(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】スイッチモード中性点形成デバイスアプリケーションにおける窒化ガリウム双方向高電子移動度トランジスタ
(51)【国際特許分類】
H02M 5/10 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H02M5/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568087
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022027253
(87)【国際公開番号】W WO2022235554
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515186323
【氏名又は名称】エンフェーズ エナジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Enphase Energy, Inc.
【住所又は居所原語表記】1420 North McDowell Boulevard, Petaluma, California 94954, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・ハリソン
【テーマコード(参考)】
5H750
【Fターム(参考)】
5H750AA00
5H750BA01
5H750BA05
5H750CC10
5H750CC11
5H750DD00
(57)【要約】
本明細書では、スイッチモード中性点形成デバイスが提供され、スイッチモード中性点形成デバイスは、(i)複数のスイッチを介して複数の線端子に、および(ii)中性端子に結合された1つ以上の巻線であって、前記複数のスイッチのうちの各スイッチは、ネイティブ4象限双方向スイッチである、1つ以上の巻線と、前記複数のスイッチに結合され、ACメイン周波数よりも大きい周波数オーダーまたは大きさで前記スイッチを駆動するためのコントローラと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)複数のスイッチを介して複数の線端子に、および(ii)中性端子に結合された1つ以上の巻線であって、
前記複数のスイッチのうちの各スイッチは、ネイティブ4象限双方向スイッチである、1つ以上の巻線と、
前記複数のスイッチに結合され、ACメイン周波数よりも大きい周波数オーダーまたは大きさで前記スイッチを駆動するためのコントローラと、を含む、スイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項2】
前記スイッチモード中性点形成デバイスが分相デバイスである、請求項1に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項3】
前記スイッチモード中性点形成デバイスが、2つの双方向スイッチ、1つのインダクタ、および2つのコンデンサを含む、請求項2に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項4】
前記2つのコンデンサが同じ容量値を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項5】
前記2つの双方向スイッチが互いに直列に接続され、前記2つのコンデンサの直列構成にわたって、および負荷側の線端子にわたって結合される、請求項3に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項6】
負荷側の中性端子Nが前記2つのコンデンサが互いに結合される点に結合される、請求項5に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項7】
前記インダクタは、前記2つの双方向スイッチが互いに結合される点に結合された第1の端子と、前記中性端子に結合された第2の端子とを有する、請求項1から3、5、または6のいずれか一項に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項8】
前記スイッチモード中性点形成デバイスが三相デバイスである、請求項1に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項9】
前記スイッチモード中性点形成デバイスは、9つの双方向スイッチと、負荷側のスター巻線および電力グリッド側のデルタ巻線を有するスターデルタ変圧器とを含む、請求項8に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項10】
前記9つの双方向スイッチがマトリックス状に互いに結合され、かつ前記スター巻線に結合され、中性端子が前記スター巻線の中心点に結合される、請求項9に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項11】
前記9つの双方向スイッチのうちの3つの第1のセットが、第1の線端子と前記スター巻線の第1の端子との間、前記第1の線端子と前記スター巻線の第2の端子との間、および前記第1の線端子と前記スター巻線の第3の端子との間でそれぞれ結合される、請求項1から3、5、6、または8から10のいずれか一項に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項12】
前記9つの双方向スイッチのうちの3つの第2のセットが、第2の線端子と前記スター巻線の第1の端子との間、前記第2の線端子と前記スター巻線の第2の端子との間、および前記第2の線端子と前記スター巻線の第3の端子との間でそれぞれ結合される、請求項1から3、5、6、または8から10のいずれか一項に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項13】
