(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】置換された2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(1-ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20240416BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240416BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240416BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/45 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20240416BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240416BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240416BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240416BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
C07D471/04 104Z
C07D413/14
C07D417/14
A61K31/45
A61K31/4545
A61K31/517
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P43/00 123
A61P15/00
A61P11/04
A61P1/04
A61P43/00 105
A61P35/02
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566883
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022026977
(87)【国際公開番号】W WO2022232536
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523408341
【氏名又は名称】ネオモルフ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NEOMORPH, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】507183952
【氏名又は名称】ダナ-ファーバー キャンサー インスティテュート,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】ペトリリ,ホイットニー エル
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,リン ホワード
(72)【発明者】
【氏名】リウ,フゥ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB02
4C063BB03
4C063BB06
4C063CC11
4C063CC12
4C063CC17
4C063CC22
4C063CC26
4C063CC31
4C063CC52
4C063CC62
4C063DD07
4C063DD10
4C063EE01
4C065AA04
4C065BB04
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH06
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP12
4C065PP13
4C065PP18
4C065QQ04
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZC411
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC22
4C086BC27
4C086BC36
4C086BC37
4C086BC38
4C086BC39
4C086BC46
4C086BC69
4C086BC82
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
式(I)による化合物及び関連する薬学的組成物を開示する。また、式(I)の化合物を使用する、IKZF2を低減させるための治療方法及びがんを治療する方法が開示される。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体:
【化1】
[式中、
R
1が、H、または-CH
2OC(O)R
16、-CH
2OC(O)NHR
16、-CH
2OC(O)OR
16、-CH
2OP(O)(OR
16)
2、-CH
2OP(O)(OH)OR
16もしくは-CH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
2及びR
2’が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH及び-CNから選択され、
R
3が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-NHR
10、-NR
10R
11、-NHC(O)R
10、-NR
11C(O)R
10、-(CH
2)
0~2NH
2、-(CH
2)
0~2NH(C
1-C
6)アルキル、-(CH
2)
0~2N((C
1-C
6)アルキル)
2、-C(O)NH
2、-C(O)OH、-C(O)OR
15、-CN、-OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)NHR
16、-OCH
2OC(O)OR
16、-OP(O)(OR
16)
2、-OCH
2OP(O)(OH)OR
16または-OCH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
4が、(C
1-C
6)アルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール、(C
3-C
8)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキルであり、前記アルキルが、1つ以上のR
6で任意選択で置換されており、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルが、1つ以上のR
7で任意選択で置換されており、
各R
5が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール環、-CN、またはハロゲンであるか、
あるいは、R
5の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の炭素原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されているか、
あるいは、R
5の2つの隣接するインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合(C
6)アリールまたは5員~6員のヘテロアリールを形成し、前記アリールまたは前記ヘテロアリールが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されており、
各R
6が、独立して、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)R
8’、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
6-C
10)アリール;O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール;(C
3-C
8)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル環から選択され、前記アリール基、前記ヘテロアリール基、前記シクロアルキル基及び前記ヘテロシクロアルキル基が、1つ以上のR
9で任意選択で置換されており、
各R
7が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
3-C
7)シクロアルキル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択されるか、あるいは、
R
7の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R
7の2つのインスタンスが、それらが結合している原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
8及びR
8’が、各々独立して、H、(C
1-C
6)アルキルもしくは(C
6-C
10)アリールであるか、または
R
8及びR
8’が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
9が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、-C(O)R
10、-(CH
2)
0-3C(O)OR
10、-C(O)NR
10R
11、-NR
10C(O)R
11、-NR
10C(O)OR
11、-S(O)
pNR
10R
11、-S(O)
pR
14、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-O(CH
2)
1~3CN、-NH
2、-CN、-O(CH
2)
0~3(C
6-C
10)アリール、アダマンチル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む-O(CH
2)
0~3-5員または6員のヘテロアリール、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、前記アルキルが、1つ以上のR
13で任意選択で置換されており、前記アリール、前記ヘテロアリール及び前記ヘテロシクロアルキルが、1つ以上の置換基で任意選択で置換されており、前記1つ以上の置換基が、各々独立して、ハロゲン、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル及び(C
1-C
6)アルコキシから選択されるか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成するか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の原子と一緒に、(C
5-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
10及びR
11が、各々独立して、Hもしくは(C
1-C
6)アルキルであるか、または
R
10及びR
11が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
12が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、5員~6員のヘテロアリール、4員~7員のシクロアルキル、5員~7員のヘテロシクロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、前記アリール、前記ヘテロアリール、前記シクロアルキル及び前記ヘテロシクロアルキルが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHもしくは-CNで任意選択で置換されているか、または
R
12の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成し、
各R
13が、独立して、-CN、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、前記アリール及び前記ヘテロシクロアルキルが、1つ以上の置換基で任意選択で置換されており、前記1つ以上の置換基が、各々独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、
R
14が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
6-C
10)アリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
R
15及びR
16が、独立して各出現について、H、独立して(C
6-C
10)アリール、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された(C
1-C
6)アルキル、または独立して(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された(C
6-C
10)アリールから選択され、
R
xが、HまたはDであり、
nが、0、1、2、3、または4であり、
pが、1または2であり、
ただし、前記式(I)の化合物が、
【化2】
からなる群から選択されない]。
【請求項2】
R
xがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1がHである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
2が、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシまたはハロゲンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R
2が、H、-CH
3、F、Cl、または-OCH
3である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
2’がHである、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R
2がHである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
3が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-(CH
2)
0~2NH
2、-C(O)NH
2、-C(O)OR
15または-CNである、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R
3が、-OHである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R
4が、R
6の1~3つのインスタンスで任意選択で置換された(C
1-C
6)アルキルである、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R
4が、R
6の1~3つのインスタンスで置換された(C
1-C
6)アルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R
4が、R
6の1つ以上のインスタンスで置換された(C
1)アルキルである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
R
5が、(C
1-C
6)アルキルである、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
R
6が、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択され、前記アリール及び前記ヘテロアリールが、R
8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
R
6が、R
8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されたフェニルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
R
6が、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールであり、前記アリール及び前記ヘテロアリールが、R
8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
nが、0である、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
以下からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの追加の治療剤を更に含む、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害の治療における使用のための、請求項19または20に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
IKZF2を分解する方法であって、それを必要としている患者に、有効量の、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、前記方法。
【請求項23】
IKZF2タンパク質レベルの調節によって影響される疾患または障害を治療する方法であって、それを必要としている患者に、治療有効量の、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、前記方法。
【請求項24】
IKZF2タンパク質レベルを調節する方法であって、それを必要としている患者に、有効量の、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、前記方法。
【請求項25】
細胞の増殖を低減するインビトロ方法であって、前記細胞を、有効量の、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と接触させることを含む、前記方法。
【請求項26】
がんを治療する方法であって、それを必要としている患者に、治療有効量の、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
前記がんが、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド、急性骨髄性白血病及び消化管間質腫瘍(GIST)から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記がんが、免疫原性がんまたは免疫応答が欠損したがんである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
IKZF2タンパク質レベルを低減するための方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
前記投与が、経口投与、非経口投与、皮下投与、注射による投与または注入による投与である、請求項20~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害の治療における使用のための、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体。
【請求項32】
IKZF2タンパク質レベルの低減に関連する疾患または障害の治療における使用のための、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体。
【請求項33】
IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害を治療するための医薬品の製造における、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体の使用。
【請求項34】
IKZF2タンパク質レベルの低減に関連する疾患または障害の治療における、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体の使用。
【請求項35】
前記疾患または前記障害が、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド、急性骨髄性白血病及び消化管間質腫瘍(GIST)から選択される、請求項31もしくは32に記載の使用のための化合物、または請求項33もしくは34に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年4月29日に出願された米国特許仮出願第63/181,834号の利益及び優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(Heliosとしても既知の)IKAROSファミリー亜鉛フィンガー2(IKZF2)は、哺乳動物において見出される転写因子のIkarosファミリーの5つのメンバーのうちの1つである。IKZF2は、DNA結合に関与する、N末端の近くの4つの亜鉛フィンガードメインと、タンパク質二量体化に関与する、C末端における2つの亜鉛フィンガードメインと、を含有する。IKZF2は、IkarosファミリーメンバーであるIkaros(IKZF1)、Aiolos(IKZF3)及びEos(IKZF4)と約50%同一であり、亜鉛フィンガー領域内で最も高い相同性(80%+の同一性)を有する。これらの4つのIkarosファミリー転写因子は、同じDNAコンセンサス部位に結合し、細胞内で同時発現されたときに互いとヘテロ二量体化することができる。5番目のIkarosファミリータンパク質であるPegasus(IKZF5)は、IKZF2と25%のみ同一であり、他のIkarosファミリーメンバーとは異なるDNA部位に結合し、他のIkarosファミリータンパク質と容易にヘテロ二量体化しない。IKZF2、IKZF1及びIKZF3は、主に、造血細胞内で発現され、IKZF4及びIKZF5は、多種多様な組織内で発現される。(非特許文献1および2)
【0003】
IKZF2は、調節性T細胞(Treg)の機能及び安定性において重要な役割を有すると考えられる。IKZF2は、調節性T細胞集団によって、mRNA及びタンパク質レベルで高度に発現される。siRNAによるIKZF2のノックダウンは、FoxP3の下方調節をもたらし、インビトロでT細胞活性化を遮断する単離されたヒトCD4+ CD25+ Tregの能力を損なうことが示されている。更に、単離されたマウスTreg内でのIKZF2の過剰発現は、CD103及びGITRなどのTreg関連マーカーの発現を増加させることが示されており、IKZF2過剰発現細胞は、レスポンダーT細胞の抑制の増加を示した。IKZF2はまた、調節性T細胞系列の明確な転写因子であるFoxP3のプロモーターに結合し、FoxP3発現に影響することが見出されている。
【0004】
マウスにおけるFoxP3発現Treg内でのIKZF2のノックアウトは、活性化Tregが、それらの阻害特性を失い、Tエフェクターサイトカインを発現し、Tエフェクター機能を呈することを引き起こすことが示されている。IKZF2ノックアウト変異マウスは、自己免疫疾患を6~8か月齢までに発症し、活性化されたCD4及びCD8 T細胞、濾胞ヘルパーT細胞、ならびに胚中心B細胞の数が増加する。この観察された効果は、IKZF2+/+からの骨髄ではなくIKZF2ノックアウトマウスからの骨髄を与えられたRag2-/-マウスが、自己免疫疾患を発症するため、細胞内因性であると考えられる。IKZF2が、調節性T細胞機能に影響するという直接的証拠は、マウスの分析において示されており、この分析において、IKZF2は、FoxP3発現細胞(FoxP3-YFP-Cre Heliosfl/fl)内でのみ欠失した。結果は、マウスがまた、全動物IKZF2ノックアウトにおいて観察されるのと同様の特徴を有する自己免疫疾患を発症することを示した。更に、CHIP-SEQ実験の経路分析はまた、IKZF2が、調節性T細胞内でのSTAT5/IL-2Ra経路における遺伝子の発現に影響していることを示唆している。IKZF2喪失のこの効果は、免疫チャレンジ(羊の血液でのウイルス感染または注射)後により顕著であることが示され、免疫刺激後、IKZF2陰性調節性T細胞が、エフェクターT細胞の特徴を呈し始めることが認められた。(非特許文献3~6)
【0005】
DNA結合領域を欠くIkarosアイソフォームの過剰発現は、複数のヒト血液悪性腫瘍に関連することが示されている。最近、異常なスプライシングバリアントをもたらす、IKZF2遺伝子における変異が、成人T細胞白血病及び低二倍体急性リンパ芽球性白血病において特定されている。二量体化が可能であるこれらのアイソフォームは、Ikarosファミリー転写因子へのドミナントネガティブ効果を有し、この効果が、リンパ腫の発症を刺激することが提案されている。成人期まで生存するIKZF2ノックアウト変異体は、リンパ腫を発症せず、これは、この仮説を支持する。(非特許文献7~9)。現在、抗CTLA4抗体は、腫瘍におけるTregを標的とするために、臨床において使用されている。しかしながら、CTLA4を標的とすることは、しばしば、Tエフェクター細胞の全身性活性化を引き起こし、過剰の毒性をもたらし、治療的有用性を制限する。抗PD1及び抗CTLA4の組み合わせで治療された患者の最大3/4が、グレード3以上の有害事象を報告している。したがって、Tエフェクター細胞の全身性活性化を引き起こすことなく、腫瘍におけるTregを標的とする化合物を提供することが強く必要とされている。IKZF2特異的分解剤は、増強された免疫応答を、腫瘍内またはその近くの領域に集中させる潜在性があり、がんの治療のための、潜在的により許容され毒性がより少ない治療剤を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】John,L.B.,et al.,(2011),Mol.Immunol.48:1272-1278
【非特許文献2】Perdomo,J.,et al.,(2000),J.Biol.Chem. 275:38347-38354
【非特許文献3】Getnet,D.,et al.,Mol.Immunol.(2010),47:1595-1600
【非特許文献4】Bin,Dhuban,K.,et al.,(2015),J.Immunol.194:3687-96
【非特許文献5】Kim,H-J.,et al.,(2015),Science 350:334-339
【非特許文献6】Nakawaga,H.,et al.,(2016)PNAS,113:6248-6253
【非特許文献7】Asanuma,S.,et al.,(2013),Cancer Sci.104:1097-1106
【非特許文献8】Zhang,Z.,et al.,(2007),Blood 109:2190-2197
【非特許文献9】Kataoka,D.,et al.,(2015),Nature Genetics 47:1304-1315
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、IKZF2分解剤活性を有するフタロイル含有化合物を提供する。別の態様では、本開示の化合物は、IKZF1、IKZF3、IKZF4、及び/またはIKZF5のうち1つ以上に選択的なIKZF2に対して分解活性を有する。化合物は、そのような分解剤活性が患者に有益である、がん及び他の疾患の治療において有用である。例えば、いかなる理論にも拘束されることを意図するものではないが、本発明者らは、腫瘍のTregs中のIKZF2レベルの低減により、患者免疫系が疾患をより効果的に攻撃できるようになる可能性があると考えている。要約すると、本開示は、がん及び他の疾患の治療に有用な新規のIKZF2分解剤を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
R
1が、H、または-CH
2OC(O)R
16、-CH
2OC(O)NHR
16、-CH
2OC(O)OR
16、-CH
2OP(O)(OR
16)
2、-CH
2OP(O)(OH)OR
16もしくは-CH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
2及びR
2’が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、及び-CNから選択され、
R
3が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-NHR
10、-NR
10R
11、-NHC(O)R
10、-NR
11C(O)R
10、-(CH
2)
0~2NH
2、-(CH
2)
0~2NH(C
1-C
6)アルキル、-(CH
2)
0~2N((C
1-C
6)アルキル)
2、-C(O)NH
2、-C(O)OH、-C(O)OR
15、-CN、-OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)NHR
16、-OCH
2OC(O)OR
16、-OP(O)(OR
16)
2、-OCH
2OP(O)(OH)OR
16、または-OCH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
4が、(C
1-C
6)アルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール、(C
3-C
8)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキルであり、アルキルが、1つ以上のR
6で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上のR
7で任意選択で置換されており、
各R
5が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール環、-CN、またはハロゲンであるか、
あるいは、R
5の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の炭素原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されているか、
または2つのR
5と結合している炭素原子が縮合(C
6)-アリールまたは5員~6員のヘテロアリールを形成し、その際、アリールまたはヘテロアリールが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6アルコキシ)で置換されている(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されており、
各R
6が、独立して、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)R
8’、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C
3-C
8)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル環から選択され、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基が、1つ以上のR
9で任意選択で置換されており、
各R
7が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
3-C
7)シクロアルキル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリールから選択されるか、あるいは
R
7の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは
R
7の2つのインスタンスが、それらが結合している原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
8及びR
8’が、各々独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、もしくは(C
6-C
10)アリールであるか、または
R
8及びR
8’が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
9が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、-C(O)R
10、-(CH
2)
0-3C(O)OR
10、-C(O)NR
10R
11、-NR
10C(O)R
11、-NR
10C(O)OR
11、-S(O)
pNR
10R
11、-S(O)
pR
14、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-O(CH
2)
1~3CN、-NH
2、-CN、-O(CH
2)
0~3(C
6-C
10)アリール、アダマンチル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む-O(CH
2)
0~3-5員または6員のヘテロアリール、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アルキルが、1つ以上のR
13で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の置換基で任意選択で置換されており、1つ以上の置換基が、各々独立して、ハロゲン、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル及び(C
1-C
6)アルコキシから選択されるか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成するか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の原子と一緒に、(C
5-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
10及びR
11が、各々独立して、Hもしくは(C
1-C
6)アルキルであるか、または
R
10及びR
11が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
12が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、5員~6員のヘテロアリール、4員~7員のシクロアルキル、5員~7員のヘテロシクロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHもしくは-CNで任意選択で置換されているか、または
R
12の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成し、
各R
13が、独立して、-CN、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アリール及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の置換基で任意選択で置換されており、1つ以上の置換基が、各々独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、
R
14が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
6-C
10)アリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
R
15及びR
16が、独立して各出現について、H、独立して(C
6-C
10)アリール、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された(C
