(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】エンジン潤滑システム、潤滑流体循環システム、及び流圧を調整するための方法
(51)【国際特許分類】
F01M 1/16 20060101AFI20240416BHJP
F01M 11/02 20060101ALI20240416BHJP
F16K 3/24 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F01M1/16 C
F01M11/02
F01M1/16 F
F16K3/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567159
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022072073
(87)【国際公開番号】W WO2022236260
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504244623
【氏名又は名称】カミンズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ,ニコラス・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】フレスナー,マシュー・ディー
【テーマコード(参考)】
3G015
3G313
3H053
【Fターム(参考)】
3G015DA10
3G015FC04
3G313BB14
3G313BB27
3G313BD43
3G313EA02
3G313FA09
3H053AA11
3H053BA01
3H053CA03
3H053DA03
(57)【要約】
内燃機関用の潤滑システムは、エンジンの潤滑回路の上流にあるポンプの出口側における圧力状態を調整するポンプの出口側における流量制御デバイスを含む。流量制御デバイスは、再循環経路に配置され、ポンプの出口における流圧が第1の閾値を超えたことに応答して開き、流体がポンプの出口側からポンプの入口側に戻ることを可能にする。再循環経路は、第1の閾値を上回るエンジン速度で流圧を維持するチューニングデバイスを含む。エンジン速度が第2の閾値を上回ったことに応答して、チューニングデバイスは、流体流路の流圧が増加するように、再循環流路における流体流を制限する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用の潤滑システムであって、前記システムは、
流体流路と、前記流体流路を介して前記潤滑システムを通して循環させるために流体がポンプによって供給される、リザーバと、
前記ポンプの出口側の下流にある圧力調整器であって、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路を通って前記流体が流れることを可能にするように構成され、前記再循環経路は、前記ポンプの前記出口側を前記ポンプの入口側に接続する、前記圧力調整器と、
前記再循環経路にチューニングデバイスと、を備え、前記チューニングデバイスは、
前記エンジン速度が前記第1の閾値を超えたことに応答して、前記再循環経路における前記流体の流れを制限しないようにし、
前記エンジン速度が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、前記再循環経路における前記流体の流れを制限するように構成された前記内燃機関用の潤滑システム。
【請求項2】
前記流体流路は、前記第1の閾値と前記第2の閾値との間で実質的に一定の流圧で加圧される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体流路は、前記エンジン速度が前記第2の閾値を上回ると漸増する流圧で加圧される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記チューニングデバイスは、前記ポンプの前記出口側と前記圧力調整器との間の再循環経路にあるオリフィスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記チューニングデバイスは、前記ポンプの前記入口側と前記圧力調整器との間の再循環経路にあるオリフィスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記オリフィスは、前記圧力調整器の出口に配置される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記オリフィスは、前記ポンプの入口に配置される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記チューニングデバイスは、前記圧力調整器におけるスプール弁である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記チューニングデバイスは、前記圧力調整器におけるプランジャーストロークリミッターである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
エンジン速度が前記第1の閾値未満である間、前記圧力調整器は閉じている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
