(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】感情神経精神障害の治療のための閉ループ神経調節
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20240416BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567190
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022027429
(87)【国際公開番号】W WO2022235638
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】スカンゴス,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】クリスタル,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,エドワード
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ05
4C053JJ21
4C053JJ27
(57)【要約】
本開示は、うつ病及び/若しくは不安症並びに/又は関連する障害などの感情障害を治療するための方法及びシステムを提供する。閉ループ療法は、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を記録し、症状と関連付けられた神経活動の事前に指定されたパターンが検出されるときに電気刺激を送達する神経刺激器を用いて行われる。神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動を検出するための電極の配置を最適化し、電気刺激の送達のための電極の配置を最適化するために、患者の脳をマッピングするための方法も、開示される。臨床症状及び状態に対する電気刺激の効果を監視及び評価する方法も、提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における神経精神障害を治療するための閉ループ方法であって、前記方法は、
前記神経精神障害を治療するために電気刺激の送達のための第1の電極を位置決めするための第1の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、
前記神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号の検出のための第2の電極を位置決めするための第2の脳領域における最適な場所を特定するために、前記対象の前記脳をマッピングすることと、
前記対象の前記第1の脳領域に電気刺激を送達するために、前記第1の脳領域における前記最適な場所に前記第1の電極を位置決めすることと、
前記神経精神障害の前記症状と関連付けられた前記神経活動からの前記脳波記録信号を検出するために、前記第2の脳領域における前記最適な場所に前記第2の電極を位置決めすることと、
前記第2の電極を使用して、前記対象の前記脳の前記第2の領域で前記脳波記録信号を検出することと、
前記第2の電極を使用して検出される前記脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、前記対象における前記神経精神障害を治療するために有効な方式において、前記第1の電極を使用して前記第1の脳領域に電気刺激を印加することと、を含む、閉ループ方法。
【請求項2】
前記脳波記録信号が前記閾値レベルを超えるときに、前記電気刺激を印加することを自動化するために、制御アルゴリズムを使用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械学習アルゴリズムは、教師あり機械学習アルゴリズムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御アルゴリズムは、前記脳波記録信号の前記レベルに基づいて、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを更に調節する、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
定位的脳波記録(sEEG)による前記脳波記録信号の検出のために、前記第2の脳領域に複数の電極を位置決めすることを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の脳領域は、前記脳の腹側包(ventral capsule)/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(subgenual cingulate)(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電極は、前記第1の脳領域の表面上又は前記第1の脳領域内に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の電極は、前記第2の脳領域の表面上又は前記第2の脳領域内に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の電極又は前記第2の電極は、非脳貫通表面電極アレイである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の電極又は前記第2の電極は、脳貫通電極アレイである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記神経精神障害は、うつ病を含み、前記電気刺激を印加することは、うつ病を治療する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記神経精神障害は、不安症を含み、前記電気刺激を印加することは、不安症を治療する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記電気刺激は、片側又は両側に印加される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記対象における治療の有効性を評価することを更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象を一定期間監視することを更に含み、前の記録期間と比較して後の記録期間内に前記第2の電極によって検出された前記閾値レベルを超える前記脳波記録信号の数の増加は、前記神経精神障害の前記症状の重症度の増加を示し、前の記録期間と比較して後の記録期間内に前記第2の電極によって検出された前記閾値レベルを超える脳波記録信号の数の減少は、前記神経精神障害の前記症状の重症度の減少を示す、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象は、連続的又は間欠的に監視される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の脳領域及び前記第2の脳領域は、同じであるか、又は異なる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
対象における大うつ病性障害(MDD)を治療するための閉ループ方法であって、前記方法は、
前記対象の前記脳の第1の領域に電気刺激を送達するために第1の電極を位置決めすることと、
前記対象の前記脳の第2の領域でのMDD症状と関連付けられた神経活動からのガンマ周波数脳波記録信号を検出するために第2の電極を位置決めすることと、
前記第2の電極を使用して前記ガンマ周波数脳波記録信号を検出することと、
前記第2の電極を使用して検出される前記ガンマ周波数脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、前記対象における前記MDD症状を治療するために有効な方式において、前記第1の電極を使用して前記対象の前記脳の前記第1の領域に電気刺激を印加することと、を含む、閉ループ方法。
【請求項23】
前記第1の脳領域は、前記脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の脳領域は、右扁桃体、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記電気刺激を印加することは、前記対象の前記脳の前記VC/VS領域に双極性電気刺激を印加することを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記電気刺激は、1mA~6mAの範囲の電流で印加される、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記電気刺激は、1日に最大10分間印加される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記電気刺激は、1日に1時間~1日に24時間の範囲の時間にわたって連続的に印加される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象を一定期間監視することを更に含み、前の記録期間と比較して後の記録期間内に前記第2の電極によって検出された前記閾値レベルを超えるガンマ周波数脳波記録信号の数の増加は、MDD症状の重症度の増加を示し、前の記録期間と比較して後の記録期間内に前記第2の電極によって検出された前記閾値レベルを超えるガンマ周波数脳波記録信号の数の減少は、MDD症状の重症度の減少を示す、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象は、連続的又は間欠的に監視される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象における神経精神障害の症状を改善するための閉ループ方法であって、前記方法は、
前記神経精神障害の前記症状を改善するために電気刺激を送達するための第1の電極を位置決めするための第1の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、
前記神経精神障害の前記症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号の検出のための第2の電極を位置決めするための第2の脳領域における最適な場所を特定するために、前記対象の前記脳をマッピングすることと、
前記対象の前記第1の脳領域に電気刺激を送達するために、前記第1の脳領域における前記最適な場所に前記第1の電極を位置決めすることと、
前記神経精神障害の前記症状と関連付けられた前記神経活動からの前記脳波記録信号を検出するために、前記第2の脳領域における前記最適な場所に前記第2の電極を位置決めすることと、
前記第2の電極を使用して、前記対象の前記脳の前記第2の領域で前記脳波記録信号を検出することと、
前記第2の電極を使用して検出される前記脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、前記対象における前記神経精神障害前記症状を改善するために有効な方式において、前記第1の電極を使用して前記第1の脳領域に電気刺激を印加することと、を含む、閉ループ方法。
【請求項32】
前記症状は、うつ病を含み、前記電気刺激を印加することは、うつ病を改善する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
うつ病は、うつ病の視覚的アナログ尺度(VAS-D)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、又はベックうつ病調査表(BDI)スコアによって測定されており、前記電気刺激を印加することは、前記VAS、HAM-D、MADRS、又はBDIスコアに従って症状重症度を低減することにおいて有効である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記症状は、不安症を含み、前記電気刺激を印加することは、不安症を改善する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
不安症は、不安症のための視覚的アナログ尺度(VAS-A)又はベック不安症調査表(BAI)スコアによって測定されており、前記電気刺激を印加することは、前記VAS-A又は前記BAIスコアに従う不安症を低減することにおいて有効である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の電極は、前記第1の脳領域の表面上又は前記第1の脳領域内に配置されている、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の電極は、前記第2の脳領域の表面上又は前記第2の脳領域内に配置されている、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の電極又は前記第2の電極は、非脳貫通表面電極アレイである、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の電極又は前記第2の電極は、脳貫通電極アレイである、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、請求項31~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法は、前記対象における治療の有効性を評価することを更に含む、請求項31~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記脳波記録信号が前記閾値レベルを超えるときに、前記電気刺激を印加することを自動化するために、制御アルゴリズムを使用することを更に含む、請求項31~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記制御アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記機械学習アルゴリズムは、教師あり機械学習アルゴリズムである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記制御アルゴリズムは、前記脳波記録信号の前記レベルに基づいて、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを更に調節する、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
定位的脳波記録(sEEG)による前記脳波記録信号の検出のために、前記第2の脳領域に複数の電極を位置決めすることを更に含む、請求項31~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の脳領域は、前記脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、請求項31~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、請求項31~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、請求項31~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
対象における神経精神障害を治療するためのシステムであって、前記システムは、
前記対象の前記脳の第1の領域に位置決めするように適合された刺激電極と、
前記対象の前記脳の第2の領域に位置決めし、前記対象の前記脳の前記第2の領域からの脳波記録信号を記録するように適合された検出電極と、
前記第2の電極を使用して閾値レベルを超える脳波記録信号が検出されるときに、前記対象における前記神経精神障害を治療するために有効な方式において、前記脳の前記第1の領域に電気刺激を印加するように前記刺激電極に命令するようにプログラムされたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項51】
前記第1の脳領域は、前記脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、請求項50又は51に記載のシステム。
【請求項53】
前記脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、請求項50~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記刺激電極又は前記検出電極は、非脳貫通電極アレイである、請求項50~53のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項55】
前記刺激電極又は前記検出電極は、脳貫通電極アレイである、請求項50~54のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記神経精神障害は、うつ病を含み、電気刺激を印加することは、前記うつ病を治療する、請求項50~55のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記神経精神障害は、不安症を含み、電気刺激を印加することは、前記不安症を治療する、請求項50~56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
前記システムは、前記対象における前記神経精神障害を治療するために前記脳の前記第1の領域に電気刺激を印加するように前記刺激電極に命令するための、前記プロセッサに電子的に結合された入力を含むユーザーインターフェースを更に備える、請求項50~57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記ユーザーインターフェースは、パスワードで保護されており、医療従事者によって操作可能である、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、請求項50~59のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項61】
前記プロセッサは、アルゴリズムの制御法則に従って1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを調節し、前記神経精神障害を治療するために有効な方式において、前記刺激電極を介して前記脳の前記第1の領域に前記調節された電気刺激を印加するように更にプログラムされている、請求項50~60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
前記プロセッサは、1日当たりの電気刺激の最大数を設定するように更にプログラムされている、請求項50~61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
前記プロセッサは、1日当たりの電気刺激の総時間量を設定するように更にプログラムされている、請求項50~62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
対象における神経精神障害の症状を改善するためのシステムであって、前記システムは、
前記対象の前記脳の第1の領域に位置決めするように適合された刺激電極と、
前記対象の前記脳の第2の領域に位置決めし、前記対象の前記脳の前記第2の領域からの脳波記録信号を記録するように適合された検出電極と、
前記検出電極を使用して閾値レベルを超える脳波記録信号が検出されるときに、前記対象における前記神経精神障害の前記症状を改善することに有効な方式において、前記脳の前記第1の領域に電気刺激を印加するように前記刺激電極に命令するようにプログラムされたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項65】
前記第1の脳領域は、前記脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、請求項64又は65に記載のシステム。
【請求項67】
前記脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、請求項64~66のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
前記症状は、うつ病を含み、前記電気刺激を印加することは、うつ病を改善する、請求項64~67のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項69】
前記症状は、不安症を含み、前記電気刺激を印加することは、不安症を改善する、請求項64~68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記刺激電極又は前記検出電極は、非脳貫通電極である、請求項64~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
前記刺激電極又は前記検出電極は、脳貫通電極である、請求項64~70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項72】
前記システムは、前記対象における前記神経精神障害の前記症状を改善するために前記第1の領域に電気刺激を印加するように前記刺激電極に命令するための、前記プロセッサに電子的に結合された入力を含むユーザーインターフェースを更に備える、請求項64~71のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記ユーザーインターフェースは、パスワードで保護されており、医療従事者によって操作可能である、請求項72に記載のシステム。
【請求項74】
前記神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、請求項64~73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記プロセッサは、前記アルゴリズムの制御法則に従って1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを調節し、前記神経精神障害の前記症状を改善するために有効な方式において、前記刺激電極を介して前記脳の前記第1の領域に前記調節された電気刺激を印加するように更にプログラムされている、請求項64~74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記プロセッサは、1日当たりの電気刺激の最大数を設定するように更にプログラムされている、請求項64~75のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
前記プロセッサは、1日当たりの電気刺激の総時間量を設定するように更にプログラムされている、請求項64~76のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年5月4日に出願された米国仮特許出願第63/183,833号、及び2021年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/232,857号の利益を主張し、これらの出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
序論
神経精神障害に対する新規の有効な治療法の開発は、21世紀医学の主要な目標である。世界中の何百万人もの個人が、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、双極性障害(BD)、慢性疼痛、及び関連する状態に罹患している。膨大な数の患者が、有効的に治療されていないままである。したがって、神経精神障害は、全ての臨床カテゴリーの最大の世界的疾患負担を構成し、身体障害を伴って生存する全ての年の22.7%を占める。
【0003】
薬理学的治療、認知行動療法(CBT)、外科的病変及び電気けいれん療法(ECT)を含む確立された治療様式は、ある割合の個人に永続的な利益を提供するが、多くの人にとって不十分であることを証明する。例えば、MDDの場合、選択的セロトニン再取り込み阻害剤で治療を受けている成人患者の約40~50%が応答しないと推定される。CBTは、例えば、薬理学的治療後のMDD再発を防止することにおいて、いくらかの有効性を示しているが、再発率は、有意なままである(長期研究では約35~50%)。神経精神障害に対する外科的病変アプローチは、侵襲性が高く、最適な転帰をもたらさない(例えば、OCDに対する前嚢切開の場合、60%未満の完全奏効率)。完全に信頼性の高い治療方法は、主要な感情障害のいずれに対しても存在しない。
【0004】
ECTの形態におけるグロスレベルの電気生理学的介入は、いくつかの神経精神障害に長い間使用されてきたが、重度に罹患した患者の多くは、ECTによる永続的な緩和を経験せず、重大な望ましくない認知的副作用に耐える。経頭蓋刺激法は、非侵襲的であるが、その有効性に関する決定的な証拠を提供しておらず、所見は、おそらくMDDに対して最も強いが、その場合、短期的な奏効率は、依然として典型的には60%未満である。膝下帯状(subgenual cingulate)などの脳の特定の小領域の標的化された直接刺激を包含する、より高度な方法は、近年、有望な早期の結果を提供しているが、患者反応における変動のために臨床試験おいて失敗している。
【発明の概要】
【0005】
対象における神経精神障害の治療のための方法及びシステムが、提供されている。閉ループ療法は、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を記録し、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動の事前に指定されたパターンが検出されるときに電気刺激を送達する神経刺激器を用いて行われる。神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動を検出するための電極の配置を最適化し、電気刺激の送達のための電極の配置を最適化するために、患者の脳をマッピングするための方法も、開示されている。臨床症状及び状態に対する電気刺激の効果を監視及び評価する方法も、提供されている。本方法及びシステムは、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、及び双極性障害(BD)、及び慢性疼痛を含むが、これらに限定されない、不安症及び/若しくはうつ病並びに/又は関連する障害に関連する感情障害の治療のために使用されることができる。
【0006】
特定の場合において、神経精神障害は、うつ病であり得、電気刺激を印加することは、うつ病を治療する。特定の場合において、神経精神障害は、不安症であり得、電気刺激を印加することは、不安症を治療する。神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、双極性障害(BD)、又は慢性疼痛のうちの1つ以上であり得る。
【0007】
一態様において、対象における神経精神障害を治療するための閉ループ方法が提供され、本方法は、神経精神障害を治療するために電気刺激の送達のための第1の電極を位置決めするための第1の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号の検出のための第2の電極を位置決めするための第2の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、対象の第1の脳領域に電気刺激を送達するために、第1の脳領域における最適な場所に第1の電極を位置決めすることと、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を検出するために、第2の脳領域における最適な場所に第2の電極を位置決めすることと、第2の電極を使用して、対象の脳の第2の領域で脳波記録信号を検出することと、第2の電極を使用して検出される脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、対象における神経精神障害を治療するために有効な方式において、第1の電極を使用して第1の脳領域に電気刺激を印加することと、を含む。いくつかの実施形態において、第1の脳領域及び第2の脳領域は、同じである。他の実施形態において、第1の脳領域及び第2の脳領域は、異なる。
【0008】
特定の実施形態において、本方法は、脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、電気刺激を印加することを自動化するために、制御アルゴリズムを使用することを更に含む。いくつかの実施形態において、制御アルゴリズムは、教師あり機械学習アルゴリズムなどの機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態において、制御アルゴリズムは、脳波記録信号のレベルに基づいて、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを更に調節する。
【0009】
特定の実施形態において、本方法は、定位的脳波記録(sEEG)による脳波記録信号の検出のために、第2の脳領域に複数の電極を位置決めすることを更に含む。
【0010】
特定の実施形態において、第1の脳領域は、腹側包(ventral capsule)/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域、又は脳の他の領域を含む。刺激のために選択される部位は、異なる対象について異なり得、神経精神障害を治療するために電気刺激を送達するための電極を位置決めするための最適な場所を特定するために、個々の対象の脳のマッピングに依存するであろう。
【0011】
特定の実施形態において、第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、若しくは右海馬領域、又は脳の他の領域を含む。検出のために選択される部位は、異なる対象について異なり得、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活性からの脳波記録信号を検出するための電極を位置決めするための最適な場所を特定するために、個々の対象の脳のマッピングに依存するであろう。
【0012】
特定の実施形態において、脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである。
【0013】
本方法は、対象における治療の有効性を評価することを更に含み得る。例えば、対象は、一定期間監視され得、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超える脳波記録信号の数の増加は、神経精神障害の症状の重症度の増加を示し、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超える脳波記録信号の数の減少は、神経精神障害の症状の重症度の減少を示す。いくつかの実施形態において、対象は、連続的又は間欠的に監視される。
【0014】
本方法の態様は、電気刺激を片側又は両側に印加することを含む。いくつかの実施形態において、電気刺激は、少なくとも2回印加され、電気刺激が印加される部位は、交互に、又はそうでなければ空間的若しくは時間的にパターン化される。
【0015】
また、提供されるのは、対象における神経精神障害の症状を改善するための方法である。一態様において、対象における神経精神障害の症状を緩和するための閉ループ方法が提供され、本方法は、神経精神障害の症状を緩和するために電気刺激の送達のための第1の電極を位置決めするための第1の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号の検出のための第2の電極を位置決めするための第2の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、対象の第1の脳領域に電気刺激を送達するために、第1の脳領域における最適な場所に第1の電極を位置決めすることと、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号の検出のために、第2の脳領域における最適な場所に第2の電極を位置決めすることと、第2の電極を使用して、対象の脳の第2の領域で脳波記録信号を検出することと、第2の電極を使用して検出される脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、対象における神経精神障害の症状を緩和するために有効な方式において、第1の電極を使用して第1の脳領域に電気刺激を印加することと、を含む。いくつかの実施形態において、第1の脳領域及び第2の脳領域は、同じである。他の実施形態において、第1の脳領域及び第2の脳領域は、異なる。
【0016】
症状は、うつ病であり得、電気刺激を印加することは、うつ病を改善する。いくつかの場合において、うつ病は、うつ病の視覚的アナログ尺度(VAS-D)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、又はベックうつ病調査表(BDI)スコアを使用することによって測定され得、電気刺激を印加することは、VAS、HAM-D、MADRS、又はBDIスコアに従ってうつ病の重症度を低減することにおいて有効である
【0017】
いくつかの場合において、症状は、不安症であり得、電気刺激を印加することは、不安症を改善する。いくつかの場合において、不安症は、不安症のための視覚的アナログ尺度(VAS-A)又はベック不安症調査表(BAI)スコアによって測定され得、電気刺激を印加することは、VAS-A又はBAIスコアに従う不安症を低減することにおいて有効である。
【0018】
いくつかの場合において、症状は、慢性疼痛関連の苦痛であり得、電気刺激を印加することは、慢性疼痛関連の苦痛を改善する。いくつかの場合において、慢性疼痛関連の苦痛は、視覚的アナログ尺度によって測定され得、電気刺激を印加することは、視覚的アナログ尺度スコアを低減することにおいて有効であり得る。
【0019】
刺激電極は、脳貫通電極又は非脳貫通電極であり得る。検出電極は、脳貫通電極又は非脳貫通電極であり得る。電気刺激は、上記で要約されるように印加され得る。
【0020】
特定の態様において、頭蓋内脳波記録(iEEG)又は同様の技術によって、対象における神経精神障害の症状の重症度を判定するために、脳から電気信号が測定される。いくつかの場合において、電気信号は、連続的に、間欠的に、又はその両方で測定され得る。連続的測定のために、脳波記録は、10秒~24時間以上、例えば、30秒~18時間、1分~12時間、10分~8時間、30秒~10分、1分~10分、3分~10分、又は3分~6分の中断されない期間にわたって実行され得る。いくつかの場合において、神経精神障害の症状は、脳におけるガンマ(30Hz~200Hz)周波数電気活動の増加したパワーの存在によって検出され得る。いくつかの場合において、神経精神障害の治療は、症状を抑制し、付随して脳におけるガンマ(30Hz~200Hz)周波数電気活動のパワーが増加し得る。脳から測定されるガンマ周波数パワーの減少は、治療前と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも40%、又はそれを超えるなど、5%~20%、又はそれを上回る減少であり得る。電気活動は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、及び/若しくは右海馬領域、並びに/又は扁桃体と神経接続する脳の領域などの脳の任意の領域から記録され得る。いくつかの場合において、電気活動は、脳における複数の場所から記録され得、異なる周波数帯域内の活動が平均化され得る。例えば、脳における複数の場所から記録された30Hz~200Hzの範囲における周波数は、平均化され得る。いくつかの場合において、複数の場所は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、及び/又は右海馬における複数の場所を含み得る。電気活動は、本明細書に開示されるように、脳の刺激の前、最中、及び/又は後に測定され得る。いくつかの場合において、皮質興奮性における増加は、有効な治療を示し得る。いくつかの場合において、単一の脳領域又は脳領域の組み合わせからの他の神経特徴は、神経精神障害の症状と関連付けられ得るか、又は有効な治療を示し得る。
【0021】
いくつかの場合において、神経精神障害を有する対象が本開示の方法及びシステムに従って治療された後に脳から測定される脳活動(例えば、ガンマ周波数脳波記録信号)は、閾値脳活動(ガンマ周波数脳波記録信号の閾値レベル)を下回り得る。特定の場合において、閾値脳活動は、神経精神障害と関連付けられることが知られている脳活動であり得る。いくつかの場合において、神経精神障害を有する対象が本開示の方法及びシステムに従って治療された後に脳から測定されるガンマ周波数脳波記録信号は、閾値レベルを下回り得る。
【0022】
いくつかの場合において、脳からの電気信号の測定は、神経精神障害を評価するための代替方法と組み合わせられ得る。例えば、神経精神障害は、気分評価ツールによって評価され得る。気分評価ツールは、口頭気分報告又は即時気分スケーラーを含み得る。
【0023】
特定の実施形態において、対象の大うつ病障害(MDD)を治療するための閉ループ方法が提供され、本方法は、対象の脳の第1の領域に電気刺激を送達するために第1の電極を位置決めすることと、対象の脳の第2の領域でのMDD症状と関連付けられた神経活動からのガンマ周波数脳波記録信号を検出するために第2の電極を位置決めすることと、第2の電極を使用してガンマ周波数脳波記録信号を検出することと、第2の電極を使用して検出されたガンマ周波数脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、対象におけるMDD症状を治療するために有効な方式において第1の電極を使用して対象の脳の第1の領域に電気刺激を印加することと、を含む。いくつかの実施形態において、双極性電気刺激は、対象の脳の第1の領域に印加される。いくつかの実施形態において、電気刺激は、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は6mAなどの、この範囲内の任意の電流を含む、1mA~6mAの電流範囲で印加される。いくつかの実施形態において、電気刺激は、1日に5秒、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、又は10分などの間における任意の時間量を含む、1日に5秒~10分の時間範囲にわたって印加される。他の実施形態において、電気刺激は、1日に1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、又は24時間などの、この範囲内の任意の時間量を含む、1日に1時間~24時間の時間範囲にわたって連続的に印加される。
【0024】
特定の実施形態において、第1の脳領域は、腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、若しくは眼窩前頭皮質(OFC)領域、又は脳の他の領域を含む。刺激のために選択される部位は、異なる対象について異なり得、MDDを治療するために電気刺激を送達するための電極を位置決めするための最適な場所を特定するために、個々の対象の脳のマッピングに依存するであろう。
【0025】
特定の実施形態において、第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、若しくは右海馬領域、又は脳の他の領域を含む。検出のために選択される部位は、異なる対象について異なり得、MDDの症状と関連付けられた神経活性からの脳波記録信号を検出するための電極を位置決めするための最適な場所を特定するために、個々の対象の脳のマッピングに依存するであろう。
【0026】
特定の実施形態において、本方法は、対象を一定期間監視することを更に含み、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超えるガンマ周波数脳波記録信号の数の増加は、MDD症状の重症度の増加を示し、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超えるガンマ周波数脳波記録信号の数の減少は、MDD症状の重症度の減少を示す。例えば、対象は、連続的又は間欠的に監視されることができる。
【0027】
別の態様において、対象における神経精神障害を治療するためのシステムが提供され、本システムは、対象の脳の第1の領域に位置決めするように適合された刺激電極と、対象の脳の第2の領域に位置決めし、対象の脳の第2の領域からの脳波記録信号を記録するように適合される検出電極と、第2の電極を使用して閾値レベルを超える脳波記録信号が検出されるときに、対象における神経精神障害を治療するために有効な方式において、脳の第1の領域に電気刺激を印加するように刺激電極に命令するようにプログラムされたプロセッサとを備える。
【0028】
特定の実施形態において、プロセッサは、アルゴリズムの制御法則に従って1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを調節し、神経精神障害を治療するために有効な方式において、刺激電極を介して脳の第1の領域に調節された電気刺激を印加するように更にプログラムされている。
【0029】
特定の実施形態において、第1の脳領域は、腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、眼窩前頭皮質(OFC)領域、又は脳の他の領域を含む。
【0030】
特定の実施形態において、第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、若しくは右海馬領域、又は脳の他の領域を含む。
【0031】
特定の実施形態において、プロセッサは、1日当たりの電気刺激の最大数を設定するように更にプログラムされている。
【0032】
特定の実施形態において、プロセッサは、1日当たりの電気刺激の総時間量を設定するように更にプログラムされている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】重度の抑うつ状態の神経バイオマーカー。
図1A.バイオマーカー検出のための全体的なアプローチ。10個の頭蓋内電極は、皮質辺縁回路全体に10日間埋め込まれた。静止状態の神経活動は、15分間記録され、うつ病の臨床報告と対にされた。
図1B.不安症及びうつ病の次元に関する臨床報告のクラスタリングは、2つの症状状態をもたらした。シェーディングは、視覚化を支援するために追加される。
図1C~
図1D.高症状重症度状態対低症状重症度状態が区別される上位神経特徴(Fスコア、ANOVAによって定義される)。AUC曲線は、ヌルモデルと比較して、これらの6つの特徴に適合するロジスティック回帰分類器の予測試験性能を示す。空間分解能の2つのレベルを有するモデルが、示されている(脳領域レベルモデル:c、電極接触レベルモデル:
図1D.
