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特表2024-517808N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドによる治療方法
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  • 特表-N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドによる治療方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドによる治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4545 20060101AFI20240416BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K31/4545
A61P35/02
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567895
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022027822
(87)【国際公開番号】W WO2022235900
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/185,285
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】508027464
【氏名又は名称】セルジーン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】プーダーナッド,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA51
4C084ZB26
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC22
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、或いはその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、又は多形体を患者に投与することを含む、急性骨髄性白血病及び/又は骨髄異形性症候群を治療、予防、管理及び/又は改善する方法が本明細書において提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド(以下の構造:
【化1】
を有する)、或いはその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、又は多形体(化合物1)を、必要とする対象に投与することを含む、急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群から選択される疾患を治療、予防、管理、又は改善する方法であって、化合物1は、前記対象に約0.1mg~約20mgの用量で投与される、方法。
【請求項2】
前記疾患が、急性骨髄性白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記急性骨髄性白血病が、再発性又は難治性の急性骨髄性白血病である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記疾患が、骨髄異形成症候群である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記骨髄異形成症候群が、再発性又は難治性の骨髄異形成症候群である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記骨髄異形成症候群が、再発性又は難治性の高リスク骨髄異形成症候群である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
化合物1が、28日治療サイクルの1~5日目に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
化合物1が、28日治療サイクルの1~7日目に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
化合物1が、28日治療サイクルの1~10日目に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
化合物1が、28日治療サイクルの1~14日目に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
化合物1が、28日治療サイクルの1、4、8、11、15、18、22、及び28日目に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化合物1が、28日治療サイクルの1、4、8、11、15、及び18日目に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
化合物1が、28日治療サイクルの1、4、8、及び11日目に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記治療サイクルが、少なくとも1回繰り返される、請求項7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記治療サイクルが、2~4回繰り返される、請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
化合物1が、約0.1mg/日、0.2mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.8mg/日、1mg/日、1.5mg/日、2mg/日、3mg/日、6mg/日、9mg/日、及び12mg/日の用量で投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
治療有効量の第2の活性薬剤又は支持療法薬を投与することをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、18歳以上の患者である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、TP53変異を有しない、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
本出願は、2021年5月6日に出願された米国仮特許出願第63/185,285号の利益を主張するものであり、その開示はその全体が参照により組み込まれる。
【0002】
2.分野
本明細書では、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、或いはその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物又は多形体を用いて、急性骨髄性白血病(AML)及び/又は骨髄異形性症候群(MDS)を治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。さらに、AML又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法において使用するための化合物であって、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、或いはその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物又は多形体である化合物が提供される。
【背景技術】
【0003】
3.背景
急性骨髄性白血病(AML)は、米国(USA)の成人において最も多く報告されている急性白血病のタイプである。Surveillance,Epidemiology,and End Resultsに基づくと、米国では2020年に約19,940人がAMLと診断され、11,180人がこの疾患により死亡すると推定されている。2010年から2016年の期間について、AML患者の相対5年生存率の推定値は28.7%であり、2013年から2017年の間のAML診断時の年齢中央値は68歳であった。
【0004】
急性骨髄性白血病は、新たに生じるか、以前の細胞障害性を有する化学療法に続いて発症するか、又は既存の骨髄異形成が変化して生じ得る。環境毒素、細胞傷害性薬物、又は放射線への曝露から生じる治療関連AMLは、現在、AMLの全症例の約5%~10%を占める(非特許文献1)。骨髄異形成症候群を有する患者の35%~40%がAMLを発症すると推定されており、この疾患は現在の治療法が無効であることが多い(非特許文献2)。既存の骨髄異形成又は骨髄増殖性障害は、AMLの高齢患者に一般的であり、症例の24%~40%に生じている(非特許文献3)。以前の血液疾患による二次性AML患者は、デノボ疾患患者よりも治療に対する反応性が低い。
【0005】
骨髄異形成症候群は、主に高齢者に影響を及ぼす造血幹細胞障害の不均一な集合の包括的用語である。年間100,000人当たり2~4症例がMDSと診断されると推定される。高齢者は特に脆弱であり、年間発生率は100,000人当たり15~50症例である、非特許文献4。予後は個人のリスク因子に依存し、生存期間中央値は、低リスク患者の5.3年から高リスク又は超高リスク患者の1.6年及び0.8年の範囲である、非特許文献5。
【0006】
AML及びMDSのための有効な治療が引き続き必要とされている。
【0007】
N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドの抗白血病活性は、米国特許出願公開第2020/0377512号明細書に報告されている。急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群(MDS)の治療に、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、或いはその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物又は多形体を投与するための、安全で且つ有効な投与量及投与レジメンが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Leone et al,Haematologica 1999;84(10):937-945
【非特許文献2】Silverman et al,Cancer Medicine.5th ed.Hamilton,Canada:BC Decker;2000.p.1931-1946
【非特許文献3】Gajewski et al,J Clin Oncol 1989;7:1637-1645
【非特許文献4】Steensma et al.,The myelodysplastic syndrome(s):a perspective and review highlighting current controversies,Leuk Res 2003;27(2):95-120
【非特許文献5】Greenber et al.,Revised international prognostic scoring system for myelodysplastic syndromes,Blood.2012;120(12):2454-65。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
4.概要
一実施形態では、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、或いはその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、又は多形体(「化合物1」)を対象に投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施形態では、AMLは、再発性又は難治性のAMLである。一実施態様では、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドを対象に投与することによって、AMLを治療する方法が提供される。
【0010】
一実施形態では、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、或いはその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、又は多形体(「化合物1」)を対象に投与することによって、骨髄異形性症候群(MDS)を治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施形態では、MDSは、再発性、抵抗性又は難治性のMDSである。一実施形態では、MDSは、再発性又は難治性のMDSである。一実施形態では、MDSは、再発性又は難治性の高リスクMDSである。一実施態様では、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドを対象に投与することによって、MDSを治療する方法が提供される。
【0011】
一実施形態では、有効量の化合物1をサイクルで対象に投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~7日目、28日サイクルの1~5日目、28日サイクルの1~10日目、又は28日サイクルの1~14日目に、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルは、28日サイクルの1、4、8及び11日目、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目、又は28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22及び25日目に、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む。
【0012】
一実施態様では、有効量の化合物1を対象に28日サイクルで投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、1日目~7日目の間、1日当たり約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与し、その後21日間の回復期間を置くことを含む方法が提供される。一実施態様では、有効量の化合物1を対象に28日サイクルで投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、1日目~5日目の間、1日当たり約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、有効量の化合物1を対象に28日サイクルで投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、1日目~10日目の間、1日当たり約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、有効量の化合物1を対象に28日サイクルで投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、1日目~14日目の間、1日当たり約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。
【0013】
一実施態様では、有効量の化合物1を対象にサイクルで投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、約0.1mg~約20mgの用量を週に2回の投与スケジュールで化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、有効量の化合物1を対象にサイクルで投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、約0.1mg~約20mgの用量を週に2回の投与スケジュールで化合物1を2週間投与する、すなわち28日サイクルの1、4、8及び11日目に投与する、又は3週間投与する、すなわち28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、有効量の化合物1を対象にサイクルで投与することによって、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22及び25日目に、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。
【0014】
特定の実施形態では、AML、より特には再発性又は難治性AMLの治療、予防、改善及び/又は管理に使用するのに適した化合物1を含む医薬組成物、単一単位剤形及びキットが提供される。特定の実施形態では、MDS、より特には再発性若しくは難治性のMDS、又は再発性若しくは難治性の高リスクMDSの治療、予防、改善及び/又は管理に使用するのに適した化合物1を含む医薬組成物、単一単位剤形及びキットが提供される。特定の実施形態では、このような組成物は、化合物1を、任意選択により1種以上の他の治療剤と組み合わせて含む。特定の実施態様では、AML、より特には再発性又は難治性AMLの治療に使用するための化合物1を含む医薬組成物が提供される。特定の実施態様では、MDS、より特には再発性若しくは難治性のMDS、又は再発性若しくは難治性の高リスクMDSの治療に使用するための化合物1を含む医薬組成物が提供される。特定の実施形態では、このような組成物は、化合物1を、任意選択により1種以上の他の治療剤と組み合わせて含む。
