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特表2024-517795レーザ材料加工のためのビーム整形器の光学部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】レーザ材料加工のためのビーム整形器の光学部品
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20240416BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20240416BHJP
【FI】
G02B5/00 Z
B23K26/064 K
B23K26/064 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567127
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022061852
(87)【国際公開番号】W WO2022233873
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2106338.3
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2118634.1
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523412614
【氏名又は名称】パワーフォトニック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,エオイン
(72)【発明者】
【氏名】ディーデリヒ,ジル
(72)【発明者】
【氏名】トレラ-マクドナルド,ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】マクブライド,ロイ
【テーマコード(参考)】
2H042
4E168
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA19
2H042AA21
4E168DA39
4E168EA13
4E168EA17
(57)【要約】
フォーカスレンズの焦点距離において均一な環状強度分布が生じるマルチモードレーザビームのビーム整形を実行するための光ビーム整形素子。既知のシーメンススタービーム整形器と比較して、螺旋構成を与えるよう湾曲させられるようにねじれた放射状のアームを有する表面を有する光ビーム整形素子。螺旋構造におけるアームの各々が、遠視野分布を最適化するために、放射状に変化する傾き及び/又は曲率によって追加的に修正される、実施形態が記載される。2つの光ビーム整形素子間の相対的な回転が、環と中心スポットとの間のパワーを変化させる調節可能なトライデントを形成する。光ビーム整形素子は、レーザ材料加工における用途を見出し、螺旋曲率がホットスポットを除去し、スルーフォーカス性能及び入力感度を向上させるように構成されることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形パターンの扇形状のファセットを有する第1の表面を有するプレートを含む光ビーム整形素子であって、
前記扇形状のファセットは、中心点から円周方向に、前記プレートの平面に対して交互に傾斜しており、
複数のアームが前記中心点から放射状に延在し、各アームが、隣接する扇形状のファセット間のエッジを画定し、
前記エッジは湾曲しており、前記複数のアームが、螺旋状のスター構成で外向きに放射状に延在するに従い湾曲していることを特徴とする、光ビーム整形素子。
【請求項2】
前記光ビーム整形素子は、屈折型光学部品である、請求項1に記載の光ビーム整形素子。
【請求項3】
各エッジの両側における前記ファセットは一定の大きさで傾いており、rの関数として回転させられ、ここでrは径方向の位置である、請求項1又は2に記載の光ビーム整形素子。
【請求項4】
各アームは、
【数1】

において放射状に延在し、ここでrは径方向の位置であり、θは360をアームの数で除算した値に等しい角度である、請求項1から3のいずれか一項に記載の光ビーム整形素子。
【請求項5】
各エッジは、径方向のzのスケーリングを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の光ビーム整形素子。
【請求項6】
前記径方向のzのスケーリングは高さに傾きを与え、前記傾きはrの関数として減少し、ここでrは径方向の位置である、請求項5に記載の光ビーム整形素子。
【請求項7】
各ファセットは曲率を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の光ビーム整形素子。
【請求項8】
前記光ビーム整形素子は、第2の表面の中に入れ子にされた前記第1の表面を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の光ビーム整形素子。
【請求項9】
前記螺旋の方向は、前記第1の表面と前記第2の表面との間で反転している、請求項8に記載の光ビーム整形素子。
【請求項10】
前記光ビーム整形素子は、曲率を有さない複数のアームがシーメンススター構成にある表面の中に入れ子にされた前記第1の表面を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の光ビーム整形素子。
【請求項11】
前記光ビーム整形素子はフォーカスレンズを含み、前記光ビーム整形素子と前記フォーカスレンズとは別個の素子であり、離隔されて光学系を提供する、請求項1から10のいずれか一項に記載の光ビーム整形素子。
【請求項12】
前記光学系にレーザが含まれ、前記レーザのビームは、前記光学系を通して前記フォーカスレンズの焦点距離においてフォーカスされた前記レーザビームの環状強度プロファイルをもたらすように方向付けられる、請求項11に記載の光ビーム整形素子。
【請求項13】
前記レーザビームは、ファイバを通して方向付けられる、請求項12に記載の光ビーム整形素子。
【請求項14】
前記光ビーム整形素子の前記第1の表面の鏡像である第1の表面を有する第2の光ビーム整形素子が存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の光ビーム整形素子。
【請求項15】
請求項1に記載の光ビーム整形素子を製造する方法であって、
(a)目標出力遠視野分布を定義するステップと、
(b)前記目標出力遠視野分布に対応する各扇形における角度分布θを得るために、アームの数を決定するステップと、
(c)前記螺旋状のスター構成を提供する前記湾曲したエッジを有する前記第1の表面をもたらすために、各アームの前記エッジの曲率を決定するステップと、
(d)屈折型光ビーム整形素子を提供するために、基板上に第2の表面のプロファイルを機械加工するステップと、を含む、方法。
【請求項16】
ステップ(c)において、前記表面を修正することが、各アームの前記エッジを
【数2】

