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特表2024-517798不溶性アルファ-グルカンを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】不溶性アルファ-グルカンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
C08B37/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567145
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022027452
(87)【国際公開番号】W WO2022235655
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,825
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】520346620
【氏名又は名称】ニュートリション・アンド・バイオサイエンシーズ・ユーエスエー・フォー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】カイル・ヒュン・チャン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ナタナエル・ビハブトゥ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・ユースタス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・イー・クロージャー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・メズイック
【テーマコード(参考)】
4C090
【Fターム(参考)】
4C090AA01
4C090AA03
4C090BA06
4C090BB32
4C090BB35
4C090BB52
4C090BB92
4C090BD23
4C090BD24
4C090BD34
4C090BD35
4C090BD36
4C090CA06
4C090CA25
4C090DA26
4C090DA27
4C090DA31
4C090DA32
(57)【要約】
(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む組成物が本明細書に開示される。これらの組成物は、例えば、可溶性アルファ-グルカン誘導体及び/又は添加剤でコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む粒子などの粒子の形態であり得る。これらの組成物を調製するための方法、並びにそれらを使用する様々な用途が更に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む組成物であって、
前記不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、前記不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)が少なくとも15であり、
前記可溶性アルファ-グルカン誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、前記可溶性アルファ-グルカン誘導体のアルファ-グルカン部分のDPwが少なくとも15である、
不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む組成物。
【請求項2】
前記不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約90%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、及び/又は
前記可溶性アルファ-グルカン誘導体のグリコシド結合の少なくとも約90%がアルファ-1,3グリコシド結合である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記不溶性アルファ-グルカンが、
(i)100を超えるDPwを有するか、
(ii)フィブリッドの形態であるか、又は
(iii)約15~100のDPwを有し、及び/若しくは少なくとも約0.65の結晶化度を有する粒子の形態である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記可溶性アルファ-グルカン誘導体が、正電荷又は負電荷を有する少なくとも1つの有機基で約3.0までの置換度(DoS)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機基を有する前記DoSが少なくとも約0.3である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機基が、前記可溶性アルファ-グルカン誘導体にエーテル結合している、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記不溶性アルファ-グルカンが前記可溶性アルファ-グルカン誘導体によってコーティングされており、任意選択的に、前記組成物が前記可溶性アルファ-グルカン誘導体によってコーティングされた前記不溶性アルファ-グルカンの粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が前記粒子を含み、前記粒子が、負の表面電荷又は正の表面電荷を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
不溶性アルファ-グルカン又は前記可溶性アルファ-グルカン誘導体と化学的に反応しない添加剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、分散液、ウェットケーキ若しくはウェット粉末、乾燥粉末、押出物、複合体、フィルム/コーティング、又は封入剤の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
約0.1~約50重量%(又は約1~約30重量%)の前記可溶性アルファ-グルカン誘導体を含み、前記重量%が前記組成物中の前記不溶性アルファ-グルカンの重量に基づく、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を製造する方法であって、
(a)少なくとも水、前記不溶性アルファ-グルカン、及び前記可溶性アルファ-グルカン誘導体を一緒にブレンドして、ブレンドされた生成物を提供することと、
(b)任意選択的に前記ブレンドされた生成物を乾燥させることと、
含む、方法。
【請求項13】
工程(a)が、(i)前記可溶性アルファ-グルカン誘導体の乾燥粉末と、(ii)約10~80重量%の前記不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水若しくは水溶液を含む組成物と、をブレンドすることによって実施されるか、又は
工程(a)が、(i)前記可溶性アルファ-グルカン誘導体の乾燥粉末と、(ii)約10~80重量%の前記不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水若しくは水溶液を含む組成物と、(iii)水若しくは水溶液とをブレンドすることによって実施され、前記ブレンドされた生成物の全固形分は、約1~30重量%である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む組成物を製造する方法であって、
(a)(i)添加剤と、(ii)約10~80重量%の不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水又は水溶液を含む組成物とをブレンドし、それによってブレンドされた生成物を提供することであって、
任意選択的に、前記添加剤の質量が前記水又は水溶液の質量の約25%以内であり、前記添加剤が不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応せず、
前記不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、前記不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)が少なくとも15である、ブレンドされた生成物を提供することと、
(b)前記ブレンドされた生成物を乾燥させることであって、(ii)の前記組成物中に存在していた前記水の大部分(例えば、≧90重量%)又は全てが前記添加剤で置き換えられる、前記ブレンドされた生成物を乾燥させることと、
を含む、少なくとも不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む組成物を製造する方法。
【請求項15】
前記添加剤が非水性液体を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法によって製造された組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物であって、
前記添加剤は、前記不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応せず、
前記不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、前記不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)が少なくとも15である、
少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物。
【請求項18】
前記添加剤によってコーティングされた前記不溶性アルファ-グルカンの粒子を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記添加剤が非水性液体を含む、請求項17に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第63/183,825号明細書(2021年5月4日出願)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、多糖類の分野におけるものである。例えば、本開示は、不溶性アルファ-グルカン及び少なくとも1つの添加剤を含む組成物、並びに様々な用途におけるこの材料の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
多糖類を様々な用途に使用することが望まれているため、研究者らは、生分解性であり、再生可能に供給される原料から経済的に製造することができる多糖類を探求してきた。そのような多糖類の1つが、アルファ-1,3-グルカン、すなわちアルファ-1,3-グリコシド結合を有することを特徴とする不溶性グルカンポリマーである。このポリマーは、例えば、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)から単離されたグルコシルトランスフェラーゼ酵素を用いて調製されてきた(Simpson et al.,Microbiology 141:1451-1460,1995)。また、例えば、米国特許第7000000号明細書は、酵素的に生成されたアルファ-1,3-グルカンからの紡糸繊維の調製を開示している。また、種々の他のグルカン材料が、新たな、又は改良された用途を開発するために研究されてきた。例えば、米国特許出願公開第2015/0232819号明細書は、アルファ-1,3結合及びアルファ-1,6結合が混合されたいくつかの不溶性グルカンの酵素的合成を開示している。
【0004】
不溶性アルファ-グルカンの新たな形態は、様々な用途でこの材料の経済的価値及び性能特性を向上させるために所望されている。この必要性に対処するために、不溶性アルファ-グルカン及び1つ又は複数の添加剤を含む組成物が本明細書に記載される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本開示は、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む組成物に関し、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%は、アルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15であり、可溶性アルファ-グルカン誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、アルファ-1,3グリコシド結合であり、可溶性アルファ-グルカン誘導体のアルファ-グルカン部分のDPwは少なくとも15である。
【0006】
別の実施形態では、本開示は、前述の組成物を製造する方法に関し、方法は、(a)少なくとも水、不溶性アルファ-グルカン、及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を一緒にブレンドしてブレンドされた生成物を提供することと、(b)任意選択的にブレンドされた生成物を乾燥させることと、
を含む。
【0007】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む組成物を製造する方法に関し、方法は、(a)(i)添加剤と、(ii)約10~80重量%の不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水又は水溶液を含む組成物とをブレンドし、それによってブレンドされた生成物を提供することであって、任意選択的に、添加剤の質量は水又は水溶液の質量の約25%以内であり、添加剤は不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応せず、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%はアルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15である、ブレンドされた生成物を提供することと、(b)ブレンドされた生成物を乾燥させることであって、(ii)の組成物中に存在していた水の大部分(例えば、≧90重量%)又は全てが添加剤で置き換えられる、ブレンドされた生成物を乾燥させることと、
を含む。この方法によって製造された組成物は、本明細書の別の実施形態である。
【0008】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物に関し、添加剤は不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応せず、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%は、アルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
引用した全ての特許及び非特許文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
別段の開示がなされていない限り、本明細書で使用される用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つ又は複数(すなわち、少なくとも1つ)の言及される特徴を包含するものとする。
【0011】
存在する場合、特に記載しない限り、全ての範囲は、包括的であり、結合可能である。例えば、「1から5」の範囲(すなわち1~5)が挙げられる場合、挙げられた範囲は、範囲「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」等を含むものと解釈されるべきである。本開示における様々な範囲の数値は、特に明記しない限り、記載された範囲内の最小値及び最大値の両方が「約」という語で始まっているかのように近似値として記載される。この形式では、記述範囲の上下のわずかな変動は、典型的には、範囲内の値と実質的に同じ結果を実質的に達成するために用いることができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間の各値及びあらゆる値を含む連続的な範囲を意図している。
【0012】
本明細書全体を通して与えられる全ての数値の上限が、全てのより低い数値の限界を、あたかもそのようなより低い数値の限界が本明細書で明示されていたかのように含むことが意図されている。本明細書全体を通して与えられる全ての数値の下限は、全てのより高い数値の限界を、あたかもそのようなより高い数値の限界が本明細書で明示されていたかのように含むであろう。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入る全てのより狭い数値範囲を、あたかもそのようなより狭い数値範囲が本明細書で全て明示されていたかのように含むであろう。
【0013】
明確にするために、態様/実施形態との関連で上及び下に記載されている、本開示の特定の特徴は、単一要素においても組み合わせて提供されてもよいことが理解されるべきである。反対に、簡潔にするために、単一の態様/実施形態との関連で記載されている本開示の様々な特徴は、別個に又は任意の副次的組み合わせで提供され得る。
【0014】
「多糖」(又は「グリカン」)という用語は、グリコシド結合によって互いに結合した単糖単位の長鎖で構成され、加水分解により多糖の構成単糖及び/又はオリゴ糖を与えるポリマー炭水化物分子を意味する。本明細書における多糖は、直鎖状又は分岐状であり得、並びに/或いはホモ多糖(1種類の構成単糖のみからなる)又はヘテロ多糖(2種類以上の異なる構成単糖からなる)であり得る。本明細書において、多糖類の例としては、グルカン(ポリグルコース)、フルクタン(ポリフルクトース)、ガラクタン(ポリガラクトース)、マンナン(ポリマンノース)、アラビナン(ポリアラビノース)、キシラン(ポリキシロース)、及び大豆多糖類が挙げられる。
【0015】
本明細書において、用語「糖」及び他の同様の用語は、別段の記載がない限り、単糖及び/又は二糖/オリゴ糖を指す。本明細書において、「二糖」は、2つの単糖がグリコシド結合によって連結されている炭水化物を指す。本明細書において、「オリゴ糖」は、例えば3~15個の単糖がグリコシド結合によって連結されている炭水化物を指す。オリゴ糖は、「オリゴマー」と呼ぶこともできる。二糖/オリゴ糖内に含まれる単糖(例えば、グルコース及び/又はフルクトース)は、「モノマー単位」、「単糖単位」、又は他の同様の用語で呼ぶことができる。
【0016】
本明細書における「グルカン」は、グルコース(ポリグルコース)のポリマーである多糖の一種である。グルカンは、例えば、約、又は少なくとも約、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、又は100重量%のグルコース単量体単位から構成され得る。本明細書におけるグルカンの例としては、アルファ-グルカンが挙げられる。
【0017】
用語「アルファ-グルカン」、「アルファ-グルカンポリマー」などは、本明細書では同じ意味で用いられる。アルファ-グルカンは、アルファ-グリコシド結合によって一緒に連結されたグルコースモノマー単位を含むポリマーである。典型的な態様では、本明細書におけるアルファ-グルカンのグリコシド結合は、約又は少なくとも約、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアルファ-グリコシド結合である。本明細書中のアルファ-グルカンポリマーの例として、アルファ-1,3-グルカンが挙げられる。
【0018】
用語「アルファ-1,3-グルカン」、「ポリアルファ-1,3-グルカン」、「アルファ-1,3-グルカンポリマー」などは、本明細書では互換的に使用される。アルファ-1,3-グルカンは、グリコシド結合によって一緒に結合したグルコース単量体単位を含むアルファ-グルカンであり、グリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3である。いくつかの態様では、アルファ-1,3-グルカンは、約又は少なくとも約、90%、95%又は100%のアルファ-1,3グリコシド結合を含む。存在する場合、本明細書のアルファ-1,3-グルカンにおける他の結合の大部分又は全ては、典型的には、アルファ-1,6であるが、いくつかの結合はまた、アルファ-1,2及び/又はアルファ-1,4であり得る。本明細書におけるアルファ-1,3-グルカンは、典型的には水不溶性である。
【0019】
本明細書のいくつかの態様では、用語「デキストラン」、「デキストランポリマー」、「デキストラン分子」、「アルファ-1,6-グルカン」などは、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は99.5%のアルファ-1,6グリコシド結合(結合の残りは、典型的には、全て又はほとんどがアルファ-1,3である)を含む水溶性アルファ-グルカンを指す。
【0020】
本明細書の用語「コポリマー」は、少なくとも異なるタイプの2つのアルファグルカン、例えば、デキストラン及びアルファ-1,3-グルカンなどを含むポリマーを指す。本明細書での用語「グラフトコポリマー」、「分岐コポリマー」等は、一般に、「主鎖」(又は「主な鎖」)と、主鎖から分岐する側鎖とを含むコポリマーを意味する。側鎖は、主鎖と構造的に異なる。本明細書のグラフトコポリマーの例は、デキストラン主鎖(又は例えば約1%~35%のアルファ-1,2及び/又はアルファ-1,3分枝で変性されたデキストラン主鎖)及び少なくとも約50%のアルファ-1,3グリコシド結合を含む少なくとも1つのアルファ-1,3-グルカンの側鎖を含む。本明細書のアルファ-1,3-グルカン側鎖は、例えば、本明細書に開示されるアルファ-1,3-グルカンの結合及び分子量を有することができる。いくつかの態様では、デキストランの非還元末端は、グルコシルトランスフェラーゼ酵素によるアルファ-1,3-グルカン合成をプライムすることができるため、デキストラン主鎖は、アルファ-1,3-グルカン伸長部を有することができる。
【0021】
用語「結合」、「グリコシド結合(linkage)」、「グリコシド結合(bond)」などは、糖化合物(オリゴ糖及び/又は多糖)内の糖モノマーを結合する共有結合を指す。グリコシド結合の例としては、1,6-アルファ-D-グリコシド結合(本明細書では「アルファ-1、6」連結とも呼ばれる)及び1,3-アルファ-D-グリコシド結合(本明細書では「アルファ-1,3」連結とも呼ばれる)が挙げられる。
【0022】
多糖又はその誘導体のグリコシド結合プロファイルは、当技術分野で公知の任意の方法を使用して決定することができる。例えば、結合プロファイルは、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えば、13C NMR及び/又はH NMR)を使用する方法を用いて決定され得る。用いることができるこれらの方法及び他の方法は、例えば、Food Carbohydrates:Chemistry,Physical Properties,and Applications(S.W.Cui.Ed,Chapter 3,S.W.Cui,Structural Analysis of Polysaccharides,Taylor&Francis Group LLC,Boca Raton,FL,2005)に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
本明細書で言及される「アルファ-1,2分岐」(及び同様の用語)は、典型的には、デキストラン骨格にアルファ-1,2-結合しているグルコースを含み、したがって、本明細書におけるアルファ-1,2分岐は、アルファ-1,2,6結合と呼ぶこともできる。本明細書におけるアルファ-1,2分岐は、典型的には、1つのグルコース基(ペンダントグルコースと呼ばれてもよい)を有する。
【0024】
本明細書で言及される「アルファ-1,3分岐」(及び同様の用語)は、典型的には、デキストラン骨格にアルファ-1,3-結合しているグルコースを含み、したがって、本明細書におけるアルファ-1,3分岐は、アルファ-1,3,6結合と呼ぶこともできる。本明細書におけるアルファ-1,3分岐は、典型的には、1つのグルコース基(ペンダントグルコースと呼ばれてもよい)を有する。
【0025】
本明細書における多糖中の分枝パーセントは、分岐点を表す多糖中の全ての結合のパーセントを指す。例えば、本明細書のアルファ-グルカンにおけるアルファ-1,3分岐の割合は、アルファ-1,3分岐点を表すグルカン中の全ての結合の割合を指す。別段の記載がない限り、本明細書に開示される結合のパーセントは、多糖の全結合、又は開示が特に考慮する多糖の部分に基づく。
【0026】
本明細書における多糖又は多糖誘導体の「分子量」は、重量平均分子量(Mw)又は数平均分子量(Mn)として表すことができ、その単位はダルトン(Da)又はグラム/モルである。或いはまた、分子量は、DPw(重量平均重合度)又はDPn(数平均重合度)として表すことができる。オリゴ糖などのより小さい多糖ポリマーの分子量は、任意選択的に、「DP」(重合度)として提供される場合があり、これは、単に多糖内に含まれるモノマーの数を指す。「DP」は、個々の分子基準でポリマーの分子量を特徴付けることもできる。高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、又はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)等によって、これらの種々の分子量の測定値を算出するための種々の手法が、当該技術分野において知られている。
【0027】
本明細書で使用される場合、Mwは、Mw=ΣNiMi/ΣNiMi(式中、Miは、個々の鎖iの分子量であり、Niは、その分子量の鎖の数である)として計算することができる。SECの他に、静的光散乱、質量分光分析、MALDI-TOF(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型)、X線小角若しくは中性子散乱又は超遠心分離などの他の技術によってポリマーのMwを決定することができる。本明細書で使用される場合、Mnは、Mn=ΣNiMi/ΣNi(式中、Miは、鎖iの分子量であり、Niは、その分子量の鎖の数である)として計算することができる。SECの他に、種々の束一的性質の方法、例えば蒸気圧浸透圧測定、分光分析方法、例えばプロトンNMR、プロトンFTIR又はUV-Visによる末端基定量によってポリマーのMnを決定することができる。本明細書で使用される場合、DPn及びDPwは、1つのモノマー単位のモル質量Mでそれらを割ることにより、それぞれMw及びMnから算出することができる。非置換グルカンポリマーの場合、M=162である。置換(誘導体化)グルカンポリマーの場合、M=162+M×DoSであり、ここで、Mは、置換基のモル質量であり、及びDoSは、置換度(グルカンポリマーのグルコース単位1つ当たりの置換基の平均数)である。
【0028】
用語「結晶質」、「結晶質固体」、「結晶」及び類似の用語は、本明細書では、その構成要素が、規則的に秩序ある構造に配列され、格子を形成している固体材料を指し;そのような材料は、典型的には、結晶質及び非晶質領域を有するより大きい組成物の一部分である。「非晶質」材料は、その構成要素が一定の格子パターンで組織化されておらず、むしろランダムに組織化される点で非結晶質である。非晶質材料ではない結晶質材料は、通常、特徴的幾何学的形状(例えば、プレート)を有する。用語「結晶化度」、「結晶化度指数」(CI)、「結晶化度の程度」などは、本明細書では、結晶質である不溶性アルファ-グルカンの分数量(質量分率又は体積分率)を指し、少数又は百分率の形態で表すことができる(例えば、0.65の結晶化度は、65%の結晶化度に対応する)。この分数量は、不溶性アルファ-グルカンの非晶質含有量を含む総量又は体積である。本明細書の結晶化度は、例えば、Struszczyk et al.(1987,J.Appl.Polym.Sci.33:177-189)、米国特許出願公開第2015/0247176号明細書、第2010/0233773号明細書又は第2015/0152196号明細書、又は国際特許出願公開第2018/081263号明細書(これらは、全て参照により本明細書に組み込まれる)に従い、示差走査熱量測定(DSC)、X線回折(XRD)、X線小角散乱(SAXS)、赤外線分光学及び/又は密度測定などの技術を使用して測定することができる。いくつかの態様では、不溶性アルファ-1,3-グルカンの結晶化度は、本明細書では、下記の実施例(材料/方法)中に開示される方法論に従って決定することができる。
【0029】
用語「粒子」、「微粒子」及び同様の用語は、本明細書では互換的に使用され、微粒子系の最小の認識可能な単位を指す。用語「微粒子化」及び類似の用語は、本明細書の不溶性アルファ-グルカンの粒子を特徴付けるために使用することができ、本開示の典型的な態様における微粒子化された不溶性アルファ-グルカンは、水性条件下で分散時にこの材料が存在するようなものである。いくつかの態様における粒子サイズは、粒径及び/又は最長粒子寸法の長さを意味し得る。平均サイズは、例えば、少なくとも50、100、500、1000、2500、5000若しくは10000個以上の粒子の直径及び/又は最長粒子寸法の平均に基づき得る。粒子は、本明細書では、例えばプレート形態であり得る。本明細書の粒径は、例えば、米国特許第6091492号明細書、第6741350号明細書、又は第9297737号明細書(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)のいずれかに記載されているように、光散乱又は電気インピーダンス変化(例えば、コールターカウンタを使用する)を含むプロセスによって測定することができる。粒径及び/又は分布は、例えば、水性分散液に含まれる粒子について測定されるものであり得る。本明細書の粒径は、「D10」、「D50」、「D90」などの値によって任意選択的に表すことができる。例えば、D50値は、組成物(例えば、分散液)中の粒子の50重量%がその直径未満の直径を有し、粒子の50重量%がその直径より大きい直径を有する直径である。
【0030】
本明細書の不溶性アルファ-グルカンの「ケーキ」は、少なくとも、(i)約50重量%~90重量%の水又は水溶液、及び(ii)約10重量%~50重量%の不溶性アルファ-グルカンを含む、凝縮、圧縮、梱包、圧搾及び/又は圧縮された形態の調製物を指す。いくつかの態様では、本明細書の不溶性アルファ-グルカンのケーキは、少なくとも(i)約20%~90重量%の水又は水溶液、及び(ii)約10%~80重量%の不溶性アルファ-グルカンを含むことができる。いくつかの態様におけるケーキは、「フィルターケーキ」又は「ウェットケーキ」と呼ぶことができる。本明細書のケーキは、典型的には、柔らかく、固体様の稠度を有する。
【0031】
本明細書で使用される「フィブリッド」、「アルファ-1,3-グルカンフィブリッド」、「フィブリル化グルカン」などの用語は、それらの3つの寸法の少なくとも1つが最大寸法に対してわずかな大きさである非顆粒状、繊維状、又はフィルム状粒子を指すことができる。いくつかの態様では、アルファ-1,3-グルカンフィブリッドは、アルファ-1,3-グルカン繊維と比較した場合、比較的大きな表面積を有する繊維様及び/又はシート状構造を有することができる。本明細書におけるフィブリッドの表面積は、材料の約5~50メートル/グラムであり得、最大寸法は約10~1000マイクロメートル、最小寸法は0.05~0.25マイクロメートル(最小寸法に対する最大寸法のアスペクト比は40~20000)である。
【0032】
「乾燥」又は「乾燥」した不溶性アルファ-グルカンを含む本明細書の組成物は、典型的には、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量%未満の水を含む。
【0033】
用語「水性液体」、「水性流体」、「水性条件」、「水性反応条件」、「水性セッティング」、「水性系」などは、本明細書で使用される場合、水又は水溶液を指すことができる。本明細書中の「水溶液」は、1種以上の溶解塩を含んでよく、最大総塩濃度は、いくつかの態様では、約3.5重量%であってもよい。本明細書の水性液体は、典型的には、液体中の唯一の溶媒として、水を含むが、水性液体は、任意選択的に、水に混和する1種以上の他の溶媒(例えば極性有機溶媒)を含んでよい。したがって、水溶液は、少なくとも約10重量%の水を有する溶媒を含むことができる。
【0034】
本明細書の「水性組成物」は、例えば、約又は少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99又は100重量%の水を含む液体成分を有する。水性組成物の例として、混合液、溶液、分散系(例えばコロイド分散系)、懸濁液、及びエマルジョンが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「コロイド分散液」は、分散相及び分散媒体を有する不均一系、すなわち微視的に分散した不溶性粒子が別の物質(例えば、水又は水性溶液などの水性組成物)全体に懸濁していることを指す。本明細書中のコロイド分散系の例として、親水コロイドがある。親水コロイドなどのコロイド状分散体の粒子の全て又は一部は、本明細書に開示される不溶性アルファ-グルカンを含むことができる。用語「分散剤(dispersant)」及び「分散剤(dispersion agent)」は、本明細書中で互換的に用いられて、分散系の形成及び/又は安定化を促進する物質を指す。本明細書では、「分散」とは、水性液体中で材料の分散物を調製することの行為を指す。本明細書で使用される場合、用語「ラテックス」(及び類似の用語)は、水又は水溶液中での1つ又は複数のポリマー粒子の分散体を指し、典型的には、本明細書の少なくとも粒子は、分散したポリマー成分としてラテックス組成物中に存在する。いくつかの態様では、ラテックスは、本明細書の少なくとも粒子の分散液を含むエマルジョンである。本明細書の「エマルジョン」は、液滴が可溶性ではない、又は混合できない別の液体中の1つの液体の微小液滴の分散物である(例えば、水又は水溶液などの極性液体中の油又はアルカンなどの他の有機液体などの非極性物質)。エマルジョンは、本明細書では、例えば任意選択的にエマルジョンを安定化することができる分散アルファ-グルカンを更に含むことができる。しかしながら、いくつかの態様では、エマルジョンは、本明細書では、「乾燥エマルジョン」であり得る。乾燥エマルジョンは、典型的には、凍結乾燥又は噴霧乾燥などによって液体エマルジョンの水の全て又はほとんど(例えば>95%、>99%又は>99.5%)を除去することによって製造される。
【0036】
「不溶性」、「水不溶性(aqueous-insoluble)」、「水不溶性(water-insoluble)」(及び同様の用語)(例えば、8以上のDPを有するアルファ-1,3-グルカン)であるアルファ-グルカンは、本明細書では、水又は他の水性条件に溶解しない(又は認識できるほどに溶解しない)(ここで、水性条件は、任意選択的に、4~9のpH(例えば、pH6~8)及び/又は約1~130℃(例えば、20~25℃)の温度を有することを更に特徴とする)。いくつかの態様では、本明細書の水性不溶性アルファ-グルカン1.0グラム未満(例えば、検出可能な量なし)が、1000ミリリットルのこのような水性条件(例えば、23℃の水)に溶解する。対照的に、「可溶性」、「水溶性(aqueous-soluble)」、「水溶性(water-soluble)」などである本明細書の特定のオリゴ糖などのグルカン(例えば、8未満のDPを有するアルファ-1,3-グルカン)は、これらの条件下で認識できるほどに溶解する。
【0037】
本明細書で使用される用語「粘度」は、流動を引き起こす傾向を示す力に(水性又は非水性の)流体が抵抗する程度の尺度を指す。本明細書において使用できる粘度の様々な単位としては、例えば、センチポアズ(cP、cps)及びパスカル秒(Pa・s)が挙げられる。1センチポアズは、1/100ポアズであり、1ポアズは、0.100kg・m-1・s-1に等しい。粘度は、いくつかの態様では、「固有粘度」(IV、η、単位dL/g)として報告され得、この用語はグルカンポリマーを含む液体(例えば、溶液)の粘度に対するグルカンポリマーの寄与の尺度を指す。本発明において、IV測定値は、例えば、米国特許出願公開第2017/0002335号明細書、又は米国特許出願公開第2017/0002336号明細書、又は米国特許出願公開第2018/0340199号明細書、又はWeaver et al.(J.Appl.Polym.Sci.35:1631-1637)、又はChun and Park(Macromol.Chem.Phys.195:701-711)(これらは全て参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているような任意の好適な方法を使用して得ることができる。例えば、約0.9~2.5重量%(例えば、1、2、1~2重量%)のLiClを含むDMSO中でグルカンポリマーを溶解することによって(任意選択的に、少なくとも2、4、又は8時間、約100℃で溶解)、IVは部分的に測定できる。本明細書のIVは、分子量の相対尺度として任意選択的に使用することができる。
【0038】
例えば、本開示の粒子は、分散体又はエマルジョンに安定性を提供することができる。分散物又はエマルジョンの「安定性」(又は「安定である」ことの品質)は、本明細書では、例えば、分散物の分散した粒子、又は別の液体中に分散した液体液滴(エマルジョン)が、分散物又はエマルジョンの初期調製後、約又は少なくとも約2、4、6、9、12、18、24、30又は36ヵ月の期間、分散したままである(例えば、分散物の粒子又はエマルジョンの液体液滴の約又は少なくとも約70、75、80、85、90、95、96、97、98、99又は100重量%が分散した状態である)能力である。安定な分散物又はエマルジョンは、分散/乳化した材料の全体的なクリーム化、沈殿、凝集及び/又は会合に抵抗することができる。
【0039】
本明細書で使用される「ゼータ電位」という用語は、分散媒体と、分散媒体中に分散した粒子に付着した流体の静止層との間の電位差を指す。一般に、高いゼータ電位(負又は正)を有する本明細書の分散粒子は、低いゼータ電位(0に近い)を有する分散材料と比較してより電気的に安定化される。分散液中の高ゼータ電位材料の反発力はその引力を超える傾向があるので、そのような分散液は、より容易に凝集/凝固する傾向がある低ゼータ電位材料の分散液よりも比較的安定している。本明細書におけるゼータ電位は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6109098号明細書又は第4602989号明細書、米国特許出願公開第2020/0131281号明細書、又は国際特許出願公開国際公開第2014/097402号パンフレット又は欧州特許第0869357号明細書に開示されるように測定される。
【0040】
本明細書における「多糖誘導体」(及び同様の用語)(例えば、グルカン誘導体、例えばアルファ-又はβ-グルカン誘導体)は、典型的には、少なくとも1種類の有機基で置換された多糖を指す。本明細書における多糖誘導体の置換度(DoS)は、最大約3.0(例えば、約0.001~約3.0)であり得る。有機基は、例えば、エーテル、エステル、カルバメート/カルバモイル、又はスルホニル結合を介して本明細書の多糖誘導体に結合することができる。本明細書における多糖誘導体の前駆体は、誘導体を作製するために使用される非誘導体化多糖を指す(誘導体の多糖部分とも呼ばれ得る)。本明細書における有機基は、典型的には、帯電しており(アニオン性又はカチオン性)、一般に、そのような電荷は、有機基が本明細書の水性組成物中にあるときに存在するようにすることができ、更に水性組成物のpHを考慮に入れる(いくつかの態様では、pHは4~10若しくは5~9、又は本明細書に開示される任意のpHであり得る)。
【0041】
本明細書で使用される用語「置換度」(DoS、又はDS)は、多糖誘導体の各モノマー単位中の有機基(例えば、本明細書中のエーテル、エステル又は他の結合を介して)で置換されているヒドロキシル基の平均数を指す。本明細書における多糖誘導体のDoSは、特定の置換基のDoS、又は異なる置換基タイプ(例えば、混合エーテル又は混合エステル)のDoS値の合計である全体的なDoSを参照して述べることができる。他に開示されていない限り、特定の置換基タイプを参照してDoSが述べられていない場合、全体的なDoSが意味される。
【0042】
「エーテル」に関して本明細書で使用される用語(例えば、多糖エーテル誘導体)は、例えば、米国特許出願公開第2014/179913号明細書、同第2016/0304629号明細書、同第2016/0311935号明細書、同第2015/0239995号明細書、同第2018/0230241号明細書、同第2018/0237816号明細書又は同第2020/0002646号明細書、米国特許出願第63/037,076、又は国際特許出願公開国際公開第2021/252569号パンフレット、同第2021/257786号パンフレット又は同第2021/247810号パンフレットに開示され得、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。「多糖エーテル誘導体」、「多糖エーテル化合物」、「多糖エーテル」などの用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書における多糖エーテル誘導体は、誘導体が最大約3.0の1つ又は複数の有機基を有するDoSを有するように、1つ又は複数の有機基(例えば、アニオン性又はカチオン性基などの荷電有機基)でエーテル化された多糖である。多糖エーテル誘導体は、部分構造-C-O-Cを含むことにより、本明細書では「エーテル」と呼ばれ、「-C」は、多糖エーテル誘導体の単量体単位(例えば、グルコース)の炭素原子を表し(そのような炭素原子は、エーテルの多糖前駆体のヒドロキシル基[-OH]に結合していた)、「-C-」は有機基の炭素原子である。本明細書における多糖エーテルの例としては、グルカンエーテル(例えば、アルファ-又はβ-グルカンエーテル)が挙げられる。