【0015】
本明細書に記載される主題のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
5.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、1日目から7日目までの化合物1の毎日の投与スケジュールにおける用量漸増のための研究デザインを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
6.詳細な説明
6.1 定義
他に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。全ての特許、出願、公開された出願、及び他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書における用語について複数の定義がある場合、特に明記しない限り、本節における定義が優先する。
【0018】
化合物1という用語は、「N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド」(以下の構造:
【化1】
を有する)、及びその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、又は多形体を指す。特定の実施形態では、化合物1は、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド及びその互変異性体を指す。
【0019】
「対象」又は「患者」という用語は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット又はマウスを含む哺乳動物を含むが、これらに限定されない動物を指す。「対象」及び「患者」という用語は、例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象に関して、本明細書においては互換的に使用される。
【0020】
一実施形態では、対象は、急性の骨髄性(myelogenous)又は骨髄性(myeloid)白血病(AML)(例えば、AMLの以下のサブタイプを含む)を有する。「急性の骨髄性(myelogenous)又は骨髄性(myeloid)白血病」という用語は、骨髄における主に未分化又は最小分化の骨髄性細胞の増殖及び蓄積を特徴とする血液学的病態を指し、FAB(French,American,British)又はWHO分類システムによって分類されるサブタイプを含む。本明細書に記載されるように、AMLには、FAB分類に基づく以下のサブタイプが含まれる:M0(最小分化AML);M1(最小成熟を伴うAML);M2(成熟を伴うAML);M3(急性前骨髄球性白血病);M4(急性骨髄単球性白血病);M4(好酸球増加を伴うeos急性骨髄単球性白血病);M5(急性単球性白血病);M6(急性赤白血病);及びM7(急性巨核芽球性白血病)。本明細書に記載されるように、AMLには、WHO分類に基づく以下のサブタイプが含まれる:再発性遺伝子異常を伴うAML(第8染色体と第21染色体との間の転座を伴うAML;第16染色体における転座又は逆位を伴うAML;第9染色体と第11染色体との間の転座を伴うAML;第15染色体と第17染色体との間の転座を伴うAPL(M3);第6染色体と第9染色体との間の転座を伴うAML;第3染色体における転座又は逆位を伴うAML);第1染色体と第22染色体との間の転座を伴うAML(巨核芽球性);骨髄異形成関連変化を伴うAML;以前の化学療法又は放射線療法に関連するAML(アルキル化剤関連AML;トポイソメラーゼII阻害剤関連AML);他に分類されないAML(上記のカテゴリーには分類されないAML、すなわち、最小分化AML(M0);最小成熟を伴うAML(M1);成熟を伴うAML(M2);急性骨髄単球性白血病(M4);急性単球性白血病(M5);急性赤白血病(M6);急性巨核芽球性白血病(M7);急性好塩基球性白血病;線維症を伴う急性汎骨髄症);骨髄肉腫(顆粒球肉腫、緑色腫又は髄外骨髄芽腫としても知られる);並びに未分化及び二重表現型急性白血病(混合表現型急性白血病としても知られる)。(https://www.cancer.org/cancer/acute-myeloid-leukemia/detection-diagnosis-staging/how-classified.html、最終アクセス日2017年5月25日、を参照されたい)。
【0021】
特定の実施形態では、細胞遺伝学に基づくAMLのリスク群は、以下に記載される通りである:
【0022】
【表1】
【0023】
一実施形態では、対象は、骨髄異形成症候群(MDS)(例えば、MDSの以下のサブタイプを含む)を有する。「骨髄異形成症候群」という用語は、血液の細胞成分(赤血球、白血球(リンパ球以外)及び血小板(又はそれらの前駆細胞、巨核球))の1つ又は複数の産生異常を特徴とする血液学的病態を指し、以下の障害を含む:不応性貧血(RA);環状鉄芽球を伴うRA(RARS);過剰芽球を伴うRA(RAEB);多血球系統異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)、単一血球系統異形成を伴う不応性血球減少症(RCUD);分類不能型骨髄異形成症候群(MDS-U)、孤立性染色体異常del(5q)に関連する骨髄異形成症候群、治療関連骨髄性新生物及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)。本明細書で使用されるMDSにはまた、超低リスク、低リスク、中リスク、高リスク及び超高リスクのMDSが含まれる。一実施形態では、MDSは、原発性又は自然発症MDSである。他の実施形態では、MDSは二次性である。一実施形態では、MDSは、再発性又は難治性のMDSである。一実施形態では、MDSは、再発性又は難治性の高リスクMDSである。
【0024】
特定の実施形態では、MDSは、以下に記載されるように、MDSの世界保健機関(WHO)分類に基づいて分類される:
【0025】
【表2】
【0026】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、疾患若しくは障害、又は疾患若しくは障害に関連する1つ以上の症状の根絶又は改善を指す。特定の実施形態では、これらの用語は、そのような疾患又は障害を有する患者への1つ又は複数の予防薬又は治療薬の投与に起因する疾患又は障害の広がり又は悪化を最小限にすることを指す。いくつかの実施形態では、これらの用語は、特定の疾患の症状が発症した後の、他の活性薬剤の追加の有無にかかわらず、本明細書で提供される化合物を投与することを指す。一実施形態では、疾患は、上述のAMLのサブタイプを含むAMLである。一実施形態では、疾患は、上述のMDSのサブタイプを含むMDSである。
【0027】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語「予防する」、「予防すること」及び「予防」は、疾患若しくは障害、又はその1つ若しくは複数の症状の発症、再発又は広がりの予防を指す。特定の実施形態では、これらの用語は、症状の発症前の、他の活性化合物の追加の有無にかかわらず、特に本明細書で提供される疾患又は障害のリスクがある患者への、本明細書で提供される化合物による治療又は投与を指す。これらの用語は、特定の疾患の症状の阻害又は軽減を包含する。特定の実施形態においては、疾患の家族歴を有する患者が特に予防レジメンの候補である。さらに、再発症状の履歴を有する患者も、予防の潜在的な候補である。これに関して、用語「予防」は、用語「予防的治療」と互換的に使用され得る一実施形態では、疾患は、本明細書で論じるAMLのサブタイプを含むAMLである。一実施形態では、疾患は、本明細書で論じるMDSのサブタイプを含むMDSである。
【0028】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「管理する」、「管理すること」及び「管理」という用語は、疾患若しくは障害、又はその1つ以上の症状の進行、広がり又は悪化を予防又は遅延させることを指す。患者が予防薬及び/又は治療薬から得られる有益な効果が、疾患又は障害の治癒に繋がらないことはよくある。これに関して、用語「管理すること」は、疾患の再発を予防又は最小限にするために、又は寛解状態にある時間を延長するために、特定の疾患に罹患している患者を治療することを包含する。一実施形態では、疾患は、本明細書で論じるAMLのサブタイプを含むAMLである。一実施形態では、疾患は、本明細書で論じるMDSのサブタイプを含むMDSである。
【0029】
「有害作用」という用語は、当該技術分野におけるその通常の一般的な意味に従って使用され、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される化合物又は組成物による治療から生じる本明細書に記載される疾患の治療、予防、管理又は改善に関連する特定の状態を指し得る。そのような有害作用の1つは、好中球減少症の発症である。好中球減少症は、骨髄への損傷から生じ得、好中球の産生及び/又は成熟の阻害、排除又は破壊(直接的又は間接的)を引き起こす任意の状態を指す。
【0030】
「難治性又は抵抗性」という用語は、対象又は哺乳動物が集中治療後であっても、その体内に癌細胞が残存している状況を指す。
【0031】
用語「薬物耐性」は、疾患が特定の薬物の治療に応答しない状態を指す。薬物耐性は、疾患が特定の薬物に一度も反応したことがないことを意味する先天性であるか、又は疾患が以前に反応していた特定の薬物に反応しなくなることを意味する後天性であり得る。特定の実施形態では、薬物耐性は先天性である。特定の実施形態では、薬物耐性は後天性である。
【0032】
「再発性」という用語は、治療後に癌が寛解した対象又は哺乳動物に、癌細胞の再発がみられた状況を指す。
【0033】
「サイクリング療法」は、本明細書に記載の投与期間及び本明細書に記載の休止期間を含むレジメン又は療法を指す。
【0034】
本明細書で使用される「投与期間」という用語は、本明細書に記載の化合物又は組成物を対象に連続的又は能動的に投与する期間を指す。
【0035】
本明細書で使用される「休止期間」という用語は、対象に本明細書に記載の化合物又は組成物を投与されない(例えば、治療の中止)、多くの場合投与期間の後にくる期間を指す。特定の実施形態では、「休止期間」は、単一の薬剤が対象に投与されないか、又は特定の化合物を使用する治療が中止される期間を指す。このような実施形態では、第2の治療薬(例えば、前の投与期間に投与された化合物又は組成物とは異なる薬剤)を対象に投与することができる。
【0036】
「QD」という用語は、1日1回の投与を指す。
【0037】
本明細書で使用される「決定する」、「測定する」、「評価する(evaluating)」、「評価する(assessing)」及び「アッセイする」という用語は一般に、任意の形態の測定を指し、要素が存在するか否かを決定することを含む。これらの用語には、定量的決定及び/又は定性的決定の両方が含まれる。評価は、相対的又は絶対的であり得る。「~の存在を評価する」には、存在するものの量を決定すること、及び存在するか又は存在しないかを決定することが含まれ得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、化合物の「治療有効量」は、疾患若しくは障害の治療若しくは管理において治療的利益を十分に提供することができるだけの量、又は疾患若しくは障害に関連する1つ以上の症状を十分に遅延若しくは最小化することができるだけの量である。化合物の治療有効量は、疾患又は障害の治療又は管理において治療的利益を提供する、単独又は他の治療と組み合わせた治療薬の量を意味する。用語「治療有効量」は、全体的な治療を改善する、疾患若しくは障害の症状若しくは原因を低減若しくは回避する、又は別の治療薬の治療有効性を増強する量を包含し得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、化合物の「予防有効量」は、疾患若しくは障害を予防するか、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防有効量は、単独で、又は他の薬剤と組み合わせて、疾患の予防において予防的利益を提供する治療薬の量を意味する。用語「予防有効量」には、全体的な予防を改善するか、又は別の予防薬の予防有効性を増強する量が包含され得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、ECOGステータスは、以下に示すような、米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス(Oken M,et al Toxicity and response criteria of the Eastern Cooperative Oncology Group.Am J Clin Oncol 1982;5(6):649-655)を指す。
【0041】
【表3】
【0042】
本明細書で使用される場合、全生存期間(OS)は、臨床試験における無作為化から任意の原因による死亡までの時間を意味する。無増悪生存期間(PFS)は、臨床試験における無作為化から増悪又は死亡までの時間を意味する。無イベント生存率(EFS)とは、疾患の進行、何らかの理由による治療の中止、又は死亡を含む、研究の登録から何らかの治療の失敗までの時間を意味する。全奏効率(ORR)は、完全奏効及び部分奏効を達成した患者の割合の合計を意味する。奏効期間(DoR)は、奏効が確認されてから再発又は疾患進行までの時間である。
【0043】
本明細書で使用される場合、「化合物1で治療された患者集団」は、化合物1で何らかの治療を受けた患者集団を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「化合物1で治療されていな患者集団」は、化合物1でいかなる治療も受けていない患者集団を指す。このような患者集団には、癌の治療を全く受けていない患者、プラセボで治療されている患者、及び化合物1での治療以外の癌治療で治療されている患者が含まれる。
【0045】
AML患者において、治療に対する応答は、AMLにおける国際ワーキンググループ効果判定基準(Cheson et al.Revised recommendations of the International Working Group for diagnosis,standardization of response criteria,treatment outcomes,and reporting standards for therapeutic trials in acute myeloid leukemia.J Clin Oncol 2003;21(24):4642-9に基づいて評価することができる。
【0046】
【表4】
【0047】
MDSの治療は、骨髄異形成のための国際ワーキンググループ(IWG)応答基準によって評価され得る。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
MDSの予後については、以下のような改訂国際予後判定システムが用いられている。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
総IPSS-Rスコアは、細胞遺伝学、骨髄芽球の割合、ヘモグロビン、血小板及びANCの個々のスコアの合計として計算される。
【0055】
【表10】
【0056】
【表11】
【0057】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「薬学的に許容される塩」という用語には、酸性基の塩が含まれるが、これに限定されない。特定の酸性条件下で、化合物は、様々な無機酸及び有機酸と多種多様な塩を形成することができる。そのような塩基性化合物の薬学的に許容される塩を形成するために使用され得る酸は、以下に限定されないが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、臭化物、ヨウ化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、メチル硫酸塩、マスカット(muscate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、及びパモ酸塩を含む薬学的に許容されるアニオンなどの塩を形成するものである。
