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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】抗NKG2D抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240416BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240416BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P37/06
A61P31/12
A61P31/04
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566501
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 IL2022050453
(87)【国際公開番号】W WO2022234571
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,635
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523405959
【氏名又は名称】イミュノリゾン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ボギン,オレン
(72)【発明者】
【氏名】ダッサ,リアット
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、いくつかの抗NKG2D(Nature Killer Group 2、メンバーD)抗体を記載する。抗NKG2D抗体の相補性決定領域(CDR)が更に開示される。本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、癌、自己免疫疾患、ウイルス感染、細菌感染、又はNKG2Dの過剰発現に関連する疾患などの様々な疾患を治療するために使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)及び軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む単離された抗NKG2D抗体であって、
(i)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号12~14のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号16~18のアミノ酸配列を含み、又は
(ii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が配列番号20~22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が配列番号24~26のアミノ酸配列を含み、又は
(iii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号28~30のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号32~34のアミノ酸配列を含み、又は
(iv)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が配列番号36~38のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が配列番号40~42のアミノ酸配列を含む、単離された抗NKG2D抗体。
【請求項2】
前記抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が配列番号11及び15、配列番号19及び23、配列番号27及び31、又は配列番号35及び39のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗NKG2D抗体。
【請求項3】
前記抗体が、IgG、Fv、scFv、Fab、F(ab’)、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、二重特異性抗体、又は単一ドメイン抗体である、請求項1又は2に記載の抗NKG2D抗体。
【請求項4】
前記IgGがIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である、請求項3に記載の抗NKG2D抗体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の抗NKG2D抗体と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項6】
前記抗NKG2D抗体が、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)及び軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含み,
(i)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号12~14のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号16~18のアミノ酸配列を含み、又は
(ii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が配列番号20~22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が配列番号24~26のアミノ酸配列を含み、又は
(iii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号28~30のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号32~34のアミノ酸配列を含み、又は
(iv)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が配列番号36~38のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が配列番号40~42のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗NKG2D抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が配列番号11及び15、配列番号19及び23、配列番号27及び31、又は配列番号35及び39のアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の抗NKG2D抗体をコードする単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチド配列を含むベクター。
【請求項10】
請求項9に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項11】
対象における疾患を治療する方法であって、有効量の請求項1~4のいずれか一項に記載の抗NKG2D抗体を含む組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記疾患が、癌、自己免疫疾患、GvHD、ウイルス感染、細菌感染、又はNKG2Dに関連する疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗NKG2D抗体が、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)及び軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含み、
(i)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号12~14のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号16~18のアミノ酸配列を含み、又は
(ii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が配列番号20~22のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が配列番号24~26のアミノ酸配列を含み、又は
(iii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号28~30のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号32~34のアミノ酸配列を含み、又は
(iv)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が配列番号36~38のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が配列番号40~42のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記抗NKG2D抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が配列番号11及び15、配列番号19及び23、配列番号27及び31、又は配列番号35及び39のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の記述
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年5月2日に作成された前記ASCIIコピーは、P-604135-PC_SL.txtと名付けられ、サイズは21キロバイトである。
【0002】
本開示は、一般に抗体に関する。一実施形態では、本開示は、NKG2Dに対する抗体の作製及び使用を記載する。
【背景技術】
【0003】
NKG2D(Nature Killer Group 2、メンバーD)は、細胞傷害性免疫細胞上で主に発現される活性化細胞表面タンパク質である。NKG2Dは、全てのNK細胞、NKT細胞、及びγδT細胞のサブセット上に豊富に存在する。ナイーブヒトCD8T細胞はNKG2Dを発現するが、マウスにおいて、それらは活性化後にのみその発現を上方制御する。CD4T細胞は、一般に、活性化後であってもNKG2Dを発現しないが、ヒトにおいて、その発現は、Crohn病、若年発症狼瘡及びサイトメガロウイルス感染症などの特定の病的状態下で誘導され得る。NKG2Dの分子構造は、いくつかの構造的に異なるMHC-I様リガンドに結合することを可能にする。NKG2Dリガンドは、恒常性条件下でそれらの発現が一般的に低いという共通点を有する。対照的に、感染又は発癌性形質転換などの細胞ストレスを受けると、それらの発現は高度に誘導され得る。ヒトにおいて、NKG2Dリガンドは、MICA、MICB、及びULBPファミリーの6つのメンバーである。
【0004】
NKG2Dは、シグナル伝達特性を有さない非常に短い細胞内ドメインを有する、2つのジスルフィド結合膜貫通タンパク質のホモ二量体である。マウスにおいて、NKG2Dは、そのシグナル伝達を中継するためにアダプター分子DAP10及びDAP12を使用するが、ヒトにおいて、NKG2Dは、DAP10と排他的に会合する。DAP10及びDAP12は、異なるシグナル伝達カスケードを開始する。DAP10は、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ(PI3K)のp85への結合を可能にするYIMモチーフを有する。更に、DAP10は、Vav1と会合するGrb2に結合する。DAP12は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフを含有し、これは、NKG2D誘発時にSrcキナーゼによってリン酸化される。この事象は、チロシンキナーゼ、Syk及びZap70の結合及び活性化を可能にする。
【0005】
NKG2Dは、潜在的に危険な細胞の認識及び排除において重要な役割を果たす。それは、腫瘍、ウイルス感染細胞、及び臓器移植に対する免疫応答を媒介することが示されている。この理由のために、NKG2Dは、ストレスを受けた標的細胞上のリガンドの遭遇に応答して直接的な細胞傷害性を主に媒介すると元々考えられていた。しかしながら、ほとんどの場合、NKG2Dは、それが炎症状況内で生じる場合にのみ免疫細胞活性化を媒介することができる。NK細胞及びT細胞の両方は、一般に、NKG2Dが測定可能な効果を媒介することができる前に二次シグナルを必要とする。したがって、NKG2Dの主要な機能は、他の受容体を介したシグナル伝達の調節であると思われる。その独特の特徴は、複数の個体学的に異なる免疫細胞サブセットにおいて、ならびに造血発生、プライミング、及びエフェクター応答などの免疫細胞の生活環の異なる段階の間に、多数の受容体のシグナル伝達を阻害及び増強することの両方ができることである。
【0006】
NKG2Dは、癌などの重要な疾患に対する細胞溶解性免疫応答を増強する効力を有するので、治療標的として大きな可能性を有する。NKG2Dの重要な役割を考慮すると、NKG2Dの治療用途を研究するために抗NKG2D抗体を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態において、本開示は、いくつかの抗NKG2D抗体を提供する。一実施形態では、抗NKG2D抗体のそれぞれは、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)及び軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含み、
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号12~14のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号16~18のアミノ酸配列を含み、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号20~22のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号24~26のアミノ酸配列を含み、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号28~30のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号32~34のアミノ酸配列を含み、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が配列番号36~38のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が配列番号40~42のアミノ酸配列を含む。