【0043】
本明細書の「カルボキシアルキル」基は、アルキル基の1個以上の水素原子がカルボキシル基で置換されている置換アルキル基を指す。本明細書における「ヒドロキシアルキル」基は、アルキル基の1個以上の水素原子が、ヒドロキシル基で置換されている置換されたアルキル基を指す。カルボキシアルキル基(例えば、カルボキシメチル)は、典型的には水性条件下でアニオン性である。
【0044】
有機基は、「正荷電有機基」を指すことができる。本明細書で使用する、正電荷を持つ有機基は、他の原子若しくは官能基で置換された1つ又は複数の水素原子を有する、1つ又は複数の炭素からなる鎖(「炭素鎖」)(すなわち、「置換アルキル基」)を意味する。この場合、置換の1つ又は複数は、正電荷を持つ基による置換である。正荷電有機基が正荷電基との置換に加えて更に1つの置換を有する場合、そのような追加の置換は1つ又は複数のヒドロキシル基、酸素原子(それによりアルデヒド基若しくはケトン基を形成する)、アルキル基及び/又は追加の正荷電基とであってよい。正荷電有機基は、それが1つ又は複数の正荷電基を含むので、正味の正荷電を有する。「正荷電基」、「正荷電イオン基」、「カチオン基」等の用語は、本明細書では同じ意味で使用される。正荷電基は、1つのカチオン(正荷電イオン)を含む。正荷電基の例としては、置換アンモニウム基、カルボカチオン基及びアシルカチオン基が挙げられる。
【0045】
用語「置換アンモニウム基」、「置換アンモニムイオン」及び「置換アンモニムカチオン」は、本明細書では同じ意味で用いられる。本明細書の「置換アンモニウム基」は、構造I:
【化1】
を含み、構造I中のR、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリール基を表す。構造I中の炭素原子(C)は、正荷電有機基の1つ又は複数の炭素の鎖(「炭素鎖」)の一部である。炭素原子は、本明細書のアルファ-グルカンのグルコース単量体単位に直接エーテル結合しているか、又はグルコース単量体単位にエーテル結合した2つ以上の炭素原子の鎖の一部である。構造I中の炭素原子は、-CH-、-CH-(式中、1つのHがヒドロキシ基などの別の基で置換されている)、又は-C-(式中、両方のHが置換されている)であり得る。
【0046】
置換アンモニウム基は、構造I中のR、R及びRの構成に応じて、「第一級アンモニウム基」、「第二級アンモニウム基」、「第三級アンモニウム基」又は「第四級アンモニウム基」であり得る。ここで、第一級アンモニウム基とは、R、R及びRのそれぞれが水素原子(すなわち、-C-NH )である構造Iを指す。本明細書の二級アンモニウム基は、R及びRのそれぞれが水素原子であり、Rがアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリール基である構造Iを指す。本明細書の三級アンモニウム基は、Rが水素原子であり、R及びRのそれぞれがアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリール基である構造Iを指す。本明細書の四級アンモニウム基は、R、R及びRのそれぞれがアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、又はアルカリール基(即ち、R、R及びRのいずれも水素原子ではない)である構造Iを指す。
【0047】
本明細書の第四級アンモニウムアルファ-グルカンエーテルは、例えば、トリアルキルアンモニウム基(式中、R、R及びRのそれぞれはアルキル基である)を含むことができる。トリメチルアンモニウム基は、トリアルキルアンモニウム基の例であり、ここで、R、R及びRの各々は、メチル基である。この命名法において「四級」によって示される4員(即ち、R)は、アルファ-グルカンのグルコースモノマー単位にエーテル結合した正荷電有機基の1つ又は複数の炭素の鎖であることが理解されるであろう。
【0048】
第四級アンモニウムアルファ-グルカンエーテルの例は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルアルファ-グルカンである。このエーテル化合物の正荷電有機基は、構造II:
【化2】
によって表され得、式中、R、R及びRのそれぞれは、メチル基である。構造IIは、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基の1つの例である。
【0049】
「エステル」に関して本明細書で使用される用語(例えば、多糖エステル誘導体)は、例えば、米国特許出願公開第2014/0187767号明細書、同第2018/0155455号明細書又は同第2020/0308371号明細書、米国特許出願第63/037,184号明細書、又は国際特許出願公開国際公開第2021252575号パンフレットに開示され得、その各々が参照により本明細書に組み込まれる。「多糖エステル誘導体」、「多糖エステル化合物」、「多糖エステル」などの用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書における多糖エステル誘導体は、誘導体が最大約3.0の1つ又は複数の有機基を有するDoSを有するように、1つ又は複数の有機基(すなわち、アシル基)(例えば、アニオン性又はカチオン性などの荷電有機基)でエステル化された多糖である。多糖エステル誘導体は、部分構造-C-O-CO-Cを含むことにより、本明細書では「エステル」と呼ばれ、「-C-」は、多糖エステル誘導体の単量体単位(例えば、グルコース)の炭素原子を表し(そのような炭素原子は、エステルの多糖前駆体中のヒドロキシル基[-OH]に結合していた)、「-CO-C-」はアシル基に含まれる。本明細書における多糖エステルの例としては、グルカンエステル(例えば、アルファ-又はβ-グルカンエステル)が挙げられる。
【0050】
「多糖カルバメート誘導体」、「多糖カルバメート」、「カルバモイル多糖」などの用語は、本明細書では互換的に使用される。多糖カルバメート誘導体は、連結部分-OCONH-又は
【化3】
を含有し、したがって、部分構造、-C-OCONH-C-又は-C-OCON-CR2-を含み、式中、「-C-」は、多糖カルバメート誘導体のモノマー単位(例えば、グルコース)の炭素を表し、「-C-」は、有機基に含まれる。いくつかの態様では、カルバメート/カルバモイル部位の窒素原子は、水素原子及び有機基に結合される。しかしながら、いくつかの態様では、カルバメート/カルバモイル部位の窒素原子は、同じであり得る(例えば、2つのメチル基、2つのエチル基)又は異なり得る(例えば、1つのメチル基と1つのエチル基)2つの有機基に結合している(上記の「-CR2-」で示されているように)。本明細書における多糖カルバメートの例としては、グルカンカルバメート(例えば、アルファ-又はβ-グルカンカルバメート)が挙げられる。
【0051】
「多糖スルホニル誘導体」、「スルホニル多糖」などの用語は、本明細書では互換的に使用される。多糖スルホニル誘導体は、結合部位-OSO-を含み、したがって、部分構造-C-O-SO-C-を含み、式中、「-C-」は、多糖スルホニル誘導体のモノマー単位(例えば、グルコース)の炭素を表し、「-C-」は、有機基に含まれる。本明細書のスルホニル結合は、イオン化可能ではない。本明細書の多糖スルホニル誘導体のスルホニル基は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第63/037076号明細書又は国際特許出願公開国際公開第2021/252569号パンフレットに開示され得る。
【0052】
本明細書の「スルホン酸」基は、例えば、国際特許出願公開国際公開第2019/246228号パンフレットに開示され得る。
【0053】
いくつかの態様では、用語「1つの繊維(fiber)」、「複数の繊維(fibers)」などは、本明細書では、ステープルファイバー(ステープルレングスファイバー)及び連続繊維を指す。繊維は、本明細書では、アルファ-1,3-グルカン、天然繊維(例えば、セルロース、綿、羊毛、絹)若しくは合成繊維(例えば、ポリエステル)又は繊維を形成することができる本明細書で開示される任意の他の種類の材料を含むことができる。
【0054】
用語「織物」、「生地」、「布」及び類似の用語は、本明細書では、互換的に使用され、天然及び/又は人造繊維の網状組織を有する織布を意味する。そのような繊維は、例えば、撚り糸又は編み糸の形態であり得る。
【0055】
用語「不織布」、「不織布製品」、「不織布ウェブ」などは、本明細書では、典型的にランダム又は定義不可能な様式で介在する個々の繊維又はフィラメントのウェブを指す。これは、繊維又はフィラメントの定義可能なネットワークを有する編布又は織布とは対照的である。いくつかの態様では、不織布製品は、基材又は裏張りなどの別の材料に結合又は取り付けられた不織布ウェブを含む。いくつかの態様では、不織布は、隣接する不織布繊維を一緒に結合するバインダー又は接着剤(強化剤)を更に含有することができる。不織布バインダー又は接着剤は、例えば、分散体/ラテックス、溶液又は固体の形態で不織布に適用されることができ、次いで処理された不織布を典型的に乾燥させる。
【0056】
用語「家庭用ケア製品」、「ホームケア製品」及び同様の用語は、典型的には、家財の処理、清掃、手入れ及び/又は調整に関連する製品、商品及びサービスを指す。前述のものとしては、例えば、そうしたケアに用途を有する化学薬品、組成物、製品又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
「織物ケア組成物」、「洗濯物ケア組成物」及び類似の用語は、いくつかの様式において、織物、不織布及び/又はいずれかの類似の材料を処理するために適切ないずれの組成物も指す。そのような組成物の例には、洗濯用洗剤及び布用柔軟剤が挙げられる。
【0058】
本明細書の「洗剤組成物」は、典型的には少なくとも1つの界面活性剤(洗剤化合物)及び/又は1つのビルダーを含む。本明細書の「界面活性剤」は、その中に物質が溶解した液体の表面張力を低下させる傾向を示す物質を意味する。界面活性剤は、例えば、洗剤、湿潤剤、乳化剤、起泡剤及び/又は分散剤として機能し得る。
【0059】
用語「ヘビーデューティ洗剤」、「万能洗剤」などは、本明細書では、互換的に使用され、任意の温度で白色及び着色繊維製品の標準的洗濯のために有用な洗剤を意味する。用語「ローデューティ洗剤」、「細繊維洗剤」などは、本明細書では互換的に使用され、例えばビスコース、ウール、シルク、マイクロファイバー又は特別なケアを必要とする他の繊維といったデリケートな織物のケアのために有用な洗剤を意味する。「特別なケア」は、例えば、過剰量の水、低撹拌、及び/又は漂白なしを使用する条件を含み得る。
【0060】
本明細書の用語「ビルダー」、「ビルダー剤」などは、例えば、カルシウムカチオン及びマグネシウムカチオンなどの硬水カチオンと錯化することができる組成物を指す。このような複合体形成は、カチオンによる水不溶性塩及び/又は他の複合体の形成を防止すると考えられている。洗浄又はメンテナンス用途のための洗剤組成物に関して、そこに添加されるビルダーは、典型的には、洗剤組成物中に存在する界面活性剤の洗浄効率を向上又は維持することができる。用語「ビルダー能力」、「ビルダー活性」などは、本明細書では互換的に使用され、水性組成物中に存在する1つ又は複数のビルダーによって与えられる特徴を示す水性組成物の能力を指す。いくつかの態様における本明細書の組成物は、ビルダーとして使用することができる。
【0061】
本明細書における「布地柔軟剤」、「布地コンディショナー」などの用語は、例えば、布地の柔軟性を維持するのを助け、及び/又は布地に他の有益な特徴(例えば、潤滑性、帯電防止、粘着防止、及び/又はしわ防止)を提供するために、潤滑剤及び/又は他の表面改質成分を布地に堆積させる、液体又は固体形態などの組成物を指す。ここで、布地柔軟剤は、典型的には、洗濯洗剤で布地を洗浄した後、通常は布地をすすぎながら布地に塗布される。
【0062】
用語「パーソナルケア製品」及び同様の用語は、典型的には、ヒトのトリートメント、浄化、洗浄、ケア又はコンディショニングに関連する製品、商品及びサービスを指す。前述のものとしては、例えば、そうしたケアに用途を有する化学薬品、組成物、製品又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
用語「医療用品」及び類似の用語は、典型的には、診断、治療、及び/又は患者のケアに関連する製品、商品及びサービスを意味する。
【0064】
「工業製品」という用語及び同様の用語は、典型的には、工業的又は機関的環境で使用される製品、商品及びサービスを指すが、典型的には個々の消費者によって使用されるものではない。
【0065】
用語「摂取可能な製品」及び「摂取可能な組成物」などは、消費が意図されているか否かにかかわらず、単独で又は他の物質と共に経口(即ち、口により)摂取され得る任意の物質を指す。したがって、摂取可能な製品は、食品/飲料品を含む。「食品/飲料品」とは、固体、半固体、又は液体など、ヒト又は動物によって消費(例えば、栄養の目的のため)が意図されている任意の食用製品を指す。例えば、本明細書の「食品」は、任意選択的に、「食料品」、「食品」又は他の同様の用語を指すことができる。「非食用製品」(「非食用組成物」)とは、食品又は飲料の消費以外の目的のために経口で摂取され得る任意の組成物を指す。本明細書における非食用製品の例としては、サプリメント、栄養補助食品、機能性食品、医薬品、オーラルケア製品(例えば、歯磨き剤、洗口液)、及び化粧品(甘いリップクリームなど)が挙げられる。本明細書の「医薬品」、「薬」、「薬物」、「ドラッグ」又は同様の用語は、疾病又は怪我を治療するために使用される組成物を指し、経腸的又は非経口的に投与され得る。
【0066】
本明細書の用語「フィルム」、「シート」及び同様の用語は、薄い視覚的に連続した材料を指す。フィルムは、材料の上に層又はコーティングとして構成され得る、又は単独であり得る(例えば、材料表面に付着されない、自立型)。本明細書で使用される場合、「コーティング」(及び同様の用語)は、材料表面を覆う薄層を指す。本明細書に記載の膜又はコーティングを特徴付けるために使用される「一様な厚さ」という用語は、(i)膜/コーティングの全領域の少なくとも20%であり、且つ(ii)厚さの標準偏差が、例えば、約50nm未満である連続領域を指し得る。用語「連続層」は、基材の少なくとも一部分に適用された組成物の層であって、組成物の乾燥層は、それが適用されている表面の99%以上を被覆し、層内において、その基材表面を露出させる1%未満の孔隙を有する、層を意味する。層が適用されている表面の99%以上は、層が適用されていない基材のいかなる領域も排除する。本明細書のコーティングは、いくつかの態様では連続層を生成することができる。コーティング組成物(及び類似の用語)は、基材、例えば本明細書の粒子、任意選択的に、顔料、界面活性剤、分散剤、バインダー、架橋剤及び/又は他の添加剤上に層を形成する全ての固体成分を指す。
【0067】
本明細書の用語「塗料」(及び同様の用語)は、薄いコートの表面上に広げられたときに粘着性コーティングを形成するために使用され得る適切な液体(例えば、水性液体)中の顔料の分散物である一種のコーティング組成物である。表面に適用される塗料は、色/装飾、保護、及び/又は処理(例えば、プライマー)を表面に提供することができる。本明細書の塗料は、本明細書の分散粒子を更に含むため、任意選択的にラテックス又はラテックス塗料として特徴付けることができる。
【0068】
本明細書における「複合体」は、本開示の組成物(例えば、粒子)を含む2つ以上の成分を含む。典型的には、複合材の成分は、分離に抵抗し、1つ又は複数の成分は、複合材ではない、その単独での特性と比較して、増強された及び/又は異なる特性を示す(すなわち、複合材は、単に一般にその最初の成分に容易に分離可能である混合物ではない)。複合材は、本明細書では、一般に固体材料であり、例えば押出成形又は成形プロセスによって製造可能である。
【0069】
本明細書の用語「凝集剤(flocculant)」、「凝集剤(flocculation agent)」、「凝集組成物」、「凝固剤」などは、水又は他の水性液体中に懸濁された不溶性粒子の凝固/凝結/合体を促進することができる物質を指し、これにより、沈降/沈殿、濾過、ペレット化、及び/又は他の適切な手段により、粒子をより容易に除去できる。粒子の凝集は、典型的には、水性懸濁液から粒子を除去/分離するプロセスで行うことができる。いくつかの態様における本明細書の組成物は、凝集剤として使用することができる。
【0070】
用語「体積によるパーセント」、「体積パーセント」、「体積%」、「v/v%」などは、本明細書では同じ意味で用いられる。溶液中の溶質の容量パーセントは、次式を用いて求めることができる:[(溶質の容量)/(溶液の容量)]×100%。
【0071】
用語「重量によるパーセント」、「重量パーセント(重量%)」、「重量-重量パーセント(%w/w)」などは、本明細書では同じ意味で用いられる。重量によるパーセンテージは、組成物、混合物、又は溶液中に含まれる場合の質量基準での物質のパーセンテージを指す。
【0072】
「重量/体積パーセント」、「w/v%」などの用語は、本明細書では互換的に使用される。重量/体積パーセントは、以下の通りに計算することができる:((材料の質量[g])/(材料+材料が入れられる液体の総体積[mL]))×100%。材料は、液体中で不溶性であり得る(即ち、液体相中の固体相、例えば、分散物である)、又は液体中で可溶性であり得る(即ち、液体中に溶解される溶質である)。
【0073】
用語「単離された」は、天然に存在しない形態又は環境にある物質(又はプロセス)を意味する。単離された物質の非限定的な例には、本明細書に開示される任意のアルファ-グルカン組成物が含まれる。本明細書中で開示される実施形態は、合成物/人工物(人間の介入/関与なしには製造又は実施され得ない)であり、且つ/又は天然に存在しない特性を有すると考えられる。
【0074】
本明細書で使用される「増加した」という用語は、増加した量又は活性が比較される量又は活性より少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、50%、100%、又は200%多い量又は活性を指すことができる。用語「増大した」、「上昇した」、「増強された」、「よりも多い」、「向上した」等は、本明細書中で互換的に用いられる。
【0075】
本開示のいくつかの態様は、少なくとも、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む組成物に関し、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%は、アルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15(又は少なくとも10)であり、可溶性アルファ-グルカン誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、アルファ-1,3グリコシド結合であり、可溶性アルファ-グルカン誘導体のアルファ-グルカン部分のDPwは少なくとも15(又は少なくとも10)である。現在開示されているような組成物は、いくつかの有利な特徴を有する。例えば、水性分散液中に単独で分散された不溶性アルファ-1,3-グルカンと比較して、不溶性アルファ-1,3-グルカン及び可溶性アルファ-1,3-グルカン誘導体成分の両方を有する本開示の組成物を分散させると、より低い粘度を有する水性組成物が得られる。したがって、本開示の組成物は、より低い粘度の組成物を取り扱うことができる容易さのために、加工上の利益を向上させる。開示された組成物の別の利点は、不溶性アルファ-1,3-グルカンの微細構造が保存され、不溶性アルファ-1,3-グルカンのみを乾燥させたときに典型的に観察される凝集及び他の変性効果から保護されることである。
【0076】
本開示の組成物は、不溶性アルファ-グルカンを含み、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合である。いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の約又は少なくとも約、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は100%がアルファ-1,3グリコシド結合である。典型的には、アルファ-1,3でないグリコシド結合は、ほとんど又は全部がアルファ-1,6である。不溶性アルファ-グルカン中に存在するアルファ-1,3結合の割合が高いほど、分岐点の一部であり得る特定の結合の発生が少ないため、グルカンが線形である確率が高くなることを理解されたい。いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンは、分枝点を有していないか、又はアルファ-グルカン内のグリコシド結合のパーセントとして約5%、4%、3%、2%若しくは1%未満の分枝点を有する。
【0077】
開示された組成物の不溶性アルファ-グルカンは、少なくとも約15のDPwを有することができる。いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンのDPw、DPn、又はDPは、約10、15、20、25、30、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、125、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2500、3000、3500、又は4000、約それら未満、少なくとも約それら、又は約それら超であり得る。DPw、DPn、又はDPは、任意選択的に、これらの値の任意の2つの間の範囲として表すことができる。単なる例として、本明細書における不溶性アルファ-グルカンのDPw、DPn又はDPは、約15~1600、50~1600、100~1600、200~1600、300~1600、400~1600、500~1600、600~1600、700~1600、15~1250、50~1250、100~1250、200~1250、300~1250、400~1250、500~1250、600~1250、700~1250、15~1000、50~1000、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、600~1000、700~1000、15~900、50~900、100~900、200~900、300~900、400~900、500~900、600~900、700~900、600~800、又は600~750であり得る。単なる更なる例として、本明細書における不溶性アルファ-グルカンのDPw、DPn、又はDPは、約15~100、25~100、35~100、15~80、25~80、35~80、15~60、25~60、35~60、15~55、25~55、35~55、15~50、25~50、35~50、35~45、35~40、40~100、40~80、40~60、40~55、40~50、45~60、45~55、45~50、15~35、20~35、15~30、又は20~30であり得る。いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンは、高い固有粘度(IV)によって反映されるように高分子量を有することができ、例えば、IVは、約又は少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、6~8、6~7、6~22、6~20、6~17、6~15、6~12、10~22、10~20、10~17、10~15、10~12、12~22、12~20、12~17、又は12~15dL/gであり得る。比較のために、少なくとも90%(例えば、約99%又は100%)のアルファ-1,3結合と約800のDPwを有するアルファ-グルカンのIVは、約2~2.5dL/gのIVを有することに留意されたい。本明細書のIVは、例えば、約0.9~2.5重量%(例えば、1、2、1~2重量%)のLiClを有するDMSOに溶解したアルファ-グルカンポリマーを用いて測定される通りであり得る。
【0078】
本明細書における不溶性アルファ-グルカン(例えば、分子量、結合プロファイル、及び/又は製造方法)は、例えば、米国特許第7000000号明細書、第8871474号明細書、第10301604号明細書、又は第10260053号明細書、又は米国特許出願公開第2019/0112456号明細書、同第2019/0078062号明細書、同第2019/0078063号明細書、同第2018/0340199号明細書、同第2018/0021238号明細書、同第2018/0273731号明細書、同第2017/0002335号明細書、同第2015/0232819号明細書、同第2015/0064748号明細書、同第2020/0165360号明細書、同第2020/0131281号明細書又は同第2019/0185893号明細書に開示され得、参照によりそれぞれが本明細書に組み込まれる。不溶性アルファ-グルカンは、例えば、少なくとも水と、スクロースと、不溶性アルファ-グルカンを合成するグルコシルトランスフェラーゼ酵素とを含む酵素反応によって生成することができる。不溶性アルファ-グルカンを生成するために有用であると考えられるグルコシルトランスフェラーゼ、反応条件及び/又はプロセスは、前述の参考文献のいずれかに開示されている通りであり得る。
【0079】
いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンを製造するためのグルコシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、26、28、30、34若しくは59又は配列番号4のアミノ酸残基55~960、配列番号65の残基54~957、配列番号30の残基55~960、配列番号28の残基55~960或いは配列番号20の残基55~960と100%同一又は少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%若しくは99.5%同一のアミノ酸配列を含み得、且つグルコシルトランスフェラーゼ活性を有し得る。これらのアミノ酸配列は、米国特許出願公開第2019/0078063号明細書に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。なお、配列番号2、4、8、10、14、20、26、28、30、34又は配列番号4のアミノ酸残基55~960、配列番号65の残基54~957、配列番号30の残基55~960、配列番号28の残基55~960若しくは配列番号20の残基55~960を含むグルコシルトランスフェラーゼ酵素は、少なくとも約90%(約100%)のアルファ-1,3結合を含む不溶性アルファ-グルカンを合成することができる。
【0080】
いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンは、国際特許出願公開国際公開第2017/079595号パンフレット又は国際公開第2021247810号パンフレット、又は米国特許出願公開第2020/0165360号明細書、同第2019/0185893号明細書又は同第2020/0131281号明細書に開示され得、参照により本明細書に組み込まれるような不溶性グラフトコポリマーの形態であり得る。グラフトコポリマーは、デキストラン(骨格として)及びアルファ-1,3-グルカン(1つ又は複数の側鎖として)を含むことができ、後者の成分は前者の成分にグラフトされており、典型的には、このグラフトコポリマーは、デキストラン又はアルファ-1,2-及び/又はアルファ-1,3-分岐デキストランを、上記のようなアルファ-1,3-グルカン産生グルコシルトランスフェラーゼによるアルファ-1,3-グルカン合成のためのプライマーとして使用することによって製造される。本明細書のアルファ-グルカングラフトコポリマーのアルファ-1,3-グルカン側鎖は、本明細書に開示されるアルファ-1,3-グルカンであり得る。本明細書のアルファ-グルカングラフトコポリマーのデキストラン主鎖は、約100%のアルファ-1,6グリコシド結合(すなわち完全に線形のデキストラン主鎖)又は、約、若しくは少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは99.5%のアルファ-1,6グリコシド結合(すなわち実質的に線形のデキストラン主鎖)を含むことができ、且つ/或いは、例えば、約、若しくは少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、85、90、95、100、105、110、150、200、250、300、400、500、8~20、8~30、8~100、8~500、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、4~5、4~6、4~7、4~8、5~6、5~7、5~8、6~7、6~8、7~8、90~120、95~120、100~120、105~120、110~120、115~120、90~115、95~115、100~115、105~115、110~115、90~110、95~110、100~110、105~110、90~105、95~105、100~105、90~100、95~100、90~95、85~95若しくは85~90又はそれ未満のDP又はDPwを有することができる。いくつかの態様では、デキストラン骨格の分子量は、約又は少なくとも約、10万、12万5千、15万、17万5千、20万、24万、25万、50万、75万、100万、200万、300万、400万、500万、600万、700万、800万、900万、1000万、2000万、3000万、4000万、5000万、6000万、7000万、8000万、9000万、1億、1億1000万、1億2000万、1億3000万、1億4000万、1億5000万、1億6000万、1億7000万、1億8000万、1億9000万、2億、10万~20万、12万5千~17万5千、13万~17万、13万5千~16万5千、14万~16万、14万5千~15万5千、1000万~8000万、2000万~7000万、3000万~6000万、4000万~5000万、5000万~2億、6000万~2億、7000万~2億、8000万~2億、9000万~2億、1億~2億、1億1000万~2億、1億2000万~2億、5000万~1億8000万、6000万~1億8000万、7000万~1億8000万、8000万~1億8000万、9000万~1億8000万、1億~1億8000万~1億1000万~1億8000万、1億2000万~1億8000万、5000万~1億6000万、6000万~1億6000万、7000万~1億6000万、8000万~1億6000万、9000万~1億6000万、1億~1億6000万、1億1000万~1億6000万、1億2000万~1億6000万、5000万~1億4000万、6000万~1億4000万、7000万~1億4000万、8000万~1億4000万、9000万~1億4000万、1億~1億4000万、1億1000万~1億4000万、1億2000万~1億4000万、5000万~1億2000万、6000万~1億2000万、7000万~1億2000万、8000万~1億2000万、9000万~1億2000万、9000万~1億1000万、1億~1億2000万、1億1000万~1億2000万、5000万~1億1000万、6000万~1億1000万、7000万~1億1000万、8000万~1億1000万、9000万~1億1000万、1億~1億1000万、5000万~1億、6000万~1億、7000万~1億、8000万~1億、9000万~1億又は9500万~1億500万ダルトンであり得る。いくつかの態様では、デキストラン骨格(グラフトコポリマーに組み込まれる前)は、アルファ-1、2-及び/又はアルファ-1,3-分岐鎖であり、本明細書におけるグラフトコポリマーの骨格のアルファ-1,2及び/又はアルファ-1,3分岐パーセントは、例えば、約、少なくとも約、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、2~25%、2~20%、2~15%、2~10%、5~25%、5~20、5~15%、5~10%、7~13%、8~12%、9~11%、10~25%、10~20%、10~15%、10~22%、12~20%、12~18%、14~20%、14~18%、15~18%、又は15~17%、或いは約それら未満であり得る。本明細書におけるグラフトコポリマーのデキストラン部分(例えば、分子量、結合/分岐プロファイル、製造方法)は、例えば、米国特許出願公開第2016/0122445号明細書、同第2017/0218093号明細書、同第2018/0282385号明細書、同第2020/0165360号明細書又は同第2019/0185893号明細書に開示され得、それぞれが参照により組み込まれる。いくつかの態様では、デキストランは、グルコシルトランスフェラーゼ(GTF)0768(米国特許第2016/0122445号明細書の配列番号1又は2)、GTF8117、GTF6831、若しくはGTF5604(これらの後者の3つのGTF酵素は、それぞれ米国特許出願公開第2018/0282385号明細書の配列番号30、配列番号32及び配列番号33である)、又はGTF0768、GTF8117、GTF6831、若しくはGTF5604のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一のアミノ酸配列を含むGTFを含む適切な反応で産生されるものであり得る。いくつかの態様では、アルファ-グルカングラフトコポリマーは、(A)(i)約10~22%(例えば、約12~20%、12~18%、14~20%、14~18%、15~18%、15~17%、又は16%)のアルファ-1,2及び/又はアルファ-1,3結合(すなわち、アルファ-1,2,6及び/又はアルファ-1,3,6)(例えば、骨格は合計で約82~86%又は84%のアルファ-1,6個の結合と、約14~18%又は16%のアルファ-1,2及び/又はアルファ-1,3個の結合とを含む)で分岐しており、(ii)約15~25、15~22.5、17~25、17~22.5、18~22、又は20kDaのMwを有する、アルファ-1,6-グルカン主鎖(アルファ-1,2及び/又はアルファ-1,3分岐の前に100%のアルファ-1,6-結合)、並びに(B)アルファ-1,2及び/又はアルファ-1,3分岐の1つ又は複数から伸長された1つ又は複数の(例えば、2、3、4、5、又は6)アルファ-1,3-グルカン側鎖を含み得、このようなグラフトコポリマーは、典型的には水不溶性である。
【0081】
本開示の組成物の調製に使用するための不溶性アルファ-グルカンは、いくつかの態様では粒子の形態であり得る。分散液などの水性組成物に含まれるように、そのような不溶性アルファ-グルカン粒子の約40~60重量%、40~55重量%、45~60重量%、45~55重量%、47~53重量%、48~52重量%、49~51重量%、又は50重量%は、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、1~25、1~22、1~20、1~18、5~25、5~22、5~20、5~18、15~22、15~20、15~18、16~22、16~20、又は16~18マイクロメートル或いは約それら未満、或いは少なくとも約それらの直径(すなわち、D50)を有する。
【0082】
本明細書における不溶性アルファ-グルカンは、典型的には、いかなる化学的誘導体化(例えば、エーテル化、エステル化、リン酸化、硫酸化、酸化、カルバメート化)も有さない(例えば、グルカンヒドロキシル基の水素を非糖化学基で置換しない)。しかしながら、いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンは、本明細書に開示されるようなアルファ-グルカンの荷電(例えば、カチオン性又はアニオン性)誘導体であり得る。そのような誘導体のDoSは、典型的には、約0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、又は0.05未満である。誘導体のタイプは、本明細書に開示される誘導体のいずれか(例えば、エーテル、エステル)であり得る。本明細書の不溶性アルファ-グルカンは、典型的には、不活性容器中で(典型的には、無細胞条件下で)酵素的に誘導され、細胞壁(例えば、真菌細胞壁)から誘導されない。
【0083】
開示される組成物の不溶性アルファ-グルカンは、いくつかの態様ではフィブリッドの形態であり得る。フィブリッドのアルファ-グルカンは、例えば、上記で開示されたような結合プロファイル及び/又は分子量を有することができる。本明細書のアルファ-グルカンフィブリッドは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/0119357号明細書に開示される通り及び/又はそれらにおいて製造される通りであり得る。本明細書のフィブリッドは、典型的には、非誘導体化である、本明細書に開示される不溶性アルファ-グルカンを含む。しかしながら、いくつかの態様では、フィブリッドは、本明細書に開示されるようなアルファ-グルカンの不溶性の荷電(例えば、カチオン性又はアニオン性)誘導体(例えば、エーテル)を含むことができる。そのような誘導体のDoSは、典型的には、約0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、又は0.05未満である。
【0084】
本開示の組成物は、いくつかの態様では、少なくとも約0.65の結晶化度を有する粒子の形態である不溶性アルファ-グルカンを含むことができる。本明細書における不溶性アルファ-グルカン粒子の結晶化度(又は結晶化度指数[CI])は、例えば、約又は少なくとも約、0.55、0.60、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.60~0.83、0.65~0.83、0.67~0.83、0.69~0.83、0.60~0.81、0.65~0.81、0.67~0.81、0.69~0.81、0.60~0.78、0.65~0.78、0.67~0.78、0.69~0.78、0.60~0.76、0.65~0.76、0.67~0.76、又は0.69~0.76であり得る。一般に、本明細書の不溶性アルファ-グルカンの結晶質ではない部分は、非晶質である。上記の結晶化度値から、非晶質である粒子の重量%は、例えば、約又は約45%、40%、35%、30%、25%、20%又は15%未満である。本明細書のアルファ-グルカン粒子の結晶化度は、いずれかの適切な方法によって測定される場合のものであり得、例えば以下の通りである。本明細書の不溶性アルファ-グルカンの試料を約55~65℃(例えば、60℃)に設定された真空オーブン中で少なくとも約2時間(例えば、8~12時間)乾燥する。次いで、試料を、幅約1~2cm×長さ3~5cm×深さ3~5mmのウェルを有するステンレス鋼ホルダー中に入れ、その後、反射モードに設定された適切な回折計(例えば、X’PERT MPD POWDER diffractometer,PANalytical B.V.,The Netherlands)中にホルダーを装填し、試料のX線回折パターンを測定する。X線源は、光学集束ミラーと約1/16°狭小スリットとを備えたCu X線管線源である。1-D検出器及び約1/8°に設定された散乱防止スリットを用いてX線を検出する。1工程当たり約0.1°で約4~60°の2θの範囲でデータを収集する。その後、約7.2~30.5°までの直線ベースラインを差し引き、データに適合するようにスケール合わせした既知の非晶質アルファ-1,3-グルカン試料のXRDパターンを差し引き、次いでその範囲の残りの結晶ピークを、既知の脱水アルファ-1,3-グルカン結晶の反射に対応する一連のガウス曲線を用いてフィッティングすることにより、得られたX線パターンを分析する。その後、結晶ピークに対応する面積を、ベースラインを引いた曲線の下の総面積で割って結晶化度指数を得る。前述の結晶化度のいずれかを有する不溶性アルファ-グルカンは、例えば、約15~100(例えば、この範囲に入る本明細書に開示される任意の分子量)のDP、DPw、又はDPnを有することができる。
【0085】
前述の結晶化度のいずれかを有する不溶性アルファ-グルカンの粒子の少なくとも約80重量%は、例えばプレートの形態であり得る。いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンの粒子の約又は少なくとも約60、65、70、75、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、60~85、60~80、60~75、60~70、65~85、65~80、65~75、65~70、70~85、70~80又は70~75重量%は、プレートの形態である。本明細書における不溶性アルファ-グルカンのプレートは、例えばTEM又はSEMなどの電子顕微鏡によって見ると視覚的に認識することができる。典型的には、不溶性アルファ-グルカンの粒子の残部は非プレート形態である。いくつかの態様では、非プレートの形態である粒子の残りは、外観が原繊維及び/又は線状であるとして特徴付けることができる。しかしながら、いくつかの態様では、本明細書の組成物中の不溶性アルファ-グルカンの粒子の約又は少なくとも約10、20、30、40、50、60又は70重量%は、プレートの形態である。
