(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】正確に調整可能な電極間隔を有するプレチャンバ点火プラグおよびこのための方法
(51)【国際特許分類】
H01T 13/54 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H01T13/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566426
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2022058074
(87)【国際公開番号】W WO2022228798
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021204189.2
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】カスケ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュタイテン,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ボーマン,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】レッケライン,マンフレート
【テーマコード(参考)】
5G059
【Fターム(参考)】
5G059AA10
5G059DD25
5G059EE11
5G059GG03
5G059KK23
5G059KK30
(57)【要約】
本発明は、プレチャンバ点火プラグであって、プレチャンバ(7)内に配置されている中心電極(2)および接地電極(3)と、側方の孔(40)を有するハウジング(4)とを備え、接地電極(3)は、側方の孔(40)内に、接地電極(3)とハウジング(4)との間に間隙領域(8)と固定領域(9)とが存在しているように配置されている、プレチャンバ点火プラグに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレチャンバ点火プラグであって、
プレチャンバ(7)内に配置されている中心電極(2)および接地電極(3)と、
側方の孔(40)を有するハウジング(4)と、
を備え、
前記接地電極(3)は、前記側方の孔(40)内に、前記接地電極(3)と前記ハウジング(4)との間に間隙領域(8)と固定領域(9)とが存在しているように配置されている、
プレチャンバ点火プラグ。
【請求項2】
前記間隙領域(8)は、接地電極(3)と側方の孔(40)との間の遊びばめ(S)である、請求項1記載のプレチャンバ点火プラグ。
【請求項3】
前記固定領域(9)は、溶接結合部である、請求項1または2記載のプレチャンバ点火プラグ。
【請求項4】
前記固定領域(9)は、半径方向で前記間隙領域(8)よりさらに外側に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のプレチャンバ点火プラグ。
【請求項5】
前記中心電極(2)は、前記接地電極(3)に対して垂直に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプレチャンバ点火プラグ。
【請求項6】
前記接地電極(3)は、円柱状であるか、または多角柱である、請求項1から5までのいずれか1項記載のプレチャンバ点火プラグ。
【請求項7】
前記ハウジングは、外面(41)に、圧力発生ユニット(10)との封止のために構成されたR
max≦10μmの規定された最大粗さR
maxを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載のプレチャンバ点火プラグ。
【請求項8】
キャップ(6)と前記ハウジング(4)とが、一体に形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のプレチャンバ点火プラグ。
【請求項9】
プレチャンバ点火プラグの製造時に中心電極(2)と接地電極(3)との間の電極間隔(14)を調整する方法であって、次の各ステップ、すなわち、
前記接地電極(3)を、ハウジング(4)内に設けられた側方の孔(40)内に、前記接地電極(3)が自由に可動に前記側方の孔(40)内に配置されているように配置するステップと、
前記接地電極(3)を、固定の前記中心電極(2)に対して相対的に、予め決められた電極間隔(14)に、前記接地電極(3)を前記側方の孔内で摺動させることで位置決めするステップと、
中心電極(2)と接地電極(3)との間の前記電極間隔を測定するステップと、
前記予め決められた電極間隔(14)の調整後、前記接地電極(3)を前記側方の孔(40)内に固定し、その結果、前記予め決められた電極間隔(14)が維持されるステップと、
を含む、プレチャンバ点火プラグの製造時に中心電極と接地電極との間の電極間隔を調整する方法。
【請求項10】