【0008】
一実施形態では、抗NKG2D抗体のそれぞれは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、以下の配列番号11及び15、配列番号19及び23、配列番号27及び31、又は配列番号35及び39の対のうちの1つであり得る。
【0009】
一実施形態では、本開示は、薬学的に許容される担体及び本明細書に開示される抗NKG2D抗体を含む組成物を提供する。
【0010】
本開示はまた、本明細書に開示される抗NKG2D抗体をコードするポリヌクレオチド配列、ならびにそのようなポリヌクレオチド配列を含むベクター及び宿主細胞を提供する。
【0011】
一実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、癌、自己免疫疾患、GvHD、ウイルス感染又は細菌感染などの疾患を治療するために使用することができる。別の実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、NKG2Dに関連する疾患を治療するために使用することができる。別の実施形態では、本明細書に開示される抗NKG2D抗体を使用して、NKG2Dの過剰発現に関連する疾患を治療することができる。
【0012】
抗NKG2D抗体のこれら及び他の態様は、抗NKG2D抗体の図面及び詳細な説明の以下の記載から理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
抗NKG2D抗体のいくつかの実施形態及びその使用は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書で説明される。ここで特に図面を詳細に参照すると、示されている詳細は、例示のためのものであり、抗NKG2D抗体の実施形態及びその使用の説明に役立つ議論を目的としていることが強調されている。この点で、図面と併せて行われる説明により、抗NKG2D抗体の実施形態及びその使用がどのように実践され得るかが当業者に明らかとなる。
図1A】組換えヒトNKG2D-ECD-Fc(ヒトFcに融合されたNKG2Dの細胞外ドメイン)に対する免疫化後のマウス血清試験採血(TB)又は免疫化前の前採血(PB)の結合を示す。図1Aは、Balb/cマウス(マウス#8741、8741、8743、8744、8745)又はSJLマウス(マウス#8746、8747、8748、8749、8750)由来の血清のELISA結合の結果を示す。
図1B】組換えヒトNKG2D-ECD-Fc(ヒトFcに融合されたNKG2Dの細胞外ドメイン)に対する免疫化後のマウス血清試験採血(TB)又は免疫化前の前採血(PB)の結合を示す。図1Bは、CHO細胞において過剰発現されたヒトNKG2D/Dap 10に対する、又はCHO細胞において過剰発現されたcyno-NKG2D/Dap10に対する、Balb/cマウス(マウス#8741、8741、8743、8744、8745)及びSJLマウス(マウス#8746、8747、8748、8749、8750)由来の血清のFACS結合を示すが、CHO親細胞では反応性は観察されなかった。hIgG1:陰性ヒトIgG対照。mIgG1:陰性マウスIgG対照。NKG2D Ab:陽性対照hIgG mAb。
図2】選択されたマウスハイブリドーマクローンの同一性を列挙する。
図3】ELISAによる選択された精製mAb(mAb001~mAb020)のNKG2D-ECD-Fc抗原への結合を示す。
図4A-1】ヒト又はcynoNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への選択された精製mAb(mAb001~mAb020)のFACS結合を示す。図4Aは、ヒトNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への結合を示す。
図4A-2】ヒト又はcynoNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への選択された精製mAb(mAb001~mAb020)のFACS結合を示す。図4Aは、ヒトNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への結合を示す。
図4B】ヒト又はcynoNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への選択された精製mAb(mAb001~mAb020)のFACS結合を示す。図4Bは、cyno NKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への結合を示す。
図4C】ヒト又はcynoNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への選択された精製mAb(mAb001~mAb020)のFACS結合を示す。図4Cは、初代NK細胞への結合を提示し、全てのmAbにおける用量依存的結合(100nM、各mAbについて左のバー;又は10nM、各mAbの右側のバー)を、様々な平均蛍光強度(MFI)と共に示した。Tab KYK2.0は、FcにLALA P329G変異を有する陽性抗NKG2D-ヒトIgG1抗体である。ヒトIgG1LALA P328Gは、Fc中にLALA P329G変異を有するヒトIgG陰性対照Abである。
図5】ELISAによって行われたエピトープビニング分析を要約し、以下のような4つの異なる群を示す。群1(長方形の連続線)は、mAb001、002、003、004、005、006、008、011、013、015、017、018、020を集める。群2(連続円)は、mAb007、010、014を集める。群3(長方形破線)は、mAb012、016、019を集める。群4(円形破線)はmAb009を集める。
図6A】100nM(各mAbについて左のバー)又は10nM(各mAbについて右のバー)での精製抗NKG2D mAb(mAb001~mAb020)の結合時のNK細胞の活性化を示す。図6Aは、CD107a活性化マーカーの蓄積を示す。APC CD107Aは、抗NKG2D mAbクローン結合を伴わない抗CD107A抗体染色であり、APC mIgGは、陰性対照マウスIgG抗体である。IM-1060は陽性対照トリボディであり、IM-1091は陰性対照トリボディである。
図6B】100nM(各mAbについて左のバー)又は10nM(各mAbについて右のバー)での精製抗NKG2D mAb(mAb001~mAb020)の結合時のNK細胞の活性化を示す。図6Bは、IFN-γ分泌を示す。IM-1091は陰性対照トリボディである。
図7】選択された精製mAb(mAb001~mAb020)によるNKG2D-MICA(MICA-MHCクラスIポリペプチド-関連配列A)相互作用の阻害を示す。
図8A】トリボディ構造の一実施形態を示す。
図8B】Proトリボディ構造の一実施形態を示す。
図8C】様々なトリボディ分子の同一性を列挙する。
図9】SDS-PAGEによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
【0014】
【表1】
図10A】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図10B】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図10C】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図10D】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図10E】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図10F】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図10G】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図10H】分析SECによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251)の特徴付けを示す。
図11】ELISAによるトリボディタンパク質(IM1244~IM1251、IM1060及びIM1091)のNK2Gタンパク質への結合を示す。IM-1060は陽性対照トリボディであり、IM-1091は陰性対照トリボディである。
図12A】トリボディタンパク質(IM1244~IM1251、IM1060及びIM1091)の、ヒトNK2Gタンパク質を過剰発現するCHO細胞(図12A)又はcynoNKG2Dを過剰発現するCHO細胞(図12B)への結合を示す。IM-1060は陽性対照トリボディであり、IM-1091は陰性対照トリボディである。
図12B】トリボディタンパク質(IM1244~IM1251、IM1060及びIM1091)の、ヒトNK2Gタンパク質を過剰発現するCHO細胞(図12A)又はcynoNKG2Dを過剰発現するCHO細胞(図12B)への結合を示す。IM-1060は陽性対照トリボディであり、IM-1091は陰性対照トリボディである。
図13】300nM、60nM、12nM及び2.4nMでのトリボディタンパク質(IM1245、IM1246、IM1249、IM1250、IM1060及びIM1091)によるNK細胞活性化を示す(バー、左から右)。E+T APC-CD 107は、NKG2D mAbの非存在下でのCD107a染色である。E APC-CD107は、NKG2D mAb及び標的細胞の非存在下におけるCD107染色である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、単離された抗NKG2D抗体を提示し、ここで、抗NKG2D mAbの固有のCDR配列がヒト化フレームワーク内に提供される(キメラ抗体;ヒト化抗体)。加えて、これらの抗NKG2D抗体のNKG2D抗原結合領域の多価抗体構築物への組み込みが実証される。本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、医学的状態、例えば癌のための免疫療法処置として潜在的に使用され得る。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、用語「免疫グロブリン」と交換可能に使用され得、全て同じ性質及び意味を有する。抗体結合ドメイン又は抗原結合部位は、抗体の断片、又は抗体の1つ以上の断片の遺伝子操作された産物であり得、この断片は、標的抗原との特異的結合に関与する。「特異的に結合する」とは、結合が目的の抗原に対して選択的であり、望ましくない相互作用又は非特異的相互作用と区別することができることを意味する。例えば、平衡解離定数が≦10-5、10-6、又は10-7Mである場合、抗体はNKG2Dエピトープに特異的に結合すると言われる。一部の実施形態では、平衡解離定数は≦10-8M又は10-9Mであってもよい。一部の更なる実施形態では、平衡解離定数は≦10-10M、10-11M、又は10-12Mであってもよい。いくつかの実施形態では、平衡解離定数は≦10-5M~10-12Mの範囲であり得る。
【0017】
半最大有効濃度(EC50)は、特定の曝露時間後にベースラインと最大応答との間の中間の応答を誘導する薬物、抗体又は毒物の濃度を指す。いくつかの実施形態では、応答は、結合親和性を含む。いくつかの実施形態において、応答は、機能的応答、例えばアゴニスト応答を含む。当業者は、特定の実施形態において本明細書で使用される場合、本明細書に開示される抗NKG2D抗体のEC50測定値が、NKG2D抗原に対する抗NKG2D抗体の最大半量結合(EC50結合)の尺度を提供することを理解するであろう。当業者は、特定の実施形態において本明細書で使用される場合、本明細書に開示される抗NKG2D抗体のEC50測定値が、アゴニスト応答(EC50機能的アゴニズム)を誘導する抗NKG2D抗体の最大半量有効濃度の尺度を提供することを理解するであろう。
【0018】
いくつかの実施形態において、EC50は、抗体結合時に観察されるであろう50%アゴニスト応答を得るのに必要な抗体の濃度を含む。特定の実施形態では、EC50の尺度は、薬物の効力の尺度として一般に使用され、いくつかの実施形態では、抗体の受容体への結合を反映し得る。いくつかの実施形態では、ナノモル濃度のEC50結合濃度測定値を有する抗NKG2D抗体は、強い結合抗NKG2D抗体を含む。いくつかの実施形態において、ナノモル濃度のEC50機能的アゴニズム濃度測定値を有する抗NKG2D抗体は、機能的に有効なアゴニスト抗体を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、NKG2D分子に対する強固な結合剤を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、NKG2D分子のアゴニストを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、NKG2D分子に対する強固な結合アゴニストを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗NKG2D抗体の結合EC50はナノモル範囲である。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.1~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.1~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約20~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約40~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約60~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約80~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約5~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.05~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約0.01~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の結合EC50は、約1~15nMの範囲を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、機能的アゴニズムを測定するEC50は、本明細書において、全て同じ性質を有する関数EC50と称される。いくつかの実施形態では、抗NKG2D抗体の機能的EC50はナノモル範囲である。