【0086】
いくつかの態様では、前述の結晶化度のいずれかを有する不溶性アルファ-グルカン粒子の少なくとも約65重量%は、1.0マイクロメートル未満の直径を有する。更にいくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカン粒子の約又は少なくとも約65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、65~95重量%、70~95重量%、75~95重量%、80~95重量%、85~95重量%、65~90重量%、70~90重量%、75~90重量%、80~90重量%、85~90重量%、65~85重量%、70~85重量%、75~85%又は80~85重量%は、約1.0マイクロメートル未満の直径を有する。いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカン粒子の約40~60重量%、40~55重量%、45~60重量%、45~55重量%、47~53重量%、48~52重量%、49~51重量%、又は50重量%は、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.35、0.34、0.32、0.30、0.28、0.26、0.25、0.24、0.23、0.22、0.21、0.20、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.10、0.10~1.0、0.10~0.80、0.10~0.60、0.10~0.40、0.10~0.35、0.10~0.30、0.10~0.25、0.10~0.20、0.15~0.35、0.15~0.30、0.15~0.25、又は0.15~0.20マイクロメートル、或いは約それら未満の直径を有する。いくつかの態様では、約40~60重量%、40~55重量%、45~60重量%、45~55重量%、47~53重量%、48~52重量%、49~51重量%又は50重量%の不溶性アルファ-グルカン粒子は、前述のより小さな直径の粒子の凝集体であり、約10、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、10~600、10~550、10~500、50~600、50~550、50~500、100~600、100~550、100~500、150~600、150~550、150~500、200~600、200~550、200~500、250~600、250~550又は250~500マイクロメートル、或いは約それら未満、或いは約少なくともそれらの直径を有する。前述の結晶化度のいずれかを有するアルファ-グルカン粒子は、例えば、約0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、又は0.010~0.030マイクロメートルの厚さを有することができ、そのような厚さは、任意選択的に、前述の直径の態様のいずれかと組み合わせられ得る。本明細書における結晶性粒子の前述の粒径及び/又は分布は、例えば、水性分散液に含まれる粒子について測定されるもの、及び/又は光散乱技術を使用して測定されるものであり得る。
【0087】
少なくとも約0.65の結晶化度を有する粒子の形態の不溶性アルファ-グルカンは、例えば、以下の工程:(a)少なくとも水、スクロース、及び不溶性アルファ-グルカンを合成するグルコシルトランスフェラーゼ酵素を含む酵素反応で生成される不溶性アルファ-グルカン(前駆体)を提供する工程であって、不溶性アルファ-グルカンが、少なくとも約100、150、又は200又は約それを超えるDPw又はDPnを有し、そのグリコシド結合の少なくとも50%がアルファ-1,3グリコシド結合である、工程と、(b)例えば約10~100のDPw又はDPn(例えば、この範囲に入る本明細書の任意のDPw又はDPn値)で不溶性アルファ-グルカン(前駆体)を不溶性アルファ-グルカン粒子に加水分解する工程であって、加水分解がpH2.0以下の水性条件下で行われる、工程と、(c)任意選択的に、工程(b)で生成された不溶性アルファ-グルカン粒子を単離する工程と、を含む方法によって製造され得る。本方法の工程(b)は、任意選択的に、「酸加水分解」方法又は反応として特徴付けることができる。酸加水分解に入るための本明細書の不溶性アルファ-グルカン前駆体は、それ自体不溶性アルファ-グルカンであるが、加水分解法によって生成される不溶性アルファ-グルカンの分子量よりも大きい分子量を有する。不溶性アルファ-グルカン前駆体は、上記で開示されたようなグリコシド結合プロファイル(例えば、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%又は100%のアルファ-1,3グリコシド結合)及び約、少なくとも約、又は約200を超えるDPw又はDPn(例えば、上記で開示されたような任意のそのようなDPw又はDPn)を有することができる。ここでの酸加水分解は、例えば、以下の実施例に記載されるように行うことができる。
【0088】
本開示の組成物は、少なくとも1つの可溶性アルファ-グルカン誘導体を含むことができ、可溶性アルファ-グルカン誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、可溶性アルファ-グルカンのDPwは少なくとも約15である。そのような誘導体は、例えば、誘導体が水溶性である限り、本明細書の他の箇所に開示されているような任意の不溶性アルファ-グルカンの誘導体であり得る。例えば、本明細書における可溶性アルファ-グルカン誘導体のアルファ-グルカン部分は、不溶性アルファ-グルカンについて本明細書に開示される分子量(例えば、DP、DPw、又はDPn)及び/又はグリコシド結合プロファイルを有することができる。単なる例として、可溶性アルファ-グルカン誘導体であるように誘導体化することができる本明細書の不溶性アルファ-グルカンは、(i)15を超えるDPwを有するアルファ-グルカン(例えば、約50%、90%、95%、99%、又は100%以上のアルファ-1,3結合を有する)(例えば、100、400、600以上)又は(ii)本明細書のアルファ-グルカングラフトコポリマーを含み得る。いくつかの態様における組成物は、1、2、3、4又はそれ以上の異なるタイプの可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む。典型的には、本明細書において、不溶性アルファ-グルカンを可溶性にするのは、不溶性アルファ-グルカンの誘導体化である。
【0089】
いくつかの態様における可溶性アルファ-グルカン誘導体は、現在開示されている少なくとも1つの有機基/置換基で約3.0(例えば、0.3~3.0)までの置換度(DoS)を有することができる。本明細書の有機基は、例えば、すなわち、有機基はカチオン性(正に帯電した)又はアニオン性(負に帯電した)であり得る。DoSは、例えば、約、又は少なくとも約、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3.0であり得る(DoSは、これらの値の任意の2つの間の範囲として任意選択的に表すことができる)。可溶性アルファ-グルカン誘導体についての本明細書における、DoS範囲のいくつかの例としては、0.3~3.0、0.3~2.5、0.3~2.0、0.3~1.75、0.3~1.5、0.3~1.25、0.3~1.0、0.3~0.9、0.3~0.8、0.3~0.7、0.3~0.6、0.3~0.5、0.4~3.0、0.4~2.5、0.4~2.0、0.4~1.75、0.4~1.5、0.4~1.25、0.4~1.0、0.4~0.9、0.4~0.8、0.4~0.7、0.4~0.6、0.4~0.5、0.5~3.0、0.5~2.5、0.5~2.0、0.5~1.75、0.5~1.5、0.5~1.25、0.5~1.0、0.5~0.9、0.5~0.8、0.5~0.7、0.5~0.6、0.6~3.0、0.6~2.5、0.6~2.0、0.6~1.75、0.6~1.5、0.6~1.25、0.6~1.0、0.6~0.9、0.6~0.8、0.6~0.7、0.8~3.0、0.8~2.5、0.8~2.0、0.8~1.75、0.8~1.5、0.8~1.25、0.8~1.0、及び0.8~0.9を含む。本明細書における可溶性アルファ-グルカン誘導体は、少なくとも1種類の有機基を有するDoS(例えば、約0.3~約3.0)を有するので、グルカン誘導体の全ての置換基はヒドロキシルだけではないことが当業者には理解されよう。
【0090】
いくつかの態様における可溶性アルファ-グルカン誘導体は、エーテル結合、エステル結合、カルバメート結合又はスルホニル結合を介して、本明細書中の少なくとも1つの有機基で置換される。したがって、本明細書における可溶性アルファ-グルカン誘導体は、例えば、可溶性アルファ-グルカンエーテル、エステル、カルバメート又はスルホニル誘導体であり得る。本明細書中に開示される様々な連結基は全て、有機基の例であり、有機基は、例えば、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つの水素原子を含むと見なすことができる。
【0091】
可溶性アルファ-グルカン誘導体は、いくつかの態様ではエーテル誘導体である。そのような誘導体は、例えば、可溶性アルファ-グルカンエーテルと称され得る。
【0092】
本明細書においてアルファ-グルカンにエーテル結合している有機基は、例えば、正に帯電した(カチオン性)基であり得る。正荷電基は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0311935号明細書、2018/0237816号明細書、又は2020/0002646号明細書、又は国際特許出願公開国際公開第2021/257786号パンフレットに開示されるもののいずれかであり得る。正荷電基は、例えば、置換アンモニウム基を含み得る。置換アンモニウム基の例は、構造I及びIIによって表すことができるような、一級、二級、三級及び四級アンモニウム基である。アンモニウム基は、例えば、アルキル基及び/又はアリール基で置換されることができる。置換アンモニウム基のいくつかの態様では、1、2、又は3種類のアルキル及び/又はアリール基が存在し得る。本明細書の置換アンモニウム基のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、C25、C26、C27、C28、C29、又はC30基などの、C~C30アルキル基であり得、各アルキル基は、2つ又は3つのアルキル置換を有する態様では、同じであり得る又は異なり得る。アルキル基は、いくつかの態様では、C~C24、C~C18、C~C20、C10~C16、又はC~Cであり得る。アリール基は、例えば、1つ又は複数のアルキル置換基(例えば、本明細書に開示される任意のアルキル基)で任意選択的に置換されているC、C~C24、C12~C24、又はC~C18アリール基であり得る。
【0093】
本明細書における第二級アンモニウムアルファ-グルカンエーテルは、いくつかの態様ではモノアルキルアンモニウム基を含むことができる(例えば、構造Iに基づく)。第二級アンモニウムアルファ-グルカンエーテルは、いくつかの態様では、モノアルキルアンモニウムアルファ-グルカンエーテル、例えばモノメチル-、モノエチル-、モノプロピル-、モノブチル-、モノペンチル-、モノヘキシル-、モノヘプチル-、モノオクチル-、モノノニル-、モノデシル-、モノウンデシル-、モノドデシル-、モノトリデシル-、モノテトラデシル-、モノペンタデシル-、モノヘキサデシル-、モノヘプタデシル-、又はモノオクタデシルアンモニウムアルファ-グルカンエーテルであり得る。また、これらのアルファ-グルカンエーテルは、それぞれ、メチル-、エチル-、プロピル-、ブチル-、ペンチル-、ヘキシル-、ヘプチル-、オクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル-、テトラデシル-、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、又はオクタデシル-アンモニウムアルファ-グルカンエーテルと呼ばれることができる。
【0094】
本明細書における第三級アンモニウムアルファ-グルカンエーテルは、いくつかの態様ではジアルキルアンモニウム基を含むことができる(例えば、構造Iに基づく)。3級アンモニウムアルファ-グルカンエーテルは、いくつかの態様では、ジメチル-、ジエチル-、ジプロピル-、ジブチル-、ジペンチル-、ジヘキシル-、ジヘプチル-、ジオクチル-、ジノニル-、ジデシル-、ジウンデシル-、ジドデシル-、ジトリデシル-、ジテトラデシル-、ジペンタデシル-、ジヘキサデシル-、ジヘプタデシル-、又はジオクタデシル-アンモニウムグラフトコポリマーエーテルなどのジアルキルアンモニウムアルファ-グルカンエーテルであり得る。
【0095】
本明細書における第四級アンモニウムアルファ-グルカンエーテルは、いくつかの態様ではトリアルキルアンモニウム基を含むことができる(例えば、構造Iに基づく)。四級アンモニウムアルファ-グルカンエーテル化合物は、いくつかの態様では、トリメチル-、トリエチル-、トリプロピル-、トリブチル-、トリペンチル-、トリヘキシル-、トリヘプチル-、トリオクチル-、トリノニル-、トリデシル-、トリウンデシル-、トリドデシル-、トリトリデシル-、トリテトラデシル-、トリペンタデシル-、トリヘキサデシル-、トリヘプタデシル-、又はトリオクタデシル-アンモニウムアルファ-グルカンエーテルなどのトリアルキルアンモニウムアルファ-グルカンエーテルであり得る。
【0096】
置換アンモニウム基の基の1つは、アルファ-グルカンへのエーテル結合において、1つの炭素、又は炭素鎖(例えば、30まで)を含む。この文脈における炭素鎖は、例えば直鎖状であり得る。このような炭素又は炭素鎖は、例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH2(CHCH-、-CH2(CHCH-、-CH2(CHCH-、-CH2(CHCH-、-CH2(CHCH-、-CH2(CHCH-、-CH2(CHCH-、-CH2(CHCH-、又は-CH2(CH10CH-で表すことができる。いくつかの態様では、この文脈における炭素鎖は、例えば、1つ又は複数のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、又はブチルなどの上記で開示された任意のもの)で置換されることによってなどで分岐されることができる。置換点は、炭素鎖に沿ったどこでもあり得る。分岐炭素鎖の例は、-CH(CH)CH-、-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CH(CHCH)CH-、-CH(CHCH)CHCH-、-CHCH(CHCH)CH-、-CH(CHCHCH)CH-、-CH(CHCHCH)CHCH-及び-CHCH(CHCHCH)CH-を含み、所望により、より長い分岐炭素鎖も使用できる。いくつかの態様では、1つ又は複数の炭素の鎖(例えば、上記の直鎖又は分岐鎖のいずれか)は、1つ又は複数のヒドロキシル基で更に置換される。ヒドロキシ又はジヒドロキシ(ジオール)置換鎖の例は、-CH(OH)-、-CH(OH)CH-、-C(OH)CH-、-CHCH(OH)CH-、-CH(OH)CHCH-、-CH(OH)CH(OH)CH-、-CHCHCH(OH)CH-、-CHCH(OH)CHCH-、-CH(OH)CHCHCH-、-CHCH(OH)CH(OH)CH-、-CH(OH)CH(OH)CHCH及び-CH(OH)CHCH(OH)CH-を含む。前述の例のそれぞれにおいて、鎖の最初の炭素原子は、アルファ-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合し、鎖の最後の炭素原子は、正荷電基(例えば、本明細書に開示される置換アンモニウム基)に結合する。いくつかの態様における1つ又は複数の正に帯電した有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基(R、R及びRのそれぞれがメチル基である場合の構造II)を含むことができる。
【0097】
正荷電有機基の炭素鎖が、正荷電基による置換に加えて置換を有する態様では、このような更なる置換は、例えば、1つ又は複数のヒドロキシル基、酸素原子(これにより、アルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、及び/又は更なる正荷電基によるものであり得る。正電荷を持つ基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に結合している。正荷電基はまた、いくつかの態様では、イミダゾリン環含有化合物を含み得る。
【0098】
本明細書の正荷電有機基の対イオンは、酢酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、臭化物、炭酸塩、塩素酸塩、塩化物、亜塩素酸塩、リン酸二水素塩、フッ化物、炭酸水素塩、リン酸水素塩、硫酸水素塩、硫化水素、亜硫酸水素塩、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、リン酸塩、リン化物、亜リン酸塩、ケイ酸塩、スズ酸塩、亜スズ酸塩、硫酸塩、硫化物、亜硫酸塩、酒石酸塩、又はチオシアン酸塩アニオンなどの任意の適切なアニオンであり得る。
【0099】
本明細書においてアルファ-グルカンにエーテル結合している有機基は、例えば、負に帯電した(アニオン性)基であり得る。アニオン性基は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0311935若しくは2020/0002646号明細書、又は国際特許出願公開国際公開第2021/252569号パンフレットに開示されているもののいずれかであり得る。本明細書におけるアニオン性基は、置換アルキル基を含むことができ、アルキル基は、少なくとも1つのアニオン性基を有する1つ、2つ、又はそれ以上の置換を有する。置換アルキル基は、置換メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデカニル、テトラデカニル、ペンタデカニル、ヘキサデカニル、ヘプタデカニル又はオクタデカニル基であり得る。置換アルキル基のアニオン性基は、例えばカルボキシ基であり得、すなわち、本明細書におけるアニオン性基は、カルボキシアルキル基を含み得る。本明細書における適切なカルボキシアルキル基の例としては、カルボキシメチル(-CHCOOH)、カルボキシエチル(例えば、-CHCHCOOH、-CH(COOH)CH)、カルボキシプロピル(例えば、-CHCHCHCOOH、-CHCH(COOH)CH、-CH(COOH)CHCH)、カルボキシブチル及びカルボキシペンチル基が挙げられる。置換アルキル基は、少なくとも1つのアニオン性基で置換されることは別として、任意選択的にアルキル基又はヒドロキシル基などの少なくとも1つの他の基で更に置換されていてもよい。
【0100】
いくつかの態様における可溶性アルファ-グルカンエーテルは、1種類のエーテル化有機基を含有し得る。そのようなエーテル化合物の例は、唯一のエーテル化有機基としてカルボキシアルキル基(例えば、カルボキシメチル)を含む。しかし、いくつかの態様では、可溶性アルファ-グルカンエーテルは、2つ以上の異なる種類のエーテル化有機基(すなわち、アルファ-グルカンの混合エーテル)を含むことができる。そのようなアルファ-グルカンエーテルの例は、(i)エーテル化有機基(アルキルカルボキシアルキルアルファ-グルカン)としてのアルキル基及びカルボキシアルキル基、(ii)エーテル化有機基(ヒドロキシアルキルカルボキシアルキルアルファ-グルカン)としてのヒドロキシアルキル基及びカルボキシアルキル基、(iii)エーテル化有機基としての2つの異なるカルボキシアルキル基、並びに(iv)カルボキシアルキル基及びアリール(例えば、ベンジル)基を含む。これらのタイプの混合エーテルのいくつかの非限定的な例としては、カルボキシメチルヒドロキシエチルアルファ-グルカン、カルボキシメチルヒドロキシプロピルアルファ-グルカン、及びカルボキシメチルベンジルアルファ-グルカンが挙げられる。いくつかの態様では、混合アルファ-グルカンは、カルボキシルアルキル基(例えば、カルボキシメチル)及び参照により本明細書に開示される米国特許出願公開第2020/0002646号明細書に開示されるような他の基を含む。
【0101】
可溶性アルファ-グルカン誘導体は、いくつかの態様では、エステル、カルバメート、スルホニル又はスルホネート誘導体である。例えば、可溶性アルファ-グルカン誘導体は、アルファ-グルカンへのエステル、カルバメート又はスルホニル結合中に1つ又は複数の荷電有機基(例えば、カチオン性又はアニオン性)を含むことができる。本明細書における可溶性アルファ-グルカン誘導体のアシル基は、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0187767号明細書、同第2018/0155455号明細書又は同第2020/0308371号明細書、米国特許出願第63/037,184号明細書、又は国際特許出願公開国際公開第2021252575号パンフレットに開示される通りであり得る。本明細書における可溶性アルファ-グルカン誘導体のカルバメート基は、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開国際公開第2020/131711号パンフレット、米国特許出願。第63/037,076、又は国際特許出願公開国際公開第2021/252569号パンフレットに開示される通りであり得る。
【0102】
いくつかの態様における可溶性アルファ-グルカン誘導体は、カルボキシレート(カルボン酸)基を有することによって負に帯電し得る。カルボン酸基は、例えば、単独で(例えば、グルコースの炭素6は、-COOHであり得る)、又は(i)アルファ-グルカンにエーテル、エステル、カルバメート、又はスルホニル結合し、(ii)カルボン酸基(例えば、カルボキシメチルなどのカルボキシアルキル基)を含む有機基を介して存在し得る。いくつかの態様では、カルボン酸基は、アルファ-グルカン又はアルファ-グルカン誘導体を酸化することによって(例えば、グルコースの炭素6及び/又は置換基の炭素に)導入することができ、酸化は、例えば、全てが参照により本明細書に組み込まれる、カナダ特許公開第2028284号明細書若しくは第2038640号明細書、又は米国特許第4985553号明細書、第2894945号明細書、第5747658号明細書若しくは第7595392号明細書、又は米国特許出願公開第2015/0259439号明細書、同第2018/0022834号明細書又は同第2018/0079832号明細書に開示されるようなプロセスによって行うことができる。
【0103】
不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本開示の組成物は、例えば、これらの成分を含む粒子(典型的には不溶性粒子)の形態であり得る。分散液などの水性組成物に含まれるように、そのような粒子の約40~60重量%、40~55重量%、45~60重量%、45~55重量%、47~53重量%、48~52重量%、49~51重量%、又は50%は、例えば、約、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、1~50、1~40、1~30、1~25、1~22、1~20、1~18、5~40、5~30、5~25、5~22、5~20、5~18、15~22、15~20、15~18、16~22、16~20、又は16~18マイクロメートル、又は約それら未満、又は少なくとも約それらの直径(すなわち、D50)を有する。
【0104】
本明細書の組成物は、約0.1~約200重量%の1つ又は複数の可溶性アルファ-グルカン誘導体を含むことができ、この重量%は、組成物中の1つ又は複数の不溶性アルファ-グルカンの重量に基づく。いくつかの態様では、組成物は、約0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、1-200、1-175、1-150、1-125、25-200、25-175、25-150、25-125、50-200、50-175、50-150、50-125、75-200、75-175、75-150、75-125、100-200、100-175、100-150、100-125、0.1-50、1-30、1-25、1-20、1-15、1-10、3-30、3-25、3-20、3-15、3-10、10-30、10-25、10-20、又は10~15重量%の1つ又は複数の可溶性アルファ-グルカン誘導体を含み、ここで、この重量%は、組成物中の1つ又は複数の不溶性アルファ-グルカンの重量に基づく。
【0105】
本明細書の粒子は、1つ又は複数の可溶性アルファ-グルカン誘導体によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含むことができる。したがって、粒子は、任意選択的に、不溶性アルファ-グルカンを含むコアと、可溶性アルファ-グルカン誘導体の外殻(シェル、外層)とを有すると特徴付けることができる。外殻は、典型的には連続的であり、不溶性アルファ-グルカン成分の全体を覆う(カプセル化する)が、いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカン成分の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%をコーティングする。粒子の平均コア径は、例えば、不溶性アルファ-グルカンの粒子について本明細書に記載される通りであり得る。いくつかの態様における外殻の厚さは、1、2、3、4、5又は6分子の厚さの可溶性アルファ-グルカン誘導体であり得る。更に、いくつかの態様では、外側コートの厚さは、約0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、5、10、25、又は50マイクロメートル、又は約それら未満、又は少なくとも約であり得る。本明細書の粒子は、任意選択的に、1つ又は複数の可溶性アルファ-グルカン誘導体で「表面交換」又は「表面修飾」された不溶性アルファ-グルカンを含むと特徴付けることができる。可溶性アルファ-グルカン誘導体の外殻は、不溶性アルファ-グルカンコアに化学的/共有結合していない。
【0106】
粒子は、いくつかの態様では、正の表面電荷又は負の表面電荷を有することができる。典型的には、そのような表面電荷は、不溶性アルファ-グルカンコアを被覆する1つ又は複数の可溶性アルファ-グルカン誘導体の電荷(又は平均電荷)に起因する。水性組成物(例えば、分散液)中のそのような粒子のゼータ電位は、いくつかの態様では、約±30mV、±35mV、±37.5mV、±40mV、±42.5mV、±45mV、又は±50mV又は約それら超であり得る。簡単に説明するために、例えば、±30mVを超えるゼータ電位は、-30mV~+30mVの範囲のゼータ電位を除外することを理解されるべきである。いくつかの態様では、ゼータ電位は、±30~±50mV、±30~±45mV、±30~±40mV、±35~±50mV、±35~±45mV、又は±35~±40mVである。一般に、アニオン性可溶性アルファ-グルカン誘導体シェルを含む本明細書の粒子のゼータ電位は-30mVより大きい負の値を有し、カチオン性可溶性アルファ-グルカン誘導体シェルを含む粒子のゼータ電位は+30mVより大きい正の値を有すると考えられる。前述のゼータ電位値は、いくつかの態様では、約6~8、5~9、又は4~9のpHを有する水性組成物に関連し得る。
【0107】
本開示のいくつかの態様は、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本明細書の組成物を製造する方法に関する。そのような方法は、(a)(適切な容器内で)少なくとも水、不溶性アルファ-グルカン、及び少なくとも1つの可溶性アルファ-グルカン誘導体を一緒にブレンド/混合してブレンドされた生成物を提供することと、(b)任意選択的にブレンド/混合された生成物を乾燥させることと、を含む。そのような方法は、任意選択的に、不溶性アルファ-グルカンを少なくとも1つの可溶性アルファ-グルカン誘導体と表面交換する方法又はプロセスとして特徴付けることができる。
【0108】
本明細書の表面交換方法の不溶性アルファ-グルカンは、例えば、本明細書の他の箇所に開示されているものであり得る。したがって、不溶性アルファ-グルカンは、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本明細書の組成物に含まれる不溶性アルファ-グルカンの形態であり得る、及び/又は不溶性アルファ-グルカンの1つ又は複数の特徴(例えば、グリコシド結合プロファイル、分子量、及び/又は製造方法)を有し得る。本明細書の表面交換方法の可溶性アルファ-グルカン誘導体は、例えば、本明細書の他の箇所に開示されているものであり得る。したがって、可溶性アルファ-グルカン誘導体は、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本明細書の組成物に含まれる可溶性アルファ-グルカン誘導体の形態、及び/又は可溶性アルファ-グルカン誘導体の1つ又は複数の特徴(例えば、グリコシド結合プロファイル、分子量、誘導体化プロファイル[例えば、置換基、DoS])を有し得る。
【0109】
いくつかの態様では、本明細書の表面交換方法のブレンド工程(a)は、(i)可溶性アルファ-グルカン誘導体の乾燥粉末(例えば、≦12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量%の水を有する)(「成分i」)と、(ii)約10~80重量%(又は5~80重量%)の不溶性アルファ-グルカンと、100重量%までの残部の水又は水溶液(「成分ii」)とを含む組成物とをブレンドすることによって行うことができる。(ii)の組成物は、約5、7.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、10~50、10~45、10~40、20~50、20~45、20~40又は5~15重量%の不溶性グルカンを含むことができ、例えば、残りは100重量%までの水又は水溶液である。(ii)の組成物は、任意選択的にウェットケーキとして特徴付けることができ、及び/又はその不溶性アルファ-グルカンは、グルカンスクラーゼとの酵素合成後、乾燥されていない(「乾燥されたことがない」)可能性がある。しかし、いくつかの態様では、(ii)の組成物の不溶性アルファ-グルカンは、その合成後に少なくとも1回乾燥されていてもよい。得られたブレンドは、例えば、約10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、10~80、10~70、10~60、20~80、20~70、20~60、30~80、30~70、又は30~60重量%の固形分を含むことができる。そのようなブレンド戦略は、任意選択的に「固体」ブレンド方法として特徴付けることができる。
【0110】
いくつかの態様では、本明細書の表面交換方法のブレンド工程(a)は、(i)当該可溶性アルファ-グルカン誘導体(例えば、≦10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、又は0.1重量%の水を有する)の乾燥粉末と、(ii)約10~80重量%(又は5~80重量%)の当該不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水又は水溶液を含む組成物と、(iii)水又は水溶液(「成分iii」)とをブレンドすることによって行うことができ、ブレンド生成物の全固形分は約1~30重量%である。(ii)の組成物は、任意選択的にウェットケーキとして特徴付けることができ、及び/又は乾燥したことがない。しかし、いくつかの態様では、(ii)の組成物の不溶性アルファ-グルカンは、その合成後に少なくとも1回乾燥されていてもよい。得られたブレンドは、例えば、約1、2、5、10、15、20、25、30、1~30、1~25、1~20、1~15、2~30、2~25、2~20、2~15、5~30、5~25、5~20、又は5~15重量%の固形分を含むことができる。そのようなブレンド戦略は、任意選択的に分散ブレンド方法として特徴付けることができる。
【0111】
本明細書の表面交換方法の工程(a)における成分i及びii又はi、ii及びiiiのブレンドは、例えば、撹拌、振盪、ボルテックス、撹拌、ブレンド、パドリング、回転、超音波処理、粉砕及び/又は剪断のうちの1つ又は複数を伴い得る。いくつかの態様では、ブレンドは、超音波処理機(例えば、超音波処理器)(例えば、40~60W、約50W)、ホモミキサー、高剪断ミキサー又はホモジナイザ(例えば、ロータリー又はピストン、ローターステーター[インラインローターステーター]、Waring(登録商標)ブレンダー)、プラネタリーミキサー、コロイドミル、ジェットミル、ボルテックス、及び/又は任意の他の適切な方法論を使用することによって行うことができるか、又はそれを更に含むことができる。更に、いくつかの態様では、ブレンドは、振盪又は撹拌などの単純な手段のみによって、或いは他の場合では高エネルギーホモジナイザ又は同等の装置を用いずに成分(上記i及びii、又はi、ii及びiii)を混合物に粉砕することによって行うことができる。いくつかの態様では、ブレンドすることは、押出機(例えば、パドル押出機;一軸又は二軸等のスクリュー押出機;共回転又は逆回転押出機)、射出成形機、混練機、又は混練機などの固体/固体様/非液体材料(例えば、上記の成分i及びii)を混合/ブレンド/撹拌/かき混ぜる、少なくとも1つの装置を使用することを含むことができる。いくつかの態様における成分i、ii及びiiiのブレンドは、成分ii及びiiiが成分iなしでブレンドされた場合に観察/測定されるものとは異なる特徴(例えば、ゼータ電位、粘度、粒径[例えば、D50])が観察/測定されるまで行うことができる。ブレンドは、室温で、又は例えば、約、少なくとも約、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、15~70、15~60、15~50、15~40、15~30、15~25、20~70、20~60、20~50、20~40、20~30、又は20~25℃又は約それ以下で行うことができる。いくつかの態様では、ブレンドされる試料(例えば、成分i及びii、又はi、ii及びiii)が、本明細書のブレンド装置を通ってその全体(又はその全体の少なくとも約95%又は98%)を循環/通過する回数(「通過」)は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、1~4、1~3、2~4、2~3、1~5、1~10、1~20回、又はそれを超える回数であり得る。いくつかの態様でのブレンドは、以下の実施例に記載されるようにすることができるが、ここで一般的に記載されるような成分i及びii(又はi、ii及びiii)を用いる。本明細書でのブレンドは、任意選択的に、本明細書の他の箇所に開示される添加剤(開示される可溶性アルファ-グルカン誘導体とは異なる添加剤)の添加を更に含むことができる。
【0112】
固体ブレンドプロセス(上記)に続いて、ブレンドを任意選択的に分散(例えば、本明細書に開示される水/水溶液中の固形分重量%まで)及び/又は乾燥させることができる。しかし、いくつかの態様では、固体ブレンドは、その調製後に存在するので使用することができる(すなわち、分散及び/又は乾燥なし)。分散配合プロセス(上記)に続いて、ブレンドを任意選択的に乾燥させることができ、又はブレンドを調製後に存在する分散液として使用することができる(すなわち、乾燥なし)。
【0113】
本明細書の表面交換方法は、任意選択的に、工程(a)から得られたブレンド生成物(又はその後分散された工程[a]の生成物)を乾燥させる工程(b)を含むことができる。乾燥は、オーブン、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸留及び/又は撹拌空気乾燥(例えば、撹拌フィルター/フィルム乾燥、例えば真空下でのもの、流動床乾燥、回転乾燥、例えばドラム乾燥、回転蒸発)を用いて行うことができる。いくつかの態様では、乾燥は、例えば、約又は少なくとも約20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、20~140、20~130、30~50、35~45、90~110又は95~105℃の温度であり得る。いくつかの態様では、乾燥した生成物は、乾燥後に粉砕するか、そうでなければ細分して粉末又は他の粒子形態(例えば、本明細書に開示されるように)にすることができる。任意選択的に、本明細書の固体ブレンドは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019/0112456号明細書に記載されるように乾燥される前に粒子に分解され得る。
【0114】
いくつかの態様では、可溶性アルファ-グルカン誘導体とブレンドされた不溶性アルファ-グルカンは、水性分散液中では、同じ不溶性アルファ-グルカンであるが、可溶性アルファ-グルカン誘導体とブレンドされていないものと比較して減少した粘度を示す。このような粘度の低下は、例えば、約、又は少なくとも約、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%であり得る。しかし、いくつかの態様では、約0.65を超える結晶化度指数及び/又は分散した約200マイクロメートル(D50)を超える粒径を有する不溶性アルファ-グルカンなどの場合、可溶性アルファ-グルカン誘導体とブレンドされた不溶性アルファ-グルカンは、水性分散液中では、同じ不溶性アルファ-グルカンであるが、可溶性アルファ-グルカン誘導体とブレンドされていないものと比較して増加した粘度を示す。そのような粘度の増加は、例えば、約、又は少なくとも約、50%、100%、500%、1000%、2500%、5000%、又は6000%であり得る。
【0115】
いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカンを本明細書の可溶性荷電アルファ-グルカン誘導体とブレンドすることは、不溶性アルファ-グルカンを乾燥させ、次いで水性分散液に分散させた場合に典型的に観察される微細構造効果(例えば、粒子サイズを増大させる不可逆的凝集)を防止又は低減する。例えば、可溶性荷電アルファ-グルカン誘導体とブレンドし、乾燥させ、次いで水性分散液に分散させた不溶性アルファ-グルカンは、同じブレンド材料であるが乾燥させていないブレンド材料の粒径(例えば、D90)とほぼ同じであるか、又は5%、10%、若しくは20%以下大きい粒径(例えば、D90)を示し得る。
【0116】
不溶性アルファ-グルカン及び少なくとも1つの可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本明細書の組成物は、例えば、そのような組成物を製造するための本明細書の方法によって製造することができる。
【0117】
本開示のいくつかの態様は、少なくとも1つの添加剤でコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物に関し、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15(又は少なくとも10)である。そのような組成物中の添加剤は、任意選択的に、例えば、第2の材料、第2の成分、相改質剤、又は相改質添加剤と呼ぶことができる。典型的な態様の添加剤は、不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応せず、不溶性アルファ-グルカンとは異なる化合物を生じるように、不溶性アルファ-グルカンを化学的に修飾又は誘導体化しない(例えば、このような添加剤は、不溶性アルファ-グルカンのグルコース単量体単位ヒドロキシル基の水素を置換する働きをせず、このような添加剤は、不溶性アルファ-グルカンの分子式を変化させない)。少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物は、例えば、そのような組成物を製造するための本明細書の方法によって製造することができる。いくつかの態様では、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の添加剤が存在し得る。添加剤は、水溶性又は水不溶性であり得る。更に、いくつかの他の態様では、本明細書の不溶性アルファ-グルカンは、添加剤も含む組成物に含まれる不溶性アルファ-グルカンによって、1つ又は複数の添加剤によってコーティングすることができる。
【0118】
少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む本明細書の組成物の不溶性アルファ-グルカンは、例えば、本明細書の他の箇所に開示されている通りであり得る。したがって、それは、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本明細書の組成物に含まれる不溶性アルファ-グルカンの形態であり得る、及び/又は不溶性アルファ-グルカンの1つ又は複数の特徴(例えば、グリコシド結合プロファイル、分子量、及び/又は製造方法)を有し得る。
