(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】洋上自昇式船舶とともに使用することに適合した輸送船舶用のラック構造体のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B63B 27/00 20060101AFI20240416BHJP
B63B 21/50 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B63B27/00 Z
B63B21/50 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568003
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 US2022026956
(87)【国際公開番号】W WO2022235508
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523183334
【氏名又は名称】フリーデ・アンド・ゴールドマン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー・ディ/ビー/エイ・フリーデ・アンド・ゴールドマン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FRIEDE & GOLDMAN, LLC D/B/A FRIEDE & GOLDMAN, LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】ロブリック,アンティ
(72)【発明者】
【氏名】キャンプ,アーネスト ジーン.ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】リットマン,カイル アラン
(57)【要約】
自昇式船舶と相互に係合し、展開したL字型ラック構造体が、海洋または海バージなどのフィーダ輸送船舶を支持するために使用され、船舶間の相対運動または移動を排除する。提案するラック構造体には、収納位置と展開位置との間を移動可能なものがある。移動可能なラック構造体を使用する方法は、自昇式船舶が所定の位置に到着し、自昇式船舶の船体を所望の静水線(SWL)で海面から上方の適切な高さまで上昇させて、空隙を形成し、ラック構造体を展開することを含む。その後、貨物および/または部品を積んだフィーダ輸送船舶が展開したラック構造体の上に浮かべられる。その後、自昇式船舶は、海底に支持された複数の脚部を含むジャッキシステムを使用して、フィーダ輸送船舶と貨物および/または部品とがSWL上の所望の高さまで上昇させる。この位置から、自昇式船舶と輸送船舶との間の相対運動が排除され、クレーンなどの自昇式船舶吊り上げ装置を、風力タービン部品などのエネルギー部品を設置するためにより安全に使用することができる。底部支持タワー/柱セクションは、自昇式船舶とラック構造体を吊り上げ装置とともに使用することで、組み立てられ、海底に設置される。固定式ラック構造体システムおよびその方法も、自昇式船舶ともに有利に使用することができる。システムと方法とは、海に設置されたエネルギー部品の撤去のための方法またはステップを逆に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に支持可能な船体を有する自昇式船舶とともに使用するためのシステムであって、前記船体が、エネルギー部品の洋上設置のために前記海底に支持されたときに海面より上方に上昇するように構成されており、
前記自昇式船舶の前記船体に相互に係合され、収納位置と展開位置との間で移動するように構成された構造体であって、前記構造体が前記収納位置にあるとき、前記構造体は、前記構造体が前記展開位置にあるときよりも大きな前記海底とのクリアランスを提供するように構成されている、前記構造体と、
洋上設置のために、前記展開位置にある前記構造体により支持された前記エネルギー部品を移動させるために、前記自昇式船舶とともに構成されている、吊り上げ装置と
を備え、
前記自昇式船舶の前記船体は、前記海面より上方に上昇し、これにより展開された前記構造体および前記構造体上の前記エネルギー部品が前記海面より上方に上昇し、前記船舶と前記構造体上に支持された前記エネルギー部品との間の相対移動が排除される、システム。
【請求項2】
前記構造体は、前記構造体が前記収納位置と前記展開位置との間で回動するように構成されるように、前記自昇式船舶と相互に係合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記構造体は、L字型のオープントラスを備え、前記自昇式船舶が海を通行する間の抵抗を低減する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記構造体は、前記構造体が前記収納位置と前記展開位置との間で垂直に移動するように構成されるように、前記自昇式船舶と相互に係合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記構造体は、前記自昇式船舶に対して垂直にスライド可能なL字型部材を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記L字型部材は、オープントラスであり、
前記構造体を前記展開位置と前記収納位置との間で移動させるように、L字型の前記オープントラスとともに構成されている、ラック・アンド・ピニオン手段を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー部品を海面上で輸送し、前記構造体上に受け入れられるように構成された船舶をさらに備え、
前記自昇式船舶が前記構造体および前記フィーダ輸送船舶を上昇させて、前記自昇式船舶と前記フィーダ輸送船舶との間の相対移動を排除する前に、前記輸送船舶が海面上で前記構造体より上方に浮いている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー部品を海面上で輸送するための船舶をさらに備え、
複数のフェンダーは、前記フィーダ輸送船舶と前記構造体との間の衝撃荷重を低減するように前記構造体とともに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記構造体は、前記自昇式船舶に後付けされるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記構造体は、新造の自昇式船舶とともに建造されるように、構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記自昇式船舶は、ジャッキアップであり、船体と、海底と接触して前記ジャッキアップを支持するように構成された前記複数の脚部とを有し、
前記構造体が前記収納位置から前記展開位置に移動する前に、前記ジャッキアップ船体は、海面より上方に上昇し、空隙を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記エネルギー部品を輸送するように構成された船舶を更に備え、
前記自昇式船舶が上昇して前記空隙が形成された後、かつ前記構造体が前記収納位置から前記展開位置に移動した後、前記ラック構造体は、前記展開位置で海面より下方に沈められ、前記フィーダ輸送船舶が前記沈んだラック構造体の上方に浮くことを可能にする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記自昇式船舶は、前記複数の脚部が海底に接触する前に、前記自昇式船舶を位置決めするための動的位置決めシステムをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記エネルギー部品を海面上で輸送するために構成された船舶をさらに備え、
前記自昇式船舶吊り上げ装置は、前記エネルギー部品を前記フィーダ輸送船舶と、海の設置場所との間で移動させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
海底上に支持可能である船体を有し、前記船体は、エネルギー部品の洋上設置のために海底に支持されたときに海面より上方に上昇するように構成されている、自昇式船舶とともに使用されるシステムであって、
風力タービン部品を有する前記エネルギー部品と、
前記風力タービン部品を海面上で輸送するように構成された船舶と、
前記自昇式船舶と相互に係合されており、収納位置と展開位置との間を移動するように構成された構造体であって、前記構造体が前記展開位置にあるとき、前記構造体は、前記フィーダ輸送船舶を受け入れるように構成されており、前記構造体が前記収納位置にあるとき、前記構造体は、前記構造体が前記展開位置にあるときよりも大きな海底とのクリアランスを提供するように構成されている、前記構造体と
を備え、
前記フィーダ輸送船舶が前記展開された構造体の上方に海面に浮いているとき、前記自昇式船舶船体は、海面より上方に上昇し、これにより前記フィーダ輸送船舶が海面より上方に上昇し、前記自昇式船舶と、前記フィーダ輸送船舶上の前記風力タービン部品との間の相対移動が排除される、システム。
【請求項16】
前記構造体は、前記構造体が前記収納位置と前記展開位置との間で回動するように構成されるように、前記自昇式船舶と相互に係合されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記構造体は、L字型のオープントラスを備え、前記自昇式船舶が海を通行する間の抵抗を低減する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記構造体は、前記構造体が前記収納位置と前記展開位置との間で垂直に移動するように構成されるように、前記自昇式船舶と相互に係合されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記構造体は、前記自昇式船舶に対して垂直にスライド可能なL字型部材を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記L字型部材は、オープントラスであり、
前記構造体を前記展開位置と前記収納位置との間で移動させるように、L字型の前記オープントラスとともに構成されているラック・アンド・ピニオン手段を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記自昇式船舶が前記構造体上の前記フィーダ輸送船舶を海面より上方に上昇させる前に、前記自昇式船舶は、海面より上方に上昇されて、空隙を形成する、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
複数のフェンダーは、前記フィーダ輸送船舶と前記構造体との間の衝撃荷重を低減するように前記構造体とともに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記構造体は、前記自昇式船舶に後付けされるように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記構造体は、新造の自昇式船舶とともに建造されるように、構成されている請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記自昇式船舶は、ジャッキアップであり、船体と、海底と接触して前記ジャッキアップを支持するように構成された前記複数の脚部とを有し、
