IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リサーチ インスティチュート アット ネイションワイド チルドレンズ ホスピタルの特許一覧

<>
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図1
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図2A
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図2B
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図2C
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図2D
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図3
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図4
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図5
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図6
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図7
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図8
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図9
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図10
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図11
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図12
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図13
  • 特表-運動評価システム及びその使用方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】運動評価システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240416BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B10/00 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568109
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022027818
(87)【国際公開番号】W WO2022235897
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/185,043
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515289842
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート アット ネイションワイド チルドレンズ ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】メートル、ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンボワーヌ、アルノー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA05
4C038VA18
4C038VB31
4C038VB35
(57)【要約】
運動評価システムは、複数のセンサーを含む運動評価装置と、画像を表示する画面を有する運動評価提示装置と、運動評価装置および運動評価提示装置と通信する処理装置とを含む。処理装置は、運動評価装置から変位データを受信する。変位データを受信したことに応答して、処理装置は、検知された運動の動き、振幅及び速度変動の少なくとも1つを含む変位データから複数の特徴を特定し、複数の特徴からスペクトルを抽出して経時的な特徴変動を特定し、特定されている可能性閾値を超える異常運動の割合に基づいてスペクトルから潜在的疾患を特定し、運動評価提示装置上で潜在的疾患をユーザーに提示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動評価システムであって、
複数のセンサーを含む運動評価装置と、
複数の画像を表示する画面を有する運動評価提示装置と、
前記運動評価装置および前記運動評価提示装置と通信する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、前記運動評価装置から変位データを受信し、
前記変位データを受信したことに応答して、前記処理装置は、
変位データから複数の特徴を特定することであって、前記複数の特徴は、前記複数のセンサーからの検知された運動の動き、振幅、および速度変動のうちの少なくとも1つを含む、特定することと、
前記複数の特徴からスペクトルを抽出して経時的な特徴変動を特定することと、
前記スペクトルから、正常運動と異常運動の割合を特定することと、
特定されている可能性閾値を超える前記異常運動の割合に基づいて潜在的疾患を特定することと、
前記運動評価提示装置上で前記潜在的疾患をユーザーに提示することと、を実行する、運動評価システム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記運動評価装置の前記複数のセンサーのうちの1つまたは複数のセンサーを含む5つの要素を識別する、請求項1に記載の運動評価システム。
【請求項3】
前記複数の特徴は、一組の5つの特徴を生成するために前記5つの要素の各々から抽出され、前記スペクトルは、一組の5つのスペクトルを生成するために前記一組の5つの特徴から生成され、前記一組の5つの特徴の各々は、前記5つの要素のうちの1つにおいて検知された変位データをそれぞれ反映する、請求項2に記載の運動評価システム。
【請求項4】
前記複数のセンサーは、複数の圧力センサーである、請求項1に記載の運動評価システム。
【請求項5】
前記複数のセンサー上には、前記運動評価システムを利用する人間の向きのテキストまたはグラフィック表現が重ね合わされている、請求項1に記載の運動評価システム。
【請求項6】
前記処理装置は、第1、第2、および第3の正規化構造を用いて前記変位データを並行して正規化して、正規化された変位データを生成し、前記第1、第2、および第3の正規化構造は、異なる構造を備える、請求項1に記載の運動評価システム。
【請求項7】
前記第1の正規化構造はバイナリ正規化構造であり、前記第2の正規化構造は標準偏差正規化構造であり、前記第3の正規化構造はヒストグラム補償正規化構造である、請求項6に記載の運動評価システム。
【請求項8】
前記変位データは、前記複数のセンサーのうちの1つまたは複数のセンサーを含む第1、第2、第3、第4、および第5の領域を含む第1、第2、第3、第4、および第5の要素として受信および正規化され、前記変位データを正規化することによって、正規化された要素データが生成される、請求項7に記載の運動評価システム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記正規化された要素データをクラスタリングし、前記処理装置は、クラスタリングされたデータとして要素ごとに2つのクラスタを生成する、請求項8に記載の運動評価システム。
