(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】抗5T4抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240416BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240416BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240416BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240416BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240416BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240416BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240416BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240416BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240416BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566750
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 IL2022050451
(87)【国際公開番号】W WO2022234570
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523405959
【氏名又は名称】イミュノリゾン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ボギン,オレン
(72)【発明者】
【氏名】ダッサ,リアット
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
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4C085AA13
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC02
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4C085EE01
4C085GG01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、いくつかの抗5T4抗体を記載する。いくつかの実施形態では、ある特定の相補性決定領域(CDR)を含む抗5T4抗体が開示される。本明細書に開示される抗5T4抗体は、がんなどの様々な疾患を治療するために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と、軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)と、を含む、単離された抗5T4抗体であって、
(i)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号2~4のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号6~8のアミノ酸配列を含むか、又は
(ii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号10~12のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号14~16のアミノ酸配列を含むか、又は
(iii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号18~20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号22~24のアミノ酸配列を含むか、又は
(iv)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号26~28のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号30~32のアミノ酸配列を含むか、又は
(v)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号34~36のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むか、又は
(vi)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号42~44のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むか、又は
(vii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号50~52のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むか、又は
(viii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号58~60のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号62~64のアミノ酸配列を含む、抗5T4抗体。
【請求項2】
前記抗体が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域と、を含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、配列番号1及び5、配列番号9及び13、配列番号17及び21、配列番号25及び29、配列番号33及び37、配列番号41及び45、配列番号49及び53、配列番号57及び61、配列番号65~66、配列番号67~68、配列番号69~70、配列番号71~72、配列番号73~74、配列番号75~76、配列番号77~78、配列番号79~80、配列番号81~82、配列番号83~84、配列番号85~86、配列番号87~88、配列番号89~90、配列番号91~92、配列番号93~94、配列番号95~96、配列番号97~98、配列番号99~100、配列番号101~102、配列番号103~104、配列番号105~106、配列番号107~108、配列番号109~110、配列番号111~112、配列番号113~114、配列番号115~116、配列番号117~118、配列番号119~120、配列番号121~122、配列番号123~124、配列番号125~126、配列番号127~128、配列番号129~130、配列番号131~132、配列番号133~134、配列番号135~136、配列番号137~138、配列番号139~140、配列番号141~142、配列番号143~144、配列番号145~146、配列番号147~148、配列番号149~150、又は配列番号151~152のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗5T4抗体。
【請求項3】
前記抗体が、IgG、Fv、scFv、Fab、F(ab’)
2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、二重特異性抗体、三重特異性抗体、多重特異性抗体、又は単一ドメイン抗体である、請求項1又は2に記載の抗5T4抗体。
【請求項4】
前記IgGが、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である、請求項3に記載の抗5T4抗体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗5T4抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
【請求項6】
前記抗5T4抗体が、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と、軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)と、を含み、
(i)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号2~4のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号6~8のアミノ酸配列を含むか、又は
(ii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号10~12のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号14~16のアミノ酸配列を含むか、又は
(iii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号18~20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号22~24のアミノ酸配列を含むか、又は
(iv)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号26~28のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号30~32のアミノ酸配列を含むか、又は
(v)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号34~36のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むか、又は
(vi)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号42~44のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むか、又は
(vii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号50~52のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むか、又は
(viii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号58~60のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号62~64のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗5T4抗体が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域と、を含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、配列番号1及び5、配列番号9及び13、配列番号17及び21、配列番号25及び29、配列番号33及び37、配列番号41及び45、配列番号49及び53、配列番号57及び61、配列番号65~66、配列番号67~68、配列番号69~70、配列番号71~72、配列番号73~74、配列番号75~76、配列番号77~78、配列番号79~80、配列番号81~82、配列番号83~84、配列番号85~86、配列番号87~88、配列番号89~90、配列番号91~92、配列番号93~94、配列番号95~96、配列番号97~98、配列番号99~100、配列番号101~102、配列番号103~104、配列番号105~106、配列番号107~108、配列番号109~110、配列番号111~112、配列番号113~114、配列番号115~116、配列番号117~118、配列番号119~120、配列番号121~122、配列番号123~124、配列番号125~126、配列番号127~128、配列番号129~130、配列番号131~132、配列番号133~134、配列番号135~136、配列番号137~138、配列番号139~140、配列番号141~142、配列番号143~144、配列番号145~146、配列番号147~148、配列番号149~150、又は配列番号151~152のアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の抗5T4抗体をコードする、単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチド配列を含む、ベクター。
【請求項10】
請求項9に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項11】
対象における疾患を治療する方法であって、有効量の請求項1~4のいずれか一項に記載の抗5T4抗体を含む組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記疾患が、がん、自己免疫疾患、GvHD、ウイルス感染、又は細菌感染である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗5T4抗体が、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と、軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)と、を含み、
(i)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号2~4のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号6~8のアミノ酸配列を含むか、又は
(ii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号10~12のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号14~16のアミノ酸配列を含むか、又は
(iii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号18~20のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号22~24のアミノ酸配列を含むか、又は
(iv)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号26~28のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号30~32のアミノ酸配列を含むか、又は
(v)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号34~36のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むか、又は
(vi)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号42~44のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むか、又は
(vii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号50~52のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むか、又は
(viii)前記HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号58~60のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号62~64のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記抗5T4抗体が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域と、を含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、配列番号1及び5、配列番号9及び13、配列番号17及び21、配列番号25及び29、配列番号33及び37、配列番号41及び45、配列番号49及び53、配列番号57及び61、配列番号65~66、配列番号67~68、配列番号69~70、配列番号71~72、配列番号73~74、配列番号75~76、配列番号77~78、配列番号79~80、配列番号81~82、配列番号83~84、配列番号85~86、配列番号87~88、配列番号89~90、配列番号91~92、配列番号93~94、配列番号95~96、配列番号97~98、配列番号99~100、配列番号101~102、配列番号103~104、配列番号105~106、配列番号107~108、配列番号109~110、配列番号111~112、配列番号113~114、配列番号115~116、配列番号117~118、配列番号119~120、配列番号121~122、配列番号123~124、配列番号125~126、配列番号127~128、配列番号129~130、配列番号131~132、配列番号133~134、配列番号135~136、配列番号137~138、配列番号139~140、配列番号141~142、配列番号143~144、配列番号145~146、配列番号147~148、配列番号149~150、又は配列番号151~152のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表の記述)