【
図1B】重度の抑うつ状態の神経バイオマーカー。
図1A.バイオマーカー検出のための全体的なアプローチ。10個の頭蓋内電極は、皮質辺縁回路全体に10日間埋め込まれた。静止状態の神経活動は、15分間記録され、うつ病の臨床報告と対にされた。
図1B.不安症及びうつ病の次元に関する臨床報告のクラスタリングは、2つの症状状態をもたらした。シェーディングは、視覚化を支援するために追加される。
図1C~
図1D.高症状重症度状態対低症状重症度状態が区別される上位神経特徴(Fスコア、ANOVAによって定義される)。AUC曲線は、ヌルモデルと比較して、これらの6つの特徴に適合するロジスティック回帰分類器の予測試験性能を示す。空間分解能の2つのレベルを有するモデルが、示されている(脳領域レベルモデル:c、電極接触レベルモデル:
図1D.
【
図1C】重度の抑うつ状態の神経バイオマーカー。
図1A.バイオマーカー検出のための全体的なアプローチ。10個の頭蓋内電極は、皮質辺縁回路全体に10日間埋め込まれた。静止状態の神経活動は、15分間記録され、うつ病の臨床報告と対にされた。
図1B.不安症及びうつ病の次元に関する臨床報告のクラスタリングは、2つの症状状態をもたらした。シェーディングは、視覚化を支援するために追加される。
図1C~
図1D.高症状重症度状態対低症状重症度状態が区別される上位神経特徴(Fスコア、ANOVAによって定義される)。AUC曲線は、ヌルモデルと比較して、これらの6つの特徴に適合するロジスティック回帰分類器の予測試験性能を示す。空間分解能の2つのレベルを有するモデルが、示されている(脳領域レベルモデル:c、電極接触レベルモデル:
図1D.
【
図1D】重度の抑うつ状態の神経バイオマーカー。
図1A.バイオマーカー検出のための全体的なアプローチ。10個の頭蓋内電極は、皮質辺縁回路全体に10日間埋め込まれた。静止状態の神経活動は、15分間記録され、うつ病の臨床報告と対にされた。
図1B.不安症及びうつ病の次元に関する臨床報告のクラスタリングは、2つの症状状態をもたらした。シェーディングは、視覚化を支援するために追加される。
図1C~
図1D.高症状重症度状態対低症状重症度状態が区別される上位神経特徴(Fスコア、ANOVAによって定義される)。AUC曲線は、ヌルモデルと比較して、これらの6つの特徴に適合するロジスティック回帰分類器の予測試験性能を示す。空間分解能の2つのレベルを有するモデルが、示されている(脳領域レベルモデル:c、電極接触レベルモデル:
図1D.
【
図2A】辺縁サブネットワークの識別。
図2A.パーセント円周が任意の2つの脳領域間の接続の強度を示す、右半球の有向ネットワークグラフ。色は、各接続セットについての開始場所を示す。
図2B.ネットワークグラフからの接続強度は、皮質辺縁ネットワークにおける影響力のあるハブである脳領域を示す、重み付け入次数及び出次数を計算することによって定量化されている。VC/VSは、AMYにおいて観察されるように、他の脳領域への強い接続を有することを示唆する最高重み付け出次数を有し、HPCは、多くの他の脳領域からの接続を受容することを示唆する最高重み付け入次数を有する。
図2C.用量依存性平均EPの実施例(左)。右側のVC/VSにおける単一のパルス刺激に起因する皮質辺縁ネットワークにわたるEP(ベースラインに対するzスコア)の要約は、ヒートマップとして脳上に重ねて示される(右)。暖色は、より大きなN1振幅を示し、VC/VS-AMYが密に接続されるサブネットワークであることを示唆する。
図2D.決定論的トラクトグラフィーからの、AMYと臨床的に応答性のあるVC/VS電極との間の構造的接続を示す線維束(配向によって色分けされる)を有する右側のiEEGリードの場所。a~bのように色によって示されるリード場所。
図2E.症状重症度における軽減につながった試験(赤色)、及び症状重症度を軽減しなかった試験(青色)の連続的刺激の期間後のガンマバイオマーカーの変化。
【
図2B】辺縁サブネットワークの識別。
図2A.パーセント円周が任意の2つの脳領域間の接続の強度を示す、右半球の有向ネットワークグラフ。色は、各接続セットについての開始場所を示す。
図2B.ネットワークグラフからの接続強度は、皮質辺縁ネットワークにおける影響力のあるハブである脳領域を示す、重み付け入次数及び出次数を計算することによって定量化されている。VC/VSは、AMYにおいて観察されるように、他の脳領域への強い接続を有することを示唆する最高重み付け出次数を有し、HPCは、多くの他の脳領域からの接続を受容することを示唆する最高重み付け入次数を有する。
図2C.用量依存性平均EPの実施例(左)。右側のVC/VSにおける単一のパルス刺激に起因する皮質辺縁ネットワークにわたるEP(ベースラインに対するzスコア)の要約は、ヒートマップとして脳上に重ねて示される(右)。暖色は、より大きなN1振幅を示し、VC/VS-AMYが密に接続されるサブネットワークであることを示唆する。
図2D.決定論的トラクトグラフィーからの、AMYと臨床的に応答性のあるVC/VS電極との間の構造的接続を示す線維束(配向によって色分けされる)を有する右側のiEEGリードの場所。a~bのように色によって示されるリード場所。
図2E.症状重症度における軽減につながった試験(赤色)、及び症状重症度を軽減しなかった試験(青色)の連続的刺激の期間後のガンマバイオマーカーの変化。
【
図2C】辺縁サブネットワークの識別。
図2A.パーセント円周が任意の2つの脳領域間の接続の強度を示す、右半球の有向ネットワークグラフ。色は、各接続セットについての開始場所を示す。
図2B.ネットワークグラフからの接続強度は、皮質辺縁ネットワークにおける影響力のあるハブである脳領域を示す、重み付け入次数及び出次数を計算することによって定量化されている。VC/VSは、AMYにおいて観察されるように、他の脳領域への強い接続を有することを示唆する最高重み付け出次数を有し、HPCは、多くの他の脳領域からの接続を受容することを示唆する最高重み付け入次数を有する。
図2C.用量依存性平均EPの実施例(左)。右側のVC/VSにおける単一のパルス刺激に起因する皮質辺縁ネットワークにわたるEP(ベースラインに対するzスコア)の要約は、ヒートマップとして脳上に重ねて示される(右)。暖色は、より大きなN1振幅を示し、VC/VS-AMYが密に接続されるサブネットワークであることを示唆する。
図2D.決定論的トラクトグラフィーからの、AMYと臨床的に応答性のあるVC/VS電極との間の構造的接続を示す線維束(配向によって色分けされる)を有する右側のiEEGリードの場所。a~bのように色によって示されるリード場所。
図2E.症状重症度における軽減につながった試験(赤色)、及び症状重症度を軽減しなかった試験(青色)の連続的刺激の期間後のガンマバイオマーカーの変化。
【
図2D】辺縁サブネットワークの識別。
図2A.パーセント円周が任意の2つの脳領域間の接続の強度を示す、右半球の有向ネットワークグラフ。色は、各接続セットについての開始場所を示す。
図2B.ネットワークグラフからの接続強度は、皮質辺縁ネットワークにおける影響力のあるハブである脳領域を示す、重み付け入次数及び出次数を計算することによって定量化されている。VC/VSは、AMYにおいて観察されるように、他の脳領域への強い接続を有することを示唆する最高重み付け出次数を有し、HPCは、多くの他の脳領域からの接続を受容することを示唆する最高重み付け入次数を有する。
図2C.用量依存性平均EPの実施例(左)。右側のVC/VSにおける単一のパルス刺激に起因する皮質辺縁ネットワークにわたるEP(ベースラインに対するzスコア)の要約は、ヒートマップとして脳上に重ねて示される(右)。暖色は、より大きなN1振幅を示し、VC/VS-AMYが密に接続されるサブネットワークであることを示唆する。
図2D.決定論的トラクトグラフィーからの、AMYと臨床的に応答性のあるVC/VS電極との間の構造的接続を示す線維束(配向によって色分けされる)を有する右側のiEEGリードの場所。a~bのように色によって示されるリード場所。
図2E.症状重症度における軽減につながった試験(赤色)、及び症状重症度を軽減しなかった試験(青色)の連続的刺激の期間後のガンマバイオマーカーの変化。
【
図2E】辺縁サブネットワークの識別。
図2A.パーセント円周が任意の2つの脳領域間の接続の強度を示す、右半球の有向ネットワークグラフ。色は、各接続セットについての開始場所を示す。
図2B.ネットワークグラフからの接続強度は、皮質辺縁ネットワークにおける影響力のあるハブである脳領域を示す、重み付け入次数及び出次数を計算することによって定量化されている。VC/VSは、AMYにおいて観察されるように、他の脳領域への強い接続を有することを示唆する最高重み付け出次数を有し、HPCは、多くの他の脳領域からの接続を受容することを示唆する最高重み付け入次数を有する。
図2C.用量依存性平均EPの実施例(左)。右側のVC/VSにおける単一のパルス刺激に起因する皮質辺縁ネットワークにわたるEP(ベースラインに対するzスコア)の要約は、ヒートマップとして脳上に重ねて示される(右)。暖色は、より大きなN1振幅を示し、VC/VS-AMYが密に接続されるサブネットワークであることを示唆する。
図2D.決定論的トラクトグラフィーからの、AMYと臨床的に応答性のあるVC/VS電極との間の構造的接続を示す線維束(配向によって色分けされる)を有する右側のiEEGリードの場所。a~bのように色によって示されるリード場所。
図2E.症状重症度における軽減につながった試験(赤色)、及び症状重症度を軽減しなかった試験(青色)の連続的刺激の期間後のガンマバイオマーカーの変化。
【
図3A】閉ループ神経調節の実施。
図3A.完全に埋め込み可能な深部脳刺激及び記録デバイスの例示。
図3B.分界条及び脚ワナの堅牢な係合を示す標的化の再現性。VC/VSリード:黄色、AMYリード:ピンク色。
図3C.バイオマーカーの識別を目的として収集された10分間の静止状態の連続的神経記録を用いた試験のためのマッピング研究において識別されるクラスタに関連した症状重症度スコアの分布。
図3D.10分間の試行内のAMY接触1/2、3/4におけるガンマパワーと、HAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3E.臨床効果の再現性。各点は、右VC/VS及びAMYにわたる異なる双極構成での刺激試験(VAS-Dについては、n=6、2、4、5、HAMDについては、n=6、2、3、4)を表す。
図3F.左:臨床的尺度に対するバースト持続時間の影響。刺激パラメータ:接触3+/4-、1mA、6~36秒間隔で15.6分間にわたる36秒間の総刺激。閉ループ療法の実施のために選択されたハイライトされた状態(6秒のバースト持続時間)。右:臨床的尺度への用量の増加(1~2mA)及び接触の変更(3+/4-~2+/3-)の影響。退色した色は、オン/オフ状態が患者によって検出されたことを示す(状態ごとに1回の試験)。
図3G.深部脳刺激デバイスについての閉ループ制御の概略図。信号は、連続的に記録される。神経バイオマーカーが検出され、高度のうつ病状態を示している場合、刺激のパルスが、送達される。
図3H.f)と同じ10分間の試験内のNeuroPace RNSシステムによるガンマ検出の数とHAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3I.閉ループ刺激の開始前対終了後の週における症状重症度スコア(n=3、VAS-Dについては、31、n=2、HAMD6については、30)。
図3J.RNSシステムによる2ヶ月の治療にわたる毎日の気分評価(紫色)と毎日のバイオマーカー検出の数(灰色)との間の関係。点線は、VAS-Dスコアと、それらの平均に対して正規化された1日のバイオマーカー検出数との間の動的時間伸縮(DTW)計算距離を示す(左)。有意性は、DTW-距離を、10,000個のランダムにスクランブルされたバイオマーカー時系列から計算された距離と比較することによって評価された(右)。
【
図3B】閉ループ神経調節の実施。
図3A.完全に埋め込み可能な深部脳刺激及び記録デバイスの例示。
図3B.分界条及び脚ワナの堅牢な係合を示す標的化の再現性。VC/VSリード:黄色、AMYリード:ピンク色。
図3C.バイオマーカーの識別を目的として収集された10分間の静止状態の連続的神経記録を用いた試験のためのマッピング研究において識別されるクラスタに関連した症状重症度スコアの分布。
図3D.10分間の試行内のAMY接触1/2、3/4におけるガンマパワーと、HAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3E.臨床効果の再現性。各点は、右VC/VS及びAMYにわたる異なる双極構成での刺激試験(VAS-Dについては、n=6、2、4、5、HAMDについては、n=6、2、3、4)を表す。
図3F.左:臨床的尺度に対するバースト持続時間の影響。刺激パラメータ:接触3+/4-、1mA、6~36秒間隔で15.6分間にわたる36秒間の総刺激。閉ループ療法の実施のために選択されたハイライトされた状態(6秒のバースト持続時間)。右:臨床的尺度への用量の増加(1~2mA)及び接触の変更(3+/4-~2+/3-)の影響。退色した色は、オン/オフ状態が患者によって検出されたことを示す(状態ごとに1回の試験)。
図3G.深部脳刺激デバイスについての閉ループ制御の概略図。信号は、連続的に記録される。神経バイオマーカーが検出され、高度のうつ病状態を示している場合、刺激のパルスが、送達される。
図3H.f)と同じ10分間の試験内のNeuroPace RNSシステムによるガンマ検出の数とHAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3I.閉ループ刺激の開始前対終了後の週における症状重症度スコア(n=3、VAS-Dについては、31、n=2、HAMD6については、30)。
図3J.RNSシステムによる2ヶ月の治療にわたる毎日の気分評価(紫色)と毎日のバイオマーカー検出の数(灰色)との間の関係。点線は、VAS-Dスコアと、それらの平均に対して正規化された1日のバイオマーカー検出数との間の動的時間伸縮(DTW)計算距離を示す(左)。有意性は、DTW-距離を、10,000個のランダムにスクランブルされたバイオマーカー時系列から計算された距離と比較することによって評価された(右)。
【
図3C】閉ループ神経調節の実施。
図3A.完全に埋め込み可能な深部脳刺激及び記録デバイスの例示。
図3B.分界条及び脚ワナの堅牢な係合を示す標的化の再現性。VC/VSリード:黄色、AMYリード:ピンク色。
図3C.バイオマーカーの識別を目的として収集された10分間の静止状態の連続的神経記録を用いた試験のためのマッピング研究において識別されるクラスタに関連した症状重症度スコアの分布。
図3D.10分間の試行内のAMY接触1/2、3/4におけるガンマパワーと、HAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3E.臨床効果の再現性。各点は、右VC/VS及びAMYにわたる異なる双極構成での刺激試験(VAS-Dについては、n=6、2、4、5、HAMDについては、n=6、2、3、4)を表す。
図3F.左:臨床的尺度に対するバースト持続時間の影響。刺激パラメータ:接触3+/4-、1mA、6~36秒間隔で15.6分間にわたる36秒間の総刺激。閉ループ療法の実施のために選択されたハイライトされた状態(6秒のバースト持続時間)。右:臨床的尺度への用量の増加(1~2mA)及び接触の変更(3+/4-~2+/3-)の影響。退色した色は、オン/オフ状態が患者によって検出されたことを示す(状態ごとに1回の試験)。
図3G.深部脳刺激デバイスについての閉ループ制御の概略図。信号は、連続的に記録される。神経バイオマーカーが検出され、高度のうつ病状態を示している場合、刺激のパルスが、送達される。
図3H.f)と同じ10分間の試験内のNeuroPace RNSシステムによるガンマ検出の数とHAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3I.閉ループ刺激の開始前対終了後の週における症状重症度スコア(n=3、VAS-Dについては、31、n=2、HAMD6については、30)。
図3J.RNSシステムによる2ヶ月の治療にわたる毎日の気分評価(紫色)と毎日のバイオマーカー検出の数(灰色)との間の関係。点線は、VAS-Dスコアと、それらの平均に対して正規化された1日のバイオマーカー検出数との間の動的時間伸縮(DTW)計算距離を示す(左)。有意性は、DTW-距離を、10,000個のランダムにスクランブルされたバイオマーカー時系列から計算された距離と比較することによって評価された(右)。
【
図3D】閉ループ神経調節の実施。
図3A.完全に埋め込み可能な深部脳刺激及び記録デバイスの例示。
図3B.分界条及び脚ワナの堅牢な係合を示す標的化の再現性。VC/VSリード:黄色、AMYリード:ピンク色。
図3C.バイオマーカーの識別を目的として収集された10分間の静止状態の連続的神経記録を用いた試験のためのマッピング研究において識別されるクラスタに関連した症状重症度スコアの分布。
図3D.10分間の試行内のAMY接触1/2、3/4におけるガンマパワーと、HAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3E.臨床効果の再現性。各点は、右VC/VS及びAMYにわたる異なる双極構成での刺激試験(VAS-Dについては、n=6、2、4、5、HAMDについては、n=6、2、3、4)を表す。
図3F.左:臨床的尺度に対するバースト持続時間の影響。刺激パラメータ:接触3+/4-、1mA、6~36秒間隔で15.6分間にわたる36秒間の総刺激。閉ループ療法の実施のために選択されたハイライトされた状態(6秒のバースト持続時間)。右:臨床的尺度への用量の増加(1~2mA)及び接触の変更(3+/4-~2+/3-)の影響。退色した色は、オン/オフ状態が患者によって検出されたことを示す(状態ごとに1回の試験)。
図3G.深部脳刺激デバイスについての閉ループ制御の概略図。信号は、連続的に記録される。神経バイオマーカーが検出され、高度のうつ病状態を示している場合、刺激のパルスが、送達される。
図3H.f)と同じ10分間の試験内のNeuroPace RNSシステムによるガンマ検出の数とHAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3I.閉ループ刺激の開始前対終了後の週における症状重症度スコア(n=3、VAS-Dについては、31、n=2、HAMD6については、30)。
図3J.RNSシステムによる2ヶ月の治療にわたる毎日の気分評価(紫色)と毎日のバイオマーカー検出の数(灰色)との間の関係。点線は、VAS-Dスコアと、それらの平均に対して正規化された1日のバイオマーカー検出数との間の動的時間伸縮(DTW)計算距離を示す(左)。有意性は、DTW-距離を、10,000個のランダムにスクランブルされたバイオマーカー時系列から計算された距離と比較することによって評価された(右)。
【
図3E】閉ループ神経調節の実施。
図3A.完全に埋め込み可能な深部脳刺激及び記録デバイスの例示。
図3B.分界条及び脚ワナの堅牢な係合を示す標的化の再現性。VC/VSリード:黄色、AMYリード:ピンク色。
図3C.バイオマーカーの識別を目的として収集された10分間の静止状態の連続的神経記録を用いた試験のためのマッピング研究において識別されるクラスタに関連した症状重症度スコアの分布。
図3D.10分間の試行内のAMY接触1/2、3/4におけるガンマパワーと、HAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3E.臨床効果の再現性。各点は、右VC/VS及びAMYにわたる異なる双極構成での刺激試験(VAS-Dについては、n=6、2、4、5、HAMDについては、n=6、2、3、4)を表す。
図3F.左:臨床的尺度に対するバースト持続時間の影響。刺激パラメータ:接触3+/4-、1mA、6~36秒間隔で15.6分間にわたる36秒間の総刺激。閉ループ療法の実施のために選択されたハイライトされた状態(6秒のバースト持続時間)。右:臨床的尺度への用量の増加(1~2mA)及び接触の変更(3+/4-~2+/3-)の影響。退色した色は、オン/オフ状態が患者によって検出されたことを示す(状態ごとに1回の試験)。
図3G.深部脳刺激デバイスについての閉ループ制御の概略図。信号は、連続的に記録される。神経バイオマーカーが検出され、高度のうつ病状態を示している場合、刺激のパルスが、送達される。
図3H.f)と同じ10分間の試験内のNeuroPace RNSシステムによるガンマ検出の数とHAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3I.閉ループ刺激の開始前対終了後の週における症状重症度スコア(n=3、VAS-Dについては、31、n=2、HAMD6については、30)。
図3J.RNSシステムによる2ヶ月の治療にわたる毎日の気分評価(紫色)と毎日のバイオマーカー検出の数(灰色)との間の関係。点線は、VAS-Dスコアと、それらの平均に対して正規化された1日のバイオマーカー検出数との間の動的時間伸縮(DTW)計算距離を示す(左)。有意性は、DTW-距離を、10,000個のランダムにスクランブルされたバイオマーカー時系列から計算された距離と比較することによって評価された(右)。
【
図3F】閉ループ神経調節の実施。
図3A.完全に埋め込み可能な深部脳刺激及び記録デバイスの例示。
図3B.分界条及び脚ワナの堅牢な係合を示す標的化の再現性。VC/VSリード:黄色、AMYリード:ピンク色。
図3C.バイオマーカーの識別を目的として収集された10分間の静止状態の連続的神経記録を用いた試験のためのマッピング研究において識別されるクラスタに関連した症状重症度スコアの分布。
図3D.10分間の試行内のAMY接触1/2、3/4におけるガンマパワーと、HAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3E.臨床効果の再現性。各点は、右VC/VS及びAMYにわたる異なる双極構成での刺激試験(VAS-Dについては、n=6、2、4、5、HAMDについては、n=6、2、3、4)を表す。
図3F.左:臨床的尺度に対するバースト持続時間の影響。刺激パラメータ:接触3+/4-、1mA、6~36秒間隔で15.6分間にわたる36秒間の総刺激。閉ループ療法の実施のために選択されたハイライトされた状態(6秒のバースト持続時間)。右:臨床的尺度への用量の増加(1~2mA)及び接触の変更(3+/4-~2+/3-)の影響。退色した色は、オン/オフ状態が患者によって検出されたことを示す(状態ごとに1回の試験)。
図3G.深部脳刺激デバイスについての閉ループ制御の概略図。信号は、連続的に記録される。神経バイオマーカーが検出され、高度のうつ病状態を示している場合、刺激のパルスが、送達される。
図3H.f)と同じ10分間の試験内のNeuroPace RNSシステムによるガンマ検出の数とHAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3I.閉ループ刺激の開始前対終了後の週における症状重症度スコア(n=3、VAS-Dについては、31、n=2、HAMD6については、30)。