で放射状に延在させることによるものであり、ここでrは径方向位置である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、ステップ(c)において、各ファセットに曲率を加えるステップを含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記曲率を加えるステップは、各ファセットが遠視野においてスポットをもたらすときに、スポットが最近傍のものと結合するように前記遠視野において前記スポットを広げることである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記曲率を加えるステップは、輪状部において均一な照明を維持するために、入力強度に依存して前記曲率を変化させることである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記曲率を加えるステップは、スポットを角度分離よりもかなり大きく重ねることである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(b)における、前記プレートの前記平面に対する前記エッジの高さは、径方向位置rの関数としてスケーリングされる、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記高さは、rの関数として傾きが減少する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
レーザのビームから環状強度プロファイルをもたらす方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に記載の第1の光ビーム整形器素子を提供するステップと、
(b)コリメートレンズ及びフォーカスレンズを含む光学系において、前記第1の光ビーム整形器素子を配置するステップと、
(c)被加工物上に環状強度プロファイルをもたらすように、前記光学系をレーザビームと前記被加工物との間に位置させるステップと、を含む、レーザのビームから環状強度プロファイルをもたらす方法。
【請求項24】
(d)第2の光ビーム整形器素子を提供する追加的なステップであって、前記第2の光ビーム整形器素子は、前記第1の光ビーム整形器素子の鏡像である、追加的なステップと、
(e)前記第1の光ビーム整形器素子と前記第2の光ビーム整形器素子とが、互いに対して回転するように、前記第1の光ビーム整形器素子及び前記第2の光ビーム整形器素子のうちの少なくとも一方を、前記光学系の中心光軸のまわりで回転させて、2つの動作構成、具体的には、
前記第1の光ビーム整形器素子及び前記第2の光ビーム整形器素子の前記第1の表面における前記アームの前記エッジが位置合わせされ、前記被加工物において環状強度プロファイルが生成される、第1の構成と、
前記第1の光ビーム整形器素子の前記第1の表面における前記アームの前記エッジが、前記第2の光ビーム整形器素子の前記第1の表面における前記アーム間の谷と位置合わせされ、前記被加工物においてスポット状強度プロファイルが生成される、第2の構成と、を提供する、追加的なステップと、を含む、請求項23に記載のレーザのビームから環状強度プロファイルをもたらす方法。
【請求項25】
前記方法は、前記第1の光ビーム整形器素子及び前記第2の光ビーム整形器素子のうちの少なくとも一方を、前記第1の構成と前記第2の構成との間で互いに対して回転させ、それによって前記強度プロファイル中のパワーを変化させて、調節可能なトライデントを形成することを含む、請求項24に記載のレーザのビームから環状強度プロファイルをもたらす方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ材料加工用途のための光ビーム整形器に関する。特に、本発明は、シーメンススター(Siemens star)ビーム整形器の光学部品の形態が、その中心のまわりにねじれて螺旋状又は渦巻き状の構成をもたらす、光ビーム整形素子に関する。この光ビーム整形素子は、フォーカスレンズの焦点面において及びそのまわりに均一な強度を有する環状分布へと、レーザ強度分布を変換する。
【背景技術】
【0002】
環状強度プロファイルを有するレーザビームは、溶接、切断、薄膜の材料切除、太陽電池製造、PCBレーザ穿孔、及び眼科等のレーザ材料加工において、しばしば必要とされる。フォーカスレンズの焦点面において環状強度分布を生成するためには、古典的なアキシコン、円錐レンズ、回転対称プリズム等のビーム整形器が、しばしば使用される。
【0003】
US4275288は、レーザビームのガウシアンエネルギー分布を、断面が輪状となるような、被加工物に衝突する放射のエネルギー分布に変換する、ガラス円錐又はアキシコンを開示している。これらの単一のアキシコンは、位置合わせ及び入力強度分布に敏感である。
【0004】
US10620444は、材料のレーザ加工を意図されたレーザビームに位相分布を付与するための回折型光ビーム整形素子を開示しており、領域として整形され、位相マスクに入射するレーザビームにおいて複数のビーム整形位相分布を付与するように構成された、位相マスクを含む。仮想光学像が、複数のビーム整形位相分布のうちの少なくとも1つに由来し、仮想像は、加工されるべき材料に修正をもたらすための長細のフォーカスゾーンに結像させられ得る。複数のかかる長細のフォーカスゾーンが、空間的に加算され、互いに干渉して、材料中の強度分布を修正し、例えば、非対称な修正ゾーンを生成することができる。これらの回折型光学部品は、典型的には75~95%である低い透過効率に悩まされるものであり、波長依存性がある。
【0005】
US10444521は、レーザ放射によって材料を機械加工するためのデバイスであって、レーザビームを被加工物にフォーカスさせるためのフォーカス光学系と、レーザビームのビーム経路中で互いに背中合わせに配置され、円周方向において互いに対して回転可能であり、円周方向においてそれぞれのプレート平面に対して交互に傾斜している扇形のファセットの円形パターンを有する表面を各々が有する、少なくとも2つのプレート状光学素子を含む、強度分布を調節するための調節光学部品と、を含むデバイスを開示している。各プレート状光学素子は、結像品質を試験するための既知のシーメンススターに従った扇形のファセットの円形パターンにより、シーメンススタービーム整形器とみなされ得る。図1(a)は、交互に傾斜した扇形のファセットBが、中心点Dから放射状のスポーク又はアームCの円形パターンを提供する、先行技術によるシーメンススタービーム整形器Aを示す。シーメンススタービーム整形器における扇形のファセットBは、平面状であるか又は湾曲しており、図1(b)に示されるように、環状の強度分布中にホットスポットを生じる。ホットスポットは、局所的な損傷及び仕上げの低い品質に導き得るため、レーザ加工用途においては望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、本発明の目的は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを回避又は軽減する、光ビーム整形素子、及び屈折型光ビーム整形素子を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、円形パターンの扇形状のファセットを有する第1の表面を有するプレートを含む光ビーム整形素子であって、
扇形状のファセットは、中心点から円周方向に、プレートの平面に対して交互に傾斜しており、
複数のアームが中心点から放射状に延在し、各アームが、隣接する扇形状のファセット間のエッジを画定し、
エッジは湾曲しており、複数のアームが、螺旋状のスター構成で外向きに放射状に延在するように湾曲していることを特徴とする、光ビーム整形素子が提供される。
【0008】
このようにして、先行技術のシーメンススタービーム整形器が、その直線がここでは非直線で湾曲したものとなるため、その中心のまわりにねじれて渦巻き状又は螺旋状のスター構成をもたらしているとみなされ得る。その結果、そうでなければホットスポットに集中する光が、輪状の角度的な環状分布に広がるため、環状分布の焦点における及びそのまわりのホットスポットが除去される。
【0009】
螺旋の湾曲したエッジは、時計回り方向に形成されてもよい。代替としては、螺旋の湾曲したエッジは、反時計回り方向に形成されてもよい。
【0010】
好ましくは、光ビーム整形素子は、屈折型光学部品である。代替としては、光ビーム整形素子は、反射型光学部品であってもよい。
【0011】
好ましくは、エッジは一定の大きさで傾いており、rの関数として回転させられ、ここでrは径方向の位置である。好ましくは、各アームは、
【数1】