前記構造体が前記収納位置から前記展開位置に移動する前に、前記ジャッキアップ船体は、海面より上方に上昇し、空隙を形成する、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記ジャッキアップが上昇して前記空隙が形成された後、かつ前記構造体が前記収納位置から前記展開位置に移動した後、前記ラック構造体は、前記展開位置で海面より下方に沈められ、前記フィーダ輸送船舶が前記沈んだラック構造体の上方に浮くことを可能にする、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記自昇式船舶は、前記風力タービン部品を、前記フィーダ輸送船舶と海での設置場所との間で移動させるように構成された吊り上げ装置をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記自昇式船舶は、前記風力タービン部品の設置のために前記自昇式船舶を位置決めするめの動的位置決めシステムをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項29】
海底に支持可能である船体を有し、前記船体は、海での風力タービン部品の洋上設置のために海底に支持されたとき、海面より上方に上昇するように構成されている、自昇式船舶の使用のための方法であって、
前記自昇式船舶を海面より上方に上昇させて、空隙を形成し、
前記上昇ステップの後、前記自昇式船舶と相互に係合された構造体を収納位置から展開位置に移動させ、ここで、前記構造体が前記収納位置にあるとき、前記構造体は、前記構造体が前記展開位置にあるときよりも大きな海底とのクリアランスを提供するように構成されており、前記構造体が前記展開位置にあるとき、前記構造体は海面より下方に沈められており、
前記移動ステップの後、前記自昇式船舶を海面より上方に上昇させながら、前記構造体を海面より上方に上昇させて、前記自昇式船舶と前記構造体との間の相対移動を排除し、
前記展開位置にある前記構造体により支持された前記風力タービン部品を、前記自昇式船舶上の吊り上げ装置を用いて、海での設置のために移動させる
ことを含む、方法。
【請求項30】
前記構造体を前記収納位置から前記展開位置に前記自昇式船舶に対して相対的に回動させるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記構造体は、L字型オープントラスを備える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記構造体を前記収納位置から前記展開位置に前記自昇式船舶に対して垂直に移動させるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記構造体は、前記自昇式船舶に対して垂直にスライド可能なL字型部材を備え、前記L字型部材は、オープントラスである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
フィーダ輸送船舶をさらに備え、
前記フィーダ輸送船舶を用いて前記風力タービン部品を海面上で輸送し、ここで、前記上昇ステップの前に前記フィーダ輸送船舶は前記構造体の上方に浮いており、
前記上昇ステップの後に、海底と接触した前記自昇式船舶脚部を用いて前記自昇式船舶が上昇されて、前記構造体および前記風力タービン部品を海面より上方に上昇させる
ステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
フィーダ輸送船舶をさらに備え、
前記フィーダ輸送船舶を用いて前記風力タービン部品を海面上で輸送し、ここで、複数のフェンダーは、前記フィーダ輸送船舶と前記構造体との間の衝撃荷重を低減するように前記構造体とともに構成されている、ステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記構造体を前記自昇式船舶に後付けするステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記構造体を新造の自昇式船舶とともに建造するステップをさらに備える、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記自昇式船舶を支持するために海底に接触した複数の脚部を用いて前記自昇式船舶を上昇させるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
フィーダ輸送船舶と、前記自昇式船舶上に設けられた吊り上げ装置とをさらに備え、
前記フィーダ輸送船舶を用いて前記風力タービン部品を海面上で輸送し、
前記自昇式船舶吊り上げ装置を用いて、前記風力タービン部品を、海底より上方に設置するために、前記フィーダ輸送船舶から移動させる
ステップをさらに備える、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
動的位置決めシステムを用いて、前記風力タービン部品の設置のために前記自昇式船舶を位置決めする、ステップをさらに備える、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
海底に支持可能である船体を有し、前記船体は、海での風力タービン部品の洋上設置のために海底に支持されたとき、海面より上方に上昇するように構成されている、自昇式船舶の使用のための方法であって、
前記自昇式船舶船体を海面より上方に上昇させて、空隙を形成し、
前記上昇ステップの後、前記自昇式船舶と相互に係合された構造体を収納位置から展開位置に移動させ、ここで、前記構造体が前記収納位置にあるとき、前記構造体は、前記構造体が前記展開位置にあるときよりも大きな海底とのクリアランスを提供するように構成されており、前記構造体が前記展開位置にあるとき、前記構造体は海面より下方に沈められており、
前記フィーダ輸送船舶を用いて前記風力タービン部品を海面上で輸送し、ここで、前記上昇ステップの前に、前記フィーダ輸送船舶は前記構造体の上方に浮いており、
前記移動ステップの後、前記自昇式船舶を海面より上方に上昇させながら、前記構造体および前記フィーダ輸送船舶を海面より上方に上昇させて、前記自昇式船舶と、前記構造体および前記フィーダ輸送船舶との間の相対移動を排除し、
前記展開位置にある前記構造体により支持された前記風力タービン部品を、前記自昇式船舶上の吊り上げ装置を用いて、海での設置のために移動させる
ことを含む、方法。
【請求項42】
前記自昇式船舶を支持するために海底に接触した複数の脚部を用いて前記自昇式船舶を上昇させるステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記自昇式船舶上に吊り上げ装置をさらに備え、
前記自昇式船舶吊り上げ装置を用いて、前記風力タービン部品を、海底より上方に設置するために、前記フィーダ輸送船舶から移動させる、ステップをさらに備える、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
海底に支持可能な船体およびデッキを有し、前記船体は、海での風力タービン部品の洋上設置のために海底に支持されているとき海面より上方に上昇されるように構成されている自昇式船舶とともに用いるシステムであって、
風力タービン部品と、
前記風力タービン部品を海面上で輸送するように構成された船舶と、
前記自昇式船舶に固定されて相互に係合されたL字型構造体であって、ここで、前記構造体は、前記自昇式船舶デッキが海面より上方にある間、前記フィーダ輸送船舶を受け入れるために海面より下方に沈むように構成されている、前記L字型構造体と、
前記自昇式船舶デッキに配置され、前記風力タービン部品を海に設置するために前記フィーダ輸送船舶から移動させるように構成された吊り上げ装置と
を備え、
前記自昇式船舶デッキが海面より上方に上昇するとき、前記フィーダ輸送船舶は、前記構造体の上方の海面に浮いており、前記自昇式船舶が海面より上方に上昇するとき、前記フィーダ輸送船舶は海面より上方に上昇し、前記自昇式船舶と前記フィーダ輸送船舶内の前記風力タービン部品との間の相対移動を排除する、システム。
【請求項45】
前記自昇式船舶が前記フィーダ輸送船舶を上昇させる前に、前記フィーダ輸送船舶は、前記自昇式船舶に固定される、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
複数のフェンダーは、前記フィーダ輸送船舶と前記構造体との間の衝撃荷重を低減するように前記構造体とともに構成されている、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記自昇式船舶は、前記自昇式船舶を支持および上昇させるために海底と接触するように構成された複数の脚部を有するジャッキアップである、請求項44に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月6日に出願された米国仮特許出願第63/185036号の利益を主張する。この出願は、全ての目的のために全体として本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、洋上自昇式船舶とともに使用することに適合したフィーダ輸送船舶用のラック構造体のためのシステムおよび方法に関する。特に、本発明は、洋上風力タービン部品を含む洋上エネルギー貨物および/または部品を、フィーダ輸送船舶からジャッキアップなどの洋上自昇式船舶に設置するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国での洋上風力発電は、主に、ここ一年ほどの新興産業にとって前向きな多数の発展のおかげで、前進している。1つは、バイデン政権が2021年の初頭に、2030年までに30ギガワット(GW)、2050年までに110GWの洋上風力発電を開発する目標を明らかにしたことである。これらの目的を達成するために、米国籍船舶と外国籍船舶との両方を含む、多数の洋上船舶が必要となる。
【0004】
ジョーンズ法が米国の洋上風力発電に適用されるが、新興産業は、米国本土のドックサイドから洋上設置のために風力タービン部品を輸送する、米国で建造および乗船されたフィーダ輸送バージの船隊あるいは特別に設計された船形のフィーダ輸送船舶と組み合わされて働く外国籍風力タービン設置船舶(WTIV)に大部分で依拠することが予想される。
【0005】