【0058】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「水和物」という用語は、非共有分子間力によって結合される化学量論量又は非化学量論量の水をさらに含む、本明細書で提供される化合物又はその塩を意味する。水和物は、結晶性又は非結晶性であり得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「溶媒和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子と本明細書で提供される化合物との会合から形成される溶媒和物を意味する。「溶媒和物」という用語には、水和物(例えば、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)が含まれる。溶媒和物は、結晶性又は非結晶性であり得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「立体異性体」という用語は、本明細書で提供される全ての鏡像異性的/立体異性的に純粋な化合物及び鏡像異性的/立体異性的に富化された化合物を包含する。
【0061】
本明細書中で使用されているように、別段の指示がない限り、「立体異性的に純粋な」又は「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、化合物が1つの立体異性体を含み、その対の立体異性体又はエナンチオマーを実質的に含まないことを意味する。例えば、化合物が80%、90%又は95%以上の1つの立体異性体と20%、10%又は5%以下の対の立体異性体を含有する場合、化合物は立体異性的に又はエナンチオマー的に純粋である。特定の場合に、本明細書で提供される化合物は、その化合物が特定のキラル中心に対して約80%以上のee(エナンチオマー過剰率)、好ましくは特定のキラル中心に対して90%以上のee、より好ましくは特定のキラル中心に対して95%以上のeeである場合、キラル中心に対して光学的に活性である、又は立体異性的/エナンチオマー的に純粋(すなわち、実質的にR型又は実質的にS型)であるとみなされる。
【0062】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「立体異性的に富化された」又は「エナンチオマー的に富化された」という語は、本明細書で提供される化合物のラセミ混合物、並びに立体異性体の他の混合物(例えば、R/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)を包含する。
【0063】
本明細書で使用される場合、任意の保護基、アミノ酸及び他の化合物の略語は、別段の指示がない限り、それらの一般的な用法、認識されている略語、又はIUPAC-IUB生化学命名法委員会(Biochem.1972,11:942-944を参照)に従う。
【0064】
6.2 化合物
本明細書で提供される方法における使用に適した化合物は、化合物1、すなわち以下の構造
【化2】
を有するN-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、及びその立体異性体若しくは立体異性体の混合物、アイソトポログ、薬学的に許容される塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、又は多形体である。特定の実施形態では、化合物1は、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((S)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドを指す。
【0065】
化合物1は、本明細書に提供される実施例に記載される方法に従って、又は米国特許出願公開第2020/0377512A1号明細書(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)番号に記載されるように調製することができる。化合物はまた、本明細書中の教示に基づいて、当業者に明らかな他の方法に従って合成することができる。
【0066】
化合物2、N-((R)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエチル)-2-((R)-2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-5-カルボキサミドは、以下の構造を有する。
【化3】
【0067】
6.3 使用方法
一実施形態では、化合物1を対象に投与することにより、AML及び/又はMDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。
【0068】
一実施形態では、治療活性量の化合物1を対象に投与することにより、AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施形態では、AMLは、再発性又は難治性のAMLである。いくつかの実施形態では、AMLは新たに診断されたAMLである。いくつかの実施形態では、AMLは原発性AMLである。他の実施形態では、AMLは再発性AMLである。さらに他の実施形態では、AMLは難治性AMLである。いくつかの実施形態では、AMLは、再発性/難治性AMLである。再発性又は難治性疾患は、自然発症AML又は二次性AML、例えば治療関連AML(t-AML)であり得る。一実施形態では、AMLは、シタラビン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミドスタウリン、クラドリビン、ゲムツズマブ・オゾガミシン、フルダラビン、ミトキサントロン、ギルテリチニブ、グラスデギブ、及びベネトクラクスのうちの1種以上に対して不応性である。
【0069】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、AMLについて以前に治療されていない対象の治療を包含する。いくつかの実施形態では、対象は、同種骨髄移植を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、幹細胞移植を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒドロキシウレア治療を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、全身性グルココルチコイドで治療されていない。
【0070】
他の実施形態では、本方法は、以前にAMLの治療を受けたことがあるか、又は現在AMLの治療を受けている対象を治療することを包含する。例えば、対象は、AMLのための標準的な治療レジメンで以前に治療を受けたことがあっても、現在治療を受けていてもよい。対象は、当業者に知られた任意の標準的なAML治療レジメンで治療されたことがあってもよい。特定の実施形態では、対象は、少なくとも1つの寛解導入/再寛解導入又はコンソリデーションAMLレジメンで以前に治療されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、コンソリデーションレジメンの一部として自家骨髄移植又は幹細胞移植を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、ヒドロキシウレア治療を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、シタラビン(Ara-C)による事前寛解導入療法又は事前コンソリデーション療法を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、全身性グルココルチコステロイドによる治療を受けている。他の実施形態では、本方法は、以前にAMLの治療を受けているが、標準的な治療に反応しない対象を治療することを包含する。
【0071】
別の実施形態では、AMLは、FAB分類のM0/1を有する。別の実施形態では、AMLは、FAB分類のM2を有する。別の実施形態では、AMLは、FAB分類のM3を有する。別の実施形態では、AMLは、FAB分類のM4を有する。別の実施形態では、AMLは、FAB分類のM5を有する。一実施形態では、AMLは、再発性遺伝子異常を伴うAML(例えば、第8染色体と第21染色体との間の転座を伴うAML;第16染色体における転座又は逆位を伴うAML;第9染色体と第11染色体との間の転座を伴うAML;第15染色体と第17染色体との間の転座を伴うAPL(M3);第6染色体と第9染色体との間の転座を伴うAML;第3染色体における転座又は逆位を伴うAML);第1染色体と第22染色体との間の転座を伴うAML(巨核芽球性);骨髄異形成関連変化を伴うAML;以前の化学療法又は放射線療法に関連するAML(例えば、アルキル化剤関連AML;又はトポイソメラーゼII阻害剤関連AML);他に分類されないAML(上記のカテゴリーには分類されないAML、すなわち、最小分化AML(M0);最小成熟を伴うAML(M1);成熟を伴うAML(M2);急性骨髄単球性白血病(M4);急性単球性白血病(M5);急性赤白血病(M6);急性巨核芽球性白血病(M7);急性好塩基球性白血病;又は線維症を伴う急性汎骨髄症);骨髄肉腫(顆粒球肉腫、緑色腫又は髄外骨髄芽腫としても知られる);或いは未分化及び二重表現型急性白血病(混合表現型急性白血病としても知られる)である。
【0072】
一実施形態では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施形態では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施形態では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、AMLを治療する方法が提供される。一実施形態では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療する方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目、1~7日目、1~10日目、又は1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目、1~7日目、1~10日目、又は1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~7日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~7日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~10日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~10日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。
【0073】
一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、AMLを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22、25日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22、25日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、AMLを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、AMLを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、再発性又は難治性AMLを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。
【0074】
いくつかのそのような実施形態では、化合物1を約0.1mg/日、0.2mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.8mg/日、1mg/日、1.5mg/日、2mg/日、3mg/日、6mg/日、9mg/日及び12mg/日の用量で投与することを含む、AMLを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。
【0075】
一実施形態では、治療活性量の化合物1を対象に投与することにより、骨髄異形成症候群(MDS)を治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施態様では、MDSを治療する方法が提供される。一実施形態では、MDSは、再発性、抵抗性又は難治性のMDSである。一実施形態では、MDSは、再発性又は難治性のMDSである。一実施形態では、MDSは、再発性又は難治性の高リスクMDSである。一実施形態では、MDSは、不応性貧血(RA);環状鉄芽球を伴うRA(RARS);過剰芽球を伴うRA(RAEB);多血球系統異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)、単一血球系統異形成を伴う不応性血球減少症(RCUD);分類不能型骨髄異形成症候群(MDS-U)、孤立性染色体異常del(5q)に関連する骨髄異形成症候群、治療関連骨髄性新生物及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)である。いくつかの実施形態では、MDSは、超低リスク、低リスク、中リスク、高リスク又は超高リスクMDSである。一実施形態では、MDSは超低リスクである。別の実施形態では、MDSは低リスクである。別の実施形態では、MDSは中リスクである。別の実施形態では、MDSは高リスクである。別の実施形態では、MDSは超高リスクMDSである。いくつかの実施形態では、MDSは、原発性又は自然発症MDSである。他の実施形態では、MDSは二次性MDSである。
【0076】
一実施形態では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施態様では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することにより、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。一実施形態では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、MDSを治療する方法が提供される。一実施態様では、約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することにより、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療する方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目、1~7日目、1~10日目、又は1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目、1~7日目、1~10日目、又は1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~5日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~7日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~7日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~10日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~10日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、化合物1をサイクルで対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1~14日目に約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を投与することを含む方法が提供される。
【0077】
一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、MDSを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22、25日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22、25日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、MDSを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、MDSを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、サイクルにおいて約0.1mg~約20mgの用量で化合物1を対象に投与することによって、高リスクの再発性又は難治性MDSを含む再発性又は難治性MDSを治療する方法であって、サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11日目に化合物1を投与することを含む方法が提供される。
【0078】
いくつかのそのような実施形態では、化合物1を約0.1mg/日、0.2mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.8mg/日、1mg/日、1.5mg/日、2mg/日、3mg/日、6mg/日、9mg/日及び12mg/日の用量で投与することを含む、MDSを治療、予防、管理及び/又は改善する方法が提供される。
【0079】
