(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】植込み型誘導デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 90/11 20160101AFI20240416BHJP
【FI】
A61B90/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566953
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 GB2022051104
(87)【国際公開番号】W WO2022229662
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523408204
【氏名又は名称】ニューロチェイス テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【氏名又は名称】成瀬 渓
(72)【発明者】
【氏名】ギル,スティーヴン ストレトフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ギル,トーマス
(57)【要約】
頭蓋骨に形成され、脳標的への軌道に沿って形成された開口部に植込むための外科用誘導ハブであって、前記誘導ハブは、前記軌道に沿ってデバイスを送達するための貫通穴と、前記ハブを頭蓋骨の前記開口部内に固定するための、外面上の少なくとも1つの第1の構造と、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップを前記ハブに固定するための、前記貫通穴の表面上の、少なくとも1つの第2の構造と、を備える。外科用器具の手術中の患者への挿入深さを設定するためのジグ、および外科用器具の手術用の長さを準備する方法も提供される。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋骨に形成され、脳標的への軌道に沿って形成された、開口部に植込むための外科用誘導ハブであって、
デバイスを通して、前記軌道に沿って送達するための貫通穴と、
頭蓋骨の前記開口部内に前記ハブを固定するための、外面上の少なくとも1つの第1の構造と、
誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップを前記ハブに固定するための、前記貫通穴の表面上の、少なくとも1つの第2の構造と、
を備える外科用誘導ハブ。
【請求項2】
前記貫通穴の表面上の前記第2の構造が、前記貫通穴内に挿入される、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップの、対応するねじに係合するように構成されたねじ山を備える請求項1に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項3】
前記貫通穴の前記ねじ山は、第1のねじ部と第2のねじ部を有する二重進入ねじであり、各ねじ部は、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップがねじ内にすべて挿入され半回転で固定されるように、前記ハブの半回転をスイープする請求項2に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項4】
前記貫通穴の前記ねじ山は、ロック可能なねじ山である請求項2または3に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項5】
前記ハブは、3から12mmの直径を有する請求項1から4のいずれかに記載の外科用誘導ハブ
【請求項6】
前記ハブは、3から12mmの高さを有する請求項1から5のいずれかに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項7】
前記貫通穴はその遠位端部で直径が減少する請求項1から6のいずれかに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項8】
前記貫通穴の前記遠位端部の前記直径は、0.5から5mmの直径を有する請求項7に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項9】
前記貫通穴の前記遠位端部の前記直径は、1から3mmの直径を有する請求項7に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項10】
前記貫通穴は、円錐状遠位端部を有する請求項1から9のいずれかに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項11】
前記遠位端部は、円錐状の外面を有する請求項1から10のいずれかに記載の外科用ハブ。
【請求項12】
前記貫通穴の内部に配置され、前記貫通穴に装着され前記第2の構造と係合する、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップとのシール係合を提供するように構成されているシールをさらに備える請求項1から11のいずれかに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項13】
前記シールは、デバイスを受容する大きさの中央開口部を有する、Oリングシール又はワッシャである請求項12に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項14】
前記Oリングシール又はワッシャは、前記中央開口部内で、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップとのシール係合を提供するために、軸方向に圧縮し径方向に広がるように構成される請求項13に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項15】
前記貫通穴の前記円錐状遠位端部は、植込み型デバイス、ガイドチューブ、またはキャップの、対応する円錐部と係合し、固定およびシール係合を提供するように構成されている請求項10に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項16】
前記貫通穴の周りの近位リムは、前記ハブの外側に延出し、頭蓋骨の開口部周囲の表面に設置するための縁部を提供する請求項1から15のいずれかに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項17】
前記リムの前記ハブからの延出は、0.5から2mmである請求項16に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項18】
前記ハブの外面上の前記第1の構造は、頭蓋骨に前記ハブを固定するための、少なくとも1つのブローチ歯を備える請求項1から17のいずれかに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項19】
前記ブローチ歯と前記貫通穴の周りの近位リムとの間に、ギャップをさらに備え、使用の際に前記ギャップに骨を内部成長させる請求項18に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項20】
前記ブローチ歯は、三角形の断面を有し、使用の際に周りの骨に前記ハブを食い込ませロックするように構成されている請求項18または19に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項21】
前記ハブの外面上の前記第1の構造は、頭蓋骨に対して前記ハブを固定するための、少なくとも1つのリブを備える請求項1から17のいずれか1つに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項22】
前記ハブの外面上の前記第1の構造は、頭蓋骨に前記誘導ハブを固定するためのねじ山を備える請求項1から17のいずれか1つに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項23】
前記ねじ山は、セルフタッピングねじである請求項22に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項24】
前記ねじ山は、頭蓋骨に切れ込む際に生じる骨の欠片を収容するように構成されている請求項22または23に記載の外科用誘導ハブ。
【請求項25】
前記ハブの外表面上の前記第1の構造は、頭蓋骨に前記誘導ハブを固定するための複数の突起を備える請求項1から17のいずれか1つに記載の外科用誘導ハブ。
【請求項26】
請求項1から25のいずれかに記載の外科用誘導ハブを備えるシステムであって、前記ハブの前記貫通穴の内部に係合するように構成される、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップの少なくとも1つをさらに備えるシステム。
【請求項27】
前記誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップは、前記ハブの前記貫通穴とのシール係合を提供するためのシールを備える請求項26のシステム。
【請求項28】
前記誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップは円錐部を備え、前記円錐部は前記ハブの対応する円錐部と係合し、その間にシールを提供するように構成される請求項26または27に記載のシステム。
【請求項29】
前記誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップは、前記ハブの前記貫通穴の前記第2の構造の対応するねじ山と係合するように構成されるねじ山を備える請求項26から28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップの前記ねじ山と、前記第2の構造の前記対応するねじ山は、一方が他方に対してロック可能である請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記外科用誘導ハブの前記第2の構造と係合するための構造を遠位端部に有するロッドを有するハブ挿入器具を備える請求項26から30のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項32】
前記ハブ挿入器具は、長さ方向に沿って中空であり、前記ハブ挿入器具と前記誘導ハブの前記貫通穴を通して、外科用器具または植込み型デバイスの挿入が可能である請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記ハブ挿入器具は、シャンクをさらに備え、前記シャンクは前記ロッドに対して移動可能である請求項31または32に記載のシステム。
【請求項34】
前記ハブ挿入器具の前記シャンクは、前記誘導ハブとさらに係合するように構成される請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
植込み型デバイスまたはキャップの、前記誘導ハブの前記貫通穴への送達に使用するためのドライバ器具を備え、
前記ドライバ器具は、前記植込み型デバイスまたはキャップの対応する構造内に取り付けるための形状の先端を有する請求項26から34のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項36】
植込み型デバイスまたはキャップを、誘導ハブの貫通穴に送達するために使用されるドライバ器具であって、前記ドライバ器具は前記植込み型デバイスまたはキャップの対応する構造内に取り付けるための形状の先端を有するドライバ器具。
【請求項37】
前記ドライバ器具と、植込み型デバイスまたはキャップの対応する構造は、一方から他方への着脱可能な装着を提供する請求項35に記載のシステムまたは請求項36に記載のドライバ器具。
【請求項38】
前記ドライバ器具は、前記ドライバ器具の最遠位端部の通過のための、長尺の植込み型デバイスを受け入れるサイドスロットを有する、遠位端部を備える請求項35から37のいずれかに記載のシステムまたはドライバ器具。
【請求項39】
前記サイドスロットは、前記ドライバ器具の最遠位端部まで延びる請求項38に記載のシステムまたはドライバ器具。
【請求項40】
前記ドライバ器具の先端部は、植込み型デバイスまたはキャップの、対応する複数の径方向の凹部に装着するための複数のローブ(lobes)を備え、前記ドライバ器具は、前記植込み型デバイスまたはキャップの径方向の凹部の数よりも1つ少ないローブを有する請求項39に記載のシステムまたはドライバ器具。
【請求項41】
前記サイドスロットは、前記ドライバ器具の最遠位端部まで延びる請求項38から40のいずれかに記載のシステムまたはドライバ器具。
【請求項42】
前記ドライバ器具は、前記ドライバ器具の遠位端部またはその近くにラッチを備え、前記ラッチは、前記サイドスロットの長さの少なくとも一部に沿って、前記スロットを可逆的に封鎖するように構成される請求項41に記載のシステムまたはドライバ器具。
【請求項43】
前記ドライバ器具は、植込み型デバイスを通過させるために、その長さ方向に沿って中空である請求項35から37のいずれかに記載のシステムまたはドライバ器具。
【請求項44】
請求項35から43のいずれか1つに記載のシステムに使用するキャップであって、
植込み型デバイスの通過と誘導のための貫通穴を備えるキャップ。
【請求項45】
ドライバ器具との係合のため及び/又は植込み型デバイスのクリップ装着のために、上面に複数の径方向の凹部を備える請求項44に記載のキャップ。
【請求項46】
手術の際に患者に外科用器具を挿入する深さを設定するジグであって、
器具位置合わせデバイスと、
定位誘導基準を示す代表基準と、
前記代表基準に対して移動可能な基準ガイドであって、前記代表基準から前記基準ガイドの基準面までの基準線長さを設定する基準ガイドと、を備え、
前記基準ガイドは、前記器具位置合わせデバイスから延びる外科用器具を受け入れるように構成される、前記基準面からの少なくとも1つのオフセットを有し、患者に対して手術において使用される際の前記外科用器具の挿入の深さが、前記代表基準から前記オフセットまでの距離によって前記ジグにおいて設定されるジグ。
【請求項47】
前記器具位置合わせデバイスが、前記代表基準を備える請求項46に記載のジグ。
【請求項48】
選択された定位誘導システム又は装置における定位誘導基準に対する、標的位置を示す、標的基準を備える請求項46または47に記載のジグ。
【請求項49】
前記基準ガイドは移動可能であり、前記代表基準は固定される請求項46から48のいずれか1つに記載のジグ。
【請求項50】
水平に対してある角度から前記ジグを支持するスタンドをさらに備える請求項46から49のいずれか1つに記載のジグ。
【請求項51】
前記器具位置合わせデバイスは、細長い器具を受入れ、その遠位端部を前記基準ガイドの方向に向けるための、複数のスロットまたは複数の溝を含むバーを備える請求項46から50のいずれか1つに記載のジグ。
【請求項52】
移動可能な前記基準ガイドは、前記器具位置合わせデバイスの前記バーに平行な、バーの形状であり、前記器具位置合わせデバイスに対して、平行の関係を維持しながら移動可能である請求項51に記載のジグ。
【請求項53】
前記器具位置合わせデバイスが、細長い外科用器具を受け入れ、それらの器具の遠位端部を前記基準ガイドの方向に向ける複数のスロットまたは複数の溝を含むバーを有し、
前記代表基準が、前記器具位置合わせデバイスの前記バーに設けられ、
前記基準ガイドが、前記器具位置合わせデバイスの前記バーと平行なバーを有し、その平行関係を維持しながら、前記器具位置合わせデバイスに対して移動可能であり、
前記器具位置合わせデバイスのバーと前記基準ガイドのバーは、少なくとも2つのレールで接続され、前記少なくとも2つのレールは、前記器具位置合わせデバイスの前記バーの各端部に1つずつ配置され、移動可能な前記基準ガイドのバーの対応する端部に接続される請求項46に記載のジグ。
【請求項54】
前記基準ガイドの前記バーは、前記少なくとも2つのレールにスライド可能に係合する請求項53に記載のジグ。
【請求項55】
前記器具位置合わせデバイスと前記基準ガイドに接続する少なくとも3つのレールを備え、第3のレールは、前記器具位置合わせデバイスの前記バーの中間点に配置され、前記基準ガイドの前記バーの対応する中間点まで延びる請求項53または54に記載のジグ。
【請求項56】