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.1~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.1~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約20~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約40~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約60~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約80~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約5~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.05~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約0.01~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体の機能的EC50は、約1~15nMの範囲を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、IgG、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、Fab断片、F(ab’)断片、scFv断片、Fv断片、ナノボディ、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及び単一ドメイン抗体を含むがこれらに限定されない、結合特異性を保持する抗体断片(複数可)を包含する(例えば、Hudson and Souriau,Nature Med.9;129:134-2003を参照されたい)。ヒト化抗体、霊長類化抗体、及びキメラ抗体も、これらの用語が当技術分野で一般に理解されているので、包含される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、抗原結合部位が調節ドメインによって遮断され得る前駆体構築物を含み、結合部位の曝露は、環境条件に基づく調節された曝露、例えば、限定されないが、腫瘍微小環境への曝露を含む。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「重鎖可変領域」は、用語「VHドメイン」又は用語「VH」と交換可能に使用され得、全て同じ意味及び性質を有する。本明細書中で使用される場合、用語「軽鎖可変領域」は、用語「VLドメイン」又は用語「VL」と交換可能に使用され得、全て同じ意味及び性質を有する。当業者は、抗体に関する「重鎖可変領域」又は「VH」が、フレームワーク領域として知られる隣接ストレッチ間に挿入された3つの相補性決定領域(CDR)を含有する重鎖の断片を包含することを認識するであろう。フレームワーク領域は、CDRよりも高度に保存されており、CDRを支持する足場を形成する。同様に、当業者はまた、抗体に関する「軽鎖可変領域」又は「VL」が、フレームワーク領域間に挿入された3つのCDRを含有する軽鎖の断片を包含することを認識するであろう。
【0025】
本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、重鎖又は軽鎖可変領域の超可変領域(複数可)を指す。N末端から進んで、重鎖又は軽鎖ポリペプチドの各々は、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」として示される3つのCDRを有する。多くの抗原-抗体複合体の結晶学的分析は、CDRのアミノ酸残基が結合抗原との広範な接触を形成することを実証した。したがって、CDR領域は主に抗原結合部位の特異性に関与する。一実施形態では、抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖可変領域のそれぞれに由来するCDRを含む6つのCDRを含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」又は「FR」という用語は、重鎖又は軽鎖可変領域のCDRをフレーム化する4つの隣接アミノ酸配列を指す。いくつかのFR残基は、結合した抗原と接触し得る。しかしながら、FR残基は主に、可変領域を抗原結合部位に折り畳むことに関与する。いくつかの実施形態において、可変領域の折り畳みに関与するFR残基は、CDRに直接隣接する残基を含む。FR内では、特定のアミノ残基及び特定の構造的特徴が非常に高度に保存されている。これに関して、全ての可変領域配列は、約90アミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含む。可変領域が抗原結合部位に折り畳まれる場合、CDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして表示される。正確なCDRアミノ酸配列にかかわらず、ある特定の「カノニカル」構造へのCDRループの折り畳み形状に影響を及ぼすFRの保存された構造領域が存在することが一般に認識されている。更に、特定のFR残基は、抗体重鎖及び軽鎖の相互作用を安定化させる非共有結合性ドメイン間接触に関与することが知られている。
【0027】
抗体は、様々な形式で、又は相補性決定領域(CDR)、可変領域(Fv)、VHドメイン、VLドメイン、単鎖可変領域(scFv)、及びFab断片が挙げられるが、これらに限定されない様々なドメインを有して存在し得る。
【0028】
当業者は、scFvが、短いリンカーペプチドによって連結された、免疫グロブリンの可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)領域を含む融合ポリペプチドであることを理解するであろう。リンカーは、例えば、10~約25個のアミノ酸を有し得る。
【0029】
当業者はまた、抗体に関する「Fab」という用語が、一般に、ジスルフィド結合によって単一重鎖の可変領域及び第1の定常領域に結合した単一軽鎖(可変領域及び定常領域の両方)からなる抗体の部分を包含するのに対して、F(ab’)は、VHドメインを含む重鎖及びVLドメインを含む軽鎖の断片を含むことを理解するであろう。
【0030】
いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を含む全抗体分子を包含する。一部の実施形態では、抗体は、可変重鎖(VH)断片、可変軽鎖(VL)断片、Fab断片、F(ab’)断片、scFv断片、Fv断片、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディを含むが、これらに限定されない、結合特異性を保持する抗体断片(複数可)を包含する。
【0031】
一実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、二重特異性抗体の一部として組み込むことができる。当技術分野で一般的に知られているように、二重特異性抗体は、2つの異なるモノクローナル抗体の抗原結合断片を含み、それによって2つの異なる抗原に結合することができる組換えタンパク質である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、NKG2Dに対して二価である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、NKG2Dへの結合について一価である。
【0032】
一実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、多重特異性抗体の一部として組み込むことができる。一実施形態では、多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるモノクローナル抗体、例えば2つ、3つ又は4つの異なるモノクローナル抗体の抗原結合断片を含む組換えタンパク質である。一実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、三重特異性抗体の一部として組み込むことができる。
【0033】
一部の実施形態では、二重特異性、三重特異性、又は多重特異性抗体は、1つ以上の抗原標的、例えば、細胞傷害性T細胞(CTL)ならびに腫瘍関連抗原(TAA)を同時に標的化することによって、又はCD3、エフェクターナチュラルキラー(NK)細胞、及び腫瘍関連抗原(TAA)などのCTL受容体構成要素を同時に標的化することによって、癌免疫療法に使用される。
【0034】
抗NKG2D抗体
本開示は、いくつかの抗NKG2D抗体を提供する。一実施形態では、抗NKG2D抗体のそれぞれは、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)のセット(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)及び軽鎖上の3つのCDRのセット(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む。
【0035】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号12~14のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号16~18のアミノ酸配列を含む。
【0036】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号20~22のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号24~26のアミノ酸配列を含む。
【0037】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号28~30のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号32~34のアミノ酸配列を含む。
【0038】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号36~38のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号40~42のアミノ酸配列を含む。
【0039】
別の実施形態において、抗NKG2D抗体は、上記のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一である重鎖及び軽鎖CDR配列を含む。
【0040】
一実施形態では、本明細書に提示される抗NKG2D抗体のそれぞれは、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、以下の配列番号11及び15配列番号19及び23、配列番号27及び31、又は配列番号35及び39の対のうちの1つであり得る。別の実施形態において、抗NKG2D抗体は、上記のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一であるVH及びVL配列を含む。
【0041】
一実施形態では、本明細書に開示される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列を考慮して、当業者は、抗NKG2D scFvを構築するために当技術分野で公知の標準技術を容易に使用するであろう。
【0042】
特定の実施形態において、本開示は、適切な条件下で二量体化され得るVH及びVLドメインを含むポリペプチドを提供する。例えば、VH及びVLドメインは、適切な緩衝液中で組み合わされ、疎水性相互作用などの適切な相互作用を介して二量体化され得る。別の実施形態では、VH及びVLドメインは、VH及びVLドメインの二量体化を促進することができる酵素及び/又は補因子を含有する適切な緩衝液中で組み合わせることができる。別の実施形態において、VHドメイン及びVLドメインは、適切な試薬及び/又は触媒の存在下で互いに反応することを可能にする適切なビヒクル中で組み合わされ得る。
【0043】
特定の実施形態では、VH及びVLドメインは、例えば、定常領域、ヒンジ領域、リンカー領域、Fc領域、もしくはジスルフィド結合領域、又はそれらの任意の組み合わせを含み得るがこれらに限定されない、より長いポリペプチド配列内に含有され得る。定常ドメインは、免疫グロブリン分子の定常部分の免疫グロブリン折り畳み単位であり、定常領域(例えば、CH1、CH2、CH3、CH4、Ck、Cl)のドメインとも呼ばれる。いくつかの実施形態において、より長いポリペプチドは、本明細書に開示される方法に従って生成されたVH及びVLドメインの一方又は両方の複数のコピーを含んでもよい。例えば、本明細書において生成されるポリペプチドが、ダイアボディ又はトリアボディを形成するために使用される場合。
【0044】
一実施形態では、本明細書に提示される抗NKG2D抗体は、IgG、Fv、scFv、Fab、F(ab’)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、二重特異性抗体、三重特異性抗体、多重特異性抗体、又は単一ドメイン抗体であり得る。例えば、抗NKG2D抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4などのIgGであり得る。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体は、IgG1を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体は、IgG2を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体は、IgG3を含む。いくつかの実施形態において、抗NKG2D抗体は、IgG4を含む。
【0045】
一実施形態において、本開示は、NKG2Dに高い親和性で結合する抗体を提供する。一実施形態において、結合親和性は、Frankel et al.(Mol.Immunol.,16:101-106,1979)によって記載されているスキャッチャード法の改変法によって計算される。別の実施形態において、結合親和性は、抗原/抗体解離速度によって測定される。別の実施形態において、結合親和性は、競合ラジオイムノアッセイによって測定される。別の実施形態において、結合親和性は、ELISAによって測定される。別の実施形態において、抗体親和性は、フローサイトメトリーによって測定される。
【0046】
