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特表2024-517743ウイルスベクター組成物及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ウイルスベクター組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/86 20060101AFI20240416BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240416BHJP
   C12N 5/077 20100101ALN20240416BHJP
   C12N 5/0793 20100101ALN20240416BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20240416BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N15/12
A61K48/00
A61P7/04
A61P7/00
A61P13/02
A61K35/76
C12N5/077
C12N5/0793
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566521
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022026988
(87)【国際公開番号】W WO2022232545
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/182,738
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521058818
【氏名又は名称】ロジックバイオ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ション, チャン
(72)【発明者】
【氏名】チャウ, ビー. ネルソン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZA531
4C084ZA532
4C084ZA811
4C084ZA812
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087NA14
4C087ZA51
4C087ZA53
4C087ZA81
(57)【要約】
AAVベクター構築物による改善された遺伝子編集のための組成物及び方法を、本明細書に提供する。特に、本開示は、ある特定の長さ(例えば、各々少なくとも750ntまたは少なくとも1000nt)の相同性アームが、改善された編集活性を示し得ることを、認識している。本開示は、いくつかの実施形態において、相同性アームが異なる長さを有している場合に、ある特定の長さ(例えば、各々少なくとも750ntまたは少なくとも1000nt)の相同性アームが編集活性のさらなる改善を示し得ることを、認識している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞のゲノムの中の標的組み込み部位に導入遺伝子を組み込むための組換えウイルスベクターであって、
(i)第1核酸配列及び第2核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、
前記第1核酸配列が、少なくとも1つの外来遺伝子配列を含むものであり、
前記第2核酸配列が、前記第1核酸配列の5’側または3’側に位置し、前記標的組み込み部位への組み込み時に2つの独立した遺伝子産物の産生を促進するものである、
前記ポリヌクレオチド;
(ii)前記ポリヌクレオチドの5’側に位置し、前記標的組み込み部位の5’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第3核酸配列;ならびに
(iii)前記ポリヌクレオチドの3’側に位置し、前記標的組み込み部位の3’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第4核酸配列
を含み、前記第3核酸配列及び前記第4核酸配列の各々の長さが少なくとも1000ntであり、前記第3核酸配列と前記第4核酸配列とが異なる長さである、前記組換えウイルスベクター。
【請求項2】
前記外来遺伝子配列の長さが500nt~2500ntである、請求項1に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項3】
前記遺伝子配列の長さが1000nt~2000ntである、請求項1または2に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項4】
前記第3核酸配列の長さが少なくとも750ntである、請求項1~3のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項5】
前記第3核酸配列の長さが少なくとも1000ntである、請求項4に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項6】
前記第3核酸配列の長さが少なくとも1600ntである、請求項5に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項7】
前記第4核酸配列の長さが少なくとも750ntである、請求項1~3のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項8】
前記第4核酸配列の長さが少なくとも1000ntである、請求項7に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項9】
前記第4核酸配列の長さが少なくとも1600ntである、請求項8に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項10】
前記第3及び第4核酸配列はどちらも長さが少なくとも750ntである、請求項1~4または請求項7のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項11】
前記第3及び第4核酸配列はどちらも長さが少なくとも1000ntである、請求項1~5または請求項7~8のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項12】
前記第3核酸配列の長さが1000ntであり、前記第4核酸配列の長さが1600ntである、上記請求項のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項13】
前記第3核酸配列の長さが1600ntであり、前記第4核酸配列の長さが1000ntである、上記請求項のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項14】
前記ウイルスベクターがAAVベクターである、請求項1~13のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項15】
前記ウイルスベクターが、AAV2、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV-LK03、またはAAV-sL65から選択される、請求項14に記載の組換えウイルスベクター。
【請求項16】
上記請求項のいずれか1項に記載の組換えウイルスベクター;及び
1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含む、組成物。
【請求項17】
対象の中の組織の中の1つ以上の細胞のゲノムの中に導入遺伝子を組み込む方法であって、
前記組織の中の細胞が遺伝子産物にコードされる機能性タンパク質を発現することができない前記対象に、請求項16に記載の組成物を投与すること
を含み、標的組み込み部位が前記1つ以上の細胞のゲノムの中にある、前記方法。
【請求項18】
前記1つ以上の細胞が非分裂細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の細胞が肝細胞、筋細胞、肺細胞またはCNS細胞である、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が出生後期の間に投与される、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、出生後少なくとも7日目、出生後少なくとも14日目、出生後少なくとも21日目、または出生後少なくとも28日目に投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、出生後28日目またはそれよりも前に投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記導入遺伝子がUGT1A1、FAH、第IX因子、A1AT、ASLまたはLIPAであるか、またはそれを含む、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
参照組成物と比較して組み込み効率が改善される、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、少なくとも5E13vg/kgの投薬量で投与される、請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、1E14vg/kgの投薬量で投与される、請求項17~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、2E14vg/kgの投薬量で投与される、請求項17~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が動物である、請求項17~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象がヒトである、請求項17~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象がクリグラー・ナジャー症候群、チロシン血症、血友病、アルファ1アンチトリプシン欠損症、アルギニノコハク酸尿症またはリソソーム酸性リパーゼ欠損症を有するか、または有する疑いがある、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのペイロード、5’相同性アーム及び3’相同性アームを含むポリヌクレオチドカセットのための相同性アーム長を決定する方法であって、
(a)少なくとも1つのペイロードを含むが相同性アームを何ら含んでいないポリヌクレオチドカセットの長さを決定すること
を含み、
(b)ステップ(a)の前記長さが2.7kb未満である場合には、前記3’相同性アーム配列の長さが1kb以下であり、前記5’相同性アーム配列の長さが、
2.7kb-前記3’相同性アームの前記長さ
であり、
(c)ステップ(a)の前記長さが2.7kbを上回る場合には、前記5’及び3’相同性アームの各々の長さが、
[4.7kb-ステップ(a)の前記長さ]/2ヌクレオチド
である、
前記方法。
【請求項32】
細胞のゲノムの中の標的組み込み部位に導入遺伝子を組み込むための組換えウイルスベクターであって、
(i)第1核酸配列及び第2核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、前記第1核酸配列が、少なくとも1つの外来遺伝子配列を含むものであり、前記第2核酸配列が、前記第1核酸配列の5’側または3’側に位置し、標的組み込み部位への組み込み時に2つの独立した遺伝子産物の産生を促進するものである、前記ポリヌクレオチド;
(ii)前記ポリヌクレオチドの5’側に位置し、前記標的組み込み部位の5’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第3核酸配列;ならびに
(iii)前記ポリヌクレオチドの3’側に位置し、前記標的組み込み部位の3’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第4核酸配列
を含み、前記第3核酸配列及び前記第4核酸配列の各々の長さが請求項31に従って決定される、前記組換えウイルスベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月30日に出願された米国仮出願第63/182,738号に基づく優先権を主張するものであり、参照によりその各々の全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子の機能不全によって引き起こされる遺伝病は、世界中の疾患の大部分を占めている。遺伝子治療は、遺伝性疾患の影響を軽減することを目的とした有望な治療法として浮上している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示よりも前に、相同組換えを利用する特定のAAV遺伝子療法(例えば、GENERIDE(商標))は、同じ長さの相同性アームを含むウイルスベクター組成物を採用した。本開示は、ある特定の長さ(例えば、各々少なくとも750ntまたは少なくとも1000nt)の相同性アームが、改善された編集活性を示し得ることを、特に認識している。本開示は、いくつかの実施形態において、相同性アームが異なる長さを有している場合に、ある特定の長さ(例えば、各々少なくとも750ntまたは少なくとも1000nt)の相同性アームが編集活性のさらなる改善を示し得ることを、認識している。
【0004】
あるいは、またはさらに、本開示は、ベクターデザインにおいて従前に未同定であった問題についての認識をさらに包含する。一部において、本開示は、最適化されたベクターデザインが、特定の相同性アーム長、及び/または各相同性アームの長さの間での比率を含めて、種間で異なることがある、という認識及び見解を包含する。本明細書で実証されるように、ある種での、またはある種についてのモデル系(例えば、野生型マウス、ヒト化マウス、キメラマウス)での、最適なデザインは、別の種での、または別の種についてのモデル系(例えば、野生型マウス、ヒト化マウス、キメラマウス)での最適なデザインとは異なることがある。
【0005】
本開示は、とりわけ、AAVベクターを含むウイルスベクターの設計及び/または産生を改善するための方法及び技術を提供する。様々な実施形態に従って、本開示は、ウイルスベクター構築物のある特定の配列エレメント(例えば、相同性アーム配列)が遺伝子編集効率に重大な影響を与え得るという洞察を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される1つ以上のウイルスベクター組成物(例えば、釣り合いのとれた、または不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクター組成物)をある特定の時間点(例えば、出生後の時間点)で投与することによって編集効率が改善され得ることを実証する。いくつかの実施形態では、投与の時間点は、(例えば、1つ以上の種における特定の齢に相当する)標的細胞または組織の成長段階を基準として選択される。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、組換えウイルスベクターであって、1)第1核酸配列及び第2核酸配列をコードするポリヌクレオチド配列であって、第1核酸配列が、少なくとも1つの外来遺伝子配列を含むものであり、第2核酸配列が、第1核酸配列の5’側または3’側に位置し、標的組み込み部位への組み込み時に2つの独立した遺伝子産物の産生を促進するものである、当該ポリヌクレオチド配列の、少なくとも1つ;2)当該ポリヌクレオチドの5’側に位置し、標的組み込み部位の5’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第3核酸配列;ならびに3)当該ポリヌクレオチドの3’側に位置し、標的組み込み部位の3’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第4核酸配列を含み、第3核酸配列及び第4核酸配列の各々の長さが少なくとも1000ntであり、第3核酸配列と第4核酸配列とが異なる長さである、当該組換えウイルスベクターを提供する。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが500nt~2500ntである外来遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが1000nt~2000ntである外来遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが少なくとも750ntである第3核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが少なくとも1000ntである第3核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが少なくとも1600ntである第3核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが少なくとも750ntである第4核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが少なくとも1000ntである第4核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが少なくとも1600ntである第4核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、どちらも長さが少なくとも750ntである第3及び第4核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、どちらも長さが少なくとも1000ntである第3及び第4核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが1000ntである第3核酸配列、及び長さが1600ntである第4核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、長さが1600ntである第3核酸配列、及び長さが1000ntである第4核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターはAAVベクターである。いくつかの実施形態では、提供されるウイルスベクターは、AAV2、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV-LK03、またはAAV-sL65から選択されるAAVベクターである。
【0007】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、及び組換えウイルスベクターを含み、当該組換えウイルスベクターは、1)第1核酸配列及び第2核酸配列をコードするポリヌクレオチド配列であって、第1核酸配列が、少なくとも1つの外来遺伝子配列を含むものであり、第2核酸配列が、第1核酸配列の5’側または3’側に位置し、標的組み込み部位への組み込み時に2つの独立した遺伝子産物の産生を促進するものである、当該ポリヌクレオチド配列の、少なくとも1つ;2)当該ポリヌクレオチドの5’側に位置し、標的組み込み部位の5’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第3核酸配列;ならびに3)当該ポリヌクレオチドの3’側に位置し、標的組み込み部位の3’側のゲノム配列と相同な配列を含む、第4核酸配列を含み、第3核酸配列及び第4核酸配列の各々の長さは少なくとも1000ntであり、第3核酸配列と第4核酸配列とが異なる長さである。
【0008】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、対象の中の組織の中の1つ以上の細胞のゲノムの中に導入遺伝子を組み込む方法において使用され、上記組成物は、組織の中の細胞が遺伝子産物にコードされる機能性タンパク質を発現することができない対象に投与され、標的組み込み部位は、1つ以上の細胞のゲノムの中にある。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、1つ以上の細胞が非分裂細胞である方法において、投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、1つ以上の細胞が肝細胞、筋細胞、肺細胞またはCNS細胞である方法において、投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、方法において出生後期の間に投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、方法において出生後少なくとも7日目、出生後少なくとも14日目、出生後少なくとも21日目、または出生後少なくとも28日目に投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、方法において出生後28日目またはそれよりも前に投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、導入遺伝子がUGT1A1、FAH、第IX因子、A1AT、ASLまたはLIPAであるか、またはそれを含む方法において、投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、参照組成物と比較して組み込み効率が改善される方法において、投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、方法において少なくとも5E13vg/kgの投薬量で投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、方法において少なくとも1E14vg/kgの投薬量で投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、方法において少なくとも2E14vg/kgの投薬量で投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、対象が動物である方法において、投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、対象がヒトである方法において、投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、対象がクリグラー・ナジャー症候群、チロシン血症、血友病、アルファ1アンチトリプシン欠損症、アルギニノコハク酸尿症またはリソソーム酸性リパーゼ欠損症を有するか、または有する疑いがある方法において、投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実験プロトコールの流れ図、ならびに様々な実験で試験したマウス及びヒトベクターの特定の構成要素を示す模式図を提供する。
図2A】UGT1A1導入遺伝子及び様々な長さの相同性アームを含んでいる様々なマウスGeneRideベクターのC57BL/6マウスにおける編集効率を示す。融合mRNAレベル(左上パネル)、ALB-2A GeneRideバイオマーカーのレベル(右上パネル)、及び染色された肝細胞の百分率によって決定された編集効率(左下パネル)を測定した。右下パネルは、編集された肝細胞の百分率とALB-2Aレベルとの間の相関関係をグラフで表したものである。
図2B】UGT1A1導入遺伝子及び様々な長さの相同性アームを含んでいる様々なマウスGeneRideベクターの、C57BL/6マウスにおける編集効率を示す。マウス肝臓を採取及び染色して、編集された肝細胞を同定した(茶色の点、左の画像:1.0/1.0KBの相同性アームを有するGeneRideベクターで処理した肝臓からの代表的なIHC(水準);右の画像:1.0/1.6KBの相同性アームを有するGeneRideベクターで処理した肝臓からの代表的なIHC)。半自動アルゴリズムを使用して画像を定量して、肝細胞編集の頻度を算出した。
図3A】UGT1A1導入遺伝子に隣接して5’側に1000nt及び3’側に1600ntの相同性アームを含んでいる単一のマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。新生仔期(PND2)、出生後14日目(PND14)及び出生後28日目(PND28)のUGT1-/-マウスに、ベクターを様々な投薬量(3E14vg/kg、1E14vg/kg、3E14vg/kg)で投与した。編集効率を、(図3A)UGT1A1染色、(図3B)融合mRNAレベル及び(図3C)ALB-2Aバイオマーカーレベルの評価によって測定した。また、12週間を通して(図3D)ビリルビンレベル(有効性バイオマーカー)及び(図3E)ビリルビン減少の百分率も測定した。
図3B】UGT1A1導入遺伝子に隣接して5’側に1000nt及び3’側に1600ntの相同性アームを含んでいる単一のマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。新生仔期(PND2)、出生後14日目(PND14)及び出生後28日目(PND28)のUGT1-/-マウスに、ベクターを様々な投薬量(3E14vg/kg、1E14vg/kg、3E14vg/kg)で投与した。編集効率を、(図3A)UGT1A1染色、(図3B)融合mRNAレベル及び(図3C)ALB-2Aバイオマーカーレベルの評価によって測定した。また、12週間を通して(図3D)ビリルビンレベル(有効性バイオマーカー)及び(図3E)ビリルビン減少の百分率も測定した。
図3C】UGT1A1導入遺伝子に隣接して5’側に1000nt及び3’側に1600ntの相同性アームを含んでいる単一のマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。新生仔期(PND2)、出生後14日目(PND14)及び出生後28日目(PND28)のUGT1-/-マウスに、ベクターを様々な投薬量(3E14vg/kg、1E14vg/kg、3E14vg/kg)で投与した。編集効率を、(図3A)UGT1A1染色、(図3B)融合mRNAレベル及び(図3C)ALB-2Aバイオマーカーレベルの評価によって測定した。また、12週間を通して(図3D)ビリルビンレベル(有効性バイオマーカー)及び(図3E)ビリルビン減少の百分率も測定した。
図3D】UGT1A1導入遺伝子に隣接して5’側に1000nt及び3’側に1600ntの相同性アームを含んでいる単一のマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。新生仔期(PND2)、出生後14日目(PND14)及び出生後28日目(PND28)のUGT1-/-マウスに、ベクターを様々な投薬量(3E14vg/kg、1E14vg/kg、3E14vg/kg)で投与した。編集効率を、(図3A)UGT1A1染色、(図3B)融合mRNAレベル及び(図3C)ALB-2Aバイオマーカーレベルの評価によって測定した。また、12週間を通して(図3D)ビリルビンレベル(有効性バイオマーカー)及び(図3E)ビリルビン減少の百分率も測定した。
図3E】UGT1A1導入遺伝子に隣接して5’側に1000nt及び3’側に1600ntの相同性アームを含んでいる単一のマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。新生仔期(PND2)、出生後14日目(PND14)及び出生後28日目(PND28)のUGT1-/-マウスに、ベクターを様々な投薬量(3E14vg/kg、1E14vg/kg、3E14vg/kg)で投与した。編集効率を、(図3A)UGT1A1染色、(図3B)融合mRNAレベル及び(図3C)ALB-2Aバイオマーカーレベルの評価によって測定した。また、12週間を通して(図3D)ビリルビンレベル(有効性バイオマーカー)及び(図3E)ビリルビン減少の百分率も測定した。
図4】齢に対するマウス肝臓重量のグラフを示す。肝臓を標的とする遺伝子療法において、マウス齢をヒト年齢と対応させることは、それぞれの肝臓重量百分率を評価することによってなされ得る。
図5A】UGT1A1導入遺伝子に隣接して異なる相同性アーム長を含んでいる様々なヒトGeneRideベクターの編集効率を示す。ベクターを、(図5A)ヒト細胞アッセイにおいてin vitroで、及び(図5B)肝臓ヒト化マウスモデル(PXB)においてin vivoで試験した。(図5C)PXBマウスは、PXBマウス肝臓におけるヒト肝細胞マーカーに対するIHC染色によって示されるように、移植されたヒト肝細胞による高度に一様な肝臓ヒト化を特徴としていた。
図5B】UGT1A1導入遺伝子に隣接して異なる相同性アーム長を含んでいる様々なヒトGeneRideベクターの編集効率を示す。ベクターを、(図5A)ヒト細胞アッセイにおいてin vitroで、及び(図5B)肝臓ヒト化マウスモデル(PXB)においてin vivoで試験した。(図5C)PXBマウスは、PXBマウス肝臓におけるヒト肝細胞マーカーに対するIHC染色によって示されるように、移植されたヒト肝細胞による高度に一様な肝臓ヒト化を特徴としていた。