前記少なくとも2つのレールはねじが形成され、前記基準ガイドの前記バーにある対応するねじを通過する、リードスクリューとして動作し、
前記少なくとも2つのレールは、ラックギアを有し、前記基準ガイドの前記バーは対応するピニオンを有する請求項53に記載のジグ。
【請求項57】
前記基準ガイドは、外科用器具を通過させるために前記基準ガイドを通って延びる少なくとも1つの誘導チャネルを備え、前記誘導チャネルは前記基準面から延び、前記器具位置合わせデバイスによって設定される方向に延びる請求項46から56のいずれか1つに記載のジグ。
【請求項58】
前記器具位置合わせデバイスは、
骨に平坦なワーク面を形成するための切削器具と、
骨にパイロット穴を形成するためのパイロットドリルと、
骨にプロファイル加工された穴を形成するためのコアドリルと、
の1つ以上を受け入れるように構成される請求項46から57のいずれか1つに記載のジグ。
【請求項59】
前記基準ガイドが、請求項1から25のいずれか1つに記載の外科用誘導ハブを受け入れるための穴をさらに備える請求項46から58のいずれか1つに記載のジグ。
【請求項60】
前記基準ガイドは、外科用器具の通過させるための、前記基準ガイドを通る誘導チャネルと、プロファイル加工された穴に配置される外科用ハブと、を含む請求項59に記載のジグ。
【請求項61】
前記基準ガイドよりも前記器具位置合わせデバイスから離れて配置され、前記基準面から、移動可能な前記基準ガイドを通って延びる、外科用器具または器具の部分を、選択された長さに調整するまたは選択された長さに切断するための、移動可能な切断または深さ測定ガイドをさらに備える請求項46から60のいずれか1つに記載のジグ。
【請求項62】
前記移動可能な切断または深さ測定ガイドは、前記位置合わせデバイスと前記基準ガイドの両方に平行で、外科用器具または器具の部分の遠位端部と係合する誘導面を有する、バーを備える請求項61に記載のジグ。
【請求項63】
請求項46から62のいずれかに記載のジグを備えるシステムであって、
骨に平坦なワーク面を形成するための切削器具と、
骨にパイロット穴を形成するためのパイロットドリルと、
骨にプロファイル加工された穴を形成するためのコアドリルと、
径が拡大されたプロファイル加工された穴を骨に形成するためのフライス器具と、
前記プロファイル加工された穴への挿入のための請求項1から25のいずれか1つに記載された外科用誘導ハブと、
からなる群から選択される少なくとも1つの外科用器具をさらに備えるシステム。
【請求項64】
前記切削器具は、遠位円筒カッターと近位円筒カッターを備え、前記遠位円筒カッターは前記近位円筒カッターよりも小さい直径を有する請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
外科用器具の手術用の長さを準備する方法であって、
i) 請求項63または64に記載のシステムを設置し、
ii) 前記基準ガイドを前記代表基準に対して移動させることによって、前記代表基準から基準面までの基準線長さを、前記基準ガイドに設定し、
iii) 外科用器具の手術用長さを得るために、前記器具位置合わせデバイス内の外科用器具を、前記基準ガイド内の予め決められたオフセットに移動させるステップを有する方法。
【請求項66】
前記基準線長さを設定するステップが、
iv) 前記器具位置合わせデバイス内で基準測定器具を保持し、
v) 前記基準ガイドを、前記器具位置合わせデバイスに対して移動させて、前記基準測定器具の遠位端部に接触させ、
vi) 前記基準ガイドを、前記基準測定器具によって決定される、前記器具位置合わせデバイスからの長さで静止して固定させるステップを有する請求項65に記載の方法。
【請求項67】
筒状のDBSジェネレータを頭蓋骨に植込むためのシステムであって、
a)本明細書に記載の本発明のジグと、
b)骨に平坦なワーク面を形成するための切削器具と、
c)骨にパイロット穴を形成するためのパイロットドリルと、
d)前記パイロット穴よりも大きい穴を骨に形成するためのコアドリルと、
e)頭蓋骨に前記筒状のDBSジェネレータを収容するために、プロファイル加工された穴を形成するための少なくとも1つのフライス器具と、
を備えるシステム。
【請求項68】
前記少なくとも1つのフライス工具は、
頭蓋骨を通る、コアドリルの穴よりも大きい直径の、DBSジェネレータ取付穴を切削するための、遠位切削面と、
前記DBSジェネレータ取付穴の周囲の頭蓋骨に、前記筒状DBSジェネレータの対応する縁部を収容するために、レッジを形成するための、近位切削面と、
を備える請求項67に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳神経手術、脳神経治療および脳神経診断に使用される植込み型誘導ハブに関する。本発明はまた、手術中における患者への外科用器具の挿入深さを設定するためのジグに関する。このデバイスとジグは、正確で再現性のあるターゲティングが必要な画像誘導定位脳神経手術に特に役立つ。
【背景技術】
【0002】
画像誘導脳神経外科手術における脳内の標的とその標的への軌道は、放射線画像上で特定され、その画像ベースの3D座標が、外科用ターゲティングデバイスまたは定位誘導の3D座標系と相互にレジストレーション(co-registered)される。このレジストレーション(registration)は従来、患者の頭部に固定されたベースフレームに取り付けられた、放射線画像上に見えるマーカ(fiducials)を参照して行われていた。得られた標的と軌道座標は、定位誘導に設定され、ベースフレームと標的に誘導された器具に固定される。あるいは、いわゆるフレームレスレジストレーションは、画像取得中に、患者の頭部に固定された放射線不透過性マーカーの位置を特定したり、手術台に頭を固定された状態で、患者の顔の輪郭をトレースしたりするために、位置センサーを備えたアームや光学的または電磁的に追跡される器具を使用する、機械的手段によって達成することができる。定位誘導は、可動およびロック可能なアークまたはアームを含む場合があり、外科用ロボットの場合もある。脳内の標的には、解剖学的構造や、腫瘍などの病理学的構造が含まれる。
【0003】
画像誘導定位脳神経手術では、多くの難題に直面する可能性がある。これらには、不十分な治療効果やオフターゲットの副作用を引き起こす、ターゲティングの不正確さが含まれる。不正確な場合は、出血を伴う血管系の損傷や重要な脳構造の損傷により、合併症や死亡の比率が高くなる可能性もある。定位的に挿入されたデバイスを頭蓋骨に十分に固定することは難しい場合があり、デバイスの引き抜きや脳内への移動のリスクを伴う可能性がある。
【0004】
現在の定位システムは複雑で、脳にデバイスを送達するために、外科医は複数の測定と調整を行う必要がある。ヒューマンエラーのリスクが高く、複数の軌道と標的が必要な場合は増大する。現在の定位固定システムの複雑さにより、手術時間が長くなり、感染率の上昇などのさらなるリスクが生じる。
【0005】
現在の定位システムは、繰り返し行う手術における正確な再現性の要求を完全には満たしていない。繰り返し行う手術は、遺伝子治療、化学療法薬の送達、損傷処置(lesioning procedures)などを最適化する場合に特に有益である。
【0006】
植込み型デバイスが誤って配置されたり、取り外されたりした場合、再挿入するには外科的ワークフロー全体を繰り返す必要がある。これには、術前の画像処理、手術の計画、定位システムの適用などが含まれる。
【0007】
本発明の目的は、標的脳神経外科手術(targeted neurosurgical procedures)のための改良された装置および方法を提供することによって、前述の問題の少なくともいくつかに対処することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、頭蓋骨に形成され、脳標的(a brain target)への軌道に沿って形成された、開口部に植込むための外科用誘導ハブが提供され、
誘導ハブは、
デバイスを通して、軌道に沿って送達するための貫通穴と、
ハブを頭蓋骨の開口部内に固定するための、外面上の少なくとも1つの第1の構造と、 誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップをハブに固定するための、貫通穴の表面上の少なくとも1つの第2の構造と、
を備える。
【0009】
誘導ハブは、円筒状またはほぼ円筒状の本体を有してもよい。貫通穴は、円筒形またはほぼ円筒形の本体の軸に沿っていてもよい。
【0010】
貫通穴は、本明細書に記載の方法によって、軌道に沿って、例えば脳内に、植込み型デバイスを送達するように位置合わせされればよい。したがって、誘導ハブの貫通穴は、デバイスに対して軌道に沿った誘導を提供することができる。したがって、誘導ハブは脳神経手術に利用されるが、誘導ハブを骨に固定することが望ましい他の外科的用途にも使用することができる。
【0011】
誘導ハブは、脳標的への軌道に沿った誘導を提供するように構成されることができる。誘導ハブは通常、脳内のターゲットに可能な限り近い、頭蓋骨に誘導要素を提供し、それにより軌道に沿って誘導される送達の正確さを補助する。頭蓋骨に形成された開口部は、頭蓋骨の厚さ全体を貫通する。したがって、誘導ハブは、通常は、頭蓋骨の外部と頭蓋骨の内部との間のアクセスを提供するように構成されることができる。誘導ハブの貫通穴は、頭蓋骨を通って頭蓋腔および/または脳内にデバイスを送達することに適している。特に、カテーテルやカニューレなどの流体輸送チューブは、誘導ハブを介して頭蓋腔および/または脳内に送達されることができる。
【0012】
誘導ハブは、
図1及び米国特許出願公開第2001/0003156号に記載されている従来技術の装置のようにガイドチューブを備えていないが、後述するようにガイドチューブを取り付けることができる。したがって、誘導ハブを頭蓋骨の開口部に挿入する際に使用される力が、取り付けられたガイドチューブによって、脳に伝達されることはない。
【0013】
誘導ハブは、患者の頭蓋骨に取り付けられた際に、頭蓋骨の表面より上に突出しないようなサイズにすることができる。したがって、誘導ハブは、頭蓋骨に形成された開口部内において、頭蓋骨の表面またはその下に植え込むためのものとすることができる。誘導ハブは、繰り返し行われる手術が想定される場合に、特に役立つ。誘導ハブは、第2の構造に装着するキャップで閉じることができ、使用しないときは頭皮がその上で閉じられてもよい。デバイスの送達が必要な場合は、頭皮を再度開き、キャップを取り外し、誘導ハブを介してデバイスを送達することができる。
【0014】
本明細書に記載の誘導ハブおよびシステムを使用して、広範囲のデバイスを、頭蓋骨を通して頭蓋腔および脳に送達することができる。デバイスには、診断または治療のために液体を送達または除去するためのカニューレまたはカテーテル、高周波損傷を含む神経活動を記録、刺激、遮断するための電極、治療用放射性同位元素を送達するための小線源療法装置(brachytherapy devices)、損傷または光学刺激のためにレーザーを含む光を送るためのガラス繊維、圧力や、温度や、流体の流れや、代謝物・薬・ガスの濃度を監視するためのプローブ、マーカーを脳内に提供するため又は後で別のデバイスを脳標的に再アクセスするための経路を維持するための生検装置およびスタイレットを含むことができる。
【0015】
より具体的には、カテーテルおよびカニューレは、脳実質内だけでなく、脳室(ventricles)、硬膜下、又はくも膜下腔に対するものや、膿瘍、嚢胞、空洞および腫瘍に対するものを含む、任意の頭蓋内腔に誘導ハブを通して送達することができる。診断目的で送達される流体には、X線コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴映像法(MRI)などのX線画像で確認できる造影剤、診断用放射性同位元素及び、色素を含むことができる。治療目的で送達される液体には、化学療法、抗生物質、酵素、神経栄養因子(neurotrophin)、遺伝子治療、低分子干渉RNA(SiRNA)およびアンチセンスオリゴヌクレオチド、酵素、免疫調節治療(モノクローナル抗体およびキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)治療など)、オージェ電子放出体、イムノトキシン(immunotoxins)、分子標的治療、モノクローナル抗体、腫瘍溶解性ウイルス、ナノ粒子、ボツリヌス毒素が含まれるが、これらに限定されない。治療目的で不活性流体(人工脳脊髄液、生理食塩水、ハルトマン液、乳酸リンゲル液など)が注入されることもある。
【0016】
デバイスは、貫通穴に固定されたガイドチューブを用いて、誘導ハブを介して送達されることができる。
【0017】
したがって、本明細書に記載される誘導ハブおよび関連するシステムおよび方法は、広範な外科的方法および治療において適用することができる。例えば、これらに限定されないが、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、振戦、脳性麻痺などの神経変性疾患および運動疾患、膠芽腫、脳転移、びまん性橋神経膠腫(diffuse pontine glioma)などの神経腫瘍性疾患(neuro-oncological diseases)、多発性硬化症などの神経炎症性疾患(neuro-inflammatory diseases)、うつ病や強迫性障害などの精神疾患、ライソゾーム病などの代謝性疾患、水頭症や頭蓋内圧亢進症、てんかんの治療を含む、脳機能の異常の外科的治療に適用される。
【0018】
誘導ハブは、ほぼ円筒形の形状であってもよい。ハブは、3mmから12mm、有利には3mmから6mmの外径を有することができる。ハブの高さは3mmから10mm、有利には4mmから6mmであってもよい。したがって、誘導ハブは患者の頭蓋骨内にコンパクトに装着することができる。
【0019】
貫通穴は、その遠位端部(使用時において頭蓋骨の外面に対して遠位端)で直径が減少してもよい。例えば、直径が0.5mmから5mm、さらには1mmから3mmであってもよい。縮小される直径は、送達されるデバイスまたは連携するガイドチューブにぴったりフィットするように選択できる。
【0020】
誘導ハブはさらに、貫通穴内に配置され、通過するデバイスとの、または貫通穴に取り付けられ第2の構造と係合するキャップとの、シール係合を提供するように構成されたシールを備えることができる。シールは、デバイス、ガイドチューブ、またはキャップを通す大きさの中央開口部を備えた、Oリングシール又はワッシャであってもよい。Oリングシール又はワッシャは、軸方向に圧縮して半径方向に拡張し、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップの、中央開口内におけるハブに対するシール係合を提供するように構成されることができる。
【0021】
誘導ハブは、円錐状の遠位端部を有していてもよい。貫通穴は、円錐状の遠位端部を有し、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップ上にある、ハブに対する対応する円錐部が係合して、相互間にシール係合を提供するように構成されることができる。
【0022】
誘導ハブは、頭蓋骨の開口部周囲の表面に設置するための縁部を提供するために、ハブの外側に延出する近位リムを含むことができる。例えば、近位リムはハブから0.5mmから2mmだけ延出ることができる。近位リムがハブから延出していない誘導ハブも考えられる。
【0023】
誘導ハブは、ハブが頭蓋骨の開口部に係合して内部に固定されるようにするための、第1の構造を、その外面に有する。誘導ハブは、外科用装置を骨に取り付ける際によく使用される小さなネジや他の別個の固定具を使用することなく、頭蓋骨内の開口部に取り付けることができる。誘導ハブは頭蓋骨開口部に圧入することができ、したがって、第1の構造は、圧入動作を可能にする、および/または一旦取り付けられた誘導ハブの回転を防止する1つまたは複数の突起形状とすることができる。
【0024】
したがって、ハブの外面上の第1の構造は、ハブを頭蓋骨に固定するための少なくとも1つのブローチ歯を備えることができる。使用時に骨の内部成長を許容するために、ブローチ歯と近位リムとの間に隙間があってもよい。少なくとも1つのブローチ歯は、断面が三角形であってもよく、使用時に周囲の骨に食い込ませてハブをロックするように構成される。
【0025】
さらに、または代わりに、ハブの外面上の第1の構造は、頭蓋骨に対してハブを固定するための少なくとも1つのリブを備えることができる。1つまたは複数のリブは、誘導ハブの表面に沿って、近位端部から遠位端部まで、ほぼ軸方向に延びることができる。