【0119】
不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む本開示の組成物は、例えば、これらの成分を含む粒子(典型的には不溶性粒子)の形態であり得る。そのような組成物は、例えば、添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンの粒子を含むことができる。分散液などの水性組成物に含まれるように、そのような粒子の約40~60重量%、40~55重量%、45~60重量%、45~55重量%、47~53重量%、48~52重量%、49~51重量%、又は50%は、例えば、約、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、1~50、1~40、1~30、1~25、1~22、1~20、1~18、5~40、5~30、5~25、5~22、5~20、5~18、15~22、15~20、15~18、16~22、16~20、又は16~18マイクロメートル、又は約それら未満、又は少なくとも約それらの直径(すなわち、D50)を有する。
【0120】
不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む本開示の組成物は、約0.1~約200重量%の1つ又は複数の添加剤を含むことができ、この重量%は、組成物中の1つ又は複数の不溶性アルファ-グルカンの重量に基づく。いくつかの態様では、組成物は、約0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1~200、1~175、1~150、1~125、25~200、25~175、25~150、25~125、50~200、50~175、50~150、50~125、75~200、75~175、75~150、75~125、100~200、100~175、100~150、100~125、0.1~50、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、3~30、3~25、3~20、3~15、3~10、10~30、10~25、10~20、10~15、400~800、400~750、400~700、400~650、400~600、400~550、450~800、450~750、450~700、450~650、450~600、450~550、500~800、500~750、500~700、500~650、500~600、又は500~550重量%の1つ又は複数の添加剤を含み、この重量%は、組成物中の1つ又は複数の不溶性アルファ-グルカンの重量に基づく。
【0121】
本明細書の粒子は、1つ又は複数の添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含むことができる。したがって、粒子は、任意選択的に、不溶性アルファ-グルカンを含むコアと、1つ又は複数の添加剤を含む外殻(シェル、外層)とを有することを特徴とし得る。外殻は、典型的には連続的であり、不溶性アルファ-グルカン成分の全体を覆う(カプセル化する)が、いくつかの態様では、不溶性アルファ-グルカン成分の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%をコーティングする。粒子の平均コア径は、例えば、不溶性アルファ-グルカンの粒子について本明細書に記載される通りであり得る。いくつかの態様では、外殻の厚さは、1、2、3、4、5又は6分子の厚さの添加剤であり得る。更に、いくつかの態様では、外側コートの厚さは、約0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、5、10、25、又は50マイクロメートル、又は約それら未満、又は少なくとも約であり得る。本明細書の粒子は、任意選択的に、1つ又は複数の添加剤で「表面交換」又は「表面修飾」された不溶性アルファ-グルカンを含むことを特徴とすることができる。可溶性アルファ-グルカン誘導体の外殻は、不溶性アルファ-グルカンコアに化学的/共有結合していない。
【0122】
1つ又は複数の添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンの本明細書の粒子は、いくつかの態様では正の表面電荷又は負の表面電荷を有することができる。典型的には、そのような表面電荷は、不溶性アルファ-グルカンコアを被覆する1つ又は複数の添加剤の電荷(又は平均電荷)に起因する。水性組成物(例えば、分散液)中のそのような粒子のゼータ電位は、いくつかの態様では、約±5mV、±10mV、±15mV、±20mV、±25mV、±30mV、±35mV、±40mV、±45mV、又は±50mV、又は約それ超であり得る。簡単に説明するために、例えば、±5mVを超えるゼータ電位は、-5mV~+5mVの範囲のゼータ電位を除外することを理解されるべきである。前述のゼータ電位値は、いくつかの態様では、約6~8、5~9、又は4~9のpHを有する水性組成物に関連し得る。
【0123】
不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む本明細書の組成物の添加剤は、少なくとも50%のアルファ-1,3グリコシド結合を有する不溶性アルファ-グルカンではない本開示の任意の化合物であり得る。水は、任意選択的に、そのような組成物中に存在することができるが、水ではない少なくとも1つの添加剤が存在しなければならない。いくつかの態様では、添加剤は、非水性液体及び/又は疎水性若しくは非極性の液体若しくは組成物を含むか、又はそれらからなる。非水性液体は、例えば、極性又は非極性(無極性)であり得る。いくつかの態様における添加剤は、固体材料を含むか、又は固体材料からなり得、そのような添加剤は、任意選択的に水性液体又は非水性液体であり得る。添加剤は、例えば、中性、負(アニオン性)又は正(カチオン性)電荷を有し得る。添加剤は、例えば、パーソナルケア製品、医薬品、家庭用ケア製品、工業製品、摂取可能な製品、フィルム/コーティング、複合材、ラテックス/分散液/エマルジョン、カプセル材、洗剤組成物(例えば、ファブリックケア、皿ケア)、口腔ケア、又はビルダー組成物の本明細書に開示される任意の材料/成分であり得る。単なる例として、本明細書の添加剤は、鉱油、シリコーン油(例えば、ジメチコン/ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン)、パラフィン油、又は植物/野菜油(例えば、亜麻仁油、大豆油、パーム油、ヤシ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ココアバター、オリーブ油、米ぬか油、菜種油、落花生油、ゴマ油、綿実油、パーム核油)などの油;ショートニング(例えば、野菜ショートニング);脂質;脂肪(例えば、ラード、獣脂、動物性脂肪);グリセリド(例えば、トリ-、ジ-及び/又はモノ-グリセリド;例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド);グリセロール(又は低分子量ポリオールなどの他のポリオール);脂肪酸;脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンオレエート);脂肪酸アミド;ワックス(例えば、パラフィンワックス、カルナウバワックス);リン脂質;ステロール;アルカン;アルケン/オレフィン;ワセリン(すなわち、ワセリンゼリー);グリース;アニオン性洗剤(例えば、ラウリルスルファート、アルキルベンゼンスルホネート);カチオン性洗剤;非イオン性又は双性イオン性洗剤(例えば、Tween又はTriton[エトキシレート]などのポリオキシエチレン系清浄剤、オクチルチオグルコシドマルトシドなどのグリコシド系清浄剤、CHAPS);又はこれらの任意のエポキシ化バージョン;又は参照により本明細書に組込まれる米国特許出願公開第2009/0093543号明細書(例えば、その中の表2)又は同第2019/0144897号明細書に開示されるような任意の同様の化合物であり得る。単なる例として、本明細書の添加剤は、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルト、マルチトール、水素化デンプン加水分解物)、ポリマーポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール)、非プロトン性溶媒(例えば、アセトン又は炭酸プロピレンなどの極性非プロトン性溶媒)、プロトン性溶媒(例えば、イソプロパノール、エタノール、メタノール)、硬化剤(例えば、活性ハロゲン化合物、ビニルスルホン、エポキシ)、樹脂(典型的には未硬化)(例えば、エポキシ又はアセタール樹脂などの合成樹脂;植物樹脂[例えば、松脂]、昆虫樹脂[例えば、シェラック]、ビチューミン等の天然樹脂)、又はプロパンジオール(1,3-プロパンジオール)であり得る。単なる例として、本明細書の添加剤は、フレグランス/香り(例えば、疎水性芳香化合物、又は参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7196049号明細書に開示されている任意のもの)、摂取可能な製品、食品、飲料、フレーバー(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7022352号明細書に開示されているような任意のもの)、又は疎水性香味料若しくは栄養素、又は染料(例えば、スーダンレッドなどの油溶性染料)であり得る。単なる例として、本明細書の添加剤は、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート(すなわち、アクリル)、ポリ乳酸、ポリビニルアミン、ポリカルボキシレート、少なくとも50%のアルファ-1,3グルコシド結合を有する不溶性アルファ-グルカン以外の多糖類(例えば、グルカン、例えばセルロース、デンプン、ベータ-1,3-グルカン;フルクタン;キシラン;アラビナン;マンナン;ガラクタン)、ゼラチン、メラミン、無機充填剤材料(例えば、カーボンブラック、ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩、トーク、チョーク、ベントナイト粘土などの粘土、又は炭酸カルシウム、炭酸カルシウム-炭酸マグネシウム、過炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム若しくは炭酸鉄[II]などの炭酸塩)、浸透剤(例えば、1,2-プロパンジオール、トリエチレングリコールブチルエーテル、2-ピロリドン)、殺生物剤(例えば、メタボレート、チオシアネート、安息香酸ナトリウム、ベンゾイソチアオリン-3-オン)、黄変防止剤(例えば、ヒドロキシメチルスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール化合物)、酸化防止剤(例えば、立体障害フェノール化合物)、耐水剤(例えば、ケトン樹脂、アニオン性ラテックス、グリオキサール)、又は結合剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリウレタン、デンプン、コーンデキストリン、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギネート、アルギン酸ナトリウム、キサンタン、カラギーナン、カゼイン、大豆タンパク質、グアーガム、スチレンブタジエンラテックス、スチレンアクリレートラテックス)であり得る。単なる例として、本明細書の添加剤は漂白剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム又は塩素化石灰などの塩素系漂白剤;過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酢酸、過酸化ベンゾイル、又は過マンガン酸カリウム等の過酸化物系漂白剤)であり得る。更に、いくつかの態様では、本明細書の添加剤は、以下のように特徴付け/分類することができる。両親媒性材料(例えば、ラウリルスルファートなどの界面活性剤;ポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールなどのポリマー界面活性剤;シリカ等の粒子)、物理的に吸着した水性不溶性小分子(例えば、鉱油;シリコーンオイル;亜麻仁油、大豆油、パーム油、又はヤシ油等の天然油)、物理的に吸着した水性不溶性ポリマー分子(例えば、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸)、物理的に吸着した水性混和性小分子(例えば、イソプロパノール、エタノール又はメタノールなどのプロトン性溶媒;アセトン又はプロピレンカーボネートなどの極性非プロトン性溶媒;グリセロールなどの低分子量ポリオール;糖アルコール)、物理的に吸着した水混和性ポリマー分子(例えば、ポリオール)、化学的に吸着/反応した材料(例えば、アルキルケテンダイマー;オクテニルコハク酸無水物などのアルケニルコハク酸無水物;エポキシ化亜麻仁油又はジエポキシなどのエポキシ化合物)。いくつかの態様では、添加剤は、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(例えば、オクテニルコハク酸無水物)、エポキシ化合物(例えば、エポキシ化亜麻仁油又はジエポキシ)、フェネチルアルコール、ウンデシルアルコール、又はトコフェロールであり得る。いくつかの態様における添加剤は、ゴム又は任意の他のジエン系エラストマーであり得る。ここで、ゴムの例としては、天然ゴム(NR)(例えば、NRラテックス)及び合成ゴムが挙げられる。ここで、合成ゴムの例としては、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、ブタジエン-イソプレン共重合体、スチレン-ブタジエン-イソプレン三元共重合体、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、水素添加ニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、及びネオプレンが挙げられ、これらもジエン系エラストマーの例である。ゴムは、いくつかの態様では、シリコーンゴムなどのジエン系ではない。いくつかの態様では、添加剤は、疎水性物質(例えば、疎水性芳香剤、香味剤、栄養素又は染料などの本明細書に開示される任意のもの)が溶解された油又は本明細書の任意の他の疎水性溶媒を含む。本明細書の添加剤は、典型的には、Na、Cl、NaCl、ホスファート、トリスなどの塩(塩イオン)又は緩衝剤だけではなく、又は参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/179913号明細書、同第2016/0304629号明細書、同第2016/0311935号明細書、同第2015/0239995号明細書、同第2018/0230241号明細書又は同第2018/0237816号明細書に記載されるような任意の他の塩/緩衝液である。添加剤は、例えば、米国特許出願公開第2019/0153674号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示され得る任意のものであり得る。
【0124】
添加剤は、いくつかの態様では疎水性である(例えば、疎水性/無極性/非極性である上記のいずれか)。疎水性添加剤は、例えば、液体(例えば、本明細書に開示される温度、例えば10~60、15~60、20~60、25~60、30~60、10~55、15~55、20~55、25~55、30~55、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、10~45、15~45、20~45、25~45、30~45、10~40、15~40、20~40、25~40又は30~40℃で)であり、水性組成物(すなわち、水不溶性)に混和しない(例えば、本明細書の苛性又は非苛性水性条件において)。液体疎水性添加剤は、例えば本明細書に開示される油などの油であり得る。いくつかの態様では、疎水性添加剤は固体(例えば、本明細書に開示される温度で)であり、水性組成物(例えば、本明細書における苛性又は非苛性水性条件)に溶解できない。固体疎水性添加剤は、例えば、ワックス又はグリースであり得る。いくつかの態様では、固体疎水性添加剤は、約又は少なくとも約、45、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、75、80、85、90、95、100、45~70、45~65、50~70又は50~65℃の融点を有する。
【0125】
所望であれば、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本開示の組成物、及び/又はその製造方法に、本明細書に開示される任意の添加剤を含めることができる。
【0126】
いくつかの態様では、本明細書の可溶性アルファ-グルカン誘導体及び/又は添加剤で表面交換された不溶性アルファ-グルカンを含む組成物は、抗菌剤を含まないか、又は0.001、0.0005、若しくは0.0001重量%未満の抗菌剤を含む。抗菌剤は、例えば、抗菌活性、抗真菌活性及び/又は抗原虫活性を有する1つ又は複数の薬剤で構成することができる。
【0127】
本開示のいくつかの態様は、少なくとも不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む組成物を製造する方法に関する。そのような方法は、(a)(i)添加剤と、(ii)約10~80重量%(又は5~80重量%)の不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水又は水溶液を含む組成物とをブレンドし、それによってブレンドされた生成物を提供することであって、任意選択的に、添加剤の質量は水又は水溶液の質量の約25%以内であり(任意選択的に、添加剤は不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応しない)、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%はアルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15(又は少なくとも10)である、ブレンドされた生成物を提供することと、(b)ブレンドされた生成物を乾燥させることであって、(ii)の組成物中に存在していた水の大部分(例えば、≧90重量%)又は全てが添加剤で置き換えられる、ブレンドされた生成物を乾燥させることと、
を含み得る。そのような方法は、任意選択的に、不溶性アルファ-グルカンを少なくとも1つの添加剤と表面交換する方法又はプロセスとして特徴付けることができる。
【0128】
本明細書の付加的方法による表面交換の不溶性アルファ-グルカンは、例えば、本明細書の他の箇所に開示されているものであり得る。したがって、不溶性アルファ-グルカンは、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む本明細書の組成物に含まれる不溶性アルファ-グルカンの形態であり得る、及び/又は不溶性アルファ-グルカンの1つ又は複数の特徴(例えば、グリコシド結合プロファイル、分子量、及び/又は製造方法)を有し得る。本明細書の添加剤法による表面交換の添加剤は、例えば、少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物について、本明細書の他の箇所に開示されている通りであり得る。
【0129】
いくつかの態様では、本明細書の添加剤法による表面交換のブレンド工程(a)は、(i)添加剤(「成分i」)と、(ii)約10~80重量%(又は5~80重量%)の不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水又は水溶液(「成分ii」)と、を含む組成物をブレンドすることによって実施することができる。(ii)の組成物は、約5、7.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、10~50、10~45、10~40、20~50、20~45、20~40又は5~15重量%の不溶性グルカンを含むことができ、例えば、残りは100重量%までの水又は水溶液である。(ii)の組成物は、任意選択的にウェットケーキとして特徴付けることができ、及び/又は乾燥したことがない。しかし、いくつかの態様では、(ii)の組成物の不溶性アルファ-グルカンは、その合成後に少なくとも1回乾燥されていてもよい。得られたブレンドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、10~80、10~70、10~60、20~80、20~70、20~60、30~80、30~70、又は30~60重量%の固形分を含むことができる。ブレンド中の添加剤の質量は、いくつかの態様では、ブレンド中の水又は水溶液の質量と同じ、又は約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、若しくは25%以内であり得る。添加剤は、乾燥形態で、又は水性液体などの液体に含まれるように添加することができる。本明細書の添加剤法による表面交換における成分i及びiiのブレンドは、可溶性アルファ-グルカン誘導体を使用する表面交換法について上述したように行うことができる。
【0130】
本明細書の添加剤法による表面交換は、工程(a)から得られたブレンド生成物を乾燥させる工程(b)を含む。このような乾燥は、例えば、可溶性アルファ-グルカン誘導体を用いた表面交換法について上述したように行うことができる。
【0131】
いくつかの態様では、添加剤が室温で流動性であり、水混和性であり、及び/又は2つ以上の炭素の鎖を含むもの(例えば、本明細書に開示されるように、グリセロール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、エチレングリコール、若しくはプロピレングリコール、又は酸素による少なくとも1、2、3又はそれ以上の置換を有する炭素鎖を有する化合物[例えば、ヒドロキシル])などでは、本明細書のブレンド及び乾燥の方法は、室温で流動性ではない組成物を生成する。そのような組成物は、例えば、軟膏、非流動性ローション、又は軟膏の稠度を有する任意の他の非流動性材料の形態(視覚的及び/又は触覚的に)であり得る。しかし、いくつかの態様では、ブレンド方法を行う前に存在していた添加剤よりも流動性が低い(例えば、約25%、50%又は75%以下)が、生成物は流動性のままであり得る。
【0132】
不溶性アルファ-グルカン及び少なくとも1つの添加剤を含む本明細書中の組成物、例えば、少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物(例えば、粒子)は、例えば、そのような組成物を製造するための本明細書中の方法によって製造することができる。
【0133】
本開示の組成物、例えば(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む組成物は、例えば、水性組成物(例えば、コロイド分散液などの分散液)又は乾燥組成物であり得る。いくつかの態様では、本明細書の組成物は、約、少なくとも約、0.01、0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.2、1.25、1.4、1.5、1.6、1.75、1.8、2.0、2.25、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5重量%又はw/v%又は約それら未満の上記の(i)及び/又は(ii)の組成物を含み得る。組成物は、例えば、上記(i)及び/又は(ii)(例えば、5~50、5~45、5~40、5~35、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、又は10~20重量%)の組成物のこれらの値のいずれか2つの間の範囲を含むことができる。水性組成物の液体成分は、例えば、水又は水溶液などの水性流体であり得る。水溶液の溶媒は、典型的には、水である、又は例えば、約又は少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98又は99重量%の水を含み得る。いくつかの態様では、本明細書の組成物は、分散液(例えば、エマルジョン)、ウェットケーキ又はウェットパウダー(例えば、50%~90重量%の水及び10~50重量%の固体を有する約0.1~10、0.1~5、1~10、1~5、2~10、又は2~5ミリメートル[mm]の平均直径/サイズの粒子)、ドライパウダー、押出物、複合体、フィルム/コーティング、又はカプセル材料を含むか、又はそれらの形態であり得る。本明細書の組成物は、最も典型的には、例えば苛性条件下(例えば、pH≧11)で起こり得る、溶液に溶解した(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含まず、また、本明細書の組成物は、最も典型的には、そのような溶液を使用したプロセスの生成物ではない。
【0134】
本明細書の水性組成物は、例えば、約、少なくとも約、1、5、10、100、200、300、400、500、600、700、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、1~300、10~300、25~300、50~300、1~250、10~250、25~250、50~250、1~200、10~200、25~200、50~200、1~150、10~150、25~150、50~150、1~100、10~100、25~100、又は50~100、又は約それら未満のセンチポアズ(cp)の粘度を有することができる。粘度は、例えば、約3℃~約80℃のいずれかの温度(例えば、4~30℃、15~30℃、15~25℃)で本明細書の水性組成物を用いて測定される通りであり得る。粘度は、典型的には、大気圧(約760トル)又はその±10%である圧力で測定される。粘度は、例えば、粘度計又はレオメーターを使用して測定することができ、例えば、任意選択的に、約0.1、0.5、1.0、5、10、50、100、500、1000、0.1~500、0.1~100、1.0~500、1.0~1000、又は1.0~100s-1(1/s)の剪断速度(回転剪断速度)で測定されるものであり得る。
【0135】
いくつかの態様における水性組成物の水溶液成分は、(検出可能な)溶解した糖を有さない、又は約0.1~1.5、0.1~1.25、0.1~1.0、0.1~.75、0.1~0.5、0.2~0.6、0.3~0.5、0.2、0.3、0.4、0.5又は0.6重量%の溶解した糖を有する。このような溶解糖類は、例えば、スクロース、フルクトース、ロイクロース及び/又は可溶性グルコ-オリゴ糖を含み得る。いくつかの態様における水性組成物の水溶液成分は、1つ又は複数の塩/緩衝液(例えば、Na、Cl、NaCl、ホスファート、トリス、シトレート)(例えば、≦0.1、0.5、1.0、2.0、又は3.0重量%)、並びに/或いは例えば約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、4.0~10.0、4.0~9.0、4.0~8.0、5.0~10.0、5.0~9.0、5.0~8.0、6.0~10.0、6.0~9.0又は6.0~8.0のpHを有することができる。
【0136】
いくつかの態様では、本開示の粒子(例えば、[i]不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は[ii]不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む粒子)の水性分散液(例えば、エマルジョン)である水性組成物を用いて、粒子は、分散液の体積の約又は少なくとも約、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、又は100%にわたって分散される。いくつかの態様では、そのようなレベルの分散(例えば、エマルジョン)は、約、少なくとも約、又は最大約、0.5、1、2、4、6、8、10、20、30、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330、若しくは360日間、又は1、2、若しくは3年の時間(典型的には分散の最初の調製から始まる)であると考えられる。
【0137】
本明細書の組成物の温度は、例えば、約、又は最大約、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、5~50、20~25、20~30、20~40、30~40、40~130、40~125、40~120、70~130、70~125、70~120、80~130、80~125、80~120、60~100、60~90、70~100、70~90、75~100、75~90、又は75~85℃であり得る。
【0138】
本明細書の組成物は、いくつかの態様では、非水性(例えば、乾燥組成物)であり得る。そのような実施形態の例としては、粉末、顆粒、マイクロカプセル、フレーク又は粒状物質の任意の他の形態が挙げられる。他の例としては、より大きな組成物、例えばペレット、バー、穀粒、ビーズ、錠剤、スティック若しくは他の凝集物、又は軟膏若しくはローション(又は非水性若しくは乾燥組成物の本明細書中の任意の他の形態)が挙げられる。非水性又は乾燥組成物は、典型的には、約12、10、8、6、5、4、3、2、1.5、1.0、0.5、0.25、0.10、0.05又は0.01重量%又は約それ以下の水をその中に含む。いくつかの態様(例えば、洗濯又は食器洗浄洗剤に関するもの)において、本明細書の乾燥組成物は、小袋又はポーチ中に提供され得る。
【0139】
本明細書の組成物は、いくつかの態様では、1つ又は複数のナトリウム塩(例えば、NaCl、NaSO)などの塩を含むことができる。塩の他の非限定的な例としては、(i)アルミニウム、アンモニウム、バリウム、カルシウム、クロム(II又はIII)、銅(I又はII)、鉄(II又はIII)、水素、鉛(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(II又はIII)、水銀(I又はII)、カリウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、スズ(II又はIV)又は亜鉛カチオンと、(ii)酢酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、臭化物、炭酸塩、塩素酸塩、塩化物、亜塩素酸塩、クロム酸塩、シアナミド、シアン化物、重クロム酸塩、リン酸二水素、フェリシアン化物、フェロシアン化物、フッ化物、炭酸水素、リン酸水素、硫酸水素、硫化水素、亜硫酸水素、水素化物、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過酸化物、リン酸塩、リン化物、亜リン酸塩、ケイ酸塩、スズ酸塩、亜スズ酸塩、硫酸塩、硫化物、亜硫酸塩、酒石酸塩又はチオシアン酸塩アニオンとを有するものが挙げられる。したがって、例えば、上記(i)からのカチオン及び上記(ii)からのアニオンを有する任意の塩が組成物中に含まれ得る。塩は、本明細書の水性組成物中において、例えば約又は少なくとも約.01、.025、.05、.075、.1、.25、.5、.75、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.5、3.0、3.5、.01~3.5、.5~3.5、.5~2.5又は.5~1.5重量%(そのような重量%値は、典型的には、1つ又は複数の塩の合計濃度を指す)の重量%で存在し得る。
【0140】
本明細書の組成物は、任意選択的に1つ又は複数の酵素(活性酵素)を含有することができる。適切な酵素の例は、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、金属脂肪分解酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、メラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、ヌクレアーゼ及びアミラーゼを含む。酵素が含まれる場合、酵素は、例えば、(例えば、純粋酵素タンパク質として計算して)約0.0001~0.1重量%(例えば、0.01~0.03重量%)の活性酵素で本明細書の組成物中に含まれ得る。布地ケア又は自動食器洗浄用途では、本明細書の酵素(例えば、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、及び/又はリパーゼなどの上記のいずれか)は、布地又は食器が(例えば、洗浄液体、家庭雑排水(grey water))処理される水性組成物中に、最小で約0.01~0.1ppmの総酵素タンパク質、又は約0.1~10ppbの総酵素タンパク質(例えば、1ppm未満)から、最大で約100、200、500、1000、2000、3000、4000、又は5000ppmの総酵素タンパク質までの濃度で存在し得る。
【0141】
本開示の組成物は、いくつかの態様では生分解性である。そのような生分解性は、例えば、二酸化炭素発生試験法(参照により本明細書に組み込まれるOECDガイドライン301B)によって決定される場合、試験の15、30、45、60、75、又は90日後、約、少なくとも約、又は最大約、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、5~60%、5~80%、5~90%、40~70%、50~70%、60~70%、40~75%、50~75%、60~75%、70~75%、40~80%、50~80%、60~80%、70~80%、40~85%、50~85%、60~85%、70~85%、40~90%、50~90%、60~90%、又は70~90%或いは5%~90%の間の任意の値であり得る。いくつかの態様における生分解性は、ポリアクリレートなどの既存の材料に関するものであり得る。本明細書の組成物の生分解性は、既存材料の生分解性よりも約、少なくとも約、又は多くとも約、10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、250%、500%、750%、又は1000%高くなり得ることが企図され、そのような生分解性は、例えば、上で決定された通りであり得る。
【0142】
本開示の組成物、-(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む組成物など-は、例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/0022834号明細書、第2018/0237816号明細書、第2018/0230241号明細書、第20180079832号明細書、第2016/0311935号明細書、第2016/0304629号明細書、第2015/0232785号明細書、第2015/0368594号明細書、第2015/0368595号明細書、第2016/0122445号明細書、第2019/0202942号明細書若しくは第2019/0309096号明細書、又は国際特許出願公開国際公開第2016/133734号パンフレットに開示されるような家庭用ケア製品、パーソナルケア製品、工業用製品、摂取可能な製品(例えば、食品)、医薬品、又は医薬製品の形態であり得る。いくつかの態様では、組成物は、前述の刊行物のいずれかで開示され、且つ/又は本明細書に開示されるような家庭用ケア製品、パーソナルケア製品、工業製品、医薬製品又は摂取可能な製品(例えば、食品)の少なくとも1つの構成成分/成分を含み得る。
【0143】
いくつかの態様の組成物は、パーソナルケア製品、医薬品、家庭用製品、工業用製品、又は摂取可能な製品(例えば、食品)に以下の物理的特性の1つ又は複数を提供するのに有用であると考えられる。例えば、増粘、凍結融解安定性、潤滑性、水分の保持及び放出、質感、稠度、形状保持性、乳化特性、結合性、懸濁性、分散性、ゲル化性、鉱物硬度の低減などである。
【0144】
本明細書のパーソナルケア製品としては、特に限定されるものではないが、例えばスキンケア組成物、化粧品組成物、抗真菌性組成物及び抗菌性組成物が挙げられる。本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、ローション、クリーム、ペースト、鉱油、軟膏、ポマード、ジェル、リキッド、これらの組み合わせなどの形態であり得る。本明細書に開示したパーソナルケア製品は、必要に応じて、少なくとも1つの活性成分を含むことができる。活性成分は、一般に、意図した薬理学的効果を引き起こす成分であると認識されている。
【0145】
いくつかの態様では、スキンケア製品は、水分不足に関連する皮膚のダメージに対処するために皮膚に適用することができる。スキンケア製品は、皮膚の外観に対処するため(例えば、鱗状、ひび割れ及び/又は赤みがかった皮膚の外観を減らすため)及び/又は皮膚の触感に対処するため(例えば、皮膚の滑らかさ及び繊細さを改善しながら、皮膚の粗さ及び/又は乾燥度を減らすため)にも使用され得る。スキンケア製品は、典型的には、化粧効果を提供しながら、皮膚の病気を治療若しくは予防するため又は皮膚に保湿効果を提供するための少なくとも1つの活性成分、例えば酸化亜鉛、ワセリン、白色ワセリン、鉱油、タラ肝油、ラノリン、ジメチコン、硬質脂肪、ビタミンA、アラントイン、カラミン、カオリン、グリセリン又はコロイド状オートミール及びこれらの組み合わせを含み得る。スキンケア製品は、1種以上の天然保湿要素、例えば、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、スクアラン、アミノ酸、コレステロール、脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質、グリコスフィンゴ脂質、ウレア、リノール酸、グリコサミノグリカン、ムコ多糖、乳酸ナトリウム、又はピロリドンカルボン酸ナトリウムを含み得る。スキンケア製品に含まれ得る他の成分としては、限定されるものではないが、グリセリド、杏仁油、キャノーラ油、スクアラン、スクアレン、ココナツ油、コーン油、ホホバ油、ホホバワックス、レシチン、オリーブ油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、大豆油、甘扁桃油、ヒマワリ油、ティーツリー油、シアバター、パーム油、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、脂肪酸及びオレンジ油が挙げられる。スキンケア製品は、いくつかの態様では、軟膏、ローション、又は消毒剤(例えば、手の消毒剤)であり得る。
【0146】
本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、メーキャップ、リップスティック、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、チーク、アイライナー、リップライナー、リップグロス、他の化粧品、サンスクリーン、サンブロック、マニキュア液、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、ボディソープ、洗顔料、リップバーム、スキンコンディショナー、コールドクリーム、保湿剤、ボディースプレー、石鹸、ボディスクラブ、落屑剤、収れん剤、スクラッフィングローション、脱毛剤、パーマネント液、ふけ防止製剤、制汗組成物、デオドラント、シェービング製品、プレシェーブ製品、アフターシェーブ製品、クレンジング剤、スキンジェル、リンス、歯磨き組成物、練り歯磨き又はマウスウォッシュの形態でもあり得る。パーソナルケア製品の例(例えば、クレンジング剤、石鹸、スクラブ、化粧品)は、担体又は落屑剤(例えば、ホホバビーズ[ホホバエステルビーズ])(例えば、約1~10、3~7、4~6又は5重量%)を含む。そのような作用物質は、任意選択的に製品内に分散させることができる。
【0147】
いくつかの態様におけるパーソナルケア製品は、ヘアケア製品であってよい。本明細書のヘアケア製品の例としては、シャンプー、ヘアコンディショナー(リーブイン又はリンスアウト)、クリームリンス、ヘアダイ、ヘアカラー製品、ヘアシャイン製品、ヘアセラム、毛髪縮れ防止製品、毛髪枝毛修復製品、ムース、ヘアスプレー及びスタイリングジェルが挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘアケア製品は、リキッド、ペースト、ジェル、固体又は粉末の形態であり得る。本明細書に開示したヘアケア製品は、典型的には、ヘアケア製品の配合に一般に使用される下記の成分:アニオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム;カチオン性界面活性剤、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム及び/又は塩化ジステアリルトリメチルアンモニウム;ノニオン性界面活性剤、例えばグリセリルモノステレアレート、ソルビタンモノパルミテート及び/又はポリオキシエチレンセチルエーテル;湿潤剤、例えばプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ピログルタミン酸塩、アミノ酸及び/又はトリメチルグリシン;炭化水素、例えば液体パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクアラン及び/又はオレフィンオリゴマー;高級アルコール、例えばステアリルアルコール及び/又はセチルアルコール;過脂肪剤;ふけ防止剤;消毒剤;抗炎症剤;生薬;水溶性ポリマー、例えばメチルセルロース、ヒドロキシセルロース及び/又は部分脱アセチル化キチン;防腐剤、例えばパラベン;紫外線吸収剤;パール化剤;pH調整剤;香料;並びに顔料の1つ又は複数を含む。