一実施形態では、本開示はまた、本明細書に記載の重鎖及び軽鎖CDRをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を提供する。別の実施形態において、本開示はまた、そのようなポリヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。本明細書中に開示されるアミノ酸配列を考慮して、当業者は、このアミノ酸配列をコードするベクター又はプラスミドを容易に構築するであろう。別の実施形態では、本開示はまた、本明細書で提供されるベクターを含む宿主細胞を提供する。使用及び実験条件に依存して、当業者は、上記のポリヌクレオチド配列を保有及び/又は発現するために適切な宿主細胞を容易に使用するであろう。
【0047】
一実施形態において、本開示はまた、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖可変領域をコードする単離されたポリヌクレオチド配列を提供する。別の実施形態において、本開示はまた、そのようなポリヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。本明細書中に開示されるアミノ酸配列を考慮して、当業者は、このアミノ酸配列をコードするベクター又はプラスミドを容易に構築するであろう。別の実施形態では、本開示はまた、本明細書で提供されるベクターを含む宿主細胞を提供する。使用及び実験条件に依存して、当業者は、上記のポリヌクレオチド配列を保有及び/又は発現するために適切な宿主細胞を容易に使用するであろう。
【0048】
以下の表(表1)は、抗NKG2D抗体クローンの名称、ならびに対応するVH、VL及びCDRについての配列番号を列挙する。
【0049】
【表2】
【0050】
使用のための組成物
一実施形態において、本開示はまた、本明細書に開示される抗NKG2D抗体及び薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。有用な薬学的に受容可能な担体は、当該分野で周知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,15th Edition,1975は、本明細書に開示される抗体の薬学的送達に適した組成物及び製剤を記載している。一実施形態では、組成物は、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)のセット(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)及び軽鎖上の3つのCDRのセット(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む抗NKG2D抗体を含む。
【0051】
組成物の一部の実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号12~14のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号16~18のアミノ酸配列を含む。
【0052】
組成物の一部の実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号20~22のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号24~26のアミノ酸配列を含む。
【0053】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、HCDR3は、配列番号28~30のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号32~34のアミノ酸配列を含む。
【0054】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、HCDR3は、配列番号36~38のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号40~42のアミノ酸配列を含む。
【0055】
別の実施形態において、組成物は、上記のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一である重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗NKG2D抗体を含む。
【0056】
別の実施形態において、組成物は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の以下の:配列番号11及び15、配列番号19及び23、配列番号27及び31、又は配列番号35及び39の対のうちの1つを有する抗NKG2D抗体を含む。
【0057】
別の実施形態において、組成物は、上記のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一であるVH及びVL配列を有する抗NKG2D抗体を含む。
【0058】
組成物のいくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、コンジュゲートの形態であり得る。本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」は、エフェクター分子又は第2のタンパク質(第2の抗体など)に共有結合された抗体又は抗体断片(抗原結合断片など)である。エフェクター分子は、例えば、薬物、毒素、治療剤、検出可能な標識、タンパク質、核酸、脂質、ナノ粒子、炭水化物又は組換えウイルスであり得る。抗体コンジュゲートは、「イムノコンジュゲート」と呼ぶこともできる。コンジュゲートが薬物(例えば、細胞毒性剤)に連結された抗体を含む場合、コンジュゲートは「抗体-薬物コンジュゲート」と呼ぶことができる。他の抗体コンジュゲートとしては、例えば、多重特異性(例えば、二重特異性又は三重特異性)抗体及びキメラ抗原受容体(CAR)が挙げられる。
【0059】
抗NKG2D抗体又はその抗原結合断片を含む組成物は、単独で、又は担体、すなわち薬学的に許容される担体と組み合わせて対象(例えば、ヒト又は動物)に投与することができる。薬学的に許容されるとは、生物学的に又は他の点で望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、その材料は、いかなる望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく、又はそれが含有される医薬組成物の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用することなく、対象に投与することができる。当業者に周知であるように、担体は、本明細書中に開示されるポリペプチドの任意の分解を最小にし、そして対象における任意の有害な副作用を最小にするように選択される。医薬組成物は、製薬分野で周知の任意の方法で調製することができる。
【0060】
本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、局所又は全身処置が所望されるかどうかに応じて、任意の好適な様式で(例えば、哺乳動物、細胞、又は組織に)投与することができる。例えば、組成物は、局所的に(例えば、眼、膣、直腸、鼻腔内、経皮など)、経口的に、吸入によって、又は非経口的に(静脈内点滴又は皮下、腔内、腹腔内、皮内もしくは筋肉内注射によるものを含む)投与することができる。局所鼻腔内投与は、鼻孔の一方又は両方を通して鼻及び鼻腔に組成物を送達することを指す。組成物は、噴霧機構もしくは液滴機構によって、又はエアロゾル化を介して送達され得る。あるいは、投与は、腫瘍内、例えば、局所又は静脈内注射であり得る。
【0061】
組成物が非経口投与される場合、投与は一般的に注射による。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中に懸濁するのに適した固体形態、又はエマルジョンのいずれかとして、従来の形態で調製することができる。更に、非経口投与は、一定の投与量を維持するために、徐放性又は持続放出系の調製を含むことができる。
【0062】
使用方法
一実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、癌、自己免疫疾患、GvHD、ウイルス感染又は細菌感染などの疾患を治療するために使用することができる。別の実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、NKG2Dに関連する疾患を治療するために使用することができる。別の実施形態では、本明細書に開示される抗NKG2D抗体を使用して、NKG2Dの過剰発現に関連する疾患を治療することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、細胞傷害活性を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、癌又は腫瘍細胞に対して細胞傷害性である。
【0064】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗NKG2D抗体は、癌又は腫瘍に対する方法において使用することができる。一部の実施形態では、癌又は腫瘍は、固形癌又は腫瘍を含む。一部の実施形態では、癌又は腫瘍は、非固形(びまん性)癌又は腫瘍を含む。一部の実施形態では、癌又は腫瘍は、癌又は腫瘍の転移を含む。
【0065】
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、所与の作業を達成するための様式、手段、技術及び手順を指し、化学、薬学、生物学、生化学及び医学分野の従事者に既知の、又は彼らによって既知の様式、手段、技術及び手順から容易に開発される様式、手段、技術及び手順を含むが、それらに限定されない。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」、又は「療法」(ならびにそれらの異なる形態)は、予防的又は防止的手段を含む治療的処置を指し、その目的は、疾患又は状態に関連する望ましくない生理学的変化を防止又は減速(軽減)することである。有益な又は所望の臨床結果としては、限定されるものではないが、症状の緩和、疾患又は状態の程度の減少、疾患又は状態の安定化(すなわち、疾患又は状態が悪化しない場合)、疾患又は状態の進行の遅延又は減速、疾患又は状態の改善又は緩和、及び検出可能であるか検出不能であるかにかかわらず疾患又は状態の寛解(部分的であるか全体的であるかにかかわらず)が挙げられる。治療を必要とする者には、既に疾患もしくは状態を有する者、ならびに疾患もしくは状態を有する傾向がある者、又は疾患もしくは状態が予防されるべき者が含まれる。
【0067】
「対象」、「個体」及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され、本発明の抗NKG2D抗体による組成物又は製剤による治療が提供されるヒト又は非ヒト動物を指す。「非ヒト動物」及び「非ヒト哺乳動物」という用語は、本明細書において互換的に使用され、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(例えば、高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウスもしくはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマなどの哺乳動物、又は爬虫類、両生類、ニワトリ、及びシチメンチョウなどの非哺乳動物を含む。本明細書に記載の組成物は、サル及びヒトなどの霊長類、ウマ、ウシ、ネコ、イヌ、ウサギ、ならびにラット及びマウスなどの齧歯類を含む、任意の適切な哺乳動物を治療するために使用することができる。一実施形態において、治療される哺乳動物はヒトである。ヒトは、任意の年齢の任意のヒトであり得る。一実施形態では、患者は成人である。別の実施形態において、ヒトは小児である。ヒトは、男性、女性、妊婦、中年、青年、又は高齢者であり得る。
【0068】
本明細書に開示される方法における使用に好適な医薬組成物には、活性成分が意図された目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物が含まれる。一実施形態では、治療有効量とは、疾患の症状を予防、軽減もしくは改善するか、又は治療を受ける対象の生存を延長するのに有効な活性成分の量を意味する。治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「調節する」とは、分子標的又は経路の活性を「刺激する」又は「阻害する」ことを指す。例えば、組成物は、分子標的又は経路の活性を、同じ条件下であるが組成物の存在のみを欠く分子標的又は経路の活性と比較して、少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は約99%以上刺激又は阻害する場合、分子標的又は経路の活性を調節する。別の例では、組成物は、同じ条件下であるが組成物の存在のみを欠く分子標的又は経路の活性と比較して、分子標的又は経路の活性を少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍刺激又は阻害する場合、分子標的又は経路の活性を調節する。分子標的又は経路の活性は、任意の再現可能な手段によって測定され得る。分子標的又は経路の活性は、インビトロ又はインビボで測定することができる。例えば、分子標的又は経路の活性は、活性を測定する当技術分野で公知の適切なアッセイによってインビトロ又はインビボ測定することができる。対照試料(組成物で処理されていない)には、100%の相対活性値を割り当てることができる。
【0070】
一実施形態において、本方法は、本明細書に開示される抗NKG2D抗体の有効量を含む組成物を対象に投与するステップを含む。一実施形態において、組成物は、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗NKG2D抗体を含む。別の実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるVH及びVL配列を有する抗NKG2D抗体を含む。
【0071】
当業者は、いくつかの実施形態において、免疫応答の調節が、本明細書に記載される抗NKG2D抗体の使用を伴わない予想される結果が炎症であった状況における炎症の低減又は炎症の排除を包含することを理解するであろう。当業者はまた、いくつかの実施形態において、腫瘍又は癌を治療することが、本明細書に記載される抗NKG2D抗体を使用しない転帰と比較して、腫瘍又は癌の腫瘍サイズ、成長、及び/又は拡散の低減を包含することを理解するであろう。
【0072】
一実施形態では、本開示は、有効量の本明細書に開示される抗NKG2D抗体を含む組成物を対象に投与するステップを含む、対象における疾患を治療する方法を提供する。一実施形態において、組成物は、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗NKG2D抗体を含む。別の実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるVH及びVL配列を有する抗NKG2D抗体を含む。