内燃機関の流圧を調整する方法であって、
流体流路を介して前記内燃機関の潤滑システムを通して流体を循環させることであって、前記潤滑システムは、前記流体が前記流体流路に供給されるポンプと、前記ポンプの出口側を前記ポンプの入口側に接続する再循環経路とを含む、循環させることと、
流量制御デバイスを用いて、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、前記再循環経路を通る流体流を制御することであって、前記流量制御デバイスは、前記ポンプの前記出口側の下流にある前記再循環経路にある、前記制御することと、
前記エンジン速度が前記第1の閾値を超えたことに応答して、前記再循環経路における前記流体流によって前記流体流路で実質的に一定圧力を維持することと、
前記エンジン速度が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、前記再循環経路における前記流体流を制限することと、
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記流体流路で前記実質的に一定圧力を維持することは、前記第1の閾値と前記第2の閾値との間で実質的に一定圧力を維持することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記流体流を制限することは、前記第2の閾値を上回るエンジン速度で前記流体流路の流圧を増加させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流体流を制限することは、前記ポンプの前記出口側と前記流量制御デバイスとの間に配置されたオリフィスを通る前記流体流を制限することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記流体流を制限することは、前記ポンプの前記入口側と前記流量制御デバイスとの間に配置されたオリフィスを通る前記流体流を制限することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記再循環経路における前記流体流を制限することは、前記エンジン速度が前記第2の閾値に対応するエンジン過速度状態を超えたことに応答して前記流体流を制限することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記再循環経路における前記流体流を制限することは、前記エンジン速度が前記第2の閾値を超えたことに応答して前記流体流を制限する圧力調整器によって前記流体流を制限することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
流体流が前記再循環経路を通ることを防止するために、前記第1の閾値よりも低いエンジン速度で前記流量制御デバイスを閉じることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
内燃機関用の潤滑流体循環システムであって、前記システムは、
流体流路を介して前記潤滑システムを通して流体を循環させるためのポンプと、
第1の端における入口と、前記第1の端に反対の第2の端における出口と、前記第1の端から前記第2の端まで延在し、前記流体が前記入口から前記出口に流れることを可能にする通路とを有する、再循環経路と、
前記再循環経路におけるチューニングデバイスであって、前記チューニングデバイスは、前記再循環経路を通って流れる前記流体の量を制御し、前記流体流路の流圧を前記エンジンの所定速度まで維持するように構成され、前記チューニングデバイスは、前記エンジンの前記所定速度を超えたことに応答して、前記再循環経路を通って流れる前記流体の前記量を制限することによって、前記流体流路の前記流圧を増加させる、前記チューニングデバイスと、
を備える、前記潤滑流体循環システム。
【請求項20】
前記再循環経路は圧力調整器を含み、前記圧力調整器は、第1の閾値を下回るエンジン速度において流体流が前記再循環経路を通ることを防止し、前記圧力調整器は、前記第1の閾値を上回るエンジン速度で開いて、流体流が前記再循環経路を通ることを可能にするように構成される、請求項19に記載の潤滑流体循環システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年5月4日に出願された米国仮出願第63/183,836号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、内燃機関に関し、より詳細には、限定ではないが、内燃機関用の潤滑システム及び潤滑流体循環システムのための圧力調整に関する。
【背景技術】
【0003】
概して、流量制御デバイスは、オイル及び他の流体の流動を制御して、エンジンの1つ以上の構成要素の潤滑及び冷却を提供するために内燃機関で使用されている。例えば、圧力調整器を使用して、オイルポンプの動作による潤滑回路における過剰な圧力状態を制限または防止できる。
【0004】