1-C
6)アルキル、または独立して(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された(C
6-C
10)アリールから選択され、
R
xが、HまたはDであり、
nが、0、1、2、3、または4であり、
pが、1または2であり、
ただし、式(I)の化合物が、
【化2】
からなる群から選択されない、化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体である。
【0009】
本開示の別の態様は、治療有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む、薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、IKZF2依存性疾患または障害の治療に有用である。薬学的組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を更に含み得る。
【0010】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減による、IKZF2依存性疾患または障害の治療における使用のための、治療有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、IKZF2依存性疾患または障害を治療する、薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、IKZF2依存性疾患または障害の治療に有用である。薬学的組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を更に含み得る。
【0011】
本開示の別の態様は、治療有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む、薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害の治療において有用である。薬学的組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を更に含み得る。
【0012】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害の治療における使用のための、治療有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、その疾患または障害を治療する、薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を更に含み得る。
【0013】
本開示の別の態様は、IKZF2を分解する方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、方法に関する。
【0014】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの調節によって影響される疾患または障害を治療する方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、方法に関する。
【0015】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルを調節する方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、方法に関する。
【0016】
別の態様では、本開示は、細胞の増殖を低減する方法であって、細胞を、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と接触させることと、IKZF2タンパク質レベルを低減することと、を含む、方法に関する。
【0017】
本開示の別の態様は、がんを治療する方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、がんは、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド、急性骨髄性白血病及び消化管間質腫瘍(GIST)から選択される。別の実施形態では、がんは、免疫応答が欠損したがんまたは免疫原性がんである。
【0018】
別の態様では、本開示は、対象におけるIKZF2タンパク質レベルを低減するための方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の、式(I)の化合物または薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、方法に関する。本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害の治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体に関する。
【0019】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害を治療するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体の使用に関する。
【0020】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの低減に関連する疾患または障害を治療するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体に関する。一実施形態では、疾患または障害は、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド、急性骨髄性白血病及び消化管間質腫瘍(GIST)から選択される。
【0021】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減に関連する疾患または障害の治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体の使用に関する。一実施形態では、疾患または障害は、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド、急性骨髄性白血病及び消化管間質腫瘍(GIST)から選択される。
【0022】
本開示の別の態様では、本開示による化合物は、有効量、好ましくは、薬学的に有効な量の、本開示による化合物、またはその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む、薬学的組成物に製剤化される。
【0023】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体の投与は、経口投与、非経口投与、皮下投与、注射による投与または注入による投与によって実行される。
【0024】
本開示は、がん及び転移などの疾患の治療、IKZF2タンパク質のレベルの調節によって影響される疾患の治療、ならびにIKZF2依存性疾患または障害の治療における治療剤である、IKZF2の分解剤を提供する。
【0025】
一実施形態では、本開示の化合物によって治療され得る疾患または障害は、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、前立腺癌、乳癌、リンパ腫、白血病、骨髄腫、膀胱癌、結腸癌、皮膚黒色腫、肝細胞癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、腎臓癌、多形神経膠芽腫、神経膠腫、甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、上咽頭癌、舌癌、膵臓癌、食道癌、胆管細胞癌、胃癌、軟部組織肉腫、横紋筋肉腫(RMS)、滑膜肉腫、骨肉腫、ラブドイド癌及びユーイング肉腫から選択される。別の実施形態では、IKZF2依存性疾患または障害は、免疫応答が欠損したがんまたは免疫原性がんである。
【0026】
本開示は、IKZF2タンパク質に対する新規な作用機序を有する薬剤を、がん及び転移を含む種々の疾患の治療、IKZF2タンパク質のレベルの調節によって影響される疾患の治療、ならびにIKZF2依存性疾患または障害の治療において提供する。最終的に、本開示は、IKZF2タンパク質に関連する疾患及び障害の治療のための新規の薬理学的戦略を、医学界に提供する。
【0027】
本開示は、IKZF2タンパク質に対する新規な作用機序を有する薬剤を、がん及び転移を含む種々の疾患の治療、IKZF2タンパク質のレベルの調節によって影響される疾患の治療、ならびにIKZF2依存性疾患または障害の治療において提供する。最終的に、本開示は、IKZF2タンパク質に関連する疾患及び障害の治療のための新規の薬理学的戦略を、医学界に提供する。
【0028】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは均等な方法及び材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、好適な方法及び材料が、以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は、それらの全体が参照により援用される。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、材料、方法及び実施例は、例示のみであり、限定であることは意図されていない。
【0029】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
本明細書で具体的に定義されない用語は、本開示及び文脈を鑑みて当業者によってそれらに与えられる意味が与えられるべきである。しかしながら、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、反して指定されない限り、以下の用語は、示される意味を有し、以下の規定が適用される。
【0031】
化学命名法、用語、及び表記法
以下に定義される基、ラジカルまたは部分において、炭素原子の数は、しばしば、基の前に指定され、例えば、(C1-C10)アルキルとは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基またはラジカルを意味する。概して、2つ以上の下位群を含む基については、最後に示される基は、ラジカル結合点であり、例えば、「アルキルアリール」とは、式アルキル-アリール-の一価ラジカルを意味し、「アリールアルキル」とは、式アリール-アルキル-の一価ラジカルを意味する。更に、二価ラジカルが適切である場合、一価ラジカルを指定する用語の使用は、対応する二価ラジカルを指定すると解釈され、逆もまた同じである。別途指定されない限り、用語の従来の定義が適用され、従来の安定した原子価は、全ての式及び基において推定及び達成される。冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法上の目的語のうちの1つまたは2つ以上(例えば、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0032】
「及び/または」という用語は、別段の指定がない限り、「及び」または「または」のいずれかを意味する。
【0033】
「任意選択で置換される」という用語は、所与の化学的部分(例えば、アルキル基)が他の置換基(例えば、ヘテロ原子)に結合し得る(が、結合していなければならないわけではない)ことを意味する。例えば、任意選択で置換されているアルキル基は、完全飽和アルキル鎖(例えば、純粋な炭化水素)であり得る。代替的に、同じ任意選択で置換されるアルキル基は、水素とは異なる置換基を有し得る。例えば、これは、その鎖に沿った任意の点で、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、または本明細書に記載の任意の他の置換基に結合され得る。したがって、「任意選択で置換される」という用語は、所与の化学部分が他の官能基を含む可能性を有するが、必ずしもそれ以上の官能基を有するわけではないことを意味する。記載される基の任意選択の置換において使用される好適な置換基は、ハロゲン、オキソ、-OH、-CN、-COOH、-CH2CN、-O-(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ハロアルコキシ、-O-(C2-C6)アルケニル、-O-(C2-C6)アルキニル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、-OH、-OP(O)(OH)2、-OC(O)(C1-C6)アルキル、-C(O)(C1-C6)アルキル、-OC(O)O(C1-C6)アルキル、-NH2、-NH((C1-C6)アルキル)、-N((C1-C6)アルキル)2、-NHC(O)(C1-C6)アルキル、-C(O)NH(C1-C6)アルキル、-S(O)2(C1-C6)アルキル、-S(O)NH(C1-C6)アルキル、及びS(O)N((C1-C6)アルキル)2を含むが、これらに限定されない。置換基は、それ自体が任意選択で置換されていてもよい。本明細書で使用される場合、「任意選択で置換された」とはまた、置換されているかまたは非置換であることを指し、その意味は、以下に記載される。
【0034】
「置換された」という用語は、特定の基または部分が、1つ以上の好適な置換基を有し、置換基が、1つ以上の位置において特定の基または部分に接続し得ることを意味する。例えば、シクロアルキルで置換されたアリールは、シクロアルキルが、アリールの1つの原子に対して結合によって、またはアリールと融合して2つ以上の共通の原子を共有することによって結合することを示し得る。
【0035】
「非置換の」という用語は、明記された基が置換基を担持しないことを意味する。
【0036】
別途具体的に定義されない限り、「アリール」とは、フェニル、ビフェニルまたはナフチルなどの単環式もしくは二環式基を含む、1~3つの芳香環を有する環式芳香族炭化水素基を意味する。2つの芳香族環(二環式など)を含有するときに、アリール基の芳香族環は、単一の点において、任意選択で連結されている(例えば、ビフェニル)かまたは縮合されている(例えば、ナフチル)。アリール基は、いずれかの結合点において、1つ以上の置換基、例えば、1~5つの置換基によって任意選択で置換されている。例示的な置換基としては、-H、-ハロゲン、-CN、-O-(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルキル、-O-(C2-C6)アルケニル、-O-(C2-C6)アルキニル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、-OH、-OP(O)(OH)2、-OC(O)(C1-C6)アルキル、-C(O)(C1-C6)アルキル、-OC(O)O(C1-C6)アルキル、NH2、NH((C1-C6)アルキル)、N((C1-C6)アルキル)2、-S(O)2-(C1-C6)アルキル、-S(O)NH(C1-C6)アルキル、及びS(O)N((C1-C6)アルキル)2が挙げられるが、これらに限定されない。置換基は、それ自体が任意選択で置換されていてもよい。更に、2個の縮合環を含有する場合、アリール基は、完全飽和環と縮合した不飽和または部分飽和環を任意選択で有していてもよい。これらのアリール基の例示的な環系として、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナレニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフタレニル、テトラヒドロベンゾアヌレニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
別段に定義されない限り、「ヘテロアリール」は、5~24個の環原子を有する一価の単環式芳香族ラジカル、またはN、O、もしくはSから選択される1個以上の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである多環式芳香族ラジカルを意味する。本明細書で定義するヘテロアリールは、ヘテロ原子がN、O、またはSから選択される二環式ヘテロ芳香族基も意味する。芳香族ラジカルは、独立して本明細書に記載される1個以上の置換基で任意選択で置換される。例としては、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、インドリル、チオフェン-2-イル、キノリル、ベンゾピラニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾリル、チエノ[3,2-b]チオフェン、トリアゾリル、トリアジニル、イミダゾ[1,2-b]ピラゾリル、フロ[2,3-c]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、インダゾリル、ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インドリニル、インドリノニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、ジヒドロベンゾオキサニル、キノリニル、イソキノリニル、1,6-ナフチリジニル、ベンゾ[デ]イソキノリニル、ピリド[4,3-b][1,6]ナフチリジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、キナゾリニル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、イソインドリル、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[3,4-b]ピリジニル、ピロロ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[5,4-b]ピリジニル、ピロロ[1,2-a]ピリミジニル、テトラヒドロピロロ[1,2-a]ピリミジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1D2-ピロロ[2,1-b]ピリミジン、ジベンゾ[b,d]チオフェン、ピリジン-2-オン、フロ[3,2-c]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、1H-ピリド[3,4-b][1,4]チアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、フロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチオフェニル、1,5-ナフチリジニル、フロ[3,2-b]ピリジン、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、ベンゾ[1,2,3]トリアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジニル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[1,5-b][1,2]オキサジニル、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、チアゾロ[5,4 d]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾリル、チエノ[2,3-b]ピロリル、3H-インドリル及びそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。更に、2個の縮合環を含有する場合、本明細書中で定義されるアリール基は、完全飽和環と縮合した不飽和または部分飽和環を有していてもよい。これらのヘテロアリール基の例示の環系としては、インドリニル、インドリノニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリニル、2,3-ジヒドロベンゾフラン、インドリニル、インドリル、及びジヒドロベンゾオキサニルが挙げられる。
【0038】
ハロゲンまたは「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0039】
「アルキル」は、1~12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を意味する。(C1-C6)アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びイソヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「アルコキシ」は、その鎖に末端「O」を含有する1~12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素、例えば、-O(アルキル)を指す。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、またはペントキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「アルケニル」は、2~12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素を意味する。「アルケニル」基は、その鎖に少なくとも1つの二重結合を含有する。アルケニル基の二重結合は、非共役であるか、または他の不飽和基に共役することができる。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、イソ-ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルが挙げられる。アルケニル基は、非置換であってもよくまたは置換されてもよく、直鎖であってもよくまたは分枝鎖であってもよい。
【0042】
「アルキニル」は、2~12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素を意味する。「アルキニル」基は、その鎖に少なくとも1つの三重結合を含有する。アルケニル基の例としては、エチニル、プロパルギル、n-ブチニル、イソ-ブチニル、ペンチニル、またはヘキシニルが挙げられる。アルキニル基は、非置換型または置換型であり得る。
【0043】
「アルキレン」または「アルキレニル」とは、二価アルキルラジカルを意味する。上述の一価アルキル基のいずれも、アルキルからの第2の水素原子の引き抜きによってアルキレンとなり得る。本明細書で定義される場合、アルキレンはまた、(C1-C6)アルキレンであり得る。更に、アルキレンは、(C1-C4)アルキレンであり得る。典型的なアルキレン基としては、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2C(CH3)2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH-などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
「シクロアルキル」または「カルボシクリル」とは、3~18個の炭素原子を含有する単環式または多環式の飽和または部分不飽和非芳香族炭素環を意味する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプタニル、シクロオクタニル、ノルボラニル、ノルボレニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、またはビシクロ[2.2.2]オクテニル、及びその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。(C3-C8)シクロアルキルは、3~8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、縮合されてもよく(例えば、デカリン)または架橋されてもよい(例えば、ノルボルナン)。
【0045】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」とは、炭素と、酸素、窒素または硫黄(O、NまたはS)から選択される少なくとも1個のヘテロ原子と、を含有する、飽和または部分飽和単環式または多環式環であって、環炭素またはヘテロ原子間で共有される非局在化n電子(芳香族性)が存在しない、飽和または部分飽和単環式または多環式環を意味する。ヘテロシクロアルキル環構造は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。置換基は、それ自体が任意選択で置換されていてもよい。ヘテロシクリル環の例としては、オキセタニル、アゼタジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサリニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS-ジオキシド、ピペラジニル、アゼピニル、オキセピニル、ジアゼピニル、トロパニル、オキサゾリジノニル、1,4-ジオキサニル、ジヒドロフラニル、1,3-ジオキソラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ジチオラニル及びホモトロパニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「ヒドロキシアルキル」とは、1つ以上の-OH基で置換されたアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキル基の例としては、HO-CH2-、HO-CH2CH2-及びCH2-CH(OH)-が挙げられる。
【0047】
「ハロアルキル」とは、1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、トリクロロメチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
「ハロアルコキシ」とは、1つ以上のハロゲンで置換されたアルコキシ基を意味する。ハロアルキル基の例としては、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、トリクロロメトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
「シアノ」とは、三重結合によって窒素原子に連結された炭素原子を有する置換基を意味する。
【0050】
「アミノ」とは、少なくとも1個の窒素原子(例えば、NH2)を含有する置換基を意味する。
【0051】
塩、プロドラッグ、誘導体及び溶媒和物の用語及び規定
「プロドラッグ」または「プロドラッグ誘導体」とは、親化合物または活性薬物の共有結合誘導体または担体であって、その薬理学的効果(複数可)を示す前に少なくともある程度の生体内変換を起こす、共有結合誘導体または担体を意味する。概して、そのようなプロドラッグは、代謝的に切断可能な基を有し、インビボで迅速に変換されて、親化合物を、例えば、血液中での加水分解によってもたらし、概して、親化合物のエステル及びアミド類似体を含む。プロドラッグは、化学的安定性の改善、患者の受容性及びコンプライアンスの改善、バイオアベイラビリティの改善、作用期間の延長、臓器選択性の改善、製剤の改善(例えば、水溶性の増加)、及び/または副作用(例えば、毒性)の減少の目的で製剤化される。概して、プロドラッグ自体は、弱い生物学的活性を有するかまたは生物学的活性を有さず、通常の条件下で安定している。プロドラッグは、当該技術分野で既知の方法、例えば、A Textbook of Drug Design and Development,Krogsgaard-Larsen and H.Bundgaard(eds.),Gordon&Breach,1991,特に、Chapter 5:“Design and Applications of Prodrugs”、Design of Prodrugs,H.Bundgaard(ed.),Elsevier,1985、Prodrugs:Topical and Ocular Drug Delivery,K.B.Sloan(ed.),Marcel Dekker,1998、Methods in Enzymology,K.Widder et al.(eds.),Vol.42,Academic Press,1985,特に、pp.309-396、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,5th Ed.,M.Wolff(ed.),John Wiley&Sons,1995,特に、Vol.1、ならびにpp.172-178及びpp.949-982、Pro-Drugs as Novel Delivery Systems,T.Higuchi and V.Stella(eds.),Am.Chem.Soc.,1975、Bioreversible Carriers in Drug Design,E.B.Roche(ed.),Elsevier,1987(それらの各々は、それらの全体が参照により本明細書に援用される)に記載されているものを使用して、親化合物から容易に調製され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容されるプロドラッグ」とは、本開示の化合物のプロドラッグであって、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激及びアレルギー応答などなく、ヒト及び下等動物の組織との接触における使用に好適であり、合理的な利益/リスク比にふさわしく、それらの意図された使用に有効であり、可能な場合、双性イオン形態である、プロドラッグを意味する。
【0053】
「塩」とは、親化合物の酸塩または塩基塩を作製するための、親化合物のイオン形態、または親化合物と好適な酸もしくは塩基との間の反応の生成物を意味する。本開示の化合物の塩は、従来の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。概して、塩は、好適な溶媒中または溶媒の様々な組み合わせ中で、遊離塩基または酸親化合物を、化学量論的量または過剰の所望の塩形成無機または有機酸または塩基と反応させることによって調製される。「薬学的に許容される塩」とは、本開示の化合物の塩であって、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激及びアレルギー応答などなく、ヒト及び下等動物の組織との接触における使用に好適であり、合理的な利益/リスク比にふさわしく、概して、水または油溶性または分散性であり、それらの意図された使用に有効である、塩を意味する。この用語は、薬学的に許容される酸付加塩及び薬学的に許容される塩基付加塩を含む。本開示の化合物は、遊離塩基及び塩形態の両方で有用であるため、実施において、塩形態の使用は、塩基形態の使用に等しい。好適な塩のリストは、例えば、S.M.Birge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,pp.1-19に見出され、これは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0054】
「薬学的に許容される酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にまたは別法で望ましくないものではなく、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸及びリン酸などで形成され、有機酸、例えば、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、酪酸、カンフル酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、ジグルコン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、ヘミスルフィク酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ギ酸、フマル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2-ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、ペクチン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバリン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸及びウンデカン酸などで形成される塩を意味する。
【0055】
「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にまたは別法で望ましくないものではなく、無機塩基、例えば、アンモニア、またはアンモニウムの水酸化物、カーボネートもしくはビカーボネートで形成されるか、あるいは、金属カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン及びアルミニウムなどで形成される塩を意味する。アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩が特に好ましい。薬学的に許容される有機非毒性塩基に由来する塩は、一級、二級及び三級アミン、四級アミン化合物、天然に存在する置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン及びポリアミン樹脂などの塩を含む。特に好ましい有機非毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0056】
「溶媒和物」とは、溶質、例えば、式(I)の化合物と、溶媒、例えば、水、エタノールまたは酢酸とによって形成される可変化学量論の複合体を意味する。この物理的結合には、水素結合を含む、様々な程度のイオン結合及び共有結合が関与し得る。ある特定の例では、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれるとき、単離することができる。概して、本開示の目的で選択されるそのような溶媒は、溶質の生物学的活性に干渉しない。「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物は、水和物、エタノレート及びメタノレートなどを含む。
【0057】
「水和物」とは、溶媒分子(複数可)が水である溶媒和物を意味する。
【0058】
以下で考察される本開示の化合物は、遊離塩基またはその酸、それらの塩、溶媒和物、及びプロドラッグを含み、明示的に記載または示されていないが、それらの構造において酸化硫黄原子または四級化窒素原子を含み得、特に、それらの薬学的に許容される形態を含み得る。そのような形態、特に、薬学的に許容される形態は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0059】
異性体の用語及び規定
「異性体」とは、同一の数及び種類の原子、したがって、同一の分子量を有するが、空間における原子の配置または構成に関して異なる化合物を意味する。この用語は、立体異性体及び幾何異性体を含む。
【0060】