【請求項10】
前記処理装置は、K平均クラスタリングを使用して前記正規化された変位データをクラスタリングして、クラスタリングされた変位データを生成する、請求項6に記載の運動評価システム。
【請求項11】
前記処理装置は、
要素ごとの前記2つのクラスタのうちの第2のクラスタがアクティブである時間の割合に対する、要素ごとの前記2つのクラスタのうちの第1のクラスタがアクティブである時間の割合を特定し、
各要素の各クラスタの質量中心を計算し、
コア要素の質量中心と複数の周辺要素の質量中心との間の距離を計算して、抽出されたデータを生成する、請求項9に記載の運動評価システム。
【請求項12】
前記処理装置は、
要素ごとの前記2つのクラスタのうちの第2のクラスタがアクティブである時間の割合に対する、要素ごとの前記2つのクラスタのうちの第1のクラスタがアクティブである時間の割合を含む第1の特徴を抽出し、
前記第1のクラスタおよび前記第2のクラスタにおけるアクティブである総面積、総平均圧力、および圧力の総標準偏差を含む第2の特徴を抽出し、
各要素の各クラスタの質量中心を含む第3の特徴を抽出し、
コア要素と複数の周辺要素の質量中心との間の距離を備える第4の特徴を抽出し、
コア要素の質量中心と複数の周辺要素の質量中心との間の距離を含む第5の特徴を抽出し、前記複数の特徴は、抽出されたデータを含む、請求項9に記載の運動評価システム。
【請求項13】
前記処理装置は、決定木を用いて、前記正規化された変位データから前記抽出されたデータを集約する、請求項12に記載の運動評価システム。
【請求項14】
前記処理装置は、決定木を用いて、前記抽出されたデータおよび前記正規化された変位データから正常運動および異常運動を特定する、請求項11に記載の運動評価システム。
【請求項15】
前記処理装置は、5分割交差検証を利用して、特定された前記正常運動および異常運動を確認する、請求項14に記載の運動評価システム。
【請求項16】
前記処理装置は、決定木を用いて、前記正規化された変位データから前記抽出されたデータを集約する、請求項10に記載の運動評価システム。
【請求項17】
運動評価システムを実装するための方法を実行するために関連するプロセッサによって実行可能である複数の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記方法は、
複数のセンサーを含む運動評価装置から運動データを受信することであって、前記運動データは、前記複数のセンサーによって検出されるような前記運動評価装置上の人間の運動に基づいている、受信することと、
第1の期間にわたって取得された前記運動データに基づいて記録された運動をプロットして変位データを生成することと、
前記変位データを、前記複数のセンサーのうちの1つまたは複数のセンサーを含む第1、第2、第3、第4、および第5の領域を含む第1、第2、第3、第4、および第5の要素として正規化することであって、前記変位データを正規化することによって、正規化された要素データが生成される、正規化することと、
正規化された前記要素データから、クラスタリングされたデータとして要素ごとに2つのクラスタを生成することと、
抽出されたデータを生成することであって、
要素ごとの前記2つのクラスタのうちの第2のクラスタがアクティブである時間の第1の割合に対する、要素ごとの前記2つのクラスタのうちの第1のクラスタがアクティブである時間の第2の割合を特定すること、
前記第1および第2の割合に基づいて、各要素の各クラスタの質量中心を計算すること、および
コア要素の質量中心と複数の周辺要素の質量中心との間の距離を計算すること、を含む前記抽出されたデータを生成することと、
疾患確率を特定するために、抽出されたデータを分類することと、を備える、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記変位データを第1、第2、第3、第4、および第5の要素として正規化することは、
第1、第2、および第3の正規化構造を用いて前記変位データを並行して正規化して、正規化された変位データを生成することを含み、
前記第1の正規化構造はバイナリ正規化構造であり、前記第2の正規化構造は標準偏差正規化構造であり、前記第3の正規化構造はヒストグラム補償正規化構造である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
請求項17に記載の方法は、前記疾患確率を運動評価提示装置上でユーザーに提示することを備える、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
運動評価システムであって、
複数の圧力センサーを含む運動評価装置と、
複数の画像を表示する画面を有する運動評価提示装置と、
前記運動評価装置および前記運動評価提示装置と通信する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、前記運動評価装置から変位データを受信し、
前記変位データを受信したことに応答して、前記処理装置は、
前記運動評価装置の前記複数の圧力センサーのうちの1つまたは複数の圧力センサーを含む5つの要素を識別することと、
前記5つの要素の各々から複数の特徴を抽出して、一組の5つの特徴を生成することと、
前記一組の5つの特徴から一組の5つのスペクトルを生成することであって、前記一組の5つのスペクトルの各々は、前記複数の要素のうちの1つにおいて検知された変位データをそれぞれ反映する、生成することと、
前記一組の5つのスペクトルから正常運動の割合と異常運動の割合を特定することと、
特定されている可能性閾値を超える前記異常運動の割合に基づいて潜在的疾患を特定することと、
前記運動評価提示装置上で前記潜在的疾患をユーザーに提示することと、を実行する、運動評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、評価システム及びその使用方法に関し、より詳細には、神経運動障害を識別および/または予測するための一般的な運動評価のための評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新生児集中治療室(NICU : intensive care unit)における神経運動障害(neuromotor disorders)の早期検出は、乳児のターゲット評価(targeted evaluation)および親のサポートを可能にする。PrechtのGMA(General Movement Assessment)は、複数の運動パターンの視覚的認識を可能にし、これは、同時痙攣(CS : cramped synchronized)したときに、神経運動障害の予測において高い特異性を有する。しかしながら、様々な医療環境および厳密なGMA訓練プロセスに固有の複数の課題が、新生児に使用するための普遍的な採用を妨げてきた。
【0003】
NICU環境にいる乳児は、未熟児、出生時うつ病、先天性心臓欠陥、遺伝性または先天性症候群などの他の状態に関連する神経運動障害を発症する可能性がより高い。これらの小児およびその家族にとっての身体障害の負担は、運動の結果よりもはるかに大きい。その生涯を通して、神経運動障害を発症した乳児は、認知、コミュニケーション、感覚および社会感情的領域における遅延または障害、ならびに視覚、聴覚、摂食、疼痛、睡眠および制御できないてんかん(uncontrolled epilepsy)における予防可能な併存疾患に罹患し、これらを有する。
【0004】