エンジン潤滑回路は、エンジンの過速度状態を含むエンジン動作速度の範囲の全体にわたって連続的なオイル流を維持するために必要な圧力を提供するようにサイズ決めされている。所要圧力は、所定の回転構成要素を通るオイルの流れに対抗して作用する遠心力により、エンジン速度と共に放物線状に増加する。したがって、非過速度機関動作状態で必要とされる油圧は、通常、過速度状態における回転構成要素によって必要とされる油圧よりも低い。
【0005】
結果として、エンジン動作範囲全体にわたる寄生損失を増加させることができる。その理由として、調整された油圧は、通常、エンジンの動作時間のわずかな割合しか発生しない、エンジンの過速度状態における圧力要求を満たすためのオイル流を提供するために設定されているためである。このように、内燃機関の構成要素の潤滑及び冷却のために、流体流動中の寄生損失を減らす必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、内燃機関用の潤滑システムの流圧を調整するための独自のシステム及び方法を含む。潤滑システムはリザーバを含み、流体流路を介して潤滑システムを通して循環させるために流体がポンプによってリザーバから供給される。潤滑システムは、ポンプの出口側の下流にある流体流路に結合された圧力調整器を含む。
【0007】
本開示の実施形態では、圧力調整器は、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、ポンプの出口側をポンプの入口側に接続する再循環経路に流体流が流れることを可能にする。潤滑システムはまた再循環経路にチューニングデバイスも含み、チューニングデバイスは、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を維持し、エンジン速度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を制限するように構成される。
【0008】
別の実施形態では、内燃機関の流圧を調整する方法が提供される。本方法は、流体流路を介して内燃機関の潤滑システムを通して流体を循環させることを含む。潤滑システムは、流体が供給されるポンプと、ポンプの出口側をポンプの入口側に接続する再循環経路とを含む。本方法は、さらに、流量制御デバイスを用いて、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路を通る流体流を制御することを含む。流量制御デバイスは、ポンプの出口側の下流にある流体流路に結合される。本方法は、さらに、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を維持することと、エンジン速度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を制限することと、を含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、潤滑流体循環システムは、流体流路を介して潤滑システムを通して流体を循環させるためのポンプを含む。潤滑流体循環システムは再循環経路を含み、再循環経路は、第1の端にある入口と、第1の端とは反対側の第2の端にある出口と、第1の端から第2の端まで延在して流体が入口から出口まで流れることを可能にする通路とを含む。潤滑流体循環システムは、また、再循環経路にチューニングデバイスも含む。チューニングデバイスが再循環経路を通って流れる流体の量を制御するように構成されることによって、流体流路の流圧をエンジンの所定速度まで維持する。チューニングデバイスは、流体流路の流圧を増加させるためにエンジンの所定速度を超えたとき、再循環経路を通って流れる流体の量を制限する。
【0010】
この発明の概要は、主張される主題の主要な特徴または重要な特徴を特定することを意図しておらず、主張される主題の範囲を制限することの補助として使用されることも意図していない。さらなる実施形態、形態、物体、特徴、利点、態様、及び利益は、以下の説明及び図面から明らかになるであろう。
【0011】
本明細書での説明は、添付の図面を参照し、同じ数字は複数の図にわたって同じ部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態による、内燃機関用の例示的な潤滑システムの概略的なブロック図である。
【
図2】
図1の潤滑システムのポンプの出口側から入口側までの再循環経路にチューニングデバイスの様々な可能な位置を示す概略的なブロック図である。
【
図3】チューニングデバイスの一実施形態の概略図である。
【
図4】チューニングデバイスの別の実施形態の概略図である。
【
図5】チューニングデバイスの別の実施形態の概略図である。
【
図6】再循環経路にあるチューニングデバイスに関する例示的な動作を示す、圧力対速度のグラフである。
【
図7】潤滑システムにおいて流圧を調整する例示的な動作手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の例示的な実施形態、本開示の作成及び使用の方式及びプロセス、ならびに本開示の実施、作成、及び使用を可能にする方式及びプロセスを、明瞭、簡潔、及び正確に説明するために、ここで、図に示されるものを含む特定の例示的な実施形態を参照し、専用の語句を使用して、これらを説明する。それにもかかわらず、本発明によって、本発明の範囲の制限が生じないことと、本発明は、当業者が想到するであろうような例示的な実施形態のそのような変更、修正、及びさらなる適用を含み及び保護することと、を理解されたい。