「立体異性体」または「光学異性体」とは、少なくとも1個のキラル原子または制限された回転を有し、垂直な不斉平面をもたらし(例えば、ある特定のビフェニル、アレン及びスピロ化合物)、平面偏光を回転させることができる安定した異性体を意味する。不斉中心及び他の化学構造が、本開示の化合物において存在し、これが、立体異性をもたらすため、本開示は、立体異性体及びそれらの混合物を企図する。本開示の化合物及びそれらの塩は、不斉炭素原子を含み、したがって、単一の立体異性体、ラセミ体、ならびにエナンチオマー及びジアステレオマーの混合物として存在し得る。典型的には、そのような化合物は、ラセミ混合物として調製される。しかしながら、所望の場合、そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち、個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、または立体異性体濃縮混合物として調製または単離され得る。以下でより詳細に考察されるように、化合物の個々の立体異性体は、所望のキラル中心を含有する光学活性出発材料からの合成によって、あるいは、エナンチオマー生成物の混合物の調製、続いて、分離もしくは分割、例えば、ジアステレオマーの混合物への変換、続いて、分離もしくは再結晶化、クロマトグラフィー技法、キラル分割剤の使用、またはキラルクロマトグラフィーカラム上でのエナンチオマーの直接分離によって調製される。特定の立体化学の出発化合物は、市販されているか、または以下に記載される方法によって作製され、当該技術分野で周知の技法によって分割される。
【0061】
「エナンチオマー」とは、互いに重ね合わせ不可能な鏡像である一対の立体異性体を意味する。
【0062】
「ジアステレオ異性体」または「ジアステレオマー」とは、互いに鏡像でない光学異性体を意味する。
【0063】
「ラセミ混合物」または「ラセミ体」とは、個々のエナンチオマーの等しい部分を含有する混合物を意味する。「非ラセミ混合物」とは、個々のエナンチオマーの等しくない部分を含有する混合物を意味する。「幾何異性体」とは、二重結合を中心とする回転の自由の制限(例えば、シス-2-ブテン及びトランス-2-ブテン)または環状構造における回転の自由の制限(例えば、シス-1,3-ジクロロシクロブタン及びトランス-1,3-ジクロロシクロブタン)からもたらされる安定した異性体を意味する。炭素-炭素二重(オレフィン)結合、C=N二重結合及び環状構造などが、本開示の化合物において存在し得るため、本開示は、様々な安定した幾何異性体及びそれらの混合物の各々が、これらの二重結合の周りの置換基及びこれらの環状構造における置換基の配置からもたらされることを企図する。置換基及び異性体は、シス/トランスの規定を使用して、またはEもしくはZ系を使用して示され、「E」という用語は、二重結合の反対側のより高次の置換基を意味し、「Z」という用語は、二重結合の同じ側のより高次の置換基を意味する。E及びZ異性の十分な考察は、J.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,4th ed.,John Wiley&Sons,1992で提供されており、これは、その全体が参照により本明細書に援用される。以下の実施例のうちのいくつかは、単一のE異性体、単一のZ異性体及びE/Z異性体の混合物を表す。E及びZ異性体の決定は、分析方法、例えば、X線結晶構造解析、1H NMR及び13C NMRによって行われ得る。
【0064】
本開示の化合物のうちのいくつかは、2つ以上の互変異性形態で存在することができる。上記のように、本開示の化合物は、全てのそのような互変異性体を含む。
【0065】
化合物の生物学的及び薬理学的活性が、化合物の立体化学に感受性があることが当該技術分野で周知である。したがって、例えば、エナンチオマーは、しばしば、著しく異なる生物学的活性を示し、これは、代謝及びタンパク質結合などを含む薬物動態特性の差、ならびに示される活性の種類、活性の程度及び毒性などを含む薬理学的特性を含む。したがって、一方のエナンチオマーは、他方のエナンチオマーに対して濃縮されたときにまたは他方のエナンチオマーから分離されたときに、より活性があってもよくまたは有益な効果を示してもよいことが、当業者には理解されよう。加えて、どのように本開示の化合物のエナンチオマーを分離、濃縮または選択的に調製するかは、本開示の開示及び従来技術の知識から当業者に既知である。
【0066】
したがって、薬物のラセミ形態が使用され得るが、これは、しばしば、等しい量のエナンチオマー的に純粋な薬物を投与するよりも有効でなく、実際に、いくつかの場合では、一方のエナンチオマーは、薬理学的に不活性であり得、単純な希釈剤として機能するのみである。例えば、イブプロフェンは、以前に、ラセミ体として投与されているが、イブプロフェンのS-異性体のみが、抗炎症剤として有効であることが示されている(しかしながら、イブプロフェンの場合、R-異性体は、不活性であるが、インビボでS-異性体に変換され、したがって、薬物のラセミ形態の作用の迅速さは、純粋なS-異性体のものよりも少ない)。更に、エナンチオマーの薬理学的活性は、異なる生物学的活性を有し得る。例えば、S-ペニシラミンは、慢性関節炎のための治療剤であるが、R-ペニシラミンは毒性である。精製された個々の異性体が、ラセミ混合物と比較してより速い経皮浸透率を有することが報告されているため、実際に、いくつかの精製されたエナンチオマーは、ラセミ体よりも有利である。米国特許第5,114,946号及び同第4,818,541号を参照されたい。
【0067】
したがって、一方のエナンチオマーが、他方のエナンチオマーよりも、薬理学的に活性があり、低い毒性を有するかまたは体内での好ましい廃棄を有する場合、このエナンチオマーを優先的に投与することが、治療的により有益である。このようにして、治療を受けている患者は、薬物に、より低い総用量で曝露され、毒性である可能性のある一方のエナンチオマーまたは他方のエナンチオマーの阻害剤に、低い用量で曝露される。
【0068】
所望のエナンチオマー過剰率(ee)またはエナンチオマー純度の純粋なエナンチオマーまたは混合物の調製は、(a)エナンチオマーの分離もしくは分割、または(b)当業者に既知のエナンチオ選択的合成、あるいは、それらの組み合わせの多くの方法のうちの1つ以上によって達成される。これらの分割方法は、概して、キラル認識に依存し、例えば、キラル固定相を使用するクロマトグラフィー、エナンチオ選択的ホスト-ゲスト複合体形成、キラル補助剤を使用する分割もしくは合成、エナンチオ選択的合成、酵素及び非酵素動力学的分割、または自発エナンチオ選択的結晶化を含む。そのような方法は、概して、Chiral Separation Techniques:A Practical Approach(2nd Ed.),G.Subramanian(ed.),Wiley-VCH,2000、T.E.Beesley and R.P.W.Scott,Chiral Chromatography,John Wiley&Sons,1999及びSatinder Ahuja,Chiral Separations by Chromatography,Am.Chem.Soc.,2000に開示されている。更に、エナンチオマー過剰率または純度の定量化のための同等に周知の方法、例えば、GC、HPLC、CEまたはNMR、ならびに絶対配置及びコンフォメーションの決定のための同等に周知の方法、例えば、CD ORD、X線結晶構造解析またはNMRが存在する。
【0069】
概して、特定の立体化学または異性体形態が、化合物名称または構造において具体的に示されない限り、個々の幾何学的異性体もしくは立体異性体、またはラセミもしくは非ラセミ混合物にかかわらず、化学構造または化合物の全ての互変異性形態及び異性体形態、ならびに混合物が意図されている。
【0070】
薬学的投与及び治療の用語及び規定
「患者」または「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、または非ヒト霊長類、例えば、サル、チンパンジー、ヒヒもしくはアカゲザルである。ある特定の実施形態では、対象は、霊長類である。更に他の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0071】
化合物に関して使用されるときに、「有効量」または「治療有効量」とは、(i)本明細書に記載される特定の疾患、状態もしくは障害を治療もしくは予防するか、(ii)本明細書に記載される特定の疾患、状態もしくは障害の1つ以上の症状を減弱する、寛解させるもしくは排除するか、または(iii)本明細書に記載される特定の疾患、状態もしくは障害の1つ以上の症状の発病を予防するもしくは遅延させる、本開示の化合物の量を意味する。
【0072】
「薬学的に有効な量」または「治療有効量」という用語は、本開示による化合物の量であって、それを必要としている患者に投与されたときに、化合物が有用性を有する疾患状態、状態または障害のための治療をもたらすのに十分である、量を意味する。そのような量は、研究者または臨床医によって求められる、組織、系または患者の生物学的または医学的応答を誘発するのに十分である。治療有効量を構成する、本開示によるの化合物の量は、化合物及びその生物学的活性、投与のために使用される組成物、投与時間、投与経路、化合物の排泄率、治療期間、治療される疾患状態または障害のタイプ及びその重症度、本開示の化合物との組み合わせでまたはそれと同時に使用される薬物、ならびに患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別及び食事などの要因に応じて変動する。そのような治療有効量は、当業者よって自己の知識、従来技術及び本開示を考慮して、通例の様式で決定され得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、経口または非経口投与に好適な形態での、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と一緒の、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体または互変異性体を指す。「担体」とは、担体、賦形剤及び希釈剤を包含し、対象の1つの臓器または体の一部分から別の臓器または体の別の一部分への薬学的剤の運搬または輸送に関与する、材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料を意味する。
【0074】
対象は、生物学的、医学的または生活の質における利益を治療から得る場合、そのような治療を「必要としている」(好ましくは、ヒト)。
【0075】
本明細書で使用される場合、「阻害する」、「阻害」または「阻害すること」という用語は、所与の状態、症状、または障害もしくは疾患の低減または抑制、あるいは、生物学的活性またはプロセスのベースライン活性の有意な減少を指す。
【0076】
本明細書で使用される場合、いずれかの疾患または障害の「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語は、疾患もしくは障害を緩和するもしくは寛解させること(すなわち、疾患またはその臨床症状のうちの少なくとも1つの発症を遅らせるまたは停止すること)、または患者に識別可能でないことがあるものを含む、疾患もしくは障害に関連する少なくとも1つの物理的パラメータもしくはバイオマーカーを緩和するもしくは寛解させることを指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、いずれかの疾患または障害の「予防する」、「予防すること」または「予防」という用語は、疾患もしくは障害の予防的治療、または疾患もしくは障害の発病もしくは進行の遅延を指す。
【0078】
「薬学的に許容される」は、物質または組成物が、製剤に含まれる他の成分及び/またはそれを用いて治療されている哺乳動物と、化学的及び/または毒物学的に適合性でなければならないことを意味する。
【0079】
「障害」とは、別途示されない限り、疾患、状態または病気という用語を意味し、それらと互換的に使用される。
【0080】
「投与する」、「投与すること」、または「投与」は、本開示で使用されるとき、開示される化合物または開示される化合物の薬学的に許容される塩または組成物を対象に直接投与するか、あるいは対象の身体に当量の活性化合物を形成し得るその化合物のプロドラッグ誘導体もしくは類似体またはその化合物の薬学的に許容される塩または組成物を対象に投与するかのいずれかを意味する。
【0081】
「プロドラッグ」は、インビボにおいて代謝手段によって(例えば、加水分解によって)開示する化合物または有効成分に変換可能な化合物を意味する。
【0082】
「本開示(the present disclosure)の化合物」、「本開示(the disclosure)の化合物」及び均等な表現は(別途具体的に特定されない限り)、式(I)の化合物及び本明細書に記載される他の特定の化合物を指し、他の特定の化合物は、文脈により可能である場合、その互変異性体、プロドラッグ、塩、特に、薬学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物、ならびに(ジアステレオ異性体及びエナンチオマーを含む)全ての立体異性体、回転異性体、互変異性体及び(重水素置換を含む)同位体標識化合物、ならびに固有に形成された部分(例えば、多形体、溶媒和物及び/または水和物)を含む。本開示の目的で、溶媒和物及び水和物は、概して、組成物と考えられる。概して、好ましくは、本開示の化合物及び本開示の化合物を示す式は、その安定した化合物のみを含み、不安定な化合物が、化合物式によって逐語的に包含されると考えられ得る場合でも、不安定な化合物を除外すると理解される。同様に、中間体への言及は、それら自体が特許請求されているかどうかにかかわらず、文脈により可能である場合、それらの塩及び溶媒和物を包含することを意味する。明確さのために、特定の事例は、文脈により可能であるときに、しばしば、本文に示されるが、これらの事例は、純粋に例示であり、文脈により可能であるときに、他の事例を除外することは意図されていない。「安定した化合物」または「安定した構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離に耐え、効果的な治療または診断剤への製剤化に耐えるのに十分に堅牢である化合物を意味する。例えば、「ダングリング結合価」を有する化合物またはカルバニオンである化合物は、本開示によって企図される化合物でない。
【0083】
具体的な実施形態では、「約」または「ほぼ」という用語は、所与の値または範囲の20%以内、好ましくは、10%以内、より好ましくは、5%以内を意味する。
【0084】
本明細書に記載される反応の各々の「収率」は、理論収率の百分率として表される。「がん」は、腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫などのような、悪性新生細胞の増殖によって引き起こされる任意のがんを意味する。例えば、がんとしては、中皮腫、白血病、及びリンパ腫、例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、非皮膚末梢T細胞リンパ腫、ヒトT細胞リンパ栄養性ウイルス(HTLV)に関連するリンパ腫、例えば、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、B細胞リンパ腫、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、または肝細胞癌が挙げられるが、これらに限定されない。更なる例としては、骨髄異形成症候群、小児固形腫瘍、例えば、脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、骨腫瘍及び軟部組織肉腫、成人の一般的な固形腫瘍、例えば、頭頸部癌(例えば、口腔、喉頭及び上咽頭)、食道癌、泌尿生殖器癌(例えば、前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣)、肺癌(例えば、小細胞及び非小細胞)、乳癌、膵臓癌、黒色腫及び他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、ゴーリン症候群に関連する腫瘍(例えば、髄芽腫、髄膜腫など)、ならびに肝臓癌が挙げられる。当該化合物によって治療され得るがんの追加の例示的な形態は、これらに限定されないが、骨格または平滑筋の癌、胃癌、小腸の癌、直腸癌、唾液腺の癌、子宮内膜癌、副腎癌、肛門癌、直腸癌、副甲状腺癌、及び下垂体癌を含む。
【0085】
本明細書に記載される化合物が、予防、治療、及び研究において有用であり得る追加のがんは、例えば、結腸癌、家族性大腸腺腫症、及び遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、または黒色腫である。更に、がんとしては、陰唇癌、喉頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺癌(甲状腺髄様及び乳頭癌)、腎癌、腎実質癌、子宮頸癌、子宮体癌、子宮内膜癌、絨毛癌、精巣癌、尿癌、黒色腫、脳腫瘍、例えば、神経膠芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽腫、及び末梢神経外胚葉性腫瘍、胆嚢癌、気管支癌、多発性骨髄腫、基底腫、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜黒色腫、精上皮腫、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫、及び形質細胞腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、1つ以上の第2の薬剤(複数可)との組み合わせでの治療方法または治療的使用手段に言及するときに、「同時に」または「同時」とは、化合物及び1つ以上の第2の薬剤(複数可)を、同じ経路によって同時に投与することを意味する。
【0087】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、1つ以上の第2の薬剤(複数可)との組み合わせでの治療方法または治療的使用手段に言及するときに、「別個に」または「別個の」とは、化合物及び1つ以上の第2の薬剤(複数可)を、異なる経路によってほぼ同時に投与することを意味する。
【0088】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体と、1つ以上の第2の薬剤(複数可)との組み合わせでの治療方法または治療的使用に言及するときに、「ある期間にわたる」治療的投与とは、化合物及び1つ以上の第2の薬剤(複数可)を、同じまたは異なる経路によって異なる時間に投与することを意味する。いくつかの実施形態では、化合物または1つ以上の第2の薬剤(複数可)の投与は、他方の投与が開始される前に発生する。このようにして、有効成分のうちの1つ(すなわち、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、または1つ以上の第2の薬剤(複数可))を、他の1つ以上の有効成分を投与する前に数か月間投与することが可能である。この場合では、同時投与は発生しない。ある期間にわたる別の治療的投与は、組み合わせの2つ以上の活性成分を、活性成分の各々について異なる投与頻度を使用して経時的に投与し、それによって、ある特定の時点で、活性成分の全ての同時投与が起こり、他の時点で、組み合わせの活性成分の一部分のみが投与され得ることからなる(例えば、例えば。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、及び1つ以上の第2の薬剤、ある期間にわたる治療的投与は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体が、1日1回投与され、1つ以上の第2の薬剤(複数可)が、4週間に1回投与されるものであり得る)。
【0089】
「IKZF2依存性疾患または障害」とは、IKZF2タンパク質レベルの調節によって直接または間接的に影響されるいずれかの疾患または障害を意味する。
【0090】
本開示は、IKZF2タンパク質レベルを調節することが可能である化合物及び組成物に関する。本開示は、IKZF2が役割を果たす疾患または障害を、その治療、予防または寛解を必要としている患者に、治療有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を投与することによって治療する、予防するまたは寛解させる方法を特徴とする。本開示の方法は、IKZF2タンパク質レベルを調節することによる、様々なIKZF2依存性疾患及び障害の治療において使用され得る。分解を介する、IKZF2タンパク質レベルの調節は、疾患の治療、予防または寛解への新規の手法を提供し、疾患は、がん及び病部転位、ならびに他のIKZF2依存性疾患または障害を含むが、これらに限定されない。
【0091】
一態様では、本開示の化合物は、治療剤、特に、がん及び関連する疾患のための治療剤としての使用を有する。一態様では、本開示の化合物は、IKZF2分解活性を有し、好ましくは、そのような活性を、50μM以下のレベルで有し、より好ましくは、そのような活性を、10μM以下のレベルで有する。別の態様では、本開示の化合物は、IKZF1、IKZF3、IKZF4及び/またはIKZF5のうち1つ以上に選択的なIKZF2に対して分解活性を有する。本開示の化合物は、そのような分解活性が患者に有益であるがん及び他の疾患の治療において有用性を有する。例えば、いかなる理論にも拘束されることを意図するものではないが、本発明者らは、腫瘍のTregs中のIKZF2レベルの低減により、患者免疫系が疾患をより効果的に攻撃できるようになる可能性があると考えている。要約すると、本開示は、がん及び他の疾患の治療に有用な新規のIKZF2分解剤を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、式(I)の化合物であって、
【化3】
式中、
R
1が、H、または-CH
2OC(O)R
16、-CH
2OC(O)NHR
16、-CH
2OC(O)OR
16、-CH
2OP(O)(OR
16)
2、-CH
2OP(O)(OH)OR
16もしくは-CH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
2及びR
2’が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH及び-CNから選択され、
R
3が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-NHR
10、-NR
10R
11、-NHC(O)R
10、-NR
11C(O)R
10、-(CH
2)
0~2NH
2、-(CH
2)
0~2NH(C
1-C
6)アルキル、-(CH
2)
0~2N((C
1-C
6)アルキル)
2、-C(O)NH
2、-C(O)OH、-C(O)OR
15、-CN、-OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)NHR
16、-OCH
2OC(O)OR
16、-OP(O)(OR
16)
2、-OCH
2OP(O)(OH)OR
16または-OCH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
4が、(C
1-C
6)アルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール、(C
3-C
8)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキルであり、アルキルが、1つ以上のR
6で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上のR
7で任意選択で置換されており、
各R
5が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール環、-CN、またはハロゲンであるか、
あるいは、R
5の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の炭素原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されているか、
あるいは、R
5の2つの隣接するインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合(C
6)アリールまたは5員~6員のヘテロアリールを形成し、アリールまたはヘテロアリールが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されており、
各R
6が、独立して、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)R
8’、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C
3-C
8)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル環から選択され、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基が、1つ以上のR
9で任意選択で置換されており、
各R
7が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
3-C
7)シクロアルキル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択されるか、あるいは、
R
7の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R
7の2つのインスタンスが、それらが結合している原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
8及びR
8’が、各々独立して、H、(C
1-C
6)アルキルもしくは(C
6-C
10)アリールであるか、または
R
8及びR
8’が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
9が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、-C(O)R
10、-(CH
2)
0~3C(O)OR
10、-C(O)NR
10R
11、-NR
10C(O)R
11、-NR
10C(O)OR
11、-S(O)
pNR
10R
11、-S(O)
pR
14、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-O(CH
2)
1~3CN、-NH
2、-CN、-O(CH
2)
0~3(C
6-C
10)アリール、アダマンチル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む-O(CH
2)
0~3-5員または6員のヘテロアリール、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アルキルが、1つ以上のR
13で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の置換基で任意選択で置換されており、1つ以上の置換基が、各々独立して、ハロゲン、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル及び(C
1-C
6)アルコキシから選択されるか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成するか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の原子と一緒に、(C
5-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
10及びR
11が、各々独立して、Hもしくは(C
1-C
6)アルキルであるか、または
R
10及びR
11が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1つ以上のR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
12が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、5員~6員のヘテロアリール、4員~7員のシクロアルキル、5員~7員のヘテロシクロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHもしくは-CNで任意選択で置換されているか、または
R
12の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成し、
各R
13が、独立して、-CN、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アリール及びヘテロシクロアルキルが、1つ以上の置換基で任意選択で置換されており、1つ以上の置換基が、各々独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、
R
14が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
6-C
10)アリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
R
15及びR
16が、独立して各出現について、H、独立して(C
6-C
10)アリール、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された(C
1-C
6)アルキル、または独立して(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1つ以上の置換基で任意選択で置換された(C
6-C
10)アリールから選択され、
R
xが、HまたはDであり、
nが、0、1、2、3、または4であり、
pが、1または2であり、
ただし、式(I)の化合物が、
【化4】
からなる群から選択されない、化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体である。
【0093】
式(I)のいくつかの実施形態では、
R
1が、H、または-CH
2OC(O)R
16、-CH
2OC(O)NHR
16、-CH
2OC(O)OR
16、-CH
2OP(O)(OR
16)
2、-CH
2OP(O)(OH)OR
16もしくは-CH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
2及びR
2’が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH及び-CNから選択され、
R
3が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-NHR
10、-NR
10R
11、-NHC(O)R
10、-NR
11C(O)R
10、-(CH
2)
0~2NH
2、-(CH
2)
0~2NH(C
1-C
6)アルキル、-(CH
2)
0~2N((C
1-C
6)アルキル)
2、-C(O)NH
2、-C(O)OH、-C(O)OR
15、-CN、-OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)R
16、-OCH
2OC(O)NHR
16、-OCH
2OC(O)OR
16、-OP(O)(OR
16)
2、-OCH
2OP(O)(OH)OR
16または-OCH
2OP(O)(R
16)
2であり、
R
4が、(C
1-C
6)アルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール、(C
3-C
8)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキルであり、アルキルが、1~4つのR
6で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1~4つのR
7で任意選択で置換されており、
各R
5が、独立して、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール環、-CN、またはハロゲンであるか、
あるいは、R
5の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の炭素原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されているか、
あるいは、R
5の2つの隣接するインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合(C
6)アリールまたは5員~6員のヘテロアリールを形成し、アリールまたはヘテロアリールが、1~4つの(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されており、
各R
6が、独立して、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)R
8’、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C
3-C
8)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル環から選択され、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基が、1~4つのR
9で任意選択で置換されており、
各R
7が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2、-CN、(C
3-C
7)シクロアルキル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択されるか、あるいは、
R
7の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R
7の2つのインスタンスが、それらが結合している原子と一緒に、(C
3-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR
12で任意選択で置換された4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
8及びR
8’が、各々独立して、H、(C
1-C
6)アルキルもしくは(C
6-C
10)アリールであるか、または
R
8及びR
8’が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
9が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、-C(O)R
10、-(CH
2)
0~3C(O)OR
10、-C(O)NR
10R
11、-NR
10C(O)R
11、-NR
10C(O)OR
11、-S(O)
pNR
10R
11、-S(O)
pR
14、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-O(CH
2)
1~3CN、-NH
2、-CN、-O(CH
2)
0~3(C
6-C
10)アリール、アダマンチル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む-O(CH
2)
0~3-5員または6員のヘテロアリール、(C
6-C
10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アルキルが、1~4つのR