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されており、その全体で参照により本明細書に組み込まれる、配列表を含む。2022年5月2日に作成された当該ASCIIコピーは、P-604133-PC_SL.txtと名付けられ、サイズが130キロバイトである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般的に抗体に関する。一実施形態では、本開示は、抗5T4抗体及びその抗5T4抗原結合断片の作製及び使用を記載する。
【背景技術】
【0003】
がんの治療のための免疫療法アプローチの開発を対象とした、かなりの努力がなされてきた。これらの多くは、腫瘍関連抗原(tumor-associated antigen、TAA)の標的化に依存する。多数のTAAが同定されているが、全てが安全かつ効果的な免疫標的化を可能にするための適切な特性を有するわけではない。そのような特性としては、正常組織上では高度に制限された発現プロファイルであるが、多くの異なるがん型にわたる広範な発現が挙げられる。更に、細胞表面発現は、抗体標的療法にとって重要な特性である。
【0004】
栄養膜糖タンパク質としても知られている5T4は、急速に内在化される細胞表面抗原である。5T4は、母親における半同種移植片としての胎児、又はその宿主における腫瘍の生存を可能にするように機能し得る、共有細胞表面分子を同定しようとする状況において発見された。マウスモノクローナル抗体は、満期ヒト胎盤由来の栄養膜調製物由来の精製糖タンパク質に対して育生され、最初に、異なるがん細胞株及びヒト末梢血単核細胞に対してスクリーニングされた。
【0005】
免疫組織化学によって定義される5T4の発現が、種々の固形腫瘍(すなわち、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、膀胱がん、膵臓がん、食道がん、及び胃がん)において観察されている一方で、正常な成体組織における発現は、限定されていることが見出された。5T4発現は、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、卵巣がん、又は胃がん及び前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病を有する患者における進行疾患及び/又はより悪い臨床転帰に関連している。
【0006】
正常組織再生特性を反映する腫瘍開始細胞の重要な亜集団が、発生しているがんによって利点のために保持及び利用されるという証拠が増えている。NSCLCにおける低分化腫瘍は、より短い患者生存及び治療後の再発までのより短い期間に関連している。NSCLCにおける細胞階層を描写するために患者腫瘍の臨床病理学的分析を伴う複数の実験モデルを使用して、5T4が腫瘍開始細胞上で発現され、より悪い臨床転帰に関連することが示されている。NSCLC患者由来異種移植片における5T4の不均一な発現にもかかわらず、抗5T4抗体薬物コンジュゲートを用いた治療は、完全かつ持続的な腫瘍退縮をもたらした。したがって、不均一な固形腫瘍の攻撃的増殖は、細胞の5T4発現亜集団を標的とする治療剤によって遮断することができる。
【0007】
5T4分子は、いくつかの胚細胞及び腫瘍細胞における細胞表面でのCXCR4の機能的発現に関与することが示されている。CXCL12及びCXCR4発現の両方は、多くのがんにおける腫瘍形成に関連しており、CXCR4発現は、肺、肝臓、リンパ節及び骨髄を含む、CXCL12を高度に発現する組織への拡散を促進すると考えられている。5T4は、BCP-ALLにおいて推定白血病開始細胞によって発現され、これらの細胞は、CXCL12/CXCR4走化性の関連特性を示す。5T4陽性白血病開始細胞は、骨髄外部位によって産生されるCXCL12によって引き付けられる可能性が高く、ここでは、治療後の疾患再発につながる、治療的バイオアベイラビリティの減少がある。
【0008】
Wntタンパク質細胞内シグナル伝達は、正常な発達、恒常性、及び再生に重要な細胞調節の多くの局面の中心的構成要素であるが、誤調節は、がんを含む疾患につながり得る。2つの経路が存在し、最も特徴付けられているものが、正準Wnt/β-カテニン経路である一方で、細胞自律的平面内細胞極性(planar cell polarity、PCP)型経路を通した非正準Wntシグナル伝達は、がんの発生における細胞移動を促進するアクチン及び微小管骨格の調節を駆動することができる。5T4は、Wnt/β-カテニンシグナル伝達に干渉し、同時に、非正準Wnt経路を活性化することが示されている。
【0009】
5T4の選択的発現パターン、及び腫瘍開始表現型とのその関連性、並びにがん拡散への機構的関与を考慮して、5T4を伴ういくつかの異なる免疫療法方略が開発されている。5T4ワクチン、5T4抗体、5T4抗体標的スーパー抗原、並びに5T4抗体-薬物及び5T4抗体-キメラ抗原受容体は全て、前臨床研究及び臨床研究においてがん治療のために調査されている。5T4分子の特異的なペプチド又は配列に対して作製されたいくつかの「5T4特異的」抗体が生成されているが、そのエピトープは、しばしば同定されておらず、多様な機能及び発現の多数のタンパク質によって共有されるロイシンが豊富な反復を含む5T4分子の部分を含み得る。したがって、免疫療法的使用のための抗5T4抗体を更に開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0010】
一実施形態では、本開示は、いくつかの抗5T4抗体を提供する。一実施形態では、抗5T4抗体の各々は、重鎖上の3つの相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と、軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)と、を含み、
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号2~4のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号6~8のアミノ酸配列を含むか、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号10~12のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号14~16のアミノ酸配列を含むか、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号18~20のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号22~24のアミノ酸配列を含むか、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号26~28のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号30~32のアミノ酸配列を含むか、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号34~36のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むか、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号42~44のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むか、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号50~52のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むか、又は
HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号58~60のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号62~64のアミノ酸配列を含む。
【0011】
一実施形態では、抗5T4抗体の各々は、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域と、を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、以下の対のうちの1つであり得る:配列番号1及び5、配列番号9及び13、配列番号17及び21、配列番号25及び29、配列番号33及び37、配列番号41及び45、配列番号49及び53、配列番号57及び61、配列番号65~66、配列番号67~68、配列番号69~70、配列番号71~72、配列番号73~74、配列番号75~76、配列番号77~78、配列番号79~80、配列番号81~82、配列番号83~84、配列番号85~86、配列番号87~88、配列番号89~90、配列番号91~92、配列番号93~94、配列番号95~96、配列番号97~98、配列番号99~100、配列番号101~102、配列番号103~104、配列番号105~106、配列番号107~108、配列番号109~110、配列番号111~112、配列番号113~114、配列番号115~116、配列番号117~118、配列番号119~120、配列番号121~122、配列番号123~124、配列番号125~126、配列番号127~128、配列番号129~130、配列番号131~132、配列番号133~134、配列番号135~136、配列番号137~138、配列番号139~140、配列番号141~142、配列番号143~144、配列番号145~146、配列番号147~148、配列番号149~150、又は配列番号151~152。
【0012】
一実施形態では、本開示は、薬学的に受容可能な担体と、本明細書に開示される抗5T4抗体と、を含む、組成物を提供する。
【0013】
本開示はまた、本明細書に開示される抗5T4抗体をコードするポリヌクレオチド配列、並びにそのようなポリヌクレオチド配列を含むベクター及び宿主細胞も提供する。
【0014】
一実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、がん、自己免疫疾患、GvHD、ウイルス感染、又は細菌感染などの疾患を治療するために使用することができる。
【0015】
抗5T4抗体のこれらの局面及び他の局面は、抗5T4抗体の図面及び詳細な説明の以降の記載から理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
抗5T4抗体及びその使用のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、一例のみとして本明細書に記載される。ここで特に図面を詳細に参照すると、示されている詳細は、一例によるものであり、抗5T4抗体及びその使用の実施形態の例証的考察の目的で示されることが強調されている。この点に関して、図面と併せて行われる説明により、抗5T4抗体及びその使用の実施形態がどのように実践され得るかが当業者に明らかとなる。
【
図1A】ELISA(
図1A~
図1B)及びFACs(
図1C~
図1D)を使用した、ヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質の結合を示す。
図1A~
図1Bは、皮下(subcutaneous、s.c.)免疫付与(
図1A)又は腹腔内(intraperitoneal、i.p)免疫付与(
図1B)後のELISAによるヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質への血清結合を示す。
図1C~
図1Dは、FACS(
図1C)又はCHO親細胞(
図1D)による5T4を過剰発現するCHO細胞への血清結合を示す。TB2-試験採血2。異なるマウスの参照番号が提供される。hIgG1-陰性結合対照。抗TPBG(anti-trophoblast glycoprotein、抗-栄養膜糖タンパク質)が陽性対照として使用される。
【
図1B】ELISA(
図1A~
図1B)及びFACs(
図1C~
図1D)を使用した、ヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質の結合を示す。
図1A~
図1Bは、皮下(subcutaneous、s.c.)免疫付与(
図1A)又は腹腔内(intraperitoneal、i.p)免疫付与(
図1B)後のELISAによるヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質への血清結合を示す。
図1C~
図1Dは、FACS(
図1C)又はCHO親細胞(
図1D)による5T4を過剰発現するCHO細胞への血清結合を示す。TB2-試験採血2。異なるマウスの参照番号が提供される。hIgG1-陰性結合対照。抗TPBG(anti-trophoblast glycoprotein、抗-栄養膜糖タンパク質)が陽性対照として使用される。
【
図1C】ELISA(
図1A~
図1B)及びFACs(
図1C~
図1D)を使用した、ヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質の結合を示す。
図1A~
図1Bは、皮下(subcutaneous、s.c.)免疫付与(
図1A)又は腹腔内(intraperitoneal、i.p)免疫付与(
図1B)後のELISAによるヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質への血清結合を示す。
図1C~
図1Dは、FACS(
図1C)又はCHO親細胞(
図1D)による5T4を過剰発現するCHO細胞への血清結合を示す。TB2-試験採血2。異なるマウスの参照番号が提供される。hIgG1-陰性結合対照。抗TPBG(anti-trophoblast glycoprotein、抗-栄養膜糖タンパク質)が陽性対照として使用される。
【
図1D】ELISA(
図1A~
図1B)及びFACs(
図1C~
図1D)を使用した、ヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質の結合を示す。
図1A~
図1Bは、皮下(subcutaneous、s.c.)免疫付与(
図1A)又は腹腔内(intraperitoneal、i.p)免疫付与(
図1B)後のELISAによるヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質への血清結合を示す。
図1C~
図1Dは、FACS(
図1C)又はCHO親細胞(
図1D)による5T4を過剰発現するCHO細胞への血清結合を示す。TB2-試験採血2。異なるマウスの参照番号が提供される。hIgG1-陰性結合対照。抗TPBG(anti-trophoblast glycoprotein、抗-栄養膜糖タンパク質)が陽性対照として使用される。
【
図2】選択されたマウスハイブリドーマクローンの同一性の表を提供する。
【
図3A】還元条件下での精製mAbクローンのSDS-PAGEを示す。
【
図3B】還元条件下での精製mAbクローンのSDS-PAGEを示す。
【
図4A】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4B】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4C】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4D】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4E】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4F】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4G】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4H】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4I】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4J】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4K】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4L】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4M】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4N】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4O】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図4P】代表的な精製mAbクローン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、16、17、18、及び19のSEC-HPLC分析を示す。
【
図5A】代表的な精製mAbクローンのELISA結合曲線を示す。
【
図5B】代表的な精製mAbクローンのELISA結合曲線を示す。
【
図5C】代表的な精製mAbクローンのELISA結合曲線を示す。
【
図5D】代表的な精製mAbクローンのELISA結合曲線を示す。
【