さらに、治療有効量の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む、AML及び/又はMDSに関連する1つ又は複数の臨床エンドポイントを達成するための方法が、本明細書において提供される。
【0080】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団において、全生存期間(OS)、完全寛解率(CRR)、客観的奏効率(ORR)、無憎悪期間、無再発生存期間(RFS)、無増悪生存期間(PFS)イベントフリー生存率、寛解期間、奏効期間、及び/又は寛解/奏効に至るまでの期間を増加させる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の、全生存期間(OS)、完全寛解率(CRR)、客観的奏効率(ORR)、無憎悪期間、無再発生存期間(RFS)、無増悪生存(PFS)イベントフリー生存率、寛解期間、奏効期間、寛解/奏効に至るまでの期間、及び/又は輸血非依存性を増加させる。
【0081】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の全生存期間(OS)を延長させる。
【0082】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の完全寛解率(CRR)を増大させる。
【0083】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の客観的奏効率(ORR)を増大させる。
【0084】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の無憎悪期間を延長させる。
【0085】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の無再発生存期間(RFS)を延長させる。
【0086】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の無再発生存期間(PFS)を延長させる。
【0087】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団のイベントフリー生存率を増大させる。
【0088】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の寛解期間を延長させる。
【0089】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の奏効期間を延長させる。
【0090】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の寛解/奏効に至るまでの期間を延長させる。
【0091】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたAMLを有する患者集団の輸血非依存性を増大させる。
【0092】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団において、全生存期間(OS)、完全寛解率(CRR)、客観的奏効率(ORR)、無憎悪期間、無再発生存期間(RFS)、無増悪生存(PFS)イベントフリー生存率、寛解期間、奏効期間、及び/又は寛解/奏効に至るまでの期間を増加させる。
【0093】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の全生存期間(OS)を延長させる。
【0094】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の完全寛解率(CRR)を増大させる。
【0095】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の客観的奏効率(ORR)を増大させる。
【0096】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の無憎悪期間を延長させる。
【0097】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の無再発生存期間(RFS)を延長させる。
【0098】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の無再発生存期間(PFS)を延長させる。
【0099】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団のイベントフリー生存率を増大させる。
【0100】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の寛解期間を延長させる。
【0101】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の奏効期間を延長させる。
【0102】
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、化合物1で治療されていない患者集団と比較して、有効量の化合物1で治療されたMDSを有する患者集団の寛解/奏効に至るまでの期間を延長させる。
【0103】
特定の実施形態では、ORRには、完全寛解(CR)(すなわち、形態学的に白血病細胞がない状態、形態学的CR、細胞遺伝学的CR、分子CR、及び不完全血液回復を伴う形態学的CR)、及び部分寛解の全ての奏功が含まれる。
【0104】
6.4 サイクリング療法/投薬量
本明細書で提供される方法では、治療有効量の化合物1は、治療される癌とは無関係に、それを必要とする患者に周期的に投与することができる。サイクリング療法は、1つ又は複数の療法に対する耐性の発生を低減し、療法の1つの副作用を回避若しくは低減し、且つ/又は治療の有効性を改善することができる。
【0105】
一実施形態では、治療有効量の化合物1は、最大5日の投与期間とそれに続く休止期間とを含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、治療サイクルは、7日間の投与期間と、それに続く休止期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日間の投与期間と、それに続く休止期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大14日間の投与期間と、それに続く休止期間を含む。一実施形態では、休止期間は約28日である。
【0106】
一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1~5日目に治療有効量の化合物1を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1~7日目に化合物1を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1~10日目に化合物1を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1~14日目に化合物1を投与することを含む。
【0107】
一実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22及び25日目に治療有効量の化合物1を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に化合物1を投与することを含む。別の実施形態では、治療サイクルは、28日サイクルの1、4、8及び11日目に化合物1を投与することを含む。
【0108】
本明細書に記載の治療サイクルはいずれも、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上のサイクルにわたって繰り返すことができる。特定の例では、サイクリング療法は、サイクル数が限定されることはなく、治療は病勢の進行まで継続される。サイクルは、特定の例では、本明細書に記載の投与期間及び/又は休止期間を変化させることを含み得る。
【0109】
一実施形態では、治療サイクルは、化合物1を約0.05mg/日~約20mg/日、約0.1mg/日~約15mg/日の投与量で1日1回投与することを含む。
【0110】
一実施形態では、治療サイクルは、化合物1を約0.1mg/日、0.2mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.8mg/日、1mg/日、1.5mg/日、2mg/日、3mg/日、6mg/日、9mg/日及び12mg/日の投与量で1日1回投与することを含む。
【0111】
化合物1は、治療サイクルの全投与期間、同じ量で投与することができる。或いは、一実施形態では、化合物は、投与期間において異なる用量で投与される。
【0112】
6.5 組み合わせ療法
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、治療有効量の化合物1を、治療有効量の他の治療薬と組み合わせて投与することを含む。
【0113】
一実施態様では、AML又はMDSを治療、予防又は管理する方法であって、治療有効量の本明細書で提供される化合物1をサイクリング療法で患者に、治療有効量の1種以上の第2の活性薬剤と組み合わせ、且つ任意選択により放射線療法、輸血、生物学的療法若しくは免疫療法、又は外科手術と組み合わせて、投与することを含む方法が提供される。第2の活性薬剤の例は、本明細書に開示される。
【0114】
本明細書で使用される場合、「組み合わせて」という用語は、2つ以上の療法(例えば、1種以上の予防薬及び/又は治療薬)の使用を含む。しかしながら、「組み合わせて」という用語の使用は、治療(例えば、予防薬及び/又は治療薬)が疾患又は障害を有する患者に施される順序を制限しない。第1の治療(例えば、本明細書に提供される化合物1などの予防薬又は治療薬)は、第2の治療(例えば、予防剤又は治療剤)の対象への施用の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間又は12週間前に)、同時に、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間又は12週間後に)施すことができる。三重療法もまた、本明細書において企図される。
【0115】
特定の実施形態では、治療有効量の化合物1及び1種以上の第2の活性薬剤の患者への投与は、同じ又は異なる投与経路によって同時に又は連続して行うことができる。特定の活性薬剤に使用される特定の投与経路の適合性は、活性薬剤そのもの(例えば、血流に入る前に分解することなく経口投与できるかどうか)及び治療されるがんに依る。
【0116】
化合物1の投与経路は、第2の療法の投与経路とは無関係である。したがって、これらの実施形態によれば、化合物1は静脈内投与し、第2の治療薬は、経口的に、非経口的に、腹腔内に、静脈内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、筋肉内に、直腸に、経頬的に、経頬的に、鼻腔内に、リポソームにより、吸入により、膣内に、眼内に、カテーテル若しくはステントによる局所送達により、皮下に、脂肪内に、関節内に、髄腔内に、又は徐放性剤形で投与することができる。一実施形態では、化合物1及び第2の療法は、IVによる同じ投与様式によって投与される。別の実施形態では、化合物1は、1つの投与様式、例えばIVにより投与され、一方、第2の薬剤(抗癌剤)は、別の投与様式、例えば経口により投与される。
【0117】
一実施形態では、第2の活性薬剤は、静脈内又は皮下に、約1~約1000mg、約5~約500mg、約10~約350mg又は約50~約200mgの量で、1日1回又は2回投与される。第2の活性薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理される疾患の種類、疾患の重症度及び病期、並びに患者に同時に投与される化合物1及び任意選択の追加の活性薬剤の量に依存する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組み合わせ療法の成分は、患者に周期的に投与される。別の実施形態では、第2の活性薬剤は、本明細書で提供される組み合わせ療法と周期的投与で同時投与される。サイクリング療法には、ある期間の活性薬剤の投与、その後のある期間の休止、及びこの連続投与を繰り返すことが含まれる。サイクリング療法は、各活性薬剤(例えば、化合物1、及び/又は本明細書に記載の第2の活性薬剤)について、所定の期間にわたって独立して実施することができる。特定の実施形態では、各活性薬剤の周期的投与は、対象に投与される活性薬剤の1種以上に依存する。一実施形態では、本明細書に記載の化合物1又は第2の活性薬剤の投与は、各薬剤の投与の日数又は期間を固定する。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物1又は第2の活性薬剤の投与が第2の活性薬剤の投与の日数又は期間を固定する。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物1及び第2の活性薬剤は、休止期間なしで連続的に(例えば、毎日、毎週、毎月)投与される。サイクリング療法は、1つ又は複数の療法に対する耐性の発生を低減し、療法の1つの副作用を回避若しくは低減し、且つ/又は治療若しくは治療薬の有効性を改善することができる。
【0120】
一実施形態では、治療有効量の化合物1は、本明細書に記載の組み合わせ療法の成分として、28日サイクルの1~5日目、1~7日目、又は1~14日目に、1日1回投与される。一実施形態では、治療有効量の化合物1は、本明細書に記載の組み合わせ療法の成分として、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22及び25日目に、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に、又は28日周期の1、4、8及び11日目に。1日1回投与される。このような組み合わせ療法は、化合物1を投与する前、投与と同時に、又は投与した後に、1日以上(例えば、サイクル1の1日目に)に、本明細書に記載される第2の活性薬剤を投与することを含む。一実施形態では、組み合わせ療法は、28日間の1~13サイクル(例えば、約12か月)にわたって行われる。このような組み合わせの本明細書に記載の化合物1及び第2の活性薬剤は、本明細書に記載の濃度又は量で含まれ得る。特定の実施形態では、第2の活性薬剤は、サイクリング療法中、1日1回、週1回、又は月1回投与することができる。別の実施形態では、第2の活性薬剤は、本明細書に記載の組み合わせ療法と組み合わせて週1回投与される。
【0121】
一実施形態では、治療有効量の化合物1は、本明細書に記載の組み合わせ療法の成分として、1日1回、7日間連続して投与される。このような組み合わせ療法は、治療有効量の化合物1を1日以上(例えば、サイクル1の1日目に)投与する前に、投与と同時に、又は投与後に、治療有効量の本明細書に記載の第2の活性薬剤を投与することを含む。別の実施形態では、治療有効量の化合物1は、28日サイクルにおいて、7日間連続して1日1回投与され、その後、21日間の休止(例えば、化合物の投与なし/治療の中止)が続く。このような組み合わせ療法は、化合物1を1日以上(例えば、サイクル1の1日目に)投与する前に、投与と同時に、又は投与後に、治療有効量の本明細書に記載の第2の活性薬剤を投与することを含む。一実施形態では、組み合わせ療法は、28日間の1~13サイクル(例えば、約3か月)にわたって行われる。このような組み合わせの本明細書に記載の化合物1及び第2の活性薬剤は、本明細書に記載の濃度又は量で含まれ得る。一実施形態では、組み合わせ療法は、28日サイクルの7日間にわたって連続的に治療有効量の化合物1を投与すること、及び各サイクルの少なくとも1日(例えば、サイクル1の1日目)に治療有効量の第2の活性薬剤を、各サイクルの少なくとも1日に投与される第2の活性薬剤と組み合わせて投与することを含む。一実施形態では、治療有効量の化合物1は、28日サイクルの1~5日目、1~7日目、1~10日目、又は1~14日目に1日1回、本明細書に記載の組み合わせ療法の成分として投与される。このような組み合わせ療法は、治療有効量の化合物1を1日以上投与する前に、投与と同時に、又は投与後に、治療有効量の本明細書に記載の第2の活性薬剤を投与することを含む。別の実施形態において、治療有効量の化合物1は、28日サイクルの1、4、8、11、15、18、22及び25日目に1日1回投与される。このような組み合わせ療法は、化合物1を1日以上投与する前に、投与と同時に、又は投与後に、治療有効量の本明細書に記載の第2の活性薬剤を投与することを含む。別の実施形態において、治療有効量の化合物1は、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に1日1回投与される。このような組み合わせ療法は、化合物1を1日以上投与する前に、投与と同時に、又は投与後に、治療有効量の本明細書に記載の第2の活性薬剤を投与することを含む。
【0122】
特定の実施形態では、第2の活性薬剤は、サイクリング療法中、1日1回、週1回、又は月1回投与することができる。別の実施形態では、第2の活性薬剤は、本明細書に記載の組み合わせ療法と組み合わせて週1回投与される。