図3J.RNSシステムによる2ヶ月の治療にわたる毎日の気分評価(紫色)と毎日のバイオマーカー検出の数(灰色)との間の関係。点線は、VAS-Dスコアと、それらの平均に対して正規化された1日のバイオマーカー検出数との間の動的時間伸縮(DTW)計算距離を示す(左)。有意性は、DTW-距離を、10,000個のランダムにスクランブルされたバイオマーカー時系列から計算された距離と比較することによって評価された(右)。
【
図3J】閉ループ神経調節の実施。
図3A.完全に埋め込み可能な深部脳刺激及び記録デバイスの例示。
図3B.分界条及び脚ワナの堅牢な係合を示す標的化の再現性。VC/VSリード:黄色、AMYリード:ピンク色。
図3C.バイオマーカーの識別を目的として収集された10分間の静止状態の連続的神経記録を用いた試験のためのマッピング研究において識別されるクラスタに関連した症状重症度スコアの分布。
図3D.10分間の試行内のAMY接触1/2、3/4におけるガンマパワーと、HAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3E.臨床効果の再現性。各点は、右VC/VS及びAMYにわたる異なる双極構成での刺激試験(VAS-Dについては、n=6、2、4、5、HAMDについては、n=6、2、3、4)を表す。
図3F.左:臨床的尺度に対するバースト持続時間の影響。刺激パラメータ:接触3+/4-、1mA、6~36秒間隔で15.6分間にわたる36秒間の総刺激。閉ループ療法の実施のために選択されたハイライトされた状態(6秒のバースト持続時間)。右:臨床的尺度への用量の増加(1~2mA)及び接触の変更(3+/4-~2+/3-)の影響。退色した色は、オン/オフ状態が患者によって検出されたことを示す(状態ごとに1回の試験)。
図3G.深部脳刺激デバイスについての閉ループ制御の概略図。信号は、連続的に記録される。神経バイオマーカーが検出され、高度のうつ病状態を示している場合、刺激のパルスが、送達される。
図3H.f)と同じ10分間の試験内のNeuroPace RNSシステムによるガンマ検出の数とHAMD-6スコアとの間の正の相関。
図3I.閉ループ刺激の開始前対終了後の週における症状重症度スコア(n=3、VAS-Dについては、31、n=2、HAMD6については、30)。
図3J.RNSシステムによる2ヶ月の治療にわたる毎日の気分評価(紫色)と毎日のバイオマーカー検出の数(灰色)との間の関係。点線は、VAS-Dスコアと、それらの平均に対して正規化された1日のバイオマーカー検出数との間の動的時間伸縮(DTW)計算距離を示す(左)。有意性は、DTW-距離を、10,000個のランダムにスクランブルされたバイオマーカー時系列から計算された距離と比較することによって評価された(右)。
【
図4A】ネットワーク接続性。
図4A.右側のVC/VS、OFC及びSGCにおける単一のパルス刺激に起因する皮質辺縁ネットワークにわたる誘発電位(ベースラインに対するzスコア)は、ヒートマップとして脳上に重ねて示される。暖色は、より大きいN1振幅を示す。
図4B.AMY(ピンク色)、VC/VS(オレンジ色)、SGC(緑色)、及びOFC(青色)を標的とする右側sEEGリードの場所。繊維束(配向によって色分けされる)は、各接触を中心とした3mmのROIを使用する決定論的トラクトグラフィーからの刺激及び感知接触の候補対(VC/VS-AMY、VC/VS-OFC、SGC-AMY、OFC-AMY)間の推定構造的接続を示す。トラクトグラフィーパラメータは、全ての対について同じであった:最小FA=0.1、最小繊維長=80mm、最大角度=20度。
【
図4B】ネットワーク接続性。
図4A.右側のVC/VS、OFC及びSGCにおける単一のパルス刺激に起因する皮質辺縁ネットワークにわたる誘発電位(ベースラインに対するzスコア)は、ヒートマップとして脳上に重ねて示される。暖色は、より大きいN1振幅を示す。
図4B.AMY(ピンク色)、VC/VS(オレンジ色)、SGC(緑色)、及びOFC(青色)を標的とする右側sEEGリードの場所。繊維束(配向によって色分けされる)は、各接触を中心とした3mmのROIを使用する決定論的トラクトグラフィーからの刺激及び感知接触の候補対(VC/VS-AMY、VC/VS-OFC、SGC-AMY、OFC-AMY)間の推定構造的接続を示す。トラクトグラフィーパラメータは、全ての対について同じであった:最小FA=0.1、最小繊維長=80mm、最大角度=20度。
【
図5】刺激及び感知標的選択への全体的なアプローチ。個別化された応答性刺激マルチリード標的化のためのマルチモーダル法は、用量及び症状重症度状態の範囲にわたって、刺激が確実に症状の改善をもたらした候補部位を識別するための臨床マッピングから始まった。候補感知場所は、うつ病と相関するスペクトルパワーバイオマーカーを識別するために、静止状態の神経活動を症状重症度評価と対にすることによって識別された。次いで、候補刺激と感知標的との間の関係が、3つのアプローチを使用して試験された。第1に、有効なネットワーク接続性が、候補標的での単一のパルス刺激に起因するネットワーク全体のノードでの誘発応答を調べることによって評価された。第2に、候補接触対間の構造的接続性が、トラクトグラフィーを用いて評価された。影響力のある束は、慢性刺激デバイスの埋め込み中の再標的化に役立つために特定された。最後に、閉ループ制御の実現可能性が、候補感知場所において識別された推定バイオマーカーに対する候補刺激部位における刺激が及ぼす影響を調べることによって評価された。次いで、この個別化されたアプローチは、RNSシステムの埋め込み及び閉ループ神経刺激療法の送達について活用された1つの最良の刺激及び感知標的対を特定するために、可能にされた。
【
図6】個別化された閉ループ神経刺激療法の開発のための発見戦略のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0034】
対象における神経精神障害の治療のための方法及びシステムが、提供されている。閉ループ療法は、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を記録し、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動の事前に指定されたパターンが検出されるときに電気刺激を送達する神経刺激器を用いて行われる。
【0035】
本明細書に開示されるシステム及び方法で治療されることができる神経精神障害は、MDD、GAD、PTSD、嗜癖、OCD、神経性食欲不振、双極性障害、慢性疼痛、及び関連する状態を含み得るが、これらに限定されない。患者は、これらの神経精神障害のうちの1つ以上に罹患し得る。本明細書に開示される方法は、同じ患者における2つ以上の神経精神障害を治療し得る。
【0036】
本発明の例示的な実施形態について記載する前に、本発明は、記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって無論変動し得ることが理解されるものである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであり、限定することは意図されないことも理解されるべきである。
【0037】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の各々の介在する値も、下限の単位の10分の1まで具体的に開示されていることを理解されたい。任意の記載値又は記載された範囲内の間に介在する値と、任意の他の記載値又はその記載された範囲内の間に介在する値との間の、各より小さい範囲が、本発明に包含される。これらの小さい範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれていても、除外されていてもよく、いずれか、どちらでもない、又は両方の限定が小さい範囲に含まれている各範囲も、記載されている範囲の中で任意の具体的に除外されている限定に従うことを条件として、本発明に包含される。記載された範囲が限定の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限定のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0038】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と同様又は同等の任意の方法及び材料は、本発明の実施又は試験に使用することができるが、ここで、いくつかの潜在的かつ例示的な方法及び材料が記載され得る。本明細書で言及される任意の及び全ての刊行物は、刊行物が引用される方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、本開示は、組み込まれた刊行物のいかなる開示に優先されることを理解されたい。
【0039】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。このように、例えば、「電極(an electrode)」又は「その電極(the electrode)」への言及は、複数のそのような電極を含み、「症状(a symptom)」又は「その症状(the symptom)」への言及は、1つ以上の症状への言及を含み、以下同様である。
【0040】
特許請求の範囲は、任意選択であり得るあらゆる要素を除外するために起草され得ることに更に留意されたい。したがって、本明細書は、請求項の要素の列挙に関連して、「専ら」、「のみ」などの排他的用語を使用すること、又は「否定的な」制限を使用することの先行的な根拠として機能することが意図される。
【0041】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前に専らそれらの開示のために提供されている。本明細書におけるいかなる内容も、本発明が先行発明を理由に、そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なる場合がある。そのような刊行物が、本開示の明示的又は暗示的な定義と矛盾する用語の定義を提示し得る限りにおいて、本開示の定義が支配する。
【0042】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例示される別個の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能である任意の他の順序で実行され得る。
【0043】
定義
「神経精神障害」という用語は、障害に罹患している人の気分及び/又は行動に影響を及ぼす状態の群を指すために本明細書で使用される。神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、双極性障害(BD)、及び慢性疼痛を含む。
【0044】
「感情障害」という用語は、典型的にはそのような障害に罹患している人の気分に影響を及ぼす神経精神障害の群を指すために本明細書で使用される。気分に影響を及ぼす神経精神障害はまた、気分障害と呼称され、一般的にはうつ病及び/又は不安症と関連付けられる。感情障害の主なタイプは、うつ病、双極性障害、及び不安障害である。症状は、個人によって異なるが、それらは、典型的には気分に影響を及ぼす。それらは、軽度から重度の範囲であり得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「うつ病」という用語は、病的な悲しみ、落胆、又は憂鬱の精神状態を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「不安症」という用語は、びまん性で焦点を合わせられ得ず、しばしば生理学的症状を伴う、不快で不当な不安感を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「双極性障害」という用語は、この障害に罹患している人がうつ病の期間及び躁病(非常に肯定的で活動的であると感じる)の期間を通過する、感情障害のタイプを指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「不安障害」という用語は、緊張、不安、及び更には恐怖の感情を特徴とする神経精神障害を指す。不安障害は、社会的不安(社会的状況によって引き起こされる不安)、心的外傷後ストレス障害(心的外傷性事象によって引き起こされる不安、恐怖、フラッシュバック)、全般性不安障害(特定の原因がない、一般的な不安及び恐怖)、パニック障害(パニック発作を引き起こす不安)、及び強迫性障害(不安及び強迫行動を引き起こす強迫観念)を含む。
【0049】
「治療」又は「治療すること」は、患者が所望の又は有益な臨床結果を有するように、対象を苦しめる状態と関連付けられた1つ以上の症状が少なくとも改善されることを意味し、改善は、治療されている状態と関連付けられたパラメータ、例えば、症状の大きさにおける、少なくとも低減を指す。したがって、治療は、任意の関連する症状と共に、状態によって引き起こされる及び/又は状態と相関する障害の強度、持続時間又は程度の低下から、状態を完全に排除することまでを含む、広範囲の状況を含む。したがって、治療は、状態、又は少なくともそれと関連付けられた症状が完全に阻害され、例えば、発生が防止され、若しくは停止され、例えば、対象がその状態、又は少なくともその状態を特徴付ける症状にもはや罹患してないように、終結する状況を含む。治療はまた、状態の進行、又は少なくともそれと関連付けられた症状の進行が、減速、遅延、又は停止される状況を含む。そのような場合、対象は、依然として病理学的状態に関連する残存症状を有し得るが、症状の重症度又は大きさの任意の増加は、減速、遅延、又は防止される。
【0050】
本明細書で使用される場合、「眼窩前頭皮質」又は「OFC」という用語は、当業者によって既知の脳の定義された領域、並びにOFCにつながる、及びOFCからの周囲又は隣接する白質路を指す。OFCは、脳における前頭葉における前頭前皮質領域である。ヒトにおいて、それは、ブロッドマン野10、11、及び47からなる。
【0051】
本明細書で使用される「対象」という用語は、本明細書に開示される治療を必要とする患者を指す。患者は、げっ歯類、ネコ、イヌ、霊長類などの哺乳類、又はヒト、例えば、小児、青年、若年、中年、若しくは高齢のヒトなどの成人であり得る。患者は、神経精神障害を有すると診断されている可能性があるか、神経精神障害に罹患している疑いがあり得るか、又は神経精神障害を発症しているリスクにあり得る。
【0052】
本明細書で使用される「ユーザー」という用語は、本明細書に開示される方法の1つ以上のステップを実行するために、本明細書に開示されるデバイス及び/又はシステムと相互作用する人を指す。ユーザーは、治療を受けている患者であり得る。ユーザーは、患者の医師などの医療従事者であり得る。
【0053】
神経精神障害の症状など、神経精神障害の文脈において使用される「症状」という用語は、不安症、うつ病、恐怖、躁病、及び/又は制御不能な行動などの症状を指す。
【0054】
方法
本開示は、対象における神経精神障害を治療するための方法を提供する。また、本明細書に提供されるのは、対象における神経精神障害の症状を改善するための方法である。ここで、方法の様々なステップ及び態様は、以下でより詳細に記載されることになる。
【0055】
本開示の方法は、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を記録し、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動の事前に指定されたパターンが検出されるときに電気刺激を送達する神経刺激器を用いて行われる閉ループ療法を活用する。
【0056】
本方法は、対象の第1の脳領域に電気刺激を送達するために第1の電極(すなわち、刺激電極)を位置決めすることと、対象の第2の脳領域で神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を検出するために第2の電極(すなわち、検出電極)を位置決めすることと、を含む。1つ以上の刺激又は検出電極は、それぞれ、第1の脳領域又は第2の脳領域に位置決めされ得る。いくつかの実施形態において、第1の脳領域及び第2の脳領域は、同じである。他の実施形態において、第1の脳領域及び第2の脳領域は、異なる。刺激及び検出電極は、非脳貫通表面電極又は脳貫通深部電極であり得る。電気刺激は、患者が治療を必要とする症状重症度のレベルを有することを示す閾値レベルを超える信号を有する検出電極を使用して第2の脳領域から脳波記録信号が検出されるときに、神経精神障害を治療する、及び/又は神経精神障害の症状を改善するために有効な方式において、刺激電極を使用して第1の脳領域に印加され得る。そのような症状は、不安症、うつ病、強迫行動などのうちの1つ以上を含み得る。
【0057】
電気刺激は、単一の電極、電極対、又は電極アレイを使用して印加され得る。電気刺激は、第1の脳領域に片側又は両側に印加され得る。両側電気刺激は、同時又は順次であり得る。いくつかの実施形態において、電気刺激は、2つ以上の部位に印加される。電気刺激が印加される部位は、交互に、又はそうでなければ空間的若しくは時間的にパターン化され得る。
【0058】
脳の特定の領域に電気刺激を印加するための電極の位置決めは、頭蓋内電極の配置のための標準的な外科的処置を使用して実行され得る。本明細書で使用される場合、「電極(a electrode)」又は「その電極(the electrode)」という語句は、単一の電極又は電極アレイなどの複数の電極を指す。本明細書で使用される場合、脳の領域と接触する電極の文脈で使用される「接触」という用語は、電極と領域との間の物理的関連を指す。言い換えれば、脳の領域と接触している電極は、脳の領域に物理的に触れている。脳の領域と接触する電極は、脳に電気を伝導することができる。本明細書に開示される方法で使用される電極は、単極(カソード若しくはアノード)又は双極(例えば、アノード及びカソードを有する)であり得る。脳の特定の領域に電気刺激を印加するために使用される電極はまた、刺激電極と呼称される。
【0059】
特定の実施形態において、電気刺激が印加される脳領域は、腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、若しくは眼窩前頭皮質(OFC)領域、又は刺激に好適な脳の他の領域を含む。刺激のために選択される部位は、異なる対象について異なり得、以下で更に考察されるように、神経精神障害を治療するために電気刺激を送達するための電極を位置決めするための最適な場所を特定するために、個々の対象の脳のマッピングに依存するであろう。
【0060】
特定の場合において、VC/VS、SGC、若しくはOFC、又は他の領域に電極を配置することは、脳の指定された領域の表面上に電極を位置決めすることを包含し得る。電極は、VC/VSでの、例えば、側座核(NA)若しくは内包前脚(ALIC)、又はその両方での脳の表面に配置され得る。電極は、VC/VS、SGC、若しくはOFC、又は他の領域での脳の表面の少なくとも一部分に接触し得る。いくつかの実施形態において、電極は、VC/VS、SGC、若しくはOFC、又は他の領域で、実質的に表面積全体に接触し得る。いくつかの実施形態において、電極は、VC/VS、SGC、又はOFCに隣接する領域に追加的に接触し得る。いくつかの実施形態において、平面支持基板上に配設された電極アレイは、本明細書に指定されるように、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は脳の他の領域を電気的に刺激するために使用され得る。電極アレイの表面積は、電極アレイと脳との間の所望の接触面積によって判定され得る。表面電極又は表面電極アレイなどの脳表面上への埋め込みのための電極は、商業的供給業者から入手され得る。商業的に入手された電極/電極アレイは、所望の接触面積を達成するために修正され得る。いくつかの場合において、本明細書に開示される方法において使用され得る非脳貫通電極(表面電極とも呼称される)は、皮質脳波記録(ECoG)電極又は脳波記録(EEG)電極であり得る。
【0061】
特定の場合において、標的領域又は部位に電極(例えば、刺激電極)を配置することは、脳の特定の領域における脳貫通電極(深部電極とも呼称される)を位置決めすることを包含し得る。例えば、刺激電極は、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は別の領域に配置され得る。いくつかの実施形態において、刺激電極は、VC/VS、SGC、又はOFCに隣接する領域に追加的に接触し得る。いくつかの実施形態において、電極アレイは、本明細書に指定されるように、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は脳の別の領域を電気的に刺激するために使用され得る。
【0062】
刺激電極が脳に挿入される深度は、電極アレイと脳との間の所望の接触レベルによって判定され得る。脳貫通電極アレイは、商業的供給業者から入手され得る。商業的に入手された電極アレイは、脳組織への所望の挿入深度を達成するために修正され得る。
【0063】
本発明の方法の特定の実施形態において、電気刺激は、脳におけるVC/VS領域にのみ印加される。他の実施形態において、電気刺激は、少なくとも、脳におけるVC/VS領域及び脳における1つ以上の追加の領域に印加される。
【0064】
特定の実施形態において、1つ以上の検出電極は、1つ以上の脳領域における神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動のための脳波記録信号を記録するために使用される。検出電極は、例えば、脳の右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、若しくは右海馬領域、又は検出に好適な脳の他の領域に配置され得る。検出のために選択される部位は、異なる対象について異なり得、以下で更に考察されるように、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活性からの脳波記録信号を検出するための電極を位置決めするための最適な場所を特定するために、個々の対象の脳のマッピングに依存するであろう。
【0065】