13で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの置換基で任意選択で置換されており、1~4つの置換基が、各々独立して、ハロゲン、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル及び(C
1-C
6)アルコキシから選択されるか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成するか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C
6-C
10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR
12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R
9の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の原子と一緒に、(C
5-C
7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R
10及びR
11が、各々独立して、Hもしくは(C
1-C
6)アルキルであるか、または
R
10及びR
11が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR
12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R
12が、独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
6-C
10)アリール、5員~6員のヘテロアリール、4員~7員のシクロアルキル、5員~7員のヘテロシクロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHもしくは-CNで任意選択で置換されているか、または
R
12の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成し、
各R
13が、独立して、-CN、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
6-C
10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アリール及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの置換基で任意選択で置換されており、1~4つの置換基が、各々独立して、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ハロアルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択され、
R
14が、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
6-C
10)アリール、(C
3-C
7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルであり、
R
15及びR
16が、独立して各出現について、H、独立して(C
6-C
10)アリール、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1~4つの置換基で任意選択で置換された(C
1-C
6)アルキル、または独立して(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH
2及び-CNから選択される1~4つの置換基で任意選択で置換された(C
6-C
10)アリールから選択され、
R
xが、HまたはDであり、
nが、0、1、2、3、または4であり、
pが、1または2であり、
ただし、式(I)の化合物が、
【化5】
からなる群から選択されない、化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体である。
【0094】
式(I)のいくつかの実施形態では、
R4が、(C1-C6)アルキル、(C6-C10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキルであり、アルキルが、1~4つのR6で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1~4つのR7で任意選択で置換されており、
各R5が、独立して、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C6-C10)アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロアリール環、-CN、またはハロゲンであるか、
あるいは、R5の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の炭素原子と一緒に、(C3-C7)シクロアルキル、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C1-C6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されているか、
あるいは、R5の2つの隣接するインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合(C6)アリールまたは5員~6員のヘテロアリールを形成し、アリールまたはヘテロアリールが、1~4つの(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C1-C6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHまたは-CNで任意選択で置換されており、
各R6が、独立して、-C(O)OR8、-C(O)NR8R8’、-NR8C(O)R8’、ハロゲン、-OH、-NH2、-CN、(C6-C10)アリールO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル環から選択され、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基が、1~4つのR9で任意選択で置換されており、
各R7が、独立して、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ハロアルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-CN、(C3-C7)シクロアルキル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキル、(C6-C10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択されるか、あるいは、
R7の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C6-C10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R7の2つのインスタンスが、それらが結合している原子と一緒に、(C3-C7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR12で任意選択で置換された4員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R8及びR8’が、各々独立して、H、(C1-C6)アルキルもしくは(C6-C10)アリールであるか、または
R8及びR8’が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R9が、独立して、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ハロアルコキシ、-C(O)R10、-(CH2)0~3C(O)OR10、-C(O)NR10R11、-NR10C(O)R11、-NR10C(O)OR11、-S(O)pNR10R11、-S(O)pR14、(C1-C6)ヒドロキシアルキルハロゲン、-OH、-O(CH2)1~3CN、-NH2、-CN、-O(CH2)0~3(C6-C10)アリール、アダマンチル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む-O(CH2)0~3-5員または6員のヘテロアリール、(C6-C10)アリールO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式または二環式の5員~10員のヘテロアリール、(C3-C7)シクロアルキル、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アルキルが、1~4つのR13で任意選択で置換されており、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの置換基で任意選択で置換されており、1~4つの置換基が、各々独立して、ハロゲン、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ハロアルキル及び(C1-C6)アルコキシから選択されるか、あるいは、
R9の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成するか、あるいは、
R9の2つのインスタンスが、隣接する原子上にあるときに、それらが結合している原子と一緒に、(C6-C10)アリール環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR12で任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロアリール環を形成するか、あるいは、
R9の2つのインスタンスが、それらが結合している1個以上の原子と一緒に、(C5-C7)シクロアルキル環、またはO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
R10及びR11が、各々独立して、Hもしくは(C1-C6)アルキルであるか、または
R10及びR11が、それらが結合している窒素と一緒に、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含み、1~4つのR12で任意選択で置換された5員~7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
各R12が、独立して、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ハロアルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C6-C10)アリール、5員~6員のヘテロアリール、4員~7員のシクロアルキル、5員~7員のヘテロシクロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2及び-CNから選択され、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C1-C6)ハロアルキル、ハロゲン、-OHもしくは-CNで任意選択で置換されているか、または
R12の2つのインスタンスが、それらが結合している炭素原子と一緒に、C=(O)を形成し、
各R13が、独立して、-CN、(C1-C6)アルコキシ、(C6-C10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員~7員のヘテロシクロアルキルから選択され、アリール及びヘテロシクロアルキルが、1~4つの置換基で任意選択で置換されており、1~4つの置換基が、各々独立して、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ハロアルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2及び-CNから選択され、
R15及びR16が、独立して各出現について、H、独立して(C6-C10)アリール、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C1-C6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2及び-CNから選択される1~4つの置換基で任意選択で置換された(C1-C6)アルキル、または独立して(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、(C1-C6)ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2及び-CNから選択される1~4つの置換基で任意選択で置換された(C6-C10)アリールから選択される。
【0095】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hである。
【0096】
式(I)のいくつかの実施形態では、R1は、Hである。
【0097】
式(I)のいくつかの実施形態では、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンである。
【0098】
式(I)の他の実施形態では、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3である。
【0099】
式(I)のいくつかの実施形態では、R2’は、Hである。
【0100】
式(I)のいくつかの実施形態では、R2は、Hである。
【0101】
式(I)のいくつかの実施形態では、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNである。
【0102】
式(I)のいくつかの実施形態では、R3は、(C1-C6)アルキル、ハロゲンまたは-OHである。
【0103】
式(I)のいくつかの実施形態では、R3は、-Me、-F、-OHである。式(I)の他の実施形態では、R3は、-Fである。
【0104】
式(I)の他の実施形態では、R3は、-Meである。
【0105】
式(I)の他の実施形態では、R3は、-OHである。
【0106】
式(I)のいくつかの実施形態では、R4は、R6の1~3つのインスタンスで任意選択で置換された(C1-C6)アルキルである。
【0107】
式(I)のいくつかの実施形態では、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルである。
【0108】
式(I)のいくつかの実施形態では、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルである。
【0109】
式(I)のいくつかの実施形態では、R5は、(C1-C6)アルキルである。
【0110】
式(I)のいくつかの実施形態では、R6は、(C6-C10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択され、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0111】
式(I)のいくつかの実施形態では、R6は、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されたフェニルである。
【0112】
式(I)のいくつかの実施形態では、R6は、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールであり、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0113】
式(I)のいくつかの実施形態では、R6は、シクロアルキルである。
【0114】
式(I)のいくつかの実施形態では、nは、0である。
【0115】
いくつかの実施形態では、nは、0、1、2または3である。別の実施形態では、nは、1、2、3または4である。更に別の実施形態では、nは、0または1である。別の実施形態では、nは、1または2である。更に別の実施形態では、nは、3または4である。別の実施形態では、nは、1である。更に別の実施形態では、nは、2である。別の実施形態では、nは、3である。更に別の実施形態では、nは、4である。
【0116】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hである。
【0117】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンである。
【0118】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3である。
【0119】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hである。
【0120】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hである。式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNである。
【0121】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNである。
【0122】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、-Fである。
【0123】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は-Fである。
【0124】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、-Meである。
【0125】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、-Meである。
【0126】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、-OHである。
【0127】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、-OHである。
【0128】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルである。
【0129】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルである。
【0130】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、nは、0である。
【0131】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、nは、0である。
【0132】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、R6は、(C6-C10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択され、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0133】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、R6は、(C6-C10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択され、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0134】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、R6は、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールであり、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0135】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、R6は、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールであり、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0136】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、R6は、シクロアルキルである。
【0137】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1~3つのインスタンスで置換された(C1-C6)アルキルであり、R6は、シクロアルキルである。
【0138】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルである。
【0139】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルである。
【0140】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、nは、0である。
【0141】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、n=0である。
【0142】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、R6は、(C6-C10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択され、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0143】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、R6は、(C6-C10)アリール、ならびにO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールから選択され、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0144】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、R6は、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールであり、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0145】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、R6は、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリールであり、アリール及びヘテロアリールは、R8の1~3つのインスタンスで任意選択で置換されている。
【0146】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシまたはハロゲンであり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、R6は、シクロアルキルである。
【0147】
式(I)のいくつかの実施形態では、Rxは、Hであり、R1は、Hであり、R2は、H、-CH3、F、Clまたは-OCH3であり、R2’は、Hであり、R3は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、-CN、(C1-C6)ヒドロキシアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-NHR10、-NR10R11、-NHC(O)R10、-NR11C(O)R10、-(CH2)0~2NH2、-C(O)NH2、-C(O)OR15または-CNであり、R4は、R6の1つ以上のインスタンスで置換された(C1)アルキルであり、R6は、シクロアルキルである。
【0148】
式(I)のいくつかの実施形態では、本発明の化合物は、以下の化合物のうちのいずれか1つから選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体である。
【0149】
本開示の別の実施形態では、本開示の化合物は、エナンチオマーである。いくつかの実施形態では、化合物は、(S)-エナンチオマーである。他の実施形態では、化合物は、(R)-エナンチオマーである。更に他の実施形態では、本開示の化合物は、(+)エナンチオマーであってもよくまたは(-)エナンチオマーであってもよい。
【0150】
異性体の混合物を含む全ての異性体形態が、本開示内に包含されることを理解されたい。化合物が、二重結合を含有する場合、置換基は、E配置であってもよくまたはZ配置であってもよい。化合物が、二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基は、シス配置またはトランス配置を有し得る。また、全ての互変異性形態が含まれることが意図されている。
【0151】
本開示の化合物、ならびその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、立体異性体及びプロドラッグは、それらの互変異性形態(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのそのような互変異性形態は、本開示の一部として本明細書中で企図される。
【0152】
本開示の化合物は、不斉中心を含有してもよくまたはキラル中心を含有してもよく、したがって、異なる立体異性形態で存在する。本開示の化合物の全ての立体異性形態及びラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本開示の一部分を形成することが意図されている。更に、本開示は全ての幾何異性体及び位置異性体を包含する。例えば、本開示の化合物が、二重結合または縮合環を組み込む場合、シス及びトランス形態の両方、ならびに混合物が、本開示の範囲内に包含される。本明細書に開示する各化合物は、化合物の一般構造に一致する全てのエナンチオマーを含む。化合物は、ラセミ体またはエナンチオマー的に純粋な形態、または立体化学に関する任意の他の形態であってもよい。アッセイ結果は、ラセミ体、エナンチオマー的に純粋な形態、または立体化学に関する任意の他の形態について収集したデータを反映し得る。
【0153】
ジアステレオマー混合物は、それらの物理的化学的差に基づいて、当業者に周知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/または分別結晶化によって、それらの個々のジアステレオマーに分離され得る。エナンチオマーは、エナンチオマー混合物を、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャー酸クロリドなどのキラル補助剤)との反応によって、ジアステレオマー混合物に変換することと、ジアステレオマーを分離することと、個々のジアステレオマーを、対応する純粋なエナンチオマーに変換(例えば、加水分解)することとによって分離され得る。また、本開示の化合物のうちのいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換されたビアリール)であり得、本開示の一部分として考えられる。エナンチオマーはまた、キラルHPLCカラムを使用して分離することもできる。
【0154】
また、本開示の化合物は、異なる互変異性形態で存在し得ることが可能であり、全てのそのような形態は、本開示の範囲、ならびに化学構造及び名称の範囲内に包含される。また、例えば、化合物の全てのケト-エノール及びイミン-エナミン形態は、本開示内に含まれる。
【0155】
(化合物の塩、溶媒和物、エステル及びプロドラッグ、ならびにプロドラッグの塩、溶媒和物及びエステルのものを含む)本化合物の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体及び光学異性体など)、例えば、(不斉炭素の非存在下でも存在し得る)エナンチオマー形態、回転異性体形態、アトロプ異性体及びジアステレオマー形態を含む、様々な置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るものが、位置異性体(例えば、4-ピリジル及び3-ピリジルなど)として、本開示の範囲内で企図される。本開示の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくてもよく、あるいは、例えば、ラセミ体として混合されるか、または全ての他の立体異性体もしくは他の選択される立体異性体と混合される。
【0156】
本開示の化合物のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されているように、SまたはR配置を有することができる。ある特定の実施形態では、各不斉原子は、少なくとも50%のエナンチオマー過剰率、少なくとも60%のエナンチオマー過剰率、少なくとも70%のエナンチオマー過剰率、少なくとも80%のエナンチオマー過剰率、少なくとも90%のエナンチオマー過剰率、少なくとも95%のエナンチオマー過剰率または少なくとも99%のエナンチオマー過剰率を、(R)-または(S)-配置で有する。不飽和二重結合を有する原子における置換基は、可能な場合、シス-(Z)-またはトランス-(E)-形態で存在し得る。
【0157】
「塩」、「溶媒和物」、「エステル」及び「プロドラッグ」という用語などの使用は、本化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体の塩、溶媒和物、エステル及びプロドラッグ、または本化合物のプロドラッグに等しく適用されることが意図されている。
【0158】
本開示の化合物は、塩を形成し得、塩もまた、本開示の範囲内である。本明細書での式(I)の化合物への言及は、概して、別途示されない限り、その塩への言及を含むと理解される。
【0159】
化合物及び中間体は、単離され得、化合物自体として使用され得る。また、本明細書に示されるいずれの式も、化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すことが意図されている。同位体標識化合物は、1個以上の原子が、選択される原子質量または質量数を有する原子によって置換されていることを除いて、本明細書に示される式によって示される構造を有する。本開示の化合物内に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、亜リン酸、フッ素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32Pが挙げられる。本開示は、本明細書に定義される様々な同位体標識化合物、例えば、3H、13C及び14Cなどの放射性同位体が存在するものを含む。そのような同位体標識化合物は、(14Cでの)代謝研究、(例えば、2Hまたは3Hでの)反応動力学研究、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む、ポジトロン放出断層撮影(PET)もしくは単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)などの検出もしくは撮像技法、または患者の放射性治療において有用である。特に、18F、11Cまたは標識化合物は、PETまたはSPECT研究のために特に望ましいことがある。
【0160】
更に、より重い同位体、特に、重水素(すなわち、2HまたはD)での置換は、より大きい代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加、投与量要件の低減、(競合性または時間依存性)CYP450阻害の低減または治療指標の改善からもたらされるある特定の治療的利点を提供することができる。例えば、重水素での置換は、重水素化されていない化合物の望ましくない副作用、例えば、競合性CYP450阻害、時間依存性CYP450不活性化などを調節し得る。この文脈における重水素は、本開示の化合物における置換基として考えられることが理解される。そのようなより重い同位体の濃度、具体的には、重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義され得る。本明細書で使用される場合、「同位体濃縮係数」という用語は、特定の同位体の同位体存在度と天然存在度との間の比を意味する。本開示の化合物における置換基が、重水素と示される場合、そのような化合物は、少なくとも3500(各指定される重水素原子における52.5%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6600(99%の重水素組み込み)または少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)の、各指定される重水素原子についての同位体濃縮係数を有する。
【0161】
本開示の同位体標識化合物は、概して、当業者に既知の従来の技法によって調製されてもよく、またはスキームもしくは実施例に開示される手順、及び以下に記載される調製を、非同位体標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して実施することによって調製されてよい。
【0162】
本開示による薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体置換され得るもの、例えば、D2O、d6-アセトン及びd6-DMSOを含む。
【0163】
本開示は、IKZF2タンパク質レベルの調節剤である化合物に関する。一実施形態では、本開示の化合物は、IKZF2タンパク質レベルを減少させる。別の実施形態では、本開示の化合物は、IKZF2タンパク質レベルを低減する。更に別の実施形態では、本開示の化合物は、IKZF2の分解剤である。
【0164】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、他のタンパク質よりも選択的である。本明細書で使用される場合、「選択的調節剤」、「選択的分解剤」または「選択的化合物」とは、例えば、特定のタンパク質のレベルを有効に調節する、減少させるもしくは低減するか、または特定のタンパク質を、いずれかの他のタンパク質よりも大きい程度まで分解する、本開示の化合物を意味する。「選択的調節剤」、「選択的分解剤」または「選択的化合物」は、例えば、特定のタンパク質のレベルを調節する、減少させるもしくは低減するか、またはそれを分解する化合物の能力と、他のタンパク質のレベルを調節する、減少させるもしくは低減するか、またはそれを分解するその能力とを比較することによって特定され得る。いくつかの実施形態では、選択性は、化合物のAC50、EC50またはIC50を測定することによって特定され得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、本出願の化合物は、選択的IKZF2調節剤である。本明細書で使用される場合、「選択的IKZF2調節剤」、「選択的IKZF2分解剤」または「選択的IKZF2化合物」とは、例えば、IKZF2タンパク質のレベルを有効に調節する、減少させるもしくは低減するか、またはIKZF2タンパク質を、いずれかの他のタンパク質、特に、Ikarosタンパク質ファミリー(例えば、IKZF1、IKZF3、IKZF4及びIKZF5)からのいずれかのタンパク質(転写因子)よりも大きい程度まで分解する、本出願の化合物を指す。
【0166】