【0123】
本明細書に記載の組み合わせ療法において使用するための化合物は、独立して、1日1回(QD)投与することができ、又は本明細書に記載の組み合わせ療法の一部として、1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)など、1日用量を複数回に分割することができる。さらに、投与は、連続的(すなわち、連続した日又は毎日)、断続的、例えばサイクルで(すなわち、薬物なしの休止の日、週又は月を含む)であり得る。本明細書で使用される場合、用語「毎日」は、治療薬が1日1回又は1日2回以上、例えばある期間にわたって投与されることを意味することが意図される。「連続的」という用語は、治療薬が少なくとも10日間~52週間の途切れることがない期間にわたって毎日投与されることを意味することが意図される。「断続的な」又は「断続的に」という用語は、本明細書で使用される場合、規則的又は不規則な間隔で停止及び開始することを意味することが意図される。例えば、本明細書に記載の組み合わせ療法において使用するための化合物の断続的な投与は、1週間に1~6日間、サイクルでの投与(例えば、2~8週間にわたって連続して毎日投与し、次いで最大1週間投与を伴わない休止期間)、又は隔日での投与で投与することができる。本明細書で使用される「サイクリング」という用語は、治療薬が毎日又は連続的に、しかし休止期間を伴って投与されることを意味することが意図される。
【0124】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせ療法で使用するための化合物は、1日~6か月、1週間~3か月、1週間~4週間、1週間~3週間、又は1週間~2週間、1日1回投与される。特定の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせ療法で使用するための化合物は、1週間、2週間、3週間、又は4週間、1日1回投与される。一実施形態では、本明細書に記載の組み合わせ療法で使用するための化合物は、1週間、1日1回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせ療法で使用するための化合物は、2週間、1日1回投与される。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせ療法で使用するための化合物は、3週間、1日1回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせ療法で使用するための化合物は、4週間、1日1回投与される。
【0125】
1種又は複数の第2の活性成分又は薬剤を、本明細書で提供される方法及び組成物において、化合物1と一緒に使用することができる。第2の活性剤は、高分子(例えば、タンパク質)又は低分子(例えば、合成無機分子、有機金属分子、又は有機分子)であり得る。
【0126】
第2の活性剤としては、シタラビン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミドスタウリン、クラドリビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、フルダラビン、ミトキサントロン、ギルテリチニブ、グラスデギブ、及びベネトクラクスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本明細書で提供される化合物と、前述の化合物の1種以上、及び任意選択の1種以上のさらなる薬理学的に活性な物質とのあらゆる好適な組み合わせが、本明細書で企図されていることは理解されるであろう。
【0128】
6.6 患者集団
本明細書で提供される方法の特定の実施形態では、対象は、動物、例えば哺乳動物又は非ヒト霊長類である。特定の実施形態では、対象はヒトである。対象は、男性又は女性の対象であり得る。
【0129】
一実施形態では、本明細書で提供される方法の対象としては、ヒト患者、例えば、再発性又は難治性急性骨髄性白血病を含む急性骨髄性白血病と診断された患者が挙げられる。一実施形態では、本明細書で提供される方法の対象としては、再発性又は難治性MDSを有する患者を含むヒトMDS患者が挙げられる。
【0130】
一実施形態では、対象は、臨床的利益を提供し得る全ての利用可能な療法が不成功又は無効であった、WHO基準によって定義される再発性又は難治性のAML及びR/R HR-MDSを有する。一実施形態では、対象には、標準治療の試験前評価中に得られた、NGS、ポリメラーゼ連鎖反応、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、又は核型分析によって決定される、既知のTP53変異、又はTP53若しくは染色体p17のヘテロ接合性の消失がない。一実施形態では、対象は、臨床的利益を提供し得る全ての利用可能な療法が不成功又は無効であった、WHO基準によって定義される再発性又は難治性のAML及びR/R HR-MDSを有し、且つ標準治療の試験前評価中に得られた、NGS、ポリメラーゼ連鎖反応、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、又は核型分析によって決定される、既知のTP53変異、又はTP53若しくは染色体p17のヘテロ接合性の消失がない。
【0131】
いくつかの実施形態では、対象は18歳以上である。いくつかの実施形態では、対象は、18、25、35、40、45、50、55、60、65又は70歳を超える。他の実施形態では、対象は65歳未満である。
【0132】
いくつかの実施形態では、対象は、対象の白血病の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータススコアに基づいて治療される。いくつかの実施形態では、対象は、0~2のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は、0のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は、1のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。他の実施形態では、対象は、2のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、対象は、対象の骨髄異形成症候群(MDS)の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータススコアに基づいて治療される。いくつかの実施形態では、対象は、0~2のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は、0のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。いくつかの実施形態では、対象は、1のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。他の実施形態では、対象は、2のECOGパフォーマンスステータススコアを有する。
【0134】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、ドナーリンパ球注入(DLI)から少なくとも4週間(化合物1の初回投与から)、コンディショニングなしで経過した対象の治療を包含する。
【0135】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、以下のスクリーニング検査値を有する対象の治療を包含する:
正常範囲内(WNL)の補正血清Ca又は血清遊離(イオン化)Ca。
補正Ca(mg/dL)=総Ca(mg/dL)-0.8(アルブミン[g/dL]-4)
初回注入前の白血球総数(WBC) <25×109/L。このレベルを達成するために、事前の白血球除去輸血及び/又はヒドロキシウレアによる前治療若しくは同時治療が許容される。
正常範囲内であるか、又はサプリメントで補正可能なカリウム及びマグネシウム。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT) ≦2.5×正常上限(ULN)。
尿酸 ≦7.5mg/dL(446μmol/L)。低尿酸血症薬(例、アロプリノール、ラスブリカーゼ)による前治療及び/又は同時治療が可能である。
血清ビリルビン ≦1.5×ULN。
Cockcroft-Gault式による推定血清クレアチニンクリアランス ≧60mL/min。
INR <1.5×ULN、及びPTT <1.5×ULN。
【0136】
他の実施形態では、方法は、以前にAMLの治療を受けたことがあるか、又は現在AMLの治療を受けている対象を治療することを包含する。例えば、対象は、AMLのための標準的な治療レジメンで以前に治療を受けたことがあっても、現在治療を受けていてもよい。対象は、当業者に知られた任意の標準的なAML治療レジメンで治療されたことがあってもよい。特定の実施形態では、対象は、少なくとも1つの寛解導入/再寛解導入又はコンソリデーションAMLレジメンで以前に治療されたことがある。いくつかの実施形態では、対象は、コンソリデーションレジメンの一部として自家骨髄移植又は幹細胞移植を受けている。
【0137】
特定の実施形態では、対象は、活動性中枢神経系(CNS)白血病又は既知のCNS白血病を示唆する臨床症状がない。
【0138】
特定の実施形態では、対象は、直ちに生命を脅かすAMLの重度の合併症、例えば、播種性/制御不能感染症、制御不能な出血、及び/又は制御不能な播種性血管内凝固を有しない。
【0139】
特定の実施形態では、対象は、心機能障害又は臨床的に有意な心疾患を有しない。
【0140】
いくつかの実施形態では、対象は、本明細書で提供される方法による化合物1の治療の3か月前又はそれより後に、事前の自家造血幹細胞移植を受けていない。
【0141】
いくつかの実施形態では、対象は、本明細書で提供される方法による化合物1での治療を開始する前の6か月に満たない間に標準的又は強度を低減させたコンディショニングを伴う、事前の同種造血幹細胞移植(HSCT)を受けていない。
【0142】
いくつかの実施形態では、対象は、HSCT後に全身性免疫抑制療法を受けていないか、又は臨床的に有意な移植片対宿主病(GVHD)を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1の治療を開始する前の5半減期又は4週間(いずれか短い方)に満たない間に、事前の癌を対象とした全身治療又は試験モダリティを受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒドロキシウレア治療を受けたことがある。
【0144】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1の治療を開始する前の2週間に満たない間に、大手術を受けていない。
【0145】
いくつかの実施形態では、対象は、既知のHIV感染がない。いくつかの実施形態では、対象は、既知の慢性の活動性B型肝炎又はC型肝炎(HBV/HCV)感染がない。
【0146】
いくつかの実施形態では、対象は、抗凝固剤(例えば、ワルファリン、低分子量ヘパリン、第Xa因子阻害剤)の慢性治療的投薬による治療を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、積極的な継続的全身治療を必要とする同時二次癌の病歴がない。
【0147】
特定の実施形態では、対象は、正常なカルシウム恒常性を破壊するか、又はカルシウム補給を妨げる障害又は病態を有しない。
【0148】
癌を有する対象は、不均一な臨床症状及び様々な臨床転帰を有するので、患者に与えられる治療は患者の予後に応じて変化し得る。熟練した臨床医であれば、過度の実験なしに、癌を有する個々の対象を治療するために効果的に使用することができる、特定の二次薬剤、手術の種類、及び非薬物ベースの標準療法の種類を容易に決定することができるであろう。
【0149】
6.7 活性の評価
所望の抗増殖活性を有する化合物を特定するために、化合物を試験するための標準的な生理学的、薬理学的及び生化学的手順が利用可能である。
【0150】
このようなアッセイとしては、例えば、結合アッセイなどの生化学的アッセイ、放射能取り込みアッセイ、並びに様々な細胞ベースのアッセイが挙げられる。
【0151】
本明細書で提供される実施形態は、以下の実施例を参照することによってより完全に理解され得る。これらの実施例は、本明細書に提供される医薬組成物及び剤形を例示することを意味するが、決して限定するものではない。
【実施例
【0152】
7.実施例
以下の実施例は、限定ではなく例示として提示される。以下の略語は、説明及び実施例において使用される。
【0153】
【表12】
【0154】
【表13】
【0155】
【表14】
【0156】
【表15】
【0157】
実施例1:インビトロ薬理
化合物1は、異なるFrench-American-Britishサブタイプを有し、様々な癌ドライバー変異を有するTP53 WT AML細胞株に対して強力で広範な細胞自律活性を示したが、TP53消失又は変異を有するAML細胞株は、化合物1治療に対して非感受性であった。試験した13種のTP53 WT AML細胞株のうち8種は、化合物1に対して感受性があり、50%阻害濃度(IC50)値は15~500nMの範囲であった。残りの5種の細胞株は、化合物1に対して中程度の感受性があるか又は完全に耐性があった;化合物1治療に対する非反応性はp53タンパク質及び/又はその転写標的BAX及びPUMAの不十分な蓄積と関連した。
【0158】
化合物1の細胞毒性効果は、TP53 WT AML患者から採取した白血病細胞に対しても、ViviaのPharmaFlowテストを用い、AMLにおける標準治療化学療法に対する臨床反応を予測するアッセイによって示された(Martinez-Cuadron et al.A precision medicine test predicts clinical response after idarubicin and cytarabine induction therapy in AML patients,Leuk Res 2019;76,1-10)。
【0159】
9つのAML患者BM試料のうち5つで、白血病細胞は化合物1治療に感受性があり、IC50値はで22nM~412nMの範囲であった。1人を除く全ての患者由来のBM試料中の正常Tリンパ球は、化合物1に対して著しく高い耐性を示した。対照的に、R/R AMLの治療のための第3相臨床試験において試験されたマウスダブルミニッツ2ホモログ(MDM2)阻害剤であるRG7388(イダサヌトリン)は、同じタイプのAML患者由来の白血病細胞及びTリンパ球において汎細胞毒性を示し、化合物1がRG7388よりも良好な治療指数を有し得ることを示した。
【0160】
実施例2:エクスビボ薬理
化合物1のエクスビボ活性を、コロニー形成アッセイを用いて、25人のAML患者のBM試料由来の正常及び白血病前駆体において評価した。コロニー形成ユニット-顆粒球マクロファージ(CFU-GM)コロニーの形成は、ビヒクル対照と比較して、TP53 WT AML試料の大部分(14/18;77.8%)において化合物1によって阻害された。これらの結果は、正常な造血前駆細胞よりも白血病前駆細胞の数を減少させることにおける化合物1の選択的有効性を示唆する。さらに、これらのBM細胞を液体培養で5日間培養した場合、ビヒクル対照と比較して、試験した全てのTP53 WT AML試料において、化合物1に反応して、細胞周期停止及びアポトーシス増加のために、全芽球数が深く減少した。全ての試料は、ナノモル範囲のIC50を示した。CK1α分解、p53蓄積、及び活性化に対する化合物1の効果は、濃度依存性及び時間依存性である。MV4-11 AML細胞株において、0.3μMの化合物1での12時間の処理、その後の化合物1の洗浄は、迅速なCK1αタンパク質の回収及びp53タンパク質の不安定化をもたらした;しかしながら、p21、リン-Ser139-ヒストンH2A.X、及びカスパーゼ3の切断の誘導を含むp53下流事象は少なくとも10時間持続し、化合物1の断続的投与が、最大の抗AML活性を達成するのに十分であり得ることを示唆した。
【0161】
3人のTP53 WT AMLドナー及び3人の健康なドナーのBM試料から単離されたCD34細胞を、4時間~5日の範囲の時間で、液体培養物中の漸増濃度の化合物1で処理した。正常な造血前駆細胞及び幹細胞と比較して、アポトーシス誘導に対する差次的効果が、初代AML芽球及び白血病幹細胞において観察された。周期停止は主に正常細胞で観察されたが、アポトーシスの結果は白血病細胞で検出された。急性骨髄性白血病芽球は、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析によって評価されるように、培養において5日までCK1α分解を持続した。驚くべきことに、p53安定化は、正常なBM細胞(24時間)と比較して、白血病細胞においてより長く(48時間まで)持続した。これらの結果は、白血病細胞においてアポトーシスを誘導するために、48時間のp53安定化がAML初代試料において必要とされ得ることを示唆する。
【0162】