図6A】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図6B】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図6C】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図6D】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図6E】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図6F】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図6G】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図6H】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図6A~
図6C)、cyno 5T4を過剰発現するCHO(
図6D~
図6F)、及びMCF-7乳がん細胞株(
図6G~
図6H)との代表的な精製mAbクローンのFACS結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。mIgG(mouseIgG、マウスIgG)は、陰性対照マウスIgGである。hIgG(human IgG、ヒトIgG)は、陰性対照ヒトIgGである。抗5T4 Abは、陽性対照hIgG抗体である。
【
図7A】選択された精製mAbのOctet分析を示し、
図7A~
図7Fは、代表的なmAbクローンのOctet試験分析データを提供し、
図7Gは、ランク付けされたKD値を要約する。
【
図7B】選択された精製mAbのOctet分析を示し、
図7A~
図7Fは、代表的なmAbクローンのOctet試験分析データを提供し、
図7Gは、ランク付けされたKD値を要約する。
【
図7C】選択された精製mAbのOctet分析を示し、
図7A~
図7Fは、代表的なmAbクローンのOctet試験分析データを提供し、
図7Gは、ランク付けされたKD値を要約する。
【
図7D】選択された精製mAbのOctet分析を示し、
図7A~
図7Fは、代表的なmAbクローンのOctet試験分析データを提供し、
図7Gは、ランク付けされたKD値を要約する。
【
図7E】選択された精製mAbのOctet分析を示し、
図7A~
図7Fは、代表的なmAbクローンのOctet試験分析データを提供し、
図7Gは、ランク付けされたKD値を要約する。
【
図7F】選択された精製mAbのOctet分析を示し、
図7A~
図7Fは、代表的なmAbクローンのOctet試験分析データを提供し、
図7Gは、ランク付けされたKD値を要約する。
【
図7G】選択された精製mAbのOctet分析を示し、
図7A~
図7Fは、代表的なmAbクローンのOctet試験分析データを提供し、
図7Gは、ランク付けされたKD値を要約する。
【
図8】そのエピトープにおいて区別される3つの主要な群を同定するELISAによって実施されたエピトープビニング分析を示す。群1(連続線の円)、群2(破線の四角)、及び群3(破線の円)。
【
図9A】ELISAによる(
図9A)、CHO細胞を用いたFACSによる(
図9B)、及びMCF-7細胞を用いたFACSによる(
図9C)、精製キメラ5T4 mAbのいくつかの実施形態の結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。hIgGは、陰性対照ヒトIgGである。
【
図9B】ELISAによる(
図9A)、CHO細胞を用いたFACSによる(
図9B)、及びMCF-7細胞を用いたFACSによる(
図9C)、精製キメラ5T4 mAbのいくつかの実施形態の結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。hIgGは、陰性対照ヒトIgGである。
【
図9C】ELISAによる(
図9A)、CHO細胞を用いたFACSによる(
図9B)、及びMCF-7細胞を用いたFACSによる(
図9C)、精製キメラ5T4 mAbのいくつかの実施形態の結合を示す。Tabは、陽性対照抗体である。hIgGは、陰性対照ヒトIgGである。
【
図10A】トリボディ(Tribody)構造の実施形態(
図10A)及びプロトリボディ(ProTribody)構造の実施形態(
図10B)を示す。VL-抗CD3 Fabの軽鎖可変領域、VH-抗CD3 Fabの重鎖可変領域、HSA-ヒト血清アルブミン、抗NK-抗ナチュラルキラー細胞抗原、抗TAA-抗腫瘍関連抗原。CD3CAP-Cd3抗原への抗CD3結合を遮断するマスキング部分。これらの2つの実施形態に示されるリンカー(プロテアーゼ切断を伴う、又は伴わない)は、同じであり得るか、若しくは異なり得るか、又はいくつかの実施形態では、いずれの所与の位置にも存在しない場合がある。
【
図10B】トリボディ(Tribody)構造の実施形態(
図10A)及びプロトリボディ(ProTribody)構造の実施形態(
図10B)を示す。VL-抗CD3 Fabの軽鎖可変領域、VH-抗CD3 Fabの重鎖可変領域、HSA-ヒト血清アルブミン、抗NK-抗ナチュラルキラー細胞抗原、抗TAA-抗腫瘍関連抗原。CD3CAP-Cd3抗原への抗CD3結合を遮断するマスキング部分。これらの2つの実施形態に示されるリンカー(プロテアーゼ切断を伴う、又は伴わない)は、同じであり得るか、若しくは異なり得るか、又はいくつかの実施形態では、いずれの所与の位置にも存在しない場合がある。
【
図11】SDS-PAGEによって分析された発現されたトリボディ抗体構築物の実施形態を示す。各構築物の配列番号の同定については、表1を参照されたい。R-還元条件下。NR-非還元条件下。
【
図12A】抗5T4結合ドメイン(5T4_IM53)を含むトリボディ抗体構築物(IM-1222)のSDS-PAGE分析(
図12A)及びSEC-HPLC分析(
図12B)を示す。
【
図12B】抗5T4結合ドメイン(5T4_IM53)を含むトリボディ抗体構築物(IM-1222)のSDS-PAGE分析(
図12A)及びSEC-HPLC分析(
図12B)を示す。
【
図13A】還元条件下にある(
図13A)及びインタクトである(
図13B)、抗5T4結合ドメイン(5T4_IM53)を含むトリボディ構築物(IM-1222)のMS分析を示す。
【
図13B】還元条件下にある(
図13A)及びインタクトである(
図13B)、抗5T4結合ドメイン(5T4_IM53)を含むトリボディ構築物(IM-1222)のMS分析を示す。
【
図14A】抗5T4結合ドメイン(5T4_IM24)を含むトリボディ抗体構築物(IM-1178)のSDS-PAGE(
図14A)及びSEC-HPLC(
図14B)分析を示す。
【
図14B】抗5T4結合ドメイン(5T4_IM24)を含むトリボディ抗体構築物(IM-1178)のSDS-PAGE(
図14A)及びSEC-HPLC(
図14B)分析を示す。
【
図15A】還元条件下にある(
図15A)及びインタクトである(
図15B)、抗5T4結合ドメイン(5T4_IM24)を含むトリボディ構築物のMS分析を示す。
【
図15B】還元条件下にある(
図15A)及びインタクトである(
図15B)、抗5T4結合ドメイン(5T4_IM24)を含むトリボディ構築物のMS分析を示す。
【
図16A】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図16B】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図16C】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図16D】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図16E】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図16F】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図16G】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図16H】異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ抗体構築物の異なる実施形態の結合についてのELISAスクリーニングの結果を示す。
【
図17A】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17B】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17C】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17D】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17E】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17F】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17G】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17H】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17I】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17J】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17K】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17L】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17M】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17N】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図17O】ヒト5T4を過剰発現するCHO細胞(
図17A~
図17H)又はNCI-H226肺がん細胞株(
図17I~
図17O)への異なる抗5T4結合ドメインを含む精製ヒト化トリボディ構築物の結合についてのFACSスクリーニングを示す。
【
図18A】NCI-H226肺がん細胞(
図18A)及びMDA-MB-231ヒト乳腺がん細胞(
図18B)についてヒト化トリボディ構築物の異なる実施形態によって媒介されるインビトロ細胞傷害性を示す。トリボディIM1222は、5T4_IM53抗5T4結合ドメインを含む。トリボディIM1062は、陽性対照抗5T4結合ドメインを含み、トリボディIM1184は、CD3 CAP部分を有する陽性対照抗5T4結合ドメインを含む。
【
図18B】NCI-H226肺がん細胞(
図18A)及びMDA-MB-231ヒト乳腺がん細胞(
図18B)についてヒト化トリボディ構築物の異なる実施形態によって媒介されるインビトロ細胞傷害性を示す。トリボディIM1222は、5T4_IM53抗5T4結合ドメインを含む。トリボディIM1062は、陽性対照抗5T4結合ドメインを含み、トリボディIM1184は、CD3 CAP部分を有する陽性対照抗5T4結合ドメインを含む。
【
図19】異種移植マウスモデルにおけるトリボディ構築物のインビボ有効性。使用されたトリボディ構築物は各々、単一の5T4結合ドメインを含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、単離された抗5T4抗体を提示し、抗5T4 mAbの独自のCDR配列は、ヒト化フレームワーク内に提供される(キメラ抗体、ヒト化抗体)。加えて、多価抗体構築物へのこれらの抗5T4抗体の5T4抗原結合領域の組み込みが実証される。本明細書に開示される抗5T4抗体は、医学的状態、例えば、がんに対する免疫療法的治療として潜在的に使用され得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、全て同じ質及び意味を有する、「免疫グロブリン」という用語と互換的に使用され得る。抗体結合ドメイン又は抗原結合部位は、抗体の断片、又は抗体の1つ以上の断片の遺伝子操作された産物であり得、この断片は、標的抗原との特異的結合に関与する。「特異的に結合する」とは、結合が目的の抗原について選択的であり、不要又は非特異的な相互作用と区別することができることを意味する。例えば、抗体は、平衡解離定数が≦10-5、10-6、又は10-7Mであるときに、5T4エピトープに特異的に結合すると言われる。いくつかの実施形態では、平衡解離定数は、≦10-8M又は10-9Mであり得る。いくつかの更なる実施形態では、平衡解離定数は、≦10-10M、10-11M、又は10-12Mであり得る。いくつかの実施形態では、平衡解離定数は、≦10-5M~10-12Mの範囲内であり得る。
【0019】
最大半量有効濃度(half maximal effective concentration、EC50)は、指定された曝露時間後にベースラインと最大応答との間の中間の応答を誘導する、薬物、抗体、又は毒物の濃度を指す。いくつかの実施形態では、応答は、結合親和性を含む。いくつかの実施形態では、応答は、機能的応答、例えば、アゴニスト応答を含む。当業者は、ある特定の実施形態において本明細書で使用される場合、本明細書に開示される抗5T4抗体のEC50測定が、5T4抗原への抗5T4抗体の最大半量結合(EC50結合)の尺度を提供することを理解するであろう。当業者は、ある特定の実施形態において本明細書で使用される場合、本明細書に開示される抗5T4抗体のEC50測定が、アゴニスト応答を誘導する抗5T4抗体の最大半量有効濃度(EC50機能的アゴニズム)の尺度を提供することを理解するであろう。
【0020】
いくつかの実施形態では、EC50は、抗体結合時に観察されるであろう50%アゴニスト応答を得るために必要とされる抗体の濃度を含む。ある特定の実施形態では、EC50の尺度は、薬物の効力の尺度として一般に使用され、いくつかの実施形態では、受容体への抗体の結合を反映し得る。いくつかの実施形態では、ナノモルEC50結合濃度測定値を有する抗5T4抗体は、緊密結合抗5T4抗体を含む。いくつかの実施形態では、ナノモルEC50機能的アゴニズム濃度測定値を有する抗5T4抗体は、機能的に有効なアゴニスト抗体を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、5T4分子への緊密な結合剤を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、5T4分子に対するアゴニストを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、5T4分子に対する緊密結合アゴニストを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、ナノモル範囲内である。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.1~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.1~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約20~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約40~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約60~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約80~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約5~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.05~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約0.01~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の結合EC50は、約1~15nMの範囲を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、機能的アゴニズムを測定するEC50は、本明細書では全て同じ性質を有する機能EC50と称される。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、ナノモル範囲内である。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.1~100nMの範囲を含む。いくつかの態様において、抗5T4抗体の機能的EC50は約0.1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.1~20nMの範囲を含む。