図5C】UGT1A1導入遺伝子に隣接して異なる相同性アーム長を含んでいる様々なヒトGeneRideベクターの編集効率を示す。ベクターを、(図5A)ヒト細胞アッセイにおいてin vitroで、及び(図5B)肝臓ヒト化マウスモデル(PXB)においてin vivoで試験した。(図5C)PXBマウスは、PXBマウス肝臓におけるヒト肝細胞マーカーに対するIHC染色によって示されるように、移植されたヒト肝細胞による高度に一様な肝臓ヒト化を特徴としていた。
図6-1】UGT1A1導入遺伝子を含んでいるヒト及びマウスGeneRideベクターの編集活性を示す。試験したベクターは、予めヒト(図5)またはマウス(図2)の系において活性が最適化されたものであった。
図6-2】同上。
図7A】FvB野生型マウスで試験した、ヒトA1AT導入遺伝子に隣接して異なる相同性アーム長を含んでいる様々なマウスGeneRideベクターの編集活性を示す。様々なベクターデザインでの相同性アーム長の模式図である。
図7B】FvB野生型マウスで試験した、ヒトA1AT導入遺伝子に隣接して異なる相同性アーム長を含んでいる様々なマウスGeneRideベクターの編集活性を示す。様々なベクターデザインにおけるALB-2Aバイオマーカー及びヒトA1AT(hA1AT)のレベルである。
図8】FvB野生型マウスで試験した、cyno-A1AT導入遺伝子に隣接して同じ長さの相同性アームを含んでいる様々なマウスGeneRideベクターの編集活性を示す。両方のデザインについてALB-2Aバイオマーカーレベルを測定した。
図9-1】ヒトUGT1A1導入遺伝子に隣接して5’側に1300nt及び3’側に1400ntの相同性アームを含んでいる単一のマウスGeneRideベクターの編集活性を示す。新生仔期(PND1)及び出生後14日目(PND14)のC57B6マウスにベクターを3E13vg/kgの投薬量で投与した。編集効率を、マウス肝細胞におけるhUGT1A1染色、及びALB-2Aバイオマーカーのレベルの評価によって測定した。
図9-2】同上。
図10A】ヒトUGT1A1またはヒト第9因子(FIX)導入遺伝子を含んでいる様々なマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。出生後28日目(PND28)のマウスにベクターを投与した。編集効率を、(図10A)ALB-2Aバイオマーカー(例えば、GeneRideバイオマーカー)のレベル、(図10B)アクチン参照体に対して正規化した導入遺伝子発現、及び(図10C)ALB-2Aレベルと対比される導入遺伝子発現レベルの比較の評価によって測定した。
図10B】ヒトUGT1A1またはヒト第9因子(FIX)導入遺伝子を含んでいる様々なマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。出生後28日目(PND28)のマウスにベクターを投与した。編集効率を、(図10A)ALB-2Aバイオマーカー(例えば、GeneRideバイオマーカー)のレベル、(図10B)アクチン参照体に対して正規化した導入遺伝子発現、及び(図10C)ALB-2Aレベルと対比される導入遺伝子発現レベルの比較の評価によって測定した。
図10C】ヒトUGT1A1またはヒト第9因子(FIX)導入遺伝子を含んでいる様々なマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。出生後28日目(PND28)のマウスにベクターを投与した。編集効率を、(図10A)ALB-2Aバイオマーカー(例えば、GeneRideバイオマーカー)のレベル、(図10B)アクチン参照体に対して正規化した導入遺伝子発現、及び(図10C)ALB-2Aレベルと対比される導入遺伝子発現レベルの比較の評価によって測定した。
図11】ヒトFIX導入遺伝子を含む様々なマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。ベクターを様々な齢のマウス(新生仔、若齢及び成体マウス)に投与した。ALB-2Aバイオマーカーのレベルを様々な齢(新生仔、若齢及び成体マウス)で測定した。
図12】ヒトFIX導入遺伝子に隣接して5’側に1000nt及び3’側に1600ntの相同性アームを含んでいる単一のマウスGeneRideベクターの有効性データを示す。新生仔期(PND2)、出生後28日目(PND28)及び出生後84日目(PND84)のマウスにベクターを投与した。ALB-2Aバイオマーカー及び導入遺伝子発現のレベルを測定した。
図13A】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。不揃いな相同性アームを有する例示的なポリヌクレオチドカセットを示す。
図13B】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。例示的な療法時間経過を示す。
図13C】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。循環バイオマーカーの評価を示す。
図13D】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。処置マウスの体重変化を示す。
図13E】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。図13E及び図13Fは、処置マウスにおける肝機能のマーカー(例えば、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、ビリルビン)のレベルを示す。
図13F】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。図13E及び図13Fは、処置マウスにおける肝機能のマーカー(例えば、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、ビリルビン)のレベルを示す。
図13G】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。フマリルアセト酢酸加水分解酵素(FAH)抗体による肝臓試料の免疫組織化学染色を示す。
図13H】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。宿主ゲノムDNA中への組み込み(gDNA INT)の評価を示す。
図13I】遺伝性チロシン血症を有するマウスを本明細書に記載の療法で処置した結果を示す。臨床検証済みの肝細胞癌(HCC)生存バイオマーカーであるアルファフェトタンパク質(AFP)の存在の評価を示す。
図14A】本明細書に記載の療法による遺伝性チロシン血症マウスの処置の結果及び淘汰的優位性を示す。例示的なベクター及び処置計画を示す。
図14B】本明細書に記載の療法による遺伝性チロシン血症マウスの処置の結果及び淘汰的優位性を示す。ALB-2Aバイオマーカー(例えば、GeneRideバイオマーカー)の評価を示す。
図14C】本明細書に記載の療法による遺伝性チロシン血症マウスの処置の結果及び淘汰的優位性を示す。処置マウスの生存率を示す。
図14D】本明細書に記載の療法による遺伝性チロシン血症マウスの処置の結果及び淘汰的優位性を示す。図14D及び図14Eは、処置マウスにおける肝機能のマーカー(例えば、ALT、スクシニルアセトン(SUAC))を示す。
図14E】本明細書に記載の療法による遺伝性チロシン血症マウスの処置の結果及び淘汰的優位性を示す。図14D及び図14Eは、処置マウスにおける肝機能のマーカー(例えば、ALT、スクシニルアセトン(SUAC))を示す。
図15A】本明細書に記載の療法による小児期HT1マウスの処置の結果を示す。処置時間経過を示す。
図15B】本明細書に記載の療法による小児期HT1マウスの処置の結果を示す。GENERIDE(商標)バイオマーカーの評価を示す。
図15C】本明細書に記載の療法による小児期HT1マウスの処置の結果を示す。処置マウスの体重変化を示す。
図15D】本明細書に記載の療法による小児期HT1マウスの処置の結果を示す。処置マウスのアルファフェトタンパク質(AFP)レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本発明が、より容易に理解されるために、特定の用語を最初に以下に定義する。以下の用語及び他の用語のさらなる定義は、本明細書全体にわたって記載される。本発明の背景を説明し、その実践に関する追加の詳細を提供するために本明細書で参照した刊行物及び他の参考資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
冠詞「a」、及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1つまたは1つ超(すなわち、少なくとも1つ)を指すように使用している。例として、「1つの(an)要素」とは、1つの要素または1つ超の要素を意味する。
【0012】
約:用語「約」または「およそ」は、本明細書において値に関して使用される場合、参照される値との文脈において、類似の値を指す。一般に、その文脈に精通している当業者であれば、その文脈における「約」に含まれる関連する変動の程度を理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以内の値の範囲を包含し得る。
【0013】
併用療法:本明細書で使用する場合「併用療法」という用語は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療薬)に同時に曝露される臨床介入を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療レジメンを同時に施してもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療レジメンを連続的に施してもよい(例えば、第2のレジメンの任意の用量を投与する前に第1のレジメンを施す)。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療レジメンは、重複する投与レジメンで施される。いくつかの実施形態では、併用療法の投与は、他の薬剤(複数可)またはモダリティを受けている対象への1つ以上の治療剤またはモダリティの実施を含み得る。いくつかの実施形態では、併用療法は、個々の薬剤を単一の組成物中で一緒に投与することを必ずしも必要としない(または同時に投与することも必ずしも必要としない)。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療剤または併用療法のモダリティが、対象に対して別々に、例えば、別々の投与経路(例えば、1つの薬剤は経口、もう1つの薬剤は静脈内)を介して、別の組成物中で、及び/または異なる時点で、実施される。いくつかの実施形態では、2つ以上の治療薬は、併用組成物中で、またはさらには併用化合物中で(例えば、単一の化学複合体または共有結合体の一部として)、同じ投与経路を介して、及び/または同時に、一緒に投与されてもよい。
【0014】
同等の:本明細書で使用する場合、「同等の」という用語は、互いに同一ではない場合があるが、それらの間の比較を可能にするのに十分に類似しており、その結果当業者であれば、観察された相違点または類似点に基づいて合理的に結論を導くことができることを理解する、2つ以上の因子、実体、状況、一連の条件のセットなどを指す。いくつかの実施形態では、同等の状態、状況、個体または集団のセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の様々な特徴により特性評価される。当業者であれば、状況に応じて、2つ以上のそのような因子、実体、状況、条件のセットなどが同等であるとみなされるためには、任意の状況においてどの程度の同一性が必要であるかを理解するであろう。例えば、当業者であれば、状況、個体または集団の異なるセット下でまたはそれらにより得られた結果または観察された現象における相違が、変更されるこれらの特徴における変化によって引き起こされるか、またはそれを示すという妥当な結論を保証するために十分な数及び種類の実質的に同一の特徴によって特性評価されるとき、この状況、個体または集団のセットは互いに同等であることを理解するであろう。
【0015】
含んでいる:1つ以上の指定された要素またはステップを「含む」として本明細書に記載される組成物または方法は、オープンエンドであり、このことは、指定された要素またはステップは必須であるが、他の要素またはステップが組成物または方法の範囲内で追加されてもよいことを意味する。重複を避けるために、1つ以上の指定された要素またはステップを「含んでいる」(または「含む」)と記載されている任意の組成物または方法は、同じ指定された要素またはステップから「本質的にからなっている(consisting essentially of)」(またはそれ「から本質的になる(consists essentially of)」)対応する、より限定された組成物または方法も説明していることも理解されたい。このことは、この組成物または方法が指定された必須の要素またはステップを含み、組成物または方法の基本的及び新規な特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさない追加の要素またはステップも含み得ることを意味する。1つ以上の指定された要素またはステップを「含む」またはそれ「から本質的になる」として本明細書に記載される任意の組成物または方法は、指定された要素またはステップ「からなっている(consisting of)」(またはそれ「からなる(consists of)」)対応する、より限定された、クローズドエンドの組成物または方法も説明しており、他の指定されていない要素またはステップは除外されることも理解される。本明細書に開示される任意の組成物または方法において、任意の指定された必須の要素またはステップの既知または開示された等価物で、その要素またはステップを置き換えてもよい。
【0016】
~に対応する:本明細書で使用する場合、「に対応する」という用語は、適切な参照化合物または組成物との比較を通じて、化合物または組成物中の構造要素の位置/同一性を指定するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー中のモノマー残基(例えば、ポリペプチド中のアミノ酸残基またはポリヌクレオチド中の核酸残基)は、適切な参照ポリマー中の残基に「対応する」ものとして識別され得る。例えば、当業者であれば、簡略化の目的で、ポリペプチド中の残基は、多くの場合、参照関連ポリペプチドに基づく標準的な番号付けシステムを使用して指定されるため、190位の残基に「対応する」アミノ酸とは、例えば、実際には特定のアミノ酸鎖の190番目のアミノ酸である必要はなく、むしろ参照ポリペプチドの190番目に見られる残基に対応することを理解するであろう。当業者であれば、「対応する」アミノ酸を同定する方法を容易に理解することができる。例えば、当業者は、例えば、本開示によるポリペプチド及び/または核酸中の「対応する」残基を識別するために利用され得る、BLAST、CS-BLAST、CUSASW++、DIAMOND、FASTA、GGSEARCH/GLSEARCH、Genoogle、HMMER、HHpred/HHsearch、IDF、Infernal、KLAST、USEARCH、parasail、PSI-BLAST、PSI-Search、ScalaBLAST、Sequilab、SAM、SSEARCH、SWAPHI、SWAPHI-LS、SWIMM、またはSWIPEなどのソフトウェアプログラムを含む種々の配列アラインメントストラテジーを承知している。
【0017】
操作された:一般に、「操作された」という用語は、人の手によって操作されたという側面を指す。例えば、自然界ではその順序で結合していない2つ以上の配列が人の手によって操作されて、操作されたポリヌクレオチド内で互いに直接結合される場合、そのポリヌクレオチドは「操作された」とみなされる。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、自然界では第1のコード配列と作動可能に結合しているが、第2のコード配列とは作動可能に結合していないことが見出される、人の手によって連結されて、その結果第2のコード配列と作動可能に会合している調節性配列を含む。同様に、細胞または生物は、その遺伝情報が変更されるように操作された場合(例えば、以前には存在していなかった新しい遺伝物質は、例えば、形質転換、交配、体細胞ハイブリダイゼーション、トランスフェクション、形質導入、もしくは他の機構によって導入されているか、あるいは以前に存在していた遺伝物質が、例えば置換もしくは欠失突然変異によって、または交配プロトコールによって変更または除去される)、「操作された」とみなされる。一般的な慣例であり当業者には理解されているように、実際の操作が以前の実体に対して行われたとしても、操作されたポリヌクレオチドまたは細胞の子孫は、典型的には依然として「操作された」と呼ばれる。
【0018】
賦形剤:本明細書で使用する場合、例えば、所望の粘稠度または安定化効果を提供する、またはそれに寄与するために、医薬組成物中に含まれ得る非治療剤を指す。いくつかの実施形態では、好適な薬学的賦形剤には、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなども含まれ得る。
【0019】
発現:本明細書で使用する場合、核酸配列の「発現」とは、以下の事象のうちの1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNA鋳型の生成(例えば、転写による);(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’cap形成、及び/または3’末端形成による);(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;及び/または(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
【0020】
遺伝子:本明細書で使用する場合、「遺伝子」という用語は、遺伝子産物(例えば、RNA産物及び/またはポリペプチド産物)をコードする染色体中のDNA配列を指す。いくつかの実施形態では、遺伝子は、コード配列(例えば、特定の遺伝子産物をコードする配列)を含む;いくつかの実施形態では、遺伝子は非コード配列を含む。いくつかの特定の実施形態では、遺伝子は、コード配列(例えば、エキソン)及び非コード配列(例えば、イントロン)の両方を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子は、例えば、遺伝子発現の1つ以上の側面(例えば、細胞型特異的発現、誘導的発現)を制御するか、またはそれに影響を与え得る1つ以上の調節性エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、終止シグナル)を含んでもよい。
【0021】
遺伝子産物または発現産物:本明細書で使用する場合、「遺伝子産物」または「発現産物」という用語は、一般に、遺伝子から転写されたRNA(プロセシング前及び/またはプロセシング後)またはその遺伝子から転写されたRNAによってコードされるポリペプチド(修飾前及び/または修飾後)を指す。
【0022】
相同性:本明細書で使用する場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間の、例えばポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。いくつかの実施形態では、抗体などのポリマー分子は、それらの配列が少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一である場合、互いに「相同」であるとみなされる。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%類似している場合、互いに「相同」であるとみなされる。
【0023】
ヒト化マウス:本明細書で使用する場合、「ヒト化マウス」という用語(「キメラマウス」と互換的にも使用される)は、機能しているヒト遺伝子、細胞、組織及び/または器官を保有しているマウスを指す。いくつかの実施形態では、ヒト化マウスは、ヒトのモデル系として使用され得る(例えば、ヒト化肝細胞を有するマウスはヒト肝臓のモデル系として使用され得る)。いくつかの実施形態では、ヒト化マウスは、ヒト細胞及び/または組織が移植されている。いくつかの実施形態では、ヒト化マウスは、ヒト遺伝子または遺伝子産物を発現するように操作されている。
【0024】
同一性:本明細書で使用する「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子間(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)及び/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一である場合、互いに「実質的に同一」であるとみなされる。2つの核酸またはポリペプチド配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的で2つの配列をアラインメントさせることによって実行し得る(例えば、最適なアラインメントのために、第1配列と第2配列の一方または両方にギャップを導入してもよく、同一でない配列は比較目的では無視し得る)。特定の実施形態では、比較目的でアラインメントされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的に100%である。次いで、対応する位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じ残基(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)によって占有される場合には、その分子は、その位置にて同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップの数、及び2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要がある各ギャップの長さを考慮した配列によって共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。例えば、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているMeyers及びMillerのアルゴリズム(CABIOS、1989、4:11-17)を使用して決定され得る。いくつかの例示的な実施形態では、ALIGNプログラムで行われる核酸配列の比較は、PAM120重量残基テーブル、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用する。あるいは、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用するGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して決定され得る。
【0025】
「改善された」、「増加した」、または「減少した」:本明細書で使用する場合、これらの用語、または文法的に比較可能な比較用語は、同等の参照測定値と比較した値を示す。例えば、いくつかの実施形態では、目的の薬剤(例えば、治療剤)で達成される評価値は、同等の参照薬剤で得られる評価値と比較して「改善」され得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、目的の対象またはシステムで達成された評価値は、異なる条件下(例えば、目的の薬剤の投与などの事象の前または後)で同じ対象もしくはシステムで、または異なる同等の対象(例えば、目的の特定の疾患、障害もしくは状態の1つ以上の指標の存在下で目的の対象もしくはシステムとは異なる同等の対象もしくはシステムにおいて、または状態もしくは因子に以前に曝露された場合など)で得られた評価値と比較して「改善」され得る。いくつかの実施形態では、比較用語は、統計的に関連する差異(例えば、統計的関連性を達成するのに十分な普及率及び/または大きさのもの)を指す。当業者は、所与の状況において、そのような統計的有意性を達成するために必要または十分な差異の程度及び/または蔓延を知っているか、または容易に決定することができるであろう。
【0026】
インビトロ:本明細書において使用される場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物体中ではなく、人工環境において、例えば、試験管もしくは反応容器中に、細胞培養中等で起こる事象を指す。
【0027】
インビボ:本明細書で使用される場合、ヒト及びヒト以外の動物などの多細胞生物内で起こる事象を指す。細胞ベースのシステムの文脈では、この用語は、(例えば、インビトロシステムとは対照的に)生きた細胞内で発生する事象を指すために使用される場合がある。
【0028】
マーカー:本明細書で使用されるマーカーは、その存在またはレベルが特定の状態または事象の特徴である実体または部分を指す。いくつかの実施形態では、特定のマーカーの存在またはレベルは、疾患、障害、または状態の存在または段階の特徴であり得る。一例を挙げると、いくつかの実施形態では、この用語は、特定の腫瘍、腫瘍サブクラス、腫瘍の段階などに特徴的な遺伝子発現産物を指す。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、特定のマーカーの存在またはレベルは、例えば、特定のクラスの腫瘍に特徴的である場合がある、特定のシグナル伝達経路の活性(または活性レベル)と相関している。マーカーの有無の統計的有意性は、特定のマーカーに応じて異なる場合がある。いくつかの実施形態では、マーカーの検出は、腫瘍が特定のサブクラスのものである可能性が高いことを反映するという点で、非常に特異的である。このような特異性は感度を犠牲にして得られる場合がある(すなわち、腫瘍がマーカーを発現すると予想される腫瘍であっても陰性結果が生じる場合がある)。逆に、感度が高いマーカーは、感度が低いマーカーに比べて特異性が低い場合がある。本発明によれば、有用なマーカーは、特定のサブクラスの腫瘍を100%の精度で区別する必要はない。
【0029】
核酸:本明細書で使用される場合、その最も広い意味で、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、または組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を指す。いくつかの実施形態では、核酸とは、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、または組み込まれ得る化合物及び/または物質である。文脈から明らかなように、いくつかの実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/またはヌクレオシド)を指す;いくつかの実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」とはRNAであるか、またはそれを含む;いくつかの実施形態では、「核酸」はDNAであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然の核酸残基であるか、それを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然の核酸類似体であるか、それを含む、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、核酸類似体は、ホスホジエステル骨格を利用しないという点で核酸とは異なる。例えば、いくつかの実施形態では、核酸は、当技術分野で公知であり、骨格中にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有する1つ以上の「ペプチド核酸」であるか、それらを含むか、またはそれらからなり、本発明の範囲に含まれるものとする。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合ではなく、1つ以上のホスホロチオエート結合及び/または5’-N-ホスホロアミダイト結合を有する。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)であるか、それらを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上のヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、0(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレート塩基、及びそれらの組み合わせ)であるか、それらを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、核酸は、天然の核酸と比較して、1つ以上の修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAまたはタンパク質などの機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸は1つ以上のイントロンを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、天然源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素合成(インビボまたはインビトロ)、組換え細胞または系における複製、及び化学合成のうちの1つ以上によって調製される。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000以上の長さの残基である。いくつかの実施形態では、核酸は部分的または全体的に一本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は部分的または全体的に二本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードするか、またはポリペプチドをコードする配列の相補体である少なくとも1つのエレメントを含むヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸は酵素活性を有する。