特定の場合において、検出電極を配置することは、脳の指定された領域の表面上に電極を位置決めすることを包含し得る。例えば、電極は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、若しくは右海馬領域、又はそれらの任意の組み合わせでの、脳の表面上に配置され得る。電極は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬領域での、脳の表面の少なくとも一部分に接触し得る。いくつかの実施形態において、電極は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬領域での、実質的に表面積全体に接触し得る。いくつかの実施形態において、電極は、追加的に、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬領域に隣接する面積に接触し得る。いくつかの実施形態において、平面支持基板上に配設された電極アレイは、本明細書で指定される脳領域のうちの1つ以上からの神経活性のための脳波記録信号を検出するために使用され得る。電極アレイの表面積は、電極アレイと脳との間の所望の接触面積によって判定され得る。表面電極又は表面電極アレイなどの脳表面上への埋め込みのための電極は、商業的供給業者から入手され得る。商業的に入手された電極/電極アレイは、所望の接触面積を達成するために修正され得る。いくつかの場合において、本明細書に開示される方法において使用され得る非脳貫通電極(表面電極とも呼称される)は、皮質脳波記録(ECoG)電極又は脳波記録(EEG)電極であり得る。特定の実施形態において、複数の電極は、定位的脳波記録(sEEG)による脳波記録信号の検出のために、本明細書に指定された脳領域のうちの1つ以上に位置決めされ得る。
【0066】
特定の場合において、標的領域又は部位(例えば、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬)に検出電極を配置することは、脳の特定の領域における脳貫通電極(深部電極とも呼称される)を位置決めすることを包含し得る。例えば、検出電極は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬領域に配置され得る。いくつかの実施形態において、検出電極は、追加的に、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬に隣接する面積に接触し得る。いくつかの実施形態において、電極アレイは、本明細書に指定されるように、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬からの神経活動を検出するために使用され得る。
【0067】
検出電極が脳に挿入される深度は、電極アレイと脳との間の所望の接触レベルによって判定され得る。脳貫通電極アレイは、商業的供給業者から入手され得る。商業的に入手された電極アレイは、脳組織への所望の挿入深度を達成するために修正され得る。
【0068】
(例えば、電気刺激又は神経活動の検出のための)電極アレイに包含される刺激又は検出電極の正確な数は、変化し得る。特定の態様において、電極アレイは、4個以上、例えば、約3~6個の電極、約6~12個の電極、約12~18個の電極、約18~24個の電極、約24~30個の電極、約30~48個の電極、約48~72個の電極、約72~96個の電極、又は約96個以上の電極を含む、3個以上などの、2つ以上の電極を含み得る。電極は、規則的な繰り返しパターン(例えば、電極間に約1cmの間隔を有するグリッドなどのグリッド)、又はパターンなしに配設され得る。電気刺激の最適な送達のために標的部位に適合する電極が、使用され得る。1つのそのような例は、21/2mmで区切られた8つの接触を有する単一の多接触電極である。各契約は、およそ2mmのスパンを有することになる。別の例は、2mmの中間ギャップを有する2つの1cmの接触を有する電極である。更に、本方法において使用されることができる電極の別の例は、標的部位を覆うための2又は3分岐電極である。これらの3つの突起電極の各々は、2.5mmの2つの中心から中心への分離、及び1.5mmのスパンを有する4つの1~2mmの接触を有する。
【0069】
各電極のサイズはまた、アレイにおける電極の数、電極の場所、材料、患者の年齢、及び他の要因などの要因に応じて異なり得る。特定の態様において、電極アレイは、4mm~0.25mm、3mm~0.25mm、2mm~0.25mm、1mm~0.25mm、又は約3mm、約2mm、約1mm、約0.5mm、若しくは約0.25mmを含む、約4mm以下などの、約5mm以下のサイズ(例えば、直径)を有する。
【0070】
特定の実施形態において、本方法は、電気刺激を印加するための電極の位置決めを最適化するために対象の脳をマッピングすることを更に含む。刺激電極の位置決めは、うつ病及び/又は不安症などの神経精神障害の症状を緩和するために、電気刺激に対する臨床応答を最大化するように最適化される。いくつかの実施形態において、腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、眼窩前頭皮質(OFC)領域、又は脳の他の領域は、刺激電極の最適な位置決めを判定するために、マッピングされる。
【0071】
特定の部位での電気刺激の有効性の評価は、神経学的検査及び/又は神経心理学的検査(例えば、ミネソタ多面人格テスト、ベックうつ病質問票、ミニメンタルステート検査(MMSE)、うつ病の視覚的アナログ尺度(VAS-D)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ウィスコンシンカード分類検査(WCST)、ロンドン塔(Tower of London)、ストループ課題、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、Yale-Brown強迫観念・強迫行為スコア(Y-BOCS))、運動検査、疼痛症状の視覚アナログ尺度、及び/又は脳神経検査によって実行され得る。
【0072】
特定の場合において、電気刺激によって改善され得る症状は、不安症である。対象の不安症は、任意の標準化された評価方法を使用して評価され得る。特定の場合において、不安症は、ベック不安症調査表(BAI)スコア、不安症のための視覚的アナログ尺度(VAS-A)、又はハミルトン不安症評価尺度(HAM-A)などの自己報告によって測定され得る。不安症の追加の尺度は、状態不安尺度(S-Anxiety)と、特性不安尺度(T-Anxiety)とからなる状態-特性不安検査(STAI)と、病院不安及びうつ病尺度-不安(HADS-A)とを含む。不安症の改善は、電気刺激前の不安レベルと比較した不安レベルの低減を含み得る。
【0073】
特定の場合において、電気刺激によって改善され得る症状は、うつ病である。対象のうつ病は、任意の標準化された評価方法を使用して評価され得る。特定の場合において、うつ病は、うつ病の視覚的アナログ尺度(VAS-D)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)スコア、疫学研究センター(Center for Epidemiological Studies)うつ病評価(CES-D)、高齢者うつ評価(GDS)、又はZung自己評価式うつ病尺度(Zung SDS)などの、自己報告によって測定され得る。特定の場合において、面談者が実施するうつ病評価は、単独で、又は自己報告ツールと組み合わせて使用され得る。面談者が実施するうつ病評価は、Cornell認知症うつ病評価尺度(Cornell Scale for Depression in Dementia)(CSDD)及びRAND社の自己管理型うつ病スクリーナー(RAND Corporation Self-Administration Depression Screener)を含む うつ病の改善は、電気刺激前のうつ病レベルと比較したうつ病レベルの低下を含み得る。
【0074】
特定の実施形態において、本方法は、検出電極の位置決めを最適化するために対象の脳をマッピングすることを更に含む。検出電極の位置決めは、治療を必要とするほど重度の神経精神障害の症状状態と、治療を必要としない無症状状態(ベースライン)又は軽度の症状状態とを区別する脳活動特徴を検出するために最適化される。例えば、全体的なパワー、又は特定の周波数範囲(例えば、アルファ、デルタ、ベータ、ガンマ、及び/又は高ガンマ)におけるパワーのレベルは、症状重症度及び電気刺激による治療の必要性と相関し得る。いくつかの実施形態において、ガンマ周波数パワー(30Hz~200Hzなど)のレベルは、患者が電気刺激による治療を必要とするかどうかを判定するために、症状重症度と相関される。したがって、検出電極は、神経精神障害の症状重症度と相関する特定の周波数範囲における脳活動の検出を最適化するように位置決めされ得る。代替的又は追加的に、特定のスペクトル周波数帯域内のコヒーレンス又はネットワーク接続の他の特徴は、症状重症度及び電気刺激による治療の必要性と相関し得る。
【0075】
脳活動の検出は、当該技術分野で既知の任意の方法によって実行され得る。例えば、神経活動の機能的脳イメージングは、脳波記録(EEG)、定位的脳波記録(sEEG)、脳磁気図検査(MEG)、単光子コンピュータ断層撮像(SPECT)などの電気的方法、並びに機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、及び陽電子放出断層撮影(PET)などの代謝及び血流研究によって実行され得る。いくつかの実施形態において、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、若しくは右海馬、又は他の領域は、検出電極についての最適な位置決めを判定するために、マッピングされる。これらの領域のうちの1つ以上は、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの電気信号を測定するために、検出電極を埋め込まれ得る。
【0076】
本明細書に記載されるように、方法は、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活性が検出されるときに、対象における神経精神障害及び/又は神経精神障害の症状を治療するために有効な方式において電気刺激を印加することを包含する。閉ループ療法は、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を記録し、検出される脳波記録信号のレベルが治療を必要とする症状重症度のレベルを示す設定された閾値レベルを超えたときに電気刺激を送達する、神経刺激器で実行され得る。電気刺激を印加するためのパラメータは、治療中に経験的に判定され得るか、又は臨床試験などから事前に定義され得る。電気刺激のパラメータは、周波数、パルス幅/持続時間、デューティサイクル、強度/振幅、パルスパターン、プログラム持続時間、プログラム周波数などのうちの1つ以上を含み得る。
【0077】
周波数は、刺激中に毎秒生成されるパルスを指し、ヘルツ(Hz、例えば、60Hz=毎秒60パルス)の単位で記述される。本方法において使用される電気刺激の周波数は、多数の要因に依存して広範に変化し得、対象の治療中に経験的に判定され又は事前に定義され得る。特定の実施形態において、本方法は、10Hz~300Hz、10Hz~200Hz、10Hz~150Hz、10Hz~125Hz、10Hz~100Hz、15Hz~200Hz、15Hz~300Hz、20Hz~200Hz、25Hz~400Hz、25Hz~300Hz、25Hz~200Hz、25Hz~150Hz、25Hz~100Hz、50Hz~500Hz、50Hz~400Hz、50Hz~300Hz、50Hz~200Hz、50Hz~150Hz、50Hz~100Hz、75Hz~300Hz、75Hz~200Hz、75Hz~150Hz、75Hz~125Hz、75Hz~120Hz、75Hz~115Hz、75Hz~110Hz、又は75Hz~100Hzなどの、10Hz~500Hzの周波数で電気刺激を印加することを包含し得る。電流の振幅は、0.1mA~25mA、0.1mA~20mA、0.1mA~15mA、0.1mA~10mA、1mA~20mA、1mA-10mA、2mA~30mA、2mA~15mA、又は2mA~10mAなどの、0.1mA~30mAであり得る。
【0078】
電気刺激は、単相又は二相パルスなどのパルスで印加され得る。単一のパルスの時間スパンは、パルス幅又はパルス持続時間と呼称される。本方法において使用されるパルス幅は、多くの要因(例えば、疾患の重症度、患者の状態など)に依存して広範に変化し得、経験的に判定され又は事前に定義され得る。特定の実施形態において、本方法は、約10μ秒~990μ秒、例えば、30μ秒~990μ秒、50μ秒~990μ秒、75μ秒~990μ秒、100μ秒~990μ秒、200μ秒~990μ秒、300μ秒~990μ秒、500μ秒~990μ秒、500μ秒~900μ秒、30μ秒~900μ秒、50μ秒~900μ秒、75μ秒~900μ秒、100μ秒~900μ秒、200μ秒~900μ秒、300μ秒~900μ秒、500μ秒~900μ秒、30μ秒~500μ秒、50μ秒~450μ秒、75μ秒~300μ秒、100μ秒~200μ秒、又は100μ秒~550μ秒のパルス幅で電気刺激を印加することを包含し得る。いくつかの実施形態において、電気刺激は、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、又は140μ秒などの、この範囲内の任意のパルス幅を含む、約100μ秒~約140μ秒のパルス幅で印加される。
【0079】
電気刺激は、その間に静止期間(すなわち、電気刺激なし)が可能である、0.1秒~1ヶ月の刺激期間にわたって印加され得る。特定の場合において、電気刺激の期間は、0.1秒~1週間、1秒~1日、10秒~12時間、1分~6時間、10分~1時間などであり得る。特定の場合において、電気刺激の期間は、1秒~1分、1秒~30秒、1秒~15秒、1秒~10秒、1秒~6秒、1秒~3秒、1秒~2秒、又は6秒~10秒であり得る。各刺激期間の間の静止の期間は、60秒以下、30秒以下、20秒以下、又は10秒であり得る。
【0080】
電気刺激は、0.1mA~25mA、0.1mA~20mA、0.1mA~15mA、0.1mA~10mA、0.1mA~2mA、0.1mA~1mA、1mA~20mA、1mA~10mA、2mA~30mA、2mA~15mA、2mA~10mA、又は1mA~2mAなどの、0.1mA~30mAの電流の振幅で印加され得る。いくつかの実施形態において、電流の振幅は、0.1mA~1.5mA、又は0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、又は1.5mAなどのこの範囲における電流の任意の振幅である。
【0081】
上記に記載されるパラメータを有する電気刺激は、18時間、6時間、3時間、1時間、45分、30分、20分、10分、若しくは5分、又はそれ以下、例えば、1分~5分、2分~10分、2分~20分、2分~30分、5分~10分、5分~30分、若しくは5分~15分などの、約1日以下のプログラム持続時間にわたって印加され得、この期間は、パルスの印加及び中間静止期間を含むことになる。プログラムは、対象の治療が達成されるまで、所望のプログラム周波数で繰り返され得る。したがって、治療計画は、所望のプログラム周波数及びプログラム持続時間での電気刺激のためのプログラムを含み得る。いくつかの実施形態において、治療計画は、閉ループ治療計画における1つ以上の刺激電極に接続されたパルス発生器と通信する制御ユニットによって制御される。
【0082】
いくつかの実施形態において、1日当たりの電気刺激の最大数の上限は、設定されることができる。例えば、1日当たりの電気刺激の最大数は、1日当たり50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500回の療法などの、この範囲における1日当たりの任意の数の療法を含む、1日当たり50回の療法から1日当たり500回の療法までの範囲であり得る。代替的又は追加的に、上限は、1日当たりの電気刺激の総時間量に対して設定されることができる。例えば、1日当たりの電気刺激の総時間量は、1日当たりの総刺激時間の10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100分などの、この範囲内の任意の時間量の範囲を含む、1日当たりの総時間量の10分~100分の範囲であり得る。1日当たりの電気刺激の最大数及び/又は電気刺激の総時間量のそのような上限は、夜間療法から患者の睡眠を妨げないように、用いられることができる。加えて、患者が睡眠を望むときの電気刺激のない静止期間はまた、睡眠の妨害を回避するために用いられ得る。
【0083】
上記のように、治療は、対象が罹患している神経精神障害の1つ以上の症状を改善し得る。そのような症状は、不安症、うつ病、強迫行動のエピソードの頻度、自己飢餓エピソードの頻度、躁病、パニック発作、社会的不安、又は慢性疼痛に関連する苦痛を含む。治療の有効性の評価は、神経学的検査及び/又は神経心理学的検査(例えば、ミネソタ多面人格テスト、ベックうつ病質問票、ミニメンタルステート検査(MMSE)、うつ病の視覚的アナログ尺度(VAS-D)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ウィスコンシンカード分類検査(WCST)、ロンドン塔(Tower of London)、ストループ課題、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、Yale-Brown強迫観念・強迫行為スコア(Y-BOCS))、運動検査、疼痛症状の視覚アナログ尺度、及び/又は脳神経検査によって実行され得る。
【0084】
特定の場合において、開示された方法によって改善され得る症状は、不安症であり得る。対象の不安症は、任意の標準化された評価方法を使用して評価され得る。特定の場合において、不安症は、ベック不安症調査表(BAI)スコア、不安症のための視覚的アナログ尺度(VAS-A)、又はハミルトン不安症評価尺度(HAM-A)などの自己報告によって測定され得る。不安症の追加の尺度は、状態不安尺度(S-Anxiety)と、特性不安尺度(T-Anxiety)とからなる状態-特性不安検査(STAI)と、病院不安及びうつ病尺度-不安(HADS-A)とを含む。不安の改善には、治療前の不安レベルと比較した不安レベルの低下を含み得る。不安レベル(例えば、BAI又はHAM-Aによって測定される)における5%以上の低下は、治療が有効であったことを示し得る。
【0085】
特定の場合において、開示された方法によって改善され得る症状は、うつ病であり得る。対象のうつ病は、任意の標準化された評価方法を使用して評価され得る。特定の場合において、うつ病は、うつ病の視覚的アナログ尺度(VAS-D)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ベックうつ病調査表(BDI)スコア、疫学研究センター(Center for Epidemiological Studies)うつ病評価(CES-D)、高齢者うつ評価(GDS)、又はZung自己評価式うつ病尺度(Zung SDS)などの、自己報告によって測定され得る。特定の場合において、面談者が実施するうつ病評価は、単独で、又は自己報告ツールと組み合わせて使用され得る。面談者が実施するうつ病評価は、Cornell認知症うつ病評価尺度(Cornell Scale for Depression in Dementia)(CSDD)及びRAND社の自己管理型うつ病スクリーナー(RAND Corporation Self-Administration Depression Screener)を含む うつ病の改善は、治療前のうつ病レベルと比較したうつ病レベルの低下を含み得る。うつ病レベル(例えば、BDIスコアによって測定される)における5%以上の低下は、治療が有効であったことを示し得る。
【0086】
特定の場合において、治療の有効性は、扁桃体内にあり得る脳の二次領域、又は別の領域からの活動(例えば、電気信号)を検出することによって評価され得る。例えば、二次領域は、扁桃体、眼窩前部皮質、海馬、中隔、帯状回、帯状皮質、膝下帯状、視床下部、視床上部、視床前部、乳頭体、及び脳弓のうちの1つ以上であり得る。特定の実施形態において、二次領域は、対象の脳の右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、若しくは右海馬領域、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。脳の二次領域での脳活動の検出は、機能的脳イメージングによって実行され得る。機能的脳イメージングは、脳波記録(EEG)、脳磁気図検査(MEG)、単光子コンピュータ断層撮像(SPECT)などの電気的方法、並びに機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、及び陽電子放出断層撮影(PET)などの代謝及び血流研究によって実行され得る。いくつかの実施形態において、治療の有効性を評価するための電気的方法は、本明細書に記載の検出電極の使用、又は脳の二次領域で電気信号を測定するための追加の電極の配置を包含し得る。脳の1つ以上の領域は、電極、及び治療の有効性の評価のために測定された電気信号が埋め込まれ得る。任意の好適な電極は、測定のために使用され得、本明細書に記載のように、1つ以上の表面電極(非脳貫通電極)、又は1つ以上の深部電極(脳貫通電極)を含み得る。
【0087】
治療の有効性の評価及び神経精神障害の症状の改善の評価は、治療手順の開始後の任意の好適な時点で、例えば、閉ループ療法中又は治療計画が完了した後に実行され得る。本主題の方法の実施形態は、初期治療計画が完了した後、数秒、数分、数時間、又は数日以内に、神経精神障害の症状の治療又は改善の有効性を評価することを含む。いくつかの事例において、評価は、複数の時点で実行され得る。いくつかの場合において、2つ以上のタイプの評価は、異なる時点で実行され得る。いくつかの実施形態において、対象の脳活動(例えば、1つ以上の二次領域での)は、電気刺激の印加の前に測定され得、評価は、治療後の1つ以上の二次領域での対象の脳活動を治療前のそれと比較することを含み得、治療後の脳活動における変化は、成功した治療を示し得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、対象は、検出電極を使用して閉ループ療法中に一定期間監視され、前の記録期間と比較して後の記録期間内に検出電極によって検出された閾値レベルを超える脳波記録信号の数の増加は、神経精神障害の症状の重症度の増加を示し、前の記録期間と比較して後の記録期間内に検出電極によって検出された閾値レベルを超える脳波記録信号の数の減少は、神経精神障害の症状の重症度の減少を示す。
【0089】
本明細書で提供される方法及びシステムは、患者における神経精神障害の1つ以上の症状を改善するために使用され得る。当業者であれば、症状の改善が、症状を共有する2つの別個の神経精神状態に罹患している患者に緩和を提供し得ることを理解するであろう。
【0090】
治療計画の完了時に、患者は、治療の有効性について評価され得、必要に応じて、治療計画は、繰り返され得る。特定の場合において、治療計画は、繰り返す前に変更され得る。例えば、刺激又は検出電極の周波数、パルス幅、電流振幅、電気刺激の期間、プログラム持続時間、プログラム周波数、及び/又は配置のうちの1つ以上は、第2の治療計画を開始する前に変更され得る。
【0091】
特定の場合において、治療計画は、所望の転帰に合わせて調整され得る。例えば、神経精神障害の急性型に罹患している患者について、治療計画は、障害の1つ以上の症状の急性軽減を提供するように選択され得る。対照的に、神経精神障害に慢性的に罹患している患者のための治療計画は、障害のうちの1つ以上の症状の慢性緩和のために調整され得る。障害の1つ以上の症状の慢性緩和のための治療計画はまた、障害の1つ以上の症状の慢性緩和の症状の再出現を遅らせ得、症状の出現を防止さえし得る。特定の場合において、障害の1つ以上の症状の急性及び慢性軽減のための治療計画の組み合わせである治療計画が、用いられ得る。