早期およびターゲット観察ならびに医学的、外科的または発達指導は、それらの転帰を変化させるのに重要である。しかし、早期の観察は、実施における不整合、多くの設定における限られたリソース、および子供が病院を離れた後の医療へのアクセスにおける困難性に起因して、非常に変わりやすい。NICUからの退院に先立つ時間は、脳性麻痺(CP : Cerebral Palsy)などの神経運動障害のリスクが高い乳児をスクリーニングするのに理想的である。
【0005】
例えば、米国(US : United States)および世界で最も一般的な身体障害であるCPは、評価が不十分である。CPを有する多くの個人は、発達性無視(developmental disregard)、または脳が影響を受けた手を「見る(see)」ことができない(例えば、放置する)ことによって悪化し、これは、次いで、影響を受けた手における不十分な感覚および運動機能につながる。同様に、このような性質の放置は、米国において脳卒中に罹患している約800,000人の成人に影響を与えることが多い。
【0006】
現在、四肢の発達性無視および/または放置を正確に定量化する臨床評価はない。既知の研究評価は、典型的には、行動の主観的評価に基づいており、および/または定量的ではないため、臨床診療につながらない。既知の研究評価は、多くの場合、認知能力を視覚運動および/または触覚能力と混同する。
【0007】
CPについての現在の研究評価は、大きく、法外に高価で且つ複雑な装置を必要とする。臨床的評価の欠如によって、特定の個人における進行を正確に測定することが問題となり、これは、次に、治療が特定の個人を助けているか(例えば、特定の個人の転帰を改善しているか)どうかを決定することを困難にする。さらに、CPおよび/または他の同様の身体障害の上肢の使用に対する有効な治療は、多くの場合、罹患した手における感覚/運動経路の再配置を伴うが、両側性手運動(bilateral hand movements)も伴う。両手集中治療などの効果的なリハビリテーション戦略を実施するためには、状態(CP)および/または影響を受けた手を特定しなければならない。現在、有効な治療は、有効な試験から切り離されている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、複数のセンサーを含む運動評価装置と、画像を表示する画面を有する運動評価提示装置と、運動評価装置および運動評価提示装置と通信する処理装置と、を含む運動評価システムを備える。処理装置は、運動評価装置から変位データを受信する。変位データを受信したことに応答して、処理装置は、検知された運動の動き、振幅及び速度変動の少なくとも1つを含む変位データから複数の特徴を特定し、複数の特徴からスペクトル(spectrum)を抽出して経時的な特徴変動を特定し、特定されている可能性閾値(likelihood threshold)を超える異常運動の割合に基づいてスペクトルから潜在的疾患を特定し、運動評価提示装置上で潜在的疾患をユーザーに提示する。
【0009】
本開示の別の態様は、運動評価システムを実装するための方法を実行するために、関連するプロセッサによって実行可能な複数の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含む。該方法は、複数のセンサーを備える運動評価装置から運動データを受信することであって、運動データは、複数のセンサーによって検出されるような運動評価装置上の人間の運動に基づいている、受信することと、第1の期間にわたって取得された運動データに基づいて記録された運動をプロットして変位データを生成することと、複数のセンサーのうちの1つまたは複数のセンサーを備える第1、第2、第3、第4、および第5の領域を備える第1、第2、第3、第4、および第5の要素(quintet)として変位データを正規化することと、を備え、変位データを正規化することによって、正規化された要素データ(normalized quintet data)が生成される。該方法は、正規化された要素データからクラスタリングされたデータとして要素ごとに2つのクラスタを生成することと、抽出されたデータを生成することと、をさらに備える。抽出されたデータを生成することは、要素ごとの2つのクラスタのうちの第2のクラスタがアクティブ(active)である時間の第2の割合に対する要素ごとの2つのクラスタのうちの第1のクラスタがアクティブである時間の第1の割合を特定することと、第1および第2の割合に基づいて各要素の各クラスタの質量中心(center of mass)を計算することと、コア要素(core quintet)の質量中心と複数の周辺要素(peripheral quintets)の質量中心との間の距離を計算することと、を含む。該方法は、抽出されたデータを分類して疾患確率を特定することをさらに備える。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、複数の圧力センサーを含む運動評価装置と、複数の画像を表示する画面を有する運動評価提示装置と、運動評価装置および運動評価提示装置と通信する処理装置とを含む運動評価システムを備え、処理装置は、運動評価装置から変位データを受信し、変位データを受信したことに応答する。処理装置は、運動評価装置の複数のセンサーのうちの1つまたは複数のセンサーを含む5つの要素(quintets)を識別し、5つの要素の各々から複数の特徴を抽出して一組の5つの特徴を生成し、一組の5つの特徴から一組の5つのスペクトルを生成し、一組の5つのスペクトルの各々は、5つの要素のうちの1つにおいて検知された変位データをそれぞれ反映する。さらに、処理装置は、正常運動の割合および異常運動の割合を一組の5つのスペクトルから特定し、特定されている可能性閾値を超える異常動きの割合に基づいて潜在的疾患を特定し、潜在的疾患を運動評価提示装置上でユーザーに提示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の前述および他の特徴および利点は、添付の図面を参照して本開示の以下の説明を考慮して、本開示が関連する当業者に明らかになるであろう。添付の図面では、同様の参照番号は、別段の記載がない限り、図面全体を通して同様の部分を指す。
図1図1は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置をサポートするための運動評価システムの概略図である。
図2A図2Aは、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置の上面図を示す。
図2B図2Bは、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置の複数のセンサーの概略図を示す。
図2C図2Cは、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置によって形成される5つの要素の概略図を示す。
図2D図2Dは、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置によって形成される5つの要素の概略図を示す。
図3図3は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価提示装置上に表示される運動評価装置の出力の第1のチャート図を示す。
図4図4は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価提示装置上に表示される運動評価装置の出力のスペクトル図を示す。
図5図5は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価システムを使用するための方法のフロー図を示す。