において放射状に延在し、ここでrは径方向の位置であり、θは360をアームの数で除算した値に等しい角度である。このようにして、各アームに対して曲線が形成される。
【0012】
好ましくは、各エッジは、径方向のzのスケーリングを有する。かくして、各エッジの高さは、中心点から径方向に変化する。このようにして、生じる加えられた発散が回復され得る。好ましくは、径方向のzのスケーリングは、高さに傾きを与える。より好ましくは、傾きはrの関数として減少し、ここでrは径方向の位置である。
【0013】
好ましくは、各ファセットは曲率を有する。代替としては、各ファセットは、シーメンススタービーム整形器のように平面状である。曲率は、環の外側に散乱させられる光の量、及びホットスポットを結合して均一な分布の環をもたらす能力を決定する。
【0014】
偶数のファセットの数が18~72、好ましくは24~40、特に36である場合、輪状のプロファイルにおけるレーザエネルギーの特に均一な分布が達成され得る。このことは、アームを形成するエッジに対して2枚のファセットが必要であることを仮定している。このとき、偶数本のアームがあってもよいし、又は奇数本のアームがあってもよい。
【0015】
光ビーム整形素子は、第2の表面の中に入れ子にされた第1の表面を含んでもよい。好ましくは、曲率の方向は、第1の表面と第2の表面との間で反転している。光ビーム整形素子は、シーメンススタービーム整形器の表面の中に入れ子にされた第1の表面を含んでもよい。
【0016】
好ましくは、光ビーム整形素子はフォーカスレンズを含み、フォーカスレンズの焦点距離において所望の環状スポットを提供する。一実施形態においては、光ビーム整形素子とフォーカスレンズとは別個の素子であり、離隔されて光学系を提供する。代替の実施形態においては、第1の修正表面がフォーカスレンズの入射面上で組み合わせられて、光学系として単一の光学素子を提供する。
【0017】
好ましくは、光学系にレーザが含まれ、レーザのビームは、光学系を通してフォーカスレンズの焦点距離においてフォーカスされたレーザビームの環状強度プロファイルをもたらすように方向付けられる。レーザビームは、ファイバを通して方向付けられてもよい。光学系はまた、レーザと光ビーム整形素子との間にコリメートレンズを含んでもよい。このようにして、本発明は、レーザ溶接、レーザ切断、薄膜の材料切除、太陽電池製造、PCBレーザ穿孔、及び眼科において使用され得る。
【0018】
第2の光ビーム整形素子があってもよく、このとき第2の光ビーム整形素子の第1の修正表面は、光ビーム整形素子の第1の修正表面の鏡像である。好ましくは、第2の光ビーム整形素子は、第1の表面が互いに面するように構成される。代替としては、第2の光ビーム整形素子は、第1の表面が互いに反対を向くように構成される。このようにして、第1の表面同士が、反対の屈折効果をもたらす。第2の光学系においては、第1の光ビーム整形素子及び第2の光ビーム整形素子、コリメートレンズ、並びにフォーカスレンズがある。第2の光学系は、光学系を通る中心光軸のまわりに第1の光ビーム整形素子と第2の光ビーム整形素子とを互いに対して回転させるように構成された回転マウントを含んでもよい。第1の光ビーム整形素子と第2の光ビーム整形素子とを互いに対して回転させることによって、各光ビーム整形素子のアームが位置合わせされているか又は完全にずれている場合に、光学系を通して方向付けられるレーザのビームの強度プロファイルが、環状強度プロファイルとスポット状強度プロファイルとの間で切り換えられ得る。コアスポットと環との間のパワー比を制御できるトライデント(trident)を生成するために、部分的な回転が使用されてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、請求項1に記載の光ビーム整形素子を製造する方法であって、
(a)目標出力遠視野分布を定義するステップと、
(b)目標出力遠視野分布に対応する各扇形における角度分布θを得るために、アームの数を決定するステップと、
(c)螺旋状のスター構成を提供する湾曲したエッジを有する第1の表面をもたらすために、各アームのエッジの曲率を決定するステップと、
(d)光ビーム整形素子を提供するために、基板プレート上の第1の表面のプロファイルを機械加工するステップと、を含む、方法が提供される。
【0020】
このようにして、改善された環状の出力ビームが、レーザ機械加工のために形成され得る。
【0021】
好ましくは、ステップ(c)で、各アームのエッジの曲線は、
【数2】