【0092】
本方法の適用は、認知評価、解剖学的評価、行動評価、及び/又は神経生理学的評価を含み得る、臨床評価によって判定される必要性に基づいて、治療のための患者を選択する事前のステップを含み得る。特定の場合において、対象が神経精神障害に罹患するリスクにある場合、対象は、治療のために選択され得る。神経精神障害の家族歴を有するか、又は以前に神経精神障害に罹患したことがある患者は、リスクにあり得る。そのような患者はまた、検出及び刺激電極を埋め込まれ得る。
【0093】
特定の態様において、本開示の方法及びシステムは、脳活動、例えば、扁桃体における電気活動の測定を含み得、ガンマ周波数パワーのレベルが、測定され得る。特定の場合において、扁桃体における複数の場所からの電気活動が、測定され、平均化され得る。いくつかの実施形態において、ガンマ周波数範囲(30Hz~200Hzなど)における電気活動は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、若しくは右海馬、又はそれらの任意の組み合わせから測定され得る。いくつかの場合において、脳における1つ以上の場所における電気活動は、刺激前から脳への刺激が印加される期間まで、又は脳への刺激が印加された後の期間までにわたる期間中に測定され得、ガンマ周波数(30Hz~200Hzなど)活性のパワーの減少及び/若しくは皮質興奮性の増加について監視され得る。いくつかの場合において、ガンマ周波数(30Hz~200Hzなど)活性の低下したパワー及び/又は増加した皮質興奮性が正常範囲(例えば、障害の実質的な欠如と関連付けられた範囲)内にあるときに、方法及びシステムは、脳に更なる刺激を印加しない。代替的に、ガンマ周波数(30Hz~200Hzなど)活性の減少したパワー及び/又は増加した皮質興奮性が正常範囲(例えば、障害の実質的な欠如と関連付けられた範囲)内にないときに、方法及びシステムは、脳に更なる刺激を加え得る。特定の場合において、脳への電気刺激の印加は、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬にわたるガンマ周波数パワーを抑制し得る。減少は、刺激の印加前のパワーと比較され得る。特定の場合において、脳への電気刺激の印加は、脳の1つ以上の領域からの他の神経特徴を変更し得る。変更は、刺激の印加前のこれらの特徴の状態と比較され得る。
【0094】
閉ループ方法は、対象の脳からのリアルタイムのフィードバック信号に基づいて、電気刺激のパラメータの判定を可能にする。閉ループの方法及びシステムは、治療計画のリアルタイムの必要性に基づく調節を含む、対象の治療の自動化を可能にする。神経精神障害の治療のための例示的な閉ループ方法及び関連するシステムは、実施例のセクションにおいて更に考察され、
図3及び
図5に示される。電気刺激の自動送達のための閉ループ方法及びシステムは、以下に更に記載される。
【0095】
電気刺激の自動送達のための閉ループ方法
特定の実施形態において、制御アルゴリズムは、神経精神障害の症状と関連付けられた神経活性の検出に応答して、電気刺激の送達を自動化するために使用される。特定の実施形態によれば、本方法は、検出電極を介して対象の脳の領域から電気信号を受信することと、臨床的に関連する標的(例えば、有効な治療を示す信号の範囲及び/又は症状の重症度及び治療の必要性を示す信号の範囲)にチューニングされる制御アルゴリズムに電気信号メトリックを印加することと、電気信号メトリックが患者が治療を必要としていることを示す場合、神経精神障害を治療するか、又は神経精神障害の症状を改善するために有効な方式において、刺激電極を介して脳に電気刺激を自動的に送達することと、を含み得る。例えば、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬からのガンマ周波数範囲(30Hz~200Hzなど)における電気活動は、検出電極で測定され得、制御アルゴリズムは、検出電極から電気活動データを受信し、ガンマ周波数パワー(30Hz~200Hzなど)のレベルが、患者が治療を必要とするほど重度の神経精神障害の症状を有することを示す特定の範囲内にあるときに、刺激電極を介してVC/VS領域への電気刺激の送達を自動化する。いくつかの実施形態において、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータは、記録された電気活動データに基づいてアルゴリズムの制御法則に従って調節され、調節された電気刺激は、神経精神障害の症状を改善するために有効な方式において、刺激電極を介してVC/VS領域に送達される。
【0096】
上記のセクションに記載されるように、神経精神障害の症状の治療又は改善の有効性は、検出電極を使用して脳の第2の領域からの電気活動を検出することによって評価され得る。開ループシステムにおいて、刺激は、事前にプログラムされた方式で、又はユーザーによって手動で送達されるが、患者の脳からのリアルタイムの神経フィードバックによって自動的に制御されない。電気活動は、電気活動を所定の範囲と比較することに基づいて、推奨事項を出力し得るコンピューティング手段によって分析され得る。次いで、ユーザーは、別の治療計画を開始する前に電気刺激プログラムのパラメータを変更することなどの、推奨事項を実行し得る。閉ループシステムにおいて、対照的に、コンピューティング手段は、記録された電気信号の分析に基づいて、刺激パラメータを自動的に更新することができ、及び/又は電気刺激プログラムに従って刺激を自動的に送達することができる。いくつかの実施形態において、開ループ又は閉ループシステムのいずれかは、例えば、通常発生するであろう刺激を実施又は防止するために、又はそのような刺激のパラメータを手動で変更するために、開ループ若しくは閉ループ刺激プログラムのユーザーオーバーライドを可能にすることによって、ユーザー介入のためのメカニズムと統合され得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、閉ループ刺激を指示するためのコンピューティング手段は、測定電極に無線で又は有線によって接続され得るハードウェア/ソフトウェアの組み合わせであり得る。コンピューティング手段は、刺激電極に接続されたパルス発生器を制御する制御ユニット(制御モジュールとも呼称される)と通信し得る。特定の実施形態において、コンピューティング手段は、検出電極によって測定された脳活動を記録するレコーダ(例えば、神経生理学的レコーダ)に接続され得る。コンピューティング手段は、神経生理学的レコーダのリアルタイム出力に基づいて、刺激パラメータの修正を判定する制御アルゴリズムを含み得る。本アルゴリズムは、設定されたパラメータでの刺激の単純なオン/オフ制御によって動作し得、各評価サイクルでオン/オフパラメータのみを修正し得、又は各サイクルで刺激パラメータの範囲の非常に高度な修正を判定し得る。いくつかの場合において、本アルゴリズムは、神経精神障害の存在又は症状の重度を示す、電気活動の範囲など、神経精神障害に関連する情報に基づき得る。本アルゴリズムはまた、正常な対象(神経精神障害に罹患していない)の脳活動プロファイルなどの追加の情報を含み得る。特定の制御アルゴリズム構造にかかわらず、コンピューティング手段は、アルゴリズムの制御法則に従って、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータの調節を指示する、臨床的に関連する標的(例えば、有効な治療を示す信号の範囲、及び/又は症状の重症度及び治療の必要性を示す信号の範囲)にチューニングされ得、刺激電極を介して(例えば、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に)調節された電気刺激を印加する。
【0098】
いくつかの場合において、コンピューティング手段は、制御アルゴリズムを介して、受信された電気信号が、神経精神障害の存在を示す所定の神経信号の範囲内又は範囲外であるかどうかを判定し得る。受信された電気信号がこの所定の範囲外にあるときに、コンピューティング手段は、神経精神障害が治療されている、及び/又は神経精神障害の症状(例えば、うつ病、不安症、強迫性/反復性、自己飢餓行動、及び/又は慢性疼痛関連の苦痛)が改善されていると判定する。コンピューティング手段は、次いで、パルス発生器によって刺激遮断を指示するために、制御ユニットと通信し得る。受信された電気信号が神経精神障害の存在を示す神経信号の所定の範囲内にあるときに、コンピューティング手段は、神経精神障害が治療を必要とする、及び/又は神経精神障害の症状(例えば、うつ病、不安症、強迫性/反復性、自己飢餓行動、及び/又は慢性疼痛関連の苦痛)が治療を必要とするほど重度であると判定する。次いで、コンピューティング手段内の制御アルゴリズムは、電気刺激を印加する初期ステップが繰り返されるべきかどうか、及び/又は電気刺激を印加するステップの前に電気刺激のパラメータが修正されるべきかどうかを判定し得る。コンピューティング手段は、次いで、制御ユニットを介して、適切な命令をパルス発生器に提供するために、制御ユニットと通信し得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、コンピューティング手段は、受信された電気信号が第2の所定の範囲内又は範囲外であるかどうかを判定し得、第2の所定の範囲は、神経精神障害の治療及び/又は神経精神障害の症状の改善を示す。受信された電気信号が第2の所定の範囲内にあるときに、コンピューティング手段は、神経精神障害が治療されている、及び/又は神経精神障害の症状(例えば、うつ病、不安症、強迫性/反復性、自己飢餓行動、及び/又は慢性疼痛関連の苦痛)が改善されていると判定する。コンピューティング手段は、次いで、パルス発生器によって刺激スイッチオフを指示するために、制御ユニットと通信し得る。受信された電気信号が第2の所定の範囲外にあるときに、コンピューティング手段は、神経精神障害が治療されていない、及び/又は神経精神障害の症状(例えば、うつ病、不安症、強迫性/反復性、自己飢餓行動、及び/又は慢性疼痛関連の苦痛)が改善されていないと判定する。次いで、コンピューティング手段内の制御アルゴリズムは、電気刺激を印加する初期ステップが繰り返されるべきかどうか、及び/又は電気刺激を印加するステップの前に電気刺激のパラメータが修正されたかどうかを判定し得る。プロセッサは、次いで、制御ユニットと通信して、適切な命令をパルス発生器に提供するために、制御ユニットと通信し得る。
【0100】
したがって、特定の態様において、本主題の方法は、対象の脳の領域からの電気活動に応答して1つ以上のパラメータを自動的に調整し、及び/又は電気刺激プログラムに従って刺激を自動的に送達し得る、閉ループ制御システムとして動作する。いくつかの実施形態において、閉ループ制御システムは、受信された電気信号が治療の必要性を示す所定の範囲内にあるときに、設定されたパラメータに従って刺激を自動的に送達する。例示的な閉ループ方法及び関連するシステムは、本出願の実施例のセクションに記載されており、
図3及び
図5に例示されている。
【0101】
いくつかの態様において、閉ループシステムは、本明細書に開示される方法を使用して、対象の治療についての必要性を感知するために使用され得る。例えば、閉ループシステムは、脳の1つ以上の領域からの脳活動を監視し、脳活動を神経精神障害又は神経精神障害の症状を示す範囲と比較するようにプログラムされ得る。神経精神障害又は神経精神障害の症状を示す電気活動の検出時に、閉ループシステムは、電気刺激を印加する治療プロトコルを自動的に開始し得る。
【0102】
追加の態様において、閉ループシステムは、脳活動を監視し、脳活動を対象の精神状態に相関させるためのシステムとして使用され得る。例えば、閉ループシステムは、対象の脳からの電気信号を記録するように構成されているため、対象の気分及び/又は行動は、対象の精神状態に関連するバイオマーカーを提供するために、リアルタイムで監視され、測定された電気信号に相関され得る。例えば、対象が不安症又はうつ病であるときに測定される電気活動は、例えば、不安症又はうつ病であることを示す電気活動の範囲などとして、バイオマーカーを開発するために使用されることができる。そのため、閉ループシステムは、神経精神障害の予後並びに診断に有用である。
【0103】
対象の精神状態を示す電気信号は、対象の脳から記録され得、閉ループシステムの外側の態様において使用され得ることが理解される。例えば、対象の精神状態を示す電気信号は、電極若しくはデバイスが閉ループシステムの一部であってもなくてもよい、患者の脳に動作可能に結合された電極若しくは別のデバイスを使用して、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、若しくは右海馬、又は他の領域から記録され得る。患者は、本明細書に開示されるように(例えば、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に電気刺激を印加することによって)治療され得、治療が施行されるときに、又は治療が施行された後にリアルタイムで同じ領域から電気信号が記録される。次いで、電気刺激の投与が開始された後に記録された電気信号は、治療後に変化する記録された電気信号における特徴を判定するために、治療前に記録された電気信号と比較され得る。これらの特徴は、治療が患者の精神状態に影響を及ぼしているかどうかを示すフィードバック信号を提供する。これらの機能はまた、閉ループシステムへのフィードバック信号として機能することができる。これらの特徴は、全体のパワー、又は特定の周波数範囲(例えば、アルファ、デルタ、ベータ、ガンマ、及び/又は高ガンマ)におけるパワーを含み得る。いくつかの場合において、これらの特徴は、患者特有であり得、若しくは特定の精神状態に特異的であり得、又はその両方であり得る。例えば、特徴のうちのいくつかは、特定の精神状態(例えば、不安症又はうつ病)を有する複数の患者において見出される特徴であり得、特徴のうちのいくつかは、同じ精神状態を有するかなりの数の他の患者に見出されないことがある、ある特定の患者の特徴であり得る。いくつかの実施形態において、患者特有の特徴及び精神状態特有の特徴の組み合わせは、治療の有効性を評価するために監視され得る。
【0104】
ある特定の態様において、本明細書で提供される閉ループシステム及び方法は、患者が神経精神障害を有する患者の脳の1つ以上の領域(例えば、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、又は右海馬)からの電気信号の記録を包含し得る。患者は、次いで、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は脳の他の領域への電気刺激の印加によって治療され得、電気信号は、脳の同じ領域(例えば、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前野、左膝下帯状、又は右海馬)から記録され得、治療前の記録と比較され得る。治療後に変化した記録された信号の特徴は、治療が効果を有しているかどうかを示すバイオマーカーに対応する。記録された信号の変化はまた、任意選択で、治療後に患者によって報告された精神状態と相関されることができる。この変化は、閉ループシステムにおける治療を調節するために使用されることができる。例えば、記録された信号の変化が患者の気分の改善と相関する場合、それらの特徴は、更に治療を行う必要がないことを閉ループシステムのコンピューティング手段に示すであろう。
【0105】
特定の態様において、開又は閉ループシステムにおいて具体化され得る本開示の方法は、不安症及び/又はうつ病などの精神神経障害を有しているか、又は有していると疑われる対象からの脳活動を測定することを含み得、対象が、正常範囲(例えば、障害を罹患していない人の脳などの正常な脳を反映する範囲)よりも高いか、又は閾値レベル(例えば、治療が必要とされるほど重度の症状を示す)よりも高いガンマ範囲周波数(例えば、30Hz~200Hz)のレベルを有するときに、対象は、対象の脳におけるガンマ範囲周波数のレベルを低減するために有効な方式において、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に配置されたか若しくは隣接して配置された電極を介して、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に電気刺激を印加することによって治療される。脳活動は、1つ以上の脳領域(例えば、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、若しくは右海馬、又はそれらの任意の組み合わせ)で測定され得る。いくつかの態様において、システムは、ガンマ周波数活動のレベルなどの脳活動を監視し得、ガンマ周波数活動のレベルが基準範囲(例えば、障害を罹患していない人の脳などの正常な脳を反映する範囲)よりも高い、及び/又は閾値レベル(例えば、治療が必要とされるほど重度の症状を示す)よりも高い場合、閉ループシステムは、対象の脳におけるガンマ周波数活動のレベル(例えば、30Hz~200Hz)を低減するために有効な方式において、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に配置されたか若しくは隣接して配置された電極を介して、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に電気刺激を印加し得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、1つ以上のパターン認識方法は、治療を必要とするほど重度の神経精神障害の症状状態と、治療を必要としない無症状状態(ベースライン)又は軽度の症状状態とを区別する脳活動特徴の検出を自動化するために、記録された脳電気活動データを分析することにおいて使用されることができる。モデル及び/又はアルゴリズムは、機械可読形式で提供されることができ、特定の周波数範囲(例えば、アルファ、デルタ、ベータ、ガンマ、及び/又は高ガンマ)における全体的なパワー又はパワーのレベルを、症状重症度及び電気刺激による治療の必要性と相関させるために使用され得る。いくつかの実施形態において、ガンマ周波数パワー(30Hz~200Hzなど)のレベルは、患者が電気刺激による治療を必要とするかどうかを判定するために、症状重症度と相関される。代替的又は追加的に、特定のスペクトル周波数帯域内のコヒーレンス又はネットワーク接続の他の特徴は、症状重症度及び電気刺激による治療の必要性と相関し得る。
【0107】
記録された脳の電気活動を分析することは、アルゴリズム又は分類器の使用を含み得る。いくつかの実施形態において、機械学習アルゴリズムは、神経精神障害の症状が、電気刺激が患者の脳に送達されるべきであるほど重度であるか否かを示すものとして、脳活動を分類するために、使用される。機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズムを含み得る。教師あり学習アルゴリズムの例としては、平均一依存性推定値(AODE)、人工ニューラルネットワーク(例えば、逆伝搬)、ベイズ統計(例えば、単純ベイズ分類器、ベイズネットワーク、ベイズ知識ベース)、事例ベース推論、決定木、帰納的論理プログラミング、ガウス過程回帰、データ処理のグループメソッド(GMDH)、学習オートマトン、学習ベクトル量子化、最小メッセージ長(決定木、決定グラフなど)、遅延学習、インスタンスベースの学習最近傍アルゴリズム、類推モデリング、確率的で近似的に正しい学習(PAC)学習、リップルダウンルール、知識獲得方法論、シンボリック機械学習アルゴリズム、サブシンボリック機械学習アルゴリズム、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、識別器のアンサンブル、ブートストラップの集約(bagging)、及びブースティングが挙げられ得る。教師あり学習は、回帰分析及び情報ファジーネットワーク(IFN)などの順序分類を含み得る。代替的に、教師あり学習方法は、AODE、線形分類器(例えば、フィッシャーの線形判別式、ロジスティック回帰、単純ベイズ分類器、パーセプトロン、及びサポートベクターマシン)、二次分類器、k近傍、ブースティング、決定木(例えば、C4.5、ランダムフォレスト)、ベイジアンネットワーク、及び隠れマルコフモデルなどの、統計的分類を含み得る。
【0108】
機械学習アルゴリズムはまた、教師なし学習アルゴリズムを含み得る。教師なし学習アルゴリズムの例としては、人工ニューラルネットワーク、データクラスタリング、期待値最大化アルゴリズム、自己組織化マップ、動径基底関数ネットワーク、ベクトル量子化、生成地形図、情報ボトルネック法、及びIBSEADが挙げられ得る。教師なし学習はまた、Aprioriアルゴリズム、Eclatアルゴリズム、及びFP成長アルゴリズムなどの、相関ルール学習アルゴリズムを含み得る。単一リンククラスタリング及び概念クラスタリングなどの階層クラスタリングも、使用され得る。代替的に、教師なし学習は、K平均アルゴリズム及びファジークラスタリングなどの分割クラスタリングを含み得る。
【0109】
いくつかの事例において、機械学習アルゴリズムは、強化学習アルゴリズムを含む。強化学習アルゴリズムの例としては、時間差学習、Q学習、及び学習オートマトンが挙げられるが、これらに限定されない。代替的に、機械学習アルゴリズムは、データ前処理を含み得る。
【0110】
薬理学的薬剤の投与
本開示において提供される方法及びシステムの実施形態はまた、有効量の少なくとも1つの薬理学的薬剤の投与を含み得る。「有効量」とは、対象における神経精神障害を所望に応じて防止又は治療するために十分な投与量を意味する。有効量は、対象によって多少異なり、対象の年齢及び身体状態、治療される神経精神障害の重症度、治療の持続時間、任意の同時治療の性質、薬剤の形態、もしあれば使用される薬学的に許容される担体、送達の経路及び方法、並びに当業者の知識及び専門知識内の類似の要因などの要因に依存し得る。適切な投与量は、以下により詳細に記載されるように、当業者に既知である慣習的薬理学的処置に従って判定され得る。
【0111】
神経精神障害の治療において薬理学的アプローチを用いる場合、薬剤の特定の性質及び投与スケジュールは、治療される障害の特定の性質に応じて変わるであろう。主題の発明の特定の実施形態において利用し得る代表的な薬理学的薬剤は、フルオキセチン(Prozac)、パロキセチン(Paxil、Pexeva)、セルトラリン(Zoloft)、シタロプラム(Celexa)及びエスシタロプラム(Lexapro)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)(例えば、デュロキセチン(Cymbalta)、ヴェンラファキシン(Effexor XR)、デスベンラファキシン(Pristiq、Khedezla)及びレボミルナシプラン(Fetzima)などの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)を含むが、これらに限定されない。