前記接地電極(3)を前記ハウジング(4)に固定することを、溶接工程により、特に前記ハウジング(4)の外面において、前記接地電極(3)と前記側方の孔(4)との間に固定領域(9)と間隙領域(8)とが存在しているように実施する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記側方の孔(40)内での前記接地電極(3)の可動性を保証すべく、遊びばめ(S)が設けられている、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記接地電極(3)を前記側方の孔(40)内に配置することを、まず接地電極(3)と中心電極(2)との間の接触が存在し、そして前記接地電極(3)が、中心電極(2)と接地電極(3)との間のこの接触状態から出発して、半径方向外方に摺動されるように実施する、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記側方の孔(40)内での前記接地電極(3)の前記運動を空気圧により実施する、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記電極間隔(14)を、前記接地電極(3)の背面(31)の、前記ハウジング(4)の外面(41)からの間隔を測定することにより特定する、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記電極間隔の前記調整前に、キャップ(6)を前記ハウジング(4)に、特に溶接結合部(15)により固定する、または
前記キャップ(6)と前記ハウジング(4)とは、一体に形成されている、
請求項9から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心電極と接地電極との間の正確に調整された電極間隔を有するプレチャンバ点火プラグおよびプレチャンバ点火プラグの接地電極と中心電極との間の正確な電極間隔を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレチャンバ点火プラグは、従来技術から様々な構成のものが知られている。従来技術において、プレチャンバ点火プラグは、これまで主に定置式のガスエンジンで使用され、定置式のガスエンジンは、通例、比較的高い負荷の単一の運転点でのみ稼働する。この場合、それぞれのプレチャンバ点火プラグは、この運転点用に設計される。移動式の内燃機関、例えば車両用の内燃機関の場合、点火は、しかし、様々な負荷領域でも、特に部分負荷領域でも保証されなければならない。この場合、中心電極と接地電極との間の電極間隔の正確な遵守が必要である。さらに車両用のプレチャンバ点火プラグの場合、プレチャンバ点火プラグが大量生産品として製造可能である点に留意しなければならない。これまで定置式のガスエンジン用に製造されたプレチャンバ点火プラグは、少量生産され、このことは、しかし、極めて高いコストを結果としてもたらす。その面から、プレチャンバ点火プラグを大量生産に関して車両用の移動式の内燃機関での使用用に生産できるようにする必要が生じる。
【発明の概要】
【発明の効果】
【0003】
請求項1の特徴を備える本発明に係るプレチャンバ点火プラグは、これに対して、中心電極と接地電極との間の電極間隔が正確に調整され得るという利点を有している。この場合、電極間隔のための調整工程は、プレチャンバ点火プラグの大量生産時にも好適である。これにより、本発明に係るプレチャンバ点火プラグのための製造コストは、顕著に削減され得るので、特に車両用の内燃機関におけるプレチャンバ点火プラグの適性が存在している。特にプレチャンバ点火プラグのキャップとハウジングとは、1つの構成部材として溶接シームなしに構成されてもよい。このことは、本発明により、プレチャンバ点火プラグが、プレチャンバ内に配置されている中心電極と接地電極とを備えていることにより達成される。接地電極は、この場合、ハウジング内に設けられた側方の孔内に配置されている。この場合、側方の孔と接地電極との間には、間隙領域と、封止する固定領域とが存在している。
【0004】
従属請求項は、本発明の好ましい発展形を示している。
【0005】
接地電極と側方の孔との間の間隙領域は、好ましくは、遊びばめである。
【0006】
接地電極と側方の孔との間の固定領域は、好ましくは、溶接結合部である。固定領域は、さらに好ましくは、半径方向で間隙領域よりさらに外側に配置されており、好ましくは、プレチャンバ点火プラグの外側に、ハウジングの外壁と接地電極の背側との間において形成されている。
【0007】
さらに好ましくは、接地電極は、中心電極に対して相対的に90°の角度をなして配置されている。
【0008】
接地電極は、好ましくは、円柱状である。特に好ましくは、接地電極は、多角柱、特に三角柱または四角柱または五角柱または六角柱である。接地電極が多角柱として形成されている場合、特に接地電極が電極間隔の調整時に回動してしまうことは、回避され得る。これにより、中心電極と接地電極との間の電極間隔の特に精密な調整が達成され得る。
【0009】