前記9つの双方向スイッチのうちの3つの第3のセットが、第3の線端子と前記スター巻線の第1の端子との間、前記第3の線端子と前記スター巻線の第2の端子との間、および前記第3の線端子と前記スター巻線の第3の端子との間でそれぞれ結合される、請求項1から3、5、6、または8から10のいずれか一項に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項14】
前記ネイティブ4象限双方向スイッチは、窒化ガリウム(GaN)高移動度電子トランジスタ(HEMT)である、請求項1に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項15】
前記窒化ガリウム(GaN)高移動度電子トランジスタ(HEMT)が2つのゲート・ソース構造を含み、
前記2つのゲート・ソース構造が、共通のドリフト領域が第1のソース端子から第2のソース端子の方向に流れる電流について、前記第2のソース端子から第1のソース端子の方向に流れる電流について使用されること、または正もしくは負の電圧をブロックすることを可能にする、請求項14に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項16】
前記窒化ガリウム(GaN)高移動度電子トランジスタ(HEMT)が、
ベース層と、
前記ベース層の上に配置された遷移層と、
前記遷移層の上に配置された窒化ガリウム(GaN)層と、
前記窒化ガリウム(GaN)層の上に配置された窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層と、を含み、
前記2つのゲート・ソース構造は、前記窒化ガリウム(GaN)層まで延在するソース端子と、前記窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層まで延在するゲート端子とを含む、請求項15に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項17】
前記窒化ガリウム(GaN)高移動度電子トランジスタ(HEMT)が、前記窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層の上に配置された不活性パッシベーション層をさらに含む、請求項16に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項18】
前記ソース端子および前記ゲート端子が、前記不活性パッシベーション層によって少なくとも部分的に囲まれる、請求項1から3、5、6、8から10、または14から17のいずれか一項に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項19】
(i)複数のスイッチを介して複数の線端子に、および(ii)中性端子に結合された1つ以上の巻線であって、
前記複数のスイッチのうちの各スイッチは、ネイティブ4象限双方向スイッチであり、
前記複数のスイッチは分相構成または三相構成のうちのいずれか1つで動作可能である、1つ以上の巻線と、
前記複数のスイッチに結合され、ACメイン周波数よりも大きい周波数オーダーまたは大きさで前記スイッチを駆動するためのコントローラと、を含む、スイッチモード中性点形成デバイス。
【請求項20】
前記分相構成では、前記スイッチモード中性点形成デバイスは2つの双方向スイッチと、インダクタと、2つのコンデンサとを含み、
前記三相構成では、前記スイッチモード中性点形成デバイスは9つの双方向スイッチと、負荷側のスター巻線および電力グリッド側のデルタ巻線を有するスターデルタ変圧器とを含む、請求項19に記載のスイッチモード中性点形成デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は中性点形成デバイスに関し、特に、双方向スイッチを利用したスイッチモード中性点形成デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
北米と日本の住宅接続用のAC電力グリッドは、世界の他の地域全体で使用されている構成とは異なる。北米と日本の住宅用接続はどちらも分相(180° 2相)構成に基づいており、特に北米では120V/240Vac、日本では100V/200Vacであり、単相(例:北米の120Vac)と二相(例:北米の240Vac)の機器および負荷を混合して住宅で使用することを可能にしている。これらのタイプの接続が適切に機能するには、ACメインの中性点電圧を2相電圧の中間の電位に保つ必要がある。この機能は「中性点形成」として知られており、電力会社の住宅用配電変圧器によって提供される。
【0003】
中性点が必要な場合、サイトを商用AC電力グリッドから切り離して、たとえばマイクログリッドとして動作させるために、中性点形成変圧器などの中性点形成デバイスが必要な中性点を提供する必要がある。単相用途または三相用途向けに設計され得る従来の中性点形成変圧器は、慣例上「鉄と銅」線の周波数(つまり、50または60Hz)変圧器を使用して構築される。このような慣例の線周波数中性点形成変圧器は、物理的にかさばり(すなわち、重くて大きく)、製造するのにコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、発明者らは、オフグリッド設備のための、より小型で低コストのローカル中性点形成デバイスを提供した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の少なくともいくつかの実施形態によれば、スイッチモード中性点形成デバイスは、(i)複数のスイッチを介して複数の線端子、および(ii)中性端子に結合された1つ以上の巻線であって、前記複数のスイッチのうちの各スイッチは、ネイティブ4象限双方向スイッチである、1つ以上の巻線と、前記複数のスイッチに結合され、ACメイン周波数よりも大きい周波数オーダーまたは大きさでスイッチを駆動するためのコントローラと、を含む。
