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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】メタドンを含む胃内滞留システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/137 20060101AFI20240416BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 9/52 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K31/137
A61P25/04
A61K9/48
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/12
A61K9/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568006
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022072115
(87)【国際公開番号】W WO2022236289
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,760
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518137726
【氏名又は名称】リンドラ セラピューティクス, インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】エステレ ビギン
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア カールトン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー カトストラ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アルトルーター
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ジャラミロ モンテスコ
(72)【発明者】
【氏名】マンジート ピムパレード
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA60
4C076AA62
4C076BB04
4C076CC01
4C076DD41
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE24
4C076FF31
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA09
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA06
4C206NA10
4C206NA12
4C206ZA08
(57)【要約】
メタドン又はその塩、30~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含む少なくとも1つの薬物溶出成分と、少なくとも1つの共押出薬物溶出成分を被覆する速度調節放出膜とを含む胃内滞留システムが提供される。少なくとも1つの薬物溶出成分を含む胃内滞留システムは、人体の胃内に少なくとも48時間維持されるように、そしてメタドンを少なくとも48時間放出するように構成され、従って、前記速度調節放出膜を有する前記少なくとも1つの薬物溶出成分は、胃内に滞留の最初の24時間後にメタドン又はその塩の少なくとも10%を放出するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含む少なくとも1つの薬物溶出成分と、
前記少なくとも1つの薬物溶出成分を被覆している放出速度調節膜とを含む、胃内滞留システムであって、
ここで、前記胃内滞留システムが、人体の胃内に少なくとも48時間維持されるように、及びメタドンを少なくとも48時間放出するように構成されており、そして、前記放出速度調節膜を有する前記少なくとも1つの薬物溶出成分が、胃内に滞留の最初の24時間後にメタドン又はその塩の少なくとも10%を放出するように構成されている、システム。
【請求項2】
50~60重量%のラセミ体メタドンを含む、請求項1に記載の胃内滞留システム。
【請求項3】
50~60重量%のレボメタドンを含む、請求項1に記載の胃内滞留システム。
【請求項4】
1~2重量%のポロキサマーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項5】
前記ポロキサマーがP407を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項6】
前記放出速度調節膜がポリカプロラクトン、コポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項7】
前記放出速度調節膜が60~90重量%のポリカプロラクトンを含む、請求項6に記載の胃内滞留システム。
【請求項8】
前記放出速度調節膜が70~75重量%のポリカプロラクトンを含む、請求項6又は7に記載の胃内滞留システム。
【請求項9】
前記放出速度調節膜が10~40重量%のコポビドンを含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項10】
前記放出速度調節膜が20~30重量%のコポビドンを含む、請求項6~9のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項11】
前記放出速度調節膜が1~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項6~10のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項12】
前記放出速度調節膜が1~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項6~11のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのラセミ体メタドン又はその塩を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのレボメタドン又はその塩を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項15】
前記胃内滞留システムが中央エラストマーと複数のアームを含み、前記複数のアームの各アームが近位端(前記中央エラストマーに固定されている)と遠位端を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の胃内滞留システムであって、ここで、前記複数のアームの各アームが中央エラストマーから放射状に延びており、及び前記複数のアームのうちの少なくとも1つのアームが前記少なくとも1つの薬物溶出成分を含む、システム。
【請求項16】
前記複数のアームが6つのアームを含む、請求項15に記載の胃内滞留システム。
【請求項17】
前記複数のアームのうちの少なくとも2つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、請求項15又は16に記載の胃内滞留システム。
【請求項18】
前記複数のアームのうちの少なくとも3つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、請求項15又は16に記載の胃内滞留システム。
【請求項19】
前記複数のアームの6つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、請求項15又は16に記載の胃内滞留システム。
【請求項20】
前記複数のアームの各アームが、前記中央エラストマーに付着したポリマーリンカーセグメントを含み、前記ポリマーリンカーセグメントがポリカプロラクトンを含む、請求項15~19のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項21】
前記複数のアームの各アームが、前記ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の酸性末端コポリマー、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)のコポリマー、及びポリエチレンオキシドを含む、請求項20に記載の胃内滞留システム。
【請求項22】
前記複数のアームの各アームが、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメントを含み、前記第1の不活性セグメントがポリカプロラクトンと(BiO)COを含む、請求項21に記載の胃内滞留システム。
【請求項23】
前記複数のアームの各アームが、前記第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポロキサマーを含む、請求項22に記載の胃内滞留システム。
【請求項24】
前記複数のアームの各アームが、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメントを含み、前記非有効セグメントが、ポリカプロラクトン、コポビドン、及びポロキサマーを含む、請求項23に記載の胃内滞留システム。
【請求項25】
前記複数のアームの薬物溶出アームが、前記非有効セグメントに付着した薬物溶出成分を含む、請求項24に記載の胃内滞留システム。
【請求項26】
前記胃内滞留システムの曲線下の面積が1000~6000hr・ng/mlである、請求項1~25のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1つに記載の胃内滞留システムを個体に投与することを含む、前記個体におけるオピオイド乱用障害を治療する方法。
【請求項28】
メタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含む少なくとも1つの薬物溶出成分を抽出することと、
前記少なくとも1つの薬物溶出成分に放出速度調節膜を適用することとを含む、胃内滞留システムの作成方法であって、
ここで、前記胃内滞留システムが、人体の胃内に少なくとも48時間維持されるように、及びメタドンを少なくとも48時間放出するように構成されており、そして、
前記放出速度調節膜を有する前記少なくとも1つの薬物溶出成分が、胃内に滞留の最初の24時間後にメタドン又はその塩の少なくとも10%を放出するように構成されている、方法。
【請求項29】
前記胃内滞留システムが50~60重量%のラセミ体メタドンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記胃内滞留システムが50~60重量%のレボメタドンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記胃内滞留システムが1~2重量%のポロキサマーを含む、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ポロキサマーがP407を含む、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記放出速度調節膜がポリカプロラクトン、コポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む、請求項28~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記放出速度調節膜が60~90重量%のポリカプロラクトンを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記放出速度調節膜が70~75重量%のポリカプロラクトンを含む、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記放出速度調節膜が10~40重量%のコポビドンを含む、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記放出速度調節膜が20~30重量%のコポビドンを含む、請求項33~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記放出速度調節膜が1~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項33~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記放出速度調節膜が1~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項33~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのラセミ体メタドン又はその塩を含む、請求項28~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのレボメタドン又はその塩を含む、請求項28~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記胃内滞留システムが中央エラストマーと複数のアームを含み、前記複数のアームの各アームが近位端(前記中央エラストマーに固定されている)と遠位端を含む、請求項28~41のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記複数のアームの各アームが中央エラストマーから放射状に延びており、及び前記複数のアームのうちの少なくとも1つのアームが少なくとも1つの薬物溶出成分を含む、方法。
【請求項43】
前記複数のアームが6つのアームを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記複数のアームのうちの少なくとも2つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記複数のアームのうちの少なくとも3つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項46】
前記複数のアームの6つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項47】
前記複数のアームの各アームが、中央エラストマーに付着したポリマーリンカーセグメントを含み、前記ポリマーリンカーセグメントがポリカプロラクトンを含む、請求項42~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記複数のアームの各アームが、ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の酸性末端コポリマー、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)のコポリマー、及びポリエチレンオキシドを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記複数のアームの各アームが、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメントを含み、前記第1の不活性セグメントがポリカプロラクトンと(BiO)COを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記複数のアームの各アームが、前記第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポロキサマーを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のアームの各アームが、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメントを含み、前記非有効セグメントが、ポリカプロラクトン、コポビドン、及びポロキサマーを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数のアームの薬物溶出アームが、前記非有効セグメントに付着した薬物溶出成分を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記胃内滞留システムの曲線下の面積が1000~6000hr・ng/mlである、請求項28~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
少なくとも1つのアームが薬物溶出成分を含む、中央エラストマーに固定された複数のアームを含む胃内滞留システムであって、
各アームは近位端、遠位端、及びそれらの間の外面を含み、ここで、各アームの前記近位端は前記エラストマー成分に付着され、前記エラストマー成分から放射状に突出し、各アームは、前記エラストマー成分に付着されておらず、かつ前記エラストマー成分から近位端よりも長い半径距離に位置するその遠位端を有し、
ここで、薬物溶出成分を含む前記少なくとも1つのアームは、
ポリマーリンカーセグメント、
前記ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメント、
前記第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメント、
前記第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメント、
前記第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメント、及び
前記非有効セグメントに付着した前記薬物溶出成分を含み、ここで、前記薬物溶出成分は、50~60重量%のメタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含み、及びここで、前記薬物溶出成分はさらに、放出速度調節ポリマー膜を含む被膜を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月5日に出願された米国仮出願第63/184,760号の利益を主張する。その出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府の援助による研究又は開発に関する声明
【0002】
本発明は、国立衛生研究所(the National Institutes of Health)により授与された助成金第1UG3DA050310号に基づく政府の支援によりなされた。政府は発明に関して一定の権利を有する。
分野
【0003】
本開示は、胃内滞留システムに関し、より詳しくはメタドン(methadone)を含む胃内滞留システムに関する。
【背景技術】
【0004】
メタドンは、オピオイド使用障害維持療法として承認されたオピオイド及びμORアゴニストである。メタドンは、アヘン剤離脱症状を軽減し、ヘロイン、モルヒネ、コデインなどのアヘン剤や、オキシコドンやヒドロコドンなどの半合成オピオイドの多幸感効果を阻止する。メタドン維持療法(MMT)は1960年代から採用されており、回復を促進し、死亡を防ぐことが示されている。
【0005】
メタドンは完全なμORアゴニストであるため、偶発的な過剰摂取及び転用の重大なリスクを伴う。従って、メタドンは通常、指定された診療所での直接観察の下、1日1回のスケジュールで投与される。指定された診療所でメタドンを投与した後、患者は、薬剤転用のリスクを低減するために15~20分間観察されることがある。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、メタドンを含む胃内滞留システムが提供される。現在、オピオイド使用障害の治療のためにメタドンを投与されている患者は通常、指定された診療所で毎日、用量のメタドンを服用する。従って、治療計画に適切に従うために、患者は毎日、指定された診療所に行って、1日分のメタドンの投与を受ける必要がある。予測されるように、これは多くの患者にとって困難であり、コンプライアンス違反を招きやすい。
【0007】
本明細書で提供されるメタドンを含む胃内滞留システムは、従来の維持療法よりも少ない頻度で患者に投与されるように設計されている。上述したように、メタドンは通常、監視された環境で毎日患者に投与される。しかし、これは、指定された診療所を毎日往復しなければならない患者にとってだけでなく、患者に対応するために毎日適切な投薬とスタッフを用意する必要がある指定された診療所にも、大きな負担である。従って、本明細書で提供される胃内滞留システムは、1日1回より少ない頻度で投与されても毎日のメタドン維持療法と同じ治療効果を提供できるように設計されている。例えば、本明細書で提供される胃内滞留システムは、週に1回投与されるように構成され得る。滞留期間(例えば7日間)を通して、胃内滞留システムは患者の胃内でメタドンをゆっくり放出するように構成されている。用量投与の頻度が減ることで、毎日指定された診療所に行かなければならない患者の負担と、毎日のメタドン維持療法中に毎日患者を受け入れなければならない指定された診療所の負担が軽減される。従って、毎日のメタドン維持療法よりも少ない頻度で投与する必要がある本明細書で提供される胃内滞留システムは、患者のコンプライアンス違反を最小限に抑えることができ、そして指定された診療所で必要とされる資源の量を削減することができる。
【0008】
本明細書で提供される胃内滞留システムは、胃内滞留システムの薬物溶出セグメントにおけるメタドン配合物と、胃内滞留システムの薬剤溶出セグメントを被覆する放出速度調節膜との組合わせによってのみ、患者の胃における胃内滞留システムの滞留期間全体を通した安定したメタドン放出を達成することができる。これらの機能の両方がなければ、胃内滞留システムは滞留期間全体を通して制御された方法でメタドンを適切に放出することはできない。例えば、胃内滞留システムが7日間の滞留期間を有するように構成されている場合、放出速度調節膜の被覆と組み合わせたメタドン配合物は、メタドンが胃内滞留システムから全期間(滞留期間の7日目(すなわち最終日)を含む)を通して放出され続けるように、メタドン放出を制御することができる。
【0009】
提供される胃内滞留システムは、圧縮された構成で患者によって飲み込まれ、患者の胃に到着すると、開いて非圧縮の構成になるように設計されている。いったん患者の胃内で開かれると、胃内滞留システムは、胃内の胃液によって胃内滞留システムが破壊されて患者の消化管系の残りの部分を通過できるようになるまで、胃の中に残るであろう。胃内滞留システムは、胃内滞留システムの様々な成分を一緒に連結する1つ以上の連結成分(例えばリンカー)を含むことができる。連結成分は崩壊性マトリックスを含み、制御された方法で胃液の存在下で溶解又は分解するように設計されており、胃内滞留システムの様々な成分が解離して患者の消化管の残りの部分を通過することを可能にする。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、有効成分(すなわちメタドン)を放出し、解離し、そして患者が最初に胃内滞留システムを摂取してから制御された時間(例えば12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日間、又は1か月)で、患者から排出されるように設計されている。
【0010】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは星形をしており、中央エラストマー、3つ以上のアーム、及び1つ以上の連結成分を含む。胃内滞留システムの中央エラストマーは、胃内滞留システムの中心成分であり、そこから3つ以上のアームが延びている。
【0011】
胃内滞留システムの3つ以上のアームは、胃内滞留システムの中央エラストマーから放射状に延びている。1つ以上のアームが、医薬品有効成分(すなわち、メタドン)を含むことができる。有効アームの数(すなわち、医薬品有効成分を含む1つ以上のアーム)は、胃内滞留システムの投与量に依存してもよい。有効アームは、いったん胃内滞留システムが患者の胃に到達すると、メタドン配合物を放出するように構成されている。
【0012】
従って、本明細書では、オピオイド使用障害を有する患者の治療に使用するための、メタドンを含む胃内滞留システムが提供される。記載される胃内滞留システムは、従来のメタドン維持療法よりも低い頻度で患者に投与されるように設計されている。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される胃内滞留システムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日間ごとに1回、患者に投与されるように設計されている。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される胃内滞留システムは、1、2、3、4、5、6、7、又は8週間ごとに1回、患者に投与されるように設計されている。
【0013】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムが提供され、この胃内滞留システムは、メタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含む少なくとも1つの薬物溶出成分と、少なくとも1つの薬物溶出成分を被覆している放出速度調節膜とを含み、ここで、胃内滞留システムは、人体の胃内に少なくとも48時間維持されるように、及びメタドンを少なくとも48時間放出するように構成されており、そして、放出速度調節膜を有する少なくとも1つの薬物溶出成分は、胃内に滞留の最初の24時間後にメタドン又はその塩の少なくとも10%を放出するように構成されている。
【0014】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは50~60重量%のラセミ体メタドンを含む。
【0015】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは50~60重量%のレボメタドンを含む。
【0016】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは1~2重量%のポロキサマーを含む。
【0017】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、ポロキサマーはP407を含む。
【0018】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、ポリカプロラクトン、コポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0019】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は60~90重量%のポリカプロラクトンを含む。
【0020】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は70~75重量%のポリカプロラクトンを含む。
【0021】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は10~40重量%のコポビドンを含む。
【0022】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は20~30重量%のコポビドンを含む。