【0148】
本明細書の医薬製品は、例えば、エマルジョン、リキッド、エリキシル、ジェル、懸濁剤、液剤、クリーム又は軟膏の形態であり得る。また、本明細書の医薬製品は、本明細書に開示したパーソナルケア製品のいずれかの形態、例えば抗菌又は抗真菌組成物などの形態であり得る。医薬製品は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は薬学的に許容される塩を更に含み得る。本明細書の組成物はまた、カプセル、カプセル封入剤、錠剤、錠剤コーティングにおいて、並びに医薬品及び薬物のための賦形剤として使用することができる。
【0149】
本明細書の組成物は、例えば、封入剤であり得る。カプセル材料は、例えば、カプセル材料内に保持される材料、及び/若しくは活性剤、及び/若しくは化合物の放出を制御するため、且つ/又は保護するために使用され得る。本明細書のカプセル材料は、香料(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7196049号明細書に開示されるいずれかのもの)、摂取可能な製品(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7022352号明細書に開示されるものなどの食品、飲料、香味料)、医薬又は健康製品(例えば、液体ドラッグ、プレバイオティック、プロバイオティック)、パーソナルケア製品(例えば、歯みがき、マウスウォッシュ、フェイス/ボディクリーム)、家庭用ケア製品(例えば、乾燥又は液体洗剤、漂白剤)を封入することができる。例えば、本明細書の他の箇所に開示されている、又は米国特許出願公開第2009/0209661若しくは同第2007/0148105号明細書(それぞれ参照により本明細書に組み込まれ、例えば消費者製品)に開示されたいずれの適切な組成物/製品が封入され得る。いくつかの態様では、本明細書のカプセル材料は、疎水性又は非極性組成物を封入することができ、例えば、疎水性又は非極性組成物は、脂質(例えば、油、エッセンシャルオイル、脂肪、ワックス、遊離脂肪酸、グリセロール、リン脂質、ステロール、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド)、アルカン、アルケン/オレフィン、疎水性芳香族又は環式化合物、疎水性芳香化合物及び/又は疎水性香料又は栄養を含むことができる。本明細書の封入された製品は、いくつかの態様では、乾燥形態であり得る。カプセル材料は、いくつかの場合、カプセル材料として使用するために適切である、本明細書のフィルム又はコーティングと同一又は類似の組成/配合及び/又は厚さを有し得る。封入剤は、例えば、(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む本明細書中の組成物の約又は少なくとも約、50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100重量%を含むことができる。本明細書の、この及び/又は他の封入剤は、いくつかの態様では、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリ乳酸、多糖類(本明細書の不溶性アルファ-グルカンに加えて)、ゼラチン、メラミン、及び/又はホルムアルデヒドを更に含むことができる。本明細書のカプセル材料の機械的、熱的及び/又は分解プロファイルを変更する1つ又は複数の追加的な添加剤が任意選択的に含まれ得る。
【0150】
いくつかの態様では、本開示のカプセル化組成物は、(a)(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤、水、並びに水に混和しない液体/化合物(例えば、本明細書に開示される任意の疎水性又は非極性物質)を含む本明細書の組成物を少なくとも含む液体エマルジョンを提供することと、(b)エマルジョンから水の全部又は大部分(88重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、99.9重量%以上)を除去することと、を含む方法によって製造され得る。そのような除去は、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥をすることによる乾燥を含み得る。液体エマルジョンは、(例えば、上記エマルジョン成分を混合すること及び/又は均質化することによる)封入方法で提供され得る。いくつかの態様では、乳化を補助するために、乳化される混合物の温度を増加させる。室温において固体であり、それにより水中で非混和性の液体/化合物が提供される成分などの非水成分(非混和性成分)を液化/溶解するために、温度を増加させることができる(例えば、非混和性成分の融点の少なくとも1又は2℃上まで温度を増加させる)。乳化の温度増加は、典型的には、乳化が乾燥工程に入る時点まで維持される。本明細書のカプセル化方法では、方法の生成物に関して、水に混和しない液体/化合物(又は場合によっては、融点に応じて、固体)は、(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む本明細書の組成物によってカプセル化されることを理解されるべきである。本開示の封入剤又は封入方法のいくつかの代替的な態様では、(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む組成物の代わりに、又はそれに加えて、本明細書に開示される不溶性アルファ-グルカンを使用することができる。
【0151】
本明細書の家庭用及び/又は工業用製品は、例えば、ドライウォールテープ接合化合物、モルタル、グラウト、セメントプラスター、スプレープラスター、セメントスタッコ、接着剤、ペースト、壁/天井結着剤、テープキャスティング、押出成形、射出成形及びセラミック用バインダー及び加工助剤、殺虫剤、除草剤及び肥料用スプレー粘着剤及び懸濁化/分散助剤、織物ケア製品、例えば、織物用柔軟剤及び洗濯用洗剤、硬質表面洗浄剤、空気清浄剤、ポリマーエマルジョン、ラテックス、ゲル、例えば、水性ゲル、界面活性剤溶液、塗料、例えば、水性塗料、保護コーティング、接着剤、シーラント及びコーキング剤、インク、例えば、水性インク、金属切削液、フィルム又はコーティング、又は電気めっき、リン酸塩処理、亜鉛めっき及び/又は一般の金属洗浄作業で使用するエマルジョン系金属洗浄液の形態であり得る。いくつかの態様では、本明細書の組成物は、粘度調整剤及び/又は摩擦低減剤として流体に含まれ、そのような用途には、ダウンホール動作/流体(例えば、水圧破砕及び増進石油回収における)が含まれる。
【0152】
本明細書の摂取可能な製品の例としては、食品、飲料、動物の飼料、動物の健康及び/若しくは栄養製品並びに/又は医薬品が含まれる。摂取可能な製品に現在開示されている組成物の意図される用途は、例えば、質感を提供すること、体積を加えること、及び/又は増粘することであり得る。
【0153】
摂取可能な製品のために本開示の組成物を使用する更なる例としては、以下のような使用が挙げられる。膨化、結合及び/又は被覆成分;着色料、香味料/香料及び/又は高甘味度甘味料のための担体:噴霧乾燥添加物;膨化剤、増粘剤、分散剤及び/又は乳化剤;並びに水分保持を促進する成分(保湿剤)。本明細書の組成物を用いて調製され得る製品の実例としては、食品、飲料製品、医薬品、栄養製品及びスポーツ製品が挙げられる。本明細書の飲料品の例としては、濃縮飲料混合物、炭酸飲料、非炭酸飲料、フルーツ味の飲料、果汁、茶、コーヒー、牛乳、ネクター、粉末状飲料、液体濃縮物、乳飲料、レディトゥドリンク(RTD)製品、スムージー、アルコール飲料、フレーバーウォーター及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書の食品の例としては、焼成製品(例えば、パン)、菓子、冷凍乳製品、肉、人工/合成/培養肉、穀物製品(例えば、朝食用シリアル)、乳製品(例えば、ヨーグルト)、香辛料(例えば、マスタード、ケチャップ、マヨネーズ)、スナックバー、スープ、ドレッシング、ミックス、加工食品、ベビーフード、ダイエット食品、ピーナッツバター、シロップ、甘味料、食品コーティング、ペットフード、動物飼料、動物健康栄養製品、ドライフルーツ、ソース、グレイビーソース、ジャム/ゼリー、デザート製品、スプレッド、バター、パン粉、スパイスミックス、砂糖衣などが挙げられる。いくつかの態様では、本明細書の組成物は、飲料(例えば、酪農飲料、非酪農代替飲料(例えば、豆乳、アーモンドミルク若しくはココナツミルクなどの「ヴィーガン」ミルク)、酪農クリーマー及び/又は非酪農クリーマー(例えば、コーヒー[例えば、カプチーノ]、茶[例えば、チャイティー])などのホット飲料用)の発泡を提供又は増強することができる。
【0154】
本明細書の組成物([i]不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は[ii]不溶性アルファ-グルカン及び添加剤を含む)は、例えば、パーソナルケア製品、医薬製品、家庭用製品、工業製品又は摂取可能な製品(例えば、食品)中において、所望の増粘度及び/又は分散度を提供する量で含まれ得る。製品中の開示された組成物の濃度又は量の例は、上に提供された重量百分率のいずれかである。
【0155】
いくつかの態様では、(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書の組成物は、ファブリックケア組成物の形態であり得る。織物ケア組成物は、手洗い、洗濯機洗浄及び/又は他の目的例えば織物の浸漬及び/又は前処理等の他の目的のために使用できる。織物ケア組成物は、例えば、洗濯用洗剤;織物コンディショナー、任意の洗濯用製品、リンス用製品又は乾燥機添加製品;単位用量又はスプレーの形態を取り得る。液体形態の織物ケア組成物は、水性組成物の形態であり得る。他の実施形態では、織物ケア組成物は、例えば顆粒状洗剤又は乾燥機添加用織物柔軟剤シート等の乾燥形態であり得る。本明細書の織物ケア組成物の他の非限定的な例としては、顆粒状又は粉末状の万能又は重質洗浄剤;液体、ジェル又はペースト形態の万能又は重質洗浄剤;液体又はドライの細(例えば、繊細)繊維用洗剤;例えば漂白用添加物、「ステイン・スティック」又は前処理剤等の洗浄補助剤;基質積載製品、例えばドライワイプ又はウェットワイプ、パッド又はスポンジ;スプレー剤及びミスト剤;水溶性単位用量製品が挙げられる。更なる例として、本明細書の組成物は、液体、ゲル、粉末、親水コロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、ビーズ又はトローチ、単一区画サシェ、複数区画サシェ、単一区画パウチ、又は複数区画パウチの形態であり得る。
【0156】
本明細書の洗剤組成物は、例えば、粉末、顆粒、ペースト、バー、単位用量又は液体などの任意の有用な形態であり得る。液体洗剤は、典型的には、最大約70重量%の水及び0重量%~約30重量%の有機溶媒を含有する水性であり得る。液体洗剤は、水を約30重量%のみ含有するコンパクトジェルの形態でもあり得る。
【0157】
本明細書において、洗剤組成物(例えば、ファブリックケア製品又は本明細書における任意の他の製品)は、典型的には、1種以上の界面活性剤を含み、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、洗剤組成物の約0.1重量%~約60重量%の濃度で存在し、代替の実施形態では、濃度は、約1重量%~約50重量%であり、なお更なる実施形態では、濃度は、約5重量%~約40重量%である。洗剤は、通常、0重量%~約50重量%のアニオン性界面活性剤、例えば直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルファ-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸塩(高級アルコール硫酸エステル塩)(AS)、アルコールエトキシサルフェート(AEOS又はAES)、第二級アルカンスルホネート(SAS)、アルファ-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル-若しくはアルケニルコハク酸又は石鹸を含有するであろう。加えて、洗剤組成物は、任意選択的に、0重量%~約40重量%のノニオン性界面活性剤、例えば、(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第92/06154号パンフレットに記載されている)アルコールエトキシレート(AEO又はAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミン、脂肪酸モノエタノールアミド又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドを含有し得る。
【0158】
本明細書の洗剤組成物は、任意選択的に、1種以上の洗剤ビルダー若しくはビルダー系を含む。いくつかの態様では、酸化されたアルファ-1,3-グルカンをコビルダーとして含めることができ、本明細書で使用するための酸化アルファ-1,3-グルカン化合物は、米国特許出願公開第2015/0259439号明細書において開示されている。少なくとも1つのビルダーを組み込むいくつかの態様では、洗浄組成物は、ビルダーを組成物の少なくとも約1重量%、約3重量%~約60重量%又は更に約5重量%~約40重量%含む。ビルダーの例は、アルカリ金属、ポリリン酸のアンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属カーボネート、アルミノケイ酸塩、ポリカルボン酸化合物、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、マレイン酸無水物とエチレン若しくはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、例えばエチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸、並びにポリカルボン酸塩、例えばメリット酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸及びこれらの可溶塩が挙げられる。洗剤ビルダー又は錯化剤の更なる例としては、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例えば、Hoechst製のSKS-6)が挙げられる。
【0159】
いくつかの実施形態では、ビルダーは、クエン酸塩及びポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム及びミックストリポリリン酸ナトリウム・カリウムなど)などの水溶性の硬質イオン錯体(例えば、金属イオン封鎖ビルダー)を形成する。任意の好適なビルダーは、当技術分野において公知のビルダーも含めて本開示で使用が見られると考えられる(例えば、欧州特許第2100949号明細書を参照されたい)。
【0160】
いくつかの実施形態では、好適なビルダーとして、リン酸塩ビルダー及び非リン酸塩ビルダーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、ビルダーは、リン酸塩ビルダーである。いくつかの実施形態では、ビルダーは、非リン酸塩ビルダーである。ビルダーは、組成物の0.1重量%~80重量%、5重量%~60重量%又は10重量%~50重量%の濃度で使用され得る。いくつかの実施形態では、生成物は、リン酸塩ビルダー及び非リン酸塩ビルダーの混合物を含む。好適なリン酸塩ビルダーとしては、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩又はオリゴマーポリリン酸塩、例えばこれらの化合物のアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)であり得る。更に、組成物は、炭酸塩及び/又はクエン酸塩、好ましくは中性pH組成物を達成するのに役立つクエン酸塩を含み得る。他の好適な非リン酸塩ビルダーとしては、ポリカルボン酸及びそれらの部分又は完全中和塩のホモポリマー及びコポリマー、モノマーポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸並びにそれらの塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記化合物の塩として、アンモニウム塩及び/又はアルカリ金属塩、すなわちリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩、例えばナトリウム塩が挙げられる。好適なポリカルボン酸としては、非環式、脂環式、複素環式及び芳香族カルボン酸が挙げられるが、ここで、いくつかの実施形態では、それらは、それぞれの場合に相互から、一部の例では2つ以下の炭素原子によって相互から分離できる少なくとも2つのカルボキシル基を含有し得る。
【0161】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1つのキレート剤を含み得る。好適なキレート剤としては、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。少なくとも1つのキレート剤を使用する実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%~約15重量%又は更に約3.0重量%~約10重量%のキレート剤を含む。
【0162】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1つの沈着助剤を含み得る。好適な沈着助剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボン酸塩、汚れ放出ポリマー、例えばポリテレフタル酸、粘土、例えばカオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイト及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0163】
本明細書の洗剤組成物は、1つ又は複数の染料移動阻害剤を含み得る。好適なポリマー染料移動阻害剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾールのコポリマー又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。更なる染料移動阻害剤としては、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾールのコポリマー並びに/又はそれらの混合物が挙げられる。そのキレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP);ヒドロキシ-エタン二リン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS);メチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDTA);2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO);又はメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩)(GLDA);ニトリロ三酢酸(NTA);4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸;クエン酸及びそれらの任意の塩;N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)並びに単独又は上記のいずれかと組み合わせて使用できるそれらの誘導体が挙げられる。少なくとも1つの染料移動阻害剤を使用する実施形態では、本明細書の組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%又は更に約0.1重量%~約3重量%を含み得る。
【0164】
本明細書の洗剤組成物は、ケイ酸塩を含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び/又はフィロケイ酸塩)の使用が見られる。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の約1重量%~約20重量%の濃度で存在する。一部の実施形態では、ケイ酸塩は、本組成物の約5重量%~約15重量%の濃度で存在する。
【0165】
本明細書の洗剤組成物は、分散剤を含み得る。好適な水溶性有機材料としては、その中でポリカルボン酸が2つ以下の炭素原子で相互から分離された少なくとも2つのカルボキシル基を含むホモポリマー酸若しくはコポリマー酸又はそれらの塩が挙げられるが、それらに限定されない。
【0166】
本明細書の洗剤組成物は、例えば、追加的に1つ又は複数の上記で開示された酵素を含み得る。いくつかの態様では、洗剤組成物は、それぞれが組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度にある1つ又は複数の酵素及び残りの量のクリーニング補助物質を含み得る。いくつかの他の態様では、洗剤組成物は、各酵素を組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%又は約0.005重量%~約0.5重量%の濃度でも含み得る。本明細書の洗剤組成物に含まれる酵素は、従来の安定剤、例えば、プロピレングリコール又はグリセロールなどのポリオール、糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)を用いて安定化され得る。
【0167】
いくつかの態様における洗浄剤組成物は、本明細書に開示されるような(不溶性アルファ-グルカン、可溶性アルファ-グルカン誘導体)に加えて、1つ又は複数の他のタイプのポリマーを含んでもよい。本明細書で有用なポリマーの他の種類の例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキストラン、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリカルボキシレート、例えばポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーなどが挙げられる。
【0168】
本明細書の洗剤組成物は、漂白系を含有し得る。例えば、漂白系は、H起源、例えば過酸形成漂白活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)と結合することのできる過ホウ酸塩又は過炭酸塩を含み得る。又は、漂白系は、ペルオキシ酸(例えば、アミド、イミド又はスルホンタイプのペルオキシ酸)を含み得る。代わりに更に、漂白系は、例えば、国際公開第2005/056783号パンフレットに記載された系などのペルヒドロラーゼを含む酵素的漂白系であり得る。
【0169】
本明細書の洗剤組成物は、織物コンディショナー、粘度、起泡力増進剤、抑泡剤、防食剤、汚れ懸濁剤、再汚染防止剤、染料、殺菌剤、変色防止剤、蛍光増白剤又は香料などの従来の洗剤成分も含有し得る。本明細書の洗剤組成物の(使用濃度で水溶液中において測定した)pHは、通常、中性又はアルカリ性(例えば、約7.0~約11.0のpH)である。
【0170】
本明細書のファブリックケア製品のための好適な再付着防止剤及び/又は粘土質汚れ除去剤の例としては、ポリエトキシ両性イオン性界面活性剤、アクリル酸若しくはメタクリル酸とアクリル酸若しくはメタクリル酸-酸化エチレン凝縮体との水溶性コポリマー(例えば、米国特許第3719647号明細書)、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース(例えば、米国特許第3597416号明細書及び同第3523088号明細書)並びにノニオン性アルキルポリエトキシ界面活性剤、ポリエトキシアルキル第四級カチオン性界面活性剤及び脂肪酸アミド界面活性剤を含む混合物(例えば、米国特許第4228044号明細書)が挙げられる。他の適切な再付着防止剤及び粘土質汚れ除去剤の非限定的な例は、米国特許第4597898号明細書及び同第4891160号明細書並びに国際公開第95/32272号パンフレット(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0171】
本明細書に開示される目的に適合させることができる洗剤組成物の特定の形態は、例えば、その全てが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20090209445A1号明細書、米国特許出願公開第20100081598A1号明細書、米国特許第7001878B2号明細書、欧州特許第1504994B1号明細書、国際公開第2001085888A2号パンフレット、国際公開第2003089562A1号パンフレット、国際公開第2009098659A1号パンフレット、国際公開第2009098660A1号パンフレット、国際公開第2009112992A1号パンフレット、国際公開第2009124160A1号パンフレット、国際公開第2009152031A1号パンフレット、国際公開第2010059483A1号パンフレット、国際公開第2010088112A1号パンフレット、国際公開第2010090915A1号パンフレット、国際公開第2010135238A1号パンフレット、国際公開第2011094687A1号パンフレット、国際公開第2011094690A1号パンフレット、国際公開第2011127102A1号パンフレット、国際公開第2011163428A1号パンフレット、国際公開第2008000567A1号パンフレット、国際公開第2006045391A1号パンフレット、国際公開第2006007911A1号パンフレット、国際公開第2012027404A1号パンフレット、欧州特許第1740690B1号明細書、国際公開第2012059336A1号パンフレット、米国特許第6730646B1号明細書、国際公開第2008087426A1号パンフレット、国際公開第2010116139A1号パンフレット、及び国際公開第2012104613A1号パンフレットに開示される。
【0172】
本明細書の洗濯用洗剤組成物は、任意選択的に、重質(万能)洗濯用洗剤組成物であり得る。典型的な強力洗濯用洗剤組成物は、アニオン性洗浄性界面活性剤(1群の直鎖若しくは分岐鎖若しくはランダム鎖の置換若しくは未置換アルキルスルファート、アルキルスルホネート、アルコキシル化アルキルスルファート、アルキルホスファート、アルキルホスホネート、アルキルカルボキシレート及び/又はそれらの混合物から選択される)及び任意選択的に非イオン性界面活性剤(1群の直鎖若しくは分岐鎖若しくはランダム鎖の置換若しくは未置換アルコキシル化アルコールアルキル、例えば、C8~C18エトキシル化アルキルアルコール及び/又はC6~C12アルキルフェノールアルコキシレートから選択される)洗浄性界面活性剤(10重量/重量%~40重量/重量%)を含み、ここで、アニオン性洗浄性界面活性剤(6.0~9の親水性指数(HIc)を備える非イオン性洗浄性界面活性剤の重量比は1:1より大きい。好適な洗浄性界面活性剤としては更に、カチオン洗浄性界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル三元スルホニウム化合物及び/又はこれらの混合物の群から選択される);双性及び/又は両性洗浄性界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインの群から選択される);両性界面活性剤;半極性非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0173】
重質洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤には、任意選択的に、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー(分枝状親水性及び疎水性を有するアルコキシル化ポリマー、例えば0.05重量%~10重量%の範囲のアルコキシル化ポリアルキレンイミンなどの群から選択される)及び/又はランダムグラフトポリマー(典型的には、不飽和C1~C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、グリセロールなどの飽和ポリアルコール及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性骨格と、C4~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1~C6モノ-カルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC1~C6アルキルエステル及びそれらの混合物からなる群から選択される疎水性側鎖とからなる)からなる界面活性増強性ポリマーを含むことができる。
【0174】
例えば重質洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤には、任意選択的に、追加のポリマー、例えば汚れ放出ポリマー(アニオン性で末端キャップされたポリエステル、例えばSRP1などのランダム又はブロック構造にある糖、ジカルボン酸、ポリオール及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマー、ランダム又はブロック構造にあるエチレンテレフタレートをベースとするポリマー及びそれらのコポリマー、例えばREPEL-O-TEX SF、SF-2 AND SRP6、TEXCARE SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300 AND SRN325、MARLOQUEST SLが含まれる)を含むことができ、本明細書の再付着防止剤(0.1重量%~10重量%)には、500~100,000Daの範囲内の分子量のカルボキシレートポリマー、例えばアクリル酸、マレイン酸(又はマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸及びそれらの任意の混合物、ビニルピロリドン、ビニルピロリドンホモポリマー及び/又はポリエチレングリコールから選択される少なくとも1つのモノマーを含むポリマー;並びにポリマーカルボキシレート(例えば、マレエート/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマー)が含まれる。
【0175】
例えば重質洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤には、任意選択的に、更に飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12~C24脂肪酸(0重量%~10重量%);本明細書に開示した沈着助剤(それらの例には、多糖類、セルロースポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)及びランダム又はブロック構造にあるDAD MACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリウムハロゲン化物及びそれらの混合物とのコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアクリルアミド及びそれらの混合物が含まれる)が含まれ得る。
【0176】
例えば重質洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、任意選択的に、その例として、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール並びに/又はそれらの混合物が挙げられる染料移動阻害剤、その例にはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO)又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸、クエン酸及びそれらの任意の塩、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)及びそれらの誘導体が挙げられるキレート剤を含み得る。
【0177】
例えば重質洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、任意選択的に、シリコーン又は脂肪酸をベースとする石鹸泡抑制剤;ぼかし染料(hueing dye)、カルシウムカチオン及びマグネシウムカチオン、視覚的シグナル伝達成分、消泡剤(0.001重量%~約4.0重量%)及び/又はジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ゲランガム並びにそれらの混合物からなる群から選択される構造化剤/増粘剤(0.01重量%~約5重量%)を含み得る。構造化剤は、構造剤とも呼ぶことができる。
【0178】
本明細書の洗剤は、例えば、重質乾燥/固体洗濯用洗剤組成物の形態であり得る。そのような洗剤は、(i)洗浄性界面活性剤、例えば本明細書に開示した任意のアニオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示した任意のノニオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示した任意のカチオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示した任意の両性イオン性及び/若しくは両性洗浄性界面活性剤並びにそれらの混合物;(ii)ビルダー、例えば任意の無リンビルダー(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のゼオライトビルダー)、任意のリン酸塩ビルダー(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のトリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸、クエン酸塩及びニトリロ三酢酸、任意のケイ酸塩(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のケイ酸ナトリウム若しくはカリウム又はメタケイ酸ナトリウム);任意の炭酸塩(例えば、0重量%~80重量%未満の範囲内の炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム)及びそれらの混合物;(iii)漂白剤、例えば光漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料及びそれらの混合物)、任意の疎水性若しくは親水性漂白活性化剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸若しくはそれらの塩、3,5,5-トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラアセチルエチレンジアミン-TAED、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート-NOBS、ニトリルクアット及びそれらの混合物)、過酸化水素の任意の起源(例えば、その例には過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩若しくは過ケイ酸塩のモノ若しくはテトラハイドレートナトリウム塩が含まれる無機ペルハイドレート塩)、任意の予備形成親水性及び/若しくは疎水性過酸(例えば、過カルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、過イミド酸及び塩、ペルオキソ一硫酸及び塩並びにそれらの混合物);並びに/又は(iv)任意の他の成分、例えば漂白触媒(例えば、その例にはイミニウムカチオン及びポリイオン、イミニウム両性イオン、改質アミン、改質アミンオキシド、N-スルホニルイミン、N-ホスホニルイミン、N-アシルイミン、チアジアゾールジオキシド、ペルフルオロイミン、環状糖ケトン及びそれらの混合物が含まれるイミン系漂白増強剤)並びに金属含有漂白触媒(例えば亜鉛又はアルミニウムなどの補助金属カチオン及び例えばEDTA、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)などの金属イオン封鎖剤と一緒に、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン又はマンガンカチオン)を含み得る。
【0179】
例えば、織物のケア(例えば、洗濯)のためのものなどの本明細書の洗剤は、単位用量(例えば、小袋又はポーチ)に含まれ得る。単位用量の形態は、液体又は固体洗剤組成物を完全に封入する水溶性外側フィルムを含み得る。単位用量は、単一の区画又は少なくとも2つ、3つ又はそれを超える(複数の)区画を含み得る。複数の区画は、重ね合わせる向き又は横並びの向きに配置され得る。本明細書の単位用量は、典型的には、水との接触前に含有物を放出することなく、その含有物の保持及び保護のために適切ないずれかの形態/形状の閉鎖構造である。
【0180】
(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書に開示される組成物は、例えば、布地柔軟剤(液体布地柔軟剤)の形態であるか、又はそれを含むことができる。そのような組成物の例は、典型的には洗濯洗剤組成物(例えば、洗濯機における洗濯物すすぎサイクルで使用されるような洗濯物すすぎ)で材料含有布地を洗浄した後、本明細書の材料含有布地を洗濯する際に使用されるリンスである。布地柔軟剤(例えば、リンス)を含む組成物中の(i)又は(ii)(上記)の組成物の濃度は、例えば、約又は少なくとも約、20、30、40、50、60、70、80、20~80、20~70、20~60、30~80、30~70、30~60、40~80、40~70、又は40~60ppmであり得る。組成物(例えば、リンス)中の布地柔軟剤の濃度は、例えば、約又は少なくとも約、50、75、100、150、200、300、400、500、600、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、100~600、100~500、100~400、100~300、100~200、10~600、50~500、50~400、50~300、50~200、200~600、200~500、200~400、又は200~300ppmであり得る。布地柔軟剤濃度は、(必ずしも布地柔軟剤の個々の成分に基づかずに)添加された布地柔軟剤組成物全体に基づくか、又は布地柔軟剤配合物中の1つ又は複数の布地柔軟剤に基づくことができる。本明細書の布地柔軟剤は、例えば、布地柔軟剤(例えば、ジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド)、帯電防止剤、香料、湿潤剤、粘度調整剤(例えば、塩化カルシウム)、pH緩衝剤/緩衝剤(例えば、ギ酸)、抗菌剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤(例えば、塩化アンモニウム)、キレート剤/ビルダー(例えば、ジエチレントリアミンペンタアセテート)、消泡剤/潤滑剤(例えば、ポリジメチルシロキサン)、防腐剤(例えば、ベンゾイソチアゾリノン)及び着色剤の1つ又は複数を更に含むことができる。いくつかの態様では、布地柔軟剤は、布地柔軟剤、粘度調整剤、pH緩衝剤/緩衝剤、ラジカル捕捉剤、キレート剤/ビルダー及び消泡剤/潤滑剤の1つ又は複数を更に含むことができる。布地柔軟剤は、いくつかの態様では、無香料及び/又は無染料であるか、又は約0.1重量%未満の香料及び/又は染料を有することができる。いくつかの態様では、本明細書での使用に適合させることができる布地柔軟剤は、米国特許出願公開第2014/0366282号明細書、第2001/0018410号明細書、第2006/0058214号明細書、第2021/0317384号明細書若しくは第2006/0014655号明細書、又は特許出願公開国際公開第2007/078782号パンフレット、同第1998/016538号パンフレット、同第1998/012293号パンフレット、同第1998007920号パンフレット、同第2000/070004号パンフレット、同第2009/146981号パンフレット、同第2000/70005号パンフレット又は同第2013087366号パンフレットのいずれかに開示され得る。本明細書での使用に適合させることができる布地柔軟剤のいくつかのブランドには、所望であれば、DOWNY、DOWNY ULTRA、DOWNY INFUSIONS、ALL、SNUGGLE、LENOR及びGAINが含まれる。液体布地柔軟剤製品(例えば、洗濯物すすぎサイクルで使用される前に存在するように)は、いくつかの態様では、少なくとも(i)又は(ii)(上記)の組成物を含むように製剤化することができる。
【0181】