において放射状に延在し、ここでrは径方向位置である。
【0022】
好ましくは、本方法は、ステップ(c)において、各ファセットに曲率を加える更なるステップを含む。
【0023】
曲率を加えるステップは、各ファセットが遠視野においてスポットをもたらすときに、最近傍のものと結合するように遠視野においてスポットを広げることであってもよい。このようにして、ビーム入力サイズに合わせられる。したがって、アームが12本ある場合は、結合するためにスポットに30度が加えられる。
【0024】
代替としては、曲率を加えるステップは、輪状部において均一な照明を維持するために、入力強度に依存して曲率を変化させることであってもよい。このようにして、ビーム入力サイズ及び強度プロファイルに合わせられる。例えば、ガウシアン入力の場合、曲率は光学部品の中心部においてよりも周縁部に向かって、より緩やかに変化する必要がある:
【数3】

ここで、
【数4】

は全パワーのうち半径rによって囲まれた部分である。
【0025】
任意に、曲率を加えるステップは、スポットを角度分離よりもかなり大きく重ねることであってもよい。このようにして、ビームサイズ及びプロファイルに対して敏感にならないようにする(許容範囲内で)。各スポットに加えられる角度は、遠視野における角度分離よりもかなり大きく、このことは、入力サイズ及び強度プロファイルの変化に対して敏感にならなくする平均化効果を有する。
【0026】
好ましくは、ステップ(b)における、プレートの平面に対するエッジの高さは、径方向の位置の関数としてスケーリングされる。このようにして、曲率を加えることによって起きる輪状部の外側の径方向の散乱が回復される。より好ましくは、高さは、rの関数として傾きが減少し、ここでrは径方向位置である。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、レーザのビームから環状強度プロファイルをもたらす方法であって、
(a)第1の態様による第1の光ビーム整形器素子を提供するステップと、
(b)コリメートレンズ及びフォーカスレンズを含む光学系において、第1の光ビーム整形器素子を配置するステップと、
(c)被加工物上に環状強度プロファイルをもたらすように、光学系をレーザビームと被加工物との間に位置させるステップと、を含む、方法が提供される。
【0028】
このようにして、光ビーム整形器は、レーザ加工用途において、被加工物上で環状強度プロファイルを有するレーザビームを提供するために使用され得る。
【0029】
好ましくは、レーザビームは、ファイバからのものである。レーザビームは、マルチモードビームであってもよい。
【0030】
本方法は、光学系の中に第2の光ビーム整形器素子を提供することを含んでもよい。より好ましくは、第2の光ビーム整形器素子は、第1の光ビーム整形器素子の鏡像であり、それらの第1の表面は、互いに面するように構成される。本方法は、第1の光ビーム整形器素子と第2の光ビーム整形器素子とが互いに対して回転するように、第1の光ビーム整形器素子及び第2の光ビーム整形器素子のうちの少なくとも一方を、光学系の中心光軸のまわりで回転させることを含んでもよい。より好ましくは、回転が、
第1の光ビーム整形器素子及び第2の光ビーム整形器素子の第1の表面におけるアームのエッジが位置合わせされ、被加工物において環状強度プロファイルが生成される、第1の構成と、
第1の光ビーム整形器素子の第1の表面におけるアームのエッジが、第2の光ビーム整形器素子の第1の表面におけるアームの間の谷と位置合わせされ、被加工物においてスポット状強度プロファイルが生成される、第2の構成と、の2つの構成を提供する。
【0031】
このようにして、光学系は、スポット状強度プロファイルと環状強度プロファイルとの間の切り換えを提供することができる。レーザビームがファイバからのものである場合、スポット状強度プロファイルは、ファイバコアの像であってもよい。
【0032】
好ましくは、本方法は、第1の光ビーム整形器素子及び第2の光ビーム整形器素子のうちの少なくとも一方を、第1の構成と第2の構成との間で互いに対して回転させ、それによって強度プロファイル中のパワーを変化させることを含む。このようにして、調節可能なトライデントが形成される。
【0033】
以下の説明において、図面は必ずしも定縮尺のものではない。本発明のある特徴は、スケールが誇張されて、又はいくぶん模式的な形態で示され得、また従来の要素のいくつかの詳細は、明瞭さ及び簡潔さの観点から示されないことがあり得る。以下に議論される実施形態の種々の特徴及び教示は、所望の結果を生じさせるために、個別に又は任意の適切な組み合わせで採用され得ることは、十分に認識されるべきである。
【0034】
本発明の実施形態は、単に例として、以下の図を参照しながら、ここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1a】先行技術によるシーメンススタービーム整形器の概略図である。
図1b】先行技術によるシーメンススタービーム整形器の出力環状スポットのモデル化された強度分布である。
図2a】先行技術によるシーメンススタービーム整形器の、モデル化された表面設計である。
図2b】本発明の実施形態による光ビーム整形素子の、モデル化された表面設計である。
図3】本発明の実施形態による屈折型光ビーム整形素子を組み込んだ、本発明の実施形態による光学系である。
図4】本発明の実施形態による光ビーム整形素子についての焦点を通過する出力ビームの強度分布のシーケンスである。
図5図4との比較のための、先行技術によるシーメンススタービーム整形器についての焦点を通過する出力ビームの強度分布のシーケンスである。
図6a】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に対する例証計算における計算において使用される幾何形状を説明するためのグラフである。
図6b】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に対する例証計算における計算において使用される幾何形状を説明するためのグラフである。
図6c】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に対する例証計算における計算において使用される幾何形状を説明するためのグラフである。
図6d】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に対する例証計算における計算において使用される幾何形状を説明するためのグラフである。
図7a】フラットトップについての、本発明の実施形態による光ビーム整形素子における、湾曲したエッジの模式的な図である。
図7b】ガウシアン入力レーザビームについての、本発明の実施形態による光ビーム整形素子における、湾曲したエッジの模式的な図である。
図8a】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に適用された、曲率なしを示す、モデル化された強度分布である。