【0006】
本開示の少なくともいくつかの実施形態によれば、スイッチモード中性点形成デバイスは、(i)複数のスイッチを介して複数の線端子、および(ii)中性端子に結合された1つ以上の巻線であって、前記複数のスイッチのうちの各スイッチは、ネイティブ4象限双方向スイッチであり、前記複数のスイッチは、分相構成または三相構成のいずれか一つで動作可能である、1つ以上の巻線と、前記複数のスイッチに結合され、ACメイン周波数よりも大きい周波数オーダーまたは大きさでスイッチを駆動するためのコントローラと、を含む。
【0007】
本開示のこれらの、および他の特徴および利点は、全体を通じて同様の参照番号が同様の部分を指す添付の図面とともに、本開示の以下の詳細な説明を検討することによって理解され得る。
【0008】
本開示の上記の特徴、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が詳細に理解され得る方法が、実施形態を参照することによって得られるように、それらのいくつかは添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示は他の同様に効果的な実施形態を許容し得るため、本開示の範囲を限定するとみなされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態によるスイッチモード中性点形成デバイスの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による別のスイッチモード中性点形成デバイスの概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による別のスイッチモード中性点形成デバイスの概略図である。
【
図4】本開示の実施形態によるコントローラのブロック図である。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態によるスイッチの構造を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施形態によるスイッチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態は、一般に、ネイティブ双方向スイッチを含むスイッチモード中性点形成デバイスに関する。中性点形成デバイスは、電子スイッチモード技術を利用して、処理される周波数を人工的に増加させる。中性点形成デバイスの物理的サイズは、処理する必要がある周波数に反比例するため、本明細書に記載の技術は、物理的に小さく、軽量で、低コストで、高効率な中性点形成デバイスを達成する。いくつかの実施形態では、中性点形成デバイスは、同等定格の従来の線周波数に基づく中性点形成変圧器よりも1000倍程度小さい体積を有するスイッチモード中性点形成変圧器である。
【0011】
スイッチモード中性点形成デバイスは、双方向スイッチを利用して、ACグリッド電圧の交流極性に対応する。これらの双方向スイッチは、ネイティブ4QSデバイスとして構築された4象限双方向スイッチ(4QSとも呼ばれる)、たとえば窒化ガリウム(GaN)高移動度電子トランジスタ(HEMT)スイッチである。このようなGaN HEMT 4QSデバイスは、従来の一方向性GaN HEMTデバイスのバック・トゥ・バックペアで構成される4QSデバイスよりも低コストで高い性能を有する。
【0012】
図1は、本開示の実施形態によるスイッチモード中性点形成デバイス100の概略図である。スイッチモード中性点形成デバイス100(中性点形成変圧器とも呼ばれる)は、分相デバイスであり、まとめてスイッチ102と呼ばれるスイッチ102-1、102-2、102-3、および102-4と、変圧器104とを含む。スイッチ102は、スイッチ102-1および102-4が直列に結合されて第1のHブリッジレッグ150-1を形成し、スイッチ102-2および102-3が直列に結合されて第2のHブリッジレッグ150-2を形成する、Hブリッジ構成(Hブリッジ150)で互いに結合される。コントローラ110は、
図4に関して以下でさらに詳細に説明されるが、スイッチ102のそれぞれに結合され、スイッチ102の動作(すなわち、スイッチのオン/オフ)を駆動する。
【0013】
変圧器104は、第1の部分104-1および第2の部分104-2を含む。第1の部分104-1は、第1のHブリッジレッグ150-1の中央(すなわち、第1の部分104-1の端子はスイッチ102-1と102-4との間に接続される)と、スイッチモード中性点形成デバイスの中性端子Nとの間に結合される。第2の部分104-2は、第1の部分104-1とは逆の極性を有し、中性端子Nと、第2のHブリッジレッグ(すなわち、第2の部分104-2の端子は、スイッチ102-2と102-3との間に結合される)の中央との間に結合される。描かれた点108-1および108-2は、巻線の位相調整の開始を示す。例えば、ドット108-1は、スイッチ102-1とスイッチ102-4との間に結合される第1の部分104-1の端部に描かれ、ドット108-2は、中性端子Nに結合される第2の部分104-2の端部に描かれる。第1の線端子L1はHブリッジ構成150の上部に結合され、第2の線端子L2はHブリッジ構成150の下部に結合される。
【0014】
スイッチ102-1から102-4のそれぞれは、