【0112】
特定の態様において、薬理学的薬剤の投与は、限定されないが、ポンプ(埋め込み可能又は外部デバイス)、硬膜外注射器、シリンジ又は他の注射装置、カテーテル及び/又はカテーテルに作動可能と関連付けられたリザーバなどの、薬理学的送達デバイスを使用することを包含する。例えば、特定の実施形態において、少なくとも1つの薬理学的薬剤を対象に送達するために用いられる送達デバイスは、カテーテル、チューブなどの接続デバイスに作動可能と関連付けられたポンプ、シリンジ、カテーテル又はリザーバなどであり得る。薬理学的薬剤投与デバイスへの少なくとも1つの薬理学的薬剤の送達に好適な容器は、薬理学的薬剤を対象に投与するために、少なくとも1つの薬理学的薬剤を送達デバイスへ送達し、配置し、取り付け、及び/又は挿入するために使用され得る収納器具を含み、バイアル、アンプル、チューブ、カプセル、ボトル、シリンジ、及びバッグを含むが、これらに限定されない。薬理学的薬剤の投与は、ユーザーによって、又は閉ループシステムによって実行され得る。
【0113】
システム
本開示はまた、例えば、本主題の方法を実施する際に利用するシステムを提供する。システムは、本明細書に提供される方法を実行するように構成された閉ループシステムであり得る。いくつかの実施形態において、閉ループシステムは、対象の脳のVC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に位置決めするために適合された刺激電極と、脳の二次領域(例えば、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前野、左膝下帯状、若しくは右海馬、又は他の領域)に位置決めするため、及びVC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に電気刺激が印加される前、間、若しくは後に、二次領域からの電気信号を記録するために適合された検出電極とを含み得る。システムはまた、刺激電極に、対象における神経精神障害を治療するために、及び/又は神経精神障害の症状(例えば、うつ病、不安症、強迫行動など)を改善するために有効な方式において、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に電気刺激を印加し、検出電極を介して対象の脳の二次領域から電気信号を受信し、臨床的に関連する標的(例えば、症状の重症度及び治療の必要性を示す信号の範囲)にチューニングされる制御アルゴリズムに電気信号メトリックを印加し、電気信号メトリックが患者に治療が必要であることを示している場合、精神神経障害の治療又は精神神経障害の症状の改善に有効な方式において、制御ユニット、パルス発生器、及び刺激電極を介して脳に電気刺激を自動的に送達するように指示するようにプログラムされたコンピューティング手段及び制御ユニットを含み得る。例えば、右扁桃体、左扁桃体、右眼窩前頭皮質、左膝下帯状、若しくは右海馬、又は他の領域からのガンマ周波数範囲(30Hz~200Hzなど)における電気活動は、このシステムを使用して検出電極で測定され得、制御アルゴリズムは、検出電極から電気活動データを受信し、ガンマ周波数パワー(30Hz~200Hzなど)のレベルが、患者が治療を必要とするほど重度の神経精神障害の症状を有することを示す特定の範囲内にあるときに、制御ユニット、パルス発生器、及び刺激電極を介してVC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域への電気刺激の送達を自動化する。いくつかの実施形態において、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータは、記録された電気活動データに基づいてアルゴリズムの制御法則に従って調節され、調節された電気刺激は、神経精神障害の症状を改善するために有効な方式において、制御ユニット、パルス発生器、及び刺激電極を介して、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に送達される。閉ループシステムは、埋め込まれた刺激電極に接続されているオンボディパルス発生器を含み得、したがって、制御ユニットからの通信を受信すると自動的に脳に電気刺激を印加することができる。
【0114】
閉ループシステムのプロセッサは、治療の有効性及び/又は神経精神障害の症状の改善の有効性を評価するためのプログラミングを実行し得、ユーザー介入なしに必要に応じて治療のパラメータを調整し得る。したがって、閉ループシステムは、刺激電極に、対象における神経精神障害を治療するために、VC/VS、SGC、若しくはOFC領域、又は他の領域に電気刺激を印加するように指示するためのユーザーインターフェースを、必ずしも含み得るわけではない。しかしながら、いくつかの実施形態において、ユーザーインターフェースは、閉ループシステムの推奨事項を確認するため、若しくはそれをオーバーライドするため、又は推奨事項を変更するために使用され得る閉ループシステムに含まれ得る。
【0115】
特定の態様において、本開示の方法及びシステムのための制御アルゴリズムは、対象の脳の領域からの電気信号を正常又は基準電気信号と比較するステップを含み得、電気信号が正常又は基準電気信号と有意に異なるときに、制御アルゴリズムは、対象の脳に電気刺激を印加するようにデバイスに指示するステップと、その後、脳の領域からの電気信号の測定のステップと、それを正常又は基準電気信号と比較するステップとを含み、測定された信号が正常又は基準電気信号とは有意に異なるときに、本アルゴリズムは、脳に別の電気刺激を印加するステップを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、制御アルゴリズムは、治療を必要とするほど重度の神経精神障害の症状状態と、治療を必要としない無症状状態(ベースライン)又は軽度の症状状態とを区別する脳活動特徴の検出を自動化するために、入力された脳電気活動データを分析するように機械学習アルゴリズムを活用する。制御アルゴリズムは、次いで、脳活動特徴が、対象が電気刺激で治療されるべきであるほど重度の症状状態を示す場合、対象の脳に電気刺激を印加するようにデバイスに指示する。例えば、機械学習アルゴリズムは、全体的なパワー、又は特定の周波数範囲(例えば、アルファ、デルタ、ベータ、ガンマ、及び/又は高ガンマ)におけるパワーのレベルを、症状重症度及び電気刺激による治療の必要性と相関させるために使用され得る。いくつかの実施形態において、ガンマ周波数パワー(30Hz~200Hzなど)のレベルは、患者が電気刺激による治療を必要とするかどうかを判定するために、症状重症度と相関される。いくつかの実施形態において、電気刺激は、検出される電気信号のレベルが設定された閾値レベルを超えるときに送達される。
【0117】
本開示の方法を実行するためのシステムの構成要素は、以下の実施例において更に記載される。
【0118】
有用性
本開示の方法及びシステムは、状態に罹患している人の気分及び/又は行動に影響を及ぼす神経精神状態の治療を含む、様々な異なる用途において利用する。本明細書に提示される方法及びシステムを使用して治療され得る神経精神障害には、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、双極性障害(BD)、及び慢性疼痛が挙げられる。
【0119】
特定の態様において、本開示の方法及びシステムは、状態に罹患している人の気分及び/又は行動に影響を及ぼす中等度から重度の形態の神経精神状態に罹患している対象、例えば、対象が、中等度又は重度のうつ病(例えば、大うつ病性障害(MDD)又は治療抵抗性うつ病(TRD))、不安症、嗜癖、食欲不振、OCD、双極性障害(BD)、慢性疼痛、又はPTSDに罹患している場合がある対象を治療することを利用する。特定の態様において、対象は、軽度の形態の神経精神障害に罹患している場合があり、軽度の障害を治療し、より重度の形態への進行を防止するために、本開示の方法に従って、又は本開示のシステムを使用して治療され得る。
【0120】
特定の態様において、本開示の方法及びシステムは、慢性疼痛の1つ以上の症状、例えば、疼痛の経験に対する絶え間ない注意、絶え間ない疼痛の経験の感情的損失、うつ病及び/又は不安症などの慢性疼痛を治療するために使用され得る。慢性疼痛に罹患している患者の治療の有効性は、視覚的アナログ尺度などの当該技術分野で認められた方式で測定され得る。
【0121】
MDDのための梁下帯状回、及びOCDのための腹側包/腹側線条体又は側座核などの他の脳標的の開ループ頭蓋内刺激は、対照臨床試験において低い又は不安な気分を正常化することにおける信頼できる有効性を示すことができなかった。本明細書で記載される対照研究に基づいて、電気刺激を用いた閉ループ療法は、一貫して、気分を改善し、並びに/又は不安症及び/若しくはうつ病の症状を軽減する。
【0122】
電極の埋め込みを含む電気刺激方法は、標的アブレーションアプローチよりもはるかに侵襲性が低い。更に、研究結果は、急性刺激の例において、気分状態への影響が同様に急性であることを示し、この方法が可逆的介入を表すことを示している。この属性は、(a)患者のニーズに適合するように治療的刺激の正確なチューニング、並びに(b)オン/オフ期間及び/又は治療クロスオーバー設計を特徴とする十分に管理された臨床試験への刺激の組み込みの追加の利点を提供する。
【0123】
閉ループ刺激は、経頭蓋刺激技術と比較して、より信頼性の高い及び/又はより有効な急性症状緩和を達成するために、個別化された方式で細かく標的化及びチューニングされることができる。同様に、標的化及びチューニングのこれらの同じ属性は、頭蓋内電極を通してかなり正確な刺激パラダイムを送達する能力を考慮すると、経頭蓋方法よりも神経可塑性変化及び疾患症状の永続的な緩和をもたらす可能性が高い。閉ループ刺激法の比較的高い精度及びチューニング可能性は、個々の患者における副作用を最小限に抑える可能性を有する。加えて、経頭蓋方法とは異なり、閉ループ刺激は、毎日又はほぼ毎日の臨床内治療計画を必要としない。
【0124】
クローズドループ刺激方法は、一貫して、罹患した患者における不安症及びうつ病の症状を軽減することにおいて有効性を示す。加えて、刺激は、迷走神経刺激などの標的化の少ない末梢介入と比較して、より信頼性が高く及び/又はより有効な症状緩和を達成し得る個別化された方式で標的にされ、チューニングされる可能性を有する。
【0125】
例えば、セロトニン再取り込み阻害剤を用いた認知行動療法及び薬理学的介入は、神経精神障害のための最も確立され、広く実施されている治療アプローチのうちの1つであるが、任意の所与の適応症について、全ての患者において信頼できる寛解をもたらすことが実証されていない。特に、刺激は、おそらく、CBT又は薬理学的介入によって制定されるものとは異なるメカニズムを通じて、その症状緩和効果を達成する。したがって、刺激は、患者の利益を最適化するために、CBT及び/又は薬理学的治療と組み合わせられることができる、潜在的に相補的治療様式を表す。
【0126】
同様に、刺激方法は、生理学的及び行動的尺度、機能的に関連する認知課題に対するパフォーマンス、並びに患者指向の神経フィードバックを含む、相補的評価技術の組み込みによって最適化され得る。更に、リアルタイムで統合されるときに、これらの評価アプローチは、刺激の標的化及び/又はチューニング並びにその治療的有効性を改良することができる。
【0127】
本開示の非限定的な態様の例
上記の本主題の実施形態を含む態様は、単独で、又は1つ以上の他の態様若しくは実施形態との組み合わせで有益であり得る。上記の記載を限定することなく、番号付けられた1~77の本開示の特定の非限定的な態様が、以下に提供される。本開示を読めば当業者には明らかとなるように、個々に番号付けされた態様の各々は、先行する又は後に続く個々に番号付けされた態様のいずれかと共に使用され又は組み合わされ得る。これは、態様の全てのそのような組み合わせにサポートを提供することを意図しており、以下に明示的に提供される態様の組み合わせに限定されない。
1.対象における神経精神障害を治療するための閉ループ方法であって、方法は、
神経精神障害を治療するために電気刺激の送達のための第1の電極を位置決めするための第1の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、
神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号の検出のための第2の電極を位置決めするための第2の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、
対象の第1の脳領域に電気刺激を送達するために、第1の脳領域における最適な場所に第1の電極を位置決めすることと、
神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を検出するために、第2の脳領域における最適な場所に第2の電極を位置決めすることと、
第2の電極を使用して、対象の脳の第2の領域で脳波記録信号を検出することと、
第2の電極を使用して検出される脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、対象における神経精神障害を治療するために有効な方式において、第1の電極を使用して第1の脳領域に電気刺激を印加することと、を含む、閉ループ方法。
2.脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、電気刺激を印加することを自動化するために、制御アルゴリズムを使用することを更に含む、態様1に記載の方法。
3.制御アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを含む、態様2に記載の方法。
4.機械学習アルゴリズムは、教師あり機械学習アルゴリズムである、態様3に記載の方法。
5.制御アルゴリズムは、脳波記録信号のレベルに基づいて、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを更に調節する、態様2~4のいずれか1つに記載の方法。
6.定位的脳波記録(sEEG)による脳波記録信号の検出のために、第2の脳領域に複数の電極を位置決めすることを更に含む、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.第1の脳領域は、脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.第1の電極は、第1の脳領域の表面上又は第1の脳領域内に配置されている、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.第2の電極は、第2の脳領域の表面上又は第2の脳領域内に配置されている、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.第1の電極又は第2の電極は、非脳貫通表面電極アレイである、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.第1の電極又は第2の電極は、脳貫通電極アレイである、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.神経精神障害は、うつ病を含み、電気刺激を印加することは、うつ病を治療する、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.神経精神障害は、不安症を含み、電気刺激を印加することは、不安症を治療する、態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、態様1~15のいずれか1つに記載の方法。
17.電気刺激は、片側又は両側に印加される、態様1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.方法は、対象における治療の有効性を評価することを更に含む、態様1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.対象を一定期間監視することを更に含み、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超える脳波記録信号の数の増加は、神経精神障害の症状の重症度の増加を示し、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超える脳波記録信号の数の減少は、神経精神障害の症状の重症度の減少を示す、態様1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.対象は、連続的又は間欠的に監視される、態様19に記載の方法。
21.第1の脳領域及び第2の脳領域は、同じであるか、又は異なる、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.対象における大うつ病性障害(MDD)を治療するための閉ループ方法であって、方法は、
対象の脳の第1の領域に電気刺激を送達するために第1の電極を位置決めすることと、
対象の脳の第2の領域でのMDD症状と関連付けられた神経活動からのガンマ周波数脳波記録信号を検出するために第2の電極を位置決めすることと、
第2の電極を使用してガンマ周波数脳波記録信号を検出することと、
第2の電極を使用して検出されるガンマ周波数脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、対象におけるMDD症状を治療するために有効な方式において、第1の電極を使用して対象の脳の第1の領域に電気刺激を印加することと、を含む、閉ループ方法。
23.第1の脳領域は、脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、態様22に記載の方法。
24.第2の脳領域は、右扁桃体、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、態様22又は23に記載の方法。
25.電気刺激を印加することは、対象の脳のVC/VS領域に双極性電気刺激を印加することを含む、態様23又は24に記載の方法。
26.電気刺激は、1mA~6mAの範囲の電流で印加される、態様22~25のいずれか1つに記載の方法。
27.電気刺激は、1日に最大10分間印加される、態様22~26のいずれか1つに記載の方法。
28.電気刺激は、1日に1時間~1日に24時間の範囲の時間にわたって連続的に印加される、態様22~26のいずれか1つに記載の方法。
29.対象を一定期間監視することを更に含み、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超えるガンマ周波数脳波記録信号の数の増加は、MDD症状の重症度の増加を示し、前の記録期間と比較して後の記録期間内に第2の電極によって検出された閾値レベルを超えるガンマ周波数脳波記録信号の数の減少は、MDD症状の重症度の減少を示す、態様22~28のいずれか1つに記載の方法。
30.対象は、連続的又は間欠的に監視される、態様29に記載の方法。
31.対象における神経精神障害の症状を改善するための閉ループ方法であって、方法は、
神経精神障害の症状を改善するために電気刺激を送達するための第1の電極を位置決めするための第1の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、
神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号の検出のための第2の電極を位置決めするための第2の脳領域における最適な場所を特定するために、対象の脳をマッピングすることと、
対象の第1の脳領域に電気刺激を送達するために、第1の脳領域における最適な場所に第1の電極を位置決めすることと、
神経精神障害の症状と関連付けられた神経活動からの脳波記録信号を検出するために、第2の脳領域における最適な場所に第2の電極を位置決めすることと、
第2の電極を使用して、対象の脳の第2の領域で脳波記録信号を検出することと、
第2の電極を使用して検出される脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、対象における神経精神障害の症状を改善するために有効な方式において、第1の電極を使用して第1の脳領域に電気刺激を印加することと、を含む、閉ループ方法。
32.症状は、うつ病を含み、電気刺激を印加することは、うつ病を改善する、態様31に記載の方法。
33.うつ病は、うつ病の視覚的アナログ尺度(VAS-D)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、又はベックうつ病調査表(BDI)スコアによって測定されており、電気刺激を印加することは、VAS、HAM-D、MADRS、又はBDIスコアに従って症状重症度を低減することにおいて有効である、態様32に記載の方法。
34.症状は、不安症を含み、電気刺激を印加することは、不安症を改善する、態様31に記載の方法。
35.不安症は、不安症のための視覚的アナログ尺度(VAS-A)又はベック不安症調査表(BAI)スコアによって測定されており、電気刺激を印加することは、VAS-A又はBAIスコアに従う不安症を低減することにおいて有効である、態様34に記載の方法。
36.第1の電極は、第1の脳領域の表面上又は第1の脳領域内に配置されている、態様31~35のいずれか1つに記載の方法。
37.第2の電極は、第2の脳領域の表面上又は第2の脳領域内に配置されている、態様31~36のいずれか1つに記載の方法。
38.第1の電極又は第2の電極は、非脳貫通表面電極アレイである、態様31~37のいずれか1つに記載の方法。
39.第1の電極又は第2の電極は、脳貫通電極アレイである、態様31~38のいずれか1つに記載の方法。
40.神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、態様31~39のいずれか1つに記載の方法。
41.方法は、対象における治療の有効性を評価することを更に含む、態様31~40のいずれか1つに記載の方法。
42.脳波記録信号が閾値レベルを超えるときに、電気刺激を印加することを自動化するために、制御アルゴリズムを使用することを更に含む、態様31~41のいずれか1つに記載の方法。
43.制御アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを含む、態様42に記載の方法。
44.機械学習アルゴリズムは、教師あり機械学習アルゴリズムである、態様43に記載の方法。
45.制御アルゴリズムは、脳波記録信号のレベルに基づいて、1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを更に調節する、態様42~44のいずれか1つに記載の方法。
46.定位的脳波記録(sEEG)による脳波記録信号の検出のために、第2の脳領域に複数の電極を位置決めすることを更に含む、態様31~45のいずれか1つに記載の方法。