図8b】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に適用された、最適化された曲率を示す、モデル化された強度分布である。
図8c】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に適用された、小さすぎる曲率を示す、モデル化された強度分布である。
図8d】本発明の実施形態による光ビーム整形素子に適用された、高すぎる曲率を示す、モデル化された強度分布である。
図9a】曲率を適用してから広げられた輪状部を示す、モデル化された強度分布である。
図9b図9(a)の光ビーム整形素子に、事前スケーリング傾き係数を適用した後の補正された輪状部を示す、モデル化された強度分布である。
図10】本発明の実施形態による、入れ子にされた光ビーム整形素子の表面の高さマップである。
図11】本発明の更なる実施形態による、入れ子にされた光ビーム整形素子の表面の高さマップである。
図12】本発明の実施形態による第1の光ビーム整形素子及び第2の光ビーム整形素子を組み込んだ、本発明の実施形態による光学系である。
図13a図12の光学系における使用のための、第1の光ビーム整形素子の、モデル化された表面設計である。
図13b図12の光学系における使用のための、第2の光ビーム整形素子の、モデル化された表面設計である。
図14a図12の光学系における、第1の構成における、第1の光ビーム整形素子と第2の光ビーム整形素子との間のアームの位置合わせの概略図である。
図14b図12の光学系における、第2の構成における、第1の光ビーム整形素子と第2の光ビーム整形素子との間のアームの位置合わせの概略図である。
図15a】第1の光ビーム整形素子及び第2の光ビーム整形素子が、第1の構成から第2の構成を経て第1の構成に戻るまで互いに対して回転させられるときに、図12の光学系を通過する出力ビームの強度分布のシーケンスである。
図15b】第1の光ビーム整形素子及び第2の光ビーム整形素子が、第1の構成から第2の構成を経て第1の構成に戻るまで互いに対して回転させられるときに、図12の光学系を通過する出力ビームの強度分布のシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
最初に、全体が参照番号10によって示される、先行技術によるシーメンススタービーム整形器である光ビーム整形素子の表面を示す、図2(a)への参照がなされる。正方形として示されているが、いずれの形状であってもよく、一般的に、溶融シリカ、石英ガラス、サファイア又はZnSeで作られた丸い25mmの正方形又は長方形の1mm厚の基板プレートの微細機械加工によって形成される。表面12は、扇形状のファセット16の円形パターンとして高さマップ上に示されている。ファセット16のエッジ18は直線であり、本分野において既知であるように、シーメンススター結像目標を示す中心点22から放射状に延在するスポーク又はアーム20を提供する。各エッジ18において、表面は、一定の大きさで傾いており、尾根及び谷を生じ、これらは、表面にわたって一定の高さにある。24枚のファセット16が示されているが、任意の偶数枚のものがあってもよい。
【0037】
ここで、本発明の実施形態による光ビーム整形素子100の表面112を示す図2(b)への参照がなされる。図2(a)のものと同様の部分は、明瞭さを助けるために100を加えられた同じ参照数字を付与されている。表面112は、表面12に対してモデル化されたものであり、同じ数のファセット116、エッジ118及びアーム120を有するが、エッジ118は、中心点122から放射状に延在する直線ではなく、湾曲している。エッジ112は、中心点122のまわりに、時計回り方向に表面12をねじることによって形成されるものとみなされ得る円弧を描いている。ファセット116はここでは渦巻きのように見え、エッジ118は螺旋状になっている。アーム120は、もはや直線のスポーク20ではない。
【0038】
使用時には、光ビーム整形素子100は、図3に示されるように、光学系24の中に置かれる。光ビーム整形素子100は、単一の光屈折面112からなる。この図においては、光ビーム整形素子100は屈折型であるが、反射型光学素子として構成されてもよい。典型的にはファイバ28を通したマルチモードであるレーザ26は、屈折型光ビーム整形素子100の表面112に入射するように構成された入力ビーム30を提供する。コリメータ32は、コリメートされた入力ビーム30を提供する。素子100は、入力ビーム30を複数のビームレット34に分割し、次いで遠視野においてそれらを伸張して重ねることによって、入力ビーム上の遠視野を輪状又は環状の分布に修正する。透過させられたビームレット34はフォーカスレンズ36を通過し、レンズ36の焦点距離38において環状のスポット40をもたらすこととなる。この位置は、出力ビーム44の照射のため、被加工物42に入射するように構成されてもよい。均一な環状の強度分布は、焦点においてのみならず、焦点の前後でも得られる。この構成においては、素子100とフォーカスレンズ36との間に分離が存在し、これらの各々は系24の中の別個の光学部品である。
【0039】
アーム120をねじることによって、そうでなければホットスポットに集中する光が輪状の角度的な分布に広がるため、本発明の屈折型光ビーム整形素子100は有利にも、アキシコンにおいて及びシーメンススタービーム整形器(図1(b)参照)において見られる環状強度分布からホットスポットを除去する。コリメートされたビームの外側部分における光線は放射状の光線となるため、アキシコンは、その結果、スルーフォーカスの挙動が急激に変化することに悩まされる。シーメンススタービーム整形器の使用は、コリメートされたビームの外側部分における光線が、焦点面においてのみならず焦点面の近くにおいてもスキュー光線となるため、アキシコンよりも良好な結果を提供する。本発明については、径方向成分は増大するが、依然として主にスキューであり、多くのアームがスキュー成分を低減させる。ここで、それぞれ本発明の屈折型光ビーム整形素子100について、及びシーメンススタービーム整形器についての、比較となるスルーフォーカス伝搬の強度分布のシーケンスを示す、図4及び図5への参照がなされる。ここで、フォーカスレンズ36の焦点距離は、150mmである。素子100は、ねじれの影響を示すビーム強度分布を呈するが、先行技術のものよりも高い均一さの度合い及び小さいスポットサイズを有する。
【0040】
光学系24を通るビーム経路を考慮し、シーメンススタービーム整形器から始め、2つのファセット16がぶつかるスポーク20におけるエッジ18を考える。このことは、図6(a)に示されるように、各ファセットから角度αだけビームを偏向させるルーフプリズム46を提供する。遠視野においては、角度半径α及び平面角θ+/-(π/2)において2つのスポット48a、bが生成される。このことは図6(b)に示されており、各スポーク20において起きる。
【0041】
入射パワー密度がI(r)として回転対称に変化する場合(図6(c)参照)、囲まれるパワーは
【数5】