【0030】
ペプチド:本明細書で使用される「ペプチド」という用語は、典型的には比較的短い、例えば、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、約40アミノ酸未満、約30アミノ酸未満、約25アミノ酸未満、約20アミノ酸未満、約15アミノ酸未満、または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指す。
【0031】
薬学的に許容される担体:本明細書において用いる場合、「薬学的に許容される担体」とは、対象の化合物を身体の1つの器官または部分から身体の別の器官または部分に搬送または輸送することに関与する、液体もしくは固体充填材、希釈剤、賦形剤、または溶媒カプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各々の担体は、製剤の他の成分と適合し、かつ対象に有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体として機能し得る物質の幾つかの例としては:糖類、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース、及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバター及び座剤ワックス;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油;グリコール類、例えば、プロピレングリコール;ポリオール類、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;エステル類、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝化溶液;ポリエステル、ポリカーボネート類及び/またはポリ無水物類;ならびに薬学的製剤に用いられる他の非毒性の適合性材料が挙げられる。
【0032】
医薬組成物:本明細書で使用する場合、「医薬組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された活性薬剤を指す。いくつかの実施形態では、活性薬剤は、関連する集団に投与された場合に所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンにおける投与に適切な単位用量で存在する。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、固体または液体形態で投与するために特別に製剤化してもよく、これには、以下:経口投与、例えば、水薬(水性もしくは非水性溶液または懸濁液)、錠剤(例えば頬、舌下、及び全身吸収を標的とするもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペースト;例えば、無菌液もしくは懸濁液、または徐放性製剤として、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射による非経口投与;例えば、皮膚、肺または口腔に適用するクリーム、軟膏、または徐放性パッチもしくはスプレーとして、局所適用;例えば、ペッサリー、クリーム、または泡として膣内または直腸内;舌下;眼;経皮;または経鼻、肺及び他の粘膜表面のために適合される形態を含む。
【0033】
ポリペプチド:本明細書で使用する「ポリペプチド」という用語は、一般に、少なくとも3つのアミノ酸のポリマーの当該技術分野で認識されている意味を有する。当業者は、「ポリペプチド」という用語が、本明細書に列挙される完全な配列を有するポリペプチドを含有するだけでなく、このような完全なポリペプチドの機能的断片(すなわち、少なくとも1つの活性を保持する断片)に相当するポリペプチドも包含するほど十分に一般的なものであることを意図していることを理解するであろう。さらに、当業者は、タンパク質配列が一般に、活性を破壊することなく何らかの置換を許容することを理解する。したがって、活性を保持し、1つ以上の高度に保存された領域で、少なくとも約30~40%の全配列同一性、多くの場合は約50%、60%、70%、または80%超を共有し、さらに通常ははるかに高い同一性、多くの場合90%超、またはさらには95%、96%、97%、98%、もしくは99%超の少なくとも1つの領域を含む、任意のポリペプチドは、通常は少なくとも3~4個、多くの場合最大20個以上のアミノ酸を含み、同じクラスの別のポリペプチドを有し、本明細書で使用する関連用語「ポリペプチド」に包含される。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはその両方を含んでもよく、当技術分野で公知の様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれかを含んでもよい。有用な修飾には、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが含まれる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。「ペプチド」という用語は、一般に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すように使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質とは、抗体、抗体断片、その生物学的に活性な部分、及び/またはその特徴的な部分である。
【0034】
予防するまたは予防:疾患、障害、及び/または状態の発生に関連して本明細書で使用される場合、疾患、障害、及び/または状態を発症するリスクを軽減すること、及び/または疾患、障害、もしくは状態の1つ以上の特徴、徴候、もしくは症状の発症を遅らせることを指す。疾患、障害、または状態の発症が事前に定義された期間遅延した場合、予防は完了したとみなされる場合がある。
【0035】
リスク:文脈から理解されるように、疾患、障害、及び/または状態の「リスク」とは、特定の個人がその疾患、障害、及び/または状態を発症する可能性を指す。いくつかの実施形態では、リスクはパーセンテージとして表される。いくつかの実施形態では、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90から100%以下である。いくつかの実施形態では、リスクは、参照サンプルまたは参照サンプルの群に関連するリスクと比較したリスクとして表現される。いくつかの実施形態では、参照サンプルまたは参照サンプルの群は、疾患、障害、状態及び/または事象の既知のリスクを有する。いくつかの実施形態では、参照サンプルまたは参照サンプルの群は、特定の個体と同等の個体に由来する。いくつかの実施形態では、相対リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。
【0036】
対象:本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、生物、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト、いくつかの実施形態では出生前ヒト形態を含む)を指す。いくつかの実施形態では、対象は、関連する疾患、障害、または状態に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、ある疾患、障害、または状態に罹患しやすい。いくつかの実施形態では、対象は、ある疾患、障害、または状態の1つ以上の症状または特徴を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ある疾患、障害、または状態のいかなる症状も特徴も示さない。いくつかの実施形態では、対象とは、ある疾患、障害、または状態に対する感受性またはリスクに特徴的な1つ以上の特徴を有する人である。いくつかの実施形態では、対象とは患者である。いくつかの実施形態では、対象とは、診断及び/または治療が施されているか、及び/または施された個体である。
【0037】
実質的に:本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の完全またはほぼ完全な程度または度合いを示す定性的な状態を指す。生物学的技術分野の当業者であれば、生物学的及び化学的現象は、たとえあったとしても、完了に至ること、及び/または完全に進むこと、または絶対的な結果を達成するもしくは回避することはまれであることを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的及び化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捉えるために本明細書で使用される。
【0038】
影響を受けやすい:疾患、障害、及び/または状態の「影響を受けやすい」個体とは、一般人よりもその疾患、障害、及び/または状態を発症するリスクが高い人のことである。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態の影響を受けやすい個体は、その疾患、障害、及び/または状態と診断されていない場合もある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態の影響を受けやすい個体は、その疾患、障害、及び/または状態の症状を示す場合がある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態の影響を受けやすい個体は、その疾患、障害、及び/または状態の症状を示さない場合がある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態の影響を受けやすい個体は、その疾患、障害、及び/または状態を発症する。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/または状態の影響を受けやすい個体は、その疾患、障害、及び/または状態を発症しない。
【0039】
治療剤:本明細書で使用する場合、「治療剤」という語句は、対象に投与すると、治療効果を有する、及び/または所望の生物学的及び/または薬理学的効果を誘発する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、治療剤は、疾患、障害及び/または状態の1つ以上の症状または特徴を緩和する、改善する、軽減する、阻害する、予防する、その発症を遅らせる、その重症度を軽減する、及び/またはその発生率を低下させるために使用され得る任意の物質である。
【0040】
処置:本明細書で使用する場合、用語「処置」(また「処置する」または「処置すること」)とは、特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の徴候、症状、特徴、及び/または原因を部分的または完全に緩和する、改善する、回復する、阻害する、その発症を遅らせる、その重症度を軽減する、及び/またはその発生率を低減する療法を施すことを指す。いくつかの実施形態では、そのような処置は、関連疾患、障害、及び/または状態の徴候を示さない対象の処置、及び/またはその疾患、障害、及び/または状態の初期徴候のみを示す対象の処置であってよい。代替的にまたは付加的に、そのような処置は、関連疾患、障害、及び/または状態のうちの1つ以上の確立された徴候を示す対象の処置であってよい。いくつかの実施形態では、処置は、関連疾患、障害、及び/または状態に罹患していると診断された対象の処置であってよい。いくつかの実施形態では、処置は、関連疾患、障害、及び/または状態の発症リスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象の処理であってよい。したがって、いくつかの実施形態では、処置は予防的であってもよい。いくつかの実施形態では、処置は治療的であってもよい。
【0041】
バリアント:本明細書で使用する場合、「バリアント」という用語は、参照実体と有意な構造的同一性を示すが、参照実体と比較される場合、1つ以上の化学部分の存在または非存在またはレベルが参照実体とは構造的に異なる実体を指す。いくつかの実施形態では、バリアントはまた、その参照実体と機能的に異なる。一般に、特定の実体が参照実体の「バリアント」であると適切にみなされるか否かは、参照実体との構造的同一性の程度に基づく。当業者には理解されるように、任意の生物学的または化学的参照実体は、特定の特徴的な構造要素を有する。バリアントとは、定義上、そのような特徴的な構造要素を1つ以上共有する別個の化学物質である。ほんの数例を挙げると、小分子は、特徴的なコア構造要素(例えば、大環状コア)及び/または1つ以上の特徴的なペンダント部分を有する場合があり、その結果、小分子のバリアントは、コア構造要素及び特徴的なペンダント部分を共有するものとなり、ただし、他のペンダント部分及び/またはコア内に存在する結合の種類(一重対二重、E対Zなど)が異なり、ポリペプチドは、線形または三次元空間内で互いに対して指定された位置を有する、及び/または特定の生物学的機能に寄与する、複数のアミノ酸からなる特徴的な配列エレメントを有し得、核酸は、線形または三次元空間内で互いに指定された位置を有する複数のヌクレオチド残基から構成される特徴的な配列エレメントを有し得る。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、アミノ酸もしくはヌクレオチド配列における1つ以上の違い、及び/またはポリペプチドもしくは核酸の共有結合成分である(例えば、ポリペプチドまたは核酸骨格に結合している)、化学部分(例えば、炭水化物、脂質、リン酸基)の1つ以上の違いの結果として、参照ポリペプチドまたは核酸とは異なる場合がある。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%の全体的な配列同一性を示す。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸と少なくとも1つの特徴的な配列エレメントを共有しない。いくつかの実施形態では、参照ポリペプチドまたは核酸は、1つ以上の生物学的活性を有する。いくつかの実施形態では、バリアントのポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸の生物学的活性の1つ以上を共有する。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸の生物学的活性の1つ以上を欠く。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸と比較して、1つ以上の生物学的活性のレベルの低下を示す。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドまたは核酸は、参照のものと同一だが、特定の位置での少数の配列変更があるアミノ酸またはヌクレオチド配列を有する場合、親または参照のポリペプチドまたは核酸の「バリアント」であるとみなされる。典型的には、約20%、約15%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、または約2%未満のバリアント内の残基が、参照と比較して、置換、挿入、または欠失されている。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照と比較して、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1個の置換残基(複数可)を含む。多くの場合、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照と比較して、非常に少数(例えば、約5、約4、約3、約2、または約1未満)の置換、挿入、または欠失した機能的残基(すなわち、特定の生物学的活性に関与する残基)を含む。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、約5、約4、約3、約2、または約1個以下の付加(複数可)または欠失(複数可)を含み、いくつかの実施形態では、参照と比較して、追加または削除がない。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照と比較して、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約10、約9、約8、約7、約6未満、通常は約5、約4、約3、または約2未満の追加または欠失を含む。いくつかの実施形態では、参照ポリペプチドまたは核酸は、自然界に見られるものである。いくつかの実施形態では、参照ポリペプチドまたは核酸は、ヒトのポリペプチドまたは核酸である。
【0042】
特定の実施形態の詳細な説明
遺伝子治療
遺伝子の機能不全によって引き起こされる遺伝性疾患は、2019年時点で報告された約7,136件の疾患のうち80%近くを占めると報告されている(Genetic and rare Diseases Information Center and Global Genesを参照)。世界中で3億3,000万人超の人々が遺伝性疾患に罹患しており、そのうちほぼ半数が子供であると推定されている。しかし、利用可能な薬剤で治療できるヒト疾患はわずか約500と推定されており、これらの遺伝性疾障害のかなりの部分に対処するには新しい治療法及び治療の選択肢が必要であることが示されている。遺伝子治療は、対象への遺伝物質の伝達を通じて遺伝性障害の影響を媒介することを目的とした、新興の処置法である。いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、移入された遺伝物質の転写及び/または翻訳、及び/または核酸、ウイルス、もしくは遺伝子操作された微生物の投与を介して、移入された遺伝物質を宿主ゲノムに組み込むことを含み得る(FDAガイドラインを参照のこと)。遺伝子治療は、処置のために対象の任意の特定の細胞、組織、及び/または器官に治療用遺伝物質を送達することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、宿主細胞への治療用遺伝子または導入遺伝子の移入を伴う。
【0043】
ウイルス遺伝子治療
ウイルスは、高レベルのペイロード(例えば、導入遺伝子)を発現する能力、及びいくつかの実施形態では、宿主のゲノムの中でペイロード(例えば、導入遺伝子)を安定して発現する能力に起因して、遺伝子治療のための魅力的なビヒクルとして浮上している。組換えAAVは、多くの場合、高いウイルス収量、穏やかな免疫応答を生成し、様々な細胞型に感染できるので、遺伝子治療用の一般的なウイルスベクターである。
【0044】
従来のAAV遺伝子治療では、rAAVを操作して、染色体DNAに組み込むことなく治療ペイロード(例えば、導入遺伝子)を標的細胞に送達し得る。1つ以上のペイロード(例えば導入遺伝子)は、細胞核内に存在するエピソームと呼ばれる非組み込み遺伝エレメントから発現される場合がある。従来の遺伝子治療は、最初に形質導入された細胞には効果的であり得るが、エピソーム発現は一時的であり、とりわけ細胞代謝回転に伴って経時的に徐々に減少する。より長い寿命を有する細胞(例えば、対象の寿命のかなりの部分にわたって存在する細胞)の場合、エピソーム発現が効果的である可能性がある。しかし、従来の遺伝子治療は、発育中の急速な組織成長によりペイロード(例えば、導入遺伝子)の治療効果が希釈され、最終的には失われ得るので、人生の早い段階(例えば小児期)に対象に適用される場合には欠点がある場合がある。
【0045】
AAV遺伝子治療の2番目のタイプであるGENERIDE(商標)は、細胞ゲノムの忠実度を維持する、自然に存在するDNA修復プロセスである相同組換え(HR)を利用する。GENERIDE(商標)はHRを使用して、1つ以上のペイロード(例えば、導入遺伝子)をゲノム配列内の特定の標的遺伝子座に挿入する。いくつかの実施形態では、GENERIDE(商標)は、1つ以上の標的遺伝子座で内因性プロモーターを利用して、高レベルの組織特異的発現を駆動する。GENERIDE(商標)は外因性ヌクレアーゼまたはプロモーターの使用を必要としないため、これらの要素に関連することが多い有害な影響を軽減する。さらに、GENERIDE(商標)プラットフォーム技術は、特に小児対象における遺伝性疾患の処置によく適した方法で、従来の遺伝子治療と従来の遺伝子編集アプローチの両方の重要な制限の一部を克服する可能性がある。GENERIDE(商標)は、AAVベクターを使用して遺伝子を細胞の核に送達する。次に、HRを使用して対象のゲノムにおいて、内因性プロモーターによって調節される位置に修正遺伝子を安定して組み込むことで、身体が成長し時間の経過とともに変化しても、生涯にわたるタンパク質生産が可能になる(これは従来のAAV遺伝子治療では実現できない)。
【0046】
非破壊的遺伝子ターゲティングに関する以前の研究は、参照により本明細書に組み込まれるWO2013/158309に記載されている。ヌクレアーゼを使用しないゲノム編集に関する以前の研究は、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/143177に記載されている。MMAの処置のための非破壊的遺伝子治療に関する以前の研究は、参照により本明細書に組み込まれるWO2020/032986に記載されている。遺伝子治療のモニタリングに関する以前の研究は、参照により本明細書に組み込まれるWO2020/214582に記載されている。
【0047】
ウイルスの構造及び機能
ウイルスベクター
ウイルスベクターは、ウイルスまたはウイルス染色体物質を含み、その中に異種核酸配列を挿入して目的の標的配列に移入し得る(例えば、細胞内のゲノムDNAに移入するため)。例えば、一本鎖DNA(ssDNA)ウイルス、二本鎖DNA(dsDNA)ウイルス、及び/またはライフサイクルにDNA段階を有するRNAウイルスを含む、様々なウイルスをウイルスベクターとして使用し得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)もしくはAAVバリアントであるか、またはそれらを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、ベクター粒子は、ウイルスベースのポリヌクレオチドをカプシド化するカプシドを含むウイルスの単一単位である(例えば、野生型ウイルスゲノムまたは組換えウイルスベクター)。いくつかの実施形態では、ベクター粒子は、AAVベクター粒子であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、AAVベクター粒子とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質及びカプシド化AAVベクターから構成されるベクター粒子を指す。いくつかの実施形態では、ベクター粒子(ウイルスベクターとも呼ばれる)は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質及びカプシド化AAVベクターを含み、ベクターは1つ以上の異種ポリヌクレオチド配列をさらに含む。
【0049】
カプシドタンパク質
いくつかの実施形態では、発現構築物は、天然に存在するAAV及び組換えAAVを含む、1つ以上のAAVサブタイプに由来するカプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVC11.01、AAVC11.02、AAVC11.03、AAVC11.04、AAVC11.05、AAVC11.06、AAVC11.07、AAVC11.08、AAVC11.09、AAVC11.10、AAVC11.11(本明細書では互換的にsL65と呼ばれる)、AAVC11.12、AAVC11.13、AAVC11.14、AAVC11.15、AAVC11.16、AAVC11.17、AAVC11.18、AAVC11.19、AAV-DJ、AAV-LK03、AAV-LK19、AAVrh.74、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.K、AAVrh.39、AAV12、AAV13、AAVrh.8、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、ハイブリッドAAV(例えば、1つのAAVサブタイプの1つ以上の配列及び第2のサブタイプの1つ以上の配列を含むAAV)、及び/または変異体AAVカプシドタンパク質もしくはキメラAAVカプシド(例えば、AAVの2つ以上の異なる血清型に由来するポリヌクレオチド配列を有するカプシド)を含むAAV、またはそれらのバリアント由来のカプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、カプシドタンパク質(例えば、1つ以上のAAVサブタイプ由来のカプシドタンパク質)内にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、参照カプシドタンパク質と比較して、細胞(例えば、ヒトまたはマウス細胞)の形質導入の増加または増強を提供する。いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、参照カプシドタンパク質と比較して、特定の細胞または組織型(例えば、肝臓向性、筋肉向性、CNS向性、肺向性)の形質導入の増加または増強をもたらす。いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、細胞または組織(例えば、肝臓、筋肉、及び/またはCNS)の形質導入を参照カプシドタンパク質と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、またはそれ以上増加または増強する。いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、細胞または組織(例えば、肝臓、筋肉、肺及び/またはCNS)の形質導入を、参照カプシドタンパク質と比較して、少なくとも約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、またはそれ以上増加または増強する。
【0051】
AAVの構造及び機能
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、正二十面体のタンパク質カプシドと一本鎖DNAゲノムで構成されるパルボウイルスである。AAVウイルスのカプシドは、VP1、VP2、VP3の3つのサブユニット、ならびにゲノム配列の末端にある2つの末端逆位配列(ITR)領域を含む。ITRは複製起点として機能し、ウイルスのパッケージングにおいて役割を果たす。ウイルスゲノムには、それぞれ複製とカプシドパッケージングに関連するrep遺伝子及びcap遺伝子も含まれている。ほとんどの野生型AAVでは、rep遺伝子はウイルス複製に必要な4つのタンパク質、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードする。cap遺伝子は、カプシドサブユニットと、ウイルス粒子のアセンブリを促進するアセンブリ活性化タンパク質(AAP)とをコードする。AAVは一般に複製欠損であり、感染細胞内で複製するにはヘルパーウイルスまたはヘルパーウイルス機能(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)及び/またはアデノウイルス(AdV))の存在を必要とする。例えば、いくつかの実施形態では、AAVは、宿主細胞内で複製するために、アデノウイルスE1A、E2A、E4、及びVA RNA遺伝子を必要とする。