「選択的IKZF2調節剤」、「選択的IKZF2分解剤」または「選択的IKZF2化合物」は、例えば、IKZF2タンパク質レベルを調節する化合物の能力と、Ikarosタンパク質ファミリーの他のメンバーまたは他のタンパク質のレベルを調節するその能力とを比較することによって特定され得る。例えば、物質は、IKZF2タンパク質レベル、ならびにIKZF1、IKZF3、IKZF4、IKZF5及び他のタンパク質を調節するその能力についてアッセイされ得る。いくつかの実施形態では、選択性は、化合物のEC50を測定することによって特定され得る。いくつかの実施形態では、選択性は、化合物のAC50を測定することによって特定され得る。いくつかの実施形態では、選択性は、化合物のDC50を測定することによって特定され得る。いくつかの実施形態では、選択的IKZF2分解剤は、IKZF2を分解する化合物の能力と、Ikarosタンパク質ファミリーの他のメンバーまたは他のタンパク質を分解するその能力とを比較することによって特定される。
【0167】
ある特定の実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、他のタンパク質(例えば、IKZF1、IKZF3、IKZF4及びIKZF5)の分解についてよりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、25倍、50倍または100倍の選択性を示すIKZF2分解剤である。様々な実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、他のタンパク質の分解についてよりも最大1000倍の選択性を示す。
【0168】
ある特定の実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、Ikarosタンパク質ファミリーの他のメンバー(例えば、IKZF1、IKZF3、IKZF4及びIKZF5)の分解についてよりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、25倍、50倍または100倍の選択性を示す。様々な実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、Ikarosタンパク質ファミリーの他のメンバー(例えば、IKZF1、IKZF3、IKZF4及びIKZF5)の分解についてよりも最大1000倍の選択性を示す。
【0169】
ある特定の実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF1の分解についてよりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、25倍、50倍または100倍の選択性を示す。様々な実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF1の分解についてよりも最大1000倍の選択性を示す。ある特定の実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF3の分解についてよりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、25倍、50倍または100倍の選択性を示す。様々な実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF3の分解についてよりも最大1000倍の選択性を示す。
【0170】
ある特定の実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF4の分解についてよりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、25倍、50倍または100倍の選択性を示す。様々な実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF4の分解についてよりも最大1000倍の選択性を示す。
【0171】
ある特定の実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF5の分解についてよりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、25倍、50倍または100倍の選択性を示す。様々な実施形態では、本出願の化合物は、IKZF2の分解について、IKZF5の分解についてよりも最大1000倍の選択性を示す。
【0172】
いくつかの実施形態では、IKZF2の分解は、AC50によって測定される。別の実施形態では、IKZF2の分解は、DC50によって測定される。
【0173】
の効力は、AC50値によって決定され得る。実質的に同様の分解条件下で決定された場合、より低いAC50値を有する化合物は、より高いAC50値を有する化合物に対してより効力のある分解剤である。いくつかの実施形態では、実質的に同様の条件は、特定のタンパク質またはその任意のフラグメントを発現する細胞におけるタンパク質レベルの分解を決定することを含む。
【0174】
の効力は、DC50値によって決定され得る。実質的に同様の分解条件下で決定された場合、より低いDC50値を有する化合物は、より高いDC50値を有する化合物に対してより効力のある分解剤である。いくつかの実施形態では、実質的に同様の条件は、特定のタンパク質またはその任意のフラグメントを発現する細胞におけるタンパク質レベルの分解を決定することを含む。
【0175】
本開示は、本明細書に記載される化合物、及びその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体または互変異性体、ならびに本明細書に記載される1つ以上の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む薬学的組成物を対象とする。
【0176】
本開示の化合物を合成する方法
本開示の化合物は、標準的な化学を含む様々な方法によって作製され得る。好適な合成経路は、以下のスキーム1~7に示される。
【化6】
式中、R
x、R
2、R
2’、R
4、R
5及びnは、式(I)で定義される。
【0177】
スキーム1は、式(I)に具体化される化合物(式中、R
4が、(C
1-C
6)アルキルである)を合成するための一般的な経路を示す。化合物1-I及びボロン酸エステル1-IIを、溶媒(例えば、1,4-ジオキサン及び水)の混合物中の、触媒(例えば、Pd(tBu
3P)
2)及び塩基(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))の存在下で、任意選択で高温で鈴木クロスカップリングすることにより、1-IIIが得られる。1-IIIを、溶媒(例えば、ジクロロメタン(DCM)、イソプロピルアルコール(IPA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)など)の混合物中の、酸素、適切な触媒(例えば、Mn(dpm)
3)及び化学量論的シラン(例えば、トリフェニルシラン)の存在下で、周囲温度で水和させることにより、1-IVが得られる。窒素保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル(Boc)保護基)を脱保護して、ピペリジン1-Vを得ることは、酸性条件下(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)または塩化水素(HCl))で、溶媒(例えば、DCMまたは1,4-ジオキサン)中で達成され得る。1-Vのアルキル化は、式1-VIのアルデヒドまたはケトンでの還元的アミノ化を介して、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の還元剤(例えば、NaBH
4またはNaBH(OAc)
3)の存在下で、任意選択で、乾燥剤(例えば、MgSO
4またはNa
2SO
4)の存在下で達成され得る。代替的に、1-VIIにおけるようにハロゲン化物または他の脱離基を有するアルキル部分は、ピペリジン1-Vで、塩基条件(例えば、DIPEA、トリエチルアミン(TEA)またはCs
2CO
3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度または高温で処理されて、1-VIII(例えば、式(I)の化合物、式中、R
4が、(C
1-C
6)アルキルである)が得られ得る。
【化7】
式中、R
2、R
2’、R
4、R
5及びnは、式(I)で定義される。
【0178】
スキーム2は、式(I)の化合物(式中、R
3が、フルオロまたはメトキシである)を調製するための一般的な様式を概説する。ブロモフタル酸無水物2-Iは、グルタミン2-IIで、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下でかつ溶媒(例えば、トルエン)中で、任意選択で高温で処理されて、2-IIIが得られ得る。2-III及びボロン酸エステル1-IIを、溶媒(例えば、1,4-ジオキサン及び水)の混合物中の、触媒(例えば、Pd(tBu
3P)
2)及び塩基(例えば、DIPEA)の存在下で、任意選択で高温で鈴木クロスカップリングすることにより、2-Vが得られる。2-Vを、溶媒(例えば、DCM、IPA、DMFなど)の混合物中の、酸素、適切な触媒(例えば、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)マンガン(III)(Mn(dpm)
3))及び化学量論的シラン(例えば、トリフェニルシラン)の存在下で、周囲温度で水和させることにより、2-VIが得られ、次いで、2-VIは、フッ素化されてもよくまたはメチル化されてもよい。2-VIのフッ素化は、溶媒(例えば、DCMまたはテトラヒドロフラン(THF))中のフッ素化試薬(例えば、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST))で、任意選択で低温で処理して、2-VII(式中、R
3が、Fである)を得ることによって達成され得る。代替的に、2-VIのメチル化は、溶媒(例えば、THF)中の、メチル化剤(例えば、ヨードメタン)及び塩基(例えば、水素化ナトリウム)の存在下で、任意選択で低温で実行されて、2-VII(式中、R
3が、-OMeである)が得られ得る。次いで、グルタルイミド環は、2-VIIを、溶媒(例えば、アセトニトリル)中のスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸)とともに加熱することによって環化されて、2-VIIIが得られ得る。アミン保護基が、Bocであるときに、2-VIIIを、酸性条件(例えば、HCl、TFA)下で、溶媒(例えば、1,4-ジオキサン、DCM)中で脱保護し、その後、ピペリジンを、式1-VIのアルデヒドもしくはケトンでの還元的アミノ化によって、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の還元剤(例えば、NaBH
4またはNaBH(OAc)
3)の存在下で、任意選択で、乾燥剤(例えば、MgSO
4またはNa
2SO
4)の存在下でアルキル化するか、または1-VIIにおけるようにハロゲン化物もしくは他の脱離基を有するアルキル部分で、塩基条件(例えば、DIPEA、TEAまたはCs
2CO
3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度もしくは高温で処理することによってアルキル化することのいずれかにより、2-IX(式(I)の化合物、式中、R
3が、フルオロまたはメトキシである)が得られる。
【化8】
式中、R
2、R
2’、R
4、R
5及びnは、式(I)で定義される。
【0179】
スキーム3は、式(I)の化合物(式中、R
3=Me)を作製するための一般的な様式を概説する。2III及びボロン酸エステル3-Iの鈴木クロスカップリングは、溶媒(例えば、1,4-ジオキサン及び水)の混合物中の、触媒(例えば、Pd(tBu
3P)
2)及び塩基(例えば、DIPEA)の存在下で、任意選択で高温で実施されて、3-IIが得られ得る。オレフィンのメチル化は、3-IIを、溶媒(例えば、THF)中の塩基(例えば、n-ブチルリチウム)で、低温で処理し、続いて、メチル化剤(例えば、硫酸ジメチル)を添加して、3-IIIを得ることによって達成され得る。グルタルイミド環の環化は、溶媒(例えば、アセトニトリル(ACN))中のスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸)を使用して、高温で達成されて、3-IVが得られ得る。3-IVの更なる官能化は、ピペリジン上のベンジル基を、触媒水素化条件を使用して(例えば、溶媒(例えば、DCM)中の水素化触媒(例えば、Pd/CまたはPtO
2)を使用して、水素ガスの雰囲気下で)脱保護して、3-V(式中、R
4がHである)を得ることによって達成され得る。その後、ピペリジン(3-V、式中、R
4がHである)を、式1-VIのアルデヒドもしくはケトンでの還元的アミノ化によって、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の還元剤(例えば、NaBH
4またはNaBH(OAc)
3)の存在下で、任意選択で、乾燥剤(例えば、MgSO
4またはNa
2SO
4)の存在下でアルキル化するか、または式1-VIIにおけるようにハロゲン化物もしくは他の脱離基を有するアルキル部分で、塩基条件(例えば、DIPEA、TEAまたはCs
2CO
3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度もしくは高温で処理することによってアルキル化することのいずれかにより、3-V(式(I)の化合物、式中、R
3=Me)が得られる。
【化9】
式中、R
2、R
2’及びR
4は、式(I)で定義される。
【0180】
スキーム4は、式(I)の化合物(式中、R
3=-CH
2NH
2、-CH
2NHR
10または-CH
2NR
10R
11)を作製するための一般的な様式を概説する。アルキルブロミド4-Iを、溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)中のシアン化ナトリウムで、高温で処理することにより、4-IIが得られる。ピペリジン環の形成は、4-IIを、4-IIIで、塩基(例えば、水素化ナトリウム)及び溶媒(例えば、THF)の存在下で、任意選択で高温で処理することによって達成され得る。4-IVを、溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド)中の、3-アミノグルタルイミド4-V、カルボニル化試薬(例えば、モリブデンヘキサカルボニル)、触媒(例えば、酢酸パラジウム(II)((Pd(OAc)
2)
3))、リガンド(例えば、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(CataCXium A))及び塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、高温でカルボニル化することにより、4-VIが得られる。(例えば、保護基が、Bocであるときの)ピペリジン保護基の除去は、酸性条件下(例えば、HClまたはTFA)で、溶媒(例えば、1,4-ジオキサンまたはDCM)中で達成され得る。その後、ピペリジンを、式1-VIのアルデヒドもしくはケトンでの還元的アミノ化によってアルキル化するか、または式1-VIIにおけるようにハロゲン化物もしくは他の脱離基を有するアルキル部分で、塩基条件(例えば、DIPEA、TEAまたはCs
2CO
3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度もしくは高温で処理することによってアルキル化することのいずれかにより、4-VIIIが得られる。ニトリルを、水素で、任意選択で高圧で、溶媒(例えば、エタノール)及び酸(例えば、HCl)中の触媒(例えば、水酸化白金)の存在下で還元することにより、アミノメチル類似体が得られ、アミノメチル類似体は、式1-VIのアルデヒドもしくはケトンでの還元的アミノ化によって、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の還元剤(例えば、NaBH
4またはNaBH(OAc)
3)の存在下で、任意選択で、乾燥剤(例えば、MgSO
4またはNa
2SO
4)の存在下で更に処理されるか、または1-VIIで、塩基条件(例えば、DIPEA、TEAまたはCs
2CO
3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度もしくは高温でアルキル化することによって更に処理されて、4-IX(式中、R
10及びR
11は、式(I)に記載される)が得られ得る。
【化10】
式中、R
2、R
2’、R
4、R
5及びnは、式(I)で定義される。
【0181】
式(I)の化合物(式中、R
3=-CO
2CH
3、-CH
2OH、-C(O)OH及び-C(O)NR
10N
11)を調製するための一般的な様式が、スキーム5に示される。4-IVの加水分解は、酸性条件下(例えば、硫酸)で、溶媒(例えば、メタノール)中で、高温で達成されて、5-Iが得られ得る。5-Iを、溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド)中の、3-アミノグルタルイミド4-V、カルボニル化試薬(例えば、モリブデンヘキサカルボニル)、触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、リガンド(例えば、CataCXium A)及び塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、高温でカルボニル化することにより、5-IIが得られる。Boc保護基の脱保護または除去は、5-IIを、溶媒(例えば、1,4-ジオキサンまたはTHF)中の酸(例えば、HClまたはTFA)とともに撹拌して、5-IIIを得ることによって完了させることができる。その後、1-VIでの還元的アミノ化によって、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の還元剤(例えば、NaBH
4またはNaBH(OAc)
3)の存在下で、任意選択で、乾燥剤(例えば、MgSO
4またはNa
2SO
4)の存在下でアルキル化するか、または1-VIIで、塩基条件(例えば、DIPEA、TEAまたはCs
2CO
3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度もしくは高温でアルキル化することのいずれかにより、5-IVが得られる。5-IVを、酸性条件下(例えば、硫酸)でけん化することにより、式(I)の化合物(式中、R
3=-C(O)OH)が得られる。5-V(式中、R
3=-C(O)OH)を、溶媒(例えば、DCM、DMF)中の、アミン(例えば、NHR
10R
11)、カップリング試薬(例えば、HATU、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)/HOBt)及び塩基(例えば、DIPEA、TEA)で処理することにより、5-V(式中、R
3=-C(O)NR
10R
11)(式(I)の化合物、式中、R
3=-C(O)NR
10R
11)が得られる。
【化11】
式中、R
2、R
2’、R
4、R
5及びnは、式(I)で定義される。
【0182】
式(I)の化合物(式中、R
3=-C(O)NH
2)を調製するための一般的な経路が、スキーム6に示される。4-IVを、酸(例えば、硫酸)で、任意選択で高温で処理することにより、ニトリルが加水分解されて、アミド6-Iが得られる。6-Iを、溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド)中の、3-アミノグルタルイミド4-V、カルボニル化試薬(例えば、モリブデンヘキサカルボニル)、触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、リガンド(例えば、CataCXium A)及び塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、高温でカルボニル化することにより、6-IIが得られる。Pが、Bocであるときに、脱保護は、6-IIを、溶媒(例えば、1,4-ジオキサンまたはTHF)中の酸(例えば、HClまたはTFA)とともに撹拌することによって完了させることができ、その後、1-VIでの還元的アミノ化によって、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の還元剤(例えば、NaBH
4またはNaBH(OAc)
3)の存在下で、任意選択で、乾燥剤(例えば、MgSO
4またはNa
2SO
4)の存在下でアルキル化するか、または1-VIIで、塩基条件(例えば、DIPEA、TEAまたはCs
2CO
3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度もしくは高温でアルキル化することのいずれかにより、6-III(式(I)の化合物、式中、R
3=-C(O)NH
2)が得られる。
【化12】
式中、R
2、R
2’、R
4、R
5及びnは、式(I)で定義される。
【0183】
スキーム7は、式(I)の化合物(式中、R3=-NH2)を調製するための一般的な経路を概説する。6-Iを、溶媒(例えば、アセトニトリル)及び水中の適切な超原子価ヨウ素化合物(例えば、ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン、ヨードベンゼンジアセテート)で、周囲温度または任意選択で高温で処理することにより、7-Iが得られる。一級アミンを、直交アミン保護基(例えば、ベンジル、N-カルボキシベンジル(Cbz)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc))で保護することにより、7-IIが得られる。7-IIを、溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド)中の、3-アミノグルタルイミド4-V、カルボニル化試薬(例えば、モリブデンヘキサカルボニル)、触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、リガンド(例えば、CataCXium A)及び塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、高温でカルボニル化することにより、7-IIIが得られる。Pが、Bocであるときの7-IIIの脱保護は、7-IIIを、溶媒(例えば、1,4-ジオキサンまたはTHF)中の酸(例えば、HClまたはTFA)中で撹拌することによって達成され得る。1-VIでの還元的アミノ化によって、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の還元剤(例えば、NaBH4またはNaBH(OAc)3)の存在下で、任意選択で、乾燥剤(例えば、MgSO4またはNa2SO4)の存在下でアルキル化するか、または1-VIIにおけるようにハロゲン化物もしくは他の脱離基を有するアルキル部分で、塩基条件(例えば、DIPEA、TEAまたはCs2CO3など)下で、有機溶媒(例えば、DCM、DMFなど)中で、周囲温度もしくは高温でアルキル化することのいずれかにより、7-IVが得られ、続いて、アミン保護基P’を脱保護することにより、7-V(式(I)の化合物、式中、R3=-NH2)が得られる。
【0184】
本開示の化合物は、以下の合成スキームによって部分的に記載される、有機合成の技術分野で既知の方法によって調製され得る。以下に記載されるスキームにおいて、感受性または反応性基のための保護基は、必要な場合、一般的な原理または化学に従って使用されることが十分に理解されよう。保護基は、有機合成の標準的な方法(T.W.Greene and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Third edition,Wiley,New York 1999)に従って処理される。これらの基は、化合物合成の好都合な段階で、当業者には容易に明らかである方法を使用して除去される。
【0185】
立体中心が、本開示の化合物において存在するかは、当業者には認識されよう。したがって、本開示は、両方の可能な立体異性体(合成において特定されない限り)を含み、ラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマー及び/またはジアステレオマーも含む。化合物が、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして望ましいときに、これは、立体特異的合成によって、または最終生成物もしくはいずれかの好都合な中間体の分割によって得られ得る。最終生成物、中間体、または出発材料の分割は、当該技術分野で知られている任意の好適な方法によって影響され得る。例えば、E.L.Eliel,S.H.Wilen,and L.N.Manderによる“Stereochemistry of Organic Compounds”(Wiley-Interscience,1994)を参照されたい。
【0186】
本明細書に記載される化合物は、市販の出発材料から作製されてもよく、あるいは、既知の有機、無機及び/または酵素プロセスを使用して合成されてもよい。本開示の化合物は、有機合成の技術分野の当業者に周知のいくつかの様式で調製され得る。例として、本開示の化合物は、有機化学の技術分野で既知の合成方法と一緒に、以下に記載される方法を使用して合成されてもよく、または当業者によって理解されるそれらの変形形態を使用して合成されてもよい。
【0187】
上記のプロセスから得られるエナンチオマー、ジアステレオマー及びシス/トランス異性体の混合物は、分離の性質に応じて、キラル塩技法、順相、逆相またはキラルカラムを使用するクロマトグラフィーによって、それらの単一の構成要素に分離され得る。本開示の化合物または中間体のいずれかの得られたラセミ体は、既知の方法、例えば、光学活性酸または塩基で得られるそのジアステレオマー塩の分離、及び光学活性酸性または塩基性化合物の遊離によって、光学対掌体に分割され得る。したがって、特に、塩基性部分は、本開示の化合物を、例えば、光学活性酸、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ-O,O’-p-トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸またはカンフル-10-スルホン酸で形成された塩の分別結晶化によって、それらの光学対掌体に分割するために使用され得る。本開示のラセミ化合物またはラセミ中間体はまた、キラルクロマトグラフィー、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、キラル吸着剤を使用して分割され得る。
【0188】
立体異性体のいずれかの得られた混合物は、構成物の物理化学的差に基づいて、例えば、クロマトグラフィー及び/または分別結晶化によって、純粋または実質的に純粋な幾何学または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に分離され得る。
【0189】
本開示の化合物を使用する方法
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの調節に関連するまたはそれによって影響される、患者における疾患または障害を治療、予防、阻害または排除する方法に関する。方法は、IKZF2タンパク質レベルの調節に関連する疾患または障害のための治療を必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0190】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減または減少によって影響される疾患または障害を治療、予防、阻害または排除する方法に関する。方法は、IKZF2タンパク質レベルの低減によって影響される疾患または障害のための治療を必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0191】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの調節に関連するまたはそれによって影響される疾患または障害を治療、予防、阻害または排除するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減または減少によって影響される疾患または障害を治療、予防、阻害または排除するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。
【0192】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少に関連するまたはそれによって影響される疾患または障害を治療、予防、阻害または排除するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0193】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを調節する、低減するまたは減少させる方法を対象とする。方法は、それを必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して調節される、低減されるまたは減少する。他の実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して調節される、低減されるまたは減少する。
【0194】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの低減または減少に関連する、患者における疾患または障害を治療、予防、阻害または排除する方法であって、それを必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0195】
本開示はまた、IKZF2依存性疾患または障害の治療、予防、阻害または排除において使用される医薬品の調製のための、IKZF2の分解剤の使用であって、医薬品が、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を含む、使用に関する。
【0196】
別の態様では、本開示は、IKZF2依存性疾患または障害を治療、予防、阻害または排除するための方法であって、医薬品が、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を含む、方法に関する。
【0197】
別の態様では、本開示は、媒介されるIKZF2依存性疾患または障害を治療、予防、阻害または排除するための医薬品を製造するための方法であって、医薬品が、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を含む、方法に関する。
【0198】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少に関連する疾患または障害を治療するための医薬品の製造における使用のための、(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して調節される。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して調節される。
【0199】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少に関連する疾患の治療における使用のための、(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して調節される、低減されるまたは減少する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して調節される、低減されるまたは減少する。
【0200】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少に関連する疾患の治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して調節される、低減されるまたは減少する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して調節される、低減されるまたは減少する。
【0201】
別の態様では、本開示は、IKZF2の分解を介してIKZF2活性を阻害する方法に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0202】
本開示の別の態様は、IKZF2の分解を介してIKZF2活性を阻害するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0203】
別の態様では、本開示は、IKZF2の分解を介する、IKZF2活性の阻害における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0204】
本開示の別の態様は、IKZF2の分解を介してIKZF2活性を阻害するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0205】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルを低減するまたは減少させることによる、IKZF2依存性疾患または障害の治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物であって、IKZF2タンパク質レベルの低減または減少が、IKZF2依存性疾患または障害を治療する、(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、組成物に関する。別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減するまたは減少させることによる、IKZF2依存性疾患または障害の治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用であって、IKZF2タンパク質レベルの低減または減少が、IKZF2依存性疾患または障害を治療する、使用。
【0206】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減するまたは減少させることによってIKZF2依存性疾患または障害を治療するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用であって、IKZF2タンパク質レベルの低減または減少が、IKZF2依存性疾患または障害を治療する、使用。
【0207】
本開示の別の態様は、がんを治療する方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0208】
別の態様では、本開示は、がんを治療する治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。
【0209】
本開示の別の態様は、がんを治療するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0210】
別の態様では、本開示は、がんの治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0211】
本開示の別の態様は、IKZF2依存性がんを治療する方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0212】