【0073】
一実施形態では、本開示はまた、対象における疾患を治療するための抗NKG2D抗体を含む組成物の使用を提供する。一実施形態において、組成物は、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗NKG2D抗体を含む。別の実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるVH及びVL配列を有する抗NKG2D抗体を含む。
【0074】
一実施形態では、所望の効果を誘発するために必要とされる本ポリペプチド又はその組成物の正確な量は、対象の種、年齢、性別、体重、及び全身状態、特定のポリペプチド、投与経路、ならびに他の薬物がレジメンに含まれるかどうかに応じて、対象ごとに異なる。従って、全ての組成物について正確な量を特定することは不可能である。しかし、適切な量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定され得る。投薬量は変動し得、ポリペプチドは、1日1回以上(例えば、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上)の用量で、1日以上にわたって投与され得る。抗体の適切な用量を選択する際のガイダンスは、文献において容易に見出すことができる。
【0075】
一実施形態において、疾患は、ウイルス感染、細菌感染、癌、自己免疫疾患又は免疫障害であり得る。一実施形態において、疾患は、上気道ウイルス感染症、初期段階の肺感染症、又は後期段階の肺感染症であり得る。多くの疾患及び癌がウイルスによって引き起こされることが知られている。疾患を引き起こすウイルスの例としては、ノロウイルス、ロタウイルス;肝炎ウイルスA、B、C、D、又はE;狂犬病ウイルス、西ナイルウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、HSV-2、水痘・帯状疱疹ウイルス、蚊媒介ウイルス、アルボウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポリオウイルス、ジカウイルス、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エンテロウイルスD68、重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルス、SARSコロナウイルス2、エプスタイン・バーウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ポリオーマウイルス(JCウイルス、BKウイルスなど)、エボラウイルス、デング熱ウイルス、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0076】
別の実施形態では、病気は、限定されないが、カルシノーマ、サルコーマ、リンパ種、白血病、胚細胞性腫瘍、芽腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨悪性線維性組織球腫、骨肉種、横紋筋肉腫、心臓癌、脳癌、アストロサイトーマ、グリオーマ、髄芽細胞腫、神経芽細胞種、乳癌、髄様カルシノーマ、副腎皮質腫瘍、甲状腺癌、メルケル細胞癌、眼癌、胃腸癌、大腸癌、胆のう癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、肝細胞癌、膵臓癌、直腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、腎細胞癌、前立腺癌、精巣癌、尿道癌、子宮肉腫、腟癌、頭部癌、頚部癌、鼻咽頭癌、造血癌、非ホジキンリンパ腫、皮膚癌、基底細胞癌、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、又はそれらの任意の組み合わせであり得る癌である。
【0077】
自己免疫疾患又は自己免疫障害の例には、以下が含まれるが、これらに限定されず、関節炎(急性関節炎、慢性関節リウマチ、痛風又は痛風性関節炎、急性痛風性関節炎、急性免疫性関節炎、慢性炎症性関節炎、変性関節炎、II型コラーゲン誘発性関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎、スティル病、椎骨関節炎、及び若年性関節リウマチ、変形性関節炎、慢性進行性関節炎、変形性関節炎、慢性原発性多発性関節炎、反応性関節炎、及び強直性脊椎炎などの関節リウマチ)、炎症性過剰増殖性皮膚疾患、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬及び爪の乾癬などの乾癬、花粉症やジョブ症候群などのアトピー性疾患を含むアトピー、接触皮膚炎、慢性接触皮膚炎、剥離性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、疱疹状皮膚炎、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、非特異的皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、及びアトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、X連鎖高IgM症候群、アレルギー性眼内炎症疾患、慢性アレルギー性蕁麻疹及び慢性自己免疫性蕁麻疹を含む慢性特発性蕁麻疹などの蕁麻疹、筋炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、中毒性表皮壊死融解症、強皮症(全身性強皮症を含む)、全身性硬化症などの硬化症、脊髄光学型MSなどの多発性硬化症(MS)、原発進行性MS(PPMS)、再発寛解型MS(RRMS)、進行性全身性硬化症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、播種性硬化症、失調性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫介在性胃腸疾患、潰瘍性大腸炎、潰瘍性結腸炎、顕微鏡的大腸炎、膠原性大腸炎、ポリポーサ性大腸炎、壊死性腸炎、経壁性大腸炎などの大腸炎、自己免疫性炎症性腸疾患)、腸炎、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、呼吸窮迫症候群、成人又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む、髄膜炎、ぶどう膜の全体又は一部の炎症、虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液疾患、リウマチ性脊椎炎、リウマチ性滑膜炎、遺伝性血管浮腫、髄膜炎などの脳神経損傷、妊娠ヘルペス、妊娠類天疱瘡、陰嚢そう痒症、自己免疫性早発卵巣不全、自己免疫疾患による突発性難聴、アナフィラキシーやアレルギー性鼻炎、アトピー性鼻炎などのIgE介在疾患、ラスムッセン脳炎及び辺縁系脳炎及び/又は脳幹脳炎などの脳炎、前ぶどう膜炎、急性前ぶどう膜炎、肉芽腫性ぶどう膜炎、非肉芽腫性ぶどう膜炎、水晶体抗原性ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、又は自己免疫性ぶどう膜炎などのぶどう膜炎、ネフローゼ症候群を伴う又は伴わない糸球体腎炎(GN)、例えば慢性又は急性糸球体腎炎(原発性GN、免疫介在性GNなど)、膜性GN(膜性腎症)、特発性膜性GN又は特発性膜性腎症、膜性又は膜性増殖性GN(MPGN)、これはタイプIとタイプIIを含み、急速に進行するGN、増殖性腎炎、自己免疫性多腺内分泌不全、形質細胞性亀頭包皮炎、亀頭包皮炎を含む亀頭炎、遠心性環状紅斑、乾癬性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、滲出性苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純苔癬、棘状苔癬、扁平苔癬、層状魚鱗癬、表皮溶解性角化症、壊疽性膿皮症、アレルギー症状と反応、アレルギー反応、アレルギー性湿疹又はアトピー性湿疹脂肪性湿疹、異汗性湿疹、及び水疱性掌蹠湿疹を含む湿疹、気管支喘息、気管支喘息、自己免疫性喘息などの喘息、T細胞の浸潤と慢性炎症反応を伴う症状、妊娠中の胎児のA-B-0血液型などの外来抗原に対する免疫反応、慢性肺炎症性疾患、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全、ループス腎炎、ループス脳炎、小児ループス、非腎性ループス、腎外ループス、円板状ループス及び円板状エリテマトーデス、脱毛症ループスを含むループス、全身性エリテマトーデス(SLE)、例えば、皮膚SLE又は亜急性皮膚SLEなど、新生児ループス症候群(NLE)、播種性エリテマトーデス、若年性発症(I型)糖尿病、これには、小児のインスリン依存性糖尿病(IDDM)や成人発症型糖尿病(II型糖尿病)が含まれる。また、サイトカイン及びTリンパ球、サルコイドーシス、リンパ腫様肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症を含む肉芽腫症、無顆粒球症、以下を含む血管炎、脈管炎、大血管炎(リウマチ性多発筋痛及び巨T細胞(高安)動脈炎を含む)、中血管炎(川崎病及び結節性多発性動脈炎/結節性動脈周囲炎を含む)、顕微鏡的多発性動脈炎、免疫血管炎、中枢神経系血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、全身性壊死性血管炎及びANCA関連血管炎などの壊死性血管炎、チャーグ・シュトラウス血管炎又は症候群(CSS)及びANCA関連小血管炎、側頭動脈炎、再生不良性貧血、自己免疫性再生不良性貧血、クームズ陽性貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、溶血性貧血又は自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を含む免疫性溶血性貧血、アジソン病、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球透析を伴う疾患、CNS炎症性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、敗血症、外傷、出血に続発する多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体介在性疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病/症候群、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、類天疱瘡及び皮膚類天疱瘡などの類天疱瘡、天疱瘡(尋常性天疱瘡、葉状天疱瘡、粘液膜性天疱瘡、及びエリテマトーデス天疱瘡を含む)、自己免疫性多発内分泌症、ライター病又は症候群、熱傷、子癇前症、免疫複合体腎炎、抗体媒介性腎炎などの免疫複合体疾患、多発性神経障害、IgM多発性神経障害やIgM介在性神経障害などの慢性神経障害、慢性又は急性ITPを含む特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などの自己免疫性又は免疫介在性血小板減少症、特発性角膜強膜炎、上強膜炎などの強膜炎、自己免疫性精巣炎及び卵巣炎を含む精巣及び卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫性甲状腺炎などの甲状腺炎を含む自己免疫性内分泌疾患、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、又は亜急性甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、特発性甲状腺機能低下症、バセドウ病、自己免疫性多腺症候群(又は多腺内分泌障害症候群)、腫瘍随伴症候群などの多腺症候群、これはランバート・イートン筋無力症候群又はイートン・ランバート症候群、スティフマン又はスティフパーソン症候群などの神経性腫瘍随伴症候群を含む、アレルギー性脳脊髄炎又はアレルギー性脳脊髄炎及び実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)などの脳脊髄炎、胸腺腫関連重症筋無力症などの重症筋無力症、小脳変性、神経ミオトニー、オプソクローヌス又はオプソクローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、感覚神経障害、多巣性運動神経障害、シーハン症候群、自己免疫性肝炎、慢性肝炎、ルポイド肝炎、巨T細胞肝炎、慢性活動性肝炎又は自己免疫性慢性活動性肝炎、リンパ性間質性肺炎(LIP)、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、ギラン・バレー症候群、バーガー病(IgA腎症)、特発性IgA腎症、線状IgA皮膚症、急性発熱性好中球性皮膚症、角膜下膿疱性皮膚症、一過性の表皮溶解性皮膚症、原発性胆汁性肝硬変や肺単硬変などの肝硬変、自己免疫性腸症症候群、セリアック病又はセリアック病、セリアック病(グルテン腸症)、難治性スプルー、特発性スプルー、クリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリッグ病)、冠動脈疾患、自己免疫性内耳疾患(AIED)などの自己免疫性耳疾患、自己免疫性難聴、難治性又は再発性多発性軟骨炎などの多発性軟骨炎、肺胞タンパク質症、コーガン症候群/非梅毒性間質性角膜炎、ベル麻痺、スウィート病/症候群、自己免疫酒さ、帯状疱疹関連疼痛、アミロイドーシス、非癌性リンパ球増加症、原発性リンパ球増加症(モノクローナルB細胞リンパ球増加症を含む)(例:良性モノクローナルガンマグロビン症及び意義不明のモノクローナルガンマグロビン症、MGUS)、末梢神経障害、腫瘍随伴症候群、てんかん、片頭痛、不整脈、筋障害、難聴、失明、周期性麻痺などのチャネル症、CNSのチャネル病、自閉症、炎症性筋症、限局性又は分節性又は限局性分節性糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼症、ぶどう膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性肝障害、線維筋痛症、多発性内分泌不全、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮、初老期認知症、自己免疫性脱髄疾患や慢性炎症性脱髄性多発神経障害などの脱髄疾患、ドレスラー症候群、大脱毛症、全頭脱毛症、CREST症候群(石灰沈着、レイノー現象、食道の運動障害、強指症)、及び毛細血管拡張症)、男性と女性の自己免疫性不妊症、例