デンマークのコペンハーゲンのPhoenix II A/Sに譲渡され、現在はPhoenix II A/Sが所有する米国特許第10569977号、米国特許第11080073号、米国特許第11136206号、および米国特許第11161571号、並びに米国特許出願公開第2021/371219号(以下、「Phoenix II 米国特許」という)は、本土のドックサイドと外国籍洋上ジャッキアップとの間で風力タービン部品を輸送するバージなどの沿岸に適した船舶を提案している。以前Phoenix II 米国特許を所有していたMaersk Supply Services A/Sは、Phoenix II 米国特許で一般的に提案されていたものと類似のフィーダ輸送船舶プロトコルについて、米国国土安全保障省/米国税関国境警備局から2021年2月4日付けで、、提案されているフィーダ輸送船舶プロトコルはジョーンズ法(46 U.S.C. §§ 55102および55103)違反にはならないとするH316313の決定を受けた。Phoenix II 米国特許の全てが、2019年4月1日にMaersk Supply Services A/Sにより出願された2つのデンマーク特許出願の1つの優先権を主張しているため、Phoenix II 米国特許は、米国ジョーンズ法に違反しない可能性がある風力タービン部品フィーダ輸送船舶プロトコルのための方法を提案してる。
【0006】
例えば、米国特許第10569977号は、フィーダ輸送船舶と、ジャッキアップなどの洋上設置との間で積荷を固定し輸送するためのシステムおよび方法を提案している。提案された洋上ジャッキアップは、船体と、海底に係合可能な複数の可動脚とを備える。提案された洋上ジャッキアップは、船体を水面から出すために船体に対して脚を動かすように配置されている。提案された方法は、脚が海底と係合した状態で船体が海面から出ているとき、フィーダ輸送船舶の少なくとも一部を、洋上ジャッキアップの船体の下、またはジャッキアップ船体の切り欠き内に動かすことを備える。船舶に作用する浮力を増加させるために、フィーダ輸送船舶に押し下げられるようにフィーダ輸送船舶に対して係合する安定化機構をジャッキアップ上に取り付けることが提案されている。一般に、Phoenix II 米国特許および米国特許出願公開は、以下のことを提案している。
【0007】
1.) フィーダ輸送船舶/バージを押し下げて、船舶/バージに作用する浮力を増加させることにより、洋上ジャッキアップの船体に対する船舶の運動を制限するシステムおよび方法。
【0008】
2.) 風力タービン部品と係合するためのプラットフォームベースのためのシステムおよび方法、ここで、プラットフォームベースは、フィーダ輸送船舶/バージに解放可能に固定され、プラットフォームベースが、船舶/バージと、船舶/バージから離れた位置との間で持ち上げられるようになっている。
【0009】
提案されたPhoenix II フィーダ輸送船舶プロトコルを使用することで、ジャッキアップが輸送チェーンの一部でない限り、外国籍であってジョーンズ法非準拠の設置洋上ジャッキアップが風力タービンを設置することができる。したがって、提案されたPhoenix II フィーダ輸送船舶プロトコルは、ジャッキアップを低コストで米国外で建造することができるため、資本支出を低減することができる。近年の米国ジョーンズ法に適合する洋上ジャッキアップ、米国で建造されたDominion EnergyのCharybdis号は、6億米ドル以上のコストがかかったと推定される。
【0010】
Friede&Goldman,LLC d/b/a Friede&Goldman,Ltd.(Friede&Goldman)は、海洋技師および造船技師として、40年以上にわたりジャッキアップを含む洋上自昇式船舶の設計・開発を行ってきた。親会社のFriede&Goldman United B.V.などのFriede&Goldmanまたはその前身の関連会社、系列会社の米国特許には、洋上ジャッキアップに関するものがある。例えば、米国特許第4159590号、米国特許第4269543号およびその再発行である32589号、米国特許第4968181号、米国特許第5092712号、米国特許第5622452号、米国特許第5921714号、米国特許第6231269号、および米国特許第6609573号を参照されたい。
【0011】
洋上産業での使用のために提案されたシステムおよび方法の他の例は、以下で説明される。
【0012】
米国特許第5020956号は、オープンホッパーバージアンロードシステムを提案している。浮体バージアンロードシステムは、粒状材料を格納するオープンホッパーバージをピックアップし、バージを回転させ、内容物を放り出すことにより、荷揚げすることが提案されている。’956特許は、全体として、第3欄第9-25行において、最初の下降位置または沈没位置(
図2)にある浮体バージ吊り上げプラットフォーム1を提案している。’956特許は、第3欄第54行から第4欄27行において、浮体支持構造11に、浮体バージ吊り上げプラットフォーム1に動揺力を付与するために取り付けられる回転アーム6A,6B(
図2および
図2A)を備え付けることが提案されている。
【0013】
米国特許出願公開第2021/0017727号は、係船システムを備えるジャッキアッププラットフォームと、浮体船舶を係船する方法とを提案している。ジャッキアッププラットフォームは、脚部を海底に移動させることで水面からジャッキアップすることができる水平作業デッキを有することが提案されている。ジャッキアッププラットフォームは、ジャッキアッププラットフォームの係船サイドに浮体船舶を係船するための係船システムをさらに備える。ジャッキアッププラットフォームを使用する浮体船舶を係船するための方法も提案されている。
【0014】
米国特許出願公開第2021/0047006号は、デッキとドッキング装置とを備える洋上プラットフォームと、人員を移送するための方法とを提案している。プラットフォームと、垂直に向いた長手方向軸(L)を有するドッキング装置とを備える洋上プラットフォーム装置は、プラットフォーム(3)に対して長手方向軸(L)に沿って、運転位置まで下降することができる輸送位置まで上昇することが提案されている。
【0015】
米国特許第3273527号は、統合されたバージおよび貨物船のためのシステムおよび方法を提案している。船を、前方から後方に向かって複数の貨物受け保持部に分割する統合されたバージおよび貨物船構造が提案されている。
【0016】
米国特許第4077350号は、バージを水面から吊り上げるためのエレベータを有する開口を一端に有するバージ搬送船のためのシステムおよび方法を提案している。
【0017】
米国特許第6591770号は、小型の水上艇の吊り上げおよび下降のために大型船の船尾梁に取り付けられるボートリフトのためのシステムおよび方法を提案している。’770特許は、第2欄第66行から第3欄第11行(
図1)において、ボートリフト10が、実質的に喫水線13の上方にあるボート12の船尾の船尾梁に運ばれることを提案している。ボートリフトは、ボート12の後方に延びた略水平に延びた支持アーム15を含むことが提案されている。’770特許は、第3欄第13-28行において、支持ポスト16に加えて、ボートリフト10が、水平部材20の各端部に隣接する依存する垂直脚21,22を有する水平上部部材20を含むことが提案されている。’770特許の
図2に示すように、支持アーム15は、喫水線13よりも実質的に低い位置に下降されるか、
図1に示すように、喫水線13より実質的に上方の位置に上昇されることが提案されている。
【0018】
米国特許第3572274号は、2つの後方に延びた船尾梁が、バージを昇降させる膨張可能なポンツーンを支持する、バージ運搬船のためのシステムおよび方法を提案している。ポンツーンは、航路補償ウィンチまたはシリンダにより、積載位置と収納位置との間で移動可能であることが提案されている。門形クレーンが、船体の縦移動のためにデッキに取り付けられ、ポンツーンが収納位置に保持されているときに、フィーダ輸送船舶をポンツーンに出し入れすることも提案されている。’274特許は、第4欄第23行-69行において、ポンツーン21の開放された後側で水に浮いたバージが、長い側面の1つが開放された後側に隣接するように、操縦されることを提案している。ポンツーンは、積載位置に保持され、タグ、トラクタ、または他の適切な操作機械または水上艇が、沈んだポンツーン21の上方の積載ゾーンにバージを引き込むか押し込むことができるように、沈められる(浸水される)。クレーン10は、ポンツーン21からバージを吊り上げ、前方に(デッキ6の長さ方向)移動させ、船上に収納することが提案されている。ポンツーン21は、その後自由に降下し、他のバージをピックアップすることが提案されている。
【0019】
ドイツ特許第202009007141号は、プラットフォームリフトを有する水上艇のためのシステムおよび方法を提案している。船体(2)を有する水上艇(1)であって、少なくとも1つの歩行可能デッキ(3)と、胴体(2)の船尾(2.1)に取り付けられるプラットフォームリフト(4)とを有する水上艇(1)が提案されている。プラットフォーム(5)は、動力駆動式昇降装置により、デッキエリア積み込み位置(3.1)と、積み下ろし位置(L2)との間で移動することが提案されている。ドイツ’141特許は、段落0030-0031において、ウォークイン表面5.1がウォークオンデッキ表面3.2と同じ水平面上にある輸送位置と、’141特許の
図4に示す位置L2との間でプラットフォーム5が移動することを提案している。
【0020】
米国特許第3273527号、米国特許第3572274号、米国特許第4077350号、米国特許第4195590号、米国特許第4269543号およびその再公表発明第32589号、米国特許第4968181号、米国特許第5020956号、米国特許第5092712号、米国特許第5622452号、米国特許第5921714号、米国特許第6231269号、米国特許第6591770号、米国特許第6609573号米国特許第10569977号、米国特許第11080073号、米国特許第11136206号、および米国特許第11161571号、並びに米国特許出願公開第2021/0017727号、米国特許出願公開第2021/0047006号、米国特許出願公開第2021/371219号、およびドイツ特許第202009007141号は、全体として全ての目的のために本明細書に参照として組み込まれる。
【0021】
理解できるように、風力タービン部品などのエネルギー貨物および/または部品を、フィーダ輸送船舶を用いて設置するための洋上産業のシステムおよび方法は、限られている。上述したこれらのシステムおよび方法以外に、自昇式船舶と並んでバージを係船することおよび/またはフィーダ輸送船舶として第2の自昇式船舶を使用することが提案されている。
【0022】
