マレイミド修飾BSA及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドを調製し、モル比1:10でコンジュゲートした。100μg/ml~400μg/mlの捕捉抗体と、5μg/ml~50μg/mlのBSA-オリゴ又はチオール-オリゴとを含むコーティング溶液を、0.03%のTRITON X-100と、0.4%のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中トレハロース(750μg/mlのBSAを含む又はBSAを含まない)とを含有するコーティング溶液中で調製した。50nl又は75nlのコーティング溶液を、カスタムディスペンサーを使用して、10スポット又は7スポットMSD 96ウェルプレートアッセイ表面の各結合ドメインに印刷し、40%の制御された湿度で一晩乾燥させた。
【0111】
実施例2.ビオチン化捕捉抗体及びビオチン化アンカーオリゴヌクレオチドによる二機能性アッセイ表面を調製するための方法
この実施例は、ストレプトアビジンでコーティングされた小さなスポット又は10スポット96ウェルアッセイプレート(Meso Scale Diagnostics,LLC)上に二機能性アッセイ表面を調製するための代替方法を説明する。この実施例では、ビオチン化捕捉抗体を、ストレプトアビジンでコーティングされたプレート(ssSA)上にビオチン化アンカーオリゴヌクレオチドとともに共固定化した。
【0112】
簡潔には、ビオチン化捕捉抗体及びビオチン化アンカーオリゴヌクレオチドを、Diluent 100中でそれぞれ0.25μg/ml及び25pMに希釈し、室温で振盪しながら1時間インキュベートして、SAでコーティングされたプレート表面上に固定化した。
【0113】
実施例3.チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドによるプレートのオーバーコーティング
この実施例は、捕捉抗体がアレイ状にその上に固定化されたMSD V-Plexイムノアッセイプレート(Meso Scale Diagnostics,LLC)を、チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチド(アンカー-SH)を含むオーバーコーティング溶液でオーバーコーティングすることによって、二機能性アッセイ表面を調製するための方法を説明する。
【0114】
簡潔には、9ヌクレオチド~43ヌクレオチドの範囲の長さのチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチド(アンカー-SH)を調製した。アンカーオリゴヌクレオチドを、ジチオスレイトール(DTT)又はトリスカルボキシエチルホスフェン(TCEP)還元試薬のいずれかを使用して、製品添付文書の説明書(ThermoScientific)に従って脱保護し、反応性チオール基を有するアンカーオリゴを作製した。チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドの一部は、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA);5-メチルデオキシシチジン;Super T(5-ヒドロキシブチンル-2’-デオキシウリジン);ロックドDNA塩基;及びペプチド核酸(PNA)オリゴヌクレオチドから選択される1つ以上の修飾を含んでいた(表1を参照されたい)。
【0115】
チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドを、以下の緩衝液のうちの1つで希釈した:(i)10mMのリン酸塩、pH7.4、150mMのNaCl、10mMのEDTAを含有する脱保護コンジュゲーション緩衝液(DCB)(Meso Scale Diagnostics,LLC)、(ii)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/10mMのEDTA、又は(iii)Diluent 100。
【0116】
MSD V-Plexイムノアッセイプレートをリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。0.5μM~20μMのチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドを含有する35μL~50μLのオーバーコーティング溶液を各ウェルに添加し、705rpmで振盪しながら、室温RTで2時間インキュベートして、捕捉抗体がその上に固定化された結合ドメインにチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドを固定化した。
【0117】
実施例4.捕捉抗体及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドによるプレートの直接コーティング
この実施例は、タンパク質性捕捉抗体及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチド(アンカー-SH)で10スポットMSDアッセイプレート(Meso Scale Diagnostics,LLC)を直接コーティングすることによって、二機能性アッセイ表面を調製するための方法を説明する。この実施例では、タンパク質性捕捉抗体をプレート表面への抗体の受動吸着によって固定化し、チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドをプレート表面へのチオール基の共有結合によって固定化した。