となる。全パワーはP=Penc(r)であり、rはビームの全半径(100%のパワー)であり、正規化された囲まれるパワーは
【数6】

である。かくして、12本のスポークのシーメンススタービーム整形器10は、図6(d)に示されるように、12個のスポットを30度の間隔で生成するべきであり、各スポットは2つの生成源を有する。
【0042】
本発明においては、スポークをねじって螺旋にすることが、効果的に「点を結ぶ」ことができる。ルーフプリズム46はここでは、曲線又は螺旋上にある(図6(e)参照)。連続的な輪状部のためには、角度間隔毎に均一なパワーが望ましい。N本のスポークの場合、角度
【数7】

(1番目のスポットが角度θ=0にある)においてN個のスポットが得られ、ここでi=0…N-1である。
【0043】
図6(f)及び図6(g)を参照し、
【数8】

とし、
【数9】

は螺旋アーム220の法線とする。
【数10】

したがって、
【数11】

しかしながら、
【数12】

したがって、
【数13】

【数14】

したがって、
【数15】

【数16】

したがって、均一なビームについて、
【数17】

かくして、以下を与える:
【数18】
【0044】
【数19】

であり、ここで
【数20】

は全パワーのうち半径rにより囲まれた部分である。
一様なフラットトップなビームについては、
【数21】

である。
ガウシアンビームについては、
【数22】

である。
【0045】
かくして、フラットトップな入力ビームに対する修正表面112上のアーム120の曲率は、図7(a)に示されるように、真の螺旋を与える。ガウシアンについては、スポットは径方向に始まって終わるが、スポークの終わりは次のスポークの始まりの角度にあるので、むしろねじれた螺旋となる(図7(b)参照)。
【0046】
したがって、光ビーム整形素子100を製造する方法において、出発点は、各々が同じ一定の大きさの傾きを有するが、方向はrに垂直である、扇形のファセットの円形パターンを有する、シーメンススタービーム整形器の表面である。各セクションにおける角度分布は、望ましい出力遠視野分布に対応する。先行技術のシーメンススタービーム整形器の表面についてθで放射状に延在するアーム20は、ここでは
【数23】

において放射状に延在するアーム120となり、ここでrは径方向の位置である。
【0047】
次に、エッジ118に沿って各ファセット116に曲率が加えられる。このことのために、いくつかの方法がある。
【0048】
選択肢1:入力ビームサイズに合わせる。各ファセット116は、遠視野においてスポットをもたらす(図8(a)参照)。図8(c)におけるように、遠視野においてスポットを広げて、それにより最近傍のスポットと結合させるのに十分な曲率を加える。このようにして、12本のアーム120については、結合するためにスポット48に30度が加えられる。
【0049】
選択肢2:入力ビームサイズ及び強度プロファイルに合わせる。入力強度に依存して曲率を変化させ、輪状部において均一な照明を維持する。例えば、ガウシアン入力の場合、曲率は光学素子100の中心部におけるよりも周縁部に向かって、より緩やかに変化する必要がある:
【数24】