【0014】
図1~
図7を参照して、本開示は、内燃機関102用の潤滑システム100に関する。ある実施形態では、潤滑システム100は、リザーバ118、流体流路114、圧力調整器106、及びチューニングデバイス122を含む。流体は、リザーバ118からポンプによって供給され、流体流路114を介して潤滑システム100を通して循環する。圧力調整器106は、ポンプの下流にあり、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路120を通って流体が流れることを可能にするように構成される。チューニングデバイス122は、再循環経路120に配置される。
【0015】
ある実施形態では、潤滑システム100は、潤滑流体循環システム101を含む。潤滑流体循環システム101は、ポンプ108、再循環経路120、及びチューニングデバイス122を含む。チューニングデバイス122は、再循環経路120を通って流れる流体の量を制御して、流体流路114の流圧をエンジンの所定速度まで維持するように構成される。チューニングデバイス122は、エンジンの所定速度を超えたことに応答して、再循環通路120を通って流れる流体の量を制限することによって、流体流路114の流圧を増加させる。
【0016】
ある実施形態では、潤滑システム100は、潤滑システム100の流体流及び/または流圧を調整するように構成された流量制御デバイス104を含む。潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101は、潤滑流体ポンプ108のための再循環経路120において、圧力調整弁等の圧力調整器106と流体連通するオリフィス等のチューニングデバイス122を含む。チューニングデバイス122は、エンジン速度閾値を上回るエンジン動作中にシステム100の流圧を増加させるために、エンジン速度閾値を上回る流体流を制限するように構成される。例示的な実施形態では、チューニングデバイス122は、エンジン速度がエンジン過速度状態に関連付けられたエンジン速度閾値を超えたことに応答して、再循環経路120を通る流体流をチョークするまたは制限するように構成されることによって、過速度状態中にエンジン構成要素への流体流を維持するために、流体流路114の流圧を増加させる。
【0017】
ある実施形態では、潤滑システム100はリザーバ118を含み、このリザーバ118から、流体は、流体流路114を介して潤滑システム100を通して循環するためにポンプ108によって供給される。潤滑システム100は、ポンプ108の出口側の下流に圧力調整器106を含む。圧力調整器106は、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路120を通って流体が流れることを可能にするように構成される圧力調整弁であり得る。再循環経路120は、ポンプ108の出口側をポンプ108の入口側に接続している。チューニングデバイス122は、再循環経路120に配置される。チューニングデバイス122は、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路120における流体の流れを制限しないように構成される。チューニングデバイス122は、さらに、エンジン速度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、再循環経路120の流体の流れを制限するように構成される。
【0018】
ある実施形態では、潤滑流体循環システム101は、流体流経路114を介して潤滑システム100を通して、流体を循環するためのポンプ108を含む。潤滑流体循環システム101は再循環経路120を含み、再循環経路120は、第1の端における入口120aと、第1の端に反対の第2の端における出口120bと、第1の端から第2の端まで延在し、流体が入口120aから出口120bに流れることを可能にする通路120cとを有する。潤滑流体循環システム101は、再循環経路120にチューニングデバイス122を含む。チューニングデバイス122は、再循環経路120を通って流れる流体の量を制御して、流体流路114の流圧をエンジンの所定速度まで維持するように構成される。チューニングデバイス122は、エンジンの所定速度を超えたことに応答して、再循環通路120を通って流れる流体の量を制限することによって、流体流路114の流圧を増加させる。
【0019】
ある実施形態では、本方法は、流体流路114を介して内燃機関102の潤滑システム100を通して流体を循環させることを含む。潤滑システム100は、流体が流体流路114に供給されるポンプ108と、ポンプ108の出口側をポンプ108の入口側に接続する再循環経路120とを含む。本方法は、流量制御デバイス104を用いて、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路120を通る流体流を制御することを含む。流量制御デバイス104は、ポンプ108の出口側の下流にある流体流路114に結合される。本方法は、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路120における流体流を伴う流体流路114で実質的に一定圧力を維持することと、エンジン速度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、再循環経路120における流体流を制限することと、を含む。