別の態様では、本開示は、IKZF2依存性がんを治療する治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。
【0213】
本開示の別の態様は、IKZF2依存性がんを治療するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0214】
別の態様では、本開示は、IKZF2依存性がんの治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0215】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少によって影響されるがんを治療する方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0216】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少によって影響されるがんを治療する治療における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。
【0217】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少によって影響されるがんを治療するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0218】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの調節、低減または減少によって影響されるがんの治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0219】
本開示の別の態様は、IKZF2を分解する方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0220】
別の態様では、本開示は、IKZF2を分解するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0221】
本開示の別の態様は、IKZF2の分解における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0222】
別の態様では、本開示は、IKZF2を分解するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0223】
別の態様では、本開示は、IKZF2の分解を介してIKZF2タンパク質レベルを調節する方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0224】
本開示の別の態様は、IKZF2の分解を介してIKZF2タンパク質レベルを調節するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0225】
別の態様では、本開示は、IKZF2の分解を介する、IKZF2タンパク質レベルの調節における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0226】
本開示の別の態様は、IKZF2の分解を介してIKZF2タンパク質レベルを調節するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0227】
本開示の別の態様は、IKZF2依存性疾患または障害の治療を必要としている患者におけるIKZF2依存性疾患または障害を、IKZF2の分解を介してIKZF2タンパク質レベルを調節することによって治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0228】
別の態様では、本開示は、IKZF2依存性疾患または障害の治療を必要としている患者におけるIKZF2依存性疾患または障害を、IKZF2の分解を介してIKZF2タンパク質レベルを調節することによって治療するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0229】
本開示の別の態様は、IKZF2依存性疾患または障害の治療を必要としている患者におけるIKZF2依存性疾患または障害を、IKZF2の分解を介してIKZF2タンパク質レベルを調節することによって治療することにおける使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0230】
別の態様では、本開示は、IKZF2依存性疾患または障害の治療を必要としている患者におけるIKZF2依存性疾患または障害を、IKZF2の分解を介してIKZF2タンパク質レベルを調節することによって治療するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質の分解はE3リガーゼによって媒介される。
【0231】
本開示の別の態様は、細胞の増殖を低減する方法であって、細胞を、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物と接触させ、それによって、IKZF2タンパク質レベルを低減することを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して低減される。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して低減される。
【0232】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減することによって細胞の増殖を低減するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して低減される。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して低減される。
【0233】
本開示の別の態様は、IKZF2タンパク質レベルによる、細胞の増殖の低減における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して低減される。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して低減される。
【0234】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減することによって細胞の増殖を低減するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、IKZF2タンパク質の分解を介して低減される。いくつかの実施形態では、IKZF2タンパク質レベルは、E3リガーゼによって媒介されるIKZF2タンパク質の分解を介して低減される。
【0235】
別の態様では、本開示は、IKZF2依存性疾患または障害を治療するための方法に関する。方法は、それを必要としている対象に、治療有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与するステップを含む。
【0236】
本開示の別の態様は、IKZF2依存性疾患または障害の治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0237】
別の態様では、本開示は、IKZF2依存性疾患または障害を治療するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体の使用に関する。
【0238】
本開示の別の態様は、IKZF2依存性疾患または障害を治療するための医薬品の製造における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0239】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減する方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0240】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物に関する。
【0241】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、組成物の使用に関する。
【0242】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減する方法であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、疾患または障害を治療するまたは寛解させる、方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0243】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルの低減における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、疾患または障害を治療するまたは寛解させる、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、組成物に関する。
【0244】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、組成物の使用であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、疾患または障害を治療するまたは寛解させる、使用に関する。
【0245】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減することによって疾患または障害を治療する方法であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、疾患または障害を治療するまたは寛解させる、方法に関する。方法は、それを必要としている患者に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物を投与することを含む。
【0246】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減することによる、疾患または障害の治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、疾患または障害を治療するまたは寛解させる、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、組成物に関する。
【0247】
別の態様では、本開示は、IKZF2タンパク質レベルを低減することによって疾患または障害を治療するための医薬品の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体もしくは互変異性体、あるいは、組成物の使用であって、IKZF2タンパク質レベルの低減が、疾患または障害を治療するまたは寛解させる、使用に関する。
【0248】
本開示の化合物は、脂肪肉腫、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、膀胱癌、副腎皮質癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、ヒトパピローマウイルス関連子宮頸、中咽頭、陰茎、肛門、甲状腺もしくは膣癌、またはエプスタインバーウイルス関連上咽頭癌、胃癌、直腸癌、甲状腺癌、ホジキンリンパ腫、あるいは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選択される疾患または障害の治療のために使用され得る。がんは、前立腺癌、乳癌、リンパ腫、白血病、骨髄腫、膀胱癌、結腸癌、皮膚黒色腫、肝細胞癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、腎臓癌、多形神経膠芽腫、神経膠腫、甲状腺癌、副甲状腺腫瘍、上咽頭癌、舌癌、膵臓癌、食道癌、胆管細胞癌、胃癌、軟部組織肉腫、横紋筋肉腫(RMS)、滑膜肉腫、骨肉腫、ラブドイド癌、免疫応答が欠損したがん、免疫原性がん及びユーイング肉腫から選択される。一実施形態では、IKZF2依存性疾患または障害は、疾患または障害である非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド及び消化管間質腫瘍(GIST)から選択される。別の実施形態では、がんは、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)、胸腺腫、カルチノイド、急性骨髄性白血病及び消化管間質腫瘍(GIST)から選択される。別の実施形態では、IKZF2依存性疾患または障害は、疾患または障害である非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、上咽頭癌(NPC)及びマイクロサテライト安定性結腸直腸癌(mssCRC)から選択される。
【0249】
本開示の開示される化合物は、対象における障害を治療もしくは予防するのに有効な量、及び/またはその発症を予防するのに有効な量で投与され得る。
【0250】
本開示の化合物の投与、薬学的組成物及び投薬
開示される化合物の投与は、治療剤のためのいずれかの投与様式を介して達成され得る。これらの様式としては、全身または局所投与、例えば、経口、経鼻、非経口、経皮、皮下、膣内、口腔、直腸、または局所投与様式が挙げられる。
【0251】
意図された投与様式に応じて、開示される組成物は、固体、半固体または液体剤形、例えば、注射剤、錠剤、坐剤、ピル、徐放性カプセル剤、エリキシル剤、チンキ剤、エマルジョン、シロップ、粉末、液体または懸濁液などであることができ、これらの剤形は、しばしば、単位投与量であり、従来の薬学的実施と一致する。同様に、組成物はまた、静脈内(ボーラス及び注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内形態、及び薬学的分野の当業者に周知の全ての使用形態で投与され得る。
【0252】
例示的な薬学的組成物は、本開示の化合物と、a)希釈剤、例えば、精製水、トリグリセリド油、例えば、硬化もしくは部分硬化植物油またはそれらの混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、魚油、例えば、EPAもしくはDHA、またはそれらのエステルもしくはトリグリセリド、あるいは、それらの混合物、オメガ-3脂肪酸もしくはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコース、及び/またはグリシン;b)潤滑剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び/またはポリエチレングリコール;また、錠剤については、所望の場合、c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、天然糖、例えば、グルコースもしくはベータ-ラクトース、トウモロコシ甘味料、天然及び合成ガム、例えば、アカシア、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウム、ワックス、及び/またはポリビニルピロリドン;d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;e)吸収剤、着色剤、風味剤及び甘味料;f)乳化剤または分散剤、例えば、Tween 80、Labrasol、HPMC、DOSS、caproyl 909、labrafac、labrafil、peceol、transcutol、capmul MCM、capmul PG-12、captex 355、gelucire、ビタミンE TGPSまたは他の許容される乳化剤;及び/またはg)化合物の吸収を増強する薬剤、例えば、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、PEG200などの薬学的に許容される担体とを、含む、錠剤及びゼラチンカプセル剤である。
【0253】
液体組成物、特に、注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製され得る。例えば、開示される化合物は、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール及びエタノールなどの薬学的に許容される溶媒中に溶解させるかまたはそれと混合されて、それによって、注射可能な等張溶液または懸濁液を形成する。アルブミン、カイロミクロン粒子、または血清タンパク質などのタンパク質を使用して、開示される化合物を可溶化することができる。
【0254】
開示される化合物はまた、坐剤として製剤化され得、坐剤は、プロピルレングリコールなどのポリアルキレングリコールを担体として使用して、脂肪エマルジョンまたは懸濁液から調製され得る。
【0255】
開示される化合物はまた、リポソーム送達系の形態、例えば、小単層ベシクル、大単層ベシクル及び多層ベシクルで投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンを含有する様々なリン脂質から形成され得る。
【0256】
いくつかの実施形態では、脂質構成要素のフィルムは、薬物の水溶液で水和させて、薬物を封入する脂質層を形成し、これは、米国特許第5,262,564号に記載されており、これは、その全体が参照により援用される。
【0257】
開示される化合物は、開示される化合物が結合している個別の担体としてのモノクローナル抗体の使用によっても送達され得る。開示される化合物は、標的可能な薬物担体として可溶性ポリマーとも結合され得る。かかるポリマーとしては、パルミトイル残基で置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパンアミドフェノール、またはポリエチレンオキシドポリリシンが挙げられ得る。更に、開示される化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合することができる。一実施形態では、開示される化合物は、ポリマー、例えば、ポリカルボン酸ポリマーまたはポリアクリレートに共有結合していない。
【0258】
非経口注射剤投与は、概して、皮下、筋肉内、または静脈内注射及び注入のために使用される。注射剤は、従来の形態で、液体溶液もしくは懸濁液のいずれかとして、または注射前に液体中に溶解させるのに好適な固体形態で調製され得る。
【0259】
本開示の別の態様は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を対象とする。この薬学的に許容される担体は、賦形剤、希釈剤、または界面活性剤を更に含み得る。
【0260】
本開示の別の態様は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を対象とする。この薬学的に許容される担体は、賦形剤、希釈剤、または界面活性剤を更に含み得る。
【0261】
組成物は、それぞれ、従来の混合、顆粒化またはコーティング方法に従って調製され得、本薬学的組成物は、重量または体積で約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%の開示される化合物を含有することができる。
【0262】
一実施形態では、本開示は、2つ以上の別個の薬学的組成物を含むキットであって、薬学的組成物のうちの少なくとも1つが、本開示の化合物を含有する、キットを提供する。一実施形態では、キットは、当該組成物を別個に保持するための手段、例えば、容器、分割されたボトルまたは分割されたホイルパケットを含む。そのようなキットの例は、典型的には錠剤及びカプセル剤などの包装に使用されるブリスターパックである。
【0263】
本開示のキットは、異なる剤形、例えば、経口及び非経口の剤形を投与するために使用されてもよく、別個の組成物を異なる投与間隔で投与するために使用されてもよく、または別個の組成物を互いに対して滴定するために使用されてもよい。コンプライアンスを支援するために、本開示のキットは、典型的には、投与についての説明書を含む。
【0264】
開示される化合物を使用する投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別及び医学的状態、治療される状態の重症度、投与経路、患者の腎臓または肝臓機能、ならびに使用される特定の開示される化合物を含む様々な要因に従って選択される。当該技術分野における通常の技術を有する医師または獣医であれば、その状態を予防するか、それに対抗するか、その進行を停止させるのに必要な薬物の有効量を容易に決定及び処方することができる。
【0265】
開示される化合物の有効投与量は、示される効果のために使用されるときに、状態の治療の必要性に応じて、約0.5mg~約5000mgの範囲の開示される化合物である。インビボまたはインビトロ使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500もしくは5000mg、または用量のリスト内での1つの量から別の量までの範囲の開示される化合物を含有することができる。一実施形態では、本組成物は、割線入りであってもよい錠剤の形態である。
【0266】
本開示の化合物は、1つ以上の治療剤(薬学的組み合わせ)またはモダリティ、例えば、非薬物療法との併用療法において、治療有効量で投与され得る。例えば、相乗効果は、他のがん剤とともに発生することができる。本出願の化合物が、他の療法とともに投与される場合、同時投与される化合物の投与量は、もちろん、使用される同時薬物のタイプ、使用される特定の薬物及び治療される状態などに応じて変動する。
【0267】
化合物は、他の薬物療法または治療モダリティと(単一の調製物または別個の調製物として)同時に、順次に、別個にまたはある期間にわたって投与され得る。概して、併用療法は、単一の療法サイクルまたはコース中に2つ以上の薬物を投与することを想定する。治療剤は、例えば、化合物、ペプチド、抗体、抗体断片または核酸であり、これは、患者に、本開示の化合物との組み合わせで投与されたときに、治療的に活性であるかまたは治療的活性を増強する。
【実施例】
【0268】
本発明を以下の実施例で更に記載するが、それらは特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0269】
分析方法、材料、及び計装
特に明記しない限り、試薬及び溶媒は、商業サプライヤーから受領したまま使用された。プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、別途記載されない限り、Bruker Avance Neo nano bay 400 MHz NMR Spectrometerにおいて取得した。スペクトルを、ppm(δ)で示し、結合定数Jを、ヘルツで報告する。テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として使用した。化学シフトを、NMRスペクトルデータに示されるように、ジメチルスルホキシド(δ2.50)、メタノール(δ3.31)、クロロホルム(δ7.26)または他の溶媒に対して、ppmで報告する。少量(例えば、1~2mg)の試料を、適切な重水素化溶媒(例えば、0.6mL)中に溶解させる。化学名称を、CambridgeSoftからのChemBioDraw 19.0を使用して生成した。
【0270】
質量スペクトル(ESI-APCI)を、Shimadzu N-Series UPLC-MSシステム(LCMS-2020)を使用して収集した。報告される全ての質量は、別途記録されない限り、プロトン化親イオンのm/zである。試料を、メタノール、アセトニトリルまたはDMSOなどの好適な溶媒中に溶解させ、自動試料ハンドラを使用して、カラム内に直接注入した。分析を、以下のように実行した。Waters Acquity UPLC CSH C18 1.7μm、2.1×30mm:流量:1.0mL/分;40℃(カラム温度)溶媒A:水中の0.1%のギ酸、溶媒B:アセトニトリル中の0.1%のギ酸、勾配:溶媒A:0.01分-3.0%、1.5~1.9分-97.0%、2.0分-3.0%。Agilent Zorbax eclipse plus C18 2.1×50mm 1.8μm:流量:0.8mL/分:40℃(カラム温度)溶媒A:水中の0.1%のギ酸、溶媒B:アセトニトリル中の0.1%のギ酸、勾配:溶媒A:0.01~0.25分-5.0%、2.5~3.0分-100.0%、3.1~4.0分-5.0%。Waters X-Bridge C8(50×4.6)mm、3.5μm:流量:0.8mL/分;40℃(カラム温度):溶媒A:水中の10mMの炭酸水素アンモニウム、溶媒B:アセトニトリル、勾配:溶媒A:0.01分-5.0%、1.5~3.0分-95.0%、3.5~4.0分-5.0%。Waters X-Bridge C8(50×4.6)mm、3.5μm:流量:0.8mL/分;40℃(カラム温度):溶媒A:水中の10mmの酢酸アンモニウム、溶媒B:アセトニトリル、勾配:溶媒A:0.01分-5.0%、1.5~3.0分-95.0%、3.5~4.0分-5.0%。
略記:
AC50 半値活性濃度
AcOH 酢酸
ACN アセトニトリル
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
APCI 大気圧化学イオン化
aq. 水溶液
Bispin ビス(ピナコラート)ジボロン
Boc tert-ブトキシカルボニル
BuLi n-ブチルリチウム
br 幅広線
d 二重線
dd 二重線の二重線
ddd 二重線の二重線の二重線
ddq 四重線の二重線の二重線
ddt 三重線の二重線の二重線
dq 四重線の二重線
dt 三重線の二重線
dtd 二重線の三重線の二重線
CataCXium A ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン
CDI カルボニルジイミダゾール
Cs2CO3 炭酸セシウム
DC50 半値分解濃度
DAST ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド
DCE 1,2-ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIBAL-H ジイソブチルアルミニウムヒドリド
DIPEA N,N-ジイソピルエチルアミン
DMA N,N-ジメチルアセトアミド
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DME 1,2-ジメトキシエタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMP デスマーチンペルヨージナンまたは1,1,1-トリス(アセチルオキシ)-1,1-ジヒドロ-1,2-
ベンズヨードキソール-3-(1H)-オン
DMSO ジメチルスルホキシド
dpm ジピバロイルメタナト
EC50 半値有効濃度
EDCI 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
ESI エレクトロスプレイイオン化
EtOH エタノール
Et2O ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
HCl 塩化水素
hept 七重線
HOBT 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
Hまたはhr 時間
HRMS 高分解能質量分析
g グラム
IC50 半値阻害濃度
IPA イソプロピルアルコールまたは2-プロパノール
K2CO3 炭酸カリウム
KI ヨウ化カリウム
K3PO4 リン酸三カリウム
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミド
m 多重線
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
min 分
mL ミリリットル
mmol ミリモル
Mn(dpm)3 トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)マンガン(III)
M モル
MS 質量分析
MsCl メタンスルホニルクロリド
m/z 質量対電荷比
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
NaBH(OAc)3 ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド
NaHCO3 炭酸水素ナトリウム
Na2SO4 硫酸ナトリウム
NBS N-ブロモスクシンイミド
NiBr2DME 臭化ニッケル(II)エチレングリコールジメチルエーテル錯体
NMI n-メチルイミダゾール
NMP N-メチル-2-ピロリドン
NMR 核磁気共鳴
PdCl2(dppf)*DCM [1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
とジクロロメタンとの錯体
Pd/C 炭素上のパラジウム
Py ピリジン
q 四重線
qd 二重線の四重線
quint 五重線
quintd 二重線の五重線
RT 室温
Rt 保持時間
s 一重線
sat. 飽和
t 三重線
TEAまたはEt2N トリエチルアミン
Td 二重線の三重線
Tdd 二重線の二重線の三重線
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMP 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン
TMS テトラメチルシラン
Ts トシル
Tt 三重線の三重線
Ttd 二重線の三重線の三重線
TLC 薄層クロマトグラフィー
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
XPhos Pd G2 クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)
v/v 体積/体積(体積比)
wt 重量
μW マイクロ波
【0271】
生物学的実施例:
MOLT4 IKZF2 HiBitアッセイプロトコル:
このプロトコルは、IKZF2コード配列のN末端にタグ付けされたHiBitのCRISPR/Cas9媒介性ゲノム挿入を使用して操作されたMOLT4細胞を使用した。1日目。10点用量応答を、Tecan D300eを使用して、30uMから1nMまで作成した。次に、8,000細胞/ウェルのMOLT4 IKZF2 HiBit細胞を、化合物プレートに添加した。化合物プレートを、6時間インキュベートした。2日目。Nano-Glo HiBit Lytic緩衝液/Nano-Glo HiBit Lytic基質/LgBitタンパク質ミックスを、各ウェルに添加し、化合物プレートを、15分間インキュベートした。最後に、発光シグナルを、BMG Labtech PHERAstar FSXを使用して読み取った。データを、DMSOに正規化し、GraphPad Prismを使用してグラフ化して、50%のHiBiT-Helios分解が各化合物によって達成された濃度点を決定した。最高濃度点から最低濃度点までの分解の程度(発光の範囲)を計算して、Dmaxを決定した。選択された化合物についてのデータを、表1で提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【0272】
実施例1:中間体A、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化13】
【0273】
ステップ1:5-ブロモ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの調製
酢酸(300mL)中の、5-ブロモイソベンゾフラン-1,3-ジオン(20.0g、88.0mmol)及び3-アミノピペリジン-2,6-ジオンヒドロクロリド(14.5g、88.0mmol)の撹拌された溶液に、酢酸ナトリウム(7.23g、88.0mmol)を、室温で添加した。得られた混合物を、120℃に加熱し、16時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物を、室温に冷却し、真空下で濃縮した。得られた粗残渣を、水(300mL)中で3時間撹拌し、得られた固体を濾過した。固体を、水(200mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、青色固体を得た。得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてDCM中の15%のMeOH)によって精製して、所望の生成物、5-ブロモ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(16.0g、47.5mmol、収率53.9%)を、淡青色固体として得た;UPLC:m/z MM-ES+APCI,正[M+H]+=337;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.15(s,1H),8.19-8.06(m,2H),7.87(d,J=7.9Hz,1H),5.17(dd,J=5.4,12.8Hz,1H),2.98-2.80(m,1H),2.68-2.53(m,2H),2.13-2.00(m,1H)。
【0274】
ステップ2:tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートの調製
1,4-ジオキサン(18.0mL):水(2.00mL)中の、5-ブロモ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(1.00g、2.97mmol)及びtert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(3.67g、11.9mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(0.767g、5.93mmol)を添加し、続いて、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(0.303g、0.593mmol)を、室温で連続N2通気下で添加した。得られた混合物を、110℃に加熱し、4時間撹拌した。次いで、反応混合物を、1,4-ジオキサン(100mL)を使用して、celiteのパッドに通して濾過し、濾液を、減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。粗化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてn-ヘキサン中の40%のEtOAc)によって精製した。純粋な画分を、減圧下で濃縮して、tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(0.75g、1.6mmol、収率55.8%)を、オフホワイト色固体として得た;LCMS:m/z MM-ES+APCI,負[M-H]+=438.2;HPLC:Rt:6.00,98.1%;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.13(s,1H),8.03-7.77(m,3H),6.51(br s,1H),5.21-5.05(m,1H),4.06(br s,2H),3.57(br t,J=5.6 Hz,2H),3.00-2.78(m,1H),2.71-2.53(m,4H),2.14-1.96(m,1H),1.44(s,9H).