【0023】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は1~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0024】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は1~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0025】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、少なくとも1つの薬物溶出成分は20mg~50のラセミ体メタドン又はその塩を含む。
【0026】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、少なくとも1つの薬物溶出成分は20~50mgのレボメタドン又はその塩を含む。
【0027】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは中央エラストマーと複数のアームを含み、複数のアームの各アームは、近位端(中央エラストマーに固定されている)と遠位端を含み、ここで、複数のアームの各アームは、中央エラストマーから放射状に延びており、及び複数のアームのうちの少なくとも1つのアームは少なくとも1つの薬物溶出成分を含む。
【0028】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームは6つのアームを含む。
【0029】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームのうちの少なくとも2つのアームは、少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む。
【0030】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームのうちの少なくとも3つのアームは、少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む。
【0031】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームの6つのアームは、少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む。
【0032】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、前記複数のアームの各アームは、中央エラストマーに付着したポリマーリンカーセグメントを含み、ポリマーリンカーセグメントはポリカプロラクトンを含む。
【0033】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメントを含み、第1の崩壊性マトリックスセグメントは、ポリカプロラクトン、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の酸性末端コポリマー、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)のコポリマー、及びポリエチレンオキシドを含む。
【0034】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメントを含み、第1の不活性セグメントは、ポリカプロラクトンと(BiO)2CO3を含む。
【0035】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントは、ポリカプロラクトン、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポロキサマーを含む。
【0036】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメントを含み、非有効セグメントはポリカプロラクトン、コポビドン、及びポロキサマーを含む。
【0037】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、複数のアームの薬物溶出アームは、非有効セグメントに付着した薬物溶出成分を含む。
【0038】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、胃内滞留システムの曲線下の面積は、1000~6000hr・ng/mlである。
【0039】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムを個体に投与することを含む、個体におけるオピオイド乱用障害を治療する方法が提供される。
【0040】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムを作成する方法が提供され、この方法は、メタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含む少なくとも1つの薬物溶出成分を押出すことと、放出速度調節膜を少なくとも1つの薬物溶出成分に適用することとを含み、ここで、胃内滞留システムは、人体の胃内に少なくとも48時間維持されるように、及びメタドンを少なくとも48時間放出するように構成されており、そして、放出速度調節膜を有する少なくとも1つの薬物溶出成分は、胃内に滞留の最初の24時間後にメタドン又はその塩の少なくとも10%を放出するように構成されている。
【0041】
方法のいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは50~60重量%のラセミ体メタドンを含む。
【0042】
方法のいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは50~60重量%のレボメタドンを含む。
【0043】
方法のいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは1~2重量%のポロキサマーを含む。
【0044】
方法のいくつかの実施態様において、ポロキサマーはP407を含む。
【0045】
方法のいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、ポリカプロラクトン、コポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0046】
方法のいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は60~90重量%のポリカプロラクトンを含む。
【0047】
方法のいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は70~75重量%のポリカプロラクトンを含む。
【0048】
方法のいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は10~40重量%のコポビドンを含む。
【0049】
方法のいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は20mg~30重量%のコポビドンを含む。
【0050】
方法のいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は1~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0051】
方法のいくつかの実施態様において、放出速度調節膜は1~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0052】
方法のいくつかの実施態様において、少なくとも1つの薬物溶出成分は20~50mgのラセミ体メタドン又はその塩を含む。
【0053】
方法のいくつかの実施態様において、少なくとも1つの薬物溶出成分は20~50mgのレボメタドン又はその塩を含む。
【0054】
方法のいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは中央エラストマーと複数のアームを含み、複数のアームの各アームは、近位端(中央エラストマーに固定されている)と遠位端を含み、ここで、複数のアームの各アームは中央エラストマーから放射状に延びており、及び複数のアームのうちの少なくとも1つのアームは少なくとも1つの薬物溶出成分を含む。
【0055】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームは6つのアームを含む。
【0056】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームのうちの少なくとも2つのアームは、少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む。
【0057】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームのうちの少なくとも3つのアームは、少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む。
【0058】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームの6つのアームは、少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む。
【0059】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、中央エラストマーに付着したポリマーリンカーセグメントを含み、ポリマーリンカーセグメントはポリカプロラクトンを含む。
【0060】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメントを含み、第1の崩壊性マトリックスセグメントは、ポリカプロラクトン、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の酸性末端コポリマー、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)のコポリマー、及びポリエチレンオキシドを含む。
【0061】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメントを含み、第1の不活性セグメントはポリカプロラクトンと(BiO)2CO3を含む。
【0062】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメントを含み、第2の崩壊性マトリックスセグメントは、ポリカプロラクトン、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポロキサマーを含む。
【0063】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームの各アームは、第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメントを含み、非有効セグメントはポリカプロラクトン、コポビドン、及びポロキサマーを含む。
【0064】
方法のいくつかの実施態様において、複数のアームの薬物溶出アームは、非有効セグメントに付着した薬物溶出成分を含む。
【0065】
方法のいくつかの実施態様において、胃内滞留システムの曲線下の面積は1000~6000hr・ng/mlである。
【0066】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムが提供され、中央エラストマーに固定された複数のアームを含み、ここで、少なくとも1つのアームは薬物溶出成分を含み、各アームは近位端、遠位端、及びそれらの間の外面を含み、ここで、各アームの近位端はエラストマー成分に付着され、かつエラストマー成分から放射状に突出し、各アームは、エラストマー成分に付着されておらず、かつエラストマー成分から近位端よりも長い半径距離に位置するその遠位端を有し、ここで、薬物溶出成分を含む少なくとも1つのアームは、ポリマーリンカーセグメント、ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメント、第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメント、第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメント、第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメント、及び非有効セグメントに付着した薬物溶出成分を含み、ここで、薬物溶出成分は、50~60重量%のメタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含み、及びここで、薬物溶出成分はさらに、放出速度調節ポリマー膜を含む被膜を含む。
【0067】
いくつかの実施態様において、任意の実施態様に関して上で論じた特徴、特性、又は要素のうちの任意の1つ以上は、上で言及したか又は本明細書の他の場所で説明した他の実施態様のいずれかに組み込むことができる。
【0068】
本出願には、カラーで示された少なくとも1つの図面が含まれている。カラー図面を含む本特許出願公報のコピーは、請求と必要な手数料の支払いに応じて、特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1A図1Aは、いくつかの実施態様による、星形構成を有する胃内滞留システムを示す。
図1B図1Bは、いくつかの実施態様による、折り畳まれた構成の胃内滞留システムを示す。
図2図2は、いくつかの実施態様による、6つの細長いアームを有する胃内滞留システムの細長いアームの配置を示し、ここでアーム断面は楔形である。
図3図3は、いくつかの実施態様による、6つの有効アームを有する胃内滞留システムを示す。
図4図4は、いくつかの実施態様による、4つの有効アームを有する胃内滞留システムを示す。
図5A図5Aは、被覆された薬物溶出セグメント及び被覆されていない薬物溶出セグメントのメタドン放出プロフィールを示す。
図5B図5Bは、被覆された薬物溶出セグメント及び被覆されていない薬物溶出セグメントのメタドン放出プロフィールを示す。
図6図6は、様々な量の放出速度調節膜で被覆された薬物溶出セグメントを含む胃内滞留システムのメタドン放出プロフィールを示す
図7図7は、様々なシミュレートされた流体(すなわち、FASSGF、FED、FaSSIF)中の薬物溶出セグメントのメタドン放出速度を示す。
図8A図8Aは、1日のエタノールチャレンジのメタドン放出を示す。
図8B図8Bは、1日のエタノールチャレンジのメタドン放出を示す。
図9A図9Aは、3日間のエタノールチャレンジのメタドン放出を示す。
図9B図9Bは、3日間のエタノールチャレンジのメタドン放出を示す。
図10A図10Aは、実施例6で使用される胃内滞留システムの有効アームの構造を示す。
図10B図10Bは、LYN-014-M(100mg)の単回経口投与後10日間にわたる平均メタドン血漿濃度を示す。
図10C図10Cは、メタドンHCl(10mg)の単回経口投与後の平均メタドン血漿濃度を示す。
図10D図10Dは、LYN-014-M(100mg)の単回経口投与後7日間にわたる平均メタドン血漿濃度を示す。す。
図11図11は、溶解試験方法を使用する累積放出プロフィールを示す、そして
図12図12は、インビトロの放出試験方法を使用する累積放出プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
開示の詳細な説明
本明細書には、メタドンを含む胃内滞留システムが記載される。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるメタドンを含む胃内滞留システムは、オピオイド使用障害を治療するために使用され得る。いくつかの実施態様において、記載される胃内滞留システムは、従来のメタドン剤形よりも低い頻度で投与されるように設計される。投与頻度を減らすことによって、本明細書で提供されるメタドンを含む剤形は、患者のコンプライアンスを高めることができる。例えば、従来のメタドン維持療法プランでは通常必要とされるように、患者は指定された診療所に1日に1回行かなければならない代わりに、患者は2日に1回、週に1回、又は月に1回、指定された診療所に行くだけで済む(通常、過剰摂取や転用の発生を最小限に抑えるために、メタドンは臨床現場で患者に投与される)。これにより、指定された診療所に頻繁に行く必要がなくなるため、患者の負担が軽減されるだけでなく、頻繁な投与により、患者の定期的な来院に対応しなければならない指定診療所の負担も軽減される。より投与頻度を減らすために、本明細書で提供される胃内滞留システムは、滞留期間にわたって医薬品有効成分(すなわち、メタドン)をゆっくり放出する。従って、胃内滞留形態が1週間の滞留期間を有するように設計されている場合、医薬品有効成分(つまり、メタドン)は1週間の滞留期間を通して患者の胃内でゆっくり放出されるように設計されている。
【0071】
本明細書に記載の放出速度調節膜と組み合わせた、本明細書に記載の胃内滞留システムの薬物溶出セグメント用のメタドン配合物の特定の組み合わせは、従来のメタドン維持療法よりも少ない頻度で患者に投与する必要がある胃内滞留システムを達成することができる。これらの機能が両方ともなければ、胃内滞留システムは、滞留期間全体を通して制御された方法でメタドンを適切に放出できない。例えば、胃内滞留システムが7日間の滞留期間を有するように構成されている場合、放出速度調節膜の被膜と組み合わせたメタドン配合物は、メタドンが胃内滞留システムから滞留期間(滞留期間の7日目(つまり、最終日)を含む)を通して放出され続けるように、メタドン放出を制御することができる。
【0072】
メタドンを投与するための胃内滞留システムは、星形であってもよい。例えば、星形の胃内滞留システムは、中央エラストマー、3つ以上のアーム、及び複数の連結成分(すなわちリンカー)を含み得る。中央エラストマーは星形の中心に位置しており、3つ以上のアームが中央エラストマーから放射状に延びていてもよい。リンカーは、胃内滞留システムの2つ以上の成分を一緒に結合することができる。例えば、リンカーはアームを中央エラストマーに接続することができる。リンカーはまた、2本のアームを互いに接続することもある(例えばアームのひじ部分として機能する)。いくつかの実施態様において、医薬品有効成分(すなわち、メタドン)は、星形のアーム(すなわち、有効アーム)内に提供され得る。有効アームは、メタドン配合物を含み得る。
【0073】
以下に、メタドンを患者に投与するための胃内滞留システムについて説明する。具体的には、この説明は以下を提供する:(1)定義、(2)胃内滞留システム薬物送達機構、(3)胃内滞留システムの構成と成分、(4)改善された保持能と薬剤放出のための機能、(5)メタドン配合物を含む担体ポリマー-薬剤セグメント、(6)速度調節ポリマー膜、(7)胃内滞留時間、(8)メタドンを含む胃内滞留システム、及び(9)実施例。
【0074】
定義
「メタドン」は、ラセミ体又はレボメタドンでもよい。レボメタドンは、ラセミ体メタドンのほぼ2倍の力価である。「メタドン」はまた、メタドンの塩、例えばメタドンHCl又はレボメタドンHClを指し得る。
【0075】
「担体ポリマー」は、胃内滞留システムで使用するための薬剤、例えば薬物とブレンドするのに適したポリマーである。
【0076】
「薬剤」とは、患者、個体、又は被験者における治療、診断、又は栄養上の使用を目的とした任意の物質である。薬剤には、限定されるものではないが、薬物、栄養素、ビタミン、及びミネラルが含まれる。
【0077】
「分散剤」は、薬剤の粒子サイズの最小化及び担体ポリマーマトリックス中の薬剤粒子の分散を助ける物質として定義される。すなわち、分散剤は、システムの製造中の粒子の集合又は凝集を最小限に抑えるか又は防止するのに役立つ。従って、分散剤は抗集合活性と抗凝集活性を有し、担体ポリマーマトリックス中で薬剤粒子の均一な分布を維持するのに役立つ。
【0078】
「賦形剤」とは、薬剤の配合物に添加される、薬剤そのものではない任意の物質である。賦形剤には、限定されるものではないが、結合剤、被覆剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味剤、流動促進剤、滑沢剤、及び保存剤が含まれる。分散剤の特定のカテゴリーは、賦形剤のより一般的なカテゴリーに分類される。
【0079】
「弾性ポリマー」又は「エラストマー」とは、加えられた力によって、一定期間元の形状から変形することができ、加えられた力が取り除かれると実質的に元の形状に戻るポリマーである。
【0080】
「患者」、「個体」、又は「被験体」は、哺乳動物、好ましくはヒト、又は犬若しくは猫などの家畜を指す。最も好適な実施態様において、患者、個体、又は被験体はヒトである。
【0081】
「ポロキサマー」は、中心にポリプロピレンオキシドコアを有し、コアの両側にポリエチレンオキシドの隣接領域を有するブロックコポリマーである。
【0082】
本明細書で使用される粒子の「直径」は、粒子の最長寸法を指す。
【0083】
本明細書に開示されるシステム及び方法を用いて疾患若しくは障害を「治療する」ことは、疾患若しくは障害のいずれか又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状を軽減若しくは排除するために、又は疾患若しくは障害又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるために、あるいは疾患若しくは障害の重症度又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状を軽減するために、追加の薬剤の有無にかかわらず、それを必要とする患者に、本明細書に開示のシステムのうちの1つ以上を投与することと定義される。本明細書に開示されるシステム及び方法を用いる疾患若しくは障害の「抑制」は、疾患若しくは障害の臨床症状を抑制するために、又は疾患若しくは疾患の有害な症状の発現を抑制するために、それを必要とする患者に、追加の薬剤の有無にかかわらず、本明細書に開示されるシステムの1つ以上を投与することと定義される。治療と抑制の違いは、治療は疾患若しくは障害の有害な症状が患者に現れた後に行われるのに対し、抑制は疾患若しくは障害の有害な症状が患者に現れる前に行われることである。抑制は、部分的、実質的に全体的、又は全体的であり得る。一部の疾患又は障害は遺伝するため、遺伝子スクリーニングを使用して疾患や障害のリスクのある患者を特定することができる。次に、本明細書に開示されるシステム及び方法は、あらゆる有害な症状の出現を抑制するために、疾患若しくは障害の臨床症状を発症するリスクのある無症候性患者を治療するために使用することができる。
【0084】
材料の「曲げ弾性率」は、3点曲げ試験によって測定される材料の曲げ変形における応力とひずみの比として計算される材料の固有の特性である。リンカーは本明細書では胃内滞留システムの成分として記載されているが、ポリマー物質の材料の曲げ弾性率は単独で測定することもできる。例えば、胃内滞留システムのポリマーリンカーは曲げ弾性率を測定するには短すぎる可能性があるが、同じ材料のより長い試料を使用して、曲げ弾性率を正確に測定することができる。曲げ弾性率の測定に使用されるより長い試料は、胃内滞留システムで使用されるポリマーリンカーと同じ断面寸法(形状及びサイズ)を有する必要がある。曲げ弾性率は、支持体間の距離を10mmとして、ASTM標準3点曲げ試験(ASTM D790)に従って3点曲げ試験を使用して測定され、非長方形断面の材料に対応できるようにさらに修正される。ポリマーリンカーの断面の最長の対称線を垂直に配置し、下向きに力を加えて曲げ弾性率を測定する必要がある。ポリマーリンカーの断面の最長の対称線が1つの平坦なエッジに対して垂直である場合、1つの平坦なエッジは上向きに配置される必要がある。ポリマーリンカーの断面が三角形の場合、三角形の頂点は下を向く必要がある。下向きに力を加えたときの力と変位を測定し、直線領域で傾きを求めて曲げ弾性率が算出される。
【0085】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、別段の指示がない限り、又は文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の参照を含む。
【0086】
本明細書において「約」という用語又は「およそ」という用語を使用して数値が表現される場合、指定された値と指定された値に合理的に近い値の両方が含まれることが理解される。例えば「約50℃」又は「およそ50℃」という記述には、50℃自体の開示と、50℃に近い値の両方が含まれる。従って「約X」又は「およそX」という語句には、値X自体の記載が含まれる。「およそ50℃~60℃」又は「約50℃~60℃」などの範囲が示されている場合、エンドポイントで指定された両方の値が含まれており、各エンドポイント又は両方のエンドポイントに近い値が各エンドポイント又は両方のエンドポイントに含まれることが理解される。すなわち「およそ50℃~60℃」(又は「約50℃~60℃」)は、「50℃~60℃」と「およそ50℃~約60℃」(又は「約50℃~60℃」)の両方を記載するのと同じである。
【0087】
本明細書で開示される数値範囲に関して、ある成分について任意の開示された上限は、その成分について任意の開示された下限と組み合わせて、ある範囲を提供することができる(ただし、上限はそれと組合わされる下限より大きい)。開示された上限及び下限のこれらの組み合わせのそれぞれは、本明細書において明示的に想定される。例えば、特定の成分の量の範囲が10%~30%、10%~12%、及び15%~20%として与えられている場合、10%~20%及び15%~30%の範囲も想定され、一方、15%の下限と12%の上限の組み合わせは不可能であるため、想定されない。
【0088】
他に明記されない限り、組成物中の成分のパーセンテージは重量パーセント又は重量/重量パーセントとして表される。組成物中の相対重量パーセンテージへの言及は、組成物中のすべての成分の組合わせ合計重量パーセンテージが100になることを仮定していることが理解される。さらに、1つ以上の成分の相対重量パーセンテージは、特定の成分の重量パーセントがその成分に指定された範囲の制限を超えない限り、組成物中の成分の重量パーセントが合計で100になることを意味するように、上下に調整できることも理解される。
【0089】
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、様々な要素に関して「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」として記載される。代替実施態様において、それらの要素は、それらの要素に適用される移行句「から本質的になっている(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」で記載することができる。さらなる代替実施態様において、それらの要素は、それらの要素に適用される移行句「からなっている(consisting of)」又は「からなる(consists of)」で記載することができる。従って、例えば、組成物又は方法がA及びBを含むものとして本明細書に開示されている場合、その組成物又は方法の「A及びBから本質的になる」代替実施態様、及びその組成物又は方法の「A及びBからなる」代替実施態様も本明細書に開示されているものとみなされる。同様に、様々な要素に関して「から本質的になっている」又は「からなっている」と記載されている実施態様は、それらの要素に適用される場合には「含んでいる」と記載することもできる。最後に、様々な要素に関して「から本質的になっている」と記載されている実施態様は、それらの要素に適用される「からなっている」とも記載でき、また、それらの様々な要素に関して「からなっている」と記載されている実施態様は、それらの要素に適用される「から本質的になっている」と記載することもできる。