図6図6は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価システムを使用して、変位データを取得し、潜在的疾患を特定するための方法のフロー図を示す。
図7図7は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価システムを使用して、変位データを取得して分析するための方法のフロー図を示す。
図8図8は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価システムを使用して、変位データを正規化するための方法のフロー図を示す。
図9図9は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価システムを使用して、変位データをクラスタリングするための方法のフロー図を示す。
図10図10は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価システムを使用して、変位データを抽出するための方法のフロー図を示す。
図11図11は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価システムを使用して、変位データを記憶するための方法のフロー図を示す。
図12図12は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置の上面の第1の図を示す。
図13図13は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置の上面の第2の図を示す。
図14図14は、本開示の特定の例示的実施形態による運動評価装置の上面の第3の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当業者は、図面における複数の要素は簡略化および明確化のために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解するであろう。例えば、図面におけるいくつかの要素の寸法は、本開示の実施形態の理解の向上を助けるために、他の要素と比べて誇張されていることもある。
【0013】
装置および方法の構成要素は、本明細書における説明の利益を有する当業者に容易に明らかであろう詳細によって本開示が不明瞭となることがないように、図面中では、適切な場合には従来の記号によって表し、本開示の実施形態の理解に関わるその特定の詳細のみを示している。
【0014】
ここで図面を全体的に参照すると、図面に示される同様の番号付けされた特徴は、別段の記載がない限り、全体を通して同様の要素を指す。本開示は、概して、評価システムおよびその使用方法に関し、より具体的には、神経機能、神経および/または筋肉疲労、および/または認知および/または複数の運動変数の変動を監視および/または測定する評価システムに関する。
【0015】
図1は、本開示の複数の例示的実施形態のうちの1つによる運動評価システム100の概略図を示す。運動評価システム100は、処理装置112を含む。特定の例示的実施形態では、処理装置112は、コンピューティング能力を有するコンピューティングデバイス115(例えば、データベースサーバー、ファイルサーバー、アプリケーションサーバー、コンピュータなど)および/またはプロセッサ114を含む。プロセッサ114は、プログラム可能な汎用または専用マイクロプロセッサなどの中央処理装置(CPU : central processing units)、および/または他の同様のデバイス、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0016】
処理装置112は、運動評価装置200および/または運動評価提示装置300、クラウドストレージ、ユーザーからのローカル入力などから受信した入力に基づいて出力を生成する。当業者であれば、いくつかの実施形態では、処理装置112は、バッファリングされたデータまたは永続データならびに処理装置112の複数の機能を実行するために使用されるコンパイルされた複数のプログラミングコードを記憶する非一時的メモリ、揮発性メモリ、および不揮発性メモリの様々な形態のデータ記憶デバイス117を含むことが理解されよう。別の例示的実施形態では、データ記憶デバイス117は、処理装置112の外部にあり、処理装置112によってアクセス可能であり得る。さらに別の例示的実施形態では、データ記憶デバイス117は、外部ハードドライブ、クラウドストレージ、および/または他の外部記録デバイス119を含む。
【0017】
特定の例示的実施形態では、処理装置112は、リモートまたはローカルコンピュータシステム121のうちの1つを含む。コンピュータシステム121は、任意の数の既知のオペレーティングシステム上で動作するデスクトップ、ラップトップ、タブレット、ハンドヘルドパーソナルコンピューティングデバイス、IAN、WAN、WWWなどを含み、ワールドワイドウェブまたはインターネットを介して、クラウド、ホストオペレーティングコンピュータなどのリモートデータストレージと通信するためにアクセス可能である。
【0018】
別の例示的実施形態では、処理装置112は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、データストレージ、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、リードオンリーメモリ(「ROM」)を含むコンピュータシステムメモリ、および/または入力/出力インタフェースを含む。処理装置112は、プロセッサを通して内部または外部のいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体の複数の命令を実行し、入力インタフェースおよび/または電気通信を介して運動評価装置200および/または運動評価提示装置300などからプロセッサへの通信を行う。さらに別の例示的実施形態では、処理装置112は、インターネット、LAN、WAN、および/またはクラウドなどのネットワーク、フラッシュドライブなどの入力/出力デバイス、スマートフォンまたはタブレットなどのリモートデバイス、ならびにディスプレイと通信する。
【0019】
特定の例示的実施形態では、運動評価提示装置300は、対話型ディスプレイ304を含み、ディスプレイは、触覚入力を受信する。特定の例示的実施形態では、運動評価提示装置300は、スマートフォン、タブレットなどの二次デバイスを含む。別の例示的実施形態では、処理装置112、(例えば、データ取得のための)SDカードライター、および対話型ディスプレイ304(例えば、タッチスクリーンステータスおよび制御LCDディスプレイ(touch-screen status-and-control LCD display))は、短距離無線信号、WIFI、および/または有線通信を介して処理装置112および/または運動評価装置200に接続された別のモジュールに収容される。
【0020】
図2A図2Dに示すように、運動評価装置200は、検知領域202内に複数のセンサー210を支持する平坦面または平面を含む。特定の実施形態では、運動評価装置200は、32×32個のセンサー210のグリッドを支持する(図2B参照)。特定の例の運動評価装置200は、VistaMedical社製のBodiTrakマットシステム(mat system)である。複数のセンサー210は、例えば、抵抗性センサー、容量性センサー、圧電性センサー、および/または微小電気機械システム(MEMS : micro electro-mechanical system)センサーなどの圧力センサーである。特定の例示的実施形態では、運動評価装置200は、複数のセンサー210の一部または全部が互いのセンサーから均等に離間されていない配列で配置された複数のセンサー210を支持する。この例示的実施形態では、検知領域202に対する乳児または子供の向きは、複数の乳児及び複数の子供の間の運動比較の質に影響を与える。