風力タービン設置産業において、海底に固定されたジャッキアップとバージとの間の相対運動が完全に排除された、ジョーンズ法に準拠したフィーダ輸送船舶/バージシステムおよび方法とともに使用するための外国籍の米国ジョーンズ法に準拠していない設置洋上ジャッキアップが望まれている。固定されたジャッキアップに対するバージの動きが完全に排除されるため、タービン部品を含む貨物および/または部品は、ジャッキアップ上の吊り上げ装置によって、バージから離れた位置まで安全に移動されることができる。風力タービン設置産業のオペレータは、安全で簡単な吊り上げ操作を含むフィーダ輸送船舶プロトコルの優れた操作を望んでいる。風力タービン設置業界のオペレータは、稼働時間の増加/作業時間の延長/天候を待つ時間の短縮も望んでいる。舷門を含む高価で複雑なモーション補償システムおよび方法を排除することも望まれている。高価なカスタマイズされたジャッキアップ式のフィーダ輸送船舶/バージ、またはモーション補償装置を備えたカスタマイズされたフィーダ輸送船/バージを必要としないより費用対効果の高いフィーダ輸送船舶プロトコルが望まれている。風力タービンの設置産業では、ジョーンズ法に準拠した既存の米国海洋バージ船隊を使用することが望まれており、これにより追加のおよび/またはカスタマイズされたフィーダ輸送船舶建設の必要性を排除することができる。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、海底に固定されたジャッキアップとフィーダ輸送バージとの間の相対運動を完全に排除する、より安全で、費用効果があるフィーダ輸送船舶プロトコルを提供する。本発明は、洋上エネルギー設置産業に、比較的低コストで、より安全なシステムおよび方法を提供すると同時に運用の幅を広げる。係船されたフィーダ輸送船舶の選択肢と比較した場合、操業可能時間は増加する一方で、フィーダ輸送船舶として第2の自昇式船舶を使用することと比較した場合、コストは低減する。有利には、本発明は、既存の海洋および/または海バージを、貨物および/または部品の供給、再供給、および除去のために使用することを企図しており、さらにコストを低減する。米国ジョーンズ法に準拠するフィーダ輸送船舶プロトコルを使用する、使用予定の提案された風力タービン設置洋上ジャッキアップは、アジアで建造される場合、約3億米ドルと見積もられており、これは、上述のDominion EnergyのCharybdisジャッキアップの半額である。既存の米国バージが使用されない場合、米国で建造されるフィーダ輸送船舶は、約1000万米ドルの建設コストが見積もられる。
【0024】
タービン部品の設置をより安全かつ効率的にするための一実施形態は、自昇式船舶の船尾梁に嵌合されたオープントラスラック構造体システムを使用して、フィーダ輸送バージを海面から出すように吊り上げ、これにより海上で風力タービンを吊り上げて設置している間に設置ジャッキアップとバージとの間の相対運動を排除する。したがって、オペレータは、風力タービン部品を移動中のフィーダバージから吊り上げる必要がない。
【0025】
一実施形態では、ラック構造体とジャッキアップとの間のラック・アンド・ピニオンジャッキシステムがラック構造体を海へ/海から垂直に下降および上昇させるために使用される。貨物および/または部品を積んだフィーダバージは、沈んだラック構造体上に浮かべられ、固定される。その後、自昇式設置ジャッキアップは、搭載された脚部ジャッキシステムを使用して上昇し、ラック構造体を吊り上げる。したがって、フィーダバージと、その貨物および/または部品は、全体として海上に出る。この位置から、ジャッキアップメイン吊り上げ装置またはクレーンは、貨物および/または風力タービン部品をバージから直接海底に/海底上に形成された風力タービン基礎に設置する。タービン設置が完了した後、自昇式船舶は、ジャッキダウンして、ラック構造体を沈めて空のフィーダバージを再び浮かべる。ラック構造体は、その後、収納位置に移動する。
【0026】
バージの相対運動または相対移動を排除することに追加して、ラック構造体システムおよび方法の他の利点は、移動可能ラック構造体の実施形態が、ジャッキアップ船体が海面より上方に上昇した後であってもバージを受けることができ、ジャッキアップ脚部/船体界面の摩耗および損傷を低減できることである。ジャッキアップの脚部が海底に係合すると、与圧をかけ、ジャッキアップをできるだけ早く海面から出すのが標準的な方法である。言い換えると、ジャッキアップの脚部が海底に接触すると、波および潮流などのジャッキアップの船体にかかる環境が最小限あっても、船体からの荷重が脚部/船体界面を通って海底まで伝わるため、脚部、ガイド、ジャッキシステムなどに摩耗および損傷が生じる。ラック構造体システムおよび方法を用いれば、オペレータは、フィーダ輸送船舶をラック構造体上に載せる前に、最小限の空隙を得るために脚部フーティングの与圧を迅速に行うことができる。その後、ラック構造体を展開し、フィーダ輸送船舶がラック構造体上に浮かべられて、上昇されることができる。
【0027】
ラック構造体システムおよび方法は、新造船に設置されるかまたは後付けされるようにさらに設計されており、20メガワット(MW)の風力タービン部品を輸送するために十分な大きさおよび容量を有するバージを吊り上げるように設計されているが、他の大きさおよび容量も考えられる。本発明のラック構造体システムおよび方法は、ジョーンズ法の規制により風力タービンを輸送することができない米国内の比較的小型のジャッキアップに使用することができるが、ラック構造体が取り外し可能なように設計されているため、同様に国際的に運用することができる大型のWTIVにも使用することができる。
【0028】
本発明の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本発明のより具体的な説明は、添付の図面に図示された実施形態を参照することによって行われることができる。しかしながら、本明細書における添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを図示しており、したがって、本発明を他の同様に効果的な実施形態で使用することができるため、その範囲を限定するとみなされないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、自昇式船舶を上昇させることにより風力タービン部品が海面より上方に上昇されるように、フィーダ輸送船舶を載せた展開位置にある自昇式船舶ラック構造体の一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、自昇式船舶とヒンジ接続され、展開位置に回動した
図1の回動式ラック構造体の平面図である。
【
図3】
図3は、展開位置にある
図2に図示された回動式ラック構造体の側面立面断面図である。
【
図4】
図4は、
図2および
図3に図示された回動式ラック構造体の船尾または後部船尾)の側面立面図である。
【
図5】
図5は、
図3に最も良く示される海底から延びた底部支持タワーセクションに隣接するが、浮かんだ自昇式船舶に対して収納位置にある回動式ラック構造体の側面立面図であり、自昇式船舶に隣接して浮かんだ、風力タービン部品を有するバージなどのフィーダ輸送船舶を示している。
【
図6】
図6は、
図5に図示されるような自昇式船舶の側面立面図であり、回動式ラック構造体が依然として収納位置にあるが、空隙を提供するように自昇式船舶船体が海面より上方に上昇している回動式ラック構造体を有する
図5の後の好ましい次工程を図示するために、海底に接触した4つの脚部のうちの1つを図示している。
【
図7A】
図7Aは、バージなどの浮体式フィーダ輸送船舶と回動式ラック構造体の上方に位置するが、ラック構造体に支持されていない貨物および/または風力タービン部品の側面立面図である。
【
図7B】
図7Bは、回動式ラック構造体上に支持されたバージなどのフィーダ輸送船舶と貨物および/または風力タービン部品と、フィーダ輸送船舶の喫水を低減するために
図7Aに図示されているよりも大きな空隙を提供するために高く上昇した自昇式船舶との側面立面図である。
【
図8】
図8は、展開位置にある回動式ラック構造体により支持されたバージなどのフィーダ輸送船舶およびその貨物および/または風力タービン部品と、バージなどのフィーダ輸送船舶が海面より上方に位置するように、
図7Bに図示されているよりの高く上昇した自昇式船舶との側面立面図であり、
図8は、船舶間の相対運動を排除した後に風力タービン部品をフィーダ輸送船舶から設置するクレーンなどの自昇式船舶吊り上げ装置をさらに図示している。
【
図8A】
図8Aは、
図5に図示されるように浮かんでいる自昇式船舶の側面立面図であるが、自昇式船舶の現場通過作業のために海面より下方に沈むように展開位置にあるオープントラスラック構造体が図示されている。
【
図9】
図9は、自昇式船舶との垂直にスライド可能な相互係合をより良く図示する展開位置にあるモノリシックラック構造体の斜視図である。
【
図10】
図10は、自昇式船舶との垂直にスライド可能な相互係合をより良く図示する、
図9に示されるように、展開位置にあるモノリシックラック構造体の実施形態の平面図である。
【
図11】
図11は、自昇式船舶との垂直にスライド可能な相互係合をより良く図示する、
図9および
図10に示されるように、展開位置にあるモノリシックラック構造体の実施形態の側面立面図である。
【
図12】
図12は、
図9、
図10、および
図11と同様に、モノリシックラック構造体の斜視図であり、
図5および
図6と同様に収納位置にあるが、フィーダ輸送船舶がラック構造体上に位置決めされ、自昇式船舶を上昇させることによりラック構造体が海面より上昇するか、代替的には、ラック構造体がバージなどのフィーダ輸送船舶を、自昇式船舶から独立して、垂直にスライドさせて上昇させるように、自昇式船舶と垂直にスライド可能に相互係合されている。
【
図13】
図13は、自昇式船舶との垂直にスライド可能な相互係合をより良く図示する展開位置にあるオープントラスラック構造体の斜視図である。
【
図14】
図14は、自昇式船舶との垂直にスライド可能な相互係合をより良く図示する、
図13に図示されるように、展開位置にあるオープントラスラック構造体の実施形態の平面図である。
【
図15】
図15は、自昇式船舶との垂直にスライド可能な相互係合をより良く図示する、
図13および
図14に示されるように、展開位置にあるオープントラスラック構造体の実施形態の側面立面図である。
【
図16】
図16は、展開位置にある、
図13、
図14、および
図15に図示されるような、垂直にスライド可能なラック構造体の船尾または後部(船尾)側の立面図である。
【
図17】
図17は、自昇式船舶に対してラック構造体を移動させるラック・アンド・ピニオン手段とともに、自昇式船舶と相互に係合した垂直にスライド可能なラック構造体の船尾または後部(船尾)側の立面図である。
【
図18】
図18は、自昇式船舶に対して固定されたラック構造体の実施形態の斜視図である。
【
図19】
図19は、
図18の固定実施形態の側面立面図であり、フィーダ輸送船舶が海面上に浮かんでいる状態で、バージなどのフィーダ輸送船舶が、自昇式船舶に固定されたラック構造体の上方に位置決めされている。
【
図20】
図20は、
図18の固定実施形態の立面断面図であり、バージなどのフィーダ輸送船舶がラック構造体に受け入れられ、自昇式船舶が
図19に図示されているより高く上昇し、自昇式船舶が海面より上方に位置しており、
図20は、船舶間の相対運動が排除された後フィーダ輸送船舶から風力タービン部品を設置するクレーンなどの自昇式船舶吊り上げ装置をさらに図示している。
【
図21】
図21は、
図18から
図20の固定実施形態の斜視図であり、固定式ラック構造体を有する自昇式船舶と、断面で図示され、海底に支持された自昇式船舶を使用して海面より上方に上昇している、その上に載せられたバージなどのフィーダ輸送船舶と、貨物および/または風力タービン部品をより良く示している。
【
図22A】
図22Aおよび
図22Bは、収納位置(22A)および展開推進位置(22B)の回動式動的位置決めシステムを有するバージの部分斜視図である。
【
図22B】
図22Aおよび
図22Bは、収納位置(22A)および展開推進位置(22B)の回動式動的位置決めシステムを有するバージの部分斜視図である。