図5に関して以下でさらに詳細に説明される、ネイティブ4象限双方向スイッチであり、ACメイン周波数よりもはるかに高い周波数でオン/オフを切り替えることができる。例えば、ACメイン周波数が60Hzの場合、スイッチモード中性点形成デバイス100のスイッチング周波数は、その1000倍(例えば、60kHz)であってもよい。同様に、ACメイン周波数が50Hzの場合、スイッチモード中性点形成デバイス100のスイッチング周波数は50kHzであってもよい。変圧器104の物理的サイズは、処理する必要がある周波数に反比例するため、変圧器104は、例えば、50Hzまたは60Hz程度の周波数を処理する同等定格の従来の線周波数ベースの中性点形成変圧器よりも1000倍小さい体積であり得る。
【0015】
図2は、本開示の実施形態によるスイッチモード中性点形成デバイス200の概略図である。スイッチモード中性点形成デバイス200は、スイッチ102-1および102-2(例えば、2つの双方向スイッチ)、インダクタ202、ならびにコンデンサ204および206を含む分相デバイスである。いくつかの実施形態では、コンデンサ204および206は、同じ容量値を有してもよい。
【0016】
スイッチ102-1および102-2の直列構成(たとえば、互いに直列に接続される)は、コンデンサ204および206の直列構成(たとえば、2つのコンデンサ)にわたって、ならびに負荷側の線端子L1およびL2にわたって結合される。負荷側の中性端子Nは、コンデンサ204および206が互いに結合される点に結合される。
【0017】
インダクタ202は、スイッチ102-1および102-2が互いに結合される点に結合された第1の端子を有する。インダクタ202の第2の端子は、中性端子Nに結合される。コントローラ110は、スイッチ102に結合され、スイッチ102の動作(すなわち、スイッチのオン/オフ)を駆動する。
【0018】
中性点形成デバイス100の動作と同様に、処理される周波数を増加させ、それによってスイッチモード中性点形成デバイス200を同等定格の従来の線周波数ベースのデバイスよりもはるかに小さくすることを可能にするために、中性点形成デバイス200のスイッチ102は、ACグリッド周波数よりもはるかに高い周波数、例えば50kHzまたは60kHzの周波数で動作する。
【0019】
図3は、本開示の実施形態によるスイッチモード中性点形成デバイス300の概略図である。スイッチモード中性点形成デバイス300は、スイッチ102-1から102-9(例えば、9つの双方向スイッチ)と、負荷側にスター巻線304(すなわち、スター構成で共に接続された二次側の3つの巻線)を有し、電力グリッド側にデルタ巻線306(すなわち、デルタ構成で接続された一次側の3つの巻線)を有するスターデルタ変圧器302と、を含む三相デバイスである。
【0020】
9つの双方向スイッチ102-1から102-9は互いにマトリックス状に結合され、さらにスター巻線304に結合される。スイッチ102-1、102-2、および102-4(例えば、9つの双方向スイッチのうちの3つの第1のセット)は、線端子L1とスター巻線304の第1の端子との間、線端子L1とスター巻線304の第2の端子との間、そして線端子L1とスター巻線304の第3の端子との間でそれぞれ接続される。スイッチ102-3、102-5、および102-7(例えば、9つの双方向スイッチのうちの3つの第2のセット)は、線端子L2とスター巻線304の第1の端子との間、線端子L2とスター巻線304の第2の端子との間、そして線端子L2とスター巻線304の第3の端子との間でそれぞれ接続される。スイッチ102-6、102-8、および102-9(例えば、9つの双方向スイッチのうちの3つの第3のセット)は、線端子L3とスター巻線304の第1の端子との間、線端子L3とスター巻線304の第2の端子との間、そして線端子L3とスター巻線304の第3の端子との間でそれぞれ接続される。中性端子Nはスター巻線304の中心点に結合される。
【0021】
コントローラ110は、スイッチ102に結合され、スイッチ102の動作(すなわち、スイッチのオン/オフ)を駆動する。
【0022】
動作中、任意の所与の時間においてスイッチ102のうちの3つがアクティブ化し(すなわち、オン)、線端子L1、L2およびL3への接続が効果的に入れ替わり、それによりスター巻線304によって見られる周波数が人工的に高くなる。中性点形成デバイス100および200と同様に、中性点形成デバイス300のスイッチ102は、ACグリッド周波数よりもはるかに高い周波数、例えば50kHzまたは60kHzの周波数で動作し、それによってスイッチモード中性点形成デバイス300を同等定格の従来の線周波数ベースのデバイスよりもはるかに小さくすることを可能にする。
【0023】
図4は、本開示の実施形態によるコントローラ110のブロック図である。コントローラ110は、サポート回路404およびメモリ406を含み、それぞれがCPU402(中央処理装置)に接続されている。CPU402は、1つ以上の従来から利用可能なマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含んでもよい。追加で、または代替的に、CPU402は、1つ以上の特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)を含むことができる。コントローラ110は、特定のソフトウェアを実行するときに、本開示のさまざまな実施形態を実行するための特定用途のコンピュータとなる汎用コンピュータを使用して実装することができる。1つ以上の実施形態では、CPU402は、実行されると本明細書に記載のコントローラ機能を提供するコントローラファームウェアを格納するための内部メモリを含むマイクロコントローラであってもよい。
【0024】
サポート回路404は、CPU402の機能を促進するために使用される周知の回路である。そのような回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、バス、入出力(I/O)回路などを含むが、これに限定されない。
【0025】