【0021】
運動評価装置200は、プラスチック、天然材料(例えば、綿またはリネンシート)もしくは人工材料(例えば、ポリエステルシート)等の織物、または複数のセンサー210上の圧力の変化を特定することを可能にする他の材料によって覆われる。別の例示的実施形態では、運動評価装置200は、図12図14に示す表面標識(表面ラベリング : surface labeling)1200,1300,1400などの表面標識によって覆われる(covered)。図12に示される表面標識1200は、乳児または子供の頭部、2本の腕、胴体、および下半分(bottom half)の輪郭を描く。図13に示す表面標識1300は、乳児または子供の頭部、2本の腕、胴体、および2本の脚の輪郭を示す。図14に示される表面標識1400は、乳児または子供の頭および足がどこに配置されるべきかを示すテキスト、ならびに乳児または子供がそれに沿って配置されるべき中心線を示すテキストおよび線図形を示す。表面標識1200,1300,1400は、複数のユーザーにわたる乳児または子供の配置の一貫性および再現性を最大にし、検知領域202に対する乳児または子供のより一様な向きを作り出す。
【0022】
図1に示す実施形態と同様に、運動評価装置200は電源208を有する。特定の例示的実施形態では、電源208は、コードレス(例えば、バッテリ)またはコード付きのうちの1つである。別の例示的実施形態では、運動評価装置200は、通信装置212を規定する。特定の例示的実施形態では、通信装置212は、短波無線波(Bluetooth(登録商標))、WIFI、および/またはコード通信(corded communication)を介して処理装置112と通信する。検知領域202は、検知された圧力情報を処理装置112に送信し、処理装置は、検知領域の複数の部分を第1、第2、第3、第4、および第5の要素202a、202b、202c、202d、および202eに分割する。
【0023】
図5の例示的実施形態に示すように、方法500は、運動評価装置200を使用する複数のステップを含む。502において、乳児または子供は、第1の向きで運動評価装置200上に配置される。特定の例示的実施形態では、第1の向きは、表面標識1200,1300,1400(図12~14参照)と一致させて、乳児または子供の頭部を第1および第2の要素202a、202bにまたはその近傍に配置し、乳児の胴体(body)を第3の要素202cの全体に配置し、乳児の下半身を第4および第5の要素202d、202eの全体に配置する。特定の実施形態では、運動評価装置200は、表面標識1200,1300,1400を省略する。第1の向きに対する他の向き、例えば、(例えば、運動評価装置200の反対側を使用する)フリップ(flip)、転移、一次回転(primary rotation)(例えば、90度の増分である回転)、二次回転(secondary rotation)(例えば、0度と90度との間である回転)、またはそれらの任意の組み合わせが企図されることが理解されよう。有利には、表面標識1200,1300,1400は、複数の提供者に一貫した視覚的手がかり(視覚的キュー : visual cue)を提供する。運動評価装置200の片側での表面標識1200、1300、1400の使用は、異なる複数の乳児および複数の子供の間のフリップの配向(flip orientation)の変化を排除する。表面標識1200,1300,1400の使用は、一次回転変化を排除する。さらに、表面標識1200、1300、1400の使用は、複数のセンサー210を中心とする中心線ターゲットまたは擬人化グラフィック(anthropomorphic graphic)を含むことによって、転移および二次回転を最小限に抑える。
【0024】
別の例示的実施形態では、処理装置112は、乳児が検知領域202上に配置された後に、乳児の頭部が第1および第2の要素202a、202bにまたはその近傍にあり、乳児の胴体が第3の要素202cの全体にあり、乳児の下半身が第4および第5の要素202d、202eの全体にあるように、乳児の検知された向きに基づいて、要素202a、202b、202c、202d、202eを割り当てる。この例示的実施形態では、運動評価装置200は、複数のセンサー210によって収集されたセンサーデータを処理装置112に送信し、処理装置は、図2A,2C,および2Dに示すように、複数のセンサーを要素202a、202b、202c、202d、および202eに分ける。
【0025】
504において、乳児の運動は、第1の期間(例えば、1分~約3分)において、複数のセンサー210によって監視され且つ記録される。別の例示的実施形態では、第1の期間は2分である。特定の例示的実施形態では、処理装置112は、(複数のセンサー210によって収集された)記録された運動を生成するために、複数のセンサー210によって収集されたセンサーデータにタイムスタンプを付与する。506において、運動評価システム100は、記録された運動から疾患の可能性を決定する(例えば、正常運動対異常運動を特定する)。特定の例示的実施形態では、運動評価システム100は、記録された運動が可能性閾値を超えている(例えば、正常運動よりも異常運動を示す可能性が高い)と判定し、乳児が受けるべき提案されたさらなる検査/推奨評価(recommended evaluations)を運動評価提示装置300に提示する。
【0026】
図6の例示的実施形態に示すように、方法600は、運動評価システム100を使用する複数のステップを含む。602において、圧力データが運動評価装置200から受信される。特定の例示的実施形態では、処理装置112は、運動評価装置200から圧力データを受信する。604において、圧力データは、乳児の重心(barycenter)204を計算することによって距離データに変換される(図2C参照)。図2Cに示されるような特定の例示的実施形態では、重心204は、各要素202a~202eについて計算され、重心は、互いに周回運動する(orbit)2つ以上の物体(bodies)の質量中心であり、それら物体が周回運動する点である。この例示的実施形態では、第3の重心204cは第3の要素202cの中心(例えば、複数の物体が周回運動する点)であり、第1の重心204aは第1の要素202aについて計算され、第2の重心204bは第2の要素202bについて計算され、第4の重心204dは第4の要素202dについて計算され、および/または第5の重心204eは第5の要素202eについて計算される(図2C参照)。当業者であれば、要素のいずれかの重心が、その周りを複数の物体が周回運動する点であり得ることを理解するであろう。
【0027】