いくつかの態様において、抗5T4抗体の機能的EC50は約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~20nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約20~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約40~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約60~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約80~100nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~40nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~60nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~80nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~50nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~20nMの範囲を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は約0.1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は約1~5nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約5~10nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.05~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約0.01~15nMの範囲を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体の機能的EC50は、約1~15nMの範囲を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、IgG、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)、Fab断片、F(ab’)2断片、scFv断片、Fv断片、ナノボディ、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及び単一ドメイン抗体を含むがこれらに限定されない、結合特異性を保持する1つ又は複数の抗体断片を包含する(例えば、Hudson and Souriau,Nature Med.9:129-134(2003)を参照)。また、ヒト化抗体、霊長類化抗体、及びキメラ抗体も、これらの用語が当技術分野で一般に理解されるため、包含される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、抗原結合部位が調節ドメインによって遮断され得る前駆体構築物を含み、結合部位の曝露は、環境条件に基づく調節された曝露、例えば、限定されないが、腫瘍微小環境への曝露を含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、「重鎖可変領域」という用語は、全て同じ意味及び質を有する、「VHドメイン」という用語又は「VH」という用語と互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、「軽鎖可変領域」という用語は、全て同じ意味及び質を有する、「VLドメイン」という用語又は「VL」という用語と互換的に使用され得る。当業者は、抗体に関する「重鎖可変領域」又は「VH」が、フレームワーク領域として知られる隣接伸長間に間置された3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖の断片を包含することを認識するであろう。フレームワーク領域は、CDRよりも高度に保存され、CDRを支持する足場を形成する。同様に、当業者はまた、抗体に関する「軽鎖可変領域」又は「VL」が、フレームワーク領域間に間置された3つのCDRを含む軽鎖の断片を包含することも認識するであろう。
【0027】
本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、重鎖又は軽鎖可変領域の超可変領域を指す。N末端から進んで、重鎖又は軽鎖ポリペプチドの各々は、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」として表される3つのCDRを有する。いくつかの抗原-抗体複合体の結晶学的分析は、CDRのアミノ酸残基が結合抗原と広範な接触を形成することを実証している。したがって、CDR領域は、主に抗原結合部位の特異性に関与する。一実施形態では、抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖可変領域の各々からのCDRを含む、6つのCDRを含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」又は「FR」という用語は、重鎖又は軽鎖可変領域のCDRをフレーム化する4つの隣接アミノ酸配列を指す。いくつかのFR残基は、結合した抗原に接触し得る。しかしながら、FR残基は、主に可変領域を抗原結合部位に折り畳むことに関与する。いくつかの実施形態では、可変領域の折り畳みに関与するFR残基は、CDRに直接隣接する残基を含む。FR内では、ある特定のアミノ残基及びある特定の構造的特徴が、非常に高度に保存されている。この点に関して、全ての可変領域配列は、約90個のアミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含む。可変領域が抗原結合部位に折り畳まれるとき、CDRは、抗原結合表面を形成する突出ループモチーフとして表される。正確なCDRアミノ酸配列にかかわらず、ある特定の「正準」構造へのCDRループの折り畳み形状に影響を及ぼすFRの保存された構造領域が存在することが一般に認識されている。更に、ある特定のFR残基は、抗体重鎖及び軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合性ドメイン間接触に関与することが知られている。
【0029】
抗体は、限定されないが、相補性決定領域(CDR)、可変領域(Fv)、VHドメイン、VLドメイン、単鎖可変領域(scFv)、及びFab断片を含む、様々な形態で、又は様々なドメインを有して存在し得る。
【0030】
当業者は、scFvが、短いリンカーペプチドによって連結された免疫グロブリンの可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)領域を含む、融合ポリペプチドであることを理解するであろう。リンカーは、例えば、10~約25個のアミノ酸を有し得る。
【0031】
当業者はまた、抗体に関する「Fab」という用語が、一般に、ジスルフィド結合によって単一重鎖の可変領域及び第1の定常領域に結合された単一軽鎖(可変領域及び定常領域の両方)からなる抗体の部分を包含する一方で、F(ab’)2が、VHドメインを含む重鎖及びVLドメインを含む軽鎖の断片を含むことも理解するであろう。
【0032】
いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を含む、全抗体分子を包含する。いくつかの実施形態では、抗体は、可変重鎖(VH)断片、可変軽鎖(VL)断片、Fab断片、F(ab’)2断片、scFv断片、Fv断片、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディを含むがこれらに限定されない、結合特異性を保持する1つ又は複数の抗体断片を包含する。
【0033】
一実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、二重特異性抗体の一部として組み込まれ得る。一実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、多重特異性抗体の一部として組み込まれ得る。当技術分野で一般に公知であるように、二重特異性抗体は、2つの異なるモノクローナル抗体の抗原結合断片を含み、それによって、2つの異なる抗原に結合することが可能である、組換えタンパク質である。一実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、三重特異性抗体の一部として組み込まれ得る。一実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、多重特異性抗体の一部として組み込まれ得る。同様に、多重特異性抗体は、2つ、3つ又は4つの異なるモノクローナル抗体などの少なくとも2つの異なるモノクローナル抗体の抗原結合断片を含む、組換えタンパク質である。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、5T4に対して二価である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、5T5の結合に対して一価である。
【0035】
いくつかの実施形態では、二重特異性、三重特異性、又は多重特異性抗体は、1つより多くの抗原標的、例えば、限定されないが、細胞傷害性T細胞(cytotoxic T cell、CTL)及び腫瘍関連抗原(TAA)を同時に標的化することによって、又は1つより多くのCTLを同時に標的化すること、例えば、CD3、エフェクターナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞、及び腫瘍関連抗原(TAA)などのCTL受容体成分を標的化することによって、がん免疫療法に使用され、例えば、TAAは、5T4を含む。
【0036】
抗5T4抗体
本開示は、いくつかの抗5T4抗体を提供する。一実施形態では、抗5T4抗体の各々は、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)のセット(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と、軽鎖上の3つのCDRのセット(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)と、を含む。
【0037】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号2~4のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号6~8のアミノ酸配列を含む。
【0038】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号10~12のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号14~16のアミノ酸配列を含む。
【0039】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号18~20のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号22~24のアミノ酸配列を含む。
【0040】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号26~28のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号30~32のアミノ酸配列を含む。
【0041】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号34~36のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号38~40のアミノ酸配列を含む。
【0042】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号42~44のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号46~48のアミノ酸配列を含む。
【0043】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号50~52のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号54~56のアミノ酸配列を含む。
【0044】
一実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号58~60のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号62~64のアミノ酸配列を含む。
【0045】
一実施形態では、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)及び軽鎖上の3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を含む、単離された抗5T4抗体は、
(i)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号2~4のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号6~8のアミノ酸配列を含むか、又は
(ii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号10~12のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号14~16のアミノ酸配列を含むか、又は
(iii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号18~20のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号22~24のアミノ酸配列を含むか、又は
(iv)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号26~28のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号30~32のアミノ酸配列を含むか、又は
(v)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号34~36のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むか、又は
(vi)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号42~44のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むか、又は
(vii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号50~52のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むか、又は
(viii)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3が、配列番号58~60のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が、配列番号62~64のアミノ酸配列を含む、抗体を含む。
【0046】
別の実施形態では、抗5T4抗体は、上記に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一である重鎖及び軽鎖CDR配列を含む。
【0047】
一実施形態では、本明細書に提示される抗5T4抗体の各々は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、以下の対のうちの1つであり得る:配列番号1及び5、配列番号9及び13、配列番号17及び21、配列番号25及び29、配列番号33及び37、配列番号41及び45、配列番号49及び53、配列番号57及び61、配列番号65~66、配列番号67~68、配列番号69~70、配列番号71~72、配列番号73~74、配列番号75~76、配列番号77~78、配列番号79~80、配列番号81~82、配列番号83~84、配列番号85~86、配列番号87~88、配列番号89~90、配列番号91~92、配列番号93~94、配列番号95~96、配列番号97~98、配列番号99~100、配列番号101~102、配列番号103~104、配列番号105~106、配列番号107~108、配列番号109~110、配列番号111~112、配列番号113~114、配列番号115~116、配列番号117~118、配列番号119~120、配列番号121~122、配列番号123~124、配列番号125~126、配列番号127~128、配列番号129~130、配列番号131~132、配列番号133~134、配列番号135~136、配列番号137~138、配列番号139~140、配列番号141~142、配列番号143~144、配列番号145~146、配列番号147~148、配列番号149~150、又は配列番号151~152。別の実施形態では、抗5T4抗体は、上記に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一であるVH及びVL配列を含む。
【0048】
一実施形態では、本明細書に開示される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列を考慮して、当業者は、抗5T4 scFvを構築するために当技術分野で公知の標準的技法を容易に採用するであろう。
【0049】
ある特定の実施形態では、本開示は、好適な条件下で二量体化され得るVH及びVLドメインを含むポリペプチドを提供する。例えば、VH及びVLドメインは、好適な緩衝液中で組み合わせられ、疎水性相互作用などの適切な相互作用を通して二量体化され得る。別の実施形態では、VH及びVLドメインは、VH及びVLドメインの二量体化を促進し得る酵素及び/又は補因子を含有する好適な緩衝液中で組み合わせられ得る。別の実施形態では、VHドメイン及びVLドメインは、好適な試薬及び/又は触媒の存在下でそれらが互いに反応することを可能にする好適なビヒクル中で組み合わせられ得る。
【0050】