(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書に開示される組成物は、例えば、食器洗い用洗剤組成物の形態であり得る。食器洗浄用洗剤の例としては、自動食器洗浄機用洗剤(典型的には、食器洗浄機で使用される)及び手洗い食器用洗剤が挙げられる。食器洗浄用洗剤組成物は、例えば、本明細書に開示された任意の乾燥又は液体/水性形態であり得る。食器洗浄用洗剤組成物のいくつかの態様に含まれ得る成分としては、例えば、リン酸塩;酸素系若しくは塩素系漂白剤;非イオン性界面活性剤;アルカリ性塩(例えば、メタケイ酸塩;アルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム);本明細書で開示される任意の活性酵素;防錆剤(例えば、ケイ酸ナトリウム);消泡剤;セラミックスからの艶及び模様の除去を減速するための添加物;香料;固化防止剤(顆粒状洗剤中);デンプン(錠剤系洗剤中);ゲル化剤(液体/ジェル系洗剤中);並びに/又は砂(粉末状洗剤)の1つ又は複数が挙げられる。
【0182】
例えば自動食器洗い機用洗剤又は液体食器洗い用洗剤などの食器洗い用洗剤は、(i)0~10重量%の量で存在する任意のエトキシル化ノニオン性界面活性剤、アルコキシル化アルコール界面活性剤、エポキシキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール若しくはアミンオキシド界面活性剤を含むノニオン性界面活性剤;(ii)約5~60重量%の範囲内の、任意のリン酸塩ビルダー(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩、他のオリゴマーポリリン酸塩、ナトリウムトリポリリン酸塩-STPP)、任意の無リンビルダー(例えば、メチル-グリシン二酢酸[MGDA]及びそれらの塩又は誘導体、グルタミン-N,N-二酢酸[GLDA]及びそれらの塩若しくは誘導体、イミノ二コハク酸(IDS)及びそれらの塩又は誘導体、カルボキシメチルイヌリン及びそれらの塩又は誘導体、ニトリロ三酢酸[NTA]、ジエチレントリアミン五酢酸[DTPA]、B-アラニン二酢酸[B-ADA]及びそれらの塩を含むアミノ酸ベースの化合物)、ポリカルボン酸及びそれらの部分若しくは完全中和塩のホモポリマー及びコポリマー、0.5重量%~50重量%の範囲内のモノマーポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸及びそれらの塩又は0.1重量%~約50重量%の範囲内のスルホン化/カルボキシル化ポリマーを含むビルダー;(iii)0.1重量%~約10重量%の範囲内の乾燥助剤(例えば、任意選択的にまた別の3~6つの官能基-典型的には重縮合を誘導する酸、アルコール若しくはエステル官能基を備えるモノマーと一緒にポリエステル、特にアニオン性ポリエステル、ポリカーボネート-、ポリウレタン-及び/又はポリウレア-ポリオルガノシロキサン化合物若しくはそれらの、特に反応性環状炭酸塩及びウレアタイプの前駆体化合物);(iv)約1重量%~約20重量%の範囲内のケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム若しくはカリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び結晶性フィロケイ酸塩);(v)無機漂白剤(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などのペルハイドレート塩)及び/又は有機漂白剤(例えば、ジアシル-及びテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカン二酸及びジペルオキシヘキサデカン二酸などの有機ペルオキシ酸);(vi)漂白活性化剤(例えば、0.1重量%~約10重量%の範囲内の有機過酸前駆体)及び/又は漂白触媒(例えば、マンガントリアザシクロノナン及び関連錯体;Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連錯体;及びペンタミンコバルト(III)酢酸塩及び関連錯体);(vii)0.1重量%~5重量%の範囲内の金属ケア剤(例えば、ベンザトリアゾール、金属塩及び錯体及び/又はケイ酸塩);(viii)約0.1重量%~5重量%の範囲のガラス腐食防止剤(例えば、マグネシウム、亜鉛、又はビスマスの塩及び/又は錯体);並びに/或いは(ix)自動食器洗い機用洗剤組成物1グラム当たり約0.01~5.0mgの範囲内の活性酵素の本明細書に開示した任意の活性酵素並びに酵素安定化剤(例えば、オリゴ糖、多糖及び無機二価金属塩)を含み得る。いくつかの態様では、食器洗い用洗剤成分又は組成物全体(しかし、それに応じて本明細書の組成物を含むように適合されている)は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8575083号明細書若しくは第9796951号明細書、又は米国特許出願公開第2017/0044468号明細書に開示される通りであり得る。
【0183】
食器ケア用などの本明細書の洗剤は、例えば、単位用量(例えば、サシェ又はパウチ)(例えば、水溶性単位用量品)で含むことができ、布地ケア用洗剤について上述したようにすることができるが、むしろ適切な食器洗剤組成物を含むことができる。
【0184】
多くの市販の洗剤製剤は、(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書の組成物を含むように適合させることができると考えられる。市販の洗剤製剤の例には、PUREX(登録商標)ULTRAPACKS(Henkel)、FINISH(登録商標)QUANTUM(Reckitt Benckiser)、CLOROX(商標)2 PACKS(Clorox)、OXICLEAN MAX FORCE POWER PAKS(Church&Dwight)、TIDE(登録商標)STAIN RELEASE、CASCADE(登録商標)ACTIONPACS、及び TIDE(登録商標)PODS(商標)(Procter&Gamble)が含まれる。
【0185】
(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書に開示される組成物は、例えば、口腔ケア組成物の形態であり得る。口腔ケア組成物の例としては、何らかの形態の口腔ケア(例えば、虫歯[う蝕]、歯肉炎、歯垢、歯石及び/又は歯周疾患の治療又は予防)を提供する歯磨き剤、練り歯磨き、洗口液、口内洗浄剤、チューインガム及び可食ストリップが挙げられる。口腔ケア組成物は、舌の表面、硬口蓋若しくは軟口蓋、頬粘膜、歯肉及び歯表面等を含む口腔内の柔らかい又は硬い表面を全て包含する「口腔面」の治療に用いることもできる。本明細書では、「歯表面」は、例えば、天然歯の表面又はクラウン、キャップ、詰め物、ブリッジ、義歯、若しくは歯科用インプラント等の人工歯の硬質表面である。
【0186】
本明細書の口腔ケア組成物は、例えば、約0.01~15.0重量%(例えば、約0.1~10重量%又は約0.1~5.0重量%、約0.1~2.0重量%)の本明細書に開示される組成物を含むことができる。口腔ケア組成物に含まれる本明細書の組成物は、ときに、組成物に増粘剤及び/又は分散剤として提供することができ、それは、組成物に所望の稠度及び/又は口当たりを付与するのに有用であり得る。本明細書の口腔ケア組成物には、例えば、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン(例えば、L-カラギーナン)、天然ゴム(例えば、カラヤ、キサンタン、アラビアゴム、トラガカント)、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウム又はコロイドシリカなどの1つ又は複数の他の増粘剤又は分散剤も提供することができる。
【0187】
本明細書の口腔ケア組成物は、例えば、練り歯磨き又は他の歯磨き剤であり得る。本明細書のこのような組成物及び他の任意の口腔ケア組成物は、限定はされないが、追加して虫歯予防薬、抗微生物剤若しくは抗菌剤、抗歯石剤若しくは歯石防止剤、界面活性剤、研磨剤、pH調節剤、起泡調節剤、保湿剤、香味剤、甘味料、顔料/着色料、増白剤及び/又は他の好適な成分の1種以上を含み得る。本明細書の組成物を添加することができる口腔ケア組成物の例は、米国特許出願公開第2006/0134025号明細書、同第2002/0022006号明細書及び同第2008/0057007号明細書に開示されており、これらは、参照により本明細書に組込まれる。
【0188】
本明細書の虫歯予防薬は、経口的に許容されるフッ化物イオン源であり得る。好適なフッ化物イオン源としては、例えば、フッ素化合物、モノフルオロリン酸塩及びフルオロケイ酸塩並びにオラフルル(N’-オクタデシルトリメチレンジアミン-N,N,N’-トリス(2-エタノール)-ジヒドロフルオリド)を含むアミンフッ化物が挙げられる。う食予防薬は、例えば、組成物に総計約100~20000ppm、約200~5000ppm若しくは約500~2500ppmのフッ化物イオンを提供する量で存在することができる。フッ化ナトリウムがフッ化物イオンの単独源である場合の口腔ケア組成物では、例えば、約0.01~5.0重量%、約0.05~1.0重量%又は約0.1~0.5重量%の量のフッ化ナトリウムが組成物中に存在し得る。
【0189】
本明細書の口腔ケア組成物の使用に適切な抗微生物剤又は抗菌剤は、例えば、フェノール化合物(例えば、4-アリルカテコール、ベンジルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン及びプロピルパラベンなどのp-ヒドロキシ安息香酸エステル、2-ベンジルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カプサイシンン、カルバクロール、クレオソール、オイゲノール、グアイアコール、ヘキサクロロフェン及びブロモクロロフェンなどのハロゲン化ビスフェノール、4-ヘキシルレゾルシノール、8-ヒドロキシキノリン及びその塩、サリチル酸メンチル、サリチル酸メチル及びサリチル酸フェニルなどのサリチル酸エステル、フェノール、ピロカテコール、サリチルアニリド、チモール、トリクロサン及びトリクロサン一リン酸などのハロゲン化ジフェニルエーテル化合物)、銅(II)化合物(例えば、塩化銅(II)、フッ化物、硫酸塩及び水酸化物)、亜鉛イオン源(例えば、亜鉛酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、グリシン酸塩、酸化物及び硫酸塩)、フタル酸及びその塩(例えば、フタル酸マグネシウム一カリウム)、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、臭化ドミフェン、塩化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、塩化N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム)、ヨウ素、スルホンアミド、ビスビグアニド(例えば、アレキシジン、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン)、ピペリジン誘導体(例えば、デルモピノール、オクタピノール)、マグノリア抽出物、グレープシード抽出物、ローズマリー抽出物、メンソール、ゲラニオール、シトラール、オイカリプトール、抗生物質(例えば、オウグメンチン、アモキシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、クリンダマイシン)、及び/又は参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5776435号明細書に開示された任意の抗菌剤を含む。1種以上の抗微生物剤は、任意選択的に、開示した口腔ケア組成物中において、例えば約0.01~10重量%(例えば、0.1~3重量%)で存在し得る。
【0190】
本明細書の口腔ケア組成物の使用に好適な抗歯石剤又は歯石防止剤としては、例えば、リン酸塩及びポリリン酸塩(例えば、ピロリン酸塩)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、ポリオレフィンスルホン酸塩、ポリオレフィンリン酸塩、ジホスホン酸塩(例えば、アザシクロヘプタン-2,2-ジホスホン酸等のアザシクロアルカン-2,2-ジホスホン酸塩)、N-メチルアザシクロペンタン-2,3-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸(EHDP)、エタン-1-アミノ-1,1-ジホスホン酸塩並びに/又はホスホノアルカンカルボン酸及びその塩(例えば、そのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩)が挙げられる。有用な無機リン酸塩及びポリリン酸塩としては、例えば、一塩基性、二塩基性及び三塩基性リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸塩、ピロリン酸一ナトリウム、二ナトリウム、三ナトリウム及び四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、三メタリン酸ナトリウム、六メタリン酸ナトリウム又はこれらのナトリウムがカリウム若しくはアンモニウムで置換されたものが挙げられる。特定の実施形態における他の有用な抗歯石剤としては、アニオン性ポリカルボン酸塩ポリマー(例えば、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー等のアクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸のポリマー又はコポリマー)が挙げられる。更に他の有用な抗歯石剤としては、ヒドロキシカルボン酸等の金属イオン封鎖剤(例えば、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸及びシュウ酸並びにそれらの塩)及びアミノポリカルボン酸(例えば、EDTA)が挙げられる。1種以上の抗歯石剤又は歯石防止剤は、開示した口腔ケア組成物中において、任意選択的に例えば約0.01~50重量%(例えば、約0.05~25重量%又は約0.1~15重量%)で存在し得る。
【0191】
本明細書の口腔ケア組成物での使用に好適な界面活性剤は、例えば、アニオン性、非イオン性又は両性であり得る。好適なアニオン性界面活性剤としては、限定はされないが、C8~20アルキル硫酸塩の水溶性塩、C8~20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシン酸塩及びタウリン酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ油モノグリセリドスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、限定はされないが、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アミン酸化物、第三級ホスフィン酸化物及びジアルキルスルホキシドが挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、限定はされないが、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩又はホスホン酸塩等のアニオン基を有する、C8~20の第二級及び第三級脂肪族アミンの誘導体が挙げられる。好適な両性界面活性剤の一例は、ココアミドプロピルベタインである。1種以上の界面活性剤は、開示した口腔ケア組成物中において、任意選択的に例えば約0.01~10重量%(例えば、約0.05~5.0重量%又は約0.1~2.0重量%)の総量で存在する。
【0192】
本明細書の口腔ケア組成物中での使用に好適な研磨剤としては、例えば、シリカ(例えば、シリカゲル、ケイ酸、沈降シリカ)、アルミナ、不溶性リン酸塩、炭酸カルシウム及び樹脂研磨剤(例えば、尿素-ホルムアルデヒド縮合生成物)を挙げ得る。本明細書の研磨剤として有用な不溶性リン酸塩の例は、オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩及びピロリン酸塩であり、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸β-カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム及び不溶性ポリメタリン酸ナトリウムである。1種以上の研磨剤は、開示した口腔ケア組成物中において、任意選択的に例えば約5~70重量%(例えば、約10~56重量%又は約15~30重量%)の総量で存在する。特定の実施形態における研磨剤の平均粒径は、約0.1~30マイクロメートル(例えば、約1~20マイクロメートル又は約5~15マイクロメートル)である。
【0193】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1種のpH調節剤を含み得る。このような剤は、約2~10のpH範囲(例えば、約2~8、3~9、4~8、5~7、6~10又は7~9のpH範囲)に組成物のpHを酸性化する、より塩基性にする又は緩衝するために選択され得る。本明細書で有用なpH調節剤の例としては、限定はされないが、カルボン酸、ホスホン酸及びスルホン酸;酸塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、マレイン酸一ナトリウム);アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、セスキ炭酸塩);ホウ酸塩;ケイ酸塩;リン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸塩);及びイミダゾールが挙げられる。
【0194】
本明細書の口腔ケア組成物での使用に好適な起泡調節剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。例えば、約200000~7000000(例えば、約500000~5000000又は約1000000~2500000)の平均分子量を有するPEGを含む高分子量PEGが好適である。1種以上のPEGは、任意選択的に、開示した口腔ケア組成物中において、例えば約0.1~10重量%(例えば、約0.2~5.0重量%又は約0.25~2.0重量%)の総量で存在する。
【0195】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1種の保湿剤を含み得る。特定の実施形態における保湿剤は、グリセリン、ソルビトール、キシリトール又は低分子量PEG等の多価アルコールであり得る。最も好適な保湿剤は、本明細書の甘味料としても機能し得る。1種以上の保湿剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中において、例えば約1.0~70重量%(例えば、約1.0~50重量%、約2~25重量%又は約5~15重量%)の総量で存在する。
【0196】
天然若しくは人工甘味料は、本明細書の口腔ケア組成物中に任意選択的に含むことができる。好適な甘味料の例としては、デキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ(例えば、高フルクトースコーンシロップ又は固形コーンシロップ)、部分加水分解デンプン、水素化デンプン加水分解物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン及びその塩、ジペプチドをベースとする強力甘味料並びにシクラミン酸塩が挙げられる。1種以上の甘味料は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中において、例えば約0.005~5.0重量%の総量で存在する。
【0197】
本明細書の口腔ケア組成物中においては、任意選択的に天然又は人工香味剤が含まれ得る。好適な香味剤の例としては、バニリン;セージ;マジョラム;オランダセリ油;スペアミント油;シナモン油;冬緑油(サリチル酸メチル);ペパーミント油;チョウジ油;ベイ油;アニス油;ユーカリ油;カンキツ油;果実油;レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、アンズ、バナナ、ブドウ、リンゴ、イチゴ、サクランボ又はパイナップル等に由来する精油;コーヒー、ココア、コーラ、ピーナッツ又はアーモンド等のマメ又はナッツに由来する香味料;並びに吸着及びカプセル封入香味剤が挙げられる。更に本明細書の香味剤に包含されるのは、清涼又は温熱効果等を含む、口中に芳香及び/又は他の官能効果を与える成分である。このような成分としては、限定はされないが、メンソール、酢酸メンチル、乳酸メンチル、樟脳、ユーカリ油、オイカリプトール、アネトール、オイゲノール、カッシア、オキサノン、Irisone(登録商標)、プロペニルグアエトール、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミン、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタンアミド、3-(1-メントキシ)-プロパン-1,2-ジオール、桂皮アルデヒドグリセロールアセタール(CGA)及びメントングリセロールアセタール(MGA)が挙げられる。1種以上の香味剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中において、例えば約0.01~5.0重量%(例えば、約0.1~2.5重量%)の総量で存在する。
【0198】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1種の重炭酸塩を含み得る。例えば、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウム等の重炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アンモニウムを含む、経口的に許容される任意の重炭酸塩を使用することができる。1種以上の重炭酸塩は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中において、例えば約0.1~50重量%(例えば、約1~20重量%)の総量で存在する。
【0199】
特定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1種の増白剤及び/又は着色料を含み得る。好適な増白剤は、米国特許第8540971号明細書に開示されているもの等の過酸化物であり、これは、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書の好適な着色料としては、例えば、顔料、染料、レーキ及びパール剤等の特定の光沢又は反射率を付与する化学物質が挙げられる。本明細書の有用な着色料の具体例としては、タルク;マイカ;炭酸マグネシウム;炭酸カルシウム;ケイ酸マグネシウム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;シリカ;二酸化チタン;酸化亜鉛;赤色、黄色、褐色及び黒色酸化鉄;第二鉄アンモニウムフェロシアン化合物;マンガンバイオレット;ウルトラマリン;チタン化マイカ;並びにオキシ塩化ビスマスが挙げられる。1種以上の着色剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中において、例えば約0.001~20重量%(例えば、約0.01~10重量%又は約0.1~5.0重量%)の総量で存在する。
【0200】
本明細書の口腔ケア組成物中に任意選択的に含まれ得る更なる成分としては、例えば、1種以上の(上記の)酵素、ビタミン類及び抗接着剤が挙げられる。本明細書で有用なビタミン類の例としては、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB5及び葉酸が挙げられる。好適な抗接着剤の例としては、ソルブロール、フィシン及びクオラムセンシング阻害剤が挙げられる。
【0201】
本明細書におけるパーソナルケア、家庭用ケア、並びに他の製品及び成分の更なる例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8796196号明細書に開示されている任意のものであり得る。本明細書におけるパーソナルケア、家庭用ケア、並びに他の製品及び成分の例には、香水、芳香剤、空気臭低減剤、昆虫忌避剤及び殺虫剤、界面活性剤などの気泡発生剤、ペット用消臭剤、ペット用殺虫剤、ペット用シャンプー、消毒剤、硬質表面(例えば、床、タブ/シャワー、シンク、便器、ドアハンドル/パネル、ガラス/窓、自動車/自動車の外部又は内部)処理剤(例えば、洗浄剤、消毒剤及び/又はコーティング剤)、ワイプ及び他の不織布材料、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、皮膚軟化剤、油、医薬品、香味剤、及び懸濁化剤が含まれる。
【0202】
本開示は、材料を処理する方法にも関する。この方法は、本明細書に開示される(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む水性組成物と材料を接触させることを含む。
【0203】
本明細書の接触方法において水性組成物と接触させる材料は、いくつかの態様では、織物を含み得る。本明細書における織物は、天然繊維、合成繊維、半合成繊維又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。本明細書の半合成繊維は、化学的に誘導体化されている天然由来の材料を使用して製造され、その1つの例は、レーヨンである。本明細書の織物タイプの非限定的な例としては、(i)セルロース繊維、例えば綿(例えば、ブロードクロス、キャンバス、シャンブレー、シェニール、チンツ、コーデュロイ、クレトン、ダマスク、デニム、フランネル、ギンガム、ジャガード、ニット、マテラーゼ、オックスフォード、パーケール、ポプリン、プリッス、サテン、シャーサッカー、シアー、テリークロス、ツイル、ベルベット)、レーヨン(例えば、ビスコース、モーダル、リオセル)、リネン及びTencel(登録商標);(ii)タンパク質性繊維、例えばシルク、ウール及び関連哺乳動物繊維;(iii)合成繊維、例えばポリエステル、アクリル、ナイロンなど;(iv)ジュート、亜麻、ラミー、コイア、カポック、サイザル、ヘネッケン、アバカ、ヘンプ及びサンヘンプ由来の植物性長繊維;並びに(v)(i)~(iv)の織物の任意の組み合わせから製造された織物が挙げられる。織物タイプ(例えば、天然及び合成)の組み合わせを含む織物としては、例えば、綿繊維及びポリエステルの両方を備える織物が挙げられる。本明細書の1つ又は複数の織物を含有する材料/物品としては、例えば、衣類、カーテン、ドレープ、室内装飾材料、カーペット、ベッド用シーツ類、浴用リネン、テーブルクロス、寝袋、テント、自動車内装などが挙げられる。天然及び/又は合成繊維を含む他の材料としては、例えば、不織布、詰め物、紙及び発泡体が挙げられる。
【0204】
布と接触させる水性組成物は、例えば、布ケア組成物(例えば、洗濯用洗剤、布用柔軟剤)であり得る。したがって、特定の実施形態における処理方法は、その中で織物ケア組成物を使用する場合に織物ケア法又は洗濯法であると見なすことができる。本明細書の織物ケア組成物は、下記の織物ケアの利点(すなわち表面直接効果):しわ除去、しわ取り、防しわ性、織物摩耗減少、織物耐摩耗性、織物のけば立ち減少、織物の寿命延長、織物のカラー維持、織物の退色減少、染料移動の減少、織物の色復元、織物の汚れ減少、織物の汚れ放出、織物の形状保持、織物の平滑性増強、織物上への汚れ再付着防止、洗濯物の灰色化防止、織物の風合/手触りの向上及び/又は縮み減少の1つ又は複数を達成すると考えられる。
【0205】
本明細書の織物ケア法又は洗濯法を実施するための条件(例えば、時間、温度、洗浄/すすぎ量)の例は、国際公開第1997/003161号パンフレット並びに米国特許第4794661号明細書、同第4580421号明細書及び同第5945394号明細書(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。他の例では、織物を含む材料は、本明細書の水性組成物と、(i)少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110又は120分間に渡り、(ii)少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95℃(例えば、洗濯洗浄又はすすぎのためには、約15~30℃の「低」温、約30~50℃の「中」温、約50~95℃の「高」温)の温度で、(iii)約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のpH(例えば、約2~12又は約3~11のpH範囲)で、(iv)少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5又は4.0重量%の塩(例えば、NaCl)濃度で、又は(i)~(iv)の任意の組み合わせで接触させることができる。
【0206】
織物ケア法又は洗濯法における接触させる工程は、例えば、洗浄工程、浸漬工程及び/又はすすぎ工程のいずれかを含み得る。更にまた別の実施形態における材料若しくは織物を接触させる工程は、当技術分野において公知の任意の手段、例えば、溶解する、混合する、振とうする、スプレーする、処理する、浸漬する、フラッシュ洗浄する、上若しくは中に注入する、結合する、塗装する、コーティングする、塗布する、添加する、及び/又は有効量の本明細書の組成物を織物若しくは材料と通じさせる工程によって実施できる。なお更なる実施形態では、接触は、織物を処理して実質的表面効果を付与するために使用され得る。本明細書で使用する用語「布の風合い」又は「手触り」は、人が布に触ったときの官能反応を意味し、それは物理的、生理学的、心理学的、社会的、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。一実施形態では、織物の風合は、相対風合値を測定するためのPhabrOmeter(登録商標)システム(Nu Cybertek,Inc.Davis,CAから入手できる)を使用して測定できる(米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)[AATCC test method,“202-2012,Relative Hand Value of Textiles:Instrumental Method”])。
【0207】
布地を含む材料を処理するいくつかの態様では、(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤の水性組成物が布地に吸着する。この特徴は、本明細書の組成物を、(それらの粘度調整及び/又はビルダー効果に加えて)ファブリックケア組成物中の再付着防止剤及び/又はグレー化防止剤として有用にすると考えられる。本明細書の再付着防止剤又は灰色化防止剤は、汚れが取り除かれた後に洗浄水中の衣類に汚れが再付着しないようにするのに役立つ。
【0208】
上記の処理法において接触させることのできる他の材料としては、食器用洗剤(例えば、自動食器洗い機用洗剤又は食器手洗い用洗剤)を用いて処理できる表面が挙げられる。そのような材料の例としては、セラミック材料、磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、メラミンなど)及び木で作られた皿、グラス、ポット、鍋、グラタン皿、調理器具及び食卓食器(本明細書では集合的に「食器類」と呼ぶ)の表面が挙げられる。したがって、特定の実施形態における処理方法は、例えば、食器洗い法又は食器類洗浄法であると見なすことができる。本明細書の食器洗い又は食器洗浄方法を実施するための条件(例えば、時間、温度、洗浄体積)の例は、本明細書並びに参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8575083号明細書及び米国特許出願公開第2017/0044468号明細書に開示される。いくつかの態様では、食卓用食器製品は、本明細書の水性組成物を、例えば織物を含む材料と接触させることに関して上記に開示した条件のいずれかなどの好適な一連の条件下で接触させることができる。
【0209】
上記処理方法において接触させることができる他の材料としては、舌、硬口蓋及び軟口蓋、頬粘膜、歯肉及び歯の表面(例えば、天然の歯又は歯冠、キャップ、充填物、ブリッジ、義歯又は歯科用インプラント等の人工歯の硬質の表面)の表面を含む、口腔内の軟質又は硬質表面等の口腔表面が挙げられる。したがって、特定の実施形態における処理方法は、例えば、口腔ケア法又は歯科治療法であると見なすことができる。口腔表面を本明細書の水性組成物と接触させる条件(例えば、時間、温度)は、このような接触を行う使用目的に適したものでなければならない。処理方法で接触させることのできる他の表面としては、皮膚、毛髪又は爪等の外皮系の表面も挙げられる。
【0210】
したがって、本開示のいくつかの態様は、本開示の組成物を含む材料(例えば、布帛、又は本明細書に開示される繊維含有製品)に関する。そのような材料は、例えば、本明細書に開示した材料処理方法に従って生成することができる。材料は、例えば、組成物が材料の表面に吸着されているか、そうでなければ接触している場合、本明細書の組成物を含み得る。
【0211】
本明細書の材料を処理する方法のいくつかの態様は、材料を水性組成物と接触させた後、乾燥させる乾燥工程を更に含む。乾燥工程は、接触工程の直後に、又は接触工程に続く可能性がある1つ又は複数の追加の工程(例えば、本明細書の水性組成物中で洗浄した後の、例えば水中ですすいだ後の布地又は食器の乾燥)に続いて行うことができる。乾燥は、風乾(例えば、約20~25℃)又は例えば少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、170、175、180若しくは200℃の温度でなど、当技術分野で既知のいくつかの任意の手段で実施することができる。本明細書における乾燥させた材料は、典型的には、その材料中に3、2、1、0.5又は0.1重量%未満の水分を含む。織物は、任意選択的に乾燥させる工程を実施するために好ましい材料である。
【0212】
本明細書の処理方法において使用される水性組成物は、本明細書に開示した任意の水性組成物であってよい。水性組成物の例は、洗剤(例えば、洗濯用洗剤又は食器用洗剤)、織物用柔軟剤、及び練り歯磨きなどの水含有歯磨き剤を含む。
【0213】
いくつかの態様では、本明細書の水性組成物(例えば、分散液/エマルジョン)で処理することができる材料は不織布製品である。この処理は、本明細書の水性組成物の適用(本明細書に開示される任意の濃度で)、典型的にはその後の乾燥工程(例えば、風乾、加熱乾燥、真空乾燥;乾燥温度は、例えば、本明細書に開示される任意の適切な温度であり得る)を含むことができ、不織布製品を強化することができる(すなわち、それのためのバインダーとして作用する)。いくつかの態様では、本明細書に開示される粒子は、不織布の乾燥又は湿潤引張強度(N/5cmで測定)を、例えば約、又は少なくとも約、1000%、10000%、100000%、又は1000000%増加させることができる。したがって、本明細書では、本開示の粒子を含む結合剤/強化剤を含む不織布製品が更に提供される。いくつかの態様では、本明細書の粒子を含む不織布の乾燥又は湿潤引張強さは、約又は少なくとも約10、15、20、25、50、75、100、125、130、135、140、145、150、10~150、15~150、20~150、25~150、10~140、15~140、20~140又は25~140N/5cmであり得る。不織布製品中の不織布材料及び粒子の総重量基準で、その中の粒子の含有量は、約5、10、15、20、25、5~25、5~20、10~25又は10~20重量%であり得る。本明細書の不織布製品は、例えば、エアレイド、ドライレイド、ウェットレイド、カーデッド、電界紡糸、スパンレース、スパンボンド又はメルトブローされ得る。いくつかの態様では、不織布製品は、研磨又はスカーリングシート、農業用被覆、農業用シードストリップ、衣類用ライニング、自動車ヘッドライナー又はカバー、前掛け、チーズラップ、土木用織物、コーヒーフィルター、化粧用リムーバー又はアプリケーター、洗剤ポーチ/小袋、織物用軟化剤シート、封筒、フェースマスク、フィルター、ガーメントバッグ、熱又は電気伝導性織物、家庭用ケアワイプ(例えば、床ケア、ハード表面クリーニング、ペットケア用など)、ハウスラップ、衛生製品(例えば、生理用パッド/ナプキン、アンダーパッド)、絶縁材、ラベル、洗濯補助剤、医療用ケア又は身体傷害ケア製品(例えば、バンドエイド、キャストパディング又はカバー、ドレッシング、パック、滅菌用包装材料、滅菌パッケージング、外科用ドレープ、外科用ガウン、綿棒)、モップ、ナプキン又は紙タオル、紙、パーソナルワイプ又はベビーワイプ、再使用可能なバッグ、ルーフィングアンダーカバー、テーブルリネン、タグ、ティー又はコーヒーバッグ、カバー、真空クリーニングバッグ又は壁紙であり得る。不織布製品の繊維は、いくつかの態様では、セルロース及び/又はアルファ-1,3-グルカンを含み得るか、又は繊維を形成するために使用可能である本明細書に開示された1つ又は複数の他の材料を含むことができる。本明細書の不織布製品、不織布製品材料及び/又は不織布製品及び材料の製造方法の例は、国際特許出願公開国際公開第2019055397号パンフレット又は米国特許出願公開第2018/0282918号明細書、同第2017/0167063号明細書、同第2018/0320291号明細書若しくは同第2010/0291213号明細書に開示される通りであり得、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0214】
いくつかの態様では、(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書の水性組成物は、少なくとも1つのカチオンを更に含む(例えば、それに結合される)。このような結合は、典型的にはイオン結合によるものである。カチオンの例は、Ca2+及び/又はMg2+などの1つ又は複数の硬水カチオンを含む。本明細書の組成物と水性組成物/系中のカチオンとの結合は、水性組成物/系の水を軟化させる(ビルダーとして作用する)ように作用することができる。典型的には、この適用性を有する本明細書の組成物は、負の表面電荷(例えば、カルボキシル基で置換されたカルボキシメチルアルファ-グルカン又はアルファ-グルカンなどの負に帯電した可溶性アルファ-グルカン誘導体でコーティングされた不溶性アルファ-グルカン)を有する粒子を含む。
【0215】
本明細書の組成物が少なくとも1つのカチオンに結合することができる水性組成物/系は、例えば、本明細書の食器(例えば、自動食器洗浄機で)又は本明細書の織物含有物品(例えば、布、洗濯機でなど)を洗浄するために使用される洗浄液体/家庭雑排水(grey water)であり得、或いは、例えば、洗浄及び/又はメンテナンスを提供するために洗剤が加えられた任意の他の水性組成物/系であり得、このような水性組成物/系は、典型的には、1つ又は複数のカチオンの存在によって引き起こされる悪影響(例えば、スケールの堆積及び/又はスカムの形成)を防止/低減する本明細書の組成物の能力から利益を得ることができる。いくつかの態様では、本明細書の組成物が少なくとも1つのカチオンに結合できる水性組成物/系は、水又は水溶液が循環、輸送、及び/又は貯蔵される本明細書に開示の任意の系であり得(洗剤は必ずしもある必要はない)、このような系は、典型的には、上記で開示したのと同じ理由で利益を得ることができる。典型的には、いくつかの態様における組成物は、カチオンを封鎖/キレート化及び/又は沈殿させることにより、ビルダー/柔軟剤として作用することができる。本明細書の組成物とカチオンとの間の結合(又は他の相互作用、場合にかかわらず)は、望ましくない不溶性塩(例えば、CaCO又はMgCOなどの炭酸塩、Mg(OH)又はCa(OH)などの水酸化物、CaSOなどの硫酸塩)、及び/又は他の不溶性化合物(例えば、ステアリン酸などの脂肪酸のカルシウム及び/又はマグネシウム塩)、及び/又は硬水カチオンを有する水性系で形成される可能性のあるそれらの堆積物(例えば、スケール、石鹸カスなどのスカム)の形成を防止/低減することができる(例えば、組成物を使用しない場合と比較して、約又は少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%)。いくつかの態様では、スケールは、CaCO、MgCO、CaSO、Fe、FeS、及び/又はFeSを含むことができる。
【0216】