さらに好ましくは、ハウジングは、極めて小さな最大粗さRmaxを有する表面を、特にハウジングの外面に有している。粗さRmaxは、この場合、10μm以下である。これにより、特に電極間隔を調整する方法の間、カップまたは別の封止構成部材は、確実に、かつ封止するようにハウジングの外面に当接され得る。
【0010】
好ましくは、キャップとハウジングとは、一体に形成されている。すなわち、キャップは、もはや別にハウジングに固定される必要がなく、キャップとハウジングとは、1つの共通の構成部材を形成している。これにより、キャップとハウジングとの間の溶接結合部またはその他の種類の結合部は、省略可能である。
【0011】
さらに本発明は、プレチャンバ点火プラグの製造中に中心電極と接地電極との間の電極間隔を調整する方法に関する。本方法は、この場合、接地電極を、プレチャンバ点火プラグのハウジング内に設けられた側方の孔内に配置するステップを含み、それにより接地電極は、自由に可動に側方の孔内に配置されている。好ましくは、この場合、遊びばめが接地電極と側方の孔との間に形成されている。次のステップにおいて、接地電極を、固定の中心電極に対して相対的に、予め決められた電極間隔に位置決めする。このことは、接地電極が側方の孔内に摺動可能に配置されているために可能である。最後のステップにおいて、予め決められた電極間隔の調整後、接地電極をハウジングに固定し、その結果、中心電極と接地電極との間の予め決められた電極間隔が維持される。これをもって中心電極と接地電極との間の間隔の正確な提供は終了する。さらに本発明に係る方法は、プレチャンバキャップが組み付けられた状態あるいはプラグの組み立てが終わった状態で電極間隔を調整する可能性を提供する。これに伴い、新しい設計可能性、例えばキャップとハウジングとを1つの構成部材として(溶接シームなしに)構成する可能性が生じる。
【0012】
接地電極をハウジングに正しい電極間隔で固定することを、好ましくは、溶接結合部により実施する。溶接結合部は、特に好ましくは、プレチャンバ点火プラグの外側に、ハウジングと接地電極との間において形成される。溶接結合部は、さらに好ましくは、レーザにより形成される。
【0013】
特に簡単かつ低コストの製造性は、プレチャンバ点火プラグを、接地電極をハウジング内に設けられた側方の孔内に挿入した後、重力に基づいて接地電極が下方に移動して中心電極と接触するような位置へ移行させる場合、保証される。接地電極と中心電極との間の接触のこの状態から出発して、その後、接地電極を中心電極から半径方向外方に、所望の規定された電極間隔が存在するようになるまで、離間移動させる。続いてハウジングへの接地電極の固定を行う。
【0014】
接地電極を中心電極から離間移動させる工程を、特に好ましくは、空気圧により実施する。このために、好ましくは、プレチャンバ点火プラグのプレチャンバを圧力下に置き、その結果、上昇する圧力に基づいて、接地電極が側方の孔内で中心電極から離間するように移動する。接地電極がその際、予め決められた行程を経て、例えば接地電極の背面でもって側方の孔からハウジングの外面においてゆっくりと押し出されると、接地電極の押し出された行程長さを測定し、この値から、以前は接触していた中心電極と接地電極との間の電極間隔を推定することができる。所望の電極間隔が達成されていれば、これによりハウジングへの接地電極の固定を実施することができる。
【0015】
接地電極は、この場合、好ましくは、円柱状であるか、または特に好ましくは、多角柱として形成されている。多角形状を有する接地電極の使用は、この場合、特に、接地電極に対してプレチャンバ内の内側から圧力をかけた際の回動が防止され得るという利点を有している。プレチャンバに対して圧力をかけるカップまたはこれに類するものを確実にプレチャンバ点火プラグに取り付けることができるように、ハウジングの壁領域における最大粗さRmaxは、好ましくは、極めて小さく、特に、10μm以下である。
【0016】
さらに付言すると、中心電極と接地電極との間の電極間隔の調整は、プレチャンバ点火プラグの製造時、最後のステップとして実施され得る。すなわち、キャップは、既にハウジングに固定されている。代替的には、電極間隔の調整は、キャップをハウジングに固定する前に実施され、キャップは、その後、接地電極がハウジングに正確な電極間隔で固定された後に、さらなるステップにおいてハウジング上に載置されてもよい。
【0017】
好ましくは、電極間隔の調整前に、キャップをハウジングに、特に溶接結合部またはプレス結合部により固定する。これにより、最後のステップとして、電極間隔の調整を行うことができる。これにより、電極間隔における熱歪みが、事後的にキャップをハウジングに固定することによって発生してしまうことがないことが、可能である。代替的には、キャップとハウジングとを一体に形成し、これにより、コスト面の利点が、プレチャンバ点火プラグの製造時、達成される。
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施例について添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の好ましい実施例によるプレチャンバ点火プラグの概略断面図である。