【0052】
組換えAAV
一般に、組換えAAV(rAAV)ベクターは、類似のカプシド配列及び構造、ならびにAAV起源ではないポリヌクレオチド配列(例えば、AAVに対して異種のポリヌクレオチド)を含む、野生型AAVに見られる同じエレメントの多くを含み得る。いくつかの実施形態では、rAAVは、天然の野生型AAV配列を、ペイロードをコードするポリヌクレオチド配列で置き換えることになる。例えば、いくつかの実施形態では、rAAVは、治療目的(例えば、遺伝子治療)を目的とした1つ以上の遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列を含むことになる。rAAVは、1つ以上の野生型ウイルスコード配列を除去するように修飾されてもよい。例えば、rAAVは、1つのみのITR、及び/または野生型AAVに見られるよりもパッケージングに必要な1つ以上の少ない遺伝子(例えば、rep遺伝子及びcap遺伝子)を含むように操作されてもよい。より大きな配列はウイルスカプシド内に効率的にパッケージングされないので、rAAVによる遺伝子発現は一般に合計5kb以下の1つ以上の遺伝子に限定される。いくつかの実施形態では、例えば、通常は大きすぎて単一のAAVに収まらないであろう遺伝子のコード配列全体を提供するために、2つ以上のrAAVを使用して、より大きなペイロードの一部を提供し得る。
【0053】
とりわけ、本開示は、本明細書に記載される1つ以上のポリペプチドを含むウイルスベクターを提供する。いくつかの実施形態では、rAAVは、1つ以上のカプシドタンパク質(例えば、AAVC11.01、AAVC11.02、AAVC11.03、AAVC11.04、AAVC11.05、AAVC11.06、AAVC11.07、AAVC11.08、AAVC11.09、AAVC11.10、AAVC11.11(本明細書では同義でsL65と呼ばれる)、AAVC11.12、AAVC11.13、AAVC11.14、AAVC11.15、AAVC11.16、AAVC11.17、AAVC11.18、AAVC11.19、AAV-DJ及び/またはAAV-LK03)、AAVrh.74、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.K、AAVrh.39、AAV12、AAV13、AAVrh.8、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、ヒツジAAV、ハイブリッドAAV(例えば、1つのAAVサブタイプの1つ以上の配列及び第2のサブタイプの1つ以上の配列を含むAAV)、及び/または変異体AAVカプシドタンパク質もしくはキメラAAVカプシド(例えば、2つ以上の異なるAAV血清型に由来するポリヌクレオチド配列を有するカプシド)を含むAAVに由来する、1つ以上のカプシドタンパク質)を含み得る。いくつかの実施形態では、rAAVは、目的の遺伝子または核酸(例えば、遺伝性疾患/障害の処置のための遺伝子及び/または阻害性核酸配列)をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列を含み得る。
【0054】
AAVベクターは、感染した宿主細胞内で複製することができる(複製コンピテント)場合もあれば、感染した宿主細胞内で複製できない(複製不能)場合もある。複製コンピテントAAV(rcAAV)は、1つ以上の機能的AAVパッケージング遺伝子の存在を必要とする。組換えAAVベクターは、一般に、AAVパッケージング遺伝子をコードする配列との組換えによってrcAAVが生成される可能性を減らすために、哺乳動物細胞において複製不能となるように設計される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のrAAVベクター調製物は、rcAAVベクターを含むとしても、ほとんど含まないように設計される。いくつかの実施形態では、rAAVベクター調製物は、10rAAVベクターあたり約1未満のrcAAVを含む。いくつかの実施形態では、rAAVベクター調製物は、10rAAVベクターあたり約1未満のrcAAVを含む。いくつかの実施形態では、rAAVベクター調製物は、10rAAVベクターあたり約1未満のrcAAVを含む。いくつかの実施形態では、rAAVベクター調製物は、1012rAAVベクターあたり約1未満のrcAAVを含む。いくつかの実施形態では、rAAVベクター調製物は、rcAAVベクターを含まない。
【0055】
異種核酸
特に、本開示は、少なくとも1つのペイロード及び2つの相同性アームを含んでいるポリヌクレオチドカセットであって、片方の相同性アームがポリヌクレオチドカセットの5’末端にあり、もう片方の相同性アームがポリヌクレオチドカセットの3’末端にある、当該ポリヌクレオチドカセットを提供する。
【0056】
ペイロード
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のベクターまたは構築物は、1つ以上のペイロードをコードするポリヌクレオチド配列を含み得る。様々な態様によれば、様々なペイロードのいずれか(例えば、診断及び/または治療目的のもの)を、単独で使用しても、または組み合わせて使用してもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、ペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、病状を治療するための生物学的プロセスを促進する細胞内在性または細胞外性の活性を有するペプチドである。いくつかの実施形態では、ペイロードは、導入遺伝子(本明細書では目的の遺伝子(GOI)とも呼ばれる)であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、1つ以上の末端逆位配列(ITR)配列(例えば、1つ以上のAAV ITR)であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、隣接するITR配列を有する1つ以上の導入遺伝子であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、レポーター遺伝子(例えば、蛍光レポーターまたは発光レポーター)をコードする1つ以上の異種核酸配列であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、1つ以上のバイオマーカー(例えば、ペイロード発現のプロキシ)であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、ポリシストロニック発現のための配列(例えば、2Aペプチド、またはイントロン配列、内部リボソーム侵入部位を含む)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、単一のコード配列内で2つ以上の別個のタンパク質産物の共発現を可能にする小さな(例えば、約18~22アミノ酸)ペプチド配列である。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、タンパク質コード配列の配置に関係なく、2つ以上の別個のタンパク質産物の共発現を可能にする。いくつかの実施形態では、2Aペプチドはコンセンサスモチーフ(例えば、DVEXNPGP)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、2Aペプチドはタンパク質の切断を促進する。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、ウイルス配列(例えば、口蹄疫ウイルス(F2A)、ウマA型鼻炎ウイルス、ブタテスコウイルス-1(P2A)、またはThosea asignaウイルス(T2A))であるか、またはそれらを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、2Aペプチド(例えば、P2A、T2A、E2A、及び/またはF2A)であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、フリン切断モチーフであるか、またはそれらを含む(Tian et al.,FurinDB:A Database of 20-Residue Furin Cleavage Site Motifs,Substrates and Their Associated Drugs,(2011),Int.J.Mol.Sci.,vol.12:1060-1065を参照)。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、タグ(例えば、免疫学的タグ)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、1つ以上の機能的核酸(例えば、1つ以上のsiRNAまたはmiRNA)を含み得る。いくつかの実施形態では、ペイロードは、1つ以上の阻害性核酸(例えば、とりわけ、リボザイム、miRNA、siRNA、またはshRNAを含む)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペイロードは、1つ以上のヌクレアーゼ(例えば、Casタンパク質、エンドヌクレアーゼ、TALEN、ZFN)を含んでもよい。
【0058】
導入遺伝子
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、疾患、障害、または状態の1つ以上の徴候及び/または症状を改善するために選択される修正(corrective)遺伝子である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、本開示に包含されるベクター(複数可)の使用を通じて宿主細胞ゲノムに恒久的に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、宿主細胞内で見出される疾患関連遺伝子(すなわち、疾患、障害または状態の発現または悪化に関連する遺伝子アイソフォーム(複数可))の機能的バージョンである。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、宿主細胞に見出される疾患関連遺伝子の最適化されたバージョン(例えば、コドン最適化または発現最適化されたバリアント)である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、宿主細胞内で見出される疾患関連遺伝子のバリアント(例えば、その機能的遺伝子断片またはバリアント)である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子とは、1つ以上の健康な組織で通常発現されるペプチドの発現を引き起こす遺伝子である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子とは、肝細胞で通常発現されるペプチドの発現を引き起こす遺伝子である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子とは、筋肉細胞で通常発現されるペプチドの発現を引き起こす遺伝子である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子とは、中枢神経系細胞で通常発現されるペプチドの発現を引き起こす遺伝子である。
【0059】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、1つ以上の健康な組織では通常発現されないペプチド(例えば、異所的に発現されるペプチド)の発現を引き起こす遺伝子であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、1つ以上の健康な組織(例えば、肝臓、筋肉、中枢神経系(CNS)、肺)において異所的に発現されるペプチドの発現を引き起こす遺伝子である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子とは、1つ以上の健康な組織において異所的に発現され、1つ以上の健康な組織(例えば、肝臓、筋肉、中枢神経系(CNS)、肺)において正常に発現されるペプチドの発現を引き起こす遺伝子である。
【0060】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、機能的核酸をコードする遺伝子であってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、治療剤は、宿主細胞または対象に対して治療効果を有する薬剤であるか、またはそれらを含む(例えば、リボザイム、ガイドRNA(gRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、miRNA、siRNA、及び/またはshRNAを含む)。例えば、いくつかの実施形態では、治療剤は、医学的状態、例えば、疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状を治療するための生物学的プロセスを促進する。
【0061】
いくつかの実施形態では、対象における導入遺伝子の発現は、実質的に標的遺伝子座での組み込みから生じる。いくつかの実施形態では、対象における総導入遺伝子発現の75%以上(例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上、99.5%以上)は、標的遺伝子座での導入遺伝子の組み込みによるものである。いくつかの実施形態では、対象における総導入遺伝子発現の25%以下(例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、0.1%以下)は、標的遺伝子座での導入遺伝子の組み込み以外の起源に由来する(例えば、エピソーム発現、非標的遺伝子座での組み込み)。
【0062】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は対象内で一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、対象における総導入遺伝子発現の75%以上(例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上、99.5%以上)は、一過性発現に由来する。いくつかの実施形態では、対象における総導入遺伝子発現の25%以下(例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、0.1%以下)は、一過性発現以外の起源に由来する(例えば、非標的遺伝子座での組み込み)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後、1週間以上にわたって、対象で一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後、1か月以上にわたって、対象で一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。
【0063】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後1日以上以内に観察されるレベルと同等のレベルで、処置から1週間以上後に対象において一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後1日以上以内に観察されるレベルと同等のレベルで、処置から1か月以上後に対象において、一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。
【0064】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後1日以上以内に観察されるレベルと比較して低下したレベルで、処置から1週間以上後に対象において一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後1日以上以内に観察されるレベルと比較して低下したレベルで、処置から1か月以上後に対象において一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。
【0065】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後1か月以内の間、対象において、一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後2か月以内の間、対象において、一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後3か月以内の間、対象において、一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後4か月以内の間、対象において、一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後5か月以内の間、対象において、一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、処置後6か月以内の間、対象において、一時的に発現される(例えば、プラスミド、ミニサークルDNA、ウイルスなどからのエピソーム発現)。
【0066】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子及び相同性アームの合計サイズは、これらの導入遺伝子が送達ビヒクル中に効率的にパッケージングされるのに適した配列長を有する可能性を増大させるように最適化され得、これにより、最終的に患者において導入遺伝子が適切に送達されることになる可能性が増大し得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化されている。いくつかの実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列は、ある特定の細胞型(例えば、哺乳動物、昆虫、細菌、真菌など)のためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列は、ヒト細胞のためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列は、特定の組織型(例えば、肝臓、筋肉、CNS、肺)のヒト細胞のためにコドン最適化されている。
【0068】
ある特定の実施形態では、導入遺伝子をコードするヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列(例えば、野生型遺伝子配列)との100%未満のヌクレオチド相同性を有するようにコドン最適化され得る。ある特定の実施形態では、導入遺伝子をコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列と参照ヌクレオチド配列との間のヌクレオチド相同性は、100%未満、99%未満、98%未満、97%未満、96%未満、95%未満、94%未満、93%未満、92%未満、91%未満、90%未満、89%未満、88%未満、87%未満、86%未満、85%未満、84%未満、83%未満、82%未満、81%未満、80%未満、78%未満、76%未満、74%未満、72%未満、70%未満、68%未満、66%未満、64%未満、62%未満、60%未満、55%未満、50%未満及び40%未満である。
【0069】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、対応する野生型参照ヌクレオチド配列(例えば、野生型遺伝子配列)との少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%の同一性を有する配列であり得る、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、対応する野生型参照ヌクレオチド配列(例えば、野生型遺伝子配列)の一部との少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%の同一性を有する配列であり得る、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、以下の表5中の例示的な配列との少なくとも80%、85%、90%、95%、99%または100%の同一性を有する配列であり得る、またはそれを含み得る。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0070】
相同性アーム
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターは、標的遺伝子座に対して有意な配列相同性を有する1つ以上の隣接ポリヌクレオチド配列(例えば、相同性アーム)を含む。いくつかの実施形態では、相同性アームは、ペイロードをコードするポリヌクレオチド配列に隣接する(例えば、1つの相同性アームがペイロードに対して5’側にあり(本明細書では5’相同性アームとも呼ばれる)、1つの相同性アームがペイロードに対して3’側にある(本明細書では3’相同性アームとも呼ばれる))。いくつかの実施形態では、相同性アームは、ペイロードが部位特異的に組み込まれるように導く。
【0071】
いくつかの実施形態では、相同性アームは、同じ長さのもの(本明細書では、釣り合いのとれた相同性アーム、または揃った相同性アームとも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、同じ長さの相同性アームを含んでおり、この相同性アームが少なくとも特定の長さであるウイルスベクターは、改善された効果(例えば、標的組み込み率の改善)をもたらす。いくつかの実施形態では、相同性アームの長さは100nt~1000ntである。いくつかの実施形態では、相同性アームの長さは200nt~1000ntである。いくつかの実施形態では、相同性アームの長さは500nt~1500ntである。いくつかの実施形態では、相同性アームの長さは1000nt~2000ntである。いくつかの実施形態では、相同性アームの長さは2000ntを上回る。いくつかの実施形態では、各相同性アームの長さは少なくとも750ntである。いくつかの実施形態では、各相同性アームの長さは少なくとも1000ntである。いくつかの実施形態では、各相同性アームの長さは少なくとも1250ntである。いくつかの実施形態では、相同性アームの長さは1000nt未満である。いくつかの実施形態では、相同性アームは標的座位との少なくとも70%の相同性を含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは標的座位との少なくとも80%の相同性を含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは標的座位との少なくとも90%の相同性を含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは標的座位との少なくとも95%の相同性を含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは標的座位との少なくとも99%の相同性を含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは標的座位との100%の相同性を含有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、相同性アームは、異なる長さのもの(本明細書では、不釣り合いな相同性アーム、または不揃いな相同性アームとも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、異なる長さを有する不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターは、参照配列と比較して改善された効果(例えば、標的部位組み込み率の向上)をもたらす。いくつかの実施形態では、異なる長さの相同性アームを含み、各相同性アームが少なくとも特定の長さであるウイルスベクターは、参照配列(例えば、同じ長さの相同性アームを含むウイルスベクター、または長さが1000nt未満の1つ以上の相同性アームを含むウイルスベクター)と比較して改善された効果(例えば、標的部位組み込み率の向上)をもたらす。
【0073】
いくつかの実施形態では、各相同性アームの長さは500ntを超える。いくつかの実施形態では、各相同性アームの長さは少なくとも750ntである。いくつかの実施形態では、各相同性アームの長さは少なくとも1000ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1000ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1100ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1200ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1300ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1400ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1500ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1600ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1700ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1800ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1900ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも750ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも2000ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1100ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1200ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1300ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1400ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1500ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1600ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1700ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1800ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1900ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1000ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも2000ntである。いくつかの実施形態では、1つの相同性アームの長さは少なくとも1300ntであり、別の相同性アームの長さは少なくとも1400ntである。いくつかの実施形態では、5’相同性アームは3’相同性アームよりも長い。いくつかの実施形態では、3’相同性アームは5’相同性アームよりも長い。
【0074】
いくつかの実施形態では、相同性アームを含むウイルスベクターは、参照配列(例えば、相同性アームを欠くウイルスベクター)と比較して改善された効果(例えば、標的部位組み込み率の向上)をもたらす。いくつかの実施形態では、相同性アームを含むウイルスベクターは、0.01%以上(例えば、0.05%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、0.4%以上、0.5%以上、0.6%以上、0.7%以上、0.8%以上、0.9%以上、1%以上、1.5%以上、2%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上)の標的部位組み込み率をもたらす。いくつかの実施形態では、相同性アームを含むウイルスベクターは、経時的な標的部位組み込み率の向上をもたらす。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、標的部位組み込みの初期測定値と比較して経時的に向上する。いくつかの実施形態では、経時的な標的部位組み込み率は、標的部位組み込みの最初の測定値より少なくとも1.5倍高い(例えば、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍)。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1日以上後に測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1週間以上後に測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1か月以上後に測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1年以上後に測定される。