【0020】
図1では、潤滑システム100は流体制御デバイス104を含む。流量制御デバイス104は、例えば、潤滑流体ポンプ108の下流にあり、潤滑流体フィルタ110の上流に位置付けられた圧力調整器106であり得る。潤滑システム100は、また、エンジン102に対して相対的な様々な構成要素及び位置に関する分配のために、流体流路114の潤滑流体を複数のエンジン構成要素116及び/または他のライフル(図示せず)にするライフル112も有する。潤滑流体は、潤滑流体循環システム101を介して潤滑システム100を通して循環できる。
【0021】
潤滑流体は、ポンプ108の入口側または吸込側でまたはその付近で、例えばサンプ等のリザーバ118に戻る。再循環経路120は、流体をその内部を流れることを可能にするために、潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101に設けられている。再循環経路120は、ポンプ108の出口からポンプ108の入口まで延在し得る。例示的な実施形態では、潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101は、例えば、再循環経路120のオリフィス156(
図5)等のチューニングデバイス122を含む。
【0022】
本開示の実施形態では、チューニングデバイス122は、圧力調整器106の流路に結合される。チューニングデバイス122は、エンジン速度が第1のエンジン速度閾値を超えたことに応答して、再循環経路120における流体の流れを制限しないように構成される。例えば、チューニングデバイスは、第1のエンジン速度閾値を上回る通常のエンジン動作中に、ポンプ108の出口において調整された実質的に一定の公称流圧を提供する再循環経路120で、ある流体流量が流れることを可能にする。チューニングデバイス122は、エンジンの過速度状態を下回るエンジン速度の範囲にわたって、流体流路114の流圧が一定圧力に維持される、または目標圧力を上回る及び/または下回る許容範囲内の実質的に一定圧力に維持されるように構成できる。ある実施形態では、流体流路114の流圧を維持することは、第1のエンジン速度閾値を上回るエンジン速度の増加または減少に比例して、流体流路114の流圧が増加または減少するのを防止することを含む。
【0023】
例えば、第1のエンジン速度閾値よりも低いと、圧力調整器106を通る流体流がないため、再循環経路120は閉じる。エンジン速度が第1のエンジン速度閾値を上回って増加すると、圧力調整器106が開き、ポンプ108における流体流の出力が変化する可能性があり、エンジン速度の増加に対応して圧力が増加しないように、流体流路114の圧力を実質的に一定にすることが可能になる。エンジン速度が、エンジン過速度状態等の第2のエンジン速度閾値に達するとき、調整デバイス122は、再循環経路120における圧力調整器106への流体流または圧力調整器106からの流体流を制限またはチョークし、これにより、流体流路114の流圧はエンジン速度と比例して増加する一方、流体流は、エンジン過速度状態中、エンジン構成要素116によって必要とされる潤滑を提供するのに十分な速度で継続する。
【0024】
チューニングデバイス122は、第1のエンジン速度閾値と第2のエンジン速度閾値との間の流体流路114における公称調整圧力を、過速度状態における圧力よりも低くなることを可能にすることによって寄生損失を減らす。これは、一般的に第2のエンジン速度閾値を下回る最も一般的なエンジン動作状態中に潤滑流体ポンプ108を駆動させるために必要とされる出力を減らす一方、エンジン過速度状態中、公称調整圧力よりも高い圧力で、必要とされる流体流を、ライフル112を通して流体流路114に提供することも行う。
【0025】
潤滑システムの全ての構成要素または態様が示されるわけではなく、システム100は、本開示の流量制御デバイス104を組み込む任意の既知のエンジン流体潤滑システムに従って構成され得ることを理解されたい。さらに、潤滑流体は一実施形態に従ったエンジンオイルであり得るが、流量制御デバイス104が使用され得る他のタイプの流体及び流体回路も考えられる。
【0026】
図2は、
図1の潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101のポンプ108の出口側から入口側までの再循環経路120のチューニングデバイス122の様々な可能な位置を示す概略ブロック図である。
図2では、チューニングデバイス122の様々な可能な位置は、チューニングデバイス位置122a、122b、及び122cによって示される。1つの例示的な実施形態では、チューニングデバイス122は、位置122aによって示されるように、ポンプ108の出口側と圧力調整器106との間の再循環経路120に設けられている。別の例示的な実施形態では、チューニングデバイス122は、ポンプ108の入口側と圧力調整器106との間の再循環経路120に設けられている。例えば、チューニングデバイス122は、位置122bによって示されるように圧力調整器106の出口に設けられ得る。