606において、乳児の経時的な変位は、経時的に距離データを記録する(トラッキング:tracking)ことによって決定される。図2Aに示すような特定の例示的実施形態では、変位は、重心202b~202eの経時的な変化である。608において、呼吸運動、振幅、および/または速度変動を含む変位データからの複数の特徴が特定される。特定の例示的実施形態において、呼吸運動は、第3の要素202cにおいて特定される。別の例示的実施形態では、振幅および/または速度変動は、要素202a~202eによって特定される。振幅は圧力の変化を測定する。ここで、所与のセンサーからのより高い圧力はより高い振幅となり、より低い圧力はより低い振幅となる。さらに別の例示的実施形態では、速度変動は、それぞれの要素202a~202b、202d~202eにおける時間に対する重心204a~204b、204d~204eの変化によって特定される。図3に示すような特定の例示的実施形態では、経時的な振幅308が運動評価提示装置300上に表示される。特定の例示的実施形態において、経時的な振幅308は、各要素202について抽出され、第1の振幅302aは、第1の要素202aにおける経時的な振幅として表される運動を表し、第2の振幅302bは、第2の要素202bにおける経時的な振幅として表される運動を表し、第3の振幅302cは、第3の要素202cにおける経時的な振幅として表される運動を表し、第4の振幅302dは、第4の要素202dにおける経時的な振幅として表される運動を表し、第5の振幅302eは、第5の要素202eにおける経時的な振幅として表される運動を表す。特定の例示的実施形態では、経時的な振幅308は、リアルタイムでおよび/または第1の期間が完了した後に、運動評価提示装置300上に表示される。別の例示的実施形態では、経時的な振幅308は、処理装置112によって記憶および分析され、ユーザーに提示されない。
【0028】
610において、スペクトル310が複数の特徴から抽出されて、経時的な特徴変動を特定する。図4に示すような特定の例示的実施形態では、スペクトル310は、運動評価提示装置300上に表示される。特定の例示的実施形態では、スペクトル310は、各経時的な振幅302a~302eについて抽出され、第1のスペクトル312aは、第1の要素202aにおける第1の経時的な振幅302aに対応し、第2のスペクトル312bは、第2の要素202bにおける第2の経時的な振幅302bに対応し、第3のスペクトル312cは、第3の要素202cにおける第3の経時的な振幅302cに対応し、第4のスペクトル312dは、第4の要素202dにおける第4の経時的な振幅302dに対応し、第5のスペクトル312eは、第5の要素202eにおける第5の経時的な振幅302eに対応する。612において、潜在的疾患および/または潜在的疾患確率が、特定された乳児の正常運動対異常運動に基づいてスペクトル310から特定される。614において、乳児の正常運動対異常運動の検出に基づく潜在的疾患および/または潜在的疾患確率が、運動評価提示装置300上でユーザーに提示される。特定の例示的実施形態では、(例えば、異常運動の特定等からの)可能性閾値を超える潜在的疾患および/または潜在的疾患確率の特定に応答して、疾患を確認するために必要な追加の検査が、運動評価提示装置300上でユーザーに提示される。別の例示的実施形態では、可能性閾値を超える潜在的疾患および/または潜在的疾患確率の特定に応答して、公表されたガイドラインと整合した推奨評価が、運動評価提示装置300上でユーザーに提示される。別の例示的実施形態では、スペクトル310は、運動評価提示装置300上でユーザーにリアルタイムで提示されるかまたは完了すると提示される。
【0029】
図7の例示的な実施形態に示すように、方法700は、運動評価システム100によって実行される複数のステップを含む。702において、乳児の運動は、運動評価装置200を使用して第1の期間にわたって監視および記録されて、記録された乳児データを生成する。この例示的実施形態では、記録された乳児データは、運動評価装置200から第1の期間にわたって記録された運動を含む。別の例示的実施形態では、乳児が運動評価装置200上に第1の向きで仰向けに配置されたことに応答して、運動評価装置から圧力データが第1の速度(例えば、32Hzまたは毎秒32フレーム)でサンプリングされて、比較可能な(comparable)運動データを生成する。別の特定例示的実施形態では、処理装置112は、第1の期間にわたって取得された第1の向きについての圧力データの記録を記憶する。
【0030】
特定の例示的実施形態では、運動評価装置200からの圧力データは、期間または時点を表す複数の列と、複数のセンサー210の各センサーについての圧力データを含む複数の行との形式でcsvファイルに出力されて、経時的な振幅208および/またはスペクトル310を生成する。各期間または時点からの圧力データは、複数のセンサー210内に存在するセンサーの数を反映するセンサー行列を取得するように再作成される。圧力データは、乳児の頭部が(例えば、表面標識1200、1300、1400に対応する)第1の向きに位置することを検証するためにプロットされ、第1の向きでは、頭部が第1の要素202aと第2の要素202bとの間にあり、第3の要素202cの上方にある。5つの要素202は、乳児が第1の向きになるまで、必要に応じて転置または回転される。経時的に収集された圧力データの中間点(midpoint)が、3000時点の行列の中央(central 3000 timepoint matrix)を選択するために決定される。特定の例示的実施形態では、3000時点の行列の中央は1500である。3000より大きい及び小さい両方の追加の時点の行列が企図されることが考えられる。
【0031】
704において、記録された乳児データは、第1の期間にわたる乳児の検出された運動に基づいてプロットおよび調整されて、変位データを生成する。図8に示され、以下で詳細に説明される方法800において、変位データは正規化されて、正規化された変位データを生成する。正規化によって、センサー感度、乳児が着用する衣服の厚さなどの任意の差が対処される。図9に示され、以下で詳細に説明される方法900において、正規化された変位データをデータクラスタリング(data clustering)して、クラスタリングされた正規化変位データ(clustered normalized displacement data)を生成する。図10に示され、以下で詳細に説明される方法1000において、クラスタリングされた正規化変位データを特徴抽出して、抽出された複数の特徴を生成する。図11に示され、以下に詳細に説明される方法1100において、抽出された複数の特徴は、乳児の正常運動対異常運動、疾患タイプ、および/または疾患確率を特定するために分類される。
【0032】
図8に示すように、変位データを正規化する方法800が示されている。802において、運動評価装置200から受信された各期間または時点における変位データが、ステップ804,806,および808を並行して使用して参照される。特定の例示的実施形態では、圧力データを、記録プロセスおよび条件(例えば、ベビーベッドまたはマットレスの厚さまたは柔らかさ、乳児の配置、乳児のサイズ、および/または体重)による差異を最小限にするように正規化する。804において、運動評価装置200から検出された圧力にバイナリ(binary)が割り当てられ、圧力=1および圧力なし=0である(例えば、バイナリ正規化(binary normalization))。バイナリ正規化によって、バイナリ正規化変位データが得られる。
【0033】
806において、複数のセンサー210の各々において検出されたセンサー圧力は、複数のセンサーの全体にわたる検出されたセンサー圧力の標準偏差によって除算される(例えば、標準偏差(STD : standard deviation)正規化)。STD正規化によって、STD正規化変位データが得られる。808において、ヒストグラム補償プログラム(histogram compensation program)を使用して、計算値を「0」から最終値の範囲に割り当てる(例えば、ヒストグラム正規化)。特定の例示的実施形態では、範囲は0~255である。特定の例示的ヒストグラム補償プログラムはOpenCVであり、これはグレースケール画像を改善するために一般的に使用されており、割り当てられた値0,255などの黒色から白色までの範囲に計算値を割り当てられた圧力データが得られる。ヒストグラム正規化によって、ヒストグラム正規化変位データが得られる。810において、方法ステップ804,806,および808において生成されたバイナリ、STD、およびヒストグラム正規化変位データは、図9に示される方法900において独立してクラスタリングされる。特定の例示的実施形態では、方法ステップ804,806,および808は同時に実行される。別の例示的実施形態では、方法ステップ804,806,および808は、連続して実行される。