47.第1の脳領域は、脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、態様31~46のいずれか1つに記載の方法。
48.第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、態様31~47のいずれか1つに記載の方法。
49.脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、態様31~48のいずれか1つに記載の方法。
50.対象における神経精神障害を治療するためのシステムであって、システムは、
対象の脳の第1の領域に位置決めするように適合された刺激電極と、
対象の脳の第2の領域に位置決めし、対象の脳の第2の領域からの脳波記録信号を記録するように適合された検出電極と、
第2の電極を使用して閾値レベルを超える脳波記録信号が検出されるときに、対象における神経精神障害を治療するために有効な方式において、脳の第1の領域に電気刺激を印加するように刺激電極に命令するようにプログラムされたプロセッサと、を備える、システム。
51.第1の脳領域は、脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、態様50に記載のシステム。
52.第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、態様50又は51に記載のシステム。
53.脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、態様50~52のいずれか1つに記載のシステム。
54.刺激電極又は検出電極は、非脳貫通電極アレイである、態様50~53のいずれか1つに記載のシステム。
55.刺激電極又は検出電極は、脳貫通電極アレイである、態様50~54のいずれか1つに記載のシステム。
56.神経精神障害は、うつ病を含み、電気刺激を印加することは、うつ病を治療する、態様50~55のいずれか1つに記載のシステム。
57.神経精神障害は、不安症を含み、電気刺激を印加することは、不安症を治療する、態様50~56のいずれか1つに記載のシステム。
58.システムは、対象における神経精神障害を治療するために脳の第1の領域に電気刺激を印加するように刺激電極に命令するための、プロセッサに電子的に結合された入力を含むユーザーインターフェースを更に備える、態様50~57のいずれか1つに記載のシステム。
59.ユーザーインターフェースは、パスワードで保護されており、医療従事者によって操作可能である、態様58に記載のシステム。
60.神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、態様50~59のいずれか1つに記載のシステム。
61.プロセッサは、アルゴリズムの制御法則に従って1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを調節し、神経精神障害を治療するために有効な方式において、刺激電極を介して脳の第1の領域に調節された電気刺激を印加するように更にプログラムされている、態様50~60のいずれか1つに記載のシステム。
62.プロセッサは、1日当たりの電気刺激の最大数を設定するように更にプログラムされている、態様50~61のいずれか1つに記載のシステム。
63.プロセッサは、1日当たりの電気刺激の総時間量を設定するように更にプログラムされている、態様50~62のいずれか1つに記載のシステム。
64.対象における神経精神障害の症状を改善するためのシステムであって、システムは、
対象の脳の第1の領域に位置決めするように適合された刺激電極と、
対象の脳の第2の領域に位置決めし、対象の脳の第2の領域からの脳波記録信号を記録するように適合された検出電極と、
検出電極を使用して閾値レベルを超える脳波記録信号が検出されるときに、対象における神経精神障害の症状を改善することに有効な方式において、脳の第1の領域に電気刺激を印加するように刺激電極に命令するようにプログラムされたプロセッサと、を備える、システム。
65.第1の脳領域は、脳の腹側包/腹側線条体(VC/VS)領域、膝下帯状(SGC)領域、又は眼窩前頭皮質(OFC)領域を含む、態様64に記載のシステム。
66.第2の脳領域は、右扁桃体領域、左扁桃体領域、右眼窩前頭皮質領域、左膝下帯状領域、又は右海馬領域を含む、態様64又は65に記載のシステム。
67.脳波記録信号は、ガンマ周波数パワーである、態様64~66のいずれか1つに記載のシステム。
68.症状は、うつ病を含み、電気刺激を印加することは、うつ病を改善する、態様64~67のいずれか1つに記載のシステム。
69.症状は、不安症を含み、電気刺激を印加することは、不安症を改善する、態様64~68のいずれか1つに記載のシステム。
70.刺激電極又は検出電極は、非脳貫通電極である、態様64~69のいずれか1つに記載のシステム。
71.刺激電極又は検出電極は、脳貫通電極である、態様64~70のいずれか1つに記載のシステム。
72.システムは、対象における神経精神障害の症状を改善するために第1の領域に電気刺激を印加するように刺激電極に命令するための、プロセッサに電子的に結合された入力を含むユーザーインターフェースを更に備える、態様64~71のいずれか1つに記載のシステム。
73.ユーザーインターフェースは、パスワードで保護されており、医療従事者によって操作可能である、態様72に記載のシステム。
74.神経精神障害は、大うつ病性障害(MDD)、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、嗜癖、食欲不振、強迫性障害(OCD)、若しくは双極性障害(BD)、又は慢性疼痛である、態様64~73のいずれか1つに記載のシステム。
75.プロセッサは、アルゴリズムの制御法則に従って1つ以上のプログラムされた刺激パラメータを調節し、神経精神障害の症状を改善するために有効な方式において、刺激電極を介して脳の第1の領域に調節された電気刺激を印加するように更にプログラムされている、態様64~74のいずれか1つに記載のシステム。
76.プロセッサは、1日当たりの電気刺激の最大数を設定するように更にプログラムされている、態様64~75のいずれか1つに記載のシステム。
77.プロセッサは、1日当たりの電気刺激の総時間量を設定するように更にプログラムされている、態様64~76のいずれか1つに記載のシステム。
【実施例】
【0128】
上記に提供された開示から理解されることができるように、本開示は、多種多様な用途を有する。したがって、以下の実施例は、当業者に、本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び記載を提供するために提示されるものであり、本発明者らが発明とみなす範囲を限定することを意図せず、また、以下の実験が行われる全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものではない。使用される数字(例えば、量、寸法など)に対する正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。当業者は、本質的に同様の結果を得るために変更又は修正されることができる様々な非重要なパラメータを容易に認識するであろう。
【0129】
実施例1:抵抗性うつ病の治療のための閉ループ神経調節
大うつ病性障害(MDD)は、治療抵抗性の高い一般的かつ障害性の障害である1。頭蓋内脳刺激は、難治性MDDの治療として有望であることが示されているが、個体間応答の不均一性は、深部脳刺激の決定的な臨床試験における一貫性のない所見に寄与している2~4。以前のアプローチは、大部分が固定された一定の刺激投与を用いて、全ての対象にいて脳における単一構造を標的としていた。この開ループアプローチは、パーキンソン病5及びてんかん6において成功している。しかしながら、MDDにおいて、複数の潜在的な解剖学的刺激標的が特定されており7、持続的な治療応答に十分に有望であることが証明されているものはない。異なる神経回路が、MDD患者が経験する症状の異なるサブセットの根底にあるように見えるという証拠は、個別化された回路標準化の必要性を物語っている8。
【0130】
治療送達に対する個別化された時間的制御は、個別化された回路標的化を更に補完し得る。閉ループ神経調節において、患者自身の生理学的活動は、病理学的状態が検出されるときにのみ選択的に刺激をトリガーするために使用される9。このアプローチは、基礎となる回路機能不全に対処し、ニューラルネットワークの状態における進行中のダイナミクスに応答して変化する方式で療法を提供するため、開ループ療法よりも優れた利点を提供し得る。神経調節の気分関連効果は、状態依存的であることが示されているため10、11、この特異性は、頻繁に状態変化を有するMDD患者において成功するために重要であり得る。更に、閉ループ刺激は、神経適応に起因する治療効果の低下の懸念を軽減し12、介入時間を短縮することによって電池寿命を維持し、副作用を低減する。しかしながら、症状特異的バイオマーカーは、閉ループ療法の前提条件であり、MDDにおいて、以前に特定されたことはない。ここで、我々は、頭蓋内皮質辺縁回路マッピングの10日間の間に、我々がMDD症状のバイオマーカーを特定する、患者との我々の経験を報告する。我々は、次いで、埋め込まれた閉ループ神経調節療法においてバイオマーカーを首尾よく実施する。これは、精神疾患における慢性閉ループ神経調節の最初の実証である。我々のアプローチは、任意のネットワーク障害に広く適用されることができる。
【0131】
患者は、4つの抗うつ薬、増強戦略、電気けいれん療法、及び経頭蓋磁気刺激に応答しない小児期発症重症治療抵抗性MDD(モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度:36/54)を有する36歳の女性であり、彼女は、個別化閉ループ神経刺激の臨床試験に参加した(Presidio試験、追加の症例履歴については、Scangosら2021を参照
10)。最初の試験段階において、我々は、実行した。我々は、眼窩前頭皮質(OFC)、扁桃体(AMY)、海馬(HPC)、腹側包/腹側線条体(VC/VS)、及び異なるタイプのうつ病症状と配設された膝下帯状(SGC)
13~17回路に両側に埋め込まれた10個の定位的脳波記録(sEEG)電極を用いた、患者の感情回路のこの皮質辺縁刺激応答マッピングにわたる刺激に対する寸法的に制限的な臨床応答を見出した
10。神経活動は、患者がうつ病(VAS-D)及び不安症(VAS-A)
18の335の視覚的アナログ尺度を実施し、複数のハミルトンうつ病評価尺度評価(6項目バージョン[HAMD6])を受けながら、10日間連続的に記録された
19。スコアは、患者の自然な感情の全範囲にわたって分布されていた(VAS_A:平均17.5、SD21.7;VAS_D:平均26.3、SD12.9)。我々は、2つの症状状態(高症状重症度及び低症状重症度、
図1A~1B)を定義するために、これらの尺度を使用した。
【0132】
我々は、次いで、2つの状態のうちの1つが存在した臨床的尺度と一致する、15分間の静止状態sEEG活性を識別した(n=35)。我々は、6つの標準的な周波数帯域、及び異なる空間分解能での2つの交差検証された教師あり機械学習モデルを用いて、高症状状態と低症状状態とを区別するsEEGスペクトル活動特性を識別した。第1のモデルにおいて、スペクトルパワーは、脳領域における全ての接触にわたって平均化された(60の特徴)。我々は、両側のAMY、右OFC、左SGC、及び右HPCにおいてガンマパワーが高い状態判別電位を有していたことを見出した(精度:平均0.73、標準 0.08;AUC:平均0.76、標準 0.10)(
図1C)。特徴セットが各電極接触(246の特徴)のスペクトルパワーによって定義された第2のモデルは、電極位置決めによる領域内変動を考慮することを可能にした。我々は、両側のAMYガンマパワー単独で、高症状重症度状態を検出するために十分であることを見出した(精度:平均0.77、標準 0.09;AUC:平均0.82、標準 0.11、
図1D)。まとめると、これらの知見は、AMYガンマパワーが高度のうつ状態のバイオマーカーであることが示唆された。
【0133】
我々は、電気刺激が持続的で用量依存的方式においてうつ病症状の一貫した改善をもたらしたこの患者における脳部位として、正しいVC/VSを特定した
10。我々は、次いで、VC/VS刺激がAMYバイオマーカー活性に直接影響を及ぼすように、右半球VC/VS及びAMYノードが構造的及び機能的に接続されたサブネットワークを構成しているかどうかを判定するために、皮質辺縁ネットワーク全体の接続性を調べた。有効なネットワーク接続性を調べるために、我々は、1つの脳領域における隣接する接触にわたって短い刺激パルスを送達し、遠隔接触における誘発電位(EP)を調べて、全体的な指向性ネットワークグラフを生成した
20(
図2A)。我々は、次いで、このグラフにおけるノードの相対的重要性を定量化した
21。我々は、AMY及びHPCが、遠隔脳領域からの信号を統合する部位であることを見出した(最高重み付け入次数、
図2B左)。VC/VSは、多くの遠隔脳領域に強く影響を及ぼした部位であった(最高重み付け出次数、
図2B右)。更に、我々は、他のネットワークノードよりも比較的強い(
図4A)、VC/VS刺激に対する強いAMY誘発応答を観察した(
図2c)。我々は、拡散テンソル画像法を用いた決定論的トラクトグラフィーを使用して、有効的接続性を媒介する可能性のある推定軸索繊維束を調べ、右側のVC/VSと2つの繊維束、分界条と脚ワナからなるAMYとの間にも密な構造的接続性があることを見出した(
図2D、
図4B)。最後に、接触2+/3-でのVC/VS刺激は、11/13回の試験で症状重症度の臨床的改善をもたらした。我々は、我々がVAS尺度前及び後並びに静止状態sEEG活性を有した試験(n=5試験)において、この刺激の結果としてのAMYガンマパワーの変化を調べた。我々は、症状の重症度が改善された両方の試験(VAS-D 前-後:29~20、27~21;VAS-A前-後:4~0、13~8;
図2E)でAMYガンマパワーの低減を観察し、これは、代替刺激パラダイム(VAS-D:14~76、VAS-A:4~77)に起因して症状の重症度が悪化したときの試験では存在せず、又はベースラインでの最小限の症状(VAS-D:16~17、VAS-A:6~4)若しくはうつ病に対するエネルギーの一次増加(VAS-D 30~31;VAS-A:8~13;VAS-E 7~87)に起因して安定したままであった。有効的かつ構造的なネットワークマッピング及びスペクトルパワーバイオマーカーの発見は、共に、AMY-VC/VSが、うつ病の重症度を反映し、かつ臨床症状を軽減するように調節されることができる両方の、この患者における重要な辺縁サブネットワークを表し得ることを示唆する。
【0134】
我々は、次に、AMY及びVC/VSにそれぞれ配置された2つの別個の感知/刺激4接触深度リードを用いて(
図3B)、FDAに承認された市販のNeuroPace RNS(登録商標)システム
22を、右半球に片側ずつ埋め込んだ(
図3A)。RNSシステム神経刺激器は、神経活性を連続的に感知し、事前に指定された活動パターンの検出は、指定された電極への電気刺激[電荷バランスの取れた二相性方形波パルスの列]の送達に結合される。我々は、正しいAMY記録を使用して、我々が閉ループ制御のための症状特異的バイオマーカーを再現することができるかどうかを評価した。NeuroPace RNSシステム遠隔測定ワンドを使用して、実験室において無線リアルタイム皮質脳波記録をストリーミングするために、我々は、患者が自然主義的活動(例えば、ソーシャルメディア、電話で家族と話す、映画を見る、仮想療法の予約)に従事し、神経活動を臨床的重症度尺度とペアリングしている間の連続したAMY活動の10分間の試験を記録した(
図3C)。再度、我々は、AMYガンマパワーがVAS-D(r
2:0.82、p:3.4e-05)、VAS-A(r
2:0.52、p:0.01)、及び HAMD-6(r
2:0.73、p:4.3e-04、
図3D)の両方と高い相関があり、並びに高症状重症度状態を低症状重症度状態から有意に区別した(ANOVA、F:8.33、p=0.015)することを見出した。
【0135】
右VC/VS刺激の臨床効果はまた、再現された。分界条及び脚ワナに係合されるVC/VS接触(VC/VS接触2+/3-、3+/4、100 Hz、120us、1~2mA)における双極性刺激は、試験の大部分にわたって急性用量依存的症状改善をもたらし、その効果は、他のVC/VS及びAMY接触対と比較して、予測される場所(VC/VS接触3+/4-)において最も強く、患者によって好まれた(楽しく、及び活力があると記載される)(
図3E)。更に、本発明者らは、15分及び30分にわたって、1mAでの6秒の間欠的刺激が臨床的に有効であり、オン/オフ状態が正常な毎日の機能に影響を及ぼさないように患者の知覚閾値未満であることを見出した(
図3F、左)。用量を2mAに増加させること、又は接触を変更することは、患者に刺激を知覚させ、いくつかの試験で臨床応答を悪化させた(
図3F、右)。
【0136】
我々は、次いで、バイオマーカーのデバイスの自動検出後に6秒間の刺激が送達されるように、閉ループ療法を実施した(
図3G)。NeuroPaceシステムは、特定の周波数帯域におけるパワーを推定するために、半帯域検出器を使用する。我々は、AMYガンマバイオマーカーを連続的に感知するようにデバイスを較正した。「検出」は、ガンマパワーが、AMY接触3/4又は1/2に対して2秒スライドウィンドウ内に評価された全振幅尺度の0.8%の閾値を超えたときに、トリガーされた。我々は、10分間の記録期間内の検出数が、症状重症度状態の87%予測であり、検出数がVAS-D(r
2:0.59、p:1.2e-04)、VAS-A(r
2:0.52、p:4.6e-04)、及びHAMD-6(r
2:0.65、p:1.98e-05、
図3H)と高く相関していたことを見出した。2ヶ月間にわたって、我々は、平均して1日当たり468回の検出(SD:206)が、夜間に最小限の刺激である、日中に分布があったことを見出した。我々は、夜間療法からの睡眠を妨げないように、300治療/日(30分の総刺激)の刺激上限を設定する。
【0137】
閉ループ療法の実施は、症状重症度(HAMD-6、VAS尺度で毎日測定)及びうつ病(MADRS尺度で定期的に測定)の両方の急速な改善をもたらした。これらの知見は、閉ループ刺激が意図された転帰を達成することができることを示すが、その有効性を判定するためには、盲検化を伴う適切にパワー供給されたランダム化比較試験が必要である。対象のMADRSスコアは、治療をオンにする前の33から、12日間の刺激後に実施された最初の治療中評価で14(58%減少)に低下し、数ヶ月後に10(寛解)未満に低下した。同様に、彼女のHAMD-6及びVAS_Dスコアは、刺激開始後の朝に急激に低下し(HAMD6:12.0~1.0;VAS_D:77~23)、前週と比較して、刺激がオンになった後の週により低かった(HAMD6:平均16(SD2.82)~1.6(SD1.60)、ウェルチのt検定、p=0.08;VAS-D:77.33(14.57)~10.48(5.74)、ウェルチのt検定、p=0.02、
図3I)。
【0138】
我々の定義された閉ループアルゴリズムが、患者の症状にリンクされ、ランダムではない方式において療法の送達をトリガーされたかどうかを更に評価するために、我々は、朝の症状重症度尺度と2ヶ月にわたる毎日の検出回数との間の関係を調べた。朝の症状重症度尺度は、可変的な時間長さにわたって症状状態を反映し得、したがって、振幅又は位相のいずれかでデバイスによって検出される神経バイオマーカーと不一致し得るため、我々は、動的時間伸縮(DTW)を使用して、最初に非線形に日常的な症状重症度(VAS-D)及びバイオマーカー検出カウントタイムトレースを整列させ、次いで、それらの相対的な整列後距離を計算した
23。我々は、日々の症状の変動が、デバイスによって検出されたバイオマーカー事象の数の変動と有意と関連していることを見出した(p=2.8e-04、
図3J)。これらの結果は、我々のバイオマーカー検出アルゴリズムが、ランダムな偶然よりも症状重症度の変化を有意に良好に検出し、RNSシステムが、MDD症状の根底にある機能不全の回路活性が閉ループ様式での治療送達を知らせる方式において機能しているという初期の証拠を提供することを示唆する。
【0139】
考察
これは、我々の知る限り、うつ病特異的症状の個別化されたバイオマーカーの開発、及びMDDのための閉ループ療法の実装が成功した最初の事例である。成功は、個別化された方式
24において発作焦点をマッピングするためにてんかんにおいて活用されてきたが、他の神経精神状態において以前に実施されたことがない戦略である、慢性デバイス配置前の臨床マッピング試験に基づいて断定された。我々は、この複数日マッピング期間中に感知及び刺激脳標的を選択するための包括的なマルチモーダルフレームワークを開発した(
図5)。我々のアプローチには、個別化された刺激応答マッピング、静止状態信号と臨床症状尺度のペアリング、並びに皮質辺縁ネットワークにわたる機能的及び構造的に接続されたサブネットワークの識別が含まれた。
【0140】
我々は、AMYガンマパワー単独で、病理学的に高症状重症度状態を予測するために十分であり、VC/VS刺激がMDD症状の改善と併せてAMYガンマパワーを低下させることを見出した。以前の研究は、AMYが感情の処理及び媒介において重要な役割を果たしていること25、26、VC/VS及びAMYが気分調節回路内の重要なノードであり27、AMY内の高周波活動のバーストが感情状態と相関していると15いう我々の発見を支持している。AMY活性と抑うつ状態との関係の根底にあるメカニズム、及びVC/VS刺激がこの状態をどのようにして改善し、AMY活性を正常化する方法は、未知のままである。しかしながら、報酬経路のノードであるVC/VS領域は、うつ病のための最も徹底的に研究されたDBS標的のうちの1つであり13、無快感症の治療に特に有効であり得る28。感情的に否定的な入力に直面して、VC/VSの刺激は、活性の低い直接的な線条体接続を駆動することと、報酬経路内のドーパミン媒介相互作用を通しての両方によって、AMY多動性を低下させ得、これは次に、感情的な入力の前面媒介評価に影響を及ぼし得る。AMYガンマにおける減少に成功することは、症状を改善するための必要要件であり得る。このAMYバイオマーカー及びAMY-VS/VSサブ回路が個体内で経時的に存在する程度、並びにそれらが一般的にうつ病の根底にあるか、又はこの患者若しくはMDDを有する患者のサブセットに特異的であるかどうかを判定するために研究が必要とされる。我々の方法論は、この変動性に対処するように設計されており、我々が各対象について個別化された刺激標的及び神経バイオマーカーを特定することを可能にする。以前の研究に基づいて、我々は、SGCが対象のサブセットにおける別の重要な脳刺激標的になると予想する29、30。グループレベル分析は、特定の症状プロファイルが刺激標的を予測し、バイオマーカー識別を強化する症状状態閾値を定義するのに役立つことを判定し得る。