ある特定の実施形態では、VH及びVLドメインは、例えば、定常領域、ヒンジ領域、リンカー領域、Fc領域、若しくはジスルフィド結合領域、又はそれらの任意の組み合わせを含み得るがこれらに限定されない、より長いポリペプチド配列内に含まれ得る。定常ドメインは、定常領域のドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3、CH4、Ck、Cl)とも称される、免疫グロブリン分子の定常部分の免疫グロブリン折り畳み単位である。いくつかの実施形態では、より長いポリペプチドは、例えば、本明細書で生成されるポリペプチドが、ダイアボディ又はトリアボディを形成するために使用されるときに、本明細書に開示される方法に従って生成されるVH及びVLドメインの一方又は両方の複数のコピーを含み得る。
【0051】
一実施形態では、本明細書に提示される抗5T4抗体は、IgG、Fv、scFv、Fab、F(ab’)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、二重特異性抗体、三重特異性抗体、多重特異性抗体、又は単一ドメイン抗体であり得る。例えば、抗5T4抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4などのIgGであり得る。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体は、IgG1を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体は、IgG2を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体は、IgG3を含む。いくつかの実施形態では、抗5T4抗体は、IgG4を含む。
【0052】
一実施形態では、本開示は、5T4に高い親和性で結合する抗体を提供する。一実施形態では、結合親和性は、Frankel et al.(Mol.Immunol.,16:101-106,1979)によって記載されるスキャッチャード法の修正によって計算される。別の実施形態では、結合親和性は、抗原/抗体解離速度によって測定される。別の実施形態では、結合親和性は、競合放射免疫測定法によって測定される。別の実施形態では、結合親和性は、ELISAによって測定される。別の実施形態では、抗体親和性は、フローサイトメトリーによって測定される。
【0053】
一実施形態では、本開示はまた、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖CDRをコードする、単離されたポリヌクレオチド配列も提供する。別の実施形態では、本開示はまた、そのようなポリヌクレオチド配列を含むベクターも提供する。本明細書に開示されるアミノ酸配列を考慮して、当業者は、アミノ酸配列をコードするようにベクター又はプラスミドを容易に構築するであろう。別の実施形態では、本開示はまた、本明細書で提供されるベクターを含む宿主細胞も提供する。使用及び実験条件に応じて、当業者は、上述のポリヌクレオチド配列を担持及び/又は発現するために好適な宿主細胞を容易に採用するであろう。
【0054】
一実施形態では、本開示はまた、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖可変領域をコードする、単離されたポリヌクレオチド配列も提供する。別の実施形態では、本開示はまた、そのようなポリヌクレオチド配列を含むベクターも提供する。本明細書に開示されるアミノ酸配列を考慮して、当業者は、このアミノ酸配列をコードするようにベクター又はプラスミドを容易に構築するであろう。別の実施形態では、本開示はまた、本明細書で提供されるベクターを含む宿主細胞も提供する。使用及び実験条件に応じて、当業者は、上述のポリヌクレオチド配列を担持及び/又は発現するために好適な宿主細胞を容易に採用するであろう。
【0055】
使用のための組成物
一実施形態では、本開示はまた、本明細書に開示される抗5T4抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物も提供する。有用な薬学的に受容される担体は、当技術分野で周知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,15 th Edition,1975は、本明細書に開示される抗体の薬学的送達に好適な組成物及び製剤を記載している。一実施形態では、組成物は、重鎖上の3つの相補性決定領域(CDR)のセット(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)と、軽鎖上の3つのCDRのセット(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)と、を含む、抗5T4抗体を含む。
【0056】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号2~4のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号6~8のアミノ酸配列を含む。
【0057】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、HCDR3は、配列番号10~12のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号14~16のアミノ酸配列を含む。
【0058】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号18~20のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号22~24のアミノ酸配列を含む。
【0059】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号26~28のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号30~32のアミノ酸配列を含む。
【0060】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、HCDR3は、配列番号34~36のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号38~40のアミノ酸配列を含む。
【0061】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号42~44のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号46~48のアミノ酸配列を含む。
【0062】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号50~52のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号54~56のアミノ酸配列を含む。
【0063】
組成物のいくつかの実施形態では、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、配列番号58~60のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3は、配列番号62~64のアミノ酸配列を含む。
【0064】
他の実施形態では、組成物は、上記に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一である重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗5T4抗体を含む。
【0065】
別の実施形態では、組成物は、以下の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の対のうちの1つを有する抗5T4抗体を含む:配列番号1及び5、配列番号9及び13、配列番号17及び21、配列番号25及び29、配列番号33及び37、配列番号41及び45、配列番号49及び53、配列番号57及び61、配列番号65~66、配列番号67~68、配列番号69~70、配列番号71~72、配列番号73~74、配列番号75~76、配列番号77~78、配列番号79~80、配列番号81~82、配列番号83~84、配列番号85~86、配列番号87~88、配列番号89~90、配列番号91~92、配列番号93~94、配列番号95~96、配列番号97~98、配列番号99~100、配列番号101~102、配列番号103~104、配列番号105~106、配列番号107~108、配列番号109~110、配列番号111~112、配列番号113~114、配列番号115~116、配列番号117~118、配列番号119~120、配列番号121~122、配列番号123~124、配列番号125~126、配列番号127~128、配列番号129~130、配列番号131~132、配列番号133~134、配列番号135~136、配列番号137~138、配列番号139~140、配列番号141~142、配列番号143~144、配列番号145~146、配列番号147~148、配列番号149~150、又は配列番号151~152。別の実施形態では、組成物は、上記に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一であるVH及びVL配列を有する抗5T4抗体を含む。
【0066】
組成物のいくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、コンジュゲートの形態であり得る。本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」は、エフェクター分子又は第2のタンパク質(第2の抗体など)に共有結合された抗体又は抗体断片(抗原結合断片など)である。エフェクター分子は、例えば、薬物、毒素、治療剤、検出可能な標識、タンパク質、核酸、脂質、ナノ粒子、炭水化物、又は組換えウイルスであり得る。抗体コンジュゲートは、「イムノコンジュゲート」とも称され得る。コンジュゲートが薬物(例えば、細胞傷害剤)に連結された抗体を含むとき、コンジュゲートは、「抗体薬物コンジュゲート」と称され得る。他の抗体コンジュゲートとしては、例えば、多重特異性(例えば、二重特異性又は三重特異性)抗体及びキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor、CAR)が挙げられる。
【0067】
抗5T4抗体又はその抗原結合断片を含む組成物は、単独で、又は担体、すなわち、薬学的に受容される担体と組み合わせて、対象(例えば、ヒト又は動物)に投与することができる。薬学的に許容されるとは、生物学的に又は別様に望ましくないものではない物質を意味し、すなわち、当該物質は、いずれの望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく、又はそれが含有される医薬組成物の他の成分のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することなく、対象に投与することができる。当業者に周知となるように、担体は、本明細書に開示されるポリペプチドのいずれの分解も最小限にするように、かつ対象におけるいずれの有害な副作用も最小限にするように選択される。医薬組成物は、医薬分野で周知の任意の方法論によって調製され得る。
【0068】
本明細書に開示される抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、局所又は全身治療が所望されるかどうかに応じて、任意の好適な様式で(例えば、哺乳動物、細胞、又は組織に)投与することができる。例えば、組成物は、局所的に(例えば、眼科的に、経膣的に、直腸に、鼻腔内に、経皮的に、及び同等物)、経口で、吸入によって、又は非経口で(静脈内点滴、又は皮下、腔内、腹腔内、皮内、若しくは筋肉内注射によるものを含む)投与することができる。局所鼻腔内投与は、鼻孔の一方又は両方を通した鼻及び鼻腔内への組成物の送達を指す。組成物は、噴霧機構若しくは液滴機構によって、又はエアロゾル化を通して送達することができる。代替的に、投与は、腫瘍内、例えば、局所又は静脈内注射であり得る。
【0069】
組成物が非経口で投与される場合、投与は、一般に注射によるものである。注射剤は、液体溶液若しくは懸濁液、注射前の液体中の懸濁に好適な固体形態、又はエマルションのいずれかとして、従来の形態で調製することができる。加えて、非経口投与は、一定の投与量を維持するように、徐放又は持続放出系の調製を伴うことができる。
【0070】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、疾患又は状態を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、がんなどの疾患を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、ワクチンの成分として使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、抗体薬物コンジュゲート(antibody-drug conjugate、ADC)の一部として使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、がんを治療する、例えば、限定されないが、非小細胞肺がん(non-small-cell lung carcinoma、NSCLC)、乳がん、中皮腫、膵臓がん、腎臓がん、前立腺がん、卵巣がん、又は結腸がんを治療する方法で使用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、5T4に関連する疾患を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、5T4の過剰発現に関連する疾患を治療するために使用することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、細胞傷害活性を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、がん又は腫瘍細胞に対して細胞傷害性である。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗5T4抗体は、がん又は腫瘍に対する方法で使用することができる。いくつかの実施形態では、がん又は腫瘍は、固形がん又は腫瘍を含む。いくつかの実施形態では、がん又は腫瘍は、非固形(びまん性)がん又は腫瘍を含む。いくつかの実施形態では、がん又は腫瘍は、がん又は腫瘍の転移を含む。
【0074】
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、化学、薬学、生物学、生化学、及び医学分野の従事者に公知であるか、又は彼らによって公知の様式、手段、技法、及び手順から容易に開発されるかのいずれかである、様式、手段、技法、及び手順を含むがこれらに限定されない、所与の作業を達成するための様式、手段、技法、及び手順を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、又は「療法」という用語(並びにそれらの異なる形態)は、予防又は防止手段を含む療法的治療を指し、その目的は、疾患又は状態に関連する望ましくない生理学的変化を予防又は減速(軽減)することである。有益な又は所望の臨床結果としては、検出可能又は検出不可能であるかにかかわらず、症状の緩和、疾患又は状態の程度の減少、疾患又は状態の安定化(すなわち、疾患又は状態が悪化しない場合)、疾患又は状態の進行の遅延又は減速、疾患又は状態の改善又は緩和、及び疾患又は状態の寛解(部分的又は完全であるかにかかわらず)が挙げられるが、これらに限定されない。治療を必要とする者には、既に疾患若しくは状態を有する者、並びに疾患若しくは状態を有する傾向がある者、又は疾患若しくは状態が予防されるべき者が含まれる。
【0076】
「対象」、「個体」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、本抗5T4抗体による組成物又は製剤を用いた治療が提供されるヒト又は非ヒト動物を指す。「非ヒト動物」及び「非ヒト哺乳動物」という用語は、本明細書では互換的に使用され、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(例えば、高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウス若しくはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマなどの哺乳動物、又は爬虫類、両生類、ニワトリ、及びシチメンチョウなどの非哺乳動物を含む。本明細書に記載される組成物は、サル及びヒトなどの霊長類、ウマ、ウシ、ネコ、イヌ、ウサギ、並びにラット及びマウスなどのげっ歯類を含む、任意の好適な哺乳動物を治療するために使用することができる。一実施形態では、治療されるべき哺乳動物は、ヒトである。ヒトは、任意の年齢の任意のヒトであり得る。一実施形態では、ヒトは、成人である。別の実施形態では、ヒトは、小児である。ヒトは、男性、女性、妊婦、中年、青年、又は高齢者であり得る。
【0077】
本発明に開示される方法で使用するために好適な医薬組成物には、活性成分が意図された目的を達成するために有効な量で含有される、組成物が含まれる。一実施形態では、治療有効量は、治療されている対象の疾患の症状を予防、緩和、若しくは改善するか、又は対象の生存を延長するために有効な活性成分の量を意味する。治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0078】