【0026】
他のパターン化された表面を使用して、誘導ハブと骨との間にグリップを提供してもよい。例えば、突起のパターンが誘導ハブの外面の周りに分布していてもよい。
【0027】
あるいは、ハブの外面上の第1の構造は、誘導ハブを頭蓋骨に固定するためのねじ山を備えていてもよい。
【0028】
貫通穴の表面上の第2の構造は、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップを、ハブに対して固定するためのものである。第2の構造により、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップを、ハブに対して解放可能に固定することができる。
【0029】
好都合なことに、第2の構造は、ハブ挿入器具をハブに固定するために使用することもできる。ハブ挿入器具は、ハブの第2の構造と係合するための構造を、その遠位端部に備えたロッドを備えることができる。したがって、ハブ挿入器具は、以下にさらに説明されるようにそして特定の例を参照して、軌道に沿ってハブを頭蓋骨に挿入するために定位誘導システムとともに使用できる誘導デバイスを構成する。
【0030】
好都合なことに、ハブ挿入器具は、その長さに沿って中空であってもよく、外科用器具または植込み型デバイスが、ハブ挿入器具を通り、頭蓋骨内にある取り付けられたハブを通り、そして患者の脳内に挿入されることができる。このようにして、誘導ハブと中空ハブ挿入器具(または第2の構造に適合する別の中空の細長い器具)の組み合わせは、軌道に沿って患者内に器具またはデバイスを挿入するための、患者の頭蓋骨に固定された細長いガイドとして、組み合わせて使用することができる。例えば、特定の例を参照して以下にさらに説明されるように、植込み型デバイスの挿入を可能にして誘導するために、脳内に経路を形成するための、経路形成プローブなどの外科用器具は、ハブとハブ挿入器具の組み合わせを介して、選択された軌道に沿って患者の脳内に送達されることができる。
【0031】
誘導ハブおよび中空ハブ挿入器具(または第2の構造に適合する別の中空の細長い器具)を備える細長いガイド、および細長いガイドを使用する方法は、発明のさらなる態様を構成する。中空ハブ挿入器具(または別の中空の細長い器具)には、器具またはデバイスが通って送達されるときに、空気を逃がすための穴をその遠位端部に設けることができる。
【0032】
誘導ハブ上の第2の構造は、挿入器具上の対応するねじ山と係合する、または貫通穴に装入される誘導デバイス、植込み型デバイス、もしくはキャップと係合するように構成された、ねじ山を備えることができる。あるいは、デバイスまたはキャップと第2の構造との間に、バヨネット式の固定を使用することもできる。
【0033】
第2の構造および誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップがねじ山を有する場合、対応するねじ山は、例えばデバイスまたはキャップの半回転だけで、デバイス又はキャップを迅速に取り付けることができるように形成することができる。したがって、ねじ山は、第1のねじ山部と第2のねじ山部とを備える二重進入ねじ山であってもよく、各ねじ山部は、デバイス又はキャップをねじ山内に完全に挿入して半回転によってそこにロックできるように、ハブの約半回転をスイープ(掃引)する。
【0034】
対応するねじ山は、ロックねじ山(locking screw threads)であってもよい。例えば、雄ねじが雌ねじの根元のくさび斜面(a wedge ramp)に係合するとロックする、比較的自由に動くねじを利用するSpiralock(登録商標)タイプのようなロックねじの配置を備えてもよい。さらに例えば、第1のねじ山部および第2のねじ山部のうちの少なくとも1つは、ノッチと、デバイスまたはキャップ上の対応するリブと、の係合によって、デバイスまたはキャップを第1または第2のねじ山部内に一時的にロックするように構成されたノッチを備えることができる。第1および第2のねじ山部のそれぞれは、ノッチと、デバイス又はキャップ上の対応するリブと、の係合によって、デバイス、キャップを第1および第2のねじ山部内に一時的にロックするように構成されたノッチを備えることができる。
【0035】
したがって、第2の構造は、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップを、誘導ハブに迅速に(たとえば、半回転で)ねじ固定するために使用でき、これはデバイス又はキャップ上の適切な構造に取り付けるために形成された端部を備えた単純なドライバ器具で行うことができる。好都合なことに、ドライバの端部と、誘導デバイス、植込み型デバイス、またはキャップ上の構造との間の係合により、着脱可能な装着を提供する。例えば、ドライバの端部は、誘導ハブへの取り付けが完了するまで、デバイス又はキャップがドライバに取り付けられた状態が維持されるように、デバイス又はキャップ上の構造と締まり嵌めされていてもよい。取り付けられるデバイスが細長く、取り付け後に誘導ハブを越えて延在する場合(例えば、治療として注入剤を送達するためのカニューレ)、ドライバ器具は、デバイスが通過できるようにその長さに沿って中空であってもよい。ドライバがその長さに沿って中空である場合、デバイス又は外科用器具が器具の本体を通って患者に入るときに空気を排出するために、遠位端部またはその近くに通気孔を設けることができる。これは、患者の脳に対してなど、患者に空気が流入するのを防ぐのに役立つ。あるいは、以下により詳細に説明するように、ドライバ器具には、細長いデバイスをサイドスロットに受け入れ、器具の最遠位端部を通過させることができる遠位(頭)端部を設けることができる。サイドスロットは通気口としても機能する。サイドスロットは、ドライバ器具の最遠位端部まで延びていてもよい。これにより、以下にさらに説明するように、カニューレなどの細長いデバイスの取り付け及び取り外しが容易になる。ドライバ器具は本発明の別の態様を構成する。
【0036】
本発明の誘導ハブは、貫通穴を通して軌道に沿ってデバイスを送達するためのものである。貫通穴の表面の第2の構造は、デバイスまたはキャップをハブに固定するためのものである。第2の構造に固定されたキャップは、デバイスをハブに固定することができる。したがって、本発明は、本明細書に記載の本発明による外科用誘導ハブを備えるシステム、及び、ハブの貫通穴内に係合し好ましくはロックするように構成されたデバイス又はキャップも提供する。
【0037】
デバイスまたはキャップは、ハブの貫通穴とのシール係合を提供するためのシールを備えていてもよい。代わりに、又は追加的に、シールを貫通穴に設けることができる。
【0038】
システムのデバイス又はキャップは、ハブの対応する円錐部と係合して、その間にシールを提供するように構成された円錐部を備えることができる。
【0039】
デバイスまたはキャップは、ハブの貫通穴上の第2の構造の対応するねじ山と係合するように構成されたねじ山を備えることができる。
【0040】
したがって、デバイスは、誘導ハブ内の第2の構造内に固定するための構造を備えることができる(例えば、雄ねじを有する構造が、デバイスの本体の周りに固定されることができる)。
【0041】
システムのキャップは、頭蓋腔への進入が必要ない場合に、貫通穴をシールするためのものであってもよい。
【0042】
あるいは、キャップは、キャップを貫通するキャップ貫通穴を有してもよく、それは植込み型デバイスを誘導ハブに固定するためであってよい。例えば、カニューレはキャップ貫通穴を自由に通過することができる。キャップが貫通穴に、例えばねじで固定されているため、カニューレは、キャップによって軸方向に圧縮され半径方向内側に拡張した、貫通穴内のOリングシールによって把持されることができる。
【0043】
本発明の誘導ハブは、使用時に頭蓋骨の開口部に埋め込まれる。誘導ハブは、頭蓋腔内、そして特に脳内の標的への軌道に沿ってデバイスを挿入するためのガイドとして機能する。イメージングと、軌道を決定するための定位システムの使用後に、ハブを挿入するために利用される一般的な手順は、
頭皮を切開して頭蓋骨を露出させ、
切削器具(a facing tool)を使用して頭蓋骨に平面を切削加工し、
軌道に沿って頭蓋骨にパイロット穴を開け、
プロファイル加工された開口部を提供し、誘導ハブを受け入れるために、パイロット穴を拡大し、そして
誘導ハブをプロファイル加工された開口部に、圧入またはねじで取り付けるステップを含む。
【0044】
切削器具によって形成された平面は、軌道に対して概ね垂直である表面を提供し、それにより、パイロットドリルを頭蓋骨表面の湾曲に直接当てる場合に起こり得る、パイロット穴ドリルの滑りを回避しながら、パイロット穴の穿孔を可能にする。
【0045】
その後、誘導ハブは、デバイスの挿入のために使用される。プロファイル加工された穴、誘導ハブの取り付け、およびデバイスの特に脳内への送達の準備は、手術全体を通して慎重な誘導および正確さを必要とし、定位フレーム又はロボットアームなどの定位手段の使用を含む。
【0046】
プロファイル加工された穴を形成し、脳内にデバイスを取り付けるために、頭蓋骨表面への従来の穿孔方法を使用することは、特に、ハブ又は他の装置の導入のための穴を形成するために複数の異なる装置が使用される場合には、通常は多くの測定を実施することが必要となる。
【0047】
従来の定位誘導を使用する場合、脳画像は定位基準システムを用いて位置合わせされ、定位誘導が標的座標に、所望の軌道に沿って設定される。定位誘導は、自身の基準点を有し、ターゲットは基準点から、選択された軌道に沿って測定された距離にある。現在利用可能な定位誘導は、基準と標的との間に、例えば190mmまたは160mmの距離を有する。ロボット定位誘導は、ロボット定位誘導の基準と標的との間の所望の距離を予め設定することができる
【0048】
脳のイメージングは、所望の軌道に沿った頭蓋骨の厚さと、頭蓋骨表面から標的までの距離とを提供する。従来の方法では、この情報は、外科医が、軌道に沿って患者の頭部に導入される、装置の各ピースの長さを計算するために使用される。例えば、外科医は、脳内への特定の深さが第1のデバイスによって到達されなければならないことを計算し、それにより、定位誘導方法を利用する際に、深さに到達できるようにするために、第1のピースの装置の長さを切断または調整する。導入される次のデバイスは、しばしば脳内のより深い、異なる深さに到達することが必要とされ得る。外科医は、第2のデバイスが調整又は切断される必要がある長さを計算するために、撮像のデータを再び使用し、定位誘導を使用する際に所望の深さに到達するように、適合させることになる。このプロセスは、煩雑であり、特に緊張が多く疲労をもたらす脳手術の環境において、ヒューマンエラーに付随するリスクを伴う多くの計算を必要とする場合がある。
【0049】
さらなる態様によれば、本発明は、手術中の患者への外科用器具の挿入深さを設定するためのジグを提供し、当該ジグは、
器具位置合わせデバイスと、
定位誘導基準を表す、代表基準と、
代表基準に対して移動可能な基準ガイドであって、代表基準から基準ガイド上の基準面までの基準線の長さを設定するための基準ガイドと、を備え、
基準ガイドが、器具位置合わせデバイスから延在する外科用器具を受容するように構成された基準面からの、少なくとも1つのオフセットを有し、
患者への手術において使用される際に外科用器具の挿入の深さが、代表基準からオフセットまでの距離によってジグ上に設定される。
【0050】
ジグはまた、本発明の誘導ハブの使用に関して本明細書で論じられるデバイス(カニューレ、カテーテル、DBS電極など)のいずれかのように、患者へのデバイスの挿入深さを設定するために使用されてもよい。したがって、ジグは、本明細書に記載されるように、本発明の誘導ハブの挿入手順及び使用において、利用することができるが、脳神経手術および他の外科手術において、より一般的な用途を見出すこともできる。基準ガイド上の基準面は、患者の頭蓋骨、または外科手術で使用される任意の他の表面または基準、例えば、患者の頭蓋骨における本発明の誘導ハブの位置に基づく基準を表す。
【0051】
本明細書に記載のジグおよび関連する器具は、限定された回数の長さの測定または計算だけが必要となるという利点を有する。例えば、完全な外科手術に必要とされる全ての器具およびデバイスの長さ又は深さを設定するためのジグを準備するために、1回だけの基準線の測定が必要とされることができる。さらに、手術に必要な器具およびデバイスは、最小限の取り扱いで、患者に次々に移送する準備ができ、それによって感染のリスクを低減することができる。
【0052】
ジグはまた、選択された定位固定システム又は装置で使用されるように、定位誘導基準に対する標的位置を表す標的基準を備えてもよい。したがって、ジグ上の代表基準から標的基準までの距離は、患者に外科手術を実施する際の標的距離に対する定位誘導基準に対応する。市販のCosman Roberts Wells(CRW)定位フレームでは、その距離は標的から160mmに設定され、Leksellフレームの対応する距離は190mmである。したがって、基準ガイド上の基準面は、ジグ上において、代表基準と標的基準との間にある、頭蓋骨表面を表すことができる。
【0053】
ジグは、略矩形であってもよい。ジグは、外科用器具が配置されるオープンフレームの形態をとることができる。ジグは、背板を備えていてもよい。ジグは、ジグを水平に対してある角度(例えば45度)から支持するスタンドを備えていてもよい
【0054】
器具位置合わせデバイスは、代表基準を備えてもよい。
【0055】
器具位置合わせデバイスは、背板に設けられた溝を備えてもよい。器具位置合わせデバイスは、概ね細長い器具を受容し、その遠位端部を基準ガイドの方向に向けるための、スロットまたは溝を含むバーを備えることができる。基準ガイドは、器具位置合わせデバイスのバーに平行なバーの形態であってもよい。基準ガイドは、平行関係を保持しながら、器具位置合わせデバイスに対して移動可能であってもよい。
【0056】
ジグでは、基準ガイドは、代表基準に対して移動可能である。便利なことに、これは、基準ガイドが移動可能であって、代表基準が固定されることによって実現される。例えば、代表基準は、ジグ内の固定位置にある器具位置合わせデバイスの一部として提供されてもよい。しかしながら、例えば、基準ガイド及びその関連する基準面が固定され、代表基準が基準線長さを設定するために移動可能である場合など、別の配置が考えられる。例えば、代表基準は、移動可能な器具位置合わせデバイス上に提供されてもよい。さらに別の例として、代表基準および基準ガイドの両方が、基準線長さを設定する際に移動してもよい。
【0057】
ジグの好ましい形態では、器具位置合わせデバイスは、概して細長い外科用器具を受容し、その遠位端部を基準ガイドに向けるためのスロットまたは溝を含むバーを備え、
基準点は、器具位置合わせデバイスのバー上に形成され、
基準ガイドは、器具位置合わせデバイスのバーに平行なバーを備え、その平行関係を維持しながら器具位置合わせデバイスに対して移動可能であり、
器具位置合わせデバイスのバーと基準ガイドとは、少なくとも2つのレールによって接続され、その少なくとも2つのレールは、器具位置合わせデバイスのバーの各端部に配置され、基準ガイドのバーの対応する端部に接続される。
【0058】
この形態では、器具位置合わせデバイス(および関連する基準点)が固定され、基準ガイドが移動可能であるために特に好ましいといえる。
【0059】
ジグはまた、例えば、夫々の端部における少なくとも2つのレールの間に延在する、筋交いを提供するための1つ以上のクロスメンバを備えてもよい。
【0060】
基準ガイドのバーは、少なくとも2つのレールとスライド可能に係合することができ、基準線長さを設定するために1つ以上のレールに固定可能であってもよい。器具位置合わせデバイスと基準ガイドとを接続する少なくとも3本のレールがあってもよく、第3のレールは、器具位置合わせデバイスのバーの中間点に配置され、少なくとも基準ガイドのバーの対応する中間点まで延在してよい。
【0061】
複数のレールと可動基準ガイドとの間のスライド可能な係合の代替として、少なくとも2つのレールは、可動基準ガイドのバー上の対応するねじ山を通る、リードスクリューとしてねじが形成されて動作してもよく、あるいは、
少なくとも2つのレールがラックギアを備え、そして可動基準ガイドのバーが対応するピニオンを備えてもよい。
【0062】