上記のものに加えて、本明細書の組成物で処理できる本明細書の水性系のいくつかの例は、工業環境のものを含む。本明細書における産業環境の例には、エネルギー(例えば、石油又は天然ガスなどの化石燃料)、水(例えば、水処理及び/又は浄化、工業用水、廃水処理)、農業(例えば、穀物、果物/野菜、釣り、水産養殖、乳製品、動物飼育、材木、植物)、化学(例えば、医薬、化学処理)、食品加工/製造、鉱業、又は輸送(例えば、淡水及び/又は海上輸送、列車又はトラックコンテナ)産業のものが含まれる。本明細書の組成物で処理できる本明細書の水性系の更なる例は、水処理、水貯蔵、及び/又は他の水含有系(例えば、配管/導管、熱交換器、凝縮器、フィルター/濾過システム、貯蔵タンク、水冷却塔、水冷システム/装置、低温殺菌装置、ボイラー、噴霧器、ノズル、船体、バラスト水)におけるものを含む。本明細書の組成物で処理できる本明細書の水性系の更なる例は、医療/歯科/ヘルスケア環境(例えば、病院、診療所、検査室、養護施設)、フードサービス環境(例えば、レストラン、売店のキッチン、カフェテリア)、小売環境(例えば、食料品、ソフトドリンクの機械/ディスペンサー)、ホスピタリティ/旅行環境(例えば、ホテル/モーテル)、スポーツ/レクリエーション環境(例えば、水泳/浴槽、スパ)、又はオフィス/家庭環境(例えば、バスルーム、浴槽/シャワー、キッチン、電化製品[例えば、洗濯機、自動食器洗い機、冷蔵庫、冷凍庫]、スプリンクラーシステム、住宅/建物の水道管、貯水タンク、給湯器)のものを含む。本明細書の組成物で処理できる本明細書の水性系の更なる例は、全て参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0029884号明細書、米国特許出願公開第2005/0238729号明細書、米国特許出願公開第2010/0298275号明細書、米国特許出願公開第2016/0152495号明細書、米国特許出願公開第2013/0052250号明細書、米国特許出願公開第2015/009891号明細書、米国特許出願公開第2016/0152495号明細書、米国特許出願公開第2017/0044468号明細書、米国特許出願公開第2012/0207699号明細書、又は米国特許出願公開第2020/0308592号明細書、或いは米国特許第4552591号明細書、米国特許第4925582号明細書、米国特許第6478972号明細書、米国特許第6514458号明細書、米国特許第6395189号明細書、米国特許第7927496号明細書、又は米国特許第8784659号明細書のいずれかに開示されるものを含む。いくつかの態様では、本明細書で処理することができる水性系は、(i)海水などの塩水、又は(ii)約2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、2.5~4.0、2.75~4.0、3.0~4.0、2.5~3.5、2.75~3.5、3.0~3.5、3.0~4.0、又は3.0~3.5重量%の1つの塩又は塩の組み合わせ(例えば、少なくともNaClを含む)を有する水溶液を含む。
【0217】
(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書の組成物は、例えばフィルム又はコーティングであり得る。フィルム又はコーティングは、いくつかの態様では、例えば約3、2、1、0.5又は0.1重量%未満の水を含む乾燥したフィルム又はコーティングであり得る。いくつかの態様では、フィルム又はコーティングは、本明細書において約20~40、20~35、20~30、25~40、25~35、又は25~30重量%の組成物を含むことができ、フィルム又はコーティング中の材料の残部は、任意選択的に水、水溶液、及び/又は可塑剤である。本明細書のフィルム又はコーティングに現在開示されているような組成物の量は、例えば、約又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5又は99.9重量%であり得る。本明細書のフィルム又はコーティングは、例えば、開示された組成物の粒子([i]不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、[ii]不溶性アルファ-グルカン及び添加剤)の水性分散物/エマルジョンの層を表面/物体/材料上に提供し、次いで、分散物/エマルジョンから水の全部又は大部分(90、95、98、99重量%以上)を除去し、それによってフィルム又はコーティングを製造することによって製造することができる。方法は、例えば、米国特許出願公開第2018/0258590号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に類似しているか又はそれに開示され、これを使用して、フィルム又はコーティングを製造することができる。
【0218】
本明細書のフィルム又はコーティングは、例えば、約、少なくとも約又は最大約、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、2.5、5、7.5、10、15.5、15、17.5、20、22.5、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、0.5~1.5、0.8~1.5、1.0~1.5、0.5~1.4、0.8~1.4又は1.0~1.4ミルの厚さを有し得る(1ミル=0.001インチ)。いくつかの態様では、そのような厚みは、一様であり、これは、(i)フィルム/コーティングの全領域の少なくとも20%、30%、40%又は50%であり、且つ(ii)約0.06、0.05又は0.04ミル未満の厚みの標準偏差を有する、連続した領域を有することにより特徴付けることができる。本明細書のフィルム又はコーティングは、いくつかの態様では薄い(例えば、<2ミル)として特徴付けることができる。本明細書のフィルムは、典型的には、キャストフィルムである。
【0219】
本明細書のフィルム又はコーティングは、所望の種々の透明度を示し得る。例えば、フィルム/コーティングは、高い透明度(例えば、高い光透過率及び/又は低いヘイズ)であり得る。本明細書で使用される場合、光透過性は、例えば、少なくとも約10~99%の光透過率、又は少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の光透過率、及び/又は30%、25%、20%、15%、10%、5%、2.5%、2%又は1%未満のヘイズを与えるフィルム又はコーティングを指すことができる。高い光透過性は、任意選択的に、少なくとも約90%の光透過率及び/又は10%未満のヘイズを有するフィルム/コーティングを指すことができる。本明細書のフィルム/コーティングの光透過率は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、ASTM D1746試験(2009,Standard Test Method for Transparency of Plastic Sheeting,ASTM International,West Conshohocken,PA)に従って測定することができる。本明細書のフィルム/コーティングのヘイズは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、ASTM D1003-13試験(2013,Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics,ASTM International,West Conshohocken,PA)に従って測定することができる。
【0220】
本明細書のフィルム又はコーティングは、任意選択的に、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール及び/又はポリエチレングリコールなどの可塑剤を更に含み得る。いくつかの態様では、他のフィルム成分(本明細書の組成物に加えて)は、米国特許出願公開第2011/0151224号明細書、同第2015/0191550号明細書若しくは同第20190153674号明細書、米国特許第9688035号明細書、同第3345200号明細書又は国際特許出願公開国際公開第2018/200437号パンフレットに開示される通りであり得、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0221】
本明細書のフィルム若しくはコーティング又はいずれかの適切な固体組成物は、いくつかの態様では、少なくとも1つの架橋剤を更に含み得る(例えば、複合材)。本開示の粒子は、互いに且つ/若しくは組成物の少なくとも1つの他の成分(例えば、ポリマー、活性剤)又は組成物が基材に適用される場合には基材の成分に架橋可能である(共有結合)。その上、いくつかの態様では、本明細書の粒子はいずれの様式でも架橋しないが、組成物の1つ又は複数の他の成分は架橋する。架橋により、例えば、(i)フィルム又はコーティング組成物の引張強さを増強することができ、且つ/又は(ii)それを可塑化することができる。いくつかの態様では、架橋によってフィルム又はコーティングを基材に架橋することができる。いくつかの場合、ジ-若しくはポリカルボン酸、アルデヒド又はポリフェノールなどの架橋剤を使用して、可塑性及び基材への架橋特徴を与えることができる。上記のような架橋を有する本明細書の組成物を調製するのに適した架橋剤には、塩化ホスホリル(POCl)、ポリホスファート、トリメタリン酸ナトリウム(STMP)、ホウ素含有化合物(例えば、ホウ酸、二ホウ酸塩、四ホウ酸塩、例えば四ホウ酸十水和物、五ホウ酸塩、ポリマー化合物、例えばPolybor(登録商標)、アルカリボレート)、多価金属(例えば、チタン含有化合物、例えばチタンアンモニウムラクテート、チタントリエタノールアミン、チタンアセチルアセトナート、又はチタンのポリヒドロキシ錯体;乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムトリエタノールアミン、乳酸ジルコニウムジイソプロピルアミン、又はジルコニウムのポリヒドロキシ錯体等のジルコニウム含有化合物)、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アルデヒド、ポリフェノール、ジビニルスルホン、エピクロロヒドリン、ポリアミド-エピクロロヒドリン(PAE)、ジ-又はポリ-カルボン酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸)、ジクロロ酢酸、ポリアミン、及びジグリシジルエーテル(例えば、ジグリシジルエーテル自体、ジエチレングリコールジメチルエーテル[ジグリム]、エチレングリコールジグリシジルエーテル[EGDE]、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル[BDDGE]、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル[PEG2000DGE等のPEGDE]、ビスフェノールAジグリシジルエーテル[BADGE])が含まれると考えられる。適切な架橋剤の更に他の例は、全てが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4462917号明細書、米国特許第4464270号明細書、米国特許第4477360号明細書及び米国特許第4799550号明細書、並びに米国特許出願公開第2008/0112907号明細書(これらの文献は全て参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。その上、いくつかの態様では、架橋剤は、ホウ素含有化合物(例えば、上に記載されたような)ではない。本明細書の粒子は、例えば、フィルム又はコーティングに加えて、(例えば、本明細書に開示される分散体又は他の組成物において)他に関連して本明細書に開示されるように、いずれかの架橋剤によって架橋可能である。
【0222】
フィルム又はコーティングのハプティックを増強するために、例えば1つ又は複数のコンディショニング剤がコーティングのフィルムに含まれ得る。コンディショニング剤は、アニオン性軟化剤、例えば、硫酸化油、石鹸、硫酸化アルコール及び/又は油エマルジョン;第四級アンモニウム化合物などのカチオン性軟化剤;ポリオキシエチレン誘導体、ポリエチレンエマルジョン、ワックスエマルジョン及び/又はケイ素軟化剤などの非イオン性軟化剤;天然脂肪酸;油;モノグリセリド;ジグリセリド;ポリグリセリド;クエン酸エステル;乳酸エステル;及び/又は糖エステル、例えばスクロースエステル及び/又はソルビタンエステルであり得る。
【0223】
乾燥形態の本明細書の粒子を含む接着剤、フィルム、コーティング又はバインダーを含む物品も開示される。このような物品(任意選択的に「コーティングされた物品」)は、実質的に連続又は不連続な様式で、コーティング、接着剤、フィルム又はバインダーが配置/堆積される少なくとも1つの表面を有する基材を含む。いくつかの態様では、物品は、紙、皮革、木材、金属、ポリマー、繊維質材料、石造物、ドライウォール、石膏及び/又は建築表面を含む。「建築表面」は、本明細書では、建物又は他の人工構造の外部又は内部表面である。いくつかの態様では、物品は、紙、ボール紙、板紙、段ボール、セルロース基材、繊維製品又は皮革などの多孔性基材を含む。その上、いくつかの態様では、物品は、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、アラミド、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(環状オレフィン)、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)(PTF)又はセロファンなどのポリマーを含み得る。いくつかの態様では、繊維質基材を含む物品は、繊維、ヤーン、織物、織物ブレンド、テキスタイル、不織布、紙又はカーペットである。繊維基材は、綿、セルロース、羊毛、絹、レーヨン、ナイロン、アラミド、アセテート、ポリウレタンウレア、アクリル、ジュート、サイザル、海藻、コイア、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリアラミド又はそれらのブレンドなどの天然及び/又は合成繊維を含み得る。
【0224】
本明細書のフィルム、コーティン又は他の組成物(例えば複合材)は、いくつかの態様では、グリース/油及び/又は酸素バリア特性を有することができる。そのような組成物は、本明細書の粒子と共に、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20190153674号明細書、又は国際公開第2018/200437号パンフレットに開示される1つ又は複数の成分を含み得る。例えば、本明細書のフィルム、コーティング又は他の組成物は、任意選択的に、バインダーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、部分的に鹸化されたポリビニルアセテート、シラノール変性ポリビニルアルコール、ブテンジオールビニルアルコールコポリマー(BVOH)、ポリウレタン、澱粉、コーンデキストリン、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギネート、アルギン酸ナトリウム、キサンタン、カラゲーニン、カゼイン、大豆タンパク質、グアーガム、合成ポリマー、スチレンブタジエンラテックス及び/又はスチレンアクリレートラテックスの1つ又は複数を含み得る。いくつかの態様では、フィルム、コーティング又は他の組成物を調製するための組成物は、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、65~85、65~80、70~85又は70~80重量%のバインダー又はポリビニルアルコール(又はいずれかの他の上記で参照される化合物)などの化合物及び約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2.5、15~35、20~35、15~30又は20~30重量%の本明細書に開示される粒子を含み得る。いくつかの態様では、フィルム、コーティング又は他の組成物を調製するための組成物は、組成物中のこれらの成分のそれぞれの重量%に基づき、約7:3、7.5、2.5、8:2、8.5:1.5又は9:1のバインダー又は化合物(例えば、ポリビニルアルコール又は澱粉などの上記で参照された化合物の任意のもの)対本明細書の粒子の比率を含むことができる。いくつかの態様では、フィルム、コーティング又は他の組成物は、澱粉を含まないが、酸素バリアなどの他の態様では澱粉が含まれ得る(例えば、米国特許出願公開第2011/0135912号明細書又は米国特許第5621026号明細書又は米国特許第6692801号明細書に開示される通りである)。本明細書のコーティング又はフィルム組成物のグリース/油バリア特性は、例えば、Technical Association of the Pulp and Paper Industry(TAPPI)Test Method T-559cm-02(Grease resistance test for paper and paperboard,TAPPI Press,Atlanta,GA,USA;参照により本明細書に組み込まれる)に従って、標準「KIT」型試験を使用して評価することができる。この試験では、良好なグリース/油バリア/抵抗機能は、1~12のスケールで12により近い値によって示される。グリース/油バリア特性並びに水/水性液体バリア特性は、必要に応じて、コブ(Cobb)試験によって評価することができる。本明細書のバリアは、例えば、20、17.5、15、12.5、10、7.5、又は5未満のCobbインデックス値を有することができる。本明細書のコーティング又はフィルム組成物の酸素バリア特性は、コーティングの酸素透過速度(OTR)を測定することによって評価することができる。OTRは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、ASTM F-1927-07(2007,Standard Test Method for Determination of Oxygen Gas Transmission Rate,Permeability and Permeance at Controlled Relative Humidity Through Barrier Materials Using a Coulometric Detector,ASTM International,West Conshohocken,PA)に従って決定することができる。OTRは、例えば、約50%~80%、30%~55%、35%~50%若しくは30%~80%の相対湿度条件及び/又は約若しくは少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、15~40、15~35、15~30、15~25、20~40、20~35、20~30若しくは20~25℃の温度下で決定することができる。グリース/油及び/又は酸素バリアコーティングを利用することができる本明細書の基材の例としては、セルロース(例えば、紙、板紙、ボール紙、段ボール、テキスタイル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ(エチレンテレフタレート)(例えば、MYLAR)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンスクシネートアジペート、ポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)、合成及び/又は石油系基材又はバイオ系基材を含む基材を含む上記基材/表面のいずれも含まれる。上記フィルム、コーティング又は他の組成物のいずれも、例えば、積層体又は押出成形品の形態であり得、上記の基材のいずれかの上に任意選択的に位置する。
【0225】
本明細書の粒子を含むフィルム、コーティング又は他の組成物(例えば、分散体、フォーム、マスターバッチ、複合体)は、いくつかの態様では、ポリウレタン(例えば、本明細書に開示されるいずれかのもの)を更に含み得る。そのような組成物は、例えば、約1、5、10、15、20、35、30、35、40、45、50、55、60、5~60、5~50、5~45、5~40、5~35、5~30、10~60、10~50、10~45、10~40、10~35又は10~30重量%の本明細書の粒子を含み得、全て又は残りの大部分(例えば、90%又は95%以上)は、1つ又は複数のポリウレタンから構成され得る。そのような組成物は、湿潤式(例えば、粒子及びポリウレタンの分散体)又は乾燥式(例えば、粒子及びポリウレタンのマスターバッチ、フィルム/コーティング、ラミネート、フォーム若しくは押出成形複合材)であり得る。ポリウレタンは、本明細書では、例えば約又は少なくとも約1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、1000~3000、1500~3000、1000~2500又は1500~2500である分子量のものであり得る。そのような組成物は、いくつかの例において、加水分解的老化が可能である(例えば、2~4若しくは3日間、45~55若しくは約50℃及び/又は90~98%若しくは約95%の相対湿度に暴露される)。いくつかの態様では、本明細書の粒子を有するポリウレタン組成物は、熱及び/又は圧力加工が可能であり、例えば、圧縮成形、成形、押出成形又は他のいずれかの関連する加工工程のための熱及び/又は圧力の適用は、例えば、約又は少なくとも約90、95、100、105、110、115、120、130、140、95~115若しくは100~110℃及び/又は少なくとも約5000、10000、15000、20000若しくは25000psiの圧力であり得る。熱及び/又は圧力のそのような適用は、例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は30分間であり得る。フィルムなどのいくつかの態様における圧縮成形ポリウレタン組成物は、約若しくは少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%若しくは100%透明であるか又は半透明であり得る。いくつかの態様では、水性ポリウレタン分散体を提供し、(例えば、グルカン粒子の水性分散体を添加することによって)本明細書の粒子をポリウレタン分散体と混合することを含むプロセスにより、本明細書に開示されるいずれのポリウレタン組成物も製造され得る。得られた水性分散体は、組成物(例えば、フィルム若しくはコーティング)を製造するために直接使用可能であるか、又はそれは、(例えば、溶融-加工によって)組成物を調製するために次いで使用されるマスターバッチに乾燥させることができる。
【0226】
いくつかの態様のフィルム又はコーティングは、食用フィルム又はコーティングの形態であり得る。そのような材料は、いくつかの態様では、本明細書の粒子と、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4710228号明細書、同第4543370号明細書、同第4820533号明細書、同第4981707号明細書、同第5470581号明細書、同第5997918号明細書、同第8206765号明細書若しくは同第8999413号明細書又は米国特許出願公開第2005/0214414号明細書に記載の1つ又は複数の成分を含み得る。いくつかの態様では、本明細書の粒子は、任意選択的に上記の参照のいずれかに開示される食用フィルム又はコーティング中の澱粉及び/又は澱粉誘導体を置換する。食用フィルム又はコーティングは、例えば、ジャガイモ製品(例えば、フレンチフライなどのジャガイモ細片)、他の野菜又は野菜製品(例えば、ズッキーニ、カボチャ、サツマイモ、タマネギ、オクラ、トウガラシ、サヤインゲン、トマト、キュウリ、レタス、キャベツ、ニンジン、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、豆もやし、タマネギ、野菜のいずれかのフレッシュな切断物)、キノコ、フルーツ(例えば、ベリー、例えば、ラズベリー、イチゴ若しくはブルーベリー、アボカド、キーウィ、キンカン、オレンジ、タンジェリン、リンゴ、西洋ナシ、バナナ、グレープフルーツ、サクランボ、パパイア、レモン、ライム、マンゴー、桃、カンタロープ、果実のいずれかのフレッシュな切断物)及び/又はナッツ(落花生、クルミ、アーモンド、ペカン、カシュー、ハシバミ/ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、マカダミア)上にあり得る。例えば、適切な場合、本明細書に開示される他のいずれの食品も食用コーティングを有し得る。本明細書の食用フィルム若しくはコーティングを有するこれら及び他の食品は、いくつかの態様では、揚げるか若しくは焼くことができ、且つ/又はフィルム若しくはコーティングは、柔らかさ、水分保持、水分からの保護、サクサク感、(消化可能な澱粉の代わりに)食物繊維、酸素バリア、新鮮さ及び/若しくは抗熟成性を提供する。いくつかの態様では、抗熟成性は、コーティングが、(例えば、15~30、15~25若しくは20~25℃における)植物系製品によるエチレンなどの気体状熟成ホルモンの放出を(例えば、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%若しくは90%)低下させる度合並びに/或いは植物製品が軟化すること及び/又は甘くなることがコーティングによって減少する度合いによって測定可能である。いくつかの態様の食用コーティングは、(例えば、水又は水溶液中5~15、5~12、5~10、7.5~15、7.5~12又は7.5~10重量%で)本明細書の粒子を含む水性分散体を食品に適用し、且つ(例えば、空気乾燥、強制空気乾燥、真空乾燥及び/又は加熱によって)分散体を乾燥させることによって調製可能である。
【0227】
いくつかの態様では、本明細書のコーティングを調製するために使用可能であるコーティング組成物は、上記成分/材料/配合物のいずれかを含み得る。いくつかの態様では、コーティング組成物は、以下に記載されるものなどのラテックス組成物である。
【0228】
(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書の組成物は、いくつかの態様ではラテックス組成物であり得る。本明細書のラテックス組成物の例は、塗料(例えば、プライマー、仕上げ/装飾用)、接着剤、フィルム、コーティング及びバインダーを含む。本明細書におけるラテックス組成物の配合物及び/又は成分(本明細書の組成物に加えて)は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6881782号明細書、同第3440199号明細書、同第3294709号明細書、同第5312863号明細書、同第4069186号明細書、若しくは同第6297296号明細書、又は米国特許出願公開第2020/0263026号明細書に記載され得る。
【0229】
本明細書に開示される組成物は、ラテックスの全ての分散固体の重量に基づき、約又は少なくとも約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、0.01%~75%、0.01%~5%、5%~20%、20%~50%又は50%~75%などのいずれかの有用な量でラテックス組成物中に存在し得る。
【0230】
いくつかの態様のラテックス組成物は、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー(例えば、モノエチレン系不飽和モノマー)から重合されるポリマー、ポリウレタン、エポキシ及び/又はゴムエラストマーを含み得る。本明細書のモノエチレン系不飽和モノマーの例は、ビニルモノマー、アクリル系モノマー、アリル系モノマー、アクリルアミドモノマー、モノカルボキシル不飽和酸及びジカルボキシル不飽和酸を含む。
【0231】
本明細書のラテックス組成物中のポリマーの適切なビニルモノマーの例は、ビニル官能性(即ち、エチレン不飽和)を有する任意の化合物、例えば、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ピバル酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、イソプロピル酢酸ビニル)、ビニル芳香族炭化水素(例えば、スチレン、メチルスチレン及び類似の低級アルキルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン)、ビニル脂肪族炭化水素(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルファオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン及びイソブチレン、共役ジエン、例えば、1,3-ブタジエン、メチル-2-ブタジエン、1,3-ピペリレン、2,3-ジメチルブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン及びジシクロペンタジエン)並びにビニルアルキルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル)を含むが、アクリル官能性を有する化合物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、このような酸のエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド)は除外する。いくつかの態様では、本明細書のラテックス組成物は、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル-エチレンコポリマー及び/又はポリビニルアセテートを含む。
【0232】
本明細書のラテックス組成物中のポリマーの適切なアクリル系モノマーの例は、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリレート酸、メタクリレート酸、アクリル及びメタクリル酸の芳香族誘導体、アクリルアミド及びアクリロニトリルを含む。典型的には、アルキルアクリレート及びメタクリレートモノマー(アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルとも呼ばれる)は、1分子当たり1~約18の炭素原子又は1分子当たり1~約8の炭素原子を含むアルキルエステル部分を有する。適切なアクリルモノマーは、例えば、メチルアクリレート及びメタクリレート、エチルアクリレート及びメタクリレート、ブチルアクリレート及びメタクリレート、プロピルアクリレート及びメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びメタクリレート、デシルアクリレート及びメタクリレート、イソデシルアクリレート及びメタクリレート、ベンジルアクリレート及びメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、ネオペンチルアクリレート及びメタクリレート、並びに1-アダマンチルメタクリレートを含む。酸官能性が望まれる場合、アクリル酸又はメタクリル酸などの酸も使用することができる。
【0233】
いくつかの態様のラテックス組成物は、ポリウレタンポリマーを含む。適切なポリウレタンポリマーの例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019/0225737号明細書に開示されるような多糖を含むものである。ポリウレタンを含むラテックスは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0347978号明細書に開示されるように調製可能であり、且つ/又は、1つ又は複数のポリイソシアネートと、1つ又は複数のポリオールとの反応生成物を含み得る。有用なポリオールは、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを含む。本明細書のポリカーボネートポリウレタンは、ポリオール、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール又はテトラエチレングリコールと、ジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネート又はホスゲンとの反応生成物として形成することができる。本明細書の少なくとも1つのポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、又は芳香族基及び脂肪族基の両方を有するポリイソシアネートであり得る。ポリイソシアネートの例は、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネートの混合物、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジイソシアナトトルエン、ビス(3-イソシアナトフェニル)メタン、1,4-ジイソシアナトベンゼン、1,3-ジイソシアナト-o-キシレン、1,3-ジイソシアナト-p-キシレン、1,3-ジイソシアナト-m-キシレン、2,4-ジイソシアナト-1-クロロベンゼン、2,4-ジイソシアナト-1-ニトロベンゼン、2,5-ジイソシアナト-1-ニトロベンゼン、m-フェニレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1-メトキシ-2,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及び3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを含む。また、例えば、アロファネート、ビウレット、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン又はカルボジイミド基を含むポリイソシアネートホモポリマーも本明細書で有用である。本明細書のポリオールは、2つ以上のヒドロキシ基を含む任意のポリオール、例えば、C2~C12アルカンジオール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブタンジオールの異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,2,3-プロパントリオール(グリセロール)、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロパノール(トリメチロールエタン)、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(トリメチロールプロパン)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(ペンタエリスリトール)、1,4,6-オクタントリオール、クロロペンタンジオール、グリセロールモノアルキルエーテル、グリセロールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、1,3,6-ヘキサントリオール、2-メチルプロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリマーポリオール、例えば、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールであり得る。いくつかの態様では、本明細書のポリオールは、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリエチレングリコール、又はポリ1,3-プロパンジオールであり得る。いくつかの態様のポリオールは、脂肪族ジオールによる脂肪族二酸のエステル交換反応によって生成されるものなどのポリエステルポリオールであり得る。適切な脂肪族二酸は、例えば、C3~C10二酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸を含む。いくつかの態様では、ポリエステルポリオールを形成するために芳香族及び/又は不飽和二酸も使用することができる。
【0234】
いくつかの態様のラテックス組成物は、エポキシポリマー/樹脂(ポリエポキシド)、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、Novolacエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂又はグリシジルアミンエポキシ樹脂を含む。
【0235】
いくつかの態様のラテックス組成物は、ゴムエラストマーを含む。いくつかの態様では、ゴムエラストマーは、例えば、動的機械分析によって決定されるような、-30℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する1つ又は複数のジエン系の硫黄加硫可能なエラストマーを含み得る。更なる例において、本明細書のゴムエラストマーは、例えば、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレン/ブタジエンコポリマーゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、ネオプレン、スチレン/イソプレン/ブタジエンターポリマーゴム、ブタジエン/アクリロニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンコポリマーゴム、ニトリルゴム、エチレン-アクリルゴム、ブチル及びハロブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー、炭化水素ゴム、ポリブタジエン又はシリコーンゴムを含む。
【0236】
本明細書におけるラテックス組成物の液体成分は、水又は水溶液であり得る。いくつかの態様のラテックスの水溶液は、水と混和性、又は非混和性の有機溶媒を含み得る。本明細書の適切な有機溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、グリセロールエーテル、ヘキサン、トルエン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドを含む。
【0237】
本明細書のラテックス組成物は、いくつかの態様では、1つ又は複数の添加剤を更に含み得る。本明細書の添加剤の例は、分散剤、レオロジー助剤、消泡剤、発泡剤、接着促進剤、難燃剤、殺菌剤、防カビ剤、保存剤、光学増白剤、フィラー、抗沈殿剤、融合剤、湿潤剤、緩衝剤、顔料/着色剤(例えば、金属酸化物、合成有機顔料、カーボンブラック)、粘度調整剤、不凍剤、界面活性剤、バインダー、架橋剤、耐食剤、硬化剤、pH調整剤、塩、増粘剤、可塑剤、安定剤、増量剤及びマッティング剤を含む。本明細書の顔料の例は、二酸化チタン(TiO)、炭酸カルシウム、珪藻土、雲母、水和酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、粘土、シリカ、タルク、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、霞石閃長岩及びそれらの混合物を含む。いくつかの態様では、ラテックス組成物は、澱粉、澱粉誘導体(例えば、ヒドロキシアルキル澱粉)、セルロース及び/又はセルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)を本質的に含まない(例えば、1、0.5、0.1又は0.01重量%未満の成分)。
【0238】
本明細書の塗料又は他の着色剤の形態のラテックス組成物は、いくつかの態様では、約3%~約80%の顔料量濃度(PVC)を有することができる。例として、つやなし塗料は、約55~80%の範囲のPVCを有し得、プライマー又はアンダーコートは、約30~50%の範囲のPVCを有し得、且つ/又は光沢着色塗料は、約3~20%の範囲のPVCを有し得る。いくつかの態様の塗料又は他の着色剤は、約55%、60%、65%、70%、75%、80%、55~80%、55~75%、55~70%、60~80%、60~75%、60~70%、63~67%、64~66%、65~80%、65~75%又は65~70%のPVCを有し得る。本明細書のPVC値は、例えば、上記で開示されたもの(例えば、二酸化チタン)などの特定の顔料(又は顔料の混合物)のものであり得る。本開示の組成物は、ラテックス組成物(例えば、塗料又は他の着色剤として使用するために)に1つ又は複数の物理的特性:例えば、本開示の組成物を含まないことによってのみ異なるラテックス組成物と比較して、不透明度、必要とされる顔料の減少、硬度増加、粘着性減少、光沢減少(すなわちマット効果をもたらす)、剪断強度増加、より良好な摩耗抵抗、乾燥時間の改善、フェード抵抗の改善、ブリスター化の低下及び/又は改善された手ざわり(より粘着性でない感触)を提供すると考えられる。
【0239】
当技術分野で既知のいずれかの方法を使用して、本明細書のラテックス組成物を物品の基材(上記)に適用することができる。典型的には、ラテックス組成物の適用後、水溶液の少なくとも一部は、例えば、乾燥によって除去されて、乾燥又は半乾燥形態におけるラテックス組成物を含む接着剤、フィルム、コーティング又はバインダーを提供する。適切な適用方法には、エアナイフコーティング、ロッドコーティング、バーコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング、ブラシコーティング、キャストコーティング、可撓ブレードコーティング、グラビアコーティング、ジェットアプリケータコーティング、ショートドエルコーティング、スライドホッパーコーティング、カーテンコーティング、フレキソ印刷コーティング、サイズ-プレスコーティング、リバースロールコーティング及び転写ロールコーティングを含む。ラテックス組成物を基材の少なくとも一部分上に適用し得、例えば、1回以上のコート/適用であり得る。
【0240】