本明細書で使用される場合、「調節すること」は、分子標的又は経路の活性を「刺激すること」又は「阻害すること」を指す。例えば、組成物は、同じ条件下であるが組成物の存在のみを欠く分子標的又は経路の活性に対して、分子標的又は経路の活性を少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は約99%以上刺激又は阻害する場合、分子標的又は経路の活性を調節する。別の例では、組成物は、同じ条件下であるが組成物の存在のみを欠く分子標的又は経路の活性に対して、分子標的又は経路の活性を少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍刺激又は阻害する場合、分子標的又は経路の活性を調節する。分子標的又は経路の活性は、任意の再現可能な手段によって測定され得る。分子標的又は経路の活性は、インビトロ又はインビボで測定され得る。例えば、分子標的又は経路の活性は、活性を測定する当技術分野で公知の適切なアッセイによってインビトロ又はインビボで測定され得る。対照試料(組成物で治療されていない)は、100%の相対活性値を割り当てられ得る。
【0079】
一実施形態では、本方法は、有効量の本明細書に開示される抗5T4抗体を含む組成物を対象に投与するステップを含む。一実施形態では、組成物は、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗5T4抗体を含む。別の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されるVH及びVL配列を有する抗5T4抗体を含む。
【0080】
当業者は、いくつかの実施形態では、免疫応答の調節が、本明細書に記載される抗5T4抗体の使用を伴わない予期される転帰が炎症であったであろう状況での炎症の軽減又は炎症の排除を包含することを理解するであろう。当業者は、いくつかの実施形態では、腫瘍又はがんを治療することが、本明細書に記載される抗5T4抗体の使用を伴わない転帰と比較して、腫瘍又はがんの腫瘍サイズ、増殖、及び/又は拡散の低減を包含することを理解するであろう。
【0081】
一実施形態では、本開示は、有効量の本明細書に開示される抗5T4抗体を含む組成物を対象に投与するステップを含む、対象における疾患を治療する方法を提供する。一実施形態では、組成物は、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗5T4抗体を含む。別の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されるVH及びVL配列を有する抗5T4抗体を含む。
【0082】
一実施形態では、本開示はまた、対象における疾患を治療するための抗5T4抗体を含む組成物の使用も提供する。一実施形態では、組成物は、本明細書に記載される重鎖及び軽鎖CDR配列を有する抗5T4抗体を含む。別の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されるVH及びVL配列を有する抗5T4抗体を含む。
【0083】
一実施形態では、所望の効果を誘発するために必要とされる本ポリペプチド又はその組成物の正確な量は、対象の種、年齢、性別、体重、及び全身状態、特定のポリペプチド、投与経路、並びに他の薬物がレジメンに含まれるかどうかに応じて、対象によって変化するであろう。したがって、全ての組成物の正確な量を特定することは不可能である。しかしながら、適切な量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定することができる。投与量は、変化し得、ポリペプチドは、1日以上にわたって1日1回以上(例えば、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上)の用量で投与することができる。抗体の適切な用量を選択する際のガイダンスが、文献で容易に見出され得る。
【0084】
別の実施形態では、疾患は、がん、肉腫、リンパ種、白血病、胚細胞腫瘍、芽細胞腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の悪性線維性組織球腫、骨肉種、横紋筋肉腫、心臓がん、脳がん、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞種、乳がん、髄様がん、副腎皮質腫瘍、甲状腺がん、メルケル細胞がん、眼がん、胃腸がん、結腸がん、胆嚢がん、胃(gastric、stomach)がん、消化管カルチノイド腫瘍、肝細胞ガン、膵臓がん、直腸がん、膀胱がん、子宮頸部がん、子宮内膜がん、卵巣がん、腎細胞がん、前立腺がん、精巣がん、尿道がん、子宮肉腫、腟がん、頭部がんン、頸部がん、上咽頭がん、造血がん、非ホジキンリンパ腫、皮膚がん、基底細胞がん、黒色腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、又はそれらの任意の組み合わせであり得るがこれらに限定されない、がんである。
【0085】
別の実施形態では、疾患は、アカラシア、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗gbm/抗tbm腎炎、抗リン脂質症候群、関節炎、自己免疫性血管性浮腫、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性じんましん、ベーチェット病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、コーガン症候群、先天性心ブロック、クローン病、皮膚炎、皮膚筋炎、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜炎、線維筋痛症、線維化性肺胞炎、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、妊娠性疱疹、免疫性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎、川崎病、ランバート・イートン症候群、扁平苔癬、ループス、ライム病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、新生児ループス、好中球減少症、回帰性リウマチ、末梢性神経障害、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開術後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、反応性関節炎、後腹膜線維化症、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、類肉腫症、シュミット症候群、強膜炎、硬皮症、シェーグレン症候群、血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、潰瘍性結腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、及び白斑であり得るがこれらに限定されない、自己免疫疾患である。
【0086】
いくつかの実施形態では、疾患は、移植片対宿主病(graft-versus-host disease、GvHD)などの移植関連疾患である。一実施形態によれば、GVHDは、急性GVHDである。別の実施形態によれば、GVHDは、慢性GVHDである。
【0087】
別の実施形態では、本開示は、上記に記載される疾患又は状態を治療するためにポリヌクレオチドを使用する方法を提供し、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される抗5T4抗体をコードする。
【0088】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise、comprises、comprising、includes、including)」、有する(having)」という用語、及びそれらの活用形は、「含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0089】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数の参照を含む。例えば、「抗体」又は「少なくとも1つの抗体」という用語は、複数の抗体を含み得る。
【0090】
本出願の全体を通して、本開示の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためであり、抗5T4抗体及びその使用の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示された部分範囲、並びに1、2、3、4、5及び6などのその範囲内の個々の数字を有するとみなされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0091】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意図している。第1の表示数~第2の表示数の「範囲である(ranging/ranges)」及び第1の表示数「から」第2の表示数「までの範囲である(ranging/ranges)」という語句は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の表示数、並びにそれらの間の全ての分数及び整数の数字を含むように意図されている。
【0092】
値が先行詞「約」の使用によって近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。全ての範囲は、包含的かつ組み合わせ可能である。一実施形態では、「約」という用語は、示された数又は数の範囲からの0.1~5%の逸脱を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、示された数又は数の範囲からの1~10%の逸脱を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、示された数又は数の範囲から最大20%の逸脱を指す。一実施形態では、「約」という用語は、示された数又は数の範囲から±10%の逸脱を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、示された数又は数の範囲から±5%の逸脱を指す。
【0093】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、抗5T4抗体及びその使用が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を、抗5T4抗体及びその使用の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、方法及び/又は材料は、以下に記載される。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び例は、例証的にすぎず、必ずしも限定的であることを意図していない。本明細書で参照される各参考文献又は他の引用は、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
本明細書に提示される説明では、抗5T4抗体及びそのバリエーションを作製及び使用するステップの各々が記載される。この説明は、限定的であることを意図しておらず、成分、ステップの順序、及び他の変形例の変更は、本抗5T4抗体及びその使用の範囲内であると理解されるであろう。
【0095】
明確にするために別個の実施形態に関連して説明される抗5T4抗体及びその使用のある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態に関連して説明される抗5T4抗体及びその使用の様々な特徴はまた、抗5T4抗体及びその使用の任意の他の説明された実施形態において別個に、又は任意の好適な副次的組み合わせで、若しくは好適であるように提供され得る。様々な実施形態に関連して説明されるある特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の不可欠な特徴とみなされるべきではない。
【0096】
上記で描写され、以下の特許請求の範囲で請求される本抗5T4抗体の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的確証を見出す。
【実施例】
【0097】
実施例1
5T4のためのマウスハイブリドーマモノクローナル抗体生成
目的:マウスハイブリドーマ技術を使用して5T4に対するモノクローナル抗体を生成すること。
【0098】
方法:マウスハイブリドーマ抗5T4抗体の生成。SJLマウスを5T4-ECD-hFcで腹腔内/皮下免疫付与することによって、抗5T4抗体を開発した。動物から採血し、ELISAを用いて抗体力価について試験した(試験採血1及び試験採血2)。高力価を有する免疫化マウス由来の脾臓細胞を単離し、標準的な融合手順によって融合して、特異的抗体を産生するハイブリドーマを作成した。これらの細胞のプールによって産生された抗体を含有する上清を、ヒトFcに融合した5T4-ECDタンパク質(5T4-ECD-hFc)との反応性についてELISAによって一次スクリーニングし、5T4タンパク質過剰発現細胞との反応性についてFACSによって二次スクリーニングした。スクリーニングのために、FACSによる標的抗体活性について多数のハイブリドーマ上清を試験した。
【0099】
標的過剰発現細胞を96ウェル丸底ポリスチレンプレートに入れ、ハイブリドーマ培養物からの未混合上清とインキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、蛍光標識二次抗体とインキュベートした。陰性対照として、非標的タンパク質遺伝子をトランスフェクトした親細胞を採用して、上清を試験し(陰性であることが見出された)、反応性抗体が標的タンパク質を特異的に認識することを確認した。陽性プールを同定し、限界希釈によってクローニングした。1~2回の融合後、特異的抗体を産生する陽性クローンを同定し、ELISA及びFACSによって選択した。
【0100】
結果:動物の免疫付与後、ELISA及びFACSによって、ヒトFcに融合した組換えヒト5T4 ECDタンパク質への結合について血清を試験した。
図1A~
図1Bに示されるように、様々な希釈において、皮下(
図1A)又は腹腔内(
図1B)免疫付与された動物の試験採血2は、採血前試料と比較して、ELISAによってヒト5T4に対して陽性力価を示した。
図1C~
図1Dが、CHO細胞において過剰発現されたヒト5T4に対する試験採血2陽性力価の連続希釈を示す(
図1C)一方で、CHO親細胞上では結合が観察されず(
図1D)、5T4特異性を示す。試験採血分析後、動物SJL#7211及び#7215を融合のために選択した。一次スクリーニング用の96ウェルプレート及び二次スクリーニング用の24ウェルプレートを電気融合後に得て、ELISAによって、ヒトFcが陰性対照として機能する、組換えヒト5T4-ECD-Fcに対して陽性クローンを同定し、CHO親細胞が陰性対照として機能する、ヒト-5T4又はcyno-5T4を過剰発現するCHO細胞に対して交差反応性クローンを同定した。一次スクリーニングでは、200個のクローンを二次スクリーニングのために選択した。二次スクリーニングは、更にサブクローニングされた30個のクローンを明らかにし、19個のクローンを200ml発現及びプロテインA精製のために進めた。
図2は、選択されたクローンの同一性を示す。5T4抗体の完全な一覧及び
図2は、選択されたクローンの同一性を提示する。本明細書に開示される5T4抗体及びその成分の一覧が、対応する配列番号とともに以下の表1で提供される。
【0101】
概要:ヒト5T4タンパク質に対するマウスモノクローナルハイブリドーマ生成は、ELISA及びFACSによる一次及び二次スクリーニング後に、ヒト及びcyno 5T4に対する特異的結合剤であると同定された19個のクローンを生じさせた。これらのクローンは、更に発現され、精製され、SDS-PAGE及びSEC-HPLCによって分析され、結合効力について特性評価された。
【0102】
実施例2
ヒト-5T4に対するマウスハイブリドーマモノクローナル抗体の結合特性評価。
【0103】
目的:結合によって5T4に対するマウスモノクローナルAbを発現させ、精製し、特性評価すること。
【0104】
方法:ハイブリドーマクローンの発現及び精製。簡潔には、約(0.25-0.5)×107
個の細胞を、100mLの抗体生産培地(ハイブリドーマ-SFM+2.5%FBS(低IgG))で事前充填されたローラーボトル内に接種し、ローラー培養装置内で300r/hの速度で14~16日間、37℃、無CO2条件でインキュベートした。その後、細胞懸濁液を350mLの遠心分離ボトルに移し、3,220g、4℃で15分間遠心分離し、次いで、0.45μmの濾過カプセルで濾過して細胞及び細胞残屑を除去した。次いで、培養上清を、親和性精製のために事前平衡プロテインA親和性カラム上に装填した。抗体を、5CVの溶出緩衝液(0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液、pH3.0)を用いてカラムから溶出し、Trizma塩基を用いて最終pH7.0に中和し、次いで、pH 7.4のPBSの100倍の溶出体積に対して2~8℃で一晩透析し、生物学的安全キャビネット内で0.22μmシリンジフィルターで滅菌濾過した。次いで、精製した抗体を等分し、使用するまで-20℃又は-80℃で保管した。
【0105】