【0090】
組成物又はシステムが列挙された要素「から本質的になっている」と記載されている場合、組成物又はシステムは明示的に列挙された要素を含み、治療される状態に重大な影響を与えない他の要素(状態を治療するための組成物の場合)、又は記載されたシステムの特性(システムを含む組成物について)を含むことができる。しかし、組成物若しくはシステムは、(治療システムの組成物について)明示的に列挙された要素以外に、治療される状態に重大な影響を及ぼす他の要素を含まないか、又は(システムを構成する組成物について)システムの特性に重大な影響を与える他の要素を含まないかのいずれか、又は、組成物若しくはシステムが、治療される状態又はシステムの特性に重大な影響を与える可能性がある列挙されているもの以外の追加の要素を含む場合、その組成物若しくはシステムは、治療される状態又はシステムの特性に重大な影響を与えるのに十分な濃度又は量の追加の要素を含まない。方法が、列挙された工程から「本質的になっている」と記載されている場合、その方法は列挙された工程を含み、及びその方法によって治療される状態又はその方法によって生成されるシステムの特性に重大な影響を及ぼさない他の工程が含まれてもよいが、前記方法は、明示的に列挙された工程以外に、治療される状態又は製造されるシステムに重大な影響を与える他の工程は含まない。
【0091】
本開示は、いくつかの実施態様を提供する。任意の実施態様の任意の特徴を、可能な限り、他の任意の実施態様の任意の特徴と組み合わせることができることが企図される。このように、開示された特徴のハイブリッド構成は、本開示の範囲内に含まれる。
【0092】
ここで開示されている実施態様と方法に加えて、胃内滞留システムの追加実施態様、及びそのようなシステムの作成と使用方法は、国際特許出願番号WO2015/191920、WO2015/191925、WO2017/070612、WO2017/100367、及びPCT/US2017/034856に開示されており、これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
ポリマー及び他の成分には次の略語が使用される:
【0094】
【表1】
【0095】
PLURONIC(登録商標)は、ポリオキシアルキレンエーテルのBASF Corporationの登録商標である。商品名を使用して本明細書に記載されるいずれの製剤においても、商品名は一般名に置き換えることができる。例えば、50%のCorbion PC17及び50%のCorbion PC04を含むと記載された配合物は、粘度1.7dl/gの50%のポリカプロラクトン及び粘度0.4dl/gの50%のポリカプロラクトンを含む配合物を説明すると理解される。
【0096】
胃内滞留システムの薬物送達機構
胃内滞留剤形は、嚥下により、栄養チューブにより、胃管等により、患者の胃に投与されるように設計することができる。いくつかの実施態様において、胃内滞留剤形は、圧縮された構成に折り畳まれ、カプセル内に固定される。胃内滞留剤形が胃内の適所に配置されると、圧縮形態が開いて非圧縮形態になり、所望の滞留時間(例えば3日、7日、2週間など)胃内に滞留することができる。胃内に適切に配置された胃内滞留剤形は、胃と小腸を隔てる幽門弁の通過に抵抗する。胃内滞留剤形は、制御放出により滞留期間にわたって治療薬(すなわち、API又は薬物)を放出することができる。胃内に存在する間、剤形は食物又は他の胃内容物の正常な通過を妨げてはいけない。所望の滞留時間が経過すると、剤形は胃から出て(すなわち、幽門弁を通って)、患者から容易に排出される。
【0097】
胃内滞留システムを患者に投与するために、胃内滞留システムは、飲み込むか又は他の方法で投与することができるのに十分小さい形態に折り畳むことができる。いくつかの実施態様において、折り畳まれた胃内滞留システムは、患者が飲み込むことができるカプセル又は他の容器内に保持される。場合によっては、胃内滞留システムは、胃瘻チューブ、栄養チューブ、胃チューブ、又は胃への他の投与経路を介して患者に送達され得る。胃内滞留システムの具体例は、PCT/US2018/051816、WO2015/191920、WO2017/070612、WO2017/100367、WO2018/064630、WO2017/205844、WO2018/227147に見出すことができ、これらのそれぞれの全体は本明細書に組み込まれる。
【0098】
胃内滞留システムがいったん患者の胃に到達すると、これは開放構成をとることができる。開放胃内滞留システムの寸法は、変更しないままにしておくと、装置が胃内に滞留する予定の期間、装置が幽門弁を通過するのを防ぐのに適している。いくつかの実施態様において、折り畳まれた胃内滞留システムはまた、溶解可能な保持バンド又はスリーブによって固定することもでき、これは、カプセルが故障した場合に、胃内滞留システムの早期展開を防止することができる。
【0099】
胃の中にある間、胃内滞留システムは、胃又は消化管の消化及び他の正常な機能に適合する。胃内滞留システムは、消化粥(部分的に消化された食物)やその他の胃内容物が胃から幽門弁を通って十二指腸に排出されるのを干渉したり妨害したりしない。
【0100】
いったんカプセルから胃内に放出されると、胃内滞留システムの治療薬(例えばメタドン)が効果を発揮し始める。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む。担体ポリマー-薬剤成分は、担体ポリマー、細孔形成剤、及び治療薬(又はその塩)を含み得る。複数の担体ポリマー-薬剤成分は、1つ以上のカップリングポリマー成分によって一緒に結合される。治療薬は、システムの所望の滞留時間にわたって、担体ポリマー-薬剤成分から患者の胃液中に溶出することができる。治療薬の放出は、担体ポリマー-薬剤成分の配合における分散剤の使用によって、及び薬剤を担体ポリマー及び分散剤とブレンドする前に治療薬を所望のサイズの粒子に粉砕することによって、担体ポリマー-薬剤成分の適切な配合によって制御される。
【0101】
さらに、胃内滞留システムの外表面に被覆剤を適用することができる。被覆剤は、治療薬の放出又は胃内滞留システムの滞留期間に影響を与えることができる追加の1つ又は複数の治療薬を含むことができる。
【0102】
いったん所望の滞留時間が経過すると、胃内滞留システムは胃の外へ排出される。そうするために、胃内滞留システムの様々な成分が、弱くなり劣化するように設計されている。システムの具体的な寸法も考慮される。胃内滞留システムは、無傷で圧縮されていない開いた構成では、幽門弁中の通過に抵抗するように設計されている。ただし、胃内滞留システムのカップリングポリマー成分は、胃内の指定された滞留期間にわたって徐々に分解するように選択される。カップリングポリマー成分が分解によって十分に弱まると、胃内滞留システムは圧縮やサイズ縮小に対する重要な弾力性を失い、より小さな断片に分解する可能性がある。縮小サイズの剤形及びその他の小さな断片は、幽門弁を通過するように設計されている。その後、システムは腸を通過して患者から排出される。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、滞留時間が経過すると多数の小さな断片に分解することなく、そのまま幽門弁を通過できるように、特定の位置で弱くなるように設計され得る。
【0103】
胃内滞留システムの構成と成分
胃内滞留システムは様々な構成で調製することができる。胃内滞留システムの「星形」構成は、「星」(又は「星印」)構成としても知られている。星形システム100の一例が図1Aに概略的に示されている。複数のアーム(明確にするためにそのようなアームの1つである108のみがラベルされている)が、円盤状の中央エラストマー106に結合している。図1Aに示されるアームは、リンカー領域として機能するカップリングポリマー又はリンカー領域104(ここでも明確にするために、これらの成分は一方のアームのみラベルされている)によって繋がれたセグメント102と103から構成される。この構成により、システムを中央エラストマーで折りたたむか又は圧縮することができる。図1Bは、図1Aの胃内滞留システムの折り畳まれた構成190を示す(明確にするために、図1Bには2つのアームのみが示されている)。図1Bのセグメント192と193、リンカー領域194、エラストマー196、及びアーム198は、それぞれ、図1Aのセグメント102と103、リンカー領域104、エラストマー106、及びアーム108に対応する。折りたたむと、システムの全長はおよそ2分の1に短縮され、システムは、カプセルや経口投与に適したその他の容器などの容器に便利に配置できる。胃内滞留システムは、カプセル又は他の容器によって圧縮された状態(折りたたまれた状態)に拘束される。カプセルが胃に到達すると溶解し、胃内滞留システムが放出される。カプセル又は他の容器による拘束が解除されると、胃内滞留システムは非圧縮状態に展開され、所望の滞留期間、胃内に保持される。
【0104】
リンカー領域104は、図1Aのセグメント102及び103より直径がわずかに大きく示されているが、これらは、セグメントと同じ直径でもよく、従ってアーム102-104-103の全体は滑らかな外面を有する。
【0105】
いくつかの実施態様において、星形システムは、リンカー領域によって中央エラストマーに付着されたただ1つのセグメントから構成されるアームを有してもよい。これは、セグメント103が省略された図1Aに対応する。次に、セグメント102を含む単一セグメントアームは、リンカー104を介して中央エラストマー106に直接付着される。リンカーは、カップリングポリマー又は崩壊性マトリックスを含み得る。
【0106】
星形システムは、エラストマー成分と、エラストマー成分に付着した、担体ポリマー及び薬剤又はその塩を含む少なくとも1つの担体ポリマー-薬剤成分とを含む、患者の胃に投与するための胃内滞留システムとして説明することができ、ここで、複数の担体ポリマー-薬剤成分のそれぞれは、近位端、遠位端、及びそれらの間の外面を含むアームであり、ここで、各アームの近位端はエラストマー成分に付着され、エラストマー成分から放射状に突出し、各アームは、前記エラストマー成分に付着されておらず、かつ前記エラストマー成分から近位端よりも長い半径距離に位置するその遠位端を有し、ここで、各アームは独立して1つ以上のセグメントを含み、各セグメントは近位端、遠位端、及びそれらの間の外面を含む。いくつかの実施態様において、アーム内に2つ以上のセグメントが存在する場合、各セグメントはリンカー領域を介して隣接するセグメントに付着される。いくつかの実施態様において、アーム内に2つ以上のセグメントが存在する場合、1つのセグメントは、リンカー領域を使用せずに、他のセグメントに直接付着される。リンカー領域は、カップリングポリマー又は崩壊性マトリックスでもよい。アームは、カップリングポリマー又は崩壊性マトリックスを介して中央エラストマーに付着することができ、界面ポリマーの介在部分を有することができる。複数の少なくとも3つのアーム、又は複数のアームの場合、アームの好ましい数は6であるが、3、4、5、7、8、9、又は10のアームを使用することもできる。アームは中央エラストマーの周囲に等間隔に配置されていなければならない。N個のアームがある場合、隣接するアーム間には約360/N度の角度が生じる。
【0107】
カップリングポリマー/リンカー領域
リンカー領域として機能する胃内滞留システムのカップリングポリマーは、胃内でのシステムの滞留期間中に、制御された方法で徐々に分解するように設計されている。胃内滞留システムが小腸への通過が早すぎて未変性のままである場合、そのシステムは腸閉塞を避けるためにより迅速に分解されるように設計されている。これは、カップリングポリマーとして腸溶性ポリマーを使用することにより容易に達成される。腸溶性ポリマーは、胃内で遭遇する酸性pHレベルには比較的耐性があるが、十二指腸で見られるより高いpHレベルでは溶解する。安全要素として腸溶性カップリングポリマーを使用すると、無傷の胃内滞留システムの小腸への望ましくない通過を防ぐことができる。図1Aに示すシステムでは、少なくともカップリング104に使用されるカップリングポリマーは、そのような腸溶性ポリマーから作成される。
【0108】
追加の実施態様において、時間依存性カップリングポリマー又はリンカーを使用することができる。このような時間依存性のカップリングポリマー又はリンカーは、予測可能で時間依存的に分解する。いくつかの実施態様において、時間依存性カップリングポリマー又はリンカーの分解は、消化管系のpHの変化によって影響されない可能性がある。
【0109】
追加の実施態様において、異なるタイプのリンカーを胃内滞留システムで使用することができる。すなわち、腸溶性リンカー(又は腸溶性カップリングポリマー)と時間依存性リンカー(又は時間依存性カップリングポリマー)の両方を使用することができる。いくつかの実施態様において、星形システムの単一のマルチセグメントアームは、セグメント間の一部のリンカー領域での腸溶性リンカーと、セグメント間の他のリンカー領域での時間依存性リンカーの両方を使用することができる。
【0110】
リンカー領域は、通常、幅約100ミクロン~約2ミリメートル、例えば約200μm~約2000μm、約300μm~約2000μm、約400μm~約2000μm、約500μm~約2000μm、約600μm~約2000μm、約700μm~約2000μm、約800μm~約2000μm、約900μm~約2000μm、約1000μm~約2000μm、約1100μm~約2000μm、約1200μm~約2000μm、約1300μm~約2000μm、約1400μm~約2000μm、約1500μm~約2000μm、約1600μm~約2000μm、約1700μm~約2000μm、約1800μm~約2000μm、若しくは約1900μm~約2000μm、又は約100μm~約1900μm、約100μm~約1800μm、約100μm~約1700μm、約100μm~約1600μm、約100μm~約1500μm、約100μm~約1400μm、約100~約1300μm、約100μm~約1200μm、約100μm~約1100μm、約100μm~約1000μm、約100μm~約900μm、約100μm~約800μm、約100μm~約700μm、約100μm~約600μm、約100μm~約500μm、約100μm~約400μm、約100μm~約300μm、又は約100μm~約200μmである。リンカー領域は、幅は約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1000μm、約1100μm、約1200μm、約1300μm、約1400μm、約1500μm、約1600μm、約1700μm、約1800μm、約1900μm、又は約2000μmであり得、ここで、各値はプラス又はマイナス50μm(±50μm)であり得る。
【0111】
中央エラストマー
星形システムの中央エラストマーポリマーは通常、腸溶性ポリマーではない。しかし中央エラストマーポリマーはまた、望ましくかつ実際的な場合には、そのような腸溶性ポリマーから作成することもできる。
【0112】
中央エラストマーは、特定のデュロメーター硬さと圧縮永久ひずみを有する必要がある。デュロメーター硬さは、剤形の折り畳み力と、それが胃の中に留まるかどうかを決定するため、重要である。好ましい範囲は約60~約90Aである。圧縮永久ひずみは、カプセル内に圧縮された構成で保存されるときに胃内滞留システムが永久変形するのを避けるために、できる限り小さくすべきである。好ましい範囲は約10%~約20%の範囲である。液体シリコーンゴムは中央エラストマーとして有用な材料である。これらの要件を満たす材料の例としては、Dow Corningの液体シリコーンゴムのQP1シリーズがある。中央エラストマーを含む任意の実施態様において、QP1-270(デュロメーター硬さ70A)液体シリコーンゴムを使用することができる。いくつかの実施態様において、中央エラストマーは、50A又は60Aデュロメーター硬さの液体シリコーンゴム(信越化学工業)を含み得る。
【0113】
セグメント/アーム
胃内滞留システムのセグメント及びアームは、円形(この場合、セグメントは円筒形)、多角形(三角形の断面、長方形の断面、又は正方形の断面を有するセグメントなど)、又はパイ形の断面(この場合、セグメントは円筒形の断面である)の形状の断面を有することができる。多角形又はパイ形の断面を有するセグメント、及び胃組織と接触することになる円筒形のセクションの端部は、生体内での安全性を高めるために、鋭いエッジを丸くして丸い角及びエッジを提供することができる。すなわち、交差するエッジ又は平面間で急激な移動を行う代わりに、あるエッジ又は平面から別のエッジ又は平面への移動に円弧が使用される。従って「三角形の断面」には、角が丸い三角形などのほぼ三角形の形状を有する断面も含まれる。断面が三角形のアームには、角が丸くなっているアームや、先端の角が丸くなっているアームも含まれる。丸くなったコーナー及びエッジは、フィレットコーナー(fillet corners)、フィレッティッドコーナー(filleted corners)、フィレットエッジ(fillet edges)、又はフィレッティッドエッジ(filleted edges)とも呼ばれる。
【0114】
いくつかの実施態様において、星形の胃内滞留システムで使用される細長い部材又はアームの断面は円形断面であり、ここで、円形断面は、同一平面内にある円筒形の2つの半径とその半径が交差する円弧によって形成される。2つの半径間の角度(円弧の中心角)は、好ましくは約360度を4、6、又は8で割ったものであるが、約360度を2から12までの任意の整数で割ったものであってもよい。すなわち、円形断面として記述される断面は、図2の左側に示される断面のように、パイのスライスに似ており、このような形状は、パイ形状と呼ぶことができる。星形システムにおける細長い部材のそのような断面は、楔形断面を有する6つの細長い部材(1つの細長い部材1010がラベルされている)を有する胃内滞留システム1030について図2の右側に示されるように、胃内滞留システムが圧縮されたときにほぼ円筒形の形状を有することを可能にする。図2に示される配置は、三角形の断面を有する細長い部材を有する配置と比較して、システムが圧縮された形態にあるときに収容カプセル1020にかかる応力を軽減し、及びカプセル内のスペースが無駄にならないため、より多くの量を細長い部材に使用することを可能にする。このような断面を有する細長い部材は、そのような断面を有する金型を介して押出成形することによって製造することができる。押出スラブ又はリボンなどのバルク構成の複数の領域を共押出成形する場合、圧縮成形又は熱成形を使用して、押出バルク構成の一部からそのような断面を有する細長い部材を形成することができる。
【0115】
いくつかの実施態様において星形システムは、展開されたとき(アームを伸ばしたとき)約30mm~約60mmである。いくつかの実施態様において星形システムは、展開されたとき約41mm~約51mmである。いくつかの実施態様において星形システムは、展開されたとき約45mm~約47mmである。いくつかの実施態様において星形システムは、展開されたとき約46mmである。
【0116】
メタドン胃内滞留システムの保持力と薬剤放出を向上させる機能
所望の滞留期間にわたる胃内滞留システムの保持及び胃内滞留システムからの薬剤放出は本明細書に記載される機能、例えば、胃内滞留システムの周囲に巻き付けられ、胃内滞留システムのアームを接続するフィラメント、胃内滞留システムのより正確な保持及び通過を可能にする時限リンカー及び腸溶性リンカーの使用、及び放出速度調節ポリマー膜で被覆されたアームを、使用することにより改善され、より一貫したものとなり得る。
【0117】
円周フィラメント
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは円周フィラメントを含み得る。フィラメントを有する胃内滞留システムは、胃内滞留システムの胃内滞留を改善するのに役立ち得る。具体的には、フィラメントは、より一貫した胃内滞留時間及び/又はより長い胃内滞留時間を提供するのに役立ち得る。従って、フィラメントを含む胃内滞留システムは、より予測可能及び/又は制御可能な胃内滞留時間を提供することができる。予測可能及び/又は制御可能な胃内滞留時間を有する胃内滞留システムは、胃内滞留システムが早すぎる(例えば食道内で)展開をして閉塞を引き起こすリスクを最小限に抑えることができる。予測可能及び/又は制御可能な胃内滞留時間を有する胃内滞留システムはまた、胃内滞留システムが胃を通過した後に消化管(すなわち、腸)内で展開する可能性、又は全く展開せずに消化管を通過する可能性を最小限に抑えることができる。これらの考えられるシナリオのそれぞれにおいて、意図したように、胃内滞留剤形の治療薬は患者に送達されない。
【0118】
しかし、星形の胃内滞留システムは、患者の幽門を早期に通過することを可能にする形状に曲がることができることが証明されている。幽門を通過するのが早すぎる胃内滞留システムは、胃内滞留システムの治療薬を患者に送達することができない。さらに、早期に通過すると、ムラが生じ、信頼性が低下し、胃内滞留システムの有効性が損なわれる。
【0119】
円周フィラメントの特徴は、国際特許出願PCT/US2020/059541に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
時間依存性リンカー(時限崩壊性マトリックス)及び腸溶性リンカー(腸内崩壊性マトリックス)
以下に、ポリマーリンカー(例えば時限リンカー及び/又は腸溶性リンカー)及び時間依存性リンカーを具体的に説明する。
【0121】
ポリマーリンカー
薬剤含有構造メンバーは、1つ以上のリンカーを介して第2の構造メンバー(例えば弾性中心メンバーであり得る中心メンバー)に付着される。ポリマーリンカーは、薬剤含有構造メンバーと直接接触してもよいし、又はカップリングメンバーを介して薬剤含有構造メンバーと接触してもよい。同様に、ポリマーリンカーは、第2の構造メンバーと直接接触してもよいし、カップリングメンバーを介して接触してもよい。薬剤含有構造メンバーが2つ以上のポリマーリンカーを介して第2の構造メンバーに接続される実施態様において、ポリマーリンカーは互いに直接接触してもよく、又はカップリングメンバーを介して接触してもよい。腸溶性リンカー及び時間依存性リンカーの一方又は両方を使用してもよく、又はポリマーリンカーが腸溶性リンカー及び時間依存性リンカーの両方として機能してもよい。
【0122】
ポリマーリンカーは、通常、幅約100ミクロン~約3ミリメートル、例えば約200μm~約3000μm、約300μm~約3000μm、約400μm~約3000μm、約500μm~約3000μm、約600μm~約3000μm、約700μm~約3000μm、約800μm~約3000μm、約900μm~約3000μm、約1000μm~約3000μm、約1100μm~約3000μm、約1200μm約~約3000μm、約1300μm~約3000μm、約1400μm~約3000μm、約1500μm~約3000μm、約1600μm~約3000μm、約1700μm~約3000μm、約1800μm~約3000μm、約1900μm~約3000μm、約2000μm~約3000μm、約2100μm~約3000μm、約2200μm~約3000μm、約2300μm~約3000μm、約2400μm~約3000μm、約2500μm~約3000μm、約2600μm~約3000μm、約2700μm~約3000μm、約2800μm~約3000μm、若しくは約2900μm~約3000μm、又は約100μm~約200μm、約200μm~約300μm、約300μm~約400μm、約400μm~約500μm、約500μm~約600μm、約600μm~約700μm、約700μm~約800μm、約800μm~約900μm、約900μm~約1000μm、約1000μm~約1100μm、約1100μm~約1200μm、約1200μm~約1300μm、約1300μm約~約1400μm、約1400μm~約1500μm、約1500μm~約1600μm、約1600μm~約1700μm、約1700μm~約1800μm、約1800μm~約1900μm、約1900μm~約2000μm、約2000μm~約2100μm、約2100μm~約2200μm、約2200μm~約2300μm、約2300μm~約2400μm、約2400μm~約2500μm、約2500μm~約2600μm、約2600μm~約2700μm、約2700μm~約2800μm、約2800μm~約2900μm、約2900μm~約3000μmである。ポリマーリンカーは、幅約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1000μm、約1100μm、約1200μm、約1300μm、約1400μm、約1500μm、約1600μm、約1700μm、約1800μm、約1900μm、約2000μm、約2100μm、約2200μm、約2300μm、約2400μm、幅は約2500μm、約2600μm、約2700μm、約2800μm、約2900μm、約3000μmであり得、ここで、前記各値はプラス又はマイナス50μm(±50μm)であり得る。
【0123】
ポリマーリンカーの断面は、丸形(すなわち、円形)、楕円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、パイ形、又は任意の他のポリマー形状であり得る。いくつかの実施態様において、ポリマーリンカーの断面は、ポリマーリンカーに付着した薬剤含有構造メンバーの断面と同じ形状である。いくつかの実施態様において、ポリマーリンカーの断面は、薬剤含有構造メンバーの断面より大きい面積、薬剤含有構造メンバーの断面より小さい面積、又は付着した薬剤を含む構造メンバーの断面とほぼ同じ面積を有する。
【0124】
いくつかの実施態様において、ポリマーリンカーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、又は別の適切なポリマーを含み得る。
【0125】
時間依存性崩壊性マトリックス(時間依存性リンカー)
時間依存性リンカーは、胃内滞留システムが個体の胃内で展開される場合などの、水性条件下で予測可能に時間依存的に分解する。時間依存性ポリマーリンカーは、胃の中の胃内滞留システムの滞留時間を制御する。時間依存性ポリマーリンカーは、時間の経過とともに徐々に分解、溶解、機械的弱体化、又は破壊するように設計されている。所望の滞留期間の後、時間依存性ポリマーリンカーは、胃内滞留システムが幽門弁を通過できる点まで分解、溶解、解離、又は機械的弱体化、又は破壊されて、胃内環境を出て小腸に入り、最終的に体外に排出される。
【0126】
時間依存性ポリマーリンカーは、好ましくは、水性条件下でpH非依存的に又はほぼpH非依存的に分解する、pH非依存性分解性ポリマーを含む。pH非依存性分解性ポリマーの例には、PLGA、PLA、PCL、ポリジオキサノン、セルロース、又はこれらのブレンド若しくはコポリマーが含まれる。
【0127】
時間依存性ポリマーリンカーには、ポリ(乳酸-グリコリド共重合体)(PLGA)が含まれ得る。