【0141】
我々はまた、発作検出のために設計されたデバイス機能にもかかわらず、AMYガンマパワーを検出することができたNeuroPace RNSシステムを使用する、検出アルゴリズムのセットを識別した。この能力が高周波活動に限定されているかどうかは、デバイスの制限にために他の周波数帯域を探索する我々の能力が制限されているため、未知のままである。我々は、アルファ周波数パワーがまた症状重症度と相関し得るが、この患者の気分状態を検出するために有用ではないと判定することができるのみであった。連続的神経活動を感知し、数分の時間尺度に関する情報を統合する機能を有する新しいデバイス機能は、より複雑なバイオマーカーを閉ループ制御に組み込む我々の能力を改善し得る31。従来のDBSは両側で実行されたが、NeuroPaceデバイスは、臨床マッピング研究及び安全性の考慮に基づいて、右側単独に埋め込まれた。我々が観察した半球差についての理由は未知であるが、我々は、それらが感情調節の側方化32、33又はVC/VS内の電極の両側的な配置によることができると推測する。
【0142】
我々は、MDDを、気分関連機能を提供する1つ以上の前頭前野/辺縁脳ネットワークで機能不全活動状態が出現したときに症状が生じる動的プロセスとして概念化した。このモデルにおいて、刺激は、症状重症度に対して即座に影響を及ぼす。症状が経時的に現れるにつれて症状を繰り返し改善することによって、抗うつ効果は、達成される。VC/VS刺激に対する急性応答は、我々がこの対象において繰り返し観察されているように、術中又はプログラミング期間における以前の研究において観察されている34、35が、連続的刺激が開始されると常に持続するわけではない。間欠的刺激を閉ループ方式において伝達することによって、我々は、我々がこれらの急性効果を繰り返し取得することができ、うつ病を治療するための手段としてそれらを用いることができると仮定する。我々のモデルと一致して、この患者のうつ病は、閉ループ療法が開始された後に急激に改善され、その効果は、持続した。臨床応答の迅速性及び強度の両方は、治療抵抗性うつ病において、非常に異常であり、「通常通りの治療」の1年寛解率が約3.5%36であり、DBSからの症状緩和が出現するのに数ヶ月かかる可能性がある2。この報告の意図は、臨床的に意味のある効果を検出するために十分なパワーを提供するために十分な大きさの患者の群において実施される二重盲検、無作為化対象評価を必要とする、MDDに対する閉ループ神経調節の有効性に対処することではなかった。ここで、我々は、神経精神障害の治療のための新しい強力なアプローチのための概念実証を確立し、単一の患者におけるその実現可能性を示す。我々の方法論が、個体にわたって閉ループ療法として実装されることができるバイオマーカー/刺激対と関連付けられたサブ回路を識別することが可能であるどうかは、このアプローチの有望性を判定する更なる研究のための重要な領域である。
【0143】
要するに、我々の知見は、定量的な回路ベースの治療開発が可能であることを示唆する。本報告において提示された新規のフレームワークは、バイオマーカーに基づく神経界面を前進させ、広範な神経精神状態の機械的理解及び治療を強化することができる。
【0144】
例2:方法
外科的処置
患者は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の治験審査委員会によって、及び米国食品医薬品局(FDA)によって承認された、治療抵抗性大うつ病性障害(MDD)のための閉ループ神経調節の臨床試験(Presidio:clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04004169)への参加について書面によるインフォームドコンセントを提出した。更なる詳細については、本症例報告と共に発行されたライフサイエンス報告概要を参照されたい。患者は、2回の埋め込み手術を受けた。第1において、我々は、Scangosら、202110に記載されているように、眼窩前頭皮質(OFC)、扁桃体(AMY)、海馬(HPC)、腹側包/腹側線条体(VC/VS)、及び膝下帯状(SGC)内に10個の定位的脳波記録(sEEG)電極(PMT Corporation、Chanhassen、MN)を外科的に埋め込んだ。探索的頭蓋内刺激及び記録は、10日間にわたって行われた(2019年10月)。10日後、電極は、摘出された。第2の埋め込み手術において、我々は、10日間の記録及び監視(マッピング)期間における我々の知見によって導かれた、右側のVC/VS及びAMYにおける2本の4接触深度リード(30cmのリード長、3.5mmの電極間隔)を有するNeuroPace RNSシステムを埋め込んだ。外科的標的化は、公表された研究に従って、DTI37又は座標ベースの標的化3を使用して、Brainlab iPlan Cranial Softwareにおいて計画された。コンピュータ断層撮影(CT)は、電極配置を確認するために、手中に使用された。手術の合併症は、起こらなかった。
【0145】
臨床的尺度
MDD症状重症度の瞬間ごとの変化を評価するために、我々は、うつ病(VAS-D)及び不安症(VAS-A)の視覚的アナログ尺度38(VAS)、並びに本格的な中核症状を捕捉すると考えられ、抗うつ薬の迅速な効果を評価するために使用されているHAMD-17のHAMD6サブ尺度を使用した19、39。我々の症状評価戦略は、Q1)悲しみ、Q2)罪悪感、Q3)無関心、Q4)疲労、Q5)不安、及びQ6)エネルギーを含む、HAMD-17のHAMD6サブ尺度で表されるように、1日の間に変化する可能性のあるうつ病の次元を考慮するための先験的計画を含むが、VAS(うつ病、不安症)を用いた繰り返し検査の設定において有意義に運用可能であり、患者の症状プロファイルを反映するために必要な最小数の次元にのみ焦点を当てた。研究データは、UCSFでホストされているREDCap電子データキャプチャツールを使用して収集及び管理した40、41。REDCap(Research Electronic Data Capture)は、研究のためのデータキャプチャをサポートするように設計された安全なWebベースのソフトウェアプラットフォームであり、1)検証されたデータキャプチャのための直感的なインターフェース、2)データ操作及び輸出手続きを追跡するための監査証跡、3)一般的な統計パッケージへのシームレスなデータダウンロードのための自動輸出手続き、並びに4)データ統合と外部ソースとの相互運用性のための手続きを提供する。患者は、研究用iPAD上でこのツールを使用して、研究室内及び自宅調査を行った。NeuroPaceデバイスが所定の位置に置かれると、1日当たり2~3回、自宅調査を行うように頼まれた。
【0146】
信号処理:
sEEG電極に由来する頭蓋内EEG(iEG)記録は、活性及び接続性の尺度を導出するために使用された。これは、高解像度の頭蓋内記録技術であり42、43、薬剤耐性てんかんの術前評価において一般的に使用されている。これらの電極を通る刺激(単一パルス44又は連続的刺激14)は、刺激応答マッピングを実行し、接続性を評価し、MDDネットワークへの摂動の影響を評価するために、使用された。iEEG記録及び誘発電位(EP)マッピングのデータ取得は、256チャネルのNihon Kohden臨床システム及び10kHzのサンプリングレートでの二次データストリームで実行された。標準的なsEEG前処理技術は、Pythonにおいて実施され、2~250Hzのバンドパスフィルタ、ラインノイズ周波数及び高調波におけるノッチフィルタ、512Hzへのダウンサンプリング、並びに全てのチャネルにわたる共通の平均参照の適用が包含される。信号処理は、6つのスペクトル周波数帯域(デルタ=1~4Hz、シータ=5~8Hz、アルファ=9~12Hz、ベータ=13~30Hz、低ガンマ=31~70Hz、高ガンマ=71~150Hz)におけるパワーを取得するために、30秒間隔における連続的ウェーブレット変換(Morlet、6サイクル)45を使用して実行された。EP分析におけるアーチファクトは、8次Butterworthフィルターで除去された。
【0147】
電極刺激
臨床マッピングに対する我々のアプローチは、他の箇所で考察されている10。簡潔に述べると、我々は、系統的な双極性刺激調査を通じててんかん患者の評価に使用される刺激パラメータのセット(1又は100Hz、100us、1~6mA)の臨床効果を試験し、次いで10日間にわたって偽対照刺激研究を盲検化した。示される場合、脳刺激構成は、接触数及び極性によって表される(例えば、2+/3-は、接触2がアノードであり、接触3がカソードであることを反映する)。NeuroPaceデバイスが設置されると、我々は、転帰尺度として同じ臨床尺度を使用して、双極性刺激調査と偽制御刺激を繰り返した。患者は、刺激の場所及びパラメータを知らされなかった。患者が顔面引っ張りなどの刺激から非感情的な臨床感覚を経験した場合、刺激強度は、低下した。閉ループ神経調節は、新しい刺激パラメータ、抑制状態が検出されると送達されるバースト持続時間を導入する。我々は、総刺激時間を15分及び30分の時間間隔で一定に保ちながら、増加する刺激持続時間(6、12、18、36秒バースト、100Hz、120us、1mA)を送達させることによって、バースト持続時間の効果を体系的方式において試験した。我々の戦略は、間欠的刺激がある時間間隔にわたって臨床的に有効であったが、正常な活動への妨害を防止するように、各バースト発症が患者によって検出されないパラメータのセットを識別すること、及び特異性を高めるために、より頻繁ではないがより長い刺激期間にわたってより短いより頻繁なバーストを選択することであった。
【0148】
バイオマーカーの発見
うつ病における症状特異的バイオマーカーの開発は、運動障害に存在するものなどの客観的に観察可能な臨床症状の欠如、及びMDDの多次元性によって挑戦されてきた。我々は、いくつかの方式でマッピング試験中にこの課題に対処した。我々は、内部状態の自己評価における固有のノイズに対処するために、高い試験回数を含めた。我々はまた、臨床試験の包含基準の1つとして気分変動の存在を含め、10日間の期間中に症状状態の変動(例えば、人生の出来事を思い出すこと、映画を見ること、ソーシャルメディア)を誘発した実験室環境において患者に自然主義的な活動をさせることによって、尺度に時間の経過と共に変動があることを確実にした。次いで、VAS尺度の不安症及びうつ病の次元に基づいて、我々は、半教師ありk平均クラスタリングを使用して、高症状重症度及び低症状重症度の状態を客観的に識別することを試みた。具体的には、ノイズの多い評価を臨床的に関連する評価から区別するために、我々は、臨床的に確立されたHAMD6スコアに最もよく対応するVAS評価に基づいて、2つの症状重症度状態を区別するために、クラスタチューニング及びクラスタ集約を使用した。
【0149】
症状重症度状態に関連するスペクトルバイオマーカーを識別するために、我々は、患者に15分間静止するように依頼し、次いで、MDD症状重症度(自己報告HAMD6、VAS尺度)を毎日約5回評価した。これらの15分間の間隔は、神経活動に対する刺激の潜在的な影響を最小限に抑えるために、刺激から少なくとも1時間であることが必要とされた。スペクトルパワーは、6つの周波数帯域においてパワーを取得するために、30秒間隔で計算され、15分の記録期間にわたって平均化された。我々は、次いで、交差検証された機械学習モデルを使用して、高症状重症度を予測したスペクトルパワーの特徴を識別するために、症状状態間のスペクトルパワーの差をモデル化した。第1のモデルにおいて、特徴セットは、脳領域における全ての接触にわたって平均されたスペクトルパワーによって定義された(10領域×6帯域=60の特徴)。第2のモデルにおいて、特徴セットは、各電極接触のスペクトルパワーによって定義された(41の解剖学的に検証された接触×6帯域=246の特徴)。モデリングパイプラインは、ANOVA F値に基づく特徴選択と、データの80%に対して訓練され、残りの20%に対して試験された罰則付きロジスティック回帰を使用した分類とからなった。我々は、AUCスコア及び特徴重要度ヒストグラムの安定性を確実にするために、訓練/試験スキーマを1000回繰り返した。有意性は、我々のロジスティック分類器の出力を、ランダムに置換されたクラスラベルから取得されたヌルモデルと1000回比較することによって評価した。
【0150】
閉ループモードにおいて、治療的刺激の送達は、刺激をトリガーするバイオマーカーを正常化することが期待される。バイオマーカー活性に対するVC/VS刺激の効果を試験するために、我々は、連続的刺激の期間前及び後の2つの30秒間隔におけるガンマパワーの変化を調べた。我々は、我々が十分なiEEG活性及びVAS尺度を有する全てのタイプの刺激試験を含めた。全ての刺激は、100Hz、100us、及び1~3mA、双極性接触2+/3-であった。刺激は、4/5の試験で連続的に送達された。変化は、刺激に起因する症状重症度における変化に関連して調べられた。
【0151】
我々は、NeuroPace RNSシステムが設置されると、バイオマーカーを検証した。実験室環境において、我々は、可撓性金属アームを用いて頭蓋内に埋め込まれた神経刺激器の上に保持されたRNSシステムワンドを使用して、連続的神経データ(皮質脳波記録)をストリーミングした。最終的なRNS検出パラメータが特定されると、我々は、10分間の静止状態の神経活動、続いて7日間のうつ病尺度を伴う18の試験を収集した。10日間のマッピング期間と同様に、患者は、記録中に一連の自然主義的活動に従事した。ロジスティック及び線形回帰モデルは、次いで、それぞれ、AMYガンマパワーと、症状重症度状態又はVAS-D、HAMD6スコアとの関係を評価するために、構築された。
【0152】
有効的接続性:
有効的接続性は、ある脳領域が別の脳領域に及ぼす方向的影響を記述する機能的接続性尺度である46。頭蓋内EEGと皮質内刺激は、1つの脳領域の隣接する接触に短い刺激パルスを送達し、遠隔接触における摂動の電気的影響(誘発電位(EP))を調べることによって、有効的なネットワーク接続を直接プローブする稀でユニークな機能を提供する。EPマッピングは、1日目に実行された。我々は、双極性単一パルス刺激(1、3、6mA)を0.5Hzで40秒間、各脳領域の中心接触対にわたって隣接する接触対に送達した。標準的な方法20、44、47は、20回の試験にわたって平均を計算すること、50msの刺激前ベースラインに対して電圧をzスコアリングすること、それぞれ10~50ms及び50~500msのタイムウィンドウ内のそれらのピーク偏向振幅によってN1及びN2を識別すること、EPのフルセットのN1応答振幅から接続性マトリックスを構築すること、及び有向ネットワークグラフを生成するために統計的に有意なEPをフィルタリングすることを含むEPを測定及び定量化するために、使用された。我々は、20個の単一のパルスに起因するN1応答の分布を、刺激前のベースライン変動の分布と比較することによって、どの電極が統計的に有意なEPを示したかを判定した。ベースラインスコアは、刺激がない場合の自発的な電圧変動の量を定量化し、刺激前の50msの間のピークたわみの大きさを見つけ、刺激前の50~100msのウィンドウの平均電圧に対してzスコアを付けて計算された。我々は、N1応答がベースラインの自発的変動よりも統計的に大きいかどうかを判定するために、Benjamini-Hochberg偽発見率補正を用いたWilcoxon符号順位片側検定を使用した。均一なzスコア閾値21と比較して、このアプローチは、電極間の可変ノイズを考慮し、より高い感度で真のEPを識別することを可能にした。
【0153】
グラフ理論では、グラフは、ノードが個々の電極であるとみなされる電気生理学ネットワークを表し、ノード間の有向リンク又はエッジは、遠位ノードでの神経信号の振幅に対するソースノードの刺激の効果を表す48。我々は、EP接続マップから2つのグラフ理論的メトリック(入次数及び出次数)を計算して、用量間の機能的接続の方向及び強度を判定し、刺激と感知標的候補との関係を通知した。高い出次数を有するノードは、その刺激がネットワーク内の他のノードに大きく影響し、良好な治療標的を示す可能性があるという点で、高いネットワーク影響のハブである49。高入次数を有するノードは、他の領域での刺激の影響を受ける領域を示唆し、ネットワークの他の場所での刺激で正規化されるMDDの修正可能な神経署名を感知する役割を果たし得る。我々は、各ノードに向けられた有意な接続(N1振幅)の加重和を取ることによって入次数を計算し、右及び左半球並びに全脳ネットワークについて各ノードから投影された有意な接続の加重和によって出次数を計算した。我々は、最高値を有し、方向的に接続されたハブを識別した。
【0154】
拡散テンソル画像法
拡散テンソル画像法(DTI)は、有効的接続性を媒介し得る推定軸索繊維束を識別することによって、構造的接続性をマッピングするために使用されることができ、それによって、遠隔脳領域にわたる機能統合の我々のモデルを制約する46。特定の白質路又は様々な束の交差部の係合は、うつ病についての深部脳刺激の転帰を改善することが示されている50、51。構造的接続性と機能的接続性との間の正確な関係は未知のままであるが、構造的接続性特性は、有効的接続性のベイズモデルにおける有益な事前情報として実装されることができることが示唆されている52。拡散データは、32チャネルヘッドコイル(B値:2000秒/mm2、55方向)を用いて3Teslaで軸方向DTI高角度分解能拡散強調画像(HARDI)を使用して取得された。トラクトグラフィーは、BrainLAB FiberTrackingソフトウェア内に実装された、連続的追跡(FACT)53によって決定論的ファイバー割り当てを使用して実施された。トラクトグラフィーは、候補刺激及び感知対の各接触を中心とした直径3mmの球形ROIに基づいており、DTIパラメータは、最小異方性比率(FA)=0.1、最小繊維長=80mm、最大角度=20度を有する全ての対について同じであった。得られた繊維束は、配向によって色分けされている(赤:左右、緑:前後、青:上下)。これらのパラメータを使用して、流線の数は、各候補刺激感知対(VC/VS stim-AMY sens、 VC/VS stim-OFC sens、 SGC stim-AMY sens、及びOFC Stim-AMY sens)の接続性の強度を比較するために、使用された。
【0155】
閉ループ制御
NeuroPace RNSシステムは、第1に、神経バイオマーカーを検出することができるが、刺激が送達されなかった(0mA)感知専用構成に配置された。最初の2.5ヶ月間、我々は、検出器番号、バンドパス閾値、ウィンドウサイズ、及びカウント基準を含む様々なパラメータを修正して、AMYガンマバイオマーカーを識別することができる検出アルゴリズムを見出した。我々の最終検出器は、次のパラメータ、パターンA1(AMY3/4):最小-最大周波数:28.8~125Hz、最小増幅0.8%、ウィンドウサイズ160ms、カウント基準10、バンドパス閾値3、検出解析ウィンドウサイズ2048、パターンA2(AMYl/2):最小-最大周波数:28.8~125Hz、最小増幅0.8%、ウィンドウサイズ160ms、カウント基準10、バンドパス閾値10、検出解析ウィンドウサイズ2048が含まれていた。RNSシステムは、標準的な周波数分解アルゴリズムを実装しないが、半波検出器は、周波数成分を近似する。最小振幅設定と組み合わせて、検出器、ガンマ活性を追跡することが見出された。この検出器をオンにして、我々は、バイオマーカー検証のために活用された18回の試験について、10分間の静止状態間隔における検出の数を調べた。ロジスティック及び線形回帰モデルは、刺激の数を従属変数として、症状の状態又はHAMD6/VAS-Dスコアを独立変数として使用して構築された。74日目に、RNSシステムは、刺激オン(1mA、120us、100Hz)で閉ループモードにおいて作動された。我々は、治療数を1日当たり300(1日当たり30分の総刺激)に上限し、これは、日数の81.1%に達した。制限に達した日に、これは、平均して午後7時40分(SD3.3時間)に発生した。この制限は、夕方の時間に送達された刺激が患者の睡眠が妨害したため選択された。治療制限リセット時間は、午前7:00であった。
【0156】
毎日の症状重症度スコア(VAS-D)と毎日のバイオマーカー検出数の時系列との間の関係を調査するために、我々は、自然主義的ノイズを示す時系列に関連して有効であることが実証された方法である、動的時間伸縮(DTW)を使用した54。症状重症度(VAS-D)及びバイオマーカー検出カウント時間トレースをそれらの手段によって正規化した後、我々は、DTWゆがみ関数及び距離を計算した23。ゆがみ関数が重要な症状重症度又はバイオマーカーの特徴をスキップすること防止するために、標準的な実施と一致するように、我々は、サイズ3のSakoe-Chibaワープウィンドウを組み込んだ55。我々は、我々のDTW距離を、症状重症度時系列とスクランブルされたバイオマーカー検出時系列との間で計算されたDTW距離と比較することによって、症状重症度及びバイオマーカー関係の有意性を試験し、バイオマーカー時系列は、観察された値を10,000回ランダムにシャッフルすることによって取得された。
【0157】
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【0158】
上記の発明は、明確な理解のために例示及び実施例によって多少詳しく記載されてきたが、当業者であれば、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、それらの発明に対して特定の変更及び修正が行われ得ることは、容易に明らかである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであり、限定することは意図されないことも理解されるべきである。
【0159】
したがって、前述は、本発明の原理を単に例示しているに過ぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することが可能であろうことが理解されるであろう。更に、本明細書に列挙される全ての例及び条件付き言語は、主に、本発明の原理及び本発明者によって当該技術分野を促進するために寄与する概念を閲読者が理解するのを支援することを意図しており、そのような具体的に列挙される例及び条件に限定されるものではないと解釈されるものである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにそれらの特定の実施例を列挙する本明細書の全ての記述は、それらの構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図される。加えて、そのような均等物は、現在知られている均等物及び将来開発される均等物の両方、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実施する開発されるあらゆる要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載の例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。
【国際調査報告】