【0075】
いくつかの実施形態では、異なる長さの相同性アームを含むウイルスベクターは、参照配列(例えば、同じ長さの相同性アームを有するウイルスベクター、500nt未満の相同性アームを少なくとも1つ有するウイルスベクター)と比較して改善された効果(例えば、標的部位組み込み率の向上)をもたらす。いくつかの実施形態では、異なる長さの相同性アームを含むウイルスベクターは、参照組成物(例えば、同じ長さの相同性アームを有するウイルスベクター、500nt未満の相同性アームを少なくとも1つ有するウイルスベクター)と比較して少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍または少なくとも4.0倍改善された編集活性をもたらす。
【0076】
いくつかの実施形態では、異なる長さの相同性アームを含むウイルスベクターは、0.01%以上(例えば、0.05%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、0.4%以上、0.5%以上、0.6%以上、0.7%以上、0.8%以上、0.9%以上、1%以上、1.5%以上、2%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上)の標的部位組み込み率をもたらす。いくつかの実施形態では、異なる長さの相同性アームを含むウイルスベクターは、経時的な標的部位組み込み率の向上をもたらす。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、標的部位組み込みの初期測定値と比較して経時的に向上する。いくつかの実施形態では、経時的な標的部位組み込み率は、標的部位組み込みの最初の測定値より少なくとも1.5倍(例えば、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍)高い。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1日以上後に測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1週間以上後に測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1か月以上後に測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1年以上後に測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1つ以上のバイオマーカー(例えば、2Aペプチドを含むバイオマーカー)の評価によって測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、1つ以上の単離核酸(例えば、mRNA、gDNA)の評価によって測定される。いくつかの実施形態では、標的部位組み込み率は、遺伝子発現の評価によって(例えば、免疫組織化学染色によって)測定される。
【0077】
【表1】
【0078】
いくつかの実施形態では、異なる長さの相同性アームを含むウイルスベクターは、種または種のモデルシステム(例えば、マウス、ヒト、またはそれらのモデル)における遺伝子編集の改善を提供し得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、特定の種または特定の種のモデルシステム(例えば、マウス、ヒト、またはそれらのモデル)における発現のために最適化される場合、相同性アーム長の異なる組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、相同性アーム長の特定の組み合わせを含むウイルスベクターは、ある種またはある種のモデルシステム(例えば、ヒト、ヒト化マウスモデル)において、第2の種または第2の種のモデルシステム(例えば、マウス、純粋なマウスモデル)と比較して遺伝子編集の改善を提供し得る。いくつかの実施形態では、相同性アーム長の特定の組み合わせを含むウイルスベクターは、ある種またはある種のモデル(例えば、ヒト、ヒト化マウスモデル)において、第2の種または第2の種のモデルシステム(例えば、マウス、純粋なマウスモデル)と比較して高レベルの遺伝子編集に最適化され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、相同性アームは、高度に発現される内因性遺伝子の直後に導入遺伝子が組み込まれるように導く。いくつかの実施形態では、相同性アームは、内因性遺伝子発現を破壊することなく導入遺伝子が組み込まれるように導く(非破壊的組み込み)。
【0080】
相同性アームデザイン及び最適化
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、発現が最適化された場合、異なる組み合わせの相同性アーム長を含み得る。
【0081】
本開示は、異なるデザインの相同性アームが、様々なウイルスベクター(例えば、導入遺伝子及び2A配列を含む異なる発現カセットを含むウイルスベクター)との関連において有益となり得る、という認識を包含する。例えば、いくつかの実施形態において、ウイルスベクターが、導入遺伝子と2A配列(例えばP2A)とITRとを全部の合計長さが少なくとも2.7kbとなるように含んでいる(例えば、典型的なAAVのパッケージング容量を前提とすればおよそ2kb以下を相同性アームのために残している)発現カセットを含む場合、各相同性アームについて可能な限り1kbに近い長さを維持するためには同じ長さ(すなわち、釣り合いのとれたデザイン)の相同性アームを使用することが好ましくなり得る。そのようなデザインは、改善された組み込み効率をもたらし得る。
【0082】
他のいくつかの実施形態では、図2に示されているように、ウイルスベクターが、導入遺伝子と2A配列(例えばP2A)とITRとを全部で2.7kb未満となるように含んでいる(例えば、典型的なAAVのパッケージング容量を前提とすれば2kbよりも多くを相同性アームのために残している)発現カセットを含む場合、異なる長さ(すなわち、不釣り合いなデザイン)の相同性アームを使用することが好ましく、これは、改善された組み込み効率をもたらし得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、1kbの3’相同性アームとより長い(例えば、ベクターのパッケージング容量によって許容される最大限の)5’相同性アームとを有する異なる長さの相同性アームを含み得る。そのようなデザインは、種(例えば、ヒト)において、改善された組み込み効率をもたらし得ることが企図される。
【0083】
本開示は、異なるデザインの相同性アームが、種または種のモデル系(例えば、マウス、ヒト、またはそのモデル)における遺伝子編集との関連において有益となり得る、という認識を包含する。例えば、いくつかの実施形態では、図5に示されるように、ウイルスベクターが、導入遺伝子と2A配列(例えばP2A)とITRとを全部で2.7kb未満となるように含んでいる(例えば、典型的なAAVのパッケージング容量を前提とすれば2kbよりも多くを相同性アームのために残している)発現カセットを含む場合、1kbの3’相同性アームとより長い(例えば、ベクターのパッケージング容量によって許容される最大限(例えば、1.6kb)の)5’相同性アームとを有する異なる長さ(すなわち、不釣り合いなデザイン)の相同性アームを使用することが好ましく、これは、種(例えばヒト)において改善された組み込み効率をもたらし得る。対照的に、いくつかの実施形態では、図2に示されるように、本明細書に記載のウイルスベクターが、導入遺伝子と2A配列(例えばP2A)とITRとを全部で2.7kb未満となるように含んでいる(例えば、典型的なAAVのパッケージング容量を前提とすれば2kbよりも多くを相同性アームのために残している)発現カセットを含む場合、1kbの5’相同性アームとより長い(例えば、ベクターのパッケージング容量によって許容される最大限(例えば、1.6kb)の)3’相同性アームとを有する異なる長さ(すなわち、不釣り合いなデザイン)の相同性アームを使用することが好ましく、これは、種(例えばマウス)において改善された組み込み効率をもたらし得る。
【0084】
処置の方法
本明細書に開示される組成物及び構築物は、標的遺伝子座及びその周囲の内因性遺伝子の発現を維持しながら、細胞内の特定の標的遺伝子座からのペイロード(例えば、導入遺伝子)の発現を行う任意のインビトロまたはインビボ用途で使用してもよい。例えば、本明細書に開示される組成物及び構築物は、対象における障害、疾患、または病状を処置するために(例えば、遺伝子治療を通じて)使用され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、処置は、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果を得ることまたは維持することを含む。いくつかの実施形態では、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果は、疾患を完全または部分的に予防すること(例えば、疾患の症状を予防すること)を含み得る。いくつかの実施形態では、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果は、疾患を完全または部分的に治癒すること(例えば、疾患に関連する副作用を治癒すること)を含み得る。いくつかの実施形態では、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果は、疾患の再発の予防を含み得る。いくつかの実施形態では、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果は、疾患の進行を遅らせることを含み得る。いくつかの実施形態では、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果は、疾患の症状を軽減することを含み得る。いくつかの実施形態では、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果は、疾患の悪化(regression)の予防を含み得る。いくつかの実施形態では、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果は、疾患に関連する症状の安定化及び/または軽減を含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、処置は、疾患の発症前、発症中、または発症後(例えば、疾患に関連する症状の出現前、出現中、または出現後)に組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、処置は(例えば、異なるタイプの療法を含む1つ以上の療法との)併用療法を含む。
【0087】
目的の疾患
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、疾患の構成要素として遺伝子欠損または異常を含む目的の任意の疾患を処置するために使用され得る。
【0088】
特定の例として、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるもののような組成物及び構築物は、分枝鎖有機酸尿症(例えば、メープルシロップ尿症(MSUD)、メチルマロン酸血症(MMA)、プロピオン酸血症(PA)、イソ吉草酸血症(IVA)、アルギニノコハク酸尿症)を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、BCKDH複合体(E1a、E1b、及びE2サブユニット)、メチルマロニル-CoAムターゼ、プロピオニル-CoAカルボキシラーゼ(アルファ及びベータサブユニット)、イソバレリルCoAデヒドロゲナーゼ、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、分枝鎖有機酸尿症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、分枝鎖有機酸尿症に関連する徴候及び/または症状(例えば、筋緊張低下、発達遅延、発作、視神経萎縮、急性脳症、過換気、呼吸窮迫、体温不安定、反復性嘔吐、ケトアシドーシス、膵炎、便秘、好中球減少症、汎血球減少症、続発性血球貪食症、不整脈、心筋症、慢性腎不全、皮膚炎、難聴)の低減を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、脂肪酸酸化障害(例えば、三機能性タンパク質欠損症、長鎖L-3ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(LCAD)欠損症、中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(MCHAD)欠損症、超長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(VLCHAD)欠損症)を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、HADHA、HADHB、LCHAD、ACADM、ACADVL、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、脂肪酸酸化障害に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、脂肪酸酸化障害に関連する徴候及び/または症状(例えば、肝臓肥大、精神的及び身体的発達の遅延、心筋力低下、不整脈、神経損傷、肝機能異常、横紋筋融解症、ミオグロビン尿症、低血糖、代謝性アシドーシス、呼吸困難、肝腫大、筋緊張低下、心筋症不整脈)の軽減を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、グリコーゲン貯蔵疾患(例えば、1型グリコーゲン貯蔵疾患(GSD1)、2型グリコーゲン貯蔵疾患(ポンペ病、GSD2)を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、G6PC(GSD1a)、G6PT1(GSD1b)、SLC17A3、SLC37A4(GSD1c)、酸性アルファ-グルコシダーゼ、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、グリコーゲン貯蔵疾患に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、グリコーゲン貯蔵疾患に関連する徴候及び/または症状(例えば、肝臓肥大、低血糖、筋力低下、筋けいれん、疲労、発育遅延、肥満、出血性障害、肝機能異常、腎機能異常、呼吸機能の異常、心機能の異常、口内炎、痛風、肝硬変、線維症、肝腫瘍)の軽減を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、カルニチンサイクル障害を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、OCTN2、CPT1、CACT、CPT2、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、カルニチンサイクル障害に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、カルニチンサイクル障害に関連する徴候及び/または症状(例えば、低ケトン性低血糖、心筋症、筋力低下、疲労、運動発達の遅延、浮腫)の軽減を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、尿素サイクル異常症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、CPS1、ARG1、ASL、OTC、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、尿素サイクル異常症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、尿素サイクル障害に関連する徴候及び/または症状(例えば、嘔吐、悪心、行動異常、疲労、昏睡、精神病、嗜眠、周期性嘔吐、近視、高アンモニア血症、オルニチンレベルの上昇)の軽減を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、クリグラー・ナジャール症候群を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、UGT1A1、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、クリグラー・ナジャール症候群に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、クリグラー・ナジャール症候群に関連する徴候及び/または症状(例えば、黄疸、核黄疸、無気力、嘔吐、発熱、異常な反射、筋けいれん、強硬緊張、痙縮、筋緊張低下、アテトーゼ、ビリルビン値の上昇、下痢、ろれつが回らない、混乱、嚥下困難、発作)の軽減を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、遺伝性チロシン血症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、FAH、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、遺伝的チロシン血症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、遺伝性チロシン血症に関連する徴候及び/または症状(例えば、肝腫大、黄疸、肝疾患、肝硬変、肝癌、発熱、下痢、メレナ、嘔吐、脾腫、浮腫、凝固障害、腎機能異常、くる病、衰弱、筋緊張亢進、イレウス、頻脈、高血圧、神経学的危機、呼吸不全、心筋症)の軽減を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、表皮水疱症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、COL7A1、COL17A1、MMP1、KRT5、LAMA3、LAMB3、LAMC2、ITGB4、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、表皮水疱症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、表皮水疱症に関連する徴候及び/または症状(例えば、脆弱な皮膚、異常な爪の成長、水疱、肥厚した皮膚、瘢痕性脱毛症、萎縮性瘢痕、稗粒腫、歯の問題、嚥下障害、皮膚のかゆみ、及び疼痛)の減少を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、アルファ-1アンチトリプシン欠損症(A1ATD)を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、アルファ-1アンチトリプシン(A1AT)、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、A1ATDに関連する徴候及び/または症状(例えば、肺気腫、慢性咳嗽、痰生成、喘鳴、慢性呼吸器感染症、黄疸、肝臓肥大、出血、異常な体液蓄積、肝酵素の上昇、肝機能障害、門脈圧亢進症、疲労、浮腫、慢性活動性肝炎、肝硬変、肝癌、脂肪織炎)の軽減を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、ウィルソン病を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、ATP7B、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、ウィルソン病に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、ウィルソン病に関連する徴候及び/または症状(例えば、疲労、食欲不振、腹痛、黄疸、カイザー・フライシャー輪、浮腫、言語障害、嚥下障害、身体的調整の喪失、制御不能な動き、筋肉の硬直、肝疾患、貧血、うつ病、統合失調症、無月経、不妊症、腎臓結石、腎尿細管損傷、関節炎、骨粗鬆症、骨棘)の軽減を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、血液疾患(例えば、血友病A、血友病B)を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、血液疾患に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、血液疾患に関連する徴候及び/または症状(例えば、過度の出血、異常な打撲傷、関節の疼痛及び腫れ、血尿、血便、異常な鼻血、頭痛、嗜眠、嘔吐、複視、衰弱、けいれん、発作)の軽減を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、遺伝性血管浮腫を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、C1エステラーゼ阻害剤(C1-inh))をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、遺伝性血管浮腫に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、遺伝性血管浮腫に関連する徴候及び/または症状(例えば、浮腫、掻痒症、蕁麻疹、悪心、嘔吐、急性腹痛、嚥下障害、発声障害、喘鳴)の軽減を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、パーキンソン病を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、ドーパミンデカルボキシラーゼ(DDC))をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、パーキンソン病に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、パーキンソン病に関連する徴候及び/または症状(例えば、振戦、運動緩慢、筋肉の硬直、姿勢及びバランスの障害、自動運動の喪失、発話の変化、書き方の変化)の軽減を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、筋疾患を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、肢帯型筋ジストロフィー)、X連鎖性ミオチュブラーミオパチー)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、筋疾患に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、筋疾患に関連する徴候及び/または症状(例えば、動作困難、ふくらはぎの筋肉の肥大、筋肉の疼痛及び硬直、発達の遅延、学習障害、異常な歩行、側弯症、呼吸の問題、嚥下困難、不整脈、心筋症、関節機能の異常、筋緊張低下、呼吸困難、反射の欠如など)の軽減を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、ムコ多糖症(MPS)(例えば、MPS IH、MPS IH/S、MPS IS、MPS II、MPS IIIA、MPS IIIB、MPS IIIC、MPS IIID、MPS IVA、MPS IVB、MPS V、MPS VI、MPS VII、MPS IX)を処置するために用いられ得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、IDUA、IDS、SGSH、NAGLU、HGSNAT、GNS、GALNS、GLB1、ARSB、GUSB、HYAL1)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、ムコ多糖症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、MPSに関連する徴候及び/または症状(例えば、心臓異常、呼吸不規則、肝臓肥大、脾臓肥大、神経学的異常、発達遅延、再発性感染症、持続的な鼻汁、騒々しい呼吸、角膜の混濁、舌の肥大、脊椎の変形、関節の硬直、手根管、大動脈弁逆流、進行性難聴、発作、不安定な歩行、ヘパラン硫酸の蓄積、酵素欠乏、骨格及び筋肉の異常、心臓病、嚢胞、軟部組織の塊)の軽減を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、リソソーム酸性リパーゼ欠損症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、LIPA及び/またはそのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、リソソーム酸性リパーゼ欠損症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、リソソーム酸性リパーゼ欠損症に関連する徴候及び/または症状(例えば、嘔吐、下痢、腹部膨満、及び体重増加不良、体重減少、黄疸、発熱、石灰化、貧血、肝機能不全または肝不全、悪液質、吸収不全、胆管の問題、心疾患、脳卒中)の軽減を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、ホモシスチン血症(HCU)を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、シスタチオニンベータ合成酵素、もしくはCBS遺伝子、MTHFR、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、対象がメチオニンを代謝する能力の増大を含む。いくつかの実施形態では、処置は、HCUに関連する徴候及び/または症状(例えば、近視、知的障害、体重増加能力の欠如、弱い骨、発作、血餅)の軽減を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、胆汁酸代謝、輸送及び/または胆汁鬱滞に関連する障害を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、PFIC1、PFIC2、PFIC3、ABCB4、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、胆汁酸代謝、輸送及び/または胆汁鬱滞に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、胆汁酸代謝、輸送及び/または胆汁鬱滞に関連する徴候及び/または症状(例えば、掻痒、黄疸、発育障害、門脈圧亢進、肝脾腫、下痢、膵炎、肝細胞癌)の軽減を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、フェニルケトン尿症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、フェニルアラニン加水分解酵素(PAH)及び/またはそのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、フェニルケトン尿症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、フェニルケトン尿症に関連する徴候及び/または症状(例えば、呼気、皮膚及び/または尿のかび臭さ、発作、皮疹、小頭症、多動性、知的障害、喘息、湿疹、貧血、体重増加、腎不全、骨粗鬆症、胃炎、食道及び腎臓欠損、腎臓結石、高血圧、精神的問題、目眩)の軽減を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、原発性高シュウ酸尿症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、AGT、AGXT、GRHPR、HOGA1、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、原発性高シュウ酸尿症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、フェニルケトン尿症に関連する徴候及び/または症状(例えば、側腹部痛、シュウ酸症、腎臓結石、及び/または尿路の他の箇所、例えば膀胱もしくは尿道における結石、腎石灰化症、血尿、排尿障害、頻尿、腎疝痛、尿路閉塞、反復性尿路感染症、腎損傷、腎不全、発達障害)の軽減を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、ポルフィリン症を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、ALAD、HMBS、UROS、UROD、CPOX、PPOCX、FECH、ALAS2、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、ポルフィリン症に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、ポルフィリン症に関連する徴候及び/または症状(例えば、腹痛、四肢の痛み、全身性の虚弱、嘔吐、錯乱、便秘、頻脈、血圧変動、心因性尿閉、幻覚、発作、擦り傷、発疹、皮膚ただれ、皮膚病変、むかつき、血圧上昇、錯乱)の軽減を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、抗体の産生に関連する障害(例えば、自己免疫障害)を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子(例えば、POLB、HLA-DRB1、IL7R、CYP27B1、TNFRSF1A、HLA-B、HLA-DPB1、HLA-DRB1、IRF5、PTPN22、RBPJ、RNX1、STAT4、及び/またはそれらのバリアント)をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、抗体の産生に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、抗体の産生に関連する徴候及び/または症状(例えば、関節の腫脹、関節のこわばり、疲労感、発熱、食欲減退、視力の問題、振戦、不安定な歩行、目眩、皮疹、病変、痛覚過敏)の軽減を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び構築物は、分泌型タンパク質の産生に関連する障害を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の目的の導入遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列の導入を含む。いくつかの実施形態では、処置は、分泌型タンパク質の産生に関連する異常タンパク質(例えば、非機能性タンパク質)の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、分泌型タンパク質の産生に関連する徴候及び/または症状の軽減を含む。