ジグは、モータ駆動されてもよく、基準線距離を設定するようにコンピュータ制御されてもよい。ジグの設置は、手術計画ソフトウェアから直接的であってもよい。計画スキャンから、頭蓋骨に対する標的位置、厚み、頭蓋骨などの情報や、頭蓋骨から標的までの軌道が得られる。したがって、外科手術に先立って、入力としてスキャンデータを使用するコンピュータ制御により、ジグが設定されてもよい。例えば、コンピュータによって制御されるスピンドルシャフトを駆動するサーボモータによって設定される。
【0063】
本発明のジグでは、基準ガイドは、外科用器具またはデバイスの通過のために、そこを通って延びる少なくとも1つの誘導チャネルを備えてもよく、誘導チャネルは、前記基準面から延在し、前記器具位置合わせデバイスによって設定された方向に続く。これにより、基準面からのデバイスの長さを測定し、必要な長さに調整または切断することができ、例えば、使用するカニューレの必要な長さは、誘導ハブの下に患者の脳内に延びる長さである。
【0064】
このジグは、頭蓋骨にプロファイル加工された穴を形成するための器具の設定、及び頭蓋骨に挿入されるデバイスの長さを設定することを可能にし、基準線長さの設定と、手術を計画する際に標的への軌道及び距離を決定する際に使用されるスキャンデータから全て決定される。
【0065】
本発明による誘導ハブの挿入に使用するため、または骨に穴が作られる同様の外科手術において使用するために、器具位置合わせデバイスは、
骨上に平坦なワーク面を形成するための切削器具、
骨内にパイロット穴を形成するためのパイロットドリル、
骨内にプロファイルされた穴を形成するためのコアドリル、
の1つ以上を受容するように構成されてもよい。
【0066】
基準ガイドは、本発明の外科用誘導ハブを受容するための穴をさらに備えてもよい。これは、ジグ上に器具とデバイスを、それらを患者に移送する前に、設定するために使用することができる。したがって、基準ガイドは、可動基準ガイドを通して外科用器具を通過させるための誘導チャネルと、穴内に配置された外科用ハブとを含むことができる。
【0067】
ジグは、さらに可動切断又は深さ測定ガイドを備えることができる。このガイドは、基準ガイドよりも器具位置合わせデバイスから離れて配置される。このガイドは、器具又はデバイスを選択された長さに調整するため、あるいは、選択された(基準面から可動基準ガイドを通って延びる)長さに器具や装置をカットするために構成される。可動切断又は深さ測定ガイドは、位置合わせデバイスと基準ガイドの両方に平行なバーを備えることができる。可動切断又は深さ測定ガイドは、デバイス又はデバイス部分の遠位端部と係合する誘導面を有してもよい。誘導ハブから頭蓋骨に入るデバイスを、測定または切断して長さを調整するために、基準ガイド上の基準面から適切な距離の位置に設定することができる。可動切断又は深さ測定ガイドは、デバイスを選択された長さに切断するためのナイフの挿入を可能とするために、ジグ内に配置されたデバイスの方向に対して横切るスロットを備えることができる。
【0068】
別の態様によれば、本発明は、本発明のジグを備え、さらに、
骨上に平坦なワーク面を形成するための切削器具と、
骨内にパイロット穴を形成するためのパイロットドリルと、
骨内にプロファイル加工された穴を形成するためのコアドリルと、
本明細書に記載の、プロファイル加工された穴に挿入するための誘導ハブと、
からなる群から選択される少なくとも1つの外科用器具を備えるシステムを提供する。
【0069】
別の態様によれば、本発明は、
i) 本発明のジグと、少なくとも1つの外科用器具とを備えるシステムを提供し、
ii) 代表基準に対して基準ガイドを移動させることによって、代表基準から基準ガイド上の基準面までの基準線長さを設定し、
iii) 外科用器具の手術用長さを得るために、器具位置合わせデバイス内の外科用器具を、基準ガイド内の予め決められたオフセットに移動させる、
ステップを有する、外科用器具の手術用長さを準備する方法を提供する。
【0070】
基準線長さを設定するステップは、
iv) 器具位置合わせデバイス内で基準測定器具を保持し、
v) 基準ガイドを器具位置合わせデバイスに対して移動させて、基準測定器具の遠位端部に接触させ、
vi) 基準ガイドを基準測定器具によって決定される代表基準からの長さで静止して固定させる、
ステップを有することができる。
【0071】
ジグおよび関連する方法は、患者の頭蓋骨に他のデバイスを移植する際の用途を見出すことができる。例えば、脳深部刺激療法(DBS)手術におけるものである。特に、頭蓋骨に装着された脳深部刺激療法(DBS)バッテリ電源(「ジェネレータ」)を取り付けるためのものである。
【0072】
DBSジェネレータは、患者の脳に取り付けられたDBS電極に電力を供給するために使用される。従来、患者の胸壁にDBSジェネレータが装着され、配線を皮下に走らせて、頸部を介して頭蓋骨のDBS電極に電力を供給する。DBSジェネレータは、取り外し可能なバッテリを備えてもよい。あるいは、DBSジェネレータは再充電可能であってもよく、例えば誘導充電によって無線充電される。
【0073】
DBSジェネレータは、患者の頭蓋骨内のように、DBS電極の近くに取り付けられている場合、それらは典型的には長方形または正方形である。このようなDBSジェネレータを取り付けるために、外科医は、時間のかかる、患者の頭蓋骨に対応する形状の穴を作らなければならない。本発明のジグは、以下にそして特定の実施形態を参照して、より詳細に説明されるように、患者の頭蓋骨に穴を準備することを助けるため、および、筒状のDBSジェネレータの取り付けを助けるために使用することができる。
【0074】
別の態様によれば、本発明は、頭蓋骨に筒状DBSジェネレータを植込むためのシステムを提供し、前記システムは、
a)本明細書に記載の本発明のジグと、
b)骨上に平坦なワーク面を形成するための切削器具と、
c)骨にパイロット穴を形成するためのパイロットドリルと、
d)骨内のパイロット穴よりも大きい穴を形成するためのコアドリルと、
e)頭蓋骨内に筒状DBSジェネレータを収容するために、コアドリル穴よりも大きい直径のプロファイル加工された穴を形成するための、少なくとも1つのフライス器具と、
を備える。
【0075】
フライス器具は、頭蓋骨を通ってコアドリル穴よりも大きい直径の、DBSジェネレータ取付穴を切削するための遠位切削面と、DBSジェネレータ取付穴の周囲の頭蓋骨に、筒状DBSジェネレータの対応する縁部を収容するために、レッジ(ledge)を形成するための近位切削面とを含むことができる。あるいは、異なる直径を有する2つのフライス器具は、筒状DBSジェネレータの対応する縁部を収容するためのレッジを含む、設計された穴を切削するために利用されることができる。
【0076】
当該システムは、コアドリル穴の完了に続いて、頭蓋骨の内板の下から、硬膜を離すために使用される鈍鉤(a blunt hook)をさらに含むことができる。DuraSeal(登録商標)ゲルのような止血ゲルが提供されてもよく、フライス器具が使用されるときに硬膜の破れを防止する保護バリアを提供するために、硬膜外空間に注入される。
【0077】
本発明はまた、本明細書で説明されるような、誘導ハブ、ジグ、および関連する器具およびデバイスの1つ以上の使用を形成する外科手術の方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
以下、本発明の実施形態について、以下の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1aおよび
図1b 従来技術の誘導デバイスを示す図である
【
図2】
図2a-2f 本発明による誘導デバイスの特徴を示す
【
図3】
図3aおよび
図3b 本発明と共に使用するためのキャップを示す
【
図5a】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5b】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5c】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5d】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5e】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5f】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5g】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5h】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5i】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5j】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図5k】患者の頭蓋骨にハブを設置するため、および、ハブを通るガイドチューブとカテーテルを提供するために使用される器具および方法を示す
【
図6】
図6a プロファイル加工された孔を示す。
図6b コアドリルを示す。
【
図7】患者の頭蓋内のハブ内にキャップを設置し、その後、患者の脳内にカニューレまたはDBS電極のリード線を設置する方法を示す
【
図8】その遠位(ヘッド)端部に軸方向に延びるスロットを備えるドライバを示す
【
図15】
図15a 脳深部刺激療法ジェネレータの送達のために頭蓋骨の表面を準備する方法を示す。
図15b 頭蓋骨の穴に送達されるDBSジェネレータを示す。
図15c ねじによって頭蓋骨に固定されている、
図6bのDBSジェネレータを示す。
【
図17】
図17a-
図17c 外部自己タッピングねじ山及びハブ係合機構を有する誘導デバイスを示す
【
図18】
図18a-18d 本発明と共に使用するためのキャップを示す
【
図19】
図19aおよび19b ガイドデバイス上のハブ係合機構に係合するように構成されたツール係合機構を有する挿入器具を示す
【
図22】
図22aおよび22b 患者の頭蓋骨から誘導デバイスを取り外すための短縮器具を示す図である
【
図23】
図23aおよび23b その全長に沿って軸方向に延びるスロットを備えるドライバを示す
【
図24】中空の中心軸に沿って配置されたデバイスを備えたドライバを示す
【
図25】
図25a-
図25c 基準マーカが器具にロックされているかどうかを示すためのインジケータを有する基準マーカを示す
【
図26】段差付き遠位プロファイルを有する切削器具を示す
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1aおよび
図1bは、それぞれ、その近位端部に取り付けられたハブ120を有するチューブ110を備える、従来技術の誘導デバイス100の等角図および断面図を示す。ハブ120は、チューブ110の穴と通じる通路を有し、その外面にねじ山を有する。
【0080】
誘導デバイス100は、最初に、定位誘導によって誘導される頭蓋骨内の所望の軌道に沿って穴を穿孔することによって、患者の頭蓋骨に使用するために設置される。誘導デバイスのチューブ110は、適切な長さに切断され、例えば、チューブ110を通して送達されるカニューレのために、脳標的(a brain target)へのアクセスを提供する。チューブ110は、チューブの遠位端部が予定位置にあるときに誘導デバイスのハブ120が頭蓋骨にあらかじめ形成された穴の中に固定されるように、頭蓋骨に形成された穴を通して定位誘導によって誘導されるプローブ上に送達される。適切なサイズのドリル穴があれば、固定は、圧入であってもよいし、予め雌ねじが形成されていればねじ嵌合であってもよいし、あるいは、アクリルセメントを用いてドリル穴内に接着されていてもよい。プローブは取り外され、誘導デバイス100は、患者の頭部に少なくとも一時的に、取り付けられて、留まることができ、カニューレなどの他の脳神経手術用装置を誘導して、脳内の標的に到達させることができる。
【0081】
ある状況では、誘導デバイス100は、患者の頭蓋骨および脳内に長期間置かれてもよい。頭蓋骨に固定された誘導デバイス100は、脳が頭蓋骨内で動く際に脳と一緒に動くことはない。したがって、誘導デバイス100のチューブ110に対する脳の相対的な動きが起こり、チューブ110の近傍の脳組織に外傷を与える可能性がある。誘導デバイス100は、誘導デバイスの穴とそこを通る外科用デバイスとの間にシールを提供することはない。したがって、誘導デバイス100と、感染が脳内に潜在的に進入できる外科用デバイスとの間に、空間が存在する。誘導デバイス100は、その穴を通して送達される外科用デバイスを固定する手段を提供することはない。例えば、誘導デバイス100が脳深部刺激療法(DBS)リード線を送達するために使用される際、リード線は、誘導デバイス100のハブ120から出るときに90度まで曲げられ、そして、小さなねじで頭蓋骨に固定された骨プレートの下に圧縮によって頭蓋骨に固定される。この固定プロセスは実施が煩雑で、DBSリード線をその標的位置から不注意に動かすリスクをもたらす。
【0082】
図2aおよび
図2bは、本発明による誘導デバイス200を示す。
図2cは、
図2a及び
図2bと同様の誘導デバイス200を断面図で示す。
図2cの例は、以下でさらに論じられるように、より小さいブローチ歯225を有することにより異なる。誘導デバイス200は、患者の頭蓋骨内に植込まれるように構成される。誘導デバイス200は、選択された軌道に沿って、装置を脳内に導入するためのロープロファイルアクセスポイント(a low profile access point)を提供する。また、デバイス200は、装置を誘導デバイス200に固定するための手段も提供する。
【0083】
誘導デバイス200は、誘導ハブ220を備えているが、
図1a及び
図1bのデバイスのようにガイドチューブ110を備えてはいない。
【0084】
誘導ハブ220は、チタンまたはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または他の生体適合性材料から作製きる。PEEKハブは、MRIで撮像した際に人工物(artefact)の発生を引き起こさず、高磁場において発熱しない、長期間の植込み型デバイスであるという利点を有する。各ハブ220は、貫通穴221を備え、貫通穴221の最先端部を形成する中心穴223を有する円錐部分222を、ハブの遠位端部に有する。ハブ220は、その近位端部に近位リム224をさらに備える。後述するように、リム224は、ハブ基準HDを提供し、ハブ基準HDと脳標的との間の距離を計算することを可能にする。
【0085】
ハブ220の本体は、直径(D)および長さ(L)を有する。貫通穴221及び遠位中心穴223を通るハブ220の直径は、さまざまな外科用デバイスを誘導し固定するための大きさとすることができ、例えば、直径0.5mmから5mmの範囲にすることができる。例として、1.2mmの断面直径を有するデバイスを送達し固定する際に使用するための、誘導ハブ200の寸法は、約4から5mmのハブ220の本体の直径(D)を有してもよい。ハブ220は、成人および子供の大部分の頭蓋骨の厚みの中に完全に植込まれるような長さ(L)であってもよい。したがって、長さ(L)は、4から5mm程度であってもよい。貫通穴221は、ハブ220の近位端部において直径3mm程度であってもよい。貫通穴221の最先端にある中央穴223は、通常は、直径約1.2mmとしてよい。リム224は、長さ(l1)が約0.5mm、厚さ0.5mmであってもよく、約5mmの外径および約4mmの内径を有する。直径が異なるデバイスをヒトおよび他の動物の脳に送達するのに使用するために、あるいは、人体の他の部位に採用する場合に、選択的な寸法の様々な誘導ハブ220が想定される。
【0086】
図2bおよび
図2cに見られるように、これらの実施例では、円錐部222は、約1mmの長さ(L)にわたって約45度の角度でテーパになっている。これは、ハブ220の外側に約45度の傾斜面と、ハブ220内に装置を設置するための面を提供する同様の傾斜内面とを提供する。
【0087】
図2a、2b及び2cを参照すると、ハブ220は、頭蓋骨に固定される際にハブ220の回転を防止するための複数のブローチ歯225を備える。ブローチ歯225は、リム224から距離(d1)の位置から始まってよく、頭蓋内に設置される際に、骨がこのギャップ内で再成長することを可能にし、それによって、安定した長期間の移植を提供することができる。距離(d1)は、リム224とブローチ歯225の間の、例えば0.5mmのギャップを提供することができる。いくつかの実施形態では、