【0128】
いくつかの実施態様において、時間依存性ポリマーリンカーのPLGAは、約0.32dl/g~約0.48dl/g(例えば約0.4dl/g)の粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)のコポリマー(例えば、Corbionから入手可能な、商品名Purasorb(登録商標)PDLG5004で販売されているPLGA)を含む。いくつかの実施態様において、時間依存性ポリマーリンカーのPLGAは、約0.32dl/g~約0.48dl/g(例えば約0.4dl/g)の粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の酸性末端コポリマー(例えば、Purasorb(登録商標)PDLG5004Aの商品名で販売されているPLGA、Corbionから入手可能)を含む。いくつかの実施態様において、時間依存性ポリマーリンカーのPLGAは、(a)ラクチドモノマーとグリコリドモノマーの比が約50:50であるポリ(D,L-乳酸-コ-グリコリド)の混合物(例えば、Purasorb(登録商標)PDLG5004の商品名で販売されているPLGA、Corbionから入手可能)、及び(b)ラクチドモノマーとグリコリドモノマーの比が約50:50である酸性末端ポリ(D,L-乳酸-コ-グリコリド)(例えば、商品名Purasorb(登録商標)PDLG5004Aで販売されているPLGA、Corbionから入手可能)を含む。
【0129】
ポリマーリンカーに含まれる1つ以上の追加のリンカーポリマーは、PLGAと均一に混合され得る。いくつかの実施態様において、1つ以上の追加のリンカーポリマーはPLGAと混和性である。1つ以上の追加のリンカーポリマーは、非分解性ポリマー(すなわち、胃又は腸内環境で、すなわちpH1.6(胃内環境を表す)又はpH6.5(腸内環境を表す)の水溶液中で分解されない))であってもよく、及び任意選択的に、時間依存性ポリマーリンカーが胃内滞留期間中に破壊されないような量で、時間依存性ポリマーリンカー中に存在する。
【0130】
少なくとも1つのポリマーが、隣接するメンバーと時間依存性ポリマーリンカーの両方に共通である場合、直接隣接するメンバーへのポリマーリンカーの結合は改善され得る。いくつかの実施態様において、少なくとも1つの共通ポリマーはポリカプロラクトン(PCL)である。
【0131】
いくつかの実施態様において、1つ以上の追加のリンカーポリマーはPCLを含む。時間依存性ポリマーリンカーは、胃内滞留システムの別のメンバー(例えば、薬物及び担体ポリマーを含む構造メンバー、カップリングメンバー、腸溶性ポリマーリンカー、又は中央構造メンバー)に直接繋がっているか又は結合していてもよく、これはまた、PCLを含んでもよく、これは、時間依存性ポリマーリンカー中のものと同じPCLであっても、ポリマーリンカー中のものとは異なるPCLであってもよく、そして、これらは同じ濃度であっても異なる濃度であってもよい。時間依存性ポリマーリンカー中の異なるPCLと、時間依存性リンカーに直接繋がっているか又は結合している他のメンバーとは、例えば、PCLの重量平均分子量、PCLの固有粘度、又はPCLの割合(例えば2つ以上のPCLポリマーのブレンドが使用される場合)が異なっていてもよい。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約40重量%~約50重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約43重量%~約47重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは約45重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは約44.95重量%のPCLを含む。
【0132】
時間依存性ポリマーリンカーはさらに、ポリエチレングリコールなどの1つ以上の可塑剤を含むことができる。「ポリエチレングリコール」という用語は、本明細書では「ポリエチレンオキシド」及び「PEO」という用語と互換的に使用される。いくつかの実施態様において、ポリエチレングリコールの分子量は、約90K~約110K、例えば、100k(100K又は100kDaとも呼ばれる)である。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、分子量約100kのポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール100k)を含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約0.5重量%~約5重量%のポリエチレングリコール100kを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約1重量%~約3重量%のポリエチレングリコール100kを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約2重量%のポリエチレングリコール100kを含む。
【0133】
いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは色吸収染料(着色剤又は顔料とも呼ばれる)を含む。他の胃内滞留システム成分へのポリマーリンカーの結合又は付着を強化するために、色吸収染料を含めることができる。色吸収染料は、レーザー溶接、赤外線溶接、又はその他の熱誘発性の付着中に熱を吸収することができ、これが、得られる結合の引張強度を上昇させる。色吸収染料の例には、酸化鉄及びカーボンブラックが含まれる。時間依存性崩壊性マトリックスは、色吸収染料を最大約5%、例えば最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.3%、最大約0.2%、最大約0.1%、又は最大約0.05%の量で含み得る。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約0.005重量%~約0.2重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約0.01重量%~約0.1重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスは、約0.05重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、色吸収染料はE172である。
【0134】
時間依存性崩壊性マトリックスの一例では、時間依存性崩壊性マトリックスは、約40重量%~約50重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約30重量%~約40重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約10重量%~約25重量%のコポリマー、約0.5重量%~約5重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.005重量%~約0.2重量%の色吸収染料E172を含む。
【0135】
時間依存性崩壊性マトリックスの別の例では、時間依存性崩壊性マトリックスは、約43重量%~約47重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約33重量%~約37重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約15重量%~約20重量%のコポリマー、約1重量%~約3重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.01重量%~約0.1重量%の色吸収染料E172を含む。
【0136】
時間依存性崩壊性マトリックスの別の例では、時間依存性崩壊性マトリックスは、約44.95重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約35重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約18重量%のコポリマー、約2重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.05重量%の色吸収染料E172を含む。
【0137】
いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための剤形は胃内滞留システムを含み、ここで、胃内滞留システムは、約44.95重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば、Corbion PC17などの約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCLを含む時間依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約0.32dl/g~約0.48dl/g(例えば約0.4dl/g)の粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約35.0重量%の酸性末端コポリマー(例えばPDLG5004A)を含む時間依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約0.32dl/g~約0.48dl/g(例えば約0.4dl/g)の粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約18.0重量%のコポリマー(例えばPDLG5004)を含む時間依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約2.0重量%のポリエチレングリコール、例えば、平均分子量が100,000のポリエチレングリコール(例えばPEO100K)を含む時間依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約0.05重量%の酸化鉄(例えばE172)を含む時間依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための剤形は、胃内滞留システムを含み、ここで、胃内滞留システムは、約44.95重量%のCorbin PC17、約35.0重量%のPDLG5004A、及び約18.0重量%のPDLG5004、約2.0重量%のPEO100K、及び約0.05重量%のE172を含む時間依存性崩壊性マトリックスを含む。
【0138】
時間依存性崩壊性マトリックスの成分の量の例を以下の表に示す。範囲が提供される場合、合計が100%になるように量が選択されることを理解して、量はおおよその重量パーセントで示される。
【0139】
【表2】
【0140】
腸内崩壊性マトリックス(腸溶性リンカー)
pH依存性崩壊性マトリックスは、胃内滞留システムに安全機構を提供する。システムが胃から出るのが早すぎる場合、すなわち時間依存性崩壊性マトリックスがすべて無傷のままである場合、pH依存性崩壊性マトリックスは、小腸の高pH環境で分解、溶解、解離、又は機械的に弱体化し、胃内滞留システムが小腸を通過することが容易になる。さらに、胃内滞留システムを通過後、胃内環境内でいったん時間依存性崩壊性マトリックスが分解、溶解、解離、又は機械的に弱体化すると、小腸の高pHへpH依存性崩壊性マトリックスの曝露は、システムのさらなる弱体化及び/又は破壊を提供し、小腸の通過が容易になる。
【0141】
もし胃内滞留システムが未変性の形で小腸を通過するのが早すぎるなら、腸閉塞を避けるために、システムをより早く分解されるように設計することができる。これは、追加のリンカーポリマー(例えば担体ポリマー)に加えて、腸内環境内で弱体化又は分解する腸溶性ポリマーを含む、腸溶性ポリマーリンカーを使用することによって達成される。腸溶性ポリマーは、胃内で遭遇する酸性pHレベルには比較的耐性があるが、十二指腸で見られるより高いpHレベルでは急速に溶解する。安全要素として腸溶性ポリマーリンカーを使用すると、小腸への無傷の胃内滞留システムの望ましくない通過を防ぐことができる。腸溶性ポリマーリンカーの使用は、計画された滞留時間の前に胃内滞留システムを除去する方法も提供する。システムを除去する必要がある場合、患者は重炭酸ナトリウム溶液などの弱アルカリ性溶液を飲むか、水酸化マグネシウム水和物(マグネシアミルク)や炭酸カルシウムなどの制酸剤を服用することができ、これは、胃内のpHレベルを上げ、腸溶性ポリマーリンカーの急速な分解を引き起こす。
【0142】
腸溶性ポリマーリンカーの弱体化又は分解は、所定の条件(例えば腸内条件又は胃内条件)下で、ポリマーリンカーの曲げ弾性率の損失又は破壊を参照して測定することができる。腸溶性リンカーは、腸内環境では比較的早く弱体化、分解、又は破壊されるが、胃内環境ではその曲げ弾性率の多くが保持される。胃内の状態は、FaSSGFなどの水溶液を使用してpH1.6及び37℃でシミュレートすることができ、腸内の状態はFaSSIFなどの水溶液を使用して、pH6.5、37℃でシミュレートすることができる。
【0143】
いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む。例えば、いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約60重量%~約70重量%のHPMCASを含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約62重量%~約66重量%のHPMCASを含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約63.95重量%のHPMCASを含む。
【0144】
腸溶性ポリマーは、腸溶性リンカー中で、好ましくは均一な混合物中で、1つ以上の追加のポリマー(例えば1つ以上の担体ポリマー)と組み合わされる。例えば、腸溶性ポリマー及び追加のリンカーポリマーは、混合物が押出成形される前に一緒に均一にブレンドされ得、押出された材料は、ポリマーリンカーにとって所望のサイズに切断される。いくつかの実施態様において、1つ以上の追加のリンカーポリマーは腸溶性ポリマーと混和性である。1つ以上の追加のリンカーポリマーは、非分解性ポリマー(すなわち、胃内又は腸内環境で、又はpH1.6(胃内環境を表す)又はpH6.5(腸内環境を表す)の水溶液中で分解されない)であってもよい。
【0145】
少なくとも1つのポリマーが、隣接するメンバーと腸溶性ポリマーリンカーの両方に共通である場合、直接隣接するメンバーへのポリマーリンカーの結合は改善することができる。すなわち、腸溶性リンカー中の1つ以上の追加のリンカーポリマーのうちの1つは、胃内滞留システムの直接隣接する成分(又は、任意選択的に両方の直接隣接する成分)中の少なくとも1つのポリマーと同じ(又は同じポリマータイプ)であり得る。例えば、腸溶性ポリマーリンカーが担体ポリマーを含む構造メンバーに直接結合している場合、いくつかの実施態様において、1つ以上の追加のリンカーポリマーはまた、同じ濃度又は異なる濃度の担体ポリマー(時間依存性ポリマーリンカー中のPLGAに加えて)も含む。担体ポリマーの例としては、限定されるものではないが、特に本明細書に記載されるものの中で、ポリ乳酸(PLA)及びポリカプロラクトン(PCL)が含まれる。
【0146】
いくつかの実施態様において、腸溶性リンカー中の1つ以上の追加のリンカーポリマーはPCLを含む。腸溶性ポリマーリンカーは、胃内滞留システムの別のメンバー(例えば薬物及び担体ポリマーを含む構造メンバー、カップリングメンバー、時間依存性ポリマーリンカー、又は中央構造メンバー)に直接繋がっているか又は結合していてもよく、これはまた、PCLを含んでよく、これは、腸溶性ポリマーリンカー中の同じPCLであっても、腸溶性ポリマーリンカー中のものとは異なるPCLであってもよく、同じ濃度であっても異なる濃度であってもよい。腸溶性ポリマーリンカー中の異なるPCLと、腸溶性リンカーに直接繋がっているか又は結合している他のメンバーとは、例えば、PCLの重量平均分子量、PCLの固有粘度、又はPCLの割合(例えば2つ以上のPCLポリマーのブレンドが使用される場合)が異なっていてもよい。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約30重量%~約40重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約32重量%~約37重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは約34重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは約33.95重量%のPCLを含む。
【0147】
腸内崩壊性マトリックスはさらに、1つ以上の可塑剤、例えばポロキサマー(例えばポロキサマー407、又は「P407」)を含み得る。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約0.5重量%~約5重量%のポロキサマーを含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約1重量%~約3重量%のポロキサマーを含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約2重量%のポロキサマーを含む。
【0148】
いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、色吸収染料(着色剤又は顔料とも呼ばれる)を含む。他の胃内滞留システム成分へのポリマーリンカーの結合又は付着を強化するために、色吸収染料を含めることができる。色吸収染料は、レーザー溶接、赤外線溶接、又はその他の熱誘発性の付着中に熱を吸収することがあり、結果として得られる接着の引張強度が増加する。色吸収染料の例には、酸化鉄及びカーボンブラックが含まれる。腸溶性ポリマーリンカーは、最大約5%、例えば、最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.3%、最大約0.2%、又は最大約0.1%の量の色吸収染料を含み得る。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約0.01重量%~約0.2重量%の色吸収染料四三酸化鉄を含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約0.05重量%~約0.15重量%の色吸収染料四三酸化鉄を含む。いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約0.1重量%の色吸収染料四三酸化鉄を含む。
【0149】
いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約59重量%~約69重量%のHPMCAS、約29重量%~約39重量%のPCL、及び約0.5重量%~約5重量%のポロキサマー(例えばP407)を含む。任意選択的に、腸内崩壊性マトリックスはさらに、酸化鉄、例えば約0.01重量%~約0.2重量%の酸化鉄(例えばE172)を含む。
【0150】
いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約62重量%~約66重量%のHPMCAS、約32重量%~約36重量%のPCL、及び約1重量%~約3重量%のポロキサマー(例えばP407)を含む。任意選択的に、腸内崩壊性マトリックスはさらに、酸化鉄、例えば約0.05重量%~約0.15重量%の酸化鉄(例えばE172)を含む。
【0151】
いくつかの実施態様において、腸内崩壊性マトリックスは、約63.95重量%のHPMCAS、約33.95重量%のPCL、及び約2重量%のポロキサマー(例えばP407)を含む。任意選択的に、腸内崩壊性マトリックスはさらに、酸化鉄、例えば約0.1重量%の酸化鉄(例えばE172)を含む。
【0152】
いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための剤形は胃内滞留システムを含み、ここで、胃内滞留システムは、約33.95重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbin PC17を含む、pH依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、HPMCAS-MGなどの、約63.95重量%の酢酸コハク酸ヒプロメロースを含むpH依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約2.0重量%のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばH-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH(ここで、前記xとzは約101、及びyは約56である)、例えばポロキサマー407(P407、約4000のポリオキシプロピレン分子量及び約70%のポリオキシエチレン含有量を有するポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約0.1重量%の酸化鉄(例えばE172)を含むpH依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための剤形は、胃内滞留システムを含み、ここで、胃内滞留システムは、約33.95重量%のCorbin PC17、約63.95重量%のHPMCAS-MG、約2.0重量%のP407、及び約0.1重量%のE172を含むpH依存性崩壊性マトリックスを含む。
【0153】
腸内崩壊性マトリックスの成分の量の例を以下の表に示す。範囲が提供される場合、合計が100%になるように量が選択されることを理解して、量はおおよその重量パーセントで示される。
【0154】
【表3】
【0155】
アーム先端崩壊性マトリックス
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、時間依存性崩壊性マトリックス及び腸内崩壊性マトリックスに加えて、第3の崩壊性マトリックスを含むアームを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、フィラメント保持セグメント(すなわち、フィラメントが付着しているセグメント)である。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、滞留システムアームの遠位部分、すなわちアームの先端である。
【0156】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)を含む。例えば、いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約60重量%~約70重量%のHPMCASを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約63重量%~約67重量%のHPMCASを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約64.9重量%のHPMCASを含む。
【0157】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、胃内滞留システムアーム中の1つの又は他のセグメントと共通のポリマーを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスはポリカプロラクトン(PCL)を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約25重量%~約35重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約28重量%~約32重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは約30重量%のPCLを含む。
【0158】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、1つ以上の酸、例えばステアリン酸を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約1重量%~約5重量%のステアリン酸を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約2重量%~約3重量%のステアリン酸を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは約2.5重量%のステアリン酸を含む。
【0159】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスはさらに、1つ以上の可塑剤、例えばプロピレングリコールを含むことができる。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約1重量%~約5重量%のプロピレングリコールを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約2重量%~約3重量%のプロピレングリコールを含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約2.5重量%のプロピレングリコールを含む。
【0160】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、色吸収染料(着色剤又は顔料とも呼ばれる)を含む。他の胃内滞留システム成分へのポリマーリンカーの結合又は付着を強化するために、色吸収染料を含めることができる。色吸収染料は、レーザー溶接、赤外線溶接、又はその他の熱誘発性の付着中に熱を吸収することができ、これが、得られる結合の引張強度を上昇させる。色吸収染料の例には、酸化鉄及びカーボンブラックが含まれる。第3の崩壊性マトリックスは、色吸収染料を最大約5%、例えば、最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.3%、最大約0.2%、又は最大約0.1%の量で含み得る。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約0.01重量%~約0.5重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約0.05重量%~約0.15重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約0.1重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約0.025%の四三酸化鉄及び約0.075%のFD&C Red40を含む。いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約0.025%の四三酸化鉄及び約0.075%のFD&C Red40を含む。
【0161】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約60重量%~約70重量%のHPMCAS、約25重量%~約35重量%のPCL、約1重量%~約5重量%のプロピレングリコール、及び約1重量%~約5重量%のステアリン酸を含む。任意選択的に、第3の崩壊性マトリックスはさらに、約0.01重量%~約0.5重量%の酸化鉄を含む。