【
図23】
図23は、展開位置にあるラック構造体により支持されたバージなどのフィーダ輸送船舶と、バージなどのフィーダ輸送船舶が海面より上方に位置するように上昇された自昇式船舶との側面立面図であり、
図23は、船舶間の相対運動を排除した後にフィーダ輸送船舶から底部支持柱またはタワーセクションを海底に設置するクレーンなどの自昇式船舶吊り上げ装置をさらに図示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面に最も良く示すように、典型的な風力タービン部品は、ナセルNと、下側柱/タワーLTと、上側柱/タワーUTと、複数の翼B1,B2,B3とを備える。ナセルNと、下側タワーLTと、上側タワーUTと、複数の翼B1,B2,B3とは、
図1に最も良く示すように、これらの別個のプラットフォームNP,LTP,UTP,BPにそれぞれ固定されていることが考えられる。本発明は、以下に述べるように、および図面に示すように、海底SBにおける底部支持柱またはタワーセクションBSTSの組み立ておよび設置にも使用することができることを理解されたい。したがって、「風力タービン部品」、「風力部品」、および「エネルギー部品」という用語は、底部支持柱またはタワーセクションBSTSと、その組み立ておよび設置を含む。例えば、以下により詳細に開示するが、吊り上げ装置LDは、
図8および
図20に最も良く示すように、まず、底部支持柱またはタワーセクションBSTSをバージBから移動させて海底に設置し、その後、
図5から
図8A、
図19および
図20に示すように、組み立ておよび設置のために、以下で議論するように、下側タワーLTおよび上側タワーUTを移動させてもよい。以下で開示されるように、本発明は、他の既知の従来の設備と設置手順および方法とともに吊り上げ装置LDを用いて、フィーダ輸送船舶Bから海底支持タービン基礎を設置するために使用することができると考えられる。
【0031】
回動式ラック構造体の実施形態
洋上自昇式船舶SEVとともに使用することに適合したフィーダ輸送船舶のためのラック構造体システムのためのシステムおよび方法の一実施形態を
図1から
図8Aに示す。この実施形態は、貨物および/または部品を、所定の洋上位置へおよび/または所定の洋上位置から、供給、再供給、および/または除去する、安全で、効率的で、信頼性の高い方法を提供する。L字型オープントラスラック構造体10システムは、比較的小型であり、専用の自昇式船舶またはジャッキアップSEVの船尾梁に回動可能にヒンジ接続されている。これらの2つのラック構造体10は、海洋または海バージまたはボートBなどのフィーダ輸送船舶のための棚、ドック、またはラックとして機能する。2つのL字型オープントラスラック構造体10は、格納または収納垂直位置(
図5および
図6)と、展開水平位置(
図1から
図4、
図7A,
図7B,
図8および
図8A)との間を、自昇式船舶SEVとの内部ヒンジ回動接続P相互係合を介して移動可能である。上述したように、
図6に最も良く示すように、ジャッキアップSEVが所定の位置に到着すると、ジャッキアップ脚部L1,L2,L3,L4が海底SBに係合し、ジャッキアップSEVに与圧をかけ、ジャッキアップ船体Hを海面SSの上方に位置決めし、空隙AGを形成すること標準的な方法である。その後、ラック構造体10システムは、
図7Aに最も良く示すように、展開される。その後、貨物および/または風力タービン部品を積んだバージBなどのフィーダ輸送船舶が、
図7Aに最も良く示すように、ラック構造体システム上に浮かべられ、(
図13から
図17に最も良く示すように)自昇式船舶SEVの船尾梁に固定される。固定されると、自昇式船舶SEVは、脚部L1,L2,L3,L4を含むジャッキシステムを使用して、
図7Bおよび
図8に最も良く示すように、バージBを海面SSの上方に、作業に適した空隙AGまで上昇させる。この位置から、台座取り付けクレーンまたはガントリークレーンなどの吊り上げ装置LDは、バージBから直接、海底SBに支持された基礎から延びた予め設置された底部支持柱またはタワーセクションBSTS上に風力タービン部品を設置するために使用することができる(
図6から
図8A)。好ましくは、海底SB基礎から延びた底部支持柱またはタワーセクションBSTSは、例えば、
図5に示すように、自昇式船舶SEVの右舷側に位置するが、
図6から
図8Aなどの他の向きも考えられる。異なる種類の吊り上げ装置を使用することも可能であり、クレーンなどの吊り上げ装置LDは、望ましい場合には、自昇式船舶SEVのデッキDの異なる位置に移動可能にスライドしてもよいことが考えられる。風力タービン部品が組み立てられ、設置されると、自昇式船舶SEVをジャッキダウンさせ、バージBを海面SSに浮かばせ、バージBを除去し、所望の場合には、他のバージBと置き換えることができる。オープントラスラック構造体10,14システム(
図2から
図8Aおよび
図13から
図16)は、ラック構造体10,14システムが展開された状態(例えば、
図8A参照)で、自昇式船舶SEVが海Sの現場内作業のためにより良く通行することが可能になる。自昇式船舶SEVが港または本土のドックサイドに来た場合、ラック構造体10,14システムは、収納位置(
図5および
図6)に移動することができ、自昇式船舶SEVの全体的な通行深度を低減することができる。このシステムは、洋上フィーダ輸送船舶をジャッキアップSEVとともに使用するためのより安全でより能率的な方法を提供する。ラック構造体10,14システムなどの2つのラック構造体がある場合、ラック構造体は、独立して移動してもよく、同時に移動するために同期されることが考えられる。
【0032】
システム部品:
(1)ラック構造体10-めっき処理された軸受面を用いて自昇式船舶SEVに対して回動するためにヒンジPにより支持されたラック構造体システム10の2つの筒状でL字型のオープントラスラック構造体が考えられる。1から複数の任意の数のオープントラス構造体10をラック構造体システム10に使用することができることがさらに考えられる。筒状のオープントラスラック構造体10システムは、自昇式船舶SEVの通行中の抵抗を低減させるだけでなく、その相対重量に対して所望の構造安定性を提供する。ラック構造体10システムは、バージBなどのフィーダ輸送船舶およびその貨物および/または風力タービン部品からの衝撃荷重に耐えることができる、例えば、従来の強化エラストマーで製造されたフェンダーFを備えたサイズであり、フェンダーFを備えることも考えられる。ラック構造体10システムに設けられる水平向きおよび垂直向きのフェンダーFは、スウェーデンのTrelleborgグループ、またはその米国関連会社である、テキサス州ヒューストンのTrelleborg Sealing Solutionsにより提供されてもよいことが考えられる。
【0033】
(2)展開-ラック構造体10システムは、多数の手段により展開位置と収納位置との間で移動されることができる。例えば、自昇式船舶のクレーンなどの吊り上げ装置LDを使用すること、またはモータM(M1,M2)および歯車を含む回転機構を使用することが考えられる。ラック構造体10システムは自昇式船舶SEVの船尾梁上に図示されているが、ラック構造体は、自昇式船舶SEV上の左舷、右舷、および/または船首に相互に係合することが考えられ、複数の別個のラック構造体がジャッキアップSEVの異なる側でジャッキアップSEVと相互に係合することが考えられることを理解されたい。
【0034】
(3)バージ固定-バージBなどのフィーダ輸送船舶が複数のウィンチWおよび係船索Cシステム、または他の従来または独自の代替手段を用いて自昇式船舶の船尾梁に固定されることが考えられる。例えば、フィーダ輸送船舶Bは、ワシントン州シアトルのSmith Berger Marine, Inc.により提供されるようなバージ拘束システムを用いて、独立して自昇式船舶SEVに固定されることができ、
図13から
図17に示すように、オーストリアのザルツブルクのPalfinger Marine GmbH、またはその米国関連会社であるルイジアナ州ニューイベリアのPalfinger Marine USA Inc.により提供されるようなハンドリングクレーンと組み合わせて自昇式船舶SEVに固定されることができることが考えられる。ワシントン州シアトルのSmith Berger Marine, Inc.により提供されるようなラインハンドリングウィンチW(
図13から
図17参照)を使用することが考えられる。
【0035】
動作方法:
1.自昇式船舶SEVは、所定の場所に到着し、船舶SEVの船体H上に配置された従来の動的位置決めシステム「DPS」を用いて、例えば、自昇式船舶SEVの右舷側が海底SBに支持された基礎から海面SSより上方に延びた予め設置された底部支持柱/タワーセクションBSTSを有する風力タービン設置場所に隣接するように、位置決めされる。
図5(右舷側)および代替的な船尾場所については
図6から
図8Aを参照されたい。
【0036】
2.その後、4つの自昇式船舶脚部L1,L2,L3,L4は、上述したようにジャッキアップSEVの摩耗および損傷を低減するために、
図6に最も良く示されるように、自昇式船体Hと海面SSとの間の作業用空隙AGを提供するために、従来の自昇式船舶ジャッキ手段および方法を用いて、自昇式船舶SEVを上昇させるために与圧される。
【0037】
3.ラック構造体10システムは、その後、収納位置から展開位置へ回動され、
図7Aに最も良く示すように、ラック構造体10システムを展開する。
【0038】
4.海洋バージまたはボートBなどのフィーダ輸送船舶、およびその貨物および/または風力タービン部品は、
図7Aに最も良く示すようにラック構造体システムの上に浮かべられる。バージBが、曳航索TL(例えば
図22Aおよび22B参照)を用いるタグボート(図示せず)などの船舶により曳航されてもよいが、バージBは、バージBをラック構造体10の上に位置決めするためにDPSを使用することができることが考えられる。バージBは、海面SSの上方に上昇した収納位置(
図22A)と、バージBを海で推進させるために所望位置まで海Sに沈められた展開位置(
図22B)との間で移動可能な回動式PDPSが後付けされてもよく、回動式PDPSを備えて新造されてもよいことが考えられる。
【0039】
5.バージBなどのフィーダ輸送船舶は、その後、
図7Aおよび
図7Bに最も良く示すように、自昇式船舶SEVの船尾梁に固定される(
図13から
図17参照)。バージを自昇式船舶SEVに固定するためのいくつかの考えられる手段および方法は、いくつかの既知の製造業者とともに先に詳述している。上昇し、海底SBに支持された自昇式船舶SEVが、海面SSより上方に上昇することで、船舶SEVとバージBとの間の相対運動または相対移動が排除される。
【0040】
6.自昇式船舶SEVは、その後、
図8に最も良く示すように、フィーダ輸送船舶Bおよびその貨物および/または風力タービン部品がより大きな作業用空隙AGに位置するようにさらに上昇し、バージBおよびその貨物および部品が海面SSより上方に位置する。
【0041】
7.その後、ブームクレーンのなどの吊り上げ装置LDは、