図2bに見られるように、ブローチ歯225は、リム224の外径と同様の幅まで延びてもよい。
図2cでは、より小さいブローチ歯が図示されている。
【0088】
図2a、
図2b及び
図2cに示す例では、ハブ220には、ハブ220の周りに等間隔に配置された6つのブローチ歯225が設けられている。ブローチ歯225の形状および角度は、異なる骨密度又は異なる強度の骨への挿入を可能にするために、図中の例に示されるものから調節されてよい。実施例では、ブローチ歯225はそれぞれ三角形の断面を有し、ハブ220が骨に打ち込まれる際に、周囲の骨に食い込み、ハブ220を固定するように構成されている。頭蓋骨におけるハブの回転を防止するための他の手段を提供することができ、例えば、ハブの周囲に配置された軸方向に延びるリブのようなリブである。
【0089】
ブローチ歯225の代わりに、誘導ハブ220は、頭蓋骨に食い込むように配置された雄ねじを備えてもよいし、ハブがインターフェアレンスパターン(an interference pattern)(図示せず)を有してもよい。突起の配列などのインターフェアレンスパターンは、ハブ220が骨に押し込まれる際に、周囲の骨へのハブ220のロックを提供するために、締まり嵌めを提供することができる。
【0090】
図17a、
図17b、および
図17cは、誘導ハブ220が雄ねじ1702を備える例を示す。雄ねじ1702は、頭蓋骨に食い込みまたは切れ込むように配置されたセルフタッピングねじである。これにより、ハブを頭蓋骨に強固に固定することができる。さらに、頭蓋骨内の雄ねじ1702によってねじ切りされたねじ山は、後に誘導ハブ220の取り外しに続いて他のねじ付き部品を保持するために使用されることができる。例えば、ねじ付き骨プラグを、同じ穴を使用して、頭蓋骨の穴をシールするために、挿入することができる。雄ねじ1702は、ねじ山の間に比較的深い溝を有することが好ましい。これにより、雄ねじ1702が頭蓋骨に切れ込む際に生じる骨の欠片を収容するように、雄ねじ1702が構成される。雄ねじ1702の短径は、誘導ハブ220が少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.4mm挿入されるドリル穴の直径よりも小さくてよい。これにより、誘導ハブ220をより容易に挿入することができ、雄ねじ1702内の骨の欠片によって誘導ハブ220の周囲に骨が再成長することを促進するのを助けることができる。
図17a、17b、17cに示すように、誘導ハブ220はまた、誘導ハブ220の外径が雄ねじ1702の短径と一致するが、ねじが設けられていない、雄ねじ1702の上方および/または下方の領域を有してもよい。これは、雄ねじ1702が頭蓋骨に切り込む際に生成され得る骨の欠片を収容するための更なる空間を提供する。
【0091】
誘導ハブ220の近位リムは、以下でより詳細に説明される、ハブ挿入器具と係合するためのハブ係合機構を備えてもよい。ハブ係合機構は、任意の好適な機構、例えば、溝、突起、またはノッチを備えてよい。
図17a-17cの例では、ハブ係合機構は、誘導ハブ220のリムに複数のノッチ1704を備える。他の例の可能な形状は、誘導ハブの上部(近位)面における複数のスロット、複数の穴、または複数のキャスタレーションを含む。ハブ係合機構は、挿入中に、誘導ハブ220に対してより高いトルクがより容易かつ確実に適用されることを可能にする。これは、誘導ハブ220がセルフタッピングねじを有する場合に特に有利である。誘導ハブ220が、骨に切り込むためにねじに対して十分な力を容易に適用可能にするためである。
【0092】
誘導ハブ220のさらなる実施形態は、セルフタッピングではなく、ねじ穴に挿入される雄ねじを有してもよい。これは、誘導ハブ220が、例えばPEEKのようなセルフタッピングねじを形成するのに適していない材料から作製される場合に好ましい解決策である。この場合、ジグは、穴を所望の深さにタップ(雌ねじ切り)するための追加の器具を有する。
【0093】
ここで
図2d-2fを参照すると、ハブ220の内部構成は以下の通りである。ハブ220の貫通穴221は、円錐部222の近位端部から延びる二重進入雌ねじ226を備える。ここで説明される例で使用されるねじ226は、M4ねじであり、2mmのピッチを有し、半回転スイープする。ピッチは、異なる寸法のハブ220と共に使用される他のねじに対して調整されてもよい
【0094】
図2dに示されるように、ねじ226の各半回転は、ノッチ227を備える。ノッチ227の1つの詳細図を
図2eに示す。各ノッチ227は、ハブ220に挿入されてロックされる装置上のリブ(図示せず)と係合するように配置される。ノッチ227は、ハブ220の貫通穴221まで半径方向に延びる、0.2mmの長さ(l3)の、0.08mm
2の平面228備える。この平面228は、挿入される装置上のリブと係合する。図示されM4ネジ226を利用するハブ220の例では、ノッチ227は、ねじ226の始点から0.34mmの位置で始まり、これはネジ226の始点からハブ220内への長さ方向(L)に0.1mmの位置である。
図2eに示すように、ノッチ227は、挿入される装置上のリブがノッチ227を越えてスライドし、ノッチ227および/または装置上のリブの圧縮を提供することを可能にするために設けられる、フィレット229を備える。リブがフィレット229を通過すると、ねじ226内にしっかりと係合し、それによって装置はハブ220内にロックされる。
図2fは、ブローチ歯225およびノッチ227を示す、
図2bのハブ220の断面図を示す。Spiralock(登録商標)のような別のロックねじ山配置を、ハブ220の貫通穴221に採用してもよい。
【0095】
ハブ220の例示的な使用において、例示的なキャップ300は、
図3aおよび3bを参照して説明される。キャップ300は、PEEKから作られてもよい又はPEEKを含んでもよいカテーテルや(この例では)カニューレ393の上に、オーバーモールドされて形成される。PEEKのカニューレは、他の多くのプラスチック材料を使用する場合に比べ、頑丈で剛性が高く、生体適合性が高いという利点があり、外径が0.5mm程度であっても、その軌道から逸れることなく、脳組織に数センチを超えて送り込むことができる。PEEKのさらなる利点は、いくつかのCEDカニューレで使用される溶融シリカとは異なり、容易に切断でき、脆弱ではないことである。PEEKは、X線及びCT画像を用いて脳組織内の位置を確立することができるように、放射線不透過性にすることができる。オーバーモールドは、深さ停止と、カテーテルまたはカニューレ393を誘導ハブに固定する手段と、の両方として機能する。この例では、カニューレ393は、キャップ300から近位に延在する保護スリーブ393aを含む。誘導ハブ220を通してカニューレ393を挿入する前に、カニューレはジグで所望の長さ(キャップからカニューレ先端までの長さ)に切断される。キャップ300は、上面に、半径方向に外側に延びる複数の凹部(溝の形態)324を有する。この例では、6つの凹部324が設けられている。半径方向凹部324は、中空ドライバの、相補的に形成された端部の係合を可能にして、キャップ300をハブ220内で回転させる。それによって、キャップ300をハブ220のねじ山にねじ込み、リブ327をハブ220のノッチ227と係合させることによって、キャップ300をハブ220内にロックする。誘導ハブ220がノッチ227を備えることは必須ではなく、誘導ハブ220がノッチ227を含まない場合は、キャップ300はリブ327を備える必要はない。リブなしのキャップ300の一例を
図18a-18dに示す。中空ドライバは、凹部324を係合するために、一般的な従来のヘクサロビュラ(hexalobular)又は「スタードライブ(star drive)」の端部を有してもよい。中空ドライバの端部は、半径方向凹部324に締まり嵌めによって取り付けられてもよい。この締まり嵌め(または"クリップ"装着)は、キャップ300が所定の位置に置かれ、誘導ハブにねじ込まれている間に、ドライバ上に保持されることができるので便利である。
【0096】
図18cおよび
図18dにも示されるように、半径方向凹部324はまた、例えば、頭皮下に慢性的に植え込まれる場合に、ロープロファイルを提供するように90度まで曲げられる際、カニューレ393のような可撓性円筒形または管状デバイスを、患者への植え込み後に、保持する手段を提供する。半径方向凹部は、キャップの中心軸からの90度の曲率半径(324a)に沿っている。この半径は、取り付けられているデバイスの曲げ半径を画定し、制御する。したがって、大きい直径を有するデバイスに対して、径方向溝の直径はより大きくなる。通常は、大径デバイスは、管壁のよじれ又は崩壊を回避するために、より大きな曲率半径を必要とする。したがって、これらの寸法は、デバイスの湾曲が利用される、キャップ及び誘導ハブのサイズを決定する。
図3aおよび
図3bに示す例では、スリーブ393aはポリウレタン製、カニューレ393はPEEKチューブ製で、いずれもキャップ300にオーバーモールドされる。スリーブ393aは、繊細なPEEKカニューレ393を保護し、カニューレよりも従順な材料で作られているため、凹部324内に締まり嵌めで保持することを容易にする。
【0097】
キャップ300は、ハブ220の二重進入雌ねじ226(
図2c)と係合するための、対応する二重雄ねじ326を備える。キャップ300は、その遠位端部にキャップ円錐部322を備える。キャップ円錐部322は、キャップ300とハブ220とが一緒にロックされた際に、ハブの円錐部222との係合をシールするために形成され構成される。ハブ220内でのキャップ300の係合およびシール係合におけるロックについては、後述する。
【0098】
ハブ220の第2の例では、
図4aおよび
図4bに示すように、キャップ400の第2の例が使用される。キャップ400は、プローブ、電極、カテーテル、カニューレまたは他の装置などのデバイスの通過のための中央貫通穴421を備える。キャップは、通常は、上面にヘクサロビュラの形態の複数の半径方向凹部424を備える。半径方向凹部424は、
図3aおよび
図3bの例を参照して、上述したように、中空ドライバの係合を可能にする。キャップ400は、キャップ400が、デバイス上のオーバーモールドではなく、そして、その遠位端部にキャップ円錐部を備えていない点で、キャップ300とは異なる。代わりに、キャップ400は、キャップ貫通穴421と、後述するように、代替ハブ220内のシールと係合するように構成された、キャップ400の遠位端部にあるキャップ平坦部422とを備える。キャップ400はまた、半径方向に延びる凹部(溝)424のために、90度の曲率半径(424a)を備える。
【0099】
次に、
図5a-
図5fを参照して、患者の頭蓋骨500へのハブ220の挿入方法を示す。まず、概略
図5aに示すように、脳撮像が実行されて、定位誘導基準503に対する標的501および軌道502の位置が決定される。定位誘導システム(図示せず)が、その標的501と軌跡502について位置合わせされる。定位誘導システムの位置合わせは、定位誘導システムの定位誘導基準503を、標的501から所定の距離に設定することを含む。市販の定位誘導システムは、通常は、それらの定位誘導基準503を、標的501から140mm又は160mmのいずれかの周辺に設定する。しかし、例えば、手術の誘導にロボットアームを使用する場合、使用される距離が既知であれば、定位誘導基準503と標的501との間の選択された距離が、変更可能であることが理解されるだろう。
【0100】
画像スキャンは、外科医に、頭蓋骨の厚さと、脳内の関心領域の場所と配列に関する情報を提供する。定位誘導基準503と標的501との間の既知の距離によって、外科医は、定位誘導システムを使用して送達される器具を使用して行う手術を、正確に計画することができる。
【0101】
(データ測定及び器具設定)
好都合なことに、本発明の誘導ハブを利用する際の、手術のための器具およびデバイスの設定は、さらに詳細に説明され、
図5-
図14に関して以下でさらに論じられるように、本発明のジグを使用する。
【0102】
より一般的には、
図5bに図示されるように、円錐形状の遠位端部を有する基準測定器具535が、標的軌道に設定された定位誘導を通過する。定位誘導503上の基準から頭蓋骨500の表面までの距離が測定され、そこから、誘導ハブを頭蓋骨に植込むために必要とされる、器具の貫通深さが決定される。ハブ220の送達のための頭蓋骨500を準備するために、切削器具540は、定位誘導システムに取り付けられ、軌道502に沿って頭蓋骨500の表面に接触させられ、
図5cに示すように、頭蓋骨500の表面に平面541を形成する。これは、その後に軌道に沿って送達される微細パイロットドリル550が、頭蓋骨500の湾曲表面に係合している場合に起こりうるような、逸脱が起こらないようにするためである。平面541は、元の頭蓋骨外表面から約1mmの深さの凹部を提供する。
【0103】
図26に示されるように、切削器具540は、より近位の円筒カッター1540よりも小さい直径を有する、遠位円筒カッター1530で、段差プロファイル(外形)を有してもよい。この構成は、例えば、子供の頭蓋骨のように、鋭く湾曲し、薄い頭蓋骨500に特徴的な穴を形成する際に、特に利点を有する。小型の遠位円筒カッター1530は、上述したように、パイロットドリル550が骨表面と直交するように係合して、それが確実に同心円状に穿孔するように、骨内に平面を形成する。例えば、遠位円筒カッター1530は、深さ0.5-1.5mmの間、例えば深さ1mmで、直径が2-4mm、例えば3mmであってもよい。これは、好ましくは誘導ハブ220のリムの直径よりも大きい、より大きい直径の近位円筒カッター1540まで増大する。例えば、誘導ハブのリムの直径が5mmである場合、近位切削面の直径は6mmであってもよい。段差付き切削器具によって形成されるより大きい直径の平面は、確実に、プロファイル加工された穴を形成するコアドリルが現在の平面と直交する骨に係合し、その軌道から逸脱しないようにする。
【0104】
平面541を形成した後、パイロットドリル550を使用して頭蓋骨500の厚さを完全に貫通させて、
図5dに示すようなパイロット穴551を形成する。次に、遠位端部にニブ(nib)を有するコアドリル560をパイロット穴551に挿入し、
図5eに示すように、頭蓋骨500にプロファイル加工された穴561を形成するように誘導して、そこに植込み型ハブ220を圧入できるようにする。コアドリル560は、パイロット穴551を開き、その後のハブ220の、プロファイル加工された穴561内への係合を、確実でロープロファイルな方法で可能にする、内部プロファイル加工を行う。
【0105】
プロファイル加工された穴561の詳細図を
図6aに、コアドリル560の詳細図を
図6bに示す。近位端部側から、コアドリル560は段差部562を有する。段差部は頭蓋骨と係合し、誘導ハブの高さ0.5mmのリムが位置することになる、深さ1mm、直径5mmの凹部を形成するように構成される。コアドリル560はさらに、あらかじめ形成されたパイロット穴を、ハブ220(後述の
図5f)を受け入れるために、約4mmの直径に開く、本体563を有する。さらに、コアドリル560は、頭蓋骨に肩部565を形成する遠位端部に向かう、円錐面564を有する。コアドリル560はまた、コアドリル560をパイロット穴に誘導するために、その遠位端部にニブ566を備える。
図6aに示すように形成されたプロファイル加工された穴561は、植込み型ハブ220の圧入を提供する。
【0106】
プロファイル加工された穴561は、所望の軌道502(
図5a)に沿って形成されている。したがって、ハブ220が当該穴に挿入されると、ハブ221と中心穴223を通る通路は、軌道に沿って真っすぐ並ぶ。
【0107】
図27aー27dは、高度に湾曲した頭蓋骨表面において、段差付きプロファイル切削器具540を使用して、誘導ハブ220を挿入するために頭蓋骨を準備する、同等のプロセスを示す。
図27aは
図5cに類似しており、平面541を形成するために使用されている切削器具540を示す。
図27bは
図5dに類似しており、パイロット穴551を形成するために使用されているパイロットドリル550を示す。
図27cは
図5eに類似しており、プロファイル加工された穴561を形成するためにパイロット穴541に係合しているコアドリル560を示す。そして、
図27dに示すように、誘導ハブ220を挿入することができる。特に
図27cおよび
図27dからわかるように、切削器具540によって形成された段差プロファイルにより、高度に湾曲した頭蓋骨表面を損なうことなく、コアドリル560の逸脱や誘導ハブ220の不適切な挿入を引き起こす可能性もある方法で、コアドリル560および誘導ハブ220を頭蓋骨表面の所定の位置に導くことができる。