:抗精子抗体による、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、習慣性中絶、農民肺、多形紅斑、心臓切開後症候群、クッシング症候群、鳥愛好家肺、アレルギー性肉芽腫性血管炎、良性リンパ球性血管炎、アルポート症候群、アレルギー性肺胞炎や線維化性肺胞炎などの肺胞炎、間質性肺疾患、輸血反応、ハンセン病、マラリア、リーシュマニア症、キパノソーマ症、住血吸虫症、回虫症、アスペルギルス症などの寄生虫症、サンプター症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜線維症、びまん性間質性肺線維症、間質性肺線維症、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、眼内炎、正中性紅斑、胎児赤芽球症、好酸球性顔面炎、シュルマン症候群、フェルティ症候群、フラリア症、慢性毛様体炎、異慢性毛様体炎、虹彩毛様体炎(急性又は慢性)などの毛様体炎、又はフック毛様体炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、SCK)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エコーウイルス感染症、敗血症、内毒素血症、膵炎、甲状腺炎、パルボウイルス感染症、風疹ウイルス感染症、ワクチン接種後症候群、先天性風疹感染症、エプスタイン・バーウイルス感染症、おたふく風邪、エバン症候群、自己免疫性生殖腺不全、シデナム舞踏病、連鎖球菌後腎炎、ユビテラン性血栓血管炎、甲状腺中毒症、背側結核、脈絡膜炎、巨大T細胞性多発筋痛症、慢性過敏性肺炎、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、特発性ネフローゼ症候群、微小変化腎症、良性家族性及び虚血-再灌流傷害、移植臓器再灌流、網膜自己免疫、関節炎症、気管支炎、慢性閉塞性気道/肺疾患、珪肺、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化性疾患、アスペルニオーネーゼ、自己免疫性溶血、ベック病、クリオグロブリン血症、デュピュイトラン拘縮、水晶体アナフィラキシー性眼内症、アレルギー性腸炎、ハンセン病結節性紅斑、特発性顔面麻痺、慢性疲労症候群、リウマチ性熱性疾患、ハムマンリッチ病、感音性難聴、発作性ヘモグロビン尿症、性腺機能低下症、局部回腸炎、白血球減少症、感染性単核球症、横断性脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、交感神経性眼炎、睾丸肉芽腫性睾丸炎、膵炎、急性多発性神経根炎、壊疽性膿皮症、ケルバン甲状腺炎、後天性脊髄萎縮症、非悪性胸腺腫、白斑、トキシックショック症候群、食中毒、T細胞の浸潤を伴う状態、白血球接着不全、サイトカイン及びTリンパ球によって媒介される急性及び遅発性過敏症に関連する免疫応答、以下に関係する病気、白血球漏出症、多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体媒介疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性神経炎、自己免疫性多発性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感神経性眼炎、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多内分泌不全、自己免疫性多腺症候群I型、成人発症特発性副甲状腺機能低下症(AOIH)、拡張型心筋症などの心筋症、後天性表皮水疱症(EBA)、ヘモクロマトーシス、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性又は非化膿性副鼻腔炎、急性又は慢性副鼻腔炎、篩骨、前頭、上顎、又は蝶形骨副鼻腔炎、好酸球増加症、肺浸潤好酸球増加症、好酸球増加筋痛症候群、ロフラー症候群などの好酸球関連疾患、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増加症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギルス腫、又は好酸球を含む肉芽腫、アナフィラキシー、血清反応陰性脊椎関節炎、多発性内分泌自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜、上強膜、慢性皮膚粘膜カンジダ症、ブルトン症候群、乳児期の一過性低癌
マグロブリン血症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性失調症候群、血管拡張症、膠原病に関連する自己免疫疾患、リウマチ、神経疾患、リンパ節炎、血圧反応の低下、血管機能不全、組織損傷、心血管虚血、痛覚過敏、腎虚血、脳虚血、血管新生を伴う疾患、アレルギー性過敏症、糸球体腎炎、再灌流傷害、虚血性再灌流障害、心筋又は他の組織の再灌流傷害、リンパ腫性気管気管支炎、炎症性皮膚疾患、急性炎症成分を伴う皮膚疾患、多臓器不全、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎又はその他の中枢神経系炎症性疾患、眼及び眼窩の炎症性疾患、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘発性毒性、ナルコレプシー、急性重篤な炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内膜過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、及び子宮内膜症よって媒介される急性及び遅発性過敏症に関連する免疫応答も企図されている。
【0078】
一部の実施形態では、疾患は、移植片対宿主病(GvHD)などの移植関連疾患である。一実施形態によれば、GVHDは急性GVHDである。別の実施形態によれば、GVHDは慢性GVHDである。
【0079】
別の実施形態では、本開示は、上記の疾患又は状態を治療するためにポリヌクレオチドを使用する方法であって、ポリヌクレオチドが本明細書に記載の抗NKG2D抗体をコードする方法を提供する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)、(comprises)、(comprising)、(includes)、(including)、有する(having)」という用語及びそれらの活用形は、「含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0081】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数の参照を含む。例えば、「抗体」又は「少なくとも1つの抗体」という用語は、複数の抗体を含み得る。
【0082】
本出願を通して、本開示の種々の実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためであり、抗NKG2D抗体及びその使用の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6等の範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の具体的に開示された部分範囲、並びに1、2、3、4、5及び6等のその範囲内の個々の数字を有すると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0083】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の表示数と第2の表示数との間の「範囲(ranging)/範囲(ranges)」及び第1の表示数「から」第2の表示数「までの範囲(ranging)/範囲(ranges)」という表現は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の表示数、並びにそれらの間の全ての分数及び整数の数字を含むことを意味する。
【0084】
値が先行詞「約」の使用によって近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。全ての範囲は両端を含み、組み合わせ可能である。一実施形態では、「約」という用語は、示された数又は数の範囲からの0.1~5%の逸脱を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、示された数又は数の範囲からの1~10%の逸脱を指す。別の実施形態において、「約」という用語は、示された数又は数の範囲から最大20%の逸脱を指す。一実施形態において、「約」という用語は、示された数又は数の範囲から±10%の逸脱を指す。別の実施形態において、「約」という用語は、示された数又は数の範囲から±5%の逸脱を指す。
【0085】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、抗NKG2D抗体及びその使用が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を抗NKG2D抗体及びその使用の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、方法及び/又は材料を以下に説明する。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が優先される。更に、材料、方法、及び例は、単なる例示であり、必ずしも限定することを意図していない。本明細書で言及される各参考文献又は他の引用は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
本明細書に提示される説明では、抗NKG2D抗体及びその変形を作製及び使用するステップのそれぞれが記載される。この説明は、限定することを意図するものではなく、構成要素、ステップの順序、及び他の変形形態の変更は、本抗NKG2D抗体及びその使用の範囲内であると理解されるであろう。
【0087】
明確にするために別々の実施形態に関連して説明される抗NKG2D抗体及びその使用の特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、抗NKG2D抗体及びその使用の様々な特徴は、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されているが、抗NKG2D抗体及びその使用の他の説明された実施形態では、別個に、又は任意の適切なサブコンビネーションで、又は適切に、提供されてもよい。様々な実施形態に関連して説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の不可欠な特徴と見なされるべきではない。
【0088】
上に詳述し、以下の特許請求の範囲に請求されている本抗NKG2D抗体の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例で実験的に裏付けられる。
【実施例
【0089】
実施例1
NKG2Dのためのマウスハイブリドーマモノクローナル抗体生成
目的:マウスハイブリドーマ技術を使用してNKG2Dに対するモノクローナル抗体を生成すること。
【0090】
方法:マウスハイブリドーマ抗NKG2D抗体の生成。抗NKG2D抗体は、Balb/c及びSJLマウスをNKG2D-ECD-hFc(ヒトFcに融合したNKG2Dの細胞外ドメイン)で免疫することによって開発された。動物から採血し、ELISAによって抗体力価について試験した(試験採血1及び試験採血2)。高力価を有する免疫マウス由来の脾臓細胞を単離し、標準的な融合手順によって融合して、特異的抗体を産生するハイブリドーマを作製した。これらの細胞のプールによって産生された抗体を含有する上清を、ヒトFcに融合したNKG2D-ECDタンパク質(NKG2D-ECD-hFc)との反応性についてELISAによって一次スクリーニングし、NKG2D過剰発現細胞との反応性についてFACSによって二次スクリーニングした。スクリーニングのために、FACSによる標的抗体活性について多数のハイブリドーマ上清を試験した。
【0091】
標的過剰発現細胞を96ウェル丸底ポリスチレンプレートに入れ、ハイブリドーマ培養物からのニート上清と共にインキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、蛍光標識二次抗体と共にインキュベートした。陰性対照として、非標的タンパク質遺伝子をトランスフェクトした親細胞を用いて上清を試験し(陰性であることがわかった)、反応性抗体が標的タンパク質を特異的に認識することを確認した。陽性プールを同定し、限界希釈によってクローニングした。1~2回の融合後、特異的抗体を産生する陽性クローンを同定し、ELISA及びFACSによって選択した。
【0092】
結果:動物の免疫化後、血清を、組換えヒトNKG2D-ECD-Fc(ヒトFcに融合したNKG2Dの細胞外ドメイン)への結合について、ELISA及びFACSによって試験した(図1)。図1Aに示されるように、様々な希釈におけるBalb/c動物又はSJL動物の試験採血(TB)1は、採血前(PB)試料と比較して、ELISAによってヒトNKG2D-ECD-Fcに対する陽性力価を示した。図1Bは、CHO細胞において過剰発現されたヒト-NKG2D/Dap 10に対する、及びCHO細胞において過剰発現されたcyno-NKG2D/Dap10に対する試験採血1力価の連続希釈を示すが、CHO親細胞に対して反応性がない。SJLマウスは、NKG2D/Dap10 CHO細胞への結合について試験した場合、Balb/cマウスと比較してより強い免疫応答を示した。同様の観察結果(データは示さず)を有する試験採血2の後、動物SJL#8748及び#8749を融合のために選択した。電気融合後に一次スクリーニングを行って、組換えヒトNKG2D-ECD-Fcに対するELISAによって陽性クローンを同定し、ヒトFcを陰性対照とした。交差反応性クローンを同定するために、ヒト-NKG2D/Dap 10又はcyno-NKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞に対して二次スクリーニングを行い、CHO親細胞を陰性対照とした。一次スクリーニングにおいて、103個のクローンを二次スクリーニングのために選択した。二次スクリーニングにより、更にサブクローニングされたクローンを明らかにし、最後に、18クローンを200ml発現及びプロテインA精製のために進めた。図2は、選択されたクローンの同一性を示す。
【0093】
概要:ヒトNKG2Dタンパク質に対するマウスモノクローナルハイブリドーマ生成は、ELISA及びFACSによる一次及び二次スクリーニング後にヒト及びcyno NKG2Dに対する特異的結合剤であると同定された20個のクローンを生じた。これらのクローンを更に発現させ、精製し、分析し、結合効力について特徴付けた。