標的タンパク質へのELISA結合。簡潔には、標的タンパク質h5T4-His(カタログ番号19845-H08H、供給業者Sino Biological)を0.3μg/mLの最終濃度のh5T4-Hisを含むPBS中に希釈し、それぞれ、ELISAプレート(カタログ番号9018、供給業者Corning)上で100μL/ウェルをコーティングする。O/N、4℃でインキュベートする。プレートを、PBST中の250μLの1%BSAを用いて37℃で1時間ブロックした。PBSTで4回洗浄した。全ての洗浄は、Biotek(Elx 405)を使用して行われる。全てのAbを連続希釈し、100μL/ウェルの希釈抗体をプレートに添加し、37℃で1時間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した。100μL/ウェルのヤギ抗マウスIgG(Fab特異的)-HRP(SIGMA A3682)を1:10000で添加し、37℃で0.5時間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した。100μL/ウェルのTMB基質を添加し、室温で5分間インキュベートした。100μL/ウェルの1N HClで反応を終了させた。プレートを、450nm波長においてELISAプレートリーダーを使用して読み取った(機器SpectraMax M5e)。非線形回帰(曲線適合)を使用することによって、Graphpad prism 5ソフトウェアを使用して、データ分析を実施した:log(アゴニスト)対応答、アゴニストは、抗体濃度(nM)であり、応答は、OD値である。
【0106】
細胞へのFACS結合。簡潔には、懸濁培養細胞を直接採取するか、又は採取前にTrypLE Express Enzyme(カタログ番号12604-013、供給業者Life technologies)が接着細胞を消化する。1000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄する。細胞を2×106/mLの濃度でFACS緩衝液(PBS中の2%FBS)に懸濁させ、100μL/ウェルの細胞懸濁液をプレート(カタログ番号3799、供給業者Corning)に添加する。プレートを2000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄する。細胞を100μL/ウェルのトリボディセット抗体(400nM開始、4倍希釈、0点を含む8点)に再懸濁させ、プレートを4℃で60分間インキュベートする。プレートを2000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄する。次いで、細胞を170μLのFACS緩衝液で3回洗浄する。細胞を二次抗体とともに100μL/ウェルで再懸濁し、プレートを暗所にて4℃で30分間インキュベートする。プレートを2000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄する。次いで、細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、試料をFACS verseで分析する。
【0107】
Octet試験による結合親和性。簡潔には、mAbをOctet RED 384機器によって分析し、200nM及び100nMにおけるヒト5T4-ECD Fc抗原が、被分析物として機能し、5ug/mlにおける精製mAbが、180秒の固定化相、300秒の会合相、180秒の解離相を有するAMCセンサー(抗マウスFc抗体)に結合されたリガンドとして機能した。
【0108】
ELISAによるエピトープビニング。簡潔には、ヒト5T4の標的抗体を、1μg/mlの最終濃度でPBS中に希釈し、ELISAプレート(カタログ番号9018、供給業者Corning)上で100μL/ウェルをコーティングする。O/N、4℃でインキュベートする。PBST中の250μLの1%BSAを用いて37℃で1時間ブロックした後、一連の濃度のビオチン化抗原h5T4-His(ロット:1906191701、CP)を添加する。37℃で1.5時間インキュベートした後、プレートをPBSTで3回洗浄し、次いで、100μLのストレプトアビジン-HRP(カタログ:S5512、供給業者Sigma、1:10000)を各ウェルに添加する。37℃で1時間インキュベートした後、プレートをPBSTで4回洗浄する。100μL/ウェルのTMB基質を添加し、室温で5分間インキュベートした。100μL/ウェルの1N HCLで反応を終了させた。プレートを、450nm波長においてELISAプレートリーダーを使用して読み取った。Graphpad prism 5ソフトウェアを使用して、抗原のEC80を見出す。
【0109】
結果:
図3A~
図3Bは、HC及びLCの予期されるバンドサイズ(それぞれ、50kDa及び25kDa)における各々について、2つのバンドを有する16個の十分に産生されたクローンを示す、19個の選択された精製抗体の還元状態におけるSDS-PAGE分析を実証する。
図4A~
図4Pは、SEC-HPLCにおいて約8~約13分の保持時間範囲で単一の鋭く均一なピークを示す、選択された精製クローンのSEC-HPLC分析を提示する。これらの結果は、質量較正曲線に基づく予期されるMwの予期される保持時間と一致する。
【0110】
図5A~
図5Dは、ELISAによる5T4-ECD-Fc抗原への精製mAbの結合を提示する。mAb2、4、6、7、11、及び12を除外して、EC50値は、これらの抗体の間で0.13nM~0.42nMの範囲であった。
【0111】
図6A~
図6Hは、ヒト5T4(
図6A~
図6C)及びcyno 5T4(
図6D~
図6F)を過剰発現するCHO、並びにヒト5T4抗原を内因的に発現する乳がん細胞株であるMCF-7(
図6G~
図6H)への選択された精製mAbのFACS結合を提示する。
図6A~
図6Hに示されるように、mAb001及び017を除外して、全ての試験されたmAbが、ヒト又はcyno 5T4を過剰発現するCHO細胞に対して約1~4.9nMのEC50値範囲を有していた一方で、より広い範囲のEC50値が、ヒト5T4タンパク質を内因的に発現するMCF-7細胞を使用したときに観察された。結合はCHO親細胞上で観察されていない(データは示されていない)。
【0112】
図7A~
図7Gは、選択されたmAbのKD親和性を決定したOctetデータを提示する。
図7A~
図7Fは、Octet試験分析を実証し、
図7Gは、それぞれ、以下のmAb、mAb008>mAb016/mAb018>mAb010>mAb005/mAb006に対する、2.088E-10M、2.321E-10M、2.688E-10M、4.634E-10M、2.691E-09M、及び5.674E-09Mのランク付けされたKD値を要約する。
【0113】
図8は、ELISAによって実施されたエピトープビニング分析を要約する。ELISA分析は、以下のようにそのエピトープビンにおいて区別される3つの主要な群を示唆する:群1(連続線の円)は、mAb001、mAb003、mAb008、mAb009、mAb010、mAb014、mAb015、及びmAb017を集める。群2(破線の正方形)は、mAb004、mAb005、及びmAb006を集め、群3(破線の円)は、mAb013、mAb016、mAb018、及びmAb019を集める。
【0114】
概要:ハイブリドーマ技術を使用して、ヒト5T4に対するモノクローナル抗体(monoclonal antibody、mAb)の生成に成功した。19個のクローンを同定し、特性評価した。mAbを更に発現させ、ハイブリドーマクローンによって産生し、更に精製し、5T4抗原へのELISA結合、ヒト及びcyno 5T4を発現する細胞へのFACS結合、Octet試験による親和性について、最終的にELISAによるエピトープビニングについて特性評価した。2つのmAbを更なる処理のために更に選択した。
【0115】
実施例3
ヒト5T4に対するマウスハイブリドーマクローンに由来するキメラMab抗ヒト5T4の組換え産生
目的:抗ヒト5T4 mAbのマウスCDR配列をヒトIgG1構築物フォーマット又はトリボディ構築物フォーマットに導入して、キメラAbを産生する。
【0116】
方法:簡潔には、選択された陽性モノクローナルハイブリドーマ細胞(約1×107個)を、NucleoZOL Reagent(MACHEREY-NAGEL、740404.200)のプロトコルに従って全RNA単離のために収集した。全RNAを、SMARTer(登録商標)RACE 5’/3’のキットマニュアルに従ってcDNA合成に使用し、ランダムプライマーを第1鎖cDNAの合成に使用した。重鎖及び軽鎖可変領域をPCRで増幅するために、合成cDNAをテンプレートとして採用し、マウスIg-Primer Set(Novagen、69831-3)由来のプライマーを遺伝子特異的プライマー(Gene-Specific Primer
、GSP)として採用した。正しいサイズを有するPCR産物を収集し、キットのマニュアルに従ってNucleoSpin(登録商標)Gel及びPCR Clean-up(Macherey-Nagel、740609.250)で精製し、TAクローニング及び配列決定を受けた。
【0117】
5T4-mAbの重鎖及び軽鎖可変領域(VH及びVL)をヒトIgG1にクローニングしてキメラIgG1を作製し、これをELISA及びFACSによって結合について再スクリーニングした。同様に、5T4-mAbのVH及びVLをトリボディにクローニングし、5T4へのELISA及びFACS結合によって特性評価した。
【0118】
結果:選択されたハイブリドーマクローン(mAb003、mAb006、mAb008、mAb10、mAb014、mAb016、及びmAb018)を上記の方法に記載されるように配列決定し、クローンの各々について可変重鎖(HC)及び可変軽鎖(LC)配列を生じさせた。mAb008及びmAb0016の可変重鎖(HC)及び軽鎖(LC)配列を、hIgG1発現ベクター又はトリボディ発現ベクターのいずれかに導入し、同時トランスフェクトし、hIgG1フォーマットについてはプロテインAカラムによって、又はトリボディフォーマットについては親和性クロマトグラフィーによって精製した。Octet分析は、mAb0016-IgG1に対する1.47E-08M及び4.52E-10Mの親和性を確認した(データは示されていない)。
【0119】
表1は、分析された5T4抗体の異なる実施形態の実施例の全体を通して提供されたデータの参照を提供する。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
キメラhIgG1Abを、ELISA及びFACS結合について試験した。結合がELISAによって組換え5T4タンパク質で実施されたときに、それぞれ、mAb008-hIgG1及びmAb016-hIgG1キメラAbについて0.4nM及び0.3nMのEC50が観察された(
図9A)。結合がFACSによってヒト5T4タンパク質を過剰発現するCHOで実施されたときに、それぞれ、mAb016-hIgG1及びmAb008-hIgG1キメラAbについて5nM及び1.1nMのEC50が観察された(
図9B)。FACS結合が5T4タンパク質を内因的に発現するMCF-7細胞株で実施されたときに、同様の結合データが観察され、それぞれ、mAb016-hIgG1及びmAb008-hIgG1キメラAbについて4.4nM及び0.9nMのEC50があった(
図9C)。結合がcyno 5T4タンパク質を過剰発現するCHOで実施されたときに、同様のFACS結合データが観察され、それぞれ、mAb008-hIgG1及びmAb016-hIgG1キメラAbについて5.7nM及び2.2nMのEC50があった(データは示されていない)。
【0124】
同様に、ELISA及びFACS結合はまた、キメラトリボディフォーマットについて検証された(データは示されていない)。
【0125】
概要:マウス軽鎖可変ドメイン(VL)及び重鎖可変ドメイン(VH)を、選択されたハイブリドーマクローンから配列決定し、scFvに変換し、hIgG又はトリボディ構築物のいずれかの成分として合成して、キメラ分子を形成した。これらの分子は、発現され、精製され、結合アッセイによって更に特性評価され、ヒト5T4に対する結合特性が維持されていることを示した。
【0126】
実施例4
完全ヒト化トリボディ抗体構築物のヒト化、発現、精製、及び特性評価
目的:マウス抗ヒト5T4配列のヒト化後に完全ヒト化トリボディ三重特異性抗体構築物を発現させ、精製し、選択すること。
【0127】
方法:ヒト化:簡潔には、mAb016の重鎖及び軽鎖可変領域内のCDR残基(VH/VL CDR)を決定し、Kabat番号付けシステムによって注釈を付けた。分析後、脱アミドモチーフの危険なホットスポット(NG)を、QG、SG、NAに変異するように設計されたCDR H2領域内で同定した。
【0128】
2つの別個のIg BLAST検索を、mAb016のVH及びVLについて実施した。mAb016に対するフレームワーク配列の高い同一性を有するヒト生殖系列IGHV-2*02及びIGKV3-11*01を、それぞれ、VH及びVL CDRを移植するためのアクセプターヒト生殖系列フレームワークとして選択した。その一方で、JH6及びJK4を、最良の配列相同性に基づいてVH及びVLのJ領域として選択した。
【0129】
相同性モデルを構築するために、SchrodingerスイートソフトウェアのBioLuminateモデリングパッケージを使用した。抗体構造2W9D(PDBコード)を重鎖及び軽鎖モデリングのためのテンプレートとして選択した。CDRループ構造及びVH/VL界面を潜在的に支持するフレームワーク領域内の残基を同定するために、BioLuminateによって生成されたモデルを更に分析した。CDRループ立体構造及びVH/VL界面に影響を及ぼし得る残基を復帰変異させた。最後に、mAb016のヒト化バリアントのパネルを設計し、トリボディフォーマットで構築した。
【0130】
追加のヒト化方略を実施した。簡潔には、mabHuman技術を使用して、mAb008及びmAb016のCDRを新しい抗体のフレームワークに移植した。様々なVH及びVL配列が、配列アラインメント後のNGS実験に基づいて、ヒト抗体フレームワーク配列データベース内で見出されている。
【0131】
遺伝子合成及びプラスミド構築。三重特異性抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)のコード配列を、DNA合成及びPCRによって生成し、その後、哺乳動物細胞系におけるタンパク質発現のためにpCDNA3.4ベースのプラスミド(Invitrogen)にサブクローニングした。最後に、発現ベクター中の遺伝子配列をDNA配列決定によって確認した。
【0132】
三重特異性抗体構築物の発現。トリボディ/プロトリボディ抗体の一過性発現を、PEI法を使用した、CHO細胞への対合HC及びLC構築物の(トリボディフォーマットについては1:1のHC/LC比、又はプロトリボディフォーマットについて2.5:1のHC/LC比での)同時トランスフェクションによって実施した。簡潔には、3L振盪フラスコ内の約5.5×106/mlにおける1LのCHO細胞を宿主として使用した。100mlのOptiMEM培地(Invitrogen)中の1mgの全DNA及び4mgのPEIの混合物を細胞に添加し、穏やかに混合することによって、トランスフェクションを開始した。次いで、細胞を、インキュベーターシェーカー内で120rpm、37℃、及び8%CO2において8~10日間培養した。細胞密度及び生存率に応じて、ペプトン及びグルコースの供給を24時間後、及びその後の2~3日毎に実行した。細胞生存率が<80%まで低減した8~10日目に細胞培養を終了した。馴化培地をタンパク質精製のために採取した。
【0133】
三重特異性抗体構築物の精製。親和性クロマトグラフィー及びSECによるタンパク質精製を、AKTA pure instrument(GE Lifesciences)を使用して実施した。CaptureSelect(商標)CH1-XL Affinity Matrix(Thermo Scientific)のカラム上に採取された上清を通過させることによって、トリボディの親和性捕捉を達成した。カラムを緩衝液A(25mMのトリス、150mMのNaCl、5mMのEDTA、pH7.5)で洗浄した後、タンパク質を緩衝液B(50mMのクエン酸ナトリウム、150mMのNaCl、pH3.0)で溶出し、1/6容量の緩衝液D(1Mのアルギニン、400mMのコハク酸、pH9.0)で即時に中和した。次いで、親和性精製タンパク質を、Amicon 30 kD濃縮器(Merck Millipore)を使用して5~10mg/mlまで濃縮し、SEC緩衝液:200mMのアルギニン、137mMのコハク酸、0.05%Tween-80、150mMのNaCl、pH5.0で平衡化したSuperdex200カラム(GE Lifesciences)上のSEC精製を受けた。標的トリボディ画分を収集し、次いで、5%トレハロース(146mM)を添加した。トリボディ産物を、SDS-PAGE及びHPLC-SECを使用して分析した。
【0134】
三重特異性抗体構築物のSDS-PAGE分析。トリボディのSDS-PAGE分析を、事前成型ポリアクリルアミドゲル中の還元及び非還元条件下で実行した。簡潔には、2ugのトリボディ試料を、70mMのDTT添加を含むか、又は含まないNuPAGE(商標)LDS試料緩衝液(thermofisher-NP0008)によって混合した。25℃又は90℃で10分間インキュベートした後、試料及び未染色タンパク質標準(BIO RAD-161-0363をゲル上に装填した。電気泳動を、1×トリス-グリシン-SDS泳動緩衝液を用いて120Vの定電圧で実施した。電気泳動後、ゲルを、クーマシーブルーを使用して一晩染色し、脱染色溶液(10%の酢酸、40%のメタノール、及び50%の水)で脱染色した。脱染色したゲルを、ゲルイメージングシステム(Tanon-2500R)でスキャンした。
【0135】