【0108】
次に
図5fおよび
図5gを参照して、頭蓋骨500のプロファイル加工された穴561へのハブ220の挿入について説明する。ハブ220をプロファイル加工された穴561に挿入するために、ハブ220は、
図5f及びより詳細には
図5gに示す、挿入器具570に取り付けられる。挿入器具570は、軸571とねじ遠位端部572を備える。ねじ遠位端部572は、ハブ220のねじのかみ合いによって、ハブ220の雌ねじ226に係合する、二重進入雄ねじを備える。この実施例では、挿入器具570はロックねじを備えていない。そのため、挿入器具570が、ハブ220をプロファイル加工された穴561に送り込んだ後、挿入器具570をハブ220から容易に取り外すことができる。
【0109】
ハブ220は、挿入器具570を用いて頭蓋骨500のプロファイル加工された穴561に位置合わせして正確に配置することができる。軸571は定位誘導で操作可能な寸法である。例えば、挿入器具570は、長さ150mmで直径10mmの軸を備える。これにより、挿入器具570を既存の定位誘導と共に使用できるようにし、定位誘導を使用してハブ220をプロファイル加工された穴561に送達するのに十分な長さの挿入器具570を提供する。挿入器具570はまた、ねじ遠位端部572と軸571との間に、面取部573を有する。面取部573は、ハブ220がプロファイル加工された穴561に導入される際に、ハブ220と医療専門家との間の視線を確保する。挿入器具570は、ブローチ歯または他の外部プロファイルが頭蓋骨500に食い込みまたは切り込むことを可能にするのに十分な力で、ハブ220を頭蓋骨500に打ち込むために使用され、それにより、標的501への軌道502と同軸の貫通穴221と共に、ハブ220を、頭蓋骨500に固定するために使用されることができる。ブローチ歯225の代わりに雄ねじまたはインターフェアレンスパターンが使用される場合、挿入器具570は、ハブ外側ねじと骨との間のねじを外す動作を可能にするために、ハブ内側ねじに対して器具を固定するために使用される、さらなる機構を有することができる。
【0110】
次に、挿入器具570をハブ220内から取り外すことができ、ハブ220を頭蓋骨500のプロファイル加工された穴561に植込むことができる。
【0111】
図19aおよび
図19bは、挿入器具570の別の例を示す。挿入器具570の遠位端部の近接図を
図20aおよび
図20bに示す。上述したように、ハブの挿入器具570は、外科用誘導ハブ220内の第2の構造と係合するための構成をその遠位端部に有するロッド1804を備える。この例では、挿入器具570は、さらに器具係合機構1802を介して誘導ハブ220と係合するように構成されている。器具係合機構1802は、誘導ハブ220上のハブ係合機構1704と係合するように構成されてもよい。挿入器具570は、誘導ハブ220上のハブ係合機構1704の数と一致するように、対応する数の器具係合機構1802を備えてもよい。好ましくは、複数の器具係合機構1802が、挿入器具570の外周の周りに間隔を置いて設けられる。例えば、少なくとも3つ、任意で少なくとも4つの器具係合機構1802が設けられてもよい。器具係合機構1802は、任意の適切な形状を有することができる。器具係合機構1802の形状は、ハブ係合機構1704の形状に対応するように選択することができる。例えば、
図21に示す器具係合機構1802は、キャスタレーションの形状を有し、ハブ係合機構1704を形成するノッチと係合する。上述のようにハブ係合機構1802が穴を有する場合、器具係合機構1802は、穴に適合する大きさのピンを備えてもよい。好ましくは、器具係合機構1802およびハブ係合機構1704の形状は、これらの機構が一緒に容易に係合でき、使用中に滑ったり容易に外れたりしないように選択される。
【0112】
ロッド1804の遠位端部における構造は、この例では、ねじ遠位端部572であり、挿入器具570の軸571に対して移動可能に構成されてもよい。好ましくは、ロッド1804の遠位端部における構造は、軸571に対して回転可能である。挿入器具570の軸571が器具係合機構1802を介して誘導ハブ220と係合するように、器具係合機構1802は、挿入器具570の軸571上に設けられてもよい。このことは、開口部への誘導ハブ220の挿入後、開口部への誘導ハブ220の配置を妨げることなく、軸571に対してロッド1804の遠位端部における構造を動かす(例えば回転させる)ことによって、挿入器具570を誘導ハブ220から容易に外すことができることを意味する。さらに、器具係合機構1802を介した挿入器具570と誘導ハブ220との係合は、誘導ハブ220を頭蓋骨に形成された開口部に挿入するために、誘導ハブ220に力を加えるために使用することができる。これは、誘導ハブ220がセルフタッピングねじを備える際に、誘導ハブ220が開口部に挿入される際に頭蓋骨に切り込むためにより大きな回転力が必要とされる場合に特に有利である。
【0113】
図21は、挿入器具570の遠位端部の別の図であり、誘導ハブ220上のハブ係合機構1704と係合する器具係合機構1802を図示する。図示するように、器具係合機構1802のハブ係合機構1704との係合により、誘導ハブ220を開口部に挿入するために誘導ハブ220に回転トルクを効率的に加えることができる。
【0114】
挿入器具570は、
図19aおよび
図19bに示すように、深さ止め(a depth stop)1806を備えてもよい。深さ止め1806は、誘導ハブ220を植込む際に使用される他の器具に関連して後述する、基準マーカ537、538、539に類似している。深さ止め1806は、開口部への誘導ハブ220の過挿入を防止するのに役立つ。深さ止め1806は、定位誘導基準503と係合することにより、誘導ハブ220が正しい深さまで挿入されたことを、視覚的および/または触覚的に示すことができる。深さ止め1806は、挿入器具570のロッド1804および/または軸571に対して移動可能であってもよい。誘導ハブ220を挿入する前に、深さ止め1806は、誘導ハブ220が開口部内に正しい深さまで挿入されたときに、深さ止めが定位誘導基準503に係合するように、挿入器具570に沿って正しい位置に取り付けられる。深さ止め1806の位置の設定は、本発明のジグを用いて行うことができる。
【0115】
誘導ハブ220を含むシステムは、
図22aおよび
図22bに示すように、短縮器具1850を含んでもよい。短縮器具1850の遠位端部は、挿入器具570の遠位端部と実質的に類似しており、ねじ遠位端部572および/または器具係合機構1802を備える。短縮器具1850は、挿入器具570と同様に、互いに相対的に移動可能な軸571およびロッド1804を備えてよい。しかしながら、短縮器具1850の長さは、挿入器具570の長さよりも短い。これにより、短縮器具1850の取り扱いが容易になる。短縮器具1850は、深さ止め1806を備えていなくてもよい。これによっても、短縮器具1850の取り扱いが容易になる。短縮器具1850は、誘導ハブ220の挿入中のように正確に、器具の軸方向位置を制御する必要がない場合、誘導ハブ220の取り外しに特に適している場合がある。短縮器具1850の短い長さ、および/または深さ止めがないことにより、定位誘導を使用して短縮器具1850を取り扱う必要もなくなり、短縮器具1850の使用をさらに単純にする。短縮器具1850は、挿入器具570よりも細い直径を有してもよい。これにより、誘導ハブ220を取り外すのに必要な力に対して高い感度をユーザに提供し、それにより誘導ハブ220を取り外すプロセスの間の制御が改善される。
【0116】
ハブ220は、頭蓋骨において、コアドリルによって先に形成された凹部561内に、全部が配置されることができる。必要があればハブ220の貫通穴は、頭蓋骨を通してデバイスを送達するために使用されない場合は、ハブの近位端部にグラブねじを挿入することによって密閉されることができる。このグラブねじは、例えばアーレンキーで完全に挿入されると、近位端部が誘導ハブの近位面と同一平面になる。
【0117】
図5h-5kは、頭蓋骨500に設置された際のハブ220の使用例を示す。
図5hに示すように、ハブ220は軌道502に沿って配列されるため、ハブ220を通って提供されるカニューレ、プローブ、電極または他の脳神経手術用装置などのデバイスや器具も、軌道502に沿って標的501の方向に導かれる。このような装置の送達の一例では、
図5iに示す経路形成デバイス580を使用することにより、ハブ220と標的501との間の脳組織を通って経路が形成されることができる。いくつかの手順では、経路形成デバイス580によって形成された経路に沿ってガイドチューブ581を挿入することができる。ガイドチューブ581は、ハブ220の貫通穴を通して送り出すことができ、ハブ220の円錐部222に対して装着されてシールすることができる、円錐状の拡大された直径の近位端部を備えてもよい。
図5kに示されるように、カニューレ582は次に、標的501に到達するためにガイドチューブ581を通して挿入されることができる。
【0118】
いくつかの実施例では、ガイドチューブ581を使用することなく、ハブ220を通してデバイスを送達することができる。デバイスは、ハブ220内のねじ山と係合するための自身が有するねじ山部をデバイスに設けることによって、上述したカニューレ393と同様の方法で、誘導ハブ220内にロックされることができる(
図2から
図4)。ねじ山部は、デバイスが挿入されるべき意図された位置(脳内への深さ)を示す停止部として機能し、デバイスが意図された深さを超えて挿入されるのを防止することができる。ねじ部が所定位置にねじ込まれる際にデバイスのワイヤ/チューブが巻かれるのを避けるために、ねじ山部がデバイスの他の部分とは独立して回転するように構成することができる。これは、例えば、ねじ部の対応する突起が係合する1つ以上の円周溝を使用して達成されることができる。
【0119】
図7は、ハブ220を通るデバイスの挿入の一例を、左から右への一連の概略図で示す。この例では、デバイス593は脳深部刺激療法(DBS)電極である。ハブ220は、まず、前述したように頭蓋骨のプロファイル加工された穴に挿入され、次に、挿入器具に装着された経路形成器具580がハブ220に通され、脳内における所望の軌道に沿った経路を形成する。経路形成器具のための挿入器具は、明細書に示すようなハブ挿入器具570であってもよい。この例では、ハブ220はシール230を備える。このシール230は、経路形成器具580がハブ220を通過する際、自由な非圧縮かつ非シールの状態にある。その後、経路形成器具580が取り外され、キャップ400がハブ220に導入される。ここで説明されている例示のハブ220は、Oリングシールの形態のシール230を備えるため、キャップ400は、
図3aおよび
図3bに示されるようなキャップ円錐部322ではなく、
図4aおよび
図4bに示される例のようなキャップ平坦部422を有する。
【0120】
中空ドライバ590とキャップ400の貫通穴の使用により、中空ドライバ590とキャップ400の両方を通してデバイス593を送達することができる。中空ドライバ590でキャップ400を回すと、キャップ400が下方に移動し、シール230と係合するため、シール230が軸方向に圧縮され、それによって半径方向に拡張される。シール230は、ハブ220とキャップ400の間に流体、気体および細菌シールを提供し、ハブ220を通過するデバイス593を確実に把持する。
【0121】
図7の例では、中空ドライバ590は、デバイス593が、その近位端部に入り、遠位端部からドライバ590を出るように構成されている。有利なことに、このようなドライバは、DBS電極が脳に挿入される際に空気が容易に排出されるように、その遠位端部に空気抜き穴が設けられている。別の配置を
図8に示す。別のドライバ591は、その遠位端部にヘクサロビュラ構造部592を有するが、6つのうち1つのローブ(lobe)は存在しない(後述の
図16aおよび16bも参照)。ヘクサロビュラ構造部は、ドライバをキャップに一時的に取り付けるために、キャップ400の凹部に締まり嵌めで係合する。カニューレ593がキャップ400を通って延びている。ドライバ591は、カニューレ593がドライバ591の側面から出ることができるように、その遠位(頭部)端部に軸方向に延びるスロット594を備える。この配置により、中空ドライバの穴を通過しない部分を近位端部に有するデバイスを、誘導ハブ内に送達することができる。例えば、カニューレ593の端部は、ドライバの穴よりも大きな直径を有する流体供給ラインに接合するための流体コネクタを有することができる。ドライバ591のスロット594は、便利な空気抜きも提供する。幾つかの実施例では、ドライバ591はその長さ方向に沿って中空であってもよく、
図7または
図8に示されるようなデバイスの送達に使用することができる。
【0122】
図23aおよび
図23bに示すように、軸方向に延びるスロット594は、ドライバ591の遠位端部から近位端部までの全長に沿って延びるように、ドライバ器具の最近位端部まで延びていてもよい。上述の
図8に関連して説明したように、これにより、中空ドライバ591の穴を通過しない部分を近位端部に有するデバイス593を、中空ドライバ591を使用して誘導ハブ220内に送達することができる。しかしながら、スロット594をドライバ591の全長に沿って延在させることにより、デバイス593を、ドライバ591の穴を通してドライバ591の軸に沿ってほぼ位置決めすることができる。これは
図24に示されており、送達の準備が整った、その軸に沿って位置決めされたデバイスを備えたドライバが示されている。これにより、中空のドライバ591がデバイス593の周りを回転することができ、それによって、ドライバ591がデバイス593を送達するために回転される際に、デバイス593がドライバ591の周りにもつれたり巻きついたりすることが防止される。
【0123】
ドライバ590または591は、例えば、
図23aおよび
図23bに示されるように、回転カラー(a rotating collar)または回転ディスクの形態で、ラッチ1902をさらに備えてもよい。ラッチ1902は、スロット594の長さの少なくとも一部に沿って(例えば、半径方向からスロット594への進入を封鎖することによって)スロット594を可逆的に封鎖するように構成されてもよい。ラッチ1902は、好ましくは、ドライバ591の近位端部に又はその近傍に設けられる。ラッチ1902は、ドライバ590の中空穴内にデバイス593を保持し、スロット594を介してドライバ591から再び脱落することを防止するように機能することができる。これにより、デバイス593が誘導ハブ220から送達または取り外される際に、デバイス593がドライバー591の周りに巻きついたり、絡まったりする可能性を低減することができる。
【0124】
図7を参照すると、キャップ400をハブ220内にロックした後、デバイス593をキャップ400の半径方向に延びる凹部424の1つに折り曲げ、ロープロファイルで確実な取り付けを提供することができる。
図7に示す工程の最後に、挿入された装置はハブ220内にロックされ、気体、流体、および細菌シールが形成されている。
図7に示すデバイスはDBS電極であるが、このような方法は、カテーテルやカニューレなどの他のデバイスでも利用できる。
【0125】
患者からのデバイスの取り外しは簡単である。
図7の順序を再び参照するが、右手側から開始して、デバイスを凹部424から取り外し、590または591のいずれかのタイプの中空ドライバをデバイスの上に挿入して凹部424に係合させることができる。有利なことに、ドライバはサイドスロット594を備えたタイプ591である。ドライバ591は、デバイス593がスロット594に受け入れられた状態で、キャップ上に配置することができる。そして、ドライバはキャップ400のねじを緩めてシールを解除し、使用後にこのようにキャップ400と装置を簡単に取り外すことができる。
【0126】
植込まれた誘導ハブ220は、さらなる定位手術の必要なく、頭蓋内標的への繰り返しのアクセスを容易にすることができる。例えば欠陥のある電極または脳室カテーテルを交換するためには、上述のようにデバイスを取り外し、Oリングを圧縮することなくキャップ400をハブ220にねじ戻す。これにより、中空ドライバ590が軌道502の軸に沿って標的501に整列される。ハブ基準HDから標的501までの距離は既知であり、手術記録に記録されているはずである(