図2では、吸込み管124(例えば、ポンプ108の上流側における入口回路)が、潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101に設けられている。したがって、別の例示的な実施形態では、チューニングデバイス122は、位置122cによって示されるように、吸引管124の入口に設けられている。
【0027】
また、潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101の別の例示的な実施形態は、圧力調整器106内に形成されるチューニングデバイス122で構成されることも認識されたい。例えば、
図3に示されるように、チューニングデバイス122は、第2のエンジン速度閾値を上回る流体流を制限するように構成される圧力調整器106のスプール弁134のジオメトリによって提供できる。断面図で示されるスプール弁134は、破線のスプール弁134によって示されるように、閉鎖構成で、圧力調整器106への入口130をブロックする構成を含む。開放構成では、スプール弁134は、入口130を開くように変位するが、出口132に対して相対的な大きさが制限された流路136を提供するため、再循環経路120を通る流れは、エンジンの過速度状態中、制限される。
【0028】
スプール弁134によって提供された調整済み再循環経路120は、第1のエンジン速度閾値と第2のエンジン速度閾値との間の再循環経路120で流体流を制限しないことを可能にすることによって、ポンプ108によって出力された流圧が維持されるようにサイズ決めされている。第2のエンジン速度閾値を上回るエンジン動作中に流体流路114の圧力が増加するように、再循環流路120の流体流は制限される。
【0029】
ある実施形態では、圧力調整器106は、圧力調整器106のプランジャーのストロークを制限する、圧力調整器106におけるチューニングデバイス122を備えるように構成される。例えば、
図4に示されるように、第2のエンジン速度閾値を上回る流体流を制限するために、圧力調整器106におけるスプール弁140のストロークを制限することによって、チューニングデバイス122を設けることができる。スプール弁140は、破線のスプール弁140によって示されるように、圧力調整器106への入口130をブロックする閉鎖位置を含む。開放位置では、入口130の邪魔にならないようにスプール弁が変位する。しかしながら、スプール弁140のプランジャー142のストロークが制限されているため、スプール弁140は、スプール弁140の突出部134によって出口132を部分的にブロックする。結果として、再循環経路120を通る流体流は、スプール弁140によって制限され、入口130が開いている間、エンジンの過速度状態中、出口132を部分的に遮断する。
【0030】
図3~
図4の実施形態では、スプール弁のジオメトリ及び/またはプランジャーストローク制限器により、圧力調整器106を通る流路のサイズが制限される。調整済み流路は、第1のエンジン速度閾値と第2のエンジン速度閾値との間の再循環経路120で流体流を制限しないことを可能にすることによって、ポンプ108によって出力された流圧が維持されるようにサイズ決めされている。より高いエンジン速度において、スプール弁のジオメトリまたはポジショニングにより、再循環経路120の流体流が制限され、その結果、第2のエンジン速度閾値を上回るエンジン速度において、流体流路114の圧力が増加する。
【0031】
別の実施形態では、圧力調整器106は非線形レギュレータースプリングが設けられており、非線形レギュレータースプリングは、エンジン速度と共に増加し続けるのではなく、ポンプ108によって出力された流圧が第1のエンジン速度閾値を上回って実質的に一定に維持されることを可能にする。非線形スプリングは、第1のエンジン速度閾値と第2のエンジン速度閾値との間の再循環経路120で流体流を制限しないことを可能にすることによって、ポンプ108によって出力された流圧が維持されるように流路サイズを調整する。より高速で、非線形調整ばねが弁開口に対して増加された抵抗を提供することにより、再循環経路120における流体流は制限され、流体流路114の圧力は、第2のエンジン速度閾値を上回るエンジン速度で増加する。
【0032】
図5に示される別の実施形態では、チューニングデバイス122は、再循環経路120におけるオリフィス156である。例えば、オリフィス156は、通路120cに位置付けられ、部分的に通路120cを遮断する本体154を通して延在する開口によって設けることができる。本体154は、通路120cにおける任意の位置、例えば、圧力調整器106の出口132または本明細書に説明されたその他の適切な位置に配置できる。圧力調整器106は、弁体150が入口130をブロックする第1の位置と、入口130及び出口132が開いている第2の位置とを含む。しかしながら、出口132を通る流体流は、第2のエンジン速度閾値を上回るエンジン速度においてオリフィス156によって制限される。
【0033】