【0034】
図9では、正規化変位データ(例えば、バイナリ、STD、およびヒストグラム正規化変位データ)をクラスタリングする方法900が示されている。特定の例示的実施形態では、方法900のクラスタリングは、バイナリ、STD、およびヒストグラム正規化変位データの各々に対して独立して実行される。別の例示的実施形態では、方法900のクラスタリングは、バイナリ、STD、およびヒストグラム正規化変位データのうちの少なくとも1つに対して独立して実行される。
【0035】
902において、正規化変位データに対してK平均クラスタリング(K-Means clustering)が実行される。K平均クラスタリングの一例は、scikits learnモジュールを使用する。904において、第1のクラスタは、動かないか(motionless)または小さい動作(less active)として割り当てられ、第2のクラスタは、運動状態(motion state)として割り当てられる。906において、要素202当たり2つのクラスタが、クラスタ化データ(clustered data)として生成される。この例示的実施形態では、K平均クラスタリングは、正規化変位データ内の同様の分散を有する集計期間または時点(aggregate durations or time points)を低減する。クラスタ化データは、バイナリ正規化変位データに基づくクラスタ化データである独立して生成されたバイナリクラスタ化変位データ、STD正規化変位データに基づくクラスタ化データであるSTDクラスタ化変位データ、ヒストグラム正規化変位データに基づくクラスタ化データであるヒストグラムクラスタ化変位データを含み、処理装置112に記憶される。
【0036】
図10には、クラスタリングされた正規化変位データから複数の特徴を抽出する方法1000が示されている。特定の例示的実施形態では、方法ステップ1002~1012は、集合的にクラスタ化データと呼称されるバイナリクラスタ化変位データ、STDクラスタ化変位データ、および/またはヒストグラムクラスタ化変位データに対して実行されて、独立した3つの抽出データセットを生成する。1002において、クラスタ化データから複数の特徴が抽出される。1004において、第2のクラスタがアクティブ(active)である時間に対する第1のクラスタがアクティブである時間の割合が特定される。この実施形態では、抽出される第1の特徴は、各クラスタが第1の期間中に出現した時間の割合である。別の言い方をすれば、フィッティングする(fitting)ステップは、比較可能な信号処理の解析を生成するために実行される。
【0037】
1006において、第1および第2のクラスタにおいて、(複数のセンサー210のうちの圧力を記録するセンサーの数に相当する)アクティブである総面積(total area of activation)、総平均圧力(total mean pressure)(例えば、複数のセンサー210にわたる全圧力)、および圧力の総標準偏差(STD : total standard deviation)のうちの少なくとも1つが計算される。この例示的実施形態では、抽出される第2の特徴は、第1および第2のクラスタにおいて、アクティブである総面積、総平均圧力、および圧力の総STDのうちの少なくとも1つである。
【0038】
1008において、各要素202a~202eの各クラスタの質量中心が、以下の式1を使用して計算される。この例示的実施形態では、質量中心は、運動評価装置200における乳児の体重分布の差を表す。特定の例示的実施形態において、質量中心は、(例えば、各要素202a~202eの2つの重心である)x座標およびy座標を含む。2つの重心は、質量中心を構成するようにx座標、y座標に組み合わされる。さらに、複数のセンサー210の各センサーは、重心座標を含み、質量中心を表す2つの重心座標(x,y)の組み合わせは、運動評価装置200上の乳児の中心、または特定の要素202a~202e内の乳児の質量中心の表現(representation)を生成し、運動評価装置におけるまたは様々な5つの要素における乳児の不均一な分布を表す。特定の例示的実施形態では、抽出される第3の特徴は、各要素202a~202eの各クラスタの質量中心である。特定の例示的実施形態では、各クラスタの質量中心は、タプル(tuple)(例えば、xb、yb)として示され、座標(0,0)が与えられる。この例では、質量中心は、以下の式1に示すように、x軸およびy軸に沿って各要素202a~202eの重心204a~204eを組み合わせることによって得られる。
【0039】
【数1】
【0040】
式1において、xまたはyはインデックス(index)の位置であり、vは対応するインデックスからの圧力値である。特定の例示的実施形態では、複数のタプルをインデクシングする(indexing)ことによって、一般的な運動中の乳児の複数の肢の流動性、速度、およびエンゲージメント(engagement)を考慮する。
【0041】
1010において、コア要素(第3の要素202c)と複数の周辺要素(第1、第2、第4、および第5の要素202a,202b,202d,202e)(図2A,2C参照)の質量中心との間の距離が計算される。特定の例示的実施形態において、抽出される第4の特徴は、コア要素202cと複数の周辺要素202a,202b,202d,202eの質量中心との間の距離である。別の例示的実施形態では、5つの要素202は、(0,0)を中心とするコア要素202cを有する質量中心に対して定義される3×3センサークインテット(sensor quintets)として定義されて乳児の体幹運動を表し、複数の周辺要素202a,202b,202d,202eは、コア要素の複数の周辺角を備える複数のセンサーの外側且つ上/下で斜めになっている(skewed)。この例示的な実施形態では、周辺要素202a,202b,202d,202eにおいて検知された圧力および特定された運動は、乳児の近位関節運動(proximal joint movements)の支点(fulcra)を表す。特定の例示的実施形態では、5つの要素202a,202b,202c,202d,202eの各々は、上記の式1を使用して定義されるような座標(x1,y1)...(x5,y5)を有するそれ自体の計算された質量中心を割り当てられる。
【0042】
1012において、コア要素202cの質量中心204cと周辺要素202a,202b,202d,202eの質量中心204a,204b,204d,204eとの間の距離206A,206B,206D,206E(図2C参照)が計算されて、抽出されるデータを生成する。特定の例示的実施形態では、周辺要素202a,202b,202d,202eの質量中心204a,204b,204d,204eとコア要素202cの質量中心204cとの間の距離206a,206b,206d,206eは、ベクトル積(vector products)を使用して計算される。これらの距離は、乳児の体幹に対する支点の移動を表す。コア要素202cの(0、0)として割り当てられた質量中心204cから、コア要素202fの計算された質量中心までの距離206cは計算されて、運動評価装置200上の乳児の呼吸運動および/または大きな位置変化を表す。この例示的実施形態では、抽出される第5の特徴は、計算された距離206a,206b、206d、206eを含む。