図2bおよび5a)。ハブ基準HDから標的501までの距離は、ドライバ590の近位端部からハブ基準HDまでの距離の長さに追加され、深さ止めが交換デバイスの遠位端部からこの同じ距離で交換デバイスに固定される。交換デバイスは、中空ドライバ590、キャップ400、誘導ハブ220を経て、深さ止めがドライバ590の近位端部に係合したときに到達する、標的501まで送達される。ドライバ590を回転させてデバイスを誘導ハブ220内にロックし、その後、深さ止めを取り外し、さらにドライバ590を取り外し、交換デバイスを、その遠位端部が標的にある本来の位置に残す。
【0127】
水頭症治療のために植込まれた脳室内カテーテルの約3分の1は、やがて詰まり10年ごとに交換が必要になる。カテーテル交換のために脳室に再アクセスすることは技術的に難しいといえる。有利なことに、誘導ハブは脳室カテーテルを正確に配置および固定するために利用でき、カテーテルが閉塞した場合にその正確な交換を容易にすることができる。このような例では、キャップ400にドライバ591を取り付け、ねじを緩めることにより、詰まったカテーテルを除去することが達成される。これによりカテーテルが解除され、ドライバ591の遠位端部にあるサイドスロットから引き抜くことができる。そして新しいカテーテルが中空のドライバ591とキャップ400とハブ220を通って、元のカテーテルと同じ深さまで送り込まれる。新しいカテーテルはキャップ400をハブ220に再度ロックすることで固定される。
【0128】
さらに定位手術の必要なく、繰り返しの治療のための同じ標的501への再アクセスは、誘導ハブ220を用いて、病変電極、カテーテル、カニューレなどのデバイスを、同じ長さのプラスチック製スタイレットに置き換えることでも実現できる。このスタイレットは、近位にネジが切られたキャップによってハブ220に固定され、経路の開通を維持し、数日後、数か月後、数年後に標的501への再アクセスを容易にする。あるいは、デバイスを取り外した後、ブラインドキャップ(図示しないが、中央貫通穴のないキャップ300、400)をハブ220内に配置し、
図3a、3bまたは
図4a、4bを参照して前述したのと同じ方法で固定してシールし、ハブ220の安全なシールを提供し、感染症や頭部内からの流体の損失を防ぐこともできる。あるいは、キャップ300、400と同じ雄ねじを有するグラブねじキャップを、その近位面がハブの近位面と同レベルになるように、アーレンキーでハブ220にねじ込むこともできる。これはハブ220にシールされ、他のややかさばるキャップに対する、ロープロファイルで再アクセス可能な代替品を提供する。
【0129】
再び
図5および
図7を参照すると、頭蓋内ターゲット501への再アクセスは、ブラインドキャップを取り外し、誘導ハブ挿入器具570をハブ220にねじ込み、それによって標的501への軌道502と同軸に整列して固定することによって達成することができる。次に、プローブが中空のガイドチューブ挿入器具570を通り、ハブ基準点HD(
図2b)から既知の距離にある標的まで挿入される。プローブは、標的501までの経路を残して取り外され、そして誘導ハブ挿入器具570が取り外される。キャップ400をドライバ590に取り付け、Oリングを圧縮することなくハブ220にねじ込む。上述したように、デバイスは中空のドライバ590または591を通って標的に対して挿入され、所定の位置でロックされる。
【0130】
頭蓋骨の表面にドリルで穴を開け、プロファイル加工された穴を形成し、デバイスを送達する従来の方法では、特に、ハブを導入するための穴を形成するために複数の異なる器具を使用する場合、通常、多くの測定を行う必要がある。繰り返しの手術が必要な場合、各ステップの計算を繰り返される手術の間に再度実行しなければならないため、手術処置全体にわたるヒューマンエラーのリスクが増大する。
【0131】
ここで、脳外科手術のための器具の設定および植込み型デバイスの所定の長さへの切断を支援し、計算と必要な調整を低減する、ジグを説明する。
【0132】
図9にジグ600を示す。ジグ600は、脳神経手術中に患者の頭蓋骨または脳内への複数の脳神経手術用器具およびデバイスの挿入深さを設定するためのものである。ジグ600は、
図5aから
図5kの図示および上述したような、外科手術で使用される器具やデバイスをセットするために使用することができる。
【0133】
ジグ600は、開口した長方形のフレームを有し、器具位置合わせデバイス610を提供し、
図5aの定位誘導基準503を表す代表基準503’を提供する上部クロスバーを有する。ジグ600は、
図5aに示す患者の脳の標的501に対応する表面の形状で標的基準641を備える、下部クロスバー640を有する。器具位置合わせデバイス610は下部クロスバー640と平行に移動させることができ、代表基準503’と標的基準641との間の距離が、使用中の定位誘導システムの、定位誘導基準から標的501までの距離に対応するように、目盛り624を基準にしてその位置を固定することができる。市販のCosman-Roberts-Wells定位誘導では、定位誘導基準と標的の間の距離が160mmに設定されている。Leksell(登録商標)定位誘導の場合、その距離は190mmに設定されている。ジグ600を、定位誘導基準から標的までの固定された距離で、定位誘導システム専用で使用する場合は、ジグ600が上部クロスバーと下部クロスバー640の間が固定された関係で提供されてもよいが、そうでなければ、上部クロスバーは下部クロスバー640に対して調節可能であることが望ましい。例えば、定位誘導基準から標的までの距離は、特定の標的のために、操作者により変えることができる。それは、定位誘導が手術ロボットである場合にかえることができる。また、定位誘導システムが移動およびロックが可能なアーム上の器具ガイドであり、器具ガイドの、患者の頭部内の標的との空間的関係が、ボリュメトリック画像(volumetric images)に位置合わせされ、光学、超音波または電磁センサーを用いて追跡される場合に変えることができる。後者の場合、手術計画ソフトウェアで定義された定位誘導基準から標的までの距離が、個別の標的について、ジグ600に設定される。
【0134】
器具位置合わせデバイス610は、概ね細長い器具および器具止め部を受け入れて整列させ、それらの遠位端部を器具位置合わせデバイス610に平行な、可動基準ガイド620に直交する方向に向けるための、複数のスロットまたは複数の溝を備える。基準ガイド620は、器具位置合わせデバイス610に平行なバーの形状であり、平行関係を維持しながら器具位置合わせデバイス610に対して移動可能である。平行関係を維持するための手段については、以下、
図11から
図13を参照して説明する。基準ビーム620は、
図5aから
図5kに示されるような手順を実施する際に、頭蓋骨表面500を表す上部基準面621を有する。基準ガイド620は、器具位置合わせデバイス610の基準線503’から基準面621までの基準線長さを設定するために移動させることができる。
【0135】
ジグ600は、後でより詳細に説明されるように、標的基準641からの、選択された距離に位置する表面631を有する、可動切断または深さ測定ガイド630をさらに有することができる。移動可能な表面630はバーの形態であり、基準ガイド620と平行であって、基準ガイド620の下方かつ、標的基準641を提供する下部クロスバー640の上方に位置する。さらなるデバイス切断面635が標的基準641に設けられてもよい。
【0136】
他の実施例で示すように、ジグ600は、例えば水平に対して45度のような角度で設置することができる。これは、ジグ600上に配置された器具(例えば、位置合わせデバイス610に配置)が重力の下で所定の位置に移動するのを可能にするのに便利である。
【0137】
次に、
図5aから
図5dに示すような、頭蓋骨にプロファイル加工された穴561を形成するための器具を準備するためのジグ600の使用について説明する。
【0138】
定位誘導は、患者の脳内の標的501に向けられた計画された軌跡502に位置合わせされる。頭蓋骨500の表面を露出させるために切開した後、棒状の基準測定器具535を定位誘導に保持し、患者の頭蓋骨に接触させるように導く(
図5b)。定位誘導基準503から頭蓋骨500までの基準線長さは、器具に記されるか、測定されることができる。便利なことに、基準マーカー536は、基準線長さの開始点を固定するために、定位誘導の位置に器具に対して止め具で固定されている。基準マーカー536は、器具535に適合する環状(a collar)の形状であり、グラブねじによって器具535に固定する。そして基準測定器具535がジグ600に移され、そして、
図9に示すように、第1の器具基準マーカー536が位置合わせデバイス610のスロットに位置する状態で、器具位置合わせデバイス610に保持される。スロットの底部は代表点503’の一部である。
【0139】
その後、基準ガイド620の基準面621が基準測定器具535の遠位端部に接触するように、基準ガイド620を上方に移動させ、基準ガイド620を所定位置にロックまたは保持する。そうすると、定位誘導基準503から患者の頭蓋骨500表面までの距離が、代表基準503’から基準表面621までの基準距離としてジグ600上に確立される。
【0140】
あるいは、ジグ600の503’から621までの基準線長さは、基準測定器具535を用いて、あるいはロボットアームや定位フレームで採用されているレーザー距離計、他の測定ツール、イメージング技術などの何らかの他の手段によって、得られた測定距離を用いて、設定することができる。
【0141】
基準ガイド620は、以下にこれから説明されるように、異なる機能を備えた外科用器具およびデバイスのための異なる長さを設定することを可能にする、基準面621からの複数のオフセットまたはチャネルを有する。
【0142】
頭蓋骨に穴を開け、誘導ハブ220を挿入するために、その順序は次のようになる。基準面621の窪みの形状の第1のオフセット650は、切削器具540をセットするためのものである。基準ガイド620を通るチャネルを含む第2のオフセット651は、パイロットドリル550をセットするためのものである。第3のオフセット652は、コアドリル560をセットするためのものである。各オフセット650、651、652は、手術中に各器具がそのタスクを実行する際に各器具が延びるべき、患者の頭蓋骨表面を越える距離に対応する、基準面621からの距離を提供する。したがって、基準ガイド620におけるオフセット650、651、652は、1回だけの最初の測定、すなわち基準線長さを確立することに続いて、異なる器具の設定を可能にする。
【0143】
代表基準503’からの切削器具540の長さを設定するために、切削器具540は器具位置合わせデバイス610に配置され、その遠位端部が第1のオフセット650に導かれる。代表基準503’から遠位端部までの切削器具540の長さは、器具基準マーカー537を器具540に固定することによって設定される。次に、
図5cに示すように、器具540を定位誘導とともに使用して、頭蓋骨に平面を切削し、所望の深さまで正確にボーリング穿孔することができる。
【0144】
同様の方法で、パイロットドリル550を第2のオフセット651に導き、パイロットドリルを、頭蓋骨を貫通するために必要な深さまで進ませた後、パイロットドリル550に第3の器具基準マーカー538を固定することによって、(頭蓋骨を貫通するが脳への侵入は避けるために-
図5d)必要な長さを設定する。この長さは、脳画像スキャンから決定され、可動基準ガイド620上の目盛り622を使用して正確に設定することができる。同様のアプローチが、誘導ハブ220(
図5e)を収容する形状の穴を形成するためのコアドリル560の設定にも行われる。このようにして、必要な器具の長さは、ユーザーによって測定される基準線長さのみに基づいて設定することができる。
【0145】
この例では、1mmの第1のオフセット650および100mmの基準線長さは、手術中に頭蓋骨上に平面を準備するために、切削器具540が基準503(または代表基準503’)から101mmの長さに準備されることになる。他の例では、オフセットは負であってもよく、すなわち、オフセットは、基準面621上において、器具位置合わせデバイス610に向かって延びる突出であってもよい。このような例では、第1のオフセット650が-2mm(すなわち、器具位置合わせデバイス610の方向に2mmの突出)であり、基準線長さが100mmである場合、当該器具は、手術のために基準503から98mmの位置に設定されることになる。
【0146】
上記の実施例では、各器具540、550、560は、その器具を頭蓋骨内に綿密に測定された深さまで進行させるために定位誘導と共同して使用できる、器具基準マーカー537、538、539に取り付けられている。基準マーカー537、538、539は、基準マーカー537、538、539がその器具にロックされているか、器具の上下に移動できるアンロック状態にあるかを示すインジケーター2301を備えてもよい。このようなインジケータ2301の例を
図25aから
図25cに示す。
図25aから
図25cにおいて、基準マーカー537、538、539はねじを使用しており、このねじは、基準マーカー537、538、539をその器具に取り付けるために締め付けられている。
図25aは、アンロック位置にあるインジケータ2301を示し、
図25bはロック位置にあるインジケータ2301を示す。インジケータ2301により、ユーザは基準マーカ537、538、539がロックされているかどうかを迅速に判断することができ、基準マーカ537、538、539が器具にロックされていない状態で、器具をジグから取り外した場合に、基準マーカ537、538、539を誤って動かしてしまう可能性を低減することができる。挿入器具570の深さ止め1806は、挿入器具にロックされている際に表示を行うための、同様のインジケータ2301を備えることができる。
【0147】
図5eおよび
図5fに示されるように、誘導ハブ220の挿入を補助するために、ジグ600を同様の方法で使用することもできる。ハブ挿入器具570は、ハブ220の頭蓋骨内への過剰な挿入を避けるために器具基準マーカーを利用して、ジグ600において適切な長さで設定されることができる。
【0148】
誘導ハブ220を通って脳内に送達するための外科用器具またはデバイスを準備するためのジグ600の使用について説明する。
【0149】
誘導ハブ220を通して送達され得るデバイスは、ガイドチューブ、電極およびカニューレを含むが、他の種類のデバイスがハブ220を通して送達され得ることが理解されるであろう。
【0150】
さらに
図9を参照すると、基準ガイド620は、デバイスが、切削または測定ガイド630の表面631まで下方に延びることができるように、デバイスまたは器具の通過を可能にするための貫通チャネル653を備える。この例では、基準ガイド620は、基準面621における適切な形状のオフセットに装着された誘導ハブ220を含む。これにより、中空ハブ導入器具570をジグ600のハブ220に挿入することができる。経路作製プローブ596のような器具を、ハブ導入器具570、ジグ600内のハブ220、および基準ガイド620に通すことができる。
【0151】
このようにして、ハブ220から延びるのに必要なデバイスまたは器具の長さを、ジグ600に設定することができる。この例では、経路作製プローブ596が脳内に経路を作製する場合、ハブ220から脳内の所望の場所までのプローブ596の長さは次のように設定できる。挿入器具570、ハブ220およびプローブ596の組み合わせは、
図9に示すように配置される。通過するプローブ596の(太い方の)近位端部596aを止め具で固定するために、指で掴んで操作される第1のグラブねじ595が器具570に配置されている。第2のグラブねじ595a(アーレンキーソケット付き)は、カラー536aの形態の基準マーカーを、プローブ596の近位端部596aに固定するために設けられる。カラー536aは、挿入器具570の上面に対する深さ止めを提供する。指で操作するグラブねじ595とアーレンキーで操作されるグラブねじ595aという、異なるねじの種類を使用することにより、作業者が器具を用いて作業する際に、正しいねじを使用することを支援することができる。
【0152】
図9に示すように、経路作製プローブ596は、切削または測定ガイド630まで延びている。そして、基準マーカー536aは、グラブねじ595aを締めることによって、経路作製プローブ596の近位端部596aに固定される。そして、プローブは、矢印Aで示すように挿入器具570の本体内に格納され、第1のグラブねじ595を手で締めることによって所定の位置に保持される。次に、挿入器具、ハブ、プローブの組立体(570、220、596)をジグから取り外し、患者に移すことができる。誘導ハブ220を所定の位置に挿入し(