【0162】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、約63重量%~約67重量%のHPMCAS、約28重量%~約32重量%のPCL、約2重量%~約3重量%のプロピレングリコール、及び約2重量%~約3重量%を含む。任意選択的に、第3の崩壊性マトリックスはさらに、約0.05重量%~約0.15重量%の酸化鉄を含む。
【0163】
いくつかの実施態様において、第3の崩壊性マトリックスは、64.9重量%のHPMCAS、約30重量%のPCL、約2.5重量%のプロピレングリコール、及び約2.5重量%のステアリン酸を含む。任意選択的に、第3の崩壊性マトリックスはさらに、約0.1重量%の酸化鉄、例えば約0.025%の四三酸化鉄、及び約0.075%のFD&C Red40を含む。
【0164】
第3の崩壊性マトリックスの成分の量の例を以下の表に示す。範囲が提供される場合、合計が100%になるように量が選択されることを理解して、量はおおよその重量パーセントで示される。
【0165】
【表4】
【0166】
不活性セグメント
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、1つ以上の不活性セグメントを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、1つ以上の放射線不透過性物質を含む。
【0167】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、胃内滞留システム中の他のセグメントと共通のポリマーを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントはポリカプロラクトン(PCL)を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約61重量%~約71重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約64重量%~約69重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約66.5重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約66.45重量%のPCLを含む。
【0168】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、質量比6:4のビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(すなわちコポビドン、例えばKollidon VA64)を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約27重量%~約37重量%のコポビドンを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約30重量%~約34重量%のコポビドンを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約32重量%のコポビドンを含む。
【0169】
不活性セグメントはさらに、ポロキサマー(例えばポロキサマー407、又は「P407」)などの1つ以上の可塑剤を含み得る。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約0.2重量%~約4重量%のポロキサマーを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約0.5重量%~約2.5重量%のポロキサマーを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約1.5重量%のポロキサマーを含む。
【0170】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは色吸収染料(着色剤又は顔料とも呼ばれる)を含む。不活性セグメントは、色吸収染料を最大約5%、例えば、最大約4%、最大約3%、最大約2%、最大約1%、最大約0.5%、最大約0.3%、最大約0.2%、最大約0.1%、又は最大約0.05%の量で含み得る。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約0.005重量%~約0.2重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約0.01重量%~約0.1重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約0.05重量%の色吸収染料を含む。いくつかの実施態様において、色吸収染料はFD&C Blue #1 Alum Lakeである。
【0171】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約61重量%~約71重量%のPCL、約27重量%~約37重量%のコポビドン、約0.2重量%~約4重量%のポロキサマーを含む。任意選択的に、不活性セグメントはさらに、色吸収染料、例えば約0.005重量%~約0.2重量%の色吸収染料FD&C Blue #1 Alum Lakeを含む。
【0172】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約64重量%~約69重量%のPCL、約30重量%~約34重量%のコポビドン、約0.5重量%~約2.5重量%のポロキサマーを含む。任意選択的に、不活性セグメントはさらに、色吸収染料、例えば約0.01重量%~約0.1重量%の色吸収染料FD&C Blue #1 Alum Lakeを含む。
【0173】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約66.45重量%のPCL、約32重量%のコポビドン、約1.5重量%のポロキサマーを含む。任意選択的に、不活性セグメントはさらに、色吸収染料、例えば約0.05重量%の色吸収染料FD&C Blue #1 Alum Lakeを含む。
【0174】
不活性セグメント(例えば非有効スペーサー)の1つの実施態様の成分の量の例を以下の表に示す。いくつかの実施態様において、すぐ下の表に提供される配合物は「非有効セグメント」と呼ばれる。非有効セグメントは、放射性物質を含んではならない。範囲が提供される場合、合計が100%になるように量が選択されることを理解して、量はおおよその重量パーセントで示される。
【0175】
【表5】
【0176】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは1つ以上の不活性セグメントを含み、ここで、不活性セグメントは1つ以上の放射線不透過性物質を含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは不活性セグメントを含み、ここで、不活性セグメントは放射線不透過性セグメントである。
【0177】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、胃内滞留システム中の他のセグメントと共通のポリマーを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントはポリカプロラクトン(PCL)を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約65重量%~約75重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約68重量%~約72重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約70重量%のPCLを含む。
【0178】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは放射線不透過性物質を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは放射線不透過性物質を含み、ここで、放射線不透過性物質は(BiO)2CO3である。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、(BiO)2CO3を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約25重量%~約35重量%の(BiO)2CO3を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約28重量%~約32重量%の(BiO)2CO3を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは約30重量%の(BiO)2CO3を含む。
【0179】
いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約65重量%~約75重量%のPCL、及び約25重量%~約35重量%の(BiO)2CO3を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約68重量%~約72重量%のPCL、及び約28重量%~約32重量%の(BiO)2CO3を含む。いくつかの実施態様において、不活性セグメントは、約70重量%のPCL及び約30重量%の(BiO)2CO3を含む。
【0180】
不活性セグメントの1つ(例えばrPCLセグメント)の実施態様の成分の量の例を以下の表に示す。範囲が提供される場合、合計が100%になるように量が選択されることを理解して、量はおおよその重量パーセントで示される。
【0181】
【表6】
【0182】
メタドン配合物を含む担体ポリマー-薬剤セグメント(薬物溶出セグメント)
担体ポリマー-薬剤セグメント又は薬物溶出セグメントは、胃内滞留システムが胃内に滞留する期間中に、制御された方法で薬剤を放出する。担体ポリマーは薬剤と混合され、セグメントに形成され、これは次に、本明細書に記載の他の成分と組み立てられて胃内滞留システムが製造される。このような担体ポリマー-薬剤ブレンドの組成物は、メタドンを含む配合物を含む、特定の薬物配合物について以下に提供される。
【0183】
いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は、約10mg~約320mgのメタドンを含む胃内滞留システムを含む。いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は、約50mg~約300mgのメタドンを含む胃内滞留システムを含む。いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は、約320、約300、約280、約260、約240、約220、約200、約180、約160、約140、約120、約100、約80、約60、約40、又は約20mg以下のメタドンを含む胃内滞留システムを含む。いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は、約10、約20、約40、約60、約80、約100、約120、又は約140mg、約160、約180、約200、約220、約240、約260、約280、又は約300mg以上のメタドンを含む胃内滞留システムを含む。
【0184】
いくつかの実施態様において、剤形は胃内滞留システムを含み、ここで、胃内滞留システムは、1つ以上の薬物溶出セグメントを含み、1つ以上の薬物溶出セグメントのそれぞれは、約10mg~約60mgのメタドンを含む。いくつかの実施態様において、各薬物溶出セグメントは、約60、約50、約40、約30、又は約20mg以下のメタドンを含む。いくつかの実施態様において、各薬物溶出セグメントは、約10、約20、約30、約40、又は約50mg以上のメタドンを含む。
【0185】
いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約40重量%~約70重量%のメタドンを含む。いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約70、65、60、55、50、又は約45重量%以下のメタドンを含む。いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約40、45、50、55、60、又は約65重量%以上のメタドンを含む。
【0186】
メタドン配合物は、約30重量%~50重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbin PC17を含む。いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約50、約45、約40、又は約35重量%以下のPCLを含む。いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約30、約35、約40、又は約45重量%以上のPCLを含む。
【0187】
いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約0.1重量%~約5重量%のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばH-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH(式中、x及びzは約101であり、及びyは約56である)、例えばポロキサマー407を含む。いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約5、約4、約3、約2、約1、又は約0.5重量%以下のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばポロキサマー407を含む。いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約0.1、約0.5、約1、約2、約3、又は約4重量%以上のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばポロキサマー407を含む。
【0188】
メタドン配合物が約50重量%~約60重量%のメタドンを含むいくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約35重量%~約50重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbin PC17を含む。メタドン配合物が約50重量%~約60重量%のメタドンを含むいくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約0.5重量%~約3重量%のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばH-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH(式中、x及びzは約101であり、及びyは約56である)、例えばポロキサマー407を含む。
【0189】
メタドン配合物が約56重量%のメタドンを含むいくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約42.5重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbin PC17を含む。メタドン配合物が約56重量%のメタドンを含むいくつかの実施態様において、メタドン配合物は、約1.5重量%のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばH-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH(式中、x及びzは約101であり、及びyは約56である)、例えばポロキサマー407を含む。
【0190】
いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、メタドン配合物を押出成形することによって形成され得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を押出成形して、円形、三角形、楔形若しくはパイ形、又は正方形の断面を含む薬物溶出セグメント又は成分を形成することができる。
【0191】
メタドン配合物のいくつかの実施態様についての成分の量の例を以下の表に提供する。いくつかの実施態様において、メタドン配合物は、薬物溶出セグメントに使用され(追加の配合物は使用されない)、これらの量は薬物溶出セグメントの量に対応する。範囲が提供される場合、合計が100%になるように量が選択されることを理解して、量はおおよその重量パーセントで示される。「医薬的許容塩(Pharm. accept. salt)」は、その医薬的に許容し得る塩を示す。
【0192】
【表7】
【0193】
いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の24時間以内に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5~約90%を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の24時間以内に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85%以上を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の24時間以内に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、又は10%以下を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の24時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5~約90%を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の24時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85%以上を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の24時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、又は10%以下を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の48時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5~約70%を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の48時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、又は65%以上を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の48時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、又は10%以下を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の72時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5~約50%を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の72時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5、10、15、20、25、30、35、40、又は45%以上を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の72時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約50、45、40、35、30、25、20、15、又は10%以下を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の96時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5~約30%を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の96時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5、10、15、20、又は25%以上を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の96時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約30、25、20、15、又は10%以下を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の120時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5~約20%を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の120時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約5、10、又は15%以上を放出し得る。いくつかの実施態様において、メタドン配合物を含む薬物溶出セグメントは、滞留の最初の120時間後に、薬物溶出セグメントの総メタドン含有量の約20、15、又は10%以下を放出し得る。
【0194】
いくつかの実施態様において、薬物溶出セグメントの長さは、1~16mm、10~14mm、又は4~8mmであり得る。いくつかの実施態様において、薬物溶出セグメントの長さは、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2mm以下であり得る。いくつかの実施態様において、薬物溶出セグメントの長さは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15mm以上であり得る。
【0195】
速度調節ポリマー膜
放出速度調節ポリマー膜は、薬物などの薬剤を放出する胃内滞留システムの成分上に被覆することができる。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、薬物溶出セグメントの有効成分のバースト放出を制御し、有効成分の放出を直線化する。本明細書に開示される放出速度調節ポリマー膜で被覆された成分は、胃内滞留システムの熱支援組み立て中に起こる熱に曝露される前後で実質的に同じ放出速度特性を有する。放出速度調節ポリマー膜の組成、パラメータ、利点、特徴、用途、及び放出プロフィールは、国際特許出願PCT/US2020/059541に開示されており、その全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施態様において、複合アーム(例えば、薬物溶出セグメントを含む複合アーム、又は薬物溶出セグメントを除く複合アーム)の1つ以上のセグメントは、放出速度調節膜で被覆される。いくつかの実施態様において、薬物溶出セグメントは、放出速度調節膜で被覆される。
【0196】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの薬物溶出セグメントは、1~30重量%の放出速度調節膜を含み得る。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの薬物溶出セグメントは、5~15重量%の放出速度調節膜を含み得る。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの薬物溶出セグメントは、30、25、20、15、10、又は5重量%以下の放出速度調節膜を含み得る。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの薬物溶出セグメントは、1、5、10、15、20、又は25重量%以上の放出速度調節膜を含み得る。いくつかの実施態様において、被覆の量は、被覆重量増加として測定される。被覆重量増加(cwg)は、スケール変更可能な噴霧被覆プロセスによって被覆又は放出速度調節膜を適用するときに測定される。被覆重量増加は、被膜(すなわち、放出速度調節膜)の添加前と添加後の薬物溶出セグメントの重量の差である。上記で提供される重量パーセントは、被覆重量パーセント増加として測定され得る。
【0197】
様々なポリマーを使用して、PCLを含む放出速度調節ポリマー膜を形成することができる。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、約70重量%~約80重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、約73重量%~約77重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は約73.5重量%のPCLを含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、約80、79、78、77、76、75、74、73、72、又は71重量%以下のPCLを含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、70、71、72、73、74、75、76、77、78、又は79重量%以上のPCLを含む。
【0198】
他の賦形剤を担体ポリマーに添加して、コポビドン(VA64)などの薬剤の放出を調節することができる。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、約20重量%~約30重量%のVA64を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、約23重量%~約27重量%のVA64を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、約24.5重量%のVA64を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、30、29、28、27、26、25、24、23、22、又は21重量%以下のVA64を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、又は29重量%以上のVA64を含む。
【0199】
いくつかの実施態様において、放出速度調節ポリマー膜は、1~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。ステアリン酸マグネシウムは、噴霧被覆中にアームが互いに接着することを防ぐ被覆のプロセス補助物質である。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、5、4、3、又は2重量%以下のステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、1、2、3、又は4重量%以上のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0200】