【0111】
指向的組み込み
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び構築物は、標的遺伝子座(例えば、内因性遺伝子)でペイロード(例えば、導入遺伝子及び/または機能的核酸)が組み込まれるように導く。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び構築物は、特定の細胞型の標的遺伝子座(例えば、組織特異的遺伝子座)でペイロードが組み込まれるように導く。いくつかの実施形態では、ペイロードの組み込みは、特定の組織(例えば、肝臓、中枢神経系(CNS)、筋肉、腎臓、血管、肺)で起こる。いくつかの実施形態では、ペイロードの組み込みは、複数の組織(例えば、肝臓、中枢神経系(CNS)、筋肉、腎臓、血管、肺)で起こる。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び構築物は、セーフハーバー部位とみなされる標的遺伝子座(例えば、アルブミン、アポリポタンパク質A2(ApoA2)、ハプトグロビン)にペイロードが組み込まれるように導く。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座は、本明細書で提供される方法及び組成物での使用に適切な任意のゲノム部位から選択され得る。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座は、ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座は、対象(例えば、疾患、障害、もしくは状態に罹患していない対象、または疾患、障害、もしくは状態に罹患している対象)において高度に発現されるポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ペイロードの組み込みは、1つ以上の内因性遺伝子(例えば、ポリペプチドをコードする遺伝子)の5’末端または3’末端で起こる。いくつかの実施形態では、ペイロードの組み込みは、1つ以上の内因性遺伝子(例えば、ポリペプチドをコードする遺伝子)の5’または3’末端の間で起こる。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び構築物は、オフターゲット組み込み(例えば、非標的遺伝子座での組み込み)を最小限に抑えて、またはそれなしに、標的遺伝子座でのペイロード組み込みを指示する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び構築物は、参照組成物または構築物と比較して(例えば、隣接する相同配列のない組成物または構築物と比較して)オフターゲット組み込みが減少した、標的遺伝子座でのペイロードの組み込みを指示する。
【0114】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子座での導入遺伝子の組み込みにより、内因性遺伝子の発現を破壊することなくペイロードの発現が可能になる。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座での導入遺伝子の組み込みにより、内因性プロモーターからのペイロードの発現が可能になる。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座への導入遺伝子の組み込みは、内因性遺伝子発現を破壊する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座への導入遺伝子の組み込みは、標的細胞及び/または対象に悪影響を与えることなく(例えば、セーフハーバー部位を標的とすることによって)内因性遺伝子発現を破壊する。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座での導入遺伝子の組み込みは、ヌクレアーゼ(例えば、Casタンパク質、エンドヌクレアーゼ、TALEN、ZFN)の使用を必要としない。いくつかの実施形態では、標的遺伝子座での導入遺伝子の組み込みは、ヌクレアーゼ(例えば、Casタンパク質、エンドヌクレアーゼ、TALEN、ZFN)の使用により支援される。
【0115】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子座への導入遺伝子の組み込みは、選択的利点(例えば、組織内の他の細胞と比較した複数の細胞における生存率の増大)を与える。いくつかの実施形態では、選択的利点により、導入遺伝子を発現する1つ以上の組織内の細胞の割合の増大が生じ得る。
【0116】
組成物
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書で提供される方法及び構築物(例えば、ウイルスベクター)を使用して生成され得る。いくつかの実施形態では、組成物には、液体、固体、及び気体の組成物が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は追加の成分(例えば、希釈剤、安定剤、賦形剤、アジュバント)を含む。いくつかの実施形態では、追加の成分は、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、有機酸緩衝液)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、低分子量ポリペプチド(例えば、10残基未満)、様々なタンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリン)、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、リジン)、炭水化物(例えば、単糖類、二糖類、グルコース、マンノース、デキストリン)、キレート剤(例えば、EDTA)、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、塩形成対イオン(例えば、ナトリウム、カリウム)、及び/または非イオン性界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)、Pluronics(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG))をとりわけ含み得る。いくつかの実施形態では、水性担体はpH緩衝水溶液である。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、ある範囲の用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、単回用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、複数用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、組成物はある期間にわたって提供される。いくつかの実施形態では、組成物は特定の間隔(例えば、変動する間隔、設定された間隔)で提供される。いくつかの実施形態では、用量は、剤形及び投与経路に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1e11~1e14vg/kgの用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1e11~1e12vg/kgの用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1e12~1e13vg/kgの用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1e12~1e14vg/kgの用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1e14~1e15vg/kgの用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1e14vg/kg以下の用量で提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1e15vg/kg以下の用量で提供され得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、特定の時間点(例えば、対象の齢)で対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、生まれたばかりの対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、新生仔期の対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、新生仔期のマウス対象は0~7日齢である。いくつかの実施形態では、新生児期のヒト対象は0日齢~1か月齢である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、7日齢~30日齢の対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、3か月齢~1歳の対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1歳~5歳の対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、4歳~7歳の対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、5歳以上の対象に投与され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、特定の組織または器官の成長段階(例えば、推定/平均成体サイズまたは体重の百分率)を基準とする特定の時間点で対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、組織または器官(例えば、肝臓、筋肉、CNS、肺など)が推定/平均成体サイズまたは体重の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも99%である対象に、投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、組織または器官が推定/平均成体サイズまたは体重のおよそ20%(+/-5%)である対象に、投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、組織または器官が推定/平均成体サイズまたは体重のおよそ50%(+/-5%)である対象に、投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、組織または器官が推定/平均成体サイズまたは体重のおよそ60%(+/-5%)である対象に、投与され得る。いくつかの実施形態では、特定の組織または器官の推定/平均成体サイズまたは体重は、当技術分野で記載がなされているように決定され得る(Noda et al.Pediatric radiology,1997、Johnson et al.Liver transplantation,2005、及びSzpinda et al.Biomed research international,2015を参照されたく、参照によりこれらの各々の全体を本明細書に援用する。
【0120】
投与の経路
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、当技術分野で知られている様々な経路(例えば、非経口、皮下、静脈内、頭蓋内、脊髄内、眼内、筋肉内、膣内、腹腔内、皮膚上、皮内、直腸、肺、骨内、経口、頬側、門脈内、動脈内、気管内、または鼻腔内)のうちのいずれか1つ(またはそれ以上)を介して対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は細胞に導入されてもよく、次いで対象(例えば、肝臓、筋肉、中枢神経系(CNS)、肺、血液細胞)に導入される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、当技術分野で公知の送達方法(例えば、注射、カテーテル)を介して導入され得る。
【0121】
ウイルスベクターの作製方法
ウイルスベクターの作製
いくつかの実施形態では、ウイルスベクター(例えば、AAVウイルスベクター)の産生は、ウイルスベクターを生成する上流ステップ(例えば、細胞ベースの培養)と、ウイルスベクターを処理する下流ステップ(例えば、精製、製剤化など)の両方を含み得る。いくつかの実施形態では、上流ステップは、細胞増殖、細胞培養、細胞トランスフェクション、細胞溶解、ウイルスベクター産生、及び/またはウイルスベクター収集のうちの1つ以上を含み得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、下流ステップは、分離、濾過、濃縮、清澄、精製、クロマトグラフィー(例えば、アフィニティー、イオン交換、疎水性、混合モード)、遠心分離(例えば、超遠心分離)、及び/または製剤化のうちの1つ以上を含み得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の構築物及び方法は、例えば、Xiao et al.1998及びGrieger et al.2015(それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる)のものなどの参照構築物または方法と比較して、ウイルスベクター収量(例えば、AAVベクター収量)を増加させるか、複製コンピテントウイルスベクター(例えば、複製コンピテントAAV(rcAAV))のレベルを低下させるか、ウイルスベクターのパッケージング効率(例えば、AAVベクターカプシドパッケージング)を改善させるか、及び/またはそれらの任意の組み合わせのために設計される。
【0124】
細胞株及びトランスフェクション試薬
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの産生は、細胞(例えば、細胞培養物)の使用を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの産生は、1つ以上の細胞株(例えば、哺乳動物細胞株)の細胞培養を使用することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの産生は、HEK293細胞株またはそのバリアント(例えば、HEK293T、HEK293F細胞株)の使用を含む。いくつかの実施形態では、細胞は懸濁液中で増殖され得る。いくつかの実施形態では、細胞は接着細胞から構成される。いくつかの実施形態では、細胞は、動物成分(例えば、動物血清)を含まない培地中で増殖され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、無血清培地(例えば、F17培地、Expi293培地)中で増殖され得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの産生は、発現構築物(例えば、プラスミド)による細胞のトランスフェクションを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、ウイルスベクター(例えば、AAVベクター)の高発現のために選択される。いくつかの実施形態では、細胞は、ウイルスベクターの高いパッケージング効率(例えば、AAVベクターのカプシドパッケージング)のために選択される。いくつかの実施形態では、細胞は、トランスフェクション効率の改善のために選択される(例えば、カチオン性分子を含む化学的トランスフェクション試薬を用いて)。いくつかの実施形態では、細胞は、ウイルスベクター(例えば、AAVベクター)の高発現のために操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、ウイルスベクターの高いパッケージング効率(例えば、AAVベクターのカプシドパッケージング)のために操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、トランスフェクション効率の改善のために操作される(例えば、カチオン性分子を含む化学的トランスフェクション試薬を用いて)。いくつかの実施形態では、細胞は、上記の属性のうちの2つ以上に関して操作または選択され得る。いくつかの実施形態では、細胞を1つ以上の発現構築物(例えば、プラスミド)と接触させる。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上のトランスフェクション試薬(例えば、脂質、ポリマー、及びカチオン性分子を含む化学的トランスフェクション試薬)及び1つ以上の発現構築物と接触される。いくつかの実施形態では、細胞を、1つ以上のカチオン性分子(例えば、カチオン性脂質、PEI試薬)及び1つ以上の発現構築物と接触させる。いくつかの実施形態では、細胞を、PEIMAX試薬及び1つ以上の発現構築物と接触させる。いくつかの実施形態では、細胞を、FectoVir-AAV試薬及び1つ以上の発現構築物と接触させる。いくつかの実施形態では、細胞を、特定の比率で1つ以上のトランスフェクション試薬及び1つ以上の発現構築物と接触させる。いくつかの実施形態では、トランスフェクション試薬と発現構築物の比は、ウイルスベクターの産生を改善する(例えば、ベクター収量の改善、パッケージング効率の改善、及び/またはトランスフェクション効率の改善)。
【0125】
発現構築物
いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上のポリヌクレオチド配列(例えば、プラスミド)であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定のポリヌクレオチド配列エレメント(例えば、ペイロード、プロモーター、ウイルス遺伝子など)を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、ウイルス遺伝子(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント、1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子または遺伝子バリアント)をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、特定のタイプの発現構築物は、ポリヌクレオチド配列エレメントの特定の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、特定のタイプの発現構築物は、ポリヌクレオチド配列エレメントの特定の組み合わせを含まない。いくつかの実施形態では、特定の発現構築物は、rep遺伝子及びcap遺伝子の両方及び/または遺伝子バリアントをコードするポリヌクレオチド配列エレメントを含まない。
【0126】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、野生型ウイルス遺伝子(例えば、野生型rep遺伝子、cap遺伝子、ウイルスヘルパー遺伝子、またはそれらの組み合わせ)をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、ウイルスヘルパー遺伝子または遺伝子バリアント(例えば、ヘルペスウイルス遺伝子または遺伝子バリアント、アデノウイルス遺伝子または遺伝子バリアント)をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上の野生型Repタンパク質を発現する1つ以上の遺伝子コピー(例えば、1コピー、2コピー、3コピー、4コピー、5コピーなど)をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上の野生型Repタンパク質(例えば、Rep68、Rep40、Rep52、Rep78、またはそれらの組み合わせ)を発現する単一遺伝子コピーをコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上の野生型Repタンパク質(例えば、Rep68、Rep40、Rep52、Rep78、またはそれらの組み合わせ)をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、少なくとも4つの野生型Repタンパク質(例えば、Rep68、Rep40、Rep52、Rep78)をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、Rep68、Rep40、Rep52、及びRep78のそれぞれをコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上の野生型アデノウイルスヘルパータンパク質(例えば、E2及びE4)をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、野生型ウイルス遺伝子(例えば、rep遺伝子、cap遺伝子、ヘルパー遺伝子)をコードする野性型ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、野生型ウイルス遺伝子(例えば、rep遺伝子、cap遺伝子、ヘルパー遺伝子)をコードする修飾ポリヌクレオチド配列(例えば、コドン最適化された)を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、修飾されたウイルス遺伝子(例えば、rep遺伝子、cap遺伝子、ヘルパー遺伝子)をコードする修飾ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾ウイルス遺伝子は、特定の改善(例えば、形質導入の改善、組織特異性、サイズの減少、免疫応答の減少、パッケージングの改善、rcAAVレベルの減少など)のために設計及び/または操作される。
【0128】
様々な実施形態によれば、本明細書に開示される発現構築物は、以前の技術と比較して、可塑性及びモジュール性の向上を提供し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発現構築物は、特定の改善(例えば、ウイルスベクター収量の増加、パッケージングの増大、rcAAVレベルの低下など)を提供しながら、様々なポリヌクレオチド配列(例えば、異なるrep遺伝子、cap遺伝子、ペイロード、ヘルパー遺伝子、プロモーターなど)の交換を可能にし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発現構築物は、様々な上流生産プロセス(例えば、異なる細胞培養条件、異なるトランスフェクション試薬など)と適合し、同時に特定の改善(例えば、ウイルスベクター収量の増加、パッケージングの増加、rcAAVレベルの低下など)を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態では、異なるタイプの発現構築物は、ポリヌクレオチド配列の異なる組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つのタイプの発現構築物は、異なるタイプの発現構築物には存在しない1つ以上のポリヌクレオチド配列エレメント(例えば、ペイロード、プロモーター、ウイルス遺伝子など)を含む。いくつかの実施形態では、1つのタイプの発現構築物は、ウイルス遺伝子(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)をコードするポリヌクレオチド配列エレメントと、ペイロード(例えば、導入遺伝子及び/または機能的核酸)をコードするポリヌクレオチド配列エレメントとを含む。いくつかの実施形態では、1つのタイプの発現構築物は、1つ以上のウイルス遺伝子(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント及び/または1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子)をコードするポリヌクレオチド配列エレメントを含む。いくつかの実施形態では、1つのタイプの発現構築物は、1つ以上のウイルス遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列エレメントを含み、ここで、ウイルス遺伝子は、1つ以上のウイルスタイプに由来する(例えば、AAV及びアデノウイルスに由来する遺伝子または遺伝子バリアント)。いくつかの実施形態では、アデノウイルス由来のウイルス遺伝子は、遺伝子及び/または遺伝子バリアントである。いくつかの実施形態では、アデノウイルス由来のウイルス遺伝子は、E2A(例えば、E2A DNA結合タンパク質(DBP)、E4(例えば、E4オープンリーディングフレーム(ORF)2、ORF3、ORF4、ORF6/7)、VA及び/またはそれらのバリアントのうちの1つ以上である。