図5f)、経路作製プローブ596をハブ220を通してジグで設定された深さまで挿入し、そこでは基準マーカー536aが挿入器具570の上面に当たる。このように、誘導ハブ220を患者の頭蓋骨に装着することと、軌道に沿って経路を作製することは、挿入器具570の1回の使用で、1つの手術にまとめることができる。
【0153】
このジグの例では、基準ガイド620は、目盛り624上の点を示す第1のポインターの形態において、第1のインジケータ623を備える。目盛り624はジグ600の片側に沿った測定を提供する。目盛り624は、下部クロスメンバ640の標的基準641からの距離を提示する。基準線長さが基準測定器具535によって提供されない場合、この目盛り624を使用して、外科医は基準ガイド620の位置を設定することができる。本実施例のように、基準測定器具535が使用される場合、設定された基準線長さを目盛り624を用いて確認することができる。切断または深さ測定ガイド630はまた、目盛り624に沿って動くポインターの形態のインジケータ633を有する。この第2のインジケータ633を使用して、患者の画像検査によって提供される測定値に基づいて、測定ガイド630の位置を設定することができる。
【0154】
外科医は、ジグ600を利用して患者に対する手術を開始する前に、すべての器具やデバイスをセットすることができる。これは手動で行ってもよいし、スキャンデータと手術計画ソフトウェアを利用して電動ジグをコンピュータ制御してもよい。あるいは、外科医は、基準ガイド620および測定ガイド630をセットし、そして、外科手術の間中、必要に応じてジグ600に器具またはデバイスをセットすることもできる。ハブ挿入器具570または同種の別の器具を、患者の脳内に経路作製プローブ596を送達することに使用でき、脳内に挿入する次のデバイスとともにジグ600上に再びセットすることができる。
図9では、第2のプローブ597を送達するために、さらなる挿入器具であるガイドチューブ挿入器具570aが使用されている。この例の第2のプローブは、ガイドチューブ598を送達し、脳内に標的501までの経路を作るために使用される。
図9に示す例では、第2のプローブ597は、ジグによって許容される最大の深さまで脳内に進入するように設定されている。第2のプローブ597の遠位端部は、下部クロスメンバ640の上面(標的基準641)にセットされる。
【0155】
ジグ600はガイドチューブやカニューレのセットにも使用できる。基準ガイド620は、誘導ハブ220の貫通穴内の深さに一致させることができる、プロファイル加工された穴561を備える。ガイドチューブ598はプロファイル加工された穴561内に配置され、下方に延びる。そしてガイドチューブは、脳内に挿入するための所望の長さに切断することができる。ガイドチューブ598を切断するための位置は、ガイド630の位置を設定するための目盛り624を使用して測定することができ、切断は、切断スロット634を通るナイフを使用して行うことができる。
【0156】
カニューレ599をセットするためのジグ600も示されている。カニューレ599を搬送するキャップ300は、誘導ハブの内部貫通穴に対応する、プロファイル加工された穴の基準ガイド620に嵌め込まれる。そして、カニューレ599は、切断スロット635を通して挿入されるナイフによって所定の長さに切断することができる。
図9に示すように、ジグ600にセットする際、カニューレをドライバー591に取り付けることができる。そしてドライバーとカニューレの組み合わせは、患者に挿入するためにジグから取り外すことができる。
【0157】
次に、別の治具700を
図10aおよび
図10bを参照して説明する。斜視
図10bに見られるように、ジグ700は、矩形フレームを水平に対して45度の角度で支持する側板797を含む。これにより、ジグへの器具やデバイスの取り付けが容易になり、重力が器具やデバイスを正しく配置するのをアシストする。この例では、ジグは、器具やデバイスを置くバックプレート798を含む。
図9のジグ600と同様の部品は、100を加えた同様の参照数字で指定されている。例えば、基準ガイド720は、
図9の基準ガイド620と機能において概ね同様である。
【0158】
ジグ700は下部クロスメンバ740を備えているが、標的(
図5aの501)の位置に対応する基準741は、目盛り724の下端として、切断デバイス742のスロット743として、そしてプラットフォーム755として設けられる。したがって、定位誘導基準503から標的501(
図5a)までの距離は、ジグ700上では目盛り724によって、すなわち代表基準503’から基準741までの垂直距離によって表される。
【0159】
ジグ700は、対応する第2の切断スロット745を有する第2の切断デバイス744をさらに備える。
【0160】
次に、中空挿入器具770の便利な使用法を、
図10aおよび
図10bを参照して説明する。挿入器具770は、前の図に示した器具570に類似している。
図9に示す対応する配置の様に、器具770は二重のグラブねじ配置を特徴とする。第1のグラブねじ795は、通過するデバイスを固定するために器具770上に配置される。第2のグラブねじ796は、基準マーカー799をデバイスに固定するために設けられており、それによってドライバー790の上面に対する止め具を提供する。
【0161】
図10aに示すように、プローブ756がプラットフォーム755まで延びている。そして、基準マーカー799は、グラブねじ796を締めることによってプローブ757の遠位端部に固定される。そして、プローブは矢印Aで示すように器具770の本体内に格納され、第1のグラブねじ795を締めることにより所定の位置に保持される。そして、器具とプローブの組み立て品を患者の頭蓋骨の誘導ハブに取り付け、グラブスクリュー595を解放して、プローブ756を患者の脳に、ジグ(プラットフォーム755)であらかじめ設定された深さまで、打ち込むことができる。
【0162】
ジグ700では、基準ガイド720および切断または深さ測定ガイド730は、移動可能であり、ロック可能である。
【0163】
図10aに示すように、ジグ700は、2本の平行な外側ガイドレール701及び702と、2本の外側ガイドレール701、702に平行な中央ガイドレール703とを備える。中央ガイドレール703は、下部クロスメンバ740を、基準ガイド720に接続する。下部クロスメンバ740とバックプレート798は、ジグ700に安定性と剛性を与える。本例では、バックプレートは、セットされる器具の本体を受け入れるための多数の溝746も含む。
【0164】
外側ガイドレール701、702は、基準ガイド720と切削または測定ガイド730を、お互いにおよび器具位置合わせデバイス710に対して平行を保ちながら移動させることを可能にする、手段を提供する。基準ガイド720は、基準ガイド720を中央ガイドレール703に固定するために回転することができる第1のロックねじ747を有する。それにより、基準ガイド720は、選択された位置に固定することができる。測定ガイド730は、バックプレート798へのロック係合するためにねじ止めする、同様の第2のロックねじ748を備える。
【0165】
図11および
図12は、基準ガイドまたは測定ガイドを所定の位置に移動およびロックするために利用できる機構を概略的に示している。同様の機構は、
図9のジグや
図10のジグにも採用できる。
【0166】
部分分解
図11では、トラッキングシステムの第1の例が示されている。基準ガイド720とねじ747は、見やすくするために、該当する位置から取り外して図示している。器具位置合わせデバイスと平行を保ちながら基準ガイド720が上下に移動できるように、ジグ700はラックアンドピニオン装置を備える。第1および第2のラックアンドピニオンセット749、750は、外側ガイドレール701、702の位置に設けられている。
図11に示すように、基準ガイド720は、ラックアンドピニオンセット749、750のラックのピニオンを連結するクロス部材751に取り付けられている。
【0167】
切削測定ガイドも同様に移動するように配置することができる。
【0168】
図示されているように、基準ガイド720はまた、ロックが解除されている際に、中央ガイドレール703を上下にスライドできるように、中央ガイドレール703に取り付けられており、第1のロックねじ747を使用して中央ガイドレール703にロックされる。
【0169】
あるいは、部分分解
図12に示すように、基準ガイド720は、第1および第2の外側ガイドレール701、702にスライド可能に係合して移動可能であってもよい。外側ガイドレール701、702は基準ガイド720の穴を通っており、ねじ747によって所定の位置にロックされて保持されるまで、基準ガイドがジグ内で上下にスライドできるようになっている。
【0170】
図13は、第1ロックねじ747の例示的なロック機構である。同じ機構を第2のロックねじ748に用いてもよい。
図13は、第1のロックねじ747を通り、ジグ700内のある位置にある基準ガイド720の幅を通る断面図である。第1のロックねじ747は、基準ガイド720のねじ穴と第1のロックねじブロック752のねじ穴に受け入れられる。第1のロックねじブロック752との係合は、第1のロックねじブロック752を持ち上げて中央ガイドレール703と係合させる。第1のロックねじ747が最大限までねじ込まれると、第1のロックねじ747自体が中央ガイドレール703に係合し、それによって可動基準ガイド720が中央ガイドレール703に追加的に固定される。あるいは、第1のロックねじ747が中央ガイドレール703に直接係合して、可動基準ガイド720を中央ガイドレール703にロックする、より単純な装置が提供されてもよい。例えば、ナイロンねじまたはナイロン端部を有するロックねじは、良好な把持作用を与えることが分かっている。
【0171】
配置によっては、基準ガイドまたは切削および測定ガイドの位置決めに対して特に微調整を行うことが望ましい場合がある。その場合、中央ガイドレール703は、下部クロス部材740(図示せず)に装着する部分にねじが切られてもよい。ガイドレール703の回転を利用して、ジグフレーム内で基準ガイドまたは切削および測定ガイドの微小な移動を与えることができる。
【0172】
図14aから
図14cは、ジグ700用の滅菌トレイとケースを示す。ジグ700は、使用時に斜めに設置されることが好ましく、それにより、器具を重力下で所望の位置に移動させることができる。使用しないときは、ジグは、好ましくは滅菌されて、使用可能な状態で保管することができる。
図14aは、下部トレイ801と上部トレイ802を備える滅菌トレイ800を示す。上部および下部トレイ801、802は、ジグ700およびその中に保持される関連器具またはデバイスのための、保護ハウジングを一緒に形成する。上部および下部トレイ801、802は、留め具803によって一緒に保持される。トレイ800は、輸送中および保管中にジグ700およびその中の器具を保護する。ジグ700を使用する際には、
図14bに示すように上部トレイ802を取り外すことができる。下部トレイ801は、ジグ700のベースサポートを形成し、その遠位端部でヒンジによって取り付けられている。使用時、ジグの近位端部は、遠位端部がヒンジ周りに回転して、ベースに対して45度の角度を形成するように持ち上げられる。
図4cに示すように、ジグ700の後方に折り畳まれた1つまたは複数の支持バーが、トレー801の内側ベース上の機構と係合するようになっており、外科手術の間、ジグを45度の角度で安定的に固定する。便利なことに、使用後、器具は、再滅菌のために平らにすることができるように、ジグ700の中に再配置され、支持バーがジグの後ろに折り畳まれ、器具は後続の処置で使用される状態で維持される。
図15a、15bおよび15cは、頭蓋骨に取り付けられる脳深部刺激療法(DBS)バッテリー電源装置(「ジェネレーター」)の装着の際に、本発明のジグを使用してセットされた器具を示す。
【0173】
図15aは、患者の頭蓋骨に穴を準備する一連の流れを左から右に示す。頭蓋骨900と頭蓋骨の下の硬膜層901が断面で示されている。頭蓋骨900にDBSジェネレータ980(
図15bに示す)を設置するために、定位フレームまたはロボットが患者の頭の周りに配置される。ジグ700の基準線長さの設定は、先に述べたように得られる。この基準線長さは、必要とされる器具が前述と概ね同じ方法でセットできるように、ジグ700を設定する。
【0174】
図15aの左側の図から始めると、切削器具910が頭蓋骨900に平面911を形成するために使用される。次にパイロットドリル920がパイロット穴921を開け、この穴は、コアドリル930が頭蓋骨900を通って前進する際に、コアドリル930をパイロット穴921内に向け続けるための、ニブ931を備えるコアドリル930によって開け広げられる。鈍鉤(a blunt hook)940が手動で挿入され、拡径された穴932の近傍で頭蓋骨900から硬膜901を離す。次に、ゲル投与容器950が拡径穴932に運ばれ、止め具951の補助で拡径穴932に突き当てられる。そして、止血ゲル952が拡径穴932を通して送られ、硬膜901を頭蓋骨900から分離する保護バリアを提供し、過剰な出血を防ぐ。
【0175】
次に、フライス器具960が、コアドリル930によって予め形成された拡径穴932の周囲をフライス加工する。本例のフライス器具960は、第1のミル本体961と第2のミル本体962とを備える。第1のミル本体961は、拡径穴932を第1の直径に開く切削面を有し、第2のミル本体962は、拡径穴を第1の直径よりも小さい第2の直径に開く切削面を有する。このようにして、穴の中にレッジ(a ledge)963が形成される。フライス器具960はさらに、フライス加工中に拡径穴932内に位置するような大きさと寸法の、鈍い先端(a blunt nib)964を備え、それによってフライス器具960を安定させ、所望の軌道に確実にとどまらせる。フライス器具960はネジシャフト970に取り付けられ、直径のより小さい定位誘導の下に直径のより大きいフライス器具を取り付けることを可能にする。レッジを含む穴を形成するために、直径の異なる別の2つのフライス器具を使用することもできる。
【0176】
上記のステップの後に、
図15bおよび
図15cを参照して説明されるように、頭蓋骨に用意された穴がDBSジェネレータ980を受容するために準備される。
【0177】
図15bでは、フライス器具960によって形成された穴932が示される。頭蓋骨の下の硬膜901が穴932を通して見える。手で、ロボットで、または定位フレームと適切な設置器具(図示せず)の誘導により、DBSジェネレータ980を穴932に押し込むことによって、円形のDBSジェネレータ980を穴932に挿入する。図示の方法では、外科医は単に、DBSジェネレータ980が穴932内に取り付けられるまで、DBSジェネレータ980を手で挿入する。
図15cに見られるように、DBSジェネレータ980は、DBSジェネレータ980の過度な挿入を避けるために、レッジ963と係合するように構成された周状の止め具981を備える。そして、外科医は、対応する穴983内に位置する一組のねじ982を使用して、DBSジェネレータ980を頭蓋骨900に取り付けることができる。
【0178】
次に、ケーブル984、985は、DBSジェネレータ980の対応する寸法の穴を通してケーブル984、985を挿入することによって、DBSジェネレータ980に取り付けることができる。ケーブル984、985は、対応する第2のグラブねじ穴986内に配置される第2のグラブねじのセット(図示せず)によって、または患者の頭蓋骨を通って脳の標的に対して植込まれる、挿入されたDBS電極リード線984、985の外側面に係合する捕捉カムロックを操作することによって、DBSジェネレータ980に固定される。
【0179】
DBSジェネレータ980は、直径が2cm-6cm程度であってもよい。あるいは、DBSジェネレータ980は、直径が3-4cm程度であってもよい。
【0180】
図16aは、
図8のものと同様の機能を有するドライバ1091の遠位端部の、下方からの斜視図を示す。
図16bは、遠位端部の拡大図である。これらの図から分かるように、ヘクサロビュラ構造部1092は、側面スロット1094が器具の最遠位端部1093まで延びることができるように、1つのローブが欠けている。したがって、サイドスロットは、上述したようにおよび
図7および
図8を参照して、カニューレのようなデバイスの取り付けおよび/または取り外しの際に、キャップ上にドライバー1091を取り付けることを可能にする。
【国際調査報告】