放出速度調節膜は、スケール変更可能な噴霧被覆プロセスで適用され得る。被膜のPCLは、PCLベースの薬物ポリマー層にしっかり接着し、輸送に対する拡散障壁を提供し、バースト放出のリスクを防ぐ。コポビドン含有量は、薬物ポリマー層上の適切な深さ(重量パーセント)の被膜が、様々な水性媒体中で安定した速度で被膜全体の輸送を支持するように(例えば、24.5%に)調整することができる。徐放性コーティングは、薬物ポリマー層から薬物を輸送するための律速膜を提供し、それによってメタドンHClの放出速度を直線化する。
【0201】
胃内滞留時間
本システムの胃内滞留時間は、胃内滞留システムにおける時間依存性ポリマーリンカーの分解又は弱体化、又は破損の速度によって制御される。時間依存性ポリマーリンカーの分解又は弱体化又は破損がより速くなると、胃からのシステムの通過がより速くなる。胃内滞留システムの滞留時間は、胃へのシステムの投与と胃からのシステムの排出との間の時間として定義される。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約24時間、又は最大約24時間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約48時間、又は最大約48時間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約72時間、又は最大約72時間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約96時間、又は最大約96時間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約5日間、又は最大約5日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約6日間、又は最大約6日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約7日(約1週間)、又は最大約7日(約1週間)の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約10日間、又は最大約10日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは、約14日(約2週間)、又は最大約14日(約2週間)の滞留時間を有する。
【0202】
1つの実施態様において、胃内滞留システムは約24時間~約7日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約48時間~約7日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約72時間~約7日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約96時間~約7日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約5日間~約7日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約6日間~約7日間の滞留時間を有する。
【0203】
1つの実施態様において、胃内滞留システムは約24時間~約10日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約48時間~約10日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約72時間~約10日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約96時間~約10日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約5日間~約10日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約6日間~約10日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約7日間~約10日間の滞留時間を有する。
【0204】
1つの実施態様において、胃内滞留システムは約24時間~約14日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約48時間~約14日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約72時間~約14日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約96時間~約14日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約5日間~約14日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約6日間~約14日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約7日間~約14日間の滞留時間を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約10日間~約14日間の滞留時間を有する。
【0205】
胃内滞留システムは、システムが胃内に存在する滞留時間又は滞留期間の少なくとも一部の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約25%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約50%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約60%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約70%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約75%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約80%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約85%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約90%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約95%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約98%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。1つの実施態様において、システムは、滞留時間の少なくとも約99%の間、治療有効量の薬剤(又はその塩)を放出する。
【0206】
メタドンを含む胃内滞留システム
いくつかの実施態様において、メタドンを投与するための星形剤形はアームを含むことができ、次にこのアームは、1)担体ポリマー-薬剤アームセグメント、2)1つ以上の腸溶性リンカー、3)1つ以上の時間依存性リンカー、4)非有効セグメント、5)1つ以上の放射性(不活性)セグメント、及び/又は6)その他の任意選択的なスペーサーを含む。アームは星形デバイス配置でエラストマーコアに接続されている。通常、星形剤形には6つのアームが使用される。いくつかの実施態様において、星形剤形に6つのアームが使用される場合、1、2、3、4、5、又は6つのアームのいずれか1つが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。星形剤形に6つのアームが使用されるいくつかの実施態様において、3つのアームが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。星形剤形に6つのアームが使用されるいくつかの実施態様において、6つのアームが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。星形剤形に6つのアームが使用されるいくつかの実施態様において、2つのアームが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。星形剤形に6つのアームが使用されるいくつかの実施態様において、4つのアームが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。
【0207】
メタドン剤形の担体ポリマー-薬剤アームセグメントは、メタドン(又はその医薬的に許容し得る塩)、ポリカプロラクトン、及びポロキサマー407(P407)を含み得る。いくつかの実施態様において、通常、星形剤形に6つのアームが使用され、アームのうちの1、2、3、4、5、又は6つのいずれかが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。いくつかの実施態様において、アームのうちの3つが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。いくつかの実施態様において、アームのうちの6つが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含む。いくつかの実施態様において、アームのうちの2つが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを含むことができる。いくつかの実施態様において、アームのうちの4つが担体ポリマー-薬剤アームセグメントを構成することができる。いくつかの実施態様において、担体薬剤-ポリマーセグメントを含まないアームは、代わりに非有効セグメントを含む。いくつかの実施態様において、剤形に含まれる薬剤の総量は、単一アームに含まれる薬剤の量の1、2、3、4、5、又は6倍である。いくつかの実施態様において、剤形に含まれる薬剤の総量は、単一アームに含まれる薬剤の量の3倍である。いくつかの実施態様において、剤形に含まれる薬剤の総量は、単一アームに含まれる薬剤の量の6倍である。いくつかの実施態様において、剤形に含まれる薬剤の総量は、単一アームに含まれる薬剤の量の4倍である。星形剤形中のメタドン、メタドンの医薬的に許容し得る塩、又はメタドンの塩の総重量は、10mg~約320mgのメタドンの範囲であり得る。いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は、約50mg~約300mgのメタドンを含む胃内滞留システムを含む。いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は、約320、300、280、260、240、220、200、180、160、140、120、100、80、60、40、又は20mg以下のメタドンを含む胃内滞留システムを含む。いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は、約10、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、又は300mg以上のメタドンを含む胃内滞留システムを含む。
【0208】
剤形の不活性アームセグメントは、ポリカプロラクトン(PCL)、放射線不透過性物質、及び任意選択的に着色剤を含むことができる。使用されるポリカプロラクトンは、約1.5dL/g~約1.9dL/g、例えば約1.7dL/gの粘度であり得る。放射線不透過性物質は、(BiO)2CO3であり得る。任意の医薬的に許容し得る着色剤を使用することができる。使用可能な着色剤の例としては、FD&C Blue #5が含まれる。
【0209】
非有効アームセグメント(例えば、非放射性)は、ポリカプロラクトン、コポビドン(VA64)、ポロキサマー(P407)、及び任意選択的な着色剤を含み得る。
【0210】
剤形の腸内崩壊性マトリックスは、ポリカプロラクトン(PCL)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、ポロキサマー407(P407)、及び任意選択的に着色剤を含むことができる。使用されるポリカプロラクトンは、約1.5dL/g~約1.9dL/g、例えば約1.7dL/gの粘度であってもよい。使用されるHPMCASは、MGグレード(Mグレード:約7~11%のアセチル含有量、約10~14%のスクシノイル含有量、約21~25%のメトキシル含有量、約5~9%のヒドロキシプロポキシ含有量;Gグレード:粒状)であり得る。任意の医薬的に許容し得る着色剤を使用することができる。使用できる着色剤の例としては、四三酸化鉄が含まれる。
【0211】
メタドン剤形の時間依存性崩壊性マトリックスは、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、及び任意選択的に着色剤を含むことができる。ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)は、約75:25のラクチド:グリコリドのモル比で約0.32~0.44dL/gの粘度範囲であり得る。使用されるポリエチレンオキシドは、約60,000MW~約125,000MW、例えば約90,000MW~110,000MW、又は約100,000MWであり得る。
【0212】
メタドン剤形の中央エラストマーは、約40A~約60Aのデュロメーター硬さ、例えば約45A~約55Aのデュロメーター硬さ、又は約50Aのデュロメーター硬さであり得る。中央エラストマーは液体シリコーンゴムから作ることができ、例えば、中央エラストマーは、硬化した液体シリコーンゴムを含むことができる。
【0213】
いくつかの実施態様において、メタドン胃内滞留剤形の組み立てられたアームは、ポリマーリンカーセグメントで中央エラストマーに付着され得る。ポリマーリンカーセグメントは、組み立てられたアームと中央エラストマーとの付着点として機能することができる。いくつかの実施態様において、ポリマーリンカーセグメントは、中央エラストマーをアームの時間依存性崩壊性マトリックスセグメントに付着させることができる。いくつかの実施態様において、ポリマーリンカーは、約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCLなどのポリカプロラクトン、例えばCorbin PC17を含む。いくつかの実施態様において、ポリマーリンカーは中央エラストマーに隣接している。
【0214】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムはさらに、約73.5重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbion PC17、を含む放出速度調節膜を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜はさらに、約24.5重量%のコポビドン、例えば、VA64を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜はさらに、約2.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0215】
剤形の様々な成分の量の例を以下の表に示す。範囲が提供される場合、合計が100%になるように量が選択されることを理解して、量はおおよその重量パーセントで示される。
【0216】
【表8】
【0217】
【表9】
【0218】
【表10】
【0219】
【表11】
【0220】
組み立てられたアームは、1)ポリマーリンカーセグメント、2)第1の崩壊性マトリックスセグメント、3)第2の崩壊性マトリックスセグメント、4)第1の非有効セグメント、及び5)薬物溶出セグメントを含み、ここで、薬物溶出セグメントは、担体ポリマー及びメタドン又はその塩を含み、これらは様々な順序で配置され得る。そのような順序の1つは、中央エラストマーに付着されている近位端から始まり遠位端に進む:(ポリマーリンカーセグメント)(第1の崩壊性マトリックスセグメント)(第2の崩壊性セグメント)(第1の非有効セグメント)(薬物溶出セグメント)。
【0221】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの1つ以上のアームは、薬物溶出セグメントを含まなくてもよい。例えば、薬物溶出セグメントなしで組み立てられたアームは、1)ポリマーリンカーセグメント、2)第1の崩壊性マトリックスセグメント、3)第2の崩壊性セグメント、及び4)第1の非有効セグメントを含み、これらは、様々な順序で配置することができる。そのような順序の1つは、中央エラストマーに付着されている近位端から始まり遠位端に進む:(ポリマーリンカーセグメント)(第1の崩壊性マトリックスセグメント)(第1の非有効セグメント)(第2の崩壊性セグメント)(第1の非有効セグメント)。
【0222】
各アーム上のセグメントの長さのおおよその寸法を以下に示す。約0.2~2mm、例えば約0.5mm幅の任意選択的なrPCLスペーサー(不活性セグメント)は、以下の任意の2つの成分の間に挿入され得るか、又は組み立てられたアームの外側先端に、又は組み立てられたアームの内側先端とエラストマーコアの間に追加することができる。
【0223】
【表12】
【0224】
胃内滞留システムの例
以下の胃内滞留システムは、本明細書に記載のシステムの特定の実施態様をよりよく説明するための例である。これらの例は単なる例示であるため、本明細書に記載の胃内滞留システムを限定するものではない。当業者は、提供された開示を考慮して、胃内滞留システムの追加の構成を企図することができるであろう。
【0225】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む少なくとも1つのアームを含み、ここで、前記アームは以下を含む:(a)上記実施態様のいずれかに記載のポリマーリンカーセグメント、(b)上記実施態様のいずれかに記載の時限崩壊性マトリックス、(c)上記不活性セグメントの実施態様のいずれかに記載の第1の不活性セグメント、(d)上記実施態様のいずれかに記載の腸内崩壊性マトリックス、(e)上記非有効セグメントの実施態様のいずれかに記載の第1の非有効セグメント、及び(f)上記実施態様のいずれかに記載の薬物溶出セグメント。ポリマーリンカーは中央エラストマーに付着することができる。いくつかの実施態様において、第2の不活性セグメントは、腸内崩壊性セグメントと第1の非有効セグメントの間に位置することができる。
【0226】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む少なくとも1つのアームを含み、ここで、アームは中央エラストマーに付着することができ、アームは、(a)ポリマーリンカーセグメント、(b)時限崩壊性マトリックス、(c)第1の不活性セグメント、(d)腸内崩壊性マトリックス、(e)第1の非有効セグメント、及び(f)薬物溶出セグメントの1つ以上を含み、ここで、
中央エラストマーは、約40~約65デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含み、
(a)ポリマーリンカーセグメントは100重量%のPCLを含み、
(b)時限崩壊性マトリックスは、約40重量%~約50重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約30重量%~約40重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約10重量%~約25重量%のコポリマー、約0.5重量%~約5重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.005重量%~約0.2重量%の色吸収染料E172を含み、
(c)第1の不活性セグメントは、約65重量%~約75重量%のPCL、及び約25重量%~約35重量%の(BiO)2CO3を含み、
(d)腸内崩壊性マトリックスは、約60重量%~約70重量%のHPMCAS、約30重量%~約40重量%のPCL、及び約0.5重量%~約5重量%のポロキサマー(例えばP407)、並びに任意選択的に約0.01重量%~約0.5重量%の酸化鉄(例えばE172)を含み、
(e)第1の非有効セグメントは、約60重量%~約70重量%のPCL、及び約25重量%~約40重量%のVA64、約0.5重量%~約2.5重量%のP407、及び約0.005重量%~約0.2重量%の顔料又は着色剤を含み、
(f)薬物溶出セグメントは、約約50重量%~約60重量%のメタドン、約35重量%~約50重量%のPCL、約0.5重量%~約5重量%のP407を含む。
【0227】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む少なくとも1つのアームを含み、ここで、アームは中央エラストマーに付着することができ、及びアームは、(a)ポリマーリンカーセグメント、(b)時限崩壊性マトリックス、(c)第1の不活性セグメント、(d)腸内崩壊性マトリックス、(e)第1の非有効セグメント、及び(f)薬物溶出セグメントの1つ以上を含み、ここで、
中央エラストマーは、約45~約55デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含み、
(a)ポリマーリンカーセグメントは100重量%のPCLを含み、
(b)時間依存性崩壊性マトリックスは、約43重量%~約47重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約33重量%~約37重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約15重量%~約20重量%のコポリマー、約1重量%~約3重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.01重量%~約0.1重量%の色吸収染料E172を含み、
(c)第1の不活性セグメントは、約68重量%~約72重量%のPCL、及び28重量%~約32重量%の(BiO)2CO3を含み、
(d)腸内崩壊性マトリックスは、約62重量%~約66重量%のHPMCAS、約32重量%~約37重量%のPCL、及び約1重量%~約3重量%のポロキサマー(例えばP407)、並びに任意選択的に約0.05重量%~約0.15重量%の酸化鉄(例えばE172)を含み、
(e)第1の非有効セグメントは、約62重量%~約68重量%のPCL、及び30重量%~約35重量%のVA64、約1重量%~約2重量%のP407、及び約0.01重量%~約0.1重量%の顔料又は着色剤を含み、
(f)薬物溶出セグメントは、約52重量%~約58重量%のメタドン、約40重量%~約45重量%のPCL、約1重量%~約2重量%のP407を含む。
【0228】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む少なくとも1つのアームを含み、ここで、アームは中央エラストマーに付着することができ、及びアームは、(a)ポリマーリンカーセグメント、(b)時限崩壊性マトリックス、(c)第1の不活性セグメント、(d)腸内崩壊性マトリックス、(e)第1の非有効セグメント、及び(f)薬物溶出セグメントの1つ以上を含み、ここで、
中央エラストマーは、約50デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含み、
(a)ポリマーリンカーセグメントは100重量%のPCLを含み、
(b)時間依存性崩壊性マトリックスは、約44.95重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約35重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約18重量%のコポリマー、約2重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.05重量%の色吸収染料E172を含み、
(c)第1の不活性セグメントは、約68重量%~約72重量%のPCL、及び約28重量%~約32重量%の(BiO)2CO3を含み、
(d)腸内崩壊性マトリックスは、約63.95重量%のHPMCAS、約33.95重量%のPCL、及び約2重量%のポロキサマー(例えばP407)、及び任意選択的に約0.1重量%の酸化鉄(例えばE172)を含み、
(e)第1の非有効セグメントは、約66.45重量%のPCL、及び約32重量%のVA64、約1.5重量%のP407、及び及び約0.05重量%の顔料又は着色剤を含み、
(f)薬物溶出セグメントは、約55.9重量%のメタドン、約42.6重量%のPCL、約1.5重量%のP407を含む。
【0229】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを除く少なくとも1つのアームを含み、ここで、アームは中央エラストマーに付着することができ、及びアームは、(a)ポリマーリンカーセグメント、(b)時限崩壊性マトリックス、(c)第1の不活性セグメント、(d)腸内崩壊性マトリックス、(e)第1の非有効セグメントの1つ以上を含み、ここで、
中央エラストマーは、約40~約65デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含み、
(a)ポリマーリンカーセグメントは100重量%のPCLを含み、
(b)時限崩壊性マトリックスは、約40重量%~約50重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約30重量%~約40重量%の酸性末端コポリマー、約0.約4dl/gの粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約10重量%~約25重量%のコポリマー、約0.5重量%~約5重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.005重量%~約0.2重量%の色吸収染料E172を含み、
(c)第1の不活性セグメントは、約65重量%~約75重量%のPCL及び約25重量%~約35重量%の(BiO)2CO3を含み、
(d)腸内崩壊性マトリックスは、約60重量%~約70重量%のHPMCAS、約30重量%~約40重量%のPCL、及び約0.5重量%~約5重量%のポロキサマー(例えばP407)、並びに任意選択的に約0.01重量%~約0.5重量%の酸化鉄(例えばE172)を含み、
(e)第1の非有効セグメントは約61重量%~約71重量%のPCL、約27重量%~約37重量%のVA64、約0.2重量%~約4重量%のP407、及び約0.005重量%~約0.2重量%の顔料又は着色剤をを含む。
【0230】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを除く少なくとも1つのアームを含み、ここで、アームは中央エラストマーに付着することができ、及びアームは、(a)ポリマーリンカーセグメント、(b)時限崩壊性マトリックス、(c)第1の不活性セグメント、(d)腸内崩壊性マトリックス、(e)第1の非有効セグメントの1つ以上を含み、ここで、
中央エラストマーは、約45~約55デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含み、
(a)ポリマーリンカーセグメントは100重量%のPCLを含み、