要約すると、化合物1は、分析したほとんどのAML患者由来TP53 WT BM試料において白血病前駆体のコロニー形成能力を阻害し、ナノモル範囲のIC50値で液体培養においてアポトーシス及び細胞周期停止を誘導し、これらの効果はCK1α分解及びp53安定化によって媒介された。比較すると、化合物1は健康なドナーからの正常な造血前駆体に対する影響が少なく、このことは化合物1がAML治療に有効で且つ選択的な療法であり得ることを示唆する。
【0163】
実施例3:インビボ薬理
インビボでの化合物1のCK1α分解活性及びその後の抗腫瘍活性を、2つのTP53 WT AML細胞株由来異種移植モデルにおいて試験した。CK1α分解の深さ及び持続時間は用量依存性であった。化合物1は、播種性MV-4-11 AMLを有するマウスの腫瘍量及び生存期間を、用量、スケジュール、及び期間依存的に、大きく減少させ延長させた。より長期間投与された動物は、腫瘍量のより良好な減少、及び生存期間のより良好な延長を示した。
【0164】
MV-4-11 AML異種移植モデルを用いた単回投与薬物動態(PK)/薬力学(PD)及び有効性試験に基づくと、腫瘍化合物1濃度が>0.1μMであった場合、投与後2時間でCK1αのほぼ90%が分解し、1日16時間まで50%の抑制が維持された。腫瘍における>0.1μMの化合物1の維持、及び3mg/kgでの毎日の投薬によるこの程度のCK1α分解は、腫瘍量を73~99%減少させ、有意な生存利益をもたらした。
【0165】
MV-4-11-luc播種性AML異種移植モデルにおける様々な用量及び間欠的(3日間投与、2日間休止;3日間投与、4日間休止;5日間投与、2日間休止)投薬スケジュールを用いたさらなる試験もまた、スケジュールに依存した腫瘍量の減少及び生存期間の延長を示した。これらの試験は、3日間投与/4日間休止の投薬スケジュールが3日間投与/2日間休止と同じくらい良好であり、間欠的な投与よりも毎日の投与で優れた白血病コントロールが提供されることを示唆している。その後の試験では、MV-4-11-luc播種性AML異種移植片を、2サイクルの固定用量及び様々な投与期間(5/28日、7/28日及び14/28日)で処置した。より長期間投与された動物は、腫瘍量のより良好な減少を示し、生存期間が延長した。休薬投与後のカプラン-マイヤー生存期間分析では、ビヒクル処置動物の生存期間中央値は45.5日であった。50mg/kgで5/28日の2サイクルで化合物1により処置した動物は、ビヒクル対照よりも有意に長く生存し(ログランク検定)、生存期間中央値は68.5日であった(p<0.0001)。10、30及び50mg/kgで7/28日の2サイクルで化合物1により処置した動物の生存期間中央値は、それぞれ67.5(p<0.0001)、70(p<0.0001)及び70(p<0.0001)日であった。3、10及び30mg/kgで14/28日の2サイクルで処置した動物では、それぞれ69.5(p<0.0001)、94.5(p<0.0001)及び152(p<0.0001)日であった。14/28日サイクルで30mg/kgの場合、10匹中4匹の動物は、154日目の試験終了時に腫瘍は存在しなかった。
【0166】
全体として、化合物1による治療は、AML異種移植腫瘍における切断カスパーゼ-3の誘導によって示されるように、有意にCK1αを分解し、p53及びp21などの下流経路マーカーを活性化し、アポトーシスを誘導した。化合物1で処置した腫瘍における有意なCK1αの分解及び下流経路の活性化は、観察された化合物16の抗腫瘍活性がCK1αの分解とp53及びp21の活性化によって媒介されたことを示唆する。
【0167】
実施例4:安全性の薬理
心血管評価(心電図[ECG]及び心拍数)は、優良試験所基準(GLP)準拠の反復投与毒性試験の一部として、意識のあるカニクイザルにおいて実施した。この試験では、化合物1を、第1群~第5群のカニクイザル(5匹/性/群)に、それぞれ0(50mMクエン酸緩衝液(pH3)中、0.5%(w/v)のメチルセルロース、0.25%(v/v)のTween80)、0.03、0.1、0.1及び0.3mg/kgの用量で、2つの異なる投与レジメンを用いて間欠的に強制経口投与した。第2群及び第3群の動物には、4週サイクルの2サイクル中にそれぞれ7日間(レジメン1:1~7日目及び29~35日目)連続投与し、一方、第4群及び第5群の動物には、4週間、週2回(レジメン2:1、4、8、11、15、18、22及び25日目に)投与した。対照動物へのビヒクルの投与に、両方の投与レジメンの組み合わせ(1~7、8、11、15、18、22、25、及び29~35日目)を使用した。9リードECG記録は、試験前に全ての動物に、22日目(投与後1時間±15分)に第4群及び第5群の全ての動物に、並びに5週目(投与後1時間±15分)に第1群、第2群及び第3群の全ての動物に、標準リムリードI、II及びIII、増大リード誘導aVR、aVL及びaVF、並びに胸部リードMV、MV及びMVを用いて行った。全てのECGは、非麻酔動物が拘束椅子で正しい姿勢で座っている間に行った。心拍数、並びにPR、QRS、RR、QT及びQTc間隔を含む定性的(目視検査)及び定量的評価を行った。QTcは、バゼットの式を用いて計算した。心拍数、PR、QRS、QT及びQTc間隔に対する化合物1関連の影響はなかった。雌雄併せた最高血漿中濃度の平均値は、レジメン1の0.1mg/kg/日の群では34日目で31.9ng/mLであり、レジメン2の0.3mg/kg/日の群では15日目で62.6ng/mLであった。これらの値は、0.1mg/日の提案されたヒト化合物1開始用量での予想最高血漿中薬物濃度(Cmax)の0.4ng/mLよりもそれぞれ約80倍及び157倍高い。
【0168】
HEK-293細胞株において発現されるクローン化hERGカリウムチャネルに対する化合物1の効果も調べた。化合物1は、30μMまでの濃度で沈殿しなかった。IonWorks(商標)Barracudaパッチクランプ電気生理学アッセイにおいて、化合物1は>30μMのIC50値を有した。30μMでの阻害率は19%であった。
【0169】
実施例5:非臨床薬物動態
化合物1の全身クリアランスは低く、分布容積はラット及びサルで高かった。化合物1の終末相半減期は、ラット(1.5~1.7時間)及びサル(2.3~4.4時間)において中程度であった。PKの顕著な性差は、いずれの種でも観察されなかった。化合物1は、ラット及びサルにおいて良好な経口バイオアベイラビリティ(≧50%)を有した。ラット又はサルにおけるその後の反復投与では、蓄積は認められなかった。
【0170】
化合物1に対する血漿タンパク質結合は、ヒト及び非臨床種において高いか又は中程度に高く、89.7%~99.3%の範囲であった。遊離分画は、ヒト、ラット及びサルの間で顕著な差はなかった。各種で試験した濃度範囲(25~50倍の範囲)にわたって、遊離分画の変化は<2倍であった。化合物1の血液細胞への分配はないか又は限られていた。
【0171】
化合物1は、ヒト及び動物種の肝細胞において、非酵素的加水分解、酸化、N-脱アルキル化、グルクロン酸抱合及びこれらの経路の組み合わせを受けた。化合物1の代謝物の生成には動物種間で定量的な差が認められたが、非臨床安全性試験に用いられた2種のラット及び/又はサルの肝細胞及び血漿においても、ヒト肝細胞で生成された全ての代謝物が定性的に観察された。ラット及びサルに化合物1を複数回経口投与した後、化合物1は、両種の血漿中の主成分であった。血漿中に観察された代謝物は、肝細胞で観察された代謝物と類似していた。化合物1の酵素代謝は、主にCYP3A4/5によって媒介されている。
【0172】
ヒト肝臓ミクロソームにおいて、化合物1はCYP2C8、CYP2C9、CYP3A4/5の弱い阻害剤であり、IC50値は>30μMであるが、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP2E1に対する阻害効果はほとんど(≦25%)又は全く観察されなかった。NADPHとの30分間のプレインキュベーション後の化合物1は、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP2E1に対する阻害に時間依存性はなく、CYP3A4/5に対しては、弱い時間依存性阻害剤である(30μMで<20%)。ヒト肝細胞培養において、化合物1により最大50μMで3日間連続して処理した結果、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4のmRNA発現に用量依存的増加は認められなかった。これらのデータは、化合物1がCYP基質と同時投与された場合、CYP阻害又は誘導による臨床に関連する薬物-薬物相互作用が起こる可能性は低いことを示唆する。
【0173】
非臨床種におけるクリアランス及び分布容積の相対的尺度に基づくと、ヒトのクリアランスは111mL/hr/kg(肝血流量の約9%)と低く、分布容積は1.42L/kg(全体水分量の約2.5倍)と高いと予測される。相対的尺度から導出されたPKパラメータを使用し、ヒトにおける経口バイオアベイラビリティが50%であると仮定して、予測されるヒトの1日1回(QD)の開始用量0.1mgで、予測されるヒトのCmax及び投与後0~24時間における血漿中濃度時間曲線下面積(AUC0-24)は、0.4ng/mL及び5.3ng・h/mLである。この予測される単回投与曝露量は、カニクイザルのHNSTD(最高非重度毒性量、0.03mg/kg/日)の約10倍である。
【0174】
実施例6:非臨床毒性
サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)及びエシェリキア・コリ(Escherichia coli)における細菌復帰突然変異試験
サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)株(TA1535、TA1537、TA98、TA100)及びエシェリキア・コリ(Escherichia coli)株のWP2 uvrAにおいて、細菌復帰突然変異試験のプレート組み込みバージョンを用いて、補充ラット肝臓分画(S9mix)の存在下及び非存在下、5000μg/プレート(このアッセイの標準限界濃度)までの濃度範囲で、化合物1を試験した。ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒として使用した。
【0175】
陰性対照の復帰突然変異体コロニー数の平均値は、実験室の過去の対照範囲内であった。細菌をまた標準的な陽性対照とともにインキュベートし、これらの薬剤に対する種々の細菌株の反応により、試験系の感度及びS9ミックスの活性を確認した。したがって、陰性対照及び陽性対照の両方からの結果により、アッセイの有効性が確認された。
【0176】
不完全若しくは存在しない非復帰突然変異体細菌のバックグラウンドローン、又は復帰突然変異体コロニー数の実質的な減少は、任意の株での化合物1への曝露後には得られず、試験した最高濃度の細菌に対して化合物1が非毒性であったことを示した。沈殿は、化合物1の5000μg/プレートの濃度で、S9の非存在下の全ての試験菌株において観察された。S9mixの有無にかかわらず、任意の濃度の化合物1に曝露した後、試験菌株のいずれについても復帰突然変異体コロニー数の実質的な増加は得られなかった。したがって、化合物1は、このインビトロアッセイにおいて変異原性の誘導について陰性であると考えられた。
【0177】
化合物1は、このインビトロ変異原性アッセイにおいて、遺伝毒性活性のいかなる証拠も示さなかった。
【0178】
ヒト末梢血リンパ球を用いた小核試験
代謝活性化系、アロクロール誘導ラット肝臓分画(S9)の存在下及び非存在下、ヒト末梢血(PB)リンパ球におけるインビトロ哺乳動物細胞小核試験において、化合物1を、4時間、及びS9の非存在下で24時間、試験した。試験した最高濃度は481μg/mLであった。ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒として使用した。両方の4時間処置レジメンでは、小核スコアリングのために選択した試験項目の最高濃度は、観察された細胞毒性(細胞分裂阻止増殖率(CBPI)結果に基づくと、約55%の細胞毒性)が限定的ではなかったので、試験した最高濃度であった。24時間の処置レジメンでは、小核スコアリングのために選択した試験項目の最高濃度は、CBPI結果(120μg/mL)に基づくと、約55%の細胞毒性を生じたものであった。さらに、各レジメンにおける小核スコアリングのために、適切な濃度及び細胞毒性間隔を有する2つのより低い濃度を選択した。陰性対照の結果は、実験室の陰性履歴対照データの範囲内であった。染色体構造異常誘発性(マイトマイシンC(MMC)、シクロホスファミド一水和物(CP))及び染色体数的異常誘発性(ノコダゾール(NOC))の陽性対照は、同時陰性対照と比較して、小核二核細胞の発生率の統計的に有意な増加をもたらした。陽性対照の値はまた、過去の陰性対照データの95%上限を超えており、試験系の感度及びS9mixの有効性が確認された。したがって、このアッセイは有効であると考えられた。
【0179】
化合物1は、1mMの最大推奨濃度(4時間レジメン)又は細胞毒性限界(約55%、24時間レジメン)までのいずれの実験時点においても、小核を有する二核細胞(MBC)の割合の統計的に有意な増加を引き起こさず、小核についてスコア化された処置群のいずれも、実験室の陰性の過去の対照範囲について観察された上限95%を超えるMBCの発生率を生じなかった。
【0180】
化合物1は、このアッセイにおいて、ヒト末梢血リンパ球における小核の誘導についてのこのインビトロ試験における遺伝毒性活性のいかなる証拠も示さなかった。
【0181】
ラットにおける用量毒性試験
1又は2治療サイクルで間欠的にラットに強制経口投与されたときに、化合物1の毒性及びトキシコキネティクスのプロファイルを研究した。化合物1の2つの異なる投薬レジメンを比較して、毒性プロファイルの差異を決定した。さらに、対照動物には、両方の投与レジメンの組み合わせを用いてビヒクルを投与した。被験物質に関連した影響の回復を、4週間の回復期間中に評価した。
【0182】
レジメン1の動物には、4週サイクルの2サイクル中にそれぞれ7日間(1~7日目及び29~35日目に0.3又は3mg/kg)連続投与し、レジメン2の動物には、4週間、週2回(1、4、8、11、15、18、22及び25日目に0.5又は5mg/kg)投与した。最終投与日の翌日に投与終了剖検を実施した。所見の可逆性を評価するために4週間の回復期間を含めた。化合物1の投与は、3mg/kg(レジメン1)及び5mg/kg(レジメン2)で、血液学的変化(赤血球量、白血球、及び血小板の減少)と相関するBMにおける有害な顕微鏡的変化(細胞性の減少)と、全ての化合物1処置群における男性生殖管における顕微鏡的所見(睾丸における尿細管変性及び精母細胞枯渇、精巣上体における細胞残照及び精子の減少)、並びに前立腺及び乳腺(男性)における萎縮と関連した。したがって、雄(両レジメン)では、無毒性量(NOAEL)は特定されなかった。レジメン1では、無毒性量(雌)及び動物の10%に重度の毒性を発現させる用量(STD)(STD10)が0.3mg/kgと考えられ、これは、225ng/mLのCmax、及び761ng・hr/mLの投与時から測定可能な最後の陽性濃度までのAUC(AUCLST)(雌雄合わせて)に相当する。レジメン2では、NOAEL(雌)及びSTD 10は0.5mg/kgと考えられ、263ng/mLのCmax及び1200ng・hr/mLのAUCLST(雌雄合わせて)に相当する。
【0183】
サルにおける用量毒性試験
サルにおける反復投与毒性試験において、化合物1を、2つの異なる投薬レジメンを用いて、強制経口投与により間欠的に投与した。レジメン1の動物には、4週サイクルの2サイクル中にそれぞれ7日間(1~7日目及び29~35日目に0.03又は0.1mg/kg)連続投与し、レジメン2の動物には、4週間、週2回(1、4、8、11、15、18、22及び25日目に0.1又は0.3mg/kg)投与した。
【0184】
最終投与日の翌日に投与終了剖検を実施した。所見の可逆性を評価するために4週間の回復期間を含めた。回復期中にレジメン1を使用した0.1mg/kgでの化合物1の投与は死亡率と関連していた。3匹の動物(雄2匹、雌1匹)を福祉上の理由で安楽死させ、1匹の雌は、重度の白血球減少症と菌血症の可能性、並びに播種性点状出血を伴う重度の血小板減少症をもたらす、BM細胞性の減少(顕著から重度)により死亡しているのが発見された。レジメン2を用いて0.1mg/kg及び0.3mg/kgで処置した動物において、同様の有害な血液学的変化及びBM細胞性の減少が観察された。レジメン1を用いて0.03mg/kgで処置した動物においては、有害な所見は観察されなかった。したがって、NOAEL及び最大非STD(HNSTD)は、レジメン1では0.03mg/kgと考えられ、これは、9.95ng/mLのCmax及び51.4ng・hr/mLのAUCLST(雌雄合わせて)に相当した。レジメン2では、無毒性量は確認されず、HNSTDは0.1mg/kgであると考えられ、これは、21.5ng/mLのCmax及び173ng・hr/mLのAUCLST(雌雄合わせて)に相当した。
【0185】
実施例7:再発性若しくは難治性の急性骨髄性白血病又は再発性若しくは難治性の高リスク骨髄異形成症候群を有する被験者における化合物1の第1相、非盲検、用量設定試験
対象疾患:再発性又は難治性の急性骨髄性白血病(R/R AML)の治療;
再発性又は難治性の高リスク骨髄異形成症候群(R/R HR-MDS)の治療。
【0186】
目的
主要目的:
化合物1の安全性及び忍容性を決定する。
化合物1の最大耐量(MTD)及び/又は推奨される第2相推奨用量(RP2D)並びにスケジュールを決める。
【0187】
副次的目的:
R/R AML及びR/R HR-MDSにおける化合物1の予備的有効性を評価する。
血漿中の化合物1及び化合物2の薬物動態(PK)を特徴付ける。
【0188】
試験デザイン
これは、R/R AMLを有する対象又はR/R HR MDSを有する対象における化合物1のヒト臨床研究において最初に行われた、非盲検、第1相、用量漸増及び拡大である。両方の対象集団は、標準治療の試験前評価として地域で決定される既知のTP53変異、又はヘテロ接合性の消失があってはならない。この試験の用量漸増パート(パートA)では、R/R AML及びR/R HR-MDSを有する対象を登録し、経口投与される化合物1の漸増用量の安全性及び忍容性を評価し、最大耐量(MTD)及び/又は予備的第2相推奨用量(RP2D)並びにスケジュールを決定する。試験全体を通して、用量漸増/漸減に関する最終決定は、安全性審査委員会(SRC)によってなされる。
【0189】
拡大パート(パートB)では、選択された用量及びスケジュールの忍容性を確認し、有効性がさらなる開発を必要とする範囲にあるかどうかを評価する。パートBは、R/R AML及びR/R HR-MDSのための2つの別個のコホートに被験者を登録する。
【0190】
1日1回(QD)及び週に2回(BIW)の投与スケジュールで、約40人の被験者をパートA(用量漸増)に登録することができる。パートB(用量拡大)の間、1コホート当たり約20~40人の応答評価可能な被験者を、合計約80人の被験者のために計画された2つのコホートに登録することができる。
【0191】
パートA-用量漸増
治療量以下の用量に曝露される被験者の数を制限するために、最初は加速タイトレーションアプローチを使用して、1用量レベル(DL)当たり1人以上の被験者の登録で、0.1mgの開始用量から漸増する。加速タイトレーションアプローチによる用量漸増中の以下の観察により、被験者の数を1コホート当たり最少1人から最少3人まで増加させることが必要になる:
・他の特定の原因によるものであると明確に判断できない限り、単一の被験者におけるグレード2以上の非血液学的AE。
・ベースライン時に輸血依存性でない被験者において、サイクル1の1日目から50%を超える血小板減少を構成するグレード4の血小板減少症。
・疾患の進行又はヒドロキシウレアの併用によって説明されない、ベースラインから50%を超える減少を伴うグレード4の好中球減少症(この基準は、ベースラインでグレード4の好中球減少症を有する被験者を除外する)。
・投与期間中の末梢血芽球又は(血液中に芽球が認められない被験者における)好中球のクリアランスによって証明される強力な薬理作用。
【0192】
1コホート当たり最小1人から少なくとも3人の被験者までのコホート拡大に続いて、DLTが観察されると加速タイトレーションフェーズが終了し、全てのその後の用量漸増ステップ(単一被験者コホート中のDLTが、複数被験者コホートに行き、BLRMの使用を開始するという同じ決定をもたらす)のために、過大用量制御を伴う増量(EWOC)を伴うベイズロジスティック回帰モデル(BLRM)の使用をトリガーする(Babb et al.Cancer phase I clinical trials:efficient dose escalation with overdose control Stat Med.1998;17(10):1103-20;Neuenschwander et al.Critical aspects of the Bayesian approach to phase I cancer trials Stat Med.2008;27(13):2420-39)。これは利用可能な事前安全性情報を組み込み、被験者の各新たなコホートがサイクル1を完了した後にモデルパラメータを更新し、化合物1の用量漸増及びMTD/RP2Dの推定のためのガイダンスを提供する。活性用量コホートに登録された全ての患者は、DLT期間を通して観察され、25%を超えるDLT率の事後確率が、後続のコホートのためのBLRMベースの用量選択ガイダンスが次の用量増分の選択のためにSRCに提供される前に推定される。
【0193】
用量及びスケジュールの所見は、7日間のQD投与の評価、その後の21日間の回復期間(すなわち、28日サイクル当たり1~7日目)から始まる。1~7日目のQDスケジュールのための暫定的な用量漸増ステップを図1に示すが、100%以下の用量増分を含む。SRCは用量増分を減らすために用量レベルを変更することを選択することができ、高用量コホート、用量コホート内の追加の被験者を評価し、中間用量コホート又は代替投与スケジュールを開始し、且つ/又はBLRMガイダンス結果を検討した後のMTD、並びに少なくともDLT期間の間に1用量レベル当たり必要な被験者数が観察された場合に利用可能な安全性、PK、PD及び予備的有効性データを示す決定を行う。
【0194】
安全性及び/又は利用可能なPK/PD並びに予備的有効性解析を検討した上で、毎日投与する期間を5日間(すなわち、28日サイクル当たり1~5日目)に短縮する、又は1~7日目の投与スケジュールで忍容性が認められた用量で10~14日間(すなわち、28日サイクル当たり1~10日目~1~14日目)に延長するように調整することができる。さらに、BIW投与スケジュール(28日サイクル当たり1、4、8、11、15、18、22、25日目)を評価することができる。最終的に、BIW投与を、2週間にわたる投与(28日サイクル当たり1、4、8、11日目)又は3週間にわたる投与(28日サイクル当たり1、4、8、11、15、18日目)に調整することができる可能性がある。SRCが毎日の投与スケジュールからのデータの検討結果に基づいてBIW投与スケジュールを評価すべきであると決定した場合、BIW投与コホートに被験者を登録する前に、治験実施計画書を改訂して、BIW投与及び開始用量の理論的根拠を提供する必要がある。全てのスケジュールにおける用量漸増の決定は、各スケジュールで調整されたBLRMアプローチによって導かれる。
【0195】
パートAでは、任意のコホートにおいて最初の用量が投与された後、各コホートにおける被験者は、少なくとも28日間、低細胞骨髄で基礎のMDSの非存在下で5%以下の骨髄芽球を有するグレード4の好中球減少症及び/又は血小板減少症を有する被験者では最大42日間のDLT観察期間にわたって観察され、その後、次のより高い、治験実施計画書に指定された用量コホートが開始され得る。
【0196】
2人以上の被験者を有する用量漸増コホートにおいて、第1の被験者のサイクル1の1日目の用量は、同じか又はより高い化合物1の用量が代替スケジュールで既に試験されていない限り、次の被験者の最初の用量と1日ずらして行われる。
【0197】
安全性、PK、PD及び予備的有効性観察を確認し、パートBにおける評価のためのMTD又は予備的RP2Dの選択を可能にするために、個々の用量レベルに、1用量コホート当たり最大9人の被験者を補充することができる。
【0198】
BLRMに基づく用量漸増
DLTの観察は、その後の全ての用量漸増ステップについてBLRMの使用を義務付け、最初の投与は1用量レベル当たり最少3~6人の被験者に行われ、少なくともDLT期間にわたって観察された後、その後の被験者のためのBLRMに基づく用量選択ガイダンスが、考慮のためにSRCに提供される。さらに、25%を超えるDLT率の事後確率を推定する。事後確率が50%以下であれば、用量漸増は安全であると考えられる。
【0199】
GLP毒性試験及び利用可能な臨床安全性及びPKデータに基づいて、BLRMは、QD及びBIW投与のための異なるスケジュールを扱うように調整され、一方、QD及びBIWスケジュールにおける同時用量漸増が許容される。
【0200】
BLRMにより観察されたDLTに基づいて用量増分の変更が可能になるが、次のコホートの最大1日用量が、前の用量から100%を超えて増加することはない。MTDは、化合物1が投与された集団の33%未満が最初のサイクルにおいてDLTを経験する最大用量であり、少なくとも6人の評価可能な被験者がこの用量を投与される。用量投与スケジュール内の用量漸増は、MTD又はRP2Dが確立されるまで、又はSRCが代替の用量投与スケジュールにおいて用量所見を追求することを決定するまで進められる。
【0201】
RP2Dは、安全限界が特定される前に、PD分析に基づいて選択され得る。RP2Dが安全性に基づいて選択される場合、BLRMによる推奨はDLT率が目標毒性に収まる可能性が最も高い用量となり、次の用量でのDLT率が0.33を超える可能性が低い(<30%の事後確率)というEWOC原則を常に満たすことになる。SRCによるMTD/RP2Dの最終的な選択は、目標毒性が<25%である最高確率及び有効性に対する過少投与の最少確率の両方を有する用量を選択するために、PK、PD及び曝露反応を評価するモデリング及びシミュレーションによっても導かれる。
【0202】
パートB-コホート拡大
パートAにおけるMTD又は予備的RP2Dの特定に続いて、被験者をパートBに1コホート当たり約20~40人登録することができる。SRCは、BLRMガイダンスの結果、パートAからの安全性、PK、PD及び予備的有効性データの検討結果に基づいて、評価する用量及びスケジュールを決定し、パートBにおいて2つ以上の用量又はスケジュールを拡大することを選択することができる。
【0203】
SRCは、試験期間中、安全性、PK、PD及び予備的有効性データを定期的に検討し、必要に応じて試験の継続及び用量及びスケジュールの変更について勧告を行う。1コホート当たり約20人の被験者が、完全寛解、治療の不成功、又は進行についてそれぞれの疾患反応基準を満たすことに基づいて、又は治療の第2サイクル後の骨髄(BM)検査を伴うサイクル終了反応評価を完了したことに基づいて(いずれか早い方)、反応評価が可能であるとみなされる場合、ベイズ法を利用して無益性解析を実施する。
【0204】
SRCは各コホートへの被験者登録をいつでも停止することができ、無益性解析を含む安全性、PK、PD及び予備的有効性データの検討に基づいて、1コホート当たり最大約40人の反応評価が可能な被験者の登録の継続を認めるかどうかを決定する。
【0205】
試験対象集団
世界保健機関(World Health Organization)(WHO)基準により定義される再発性又は難治性AML及び再発性又は難治性の高リスクMDSを有する18歳以上の被験者で、臨床的利益を提供し得るあらゆる利用可能な治療に失敗したか又は不適格である被験者が、本試験のパートAに登録される。パートBでは、R/R AML及びR/R MDSを有する18歳以上の被験者を2つの別々のコホートに登録する。いずれの被験者集団も、標準治療の試験前評価として地域で決定される既知の腫瘍タンパク質53(TP53)変異、又はTP53のヘテロ接合性の消失があってはならず、且つ適格基準に明記された高度なアンメット・メディカル・ニーズ追加基準を満たしていなければならない。
【0206】
試験期間
登録は、完了するのに約42~48か月(用量漸増及びスケジュール開発のための約24~30か月、及び拡大のための約18か月)かかると予想される。積極的治療の完了及び治療後の追跡調査には、さらに6~24か月かかると予想される。試験全体は、最大で約4~6年間続くと予想される。
【0207】
試験治療
化合物1は、適切な強度(0.1mg、0.5mg及び2mgの強度が挙げられるが、これらに限定されない)のカプセルで治験依頼者によって供給され、この試験のために治験薬(IP)として適切に標識される。化合物1は、現地の臨床研究契約に従い、現地のガイドラインに従って供給される。
【0208】
化合物1は、以下の表に概説されるような割り当てられた治療スケジュールに従って、6サイクルの間28日毎に、経口的にQD又はBIWで経口投与される。
【0209】
【表16】
【0210】
許容できない毒性を伴わず、治療の効果を示す被験者(完全寛解[CR]、部分寛解[PR]、又は臨床効果、例えば輸血量の減少を示す病勢の安定)は、メディカルモニターとの協議の後、その効果の喪失、許容できない毒性、又は被験者/医師の中止決定まで、サイクル6を超えて最大2年まで治療を継続することができる。被験者は、治験責任医師の裁量により、治験依頼者のメディカルモニターと協議の上、2年を超えて化合物1を受け続けることができる。投与は、安全性、PK、PD、及び予備的有効性解析に応じて、用量漸増ルールごとに評価及び調整することができる。
【0211】
主要有効性評価の概要
主要な有効性の変数は、白血病奏効率である。
【0212】
治療を受けた全ての被験者が有効性解析に含められる。白血病反応は治験責任医師が決定する。評価は、AMLの国際ワーキンググループ応答基準(Cheson,J Clin Oncol 2003;21(24):4642-9)に基づく。
【0213】
抗白血病活性の証拠の記述的分析は、治験責任医師による臨床的、実験室的、分子的及び細胞遺伝学的評価に基づいて提供され、これには骨髄芽球割合、骨髄細胞遺伝学、分子反応を評価する分子遺伝学的研究、骨髄フローサイトメトリー、血小板数、及び絶対好中球数の評価が含まれる。
【0214】
応答基準は、最良の全奏効カテゴリー:完全寛解率(CRR)及び客観的奏効率(ORR)によって要約される。ORRには、完全寛解(CR)(すなわち、形態学的に白血病細胞がない状態、形態学的CR、細胞遺伝学的CR、分子CR、及び不完全血液回復を伴う形態学的CR)、及び部分寛解の全ての奏功が含まれる。
【0215】
焦点となる有効性の変数は、ORR及びCRRである。全生存期間(OS)、無再発生存期間(RFS)、無増悪生存期間(PFS)、無イベント生存率、寛解期間、奏効期間、及び寛解/奏効に至るまでの時間を含む臨床活性の他の尺度を要約する。
【0216】
主要安全性評価の概要
BM穿刺及び生検による疾患評価、並びに全血球計算及び末梢血塗抹標本の検査を実施する。
【0217】
さらに、完全寛解(CR)又は血液学的回復が不完全な形態学的CR(CRi)及び部分的な血液学的回復を伴う形態学的CR(CRh)、CR、CRi又はCRh後の再発(白血球分画結果を含む全血球計算に基づいて治験責任医師により評価される)、又は病態進行を確認するために、BM穿刺及び生検を収集しなければならない。追加の穿刺及び/又は生検は、臨床上の必要に応じて収集される(例えば、治験責任医師の医学的評価に基づいて、サイクル1の15日目)。
【0218】
骨髄穿刺及び生検は、形態学、フローサイトメトリー、核型、及び分子研究で評価される。
【0219】
急性骨髄性白血球(AML)に対する有効性解析には、欧州白血病ネット(European LeukemiaNet)(ELN)基準(Doehner et al.,Diagnosis and management of AML in adults:2017 ELN recommendations from an international expert panel,Blood 2017;129(4):424-447)を使用する。この基準は、AMLの国際ワーキンググループ(IWG)効果判定基準(Cheson et al.Revised recommendations of the International Working Group for diagnosis,standardization of response criteria,treatment outcomes,and reporting standards for therapeutic trials in acute myeloid leukemia,J Clin Oncol 2003;21(24):4642-9)を組み込み、拡張するものである。さらに、治療効果をさらに特徴付けるために、CRhがAMLについて報告される(Bloomfield et al.Time to repeal and replace response criteria for acute myeloid leukemia?Blood Rev.2018:32(5)416-425)。骨髄異形成症候群(MDS)の有効性の解析には、骨髄異形成のIWG効果判定基準を使用する(Cheson et al.Clinical application and proposal for modification of the International Working Group(IWG)response criteria in myelodysplasia,Blood 2006;108(2):419-25)。
【0220】
AMLの有効性変数は、CR+CRh+Criとして定義される完全寛解率(CRR)、微小残存病変(MRD)陰性CRR(CRRMRD-)、複合完全奏効率(cCRR=CR+CRRMRD-+CRi+CRh)、形態学的無白血病状態(MLFS)率(MLFSR)、部分寛解率(PRR)、病勢安定率(SDR)、3か月及び9か月での無増悪生存(PFS)率、6か月及び12か月での全生存(OS)率、並びに全奏効率(ORR)である。ORRには、完全寛解(CR)(すなわち、CRMRD-、形態学的CR、細胞遺伝学的CR、分子CR、及び不完全な血液回復を伴う形態学的CR又は部分的な血液学的回復を伴う形態学的CR)、MLFS、及びPRの全ての応答が含まれる。
【0221】