【0118】
実施例3に記載されているように、チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドを調製した。
【0119】
100μg/ml~400μg/mlの捕捉抗体と、50nM~1500nMのチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドとを含むコーティング溶液を、0.03%のTRITON X-100と、0.4%のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中トレハロース(10mMのEDTAを含む)とを含有するコーティング溶液中で調製した。50nlのコーティング溶液を、カスタムディスペンサーを使用してアッセイ表面の各結合ドメインに印刷し、40%の制御された湿度で一晩乾燥させた。
【0120】
実施例5.ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドによるプレートの直接コーティング
この実施例は、タンパク質性ストレプトアビジン及びチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチド(アンカー-SH)で10スポットMSDアッセイプレート(Meso Scale Diagnostics,LLC)を直接コーティングすることによって、二機能性アッセイ表面を調製するための方法を説明する。この実施例では、タンパク質性ストレプトアビジンをプレート表面へのストレプトアビジンの受動吸着によって固定化し、チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドをプレート表面へのチオール基の共有結合によって固定化した。
【0121】
実施例3に記載されているように、チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドを調製した。
【0122】
500μg/mlのストレプトアビジンと、50nM~1500nMのチオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドとを含むコーティング溶液を、0.03%のTRITON X-100と、0.4%のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中トレハロース(10mMのEDTAを含む)とを含有するコーティング溶液中で調製した。50nlのコーティング溶液を、カスタムディスペンサーを使用してアッセイ表面の各結合ドメインに印刷し、40%の制御された湿度で一晩乾燥させた。
【0123】
実施例6.オーバーコーティング及び直接コーティングされたアンカーオリゴヌクレオチドによるIL-4アッセイ
IL-4に特異的に結合する捕捉抗体及びチオール化アンカーオリゴヌクレオチド(表1のアンカー-SH、#2)を用いて、実施例3及び4に記載のオーバーコーティング方法及び直接コーティング方法によって二機能性アッセイプレートを調製した。アッセイ感度を、アンカーのない(アンカーなし)S-Plexプレート(Meso Scale Diagnostics,LLC);実施例2に記載されるように調製されたビオチン化アンカーオリゴヌクレオチドを有するストレプトアビジンでコーティングされたプレート(ssSA)、V-Plexプレート(Meso Scale Diagnostics,LLC)、及び実施例1に記載されるように調製されたBSAアンカーオリゴヌクレオチド(データは示さず)を使用した感度と比較した。
【0124】
二機能性表面を有するプレートを、PBS又はMSD洗浄緩衝液で洗浄した(同じ洗浄緩衝液を全ての洗浄ステップで使用した)。分析物(較正曲線)の希釈物(分析物を含まない条件を含む)を調製し、25μL~50μLをプレートに添加し、室温(RT)にて700rpmで振盪しながら1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、40μL~50μLのTurbo Boost抗体をプレートに添加し、室温で振盪しながら1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、30μL~50μLのEnhance溶液をプレートに添加し、室温で振盪しながら0.5時間インキュベートした。プレートを洗浄し、30μL~50μLのDetect溶液をプレートに添加し、27℃で振盪しながら1時間インキュベートした。V-PlexプレートをMSD製品添付文書に従って試験した。
【0125】
アッセイ感度は4PLフィット関数を使用して決定した。検出限界(LOD)は、その標準偏差である2.5のバックグラウンドを上回るシグナルに対応する濃度として計算した。
【0126】
アッセイ感度は、アンカーなし対照と比較して、アンカーオリゴヌクレオチドを用いた全ての条件で約5倍向上した。結果を表2(以下)及び図1に示す。他の捕捉抗体(IL6、IL10、IL12p70)を使用して行った実験は、本発明のオーバーコーティング又は直接コーティングのアプローチを使用して、IL4アッセイで見られたものと同様のアッセイ性能の改善を示した(データは示さず)。
【表2】
【0127】
実施例7.直接コーティングされたアンカーオリゴヌクレオチド及びビオチン化アンカーオリゴヌクレオチドを用いたストレプトアビジンプレート上のIL-4、IL10、及びGM-CSFアッセイ