(b)時間依存性崩壊性マトリックスは、約43重量%~約47重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約33重量%~約37重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約15重量%~約20重量%のコポリマー、約1重量%~約3重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.01重量%~約0.1重量%の色吸収染料E172を含み、
(c)第1の不活性セグメントは、約68重量%~約72重量%のPCL、及び28重量%~約32重量%の(BiO)2CO3を含み、
(d)腸内崩壊性マトリックスは、約62重量%~約66重量%のHPMCAS、約32重量%~約37重量%のPCL、及び約1重量%~約3重量%のポロキサマー(例えばP407)、並びに任意選択的に約0.05重量%~約0.15重量%の酸化鉄(例えばE172)を含み、
(e)第1の非有効セグメントは、約64重量%~約69重量%のPCL、約30重量%~約34重量%のVA64、約0.5重量%~約2.5重量%のP407、及び約0.01重量%~約0.1重量%の顔料又は着色剤を含む。
【0231】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを除く少なくとも1つのアームを含み、ここで、アームは中央エラストマーに付着することができ、及びアームは、(a)ポリマーリンカーセグメント、(b)時限崩壊性マトリックス、(c)第1の不活性セグメント、(d)腸内崩壊性マトリックス、(e)第1の非有効セグメントの1つ以上を含み、ここで、
中央エラストマーは、約50デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含み、
(a)ポリマーリンカーセグメントは100重量%のPCLを含み、
(b)時間依存性崩壊性マトリックスは、約44.95重量%のPCL、約0.4dl/gの粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約35重量%の酸性末端コポリマー、約0.4dl/gの粘度中点を有するDL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約18重量%のコポリマー、約2重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.05重量%の色吸収染料E172を含み、
(c)第1の不活性セグメントは、約70重量%のPCL及び約30重量%の(BiO)2CO3を含み、
(d)腸内崩壊性マトリックスは、約63.95重量%のHPMCAS、約33.95重量%のPCL、及び約2重量%のポロキサマー(例えばP407)、及び約0.1重量%の酸化鉄(例えばE172)を含み、
(e)第1の非有効セグメントは、約66.45重量%のPCL、約32重量%のVA64、約1.5重量%のP407、及び約0.05重量%の顔料又は着色剤を含む。
【0232】
上述の実施態様のいずれにおいても、アームはポリマーリンカーセグメントにおいて中央エラストマーに付着され得る。すなわち、ポリマーリンカーセグメントはアームの近位端である。
【0233】
いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための剤形は胃内滞留システムを含み、ここで、胃内滞留システムは1~5個の非有効セグメント(例えば、非有効セグメントを含む、アーム当たり1つで合計で1~5個のアーム)を含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約66.45重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbin PC17を含む第1の非有効セグメントを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約32.0重量%のコポビドン、例えばVA64を含む第1の非有効セグメントを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約1.5重量%のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばH-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH(ここで、前記xとzは約101、及びyは約56である)、例えばポロキサマー407(P407)を含む第1の非有効セグメントを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約0.005重量%の酸化鉄(例えばE172)を含む第1の非有効セグメントを含む。
【0234】
いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための胃内滞留システム剤形は、放射線不透過性セグメントを含むことができ、ここで、前記セグメントは、約70重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えばCorbin PC17などの約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCLを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約30重量%の(BiO)2CO3を含む放射線不透過性セグメントを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、約70重量%のCorbin PC17、及び30重量%の(BiO)2CO3を含む放射線不透過性(不活性)セグメントを含む。
【0235】
いくつかの実施態様において、メタドンの投与のための胃内滞留システム剤形は、中央エラストマーを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システム剤形は、1つの薬物溶出アーム当たり約46.6mgのメタドンを含む薬物溶出セグメントとを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システム剤形は、1つの薬物溶出アーム当たり約16.09mgのメタドンを含む薬物溶出セグメントとを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムはさらに、約73.5重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えば Corbion PC17を含む放出速度調節膜を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜はさらに、約24.5重量%のコポビドン、例えばVA64を含む。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜はまた、約2重量%のステアリン酸マグネシウムも含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムはさらに、約44.95重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbion PC17を含む時間依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスはさらに、約0.32dl/g~約0.48dl/g(例えば約0.4dl/g)の粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約35.0重量%の酸性末端コポリマー、例えばPDLG5004Aを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスはさらに、約0.32dl/g~約0.48dl/g(例えば約0.4dl/g)の粘度中点を有する、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の約18.0重量%のコポリマー、例えばPDLG5004を含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスはさらに、平均分子量100,000のポリエチレングリコール、例えばPEO100Kなどの約2.0重量%のポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施態様において、時間依存性崩壊性マトリックスはさらに、約0.05重量%の酸化鉄、例えばE172を含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムはさらに、約33.95重量%のポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbion PC17を含む、pH依存性崩壊性マトリックスを含む。いくつかの実施態様において、pH依存性崩壊性マトリックスはさらに、約63.95重量%の酢酸コハク酸ヒプロメロース、例えばHPMCAS-MGを含む。いくつかの実施態様において、pH依存性崩壊性マトリックスはさらに、約2.0重量%のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)ポリマー、例えばH-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH(ここでx及びzは約101、及びyは約56である)、例えばポロキサマー407(P407)を含む。いくつかの実施態様において、pH依存性崩壊性マトリックスはさらに、約0.1重量%の酸化鉄、例えばE172を含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムはさらに1つ以上の非有効セグメントを含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムはさらに、約70重量%ポリカプロラクトン(PCL)、例えば約1.5dl/g~約2.1dl/gの粘度中点を有するPCL、例えばCorbin PC17を含む放射線不透過性セグメントを含む。いくつかの実施態様において、放射線不透過性セグメントは、約30重量%の(BiO)2CO3を含む。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムはさらに、約100重量%のポリカプロラクトン(PCL)を含む1つ以上のポリマーリンカーセグメントを含む。いくつかの実施態様において、ポリマーリンカーセグメントは、アームの近位端に位置し、中央エラストマーにすぐ隣接している。
【0236】
いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む1つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない5つのアームとを有する。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む2つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない4つのアームとを有する。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む3つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない3つのアームとを有する。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む4つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない2つのアームとを有する。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む5つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない1つのアームとを有する。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、薬物溶出セグメントを含む6つのアームを有する。
【0237】
中央エラストマー
中央エラストマーは、圧縮形態に圧縮される能力を胃内滞留システムに提供し、これは、カプセルに又は被験体への投与のための他の適切な収容構造内に配置することができる。
【0238】
いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための剤形は胃内滞留システムを含み、ここで、胃内滞留システムは液体シリコーンゴム(LSR)を含む中央エラストマーを含む。いくつかの実施態様において、LSRは約45~約60デュロメーター硬さを有する。
【0239】
いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための剤形は胃内滞留システムを含み、ここで、前記胃内滞留システムは液体シリコーンゴム(LSR)を含む中央エラストマーを含む。いくつかの実施態様において、LSRは約45~約55デュロメーター硬さを有する。
【0240】
いくつかの実施態様において、1つ以上の薬剤の投与のための剤形は胃内滞留システムを含み、ここで、前記胃内滞留システムは液体シリコーンゴム(LSR)を含む中央エラストマーを含む。いくつかの実施態様において、LSRは約50デュロメーター硬さを有する。
【実施例
【0241】
本開示は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【0242】
実施例1:メタドン剤形(徐放性胃内滞留システム)
本実施例では、本発明による剤形は胃内滞留システムを含み、前記胃内滞留システムはメタドンを含むように配合される。
【0243】
胃内滞留システムは、圧縮形態に圧縮される能力を胃内滞留システムに提供する中央エラストマーを含む。本実施例に例示される胃内滞留システムは、「星形」構成の別の異なる配置である。メタドン配合胃内滞留システムの一例では、星形は、それぞれが薬物溶出セグメントを含む6つのアームを含む。
【0244】
図3は、この構成の様々な要素を示すためにラベル付けされている。システム300は、6つの短い枝を有する「星印」の形状である中央エラストマーコア310を含む。アームのセグメント380は、1つの短い星印の枝に付着されている。セグメント380の後には、セグメント360、セグメント370、セグメント350、セグメント330、及びセグメント340が順に続く。
【0245】
胃内滞留システムの平均サイズは約46mmであり、各セグメントの長さは約0.5mm~約11.8mmの範囲である。以下の表は、胃内滞留システムにおける有効アーム(すなわち、薬物溶出セグメントを含むアーム)の各セグメントの長さのリストを提供する。以下の各範囲又は値は、示されている範囲又は値の「約」、又は示されている範囲又は値と正確に一致すると考えることができる。
【0246】
【表13】
【0247】
中央エラストマーコア310は、50デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含む。
【0248】
この例では、ここで提供される剤形は、それぞれが薬物溶出セグメントを含む6つのアームを含み、ここで、前記剤形は、投与のために約280mgのメタドンを含む。メタドンは、担体ポリマー-薬剤セグメント340(例えば薬物溶出セグメント)に含まれる。薬物溶出セグメントは、約55.9重量%のメタドン、約42.6重量%のCorbin PC17、及び約1.5重量%のP407を含む。本出願ではまた、より高用量の薬物、例えばメタドンを達成するために、薬物溶出セグメントの数及び/又は長さを増加させたこの剤形の変種も企図される。
【0249】
胃内滞留システムはさらに、セグメント360と呼ばれる時間依存性崩壊性マトリックス又はリンカー、並びにセグメント350と呼ばれるpH依存性崩壊性マトリックス又はリンカーを含む。さらに、胃内滞留システムは構造セグメント370及びポリマーリンカーセグメント380を含む。
【0250】
時間依存性崩壊性マトリックス(セグメント360)は、約44.95重量%のCorbin PC17、DL-ラクチドとグリコリドの約35重量%の酸性末端コポリマー(PDLG5004A)、DL-ラクチドとグリコリドの約18重量%のコポリマー(PDLG5004)、約2重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.05重量%の色吸収染料E172を含む。pH依存性崩壊性マトリックス(セグメント350)は、約63.95重量%のHPMCAS、約33.95重量%のCorbin PC17、約2重量%のP407、及び約0.1重量%の色吸収染料E172を含む。構造セグメント370は、約70重量%のPCL及び約30重量%の(BiO)2CO3を含む放射線不透過性PCLセグメントであり得る。
【0251】
非有効セグメント(セグメント430)は、約66.45重量%のCorbin PC17、約32.0重量%のVA64、約1.5重量%のPCL、及び約0.05重量%のFD&C Blue 1アルミニウムレーキを含む。
【0252】
各アームの近位端にあるセグメント380は、約100重量%のPCLを含むポリマーリンカーセグメントである。
【0253】
いくつかの実施態様において、各薬物アームは放出速度調節膜によって被覆される。具体的には、被膜は、約73.5重量%のCorbin PC17、約24.5重量%のVA64、及び約2%のステアリン酸マグネシウムを含み、そして前記セグメントのプレ被膜重量の約5~20%の量で塗布される。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、セグメントのプレ被覆重量の20、18、16、14、12、10、8、又は6%以下の量で塗布され得る。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、セグメントのプレ被覆重量の5、6、8、10、12、14、16、又は18%以下の量で塗布され得る。
【0254】
胃内滞留システムは、国際特許出願PCT/US2020/059541の実施例1に記載されているように組み立てられ、次に適切なサイズのカプセル内に配置される。ここに記載される剤形は、以前に国際特許出願第PCT/US2020/059541に記載された胃内滞留システム、及び以前にLYN-005として指定された他の胃内滞留システムとは異なる。
【0255】
メタドンが配合された胃内滞留システムの別の例では、星形は、それぞれが薬物溶出セグメントを含む4つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない2つのアームとを含む。本出願ではまた、そのうちの1、2、3、4、5、又は6つのアームのいずれかが薬物溶出セグメントを含む6つのアームを含む他の胃内滞留システムも企図される。
【0256】
図4には、この構成の様々な要素を示すためにラベルが付けられている。システム400は、6つの短い枝を有する「星印」の形状である中央エラストマーコア410を含む。
【0257】
薬物溶出セグメントを含むアームの場合、アームのセグメント480は、1つの短い星印の枝に付着される。セグメント480の後には、セグメント460、第1のセグメント470、セグメント450、第2のセグメント470、セグメント430、及びセグメント440が順に続く。
【0258】
薬物溶出セグメントを含まないアームの場合、アームのセグメント480は、1つの短い星印の枝に付着される。セグメント480の後には、セグメント460、第1のセグメント470、セグメント450、第2のセグメント470、及びセグメント430が順に続く。
【0259】
胃内滞留システムの平均サイズは約46mmであり、各セグメントの長さは約0.5mm~約14mmの範囲である。以下の表は、胃内滞留システムにおける各セグメントの長さのリストを示す。以下の各範囲又は値は、示されている範囲又は値の「約」、又は示されている範囲又は値と正確に一致すると考えることができる。
【0260】
【表14】
【0261】
中央エラストマーコア410は、50デュロメーター硬さを有する液体シリコーンゴム(LSR)を含む。
【0262】
本例において、ここで提供される剤形は、そのうちの4つが薬物溶出セグメントを含む6つのアームを含み、ここで、前記剤形は、投与用に約187mgのメタドンを含む。いくつかの実施態様において、各薬物溶出セグメントは、約46.7mgのメタドンHClを含むことができる。いくつかの実施態様において、各薬物溶出セグメントは、約46.5mgのレボメタドンHClを含むことができる。メタドンは、担体ポリマー-薬剤セグメント440(例えば薬物溶出セグメント)に含まれる。薬物溶出セグメントは、約55.9重量%のメタドン、約42.6重量%のCorbin PC17、及び約1.5重量%のP407を含む。本出願ではまた、より高用量の薬物、例えばメタドンを達成するために、薬物溶出セグメントの数及び/又は長さを増加させたこの剤形の変種も企図される。
【0263】
薬物を含まない2つのアームは、薬物溶出セグメントの非有効セグメントより大きな非有効セグメント(セグメント430)を含む。非有効セグメント430はそれぞれ、約66.45重量%のCorbin PC17、約32.0重量%のVA64、約1.5重量%のP407、及び約0.05重量%のFD&C Blue1アルミニウムレーキを含む。
【0264】
胃内滞留システムはさらに、セグメント460と呼ばれる時間依存性崩壊性マトリックス又はリンカー、並びにセグメント450と呼ばれるpH依存性崩壊性マトリックス又はリンカーを含む。さらに、胃内滞留システムは構造セグメント470を含む。
【0265】
時間依存性崩壊性マトリックス(セグメント460)は、約44.95重量%のCorbin PC17、DL-ラクチドとグリコリドの約35重量%の酸性末端コポリマー(PDLG5004A)、DL-ラクチドとグリコリドの約18重量%のコポリマー(PDLG5004)、約2重量%のポリエチレングリコール100k、及び約0.05重量%の色吸収染料E172を含む。pH依存性崩壊性マトリックス(セグメント450)は、約63.95重量%のHPMCAS、約33.95重量%のCorbin PC17、約2重量%のP407、及び約0.1重量%の色吸収染料E172(四三酸化鉄)を含む。構造セグメント470は、約70重量%のPCL及び約30重量%の(BiO)2CO3を含む放射線不透過性PCLセグメントであり得る。
【0266】
各アームの近位端にあるセグメント480は、約100重量%のPCLを含むポリマーリンカーセグメントである。
【0267】
いくつかの実施態様において、各薬物アームは放出速度調節膜によって被覆される。具体的には、被膜は、約73.5重量%のCorbin PC17、約24.5重量%のVA64、及び約2%のステアリン酸マグネシウムを含み、そして前記セグメントのプレ被膜重量の約5~20%の量で塗布される。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、前記セグメントのプレ被膜重量の20、18、16、14、12、10、8、又は6%以下の量で塗布され得る。いくつかの実施態様において、放出速度調節膜は、前記セグメントのプレ被膜重量の5、6、8、10、12、14、16、又は18%以上の量で塗布され得る。
【0268】
胃内滞留システムは、国際特許出願PCT/US2020/059541の実施例1に記載されているように組み立てられ、次に適切なサイズのカプセル内に配置される。本明細書に記載される剤形は、以前に国際特許出願第PCT/US2020/059541に記載された胃内滞留システム、及び以前にLYN-005として指定された他の胃内滞留システムとは異なる。
【0269】
メタドン配合胃内滞留システムの別の例では、星形は、それぞれが薬物溶出セグメントを含む2つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない4つのアームとを含む。本出願ではまた、そのうちの1、2、3、4、5、又は6つのアームのいずれかが薬物溶出セグメントを含む6つのアームを含む他の胃内滞留システムも企図される。
【0270】
実施例2:薬物溶出セグメントを含む4つのアームを含むメタドン剤形(徐放性胃内滞留システム)
メタドン剤形のこの第2の実施例では、剤形は胃内滞留システムを含み、胃内滞留システムはメタドンを含むように配合される。しかし実施例1の剤形とは異なり、本実施例の剤形は合計6つのアームを含み、そのうちの4つだけがそれぞれ薬物溶出セグメントを含む。この例では、剤形は187mg用量のメタドンを含む。
【0271】
実施例2の胃内滞留システムは、圧縮構成に圧縮される能力を胃内滞留システムに提供する中心エラストマーを含む。
【0272】
図4の胃内滞留システムは、(図3とは対照的に)187mg用量のメタドンを含むものに、よりよく似ている。図4は、この構成の様々な要素を示すラベルが付けられている。システム400は、6つの短い枝を有する「星印」の形状である中央エラストマーコア410を含む。
【0273】
薬物溶出セグメントを含むアームの場合、アームのセグメント480は1つの短い星印の枝に付着される。セグメント480の後には、セグメント460、第1のセグメント470、セグメント450、第2のセグメント470、セグメント430、及びセグメント440が順に続く。
【0274】
薬物溶出セグメントを含まないアームの場合、アームのセグメント480は1つの短い星印の枝に付着される。セグメント480の後には、セグメント460、第1のセグメント470、セグメント450、第2のセグメント470、及びセグメント430が順に続く。セグメント480、460、470、450、及び430のそれぞれは、図3のセグメント380、360、370、350、及び330に対応する。
【0275】
胃内滞留システムは組み立てられ、スリーブ(サイズ0のカプセル、透明、本体のみ)を星形アームの集まった遠位端上に配置される(星形がその圧縮構成にあるとき)。スリーブを装着すると、スリーブ付き胃内滞留システムはサイズ00ELの白色不透明(2%TiO)カプセルでカプセル化される。
【0276】
メタドン配合胃内滞留システムの別の例では、星形は、それぞれが薬物溶出セグメントを含む2つのアームと、薬物溶出セグメントを含まない4つのアームとを含む。また、本出願では、そのうちの1、2、3、4、5、又は6つのアームのいずれかが薬物溶出セグメントを構成する6つのアームを含む他の胃内滞留システムも企図される。
【0277】
実施例3:被覆された剤形及び被覆されていない剤形のメタドン放出の評価
図5A及び5Bは、同じメタドン配合物を含む胃内滞留システムの異なるバッチのメタドン放出プロフィールを示す。具体的には、剤形に使用されるメタドン組合わせ配合物は以下の通りである。
【0278】
【表15】
【0279】
さらに、この試験における胃内滞留システムはすべて、楔形の断面積を有するアームを備えていた。各試験の薬物溶出成分は以下の通りである。
【0280】
【表16】
【0281】
塗膜PC17は、73.5重量%のPCL、24.5重量%のVA64、及び2重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0282】
図5Aに示されるように、被覆された剤形は、薬物溶出セグメントからのバースト放出を制御しメタドン放出を遅らせることができる。さらに図5Bは、MET16DB1については、7.0%のPC17被膜が放出を(目標放出と比較して)直線化したが、MET16DevRunについては、累積放出の直線化が13.6%のPC17被膜で起こることを示す。
【0283】
実施例4:放出速度調節膜の被覆重量の比較