【0094】
実施例2
ヒトNKG2Dに対するマウスハイブリドーマモノクローナル抗体の結合特性決定
【0095】
目的:結合によるNKG2Dに対するマウスモノクローナルAbの発現、精製及び特徴付け。
【0096】
方法:ハイブリドーマクローンの発現及び精製。簡単に説明すると、約0.25~0.5×10個の細胞を、100mLの抗体生産培地(ハイブリドーマ-SFM+2.5%FBS(低IgG))を予め充填したローラーボトルに接種し、ローラー培養装置において300r/hの速度で14~16日間、37℃、二酸化炭素なしの条件でインキュベートした。その後、細胞懸濁液を350mLの遠心分離ボトルに移し、3,220g、4℃で15分間遠心分離した後、0.45μmの濾過カプセルで濾過して細胞及び細胞片を除去した。次いで、培養上清を、親和性精製のために、予め平衡化したプロテインA親和性カラムにロードした。抗体を、5 CV(カラム体積)の溶出緩衝液(0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液、pH 3.0)でカラムから溶出し、Trizma塩基で最終pH 7.0に中和し、次いで、溶出体積の100倍のPBS、pH 7.4に対して2~8℃で一晩透析し、生物学的安全キャビネット内で0.22μmシリンジフィルターで滅菌濾過した。次いで、精製した抗体を等分し、使用するまで-20℃又は-80℃で保存した。
【0097】
標的タンパク質へのELISA結合。簡単に説明すると、標的タンパク質NKG2D-ECD-Fcを最終濃度0.7μg/mLでPBSに希釈し、ELISAプレート(カタログ9018、供給業者Corning)上に100μL/ウェルでコーティングする。O/N、4℃でインキュベートする。プレートを250μLのPBST中1%BSAで37℃で1時間遮断し、Biotek(Elx 405)を用いてPBSTで4回洗浄した。全てのAbを段階希釈し、100μL/ウェルの希釈抗体をプレートに添加し、37℃で1時間インキュベートし、PBSTで4回洗浄した。100μL/ウェルのヤギ抗マウスIgG(Fab特異的)-HRP(SIGMA A3682)1:10000を添加した後、細胞を37℃で0.5時間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した後、100μL/ウェルのTMB基質を添加し、室温で5分間インキュベートした。反応を停止させるために100μL/ウェルの1N HClを添加した。プレートを、450nM波長でELISAプレートリーダーを使用して読み取った(機器SpectraMax M5e)。データ分析を、Graphpad prism 5ソフトウェアを使用して、非線形回帰(曲線当てはめ)を使用することによって実施した:log(アゴニスト)対応答、アゴニストは抗体濃度(nM)であり、応答はOD値である。
【0098】
細胞へのFACS結合。簡単に述べると、懸濁培養細胞を直接採取するか、又はTrypLE Express Enzymeカタログ:12604-013、供給業者Life technologies社)が、採取前に接着細胞を消化する。1000 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てる。細胞を2×10/mLの濃度でFACS緩衝液PBS中2%FBS)中に懸濁し、100μL/ウェルの細胞懸濁液をプレートに添加する(カタログ3799、供給業者Corning)。プレートを2000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。次いで、細胞を100μL/ウェルのトリボディセット抗体(400nM開始、4倍希釈、0点を含む8点)に再懸濁し、プレートを4℃で60分間インキュベートした。プレートを2000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄した。次いで、細胞を170μLのFACS緩衝液で3回洗浄し、二次抗体を用いて100μL/ウェルで再懸濁し、4℃で30分間暗所でインキュベートした。プレートを2000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄した。次に、細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、FACSバースで分析した。
【0099】
ELISAによるエピトープビニング。簡単に説明すると、標的抗体を最終濃度1μg/mlでPBS中に希釈し、ELISAプレート(カタログ9018、供給業者Corning)上に100μL/ウェルでコーティングする。O/N、4℃でインキュベートする。250μLのPBST中1%BSAを用いて37℃で1時間遮断した後、一連の濃度のビオチン化抗原hNKG2D-ECD-Fcを添加する。37℃で1.5時間インキュベートした後、プレートをPBSTで3回洗浄し、次いで100μLのストレプトアビジン-HRP(カタログ:S5512、供給業者Sigma、1:10000)を各ウェルに添加する。37℃で1時間インキュベートした後、プレートをPBSTで4回洗浄する。100μL/ウェルのTMB基質を添加し、室温で5分間インキュベートした。100μL/ウェルの1N HCLで反応を停止させた。プレートを、ELISAプレートリーダーを用いて450nM波長で読み取った。Graphpad prism 5ソフトウェアを使用して抗原のEC80を見出す。
【0100】
以下は、mAb被覆プレートへの結合前にタンパク質と混合されたmAbの連続希釈の設定を記載する。抗ヒトNKG2Dの標的抗体を最終濃度1μg/mLでPBS中に希釈し、ELISAプレート(カタログ9018、供給業者Corning)上に100μL/ウェルでコーティングする。O/N、4℃でインキュベートする。250μLのPBST中1%BSAを用いて37℃で1時間遮断した後、EC80のビオチン化抗原(2倍調製物、50μLを添加)及び競合抗体(40~80倍調製物、50μLを添加)の混合物を添加する。37℃で1.5時間インキュベートした後、プレートをPBSTで3回洗浄し、次いで100μLのストレプトアビジン-HRP(カタログ:S5512、供給業者Sigma、1:10000)を各ウェルに添加する。37℃で1時間インキュベートした後、プレートをPBSTで4回洗浄する。100μL/ウェルのTMB基質を添加し、室温で5分間インキュベートした。100μL/ウェルの1N HClで反応を停止させた。プレートを、ELISAプレートリーダーを用いて450nM波長で読み取った。
【0101】
結果:図3は、ELISAによる精製mAbのNKG2D-ECD-Fcへの結合を提示する。mAb 019を除いて、これらの抗体の中で0.03nM~0.6nMの範囲のEC80値が観察された。
【0102】
図4は、ヒト/cyno NKG2D/Dap10を過剰発現するCHO、ならびに健常ドナーのPBMCから精製された初代NK細胞に対する、選択された精製mAbのFACS結合を提示する。図4に示されるように、全ての精製されたmAbは、CHOK1-hNKG2D、CHOK1-cNKG2D及び初代NK細胞に対する結合活性を、様々な範囲の親和性及び効力で示した。
【0103】
ヒトNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への約0.4~3.8nMの結合のEC50値範囲が観察された(図4A)。同様に、cynoNKG2D/Dap10を過剰発現するCHO細胞への約0.7~8nMの結合のEC50値範囲が観察された(図4B)。初代NK細胞への結合について試験した2つの濃度は、様々なMFIを有する全てのmAbにおいて用量依存的結合を示した(図4C)。CHO親細胞では結合は観察されない(データは示さず)。
【0104】
図5は、ELISAによって実施されたエピトープビニング分析を要約する。ELISA分析は、以下のようにそれらのエピトープビンにおいて区別される4つの群を示唆する。群1(四角の連続線)は、mAb001、002、003、004、005、006、008、011、013、015、017、018、020を集める。群2(連続円)は、mAb007、010、014を集める。群3(四角破線)は、mAb012、016、019を集める。群4(円形破線)はmAb009を集める。陽性対照Abは、全ての群と異なる。
【0105】
概要:ヒトNKG2Dに対するモノクローナル抗体(mAb)は、ハイブリドーマ技術を使用して首尾よく生成された。20個のクローンを同定し、特徴付けた。選択されたmAbを更に発現させ、ハイブリドーマクローンによって産生させた。mAbを更に精製し、MS(Mass-Spec)によって分析し、NKG2D-ECD-Fc抗原へのELISA結合、ならびにヒト及びcyno NKG2D/Dap10を発現する細胞へのFACS結合について特徴付け、最後にELISAによってエピトープビニングについて試験して、4つのビン群を得た。
【0106】
実施例3
インビトロマウスハイブリドーマモノクローナル抗体の機能評価
【0107】
目的:抗NKG2D mAbが初代NK細胞に結合したときのNK細胞活性化を、CD107a及びIFNg上方制御によってインビトロ評価すること。
【0108】
方法:簡潔に述べると、EasySep(商標)ヒトNK細胞単離キット(STEMCELL、カタログ番号17955)を使用して、健常ドナーから収集したPBMCからNK細胞を単離する。NK細胞を、10%FBS及び100ng/mL hIL-2(R&D SYSTEMS、カタログ-219-IL)を含有するRPMI 1640(Gibco、カタログ-A 10491-01)で2日間懸濁する。抗体を96ウェルプレート(Cat-3599,Corning)上にコーティングすることによって架橋し、次いで4℃で一晩インキュベートする。コーティングされたプレートから上清を除去し、次いでプレートを200μLのPBSで2回洗浄する。500 gで5分間遠心分離することによって刺激されたNK細胞を採取し、NK細胞刺激培地(RPMI 1640+10%FBS+20ng/mL hIL-2)を用いて細胞の濃度を5×105/mLに調整し、次いで200μL/ウェルのNK細胞をAbコーティングプレートに添加する。APC抗CD 107 a(Biolegend、カタログ:328620)及び対照(0.5μL/試験)をそれぞれNK細胞に別々に添加する。プレートを加湿した5%CO2大気中で37℃で4時間インキュベートする。IFN-γ測定用には上清を、CD107a測定用には細胞をそれぞれ回収する。CD107a測定:細胞をFACSプレート(Cat-3799、Corning)に移す。細胞を200μLのFACS緩衝液(PBS中2%FBS)で2回洗浄する。APC-抗CD 107 a、FITC-抗CD 3(Invitrogen、カタログ:17-0037-41)及びBV 421-抗CD 56(BioLegend、カタログ:318328)及び対照をそれぞれNK細胞懸濁液に添加し、細胞を4℃で1時間インキュベートする。200μLのFACS緩衝液で2回洗浄した後、細胞を100μLの冷PBSに再懸濁する。細胞を暗所に保ち、細胞をFACS(FACS Canto II、BD Biosciences)分析に供する。IFN-γ測定:ヒトIFNγDuoSet ELISAキット(R&D、DY285)のプロトコルに従って、IFN-γを測定した。簡潔に述べると、PBS中の作業濃度の捕捉抗体を96ウェルマイクロプレート(Cat-9018、Corning)上にコーティングし、室温で一晩インキュベートする。3回洗浄後、プレートを300μLの試薬希釈剤(PBS中1%BSA)で室温で少なくとも1時間遮断する。3回洗浄した後、適切に希釈した100μLの試料又は試薬希釈剤中の標準を添加し、室温で2時間インキュベートする。3回洗浄した後、100μLの希釈検出抗体を添加し、室温で2時間インキュベートする。3回洗浄した後、ストレプトアビジン-HRP Bの作業希釈液100μLを添加し、室温で20分間インキュベートする。3回洗浄した後、100μLの基質溶液を加え、室温で20分間インキュベートする。50μLの停止溶液を加える。マイクロプレートリーダー(Molecular Device、カタログ:Spectra Max M5e)を使用してOD450を読み取る。
【0109】
結果:図6は、CD107a活性化マーカーの蓄積又はIFN-γ分泌によって決定される、精製された抗NKG2D mAb(10nM又は100nM)の結合時のNK細胞の活性化を示す。アッセイの妥当性は、IM-1060陽性対照トリボディ及びIM-1091陰性対照トリボディによって決定されたウィンドウによって確認した。用量依存的なCD107aNK細胞蓄積を、マウスIgG対照と比較して、FACSによるmAb結合時に決定した(図6A)。試験したmAbのうち10個はまた、ELISAによって上清中で測定されたIFN-γ分泌を刺激した(図6B)。
【0110】
概要:20個の精製された抗NKG2D mAbを結合及び活性化によって特徴付けた。Abを、それらの結合活性ならびにそれらのNK活性化活性に基づいてランク付けした。各ビンから1つずつ、4つのmAb(mAb 001、mAb009、mAb010及びmAb019)をMass-Specによって確認し(データは示さず)、トリボディ構築物への導入及び評価のために、示されたそれらの特徴に基づいて更に選択した。
【0111】
実施例4
インビトロマウスハイブリドーマモノクローナル抗体によるNKG2D-MICA相互作用の遮断の評価
目的:受容体-リガンドNKG2D-MICA相互作用に対する精製mAbの遮断活性をインビトロで評価すること。
【0112】
方法:競合ELISAに基づくRBA:希釈標的タンパク質(NKG2D-ECD-hFc、ロット:20200413002、CP)を最終濃度1μg/mlでPBSに加え、100μL/ウェルでELISAプレート(カタログ9018、供給業者Corning)上にコーティングする。O/N、4℃でインキュベートする。250μLのPBST中1%BSAで1時間、37℃で遮断した後300nMから1:5に希釈したMabの系列濃度の混合物を添加し(600nM調製物、50μLを添加する)及びヒトMICA-HisをEC80で添加する(2倍調製物、50μLを添加する)。37℃で1.5時間インキュベートした後、プレートをPBSTで3回洗浄し、次いで、100μLの抗His-HRP(1:5000)を各ウェルに添加する。37℃で1時間インキュベートした後、プレートをPBSTで4回洗浄する。100μL/ウェルのTMB基質を添加し、室温で5分間インキュベートした。100μL/ウェルの1N HClで反応を停止させた。プレートを、ELISAプレートリーダーを用いて450nM波長で読み取った。
【0113】
結果:mAbを、NKG2D-MICA相互作用を遮断するそれらの能力について分析した。図7に示すように、IC50値として示された阻害率の範囲は1.4nM~8nMであったが、mIgG1陰性対照では阻害活性は観察されなかった。
【0114】