図8に最もよく示すように、海底SBから海面SSより上方に延びる底部支持柱/タワーセクションBSTSとともに、フィーダ輸送船舶Bから風力タービン部品の組み立ておよび設置を開始することができる。自昇式船舶SEVの右舷側が海面SSから延びる底部支柱/タワーセクションBSTSに隣接している場合、バージBから下側柱/タワーLTを最初に吊り上げ、位置決めすることが好ましい。その後、
図1および
図8に最も良く示すように、下側柱/タワーLTとナセルNとの間に位置する、上側柱/タワーUTが吊り上げられ、組み立てられる。
【0042】
要約すると、海面SSより上方に上昇するために海底SBに支持された自昇式船舶SEVを使用するためのより安全な方法が、貨物および/または風力タービン部品、または他のエネルギー部品の洋上設置のために開示される。所望の場所で自昇式船体Hが海面SSより上方に上昇し、空隙AGを形成すると、システムのバージBを支持するラック構造体10水平部分が、収納位置から展開位置に自昇式船舶SEVに対して相対的に移動する。2つのL字型オープントラスラック構造体10が収納位置にあるとき、システムのバージBを支持するラック構造体10水平部分は、システムのバージBを支持するラック構造体10水平部分が展開位置にあるときよりも大きな海底SBとのクリアランスを提供するように構成されている。自昇式船舶SEVをさらに上昇させることにより、システムのバージBを支持するシステムラック構造体10水平部分のバージBを支持する水平部分が海面SSより上方に上昇されると、有利には、自昇式船舶SEVとシステムのバージBを支持するラック構造体10水平部分との間の相対運動または相対移動が排除される。このように相対運動を排除することで、海Sで設置するためにクレーンなどの吊り上げ装置LDを用いて、システムのバージBを支持する展開位置にあるラック構造体10水平部分により支持された貨物および/または風力タービン部品を移動させるためのより安全な環境が提供される。
【0043】
本発明が貨物および/または風力タービン部品の設置のための単一のフィーダ輸送船舶Bを用いて説明されてるが、1つの所定の場所または異なる所定の複数の場所への貨物および/または風力タービン部品の連続的な供給を提供するために、複数のフィーダ輸送船舶Bを使用することができることが考えられる。
【0044】
本発明は、貨物および/または部品の設置のために図示されているが、開示されたシステムは、海Sからの風力タービンシステムの廃棄、撤去、除去、修理のための方法またはステップを逆に使用することができることが考えられる。
【0045】
モノリシック垂直スライド式ラック構造体の実施形態
洋上自昇式船舶SEVとともに使用することに適合したフィーダ輸送船舶のためのラック構造体システムのためのシステムおよび方法の他の実施形態を
図9から
図12に示す。このモノリシック垂直スライド式ラック構造体12の実施形態は、所定の洋上場所へ風力タービン部品などのエネルギー部品を供給、再供給、および/または除去する、より安全で、効率的で、信頼性の高い方法を提供する。一般的に、モノリシックL字型めっきラック構造体12は、比較的小型であり、専用の自昇式船舶SEVの船尾梁に取り付けられており、スライド可能に相互に係合している。1つのモノリシックラック構造体12が
図9から
図12に図示されているが、複数のモノリシック垂直スライド式ラック構造体を使用することができることが考えられる。以下で詳細に議論するように、
図13から
図17は、オープントラス垂直スライド式ラック構造体14を図示している。このモノリシックラック構造体12は、海洋または海バージまたはボートBなどのフィーダ輸送船舶のための棚、ドック、またはラックとして機能する。L字型モノリシックラック構造体12は、
図7Aおよび
図7Bに最も良く示すように、回動式オープントラスラック構造体10システムと同様に、上昇した収納位置(
図12)では、自昇式船舶SEVの船尾に収納され、展開位置では、海面SSより下方に延びるように下降することができる。モノリシックラック構造体12は、自昇式船舶SEVの船尾梁上に図示されているが、ラック構造体12は、自昇式船舶SEVの左舷、右舷、および/または船首にあってもよいことが考えられ、複数個および複数種(10,12,14,16)の別個のラック構造体システムがジャッキアップSEVに相互に係合することができることが考えられる。上述したように、自昇式船舶船体Hが上昇して空隙AGを形成した後、貨物および/または風力タービン部品を積んだバージBが、(
図7AのバージBと同様に)展開されたモノリシックラック構造体12の上に浮かべられ、船尾梁に固定される。固定されると、自昇式船舶SEVは、脚部L1,L2,L3,L4を含むジャッキシステムを使用して、(
図7Bおよび
図8の自昇式船舶SEVと同様に)バージBを作業に適した海面SSよりも上方に上昇させる。このバージBの上昇位置から、図示された台座取り付けクレーンなどの吊り上げ装置LDは、貨物および/または部品を、風力タービン部品などのエネルギー部品の組み立ておよび設置のためにバージBから移動させることができ、(
図8の吊り上げ装置LDと同様に)バージBから直接、海底SBに支持された基礎から延びた予め設置された底部支持柱/タワーセクションBSTS上に移動させることできる。部品が組み立てられ設置されると、自昇式船舶SEVは、ジャッキダウンされ、フィーダ輸送船舶Bが浮かべられ、自らのDPSの下で、またはタグボートにより除去される。モノリシックラック構造体12は、その後、収納位置(
図12)にスライドして上昇する。このシステムは、洋上フィーダ輸送船舶をジャッキアップSEVとともに使用するためのより安全でより能率的な方法を提供する。
【0046】
システム部品:
(1)ラック構造体-めっき処理されたL字型モノリシックラック構造体12、支持された案内システム、およびめっき処理された軸受面。モノリシックラック構造体12は、詳細に上述したように、フィーダ輸送船舶およびその貨物および/または風力タービン部品からの衝撃荷重に耐えることができる、強化エラストマーで製造されたようなフェンダーFを備えることが考えられる。
【0047】
(2)展開-垂直スライド式ラック構造体12は、多数の手段により展開および収納されることができる。例えば、船舶のクレーンLDを使用すること、またはラック・アンド・ピニオンシステム(例えば、
図16および
図17参照)を使用すること、充水および脱バラストすることが考えられる。モノリシックラック構造体12が自昇式船舶SEVの船尾梁上に図示されているが、自昇式船舶SEVの左舷、右舷、または船首に相互に係合することが考えられる。
【0048】
(3)バージ固定-フィーダ輸送船舶Bが、詳細に上述したように、複数のウィンチWおよびラインシステムCまたは他の従来の代替手段CLを用いて自昇式船舶の船尾梁(または任意の所望の側)に固定されることが考えられる。
【0049】
使用方法:
要約すると、海面SSより上方に上昇するように構成され、海底SBに支持された自昇式船舶SEVを使用する方法が、エネルギー部品などの貨物および/または部品の洋上設置のために開示される。所望の場所で自昇式船体Hが海面SSより上方に上昇し、空隙AGを形成すると、モノリシックラック構造体12は、収納位置から展開位置に自昇式船舶SEVに対して相対移動する。モノリシックラック構造体12が収納位置にあるとき、ラック構造体12は、ラック構造体12が展開位置にあるときよりも大きな海底とのクリアランスを提供する。脚部L1,L2,L3,L4を含む自昇式船舶SEVジャッキシステムを用いてバージBを支持するラック構造体12水平部分が海面より上方に上昇されると、自昇式船舶SEVとラック構造体12との間の相対運動または相対移動が排除される。このように相対運動を排除することで、海Sで部品を組み立ておよび設置するために、自昇式船舶SEV上の吊り上げ装置LDにより展開位置にあるモノリシックラック構造体12により支持された貨物および/または部品の安全な移動が提供される。
【0050】
オープントラス垂直スライド式ラック構造体の実施形態
洋上自昇式船舶SEVとともに使用することに適合したフィーダ輸送船舶のためのラック構造体システムのためのシステムおよび方法の他の実施形態を
図13から
図17に示す。このオープントラス垂直スライド式ラック構造体14の実施形態は、所定の洋上場所へ風力タービン部品などのエネルギー部品を供給、再供給、および/または除去する、より安全で、効率的で、信頼性の高い方法を提供する。一般的に、オープントラスL字型めっきラック構造体14は、比較的小型であり、専用の自昇式船舶SEVの船尾梁に取り付けられており、スライド可能に相互に係合している。2つのオープントラスラック構造体14が
図13から
図17に図示されているが、単一の垂直スライド式ラック構造体を使用することができることが考えられる。
図13から
図17は、海洋または海バージまたはボートBなどのフィーダ輸送船舶のための棚、ドック、またはラックとして機能するオープントラス垂直スライド式ラック構造体14システムを図示している。L字型オープントラス構造体14は、
図7Aおよび
図7Bに最も良く示すように、回動式オープントラスラック構造体10システムと同様に、上昇した収納位置(
図12)では、自昇式船舶SEVの船尾に収納され、バージBを支持するその水平部分は、展開位置(
図13から
図17)で海面SSの下に下降することができる。オープントラスラック構造体14システムは、自昇式船舶SEVの船尾梁上に図示されているが、ラック構造体14は、自昇式船舶SEVの左舷、右舷、および/または船首にあってもよいことが考えられ、複数個および複数種(10,12,14,16)の別個のラック構造体がジャッキアップSEVに異なる側で相互に係合することができることが考えられる。上述したように、自昇式船舶船体Hが上昇して空隙AGを形成した後、貨物および/または風力タービン部品を有するバージBが、(
図7AのバージBと同様に)展開されたオープントラスラック構造体14の上に浮かべられ、船尾梁に固定される。固定されると、自昇式船舶SEVは、脚部L1,L2,L3,L4を含むジャッキシステムを使用して、(
図7Bおよび
図8の自昇式船舶SEVと同様に)バージBを作業のために海面SSよりも上方に上昇させる。このバージBの上昇位置から、図示された台座取り付けクレーンなどの吊り上げ装置LDは、貨物および/または部品を、風力タービン部品などのエネルギー部品の組み立ておよび設置のためにバージBから移動させることに使用することができ、(
図8の吊り上げ装置LDと同様に)バージBから直接、海底SBに支持された基礎から海面SSより上方に延びた予め設置された底部支持柱/タワーセクションBSTS上に移動させることに使用することができる。部品が組み立てられ設置されると、自昇式船舶SEVは、ジャッキダウンし、フィーダ輸送船舶Bが浮かべられ、自らのDPSの下で、またはタグボートにより除去される。オープントラスラック構造体14システムは、その後、収納位置(
図12と同様)にスライドして上昇する。このシステムは、詳細に以下に述べるように、自昇式船舶SEVとともに使用するための洋上フィーダ輸送船舶のためのより安全でより能率的な方法を提供する。
【0051】
システム部品:
(1)ラック構造体-めっき処理されたL字型オープントラスラック構造体14、支持された案内システム、およびめっき処理された軸受面。オープントラスラック構造体14は、詳細に上述したように、フィーダ輸送船舶およびその貨物および/または風力タービン部品からの衝撃荷重に耐えることができる、強化エラストマーで製造されたようなフェンダーFを備えることが考えられる。