図6は、循環経路120のチューニングデバイス122を伴う潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101の例示的な動作を示す概略図である。動作時、圧力調整器106が最初に閉じられているため、再循環経路120に流体流はない。その後、機関速度が第1のエンジン速度閾値126に達すると圧力調整器106が開く。圧力調整器106及びチューニングデバイス122を通して再循環経路120に再循環される流体の量は、ポンプ108によって出力された流体の圧力を、第1のエンジン速度閾値126を上回り、そして第2のエンジン速度閾値128まで実質的に一定に維持することを可能にする。
【0034】
第2のエンジン速度閾値128は、例えば、エンジンの過速度状態に関連付けられ得る。エンジン速度が第2のエンジン速度閾値128を超えるとき、チューニングデバイス122は、再循環経路120における流体流を制限する。例えば、エンジン速度が第2のエンジン速度閾値128を超えたことに応答して、チューニングデバイス122は流体流をチョークし、一定の流圧を維持するために必要な量よりも少ない流体しか再循環することができないので、ポンプ108によって出力された流圧を増加させる。しかしながら、チューニングデバイス122は、第1のエンジン速度閾値126と第2のエンジン速度閾値速度128との間で流圧を一定に維持するために必要とされる流体流の量をバイパスするように構成される再循環経路120における所定の開口エリアで構成される。ある実施形態では、第1のエンジン速度閾値及び第2のエンジン速度閾値は、通常のエンジン動作状態または過回転ではないエンジン動作状態に関連付けられる。
【0035】
図7は、潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101の流圧を調整する例示的な動作手順300を示すフロー図である。手順300は、エンジン始動イベント等の始動動作302から開始する。手順300は、潤滑システム100及び/または潤滑流体循環システム101を通して流体を循環させるために、動作304に続く。動作304から、手順300は動作306に進み、エンジンが第1の閾値を超えたことに応答して、圧力調整器106を用いて再循環経路120を通る流体流を制御する。
【0036】
動作306から、手順300は動作308に進む。動作308は、エンジン速度が第1の閾値を超え、第2の圧力よりも低くなったことに応答して、流体流路114のポンプ108からの流体流を実質的に一定圧力に維持する。上記に説明したように、再循環経路120におけるチューニングデバイス122は、流体流路114のライフル圧力を実質的に一定に維持することを可能にするエンジン速度に基づいて、再循環経路120の再循環流量を提供するようにサイズ決めされている。
【0037】
動作308から、手順300は動作310に進む。動作310は、エンジン速度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超過したことに応答して、チューニングデバイス122によって、再循環経路120の流体流を制限する。結果として、流体流路114の圧力は、第2のエンジン速度閾値を下回って生成された実質的に一定圧力から増加する。第1のエンジン速度閾値と第2のエンジン速度閾値との間のエンジン速度におけるポンプ損失はチューニングデバイス122を備えないシステムと比較して減り、システムについて、第1のエンジン速度閾値を上回るエンジン過速度状態を含む全てのエンジン速度において流体経路114において一定圧力を生成するようにサイズ決めされた再循環経路を備えるように構成されたシステム等が該当する。
【0038】
上述の例示的な実施形態及び実施態様によれば、チューニング済オリフィスまたは他のチューニングデバイス等のチューニングデバイス122は、潤滑ポンプ108に通じる再循環経路120に設けられ得る。チューニングデバイス122は、増加した圧力で潤滑流体を提供するために、公称または公称的に所望されるライフル圧力及び特定のエンジン速度閾値を上回って、ライフル圧力を増加させることを可能にするようにサイズ決めされている。調整デバイス122は、再循環経路120が開いているエンジン速度の全範囲にわたって流体流路114の所望の圧力分布を提供するために、エンジン102の再循環経路120を再構成またはサイズ変更する必要はない。
【0039】
複数の例示的な実施形態のさらなる記載を以下に提供する。1つの例示的な実施形態は、内燃機関の潤滑システムである。潤滑システムは、流体流路と、流体流路を介してポンプにより流体が供給される潤滑システムを通して循環するリザーバと、ポンプの出口側の下流にある圧力調整器とを含む。圧力調整器は、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、ポンプの出口側をポンプの入口側に接続する再循環経路を通って流体流が流れることを可能にする。潤滑システムはさらに再循環経路にチューニングデバイスも含み、チューニングデバイスは、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を制限しないで、エンジン速度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を制限するように構成される。
【0040】
前述のシステムの特定の実施形態では、流体流路は、第1の閾値と第2の閾値との間の一定圧力で加圧される。特定の実施形態では、流体流路は、エンジン速度が第2の閾値を上回って増加するにつれて漸増する流体流路の流圧で加圧される。