図6は、メタドン及び様々な被覆重量の放出速度調節膜を含む胃内滞留剤形の放出プロフィールを示す。示されるように、図6は、7.1重量%、10.8重量%、12.6重量%、及び13.3重量%のPC17被膜を被覆したときのメタドンHClの累積放出の直線化の進行を示す。被膜PC17は、73.5重量%のPCL、24.5重量%のVA64、及び2重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。13.6%のPC17で被覆されたMET16マトリックスでは、最良の直線化された累積放出プロフィール(目標放出と比較して)が得られる。試験された胃内滞留システムのMET16配合を以下の表に示す。
【0284】
【表17】
【0285】
実施例5:給餌-絶食媒体の試験
図7は、異なる模擬胃液における胃内滞留システムのメタドン放出プロフィールを示す。示されているように、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)、給餌、及び絶食状態腸液(FaSSIF)が試験された。試験された胃内滞留システムには、実施例2及び3で上述したメタドン配合物が含まれた。薬物溶出セグメントは、7被覆重量パーセント増加(cwg)の放出速度調節膜で被覆された。被膜PC17は、73.5重量%のPCL、24.5重量%のVA64、及び2重量%のステアリン酸マグネシウムを含んでいた。
【0286】
実施例6:0日及び3日間のEtOHチャレンジ
メタドン放出を、エタノールの存在下で、メタドンを含む胃内滞留システムについて試験した。試験された胃内滞留システムには、上記実施例2、3、及び4に記載されたメタドン及び放出速度調節膜が含まれる。
【0287】
図8A及び8Bは、0日目のエタノールチャレンジの結果を示す。このチャレンジ中、試料は最初のFaSSGFインキュベーションに2時間供された。次に、試料は5%又は20%のEtOHを含むFaSSGFに供された。媒体を2時間にわたって30分ごとにサンプリングし、それぞれのEtOH添加FaSSGF媒体を補充した。チャレンジ後、媒体をFaSSGFに交換した。続いて、6時間、24時間、48時間、96時間、及び168時間の時点でアリコートを採取した。
【0288】
図9A及び9Bは、3日目のエタノールチャレンジの結果を示す。このチャレンジの初日から3日間、試料を最初のFaSSGFインキュベーションに供した。6時間、24時間、及び48時間の時点でアリコートを採取した。3日目、72時間の時点でアリコートを採取し、媒体を合計2時間かけて、5%又は20%のEtOHを添加したFaSSGFに交換した。媒体を30分ごとにサンプリングし、それぞれのEtOH添加FaSSGF媒体を補充した。チャレンジ後、媒体をFaSSGFに交換した。続いて、96時間及び168時間の時点でアリコートを採取した。
【0289】
実施例7:ビーグル犬での試験
以下に記載するように、胃内滞留剤形で投与されたメタドンの放出をビーグル犬で試験した。結果を図10B~10Dに示す。
【0290】
雄のビーグル犬を、用量投与前に一晩絶食させた。
【0291】
メタドンHClの10mg錠剤を、試験1日目及び試験8日目に経口投与した。試験8日目の投与については、投与の12時間前及び投与の12時間後に、イヌを50mgのフルコナゾール錠剤で処置した。(メタドンは犬では急速に代謝されるため、フルコナゾール(CYP3A4阻害剤)を投与して、この代謝を低下させ、適切な血漿メタドンの定量を可能にした。レポートに示されているIRデータは試験8日目のものである。)血漿試料を、投与前、投与後0.25、0.5、0.75、1、2、4、6、8、12、24、及び48時間に採取した。
【0292】
100mgのメタドンHClを含有するLYN-014-Mを、上記のようにフルコナゾールで処置したイヌに試験22日目に経口投与し、その後試験30日目まで毎日経口投与した。血漿試料を、投与前、投与後2、4、6、8、24、48、72、96、120、144、168、192、216、及び240時間に採取した。LYN-014-M胃内滞留システムのアームを図10Aに示す(ここで、1090はポリカプロラクトンセグメントを表し、1060は時間依存性崩壊性マトリックスセグメントを表し、1070は放射線不透過性PCLセグメントを表し、1050はpH依存性崩壊性マトリックスセグメントを表し、1030は非有効セグメントを表し、及び1040は担体ポリマー-薬剤セグメントを表す)。図示されるように、薬物溶出セグメントは16.09mgのメタドンを含み、アームは遠位端(薬物溶出MET16-RBに接続されている)セグメントに非有効セグメントを含む。さらに、星形のアームは、中央エラストマー(図示していない)に直接接続された近位端上のポリマー連結部材(PCL)、ポリマーリンカーに接続された時間崩壊性マトリックスセグメント、時間崩壊性マトリックスセグメントに接続された不活性セグメント、不活性セグメントに接続された腸内崩壊性セグメント、不活性セグメントに接続された非有効セグメント、非有効セグメントに接続された薬物溶出セグメント、及び薬物溶出セグメントに接続された不活性セグメントを含む。
【0293】
血漿からのタンパク質沈殿によって試料抽出物を調製し、LC/MS/MSを使用してメタドン濃度を測定した。薬物動態パラメータはノンコンパートメント分析によって計算された。
【0294】
メタドンHCl(10mg)及びLYN-014-M(100mgのメタドン)の平均血漿PKパラメータ、及び個々の血漿PKパラメータを以下の表に示す。示されているように、10mgメタドンIR錠剤の単回経口投与後、メタドンは急速に吸収され、投与後1~8時間でTmaxに達した。平均全身曝露量は、Cmax及びAUCtauについてそれぞれ32.0ng/mL及び317hng/mLであり、平均半減期は8時間であった。
【0295】
100mgのLYN-014-Mの単回経口投与後、Cmax(29.5ng/mL)は、IR(Tmax1~8時間)と比較して遅延した(Tmax24~144時間)。LYN-014-M投与量の用量正規化AUCtauは、IRのAUCtauと同等であった(LYN-014及びIR形態について、それぞれ平均28.2hng/mL及び31.7hng/mL)。
【0296】
従って、LYN-014-Mの単回経口(PO)投与により、イヌにおいて投与後7日以上にわたってメタドンの測定可能な血漿濃度が確認された。メタドンHClIR錠剤の単回投与と比較した場合、LYN-014-Mは、Cmax及びAUCによって評価すると同様の曝露を示した。
【0297】
【表18】
【0298】
【表19】
【0299】
以下の表は、試験期間中の6匹のイヌ(1006~1011)のそれぞれにおける胃内滞留システムの存在を示す。「日」(すなわち、1日目~28日目)は、星形が投与された日を1日目として数えた日数である。「試験日」(すなわち、試験日22~49)は、最初のIRメタドン用量が投与された日から数えられる。「破損された」セル中の数字は、胃内の星形にまだ付着されているアームの数を指す。
【0300】
【表20】
【0301】
【表21】
【0302】
図10Bは、10日間にわたるLYN-014-M(メタドン100mg)の単回経口投与における血漿濃度対時間を示す。
【0303】
メタドンHCl(10mg)の単回経口投与の血漿濃度対時間の関係を図10Cに示す。
【0304】
7日間にわたるLYN-014-M(メタドン100mg)の単回経口投与における血漿濃度対時間の関係を図10Dに示す。
【0305】
実施例7:アッセイ及び純度法を使用する放出プロフィールの測定
塩酸レボメタドン187mgのERカプセルを含む胃内滞留システムを、製造後にアッセイ及び純度について試験し、25℃/60%RHで3ヶ月及び6ヶ月保存した後、並びに30℃/65%RHで3ヶ月保存した後に試験を繰り返した。使用した試験方法は、以下の「放出プロフィール試験方法」セクションで説明する「アッセイ及び純度」方法と一致した。初回試験時の塩酸レボメタドン含有量はラベル表示(187mg)の100%であった。3か月や6か月では大きな変化は見られなかった。初期又は任意の安定時点において塩酸レボメタドン分解物は検出できず、0.1%以下/検出されずと報告された。製剤からの塩酸レボメタドンの放出プロフィールは、すべての時点でバーストすることなく制御されたままであった。
【0306】
【表22】
【0307】
実施例8:キラル純度法を使用する放出プロフィールの測定
塩酸レボメタドン187mgのERカプセルを含む胃内滞留システムを、製造後にキラル純度について試験し、25℃/60%RHで3ヶ月及び6ヶ月の保存後、並びに30℃/65%RHで3ヶ月保存した後に試験を繰り返した。使用した試験方法は、以下の「放出プロフィール試験方法」セクションで説明する「キラル純度」方法と一致した。反対の鏡像異性体であるデキストロメタドンの量は0.2%で一定のままであった。このレベルは、購入した塩酸レボメタドン原薬で観察され、製造中に安定性は変化しない。
【0308】
【表23】
【0309】
実施例9:溶解法を使用する放出プロフィールの測定
製造後、塩酸レボメタドン187mgのERカプセルを含む胃内滞留システムで溶解を実施し、25℃/60%RHで3ヶ月及び6ヶ月保存した後、並びに30℃/65%RHで3ヶ月保存した後に試験を繰り返した。使用した試験方法は、後述の「放出プロフィール試験方法」セクションに記載される「溶解」方法と一致した。図11に示すように、統計的に有意な傾向は見つからなかった。製剤からの塩酸レボメタドンの放出プロフィールは、すべての時点でバーストすることなく制御されたままであった。
【0310】
実施例10:インビトロ放出法を使用する放出プロフィールの測定
以下の「放出プロフィール試験方法」セクションに記載される「インビトロ放出(IVR)」試験方法によるインビトロ放出試験を、被覆された中間体に対して実施して、胃環境における放出プロフィールを評価し、薬物を放出し続けながら早期に腸に入り込む剤形の影響を決定した。試験は、絶食した胃の状態をシミュレートする生体関連培体(FaSSGF)で開始し、1、3、又は5日後に、絶食した腸の状態を表す媒体(FaSSIF)に試料を移すことによって実施した。図12に示されるように、放出プロフィールの有意な変化は観察されなかった。
【0311】
放出プロフィールの試験方法
アッセイ及び純度:API(例えば塩酸レボメタドン)を含む胃内滞留システム又は医薬品の一部を切断/取り出し、安定化テトラヒドロフラン中に溶解する。エタノールを対溶媒として加えて、API(例えばレボメタドン)を含む5%テトラヒドロフラン95%エタノール溶液を得る。溶液は必要に応じて希釈され、濾過される。試料は、以下の表の方法条件に従って、HPLCにより塩酸レボメタドン含有量及び分解生成物について分析される。この方法の検出限界は、公称レボメタドンのピーク面積の0.1%である。
【0312】
【表24】
【0313】
キラル純度(Ph.Eur.モノグラフから適応された方法):API(例えば塩酸レボメタドン)を含む胃内滞留システム(又は医薬品)の部分を医薬品から切断/取り出し、安定化テトラヒドロフラン中に溶解する。移動相を対溶媒として添加して、API(例えばレボメタドン)を含む5%テトラヒドロフラン95%移動相溶液を得る。溶液は必要に応じて希釈され、濾過される。試料をキラルHPLCで分析して、API(例えばレボメタドン)の同一性を確認し、API(例えばレボメタドン)含有量に対して反対の鏡像異性体の存在を定量する。HPLC法の条件は以下の表に示される。
【0314】
【表25】
【0315】
溶解:レボメタドン医薬品に対して行われた溶解は、以下の表に記載されている溶解パラメータを使用してUSP<711>に従って完了した。
【0316】
【表26】
【0317】
試料を1週間かけて採取し、以下の条件を使用してHPLCによって分析する。
【0318】
【表27】
【0319】
インビトロ放出(IVR):IVRが、様々な生体関連媒体中のレボメタドン中間体に対して行われる。「中間体」という用語は、薬物を充填したポリマーセグメント(被覆された又は非被覆)を指し、胃内滞留システム全体を指すのではない。1つの薬物含有ポリマー試料を30mLの生体関連培体に加え、37℃、200rpmに設定した振盪インキュベーター内に置く。試料は2~7日間かけて採取され、HPLC分析用にサンプリングされる(方法条件は下記)。試料を30mLの新鮮な媒体に移し、振盪インキュベーターに戻して試験を継続する。
【0320】
【表28】
【0321】
【表29】
【0322】
実施態様1.
メタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含む少なくとも1つの薬物溶出成分と、前記少なくとも1つの薬物溶出成分を被覆している放出速度調節膜とを含む、胃内滞留システムであって、ここで、前記胃内滞留システムが、人体の胃内に少なくとも48時間維持されるように、及びメタドンを少なくとも48時間放出するように構成されており、そして、前記放出速度調節膜を有する少なくとも1つの薬物溶出成分が、胃内に滞留の最初の24時間後にメタドン又はその塩の少なくとも10%を放出するように構成されている、上記システム。
【0323】
実施態様2. 50~60重量%のラセミ体メタドンを含む、実施態様1に記載の胃内滞留システム。
【0324】
実施態様3. 50~60重量%のレボメタドンを含む、実施態様1に記載の胃内滞留システム。
【0325】
実施態様4. 1~2重量%のポロキサマーを含む、実施態様1~3のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0326】
実施態様5. 前記ポロキサマーがP407を含む、実施態様1~4のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0327】
実施態様6. 前記放出速度調節膜がポリカプロラクトン、コポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む、実施態様1~5のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0328】
実施態様7. 前記放出速度調節膜が60~90重量%のポリカプロラクトンを含む、実施態様6に記載の胃内滞留システム。
【0329】
実施態様8. 前記放出速度調節膜が70~75重量%のポリカプロラクトンを含む、実施態様6又は7に記載の胃内滞留システム。
【0330】
実施態様9. 前記放出速度調節膜が10~40重量%のコポビドンを含む、実施態様6~8のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0331】
実施態様10. 前記放出速度調節膜が20~30重量%のコポビドンを含む、実施態様6~9のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0332】
実施態様11. 前記放出速度調節膜が1~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、実施態様6~10のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0333】
実施態様12. 前記放出速度調節膜が1~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、実施態様6~11のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0334】
実施態様13. 前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのラセミ体メタドン又はその塩を含む、実施態様1~12のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0335】
実施態様14. 前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのレボメタドン又はその塩を含む、実施態様1~12のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0336】
実施態様15. 前記胃内滞留システムが中央エラストマーと複数のアームを含み、前記複数のアームの各アームが近位端(前記中央エラストマーに固定されている)と遠位端を含む、実施態様1~14のいずれかに記載の胃内滞留システムであって、ここで、前記複数のアームの各アームが中央エラストマーから放射状に延びており、及び前記複数のアームのうちの少なくとも1つのアームが前記少なくとも1つの薬物溶出成分を含む、上記システム。
【0337】
実施態様16. 前記複数のアームが6つのアームを含む、実施態様15に記載の胃内滞留システム。
【0338】
実施態様17. 前記複数のアームのうちの少なくとも2つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、実施態様15又は16に記載の胃内滞留システム。
【0339】
実施態様18. 前記複数のアームのうちの少なくとも3つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、実施態様15又は16に記載の胃内滞留システム。
【0340】
実施態様19. 前記複数のアームの6つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、実施態様15又は16に記載の胃内滞留システム。
【0341】
実施態様20. 前記複数のアームの各アームが、前記中央エラストマーに付着したポリマーリンカーセグメントを含み、前記ポリマーリンカーセグメントがポリカプロラクトンを含む、実施態様15~19のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0342】
実施態様21. 前記複数のアームの各アームが、前記ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の酸性末端コポリマー、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)のコポリマー、及びポリエチレンオキシドを含む、実施態様20に記載の胃内滞留システム。
【0343】
実施態様22. 前記複数のアームの各アームが、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメントを含み、前記第1の不活性セグメントがポリカプロラクトンと(BiO)COを含む、実施態様21に記載の胃内滞留システム。
【0344】
実施態様23. 前記複数のアームの各アームが、前記第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポロキサマーを含む、実施態様22に記載の胃内滞留システム。
【0345】
実施態様24. 前記複数のアームの各アームが、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメントを含み、前記非有効セグメントが、ポリカプロラクトン、コポビドン、及びポロキサマーを含む、実施態様23に記載の胃内滞留システム。
【0346】
実施態様25. 前記複数のアームの薬物溶出アームが、前記非有効セグメントに付着した薬物溶出成分を含む、実施態様24に記載の胃内滞留システム。
【0347】
実施態様26. 前記胃内滞留システムの曲線下の面積が1000~6000hr・ng/mlである、実施態様1~25のいずれかに記載の胃内滞留システム。
【0348】
実施態様27. 実施態様1~26のいずれか1つに記載の胃内滞留システムを個体に投与することを含む、前記個体におけるオピオイド乱用障害を治療する方法。
【0349】
実施態様28. メタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含む少なくとも1つの薬物溶出成分を抽出することと、前記少なくとも1つの薬物溶出成分に放出速度調節膜を適用することとを含む、胃内滞留システムの作成方法であって、ここで、前記胃内滞留システムが、人体の胃内に少なくとも48時間維持されるように、及びメタドンを少なくとも48時間放出するように構成されており、そして、前記放出速度調節膜を有する前記少なくとも1つの薬物溶出成分が、胃内に滞留の最初の24時間後にメタドン又はその塩の少なくとも10%を放出するように構成されている、上記方法。
【0350】
実施態様29. 前記胃内滞留システムが50~60重量%のラセミ体メタドンを含む、実施態様28に記載の方法。
【0351】
実施態様30. 前記胃内滞留システムが50~60重量%のレボメタドンを含む、実施態様28に記載の方法。
【0352】
実施態様31. 前記胃内滞留システムが1~2重量%のポロキサマーを含む、実施態様28~30のいずれかに記載の方法。
【0353】
実施態様32. 前記ポロキサマーがP407を含む、実施態様28~31のいずれかに記載の方法。
【0354】
実施態様33. 前記放出速度調節膜がポリカプロラクトン、コポビドン、及びステアリン酸マグネシウムを含む、実施態様28~32のいずれかに記載の方法。
【0355】
実施態様34. 前記放出速度調節膜が60~90重量%のポリカプロラクトンを含む、実施態様33に記載の方法。
【0356】
実施態様35. 前記放出速度調節膜が70~75重量%のポリカプロラクトンを含む、実施態様33又は34に記載の方法。
【0357】
実施態様36. 前記放出速度調節膜が10~40重量%のコポビドンを含む、実施態様33~35のいずれかに記載の方法。
【0358】
実施態様37. 前記放出速度調節膜が20~30重量%のコポビドンを含む、実施態様33~36のいずれかに記載の方法。
【0359】
実施態様38. 前記放出速度調節膜が1~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、実施態様33~37のいずれかに記載の方法。
【0360】
実施態様39. 前記放出速度調節膜が1~3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、実施態様33~38のいずれかに記載の方法。
【0361】
実施態様40. 前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのラセミ体メタドン又はその塩を含む、実施態様28~39のいずれかに記載の方法。
【0362】
実施態様41. 前記少なくとも1つの薬物溶出成分が20mg~50mgのレボメタドン又はその塩を含む、実施態様28~39のいずれかに記載の方法。
【0363】
実施態様42. 前記胃内滞留システムが中央エラストマーと複数のアームを含み、前記複数のアームの各アームが近位端(前記中央エラストマーに固定されている)と遠位端を含む、実施態様28~41のいずれかに記載の方法であって、ここで、前記複数のアームの各アームが中央エラストマーから放射状に延びており、及び前記複数のアームのうちの少なくとも1つのアームが少なくとも1つの薬物溶出成分を含む、上記方法。
【0364】
実施態様43. 前記複数のアームが6つのアームを含む、実施態様42に記載の方法。
【0365】
実施態様44. 前記複数のアームのうちの少なくとも2つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、実施態様42又は43に記載の方法。
【0366】
実施態様45. 前記複数のアームのうちの少なくとも3つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、実施態様42又は43に記載の方法。
【0367】
実施態様46. 前記複数のアームの6つのアームが、前記少なくとも1つの薬物溶出成分の薬物溶出成分を含む、実施態様42又は43に記載の方法。
【0368】
実施態様47. 前記複数のアームの各アームが、中央エラストマーに付着したポリマーリンカーセグメントを含み、前記ポリマーリンカーセグメントがポリカプロラクトンを含む、実施態様42~46のいずれかに記載の方法。
【0369】
実施態様48. 前記複数のアームの各アームが、ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)の酸性末端コポリマー、DL-ラクチドとグリコリド(50/50のモル比)のコポリマー、及びポリエチレンオキシドを含む、実施態様47に記載の方法。
【0370】
実施態様49. 前記複数のアームの各アームが、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメントを含み、前記第1の不活性セグメントがポリカプロラクトンと(BiO)COを含む、実施態様48に記載の方法。
【0371】
実施態様50. 前記複数のアームの各アームが、前記第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメントを含み、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントが、ポリカプロラクトン、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポロキサマーを含む、実施態様49に記載の方法。
【0372】
実施態様51. 前記複数のアームの各アームが、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメントを含み、前記非有効セグメントが、ポリカプロラクトン、コポビドン、及びポロキサマーを含む、実施態様50に記載の方法。
【0373】
実施態様52. 前記複数のアームの薬物溶出アームが、前記非有効セグメントに付着した薬物溶出成分を含む、実施態様51に記載の方法。
【0374】
実施態様53. 前記胃内滞留システムの曲線下の面積が1000~6000hr・ng/mlである、実施態様28~52のいずれかに記載の方法。
【0375】
実施態様54.
少なくとも1つのアームが薬物溶出成分を含む、中央エラストマーに固定された複数のアームを含む胃内滞留システムであって、各アームは近位端、遠位端、及びそれらの間の外面を含み、ここで、各アームの前記近位端は前記エラストマー成分に付着され、前記エラストマー成分から放射状に突出し、各アームは、前記エラストマー成分に付着されておらず、かつ前記エラストマー成分から近位端よりも長い半径距離に位置するその遠位端を有し、ここで、薬物溶出成分を含む前記少なくとも1つのアームは、ポリマーリンカーセグメント、前記ポリマーリンカーセグメントに付着した第1の崩壊性マトリックスセグメント、前記第1の崩壊性マトリックスセグメントに付着した第1の不活性セグメント;前記第1の不活性セグメントに付着した第2の崩壊性マトリックスセグメント、前記第2の崩壊性マトリックスセグメントに付着した非有効セグメント、及び前記非有効セグメントに付着した前記薬物溶出成分を含み、ここで、前記薬物溶出成分は、50~60重量%のメタドン又はその塩、35~50重量%のポリカプロラクトン、及び0.5~3重量%のポロキサマーを含み、及びここで、前記薬物溶出成分はさらに、放出速度調節ポリマー膜を含む被膜を含む、上記システム。
【0376】
前述の説明では、システム、方法、技術、パラメータなどの例を説明した。しかしながら、そのような説明は本開示の範囲を限定することを意図したものではなく、例示的な実施態様の説明として提供されているものであることを認識されたい。
【0377】
本明細書の説明では、様々な要素を説明するために第1、第2などの用語を使用するが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
【国際調査報告】