【0130】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、(例えば、細胞培養を通じて)ウイルスベクターの産生のために使用される。いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上のトランスフェクション試薬(例えば、化学的トランスフェクション試薬)と組み合わせて細胞と接触される。いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上のトランスフェクション試薬と組み合わせて、特定の比率で細胞と接触される。いくつかの実施形態では、異なるタイプの発現構築物は、1つ以上のトランスフェクション試薬と組み合わせて、特定の比率(例えば、重量比)で細胞と接触される。いくつかの実施形態では、異なるタイプの発現構築物は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の比率(例えば、重量比)で細胞と接触される。いくつかの実施形態では、1つ以上のウイルスヘルパー遺伝子を含む第1の発現構築物及び1つ以上のペイロードを含む第2の発現構築物は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の第2の発現構築物に対する第1の発現構築物の比(例えば、重量比)で、細胞と接触される。いくつかの実施形態では、1つ以上のペイロードを含む第1の発現構築物及び1つ以上のウイルスヘルパー遺伝子を含む第2の発現構築物は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の第2の発現構築物に対する第1の発現構築物の比(例えば、重量比)で、細胞と接触される。いくつかの実施形態では、特定の比率の発現構築物は、AAVの産生を改善する(例えば、ウイルスベクター収量の増加、パッケージング効率の増加、及び/またはトランスフェクション効率の増加)。いくつかの実施形態では、細胞を2つ以上の発現構築物と(例えば、連続的にまたは実質的に同時に)接触させる。いくつかの実施形態では、3つ以上の発現構築物が細胞と接触される。いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上のプロモーター(例えば、1つ以上の外因性プロモーター)を含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、CMV、RSV、CAG、EF1アルファ、PGK、A1AT、C5-12、MCK、デスミン、p5、p40、もしくはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定のポリヌクレオチド配列エレメント(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)の上流に1つ以上のプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定のポリヌクレオチド配列エレメント(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)の下流に1つ以上のプロモーターを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、細胞培養(例えば、細菌細胞培養、哺乳動物細胞培養)に必要なエレメント(例えば、選択マーカー、複製起点)をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、抗生物質耐性遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子)をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、細菌の複製起点(例えば、colE1複製起点)をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上の転写終結配列(例えば、ポリA配列)を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、BGHポリA、FIXポリA、SV40ポリA、合成ポリA、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定の配列エレメント(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)の下流に1つ以上の転写終結配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定の配列エレメント(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)の上流に1つ以上の転写終結配列を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、発現構築物は、1つ以上のイントロン配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、限定されないが、FIXイントロン、アルブミンイントロン、またはそれらの組み合わせを含む、異なる起源(例えば、既知の遺伝子)の1つ以上のイントロンを含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、異なる長さ(例えば、133bp~4kb)の1つ以上のイントロンを含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定の配列エレメント(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)の上流に1つ以上のイントロン配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定の配列エレメント(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)内に1つ以上のイントロン配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、特定の配列エレメント(例えば、rep遺伝子もしくはcap遺伝子または遺伝子バリアント)の下流に1つ以上のイントロン配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、プロモーター(例えば、p5プロモーター)の後に1つ以上のイントロン配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、rep遺伝子または遺伝子バリアントの前に1つ以上のイントロン配列を含む。いくつかの実施形態では、発現構築物は、プロモーターとrep遺伝子または遺伝子バリアントとの間に1つ以上のイントロン配列を含む。
【0134】
AAVウイルスベクターを特性評価する方法
様々な実施形態によれば、ウイルスベクターは、様々な特性及び/または特徴の評価を通じて特性評価され得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの評価は、生産プロセスの様々な時点で実施され得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの評価は、上流の生産ステップの完了後に実施され得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの評価は、下流の生産ステップの完了後に実施され得る。
【0135】
ウイルス収量
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、ウイルス収量(例えば、ウイルス力価)の評価を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または濾過前のウイルス収量の評価を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または濾過後のウイルス収量の評価を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、ウイルス収量が1e10vg/mL以上であるか否かを評価することを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗細胞溶解物中のウイルス収量が1e11vg/mL以上であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗細胞溶解物中のウイルス収量が5e11vg/mL以上であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗細胞溶解物中のウイルス収量が1e12vg/mL以上であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗溶解物中のウイルス収量が5e9vg/mLと5e11vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗溶解物中のウイルス収量が5e9vg/mLと1e10vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗溶解物中のウイルス収量が1e10vg/mLと1e11vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗溶解物中のウイルス収量が1e11vg/mLと1e12vg/mLの間であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、粗溶解物中のウイルス収量が1e12vg/mLと1e13vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製された薬物生成物中のウイルス収量が1e11vg/mL以上であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製された薬物生成物中のウイルス収量が1e12vg/mL以上であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製された薬物生成物中のウイルス収量が1e10vg/mLと1e15vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製された薬物生成物中のウイルス収量が1e11vg/mLと1e15vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製された薬物生成物中のウイルス収量が1e12vg/mLと1e14vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製された薬物生成物中のウイルス収量が1e13vg/mLと1e14vg/mLとの間であるか否かを評価することを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、当技術分野で公知の以前の方法と比較して、同等または増加したウイルスベクター収量を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態では、2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを産生及び/または製造するために提供される方法では、3-プラスミドシステムと比較して同等または増加したウイルスベクター収量が提供される。いくつかの実施形態では、配列エレメントの特定の組み合わせを有する2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを産生及び/または製造するために提供される方法では、配列エレメントの異なる組み合わせを有する2-プラスミドシステムと比較して、同等または増加したウイルスベクター収量が提供される。いくつかの実施形態では、特定のプラスミド比を有する2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを生成及び/または製造するために提供される方法では、異なるプラスミド比を有する2-プラスミドシステムと比較して、同等または増加したウイルスベクター収量が提供される。
【0139】
ウイルスパッケージング
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、ウイルスパッケージング効率(例えば、完全カプシド対空カプシドの割合)の評価を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または完全カプシド濃縮(例えば、塩化セシウムベースの密度勾配、イオジキサノールベースの密度勾配またはイオン交換クロマトグラフィー)前のウイルスパッケージング効率の評価を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または濾過の前にウイルスパッケージング効率が20%以上(例えば、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%)であるか否かを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または完全カプシド濃縮後のウイルスパッケージング効率の評価を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または濾過の後にウイルスパッケージング効率が50%以上(例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%)であるか否かを評価することを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、当技術分野で公知の以前の方法と比較して、同等または増加したパッケージング効率を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態では、2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを産生及び/または製造するために提供される方法では、3-プラスミドシステムと比較して同等または増加したパッケージング効率が提供される。いくつかの実施形態では、配列エレメントの特定の組み合わせを有する2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを産生及び/または製造するために提供される方法では、配列エレメントの異なる組み合わせを有する2-プラスミドシステムと比較して、同等または増加したパッケージング効率が提供される。いくつかの実施形態では、特定のプラスミド比を有する2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを生成及び/または製造するために提供される方法では、異なるプラスミド比を有する2-プラスミドシステムと比較して、同等または増加したパッケージング効率が提供される。
【0141】
複製コンピテントベクターレベル
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、複製コンピテントベクターのレベルの評価を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または濾過の前に複製コンピテントベクターのレベルを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、精製及び/または濾過の後に複製コンピテントベクターのレベルを評価することを含む。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターの特性評価は、複製コンピテントベクターレベルが1E10vg中の1rcAAV以下であるか否かを評価することを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、当技術分野で公知の以前の方法と比較して、同等または低減された複製コンピテントベクターレベルを提供し得る。例えば、いくつかの実施形態では、2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを産生するために提供される方法では、3-プラスミドシステムと比較して同等または低減された複製コンピテントベクターレベルが提供される。いくつかの実施形態では、配列エレメントの特定の組み合わせを有する2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含む、ウイルスベクターを産生するために提供される方法では、配列エレメントの異なる組み合わせを有する2-プラスミドシステムと比較して、同等または減少した複製コンピテントベクターレベルが提供される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターを産生するために提供される方法は、rep遺伝子に挿入された1つ以上のイントロン配列を有する2-プラスミドトランスフェクションシステムの使用を含み、前記イントロン配列(複数可)を含まない2-プラスミドシステムと比較して、同等または低減された複製コンピテントベクターレベルを提供する。
【実施例
【0143】
実施例1:材料及び方法
動物
動物の取扱い及びすべての実験手順は、LogicBio Therapeuticsの実験動物委員会の指針に従って行われた。FvBまたはC57BL/6動物(野生型マウスと呼ばれる)はJackson lab(Bar Harbor,ME)から購入し、PXB動物はPhoenix Bio(Hiroshima,Japan)から購入した。試験前にすべての動物を最低5日間にわたって順化させた。試験で使用したB6.129-Ugt1tm1Rhtu/Jマウスモデル(Ugt1-/-とも表示される)マウスについては以前に記載がなされた。Ugt1-/-マウスの繁殖用動物は、C57Bl/6 WTマウスとの9回の戻し交配の後にJackson lab(Bar Harbor,ME)から入手した。すべての動物を、12時間の明/暗サイクルで温度(23±3℃)及び湿度(50%±20%)が管理された施設に収容し、標準的な食餌及び水を自由に摂らせた。ベクター投与に関しては、釣り合いのとれた(同じ長さの)または不釣り合いな(異なる長さの)相同性アームデザインを有するrAAVベクター組成物を3e13、1e14、2e14または3E14vg/kgの投薬量で動物に与えた。新生仔期の動物には側頭静脈を介して与え、小児期の動物(出生後14日目、PND14)には後眼窩注射によって与え、PND28(出生後28日目)の小児期から成体齢までの動物には外側尾静脈を介して与えた。試験中のいくつかの時点で、顔面静脈を介して血液試料を採取した。試験終了時に動物を安楽死させ、心臓穿刺によって血液試料を採取した。肝臓を採取し、瞬間冷凍した。
【0144】
光線療法
Ugt1-/-マウスの新生仔を生後21日目まで、(明暗サイクルの明期間と同期した)12時間/日にわたって青色蛍光(λ=450nm、平均25μW/cm2/nm、Philips TL 20W/52ランプ)に曝露し、その後、通常光条件下に維持した。ランプの強度は毎月、ILT74高ビリルビン血症光測定器(International Light Technologies)で計測監視されることになる。
【0145】
実施例2:不揃いな相同性アームはマウスにおける編集活性を改善し得る
本実施例は、特に、不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターがマウスモデル系における編集活性を改善し得ることを実証する。
【0146】
AAV-DJウイルスカプシド、ヒトUGT1A1(hUGT1A1)導入遺伝子、P2A配列、及び隣接する相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図1)。ウイルスベクター組成物を3E13vg/kgの投薬量で出生後28日目(PND28)にC57Bl/6野生型マウスに投与した。融合mRNA及びALB-2Aバイオマーカーのレベルを測定してGeneRide活性を判定した。固定された肝臓試料を薄片化し、hUGT1A1導入遺伝子に対して染色して(抗体はヒトUGT1A1タンパク質に対して特異的であり、内因性マウスUGT1A1とは交差反応しない)、GeneRideで編集された肝細胞の存在を同定した(図2)。図2のパネルA及びBに示されているのは、それぞれ1.0/1.0ベクター及び1.0/1.6ベクターで処置した動物からの代表的なIHC画像である。茶色の点は、hUGT1A1導入遺伝子を発現しているGeneRideで編集された肝細胞を表す。画像を、半定量的アルゴリズム(ImageJ,NIH)を使用して非視覚的に解析して、肝細胞編集の頻度を算出した。
【0147】
試験したベクターは、様々な長さの相同性アームを含んでいた。図2に示すように、1.0/1.6と表示されている構築物は、長さ1000ntの5’相同性アーム、及び長さ1600ntの3’相同性アームを含む。
【0148】
本開示は、特に、異なる長さの相同性アームの特定の配置が動物(例えば、マウス)における編集活性を改善し得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図2で実証されているように、不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターは、釣り合いのとれた相同性アームを含むウイルスベクターに比べて改善された編集活性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、1つ以上の導入遺伝子(例えば、UGT1A1)を含み得る。
【0149】
実施例3:ウイルスベクター組成物は特定の時間点で編集活性の増大を呈示し得る
本実施例は、特に、ウイルスベクター組成物が、特定の時間点で投与された場合にマウスモデル系における編集活性を改善し得ることを、実証する。
【0150】
AAV-DJウイルスカプシド、マウスUGT1A1(mUGT1A1)導入遺伝子、P2A配列、長さ1000ntの5’相同性アーム、及び長さ1600ntの3’相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図3)。ウイルスベクター組成物を様々な投薬量(vg/kg)で新生仔期、出生後14日目(PND14)及び出生後28日目(PND28)のUgt1-/-マウスに投与した。融合mRNA及びALB-2Aバイオマーカーのレベルを測定して編集活性を判定した。また、マウス肝細胞をmUGT1A1で染色して(Ugt1 KOであるため、編集されていない肝細胞はmUGT1A1染色において陰性である)、GeneRideで編集された肝細胞の存在を同定した。画像を、半定量的アルゴリズム(ImageJ,NIH)を使用して非視覚的に解析して、肝細胞編集の頻度を算出した。実験の全体を通して、ビリルビンレベル(有効性バイオマーカー)を測定した。
【0151】
AAV-DJウイルスカプシド、ヒトUGT1A1(hUGT1A1)導入遺伝子、P2A配列、長さ1300ntの5’相同性アーム、及び長さ1400ntの3’相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図9)。ウイルスベクター組成物を3E13vg/kgの投薬量で新生仔期(PND1)及び出生後14日目(PND14)のC57B6マウスに投与した。マウス肝細胞をhUGT1A1で染色して、GeneRideで編集された肝細胞の存在を同定し、編集された細胞の百分率を算出した。
【0152】
本開示は、特に、ウイルスベクターが、出生後の特定の時間点(例えば、PND14またはPND28)に投与された場合に、新生仔期の投与と比較して改善された編集活性をもたらし得ることを実証している。さらには、不揃いな相同性アームを含むウイルスベクターを特定の時間点で投与することで、遺伝子編集効率における相乗的な改善がもたらされ得る。図3で実証されているように、長さ1000ntの5’相同性アームと長さ1600ntの3’相同性アームとを有するウイルスベクターのPND14及びPND28での投与は、12週間にわたって、編集活性を増大させ、ビリルビンのレベルを低下させた。図9に示されるように、長さ1300ntの5’相同性アームと長さ1400ntの3’相同性アームとを有するウイルスベクターの投与は、PND14で投与された場合、新生仔期(PND1)の時間点と比較して増大した編集活性を呈した。これらの投薬時間点は、将来のヒト実験での投薬のタイミングについての情報を与えるものであり得る。なぜなら、マウス齢は、各時間点での肝臓重量の百分率に基づいてヒト年齢と相関し得るからである(図4)。
【0153】
実施例4:不揃いな相同性アームはヒトにおける編集活性を改善し得る
本実施例は、特に、不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターがヒト細胞における編集活性を改善し得ることを実証する。
【0154】
AAV-LK03ウイルスカプシド、ヒトUGT1A1(hUGT1A1)導入遺伝子、P2A配列及び隣接する相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図1)。ウイルスベクター組成物を、in vitroでヒト細胞株(HepG2)に(図5、パネルA)、または肝臓ヒト化PXBマウスモデルに(図5、パネルB)、投与した。in vitro実験では融合mRNAのレベルを測定し、PXBマウス実験ではゲノムDNA(gDNA)組み込み率を測定した。
【0155】
試験したベクターは、様々な長さの相同性アームを含んでいた。図5に示すように、1.0/1.6と表示されている構築物は、長さ1000ntの5’相同性アーム、及び長さ1600ntの3’相同性アームを含む。
【0156】
本開示は、特に、異なる長さの相同性アームの特定の配置がヒトにおける編集活性を改善し得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図5で実証されているように、不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターは、釣り合いのとれた相同性アームを含むウイルスベクターと比較して改善された編集活性をもたらし得る。
【0157】
実施例5:不揃いな相同性アームは、異なる種をまたいで編集効率を改善し得る。
本実施例は、特に、不釣り合いな相同性アームを含む本開示のウイルスベクターが、異なる種または異なる種のモデル系(例えば、マウス及びヒト)における編集活性をもたらし得ることを実証する。
【0158】
ヒトUGT1A1(hUGT1A1)導入遺伝子、P2A配列及び隣接する相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図1)。Ugt1-/-マウスにおける投与のためのベクターは、AAV-DJウイルスカプシド、長さ1000ntの5’相同性アーム、及び長さ1600ntの3’相同性アームを含んでいた。ヒト化PXBマウスにおける投与のためのベクターは、AAV-LK03カプシド、長さ1600ntの5’相同性アーム、及び長さ1000ntの3’相同性アームを含んでいた。ウイルスベクター組成物を、示された濃度(vg/kg)でUgt1-/-またはPXBマウスに投与した。gDNA組み込み及びUGT1A1染色のレベルを測定した(図6)。
【0159】
本開示は、特に、本明細書に開示されるウイルスベクター組成物が、異なる種または異なる種のモデル系(例えば、マウス及びヒト)において同程度の編集活性をもたらし得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図6で実証されているように、不釣り合いな相同性アームの特定の配置を含むウイルスベクターは、異なる種または異なる種のモデル系(例えば、マウス及びヒト)において、改善された編集活性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、ある種またはある種のモデル系における発現が最適化されたウイルスベクター組成物は、異なる種または異なる種のモデル系における発現が最適化されたウイルスベクター組成物とは異なり得る(例えば、ベクターは、異なる組み合わせの相同性アーム長を含み得る)。
【0160】
実施例6:相同性アーム長は編集活性に影響を与え得る
本実施例は、特に、ある特定の長さの相同性アームを含む本開示のウイルスベクターが編集活性をもたらし得ることを実証する。
【0161】
ヒトA1AT(hA1AT)導入遺伝子、P2A配列及び隣接する相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図7図8)。FvB野生型マウスにおける投与のためのベクターは、図7及び図8に示されているように、AAV-DJウイルスカプシド、及び様々な長さの相同性アームを含んでいた。ウイルスベクター組成物を1E14vg/kgの投薬量で投与した。ALB-2Aバイオマーカー(図7及び図8)及びhA1ATのレベルを測定した(図7)。
【0162】
本開示は、特に、相同性アームを含むウイルスベクターが、少なくとも片方の相同性アームが特定の長さ未満(例えば、750nt以下)である場合に、低下した編集活性を示し得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図7で実証されているように、少なくとも片方のアームが500nt以下の長さを有している不釣り合いな相同性アームデザインは、1000ntの長さを有する釣り合いのとれた相同性アームデザインと比較して低下した編集効率を呈した。加えて、図8で実証されているように、いくつかの実施形態では、1000ntの長さを有する釣り合いのとれた相同性アームデザインは、750ntの長さを有する釣り合いのとれた相同性アームデザインと比較して改善された編集効率を呈した。
【0163】
実施例7:相同性アームがGENERIDE活性に対して及ぼす影響の比較
本実施例は、特に、ある特定の長さ(または、ある特定の長さの比率)を有する相同性アームを含む本開示のウイルスベクターが、そのような相同性アームを含まないウイルスベクターと比較して増強された編集活性をもたらし得ることを確認する。
【0164】