メモリ406は、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、リムーバブルディスクメモリ、フラッシュメモリ、およびこれらの種類のメモリのさまざまな組み合わせを含んでもよい。メモリ406は、メインメモリと呼ばれることもあり、部分的に、キャッシュメモリまたはバッファメモリとして使用されてもよい。メモリ406は、一般に、必要に応じて、CPU能力によってサポートされ得るコントローラ110のOS408(オペレーティングシステム)を格納する。いくつかの実施形態では、OS408はLINUX、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)などの多くの市販のオペレーティングシステムのうちの1つであってもよいが、これに限定されない。
【0026】
メモリ406は、実行されると本明細書に記載されるスイッチング技術を実装し、スイッチ102のアクティブ化および非アクティブ化を制御するスイッチ制御モジュール410などの、様々な形式のアプリケーションソフトウェアを格納する。
【0027】
メモリ406は、さらに、例えば中性点形成デバイス100、200、および300の動作に関連するデータ、および/または他のデータを格納するためのデータベース412を格納する。
【0028】
図5は、本開示の1つ以上の実施形態によるスイッチ102の構造を示す断面図である。スイッチ102は、層508に結合されたソース端子510-S1/510-S2およびゲート端子510-G1/510-G2を有する層502、504、506、508、および512を含む窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造である。ドレイン接続とソース接続との間のドリフト領域がGaNダイの上面に平行である横型デバイスとして製造される、従来の一方向性GaN HEMTスイッチとは対照的に、スイッチ102は、スイッチ102の動作を容易にするために、2つのゲート・ソース構造(そのうちの1つは、従来の一方向性GaN HEMTスイッチのドレイン構造の代わりに使用される)を備える。そのため、スイッチ102は、共通のドリフト領域をどちらの方向でも(すなわち、ソース端子510-S1からソース端子510-S2の方向に流れる電流について、またはソース端子510-S2からソース端子510-S1の方向に流れる電流について)使用できるようにし、正または負の電圧をブロックし、これにより、2つの従来のGaN HEMTデバイスを一緒に接続することによって製造された従来の4QSデバイスと比較して、GaN面積を減少させる。様々な実施形態において、スイッチ102は、従来の一方向性GaN HEMTのダイ面積の半分のダイ面積を有し得、したがって、4QSデバイスを形成するために一緒に接続された一対の従来の一方向性GaN HEMTと比較して、4:1のダイ面積の利点を提供することができる。さらに、スイッチ102のゲート駆動損失対伝導損失の比(すなわち、Q
G/R
SS-ON)は、スイッチごとのダイ面積が2:1であるため(任意の所与の時間においてゲート510-G1、510-G2のうちの1つだけが切り替えられる)、2つの従来の一方向性GaN HEMTデバイスから構成されるGaN 4QSよりも2倍低い。
【0029】
図5に示すように、ベース層502はシリコン(Si)基板であり、通常、厚さは0.7mm程度である。層502と506との間に挟まれた層504は、遷移層(いくつかの実施形態では2以上の異なる元素を含み得る)であり、典型的には数ナノメートル程度の厚さである。層504と508との間に挟まれた層506は、窒化ガリウム(GaN)層であり、典型的には数マイクロメートル程度の厚さである。層506の上の層508は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層であり、典型的には数マイクロメートル程度の厚さである。層508の上に位置する層512は、環境からの不純物がスイッチ102に浸出するのを防ぐために使用される不活性パッシベーション層(例えば、ガラス状堆積層)である。
【0030】
ソース端子510-S1/510-S2は、典型的には、層508とオーム接触を形成するための当技術分野で知られている組成を有する薄い金属層であり、ゲート端子510-G1/510-G2は、典型的には、当技術分野で知られている、層508へのショットキー接触を生成する組成を有する薄い金属層である。
【0031】
いくつかの代替の実施形態では、他の種類の材料および/または構造がスイッチ102に使用されてもよい。例えば、炭化ケイ素などのGaN以外のワイドバンドギャップ材料が利用されてもよく、および/または、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)構造などのHEMT構造以外の構造が使用されてもよい。
【0032】
スイッチ102の例は、同一出願人による「4象限双方向スイッチ」という名称の米国特許第9,130,570号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
図6は、本開示の実施形態によるスイッチ102の平面
図600である。スイッチ102の平面図は、スイッチ102の上部の一端で互いに近くに配置されたソース端子510-S1およびゲート端子510-G1と、スイッチ102の上部の反対の端で互いに近くに配置されたソース端子510-S2およびゲート端子510-G2とを示す。
【0034】
本開示の実施形態の前述の説明は、説明したようなさまざまな機能を実行する多数の要素、デバイス、回路、および/またはアセンブリを含む。これらの要素、デバイス、回路、および/またはアセンブリは、それぞれ説明された機能を実行するための手段の例示的な実装である。
【0035】
上記は本開示の実施形態に関するものであるが、本開示の他のさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】