【0043】
図11には、決定木(decision tree)を用いて、抽出された複数の特徴を集約する(aggregating)方法1100が示されている。特定の例示的実施形態では、方法ステップ1102~1106は、バイナリクラスタ化変位データ、STDクラスタ化変位データ、および/またはヒストグラムクラスタ化変位データのそれぞれから抽出された第1の特徴、抽出された第2の特徴、抽出された第3の特徴、抽出された第4の特徴、および抽出された複数の第5の特徴を、まとめて抽出データとして集約するために使用される。1102において、決定木モデルを使用して、方法800において生成された独立した正規化データから方法900および1000において生成された抽出データを集約する。特定の例示的実施形態では、決定木モデルは、scikits-learnモジュールからの教師付き決定木分類器(supervised decision tree classifier)であり、2つの分類に基づいて結果を予測する。1104において、決定木を利用して、正常運動および異常運動を特定する。この例示的実施形態では、正常運動の検出は、異常運動が正常運動から区別される場合に達成される。例えば、単に不十分なレパートリー(repertoire)である運動は、運動障害の高いリスクをもたらす異常運動と区別される。1106において、正常対異常運動を確認するために5分割交差検証(5-fold cross validation)が用いられた。この例示的実施形態では、決定木は、5分割交差検証手順で決定木分類器を使用して訓練された。決定木出力は、混同行列(confusion matrix)(真陽性、真陰性、偽陽性、および偽陰性)である。次いで、感度および特異度を計算した。
【0044】
有利には、運動評価システム100は、現在の方法よりも早期に乳児の異常運動を特定することを可能にし、治療を実施するためのより多くの時間を可能にする。さらに、運動評価システム100は、病院におけるより正確な識別および照会を可能にする一方で、異常運動/疾患の早期特定を通じて専門医療へのアクセスが可能となる。運動評価システム100の使用は、潜在的疾患/異常運動を有する乳児が退院した後に、標的化された効果的な早期介入(targeted effective early interventions)の提供を向上させる。標的化された早期介入は、そのような乳児の神経発達転帰に対する既知の肯定的な下流影響(downstream impact)をもたらす。運動評価システム100は、ユーザーの広範な訓練を必要とせず、ユーザーが、高価で頻繁でないコースを頻繁に取り直すことなく、潜在的疾患/異常運動を特定または診断することを可能にする。さらに、表面標識1200,1300,1400は、複数のユーザーにわたって一貫性および反復性をもたらし、運動評価システム100の有効性を最大化する。最後に、運動評価システム100は、予防可能な障害を減少させるためのCPおよび他の障害の早期検出の重要性の認識の増加、ならびに体系的に識別された集団に対して以前に可能であったよりも早期に乳児の転帰を変更するための新しい介入を研究機関が開発する能力の増大を提供することを助ける。
【0045】
前述の本明細書では、具体的な実施形態が記載されている。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲に定められる本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態がなされ得ることを理解する。従って、本明細書及び図は、限定的な意味でなく、むしろ例示的な意味で解釈されるべきであり、かかる修正形態は、全て本教示の範囲内に含まれることが意図される。
【0046】
利益、利点、問題の解決法及び任意の利益、利点又は解決法を想起させるか又は一層際立たせ得る任意の1つ又は複数の要素は、あらゆる特許請求の範囲の決定的な、要求される又は不可欠な特徴又は要素と解釈されてはならない。本開示は、本願の係属中に行われる任意の補正及び付与されるとおりのその特許請求の範囲の全ての均等物を含め、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0047】
更に、本明細書では、第1及び第2、上及び下など、関係を示す用語は、ある実体又は動作を別の実体又は動作と区別するためにのみ用いられ得、必ずしもかかる実体又は動作の間のいずれかの実際のかかる関係又は順序を必要とするか又は含意するわけではない。用語「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「包含する」、「包含している(including)」、「含有する」、「含有している(containing)」又はこれらの任意の他の変化形は、要素のリストを含む、有する、包含する、含有するプロセス、方法、物品又は装置が、それらの要素を包含するのみならず、明示的に挙げられていないか、又はかかるプロセス、方法、物品若しくは装置に固有の他の要素を包含し得るように、非排他的包含を網羅することが意図される。「・・・を含む」、「・・・を有する」、「・・・を包含する」、「・・・を含有する」が前に付く要素は、それ以上の制約なしには、その要素を含む、有する、包含する、含有するプロセス、方法、物品又は装置に追加的な同一の要素が存在することを除外しない。用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書に特に明記しない限り、1つ又は複数として定義される。用語「実質的に」、「本質的に」、「近似的に」、「約」又はこれらの任意の他の変化形は、当業者が理解するとおり、近いこととして定義される。非限定的な一実施形態において、これらの用語は、例えば10%以内、別の可能な実施形態では5%以内、別の可能な実施形態では1%以内及び別の可能な実施形態では0.5%以内にあると定義される。用語「カップリングされている(coupled)」は、本明細書で使用されるとき、一時的又は永久的のいずれかで、必須ではないが直接及び必ずしも機械的ではなく接続されているか、又は接触した状態にあることとして定義される。ある種の方法で「構成されている(configured)」装置又は構造は、少なくともその方法で構成されるが、挙げられていない方法でも構成され得る。
【0048】
前述の実施形態のいずれか1つ又はその構成要素についての資料が特定されない限りにおいて、当業者であれば、意図した目的に好適な資料が分かるであろうことが理解されるべきである。
【0049】
読者が本技術的開示の性質を迅速に確かめることができるように、本開示の要約が提供される。これは、それが特許請求の範囲又は意味を解釈又は制限するために用いられないであろうという理解の下で提出される。加えて、前述の詳細な説明では、本開示を簡素化する目的で様々な特徴が様々な実施形態に1つにまとめられているのを見ることができる。この開示方法は、特許請求される実施形態に、各請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴が必要であるという意図を反映するものと解釈されてはならない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するとおり、発明の主題は、単一の開示される実施形態の全てに満たない特徴にある。従って、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって詳細な説明に援用され、各請求項は、個別に特許請求される主題として自立している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】