【0052】
(2)展開-垂直スライド式オープントラスラック構造体14は、多数の手段により展開および収納されることができる。例えば、船舶のクレーンLDを使用すること、またはラック・アンド・ピニオンシステム(例えば、
図16および
図17参照)を使用すること、充水および脱バラストすることが考えられる。
図16および
図17に最も良く示すように、4つの各ラック構造体上に4つのギアボックス(合計8つ)がラック構造体を上下に上昇させるために図示されているが、1または複数のギヤボックスが、各ラック構造体で所望の上昇および下降機能を提供するために使用することができる。オープントラスラック構造体14が自昇式船舶SEVの船尾梁上に図示されているが、オープントラスラック構造体14が自昇式船舶SEVの左舷、右舷、または船首に相互に係合することが考えられる。
【0053】
(3)バージ固定-フィーダ輸送船舶Bが、詳細に上述したように、複数のウィンチWおよびラインCシステムまたは他の従来の代替手段LCを用いて自昇式船舶SEVの船尾梁(または任意の所望の側)に固定されることが考えられる。ラインハンドリングウィンチWは、ワシントン州シアトルのSmith Bergen Marine, Inc.から取得可能である。
【0054】
使用方法:
要約すると、海面SSより上方に上昇するように構成され、海底SBに支持された自昇式船舶SEVとともに使用する方法が、エネルギー部品などの貨物および/または部品の洋上設置のために開示される。所望の場所で自昇式船舶SEVが上昇し、空隙AGを形成すると、オープントラスラック構造体14システムは、収納位置から展開位置に自昇式船舶SEVに対して相対的にスライド移動する。ラック構造体14が収納位置にあるとき、ラック構造体14は、ラック構造体14が展開位置にあるときよりも大きな海底とのクリアランスを提供する。脚部L1,L2,L3,L4を含む自昇式船舶SEVジャッキシステムを用いてオープントラスラック構造体14システムが海面より上方に上昇されると、自昇式船舶SEVとラック構造体14システムとの間の相対運動または相対移動が排除される。このように相対運動を排除することで、海Sで風力部品を組み立ておよび設置するために、自昇式船舶SEV上の吊り上げ装置LDによる、展開位置にあるオープントラスラック構造体14システムにより支持された貨物および/または部品の安全な移動が提供される。
【0055】
本発明が貨物および/または風力タービン部品の設置のための単一のフィーダ輸送船舶Bを用いて説明されてるが、1つの所定の場所または異なる所定の複数の場所へのエネルギー部品、特に風力タービン部品などの貨物および/または部品の連続的な供給を提供するために、複数のフィーダ輸送船舶Bを使用することができることが考えられる。
【0056】
本発明は、貨物および/または部品の設置のために図示されているが、開示されたシステムは、海からの風力タービンシステムの廃棄、撤去、除去、修理のために方法またはステップを逆に使用することができることが考えられる。
【0057】
固定式ラック構造体の実施形態
洋上自昇式船舶SEVとともに使用することに適合したフィーダ輸送船舶のためのラック構造体システムのためのシステムおよび方法のさらに他の実施形態を
図18から
図21に示す。この固定された棚、ドック、またはラックの実施形態は、洋上場所へエネルギー部品を供給、再供給、および/または除去する、より安全で、効率的で、信頼性の高い方法を提供する。大型のめっき処理されたフォークタイプの水平構造体16が、比較的小型であり、専用の自昇式船舶SEVの船尾梁に固定されている(
図19から
図21)。ラック構造体16は自昇式船舶SEVの船尾梁上に図示されているが、ラック構造体16は、自昇式船舶SEVの左舷、右舷、または船首に相互に係合することも考えられる。この固定式ラック構造体16は、海洋または海バージまたはボートBなどのフィーダ輸送船舶のためのラックとして機能する。
図19に最も良く示すように、自昇式船舶のデッキDが海面SSより上方にある間、貨物および/または部品を有するバージBは、ラック構造体16の上に浮かべられ、船尾梁に固定されることができる。固定されると、上述したシステムおよび方法を用いて、自昇式船舶SEVは、脚部L1,L2,L3,L4を含むジャッキシステムを使用して、バージBおよび貨物および/または部品を作業のために海面SSよりも上方に上昇させる(
図20)。この位置から、上述したように、台座取り付けクレーンなどの吊り上げ装置LDは、エネルギー部品をバージBから直接、海底SBに支持された基礎から海面SSより上方に延びた予め設置された底部支持タワーセクションBSTS上に設置することに使用することができる。エネルギー部品が設置されると、自昇式船舶SEVは、バージBが浮かぶようにジャッキダウンし、バージBは、自らのDPSの下で、または曳航/タグボートにより除去され、必要であれば、他のフィーダ輸送船舶Bにより置き換えられる。このシステムは、洋上フィーダ輸送船舶のためのより安全でより能率的な方法を提供する。
【0058】
システム部品:
(1)ラック構造体-自昇式船舶SEVの船尾梁に恒久的におよび/または固定的に取り付けられためっき処理されたフォーク水平ラック構造体16。ラック構造体16は、詳細に上述したように、バージBなどのフィーダ輸送船舶およびその貨物および/または部品からの衝撃荷重に耐えることができる、強化エラストマーで製造されたような水平向きおよび垂直向きフェンダーFを備えることが考えられる。
【0059】
(2)バージ固定-フィーダ輸送船舶Bが、上述したように、複数のウィンチWおよびラインCシステムまたは他の従来の代替手段LCを用いて自昇式船舶SEVの船尾梁(または任意の所望の側)に固定されることが考えられる。
【0060】
使用方法:
要約すると、海面SSより上方に上昇するように構成され、海底SBに支持された自昇式船舶SEVの使用のための方法が、エネルギー部品などの貨物および/または部品の洋上設置のために開示される。L字型水平ラック構造体16は、自昇式船舶SEVに固定的に互いに係合する。自昇式船舶船体Hが海面SSよりも上方に上昇したときに、ラック構造体16が海面SSより上方に上昇すると、自昇式船舶SEVと、ラック構造体16上のフィーダ輸送船舶Bとの間の相対運動または相対移動は、波動のような他の力とともに有利には排除される。このように相対運動を排除することで、海Sでの設置のために、自昇式船舶SEV上の吊り上げ装置LDによる、展開位置にあるラック構造体16により支持されたフィーダ輸送船舶B上のエネルギー部品の安全な移動が提供される。
【0061】
本発明が貨物および/またはエネルギー部品、特に風力タービン部品などの部品の設置のための単一のフィーダ輸送船舶を用いて説明されてるが、1つの所定の場所または異なる所定の複数の場所への貨物および/または部品の供給または再供給のために、複数のフィーダ輸送船舶を使用することができることが考えられる。
【0062】
本発明は、貨物および/または部品の設置のために図示されているが、開示されたシステムは、海および/または自昇式船舶からラック構造体上のフィーダ輸送船舶へのシステムの廃棄、撤去、除去、修理のために方法またはステップを逆に使用することができることが考えられる。
【0063】
底部支持タワーセクションBSTS、および、必要であれば、海底の海底基礎の組み立ておよび設置
図23に最も良く示すように、フィーダ輸送船舶、すなわちバージBは、底部支持タワーまたは柱セクションBSTS、および、必要であれば、海底SBの海底基礎の組み立ておよび設置のために、貨物および部品を輸送することができる。
【0064】
底部支持タワーセクションBSTSを積んだバージBは、タワーセクションBSTS、および所望により海底基礎を、他の典型的な風力タービン部品、すなわち、ナセル、下側および上側タワーおよび翼とは独立して輸送する。タワーセクションBSTSおよびその基礎は、バージBから一体で搬送および設置されることができることが考えられる。バージBは、本明細書で説明したように、タワーセクションBSTSおよび/またはその基礎が吊り上げ装置LDにより吊り上げられるときを含め、海底SBでのより安全な組み立ておよび設置のために、タワーセクションBSTSおよび必要であれば海底基礎と、自昇式船舶SEVとの間の相対運動または相対移動を排除するように、上昇する。
【0065】
吊り上げ装置LDは、
図23に最も良く示すように、バージBからタワーセクションBSTSを吊り上げ、
図5から
図8A、
図19および
図20に最も良く示すように、組み立ておよび設置のために所定の場所の上方にタワーセクションBSTSを移動させる。タワーセクションBSTSは、その後、米国特許および米国特許公報における以下の提案を含む、既知の従来の設備および設置手順および方法を用いて海底SBに固定される。
【0066】
いくつかの既知の設備並びに設置手順および方法は、以下の米国特許および米国特許公報で提案されている。
【0067】
米国特許第7281902号(VESTAS WIND SYSTEMS A/S)は、風力タービンを取り付け場所に取り付ける方法であって、基礎本体と、基礎の構造に振動を伝達することにより基礎の少なくとも一部を地中に振動させる予め取り付けられた上部取り付け手段を提供するステップと、風力タービンの少なくとも一部を基礎の上部取り付け手段(12)に取り付けるステップとを含む方法を提案している。大規模風力タービン、特に洋上風力タービンが、サイトに輸送され取り付けられることが提案されている。
【0068】
米国特許第8015865号(REED & REED, INC.)は、風力タービンの基礎上の負荷を測定するための負荷測定システムを提案している。タービンの岩石アンカーパッドに取り付けられ、アンカーにかかる荷重を測定する負荷測定装置が提案されている。負荷測定装置からの信号が、遠隔地に送信されることが提案されている。負荷測定装置は、基礎パッドに均等に分布した選択された岩石アンカーパッドに設置される。負荷測定装置からの信号は、遠隔地の制御ステーションに送信され、岩石アンカー上での負荷状態を連続的に監視することができる。制御ステーションに送信されることが提案された複数の負荷測定装置からの信号により、単一の場所での風力タービン基礎パッド群を監視することができる。
【0069】
米国特許第9567721号(DCNS)は、中央領域に風力タービンタワー用の支持と、周縁領域に複数の脚部ガイドとを有するプラットフォームと、複数の脚部とを備え、複数の脚部のそれぞれは、輸送のための上昇位置と、海底に静止するための下降位置との間で移動可能である、洋上風力タービン基礎を提案している。
【0070】
米国特許第9605401号(TECNIACA Y PROYECTOS SA)は、洋上風力タービン設置のための重量ベース基礎システムを提案しており、基礎システムは、自己浮揚性コンクリートケーソンで建造された3つの浮体コンクリートベースを備え、それらを水で満たし、水を空にするためのバルブが設けられており、最終場所でのバラストと固定が可能である。金属構造体が、接続要素により浮体コンクリートベースを風力タービンに接続し、金属要素が、浮体コンクリートベースを風力タービンに接続する。重力ベース基礎システムの設置方法が提案されている。