【0275】
ステップ3:tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート
IPA(6.0mL)、DCM(6.0mL)及びDMF(1.8mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(0.55g、1.25mmol)の撹拌された溶液に、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)マンガン(III)(0.38g、0.63mmol)及びフェニルシラン(0.27g、2.50mmol)を、0℃で添加した。得られた混合物を、0℃でO2の雰囲気下で16時間撹拌した。得られた混合物を、0℃で4時間撹拌し、次いで、室温にゆっくり温め、16時間撹拌した。次いで、Na2S2O3(70mL)の飽和水溶液を添加し、室温で2時間撹拌し続けた。ブライン溶液(100mL)を添加し、反応混合物を、EtOAc(2×150mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、乾燥(Na2SO4)させ、濾過し、濃縮した。粗化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてn-ヘキサン中の50%のEtOAc)によって精製して、tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(0.25g、0.54mmol、収率43.2%)を、オフホワイト色固体として得た;LCMS:m/z MM-ES+APCI,正[M+H]+=358.2;HPLC:99.8%;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.12(s,1H),8.05-7.96(m,2H),7.88(d,J=7.9 Hz,1H),5.53(s,1H),5.15(dd,J=5.4,12.9 Hz,1H),3.98-3.82(m,2H),3.23-3.02(m,2H),2.96-2.81(m,1H),2.70-2.56(m,2H),2.12-2.02(m,1H),1.92(dt,J=4.5,12.9 Hz,2H),1.61(br d,J=12.9 Hz,2H),1.43(s,9H).
【0276】
ステップ4:2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの調製。
HCl(1,4-ジオキサン中の4.0M、3.00mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(0.25g、0.54mmol)の溶液を、室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、MTBE(2×10mL)で粉砕し、乾燥させて、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(0.18g、0.45mmol、収率83%)を、HCl塩の形態のオフホワイト色固体として得た;LCMS:m/z MM-ES+APCI,正[M+H]+=358.2;HPLC:99.5%;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.14(s,1H),8.82(br s,2H),7.97(s,3H),5.90(s,1H),5.16(dd,J=5.4,12.9 Hz,1H),3.31-3.17(m,4H),2.98-2.83(m,1H),2.69-2.55(m,2H),2.39-2.25(m,2H),2.12-2.01(m,1H),1.80(br d,J=13.6 Hz,2H).
【0277】
実施例1B:中間体A2、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化14】
【0278】
ステップ1:4-ブロモ-3-フルオロフタル酸の調製
THF(100mL)中の4-ブロモ-3-フルオロ安息香酸(10.0g、45.7mmol)の撹拌された溶液に、リチウムジイソプロピルアミド(THF中の2M)(68.5mL、137mmol)を、-78℃でアルゴンの雰囲気下で滴加した。得られた混合物を、-78℃で1.5時間撹拌し、その後、反応混合物を、CO2ガスで-78℃で30分間パージした。反応混合物を、ジオキサン(30mL)中の4MのHClでクエンチし、次いで、減圧下で濃縮して、粗残渣を得、これを、酢酸エチル(2×100mL)で洗浄した。固体を、濾過して取り除き、酢酸エチル層を、減圧下で濃縮して、粗化合物を、ガム状固体として得た。冷水(100mL)を、粗化合物に添加し、混合物を、NaHCO3溶液(30mL)で塩基性化した。水層を、酢酸エチル(3×200mL)で洗浄した。水層を、1NのHCl水溶液(30mL)で酸性化して、n-ブタノール(3×100mL)で抽出した。組み合わされた有機物を、ブライン溶液(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、4-ブロモ-3-フルオロフタル酸(9.40g、収率69%)を、オフホワイト色固体として得、これを、更に精製することなく、次のステップに進めた。LCMS:m/z MM-ES+APCI,負 [M-2]+=261.0,263.0;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 13.55(br,2H),7.92-7.88(m,1H),7.68-7.66(m,1H).
【0279】
ステップ2:5-ブロモ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロイソインドリン-1,3-ジオンの調製
酢酸(94mL)中の4-ブロモ-3-フルオロフタル酸(9.40g、35.7mmol)の撹拌された溶液に、3-アミノピペリジン-2,6-ジオンヒドロクロリド(5.88g、35.7mmol)を、室温で添加した。得られた反応混合物を、130℃でN2の雰囲気下で24時間撹拌した。反応混合物を、室温に冷却し、水(500mL)で希釈し、10分間撹拌した。固体を、濾過し、冷水で洗浄し、乾燥させて、5-ブロモ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロイソインドリン-1,3-ジオン(8.30g、収率63%)を、オフホワイト色固体として得、これを、更に精製することなく、次のステップに進めた。LCMS:m/z MM-ES+APCI,[M-2]+=398.9,400.9:1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.16(s,1H),8.26-8.23(m,1H),7.73-7.71(d,J=7.9 Hz,1H),5.19-5.15(q,J=6.1 Hz,1H),2.94-2.85(m,1H),2.63-2.59(m,2H),2.09-2.01(m 1H).
【0280】
ステップ3:tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートの調製
1,4-ジオキサン(60mL)及び水(7.5mL)中の5-ブロモ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロイソインドリン-1,3-ジオン(3.00g、8.45mmol)の撹拌された溶液に、tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(3.13g、10.1mmol)及びDIPEA(4.43mL、25.3mmol)を添加し、その後、これを、N2で15分間脱気した。この得られた混合物に、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(0.432g、0.845mmol)を一度に添加し、反応混合物を、60℃で30分間撹拌した。次いで、混合物を、室温に冷却し、水(30mL)を添加した。得られた混合物を、酢酸エチル(4×50mL)で抽出し、組み合わされた有機層を、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。粗化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100~200メッシュのシリカゲル)を使用し、DCM中の10%のMeOHを溶出剤として使用して精製して、tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(1.60g、収率30%)を、淡黄色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,負 [M-H]+=456.2;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.14(s,1H),7.88-7.85(m,1H),7.76-7.74(d,J=7.7 Hz,1H),6.20(s,1H),5.17-5.13(m,1H),4.06-4.02(m,2H),3.57-3.54(t,J=5.5 Hz,2H),2.89-2.86(m,2H),2.63-2.54(m,1H),2.51-2.48(m,2H),2.08-2.06(m,1H),1.44(s,9H).
【0281】
ステップ4:tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートの調製
DCM(28mL)、2-プロパノール(28mL)及びDMF(14mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(1.40g、3.06mmol)の撹拌された溶液に、Mn(dpm)3(0.555g、0.918mmol)及びフェニルシラン(0.75mL、6.1mmol)を、0℃で添加した。得られた混合物を、0℃でO2の雰囲気下で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮して、粗化合物を、淡黒色固体として得た。粗化合物を、逆相カラムクロマトグラフィーによって、C18カートリッジ(150g)を使用し、水中の0.1%のギ酸中の50%のアセトニトリルを溶出剤(流量:15mL/分)として使用して精製した。純粋な画分を、収集し、凍結乾燥させて、tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシレート(1.0g、58%)を、白色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=474.3;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.14(s,1H),8.16(t,J=6.8 Hz,1H),7.80(d,J=8.0 Hz,1H),5.77(s,1H),5.13(dd,J=5.6,12.8 Hz,1H),3.95-3.80(m,2H),3.25-3.05(m,2H),2.95-2.80(m,1H),2.65-2.45(m,2H),2.13-2.00(m,3H),1.65-1.55(m,2H),1.42(s,9H).
【0282】
ステップ5:2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの調製
窒素の雰囲気下で0℃での、DCM(22mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(1.00g、2.10mmol)の撹拌された溶液に、1,4-ジオキサン(7.89mL、31.5mmol)中の4MのHClを添加した。得られた混合物を、室温で2時間撹拌させた。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮して、粗残渣を得て、これを、MTBEで粉砕し、濾過し、乾燥させて、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(800mg、収率90%)を、白色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=376.0;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.15(s,1H),8.90-8.55(m,2H),8.16(t,J=7.2Hz,1H),7.82(d,J=7.6 Hz,1H),6.12(s,1H),5.15(dd,J=5.6,12.8 Hz,1H),3.30-3.15(m,4H),2.94-2.89(m,1H),2.63-2.50(m,1H),2.45-2.37(m,2H),2.11-2.00(m,1H),1.86-1.75(m,2H). 19F NMR(200 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=-114.52.
【0283】
実施例2:ピペリジン中間体B、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化15】
【0284】
ステップ1:tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートの調製
DMF(10.0mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(0.30g、0.68mmol)の撹拌された溶液に、10%のPd-C(0.07g、0.68mmol)を、室温で添加した。得られた混合物を、7時間、水素下で室温で撹拌した。反応混合物を、celiteのパッドに通して濾過し、濾液を、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤としてn-ヘキサン中の40%のEtOAc)によって精製して、tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.25g、0.56mmol、収率82%)を、オフホワイト色固体として得た;LCMS:m/z MM-ES+APCI,正[M+H]+=342.2;HPLC:Rt:6.00,99.9%;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.12(s,1H),7.92-7.70(m,3H),5.14(dd,J=5.3,12.9 Hz,1H),4.10(br d,J=11.4 Hz,2H),3.07-2.73(m,4H),2.68-2.54(m,2H),2.15-1.93(m,1H),1.81(br d,J=12.4 Hz,2H),1.59(dq,J=4.1,12.5 Hz,2H),1.43(s,9H).
【0285】
ステップ2:2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの調製
HCl(1,4-ジオキサン中の4.0M、3.00mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.20g、0.45mmol)の溶液を、室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。得られた粗製物を、MTBE(2×10mL)で粉砕し、乾燥させて、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(0.17g、0.45mmol、収率98%)を、HCl塩の形態のオフホワイト色固体として得た;LCMS:m/z MM-ES+APCI,正[M+H]+=342.2;HPLC:Rt:2.67,99.9%;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.13(s,1H),8.77(br s,2H),7.92(d,J=7.6 Hz,1H),7.80-7.72(m,2H),5.15(dd,J=5.4,12.9 Hz,1H),3.40(br d,J=13.1 Hz,2H),3.16-2.85(m,4H),2.70-2.54(m,2H),2.11-1.85(m,5H).
【0286】
実施例3:中間体C、トランス-4-(ヒドロキシメチル)-N-メトキシ-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの合成
【化16】
【0287】
ステップ1:トランス-4-(ヒドロキシメチル)-N-メトキシ-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの合成
DCM(30.0mL)中のトランス-4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(3.00g、18.9mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(4.97mL、28.4mmol)を滴加し、続いて、HOBt(0.668g、4.36mmol)及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(4.73g、24.6mmol)を、0℃で滴加した。10分間の撹拌後、N,O-ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(2.77g、28.4mmol)を、0℃で添加し、得られた混合物を、27℃で16時間撹拌させた。反応の完了(出発材料の完全な消費)後、混合物を、DCM(30mL)で希釈し、水(20mL)及びブライン(15L)で洗浄した。有機層を、分離し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって、シリカゲル上で、n-ヘキサン中の15~20%のEtOAcを溶出剤として使用して精製した。画分を濃縮して、トランス-4-(ヒドロキシメチル)-N-メトキシ-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(2.90g、12.1mmol、収率63.8%)を、無色半固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=202.5;1H NMR(400 MHz,CHLOROFORM-d)δ ppm,3.72(s,3 H),3.47-3.52(m,2 H),3.20(s,3 H),2.62-2.72(m,1 H),1.81-1.94(m,4 H),1.50-1.65(m,4 H),0.99-1.12(m,2 H).
【0288】
ステップ2:トランス-N-メトキシ-4-(メトキシメチル)-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドの合成
THF(30.0L)中のトランス-4-(ヒドロキシメチル)-N-メトキシ-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(2.90g、14.4mmol)の撹拌された溶液に、水素化ナトリウム(0.450g、18.7mmol)を添加し、次いで、ヨウ化メチル(1.17mL、18.7mmol)を、0℃で滴加した。得られた混合物を、25℃で16時間撹拌した。反応が完了せず、このため、これを、25℃で更に24時間撹拌させ続けた。完了(出発材料の完全な消費)後、反応混合物を、氷冷水(40mL)でクエンチし、EtOAc(50mL)で抽出した。有機層を、ブライン水溶液(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。粗化合物を、カラムクロマトグラフィーによって、シリカゲル上で、n-ヘキサン中の2~44%のEtOAcを溶出剤として使用して精製した。純粋な画分を、濃縮して、トランス-N-メトキシ-4-(メトキシメチル)-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(1.90g、8.65mmol、収率60.0%)を、無色液体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=216.6;1H NMR(400 MHz,CHLOROFORM-d)δ ppm 3.71(s,3 H),3.33-3.36(m,3 H),3.17-3.24(m,5 H),2.37-2.97(m,1 H),1.80-1.93(m,4 H),1.50-1.66(m,3 H),0.99-1.12(m,2 H).
【0289】
ステップ3:トランス-4-(メトキシメチル)シクロヘキサン-1-カルバルデヒドの合成
THF(50mL)中のトランス-N-メトキシ-4-(メトキシメチル)-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(1.9g、8.8mmol)の撹拌された溶液に、DIBAL-H(11mL、13mmol)を、-78℃で滴加し、得られた混合物を、-78℃で1時間撹拌した。反応進行を、TLCによって監視した。完了後、反応混合物を、飽和NH4Cl水溶液(30mL)中でクエンチし、EtOAc(3×50mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、トランス-4-(メトキシメチル)シクロヘキサン-1-カルバルデヒド(1.2g、4.6mmol、収率52%)を、無色半固体として得て、これを、更に精製することなく、次のステップに進めた。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+ イオン化なし;1H NMR(400 MHz,クロロホルム-d)δ ppm 9.60-9.66(m,1 H),3.35(s,3 H),3.22-3.25(m,2 H)2.21(m,1 H),2.00-2.09(m,2 H),1.88-1.97(m,2H),1.49-1.65(m,1 H),1.24-1.36(m,2 H),0.99-1.12(m,2 H).