【
図2】
図1の中心電極と接地電極との間の電極間隔を調整する方法を説明する概略断面図である。
【
図3】
図1のプレチャンバ点火プラグの電極間隔を調整する本発明に係る方法を説明する概略部分断面図である。
【
図4】
図1のプレチャンバ点火プラグの電極間隔を調整する本発明に係る方法を説明する概略部分断面図である。
【
図5】
図1のプレチャンバ点火プラグの電極間隔を調整する本発明に係る方法を説明する概略部分断面図である。
【
図6】本発明の第2の好ましい実施例によるプレチャンバ点火プラグの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に
図1ないし5を参照しながら、第1の実施例によるプレチャンバ点火プラグ1および中心電極2と接地電極3との間の電極間隔を調整する方法について詳しく説明する。
【0021】
このプレチャンバ点火プラグ1は、特に移動式の内燃機関に好適である。
【0022】
図1から看取可能であるように、プレチャンバ点火プラグ1は、中心電極2と側方の接地電極3とを備えている。接地電極3は、中心電極2に対して90°の角度をなして配置されている。中心電極2は、プレチャンバ点火プラグ1の中心軸線X-X内で延在している。中心電極2は、少なくとも部分的に絶縁体5内に配置されている。絶縁体5は、中心電極2をハウジング4から電気的に切り離すために用いられる。
【0023】
プレチャンバ点火プラグ1は、さらに側方の孔40を有するハウジング4を備え、側方の孔40内には、接地電極3が配置されている。
【0024】
ハウジング4とキャップ6とは、この場合、プレチャンバ点火プラグのプレチャンバ7を規定している。
【0025】
さらに
図1から看取可能であるように、キャップ6は、複数のキャップ穴60を有し、キャップ穴60は、プレチャンバ7と内燃機関の燃焼室80との間の流体接続用に構成されている。
【0026】
側方の孔40と接地電極3との間には、さらに固定領域9と間隙領域8とが形成されている。固定領域9は、この場合、接地電極の背側とハウジング4との間の溶接結合部である。
【0027】
さらに
図1に示すように、中心電極2と接地電極3との間には、電極間隔14が存在している。電極間隔14は、この場合、中心電極2と接地電極3との間の最短結合部である。
【0028】
さらに
図1から看取可能であるように、中心電極2は、中心電極2の端面に貴金属ピン20を有し、かつ接地電極3は、接地電極3の端面に貴金属ピン30を有している。電極間隔14は、この場合、両貴金属ピン20,30間に存在している。
【0029】
接地電極3は、この場合、多角柱として形成されているが、円柱状であってもよい。
【0030】
中心電極2と接地電極3との間の電極間隔14を調整する本発明に係る方法について、
図2ないし5を参照しながら詳しく説明する。
【0031】
本方法を実施する構造を示す
図2から看取可能であるように、電極間隔14の調整は、空気圧式の圧力発生ユニット10により実施される。圧力発生ユニット10は、圧力発生器11、例えば圧縮機と、カップ12とを有している。カップ12は、封止領域13においてハウジング4またはキャップ6の外面41に、封止するように配置されている。これにより、封止された空間が、実質的にキャップ6およびプレチャンバ7の外側に生じる。
【0032】
本実施例において、キャップ6は、溶接結合部15によりハウジング4に固定されている。代替的には、キャップは、ハウジングに直接組み込まれている。接地電極3は、この場合、円柱状であり、側方の孔40内に遊びSを伴って配置されている。この遊びSは、プレチャンバ点火プラグの製造後、接地電極3とハウジング4との間の間隙領域8を保証する。
【0033】
本実施例において、中心電極2と接地電極3との間の電極間隔14の正確な調整は、プレチャンバ点火プラグの製造時の最後のステップである。
【0034】
図2および3から明らかであるように、電極間隔14を調整すべく、本発明に係る方法により、まず空気圧を圧力発生器11により発生させる。
図2に矢印Aにより略示するように、この圧力は、圧力発生ユニット10のカップ12の内側領域12aに印加される。カップ12は、封止するようにハウジング4の外面41に配置されているので、この圧力は、さらにキャップ穴60を介して、
図2に矢印Bにより略示するように、プレチャンバ7内に印加される。
【0035】
側方の孔40内にルーズに配置されている接地電極3は、このとき、中心電極2と接触している。それというのも、まだ完全には完成していないプレチャンバ点火プラグ1は、接地電極3が重力によって下方に中心電極2と接触に至るまで案内されているように配置されているからである。この位置は、
図2および3に示してある。
【0036】
プレチャンバ7内で上昇する、プレチャンバ点火プラグの外側で支配している周囲圧より明らかに高い空気圧によって、この圧力は、端面、より正確には、接地電極3の貴金属ピン30の端面にも作用する。このことは、
図2および3に矢印Cにより略示してある。
【0037】