二機能性アッセイプレートを、ストレプトアビジンでコーティングされたプレート及び実施例2に記載の手順を使用して調製することで、IL-4、IL-10、及びGM-CSFに特異的なビオチン化捕捉抗体及びビオチン化アンカーを固定化した。また、二機能性アッセイプレートを、実施例5に記載のストレプトアビジン及びアンカー-SHでコーティングされたプレートを使用して調製することで、IL-4、IL-10、及びGM-CSFに特異的なビオチン化捕捉抗体を固定化した。アッセイ感度を、両方のタイプの二機能性プレートで比較し、捕捉抗体及びアンカーは、ストレプトアビジン-ビオチン結合を介して表面上に付着し(SAとして表3に示される)、捕捉抗体は、ストレプトアビジン-ビオチン結合を介して表面上に付着し、チオール修飾アンカーオリゴヌクレオチドは、プレート表面にチオール基の共有結合によって固定化された(SA A-直接として表3に示される)。
【0128】
アッセイを実行し、アッセイ感度を実施例6に記載されているように決定した。アッセイ感度は、両方のタイプの二機能性プレートについて類似していた。
【表3】
【0129】
実施例8.アッセイ堅牢性試験
S-Plexアッセイ性能に対するチオール化アンカーオリゴヌクレオチドの効果を、ストリンジェントな洗浄を使用したアッセイ堅牢性試験で評価し、オリゴヌクレオチドアンカーがRCA産物を表面に保持する能力を評価した。感度(シグナル/NSB)の低下は観察されず、S-Plexアッセイフォーマットと比較して、ばらつき(%CV)は増加しなかった(データは示さず)。
【0130】
実施例9.ビオチン-PEG-SH試薬
この実施例では、ビオチン及びPEGスペーサー(Bio-PEG-SH)、Nanocs(MW400、600、及び1000)を含むヘテロ二機能性チオール化試薬を、オーバーコーティング方法及び直接コーティング方法を使用して、V-Plex MSDプレート及び10スポット96ウェルアッセイプレートの表面上に固定化した。オーバーコーティング方法には、1μM~5μMの濃度範囲のBio-PEG-SHを使用した。直接コーティング方法には、1μM~10μMの濃度範囲のBio-PEG-SHを使用した。上記の実施例3及び4に記載されているのと同じ溶媒を使用した。濃度範囲は、製造元の製品添付文書の説明書に従って、Ellmann試薬(ThermoScientific)を使用して測定されたチオール基濃度に基づいていた。
【0131】
オーバーコーティング方法及び直接コーティングの両方の方法は、プレート表面上に検出可能な/機能的な量のビオチンを提供し、次いで、このビオチンを使用して、ストレプトアビジンに結合したビオチン化アンカーオリゴヌクレオチド(表1)を付着させ、二機能性S-PLEXプレートを作製した。固定化ビオチンを介したアンカーオリゴヌクレオチドの添加は、実施例1~4に記載の二機能性表面調製ステップに加えて、S-PLEXプロトコルアッセイの任意の他のステップでアンカー配列を添加することを可能にし(例えば、Turbo Boost抗体、Enchance又はDetect試薬インキュベーションステップとともに)、それによって、例えば、抗DNA抗体としての潜在的なサンプル-アンカー干渉を回避する。
【0132】
図2及び表4に示されるように、Bio-PEG-SH試薬でオーバーコーティングされたプレートは、アンカー-SHオリゴでオーバーコーティングされたものと同様の性能を示し、両方とも、アンカーオリゴヌクレオチドを含まないプレートよりも約6倍優れた性能を示した。Bio-PEG-SHで直接コーティングされたプレートは、実施例8に記載されているS-Plexアッセイで使用された場合、アンカー-SHオリゴヌクレオチドで直接コーティングされたプレートと同等又はより優れた性能を示した(図3A、3B、3C)。全体的な感受性の向上は、Bio-PEG-SHオーバーコーティングされたプレートと同様に、アンカーなしと比較して約6倍であった。
【表4】
【0133】
実施例10.FITC-PEG-SH試薬
この実施例では、本明細書に記載のオーバーコーティング方法を使用して、蛍光試薬をアッセイプレート上に固定化した。簡潔には、実施例3に記載のオーバーコーティング方法を使用して、蛍光(FITC-PEG-SH、Nanocs)試薬をV-Plexアッセイプレート表面上に固定化した。蛍光試薬の存在は、特異的抗FITC抗体を使用して検出した。図4に示されるように、シグナル生成は濃度に依存していた。
【0134】
実施例11.PEG-SH試薬
場合によっては、アッセイ及びサンプル成分は、捕捉抗体で覆われていない表面領域に付着し、バックグラウンドを増加させ、アッセイ感度に悪影響を及ぼすことがある。PEGオリゴマーによる表面修飾は、標準的なサンドイッチフォーマットアッセイにおける非特異的結合(NSB)を低減することができるという仮説が立てられた。
【0135】
5つのPEG-SH試薬、Nanocs(MW350、550、750、1000及び2000)を、実施例3に記載のオーバーコーティング方法を使用して捕捉抗体がその上に固定化されたV-Plexアッセイプレート上に固定化し、V-Plex製品添付文書に従って標準10プレックスサンドイッチ形式で試験した。図5A及び5Bに示すように、IFNg及びTNFαアッセイの両方において、PEG-SHでオーバーコーティングされたプレートは、濃度依存的にNSBを減少させた。
【0136】
同じ試薬をa-IFNg及びa-TNFα抗体でプレート表面上に直接コーティングしても、同じ結果は得られなかった。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】