MDSの有効性変数は、MDSに対する骨髄性異形のためのIWG効果判定基準(Cheson et al.Clinical application and proposal for modification of the International Working Group(IWG)response criteria in myelodysplasia,Blood 2006;108(2):419-25)による、CRR、血液学的改善(HI)率を伴う骨髄CR(mCRHIR)、PR率(PRR)、血液学的改善率(HIR)、SDR、3か月及び9か月でのPFS率、6か月及び12か月でのOS率、並びに全奏効率(ORR=CR+HIを伴うmCR+PR+HI)である。
【0222】
OS、PFS、無再発生存期間(RFS)、無イベント生存率(EFS)、寛解期間、奏効期間、AMLへ移行するまでの時間(HR-MDS被験者のみ)及び寛解/奏効に至るまでの時間を含む臨床活性の他の尺度を分析する。
【0223】
疾患の再発若しくは進行又は新たな抗癌療法の開始のために試験治療を中止した被験者は、死亡するまで、追跡不能となるまで、さらなるデータ収集のための同意を撤回するまで、又は試験が終了するまで、最低2年間追跡される。
【0224】
主要安全性評価の概要
本試験の安全性変数には、AE(米国国立癌研究所(National Cancer Institute)[NCI]有害事象共通用語基準[CTCAE]バージョン5.0に概説されているガイドラインに従って重症度が等級分けされ、但し腫瘍崩壊症候群(TLS)はCairo-Bishop TLS等級分けシステム(Cairo et al.Tumour lysis syndrome:new therapeutic strategies and classification.Br J Haematol 2004;127:3-11に従って等級分けされる)、臨床安全性検査変数、身体検査、バイタルサイン、試験治療への曝露、併用薬の評価、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG PS)、心電図(ECG)、及び妊娠可能性のある被験者の妊娠検査が含まれる。
【0225】
主要な薬物動態評価の概要
血漿中の化合物1及び化合物2の測定のために、血液試料を特定の時間に採取する。尿をパートA及び/又はパートBの評価可能な被験者約10人において採取する。パートAの全被験者は、インテンシブ及びスパースの両PKサンプリングスケジュールに参加することが要求される。薬物動態サンプリングを実施する。
【0226】
化合物1(及び化合物2(データが許すならば))のPKパラメータ(必要に応じて、Cmax、AUC0-24、t1/2、CL/F、Vss/F、Tmax)を、血漿濃度-時間データに基づき、ノンコンパートメント解析法を用いて算出する。治験依頼者は、試験治療の安全性を追跡するため、又は試験治療に対する疾患の進行若しくは疾患の反応をより十分に理解するために、追加のPK解析を実施することができる。
【0227】
薬力学的評価の概要
CK1α分解の深さ及び持続時間、p53安定化、p21誘導、MIC-1誘導、並びに正常細胞及び形質転換細胞の組成などの重要なPDエンドポイントを評価するために、末梢血及びBM組織の一部(穿刺及び生検)から治療前及び治療中に薬力学的バイオマーカー試料を採取する。スクリーニング時及び治療中に、BM(又はドライタップの場合は血液試料)の遺伝子発現解析も実施し、後ろ向きに反応及び耐性の機序をさらに探索し、将来の被験者選択戦略の指針とする。AML細胞における化合物1の進行中のプロテオミクス並びに遺伝子発現及び変異プロファイリング実験からさらなるPDマーカーを特定し、ファースト・イン・ヒューマン(FIH)試験に組み込むことができる。
【0228】
AMLの分子多様性を反映して、MRDを検出するための様々なMRDプラットフォームが利用可能である。ELNの推奨に従って、MRD評価を、次世代シーケンシングによるマルチパラメータフローサイトメトリー及び分子MRDのいずれか又は両方を使用して、BM穿刺液において実施する。
【0229】
治験依頼者は、試験治療の安全性を追跡するため、又は試験治療に対する疾患の進行若しくは反応をより十分に理解するために、PD試料について追加の解析を実施することができる。
【0230】
統計的手法
加速タイトレーションデザインは、DLTの発生まで利用される。その後、25%を超えるDLT率の事後確率とともに、EWOCを伴う2パラメータBLRMを利用して、化合物1の用量漸増決定を導き、SRCによって行われる最終決定を伴う研究の漸増フェーズ中のMTDを推定するのを助ける。
【0231】
統計解析は、必要に応じて、又は適用可能に応じて、用量レベル及びスケジュール(パートA)及び腫瘍コホート(パートB)によって行う。RP2D及び用量拡大スケジュール(パートB)で治療された被験者は、安全性分析のために、用量漸増(パートA)において同等の用量及びスケジュールで治療された被験体と組み合わされる。全ての分析は、本質的に説明的になる。被験者の内訳、人口統計学的及びベースライン時の疾患特性、治療への曝露、有効性、安全性、PK及びPDの要約を示す。カテゴリーデータは、頻度分布(被験者の数と割合)で要約し、連続データは記述統計(平均値、標準偏差、中央値、最小値及び最大値)を用いて要約する。
【0232】
有効性解析は、治療/安全性集団に基づいて行われ、主要有効性エンドポイントの有効性評価対象(EE)集団に対して繰り返され、主要とみなされる治療集団を使用した結果が得られる。焦点となる主要な有効性の変数は、ORR及びCRRである。有効性アウトカムは、選択的時点でのCRR/ORR及びPFS/OS率の頻度表を用いて要約し、CRR/ORR及びPFS/OS率の点推定値及び95%CIも同様に報告する。OS、RFS、PFS、EFS、寛解期間、奏効期間、AMLへの移行までの時間(HR-MDS被験者のみ)及び寛解/奏効に至るまでの時間を含む有効性変数をさらに分析する。
【0233】
治療中に発生したAE(TEAE)の重症度は、NCI-CTCAE v.5.0により要約し、但し腫瘍崩壊症候群(TLS)は、Cairo-Bishop TLS等級分けシステム(Cairo et al.Tumour lysis syndrome:new therapeutic strategies and classification.Br J Haematol 2004;127:3-11)に従って等級分けする。TEAEの頻度は、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョン20.1以降のシステム臓器分類及び優先用語によって表にまとめる。グレード3又は4のTEAE、化合物1の中止に至ったTEAE、治験薬に関連するTEAE、死亡、及び重篤なAE(SAE)を別々に表にする。選択した臨床検査値、バイタルサイン、12誘導心電図におけるベースラインからの変化を要約する。全てのデータは、被験者ごとの一覧表にも記載する。安全性データの全ての要約は、化合物1を受けた被験者(治療集団)を用いて行う。
【0234】
全てのバイオマーカー関連データの提示は、別段の指定がない限り、少なくとも1つのベースライン及び1つのバイオマーカー評価を有する治療対象に基づく。各バイオマーカーのベースライン、ベースライン後の値、ベースラインからの変化又はベースラインからの変化率についての記述統計を提示する。
【0235】
要約統計量はまた、試験日及び用量コホートごとに化合物1のPKパラメータについても提供され、少なくとも1つの測定可能な濃度の化合物1で治療された被験者に基づき表形式で提示する。
【0236】
PK、PD、安全性及び有効性の関係の探索を評価することができる。
【0237】
パートAの用量漸増においては、最大約40人の被験者を登録する。実際の数は、MTD又はRP2Dを決定するために必要とされるスケジュール/用量レベルの数に依存する。
【0238】
パートBの用量拡大においては、R/R AMLコホートで約20~40人の被験者、R/R HR-MDSコホートで約20~40人の被験者を登録し得る。1コホート当たり約20人の被験者が、AML及びMDSについてそれぞれELN基準(Doehner et al.Blood 2017 Jan 26;129(4):424-447)又はIWG基準(Cheson et al.Blood 2006;108(2):419-25)による完全寛解、治療の不成功又は進行についての基準を満たすことに基づいて、又は治療の第2サイクル後の骨髄検査を伴うサイクル終了反応評価を完了したことに基づいて(いずれか早い方)、反応評価が可能であるとみなされる場合、ベイズ法を利用して無益性解析を実施する。R/R AML(CR+CRMMRD-+CRi+CRh=cCRの複合率)とR/R HR-MDS(CRR)の複合完全奏効率の事後分布に基づき以下の中止基準を算出する:
・R/R AML:(cCRR >0.25|データ、a、b)の確率 ≦0.1
・R/R HR-MDS:(CRR>0.20|データ、a、b)の確率 ≦0.2
ここで、a、bはベータ分布のパラメータである。R/R AML及びR/R HR-MDSの無益性境界を推定する際に、それぞれ弱い情報価値を持つ事前変数Beta(0.25、0.75)及びBeta(0.20、0.80)を考慮した。
R/R AMLではcCRR<15%、R/R HR-MDSではCRR<10%を対象外とみなす。R/R AMLで≧25%、R/R HR-MDSで≧20%のCRRは、さらなる被験者登録を可能にする。
【0239】
それぞれのコホートへの登録は、上記の中止基準が満たされた場合(R/R AML又はR/R HR-MDSについて20人の対象のうち応答者が2人以下)、無益性のために中止することができ、これは、cCRRがR/R AMLにおいて25%超である確率が10%以下、又はR/R MDSにおいてCRRが20%超である確率が20%以下であることを意味する。さもなければ、登録は、1コホート当たり最大約40人の有効性評価可能な対象まで継続し得る。
【0240】
SRCはコホートへの被験者登録をいつでも中止することができ、無益性解析並びに安全性、PK、PD及び他の予備的有効性解析の検討に基づいて、追加の被験者の登録を認めるかどうかの最終決定を行う。
【0241】
1コホート当たり最大40人の被験者のサンプルサイズで、R/R AMLで25%のCRR、R/R HR-MDSで20%のCRRが観察されたと仮定すると、両側90%ウィルソンスコア信頼区間はR/R AMLで16%~38%、R/R HR-MDSで12%~32%であり、これは、それぞれ真のcCRR及びCRRを意味し、90%の確実性で対象外の有効性シグナルを除外する。
【0242】
選択基準
被験者は、本試験の用量漸増(パートA)又は用量拡大(パートB)に登録されるために、以下の基準を満たさなければならない。
1.被験者は、ICFに署名した時点で≧18歳である。
2.被験者は、試験に関連する評価/手順を実施する前に、ICFを理解し、自主的に署名しなければならない。
3.被験者は、試験のための来院スケジュール及び他のプロトコール要件を遵守する意思があり、且つ遵守することができる。
4.臨床的利益を提供し得る全ての利用可能な療法が不成功又は無効であった、WHO基準によって定義される再発性又は難治性のAML及びR/R HR-MDSを有し、且つ標準治療の試験前評価中に得られた、NGS、ポリメラーゼ連鎖反応、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、又は核型分析によって決定される、既知のTP53変異、又はTP53若しくは染色体p17のヘテロ接合性の消失がない(試験参加前のTP53変異の検査は必須ではない)。
5.被験者は、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータスが0~2である。
6.被験者は、以下のスクリーニング検査値を有していなければならない:
・初回注入前の白血球総数(WBC) <25×10/L。このレベルを達成するためのヒドロキシウレアによる治療は可能であるが、ヒドロキシウレアは1日目以前に中止すべきである。
・カリウム、カルシウム及びマグネシウムは正常範囲内であるか、又は栄養補助剤で補正可能である(総カルシウムが低い場合、アルブミンに対して補正されたカルシウム又はイオン化カルシウムで適格性を評価することができる)。
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT) ≦3.0×正常上限(ULN)(白血病性臓器病変による(この場合、AST及びALTは、≦5.0×ULNであり得る)と考えられない場合)。
・尿酸 ≦7.5mg/dL(446μmol/L)。低尿酸血症薬(例、アロプリノール、ラスブリカーゼ)による前治療及び/又は同時治療が可能である。
・血清総ビリルビン ≦1.5×ULN(ギルバート症候群(例えば、UGT1A1の遺伝子変異)によると考えられない場合)。ギルバート症候群の場合、総ビリルビンは<3×ULNでなければならない。
・Cockcroft-Gault式による推定血清クレアチニンクリアランス ≧60mL/min。24時間の採尿で測定されたクレアチニンクリアランスは、臨床的に必要な場合には許容される。
・INR <1.5×ULN、及びPTT <1.5×ULN。
7.妊娠予防計画(PPP)に従い:
・妊娠可能性(SCBP)の被験者は、化合物1を開始する前に、現場で妊娠検査を受け、治験責任医師によって確認された2回の妊娠検査が陰性でなければならない。被験者は、試験期間中及び試験治療終了後もPPPに記載された頻度に基づいて継続的な妊娠検査を行うことに同意しなければならない。これは被験者が異性間の接触を真に禁欲している場合にも当てはまる。被験者は、治験責任医師が妊娠検査の結果が陰性であることを確認するまで、化合物1を投与されてはいけない。
-スクリーニング時の陰性血清妊娠検査(少なくとも25mIU/mLの感度)
-試験治療のサイクル1の1日目の前、24時間以内の、陰性血清又は尿妊娠検査(治験責任医師の裁量)(検査が試験治療1日目の前、24時間以内に実施される場合、スクリーニング時血清妊娠検査を、試験治療1日目の前の検査として使用できることに留意されたい)。各FCBPに対し、試験終了時にも血清又は尿の妊娠検査(治験責任医師の裁量)を実施しなければならない。
注:妊娠可能性のある被験者は、1)ある時点で初潮を迎えた、2)子宮摘出術(子宮の外科的切除)又は両側卵巣摘出術(両卵巣の外科的切除)を受けていない、又は3)少なくとも24か月間連続して、自然に閉経していない(癌治療後の無月経は妊娠可能性を除外しない)である(すなわち、過去24か月間の任意の時点で月経を経験している)性的に成熟した個人である。
これが被験者の好ましい通常のライフスタイルに合致する場合、真の禁欲は許容される。定期的な禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、症状体温法、排卵後避妊法)及び離脱は、避妊法として認容されない。
・異性間の性交を完全に禁欲することを実践しない限り、妊娠可能な性的に活動的な被験者は、PPPに規定されている適切な避妊方法を使用することに同意しなければならない。
-被験者は、化合物1を開始する前の少なくとも28日間、化合物1による治療の全期間を通して、投与中断の間、及び化合物1の最後の投与後の少なくとも28日間、2つの信頼できる形態の避妊を同時に中断なく使用することに同意しなければならない。
・異性間の性交を完全に禁欲することを実践しない限り、パートナーに妊娠させることができる性的に活動的な被験者(精管切除術を受けたことがある者を含む)は、出産の可能性のあるパートナーと性行為を行う際に、PPPに規定されているバリア避妊法(コンドーム)を使用しなければならない。
-完全な禁欲は、これが対象の好ましい通常のライフスタイルである場合にのみ許容される。
-パートナーを妊娠させることができる被験者は、PPPに明記されているように、化合物1を服用している間、投与中断の間、及び化合物1の最後の投与後の少なくとも92日間、妊娠中のパートナー又は妊娠可能なパートナーとの性的接触の間にコンドームを使用することに同意しなければならない。
・被験者は、PPPに規定された期間、授乳も母乳を与えることも控えることに同意しなければならない。
・妊娠可能な被験者は、化合物1の最後の投与後28日間の妊娠を避けなければならない。
・パートナーを妊娠させることができる被験者は、PPPに明記されているように、化合物1を受けている間、投与中断の間、又は化合物1の最後の投与後の少なくとも92日間、精液又は精子を提供しないことに同意しなければならない。
・全ての被験者は必ず:
-化合物1が潜在的催奇形性リスクを有し得ることを理解する。
-PPPに規定された期間、献血を控えることに同意する。
-妊娠の予防策と胎児への曝露のリスクについてカウンセリングを受ける。
【0243】
上記の実施例は、当業者に、特許請求の範囲に記載された実施形態を作製及び使用する方法の完全な開示及び説明を提供するために提供されており、本明細書に開示されるものの範囲を限定することを意図するものではない。当業者に明らかな変更は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願はそのような刊行物、特許、又は特許出願のそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれることが具体的且つ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
【国際調査報告】