結論:試験した全てのmAbは、NKG2A-MICA受容体-リガンド相互作用に対する遮断活性を示した。
【0115】
実施例5
ヒトNKG2Dに対するマウスハイブリドーマクローンに由来する抗ヒトNKG2Dを有するキメラトリボディの組換え産生
目的:選択された抗ヒトNKG2D mAb(mAb 001、mAb009、mAb010及びmAb019)のマウスCDR配列をトリボディ/Proトリボディ構築物に導入して、それぞれ図8A及び図8Bに示されており、以前にWO2020/225805号に記載されており、その全文が本明細書に組み込まれるように、抗CD3 Fab、抗NKG2D mAbの一本鎖及び抗5T4の一本鎖を含む三重特異性キメラAbを作製する。
【0116】
方法:ハイブリドーマ配列決定。簡単に説明すると、NucleoZOL Reagent(MACHEREY-NAGEL,740404.200)のプロトコルに従って、選択された陽性モノクローナルハイブリドーマ細胞(~1×10)を全RNA単離のために収集した。全RNAを、SMARTer(登録商標)RACE 5’/3’のキットマニュアルに従ってcDNA合成に使用し、ランダムプライマーを第1鎖cDNAの合成に使用した。重鎖及び軽鎖可変領域をPCRで増幅するために、合成cDNAを鋳型として用い、マウスIg-プライマーセット(Novagen、69831-3)由来のプライマーを遺伝子特異的プライマー(GSP)として用いた。正しいサイズのPCR産物を回収し、NucleoSpin(登録商標)Gel and PCR Clean-up(Macherey-Nagel,740609.250)を用いてキットのマニュアルに従って精製し、TAクローニング及び配列決定に供した。NKG2D-mAbの重鎖及び軽鎖可変領域(VH及びVL)を、以下に記載されるようにトリボディ構築物にクローニングし、次いでこれをELISA及びFACSによってNKG2Dへの結合について特徴付けた。
【0117】
遺伝子合成及びプラスミド構築。三重特異性抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)のコード配列を、DNA合成及びPCRによって生成し、その後、哺乳動物細胞系におけるタンパク質発現のためにpCDNA3.4ベースのプラスミド(Invitrogen)にサブクローニングした。最後に、発現ベクター中の遺伝子配列をDNA配列決定により確認した。
【0118】
三重特異性抗体構築物の発現。トリボディ/Pro-トリボディ抗体の一過性発現は、PEI法を使用して、CHO細胞への対になったHC及びLC構築物(トリボディフォーマットについて1:1のHC/LC比、又はProトリボディフォーマットについて2.5:1のHC/LC比)の同時トランスフェクションによって実施した。簡潔には、3L振盪フラスコ中の約5.5×10/mlのCHO細胞を宿主として使用した。100mLのOptiMEM培地(Invitrogen)中の1mgの全DNA及び4mgのPEIの混合物を細胞に添加し、穏やかに混合することによって、トランスフェクションを開始した。次いで、細胞をインキュベーターシェーカー中、120rpm、37℃、及び8%CO2で8~10日間培養した。24時間後、細胞密度及び生存率に応じてその後2~3日毎にペプトン及びグルコースの供給を行った。細胞生存率が<80%に低下した8~10日目に細胞培養を終了した。馴化培地をタンパク質精製のために採取した。
【0119】
三重特異性抗体構築物の精製。親和性クロマトグラフィー及びSECによるタンパク質精製を、AKTA pure instrument(GE Lifesciences)を使用して行った。採取した上清をCaptureSelect(商標)CH1-XL Affinity Matrix(Thermo Scientific)のカラムに通すことによって、トリボディの親和性捕捉を達成した。カラムを緩衝液A(25mMトリス、150mM NaCl、5mM EDTA、pH 7.5)で洗浄した後、タンパク質を緩衝液B(50mMクエン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH 3.0)で溶出し、直ちに1/6容量の緩衝液D(1Mアルギニン、400mMコハク酸、pH 9.0)で中和した。次いで、親和性精製したタンパク質を、Amicon 30kD濃縮器(Merck Millipore)を使用して5~10mg/mlに濃縮し、SEC緩衝液:200mMアルギニン、137mMコハク酸、0.05%Tween-80,150mM NaCl、pH5.0で平衡化したSuperdex200カラム(GE Lifesciences)上でのSEC精製に供した。標的トリボディ画分を回収し、次いで5%トレハロース(146mM)を添加した。標的トリボディを、SDS-PAGE及びHPLC-SECを用いて分析した。
【0120】
三重特異性抗体構築物のSDS-PAGE分析。トリボディのSDS-PAGE分析を、プレキャストポリアクリルアミドゲル中で還元及び非還元条件下で行った。簡潔に述べると、2μgのトリボディ試料を、70mM DTT添加又は非添加のNuPAGE(商標)LDS試料緩衝液(thermofisher-NP0008)によって混合した。25℃又は90℃で10分間インキュベートした後、試料及び未染色タンパク質標準(BIO RAD-161-0363)をゲルにロードした。電気泳動は、1×TrisグリシンSDSランニング緩衝液を用いて120Vの定電圧で行った。電気泳動後、ゲルをクーマシーブルーを用いて一晩染色し、脱色溶液(10%酢酸、40%メタノール及び50%水)で脱色した。脱色したゲルをゲルイメージングシステム(Tanon-2500R)でスキャンした。
【0121】
三重特異性抗体構築物のSEC-HPLC分析。分析用SEC-HPLCは、Shimadzu LC-10 HPLC装置(Shimadzu Corp.)を用いて行った。1mg/mlの20μl試料をSuperdex 200 Increase 5/150GLカラム(GE Lifesciences)にロードする。移動相は2×PBSであり、流速は0.3mL/分、15分であった。
【0122】
トリボディ構築物のLC-MS分析。トリボディをACQUITY UPLC BEH200 A、SECカラム(水1.7μm、4.6×300mM)を用いて室温で分離し、ESI-MS(Thermo、MS-B20-03)によって検出した。移動相は0.1%ギ酸:アセトニトリル(75:25、v/v)であり、流速は0.2mL/分であった。質量分析を陽イオンで行った。質量分析のための他のパラメータは、17500の分解能、1000~5000m/zのスキャン範囲、60eVのインソースCID、30 L/分のシースガス流量、350℃のキャピラリー温度、2.5KVのスプレー電圧であった。
【0123】
結果:選択されたmAbクローン(IM-1244/5で表されるmAb001、IM-1246/7で表されるmAb009、IM-1248/9で表されるmAb010、及びIM-1250/1で表されるmAb019)のそれぞれの2つの変異体を提示する8つのトリボディ構築物を設計して、抗CD3 Fab、抗NKG2Dの一本鎖、及び抗5T4の一本鎖を含む三重特異性キメラAbを図8に示すように、調節ドメインなし(図8A)又は調節ドメインあり(図8B)のいずれかで産生した。図8Cは、産生されたAb同一性を詳述し、L-Hは、抗NKG2D可変重鎖の上流に融合された抗NKG2D可変軽鎖を示し、H-Lは、抗NKG2D可変重鎖の下流に融合された抗NKG2D可変軽鎖を示す。各トリボディ分子の発現されたHC及びLCトリボディ構築物は会合して、非還元(NR)条件下でSDS-PAGEにおいて観察される単一の主要な約100kDaバンド、及び還元(R)条件下で約50kDaの二重バンドによって示される単一分子を形成する(図9)。図9は、それぞれ、IM-1244~IM1251のSDA-PAGE分析を提示し、ここで、左レーンはマーカーをkDa(M)で表し、中央レーンは還元条件(R)を表し、右レーンは非還元条件(NR)を表す。図10A~Hは、それぞれ、IM-1244~IM 1251のSEC-HPLC分析を提示し、質量較正曲線に基づいて予測されるMwの予測される保持時間と一致する、約6分の保持時間における単一ピークを実証する。
【0124】
結論:三重特異性トリボディ変異体の発現及び精製に成功した。
【0125】
実施例6
トリボディ抗体構築物のNKG2D組換えタンパク質への結合
目的:マウスハイブリドーマクローン由来の抗5T4ScFvドメイン、抗CD3εFabドメイン、及び抗ヒトNKG2Dから構成される様々なトリボディ抗体構築物の、ELISAによるNKG2D組換えタンパクへの、及びFACSによる膜結合NKG2Dタンパクを発現する細胞への結合効力を研究すること。様々なフォーマットは、CAPマスキング配列、切断可能リンカー、非切断可能リンカー、ならびに特定のエンゲージャーに対する結合活性を欠き、トリボディ/Proトリボディフォーマットの陰性対照として役立つ点変異エンゲージャー配列から構成され得る。
【0126】
方法:上記の実施例2に記載されるような抗原又は細胞へのトリボディ抗体構築物のELISA及びFACS結合。
【0127】
結果:図11は、ELISAによるNKG2D-ECD-Fcタンパク質へのそれらの結合についての発現された三重特異性構築物分析を実証する。NKG2D-ECD-Fcタンパク質への結合EC50は、予想通り、IM-1244(小さな丸)について2.6nM、IM-1245(小さな四角)について1.1nM、IM-1248(小さな菱形)について1.7nM、IM-1249(大きな丸)について0.7nMであったが、陰性対照トリボディIM-1091 NKG2D変異体バリアント(大きな菱形)については結合は観察されなかった(図11)。
【0128】
図12は、FACSによるNKG2Dタンパク質を発現する細胞へのそれらの結合についての発現された三重特異性構築物分析を実証する。ヒトNKG2Dを過剰発現するCHO細胞への結合EC50は、IM-1244(小さな円)、IM-1245(小さな四角)、IM-1246(小さな上向き三角)、IM-1247(小さな下向き三角)、IM-1248(小さな菱形)、IM-1249(大きな円)及びIM-1250(大きな四角)について、それぞれ8.6、7、12、2.5、4.9、4.7nMであった(図12A)。cynoNKG2Dを過剰発現するCHO細胞への結合EC50は、IM-1244(小円)、IM-1245(小四角)、IM-1246(上の小三角)、IM-1247(下の小三角)、IM-1248(小菱形)、IM-1249(大円)及びIM-1250(大四角)について、それぞれ21、13、15、30、5.9、5.3及び2.3nMであった(図12B)。IM-1251 EC50値(大きい三角)は適用できなかったが、陰性対照トリボディIM-1091 NKG2D変異体バリアント(大きい菱形)については、予想通り、結合は観察されなかった。IM-1060(大きい三角)を陽性対照トリボディとして使用した。CHO親細胞への結合は検出できなかった(データは示さず)。
【0129】
結論:選択されたハイブリドーマクローンから配列決定されたマウス可変軽鎖及び重鎖を同定し、scFvに変換し、トリボディ構築物に導入してキメラトリボディ分子を形成した。これらの分子を発現させ、精製し、更に結合アッセイによって特徴付け、ヒトNKG2Dに対する結合特性が維持されていることが示された。
【0130】
図11に示すように、トリボディフォーマット内の抗NKG2Dからなるキメラトリボディの結合は、NKG2Dタンパク質への結合を保持していた。同様に、図12に示すように、結合はまた、細胞表面上にヒト及びcynoNKG2Dの両方を過剰発現する細胞上でも確認された。それぞれmAb 001、mAb 009、mAb 010及びmAb 019を表すトリボディIM-1245、IM-1246、IM-1249及びIM-1250を、機能的活性インビトロについて更に選択した。
【0131】
実施例7
インビトロトリボディ抗体構築物の機能評価
目的:インビトロで評価するために、癌細胞の存在下での健常ドナー由来の初代PBMCに対するトリボディ変異体による用量依存的なNK細胞活性化。
【0132】
方法:標的細胞の存在下でのNK細胞活性化。10%FBS及び100ng/mL hIL-2(R&D SYSTEMS、カタログ-219-IL)を含有するRPMI 1640(Gibco、カタログ-A 10491-01)でPBMCを2日間懸濁する。刺激後、500gで5分間遠心分離することによってPBMC及び標的細胞NCI-H226を採取し、アッセイ緩衝液(RPMI 1640+5%FBS+10ng/mL hIL-2)を用いて細胞の濃度をそれぞれ4×10/mL及び2×10/mLに調整し、次いで50μLのPBMC懸濁液及び50μLのNCI-H226懸濁液をそれぞれ丸底96ウェルプレートに添加し、ET比は20:1である。アッセイ緩衝液で希釈抗体(2×)を調製し、100μL/ウェルを添加し、十分に混合する。APC抗CD 107 a(Biolegend、カタログ:328620)及び対照(0.5μL/試験)を試料に別々に添加する。プレートを加湿5%CO2雰囲気中、37℃で4時間インキュベートする。インキュベーション後、プレートを250g、4℃で4分間遠心分離し、上清を廃棄し、FACS緩衝液(PBS+2%FBS)を使用して全ての細胞をFACSプレートに移す。FCAS緩衝液で2回洗浄した後、100μLのFACS緩衝液内にFITC-抗CD 3、BV 421-抗CD 56及びAPC-CD107aを添加し、プレートを暗所で4℃にて45分間インキュベートする。FCAS緩衝液で2回洗浄した後、細胞を100μLの冷PBSで再懸濁する。細胞をマルチカラーFACS分析に供する。
【0133】
結果:健常ドナー由来のPBMCを共培養した後、CD56+ゲート制御NK細胞集団に対するCD107aMFIによって測定される60~70%の活性化が観察され、NCI-H226は、300nM、60nM、12nM、及び2.4nM(左から右)の様々なトリボディ(IM-1245、IM-1246、IM-1249、IM-1250)の存在下で、5T4タンパク質を発現する細胞を標的とし、一方、トリボディの非存在下では30%の基礎活性化が行われる。35~40%のより低い活性化が、NKG2Dへの結合を欠く陰性対照トリボディIM-1091 NKG2D変異体バリアントにおいて観察された。IM-1060は、陽性対照トリボディとして機能した(図13)。
【0134】
結論:4つのビンからのマウス抗ヒトNKG2D mAbクローン配列から構成される4つの選択されたトリボディは、インビトロでNK細胞を活性化することが示された。

図1A
図1B
図2
図3
図4A-1】
図4A-2】
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11
図12A
図12B
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024517741000001.app
【国際調査報告】