ヒトUGT1A1(hUGT1A1)またはFIX(hFIX)導入遺伝子、P2A配列、及び隣接する相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図10参照)。マウスにおける投与のためのベクターは、図10に示されているように、AAV-DJウイルスカプシド、及び様々な長さの相同性アームを含んでいた。ウイルスベクター組成物を適切な投薬量で投与した。アクチンに対するALB-2Aバイオマーカー及び導入遺伝子(例えば、hUGT1A1及び/またはhFIX)のレベルの比率を測定した(図10、パネルA~B)。導入遺伝子発現レベルをALB-2Aレベルと比較した(図10、パネルC)。
【0165】
この実施例は、特に、異なる長さの相同性アームの特定の配置が、動物(例えば、マウス)における編集活性を改善し得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図10で実証されているように、不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターは、釣り合いのとれた相同性アームを含むウイルスベクターと比較して改善された編集活性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、図10で実証されているように、ヒトUGT1A1及び/またはFIX導入遺伝子に隣接する5’側の1000nt及び3’側の1600ntの相同性アームを含むGeneRideベクターは、動物(例えば、マウス)において、釣り合いのとれた相同性アームを含むウイルスベクターと比較して改善された、(ALB-2Aレベル及び/または導入遺伝子(UGT1A1及び/またはFIX)発現によって測定したときの)アクチンに対する編集活性の比率をもたらし得る。
【0166】
実施例8:不揃いな相同性アームは、より高齢のマウスにおける編集活性を改善し得る
本実施例は、特に、不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターが、そのような相同性アームを含まないウイルスベクターと比較して、特定の時間点(例えば、より高齢の投薬齢)で投与された場合にマウスモデル系における編集活性を改善し得ることを確認する。
【0167】
AAV-DJウイルスカプシド、ヒトFIX(hFIX)導入遺伝子、P2A配列及び隣接する相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した。マウスにおける投与のためのベクターは、図11に示されているように、AAV-DJウイルスカプシド、及び様々な長さの相同性アームを含んでいた。3e13vg/kgのウイルスベクター組成物を様々な齢のマウスに投与した。編集活性を、ALB-2Aバイオマーカー(例えば、GENERIDEバイオマーカー)及び/または導入遺伝子発現のレベルを測定することによって判定した(図12)。
【0168】
この実施例は、特に、不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターが、特定の出生後時点(例えば、若齢及び/または成体)で投与された場合に新生仔期の投与と比較して改善された編集活性をもたらし得ることを実証している。さらには、図11及び図12で実証されているように、ヒト(例えば、FIX)導入遺伝子に隣接する5’側の1000nt及び3’側の1600ntの相同性アームを含むウイルスベクターを特定の出生後時点(例えば、若齢及び/または成体)で投与することで、新生仔期の投与と比較して、動物(例えば、マウス)における編集効率の相乗的な改善がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、図12で実証されているように、ヒト(例えば、FIX)導入遺伝子に隣接する5’側の1000nt及び3’側の1600ntの相同性アームを含むウイルスベクターを特定の出生後時点(例えば、PND84)で投与することで、新生仔期の投与と比較して、動物(例えば、マウス)における投薬の少なくとも3週間後の遺伝子編集効率の改善がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、図12で実証されているように、ヒト(例えば、FIX)導入遺伝子に隣接する5’側の1000nt及び3’側の1600ntの相同性アームを含むウイルスベクターを特定の出生後時点(例えば、PND84)で投与することで、新生仔期の投与と比較して、動物(例えば、マウス)における投薬後の少なくとも6週間にわたる遺伝子編集効率の持続的改善がもたらされ得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、図4に示すように、これらの投薬時点は、将来のヒト実験での投薬のタイミングについての情報を与えるものであり得る。なぜなら、マウス齢は、各時点での肝臓重量の百分率に基づいてヒト年齢と相関し得るからである。
【0170】
実施例9:不揃いな相同性アームはin vivoで肝機能を改善し得る
この実施例は、特に、フマリルアセト酢酸加水分解酵素(FAH)をコードする配列に隣接する不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターが、in vivoで(例えば、1つ以上のマウスモデルにおいて)チロシン血症を治療または予防するために使用され得ることを実証する。
【0171】
材料及び方法
動物試験
FAHノックアウト(Fah-/-、KO)及びヘテロ接合型Fah+/-同腹仔(HET)動物を、Jackson Laboratoriesから購入した。FRGマウスを、Yecuris corporationから購入した。
【0172】
チロシン血症FRGマウスにおけるGeneRideの概念実証(PoC)
4週齢のFRG雄性動物を、麻酔下で後眼窩洞を介して、1e14vg/kgのビヒクルまたはrAAV.DJ-GR-hFAHのどちらかで処置した。すべてのマウスを、試験開始前及び投薬の1週間後の8mg/Lのニチシノン(NTBC)の下に保ち、その後、体重減少に基づいて投薬の5週間後までを限度としてNTBCのサイクルに供し、その後、NTBCを中断した。試験の間、動物の試料採取を顎下採血によって定期的に行い、血漿を回収してさらなる分析のために-80℃で保存した。投薬の9及び16週間後に終末採取を行った。屠殺時に、血漿を得るために心臓穿刺によって血液を採集した。動物から全肝臓を切り出したか、あるいは肝臓灌流を行って肝細胞を採集した。全肝臓を切り出した動物については、1枚の肝葉を10%のホルマリンで固定し、残りを瞬間冷凍して-80℃で保存した。翌日、ホルマリン固定された肝臓をパラフィン包埋のために70%のエタノールへ移した。肝臓灌流の後には、単離された肝細胞を4℃で5分間にわたって300xgで遠心分離に掛け、-80℃で保存した。
【0173】
FAHマウスにおけるGeneRideの用量応答のPoC
14日齢の小児期Fah-/-(KO)及びFah+/-(HET)動物を、麻酔科で後眼窩洞を介して、1e13、3e13または1e14vg/kgの投薬量のrAAV.DJ-GR-mFAHで処置した。すべてのマウスを、試験開始前及び投薬の1週間後の8mg/LのNTBCの下に保ち、その後、体重減少に基づいて投薬の2週間後までを限度としてNTBCのサイクルに供した。試験の間、動物の試料採取を顎下採血によって定期的に行い、血漿を回収してさらなる分析のために-80℃で保存した。投薬の16週間後に終末採取を行った。屠殺時に、血漿を得るために心臓穿刺によって血液を採集した。動物から肝臓灌流を行って肝細胞を採集した。灌流開始前にホルマリン固定のために1枚の肝葉を縫合して切り出した。肝臓灌流の後、単離された肝細胞を4℃で5分間にわたって300xgで遠心分離に掛け、-80℃で保存した。翌日、ホルマリン固定された肝臓をパラフィン包埋のために70%のエタノールへ移した。
【0174】
NTBCとGeneRideとの間で対比される肝細胞癌(HCC)リスクの評価
Fah-/-動物を出生時から8mg/LのNTBCの下に維持した。4週齢の時にFah-/-動物の群を無作為に選択し、麻酔下で後眼窩洞を介して、1e14vg/kgの投薬量のrAAV.DJ-GR-mFAHで処置し、その後、NTBCを中止した(GeneRide処置群)。Fah-/-動物の別の群を8mg/LのNTBCの下に維持した(標準治療群)。Fah+/-同腹仔の第3の群は、試験に参加していたが、何ら処置を受けていなかった(NTBCもGeneRideもなし)。すべての動物の経過観察を1歳になるまで行い、HCCバイオマーカー(AFPレベル)を定期的に評価した。
【0175】
NTBC(標準治療)とGeneRideとの間の適合性の評価
4週齢のFah-/-動物を、麻酔科で後眼窩洞を介して、1e14vg/kgの投薬量のrAAV.DJ-GR-mFAHで処置した。すべてのマウスを、試験開始前から投薬の4週間後まで8mg/LのNTBCの下に保ち、その後、NTBCを8mg/Lに維持したか(対照)、あるいは8週間にわたって3mg/L、0.8mg/Lまたは0.3mg/Lに漸減した。試験の間、動物の試料採取を顎下採血によって定期的に行い、血漿を回収してさらなる分析のために-80℃で保存した。屠殺時に、血漿を得るために心臓穿刺によって血液を採集した。肝臓切出しのために、1枚の肝葉を10%のホルマリンで固定し、残りを瞬間冷凍して-80℃で保存した。翌日、ホルマリン固定された肝臓をパラフィン包埋のために70%のエタノールへ移した。
【0176】
肺における指向的ゲノムDNA組み込み
ゲノムDNAを凍結肝臓組織から抽出し、適格な方法を用いて長範囲ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及びこれに続く定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)定量によって指向的ゲノムDNA組み込みを分析した(以下の図を参照)。長範囲PCRは、順方向プライマー(F1)及び逆方向プライマー(R1)を使用して実施した。PCR産物を固相可逆的固定化ビーズ(ABM,G950)によって浄化し、順方向プライマー(F1)、逆方向プライマー(R2)及びプローブ(P1)を使用するqPCRのための鋳型として使用した。プライマー及びプローブは、(F1)5’-ATGTTCCACGAAGAAGCCA-3’、(R1)5’-TCAGCAGGCTGAAATTGGT-3、(R2)5’-AGCTGTTTCTTACTCCATTCTCA-3’、(P1)5’-AGGCAACGTCATGGGTGTGACTTT-3’である。マウストランスフェリン受容体(Tfrc)をqPCRでの内部対照として使用した。
【化1】
【0177】
血漿アルブミン-2A融合タンパク質定量
血漿中のマウスアルブミン-2Aは、捕捉のために独自のウサギポリクローナル抗2A抗体を使用し、検出のためにHRP標識ポリクローナルヤギ抗マウスアルブミン抗体(abcam ab19195)を使用する化学発光ELISAによって測定された。哺乳動物細胞に発現し、親和性精製された組換えマウスアルブミン-2Aを使用して、マトリックス効果を考慮するための1%対照マウス血漿の標準曲線を作成した。1%の乳(Cell Signaling 9999S)を含んだPBSを遮断のために使用し、1%のBSAをPBSTによる試料希釈のために使用した。
【0178】
血漿中の肝損傷バイオマーカーの定量
肝損傷についてのバイオマーカーとしてマウス血漿のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性及び総ビリルビンレベルを定量した。血漿ALT活性は、アラニンアミノトランスフェラーゼ活性比色アッセイキット(BioVision)を供給業者の指示に従って使用して定量した。血漿の総ビリルビンは、認証済みの臨床用分析器であるAdvanced(登録商標)BR2ビリルビンStat-Analyzer(商標)(Advanced Instruments,LLC)を製造業者のプロトコールに従って使用して測定した。
【0179】
血漿中アルファフェトタンパク質の定量
化学発光ELISAキット(R&D Systems)を製造業者のプロトコールに従って使用して血漿中アルファフェトタンパク質を定量した。
【0180】
免疫組織化学
ロボットプラットフォーム(Ventana discover Ultra 染色モジュール、Ventana Co.,Tucson,AZ)で免疫組織化学を実施した。組織切片(4μm)の脱パラフィンを行い、熱誘導抗原回復を64分間にわたって行った。内因性ペルオキシダーゼをペルオキシダーゼ阻害剤(CM1)で8分間にわたって遮断し、その後、切片を、1:400の希釈倍率の抗FAH抗体(Yecuris,Portland,OR)で60分間にわたって室温でインキュベートした。その後、DISC.OmniMap抗ウサギ多量体RUO検出システム、及びDISCOVERY ChromoMap DABキットVentana Co.,Tucson,AZ)を使用して抗原-抗体複合体を検出した。次いで、すべてのスライドをヘマトキシリン(Fisher Sci,Waltham,MA)で対比染色し、脱水し、透明化し、デジタルスライドスキャナ(Hamamatsu,Bridgewater,NJ)を使用する画像スキャンのために載置した。スキャンした画像を、ImageJソフトウェアを使用して非視覚的に評価して、陽性染色の面積を定量した。
本実施例及び実施例10に使用した例示的な配列を以下に示す:
配列番号1:AAV-DJ-mha-mFAH(PM-0550)
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TCTTATTTTGGGCACAACAGATGTCAGAGAGCCTGCTTTAGGAATTCTAAGTAGAACTGT
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TCCCAGGCTTCTGCGACAATGCACCTTCCTGCTACCATAGGAGACTACACGGACTTCTAC
TCTTCTCGGCAGCATGCCACCAATGTTGGCATTATGTTCAGAGGCAAGGAGAATGCGCTG
TTGCCAAATTGGCTCCACTTACCTGTGGGATACCATGGCCGAGCTTCCTCCATTGTGGTA
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GTGTATGGTGCCTGCAGACTCTTAGACATGGAGTTGGAAATGGCTTTCTTCGTAGGCCCT
GGGAACAGATTCGGAGAGCCAATCCCCATTTCCAAAGCCCATGAACACATTTTCGGGATG
GTCCTCATGAACGACTGGAGCGCACGAGACATCCAGCAATGGGAGTACGTCCCACTTGGG
CCATTCCTGGGGAAAAGCTTTGGAACCACAATCTCCCCGTGGGTGGTGCCTATGGATGCC
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AGCCAGGCGGCTACCATCTGCAGGTCTAACTTTAAGCACATGTACTGGACCATGCTGCAG
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GGAACCATCAGTGGATCAGACCCTGAAAGCTTTGGCTCCATGCTGGAACTGTCCTGGAAG
GGAACAAAGGCCATCGATGTGGGGCAGGGGCAGACCAGGACCTTCCTGCTGGACGGCGAT
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GCTGGGAAAGTGCTGCCTGCCCTTTCACCAGCCTAAACACATCACAACCACAACCTTCTC
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GACTGATAACCATTTGACAAGAGCCATACAGACAAGCACCAGCTGGCACTCTTAGGTCTT
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TGACAAAGCAGCCTCCTTTGAAAATATAGCCAACTGCACACAGCTATGTTGATCAATTTT
GTTTATAATCTTGCAGAAGAGAATTTTTTAAAATAGGGCAATAATGGAAGGCTTTGGCAA
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【0181】
AAV-DJウイルスカプシド、ヒトFAH(hFAH)導入遺伝子、P2A配列、隣接する1000ヌクレオチド(nt)の長さの5’相同性アーム及び1600ntの長さの3’相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図13A)。相同性アームは、マウスゲノムアルブミン標的組み込み部位との相補性を有するように設計された。チロシン血症のマウスモデルである4週齢のFRGマウスにウイルスベクターを静脈内注射によって投与し、出生から投薬の1週間後まではNTBC飲水(8mg/L)の下に維持した(図13B)。投薬の1~4週間後は、NTBC投薬量を必要に応じて調整した(例えば、動物の体重が前の週の測定から10%低下した場合、動物を1週間にわたって8mg/LのNTBC飲水のサイクルに戻した)。投薬の4週間後から屠殺時(投薬の9または16週間後)まではNTBC投与を中断した。
【0182】
マウスを、処置後の最長9週間にわたって循環GeneRideバイオマーカー(例えば、ALB-2Aのレベル)について評価し(図13C)、(体重変化パーセントによる)身体成長について処置後の最長16週間にわたって評価した(図13D)。肝機能のマーカー(例えば、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ビリルビン)も評価した(図13E及び図13F)。マウスを処置の9週間後(9WK;4匹の動物を採取した)及び16週間後(16WK;4匹の動物を採取した)に屠殺し、マウス肝臓を単離した。処置マウスのサブセットを屠殺し、肝臓試料を採取し、抗FAH抗体による免疫組織化学染色によって分析した(図13G)。肝臓を灌流していた処置マウスの別個のサブセット(n=2)から肝細胞を単離した。単離された肝細胞をgDNA組み込みについて評価した(図13H)。また、マウスからの血漿試料を、肝細胞癌(HCC)のマーカーであるアルファフェトタンパク質(AFP)の存在について、健常Fah+/-ヘテロ接合型(HET)マウスとビヒクルのみで処置したマウスとで対比して評価した(図13I)。
【0183】
結果
この実施例は、特に、ヒトFAH(hFAH)をコードする配列に隣接する不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターによる処置が、遺伝性チロシン血症1(HT1)に罹患している対象において(例えば、FRGマウスモデル系において)、参照(例えば、未処置またはビヒクル)と比較して改善された肝機能をもたらし得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図13のパネルE及び/またはパネルFで実証されているように、本開示のウイルスベクターによる対象の処置は、参照(例えば、未処置またはビヒクル)と比較して、肝機能低下に関連するバイオマーカー(例えば、ALT、ビリルビン)のレベルの低下をもたらし得る。いくつかの実施形態では、図13のパネルDで実証されているように、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、参照(例えば、未処置またはビヒクル)と比較して、(例えば、経時的な体重変化百分率によって測定される)正常な成長を可能にし得る、または回復させ得る。いくつかの実施形態では、図13のパネルIで実証されているように、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、疾患(例えば、HCCを含めたがん)に関連するバイオマーカー(例えば、AFP)のレベルの低下をもたらし得る。いくつかの実施形態では、図13で実証されているように、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、(例えば、肝機能のマーカーの評価によって測定される)改善された肝機能、参照(例えば、未処置またはビヒクル)と比較したときの(例えば、経時的な体重変化パーセントによって測定される)正常な成長、及び疾患(例えば、HCCを含めたがん)に関連するバイオマーカー(例えば、AFP)の低下したレベルのうちの1つ以上をもたらし得る。
【0184】
特にこれは、図13のパネルHに示されるように、本開示のウイルスベクターが導入遺伝子配列(例えば、FAH)を対象のゲノム標的部位に組み込むことができることを実証している。いくつかの実施形態では、導入遺伝子配列(例えば、FAH)の組み込みは、対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の中の細胞(例えば、肝細胞)に淘汰的優位性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、特定の組織型(例えば、肝臓)の中の細胞(例えば、肝細胞)における送達された導入遺伝子(例えば、FAH)の10%を上回る(例えば、20%、30%、40%、50%の)ゲノムDNA組み込みを可能にし得る。いくつかの実施形態では、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、細胞(例えば、肝細胞)の50%超(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%など)が、送達された導入遺伝子(例えば、FAH)を成功裏に組み込まれた細胞からなることを可能にし得る。
【0185】
実施例10:不揃いな相同性アームは、編集された細胞がin vivoで選択的に速やかに増殖することを可能にし得る
本実施例は、特に、フマリルアセト酢酸加水分解酵素(FAH)をコードする配列に隣接する不釣り合いな相同性アームを含むウイルスベクターが、ある特定の投薬量で対象(例えば、遺伝性チロシン血症1型に罹患している対象)に投与され得、FAHコード配列を成功裏に組み込まれた細胞に淘汰的優位性をもたらし得ることを、実証する。特に明記しない限り、用いた材料及び方法は上記実施例9と同様であった。
【0186】
AAV-DJウイルスカプシド、マウスFAH(mFAH)導入遺伝子、P2A配列、隣接する1000ヌクレオチド(nt)の長さの5’相同性アーム及び1600ntの長さの3’相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図14のパネルA参照)。相同性アームは、マウスゲノムアルブミン標的組み込み部位との相補性を有するように設計された。本明細書に記載のベクターを、2週齢のFah-/-マウスに静脈内注射によって投与した(図14、パネルA)。マウスには出生時からGeneRideベクターの投与の1週間後(3週齢)まで8mg/LのNTBCを供給した。3~4週齢においては、前の週からの10%の体重減少が認められた動物にのみ、8mg/LのNTBC飲水を供給した。4週齢から屠殺時(少なくとも18週齢)まではNTBC投与を中断した。Fah-/-マウスの別の群は常に8mg/LのNTBC飲水で維持し、標準治療群としての役割を果たした。マウスを循環バイオマーカー(例えば、ALB-2Aのレベル)について処置後の最長8週間にわたって評価し(図14、パネルB)、NTBC除去後の生存率(図14、パネルC)、肝機能のマーカー(例えば、ALT)及び毒性代謝物(例えば、スクシニルアセトン(SUAC))の存在を評価した(図14のパネルD、及び図14のパネルE)。
【0187】
AAV-DJウイルスカプシド、マウスFAH(mFAH)導入遺伝子、P2A配列、隣接する1000ヌクレオチド(nt)の長さの5’相同性アーム及び1600ntの長さの3’相同性アームを含む、ウイルスベクターを構築した(図14、パネルA)。相同性アームは、マウスゲノムアルブミン標的組み込み部位との相補性を有するように設計された。本明細書に記載のベクターを、1か月齢のFah-/-マウスに静脈内注射によって投与した(図15、パネルA)。マウスを出生時からGeneRideベクターの投与時まで8mg/LのNTBCで処置した。1か月齢から屠殺時(少なくとも12か月齢)まではNTBC投与を中断した。マウスを循環バイオマーカー(例えば、ALB-2Aのレベル)について少なくとも5か月齢にわたって評価し(図15、パネルB)、処置後の少なくとも6か月間にわたって体重を追跡評価した(図15、パネルC)。HCCリスク(AFPレベル)もこれらのマウス(少なくとも6か月齢)で評価した(図15、パネルD)。
【0188】
特に、この実施例は、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症1型に罹患している対象)の処置が、細胞(例えば、肝細胞)に速やかな淘汰的優位性をもたらして、処置後4週間以内に罹患肝臓の完全な再増殖につながり得ることを、実証している。いくつかの実施形態では、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、処置後4週間以内に特定の組織型(例えば、肝臓)の中の細胞(例えば、肝細胞)の50%超(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%など)が、送達された導入遺伝子(例えば、FAH)を成功裏に組み込まれた細胞からなることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、ある特定の用量(例えば、3E13vg/kg、1E13vg/kg、1E14vg/kg)の本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、処置後4週間以内に細胞(例えば、肝細胞)に淘汰的優位性をもたらし得る。
【0189】
特に、この実施例は、マウスFAH(mFAH)をコードする配列を含むウイルスベクターによる処置が、遺伝性チロシン血症1(HT1)に罹患している対象において(例えば、FAH-/-マウスモデル系において)、参照(例えば、未処置)と比較して改善された肝機能をもたらし得ることを実証している(図14、パネルB)。いくつかの実施形態では、図14のパネルDで実証されているように、本開示のウイルスベクターによる対象の処置は、参照(例えば、未処置)と比較して、肝機能低下に関連するバイオマーカー(例えば、ALT)のレベルの低下をもたらし得る。いくつかの実施形態では、図14のパネルEで実証されているように、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、参照(例えば、未処置またはNTBC処置)と比較して、有害な代謝物(例えば、SUAC)のレベルの低下をもたらし得る。
【0190】
特に、この実施例は、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置が、成体期の継続的な導入遺伝子発現を示し得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図15のパネルBで実証されているように、少なくとも1か月齢の対象に本開示のウイルスベクターを投与することで、投薬の少なくとも5か月後に循環バイオマーカー(例えば、ALB-2A)の継続的発現が実証された。いくつかの実施形態では、図15のパネルCで実証されているように、本開示のウイルスベクターで処置された対象は、参照(例えば、NTBC処置対象)と比較して同程度の体重を示した。
【0191】
特に、この実施例は、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置が、参照(例えば、未処置またはNTBC処置対象)と比較してHCCを低下させ得ることを実証している。いくつかの実施形態では、図15のパネルDで実証されているように、本開示のウイルスベクターによる対象(例えば、遺伝性チロシン血症に罹患している対象)の処置は、少なくとも6か月齢において、参照(例えば、未処置またはNTBC処置対象)と比較して疾患(例えば、HCCを含めたがん)に関連するバイオマーカー(例えば、AFP)のレベルの低下をもたらし得る。
【0192】
等価物
当業者は、ほんの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認し得るであろう。本発明の範囲は、上記説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に記載される通りである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図5C
図6-1】
図6-2】
図7A
図7B
図8
図9-1】
図9-2】
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図15C
図15D
【配列表】
2024517743000001.app
【国際調査報告】