【0071】
米国特許第9663916号(Vallourec Deutschland GmbH)は、重力基礎並びに浮体基礎および洋上風力タービンに固定するために浮体基礎に締結された支持構造なしに海底に固定することができる少なくとも1つの基礎要素を有する洋上風力タービンの基礎構造体が提案されている。基礎要素は、掘削手段および/または振動打設手段により海底に挿入することができるパイルであることが提案されており、有機材料および/または無機材料で海底に固定されることができ、海底で垂直から角度を付けて向いている。海底での基礎構造体の設置方法は、海底に挿入されたパイルを用いて結合要素を固定し、その後支持構造体を結合要素に接続することを含むことが提案されている。
【0072】
米国特許第9670909号(Wobben Properties GmbH)は、複数の既製コンクリート基礎セグメントを有する風力エネルギープラント基礎を提案している。基礎セグメントは、基礎セグメントを補強するための張力ワイヤを受ける機能を果たす複数の第1および第2シースを有することが提案されている。
【0073】
米国特許第10253475号(Zhejiang Hua Yun Offshore Engineering & Technology Service Co Ltd; MingYang Smart Energy Group Co Ltd)は、洋上風力タービン基礎のための建設機械を提案している。建設機械は、洋上風力タービン基礎(1)と、パイルケーシング(2)と、スリーブ(3)とを備えることが提案されている。パイルケーシング(2)は、鋼製パイル(4)の設置に使用され、洋上風力タービン基礎(1)の底部に配置されている。スリーブ(3)の下端は、パイルケーシング(2)の上端に取り外し可能に接続されている。杭打ちを後から行う洋上風力タービン基礎の建設方法が提案されている。
【0074】
米国特許第10626573号および米国特許出願公開第2016/0169209号(Wobben Properties GmbH)は、基礎ベースおよび基礎ベース上に配置されたタワーを有する風力エネルギープラントを提案している。基礎ベースは、地盤面の下方の基礎プレートと、地盤面より上方の基礎プレート上の基礎柱脚とを有することが提案されている。基礎柱脚上に設けられ、張力コードを受け入れる複数の孔を有する張力コードコネクタが提案されている。張力コードは、コネクタの下側で、張力コードヘッドにより、張られている。基礎プレートおよび基礎柱脚は、現場打ちコンクリートで一体成型される。
【0075】
米国特許第10851763号、米国特許第10968894号、および米国特許出願公開第2021/0190043号(Tetra Tech Inc)は、風力タービン基礎と、風力タービン基礎を作る方法とを提案している。風力タービン基礎は、好ましくは、実質的に円筒形状の本体を有するコア部材、本体からコア部材の上側セクションに沿って外側に延びた第1外側フランジと、本体からコア部材の下側セクションに沿って外側に延びた第2外側フランジと、第1外側フランジおよび第2外側フランジに接続され、コア部材から外側に放射状に延びた複数の放射状桁とを含むことが提案されている。
【0076】
米国特許第10941536号(Acciona Windpower SA)は、支持面(3)を有し、少なくとも内側側面(6)によって中央空洞(4)を画定している環状ベースプレート(2)を備える風力タービン基礎(1)を提案している。中央空洞(4)は、支持面(3)の高さより低い高さに配置された下面(5)を備えることが提案されている。中央空洞(4)は、少なくとも内側上面(10)と下面(5)との間の距離により画定された寸法(D)を有し、両面の間に追加の装置を割り当てるように設立される。風力タービン基礎(1)を建設する方法が提案されている。
【0077】
米国特許第11105062号(General Electric Renovables Espana SL)は、風力タービン基礎を後付けするための方法を提案している。基礎は、地中の第1の実質的に細長いパイル(31)を備えることが提案されている。方法は、第1のパイル(31)の周囲に、第2の実質的に細長いパイル(40)の細長いチャネル(41)の下端を配置することを備え、細長いチャネル(41)は、第2のパイル(40)の長手方向に実質的に沿って延びており、チャネル(41)は、第1のパイルの少なくとも一部を受け入れるように構成されている。この方法は、細長いチャネル(41)が第1のパイル(31)の少なくとも一部を取り囲むように第2のパイル(41)を下降することをさらに含むことが提案されている。第2のパイル(40)は、その後、地面(35)に打ち込まれる。
【0078】
米国特許第11236727号および米国特許出願公開第2022/011288号(Vestas Wind Systems AS)は、掘削ピット内にアンカーケージを提供することを含み、アンカーケージは、上側フランジ、下側フランジ、およびそれらの間に延びた複数のアンカーボルトを含む、風力タービン基礎を形成する方法を開示している。第1のセメント質材料を、掘削ピット内に投入し、アンカーケージが少なくとも部分的に材料内に埋まり、硬化されて剛体を形成することが提案されている。接続要素が上側フランジに選択的に係合することが提案されており、作動要素が、連結要素と作動的な関係で位置決めされ、接続要素および作動要素は、アンカーボルトと非接触関係で位置決めされる。作動要素は、接続要素に対して作動して、上側フランジを剛体から水平位置に上昇させる。第2のセメント質材料は、上昇した上側フランジの下方の空間に投入され、硬化して支持層を形成する。
【0079】
米国特許出願公開第2013/0298485号(General Electric Co)は、基礎から上方に延びた風力タービンのタワーに接続された基礎取り付け部を支持し、基礎取り付け部により基礎に結合する基礎システムを提案している。システムは、第1支持ブロックと第2支持ブロックとを含むことが提案されている。第1支持ブロックは、基礎取り付け部の第1部分に隣接して位置決めされる。第2支持ブロックは、第1支持ブロックにスライド可能に結合されることが提案されており、第2支持ブロックの少なくとも一部は、第1支持ブロックと第2支持ブロックとの間に位置決めされることが提案されている。第2支持ブロックは、タワーの長手方向に一致する第1軸に対して横方向に変位したとき、第1支持ブロックに力を作用させるように構成されている。
【0080】
米国特許出願公開第2013/0302096号(General Electric Renovables Espana SL)は、風力タービン基礎と関連付けられた少なくとも1つの実質的に細長いピンと、表面に挿入され、使用時にピンの長さの少なくとも一部を受け入れるように適合された少なくとも1つの対応する実質的に細長いパイル基礎とを備える風力タービン基礎を提案している。ピンは、風力タービンタワーと関連付けられた接続端と反対側に配置された挿入端を備えることが提案されており、停止要素は、パイルの長手方向軸に実質的に交差する平面上のパイルの内側に配置されている。停止要素は、ピンがパイル内に挿入されたときに挿入端が停止要素に嵌合するように、挿入端を受け入れることが提案されている。
【0081】
米国特許出願公開第2015/0082720号(GE Renewable Technologies Wind BV)は、風力タービンタワーに関連付けられた少なくとも1つの実質的に細長いピンと、表面に挿入され、ピンの少なくとも一部を受け入れるように適合された少なくとも1つの実質的に細長いパイルとを提案している。ピンとパイルとの間にグラウトを受け入れるためのチャンバが提案されている。ピンの少なくとも1つとパイルとは、グラウチングチャンバの内側に延び、グラウトが通過する穴を有する接続プレートを提供することが提案されている。接続プレートは、グラウチングチャンバの内側で径方向に延び、互いにまたはピンもしくはパイルの中心に、整列するかしないかが提案されている。
【0082】
米国特許出願公開第2018/0195250号(Charles W. Nelson)は、洋上風力タービン支持システムおよび設置方法を提案しており、支持システムは、上側フレーム格子構造と、海底に埋め込まれた複数の支持体を有する下側基礎構造とからなる各基礎構造における各スリーブの上端が、システムの多の全ての基礎構造における各スリーブの上端と同じ海面下距離になるように、支持体から突出する異なる長さのスリーブが提案されている。
【0083】
米国特許出願公開第2022/0074160号(Zhejiang University ZJU)は、パイル・シリンダ・トラス複合洋上風力タービン基礎を提案している。パイル・シリンダ・トラス複合洋上風力タービン基礎は、トラス構造体、吸引シリンダ、およびパイル基礎を含むことが提案されている。吸引シリンダは、トラス構造体の底部に接続されており、吸引シリンダに設けられたパイル基礎を取り付けるための埋め込みスリーブが提案されている。埋め込みスリーブは、吸引シリンダの内側、縁、または外側に配置されている。パイル・シリンダ・トラス複合洋上風力タービン基礎の建設プロセスが提案されている。
【0084】
米国特許第7281902号、米国特許第7963740号、米国特許第8015865号、米国特許第9567721号、米国特許第9605401号、米国特許第9663916号、米国特許第9670909号、米国特許第10253475号、米国特許第10626573号、米国特許第10851763号、米国特許第10941536号、米国特許第10968894号、米国特許第11105062、および米国特許第11236727号、並びに、米国特許出願公開第2013/0298485号、米国特許出願公開第2013/0302096号、米国特許出願公開第2015/0082720号、米国特許出願公開第2016/0169209号、米国特許出願公開第2018/0195250号、米国特許出願公開第2020/0022341号、米国特許出願公開第2021/0190043号、米国特許出願公開第2022/0074160号、および米国特許出願公開第2022/011288号は、全ての目的のため全体として本明細書に参照として組み込まれる。
【0085】
米国特許第7281902号、および米国特許第11236727号、並びに米国特許出願公開第2022/011288号は、米国子会社であるオレゴン州ポートランドに本社を有するVESTAS NORTH AMERICAを有するデンマークのVESTAS WIND SYSTEMS A/Sにより所有されている。
【0086】
本発明の先行する開示および説明は、その例示および説明であり、本発明の精神から逸脱することなく、自死された装置および構造および動作方法の詳細に様々な変更を行うことができる。さらに、本発明の上述および他の目的、特徴および利点は、本発明の複数の実施形態が示され、説明された図面と併せて詳細な説明を読むことで、当業者に、より容易に明らかになる。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であり、本発明が明細書および図面に示され、説明されたものに限定されるとはみなされないことは当業者にとって明らかであろう。
【国際調査報告】