ここで
【数25】

は全パワーのうち半径rで囲まれた部分である。
【0050】
選択肢3:(許容範囲内の)入力ビームのサイズ及び強度プロファイルに対して敏感にならないようにする。角度分離よりもかなり大きく、スポット48を重ねる。したがって、各スポット48に加えられる角度は、遠視野における角度分離よりもかなり大きい。このことは、入力ビームサイズ及び強度プロファイルの変化に対して敏感にならなくする平均化効果を有する。
【0051】
各選択肢は、本発明の光ビーム整形器素子100に異なる第1の表面112を提供することとなる。いずれの選択肢も、輪状部の外側に径方向の散乱の要素を加えることとなることに留意されたい。ツールに小さな曲率を加えることは、図8(c)に示されるように、スポット48が結合されないため、ホットスポットが形成されることに帰着する。大きすぎる曲率が加えられると、図8(d)に見られるように、ファセットの曲率が、環の外側で光が散乱させられる点まで表面の傾きを変化させ、輪状部を広げる効果を有する。目的は、輪状部を広げることではなく、ホットスポットを結合するために曲率を加えることであり、このことは、系のセットアップ及び結像したファイバ及び目標環状スポット40の相対的なサイズに依存して変わることとなる。
【0052】
輪状部の広がりは、最初の表面12のzの高さをスケーリングすることによって補償され得る。シーメンススタービーム整形器10においては、各スポーク20は、z軸における同じ高さを有する(図2(a)においてグレースケールで示される)。図9(a)に示されるように、極座標において遠視野を見ると、輪状部の広がりは主にθにあり、rにおいては輪状部を広げるわずかな効果を有する。rにおける広がりは、rの関数として高さをスケーリングし、それゆえ傾きを低減させることによって、低減させられ得る。第1の表面112においては、高さはrの関数としてスケーリングされる。このようにして、各アーム120の絶対的な傾きは、rが増大するにつれて減少する。このことは、図9(b)に示されるように、輪状部を狭くする。輪状部は次いで、最適設計に到達するために繰り返し曲率を加えることによって、再び増大させられてもよい。
【0053】
基本的に、rの関数としてサグ値を回転させることによって、シーメンススタービーム整形器の設計に「ねじれ」が加えられる。このことは、扇形上のファセットがもはや平面ではなくなり、したがって、ホットスポットをもたらす一定数の角度に全ての光を入射させないことを意味する。このことは、ファセットの絶対偏向角がもはや一定ではなくなり、したがって遠視野において輪状部が広げられるという問題を引き起こす。このことは、rの関数として傾きが減少するようにスターサグ値を事前スケーリングすることによって補正されることができ、これが次いでねじれによって再補正される。
【0054】
第1の表面112が定義されると、光ビーム整形器素子100は、基板上への直接書き込み等の既知のレーザ光学機械加工プロセスによって構築されて、プレート上に修正表面112のプロファイルをもたらす。
【0055】
本発明の光ビーム整形器素子100、及び特に第1の表面112は、入れ子にされた光学部品中のコンポーネントに適している。例えば、アキシコンは、その中心において第1の表面112のプロファイルに整形され得る。図10を参照すると、入れ子にされた光学部品50の高さマップが示されており、中央の円形のセクションは反時計回り方向へのねじれを伴う第1の表面112aで形成され、外側のセクションは第1の表面112aに対して逆方向の曲率を有する第2の表面112bで形成されている。代替の入れ子にされた光学部品50aが、図11に示されている。入れ子にされた光学部品50aは、シーメンススタービーム整形器の表面12内に第1の表面112を有している。かかる光学部品は製造が容易であり、入力ビームの変化に対してあまり敏感ではない。ねじれを入れ子にすることは、レーザ金属切断において重要な考慮事項である、焦点から離れたスポット40の対称性を改善する。
【0056】
ここで、第1の光ビーム整形素子110及び第2の光ビーム整形素子210が存在する光学系224を示す、図面の図12への参照がなされる。第1の光ビーム整形素子110は、光ビーム整形素子100について以上に説明されたようにもたらされ、螺旋状のシーメンススターのプロファイルを有する単一の光屈折面212aからなるビーム整形器である。第2の光ビーム整形素子210は、第1の光ビーム整形素子110の鏡像である。図示された実施形態においては、素子110、210は、光学系224において、第2のビーム整形素子210の機械加工された屈折面212bが第1のビーム整形素子110の表面212aに面するように構成されている。代替としては、素子110、210は、表面212aと表面212bとが互いに反対を向くように構成されてもよい。
【0057】
表面212a、bをもたらす設計フローは、以上に説明されたような標準的な単一プレートの螺旋ビーム整形器100と同じであり、第2の表面212bをもたらす2つの更なるステップを有する。光学表面212a、212bの湾曲したファセットが並ぶ必要があるため、このことは、一方は他方の鏡像でなければならないことを意味する。これを行う1つの方法は、反対の曲率を適用して再設計することであり、より迅速な方法は、x又はyにおいてz値を反転させて、元の表面の鏡像を得るようにすることである。次のステップは、表面のz値を2で除算することであり、このことは、各プレートにおける各ファセットが、意図された偏向の半分を有することを意味し、両方が組み合わせて使用されたときに、必要なスポットサイズが生成される。表面212a及び212bの高さマップは、それぞれ図13(a)及び図13(b)において例示的な設計について示されている。これらは、表面212a、212bが互いに面するように配置された場合、及び互いに反対を向くように配置された場合の、互いの鏡像を示している。