前駆体三重特異性抗体構築物のSEC-HPLC分析。分析SEC-HPLCを、Shimadzu LC-10 HPLC機器(Shimadzu Corp.)を使用して実施した。1mg/mlにおける20μl試料が、Superdex 200 Increase 5/150GLカラム(GE Lifesciences)に装填されるであろう。移動相は、0.3ml/分の流量、15分で2*PBSであった。
【0136】
トリボディ構築物のLC-MS分析。トリボディを、ACQUITY UPLC BEH200 Å、SECカラム(Waters 1.7μm、4.6×300mm)を用いて室温で分離し、ESI-MS(Thermo、MS-B20-03)によって検出した。移動相は、0.2mL/分の流量で0.1%ギ酸:アセトニトリル(75:25、v/v)であった。質量分析を陽イオンで実施した。質量分析のための他のパラメータは、17500の分解能、1000~5000m/zのスキャン範囲、60eVのインソースCID、30L/分のシースガス流量、350℃のキャピラリー温度、2.5KVのスプレー電圧であった。
【0137】
結果:両方の方略からの5T4 mAbのヒト化プロセスは、以下のような新しいトリボディ配列:5T4_IM11-20配列に対応するIM-1100-1109分子、5T4_IM29-58配列に対応するIM-1198-1227分子、及び5T4_IM21-28配列に対応するIM-1175-1182分子を生じさせ、
図10Aに概略的に示されるように、トリボディ分子のHCは、抗NKengager(scFv)に融合した抗CD3重鎖(VH-CH)から構成され、トリボディ分子のLCは、抗5T4(VH-VL/VL-VH)に融合したCD3軽鎖(VL-CL)から構成される。(5T4クローン名及び関連配列番号については、上記の表1を参照されたい)。
図10Bでは、プロトリボディ構造は、以前に記載された条件的に活性化された分子を生成するためのCAPマスキングドメイン、HSA部分、及びプロテアーゼ切断リンカーなどの追加の調節ドメインを伴って示され、例えば、本明細書に完全に組み込まれる国際公開第2020/225805号を参照されたい。
【0138】
図11は、発現されたタンパク質の広範囲の品質を実証するための様々な構築物の種々のSDS-PAGE分析を示す。
【0139】
発現されたHC及びLCトリボディIM-1222構築物は、(非還元条件で)SDS-PAGEにおいて観察された単一の約100kDAバンドによって、及びSEC-HPLCにおける約5.8分の保持時間での単一の主要ピークによって示されるように(それぞれ、
図12A及び
図12B)、会合して単一分子を形成した。これらの結果は、質量較正曲線に基づく予期されるMWの予期される保持時間と一致する。
【0140】
トリボディIM-1222構築物のMS分析は、還元条件でLCについては50kDaのピーク、HCについては52kDのピーク(
図13A)、及びインタクトなタンパク質については102kDa(
図13B)を確認した。
【0141】
発現されたHC及びLCトリボディIM-1178構築物は、(非還元条件で)SDS-PAGEにおいて観察された単一の約100kDAバンドによって、及びSEC-HPLCにおける約5.8分の保持時間での主要ピークによって示されるように(それぞれ、
図14A及び
図14B)、会合して単一分子を形成した。これらの結果は、質量較正曲線に基づく予期されるMwの予期される保持時間と一致する。
【0142】
トリボディIM-1178構築物のMS分析は、還元条件でLCについては49kDaのピック、HCについては51kDのピック(
図15A)、及びインタクトなタンパク質については100kDa(
図15B)を確認した。
【0143】
概要:トリボディ構造中の5T4ヒト化配列の複数の分子を発現させ、精製し、SDS-PAGE、SEC-HPLC、及び質量分析によって分析した。様々な生成物は、純度及び収率に関して様々な品質を有していた。
図13A~
図13Bは、mAb016に由来する5T4_IM53配列に対応する選択された構築物IM-1222トリボディの例を実証する。
図14A~
図14Bは、CD3x5T4_IM24xNKG2Dを含む、mAb008に由来する5T4_IM24配列に対応する選択された構築物IM-1178トリボディの例を実証する。
【0144】
実施例5
ELISAによる組換えタンパク質への完全ヒト化トリボディ抗体構築物の結合
目的:ELISAによって5T4へのヒト化トリボディ抗体構築物の結合有効性を研究すること。これらの構築物は、抗TAA ScFvドメイン(抗5T4ヒト化)、T細胞エンゲージャードメイン(抗CD3ε Fab)、及びNKエンゲージャードメイン(抗NKG2A/抗NKG2D)から構成された。追加のバリアントは、CAPマスキング配列、切断可能リンカー、非切断可能リンカー、並びに特異的エンゲージャーに対する結合活性を欠き、トリボディ/プロトリボディバリアントの陰性対照として機能する点変異エンゲージャー配列から構成され得る。
【0145】
方法:抗原へのトリボディ抗体構築物のELISA結合:標的タンパク質h5T4-His(カタログ番号19845-H08H、供給業者Sino Biological)を0.3μg/mLの最終濃度でPBS中に希釈し、ELISAプレート(カタログ番号9018、供給業者Corning)上で100μL/ウェルをコーティングする。O/N、4℃でインキュベートする。プレートを、PBST中の250μLの1%BSAを用いて37℃で1時間ブロックした。PBSTで4回洗浄した。全ての洗浄は、Biotek(Elx 405)を使用して行われる。全てのトリボディセット抗体を400nMに希釈し、4倍連続希釈(0点を含む12点)を作製した。100μL/ウェルの希釈抗体構築物溶液をプレートに添加し、37℃で1時間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した。100μL/ウェルの抗ヒトカッパ軽鎖-HRP(1:10000)を添加し、37℃で0.5時間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した。100μL/ウェルのTMB基質を添加し、室温で5分間インキュベートした。100μL/ウェルの1N HClで反応を終了させた。プレートを、450nm波長においてELISAプレートリーダーを使用して読み取った(機器SpectraMax M5e)。非線形回帰(曲線適合)を使用することによって、Graphpad prism 5ソフトウェアを使用して、データ分析を実施した:log(アゴニスト)対応答、アゴニストは、抗体濃度(nM)であり、応答は、OD値である。
【0146】
結果:ヒト化5T4配列から構成される発現された三重特異性構築物を、5T4タンパク質に対するその結合有効性について分析した。ヒト5T4タンパク質に対するヒト化5T4配列(5T4_IM11-20又は5T4_IM29-58)の広範囲のEC50値が観察された(
図16)。ほとんどのバリアントは、元の非ヒト化クローンよりも低いEC50値を示す。
【0147】
結論:
図16A~
図16Hに示されるように、ヒト化5T4配列を保有するトリボディの結合が、ヒト化構築物のうちのいくつかで確認された一方で、他の構築物は、低いEC50値を有し、いくつかの構築物は、5T4組換え抗原タンパク質への結合を欠いていた。異なるフレームワークがh5T4に向けた異なる結合親和性を伴って生じるという事実は、特異的フレームワークに対するCDRの適合性の結果であり得、これは、正しいCDR配向を妨げる構造的摂動をもたらし得る。
【0148】
実施例6
FACSによる細胞への完全ヒト化三重特異性抗体構築物の結合
目的:FACSによって、膜結合型内因性5T4を発現する細胞(NCI-H226)又は異所性5T4を発現する細胞(5T4を過剰発現するCHO細胞)へのヒト化トリボディ抗体構築物の結合有効性を研究すること。これらの構築物は、抗TAA ScFvドメイン(抗5T4ヒト化)、T細胞エンゲージャードメイン(抗CD3ε Fab)、及びNKエンゲージャードメイン(抗NKG2A/抗NKG2D)から構成された。追加のバリアントは、CAPマスキング配列、切断可能リンカー、非切断可能リンカー、並びに特異的エンゲージャーに対する結合活性を欠き、トリボディ/プロトリボディバリアントの陰性対照として機能する点変異エンゲージャー配列から構成され得る。
【0149】
方法:細胞へのトリボディ抗体構築物のFACS結合。懸濁培養細胞を直接採取し、TrypLE Express Enzyme(カタログ番号:12604-013、供給業者Life technologies)を使用して接着細胞を消化した。1000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄する。細胞を2×106/mLの濃度でFACS緩衝液(PBS中の2%FBS)に懸濁させ、100μL/ウェルの細胞懸濁液をプレート(カタログ番号3799、供給業者Corning)に添加する。プレートを2000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄する。細胞を100μL/ウェルのトリボディセット抗体(400nM開始、4倍希釈、0点を含む8点)に再懸濁させ、プレートを4℃で60分間インキュベートする。プレートを2000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄する。次いで、細胞を170μLのFACS緩衝液で3回洗浄する。100μL/ウェルにおける細胞を、1:400希釈で二次抗体(ヤギ抗ヒトIg Fab-FITC、カタログ番号2085-02、Southern biotech)と再懸濁させ、プレートを暗所にて4℃で30分間インキュベートする。プレートを2000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を廃棄する。次いで、細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、試料をFACS verseで分析する。染色の蛍光強度を、フローサイトメーター(BD、FACSVerse)を使用して測定した。セット抗体染色の幾何平均蛍光強度(geometric mean fluorescence intensity、GMFI;蛍光強度中央値(median fluorescence intensity、MFI))を計算した(BD FACSuiteソフトウェア)。用量応答曲線を生成し、三重特異性バリアント結合のEC50を、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算した。
【0150】
結果:ヒト化5T4から構成される発現された三重特異性構築物を分析し、5T4を過剰発現するCHO細胞に対するその結合有効性について確認した(
図17A~
図17H)が、結合はCHO親細胞上で観察されなかった(データは示されていない)。結合はまた、内因性5T4を発現するNCI-H226細胞上でも確認された(
図17I~
図17O)。データは、様々なバリアントで観察される広範囲のEC50値を示す。具体的には、IM-1178トリボディバリアントについては1.4nM及びIM-1222トリボディバリアントについては2.3nMのEC50が、5T4を過剰発現するCHO細胞上で決定され、IM-1178トリボディバリアントについては1.24nM及びIM-1222トリボディバリアントについては3.9nMのEC50が、NCI-H226細胞上で決定された。選択された構築物はまた、NKG2Aを過剰発現する細胞へのその結合についても評価され、5T4ヒト化配列がNKG2Aへの結合に影響を及ぼさないことを確認した(データは示されていない)。
【0151】
結論:
図17A~
図17Oに示されるように、5T4を発現する細胞へのヒト化5T4配列を保有するトリボディバリアントの結合が、ヒト化構築物のうちのいくつかで確認された一方で、他の構築物は、低いEC50値を有し、いくつかの構築物は、結合を欠いていた。5T4_IM53配列に対応する選択された構築物トリボディIM-1222が、インビトロ及びインビボ有効性について更に特性評価された。
【0152】
実施例7
完全ヒト化トリボディ抗体構築物のインビトロ機能評価。
【0153】
目的:乳がん細胞及び肺がん細胞(それぞれ、MDA-MB-231及びNCI-H226)に対するトリボディ/プロトリボディバリアントのインビトロ用量依存性T細胞媒介性細胞傷害性を評価すること。
【0154】
方法:乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase、LDH)細胞傷害性アッセイ。トリボディ及びプロトリボディバリアントを、5T4発現がん細胞においてT細胞細胞媒介性細胞傷害性を誘導するその可能性について分析した。簡潔には、EasySepヒトT細胞単離キット(STEMCELL、カタログ番号17951)を使用して、T細胞を単離する。標的細胞の濃度を、アッセイ緩衝液(ブランクRPMI 1640、Gibco、Cat-10491+5%FBS)中で2×105/mLに調整し、50μLを丸底96ウェルプレート(Cat-3799、Corning)のウェルに添加する。エフェクト細胞(ALLCELLSからの単離されたT細胞又はPBMC)の濃度をアッセイ緩衝液中で2E6/mLに調整し、50μLを10:1のET比でウェルに添加する。次いで、100μL/ウェルの2倍希釈抗体を添加し、十分に混合する。37℃、5%CO2で24時間インキュベートする。プレートを300gで5分間遠心分離し、上清を収集する。LDH放出は、CytoTox 96非放射性細胞傷害性アッセイキット(Promega、G1780)によって試験されるであろう。20μLの溶解溶液(10*)を最大ウェルに添加し、十分に混合し、37℃で45分間インキュベートする。次いで、全ての試験ウェル及び対照ウェルからの50μLのアリコートを新しい96ウェル透明平底プレート(Cat-3599、Corning)に移す。50μLのCytoTox試薬を各ウェルに添加する。プレートを光から保護し、室温で30分間インキュベートする。最後に、50μLの停止溶液を96ウェルプレートの各ウェルに添加する。停止溶液の添加後1時間以内に490nm又は492nmでの吸光度を記録する。計算の結果は、細胞傷害性%=(実験-Eのみ-Tのみ)/(T Max-Tのみ)×100)である。
【0155】
結果:乳酸脱水素酵素を使用して、T細胞媒介性細胞傷害性を、それぞれ、NCI-H226(
図18A)又はMDA-MB-231(
図18B)について達成し、IM-1222トリボディ(四角)については0.02nM、IM-1062トリボディ(丸)については0.38nMのEC50であった。
【0156】
結論:T細胞媒介性細胞傷害性アッセイでは、2つのがん細胞株が、トリボディIM-1062及びIM222の存在下で細胞死滅を受けており、IM-1222に対するより高い有効性は、以前に記載されたmAb 016に由来する5T4_IM-53ヒト化配列を表す。
【0157】
実施例8
異種移植NSGマウスモデルにおけるインビボ有効性
目的:NCGマウスにおけるhPBMC移植NCI-H226モデル上でのIM-1222トリボディ5T4_IM53-CD3-NKG2Aの有効性を研究し、ヒト化マウスモデルにおけるIM-1222トリボディによって誘導される腫瘍増殖の阻害を調査すること。
【0158】
方法:インビボ異種移植アッセイ。NCI-H226(ヒト肺がん、ATCC、カタログ番号CRL-5826、ロット番号58094746)細胞を、10%FBS、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI 1640中で単層培養としてインビトロで維持し、空気中に5%CO2を含有する雰囲気中で37℃に維持した。指数増殖期に増殖する細胞を採取し、腫瘍接種のために計数する。雌、6~7週齢、約19~21gの体重のNCGマウスを、GemPharmatech Co.,LTDから購入した。マウスに、腫瘍発生のために0.2mlの混合物(基礎培地:マトリゲル=100ul:100ul)中の5×10^6個のNCI-H226細胞を右脇腹で皮下に接種した)0日目)。7日目に、マウスに、2匹の健康なドナーからの1×10^7個のhPBMCを静脈内注射した。各アームについて、動物の半分に1匹のドナーからPBMCを注射し、動物の半分に第2のドナーで注射した。マトリゲルが腫瘍有効性研究のために完全に吸収される細胞接種後約1週間で、腫瘍が約150mm3の平均サイズに達したときに、治療を開始した。マウスに、20ug/Kgを毎日(腹腔内に)投与した。腫瘍サイズを、カリパスを使用して二次元で週2回測定し、体積を、式:V=0.5a×b2を使用してmm3単位で表し、式中、a及びbは、それぞれ、腫瘍の最長直径及び最短直径である。次いで、腫瘍サイズを、腫瘍増殖阻害(tumor growth inhibition、TGI)の計算に使用する。具体的には、この研究は、TT2緩衝液(200mMのアルギニン、137mMのコハク酸、5%トレハロース、0.05%Tween-80、pH5.0、150mMのNaCl)のみが注射された、ビヒクルアームとして使用された10匹の動物、及びIM-1062又はIM-1222が注射された各々6匹のマウスの2つの追加のアームを含んだ。
【0159】
結果:
図19は、トリボディIM-1222で治療されたマウス(丸)、トリボディIM-1062で治療されたマウス(四角)、及びTT2緩衝液対照(三角)について、腫瘍体積(mm3)を提示する。
図19に示されるように、トリボディの投与は、対照試料と比較して腫瘍サイズを劇的に縮小し、IM-1222については11日目に84%、18日目に44%の有意なTGIがあった。
【0160】
結論:mAb016に由来するヒト化5T4_IM53配列を表すトリボディIM-1222の有効性は、約40~84%TGIの応答範囲を有するインビボ異種移植モデルで実証された。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】