【0041】
特定の実施形態では、チューニングデバイスは、ポンプの出口側と圧力調整器との間の再循環経路にあるオリフィスである。特定の実施形態では、チューニングデバイスは、ポンプの入口側と圧力調整器との間の再循環経路にあるオリフィスである。特定の実施形態では、オリフィスは、圧力調整器の出口に配置される。特定の実施形態では、オリフィスは、ポンプの入口に配置される。
【0042】
特定の実施形態では、チューニングデバイスは圧力調整器のスプールジオメトリである。特定の実施形態では、チューニングデバイスは圧力調整器のプランジャーストロークリミッターである。特定の実施形態では、エンジン速度が第1の閾値未満である間、圧力調整器は閉じている。
【0043】
別の例示的な実施形態は、内燃機関の流圧を調整する方法である。本方法は、流体流路を介して内燃機関の潤滑システムを通して流体を循環させることを含む。潤滑システムは、流体が流体流路に供給されるポンプと、ポンプの出口側をポンプの入口側に接続する再循環経路とを含む。本方法は、さらに、流量制御デバイスを用いて、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路を通る流体流を制御することを含む。流量制御デバイスは、ポンプの出口側の下流にある再循環経路にある。本方法は、さらに、エンジン速度が第1の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を維持することと、エンジン速度が第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を制限することと、を含む。
【0044】
前述の方法の実施形態では、再循環経路における流体流を維持することは、第1の閾値と第2の閾値との間で流体流路で実質的に一定圧力を維持することを含む。ある実施形態では、流体流を制限することは、第2の閾値を上回るエンジン速度において流体流路の流圧を増加させることを含む。
【0045】
本方法の実施形態では、流体流を制限することは、ポンプの出口側と流量制御デバイスとの間に配置されたオリフィスを通る流体流を制限することを含む。別の実施形態では、流体流を制限することは、ポンプの入口側と流量制御デバイスとの間に配置されたオリフィスを通る流体流を制限することを含む。
【0046】
ある実施形態では、再循環経路における流体流を制限することは、エンジン速度が第2の閾値を超えたことに応答して、再循環経路における流体流を制限する圧力調整器によって流体流を制限することを含む。ある実施形態では、本方法は、流体流が再循環経路を通ることを防止するために、第1の閾値よりも低いエンジン速度において流量制御デバイスを閉じることを含む。
【0047】
さらに別の例示的な実施形態は、内燃機関用の潤滑流体再循環システムである。潤滑流体再循環システムは、流体流路を介して潤滑システムを通して流体を循環させるためのポンプを含む。潤滑流体再循環システムは再循環経路を含み、再循環経路は、第1の端にある入口と、第1の端とは反対側の第2の端にある出口と、第1の端から第2の端まで延在して流体が入口から出口まで流れることを可能にする通路とを含む。潤滑流体再循環システムは、さらに、再循環経路にチューニングデバイスを含む。チューニングデバイスは、再循環経路を通って流れる流体の量を制御して、流体流路の流圧をエンジンの所定速度まで維持するように構成される。チューニングデバイスは、エンジンの所定速度を超えたことに応答して、再循環通路を通って流れる流体の量を制限することによって、流体流路の流圧を増加させる。
【0048】
ある実施形態では、再循環経路は、第1の閾値を下回るエンジン速度において流体流が再循環経路を通ることを防止する圧力調整器を含む。圧力調整器は、第1の閾値を上回るエンジン速度で開き、流体流が再循環経路を通ることを可能にするように構成される。
【0049】
図面及び前述の説明において、本開示の例示的な実施形態を詳細に図示及び説明したが、これらは、例示的であって特徴を限定するものではないと見なすべきであり、特定の例示的な実施形態だけを図示及び説明することと、特許請求される発明の主旨の範囲内で生じる全ての変更及び修正が保護されることが望まれることと、が理解される。上記の説明に利用される「好ましい」、「好ましくは」、「好まれる」、または「より好まれる」等の語句の利用は、そのように説明される特徴がより望ましくなり得ることを示すが、それでも、それは必須ではない場合があり、この特徴がない実施形態は、本発明の範囲内にあるものと考えられ、この範囲は以下の特許請求の範囲によって定義される。特許請求の範囲を読む際に意図されるのは、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「少なくとも1つの(at least one)」、または「少なくとも一部の(at least one portion)」等の語句が使用されるとき、その請求項において特に反対のことを述べていない限り、この請求項をただ1つの項目だけに限定する意図はないことである。「少なくとも一部(at least a portion)」及び/または「一部(a portion)」という用語が使用されるとき、その項目は、特に反対のことが述べていない限り、一部及び/または全項目を含み得る。
【国際調査報告】