【0058】
図12に戻ると、光学系224は、典型的にはファイバ228を通したマルチモードのレーザ226を伴って構成され、屈折型の第2の光ビーム整形素子210の表面212bに面する屈折型の第1の光ビーム整形素子110の表面212aに入射するように構成された入力ビーム230を提供する。素子110、210は、以上に説明されたように入力ビーム230を修正し、コリメータ232によってコリメートされる複数のビームレット234を提供する。コリメートされたビームレット234は、フォーカスレンズ236を通過させられ、レンズ236の焦点距離238においてスポット240をもたらすこととなる。この位置は、出力ビーム244の照射のため、被加工物242に入射するように構成されてもよい。
【0059】
この構成においては、第1の光ビーム整形素子110と第2の光ビーム整形素子210とは、系224の光軸のまわりに互いに対して回転することができる。回転マウント15が、この目的のために素子210に接続されて示されているが、望ましい場合には、いずれかの素子又は両方の素子に接続されてもよい。各アーム又はスポーク220a、bが、図13(a)及び図13(b)に示されるように、各表面212a、b上の隣接するピーク間に谷19a、bを有するピーク17a、bとして記述され得るエッジ218a、bを有するものを考える。表面212a、bが互いに面している場合、表面212a、bがピーク17aからピーク17bへ又はピーク17aから谷19bへ完全に位置合わせされる、相対的な回転位置合わせの様々な段階があることが明らかである。ピーク17aからピーク17bへの位置合わせは、光学系を通して位相差を最大化し、スポット240上に環状強度プロファイルを生成する。ピーク17aから谷19bへの位置合わせは位相差を最小化し、そのため焦点においてはファイバコアの像、すなわちスポット240におけるスポット状強度プロファイルが見える。この2つの両極端の間の点は連続体上にあり、そのため中心又は環のパワーの量を調節することができ、調節可能なトライデントを形成する。
【0060】
この位置合わせは、図14(a)及び図14(b)に示される。図14(a)は、ピーク17aからピーク17bへの位置合わせを表し、図14(b)は、ピーク17aから谷19bへの位置合わせを表している。ピーク同士の位置合わせが0度であり、したがって回転的なずれがないとすると、この中立位置においては環状スポット240が得られる。スポットが見える谷の位置にピークから移動するためには、半周期移動する必要がある。例えば、24本のアーム220a、bを有する場合には、7.5度移動する必要がある(各アームがルーフプリズムとして360/24度を占めるように見える)。図14(a)においては、24本のアーム220a、bはピーク17aからピーク17bに配置されているので、点から点へは極座標で15度を占める。素子212bを角度空間から出るよう回すと、距離「A」は15度となる。この第1の構成においては、位相差が最大化され、環状強度プロファイルを有するスポット240が生成される。ここで図14(b)を参照すると、半周期のずれが表されている。距離「B」は、ピーク17aと谷19bとが位置合わせされている場合、24本のアーム220a、bについて7.5度である。この第2の構成は、位相差を最小化し、2つの素子110、210が相殺し、そのためファイバ228のコアの像は、被加工物242においてスポット240として生成される。それゆえ、光学系224は、レーザ加工のためのオン/オフ構成を提供するものとみなされ得る。
【0061】
ここで、図12図14を参照しながら以上に説明されたように、24本のアーム220a、bを有する素子110、210が互いに対して15度だけ回転されたときの、スポット240のモデル化された強度分布のシーケンスを示す、図面の図15(a)及び図15(b)への参照がなされる。0度及び15度においては、環状強度分布が見られ、7度~8度においては、中心スポット状強度分布がもたらされ、この第1の構成と第2の構成との間においては、中心と環との間に連続的なパワー伝達が存在し、中心又は環におけるパワーの量が調節され得るように調節可能なトライデントを形成する。
【0062】
本発明の主な利点は、レーザ材料加工に適した低減されたホットスポットを有する均一な輪状強度分布を有する出力ビームを与える光ビーム整形素子を提供することである。
【0063】
本発明の更なる利点は、既知のシーメンススタービーム整形器の表面がねじれを導入することによって修正される、光ビーム整形素子を製造する方法を提供することである。
【0064】
本発明の実施形態の更なる利点は、中心又は環の間でパワーを変化させる調節可能なトライデントを形成しつつ、環と中心の強度分布との間で切り換え可能な、レーザ加工のためのビームをもたらす装置及び方法を提供することである。
【0065】
本発明は、複数の積層光ビーム整形素子が光学系において使用されることができ、光ビーム整形素子が使用中に回転させられることができ、入力レーザビームがオン/オフ切り換えされることができる、US10444521に開示されたもの等の様々な態様で適用され得ることは、当業者には明らかであろう。また、光学系は、被加工物上を移動させられるように構造物上に位置させられてもよい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
【国際調査報告】