【0290】
実施例4:中間体D、6-(ブロモメチル)-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オンの合成
【化17】
【0291】
ステップ1:6-メチル-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オンの調製
オルトギ酸トリエチル(30.0mL、28.2mmol)中の、6-メチル-2H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン(5.00g、28.2mmol)及びピリジン-2-アミン(2.92g、31.0mmol)の溶液を、140℃で16時間加熱した。反応の完了後、反応混合物を、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、IPA(50mL)中で粉砕し、濾過し、乾燥させて、6-メチル-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(3.00g、12.6mmol、収率44.6%)を、淡灰色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+ 238.2;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.67(br d,J=3.63 Hz,1 H)8.52(s,1 H)8.13-8.01(m,2 H)7.84(br d,J=8.00 Hz,1 H)7.76-7.65(m,2 H)7.60-7.53(m,1 H).
【0292】
ステップ2:6-(ブロモメチル)-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オンの調製
アセトニトリル(50.0mL)中の6-メチル-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(1.00g、4.21mmol)の撹拌された溶液に、NBS(0.97g、5.48mmol)及びAIBN(28.0mg、0.169mmol)を、25℃で添加した。得られた混合物を、80℃で16時間撹拌した。完了後、反応混合物を、ブライン(10mL)で希釈した。水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わされた有機抽出物を、Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。溶媒を、減圧下で除去して、粗化合物を得た。粗化合物を、カラムクロマトグラフィーによって、シリカゲル上で、ヘキサン中のEtOAc(30~40%)を溶出剤として使用して精製した。純粋な画分を濃縮して、6-(ブロモメチル)-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(0.40g、1.0mmol、収率24.4%)を、オフホワイト色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+,M+2]=216.2,218.2;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.71-8.66(m,1 H)8.59(s,1 H)8.33(d,J=2.00 Hz,1 H)8.12-8.06(m,1 H)7.99-7.94(m,1 H)7.89-7.82(m,1 H)7.77(d,J=8.38 Hz,1 H)7.59(ddd,J=7.44,4.88,1.06 Hz,1 H)4.94(s,2 H).
【0293】
実施例5:化合物84、トランス-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-1-((4-(メトキシメチル)シクロヘキシル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化18】
【0294】
DMF(2.00L)中の2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(30.0mg、0.076mmol)の撹拌された溶液に、トランス-4-(メトキシメチル)シクロヘキサン-1-カルバルデヒド(17.9mg、0.114mmol)及びDIPEA(0.040L、0.229mmol)を、室温で添加した。この反応混合物に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(81.0mg、0.381mmol)を、0℃で少しずつ添加した。得られた混合物を、窒素の雰囲気下で25℃で16時間撹拌した。反応が完了せず、このため、追加のトランス-4-(メトキシメチル)シクロヘキサン-1-カルバルデヒド(17.85mg、0.114mmol)及びDIPEA(0.040mL、0.229mmol)を、0℃で添加した。10分後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(81.0mg、0.381mmol)を、0℃で少しずつ添加し、反応混合物を、窒素の雰囲気下で室温で16時間撹拌した。完了後、反応混合物を、減圧下で濃縮した。粗残渣を、分取HPLC[方法情報:カラム:X select C18(150×19mm)5um、緩衝液:H2O中の0.1%のギ酸;100%のACN、勾配:0~5、8~30、流量:14mL/分]によって精製し、収集された純粋な画分を凍結乾燥させて、ギ酸塩としてのトランス-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-1-((4-(メトキシメチル)シクロヘキシル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(9.00mg、0.018mmol、収率23.51%)を、白色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=498.8;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.19-10.98(m,1 H),8.29-8.11(m,1 H),8.08-7.94(m,2 H),7.90-7.78(m,1 H),5.41-5.19(m,1 H),5.16-4.97(m,1 H),3.24-3.21(m,3 H),3.13(d,J=6.38 Hz,2 H),2.96-2.83(m,1 H),2.74-2.63(m,3 H),2.37-2.32(m,2 H),2.15(br d,J=7.13 Hz,2 H),2.10-1.95(m,3 H),1.82(br d,J=11.51 Hz,2 H),1.73(br d,J=12.01 Hz,2 H),1.61(br d,J=12.63 Hz,2 H),1.48(br s,2 H),0.99-0.77(m,4 H).
【0295】
表2の以下の化合物を、実施例5に記載される手順に従って、中間体A及び適切なアルデヒドを使用して調製した。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0296】
実施例6:化合物85、トランス-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(1-((4-(メトキシメチル)シクロヘキシル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンギ酸の合成
【化19】
【0297】
DMF(2mL)中の2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(90.0mg、0.238mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(0.041mL、0.238mmol)を、室温で添加した。5分後、AcOH(0.014mL、0.238mmol)及びトランス-4-(メトキシメチル)シクロヘキサン-1-カルバルデヒド(37.2mg、0.238mmol)を、室温で添加し、得られた混合物を、15分間撹拌した。次いで、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(252mg、1.19mmol)を添加し、反応混合物を、室温で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、濃縮して、27℃で乾燥させ、粗化合物を、分取HPLC[(カラム:X SELECT 150×19.0、移動相A:H2O中の0.1%のHCOOH、移動相B:アセトニトリル、流量:15mL/分)]によって精製した。試料を、2つの異なる画分で収集し、別個に凍結乾燥させて、ギ酸塩画分1としての表題化合物2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(1-(((トランス-4-(メトキシメチル)シクロヘキシル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(14mg、0.029mmol、収率12.00%)を、オフホワイト色固体として得;LCMS:m/z MM-ES+APCI,正[M+H]+=482.8;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.25-10.93(m,1H),8.21(s,1H),7.87-7.81(m,1H),7.81-7.75(m,2H),5.14(dd,J=5.4,12.9Hz,1H),3.24-3.18(m,4H),3.13(d,J=6.4Hz,2H),2.99-2.83(m,3H),2.80-2.70(m,1H),2.69-2.65(m,1H),2.65-2.61(m,1H),2.58(s,1H),2.57-2.54(m,1H),2.38-2.30(m,1H),2.16-2.09(m,2H),2.09-1.91(m,3H),1.85-1.63(m,8H),1.56-1.39(m,2H),1.38-1.27(m,1H),1.00-0.77(m,4H)、かつギ酸塩画分2としての2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(1-((トランス-4-(メトキシメチル)シクロヘキシル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(3.50mg、6.95μmol、収率2.92%)を、オフホワイト色固体として得た。表題化合物は、ジアステレオマーの混合物である。絶対立体化学は決定されなかった。
【0298】
実施例7:化合物98、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-1-((4-オキソ-3-(ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化20】
【0299】
DMF(5.00mL)中の2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(0.025g、0.063mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(0.013mL、0.076mmol)及び6-(ブロモメチル)-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(0.020g、0.063mmol)を、室温で添加した。得られた混合物を、10分間室温で撹拌した。完了後、反応混合物を、減圧下で濃縮した。粗化合物を、分取HPLC[(カラム:X select(150mm×19)5um、移動相A:H2O中の0.1%のHCOOH、移動相B:アセトニトリル、流量:15mL/分)]によって精製した。ACN/水混合物を、凍結乾燥によって除去し、ギ酸塩としての2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-1-((4-オキソ-3-(ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(8.00mg、0.013mmol、収率20.84%)を、白色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=593.6;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.21-11.10(m,1 H)8.74-8.64(m,1 H)8.56(s,1 H)8.23-8.16(m,1 H)8.09(td,J=7.79,1.81 Hz,1 H)8.04-7.99(m,2 H)7.95-7.81(m,3 H)7.76(d,J=8.25 Hz,1 H)7.58(dd,J=6.63,5.00 Hz,1 H)5.29(s,1 H)5.15(dd,J=12.88,5.38 Hz,1 H)3.74(s,2 H)2.99-2.85(m,1 H)2.76-2.68(m,2 H)2.61(br d,J=16.88 Hz,2 H)2.39-2.28(m,1 H)2.12-1.99(m,3 H)1.64(br d,J=12.26 Hz,2 H).
【0300】
表3の以下の化合物を、実施例7に記載される手順に従って、中間体A及び適切なハロゲン化アルキルを使用して調製した。
【表3】
【0301】
実施例8:化合物97、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(1-((4-オキソ-3-(ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化21】
【0302】
5℃での、DMF(2.00mL)中の2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(90.0mg、0.238mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(0.125mL、0.715mmol)を添加し、得られた混合物を、5分間撹拌した。次いで、この混合物に、6-(ブロモメチル)-3-(ピリジン-2-イル)キナゾリン-4(3H)-オン(75.0mg、0.238mmol)を、5℃で添加し、10分間撹拌し続けた。反応混合物を、(25℃で)減圧下で濃縮し、粗生成物(120mg、0.140mmol、収率58.8%)を、褐色ガムとして得た。粗試料を、分取HPLC[(カラム:X select(150 mm×19)5um、移動相A:H2O中の0.1%のHCOOH、移動相B:アセトニトリル、流量:15mL/分)]によって精製した。ACN/水混合物を、凍結乾燥によって除去して、ギ酸塩としての2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(1-((4-オキソ-3-(ピリジン-2-イル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イル)メチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(28.0mg、0.048mmol、収率20.17%)を、オフホワイト色固体として得た;LCMS:m/z MM-ES+APCI,正[M+H]+=577.6;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm)=11.12(s,1H),8.70-8.65(m,1H),8.58-8.53(m,1H),8.23-8.15(m,1H),8.12-8.05(m,1H),7.93-7.73(m,6H),7.62-7.55(m,1H),5.19-5.09(m,1H),3.77-3.66(m,2H),3.06-2.71(m,4H),2.70-2.65(m,1H),2.61(s,1H),2.61-2.55(m,3H),2.47-2.45(m,1H),2.41(s,1H),2.40-2.37(m,1H),2.37-2.28(m,1H),2.23-2.10(m,2H),2.10-2.01(m,1H),1.88-1.70(m,4H)。
【0303】
実施例9:化合物132、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-5-(1-(4-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化22】
【0304】
DMF(5mL)中の、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(0.150g、0.364mmol)及び4-フルオロベンズアルデヒド(0.050g、0.401mmol)の溶液を、室温で20分間撹拌した。得られた混合物を、0℃に冷却し、その後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.232g、1.09mmol)を少しずつ添加した。次いで、混合物を、室温で16時間撹拌させた。反応混合物を、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、これを、分取HPLC[方法情報:Zorbax C18(50×21.1mm)5um、H2O中の0.1%のHCl:100% ACN、流量:15mL/分、室温:9.0分]によって精製して、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-フルオロ-5-(1-(4-フルオロベンジル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl塩(39mg、20%)を、白色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=484.1;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.15(s,1H),10.12(brs,1H),8.20-8.11(m,1H),7.83-7.79(m,1H),7.72-7.61(m,2H),7.40-7.28(m,2H),6.15(s,1H),5.13(dd,J=5.2,12.8 Hz,1H),4.48-4.35(m,2H),3.32-3.15(m,4H),2.95-2.80(m,1H),2.67-2.52(m,3H),2.12-1.98(m,1H),1.95-1.80(m,2H).
【0305】
表4の以下の化合物を、実施例9に記載される手順に従って、中間体A2及び適切なアルデヒドを使用して調製した。
【表4】
【0306】
実施例10:化合物149、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
【化23】
【0307】
アセトニトリル(3mL)/DMF(1.5mL)中の、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン及びHCl(120mg、0.305mmol)の撹拌された溶液に、DIPEA(0.080mL、0.48mmol)、2-フェニルオキシラン(73.2mg、0.609mmol)及び過塩素酸リチウム(130mg、1.22mmol)を、室温で添加した。得られた混合物を、60℃で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮して、粗化合物(240mg)を得、これを、分取HPLC[方法情報:カラム:X select(150mm×19)5um、0.1% HCl H2O:ACN、流量:15mL/分]によって精製した。収集された画分を凍結乾燥させて、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)ピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(45.8mg、31%)を、オフホワイト色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=478.1;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.18-11.05(m,1H),9.82-9.63(m,1H),8.10-7.91(m,3H),7.75-7.25(m,6H),6.40-6.28(m,1H),5.95(s,1H),5.26-5.05(m,2H),3.80-3.50(m,2H),3.51-3.33(m,3H),2.98-2.80(m,1H),2.75-2.55(m,3H),2.14-1.98(m,1H),1.95-1.69(m,2H).
【0308】
実施例11:化合物15、5-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-4-イル)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオンの合成
【化24】
【0309】
ステップ1:tert-ブチル6-メチル-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートの調製
THF(20mL)中のtert-ブチル2-メチル-4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(2.00g、9.38mmol)の撹拌された溶液に、カリウムtert-ブトキシド溶液(THF中の1M)(18.8mL、18.8mmol)を、-78℃でN2の雰囲気下で滴加した。得られた混合物を、1時間、-78℃で撹拌し、その後、THF(5mL)中の1,1,1-トリフルオロ-N-フェニル-N-((トリフルオロメチル)スルホニル)メタンスルホンアミド(5.03g、14.1mmol)を添加した。次いで、混合物を、0℃で5時間、N2の雰囲気下で撹拌させた。反応混合物を、NH4Cl水溶液でクエンチし、EtOAc(2×50mL)で抽出した。組み合わされた有機物を、Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュのシルカゲル)によって、ヘキサン中の(5~10%の)EtOAcで溶出して精製して、tert-ブチル6-メチル-4-(((トリフルオロメチル)-スルホニル)オキシ)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(2.0g、収率62%)を、淡褐色液体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+ イオン化なし;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 6.14-5.87(m,1H)4.21-3.83(m,1H)3.08-2.85(m,2H)2.34-2.02(m,2H)1.42(s,9H)1.17-1.08(m,3H).
【0310】
ステップ2:tert-ブチル6-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートの調製
DMF(20mL)中の、tert-ブチル6-メチル-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(500mg、1.45mmol)、bispin(404mg、1.59mmol)の撹拌された溶液に、酢酸カリウム(426mg、4.34mmol)及びPdCl2(dppf)-CH2Cl2付加物(36mg、0.043mmol)を、室温で窒素の雰囲気下で添加した。反応混合物を、100℃で16時間撹拌し、室温に冷却し、次いで、水(40mL)を添加し、その後、混合物を、EtOAc(3×50mL)で抽出した。組み合わされた有機物を、Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、tert-ブチル6-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(450mg、収率48%)を、褐色ガム状液体として得て、これを、更に精製することなく、次のステップに進めた。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+ イオン化なし;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 6.55-6.16(m,1H)4.48-4.27(m,1H)4.08-3.85(m,2H)2.90(s,2H)2.74 1.40(s,9H)1.21(s,12H)1.17-1.12(m,3H).
【0311】
ステップ3:tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-6-メチル-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートの調製
DMF(18mL)及び水(2mL)中の、5-ブロモ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(500mg、1.48mmol)、tert-ブチル6-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(479mg、1.48mmol)及びDIPEA(0.518mL、2.97mmol)の溶液を、窒素ガスで5分間パージした。この混合物に、PdCl2(dppf)-CH2Cl2付加物(121mg、0.148mmol)を、室温で窒素の雰囲気下で添加した。得られた混合物を、100℃で16時間撹拌し、その後、これを、冷却し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュのシルカゲル)によって、ヘキサン中の70~100%のEtOAcを溶出剤として使用して精製して、tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-6-メチル-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(425mg、収率41%)を、淡褐色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,負 [M-H]+=452.0;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.13(s,1H)8.06-7.77(m,3H)6.48(d,J=1.38 Hz,1H)5.16(dd,J=12.94,5.32 Hz,1H)4.57(d,J=4.13 Hz,1H)4.10(br s,1H)2.90(br s,2H)2.76-2.54(m,2H)2.42(br s,1H)2.20-1.93(m,2H)1.44(s,9H)1.31-0.98(m,3H).
【0312】
ステップ4:tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-1-カルボキシレートの調製
2-プロパノール(10mL)、DMF(2mL)及びDCM(10mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-6-メチル-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(450mg、0.992mmol)の撹拌された溶液に、Mn(dpm)3(180mg、0.298mmol)を添加し、続いて、フェニルシラン(0.245mL、1.99mmol)を、0℃で添加した。反応混合物を、酸素ガスで30分間パージし、その後、これを、室温で16時間、酸素の雰囲気下で撹拌させた。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(230~400メッシュのシルカゲル)によって、ヘキサン中の70~100%のEtOAcを溶出剤として使用して精製して、tert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(370mg、収率77%)を、オフホワイト色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,負 [M-H]+=470.0;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.13(s,1H),7.98(m,2H),7.89(d,J=8.5 Hz,1H),5.41(s,1H),5.17-5.14(m,1H),4.04(m,1H),3.72(m,1H),3.37(m,1H),2.90-2.88(m,1H),2.59-2.51(m,1H),2.08-1.94(m,4H),1.84-1.78(m,2H),1.43(s,9H),1.10(d,J=6.5 Hz,3H).
【0313】
ステップ5:2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの調製
1,4-ジオキサン(10mL)中のtert-ブチル4-(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(350mg、0.742mmol)の撹拌された溶液に、HCl(ジオキサン中の4M)(3.71mL、14.9mmol)を、0℃で滴加した。反応混合物を、1時間室温で撹拌させ、その後、これを、減圧下で濃縮した。得られた固体を、MTBE(15mL)で洗浄して、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(300mg、収率97%)を、オフホワイト色固体として得、これを、更に精製することなく、次のステップに進めた。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=372.2;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.14(s,1H),8.94(bs,1H),8.76(bs,1H),7.99-7.93(m,J=8.8 Hz,3H),5.90(s,1H),5.18-5.14(m,1H),3.51-3.49(m,1H),3.34-3.24(m,2H),2.94-2.89(m,1H),2.70-2.55(m,2H),2.33-2.21(m,1H),2.05-2.10(m,2H),1.87-1.78(m,2H),1.28(d,J=6.5 Hz,3H).
【0314】
ステップ6:5-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-4-イル)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオンの調製
DMF(10mL)中の、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-(4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-4-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(150mg、0.404mmol)及びベンズアルデヒド(0.082mL、0.81mmol)の撹拌された溶液に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(214mg、1.01mmol)を、0℃で少しずつ添加した。反応混合物を、室温で16時間、N2の雰囲気下で撹拌させ、その後、これを、減圧下で濃縮して、粗化合物を、淡褐色半固体として得た。粗材料を、逆相クロマトグラフィー(C18カートリッジ、40g)によって、水中のアセトニトリル(0.1%のHCl酸)(10~20%)を溶出剤として使用して精製して、5-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-2-メチルピペリジン-4-イル)-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン、HCl(78mg、39%)を、白色固体として得た。LCMS:m/z MM-ES+APCI,正 [M+H]+=462.3;1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ ppm 11.13(s,1H),10.45(bs,1H),8.10-7.93(m,3H),7.63(m,2H),7.46-7.53(m,3H),5.88(s,1H),5.18-5.13(m,1H),4.74(d,J=11.1 Hz,1H),4.24-4.19(m,1H),3.33(m,1H),3.24(m,1H),3.08(d,J=11.9 Hz,1H),2.89(m,1H),2.55-2.65(m,2H),2.47-2.33(m,2H),2.08-1.95(m,2H),1.84-1.79(m,1H),1.55(d,J=6.4 Hz,3H).
【0315】
参照による援用
本明細書で引用される米国特許、ならびに米国及びPCT公開特許出願の全ては、参照により本明細書に援用される。
【0316】
等価物
前述の文書による明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分なものである。実施例は本発明の1つの態様の単一の例示として意図されるものであり、他の機能的に同等の実施形態も本発明の範囲に含まれることから、本発明の範囲は、提供される実施例によって限定されるべきでない。本明細書に示され説明されるもの以外の本発明の様々な改変が上記の説明から当業者には明らかとなろう。これらの改変は、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれる。本発明の利点及び目的は、必ずしも本発明の各実施形態に包含されるわけではない。
【国際調査報告】