接地電極3は、遊びばめSにより側方の孔40内に配置されているので、今や、支配している圧力差に基づき、接地電極3は、半径方向外方に移動する。この詳細は、
図4からも看取可能である(矢印D)。その際、接地電極3の背面31は、側方の孔40から進出する。このことは、
図4に間隔Hにより略示してある。本実施例では、中心電極2と接地電極3とが接触していたとき、接地電極3の背面31が、ハウジング4の外面41と面一であったため、上記間隔Hは、本実施例では、中心電極2と接地電極3との間の電極間隔14に等しい。
【0038】
これにより簡単に、電極間隔14は、プレチャンバ点火プラグの外側から、ハウジングから進出する接地電極の背面31と、ハウジングの外面41との間の間隔Hを測定することで求めることが可能である。間隔Hが、中心電極2と接地電極3との間の所望の電極間隔14に等しければ、続いてこの位置で接地電極3の固定が実施される。この場合、溶接結合部が、プレチャンバ点火プラグの外側から、接地電極3とハウジング4との間に形成され、溶接結合部は、その後、固定領域9を側方の孔40内に接地電極3とハウジング4との間において形成する。このことは、
図5に示してある。
【0039】
接地電極3の背面31は、接地電極3が中心電極2と接触していた初期状態において面一であったため、間隔Hは、電極間隔14に等しい。付言すると、接地電極は、開始状態でハウジング内に沈頭していてもよいし、またはハウジングから突出していてもよい。その際、側方の孔40内には、固定領域9の半径方向内側に、電極間隔の調整時には接地電極3とハウジング4との間において遊びばめSを形成していた間隙領域8が、接地電極3とハウジング4との間に存置している。
【0040】
これにより本発明は、電極間隔14が極めて正確に調整可能であるという利点を有している。その際、電極間隔14の簡単な測定が、プレチャンバ点火プラグの外側から行われ得る。
【0041】
付言すると、接地電極3の背面31は、中心電極2との接触状態で、必ずしも外面41と面一に終端していなくてもよい。背面が、接地電極3と中心電極2との間の接触状態で、既に側方の孔40から若干突出していることも可能である。この突出も、簡単に測定されることができ、この突出を出発点として、その後、本発明に係る電極間隔調整が実施される。確かに、これにより、2回の測定工程を接地電極3において行わなければならないが、このことは、プレチャンバ点火プラグの外側から実施可能であるので、簡単に可能である。
【0042】
これにより、電極間隔14を調整する本発明に係る方法は、大量生産にも好適であるので、プレチャンバ点火プラグ1は、高い個数で製造される移動式の内燃機関でも使用可能である。
【0043】
本発明に係る方法の別の大きな利点は、接地電極3の固定が、プレチャンバ点火プラグの製造時の最後のステップとして実施可能である点にある。これにより、例えばキャップを電極間隔の調整後にハウジング4に溶接することは、もはや不要である。これにより、キャップ6をハウジング4に固定する際に発生する溶接熱が、電極間隔14に対して影響を及ぼしてしまうことは、防止され得る。本発明により、これにより、電極間隔14が正確に所望の間隔を有することが保証され得る。
【0044】
図6は、本発明の第2の好ましい実施例によるプレチャンバ点火プラグ1を示している。同じあるいは機能的に同じ部材には、第1の実施例におけるのと同じ符号を付した。
【0045】
第1の実施例とは異なり、この第2の実施例では、ハウジング4とキャップ6とが一体の構成部材として形成されている。これにより、キャップとハウジングとの間の溶接結合部またはその他の種類の結合部は、省略可能である。これにより、特に製造コストは、顕著に削減され得る。プレチャンバ点火プラグの製造時、これにより、電極間隔を調整する方法は、プレチャンバ点火プラグの製造時の最後のステップとして実施され得る。電極間隔の測定は、本発明に係る方法によりプレチャンバ点火プラグの外側から実施され得る。一体のハウジング・キャップ構成部材への接地電極の固定は、溶接結合によりプレチャンバ点火プラグの外側から実施され得る。この場合、接地電極への入熱は、極めて僅かであり、その結果、これにより、調整された電極間隔14は変化しない。熱を用いた方法なしの接地電極の固定が所望されている場合は、接地電極は、例えばかしめ工程またはこれに類する工程により一体のハウジング・キャップ構成部材において実施され得る。それ以外は、本実施例は、第1の実施例に相当するので、第1の実施例においてした説明を参照されたい。
【符号の説明】
【0046】
1 プレチャンバ点火プラグ
2 中心電極
3 接地電極
4 ハウジング
5 絶縁体
6 キャップ
7 プレチャンバ
8 間隙領域
9 固定領域
10 圧力発生ユニット
11 圧力発生器
12 カップ
12a 内側領域
13 封止領域
14 電極間隔
15 溶接結合部
20 貴金属ピン
30 貴金属ピン
31 背面
40 側方の孔
41 外面
60 キャップ穴
80 燃焼室
A 矢印
B 矢印
C 矢印
D 矢印
H 間隔
S 遊び、遊びばめ
X-X 中心軸線
【国際調査報告】