本明細書のいくつかの態様は、顔料を含む組成物に関する。顔料を含む組成物は、液体状態(例えば、本明細書の水性若しくは非水性組成物)又は固体状態(例えば、本明細書の乾燥組成物)であり得る。顔料を含む組成物の例としては、本明細書の他の部分に開示されるものなどの組成物(例えば、塗料、プライマー、着色剤)、インク、染料(例えば、食品着色染料、織物着色染料)、樹脂、日焼け止め及び化粧品(例えば、マスカラ、ほお紅、爪のニス/つや出し剤、口紅、グロス、アイライナー、ファンデーション、アイシャドー、皮膚装飾組成物)のいずれも含まれる。顔料を含む組成物の顔料は、例えば、本明細書のいずれの顔料であることも可能である。本明細書のこれら及び/又は他の態様のための顔料の例としては、チタン(例えば二酸化チタン)、亜鉛、鉄、ジルコニウム、セリウム及びクロムの酸化物;マンガンバイオレット;ウルトラマリンブルー;クロム水和物;プルシアンブルー;硫化亜鉛;ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン及び/又はフタロシアニン化合物;金属錯体化合物;並びにイソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及び/又はキノフタロン化合物が含まれる。本明細書で有用な更なる顔料の例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0085924号明細書に開示される。
【0241】
(i)不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体、又は(ii)不溶性アルファ-グルカン及び添加剤(例えば、[i]又は[ii]の粒子)を含む本明細書の組成物は、複合体の形態(例えば、ゴム複合体又はポリウレタン複合体)である得、例えば、米国特許出願公開第2019/0225737号明細書、同第2017/0362345号明細書、又は同第2020/0181370号明細書に開示されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。本開示の複合体は、本開示の組成物に加えて少なくとも1つのポリマーを含むと任意選択的に述べることができる。ラテックス組成物の上記成分の1つ又は複数(例えば、ゴム又はポリウレタン)は、任意選択的に、そのような複合材中の追加的なポリマーであり得る。本明細書の複合材の追加的なポリマーは、ゴム、ポリウレタン、熱可塑性ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、ポリビニルブチレート、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエーテル熱可塑性エラストマー、ポリエステル、ポリエーテルエステル、エチレンビニルアルコールコポリマー、澱粉、セルロース又はラテックス成分に関して上記で開示されたいずれかの適切なポリマーであり得る。
【0242】
いくつかの態様のゴムは、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-イソプレンコポリマー、ブタジエン-イソプレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-イソプレンターポリマー、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム又はネオプレンの1つ又は複数であり得る。本明細書のゴムを含む複合材の例としては、タイヤ(例えば、自動車/自転車;空気式タイヤ;タイヤトレッド及び/又はサイドウォールを含む)、ベルト(例えば、コンベアベルト、送電ベルト)、ホース、ガスケット、フットウェア(例えば、靴、スニーカー、ブーツ;ソール、クッション及び/又は美的特徴)、コーティング、フィルム及び接着剤が含まれる。本明細書のゴム複合材は、典型的に加硫される。いくつかの態様では、ゴムを含む複合材に本明細書の組成物を含めることは、カーボンブラック又はシリカなどの現行のフィラーを使用する場合と比較して、より低いコスト、より低い密度、加工間のより低いエネルギー消費及び/又はより良好若しくは同等の性能(例えば、ウェットトラクションの増加、回転抵抗の低下、軽量及び/又は機械強度)などの利点を提供することができ;そのような性能増強は、いくつかの態様では、タイヤによるものであり得ると考えられる。いくつかの態様では、本明細書の組成物は、タイヤなどのゴム複合材で典型的に現在使用されているフィラー(例えば、カーボンブラック又はシリカ)の約又は少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%を置き換える。現在市販されている(本明細書の組成物を含まない)ゴム複合タイヤは、典型的には、カーボンブラックなどの既存充填剤を最大約30重量%含むことに留意されたい。したがって、本明細書のタイヤなどのゴム複合体は、例えば、約、又は少なくとも約、5、10、15、20、25、又は30重量%の本開示の組成物を含むことができる。本明細書のゴム組成物は、いくつかの態様では、低い最小弾性トルク(M)(例えば、約0.10、0.08、0.06、0.04、0.03若しくは0.02dNm[デシニュートン-メートル]又はそれ未満)を有し得、その調製中にゴム組成物を混合する方法が開示される。
【0243】
本明細書で開示されている組成物及び方法の非限定的な例としては、下記が挙げられる:
【0244】
1.不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む組成物であって、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%は、アルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15(又は少なくとも10)であり、可溶性アルファ-グルカン誘導体のグリコシド結合の少なくとも約50%は、アルファ-1,3グリコシド結合であり、可溶性アルファ-グルカン誘導体のアルファ-グルカン部分のDPwは少なくとも15(又は少なくとも10)である、不溶性アルファ-グルカン及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を含む組成物。
【0245】
2.不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約90%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、及び/又は可溶性アルファ-グルカン誘導体のグリコシド結合の少なくとも約90%がアルファ-1,3グリコシド結合である、実施形態1、16、17又は18に記載の組成物。
【0246】
3.不溶性アルファ-グルカンが、(i)100を超えるDPwを有するか、(ii)フィブリッドの形態であるか、又は(iii)約15~100のDPwを有し、及び/若しくは少なくとも約0.65の結晶化度を有する粒子の形態である、実施形態1、2、16、17又は18に記載の組成物。
【0247】
4.可溶性アルファ-グルカン誘導体が、正電荷又は負電荷を有する少なくとも1つの有機基で約3.0までの置換度(DoS)を有する、実施形態1、2、又は3に記載の組成物。
【0248】
5.有機基を有するDoSが少なくとも約0.3である、実施形態4に記載の組成物。
【0249】
6.有機基が、可溶性アルファ-グルカン誘導体にエーテル結合している、実施形態4又は5に記載の組成物。
【0250】
7.不溶性アルファ-グルカンが可溶性アルファ-グルカン誘導体によってコーティングされており、任意選択的に、組成物が可溶性アルファ-グルカン誘導体によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンの粒子を含む、実施形態1、2、3、4、5、又は6に記載の組成物。
【0251】
8.組成物が粒子を含み、粒子が負の表面電荷又は正の表面電荷を有する、実施形態7に記載の組成物。
【0252】
9.不溶性アルファ-グルカン又は可溶性アルファ-グルカン誘導体と化学的に反応しない添加剤を更に含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、又は8に記載の組成物。
【0253】
10.組成物が、分散液、ウェットケーキ若しくはウェット粉末、乾燥粉末、押出物、複合体、フィルム/コーティング、又は封入剤の形態である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、16、17、又は18に記載の組成物。
【0254】
11.約0.1~約50重量%(又は約1~約30重量%)の可溶性アルファ-グルカン誘導体を含み、重量%が組成物中の不溶性アルファ-グルカンの重量に基づく、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に記載の組成物。
【0255】
12.実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11に記載の組成物を製造する方法であって、(a)(適切な容器において)少なくとも水、不溶性アルファ-グルカン、及び可溶性アルファ-グルカン誘導体を一緒にブレンドしてブレンドされた生成物を提供することと、(b)任意選択的にブレンドされた生成物を乾燥させることと、を含む、方法。
【0256】
13.工程(a)が、(i)可溶性アルファ-グルカン誘導体の乾燥粉末と、(ii)約10~80重量%の不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水若しくは水溶液を含む組成物とをブレンドすることによって行われ、又は工程(a)が、(i)可溶性アルファ-グルカン誘導体の乾燥粉末と、(ii)約10~80重量%の不溶性アルファ-グルカン及び残部の100重量%までの水若しくは水溶液を含む組成物と、(iii)水若しくは水溶液とをブレンドすることによって行われ、ブレンドされた生成物の全固形分は、約1~30重量%である、実施形態12に記載の方法。
【0257】
14.少なくとも不溶性アルファ-グルカンと添加剤とを含む組成物(例えば、実施形態17又は18による)を製造する方法であって、(a)(i)添加剤と、(ii)約10~80重量%(又は5~80重量%)の不溶性アルファ-グルカン及び100重量%までの残部の水又は水溶液を含む組成物とをブレンドし、それによってブレンドされた生成物を提供することであって、任意選択的に、添加剤の質量は水又は水溶液の質量の約25%以内であり(任意選択的に、添加剤は不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応しない)、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%はアルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)は少なくとも15(又は少なくとも10)である、ブレンドされた生成物を提供することと、(b)ブレンドされた生成物を乾燥させることであって、(ii)の組成物中に存在していた水の大部分(例えば、≧90重量%)又は全てが添加剤で置き換えられる、ブレンドされた生成物を乾燥させることと、を含む、少なくとも不溶性アルファ-グルカンと添加剤とを含む組成物(例えば、実施形態17又は18による)を製造する方法。
【0258】
15.添加剤が非水性液体を含む、実施形態14に記載の方法。
【0259】
16.実施形態14又は15に記載の方法によって製造された組成物。
【0260】
17.少なくとも1つの添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンを含む組成物(任意選択的に、添加剤は不溶性アルファ-グルカンと化学的に反応しない)であって、不溶性アルファ-グルカンのグリコシド結合の少なくとも約50%がアルファ-1,3グリコシド結合であり、不溶性アルファ-グルカンの重量平均重合度(DPw)が少なくとも15(又は少なくとも10)である、組成物。
【0261】
18.添加剤によってコーティングされた不溶性アルファ-グルカンの粒子を含む、実施形態16又は17に記載の組成物。
【0262】
19.添加剤が非水性液体を含む、実施形態17又は18に記載の組成物。
【0263】
20.組成物が、家庭用ケア製品、パーソナルケア製品、工業用製品、摂取可能な製品(例えば、食品)、医療用製品、又は医薬品である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、16、17、18、又は19に記載の組成物。
【0264】
21.組成物が水性組成物である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、16、17、18、19、又は20に記載の組成物。
【実施例
【0265】
以下の実施例において、本開示を更に例示する。これらの実施例は、本明細書中の特定の態様を示しているが、単に説明の目的でのみ示されていることが理解されるべきである。上述の考察及びこれらの実施例から、当業者であれば、本明細書に開示した実施形態の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲において、本明細書に開示した実施形態を様々な使用及び条件に適合させるために様々な変更及び修飾をなし得る。
【0266】
材料/方法
不溶性アルファ-グルカンを表面交換するための代表的な固体法
出発材料:アルファ-1,3-グルカンウェットケーキ(10~80重量%固形分)(例えば、DPw約800、約100%アルファ-1,3結合、分散粒径D50 1~20マイクロメートル[すなわち、水中に分散させたときの粒径];グルカンが「一度も乾燥していない」とは、グルカンが、グルカンスクラーゼを用いたその酵素合成後、一度も乾燥していないことを意味する)及び表面改質剤乾燥粉末(例えば、水溶性アルファ-1,3-グルカン誘導体)。ウェットケーキ及び乾燥粉末をブレンドする場合、全固形分は10~80重量%(好ましくは30~70重量%)であるべきである。
【0267】
ブレンド比:ウェットケーキの質量(乾燥重量基準)に対する乾燥粉末の添加は、0.1~50重量%(好ましくは1~30重量%)であり得る。
【0268】
表面交換(表面改質)プロセス:押出機型装置を使用して、ブレンドした混合物に剪断を加える。1~20(好ましくは1~10)の範囲の複数のパスを使用することができる。
【0269】
最終製品形態:生成物は、ウェットケーキ、乾燥(例えば、80℃、24時間)して乾燥粉末にすること、及び/又は分散させることができる(例えば、水性分散液)。
【0270】
不溶性アルファ-グルカンを表面交換するための代表的な分散法
出発材料及びブレンド比:固体法(上記)と同様。
【0271】
表面改質プロセス:出発物質を添加し、次いで、水を添加して全固形分を1~30重量%(好ましくは2~20重量%)の範囲にする。高剪断ミキサー(例えば、Waring(登録商標)ブレンダー、インラインローターステーター、インライン圧力ホモジナイザ)を使用して剪断を加える。バッチ時間又は連続パスの場合、表面ゼータ電位、分散粘度などの特性の変化が観察されるまで剪断を適用する。
【0272】
最終製品形態:生成物を乾燥粉末に乾燥(例えば、80℃、24時間)させ、調製した分散液として保持し、及び/又は再分散(例えば、水性分散液)することができる。
【0273】
高結晶性不溶性アルファ-グルカンの代表的な調製
不溶性アルファ-1,3-グルカンは、最初に、米国特許出願公開第2018/0340199号明細書及び同第2019/0078063号明細書(これらの文献は、両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものと類似の様式の酵素的合成によって調製された。一般に、水、スクロース、緩衝剤、(例えば、より早い段階のグルカン合成反応のグルコオリゴ糖副生物を含有する)より早い段階のグルカン合成反応からの濾液及びアミノ酸変性、高生成物収量グルコシルトランスフェラーゼ酵素を含むグルカン合成反応が実行された。この反応後、アルファ-1,3-グルカン生成物(不溶性、約100%のアルファ-1,3結合、約800のDPw)を濾過及び洗浄して、ほとんどのフルクトース及び他の残留する可溶性の糖類(例えば、グルコース、スクロース、ロイクロース、DP2-DP8グルコ-オリゴ糖)を除去した。次いで、洗浄された生成物の試料を約20~40重量%固形分のウェットケーキ(乾燥されていない)に回収するか、又はロータリードライヤーで約88~95重量%固形分の粉末に乾燥した。
【0274】
次いで、未乾燥及び乾燥不溶性アルファ-1,3-グルカンの試料の両方に80℃において約0のpHで塩酸加水分解手順を受けさせ、分子量が低下した不溶性アルファ-1,3-グルカンを製造した。各加水分解反応は、開始時に8重量%のアルファ-1,3-グルカンを含有していた。アルファ-1,3-グルカンをより低分子重量であるが不溶性である形態に加水分解するために、適切に変性して、可溶性アルファ-1,3-グルカンへの不溶性アルファ-1,3-グルカンの鉱物酸の加水分解を記載する、米国特許出願公開第2013/0244287号明細書(参照により本明細書で組み込まれる)に開示される手順を適用することができる。中和前に加水分解反応が1時間、8時間、1日間又は3日間進行するようにした。次いで、各々の加水分解された不溶性アルファ-1,3-グルカン生成物を分子量に関して分析した。未乾燥又は乾燥された不溶性アルファ-1,3-グルカンの加水分解の1日後、約40~60の重量平均重合度(DPw)を有する不溶性アルファ-1,3-グルカンが製造された。この分子量は安定であり、非常に低いpH条件下での加水分解の期間にわたり、類似のDPwのままであった。別の加水分解において、約39のDPwを有する不溶性アルファ-1,3-グルカンが製造された。
【0275】
アルファ-1,3-グルカン試料の結晶化度(又は結晶化度指数[CI])は、以下の通りに広角X線分散(WAXS)によって測定された。グルカン粉末試料を、60℃に設定した真空オーブン中で最低2時間又は一晩(しかし、時には週末にわたって)乾燥させた。回折スキャンを開始する直前に、各サンプルをオーブンから取り出し、幅約1.5cm×長さ4cm×深さ4mmのウェルを備えたステンレス鋼ホルダーに移した。ガラス板をホルダーの頂部にクリップで留め、粉末を側面から注ぐことができるようにウェルを側面で開けた。充填プロセスを通して、ホルダーの反対側をテーブルに繰り返し打ち付けることによって粉末を数回充填した。最後に、ホルダーを正しい向きに戻してガラス板を取り除き、ホルダーを回折計に装填した。オーブンを開けてから走査が開始されるまでの時間は5分以内であった。各粉末試料のX線回折パターンを測定するために、反射モードのX’PERT MRD粉末回折計(PANalytical B.V.,The Netherlands)を使用した。X線源は、光学集束ミラーと1/16°狭小スリットとを備えたCu X線管線源であった。X線は、1-D検出器及び1/8°に設定された散乱防止スリットを用いて検出した。データは、1工程当たり0.1°で4~60°の2θの範囲で収集した。走査には合計で約46分間を要した。その後、得られたX線パターンを7.2~30.5°までの直線ベースラインを差し引き、分析中のデータに適合するようにスケール合わせした既知の非晶質アルファ-1,3-グルカン試料のXRDパターンを差し引き、次いでその範囲の残りの結晶ピークを既知の脱水アルファ-1,3-グルカン結晶の反射に対応する一連のガウス曲線を用いてフィッティングすることにより分析した。その後、結晶ピークに対応する面積を、ベースラインを引いた曲線の下の総面積で割って結晶化度指数を得た。
【0276】
加水分解によって上記で調製されたアルファ-1,3-グルカン試料の結晶化度を、加水分解を受けなかった酵素的に重合したアルファ-1,3-グルカンの結晶化度と比較した。加水分解されたアルファ-1,3-グルカンは、加水分解されていないアルファ-1,3-グルカンと比較して、実質的により高い結晶化度(0.65超)を有した。特に、(40℃で48時間、上記の通りウェットケーキを酸加水分解することによって製造された)50のDPwを有する加水分解されたアルファ-1,3-グルカンは、約0.76の結晶化度を有した。(40℃で1時間、上記の通りウェットケーキを酸加水分解することによって製造された)94のDPwを有する加水分解されたアルファ-1,3-グルカンの試料は、約0.69の結晶化度を有した。しかしながら、酵素的に生成され、約230~約830の範囲のDPw値を有する非加水分解アルファ-1,3-グルカン(約100%のアルファ-1,3結合)のサンプルは、結晶性がより低かった(酵素的に生成されたアルファ-1,3-グルカンの分子量は、例えば、米国特許出願公開第2015/0064748号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される技術を使用して、DPw230~830の範囲内にあるように変調することができる)。
【0277】
電子顕微鏡法を使用して、加水分解されたアルファ-1,3-グルカン(DPw50、0.76CI、1.2PDI)のミクロ構造を、加水分解されていないアルファ-1,3-グルカン(DPw約800)のものと比較した(上記で製造された通り)。以下の通り、コントラスト剤としてリンタングステン酸塩を使用する乾燥キャスト電子顕微鏡法によってグルカン試料を画像化した。DPw50及びDPw約800のアルファ-1,3-グルカンのスラリーを、複数回の遠心分離及びDI水中への再分散によって精製した。最終精製されたグルカン試料を100倍に希釈し、次いで、3分間、超音波処理した。超音波処理が完了したら、各調製物から上澄みを単離し、銅メッシュTEMグリッド上に乾燥キャスト透過型電子顕微鏡法(TEM)試料を調製した。次いで、ネガティブコントラスト染色用にリンタングステン酸を使用し、その後、TEM画像処理を実行した。得られたTEM画像は、通常、TEMグリッド上に堆積させたより大きく厚い試料の端部に位置する部分からであった。加水分解されたアルファ-1,3-グルカン(DPw50)は二次元構造を示した(凝集していない物質の約90重量%超がプレートの形態であった)が、非加水分解アルファ-1,3-グルカン(DPw約800)はより大きな三次元原線維構造を示した。酵素的に製造され、且つ約260のDPwを有する、加水分解されなかったアルファ-1,3-グルカン(約100%アルファ-1,3結合)のTEM画像は、加水分解されなかったアルファ-1,3-グルカン(DPw約800)のものと非常に類似したミクロ構造を示した。
【0278】
実施例1
可溶性アルファ-グルカン誘導体で表面置換された不溶性アルファ-グルカンの製造
分散法を使用して、(i)不溶性アルファ-1,3-グルカン(DPw約800、約100%アルファ-1,3結合、分散粒径D50 1~20マイクロメートル)、(ii)カルボキシメチルアルファ-1,3-グルカン(CMG)エーテル(約0.4~0.6DoS、約90~130kDa)、水溶性カチオン性アルファ-1,3-グルカン(WSCG)エーテル(トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルアルファ-1,3-グルカン(約0.4~0.6DoS、約150~160kDa)、又は(iii)カルボキシメチルセルロース(CMC)エーテル(Aqualon(商標)7LF、約90kDa、0.7DoS、Ashland Inc.)を含む組成物をこの実施例で調製した(材料/方法を参照)。様々な量のCMG、WSCG、又はCMCを、8重量%のアルファ-1,3-グルカン(乾燥履歴なし)分散液の個々の一定分量に添加した。次いで、各成分(i及びii)を含む分散液(200mL)を、lab Waring(登録商標)ブレンダーを使用して高RPM(すなわち、高剪断)で3分間ブレンドした。全てのブレンドされた試料を、同心円筒形状を使用して定常剪断粘度についてAnton Paarレオメーターを使用して分析した。全てのサンプルが非ニュートン挙動を示したので、10 1/sの剪断速度での定常剪断粘度を選択し、収集したデータに表した(表1)。
【0279】
【表1】
【0280】
表1に示すように、CMG、WSCG、及びCMC添加剤の異なる負荷レベルで、定常剪断粘度(センチポアズ[cps])を測定した。CMG、WSCG、及びCMCの負荷レベル(表1)は、CMG、WSCG、又はCMCを添加した分散液中の不溶性アルファ-1,3-グルカンの重量(乾燥重量基準)に対するものであった。
【0281】
表1に示すように、水中のアルファ-1,3-グルカン(8重量%)の分散液の定常剪断粘度は329cpsであった。定常剪断粘度の結果は、CMG及びWSCGを添加剤として使用した場合、添加剤レベルが増加するにつれて粘度が体系的に低下したことを示している。この観察は、不溶性アルファ-1,3-グルカン表面が負(CMG)又は正(WSCG)のいずれかの表面電荷(アルファ-1,3-グルカン表面から水を除去する)とうまく交換されているためであり、アルファ-1,3-グルカン粒子は添加剤でコーティングされている。表面交換された(現在は「帯電した」)アルファ-1,3-グルカン粒子(D50 1~20マイクロメートル)は、ここではいくらかの反発特性を有し、したがって粒子凝集が減少し、定常剪断粘度が減少すると考えられる。驚くべきことに、この粘度の低下は、分散液の全固形分がCMG/WSCG添加剤によって増加したにもかかわらず生じた。これらの結果は、アルファ-1,3-グルカンの水溶性誘導体(例えば、CMG及びWSCGなどの水溶性エーテル)がそれ自体で水に溶解すると、典型的には水の粘度を増加させるという観察とは対照的である(データは示さず)。また注目すべきことに、CMCを添加した場合、反対の応答が観察され、定常剪断粘度はCMCの添加によって増加した。これは、CMCが不溶性のアルファ-1,3-グルカン粒子の表面と相互作用せず、むしろ水相に入り(溶解し)、それによって粘度を増加させることを示唆している。
【0282】
したがって、可溶性グルカン誘導体で表面交換された(「表面修飾された」)不溶性アルファ-1,3-グルカンを有する水性組成物を調製した。この表面交換アルファ-1,3-グルカンは、非苛性水性条件に分散させた場合、非表面交換アルファ-1,3-グルカンと比較して粘度が低下していた。
【0283】
実施例2
可溶性アルファ-グルカン誘導体で表面置換された不溶性アルファ-グルカンの更なる製造
この実施例は、可溶性アルファ-グルカン誘導体を使用する表面交換を使用して、非苛性水性媒体中に分散させた場合に不溶性アルファ-1,3-グルカン微粒子の粘度を低下させることができることを示す。これらの結果は更に、実施例1に開示された結果と一致している。
【0284】
ここで参照される材料は、実施例1に開示されたものと同じであった。実施例1に記載したのと同様に試料を調製し、分析した。以下の表2は、10、12又は15重量%の水に分散した不溶性アルファ-1,3-グルカンの定常剪断粘度が、WSCG(アルファ1,3-グルカン質量に対して4重量%)を添加した場合に有意に低下したことを示す。
【0285】
【表2】
【0286】
15重量%のアルファ-1,3-グルカン分散液は流動性ではなかったが、WSCG(アルファ-1,3-グルカン質量に対して4重量%)の添加により、分散液が流動性になることも観察された。
【0287】
実施例3
不溶性アルファ-グルカンに表面電荷を導入するための表面交換
この実施例は、不溶性アルファ-1,3-グルカン粒子の電荷特性を修飾するための2つの異なる表面交換法-固体法及び分散法(上記の材料/方法を参照)-を比較する。ゼータ電位を測定することによって表面電荷を決定した。これらの方法によって表面電荷を付与することができ、表面電荷が微粒子構造を保存し、乾燥によって引き起こされる粒子の不可逆的な凝集を防ぐことができることが分かった。
【0288】
比較のために、化学的に誘導体化された分散性カチオン性アルファ-1,3-グルカン(DCG)(トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルアルファ-1,3-グルカン、約130kDa、約0.01~0.03DoS)を使用した。分散性であり、0.3未満のDoSを有し得る不溶性カチオン性アルファ-1,3-グルカンエーテルは、例えば、米国特許出願公開2016/0311935号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)の開示に従って調製され得、それに応じてアルファ-1,3-グルカン対カチオン性エーテル化剤の比を調整する。
【0289】
分散法(材料/方法を参照)によって上記の実施例で調製された表面交換された不溶性のアルファ-1,3-グルカン試料を、更なる改変なしでゼータ電位分析に直接使用した。
【0290】
固体法(材料/方法を参照)を使用して調製した表面交換された不溶性アルファ-1,3-グルカン試料を80℃で3日間乾燥させて、>90重量%の固形分に達した。得られた乾燥粉末を、ゼータ電位分析のために、Waring(登録商標)ブレンダー(高RPM、3分)を使用して水に分散させた。
【0291】
試料のゼータ電位測定(Malvern ZETASIZERを使用)を使用して、表面交換が成功したかどうかを評価した。先端超音波処理前処理の有無にかかわらず、ゼータ電位を測定し、いずれの測定アプローチでも有意差は観察されなかった。結果(表3a)は、不溶性アルファ-1,3-グルカンとWSCG(上記の実施例で使用したものと同じ)との表面交換が表面電荷を提供したことを示している。この表面電荷は、表面交換がどのように行われたか(固体状態又は分散状態)にかかわらず、概して一定であった。
【0292】
【表3】
【0293】
不溶性のアルファ-1,3-グルカンの表面上のWSCGの存在が、乾燥に伴って生じるアルファ-1,3-グルカン粒子の不可逆的凝集を防止するかどうかを決定するために、追加のデータを収集した。レーザー光回折式粒度分析計を使用して粒径を測定した(表3b)。
【0294】
【表4】
【0295】
表3bの結果は、不溶性アルファ-1,3-グルカンとWSCG保存微粒子構造との表面交換が、不溶性アルファ-1,3-グルカンが乾燥したときに典型的に観察される不可逆的凝集を防止したことを示している。非表面交換され、乾燥され、再懸濁されたアルファ-1,3-グルカン(列2)は、非表面交換され、乾燥されたことがない分散されたアルファ-1,3-グルカン(列1)と比較して、より大きなサイズ(D90)の粒子を示したが、表面交換されたアルファ-1,3-グルカン(列4)(乾燥されていない)、及び表面交換され、乾燥され、再懸濁されたアルファ-1,3-グルカン(列5)の両方は、分散中でほぼ同じ粒径プロファイルを示した。興味深いことに、カチオン基で化学的に誘導体化された不溶性アルファ-1,3-グルカンの粒子(DCG、行3)は、非表面交換され、乾燥され、再懸濁されたアルファ-1,3-グルカン(行2)と同様の分散液中の粒径プロファイル(例えば、非常に高いD90)を示した。
【0296】
上記の観察結果を考慮して、不溶性アルファ-1,3-グルカンをCMG(例えば、上記の実施例を参照されたい)などの負に帯電したアルファ-1,3-グルカン誘導体と表面交換すると、同様に微粒子構造が保存され、乾燥によって誘発される不可逆的な凝集が防止されると考えられる。
【0297】
実施例4
不溶性微結晶性アルファ-グルカンに表面電荷を導入するための表面交換
この実施例は、MCGに表面電荷を提供するための不溶性微結晶性アルファ-1,3-グルカン(MCG)(DPw40-50、約100%アルファ-1,3結合、0.76CI[結晶化度指数])の表面交換を記載する。この表面電荷は、MCGのレオロジー特性を増加させた:表面交換されたMCGを水に分散させた場合、表面交換されていないMCGに比べて粘度が高くなった。
【0298】
MCGは、材料/方法において上述したものと同様の方法に従って調製及び分析した。MCGを80℃のオーブン中で3日間>90重量%の固形分まで乾燥させた。MCG乾燥粉末を水中で再水和させ、パドルを使用して手動で混合して、40重量%固形分のMCGウェットケーキを製造した。水中に分散したこのMCGの粒子は、約200~500マイクロメートルの粒径D50を有しており、MCGの典型的なサブマイクロメートルサイズよりも大きいこのサイズは、粒子凝集に起因すると考えられる。
【0299】
次いで、固体法(材料/方法)を使用して、CMC及びWSCGを使用して表面交換MCG試料を調製した(実施例1)。CMC又はWSCG乾燥粉末(それぞれCMGの質量に対して15重量%)をMCGウェットケーキに添加し、パドルミキサーを使用して混合した。次いで、各試料調製物(MCG単独、MCG+CMC、MCG+WSCG)を押出装置で3回連続して処理した。次いで、押出された混合物を、実験室用加温ブレンダー(高RPM、3分)を使用して、10重量%(乾燥重量基準)で水に個別に分散させた。次いで、各分散液を、Anton Paarレオメーターを使用して粘度について分析した。
【0300】
表4に示される結果は、CMCを使用してMCGの表面交換を試みた場合、そのような処理されたMCGは、水中に分散させたときに粘度を増加させたことを示している。実施例1において不溶性アルファ-1,3-グルカンを表面交換しようと試みたときに観察されたものと同様に、CMCはMCGとの相互作用を維持せず、むしろ水相を占有(溶解)し、それによって粘度を増加させると考えられる。
【0301】
正の表面電荷を有するようにWSCGで表面交換したMCGは、粘度の有意な増加(1600cps)をもたらし、これは分散した未修飾MCG(25.6cps)の粘度よりも約二桁高かった(表4)。この結果は、約DPw800の不溶性アルファ-1,3-グルカンの表面交換が水中で粘度が低下したグルカン粒子をもたらした実施例1及び2で観察されたものとは対照的であった。
【0302】
【表5】
【0303】
実施例5
不溶性アルファ-グルカンの相交換
この実施例は、固体表面修飾法(異なる相改質剤を含む材料/方法)を使用して、不溶性アルファ-1,3-グルカンの相を修飾できることを示す。このプロセスに従うと、アルファ-1,3-グルカン粒子構造の保存が可能になる。
【0304】
添加剤を含まないアルファ-1,3-グルカンウェットケーキは、40重量%の固形分(すなわち、40重量%のアルファ-1,3-グルカン)であり得、残りの60重量%は水である。乾燥によってウェットケーキから水が除去されると、アルファ-1,3-グルカンは水素結合によって不可逆的に凝集体を形成し、元のアルファ-1,3-グルカン粒子の微細構造を崩壊させる。実施例3に示される表面交換作業は、不溶性アルファ-1,3-グルカンの表面を電荷で修飾することが、この水素結合によって誘発される不可逆的な凝集を防ぐことを示唆している。
【0305】
この実施例でも同様の手法を採用し、可溶性の荷電アルファ-1,3-グルカンで表面交換する代わりに、水相全体を異なる相で置き換えた。実施例1で使用した不溶性アルファ-1,3-グルカンをこの実施例で使用した(DPw約800、約100%アルファ-1,3結合、分散粒径D50 1~20マイクロメートル)。
【0306】
不溶性アルファ-1,3-グルカンの相として水を置換するために、以下の4つの異なる材料を試験した:松脂(スラッシュマツ樹脂、Diamond G Forest Products,S.Georgia)、精製亜麻仁油(US Art Suppliers)、エポキシ化亜麻仁油(EPLO、NatureFlex(商標)ELOとして入手可能、The Chemical Company)、及び相修飾のためのグリセロール(Sigma-Aldrich)。便宜上、これらの材料は、本明細書では「相改質剤」(本明細書では「添加剤」の例)と呼ばれる。4つの異なる相改質剤を、ウェットケーキ中の水と同じ質量レベル(すなわち、ウェットケーキの60重量%)でアルファ-1,3-グルカンウェットケーキ(固形分40重量%)に個別に添加し、次いで、実施例4で行ったように押出装置を通して処理した。
【0307】
この固相相交換プロセスを実施した後に回収された各生成物は、以下を含有すると計算された:25重量%の不溶性アルファ-1,3-グルカン、37.5重量%の水、及び37.5重量%の相改質剤。このウェットケーキの状態を、便宜上、「中間相改質ウェットケーキ」と称した。各中間相改質ウェットケーキの質感及び外観は、それぞれの相改質剤によって影響を受けた。次いで、中間相改質ウェットケーキを85℃で2日間乾燥させて水を除去して、完全に相修飾された不溶性アルファ-1,3-グルカンを生成した。各相改質組成物の質感及び外観は、その構成相改質剤によって影響を受けた。例えば、松脂などの固相改質剤を使用した場合、得られた相改質組成物は固体の質感を有していた。亜麻仁油などの油相改質剤を使用した場合、得られた相改質組成物は油のような質感であった。表5は、相修飾されたアルファ-1,3-グルカン組成物の視覚的及びテクスチャ観察をまとめたものである。
【0308】
【表6】
【0309】
グリセロール相修飾アルファ-1,3-グルカン組成物を粒径について分析して、典型的には水分除去によって誘導される不溶性アルファ-1,3-グルカンの不可逆的凝集が段階的相修飾によって防止されるかどうかを決定した。レーザー光回折式粒度分析計を使用して粒径を測定した。結果(表6)は、中間相修飾アルファ-1,3-グルカンウェットケーキ及び完全相修飾アルファ-1,3-グルカンの両方に関連する粒径が、相修飾(対照)処理前のアルファ-1,3-グルカンウェットケーキに関連する粒径と比較して、概して変化しなかったことを示す。
【0310】
【表7】
【0311】
粒子サイズを保存する同様の結果が、他の試験相でも観察された(データは示さず)。したがって、不溶性アルファ-1,3-グルカンの相修飾を使用して、不溶性(相修飾されていない)アルファ-1,3-グルカンが乾燥したときに典型的に観察される不可逆的な凝集を防ぐことができる。
【0312】
実施例6
不溶性アルファ-グルカンの色制御
本明細書における不溶性アルファ-グルカンの色を変えるために、漂白活性を有する添加剤(例えば、過酸化水素又は塩素漂白剤)を添加して、不溶性アルファ-グルカンのいくつかの調製物に存在する発色団を化学的に不活性化することができる。この実施例は、特に、異なるグレードのMCGを過酸化水素で処理すると、材料の色を薄くすることができることを示す。
【0313】
MCGのサンプルは、一般に、上記の実施例4のように調製し、8~10重量%の水に分散させた(1Lの最終分散液)。分散した1つのMCG試料(MCG-TG)は、14~16重量%の水溶性糖不純物(例えば、グルコース、フルクトース、グルコオリゴ糖)を含むと予想された。分散した別のMCG試料(MCG-SG)は、0.4重量%未満のそのような不純物を有すると予想された。MCG-TG及びMCG-SG分散液のそれぞれに、1mLの30重量%過酸化水素溶液(Sigma Aldrich)を添加し、別の組のこれらの分散液は過酸化水素を受けなかった。次いで、分散液を真空オーブン(130℃)で3日間乾燥させて水を完全に除去した。次いで、画像解析(ImageJ、LOCIウェブサイト、University of Wisconsin-Madison)を用いて、各乾燥生成物の色を測定した。この分析の結果(L、a、b)を以下の表7に示す。
【0314】
【表8】
【0315】
本実施例におけるL a b色空間の3つの座標は、それぞれ、固体の色の明度(L=0は黒を示し、L=100は拡散白色を示す)、赤/マゼンタと緑との間のスケールに沿った物体の色(a、負の値は緑色を示し、正の値はマゼンタを示す)、及び黄色と青との間のスケールに沿った物体の色(b、負の値は青色を示し、正の値は黄色を示す)を表す。
【0316】
実施例7
レオロジー調整剤としての不溶性アルファ-グルカン
この実施例は、不溶性アルファ-1,3-グルカンを、そうでなければ液体又は非固体の化学化合物をゲル化、増粘及び/又は固化するための薬剤として使用することができることを示す。特に、グリセロール、1,3-プロパンジオール、及びワセリンのゲル化剤としては、不溶性のアルファ-1,3-グルカンを用いた。
【0317】
MCG(実施例4、10重量%の水分散液として提供)をグリセロール、プロパンジオール又はワセリンと室温でブレンドし、続いて蒸留又は回転蒸発によって全ての水を除去した。最終生成物は、10又は15重量%のMCGを有していた。10重量%のMCGを含むグリセロールは流動性であったが、15重量%のMCGを含むグリセロールは流動性ではなく(軟膏の外観及び触覚を有する)、プロパンジオール系生成物でも同様の結果が観察された。
【0318】
表8は、ワセリン(MCGなし)及び15重量%MCGを含むグリセロール(官能評価:1-低;5-高)の官能評価の結果を示す。グリセリンベースのサンプルは、ワセリンのこれらの特徴と比較して、脂っぽさ及び光沢についてより低い値を有し、アフターフィールの結果がより良好であることを示している。グリセロールをMCGと共に使用することの別の利点は、極性及び/又は水溶性添加剤を用いてグリセロールを更に製剤化する可能性であり、このような添加剤は、溶解性の問題のためにワセリンゼリーには有用ではない。15重量%のMCGを含むグリセロールもまた、ワセリンに匹敵するいくらかの外観及び擦れ特徴を有していた(表8)。同様の官能評価は、15重量%のMCGを有するプロパンジオールを用いて得られたが、15重量%のMCGを含むワセリンは、改善されたタッチ、感触及び触覚を有していた(データは示さず)。
【0319】
【表9】
【0320】
消費者は、おそらく、持続可能な成分である不溶性のアルファ-1,3-グルカンを含有するパーソナルケア製品(例えば、皮膚治療用などのローション/軟膏)を受け入れ、その利点を理解するであろう。アルファ-1,3-グルカンは、グリセロール及び同様の持続可能な材料(例えば、プロパンジオール)に特徴を付与して、そうでなければ持続不可能な(石油由来の)既存の材料(ワセリン)よりも優れているか又はそれに等しい製品を作製することができる。
【国際調査報告】